【正義】ヒーロー学園が舞台の小説 二時限目【悪】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1創る名無しに見る名無し
ヒーローは時代を映す鏡である・・・
ヒーローの黎明期・・・
それは「正義VS悪」の図式を確立した時代である。
そして、地球外の生物、怪獣、怪人の存在が確認されると、
対するヒーロー達も超人的な能力を備え、熾烈を極めた戦いが続いた黄金期。
そして、現在・・・それはヒーロー乱立の時代。
名ばかりのヒーローが自分たちの勢力拡大に明け暮れる日々。
正統派の正義、悪のヒーローたちの存在はそこにはなく、
戦いは「正義VS正義」、「悪VS悪」にまで及んでいた。
世の人々は真のヒーローの登場を待ち望んでいた。

このような状況を見かねた歴代のヒーロー達によって、設立されたのが『私立ヒーロー学園』である。
「健全な正義 VS 悪の復権」を理想に掲げたこの学園は、明日のヒーローを夢見る若者が日夜、勉学に励んでいる。真の正義のヒーロー、真の悪のヒーローを養成する唯一の養成機関が私立ヒーロー学園なのだ。
そこで、ヒーロー学園“進路指導教師”として抜擢されたあなたの使命・・・
それは生徒達を『新しい世代の真のヒーロー』に養成し、彼らをその任務に就かせることである。生徒の将来は正義か悪か・・・・・それはあなたの指導にかかっているといっても過言ではないのだ。
英雄に正義、悪の真実(こたえ)はない。

医大のヒーローものみたいな感じになる予定です。
みんなで創作しましょう。

まとめサイト
http://www27.atwiki.jp/herogakuen/

前スレ
【正義】ヒーロー養成所が舞台の小説【悪】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1226892101/
2 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/11(日) 23:20:17 ID:ZLbn/Hs8
スレ立て乙です。
みんなちゃんと来れるかなぁ
3創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 23:36:06 ID:Os4xCeRA
>>1
乙です! 祝二時限目突入!
4創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:01:18 ID:Os4xCeRA
前スレより
503:創る名無しに見る名無し :2009/01/03(土) 20:38:22 ID:G0IYEoNx [sage]
>>487
2万年前の環境破壊で体を機械化し、魔法を操る悪魔族(アクマイザー3)
それらのロストテクノロジーにより改造・機械・超能力の技術が生まれ、悪魔から神を復元しようとする(009)
それらの技術からショッカー・ダークロボット・デスパーなどの下部組織に派生(色々)
大本営が自然消滅し、組織が分解、それぞれが軍事企業になる(平成ライダー、平成特撮)
というのが裏設定

空想科学読本で「世界征服するのに活動が町内会レベル」とか「1対1しか出来ない怪人に意味はあるのか」と
突っ込まれれてたので反論

ライダーや戦隊がド素人でも使える装着式になったのは商品だからということにしといてね
5創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 12:07:18 ID:PC5/0950
前スレからの流れとか、わかってることとか
どんなスレかとか書いたほうがいいんじゃないかな

・ヒーローをめざす生徒達の学園物スレ。
 ほのぼのから恋愛、バトルまで有り。
 SSほか創作歓迎。
・ヒーロー学園
 島にある。正義部、悪部がありそれぞれに正義舎、悪舎がある。
 他に本館、研究棟、寮などがある。六年制、ゼミ制。
 バイオ科、機械科、戦隊科などの学科がある。
 学園の近くには商店街がある。島には発電所などもある。

自分には今のところこんなくらいしか書けませんが
初めて来た人にも興味持ってほしいですね
6過去へ ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:19:38 ID:hceYODAU
「ふげぇ。」
地面に叩きつけられたアタシ
ここは……。
そうだ時の扉を通ってパパとママの顔を見に来たんだよねぇ。
先に行ったレーダーさんはどこにいるんだろう。
辺りを見回すけど人影はない。
まさかアタシだけ別の時代に来ちゃったとか……。
困ったなぁ、
帰り方も聞いてないや。
「こっちよ。」
ん?レーダーさんの声がする。
キョロキョロと辺りを見回すと、バイクにまたがったレーダーさんの姿が見える。
「このバイクどうしたんですか?」
バイクの後ろに跨り振り落とされないように、お腹につかまる。
「置いてあったから借りたわ。」
それって世間的には盗んだっていうんじゃないかなぁ。
でもまぁ、この広い学園内を徒歩で回るのは得策じゃないよね。
うん。超法規的措置ってやつね。
「ここは1500年前のヒーロー学園
 私達は戦略実習でよくチームになっていたわ。」
戦略実習っていうのはAとBのチームに分かれて、大将の先生を守りながら互いの旗を奪い合う実習
学年…学部…学科問わず参加できるから、ちょっと戦闘に試したい兵器とかをテストする科学者もいたりする。
チーム分けはその日の参加者の気分。まぁ大概は正義部と悪部で別れちゃうんだけど。
「ほら見えてきた。」
演習場から煙が上がっているのが見えた。
『お前らわかっているなぁ!
