学園島戦争 開始27年目

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1創る名無しに見る名無し
ここはWWU+魔法+学園というテーマでSSを書くスレです。
上記の縛りさえ守れば、世界観は職人の自由裁量にお任せます。仮想世界(ネットゲーム設定も可)や劇中劇、歴史スペクタクルでも構いません。
貴方も新たな歴史を書き連ねてみませんか?

1 SSは要項抜粋の短編、小説型長編のどちらでも可。内容はシリアスでもギャグでも大歓迎です。 
2 心無いレスは控えましょう。
  職人方々がやる気を無くし、スレの雰囲気が悪くなります。
3 作者叩きは、禁止。
  何か意見等があれば「○○の部分が、□□のようにおかしい」 「△△のような書き方は気をつけた方がいいと思う」 等、
  言いたいところをできるだけ丁寧に書いてレスして下さい。 より良い作品・スレ作りにご協力下さい。
  「面白い」という意見も、ただ「乙」など一言でも結構ですが、
  「××がよかった」「○に感動した」とか書き込むと、 職人方々にとっては何よりの応援になります。
  荒れそうな議論、突っ込みがあった場合は避難所の考察スレをご使用願います。

  避難所考察スレ
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5513/1146160497/

4 荒らしに反応する人も荒らしです。徹底スルーでお願いします。
  反応すると被害が拡大するどころか、削除依頼等が通りにくくなるので注意しましょう。

5 SS職人、絵師の皆様は常時募集中。
  設定などでわからないことがあったら、遠慮なく質問してください。
  軍事初心者でも大歓迎。
 
まとめサイト
http://www36.atwiki.jp/gakuenisland/pages/12.html

前スレ
学園島戦争 開始26年目
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1231759167/
2創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:47:49 ID:phA5Dfb1
>>1
3創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:47:49 ID:jktlylUX
         、          , ヘ
      /l  | _\       / ,, l
     ,'   l  l! ミヽ\、、,ィ 〈ミ j
    i   |   ,ヾ-"´       \
    !   l  /       うるふ  ヽ
    \  lr/      、      ノ !
       >.ノ     /:::::ヽ、    ノ:ヽ`.、  
     l 'ミ    (::::::・::ノ  ー― 、・:::).彡   乙!
     |  ` 、     ̄     ▼j  =´
     }     `ー、     (_,人_)/
     ミ       ` ー――‐ ''´l
      '、    ト、    i^i    /
       `ー― ' ヽ   l l _ノ
             `ー-"
4創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:48:48 ID:6/ySgb7d
前スレの流れ


75 ◆kkZO9WMBekに盗作疑惑

349 名前:創る名無しに見る名無し 投稿日:2009/01/20(火) 23:13:53 ID:1U1JQ4yd
>>344
>戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ

パトレイバーから一言一句違わないセリフ盗作乙
死ねやクズ
5創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:49:05 ID:bz/5ywVA
おつつん
6創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:49:49 ID:6/ySgb7d
盗作疑惑に反論が書き込まれる



350 名前:創る名無しに見る名無し 投稿日:2009/01/20(火) 23:23:42 ID:DM5K3USh
この台詞には元ネタというか、引用元があるんだがな。


351 名前: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し 投稿日:2009/01/20(火) 23:27:05 ID:4Fw9l0cT
っていうかパトレイバー言う前にggれやw
無知は罪だな


352 名前:創る名無しに見る名無し 投稿日:2009/01/20(火) 23:37:11 ID:mmcPANsr
盗作(とうさく)とは、他人の著作物にある表現、その他独自性・独創性のあるアイディア・企画等を盗用し
それを独自に考え出したものとして公衆に提示する反倫理的な行為全般を指す。「剽窃(ひょうせつ)」とも呼ばれる。

オマージュ、パロディとは区別される。


出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)
7創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:50:07 ID:jktlylUX
俺は誰よりも速いんだよ!
だから>>2がとれるはずなんだよ!
なのに・・・なのに・・・


なのになんでてめえが>>2をとってんだYOOOOOOOOO!!!!!
8創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:51:38 ID:6/ySgb7d
盗作部分と原典の比較が行われる



355 名前:創る名無しに見る名無し 投稿日:2009/01/20(火) 23:55:49 ID:mmcPANsr
>虐殺の場から遠ざかると、楽観主義が現実にとってかわる。
>最高の意思決定のレベルでは、往々にして現実が無視される。
>戦争に負けているときは、とくにその傾向が強い。

>ジェイムズ・F・ダニガン『新・戦争のテクノロジー』(1992)河出書房新社 p.353


これが原典なら押井監督は丸写しするような愚は犯さなかったのですな。
75 ◆kkZO9WMBekが商業作品キャラクターの台詞を利用して、自分の創作したキャラクターに付加価値を与えようとしたことは明白。


盗作部分:成果だけをしっかりと受け取っておきながらモニターの向こうに戦争を押し込め、ここが戦線の単なる後方に過ぎないことを忘れる。いや、忘れた振りをし続ける。  そんな欺瞞を続けていれば、いずれは大きな罰が下される
原典   :成果だけはしっかり 受け取ってい ながらモニターの向こうに戦争を押し込め、ここが戦線の    後方であることを   忘れ、  いや 忘れたふりをし続ける・・・そんな欺瞞を続け   れば、いずれは大きな罰が下される

こっちにはどんな言い訳しますか?
9創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:54:18 ID:6/ySgb7d
75 ◆kkZO9WMBekが盗作部分の原典を知りえたかどうか検証が行われる



387 名前:創る名無しに見る名無し 投稿日:2009/01/21(水) 20:23:50 ID:+YTfV4Ii
75 ◆kkZO9WMBekの過去の発言を参照するかぎりでは、劇場版パトレイバーのキャラクターである
「後藤隊長」の存在を認識していることから、意識的に盗作を行った可能性はきわめて高い。
自分の作品の価値を高めて賞賛を得るために他人の著作物を利用した、盗作の中でも悪質な部類に入る行為である。



444 名前:創る名無しに見る名無し 投稿日:2008/12/02(火) 20:55:42 ID:gqpo9CxS
よくみれば確かに外人とか他校な感じもしないでもないw
むしろそっちが合ってるか

現地の再三の要求にも関わらず、なかなか改善されず
本国当局ののろまぶりに怒りの声をあげる中堅将校というイメージ


445 名前:75 投稿日:2008/12/02(火) 21:04:50 ID:WcJzj7qF
ttp://jp.youtube.com/watch?v=vZ00wpjAhVs&feature=related
これはドイツ軍に所属して戦ったロシア人部隊の映像。

この人たちはソ連軍に降伏した後処刑されたり、米軍に降伏→ソ連へ強制送還→処刑という悲惨な末路を辿ったりしている。
あと英軍のグルカ人部隊は結構有名やね

>>444
それを聞いて、なんか映画版の後藤隊長を思い出したw
10 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:54:22 ID:CetzBG/J
>>1乙でし
11創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 22:57:29 ID:6/ySgb7d
◆XdgIHnFrK.氏が盗作問題について考えを述べる



413 名前: ◆XdgIHnFrK. 投稿日:2009/01/21(水) 23:21:12 ID:+wHsLDEY
盗作盗作っていうけどさあ…

原文って日本語じゃないならどう訳そうと、訳する人間によって異なる上に
解釈の違いでまた変わってくる
パトレイバーから持ってこようとも何であろうとも、原点が存在するものに
パクリというのはちょっと…というかむしろおかしいと思わないの?

それをパクリだというんならパトレイバー第1作目なんて聖書から思いっきりパクってる事になってしまうしね
自分の作品の価値を高めて賞賛を得るために他人の著作物を利用した、盗作の中でも悪質な部類に入る行為だよ
何しろ「聖書という権威」を利用したんだから



それより自分は小林源文の方が許せない
あの先生がゼークト論を作品内で歪曲して引用してしまったおかげで、
ゼークトを間違って解釈してしまってる軍オタはすげー多い
原点では将校・指揮官の資質についての話なのに、兵隊全部に適用される事になってしまってるし、
「連絡将校ぐらいの使い道はある」程度でしかない無能な怠け者が「兵士に最適」とか言われてしまってる
全ての障害を打ち倒すなんて過剰修飾もいい所だ
無能な怠け者は自分で考えないで、上官の命令を求め従うから兵士に使えるのであって
積極的に戦うわけじゃない




416 名前: ◆XdgIHnFrK. 投稿日:2009/01/21(水) 23:33:47 ID:+wHsLDEY
ついでにいうと…パクリってのは「全て自分が作ったオリジナルで引用も借用もしてない」
って言った時点でパクリ
そして、パクリと「パロディ」の区別っていうのはその一点

オリジナルって言い張らなきゃパクリにも盗用にもならないんだよ
ただパロディも「これはパロディである」「パロディが入っている」って後書きなり前置きなりに
提示しておく必要があるんだけどね
あと、元ネタを指摘されたら「そうです、見つけてくれましたね」って言うとなおよい

ただしそれには指摘する側も「パロディですね?」っていう形で言わないと成立しない
ネタやユーモアでやってるものを盗用だ!と騒ぎ立てる奴に何を言っても無駄だから
そういう奴は空気読めてない間抜けか、盗用を見つけたと主張することこそ正義だと信じて
場を白けさせるだけだからだ

そんあアホの前で、「これはネタの類なんですが…」って言っても虚しいだけだね
そういう奴がいるから、SSにネタを散りばめるのが馬鹿らしくなってくる
12創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:00:18 ID:6/ySgb7d
参考に、75 ◆kkZO9WMBekが盗作物で利益を得ようとしている可能性を示す

http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220640484/361

361 名前:創る名無しに見る名無し 投稿日:2009/02/05(木) 23:12:31 ID:dzffURmq
どうもはじめまして。
学園島スレでSS書いてる者です。
うちのスレで連載してるSSをコミケ(もしくは即売会?)で売ってみようかなと考えています。
シナリオはほとんど出来上がっているので、とりあえず人いたら返事ください。
13創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:08:30 ID:SOvmWgvl
東部戦線の次はどこを書こうか迷っている俺。
太平洋戦線に行ってみようかな。
14創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:21:03 ID:bz/5ywVA
俺は西部戦線とか好きだぜ!
多分ブリタニア魔道兵は紅茶の魔力で動くにちgPAM!PAM!!
15創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:24:46 ID:SOvmWgvl
>>14
ロシアはウォッカですね、わかります。

西部戦線は東部に比べて幾分マシな印象がある。

西部戦線=人間同士の戦争
東部戦線=種族同士の戦争

こんな感じだ。
16 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:25:49 ID:CetzBG/J
西部戦線異状あり
17創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:30:51 ID:cAB84Ov/
投下してもよろし?
18創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:31:17 ID:SOvmWgvl
>>16
ジョニーは戦場へ行ったも名作でっせ
19創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:31:49 ID:bz/5ywVA
アメリカ学園&ブリタニカの二軍の連携の難しさ
足掻くアヴィリオンの采配の芸術と兵の死闘
それなりに難しい題材だが、上手く料理されると喜びます。俺がw
20創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:35:17 ID:SOvmWgvl
>>17
どうぞー

>>19
橋を奪うために内輪もめやらかして歴史的失敗。
ブリタニカの指揮官が「作戦は九割成功」と言って大騒ぎですね!
21タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/07(土) 23:36:30 ID:cAB84Ov/
夕陽が沈んだ街に灯りが灯り始めると、宝石箱をひっくり返したような夜景が広がる。
屋上には二月の始めにしては温かい風が吹き、ニコチン臭い煙が拐われて行く。
「俺が見える景色はこんなもんだ……」
アフロの強くかかったリーゼント――ゴッチはくわえていた煙草を指で揉み消した。
「でもよ……オメエなら……もっと良い景色が見えるかもな……」
ゴッチは後ろに控えるかのように立っている金髪頭――エーリヒに振り返る。
「なんだって言うんすか、ゴッチ君……」
「今からテメエが……頭ぁ……張れや」
「 “!?” 」
エーリヒはゴッチの言葉に身震いする。
――毒威突(ドイツ)高校。
学園島では新興の部類に入る暴争族。鉄の結束と高い戦闘力を誇るケンカ軍(チーム)だ。
上の代がケンカに明け暮れた結果、幹部が“年少”送りになって現在は全盛期の見る影もないが、それでも潜在的な戦闘力は計り知れない軍だ。
今の――七代目の頭であるゴッチは、うんともすんとも言わない後輩――エーリヒに失望を感じる。
「(ああ!?“コレ”しきん事で“ビってんじゃ”ねーゾ!?)」
しかし、それは仕方ないだろう。
エーリヒは一年坊主。軍に入ったばかりで暴争族としての経験がウスい。
ゴッチだって未だ二年。身勝手な、突然な代替わりに三年の幹部連だって黙ってないだろう。
「(チッ……情けねェ……)」
ゴッチは無茶な話をしちまったな、とエーリヒの肩に手を置いた。
「(なんだ……この熱さはよ……)」
ゴッチは“溶岩”みたいなエーリヒの熱さにたじろいだ。
「……ゴッチ君……むつかしー事は“わかんねー”ケド……“無敵”の“毒威突”……」
ゴッチは自分よりも頭一つ小さいエーリヒの体が大きく、太く、強く“膨張”したように感じる。
「……“復活”させればイーんだろ?」
エーリヒの背後に“ケダモノ”染みたオーラが立ち上った。
その迫力に、ゴッチは自分の見る目が正しかったと直感した。
「……まずは、“筋”通そーぜ? 幹部連に“挨拶”しねーと……」
幹部連――三年に、エーリヒが八代目を受け継いだ事を“挨拶”――つまり、自分の力を見せつけないといけない。
暴争族は“力の社会”ではあるが、“縦の社会”でもある。
基本的に自分よりも“年下”の若造の言うことなど聞かない。
基本を覆す為に“挨拶”しなければならないのだ。
22タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/07(土) 23:37:04 ID:cAB84Ov/
――翌日、“毒威突”幹部連が集う三年教室。
授業中でありながら、誰一人とマトモに授業を受けていない“屑”の溜まり場は、血で染まった。
いや、エーリヒが染めたのだ。
乱雑に転がった机と椅子、血塗れになって転がり――或いは、壁に、黒板に縫い付けられたように“埋め込まれた”幹部連。
「(……オイオイ、“マジ”かよ……)」
一部始終を見ていたゴッチは、背中に冷たい物を感じていた。
エーリヒは“強い”。本能的に感じていたゴッチだったが、“ココまで”だとは思っていなかったのだ。
「(……俺と“五分”か……それ以上か!?)」
ゴッチも頭になる為に幹部連に“挨拶”して力で捩じ伏せた。
しかし、エーリヒはそれに“恐怖”をブレンドしたのだ。
「……俺が“毒威突”の“八代目”……文句があるヤツは……いるか?」
答えるヤツはいない。いや、答えることが“可能”なヤツはいない。
嵐のようなエーリヒの暴力の前に“破壊”され“沈黙”しているのだ。
「……ゴッチ君……“払い戻し”に行こーぜ? “無敵”の“毒威突”をさ……」
血溜まりの中で“笑って”いるエーリヒは、凶悪なオーラを身に纏っている。
「(コイツ……まだ暴れられんのか!?)」
本能的な直感が“誤算”――想像の遥か上をいっていた事に、ゴッチは笑う。
「おう、その前に……行くんなら“コイツ”に着替えな」
エーリヒが手渡されたものは――。
空よりも澄んだ蒼。
海よりも深い碧。
背中に“毒威突”の三文字が刺繍されたマトイ――特攻服。
“毒威突”の頭だけが纏うことが出来る伝統。
「(これが“無敵の証”)」
その重さにエーリヒは身震いする。
「行くなら二年にも集合かけんぜ?」
ゴッチは携帯を取り出そうとしたが、手で制された。
「(いらないよ……そんなの……)」
エーリヒの眼が雄弁に語っている。
新生“毒威突”は少数精鋭だと言っている。
チッと舌打ちをすると諦めて笑うゴッチに、エーリヒは続ける。
「“頭”が“ケンカ”に行くんだ……着いてくるヤツは着いてくる……だろ?」
ゴッチの認識が確信に変わる。
「(コイツは……“毒威突”の“救世主”になるゼ……)」
「まずは“不乱不”(フランス)……“電撃作戦”で“潰す”」

――“不乱不”。
伝統の名門の暴争族で、ガタガタになっていた“毒威突”の目の上のたんこぶともいえる軍。
エーリヒはそれを潰そうと言うのだ。
23タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/07(土) 23:37:47 ID:cAB84Ov/
エーリヒは割れた窓ガラス越しに遥か遠い空を、天を見る。
「(学園島で……“いっとーツエー”のは“毒威突”……“天辺”まで……“空の彼方”まで行っやんよ……)」
「ボケッとしてねーで着替えろや。“電撃作戦”だべ!?」
ゴッチの言葉にエーリヒは空の蒼さで忘れていた我を思い出す。
「ヒョォ、ゴッチ君“渋い”じゃん、それ!!」
「ったりめーよ。こいつァ……特注だ」
――闇よりも暗い黒。
背中に鮮血に似た赤の刺繍で書かれた
――“憂う”(うれう)
――“暴れる”(あばれる)
――“斗う”(たたかう)
――“憂暴斗”(U−ボート)
の三文字。
「八代目“毒威突”の初陣だゾ!?コノヤロウ!?……ビッて“決めねー”とサマになんねーゾ!?」
「流石先代だね、ゴッチ君」
「ジジイ扱いはすんなよ?」
「……それじゃあ……八代目“毒威突”……出っ張るんで……夜露死苦!」
「夜露死苦!」

――此処から始まる。
血みどろの学園島戦争が。
群雄割拠の闘いが。
――そして、伝説が。

《続》
24創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:38:23 ID:d8NF6e+H
ワロタ
なんだこれwwww
25創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:38:44 ID:SOvmWgvl
新ジャンルすぎだろwwwwww
26タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/07(土) 23:39:11 ID:cAB84Ov/
キャラの名前が思い付かないから名前だけ借りた。
一応謝罪する。(謝罪する必要ないかも試練が)
27創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:40:03 ID:SOvmWgvl
>>26
いや、謝んないでくれw
好き勝手にやっちゃってちょだーいwwww
28創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:41:56 ID:2GYXrKRs
ブッコミわろたwww

いや、でも正直なところ、こういうのがあると
書き手も増えてくれるんではと思うw
29創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:42:00 ID:cAB84Ov/
一応学園でWW2で魔法になる予定だ。
縛りはそれだけだから問題はないと思うんだが。(WW2と魔法は次回出す予定だ)
30創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:42:22 ID:bz/5ywVA
これ、スゲー“オモシれぇ”じゃねぇか

こういう好き勝手できるっつーのは、いい事だよね
31創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:44:10 ID:SOvmWgvl
スターシステムじゃないけど、キャラを「俳優」に見立ててガンガン使っちゃえばいいかと。
エーリヒも仮面ライダーになるかもしれないしw
32創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:44:57 ID:cAB84Ov/
好き勝手しない方がおかしいだろ。
(他の書き手と同じ事をしても面白くはない)
33創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:48:29 ID:SOvmWgvl
正直、この路線で来るとは思わなかったw
34創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:50:40 ID:cAB84Ov/
>>33
予想される物しか書けなかったら“書き手”としては“駄目”だというのがポリシーだ。
35創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:50:41 ID:jktlylUX
         、          , ヘ
      /l  | _\       / ,, l
     ,'   l  l! ミヽ\、、,ィ 〈ミ j
    i   |   ,ヾ-"´       \
    !   l  /       うるふ  ヽ
    \  lr/      、      ノ !
       >.ノ     /:::::ヽ、    ノ:ヽ`.、  
     l 'ミ    (::::::・::ノ  ー― 、・:::).彡   こいつからビンビンに感じるぜ
     |  ` 、     ̄     ▼j  =´荒ぶるビーストのソウルがよ・・・
     }     `ー、     (_,人_)/
     ミ       ` ー――‐ ''´l
      '、    ト、    i^i    /
       `ー― ' ヽ   l l _ノ
             `ー-"
36創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:51:15 ID:SOvmWgvl
>>34
いい刺激になったんだぜ。
俺も負けてられないなw
37創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 23:56:52 ID:cAB84Ov/
>>36
勝ち負けなんて無いけどな。
(あるとしたらNN1氏には死んでも勝てん)
38創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:12:55 ID:PRHg4ItL
容量落ち
39創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:22:14 ID:fqd2kWIx
無理だと思うが他の書き手氏と対談をしてみたいものだ
40創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:26:11 ID:XoNkETVy
チャットとかそういうのか?
41創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:26:45 ID:EnZpVPEc
よくわからんんがスカイプとか?
42創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:31:26 ID:fqd2kWIx
昔何処かで串子と75氏がやっていたのを見たが面白そうだと思ったから言ってみただけだ
俺も詳しくはわからない
43創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:32:46 ID:/P6qS5nq
ならスレで一問一答式の対談とかどうだい
44 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:33:24 ID:AF7fV2Ia
あれはテンプレ様に初心者とQ&Aやりゃいいんじゃないかってことでやったんだよ
どこかの廃スレでチャットする分には構わんと思うがね
45創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:40:44 ID:fqd2kWIx
文章を書くコツを聞きたいだけなんだがね
46 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:43:42 ID:AF7fV2Ia
それなら聞きたい人に聞けばいいかと……
その書き手さんが答えてくれるとは限らないし
厳密には該当内容のスレでやるべきかも知れないが聞く分にはおkだとオモ
47創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:55:59 ID:fqd2kWIx
sage
48創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 00:57:03 ID:fqd2kWIx
すまない間違えた。
クランチ文体の書き方を教えて欲しかったんだ。
眠いので寝る
49創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 01:35:50 ID:EU7mGSal
職人雑談スレとかあってもいい気はするな
ハルト主義には反するし、なんだか荒れそうな気もするし、創発には合わないような気もするが
50創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 07:31:50 ID:+WnRyd9v
取りあえずGで聞けばいいんでないの?
事実上コテ雑、控え室みたいなもんなんだし。
51タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/08(日) 21:46:49 ID:fqd2kWIx
晴れた空を切り裂く“爆音”……。
“学園島”の“暴争族”の足と言えば“ヒコーキ”だ。
エーリヒとゴッチもそれに外れる事はない。
二人は“学園島の暴争族”が飛行中に意思伝達の為に使う魔法“テレパシー”で会話をする
「ヒョォ、気持イーじゃん!?」
「(……オイオイ……あの“メッサーシュミット Me 210”で“鼻歌混じり”“曲芸飛行”(サーカス)かよ?)」
“クセの強過ぎる欠陥機”であるメッサーシュミット Me 210を好き好んで乗るヤツは“毒威突”でも少ない。
しかし、エーリヒはその“クセ”を楽しんでいる。
“マトモ”な“暴争族”は性能で“ヒコーキ”を選ばない。
“ポリシー”で“魂”懸ける“ヒコーキ”を選ぶのだ。
しかし、エーリヒの“メッサーシュミット Me 210”はクセがありすぎて、乗りこなすのは至難の技だ。
それを“ヨユー”で“乗りこなし”てるエーリヒの“フラテク”(操縦技術)にゴッチは舌を巻いた。
《おい、エーリヒ……“電撃作戦”はどーすんよ!?》
《わぁーってんよ……でもさあ……せっかく疾って(はしって)んたがらさ……楽しまねーと悪いじゃん……“空”にさ……》
悪びれないセリフは、先刻“先代幹部連”を血の海に沈めた男とは思えない能天気さを窺わせた。
「(“空”は俺たち“暴争族”の“晴れの舞台”じゃん!?)」
エーリヒは“空の蒼さ”と愛機と一心同体になる感覚を純粋に楽しんでいる。
「クスッ……(俺達“暴争族”はぁ……“疾り屋”だぜ…… 地上じゃ“ケンカ”すっけど“空”じゃ疾ってナンボさ……)」
「(…っにしたって……電撃作戦だべ?)」
ゴッチは“不乱不”に“電撃作戦”が気付かれる事を危惧している。
が――。
「(……バレた所で……叩き潰すのが“憂暴斗”よ……)」
背中に背負った三文字が、そんな 危惧を吹き飛ばした。
まずは憂う。
次に暴れ、斗う――。
それがゴッチのポリシー“憂暴斗”だ。
「(俺も楽しむとすっかよ……せっかくの“空”だしな……)」
ケンカ屋でならしたゴッチも、根は“暴争族”だ。
“空”に昇れば気持ち良く飛びたくなるのが人情と言うものだ。
エーリヒに付き合うように、愛機を曲芸飛行させる。
《そろそろ………“来る”よ……ゴッチ君……》
変わらない能天気さで、エーリヒは笑う。
――“来る” “ !? ”
ゴッチに戦慄が走る。
52タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/08(日) 21:48:16 ID:fqd2kWIx
暴争族には不文律が一つだけある。
それは“空”を“血”で“汚さない”こと――。
暴争族にとって“空”は疾る場所であって、“戦う”場所ではない。
しかし、不文律は絶対ではない。
“プライド”がない“ハンパ物”は簡単に不文律を簡単に踏みにじる。
“地上”では口ばかり達者なカッコだけの野郎が多いが、“不乱不”はそういう野郎ばかりである。
もし――“不乱不”が――“敵”が来たら、ヤバイ事になる。
本能的に感じた直感が、ゴッチの背中を冷たく濡らす。
だが――。
《――“エーちゃん”ゴキゲンじゃん!?》
《聞いたゼオメーら……!? “電撃作戦”だってな!?》
“テレパシー”で聞こえる二つの声に、ゴッチは息を大きく吐く。
一人はゴッチと同じ二年。三年幹部連が“気に入らねー”と一匹狼を気取っていた“鉄血”のビスマルク。
もう一人は、エーリヒと同じ一年坊主の“クラウゼビッツ”。
二人とも“筋金入り”だ。
《――着いてくるヤツは着いてくるって言ったろ、ゴッチ君》
《そうだったな……(チッ、憂い過ぎるにも程があるんじゃーね、俺……)》
《ゴッチよぅ……他の連中も来るぜ!?》
《こうなりゃ俺も“トコトン”まで“アッピル”してやんよ!?》
底抜けに楽観的な二人の声は、心強い。
《オメーら……今日はエーリヒ……八代目“毒威突”の初陣だゾ!?》
《ゴッチ君……“むつかしー事”はいーや……無敵の“毒威突”旗揚げだぜ!?》
遥か眼下に見えてきた“不乱不”高校の姿に、唇を歪めてケダモノみたいな笑みを見せた。
エーリヒの“意思”鉄よりも“硬い”鋼鉄……。
それが、降り下ろされた……。

先陣を切ったのはゴッチのユンカース社製の“Ju 87”……通称“ラッパ”。
急降下する時に出る“サイレン”みたいな音がその名の由縁だ。
旋回等の性能は貧弱とも言えるが……。
「(……急降下ならコイツがいっとー“ツエー”!)」
強力なGによってシートに埋め込まれるが、それすらも“快感”。
暴れる操縦棹を“ゴリラ”みたいに太い腕でが生み出す腕力(かいなぢから)で捩じ伏せることはもはや“恍惚”を産み出す。《ゴッチ君……“渋い”事してくれんじゃん!?》
《テメエはそれだけはいっとーツエーなぁ……》
《そんな“アッピル”されたら俺に立つ瀬がないっすよ……》
53タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/08(日) 21:50:11 ID:fqd2kWIx
仲間の嫉妬染みた羨望を背中に感じながら、ゴッチは“不乱不”高校の校庭に“イナヅマ”みたいにカチ込んだ。
愛機から降りたサボっている馬鹿の見本の優等生が唾を吐きながらガンを飛してくる。
「テメエ、何処よ? 此処は悪の華“不乱不”だぞバカヤロウ!?」

――“不乱不”。
特隊の“邪児蛮”(ジャコバン)と親衛隊“G―輪舞”(ジロンド)が幅をきかせ、“皇帝”ナポレオンがシメる伝統ある名門。
格下に見ていた“毒威突”の闖入に、“間抜けな雑魚”三人が早速イキがる。
しかしその刹那――。
ギュオ……。
空を絶つ風斬り音。
「 “!?” 」
ボグゥ!
一人目――金髪のロン毛は、ゴッチの右拳が側頭部から顔面にかけてめり込み、そこを支点にして宙を舞う。
メリメリ……。
その勢いで顔面に食い込んでいた拳が離れた。
ただの“フック”一発。“颱風”並みの威力を秘めた一撃。
顔面を汚い血で濡らしたロン毛の意識を狩り取るだけではなく、ほかの二人を恐怖させるのに充分過ぎる威力の一撃。
「……いつでも俺ぁ……“憂暴斗”……)」
ドサッ!
ロン毛は枯れ葉のように地面に落ちると、ピクリとも動かずに石像みたいに“沈黙”した。
「ああ……!?……聞こえねーなぁ……“ボクゥ”!?」
鬼……或いは化物染みたゴッチの圧力に、残りの雑魚二人は獣みたいに吼えながら校舎へと逃げる。
そこに現れるのは八代目“毒威突”の頭と、他二人。
「もう始めてるなんてズリーよ、ゴッチ君」
「あいかわらず“筋肉ゴリラ”だな、ゴッチよぅ……」
「ス、スゲェ……(……幾ら雑魚でも“不乱不”を“ワンパン”かよ……)」

エーリヒは不満顔だ。付き従うビスマルクは同様だが、クラウゼビッツは緊張からかビビっている。
「こんなもんただの“露払い”だぜ!」
「それじゃあ……ナポレオンは俺がヤルから……」
ベキベキッ!
エーリヒは指を鳴らす。
「ビスマルクは邪児蛮のマックス……クラウゼビッツは“G―輪舞”のマラーやれや……俺は……頭を“無傷”でナポレオンの前まで連れてくからよ……」
ジャリッ!
ゴッチが歩くとその巨体故か歪な足音が鳴る。
「……始めよーぜ……“無敵の伝説”を“宴”をさ……」
エーリヒの笑いは、禍々しい“悪魔”みたいに響いた――。

《続》
54 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 21:50:13 ID:AF7fV2Ia
メッサー大好きな俺がちょいと覗きに
55タイトル未定 ◆pZXqJniGt6 :2009/02/08(日) 21:51:50 ID:fqd2kWIx
“ヒコーキ”に関してはwikiを見ただけだから間違ってるかも知れない(間違ってない方がおかしいレベルの認識だ)
56創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:00:11 ID:b6bfQqGt
乙です
学園島はいつから少年マガジンに連載されてたんだww
57創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:04:05 ID:MSGKfRkU
特攻のグーテンターク〜地獄のスクールアイランド〜
58創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:18:41 ID:EnZpVPEc
フラテクで噴いたwwwwww
59創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:18:50 ID:4ZJ86I7C
それにしてもこの作者、ノリノリである
60創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:39:39 ID:EnZpVPEc
こちらは22:45から投下いきます。
6119/29:2009/02/08(日) 22:45:05 ID:EnZpVPEc


 マイコ・パステルナークの斬撃を回避して、リディアは部下達に散開を命じた。
「敵は一人だ。各員、包囲攻撃を仕掛ける!」
 部下達は了解と応じた。
 二人が追い、攻撃する。
 マイコは攻撃を回避して反撃するが、その間に別の魔道兵二人がマイコの左右から襲い掛かった。
「挟み撃ちだと!」
 結界で左右からの攻撃を防ぐマイコに対して、リディアは更なる攻撃を加えた。
「二人とも、そいつから離れろ!」
 魔道兵が離れ、マイコが反撃するまでの僅かな時間をリディアは見逃さない。
 絶え間ない銃撃を浴びせ、行動の自由を奪う。
「次に奴は――」
 リディアは、次にマイコが何をするか読んでいた。
 数の劣勢。
 個人の能力の優劣。
 指揮官の存在。
「私を狙う!」
 リディアはマナ・ソードを抜き、白煙の中から青い粒子を残して飛び出したマイコを迎え撃った。
「ガロズニィグラードの白薔薇か! 私の邪魔立てをするな!」
 鍔迫り合う二刀から粒子が迸り、閃光を振り撒いた。
 空いた左手で放たれようとした殴打をリディアは防ぎ、マイコと腕四つでぶつかり合う。
6220/29:2009/02/08(日) 22:45:33 ID:EnZpVPEc
「第七独立混成旅団のマイコだな! 何故反旗を翻した!」
 リディアを突き飛ばし、マイコはライフルを連射する。
 左腕のシールドで弾きながらリディアは下がり、再度前進した。
「世界に不満があるなら自分を変えろ! そんなこともできない奴が!」
「私は世直しなど考えていない!」
「だったら何がしたいんだ!」
「理解してもらう気はない!」
「ああ、そうかい!」
 リディアの蹴りがマイコの腹部に入る。
 返り血を浴びながら、リディアは叫んだ。 
「今だ! この狂人を殺れ!」
 マナ・ライフルの一斉射撃がマイコを襲う。
 結界が展開されたが、大量に浴びせられるエネルギーの波は徐々に防壁を削っていった。
「我々は貴様ら第一世代の流れを受け継いだ第二世代!」
 リディアはマイコに肉薄し、腹部にパンチを叩き込む。
 骨の軋む音と同時に、マイコは血液混じりの唾液を噴いた。 
「量産型に試作型が勝てる道理が!」
 リディアの左のハイキックがマイコの右即頭部を捉える。
「存在するものか!」
 前蹴りを食らってマイコを海に突っ込んだ後、リディア隊はありったけの火力を海中へ注ぎ込んだ。
6321/29:2009/02/08(日) 22:46:16 ID:EnZpVPEc


 多くの死体が沈む海の中に、マイコは沈んでいく。
 自分は死ぬのだろうか?
 ふと、そう思った。
 マイコは守りたかった。
 だが守れなかった。
 大切なものを傷つけた挙句、自分のために死なせた。
 自分はなんというナルシストなのだ――。
 今更、正義者ぶることはできない。
 だから戦う。
 巨悪となって世界中の悪意を集め、倒される。
 もう二度と自分やユーリ、エレナのような人間を作らないために。
 まだ、ここでは死ねない――。
 目を見開き、マイコはローブのリミッターを解除した。
 青い粒子が赤へと変わり、関節が金色へと変わる。 
 私は……マイコ・パステルナークは――。
 絶対に埋まらない空白を埋めたい。
 自分でも破滅へ突き進んでいるとわかる。
 それが報いなのだ。
 遅かれ早かれ破滅するなら、マイコは変えるつもりだった。
 変えられないかもしれない。
 でも――。
 海面から飛び出したマイコはリミッター解除後、唯一の武器となる大型マナ・ソードを振り、リディア達に襲い掛かった。
「リミッターを外したのか!?」
「馬鹿な! 自殺するつもりか!」
 リディア隊の砲火がマイコに集中する。
6422/29:2009/02/08(日) 22:46:49 ID:EnZpVPEc
 殺人的な火網を掻い潜って、マイコは距離を詰める。
 ローブのリミッターを外すことで、マナ・ソード以外の武器と結界を失う代わりに、圧倒的な機動力が手に入る。
 四方から浴びせられる砲火の雨を掻い潜りながら、再びマイコはリディアと鍔迫り合った。
「パステルナーク! 貴様は死を賭してまで、何を望む!」
「"死"だ!」
「なんだと!?」
「私は"死"を望んでいる! ただそれは、お前たちを倒してからだ!」
 血のように赤黒い噴射に後押しされて、マイコはリディアを圧倒した。
「そのような攻撃で!」 
 量産型魔道兵の攻撃は全てがマイコではなく、光跡として残る赤い粒子に吸い込まれた。
「馬鹿な! 直撃しているはずだぞ!」
「違う! あれは残像だ!」
「質量を持った残像だと言うのか!?」
 リディア隊はマイコを追撃する。
「終わりにする……!」
 マイコは炎上する戦艦の船体側面を往く。
 後方から三体の量産型魔道兵が追ってくる。
「ここで奴を殺さないと、ヴォルクは完全に終わるぞ!」
「落とせ! こいつを落とせ!」
 魔道兵達の叫びとは正反対に、マイコは更に噴射を強力なものとした。
 全身の骨が軋み、内臓が悲鳴を上げた。
 琥珀色の目が血走り、胃液が逆流しそうになった。
「この悲劇を……」
 マイコは魔道兵部隊より早いスピードで戦艦の外周を回り終えた。
 無防備な背後が視界に入る。
「後ろにいるぞ!」
「そんな! 早すぎる……!」
 マナ・ソードの巨大な刃を、大きく振り絞った。
「私が!」
 光の渦にリディアと、彼女に付き従った魔道兵の肢体が飲み込まれ、赤い粒子の中で青が散った。
 あまりにもあっけない命の終焉だった。 
「後退する!」
「りょ、了解!」
 撤退していく残りの魔道兵をマイコは追わなかった。
 既に自身も追える状態ではなかったからだ。
「エレナ……私はろくでもないことをやっている」
 喉の奥から血が流出した。
 思わず口を覆った手のひらが、赤で一色に染まった。
 限界を超えた代償だった。
 マイコの体は傷つき、自らの行為で痛めつけられていた。
6523/29:2009/02/08(日) 22:47:12 ID:EnZpVPEc
「雨か……」
 ぱらぱらと、細い絹糸にも似た小雨が降り始めた。
 鉛色の空から降ってくる雨が、生きた者のいない地上へと注がれる。
 雨は故人を偲ぶ、空からの悲哀ではないのか?
 かつてのエレナの言葉が、マイコの脳裏に過ぎった。
「いけない」
 燃え盛る艦艇で火の海となったいる湾内を見ながら、マイコは首を横に振る。
 感傷に浸っている余裕はない。
 マイコは悪に、そして修羅にならねばならない。
 多くの命が燃えている。
 戦う。
 戦い続ける――。
 雨が降り始めた。
 自分の頬を伝っているのは、涙なのか、それとも雨なのか?
 マイコは知ろうとも思わなかった。
6675 ◆kkZO9WMBek :2009/02/08(日) 22:47:44 ID:EnZpVPEc
今日はここまで。
67 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:48:55 ID:AF7fV2Ia
 
68 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:49:48 ID:AF7fV2Ia
ハイ恒例の支援遅れ乙orzと
69創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:51:03 ID:nnOldcRA
新職人キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
頑張ってください
70創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:51:58 ID:nnOldcRA
乙です。
エレナがステキ過ぎる……
71創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:52:40 ID:MSGKfRkU
( ´∀`)σ)―{}@{}@{}-]
72創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:53:37 ID:Wfx+F23e
>「敵は一人だ。各員、包囲攻撃を仕掛ける!」

どう見ても弟を活躍させるためです、本当に(ry
73創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:55:16 ID:EJmYWyoH
エーリヒになんか死亡フラグが…
74創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:56:14 ID:EDpBlpC7
学園島に修学旅行は…ないよな
75創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:57:34 ID:mnW6nzE3
75氏、乙であります。
この話は読み切りでしょうか?
続き待っています
76創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 22:59:07 ID:osLaJlXU
乙乙
熱い中にニヤッとするネタが仕込んであって良いね

>>74
遠征ならあるんじゃねw?
77創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:00:09 ID:+tRAG6SW
エレナが弟にだけ見せる裸エプロン姿とか、誰か書いてくれないかなあ
78創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:01:16 ID:EB67DGm2
金髪の野獣ww
79創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:03:14 ID:4rV3/K2z
マイコに単独で勝てるキャラを考えよう
80創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:14:00 ID:fqd2kWIx
魔法少女軍事系
アンさん
ビターさん
パトリックちゃん
伊庭さん
さなこさん
ヨシテルさん
ノブナガ様
ゴッチさん

自分の作品は強さの質が違うから比べられん。
81創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:14:01 ID:/P6qS5nq
鬱展開が加速していく・・・
82創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:16:11 ID:RUdpooPD
               ,.-─‐- 、      /⌒ヽ、
                 /       ヽ     /.:.    ヽ
              /::.:.       ゙、   /.:.:.       ゙、
                /:.:.:.   ー- 、  ゙i, /::./      ゙i,
            /:::.:.:.:.      ゙ヽ.:i'''ヽ::.:.:-‐     |
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         ゙i;;,i;;;;i;;;;;;;;ヽ、        ' '   /;;;;;;;;;i'
          ゙、i、;|、;;;;;;;;i;l;;`'゙ヽ;   ____  |;;;;;i;ノ
           ヽヽハ!|i、i、;;i;;ヽ;;    `ー─''´/レi;ノ
         ,.-、         ヾ''|゙'' - .,,_ _,. i''" '"
     /^`~",  :\       ノ.:.:.:.:.:.:. : : |
   ,.-",   /......:::::i::l _,,. -‐''"゙ヽ、:.:.: : :   トr‐- .,,,__
  ,.i  .|  :キ:::::::::::|::V;:;:;:::::::::::::::::゙ヽ、 __,,.ノ:::::::::::::::::`''''‐- 、
 / 、  | ,;:::::l:::::::::::マ,.-‐-、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙ヽ
 i、 ヘ  :\:::::::キ;:::::::(:::j::):...)
  ヤ、 \:::::\,::::\:;;;:iゞ:-:;ィ 「近代兵器などガラクタに過ぎん、見せてあげよう、魔道の雷を!!」
  λ\.,,ィ^-‐'`ー",:::|::;X'
   `ゝ、::;;;:、-‐-;;;;i‐'''|
        .    f´ ',ヽ
           |(♀)| ←マナ・クリスタル
           | 王´|
           `'''⌒'''´

     マイコ・パロ・ウル・パステルナーク大佐の最強宣言
83創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:16:14 ID:osLaJlXU
しかしいよいよ佳境だな。75の人の作品も
……どう考えてもハッピーエンドにならんのだが
ま、まぁ、とにかく期待
84創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:16:39 ID:EnZpVPEc
>>79
変身する前に殺せば何の問題もないんだぜ!
85創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:19:04 ID:fqd2kWIx
修学旅行はあっても全員サボるだろうな
86創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:23:14 ID:2zYFTipV
基地外エーリヒいいねぇ
87創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:40:45 ID:PRHg4ItL

質問なんだが第二世代にはリミッター解除がないのかな?
VMAXとかトランザムみたいな感じ?
88創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:49:04 ID:EnZpVPEc
>>87
>VMAXとかトランザムみたいな感じ?

リミッター解除はそう。
短時間で急激に戦闘力アップ→その後ダウンの流れ。

>第二世代にはリミッター解除がないのかな?

能力オミットしまくりの量産型なんで、無い。
能力は第一世代:120で第二世代:90ぐらいかな。
89創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:53:32 ID:PRHg4ItL
まだ第一世代結構残ってなかった?
結構マイコ有利なんじゃなかろうか

第二世代が大量にいる可能性もあるけど
90創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:53:56 ID:/P6qS5nq
命削るわけか

ますますバッドエンドの流れだな
91創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 23:57:24 ID:EnZpVPEc
>>89
第一世代はマイコ派にいないだけで結構残ってると脳内では考えてる。
代表的な第一世代は今のところ、名有りでこれぐらいか。
第二世代はこれからたくさん出てくるかもしれない。

・マイコ
・エレナ(死亡)
・オルガ
・セルフィナ

>>90
心温まる結末をご用意していますので、最後までお付き合い下さいw
92創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 00:08:12 ID:Rpdhqiis
新しい書き手さん来た?

>>タイトル未定氏
GJ!なんかカッコイイ
性能じゃなくてポリシーで機体を選ぶって所がなんとも言えませんな
素敵ヒコーキについては良く解らないけどw

>>75
乙〜ん。

>>79
状況に次第だけどパトリックちゃんなら勝てそう。
キョンシーの大群を使えたらなんとかなるかもw
アンさんなら腐女子に洗脳するかもねw
93創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:10:27 ID:B9JEjE9B
20:45から投下します。

戦場でメシ作る炊事班の存在って大きいよなぁと突然言ってみる。
学園島でも陸軍と海軍のメシの差が大きかったりするのかな。
94創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:15:39 ID:Tc6i05dC
あそこの隊の○○は飯が美味い!て感じで異動願い出す馬鹿がいたりしてなw
学生の若気の至りって奴で
95創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:19:45 ID:B9JEjE9B
>>94
自炊できる奴は重宝されそうだなぁw
やたらとサバイバル能力が高い奴も。

あと、こんな話を見つけた。
海上護衛戦に通ずるものがある・・・。

大和特攻時の随伴駆逐艦の戦闘配食
初霜・・・握り飯とタクアン
霞・・・ライスカレー

初霜の酒匂艦長いわく
「食糧倉庫のありったけで豪華な食事を出した艦もあったようですが
私は主計長が何と言おうとそれは許可しませんでした、次の作戦があるわけですからね
こんな馬鹿な作戦で初霜を沈めるつもりも毛頭ありませんでしたしね」
96創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:29:51 ID:Rpdhqiis
日本軍の場合、陸軍は沢山餓死するくらいだから海軍の方が食事は良いんだろうね。
アメリカは陸軍の方が良い食事だったとかなんとか本で読んだ記憶がある。

97創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:35:01 ID:B9JEjE9B
>>96
「海軍は船もってるからな」と某漫画で言っておりました>海軍。
ぶっちゃけ陸軍は食う以前に食料を運べない状況も大きかったんじゃないのかな。

米軍はタラワに上陸した時の食事がステーキだったような。
ノルマンディ降下前の空挺隊員の食事もステーキだったらしい。
理由を考えると結構欝だ。
98創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:35:44 ID:B9JEjE9B
すごくどうでもいいんだけど、配給用食料にマタンゴを混ぜたら大勝利じゃね?
99創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:37:14 ID:4+QOrHgo
トラウマ映画ktkr
100創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:43:12 ID:B9JEjE9B
>>99
俺はゴケミドロの方がトラウマだわw
10175 ◆kkZO9WMBek :2009/02/09(月) 20:45:14 ID:B9JEjE9B
んじゃ続きいくよー
10224/29:2009/02/09(月) 20:46:35 ID:B9JEjE9B
エピローグ


 
 ヒューナースベルグ要塞では、新たな司令官の誕生祝賀会が催されていた。
 ただ祝賀会は名前だけのものだった。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエル中佐が要塞及び守備隊の司令官になったことが放送で伝えられた後、兵士達の食事に一本だけ多くソーセージが付いた。
 司令室を出たかつての――いや、もはや名前だけの司令官だったパウル・ギースラーはオットー・ワイトリンクと共に廊下を進む。
「子供が要塞の司令官とは。時代も変わったものです」
 ワイトリンクは言葉の中に、僅かな苦味を含ませていた。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエルが有能で誠実な指揮官であろうとも、親子ほども年の離れた人間が上官になる事実は決して愉快ではなかった。
「もう我々の時代では無いのだろう」
 対照的にギースラーは多くを語らなかった。
「正直な話、今退役できるのは幸運なのかもしれん。戦いはこれから、より激しくなる」
 二人の反対側からエーリヒ・シュヴァンクマイエルが副官を伴って歩いてきた。
 隻眼の少年は立ち止まり、直立不動の敬礼をした。
 ギースラーとワイトリンクは立ち止まらず、歩きながら敬礼してエーリヒとすれ違った。  
「老兵は死なず。ただ消え去るのみか……」
 ギースラーは司令室のドアが開かれ、少しの後閉じる音を聞いた。
 この島で自分がすることはもう無くなったことを知った。
 ギースラーは振り返らなかった。
10325/29:2009/02/09(月) 20:46:59 ID:B9JEjE9B


 要塞司令官の椅子に腰掛けるなり、エーリヒは大きく溜め息を吐いた。
「どうしたのですか?」
 心配する副官アルベルトに、エーリヒは小さく手を振った。
「大丈夫だ。胸が急に苦しくなっただけだ」
 エーリヒは父の言葉を思い出す。
 大きな力には、大きな責任が伴う――と。
 自分が強大な力を手に入れた事実は、エーリヒにとって重苦しいものだった。
「コーヒー入れてもらっていいかな」
「わかりました」
 アルベルトが部屋を出た後、エーリヒはベレー帽を机上に置く。
 懐に手を入れ、一枚の写真を取り出す。
「まさか、この人がなぁ……」
 今や写真の中の人物はヴォルクグラードの実質的な支配者となっている。
 これから自分はマイコ・パステルナークと戦うのだろうか?
 ひょっとしたら、もう既にどこかで戦っているのではないか?
 考えがエーリヒの脳内で巡る。
 彼女はどうしてヴォルクを手に入れようとしたのだろうか?
 写真の中で弟らしく少年と笑いあうマイコの顔は、簒奪を企む野心家にはとても見えない。
 むしろ優しい姉の姿だった。
 もしかしたら――。
104創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:47:57 ID:tK/p8UIJ
支援
10526/29:2009/02/09(月) 20:47:58 ID:B9JEjE9B
 人間は優しいが故に暴力を行使できる。
 優しい人間、誠実な人間、争いを嫌う人間が、最も暴力的になれるのだ。
 マイコは大切な人を守りたいが故に、ヴォルクを支配したのか?
 もしそうならば、なんと悲惨な話だろうか。
 大切な人を守りたいがために、他人の大切な人を奪う。
 エーリヒだけではない。
 この島で戦う人間の多くが抱える自己矛盾だ。
 エーリヒの中にはそれに対する迷いもある。
 だが、それ以上の決意があった。
 軍で戦うことで、家族や友人達の生活や幸せを守る。
 それが絶対に崩れないエーリヒの"芯"だった。
「こんなものは、持っていない方がいい」 
 写真を破って粉々にして、ゴミ箱へ捨てた。
 エーリヒは戦争が嫌いだ。
 だが、これから戦うかもしれない敵に一切情けをかけるつもりもなければ、反戦を訴えるつもりもなかった。
 アルベルトがコーヒーを運んでくると、エーリヒはそれを燃料にして近いうちに起こるであろう新生ヴォルク軍の攻勢に対する構想を練り始めた。 
10627/29:2009/02/09(月) 20:48:22 ID:B9JEjE9B


 ヴォルクグラード人民学園軍は再編成された。
 ヴォルク軍はオール・ウィッチ・ドクトリン――魔道兵万能主義によって新しく生まれ変わった。 
 大地を進む陸上戦艦の甲板には量産型魔道兵がずらりと並び、もはや通常兵器の姿はどこにもない。
「同志大佐に敬礼!」
 マイコ・パステルナーク大佐はヴォルクの最高指導者となった。
 だがマイコは、何の喜びも充実感も胸に抱いてはいなかった。
「ヴォエヴォーダはどうか?」
「ハッ。建設作業は予定通りに進んでいます」
 マイコは部下の言葉に頷く。
 陸上戦艦『クロンシュタット』の艦橋からは、天を仰ぐ巨大な砲身が見えた。
 小さく息を吐き、マイコは腕を組む。
 そして前だけを見据え、後は一言も口にしなかった。
107創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:53:48 ID:SmHZMBAR
 
108創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:56:09 ID:C0AEpXDt
マ○コ「教室で。図書館で。学生寮で。更衣室で。体育館で。学生食堂でくぱぁ」
大きく(i)を広げる。
「この世界に存在する、ありとあらゆる●●●が大好きだ――」
●●●。
もはや、マイコが一生触れることができない存在。
109創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 20:57:55 ID:V6lLlHYW
75さん、乙です。
でも、戦車砲で飛行機落とすのは、正直どうかと思った。 いくらKwK43戦車砲が元は高射砲だとしても……
そこ以外は上手に軽量級小説風に仕上げられていると思います。
11028/29:2009/02/09(月) 21:00:11 ID:B9JEjE9B


 ヒューナースベルグ要塞の通路を、一人の条約軍兵士が歩いていた。
 紺色の髪。
 琥珀色の瞳。
 輪郭は細く、端正だ。
 ふと少年は足を止め、広場に置かれた大型のテレビジョンに視線を移す。
 マイコ・パステルナークが画面の中で演説し、学園島全ての勢力に対し宣戦布告を行っていた。
 少年の口元が僅かに歪む。
「僕はあの女と同じ血を体に流している。こんなに自分を嫌いになったことはない……」
 今の少年の名はジークベルト・ヴィッツレーベン。
 かつての少年の名は――。
111創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:00:45 ID:Ws2vMZeG
>>103
降伏寸前まで追い込んで仲間割れ起こす姿が想像できる。
11229/29:2009/02/09(月) 21:00:48 ID:B9JEjE9B


 諸君。
 奴の敗北を喜ぶな。
 世界は立ち上がり奴を阻止した。
 だが奴を生んだ雌犬がまだ発情している。

 とある詩人の言葉。

 学園島戦記譚 第二部 -死闘編- Ende
113創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:02:41 ID:UGlHp7WP
(;´Д`)ハァハァ

マイコが偽装パンターに乗ったり、魔道兵と赤軍夢のコラボが実現するわけですな
11475 ◆kkZO9WMBek :2009/02/09(月) 21:02:52 ID:B9JEjE9B
投下終わり。
第二部はここまで。

第三部はプロット出来ているので、今月中には投下できるかと。
んじゃ名無しに戻ります。
115創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:03:46 ID:tmeU4Gby

マジカルPPsh41を持って督戦する魔道兵とかでるのかしら?
魔道兵「命令に従わなかったものは射殺する! この線を一歩でも下がった者も射殺する!」
116創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:04:52 ID:BWaZsvJm
ちょ、対本国工作が終わる前に殺る気満々ですか!?
117創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:06:39 ID:+932Qrpx
エーリヒ「朝はコーヒーに攻撃魔法の香りだ」
マイコ 「OK、ファッキしようじゃねえか(股を開く)」
118創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:08:13 ID:N0BmxYzu
条約軍にはトート機関のように地味に戦線を支える組織はあるんだろか。

あと国民突撃隊は…
119創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:09:29 ID:bXTo0bIw
本国の徴兵年齢も引き下げられてるのか

正規軍の編成についても気になりますな
120創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:11:00 ID:cJk2E/Uk
KJ師団の師団長はエレナが務めるそうだが、彼女魔道兵なんだよな。

どんな経緯で任命されたんだろ?
121創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:11:41 ID:1ikwgB2v
ロンメルを誰も語らないから不思議だ
122創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:13:24 ID:JBSaNsyB
>>114
夏季攻勢は学園島版バクラチオン攻勢とノルマンディ戦を合わせた感じですか?
123創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:15:17 ID:foSB/aRZ
史実のツィタデレ作戦では
「突出部へ先制攻撃」か「防衛戦の後に反撃」の議論の末
総統が先制攻撃を主張して先制攻撃で決定
その後独軍内のスパイのためパック・フロントを構築され史実のようなことになった。
124創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:18:25 ID:lPQ5y9M0
マイコ 「この料理は最高ですよ」
エーリヒ「うん・・これなんて料理ですか」

マイコ 「エレナ」
エーリヒ「ブゥ!!」
125創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:24:25 ID:Rpdhqiis
>>121
実はロンメルさんはあまり好きじゃなかったりする。
126創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:24:57 ID:PI82l4VP
              _,,. -‐ '''''""""""'''ー 、,
           ,.r "            、 ` 、
          /               )、、 \
        /                ノ ヽ   ヽ、
        /                ル'   ヾ   ヽ
       /                /      ゙i,   ゙i
       j              ,ィ/      ゙i,  |
      lィ'             ,ィ/j/          |  iリ
       |        /l /          '"` |  |l
       リ!     ./,ノ           _,、=''''`ヘ ,リ
        ゙!     l/   ,:-ー=‐-ミ、,,_,.ノ /(::ノ-‐)ーV´
       ヽ,/`ヽヽ .ト、   (;:ソ-‐)- 、,-トi´    ,ノ
       , ヘ  ゙iヽl `ヽ,r'´      ノ ヾー--‐''゙i
      ,,.く  ゙i   ゙i    ヽ、 __,,、-'"    〉     ,!
   ハ'´  ゙!   ゙i  ,!           ´ ´    ./.......,,,,,,,,____/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ゙、゙i,__r'゙゙>ー┬-!_j      _______ ,   /;\;;;;;;;;;;;;:;;;;| 私はマイコ・パロ・ウル・パステルナーク大佐だ。       
      ,゙V" ゙ヽ;;;! l ゙!、    ゙ー一'''''"´   /;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;<  緊急事態につきヴォルクグラードの
   ,.:r''";;;;ヽ. - ''^゙~ ゙ヽ,ヽ      ,,.、-─‐- .,/;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;|  実質的な支配者となっている。
,.:r'''";;;;;;;/;;r'´  -‐‐'''"´~ヽ\   (.r‐'''""゙"''''y.);;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;;;;\_____________________
;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;|     _,,..、-‐^ヾ゙ヽ、 _,,ヽ    ,/'゙!;;;;;;;;;;;;∠、;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;j;;;;|           ,⊥,     ゙i    :レ' ゙!;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;!;;;:;|        -‐''"´  ゙)ゝ、、 !   !.   !;;;;;;;;;;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
127創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 21:27:01 ID:4+QOrHgo
ジークベルトは何者なんだ?

