コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ37
さるに間に合わなかったかな
支援
支援
支援
「顔をお挙げください、ジェレミア卿、あの映像見させてもらいました。
恐らく貴公は混乱と興奮のあまり、自分の意思と全く別の行動をとってしまったのでしょう。
記憶がないのもその辺の影響でしょう、精神医学的にありえない話ではありませんから。
あれは不幸な事故です。
さすがに貴公を前の階級に戻すことはできませんが貴公や純血派の復権できるだけ
お手伝いさせていただきます」
さすがにギアスについて説明するわけにはいかなかった。
ジェレミアはボロボロ泣き出した。
「どうしました!?」
「うう・・失礼しました、命を助けられたばかりかこのような私の言うことを
信じてもらえて大変感動しております。
この恩義このジェレミア命に代えましてもかえさせていただきます」
「はは・・気が向いたらでいいですから・」
(本当に感情が顔に出る人だな)
「一つ聞きたいことがあります」
「はい、何なりとお申し付けください」
「貴公はゼロにどういう印象を持ちましたか」
「ゼロ・・ゼロー!!」
急に叫びだしたジェレミアにライはビクッとする。
「ゼロ、奴こそブリタニア帝国臣民の敵!!世界の敵!!私の敵!!・・」
その後ジェレミアはよくもまあこれだけボキャブラリーが続くなとライが
感心するくらいゼロに対する罵詈雑言を叫び続けた。
10分後
「つまり、ゼロを倒すことこそが・・」
「あの、もう結構です、貴公がゼロにどういう想いを抱いてるか十分理解しました」
「は、しかし、まだ20分ぐらい続きが・・」
「本当に結構ですから、私の用件は以上です、下がって良いですよ」
「は、失礼します、最後に一つお聞きしてもよろしいでしょうか」
「?なんですか」
「ライエル卿の実の母親がマリアンヌ様と言うのは本当なんでしょうか
今は亡きルルーシュ様の双子の兄弟というのは」
ライはその質問に顔をしかめた。
「マリアンヌ妃の二つ名『閃光』を私が受け継いだからそういう噂も出ているのも知っています。
亡き従兄弟のルルーシュと誕生日が全く同じ日だというのも噂の出所の一つですが
それはまったくのでたらめです、DNA鑑定でもそれは証明されています」
「も、申し訳ありません、出すぎたことを聞いてしまって・・」
「いえ、貴公がマリアンヌ妃を敬愛しているのは知っています。
私もその2つ名に恥じぬ振る舞いをするつもりなのでよろしくおねがします」
「ははぁぁ」
ジェレミアは恭しく頭を下げた。
ジェレミアが出て行った後、アルが執務室に入ってきた。
「いいんですか、今更純血派を取り込んだところでたいしたメリットはありませんよ。
彼らはあまりにも私達と思想が違い過ぎます」
ライは机にひじを突き
「別に純血派を取り込むつもりはないよ」
「だとしたら何故ジェレミア卿をかばうのですか。
こっちまで余計な火種を抱えることになりますよ」
「う〜ん、彼みたいな人間も何だかほっとけないんだよね」
アルはライの人の良さにため息をつく。
「それに」
「それに?」
「彼の忠義心は本物だよ、味方にしておいて損はない」
数日後
「本日はクロヴィス様のご葬儀があります」
アルはスケジュール帳を見ながら話す。
「そういえば今日だったな、本当なら直に参列したかったが
今ここを離れるわけにはいかないな」
「衛星中継される予定なのでそちらをご覧ください」
予定の時間になってアルは執務室のスクリーンとプロジェクターを
動かす。
スクリーンには亡くなったクロヴィスの巨大な肖像画がうつり
ブリタニアの国歌が流れ荘厳な雰囲気だ。
『神聖ブリタニア帝国第98代唯一皇帝陛下よりお言葉』
髪がロール巻きの威厳のある男性が壇上に立った。
ライは皇帝を見るたびに思うことがある。
(どうやってあの髪セットしてるんだろう)
『人はァ! 平等ではない・・・』
ライは皇帝の演説を聞きながら思った。
(やれやれ、伯父貴は相変わらずだな、確かに平等なんて人間の幻想に過ぎないが
人の多様性において差別主義もナンセンスだ、平等、不平等に善も悪もない、
もしブリタニアが本当の意味で進化しているのならとっくに戦争なんてやめているはずだ)
演説が終わった後、ライはため息をついた。
「相変わらず伯父貴は当たり前のことを大げさに言う才能に満ちてるな。
息子の葬式まで、こんな政治的プロパガンダを垂れ流さなくても・・」
「今の発言、不敬罪にあたりますよ」
「君が言わなければいいだけだろう」
「私が密告するとは思わないですか」
「その時は僕の人の見る目がなかったというだけさ」
ライはアルとの会話を楽しんでるようだった。
アルはメガネの位置を直しながら
「特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)がエリア5での反乱鎮圧の任を終え
近日中にもこのエリア11に着任します」
「そうか、ようやく彼女達が」
エリア5(旧ペルー)
「くそ、何なんだ、奴らは」
「あのような少数精鋭部隊がブリタニアにいるなんて聞いてないぞ」
破壊された市街地において反乱軍のナイトメアが次第に追い詰められていく。
「我が軍随一の機械化部隊がこうも簡単に追い込まれるとは」
「答えは単純明快『弱い』からさ」
一機のナイトメアが放つ銃弾は反乱軍のナイトメアを次々と打ち抜く。
「奴らはコーネリアや、シュナイゼルの親衛隊でもありません」
「展開していた支援部隊、すべて破壊されました!!?」
「少佐!!」
「残りのナイトメアで市街建造物の残骸を盾に頭を叩く、最早これしかない」
部隊の指揮官は部下に指示をだす。
「散開!GO!」
「ジ・オドに反応、気配が殺気だったな、動いたか、ルクレティア」
ナイトメアに乗る黒髪のクールな印象を持つ少女が呟いた。
その額にはギアスのマークが
「はい、大尉、ザ・ランドとGPSの照合完了、残存騎、予想経路2でこちらに進撃してきました」
真面目そうな三つ編みの少女が冷静に言った。
「単純な奴らだ、司令がここにいたら笑っているところだ、ダルク」
「あいよ」
返事をして出てきたナイトメアに乗っているのはショートカットにリボンをつけた
活発そうな少女。
「レセプター同調、ナイトメアフレームへのギアス伝導開始」
ゴゴゴ!!!
轟音があたりに響く。
「いっけえええ!!!」
「何だ!?」
ナイトメアが何とビルを担ぎながら落ちてきた。
「これがあたしの能力(ギアス)ザ・パワー」
「こんなバカな!」
反乱軍のナイトメアはビルの残骸に押しつぶされ爆発した。
「これで当該エリアでのわれわれ(特殊名誉外人部隊)のミッションは
終了した」
サンチアは爆発するナイトメアを見ながら冷静に言った。
「次は、どのエリアでの作戦になるんですか」
「エリア11旧日本だ、大佐から連絡があった。
本隊はすでに駐留している」
「んじゃあ、久しぶりにライに会えるね」
「ダルク、司令かライエル様でしょう」
「え〜、ライも呼び捨てで良いっていってるよ」
「まったく・・たしかエリア11は・・」
「ああ、すでにアリスが潜伏している」
「アリスとも久しぶりに合流できるね、そういえばターゲットは?」
「ゼロ、ギアスユーザーだ」
パチパチ
瓦礫の上にはD.D.が座って彼女達を見ながら拍手をしていた。
「素晴らしいな、実に素晴らしいな
ようやく彼女達も舞台に上がる、本来出会うはずのなかった英雄達の
一大叙事詩、主演はゼロかそれとも君か、私は観客として
そして演出家としてこの舞台を見届けさせてもらうよ、我が契約者ライ」
以上です
これからはキャラ、用語説明です。
特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)
通称イレギュラーズ 隊長はサンチア
特撃に所属している部隊 司令であるライ直属の部隊でライの親衛隊のような部隊である。
(ただしライに騎士はいないので正式に親衛隊とは認められていない)
名前の通り全員ナンバーズでありギアスユーザーでもある。
戦災孤児になり響団の実験体にされ脱走したところをライに助けられてそのまま
特撃に所属している。
各隊員の紹介は次回
小百合
ライのお付きのメイド
苗字や詳細はネタバレになるのでここでは詳しくは書けません。
(この時点で気づいた人は気づいてると思う)
日本人でお茶を入れるのがうまい。
詳細はおいおいと語られる予定。
これで完全に終了です。
しかしライがやってること完全にナンパだな。
人脈を作っているところなんですけど。
そしてイレギュラーズの登場。
アリスは次回登場予定。
しかしコードギアス小説版最終巻読みましたが
マリアンヌのいかれっぷりに正直引いた。
さらにナナリーの闇の部分も垣間見れたところとか。
その辺も今後生かしていきたい。
ナナナは登場人物がまともでよかった。
皇帝もマリアンヌも最後はナナリーの選択を支持したし。
あとがきが長くなりました、すいません、では又次回
>>288 GJでした!
モニカ……結局のところ性格がイマイチ分からない私。
小説にでも書いているのだろうか。
……ルキアーノ実際何しに来たんだろう?
ライ、まっすぐだ……凄くまっすぐだ……
なんかいいねぇ。
>>308 Mrスケアクロウ卿、GJでした!