 今日こそ正義部の旗を叩きおってくれるぞ!!!』
「おお!!」
反対側の悪部の作戦室から歓声が聞こえる。
あの中にママもいるのかなぁ。
「すみません。遅刻しました。」
え?レーダーさん?
「ちょっと見学だけなので、後方支援にしていただけると幸いです。」
「遅刻は厳禁だぞ!気をつけろ。」
ちょちょっと……。影からこっそり見るだけじゃなかったの。
「あの〜。アタシてっきり影から見るだけかと……。」
「ここに居れば必ず会える。探し回るより得策ね。」
ママって意外と好戦的だったのかなぁ。
作戦説明中も上の空……
「エリカはポントスやネレウスの顔を知らんのだったな。
 私から離れないように気をつけるのだ。
 そんな心配そうな顔するな。私も過去の自分に会う訳には行かんからここで待っておる。」
「お前ら何をやっている!」
「す…すいません…。守りが戦略の基本だ。疎かにするなよ。
 お前見かけない顔だな。」
げ……さっそくバレタ?
7過去へ ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:20:08 ID:hceYODAU
「あ…あのアタシ達はその…新入生です…。」
「そうか。私は3年のイサミだ。今日こそ勝利を収めようぞ。
 今日こそこのイクサでシバに私の味わった屈辱を味合わせてやる。」
シバさんってクイーンママの名前よねぇ。
それにイクサって確か……もしかしてイサミさんってジュリさんのお母さんかお婆ちゃんか……
とにかく身内なのかなぁ?
戦いの始まりを告げる花火があがる。
ドカンドカンと悪部の砲台から砲撃が始まった。
「大変です。悪部の奴等、たった四人で攻めてきました!!」
え?もう?だってこっからどう見てみ徒歩だと30分弱はかかる距離だよ?
「奴等砲台で人を送ってきやがった!」
「全員戦闘態勢だ!」
「4人だとふざけやがって。ぶっ殺してやる。」
おお〜い。ここは正義部じゃないのか。
訓練だしこのテンションもしょうがないのかぁ。
「エリカこっちへ。貴方も。」
レーダーさんがアタシとイサミさんの首根っこを掴んで、端に寄せられた机の下に引っ張り込む。
と同時にバチンと電気が消える。
「始まるわ。二人とも喋っちゃだめよ。」
「雷が落ちてブレーカーが落ちました。」
「馬鹿な?雷だと?こんなに晴れているのにか?」
キーと静かにドアが開く。
ヒュヒュっという風の音が聞こえ、叫び声とともにみんなが倒れていく。
「照明を落としたのも貴様らの仕業だな。卑怯者め!」
「うぬは誰を相手にしておるつもりじゃ?高潔無比な正義の味方だとでも思ったか
 朕達は大悪党を目指すものぞ?」
「変身!グハ」
「無駄じゃて。のぉレーダー。まだ変身には入っておらんから、校則も破っておらん。」
「終わったわね。」
バチンと再び部屋に電気がつく。
「時間通りみたいだね。」
「水の砲弾で朕達を送ってネレウスの電撃で停電を起こし闇に紛れて倒すというのは、
 流石はポントスのアイデアだったのぉ。ここまで上手くいくとは……
 開始5秒で完全制圧とは過去最速記録更新ではないか?」
ガタックとアギトの姿が見える。
確かコレーさんとレーダーさんなのよね。
「やったじゃない。これで昼ご飯は男性陣のおごりね♪」
そこへカブトと狼男が入ってくる。
「2人もご苦労じゃった。見事に圧勝じゃ。」
4人が変身を解いて旗に手を掛けようとしている。
あれがアタシのママ。若いなぁ。綺麗とも可愛いとも言いにくいが、ホッとする顔だなぁ。
パパの方はちょい悪って感じ。
「まだだ!」
げ…イサミさん?
