【愛をコメて】やっぱりラブコメ!スレ

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1創る名無しに見る名無し
ラブコメだったら異性愛でも同性愛でもなんでもあり。

2創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 19:55:11 ID:ZR8HQeZY
2ゲットズザー
3study after school ◆NN1orQGDus :2009/02/22(日) 19:57:23 ID:0gw/SHgA
1/in the MacGuffin
1/2
 歩道に敷かれているインターロックを革靴の底がリズミカルにカツ、カツと叩く。
 ゴム底の靴では味わえない固い感触は、最近の私のお気に入りだ。
 革靴に慣れるまでは靴擦れなんかができたけど、今ではすっかり慣れてそんな事はない。
 革靴は履けば履くほどなれてくるって言葉はあながち間違いではないらしい。
 その分劣化するけどね、とはこの革靴を買ってくれた人の弁。
 私より八つ歳上の恋人でもある人の言葉だ。

「早いもんだね、君も今年で高校生か」
 駅前通りの喫茶店マクガフィンの窓際の席で染々と呟きながら、禅一郎、つまり私の彼氏様はコーヒーに口を付けた。
「お陰様で。勉強見て貰ったから第一志望に合格出来たよ」
「いや、それは君の実力だよ。付け焼き刃でどうにかなるものじゃないよ」
 この店のコーヒーはマスター自慢のオリジナルブレンドだけど、泥水みたいで私には苦すぎる。
 禅一郎はブラックで飲んでいるけれど、凄いを通り越して狂気の沙汰だ。
 私は彼のはにかみ顔をみながらコーヒーに茶色い黒砂糖をスプーンで二杯入れて、更にたっぷりとミルクを入れる。
 禅一郎はそんな私を見て、コーヒーカップをソーサーに戻して苦味の混じった笑みを浮かべた。
 ミルクの白とコーヒーの黒が生み出すマーブル模様は飲んでしまうには惜しいくらいに綺麗で、私はそれを目で楽しむ。
「本日の禅一郎のお勧めは?」
「そうだね、詩集なんかを勧めたいけれど」
 禅一郎はガサゴソとバッグ代わりに使っているファイルオーガナイザーから文庫本を取り出した。
「中原中也?」
「まあ、定番だけどね」
 禅一郎は図書館の司書をしていて、私に色々な本を勧めてくれる。
 好みに片寄りがあるけれど、乱読派の私は勧められた本をあまり気にせずに読んでしまう。
「確か中原中也って結構早く死んだよね」
 記憶の引き出しから引き出せた中原中也の知識はそんな程度だ。
「僕に言わせると短い生涯を全速力で駆け抜けた人だよ」
「この前の中島敦はイマイチだったけど、今回はバッチリ?」
 やっぱり本の好みは人それぞれだから当たり外れがある。
「弟子はお勧めだっんだけどなあ。君と同じ名前だし」
「ああ、冠の人ね。なんかさ、やくざっぽいって思ったよ」
4study after school ◆NN1orQGDus :2009/02/22(日) 19:58:34 ID:0gw/SHgA
2/2
 確か、弟子という短編の主人公は由という名前だった。私の名前が由真だから一文字違いだ。
 孔子の弟子らしくない感じ人だという印象が強く残っている。
「でもさ、それはちょっと安直だよ。そうなると私は禅一郎に仏教の本を勧めなきゃならなくなるし」
 マーブル模様を十分堪能した私は、コーヒーを飲んだ。甘くて苦い味が口一杯に広がる。
「まあ、由真ちゃんには普段読んでるものを勧めて貰った方が嬉しいかな、僕としては」
「ふーん、そうなの?」
「うん、由真ちゃんの好みに興味があるし、知りたいからね」
 レンズ越しに見える眼が窓越しの西日光に照らされて柔らかく光る。
「じゃあ、今度持ってくるよ」
 メモ魔な私はポーチの中から手帳を取り出して、今日の日付と『禅一郎に本』と書き込んだ。
「あれ、あれって由樹くんじゃないかな?」
 禅一郎のすっとんきょうな声に、手帳をテーブルの上に置いたまま指差した方向を見る。
 確かにあれは私の弟の由樹だ。
 いつもの生意気な顔はどこにやら、照れくさそうに笑っている。
 問題は、女連れだということ。
 禅一郎は自分の事を棚に上げて「由樹くんも結構やるなあ」と言っているけど、私はちょっと気に入らない。
 小学生のクセに生意気だ、と思うけど、それよりも由樹と手を繋いで歩いているのが私の親友の渉なのが気に入らない。
 最近ちょっと友達付き合いが悪かったりしたからなんだか裏切られたみたいな感じだ。
 でも、楽しそうな二人を見ると、そんな風に考えてしまう私が意地悪に思えるから不思議だ。
 それ以前に、人の事を言えない私なのだけれども。
5study after school ◆NN1orQGDus :2009/02/22(日) 19:58:59 ID:0gw/SHgA
2/a lovers' quarrel
1/2
 二月にしては暖かい陽気の駅前通り。
 日曜の午後だからなのか、沢山の人とすれ違う。
 周りには私たち二人がどう見えるのか疑問だ。
 やっぱり、仲の良い姉弟なのかな、と少し悩んでしまう。
 年下で、しかも友達の弟が彼氏というのは色々と悩んでしまう。
 たとえ、大好きであっても。
「面白かったな、あの映画」
 由樹くんはご機嫌で私の手を引っ張ってスイスイと人の波を進んでいく。
 キャラクター物のアニメはちょっと微妙だけど、由樹くんの屈託のない可愛い笑顔を見れた事を考えれば安い買い物だ。
「そうだね、面白かったね」
「だよなあ。ボロボロ泣いてたもんな」
 あう。いきなりの指摘に顔が熱くなる。
 涙もろい私はちょっとの亊で自分の意思に反して涙ぐんでしまうことがある。
 親友の由真ちゃんに言わせれば、私はものすごい感動屋なのだそうだ。
「ねぇ、由樹くん。喉渇かない?」
「渇いてないよ。渉は渇いてんの?」
 自動販売機の前で立ち止まる由樹くんにちょっとがっかり。
 由真ちゃんの話に出てくる喫茶店マクガフィンのコーヒーを飲んでみたかったけど、それは私のワガママ。
 背伸びしても仕方ない。
「なに飲む? 奢るぜ」
「いーえ、私が出します。年上のおねえさんが奢って上げます」
 その瞬間。
 パシンと乾いた音。頬っぺたが焼けるように熱い。
 目の前には背伸びした由樹くんが、肩を震わせて涙ぐんでいた。
「コイビト同士なんだから子供扱いなんてすんなよ!」
 ああ、叩かれたんだね、私。
 叩かれた頬っぺなんて痛くない。
 それよりも、由樹くんの心に気付いて上げられなかった心が痛い。
 歳が小さいからっておねえさん振るよりも、彼氏扱いして欲しい由樹くんにあんまりな言葉だった。
「ごめんね、そうだったね」
「俺こそ、ごめん。いきなり手ぇ出して」
 そっと由樹くんの肩を引き寄せて抱きしめる。
「じゃあ、お互いに奢り合うって亊にしようよ。それなら、良い?」
「もうちょっとカッコつけさせろよ」
「私もね、年上だからカッコつけたいの」 暫くの沈黙。
 抱き締めた由樹くんの温かさが気持ち良い。
「……渉って姉ちゃんよりもおっぱいでかいな」
「な、いきにゃりなにを?」
 あう。思わず噛んでしまった。
6study after school ◆NN1orQGDus :2009/02/22(日) 19:59:31 ID:0gw/SHgA
2/2
 こうやって抱き締めると、私より背が小さい由樹くんは私の胸に顔を埋める格好になる。
 これはちょっとと言うよりは、かなり軽率だった。
 慌てて肩を押して距離を開け、腕で胸のあたりを隠した。
 確かに、私は小学生の時に一番始めにブラを着けたし、クラスの男子にからかわれるほど発育が良い。
 突然の指摘に頭の中が真っ白になる。
 由樹くんといえば、先程の涙は何処へやら。白い歯を見せるようにニカッと笑っている。
 万華鏡みたいにコロコロ変わる由樹くんに振り回される。でも、それは嫌じゃない。
 ワガママを言ってくれるくらいの方が、私としては嬉しい。
「ハハハ、渉は泣いてる顔より笑ってる顔の方が良い」
「由樹くんもね」
 雑踏に紛れきれなかったから、さっきののいさかいはちょっと目立ったかもしれないのは微妙だけれども。
 とにかく、お互いに顔を見合わせて笑う。
 照れ隠しとかじゃなくて素直な気持ちで心から笑える。自分らしくいられるというか、そんな感じで。
「じゃあ、なんか買おうぜ」
「私はコーヒーかな」
 由樹くんはコーラ、私は背伸びしてブラックのコーヒー。お互いにプレゼント。
 決して甘くない、苦い味が口に広がる。細やかな、私に出来る精一杯の大人の味だ。
  たまには良いかな、こういうのも。


――to be continued on the next time.

7 ◆NN1orQGDus :2009/02/22(日) 20:02:15 ID:0gw/SHgA
以上、投下終了。
久しぶりに書く正統派(?)ラブコメですがどうぞ御贔屓に。
8創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:06:42 ID:ZR8HQeZY

由樹君子供っぽいなあ・・・wwwwwww
9創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 20:36:51 ID:Fcq45SQT
年の差カップルいいなー
年上の彼氏彼女に追いつこうと歯がゆい感じの子が大好物だ
10創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 21:10:39 ID:jCHvMlwE
乙です。スレタイ採用されました。
ところで喫茶店の名前ってもしかして・・・?
11創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 21:29:19 ID:0gw/SHgA
>>10
喫茶店の名前は意味のない仕掛けとかそう言う意味。
自分がオリジナルを書くときに良く使う名称ですな。
12創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 22:01:16 ID:jCHvMlwE
わざわざどうも。
他のスレでも見たので気になりました
たぶん同じ作者さんだったんですね
13創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 01:55:56 ID:hRoYJn7E
シェアードワールドで青春スレにあったね
14創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 03:59:03 ID:wtpRV+QH
ほほうこれは続き物かな?期待期待
15創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 15:20:08 ID:jE7177Pm
救いようがないなwwwwwwwwwwwwwww
16創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 16:02:37 ID:g+9F+Xib
異性同性何でもあり恋愛といえばいま『耽美なわしら』(森奈津子)を読んでるけど、面白いねこれ
17創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 12:00:51 ID:O/zBrEV1
ラブ米(´・ω・`)
18創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 12:29:58 ID:0xgp04OR
書くなら書くで終わらせてくれ
19study after school ◆NN1orQGDus :2009/03/10(火) 18:48:58 ID:6Fuodsz9
3/letter,not mail.