ジェレミアァァァァァ!
副総督が自分を信じてくれたことにより、彼はどういう道を行くのか……
でも、ゼロへのうらみは深いなぁ……紅蓮にチンされるフラグはまだ残っているっぽいですね。
しかしこの展開……イレギュラーズもでてるし……
続きが非常に楽しみです!
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
Mrスケアクロウ卿、乙です!
更新、一日千秋の思いでお待ちしておりましたが、まさかイレギュラーズが登場するとは・・・
GJ!激しくGJです!!
イレギュラーズとライ、SSのネタにすれば妙にうまく絡むんですよねw
しかも、何だか全員とフラグ成立しているみたいだしww
次回も全力でお待ちしております。
P.S
「黒髪のクールな印象を持つ『少女』」
サンチア姐さんって確か20代前半か半ばだったような・・・
ロスカラSSスレよ、私は帰ってきた!!
いや〜かなり間を空けまくりましたが、やっぱり書きたくなっちゃうんだよねw
『姫と騎士にて、愛しきかな』の続編をリハビリな感じで執筆してみた。
……この時間って人いるのかしら? 大して長くないけど、支援が欲しい今日この頃。
お茶会、食事会、夜会、舞踏会。どれも意味するところは違う。
けれどそれを貴族や皇族が行うものと考えると内容は似通ったものに成ってくる。
即ち『悪巧みの場』であり、『人脈を広げる場』でもあり同時に『万魔殿』と同義。
歴史は言うに及ばず、現代の神聖ブリタニア帝国でもその定義は適用されるだろう。
懇意である者、お近づきになりたい者をこれらのイベントに招待する事で、有効に親交を深めたり新しい関係を築くのだ。
お茶や食事、華麗なダンスの裏ではただの親交と表現するには生ぬるい策謀が飛び交う。
主催者は多くの交友関係を築くべく努力するし、出席者は自分のライバルとなりそうなものを見繕う。
戦いは常に行われているが、それは決して人目に触れることは無い。
『笑顔の敵に後ろから狙われているようで気分が悪い!』
ナイトメア・フレームの操縦に定評があったゴッドバルド家跡取りの言葉だが、正にその通りである。
笑顔で居ない者は居ないが、それは決して善意の体現でない。笑顔とは仮面であり、悪意と打算に満ちた本心を隠す為のフェイク。
偽りの微笑みの下では戦場とは違う戦いが常に行われる修羅の庭だが、そこでの争いが今のブリタニアを作り上げているのだ。
故にこの国で上流階級に属すればイヤでも通らなければならないイベントであり、それは最近になって騎士を持った出戻り皇女とて例外では無い。
「おはようございます、ナナリー様」
ナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女殿下の朝のご機嫌と言うのは、朝一番にかけられた声によって二段階に変化する。
もっとも目が見えず、足が動かないハンデを持ちつつも真っ直ぐ誠実に育った彼女にとって、機嫌が悪いなんて事は自意識下には無い。
強いていうならば『普通』と『上機嫌』である。
「はい、おはようございます」
見えない目で捉える先に居るのはメイドである事が、視覚以外の全ての感覚でナナリーには解った。
故に今朝のご機嫌は……普通である。
「おはよう、ナナリー。よく寝られたかい?」
でもその『普通』は朝食の場で掛けられる声によって、『上機嫌』へと変化し、後はそれが一日中続く。
声の主は先にテーブルについていた銀髪の青年 ライ・ランペルージ。本当の名をライとしか解らない元記憶喪失者。
しかし今では皇帝を初めとした皇族に認められたナナリーの騎士である。
「おはようござます、ちゃんと寝られましたよ? ライさん」
「そうかい? もしかしたら緊張して眠れていないのかと思ってさ」
足が動かないナナリーは車椅子のまま席に着き、メイドたちが料理をテーブルに並べ始め、朝食の準備が整った。
コックの技量が光るブリタニア風ブレックファーストを口にしながら、ライとナナリーの会話は続く。
「もう……私はそんなに子供じゃありません!」
「ゴメンゴメン。でも始めてのお茶会だからね? 色々と準備する事もあったし」
頬を膨らませる様すらも恐ろしく愛らしいナナリーと宥めつつもその身を案じるライ。
『お二人の会話だけで食パンが幾らでも食べられる』
二人の居住するベリアル宮のメイドなら頷いてしまう、上記の言葉が似合う理想的ストロベリートーク。
「お母様が主催したり、ユフィお姉さまの所へお呼ばれした事はありますけど……ゴメンなさい」
「どうして謝るんだい?」
不意の謝罪にライは首を傾げ、ナナリーは瞳を閉じたままの可愛い顔を苦悶に歪める。
「自分じゃ何も出来ないくせに、『お茶会を開いてみたい』なんてワガママを……」
「前にも言ったと思うけど、君のワガママなら僕は何でも叶えるよ? ナナリー」
『ブリタニアの皇帝になりたい』と真摯に言われたならば、ギアスや策謀の限りを尽くして彼女を世界の頂点に導く用意がライにはある。
万が一にもそんなお願いされないだろうと解っていたが、皇族や貴族の嗜みにして重要命題たるお茶会の開催くらい楽なものだ。
「もう……ライさんと居ると世界一悪い娘になってしまいそうです」
「それは光栄の極みです、プリンセス?」
挟んだテーブルさえも障害であり、僅かな距離すら二人の間では無粋なもの。
だが『それに』と前置きをして、ライは真剣な顔で語り出すのは現実のお話。
「これからブリタニア皇族として生きていくなら、どうしても必要な物を手に入れる絶好の機会でもあるからね」
ブリタニアと言う国で『皇族』と言う存在はただソレだけでも大きな意味を持つ。
しかしそれだけで血を別けた間からでの凄惨な共食いに勝利できる訳ではない。
次に世界を統べる皇帝に相応しい者か否か? 図るべき点としては総合した知力が筆頭に上げられるだろう。
「後ろ盾ですね?」
そして次に重要に成ってくるのが後ろ盾。簡単に言えば支援者・支持者を持つ事。
有力な後ろ盾を例に出せば国の経済を動かす大企業の社長、大隊以上を任せられた高級軍人、エリアを統括する大貴族。
彼らは皇族と言う箔を付ける事を、皇族は一人では得られない影響力を確立する為にその関係を結ぶ。
「それでライさん……どれくらい来て頂けそうですか?」
本来そんな後ろ盾候補を出戻り皇女が、会合の場に引き出すのは難しい。
なぜならばそんな存在は既に他の皇族や大貴族の傘下に入っている可能性が高いからだ。
すなわち皇位継承権を上げるレースとはそう言った後ろ盾たちの獲得競走なのである。
「大丈夫だよ、ナナリー。君が会いたいと言っていた面子は、普通ならば皇族や貴族の後ろ盾になるような人たちじゃないからね
まぁ、儀礼的にお誘いした兄弟や姉妹の皆さんは難しいから抜きにして……」
もし本当にそう言った存在の獲得が目的ならば、ライもかなりの無理をしなければ成らないし、お断りを多数受ける事にもなりかねない。
けれども今回は実に楽な交渉に終始した。その理由はナナリーが会いたい人々がブリタニア内で高い存在では無いからである。
「それ以外はリスト通り、全員が参加してくれるみたいだよ?」
そういう意味では姫が心配する騎士への負担は小さいと言う事になるのだろう。
ナナリーはホッと息をついて、数時間後に控えるお茶会へと考えを巡らせる。
「そうですか……楽しみです」
何時でも優しく華やいだ空気が流れるベリアル宮。
そんな場所でもメイド達が準備の為に動き回り、主が夢想を巡らせる今の状況は特筆すべき状態と言えた。
「「「「「ようこそいらっしゃいました、ジョン・マクドナルド様」」」」」
迎えに来た黒塗りのリムジンから降り立った私 ジョン・マクドナルドは呆然としていた。
ここは皇族のプライベートハウスが並ぶ一角、その中では小さいとは言え一般人からすれば大きく豪華な建物 ベリアル宮。
そして自分を出迎える複数のメイドたち……私は場違いだ。
「荷物やコートはこちらでお預かりします」
「あっはい」
何とか小さく返事をすれば、テキパキと自分のコートは剥ぎ取られ、鞄は強奪された……これぞ正しくプロの手際。
空回りする思考回路の片隅で無駄な考えを巡らせてみる。
「どうぞ、こちらへ」
案内された先は充分に手入れされた庭園だった。美しい離宮の佇まいを更に引き立てている。
地面には丁寧に刈り込まれた緑の芝生、過敏に過ぎず咲き誇る淡い色合いの花々たち。
そして中央には白いクロスを纏ったテーブル、その上には白亜に精細な縁取りが成されたティーセットが並んでいる。
これがいわゆるガーデンパーティ? こういった場所に初めて呼ばれるので詳しくは解らない。
「まもなく主が参られます。どうか寛いでお待ち下さい」
案内してくれたメイドにそんな事を言われるも、ガチガチになった体を解す術は無い。
医科大の同僚たちは知らないが、こう言った場所には縁がないと思っていた。
内科や外科を筆頭とした花形を専攻していれば、皇族や貴族にお呼ばれもあるだろう。
だが自分が専門にしているのは精神科、しかも幼児や高齢者を多くの対象にしており……弱者が嫌いなブリタニアでは人気が無い分野なのだ。
ふと周りを見れば参加者は十人に満たず、その大部分がそれなりの格好をして学を収めているが、こんな場所に馴れていない雰囲気。
良かった……自分だけ場慣れしておらず、無礼を働いたら如何しようかと思っていたのだ。
ふいに空気が変わった。メイド達が緊張の糸を張り、私たち招待客にもそれが伝わる。
「ようこそ、いらっしゃいました」
響いたのは愛らしい声。現れたのは二つの人影。
「私のような若輩の招きに応じてくださり、本当にありがとうございます」
皇族らしくない前口上を語るのは車椅子に腰掛けた可憐な少女。光を捉えていないらしい眼は伏せられ、栗色の髪は緩やかなウェーブを描く。
そしてもう一人は少女の車椅子を押す端正な顔立ちの銀髪の青年。
「初めてお茶会というものを主催したので、皆さんにご満足いただけるか解りませんけど、どうか楽しい時間をお過ごしくださいね?」
そこで少年が少女に何やら耳打ち。少女の方はパッと顔を羞恥で赤く染め、思い出したように続けた。
「えっと! 私がナナリー・ヴィ・ブリタニアです。そして私の騎士である……」
「遅い紹介になってしまいましたが、ナナリー皇女殿下の騎士を勤めているライです」
どうやら先程の騎士 ライ卿の耳打ちは、皇女殿下に自己紹介を忘れていることを教えるものだったらしい。
『遅い紹介』と言う単語は忘却へのジョークなのだろうが、私を含めて招待客には笑う余裕は無い。
「もう! ライさんが早く教えてくれればよかったんです……」
ツンとそっぽを向き、頬を膨らませる。ナナリー皇女殿下が取るのはそんな余りにも愛らしいアクション。
それを受けてクスリと小さく笑い、ライ卿は続ける。
「とまぁ、こんな主従ではありますが……これから午後のひと時を皆さんとご一緒します。どうかお手柔らかに」
後にして思えば……この二人 姫と騎士はどんな高みに上り詰めても……この暖かく支えあう関係を失うことは無かったのだろう。
――ジョン・マクドナルド 晩年の回想録にて 後に世界を変える者達について記す――
あれ〜随分と小さく収まってしまった……これが創作版の力なのか!?
