>>99 オナニー直後にファイル消すのと同じくらい危険
>>99 勢いのままに投下してしまうのも乙なものじゃぞ
そして勢いで投下して起きてからうわぁぁぁぁ!!
ってなるのも悪くないでござるよ
主人公の男の名前何にしよう
和風?洋風?中華風?
和風でw
貴久
健一
源内
このスレ誰もいないの?
今皆長編書いてるとかそういうこと?
今、練ってる最中。まだまだ…
反応すごっw
みんなROMってたのか
書きたいと思うようなリクが来るまではROMるしかないんでね?
>>115 まだ人いるのか。俺が見くびってたようだな
ブラックホール待ってるんだけど・・・書いてくれてた人、いるかな?
人がいないように見せかけていざとなるといっぱい出てくるのが創発民
1匹みかければ30匹いるとの評判はだてじゃない
ぶっちゃけ誰かの書き込みを待ってるROMがやたら多いってことだな
声帯が潰されたかのような気がした。全身の血の気はひき、部屋に漂う血の香りに
吐きそうになる。奈美は……奈美は何をやったんだ。いや、答えは出ている。
俺はそっと奈美の顔に目をやった。奈美の口元から、小さくフーっと溜息が漏れた。
「バレちゃったか……。こんなに早くバレるはずじゃ、なかったのにな」
「何を……言っているんだ」
俺は目を背けたくなる気持ちを抑え、うずくまる男を静かに見た。
腹の辺りから大量に出血したようで、男の倒れている辺りは血で真っ赤に染まっていた。
もう死んでいるのか、うめき声もあげていない。
その男の顔は(うつむいていてはっきりとは見えないが)とてつもなく美しい男だった。
芸能人でもそうそういないだろうという、20歳くらいの中性的な顔立ち。
恋愛関係のもつれか。俺とっさにそう思った。こんな状況なのに、いや、こんな状況
だからなのか、俺の頭は妙に冴えていた。
「奈美、警察に行こう」
「……いや」
「奈美!」
「あのね、信じられないと思うけど、この人、人間じゃないのよ」
奈美は男にちらりと視線をやり、言った。今まで見せたこともない、冷たい表情で。
「そんなことはない。この男がどんな奴だったかは知らない。でも、人間じゃない奴
なんて……殺してもいい奴なんていない!」
俺がそう言うと、奈美は薄く笑った。
「まぁ、信じてもらえないよね。あと15分……、ううん、10分くらい待って」
「……自首は早い方がいい」
「わかったから、とりあえず10分くらい待ってて。今、お茶出すから」
「こんな部屋でくつろげるわけないだろ」
俺は改めて部屋を見渡した。奈美と男は揉み合ったのか、テーブルの位置はずれていて、
小物が部屋に散乱している。
「こういうのは早い方がいいんだ、早く警察……に……?」
俺は目を奪われた。男の足が、さらさらと消えてなくなる砂のように、形を失っていく。
足先、ひざ、大腿部、腰……、次々と溶けてなくなっていく。
「な……なんだこれは?」
「ん?あれ、もう来たのかな?」
そう言って奈美は台所から戻ってきて顔を覗かせた。そしてくすりと笑った。
「だから言ったでしょ?これは人間じゃないって。自首する必要もないよね?」
奈美がそう言ったときには、男の胸部、いや、鎖骨の辺りまでが消え去っていた。
気づけば、俺の足元にこびりついていた血痕も消えていた。
「これは、夢か……?」
「夢じゃないよ、現実。わかるでしょ?」
奈美はテーブルの位置を戻し、小物を片付け、それからナイフを置いた。
「説明……してくれるか?」
「そうだね、まぁいいかな。さっきの男はね、ブラックホールなの」
「話が見えない」
「だよね……。そうだな、じゃあさ、ブラックホールって知ってる?」
「……宇宙にある、何でも吸い込む黒い……穴?」
「なんだ、よくわかってないんだね」
奈美は笑って、それからソファーに腰掛けた。空いている隣をぽんぽんと手で
叩く。座れということか。俺は奈美の隣に腰掛けた。
「さっきの男は太陽の質量の10倍くらいのブラックホールから生じたの。
知ってる?このくらいの規模だとね、恒星の進化の最終段階、って言っても
いいくらいなの。わかる?進化の最終段階だよ?」
奈美が俺の目を見据えて大真面目な顔で語っている。頭が奈美の話についていけなかった
が、俺は必死に頭を回転させた。からかっているわけではないことくらい、雰囲気と状況
でわかる。
「光ですら逃げ出すことができない、圧倒的な重力を持った究極の天体……であるはず
なのよ、本当はね」
奈美が静かに笑った。
「でも、そんな究極であるはずの天体も、ホワイトホールの存在によって底の破けたバケ
ツみたいに何でも抜け落ちてしまう欠陥品になってしまう」
なかなか先の見えない話に俺は苛立ってきた。奈美のことは何でも理解しているはずだ
った。なのに、この、蚊帳の外に追いやられていたかのような疎外感は何だろう。
俺の知らないところで、何が進行していたのだろう。奈美は、何者なんだ。
「そんな宇宙の話が、一体何だって言うんだ。俺達には関係のないことだろう!」
俺は声を荒立てしまった。気づけば立ち上がり、ソファーに腰掛ける奈美を見下ろす格好
になっている。
「わからないかな、私がホワイトホールなのよ。彼ら、つまりブラックホールを、不完全
なものにしてしまうお邪魔虫ってわけね、向こうから見れば」
奈美を俺を見上げて、事も無げに言った。一瞬、頭が真っ白になる。
血痕も死体も消え、日常を取り戻しつつあるこの部屋に、沈黙が流れた。
「何なんだよ、それ……。わけが、わからない……」
これが何かの冗談だったら、俺はどれだけ救われただろう。でも、目の前で血だらけの
人間が砂になり消え去る現象を見てしまった。現実から逃げるわけにはいかない。
前回との整合性取れてませんが、何とかなるよう努力します
もう少し、需要のあるなしに関わらず続けさせてください
暇ができたので、今後は多少スピードアップできるかと、わっちは思いんす
やっぱりやめた 反応全くないし
>>120 反応は待つものではない。勝ち取るものである。
飽きっぽいならショートショートにすればいいのに。
短編ならあんまりアラも目立たないし。
124 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 20:09:51 ID:97O345hz
暇だし寝る前にリクエストまとめちゃう
漏れや間違いがあったらゴメーヌ
一行にまとまらないのは詳細略ってつけてるから各自確認してね
>>5 ヤンデレ、そしてツンデレ
>>7 矢作俊彦の文章でのジャック・ヒギンズのショーン・ディロンシリーズが読みたい
>>13 不器用な少年が、クラスのアイドルに恋悩むストーリー
>>21 萌える女装少年
>>26 明智小五郎 怪奇事件簿(詳細略)
>>27 学校の階段(詳細略)
>>40 廃墟で小説を書き続ける男(女)(詳細略)
>>43 複雑な小学生の恋愛もの(詳細略)
>>56 ブラックホールに住んでる伝説の一族を相手にした話
>>61 色々なジャンルのオタクやマニアについての描写
>>70 触手に襲われる美女
>>76 殺人鬼が主役の話
>>81 主人公が復讐の為に人を殺す話
126 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 18:16:39 ID:gUKv3UCP
古典文学を焼きなおしたような小説がほしい
>>27 学校の怪談
「先生、怖い話してー」
子供というものは怖い話が好きだ。毎年、新しく子供が進級してくるたびに、私はそう思う。
「うーん、じゃあとっておき、身も凍るような話をしようか」
期待に満ちたキラキラと輝く眼差しに見詰められ、私はゆっくりと話し出した。
――昔、まだ先生がこの学校に着たばかりの頃の話。
まだ校舎の建て替え前で、古い木造の平屋の教室だった。
戦時中は避難所に使われていたため、身寄りのないまま亡くなった人の骨や遺品が
ひっそりと物置の隅に安置されていた。
夜になると、母を呼ぶ子供の声や、子を探す親の声がどこからともなく聞こえてきたりもしていたという。
先生は聞いたことはなかったんだけどね。
宿直で泊まると、時折、飛行機の音や空襲警報が聞こえてくることはあった。
火の玉? いや、そういうものは見たことがない。残念ながら。
「ぜんぜん怖くなーい」
そうだね。もうちょっと待ってね。
冬の夜、いつものように私が学校の宿直室で夜を過ごしていたときのこと。
表で小さな子供の声が聞こえたんだ。
プールに行こう、あそこなら大丈夫、ってね。
大丈夫も何も、冬のプールは薄氷が張った上に雪が積もるから、落ちたらまず助からない。
大人でも、一瞬で心臓が止まる。嘘じゃないぞ、みんなよく気をつけるんだよ。
上着を羽織る間もなく駆けつけると、小さな子供が二人、佇んでいるのが見えた。
そこは危ない、こっちへ戻りなさい、そう言って駈け寄ったときに気がついた。
雪の上に残った足跡は私のものだけ。
子供の足跡は見あたらない。
ぞっとして立ち止まると、子供たちがゆっくりと振り返った。
にい、と笑った顔は土気色で、生気がない。
「先生も、こっちに来たんだ」
言われて思い出した。校長が葬儀に出かけた先は、昨日の空襲で亡くなったこの子たちの家だった、と。
「わわわっ」
私は大声を上げて逃げ出そうとした。その足を、冷たい手が掴んで、水の中へ引きずり込もうとする。
足がずぶっと氷水に浸かった。
あまりの冷たさに、声も出ない――。
しばらくの沈黙があった。聞き入っていた子供たちが魔法からとけたように騒ぎ出す。
「先生?」
「身も凍る、ってそこで終わりかよー」
「そう、これで終わり。夜の学校は怖いから、暗くなったら来ちゃダメだよ。さあ、お帰り」
ぶーぶー文句を言う子供たちを追い出しながら、私は笑った。
明日の朝になれば、あの子たちは身も凍る、を本当の意味で知るだろう。
今の私は、すでにこの学校の教師ではない。
あの夜、水の中で息絶えた私は、ただ霊体となって、ここに居着いているのだから。
>>127 おお・・・
パターンとしては想定の範囲内だが、
それでも想像するとゾクッとくるな・・・
幽霊の怪談かよ
ゾクっとくるな
130 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 14:54:54 ID:FU69vAOg
リクエスト
父親は保父さん
131 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 18:54:47 ID:FP5bi6JQ
リクエストは
F1とかレースもの
公道レースではなくちゃんとサーキットを走る系
132 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 21:17:02 ID:XEbNEAT0
>>128 ウリは、『学校そのものが存在しなかった』というオチを想像したのだがw
怪談話してる人達というか、出てくる人全部幽霊、っていうw
>>40 廃墟で小説を書き続ける男
見渡す限り荒涼とした風景が広がる、小高い丘の中腹にぽつんと机が置いてある。
その机に日がな一日腰を下ろし、男は小説を書き続けている。
眼下には赤土の荒野が、吹きすさぶ風に土埃をたてている。
動くものといえば、背の低い草木から吹き飛ばされた枯れ枝が時たま見られるくらいで、
生命の息吹を感じられるものは何一つとしてなかった。
「せんせい」
背後から声が掛かった。しっとりと落ち着いた女の声だった。作家は振り向き、笑みを浮かべる。
「来てくれたのか。まだ出来上がってはいないのだよ」
「お急ぎになることはありませんわ。わたし、待っていますから」
「いや、もう少しで終わる。――退屈だったら辺りを散歩してくればいい」
女は柔らかな笑みを浮かべ、作家の側に歩み寄った。
白い手をさしのべると、無骨な男の手を細くしなやかな指で包み込む。
「おそばにいますわ。もしお邪魔でなければ」
女の暖かな体温が、ペンを握った指に伝わった。書かなくては、と男は思う。
「何を書いていらっしゃるの」
問われて男は手を止めた。あと少しで書き上がる。少し休憩しても構わないだろう。
「自叙伝だよ。わたしのこれまで生きてきた道筋だ。生まれてから――これまでの」
ごく平凡な人生だった。田舎町のヒラ警官として、日々交通整理に明け暮れた。
他人から見ればつまらない生き方だろう。だが、それで十分じゃないか。
「しあわせでしたか」
彼女が問いかけた。もちろんだ。貞淑で優しい妻がいて、子供たちは育ち、自立した。
妻は車をさばく私の指の動きが素敵だといつも褒めてくれていた。
これから先、定年後の人生は妻と二人、庭いじりでもしながら心穏やかに過ごすのだ。
――これから先?