 拝啓、それとも前略からか。
 手紙の書き出しを考えていたら、知らぬ間にカーテンの隙間から光が漏れていた。
 時計をみると、a.m.5:37。
 飲もうと思っていたカフェオレがひんやりと冷めて、上ずんだ膜を待っている。
 書き出しを何度も書き直した便箋をクシャクシャと丸めてゴミ箱に捨てて、カフェオレに口を付けた。
「……まっずぅ」
 甘いのと苦いのが分離した感じの味で、渇いた喉は潤せたけれど後味が最悪だった。
 不味さで頭がスッキリした訳じゃないけど、今から寝たって中途半端だから寝るのは諦めた。
 電気ストーブの赤茶けた光と、スタンドの白っぽい光、カーテン越しの陽光。
 三つの光に照らされながら、私は引き出しの奥から輪ゴムでくくられた手紙の束を取り出した。

『拝啓、中里へ。
 僕の事、覚えていますか? 上遠野耕太です。
 突然の手紙ゴメンね』

 飾らない文面と几帳面な文字で訥々と綴られた手紙。
 一年前に転校していったコータは、何故か私とウマがあって今でも手紙でやり取りしている。
 メールではなくて、手紙。
 メールは手軽だけど、手紙はちょっと不便。
 だけど、その不便さがコータと私の繋がりをハッキリとした物にしていると思う。
 一番新しい手紙には、同じ高校に行けたら良いね、と書かれている。
 コータが転校したと言っても県内だったし、同じ高校に行く事は可能だ。
 その為に、私は頑張って勉強した。
 担任に合格の太鼓判を貰えたし、後は受験当日を待つだけ。
 その前に近況を伝えたいと思っているけど、それが上手く書けないのが今の私なのだ。


「ねえ、諒子! 聞いてるの?」
 給食を食べて瞼が重い昼休み、あくびばかりしている私に由真がかんしゃく玉を破裂させた。
「んー、聞いてるよ。渉と由樹がデートしてたんだろ? 私はお似合いだと思うよ」
「何処がなのよ。由樹はまだ小学生なんだからね?」
 昨日、由真の弟の由樹と友達の渉がデートをしていたのだけど、それが気に入らないらしい。
 朝からずっとその話題ばかりで、寝不足の私は辟易している。
 私に愚痴を溢すより渉に直接言えば、と何度も言ったけど、実行に移せないあたり、由真はかなりのヘタレだ。
「ゼンイチロウとやらと付き合ってるあーたに人の事が言える?」
「そ、それはそうだけど……」

20study after school ◆NN1orQGDus :2009/03/10(火) 18:50:29 ID:6Fuodsz9

「あーたは由樹に渉を取られて、渉に由樹を取られて拗ねてるだけだよ」
 ウダウダいってる由真だって、年の離れた彼氏と付き合っている。
 私に言わせれば渉と由樹はお似合いだけど、由真とその彼氏だと犯罪だ。
 それぐらい歳が離れている。
「とにかく! 相談してるんだからちゃんと聞いてよね!」
「んー、わかった、わかった」
 コメカミを両手でグリグリ押して、睡魔と戦うけれど、由真の声がBGMじみてきた。
「だから寝ないで起きなさい!」
「タダじゃやーよ。私眠いし」
「……じゃあ、帰りに何か奢るから!」
「渉も一緒にね。それが条件」
「う、ぐっ……」
 答えにつまる由真を置き去りにして、私はまどろみの中に。
 夢に落ちる私は懐かしい夢を見た。
 一年前、コータが隣にいた時の夢を。
 夢の中で会うなんてロマンティック、身近に彼氏がいる由真や渉には解らない幸せなんだろう。
 ――多分、きっと。

――to be continued on the next time.
21study after school ◆NN1orQGDus :2009/03/10(火) 18:51:46 ID:6Fuodsz9
投下終了。
急かさないでおくれよ
22創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 19:05:55 ID:tNMaGTFx
乙乙〜
手紙とはまた古風な
最近手紙ってあんまり書かなくなったよね
23創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 11:46:59 ID:FKNy7F9B
少しずつ、何かが始まっていきそうな予感
24創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 23:29:59 ID:PjIXd6UZ
シェアード青春の方で書けば?
全然コメディになってないし。
25創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 12:32:10 ID:AfwZbM4U
ペンと紙で文字書こうとしたら悲惨なことに

キーボードの弊害やべぇ
もはや手紙とか無理難題になってる
26創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 23:14:42 ID:i97NXMn5
印刷して封筒に入れて送れば手紙でしょうが
27私の空き缶 1/4 ◆CkzHE.I5Z. :2009/03/16(月) 01:11:46 ID:dSOS1AEn
 缶ジュースを飲み干してそれが空き缶になるまでの、それは短い恋心だった。

「……あの、大丈夫ですか?」
「え?」

 頭の裏側にかかった靄を手で振り払うように、私は曖昧なまま覚醒する。
 どうやら気を失っていたらしい。身体はおろか顔の表情すら自由に動かせぬまま、やっと見つけた意識をもどかしく手繰り寄せる。
 果たして視えているのかいないのか、それさえはっきりとしない視界には、消し炭を擦った様な暗い斑紋が残留していた。

「え、っと?」
「……きっと、日射病ですよ。何しろ今日は、日差しがとても強いですし」
「ぇ、えぇ?」

 その静かでやさしい高い声に、思わず私は素っ頓狂な返事をしてしまう。聞き覚えのない声だ。
 漸く、僅かながら感覚が戻ってきた。
 背中に当たる地面が堅かった。膝から先はぶらぶらと投げ出されているようで、感じ慣れた足先の窮屈さがないのは、ヒールが脱げているからかもしれない。
 どうやら私は、公園かどこかのベンチに寝かされているらしかった。
 目蓋をひんやりと覆い冷やす小さな重みと、後頭部に触れるその柔らかく温かな何か。――私は妙な焦りを覚えた。

「っ!? あ、あの」

 私の身体中に、眩みとはまた別種の汗が滲み出るのがわかる。
 何とか起き上がろうと身体に力を入れてみるが、それも虚しくベンチを僅かに擦るのみだ。

「あ、まだ動かない方が良いですよ」

 上からの声がやさしく私を制した。同時に後頭部の柔らかいものが小さくピクリと動く。

「でも、私、そういうわけにも」
「落ち着いて。でないと、また倒れてしまいますよ?」

 確かに、その通りだ。ただでさえここ数日は働き詰めだったし。
 学生の頃にも、暑い日などはこうして倒れる事があったから、それはわかる。
 けれど――私は後頭部に汗を沢山かいていないだろうか? それが無性に気掛かりだった。

「少し楽になったら、ジュースでも飲みませんか?」
「はい……い、いえ、そんなそこまで面倒を見て頂くのは悪いです!」

 くすくすと可愛らしく笑う声が、閉じた目蓋の向こうから聴こえた。

「実は、そこのコンビニでもう買ってあるんです。だから気にしないで下さい」
「ぁぅ……」

 情けない声がでた。
 私の顔を覆う恐らくタオルかハンカチは、リアクションのやり様に困惑している私の表情をちゃんと隠してくれているのだろうか? ――絶対無理だ! 口とか緩んでる気がする!
 ぷしっ、と。缶ジュースのプルタブを開けた音がした。

「横になったままじゃ、飲みづらいですよね?」

 そう告げるやさしい声が、やけに近い。

「あ、あの?」
「……じっとしてて下さいね」

 私のカラカラの唇に、何かがゆっくりと接近する気配。

「え? ま、待って、やめ」

 ちゅー。
28私の空き缶 2/4 ◆CkzHE.I5Z. :2009/03/16(月) 01:12:26 ID:dSOS1AEn


 …………。
 ちゅーちゅー。

「よかった。飲めるみたいですね」

 ストローだった……。
 私は何かが悲しくて、不乱にそれを飲み干そうとする。

「あ、ゆっくり飲んで下さいね」
「ふぁい」

 ちゅーちゅー。
 ジュースはスポーツ飲料だった。
 自然に喉を通る飲みやすさとすっきりとした酸味。
 私の身体と心に、潤いと温かい何かが染み渡る。

「…………」
「…………」

 何だろう?
 こんな気持ちは、本当に久しぶりだ。
 ちゅー…………。

「っ!? ケホッ、ケホ」
「だ、大丈夫ですか!?」

 唐突に、この気持ちの正体に気付いてしまった私。
 あぁ――何てこと。

「もう、ゆっくりって言ったじゃないですか」

 高く澄んだその声が、とても心地よい。
 そして切なく懐かしい。
 これは、遠い学生時代にも感じた……。

「ちゅー……」

 私の上のくすくす笑う声。
 鼻先に零れかかる微かな吐息。

「ふふっ。お姉さん、可愛い」

 あぁまさかこんな。
 でも、いい気持ちだ。
 私はジュースを出来るだけゆっくり飲もうと思った。
29私の空き缶 3/4 ◆CkzHE.I5Z. :2009/03/16(月) 01:13:38 ID:dSOS1AEn
 私はやがて、缶ジュースを飲み終わってしまった。咥えたストローが未練たらしくズルズルと鳴るのを慌てて止める。
 自分の身体に力と感覚が戻ったのがわかった。同時にそれは、何物にも替え難いこの時間の終りも意味していた。

「あ、お姉さん。もう大丈夫ですか?」
「はい。ありがとうございます。もう大丈夫よ」

 小さく身じろぎをする私。本当はまだこの膝から離れたくはないのだけど。
 軽く上半身を起こすと、顔に掛かっていたハンカチが落ちそうになる。慌てて私はそれを受け止めるのだ、が。
 ……え、っと。これは……。

「マンガ?」

 ハンカチは、テレビアニメでもやってる何とかいう少年マンガのキャラクター物だった。
 ……何というか。少年趣味?

「本当に大丈夫ですか?」

 優しい声で囁き、私の顔を覗き込むのは、少年の顔。
 …………。
 って、少年!?