うん、ただ私が久しぶりすぎて四苦八苦し、短く切っただけなんだけどねw
と言う感じで、『姫と騎士にて、愛しきかな 七話』をお送りしました〜
貴族と言えばお茶会→お茶会と言えば陰謀策謀後ろ盾? そんな無茶理論の賜物(ぉ
お茶会の詳しい中身も考えてはいるけど……読む人は楽しいのだろうか?(遠い眼
GJ!
ひさしぶりにライナナで2828させていただきました
お茶会の中身ももちろん読みたいです
ここ最近の投下でロスカラはまだ終わっていないと感じました
お久しぶりです!そして投下乙です!
ナナリーが可愛すぎる!
久々のライナナごちそう様でした
又の投下をお待ちしてます
>>316 貧弱な軍馬卿、GJでした!
良い! ディモールト・良い!
ライナナは癒される、なんだかとっても暖かいかんじだ。
お茶会の中身? 読まなきゃ楽しいも楽しくないも分からない。
お願いです、投下していただきますますか。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
職人の皆さんGJ!!
このままの勢いでロスカラ2発売まで行くぜ!!
というわけで、ロスカラ2のエンディングを妄想しました。(もちろん、主役はライ!)
@ルルーシュ死亡阻止エンド
Aカレンとラブラブハッピーエンド
Bシャーリー生存、ルルシャリ出歯亀エンド(シャーリー騎士団加入)
CC.C.と不死共存エンド
Dスザクとゼロレク継承エンド
Eラグナレクの接続失敗、ユフィがCの世界から復活、スザユフィ出歯亀ハッピーエンド
Fアーニャとジェレとオレンジ畑でモラトリアムエンド
Gナナリーと世界再興騎士姫エンド
H中華〜超合衆国ルートで星天出歯亀エンド
I藤堂千葉&扇ヴィレを出歯亀しつつ、玉城と日本奪還エンド
Jジノと自分探しエンド
Kルルナナロロ生存で、ロロと義兄弟エンド
L騎士団オペ娘の誰かと友達以上恋人未満で、普通の生活エンド
Mラウンズまたはブリタニア皇族女子の誰かといい仲になりつつ、ブリタニア和平復興エンド
Nシュナイゼルとダモクレス自爆エンド
Oシャルルとマリアンヌと神殺し成立、サードインパクトエンド
Pミレイとニーナとリヴァルと親友関係で、アッシュフォード養子エンド
Qロイセシ、ラクシャータとどこかで研究者エンド
Rカグヤと婚約、皇家復興エンド
Sギアス根絶のための旅に出る孤独贖罪エンド
なんかSSのリクみたいになってしまったw
む、投下いきます。ライin中華の短編
星刻と天子、香凛、そしてライの四人はとある空間に集まっていた。
星刻を教師に、天子が国政について勉強に励む様子を、ライは香凛のいれたウーロン茶を飲みつつ見守っている。
やがて勉強が一段落したところで、天子が星刻に問うた。
「ねぇねぇ、星刻」
「何でございましょう、天子様」
天子は少しだけためらった後、
「星刻とライはどっちが強いの?」
「っ!?」
いったい何を。ライはそんな視線を送るが、天子はいつも通りのにこやかな笑顔。
どうやら、純粋に子供心から来た疑問らしい。
では、何と答えるのがよいか。ライが言葉に迷っていると、笑顔を崩さず星刻が答えた。
「いいですか、天子様。そのような疑問に意味などありません」
星刻の言葉は真剣だ。
ライは彼の告げるであろう言葉を先読みし、うんうんと頷いた。
(こういう役目は、星刻の方が適任かな)
星刻は続ける。
「我らは天子様をお守りする剣。どちらが強いなどという事実に意味はなく――」
一息。
「また、ライも私も、どちらも天子様をお守りするための力を持っているのですから――まあ、私が上でライが下ですが」
「ぶっ」
「何か文句があるのか、ライ?」
「いえ……」
吹き出し掛けたウーロン茶を喉の奥へ。
敵意剥き出しの星刻をあしらいつつ、ここは一旦この場から離れたほうがいいとライが判断した時だ。
天子はでも、と前置きして、
「でも、でもでも、ライは星刻にも負けないって言ってたよ」
「いいいいぃぃぃ天子様!?」
「ほう、ライ貴様……」
星刻が腰の剣帯に手を掛ける。
振り返ればもう、香凛は一目散に部屋から逃げ出していた。慣れだろうか。見習いたい。
ライは若干泣きそうになりながら、否定の言葉を並べた。
「言ってない! 言ってないです!」
しかし天子が続ける。
「でもライ言ってたよ。『僕は、天子様が見守って下さる限り誰にも負けませんよ』って」
「そ、それはっ……!」
言ったかもしれない。
ライの躊躇に、星刻が剣を抜いた。
「ライぃ!!」
「うわっ」
首筋に突きつけられた剣先を見て、ライはごくりと唾を飲み込んだ。
まずい。これは殺される。
これ以上下手な事は言えない。そう思いつつ、ライはちらりと天子の方を見て、
(これは駄目だ……)
天子は止めるどころか、ライと星刻の勝負の行方にわくわくと心躍らせているようだった。
(仕方ない)
ライは覚悟を決め、星刻に向き直った。ひやりとした嫌な汗が頬を流れ落ちる。
「言っ……たかもしれません」
「…………」
ごくり、と再び唾を飲み込む音が部屋に響いた。
沈黙が支配する空間。
緊張の均衡。
しかし、次の瞬間、それらは破られる。
「へくちっ」
天子の可愛らしいくしゃみが聞こえたと思った時には、星刻が剣を突き出していた。
「シャースーニィィー!!」
ライは反射的に頭を右に傾けてかわす。
そのすぐ横を星刻の剣が一陣の風をもって通り過ぎた。
つつ、と僅かに流れた自分の血を見て、
「殺す気ですか!?」
「ウオ ダ ジエン、グアン チュアン ニー!」
「何言ってるか全然分かりません!」
「ライ、頑張って!」
「あ、止めて下さらないんですね天子様!」
「タァッ、ホゥッ、ハッ!」
「シン……クー! ちょ、……待っ……!」
「ツェンツンツゥイー!!」
ライの言葉に聞く耳もたず、星刻は剣を振り回した。
怒りに我を忘れても剣の動きが一向に鈍らないのは、流石と言うべきか厄介と言うべきか。
ライは豪華かつ高価な家具を盾にしつつ、星刻の剣技を避け続ける。
「頑張れライー!」
天子がこちらに熱心な声援を送ってくる。
家具がいくら破壊されようとも何も気にしない寛容な心に、ライは自然と涙した。
(こうなったら……)
星刻との勝負は避けられない。そう判断したライは、一つの行動を起こした。
「天子様!」
「な〜に?」
「何か競技を決めて下さい!」
「きょうぎ?」
「ええ、星刻と僕との勝ち負けを決める競技を――うわぁ!」
話をしながら逃げていたため、ライは床に落ちていた机の破片に気付かずにつまずいてしまった。
慌てて起き上がろうとした瞬間、星刻の剣が眼前に突きつけられる。
そして星刻は悲しげに、
「ライよ……貴様は我が生涯最大の味方であり敵であった」
「最後に会話が出来てよかったです」
「私は悲しい……」
星刻の瞳から一筋の涙が伝った。ライは頷いて、
「意外です。僕と星刻にはコンセンサスがとれているみたいで」
「許せ、ライ――!」
何を許せというのか。
ライは半ば諦めの感情をもって剣の切っ先を見つめた。短い人生だった、と。
(いや、長い人生だったのか? しかしこの場合は生きてきた実質期間が重要……?)