どうやらマイコの関係者に見えるが。

誰だかさっぱりわからないぞ(棒読み)
128創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 22:01:33 ID:B9JEjE9B
まとめサイトを更新

>◆pZXqJniGt6さん

SSの名前は今のところタイトル未定としてあるので、変更したかったら言って下さい。
自分で編集しても大丈夫ですよ。

>>127
きっと別人ですよ(棒
129創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 22:07:57 ID:B9JEjE9B
あと各職人さんに連絡。
キャラを使う際に混乱してしまう可能性がありますんで、軽い紹介文をまとめサイトに載せたいと思ってます。
キャラ紹介をまとめサイトに載せたい時は言って下さい。

直接Wikiを編集してくれてもいいし、ここに書き込んで俺の方での代行も大丈夫です。
130創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 22:26:45 ID:Rpdhqiis
>>129
エーリヒしっかりしなさいは出オチにも程があるので削除を希望。

holiday in the sun

“カラミテイ”・ジェーン
実は魔法少女軍事系に出た件のメリケン娘。
魔法兵装のリボルバーを使用。
真田ユキちゃんに斬られたて現在は片腕。
だけど、そのうち生えてくるかも知れない。

真田ユキ
不惜身命六文銭の異名を持つ魔法兵のポニーテール娘。
魔法で武田二十四神将を呼び出すアンさんのライバル候補。

イガさん
エロ忍者。
欲求不満だった所にジェーンを見つけてイケナイ亊をしようとしたらたまたま急所を撃たれて死亡。

これでよろしくお願いします。
131創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 23:18:16 ID:B9JEjE9B
>>130
わかりました。
削除しておきます。

キャラの方は後日、まとまった形で編集しますです。
132創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 23:33:30 ID:4+QOrHgo
75の作品はバッドエンド一択なのか?

救いは無いんですか?
133創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 08:21:56 ID:CarHx0Pp
第二部完結乙
なかなかハードなストーリーで良かった
第三部も期待。なんかもう全然救いとか無くても良いような気がしてきた
134創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 13:34:27 ID:WbcSkYZi
全てを失ったマイコ

家族や友人に囲まれたエーリヒ


あまりにも残酷な対比だな。
あとエレナは死んでから重要キャラだとわかった。
135創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 15:52:04 ID:jBNCO1xH
>>134
エレナが死亡してユーリが今まで見て見ぬふりをしていた事実が明らかになったからな。
姉のマイコがユーリを守ると自己正当化して野望に邁進してたことや、自分の幸せの影で酷い目に遭ってる人がいるとか。
良くも悪くも緩衝材だったんだろう。
エレナは姉弟の幸せを望んでいたけど、今の状況はもう…。
この勢いで行くと「これ…姉さんです」とヘルメットを(ry
136超適当謎短編 ◆NN1orQGDus :2009/02/10(火) 16:17:47 ID:Lhc+PnN1
“dashing bombing,vaguely”

――戦争は全て僕らのもの。大人のものなんかじゃない。
だから、僕らが戦う。

 滅多にない程の寝苦しい夜。
 神経の昂りもあって眠れやしない。
 僕は清潔な空気、夜風でもを吸いに行こうと狭っ苦しい寝台で上半身を起こした。 兵営の中の空気は汚い。
 着替えはしているものの、戦闘続きでマトモに風呂に入れないから僕を含めた全員が臭いし、
 誰も咎めないから吸っているタバコのヤニの匂いがベットリと肌に染み付いている。
 それだけならまだ我慢出きる。
 若い男が集まっているからなのか、オス臭くてどうしようもない。
 もっとも、僕だってやり場のない恋心を右手で発散しているんだから、人の亊は言えないけれど。

「ハンス、何処に行くんだ。便所か?」

 寝ぼけた声がもぞもぞと動いていた副長のベッドから聞こえた。

「いや、外の空気でも吸ってくる」

「そうか。ゆっくりとな」

 副長の寝ぼけた声が下卑た笑いに変わるけど、それを無視して軍靴を履く。
 薄暗闇の中で編み上げの靴ヒモを結ぶのは難しいけど、それももう慣れた。
 なるべく音をたてないようにと気をつけるけれど、歩く度にミシ、ミシとボロい床板が軋む。
 魔法を使えるヤツは足音を消すなんて簡単だろうけど、そうではない僕には難しい。
 明日皆にドヤされるだろうけど、肺が、肉体が、精神が清潔な空気を求めている。
 自分の欲求の為に遠慮するのも馬鹿馬鹿しい。
 外に出て思いっきり深呼吸すると、身体中の細胞が活性化するような感覚がした。
 ボンヤリとした三日月の下、タバコに火を着けると、紫煙が風に拐われていく。
 そして、その向こうに人影――。

「こんな夜中にどうしたんですか、機長」
「お前こそどうしたんだ、ハンス」

「タバコですよ。寝床じゃ吸っても美味くないですから」

 安いタバコの味に頓着する事もないだろ、と機長は笑った。

「緊張しないのがお前の取り柄だな」

「機長はするんですか、緊張」

 ウチで一番古株の機長が緊張するのに驚きながら、タバコを軍靴の底でにじり消した。

「そりゃあ、するさ。俺はオマエらの命を背負ってるんだ」

 口ごもる物言い。野太い声が上擦っている。

「明日はこの島で初の爆撃作戦だしな」

137超適当謎短編 ◆NN1orQGDus :2009/02/10(火) 16:18:23 ID:Lhc+PnN1
 ――初の爆撃作戦。
 地上舞台をサポートする為に敵拠点を爆撃する。
 ただ、それだけの作戦。
 世界世論が五月蝿いかも知れないけれど、戦争をしているのは俺達だ。
 味方を死なせない為にも必要――。

 晩飯前にそう訓示していた機長が弱気になっている。

「敵はジャップですよ。気にしたら負けですって」

「ジャップを焼くのは別に構わねえ」

 三日月灯りに照らされた機長が横顔を歪めた。

「なら、別に良いじゃないですか。気にしなくても」

「オマエ、ガキの時学園島の地理勉強したろ」

「まあ、人並みには」

 俺の言葉に、三日月を見上げていた機長は苦笑いしながら肩を叩いて兵営に向かう。
 後ろ姿は、心なしか小さく見える。
 そして、夜風が運んだ呟きが耳の中に入った。

「――学校で習った街を焼くのは、正直辛い」


 ――了。
138超適当謎短編 ◆NN1orQGDus :2009/02/10(火) 16:19:32 ID:Lhc+PnN1
以上、投下終了。
心理描写って難しいね。
139創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 16:44:24 ID:WbcSkYZi
投下乙
学園島で喫煙の扱いはどうなってるんだろう?

>>135
ユーリは今だけが良ければいいと思っていたんだろうな。もしくは対岸の火事的な意味合いで「悲しいことだけど俺には関係ねーや」と考えてたとか。
かなり乱暴だが、今日本から中東での紛争をニュースで見て酷いなぁ、怖いなぁと思っても大して深く考えないでしょ?
それと似た考えかと。
あとマイコも駄目人間だがエレナはもっと悪い。むしろこいつがA級戦犯。
140創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 18:09:39 ID:jBNCO1xH
>>139
喫煙は事実上の黙認ではないかな。
戦争やって人殺しやっているんだから。
逆に禁煙を徹底させることで歪みを表現できるかもしれない。

つかなんでエレナがA級戦犯?
141創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 18:18:15 ID:5rnUdUHy

軍靴の音がミシ、ミシとw
ところで学園島に学校で習うような、人が生活していた歴史のある街ってあるのかな?
142創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 18:26:01 ID:jBNCO1xH
>>141
遺跡やクレーターならたくさんありそうだが、街はどうだろう。
学園関係者や生徒の住む街ならあると思うけど歴史ある場所は無いと思う。
そもそも島の設定がみんな違うから一概に言えないけどねw
143創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 19:02:27 ID:WbcSkYZi
エレナはマイコの副官であり盟友でしょ?だったらマイコに駄目なものは駄目とはっきり言うべきだったってこと。
本文読む限りエレナはマイコに自己投影してたみたいだから、マイコへの非難=自分への非難になると思い込んでいたんだろう。
なぁなぁの関係にならないよう気をつける一方、嫌われるのが嫌で無意識のうちにイエスマン化してたと推測。
冷徹義眼みたいな人がいたらまた別だったかもしれないけど。
144魔法少女軍事系 ◆NN1orQGDus :2009/02/10(火) 20:28:49 ID:Lhc+PnN1
第二十五話『嗜好のメニュー』


 moralとmorale。語尾eしか違いませんが、その差は極めて大きいです。
 ドーバー海峡程ではありませんが、違います。
 規律と士気。どちらが大事かと言えば士気です。
 士気とはなにかと申しますと、それは嗜好品や小物だったりします。
 やはり大英帝国の人として紅茶は至高の嗜好品ですし、
 可愛いティーカップ等は紅茶の魅力をもて余す事なく引き出すための必需品です。
 他にはお酒やタバコの類いも必須です。
 質の良いブランデーを一滴ほど紅茶に垂らせば官能的な世界が広がりますし、
 タバコは背伸びい盛りの殿方のアイテムです。
 未成年がタバコやお酒を嗜なむのは法的にいけない亊だったりしますが、
 そんな亊は関係なかったりします。
 大人の都合で私たち若人が戦争をしているんだから少しくらいは大目に見て貰いたい物です。
 つまり、モラルなんてものは袋に詰めて燃えないゴミの日に出してしまうのが、
 学舎――いいえ、学園島の正義だったりします。

 前置きが長くなりましたので本題に入ります。
 実は学舎で一番人気があるのは私だと言いたいのですが、実はアンさんだったりします。
 私やビターさん、アイズさんやシャクシャインさんも人気が無いわけではないのですが、
 悔しい事に、信じられない事に、一番人気はアンさんなのです。

 そんな訳で、放課後です。
 兵士でありながらも学生である私達が寛げる時間と言えば、放課後です。
 アフタヌーンティーを楽しむ時間でもありますし、自由に羽根を伸ばして青春を謳歌する時間でもあります。
 山籠りしていたビターさんとシャクシャインさんもやっと戻って来られたので、
 今日は中庭で細やかなお茶会です。
 お日様の下でピクニックシートを広げて、そよ風が運ぶ芝の匂いを楽しみながら頂く紅茶は格別です。

「こ、これが西洋煎餅なのでありますか?」

 アイズさんは私謹製のスコーンが物珍しいのか、手に持ってじいっと眺めています。

「シャクシャイン甘いの好き」

 シャクシャインさんは小さなお口にこれでもかというほど頬張ってボリボリ食べています。

 詳細ははしょりますが、ビターさんもアンさんも楽しんでいるみたいで何よりです。

145魔法少女軍事系 ◆NN1orQGDus :2009/02/10(火) 20:29:15 ID:Lhc+PnN1
 ですが。
 首筋にチクチクと何かを感じます。具体的には視線です。
 なにやら嫌な予感がするのでそちらを振り向きますと、
何処にでもいそうだけど何処にもいそうにないビックリするほど地味なお嬢さま×3がいました。

「此方でご一緒しません?」

 お茶会は参加者が多ければ多い程楽しいので誘ってみますと、お嬢さま×3はソワソワしながら近付いてきました。
 私ではなく、……アンさんに。

「アン先生、新刊読みました」
「キャッ、アン先生に話しかけるなんて大胆な。キャッ(はあと)」
「アン先生……サインして頂けますか?」

「今はプライベートなのだわ! でも、特別にサインしてあげるのだわ!」

 アンさんは満更でもない顔で、お嬢さま×3に手渡されたアンさん謹製の同人誌にサインしています。

「アン先生のサイン本……家宝にします!」
「キャッ、アン先生と握手……一週間は手を洗えない、キャッ(はあと)」
「次回作楽しみにしてます♪」

 アンさんのサインに満足したのか私のとっておきのオレンジ・ペコーに見向きもしないで、
 お嬢さま×3はスキップしながら何処かに行ってしまいました。

「アン殿……今のは一体なんなのでありますか?」

 良く判っていないアイズさんは首を傾げます。

 シャクシャインさんはスコーンを喉に詰まらせてビターさんに介抱されています。

「今のはこれなのだわ!」

 アンさんは妖しげな感じの同人誌をアイズさんに手渡しました。

「え、これは……うわぁ……スゴいであります」

 アイズさんは、顔を真っ赤にしながら同人誌を食い入るように見ています。

 まあ、なんと言いましょうか。
 戦争に虐げられ、閉鎖された環境に抑圧されたやり場のない乙女心は、
 行き場を求めて暴走します。
 そんな暴走した妄想の行き着く先は、アンさんの作る少年達が寄り添い愛し合う同人誌だったりするのです。
 つまり、腐純真乙女の嗜好品はアンさんの同人誌だったりします。
 嗜好品とはいえども、過激な内容ゆえに何度も発売禁止の憂き目をあったのですが、
 もてあまされた若人のリビドーは何人たりとも止める事が出来ずに現在に至っています。
 そもそも、禁制品にしたら暴動が起きかねません。
 妄想暴走乙女心は常にレッドゾーンなのです。

146創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 20:29:33 ID:jBNCO1xH
>>143
確かにそうかもしれない。 
エレナは敗北を確信した時、エーリヒを道連れに死ぬと考えないで生き残ろうとした方が良かっただろうね。
そうすれば今の最悪の状態にはならなかったはず。


ここまで書いたけどエレナを死地に送り込んだ時点でマイコの人民生徒会潰しフラグが立つな。
あーでもやっぱり救いがないw
マイコはヴォルクグラード手に入れたけど何も問題解決してないもん。
147魔法少女軍事系 ◆NN1orQGDus :2009/02/10(火) 20:29:35 ID:Lhc+PnN1
「え、まさか……うわぁ……こんな所までモロに……。素晴らしいのであります」

 なんということでしょう。
 アイズさんも汚染されてしまいました。腐った蜜柑が増殖です。
 朝敵のあだ名が泣いていますが、朝敵だから仕方ないのかもしれません。

「うわぁ……スゴい……うわぁ……」

 結論から申しますと、大日本帝国には男性同士で愛し合うという事が一般的な風習だったらしく、
 アイズさんも同人誌を作る事になりました。
 サークル名は日英同盟だそうです。
 アンさんに言わせると、アイズさんが書く日本人の■■はもの凄い●●らしくて、
 その凄さたるや、大英帝国の殿方が自信を喪失しかねない程だそうです。
 やりますね、大日本帝国。
 どうしようもありませんね、日英同盟(サークル名)。

 そんな訳で続きは次回のお楽しみ。


――To be continued on the next time.

148魔法少女軍事系 ◆NN1orQGDus :2009/02/10(火) 20:30:41 ID:Lhc+PnN1
魔法少女軍事系投下終了。
色々と試行錯誤中。
149創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 20:36:18 ID:Lhc+PnN1
>>141
チラシの裏に書いた設定によると、学園島はアトランティス大陸の一部らしい。
150創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 20:36:58 ID:jBNCO1xH
>日本人の■■はもの凄い●●らしくて

oh! HENTAI!wwwwwww

このスレの作品って海外受けしそうだなと言ってみる。
理由?
知らん!
151創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 20:42:12 ID:5ETr65Rr
アトランティス支部とレムリア支部と蓬莱支部があるんですね
152創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 21:17:42 ID:5rnUdUHy
ウwタwマwロww
153創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 01:39:04 ID:s/jCENDH
一日に30kbしか書けないって辛いな
154創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:28:37 ID:PgksbIkH
アンさんに、アンさんに汚染されてしまいましたわ〜
155創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 12:34:57 ID:P4WUPOv1
アンアンアン♪
とっても大好き♪腐純同性接触
156創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 21:55:13 ID:cNJnKye4
ビターさんVSエレナ
アンさんVSマイコ
パトリックちゃんVSエーリヒ

学園島スレ三本勝負とかどうよ。
157創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 00:13:29 ID:I5aZYxFh
>>156
マイコは負けそうになるとトランザム使うからアンさんより強いかも
158創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 00:47:54 ID:BqRuUu30
世界観が違うから一概には言えないけど

現状だとビターさんはエレナよりも弱いけど生きてるから成長して勝てるようになるかも

マイコに精神攻撃耐性がなければアンさんによって腐女子にされるかも

パトリックちゃんはエーリヒを見て片目のあの人を思い出してガクブルするから勝てないかも

159創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:44:00 ID:oe70ktBa
このスレの住人が好きな商業作品が気になる俺。
160創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:45:31 ID:pHKUv9Pc
みつどもえ
161創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 20:50:28 ID:oe70ktBa
ガチレンジャーか
162創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:10:09 ID:BqRuUu30
みつどもえとイカ娘
バキは見ない
163創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:11:36 ID:oe70ktBa
けっこうチャンピオン好きな人多いのね。
164 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:27:42 ID:5Ra7WWK8
>>163は田中先生と見た

俺は…サン・テグジュペリとかパール・バックとか好きね
漫画はよくわからん
165創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:35:45 ID:oe70ktBa
>>164
あの人の作品は銀英とタイタニアしか読んだことないんだ。

好きな作家はパウル・カレル。
好きな漫画は・・・広江礼威さんと平野耕太さんの作品かな。
166創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:39:36 ID:I5aZYxFh
バイオレンスな作品が好きなんだなw
167 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 21:41:26 ID:5Ra7WWK8
>>165
くどいようだが「七都市物語」是非読んで欲しい
168創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:01:46 ID:iUP84jij
イカ娘おもしろいね!
169創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:15:49 ID:BqRuUu30
ガンダムなら閃サハが一番だな
あさのあつこや有川浩も好きだ
マンガなら辻灯子や林志弦が好きだったりする
170創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:31:32 ID:BqRuUu30
間違えた閃ハサだった
駄目だもう寝よう
171創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 23:08:26 ID:oe70ktBa
>>167
今度探してみるんだぜ
172創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 15:36:38 ID:y8EX9esC
パウル・カレルとは……やっぱりなと言わざるを得ない
僕はガンダムとヒギンズと沖方が好きです
173創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 16:19:31 ID:9FD71iSg
ヒギンズ繋がりで魔女は舞い降りたとかどうかな
174創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 01:04:29 ID:j9AgaZgy
さて、マイコがこの先生き残るにはどうしたらいいか考えよう。
175創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 11:34:43 ID:j9AgaZgy
>>174
心温まるハッピーエンドをご用意していますのでご安心あれ!
学園島戦記譚 -第三部- 本日21:45分から投下します。

これ聞いてお待ち下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=KkObnNQCMtM&feature=related
176創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 12:28:47 ID:FXLJCaU4
絶対イデエンドだろw
177創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 13:54:10 ID:sB5bHx8D
>>175
人間のクズ乙です
盗作者さんは他人の著作物を自分の物のように扱うのがお上手ですね
178創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:02:07 ID:AacZQknQ
>心温まるハッピーエンド

おいwwwwwwwww
179魔法の歌姫に纏わる物語 ◆QpuCA.Wo6g :2009/02/14(土) 21:27:29 ID:56efDTmF
ねえ、みんな。
元気してた?
私はね。
ちょっとした。
任務に就いてたの。
ドイツの。
歌を。
歌ったの。
一見すると。
ドイツ称賛。
でもね。
深い意味があるの。
色々。
考えてみて?

『じゅわわ!!フランクフルト』

ぱっくんぱくぱくぱくりんちょ
なんでもかんでもぱくりんちょ
ぱっくんぱくぱくぱくりんちょ
おもしろそうならぱくりんちょ

フランクフルトを頂戴な 貴方の凄いの頂戴な
美味しいミルクを頂戴な 貴方の濃いの頂戴な
素材を活かして頂戴な アイディア活かして頂戴な
真実明かして頂戴な だんまりやめて頂戴な
過剰な宣伝いらないわ 美味しければそれでいい
安易に使うの避けましょね 自分の味付け加えてね
自分の腕で勝負して 言い訳なんか要らないわ
楽しいことは大好きよ だから知りたい真実を

ぱっくんぱくぱくぱくりんちょ
なんでもかんでもぱくりんちょ
ぱっくんぱくぱくぱくりんちょ
おもしろそうならぱくりんちょ


私の気持ち。
伝わった?
18075 ◆kkZO9WMBek :2009/02/14(土) 21:45:13 ID:j9AgaZgy
投下きてれぅー。
この文体って独特だけどベースになっているものはあるんだろうか?
結構聞いてみたかったりする。

それでは学園島戦記譚 第三部 凋落編をお送りします。
学園島戦記譚の完結編です。
1811/130:2009/02/14(土) 21:46:03 ID:j9AgaZgy
学園島戦記譚 -凋落編-

プロローグ

 死臭と火薬の匂い。銃声と悲鳴。
 自分の名前も知らない『少年』にとって、それが世界の全てだった。
 それ以外の世界を『少年』は知らず、それ以上の世界もそれ以下の世界も知ることは無かった。
 親の名前は何と言ったのか――自分は何処で生きているのか――そもそも、どこなの?
 もう何も思い出せない。調べる方法も、理由も無いのだが。 
「うわっ!」
 転がっていた瓦礫に足元を掬われて、『少年』は地面に叩き付けられた。
 すぐ近くで銃声と悲鳴が聞こえてくる。
 銃撃によって悲鳴がかき消されるたび、『少年』は額に大粒の汗を浮かべ、押し寄せる嘔吐感を必死に抑えようとした。口の中は胃液臭く、鉄の味がした。
 額の汗を『少年』は拭い、身を伏せて走り、崩れかけた石壁に背を預けた。
 ふと足元を見ると、小さな頭蓋骨が乱雑に転がっていた。自分の未来の姿ではないのかと『少年』は胸中を潰されそうになる。
「父さん……母さん……助けて……」
 逃れようのない『死』を突きつけられて、『少年』は青い目から大粒の涙を零した。だが、誰も助けてはくれない。
 最後に大人を見たのはいつだっただろうか?
 少なくとも、『少年』が思い出せる範囲で、自分に良くしてくれた大人の姿も、声も聞いたことはない。
 "星"が落ちてきてから、今まで見てきた大人達はみんな『少年』を殺そうとした。
 ある者はナイフで、ある者は銃で、ある物は石を用いて、『少年』を殺そうとした。
「助けて……怖いよ……」
 その場にしゃがみ込み、『少年』は震えた。
 死ぬのが怖い。
 その言葉だけが、今ある全てのことを表すに十分な言葉だった。
「嫌だよ……死にたくないよ……」
 足音が近付いてくる。
 金属同士のぶつかり合う音。
 荒々しい息遣いの音。
 自分達に向けられた怒声。
1822/130:2009/02/14(土) 21:47:03 ID:j9AgaZgy
「嫌だ……!」
 もう、自分が殺されるまで間もない。少年はあらゆる可能性を模索したが、もうどうしようも無かった。
 大丈夫。
 大丈夫だよ。
 私が守るから。
 何かが聞こえた気がして、『少年』は空を見上げた。
 一条の光が灰色の雲を突き破ると、大地に、幾つもの光の球が浮かんでは消えた。
 一切の悲鳴や怒声、銃声が消え去り、周囲に不気味なまでの静けさが訪れた。
 一体何が起こったのか?
 低い、灰色の澱んだ空を『少年』は見上げる。
「あれは……?」
 空に輝く翼が見えた。
 天使を思わせる、光り輝く四枚の翼。
 輝きの中に、『少年』は魔女を見た。
 体は白いローブで覆われ、黒い髪が靡いている。
 顔は反射でよく見えない。
 ただ、赤い双眸が影の中で悪魔の如く光っているのが見えた。
「魔女……?」
 忘却の彼方から『少年』は断片的な記憶を引き出し、その言葉を発した。 
 恐らく、先ほどの魔女の一撃のせいだろうか、周囲は火の海と化していた。
 『少年』のすぐ側まで迫っていた戦車は溶解し、乗員の死体がその傍で燃え盛っている。
 『少年』は、空の魔女に視線を戻す。
183創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:47:20 ID:AacZQknQ
支援
/130っておいwwww
1843/130:2009/02/14(土) 21:47:34 ID:j9AgaZgy
「綺麗だ……」
 少年は美しさに呆気に取られた。
 もしかしたら、魔女は自分の命を握っているのかもしれない。
 だが、少年は今、魔女に殺されるならそれでも構わないと思い始めていた。
 ついさっきまで死への拒否を願っていた少年は、今や"魔女"という存在に心を奪われてしまっていた。
 迎えに来たよ。 
 言葉ではない。
 『少年』の頭の中に直接、魔女が呼びかけてくる。
 魔女は満足げに微笑む。
 どこか寂しげで、どこか嬉しさを含んだ笑みを浮かべ――。
 地面に降り立ち、『少年』の頭にそっと手を置く。
「助けに来たよ。ユーリ」
185創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:48:07 ID:XVerEP5J
130たァふるったねえwwww支援
1864/130:2009/02/14(土) 21:48:07 ID:j9AgaZgy
第一章


 
 午前四時の世界が青白く変色していく。
 学園島の草原に朝日が立ち上らんとしていた。
 冷たさを過分に含んだ風が青々と生い茂る草を揺らし、木に残っていた僅かな葉を散らせた。 
 ぽつんと赤錆びた電柱だけが、風の音鳴る草原の中から伸びている。
 午前五時になった。
 火砲の轟きが大地を揺るがすと、静寂の世界が消滅した。
 砲声、火閃、土煙、黒煙が重なり合って共鳴する。
 トラックに発射機を載せただけのカチューシャ・ロケットは、凄まじい炎の尻尾を引くロケット弾を間髪入れずに吐き出した。
 砲口の彼方では火と鉄の暴風が荒れ狂い、まるで地獄の釜が開いたようだった。
 午前六時になった。
 搭載能力一杯の爆弾やロケット弾を積んだ地上攻撃機が砲兵隊の上空を通過していく。
 聞く者の神経をズタズタにするような爆音を響かせながら、地上にいる"敵"めがけて破壊を行使した。
 閃光が煌くと同時に、黒煙が巻き起こった。
 流されていく煙の中から戦車と歩兵の群れが現れた。
<<中隊各車へ。損害に構うな。何としても前進を続けろ!>>
 年若い兵士の誰もが顔に必死の表情を張り付けていた。
 彼らは滅多に壊れないppsh短機関銃を持ち、カーキ色の戦闘服を着用している。
 ヘルメットは塗装が所々禿げかかっていた。 
<<あれか……>>
 兵士達の視線の先に、異形の砲台がある。
 周囲が明るさを増していくにつれて、おぞましい姿が露になった。
 天を貫くばかりに伸びた砲身が兵士達に得体の知れない恐怖を与えた。
<<なんとしても、あの巨大砲台を破壊するんだ!>>
 ヴォルクグラード人民学園の地上部隊は全速力で前へと進む。
<<我々の問題は我々が解決する!>> 
1875/130:2009/02/14(土) 21:49:18 ID:j9AgaZgy


 学園島における勢力図は今、大きく変動していた。
 西側を代表するドイツ系のアヴィリオン学園を中核とした西方条約軍と、東側を支配するロシア系のヴォルクグラード人民学園がかつて戦いを繰り広げていた。
 だがヴォルクグラードの内部抗争で勝利したマイコ・パステルナーク大佐率いる一派――通称『自由革命軍』は旧体制を打ち倒し、実質的な権力中枢を掌握した。
 マイコの独裁政治に反発する多くの生徒は学園を離脱、反乱軍としてかつての旧友達と矛を構えていた……。
1886/130:2009/02/14(土) 21:49:47 ID:j9AgaZgy


 戦いは続いている。
 ヴォルク軍のロジーナ戦車が発砲する度、彼方で大地が大きく抉られた。
 空高く伸びた硝煙が風に流れていく。 
 あちこちで爆煙と土砂の混ざり合ったキノコ雲が上がった。
 日が昇った頃、戦場は暗く陰鬱なものになっていた。
 陽光を、厚い煙が完全に遮ってしまったからである。
<<あと僅かだ!>>
<<六号車、注意しろ!>>
 最先頭の戦車数台が停車し、砲門を巨大砲台に向けた。
<<落ち着いて狙え>>
 突然、赤い一閃が戦車の上面装甲を貫いた。
<<なんだ!?>>
 戦車兵の声は連続する爆発音と、次々に飛来する閃光の着弾音でかき消された。  
 隊長車が激しく乱打され、炎に包まれて四散した。
 灰色の爆煙が周囲に湧き上がり、泥の塊や岩が空中に放り投げられた。
 次に煙の中から青い粒子の光跡を残して、"影"が飛び出した。
<<て、敵魔道兵部隊、出現!>>
 現れた"影"の正体にヴォルク兵は蒼白となる。
 魔道兵はOver Technology of Meteorite――地球に落着した隕石の中に含まれていた未知の技術を用いて作られた特殊動力機関マナ・クリスタルを体内に埋め込んだ兵士達だ。
 あらゆる兵器と比較して全ての面で数世代を先んじ、単体で一個連隊にも匹敵する。
 単独での飛行が可能であり、クリスタルに含有されるエネルギーを一方向もしくは全方向に展開することで強固な防御フィールドを形成可能できた。
 簡単に言えば『戦車の装甲と火力、戦闘機の機動性と速度を人間サイズで実現した兵器』である。
189創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:50:13 ID:AacZQknQ
あら
書き出し案外いいかんじ?
支援
1907/130:2009/02/14(土) 21:50:51 ID:j9AgaZgy
<<集中砲火で対処しろ!>>
 戦車隊と歩兵はありったけの火力を魔道兵に浴びせるが、かすりもしなかった。
 魔道兵は射線から体を巧みにずらしたかと思うと、手にしたマナ・ライフルで反撃する。
 青い光の弾丸で撃ち抜かれた兵士の頭の反対側が吹き飛び、脳漿と粉々になった頭蓋骨が混ざって散る。
<<クソ! 撃て! 撃て!>>
 ヴォルク兵の悲壮な戦い振りとは裏腹に、魔道兵は易々と兵士を、そして戦車を無力化する。
 人間サイズの大きさで、尚且つ高い機動力を持つ魔道兵を撃墜するのは容易ではない。
<<お前らとはダンチなんだよ!>>
<<旧世代の遺物がッ!>>
 対照的に飛行可能な魔道兵からしてみれば、地べたを這いずり回って攻撃するしか能の無い敵を倒すのは安易極まりない。
 魔道兵が駆ける度、戦車は一台、また一台と撃破されていった。
 地上に鉄の骸が折り重なる。
 戦車は熱で溶けて奇妙な塊に変わり、酷いものになると肉の塊と一体化してしまっていた。
 焼け焦げる兵士の遺骸から異臭を放つ煙が立ち昇り、戦場を覆い尽くす。
「母さん……痛いよ……助けてよ」 
 内臓を撒き散らして這う瀕死のヴォルク兵の頭を、少女の細い足が踏み潰す。
 幼さの残る顔を赤黒く染めながら、魔道兵は口元を歪めた。
「原始人はさァ」
 力強く踏み締めると、神経を刺激されて首の無い兵士の手足が歪に動いた。
「獣でも狩ってりゃいいんだよ」
191創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:51:48 ID:XVerEP5J
紫煙
1928/130:2009/02/14(土) 21:51:54 ID:j9AgaZgy


 ヴォルク軍の野戦指揮所――ハーフトラックには引っ切り無しに前線から戦況が伝えられた。
 それらの殆どが耳を削ぎ落としたくなるような絶望的報告だった。
「第二戦車中隊及び第五狙撃兵連隊、魔道兵に阻まれ前進不能」
「第九戦車中隊、残数三両!」 
 ヴォルク軍指揮官であるウラジミール・ニーホフは即座に指示を出す。
 重砲による砲撃を加えて魔道兵を足止めし、損耗した部隊を一旦下がらせて再編成させる。
 後退を装って魔道兵の突出を誘い、集中砲火を浴びせた。
「まずいな」
 ニーホフは自分にも聞こえないぐらいの小声で言う。
 かつてはヴォルクグラード軍の良将として知られ、"大人"としての責務を果たしてきた。
 だが歴戦の老将に才覚や経験を以ってしても、今の戦況は絶望的だった。
 マイコ・パステルナークが提唱したオール・ウィッチ・ドクトリン――魔道兵を主力とした戦術――は凶悪なまでの有効性を発揮していた。
 極めて高い機動力は戦線を流動的なものに変えた。
 通常ならば二つの部隊が必要なところを、魔道兵は早急な移動によって一部隊で済ませられる。
 加えて行動が個人裁量に任されているため、戦術レベルで柔軟な対応をすることができるのだ。
 指揮官から命令を伝えるまでのラグも存在しない。
「我が軍は総兵力の四十%を喪失!」
 魔道兵の存在は『量は質に勝る』という問題に、『あまりにも大きい質の差を量で補うことはできない』という強引な回答を与えた。
「部隊を一度下げる。砲兵の制圧射撃で魔道兵を抑えつつ、後退」
 ニーホフは攻め倦んだ。
 苦戦する理由は兵器そのもの質だけではない。
 ヴォルク軍がひたすらに前進して砲台を破壊しなければならないのに対して、革命軍は迫り来る敵を撃破すればいいだけだ。
 もし魔道兵が全滅してしまっても砲台は残るが、ヴォルク軍は全滅すれば何もかもが終わる。 
「砲台に高熱源反応を確認!」
 ニーホフは即座に対応する。 
1939/130:2009/02/14(土) 21:52:26 ID:j9AgaZgy
「全ての砲兵火力を砲台に集中させるんだ。急げ!」
 砲台に向けて、数百門の砲による一斉射撃が始まった。
 精度など考えもしない。
 一発でも命中してくれればそれで良かった。
 地鳴りにも似た砲声と共に、鉄と火の暴風が巨大な砲身目掛けて降り注いだ。
「着弾まで五……四……」
 通信手が三、と数えた矢先に異変は起きる。  
 前線で戦っていた魔道兵部隊が一斉に後退を始めたのだ。
 ニーホフは双眼鏡の中で、青い光跡が幾多の線を描いて砲台へ戻る様子を見た。
<<砲撃来るぞ!>>
<<各員、対砲兵防御。防御結界を連携状態で繋げろ!>>
 魔道兵は砲台の周囲を取り囲み、円形陣を敷いた。
 体が発光すると、光の壁が繋がりあって砲台を覆った。 
<<弾着……今!>>
 大きく広がった光の壁に砲弾が落着する。
 眩い閃光が連続して炸裂し、爆発音がそれに続いた。 
 一人の魔道兵が衝撃で結界を強制解除され、爆風と破片で四散した。
 そして砲撃は十分間、休むことなく続いた。
「やったか?」
 黒煙が生暖かい風に流されていく。
 むせ返るような硝煙の臭気がニーホフのいるハーフトラックまで漂ってきていた。
「いいえ……」
 無線手が弱々しく首を振るのと、流された煙の中に無傷で聳える砲身と魔道兵の群れが現れたのは同時だった。
 第ニ撃、第三撃の砲撃も同じように防がれ、ヴォルク軍は傷の一つすら砲台に与えることができなかった。
 絶望に近い感情を覚えながら、ニーホフは思う。
 象に立ち向かう蟻の心境とは、こういうものなのか――と。
194創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:52:46 ID:UZKROP4r
 
195創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:53:15 ID:AacZQknQ
>>186
いいかんじの風景描写かもだ
支援
196創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:53:37 ID:XVerEP5J
支=ア援
197創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:54:38 ID:AacZQknQ
>>190
こういう魔道兵は嫌い><
支援
198創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:56:00 ID:AacZQknQ
>>192
まあ空中機動部隊だもんな
運用間違えなければ、強くないほうがおかしい
199創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:59:20 ID:AacZQknQ
>>193
結界はグループ結界みたいなこともできるんだの
200創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:59:51 ID:AacZQknQ
微妙にさるさん?
20110/130:2009/02/14(土) 22:00:45 ID:j9AgaZgy


 ヴォルク軍の砲撃が止むと同時に、革命軍の反撃が始まった。
 巨大砲台"ヴォエヴォーダ"――ロシア語で戦士を意味する巨砲が稼動を開始する。
<<敵の砲撃が止みました>>
<<了解>>
 砲身基部のエネルギーユニットが光を帯びた。
 砲口が上下にスライドし、砲身が伸長される。
<<ヴォエヴォーダ、砲撃準備完了。魔道兵は射腺軸上から退避せよ>> 
 基部にあるマナ・クリスタルが激しく振動する。
 魔道兵に用いられるものに比べて著しく巨大だった。
 かつてマナ・エネルギーを研究し魔道兵を実用化したヤゴダ研究所は、更なる隕石落下の可能性を考慮して、マナ・エネルギーを使用した迎撃兵器の建造を開始した。
 研究所はまだ名付けられていなかった学園島で基礎工事を開始したが、建造は魔法技術の不透明さや資材不足によって遅々として進まなかった。
 学園島戦争の開戦が決定的となり、建造は無期限停止となった。
 その後は暫く放置されていたが、ヴォルクグラード人民学園書記長ディミトリ・カローニンによって秘密裏に開発を再開、一九四三年の年末にはほぼ完成した。
 ディミトリの死後は革命軍によって占拠され、今まさに初の砲撃を行わんとしていた――。
<<砲撃が来るぞ! 散開!>>
 ヴォルク軍は異変に気付き、隊列を崩して散ろうとする。
 それは無駄な努力だった。
20211/130:2009/02/14(土) 22:01:17 ID:j9AgaZgy
<<撃て!>>
 ヴォエヴォーダの砲口から青白いマナ・エネルギーの潮流が迸った。
 圧倒的なまでの破壊と殺戮を過剰に含んだ光の渦は、建物数個分の深さまで泥の大地を抉り取る。
 戦車が、歩兵が、砲が、一切の苦痛や反応を与えずに塵へと変えられた。
<<砲撃終了。砲身冷却に入れ>>
 砲身や砲台のあちこちから蒸気が吹き上がる。
 砲撃は十秒にも満たなかったが、射線上は半円形の窪地が遥か彼方まで走っている。
 窪地の周囲には溶解して黒焦げになった戦車や砲身の捻じ曲がった野砲、手足の生えた黒炭が幾つも転がっていた。 
<<これは……悪魔の光じゃないか……>>
 恐怖したのはヴォルク軍の兵士ではなく、革命軍の魔道兵だけだった。
 ヴォルク兵はもう残っていなかったからだ。
20312/130:2009/02/14(土) 22:01:48 ID:j9AgaZgy


 指揮所にいたヴォルク兵の全てが、突きつけられた現実を受け入れられなかった。
 誰もが口を大きく開け、唖然としていた。
「残存兵力を結集せよ。我が隊はこの戦域より撤退する」
 ニーホフは苦々しく告げた。
 もはや、どう足掻いても勝てる状況ではない。
 革命軍は巨大砲台を稼動させ、ヴォルク軍は壊滅的な打撃を受けた。
「閣下! こうなったら最後の一兵に至るまで、突撃を敢行すべきではありませんか!」
「駄目だ。玉砕は敵の思う壺だ」
 無謀な突撃を訴える兵士の訴えを一喝して、ニーホフは配下の全部隊に撤退を命じた。
 再編成を終えた戦車隊が殿となり、砲兵隊と協力して追撃を阻止する手筈だ。
 だが敵はこちらの思い通りに動いてはくれない。
「敵魔道兵、防空網を突破!」
 弾丸の豪雨を掻い潜って魔道兵が指揮所目掛けて突入を図った。
 防御結界を四方に展開して周囲に炸裂する高射砲弾や機関砲弾から身を守っていた。
<<クソ! 落とせ!>>
 戦車の車載機銃や歩兵の小銃、将校は拳銃まで抜いて魔道兵を迎え撃った。
 代償として魔道兵は左腕を失うも、勢いのままにニーホフのいるハーフトラックに取り付いた。
204創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:02:00 ID:XVerEP5J
しえんしえん
205創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:02:16 ID:UZKROP4r
 
20613/130:2009/02/14(土) 22:02:52 ID:j9AgaZgy
<<左手一本分にはなる!>>
 背中の噴射口から粒子を吐いて距離を取り、右腕に携えたマナ・ライフルを向けた。
 若い少女の口元に赤い舌が這うのを、ニーホフははっきりと見た。
 銃口の奥に青い光が見えた。
<<ご老体は墓場の中で眠っていろ!>>
 刹那、金属が拉げる時と似た砲声がニーホフの耳に入った。
 砲弾の擦過音。
 マナ・エネルギーの放射で焼き尽くされる代わりに、ニーホフは血と骨の破片が混ざり合った液体を浴びた。
 目を開くと、下半身だけになった魔道兵が地面に横たわっていた。
「閣下! 増援です!」
「増援? もう我が軍に予備兵力と呼べるものなど残ってはおらんぞ」
 無線手は喜び半分、困惑半分で答えた。
「ヴォルク軍ではありません。条約軍です!」
20775 ◆kkZO9WMBek :2009/02/14(土) 22:03:16 ID:j9AgaZgy
投下終わり。
今日はここまで。
以後は名無しに戻ります。
208創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:04:04 ID:AacZQknQ
おおう
お疲れでしただ
209創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:05:10 ID:j9AgaZgy
>>208
支援ありがとう。
つか130とかおかしいわこれw
210創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:07:24 ID:UZKROP4r
130すげえw
とりあえず感想は全部終わってからにしようかな?

お疲れ様!
211創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:08:33 ID:AacZQknQ
>>209
やばいねwwwwww

むうう、ここで条約軍来るとか。。。ご老体死ななくてよかった><
212創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:08:44 ID:j9AgaZgy
>>210
どちらでもどうぞw

これが投下終わったら第一部〜第三部を見直してディレクターズ・カット版を作るつもりです。
なのでどんどんおかしい点とか修正すべき点を言ってくれると嬉しい。
213創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:09:25 ID:j9AgaZgy
>>211
ハートフルストーリーなのでお年寄りは労わります!

ホントだよ!!!!!
214創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:09:56 ID:AacZQknQ
うん、労わってねwwwww
215創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:13:22 ID:FXLJCaU4
殺す気まんまんだろwwwww
216創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:16:49 ID:lOXRD+Yg

最近NNさんや“特攻”の人の人の投下がなくてさみしいわあ
217創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:22:06 ID:56efDTmF
>>212

質問があるの。
>>180で。
『きてれぅ〜』って。
あるけど。
どう発音するの?
気になるな。
何となく。
スイーツ(笑)な。
女子高生が。
自分を。
可愛くみせようと。
してるみたいね。
それで。
この文体は。
往年の。
コバルトや。
ホワイトハートで。
流行っていた。
文体よ。
乙女はね。
胸で。
呼吸するの。
一行が。
一息分。
素敵でしょ。
218創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:26:53 ID:j9AgaZgy
>>217
きてれぅ〜は、きてる〜と…似たような感じ。
確かきてるぅ〜が発音の違いできてれぅ〜となっていたらしい。

>文体

昔のコバルトってそんなんだったんかw
教えてくれてありがとう。
219創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:30:03 ID:is41zk6R
最近魔女のS気が強くて不覚にも興奮してしまう
220創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:35:51 ID:lOXRD+Yg
暇だからキャラ人気投票でもするか
221創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:37:43 ID:56efDTmF
>>218
解答ありがとね。
『らしい』って。
伝聞推定で。
返って来るなんて。
思わなかったわ。
驚き。
桃の木。
山椒の木。
ブリキに。
狸に。
洗濯機。
因みに。
コバルトの。
黄金期は。
氷室冴子が。
活躍してた頃よ。
222創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:41:45 ID:FXLJCaU4
氷室冴子って亡くなったんだよな…
223創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:45:55 ID:n0E0iHdi
総合的に見て、最適な武器は、ウェザビー460マグナム口径のマークXライフルでしょう。
魔道兵に対しても充分効果的だと思います。
ウェザビー460マグナム弾は、ハンティングライフルとしては最強です。
地上最大の哺乳類であるアフリカゾウをも1発で倒す威力があります。

象撃ち用の大口径としては、600や700などのニトロエキスプレスなども有りますが、弾速の遅さから来る
浸透力不足や、総合的な初速エネルギーから考えても、狩猟用としては、460は最強の弾薬と言えるでしょう。
軍用の50口径バレットライフルなどは、携帯性から考えても、13.5キロもの銃を担いで動きのある動物に挑むバカはいないでしょう。
460弾は厚さ2センチのT1という材質の防弾性を有する、メタリックターゲットに使われる鋼鉄を貫通する程の威力を持ち、厚さ7センチにも及ぶ、アフリカゾウの頭蓋骨を貫通します。
375H&Hマグナムでさえ、捕鯨船に積んで行き、捕鯨砲でとどめを刺すことの出来なかった鯨を殺すのに使われる程の殺傷力が有るのです。
デザートイーグルに使用される50口径アクションエキスプレス弾は、人間の腹部に命中すれば、胴体がちぎれる程の破壊力と言われますが、単純にウェザビー460マグナムは、エネルギーにしてその5〜6倍です。
その威力は創造を絶する物でしょう。

要するに、アフリカなどの大型動物に使われるような大口径ライフル弾は、銃器の知識が無い方が考えられている寄りも、ずっと強力な物だという事です。
そのアフリカ象をも1発で倒し、急所に命中すれば鯨も仕留めれる大口径マグナムライフルは魔道兵相手にも充分対抗出来る武器だと思います。
224創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:47:44 ID:n0E0iHdi
自分はカナダ国内において実際に460マグナム口径のMarkX他数丁の
ハンドガン、ライフルを所有しています。

水を満タンにした200kg以上のドラム缶を撃てば、中に跳ね上がり表面が
大きく張り裂ける威力を目の当たりにすれば、魔道兵相手にも充分通用しうる
武器だということが納得できると思います。

国内の話しですが、308程度のライフル弾でさえ、鹿の頭部に命中して頭が
破裂することも有ります。

ちなみに、私がカナダの射撃場において、銃弾の威力テストに使う
一辺が1m四方の樹脂(粘土に近いもの)に460wbymagを撃ち込んだところ、
真っ二つに切断すると一番広い所で直径約70cmの穴が開いていました。

入り口と出口は10数センチ程度ですが、真ん中あたりの損傷はそれぐらい
大きいものでした。
もちろん、クレイやバリスティックゼラチンも体組織と同じ性質では無いので
生物のそれに全く同じ効果が期待できるとは言いませんが、破壊力の目安程度にはなります。

460Weatherby mag FMJ(フルメタルジャケット)の場合、着弾時に
変形しにくいように表面のカッパー(銅のコーティング)とレッド(鉛)
の間にスチールが入っていますので、前述した様に、その貫通力は
常軌を逸したものなのです。
225創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:48:16 ID:n0E0iHdi
初活エネルギーですが、Weatherby MkXRifleに使用される弾薬は、1つの口径につき
幾つかの弾頭や火薬の種類が選択できますが、代表的なデーターを記して置きます。
目安くらいにはなると思います。
ちなみに銃口エネルギーに関しての比較では460weatherbyのパワーは、
45ACPの約25倍、44マグナム弾の約10倍程度となります。

460weatherby FMJ
弾頭重量 500gr
使用火薬 IMR 4350
薬量 124 grs
銃口初速 2774 fps
エネルギー 8525 ft-lbs
TKO 90.75
OGW 8005 lbs

.45 ACP FMJ
弾頭重量 230 grs
火薬量 5.5 grs
銃口初速 825 fps
エネルギー 347 ft-lbs

.44 Remington Magnum
弾頭重量 240 grs
火薬量 20 grs
銃口初速 1280 fps
エネルギー 871 ft-lbs
226創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:51:32 ID:mcG1G298
お前等!!書くの早いです!!
試験が終わるまで待ってくらはい!
227創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:52:03 ID:YVk6ZMJe
このスレ、何人が見てるんだ?
228創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:52:48 ID:KTuQJBos
そんなのわかるわけねぇだろ。
229創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:54:41 ID:/kpyvXGq
富士学校の編制は、校長の指揮下に、まず学校本部機能を果たす企画室、総務部、管理部がある。
また、職種に応ずる教育・研究機能を果たすため普通科部、特科部、機甲科部があり、中長期的勝総合的な研究を担任する総合研究開発部が存在する。
さらに、教育研究等の支援を担任する富士教導団、開発中の装備品等の実用試験を専門的に担任する装備開発実験隊及び富士訓練センターを運営する部隊訓練評価隊で編制されている。

富士教団の編制は、団本部付き諸隊、普通科教導連隊、特科教導隊、戦車教導隊、偵察教導隊、第110施設大隊で編成される。
基本的に、陸上自衛隊が装備する最新装備を最初に配備され、その運用について研究教育を実施する。

なお、富士山麓周辺には、富士駐屯地(富士学校、富士教導団一部が御殿場市の滝ヶ原駐屯地と山梨県南都留郡忍野村の北富士駐屯地)の他にも、陸自各部隊が駐屯している。
板妻駐屯地(第1師団所属第34普通科連隊等)、駒門駐屯地(第1師団所属第1特科隊、第1高射特科大隊、第1戦車大隊、第1機甲教育隊)等の諸部隊が駐屯している。
これらの諸隊が全力出撃する場合、装甲車化普通化連隊1個、自動車化普通科連隊1個、戦車連隊2個、特科群、その他の部隊が移動したことになり、事実上の師団規模の戦力が集中することになると考えられる。
230創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:55:02 ID:/kpyvXGq
具体的な装備の配備数や定数については公開されていないが、他の陸自部隊の編成から考察してみる。
普通科教導連隊は、本部、本部管理中隊、普通科中隊4個、対戦車中隊、重迫撃砲中隊で編成されているだろう。
特科教導隊は、本部、本部管理中隊、情報中隊、射撃中隊6個で編成されているだろう。
戦車教導隊は、本部、本部管理中隊、戦車中隊5個で編成されている可能性が高い。
偵察教導隊は、本部、本部管理小隊、斥候小隊4個で編成されている可能性が高い。
第110施設大隊は、本部、本部管理中隊、器材中隊、施設中隊3個で編成されているであろう。
すなわち、北部方面隊隷下の装甲車化普通科連隊、特科群、戦車連隊、師団偵察隊、師団施設大隊とほぼ同様の編成ではないかと考えたわけである。

