「あーもう……どうして私はこうなのかしら」
「先輩だからじゃないですか?」
「な、何よあんた、後輩のくせに偉そうに!」
「ここにいる期間は同じですし、そういうことは僕よりいい成績取ってから言ってください」
「……」
「あ、そろそろ定時ですね。飲みに行きます?」
「行く」
僕と先輩は、K社の営業部に所属している。
元々先輩は財務課、僕は総務担当だった。しかし今年の人事異動で二人ともここ営業課に配属されたのだ。
今年は新入社員が入っていないので、必然的に1番ぺーぺーの僕達二人で仕事をしたり、話す事が多い。
そして僕はそろそろ慣れてきたのだが、先輩はどうも営業が苦手らしく、成績は芳しくない。
居酒屋にビールの生ジョッキをだんっと置く音が響くが、喧争の中では誰も気にも止めない。
「……で、そのオヤジ、全然こっちの言うこと聞いてくれないのよ!何様のつもり!?」
「お客様のつもりだと思いますけど」
「はあ!?あんたまでそんなこと言うの!?大体まだ向こうは金払ってないんだから、客じゃないわ!」
「……前々から思ってましたけど、先輩は容量が悪過ぎです。もうちょっと割り切って考えないと」
「その割り切りができないのよ!本当にあんたはむかつくわね!決めた、私今度からセールスの人にもっと優しくする!」
「何でそうなるんですか」
最終的に毎回喧嘩のようになってしまうが、僕としてはこんな会話をそれなりに楽しんでいる。
毎回先輩が怒るようなことを言ってしまう。
先輩も毎回怒るけど、飲みに誘うと毎回来る。
内心ずっとこのままならいいと思ってしまうが、先輩に言うつもりはない。
「ちょっと、何にやにや笑ってんのよ?」
「気のせいですよ、酔ってるんじゃないですか?」
「きー!」
僕はそっと微笑みながら、ジョッキをぐいっと傾けた。
文が抜けてた。すまん。