深い命題だな、とライは鋭利な刃を見ながら思った。
そしてその刃が振り下ろされようとした瞬間、
「じゃんけん!」
と、場の空気を一喝する声が響いた。
「天子……様?」
正気を取り戻した星刻が、恐る恐ると言った様子で天子に尋ねる。
天子は自身の名案に満足しているのか、満面の笑みで、
「神楽耶から教えてもらったの! じゃんけんでどちらが強いのか決めましょう!」
・・・・
・・・・・・
ライは今、自分の置かれている状況を再確認した。
(ええと、星刻が壊れて、天子様がじゃんけん勝負にしようと……)
周囲を見れば、立会人として香凛や洪古、そして天子が座っている。
皆、どうしてこのおかしな状況を平然と受け止めていられるのかがライは不思議でならない。慣れだろうか。
すると、じゃあ、と天子が手を上げて合図した。
どうにでもなれ、とライは目の前にいる星刻を見る。
彼はすっと両目を閉じ、息を大きく吸って、そして吐くのと同時に奇声を上げた。
「ホオオオゥゥゥゥウ!!」
気功の一種か、星刻の周囲から何か場のようなものが湧き出た。見ると、口元には若干血が滲み出ていた。
かつてこれほどまでに、じゃんけんに命を懸けた男がいただろうか。
ライは思う。こんな星刻、星刻じゃないと。
(終わらせよう……)
そして星刻を元に戻す。それが今出来るのは自分だけだ。
故に、ライは星刻に気圧されまいと構えをとった。
そして思う。ああ、今僕もまたかつてないほどにじゃんけんに真剣になっている、と。星刻ほどではないが。
「最初は、」
「グゥゥゥゥウ!」
でも、と同時に思う。
こんな日々がいつまでも続くのも悪くはない、と。
(僕も慣れてきたのかな)
だが今の星刻のようにはなるまい。自分は合衆国中華最後の良心として、その力は奮うのだ。
この日々を守るために。
「じゃん!」
「ケェェェン!!」
――ポオオオォォォォン!!!
以上、神楽耶から教わったからじゃんけんは日本語で設定完璧オッケー問題無しとか、でも中国語はかなりテキトーとか、いろいろ矛盾してますがまあいいです。
>>325 GJでした!
何だこのシンクーは! 面白いじゃないかッ!
この壊れっぷりは楽しすぎるw
中国語、わかんないぜ。
誰か、誰か翻訳プリーズ。
じゃんけんでこの覇気……すごいなぁw
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
こんばんわー。
23時ごろ投下します。
よろしければ、途中数回の支援をお願いいたします。
時間ですので投下いたします。
タイトル 賭け 後編
カップリング ライ×アーニャ
ジャンル ラブコメ?
前回の続きとなります。
よかったら、前編を読んでいただいて、読んでください。
よろしくお願いいたします。
支援
賭け 後編
一気に突っ込んでくる白いナイトメアを面白くなさそうに目で捉えて狙う。
帰国したらノネットに文句を言おう。
そう思いながら……。
それはあまりにも作業的な正確すぎる動作。
ハドロン砲を牽制に発射し、回避ポイントに砲火を集中させる。
それだけで終わりのはずだった。
勝利を確信していたアーニャにとって、この模擬戦はもうどうでもいいことでしかなかったはずだった。
しかし、それは間違いと思い知らされる。
ハドロン砲を回避すると思われていたライのナイトメアは、シールドを展開するとその直撃を受け流して一気に懐に飛び込んできたのだ。
「え?!」
予想とは違う動きに一瞬、反応が遅れる。
その隙をライは見逃さなかった。
右手に握られた短めのMVSが振り下ろされる。
コックピットに鳴り響く警戒音と破損を表示するディスプレのサイン。
今のでハドロン砲破損…。
だが、さすがはナイトオブラウンズ。
すぐにハドロン砲を放棄すると前方にシールドを展開する。
予想通り、MVSが返す刀で切りつけられた。
シールドとMVSの衝突で火花がおこり、機体が振動する。
だが、被害はない。
しかし、メイン火力のハドロン砲を失ったのは痛手だった。
やられた……。
そう、さっきまでの繰り返しの単調な攻撃は、こういう事だったの。
くすっ……。
悔しいはずなのになぜか微笑が漏れる。
ほんのさっきまで心を支配していた虚しさと悲しさが一気に喜びに変わっていく。
強い……。
ノネットの言うように、彼は強い。
心に湧きあがる喜びと興奮。
そう、こうじゃないと……。
こんなに楽しい気分で戦うのは、初めてだ。
そう、今、アーニャは、楽しかった。
そして、うれしかった。
自分の思っていたとおりのライの姿に……。
支援とかマンドクセ
「す、すごいっ」
ハドロン砲の一撃を受け流しての攻撃に思わず声を上げてしまうセシル。
「うひょっ、やるねぇ〜」
ロイドも実に楽しそうに歓声を上げた。
クラブのMVSの一撃を受けて、モルドレットがぐらついてハドロン砲を手放す。
だが、返す刀で放ったニ撃目はシールドで完全に防がれた。
「おしいっ」そんな声が二人の口から漏れる。
だが、そんな中でスザクはただ無言で見続けていた。
メイン火器のハドロン砲を潰したのはいい。
だが、今のでシールドはもう使えないはずだ。
だがまだ強固なシールドと多彩な火力は健在。
それに、今のでアールストレイム卿も本気になっただろう。
そうなると同じ手は使えない。
やはりニ撃目を防がれたのは痛いな。
自分だったらどう対処するか考えていく。
だが、うまい手が浮かばない。
本当にどうする気だ、ライ。
さすが、ナイトオブラウンズ。
さっきまでとは格段に違う動きと反応。
機動性の低いモルドレッドがまるで普通のナイトメアと変わらない、いやそれ以上の動きを見せる。
それにさっきの攻撃も破損したハドロン砲を放棄し、ニ撃目をシールドを展開して防いだ判断力の速さ。
間違いなく決まったと思った攻撃が防がれたのには驚いた。
強い……。
彼女はとてつもなく強い。
そう再認識させられた。
どうしたっ……。
どうしてしまったんだろう。
すごく……。
すごく楽しい。
胸の奥に押し込んだわくわくした気持ちがまた顔を出してくる。
くそっ……。
こんな楽しいのは、初めてだ。
そして、戦う前までの嫌な思いが払拭されていく。
このままずっと戦いたい。
そう思ってしまうほど、この戦いに魅了されてしまいそうだった。
支援!
「なんかさ、あの2機の動き、踊ってるみたいに見えちゃうよ」
激しさを増していく2機の動きを見ていたロイドがぽつりと呟く。
「えっ、ロイドさんもそう感じたんですか?」
セシルが驚いた様にそう言った。
あの1撃が決まってからというもの、モルドレッドの動きが格段によくなった。
そして、クラブの動きもそれにあわせるかのようにより速くなっている。
くるくると攻防が入れ替わり、2機のナイトメアが空中を舞っている。
そう、それはまるで息のあった剣舞を連想させるような動き。
だから、二人がそう思えたのも仕方ないのかもしれない。
そして、もう一人。
実はスザクもそう感じていた。
まるで長年のパートーナー同士のような動きに驚き、見入ってしまう。
「なんか……楽しそう……」
セシルの呟きが口から漏れる。
「そうだねぇ。なんかさ、お互いの事を貪欲に知りたがっている恋人のようだねぇ〜」
その言葉にセシルは驚く。
ロイドの口からそんな言葉が出てくるとは思いもしなかったからだ。
「あのねぇ〜、僕だって、一応、人だよぉ〜」
そんな態度のセシルに"一応"というところに力を入れてロイドがふくれっ面で文句を言う。
その言葉と態度に、スザクもセシルも吹き出していた。
模擬戦でこんなに楽しく笑う事になるとは思いもしなかったと感じながら……。
模擬戦開始から20分が経とうとしていたが、一向に勝負が付く気配はない。
まるでお互いに相手の動きが見えているかのような攻防が続いている。
はぁはぁはぁ……。
息が切れる。
身体中がGによって引き起こされる疲労で悲鳴を上げていた。
だが、どうしてだろう。
身体はこんなにもくたくたなのに、心の中で沸き起こったワクワクした気持ちはますます大きくなっていく。
だが、何ごとにも終わりはある。
エネルギー残量の少なさを知らせるランプが点滅する。
エナジーフィラーの残量が20%を切っている。
まぁ、フルパワーに近い戦闘を20分も続けていれば消耗も激しいだろう。
あと5分もしないうちに終了か……。
なら……。
僕は、追加されたコンソールを調整する。
簡単なプログラムを入力していき、それが終わると無線のスイッチを入れた。。
「アールストレイム卿、そろそろエネルギー切れです。これで最後にしませんか?」
向こうも状況は同じなのだろう。
「うん。…OK……」
短くそう返事が返ってくる。
相変わらずの無表情の顔だったが、どことなく楽しそうに見えたのは気のせいだったのだろうか……。
ともかく、これで最後だ。
僕は、汗で滑るスティックを握りなおすと、一気にクラブを加速させた。
支援
彼から無線が繋がる。
彼の方もエネルギーの残りが少ないみたいだ。
私は申し出を受ける事にした。
まだ、少し物足りなかったが、終わりはある。
それに何やら仕掛けてくる。
彼のあの楽しそうなわくわくした表情がそれを物語っている。
さぁ、何が来るの?
