ダジャレー夫人の恋人

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6創る名無しに見る名無し
あれはそう、七日前のこと。
その日からテレビは全て放送をやめ、ウェブページは俺の見た限り全て更新を断っていた。
俺は重度の引きこもりだった。
しかしあの日以来俺はタウンページを片手に電話を掛け続けている。
「お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われておりません」
外にさえ出れば何が起こっているのかきっと把握できる。
でも俺はそれをしない。理由はいたって単純だ。怖いから。
「お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われておりません」
食料は一か月分買い貯めてあった。
つまりあと三週間は淡い夢を追い続けられる、というわけだ。
「お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われておりません」
もう本人はいないかもしれないお姉さんの、声だけが、同じトーンで何度も何度も俺の鼓膜を刺激する。
今日はここまでにして寝るとしよう。
開いていたページにチェックを付けて俺は分厚い紙の塊を閉じた。
あれから一週間、誰も電話に出んわ。