「あ、あ……の?」
「元気になったんですね! よかった!」
「えっと、君が、私を?」
「そうですよ。お姉さんが倒れてた場所、ちょっと遠くて大変だったけど。あ、ごめんなさい! 変な意味じゃないです」
「それは良いんだけど」

 少年は慌てたように、先程の私の想い人の声で弁解する。
 よく見るとなかなかの美少年。男の子っぽい逞しさはまだないけど、優しげで温和な面差しが言葉を発する度に表情をくるくると変化させる。
 って、そんな事より。

「え? 男の、子?」
「もう、よく間違えられますけどちゃんと男ですよ。ほら」

 言って、少年が見せてくれたのは。
 ベンチの裾に置いてあった黒いランドセル。
 らんどせる。
 しかも小学生かよ……。
 さようなら、私の恋心。
 同性愛じゃなかったのは良かったのかもしれないけど、だからってこれはあんまりだ。

「ありがと、ね。本当に、ありがと」
「いえ。困った時はお互い様ですよ」

 少年が、邪気のない顔で微笑む。
 何か……。
 眩しいなぁ。
 とっても綺麗だよ。
 お姉さん、泣きそうだよ。
30私の空き缶 4/4 ◆CkzHE.I5Z. :2009/03/16(月) 01:15:24 ID:dSOS1AEn
「……っと。そうだ、ジュース代」
「あ、大丈夫ですよ」
「そういうわけにもいかないの。受け取って」

 私は彼に財布から取り出した夏目漱石を渡す。

「わぁ、野口さんじゃないお札は持つの初めてかも。あ、でもお釣り」
「私のとっておきよ。釣りはいらないわ」
「でも」
「人助けの正当な対価、それと、私の感謝の気持ちだから」
「…………」

 不安そうに申し訳なさそうに、私を見上げてくる。
 ああもう! 可愛いなぁ! お姉さん、悪い人になっちゃいそうだ。

「そんな顔をしないで。私も君にお礼が出来なかったら辛いんだから。ね、お願い」
「……うん」
「また……私が道端で倒れてたら、その時はまたお願いね?」

 ああ、私は何を言っているのか。

「うん!」

 けれども少年は元気に頷く。

「あ、もう塾に行かないといけないです」
「え? ご、ごめん。助けて貰っておいて引き止めちゃったね」
「平気ー!」

 元気良く返事をすると、黒いランドセルを掴んで駆け出していく。

「またねー! お姉さん!」
「ありがと! 車に気をつけてね!」

 少年はあっという間に見えなくなってしまった。
 …………。
 またね、か。
 残された私は、公園のベンチに一人。
 濡れたハンカチの乗せられていた額と後頭部の温かさが、優しさと想いの余韻をしっとりと残している。

「また、会えるといいなぁ」

 声に出して呟く。
 足元に転がったヒールを履き直し、よっと声をかけて私は立ち上がった。
 さぁて、倒れていた分をきっちり働かなくては。これが社会人の世知辛いところだ。
 手にはストローの刺さったジュースの空き缶。
 美しくも儚い私の恋心の、それは確かな証拠だった。

   ―了―
31創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 01:16:11 ID:dSOS1AEn
投下終了
お邪魔しますね^^
32創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 03:44:14 ID:BP+CUwnA
小学生…さすがになぁ
あ、でも育てる楽しみがあるというポジティブな考えもあるぞい
33創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 10:38:25 ID:3AAZSTFM
青田刈りですねわかります
逆の組み合わせだと犯罪にしか見えない昨今だけに、女って得よね
34徒然折々 ◆yto6XtemDU :2009/03/18(水) 23:08:00 ID:FNwO+UkY
0/
「――baby I'm born to lose……」
 半分壊れたラジカセから古い洋楽が流れている。
 寝ぼけまなこでぼんやりとサビのフレーズを口ずさんだら溜め込んでいた気だるさがどっと溢れてきた。
 無精なのか億劫なのか、それとも両方なのかベッドに寝転んだままで、何もする気がおきない。
 多分、それは流れている曲のせいなのだろう。
 テケテケと響くギターリフ、ヘロヘロなボーカル。
 昔の彼氏が好きだった曲、借りたまま返すのを忘れていたCD。
 懐かしいけど忘れてしまい思い出が蘇ってきて、頭の中でリフレインしながら叫んでいる。
 全ては若気のいたり。
 そんな風に思う事ができないあたり、当時の私は彼のことが本当に好きだったんだろうと思うことしきり。

 惚れっぽいけど覚めやすく、飽きっぽいのが私。
 恋を成就させることは難しいけれど、恋を成仏させることはもっと難しい。

 ■ ■ ■

 新しい制服に袖を通した高校一年の春、退屈な入学式よりも覚えているのは、体育館から出た時に見た、青の絵の具を水に溶かしたように淡く澄んだ空と、真っ白な桜吹雪。
 私はそれを描きたくて美術部の門を叩いた。
 テレピン油の匂い、そして手抜き掃除のせいで埃っぽい空気の美術室は私が思い描いていたイメージとは全く違う空間だった。
 手の平の横を真っ黒にしながら、基本の石膏デッサンを続ける部活はひどく退屈だった。
 それでも毎日出席を続けたけれど、いつの間にかその理由は淡く澄た空を書きたいから、ではなくなっていた。
 絵心が皆無な私にも、描き方を丁寧に教えてくれる先輩がいたからだ。
 私よりも二つ上の先輩は妙に大人びていて、私は先輩が絵を描いている横顔を見るのが好きだった。
 特別カッコいいというわけではないけれど、醸し出す空みたいに淡く澄んだ雰囲気に惹かれていた。
 先輩の鉛筆を持った手の動き、筆使いやらなんやらを真似することに励んだその結果、それなりに腕が上達していった。

 あくまでそれなりに。
 実家の押し入れの段ボールに仕舞い込んだクロッキー帳にその当時の断片が残っているけど、機会を見つけて処分しなければならない代物だったりするわけで。

 まあ、昔の私は甘酸っぱい恋愛をしていたんだな、と思う。

 先輩が卒業したら次第に横顔を思い出す事が無くなって、今では全く覚えていないのは、我ながら酷いと思う事しきり。

《続く》
35徒然折々 ◆yto6XtemDU :2009/03/18(水) 23:12:43 ID:FNwO+UkY
投下終了ってことで。
36創る名無しに見る名無し:2009/03/19(木) 14:27:23 ID:nBNBGZyU
( *゚∀゚)
37創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 19:56:00 ID:iABWM07I
青春ですなー
38創る名無しに見る名無し:2009/06/22(月) 13:28:59 ID:0ZMC9pPX
         「「 自由な人たち 」」 .
2009.21.6.22
 昼下がりに日陰で厚は何となく思い出し笑いを浮かべながら、休んでいた。
厚は21歳で仕事はリサイクル店の手伝いをしている。学生だがいつもここに
来て仕事を手伝ったり勉強したりしながら過ごしている。
「厚、何している。サボりか」雇い主の若こと若松良が後ろから声を掛けた。
「あ、若さん、すみません」厚は笑いながら振り返り頭を下げて言った。
「いいよ、休んでな」厚は若林のリサイクル店で手伝いをしているがまだ、学生で、
結構、頑張りやで優秀な奴だった。
「何かあります」何となく今日は暇だった。
「もう少ししてから、頼みたい事がある」若松は厚にはあまり仕事らしい仕事は
決めないで、自分の手伝いを主にさせていた。
「はい、ここにいます」暇なときは店の倉庫の前でいつも本を読むのが日課だった。
39創る名無しに見る名無し:2009/06/22(月) 23:28:34 ID:0ZMC9pPX
2009.21.6.22
「お前、若くんと何かあったか」林は何となくいぶかしそうに聞いて見た。
「何かって、何よ」林の妻、恵子は寝ながら、答えた。横になり目を大きく開け、
薄笑いを浮かべて。知らん振りをしようとしていた。
「別に、何でもないけど、何となく、若くんと何か在ったかなと思って」林と若松は
仲が良く、気があって、何でも言える友達だった。林は若松にある頼みごとを
していた。
「私がなんで、若さんと何かある訳」恵子は布団の中でもぞもぞしながら、眠そうに
答えた。
林は恵子の体に手を回し、
「分ったよ。ても、本当に無かったんだろうな」と念を押した。
「どうして、あるって、何が」と恵子は林の方を向き、抱きついた。
「お前はまだ若いし、俺もまだ」若松は恵子の体を触り、少し、気持が高ぶってきた。
「あなた、したいの、いつも、なんだから、誰かの名前を出したときはそのときね」
林はいつも、切り出すのに苦労していた。
「どうかな、いいだろう。頼むよ、悪いようにはしないから、頼むよ」恵子は笑って
しまった。
「悪いようにしないって、何よ。あなたの妻よ。好きにすればいいでしょう。でも、
優しくよ。あなたはいつも度か過ぎるから」林は小さな電気を付けた。
「電気を付けるの、消して欲しいけど」林は何も言わず妻の肌着を取ろうとしていた。
「あなたって、いつもそうね。いつまでするつもりなの」恵子は体を浮かし、肌着を
取り易くした。
「いいじゃないか、これしか楽しみがないんだから、ほうら」林は嬉しそうだった。
「綺麗にしてからよ。優しくね。そうそうそうそうよ」恵子は清潔好きだったので
濡れタオルで拭かないと何もさせなかった。
40創る名無しに見る名無し:2009/06/23(火) 22:57:48 ID:sIaIf9Zx
2009.21.6.23
「摩耶ちゃん今日、何時に帰ったの」美沙は摩耶にそれとなく聞いて見た。、
「4時よ。若松さんが帰るとき。お母さんと話していたでしょう」真弥は嘘をついた。
「嘘でしょう。真弥ちゃん、2時ごろ帰らなかった」美沙は摩耶の姿を見てしまった。
しかし、そのときはどうしょうもなく。見てみ見ぬ振りをしたのだった。
「ごめんね。見ちゃった。ごめん、摩耶さゃんが3時過ぎるって言ったから」美沙は
若松と一緒の所を摩耶に見られてしまったことを摩耶に謝りたかった。
「別に何も見なかったよ。帰ったのは4時って言ったでしょう。2時ごろから、若松さん
居たの、何かあったの」摩耶はどうでも良かった。母親が何をしても余り気には
したくないといつも思っていた。
「嫌いに成らないでね。若松さんがどうしても言うものだから、つい、断れなくて、
ごめんなさい」摩耶は母親の弁解を聞きたくなかった。
「見たわ、お母さん、嬉しそうだった。それでいいでしょう。ずっと見てた、でも、
誘ったのはお母さんでしょう」摩耶は今日は土曜日で中学が休みだったので
友達と4時ごろまで友達の家で宿題をすると言う事だった。でも、友達の家の
母親が急に出かける事になり、友達も母親と行かなければならなくなったので、
2時ごろ家に帰ったのだった。
41創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 21:54:58 ID:QO0shf0x
2009.21.6.24
「厚、倉庫のT0013の物入れを車に積んでくれないか」
 若松は以前から大井美沙の所に物入れを持っていく事を約束していた。大井美沙
は店の客として一年前ごろから店に来ていた人で、ここに越してきたばかりで家具が
欲しいというので何点か買って貰っている客で、歳は少し取っているが感じのいい
女で若松はそれとなく、声を掛けたとき深い中に成った。でも、付き合っている
訳ではなく。最初は感じが良かったので話が弾み気付いたときは変な雰囲気に
なってしまい、二人は一つになってしまった。
「これでいいですか」
「それでいいよ。一緒に行ってくれ、置いたら、帰っていいよ。大井さんの所なんだ」
二人は物入れを車に積み、車に乗った。
「美沙さんのところですか。美沙さんて結構、色っぽいですよね。俺、好きだな」
「そうだな、物入れを頼まれていたんだ、いいのが入ったら欲しいって、頼まれて
いたんだよ。あれで中学生2年の娘がいるだ」
「そうですか、まあ、それぐらいでしょうね。三十半ばかな」
「三十六歳のバツイチ、厚、気をつけろよ。俺は遣られたから」
「今日も遣られそうですね」
「そんな感じがするね。今日は娘が友達のところに行くんで、持ってきてくれって
言われたよ。何となく、あの人に操られているな、でも、たまにはいいか」
「代金貰ってくださいよ。商品は商品ですからね」
「貰えれば貰うよ。事務の高田には黙っていてくれ、学校の方はどう」
「なんとか、若さんにはお世話になりっぱなして、助かっています」
「厚、期待しているよ。出来るだけのことはしてやるよ。頑張れよ」
「はい」
42創る名無しに見る名無し:2009/06/26(金) 00:16:19 ID:wUgxWAS5
2009.21.6.25
「若松さん、これいいわ、さすがね。こんなに綺麗な物入れ見たことが無いわ」
「いいでしょ」
「幾らするの、2万円ぐらいでいいかしら」
「これ5万円なんだ。少し高かったかな」
「本当、結構するのね」
「安くしますよ。2万円でいいや」
「今日、ゆっくり出来るでしょう。娘は3過ぎまで帰らないから、いいでしょう」
「今日ですか。どうするかな」
「帰りどうするの店の車は今、帰ったでしょう。私が後で送るから」
「送って貰えます。それならばゆっくりしますか」
「この物入れを私の寝室に運んでいただける」
「いいですよ」
「私、何か食べる物と飲み物持って行くから、お願いします」
 若松は時計を見た。十一時三十分だった。物入れを2階に運び、2階で美沙を
待っていた。本当は買い物が在ったのだが美沙を見たら、何となく話をしたく
なったのだ。
 美沙がサンドイッチと野菜ジュースを持って上がってきた。
「サンドイッチとジュースよ。健康的でしょう。昼間から酒はね。それとも何か
出前でも取る」
「それでいいよ。ここで食べる訳、どこでもいいけど」
「ここがいいでしょう。何でも出来るし、シャワーでも浴びる」
「これ何処に置く」
「どこがいいかしら、ベットの横ね。そこにして」
「こんなものかな、いいね、いいよ」
 美沙はいつの間にか若松に寄り添って、体を摺り寄せてきていた。美沙はいつも
この手だった。その手は素早く、若松のズボンの何に差込、握り締めていた。
43創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 00:33:45 ID:2kC5wm6+
2009.21.6.27
「若さん、事務の田中紀枝さんから電話です」
「紀枝さんから、何番、今日は休みだったな」
 事務の田中紀枝は仕事は出来るが性格が不安定で、若松は時たま相談に
乗っているが少し困っている。
「もしもし、どうした。休みだろう」
「子供がどうも、喧嘩したんです」
「喧嘩か、誰とした。怪我は」
「私と、怪我はないです。話を聞いて欲しいのです」
「いいよ、でも、今は、今直か」
「仕事の後でいいです。ホテルタイムのタイムで待てます」
「タイムね。6時に行くよ。それでいい。7時がいいか」
「どちらでも、7時がいいです」
 若松はやな予感がした。田中紀枝の夫と若松は友達だった。店の事務で
働いていた田中紀枝に結婚を薦めたのは若松だったが残念な事に子供を
授かって一年足らずで亡くなってしまった。それ以来、紀枝は若松を頼って
いた。亡くなってから6年が過ぎ再婚を何回となく勧めているが中々上手く
行かない。紀枝は寂しさと子育ての疲れで時たま若松の体を求めるように
なり、若松はその求めを許してしまい、何となく変な関係が続いているの
である。お互いに恋愛感情はなく、紀枝は寂しさに堪えられず、若松は
紀枝を思うと何となく役に立てばという気持で関係を持つことがあった。
44創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 09:43:15 ID:Bv3nAjX2
 (・∀・) 白くなっとるワロタwwww