違和感があった。
「せんせい、作品はまだ途中です」
私は胸を押さえた。
「奥様からの伝言をお預かりしています。――愛するあなた」
差し込むような痛みが走った。目の前が暗くなる。
「仕事をしているあなたの姿が大好きでした」
包み込むような彼女の声が遠く聞こえた。
「せんせい、作品が終わるまで、わたし、待っていますから」
「気がつきましたか」
白衣の女性が横から覗き込んでいた。消毒薬の香りが漂う。
「あなたは十日も眠ったままだったのです。どこか痛いところはありますか」
痛みは全身にあった。だが、それよりも私は聞きたいことがあった。
「あれは……わたしの妻はどうしましたか」
自分のものとは思えない、かすれたうめき声が漏れた。看護婦は逡巡する様子を見せた。
「奥様はお気の毒でした。……即死でした」
何度か息を整え、私から目を逸らしたあと、彼女は低い声で告げた。
私は両手で顔を覆い、ぼろぼろと涙を流した。
そうだ。
全て、思い出した。
二人で庭のバラの手入れをしていたときのことだった。
いきなり庭に飛び込んできた車にはねられ、人形のように宙を舞う彼女の姿も。
そして同時に私もはねとばされた。その一瞬、運転席から振り返った男の顔も……。
「――なんということだ」
何もかも、失ってしまった。
看護婦が呼んだのだろう、後輩の警官が部屋に入ってきた。
散歩中の私たちをはねた車が見つかったものの、車は大破しており、
運転者が誰なのか分からないままなのだと彼は言った。
運転手の顔は覚えている、そう私が言うと、彼は写真を出して見せた。
「この中の誰が運転していたか、証言していただけますか」
私は頷いた。ふと妻の声が聞こえた気がした。
「この男だ」
警官の示す写真の一枚を――私は、指で、さした。
135 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 22:49:08 ID:eiBgIhEM
? 誰か解説して
続きがあるんじゃないのか?
犯人の男がどうこうは、単に覚えていただけって事か。
前半の、臨死体験というか走馬灯というかの部分には関係ないんだな。
そこら辺絡めて欲しかったかも。
でも、前半部の雰囲気は好きだなー。
>>40 >>81 廃墟で絵を描く女
崩れかけた廃屋と、朽ち果てた柵で囲まれた瓦礫の街。
その中心部の、今は壊れて跡形もない噴水のあとに、ぽつんとイーゼルが置いてある。
女画家が真剣な顔つきで上下左右に絵筆を動かしながら、仕上げに入っている。
しんと静まりかえった町に、イーゼルに向かう女の影だけが小さくゆらめいていた。
「ふう、あと少しだわ」
造形作家は腰を伸ばして、辺りを見回した。そろそろ約束の時間だった。
「せんせい」
衣擦れの音がして、女がいつものように足音もなく現れた。落ち着いた柔らかな声は
いかにもキュレーターの職にふさわしい。
「時間厳守ね。こちらももうじき完成するわ」
画家は振り返って女を見た。逆光の中、黒くシルエットが浮かび上がる。
「おめでとうございます」
女が微笑んだ。
「この絵は……可愛いお嬢さんですね、赤い薔薇に囲まれて」
「ええ、娘のために描いたの。誕生日には薔薇を贈るって約束だったから」
画家は笑みを浮かべた。女手一つで育ててきた自慢の娘だった。
家庭に恵まれなかった画家にとって、娘はやっと手にした憧れであり、宝だった。
この子さえいれば、この子のためなら何でも出来る、そう思っていた。
「掌中の玉ですね」
もちろんそうだ。娘は、あの子は私の全て――だった。
「せんせい?」
ふ、と画家は胸に違和感を感じた。不安とも似た息苦しさに、目の前が暗くなる。
手にした絵筆がずん、と重くなった。
「せんせい、仕上げの署名がまだです」
画家は目を閉じ、両足に力を込める。女の声が遠くで聞こえた。
「署名をお忘れないよう」
「大丈夫ですか」
横から覗き込むように体を支えて、婦警が声をかけた。
「ええ、大丈夫。ちょっと目眩がしただけ」
彼女は気遣うように私を見て、ぎゅっと肩を抱きしめてくれた。
目の前、少し離れた被告席に男が立っている。目があった。
薄ら笑いを浮かべた男は、数え切れない前科を持つ性犯罪者だった。
「子供の方から誘惑してきたんだ、片親で身持ちの悪い母親を見て育ったから
遊ぶ金が欲しかったんだろう。殺す気はなかったんだ」
男が、まるで自身が被害者のような口ぶりで訴える。
何度も、同じ言い訳をしてきたのだ。
そして何度も、軽い罰で許されてきたのだ。
「刑務所に入りますよ、それでいいでしょう」
たった6才の子供を殺してすら、公平な裁きはなされないのだ。
私は立ち上がった。耐えきれずに法廷を出ると思った婦警が気づいて
制止する前に、被告席に駈け寄った。
手の中の銃を構える。
どこからか悲鳴が上がった。私は指に力を込めた。
――赤い薔薇がぱんと散った。これは娘へのプレゼント。
最後に間近で見た男の顔は、ぽかんと口を開けた間抜け顔だった。
数発撃ち込んで、最後に一発残したところで銃を口にくわえた。
制止する声が、駈け寄る足音が、うるさく響く。
すべて、終わったというのに。
目を閉じれば、愛おしい娘の姿がイーゼルの横にぽつんと見える。
「もうちょっと待っててね、署名をしたら一緒に行くから」
娘が笑った。私も微笑んで引き金を引いた。
解説ないと分からないのはダメだなあ、と。
反省しつつ、もうちょっと精進します。
意味不明なままだと気持ち悪いだろうな、と思うので書き足します。
一応、解説らしいもの。
この世ではないどこか生と死の狭間のような場所=廃墟です。
そこの管理人というか、案内人というか、狂言回しが、女。
そこに来た人=自分の人生と関係した何かを作りながら気持を整理している。
走馬燈のように。。と臨死体験でありますが、アレです。
>>134 男は交通整理のお巡りさんで一生を終えた、うだつの上がらない人間ですが、
妻との老後を楽しみにしていた矢先に暴走車にはねられ、廃墟にやってくる。
自分史を書き”終わる”=死(のつもり)ですが、犯人が捕まっていない・警察官として最後まで
仕事をして欲しいと妻が願った=交通整理で指さす姿が好き=最後の写真指さしと絡めて、
妻の敵を討ったということで書いてみました。
わかりにくかったですね。
>>139 元ネタがあります。クラウス・グラボウスキー*犯罪者です
ttp://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/bachmeier.html 読んで下さって有難うございました。
>>140 もうちょい、イメージ的な部分を強調した方が
いいんじゃないかと思う。正直、交通整理の警察官とか、
田舎じゃあんまり見なかったりして、イメージわきにくい部分あるしw
交通整理の指差し確認を、もっとイメージ情報として強調しておけば、
すんなり最後のオチが入ってきたんじゃないかと思う。
二本目は、読む前に解説から読んじゃったから、とりあえず感想はパスでw
142 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 21:22:41 ID:kgTCedXz
二本目、日本語がちょいちょい変だよね
マニア
料理研究家にして紅茶マニアである佐藤ひとみ、26才。
彼女の一日は、4時半の目覚ましの音と共に始まる。
きっかり2度目のベル音で飛び起き、窓のカーテンを開ける。
食事前に軽くシャワーを浴びて、ピンク色のバスローブを羽織り、朝食の準備をする。
朝はパン。その日の気分で茶葉を選ぶ。台所の棚にはびっしりと紅茶の缶が並んでいる。
今朝は甘めのフレンチトーストに、ミルクティー。
アッサムの茶葉を一人分3g、300ccの熱湯で蒸らして3分。
ガラス製のポットは、透明な湯が徐々に色づくのを眺めて楽しめる。
ミルクは低温殺菌牛乳を8cc、垂らす程度に。
アッサムはCTC、細かな丸い茶葉がさらさらとこぼれ落ちるのをわくわくしながら眺めた。
「濃厚な中にふんわりと漂うミルクの香り、ほろ苦さがいいわあ」
食後の気分転換には、ストレートティーをおかわりで。
