ダジャレー夫人の恋人

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1創る名無しに見る名無し
背筋が凍るような駄洒落を一つ聞かせてくれないか

名前欄に作品タイトル、本文にSS、落ちはメール欄
各自、文学・映画・漫画・ゲームタイトルなどからネタを出すこと
ファミ通で大昔にあった「お習字」コーナーのレベルでも構わない

ただし無視されても泣かないこと


2創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 04:18:28 ID:UB4EKdLj
>>1代理スレ立て乙
依頼主さんに例題出してほしいぜ
3創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 13:46:03 ID:NIkrdgac
( ´w`)
4創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 18:43:11 ID:e7+5toaW
蜜柑の木は決して大きく成長しません
大きくなったら蜜柑ではなくなってしまいます

蜜柑の大樹ですから
5創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 19:43:18 ID:/epJk7Ue
布団が────
広島型の1000倍と目される10.4メガトンつまり10400キロトン分の爆発力を秘めた
Ivyマイクと呼ばれる水素爆弾の5キロにも及ぶ火球に飲み込まれた。
紫の雲がもうもうと伸び、灰色とオレンジを孕んだかと思うと見る間に黒くなってキノコ雲を形づくる。
最終兵器と呼ぶに相応しい破壊だった。
焼けた鳥が降ってきて、投下した爆撃機に二度目の、地面に跳ね返った衝撃波が伝わる。
かつて米露のロケット開発競争を担ったセルゲイコロリョフもヴェルナーフォンブラウンも、
きっとあの世で衝撃波を受けたに違いない。
広島が100万の被害者を出したならば、これがもたらすものは1000万の被害者だろうか。
少々乱暴な論ではあるが、恐ろしいものには違いない。
現在の地球は核による軍事的均衡の上にある。
一発過てば、即時地球が焦土となるのだ。
そんな時代に生きる我々ができることは、精々日々を満喫することだけだろう。
そう、あの布団のように。
最後はこの言葉で閉めよう。

────吹っ飛んだ
6創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 20:08:58 ID:H8Gm/JK2
あれはそう、七日前のこと。
その日からテレビは全て放送をやめ、ウェブページは俺の見た限り全て更新を断っていた。
俺は重度の引きこもりだった。
しかしあの日以来俺はタウンページを片手に電話を掛け続けている。
「お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われておりません」
外にさえ出れば何が起こっているのかきっと把握できる。
でも俺はそれをしない。理由はいたって単純だ。怖いから。
「お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われておりません」
食料は一か月分買い貯めてあった。
つまりあと三週間は淡い夢を追い続けられる、というわけだ。
「お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われておりません」
もう本人はいないかもしれないお姉さんの、声だけが、同じトーンで何度も何度も俺の鼓膜を刺激する。
今日はここまでにして寝るとしよう。
開いていたページにチェックを付けて俺は分厚い紙の塊を閉じた。
あれから一週間、誰も電話に出んわ。
7創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 20:21:48 ID:/epJk7Ue
続き気になるやんかwww
8創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 20:25:57 ID:H8Gm/JK2
続きなど考えてないw
9創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:56:51 ID:L/2iwtV9
ワロタww
10創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 23:04:27 ID:4ALKuKOh
私は地球から遥か一京光年離れた、全銀河統一機構の外交官だ。
今回は太陽系で唯一生物が住む星、地球に我が全銀河統一機構の存在を伝え、加入を勧誘する任務のために、
光速の数兆倍の速度を出せる円盤ではるばるやってきたのだった。
地球の大気圏内に到着した私は、事前に作り上げた「地球で最も賢い動物ランキング」で一位である、ネズミと言う生物を探した。
だが彼らは言語を持っていないようで、会話は不可能だった。
そこで私は一位は諦め、二位の生物に接触を試みることにした。
その生物は言語を持ち、平和に暮らしているらしい。
私は海という巨大な水溜まりの上で円盤を止め、海に向かって呼び掛けた。

「おおい、イルカは居るか?」
11創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 23:19:50 ID:/epJk7Ue
ヒッチハイクガイド?w
12創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 23:54:56 ID:L/2iwtV9
妻の浮気を確信したのは半月前だ。
前々から疑ってはいたのだが、彼女の携帯電話を調べ、ついに決定的な証拠を見つけた。
その相手とは、俺の上司である副部長。
公私ともに世話になり、ビジネスマンとしても人間としても心から尊敬していただけに、
裏切られたショックは大きかった。
今、俺は自宅のドアの前にいる、包丁をたずさえて。
「急用で実家に戻る」と嘘をつき、妻と副部長の密会現場を取り押さえるためだ。
――愛する妻が、今、副部長に抱かれている……
想像すると、腹の底から怒りが沸き上がる。
俺は深呼吸をし、静かにドアを開け、そして寝室へ向かう。
そこには案の定、裸で抱き合う二人の姿が……
俺の中で何かが爆発した。
「殺してやる!」
そう叫び、包丁を手に副部長に襲いかかる。
しかし、大声を上げたさいのショックで、副部長はすでに……

『副上司の腹上死』
13水滸伝:2009/02/20(金) 00:54:27 ID:CIFdUjMC
「呼吸法は気の流れを保つ最善の方法である」
梁山泊に熱い男たちの息で満ちていた。
反乱軍の首領である宋江は、一癖も二癖もある屈強な百八人の好漢・英雄・豪傑たちを前に矢継ぎ早に指示を出していた。
彼らに対し、近々起こる反乱のために、軍事訓練を行うことにしたのである。
「丹田に力を入れよ」
好漢たちは思い思いに腹部に気合を込めた。
間髪を入れず、次の指示が飛んだ。
「大きく息を吐いて!」
百八人の大男たちの肺からすっかり息が搾り出された頃合に、最後の指示が飛んだ。
「はい! 水滸伝!」
14創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 10:34:46 ID:JereSOdY
なんだこのスレwwwwすげぇwwww
15創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 13:26:27 ID:02IXS9eN
違う違う違う違う!
俺がしたかったのはこんなことではない。
一体、どこで歯車が狂ってしまったのだ?
俺は、心からこの国のことを憂い、そして立ち上がったはずだ。
その努力の甲斐あり、疲弊した我が国は立ち直った。
そして俺は英雄となった。

だが権力は魔物だ。
その重責と快楽に負け、いつの間にか、俺の中にはもう一人の俺が生まれた。
人々の望みを体現するためのカリスマが。
ヤツのせいで……いや、今さら責任逃れはすまい。
あれは紛れもなく私自身でもあるのだから。

手にした銃をじっと見る。
犯した罪は、この命を以て償おう。最後は自分自身の手で幕を引いてやる。
あんな恐ろしい命令を下してしまった罪は、いつまでも消えることはないだろうが。
願わくば、同じ愚行が二度と起こらぬことを。

『ユダヤ人を残らずヒットラえろ!』
16創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 13:52:58 ID:JereSOdY
ヒットラーww
17創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 17:00:23 ID:vz2cclb5
私の妻はいつも落ち着いている人だった。
結婚を申し込んだ時も、優しい微笑んで頷いてくれた。
私が会社をクビになったことを告白したときも私を責めたりせず、優しく抱き締めてくれた。
再就職した時の聖母のような笑顔は忘れられない。
だがそんな笑顔も今はもう見れない。
彼女は死んだ。
全ては私がいけない。
私があの時、目の前のトラックをもっと慎重に追い越していたら……
彼女は死ぬ間際も落ち着いていた。
私は叫んだ。
「車が来る!」
「まぁ」
18創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:09:05 ID:02IXS9eN
目覚ましが鳴る前に目が覚めた、なにやら外が騒々しい。
一体なにごとかと表に出て、俺は絶句した。
となりの山田さん宅は、五十坪ほどの広さの一戸建てなのだが、
それがおびただしい数の警官隊に包囲されているのだ。
さらにその後ろには取材のマスコミ、さらに数え切れない野次馬がひしめき合っている。

山田邸を見やると、昨日までとはまるで様相を変えていた。
外の塀の上部には鉄条網が張り巡らされており、
玄関部分には家具でバリケードが築かれている。
窓という窓は板で目張りされ、まるで砦だ。
「観念したまえ、君たちは包囲されている」
スピーカーを手に、ドラマでお定まりのフレーズを叫ぶ隊長らしき男。

一体どうしたというのだ、これはただ事ではない。
あの温厚な山田さんが何かしでかしたのだろうか? まさかな。
物騒な事件にでも巻き込まれたのだろうか。
「お隣の方ですか?」
警官の一人に尋ねられた。
「はい、一体、何が起こっているのです?」
「話は後です、危険ですから家から出ないで!」
強引に家に押し戻された、訳が分からない。

釈然としないままリビングに戻ると、妻が起きてきており、
寝ぼけ眼をこすりながら聞いてきた。
「もう、朝からうるさいわね。どうしたのよ」
「隣の家にバリケードが出来たんだ」
「へえ〜」
19創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:23:36 ID:JereSOdY
囲いじゃなくてバリケードなのかw
お隣さん人質に立てこもり犯でもいるのだろうか
20創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:38:17 ID:YYkpqCGe
>>18
山田邸は一日中不気味な沈黙を守っていた。
バリケードと睨み合う警官隊。
隣家の異常事態に、落ち着いて過ごすこともできない。

「山田さん家、どうしちゃったのかしら?」
夕餉の準備をしながら心配する妻を他所に、確信めいた予感が過ぎる。

今夜が山だ。
21創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:45:58 ID:02IXS9eN
ちょww
22創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 00:31:34 ID:m0WkctVK
日もすっかり暮れ、普段ならば閑静な住宅街は穏やかな闇に包まれる時刻だというのに
山田邸の周りには投光器が何機も設置され、昼間のごとく煌々としている。
築き上げられたバリケードから3mほどのところにはいつでも突入できるよう
機動隊が盾を構えて待機している。

上空には煽り立てるようなヘリコプターの爆音が響き、
我が家のほうにまで押し寄せてきたマスコミや野次馬どもがインターホンを押して
「お隣の方、ひとことお願いします!」だの
「すんません、トイレ貸してもらえます?」だのと
言ってくるのでついに俺はインターホンのスイッチを引っこ抜いた。

妻が夕食を作っている間、俺はすることもないのでテレビを見るともなく見ていた。
するとダダダーン!!という大げさな効果音の後、
でかでかと「緊迫する山田邸前!! 現場より生中継!!」というテロップが流れ、
おなじみの山田邸が映し出された。
その前でもっともらしく深刻そうな顔をしたアナウンサーが山田家の前で中継をはじめる。
山田さんの身辺が妙に低い女の声で紹介されたあと、いくつか画面が切り替わって
インターホンのスイッチを引っこ抜く、俺の姿がモザイク処理されて流れた。

やつら、面白がってやがる。

俺はむかむかとする気持ちを抑えてテレビのスイッチを切った。
「おい、メシまだか?」
「ごめんなさい、遅くなっちゃって。どう? なにか動きあった?」
「ないみたいだ。全く、あんなに騒いでいるくせに
 何一つはっきりしたことが分からないなんて、マスコミのやつらは無能だ」
みそ汁をついでいた妻はその言葉を聞くと不安そうに眉をひそめた。
「でも、それももしかしたらわざと山田さんちで何が起こっているのか
 漏らさないようにしているのかもしれないじゃない。……わたし、なんだか怖いわ」
俺は妻のさし出したおわんを受け取って鼻で笑った。
「そんなこと、あるもんか。あの平凡な山田さんに限ってそんなことが起こるとは
 とうてい思えないね。さ、食うぞ。いただきます」
「いただきます」
俺はおわんを手に取り、みそ汁をひとくち含んだが違和感のある歯ごたえに舌打ちをした。

今日麩のみそ汁か……

俺の苦々しげな顔に妻がしゃあしゃあと言ってのけた。
「あ、ごめんなさい。お麩嫌いだったわね。
 でも今日お買いもの行けなかったから、我慢してね」

なにが「なんだか怖いわ」だ。なにが「緊迫する山田邸」だ!!
俺は再びむかむかしはじめた胸をなだめつつ、麩入りのみそ汁をずばばばっと啜った。



23創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 00:34:47 ID:GNuwsaAW
まさかのシリーズ化w
24創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:03:17 ID:NNKU4QyG
流れ切ってごめん