「変身…イクサ!貴様等の好きにはさせん!まだここから大逆転の可能性もある!」
「状況を見て言え。ありえん。」
アギトが馬鹿にしたように笑った。
8過去へ ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:20:35 ID:hceYODAU
「シバはどうした!何故来ない?」
「クイーンは昼寝の時間だから遊んでやれんという伝言じゃ。確かに伝えたからな。」
「ふざけやがって。」
イサミさんは逆上してコレーさんに突っ込み殴りかかる。。
「ネレウスよ、やるが良い。」
「わかった。」
パパは頷き。イサミさんの背中に触れる。
するとイサミさんが突然苦しみだし地面に倒れる。。
「どうじゃ?効くじゃろう?機械を身にまとっておるから特に電撃が……。」
「グワワワヮワワワワ」
「前にも言うたと思うが、ネレウスは雷だけでなく、1500万Vという超電撃を出せる。
 言わばお手軽スタンガンじゃ…。まぁ聞こえてはおらんじゃろうがな……。」
「グワワワワ」
もう止めてよ。耳を追いたくなるような声……
パパもママも酷いよ。
こんな姿見たくなかったよ。
「無駄な努力ご苦労さん。
 朕が世界を手中に収めた暁には、
 正義のヒーローなぞ無職と同じゆえ、牢屋に住み込みでトイレ掃除としてつかってやろう。
 光栄に思え。ハハハハ」
とても1500年後に3児の母とはとても思えない。
その他にも聞くに堪えない罵詈雑言を投げつけていると…。
「コレー怪我してるのね。ちょっと見せて。」
「ちょっと擦りむいただけじゃて。」
「駄目よ。ばい菌が入ったらどうするの?」
ママはそういうと、傷口に手をかざす。
何をしているんだろう?
『聖なる水には傷を癒す効果があるのよ。』
いきなり話しかけないでよ。ビックリするじゃない!
傷口がみるみる治っていく。
「相変わらず面白いように治っていくわい。」
「こら!ジッとしてなさい。」
「ううむ。ポントスにはかなわんわい。」
どっと笑い声がおきる。
アタシのパパとママ……初めてみたパパとママ…
思わず目から涙がこぼれる。
ずっと会いたかった。でもそれは叶わないと思ってた。
涙を拭ったそのとき肘が引き出しに当たる。
げ…今ガタっていった?
レーダーさんの方を心配そうに見つめる。
9過去へ ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:21:02 ID:hceYODAU
「ニャ…ニャー…」
・・・
・・・・
・・・・・
「何じゃ、猫か…。」
ホッと胸を撫で下ろすが次の瞬間
「なわけないじゃろ!でて来い!!」
怒声が聞こえたので、仕方なく両手を宙にあげ投降する。
「見かけん顔じゃな。」
「アタシ達通りすがりの見学者なんです。
 校舎を見学していたら、正義の力を見れる絶好の場所があるって、そこのお姉さんに無理矢理連れてこられて……。」
震える手でイサミさんを指差す。
「ふうぅん……。で?感想はどうだ?」
「凄いと思いました!!」
乾いた拍手の音が部屋に静かに響く。
「見学者なら道なりに進むと良い。そうすれば本館へ行けるわ。
 でもその前に貴方がどうして水の精霊を持ってるの?