あらかじめ暖めてあったティーポットにダージリン2gときっかり95度の熱湯を注ぎ、
十分にジャンピングさせた香りの良い紅茶をカップに淹れる。
ダージリンのふんわりとした大きな葉がかさかさと揺れ動くのをうっとりと見つめた。
銀色に輝く新芽はゴールデンチップス、高級な茶葉の証でもある。
「うーん、この何とも言えない青い芳香はファーストフラッシュならではよね」
手元には常に温度計と、秤、計量スプーンが用意されている。
もちろんカップも使い分けられるよう、茶葉に会わせていくつも用意してある。
水の種類、硬度、温度、蒸らし時間や、注ぎ方、そればかりではない、
カップの材質形状によってさえ、紅茶の味は変わる。
この奥の深さがなんともたまらない。
同じ農園、同じ時期に取れた茶葉でさえ、比べてみれば味が違う。
こんなことは紅茶マニアとしては当たり前、初歩の知識だ。
「ウバのメントール系の香りもいいけど、ディンブラの薔薇の香りも捨てがたいのよね」
シッキムの優しさは今の気分にはもの足らない。
かと言ってキームンのスモーキーさは今日の気分じゃない。
どちらを水出しアイスティーにしようかと、タルボ茶園のダージリンを飲みながら真剣に悩んだりする。
両方の缶を開けたり閉めたり香りを嗅いだりかき混ぜたりして、ひとみは幸せな時間を過ごす。
朝6時、出勤。
持参の水筒の中には、オンザロックで作ったアイス・ヌワエラリアが入っている。
すっきりとした喉ごしが、仕事の邪魔にならないのだ。
おやつに焼いたクッキーには、ニルギリが練り込まれている。
鞄の中には分厚い紅茶本。
産地や品種、茶園やシーズン、茶葉の写真までもがしっかり網羅されている。
もちろん全て頭の中に入っている。それでも眺めていると幸せな気分になれるのだ。
そのころ警察署では男がいらついた様子で警官に詰め寄っていた。
「何度も言うように、僕はごく普通のマニアにすぎないんです。
それも佐藤ひとみのマニアってだけで、彼女も同じマニア道を極めようとしている者同士、
誰よりもわかり合えると思うんです。
そりゃあ見詰めたり、写真を撮ったり、盗聴器を仕掛けたりはしましたけど、
なにも特別なことではないですし」
「……それはきみ、立派なストーカーだ」
あきれたように警察官が肩をすくめた。
オチwww
マニアのマニアww
>>61は
>>143で
>>70 触手に襲われる美女
透明なアクリルの仕切り窓から、男が一人、閉ざされた室内を覗いている。
狭い部屋の中には、うら若い乙女の姿があった。彼女は突然この場所に連れてこられたのだった。
黒目がちの大きな瞳が不安そうに左右に揺れた。
細く長いしなやかな手足と、ぷりぷりとしたナイスボディー、艶やかに輝く透き通るような肌。
男の欲望を煽りたてる、人間離れした美しさだった。
彼女は困惑しながらも、脱出口を探すためにそろそろと身を起こした。
音を立てないよう、ゆっくりと歩を進める。
辺りを見回しても、見覚えのない室内には灰色の円形オブジェが置いてあるばかり。
と、ぞろり、と床から何かが起き上がった。
それまでは単なる置物にしか見えなかったオブジェが、突然大きく弾け、
粘液に塗れた無数の触手をごぼごぼと吐き出してきたのだ。
互いに絡まり合い、鞭のようにしなりながら狭い部屋の中を四方に向かって伸びて行く。
彼女は悲鳴を上げた。
悲鳴に反応したのか、触手は向きを変え、一斉に彼女に襲いかかってきた。
ぬらりと肌に触れたおぞましい感触に、彼女は思わず飛びすさる。
が、逃れた先にも、ゆらめきながら透明な腕が伸びる。
後ろは壁、もう逃げ場はない。
ぬらつく触手の一本が女の足に絡みついた。
続いて別の一本が、更に数本が足に巻き付き、女の動きを封じた。見る間に全身を触手が覆う。
「いや、いや……ううっ、やめて」
首筋を嬲られて女は叫び声を上げた。
数え切れない触手に搦め捕られ、どうやっても払いのけることができない以上、
悲鳴を上げる他に為す術はなかった。
「ああ、そこは……だめ、よう……」
弾けそうな若い体を、ぴちぴちの肌を、粘ついたミミズ状の管がいやらしく這い回る。
女は逃げ場を探して手足をばたつかせ、ふりほどこうと身をもがく。
「あぅ、あっ、あんっ」
足の付け根に到達した太い触手がむりやり細い隙間を押し広げた。女はいやいやをするが、
粘液で滑る侵入者を押しとどめることは出来なかった。
「や、やめてえ、お願い、だれか助けて……あううっ」
足の付け根の繊毛を楽しげにくすぐり、柔らかなヒダをかき分けて、邪悪なモノが割り入ってくる。
粘つく先端が蛇のように互いに絡まりながら、無理に隙間を広げて、敏感な奥へと潜り込む。
「ら、らめえ……そんなの、らめ……」
女が丸まった体をびくんびくんと痙攣させた。もはや触手の為すがままだった。
ぱこん、と後頭部に軽い衝撃があった。
振り向けば、丸めた新聞紙を手に、白衣を着た鈴木嬢が立っていた。目が怖い。
「い、いつから……」
「あんた馬鹿じゃないの? いい年して触手だの、らめえー! だのって。――ちょっとどいて」
女史はあからさまな軽蔑の眼差しで、足でどん、と乱暴に椅子を横にどけると、
隣に並んで水槽の中を覗き込んだ。
何のことはない、イソギンチャクとカラフルなエビが水流に負けずに元気に動いているだけだ。
「うん、いい調子で共生できてるじゃない。あとさあ、これ、オトメエビじゃなくてモエビだから」
「萌え美ですか。うん、それもなかなか……」
言い終わる前に、もう一度頭を新聞の筒で殴り、彼女はさっさと出て行ってしまった。
つくづく思う。3次元の女性は全くもって難しい、と。
うはwww
妄想オチキタコレwww
でもここから恋物語が始まるんですよね!(多分違う
148 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 22:36:44 ID:1hQ2eKRK
いいよ!いいよ!
妄想癖のある女は俺の大好物w
よく読むんだ。
アクリルの仕切り窓から覗いているのは――
イソギンチャクモエビの別名はセクシーシュリンプっていうんだぜw
いつもお尻をぷりぷり振ってるセクシーガールだw
>>150 思わず画像検索したw 結構派手なのな。知らなかった。
>>56 ブラックホールに住んでる伝説の一族を相手にした話
私は決死の思いで宇宙船を操舵し、世界の果てと言われるこの場所――伝説の一族の元へとやってきた。
そう、彼らは金次第でこの世の全てのモノを跡形もなく消し去ることができる、破壊のプロ集団。
私は自分の未来を託すため、ここに来た。
決して人目に触れてはならない、あるものを完全に滅し尽くすために――。
「依頼者というのはあんたか」
突然、モニターに中年男の顔が映った。
年齢に応じた深みのある、苦み走った男の顔だった。
「初めての客には、作業前に説明を兼ねて我々の紹介映像を見て貰うことになってる。
仕事の話はそれからだ」
私は頷いた。
「では、始めよう」
画面が切り替わった。軽快な音楽が鳴り響き、そこに先ほどの男の姿が映った――。
『宇宙で鳴らした俺たち特掃部隊は、巨大隕石を処分し、宇宙塵を掃除させられたが、
銀河系を脱出して古巣に戻った。
しかし故郷でくすぶってるようなおれたちじゃあない。
筋さえ通りゃ金次第でなんでも吸い込んでのける命知らず、不可能を可能にし、
超大質量ブラックホールを使って素粒子レベルで破壊する、
俺たち特(殊清)掃部隊ブラックホール・ファミリー!
俺は父親、ジョン・スミス。通称おとうさん。
降着円盤形成の名人。俺のような天才策略家でなけりゃ、百戦錬磨の強者どものリーダーはつとまらん。
私は母親のエミー・アマンダ・アレン。通称ママ。
チームの紅一点、シュバルツシルト半径からの脱出はお手のもの。
お待ちどう、長男のマードック、通称クレイジーモンキーだ。
産廃処理の腕は天下一品。X線?宇宙ジェット?だから何?
次男のバラカス、通称コング。
重力場の天才だ。超新星でもぶんなぐってみせらぁ。でも、特異点だけは勘弁な!
俺たちは、道理の通らぬ世の中に敢えて挑戦する、頼りになる神出鬼没の
特掃野郎ブラックホール・ファミリー!
