>>56 >>130 両親の夫婦げんかを目の前で見ることくらい、子供にとって辛いことはない。
兄弟は顔を見合わせ、ため息をついた。
さっさと部屋に戻ろうにも、明日の仕事の打ち合わせがまだ終わっていないのだ。
「俺は聞いてないぞ、腐女子でふたなりでスカトロだと?」
「知らなくて当たり前でしょ、人に言えないから黒歴史なんだから」
「ずっとつきあってたのに、気がつかなかった……もしかして、お前、他にも隠し事が?」
「ないない、私の青春はコミケと同人一色だったから」
「青春って……。お、おれと付き合っていながら……」
「付き合うも何も、ずっと一緒にいたじゃない。ほら、空気のような存在って言うか、
家族同然って言うか、お互い緊張感はなかったよねー」
がっくりとおとうさんが肩を落とす。
机に両手をつくと、絞り出すような声で呻いた。
「お、おれは、いつもお前のことしか考えてなかったというのに……。
出会った瞬間に恋に落ちて、それからはずっとお前だけしか見てなかったのに」
お父さんの頭の中に、走馬燈のように、二人の思い出が駆けめぐる。
「今も覚えてるよ。笑顔で駆けてきて、きゅっと抱きついてから今日は何するの?って、
上目遣いで見上げるんだ。――あの頃のママは天使のようだった」
はあー、とママが息をついた。あきれたように吐き捨てる。
「昔のことじゃん」
「昔って……」
ちょっと涙ぐんだおとうさんに、ママが冷たく言い捨てた。
「覚えてるわけないじゃん。だいたい私が幼稚園に入ったとき、あんたいくつだったのよ。
保父が園児に恋するなんて、リアルなロリはエアーな腐より悪いって思わないわけ?」
「あ、愛に年の差は関係ない」
「年の差、じゃなくて年齢の問題! どこの誰が3歳児と恋愛しようと思うわけよ?
君のお漏らしパンツは僕が洗ってあげるからね、なんてにこにこして言いやがって!
恥ずかしくないのか、このド変態のスケベ親父」
「言ってはならないことを……ママ、ひどい」
二人の喧嘩は続く。兄弟はまたため息をついた。
腐女子の母に、リアルロリの父。両親の真の姿をこんな形で知りたくはなかった……。
以上です。
>>124 とその後のリクエストの中で書けそうなお題にチャレンジしました。
また書けたときには投下します。楽しかったです。読んで下さった方、有難うございました。