 水の精霊は私達一族が大切に祀っているんだけど。」
え?なんでなんで?
『迂闊だったわ。精霊にはそれぞれ周波数があって、それで共鳴するようになっているの。』
(そんな意味不明なこと先に言っておいてよね。)
この周波数でピンチになったことを知らせたりも出来るの。
「あ…アタシ……身寄りが無くて、
 それでそのたまたま通りすがった水の精霊に助けてもらって……」
本当の事を言うと、過去が変わっちゃうしこれがギリギリいえるところかな。
嘘は言ってないし……。
「そう。それなら良いわ。いきなさい。」
「失礼しま〜す。」
ダッシュで演習場を後にする。
「レーダーさん、まだ時間ありそうだし、他にパパとママが行きそうな場所はないの?」
「次に見つかったら取り繕えなくなるわ。慎重に観察しなさい。」
そういうと、レーダーさんはバイクの進路を食堂の方へと向けた。
10後始末 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:31:48 ID:hceYODAU
私の名前はユイ。
仮面ライダーデルタ!人は私を忍者ライダーとか巨乳ライダーと呼ぶ。
そろそろコンプライアンス委員会に提訴することを本気で検討中!
いけない。そんなことを意識しているようでは
まだまだお姉ちゃんのような戦士にはなれないわ。

「アンタら何やってたんだい?」
ユイとハルカちゃんが地面に正座させられて既に小一時間
もうこれで10周目のお説教。
足も痺れてきたしそろそろお開きにして欲しいよ。
誰かがこの光景みたらどう思うよ。
冷たい床に正座させられた二人のライダーと肘掛け椅子に足組んで座ってる生身の人間だよ。
目を疑うと思うんだよねぇ。
「話聞いてんだろうねぇ?」
なっちゃんがタバコの煙をユイの顔にフッと吹きかけながら尋ねる。
「だから謝ってるじゃないの!」
「なんだい?アンタも海より深く反省してるんだろうねぇ。」
足を組み替えながら今度はハルカちゃんに煙を吹きかけた。
「何泣いてんのよ?イジメてるみたいでしょ?
 頭が悪い私にはアンタ達の思考回路がわからないから、説明して頂戴と質問しているだけなんだけど?」
別に泣いてるわけじゃなくて、煙くて目が痛いだけだよぉ。
なっちゃんが激怒しているのには理由があるんだ。
研究棟の地下に侵入者というぉとで、アタシとなっちゃんはすぐに現場に急行したの。
そこにはクラマ君とあと一人見かけない女の子が居て……
薬品だかウイルスを鞄に積めていたの。
ユイね。なっちゃんに貰ったクナイを投げたんだ。
そしたら床にその瓶が落下しちゃってさ。
スプリンクラーは動き出すは、バイオハザードに備えて、緊急隔離されそうになるわ。
事態を余計悪化させちゃったの。
「まぁ100歩譲ってハルカと1階で合流したことまでは大目に見てやろう。
 どうせあそこに居ても、中和剤を造れるのは私だけだし、
 あれ以上武器を振り回されても困ったしねぇ。」
「すみませんでした。」
ユイが深々と三つ指をついて謝る。
「…で二人で追いかけたのよねぇ?」
「ええ……。」
なっちゃんの激怒している理由はここからだ。
「説明書には書いたと思うけど、シャダイムとデルタには専用偵察衛星が打ち上げてある。
 これは24時間、この星のドコの場所でも観察できる代物だわ。
 2機も打ち上げたのは将来的に別の敵を追いかけることもあるやもしれない
 という完璧で一部の隙もない計算からよ。」
はいご高説ごもっともです。
「で?」
ああ…ハルカちゃんもキレそうだよぉ。
どうすうんのさぁ、誰か早く来てよ……。
「敵を見失いましたとはどういうこと?
