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258 ◆c6PZzYalbM
お題【猛暑】

「あぢー」
「暑い暑い言うのやめなさいよね、さらに暑くなるだけじゃない。それより宿題の続きを──」
そうは言っても暑いものは暑いのじゃ。
部屋の温度は31度。部屋の中なのに31度だ!
「あぢぃ、あぢぃぜ、あぢくて死ぬぜ」
俺はベッドにごろんと寝転んだ。
「布団に横になればかえって暑いのに」
おまいの言う通りだ。ベッドに寝転んだところで何の解決にもなりゃあしない。
「あぢぃ……」
俺は激怒した! 余りの暑さに激怒した!
スパコーン!
なんて音がしたかどうかはわからない。
丸められた新聞紙が俺の形の良い後頭部を直撃したのだ。
「もぉ! あんたが暑い暑い言うからわたしまで暑いの我慢できなくなってきたじゃないの!!」
「やめとけ」
俺は心の底からの忠告をした。
「怒るとなおさら暑くなる」
「 わ か っ て る わ よ っ ! ! 」
スパパパパーン!
とかいう音がしたかはいざ知らず、丸められた新聞紙は再度俺のビュリホな後頭部を強打した。
「この暴力女メ……」
ベッドから降りようと顔を上げ、顔を上げようとして俺は目を見張った。
「お前、何してんの?」
「上着脱いでんですけど、なにか?」
イヤイヤイヤ、マテマテマテ。
「ちょっ、何でいきなり脱ぎ出すんだよ!」
「なによぉ、わたしの裸なんて飽きる程見てたくせにぃ」
何を言うか、何を言うかッ!!
「そりゃ、幼稚園とか小学生の頃の話だろうがぁッ!! 俺もお前ももう高校生だぞッ!!」
慌てる俺、フフンと笑うおまい。
「いいじゃ〜ん。フフーン、減るもんじゃないし〜」
脱いだ上着をバッグにしまい、バッグを持って立ち上がる。
「わたしさぁ、お風呂入ってくるね。もう汗でベタベタ気持ち悪いし」
そして俺を振り返った。満面の笑顔で。
「一緒に、入る?」
そうして部屋を出て行くおまい。
俺がそれを追える訳がなかった。

勝手知ったる他人の家。わたしは服を手早く脱ぎ捨て、カラっとガラス戸を開けて浴室に入る。
水のシャワーが気持ち良い。うん、これ最高。
あいつが降りてくる気配はなかった。こういうことに関してはホント信用ができる男なのだ、彼は。
とはいえ、
「まったく……このヘ・タ・レ」
それがちょっと、物足りなくもあるのだけど。
壁をコツンと小突くと、ちょっとだけ笑みがこぼれた。
まぁいい。夏はまだまだ始まったばかりなんだから、と。