第34普通科連隊も、普通科教導連隊と同様の編成であり、装甲車化ではなく自動車化されていると考えられる。
第1戦車大隊は、本部、本部管理中隊、戦車中隊3個で編成されていると考えられる。
第1機甲教導隊は、中隊規模の教育部隊であると想定したい。
第1特科隊は、本部と情報中隊の他に、直協中隊4個と全般中隊1個の5個射撃中隊編成と考えられる。
第1高射特科大隊は、本部と本部管理中隊に、短SAM中隊と近SAM中隊が1個づつであると考えられる。

なお、総火力演習時には、立川の東部方面ヘリ隊や、木更津の第1ヘリ団や第4対戦車ヘリ隊から各種ヘリが展開し、演習に協力することになっている。
他に、第1空挺団、高射教導隊、教育支援飛行隊等から部隊が支援にくる。
231創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:55:30 ID:/kpyvXGq
装備は、総火力演習時として、以下の通りではないかと推測される。
90式戦車が3個中隊40輌強、74式戦車が6個中隊80輌弱、89式装甲戦闘車が1個中隊20輌弱、73式、96式装甲車が3個中隊50両強、87式偵察警戒車が10輌前後。
M110A2・203mm自走榴弾砲が1個中隊4輌、MLRSが1個中隊9輌、74式MLSが1個中隊8輌、75式155mm自走榴弾砲が1個中隊5輌、99式自走榴弾砲が1個中隊5輌、FH70・155mm牽引式榴弾砲が6個中隊30門。
120mmRT重迫撃砲が2個中隊32門、96式120mm自走迫撃砲が1個小隊4輌、81mm中迫撃砲が8個小隊32門、79式重MAT発射基が2個中隊32基、87式中MAT発射基が8個小隊32基、MPMSが1個小隊4セット。
AH-1S対戦車ヘリが8機、OH-1観測ヘリが4機、CH47JA輸送ヘリが4機、UH-60JA汎用ヘリが4機、UH-1J汎用ヘリが4機、OH-6観測ヘリが4機。
この程度ではないかと、考えられる。
232創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:55:42 ID:lOXRD+Yg
>>227
そんなの知らん
233創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 22:59:11 ID:ZR8eAZB+
75氏乙
今回の戦闘は珍走の乱闘みたいだな。
234創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 23:00:48 ID:zqsEjW7M
九州の左翼って、どの程度の勢力なんですかね?
保守王国ってイメージでしたけど。
235創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 23:02:12 ID:02/VuM3+
妖精さん、この世界じゃ普通に食用とかにされてそう。
236創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 23:05:47 ID:53rF7dE5
           . '   _ 二二 _ .、
           /    /´ -‐…‐- .`\
         /     /´    i   !`ヽト、
 .    ,ヘ  ,'   i    !  !  | |i  |ハ i ヽ キリッ
    /  ゝ!  ノ|  ! !::__!::ノ ´  ̄  i::.i |!
    \  .| .:i i :i i |´   \  / `!、ハ:!  
       `ヽi  从 i i | ニニミ    .ニニ !:::::|   <わらわが処女だと!?
 .       |  YハiハN  {r::リ`  ´{r::リ '::::N
 .       |  ヽゝ   ´´     ``ハ!`
 .       |∧   Y!        ′ ,':::|
        j/∧  _!::} 、   ⊂' ..イ:::::|
       ///∧´ ∨  `  ,.... ィ´゙Y:::::|
 .     /////∧ ヽ    {ト、∧ |::::::!
      ,< ̄ ̄∧  } `ヽ  >''} { ̄`ヽ
 .    /   `ヽ:::::::::Y´ヽ      i´`∨::::∧
    /      ∨:::::| .:: !       i .:.: !::::/ i

            _ ___
         ,. :'´: :,. -―‐-ミ:ヽ、
       /: : : :厶ィ': ´ ̄ ̄ヾ : :\
       /: : : : : :.!: :M: : : : : }、: ヽト、:.\   <んな訳なかろーwww
      i: : :.!: : : レ‐' ` ̄⌒ ⌒" トヘ:ハ!
    ト--|: : :.!: : 、|  ー‐'' ´ `'ー  }: :.ト
   ミ ミ ミ : :!: : : :! z=≡   ≡z.{: :.ハ    ミ ミ ミ
  /⌒)⌒)⌒.ハ :_Nとつ \\\ C VVリ   /⌒)⌒)⌒)
  | / / /:弋こ \ヽ __,.   } (⌒)/ / / //
  | :::::::::::(⌒) : :}\  /   1  /  ゝ  :::::::::::/
  |     ノくf⌒Y ` {_  _,ノイ|    /  )  /
  ヽ    /  ヽ ヘ,、  _「 |::!:::::}   /    /     バ
   |    |   l||l 从人 l||l.!::|イ:::ヽ_./ l||l 从人 l||l  バ  ン
   ヽ    -一''''''"~~``'ー--、/:::::イ;  -一'''''''ー-、    ン



     .     ,'   |   !   | |  i|  .:.:|    :.
         i    i:.: ∧,-‐'  ̄ `ヽ! : :!   .!
         |:   |/´  ノ     ゝ `ヽ|  !  |ヘ.
     .  .へ..|i   !               |: |.| |  >
     . く   || : | __、     ,_ |; | ノ ! /
       ` ー|l_i N ,〃⌒     ´ ̄`メイハ、 i´
         | {`ト! :::::::::::   '  :::::::::  / ノ |
         |:.:.ヽ、_    、__ ... __,     ,'イ∧.|
         |:.:.:.:i {ヘ          / .!:.:.:.:|
         |:.:.:.ハ__∨`ト...    ..イ:::.}___|:.:.:.:.!
         |:.:.:.ハ ∨.:.:) `  _ .{ !::.,'  ,'.:.:.:.:|
     | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
   /  ̄ ̄)          _   (⌒⌒)   ( ̄ ̄ ヽ、
   |  ̄ ̄ ̄)         !/ヽ// .\/   ( ̄ ̄ ̄  |
   i  ̄ ̄ ̄)____ /___ \       ( ̄ ̄ ̄ !
  ∧ 二二)          __|__|__         (二二 /
  /! ヽ|             ノ |__,          |/|, へ
. ,'. ヽ、|             <"`==i''''i==,-x,      .|  ヽ 
/.   |  /|  / ̄ヽ / ̄ヽ | |  | |  | |i⌒i⌒i .|    ',
    |   .|  |   | |   | | └ ┘└┘ .||  |  | .|   ヽ
    .|  __|__ ヽ__ノ  ヽ__ノ | | ̄ ̄ ̄|  |ヽ/ヽ/ |    ',
    |              .| |    ,. | .|○ ○ |    i
    | ※童貞大歓迎じゃ   ̄    `=-"    |    i


             中古の妖精さん
237創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 23:22:42 ID:FXLJCaU4
ヴォルクグラードは内部抗争の末に分裂か・・・条約軍の一人勝ちになるのかな
238 ◆NN1orQGDus :2009/02/15(日) 00:47:17 ID:pw0JFLjO
思う所あってこのスレから離脱する亊にしました
今まで読んでくれた人に感謝
それではまたいつかそのうち別のスレで。
239創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 07:37:38 ID:45MeGsvg
>>238

きっと盗作職人のせいでスレの雰囲気が悪くなったから離脱を決めたのでしょうね。
あれは盗作に対して謝罪と弁明をせずに駄文を垂れ流していますからね。
わざわざ雑談スレで投下予告したり、きてれぅ〜なんて言葉遣いでかわいこぶるあれの
存在は、筆力とアイディアで勝負する貴女にしてみればさぞかしうざかったと思います。

このスレを離脱するのは正しい判断だと思います。
お疲れ様様でした。
240創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 09:42:35 ID:P9IH1TbN
おはようございます。

>>238
わかりました。
別スレでの投下を楽しみに待っています。
お疲れ様でした。
241創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 11:17:55 ID:lZ3WoNBa
>>238
楽しみにしていたので非常に残念です。
でもこれからも頑張ってくださいね。

たそがれの伊庭ファンより
242創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:37:59 ID:P9IH1TbN
19:45より投下やります。
24375 ◆kkZO9WMBek :2009/02/15(日) 19:45:12 ID:P9IH1TbN
続きいきます。
24414/130:2009/02/15(日) 19:46:07 ID:P9IH1TbN
☆ 

 指揮官の乗車しているハーフトラックにZ旗が掲げられた。
 その意味を条約軍兵士達はよく理解していた。
<<各隊、"赤の場合"を開始せよ>>
<<了解。ヘルギムスよりフェンリア、前進を開始する>>
 車体全体に偽装網を纏った三号突撃砲がハーフトラックの横を通過していく。
 重厚なエンジン音と地鳴りはエーリヒ・シュヴァンクマイエルの腰掛けた椅子を激しく揺らした。
 彼を指揮官とする条約軍エーリヒ戦闘団は、革命軍の大型砲台を破壊するため戦場に馳せ参じている。
「ヴォルク軍はどうなっている?」
 エーリヒは座り心地の悪い椅子から立ち上がり、副官のアルベルトに問う。
「ハッ。既に後退を完了しております」
「流石はニーホフ少将。対応が早い」
 エーリヒは再び椅子に腰掛けた。
 彼はよくボーイッシュな少女の姿をした少年と表現される。
 母親の手作りベレー帽を被った髪は茶色がかった黒だ。
 顔立ちは女性的な可愛らしさと男性的な凛々しさが両立しているが、それは右半分だけの話だ。
 左目から頬にかけて、無残な火傷の跡が残っている。
 そして本来左目のあるべき場所は、黒い眼帯で覆われていた。
 引きつった火傷に覆われた顔の左半分は、彼が戦場で死線を潜ってきた猛者であることを言葉を抜きにして他人に示していた。
「こちらの目的は巨大砲台の無力化だ。だがその前に、魔道兵を排除しなくてはいけない」
 エーリヒは目的を整理する。
245創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:47:05 ID:lZ3WoNBa
 
24615/130:2009/02/15(日) 19:47:38 ID:P9IH1TbN
 戦場において目的を簡略化しわかりやすくしておかないと、最終的な破綻を招くことが多々あることをエーリヒはよく知っている。
 指揮官として戦場で戦ってきた経験の賜物だった。
 まず魔道兵を排除し、次に砲台を無力化――これだけだ。
「中佐、大丈夫でしょうか?」
 頼りない声を背後からかけられて、エーリヒは振り向く。
「大丈夫さ。俺は負けるとわかっている戦いはしない。勝てる勝負しかやらないんだ」
「そう……ですか」
 ハーフトラックにはエーリヒと無線手、乗員の他にもう一人少年がいた。
 ジークベルト・ヴィッツレーベン少尉だ。
 西方条約軍の事実的な中心であるアヴィリオン本校から派遣された技術将校だ。
「大丈夫ですよね。きっと大丈夫です」 
 エーリヒが見る限り、ジークベルトはいつも何かに怯えているようだった。
 彼の情報は技術将校ということでかなり隠匿されており、詳細を知っているのはエーリヒだけだ。
 どうやらヴォルクグラードからの亡命者らしいが、追及する気にもなれないでいる。
「ジークベルト君。戦いは始まる前にどちらが勝つか決まるんだ。優秀な個人がどうこうできるものじゃない。いいね?」
「はい!」
 エーリヒが目配せすると、ジークベルトは頷く。
 濃紺の髪。
 琥珀色の瞳。
 顔立ちはエーリヒが"敵"として知る人間を幼くした印象を受ける。
247創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:47:48 ID:lZ3WoNBa
 
24816/130:2009/02/15(日) 19:49:14 ID:P9IH1TbN
「危ないから、あとは後方に下がるんだ」
「いいえ。ここにいます」
「新型ローブを使うかもしれない。使う人間がいなきゃ、道具は役に立たない」
 それでもジークベルトは引き下がらなかったが、やがて納得してハーフトラックを去った。
「中佐、上層部は飛んだお荷物を預けてくれましたな」
「言っても仕方無いよ」
 エーリヒの愚痴は無線手の声に遮られた。
 革命軍は魔道兵をこちらに仕向けてきた。
「敵は先手を取ったつもりですな」
「魔道兵は個々の能力なら比類無い戦力。だが、戦闘というものは戦う前に勝敗が決しているんだ」
 言いながら、エーリヒはベレー帽を被り直した。
「一個人の能力の差が、戦力の決定的な差でないことを教えてやる」
249創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:49:26 ID:lZ3WoNBa
 
25017/130:2009/02/15(日) 19:51:12 ID:P9IH1TbN


 エーリヒ・シュヴァンクマイエルが現れた!
 魔道兵達は皆、その報告に目を輝かせ、胸を躍らせた。
「あいつを殺せば、大佐だろうが書記長だろうが!」
「おい、待て!」
「大佐だって前線での戦いで出世したんだ! やってやる! やってやるわよ!」
 魔道兵の多くが持ち場を離れて条約軍へと向かう。
 個々の判断による自由裁量が与えられているため、彼女達を制止する者はいない。
「賞金はアタシらのもんだ!」
 革命軍のリーダーであるマイコ・パステルナークはエーリヒに多額の賞金を賭けていた。
 エーリヒを殺した、もしくは捕らえた者は一兵卒でも将軍にするとの通達も出ている。
 青い粒子の流れが続々と前線に向かっていく……。
251創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:51:24 ID:lZ3WoNBa
 
25218/130:2009/02/15(日) 19:53:06 ID:P9IH1TbN


 我先にと前線へ急ぐ魔道兵を、オルガ・グラズノフは冷ややかな視線で見送った。
 彼女はヴォエヴォーダの護衛を行っている陸上戦艦『アドミラル・チェルノフ』の甲板上にいた。
 赤いローブを身に纏った彼女は身の丈ほどもあるマナ・バスターアックスを肩に掛けていた。
「馬鹿どもが。策略に乗せられているな」
「……ああ」
 オルガが苦々しく言うと、ドラム缶ストーブの火に手を翳して暖を取っていた別の魔道兵がぽつりと呟く。
「……馬鹿ばっか」
 対照的に表情一つ変えないのはセルフィナ・フェドセンコだ。
 青いローブを着用し、こちらも身の丈ほどある武器を甲板に置いていた。
 セルフィナの武器は短機関銃にも変形するマナ・スナイパーライフルだ。
「こっちのリーダーが賞金を賭けていることを知っているから、奴は前線に出てきた。そして、能力はあっても経験の少ない魔道兵は目の色を変えて任務を放棄する」
「……これでも軍隊?」
「山賊や愚連隊の方がまだ近い。で、どうする?」
「……動かない」
253創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:53:17 ID:lZ3WoNBa
 
25419/180:2009/02/15(日) 19:54:17 ID:P9IH1TbN
「名案だ。あいつらが死んでも俺達は構わん」
 オルガは付け足す。
「どうせ、余興みたいなもんなんだからな」
 オルガもセルフィナはかつて、ヴォルクグラード人民学園を支配していた生徒会に強い不満を持つ人間だった。
 二人はどうにかして生徒会を転覆させようと計画を練ったが、二人でできることは限られていた。
 ある日、二人はマイコ・パステルナークと出会う。
 彼女は軍内部で自らのシンパを広げ、生徒会に匹敵する力を有していた。
 マイコは紆余曲折を経て生徒会と事を構え、遂にヴォルクグラードの実権を握った。
「まあいいさ」
 オルガは彼方を見る。
 ここまで来たのだから、最後まで付き合うつもりだった。
 ひとまず今日は学園島最高の前線指揮官と謳われる隻眼の少年の戦いぶりをじっくりと拝見するつもりだ。
 白い歯を見せてオルガは笑う。
「見せてもらおうじゃないか。英雄の戦いってやつを」
255創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:54:39 ID:lZ3WoNBa
 
25620/180:2009/02/15(日) 19:55:25 ID:P9IH1TbN

 
 戦場に到着するなり後退を始めた条約軍部隊を見た革命軍魔道兵は、一気に攻勢に出た。
<<浮き足だっているぞ!>>
<<何がエーリヒ・シュヴァンクマイエルだ! ただの腰抜けじゃないさ!>>
 楽観的な言葉が、エーリヒのいるハーフトラックにも無線を通じて聞こえてきた。
 混線した電波を拾ってしまっているからだろう。
「方向六時。対魔道。期待効果。制圧。合図を待て」
 エーリヒは淡々と言葉を並べる。
 意味は六時の方向に魔道兵がいるので、制圧しろという意味だ。
「敵魔道兵、こちらに突っ込んできます!」
「予定通りに」
「ハッ!」
 老練のオットー・ワイトリンク少佐に率いられた突撃砲中隊は意図的に、部隊の中央に穴を開ける。
「試射、始め」
 戦線に空いた穴の後方に布陣した自走砲が唸り、砲弾をヴォルク軍の後方へと叩き込んだ。
 試射では砲身の摩滅具合や風による流れ、火薬のロットによる違いなどを確認する。
 計算上で当たるはずのところ火薬量あわせて、まず撃ってみるのだ。
 エーリヒは試射と言ったが、実はそれ以外にも理由があった。
<<砲撃!?>>
<<先に敵の砲兵を叩く!>>
<<自走砲がいる。剥き出し? 叩かせてもらう!>>
魔道兵は戦線に空いた穴に、その奥にいる自走砲を狙うため突入する。
「掛かった」
 エーリヒは次の指示を出す。
「左右両翼の部隊は突入してくる魔道兵に対し砲火を浴びせる。ただし、無理に撃破しようと考えなくていい」
 突撃砲が突入してくる魔道兵に向けて砲撃を開始した。
 魔道兵は迫り来る砲弾を回避し、結界で弾き飛ばし、前へと突き進む。
257創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:55:39 ID:lZ3WoNBa
 
258創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:55:43 ID:16eNSr1c
>>250
>大佐だって前線での戦いで出世したんだ!
超死亡フラグです><
25921/130:2009/02/15(日) 19:56:15 ID:P9IH1TbN
「人間は一度に二つのことをできるものじゃない。砲撃開始」
 魔道兵の予想進路に向けて面制圧射撃が始まった。
 ネーベルヴェルファー――六連装のロケット砲が唸りと白煙を上げる。
 炎の航跡を残してロケット弾は空へと飛翔した。
「敵の進路上を面制圧するんだ」
 面制圧とは文字通り、砲撃によって『面』を制圧することだ。
 例えば一門の砲で砲弾を一発撃ち込んでも、弾が落ちた場所――つまり”点”とその周囲が吹き飛ぶだけだ。
 だが六発の多連装ロケット砲一基でなら、一発辺りの範囲は小さくても、最低でも六発のロケット弾が落ちた地点とその周囲を吹き飛ばせる。
 エーリヒは狭い空間に大量のロケット弾を投入した。
 火力の極端な集中で敵を叩き潰す戦法をエーリヒは好んでいた。
 そうしないと魔道兵は倒せない。
<<なんて砲撃……!>>
<<口を開けろ! 鼓膜をやられるぞ!>>
<<離脱する!>>
<<待て!>>
 火の地獄に耐えられず、上空へと離脱しようとした魔道兵がロケット弾の雨に飲み込まれた。
 別の魔道兵は砲撃の波から抜け出そうとして突撃砲に討ち取られた。
<<で……出られない……>>
 魔道兵達は、自分達がエーリヒの策略に嵌められたと知る。
 上からも横からも逃げ出せない。
 自分達ができるのは、自ら死への階段を駆け上がることだけだと。
<<バッハ大尉。敵が来ます>>
<<慌てるんじゃない。落ち着いて狙うんだ>>
 死へと続く道の最期には、砲列を並べた八十八ミリ高射砲の部隊が待ち構えていた。
 諦めずに突破しようとした最後の魔道兵は精密な砲火に捉えられ、やがて全滅した。
260創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:56:27 ID:lZ3WoNBa
 
26175 ◆kkZO9WMBek :2009/02/15(日) 20:00:06 ID:P9IH1TbN
今日はここまで。
支援に感謝。
では名無しに戻ります。
262創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 20:01:02 ID:16eNSr1c
乙ー
263創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 20:01:19 ID:P9IH1TbN
チラシの裏。

明日スローネドライを買ってきます。
264創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 20:03:13 ID:AorzMAlN
相変わらずエーリヒの戦術能力チートぶりが素晴らしいw
265創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 21:49:29 ID:a2fW/lDU
つか、正面切って戦う必要性なくね?
266創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 22:37:53 ID:ssvGbnOr
こんにちは。
ついに第4章になりましたか。
これからの展開が楽しみです。
267創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:18:44 ID:yXA+X8tD
これはいいエーリヒ氏ね
268創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:19:39 ID:P9IH1TbN
>>265
エーリヒを倒すことを最優先に考えすぎた新兵故のミス…と考えてくれればいいかと。
革命軍の魔道兵は新人多い?ことにしている。
オールウィッチ・ドクトリンだね。

第三部は今まで足りないと指摘があったキャラの掘り下げを注意してみたから、ちゃんとできているかどうか言ってくれると嬉しかったりする。
最後まで読んだ後で・・・と言うのは甘えかもしれないけど。
269創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:19:54 ID:fmt2NQ4Z
こいつぁ実に良いなあエーリヒ死ね
270創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:20:29 ID:fmt2NQ4Z
これはGJエーリヒ死ね
271創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:24:16 ID:hkeiF8sY
エーリヒそのまま死ねばよかったのに
272創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:30:09 ID:p1u+Xp3T
エレナをなんとかして救ってあげて欲しいです
273創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:30:36 ID:P9IH1TbN
エーリヒはね、物語のポジションとしては悪役なので憎んでくれてもいいよ。
戦争に明確な善悪の基準なんて無いと思うけど。
274創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:32:23 ID:41CgGdeK
>「新しいお母さんを殺そう」
エーリヒは人間のクズだな
275創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:33:59 ID:16eNSr1c
んー、俺は読者としてひねくれてるのかもしれんけど、エーリヒ善玉ポジで魔法兵全般死ねばいいと
一貫しておもってるところはあるなw
276創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:34:12 ID:lmH5V8NB
>>274
まあ母親も嘘ついたつもりはないだろう。
277創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:37:46 ID:UgyDFHQ1
盛りあがってる所水差して悪いが、このネタいつぞやの踊り食いと同じように人が離れていく原因になりかねんぞ。
278創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:39:36 ID:RPhcaIse
やるのなら「エイリアン」みたく「他の生物の肉体を子宮兼食料とする」
あるいは単純に「物体X」みたいな寄生生命体がよろしいかと。
・・・・「物体X」、知ってるかなー?
279創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:43:13 ID:wrCEc7bv
ミサイルにレーダーで得た情報や機体の姿勢や速度、高度等
色々なデータを入力したり
ミサイルのシーカーの向きを戦闘機の方に送ったり
発射後、目標をロストした事を戦闘機側に送ったり
とか色々と情報のやりとりやってます。
新規開発だとセントラルコンピュータ等に新しいプログラム
追加しないといけないと思います。
280創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:43:26 ID:P9IH1TbN
>>275
エーリヒが善玉に見えたりする?
そこは聞きたい。
281創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:43:40 ID:wrCEc7bv
ただ、数日で普通の町工場が機関銃の製造に乗り出すのは、
ラインの整備等から言ってもやはり難しいかと思われます。
よって、

・製造決定からロールアウトまである程度の時間が経過している
・実験室レベル(試作レベル)でミニミクラスの軽機関銃を製造している

といった設定にするのもいいかもしれません。
282創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:46:08 ID:mmy6qzlS
ファンタジーなんだしミスリルとかオリハルコン製の戦闘機でも造ってもらえよ。
アダマンタイトの外装とか。
283創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:47:10 ID:AorzMAlN
>>280
エーリヒが善玉というよりエレナの死後マイコが悪役にしか見えねぇw
284創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:48:15 ID:vIpMFIYJ
軍曹ってなんのことかと思ってたけど、結構前の話で出てきた銃の精霊さんでつか?
結構役に立つんですな、あの魔法。
285創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:50:40 ID:I2ZGCzBF
とてもおもしろかったよ260さん!
286創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:52:16 ID:ey7+uiqz
実戦を生き抜いてきてる兵士は強いですね( ´∀`)
慣れていない部隊だったら結構崩れる部分もあったかもしれない。
こういう任務は経験がモノをいいますな。
287創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:52:57 ID:F2/aJLxf
なんか、昔読んだ「タイムスリップ大戦争」「パラレルワールド大戦争」
とかのノリで面白かったです。

そういえば、あれも主人公はフリーのライターとかだったなぁ・・・
288創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:54:12 ID:LtLZpbgs
以前出てきた魔法で、赤外線誘導のような機能を備えたものがありましたが、
(要塞の対空陣地に)そういうのがあるならレ−ダ−誘導みたいなものも出せないでしょうか?
 (誘導を担当するやつがどこかにいる。照準には水晶玉などを使う)
  戦闘機相手ではすぐ外されそうですが、ヘリ程度なら相手になるかと。
289創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:54:41 ID:16eNSr1c
>>280
そう、消極的善玉としてそう見てしまう
マイコは一貫して相容れないものをかんじてる><
290創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 23:58:14 ID:P9IH1TbN
>>289
マイコは姉として弟ユーリへの愛(と、自己正当化していた)
エーリヒは息子として家族への愛
エレナは自己投影対象として、マイコへの愛
学園島戦記譚の根幹には『愛』があったりするんだぜ。

マイコとエーリヒは絶対分かり合えないだろうね。
エレナとエーリヒならともかく。
291創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:06:39 ID:V9OcSK9G
>>290
そう、それだ
問題は愛ってのも二種類あるからな
SSのハイニおじさんとかも、家庭では愛に満ち溢れた人物だったわけさw
マイコやらエレナやらはそのバランスをハイニおじさん並みに欠いてるキャラ造型なので、
俺の感情移入は負の方向に行ってしまうというw

まあ、そういう造型自体は悪いことじゃあないのよ
292創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:11:54 ID:Vwx7pCuV
>>291
何はともあれ「愛情を持った人間の二面性」が読み手に伝わっていれば嬉しいんだぜ。
指摘されたんだが、俺の作品に出てくる学生って中身が大人だよなw
良くも悪くも成熟し切っている感じがするんだ。

>SSのハイニおじさん

収容所の所長だっけ?
あと伍長閣下は女性に優しかったらしいね。
調理係の女性に敬語を使っていたとか。
293創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:13:59 ID:uGvWkZnc
貧乳を気にしていたマイコはもういないのか(泣)
294創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:17:29 ID:Vwx7pCuV
調べたらヒムラーだったw

>>293
この作品が終わったら、俺ラブコメ書くんだ・・・
295創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:18:03 ID:V9OcSK9G
>>292
うんまあ、子供の内面が大人なのは混乱の時代ならある程度仕方ないw
日本なら幕末とか戦後すぐとかだね
寿命が短いと成熟が早まるんだろう、きっと

うん、ハイニおじさんはヒムラーの蔑称よw
伍長閣下はある面で素晴らしい人物だし、>>291の二種類の愛もたっぷり持ち合わせたんじゃないかな
その愛が非同一的なものには向けられなかったというだけで
あと精神にダメージ受ける病気だったのが致命的w
296創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:24:26 ID:Vwx7pCuV
>>295
外面は子供、中身は大人なのはともかく、子供らしい面を書けなかったのは残念。
エーリヒが本校で女の子に囲まれて身動き取れなくなったりとか、胸の大きさが原因でマイコとエレナが揉めたりとか。
考えてたのはマイコが胸を揉めば大きくなるとエレナに言われて実践しようとしたら、揉むほどの量もなかったとかw

>伍長閣下

晩年は右手が痙攣したりで酷かったそうだしね。
ヒトラー最期の十二日間は面白かったなぁ。
297創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:27:45 ID:uGvWkZnc
揉む量がないとかwwwwwww

こりゃ反乱起こすのも納得だな
298創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:29:13 ID:V9OcSK9G
子供らしさってのは、やはりそれを許容してくれる大人の存在を出せないとね
演出はむずかしいかもしれないですよ
伍長閣下映画はあのコピーも秀逸だったよね、「――彼の敵は世界」っての
299創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:33:36 ID:Vwx7pCuV
>>297
マイコの小さな胸は後に『嘆きの丘』と呼ばれたという・・・

>>298
読んだ感じ、自分の作品の大人キャラの扱いはどんな感じなんだろうか?
とりあえず子供の行為を全面的マンセーしないように見られていれば万々歳

>伍長映画

ゲッベルスの子供が毒殺されるシーンはマジで辛かった。
あとノコギリで足切断とか・・・。
好きな戦争映画は戦争のはらわたとかスターリングラードのドイツ版。
遠すぎた橋は連合軍のgdgdを見る映画ですw
300創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:36:42 ID:uGvWkZnc
嘆きの丘よりママエフの丘だろw
301創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:38:57 ID:V9OcSK9G
>スターリングラードのドイツ版
お客様もお目が高いwwwww
あの救われなさっぷりは最高だよな、うん

作中の大人はたしかにマンセーはしてないようには見受けられたけど、
ちょっと類型的に過ぎたというのはあるかな
脂が抜けてるっていうか、きれいに書きすぎたんじゃないかしらん

>>300
アイガー北壁、と言ってみるw
302創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:39:27 ID:Vwx7pCuV
>>300
マイコ「貧乳はステータスだ! 希少価値なんだぁぁぁぁぁぁ!」
エーリヒ「それは十分な胸力を手に入れられなかった人間の言い訳に過ぎません(笑)」
303創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:41:32 ID:Vwx7pCuV
>>301
ありがとう。
もっと汚い大人を出すべきだったかな。
子供を防戦させる一方で自分達はヤケクソの宴会してるみたいなw

ドイツ版スターリングラードは雪だるまENDだからなぁ・・・。
地雷だけで戦車に立ち向かうシーンと輸送機に置いていかれるシーンはマジでトラウマ。
304創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:44:58 ID:uGvWkZnc
>>303
ガンダムだとゴップとかメッチャー・ムチャみたいな
305創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:46:09 ID:V9OcSK9G
地下に不正備蓄されてた軍用パンがうまそうだったww

そう、大人に幅があればよかったかもしれない
マンシュタインからパットンから牟田口辻ーんタイプまでw
306創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:48:44 ID:Vwx7pCuV
>>304
ゴップは人間的にはいい人だったんじゃね?
ミライさんの心配をしてたし。
ガンダムで一番駄目な大人はやはり赤い人だろw

>>305
戦争映画に出てくる食い物は大抵美味そうな不思議。
Uボートで乗組員が飲んでたレモン汁入りミルクとか。

>牟田口と辻

何その逆チートキャラwwwww
ルーデルとは逆の意味で出したら絶対肩入れと言われるわwww
307創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:50:43 ID:uGvWkZnc
牛で物資を運んで必要時には食料にするとか革新的すぎるよな
308創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:52:01 ID:V9OcSK9G
三十年戦争とかなら、むっちーは大傭兵隊長になれたかもしれんw
309創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:53:59 ID:Vwx7pCuV
>>307
しかも最高司令官は後方で芸者とにゃんにゃんだぜ。
半世紀先を行ってるぜ・・・。

>>308
もし米軍に牟田口がいたらどうなったんだろうな。
突進力のないパットンになっただけかもしれんが。
310創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:56:17 ID:uGvWkZnc
>>309
佐藤大輔曰わく「米軍では兵卒にもなれない」そうな。
311創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:58:04 ID:Vwx7pCuV
>>310
先生!RSBCの新刊は何時出るんですか!?
やけに絵のエロいゾンビ漫画も打ち切りなんですか!?
312創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:58:11 ID:V9OcSK9G
そうねえ、アメちゃんだとシステムが優秀だものね
かれはアヴァンギャルドなことができる立場になれなかったかもしれん
コネがあったとしても、どっかの州軍のどうでもいい役ぐらいでひっそりお役御免だw

兵卒なれないはひどいなwww
313創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:58:48 ID:ZrAS+rcH
「煉獄」へようこそ……>>311
314創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 00:59:49 ID:V9OcSK9G
大ちゃんはサゲマ○に当たってダメになったよね(´・ω・`)
315創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:02:24 ID:Vwx7pCuV
>>312
ロンメルが米軍並みの補給体制あったらコーカサスで第六軍と握手できたのかと考えた中学生時代。
補給戦という本を読む限り無理そうだけど。
エーリヒのキャラ造形にはロンメルも混ざっていたりする。

>>313
皇国の漫画が打ち切りになった時点で(ry
316創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:05:23 ID:Vwx7pCuV
補給戦と海上護衛戦は良い書です、はい。
でも作品に反映させると酷く地味な話になる気がするw
317創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:06:28 ID:uGvWkZnc
ハチハチ大好きな時点でエーリヒがロンメルモデルだとわかったw
318創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:08:00 ID:Vwx7pCuV
     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
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   |:::::::::::::::::   \___/     |  
    ヽ:::::::::::::::::::.  \/     ノ
319創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:09:05 ID:V9OcSK9G
ロンメルはんは、最強師団長かもしれんけどあんまし上級指揮官ってかんじではないのう
まあ兵站だの通商護衛だの扱って緊迫の戦闘だらけだったら、それもう負けだよってなるもんね><

>>318
大ちゃん仕事しろwwww
320創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:14:05 ID:ZrAS+rcH
学園島×ヘルシングという電波を受信した
ろくなことにならないな……
321創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:14:44 ID:Vwx7pCuV
>>319
「戦いは戦う前に勝敗が決まる」が基本だからなぁ。
あんまりリアルにやると一話まるまる塹壕掘って終わるとかで終わりそうw

最強師団長はクルト・マイヤーかパイパーが一番だと思ってる。
負け軍隊に限って最強キャラが出るのが悲しいけどw
322創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:15:45 ID:uGvWkZnc
ロンメルは戦術家として最高だが指揮官としては微妙らしいね
323創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:16:08 ID:Vwx7pCuV
>>320
やめて皆殺しにされちゃう><
324創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:17:40 ID:Vwx7pCuV
>>322
ケッセルリンクは基地外呼ばわりしてたもんなw
DAKの補給不足は空軍の責任でもあるんだが
325創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:22:06 ID:uGvWkZnc
>>324
マルタ取れなくてドイツ軍涙目

そういやマイコとエレナにモデルはいるの?
326創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:26:50 ID:Vwx7pCuV
>>325
エーリヒはロンメル、ヤン、グレープス、スプルーアンスとか色々混ざってるけど、その二人は特定のモデルはいない。
色々な人間の要素をごちゃ混ぜにしてるんだ。
ぶっちゃけモビルスーツをイメージにキャラを造形したw
マイコはオーバーフラッグ、エレナはソードインパルスでw
327創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:30:43 ID:Vwx7pCuV
そろそろ落ちます。
こんな遅くまで付き合ってくれた人ホントにありがとう。
んじゃまた。
328創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 01:33:15 ID:uGvWkZnc
答えてくれてthx

おやすみ
329創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:19:07 ID:Vwx7pCuV
19:45から投下いきます
33022/130:2009/02/16(月) 19:45:05 ID:Vwx7pCuV


 しばしの休息の後、砲台への攻撃が再開された。
 作戦はこうだ。
 エーリヒ隊はまず前進する。
 敵はエーリヒ隊を叩こうと攻撃してくるので、エーリヒ隊は潰走に見せかけて敵の追撃を誘い、敵を砲台から引き離す。
 その隙にニーホフ隊が左右から砲台を攻撃する。
 エーリヒの呼びかけにヴォルク軍は応じた。
 かつての敵同士が共闘する――と言っても、感動的なものは何もない。
 単に利害が一致しており、共闘しなければ生き残れないからだ。
<<グリュンヘルツYから赤い星へ。砲撃を開始する>>
<<カチューシャロケットが味方ってのは心強いもんだ>>
 戦線の後方から、ヴォルク軍と条約軍の砲兵が共に砲撃を始めた。
 今まで緊張感を高めさせ、神経をすり減らさせたヴォルク軍砲兵の存在が何よりも頼もしく思えた。
「中佐、本当に信じて大丈夫なんでしょうか?」
 アルベルトは懸念を口にする。
 無理も無い。
33123/130:2009/02/16(月) 19:46:40 ID:Vwx7pCuV
 条約軍はつい先日までヴォルク軍と死闘を繰り広げてきたのだ。
 共闘を呼びかけた本人の中にさえ不信感は存在する。
「向こうは俺を信じてくれた。今度はこっちが向こうを信じる番だ」
 一応、エーリヒの中に裏切られない確信はあった。
 ヴォルク軍は条約軍と共闘しなければ勝利の可能性を更に低くしてしまうからだ。
 何よりここで三つ巴の戦いをやる動機も無い。
「前進!」
 エーリヒの命令と共に、条約軍は前進を開始した
 混線する通信が聞こえる。
<<条約軍と一緒に戦うのか? あいつらが裏切らない保障があるのかよ!>>
<<向こうの指揮官はエーリヒ・シュヴァンクマイエルだ。信用できる>>
<<あいつは俺達の仲間を散々殺しやがったんだぞ!>>
 言われても仕方ないな、とエーリヒは思う。
 だから、任務にだけ集中することにした。
33224/130:2009/02/16(月) 19:47:58 ID:Vwx7pCuV


 泥化した大地の上をヴォルクグラード革命軍陸上艦隊が進む。
 その旗艦『クロンシュタット』の艦橋で魔道兵部隊の全滅を聞いた時、マイコ・パステルナークは身動ぎもしなかった。
 ただ淡々と報告を聞き、琥珀色の瞳を窓の外へと戻した。
 ヴォルクグラードにて革命を成功させ、事実上の支配者となった少女は虚ろげだった。
「ベリエフ……」
「ハッ」
 すぐ側に控えていた副官、セルゲイ・ベリエフが機敏な動作で向き直った。 
「我が艦隊は予定通りチェルノボグの回収に向かう。ヴォエヴォーダの方はどうだ?」
「膠着状態に入ったとのグラズノフ中尉とフェドセンコ中尉の両名から連絡が入っています。援護の必要を認めますが……」
「陽動の役目は終わったのだ。引き揚げさせろ」
「既に出しております。ただ、敵の指揮官はエーリヒ・シュヴァンクマイエルです」
「その分、二人が危険か……よし。私も出よう」
 席を離れたマイコは自室へと向かった。
 艦内の通路では擦れ違う若い兵士が立ち止まっては彼女に敬礼を送る。
 尊敬や敬愛の眼差しを送る兵士も少なくない。
 だが、心の中には何の感情も無かった。
333創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:48:49 ID:kU0R/qPk
 
33425/130:2009/02/16(月) 19:49:13 ID:Vwx7pCuV
 かつてマイコは弟のユーリを守るために戦っていた。
 少なくとも、自分ではそのつもりだった。
 弟を守るために条約軍と戦った。
 弟を守るために軍内部で派閥を拡大した。
 弟を守るために盟友を……。
 気が付いた時、マイコはヴォルクグラードを手に入れていた。
 そして何もかも失っていた。
 愛し守ると誓った弟も、盟友も死なせた。
「エレナ……ユーリ……」
 知らず知らずのうちに、マイコは自分の手首にナイフの刃を突きつけていた。
 流れ落ちた血液が机に赤い溜まりを作っていたのを見て、マイコは自分の"生"を再確認した。
 マイコは今でも戦い続けている。
 "死"を自分の側に置いておかないと、生きていられない……。
335創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:49:26 ID:kU0R/qPk
 
33626/130:2009/02/16(月) 19:50:06 ID:Vwx7pCuV


 砲台の左右からヴォルク軍が殺到した。
 オルガ・グラズノフは単身で右翼のヴォルク軍を蹴散らし続けたが、数の暴力には勝てなかった。
 しかも先ほどと比べて異常に動きが良くなっていた。
 お互いの欠点をカバーしあう歩兵と戦車は一瞬の隙も見せない。
 空から魔道兵が接近すると的確にして強烈な対空砲火が待ち構え、近付くことすら困難だった。
 運良く取り付いた魔道兵も集中砲火を四方から浴びて各個撃破されていく。
「こいつら、やっぱりエーリヒに動かされている!」
 オルガには確信があった。
 学園島で魔道兵を雑兵扱いできる指揮官はエーリヒ・シュヴァンクマイエルだけだ。
 先ほど魔道兵を全滅させた時といい今といい、戦場にエーリヒが現れるとまず間違いなくオルガは敗北を味わってきた。
「そりゃ相談だな……」
 悪態をつきながら戦線を離脱し、右翼を守っていた相棒と合流するべく急いだ。
 ヴォエヴォーダの巨大な砲身の上で先に待っていたのは相棒――セルフィナだった。
「生きてるな!」
「……死んではいない」
 そう言うセルフィナは顔を煤と血で汚していた。
「お前の方も酷くやられたみたいだな」
 常に表情一つ変わらないセルフィナの口元が僅かに歪む。
 どうやらオルガと体験したことは大して変わらないらしい。 
 オルガは蟹の目に似た砲兵鏡で前線を見やる。
337創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:50:27 ID:kU0R/qPk
 
33827/130:2009/02/16(月) 19:51:14 ID:Vwx7pCuV
 数値を刻まれた望遠レンズの中で、突撃砲や戦車に包囲されて成すがままにされる守備隊の姿が見えた。
 かなりの数を撃ち減らされている様子だった。
 エーリヒは考えた作戦は、恐らくこうだ。
 砲台の正面から攻撃を仕掛けて守備隊の反撃を誘い、潰走を装って後退する。
 守備隊は砲台から引き離され、その隙にヴォルク軍は左右から砲台に殺到するのだ。
「エーリヒが出てきた。守備隊は全滅寸前。絵に描いたような最悪の事態だなァ」
 オルガは言葉とは裏腹に嬉しそうだった。
「相棒、英雄の首をもらわないか?」
「……くれるか?」
「あちらさんの都合を気にして戦争ができるかよ。それにな」
「それに?」
「この戦争はちょっちばかり長引きすぎた。まぁなんだ、やり過ぎってやつだ」
 セルフィナは頷き、オルガと拳を合わせ、別れた。
339創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:51:30 ID:kU0R/qPk
 
34028/130:2009/02/16(月) 19:52:45 ID:Vwx7pCuV


 夜が近付いても、戦場は澱んだ鉛色の雲に蓋をされていた。
 砲撃が大地に炸裂する。
 殆ど霧に近い煙が立ち込めたかと思うと、自動小銃やパンツァーファウストを携えた条約兵がその中に飛び込んでいく。
<<攻撃の手を緩めるな!>>
<<テロリストに人権は無いぞ!>>
 次第に暗さを増すはずの戦場は空まで焔に包まれ、死の煉獄と化していた。
 条約軍に包囲された革命軍部隊のいる全域で火災が起きているように見えるのは、ヴォルク軍と条約軍の砲兵が包囲陣の中に戦慄すべき鋼鉄の暴風を巻き起こしているからだ。
<<次、効力射! フォイアー!>>
<<アゴーイ!>> 
 並んだ幾千もの砲が火を噴き、砲弾が鉄の旋風となって革命軍を襲った。
 魔道兵は防御結界を展開して砲撃から身を防ごうとするが、浴びせられる砲弾の量は尋常ではなかった。
 精度も極めて高く、魔道兵を一人一人ピンポイントで押し潰していった。
 空に逃げようとする魔道兵は結界を解いた隙に八十八ミリ高射砲と突撃砲から集中射撃を受けて撃破される。
「敵は逃げようとしている。いいぞ、もっと考えを硬直化させるんだ」
 エーリヒの覗く双眼鏡の中では煉獄が写っている。
 砲弾の落着と同時に四、五箇所で煙が噴き上がり、焔が煙の中から噴出した。
 樹木や人間の手、足、頭、胴体が土砂と共に空中に放り上げられている。
「やろう」
 エーリヒが頷くと、条約軍部隊は包囲網の一角を空けた。
 突撃砲は潰走を装って後退し、砲撃が一時的に止む。
341創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:53:31 ID:kU0R/qPk
 
34229/130:2009/02/16(月) 19:54:19 ID:Vwx7pCuV
<<包囲網を破ったぞ!>>
<<総員、各自の判断で脱出しろ!>>
 中で砲火を浴び続けていた魔道兵は目の前に置かれた出口に吸い込まれていく。
 もし彼女達が冷静な判断能力を有していたら、こんな見え見えな罠には引っかからないとエーリヒは知っている。
 それだけ、エーリヒが今行っている戦法は"初心者向け"なのだ。
「敵がキル・ゾーンに入りました」
「攻撃開始!」
 エーリヒの命令と共に一方的な殺戮が始まった。
 条約軍は脱出する革命軍の正面と側面に配置されている。
 これは即ち――十字砲火の体制。
<<来たぞ!>>
<<各車、予定進路に弾幕を張れ。当てようと思うな>>
 ありとあらゆる砲門が火を噴いた。
 突撃砲は榴弾の集中射撃で低空飛行する魔道兵を木っ端微塵に変え、対空機関砲は砲火の壁を作って魔道兵の離脱を防ぐ。
 布を引き裂く音に似た銃声を響かせて三つ足の銃架に立てられたMG42機関銃が唸る横で、ヴォルク軍の兵士がSG43重機関銃の反動で両肩を揺らしていた。
 回転するレーダー付き砲塔を積んだ旧型戦車改造の対空車両からルフトファウストの誘導弾が撃ち出され、傷つきながらも弾幕を掻い潜った魔道兵を四散させる。
343創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:54:33 ID:kU0R/qPk
 
34430/130:2009/02/16(月) 19:54:52 ID:Vwx7pCuV
 正面と左、十字砲火の中心点には爆発と閃光の壁ができ、誰の突破をも許さない構えだった。
「敵の残存部隊はほぼ壊滅しました」
「魔道兵が戦術に明るくなくて良かった……」
 エーリヒが行ったのは包囲された敵の前にわざと道を作ってやり、そこに味方の攻撃を集中させるというものだった。
 砲火に晒され、士気の低下した敵は目の前に置かれた脱出路に目を輝かせて飛びつく。
 人間の心理を悪辣極まりないな形で使用した戦法だが、正直なところ引っかかる敵は少ない。
 もし魔道兵が少しでも戦術に対しての知識や経験があったら、この戦法は成立しなかった。
「ヴォルク軍は?」
「現在、砲台を攻撃中です」
「よし、行こう!」
345創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 19:56:28 ID:kU0R/qPk
 
34631/130:2009/02/16(月) 20:00:16 ID:Vwx7pCuV


 眼下ではヴォルク軍がヴォエヴォーダに対して総攻撃を行っていた。
 オルガは気にせず、エーリヒだけを探す。
 どうせもう間に合わない。
「んっ? 敵の戦闘機か」
 オルガは戦闘機へと近づいていく。
「目に留まったのが……運の尽きだったな」
 何か報告されると厄介だ。
 オルガは後方からゆっくりと近づく。
 目が遭った。
「戦闘機じゃ――ない!」
 身を翻して回避機動を取る前に、機銃弾が浴びせられた。
 直撃は避けた。
 衝撃を感じると同時に、赤熱化した鉄の棒を押し付けられたような感覚を額に覚えた。
 暖かいものが額を伝っていく感覚。
 目の前が何も見えなくなった。
「畜生……」
 高度を落とす――と言うよりも、落下に近い。
 全身に苦痛が満ちていた。
 左目はなんとか見える。
 だが、右目は何も見えない!
347創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 20:00:42 ID:kU0R/qPk
 
34832/130:2009/02/16(月) 20:00:43 ID:Vwx7pCuV
「クソッ……」
 ただ本能に任せて体を動かす。
 左腕が痙攣している。
 握りこぶしを作ることができない。
「見え……ない」
 左目を黒が染みていく。
 何かが近づいてくる。
 青い粒子が見えた。
 魔道兵らしい。
 オルガは自分が激痛によって正気を保っているとの自覚があった。
 魔道兵は何か剣のようなものを抜き、襲い掛かってくる。
 下半身の感覚が無くなった。
 切り離されてしまったらしい。
「ああ……セルフィナ……」
 上半身の感覚も無くなった。
 何も見えない。
 何も感じられない。
 何も無い。
 何もかも暗闇に飲み込まれた。
34975 ◆kkZO9WMBek :2009/02/16(月) 20:01:13 ID:Vwx7pCuV
今日はここまで。
支援に感謝。
では名無しに戻ります。
350創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 20:01:44 ID:Vwx7pCuV
オルガ死亡の元ネタわかる人いるんだろうか。
351創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 20:05:36 ID:kU0R/qPk
お疲れ様ー、しかしあらためて130すごいなw
一応見かけたら支援しますので、頑張ってくださいね。
352創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 20:21:05 ID:Vwx7pCuV
>>351
ありがとうございます。
でも長いだけで話として面白いのかどうか疑問だw
353創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 20:40:40 ID:uGvWkZnc
>>350
大空のサムライだな
はっはっはっはっ
354創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 20:47:37 ID:+E8wuHYg
つまらないって思わないけどね。
キャラが成熟しているというか、軍人なんだなあと思う。
だから魔法少女軍事系と比べてキャラの魅力が伝わりにくいのかなと思う。

職人さんから元ネタ云々の話を振られても、萎えちゃう人もいるかも。
個人的には自分で元ネタとか探したいなあと思うので。
355創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:30:31 ID:wwK8KIVM
佳境だなあ
もう魔導兵ほとんど残ってないんじゃないか?
356創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:31:20 ID:Vwx7pCuV
>>354
昨日も話したけど、俺が守りに入ったせいでキャラを悪い方向に煮詰めてしまったのが原因だな。
軍人の面しか表現していないんだもん。

>元ネタ云々
すまない、自重する。
自分の作品を通して軍事に興味を持ってくれる人がいたら嬉しい。
政治思想とかそういうのはなしで。
357創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:32:54 ID:Vwx7pCuV
>>355
名有りはエレナとオルガで二名死亡。
多分五十人ぐらいは今までで死んでると思う。
358創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:35:08 ID:Vwx7pCuV
関係ないけど面白い動画を発見。
T-34でもいじくればここまでなるんだね。
ニコでごめん。
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm3877031
359創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:53:53 ID:MS60vR3R
エーリヒ死ね
360創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:56:49 ID:MrvPG9vv
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361創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:58:41 ID:5ZGn1O1y
なかなか面白かったです。
でもいっそプロペラ機作るなら量産性、防弾性、さらに攻撃力、速度共に出る
四式戦「疾風」、5式戦、「紫電改」の方が良いかも。
上に付け加えて
偵察機には「彩雲」を再現すれば相当の戦力増加が見込めると思われw
しかしながらプロペラ爆撃機は国産品にろくなものは無い。
ワンショットライターばっかりだ・・・
参考サイト
ttp://www103.sakura.ne.jp/~key/ac/ac_menu.htm
362創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 21:59:36 ID:BawCaKj2
太平洋戦争当時の戦闘機を現代の技術で作るなら
エンジン→ターボシャフト
機体→複合素材
武装→M61 20mmvulcan?大きすぎるなら12.7mmでこんなのもある。まだでかいと言うならミニガンか
     ttp://www.gdatp.com/products/lethality/gau19/gau19a1.htm
その他→グラスコックピット、デジタルフライバイワイヤ等  …レーダー電波吸収材なんかもアリかw
363創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:01:37 ID:lyqjTysu
魔法によるバリアみたいなもので秒速1500mで飛翔する120mmAPFSDSをストップさせられるか、
または魔法による攻撃で戦車の装甲を貫くことができるのか。
魔法による防御&攻撃は、おそらく魔法を使う術者の能力によって左右されるだろう。
術者の中に120mmAPFSDSをストップさせることができる奴がいても、HEAT-MPによる攻撃なら
無効化できないかもしれない。その反対も然り、得意不得意があるはずだ。
でも両方効かない奴がいたら?さらに戦車の正面装甲を破る奴がいたら?
364創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:03:11 ID:S+AKWcUv
<光弾の法>
無属性
詠唱時間:約3秒(標準魔法言語)
マナを消費して初期魔法質量m(kg)で表される魔力の固まりを速さv(m/s)
で打ち出し、magic sensitiveな物体に対し物理的、霊的衝撃を与える。
消費マナ数はジュール換算でmv^2となる。魔法発動後の経過時間をt(sec)、
空気の魔法作用率をμ_airとした場合、有効魔法質量はm*exp(-tμ_air)
の式に従い減衰する。空気抵抗や重力の影響を受けず、等速で直進する。
対象に衝突時の破壊力はm_eff*v_rel/Sで与えられる。ここで、Sは衝突面積、
m_effは有効魔法質量、v_relは対象との相対速度である。実際にどのような
破壊がもたらされるかは、対象の物性に依存するが、通常の肉体の場合、
質量換算で同密度の金属球が衝突した場合とほぼ同じである。
生体の場合、適切な処置を怠ると傷口周辺が壊死する場合がある。
回避可能。アンデッドやゴーストに対し有効。
精神抵抗により効果量を最大で約1/2まで減少させることが可能。
ディスペルマジックおよび金属鉄など一部の物質により無効化される。
365創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:06:00 ID:AeIIHdN8
頭飾り:
Head-dress
("Katjusha","White-brim")
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  ,ィ^!^!^!ヽ,
                 ,/゙レ'゙´ ̄`゙'ヽ
襟:.              i[》《]iノノノ )))〉     半袖: Puff sleeve
Flat collar.          l| |(リ〈i:} i:} ||     .長袖: Leg of mutton sleeve
(Shirt collar.)        l| |!ゝ'' ー_/!   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   /::El〔X〕lヨ⌒ヽ、
衣服:            (:::::El:::::::lヨ:::::::::::i      袖口: Cuffs (Buttoned cuffs)
One-piece dress      /::∧~~~~ヽ;ノヾ;::\_,  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    /:_/ )、_,,〈__`<´。,ゝ 
            _∠゚_/ ,;i'`〜〜''j;:::: ̄´ゞ'''\_    スカート: Long flared skirt
エプロン:        `つノ /j゙      'j;:::\:::::::::;/´::|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Apron dress         /;i'        'j;::::::::\/ ::::;/
(Pinafore dress)      /;i'         :j;:ヽ:::/ ;;r'´  アンダースカート: Petticoat
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   /;i'       ,j゙::ヽ/::;r'´    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              /;i'_,,_,,_,,_,,_,_,_,_,i゙::::;/ /
浅靴: Pumps     ヽ、:::::::::::::::::::::::__;r'´;/       Knee (high) socks
ブーツ: Lace-up boots  `├‐i〜ーヘ,-ヘ'´     靴下: Garterbelt & Stocking
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  i⌒i.'~j   fj⌒j   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
366創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:07:29 ID:e0o0zoNI
魔法遣いに大切なこと
http://www.yume-mahou.com

この物語の舞台は、現代の東京です。
でも、この世界では“魔法遣い”という存在が普通に認知されています。
しかしそのほかは、私たちの住むこの世界となんら違いがありません。
テレビも携帯電話もパソコンもあります。
車だってガソリンで走っているし、電車や飛行機だって、科学の力で動いています。
ただ身の回りに魔法遣いが居て、正式な手続きさえ取れば、誰でも魔法遣いに魔法を依頼することが出来るのです。
367創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:10:15 ID:SLMR3AvT
わたしが訓練教官のハートマン先任軍曹である
話しかけられたとき以外は口を開くな
口でクソたれる前と後に“サー”と言え
分かったか、ウジ虫ども!
(Sir,Yes Sir)
ふざけるな! 大声だせ! タマ落としたか!
(Sir,Yes Sir!)
貴様ら雌豚どもが俺の訓練に生き残れたら各人が兵器となる
戦争に祈りを捧げる死の司祭だ
その日まではウジ虫だ! 地球上で最下等の生命体だ
貴様らは人間ではない
両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!
貴様らは厳しい俺を嫌う
だが憎めば、それだけ学ぶ
俺は厳しいが公平だ 人種差別は許さん
黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん
すべて平等に価値がない!
俺の使命は役立たずを刈り取ることだ
愛する海兵隊の害虫を!
分かったか、ウジ虫!
(Sir,Yes Sir)
ふざけるな! 大声だせ!
(Sir,Yes Sir!)
368創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:11:00 ID:Q79RbSG+
    ||
 ノ⌒||^ヽ
彡/‖ ̄ ヽ
 | |`=◎=′←この中心を狙う
 | |__|
 凵 ##ヽ
 ∪###ゝ
  ^T TT´
   | ||
   「 「 |
   し'し'
369創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:11:46 ID:HqaMLhEv
個人的な魔法に関しての考えなのだが、魔法というのは科学(化学)と同義じゃないのかな、と思っている。
ただ、魔法で呪文を唱えて空中に火の玉を作る、というのが科学(化学)では大掛りな実験設備がないとできない、という感じで。
魔法の呪文も実は化学式に基づいたものだったりして。
そういう風に考えると、ファイアーボールとRPGとどちらが威力が高いか、というのも比較しやすくなると思うのだが。
370創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:13:01 ID:ONOh83NL
情報集積と統計情報解析などから「今後半年以内に大規模な動員が行われる公算大」とか
割り出すことは十分に可能だろう。
情報収集や分析の方法論や手法に大差がある。世界の全てを敵に回しているわけでも無し。
それに近世の頭のほうまで、軍事行動に関する情報秘匿を徹頭徹尾徹底して行うという発想が
無かったし。
371創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:20:03 ID:uGvWkZnc
>>357
かなり死んでるんだな・・・
372創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:25:55 ID:Vwx7pCuV
>>371
魔道兵は全体で百〜百二十人ぐらいと自分の中で設定してた。
生き残ってる魔道兵の方が少ないと思う。
373創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 00:58:48 ID:k0FbEhUk
マイコとユーリの姉弟対決に期待してる俺がいるw
374創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:04:39 ID:S2YYQjbA
後方に飛んでってガラ空きの本拠地叩けばいいだけなんじゃ
何でわざわざ地べた這ってる戦車相手にするんだ?
375創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:08:29 ID:k0FbEhUk
戦況見るにエーリヒの首狙いで魔道兵ホイホイ→火力でフルボッコじゃないのかな?