俺は高校三年間、野球部でキャッチャーをやってきた。
俺自体は、探せばどこにでもいるごく平凡な選手だった。
だが、俺とずっとバッテリーを組んできたあいつは違った。あいつは、本当にすごいピッチャーだった。
野球では無名だったうちの高校が甲子園出場なんて快挙を果たせたのも、あいつのおかげだ。
だからあいつがドラフトでプロ球団から指名されたのも、当然のことと言える。
だけど、それはそのことを素直に喜ぶことはできなかった。なぜなら、知ってしまっていたから。
あいつは、高校三年間で燃え尽きてしまったんだ。すでに、あいつの肩はボロボロになっている。
あんな肩で通用するほど、プロの世界は甘いもんじゃない。
俺は何度も、あいつにプロ入りを断念するよう説得した。だが、あいつは聞く耳を持たなかった。
それでも、俺は諦めることなく説得を続けた。そう、今日も。

「お前もしつこいな」

放課後の教室。俺たち以外は誰もいないその場所で、あいつは溜め息混じりに呟く。

「お前の気が変わるまで、何度でも言ってやるさ」
「だから無駄だって言ってるだろう。俺はプロに行く。その思いは、絶対に変わらない」

本当に、こいつは頑固者だ。微塵も動かないアイアンハートを前にして、俺の口からも溜め息が漏れる。

「お前は俺以上にわかってるはずだろ、自分の肩のこと。これ以上無理をすれば、お前の肩は確実に壊れる」
「そうかもな」
「俺はいやなんだよ、そんな結末は。お前は俺の……いや、俺たち野球部員全員にとってのヒーローなんだ!
 ヒーローが無惨に散っていくところなんか、俺たちは見たくないんだ!」

声を荒げて、俺は言う。だがその言葉すら、あいつの心を揺らすには至らない。

「俺なんかのことをヒーローなんて言ってくれるのは、すごく嬉しいよ。
 けど、俺はお前らの望み通りに生きていくことはできない。
 プロになるのは……俺の子供の頃からの夢だったんだ。その夢が、もう手の届くところまで来ている。
 しかも、ずっと好きだった球団に指名してもらえたんだ。それを断るなんて、それにはできない」
「待っているのが、破滅しかない未来でもかよ!」
「夢を叶えた後に破滅するなら、本望だ。だからお前も、無駄な説得はもうやめろ」

あいつは俺に背を向けて、教室の出入り口に向かって歩き出す。その背中に向かって、俺は吠えた。

「何度でも言ってやるよ……。ロッテに入るのはやめろって!!」
25創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:05:20 ID:GNuwsaAW
感動話なのにww
オチで吹いてしまうwww
26創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 02:00:04 ID:OGk3lZrH
地味に投稿が集まってるな。。。
27創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 03:05:45 ID:IJ4q969N
なんだよこのスレwwwwwwwww
28創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 04:41:06 ID:byyrZPRC
加藤は背が高い、加藤は足が長い。顔は小さく彫りが深い。
本人はタレ目を気にしてるみたいだけど、誰も欠点だなんて思ってやしない。
加藤に弱点はない、勉強もスポーツも完璧なくらいよく出来る。
でも、それをちっとも鼻にかけたりしない。このクールさは、ちょっと真似できない。

そんなアイツがもてないはずはない。
彼の元にはラブレターやメールがひっきりなしに届き、告白されるのも日常茶飯時だ。
「これ、加藤君に渡してくれない?」
「彼、今、彼女いるの?」
女生徒からはこんなことをよく聞かれる。親友である僕は、さしずめ彼の秘書だ。

加藤とは、昔から馬が合った。
家が近所だったこともあって、いつも一緒に遊んでいた。
僕みたいなコンプレックスの塊と、完璧超人加藤がつるんでいるのは、
考えてみると不思議な話だ。

放課後、校門を出たところで、後ろから声をかけられた。
「おーい、ちょっと待ってくれよ」
加藤だ。両手をふさぐ伊勢丹とマルイの紙袋には、
プレゼントの小箱がぎゅうぎゅう詰めにされている。
あ、そーいえば今日はバレンタインか。
俺には無縁のイベントなので、すっかり忘れていた。
加藤は俺の元にかけよると、ニカっと笑ってこう言った。
『このチョコ、ちょこっと食べとくり』
こんな加藤が、僕は大好きです。
29創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 12:41:24 ID:m0WkctVK
がくうっwwwww
30創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 15:40:22 ID:byyrZPRC
加藤と別れ、おすそわけされたチョコを手に自宅に向かう。
相も変わらず僕の家――正確には我が家の隣、
山田邸の周りは、大勢の警官隊に取り囲まれている。
事件発生から一週間、事態は膠着状態にあった。

「あの、こんにちは。通っていいですか?」
警官の一人に声をかける。
この地域は封鎖され、今では関係者以外は入れないのだ。
「あ、おかえりなさい。さあどうぞ」
この隊員ともすっかり顔なじみだ。
住人にも避難勧告が出されるかと思っていたが、なぜかそれはなく、
僕らはいつも通りの生活を送っていた。
非日常的な出来事も、慣れてしまえば日常でしかない。
変化のない状況にマスコミはすでに飽きはじめ、
警官たちの緊張感も薄れてきているようだ。

「あの、山田さんはまだ出てこないんですか?」
世間話をするような感覚で隊員に訪ねる。
「まだなんだよねえ。いい加減、何とかしたいんだけど、
アレがあるから迂闊に突入も出来ないしなあ……」
「そうですか、まだまだ長引きそうですね」
いつもの会話を繰り返し、自宅のドアを開ける。

「おかえり……」
リビングで、父が力なくうなだれていた。
「ただいま……ってあれ、会社はどうしたの?」
そう聞くと、父は拳を握りしめ、押し殺した声でつぶやいた。
「父さんの会社、倒産しちまったよ……」

31創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 15:45:37 ID:m0WkctVK
ミラクル!ミラクル!
32創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 18:26:58 ID:GNuwsaAW
と、とおさん!
33創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 20:13:45 ID:LaI6z7Tl
今や、ドームは俺達が適応できないのを解って作られたとしか思えなかった。
核や環境破壊に備えた、完全内部循環式・超巨大ドーム。俺が3才の時以来、
その中だけが人類の生息地だ。
太陽光を模した電灯も、天候も大気の成分も、ストレスとしての悪天候も含めなるほど
完璧なのだろう。だが、明らかに俺達の世代は――若者達は、歪み、飢えていた。

久しぶりの雲一つ無い青空は、一昔前の映画のものと何一つかわらない。そう
思いながらも、心のどこかが悲鳴を上げる。違う。違う。違う違う何か、何かが違う
違う違う違う――。
俺が友人達とドームからの脱走を企んだのは4日前。これを作った政府はテロやら
何やらで滅んでいて、無防備なことに肝心のドームの出入口は人気のない廃墟だった。
いや、人ならいる。俺達と同じ目的のやつらが、ドーム中から集まっているのだ。
この辺りは太陽代わりの照明も修復されず、鬱蒼と暗い。所々で誰かが持ち込んだ
バッテリー式の電灯が光を放っていた。初日はその麓のテントで休んだ。
そして、探検をしていく内に気づいたのは、絶妙な難易度だった。どこまで行けば
いいか見当も付かないとはいえ、今のところずっと一応は進める道が続く。半地下の
ドームから出るのは上り坂だ。絶壁であっても銃痕や爆発によるくぼみだとか、
表面を這うパイプによってロッククライミングのように昇って行ける。
数メートルおきの岩棚――岩ではなく機械装置や管理用の小部屋のようだったが、
鉄錆やくすんだペンキに覆われるそれは岩のようでもある――にも助けられながら、
諦めることなく長距離を進めた。

俺達は昇り続ける。この先の青空を目指して。待ち構えているのは放射能の海と
厚い黒雲かもしれない、どこかでわかりながら、それでも進む。
きっと政府は――もしかしたらテロリストは、この世界に耐えられない人間がいるのを
予期していたのだろう。そうでもなければ、こんなふうに希望をちらつかせることは
しない。その仮定は脱出への可能性と頭のどこかですりかわり、ここまで行けるのだから
辿り着けるのだと無根拠に確信して俺達は外を目指す。

この焦燥感は若者独特のもののようだった。バイタリティ、生命力が関係して
いるのかもしれない。時代の荒波に揉まれた俺の母親もドームへの抵抗が無い
わけではないが、せいぜいが――

「やーねぇ」
34創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 02:39:42 ID:HYJ6gEb8
 彼は2ちゃんねるに入り浸っていた。
「匿名掲示板など人間の醜い部分がむき出しで書かれるだけ」
などという人間は、彼の周囲にもいた。
 しかし、彼は思う。もしそうであるのなら、それもまた、人間の一側面であるということを認めなければならないだろう。
それに、気恥ずかしいことを言うようだが、人間はただの文字列の向こうにも、それを描いた人間の姿を思い浮かべて、
その相手を思いやることができるものだと、少なくとも自分はそう思いたいのだと、彼は考えていた。
少なくとも、彼は、自分の書き込みを読む人間がそれを読んで楽しんでくれるといいと思い、
また、そのためにいろいろと工夫しているつもりだった。
そう、彼はネット用語でいうところの「職人」なのである。

 その日も、彼は自分がまだ書き込んだことのないスレを見つけた。
早速ネタを考え、推敲し、そして書き込む。楽しんでもらえることを期待しながら。
それから、他のスレも見て回り、自分の書き込みに対する反応を見にさっきのスレをのぞいた。

 ―――叩きの嵐だった。

 なぜこんな、と思ってレスを読んでみる。
どうやら、このスレで望まれているものとは方向性の違う書き込みをしてしまい、そこが叩かれているようなのだ。
確かに、書き込むときに、自分のもの以前に書き込まれたネタとは毛色が違うとは思った。
しかし、彼は純粋にスレの住人に楽しんでもらいたいと思って書いたのだ。
決して(揶揄の書き込みの中にあったように)荒らしのつもりなどない。

 どうしてこんなことになってしまったのか、彼は何か弁解の書き込みをしようかと思った。
しかし、そうするとかえって荒れそうで、そうならないような上手い書き込みなど思いつかなかった。
やはり、匿名掲示板など、他人を思いやらないむき出しの悪意が垂れ流される場所だったのだろうか。

 彼はスレを後にした。彼自身にはどうにもしようがなかったからだ。もう仕方のないことだったと忘れようと思った。
しかし、忘れることはできなかった。やはり、彼は職人だったのだ。翌日再び、彼はあのスレを開いた。

 彼は目を疑った。
 彼を擁護する内容のレスがいくつも書き込まれていたのだ。
そのレスに対して揶揄するような書き込みもあったものの、おおむね彼への擁護は受け入れられているようだった。
それにとどまらず、スレで望まれているものとは違ってはいるが面白かったというレスもあった。それも少なからず。
嬉しかった。
 自分は読んでくれる人に楽しんでもらいたいと思い、一生懸命考え、投下したのだ。それには一片の違いもない。
スレの住人も、決して自分の全てを否定したわけじゃない。彼らの望むものとは方向性が違ってしまったというだけのことだ。
やはり、人間はネットワーク上のただの文字列の向こうにいる人間のことを想うことができるという考えは捨てないでいよう。
そして、これからも自分は読んでくれる人を楽しませる書き込みができるように頑張っていこう。
彼はそう思った。

