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55創る名無しに見る名無し
>>53
男はめまいのようなものを感じた。
背中を走る怖気。
すぐに次のページをめくる勇気はなかった。
(これは一体、なんのなのだ?)
男は考える。
筆跡から見てこれは彼ではない誰かが書いたものだろう。
紙の変色ぐあいから考えると、あるいは数十年前に書かれたものかもしれない。
(自分がここで小説を書き始める以前に誰か他の者が同じように執筆を
していたのだろうか?)
それにしてもと男は思う。
この構想メモに書かれている狂った男と彼自身との共通点は一体何なのかと。
単なる偶然か、それとも誰かのいたずらか(一体誰の?)
男は考えがまとまらないまま、おそるおそる次のページをめくろうとした。
その時、ノックの音がした。
男は反射的にノートを机の引き出しに隠した。
ドアが開く。
「ごしゅじんさまー!!」
元気な声をあげて入ってきたのは見た目幼女で年齢不詳の猫耳メイドだった。
彼女は編集者が、執筆に集中できるようにと送ってよこしたハウスキーパーだ。
確かそうだったと彼は思うのだが、しかし、どうも記憶があいまいだ。
「ごしゅじんさま、お客様だにゃん」
彼女はそう言って猫耳をぴくぴくと動かした。
大変愛らしい仕草だが、どう見ても付け耳には見えない。
彼女は猫又か何か物の怪のたぐいではないだろうかと男は半ば本気で
疑っていた。