助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ』
このまま帰ろうかと思った。真剣に。だが、私には他に頼る場所もないのだ。
「で、ブツはなんだい?モノによっちゃあ、かなりの額をいただくことになる」
おとうさん、が身を乗り出した。私は覚悟を決めた。
「この段ボールの中身を処分して貰いたい。極秘に、確実に、全てを、だ」
中には中学の頃に書いた詩集や高校の時に書いた萌え絵や、
学生時代に書いた触手系エログロホモ同人誌がぎっしりと詰まっている。
思い出すだけで首をくくりたくなる黒歴史なのだ。今も、びっしょりと背中に汗をかいている。
「……自分でゴミに出せばタダだよ」
鼻をほじりながらおとうさんが言った。そんな、と立ち上がると、横からママが引き取った。
「気持ちはよーくわかるよ、確かに引き受けた。安心しな――私も腐女子時代には
人外系ふたなり陵辱スカトロものに、どっぷりとはまったことがあったからね、人ごととは思えないのさ」
目をむくお父さん、壁際に下がる二人の息子――伝説の一族の家族会議が開かれたのは、
その夜のことであった。
ワロタw
つかこれ、連載できそうじゃね
このノリはいいなw
>>56 >>130 両親の夫婦げんかを目の前で見ることくらい、子供にとって辛いことはない。
兄弟は顔を見合わせ、ため息をついた。
さっさと部屋に戻ろうにも、明日の仕事の打ち合わせがまだ終わっていないのだ。
「俺は聞いてないぞ、腐女子でふたなりでスカトロだと?」
「知らなくて当たり前でしょ、人に言えないから黒歴史なんだから」
「ずっとつきあってたのに、気がつかなかった……もしかして、お前、他にも隠し事が?」
「ないない、私の青春はコミケと同人一色だったから」
「青春って……。お、おれと付き合っていながら……」
「付き合うも何も、ずっと一緒にいたじゃない。ほら、空気のような存在って言うか、
家族同然って言うか、お互い緊張感はなかったよねー」
がっくりとおとうさんが肩を落とす。
机に両手をつくと、絞り出すような声で呻いた。
「お、おれは、いつもお前のことしか考えてなかったというのに……。
出会った瞬間に恋に落ちて、それからはずっとお前だけしか見てなかったのに」
お父さんの頭の中に、走馬燈のように、二人の思い出が駆けめぐる。
「今も覚えてるよ。笑顔で駆けてきて、きゅっと抱きついてから今日は何するの?って、
上目遣いで見上げるんだ。――あの頃のママは天使のようだった」
はあー、とママが息をついた。あきれたように吐き捨てる。
「昔のことじゃん」
「昔って……」
ちょっと涙ぐんだおとうさんに、ママが冷たく言い捨てた。
「覚えてるわけないじゃん。だいたい私が幼稚園に入ったとき、あんたいくつだったのよ。
保父が園児に恋するなんて、リアルなロリはエアーな腐より悪いって思わないわけ?」
「あ、愛に年の差は関係ない」
「年の差、じゃなくて年齢の問題! どこの誰が3歳児と恋愛しようと思うわけよ?
君のお漏らしパンツは僕が洗ってあげるからね、なんてにこにこして言いやがって!
恥ずかしくないのか、このド変態のスケベ親父」
「言ってはならないことを……ママ、ひどい」
二人の喧嘩は続く。兄弟はまたため息をついた。
腐女子の母に、リアルロリの父。両親の真の姿をこんな形で知りたくはなかった……。
以上です。
>>124 とその後のリクエストの中で書けそうなお題にチャレンジしました。
また書けたときには投下します。楽しかったです。読んで下さった方、有難うございました。
GJすぐるwおもしろかったw
ハイセンスすぐるww
笑わせる文章書けるって羨ましいぜ
兄弟には強く生きてほしいなw
だが次回、そんな兄からも驚愕の事実が!
一体、どうなってしまうのか!
おいしそうなのがいくつか
手付かずで残ってるなw
ダメ親父が娘のために奮闘する話とかをリクエスト
>>27 学校の怪談
「夕方にだるまさんが転んだ、をしてはいけないんだって」
ヨッシーが口をとがらせて言った。
「日が沈むときに校庭で『だるまさんが転んだ』をしたらお化けに連れて行かれるよ」
影が長く伸びた校庭で、僕らは最後に何をして遊ぶかを話し合っていた。
短時間でみんなで楽しめる遊びということであれば、だるまさんが転んだ、が手っ取り早かった。
なのにヨッシーがダメだと譲らない。こうして話し合っている間にも時間はドンドン過ぎていく。
じりじりとしたいらだちが蜘蛛の糸のように全員にからみついていた。
「臆病者。そんなの嘘にきまってるだろ」
カズキがどん、とヨッシーの肩をこづいた。だれも、とめようとはしない。
「嘘じゃない、学校の7不思議だよ。お化けが出ても知らないからな」
ヨッシーの声が高くなる。カズキはヨッシーを無視して周囲に笑いかけた。
「どうするよ? 他になければ一回だけやって終わりにしようぜ」
そうだな、と数人が頷いた。ヨッシーは唇を噛んで黙っている。
「じゃあ決まり、さっさと始めようぜ。ヨッシーは見学な」
じゃんけんで鬼を決めた。せーの、で手を出す。数回勝負をしてカズキが鬼に決まった。
「じゃあ、俺が鬼!」
カズキが校門に向かって駆けだした。門に手をつくと、後ろを向いて笑いかける。
「じゃあ、始めるよ……だるまさんが転んだ!」
たたっ、と全員が走り出す。まだ数回は余裕で近づける距離だった。
「だるまさんが転んだ!」
カズキが振り向く。こちらから見ると、夕日の逆光がまぶしくて表情が見えない。
「だるまさんが転んだ」
更に近づいた。カズキの顔が見えた。長い時間その場で待ったが、カズキはぽかんと口を開けていた。
「カズキ?」
呼びかけが聞こえていないのか、何とも言えない表情でこちらを向いたまま固まっている。
「なにやってんだ、続けろよ」
誰かがじれたようにカズキを促した。
「う、うわああああ」
その途端、カズキははじかれたように前を向いて叫びながら走り去っていった。
カズキは見てしまった。最初は見間違いかと思った。ソレは初め、黒い影のようにゆらゆらと校舎の上に立っていた。
次は校舎の窓の中に、更に、校舎の入り口脇に、そして校庭へと次第にカズキに近づいてくる。
振り向くたびに、ソレはくっきりと輪郭を現しながら距離を縮めてきた。
最後に振り向いたときには、ソレが半月型の口を開き、手を伸ばしてきたのが見えた。
にいっと開いた口の中にはギザギザの真っ赤な歯が並んでいた――人間じゃない!
カズキは逃げだした。
「なんだよ、いったい」「変な奴だよな」
残された子供たちはぶつぶつと文句を言いながら荷物を取りに戻った。
「カズキのやつ、荷物もそのままだし。しょうがないな。誰が届ける?」
じゃあ僕が、と手を出したのはヨッシーだった。
「どうせ家の途中だから、届けて帰るよ」
「臆病者、って笑ってやればいいよ。あいつの方がよほどビビってたし」
「んーじゃあそろそろ帰ろうか、また明日なー」「明日ー」
口々に別れを告げて子供たちはそれぞれの家路を急ぐ。ヨッシーも早足で道を進んだ。通りを一つ入ったところがカズキの家だった。
「カズキー、荷物持って、きたよ」
玄関で叫ぶと、ばたばたと足音がした。扉を開けたのはカズキの母親だった。
「あらまあ、ありがとう。懲りずにまた遊んでやってね。これはお礼よ」
にこにこと子供の手にオレンジを持たせて、母親は家に入っていった。
家の中ではカズキの叫び声が続いている。
あいつは友達じゃない、ヨッシーなんて奴、最初から居なかった、そんな奴いないんだ、よせ、来るな、いやだ、助けて――
「いい加減にしなさい」
母親はカズキの居る部屋に向かって叱った。荷物を持って引き戸に手をかける。叫び声がぴたりと止まった。
「お友達に向かって失礼でしょ、こうして荷物まで持ってきて貰って……あら?」
扉を開けた中には誰もいない。ただ、部屋の真ん中に、オレンジが転がっている。母親の手から荷物が落ちた。
「カズキ?……ちょっと、どこに隠れてるの、ふざけるのはやめて」
窓の向こう、暗闇の中で小さく子供の声がした。
だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ……。
166 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 23:08:47 ID:dW+p+uvD
上の方でモータースポーツが出たが、俺はスカイスポーツをする少女の話し。事故で死んだ父のことが心の中でトラウマで残っているが、友人に誘われそのスポーツにはまる。
>>126 携帯小説バージョン*どこかからの拾いもの
春ってば朝、ぜっっったい朝
それもね、すっごい早く
チョー早起きツラすぎだけどー、でも起きれた日とかサイコー
なんかね、山とかあったりしちゃってさ
でもでも、なんか明るくなっちゃったりしてー、それで白かったりしてー♪
雲なんてね、ウソみたいにパープル!!
やっぱサイコーだよね!
夏ってばー、やっぱ夜だよね!
月とかサイコー♪ あ、でも、月なくってもイイかも〜
ホタルとかバーっ!って飛んじゃったりとか、超キレイだしー
べつにさ、1つとか2つとか飛んでも、ダメとかなくてー
どっちもばっちり、みたいな?
雨降っちゃったりしても、マジいい感じ〜
秋って夕方! ぜったい!
だって赤いし 山とか〜 なんか泣けちゃう?
カラス帰るとか、家あるってマジ?
急いじゃってるし〜、でもでもチョトカワイーかも?
鳥とか飛んじゃって、ちっちゃく見えたりとか、文学しちゃったリー
悪くないよね、こんなの♪
あたし文学少女!!
あ、夜とか、虫鳴いちゃうのもイイよね〜
冬ってば朝?
チョーさむで起きるのヤだけどー、でもキレイかも?
あれ何? なんか外とか白くなったりー
あと雪はマジイイよね♪ 出るのはヤなんだけど〜
それとそれと、手とかー、みーんなであっためるの、スキなんだ
ナカマ!って感じ?
でもさー、昼ってダーって感じでもうダメダメっぽくて、やっぱキライだなー
わかるよねー?
