いつも少数派は異常扱いされる。
18世紀の人間は細菌の存在など、全く信じちゃいなかった。しかし、そこへパスツール
というお医者サマが登場。『空気の中には小さな細菌がいて、体内に入って病気を引き起
こす』『だから良く手を洗え』皆はそのパスツール様を異常視した。
20世紀になったら、その逆で抗菌と無菌空間に拘禁する世の中になっちまった。
21世紀の人間はゆっくりの害など、全く気にしちゃいなかった。しかし、そこへ虐待お
兄さんという人種が登場。『ゆっくりは人家に忍び込んで勝手におうち宣言する』『だか
らゆっくりは虐め殺せ』みんなは虐待お兄さんを異常視した。
22世紀になったら、どんな世の中だろうか
さて、俺――佐川政一は獣やゆっくりを仕留めることで本能を満たしている者の一人だ。
職業はライフルを抱えて雪原や草原を駆るハンター、趣味はきめぇ丸を猟犬代わりに行う
狩猟。こんなことを人前で言うと、思い切り引かれるだろう。しかし、破壊衝動というも
のは原始、獲物を殺すことを史上の名誉としていた時代に培われたもので、100万年に渡
って受け継がれてきた本能だ。これが欠如している者は、自然じゃまず生き残れない。
虐待お兄さんはゆっくりを弄び殺すが、決してサディストではないし、猟奇殺人犯の卵
でもない。抱く、食う、寝ると同じように、破壊衝動に従ってゆっくりを狩るのだ。
しかし、最近は愛で派が増えているという。
愛で派は狩りが下手だった、狩猟文化時代における無能の血が流れている。
農耕の時代になって自分で進退を決める必要がなくなり、奴隷という形で生きる場所を
得た。
ゆっくりは被捕食種だった。食物連鎖における最底辺の遺伝子が組まれている。
現代社会になって愛で派の登場で餌を探す必要がなくなり、ペットという形で生きる場
所を得た。
生き延びることにのみ快感を覚える連中と、他者に従うことにのみ快感を覚える連中が、
最近になって威張りだした。そしてゆっくりと愛で派は民主主義とマスコミと結託するこ
とで、威張るための制度と手段を得た。マスコミが狩猟本能を満たそうとする少数派を攻
撃し、民主主義による数の暴力がそれに追従するのだ。
皮肉なことに、狩猟文化時代における食料と出来損ないが天下の大権を握ってしまった。
だから、俺はこのゆっくりと愛で派どもに鉄槌を下すことにした。
交差点の先の路上で遊んでいるプチトマト程度の赤ぱちゅ
りーと赤ありすを見つけた。黒いアスファルトには、紫の髪と金髪が目立つ。見るからに
”ありすたちをゆっくりひきころしてね”と言いたげだったので、交差点を渡り終えると、
道の左端に寄って踏み潰した。
轢いたところを見ると、放射状に飛び散った生クリームとカスタードクリーム、
皮が張り付いていた。
「親の哀れな姿を見てやろうぜ」
バイクから降りて、親ぱちゅりーの後ろに回り込んで様子を伺う。ちょうど、腰掛ける
のに丁度良いコンクリート塀があったので、そこに座った。見るからに、茫然自失として
いるようだった。
「ばぢゅりーのゆうしゅうなあがぢゃんだぢがああああああ!」
涙を流して地面と融合した赤ぱちゅりーに駆け寄る。死んでいるのは明らかなのに、生
クリームを吐きつつ大声を上げて励ました。