 そう、あれは彼にもスレの住人にも悪意なんかない、ただのすれちがいに過ぎなかったのだから。
35創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 02:43:50 ID:Fcq45SQT
>>33
最初読んだとき、やーねぇ→屋根→ドームがわからんかった
36創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 02:48:42 ID:STDZQ725
一匹の豹がいた。
しかしその美しい毛並みは艶を失い、自慢の足はふらふら。今にも倒れそうだ。
豹は飢えていた。かれこれ三日間は獲物にありついていない、空腹で死にそうだ。
だが、あせればあせるほど狩りは失敗し、体力を消耗するだけだった。まさに悪循環。
もはやこれまでとあきらめた瞬間、豹の目の前を大きなウサギが横切った。
――これが最後のチャンスだ!
豹は全身全霊の力をふりしぼり、ウサギに食らいつき、見事にしとめることができた。
獲物を捕まえた豹は、うれしさのあまり飛び上がり、諸手を上げ叫んだ。
「パンサ〜い!」
37創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 03:02:52 ID:Fcq45SQT
最初かっこよかったのにw
38創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 03:07:24 ID:pV/X/Qqx
こんな素晴らしいスレがあったとは知らなかった
教えてくれた豹に感謝を表明する
39創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 04:58:19 ID:s6YQBzo2
>>34
大好きだー!!
40創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 15:00:25 ID:STDZQ725
「聞いてくれよ。平日昼間に街を歩いてるってだけで、変な目でジロジロ見られるんだ。
失礼だと思わないかい?」

「まあこのあたりは田舎だし、年輩で古い考えの人が多いからなあ。君みたいな若者が、
平日の真っ昼間っからブラブラしてたら、無職で遊び歩いてると疑われても仕方ないよ」

「そこが納得いかないんだ。世の中は常に変化しており、今では働き方もさまざまだ。
深夜労働や休日勤務なんてのはごく当たり前に行われていることだし、
それなくして現在の国民生活は成り立たない。平日休みの人間はたくさんいるんだ。
だのに、未だに“平日昼間にうろつく若者はロクデナシ”なんて見方をするのはナンセンスだ」

「うん、たしかに君の言うことはもっともだ。
……ところで、君は今なんの仕事に就いてるんだっけ?」

「自宅の警備をしております」

「無職かよ! なら偉そうに語るんじゃにーと小一時間」
41創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 21:18:14 ID:lneKOtK9
ミドリさんの出会いは彼が小学生の時だから、30年以上前である。大学進学を
きっかけに独り暮らしを始めた時ミドリさんは一緒だった。初めて彼女を家に上がらせた時も
ミドリさんはうちにいた。そのときの彼女は彼がミドリさんを愛でることを嫌がっていて、
それが理由という訳でもないがすぐに別れてしまった。

妻はミドリさんが大好きだ。間に産まれた子供達も、上はこんど中学生だが
当然のごとくミドリさんを家族の一員と思っている。彼にとって家族とはミドリさんも
含んでいるのだった。とはいえ家族旅行に連れていくのは難しくて、その度いつも
後ろ髪を引かれる思いだったし、旅先ではずっと気にかかっていた。

今はもう、ミドリさんひとりを残して旅行に行く気なんてとても起きない。
出会いから、30年あまり。寿命が近づいているのだとわかっていた。

彼は通勤前の日課として、ケージの中の籠にペレットをぱらぱらと溢す。それを
聞き付けてミドリさんは――ミシシッピアカミミガメの老体は、重そうな甲羅を
体にくくりつけ、のそのそと這いずってきた。餌を食む、かりぽりという音が
控え目に響く。彼は呟いた。

「よく、カメよ」
42創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 21:20:21 ID:lneKOtK9
あ、一行目
×ミドリさんの出会いは〜
○ミドリさんとの出会いは〜
だ すまん
43創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 22:16:45 ID:JTz25lwj
「ねー知ってるう? かちょーさあ、書類めくるとき必ず指ナメてめくんの」

「えーマジ? きんもー! マジきもい。今時指なんかナメるのありえない。汚いっつの」

「だよねー。でさあ、自分のツバついた書類うちらに触らすのってびみょーにセクハラじゃね?」

「うわーきたよセクハラ。マジきもい。妖怪指ナメ男だね」

「ちょwww妖怪ってひどくねー? 似合ってるけどー。ぎゃはははははwwww」

「あ、やべ。かちょー帰ってきた!」

ガタガタ

(あー、ここミスっちった。かちょーに訂正印もらわなきゃ。めんどくせえ)
「あ、かちょお。すみませぇん、ここのところなんですけどぉ」

「ん? なんか、ようかい?」
44創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 02:41:15 ID:hRoYJn7E
なんというギャルOLw
45創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 19:59:21 ID:e8rqYpYD
宇宙暦71年、トロヤ群調査隊はへクトルが活動期に入ったことを確認した。
とは言え、たかだか数百キロメートル径の小惑星。
目に見える活動は、地中からメタンガスが噴き出す程度である。
それはさながら惑星の放屁のようであった。
現地調査を作業のように済ませた数人の隊員は、大きな感動もなく調査船に戻る。
隊員たちはメタンガスを浴びた宇宙服を脱いで顔をしかめた。

「わー、くせー」

トロヤ群の調査を終えた調査船は、木星のステーションに向かった。
しかし偶然かどうかわからないが、木星も活動期に入っており、ステーションはメタンを含んだ大気に侵されていた。
へクトルの調査を済ませたばかりの隊員たちは、うんざりした表情で叫んだ。

「木星もくせー!!」
46創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 20:20:11 ID:mxI2Kpre
まさかの連発wwww
47創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 22:27:22 ID:HYpXePyZ
 私はゆっくりと息を吸った。

 見間違いかもしれない。もう一度落ち着いてよく見てみろ。どれだけ経験を積んだとしても
時としてミスからは逃れられないのだ。

 デスクの上に広げられた帳簿をもう一度確認する。先程と同じ数字だ。
 続いて取引先から届いた今月分の支払手形や小切手、銀行振り込みを通知する書類に目を通す。やはり間違いはないようだ。
 最後の祈りを込めて、今度は自社分の請求書。……ああ、数字は寸分の狂いもなく整然と並んでいる。



 私は、この会社の終焉を悟った。




 敏腕な社長も、この大不況の波には勝てなかった。
 元々現場から叩き上げでここまで来た人だったらしい。だから地位にふんぞり返ることもなく、現場の人間のことを
一番に考えてくれていた。トップに立つ人間にありがちな傲慢さは欠片もなく、社員同士の雑談にも気さくに混ざる。
従業員のほとんどは、彼のために働いてきたといっても過言ではないだろう。社長の人柄を写したかのように
人間関係も円滑で、いつも笑いが絶えない会社だった。
 かく言う私も社長に助けられた一人だ。手のつけようのない不良で、ヤンキー道まっしぐらだった私をぶん殴って
無理矢理仕事につけたのは誰あろう社長だった。反発し暴れるばかりだった私を根気よく諭し、学校にも通わせてくれた。
いつしか私のささくれ立った心は解け、悪い仲間とも縁を切った。社長への恩に応えるべくがむしゃらに働き、
こうして会社の財政を任せてもらえるまでに至ったのだ。それだけに、この状況は悔やんでも悔やみきれない。
しかし、最早業務を続けていける金はどこにもなかった。

 のろのろと立ち上がる。重い足を引きずって社長室へと向かう。
 いつもより長く感じる廊下を、殊更ゆっくり歩いてみても何も変わりはしない。
 
 
 めでたく元ヤンとなっても、緊張した時などはついつい昔の癖が出てしまうことがあった。社会人としてあってはならないミスの
はずだったが、社長は豪快に笑い飛ばした。
『こいつはちょいと躾がなってないだけです。その分満足の行く仕事を見せてくれますよ』
取引先にそう断言してくれる社長の横顔を見て、一生この人についていこうと決めた。それなのに。

 社長室の扉はとても重そうに見えた。問題の先送りにしかならないとわかっていても不在を願った。
しかし、無常にもノックの後には『どうぞ』の言葉が返ってきた。

 失礼します、を消えそうな声で告げて、そっと扉を開ける。
 社長は日頃の快活さがまるで想像出来ない重々しい顔で、机に両肘を突いていた。祈っていたかのような顔が
ゆっくりと上がり、私を見つめ返してくる。ああ、きっと悟っているのだろう。この人はそういう人だ。
 その目に見据えられ、私の喉が知らずごくりと鳴った。胸がどきどきする。心臓の音が直接脳へ伝わってくる。
一瞬の内にからからに鳴った喉を無理矢理鳴らすとチリリと痛んだ。
 ――伝えなければならない。それがこの会社の経理としての、私の仕事だった。
 震える唇を開く。しばらくしてようやく、言葉が飛び出した。




「社長、会社チョーやべぇ」
48創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 22:38:22 ID:xcU/x+dL
読めねえよこんなオチww
49創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 00:34:41 ID:Mf1LIEPj
「哲学は役に立たない学問」だって? そんなことないさ。
例えば今の社会を支える科学だって、元をただせば哲学から生まれた、
一つのものの考え方なんだぜ。

哲学ってのは、小難しい屁理屈をこねくりまわし、
机上の空論を偉そうに語るような学問なんかではない。
自分、そして世界について考えること、それこそが哲学だ。な、シンプルだろ?

哲学はあなたの心を豊かにしてくれる。
人生に絶望したとき、壁にぶつかり悩み苦しむとき、先人たちの残した言葉は、
きっとあなたを支えてくれるだろう。

例えば「あっ、トイレットペーパーがもう無い!
どうしよう、急いでるのに。服や手で拭くわけにもいかないし……」
なんてとき、ニーチェならこう言ってくれるだろう。

『紙は芯だ』

50創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 01:15:44 ID:VXOpus1H
苦しいなw
51創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:28:13 ID:6PVWsna6
 今しがた国王を殺した。俺の手には奴の血がべっとりと付いている。手どころか全身奴の返り血で真っ赤だ。
頚動脈を一息で薙いだ。希代の暴君と囁かれた国王はあっけなく絶命した。

 しかし暴君の吐息はいまだに城の中に満ちている。圧倒的な暴力で従わされる事に慣れ切った兵士は、
盲目的に反逆者たる俺を殺しにやって来た。しかし俺とて無策で暗殺に踏み切るほど馬鹿じゃない。
この日のために鍛えてきたのだ。恐怖への忠誠しか持たない兵士どもなど、俺の前では蟻の行軍よりも脆い。

 奴らは蟻より脆いが、蟻と同じぐらいに数がいた。倒しても倒してもわらわらと涌いて来る。俺は倒し切る事を諦めて
逃げを打った。と言っても向かう先は城門ではない。城の中に悠然と聳え立つ時計塔。建国以来この国の繁栄も苦難も
何もかもを見守ってきたあの時計塔の先端には、時を告げる大鐘が吊り下がっている。
 あの大鐘の仕事は時報だけではない。かつて王が后を迎えた時は祝福の歌を高らかに奏でた。めでたく王子が生まれた時もそうだった。
そして、后が事故で、王子が流行り病で幼い命を散らした時は……弔鐘が国中を覆い尽くした。

 王家に訪れた幸福や不幸、そのすべてを告げてきたあの時計塔の鐘に、今こそ王の死を歌わせる。
王の死を知り、恐怖が去った事を知った時こそ、人々はその支配から解放されるのだ。


 俺は全速力で時計塔へと向かう。扉の鍵を破壊し一歩中へ足を踏み入れると、大小様々な大量の歯車とそれらが軋む
ごうごうという音が耳を打った。巨大な火山の内側に入り込んだような感覚を覚えながら、俺は階段を駆け上がる。
ふとざわめきに気が付いて下を見れば、兵士達が追いかけてきていた。焦った俺は、自分の真横でぐるぐる回り続ける
歯車に気が付いた。自分の身の丈を軽々超える銀色の歯車にしがみ付けば、あっと言う間に上へと登って行ける。
コツを掴んだ俺は次々に歯車を乗り換えてより素早く上を目指す。
 そんな俺を指を銜えて見ているほど敵も愚かではなかった。俺の通った道筋を辿るようにして歯車にしがみ付く兵士達。
俺が確認出来たのはそこまでで、後は振り返りもせずに猛然と歯車を登っていった。