>>163 思わず長くなり過ぎたので、需要ないなら続きはよしときます
パパのことを思い出すときいつも、ベランダに一本だけ咲いていたヒマワリのことを思
い出す。
ママが死んだ。私が中学二年生になりたての頃だ。ママは花屋さんで働いていたのだけ
ど、そこの店長さんからママが倒れたことを知らされた。親戚の人が私を連れてすぐに病
院に駆けつけてくれたけど、パパはその日、いつまでも来なかった。そしてママは死んだ。
パパは仕事で忙しかったという。そんなことあるわけないじゃない。私はママが死んだの
はパパのせいだと思った。パパなんか大嫌い。何度も何度も心で叫んだ。
桜の散る頃、みんなが新しいクラスへの期待に目を輝かせている中、私は一人、悲しみ
に沈んでいた。
「由美、父さん弁当作ってみたぞ、どうだ、うまそうだろ!」
部屋の中はいつも線香の古めかしい匂いでいっぱいだった。パパは努めて明るく振舞っ
ていたけど、中二の私にもパパは辛そうだということはわかった。そうまでして普通を装っ
ているパパが可哀想と思わなかったのかと言えば嘘になるけど、実際はバカらしいという
気持ちが大きかった。第一、パパの作る弁当はまずくてすぐに嫌いになった。
パパは普通のサラリーマンで、よく家ではぐずぐずと仕事の愚痴をこぼした。それをマ
マは軽く流しながらも付き合ってあげていた。ママがいたから、私はこの家が幸せな家庭
だったんだと思う。いっそ死ぬのがパパだったら、なんて黒い感情だって浮かぶこともあっ
た。
でもパパはママが亡くなってからは家で仕事の話をしなくなった。これは最近になって
ようやくわかったことなのだけど、あれは案外パパとママがいちゃついてただけだったの
だと思う。愚痴を言って、それを聞いて軽く相槌をうって酌をする。愚痴の内容になんて
意味がなくて、その漂う空気に二人で酔っていたのだろう。
私はクラスで浮いてしまった。クラス替えで、新しい友達を見つけないとはじかれるの
はよくあることで、私もそうなってしまった。新学期早々ママが死んでしまって、それで
いつも暗い顔をしていたため、クラスの子たちは近寄ってこなかった。同じクラスだった
子たちも次第に私から離れて行った。でも、私はそれ自体は好都合だと思った。不格好な
パパの弁当を見せずに済んだから。私は毎日食堂に向かう振りをして、それを食堂前のゴ
ミ箱に投げ捨てた。
「おー、おかえり。今日の弁当、どうだった? 由美の好きなハンバーグ入ってただろ?
父さん、ハンバーグには自信があるんだよなぁ」
「……」
私は黙ってパパを見つめた。
「ん? どうした、由美。そんな怖そうな顔して」
「……なんでもない」
純朴で悪意のないその眼に思わず口がむずむずと開きそうになった。
「パパごめんなさい。パパの作ってくれた弁当実は今までずっと捨ててたの」
素直にそう謝ってしまいたくなった。
「そうか。でもなんかあったら言えよ。父さんはいつでも由美の味方だからな!」
笑いながら手を伸ばし、頭を掻き撫でる。その瞬間にパパの服に染み込んだ線香の匂い
が送られて思い直した。線香の匂いも大嫌いだった。それはパパのずるさの象徴だった。
自分がママを死なせておいて、毎日毎日拝んでいる。そんなことで許されると思っている
のか。
私はパパの手を力いっぱい叩いてそのまま部屋に駆け込んだ。
「あーあ、何やってんだろう」
カバンを投げ捨て、バタンとベッドに倒れこみ、枕に顔をうずめる。家中に広がる線香
の匂いが枕からもしてきてうんざりする。
枕を壁に投げつけようとしていると、ガラガラとベランダの戸をあける音がした。
すっと枕を掴んだ手を下し、膝に抱える。ちょろちょろと水をやる音が聞こえてくる。
ほんとによくやるものだと思う。パパはヒマワリへの水やりも日課にしていた。まだ5月
も中頃、やっと小さな芽が出てきたくらい。ヒマワリはパパとママにとって大事な花らし
いけど、ママのいない今、もう興味もなかった。ママが生きている間に聞いていればなぁ、
なんて、時々思ってみたりした。
良スレ発見!
>>168 かなりの長編になりそうだね、続きに期待
では俺も一つ
生活用品に変身してしまった人の話
書いてもいいよという方がいらっしゃるので続きを
「おい、森山、なに捨ててんだよ」
油断をした。梅雨の時期に入ったある日、クラスの男子に弁当を捨てるところを見られ
てしまった。恥ずかしさのあまり、顔から火が噴き出すかと思った。
「おいっ、ちょっと見てみろよ! 森山、弁当捨ててるぜ!」
「ははっ! しっかしすっげぇ弁当だな。これ、本当に食べ物かよ」
「いや、でも森山、これを捨てたくなる気持ちはわかるぜぇ」
「あっ、それは確かに。俺の母ちゃんの弁当もまっじーんだよなぁ。俺も捨てよっかな」
意外にも彼らの言葉に悪意はなかった。けれど、最後の言葉はどうしても聞き捨てなら
なかった。
「どーしてそんなこと言うの!」
「えっ、えぇ、なんで怒ってんの?」
「そうだよ、俺らなんか悪いこと言ったか?」
「私はママの弁当なんてもう、食べられないのよ!」
きりっと睨みつけるも目の淵に涙が溜まっていく。私の言葉にはっとして、すまなそう
な顔をする。そんな同情なんていらない!
「最低!」
私はそう叫んでその場から離れて行った。
「おっ、おいっ」
「ちっ、なんだよ、そこまでゆーか?」
「てゆーか、あいつってなんなんだろ、いるのかいないのかわかんねーよな」
背後で嫌な笑い声が響いているのが聞こえた。
「おう、お帰り。今日の弁当はど――」
「うるさいっ!」
「! ど、どうしたんだ、由美?」
「パパのせいで恥をかいちゃったじゃない! パパの弁当なんていらない! あんなの不
格好だし、まずくて食べられたものじゃない。知ってた? 私、パパの弁当を食べたくな
くて毎日ゴミ箱に捨ててるんだから!」
はっと自分の口走ったことに気づいた時には遅かった。パパの眼は大きく見開かれ、動
揺の色が浮かんでいた。
「あっ――」
「そうか、そうだな。父さん、料理下手だもんな。な、何勝手に張り切って弁当まで作っ
てんだよって話だよな。ははは、そ、そう、だよな……はは、気づかなくてごめんな、由
美」
思わず涙がこぼれるのをなんとかこらえた。こんな傷つけるつもりじゃなかったのに、
ここまでひどいこと言うつもりなんてなかったのに。そんな私の涙をパパは別の意味にとっ
た。
「そ、そんな泣くほど嫌だったのかい? それは本当にすまなかった。でも、もう大丈夫
だ。明日からはこづかいとは別にお金を渡すから、それでパンでも買いなさい」
ぽんぽんと私の頭を軽く叩くとそのまま居間に戻って行った。そのしょんぼりした背中
は今でも瞼に焼き付いている。私は取り返しのつかないことをしたと気づいて、その場に
へたれ込み、声を抑えて泣きはらした。
泣きやんで居間に入ると、パパは仏壇のママの写真をじっと見つめていた。私が入って
きたのに気づくと、目を離し、いそいそと動き始める。
「い、いや、ごめんな。父さん、今日ご飯作ってなかったんだ。今からちょっとコンビニ
で弁当買ってくるよ。しっかし、ちょうど良かったな! あ、明日からは毎日それでいい
よな。ははは、実は父さんも料理作るの嫌だったんだよ。だから明日から料理作らなくて
もいいと思うと気が楽なんだよなぁ。はははは。じゃっ、ちょっと行ってくるから待って
ろ」
妙に饒舌で、言葉でショックを抑えようとしてるのがバレバレだった。台所を覘くと、
今日の夕飯だったであろうカレーが流しに捨てられていて、慌てたのかうまくごまかせて
いなかった。
「今日、ご飯作ってないって言ったじゃない。何が料理作るのが嫌よ。こんなに料理の本
買って、たくさん勉強してたじゃない。パパの嘘つき……」
その時になって初めて私は声をたてて泣いた。
パパが台所に立っていた時のことを思い出す。下手糞だけど一生懸命に作っている後ろ
姿。そして毎日そんなことができた理由を思い出す。パパは会社に必死で頼んでなんとか
残業をなくしてもらい、帰宅時間も早くしてもらったらしい。その全ては私への愛情によ
るものなのに、それに気づきながら、私はパパを傷つけた。
ひとしきり泣いた後、私はベランダに出た。夕日が赤々と照りつける中、一つのプラン
ターに目を落とす。赤く染め上げられて、ヒマワリはそこにあった。少しずつ伸びてきて、
丈も大きくなっている。若々しく立派な葉を勇壮につけているけれど、まだその様は太陽
の花ではなかった。ここは不思議な空間だ。その花を見ているとママを思い出すのだ。マ
マが綺麗に手入れしていた花々は枯れてうち捨てられたのに、このプランターだけは大切
に育てられている。パパもヒマワリにママを見ているのかもしれない。
その日の夕食はまずかった。パパが作った料理よりずっとまずく感じた。パパは必死で
言葉をかけるけど、それは宙に浮いて、消えていった。私は何も言えずに黙ってご飯をか
きこんで、逃げるように部屋に戻った。
その日はなかなか寝付けなかった。頭の中を色々な物がぐるぐる渦巻いていて、混乱し
ていた。何よりもパパを深く傷つけてしまったことが心にしこりのように残り続けていた。
二時を過ぎた頃だっただろうか。相変わらず呻って寝付けないでいたのだけど、突然、
線香の匂いが漂ってきたように思う。いつもは大嫌いだと思っている匂いなのだけど、今
日はどうしてか懐かしくて、温かい気持ちが胸に広がり、気づくと眠りに落ちていた。
翌朝から全てが変わってしまった。
「ほれ、これでたりないみたいならまた言ってくれよ」
チャリンと、百円玉を五枚、手渡された。無機質なそれはなんの温もりも持っていない。
私をパパを結びつけるものが今はそれしかないことを心細く感じた。
学校では昨日の男子たちが報復してくるようなことはなかったけれど、私はないものと
して扱われた。
「おう、お帰り。学校は楽しかったか」
「う、うん」
一瞬ためらったのがまずかった。
「おい、由美、学校が楽しくないのか? 学校でなにかあったのか」
「なにもないよ。ホント、今日も楽しかったよ学校」
「……」
無言の間が肌をチリチリと刺す。パパは私の心を見抜いただろう。
「そうか、ならいいんだ。でもなにかあったら父さんに言うんだぞ。父さんはいつでも由
美の味方だからな」
それでもかっかっかと、笑いながら私の頭をぐしゃぐしゃと撫でて、ベランダに出て行っ
た。今のパパにとって、そこだけが憩いの場なのだろう。私は次第にパパを慈しむように
なっていた。
七月の初め、グループ学習で班を作った。相変わらずなきものにされている私はなにも
発言させてもらえないし、なにもできない。邪魔くさそうに男子が私を小突いた。
「うわっ、なんだ森山! おめぇ、めっちゃ臭ぇぞ」
教室がいきなりざわざわしだす。数人の男子が駆け寄る。
「うっわ〜、まじだ! 超臭ぇ!」
「これなんていう臭い?」
「あれじゃない? ほら線香の臭いだよ」
「てか女なのにこの臭いはねーだろ」
どっと、下品な笑いが起こる。
「お前いつまでも母ちゃんのことなんか気にしてんのかよ」
「いや、むしろあのオヤジの方じゃない? 授業参観の時来てたけどすっげーよな。ハゲ
散らかしてて一人だけバリ浮いてたもんなー。『母ちゃーん、母ちゃーん』って毎日必死
で拝んでんじゃない?」
思わず周りからも笑い声が漏れてくる。気の弱い先生は何もできずにおろおろしている。
最低だ! 心で叫ぶ。最低だ! 心が慟哭する。最低だ! 心が血を流す。
私はどんなのバカにされてもいい。でも死んだ人をバカにするな! 私の自慢のパパを
バカにするな!