詳しいことはわからないが
376創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:12:09 ID:HcVqX1La
普通は後方で上位の指揮官暗殺して、補給戦を狙って兵站分断した後に
川で向かい合うような地形に誘い込んで持久戦するね

まぁ魔道兵側の指揮官が天然記念物級のバカなんだろう
377創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:16:40 ID:k0FbEhUk
天然記念物級馬鹿というか、革命軍になってから個人の戦闘力が上がった反面軍隊としてかなり歪んだと思う。


正規軍が分裂したら国際的にはどう扱われるんだろう。
軍閥とか?
378創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:24:52 ID:30DOIGG8
>>376
魔女指揮官は天然記念物かもしれないが、君のいってることにはひとつも「普通」がないw

>>377
内戦状態だと、まずどっちが正統政府として国際的に認められるかじゃないかしらん
379創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:30:33 ID:9sB1Kbhz
フセインは特殊部隊の暗殺から逃げる為に穴倉に篭ってブルってたわけだが
380創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:32:47 ID:30DOIGG8
うん、学園島でRMAがいつ起きたんだい?
君のいう「普通」がどこの操典に載ってるのか、とそういうことだよw
あるいはスイス傭兵の常識かにゃー?
381創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:35:12 ID:9sB1Kbhz
いや、見た目は非戦闘員でどこでも戦闘できる部隊を飛ばす意味が分からん
非戦闘員の振りして潜り込んだ後に暴れた方が強くね?
382創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:38:43 ID:asIjRSkx
双方が馬鹿なのでそんな戦術は思いつきませんし、対策もしません
383創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:39:08 ID:30DOIGG8
便衣兵じゃんw
それはテロだよ、戦争ではなく
384創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:41:09 ID:asIjRSkx
諜報戦です
385創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:42:41 ID:30DOIGG8
相変わらずお話にならんな、君は
ブランデンブルグぐらい例えに出せんものか
386創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:45:25 ID:Qux02z1Z
バリアーが張ってあるから双方の陣地には入れないんだよ
凄いぜバリアー
387創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:48:44 ID:Sdmvp0eh
「マナ色んな物作れる機」で弾丸や補給物資が作れる世界なので
補給物資をわざわざ運ぶ必要もないし、無尽蔵に撃てる
388創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:49:43 ID:30DOIGG8
ああ、なんたってビームも出てくるしな

しかしダメだな君は
いつもID変えて逃げてるから強くなれないんだゾ?
389創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:51:49 ID:3do/YHTQ
ぶっちゃけ魔道兵殺すなら毒ガス撒いた方が早い
390創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:53:51 ID:30DOIGG8
それは毒ガス厨の俺が真っ先に言ったぞw
391創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:54:11 ID:MaE7pXz6
ぶっちゃけた話
ifの世界を現実の常識で語るのはナンセンス
392創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 01:55:18 ID:30DOIGG8
まあぶっちゃけそのとおりだ><
393創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 09:51:04 ID:5hJp5nVW
見も蓋もないことを言えば群狼戦術で島そのものを封鎖すれば何の問題も無いッ!
394創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 09:53:45 ID:30DOIGG8
それも100万回既出らしいw
395創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 12:08:53 ID:NUWfFiFJ
アヴィリオンだっけか
魔法利用してんの?
396創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 13:03:13 ID:5hJp5nVW
>>395
ヴォルクグラードだお
397創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 13:26:44 ID:NUWfFiFJ
いやアヴィリオンは魔法技術を利用してない?
ということなんだが
398創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 13:36:31 ID:5hJp5nVW
>>397
試験運用レベルと考えてる。
二、三人魔道兵がいるぐらいかと。
399創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 13:54:58 ID:NUWfFiFJ
そうか、いや見るのも久しぶりなんだが
まだそういった段階か、でも魔法は出るんだろうかなと

エーリヒ達がなんたら戦線で善戦している中
上層部の水面下では恐ろしい陰謀が…とか、そんなんではなさそうだな
400創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 14:06:44 ID:5hJp5nVW
>>399
魔法同士の戦いにはならないかもね。
魔道兵は「昔、こんなすごい兵士がいましたハイ終わり」で済んで、後は史実と同じ兵器体系になるかな。
突出した能力持ちだけど派生はしなかったみたいな。

>陰謀
政治ネタは今回入れてない。
でも最後にファンサービス的なことはやります。
政治やって戦争も入った作品はダグラムかな・・・見たこと無いけどw
401創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 14:18:19 ID:k0FbEhUk
エーリヒは良くも悪くも陰謀とは無縁そうだしなぁ。

エーリヒ・シュヴァンクマイエルは反逆しない!とか言いそうw
402創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 15:55:41 ID:5hJp5nVW
>>401
理想や情念を任務に持ち込むマイコやエレナと、あくまで戦場では現実主義者のエーリヒは対比させてる。
生の感情剥き出しのエレナが死んだのは当たり前。
マイコは理想主義を捨てないと一生エーリヒに勝てません、ハイ。
403創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 18:54:34 ID:L8CLqNFo
チャーチルの演説。
フランスの敗戦を受けて行われたもので、よく知られている演説である。

「たとえヨーロッパの古く名高い国々が、ゲシュタポと憎むべきナチ支配機構の圧制下におかれ、また今またおかれ
つつあるとしても、我々は決してひるみはしない。我々は行き着くところまで行くだろう。
我々はフランスで戦い、海で戦い、確信と力で以って空中で戦うだろう。
いかなる犠牲を払っても、本土を守り抜こう。我々は海岸で戦い、敵の上陸地点で戦い、
野原や山中で戦い、町で戦うだろう。我々は決して降伏しない。
たとえ一瞬たりともそうなるとは思わないが、万が一本土の大部分が占領され.
飢えに苦しむようになったとしても、海を隔てた我らが帝国は海軍を武器として、戦いを続け、
いつか必ず新世界が全力を挙げて旧世界の救援と解放に立ち上がる日を向かえるだろう。」


逆に地獄のような大陸に引きずり込まれたドイツ軍将校の日記

スターリングラードはもはや街ではない 日中は火と煙がもうもうと立ち込め、一寸先も見えない
炎に照らし出された巨大な炉のようだ それは焼けつくように熱く、殺伐として耐えられないので
犬でさえボルガ川に飛び込み、必死に泳いで対岸に辿り着こうとする
動物はこの地獄から逃げ出す どんなに固い岩でも、いつまでも我慢していられない
人間だけが耐える。 神よ、なぜ我らを見捨て給うたのか・・・
404創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 18:56:10 ID:zDhQIItH
そういえば兵器開発順位はどんな感じになると思う。
私予想
1、戦闘機
2、爆撃機
3、レーダー
4、誘導兵器
5、重火器
6、ガス
7、細菌兵器
皆さんの予測を期待します。
405創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 19:54:53 ID:5hJp5nVW
>>404
VT信管と防空システム
406創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 20:24:48 ID:PAIWv4Ts
エーリヒ死ねば良いのに。
ほんと、死ねば良いのに。
戦争するなら本当に悪いやつとやってろよって感じだ。
407創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 20:25:46 ID:PAIWv4Ts
マイコも学生のくせにポルポトもどきの演説とか、もうアホかと。
マジで死んでほしいわマイコ。
そんなに戦争やめさせたかったら、全人類を直接始末してみろよ。
408創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:05:32 ID:5hJp5nVW
21:45から投下いきます
409創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:09:05 ID:uF/BJWzE
                              ´
                               ´.
                        ヾ>                 /\
                 _____ ヾ_,ゝ __,,:::=====:::,,  ./^\/  /   _  " ';:. :,;':.:
              ;" /___   ./     .  ` ´ ´、ゝ'' \    /  /,/
                     /  /  ..‐´   ゙        /   \    _  ; :.:,;'
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                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
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                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`







         ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ   戦いは火力だっつったんだおwwww
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)   火力火力火力火力火力火力だお!!
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //   バ
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/      ン
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    バ
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /     ン
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))
410創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:29:06 ID:Hj8POMCe
我々は生きるために、ブタや牛や鳥を殺して、調理して食べている。
人権や正義論理は生活に余裕のある人間にしか生れない感情。
北朝鮮の飢えた子供は「共食い」してるそうだし。

ナチス独逸と一緒。最初はユダヤ人に対する迫害に反対する者が居たが、
だんだんとどうでも良くなってしまっていた。

「人間は環境次第で平然と悪魔になれる」と言う事です。
41175 ◆kkZO9WMBek :2009/02/17(火) 21:45:06 ID:5hJp5nVW
それじゃ続きいきます
412創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:45:16 ID:o6ixytCp
       ____
     /⌒  ⌒\ ホジホジ
   /( ●)  (●)\ 
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 
  |    mj |ー'´      |
  \  〈__ノ       /
    ノ  ノ
41333/130:2009/02/17(火) 21:45:48 ID:5hJp5nVW
☆ 
 
 手の震えが止まらない。
「殺した……初めて人を……殺してしまった」
 心臓の鼓動音が高まっていく。
 鳥肌が全身を覆う。
 荒々しい呼吸の音が耳に入る。
 マナ・エネルギーの力で空に浮かびながら、ジークベルトは震える手で顔を覆った。
 今、ジークベルトは試作品の外付けマナ・クリスタルの力で身に纏った擬似ローブを纏っている。
 通常魔道兵は女性しかなれないのだが、珍しいことにジークベルト――の旧名の人物は先天的な適正があった。
 適正の原因が憎い姉の血のせいだと考えると、吐きそうになるが。
「いや、お、俺は迷わないと決めたはずだ。ああ、決めたんだ」
 必死に自分に言い聞かせた。
 そうしないと発狂してしまいそうだ。
 最も軽蔑し憎い存在の行いを、自分もしてしまった!
「あれは……!」
 視界の隅に青い粒子の光跡が見えた。
 自殺への衝動は憎悪で打ち消された。
 琥珀色の瞳が大きく見開かれ、震える。
「あれは姉さん……!」
 背部のマナ・ブースターから赤い粒子の光跡を残してユーリは進発する。
「見つけた。見つけたぞ!」
414創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:47:07 ID:diHYKwak
 国民を守る存在が、国民に不安を与えてはいけない…。哀しい思い遣りなのだよ。
『憲法の鬼子』のな…。そう謂う、事なのだよ。全ては。税金で喰っている事を、一番自覚している人種なのだ。
 たとえそれが建前に過ぎなくても、安心して、国民が笑って生活が営めるなら…。
宣誓書に判を押した者の宿命なのだ。それが軍に『志願』した者の常識だ。
41534/130:2009/02/17(火) 21:47:11 ID:5hJp5nVW


 鈍い音を立てて砲台が崩壊を始めると、両手を挙げ、白旗を片手に革命軍兵士達が投降してきた。
 戦意を打ち砕かれた兵士達は疲弊し、一切の覇気が無かった。
「アルベルト、武装解除をワイトリンク隊に命じてくれ」
「ハッ」
「ヴォルク軍はちゃんと動いてくれた。良かった……」
 内心、エーリヒは不安で一杯だった。
 もしヴォルク軍がサボタージュを働きでもしたら、今頃みんな細胞すらこの世に残っていない。
「ジークベルトはどうした?」
「敵魔道兵を撃墜。これより帰還するとのことです」
「そうか……サーチライトを照らしてやってくれ」
「危険ではありませんか?」
「全力でやってきたんだ。全力で出迎えてやらなくちゃ……」
「わかりました」
 少ししてアルベルトは遅めの昼食を持ってきてくれた。 
 黒パンにバター。
 塩漬け肉にチーズとキャベツ。
「食事ができる……」
 パンをナイフで厚く切り、バターを塗る。
 塩漬け肉とチーズとキャベツをパンに乗せ、一気に齧り付いた。
 美味い!
 味なんてわからない。
 だが美味い!
 生きてメシを食う――これに勝る幸せなんて無い!
 コーヒーで全てを飲み込んだ後、エーリヒは空に青い粒子の光跡を見つけた。
416創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:47:56 ID:/vqdbRft
いろんな意味での馬鹿が集まる組織か・・・
果して、そんなのがまともな活動が期待できんのか?
417創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:48:34 ID:Mmk3iMQi
41835/130:2009/02/17(火) 21:48:54 ID:5hJp5nVW
 あれはジークベルトではない。
 擬似マナ・クリスタルは赤い粒子を残して空を飛ぶ。
「サーチライト照射中止。対空戦闘用意!」
 急いでハーフトラックに戻ってきたアルベルトが叫んだ。
 双眼鏡で確認すると、やはり魔道兵がこちらに向かってきている。
<<やはり! やはりいたか! エーリヒ!>>
 無線機から聞こえる通信文に魔道兵の声が混ざった。
 一言を聞いただけで、エーリヒは魔道兵がまともな精神状態で無いと確信した。
<<やはり私とお前は運命の赤い糸で結ばれていたようだ!>>
 激しく撃ち上げられる対空砲火の中を魔道兵は突き進む。
 急降下の中で、背中から伸びる青い粒子の色が赤へと変わった。
<<そうだ、戦う運命にあった!>>
 低空で刹那の停止をした後、魔道兵は超低空でエーリヒのいるハーフトラックへと吶喊する。
 片手に光り輝く剣を振りかざし、正面から迫り来る高射砲弾を避けては切り、避けては切る。
<<貴様の圧倒的な能力に私は心を奪われた。この気持ち、まさしく愛だ!>>
 弾幕と弾幕の間――僅かな隙間を縫い、一本の剣だけを手に前へと進んでくる。
<<だが愛を超越すれば、それは憎しみとなる! 他者への愛情が、殺人を後押しするように!>>
41936/130:2009/02/17(火) 21:50:11 ID:5hJp5nVW
 アルベルトがエーリヒの肩を掴んだ。
「中佐! 危険です!」
「逃げても間に合わない」
「中佐!」
 魔道兵はハーフトラックの車体に取り付いた。
 剣を大きく振り上げる。
 エーリヒは瞬きもしなかった。
 剣は振り下ろされなかった。
「なんだ!?」
 右目を開くと、ハーフトラックの前で仮面を付けた魔道兵が突入してきた魔道兵と鍔迫り合っている。
 恐ろしいまでの残酷が目の前で展開している。 
 血の繋がった姉と弟が、目の前で殺し合っている……!
420創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:50:13 ID:+PerOPb6
ハンガリーの聖マルギット 1月18日
コルトナの聖マルガリタ  2月22日
聖ジタ          4月27日
サントマリードラメール  5月24日
聖ノトブルガ       9月14日

ハンガリーの聖マルギット
「病人を献身的に看病した」

聖ノトブルガ
「彼女が城で働いている間は、伯の領内では疫病も無く、戦火に巻き込まれる事も無かった。」を書き忘れた。
疫病はともかく、聖女の住む城を攻めようなんて考える野郎はいないと思われ。
信心深くは無くても迷信深いもんだ。
聖キアラの住む街をフリードリヒ2世の軍が攻めた時も、キリスト教徒の兵は怯えて使い物にならなかったので、イスラム教徒の兵を中心に攻めた。
しかも、攻城失敗して聖キアラの名声上昇、フリードリヒ2世の威信低下という結果に終わってるし。
(「聖キアラが城壁に上り聖遺物を頭上に掲げると、イスラム兵が城壁にかけた梯子が次々と壊れていった」という奇跡譚まで出来上がる始末。)
421創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:50:18 ID:FzFWj1od
 
422創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:50:40 ID:Mmk3iMQi
 
423創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:52:10 ID:ctb4+vl0
エーリヒ「真のダンディズムとは? …人の嫌がる事を微笑みながら行うものだ。サラリとな」
42437/130:2009/02/17(火) 21:52:17 ID:5hJp5nVW
☆ 

 空へと飛び上がった後、マイコは魔道兵と向き合った。
「男……だと……?」
 マイコは不愉快だった。
 全身を鳥肌で包まれたような感覚だ。
 魔道兵の仮面の奥への疑問――酷く郷愁を感じる空気の流れ――こいつは不愉快だ!
「だが、切り捨てるのみ!」
 静から動への変化は一瞬だった。
 飛翔したマイコの剣は駆け抜ける風となり、魔道兵の首のあった場所を横薙ぎに払った。
 魔道兵は斬撃を避け、刺突の一撃。
「……ッ!」
 マナ・ソードの刃がマイコの右肩口を霞め、エネルギーの潮流がローブを溶解させ、皮膚の一部を焼いた。
 肩から血を流しながら、マイコは裂帛の気勢を込めて斬撃を放つ。
 魔道兵は光刃を自らの光刃で受け止めた。 
「邪魔立てするか!」
「邪魔しに来た!」
 聞き覚えのある声だな、とマイコは思う。
 だが今は考えている余裕は無い。
「意気込みは良し! だが実力はどうだ!」
 鍔迫り合う剣の下で、マイコは膝を魔道兵の腹部に叩き込む。 
 距離を取り、剣を両手持ちして襲い掛かった。
425創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:54:07 ID:FzFWj1od
 
42638/130:2009/02/17(火) 21:54:10 ID:5hJp5nVW
「命をもらう!」
 マイコには流れが見えている。
 振り下ろしたマナ・ソードが魔道兵が刃で受け止めるより早く脳天に炸裂する。
 頭蓋骨に剣が突き刺さる。
 そのままマナ・ブースターを最大噴射で降下し、頭蓋を粉砕、股間まで切り裂いて魔道兵の肉体を両断する。 
 真っ二つになった魔道兵は血と臓物を散らしながら息絶え――。
「僕は命を見殺しにしない! 利用しない!」
「その声は!?」
 鋭い衝撃を受けてマイコは呻く。
 口内に鉄の味。
 激しく脳が揺らされた。 
「どれだけ殺せば満たされる!」
 魔道兵の剣が振り下ろされる。
 マイコは考えるよりも早く、反射的に上半身を反らした。
「パステルナーク・クルビット!」
 剣を振り下ろした魔道兵の体が戻るより早く、マイコは再度の膝蹴りをぶち込む。
 膝の先に激突の感覚。
「アンドリバース!」
 ブースターの噴射を利用して縦に一回転し、アッパーを魔道兵の顔面に入れた。
 黒い破片が散り、空に流れていく。
 次の攻撃を加える直前、マイコは止まった。
「なっ……」
427創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:54:49 ID:FzFWj1od
 
428創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:55:16 ID:ctb4+vl0
エーリヒ「さあ、魔女さんとやら? 目の前で奇跡を起こして下さいませんかねぇ? 」

 俺は裸に剥き、手首を縛り上げて高く吊るした、同世代の娘に向い嘲笑した。散々抵抗した報いだ。
 剥いただけだ。自分が『悪魔』だと認めさせるのが目的だ。拒否したならば? 決まってる。
 その姿のままで、市内を練り歩くだけだ。同じ格好をさせた、他の魔道兵どもを仲良く共にして。
429創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:56:08 ID:Mmk3iMQi


43039/130:2009/02/17(火) 21:56:15 ID:5hJp5nVW
 一体何が起こっているのか理解できない。
 こいつは……私はこいつを知っている。
 どういうことなの……?
 血塗れの顔がマイコに向けられた。
 風に靡く紺色の髪。
 琥珀色の瞳。
 マイコ・パステルナークを幼くした印象を受けるこの少年は――。
「ユ……ユーリ……」
 有り得ない話だ。
 マイコの弟であるユーリ・パステルナークは死んだ。
 本校で起きた爆弾テロで死んだはずだ。
 なのに!
 何故!
 ここで!
 魔道兵になって!
 私の敵になっている! 
「その名は捨てた! 今の僕はユーリ・パステルナークじゃない! ジークベルト・ヴィッツレーベンだ」
 弟の目には優しさではなく純粋な憎悪が宿っていた。
 一体何が弟の身に起きたのか?
 マイコの混乱する頭脳は必死に考える。
「何故……お前がここにいる?」
「僕の血の中にある貴方を殺すためだ」
 ジークベルトは即答した。
431創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:57:10 ID:DqIOmWaq
ゴーレム最強説に1票

戦車キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!

戦車の下にゴーレムを気が狂うほど作ってひっくり返す

飛行機キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!

離陸する時を狙って滑走路にゴーレムを気が狂うほど作ってry

艦船キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!

出港する時を狙って艦船の前にゴーレムを気が狂うほど(ry
432創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:57:38 ID:FzFWj1od
 
43340/130:2009/02/17(火) 21:58:24 ID:5hJp5nVW
 言葉は呪詛のように響いた。
 そこからどのようにして逃げ遂せたのかマイコは覚えていない。
 気が付くと、ふらつきながら泥の海を歩いていた。
 木の下でマイコは崩れ落ち、空を見上げた。
「これは……夢なのか?」
 懐から拳銃を取り出し、太股を撃ってみる。
 痛かった。
 どうやら現実らしい。
 血が水のように流れて溜まりを作った。
 出来ればこのまま死にたかった。 
434創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 21:58:56 ID:IZbUvJPB
手頃な大きさの小惑星を小惑星帯とかから引っ張ってくればなんとか。
すごい時間と労力がかかるから戦略的儀式魔法になる予感。

・小惑星の位置や軌道要素を確定。成分や内部構造も走査しておく
・各惑星の運動と重力の影響を考慮した軌道シミュレーション
・地球に接近する軌道を設計して軌道修正開始。
・大気に弾かれず燃え尽きないウィンドウを標的の位置を考慮して設定
・大気圏突入。せめて半径数百メートルの精度で‥
43575 ◆kkZO9WMBek :2009/02/17(火) 21:59:15 ID:5hJp5nVW
今日はここまで。
支援してくれた人に感謝。
436創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:00:13 ID:WHAU14uN
某MMORPGにて、魔法使いが戦争に参加するのに必要な資金。本人の養育費は無視。

・魔法使用に絶対必要なスペルブック・・・4000〜10000gp ただし消耗しないので誰でも持ってるけど。
・これまた必須の秘薬、要するに弾。一回の魔法使用で1〜3種類の秘薬を1個づつ消費・・・8種類*一回の戦闘で50〜100個、3gpとして1200〜2400gp。消耗品なので買い置き必須。
 また、防衛戦では各種10000個ほど陣地内に置いておく。
・手榴弾であり、解毒薬であり、回復アイテムであるポーション。一回の戦闘で計20〜多い人では50本程度。一本40gpとして800〜2000gp。
 防衛戦では樽ごと陣地に持ち込む。1500本分程度か?
・ハンドガン扱いなマジックワンド。詠唱無しで低級魔法が撃てる。トドメの攻撃魔法や緊急時の回復用。1回の戦闘で500〜1000gp分ほど消費か?値段に開きあり。
・皮鎧やらマジックアクセサリ。1セットが安物3000gp〜高級品では数十万gpまで。ていうか青天井。
・その他もろもろ・・・合計5000gpくらいか
・防衛戦ではバリケード設営に木材と技術者・・・3000〜4000gp?
・戦友・・・priceless

で、通貨の価値だけど・・・PC間ではもちろんインフレが起こりまくってるので、NPCのアイテム販売価格を挙げてみると・・・

・食料品
 果物3gp、料理は7〜20gp程度。
・武器
 ナイフが30gp程度・・・だっけ?プレートアーマーのパーツ1個で200gpくらい?質は良くない。
・贅沢品
 馬が600gpくらい、船、というかボートが10000gpくらい、一番小さい家が30000gpくらい。ウサギ小屋。
437創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:02:24 ID:LlYw3WWu
>>435
と言ってもねえ・・・その方面に行ってしまうとこのスレのテーマとかけ離れてるような・・・・・。
438創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:03:23 ID:Xw4PHjI/
くるたびに主題が変わる愉快なスレですね、ここは
439創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:03:55 ID:30DOIGG8
>>435
乙ー

>>436
wandはとっくの昔に死にましたが
てか派閥時代とかどんだけ古いコピペ持ってくるんだよ、センスねえなw
荒らしってなにやらせてもダメだな
440創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:04:15 ID:Mmk3iMQi
441創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:05:28 ID:F6icF0Q/
まだ地雷の話は出てないよな?
地雷ってめちゃくちゃ効果的じゃない?
これまで地雷対策してる描写はなかったような・・・
442創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:07:53 ID:gY76HN3w

         ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ   だから戦いは火力だっつったんだおwwww
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)   火力火力火力火力火力火力だお!!
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //   バ
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/      ン
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    バ
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /     ン
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))
443創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:09:14 ID:0Sz2iUpY
一見バカらしいけど、結構戦時ってバカみたく思えてもやっている人たち
は真剣っていうのありますな。
「映像の二十世紀」で第一次世界大戦の珍兵器・珍戦術みたいなのをやってた
けど、滑車つきの一人用装甲も、なんとか弾雨から兵士の身を守ろうと
切実な思いで開発されたんだし。
現場の隊員がラジコンで試作してるのを想像すると笑えるというか悲壮感漂ってる
というか……ううむ。
444創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:11:32 ID:cxpKHS7M
ドアを蹴破った瞬間火柱に包まれていい具合に焼ける隊員や、
通路を走ってたら電撃浴びせられて炭になる隊員や、
生き残ったとしても目は濁って失明し、
気管は焼けて呼吸不全な後遺症が残ったり、
床が消えるトラップでトゲトゲ床の上に足から落っこちて
両足の膝から下切断するような大怪我を負ったり、
テレポートのトラップで「行方不明」になったり、
仲間が目の前で犠牲になっていくのを見て心的外傷を
負って「魔法罠神経症」になったり・・・・・・

そういう悲惨な状況を打開するために知恵を絞るシーンが読みたい。
445創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:14:16 ID:c1AdvT5q
正直、75氏はギミックとしての魔法の使い方が下手だと思う
446創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:16:20 ID:J8jzaAr2
やっぱ、魔道兵退治には小銃じゃなくて狩猟用のマグナムライフルとか使うのか
447創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:19:53 ID:NMyELFa/
                                (巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡)ミ彡)
                             ,,从.ノ巛ミ    彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡)''"
                           人ノ゙ ⌒ヽ         彡ミ彡)ミ彡)ミ彡)''"
  ∧_∧              ,,..、;;:〜''"゙゙       )  从    ミ彡ミ彡)ミ彡,,)
√(:::. ゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャヒャ!_,,..、;;:〜-:''"゙⌒゙          彡 ,,     ⌒ヽ      彡"__∧ あ゛〜
| (:::..、===m==<|::::::゙:゙                    '"゙          ミ彡)彡'   )
|_=|:::. |::. | '    ``゙⌒`゙"''〜-、:;;,_              )   彡,,ノ彡〜''"  ,,ミつ つ
 (__)_)              ゙⌒`゙"''〜-、,,     ,,彡⌒''〜''"人 ヽノ,,ミ  人 ヽノ   熱いよ〜
                            "⌒''〜"し(__)  し(__)"''〜し(__)助けて〜
    ∧                                     ママーン     
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 魔道兵は焼却!!
448創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:47:47 ID:k0FbEhUk
ヴォルクと条約軍の共同戦線ktkr
449創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:51:37 ID:30DOIGG8
>>433
そういや太もも撃つのはヤバいな><
動脈逝ってたらそのまま死んでしまうやん
450創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:55:44 ID:YqVIPLVR
エヴァSSデータベース
http://boyslife.sakura.ne.jp/
451創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:08:26 ID:5hJp5nVW
>>445
魔法よりもオーバーテクノロジーの類に近い位置づけになっているからなぁ。
なかなか難しいです、ハイ。

>>448
一時的だけどね。
平和のために過去を忘れて戦おう!とか、そういう展開にはならないかも。
そういう展開は正直大嫌いだ。
昨日まで味方殺してた連中が仲間とか・・・

>>449
ごめん・・・ユリアン・・・ごめん・・・フレデリカ・・・
452創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:13:22 ID:30DOIGG8
>>451
そうだ、そういやあれと同じだwww
453創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:15:39 ID:k0FbEhUk
>>451
むしろ共闘は反故にしてほしい俺がいる
この際はみんな歌いながらヴァルハラへ一直線だw
454創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:18:36 ID:5hJp5nVW
>>452
ttp://www.youtube.com/watch?v=RVa2rDoBKFc
子供の頃、この回の予告を見て暫く続き見る気になれなかったw

>>453
何を言ってるんだい?
この話は愛を描いたハートフル青春ストーリーだよ!
455創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:25:06 ID:k0FbEhUk
ハートフルボッコの間違いだろwwwwwwww
456創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:28:42 ID:5hJp5nVW
>>455
イレイザーヘッドとかダンサーインザダークぐらいには明るい話だよw
457創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:35:14 ID:k0FbEhUk
これ終わったらラブコメ書くらしいけどおぞましい内容になりそうだな
458創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:41:26 ID:5hJp5nVW
>>457
いや、やるからには真面目な話にしたいと考えてる。
エーリヒと戦争で恋人を失った未亡人の擦れ違う感情とか、一人の「女」と「軍人」の間でユーリへの恋心に悩むエレナとか。
あとはお互いの素性を知らないで休日を共に楽しむエーリヒとマイコのお話。
459創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 00:06:23 ID:nmXdGhK3
身近にある戦争


           //__/_/ / |  ヽ \\ ',
           r┴' / / `∧ ! /^\< ̄ヾヘ      海上保安庁がこれまでに確認してきた
         // /    / ,、∨,、  \ヽ  \\    北朝鮮の工作船と思しき不審船は21隻ある。
       ∠..ノ /  /  / ∧ヽ|/∧ヽ  ヽ\  ヽ ヽ   一番最初の確認事例は昭和38年6月1日山形県酒田市十里塚海岸沖での事例だ。   
        r' / ,'  /  /l /´`"゙`´ ', ! 、   ', ヽ\}   
        | { l   リ ,' 从     リ |  〉  }  } リ         不審船から銃撃された案件は昭和45年4月14日だ。 
      /レヘ |\トヘ匕L.._,. 、__/厶∠L/ l lイL         あさぎり事件と呼ばれているこの事件は巡視警戒中の巡視艇「あさぎり」が
   ,ィ ´ / ∧ト、ゝ弋‐辷テミ、   ,ィ辷テァ//|,.イ ヽ\ー- 、    兵庫県城崎市竹野町沖500mの領海内において 無灯火の不審船を発見。
  /  /-ー彡'´|l lヘミi` ̄彡 | ヽ ` ̄´/ // ! ` ‐- \`ヽ \  停船命令を発したところ自動小銃で銃撃されたものだ。
 _,.〉<´  //   |l トゝミ彡'7   |     //,' |ヽ   `¨ ー-  ヽ
.´       //   |l |ヘ三彡゙  ┘'   ,.フ /  l  \      `¨>ー 、    幸いにして被害はなかったものの5時間以上追跡したが
.       ,'/     | ', ヽ.l`マ{ ゞ二.Tミ、/l l  |    ヽ        〉   ',   航続距離の問題で追跡を断念したものだ。
      /     /| l l|  \    |ヽ|´ | l  l|     ',.      /   l
.     ,'    ,' | l l|    ` ー'|ヽl   | l l ト、  |     /     !   他に有名なところでは宮崎県沖不審船事件がある。
    /__ /  | l  |   \  ゞ'゙   | l l | ヽ___⊥__    /     ,'   これも海上保安庁が1000km以上追跡したが逃走されてしまった・・・
    ヽ,      | l  |彡   ` ´ ィ三ミ:! l l |     /    /    /    
      \   ノ l  |三i        ゞミ三| l l |      /    /     /
460創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 00:06:46 ID:nmXdGhK3
          ,, r一-- 、 ,,
        /´         ``ヽ、
      /'               \
     ,;'                  ヽ
.    ノ ,  i      /    ,,   / |ヽ ゙ヽ     平成2年10月28日の早朝、福井県三方郡三浜町久々子の浜辺・・・
    イ i  |   i ,'`メ //  /i  .ト ヽ ヽ    通称「松原海岸」に一隻の木造船が漂着しているのを散歩中の漁師が発見した。
    レ| {   i   |//'´ `メ / / /|  } ト 1   上部構造物が無いなど漁船にしては不審な点が多かったので警察に通報。
     ',イ   i   r+テ=ミメイ   //'"|´/ / ハ|
      `、ヽ r'メ,  {。;;;;'ソ `   ' ,rz;,y'ノi〃イ .'    丁度福井県警は11月12日に予定されていた天皇即位の礼を目前に控えていたので
       `ハヾ ヘ   i'ー''-    /。シ゚ク /'"      沿岸警戒態勢を強化していた矢先の出来事だった。
         レ',`'';  i     , `'' / /
          ' i∧ト i,   -   ,イ{ ./      事件当日は台風並みの大荒れの天気で最大瞬間風速は22.4m、最大波高は8.24mを記録
.          ,y}`ヽ |ゝ, _, r '´ リ |/       強風波浪注意報が出されていた。
         ,ノ.:.:.ヽ `', {;;ヽ、.   |i
       ,;<、.:.:.:.:.:.:.`v'" ^,ヽミ、,           警察が現場に到着し、船内を調べたところ米国OMCマークの入ったエンジンが三基搭載してあった。
.      /,ニヾ`ヽ.:.:.:.:.:.`彡=ヾ}:||i、          三基フルに使うと最大船速は100km、780馬力を出すことが判明。
..     //  ` `\\.:.:.:.ヘ  i|:||i丶         また、船内にはハングル付の照明具や乱数票、暗号表、換字表などを押収した。
     ,' f     ヽ \\:.:.:i  i|.||i ',
    イ i      /' \ヽ.:i_,,_|:ii .{     _ ,,r'''i ┐   換字表には「偉大なる首領・金日成同志」「親愛なる指導者・金正日同志」
.    ,' ヘ      、   ハヾ',|ソ,'/i ヽ ノ,ゝ;;=、ミヾ、 i;;|    「万寿無疆を謹んで宿願します」などの記載があった。
    '' ̄',      ',   i ヾ`,〃 》 ,イ、  ̄`ヽミヽヽ,i;;|
       ',  \  ',  :i _,,∨,,,_∠、 ヽ   r- ' ヾ、;;;|
       ',    ヽ、', ,ゝr'     ヽ :} 」´,n`ヽメ'ト、>
461創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 00:07:44 ID:nmXdGhK3

            ´  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄く
        / : : : : : : : : : : : : : : : : : :\          それだけじゃなく海中からはスクリューやマスト
.      /   : : : : : : : : : : : :     . . .\         モールス信号送信装置、バッテリー、ゴムボート、オール
 、__//. /. . . . . . .    . . . . : : ! : : : : ヽ        そして金日成・金正日の写真の入った赤色手帳が発見された。
   ̄/. : /. : : : :/ : : : : : : : : : : : \l: : : : : : :ヽ       これらの証拠品のほかにも現場から50m離れた場所の消波ブロックに
.    l : : l : / : /. :/ : : ヽ、: : : `ヽ : !: :l: : : : : ヽ、     男性の水死体二体が漂着しているのが発見されている
   l :/ l : l: : :l :∧: :ト、: lヽ、: : : :ヽ!: :l: :l: : : l  ̄
   l/!: ! : l: :/l/‐-ヽ! ヽ !  _ヽ-―!‐ !: :l: : : !        また木造船には燃料が大量に残っていたことや乱数表などが
    ヽ! : l : ! rfチミ、  ヽ´ fr旡ミ! : ト、l : : ′       新品であったことなどから警察はこの事件は工作員が潜入に失敗し
.      ヽ !: :l  rっソ     匕り !: : !丿/j/         消波ブロックに衝突、難破したものだと判断。
.       j∧ :ト、 `¨   .      l l :l j/
         V: :lヽ、   _     /j/!/              そのため福井県警本部は京都府警や石川県警と連携をとって
          ヽ: ! >   __.. ィ                   警備部長筆頭に110人態勢でこの事件の捜査に乗り出した。
       rヾ  ̄ ||   lr‐ 'フ, '/ |ヾ| !  |  !
      ,',ヘ ヾヽ||  /   ∠- ァ! \|  !__ヽ
    /!  ヽ | |||/     r--'ヽヽ `ー、ヽ ¨ァ







               /.:.:.         \
                  /:,:.:.:  /   ヽ    \
              /.:.l:.:.:/:/   :/  ', :l   ヾ`ー 
                /!:.:.|:.: l/  〃 / j } :|    ハ 
            /イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l  l }     漂着した海岸近くの松林で水中スクーターが発見されている。
             N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j      福井県警は陸上でも捜索したが潜入者は今に至るまで発見されていない。
              ヽム:.} c;_j    c;リル iレヽ
                    `ヘ:ゝ    .'    小/        子舟と水中スクーターは美浜事件資料館にて保存されている。   
                      ヾ:{>、 _ ィ<}/|/         
               _, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_        なお、同型の水中スクーターは2001年に石川県黒部川河口でも発見されている。
             /| l:|   | ===|   |:l゙ヽ       この水中スクーターは不定期ではあるが市役所などで公開されることもある。
              /  | l:l   l     l   l::l l
               l  ヽハ    l   l  //  |
462創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 00:09:34 ID:nmXdGhK3
        ,へ、|| ̄|| /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_:..::.:\
       << \| ,'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._:.:.:.:.:.:._::.:.:.:\:.:.、ヽ
    ,. ――-`==V/:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ト- ヘ、:.:.:\:ヽ、
   /:.:,. -― ―ァこ}:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_,、:.: -ーヘ' \,.ヘ:.:.\:.:.:.:ヽ:.:\   ちなみに工作員は結構な数が逮捕されてますが
.  /:.:/     /,〃ヾ ,' ´ヽ-― T r:ト、、:ヽ:.::V:.:`ヘ:.ヽ:.:.:.', :.:.:.|ヽ.:.:l   だいたいの工作員は
 /:./      ///|:.:.:.:/r'7-― T:.|:.:.:.:|:.! ';:.!:.:|、:.|:.:.:.:.:.|:.:.:.',:.:.:iヽ:.l !:.:.|   「自分のものです」「知りません」
 |/      // ,'∧:.:.:|:.:.:.:.:.:.:!.:.:!:.|.:.:.//  |トムL」_:.:.}イ:.:.:.:.l:.:.:| |/ ,':.:.,'   のどちらかでした。
 |:.i     // .i|',:.:.|:.:.|:.:.:./ /斗‐'Z   リr==、|!://|:.:.:.:ハ:.:'  /:.:./
 |:.:'、   //   | | ヽj:.:.:|.:.:.i'´ ,.r==         K:/:,'!:.:./ レ′/:.:./   自分のものと言い張っているなら
 ヽ:.:\  L!  .| |   {ヽ、:.| ′     、    | Y/:./   ク/    所有権放棄の手続きをとらせて
  \:.:.\_ ,.┐L!   \|:.:.',        _ ,...   ノ:.:.:| '´    /     自分のものではないと言い張るなら
.    \:.:< ||     _!:.:.:ト、    ヽ..ノ  /、!:.:/            無主物として没収したんです。
     r rr‐ィ' i , ァ   rii \:ヽ_`ト 、 .._,. '′ノ!:人
     UUノ  y'/    ,'| |   `ー |::::::::::::::/   〃  >、    没収した後は骨の髄まで調べつくした後
     i  , ''" ,′  .∧l |     |::::::::::/     ,. '´,.-┤   警察学校で教材として晒し者にするのが常でした!
     ト、  ,.イヽ、  | `| |     ト-v′   / ./  |
     l. \/::┌〜 、_ | |_,. -==! ム、_   / / ,. -‐┤
     | /::::::::::|    ` ー-、_,==H=、、゛シ ./ ,. "    ,'
      く:::::::::::::, |        ` `く!ト、_}ト、/r'´     |
      \::∠|         ,イ}|`ー'  |/    l
463創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 00:11:16 ID:nmXdGhK3
        ,. -───- 、
     r-‐'´          \
     |  |ヽrl l 、  、 ヽ、 ヽ
     |  |   | !ヽヽ ヾヽ l   l
     ト-|---ヾ ヽヾー‐l┼ |  |     結局、この工作員は証拠品を全てマンギョンボン号に積んで
     | ≡≡≡  ≡≡≡ |  |     新潟港から母国へと帰っていったんです。
      |  |            | |  |
.    |  {    __     | |.  |    スパイ天国の日本、その日本警察を北朝鮮ではこう教えているそうです。
    |   |`ー-.,二` ,, -‐'::! |   |
    |  ノ  ∨ヾ厂ヾ=シ::l |ヽ  l   「腐ったカボチャと同じで押せば押すほど引っ込むw」とね。
     | /   {::::V7Tレ'::::/ /::::ト/\|
    |/    〉::::|'ブ::::::/ノ´_:::}      情けない話ですね・・・
       /ヾ´l/`>ベイ\ー}
       >'  | `^´ l  ヽ  ノ
      `ヽ,ムL___|!__ヽ Y′
        | ,イ /  `ー┘
        `′ー′






              _,,,,,,,,,,,_
           ,,--'´     ¨''-、
          /           `、
           /  ,   r 、/ヽ   、 i            法の不備どころか日本にはスパイを処罰する法律が存在しません。
         i   i  l     ! ! i _i rヽ、__         逮捕されても皆微罪扱いなんですね!
          !   ! _i,,l,,,,,,,_ l ,lrl´ i.!`i、ヽー`ヽ、
         i .: _,l  !_!,,,_ヽ レ',r/iヽl,! l ヽ,!ー i `、 
        l .:: i`!ー''!l   `  i:./ ,!`  ! `ー、,ヽ,`、 
          !.:::  `l :. ll  、___, ´ /!  il    !   `、
        l :::_,,,,,,;;!;;;_ !、   ,.-'":.:.!   !!   l   ! 
         !./    ..`、l./、¨-''''ヽ_:.:!  i l    !   l
       l/    .:.:.:.:.!l l:.! l  .:/¨l   !lー‐‐-i   ! 
       ,r′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ !!:! !:/.:.  !  l !   ヽ   !
        /    .:.:.:.:.:/l i l;/`i'´.:.:.:.. ,i,  N,,,,_______,,,,ノ
     /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;,!:.:!l l:.:.:.:!:.:.:.:.:. /:.:! l:.`、
     7ヽ、   .:.:.:,!:.:.:l,!! l:.:.:.:!`''''''''´:.:.:! /:.:.:`、 
      /   フ''''‐-’;,:'';,:レ':.:./:.:.:.:!:i:.i:.:.:.'´:.i:.:.:.i:.!
    /   ,r" ...:.:.;,:.:.:''.:.:.:.:,.イ:,i:.:.:.l:.:!:.!:.:.:.:i.:.!:.:.:ll;!
    !  r'’..    ..:.:.:.:.:.:/:i:l:.il.:.:i:l.:.l:.!l.:.:.:l'i:l !:.:!
.    ! ,!  :.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.!;/レ'l:.:/レ'V l:.:/ レ l;/
     レ':.:.   :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!   レ'   レ′
464創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 10:42:14 ID:9u4oPf/1
大人キャラをどうするか困っている俺参上

子供に負ける大人ってのもなぁ…
465創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:48:52 ID:RLMPzeYD
>>464
逆に裏をかかれて負けるとかどうよ
あまりに稚拙すぎたとか
46675 ◆kkZO9WMBek :2009/02/18(水) 19:31:36 ID:RLMPzeYD
続きいくよー
46741/130:2009/02/18(水) 19:33:50 ID:RLMPzeYD
第二章



 森の中に条約軍とヴォルク軍は肩を並べて傷ついた体を休めていた。
 偽装網で覆い隠された戦車や突撃砲の周囲には両軍の兵士達が死んだように眠っている。
 兵士達を起こさないよう忍び足で一人の将校が森を進んでいく。
 ヴォルク軍の司令部――といっても、濃緑のテントだけだが――を訪れたエーリヒはヴォルク兵に捧げ銃の敬礼で迎えられた。
「始めまして。エーリヒ・シュヴァンクマイエルです。ウラジミール・ニーホフ閣下にお会いしたい」
 最初に現れたのは見るからに堅物の将校だった。
 どうやら内務委員らしく、威圧的な姿勢をしている。
「ロシア語は話せるか? それから条約軍式の敬礼をするのはやめてもらいたいとのことだ」
 エーリヒは反論する。
 舐められるわけにはいかない。
「僕はドイツ人だ。ロシア語が話せたって、ドイツ語以外は喋ろうと思わない」
 顔を歪める将校に対してエーリヒは続けた。
「どんな敬礼をしようと君らの知ったことじゃない。我々は条約軍人としての敬礼法を教わり、それをそのままやっているだけの話だ」
 将校は数枚の写真を提示した。
 エーリヒが受け取って目を通すと、どうやら捕虜収容所の惨状らしい様子が写されている。
 将校はエーリヒがそれに関与しているのではないかと話す。
 怒りにも似た感情が込み上げてきた。
「全く知らない。だけど戦場の常、どこでも起きたことだ。それにこの写真で起きたことが捕虜収容所のみで起こるとは限らない。
 ガロズニィグラードやロートリンゲンではもっと多くの死体の山が築かれた。君がもし紳士だとしたら、写真だけではなく自分の目で何が起こっているか見て見ると良い」
 エーリヒの言葉を聞いた内務委員は悪意に満ちた一瞥をくれた後、去っていく。
46842/130:2009/02/18(水) 19:35:19 ID:RLMPzeYD
 彼の言い分や考えも理解できる。
 だがエーリヒは本校で学生生活を送る生徒達の安全や財産、それに加えて家族を守るために戦ったのだ。
 多くの部下達も同じだ。
 死んでいった部下達は政党や思想のために戦ったのではない!
「申し訳ありません、中佐殿」 
 案内してくれた別の将校は謝罪した。
 どうやら内務委員はヴォルク軍の中でも浮いている存在だったらしい。
「いや、こちらこそすみません。偉そうなことを言って……」
 エーリヒは気恥ずかしくなる。
 一時の感情に心を支配されて、ヴォルク軍の人間全てを偏見の目で見るところだった。
 やはり自分は人間として未熟だと痛感しつつ、小さなテントに案内された。
 ランプの光がテントの中を照らしている。
「お会いできて嬉しく思う。シュヴァンクマイエル中佐」
 ウラジミール・ニーホフは特別なことを何も言わない人間だったが、極めて良い印象をエーリヒに与えた。
 自分に比べて半世紀近く生きている大先輩に対してエーリヒは尊敬の念を禁じえない。 
「恐縮です」
 従卒がコーヒーの入ったカップを二つ、テーブルに置いた。
「ささ、飲みなさい」
「あ、ありがとうございます」
 戸惑いながらもエーリヒはコーヒーに口をつけた。
 代用コーヒーとも条約軍のコーヒーとも違う、独特の味わいだった。
 カップを置くと、ニーホフは話し始めた。
「こうやって席に向かい合えるのは幸運だろうか?」
「内心、何を話したらいいかわからない自分がいます」
469創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 19:37:30 ID:b/msEhBY
 
47043/130:2009/02/18(水) 19:37:47 ID:RLMPzeYD
「当然だろう。私だってわからん。そうだ、戦争が終わったら何をする?」
「まだ何も考えていません。長い戦争でしたから……」
「そうか。家族や友人は大丈夫かね?」
「本校にいます。今のところは安全です」
「きっと心配しているだろう」
 閣下の家族は――とエーリヒは聞かなかった。
 事前に少し調べたところ、ニーホフは三人の息子を戦争で失っている。
 今は一応の味方とは言え、エーリヒが息子の死に間接的に関わった可能性もあるのだ。
 聞かない方がお互いのためだった。
「重くは無いかね?」
 ニーホフはエーリヒの胸元にある黄金柏葉剣付ダイヤモンド騎士鉄十字勲章を指差した。
 いいえと言いかけるが、エーリヒは口を噤んだ。
 勲章の重さという言葉が何を意味するか?
 それを答えられるほど自分は出来た人間でないとエーリヒは知っている。
 その後、しばしエーリヒはニーホフと談笑することができた。
 エーリヒの心は和やかなものになった。
 コーヒーカップが空になると、ニーホフはわざわざ自分で席を立ち、コーヒーのおかわりを持ってきてくれた。
 気遣わなくていいし、こんなにしてもらうわけにはいきませんと言ったら、ニーホフはどこかむっとしたような表情を見せた。
47144/130:2009/02/18(水) 19:40:42 ID:RLMPzeYD
 エーリヒはニーホフの好意をありがたく受け入れることにした。
 二杯目のコーヒーの量が半分になった頃、テントに伝令が入ってきた。
 伝令はニーホフに耳打ちするなり、すぐに姿を消した。
「どうしました?」
「どうやら革命軍の本隊がチェルヤ・クレーターに現れたようだ」
「先日の巨大砲台は囮……恐らく、そちらが本命でしょう」
「革命軍がクレーターを離れる前に、私の隊で攻撃を仕掛ける」
「いえ、我々がやります!」
 ニーホフは首を横に振った。
「大人が責任を取らねばならん」
「ですが、閣下に何の罪があると言うのです!」
「パステルナーク大佐のような子供を生み出したのは、我々大人だ。大人は責任を取る」
 エーリヒは何も言えなかった。
 だが自分も一緒に行くとは言わなかった。
472創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 19:42:47 ID:2uAQtChK