 塔の中程まで登っただろうか、流石に息が上がってきた。だが追っ手との距離はそれなりに離れ、ようやく下を確認するだけの余裕が生まれた。
 元々歯車を登る訓練など受けていない、しっかりと鎧を着込んだ兵士達。おっかなびっくりといった様子で歯車を伝って来ている。

 だが。

 先頭にいた兵士の一人がバランスを崩してよろめいた。しかし歯車の回転は止まらない。
兵士が体勢を立て直すも時既に遅し、彼の目の前にはあまりにも巨大な歯車の噛み合わせの部分が迫って来ている。
 大きく開かれた魔物の口のようなそこは、兵士を容易く飲み込み噛み砕いてしまった。




 俺は走っている。耳を塞いで、最後の階段を。
 殺してしまった。とうとう犠牲を出してしまった。王以外の死者は出さないつもりだった。倒した相手は全て急所を外してきた、それなのに。
 彼とて兵士と言う仮面を剥がせばただの気のいい男だったのだろう。家には彼を待つ家族と温かい食事があったはずなのに。
 荒い息をつきながら、自分の顔に痙攣したような笑みが浮かんでいる事に気が付いた。

 ………………この先、たとえ逃げ延びられたとしても、あの悲鳴だけは一生忘れる事はないだろう。
 だが、それはきっと暴君とは言え、間接的にとは言え人を殺めた俺の罪。
 この十字架を背負って、俺は弔鐘を高く低く国中に響かせるのだ。

 俺の耳の底で、またあの悲鳴が響く。歯車に挟まれる瞬間の、あの断末魔。


『ギアァァァァァァァー――――…………』
52創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:43:56 ID:RwP0/JBZ
無駄に力作w大好きだww
53創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 03:20:46 ID:zlJdpnRI
一人の女がいた。
若く美しいその女に二人の男が言い寄る。
「あなたと結婚したいんです」
「いいや、俺と結婚して下さい」
恋のライバル同士、何とか相手を出し抜こうと必死にアプローチを続ける。
「僕は世界一あなたを愛しています」
「違う、世界一愛してるのはこの俺です」
「なんだとコイツ!」
万事この調子で張り合うのであった。

女は花が好きだった。
それを知った二人は、当然、競うように花を贈る。
「さあ、この花をどうぞ」
「一輪とはしけてるな。俺は花束を用意したぜ」
「量より質だ、君の安物と一緒にしないでくれ」
「だったら明日は、お前の持ってる花を束でプレゼントしてやるさ」
こうなると止められない。
二人の用意する花束は次第に質、量ともに豪華になり、どんどんエスカレートしてゆく。
毎日毎日、彼女には花が贈られ、部屋は花で埋めつくされていった。足の踏み場もない。

そのうち、女はノイローゼ状態になってしまった。
それでも二人は花を贈り続ける、こちらももはや正気ではない。
「さあ、この花を」
「受け取って下さい」
たまりかねた女は、発作的にビルの屋上からその身を投げ……

彼女の葬儀の日、二人はまだ争っていた。
彼女の霊前に花をたむけるのは僕だ俺だと、遺影を前にしての大喧嘩。
そこに彼女の霊が現れた、こううるさくてはおちおち眠ってもいられない。
呆れたように二人を見ると、うんざりした口調で告げた。

『もう! わたしのために献花しないで!』
54創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 15:59:01 ID:d95HqRQ2
そうくるかw
55創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 18:17:27 ID:1Ghda0QP
とある世界の物語。
世界は魔王の手によって暗黒に閉ざされようとしていた。
魔王の力は強大で、討伐のため幾人もの勇者が旅立ったが、力及ばず消えていった。

一人の男がいた。
生まれは貧しく、学があるわけでもなく、そして賢くもなく、力仕事しか能のない、つまらない人間だった。
彼は平凡な資質に見合った平凡な毎日を送っていたが、故郷を魔王の配下に襲われ、人生が変わる。

友を、家族を、平和な暮らしを失った悲しみが、彼を復讐鬼に変えたのだ。

力仕事しか能のなかった彼は、迷わず戦士の道を選んだ。
彼は魔王を倒しに往くという勇者に同行し、鬼神のごとく魔物を殺し続けた。
振り下ろす剣に、怒りを、憎しみを、悲しみをこめて。

そして彼は、ついに魔王の下へとたどり着く。
……仲間たちの犠牲と引き換えに。

魔法使いは魔王の城を守る門番と戦い、命を落とした。
僧侶は魔王の側近と相打ちになり、死んだ。
勇者は、今、魔王の手で、くびり殺された。

残るは自分ただ一人。
魔王の力は強大で、どう足掻いても勝ち目はなかった。
それでも彼は恐れることなく突き進む。

怒り故か?
憎しみ故か?
……どちらも違う。

同じ悲しみを繰り返させないために。
仲間の死を無駄にしないために。
魔王を倒すことが己の使命と理解していた。

恐怖を払うように雄たけびを上げ、疾る。

「うぉおりぁぁあアアアアアアア!!」

魔王の放った爆炎を潜り抜け、彼の剣が魔王の心臓を貫いた。
怨嗟の断末魔が響き渡る。

……しかし、彼は己の勝利を知ることなく、戦死した。
56創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 19:21:10 ID:3k+j1B6T
落ちが自然すぎて、別のところで見かけたら気づかんなwすげぇw
57創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 19:37:33 ID:d95HqRQ2
戦士が戦死かw
58創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 20:44:21 ID:5MvPMJCG
てっきりウォーリアとばかり
59創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 21:06:02 ID:DGWcDRwQ
どちらもだなw
二重うめえwww
60創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 21:46:36 ID:YumDnr52
ウォーリア今気づいたwwwすげえwwww
61創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 21:55:46 ID:6QhbYwdE
ウォーリアもなのかwwww
62創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 00:18:43 ID:ssv50PLi
一体、どこで育て方を間違えたのだろう。小さい頃は、あんなにいい子だったのに。
本堂で仏に向かいながら禅を組み、自問自答する。
「お前には、この寺を継いでもらわなければならぬ。仏に仕える身として、恥ずかしくない人間になるのだぞ」
息子には、そう言って厳しい修行を課した。
無論、それは憎いからではない。
立派になってもらいたいという、子を思う親心のあらわれなのだ。

しかしそれは裏目に出たようだ。
「こんな毎日はもうたくさんだ!」
厳しい修行に嫌気がさしたのか、中学に入った頃から息子は変わってしまった。
悪い仲間と付き合いだし、素行不良でたびたび人様に迷惑をかけるようになってしまった。

――これではいけない、何とかして息子の目を覚まさせてやらねば……
そう思い何度も諭してはみたが、口で言うだけではわからないようだ。
今まで手をあげたことはないのだが、やむを得まい。
仏に仕える身として、暴力は許されない。
だが一人の親として、息子の性根を力ずくでも叩き直さねば。
そう覚悟し、息子を呼びだした。

「なんだよ、テメーの話なんて聞きたくな……」
卑しく歪んだ顔を、私は力いっぱい殴りつけた。息子は床に倒れる。
「何すんだよ!」
起き上がり、つかみかかってきた息子の頬を、今度は平手でぴしゃりと叩いた。
息子は呆然としている。信じられないといった様子だ。
そしてしばしの沈黙の後、口を開いた。

『に……二度もブッダ!』
63創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 04:00:43 ID:ivhpJEHc
ブッダがぶった!
64創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 13:54:50 ID:19XAdlq9
ブッダが飼ってるペットは豚だ!
65創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:10:45 ID:igK2fjJE
「うーむ、どうすれば病気を防げるだろうか」
医師は悩んでいた。
「この病気は一度かかってしまえばおしまいだ。何とかして予防するしかないわけだが……」
気軽に技術開発の依頼を受けたものの、一向にいいアイディアは浮かばない。
「直接の接触を防ぐのが一番なのだが、そうすると目的が果たせない。何という矛盾だ」
いくら頭を捻っても何も出てこない。医師はいらだっていた。
そのとき、急に腹が鳴った。考え続けで忘れていたが、そういえば朝から何も食べていない。
「ま、メシでも食べて落ち着くか。そうだ、珍しい食材があったな。大陸の方のものだったか」
召使いを呼び用意させる。
テーブルの上に乗せられたのは、羊の腸詰めであった。
その料理を見た瞬間、彼は閃いた。
「そうだ! これだ! 羊の腸を使えばいいのだ。この薄くて丈夫な膜なら、矛盾を解消できるぞ」
そう思い立ち、食事もそっちのけで試作に取りかかる。

「よし……出来た! まさに“性器の大発明”だ、これで王を梅毒から守ることが出来るぞ」
英国王チャールズ二世の侍医であるコンドーム氏は、発明品を手に満足げにうなずいた。
66創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 11:21:19 ID:vSBfJNDM
そのまんまw
67創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 12:40:01 ID:igK2fjJE
――今日もいい天気だ。
屋敷のベランダから眼下に広がる農園を眺め、男は目を細めた。
晴れ渡る空はどこまでも青く、まぶしい陽光の下で人々は汗を流しながら、
今日も農作業に生き生きと精を出している。
――ここまで来るのは長かった……
男は目を閉じ、過去に思いを馳せる。

希望を胸に海を渡り、ここフィリピンにやって来たのは二十年前のことだ。
農家の長男として生まれ、大学で経営学を学んだ彼だが、実家を継ごうとはしなかった。
――貧しい途上国の子供たちは、就学の機会も与えられず、
幼い頃から危険で過酷な労働に従事させられている。
大学のセミナーでこの現状を知り、彼らために自分にも何か出来ないだろうかと、
親の反対を押し切り日本を飛び出したのだった。


――お前みたいな若造に何が出来る。
当初、現地の人々の彼に対する目は冷ややかだった。
協力が得られないどころか、あからさまな妨害を受けることさえあった。
しかし男はあきらめることなく、少しずつ皆と距離を縮め、失敗のたびに乗り越え、
今の巨大農園を築くに至ったのだ。
現地の経済は潤い、人々の生活は豊かになった。皆の顔に笑顔があふれるようになった。

目を開き、再び眼下の光景を見やり、男は満足そうにうなずく。
そのとき、部下の一人が血相を変えてやってきた。
「大変です! 日本に出荷したバナナから猛毒性の違法農薬が検出されました。
輸入は全面的に禁止するとのことです!」
男の目の玉が飛び出した。
「そ、そんなバナナ!」
68創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 12:43:20 ID:vSBfJNDM
がんばれ農場主!
69創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 13:01:43 ID:5iniuinK
台無しだww
70創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 13:03:07 ID:wFnHWRZE
駄洒落がくだらなくて古典的なほどダメージがでかいなこれww
71創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 13:24:48 ID:95s8Rexw
>>69
お前のIDなんかすげぇ
大事にしてやれよ
72創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 18:27:42 ID:ca9yssHe
私はパン屋に勤める者だ。
師匠はこの道五十年のベテランで、今まで一度も店を空けたことは無い。
だが安いスーパーや便利なコンビニが近くに増えてくるにつれて、売り上げは落ちていった。
私は師匠のパンの味を皆に知ってほしい。その一心でデリバリー業務を打診した。
はじめは師匠は乗り気ではなかったが、私が全て注文と配達を引き受けることを条件に了承してくれた。
売り上げはなかなか元には戻らなかったが、私は充実した生活を送っている。

ある日のこと、私の元に一本の電話が入った。
彼は山田と名乗った。
山田さんといえば、あの家の周りを包囲されているという山田さんではないか。
彼が息も絶え絶えに言うには、食料が尽きたので何でもいいから売ってくれないか、ということだった。
私は食パンを取り出しオーブンに入れ、師匠から教わった絶妙な火加減で焼き始めた。
そして冷める前に素早く届ける。急ぎつつも交通事故にだけは遭わないように注意してバイクを飛ばす。