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45創る名無しに見る名無し:2009/06/29(月) 02:05:34 ID:uawTUq/N
2009.21.6.28
「こんにちは、どうしたの」
「ああ、若松さん、こんにちは」
「お母さんは」
「私だけです。残念ですか」
「どうして、此間はごちそうさまでした」
「何がですか。こちらこそ、母に贈り物して貰ってありがとうございます」
「ああ、物入れの事、お母さん、贈り物って言っていた」
「違うのですか。私にはそう言っていました」
「じゃあ、そうか」
「本当は5万円なんですよね」
「5万円、お母さんが言っていた」
「私が聞きました。私、あの時、聞きました」
「あのときって」
「母に物入れを持って来たときです」
「お母さんとお茶を飲んでいたとき、摩耶さゃん帰って来たよね、そのとき
5万円って言った」
「その前に若松さんが言っているのを聞きました」
「どういうこと」
「私、2時に一度家に帰りました」
「あの日の2時か、2時に家にいた、摩耶さゃんがいた訳、ほんとう」
「別に何も見なかったし、何も聞かなかった」
「でも、5万円はそのとき聞いた訳だ、聞いたんだ」
「母はいつもそうだから」
「ごめんね」
「若松さんは誰でもいいんですか。私でも」
「摩耶ちゃんは中学2年だろう。まだ子供だ。ごめんね、忘れなよ」
46創る名無しに見る名無し:2009/06/29(月) 22:51:44 ID:uawTUq/N
2009.21.6.29
「先日、町内会の婦人の会で話しているの聞いたのよ。あなたのような人の事を
噂していた。結婚して何年も経つのにまだ、変な事をしている女がいるんだって、
旦那に奥さんのあそこに話し掛けさせるそうよ。あなたの事かと思って驚いたわ、
変な人って何処にでもいるのね。聞いているの、でも、結局、自分がして貰えない
から悔しいのよ。夫婦が何をしようが勝手よね。でも、話し掛けさせるのもどうかしら、
話し掛けて答えるのかしら、気持がいいって言ったりして、好きな人に感じる所を
刺激されたら気持がいいのよね、奥さんたちみんなして欲しいのよ。私なんか
話を聞いているだけで思い出したわ、女はされる方が嬉しいのよ。あなたもそう
でしょう。されるより、する方よね、違うの、5回に一回ぐらいしてあげる。今度
からよ。こないだしてやったし、女も男も直に入れられても味気ないわね、あなたの
ように味わうのもどうかと思うけど、私は気持いいから許してあげる。あなたの
ようにされるといつも体を清潔にしなければいけないし、身が締まる思いで
嬉しい。足を上げたり、開いたり、閉じたり、腰を浮かしたり、腰をくねらせたり、
腰を振ったり、よつばいになって、あなたに体を揺すられると頭がおかしくなる
ぐらい笑えるし、あなたの体重を支える為の体力も必要だし、疲れるわね。
私たちも若くないので気持いいことだけにして欲しいわ。そうだ、今度の出張は
何日だった。その前の日はたっぷりさせてあげるし、してやる。あなたはよそに
行くと何をするか分らないし、病気でも持ってこられたら大変だから、後ろから、
もう、もっとしてもいいのに、余り、ぺたぺたしないでね。頭が変になりそうなのよ。
回して突く感じよ。ペタンペタンて何だか安っぽい餅つきのようで、笑いたくなるの、
最後は前からよ。前からじゃないと力が入らないから、四つ相撲で時間一杯まで、
もう何回したのかしら、数え切れないわね、でも、そんなにしないか、あなたが
飽きないので嬉しい、この時間も二人に取っては貴重な時間よ。夫婦二人の
唯一の楽しみね。唯一でもないか、楽しみの中の一つね」
 林と妻恵子の長い一日は終わった。二人はシャワーで汗を流し、お互いの
健闘を称え、深い眠りに就いた。林は若松と恵子の関係を気にしてはいたが
恵子の体に自分の分身を打ち込んだ満足感と腕の中で眠る恵子を見て、
心地よい眠りに落ちて行った。
47創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 00:14:07 ID:z/vu4sSa
2009.21.6.29
「美沙さん、どうして」
「いいでしょう。一番感じるのよ、男の気持を」
「そうかな」
「すると思っていたでしょう。前の方が驚いていた。今日はそうでもないわ、でも、
感じる。血液が充満して来た」
 若松は呆れたような顔で美沙を見つめ、次は何をするのか、されるままに普通を
装って成り行きに任せた。
「娘さんは大丈夫、こんな所を見られたら大変だ」
「大丈夫よ、3時過ぎなければ帰ってこないわ、見ていい。いいよね、私の手の
中にあるんだもの」
「握られてしまってはどうにもならないな」
 美沙は嬉しそうにズボンのベルトを外し、握り締めていた。若松の肉棒を下着から
取り出した。
「久しぶりね」
 美沙は若松の顔見て、目で確認してから目を閉じ、唇を僅かに動かし、若松を
誘った。若松も甘い香りの寝室で、軟らかい手で肉棒をしごかれ、唇を求められ
たら、もうどうにもならない、しかし、愛してもいない美沙とこんな関係になって
いいのか少し不安はある。
「若松さんは何となく、やなんでしょう。変な女と思っている。それとも、私の事を
嫌い」
「そんなことはないですよ。ただ、いいのかなって思ってしまって」
「私が握っているあなたは迷っていないようよ。私の言いなりになるって言って
いる。遊びでいいわ、私はそれ以上は望まない、だから、優しくして」
 美沙は遊びでいいって言ったが。でも本当は初めて若松を見たときから、美沙の
体は若松を欲しがり、久しぶりに満たされるような感情が湧き、何となく、生きて
いる実感を感じたのだった。
48創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 23:46:23 ID:z/vu4sSa
2009.21.6.30
 若松は少し早くホテルに着いたので、ホテルの店を見ていた。このホテルタイム
には思いであり、その思いでは大分薄れたが忘れたくない思い出だった。その当時
から変わらないのかよく分らないが何となく一緒に歩いた女の事を思い出した。
「若さん」
「のりちゃん、どうしたの馬鹿に綺麗にしているね」
「今日は特別」
「何処かの帰り、少し早かったので店を見ていたんだ。でも、仕事のときと大分違うね」
「誰の為と思う」
「なんだよそれ、そんなの分らないよ」
 二人はタイムのタイムに入った。若松はやっぱりやな予感が当たったような感じ
だ。何が原因で精神的に不安定になったのか分らないが自分に頼る紀枝の言う
事を聞いて遣る事にした。
「その服、良く似合っている」
「そうでしょう。でも、これ店の服です。リサイクルです。私を同じリサイクルなん
です」
「どういう意味、話は何、何でも聞くよ。出来る事があれば何でもする」
「社長だからですか。最近、おかしい、何となく不安で」
「気のせいだよ。食事は、体がおかしい訳、そうじゃないだろう。子供は」
「子供は母に預けて来ました。食事はまだです。おごって」
「おごってか。そのつもりだよ。何でも頼めよ」
「気前がいいですね。私、今日は帰りたくないって言ったらどうします」
「いいよ、別に一緒に泊まるか」
「冗談ですよ。でも、部屋で休んでいきたい。いいでしょう」
「このホテルでか。ここは高いぞ」
「安いところでいいです。あそこに見えるところでいい」
「あれはラブホテルだろう。そんなところでいいのか」
「私なんかそんなところでいいんです」
「たまにはいいか。変な事をするなよ。まだ、嫁入り前なんだから」
「一度行きました。でも、今は一人なんです。休んだら、ラーメン食べて帰りたい」
「再婚しろよ。いい人見つけて遣るよ」
49創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 11:16:22 ID:MPNcaeUC
2009.21.7.2
 若松は少し戸惑った。2時ごろはまだ、摩耶の母親と裸同然でいた筈だったからだ、
「忘れなよ」とはよく言ったものだ、幼い摩耶が母親のあのような姿を見たとき、どんな
気持になる見当がつかなかった。自分も久しぶりだったので、何回か激しく求め合い
2時ごろはその最中であったのは確かだった。
 摩耶は少し笑って、
「忘れない、いつものお母さんと違い嬉しそうだったし、子供のようだった。若松さん
も楽しそうだった」
「そう、忘れななんて言ってご免、見たのなら忘れられないよね。やな気持になった」
「驚いたけど、嬉しそうな母を見て、何となく、私も嬉しくなった。若松さんはお母さん
のことを好きなんでしょう」
 若松は摩耶の母親の美沙を好きなのは確かなのだが愛するほどではなかった。
いつも、誘われるままに付き合っているような関係で美沙の誘いに従っている
だけの存在だった。二人でいるときの美沙は女そのもので行き着くところまで行き、
果てる所まで果て、可能な限り愛し、可能な限り愛され、最後は波が引くように
何もなかったように摩耶のお母さんに帰っていく。若松に取ってはひと時の快楽
ではあるが摩耶の母親は愛すべき人なのは間違いない。
「好きだから、何でも出来ると思う。でも、摩耶ちゃんには恥ずかしい所を見られたな」
「そうかもしれない。あんな事をするなんて、私もいつかするのかなと思うと覚悟
しないと、でも、色々なことは知っているよ」
「中学2年生か、そうだな、僕がそのときはあそこに毛が生えてたな」
「当たり前でしょう。小学校でも生えると思う」
「摩耶さゃんももう生えている訳だね」
「若松さんはやっぱりそういう話がすきなんだ」
「お母さんとはこんな話はしないよ。摩耶さゃんは好きな人はいるの」
「いない、お母さんが反対している。今は成績の事ばかり、、お母さんは好きなこと
しているのに私には勉強しろって言うの、お母さんの言っていることが正しいと思う。
今は勉強を頑張らないとお母さんの言う事を聞くようにしています」
「偉い、偉いね。お母さんが自慢する訳だ」
「でも、刺激が大きいかった。結婚まで待てないかもしれない」
50創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 09:21:09 ID:/Ri+JczY
2009.21.7.3
「社長、安井の女社長から電話が来て、怒ってました。体で返せって言ってました」
「なんだよそれ、人聞きが悪ね。本当にそんなことを言っていた」
「多分、間違いないです」
「山本は、厚はどうした」
「厚君はまだ、学校ですよ。でも、もう来ますよ」
「高田さん、安井社長には連絡は取った」
「私はしてませんが、連絡しましょうか」
「いいえ、僕がします」
 安井不動産の女社長、安井澄子にはいつも世話になっているが賢い女で五十
近いやり手社長だ。若松はこの社長とも関係があり、辛い目に在っているが会社
の為と思い、お勤めをするときがある。小さなリサイクル店が生き残る為には
何でもしなければ生き残る事はできない。でも、安井社長は女としては中々の
人で、歳は取っているが女盛りで飾らない憎めない人だ。でも、若松はお勤めと
思っている。安井との関係は楽しいときもあれば辛いときもあり、人生の性を
感じる。
「良です。連絡が遅れて」
「良さん、来てくれない。少し相談があるののよ。忙しいと思うけど、いいでしょう」
「いいですよ。怒っているって聞いたもので」
「冗談よ、良君を怒る筈が無いでしょう。従業員には怖い女社長の方がいいのよ。
その方が二人の仲がいい事を知られないし」
「なるほど、これから行きます」
「これからじゃなくて、また、夜に電話して、仕事の話も在るけど、別な話の方が
大事なの、二日ばかり付き合って欲しいのよ」
「二日間ですか、泊まりですか」
「当たり前でしょう。泊りよ。私の車で行こう。夜また電話して、会社にいるから、
お願い」
51創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 10:08:20 ID:Dps/qZ4C
2009.21.7.4
「若さんすみません。私が弱い者で、堪えられなくなって」
「まあ、気にするなよ。いつか、変わるよ。それまでは付き合うよ。早く食べて
行こうか」
「はい」
 若松も何が正しく、何がいいのか分らないままに紀枝が求めるままに二人で
過ごす時間を作り、紀枝の精神的な疲れを癒せればいいと思っている。以前から
見れば大分変わったように感じるが未だに頼る紀枝が心配でもあり、しかし、
若い紀枝と過ごす時間も何となく嫌いではなかった。
 タクシーで二人はラブホテルに着き、静かな部屋を頼み、二人は部屋に入った。
「へえー、久しぶり、嬉しい」
「嬉しいか。嬉しいって言うのもおかしいよ」
「えー。なんて言えばいいです」
「風呂に入ったら丸見えだな」
「本当だ。見たいですか、私の裸」
「見せてくれるのか。見たいね」
「若さんも見せてくれます。そしたら、私も見せます」
「見せるほかないな」
 紀枝は既に服を脱ぎ始めていた。若松も服を脱ぎ、紀枝は裸で風呂場に入り、
風呂桶に水を入れ始めた。若松は裸で椅子に座り、紀枝の裸を見ていた。
なんだか、変な気持だ、こんなことが何になるのか、単なる若い従業員との逢引き
でしかないのではないかと思うと紀枝の役に立つと言った自分が情けなかった。
 紀枝が恥ずかしそうに裸で風呂場から出て来た。紀枝は小太りで少なめの陰毛
が白い谷間に見え、若松もさすがにその姿を見て、ただならぬ心の高まりと肉体の
変化を隠す事が出来なくなった。紀枝も若松の陰毛から突き出るものを一目し、
僅かに微笑みを浮かべた。そして、紀枝は手を若松に差し出し、若松はその手を
取って二人で風呂場に入った。若松は後ろから紀枝を軽く抱きしめた。そのとき
紀枝は振り返り、若松に抱きついて、
52創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 14:44:45 ID:q1rSNGoi
2009.21.7.6
「娘と二人でしょう。普段は大変なの生きることで精一杯、そんなときにあなたが
現れた訳ね。何となく、私の小さな胸が何かを見つけたように鼓動を打ち始めた
とき、あなたが声を掛けてきて、それで私は夢中になってしまった」
「あの時の花がこの花ですね」
「私があなたの店の前を通り掛けたとき、この花が目に入ったの、そして、店に
入り、この花の絵を見ていたら、あなたを見かけ、この花と同じくらい、欲しく
なってしまった」
「そうは感じなかったけど、美沙さんを見かけ、声を掛けたときは僕の方が素敵な