47345/130:2009/02/18(水) 19:42:57 ID:RLMPzeYD


 ジークベルト・ヴィッツレーベン少尉はハーフトラックの脇に積み重ねられた木箱の上にいた。
 左手で報告書を読みながら、右手でセロファンに包まれた野菜入りソーセージに齧り付く。
 微々とした硝煙の臭気混じりの風が森の中を駆け抜け、木に残った僅かな葉を散らす。
 葉は枯れ葉混じりの地面へ吸い込まれていく。 
「調子はどうだい?
 僅かに襟にかかった濃紺の髪が風に靡いた時、突然声をかけられた。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエルだ。
「中佐!」
 ジークベルトは弾かれたように木箱から立ち上がり、直立不動で敬礼する。
 上官である隻眼の少年は敬礼した後、また木箱の席を勧めた。
「そうだ、紅茶飲むかい?」
「頂きます」
 偉そうにならないよう気をつけながら、ジークベルトは答える。
 ジークベルトが知っている限り、エーリヒ・シュヴァンクマイエルという人間は周囲に気配りのできる良心的な人間だ。
 だからこそ強いのだ――と自信を持って言える。
 優しい人間、世話好きな人間、温厚な人間こそ戦場では殺戮機械になれるのだ。
 具体的な例を少なくとも三人、ジークベルトは知っている。
「あちち!」
474創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 19:43:39 ID:2uAQtChK
しえん
475創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 19:44:00 ID:b/msEhBY
 
47646/130:2009/02/18(水) 19:48:47 ID:RLMPzeYD
 紅茶の入った鉄製コップに口をつけたエーリヒが叫ぶ。
 ベレー帽から出た茶色じみた黒髪を掻き、苦笑いした。
 こういった抜けた一面もエーリヒという人間に対して好意を抱く人間が多い理由かもしれない。
 戦場で指揮を執れば魔術的な戦術を見せる姿との対比なのだろうか?
「はいよ」
「ありがとうございます」 
「懐かしい匂い……」
 紅茶を受け取ったジークベルトは立ち上る湯気に郷愁を覚えずにはいられなかった。
 昔……まだユーリ・パステルナークと名乗っていた頃。
 ヴォルクグラード人民学園寮の一室。
 ユーリと柔和な顔立ちをした金髪の少女――エレナ・ヴィレンスカヤと姉の三人で、授業が午前中で終わった日には部屋でテーブルを囲み、他愛の無い話をしたものだ。
 ある日、些細なことで姉とエレナが喧嘩を始めたことがある。
 どうしようもなくなったユーリは泣き出してしまい、姉達は争いから泣きじゃくる少年をどう宥めるかにエネルギーを使う羽目になった。
 もう戻れない楽しい過去だ。
 エレナは戦死した。
 姉のマイコ・パステルナークは革命軍の首領としてヴォルクグラード人民学園の実権を握り、今や独裁者として巨悪の名を欲しいままにしている。
 そしてユーリ・パステルナークは亡命し、名を変えて条約軍の一人となっている。
「僕は……」
 森の中に響いたディーゼルエンジンの排気音に、ジークベルトは現世に意識を引き戻された。 
 ガチャガチャと飯盒の鳴る音に、キャタピラの騒音が混ざり合う。  
 ジークベルトとエーリヒにいるハーフトラックの横をヴォルク軍のロジーナ戦車が進んでいく。
 ハッチから上半身を出した戦車兵が敬礼していたので、二人も返礼した。
「何が始まるんです?」
「チェルヤ・クレーターで革命軍の本隊が行動を開始した」
「追わないのですか?」
「追わない。勝ち目がないからね」
 正論だと思いながらもジークベルトは納得できなかった。
 つい先ほどまでは一緒に戦ってきたではないか。
47747/130:2009/02/18(水) 19:50:26 ID:RLMPzeYD
 ならば手を取り合って共同歩調を取ることはできないのか?
「見殺しにすると言うのですか……」
「条約軍はヴォルク軍を守るための軍隊じゃない。西方条約諸校を守るための軍隊だ」
 何も反論できない。
 エーリヒは条約軍の人間であり、ヴォルク軍の人間ではない。 
 違和感を覚えるのは、精神構造の基幹部分にヴォルク生徒としての感覚が残っているためだろう。
「ジークベルト?」
「はい、中佐」
「自分が背負える以上のことをしない方がいい」
 背負っていませんとジークベルトは反論する。
 だがエーリヒの右目から伸びる鋭い眼光を浴びせられると、何も言えなくなってしまう。
「背負ってる。自覚が無いだけだ」
 エーリヒがなおも言おうとすると、ジークベルトは押し切った。
「僕はあの女を殺す。そのためだけに生きているんです。紅茶、ごちそうさまでした」
 カップを置いて敬礼した後、ジークベルトはハーフトラックの側を離れた。
 自分が背負える以上のことをしない方がいい――。
 エーリヒの忠告は最もだ。
 だが……。
「姉のやったことの責任を弟が取らないでどうするんだ。他人に何がわかるっていうんだ」
47848/130:2009/02/18(水) 19:52:46 ID:RLMPzeYD

 
 ヴォルク軍が去った後、森林内に待機していたエーリヒ戦闘団に食事が振舞われた。
 シチュー砲と呼ばれる野戦炊事車から食欲を刺激するデミグラスソースの香りが流れ、兵士達が何時の間にか長い行列を作った。
 ここ最近、戦闘団の食事にはステーキなど、豪華なものが振舞われていた。
 経験の少ない兵士は舌鼓を打ち、指揮官の粋な計らいに喜んだ。
 経験の多い兵士は暖かい食事を前に表情を曇らせた。
 戦場で美味い飯が出る時は、これから死にに行く時だからだ。
 命令を出した当の本人、エーリヒ・シュヴァンクマイエルは黒パンを片手に鰯の油漬けを食していた。
「中佐、暖かいもので無くても良いのですか?
 副官のアルベルトがハーフトラックの車上に現れた。
 老けた顔をしているが、まだ十八歳である。
「俺はいい。みんなに食わせてやってくれ」
 エーリヒは火傷の痕を掻く。
 そして聞く。
「なぁアルベルト、人間はどれだけの物を背負えるんだろうな」
47949/130:2009/02/18(水) 19:55:35 ID:RLMPzeYD
 一呼吸置いて副官は答えた。
「その人間が背負える量だけでしょうね」
「ああ。でも、世の中にはわかっていても余計な物を背負う人間はいる。自分で背負って、重荷に潰されるんだ」
 黒パンを食べ終えたエーリヒは、アルベルトに微笑を向けた。
「俺は嫌だね。人間は人の人生を背負えやしないんだ」
 もちろん、本心は違う。
 他人と関わる以上、人間はその人物の人生をある程度は背負わなくてはならない。
 エーリヒの両親がエーリヒの人生を背負ったように、エーリヒもまた部下や多くの人間の人生を背負わなくてはならない。
「戦場で他人に過度の干渉をすると、やがて自分を殺すことになる」
 そうでも考えないと、エーリヒは発狂してしまいそうだった。
 人を動かして死地に送り込む――傍から見ればおぞましい行為を平気でするためには、冷酷な言葉を自分に言い聞かせるしかなかったのだ。
 だから思う。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエルとジークベルト・ヴィッツレーベンという人間は、どう足掻いても分かり合えないと。 
48050/130:2009/02/18(水) 20:00:18 ID:RLMPzeYD


 鉛色の雲で覆われた空は頭がぶつかりそうなぐらい低い。
 平原のあちこちに大きな穴が広がり、地面は歪に隆起していた。
 かつて地球に落着し、世界を一度破滅させた隕石群の与えた傷跡だった。
 最も大きな穴を人々はチェルヤ・クレーターと呼ぶ。
 落下した隕石は最大級で、TNT換算で約十五キロトンの破壊力があったという。
「なんだあれは……」
 ウラジミール・ニーホフは装甲車の車上から双眼鏡でクレーターを覗き込んでいた。
 望遠レンズレンズの中では、クレーターの周囲に魔道兵が哨戒している。
 魔道兵は二人一組で飛行し、周囲に目を光らせていた。
「閣下、下を見て下さい」
 副官の言葉を受けて、双眼鏡を下げる。
 クレーンが上下、左右に展開していた。
 どうやら工兵部隊もクレーター内にいるらしい。
「何かを掘り返しているようです。あれは……」
 副官の言葉が途切れると同時にニーホフは双眼鏡を下げた。
 目を擦り、もう一度レンズを覗き込む。
「戦艦……か?」
 レンズの中で、巨大な戦艦――いや、人型をした要塞のようなものがゆっくりと上昇していく。
48151/130:2009/02/18(水) 20:01:09 ID:RLMPzeYD
 ニーホフはかつて耳にした噂を思い出す。
 地球に落着した隕石の中に残されていた宇宙人の戦艦を改造し、一つに纏めた兵器が存在すると。
 その兵器は学園島どころか世界全体の戦力バランスすら変える代物で、戦略レベルでの威力を誇るという。
 マナ・クリスタルやオーバーテクノロジーが存在する世界なのだ。
 眉唾モノの話ではあったが、完全に嘘とも言い切れない。
「常に事態は最悪の場合を考えるべきか」
 革命軍が先の巨大砲台をも上回る超兵器を手にしているとニーホフは考える。
 こうあってほしい。
 こうであるはずだ。
 希望的観測は軍隊を敗北させる。
「閣下、どうしますか?」
「うむ……」
 今のヴォルク軍の戦力では勝てる可能性は少ない。 
 少し考えてから、ニーホフは兵士を集めさせた。
 一分としないうちに兵士達が整然と列を作る。
 軍の規律は賞賛されるべきものだった。
 戦争が始まった頃と些かな差異も無い。
 それに誇りに思う反面、ニーホフは子供達を軍人にしてしまった罪悪感を胸中に覚えた。
 ニーホフは問う。
「これから我々は革命軍の巨大兵器に対して攻撃を仕掛ける。危険な任務だ。生存の可能性は極めて少ない。なので志願制とする」
 副官は続けた。
48252/130:2009/02/18(水) 20:01:34 ID:RLMPzeYD
「志願する者は一歩前へ!」
 兵士達はお互いに顔を見合わせ、半数が前に踏み出した。
 もう半数はそのままの位置にいた。
「申し訳ありません。閣下」
 前に出なかった兵士は謝罪の言葉を口にしたが、ニーホフは首を横に振った。
「何も恥じることはない。ただ、君らにも任務を与える」
「任務……ですか?」
「そうだ。万が一、いや兆が一負ける場合を考えて……」
 慣れないジョークには誰も反応しなかった。
「エーリヒ・シュヴァンクマイエル中佐に、巨大兵器に関する情報を渡すんだ」
 ニーホフに肩を掴まれた兵士は、力強く頷いた。
 もう自分らの時代ではない。
 次の時代――新しい世代のためにニーホフは動かなければならない。
「新しい時代を作るのは我々老人ではない。君達のような子供だ」
48375 ◆kkZO9WMBek :2009/02/18(水) 20:02:33 ID:RLMPzeYD
今日はここまで
支援に感謝

ところでみんなハルトシュラー主義についてどう思ってる?
484創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:03:30 ID:b/msEhBY
 
485創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:05:45 ID:b/msEhBY
うーん、僕は修羅じゃないです。
とだけ……
486創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:10:10 ID:RLMPzeYD
>>485
そっかぁ
いやね、ハルトシュラー主義は創作者は創作で語れと言うじゃない?
それなら2chでやる必要ないんじゃないかって思うんだ
個人サイトでやればいいんじゃね?と
創作者と読み手が近い距離にいるからこそお互いを高めるようなことをしてもいいはず
上手く纏められないや
別にハルトシュラー主義を悪く言う気はないです 気を悪くした人がいたらごめんね
487創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:12:44 ID:2uAQtChK
修正ハルトシュラー主義、語は悪いがw
488創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:21:42 ID:RLMPzeYD
>>487
この話はこれぐらいでw
489創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:56:11 ID:ToBcOjni
おっぱいチューチューされて乳首勃起しちゃったり
エーリヒのオチンチンに興味津々なマイコってのも見たい
490創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:07:31 ID:FAnUEuiD
スゲー!! エレナ生き返った!!
491創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:09:46 ID:MZKIf9bp

              _,____
ノ(          / ̄lllllllllllllllllllllllll`ヽ、
lll(        ノ´llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`ヽ、
lllllll)     ノ'lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`l
丗ヲ    /lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`l
llllノ    ノllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,、ll|
llノ    ノlllllllllllllllllllllllllllll/´ ̄`ヽllllllllllllllllllllllllllノ `、ll|
/ ,   |llllllllllllllllll_,-'´ ̄  ヽ、 `ヽ、lllllllllllllノ .  Y
|l   ,'´l`、lllllllllllノ   _,-‐、 ヽヽ `l.`―‐'フ   ,、|
llll`ヽ|llllllllll`、llノ´   ‐―、ヽ、 ヽ、 |   | / ノ,→
lllllllllllllllllllllllll`l     -、_ヽヽ、_`l 、 l  /ン_/
‐ 、lllllllllllllllllllll`l     `、`三ン、、ニ、´ノヽノ/フノ/
     フlllllllll`l       _,-'´ `ヽ//-´   | エレナ・ヴィレンスカヤ復活! エレナ・ヴィレンスカヤ復活!
     /llllllllllll|`ヽ、   ,'´´     _  :   ) l
     `|llllllllノ、  ヽ、,´     i´ `  `,  ノ´  エレナ・ヴィレンスカヤ復活! エレナ・ヴィレンスカヤ復活!
    人    \ i´ヽ、      `,ヽ、_ノ ,´/
    /::`、     `ン  ン  ,,-←三、-´ノ、'ノ
 _,-/:::::::ヽ、     ヽ、 `、 `,ニ,‐--‐ヲ //l
''´:::`、:::::::::::::::ヽ、    `i 、_ヽヽ二二二ノ/ /
:::::::::::`、:::::::::::::::::::`ヽ、  `l `、     / ノl
:::::::::::::::::`、:::::::::::::::::::::`ヽ、ヽ `ヽ、_,/ノノ`、__
:::::::::::::::::::::::ヽ、::::::::::::::::::::::::`ヽ、――´ノ:::::::::ノ::::::::::::`‐ヽ、_
492創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:11:15 ID:up9jHzH+
75氏乙です
エレナの復活シーン良かった、感動した!
魔法ってすごいな
493創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:28:46 ID:R1iksRWB
ネットの履歴晒すとかマイコの復活魔法は非道いwwwwww
腐女子ならこれは蘇生するwwwwww
494創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:33:30 ID:qrfGYzoJ
      , ─── 、      _____
   ゝ/______\  / −、 −、   `\
   /  | /  ─ 、 ─ 、! //|/^|^\|- 、    ヽ
    |  |_|     |    |/   `-●−ヽヽ \   ヽ 女同士の友情…
    |  |  |.   ^ |^   |  二 |  二 ∪   ヽ  i     イイハナシダナー!
   V^`  U─ - っー |(._─ |  ─  __ |   |
   ヽ_   ヽ───⊃ノ ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  / !   !
     ヽ   ヽ、_//、  \        / /  /
       >───イ   \  ヽ_⌒⌒ヽ/ /  /
      / \/ \/ |⌒ヽ-i ━━6━━━━━i
      |  ───┴┬/⌒ヽ ̄ ̄ ̄ ̄      i
      |  _____|_ヽ_ノ────┐     |
495創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:36:22 ID:26l7NWl5
>>483
パソコンの前で声出して笑ってしまったよ
496創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:38:14 ID:UL71+2W9
そういや破壊神生きてるんだっけ?このまま最終回に繋げるってことかな
497創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:39:43 ID:SM3Fmt0o
復活したエレナTUEEEEEEEEEEEEEEEEEE
498創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:46:13 ID:zK/mJZXq
このスレってシェアードじゃないよな?
499創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:48:26 ID:XLR/IzAo
                           , -─-、
                        _ /:::::::::::::::::::ヽ
                     , - ´::::::::::::::;>ー - 、::::::::::',
                 /:::::;:- 、::::::::::i 「::::::::)「::.\::::::i           エンディングが
                /:::::::;:'    ` 、:ヽ ー' , ,ヽプ';:::::lー-、
              , ':::::::::::/-ー     ー\`..L 」 」::::::i:::::l : : : :ヽ_      見えたッ!!
             , イ:::::::::::/          ';:ト、:::::::::::::::l:::::l : : : : : : : : ` 、
       ,  -─ ': :,':::::::::::;' , '⌒ヽ     ' ⌒ ヽ':;::::::::::::l:::::l , - 、: : : ; ⌒ヽ
     , ': : : : : : : : : i::::::::::::i / ,イ:ハi     ,イ::ハ', ',i::; ┐::!:::/   ヽ/    ',
    /: : : : : : : : : : : :l::/';:::::l   !::!:リ     !:L:ソ  l::i ,'::;':;'             i
   ,': : : : : : : : : : : : : ';! : ヽ:l xxx  r────┐xxx !:lノ:/::l            !
   i : : : : : : : : : : : : : : : : : l::!     !/: : : : : : : : :l   ,'ノ::; - l             ,'
    ! : : : : : : : : : : : : : : : : : ';l ヽ  ';: : : : : : : : ノ ノー ' : : : :l         /
   ' ; : : : : : : : : : : : : : : :/⌒ヽL`  ー---- ‐ ' ´ : : : : : : ; -l        /
 ─- 、ヽ、: : : ,  -  、: :, イ-、: : : ヽ「::r、::ヽV /::/ヽ,  - <:.:.:.',        /
     ヽ   /      ヽ/:.:.:.:.ヽ  /::::レ':::::〉〈::ヽ /      ヽ:.:'.,     /
       i ̄l       ) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l       ノ ̄ ヽ   / ̄ ̄
      ノ ̄` ー- ' ー '  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ` ー ' ー-‐ ' ̄ ̄ ̄', / ̄ ̄ ̄
500創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:51:53 ID:H44xughK
ここに来てなんというご都合主義・・・
だが嫌いじゃないぜ!
501創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:52:55 ID:RLMPzeYD
>>498
>>1にある縛りさえ守ってくれれば、何をやってもおk
世界観とかは書き手の自由裁量に任されてる
502創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:55:35 ID:OJIqP9qm
アレンジやギャグもすごいけど、戦闘場面のテンポのよさには頭が下がる
前のも今回のもすごく内容がいいっす
503創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:00:59 ID:b3DeM/ra
エーリヒの無様な姿は楽しいなwwww
504創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:07:42 ID:U+pdqcyZ
                l     /::::::::::::::::::::::::::::i
 な な ザ  い い    l.    /:::::::::::::::、、、:::::::::::!    マ
 あ い オ  く  :    |.    /:::::::::::ァ:::ハ、、i::::::::::l    イ   ば
  :  よ リ  ら      l  ,'::::::::::::::::メ-_ミ、..iり\|    コ    :
        ク  な       〉  i:::::::::::::::::l 'i。゙ヽ '' ィー    は  馬
       は  ん     |,、,,..ォ:::::::::ヽヾ ゙ノ  i l      レ   鹿
          で      l:::::::::i:::::::::/゛`     lj |     べ  な
          も      i:::::::::ヽ::::/         l    ル  !!
  ゚          _,,,=-ー:::::::::::::::ヽ、,_'''''      l    7
- _     _ ィ-"^'i::::::::::::::::::::::::::::::::::゙i、 、ー'ニニ>、|    の
   レー'''テ:::::/,rシ‐└ーャ:::/おヽ;::::::::::::\゙タ'::::::ソ リ    は
       ~゙ヾl ,ミ'、i。ヽ i  ミ 'ァ,ゞ l:::::::::::::::::ヾ、:::ri ヽ   ず
           》   ='  lj  ミ ノノ::==、;:::::::/ ゙i` ┴'´| 
         / ' ゝ     " 〈''   `'ー、ッ、ミt‐  L 
         '-、'~         i  .!   ソ  i゜ー- 'l 
           <y=-、        !   :   /  l   |
            ヽY,ン    /     /   !   l _,、-ー―-マ-、、、、__
             └、    /:::    l/      !  ' ´     ヽヽ:::::::、:. :. :
               !、_.-' ^゙'-ェ、  /      ',        \\:::::::\:.
505創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:10:50 ID:a7ScB53Y
いい感じにカオスな内容で面白い
戦闘工兵あんなに強いんだったら魔道兵の出る意味無いんじゃね?
506創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:15:03 ID:uSQJUiaN
最強はマルチロールファイターですよ
塹壕も無意味!


                  / ̄\ <ほんじゃ、ミサイルでもピンポイントで撃ち込んでやるか
                 | |日| |     /|
                / ̄ ̄Λ    / |
_______ --―ヽ/     ヽヽv――---__________
 ̄ ̄ ̄――-、-,---Λ日| . ´   ヽ|Eヨ |\___--、-,― ̄ ̄ ̄ ̄
        ,〇、-==||日\  λ/ |Eヨ | |===ー  ,〇、
               ̄ ̄  ̄    └―┘´


                 \,从/     ⌒⌒⌒⌒⌒⌒
                〇二) ) ゝ≫≫≫⌒⌒⌒⌒⌒⌒
                  /从\ ドシューーーーーーッ!!
507創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:21:50 ID:zK/mJZXq
>>501
おK
舞台が島である必要はないわけだな
ちょっと考えてみるか
508創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:25:15 ID:/+h84/Ck
相変わらずオチがひでぇwwwwww
エレナとマイコ黙れwwwwww

>>75氏乙!
509創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:26:04 ID:RLMPzeYD
>>507
はいよー
510創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:29:36 ID:zoAHSrOU
途中まで毒が抜けたかと思ったが、後半でいつものノリが出てきて安心したわ。
マイコちゃん最高だね
511創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:30:55 ID:oIBJz3Lm
75 ◆kkZO9WMBek氏乙です。笑わせてくれてありがとー
512創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:33:15 ID:Bb4tukw6
女性陣に段々品がなくなってきたなwww
でも、最初から品が無いと言えば品が無いのだがw
513創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:15:43 ID:PE6elIz8
空気なアルベルトと、変態という名の紳士エーリヒが最高です。
そしてエレナが可愛いですw
この調子で頑張ってください。
514創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:32:25 ID:MUfY5IkG
75氏…頭…大丈夫ですか(笑)
515創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 17:47:00 ID:IC4JPZ16
この75って奴すげー罰ゲームだな
516創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 19:31:52 ID:cJ8tf5uA
天然パーマを理由にいじめられるアルフォンスがかわいそうだがウケルww
アヴィリオン学園は大人がダメダメなんだな
51753/130:2009/02/19(木) 20:46:26 ID:ti3t3SBN


 血と錆びの世界にマイコはいた。
 鼻腔を支配するのは噎せ返りそうな死臭と血の匂いだけだ。
「ここは……どこなんだ」
 踏み出す足はずるずると臓物でできた床に沈んでいく。
 前へ進めない。
 倒れ、全身を臓物と血で濡らしながら這い回る。
 まるで、血の池でのたうつ魚のようだった。   
 顔を上げると足が見えた。
 恐る恐る視線を上へ向けた。
 臓器でできた壁に少女が張り付けられている。
 胸から黒いものが飛び出している。
 鉄条網を撒かれたパイプだ。
 少女は両手と左足を失っていた。
 本来あるべき箇所には変色した包帯が巻かれている。 
「エレナ……エレナ……」
 マイコは臓物塗れになりながら手を伸ばし、少女の右足を掴んだ。
51854/130:2009/02/19(木) 20:47:18 ID:ti3t3SBN
 ずるり、と皮が剥け、赤い肉の色が目に入る。
 気泡が破れた音が聞こえた。
 金色の髪の奥にある顔が僅かに動き、赤黒い液で濡れた瞼が開いた。
 血走った青い双眸がマイコを睨み付ける。
「……つき」
 マイコは足に縋りつき、必死に謝罪と弁解の言葉を並べ立てた。
 それは弁明よりも助命を求める行動に近かった。
 願いは聞き入れられない。
「嘘……つき
 足元から無数の腕が伸び、マイコを臓物の海に沈めようとする。
 やめて――許して――エレナ――。
 爪が剥がれ、肉の剥き出しになった指が叫び続けるマイコの顔を掴み、埋没させた。
51955/130:2009/02/19(木) 20:49:50 ID:ti3t3SBN


 マイコは声を上げてベッドから半身を起こす。
 体は汗で搾れそうなほどに濡れ、肌と張り付いて心地悪い。
 大きく息を吐き、額に手を当てる。
「夢か……」
 最近、マイコはよくこういう夢を見る。
 カーテンを開ける。
 革命軍旗艦『クロンシュタット』にあるマイコの自室から夜景が見えた。
 隕石の傷跡だらけになった大地の上に広がる空には星が輝いている。
 ただ、それだけだった。
「私は満たされていない……」
 マイコは窓際に腰を落とす。
 これまで、多くの物を手に入れてきた。
 権力。
 軍隊。
 学園。
 学園島の半分。
 それでも、心の中に満たされない何かがある。
 ぽっかりと空いた穴。
 決して埋まらない心のクレーターだった。
「ああっ……」
 マイコの胸に重苦しい感情が去来した。
 心の穴に黒い手が突っ込まれ、大きく開かれるような感覚。
 叫びたくなるが、声が出ない。
 両手で頭を抱えて髪を掻き毟る。
52056/130:2009/02/19(木) 20:51:31 ID:ti3t3SBN
「クソッ! クソッ! クソッ……」
 震える手で睡眠薬の詰まったボトルの蓋を開ける。
 ボトルを口に突っ込み、喉の奥にカプセルを押し込んだ。
 やめなさいと言ってくれる金髪の少女はいない。
 駄目だよと心配してくれる弟の姿も無い。
 この世で最も愛しい存在は、手の届かない場所に消えてしまった。
「ユーリ……お前は何をやってるんだ……」
 弟は生きていた。
 だが、その"生"は生半可な"死"よりも無慈悲なものだった。
 血を分けた弟が敵軍に属し、姉の自分を殺すために戦っている。
 あまりにも惨く恐ろしい事実だ。
「報いだと言うのか……」
 マイコは自分が生きるためにエレナを死なせた。 
 その報いなのだ。
 叫び、マイコは鏡を思い切り殴りつけた。
 血の滴る右手を抑えながらベッドに腰を落とし、そして泣き始めた。
52157/130:2009/02/19(木) 20:53:21 ID:ti3t3SBN
☆ 
 
 セルフィナは一人、遺品を整理している。
 戦友だったオルガ・グラズノフの残したものは少ない。
 避妊具が二つにウォッカの空瓶が一つ。
 ガサツでぶっきらぼうなオルガらしいと思いつつも、セルフィナは遺品の纏められた箱を手に取った。
 オルガは死体すら残されていない。
 今頃は戦場に放置され、朽ち果てている頃だろう。
 いつかはそうなるとわかっていた。
 戦場で戦い、生きる者はやがて死ぬ。
 今回はオルガの番が来ただけなのだ。
「……さようなら。オルガ」
 クロンシュタット艦内の遺品室を出た後、セルフィナは艦内のデッキから夜空を眺めた。
「星を見ているのか?」
 背後から声をかけられて振り返る。
 目の前に立つ人間が誰なのか、一瞬ではわからなかった。
 よく響き毅然とした声とは対照的に、声の主はみすぼらしい格好をしている。
 髪は乱れ、目の下に大きな隈を作り、酒臭い息を吐いている。
「……大佐?」
「そうだ。お前達の最高司令官だよぉ!」
 マイコ・パステルナークは抱きつき、酒臭い息を浴びせてきた。
 生理的な嫌悪感を覚えて、セルフィナはマイコを突き飛ばす。
 おぼつかない足取りでマイコはベンチに足を引っ掛け、音を立てて転んだ。
「なんだよなんだよ……荒れてるなぁフェドセンコ。そんなに相棒が死んで悲しいのか?」
 何を――と言いかけて、セルフィナは感情を抑えた。
 今自分の前にいるのは上官であり最高指導者なのだ。
52258/130:2009/02/19(木) 20:55:05 ID:ti3t3SBN
 セルフィナは腐っても組織人であり、革命軍は軍隊だ。
 おいそれと上官に暴力を振るうものではないし、何より愚将や馬鹿な上官は前線で"名誉の戦死"を遂げさせればいい。
「……立てますか?」
「立てなーい。へへへ、死んじゃいそうだ」
 手を差し伸べると、唇の端から涎を垂れ流しながらマイコはゲラゲラと笑った。
 やはり駄目だった。
 こんな女のためにオルガは、私は――。
「立て!」
 激昂したセルフィナはマイコの襟首を掴み、顔を押し付けた。
「昔から死ぬ、死ぬといった人に死んだためしがありません」
 マイコの琥珀色の瞳には澱んだ光があった。
 セルフィナは続ける。
「司令官から私は切腹するからと相談を持ちかけられたら、幕僚としての責任上、一応形式的にも止めないわけには参りません……」
 襟首を握る手に力がこもった。
「司令官としての責任を、真実感じておられるなら、黙って死んで下さい。誰も邪魔したり止めたり致しません。心置きなく死んで下さい。貴方の命は蚊ほどにも価値がありません」
 突き飛ばすように手を放すと、マイコは呆然としてセルフィナを見ていた。
 もうその目に覇気など微塵も無かった。
 ただのアル中患者が腰を抜かしている。
 セルフィナは侮蔑を込めて一瞥した後、その場を去った。
52359/130:2009/02/19(木) 20:57:33 ID:ti3t3SBN
☆ 

 カチューシャロケットが濛々たる白煙を残して死と破壊をクレーターに行使した。
 残された榴弾砲や重砲も全力で砲撃する。
 多種多様な砲撃音が折り重なって混ざり合い、何も聞こえなくなった。
<<前進!>>
 爆発と死の破片を撒き散らすロケット弾の航跡の下を、ヴォルク軍戦車隊は突き進んだ。
 クレーターに近づくにつれ、聳え立つ異型の物体がくっきりと浮かび上がってきた。
<<なんだ……あれは>>
<<人……間?>>
 立ちはだかるのは戦艦を幾つも組み合わせた"人"だった。
 周囲にはかなりの数の魔道兵が防衛網を作り、蟻の入る隙間すら無いように思える。
 革命軍にとって重要拠点なのは明白だった。
<<各車、体当たりしてでもアレを破壊しろ!>>
 ヴォルク兵は一心不乱に前へと進んだ。
 彼らは皆、心のどこかで死に場所を求めていた。
 既に母校は失われ、戦いに勝利しても"先"はどこにも無いのだ。
<<母校の未来に栄光あれ>>
 ニーホフの呼びかけに同調した兵士達は既に覚悟を決めていた。
 未来は別の同志達に託した。
 例えヴォルクグラードが消えたとしても、その精神と存在は残り続ける。
<<わざわざ殺されに来たか!>>
 革命軍魔道兵部隊は迎撃に移る。
 歩兵を切り裂き、戦車に取り付いてエンジンを潰す。
 革命軍は鹵獲した条約軍のパンツァーファウストやパンツァーシュレックも最大限に活用した。
 有効な再利用と銘打ってはいるが、単に装備が不足し始めたからだ。
524創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 20:58:08 ID:0FmU4EoS
マイコとエレナの過去が激しく気になるのは俺だけじゃないはずだ
何かとんでもないオチがあるに違いない
52560/130:2009/02/19(木) 20:59:09 ID:ti3t3SBN
 マナ・クリスタルの量産は容易ではなく、需要に対して供給は常に追いついていない。 
<<戦い方を教えてやる!>>
 鎖のように纏まった対戦車地雷を魔道兵が振るうと、五、六台の戦車が間髪入れずに爆発を起こした。
 その魔道兵は戦車砲の直撃を食らって四散する。
<<黙ってやられてるだけだと思うな!>>
<<道連れにしてやるぞ。お前達も連れて行く!>>
 ヴォルク兵の反撃も猛烈なものだった。
 歩兵と自走砲の攻撃で魔道兵を足止めし、その間に戦車隊が迂回する。
<<背後に!?>> 
 正面で結界を張っていた魔道兵は背後の敵に気付くが、何もできない。
 量産型魔道兵は結界を一方向にしか展開できないのだ。
<<撃て!>>
 戦車隊が発砲し、魔道兵を肉の塊に変える。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエルが好んで用いた一翼包囲をヴォルク軍は活用して見せた。
<<一人やられた!>>
<<馬鹿が!>>
 革命軍魔道兵部隊は明らかに連携を省いていた。
 マイコ・パステルナークの提唱したオール・ウィッチ・ドクトリン――魔道兵のみで構成される軍隊は機動力と攻撃力に特化した反面、組織戦の能力に欠点を抱えていた。
 魔道兵個人の力量に比重を重くしたためだ。
 強力な打撃力を持つ反面、軍隊に最も必要な統制と組織力が革命軍には無いのだ。
526創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:00:33 ID:nrdjLp33
んまあ75氏が投下してるでないの。
支援しましょ
52761/130:2009/02/19(木) 21:00:51 ID:ti3t3SBN


 いつも通り、ニーホフは最前線で指揮を執っていた。
 司令部は常に最前線にあり――誰が言っていたか定かではないが、ニーホフは常にその言葉を実践してきた。
 そうしないと部下はついてこない。
 一見すると頼りなく見えるエーリヒ・シュヴァンクマイエルが兵士達から絶大な支持を得ているのも、彼が最前線で危険を共にしているからだろう。
 それに部下の多くが子供であるなら尚更であり、大人が子供を隠れ蓑にするのは唾棄すべき行為だ。
「このまま押し込め」
 ニーホフは恐らく、ここが人生最後の戦場になると自覚していた。
 多くの子供達を前線で死なせ続けた挙句、母校を奪われ、更に多くの子供を死地に送り込んだ。
「大人としての責任は果たさねばな……」
 革命軍の巨大兵器と戦って、出来る限りの情報をエーリヒに送る。
 それがニーホフ流の責任の取り方だった。 
 生き残った人間はこう言うだろう。
 ウラジミール・ニーホフは責任を放棄して若者に厄介ごとを押し付けたろくでなしだと――。
52862/130:2009/02/19(木) 21:02:48 ID:ti3t3SBN
☆ 

 腕を失った魔道兵が陸上戦艦『クロンシュタット』に強行着艦を図り、速度を殺しきれずに甲板から落下した。
 魔道兵の絶命を示すかのように、泥を跳ね上げて光の柱が船体脇に出現した。
「今のは誰だ!?」
「第八中隊のオクサナ・レジェンスキー少尉です! 救助班を出しますか?」
 クレーター防衛戦の指揮を任されているセルゲイ・ベリエフ中佐は黙って首を横に振る。
 クロンシュタットの艦橋は慌しいやり取りが続けられていた。
「もう助からん。それより、左翼の防衛ラインはどうか?」
「現在のところ敵の足止めに成功しています。ただ左翼を守備する魔道兵は通常装備のため、補給の必要ありとの連絡が入っております」
「第二小隊を左翼に回せ。補給が必要な隊は各自の判断で母艦に後退させろ。それと予備の戦車隊を……」
「待て」
 続けてベリエフが指示を出そうとした時、凛とした声が指揮所に響いた。
 艦橋に張り詰めていた空気に鉛の重さが加わった。
「通常兵器の使用は許さん。"あれ"を使うんだ」
 革命軍の最高司令官であるマイコ・パステルナークの姿にベリエフは異様な違和感を感じた。
 確かに声と表情は冷静だ。
 だが、髪は乱れ、目を隈が縁取っていた。
 ベリエフとマイコは長い付き合いだったが、最近の彼女は明らかに精神に異常を来している。
52963/130:2009/02/19(木) 21:05:13 ID:ti3t3SBN
 昔――まだエレナ・ヴィレンスカヤや生きていた頃は過剰なまでの自信に満ち溢れた表情を崩さなかったのに、今では廃人寸前の状態だ。
「ですが大佐、まだ作動は不安定なものです」
「黙れ! 私は大佐だ! 最高指導者だぞ!」
 マイコはアルコール臭い息を吐きながら言葉を羅列する。
 諸君、セルゲイ・ベリエフは敗北主義に侵されチェルヤ・クレーターの戦線を放棄しようとしている。
 兵器が動かないから戦争は出来んと言って勝手に退こうとしているのだ。
 これが革命軍か。
 我々は食う物がなくても戦いをしなければならないのだ。
 武器がない?
 やれ弾丸がない?
 食う物がないなどは戦いを放棄する理由にならん。
530創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:06:27 ID:0j4uHAsv
 
53164/130:2009/02/19(木) 21:06:27 ID:ti3t3SBN
 弾丸がなかったら銃剣があるだろう。
 銃剣がなくなれば、腕でいけ。
 腕もなくなったら足で蹴れ。
 足もやられたら口で噛みついて行け。
 我々には魔法の力があるということを忘れるな。
 我々は正義の軍だ。
 正義が守って下さる……。
 ベリエフは名状し難い感情を抑えた。 
 大人である自分は、この大佐を支える任務を与えられている。
 与えられた任務を遂行するのが軍人である。
 どんなに上官が人でなしでも、命令は遂行しなくてはならない。
「わかりました。では、実行します」
「ありがとうベリエフ……どんな人間よりも、私はお前の言葉を信じるぞ」
 マイコはウォッカを飲み、酒臭い息を吐いた。
「社会主義に乾杯! イディーカムニエー!」
532創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:06:58 ID:ti3t3SBN
今日はここまで
そろそろ折り返し
支援に感謝
533創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:07:18 ID:0FmU4EoS
乙です。
今回の話で世界がループしている可能性が出てきましたね。
そこをどう書くか作者の力量に期待!
534創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:07:28 ID:0j4uHAsv
 
535創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:13:16 ID:KkJo2Sfl
グッジョブ!
ポルシェ博士大活躍じゃないかww
世界を動かすのは天才と変態だわww
536創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:21:27 ID:xQ//fQuA
この絶望感の中でなお、輝くエレナの活躍ぶりに世界中が割目するんだろうな。
537創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:32:11 ID:SVaIqUU0
>「司令官から私は切腹するからと
こんなところで伊庭さんなにしてるんすかww
538創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:44:15 ID:WSwMdEMG
「切腹」は不意打ちだったww
539創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 22:00:00 ID:2if+4bww
インパール作戦の方がまだましだなあ。
現場指揮官はちゃんと理性的な判断ができていた。
後方の無駄口がひどかったけど。
540創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 22:00:36 ID:1HhIXkWy
切腹って日本の文化だったような気がするなー
これの元ネタって牟田口さんのエピソードかな
541創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 22:03:14 ID:M7KZi9Ll
牟田口の副官か幕僚だったかの言葉だったはず

マイコはベリエフいなくなったら完全に終わるな。死ぬ一週間ぐらい前のヒトラーみたいだ。
542創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 22:09:18 ID:uTEuwSsV
>>539
インパール舐めんなよ
航空戦力どころか地形のせいで車両がまったく使えなかったんだからな
543創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 22:10:33 ID:M7KZi9Ll
じゃあ牛使えば良くね? 食料にもなるし
544創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 22:27:17 ID:c1jWK6L2
エーリヒの魔法は良く言えば万能、悪く言えば器用貧乏だけど
身体能力で勝ち星を稼いでいるんだな。
545創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 22:44:15 ID:5OvvgOfX
ほのぼのしてていいなあ。
このシリーズ、密かに楽しみににしています。
546創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 23:21:58 ID:M7KZi9Ll
随所に散りばめられた史実ネタがいいなぁw
547創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 23:38:20 ID:mUjvqnCw
>「そうだ。お前達の最高司令官だよぉ!」
なんか某香港映画を思い出した
状況は比較にならんが
548創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 23:53:30 ID:rcCdjqbb
エーリヒは第2世界のガーディアンのようです
549創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 20:23:28 ID:kIjDvSPz
何度読み直しても切腹云々に違和感があるかな
元ネタがあるのは判るけど、この場合は改変するべきだと思うよ
550創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 20:53:19 ID:R3+md2UA
>>549
まとめサイト収録時には修正します
自分も読み直してみて違和感を覚えた
55165/130:2009/02/20(金) 20:54:00 ID:R3+md2UA


 ニーホフの本隊と別れたヴォルク兵が森林に隠れ潜むエーリヒ戦闘団の下へやってきたのは、学園島に初雪が降った頃だった。
 兵士達は最も貴重なものをエーリヒに渡した。
 情報である。
「革命軍は宇宙人の巨大戦艦を回収、戦闘に投入しようとしている……?」
 俄かには信じられない話だった。
 だが魔道兵の存在が信憑性を加速させた。
 魔道兵の存在を知ったとき、人々は誰もが一笑に伏した。
 エーリヒは暫し考え、行動に移った。
「本校に連絡を。戦闘団はこれより二十四時間の臨戦態勢に入る」
 アルベルトが部隊全域に指示を徹底させるためハーフトラックを去った後、エーリヒは一通の手紙を封切った。
 ウラジミール・ニーホフからの親書だ。 
 開いてみると、そこには見慣れない文字で何か書いてあった。
「中国語か? いや……これは日本語か」
 エーリヒには何が書いてあるかよくわからなかった。
 達筆であるなと感覚的に理解はできたが、詳しくはわからない。
 数日後、エーリヒは翻訳された言葉を見てニーホフの死を確信した。
 未来の為、重き努を、果し得で、矢弾尽き果て、散るぞ悲しき――。
 そう、親書には書かれていた。
55266/130:2009/02/20(金) 20:55:14 ID:R3+md2UA
☆ 

 チェルヤ・クレーターから光が伸びた。
 青い輝きを四方に放つ潮流が中空を薙ぎ払う。
 命の消滅が灼熱の徒花となって咲き誇り、大地を光が浸食して深く抉った。
 一瞬の間に生まれた暴力の渦があらゆる物を飲み込んだ。 
 光に直接触れた者は瞬時に蒸発した。
 暫くして、遥か遠方でキノコ雲が立ち上った。
 溶解した地面には多くの死体が転がっている。
 その殆どが手足を不自然な方向に曲げられた、黒い蝋人形と化していた。
「なんだこれは……」
「こんなものを我が軍は持っているのか……」 
 クロンシュタットの艦橋クルー達は"チェルノボグ"の威力をまざまざと見せ付けられた。
 スラブ神話で『黒い神』を意味し、破壊と死を司る存在と謳われるこの兵器は隕石の中に隠されていたオーバー・テクノロジーの集合体と言える。
 腕二つ、足二つ、胴、砲の六つに分けられた巨大なパーツを一つに纏めた姿はまるで人だ。
55367/130:2009/02/20(金) 20:56:04 ID:R3+md2UA
 マナ・クリスタルは各パーツに一つずつ、総計で六つ備えられている。
 背部に備えられた大型マナ・レーザー砲二門の他にも大量の兵器を有しており、内部には魔道兵の収容機能も備えていた。 
「うろたえるな!」
 兵士達のざわめきをマイコは一蹴する。
 直線的な立ち上がると、髪を払って腰に手を当てた。
「我々はもう後戻りのできない場所にいるのだぞ」
 毅然とした最高司令官の姿に兵士達は安堵すると共に、そのカリスマ性を再確認した。
 マイコは言う。
「さあ、"再構築"を続けよう同志諸君。チェルノボグと共に!」
55468/130:2009/02/20(金) 20:57:31 ID:R3+md2UA
☆ 

 エーリヒ戦闘団のメカニック達は野戦整備所で突撃砲や各種車両の整備を旧ピッチで進めていた。
 二十四時間の即時待機命令が出たことで、彼らの仕事は時間の経過と共に増加していた。
 整備所の隅では錆び色に染まったキャタピラが筒状に巻かれ、うず高く積まれている。
 地面は流れ出た錆や廃油で真っ黒になり、水溜りには油膜が虹色を作っていた。
「いつでも動かせるようにしておけ! 隊長は待ってくれないぞ!」
「モタモタしてる奴は森に叩き込むぞ!」
 整備班長が拡声器を手に叫ぶ。
 整備所はハンマーで鋼鉄を乱打する耳に響く轟音や、溶接機から散る火花で戦場よりも酷い有様だった。
 その一角で、メカニック達が集まってローブのメンテナンスを行っていた。
 強化外骨格を分解して整備し、装甲の劣化やエネルギーの充足率をチェックしている。
「あっ、いたいた」
 使い手であるジークベルト・ヴィッツレーベンがコーヒーカップ片手に作業を見守っていると、彼の姿を見つけたメカニックが走り寄ってきた。
「少尉さん、ローブの限界性能の件だけど……」
「使い手のことは一切構わないで下さい。リミッターがあるとしたら、解除してもらって大丈夫です」
「でも、あんた死にますよ。あのローブはテストも禄にやってない装備なんだ」
55569/130:2009/02/20(金) 20:58:00 ID:R3+md2UA
「構いません」
 ジークベルトの言葉を受けたメカニックは呆れ半分、驚き半分の様子だった。
「もう死んだっていい」 
 メカニックが作業に戻った後、ジークベルトは見えないように大量の薬をコーヒーで流し込んだ。
 消耗激しい全身の間接や臓器を一時的に宥めるため、ここ最近は毎日のように薬を服用している。
 薬の量や種類が増えることはあっても、決して減ることは無い。
 鎮痛剤を数十本注射しても痛みは治まらなかった。
 魔道兵としての戦いは肉体に過度の負担を与える。
「これは僕への罰なんだ」
 無関心への罰――かつてユーリ・パステルナークと呼ばれた少年は、自分の置かれた暖かい状況の影にあるものを見なかった。
 いや、わかっていて見ようとしなかった。
 代償としてユーリはエレナという大切な女性を死なせる要因を作った。
 愛した姉は狂気に取り付かれて独裁者となった。
 姉のせいで多くの人間が死んだ。
 もう死んだ人間を取り戻すことはできない。
 だが、生きている人間を殺すことはできる。
「姉さん――」
 ジークベルトは呟く。
「僕は姉さんを殺して、自分の罪を清算するよ」
55670/130:2009/02/20(金) 20:58:32 ID:R3+md2UA
☆ 

 アルベルト・ゲルトバウアーは鉄製コップにコーヒーを入れ、上官に渡した。
「ありがとう」
 コーヒーを受け取った少年の頬が緩んだ。
 年下の上官であるエーリヒ・シュヴァンクマイエルはいつものようにハーフトラックの車上にある椅子に腰掛けている。
「そういえば中佐、本国同士が和平交渉中というのは本当ですか?」
「ああ。本校筋の話だ」
 一口コーヒーを飲んだ後、あっさりと肯定した。
 ヴォルクグラード人民学園は機能停止状態、条約軍側も戦力の消耗激しく、これ以上の継戦が困難だった。
 この状況で革命軍の存在は双方の本国にとって都合の良い存在らしい。
 悪逆非道なテロリスト集団を、かつて戦っていた学園が手を組み共同で倒す――わかりやすいことこの上ない"お涙頂戴"のストーリーだ。
「実働部隊は俺達だけだ。たった今本校からお達しが来たよ」
「では、我々が失敗したら……」
「世界が滅びる。それだけだね」
 エーリヒの言葉には感情の起伏が感じられなかった。
 世界の命運を自分の双肩に賭けられた実感が持てないのだろうか?
 いや、違う。
 アルベルトはエーリヒが既に勝つための算段を始めていると考えた。 
 何かをやれと言われれば、隻眼の中佐はありとあらゆる方法で成功の方程式を立てる。
 戦う前に勝敗を決することも多々あった。
「中佐、自分の家族が敵というのはどんな気持ちなんでしょうね」
 アルベルトは話を変えることにした。
55771/130:2009/02/20(金) 20:59:43 ID:R3+md2UA
 上官の考えを邪魔したくなかったので、早く打ち切られそうな話題をあえて選んだ。
「理解できるような状況に陥りたくはないよ」
 予想に反してエーリヒの食いつきは良かった。
「俺だったら発狂してる。まともでいられるわけがない」
「ええ。自分の肉親が大量殺人者になったら、とてと耐えられません」
「大量殺人者ね……俺達と大して変わらない」
 エーリヒはまたコーヒーを一口飲み、コップを置く。
「世間様が認めてくれるか、否かだよ」
 確かにアルベルトは相槌を打つと、エーリヒは苦笑いした。
 だが、すぐに表情は真剣なものになる。
「俺は家族やクラスメイトを守るために、ジークベルトの姉を殺す。それだけだ」
 その言葉を聞いて、人間という生き物はなんと皮肉なものだとアルベルトは思う。
 一人は家族の安全を願い、もう一人は家族の死を願っている。
 最後にエーリヒはこう言った。
「僕は愛する人達のためだったら、喜んで大量殺人者になる」
558創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:00:18 ID:R3+md2UA
今日はここまで
559創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:13:31 ID:OsRnxnlh
> 未来の為、重き努を、果し得で、矢弾尽き果て、散るぞ悲しき――。

ここの部分は句読点無い方がすっきりするんじゃないかな。
短歌になってるんだから読点で鮪のぶつ切り文章にしちゃうじゃなくて
全角スペースにした方が哀れさが際立つような気ぃする。
まあ受け取り方は色々ですけどね。
個人的にはユーリには幸せになって欲しいな。
560創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:16:23 ID:R3+md2UA
>>559
確かに修正した方いいかもしれない
指摘してくれてありがとう
まとめ掲載時に直します
561創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:18:32 ID:iz7XY6R4
俺もユーリの幸せを望むけど、ユーリは人を殺しちゃってるんだよね

この時点でもう・・・
562創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:34:10 ID:R3+md2UA
>>561
俺だって幸せになってほしいよ

でも世の中には因果応報という(ry
563創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 23:44:54 ID:iz7XY6R4
罪を背負って生きていく終わり方でもいいと思うけどな

姉と弟、たった二人で静かに暮らすとか
564創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 23:49:27 ID:kIjDvSPz
予想は冥界編突入。
565創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 23:54:22 ID:iz7XY6R4
まさかの第四部かよwwwww
566創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 17:55:09 ID:9kVTQLs8
続編?
マイコとユーリの宇宙兄弟船でいんじゃね? 
567創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 20:47:39 ID:9kVTQLs8
続きいきます
56872/130:2009/02/21(土) 20:48:28 ID:9kVTQLs8
第三章


 
 航行する陸上戦艦クロンシュタットの甲板に魔道兵が並んでいる。
 少女達の顔は他のクルーに比べて若く、幼い。
「革命軍最高司令官に敬礼!」
 幼年の魔道兵が隊長の掛け声と共に敬礼すると、マイコ・パステルナークの謁見が始まった。
「これが我が軍の精鋭か」
 アルコール中毒の禁断症状で震える左手を隠しながら、マイコは魔道兵の一人一人と握手を交わした。
 魔道兵の誰もが一片の澱みも無い純粋な目をしていた。
「君は……?」
 短髪の少女の前でマイコは立ち止まる。
 金色の髪に優しげな顔だちに強烈な見覚えがあった。
「た、大佐?」
 気が付くと、マイコは少女を抱き締めていた。
 体を離した時、少女の幼い顔が紅潮しきっていた。
「大佐」
 部下の言葉で我に帰り、マイコは頭を掻いた。
56973/130:2009/02/21(土) 20:49:21 ID:9kVTQLs8
 少女は嬉しそうに微笑む。
 魔道兵達にとってマイコの存在は魔道兵として武功を重ね、人民生徒会を倒した英雄として認識されている。
「すまなかった。ああ……すまなかった……」
 それがわかっているからこそ、マイコの胸中には複雑な重いも含まれていた。
 今ここにいるのはただのアル中患者の狂人、もしくは生きる意味すら失った抜け殻だ。
「勝利の日は近い」
 何も知らない幼年兵はマイコの言葉に目を輝かせ、明るい表情を浮かべる。
 その純真さが辛かった。
 背中に突き刺さる無垢な視線が痛かった。
 マイコは思う。
 もしエレナが今の自分を見たら、きっと嘆くだろうと……。
57074/130:2009/02/21(土) 20:50:24 ID:9kVTQLs8