 何故シャダイム スピッツァーを使わんのかなぁ。」
「だから忘れてたんだよ。自動切換なら良かったんだよねぇ。
 科学の限界だよなぁ。」
またそうやって突っかかるから話終わんないんじゃん、
大人しく謝ろうよ〜。
11後始末 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:43:06 ID:hceYODAU
「わかった。そこまで言うならわかったわ。
 私の設計にミスがあったと言いたいわけね。
 確かに豚に真珠という言葉あるように、使い手に馬鹿さ加減にもあわせないといけなかったわ。
 その男とやることしか考えてない発情期の雌犬のようなからっぽの脳みそに刻み込むにはあれしかない。」
あれってまさかあれじゃないよねぇ。
嫌だよ〜。ユイまだ若いもん。
 「脳改造して考えなくても良いようにしてあげる。
  今すぐそこに寝な!!」
売り言葉に買い言葉だよ。
ああ…ハルカちゃんとなっちゃん普段は仲良いんだけどなぁ。
どうしてこうなるんだろう。
喧嘩するほど仲が良いとかそういうレベルじゃない気がするんだけど……
「今期の予算はデルタ用の衛星でスッカラカンよ。」
「どうせ来週から新年度でしょ!
 それに参考書勝手も領収書で全部経費で落としてるの私しってんだからね!」
そう。時が流れるのは早いもので来週からユイ達は3年生になるの。
ちなみにゼミ生選抜はなっちゃんに一任されており、その準備もしなければならないの。
だからこんな無駄話してる場合じゃないんだって。
「ふん。来年のゼミ生の選抜は私に一任されているからね。
 SPI、適性試験、性格検査、IQテスト、小論文、論述試験、そして体力測定……
 これ以上無能な奴が増えて私の研究が滞るのは我慢ならん!
 徹底的にふるい落としてやるんだから。」
とんだトバッチリだなぁ。
ユイもう知〜らないっと。
希望者0だと予算減らされること知らないはずが無いんだけどなぁ。
「良いの?希望者少なくて予算減らされても?」
わぁお、ハルカちゃんチャレンジャー
「減らされる分と世話をして滞る分だと、滞る分の方が若干高くつくからな!」
なっちゃん時給で計算したんかい。
そんなに数式見せて解説してくれないて良いよ。
「二人ともいい加減にしてよ。
 ねぇ、もう済んだことじゃん。
 次から気をつけるからさぁ、
 なっちゃんも機嫌治して、ゼミ説明会の準備手伝ってよ。」
恐る恐る二人の話題を遮る。
「ゼミ説明会?」
「そうそう。こんなゼミですって言わないと。」
「そんなの簡単でしょ。改造人間を自由に改造できる夢のゼミです。
 どんな改造をしても訴えられることはありません。
 科学の限界に挑戦しましょう。進歩に犠牲はつきものです。
 科学者なら胸躍る言葉よ。
 これ以外はよきにはからえ。」
はい。却下!