私の大好きなパパとママをバカにされて我慢の緒が切れてしまった。
机にかけてあったカバンを掴むと、それで目の前でいやらしく笑う男子を殴った。頬を
涙が伝いながら何度も何度も殴りつけた。
さすがにまずいと判断した先生や他の生徒に止められて、そのまま私は職員室に運ばれ
た。男子は顔を少しすりむいていた。
四時を過ぎたころ、父が慌てて駆け込んできた。そのまま相手の親子と対談だ。
「本当に申し訳ありません。うちの娘がおたくの坊ちゃんにケガを負わせたとかで」
「ちょっと、私、悪くないもん!」
「由美、黙ってなさい」
初めて見る威圧的な目にたじろいだ。私はもうなにも言えなくなった。
その後パパは必死で謝り続け、なんとか相手を納得させた。誰も彼が死者を冒涜した事
実には触れなかった。
蒸し暑い中、私たちは夕日に照らされ、二つの長い影を並べて歩いていた。
「ねぇ、私も悪かったけど、彼だって悪いのよ。死んだママをバカにしたんだもん! そ
れに……パパのことも、バカにされて……悔しかったの!」
黙々と歩いているうちにどうしても我慢できなくなってそう言った。
「わかってる」
パパはいつもの優しいパパに戻っていた。
「わかってるよ。パパはいつでも由美の味方だからな」
そっと私の肩に手をおき、そう呟くと、それきり私たちはまた黙って歩き出した。線香
の香りが私たちをやわらかく包んでいた。
部屋は少し薄暗くなっていた。パパはいつものようにベランダに向かった。
「おい! 由美、ちょっと来てみろよ!」
妙に浮ついた、興奮した声でいきなり呼びつけてくる。
「なーにー?」
その暑苦しい口調に、少し面倒だと思いながらベランダに向かう。
「見てみろっ! 咲いてるぞ、ヒマワリ!」
父が横にのくと、そこには太陽の花がその名の通り、太陽のように咲き誇っていた。
「どうだ! 立派なもんだろ!」
こくこくと頷き、低く歓声を上げていると、パパが部屋から椅子を持ってきて、勧めて
くる。
「ほれ、ちょっとここ座ってみろ」
「う、うん……」
夕陽を覆い、雄々しく立ち誇るヒマワリを眺めながら、二人椅子に腰かける。
「なぁ、由美」
「うん?」
「父さんと母さんの話、してもいいか?」
「うん、別にいいよ」
本当は聞きたくて仕方なかったくらいだ。
「父さんと母さんはな、同じ小学校だったんだ。それで二年生の時にヒマワリを校庭で育
ててたんだな。夏休みにもう入ってたよな、確か。たまたま父さんと母さんが水やりの当
番になった日があってな、その日父さん、遅刻しちゃたんだよ」
「パパ、最低」
「はは、本当にそうだな。でな、父さんは慌てて花壇のところに行ったんだ。そしたら母
さんは太陽を浴びてキラキラきらめくヒマワリの中を縫ってホースで水をやってたんだ」
パパはその時のことをうっとり思い出して目を輝かせている。
「本当に母さんは美しかった。水のシャワーが虹のアーチを作って、その中で母さんは笑っ
ていた。父さんは妖精がいるのかと思っちゃったよ。それが父さんの恋の始まりかな」
「うそ〜、小二からママのこと好きだったの?」
「あぁ、そうさ、でも父さんもまだ幼くてどうすりゃいいのかわかんなかったんだな。小
学校の間は告白なんてできなかったよ」
「ふふっ、パパらしいね」
「おい、それはどういう意味だ、由美ぃ〜?」
両方のほっぺたを引っ張ってくる。
「い、いったいよ〜」
「ははっ、ごめんごめん。中学になると周りに付き合ってる奴が出てきてな、それを見て
ると父さんもやる気が出てきてな、クラスで一番可愛い母さんにアタックしたんだ」
「それで、それで?」
思わず身を乗り出して話の続きをせかす。
「あぁ、その時の告白は失敗だった」
「えぇ〜! で、でも、えっ? パパとママ結婚したじゃない」
「まぁまぁ、落ち着きなさい、由美。父さんを舐めちゃいけない。父さんがたった一回く
らいで諦めると思うか?」
「うっ、確かに」
「父さんはしつこくアタックして、十七回目の告白でようやく母さんの首を縦に振らせた
んだ」
「十七回って……ホントにパパすごいね」
「あぁ、さすがの父さんも挫けそうになったぞ。最後の告白にな、造花なんだけど、ヒマ
ワリの花を差し出したんだ。『ヒマワリの花のように美しいあなたのことが好きです』っ
てな。そしたら母さん、ぽろぽろ泣きだして、泣くほどに嫌いなのかと思ったら『私もあ
なたのヒマワリのように明るい心を見せてもらいました。こんな私でよかったら付き合っ
て下さい』って、言ってくれたんだ」
全然ダメダメなこんなパパとなんでママが結婚したのって、ママに一度聞いたことがあ
る。その時ママは『パパがね、ヒマワリみたいに澄んだ明るい心の持ち主だからよ』って
答えてくれた。今はなんとなくわかるかもしれない。
「それから父さんと母さんはずーっと仲良しで、そのままめでたく結婚したんだよ。由美っ
ていう自慢の娘も授かったしな。父さんも母さんも幸せすぎたんだよ」
パパの横顔に一瞬暗い影がよぎった。それをすぐに吹き飛ばし、また笑顔になる。
「そうだ、知ってるか、ヒマワリの園って言うところがあってなぁ。…………」
パパは、もうなにもかも忘れて嬉しそうに語っている。
すーっと椅子を近づけて、パパの肩に寄り掛かる。
「ねぇ、パパ」
「ん? どうした、由美? 今のところもう一回繰り返してほしいのか?」
「それはいいの! ……あのね、パパ、ありがとう」
「……あ、ああ」
よく呑み込めてないみたいで呆然としている。
「パパは優しいね」
「……ああ」
「パパはカッコいいね」
「う〜ん、それはどうだろ」
「パパ……ごめんなさい」
「どうしたんだ?」
「本当はパパの弁当嫌いなんかじゃないよ。そりゃあまずかったけど、でも愛情がいっぱ
い詰まってたの。あんなこと言わなきゃよかったって何度も思ってたんだ。それに今日の
ことも。パパにいっぱい迷惑かけたね」
「バカ。子供が親に迷惑かけてなにが悪い」
「うん。でも明日からどうしよう。あんなことしちゃったし……」
「由美、見てごらん」
パパは目の前のヒマワリを指さす。
「こいつは昨日まではまだ花を咲かせていなかったんだ。それが今日はこうして立派に花
を咲かせている。明日は今日とはまるきり違うことが起こるんだ。明日に綺麗な花を咲か
せることだってできるんだぞ」
「……うん。ありがとうパパ。パパ、本当はずっとパパのこと、大好きだったよ」
「ああ、知ってる」
「パパはずっと私の味方だね」
「……ああ、もちろんだ」
翌日、勇気を出して、学校に向かった。やっぱり少しだけ不安だったけど『明日は今日
とは違う』その言葉を呪文のように繰り返して教室に入った。そのまま一人の生徒の前に
向かう。目の前で足を止め、呼吸を整える。
「ごっ――」
「ごめんっ! 森山、昨日はホントに悪かった。俺ちょっと調子に乗りすぎてた。ひどい
こと言ってごめんな!」
いきなりそんなこと言われてびっくりしておかしくなった。
「ぷっ、ふふふっ」
「へっ? なんで笑ってんの? いや、でもよかった。また殴られんじゃないかと思って
よぉ」
どっと笑いが起こる。全然不快になんて思わない。『明日は今日とは違う』パパの言っ
た通りだ。
「私も昨日は叩いちゃってごめんなさい。坂口君」
「えっ、あ、ああ、いいって、いいって。こんくらい、なんともねーよ」
「おいおい、なに照れてんだよー」
男子たちの小突き合いが始まる。なーんだ、みんなこんなにいい人たちなんじゃない。
『明日は今日とは違う』パパの言う通り。
「パパー、ただいまー。パパの言う通りだっ……た……よ」
玄関を開けると部屋に、近所に住む叔父さんと叔母さんがいた。
「あっ、ごめんなさい。叔父さん、叔母さん。パパはいないんですか?」
「……由美ちゃん。急いで病院に行こう! 兄さんは今、病院にいるんだ」
「っ!」
動揺を落ちつけられないまま、すぐに車に押し入れられ病院に向かった。
「パ、パパ、どうしたの」
「……っ、ふぅ。いいかい、由美ちゃん。兄さんは――」
「ちょ、ちょっとあなた――」
「いいから! ……兄さんは、ガンなんだ。それも、末期の」
「っ!」
「5月に受けた健康診断でわかったんだ。結果は叔父さんたちにも知らされた。でも兄さ
んは由美ちゃんには知らせるなってきつく言ってきてね。すぐに入院するように言われた
んだが、どうせもうだめなら最後まで由美ちゃんの側にいるんだって聞かなくて。今日だっ
て、仕事場で昼過ぎに倒れたらしいんだけど、病院に行って、すぐに由美ちゃんを呼ぼう
としたら、今日、由美ちゃんは学校で大変な日だからだめだって聞きやしなかった」
ギリっとハンドルを握る手を強くする。なににともわからないいらだちと不安を抱えて
いたのだろう。私は何も考えられず、叔父さんの言葉を聞いていた。
私が学校で大変な日。自分の方がよっぽど大変なのに、そんな時でも私を気にかけてく
れるの? ホント、バカみたい……
「パパっ!」
病室に駆け込むと、パパは死んだように昏々と眠っていた。
「……お、おお、由美、か……」
「パパ、パパ!」
「は、は、は……どうしたんだぁ、由美ぃ。父さんは、ここにいるぞぉ」
パパは目が虚ろで、もう私のことも見えてないみたいだった。そんなパパの手をぎゅっ
と握りしめる。
「ははっ、もう、父さん、大丈夫みたいだ。全然苦しくないんだ」
「いやぁっ」
「なんだかなぁ、母さんの声がするんだよ」
「いや、いや、いやぁっ!」
私の手を離し、すっと人差し指が伸びてきて私の涙を拭う。