山田邸が見えてきた。
機動隊の数が半端ではない。前に通りかかった時よりも増えているのではないか。
私はその中でも指揮官らしき人を見つけて尋ねた。



「山田さんにおいしいトーストをお届けしたいのですが……」
「通すとお思いですか?」
73創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 19:06:53 ID:vSBfJNDM
山田さん食料つきたのかw
かわいそうに
74創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 21:42:33 ID:9y3IyGOo
先日、突然に祖母が亡くなった。
私は幼い頃から祖母が大好きであった、もちろん悲しかった。
しかし、自分でも驚く程に平然としたままである。

今は、遺品の整理を手伝い始めた。
小さい頃の私が祖母と一緒に写っている写真、私が小学生の頃
祖母にあげた似顔絵……全てが懐かしかった、そして整理をしていると、
それまでは平気だったはずの私の目は涙で溢れていた。

私は、そのまま泣きとおした。それから数日はご飯も喉を通らなかった。
そして、ある夜、不思議なことが起きた。祖母が夢の中に現れ、
私を叱った、いつまで泣いているのか、飯ぐらい食べろと。

その翌日も、私はとても朝食を食べる気が起きなかったが、
台所を整理していた母が、祖母の漬けた梅干を見つけた。
今日の夢を思い出し、これ以上祖母に心配をかけまいと、私はご飯とその梅干を食べた。

「祖母ちゃん、この梅……美味ぇよ」
75創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 21:43:59 ID:vgnEhubG
一瞬ここがダジャレスレであることを忘れてしまって、
オチでものすごいショックを受けてしまった
76創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 21:44:45 ID:vSBfJNDM
感動ですな
77創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 21:46:10 ID:v8iCMdOG
駄洒落でありながら、泣かせが効いてるとは
78創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 06:41:39 ID:V377Verj
なんでこのスレこんなにレベル高いのん?(;ω;)
79創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 11:12:41 ID:ot9Daulj
言われてみればこのスレのクオリティかなりおかしいw
80創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 14:30:27 ID:ZmwUqqkh
きっつきつに塩が効いたババァ梅干まじでうめえよねwwwwww
でもなんだろ、目から汁が><
81創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 17:39:32 ID:jro5dovc
確かにこのスレクオリティおかしいw
82創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:28:41 ID:GgoAG4Ny
そうでもないよ!
第一号(>>4)を書いた俺がいるから……
83創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 23:06:29 ID:AI9wilwm
>>4
うっかり違う読み方して、読み飛ばして気付かなかった。
するめのように噛めば噛むほど味が出ますね。
84創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 00:35:47 ID:CQwEPP47
いや、>>4が無ければ訳の分からないスレで終わっていたかもしれない
85創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 05:38:01 ID:gIImpBAt
父さん、あんたは立派な人だったよ。
分散……何だっけ? まあそんな小難しい理論で賞を獲ったんだっけ?
それも俺のおかげなんだがな。
俺があんたの実験台になった。そして、“力”を手に入れた。
だが感謝などこれっぽっちもしていない。
それからの俺は命懸けの戦いに明け暮れる日々。
俺は“力”なんて欲しくなかった。
それで、だ。
あんたの用意した戦いを続けていくうちに、俺はあんたの本当の目的に気付いた。
全人類を……あんたはあんなことを本当に実現しようとしたのか?
今となってはそれを知ることはできない。
ま、ざまあみろって思ったよ。
まさかあんたがあんな事故で最期を遂げるとは、な。
思い出にふけるのはこれくらいにしておこう。
俺はここに“あるもの”を取りに来たんだ。
“力”がこんな場面で役に立つとは皮肉なものだな。

長いモノローグを終えた後、俺は“あるもの”を取り出すため、父親の墓石を破壊した。
86創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 10:34:16 ID:UNKERSdR
最初気づかなくて、ん?続きは?って思ったw
墓石を破壊ねw
87創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 19:17:14 ID:ONjmA61d
破壊と破戒ってこと?
88創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 19:20:36 ID:et0cNeuA
はかいしをはかいした!
89創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:40:08 ID:BnBbUnqD
「ふざけるな! もうこんな寮出て行く!」
 今日もまた、この寮の住人が一人いなくなる。 今年は、これで
最後の住人だ。
 第二山越寮。我が社の社員寮には、ひとつの噂がある。
 曰く――悪霊が住んでいる、と。
 日当たりもよく、築年数もそれ程たっておらず、冷暖房も完備。
そして広さも十分で、ある事件が起こるまでは、入寮希望者も
絶える事がなく、入寮者決定の抽選まで行われていた程だった。
 だが、数年前――道ならぬ恋に破れた女性社員が、寮の屋上
から飛び降りて死んで以来、あれ程いた入寮希望者は片手で
数える程しか集まらなくなった。そして、その片手で数える程しか
集まらない入寮者も、日が経つ度に一人、また一人と減って行く。
「悪霊と一緒に……住んでいられるかっ!」
 具体的な事は誰も語りたがらない為、その実態については
判然としない所も多い。だが、それでもこの寮を出て行く人間は
皆口を揃えて『ここには悪霊がいる』と言う。
 今、この寮を『第二山越寮』という名で呼ぶ者はいない。
 皮肉と、恐怖に対するせめてもの抵抗を込めて、皆、こう称す。
 『悪霊のせいで空く寮』――と。
90創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:57:58 ID:ELkX4ZXM
なるほど、あくりょうのせいで大量の退寮者が……
91創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:59:23 ID:C4Me82Nx
>>90
賃貸料金を見直す必要があるな
92創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 23:41:03 ID:UNKERSdR
そのまんますぎるw
93創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 07:13:50 ID:E/Yl5Sg7
おもしれえww
94創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 14:35:24 ID:Dvmh3nY2
「もういやだ、アイツの尻に敷かれて生きるのは。
俺は奴隷じゃない。もっと自由に生きたい、自由に飛び回りたいんだ」

「おいおいやめとけよ。僕だって、待遇に関しては常日頃から不満に思ってるさ。
でも主人に逆らったっていいことはないぜ」

「分かってるさ。でも毎日アイツに付き合わされて、あっちに行ったりこっちに飛んだり。
ヘトヘトに疲れてもねぎらいの言葉ひとつなく、働き終えて帰ると、
ホコリだらけで物置同然の部屋に押し込まれる毎日。俺たちに人権はないのか!
もう我慢の限界だ、行動に移さねば」

「一体どうするんだい?」

「一斉ストライキを起こすのさ。
俺たちを怒らせたらどうなるか、思い知らせてやるんだ。
アイツらの驚く顔が目に浮かぶようだぜ」

「それはいいかもな。
僕たちの必要性や重要性を少しは理解し、待遇を改めてくれるかもしれない。
他の仲間たちにも伝えてみるよ、決行はいつだい?」

「やると決めたら早い方がいい。今晩にも立ち上がろう!」



その晩、魔女に恨みを抱いていたホウキたちの一斉蜂起が始まった……
95創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 14:42:41 ID:qC5gnN3g
ほうきなのかw
最初てっきり靴かと思ったぜ
そうだな、魔女のほうきなら飛び回るし意識持っててもおかしくないし
魔女にとっては靴みたいなもんだな
96創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 17:19:31 ID:foxj+j/8
>>94
ホウキかよwww

>>95
靴だけに、屈しないわけだね。

97創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 16:03:44 ID:l5LAuyWb
仕事を放棄したんだな
98創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 03:05:31 ID:q0NbQEJX

 玄関から出て行ってしまわないように取り付けられている柵の中で尻尾を振っている私の家族を見て、友人は目を輝かせた。
 両手に荷物を抱えていたが、彼女は靴を脱ぐと構わず柵を押しのけ中に入ろうとしたので、
「コイツ、飛び掛るから注意した方が良いよ」
 と、注意をしたのだが、

「きゃあっ!?」

 昔から大の犬好きだった彼女の耳には届かなかったようだ。
 驚かせようと思っていたのだが、あらかじめ教えておけば良かったかもと少し後悔
 彼女の手から零れ落ちた荷物――箱が床に落ち、ガチャリと砕けるような音が聞こえた。
 慌ててそれを拾い上げた友人は中身を確認したが、その表情を見るにどうやら中身の方は駄目になってしまったようだ。
 中身は恐らく、電話で聞いていた最近彼女が目覚めた趣味――陶芸の品だろう。

「あ〜あ、わんこのせいで茶碗壊れちゃったよ」 
「……言わんこっちゃない」
「――まあいいか! ワンコイン程度の価値だから!」
「初心者なんでしょ?……っていうか、電話では笑える失敗作を持ってくるって言ってたじゃない」

 私の言葉を聞いた友人は、へんと鼻で笑いながら破片を箱から摘み上げて言った。

「材料費の話」

 私達は、十年ぶりの再会だというのに昔と同じ様に大声で笑い合った。
99創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 03:07:49 ID:q0NbQEJX
あ、これダジャレじゃない
すみません
100創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 03:23:33 ID:cB+Vqepn
3連発www
101創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 03:52:51 ID:WxCRp0nM
さりげなく三回もwすごいなww
102創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 18:21:02 ID:KFzO5/eK
畳み掛けられたwww
103創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 01:43:00 ID:vjlHINRk
落語スレは需要あるかな。オチは駄洒落だけじゃないので。。。
104創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 05:22:39 ID:N7dWmCfF
大事なのは自分が作りたいかどうかがであって、需要の有無は重要じゃないのでじゅよ
105創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 18:57:04 ID:GC2RhtH9
ねた100こだせるならたててもいい、ってラノベいたのおにいちゃんがいってたー
106季節外れのネタでごめん:2009/03/11(水) 00:06:29 ID:4TBmvRaH
12月24日、夜。

「ねえお姉ちゃん、サンタさんいつ来るの?」
「ふふ、リンちゃんが寝ないと来ないわよ」

私はベッドの中で、まだ幼い妹を寝かしつけている。
妹はサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるというので、興奮してなかなか寝られないようだった。
そしてもうプレゼントをもらえる歳ではない私も、今年ばかりは少し興奮していた。
今年は幼なじみのマックスが、新人サンタとしてデビューする年なのだ。
マックスは歌にまでなって今でも親しまれている、あの「慌てん坊のサンタクロース」の実の孫だ。
おじいさんに似てそそっかしい彼は、何度か落第の危機を迎えつつもなんとかサンタ専門学校を卒業することができた。
そして今年、自分が生まれ育ったこの町でサンタデビューを果たすことになったのだ。


数時間後。妹はすっかり熟睡し、私もウトウトしていたところへ一人の男がやってきた。
全身を赤い服に覆っているが、見間違えようがない。
その男は間違いなく私の幼なじみ、マックスだった。
サンタの魔法で窓をすり抜けてきたマックスは、やりすぎなくらいに慎重な足取りでこちらに近づいてくる。
ぼんやりとした意識の中でそれを見ていた私だが、ふと彼の足下に片づけ忘れた妹のおもちゃが落ちていることに気づく。
「危ない」と言おうとしたのだが、その前にマックスはそれを踏んでしまった。そして、派手にすっ転ぶ。