何を見せてくれるの?
心の中が期待感で満たされていく。
失望させないで……。
私は、そう呟く。
そして、それと同時に彼のナイトメアが一気に距離を詰めようとしてきた。
火線を幾重にも放ち牽制する。
その砲火をまるで曲芸のように潜り抜けて接近してくる彼のナイトメア。
そして、牽制なのだろう。
左右の腰の部分からスラッシュハーケンが発射された。
2本のハーケンのうち、1本を回避し、もう1本を弾き返す。
しかし、それでもかまわず彼のナイトメアが近づいてくる。
シールド展開っ……。
MVSの攻撃を防ぐため、前方にシールドを展開しょうとした。
その時だ。
後方警戒のブザー音が響く。
え?!
すばやく後方モニターを展開する。
そこには、避けたはずの1本のスラッシュハーケンが向きを変えてモルドレッドに向かってきているではないか。
そんな……馬鹿な……。
スラッシュハーケンが方向を変えて向かってくるなんて……。
とっさに回避しょうとするが間に合わない。
激しい破壊音と衝撃がコックピットに伝わってくる。
フロートユニットに命中したらしく、ガクンとモルドレッドが高度を落す。
そして、その隙をライは見逃さなかった。
一気に近づくとMVSを振り上げる。
そして、モルドレッドのコックピットに振り下ろす。
避けられないっ……。
そう思ったら身体が勝手に動いていた。
それは、訓練された者だけが出来る動きだ。
ピーーーーッ。
それと同時にけたたましいブザー音が鳴り響き、両方のナイトメアの動きが止まった。
コンピューターが強制停止させたのだ。
そして、ディスプレに映し出される判定は、「両者撃墜」だった。
そう、ライがMVSを振り下ろそうとした瞬間、アーニャも無意識のうちに打てるだけの火力で攻撃していた。
その結果、両者相打ちとコンピューターは判断したのだった。
支援!
戦いが終わり、僕は心地よい疲労感に満たされていた。
ふう……。
勝てなかったのは残念だけど、すごく楽しかった。
そう思っていたら、モルドレッドの方から無線が入ってきた。
「あの……聞いていい?」
少し覗き込むような表情がモニターに浮かぶ。
「はい。かまいませんよ。アールストレイム卿」
僕は、そんな表情を見せる彼女が少し可愛いかなと思ってしまう。
無表情の様に見えて、けっこういろいろ違ってくるものなんだな。
そんな事を考えながら…。
「あのハーケンって……」
やっぱり、それか……。
僕は、微笑みながら説明する。
「あのハーケンは、小型のバーニアみたいなのが付いてまして、事前にプログラムする事で発射後に方向を変えることが出来るようになっているんですよ。
もっとも発射後は新たに入力しての軌道変更は出来ませんから、ある程度の先読みしてのプログラム入力とそれにあわせた相手の誘導は必要ですけどね」
そう、ただ発射し回収するという直線的な動きしか出来ないハーケンをもっと活用できないかと考えた僕がロイドさんに相談していろいろやってみた結果が今回のものだったのである。
そして、今回の模擬戦で牽制や翻弄させるには十分な役目を果たす事が実証された。
発案者の僕としてもすごくうれしい結果だった。
「ふーん……」
僕の説明にそっけない返事が返ってきたが、彼女の無表情のように見える表情の中には、興味とうれしさが含まれているように見えた。
そして、しばらく無言が続く。
無線を切らずにただ、考え込む彼女の姿だけがモニターに写っている。
うーーん……。
どうしたんだろう。
すごく嫌な予感がするのは気のせいだろうか…。
「あの……、そろそろ戻りませんか?」
沈黙に耐え切れずそう声をかける僕。
だが、その言葉を言い終わらないうちに彼女から話を切り出される。
「賭けの事……だけど……」
ああーっ、それがあった。
だけど、この場合は無効が一番無難だよなぁ。
しこりも残したくないし……。
だが彼女の口から出た言葉はまったく違っていた。
「お互いに……相手を撃墜した。……両者……勝ち」
「えーーっ」
思わず、そう反応してしまう。
普通、そういう風にはしないと思うのだが……。
それにそれじゃあ、再戦を言いづらいじゃないか……。
僕としては、また彼女と戦いたい。
そして、もっとわくわくしたいという思いが強く心に残っている。
だが、これでは……。
彼女は、また戦いたいと思わなかったのだろうか……。
この気持ちは僕だけなんだろうか……。
そんな事を考えて、僕は言葉を返せないでいた。
「これ……決定」
きっと迷う僕を待っていたら決まらないと思ったのだろう。
彼女は強く断言した。。
こうなったら仕方ない。
観念するか……。
支援
「はい。わかりました。アールストレイム卿」
諦めてそう答える。
だが、沈黙のみが返ってきた。
どうしたんだろう。
そう思って再び声をかける。
「アールストレイム卿?」
するとすぐに言葉が返ってくる。
「それ……嫌……」
「へ?!」
どういう意味だ?
「アーニャ……」
不満そうな表情がかすかに出ている無表情で彼女は言った。
「は?!」
「だから……アーニャ」
つまり、アーニャと呼べという事らしい。
「えーっと……」
じーっと覗き込むように顔がモニターに映る。
あー……言うの待ってるよ。
しかし、なんかドキドキするじゃないか……、こういうのはっ……。
柄にもなく緊張してしまう。
こんなところをスザクやユーフェミア様に見られたらなんて言われるか……。
えーいっ、男は度胸だ。
少し開き直り気味に僕は言った。
「あ、アーニャ……」
その瞬間だった。
ほとんど大きく表情を出さなかった彼女の顔が、頬を染めてうれしそうに微笑んだのは……。
その可憐さに、僕は言葉を失って思わず見とれてしまっていた。
やばいよ……。
無茶苦茶かわいいじゃないかっ。
ドクンと心臓が高鳴る。
収まれ僕の心臓……。
だがそんな僕にお構いなく、彼女は……いや、アーニャは恥ずかしそうに頬を染めて聞いてくる。
「次、ライの番……」
え?!
その言葉で浮ついた僕の心は一気に現実に戻される。
そうだった……。
お互いに勝ったのならそうなる。
えーい、何を言うべきなりだろうか……。
迷う僕を楽しそうに見ているアーニャ。
その笑顔を見ていたら、迷うのが馬鹿馬鹿しくなった。
そうだ。
何をいろいろ考えている。
素直に思った事を言えばいいんだ。
そうだよ。
僕は、そう決心すると口を開いた。
「あ、アーニャ……」
「うん……」
にこりと僅かに微笑んで聞いてくる。
その楽しそうな表情。
普段がほとんど無表情なだけに強烈すぎる。
うわーーっ…かわいいっ……。
その笑顔だけで心が満たされて、思わず言葉を失ってしまいそうになった。
おちつけ……。
落ち着くんだ。
深呼吸を数回して、落ち着かせて言葉を続けた。
支援!