「由美、ごめんな。父さん、お前の花嫁姿までは見たかったんだけどなぁ。そうだ、最後
にもう一回、ヒマワリが見たいなぁ」
「っく……そんなのないよぉ」
涙を拭っていた手を頬に持っていく。
「いや、ここにあるじゃないか。泣かないで、由美。笑っておくれ。父さんにそのヒマワ
リを見せておくれ」
やっとわかった。パパにとってヒマワリがなんであったのか。一番大切な人の笑顔、そ
れがパパのヒマワリなんだ。いつもベランダでヒマワリを見つめながら、私が笑顔でいて
くれるように願っていたんだ。
「っく、ふふっ……ひっく……ふふふっ……」
私はパパの期待に応えようと必死で笑顔を作った。涙でぐしゃぐしゃになりながら、ヒ
マワリのように明るい笑顔を見せた。
「……ありがとう、由美」
消え入るようにそう言うと、突然異変が起きた。
がふっと、ベッドに嘔吐して、苦しそうに息をしだす。体が震えだして、バタバタと暴
れ出す。
叔父さんが飛び出してきて、パパを落ち着かせようとする。
「おいっ! ナースコールだ!」
「はっ、はい!」
叔母さんは慌てて、ナースコールをする。
ばたばたとドクターやナースたちがやってきる。でも、その時にはもうパパは落ち着い
てしまって、息をしていなかった。
心肺蘇生を試みたけど、ダメだった。パパはその日、死んだ。
『明日は今日とはまるきり違う』パパの言う通り、じゃなければ良かったのに……
私は叔父さんたちの家に引き取られることになった。叔父さんたちはいい人たちだし、
子供にも恵まれないでいたらしく、私を引き取ることには喜んだ。
叔父さんの家に移るため、家の荷物を整理していた。自分の荷物は案外すぐに整理が終
わった。ふと、パパの書斎に入ってみた。ここも線香の匂いでいっぱい。綺麗に整ってい
て、パパの真面目な性格が出ている。棚には様々な本が入っていて、私には難しくて、読
めそうもないものばかり。机の引出しに手を伸ばす。何が入っているのかと思って、中を
覘くと、表に日付がつけられたノートが何冊も入っていた。一番最近の日付から始まって、
まだ終わっていないノートを開く。
それは日記だった。少し丸みを帯びた柔らかい字で、びっしりとページが埋められてい
た。パラパラとめくり、ふと目を止める。
『母さんが死んだ。父さんは悪い人だ。母さんが苦しんでいる時に、駆けつけてあげられ
なかった。母さんは俺を恨むかな。でも、それ以上に、由美が恨むかもしれない。今日か
ら、例年のようにヒマワリを育てる。それを見て喜んでくれる母さんはいないけど。明日
からは父さんが由美のために頑張る。由美のためになんでもしよう。今は悲しみでいっぱ
いな由美をきっと笑えるようにしてあげよう』
そのページはぽつぽつと斑点がついていて、紙が所々ふやけていた。
それから日記は毎日家事での奮闘が書かれている。
そしてある時。
『運命は残酷だ。母さん、俺はどうすればいい? 由美を置いて逝けるものか。由美は君
がいなくなった悲しみからも立ち直れないでいるのに、俺まで死んでどうする。由美のた
めに何ができるんだろうか。
追記
さっき、由美に怒られてしまった。父さんの弁当はまずくて食えないんだってさ。そりゃ
そうだよな。俺、何やってるんだろう』
パパがガンを告知された同じ日に、私はなんていうことを言ってしまったんだ! パパ
が必死で明るく努めているのをどうして見抜けなかったの!
次第に暑さで汗ばんでくる。荒くなってくる息を整え、続きを読む。
それからは毎日、辛そうだった。私をどうしたらいいのか悩んで苦しんでいた。そして
パパの亡くなる一週間前の日記。
『苦しい。頻繁に動悸が激しくなる。仕事も手につかない。まずい、どうしよう。まだだ、
まだ駄目だ』
この頃になると字の感じもだいぶ変わってきていて、この日の日記は震えが止まらない
ようで、小学生が書いたような字になっていた。
毎日、繰り返される。
『駄目だ。まだ駄目だ』
『駄目だ。まだ駄目だ』
『駄目だ。まだ駄目だ』
『駄目だ。まだ駄目だ』
そして、死の前日。ヒマワリの前で話した日。
『もう、大丈夫』
その文字を見た瞬間、感情が堰を切って溢れ出し、声をたてて泣き喚いた。パパが私に
注いだまっすぐな愛情。ちょっと変わったヒマワリで、ずっとそっぽを向いていたけれど、
今はまっすぐにその愛情の方を向いているよ。
「パパ、ごめんなさい……そして、ありがとう」
「まぁ、よく似合ってるわ」
「ありがとう、叔母さん。叔父さんは、どう?」
「……あの人ったらまだ泣いてるみたいなの。あなたを他の男の所にやるなんて、ですっ
て、ふふふっ」
「もうっ、叔父さんたら」
パパ、私は今日結婚します。きっと、ママと見に来てくれてるよね。私は幸せよ。だっ
て、パパとママみたいな素敵な人たちの娘なんですもの。
「でも、本っ当に似合ってるわぁ。そのコサージュも素敵よ」
「えぇ、そりゃそうよ。だってこれはパパのヒマワリなんですもん!」
夏が近づくといつも思い出す。あの日、パパと眺めた一本のヒマワリのことを。
というわけで以上です。オチとかなんもない空気だけのお話
長い割に、結構端折ったので微妙な感じかな……
またなんかあったら書きにきます
長めだけど一気に読めちゃったよ。
良い話だなぁ。お疲れ様です。
>>169 牛乳パック *他スレから転載
朝目覚めたら牛乳パックになっていた。辺りを見まわすと、見覚えのあるオレンジジュースや野菜ドレッシングがある。どうやらここは我が家の冷蔵庫のようだ。それにしても寒い。早く出してくれ!
突然冷蔵庫のドアが開いた。妹の腕が伸びてきて、俺を掴む。妹よ、気付かないのかい。お前のたった一人の兄さんだよ!
妹は俺を傾け、マグカップに注いだ。次の瞬間、俺の背に思わず声を上げさせるほどの寒気が走った。気持ちいい。なんて快感なんだ。もっと傾けてくれ……。マグカップに白い液体が注がれる。一気に飲み干す妹を眺めながら、俺は思った。
もう人間には戻れないんだろうな。
【気軽に】職人がSSを書いてみる【短編】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1219996415/ ここの
>>251
いい話だ。しんみりした。
>>177、
>>179 どうもありがとうございます
読みやすいようにいつも心がけて書いているので
そう言っていただけるとありがたいです
でもまだまだ力不足ですよね
もっと精進してきます
>>178 元のスレの方も見てましたよ
えっと、悪い意味でなく、コメントに困る内容なんで
発想が面白い、とだけ言っておきますね?
181 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 00:12:46 ID:debi1Y4e
リクエスト
将来の夢はおばけになること
「俺のしょーらいのゆめは、おばけになることです!」
耳を疑った。まさか、自分の教え子が、そのような発言をするなんて。
しかも喜色満面、えらく楽しそうにそう言い切ったのだから。
今日は参観日。宿題だった、将来の夢を発表してもらう時間に、いつも
元気がいいクラスの人気者のヒロシ君がそんな事を言い出した。
教室にいる親御さん達も、彼の言葉にざわついている。
「お、おばけ? おばけになりたいの、ヒロシ君は?」
「うん、おばけになるんだ、俺!」
……落ち着け。落ち着け私。きっと、彼にも何か考えがあっての事に
違いない。ましてや彼は子供だ。突拍子も無い発想で言っているのだと
しても、ちゃんと話を聞けば理解できるかもしれない。最初から否定して
かかってしまっては駄目だ。まずは話を聞こう――
「ひ、ヒロシ君は、どうしておばけになりたいのかなー?」
「おばけって、この世にみれんをのこした人がなるんでしょー?」
「そ、そうだねー。よく知ってるわね、ヒロシ君はー」
「だから俺、死んだらみれんがのこるくらい、すっごい楽しいじんせーを
生きてやって、それで、しょうらいはおばけになるんだ!」
……何という事だ。おばけに、幽霊になって化けて出るという事を、これだけ
ポジティブに捉える事ができるなんて。私は目からうろこが落ちる思いだった。
「ずるーい、ヒロシくん! あたしだっておばけになりたいー!」
「ぼくだってー!」
もっともっと味わっていたいと、化けて出てきてしまうくらいに楽しい人生。
その意味を、何となく理解したのか、教室のあちこちからそんな声が上がる。
「はーい、皆、ちょっと待ってねー。皆、お化けになるには楽しい人生を
送らなきゃ駄目だ、って事はわかるかなー」
『はーい』
「楽しい人生を送るには、お化けになる前にならなきゃいけない、それになれたら
楽しいだろうなって思える、そんなお仕事があると思うの。先生、それをヒロシ君にも、
皆にも聞かせてもらいたいなー」
「俺のじんせいせっけー、そんなに聞きたいのかせんせー」
「うん、聞かせて。きっと聞かせてもらえたら先生も楽しくなれると思うから、ね?」
教室内で事態を見守る親御さんたちには、なにやら難しい顔をしている人も
ちらほら見受けられる。でも、そんなに難しく考える事は無いんじゃないかと、
そう私は思う。
この子たちなら、きっと、これから先も、絶対大丈夫。
そんな確信にも似た思いが私の顔をほころばせる。
「さ、ヒロシ君……それから、皆も、聞かせてもらえるかな?」
『はーい!』
終わり
ここまで投下です。
乙!早い!