「うわっ! やばっ! 子供起こしちゃったら始末書ものなのに! い、今の音で起きてないよね?
 あ、そうだプレゼント! プレゼントは壊れてないか?」

慌てふためき、意味もなくきょろきょろしながらマックスは独り言を言っていた。
その様子がおかしくて、思わず私は呟いてしまう。

「もう、サンタさんたら……」
107創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 12:29:18 ID:sI8BGx4B
この、あわてんぼうさんめ☆
108創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 13:06:14 ID:VHi0sZRp
そしてこの後、サンタの上司から雷を落とされるのか。
109創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 18:36:49 ID:4ghn907W
ほぅ……いいねぇ
110創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 19:59:55 ID:lbwX5nkq
>>98
わんこだらけw
111創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 20:00:38 ID:lbwX5nkq
>>106
サンタさんたらおっちょこちょいねぇ
112創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 22:18:34 ID:P5Hjf62L
ウチの課長、尿道結石で会社を休むそうだ。にょーど欠席して下さい。
113創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 22:20:16 ID:06J+scdb
「あ、看病で同じ職場に勤めてる奥さんも休むらしいよ」
「女房も欠席か」
114創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 22:30:11 ID:P5Hjf62L
『休んだ課長の看病の為に、奥さんも休んだのか』 『尿道結石でにょーぼ欠席だな』
115創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 22:37:09 ID:06J+scdb
部長「にょーどーにでもして! 帰ってきたら叱責してやる!」
116創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 23:27:25 ID:P5Hjf62L
他の課長『アイツが休んだから、俺達の仕事が増えちまったよ。にょどーし(夜通し)で残業しなきゃ終わんねーよ!ったく使えねーな!』
117地方の某ローカル私鉄の本社:2009/03/11(水) 23:55:37 ID:P5Hjf62L
運輸部長『社長、ウチもJRみたいに自動改札にしたいですなぁ』 社長『君ねぇ、ウチにそんな予算はないよ』 運輸部長『私に良い考えがあります。それはですね・・・』 (何方かリレーして下さい。テーマは『自動改札』です)
118創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 00:01:15 ID:gwZaE/0Z
いや、ダジャレ部分は自分で作ってくれよw
119創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 00:20:55 ID:KqST44sK
>>117 社長『それでは来週D駅に視察に行けばいいのかね?』 運輸部長『はい、社長には是非ご覧いただきたいのでよろしくお願いします』
120D駅で:2009/03/12(木) 00:29:52 ID:KqST44sK
>>119 運輸部長『社長、いかがですか?』 社長『君ィ〜、何で改札口に小学生がいるんだ?』 運輸部長『これが私の発案した児童改札(自動改札)です』 社長『・・・』
121創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 09:46:40 ID:mD1JelDB
「イワン・デニーソヴィチの一日」(作/アレクサンドル・ソルジェニーツィン)

 彼は30歳のときに故郷を捨て、山の中に入り隠遁生活をした。
ここで彼は思索と成熟した精神を楽しみ倦む事はなかった。
だが10年のあいだに彼の心は変わった。
それまでの孤独から去り、その精神を人々に贈与するために山を降りてきたのだ。

 そこへ出会ったのが、お臍を出したままで、ほぼ半裸にちかい服装の、全く羞恥心のない女であった。

 彼は説教をした。
「全ての神々は死んだ。いまや我々は、超人が生きんことを欲する。時は熟した。さああがって来い。おまえ、多いおなる正午よ!
 これが何時の日か我々の最後の意志であらんことを! 人間は超克されるべき何者かであるのだ。おお!! これが生というものか!!
 永遠に回帰せよ!!」


 しばらくして彼女の声が、こだました。


「いやーん!!」











『でべそねーちゃん』と『えっちニーチェ』
122創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 02:26:37 ID:8xCcC/4z
アンデルセン童話より

前の席に、もさもさの子が座ると黒板がみにくいよね。。。


みにくいアフロの子
123創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 09:43:06 ID:Ie6bkGFc
「ここが……現場かい」
やや傾斜の急な石段を登り真っ赤な鳥居をくぐると、その場に似つかわしくない厳めしい
男たちが、石畳の上をせわしなく行き来していた。所轄の連中だろう。
「ええ、仏さんは丁度、あの辺りに倒れていたそうです」
神社に“仏”というのも妙なものだ――後輩刑事の説明を訊きながら、俺はそんな
どうでもいいことを考えた。

数日前、この境内で殺人事件が起こった。
ガイシャは麻薬の売人で、胸に銃弾を受け即死だった。
「弾丸はまだ見つかってねえんかい?」
「貫通したようで、ガイシャの体には残ってませんでした。今、探してるところです」
犯人の目星はまだついていない、銃を持ったまま逃亡したとなると、こいつは厄介だ。
「まずは弾を見つけねえとなあ。銃を特定すりゃあ、ホシにつながるかもしれん」
そう言ってぐるりと辺りを見回すと、妙なものが目に飛び込んできた。

「おい、なんだありゃあ?」
四方を膝丈ほどの木の柵で囲われた中に、一メートルくらいの石の柱が立っているのだが、
それはどう見ても……
「男の“ナニ”じゃねえか」
「ああ、ここは安産と子宝の御利益がある神社らしいんですよ。あれはご神体でしょうね。
先輩も触ってみたらどうです?」
「阿呆なこと抜かすんじゃねえよ」
命を授ける神を奉る場所で命が奪われるとは、まったく皮肉なものだ。
そんなことを考えていると、その『ご神体』を調べていた鑑識の男が叫んだ。

「あ、ありました! 男根に弾痕が……」
124創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:14:56 ID:BP+CUwnA
そういうの祭ってるとこマジであるよねw
125創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:40:52 ID:dSOS1AEn
><
地元にそういうのがあるんでぐさっと来たw
126創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 21:44:31 ID:EoOt3Ke8
リンガとヨニって奴だな。

どっちが男根でどっちが女陰だったかは忘れたが、
ディスコミニケーションという漫画で読んだ覚えが。
127創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 22:02:05 ID:EMU/lmI7
ディスコミ懐かしーw
旅行先とかでアレがどーんと祀ってあると
どうしたらいいものか目が泳ぐ
128創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 10:35:56 ID:3AAZSTFM
リンガーハットとはすなわちk
129創る名無しに見る名無し:2009/03/18(水) 03:20:08 ID:FTllDxJ7
「ホンジャマカと同時期ぐらいの芸人、アレなんて名前だっけ」

「は?どんな奴よ」

「ほら、自転車が好きなチビと華のない感じの奴のコンビで……」

「あー、アレな。わかった」

「マジでマジで?で、なんて名前だっけ」

「確か、カリとクリトリ(ry」
130創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 22:42:36 ID:1qfF2qZK
個人的には、古畑任三郎やNHKの朝ドラに出てたチビにしてもらえると助かる
131創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 03:18:20 ID:D9ZzjHTQ
マイケル「やあトム、遊びに来たよ」

トム「やあマイケル、来てくれて嬉しいよ」

マイケル「トム、そこの二人は誰だい?」

トム「僕の兄弟さ。
兄さん、姉さん、彼は僕の親友のマイケルだよ」

兄「やあマイケル、トムの兄のネイサンだ。よろしく」

姉「トムの姉のアニーよ。よろしくね」

マイケル「…紛らわしいな」

トム母「あらマイケル、いらっしゃい」

マイケル「お邪魔してます、おばさん。
えぇと、そちらの方は…」

トム母「紹介するわ、彼は夫の弟のオットーよ」

マイケル「…紛らわしいな」
132創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 04:50:09 ID:xvq2VHVk
まぎらわしいwでも逆にわかりやすいかもしれんw
133創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 08:55:41 ID:d/en03fT
マンションの上の階に住んでる下田さんと、下の階に住んでる上田さんってネタを思い出した
134桃太郎:2009/04/15(水) 11:41:21 ID:HYljyS3h
 むかーし、むかしあるところに、お爺さんとお婆さんがいました。

 (中略)

 桃太郎が、鬼ヶ島に鬼退治に出発する朝のことです。

「婆さんや、桃太郎はきびだんごを忘れずに持ったかのう?」

「もう、もったろう……」
135創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 11:58:21 ID:4pdagCr6
一発ネタすぐるw
136創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 20:24:34 ID:9pRpY9HQ
>>131
なんて紛らわしいw

>>134
あれ?このために桃太郎って名前つけたんじゃね?
137創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 13:18:46 ID:skWrvZGt
 浦島太郎もあるんだが、需要ないようなんでやめておく……
138創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 20:45:43 ID:8KXwkfez
将棋日本一を決める大会にて、前代未聞のトラブルが発生した。
対局に使う、何百万とする高級駒の何枚かが見つからないのだ。
大会は延期するしかない。
役員は慌てて出場する棋士の元へ向かい、その旨を説明した。
その棋士はゆったりとした態度で「まぁ、まずは見てからだ」と言い、何枚かの駒が欠けた状態で並べられた駒たちを見た。
欠けている駒は銀将と金将だった。
思案顔をする棋士に、大会役員は恐る恐る言う。

「大会は……その、延期ということで……」

「ふむ。将が無いな。」
139創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 01:36:40 ID:ABmwyZzX
仕様という事にしよう、と言って金銀落ちで対局は強行ですか。
140創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 01:45:18 ID:r9HTKf3u
金銀財宝が盗まれたというわけですね
141創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 13:00:04 ID:FLwXulkL
 男が湖に錆びた鉄の斧を投げ入れると、湖の中から美しい女神が現れました。
「貴方が落としたのは、金の斧ですか?銀の斧ですか?」
 眩く輝く二つの斧を見せながら、女神は男に尋ねます。
「お、俺が落としたのは、その金の斧だ!間違いない!」
 男の答えに、女神は残念そうな顔をした後、
「あなたは正直者ではありません……」
 とだけ言い、斧を持ったまま再び湖の中へと消えていきました。金の斧と銀の斧は手に入らず、男が投げ込んだ鉄の斧も、彼の手元に戻ってくることはありませんでした。
 そして落胆した男は湖に向かって大声で叫びました。

「Oh! No!!」
142創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 14:56:10 ID:g6n0kOsW
主人公は小野さんですね、わかります
143創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 20:15:10 ID:ABmwyZzX
わかる人が多すぎじゃないか?www
144創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 20:27:31 ID:g6n0kOsW
わかりっぱなしで感想しないのは良くないなw
>>138,141、どちらも下らなくて素敵

あと>>137に超期待
145創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 20:36:20 ID:ABmwyZzX
俺も忘れてたよw

>>138,141
一発の破壊力だなwww
146創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:30:05 ID:dQWk/aZ/
 若者が目を覚ました場所はスラムの裏路地だった。
 彼はこの風景に見覚えがなかった。それどころか自分の名前さえ知らなかった。
 しかし一つだけ確かな知識があった。(私の記憶は世界中を歩き回ることで戻るだろう)

 若者は労働と物乞いを繰り返し、世界中を歩き回った。その旅は決して楽なものではなかった。彼の身なりや容姿のみすぼらしさ もあり、人々は彼を冷たい目で見た。
 野宿して起きてみれば、荷物がなくなる。汗水を流して稼いだ金で、少しいい宿に泊まると、ナイフを持った男に脅されて有り金を全て奪われる。
 こんなことが日常茶飯事だった。
 「儲け話があるから」と言われてついて行けば詐欺にあった。一晩愛を暖めた女は、財布とともに消えてしまった。世界は彼にとって冷た過ぎた。ある時などは、チンピラ集団に絡まれて、川に流され死にそうになった。

 それでも若者は歩き続けた。5年の後、彼はスラムに戻ってきた。
 疲れ果て裏路地に倒れこむ若者に対して、執拗もなく人々の冷たい視線が浴びせられた。疲労と失望感から若者は堪らず叫んだ。

「何じろじろ見てんだよ!」
147創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 01:44:47 ID:/TOq7wYo
??
148創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 15:24:25 ID:pBDlcML5
裏「路地」と「じろじろ」かな?
149創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 17:43:23 ID:OqOHNTBv
ちょっとわかりにくいね
150創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 23:21:06 ID:NLXK32Tx
 携帯電話の進化はとどまる所を知らない。
 今日、遂に携帯電話は端末という形式を脱却し、耳にピアスのように挟む形となるまでに到達した。
 携帯電話は視覚に直接訴えかけ、あたかも目の前にはパソコンのウィンドウのようなものが浮かんでいるように見せる。操作は指で耳の部分のボタンを押すだけ。
 視野を広くとったまま操作できる安全性と、他人からはウィンドウが見えないというプライバシーにも配慮した作りから、この形式は広く普及したが、ユーザーからは苦情が出ていた。
 それはこの携帯電話の、耳に挟むという形式からくるものだったのだが……