人と思った。この絵の額が少し大きかったので美沙さんと知り合えた」
「この額が大きく重かったので、良かったわ。あなたが車ですかって聞いたのよね」
「美沙さんが歩きって言ったので、僕はお持ちしますって言いましたよね」
「あの時何処かに届けるものがあり同じ方向だから、丁度いいって言ったのよ」
「それは多分嘘でした」
「そう言ったわね。嘘付いたって」
「別に嘘付く必要は無かったけど、何か口実が欲しかった」
「そんなもの必要なかったのに、そのときこの部屋まで運んで貰ったのよね。
この額掛けるのに大変だったけど、そのときは頼めなかった。そう、この小さな
スタンドをそのときサービスで貰ったのよ。これも綺麗」
「そうでしたね。この絵の額とこのスタンドは一緒に在ったもので、一緒がいいな
と思った。何となく何かを感じていたけど、この花の額とこのスタンド合いますね」
「額も気に入ったけど、花がいいのよ」
「そうですね。花です。この寝室に合いますよ」
「あの時、あなたが好きな人にでもプレゼントするのですかと聞いたとき、わたしが
冗談で、誰か気軽に遊べる人が居ればいいと思っているのって言ったら、あなたが
53創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 23:49:14 ID:s4spJ+d7
2009.21.7.7
 安井社長はいつも元気で、調子が良くて、若松は電話が来ると何となく、嬉しい
気持になる。何ヶ月に一回ぐらいは会って、適当に若松と遊ぶ事を楽しんでいる。
 いつも安井社長はお金があるからあなたとも遊べるのよと言うように金には
執着心が強く、金儲けは相当上手く、金は結構貯めている。若松もその金には
お世話になっているので、安井社長の誘いは断る事ができない。それに、人間と
してもいい人で結構、若松のわがままも聞いてくる人だ。ただ、泊まりは少し、
気合を入れないと務まらないときがあり体調管理は欠かせない。ただ、女体への
欲望は例え、如何なる肉体であっても、衰えることは無く、安井社長を満足させる
自信は十分に在り、安井社長もまだまだ肉体は捨てたものではなく、別に何とも
無い、男足るものすき間在れば入るべしと常にあらゆるものに食い込む事を
考えているので、楽しい二日間になればいいと思っている。
 安井澄子はマッサージか好きで良くマッサージに行くので若松もマッサージを本で
学び、以前、安井澄子にしてみたら、余り効かないと言われたが会うとマッサージ
を必ず要求されるようになり、最近は結構楽しみにしているようだ、それに性感
マッサージも少し友人から教わったのでそれをしてみたところ気に入ったらしく、
会う楽しみが増えたと言って喜んでいた。
 今回も多分、泊まりと言う事になれば、何かを仕込んでいかなければならないので
楽しみでもあり、少し厄介でもある。若松も若いと言う事で肉体的には何とか
なるが好きでたまらないという訳ではなく、余り努力する方とは言えないと自分
では思っている。友達と比べてもそれほど性欲があるほうとは思ってはいない。
 普通の男と思っている。一晩に何回も出来るかといわれれば、自慢が出来る
ほどの回数は出来ない。自慢が出来る回数が何回か分らないが本当に好きな
女でない限り、そんなにするものではないと思っている。
54創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 15:42:18 ID:c8877sMo
2009.21.7.8
「別に気にすることはないかも知れないね。摩耶ちゃんが生まれる為にはお母さん
とお父さんが愛し合わなければ出来なかった訳だし、それは人間に取って変な
事ではないしね。愛し合うって分るよね」
「若松さんはお母さんと結婚するの」
「それはないと思う。お母さんがしたことは子供を作る為にした事ではなくて、
僕と楽しむ為にしたこと、お母さんとは友達以上の友達かな、摩耶ちゃんも
もう少し大きくなれば分ると思う。男と女が好きになるとあんな事をしたくなる
んだ。子供を作る方法は学校で習っただろう」
「お母さんに子供が出来るの」
「そうだな、出来ないと思う。女の人の体は子供が出来るときと出来ないときが
在るんだ、あの時はお母さんは子供が出来ない日だったから、それに出来ない
方法を取っていたし、摩耶ちゃんは女のあれは在るの」
「生理でしょう。もうあります」
「摩耶ちゃんは中2だから、13歳か、摩耶ちゃんも女なんだな」
「子供産めるんですよね。産むつもりはないけど」
「女の子は16歳にならないと結婚できない、男は18歳だったと思うよ」
「3年だ」
「結婚なんか、まだまだ、それよりも自分のなりたい職業を決めた方がいいよ」
「若松さんと私がお母さんのような事をしたらどう」
「なるか、摩耶ちゃんは13歳だから問題ないのかな、日本では性的同意年齢
が13歳なんだ。でも、18歳未満は児童で、色々な決まりがあって、出来ない事が
沢山在るし、13歳の中学生と同意したからと言って結婚は出来ない、結婚は16
歳だからね、もし、摩耶ちゃんにお母さんのようなことをしたら僕は多分犯罪者
になるだろうね。警察に捕まってしまうね。当然してはいけないことだね」
55創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 16:23:54 ID:aYYvlAc3
2009.21.7.10
「私が若さんの体洗います」と言って素早くシャワーで体を洗い流しタオルに石鹸を
含ませあわ立てたタオルで、若松の体を洗いだした。そして、紀枝は突然、
「私、多分もう大丈夫です。何となく気が晴れたような感じなんです。今日は無理を
言ってすみませんでした」
 それを聞いた若松は何となく我に帰り、陰毛から突き出ていた男根が静かに
しぼんで行くのを感じ、
「それなら、もうこんな事をしなくてもいいんじゃないか」と紀枝に言った。
 紀枝も若松の男根がしぼむのを見て、素早くその男根を握り、
「今日は一緒にいて欲しい、いいでしょう」
 若松はどうしたらいいか迷った。傷ついた紀枝の気持を和らげる為に何回か
紀枝と一緒に過ごし、紀枝の寂しさを紛らわして来たが大丈夫という言葉は
一度も聞いた事が無く、優しく体を温めても涙を流し、黙って抱きついて来る
紀枝だったからである。
「僕の役目も終わったのかな、変な役目だったけど、僕は楽しんだような感じ
で、何の役に立ったか分んないけど、これで終わると思うと残念だね」
 紀枝は若松の男根を握り摩りそれは大きく育ち、若松の言葉とは裏腹に
これからまた新たな役割の始まりを予感させるように紀枝の手の中でその
存在感が形として泡の中から頭を出し、何かの始まりを期待しているようである。
「でも、ここは終わりたくないと言っているよう。終わっても、終わらない関係も在っても
いいでしょう」
「終わっても終わらない関係か。それはのりちゃんにとってマイナスだと思うよ」
「でも、これまでも男と女の関係では無かった訳でしょう。私はあなたによって
56創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 00:27:23 ID:igjNxCZU
2009.21.7.13
 安井社長もそんなにしつこい人ではないがなにをくわえる事が好きな人で、ある
とき若松が疲れて寝てしまって、暫くして目を醒ましたら、まだくわえられていたことが
あり、そのときはさすがと思った。若松を好きなのか、なにをくわえるのが好きなのか
どちらなのか、そんなときは複雑な感じにはなるが何もなかったような態度を取る
ことにしている。結局、人生を楽しむ為には何もかもも気にしないことが一番
のように思っている。
 店の仕事も片付き、安井社長に電話をする事にした。
 「若松です」
 「良さん、ごめんなさいね。明日、朝8時はどう」
 「いいですよ」
 「練習場の駐車場でいい」
 「はい」
 「楽しみね」
 「そうですね」
 会うときは安井社長が使うゴルフ練習場の駐車場で待ち合わせ、安井社長の車で
行く事にしている。以前は若松の車を使っていたが安井社長のほうから私の方が
いいでしょうということで、安井社長の高級車を使うようになった。大人のスポーツ
タイプの車で目立つ車だが余り二人は気にしなかった。運転はもっぱら若松がして、
安井社長は楽しそうに話し続けているのが好きで、取り留めのない話を二人で
しながらドライブを続け、何となく気に入ったラブホテルが在ると安井社長がそれと
なく、合図して、ホテルに入り、安井社長の遣りたい事を若松は上手く先導し、
安井社長が満足するように最善を尽くした。考えて見ればおかしな関係だ。
 塾女の魅力を十分に持っている安井社長を若松は好きなのだ。お互いの
立場を十分に理解している男と女が年に数回の火遊びを楽しみ、決して結ばれ
ない事を知りながら、体を重ねるときはただ、何も望まない肉体がそのときの
喜びだけを頼りに深く互いの肉体に入り込み、力尽きて、我に返って、お互いを
何も言わないで見詰め合うとき、何かで結ばれている絆を感じる。ただ、どんな
絆が在ろうとそれはお互いを結びつける絆でない事をお互いが理解している。
57創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 11:55:24 ID:dmlPXh//
2009.21.7.16
 「私は13歳だから、同意をすれば出来る訳」
 「もうよそうよ。摩耶ちゃんには関係ないし、好きな人が出来てもお母さんのような
事をするときは色々な事を考えることが出来るようになってからだよ」
 「何となく、興味あるな、若松さんにも責任があると思うけど」
 「お母さんにも在るね。でも、摩耶ちゃんは若いからな」
 「でも、生理も在るし、お母さんの顔を見たら、興味が出て来た」
 「摩耶ちゃんは何か感じた訳か」
 若松と大井摩耶は小さな公園で誰かが来るとその人に聞こえないように話し
続けた。若松は子供と話す内容ではない事は分っていたが何となく、摩耶が
望んでいるような感じがするので話を合わせた。
 「少し感じた。でも、良く分らない、エッチな感じ」
 「まあ、そうかもしれないね。それは13歳だから、そんな気持になっても仕方ない
かな、それは正常な感覚だろうね。少し大人に近づいた。摩耶ちゃんもあそこに
毛が生えたって言ったよね。何でも少しずつ、大人になると思うよ」
 若松は摩耶の年齢ならば色々な事を知っているはずだし、その意味を知る年齢
としては別段早く無いのかも知れないと思った。女の気持は分らないが自分の
体に男根を入れる行為は男と同じように大きな欲望が体に生まれない限り、
出来ない行為かもしれない。自分も女の性器を欲望の対象と感じたとき、股間に
生えた陰毛に隠れた部分をどれほど神秘的な所と感じた事か。
 「摩耶ちゃんはお父さんと風呂に入ったことはなるの」
 「何回かある。でも、何も感じなかった。お母さんはお母さんは若松さんの大きく
なった所を触ったり、口で舐めたりしていた」
 「そこまで見たか。何て言えばいいんだろう。好き同士の大人の遊びかな、
摩耶ちゃんは一度も感じた事はないの、素敵な人を見たり、本を読んだりした
とき、好きになった女の人が好きと思う気持ちと自分の体に何となく、エッチな
気持にならなかった」
58創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 15:18:55 ID:XeN0ZTLf
2009.21.7.19
僕ではどうですかと言ったものだから、私が困った振りして、テストしていいですか
と言うと、あなたはいいですよというので、運転中にあなたのズボンの中に手を
入れて握ったのよね」
 「あのときは驚いた」
 「私も驚いたの何て大胆なことをしてしまったと思ったわ、でも、あの感触は何とも
言えなかった。すごく感じたわ、あなたを見たら、あなたは驚いた顔で事故を
起こさないようにじっと前を見て運転に夢中だった」
 「驚きましたよ。突然だったし、あなたのような人があんな事をするとは思わな
かった。でも、試験は合格ですかといったとき、あなたが一次試験は合格って言って
笑ったのでさすがと思いましたよ」
 「あの時、直にでも二次試験をしたかったのよ、もう、たまらなかったの気が変に
なりそうだった」
 「ても、二次試験は何をするのですかと聞いたら、ズボンに手を入れたまま、私の
方から連絡します。今日はこれを置いたら帰って欲しいって言われて、僕はそれに
従った。家に着くまで、美沙さんはズボンから手を出さないで、色々な話をしながら
良く笑ってました」
 「あれから二ヶ月ぐらい経ってから、連絡が来たのにはまた驚いた」
 「もういいわ、お話は終わりにしましょう」
 美沙は若松をベットに寝かせ、自分の服を脱ぎ始めた。朝からシャワーを浴び
若松が来るのを待っていたので、体は熟れた果実のように甘く今にも溢れるような
蜜の香りが漂い、しっとりとした白い肌が若松のあらわになった下半身に纏わり
付き、既に十分成長した若松の男根は美沙の口の中に収まり、この世のものとは
思えない情景が小さな美しい美沙の寝室で始まった。美沙は必ず、男根は自分の
口で確かめ、全ての汚れを取ってから男性を受け入れていた。それは少女のときに
何かの本で読んだ記憶があり、女の中に男根を入れるとき、汚れている男根で
病気になる場合があり、男根を清潔にするものが無かったら自分の口にで汚れを
59創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 20:53:06 ID:5CDmPAKM
毎回1レスの細切れ投下じゃ読みづらいよ
あとあんまりこういうこと言いたくないけど、この作品ラブコメって感じがしない
恋愛っぽさも笑いどころも見当たらない
どこか別のスレに移動したほうがいいんじゃないか
60創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 22:28:45 ID:CMDB0Oew
このスレにくるのは初めてです。
姉弟もの書いてみたんだけど、読んでくれる人いますか?
61創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 22:29:30 ID:0Ww/YCxb
俺が読もう
投下しろ
62創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 22:44:49 ID:CMDB0Oew
おまたせしました!
よろしくおねがいします。