「何故だ?」
「私達なっちゃんだから何も言わない(言えない)んであって、
 他の研究者の人が好き勝手いじり始めたら怖いよ。」
「どうせ減るもんでもないし、良いじゃないか。
 最新機器が埋め込まれるチャンスだぞ?」
あのユイ達はそれで戦わないといけないわけで……。
「今年は科学者募集色を出していくのか。」
どこからかユウキ先生が現れる。
「良いじゃないか。そういうゼミが一つくらいあっても。」
どう考えても結果しか聞いてないよねぇ、
ユウキ先生が唯一なっちゃんの暴走を止められるのにどうすんのよぉ、
こうしてユイ達、ユウキゼミは科学者募集色を全面に押し出した説明会を行うことになったのぉ。
ええん……。どんな改造されるか怖いよぉ
来週が来なければ良いのに〜。
12次回予告 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:50:22 ID:hceYODAU
キャッスルドランから戻ったハイド達を待ち受けていたのは……。
新年名物、暴徒とかした新入生による襲撃であった。
手っ取り早く名を上げたい者、腕に自信が有る者、ハクを付けたい者が
正義部・悪部問わずに襲い掛かってくる。
貪欲な新入生達に魅せるか?ヒーロー学園魂。
そのとき研究棟では…。
次回「風物詩〜大乱闘〜」ご期待ください
13 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/12(月) 20:53:22 ID:hceYODAU
>>5
そうだねぇ、

共通の敵にアンゴルモアっていうのがいて、親玉は大王といいます。
ちなみにその大王は精霊を集めて、よみがりの儀式っていうのを行ってしまいまして
世界中に悪の怪人やら組織が復活してしまいました。
彼らは過去の経験から目は早いうちに摘んでしまうべしと
ヒーロー学園を目の敵にしています。
(悪も新旧交代があるため)
このくらいかなぁ。
14創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 21:18:48 ID:PC5/0950
投下乙です!
すごい昔からあるんだなあ学園
なっちゃんはどんどん恐くなるなw
予告がすごく気になる
新入生は現実の四月に合わせるのかと思ったけど
時間は話の中で進んでいくのかな

>>13
なるほど 参考になります
15創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 21:34:31 ID:3PoeKFdY
更新乙です。
昔テレビでやってたガチンコファイトクラブみたいな入学式なんだろうか。
なっちゃんこぇぇw
研究棟は火気厳禁じゃないんかw

wikiへの収録は有志が50レスくらいを目安にしましょう
16創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 21:54:29 ID:4XGdmbJy
投下乙です。

あれ、アンゴルモアって全作者の共通の敵なの?
ヒルトの話だとゴーストとかだよね?
このシェアワールドって、キャラが少しづつクロスオーバーしている巨大学園で
話は個々に別々に進んでいくもんだと思ってたんだけど。
舞台一緒で完全別ルートってか。
17創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 21:57:49 ID:hxl6Dgcb
ちょっとぐらい矛盾があっても気にしない方向でいいんじゃない
いざとなったら魔法の呪文パラレルワールド
18創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 22:38:35 ID:PC5/0950
更新頻度からして◆ccu2hP6PPAさんの投下がメインストーリーだろうと思うけど
クロスしてる巨大学園で話は個々に別々に進んでいったり
どっかでつながってたり、たまに矛盾もあったり、でいいと思うな
19創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 23:38:50 ID:4XGdmbJy
個々の話が別物なのは読んでてわかるんで、
アンゴルモアが共通の敵と断言しないほうが
いいんじゃないかと思ってね。無粋な突っ込みスマソ
20創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 12:12:17 ID:0cJCuNAH
投下乙です。
新入生も強者揃いみたいだねぇ。
なっちゃん小姑みたいになるんだろうか。

アンゴルモアは
敵の名称とかに困ったときとかの参考にして貰えばいいのでは
21風物詩〜大乱闘〜1 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/13(火) 23:46:21 ID:DV6VUzHm
「♪〜♪〜」
「ご機嫌じゃなぁ。」
スキップして寮から出るアタシを見つけてヘレネ達がやってくる。
「ママとね、ウィンディーの使い方特訓したから、
 ヒルトさんに見せてあげるの〜。」
「ほぉ、その特訓とやらの成果見せてもらおうか。」
時の扉を潜って過去に行ったアタシは、過去で1年間もママに水の使い方を教えてもらったの。
もちろん娘だなんて習ってないよ。
毎日レーダーさんに釘を刺されていたのもあるし、変に関係が壊れちゃうのも嫌だったし。
あんまりパパとはお話出来なかったなぁ、でも良いんだ、パパとママの方が断然ママ派だもん。
1年経ってこれ以上の接触は歴史を変えてしまいかねないということで、名残惜しいけどお別れ
でも戻ってビックリ。
だって現代では4ヶ月しか経ってないんだよ。不思議だよねぇ。
ジュリさんとキングは流石に先に学園に戻っちゃったけど、
ヘレネとハイドとクイーンは、アタシのこと待っててくれたの。
まぁアタシがウィンディーにあれもこれもバンバン講座を取らされたんだけど、
一人だとつまんないから、付き合ってもらってたんで単位は全然足りてるからなんだけどねぇ。
戻ってからハイドから聞いたよ。クラマの事……。
研究棟に忍び込むなんて何が考えてんだか。
何か悩んでるなら言ってくれれば良かったのに!