まさかこんな前向きな話になるとは!
乙!明るい話はいいね(・ω・)
リクエスト
鎧と棺
187 :
鎧と棺:2009/06/05(金) 00:31:25 ID:dBCsymMo
棺の中に男が一人。
縁に手を掛けて、女は小さく囁いた。
「……あっさり死におうて。馬鹿が」
見下ろした顔は月の光を纏ってぼんやりと闇のなかに浮かんでいた。こうして眺めていると、不思議なことにこれが現実でないような気がしてくる。
「武士は戦場で死ぬのが本懐……常々お前は言っていたけれど」
死んでしまっては意味がないではないか。なあ――そうだろう」
男は男が望んだまま。鎧姿で棺に収められている。彼岸の船出に、死装束ではなく死線を共に渡ったこの一張羅を。
「……それで、お前は満足なのだな」
将を護り、男は敵の前に散った。
それでも悔いはないと、男の満ち足りた相貌が告げていた。
彼の願いはただ、大切なものを命を賭して守りぬくことだったから――。
「私は……お前に庇われたくはなかった。庇われるくらいならいっそ果てた方がどんなに救われたことか。
だが、今こうしてお前のおかげで生きている……それを考えると、不思議だな。今まで何の感慨も湧かなかった毎日が、こんなにも重かったんだと気付いたんだ」
最後に花を一輪、男の胸元に置ぐと女は立ち上がった。
女が纏うのは、もののふの鎧。女武士の大将として、女は明日からも戦い続けなくてはいけない。
だから涙は流さない、流してはいけないのに。
「……馬鹿は、私か」
頬を熱いものが流れ落ちる。
「今更気付いた所で、もう、遅い――」
それは手向けのように、男に降り注いだ。
女に悔恨だけを残して。
失ってから、初めて大切な物って気づけるもんなんだよなぁ・・・。
切ないね。
189 :
万年初心者:2009/06/05(金) 20:27:18 ID:tOYydC+a
>>186 時は戦国の世。
特に何もすることもない俺は、ボーっとテレビを見ていた。
戦国時代なのにテレビあるのかよっ。とか、突っ込んではいけない。
そのあたりは、世の中は実に都合よくできているのだ。いろいろと。
「今回ご紹介するのは、この一品!」
どうやらショッピング番組をやっているらしかった。
時代背景を完全に無視し、黒いスーツをパリッと着こなした司会の男性が商品を紹介する。
『棺鎧!』
S・M・L・LLサイズがあるらしい。
「鎧は自分の体を守るもの。そんなのはきょうび当たり前。当社はそれに加え、戦場に、他人に配慮できる優しさを提供します!」
男性が、息を切り、間をためる。
同時にダダダ、と太鼓の音が鳴った。
司会の男性は、
「従来の鎧を装備していた侍の方が、万が一戦死してしまったとき。近隣住民による戦後処理は非常に不便なものでした」
非常に気の毒そうに言葉をつむぐ。
「まず、路傍の死体を片付ける。死体を鎧から脱がし、棺へと運び込む。これがまた腰にくる!」
と、ここで初老の男性へと絵が変わった。
キャプションには、近隣の農民・近藤義彦さん(68)と表示されていた。
「ええ、でもこの仕事を断るとお上の印象も悪くなりますでしょ。何より死体があったままだと畑仕事に支障が出ますしね」
元の画面に切り替わる。
「そこで、当社とNASAの共同開発により実現した棺鎧の出番です。これは、なんと装着者が戦死してしまっても、腰のここ、このボタ
ンひとつで棺に変形できるという優れもの!」
※単四電池四本が必要、とのこと。
「これにより、さっきまで来ていた鎧が、あっという間に装着者の棺に早変わり!」
「わーすごいですねー」
男性司会者の隣にいた、ないすばでぃの女性が、うそ臭い驚きの言葉を口にする。
「近隣住民の仕事の負担が劇的に減らせるという画期的な商品です!」
「こういう、にくいところでのちょっとしたやさしさを持ったお侍さんって、素敵ですよね」
「また、お試し保障一年がついてこのお値段!」
198万円ポッキリ! との表示。
「保障期間内なら、万が一おきにいらなかった際、返品時に料金をお返しいたします!」
「すごい! これなら私もほしくなっちゃう」
「今回はこれに加え、なんと干飯ダイエットタイプ半年分もお付けしてのご提供です!」
「メタボが気になるお侍さんにもぴったりですね」
おまちしーてーいまーすー。
俺はテレビをぶん投げた。
>>187その、なんだ。シリアスの後にこんなんでスマン。
そりゃぶんなげるなww
191 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/05(金) 21:52:22 ID:5a0alE1W
リクエスト
不可抗力
>>192 キュッ、キュッとホワイトボードに、一般人には理解できそうもない式が羅列されていく。
「――というわけだ。古典力学と相対論の一番の違いだね。さて、それでは今の説明を元に、
次のページの問題がわかるかな……君、どうかな」
「あっ、えっと、その……すみません、わかりません」
「わからない、か。ふむ、仕方ない。では君」
大学一年の必修ゼミで相対性理論を学習する時間だ。わからないと返事した学生は
授業にはこれっぽちも集中せず、若い講師を熱っぽく見つめていた。
「おお、素晴らしい! その通りだよ、君! なかなか物理的センスがいいね」
少年のように目を輝かせて語る彼に彼女はさらにうっとりとする。
授業が終わると、そそくさと学生たちは部屋を出て行く。彼女はぼんやりとしたまま残っていた。
「うん? どうしたのかな?」
「えっと、いえ、なんでもないです」
「そうか……では私は失礼させてもらうよ」
いかにも威厳のありそうな分厚い本を脇に抱えて彼は部屋を後にしようとする。
「待ってください!」
「! びっくりするじゃないか。どうしたのかね?」
「あっ、あの……」
彼が訝しげに目を落とす。彼女は彼の空いていた方の手を握りしめていた。
彼女はその視線に気づき慌てて手を離す。
「ひゃあっ! す、すみません! あ、あの、慌てちゃって……これは不可抗力ってやつです」
「不可抗力、か……ふむ。それで、いったいどうしたというのかな?」
「あっ、あの、私、先生のことが好きです!」
言った途端に彼女は耳まで真っ赤に染める。
「すっ、すみません!」
恥ずかしさに耐えられなくなって彼の横を過ぎて逃げ出そうとする。
「待ちたまえ」
今度は彼が彼女の腕を握り、引き留める。
「いたっ」
彼があまりに強く握りしめたため、彼女は思わず悲鳴をもらした。
「ああ、いや、すまないね。これも不可抗力、というやつかな」
彼女は不思議そうに彼の顔を見る。すると彼は彼女に顔を近づけて
そのまま唇を重ねた。
長い長い接吻を終えると、彼女は我を取り戻して嬉しいやら恥ずかしいやら
訳がわからないやらで混乱していた。
「あ、あの……今のも不可抗力、ですか?」
「ああ、その……こういう言い方はあまり私は好きではないのだけれどね。
今のは私と君の万有引力のせいだよ」
「えっ、それって」
「ああ、そうだね。……そもそも不可抗力と言えば、初めて君を見たときに
好きになってしまったことかな」
「先生……」
彼女は目を潤ませて彼を見つめる。
ひしっと二人は抱き合うと、今度は彼女から熱い口づけを交わした。
「さっきのお返しです。そうですねぇ……作用反作用の法則、かな」
「ふむ、少し使い方が間違っているような気もするが――」
「もうっ! そんな細かいことは気にしちゃだめです!」
黄金色に染まる教室に二人の幸せな笑い声が響いた。
題材:戦とひとめぼれ で1つ頼みます
>>187 なんかこれすごくいい……。
静かに胸に来るな。
やる夫が創作発表板住人になったようです
みたいな、創発の暗黙のルールが学べるお話が読みたい
「らじおぞんで」というシューティングゲームの二次創作SSが読みたいです
じゃあ俺は数年後の○○が読みたい
○○は好きな作品でOK
でも知らない作品とかがあると思うので必ず解説を入れておいてください
(●ω●)< 行圧縮のため一行化してみたお
(●ω●)< このAAじゃ、やる夫と言うのは語弊があるお
(●ω●)< だからやるっちょとか名乗っておくお
"やるっちょ" の検索結果 約 4,150 件中 1 - 10 件目 (0.29 秒)
【やる夫もどきが創発板住民になったようです(エコロジーver)】
(●ω●)< VIPは流れが速くて疲れるお
(●ω●)< その上また規制だお。やってらんないお
(●ω●)< もっとじっくり読めてじっくり書ける板はないのかお……お、お?
「アルファルファモザイク」に紹介された創発板スレ
http://alfalfa.livedoor.biz/tag/%C1%CF%BA%EE (●ω●;;)< こ、濃いお……。これは濃い板だ!今すぐ住民になるお!
(●ω●)< VIPとは違った創作ライフが楽しめそうな板名だお。
(`●ω●´)< これはおれさまの新天地だお!!
--創作発表板
(●ω●)< 初心者系のスレは一通り読んだお
(●ω●)< 流れが良く判らんスレもいくつかあったけど、とりあえず一つ把握したお
(●ω●)< ……過疎だお
☆創作発表板は比較的過疎板です。
これには理由がいくつかあります。
・創作発表がなければ感想が動かない
・ただの雑談は可でも、創作がなければ伸びにくい
(´●ω●`)< ……お隣は創作文芸板か……
(´●ω●`)< ……まあ、たまには見るけど……ねえ……
(´●ω●`)< 本気過ぎて疲れちゃった人達の煽り合いに巻き込まれてから見てないなぁ……
☆創作文芸板は所謂2ch上での創作全般とは少々趣旨が違う空気があります。
文芸賞への応募や真摯な修練を望む人達は、併せて訪ねる価値のある板でしょう。
発表したり感想したり、というよりは、文芸の手段や方法を語る傾向が強いようです。
評価スレの歴史は創作発表板より長いので、あなたの趣旨により使い分けるのが良いでしょう。
続くかも