「僕の願いは……」
モニター越しだがアーニャの視線が熱い。
「君と……また戦いたい……」
そして、一気に思っている事を言い続けた。
「こんなに楽しい戦いは、初めてだった。だから、もっともっと戦いたいと思ってしまったんだ。
それに、もっとアーニャの事が知りたい。そう思ってしまった。だから、また僕と戦ってほしい……」
カーーーッと顔が赤くなるのが自分でもわかる。
まるで、これじゃあ、告白みたいじゃないかっ。
そんな事が頭に浮かぶ。
えーーい、何を考えている、僕はっ……。
そんな僕に彼女は恥ずかしそうに返答をしてくれた。。
「うん……。私も楽しかった。だから……ライの事、もっと知りたい。また戦いたい……」
その返事を聞いて、感謝の言葉が自然と出る。
「ありがとう、アーニャ」
すごくうれしかった。
アーニャも僕と同じように感じてくれてたんだ。
また、戦える。
そう思うだけで、わくわくしてしまう。
だが、その気持ちは、無線に入ってきた言葉で一気にかき消されてしまった。
「あの〜、いいかなぁ〜」
そう、ロイドさんだ。
そして続けて「駄目ですよっ、ロイドさんっ、雰囲気読まないとっ」というセシルさんの声。
それって……つまり……。
「えーーーっ、ちょっと待ってくださいっ。もしかして、今の会話……筒抜け?」
「うん……」
苦笑したようなスザクの声。
「ごめん。なんかさ、言うタイミング逃しちゃって……」
そんなーーっ……。
僕は、絶句するしか方法を知らなかった。
別れの時、彼女の言った「また……」という言葉に、僕も「ああ、またね……」と返事をする。
そう、これは別れじゃない。
再会をするための儀式なのだ。
彼女の手が僕の手と重なり何か握らせる。
そこには小さな小さな紅い石があった。
すべすべとしていて綺麗な紅。
そして、キーチェーンのようなものが付けられている。
彼女が愛用の携帯を見せる。
そこには同じような紅い石が付けられていた。
「私だと思って……」
僕は頷いた。
そして、アーニャは帰国していった。
支援
2日後の昼前、僕の執務室にユーフェミア様がスザクを連れてやってきた。
そして、入ってくるなり実に楽しそうに聞いてくる。
「聞きましたよっ、ライっ。アールストレイム卿に告白したんですってね」
どうやら、あの会話は行政特区の行政府中に広まっているようだった。
まぁ、今までどんなに迫られても女性に見向きもしなかった男があんな事を言ったのである。
そりゃ、話のネタとしては最高なんだろう。
だが、そのネタの本人としては、こう話が広がっていくのは勘弁して欲しいものだ。
くそーっ、誰だよ、広めてるのはっ……。
そんな事を考えながら、何とか話を収めようとした。
「いや、告白じゃなくて……」
実際にそうなのだが、どうもあの台詞では告白に聞こえてしまっているらしい……。
だから慌てて言い返そうとしたが、すぐにユーフェミア様の言葉で遮られた。
「もっと君の事が知りたいだなんてっ…。もう〜、すごく熱々です〜っ。ライって情熱的なんですねっ」
実にうれしそうです。
生き生きしてますよ、ユーフェミア様。
そんな事を考え、他人の噂話でここまで楽しんでしまうとは…と感心してしまう。
いや、感心するところが違うっ…。
自分で自分に突っ込みを入れながら、何とかこの状態を打破すべくユーフェミア様を落ち着かせようとする。
「いや、あのですね……」
しかし、僕が再びなんとか言い返そうとするものの、その度にユーフェミア様の言葉に遮られてしまい何も出来ない。
もう一方的に言われまくっている状態だ。
なんとかしてくれよ。
そんな儚い望みを持って横にいるスザクを見るものの、スザクは苦笑だけしか返してこない。
えーいっ、僕の事を親友と思うなら、自分の彼女ぐらい何とかしろ。
そう言いたかったが、だが…無理だろうなぁ…。
彼の性格と、ユーフェミア様との関係を考えれば……。
そう判ってしまうのが悲しい。
そんな事を思っていたのだがすぐにユーフェミア様の新たな言葉で現実に戻された。
「そうそう、昼食はご一緒してくださいね、ライ。新しくエリア11に来られた方をご紹介したいですし……」
「えっ? 新しく赴任された方ですか?}
それは初耳だった。
いきなり決まるなんて……。
僕の表情から、読み取ったのだろう。
ユーフェミア様が説明する。
「ええ…。中華連邦が最近、特に活発な動きを見せています。その為に急遽派遣が決まったそうなんです」
「そうでしたか……」
つまり、僕が担当した視察団もその為の予行演習みたいなところか……。
それなら、急な視察も納得できる。
「では、時間ですし食事に参りましょう」
ユーフェミア様に言われ、僕らは行政府のレストランへと向かった。
そして、レストランに来たものの、準備されたテーブルには……………誰もいなかった。
「あら?」
ユーフェミア様がきょろきょろと周りを見回している。
その様子は、手違いが合ったようで少し焦っているように見えた。
支援!
ユーフェミア様が焦るような人物か……。
誰だろう……。
そんな事を考えていると、いきなり後ろから抱きつかれた。
「うわぁぁっ……」
思わず声が出た。
そして、僕が後ろを見て相手を確認するのとその人物からかけられた言葉が耳に入るのは同時だった。
「只今……、ライ」
そう、そこには2日前に再会の約束をして帰国したはずのアーニャの姿があった。
「えっ?!えぇぇーーーーーっ、なんで……」
僕の驚く顔をじろじろと覗き込むアーニャ。
相変わらずの無表情だが、心なしか笑っているように見えた。
「正式に…エリア11に派遣された……。また……しばらく一緒……」
頭の中が一気に真っ白になってしまい、言葉を失う。
そんな僕に不安を覚えたのだろう。
「ライは……嫌?……うれしくない?」
すこし悲しそうな感じで聞き返される。
そんな悲しい感じて聞かないでくれ。
そう思って、すぐに答えた。
「そんなわけ、あるもんかっ。うれしいよ、アーニャ」
そして、無意識のうちに彼女を抱きしめた。
きゃしゃな身体が僕の腕の中にある。
ほのかに漂う彼女の体臭が僕を興奮させる。
こんなにうれしい事が起こるなんて……。
腕の中に感じる彼女の確かな感触と湧き上がってくる彼女への思いが僕を幸せにしていた。
だが、痛いまでに突き刺さる熱い視線。
その視線で僕は我に返った。
そう、ここは行政府の中にあるレストラン。
そして、今は……お昼時。
つまり……。
大勢の人たちがいるという事。
そんな中で、僕はアーニャを抱きしめている。
その認識で一気に体温が上昇し、僕の顔は真っ赤になった。
そして、慌てて離れようとしたのだが、アーニャはしっかり僕に抱きついており、離れようとはしない。
さらに、くすくすという声がする横を向くと、小悪魔的な表情で笑いを堪えているユーフェミア様とニコニコしているスザクの姿があった。
「よいものを見させていただきましたよ、ライ」
そんな事を言うユーフェミア様。
「よかったね、ライ」
もっとも天然のスザクは、そう言うだけだったが……。
そして、僕はその二人の態度でわかってしまった。
こうなると知ってたな、二人ともっ。
くそっ、謀られたっ…。
だが、そう思ったのもつかの間、さらに拙い事に気が付いた。
よく回りを見渡すとこっちを見ながらこそこそと喋る人が多い……。
つまり、あの噂話がよりいっそう真実として広がっているのであった。
ああーっ、なんでこうなるっ。
な、なんとか、なんとかしないと……。
焦る僕の思考が空回りを続ける。
多分、混乱気味なんだと思う。
だが、そんな中、アーニャは抱きついたまま顔を上げると少し頬を染めて言った。
「また……二人で楽しもうね……」
その言葉が、響き渡る。
僕は、もう観念するしかなかった。
終わり
支援
348 :
代理投下:2009/03/05(木) 23:31:27 ID:bTaKc7zr
以上でおわりです。支援ありがとうございました。
読んでいただいて少しでも楽しんでいただければ幸いです。
なお・・最後にサルが出ました。支援受けてたのに・・・なんでだよーっ。
>>348 あしっど・れいん卿、GJでした!
ハーケンの発射前の操作、難しそうだ。
ミスったら自分に当たりかねんな。
そして聞かれていた二人の会話……恥ずかしいなぁ。
帰国してすぐに来日するアーニャ、なんか可愛い。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
誤字指摘
>>334 長年のパートーナー→パートナーかと
更新ピタリと止まったね
管理人さんどうしたのかな
>>350 間違ってたらスマンのだが、アンチな人か?