『かくされごと。』

「ただいまー…って、あれ?今日は大輔がご飯つくってるんだ?」
「あー、おかえり。
なんか母さんたちは出かけるって。帰りは俺等が寝た後らしいから、俺等だけでなんとかしろと」
「ふーん。
あの2人も仲いいよねー、今に始まったことじゃないけどさ」

そう、俺達の両親は、おそらく他の家と比べてもかなり仲がいい。
再婚どうしなのだが、歳もまだ若く、2つ違いの俺等姉弟を残してはよく外出している。
―再婚どうしなのに、な。

「ふふふー♪」
「なににやにやしてんだよ?」
「ね、大輔くん。子供は親の背中を見て育つっていうでしょ?
ここはひとつ両親を見習って、私たちもいちゃいちしn」
「はいはい。きょうはあつかったからなー。食事前にお風呂はいかがですかお姉さま」
「えー、いちいち沸かすのめんどくさい」
「…それくらいやってあるよ」
「え!うそ、ホントに?
はっ!
…まさかのぞき目当てじゃ…。
そんなのダメだってばぁ!…でも可愛い弟くんにそんなことされたr」
「入らないんならお湯を抜くぞ、いますぐ」
「ごめんなさいすぐ入らせていただきます」
「ん」

ったく、なんなんだこの姉は。

「ねえねえ、大輔」
「ん、何だよ?」
「…ありがとね。
すぐ来るから、そしたら一緒にご飯たべようね」
「…そうだな、待ってるよ」

…ほんとになんなんだあの姉は。
ほんとに。
63創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 22:53:18 ID:CMDB0Oew
「おまたせー♪ おー、いつもながら豪華だねー」