「何あれ?」
「さぁ?」
久しぶりに学園を登校したアタシ達を出迎えたのは、立ち上る白煙と爆音だった。
「まさか敵か?」
「今度はどこの組織じゃ?」
二人は口々に見解を述べてるけど、どうも様子が違う。
それにしては、爆煙が多い気がする。
「同時に攻撃してきたんじゃろうか?」
アタシはヘレネの背後(定位置)にピッタリとつく。
「修行して強くなったんじゃろう?」
「良いの、良いの。」
「おい、貴様ここで何をやっている。」
ハイドが道端に転がっている都合よく転がっていた男子学生を蹴って起こす。
軽く赤いものを口から吐いた気がするけど気のせいだよね。
「アンタ誰だ?」
「貴様こそ誰だ?見かけん顔であるな。」
「俺はゴホゴホ……。」
学生は意識を失ったのか、そのまま返事が無くなった。
「使えん奴。」
ハイドは両手を上げると、悪舎の方へと向かおうとした…そのとき…
バイクのエンジン音がする。
「こっちに来るよ?」
「あれはなんじゃ?」
22風物詩〜大乱闘〜1 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/13(火) 23:50:16 ID:DV6VUzHm
音の方向を見ると、巨乳ライダーユイちゃんが学生達に追い掛け回されてる。
ざっと見て100人くらい……いや、もっと居るか。
空中に飛んでる子も居れば、バイクやマシーンに乗ってる子もいるよ。
「鬼ごっこかなぁ?ファンの子かなぁ。可愛いもんねぇ。」
「なわけないじゃろ。」
「こっちに来るぞ。」
『おい!あそこにも居るぞ!!!やっちまえ!今日から誰がココを仕切るか思い知らせてやれ!』
ああ……ようやくわかったよ。
4ヶ月経過してるってことは、この騒ぎはキャンプから帰ってきた新入生の仕業じゃないのぉ。
去年もアタシ達の時(アタシ達の一部は例の件で寮で謹慎させられてたけど)もそうだったらしいんだけど…
腕に自信のある子や、上級生をぶちのめしてハクを付けたい子が暴徒とかして暴れまわるんだ。
このときばかりは男女学部は関係ないみたいなんだよねぇ。
特に自治会メンバー(つまりはアタシ達)は要注意なんだ、何故なら学生手帳に賞金首よろしく名前と写真が掲載されているからね。
一応断っておくけどこのためじゃないよ?
わからないことがあったら、自治会のアタシ達に聞いてねって意味だよ。
「去年も逃げ回るのに大変だったんだよねぇ……。」
アタシが遠い目で連中を見つめる。
「纏まっておったら狙ってくださいと言うようなもんじゃし、
 シャドームーンのところに集合でどうじゃろう?」
「え?何で先生のところ?」
「ゼミを放ったらかしにしておったのに、単位をくれておるじゃろう。一応礼くらいはいうのが筋じゃろう。」
「確かにな。ではゼミ室で会おう!」
ちょっと待ってよ!アタシをおいてくの?