「髪を巻き込むと毛、痛いんだよ!」
151創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 23:27:06 ID:N+GOaDED
毛が痛い携帯w
152創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 23:55:03 ID:Ax/NUQVb
予想はできたがそれでも藁ってしまうw
153創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:15:19 ID:m/W7YAO8
むかしむかしのお話です。
カナガワーケンの王は世界を征服するために、鍛冶屋に最強の聖剣を作らせようとしました。
しかし材料が思うように集まりません。浮遊金属、麝香鹿の角、キリンのタテガミ、バクの鼻、
ムカシトカゲの尻尾、マングローブの根っこ、セイランの羽根、千年杉の樹皮、ツバメの巣。剣とは全然
関係なさそうで、しかも収集が難しい物ばかり。鍛冶屋は材料をごまかして、偽者の剣を作りま
した。王様は喜んで戦に出かけましたが、やはり偽者の剣では他国に勝てず、負けて戻りました。
のぼせ上がってカンカンに怒った王様は鍛冶屋を呼びつけましたが、鍛冶屋は王様に言いました。
王様、剣ばかり強くても使う者が未熟では勝てるはずがありません。聖剣のせいにしていては、いけん。
はっきりいってその通りですが、王様は腹の虫が納まりません。鍛冶屋に死刑を宣告します。
縄で縛られた鍛冶屋は、遥か高い塔の最上階に閉じ込められてしまいました。塔から出るには飛び下りる
しかなく、そんなことをしたら死んでしまいます。何日も閉じ込められたまま水も食べ物も与えて貰えない状況
で、餓死するか飛び下りるかの二択を迫られ、飛び下りた方が助かるんじゃないかな的な考えで……とうっ!
すっきり

という話を童話と民話創作スレに投下しようと思ったけれど、こんなレス誰も見んわ
154創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:21:16 ID:qpkea+Gu
そう来たかwww
155創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 21:32:25 ID:6Rfw6Di7
メタに来たなww
156創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 21:38:49 ID:kX/MeL6g
縦wwww
157創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 23:26:37 ID:qpkea+Gu
ほんまやwww

縦全然気づかんかったwww
158創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 00:16:51 ID:C+iX2WjT
うーん、漢字が無理ある気がしてしまうのが残念
159創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 00:34:29 ID:tdGbdJ1v
ふと気づいた時には、もうそれは起こっていた。
とてもじゃないが、こんな事が起きるとは誰が予想できただろう。
ん? 俺が何者かって?
がたがた言うな、そんなことは本筋に関係ねえ!
ふう、すまない。
つい頭に血が上ってしまった。
とりあえず、話を元に戻そう。
んーと、どこまで話したか。ああ、そうだ。
だらだら話していてもしょうがないから、一言で言おう。

「ふとんがふっとんだ」


二番煎じでごめん
160創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 00:36:03 ID:1NwyVdm9
ダジャレか?

という疑問はわいたが、縦読みはGJw
161創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 03:10:06 ID:hD4NZAEP
これはないわ
何か楽しいと思ったのか
162創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 22:02:31 ID:GGljwnqk
ここはファンタジーな世界。魔王が人間の平和を脅かし、冒険者たちが魔王討伐のために旅に出るというおなじみの構図が繰り広げられている。
今この小さな町で宿を取っている四人組も、魔王を討ち取り英雄となることを目指す冒険者たちであった。

「なあ、リーダー。相談があるんだが」
「なんだ?」

一行がくつろぐ中で、いかにも「魔法使い」という雰囲気を漂わせた優男が口を開く。
それに答えたのは、目つきの鋭い筋骨隆々の青年だ。

「実は最近、自分の魔法のバリエーションに限界を感じていてな」
「確かに、お前の使える魔法は妙に偏ってるな」
「やっぱりリーダーもそう思っていたか。それでだな、新しく魔法を覚えたいと思う。
 ちょうどそこの道具屋で、『火炎の魔法書』というのが売られているのを見つけたんだ。
 ぜひとも買って、火炎魔法を習得したいのだが」
「いくらだ?」
「5000ゴールド」

値段を聞いたリーダーは、目を伏せて溜め息を漏らす。

「うちのパーティの懐事情をわかってるのか? そんな高いもの、買えん」
163創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 22:29:51 ID:mcNO0Epy
>懐事情

火炎だけに火の車ですね。わかります
164創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 13:04:08 ID:OS0wIj5v
懐が寒いゆえに氷系魔法に偏ってるんですね。わかります
165創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 13:30:01 ID:CQedz/kT
フ○ーチ○ンクエストを思い出すな
166創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 17:43:41 ID:eePM9/Oy
おなかぺっこぺこだお!

こうですね。わかります(懐的意味で
167創る名無しに見る名無し:2009/06/05(金) 00:28:07 ID:9bhppmki
 第二次世界大戦のさなか、敵地にて宛のない味方からの救助を待つ5人の日本兵がいた。

「クジを引こう」
 切り出したのは小島だった。食料が底をついてから一週間、俺たちはクジで決めることになった。
 そう、「当たり」クジを引いた者は……食料となるのだ。用意された5本の木の枝には1本だけ根元にナイフで刻んだ痕が付いている。
 まさか食うか食われるかの戦場で、共に戦ってきた味方を食うことになろうとは誰が想像しただろうか?

 俺たちは、なかなかクジを引こうとはしなかった。みんな考えていることは同じだ。誰も急かそうとはしない。たた時間だけがやみくもに過ぎてゆく。
 そして、小島がぼそりと呟いた。


「もうすぐ9時だぞ……」
168創る名無しに見る名無し:2009/06/05(金) 01:02:29 ID:Q9SMoNFw
余裕あるじゃねえかwww
169創る名無しに見る名無し:2009/06/22(月) 21:07:32 ID:r7q7YTKM
湖のほとりで昼食をとっていると、スプーンを湖に落としてしまった。
「まいったな。これでは残りが食べられないよう」
困っていると、水面にさざなみが立ち、ひとりの大変美しい女性があらわれた。
彼女は湖の女神であると名乗り、そしてスプーンを3本出してたずねてきた。
「あなたの落としたのは、この金のスプーンですか?銀のスプーンですか?それとも、ステンレスのスプーンですか?」
私はていねいにお辞儀をし、言った。
「これは女神様、わたくしめの落としましたのは、このみすぼらしいステンレスのスプーンでございます。拾っていただき、光栄の至りでございます」
すると女神はほほ笑んでこう言った。
「よろしい。あなたは大変正直なひとですね。正直に答えた御褒美に、湖の底にある私の宮殿での昼食会にあなたを招待しましょう」

連れて行かれたのは、目も疑うばかりのきらびやかなラウンジ。
高い天井からは、この世のものとは思えない程美しい金銀宝石の装飾に彩られたシャンデリヤが下がり、真っ白なクロスのかけられたエリザベス王朝風の大テーブルのまわりには、綺麗に着飾ったドレスの貴婦人たちがシャンパングラスを手に談笑していた。
テーブルの上には大皿に乗せられた肉、魚、色とりどりの野菜に、いいかおりのする見たこともないようなフルーツ。
「どうぞ。ご遠慮なさらないで」とひとりの貴婦人から渡された美しい絵皿を手に、手はどんどんあの料理へ、この料理へとのびた。
どれを食べても目が覚めるようにおいしいのだ。我を忘れて食べ続けた。
「もう食えないよ……あっ!いけね、腹が痛くなってきたぞ」
腹を押さえながらそそくさとトイレに向かおうとすると、貴婦人の一人が近づいてきた。
「どうなされました?……トイレ、ですか?残念ながらここにはそのようなものはありませんけど」
「な、なんだって!じゃ、ここの人たちはどうやって用を足しているんだ?!」
「そんなの知らないよう」
170創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 21:50:43 ID:HyI66ODT
8 :「導火線」「消火栓」「白馬の王子」:2009/07/18(土) 19:04:26 ID:CupOg+0O
 私は由紀香、小学6年生の12歳。
私の彼氏のまーくんは2つ年上の中学生。
まーくんはまるで私の前に現れた白馬の王子。
彼に見つめられるだけで、私は消火栓みたいに真っ赤になる。
一緒にいると心臓がドキドキして、まるで心が導火線に火をつけられたかのように思えて苦しくなる。
 まーくんは優しい。
1つしかないガムを私に分けてくれたり、相談事に乗ってくれたりする。
 まーくんはカッコいい。
オシャレさんで、服のセンスが私のクラスの男子なんかと比べて断然いい。
 まーくんは頭がいい。
定期考査ではいつもトップクラスらしく、私に勉強を教えてくれる。
 まーくんはスポーツ万能。
野球部のエースで、足もとても速い。
 それでも……1つだけ、まーくんには欠点がある。
彼はにんにくラーメンが大好き。
デートの前にも平気で食べてくる。
私がやめてよっていっても彼はその一点だけは絶対に折れない。
だからキスするのが辛い。
まーくんはとても素敵な彼氏。
だけど、2つ年上のまーくんはチューが臭え!

<了>
171創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 23:45:17 ID:z9tDmYHe
転載乙

最近ここ以外でダジャレーをよく見かけるなw
172創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 14:20:07 ID:iEHkJIEk
 昨日、街で外国人に話かけられて困ったよ……。
 いきなり近寄ってきて、近くにある住宅らしき建物を指差してこう言うんだ。
「アレハ、Houseデスカ?」
 いきなりだったからてんぱっちまってさ……。咄嗟に出てきた言葉が
「家っす」
173創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 00:51:22 ID:gAan1Ltv
174創る名無しに見る名無し:2009/11/08(日) 02:34:01 ID:6aeUv1wb
>>172
こういうシンプルなのは嫌いじゃないぜ
175創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 18:48:35 ID:Zv+ibgGs
長い通路を抜け、階段を登りきると、そこには白い街があった。
 地下鉄だったから気づかなかったが、私が電車に乗っている間に初雪が降ってきたのだろう。人
々はコートに顔を埋め、心なしか、いつもより足早に見えた。
今年も冬がやってきたのだ。

雪にはしゃぐ子供達を脇に見ながら、しばし住宅街を歩いていくと、私の住むアパートが見えた。
 今日は本当に寒い。すぐそこにある自分の部屋に着くまでの時間が、やけにじれったく感じた。
建物に入り、階段を上って、203号室の鍵穴に鍵を差し込む。いつも通りの動作だが、今日は手
がかじかんで、鍵を開けるのに少し手間取ってしまった。
部屋に入ると、私は早速ストーブに火を点ける。
チャッカマンで点火すると同時に勢いよく赤い炎が燃え始める。そして段々と部屋に暖かさが広
がってきた。
あまりの心地よさに、私は思わずひとり呟いていた。
「あぁ、やっぱりストーブはいいわね。寒さがすっとぶわ」
176創る名無しに見る名無し:2010/01/23(土) 01:32:39 ID:Eo3+rFrn
ある夏の日、一羽の小鳥が空を必死に飛んでいました。
彼は昔罠にかかっている所を町の娘に助けられたのです。
それからというもの、彼は頻繁に彼女のところへ足を運びました。
彼女も彼の姿を見るたびに優しく微笑みかけてくれました。

しかし、不幸は突然やってきます。
彼女は重い病を患ってしまいました。
さらに悪いことにこの町の医者は治せないと言うばかり。
なんとかして別の医者を連れてこなくてはなりません。
このことを知った彼は早速山の向こうに飛び立ちました。

休む間もなく飛び続け、とうとう彼は医者の家を発見しました。
彼は力を振り絞り、大声でちゅんちゅん鳴き叫びました。
すると偶然にも買い物に出かけるところだった医者が玄関を開けて出てきたのです。
医者は彼の必死なさまに、言葉は伝わらないまでも何かを感じ取ったようです。
医者は彼についていくことに決めました。

彼と医者が彼女の家にたどり着くと、
彼女は自分の苦しさも厭わずいつもの笑顔で彼に語りかけてくれました。
「スズメさん、暑かったろう。ゆっくり涼め。」
177創る名無しに見る名無し:2010/01/23(土) 01:36:59 ID:+Qj+AKHA
久しぶりの投下北w
涼めwww
178創る名無しに見る名無し:2010/01/23(土) 01:40:32 ID:0ZNlVhLU
すずめかw
179創る名無しに見る名無し:2010/01/23(土) 20:55:34 ID:Tc/ZUN8q
雀に涼めw
180創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 20:12:56 ID:yVCuZNju