 セルゲイ・ベリエフが医務室のドアが開いた時、中から消毒液と腐敗した血や肉の悪臭が苦悶の声や悲鳴と共に流れ出してきた。
 クロンシュタット艦内の医務室は文字通りの地獄絵図と化していた。
 嗅ぎ慣れてしまった悪臭の中、ベリエフは医務室の奥へと進んだ。
「痛いよ……モルヒネを打ってくれ……」
「衛生兵、衛生兵はどこだ……」
 あちこちに血の滲んだ包帯で失われた手足を覆う若者が死人のような表情で転がっている。
「こいつはもう助からん。さっさと処理して別の負傷者を連れて来い」
「やめてくれ! 殺さないでくれ!」
 保健委員の生徒が拳銃で命乞いをする瀕死の兵士の頭を撃ち抜き、二人がかりで外へと運んでいく。
 顔全体を包帯で覆った兵士の顔に血しぶきが飛ぶが、もう兵士にはそれを拭うだけの力がないように見えた。
 ベリエフはしゃがみ、壁に寄りかかる、まだ生気のある兵士に聞く。
 両足は太股から先が無かったが……。
「軍医はいるか?」
 兵士は首を横に振ると、自分の口に拳銃を突っ込んで引き金を引いた。
 力の抜けた体が崩れ落ちると、脊髄のむき出しになった背中がむき出しになった。
57175/130:2009/02/21(土) 20:51:06 ID:9kVTQLs8
 赤十字の腕章を付けた保健委員がその死体を運んでいく。
 ため息を吐き、ベリエフはまた奥へ歩き出す。
 別の兵士から軍医が手術室にいると聞くことができた、 
 簡単な隠しが貼られただけの手術室に向かう。
 何かを切る音が聞こえてきた。
 押し、引いて、擦り切るような音。
「入ります」
 ベリエフが簡素な布のカーテンを捲ると同時に、ノコギリで切り落とされた足首が看護婦の持った洗面器にゴロリと落ちた。
 看護婦はそれを表情一つ変えずに、どこかへと運んでいく。
 ノコギリを手にした軍医が血塗れのマスクを降ろす。
 大人の男がそこにいた。
「すまんが君、煙草をくれ」
 自分で取ったらどうですと言う前に、ベリエフは軍医の手袋が血に塗れていることに気付いた。
 誰だって、血塗れの煙草を吸いたくは無いだろう。
 ベリエフは箱から煙草を一本取り出し、軍医に咥えさせて火を点けた。
「すまないな」
 医師は咥え煙草でエーリヒに礼を言った。
 ベリエフはライターをポケットに戻すなり、早々に用件を伝える。
「本国から帰還命令が出ています」
「帰還命令?」
 ベリエフは頷く。
57276/130:2009/02/21(土) 20:51:45 ID:9kVTQLs8
 本国は学園島からの全面撤退を考え始めているらしい。
 医師や本国の軍人は革命軍や旧ヴォルク軍問わず、島から脱出するよう通達が出ていた。
「君は残るのか?」
「はい。義理を果たします」
 ベリエフは島に残り、マイコ・パステルナークに最後まで付き合うつもりだった。
 既に割り当てられた席は別の人間――子供達に譲っている。
「私は残るよ」
「ですが!」
「私がいなくなったら、一体誰が怪我人の面倒を見るんだい?」
 そう答えられるとベリエフは何も言えなかった。
 握手を申し出た時、軍医は血に濡れたゴム手袋に覆われた両手を見せた。
「ご無事で」
「君もな」 
 ベリエフに敬礼に対して、軍医はウィンクで返礼した。
 医務室を出ると、兵士達が高射砲弾を運んでいた。
「君達、何をしているんだ?」
 ベリエフが呼び止めると、兵士達は足を止める。
「戦う準備です」
「君はいくつだ? 十三? 十四?」
 頷いた後、兵士達は困惑した様子でお互いに顔を見合わせた。 
「悪いことは言わない。飛行機を用意してある。それに乗って脱出しなさい」
「ベリエフ中佐、一体何が目的なんです?」
 敵意を込めた強い口調。
 肩に交差した魔女の杖の徽章を付けた兵士が現れた。
57376/130:2009/02/21(土) 20:52:30 ID:9kVTQLs8
 本国は学園島からの全面撤退を考え始めているらしい。
 医師や本国の軍人は革命軍や旧ヴォルク軍問わず、島から脱出するよう通達が出ていた。
「君は残るのか?」
「はい。義理を果たします」
 ベリエフは島に残り、マイコ・パステルナークに最後まで付き合うつもりだった。
 既に割り当てられた席は別の人間――子供達に譲っている。
「私は残るよ」
「ですが!」
「私がいなくなったら、一体誰が怪我人の面倒を見るんだい?」
 そう答えられるとベリエフは何も言えなかった。
 握手を申し出た時、軍医は血に濡れたゴム手袋に覆われた両手を見せた。
「ご無事で」
「君もな」 
 ベリエフに敬礼に対して、軍医はウィンクで返礼した。
 医務室を出ると、兵士達が高射砲弾を運んでいた。
「君達、何をしているんだ?」
 ベリエフが呼び止めると、兵士達は足を止める。
「戦う準備です」
「君はいくつだ? 十三? 十四?」
 頷いた後、兵士達は困惑した様子でお互いに顔を見合わせた。 
「悪いことは言わない。飛行機を用意してある。それに乗って脱出しなさい」
「ベリエフ中佐、一体何が目的なんです?」
 敵意を込めた強い口調。
 肩に交差した魔女の杖の徽章を付けた兵士が現れた。
57477/130:2009/02/21(土) 20:53:17 ID:9kVTQLs8
 魔道兵だ。
「中等部の生徒まで駆りだして戦争をするつもりか?」
「軍人である中佐が戦争を否定なさるのですか?」
 質問は質問で返された。
「未熟な子供に戦場にいられても足手まといなだけだ! 君は戦った経験があるのかね」
 続けてベリエフが言うと、魔道兵はまだです……と語尾を濁した。 
「幸せ者だ。みんなを帰してやれ」
「いいえ! 戦います!」
「死にたいのか!」
「大佐に忠誠を誓いました。僕達は大佐が戦う限り、戦います」
「訓練された敵は重装備を持って我々を攻撃する。君らなど五分と持つまい」
 ベリエフはそう遠くない未来を告げた。
 ヴォルク軍は打ち倒したが、今度は条約軍が攻撃を仕掛けてくる筈だ。
 敵は恐らく学園島最高の戦術家を指揮官として、充実した装備で攻勢に出るだろう。
「子供は戦争をしてはいけない。戦争は大人の仕事なんだ」
 飛行場の場所と脱出の手筈を記した紙を兵士の胸ポケットに押し込み、ベリエフはその場を立ち去った。 
 艦内にはマイコ・パステルナークの演説が空しく響き渡る。
<<西方条約の無能なる者共に思い知らせ、明日の未来のために、我か革命軍は立たねばならんのである! 革命万歳!>>
57578/130:2009/02/21(土) 20:53:45 ID:9kVTQLs8


 森の中で西方条約軍エーリヒ戦闘団は出撃準備を終えていた。
 整備と補給は万全に整えられ、突撃砲や車両は偽装網で覆われて鋼鉄の体を休めている。
 兵士達は存分に暖かい食事をとり、出撃までの最後にして短い休息を過ごしていた。
 ジークベルト・ヴィッツレーベン少尉は食事を終えた後、エーリヒのいるハーフトラックに呼ばれた。
 何やら重要な話があるらしい。
「失礼します」
「突然呼んで悪かった。まあ座って」
 エーリヒはジークベルトの反対側に座る。
 ハーフトラックには他に誰もいない。
 気を利かせてくれたのだろうか?
「間も無く戦いが始まる。恐らく、この戦争で最後の戦いになる」
 話が切り出されると、ジークベルトはエーリヒの意図を見抜いた。
「本校の技術部に戻るつもりは無いかな?」
「中佐、僕は軍務から離れません」
「それは本意かい?」
57679/130:2009/02/21(土) 21:00:53 ID:9kVTQLs8
「はい」 
 しばしの沈黙が車上を支配した。
 風で木の葉が揺られる音がジークベルトの鼓膜を打つ。
「そうか。わかった」
 エーリヒは眼帯の周囲に広がる火傷跡を右手の人差し指で掻いた。
 そして表情を緩ませたが、眉は悲しげに伏せられていた。
「じゃあ、俺が止める理由は無いよ」
「申し訳ありません」
 ジークベルトは感謝の言葉すら述べられなかった。
 部下の我侭を上官は聞いてくれたのだ。
 しかも自分には何の報いる方法も無かった。
「でも、一つだけ……」
 エーリヒはジークベルトの要求を受け入れたが、一つだけ釘を刺した。
 絶対零度の冷たさが右目に宿っていた。
「戦場に個人の感情を持ち込むと、最悪の結果になるよ」
577創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 21:01:22 ID:9kVTQLs8
今日はここまで
日本語おかしい部分があるんで修正しておきます
578創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 22:02:55 ID:ATxCED6J


マイコがアナキンみたいに思えてきた
579創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 21:58:49 ID:lNGwJXiG
>>578
そういや昨日映画やってたね
六本足でライトセーバー振り回すロボットに萌えたw

続きいきます
58080/130:2009/02/22(日) 21:59:46 ID:lNGwJXiG


 革命軍の本隊はチェルノボグを中核としてクールスカヤ・ビートヴァ平原に布陣した。
 平原には背の低い草が風に揺らされているだけで、何の起伏も無い。
 文字通りフラットな世界だった。
「さて……」
 旗艦クロンシュタットの艦橋でマイコは小さく息を吐く。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエル率いる戦闘団が行動を開始したという報告が入っていた。 
 その名前だけでマイコは押し潰されてしまいそうだった。
 一体何度、奴のために苦渋を舐めさせられたのかわからない。
 難攻不落のヒューナースベルグを易々と奪い返し、魔道兵を翻弄し、エレナを倒した。
 マイコはエーリヒに対して憎悪の念は抱いていない。
 軍人としてやるべきことをやっただけであり、人間的な憎悪を向ける必要は無かった。
 ただマイコはエーリヒに負け、エーリヒはマイコに勝っただけのことだ。
「奴はチェルノボグを攻撃する。必ずだ」
 エーリヒが軍人として理想主義や特定の思想に染まらないプロフェッショナルであるのなら、間違いなくチェルノボグに対して攻勢に出るはずだ。
 チェルノボグを破壊しない限り条約軍に勝機は無い。
 逆に言えば、チェルノボクさえあれば革命軍は継戦能力を維持できる。
「敵は動かざるを得ない。後手に回ることになる」
 戦術的な才能で学園島トップクラスの才覚の持ち主であるエーリヒに対して、マイコは戦略的な方法で突破口を見出した。
 エーリヒはマイコを倒し、要塞を無力化しなくてはならない。
 対照的にマイコは攻撃してくるエーリヒを倒すだけでいい。
 だからこそクールスカヤ・ビートヴァ平原を選んだ。
 遮蔽物や起伏の無い大地は魔道兵にとって最高の戦場であり、身を隠す場所も無い。
 来襲する敵を迎え撃つ戦域としては最高の場所だった。
 マイコは全軍に布告を出した。
58181/130:2009/02/22(日) 22:00:23 ID:lNGwJXiG
 クールスカヤ・ビートヴァの勝利は全世界への狼煙たるべし。
 天候の許す限り速やかに、革命軍は学園島における最終的解決を施行する。
 本作戦は極めて重要にして、迅速かつ的確に実行すべし。
 学園島制圧後の世界再構築作戦を円滑に進めるための作戦である。
 全ての準備は最大の注意と努力をもって行い、最良の部隊、最良の指揮官、大量の弾薬を各重点地区に集中すべし。
 各指揮官及び参加将兵は本作戦の重要性を肝に銘ぜよ。
 繰り返す。
 クールスカヤ・ビートヴァの勝利は全世界への狼煙たるべし。
58282/130:2009/02/22(日) 22:01:39 ID:lNGwJXiG


 革命軍がクールスカヤ・ビートヴァ平原に布陣したという報告は、すぐさま移動中のエーリヒ戦闘団に届けられた。
 戦闘団が補給のため一旦停止すると、エーリヒはすぐさま指揮官達を集めて会議を始めた。
 上に地図の広げられた弾薬ケースを机代わりにして、代用コーヒーを燃料に指揮官達は言葉を交えた。
「革命軍は布陣しただけか? 動きは無いのか?」
「はい。円周防御陣を敷き、小規模な偵察隊を小出しにしているだけです」
 エーリヒは顎に手を置きながら思案する。
「革命軍は戦場を設定した。敵は戦略的な優位を得たつもりだ」
 敵の判断はやり方としては正しい。
 条約軍は何としても巨大兵器を撃破しなくてはならないので、何があろうと先に攻撃を仕掛けてくるに違いない。
 自分達は平原という見通しの良い場所に布陣し、迫り来る条約軍を撃破する。
 革命軍の指揮官――マイコ・パステルナークはそう考えたのだろう。
 マイコの行動はエーリヒにアントワーヌ=アンリ・ジョミニの言葉を思い出させた。
 戦略的な判断に基づいて主力を勝敗を左右する重大な地点である決勝点に機動し、敵の後方連絡線を圧迫すること。
 大規模な味方を以って小規模な敵と戦闘するように機動すること。
 戦術的な判断に基づいて主力を決勝点または撃破する要点へ志向させること。
 全ての味方に同時的に戦果を生み出すように効率的に運用すること。
 特に最初の二つは、今まさに自分達の置かれた状況だった。
「だが、この島の戦いは戦術的な戦いでしかない。大戦争をやるには狭すぎる」
58383/130:2009/02/22(日) 22:03:00 ID:lNGwJXiG
 エーリヒは言う。
 学園島の戦いはあくまで戦術的なものの繰り返しに過ぎない。
 システム化されているのだ。
 もし潜水艦隊で島を海上封鎖し、本国からの輸送船を沈め続けたら?
 もし本校に対する大規模な爆撃を行い続けたら?
 もし魔道兵を本校に集団降下させて機能を麻痺させたら?
 誰もその疑問を口にしない。
 学園島の戦いは絶対に終わらないよう作られているのではないかとエーリヒは考える時がある。
 レールを外れて暴走した革命軍だけが終わりへのアプローチを作ってみせたのだ。
 会議が終わった後、エーリヒは倒れるようにして木箱に寄り掛かった。
「どうすればいいんだよ……」
 一抹の不安がきっかけとなり、今まで意識していなかった重圧の濁流となってエーリヒの心に襲い掛かった。
 胸が苦しくなり、息が詰まる。
 自分が失敗したらみんな死んでしまう!
 家族も!
 友人も!
 部下達も!
 みんな!
「助けてよ……父さん、母さん、助けてよ」
 エーリヒは救いを求めた。
 当然誰も助けてはくれない。
 甘ったれたことを言っている場合ではないとわかっている。
58484/130:2009/02/22(日) 22:03:41 ID:lNGwJXiG
 だが、当然誰も助けてはくれない。
 何を思ったのかエーリヒは消しゴムの欠片を指で弾いた。
 欠片は別の消しゴムに当たり、跳ね返る。
 当たってから、戻ってくるまでの時間――。
「これは……!」
 ペンを取り、エーリヒは紙に言葉を並べる。
「わかった! こうすればいいんだ!」
 エーリヒの脳裏に方程式が作り上げられていく。
 机上にある地図には赤い○が五つ、描かれていた。
 まず革命軍の五箇所の重要拠点を攻撃する素振りを見せる。 
 軍港。
 補給基地。
 飛行場。
 食料貯蔵庫。
 交通の要所。
「こっちは敵を無力化しなくてはならない。だが敵は、攻撃してくる側を撃退すればいい」
 明らかに不足している条約軍の戦力。
 明らかに過大な革命軍の戦力。
 勝つためにはどうすればいいのか?
 答えをエーリヒは出せていた。
 もう弱気な少年はいない。
 七割の自信と三割の不安を胸中に秘めた条約軍の天才戦術家がいるだけだった。
585創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 22:04:11 ID:lNGwJXiG
今日はここまで
586創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 22:41:21 ID:yiBVQkc9

いよいよエーリヒが主役っぽくなってきたwww
マイコさんにもう少し主人公分を・・・
587創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 22:58:10 ID:8UzJYUtw
なんかエーリヒ、勝つ寸前で茶々入れられそうな作戦立ててるな
588創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 23:31:28 ID:lNGwJXiG
終わりまで書いた後だと、この話に主人公という概念は存在しないんじゃないか?とも思うんだ
マイコ、エレナ、ユーリ、エーリヒ、みんな主人公であり脇役 一人一人に物語があるわけで
キャラ同士の生き方とか思想を対比させて読んでくれたらいいなぁ

書いてる側としてはキャラクターの行動が理解できないとか、なんでこういうことをするのかわからないと読んでる側に思われてはいないかと不安になる
そのあたりを遠慮なく指摘してくれると嬉しいです

なにハルトシュラー主義?
残念!ここは伊達と酔狂で創作をやるスレなのさ!
589創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 23:45:39 ID:yiBVQkc9
マイコが頑張ってるのを見るとユーリの行動がなんとなく変に見えちゃう
戦場に目を向けるようになったならある程度耐えてくれてもいい気がする
でもまだ若いから仕方ないかな・・・う〜ん
590創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 23:53:19 ID:lNGwJXiG
>>589
耐えてくれるというのは、ユーリは前線に出ず傍観者でいた方がいいってことかな
戦う以外の選択肢を選ぶべきとか?
その辺聞かせてくれると嬉しい
591創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 23:58:03 ID:yiBVQkc9
マイコに復讐の念をぶつけないで、言い方は変だけどある程度割り切るというか・・・
姉を殺そうってまでいかないんじゃないかって思ったんだ
ちょっとユーリの怒り方が尋常じゃない気がして
592創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 00:01:12 ID:lNGwJXiG
>>591
ユーリ「悲しいけど、これは戦争なんだ」という感じか
確かにユーリが憎悪を抱くまでの過程が上手く描けてなかったかもしれない
その辺ちゃんと描写するべきだった
答えてくれてありがとう
修正してみる
593創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 22:55:45 ID:pjhZVmp4
続きいきます

星間飛行で入場する格闘家がいるとはたまげたなぁ
59485/130:2009/02/23(月) 22:56:56 ID:pjhZVmp4

 
 クロンシュタット艦内の自室に、マイコは軍医を招いていた。 
 琥珀色の瞳が軍医の手にしたカプセルを追う。
「撃つ場所を間違えると視神経だけを傷つける場合がある。なので、カプセルを噛むと同時に引き金を引く」
「痛みはあるのですか?」
「薬が効くまで二、三秒だ。すぐに死ねる」
「ありがとうございます先生。ありがとう……」
「大丈夫かね?」
「大丈夫です。でも、怖いんです」
「怖い?」
「何万人の怨霊が自分の中にいるかわかりませんから……」
 何故だかはわからなかったが、軍医の視線が怖かった。
 マイコは目を合わせられず、床に目を落とす。
 ノック音の後、部屋に保険委員が入ってきた。
 委員は軍医に耳打ちした。
「もう行かないと。ほら、解熱剤だ。少し休みなさい」
 軍医がいなくなってシーツを被り、ベッドの上で丸くなった矢先、新たな伝令がやってきた。
 伝令は条約軍が行動を開始したと報告する、
 体の震えが霧散し、芯から力が沸いてきた。
 立ち上がってマイコは濃い紺色の髪を揺らした。
 報告の内容はこうだ。
59586/130:2009/02/23(月) 22:57:53 ID:pjhZVmp4
 革命軍制圧下にある重要拠点五箇所の全てで条約軍が攻勢の動きを見せていると。
「流石はエーリヒ・シュヴァンクマイエルだ。不利な状況すら自分の味方につける」
 マイコは敵将が何をしようとしているのか、すぐにわかった。
「我が軍を分散させ、主力部隊で私の本隊に決戦を挑むつもりだろう」
 マイコは対抗案を考えた。
 まず条約軍の攻勢に先立ち、革命軍はマイコ及びチェルノボグ以外の部隊を散開させ、条約軍の跳梁する五箇所の重要拠点へと向かわせる。
 残された本隊は危険なほど無防備になるが、それは罠だ。
 エーリヒは最も勝利に近い方法――保有する全戦力を用いての総攻撃を革命軍本隊に仕掛けるに違いない。
「だが、奴は絶対私に勝てない」
 チェルノボグと護衛の魔道兵部隊による守りは鉄壁だ。
 加えてクールスカヤ・ビートヴァ平原は見通しが良く魔道兵の戦術的優位を存分に行使できる。
 エーリヒ隊が苦戦している間に五箇所の拠点へ向かった他の部隊が条約軍の背後を突き、包囲殲滅させる。
 万が一エーリヒが勝つとしたら、反転してくる別働隊がマイコの本隊と合流するまでが勝負だ。
 朱雀の涙ほどの僅かな時間で勝たなくてはならない。
「だが、エーリヒがそんな危なっかしい戦法を使うのだろうか?」
 マイコの中では疑念が燻り続けた。
 複雑な感情も渦巻く。
 自分は悪であり、エーリヒに倒されれば世界を安定させることができるかもしれない――と。
59687/130:2009/02/23(月) 22:59:16 ID:pjhZVmp4


 出撃の前、ジークベルトは思い出を処理していた。
 写真、手紙、姉から送られた誕生日のプレゼントを一まとめにして地面に穿った穴に放り込む。
「中佐……」
 手元には一枚の紙がある。
 本校への帰還認証書だった。
 既にエーリヒのサインは済まされ、あとはジークベルトがサインするだけだ。
「ごめん中佐。僕は逃げない」
 ジークベルトは思いやりに感謝しつつ、認証書を破り捨てて穴へと捨てた。
 もう必要なかった。
 これから自分は死ぬ。
 姉がやったことに対する責任を取らなければならないのだ。
「さようなら、エレナさん。さようなら、僕」
 ライターの炎の先が写真の右隅に触れる。
 写真の中で笑う姉弟が焼けていく。
 持つ部分以外全て焼失したことを確認し、ジークベルトは穴に思い出の残りカスを放った。
 スコップで穴を埋め、その場から去る。
 振り返らずに。 
597創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 22:59:42 ID:aQuW8yY5

59888/130:2009/02/23(月) 23:00:28 ID:pjhZVmp4


 革命軍がクールスカヤ・ビートヴァ平原に布陣してから四日後、事態は斜め上に突き進んだ。
 条約軍は五つの重要拠点のうち一つである軍港に総攻撃を敢行しているという。
「そんなはずが……」
 マイコの思考は停止寸前にまで追い込まれた。
 一体エーリヒが何を考えているのか理解できない。
 全兵力を結集して本隊を襲うのではなく、何故拠点を一つ一つ各個撃破していくのか?
 一体何をするつもりなのだ?
 確かなことは一つ――エーリヒがとてつもない策を講じていることだけだ。
「別働隊を呼び戻せ。最優先だ」
 マイコが指示を出した瞬間、クロンシュタットは激しく揺れた。
 巨人の拳で殴られたような振動が艦全体を襲う。
<<後方に敵!>>
<<なんだと!?>>
 悲鳴にも似た砲声が重なり合い、徐々に近付いてくる。
 条約軍のネーベルヴェルファーだ。
「総員、何かにつかまれ!」
 ベリエフの叫びは甲板や船体各部にロケット弾が命中した轟音と、連続した炸裂音でかき消された。
 激しく点滅を繰り返す電灯が爆発の反動で粉々になり、細かい破片が頭上から降り注いできた。
 数名のクルーは衝撃で床に叩きつけられた。
 計器が奇怪な音を立てて落ち、天井や壁にに溶接されていた真空管、電線、フューズが剥がれ落ちて乱舞した。
「損害状況を知らせ!」
「左舷機関室にて火災発生! 消化班が向かっています!」
「格納庫の損害は軽微! 燃料誘爆の危険性無し!」
59989/130:2009/02/23(月) 23:01:21 ID:pjhZVmp4
 次に入った報告は艦橋の空気を破断させた。
「敵の装甲部隊が後方に!」
「なんだと!?」
「各艦反転!」
 驚くマイコに構わずベリエフは命令を下す。
 だが陸上戦艦や要塞が反転しようとした矢先、再び砲声が聞こえた。
 今度はロケット砲ではなく、野砲のようだった。
 一拍後、陸上戦艦『アドミラル・フルンゼ』と陸上戦艦『アドミラル・グレーネフ』が巨大な火球と化した。
 たっぷりと積み込まれた弾薬と燃料が空を緋色に染め上げた。
「なんてことだ! これでは腹に爆弾を抱えて、撃ってくださいと言わんばかりではないか!」
 反転を終えず、無防備かつ横に広い船体を剥き出しにした陸上艦隊に砲火が集中する。
 陸上戦艦『アドミラル・マリノスキー』は飛行甲板で出撃を待っていた魔道兵部隊の真ん中に直撃を受けた。
 クロンシュタットの艦橋からの眺めが爆発の閃光で閉ざされた。
 その爆発は、いっぱいにつめてよく振ったソーダ水の瓶をコンクリート面の上に落とした時のようだった。
 若い少女の死体がブロック単位で四方八方に飛び散り、死臭と肉の焼ける悪臭がクロンシュタットにも届いた。
「エーリヒ……!」
600創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:02:09 ID:aQuW8yY5

60190/130:2009/02/23(月) 23:02:28 ID:pjhZVmp4
 マイコは歯軋した。
 怒りと屈辱で歪みたがる唇を抑えるのに必死だった
 革命軍は戦わずして魔道兵力の七十五%を失った。
 陸上戦艦『アドミラル・フルンゼ』――爆沈。
 陸上戦艦『アドミラル・グレーネフ』――大破炎上中。
 陸上戦艦『アドミラル・マリノスキー』――艦載魔道兵発進不能。
 唯一生き残ったのはクロンシュタットだけだ。
「大佐は要塞にお移り下さい」
 ベリエフは意見具申する。
 できないとマイコは一蹴したが、なおも食い下がってきた。
「ここは私にお任せを! 大佐は理想を成就なさって下さい!」
 マイコの心は申し訳無さで一杯だった。
「すまんベリエフ……死ぬな。命令だ」
 存じております、と副官は敬礼した。
 マイコは少数の部下を従えてチェルノボグへと移動する。
 ラジオから流れるマーラーの交響曲第一番第四楽章は、まるで自分達の破滅を祝福してくれているように聞こえた。
602創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:03:20 ID:pjhZVmp4
今日はここまで
支援に感謝

ついに最終決戦です
そして130分割にしたつもりがカウントミスで予定を下回ることが発覚
603創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:04:03 ID:udMt/SDU
乙でした。毎回楽しませてもらいました。
初めは日常のんべんだらり系かと思ってた(もちろんそれでも十分すぎるほど面白かった)
けど、意外にストーリーの幹がしっかりしててびっくり
604創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:04:49 ID:cluK2EX+
乙でした。毎回wktkしながら見てました。
次回作も期待してます
605創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:05:38 ID:JRel5QZr
乙でした。
毎回笑えて楽しかったです。これからどうなさるのかは知りませんが、できることなら次回作書いてくれることに期待します。
606創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:06:40 ID:RoAF6v6A


607創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:08:39 ID:XsdmR0rm
さすがシスの暗黒卿wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
608創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:09:18 ID:rq9bC4Yl
>>578
これがフォースの力か!
609創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:10:08 ID:OzWxxvXL
おめでとう。
もっくん良かったね。
610創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:12:08 ID:q552BJkP
想像以上で吹いたwwwwバロスwwwwww
611創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:13:37 ID:kGVhlY2X
75さん、本当にお疲れさんでした。
ほのぼのした空気がとっても好きでした。
また次回作も期待してるぜ!
612創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:15:17 ID:x3mtPyMG
お疲れ様でした。独特の世界観が大好きでしたw
特にエーリヒの口調がツボw さわやかなのに狂っている感じが良すぎw
613創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:17:03 ID:aQuW8yY5

次が最後の戦場か・・・
個人的にはエーリヒ無双のせいで魔道兵が霞んで見えちゃうから最後はもっと活躍してほしいけど・・・戦略に嵌められちゃったらきついかな

>そして130分割にしたつもりがカウントミスで予定を下回ることが発覚
どんまいwwwwww
614創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:26:10 ID:SksGDMLx
魔道兵の衰退は必然じゃないの?

兵器としては一発屋みたいなものだろ
615創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:31:26 ID:aQuW8yY5
衰退っつうかエーリヒの出る戦場で魔道兵が勝利してるのが全然ないなあって・・・
でもやっぱり戦争にはあまり向かないのかもね
もっと連携がとれればかなり変わってくると思うけど
616創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:40:35 ID:SksGDMLx
エーリヒが魔道兵と戦うときは補給体制万全、数の優勢、退路の遮断とか必ず勝てる状況を作ってからだもんなぁ

正しいやり方なんだが物語としては退屈かもしれんw
617創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 23:41:49 ID:6gm6iqby
現実で痛々しい言葉を吐かなけりゃ、妄想は最高の娯楽だぜ?むしろ推奨する
618創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 00:05:57 ID:2pIHz1tB
正直ゴールを焦って暴走しているようにしか見えない。
そのため説得力が無い。
619創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 00:47:59 ID:9qxfGJhL
完結させるだけ凄い気はするけどな
620創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 00:57:48 ID:9qxfGJhL
エーリヒは劣勢でも戦わざるを得ない状態にすれば勝てる気がする 具体的に何するかと聞かれたらわからんが
621創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 07:49:58 ID:941PjteL
戦地ではオバちゃん看護婦やデブの女補給兵などシャバではなんて事ない女性もアイドルというか女神様のようにチヤホヤされるらしいな。
アナタハン島の女王事件なんかでは単なるオバちゃんだったようだが男はバトルロワイヤル繰り広げてるし…
622創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 09:10:19 ID:TVwjwhyR
>>621
『戦争は女の顔をしていない』という本読んでみると面白い
623創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 22:47:28 ID:TVwjwhyR
アナタハン島について調べたら事実は小説よりも奇なりだなと思った
極限状態になると人間は何をするかわからんね
ホラー映画でも一番怖いのは人間だっていう内容が多いし

んじゃ続きいきます
62491/130:2009/02/24(火) 22:48:39 ID:TVwjwhyR


 エーリヒ戦闘団は保有する殆どの戦力をこの戦域に投入していた。
 乾坤一擲という言葉は好きではないが、今は勝てる可能性があるなら何でもするつもりだった。
 軍港にて革命軍の別働隊を引き付けるオットー・ワイトリンク少佐の部隊以外は、全ての部隊が同じ戦場にいた。
「敵の別働隊が戻ってくるまでの時間は?」
「最低でも四日です!」
 アルベルトは間髪入れずに言い切る。
 勢いそのままに、エーリヒは声を上げた。
「今日でこの戦争を終わらせる!」
 エーリヒは家族の写真を取り出し、決意を新たにする。
 本当の子ではない自分を両親は愛情をたっぷりと注いで育ててくれた。
 自分はまだ恩返しの一つもできていない。
 だから今日ここで勝利して、絶対に生きて帰る。
<<撃て!>>
 ハーフトラックの車上でエーリヒが右手を前に倒すと、総攻撃が開始された。
 榴弾砲とロケット砲の断続的な砲兵支援を受けながら突撃砲中隊が前進する。
 適度な車間距離をとって、三号突撃砲は排気煙を残しながら平地を進んだ。
 行く先には地獄の釜と化した戦場がある。
62592/130:2009/02/24(火) 22:50:08 ID:TVwjwhyR
<<フォイアー!>>
 重苦しい発砲音が連続して響く。 
 突撃砲の前方で土砂が舞い上がり、黒煙が立ち上った。
 自動小銃で武装した擲弾兵は広く散開して攻撃目標へ――革命軍の巨大要塞へと突き進む。
 作り出された鋼鉄の地獄の中から青い粒子が飛び出した。
<<来るぞ!>>
 飛来する魔道兵目掛けて集中砲火が始まる。
 全ての兵士が全ての火器を死に物狂いで撃ちまくった。
 四連装の二十ミリ機関砲が空薬莢を吐き出し続け、弾幕を張って魔道兵をズタズタにする。
 擲弾兵は対空砲火を嫌がって着陸した魔道兵を取り囲み、四方からパンツァーファウストを浴びせて撃破する。
<<制圧射撃!>>
 陣地に並んだ自走榴弾砲から続けざまに砲弾が吐き出され、結界を張る魔道兵に降り注いだ。
 叩きつけた火力は尋常なものではなく、結界は壮絶な勢いで削られ、破綻した。
 結界を破壊されて負傷した魔道兵に対して突撃砲は集中射撃を浴びせ、一人一人撃破していく。
 黒焦げになった魔道兵から噴煙が立ち昇る黒煙を貫き、条約軍の側からも青い粒子が戦場に瞬いた。
<<各員、リディア隊長とニーホフ閣下の仇を取るぞ!>>
 エーリヒの配下に加わった旧ヴォルク軍の魔道兵部隊だ。
 かつて隊長であったリディアの薫陶を受けた彼女達はかつての敵であるエーリヒよりも、今の敵であるかつての友軍に強い敵意を抱いていた。
「ありがとう。みんな、ありがとう……」
 双眼鏡を下ろし、エーリヒは次の指示を出す。
 条約軍は巨大要塞への第一線を突破した。
62693/130:2009/02/24(火) 22:51:02 ID:TVwjwhyR
「一翼包囲を図る!」
 エーリヒは自身が最も得意とする戦法を使う。
 正面からの陽動攻撃で敵の動きを拘束し、側面から回り込んだ機甲部隊で敵の後方を叩く。
 最もオーソドックスであるが故に何よりも信頼できる戦法だった。
「魔道兵は正面に布陣。装甲部隊は敵側面へ移動する動きを見せつつ、前後運動」 
 エーリヒは見え見えの伏線を張る。
 敵はエーリヒの行動の裏に何があるのかと勘ぐり、先を読む。
 優秀な能力を持つ人間であればあるほど、ホイホイと罠に足を踏み入れる。
「敵は優秀な指揮官のはずだ」
 革命軍の指揮官がどんな人間なのかはよくわからない。
 だがここまで彼女に追従して生き残ってきた人間が無能であるわけがないのは間違いない。
 アルベルトに正面へ偽装戦車隊を布陣させるよう伝えた後、エーリヒは前を見据えた。
 戦場は夕暮れに包まれようとしていた。
 様々な『終わり』を告げる光景の下で続く戦い――それは、二つの学園の戦いが終わりに向かうと表しているのではないか?
 確実なことはただ一つ。
 この戦いに条約軍は必ず勝つ必要があるということだ。
627創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 22:51:36 ID:GJedVZJc

62894/130:2009/02/24(火) 22:52:17 ID:TVwjwhyR
☆ 

 革命軍の正面に偽装戦車が現れたのはこちらの思考を混乱させるためだとベリエフは瞬時に理解した。
 クロンシュタットの艦橋でベリエフは考えを巡らせた。
「今は亡きヴィレンスカヤ中佐が苦戦した相手だ。流石ではある」
 見え見えの前後運動を行う装甲部隊は側面を突かんとする動きをしていた。
 そして正面には魔道兵部隊。
「偽装戦車はこちらの先読みを防ぐためか」
 なかなか面白いことをするとベリエフは密かに関心した。
 エーリヒが偽装戦車を正面に置いたのは先読みを防ぐためだ。
 魔道兵と装甲部隊、どちらが主力か判断を混乱させるのが目的だろう。
「ここは下手に動くべきではない」
 動きますかというクルーの意見をベリエフは却下した。
 下手に動けばエーリヒの思う壺である。
「後方との連絡線及び補給線を各個たるものにする。砲兵隊は簡易パック・フロントを形成して敵の来襲に備えよ」
 待てば待つだけ革命軍は有利になっていく。
 対して、条約軍は速攻を仕掛けなければならない。
 要塞を破壊しなければならないし、あまり時間をかけすぎると別働隊が軍港から戻ってくるからだ。
 僅かなタイムラグの間にエーリヒは勝たねばならない。 
「どう出る? エーリヒ・シュヴァンクマイエル」
 ベリエフは一歩も引くつもりは無かった。
 それが軍人としての矜持だった。
62995/130:2009/02/24(火) 22:54:52 ID:TVwjwhyR


 敵の指揮官が一切の誘いに乗らなかったことはエーリヒを安堵させた。
 ハーフトラック車上の椅子に腰掛けたエーリヒは小さく息を吐く。
「ふぅ……」
 自分の予想が当たってくれたことに感謝しつつ、一旦部隊を下げるよう命じた。
「後退するのですか?」
 アルベルトの声は微かに震えていた。
 緊張しているのか、それとも恐怖しているのかはわからない。
「ああ。動き続けていたものが突然止まったら、見ている側は『えっ?』と思う。何があったのか見ようと考える」
「確かにそうですが……」
「まあ希望的観測って言えばそうなるけど」
 エーリヒはわざと軽い口調をする。
 指揮官が怯えては兵も怯えるというが……。
「敵はまだ動かない?」
「はい。小揺るぎもしていません」
 エーリヒは頷く。
「敵は一流の指揮官だ。間違いない」
 エーリヒとしては三流の敵よりも一流の敵の方がやりやすい。
 一流の敵は下らない罠に引っかかるからだ。
630創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 22:55:55 ID:GJedVZJc

63196/130:2009/02/24(火) 22:56:41 ID:TVwjwhyR


 一時間経っても条約軍は動かなかった。
 硝煙の臭気立ち込める戦場は先ほどとは別世界のように静寂の中にあった。
 クロンシュタット艦橋のクルーも困惑しつつある。
「時間的余裕は無いはずだ。なのに、どうして動こうとしない?」
 困惑こそしなかったが、ベリエフは心に引っかかるものを感じた。
 革命軍の別働隊は刻一刻と接近してくる。
 条約軍としては早々に決着をつけなくてはならないはず……。
 こちらから動いてみるか――ベリエフが命令しようとした時、二人の魔道兵が着艦した。
「どこの所属だ?」
「確認します……これは……!」
 クルーが青ざめた顔を向けると同時に、飛行甲板で爆発が起きた。
 艦橋に向けて一発、エレベーターに一発、魔道兵はロケット弾を撃ち込んだ。
 他は何もせず魔道兵は離脱していく。  
「敵魔道兵、離脱します!」
「撃墜しろ!」
 対空砲が一斉に唸りを上げたが、既に青い粒子は遥か遠方にまで飛び去った後だった。
「構うな。被害状況を知らせ」
「航行に支障なし。艦載機の発艦も可能です」
 ベリエフは頷き、指示を出す。
 席に腰掛けた刹那、彼はクロンシュタットごと大爆発に巻き込まれて消滅した。
63297/130:2009/02/24(火) 22:58:03 ID:TVwjwhyR


 大爆発が空を照らし出した。
 戦場にいた条約兵の全てが突然現れた閃光に目を釘付けにした。
「一体何が……?」
 エーリヒですら状況を飲み込めないでいた。
 敵の指揮系統を混乱させるだけのつもりが、旗艦を撃沈してしまった。
 作戦は円滑に進むだろうが、今一何が起きたのかわからない。
「恐らくは艦内に充満した気化燃料に引火、爆発が起きたのでしょう」
 エーリヒの疑問はアルベルトが解決してくれた。
「空母の艦内は弾薬や燃料で一杯だからね。でも、ダメコンはどうなっているんだ?」
「これも推測ですが、強化された飛行甲板のせいで爆発のエネルギーが外へ逃げず、内部で拡散。艦全体に損害を与えたのではないでしょうか」
 もし本当なら、事実は何と小説より奇なりなのだろうか。
 エーリヒは言葉には出さなかった。
 指揮系統を失った革命軍は瞬く間に鎮圧される。
 最後の魔道兵が撃破された後、血の色をした夕暮れに要塞が浮かび上がった。
 人型をした歪な機動兵器の姿に、エーリヒは思わず息を呑んだ。
 この化け物を革命軍がどうやって蘇らせたのかはわからない。
 だが、破壊しなければ生き残れない。
「中佐……」
63398/130:2009/02/24(火) 22:59:07 ID:TVwjwhyR
 通信手が額に脂汗を浮かべて無線機を手にしている。
「どうした?」
「敵の司令官より通信です。マイコ・パステルナーク大佐と名乗っています」
 エーリヒは黙って無線機を受け取った。
「ベリエフを倒したか。素晴らしい。流石は我が宿敵、我が怨敵だ」
 無線機越しに女の声が聞こえた。
「残念だけど話すことは何も無いよ」
「私は世界を統一する。この要塞と魔道兵を使って……だ」
 会話はまるで噛み合わなかった。
 エーリヒは声の主に生理的な嫌悪感を覚えずにはいられない。
「どうだ、私と共に来ないか? 元帥の地位を与えるぞ」
「エーリヒ・シュヴァンクマイエルは反逆しない」
 淡々と通信を切った後、エーリヒは大きく右手を前に倒した。
「目標敵要塞! 攻撃開始!」
634創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 22:59:18 ID:GJedVZJc

63599/130:2009/02/24(火) 23:00:11 ID:TVwjwhyR


 絶え間なく撃ち続ける砲兵隊の横で、ジークベルトは出撃準備を終えようとしていた。
 擬似マナ・クリスタルを搭載したローブを身に纏い、最終準備が佳境に入る。
 出撃前、メカニックが声をかけた。
「少尉さん、リミッターは常時解除のままだ。性能は三倍になるが、あんたの体はボロボロになる。無理するなと言っても無理をするんだろうが言わせてくれ。無理はするな」
 ジークベルトは感謝に絶えなかった。
 個人的な復讐のためだけに生きる自分のためにメカニック達は全力を尽くしてくれた。
 それに報いる手段の無い自分が心底嫌だった。
「ありがとうございます!」
「ローブはぶっ壊してもいい。だけどお前は帰って来い!」
 ジークベルトは反応に困り、引きつった笑みを返してその場を後にする。
 低い姿勢を作り、クリスタルマナ・エネルギーを解放する。
 これから向かう空には幾千もの死が作り出されていた。
 ジークベルト、いや――ユーリは叫ぶ。
「出るぞ!」 
 土煙を残してユーリは空の人になる。
 消失した上下の感覚にはまだ慣れない。
 でも構わない。
 終わりにする。
 魔女に関わった不幸な人間の物語を……。
636創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:00:44 ID:TVwjwhyR
今日はここまで
支援に感謝
さあハートフルなスパイラルが始まりました
637創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:04:00 ID:WQyaLsNZ
わたしは“返信”だけを求めてはいない。“返信”だけを求めていると、人は『期待した返信』を求めるものだ…
『期待した返信』でない場合『中身の無い批判』をするかもしれない。感想を書く気も次第に失せていく。大切なのは
感想を書こうとする意思』だと思っている。感想を書こうとする意思さえあれば、たとえ今回は返信が無かったとしても、
感想は相手に伝わるだろう?書いているわけだからな…違うかい?
638創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:04:55 ID:GJedVZJc

べりエフさん・・・
639創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:06:46 ID:Njdr9OMZ
今回の主題はマイコは悪と定義されることしかできないということですね。
640創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:08:50 ID:gcJyP6uy
エーリヒ早漏すぎるなw
641創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:10:04 ID:Xdl0+8Qy
75氏、長門はいつになったら登場しますか?
642創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:14:19 ID:RmN2VnrT
学園島は俺の中でドタバタコメディの金字塔と化しちゃってるわけだが
続き早くー!
643創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:16:26 ID:P3C4Qep6
グッジョブ!
最終回をきれいにまとめてくれた!
後日談とかないのかな
644創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:19:41 ID:zfyp3k0W
マイコが投稿してるBL誌って誰が発行してるんだw
もしかしてユーリかww
645創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:25:33 ID:EBtpEcNd
マイコとエレナ、それとエーリヒが組めば世界征服だって夢じゃないですな!
それでいて三人で世界を分け合う野望を持ったりしないところが学生らしくてイイ!
646創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:39:40 ID:1iTv0rqa
>>644
アンさんにきまっているじゃないか
647創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:42:05 ID:YpV3rkcr
最近串子さん来ないので心配だ
648創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:47:38 ID:tVfTghJT
75氏乙です
悔しいけど笑ったww
649創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:54:30 ID:g/Iwh/gd
75氏は月20万も貰って何に使ってんのかな
650創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 00:36:53 ID:jN4/HzDH
マイコ完全に精神いっちゃってるな…エレナ死亡にユーリ敵化、悪になりきれないせいか
651創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 22:47:30 ID:fpNJQn9E
>>650
ただのへタレだろw

続きいきます
652100/130:2009/02/25(水) 22:48:57 ID:fpNJQn9E
☆ 

 チェルノボグの周囲では魔道兵同士の死闘が続いていた。
 単体での性能に勝る革命軍魔道兵に対して、旧ヴォルク軍の魔道兵は連携で対抗した。
 誰もが必死で戦っている。
 革命軍は『今』を破壊するため。
 旧ヴォルク軍は『今』を守るため。
<<こんなものまで持ち出して!>>
<<大佐の理想を成就させるためだ! 邪魔立てするな!>>
<<何が理想だ! 目の前の現実すら見えない癖に!>>
 空に少女達の悲鳴にも似た叫びが木霊した。   
<<一点突破を図る!>>
<<砲火が止んだ! 突入しろ!>> 
 旧ヴォルク軍魔道兵は何とかしてチェルノボグへの突破を図るが、その度に撃墜されていく。
 とてつもない規模の迎撃戦力が彼女達を待ち構えていた。
 攻撃する側が必死なら、守る側も必死だ。
<<撃墜しろ! 誤射してもいいからとにかく当てろ!>>
<<敗残兵どもが!>>
653101/130:2009/02/25(水) 22:49:27 ID:fpNJQn9E
 革命軍魔道兵の誰もが、自らが破滅への道程を進んでいることを自覚していた。
 彼女達は戦い、惨敗しつつある。
 既に母校は失われ、新天地も失われつつあった。 
 未来は変わらない。  
 この戦いが終わると共にヴォルクグラードは迎える。
<<道連れにしてやる。私一人で逝くものか!>>
<<テロリストどもめ!>>
<<お前らが言えたことか!>>
 殺しあう両軍の魔道兵には共通点があった。
 『今』に逆らい『過去』の栄光を利用し、無意味に抗うという点で――。
 立場や意思を超え、戦争を終わらせるために兵士たちの思いは、やがて一つの大きなうねりへと変わりつつあった。
654102/130:2009/02/25(水) 22:50:26 ID:fpNJQn9E


 平原に展開していた多くの兵士達の眼前にある線上を駆け抜けていった、あまりにも巨大なエネルギーに愕然として目を見開いた。
 太い光状は革命軍と旧ヴォルク軍魔道兵が死闘を演じていた空間を貫き、遂には全てを焼き払った。
 後に残ったのは無残に焼き尽くされた死体、溶解した兵器の出来損ない、そして唖然とする兵士達だった。
 チェルノボグに装備された高出力の大型マナ・レーザー砲は一撃で戦況を革命軍有利へと変えた。
「別働隊はどうした?」
 内部にある司令部でマイコが淡々として問うと、クルー達は我に返って報告を始めた。
「こちらに向かっているはずですが、連絡がとれません。恐らく敵の妨害電波と思われます」
「呼び続けろ」
 マイコは次に、残存する全ての魔道兵を発進させた。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエルさえ倒してしまえば、革命軍による世界再統一を阻む存在は皆無となる。
 学園島を制圧後は全てをチェルノボグで焼き払う。
 そして統一された世界を作る。
「敵装甲部隊、側面に回り込みました!」
 声に怯えがこもったクルーの報告にマイコは僅かな苛立ちを覚える。
 何故あきらめない?
 チェルノボグの第二射は間も無い。
655103/130:2009/02/25(水) 22:50:52 ID:fpNJQn9E
 エーリヒが勝てる可能性は殆ど失われているというのに……。
「時間を稼げ。主砲の発射準備を急がせろ!」
 額に脂汗を浮かべたマイコが怒鳴ると、背後に控えていた少女が動いた。
「私も出撃します」
 セルフィナ・フェドセンコだった。
 申し出に頷いた後、マイコは去っていく背中に声をかけた。
「オルガの死は残念だった」
 セルフィナは足を止め、肩越しに振り返った。
 表情はいつも通りの無機質なものだった。
 だが何も言わず、セルフィナは司令部を出た。
656104/130:2009/02/25(水) 22:52:01 ID:fpNJQn9E

 
 突撃砲が立て続けに発砲する。
 防戦を続けていた魔道兵の結界が徹甲弾でぶち破られると、別の突撃砲が榴弾で剥き出しになった少女の肉体を四散させる。
 条約軍の砲弾は雨の如く投げつけられ、火と鉄の暴風圏に革命軍を叩き込んだ。
 だが攻防は一進一退だった。
 砲火を掻い潜った数体魔道兵が突撃砲に取り付き、対空機関砲が味方撃ちを覚悟で魔道兵を挽き肉に変える。
 擲弾兵の小隊が前進しようとすると、魔道兵が斬撃で兵士を切り刻んだ。
「総力戦か……!」
 ハーフトラックの座乗して最前線に身を置いたエーリヒは兵士達と共に巨大要塞チェルノボグへ進んでいた。
 エーリヒ戦闘団は魔道兵を正面に立て、地上部隊で側面から回ろうとしたが、チェルノボグの砲火が全てを破綻させた。
 革命軍が、まさか味方の魔道兵を巻き込んで砲撃を行うとは考えていなかったからだ。
<<あの要塞に取り付くんだ!>>
<<畜生、連中も必死だ!>>
 条約軍は決死の覚悟でチェルノボグへ肉薄しようとするが、敵は後から後からわいてくるように出てきた。
 懸命に道を切り開いたにも関わらず、全く近付いた気がしない。
「敵は円周防御陣形を組んでいます!」
657105/130:2009/02/25(水) 22:53:14 ID:fpNJQn9E
 革命軍は円陣に似た隊形を作り、機動要塞を絶対死守する構えを見せた。
 チェルノボグに備えられた巨砲に青いエネルギーが収束して怪しく輝くたび、エーリヒは心臓を鷲掴みにされた気分になる。
 戦況は条約軍にとって八方塞がりになりつつあった。
 絶望的な状況の中、一つの通信が無線機越しに伝えられた。
<<おい、生きてるか?>>
 女の声と共に、東の空から青色の粒子による光跡が現れた。
 数は十……二十……三十……まだ増えていく。
<<ドイツ野朗聞こえてるか? 助けに来たぞ!>>
<<この戦いは命を守るためだ。ならば共闘するのみ!>>
 レーダー上に無数の識別信号が現れた。
 学園列島のあらゆる学園を示していた。
<<美味しいところは頂いていく!>> 
 エーリヒの前に前に現れたのは漆黒の翼を持つ死神ではなく、魔法の力を得た戦乙女達だった。
658106/130:2009/02/25(水) 22:53:47 ID:fpNJQn9E
 イギリス系のパクス・ブリタニカ学園。
 日本系の十一連学園。
 他にも多くの学園から部隊がやってきている。 
 隊長らしい魔道兵がハーフトラックに取り付き、エーリヒに対して敬礼する。
「パクス・ブリタニカのビター中尉です。未だ咲かぬ蕾を守る為に遣わされました」
 エーリヒも敬礼で応じた、
「エーリヒ・シュヴァンクマイエルです。側面援護をお願いできますか?」
「もちろんですとも。では、武運を!」
「そちらも!」
 椅子に座り直した後、エーリヒは誰にも聞こえないように呟く。
「ありがとう……ありがとう……」
659107/130:2009/02/25(水) 22:54:49 ID:fpNJQn9E
☆ 

 各校から集結した魔道兵部隊は群れを成して残り少ない革命軍に襲い掛かった。
 セルフィナはマナ・スナイパーライフルで接近される前に敵を少しでも減らそうとしたが、十体や二十体撃墜したところで何も変わらなかった。
「行くのだわ!」
 パクス・ブリタニカの魔道兵が突出してきた。
 セルフィナは頭部バイザーを下げ、照準の中に魔道兵を捉える。
 真っ直ぐ突っ込んでくるとは、なんと愚かな――。
 引き金を引こうとした時、魔道兵は叫んだ。
「ランスロット卿!」
 白亜の鎧を纏った魔道兵――いや、ロボットにも似た騎士が背後に現れた。
 剣撃を受ける前に、セルフィナは背部ブースターを噴射して距離を取る。
「ガウェイン卿!」
660108/130:2009/02/25(水) 22:56:43 ID:fpNJQn9E
 漆黒の機械騎士が真下から斬撃がセルフィナの右目を薙いだ。
 激痛と同時に、視界が黒一色になる。
 左右から攻撃。 
 反応が一瞬遅れ、刹那、一撃の下に左腕が切り落とされた。
 セルフィナはライフルを短機関銃に変形させて応戦するが、隻眼では高速で移動する敵を捉えることができない。
「……見えない!」
「敵は右側が見えていないのだわ!」
 白と黒の騎士が相次いでセルフィナに蹴りを浴びせ、地面へと叩き落した。
661109/130:2009/02/25(水) 23:04:41 ID:fpNJQn9E
☆ 

 クールスカヤ・ビートヴァ平原に集結した各軍はエーリヒ・シュヴァンクマイエルの指揮下に入り、チェルノボグに対して攻撃を開始する。
 皆の目的はただ一つ、戦争を終わらせること。 
 もはやイデオロギーや過去のしがらみは存在していなかった。
 失敗は許されない。
 誰も未来を終わらせる気は無かった。
<<フォイアー!>>
<<テーッ!>>
<<アゴーイ!>>
<<ファイア!>>
<<ファイエル!>>
 幾千の砲撃が光状がチェルノボグ目掛けて放たれた。
 分厚い結界が激しく揺れた。
<<まだだ! もう一撃!>>
<<おうよ!>>
 兵士達は相槌を打ち合う。
 何としてもこの要塞を破壊し、世界に混沌をもたらした敵を打ち倒す。
 国籍も人種も異なるが、同じ目的のためここに集まり、戦っている。
 信じるもののために、明日のために、愛する者のために今日この日、最後の戦いに結集したのだ。
 エーリヒは結界の一部に歪みが生じていることに気付いた。
 すぐさまそれを伝える。
<<よっしゃあ、やってやる!>>
<<準備は良いみたいです>>
 エーリヒは叫んだ。
662110/130:2009/02/25(水) 23:05:18 ID:fpNJQn9E
「撃て!」
 結界に向けて攻撃が加えられた。
 一つ一つの攻撃は小さかったが、それらが幾百にも幾千にも幾万にも集まり、エネルギーの潮流となって結界を突き破った。
 エネルギーはそのままチェルノボグに激突し、異形を焼き尽くしていく。
<<第三クリスタルに異常発生>>
<<一つぐらいどうした。異常無し>>
<<第二クリスタルに異常発生>>
<<まだ半分も残ってる。大丈夫だ!>>
<<第四クリスタルに異常発生>>
<<一つ残ってる! 心配するな!>>
<<第二クリスタルに異常発生>>
<<よし! 新型脱出装置のお披露目だ!>>
<<脱出装置に異常発生>>
<<……ウォッカ持って来い>>
 次の瞬間、要塞の中から光が迸った。
 内側からひび割れ、閃光に飲み込まれていく。
 周囲を飛行していた革命軍の魔道兵が爆発に飲み込まれて新たな閃光となり、青白い光を放った。
 チェルノボグ――スラブ神話で黒い神と名付けられた要塞は黒煙に包まれ、次に崩落した。
663創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:06:23 ID:fpNJQn9E
今日はここまで
最後の二人はサービスとして登場でした
んじゃまた