違うよ!心配してるだけ。
そうかそら悪かった。なんか深夜に気分悪くなって腹痛くなって病院に運ばれたようだ。
俺も詳しいことはしらんが
ではライルルスザの三人組短編投下します
ライは絶句した。
必ず、かの悪逆皇帝の王を正さなければならぬと決意した。
ライにはファッションがわからぬ。ライは、一国の王であった。笛を吹き、母と妹と遊んで暮して来た。
けれども劣悪な環境に対しては、人一倍に敏感であった。
今日未明ライは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のペンドラゴンの都市にやって来た。
ライには父も、母も無い。女房も無い。十四の、内気な妹も死んでしまった。 ライには竹馬の友があった。枢木スザクである。
・・・・・
「走れメロスだね、懐かしい」
「ああ、スザク。よく来て……くれ……た」
ライは再び絶句した。
ルルーシュの方を見て、もう一度スザクの方を見る。
ルルーシュはそんなライの行動に訝しげに、
「ライ、さっきから何を人をじろじろと」
「だってさ……君達の服装が……」
ライは思わず目を逸らす。
ルルーシュが来ている服。それは彼の皇帝としての服だ。
白を基調としていて、各部には黄色い翼と赤の瞳のイメージが装飾されている。
スザクの方もイメージは似たような物で、こちらは黒や紺といった色調だ。加えてコーネリアのクラゲを逆さにしたようなマント。
ライははっきりと思った。ださい、と。
「似合っているだろう? 俺がギアスをイメージしてデザインしたのだが……」
浮かれた様子のルルーシュ。
本人は気に入ってるらしく、このままでは本気で衆目に晒す事になってしまう。
故に、ライは決断した。彼の愚考を止めるため、自分は悪になろうと。
「ルルーシュ……この際だから言おう」
一息。
「君のセンスはズレている」
「ははっこれはまた可笑しな発言だ。寝言は寝て言うものだぞ、ライ」
「少しは真面目に受け取ろうよ!」
「ふむ……」
少し考え込んだルルーシュはいいか、と前置きして、
「お前は古い時代の人間だから分からないだろうが――」
言ってルルーシュがスザクの方を見る。スザクはああ、と続けた。
「今はこれがトレンドだよ」
「嘘だっ!!」
「因みにライの衣装はこれだ」
ルルーシュが青を基調とした布地を広げた。
他の二人と同じように翼やら瞳のイメージが刻印されている。
一瞬ライは自分がそれを着ている姿を想像し、ぞっと背筋を凍らせた。
「嫌だ、僕はそんな服は着たくない!」
「う〜ん……ねえ、ライ」
と、スザクが頑なに拒絶するライに問うた。
「君はあの百万人ゼロの時は……」
スザクの言葉にルルーシュは天井に視線を向け、何かを思い起こすように、
「結構ノリノリだったな」
「やはりね」
「違うだろう! 僕は最後まであれに反対したぞ! あんな全身タイツの仮面姿など!」
「ふむ……スザク、お前はゼロレクイエム以降――」
うん、とスザクは笑顔で頷いた。
「実は結構楽しみだ。あれ、格好いいよね」
「だろう?」
「おかしい、おかしいぞ二人とも! ……はっ!」
ライは気付いた。これほどまでに二人をおかしくする原因。そんな物は一つしかない。
周囲に向かってライは叫ぶ。
「新手のギアスだな! 出てこい、悪魔の瞳を持つものよ! 貴様が二人にギアスを掛けた事は分かっている!」
すると、スザクは可哀想な者を見る目でライを見て、ルルーシュに小声で話し掛けた。
「ライはどうしたんだろう?」
「聞こえてるぞスザク! 大体どうかしているのは僕じゃない。君達の方だ!」
はは、とルルーシュは笑って、
「正常でない者は皆そう言うな」
「くそっ、ああ言えばこう言う……!」
相手は詭弁やハッタリの達人、ルルーシュだ。それに天然系のスザクまで加わってしまっては、もはや説得のしようがない。
ライは静かに、かつてルルーシュの語った『俺達二人が揃えば、出来ない事など何も無い』という言葉を思い出した。
(なるほど、正逆の二人が同じ結論を出す事で覆せない物となる訳か)
何とたちの悪い。
「さて、そろそろライにはこれを着てもらおうか」
ルルーシュが蒼の衣装をライに近づける。
ライは反射的に後ろに退きつつ、
「いやだ! そんな物を着たら末代までの恥だ!」
「安心しろ。ブリタニアの血脈は続いている。この服装へと」
思えば、皇族にはいろいろと奇抜なファッションセンスな者が多い。
コーネリアのクラゲ、ギネヴィアの髪留め、カリーヌのリング、皇帝の髪型、シュナイゼルの顎。
後半は少し違うかもしれないが、それらを始めとするけったいな衣装のセンスは自分の中の遺伝子に潜在的に含まれているのかもしれない。
「そんなの嫌だ!」
「往生際が悪いぞ。……スザク」
「イエマジェ」
「略して格好つけてるつもりか! その姿で言うともはやギャグ……はっ、スザクやめ脱がさないでうわーーっ!!」
・・・・・・
「ライ、その格好……」
「言うなC.C.。僕は……僕は……」
「予備の拘束着、いるか?」
以上、そろそろネタがなくなってきたとか、次は何のキャラ絡めようとか、色々悩んでますがまあいいです。
>>357 すげえな、何者だあんた。
とにかく乙 次も楽しみにしてます
>>357 GJでした!
のっけから吹いたwww
ある意味最初からクライマックスw
ルルーシュとスザクのセンスがwww
でも、ゼロスタイルは仮面だけならオシャレだと思うんだ。
そして、顎はちげぇよwww遺伝子的な問題だよwww
ルルーシュ作の衣装<拘束着、ですね、分かります。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
駄目だ、「イエマジェ」で吹いたwww
DVDのオマケに出て来ても良いシチュエーションだし、テンポ良く読めました
ギャグ系のSSも良いですね〜
楽しい話しをありがとうっ!!
又の投下をお待ちしてます
もう爆笑するしかないwwww
C.C.にすら同情されるとは……よほど滅茶苦茶な物だったのかwwww
とりあえず顎は違うでしょ(多分)。皇帝の髪は否定できませんがww
シュナイゼルの顎wwwイエマジェwwwww
皇族のファッションセンスは遺伝的なもの。
顎も遺伝的なもの。
問題なし。
イエマジェはズリィwwwwww
腹筋死ぬwwww
管理人いいかげん何してるんだろ
更新が遅れてるのは100歩譲って許してやらんこともないが
連絡もまともにできないのか?
4日前にメール出したのまだ返事こないし
ふむ、四日もメールを返せないほどの事が起こっているのか。
……トーマス卿、大丈夫だろうか。
あの、また短編投下しますが、今日のはあまり読まない方がいいかもしれません。
ほんの思いつきで書いたので、本当に酷いです。
ネタとか前振りとかじゃなくて、ボツにしようかと何度も思って今でも思ってます。
では、一応ライアニャ短編です。
「ん? アーニャがそんな本を読むなんて、珍しいな」
「そう?」
ライはアーニャが読んでいる、何やら子供向けの挿し絵がついている本を見た。
「ウサギと……なんだ、これは?」
「ガメラ」
アーニャは表紙をライの方に向け淡白に言う。
しかし、ライはガメラなるものに関する知識は無い。
「ガメラか……聞いたことないな」
すると意外そうに、
「エリア11……日本の童謡の本だから、ライは知ってるかと思った」
「知らないな…。日本で育った訳じゃないしね。しかし見た目といい名前といい、亀の一種かな?」
「そうみたい。でもガメラは火を吐く」
「火を!?」
そう、とアーニャは頷いた。更にアーニャは挿し絵のついた別のページをライに見せる。
「これはウサギとの競争。ガメラは甲羅に閉じこもり、回転して空を飛ぶ」
「空を!? ではウサギは勝ち目が無いじゃないか……」
「そう。これは生まれによって全ての者の勝敗は決まっているという教訓に基づいている。ウサギはいくら努力してもガメラに勝てない」
「そうか……日本にもブリタニアと同じような価値観があるんだな」
それはブリタニアの思想を好まない自分にとっては悲しい事実だ。
(いや、待てよ……)
そこでライはある事実に気付く。
自分の知る日本人は果たしてそうだったろうか。違うはずだ。
日本にはブリタニアとは明らかに何かが違う文化が確かに根付いていて、それは少しではあるがそこに住むブリタニア人に影響を与えていた。
事実、エリア11におけるブリタニア人のオタク含有率は世界でトップだ。
(だとしたら、かつてブリタニアと同じであった思想を変える何かがあったはず)
それが分かればブリタニアを中から変えるという、雲を掴むような話も実現可能になるかもしれない。
「アーニャ! その後ガメラはどうなったんだ!?」
「わからない。人間の台頭により、ガメラは住む場所を失ってしまったと思う」
「人間による環境破壊か……日本は緑の多い国だから、ガメラの最後の居場所だったのかな」
ブリタニアも、シャルル皇帝が即位するまでは内乱で悲惨な物だったと聞く。
「そうかも。でも、ガメラも人間に屈しなかった。別の文献にその記録が残っている」
それだ。ライは反射的にそう思った。
アーニャは床に置いてあった別の本を開く。
それは同じような絵本で、ブリタニア用に訳された文字にこう書かれていた。
「ウラシマタロウ……?」
アーニャは頷いて、
「ガメラが海岸で複数の人間と戦っていた。そこにやってきたウラシマは――人間に加勢する」
それはそうだろう、とライは思った。
何しろ相手は火を吐き空を飛ぶ化け物だ。人間も必死になるというもの。
(なるほど、ブリタニアという大国に屈しない精神はここから来るのか……はっ!)
まさか、とライは心の中で呟く。
『ウサギとガメラ』の話を聞いて、自分は日本にもブリタニアと同じ思想があるのだと、そう思った。
だがそれが間違いだとしたら、
(日本人は、ガメラに抗うウサギであり人間……!)
そしてウサギはガメラに勝てなかった。では人間は果たしてガメラに勝てるのだろうか。
「だけどガメラも負けない。ウラシマを捕まえて、海の中に引きずり込んだ」
「!?」
「そして溺死寸前まで追い込んだ後、海底にある巣で、仲間達と共にウラシマを集団暴行」
「なんて惨い……」
それはまるでブリタニアに蹂躙されるイレヴンのようではないか。
つまり日本人は、強者と弱者の立場というものを、こちらよりも遥か昔から認識していたという事だ。
それでも諦めきれず、彼らは人間としてガメラに立ち向かっている。
(誇り高い民族だ……)
「ガメラは最後に、ウラシマを海岸へと戻した」
「ん? ……ガメラはウラシマを殺さなかったのか?」
アーニャは頷く。そして、悲しげに瞼を伏せた。
「ガメラは光速に近いスピードと強烈な加速度で海岸を行き来した。相対性理論により、ウラシマは日本と異なる時間軸へと、未来の日本へと残された。つまりそこは……」
「エリア、11……」
ライは愕然と、そして力無く膝を折った。
(そんな、それでも彼らは戦っているのか……)
たとえ世界に隔絶されたとしても、ウラシマはガメラに戦いを挑む。
そんな覚悟が自分にあるだろうか、とライは自問した。
「ライ」
心配そうにこちらを支えてくるアーニャに、ありがとう、とライは言って立ち上がった。
「僕にはまだ覚悟が足りなかった。スザクのように、ウラシマのように……!」
「ライ、私も手伝う。ガメラに勝とう」
「アーニャ……」
「ライ……」
・・・・・・
その後、一組の男女が日本を中心にブリタニアを、世界を巻き込む変革を引き起こした。
後世の歴史書は、その一連の世界革命をこう呼んでいた。
――ウラシマレクイエム、と。
以上、すいません本当に酷いネタですいませんとか、明日はもう少し真面目にネタを考えますとか、色々謝罪の文言はありますがだって思いついちゃったんだもん。
関係無いですけど、モスラって、地球に衝突する隕石の軌道を変えるという重厚なテーマを、アルマゲドンやディープインパクトより5年以上前に映画で扱っていたんですよね。
凄いですよね。今回の話はそれに匹敵する発想だと個人的には思ってます。言い訳が長くなりました。すいません。
>>370 GJでした!
