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311 ◆c6PZzYalbM
「う〜〜〜〜トイレトイレ」
今 トイレを求めて全力疾走している僕は、洛陽の皇宮に住んでるごく一般的な男の子。
強いて違うところをあげるとすれば、実は後漢皇帝、献帝なんだってとこかナ――
姓は劉、名は協、字は伯和って言うんだよ。
そんなわけでボクは謁見の間からの帰り道にある城内のトイレにやって来たのだ。

ふと見ると、ベンチに一人の若い女が座っていた。
「うわ、見るからにやる気のなさそうな女の人だ」
ハッ?!
そう思っていると突然その女性は!
僕の見ている目の前で!
帯を解き、足をも隠す城内必須の正礼装を脱ぎ始めたのだ──ッッ!
カサカサッ
衣擦れの音と共に彼女は完全に礼装を脱ぎ捨てるッ!
「やっぱスウェットのが動きやすいね」
胸元には大きく「裏」の文字。礼装の下にスウェットを着込んでいた女性はポカンと口を空けて立ってる僕を一瞥して言ったのダ。
「まあいい私を崇めたてまつるれ──」
「噛んだな」
「噛みましたね」
「噛んでやんの」
「噛んじゃった──イタイ……」

【裏ハルトさんが三国志に召喚されたようです その1】

「そういうことだもんで、皇帝陛下のお世話係に雇うたオナゴだでぇ、好きに相手してつかぁさい」
それだけ言うと董卓はサッサと部屋を出て行った。くそ、あのベロ出し野郎──いつかぶちかましてやる。
で、ボクは改めて紹介された女の人に振り返ったンだ。
「ボクのお世話係なんだそうですね」
「そうなのよね。ホラ、ここの仕事って健康保険完備で福利厚生キチンとしてるってタウンワークスに載ってたもんだから」
「いや、知らないですけど」
「あ、そう」
「……、……」
「……、……」
「城の中から外とか出れないし、休みの日に遊びにも行けないと思いますよ?」
「や、遊びに行くお金もないし、下手に散歩とかしたら足首捻ってダウンするし」
「……、……」
「……、……」
微妙だなぁ、なんて微妙な空気なんだろ。ていうか、お世話係だったらもっとキチンとお世話してほしいもんだよネ。
ボクはため息をつくと机に向かった。そうだ、時間をムダに過ごすだなんてもったいない。
いつか董卓をぶっころぎゃーして国を変えていくためにもホンキをだして、勉強しなきゃ。
「本気出せば宮廷女官長くらいなれると思う」
いきなり何言ってんだこの人。
「じゃあ女官長目指してがんばってくださいよ、お仕事」
彼女はウムっと力強く頷いた。
「だから明日から本気出す」
「今日からじゃないんですか!」
思わずつっこんでしまったボクに彼女は鼻高々と答えたのダ!
「ビール飲んじゃったから無理」
あぁ、とんでもない人がお世話係になっちゃったなぁ……一際大きくため息をつくと、ボクは机に向かい、テキスト──ではなく、貂蝉オネエサマ写真集を開くことにした。
やっぱり貂蝉オネエサンは美人だ、さすが古代中国四大美人の一角だ! 写真集の影に隠れたテキストがチラと見えたけど、ボクは肘で押しやって視界から外した。
うん、明日だ! 明日からホンキだそう! 明日からホンキでがんばれば──

かくして献帝・劉協伯和と裏ハルトはここに合間見えたのでございます。この出会いが陰謀渦巻く中原に何をもたらすのか?! それは次回の講釈で!


「続くの?」
「ダルいから知らない」