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「坂本竜馬の──」
「──財宝ですって?」
生徒会長はその尖ったメガネをくいっと直すと、デスクの上で手を組んでみせた。
「我が学園を創設した一族の系譜には、かの坂本竜馬が海援隊時代に取引を行っていた商人がいたそうでね」
そう言ってデスクの上に広げた古文書らしい年代物の巻物を視線で示す。
「我が学園の敷地内にある寺院にあるらしいという古文書が見つかったのだよ」
ほうほう、どうやら慶応元年の代物であるらしい。と、いうことは海援隊の前身である亀山社中を設立したばかりの頃のもの、だな。
となると……坂本竜馬の商売の助けになった人物といえばグラバーだ。学園の創設者一族ってグラバーと関係が深いのかな?
僕は巻物に釘付けになりながらそんな事を考えていた。
が、
「で、なに? わたしたちにそのお宝を探せってことなのよね?」
まだまだ少女らしさを残したキーの高い声が、僕のドキドキワクワクしている胸をかき乱した。
「身も蓋もない言い方をするのだね、君は」
「だってそんなことに気取ったって意味ないもの。物事はシンプルに、スマートに、よ」
「そこに美学が加わってこそ一流だと、わたしは思うところだが……」
会長と意見が同じ意見だなんて、珍しいこともあるものだ。
「まぁ、それはいい」あぁ、やっぱりいいんだ。
組んだ手をほどき、会長は僕たちに指示を下した。すなわち、
「生徒会第一級指令0018号。坂本竜馬の財宝の保護任務を君たちに命じる!」
「了解です!」やる気に満ちた僕の声。「は〜い」やる気のみられない彼女の声。
とにもかくにも任務はここに下されたのだった。


「で? その財宝ってのはどんなものなの? 宝石? 金の延べ棒? それとも美術品かしら」
まったくなんて身も蓋もない言い方なんだろう。
「もうちょっと真面目に考えてみましょうよ」
真面目よォ〜、真面目も真面目の大真面目よ、と彼女はとても不真面目に応える。
僕が走らせる原付の後ろで携帯を弄ってる様子は“真面目”とは程遠いように見えるはずだ。
「ちゃんと?まっててくださいね」と僕。「しっかり?まえてるわよォ」と彼女。
生徒会長の話と巻物によると、坂本竜馬の財宝がどのようなものであるかははっきりとしていないようだ。
わかっていることは『探し求めるもの』という名前のみ。
「名前だけでどう探せっていうのよねぇ」
「一応財宝の名前と場所だけがヒントってわけじゃないみたいですよ」
「っていうと?」
「巻物には二十八宿の鬼宿がどうとか、十三詣りがどうとかって」
「ふう〜ん」
詳しい部分は解読が出来なかった。謎かけ歌のようであるというのはわかるのだけど。
「とりあえず巻物の写しはもらってきたんですし、現場で探索しながらなんとかしましょう!」
そうねぇ……なんて気のない返事を背中にしつつ、僕は財宝が眠るらしいお寺へと愛車を走らせるのだった。