チラシの裏

ストパン二期おめでとうございます
664創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:08:08 ID:k2Ltq5at
乙!
お風呂でアワアワなマイコに萌え!
665創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:09:22 ID:4co2xwvs
 
666創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:09:28 ID:ouujqICD
エーリヒなんか運使い果たしてね?www
このシチュは美味しすぎるwww
667創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:10:09 ID:4co2xwvs
うあ、支援おそすぎたw
もうすぐ終わりなのかー、寂しいなあ
668創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:12:03 ID:FVFS3uti
乙ですー。

子供のころの王子エーリヒがかわいいです。
669創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:14:00 ID:yM+TFPnO
海賊時代のエレナとマイコって荒れてたんだな
670創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:15:44 ID:Bei7yA4l
エレナは子供のころから巻き添え人生かwwww
いい意味で面白くなりそうだね
もう学園ドタバタコメディー目指しちゃえよwwww
671創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:20:23 ID:C15GJJ/g
マイコ「ついカっとなって家を飛び出した。一人は寂しかったので親友が一緒に来てくれてうれしい」
エレナ「どの口で言うかwwwアタシ涙目www」

ほとんど強制連行ですかww
672創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:25:15 ID:9qvbHasd
ジャングルジムバトルした友人とリアル戦争させられてるエーリヒも不幸だな。
アレじゃ神様に愚痴の一つも言いたくなるだろう。
673創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:31:03 ID:hmdMxdRD
マイコがバカすぎるのもあるけど、この戦力差は魔道兵レイプだなもはやw
674創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:35:35 ID:i+IN5aQE
パクス・ブリタニカのしつこさはNTTの勧誘なみ
675創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:40:19 ID:zEUkjM9t
あれ、今回エーリヒいらなくね?
676創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 23:48:37 ID:KBTpGW6M
主人公ほど空気になるという法則はやはりここでも活かされるか……
677創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 00:34:47 ID:A6EHqInY
魔道兵のダイナミックブレイン発動条件がよくわからない
678創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 01:34:50 ID:MqR2oO7d
結局マイコの暴走が世界を一つにまとめたってことなのかな、これは
679創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 21:51:11 ID:RiSOADcZ
続きいくよ
680111/130:2009/02/26(木) 21:51:44 ID:RiSOADcZ


 チェルノボグが陥落すると、革命軍は投降を開始した。
 軍港からクールスカヤ・ビートヴァ平原に向かっていた別働隊も、既に戦闘行為を停止したという。
 だが、そんなことはどうもでいい!
 奴はどこにいる!
 ユーリは琥珀色の瞳を絶えず動かして姉の姿を探した。
「どこだ……どこだ……どこだ……」
 神経を逆撫でされた不快さが走ると同時に、ユーリは真下に視線を向けた。
 赤い粒子を残して何かが突っ込んでくる!
 奴だ。
 奴が来たのだ。
「一人になる覚悟はできたか……ユーリ!」
 左手に持った赤い刃のマナ・ソードを振るい、マイコ・パステルナークが音速をも超える速度で突っ込んでくる!
「出たな!」
 ユーリもマナ・ソードを引き抜き、襲い掛かった。
 擬似マナ・クリスタルを装備したローブは一振りの剣のみを得物とする。
 それで十分だった。
「マイコ・パステルナークって生き物は! こんなことだって平気でやってのける!」
 激昂しながら、ユーリは剣を振り下ろす。
「愛していたのに!」
 自己擁護に限りなく近い言葉を吐くマイコに、ユーリは言い返す。
「口先だけは何とでも! そんなんだから平気で人殺しをやれるんだ!」
681112/130:2009/02/26(木) 21:52:14 ID:RiSOADcZ
「私はお前を愛していた。だから戦ってきた!」
「戯言を!」
「なんだと!」
「本当に僕のことを愛していたのなら、側にいてくれれば良かった!」
「愛していたと言った!」
 浴びせられた刃を跳ね除けて、マイコはユーリの腹部にパンチを叩き込む。
 沸き上がる胃液の味を噛み締めながら、ユーリの肘がマイコの頬を切り裂いた。
「軍人ではなく!」
 返り血を浴びながらユーリの攻撃は続く。
 蹴る。 
「姉として!」
 そして殴る。
「私は姉だ!」
「自分の正当化だけは長けた女が! 僕の誕生日を言ってみろ!」
682113/130:2009/02/26(木) 21:52:49 ID:RiSOADcZ
「なっ……」
 マイコは答えられない。
「僕はいつだって待ってた!」
 悲しみと怒りを込めてユーリはマイコを殴り続けた。
「八歳と九歳と十歳の時も!」
 膝蹴りが腹部に入り、骨の折れる感触が伝わった。
「十二歳と十三歳の時だって、僕はずっと待ってた!」
「私は……」
 マイコの言葉を遮ってユーリは続けた。
「お前は僕を利用していただけだ。エレナさんと同じように! だからここでお前を殺す。パステルナークの血を絶つ!」
683創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 21:53:21 ID:C9s0zh9X

684114/130:2009/02/26(木) 21:53:44 ID:RiSOADcZ
「僕は姉さんに姉さんでいてほしかった。どんな勲章や功績よりも姉さんが側にいてくれた方が嬉しかった!」
「私はお前を愛していた。だから戦った。死線を潜った。お前の命を守るために!」
 マイコは必死に訴えた。
 何のために訴えているのかはわからない。
 自分の中に、まだ許してもらえると考える甘えがあるのだろうか?
「まだ認めないのか! お前はそうやって自分を正当化して他人の気持ちを利用して死なせて!」
「自己正当化せずに戦場で戦えるか!」
「それがお前の本心か! マイコ!」
 剣撃が腹部を掠め、ローブの切れ目から赤黒い血が噴き出す。
 蹴ってユーリ距離は取る。
「貴方って人は……どこまで弱いんだ!」
 姉も弟も、お互いに口から吐血していた。
685115/130:2009/02/26(木) 21:54:18 ID:RiSOADcZ
 空は二人のローブから流れ出た粒子で赤一色になり、まるで空にできた血の海だった。
「もう……どこにも戻れん」
 マイコの動きに一瞬の隙ができる。
 いや、自分で隙を作ったのかもしれない。
 現実。
 理想。
 過去。
 全てが乖離していた。
「貴方の責任だ!」
 ユーリはマイコの剣を跳ね飛ばすと、強烈な蹴りを浴びせた。 
「ああ……」
 地面に叩きつけられたマイコが上体を起こすより早く、ユーリは上のポジションを奪っていた。
 光の剣が喉下に突きつけられた――。
686創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 21:55:54 ID:C9s0zh9X

687116/130:2009/02/26(木) 21:56:02 ID:RiSOADcZ


 あと数センチ刃を下ろせば、ユーリは姉を殺すことができた。
 感情が胸の中でのた打ち回る。
 自分は姉を殺すのか?
 自分はこの人を愛していたはずではなかったのか?
 自分は……。
 ふと、涙を浮かべたエレナの顔がユーリの脳裏に浮かんだ。 
 もし彼女が今の自分達を見ていたら酷く悲しむだろう。
 こうなった時点でエレナの守るとしたものは無くなってしまったのかもしれない。
 でも、その残りカスならば……。
 ユーリは剣を下ろす。
「どうした? 殺さないのか」
 満身創痍で動くこともままならないマイコは不思議そうな顔をする。
「殺せない……」
 殺すと誓ったはずなのに、ユーリはできなかった。
 ここで姉を殺したら自分は自分で無くなってしまう気がした。
 もうどこにも戻れないと知っているのに、心のどこかで希望に縋っていた。
「殺せ。今殺さないと、大変なことになるぞ」
 マイコは何度も自分を殺すよう懇願した。
 どうせ死ぬのなら、弟に殺されたいのだろうか?
 どうして自分たち姉弟はこんなところまで来てしまったんだ!
688117/130:2009/02/26(木) 21:57:11 ID:RiSOADcZ
「できない……! できないよ……」
 大粒の涙が煤だらけになったユーリの頬を伝う。
「やるんだ。私は死ぬべき人間だ。死ななくてはならない。それだけのことをやってきた。お前を悲しませて、たくさんの人を殺した」
 ユーリは泣きながらマイコの手を両手で覆い、首を横に振った。
「それでも僕には、僕にはたった一人の姉さんなんだ。世界に一人しかいない姉さんなんだ」
「謝るのは私の方だ。お前は何も……悪くない」
 突然堰を切ったかのように、マイコの目から大粒の涙が溢れた。
「姉さん、二人でどこかに逃げよう。遠くへ、遠くへ」
「駄目だ。私は罪を背負っている」
 ユーリは姉を強く抱き締めた。
 一度は深く憎んだ姉の体は、とても温かく恋しいものだった。
「僕も背負うから。姉さんの罪を一緒に背負うから! だから!」
「許してくれるのか……?」
 マイコを抱きしめて、ユーリはうん、うんと言う。
 またやり直せるはずだ。
 自分勝手だと他人に罵られても構わない。
 また昔のように生きて行けるはずだ。
 例えエレナがいなくても……。
689創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 21:57:35 ID:C9s0zh9X
690118/130:2009/02/26(木) 21:58:13 ID:RiSOADcZ


 黒煙を立ち上らせるチェルノボグの残骸のすぐ横をセルフィナは這うようにして歩いていた。
 切り落とされた左腕からは引っ切り無しに血が流れ落ち、腹部からは腸がはみ出ている。
 右目があるべき場所には黒い大穴が空いていた。
 ライフルを松葉杖代わりにして、セルフィナは前へ進んだ。
 発狂しそうな激痛の中で、通常の人間ならば確実に死んでいる負傷を受けても魔道兵は死なないことに感謝していた。
「ハッピーエンドでなんか……終わらせない」
 降りた頭部バイザーに備えられた照準機の中には、抱き合う姉と弟がいた。
 セルフィナは『魔女に関わった人間の物語』をお涙頂戴で終わらせる気など毛頭無かった。
「オルガ……もう少し待っていて……私も逝くから」
 痙攣する右手でライフルを構えると、腹から薄桃色をした腸が重みをもって飛び出した。
 地面に広がった自分の内蔵を見てもセルフィナは何とも思わない。
「私の内臓で……溺死しろ!」
 マナ・スナイパーライフルの発砲と同時に、セルフィナの体は一瞬で肉片へと変わった。
691119/130:2009/02/26(木) 21:58:42 ID:RiSOADcZ


「危ない!」
 突然、マイコはユーリに押し退けられた。
 地面に崩れ落ちた瞬間、眼前でユーリの頭が破裂した。
 狙撃兵だ――!
 全てがスローモーションで見えた。
 骨や皮膚、脳、神経が血の霧と混じって四方に散る。
 力の抜け切った弟の肉体が足を歪に曲げて横たわる。
「ユーリ! ユーリ!」
 痛む体を引きずって、マイコはユーリに駆け寄る。
 もう首から上は下顎しか残っていなかった。
「ああ……なんてことだ……」
 荒い呼吸をしながら、マイコは必死に肉片をかき集めた。
 目玉や骨の破片、肉の欠片――。
 赤黒い塊がマイコの手の上に盛られた。
「……ッ! ……ッ!」
 どうしようもなかった。
 一瞬の暖かさで全てが許されると勘違いしていた!
 これが制裁、贖罪なのだ。
 多くの人間を殺め、世界に戦いを挑み、更に多くの人間を死に至らしめた。
692創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 21:59:36 ID:C9s0zh9X
693120/130:2009/02/26(木) 22:00:08 ID:RiSOADcZ
 当然の報いだ。
 だが心のどこかで救いはあると甘い考えをしていた。
 だから罰が与えられた。
 マイコは何もかも失ってしまった。
 いや、とっくの昔に何もかも失っていたのだ。 
 ただ気付かぬふりをして、信じようとしなかっただけだ。  
 マイコは大きく口を開け、血塗れの手で顔を覆う。
 悲しみの叫びすら出なかった。
 がっくりと肩を落とすと、条約兵が自分を囲んでいることに気付く。
「マイコ・パステルナークだね?」
 拳銃を片手に隻眼の少年が近づいてきた。
 ああ……この少年はエーリヒ・シュヴァンクマイエルじゃないか。
「貴方を逮捕しろと命令が出ています」
 エーリヒは拳銃を下ろす。
 こんな優しそうな少年が自分の敵だったのか?
 マイコにはもう、正直な話どうでも良かった。
 何もかも――。
 全て――。
 終わったのだから。
694121/130:2009/02/26(木) 22:01:02 ID:RiSOADcZ
エピローグ

 シベリアの奥地の収容所に、一人の老婆が収監されていた。
 ベッドに弱々しく腰掛けた老婆はラジオの音声に耳を傾けている。
 ラジオが何を報じているかすら、もう老婆にはわからなかった。
<<本日、チベットのラサにおいて地球連邦政府の設立が正式に宣言されました……>>
 壁のカレンダーは一九八九年の十一月九日を指していた。
 琥珀色の瞳は澱み、もう何の光も宿してはいなかった。
 髪には濃紺の色を僅かに残すだけで、殆どが白くなってしまっている。
<<ポール・A・ハインライン代表は就任演説で……>> 
 囚人服から覗く腕も、足も皺だらけだった。
 かつて凛々しかった顔立ちは疲れきり、何もかも諦めてしまった印象を受ける。
<<次のニュースです。学園島戦争で活躍したエーリヒ・シュヴァンクマイエル"元"中佐が明朝、ベルリン市内の自宅で亡くなりました。中佐は戦争中……>>
 毛の無くなった眉が僅かに動く。
<<それでは明日の天気です……>>
 もう誰も、あの戦いを覚えている者はいない。
 流された血も涙も、今や歴史書の一文に残されているだけだ。 
 やがてラジオから悲しげな音楽が流れ始めた。
 サミュエル・バーバーの『弦楽のためのアダージョ』が流れる中、ゆっくりと老婆はベッドから崩れ落ち、床に横たわる。
 そして動かなくなった体を包む囚人服には名前が書いてあった。
 マイコ・パステルナークと。
「杖と帽子が良く似合う、大喜びのハンス坊や♪」
695122/130:2009/02/26(木) 22:01:35 ID:RiSOADcZ
 人気の無い牢に少女が現れる。
 彼女はどこから来たのか?
 何者なのか?
 少女自身も知らない。
「でも別れを悲しむママは泣き出した♪」
 少女は息絶えた老婆の目を閉じてやり、手を腹の上で合わせた。
 ラジオのスイッチを切り、少女の姿が薄くなって消えていく。
 少女は歌を口ずさんだ。
 一人で旅立つハンス坊や、世界への旅に出発だ♪
 杖と帽子が良く似合う、大喜びのハンス坊や♪
 でも別れを悲しむママは泣き出した♪
 何時の間にか少女の姿は消えていた。
 歌声はもう、世界の何処にも響いてはいなかった。

学園島戦記譚 -凋落編- Ende

学園島戦記譚 完
696創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:02:20 ID:RiSOADcZ
はい
これで学園島戦記譚は終わりです
130までいかなかったのはこっちの集計ミスでしたw
支援に感謝
697創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:07:26 ID:C9s0zh9X
お疲れ様でした
戦争の終わりって感じがする・・・
698創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:08:33 ID:Zt+cJSmW
完結乙です!
軍事詳しくなくてこのスレの力になれんですまんかったね
699創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:09:38 ID:MqR2oO7d
完結お疲れ様でした
マイコはやはり罰を受けましたか…
700創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:19:43 ID:RiSOADcZ
暫くの間、私は投下を控えます
その間にまとめサイトの充実やログ保管などを行います

本当、今まで読んで下さった多くの方にこの場を借りて感謝の言葉を

ありがとう
ありがとう
701創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:20:15 ID:IfNFBYhU
もっとマイコを苦しませる方法あったろ
702創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:21:51 ID:9UJuvcWy
乙でしたー
エンドはやっぱりこうなるのかー
703創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:22:23 ID:AXniZu9t
完結乙
エーリヒが三角木馬にまたがって登場したときはどうしようかと思ったww
704創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:25:38 ID:eFLlqX9n
>>700
ちくしょうwwww感動のエンディングなのにお前の登場で台無しだwwwwww
705創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:29:48 ID:qRPqvyw1
エーリヒとエレナ同居しとる
706創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:30:19 ID:X2rfezT9
長い間乙でしたー
キャラが弱いやらなんやら言われてたけど、最後まで読んでみればそんなこともなく
結構感情移入できたりしてた気がする。
感動のラストってわけにはいかなかったけど、楽しんで読めました。

また関連作なり新作なり読んでみたいので、がんばってくださいよー!
707創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:32:41 ID:eVCgMjYl
正直>>698読んででちょっと泣いた
708創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:35:40 ID:trdGbrey
しかしエーリヒは養父母を自分で殺して幸せになれるのか…
709創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:36:50 ID:BBD3uDL5
「この戦いが終わったら、俺結婚するんだ」
という最大級の死亡フラグ持ちなのにユーリ生き残ったな
710創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:40:20 ID:j10nnPfO
このラストは予想の斜め上をいった
もう超展開、並行世界、上位次元的なメタ話だった
711創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:40:34 ID:MqR2oO7d
いやエーリヒの両親は生きてるしユーリは死んだだろ・・・
712創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:45:22 ID:cafsOsNE
マイコとエレナが抜けてしまえば、そりゃ負けるねえ……

しかしユーリが意外に使えなかった。
713創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:49:49 ID:/qD1hpl2
>>711
そんなの相手するな
714創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:51:49 ID:/qD1hpl2
そして完結乙です
炉心暴走による自爆とはマイコらしい最後でした
雑兵はともかく、エーリヒの両足と生殖器を奪えたのは大戦果でしたな
エーリヒ死ねばよかったのに
715創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:52:14 ID:MqR2oO7d
>>712
ユーリは兵士であるよりも弟だったのかもしれないね

内心でマイコを説得できるんじゃないか、やり直せるんじゃないかと思った節があるみたいだし
716創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:55:20 ID:kkwdYLLA
完結乙
とりあえず今日はこんだけで勘弁><
また一通り読み直して感想付けるお
717創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 22:57:17 ID:3TrE2E5o
バトルロワイヤルしてたのにひぐらしみたいな落ちだった……
718創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 23:01:23 ID:g8WtSbjn
Γ ̄ ̄ ̄ ̄Γ ̄|
|     |__」
` ̄ ̄)  / /
  / /__∧∧
./ (_|\(゚Д゚)
(    (ヽ ̄`ヽ
`\____ノ__ノ
      し`J
   _ _
 _| |_|_ _
`|_    | |
  / / ̄|(゚Д゚)
 / / /|(ノ| |)
`/_/_/ |_|_|
     し`J
 | ̄| ̄|
 | | | _∧∧
 | | /(゚Д゚)
 | |/ (ノ  /)
 __/__/
    し`J

完結おめ!!!!
719創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 23:03:37 ID:iwvfUAAD
よし、俺がエーリヒ殺す
  ,. --── 、
////イl!lヽ:ヽ.\
:./:/.:.:/:l.:|:.|l.:.:lヽトl.:ヽ
.:/.:.:./.:./ハ:ト.:.|.:ヽ!l.:ii.:',
/l|.:.:|.:レハ.:メ.ヽ|.:l/.|.:.i:l:.|
.:!ll.:.:|.:lィZミヽ.:l|〉、!l.:トN:|
.:.|lトl.:.|ゞ┴ l/ k::仆|:l/リ
.:.|lハ:!       ,¨´/l./
.:|N    、__' ′/レ′
小! ヽ   ` ー'`, '|/!             __ __ _ __
Nト!  ヽ、___/    ┌─────┤ ll ll lL」────┐
、``''‐- 、」        | ─────‐しl|,. K_ソー'────│
、`ヽ、 │       |エーリヒ・シュヴァンクマイエル │
、\ \ |、      |─────── : ────── |
 \\  | \    |   厨二病死    :.           |


          トv'Z -‐z__ノ!_
        . ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
      ,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
    rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|:::  ,.、
    、  ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ   ミ ∧!::: .´
      ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf::::  ~
    r_;.   ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;.
       _  ::\,!ィ'TV =ー-、_メ::::  r、
       ゙ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ:::  ._´
       ;.   :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.::  ,.
       ~ ,.  ,:ュ. `ヽニj/l |/::
          _  .. ,、 :l !レ'::: ,. "
              `’ `´   ~
720創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 23:09:41 ID:CXH4lAPa
結局エレナの親父の手がかりは見つからなかったな
マイコが生きていれば話は別だったんだろうけど
721創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 23:20:26 ID:CXH4lAPa
最後のネタはこれか

                |                    \      /
            | ̄ ̄\     / /              \   /
            \/   \   /          /    ##ヽ /
             |### /⌒ ヽ \       /    ######丿
             \/     ( )  \ /    ########_/
             /         ( ) ヽ ############_/
             |⌒ ヽ \        |############ノ
             \      \#### ∠
          丿⌒\/⌒ヽ   ヽ##∠ |二l
          /##   |\_/##  |/##/―┘
          |### 0   \\##ノ ̄ ̄
          \##  __)
             ̄ ̄                   | ̄|
                              | ̄| |  |  冂
     | ̄|                       |  | |  |  | |   | ̄|
| ̄|__|  |┌┐  | ̄|   | ̄|  ┌┐     |  ┌┐| ̄ ̄| 冂  | || ̄|
     | || |冖L」  |―| ̄| |_厂|-┌┐_冂  |||   | 冂| ̄|    |┌―┐
722創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 23:31:47 ID:4nLvGYd1
完結乙でした
エレナ=趙雲とは見抜けなかった
723創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 23:49:39 ID:YTZzKktu
ラストで高畑先生が最強でした。
素手で戦車引っくり返すとかどうよw
ギャグっぽいけど魔法は関係ない本当の人の力ってカッコイイね。
724創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 00:09:01 ID:exQ3g186
完結はしたが、あまり実用的な作品じゃなかったな。
軍事知識の欠如がどうしようもない。
まあ、この程度の話なら読者が粗悪品を再生産することもないだろうし、いいか。
725創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 00:17:31 ID:RETFrIs/
エレナを守り切れなかったという負い目に苦しみ続けて自殺を選んだマイコが切なかった
続きがあったらエーリヒを無残に殺して欲しい
726創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 00:22:00 ID:kbTOYxs7
ここはやたらと単発IDの多いスレですね

一人たりとも同じIDがいないとかw
727創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 00:24:55 ID:kbTOYxs7
そして明らかに作品を読んでないレスがちらほら

作品の脳内再構成が得意な方なんですね
728創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 19:51:53 ID:YQEVAaED
>ID:kbTOYxs7
こいつ何言ってんの?
729創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 20:28:31 ID:i4diFWhj
>>728
事実でしょ 前から単発IDで荒らしてる人がいるし
730創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 21:28:18 ID:WwAMPIP5
とりあえず今日はラジオだ
ラジオと75氏の対談が楽しみだ
731創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 22:02:29 ID:U+djcMOp
75氏の作品がどれだけ糞か語る夜の始まりですか?
まず人型兵器は軍事的に考えて糞
あれが全編通して最大のガッカリだった


  ‖
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   | | /    / / |             ミ    ヾ ツ   彡
   | |/ ̄/  / / .|               ミ     ヾツ    彡
   | |_/  //   |           ミ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ツ,,,,,,,,,,,,,,彡
  へ二 /\/     |           彡      ツ     ミ
 巛二 |  /     .|           彡     ツヾ.    ミ 
  ミ三__/     |________彡    ツ ヾ   .ミ
   | |         / ヽ_「       彡   ツ  ヾ  ミ 
   |__|        / ̄7i 〈.       彡  .ツ   ヾ ミ 
            /  // ノ        彡  ツ.    ヾ ミ 
            ||/ /          彡 ツ    ヾミ 
            | ̄__ (          | 彡.ツ    !ミ
            ノ _/〉 )         |コ|彡,,,,,,,,,,,,,,,ミ
          /_/〉  _ノ         |「| ̄ ,/V
         / ̄/`ー〈_/コ         ||`iーi  |
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           ヘi_i/
732創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 22:09:16 ID:i4diFWhj
>軍事的に考えて糞
作中で「人型兵器は使い物にならないゴミクズ兵器」って結論が出てるけどね
開発側も完全に趣味の範囲内で作ったみたいだし
そりゃ人型兵器作る技術があるならそれで戦車作ればいいもんw ガンタンクができそうだけど
733創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:06:31 ID:Mak/1+SB
学園ラブコメって何やればいいんだろ
734創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:24:04 ID:CG4ktZ4l
ハルヒをパクれば?
735創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:24:35 ID:MUgU4XdR
>>733
曲がり角で転校生(もちろん女の子)と激突

女の子はもちろん食パンくわえてる
736創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:27:59 ID:Mak/1+SB
ハルヒって学園ラブコメなん?見たことないから知らないんだ

>>735
再会した幼馴染なんだろ!そう言ってよ!w
ラブコメでの主人公が色々な女性から好かれる話はやりたくないな 
あと>>1の縛りと軍事色も入れなきゃいけないし
737創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:31:20 ID:rWOP4eSq
ノモンハンでソ連軍(もちろん指揮官はジューコフ)と激突
ソ連軍はもちろん戦車部隊抱えてる

単語を変えただけで軍事色が!不思議!!
738創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:36:49 ID:Mak/1+SB
>>737
虹色のトロツキーじゃねーんだぞw
主人公がヒロインに火炎瓶で立ち向かったりするのかw


舞台はアヴィリオンにするかヴォルクグラードにするか、それとも新しく学園出そうか思案中
739創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:40:07 ID:MUgU4XdR
エーリヒでラブコメやるのはどうかな

本編で描写されてなかったし
740創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:44:55 ID:Mak/1+SB
>>739
エーリヒは恋愛できる人なのかなーと書いてて思った俺w
どうせ別れるなら最初から付き合わないほうがいいじゃねとか考えてそうでさ
多分、冷戦期のワルシャワ条約機構軍ばりに深縦突破でグイグイ押してくる女の子ならいけるかも

どうみても俺の願望です本当に(ry
741創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:50:30 ID:MUgU4XdR
それはヤンデレだろwwwwww
742創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:54:19 ID:Mak/1+SB
>>741
巧みな機動防御で反撃ですね、わかります

エーリヒのキャラクターがどれだけ読んでる側に伝わったのか気になる
聞かせてくれるとありがたかったり
743創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 01:04:49 ID:MUgU4XdR
若いけど公私をきちんと区別してたし、軍人としての姿勢も良い感じ

ただ子供らしくない 人間が完成されすぎてる気がする
744創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 01:09:58 ID:Mak/1+SB
>>743
やっぱり、みんなエーリヒの人間的な部分に疑問持ってるんだな…
子供らしくないもんなぁ
名前や年齢変えても違和感ないもの
745創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 01:20:47 ID:MUgU4XdR
>>744
マイコやエレナが個人の感情を優先させてたからね

対比として見るのも興味深いかも
746創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 01:28:17 ID:Mak/1+SB
そこまで読んでくれると本当に嬉しいですw本当にありがとう
消耗品じゃなくて何度も何度も読んでもらえる作品を作りたいなぁ
んじゃまた
747創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 01:47:39 ID:Nl8RTjdy
ほんとに頭大丈夫かww
もう寝ろwww
748創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 07:00:52 ID:f4HlyDEU
ごめんエーリヒってムッツリーニだと思ってたよ
もしくは女の子に告白する時でも勝てる見込みがなければ告白しないみたいな
749創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 00:46:49 ID:KAtFR9T0
 もう何て云うかな…言葉の節々に…『僕ちゃんって凄いんだぜ! もっと褒めてよぉっ! 』的なあざとさが
見え隠れするレスがもんの凄く、『鼻に付く』。それが味に昇華すれば許容範囲だと思うが…如何せん我田引水
我儘放題抜かして村八分された奴の遠吠えにしか聴こえんと云うのが、な? その姿、憐れみと冷笑すら誘う。
750創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:54:56 ID:V2Pz5rQO
ぶっちゃけ子供って戦力になるの?
751創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:00:45 ID:ot9Daulj
それを言ってはいけないw
現実にも貧困を理由に戦場に赴く少年兵の存在は取り沙汰されてるけども
752創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:05:08 ID:kAb/kBrH
昔のドイツに少年兵だけの精鋭部隊なかったっけか
753創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 13:51:13 ID:ZmwUqqkh
近代戦、とくに低脅威度戦では子供って最高の兵士たりえるよ
「親でも微笑んで殺」すことができるのは、ポルポトでも紅衛兵でもアフリカでも証明済
754創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 14:02:51 ID:ZmwUqqkh
あと低脅威度でない場合でも、時代背景によるんじゃないかね
現代の正規軍の兵士としてはC3I対応できる教育程度を持たせるのが子供には厳しいだろうけど、
WWIIぐらいまでの1パックいくらの安い兵士なら十分務まるんじゃないかな

体力が足りない分は人数で補えばいいし、損耗しても補充が楽
勤労年齢の大人を動員するよりは、本国の生産力に与えるインパクトも少ないでしょ
道徳や国民感情を無視できるならおいしい戦力だとおもう
755創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:51:08 ID:MaPnaNag
子供よりモンペア同士がクレームつけるノリでガンガン殺し合いして欲しいわ
75675 ◆kkZO9WMBek :2009/03/02(月) 20:20:16 ID:0M2VJqsJ
まとめサイト更新のお知らせ

・Dat落ちした軍板スレのリンク削除
・FAQと初めて来た方へのページを統廃合

以上です
75775 ◆kkZO9WMBek :2009/03/02(月) 21:20:48 ID:0M2VJqsJ
まとめサイト大幅修正
作者別まとめから職人別のSSや用語、世界観とキャラクターのページに飛べるようにしました
758創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 22:39:15 ID:0M2VJqsJ
日本系魔道兵は

乙女座のミス・ブシドー
空飛ぶ巫女さん
パンツじゃないから(ry

あとどういうのあるかな
話題ループだけど気にしない
759創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 22:50:51 ID:sJFs9ylo
例えば雪女とのハーフの魔女っ娘(白装束?)
例えば川島芳子さんみたいな男装の麗人(タカラジェンヌ?)
例えば山口淑子さんみたいなシンガー(李香蘭?)
例えば愛新覚羅浩さんみたいな満州っ娘(流浪の王妃?)

誰も箒には跨がらなさそうw
760創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 22:54:02 ID:0M2VJqsJ
>>759
先生!
みんな魔法なしでも十分強そうです!
川島芳子さんは広江礼威さんの漫画でしか知りません><
761創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 22:55:58 ID:CMYgeZUz
魔導兵ってどんなのが出たっけ?
762創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 22:57:57 ID:0M2VJqsJ
日本系の魔道兵はきっと343航空隊みたいな扱いをされるんだろうな
最初は活躍するけど、そのうち物量で潰されて・・・みたいな

ちなみに343航空隊は旧日本海軍のエースパイロット部隊です
わかりやすく言えばゲルググに乗ったエースパイロットの集まり

>>761
幻獣使いからデンドロビウムまでたくさん出てますね
763創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 22:58:47 ID:0M2VJqsJ
どんなのって言われると少し難しいかもしれない
人それぞれ魔道兵を考えているし
764創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 22:59:28 ID:sJFs9ylo
>>760
一番強いのは李香蘭を演じた沢口靖子です。彼女の歌声の素晴らしさはジャイアン以上です。
川島芳子さんが跨がってそうなのは馬かなあ。ペガサスを乗りこなしそう。
765創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:01:20 ID:0M2VJqsJ
>>764
そんなに酷いのかよw

>ペガサス
そういや召喚獣とかの類はあんまり見ないね
使い魔とかはいたけど
766創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:06:54 ID:sJFs9ylo
>>765
召喚獣じゃないけど、魔法少女軍事系のアンさんは円卓の騎士を召喚していたよ。

魔法を兵器に利用していた75氏のアイディアも凄いけど、
魔法少女軍事系の魔法でやりたい放題っぷりは読んでいて面白かった。
767創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:07:24 ID:0M2VJqsJ
大塚明夫声の使い魔(手乗りサイズ)とかすごくいい気がするんだがなぁ
768創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:08:31 ID:0M2VJqsJ
>>766
ガヴェインさんとランスロットさんだっけ?
アンさんが801妄想してたやつかw

俺も魔法でやりたい放題は今考えるとしたほうが良かったなぁ
ギミックを使いこなせなかった!
769創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:08:52 ID:CMYgeZUz
大塚明夫ボイスの手乗りwww

ちょっと書いてくる
770創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:11:14 ID:0M2VJqsJ
>>769
正直、青野武の方が良かったかもw
使い魔『巻き舌宇宙で有名な紫ミミズの剥製はハラキリ岩の上で音叉が生まばたきするといいらしいぞ。要ハサミだ。61!』
771創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:16:45 ID:0M2VJqsJ
ツンデレの使い魔ってもう陳腐な存在なんだろうね
772創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:54:49 ID:CMYgeZUz
 血と肉の焼け焦げる匂いが立ち込めている戦場に彼はいた。
 絶えず飛び交う怒号と命令の中を駆け抜けるのは、一人――いや、一匹の召喚獣。

「なっちゃいないな」

 召喚獣は、まだ新米の、新しくこの戦場に送られてきた少年に声をかけた。
 少年は、いきなり召喚獣に声をかけられた事にまず驚き、続いて不愉快だという気持ちを隠そうともせず顔をしかめた。

「お前さんが持ってる得物が泣いてるぜ」

 召喚獣は低い声で端的に告げた。
 その視線は、少年の手に握られている刃渡り20センチ程のよく手入れされた刃物に向けられていた。

 少年は、召喚獣が言わんとしている事は十分にわかっていた。
 自分がまだまだ未熟だという事は百も承知だった。
 だからこそ悔しさが込み上げてくる。
 自分も何か役に立てると思い、この戦場に志願して来たというのに……。

「…………」

 少年の手が止まり、視線はこの戦場専用の靴に落ちてしまった。
 その様子を見た召喚獣は、やれやれと肩をすくめため息をつくと、

「――こうやってやるんだ」

 自らの腰にくくりつけられていた、彼専用の斬撃兵器『ライバック』を構えた。
 次の瞬間、彼の目の前に置かれていた肉塊が――一口サイズの食べやすい大きさに分断されていた。
 少年は、彼の見事すぎて……美しいとさえ言える手際に見とれてしまっていた。

「わかったかい?」

 召喚獣の名は『ケイシー』。
 彼は、今ではもう引退した特殊部隊隊長の召喚獣である。
 かつて共に戦場を駆け抜けた主は……既にこの世にはいない。

 だが、彼は戦い続けている。

 学園食堂の厨房という名の戦場で。


おわり
773創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:57:01 ID:0M2VJqsJ
どこのセガールだよwwwwwwww乙
けっこうサイズ小さそうだね
774創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 23:57:05 ID:yo+d1ief
>>772
セガールww
775創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:00:11 ID:0M2VJqsJ
ライバックとかマクレーン、メイトリクスみたいな奴がいたら、魔道兵の存在意義がなくなりそうだ
776創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:09:13 ID:OH89WTiJ
そういや軍でも前線勤務じゃなくて内勤の人もいるんだよね
きっと物資の横流しとかやって小金持ちになってる奴がいるんだろうな
777創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:14:35 ID:B0Api3Fz
戦場でも学園で全寮制……なんだよな?
いけない愛すべき野郎達もいると思うんだ
778創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:18:15 ID:YLO6tIKF
隠蔽工作。建前上、国民を守る政府軍なので。公にはなっていないが、政府にもバレている。
既に政府の手に負えない状態。半離反状態。経済基盤ももっている。(物資の横流しを始めとした闇ルート)
学園島は本土の落ちこぼれ。本人達も自覚している。
本土は本土でそれ程飢えている訳ではない。(弱者は既に淘汰されている)
既に、この状態が数年続いている。
779創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:19:04 ID:OH89WTiJ
>>777
しかも色々な意味で盛りだしなぁ
衆道という文化もあるし…
後方勤務の女性陣はさぞかしネタに困らないでしょう
780創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:19:56 ID:OH89WTiJ
>>778
すみませんお隣あたりの国がそういう状態なんですがw
781創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:21:33 ID:B0Api3Fz
可愛い魔道兵ちゃんのパンツを横流しする男がいても不思議じゃないと思うんだ
782創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:23:33 ID:6g4bMZnZ
配給だけで食ってられっか!
食いもん寄越せ!
783創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:24:41 ID:OH89WTiJ
>>781
多分いると思うよそういうのw
フィンランド空軍だったか、鰯かなんかの油漬けと飛行機を交換した逸話があるし
穿いた日数とかで値段決まるんだろうなぁ……
784創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:25:45 ID:JqwRrRNI
おフランスの田舎じゃ憲兵隊がバリバリ活躍してるとか

イタリアでは憲兵が他の警察より信頼されてるとか聞いたなあ。
785創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:25:57 ID:B0Api3Fz
いるかww
そういう馬鹿をこそ書きてぇなw
786創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:28:32 ID:tYXhuehE
ソ連の内務軍なんかは内務省指揮下で軍内部の規律維持が主任務だった訳だし。
787創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:30:40 ID:OH89WTiJ
>>784
学園島で憲兵って誰がやるんだろうね
鉄板で風紀委員かな
風紀委員と憲兵隊が利権争いしたりとかどうよw

>>785
工作員「今日の○○(魔道兵の名前)ちゃんは縞々だったぞ」
兵士「お前スパイだな!」
工作員「!?」
兵士「○○ちゃんはいつだって黒なんだよ!」
PAM!
788創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:31:40 ID:OH89WTiJ
>>786
KGBの母体になったんだっけか
ロシアって隣の奴さえ敵みたいな風潮あるよな
敵より怖いのが後ろにいる味方とか
789創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:33:29 ID:VaM/fi7d
レイプされて妊娠した妊婦の腹切り裂いて胎児の頭踏み潰したり、非戦闘員を小銃で殺して解体した後に煮て食べるような描写が入ったSSを激しくキボンヌ
790創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:36:56 ID:B0Api3Fz
自分で試しに書いてみるんだ!
791創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:38:04 ID:OH89WTiJ
グロやるならルチオ・フルチぐらい極めたいもんだ
つか誰も読んでていい気持ちにならんだろそういうSSはw
792創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:43:10 ID:OH89WTiJ
戦争モノでグロは過程であって結果や求めるものじゃない気がする
個人的にはそう思うんだ
793創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:43:34 ID:TCfIvPeI
中国人、韓国人ならやりかねん。
特定アジア人が何故残酷か? それは『相手が怖い』からさ。
 『復讐』の怖ろしさを知っているとでも言おうか。『血統』に重点を置く彼らは、
それを失わせる行為に非常に『敏感』なのだ。むしろ『個』では無く『集団』で
生きるが故の習性と為っている。
 『集団の一構成員』に向けられた悪意は、『集団』への悪意と解釈される。
その『集団の復讐』を根絶するには? スローター、ジェノサイドより他は無い。
794創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:47:06 ID:OH89WTiJ
セルビアとかクロアチア方面の内戦も近いよね
言いたいことはわかるけどあまり過度なレイシストは勘弁よ
795創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 00:57:52 ID:OH89WTiJ
一番考えると欝になるのは、学園島で戦った子供たちが戦争終わってどうするの?ってこと
多感な時期に戦場を経験するとずっと引きずるんじゃないのかな
そういう人たちが親になったり、もしくは普通の社会(俺達が暮らしてる社会とは違うだろうけど)に適応できるんだろうか
796創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 01:05:17 ID:jdCnd+N6
作品それぞれ
797創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 01:08:21 ID:q5QOAAf9
家族いたり支えてくれる人がいればあるいは

でもナム戦みたく反戦運動だらけで迎えられたらより悪化しそうだよ
798創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 15:30:22 ID:OH89WTiJ
>>797
必死に戦って心身共に疲れたところを人殺し呼ばわりされたらねぇ…

戦場で人を殺すってどういう感覚なんだろうね
とてもじゃないけど想像できないや
799創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 16:31:37 ID:q5QOAAf9
>>798
戦場の心理学とかいう本で殺人に馴れさせる訓練の手順とか載ってたよ
800創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 18:34:31 ID:jdCnd+N6
学園島戦記譚や魔法少女孤独系のキャラは適応が難しそう

魔法少女軍事系のキャラはなんとなく適応出来そう

タイトル未定のキャラは別の意味で難しそうだけど気合いが入ってるから大丈夫そう
801創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:23:52 ID:OH89WTiJ
>>799
戦争における「人殺し」の心理学って本だね
近いうちに読んでみよっと

>>800
>タイトル未定のキャラ
あいつらみんな無理で道理を跳ね除けるだろwwwwww
恐らくSSに登場するキャラの中でも最強クラスじゃない?
802創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:26:04 ID:MMkQrhKR
戦争における「人殺し」の心理学は良い本だぞっと
その後「狙撃兵」って本読むといかに狙撃兵がすげぇかってのが分かる
思わずスナイパーものが書きたくなってしまいます
803創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:33:36 ID:OH89WTiJ
>>802
狙撃兵のやつはドイツ人スナイパーのゼップ・アレルベルガーが書いた本?
確かソ連兵の残虐行為がこれでもかと載ってた記憶がある
違ったらごめん
804創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:34:37 ID:OH89WTiJ
805創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:36:39 ID:MMkQrhKR
ちょうどそのウラルに書いてあったピーター・ブルックスミスのヤツだwww
806創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:40:56 ID:OH89WTiJ
>>805
ああこれだったのかw thx
狙撃手はエリートのイメージがあるけど、実際はうんこや小便垂れ流しで行動しなけりゃならないんだよなぁ
降伏してもまず間違いなく殺されるし…

創作で一番怖かった狙撃はジャッカルという映画
アンチマテリアルライフルで腕吹っ飛ばされるんだぜw
807創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:45:54 ID:MMkQrhKR
映画は見て無いのう。原作は一応読んだが
しかし、人外狙撃手は創作で出すとありえねーよwwwと突っ込まれそうで怖いな
ヘイヘとかどんなチートwwwww
808創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:51:58 ID:OH89WTiJ
>>807
旧版もリメイク版も結構面白かったよ>ジャッカルの日

チートといえば、狙撃手だけでなくおかしい方がたくさんいるじゃないですか
特にスツーカに乗ってる牛乳好きのロリコンとか
809創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:54:13 ID:q5QOAAf9
ルーデルおじさんは人間じゃないから問題ないんです!
810創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:01:17 ID:OH89WTiJ
ルーデル出すなら滅茶苦茶にやった方がいいだろうな
スツーカが人型に変形したりとか
811創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:06:33 ID:MMkQrhKR
止めてあげてガーデルマンが大変なことになっちゃう止めてあげて
812創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:12:51 ID:OH89WTiJ
>>811
そういえば、ここのスレの軍事板時代に美少女化されたルーデルが出てたっけ
俺もやってみようかな 
ろくでもねぇキャラになりそうだけどw
813創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 22:02:57 ID:OH89WTiJ
学園島スレバトルロワイアルやったら、確実にゴッチさんが優勝するんじゃないかと思う俺
814創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 22:30:40 ID:q5QOAAf9
魔法少女孤独系のミルカもかなりチートだぞw

体そのものが武器みたいなものだし
815創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 22:41:11 ID:OH89WTiJ
>>814
あの話のラストは賛否両論分かれそうな内容だったなぁ…
816創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 00:42:46 ID:wYcmCkPi
授業と任務のバランスをどう取ってるんだろうな、という疑問
817創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 18:22:42 ID:ASkB5d69
任務や戦闘は課外授業とか実習。
818創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 19:16:19 ID:wYcmCkPi
>>817
どっちかと言えば委員会活動や部活に近いんじゃね?
課外授業と称して移動→そのまま前線とかはありまそうだけど

>実習
調理実習と称して、食い物なしで山に放り出される訓練とかあるんだろうか
もちろん食い物は現地調達
蛇とか蛙とか
819創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:50:58 ID:wYcmCkPi
SSのプロットが出来上がったので今週中には投下開始できそうです
テーマは『親殺し』
820創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 23:34:03 ID:PsUw5+Nl
学園島生徒の家庭環境ってあまり描写されてないよな

親いるキャラクターいたっけ?
821創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 10:32:41 ID:opRMiu+I
>>820
島の外に家族や親族がいる人は結構多い
822創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 11:10:22 ID:NTsK6dCu
>>820
ちゃんと作品読んでるのか?
823創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 12:16:57 ID:INEU/D1M
親殺しって鬱な話になりそうだな

対象が父親か母親かで内容が変わりそうだけど
824創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 14:07:34 ID:NTsK6dCu
書きたいと思ってるが縛りが良く解らんから書けん
戦争+魔法+学園じゃだめなのか?
825創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 14:49:53 ID:opRMiu+I
>>824
それでもいいよ
結構縛り気にしないで書いてる人いるので

次スレから縛り今の縛り WWU+魔法+学園のWWUを戦争に置き換えても良さそうだね
敷居は低く設定した方がいいと思うんで
826創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 16:01:29 ID:NTsK6dCu
ブアンタジーぽく書いてみるか
827創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 16:23:26 ID:NTsK6dCu
猛省
ファンタジーだった
828創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 17:35:43 ID:opRMiu+I
待ってるよー
さて俺も書くぜ
829創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 18:26:47 ID:NTsK6dCu
西洋と東洋のドッチが良いんだろうな
830創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 18:49:01 ID:opRMiu+I
>>829
お好きな方で
東洋系の魔女は巫女さんぐらいしか浮かばない俺は知識が足りない
魔女=西洋系って固定観念があるのかもしれん
中国とかの魔女は幻術とか使うんだろうか
831創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 18:55:18 ID:lof7Lo7H
俺は東洋系ブアンタジーが読みたいぜ!!!www
832創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 19:17:52 ID:NTsK6dCu
>>830
魔女縛りなのか?

>>831
東洋ではないがオリエンタルっぽいファンタジーを目指す
833創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 19:22:24 ID:opRMiu+I
>>832
No
魔女縛りなんて存在しないぜ
魔法って括りがあるだけ

>オリエンタルファンタジー
ウータイ?
834創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 19:27:06 ID:NTsK6dCu
>>833
なぜ魔法使い=魔女になるのか疑問

あくまでオリエンタルっぽいファンタジー
つか、ウータイってなんぞ?
835創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 19:50:25 ID:opRMiu+I
>>834
ウータイというのはFFZに出てきた日本風の国のこと
真っ先にそこが出てきたんだw
836創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 19:56:39 ID:lof7Lo7H
「ブアンタジー」は定着させないのか?
837創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 21:05:58 ID:j491XgE3
武侠+ファンタジー=ブアンタジーでおk?
838創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 21:13:35 ID:INEU/D1M
武林クロスロード?
839魔闘士日本 ◆7TlL1s6SJI :2009/03/05(木) 21:48:40 ID:NTsK6dCu
――学園島。
――体内に眠る魔法的エネルギー『マナ』を操る若者が戦う戦場。
人は彼らの事を女神『パラスアテナ』に使える戦士――『魔闘士』と呼んだ。

――A.D.1943、学園島北部の荒野。
二人の魔闘士が対峙していた。

「喰らえ、アメリカ最大の技! ナイアガラ昇鷲波!」
透き通るようなブルネットの長髪の少年、アメリカがマナを燃焼させて、繰り出した拳から解き放った。
ナイアガラの瀑布すら逆流させる程の威力を秘めたマナの奔流が、天昇る鷲となり、大気を、大地を切り裂く。
――が、荒れ狂うマナに襲われた少年は、歪に唇を歪ませて笑った。
「フッ……音に聞くナイアガラの瀑布も他愛ない……フッ」
少年は羽ばたく烏のように両腕を天高く掲げた。
「奇峰――鞍馬山に住まいし大天狗太郎坊に習った日本最大の技――」
日本と名乗った少年の身体からマナが放出され、燐気を伴って背中に翼を形成した。
「見るか……銀河の砕け散る様を……! 天狗翼天衝!」
翼の羽ばたきはナイアガラ昇鷲波を粉砕し――アメリカすらも吹き飛ばした。
「ギャピピーーーッ!!」
しかし、天高く吹き上げられ地表に叩きつけられたアメリカの瞳には、未だ闘志が燃えていた。
「ぐ……ナイアガラ昇鷲波を上回るとはなんて威力だ……だけど、まだ俺は死んではいない!」
日本はその言葉を聞き、凄惨な笑みを浮かべた。
「フッ……タフなヤツだが……これならばどうだ! 魔拳を受けてみよ! 天狗幻魔拳!」
日本の指先から閃光が走り、アメリカの眉間を貫く。
「フッ……天狗幻魔拳は肉体ではなく精神を砕く魔拳……貴様は精神が崩壊するのだ……フッ」
――が、アメリカはほくそ笑んだ。
「――このアメリカには最強の傘がある。そう、核の傘が……」
日本はその言葉に驚愕した。
その隙を逃さず、アメリカは体内のマナを燃焼させる。
「石器時代まで戻してやる! アトミック・ローリング・サンダー」
両手から放たれた攻撃的マナはキノコ雲を作り出し、灼熱の嵐で日本を焼き尽くし、蒸発させた。
が、アトミック・ローリング・サンダーを放った為にアメリカの消耗は激しく、片膝をついた。
「……強敵だった……グハッ!」
そこまで言うとアメリカは驚愕のあまりに喀血した。
そう。蒸発させた筈の日本が目の前にいたからである。
「フッ……茶番だな、アメリカよ……全ては天狗幻魔拳が産み出した夢なのだ……フッ」
「……バ、バカな……!」

続く

840創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 21:49:50 ID:NTsK6dCu
お前ら誤字にツッコミすぎだw
841創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 21:57:41 ID:opRMiu+I

なんだこの80年代バトル漫画風味はwwwww
国名かと思ったらヘタリアみたく人間の名前だったのね
842創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:02:40 ID:INEU/D1M
>>839
相手の必殺技を夢で片付けるとかチートすぐる
843創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:05:35 ID:opRMiu+I
>>842
後半は戦闘力インフレと気を溜める時間で一話が終わりそうだw
844創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:08:39 ID:0ASRPLsI
これはひどいドリアンww
続きに期待w
845創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:09:56 ID:NTsK6dCu
解ってると思うが元ネタは聖闘士星矢
846創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:10:53 ID:xmd6bxQh
元ネタ把握余裕でした
847創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:13:17 ID:NTsK6dCu
マガジン、ジャンプと来たから次はサンデー
848創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:14:32 ID:opRMiu+I
じゃあ俺はサンデーGXかアワーズでも・・・
849創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:35:05 ID:opRMiu+I
某所でMAD見た影響で書いた
反省はしていない

東部戦線で鳴らした俺達魔道兵部隊は、濡れ衣を着せられ風紀委員に逮捕されたが、
刑務所を脱出し、地下にもぐった。
しかし、地下でくすぶっているような私達じゃあない。
筋さえ通れば金次第でなんでもやってのける命知らず、不可能を可能にし巨大な悪を
粉砕する、俺達、第七独立混成旅団!

私は、リーダーマイコ・パステルナーク大佐。通称ブラコン。
高機動戦法と反逆の名人。
私のような天才魔道兵で泣ければ百戦錬磨のつわものどものリーダーは務まらん。

私はエレナ・ヴィレンスカヤ。通称金髪。
自慢のルックスに、女はみんなイチコロさ。
ハッタリかまして、鉛筆から核爆弾まで、何でもそろえてみせるぜ。

私はユーリ・パステルナーク、通称弟。
チームの紅一点。
情報収集は、美貌と頭の良さで、お手のもの!