だいたい1時間くらいたった後、体からほこほこと湯気をたてながら、姉貴が戻ってきた。
…なんつーか、やはり男としてドキっとせずにいられない。
……でも、俺は…。

とりあえず、なんでもないようにしないとな、うん。

「ん、姉貴の分」
「ありがとー。 それでは2人きりの特別な夜に、かんぱーい」
「よくあることだけどな。特別では決してない」
「むー、ノリが悪いね、いつもながら」
「腹へってるだけだよ」
「あたしもへってるよ!!」
「なんではりあうんだよ」

「あ、そうだ。
ごめんね、大輔」
「? なんだよいきなり?」

いきなり切り出された。
なにかあったのか?
…なんか不安だ。

「いやね、お風呂上りといえばバスタオルイベントじゃん?
期待してたかなーと思って。
でも安心して!
このTシャツにホットパンツも、また趣があるんだから!」
「…そうだ姉貴。サラダを出すのを忘れてた。
ほら食べろ」
「うん、ありがとう…?
―ってすっぱ!ドレッシングがすっぱい!
あたしがすっぱいの苦手と知っていてやったのか?そうなのか? どうなんだ大輔ー!」
「まあそう怒るな。野菜は大切だ」
「うー、でもすっぱい…」
「わかったよ、ほら。
こっちのドレッシングも合わせて食べろ。
…そんな目で見るなって。大丈夫、美味いから」

少しすねた様子の姉貴。
…だから、それは反則だろう。

「…ホントに?
って、ほんとにおいしい…」
「だろ?酢は体にいいんだぞ。
…最近、姉貴疲れてるだろ?ちゃんと食べなきゃダメだ」
「―ちゃんと分かっててくれるんだ…」
「?なんか言ったか?」
「え? いや、何にも!
そっかそっか、何だかんだで大輔くんはおねーちゃん大好きなんだねぇ」

……。

「あー!
なんで無言でそんなにドレッシングかけるの!?
いや、ちょ、ダメだってば! すっぱい、すっぱいからぁ!
ごめんなさい、ごめんなさいって言ってるじゃん!
ゆーるーしーてー!」
64創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:06:09 ID:CMDB0Oew
(姉視点)
夕食後。
水の流れる音が続いている。
大輔は食器洗ってるから、あたしはひとり。
しょうがないから、リビングで雑誌をめくってる。

「出かけるのはよくあるけど、あたしたちが寝た後に帰ってくるなんてな…」

そう、両親がそんなに遅く帰ってくるのは初めてだ。
なんていうか、まだ若いんだよね…。

「…大輔は、なんとも思ってないのかな…?
いちおう、年頃の男女2人なんだけど…」

ためしに想像してみる。
あのクールで仏頂面な弟が、実は姉と2人でドキドキしてるとか…?

「…ない」

そりゃあそうか。
いつもああやってからかっちゃってるし、女として意識されてるかも怪しい。
きっと大輔は、もっと女の子らしいのが好みなんだろう。
…そもそも、姉弟だし。

「ん〜…どうしたらいいのかなぁ…」

いつもの問いを、自分に投げかける。
…まぁ、“いつもの”ってことは、まったく答えなんかでないんだけど。
―こうやって悩んでいることから分かるように、あたしは大輔が好きなのだ。
その、男女として。もぉめちゃくちゃに。

「―いつからだっけ?
あたしがあの子のこと、こんなに好きになっちゃったのは」
65創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:07:12 ID:CMDB0Oew
―出会いは7年前。
あたしが11歳、あの子は9歳の時だ。
あたしの父親とあの子の母親が再婚して、あたし達は出会った。
思えばあのときから、ずっとあの子はむすーっとした子だったなあ。
あたしがなにを話かけても、いつも口数は少なかった。
でも気付けば、少しずつ会話してくれるようになってたんだよなぁ…。
…なんだっけ?その前になにかあった気がするんだけど…。
あたしが…なにか言ったんだったような…?

そう。
その“なにか”があってから、あたしたちはすこしずつお互いを知り始めた。
あの子も、まともに口をきいてくれるようになったのだ。
―でも、どこか寂しそうに。

「…結局、いつから好きになったのかは思い出せない、か」

いや、もしかしたら出会ったときから、好きだったのかも。
だから、無視されても話しかけつづけたのかな。

「…やっぱり、ちゃんと言わなきゃダメだよね…?」

この結論も、いつもたどり着くもの。
でもいつもなら、たどり着くだけで、あきらめてしまうもの。
でも、今日は。

「親もいないんだし、言うなら今日しかない…?
うん、そうだよ、ね?
きっとこれは、神様とかなんかそのへんのえらい存在が、言いなさいって言ってるんだよね…?」

キッチンから聞こえていた、蛇口から流れる水音が消えた。
いくしか、ない。

覚悟を決めて、あたしはろくに読みもしなかった雑誌を閉じた。


すいません、今日はここまでです。
続きはまた明日。
66創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:08:21 ID:P9+Mj9h0
異母姉…だと…wkwktktk
67創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:10:37 ID:0Ww/YCxb
俺も思ったw
近親タブーかと思ったら異母姉弟だった
……だがそれがいい、続き待ってるよー
68創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:12:30 ID:Ge6jj+S2
お前ら何言ってんだお互いの連れ子だから何も問だいはないだろまちがえるなよだからこそおまえほらあれだよまちがいとか
69創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 20:49:40 ID:wzfM2F7U
おまたせしました。
今日の分です。
今日中にひとまず完結できれば…と思っておりますが…。

『かくされごと。』続きです。


口ごもる姉貴。
なんかヤバイぞ、これは。
しばらくお互いに黙っていると、ついに姉貴が口を開いた。

「その…あ、お母さんたち、遅いね?」
「へ?
あ、ああ、そうだな。
たぶん日付が変わるまでは帰ってこないんじゃないか?」

拍子抜けしながらそう答える。
姉貴は、若いよね、なんて笑っていたが、すぐにまた黙り込んでしまう。

―なんだってんだ、一体。
軽く腹がたったが、しばらく様子をみていると、なんだか心配になってきた。

「―なあ姉貴、どうかしたのか?
なんかイヤなことでもあったのか?」

なんなら聞くぞ、と。
そう、普段より相当優しく(したつもりで)声をかけてみた。
すると。

「うん、ありがと。
―やさしいんだね、大輔は」

少し笑顔をみせた。
でも、その笑顔は、ひどく寂しそうだった。

その姉貴の反応に、ますますどうしたものか分からず、俺もまた口を閉ざしてしまう。
いよいよ耐え切れなくなり、大声をあげそうになった瞬間。



「…ね、大輔が優しくしてくれるのは…あたしが、おねーちゃんだから?」



消え入りそうに、搾り出すように、姉貴は精一杯の様子で口を開いた。





70創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 20:52:51 ID:wzfM2F7U
あああもうしわけないです!!
こっちが正しいやつです!
ほんとごめんなさい!!


食器の片付けを終え戻ってくると、姉貴が妙に真剣そうな表情をしていた。
どうしたものか分からず、テレビを見ていると。

「…ねえ、大輔」
「!」

いつになく真剣そうに、姉貴は切り出した。
返事をする俺の声も、かすかに震える。

「ど、どうした姉貴?」
「あ、あの、えと…」

口ごもる姉貴。
なんかヤバイぞ、これは。
しばらくお互いに黙っていると、ついに姉貴が口を開いた。

「その…あ、お母さんたち、遅いね?」
「へ?
あ、ああ、そうだな。
たぶん日付が変わるまでは帰ってこないんじゃないか?」

拍子抜けしながらそう答える。
姉貴は、若いよね、なんて笑っていたが、すぐにまた黙り込んでしまう。

―なんだってんだ、一体。
軽く腹がたったが、しばらく様子をみていると、なんだか心配になってきた。

「―なあ姉貴、どうかしたのか?
なんかイヤなことでもあったのか?」

なんなら聞くぞ、と。
そう、普段より相当優しく(したつもりで)声をかけてみた。
すると。

「うん、ありがと。
―やさしいんだね、大輔は」

少し笑顔をみせた。
でも、その笑顔は、ひどく寂しそうだった。

その姉貴の反応に、ますますどうしたものか分からず、俺もまた口を閉ざしてしまう。
いよいよ耐え切れなくなり、大声をあげそうになった瞬間。



「…ね、大輔が優しくしてくれるのは…あたしが、おねーちゃんだから?」



消え入りそうに、搾り出すように、姉貴は精一杯の様子で口を開いた。
71創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 21:03:51 ID:wzfM2F7U
「…ぁ?
えと、な、なにを言って…?」

正直、そういうのがやっとだった。
これ以上続けたらなにかが、とても大切なモノが壊れてしまうような、そんな気がして―不安だったのだ。

やめよう、俺達らしくない、いつもどおりに話そう。

そう言いかけ、ふと姉貴のほうを見ると。
姉貴はいまにも泣き出しそうな表情で、でも、とても真剣に、俺を見つめていた。
その表情をみて、逃げてはいけないと、そう悟った。

「―あたし、ずっと聞きたかったことがあるの」

姉貴は立ち上がると、ソファに座っている俺の前にやってきた。

「な、なんだよ?」

見上げ、返事をする。
逃げてはいけない。

「大輔は、いつもむすっとして、冷たいように見えて…。
でも…誰よりもあたしに、優しくしてくれるよね?
さっきだって、そう。
―それは、ただ単に、姉弟だから、ってだけなの?」

少しずつ、姉貴は言葉を紡ぐ。
気付けば、姉貴の両手は、ソファの背もたれの部分に置かれていた。
姉貴の顔が、近づいてくる。
瞳を潤ませ、吐息のかかる距離で、さらに姉貴は続ける。

「ああやって、優しくされて―。
あたしがそれを、なにも思わないで受けてると思ってるの?
…姉弟だからって…当然だって…そうやって…!
冗談だけで、ずっとあなたをからかってたと思ってるの…!?」

堰をきったように、姉貴の口から想いがあふれてくる。
俺は、何も言うことが出来なかった。

「―あたしは、あなたが好きなの。愛してる。
姉としてじゃなくて、女として…。
……だから聞かせて、大輔。
あなたは、あたしのこと、どう思ってるの…?」

そこまで言い切ると、姉貴は俺の目を見つめる。
紅潮した頬で、息を切らせながら。

思いがけない告白に、俺は戸惑うばかりだった。
…だって、姉貴は…。


ちょっと風呂入ってきます、すいません。
72創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 22:45:46 ID:wzfM2F7U
おまたせしてばっかで申し訳ないです。
再開します。

思い出したことがある。
いや、思い出した、なんてもんじゃない。
忘れられなかった、ってほうが正しいのだが。

ちょうど出合ったばかりのころ。
俺は、姉貴を避けていた。
まあ、俺もだんだんと女とかに興味がでてきたころで、そんな俺から見て、姉貴は、その、可愛かったのだ。
まわりの女子連中とくらべても、それはもう格段に。年上なわけだし。
そんなだったから、突然一緒に住む、とか言われても、気恥ずかしくてやっていられなかったわけだ。
だから、まともに目もあわせられず、言葉もろくにかわさなかった。
そんなふうに数日を過ごすと、不意に姉貴につかまったのだ。