ウサギとガメラwwwシュールすぎるwww
ウラシマタロウwガメラと戦うのかwww
ガメラひでぇwwwというか仲間ってガメラいっぱいいるのかw
発想が凄すぎるwww
腹がwww腹筋が痛いwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>ウサギとガメラ
多分このセンスには逆立ちしても勝てないw面白過ぎます
楽しい話を有難う
またお待ちしてます
コードギアスたまに最初から最後まで全部見直してしまう!やっぱり自分の中ではギアスはまだまだ熱いです!!
ロスカラ2出て欲しいですね!
374 :
テリー:2009/03/08(日) 00:00:32 ID:dyisXwdj
こんばんは!感想が少なくて不満な毎日です。
投下いきます!
「英雄 二章 」
16レス位かかります、支援と感想してください
375 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 00:36:21 ID:qfvPOkF+
>>370 君は「メテオ」を見ればきっと感動出来ると思う。
374の方ちょっと待った!!!!
かってに私の名前使わないでください!!!!!
状況がよく飲み込めないんだが
テリー卿混乱してるんですか?
むぅ、どういう状況だ?
あとテリー卿、トリップ使ったらいいんじゃないかな?
なんなんだかなぁ……
381 :
テリー:2009/03/08(日) 01:00:36 ID:X2kWyU6t
379の方違います!!376が本物の私です!!英雄はまだ制作途中です!!
第一に自分はまだ未熟で16レスも長いのはまだ書けません!!
とりあえず、名前の後ろに半角で#を入れて、好きな文字列を入れるとトリップというものが使えます。
なりすまし防止のためにも使った方がいいかな、と私は提案してみます。
378の方、貴重な助言ありがとうございます。
こんな事になるとは毎度毎度申し訳ないです・・・・・・
いえいえ、気になさらずに執筆頑張ってください。
トリップをつけてもまだ本物と確定したわけじゃないんだよな
結局、SS投下したらわかるんじゃないかな。
人によって書き方とか、キャラ描写とかいろいろ違っているし。
という訳で…374のテリーさん、投下してね。
投下しない時点で、偽者決定。
だな。猿にしてもちょっと以上だぞ
テリーうざい
>>390 本当のことでも言わないのが大人ってもんだぜ?
保管庫止まってるせいなのかみんなイラついてないか?少し落ち着こうぜ
なんだこの流れは。過疎るだけでなく、こんなに性質の悪い連中まで出るようになったのか?
トーマス…なにやってんだ…?見ろよこの惨状…
お前のせいだぞ…
立って二週間足らずでこんだけ大容量埋まるスレが過疎とかないわー。
何がなんでも管理人さんに因縁つけたくてマッチポンプで本スレ荒らし、か。
他の保管庫とか見たことない奴なんだろうな。1ヶ月単位とかザラだっつーに。
日常生活より管理優先しろ的な理屈はあんまりだよな。
貴重な時間を投資してくれてんのにさ。
システムの改良といい、ここまで細やかな対応してくれる保管庫なんて滅多にない。
趣味を楽しむ心の余裕を持とうよ。
じゃあエールの意味も込めてライVでも投下しますか!
外の世界に出ると、そこには闇が広がっていた。
現世から閉ざされた夜の闇には、唯一、星と月の光が輝いている。
その光景を視界に入れつつ、V.V.は両手を組んで、
「ん〜〜」
伸びをした。
V.V.はここの雰囲気が好きだった。
眼下、エアフィルターの先の地下には嚮団の施設が存在する。
無機質な建造物と自然物が渾然一体とした奇妙な都市だが、嚮主である自分はあまり好きではない。
というより、一ヶ所にじっとしているのが合わないのかもしれない。
「ほ……ちょっと寒いかな」
肌を刺すような痛みと白く濁った息が、自分の存在をこの閉ざされた世界に固定する。
再び思う。この雰囲気はいい、と。
「君はそうは思わないかい、ライ?」
振り向いて問うと、そこには少し不機嫌そうな少年、ライが立っていた。
「思わない。エアフィルターから熱が漏れてなければ、寒さで死んでしまう」
「いや、僕も死なないだけで痛みや寒さはあるんだけどね……」
うん、と頷いて、
「それより君はどうしてここに?」
「それはこっちの台詞だV.V.。君がふらりと席を外すもんだから、僕のところにおろおろと研究者がやって来るんだ」
「で?」
「『黄昏の間に入られたのでしょうか?』なんて聞かれるから困ったよ。確かに僕はあの空間に馴染みはあるが、自由に出入りなど不可能だ」
「コードが無いもんねぇ……ま、君ならそろそろコード保持者になれるんじゃないかな?」
すると、ライは目を伏せ黙り込む。
再び静寂が二人を包み込んで、やがてライは口を開いた。
首を左右に振り、
「僕にはその選択は出来ないよ。誰かを殺し、何かを得るなんて」
コードを手に入れるには、一定のギアスを持った者が、既存のコード保持者を殺さなければならない。
(C.C.はその殺されるのを望んでいるけど……)
しかしそれはC.C.の問題であって、ライがコードを得てしまえばそれは彼にとって許せない事なのだろう。
「難しいね。少なくとも今僕を殺せば……君の反対する『ラグナレクの接続』は止められるよ?」
ライは再び否定。
「それこそ誰かを殺して何かを為した事になる」
「ふ〜ん……でも協力する気はない、と。嚮団の孤児の世話はしてくれるのにね」
それを聞いて、ライは少し苦々しい表情を作った。
「あの子達に罪はない」
「だから育てても問題ない? 優しいね“ライお兄ちゃん”」
言うと、ライは眉間にしわを寄せて、
「君に呼ばれると気持ちが悪い」
「はいはい、分かってるよ。……ともかく、計画を直接手伝う気は無いんだね?」
ライは頷いて、
「ああ……それに、僕が今さら何を協力する必要がある。強いてあげるならラグナレク接続時、コードが『アーカーシャの剣』の負荷に耐えられるかが問題だが、」
一息。
「それこそ新たな強いコード保持者を用意するしかない。僕に何が出来る」
「それこそ君の出番じゃないか、強いギアス能力を持つ者」
V.V.は笑顔で言った。
だがライは冷めた表情のまま、こちらの言葉を一蹴する。何度も言った。その気はない、と。
なら、とV.V.は前置きして、
「孤児の女の子達に子供を産ませてみたら? 今は無理だけど、彼女達も成長したら君を受け入れてくれると思うけど。
そうしたら人為的な移植物である彼女達の物と、君の持つ『R因子』が共に遺伝して、より強いギアス能力者が産まれるかもしれない」
嚮団の調査では、近親婚が認められていた時代の皇族は『R因子』を持つ絶対数は多かったらしい。
だがライは冗談、とV.V.の提案を切り捨てた。
「僕にそんな気はないし、子供達に何かを受け継がせる気はない」
ライは視線を上空、真円に輝く満月へと向けた。
「それに、僕にはそんな資格は無いよ――君が計画を後戻り出来ないのと同じように、ね」
「…………」
V.V.は少しの間黙り込んだ。
ライは気付いている。自分がマリアンヌ殺害の犯人である事を――そして恐らく弟であるシャルルも。
V.V.は頷いて、
「そうだね僕はもう後戻りは出来ない。マリアンヌを……。いや、コードの呪いを持った瞬間からかな」
ふ、とV.V.は笑みを作った。今までの外見に相応な陽気な笑顔ではなく、何かを悟ったような、そんな笑みだ。
「僕達は似ているね、ライ。何をしたいのか、ぼんやりとは分かっていても、そこに行ける訳でもない」
ああ、とライは頷いた。
「気付いた時には、もう遅い。何をしてもそこには辿り着けないから……。足掻いて、抗って、結局は何も出来ないんだ」
「うん。でも良かったよ、君を復活させて。……おかげで僕は、シャルル以外の人間と理解しあえた」
それも、ラグナレクの接続を経る事なく、だ。
するとライは何も言わずにエアフィルターを開いた。そのまま地下へと戻ろうとして、しかし足を止めた。
「そろそろ本気で死にそうだ。僕は戻るよ……そしてV.V.、人生の先輩からアドバイスだ」
ライは首だけこちらの方に向け、そして言った。
「後悔だけはしないように。……じゃあ、君もはやく戻ってくるんだぞ」
それだけ言い残して、ライは帰ってしまった。
そしてまたV.V.は一人になる。
静かな冷たい風に晒されながら、V.V.は消え入るような声で呟いた。
「気付いた時には、もう遅い……か。まったくだ」
自嘲するような笑顔を浮かべ、V.V.は嚮団の中へと戻って行った。
――定めは僕が引き受けるよ。