よおお待ちどう。俺様こそオルガ・グラズノフ。通称ウォーモンガー。
魔道兵としての腕は天下一品!
狂人?変人?だから何。

セルフィナ・フェドセンコ。通称狙撃屋。
狙撃の天才だ。生徒会長でもブチ抜いてみせらぁ。
でも内蔵だけはかんべんな。

俺達は、道理の通らぬ世の中にあえて挑戦する。
頼りにならない支離滅裂の、第七独立混成旅団!
助けを借りたいときは、いつでも言ってくれ。
850創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:46:45 ID:INEU/D1M
なんでユーリがヒロインなんだよw
851創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:21:35 ID:opRMiu+I
>>850
適当小ネタなんでまあw

質問
萌えって作ろうと思って作れるものなんでしょうか?
852創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:32:57 ID:INEU/D1M
作れる

今の商業作品は大抵そんな感じだし
853創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 14:18:56 ID:KH+WzLiP
>>852
キャラをどうやって読む側に好いてもらうか、感情移入してもらうか、そういうことを考えてたんだ
なかなか難しいね
854創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 21:00:17 ID:KH+WzLiP
魔女と人間の物語 外伝

隻眼のエディプス

プロローグ

 一九三三年。
 北フランス、シェルブールは戦火の中にあった。
「第二次防衛ライン、崩壊しつつあり!」
 西方条約機構軍の司令部には絶望的な報告ばかりが入り続けている。
「敵戦車、大隊規模で我が軍の側面突破を図る模様!」
 それら一つ一つに対して、マックス・シュライファー少佐は指示を与え続ける。
 港に設営された臨時司令部で指揮を執る彼は今、避難民を移送する任務に従事していた。
「四番輸送艦、出ます」
「三番と五番艦はどうした?」
「まだ民間人の積み込みを終了しておりません!」
「急がせろ」
 マックスは時計の針を見た後、双眼鏡を構えて遠方を覗いた。
 レンズの中では濛々と立ち込めた黒煙が街のあちこちから上っている。
「敵はどこまで迫っている?」
「十二キロ先です」
 マックスは下唇を噛んだ。
 彼らの敵である社会主義国家共同体の軍隊は、圧倒的な数と勢いで押し寄せてきている。
 無論、こちらの撤退を待ってはくれない。
「まずいな……」
 まだ民間人の収容は完全に終わっていない。
 だが、収容が完了するまでの時間と敵が港に到着するまでの時間を比べると、後者の方が明らかに早かった。
 マックスは決断した。
「撤退する。持っていけない装備は爆破だ」
「よろしいのですか……?」
 部下達の言葉には露骨な戸惑いがあった。
「――構わん。多数のためなら少数を切り捨てなければならない」
 マックスの言葉は、自分にも向けられたものだった。
「我々は少数の人間を守るのではない。多くの市民を守る」
「ですが、少佐の……」
「構うな!」
 マックスは一喝した。
 軍人は国家の利益や市民の権利、財産を守るための力だ。
 そのためには非情な決断をしなければならない。
 例え、自分の幼い息子を一人戦場に残したとしても……。
855創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 21:01:25 ID:KH+WzLiP


 十年後。
 一九四二年。
 フランス、ノルマンディにある国立墓地を曇り空の下、一人の軍人が歩を進めていた。
 軍人――マックス・シュライファーは妻の名前が刻まれた墓石の前で立ち止り、花をたむけた。
「こうして君に会いに来るのはこれで最後だ」
 妻は九年前、マックスが戦地から帰ってくるとすぐ、精神の均衡を失って自ら命を絶った。
「君は……絶対に私を許してはくれないだろうな」 
 原因を作ったのはマックス本人だった。
 息子を見殺しにし、夫だけが生きて帰ってきたことを、妻は死ぬまで許さなかった。
 だからマックスは贖罪するつもりだった。
「何度も上層部にかけあった。でも駄目だった。子供たちの犠牲によって自分達が平和を享受していることを、奴らは理解する必要がある」
 口を噤んで墓石を見つめる。
 贖罪などという行為は自己正当化に過ぎない。
 もし妻が生きていたらこう言うだろう。
 貴方はまた、自分のために子供を犠牲にするのか――と。
「エーリヒは許してくれんだろう。だが、あの子のためにもやらねばならない」
 戦場での功績によって授与された騎士十字章を墓石の前にそっと置き、背を向け、マックスはその場を去った。
856創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 21:01:54 ID:NpAYJm2M
支援
857創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 21:02:30 ID:KH+WzLiP
今日はここまで
858創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 21:03:29 ID:NpAYJm2M
投下乙
中年キャラktkr
859創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 21:08:45 ID:LArd1sOB
あれ?エーリヒの父親は戦史研究室の室長じゃなかった?
860創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 21:17:08 ID:LArd1sOB
あっ、本当の父親じゃなかったね
861創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 09:57:00 ID:epNKJbw6
確か、日本の太平洋側にある資源に対して、中国から人口比に従ってよこせって話があったよね。
で、麻生が日本も核を持つって言ったら、中国から「今のは冗談です」って慌てて取り消したよね。
862創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 11:18:54 ID:bq3cqr2k
ちと質問
学園の国防(校防)予算の配分を管理してるのは文字通りの管理委員会でいいのかな?
863創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 16:00:39 ID:R/2uCSZV
そういうのは本国で管理してるんじゃないの?
学園島には一般人がいないから工業製品も農産物も本国に依存しているし
何をどれだけ送るかの決定権は学園島のトップ程度では持っていないんじゃない?
864創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 16:42:18 ID:bq3cqr2k
>>863
確かにそうかも>本国で管理
いたとしても連絡もしくは報告係で済ませた方が良さそうだね
thx
865創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 18:53:08 ID:bq3cqr2k
ごめん、もう一つ質問させて
読んでる方は細切れに投下されるのと、一気に全部投下されるの、どちらがいい?
聞かせてくれるとありがたい
866創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 19:48:56 ID:YmAAibxO
毎回、起承転結が成立していること
一回の文字数が10〜20kBくらい

だと読みやすい
867創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:19:42 ID:2BGoTcri
>>862
作品によって違うと何度(ry

>>865
ある程度の分量で分けて貰った方が嬉しい
868創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:35:58 ID:bq3cqr2k
ありがとー
一チャプターずつ投下で大丈夫そうだね
869創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:34:38 ID:bq3cqr2k


 学園島の西半分を支配する西方条約連邦の中核に痛撃が加えられた。
 黒ずくめの戦闘服に身を包んだ兵士達が、首都的な機能を有するアヴィリオン学園第四校舎に突入したことから、マックス・シュライファーの贖罪が始まった。
 あらゆる教室に武装した兵士が突入し、一時間で全ては終わった。
 校舎全体が制圧されたのだ。
870創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:35:12 ID:bq3cqr2k


 レンガ作りでできた町並みの最奥に高い校舎が聳えている。
 ここはアヴィリオン学園の本校だ。
 その中の教室――二年六十九組では世界史の授業が行われていた。
「隕石の落下は世界の枠組みを大きく変えた」
 担任のグレーネマイヤーが言葉を連ねた。
「隕石が落下した後、旧ドイツ帝国を中核とした国家群の名称は?」
 担任が手にした棒で指された生徒が起立し、答える。
「西方条約機構です」
「では、旧ソ連を中心にした共同体を答えよ」
「えーっと……社会主義国家共同体です」
「そうだ。座っていいぞ」
 授業を聞きながら、エーリヒ・シュヴァンクマイエルの視線はノートに向けられていた。
(長い航続距離を有する航空機を用いたアウトレンジ戦法は画期的なものだ)
 火傷の跡が残る手に握られたペンが、猛烈なスピードで白い紙面に文字を書き連ねていく。
(だが、標的の防備やパイロットの技量次第で成功の是非は決まる)
 エーリヒはボーイッシュな少女然とした少年の姿をしている。
 顔の右側は可愛らしさが多分に残っているが、対照的に左半分は火傷と眼帯で覆われていた。
「この島では二つの学園がOTMと呼ばれる資源を巡って戦っている。OTMは隕石の落下で傷ついた国家を直すために必要だ」
 エーリヒはペンを止めた。
「一個抜けてる」
 隣席の生徒が横を向いた。
「何が?」
871創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:36:01 ID:bq3cqr2k
「子供が戦争に投入される要因――つまり大人が死に絶えたってことを説明していない」
 隣席の生徒は肩をすくめた。
「不都合な真実ね。でもまあ、世の中には知らない方が幸せなこともあるさ」
「……ああ」
 唯一の視覚器官である右目を机に伏せた。
「例えば自分を捨てた父親が、軍の英雄とか……」
「なんだって?」
「いいや。なんでもない」
 突然、グレーネマイヤーが声を上げた。
「おいエーリヒ!」
「はっ、はい!」
 弾かれたようにエーリヒは立ち上がった。
 隣席の生徒はにやにやと笑っている。
「今の話聞かれてたのかな?」
「知らないよ!」
 グレーネマイヤーは親指で教室のドアを指す。
 その先には風紀委員の生徒が立っていた。
872創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:36:47 ID:Z4qP3rH0
873創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:37:04 ID:bq3cqr2k


 生徒達の代弁者として兵士と会話していた男性教師は、会議室に現れた男の姿に驚愕を禁じえなかった。
「貴方は……」
 教師の前に立ったマックスは重々しく切り出した。
「まずは不快な思いをさせたことを謝罪する。我々は君らを傷つけるつもりも、危害を加えるつもりもない。事態が終了次第、可及的速やかに解放するつもりだ」
「軍人の貴方が、どうしてこんなことを!?」
 マックスは答えず、兵士達に男性教師を連れて行くよう命令した。
「話すことは以上だ。何かあったら言ってくれ。できる限りのことはするつもりだ」
 その後、マックスは中央広場の一箇所に集められた生徒達の前を通った。
 彼らもまた、自分らを拘束した存在の正体に言葉を失っているようだった。
 マックスは視線を受け流しながら、部下に携帯糧食を配るよう伝え、その場を去った。
874創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:38:06 ID:HLcj6I7m
 
875創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:38:10 ID:Z4qP3rH0
876創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:38:11 ID:bq3cqr2k


 生徒達の代弁者として兵士と会話していた男性教師は、会議室に現れた男の姿に驚愕を禁じえなかった。
「貴方は……」
 教師の前に立ったマックスは重々しく切り出した。
「まずは不快な思いをさせたことを謝罪する。我々は君らを傷つけるつもりも、危害を加えるつもりもない。事態が終了次第、可及的速やかに解放するつもりだ」
「軍人の貴方が、どうしてこんなことを!?」
 マックスは答えず、兵士達に男性教師を連れて行くよう命令した。
「話すことは以上だ。何かあったら言ってくれ。できる限りのことはするつもりだ」
 その後、マックスは中央広場の一箇所に集められた生徒達の前を通った。
 彼らもまた、自分らを拘束した存在の正体に言葉を失っているようだった。
 マックスは視線を受け流しながら、部下に携帯糧食を配るよう伝え、その場を去った。
877ミスったorz:2009/03/07(土) 21:38:46 ID:bq3cqr2k


 アヴィリオン学園生徒会室には非常招集された生徒議会役員が集まっていた。
 本来ならば生徒会長が議長を務めるが、今は同盟校への外遊中だった。
「今日午前、第四校舎が軍内部の一部勢力によって制圧された。首謀者の名前はマックス・シュライファー大佐」
 貧乏くじを引かされた副議長の説明を受けて、生徒会室にざわめきが起きた。
「大佐は隕石落下後の紛争において多大な功績を残しました。騎士十字章も授与されています」
「確か……大佐のご子息が我が校に在籍していたはず」
「二年六十九組のエーリヒ・シュヴァンクマイエルです」
「シュヴァンクマイエル?」
「大佐にとって唯一の汚点――」
 役員の失礼という声が言葉を遮った。
「副議長、大佐からです」
 スピーカーと直結した電話機から、男の声が流れる。
「どうも大佐」
「調子はどうかね」
「良くはありません」
「そうか。本題に入る」
 マックスは淡々と話を始めた。
「今日までに七千五百六十人の子供がこの島で命を落とした。遺族には何の補償もなし。存在を抹消された者もいる」
 語気が強まる。
「あまりにもこの現状を知らない者が多すぎる。金はブランデンブルグ商会の口座から、こちらの指定した口座へ……」
「話を遮って悪いが、ブランデンブルグ商会とは?」
「他校への武器密輸で上げた利益がプールされている」
「それは最高機密だぞ」
 顔を青白くしたのは管理委員長だった。
878創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:39:08 ID:Z4qP3rH0
879創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:39:56 ID:bq3cqr2k
「人命よりも利益が大事かね。君は曾孫の代まで遊んで暮らすといい。その方が君自身にとっても幸運だ」
 僅かな怒りを言葉の端々に込めながら、マックスは要求を突きつけた。
「期限は四十八時間。その間に資金を用意するように」
 通信が終わった後、役員達は揃って項垂れた。
「面倒なことになりましたな……」
「人質の身元確認と教務部への連絡を。外遊中の議長にホットラインを繋ぐよう手配してくれ」
「身代金については?」
「我々はテロリストと交渉しない。例の部隊はどうなっているか」
「GSG-9は即応状態にあります」
 GSG-9とはアヴィリオン学園内で警察任務を担当する風紀委員会の特殊部隊だ。
 国境警備隊第九グループを偽装用として名乗ったこの部隊は本校周辺での有事に対応する。
「それと飛び切り有能な指揮官が必要だ」
 校防委員長がこめかみに右手の人差し指をあてながら答えた。
「ご心配なく。約一名心当たりがあります」
「ほう。それは誰だ?」
「マックス・シュナイファーのご子息です」
880創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:40:20 ID:HLcj6I7m
 
881創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:40:26 ID:bq3cqr2k
支援に感謝
今日はここまで
今回もハートフルなストーリーでお送りします
882創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:42:08 ID:2BGoTcri
乙ですよ乙
883創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:58:10 ID:VrZWwegk
子供の犠牲を抑えるために子供を人質にしちゃ本末転倒だよマックスさん…
884創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 19:51:58 ID:UIufxCK7
続きいきます
今日は最後までいきます
885創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 19:52:45 ID:UIufxCK7

 
 体育館に設営された風紀委員会と陸軍の合同司令部は、外部から持ち込まれた機材や設備のせいで以前の面影を微塵も残してはいなかった。
 エーリヒ・シュヴァンクマイエルは到着するなり、GSG−9の隊長と引き合わされた。
「どうも。東部戦線での活躍は聞いていますよ」
「よろしく頼みます」
「こちらこそ」
 握手をしながら、エーリヒは隊長が同じ十代なのに随分と年を食っているように思えた。
 社交辞令もほどほどに実務的な会話が始まった。
「クーデター軍の兵士は第四校舎に分散配置されている」
 隊長の人差し指が地図をなぞった。
「屋上に二十ミリ機関砲が設営されているため、空からの侵入は困難だ」
「各校舎には対テロ戦を想定して地下通路が用意されていたはず」
「既に埋められているだろう。だが……」
 次に隊長は別の箇所を指差した。
「ここに建設途中で放棄された地下通路がある。現在、工兵が掘り進めている最中だ」
「なら、派手な陽動が必要だね」
「空軍が支援してくれる」
「わかった」
 一通り打ち合わせが終わった後、エーリヒは席を外した。
「ちょっと失礼……」
「体調が優れないのですか?」
「いいえ。少しトイレに」
886創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 19:54:24 ID:UIufxCK7


 エーリヒはトイレに入るなり、思い切り鏡を殴りつけた。
 手から鮮血が迸り、洗面台を汚す。
「くそったれ……」
 ふらふらと椅子に腰掛ける。
 手はもう血だらけだった。
「あの野郎、絶対に許さない」
 軍人が警察組織を指揮するのは良いことではない。
 だが、今回事件を起こしたのはエーリヒの父親――息子が始末しないでどうする!
「何が子供をこれ以上死なせないだ。自分の子供を死なせようとしたくせに……」
 エーリヒは忘れない。
 ナパームの臭気と肉の焼ける悪臭の中、爛れた顔の左半分から焼け焦げた皮膚を垂らして彷徨った記憶を。
 基本的にエーリヒは父が自分を見殺しにしたことが許せないだけだ。
 軍務のため成すべきこと父はやっただけだ。
 だが、それだけで片付けられる問題ではない!
「殺してやる。絶対に殺してやる」
 呪詛にも似た響きがエーリヒの言葉に混ざっていた。
887創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 19:56:58 ID:UIufxCK7


 夜。
 俄仕立ての司令室にはマックスとクーデター軍の将校達がいた。
「作戦の第一段階は成功に終わった」
 マックスは漆黒に彩られた窓の外を見やった。
「我々は目的を達成した後、中立校に分散して脱出する」
 話し終えた後、一人の将校が小さく手を上げた。
「そんなことより大佐」
「なんだ?」
「理想のことはともかく、金はちゃんと手に入るので?」
「無論だ」
「なら安心です」
 将校は挑戦的なものを言葉に織り込んでいた。
「新天地だと先立つものが大事ですから」
 マックスが嗜めようとした矢先、監視員が叫んだ。
「大佐! 来てください!」
 双眼鏡を覗き込むなり、マックスは走り出した。
 敵が来た。
 それも、たった一人で――。
888創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 19:58:01 ID:UIufxCK7

 
 エーリヒ・シュヴァンクマイエルがたった一人で第四校舎に歩いていく。
 前線本部の監視塔から双眼鏡を覗き込んでいた役員とGSG−9隊長の反応は正反対だった。
「奴は気が狂ったのか?」
「いいえ。正常だからああいう行動ができるんです」
 隊長は続けた。
「クーデター派の指揮官は彼の父親でしょう。有名な話ですよ」
「過去などどうでもいい。彼には新しい英雄になってもらわねばならん」
「無理だと思いますよ。あの人は良い指揮官、良い人間でも英雄にはなれない」
「根拠は?」
「勘です」
「馬鹿馬鹿しい」
「父殺しを子供にさせて英雄に祭り上げる方が、よほど馬鹿馬鹿しいと思いますがね」
 役員が監視塔を降りてから少しして、GSG-9の兵士がやってきた。
「父親が憎いだなんて……理解できませんよ」
「肉親だからこそ強い憎しみが生まれる」
「もし彼が死んだら?」
「その時は俺が指揮をとる」
「自分も同感です。軍の連中にでしゃばられるのは御免だ」
889創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:00:27 ID:UIufxCK7


 校門から少し歩いたとき、エーリヒは揺らぐ人影を見た。
 銃口を向ける――奴がいた。
 影の中から、ゆっくりとした動作で男が姿を現す。
「エーリヒか。まさか、こんな形で会うことになるとはな」
 少女然とした顔をエーリヒは歪めた。
「私も同感です」
 ライトが点灯された。
 窓から数え切れないほどの銃口がエーリヒに向けられる。
「武器を捨てるんだ」
 エーリヒは即答した。
「お断りします。エーリヒ・シュヴァンクマイエルは反逆しない」
 更に続ける。
「大佐、貴方の言い分はわかります。ですが、私は宣誓しました。学園のため、生徒の安全を守るために戦うと!」
 右目で窓から銃を構えるクーデター軍の兵士を一人一人見やる。
 撃ちたければ撃て!
「戦友を失った悲しみは、戦場で戦った者なら誰にもあります! 僕の中にも!」
 明確な怒りを込めてエーリヒは叫んだ。
「だからといって反乱は許されない!」
 マックスは表情一つ変えない。
「私はこれ以上、子供たちを死なせないためクーデターを起こしたのだ。大人たちは目を向ける必要がある」
「子供を死なせないため? 自分の子供すら守れない奴が何を解決できるんだ!」
「多数を救うには少数の犠牲が必要だ。それぐらい貴様でもわかるだろう!」
890創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:02:25 ID:UIufxCK7
「お前は十年前から何も進歩してない」
 エーリヒは刺し殺さんばかりの視線をマックスに向けた。
「多数を救うために少数を切り捨てる? 切る側はそれでいいだろうな! だけど、切り捨てられた人間はどうなる!」
「お前も軍人だろう!」
「それ以前に人間だ!」
 エーリヒは眼帯を外した。
 塞がれ、二度と開かない目の窪み。
 額から頬まで走る、黒ずんだ火傷の跡。
「これを見ても、なんとも思わないのか!? 僕は火傷が痛むたび、お前への憎悪を募らせてきたんだ!」
「……すまなかった こう言えば満足か」
「馬鹿にして……それでも人間か!」
 エーリヒの中でタガが外れていく。
 軍人としてではなく、屈折した子供の部分が肥大化し始めた。
 親の愛情を求め続けた感情が――。 
891創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:05:20 ID:XO1tFdbD
 
892創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:06:40 ID:UIufxCK7


 クーデター軍兵士達は銃を構えながら、発砲許可を待っていた。
 目の前に敵の指揮官がいる。
 今、撃たなければ!
「大佐、発砲許可を」
「ならん」
「今撃たないとまずいことになります!」
「駄目だ!」
「計画が水泡に帰すんですよ!」
「許可しない!」
 押し問答の中、一人の兵士の銃が植木鉢にぶつかった。
 落下した植木鉢が発した破壊音が緊張の糸を破断させた。 
 たちまち校門周辺は鉄火場と化した。
「撃つな! 撃ち方やめ!」 
 マックスの命令を無視して興奮状態の兵士達は撃ちまくった。
 だが、銃弾は隻眼の将校を捉えることはできなかった。
893創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:10:14 ID:UIufxCK7


 銃声鳴り響く木の影でエーリヒは震えた。
 僕は敵に躊躇してしまった!
 やがて銃声が止み、エーリヒは走り出す。
 父親とわかりあうことは、もう無理だ――。
 エーリヒの心を絶望だけが支配していた。



 午前四時。
 周囲が明るくなり始めた頃、クーデター軍の内部には亀裂が生じ始めていた。
「息子さんを殺せなかったようですね」
「必要がないからそうしただけだ」
「必要ない? 馬鹿を言うな!」
 はき捨てるように言う兵士に対して、マックスは声を荒げた。
「上官に向かってなんだその言動は!」
「俺達は人っ子一人殺せない腰抜けってことがバレた」
「人質を何名か殺すしかありません」
「人質に危害は加えない」
 兵士達は半ば恐慌状態に陥っているように見えた。
「人質二名を連れて予定のポイントへ脱出する」
 兵士達は目配せした後、マックスに銃を向けた。
「何のつもりだ? 銃を降ろせ」
「できません」
「同じく」
「あんたを手土産に投降します」
 兵士の一人が笑う。
「そんなことができると思っているのか?」
「悪い大人に騙された子供とテロリスト、どちらの言い分を信用するでしょうかね?」
 兵士がマックスの拳銃を取ろうとした瞬間、何かが投げ込まれた。
 そして閃光が部屋全体を覆い尽くした。
894創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:11:22 ID:XO1tFdbD
 
895創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:14:20 ID:UIufxCK7


 第四校舎に向けて一斉にGSG-9の隊員が突入を開始した。
 ガスマスクとサプレッサー付の自動小銃を手にした隊員達は地下通路から秘密裏に校舎内に侵入、人質を解放の後、クーデター軍の掃討を開始した。
「撃つな! 我々は騙され……」
 クーデター軍の兵士は投降の動作を見せたが、一人残らず射殺された。
 警察と軍隊の戦いである。
 警察側からすれば、槍で重装騎兵に立ち向かうようなものであるため、一切の躊躇は許されなかった。
 サプレッサー付きの銃で次々にクーデター軍兵士は撃ち倒されていく。
「敵はテロリストだ。一人残らず射殺しろ」
 司令部からエーリヒは命令する。
「奴らに人権は存在しない」
 エーリヒは自分に言い聞かせた。
 生徒の安全や権利を守るのが軍隊の仕事であり、真逆の行動をした時点で彼らはテロリストに堕ちたのだ。
 敵は五分もしないうちに制圧された。
「リーダーはどうした?」
「死体は見つかっておりません」
 エーリヒはベレー帽を脱いで机に置くと、背中を向けた。
「ちょっと行ってくるよ」
「どこへです?」
「自分に忠を尽くしてくる」 
 銃を片手に、エーリヒは再び第四校舎へ歩き始めた。
 決着をつけるため――。
896創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:15:56 ID:XO1tFdbD
 
897創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:22:19 ID:UIufxCK7


 マックスは第四校舎の地下通路の先にある工事現場へ辿り着いた。
「どこにも逃げられないよ、父さん」
 聞き慣れない声。
 エーリヒが目の前に立っている。 
「やはりここにいたか」
 自分の息子が何をするのか、マックスには理解できていた。
「逃げるんですか。貴方のせいでこうなったというのに!」
「何と言ってくれてもいい。だが私は、子供の命が無為に失われていく現実を変えたかった」
「そんな勇気があるなら!」
 エーリヒは自動小銃の銃口を向けた。 
「僕のお父さんでいてほしかった。理想家じゃない、父として……」
「私はお前が怖かった。恨んでいると思っていた」
「恨んでいたよ。でも、父さんが僕を愛してくれればそれで良かった。その程度のものだったんだよ」
 兵士のものとは思えない、細い肩が震えている。
「普通の父親がいてくれるだけで、ただいてくれるだけでよかった。軍の英雄でもなく、クーデターの首謀者でもなく……」
 息子を抱き締めてやりたかった。
 長い時間があったにも関わらず、マックスは息子に向き合おうとしなかった。
 怖かったのだ。
 マックスは拳銃を向ける。 
「だが、今の私はクーデターの首謀者だ。お前達軍人の敵であるテロリストだ」
「父さん、今ならまだ間に合うよ。投降して」
 銃声。
 エーリヒの頬を銃弾が掠め、血が流れ落ちた。
「次は額を撃つ。テロリストと交渉する軍人がどこにいる」
「……ッ!」
 再び銃声。
 同じタイミングで親子は後ろに倒れこんだ。
 血の池がマックスを中心にして広がっていく……。 
 血相を変えて、無傷のエーリヒが駆け寄ってきた。
898創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:24:42 ID:XO1tFdbD
 
899創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:30:04 ID:UIufxCK7
「良い狙いだ……」
 マックスの手に握られた拳銃には、一発として弾丸が入ってはいなかった。
「どうして!」
「私はお前に向き合おうとしなかった。だから今回、正面から向き合おうとした……」
 消えかかった、掠れた声をマックスは出す。
「十年前、お前を見捨てたとき……私は既に死んでいた」
「だからって死んで何になるんだよ! 馬鹿野郎!」
 右手に暖かい感触があった。
 エーリヒが手を握ってくれた。
「父さん……」
「お前に父さんと言ってもらえるなんて何年ぶりだろう……」
「死なないで。一緒に行こう。生きるんだ」
「できない」
「できる! いや、どうやっても生きてもらう! 僕は十年分のお小遣いをもらっていない」
「私の部屋にある机の二段目に小切手がある。それを使え」
「そういう……そういう問題じゃないんだよ……」
 エーリヒのたった一つしかない瞳から大粒の涙が溢れた。
「撃つんだ……」
「できない」
「するんだ。踏み越えていけ。私の死体を乗り越えて……」
「貴方はいつだって勝手で……自分のことばっかり考えて……」
 泣きながら立ち上がり、エーリヒは自動小銃を構えた。
「そうだ……それでいい……」
 自分の捨てた息子に罪人として殺されること。
 それが、本当の意味でのマックスの贖罪だった。
900創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:30:58 ID:XO1tFdbD
 
901創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:34:49 ID:UIufxCK7


 エーリヒは目を開き、自動小銃を構えた。
 引き金にかかった指が震えている。
 引き金を引けば銃弾が撃ち出され、撃たれた人間は死ぬ。
 わかりきっていることだ。
 でも――。
 僕の前には父親がいるんだ。
 世界でたった一人の肉親が。
 でも撃たなければならない。
 軍人としてテロリストを倒さなくてはならない。
 でも――。
 息が乱れ、脂汗が額に滲む。
 一緒に生きれるんじゃないか?
 父親と二人、罪を背負って……。
 いや――。
 それは自己正当化、偽善でしかない。
 マックス・シュナイファーはエーリヒの父親である一方、生徒の安全や権利を侵害したテロリストなのだ。
 撃て!
 撃つんだエーリヒ!
902創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:35:38 ID:XO1tFdbD
 
903創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:38:11 ID:UIufxCK7
 必死に自分に言い聞かせる。
 もう戻れない場所に自分はいるのだ。
 でも――。
 唇が小さく震える。
 撃ちたくない!
 嫌だ!
 父さん!
 僕は父さんに愛してほしかった!
 滝のような涙が頬を伝い、地面に落ちていく。
「僕は……!」
 絶叫すると同時に、エーリヒは引き金を引いた。
 連続して撃ち出される7.92mmの銃弾がマックスの頭を吹き飛ばし、体に数え切れない損壊を与えた。
 血が噴出し、脳漿が飛び散り、骨の破片が四散した。
 雨が降り始めた。
 熱せられた銃身が雨を浴びて蒸気を上げ、また、エーリヒの頬を伝う涙を流す。
 叫びも何も出なかった。
 雨は暫く降り続け、エーリヒもまた暫くその場に立ち尽くしていた。
904創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:40:56 ID:XO1tFdbD
 
905創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:41:45 ID:UIufxCK7
エピローグ
 
 第四校舎のクーデター事件から数週間後――。
 生徒会議長室は拍手に包まれていた。
「おめでとう少佐」
 生徒会議長と握手したエーリヒは、眩いばかりのスポットライトに戸惑った。
「さあ、これを」
 黄金柏葉剣付ダイヤモンド騎士鉄十字勲章がエーリヒに与えられた。
 全校の中で十二人の選ばれた人間しか与えられない勲章であり、保持者は階級や部隊の枠に縛られない、行動の自由を持つたった一人の軍隊じみた行動が可能となる。
 言わば軍人として最高の栄誉ではあったが……。
「おめでとう少佐」
「ええ。ありがとうございました」
 エーリヒはさっさとその場を後にした。 
 役員達の小声が聞こえる。
「親殺しか……」
「最高の軍人だが英雄にはできんな。軍のモラルが問われる」
「顔と人格は良いのですが。残念です」
「まあいい。候補はたくさんいる」
 部屋を出たエーリヒは決意を固めていた。
 勲章と父殺しの汚名は甘んじて受けるつもりだった。
「僕は父を殺した。でも、父は僕の中で永遠に行き続ける。亡霊として……」
 軍人は国家の利益や国民の安全を守るため戦う。
 そのために、僕はもっと上に行く――。
「父を超えることで父を完全に殺す。そして学園の利益や生徒の安全と権利を守る。それが……」
 エーリヒは前だけを見据えた。
「僕の復讐だ」

Ende
906創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:44:21 ID:XO1tFdbD
 
907創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:45:13 ID:8qMUYJtw
さるさん食らったので携帯から

支援に感謝

この話はこれで終わりです
908創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:00:25 ID:UIufxCK7
test
909創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:00:58 ID:UIufxCK7
一応PCからも
この話はここで終わりです
支援ありがとうございました
910創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 22:41:56 ID:UIufxCK7
アメリカンな魔道兵を考えてるんだけど、やっぱりクレイジーな性格になるんだろうか
通学はハーレー
週末はマリファナパーティー
魔道兵なのにトンプソンとか使う
こんな感じかな
911創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 00:11:07 ID:khJdahOr
完結乙

スレを盛り上げる方法でも話し合わない?
912創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 00:15:41 ID:6SBlp3t0
まずは完結乙 だけで済まさないことじゃないかな
913創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 00:22:14 ID:khJdahOr
うーむその通りかもしれんな

俺はエーリヒが父親を殺しても復讐を完遂できなかった点に甘さを感じた

エーリヒはこれから父親を越えることで父に対する復讐を続けるつもりらしいけど、それはどの段階で終わるかわからないし
914創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 00:30:43 ID:khJdahOr
続き


エーリヒは父親としてのマックスは憎んでいても、軍人としては悪い感情を持っていなかったのかもしれない

何よりも父に愛してほしかったけど、父子共に歩み寄れなかったんだろうね お互い怖かったんだと思う
915創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 00:35:38 ID:khJdahOr
最後


この作品のエーリヒはまとめにある本編のエーリヒと同一人物らしいけど、エーリヒは復讐で自己正当化はしてないよね?

もしからしたら義理の両親の存在が復讐の念を緩和してくれたのかもしれない


マイコが自己正当化を極めて自滅したように、エーリヒもまた危ない岐路に立たされていたわけだ


そのあたりが面白く感じて、なおかつもっと掘り下げて読みたかったところでした


長々とすまんかった
916創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 10:31:17 ID:FLJzUFOg
 マックスがクーデターを起こしたのは子供の犠牲云々よりも、父親として息子に向き合い贖罪を受けるってことだったんじゃないのかな
 終盤で自分を殺すんだとマックスが言ったのは自分を踏み台にしてエーリヒが更なる高みへ行ってほしかった…とか
 エーリヒは父親としてのマックスは憎悪してたけど、同じ軍人としては尊敬していたのかもしれない
 軍人としての尊敬と息子としての憎悪の狭間で苦悩していたんだと思う
 父親のような立派な軍人になりたい でも、父親のやったような行為はしない
 だからマックスにしてもエーリヒにしても、長い時間の間で歩み寄れれば最悪の事態は避けられたのかもしれない
 
 エーリヒが最初に会ったとき>>890のところかな?で考えが軍人から子供に摩り替わっていたときの感情も考察できそう
 俺はエーリヒの中で軍人としての敬意が息子としての憎悪を抑えていたんだろうと思うけど、マックスがクーデターを起こしたことで軍人としての義務を放棄(つまり、生徒の安全や学園の利益云々)した時点で、エーリヒの中で軍人への敬意が消え、

> エーリヒの中でタガが外れていく。
> 軍人としてではなく、屈折した子供の部分が肥大化し始めた。
> 親の愛情を求め続けた感情が――。 

 本文中にもあるように憎悪の感情が大きくなったんじゃないのかな
 軍人としての尊敬が消えたら憎しみの対象しかいないんだもの
917創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 10:33:11 ID:FLJzUFOg
>>915
マイコとエーリヒは対比すると結構似ている気がする
特に、家族や肉親のために戦うと自己正当化して軍務に就いているあたり
でもエーリヒは自己正当化しつつも、これじゃいけないと抑制できていたし、何よりNoと言ってくれる人が周囲にいた
対照的にマイコは自己正当化した上に周囲がイエスマンばかりだったから破滅へ一直線だった

しかし考察楽しいのぅw
918創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 12:46:32 ID:khJdahOr
エーリヒの軍人観がどうなのか色々な人に意見を聞いてみたいけどね


スレを盛り上げる方法として、理想郷に作品を晒して逆流的に人を増やすのはどうかな
919創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 13:47:29 ID:FLJzUFOg
>>918
逆流的といっても投稿サイト経由じゃ人増えない気がする
あっちに投稿した作品でシェアードワールドやるならともかく、最低限の縛りで好き勝手やるスレだしね
とりあえずテンプレにあるWW2の部分を戦争に変更するのは考えてる
無理に自分の首を絞める必要もないと思うんで
920創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 19:55:00 ID:FLJzUFOg
唐突だけど、ここの住人の好きな映画は何か聞いてみる
自分は
スカーフェイス
エル・トポ
ペット・セメタリー
どうよ皆さん
921創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 20:43:15 ID:ZSJTCTbW
>>920
邦画だと
テラ戦士ΨBOY
クララ白書 少女隊PHOON
晴れ時々殺人
台風クラブ

洋画だと
俺達フィギュアスケーター
マイ プライベート アイダホ
バタリアン
プリティーリーグ
お熱いのがお好き

アニメだと
象列車がやって来た
お星様のレール
少年ケニヤ
火垂るの墓

火垂るの墓の原作者野坂昭如の嫁と二人の娘は元タカラジェンヌだって知ってた?
ちなみにつかこうへいの娘もタカラジェンヌだよ。なべやかん似で次期主演娘役。
922創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 20:54:55 ID:ruFPtRfu
>>920
洋画
シド&ナンシー
ロックンロール・スウィンドル
ロンドン・コーリング ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー
ルード・ボーイ
プロジェクトA
スパルタンX
グーニーズ
ポリス・アカデミー
ローマの休日
アンタッチャブル
チャイニーズ・ゴースト・ストーリー


邦画
時をかける少女
仁義なき戦い
機動戦士ガンダムF91
空の境界

どうよ皆さん
923創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:02:04 ID:FLJzUFOg
地獄の黙示録を現在視聴中
俺もサーフィンのためにナパームで森を焼いてみたいぜw

>>921
>火垂るの墓の原作者野坂昭如の嫁と二人の娘は元タカラジェンヌ
>ちなみにつかこうへいの娘もタカラジェンヌ
調べたら本当だったwwww
邦画は全然見てないなぁ 最後に見たのは江戸川乱歩の恐怖奇形人間だわ
バタリアンって最初いたずら半分で樽を叩いたらヤバげなウイルス出てきた映画だっけ?
最初の首なしゾンビと戦うシーンで爆笑した記憶がある

>>922
香港映画好きなのかな
俺は男達の挽歌シリーズとか見てたなぁ
空の境界はなぜか第一部EDのCDだけ持ってるw
924創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:09:06 ID:khJdahOr
学園島世界の戦争映画ってどうなるんだろうね
925創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:11:41 ID:ruFPtRfu
>>924
戦意高揚の為にカッコ良く美化された戦争を描く映画だろうね
926創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:15:11 ID:khJdahOr
>>925
少なくとも勝った側はそうなるだろうな
927創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:19:34 ID:ZSJTCTbW
>>925
具体的に言うと満州映画会社みたいな奴?
李香蘭出演の『支那の夜』とか。
日本はモノクロだけどアメリカはテクニカラーなんだろうね。
928創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:23:50 ID:ruFPtRfu
はだしのゲンみたいなのもあるかもね
929創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:24:06 ID:khJdahOr
そして国策映画から大統領が…
930創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:34:02 ID:ZSJTCTbW
>>928
はだしのゲンもいいけど、ホットショットみたいなのもありだな。
映画の中でフェアリーテールさんが呼び出した妖精さんの数の記録に挑戦してみたりとか。
パトリックちゃんが三国志の映画に友情出演しても面白そう。
袁術に水をやらなかった農民役とかw
931創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:36:07 ID:FLJzUFOg
>>924
ベトナム戦争中に作られたグリーンベレーって映画は国策に近かったけど、グリーンベレーが精鋭部隊じゃなくて普通に描かれてたな
追い込まれて必死に航空支援要請したりとか
>>925に近いのは最近だとお隣の国が作った『韓半島』とか近いかもね

学園島世界の戦争映画は戦時中だと演劇部と放送委員会が作るんだろうな
監督が反戦的だと左遷されたりするんだろうか
932創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:36:26 ID:ruFPtRfu
>>930
>>袁術に水をやらなかった農民役とかw
それ本人wwwww
933創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:37:51 ID:FLJzUFOg
>>930
300! ロボコップとタイ記録!
600! ランボーとタイ記録!
1000! 映画史上最高記録!
934創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:38:07 ID:ruFPtRfu
>>931
学園島世界の戦争って本国で作ってるんじゃないかな
935創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:40:06 ID:ZSJTCTbW
936創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:41:24 ID:khJdahOr
本国のチェック通さないとまずいんじゃね?

テト攻勢みたいなことになるかもしれないし
937創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:44:02 ID:ZSJTCTbW
個人的には舞台がおもしろそうかな?
台詞を噛みまくるフェアリーテールさんとか、主役になれなかったから機嫌の悪いアンさんとか。
脚本・演出はパトリックちゃんで、大道具や小道具は妖精さんで。
938創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:50:50 ID:FLJzUFOg
>>934
確かに本校産の可能性が高いかも
言い方悪いけど生徒を洗脳する目的もあるだろうし

>>937
デヴィッド・リンチの映画みたいに難解なストーリーになるんだろうな・・・それ
そして伊庭さんは明らかにおかしい日本人キャラで決まりだなw
939創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:54:04 ID:khJdahOr
ビターさんは貴重な百合要員として男子と女子両方から大人気ですね!
940創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:03:12 ID:FLJzUFOg
じゃあ俺はマイコの挑戦状というゲームを(ry
941創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:09:46 ID:khJdahOr
学園島戦争のFPSがやりたい
942創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:11:41 ID:ruFPtRfu
FPSってなんぞ?
943創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:15:16 ID:FLJzUFOg
>>942
こういうゲーム
http://www.youtube.com/watch?v=0W3Z0iOPfmE

明らかにゲームバランスが崩壊しそうだけどねw
オンラインで魔道兵をチームワークで倒したりするのが面白そう
逆にゴッチさん無双とか
944創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:22:45 ID:ruFPtRfu
いっそのこと魔法兵育成シミュレーションで
945創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:27:10 ID:FLJzUFOg
>>944
ウィザードM@STER?
追加装備は有料ダウンロード配信の廃人養成ゲームなんですね、わかります
そして一個大隊分のキャラソンを(ry
946創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:28:05 ID:FLJzUFOg
今見てみたら俺のIDがUFO
これはハウニブを出せという神のお告げだなw
947創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 23:45:35 ID:khJdahOr
そろそろアメリカ系学園が見たい

やっぱり出しづらいかな?
948創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 14:19:51 ID:gtRZPVCj
>>947
次の作品はアメリカ系学園出てきます
まだ名前が決まってないけど 多分ガーランドとかその辺になると思う
まともにやるとチートでしかないのでベトナム戦争を参考に色々やってみます
949創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 14:20:44 ID:gtRZPVCj
んでネタ振り
人間から感情と理性を奪って蟻や蜂のような社会にすれば戦争は起こらなくなるんじゃないの?

こういう思想を持った敵を考えたんだがどうだろう
950創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 20:51:21 ID:3a0TLx7Y
敵としての魅力が少なそう。
美学とかが感じられない気ぃする。
純粋に俺TUEEEEEEEE!!がやりたいのであれば、
敵に魅力があろうと無かろうと関係なさそうだし、
その設定でも良いんじゃない?
個人的には折角の戦争物なのだし、イデオロギーのぶつかり合いや
泥臭い人間関係みたいな物を読んでみたい。
951創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:18:23 ID:gtRZPVCj
>>950
この敵は最初からこういう考えじゃないんだ
最初は平和のために戦うという理念を持っていた
でも、平和のために戦って倒した敵には家族や友人がいる そいつらは憎しみを持ってまた自分を殺そうと戦場にやってくる
じゃあどうすれば平和になるの?
人間が感情を持たなければいいじゃない!という流れ
確かに美学は無いなこりゃw

>イデオロギーのぶつかり合いや泥臭い人間関係

泥臭い人間関係とは「戦争のはわらた」という映画に出てきた勲章のことしか頭に無い将校とベテラン軍曹の確執みたいな感じかな
イデオロギーの争いになると真っ先に「最高の独裁主義と最悪の民主主義はどちらがいいか」なんて考えてしまう私

個人的に俺Tueeeeは好きだけど代償とか償いはさせたいよね
殺した敵の娘に石投げられるとか、本国に帰ってみたら反戦団体に唾を吐かれるとか
952創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:32:42 ID:mdRCCKcs
軍事物を書くなら読んで損はない本

「ソ連地上軍」デービッドCイスビー(英ジェーン版の翻訳)原書房(絶版)
「北朝鮮特殊部隊」ジョゼフ・バーミューデッツ(英ジェーンの翻訳)並木書房
「世界歩兵総覧」田中賢一/森松俊夫 図書出版社(絶版)
「砂漠の戦車戦 上下」アブラハム・アダン 原書房(絶版)
「第四次中東戦争 シナイ正面の戦い/ゴラン高原の戦い」高井三郎 原書房(絶版)
「第一次世界大戦,その戦略」リデルハート 原書房(絶版)
「湾岸戦争 砂漠の嵐作戦」東洋書房
「熱砂の進軍 上下」トムクランシー 原書房
「米陸軍戦闘マニュアル」編訳:柘植 久慶(絶版)
「コンバット・バイブル―アメリカ陸軍教本完全図解マニュアル」(1巻2巻で十分)著:上田信 日本出版社
「コンバット・スキルズ 1・2」 ホビージャパン
「戦術と指揮」著:松村 劭 文春ネスコ
「若き将軍の朝鮮戦争」 白 善?
「対ゲリラ戦」 白 善?
「指揮官の条件―朝鮮戦争を戦い抜いた軍人は語る」白善?

日本陸軍『作戦要務令』
「赤軍野外教令」
「野外令」
「野外幕僚勤務令」
「師団・旅団」
「普通科運用」等の職種運用
「普通科中隊」等の部隊運用
953創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:36:13 ID:6Fuodsz9
魔法学園に入学するための受験戦争はあり?
954創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:39:50 ID:3a0TLx7Y
>>953
ありなんじゃないかな?
受験戦争ってアイディアは面白いと思う。
魔法学園って歌とダンスが必須な感じ。
受験資格に『容姿端麗』とかってありそうだね。
955創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:42:52 ID:gtRZPVCj
>>952
一冊も読んだことねぇwwwww
高いんだよなぁそういう本は 図書館で探してみるか
俺は学研から出てる歴史群像アーカイブを使ってます 手ごろな価格でわかりやすい内容なので重宝してます
あとは大日本絵画の本とか

>>953
もちろん
魔法系の受験は宝塚のそれに近いんじゃないかとイメージしてる
イーグルドライバー並みに狭い関門だったりとか
正直、受験ネタは予想外だったわw
956創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:47:19 ID:gtRZPVCj
参考になるかどうかわからないけど陸上自衛隊のやつを
これはどっちかというと受験より訓練に近いかな?

http://www.youtube.com/watch?v=u2aSpv_aJHY&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=6dTrjyUJg04&feature=related
957創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:50:46 ID:f93Y9ma6
士官を目指すか一兵卒目指すかでかなり話が違うんじゃないか?
958創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:52:44 ID:6Fuodsz9
魔法学園は士官学校じゃないと思うんだがニイ
959創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:55:02 ID:gtRZPVCj
>>958
すまんそっち方向に傾いて考えてたw
生々しい話、女子の場合は生娘かどうかとかも対象になるんじゃないだろうか
いや性的な話とかじゃなくてね
960創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:59:28 ID:8gYyuEMJ
ニィ!?
961創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 22:27:02 ID:gtRZPVCj
受験モノって必ず「百点以外は無価値!」みたいな奴がいるような気がする
962創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 23:55:27 ID:f93Y9ma6
色んなキャラの初々しい姿を読んでみたい 銀英の螺旋迷宮や汚名のような感じで
963創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 19:33:46 ID:wtHd4gSk
戦場で恋愛やる展開はやっぱり嫌?
特に敵同士で恋話やるとか

>>962
外伝もいつか書きたいなぁ…今書いてるのは昔のやつの続編です
964創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 23:10:59 ID:K1bL3bRb
若いんだから恋愛ぐらいするでしょう
965創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 20:56:10 ID:QhYpnD2x
危機の恋人(男女を問わず)を助けるために無茶をし、合理性を考えず、命令無視をするようなことが恋人間ではあるので、命令を出す側からは嫌われています。
軍隊の様な組織が,内部に感情的な問題を持ち込まない様に努力するのは当然でしょう。

感情なんて不確定な要素は兵士が駒でなくなるので、戦場や軍隊では歓迎されません。
966創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 21:24:59 ID:Jq/j21yW
>>965
だろうねぇ
もし隊長が任務ほっぽり出して女救いに行ったりしたら大問題だろうし
やっぱり戦場で恋愛沙汰は無理なんだろうね

>感情なんて不確定な要素は兵士が駒でなくなるので

無人兵器とかが作られるのはこういう背景もあるんだろうかな
いつか見た、戦車のラジコンに機関銃乗っけてリモコン操作する無人兵器はマジで怖かった
00に出てきたオートマトンみたいな
正直ぞっとするけど、撃つ側の人間に罪の意識を残さないという意味では良いのかも
967創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 17:54:53 ID:uxo5bxbD
SSを書いてて思ったんだが、作戦を行うにあたって手順を一から描写するのは読む側にとって苦痛に思えるんだろうか
何よりも絶対勝てる状況で行われる戦いは読んでいる方は面白いのかな・・・
ちょっと聞いてみたかった
968創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 20:36:10 ID:uxo5bxbD
ちょっと良いものを見つけたので甜菜
SSを書くときに企画書を作ってから書き始めれば終わりまでいけるんじゃないかな?

企画書のテンプレ

・いつ 時代
・どこで 場所
・誰が 主人公
・誰と ラスボス
・何を、何のために 動機と目的
・最初に起こること 発端
・真ん中ごろのこと 展開
・最後に起こること クライマックス
・結局どうなった 結末
・主人公は何を得たか、または失ったか
・題名
969創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:08:56 ID:uxo5bxbD
ここの住人の好きな小説、ラノベってなんだろうか
あと使ってる軍事系書籍とか
970創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:49:34 ID:BRMOK/p1
パンツじゃないから恥ずかしくないもん!
971創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:07:15 ID:uxo5bxbD
>>970
二期、おめでとうございます
ああいう色んな人に楽しんでもらえて、尚且つミリオタのツボも突ける作品を作りたい
あの作品は軍事に詳しくない人もキャラ萌えできるからすごいわ
972創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:16:54 ID:uxo5bxbD
でも軍事というジャンル自体がニッチだからなー
そこを学園でカバーできればいいんだろうけど、なかなか上手くいかない
正直キャラで作品を見せられる人はすごいと思う
973創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:35:39 ID:BRMOK/p1
>>972
キャラクターに比重移すと軍事の部分がミクロに近付くしな むしろキャラを戦争の視点分けで作り分けてみるのはどうだろう
974創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:44:39 ID:uxo5bxbD
>>973
例えば

キャラA 最前線
キャラB 司令部
キャラC 民間人

こういう感じ?
975創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:53:11 ID:BRMOK/p1
そうそう
役割分担させるの
976創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 23:13:34 ID:BRMOK/p1
75氏、創発の避難所に書き込んだ?
977創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 00:06:35 ID:fWv9a9vL
次スレで>>1にあるWWUの縛りを「戦争」に変える件だけど、みんなはいいかな?
かなりキツい縛りだと思うから変えたいんだ
どう思う?
978創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 01:14:09 ID:7x481h6N
かなり強い足枷になっているみたいだから変更は賛成
979創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 02:13:11 ID:ny2kF65B
空気読まずに投下
マイコとかの参考画像って無くなった?

http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp01144.jpg
980創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 06:31:21 ID:7x481h6N
>>979
これはwwwww
981創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 09:53:39 ID:fWv9a9vL
まとめサイト更新のお知らせ

>>978
うい
では変更ということで

>>979
乙です
ハルトスレで漫画書いてた人かな?
マナ板とかひどいいじめw
エレナもアホの子で吹いたwwwww
キャラ画像は編集忘れだったので直しました
http://www36.atwiki.jp/gakuenisland/?page=75%E2%97%86kkZO9WMBek%E6%B0%8F%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC
982創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 10:15:38 ID:6fx8J4Ai
>>979
これはいいw
二人のアホっぷりに、さすがのエーリヒも困惑ww

>>981
圧倒的まんがスレの人だと思うw
4コマもありだなー
983創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 10:55:28 ID:7x481h6N
本編でやればエーリヒ負けてたなw
984創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 12:33:01 ID:1pQkCX3L
>>979
眼帯つけたらキャラの見分けがつかねえww
985創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 12:48:56 ID:mCSC/MN4
>>979
これは戦術史に革命が起こるぞwww
986創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 14:28:13 ID:fWv9a9vL
>>982
そうだったのか
thx
絵は描けるだけですごいと思うぜ、俺w
987創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 17:03:43 ID:SSB6ME3T
縛りを変えるのと一緒にスレタイも変えた方が良いかもね
988創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:15:21 ID:7x481h6N
>>987
「学園同士で戦争が始まるようです」とか?
989創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:21:43 ID:7EfAk7SV
ニコニコ 学園島がありまして
ニコニコ 仲魔がいるんです

マイコ エレナ ユーリ

ときどきあっちむいてプン

一度あったら友達で
毎日会ったらFATALITY

アンさん ゴッチさん エーリヒ フェアリー・テール

どーなってるのこの島はドーナツ

ドレミファ ドレミファ

ドレミファ ドミネ・クォ・ヴァディス
990創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 09:36:38 ID:K5UlEGy0
おはようございます

規制食らってるので携帯から

次スレは学園同士で戦争するスレ、で立ててみます
991創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 13:16:21 ID:+rv2lj0T
学園同士じゃないと駄目なのか?
992創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 13:34:01 ID:K5UlEGy0
>>991
流石に学園同士という縛りを外したら意味なくなるんで駄目です
993創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 14:12:26 ID:kpgcyfvS
設定上学園同士は戦争してるけど、
それに関係しない話はおkだよね?
994創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 14:16:19 ID:K5UlEGy0
縛り守っていれば大丈夫です
995創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 14:22:00 ID:K5UlEGy0
1000までに次スレが立つ保証がないので今のうちに連絡します

次スレが立ったらまとめサイトにリンクを貼っておきますので、そこからどうぞ

http://www36.atwiki.jp/gakuenisland/pages/12.html

996創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 14:27:52 ID:gcETPvvZ
避難所にスレを立てておいたから、ここが埋まっちゃったらこっちおいで

次スレ立てずにうっかりスレを埋めちゃった時に来るスレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1237094685/
997創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 17:01:16 ID:+rv2lj0T
クローズに例えると鈴蘭対鳳泉はありで鈴蘭対武装は駄目なんだな
仕方ないので他に行く
998創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 20:53:27 ID:O9kDd/u3
>>997
そういうものでもいいと思うよ。
要は生徒が戦争していることが条件なんだから。
999創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 22:08:08 ID:bmxC2snC
立ててきたよ
何か不備があったらごめんよ。

学園同士で戦争するスレ 開始28年目
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1237122351/
1000創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 22:13:05 ID:K5UlEGy0
スレ立てありがとうございました
10011001
             /■\
             (_´∀`)_     創る阿呆に見る阿呆!
           /,/-_-_-_-_-_\     同じ阿呆なら
    ( (   /,, /― ((神輿))―\    創らにゃソンソン!! //
        (。'。、。@,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。@  ) )
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