『ちょ、なんだよ、放せよッ!』
『ねえ、どうして逃げるの…?』
『…べ、別に何でもねえよ…』
『どうして話してくれないの…?』
『だから、何でもない…!?
お、おい…!?』

そこで見た姉貴は、泣きそうな表情だった。
―そう、さっき見た表情と同じように。
その後に姉貴が言ったのは―。

「『―おねーちゃんになりたいの』…か。
…ったく、どれだけ俺のことを振り回せば…って、おい、どうした?」

ふと顔をあげると、姉貴の顔からは思いつめたような様子が消え、呆然としているように見えた。

「…そう、それ…。あのとき、あたしが言った“なにか”…。
そのあとで、大輔、あたしと話してくれるようになったんだよね…」

…おい、ちょっと待て。
まさかこの姉は…。

「―『話してくれるようになった』じゃねえだろ!
『話せるようになっちまった』んだよ…!
あんなこと言われたから、『ああ、そうだ、俺たちは家族なんだもんな』って、幼いながらにそう思って…。
自分をなんとか納得させて…っ!
『好きになんかなっちゃダメだ、姉貴なんだ』って、俺がどれだけ自分に言い聞かせてきたと思ってる!?
それなのに今度は『恋人になりたい』なんて…!
少しは俺の気持ちも考えろ、この、バカ瑞希!!」

感情にまかせて、想いをぶちまけた。
ったく、この姉貴は…っ。

「…え、え?ウソ?
じゃあ、もしかして大輔は、ずっとあたしのこと想ってくれてたの…?
それなのに、あたしが余計なこと言ったせいで、ずっと我慢してた…ってこと…?」
「…別に余計なことじゃない。
あの言葉があったおかげで、もっと姉貴のことを知れて、もっと好きになれた。
今思えば、余計じゃない」
「えと、じゃあ…」
「…そうだよ。
俺も、姉貴が好きだ。恋愛対象として。
…たぶん、初めて会ったときから、ずっと」
73創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 22:47:36 ID:wzfM2F7U
言っちまった。
ずっと心の中に留めておこうと、死ぬまで留めておこうと何回も言い聞かせてきたこと。
…言えた、って言ってもいいんだよな…?

と、姉貴の手が俺の頭に載せられた。
そのまま、姉貴はやさしく、とてもやさしく、俺の頭をなでてくれた。

「…ごめんね、なにも考えられなかったのは、あたしのほうだね…。
……でも、うれしい。すごく。
―ありがと、大輔」
「…俺のほうこそ、悪かった。
姉貴の気持ちに、もっと早く気付いてやれたらよかったのに。
ずっと、自分のことだけ、考えすぎてたのかもな」
「…ふふ、やっぱりやさしいんだね。
やさしすぎるくらい。
…そういうとこも、大好き」

甘い。
空気が甘ったるい。
ひどくゆっくりとした、でもとても暖かく、幸せな時間。

「―ね、キス、しよっか?」
「…勝手にしろ、俺は知らん」
「あれー?急に照れちゃったのかな?…かーわい。
…それじゃあ、遠慮なく…」

―ちゅ、と。
姉貴の唇とふれあった。
…この部屋の空気なんて、比べ物にならないほど甘かった。
あー、このままだと、マジでおかしくなりそうだ。
―それでも、いいか。

「…って、寝てやがる。
ほんとに、どれだけ俺のことを振り回せば…」

姉貴は安心しきった顔で、俺の胸にしがみついて、すうすうと寝息をたてていた。

「…ったく、困った姉貴だな…。
俺にも、もうすこし言ってやりたいことがあるってのに…。
―愛してる、姉貴」

もう一度、今度は俺のほうからキスをすると、俺の意識も、溶けるように薄れていった―。
74創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 23:00:03 ID:wzfM2F7U
「…はれ、もう朝…?って、あたし、こんなとこで寝て―?」
「お、起きたか姉貴。おはよう」
「え、あ、うん?
お、おはよう、大輔…。
…あの、昨日の夜―」
「…別に夢とか、そんなオチはないぞ。現実にあったことだ。
…今更なしとか言っても、通用しないからな。」
「…ばか。そんなこと、言うはずないよ」
「そうか、それは何よりだ」
「―ところで、お母さんたちは…?」
「ああ、俺が夜中に目を覚ましたら、ちょうど帰ってきてな。
とりあえず、説明しておいた」
「え!?ウソ!?
どどどうしよう、姉弟なのに…!」
「親父もお袋も、のんきなもんだったぞ。『好きになったなら仕方ない。どうにでもする方法はあるからな、おもいっきりやれ』だと」
「…あ、そう」
「なんだ?不満か?」
「ちちちがうよっ!…うれしすぎて、なにもいえないだけ。
…ところで大輔、昨日、一回だけ、名前で呼んでくれたよね?」
「え、あ!?
あれは、子供のころ思い出したから…!」
「ウソ。
だってあなた、話してくれるようになったときにはすでに、『姉貴』だったじゃん」
「ぐ…」
「まあ、いっか。
…これからは、その、恋人として、『瑞希』って呼んでいいんだよ?
ていうか、呼びなさい」
「……」
「さ、そういうことならはやく着替えて!
今日はお出かけするよー!」
「おい、ちょっと待て…!
少しは人の話を聞け、この、バカ瑞希!!」


とりあえずこれで、『かくされごと。』は完結です。
おつきあいくださった方々、未熟な文章の解読、おつかれさまでした!!
ありがとうございました!!
75創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 04:14:15 ID:JxbDAz32
おつ
これで公認ラブラブかー
76創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 20:50:19 ID:p5nxfR1R
投下乙です
楽しませていただきました
77創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 23:33:44 ID:/xrf0RO1
age
78創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 01:14:44 ID:0hwQiqyk
「ねえ。私のことを愛してる?」
あれは十三夜のことだった。夜空は見事なまでに晴れ渡って、月は煌々と輝いていた。今ではす
っかり十五夜の影に隠れてしまって、顧みる者は殆どいなくなったが、私は今でも十三夜が好きだ。
その夜、二人きりで公園のベンチに座る私達には、私の生涯で最も美しい月明かりが降り注いでいた。
それでも、その時の私は月なんて目に入っていなかった。その目は、ただ真っ直ぐに彼のことだ
けを見つめていた。
「当然だろう? 僕以上に君を愛している男なんてこの世にいないさ」
彼の答えに淀みはなかった。しかし――
「私が豊胸手術をしても同じように愛してくれるの?」
「――な」
彼は一瞬絶句したが、私の表情に失望の色が見えたのだろう、すぐに怒っているとも慌てている
ともつかない顔になった。
「なんて馬鹿なことを! 貧乳はただ美しいだけじゃない! そこには真理がある! 人為によっ
ては決して到達しえない完全なる――」
「やっぱり、あなたは私のおっぱいを愛しているだけじゃない! 私自身じゃなく!」
また始まった馬鹿げた演説は、私のいつになく強い叫びによって遮られた。彼は、信じられない
ものを見るような目でこちらを見ていた。
 それからややあって、彼が私に問いかけた声は穏やかなものだった。
「美しい夜空から、わざわざ最高の月を取り除こうとする奴がいるかい?」
私は、その時初めて空を見上げてみた。満天の星空に浮かぶ丸い月は、天空の調和の中で冴え渡
って、欠けることのない満月よりも一層完全に思われた。
結局、その日はそれ以上、彼と口を利くことはなかった。ただ黙って、二人で空を見上げていた。
彼にうまくはぐらかされたのはわかっていた。それでも一方では、そういう結果になったことを
良かったと思う気持ちもあった。それが悔しくて、彼に返事もせずに、ただ月を眺めるふりをしていたのだ。
79創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 15:04:34 ID:b0q5XYnT
無駄にお洒落なおっぱいラブコメだなw
80創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 22:44:34 ID:b0q5XYnT
目が覚めると、そこは宇宙船の中だった。

手足は拘束され、それどころか体に全く力が入らず身動き一つ取れない。
それなのに何故ここが宇宙船なのかわかるのかといえば、
チラリと横目で見た窓の外には……丸く青い星が輝いていたからだ。
衣服は脱がされたのか、船内の空気が肌に直に触れてくる。
室温は暑くも寒くも無く、そして空気も澄んでいてむしろ快適だ。
それに、拘束されているとはいえベッドの寝心地もこの世のものとは思えない程良い。
だが、

「帰して――ッ!! 俺をお家に帰してええ――ッ!」

人間、遠いところに来るとホームシックになるものだ。
断じて俺は怖いからこんな叫びを上げた訳ではない。本当だぞ?

『静カニシロ』

部屋に、俺のものではない声が響いた。
その声は異常に澄んでいて、人間のものでは有り得ないということがわかった。
歌を歌えば、きっと世界中を魅了するスターになれるに違い無い。
だが、

「うっ、宇宙人め! この俺をどうするつもりだ!? 姿を見せやがれコンチクショー!」

地球からと離れたこの場所で俺が夜空に輝くスターになるのはごめんだ。
アレか? よくテレビで牛とかにやってるように俺をキャトるつもりか?
尻の方からポッカリいっちまうつもりなのか!?

『……騒々シイ奴ダ』

俺の言葉を受けてか、宇宙人がこちらへ歩み寄ってくる気配がした。
冷静に考えてみれば、これは絶体絶命のピンチというやつじゃなかろーか。
宇宙人に暴言を吐いた挙句、姿を見せろ……すなわち、キャト――

「イヤ――ッ! キャトルは駄目――ッ!! 駄目なのおおお――ッ!!」
『黙レ』

必死で懇願する俺の視界の端に、俺を捕まえた憎き宇宙人写り込んだ。

「……綺麗だ」

無限に広がる宇宙のように黒く輝く瞳。
燃え盛る炎を連想させる赤い、赤い髪。
何者をも包み込むような青空色の滑らかな肌。

人間では到達出来ない、美の結晶がそこに在った。

『“キレイ”? ソレハドウイウ意味ダ?』

綺麗という言葉を説明するのにはどうしたら良いんだろう。
俺のこの想いを伝えたい、この宇宙人に知って欲しい。
頭に血液が集まっていくのは、久々のフル稼働で脳が喜んでいるからだろう。

『キ、貴様! ソレハ何ダ!? コノ星ノ住民ノ威嚇方法カ!?』

ついでに言うならば、股間にも血液が集まっていた。

――これが、俺達の異星間コミュニケーションのはじまりだった。

おわり
81創る名無しに見る名無し:2009/10/09(金) 00:29:29 ID:H8/FjWkW
威嚇方法っていうのもあながち間違ってるわけではないなw
82創る名無しに見る名無し
地球外生命体との第一次遭遇がそれかww王道だけどさww