「あ、熊だ。逃げろ逃げろーっ!!!」
「何っ、熊だと!? おい猟友会。急いで鉄砲の準備だ!」

 ひょんな事から人里に現われた熊。
しかし案の定人間に追われ、その度に逃げ回っていた。
 ある日、熊は絶体絶命のピンチに陥る。
だが通りすがりの何故か言葉の通じるおばあさんが熊を助けた。
おばあさんは人に見つからないようにこっそりと熊を自宅に
かくまい食事を与えた。

「ご馳走様でした。おいしいかったです……」
食事を終えたあと、熊は安心したのかそう言ったきりぽろぽろと
涙を流し始めた。
「おやまあ、どうしたんだい? そんなに怖かったのかい?」
おばあさんは熊に優しく話し掛ける。
「いえ、追っかけられるのは慣れてるけど……悔しくて……」
「……悔しくて?」
おばあさんに優しくされ気を許したのか熊は心情を打ち明けた。

「熊、熊、言われるけど違うんです。僕はあくまで悪魔です!」
181創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 20:17:09 ID:jf0OiDz/
おばあさん何者…
182創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 20:25:11 ID:oAge+NoN
じわじわくるなw
183創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 21:21:12 ID:bepyM7tc
ああ、クマ型悪魔かw
184創る名無しに見る名無し:2010/03/04(木) 22:45:14 ID:/TTDwhdh
 ウサギとカメは、山の麓までかけっこで競争することになりました。ウサギはあっという間にカメを引き離していき、とうとうカメの姿は見えなくなってしまいました。
 余裕綽々のウサギの元に、なぜかイヌのお巡りさんがやって来ました。
「署まで御同行願います」
「僕が何をしたというのですか?」
「あなたはカラスさんに、水の中に潜れるのだから魚を捕ってきて欲しいと言いましたね? それを実行したカラスさんが溺れ死んでしまったのです」
「そんな……」
「あなたを鵜詐欺で逮捕します」
 そしてカメが山の麓に辿り着いた頃、ウサギは留置場で泣いていましたとさ。
185創る名無しに見る名無し:2010/03/04(木) 22:50:46 ID:5VngyEGm
カラスさんカワイソスw
186創る名無しに見る名無し:2010/03/11(木) 03:16:30 ID:v/j6+spD
考え事をしながら糸を垂れていたら、地球が釣れた。慌てて引いた。糸が切れた。

これで何度目だろうか。糸をたぐり寄せて針をつけ直す。湖底に残った針は
どうすればいいのだろう。放置された釣り針と釣り糸は野鳥を傷つけるという。
それに今使っているのは借り物の道具だ、失くした針は弁償しなければならないだろう。

そもそも海ではなく湖に来てしまったのが間違いだったのかもしれない。
いったい誰だ、釣りは気分転換に良いですよ、なんて言った奴は。
これじゃストレス発散どころか、ストレスが溜まる一方じゃないか。

まったく、気掛かりな事を抱えながら釣りなんかするもんじゃない。おかげで根掛かり連発だ。
187創る名無しに見る名無し:2010/03/11(木) 21:29:26 ID:v/j6+spD
帰り道の途中、近所が騒然としていた。去年もあのあたりで立てこもり騒ぎがあったが、
事件が長びくうちに皆が興味を失ってしまい、次第に報道されなくなっていった。
だから、あの事件がその後どうなったのかは知らない。

現場は凄い人だかりだった。あの事件と同じ場所だ。ということは……近くの人に尋ねてみる。
私「うひゃー、まだ山田さん立てこもってたんですか?」
近1「いや。『まだ』じゃなくて『また』ですよ」
私「え?それじゃ今度は何が……」
近1「あの事件の後にね、あの家に近藤さんって方が越してこられたんですよ」
近2「それでね、その方が珍しい鳥がお好きらしくって。確かハゲタカだったかしら」
近1「なんとか条約に違反するものを集めてたとかで警察が踏み込もうとしたんですよ」
近2「ところが近藤さん、押し問答の末に立てこもってしまって、この有様なんですよ」

このやりとりでおおよその状況が分かったので、私は家に帰ることにした。
家族に近所の騒ぎについて何か知っているかと尋ねられたので、私はこう答えた。
「今度は近藤さんちがコンドルの事で取り込んどるらしいよ」
188創る名無しに見る名無し:2010/03/11(木) 21:32:53 ID:7011DJaG
ジャブが多いなww
189創る名無しに見る名無し:2010/03/11(木) 22:02:24 ID:stsBP87P
山田さんシリーズ懐かしいなw
190創る名無しに見る名無し:2010/03/19(金) 01:12:36 ID:BuLAEC9e
甲高い、金属と金属とぶつかり合う音が響く。
名工のものと謳われていても、やはり人の作による剣では魔王を傷つけることすらかなわないのか。

……もはや、我々は絶体絶命だった。
想像以上に魔王の猛攻は激しかった。
私――法術師(プリースト)のマルチェロは癒しの法術と聖なる結界とでパーティを支援していたが、
私たちの劣勢は誰の目にも見て取れた。

剣闘士(ファイター)のライデンの両刃剣――マエハセルの都の一流の鍛治師の一品だ――には刃こぼれが生じている。
魔術師(ウィザード)のアンナは魔法力が底をついたらしく、杖をついて肩で荒く呼吸していた。
修道僧(モンク)のフィエルは見るも無残、物言わぬ肉塊と化し、転がっている。

「弱い……弱い弱い弱い弱い弱い!」

魔王と呼ばれる男、エーケルニッヒは吼えた。

「所詮人の子、少しは楽しませてくれると思ったが……」

言い、魔王はライデンの方を一瞥し――

「期待外れだ」

右腕で空を薙いだ。
一瞬、私とアンナは何事か理解できなかった。
が、次の瞬間ライデンの首が空を舞うのははっきりと脳裏に焼き付けられた。
血飛沫が舞う。
アンナが声にならない絶叫を上げた。

「汝らの命はここまでだ」

魔王の魔力が右手に集中していく。
私は全魔力を費やして防御に専念しようとしたが、きっと徒労に終わるだろう。
私たちはここで全滅する。
だがきっと、私たちの残してきた仲間やライデンの息子たち……彼らはきっと魔王を倒してくれるだろう。
魔王の魔力が右手から放たれた。
もう限界だ。
思わず、私は叫んでいた。

「結界が決壊するぞ!」
191創る名無しに見る名無し:2010/03/19(金) 22:04:15 ID:zpdI/t8q
最期の最後でwwww
192創る名無しに見る名無し:2010/03/20(土) 05:01:42 ID:1jOOSMZg
そして血塊になったんですね
わかります
193創る名無しに見る名無し:2010/03/21(日) 00:53:39 ID:jraVi8lH
だめだこいつらwww
真っ先にあの世行きになった修道僧にも文句は言えねーな
194創る名無しに見る名無し:2010/03/21(日) 15:48:57 ID:gbb0CgQH
タイホから判決に至るまで留置場、拘置所生活を
描くバラエティー小説

小説家になろう連載中 
 第7話 魔女4 更新しました
タイ○ホ日記で検索してください
 
新作 200文字小説 70文字小説 20文字小説
 同時 連載中




195創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 00:06:37 ID:wi6Gj+C7
今日も俺を叱責する声が職場に響く。

「そこはもっとスパッとやるもんだ!」
「だからお前はまだまだ甘いと言ってるんだ!」

それらの声に謝りながらも手を動かし続けていると苦い思いがこみ上げる。
上司や先輩が辛口の評価を下すのは、何も俺のことを憎んでいるからじゃないという事は
理解できているつもりだ。きっと俺のことを思ってこその叱責。俺だって先輩たちのように
うまくなりたい。今はしょっぱい経験を重ねていても、いつか一人前の板前になってやる。

だが、そんな事を考えていたら、つい包丁を持つ手が止まってしまった。
だからまた声が響いた。

「おい佐藤!手を止めずにさっさとやれ!」
196創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 01:12:31 ID:SA81DgKs
さっさとうw
197創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 20:30:00 ID:OK/wy9Nb
>>195
なにげに味覚を表す言葉が盛り込まれてるなw
198創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 21:53:02 ID:SA81DgKs
さとうだけに、か
199創る名無しに見る名無し:2010/03/29(月) 21:23:21 ID:pGYMH2fd
さとうに向かって「お前は甘い」って言ってるのね
200 ◆Qb0Tozsreo :2010/04/12(月) 10:55:44 ID:u635Mjil
 犯人はこの中にいます。
 ここは、四方を海に囲まれた孤島。しかも、事件が発生してから、誰も島を出た形跡はありません。よって、この中にいる誰かの犯行としか考えられないのです。
 犯行のあった午後九時頃、あの場所にいたのは――
 犯人は、あなたですね?

「し、しまった……」
201創る名無しに見る名無し:2010/04/12(月) 23:47:17 ID:m1pgxVem
わかりにくいぞw
それとも、俺が理解できていないだけなのか?w
202創る名無しに見る名無し:2010/04/13(火) 23:16:23 ID:yF6pqyhF
普通に島でかけてるんじゃねw
203創る名無しに見る名無し:2010/04/20(火) 17:26:16 ID:zGhlsSds
島だよね?
204創る名無しに見る名無し:2010/04/20(火) 20:12:53 ID:jG/AqvtA
多分・・・。
205創る名無しに見る名無し:2010/04/26(月) 00:52:08 ID:fDurJiPd
ここは東京都に属している常夏の島。釣り好きの私たちはここ、小笠原の海で
釣りを楽しんでいた。大型連休と有給休暇を組み合わせ、9日間の釣り旅行である。
そのうち半分近くは現地との往復などに費やされるが、それでも5日間は釣りを楽しめる。
滞在初日は陸釣りを楽しみ、2日目と3日目はこの旅のハイライト、遊漁船を使っての船釣りだ。
4日目には父島へ戻って陸釣り、5日目は観光を楽しむ予定である。

今日は滞在3日目、船釣りの最終日。前日の釣果が実にお寒いものだった私たちは、
今日こそは、という気持ちで釣りに臨んでいた。しかし意気込みが空回りしたか、
なかなか思うようにはいかない。私など辛うじてボウズを免れたという状態である。
船が港に戻る時刻が間近に迫った頃、仲間の竿が大きく撓った。

20分にもわたる格闘の末に釣り上げられた獲物は、見た事も無い姿をしていた。
全体的には薄い体つきをしており、歯も鋭い。見るからに凶悪そうな顔つきである。
我々だけではこいつの正体が分からなかったので、船長に尋ねる事にした。

30年も小笠原の海で魚を捕り続けてきた彼なら、きっと知っているに違いない。
私たちが注目する中、黙って魚を眺めていた彼は、ついに口を開いた。

「うむ、尾が鰆に似ているな」
206創る名無しに見る名無し:2010/04/26(月) 01:13:45 ID:sNvtgaOp
鰆ってどんな魚だっけ?
207創る名無しに見る名無し:2010/04/26(月) 01:57:12 ID:fDurJiPd
208創る名無しに見る名無し:2010/05/03(月) 17:16:25 ID:34qiz0CT
鰆の字が難しくて一瞬理解できなくて損した感じがあるな、これは・・・
見た瞬間にオチが読めない
209 ◆Qb0Tozsreo :2010/06/07(月) 13:07:52 ID:lqBdeb6C
 ウサギさんとカメさんは、山の麓までかけっこで競争することになりました。
 余裕綽々なウサギさんは、途中で居眠りを始めます。ところが、いつまで経っても一向にカメさんの姿は見えてきません。
「カメさん遅いなぁ……。もう三日目だよ」
210創る名無しに見る名無し:2010/06/07(月) 20:56:57 ID:O+LOSVqy
いつになったら亀が来るのかと思っていたら、五日目になって
ようやくやってくるんですね、わかります。
211創る名無しに見る名無し
>>210がうまい事言い過ぎw