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176パパのヒマワリ 8/8
 そしてある時。
『運命は残酷だ。母さん、俺はどうすればいい? 由美を置いて逝けるものか。由美は君
がいなくなった悲しみからも立ち直れないでいるのに、俺まで死んでどうする。由美のた
めに何ができるんだろうか。
 追記
 さっき、由美に怒られてしまった。父さんの弁当はまずくて食えないんだってさ。そりゃ
そうだよな。俺、何やってるんだろう』
 パパがガンを告知された同じ日に、私はなんていうことを言ってしまったんだ! パパ
が必死で明るく努めているのをどうして見抜けなかったの!
 次第に暑さで汗ばんでくる。荒くなってくる息を整え、続きを読む。
 それからは毎日、辛そうだった。私をどうしたらいいのか悩んで苦しんでいた。そして
パパの亡くなる一週間前の日記。
『苦しい。頻繁に動悸が激しくなる。仕事も手につかない。まずい、どうしよう。まだだ、
まだ駄目だ』
 この頃になると字の感じもだいぶ変わってきていて、この日の日記は震えが止まらない
ようで、小学生が書いたような字になっていた。
 毎日、繰り返される。
『駄目だ。まだ駄目だ』
『駄目だ。まだ駄目だ』
『駄目だ。まだ駄目だ』
『駄目だ。まだ駄目だ』
 そして、死の前日。ヒマワリの前で話した日。
『もう、大丈夫』
 その文字を見た瞬間、感情が堰を切って溢れ出し、声をたてて泣き喚いた。パパが私に
注いだまっすぐな愛情。ちょっと変わったヒマワリで、ずっとそっぽを向いていたけれど、
今はまっすぐにその愛情の方を向いているよ。
「パパ、ごめんなさい……そして、ありがとう」


「まぁ、よく似合ってるわ」
「ありがとう、叔母さん。叔父さんは、どう?」
「……あの人ったらまだ泣いてるみたいなの。あなたを他の男の所にやるなんて、ですっ
て、ふふふっ」
「もうっ、叔父さんたら」
 パパ、私は今日結婚します。きっと、ママと見に来てくれてるよね。私は幸せよ。だっ
て、パパとママみたいな素敵な人たちの娘なんですもの。
「でも、本っ当に似合ってるわぁ。そのコサージュも素敵よ」
「えぇ、そりゃそうよ。だってこれはパパのヒマワリなんですもん!」
 夏が近づくといつも思い出す。あの日、パパと眺めた一本のヒマワリのことを。



というわけで以上です。オチとかなんもない空気だけのお話
長い割に、結構端折ったので微妙な感じかな……
またなんかあったら書きにきます