『いたぞ!!逃がすなぁ!』
ええ…走るの?苦手なんだけど……。
「止める時間は無いから、助かりたきゃのりなさい。」
おお…白馬の王子様ならぬ、白いライダーあらわる。
でも、一言だけ言いたい。
アタシの大きめの服のさぁ、フードをハンドルに掛けたりて運ぶとかさぁ。
物じゃないんだから、せめて後部席にしようよ。
「ごめん、今日はヘルメットが一個しかないの。」
「じゃぁ、しょうがないかぁ、正義部が法律違反はまずいもんねぇ。」
「そうそう。でさぁ、エリカちゃんはこの後どこかに行く予定あるの?」
「うん。ゼミ室行くの。ハイド達と待ち合わせてるの。」
「奇遇ね。アタシもこれからゼミ室だから本館に用事があるの。」
聞けばナツミちゃんに20人は説明会に連れてくるよう脅されているんだって。
可哀想……。
何か弱みでも握られてるのかなぁ。授業のときアタシには新製品のお菓子くれたりとか優しいんだけどなぁ。
「え?」
一人の本を読みながら歩いている背の高い男子学生とすれ違う。
23風物詩〜大乱闘〜1 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/13(火) 23:53:18 ID:DV6VUzHm
「危なくない?」
「うん、牧師っぽい格好だったし四角いメガネでいかにも非戦闘員っぽかったよ?」
「いや、それもそうだけど、あの子今なんか言わなかった?
 その命……神に返しなさいとか……。」
「そんなこと聞こえた?耳良いんだね。」
「えへへへ。」
「別に褒めてないよ。でも一応助けたほうがいいんじゃない?聞き間違いかもよ?」
胸以外を褒められるのがそんなに新鮮なのか、とれも嬉しそう。
しかしバイクの音はすぐそこまで迫っている。
「ちょっとエリカちゃん様子見てよ。アタシ前見て運転しないといけないから」
まぁこんだけスピード出してて余所見はできないよねぇ。
クイっと首を回したその時、スポっという音が耳元でして景色が横に流れていく。
あれ……ユイちゃんがドンドン離れてくよ。
「ホゲ……。」
アタシはそのまま渡り廊下の壁へ突っ込んでしまった。
「ごめん、エリカちゃん大丈夫?」
とりあえず生きてる〜。
頭はクラクラしてるけどなんとか手を振って答える。
そうださっきの牧師君は……。
あれれ…追っ手が消えてる。
それも跡形も無く、服の汚れを払い、バイクを止めたユイのところへ走る。
「ちょっと誰も後ろいないじゃん!どしたの?」
「あれ?さっきまで居たわよねぇ。」
そこへさっきの牧師君が現れた。
まだ本は開いたまま……。この子がおっぱらってくれた…なわけないか。
「ここでお会いしたのも神のお導き、私をどこか正義部のゼミに連れて行って貰えませんか?」
物静かな牧師君だなぁ。
顔色悪いし暗そうだなぁ。ちゃんと食べてるかぁ。
「君の名前は?」
ユイちゃんノルマが達成できそうでちょっと嬉しそう。
「失礼、私の名前はヨハネと申します。」
「私は正義部 ユウキゼミのユイ、どこでも良いならウチのゼミに来ない?
 こっちは悪部 シャドームーンゼミのエリカ。」
「悪…悪…悪…悪…悪…悪…悪…悪…悪…悪…悪…悪…」
おお〜い。大丈夫かい。
「悪…悪は潰す…。」
バタンと読んでいた本を閉じる。
「その命…神に返しなさい……。」
いきなり命令かよ!
顔色悪いから凄く怖いよ。もしかしてそういう効果を狙ってるのか……。
「ちょっとストップ!!さぁ、ヨハネ君さっそくゼミ室に案内するわ、」
まぁアタシも入学した当初は正義部の子と仲良くなるなんて思わなかったし…
ヨハネも早く慣れてくれると良いなぁ……。
ちょっとまって!
今アタシ襲われたらやばくねぇ?
するとお約束というかなんというか…。
「たくあのハイドってのは化けもんだなぁ、とんでもねぇ火を使いやがる。」
「ああ……上級生の癖に大人げねぇ。」
中庭の方からガヤガヤと声が聞こえてきた。
その中の一人がアタシを指差す。
「おい、アソコに居るちっこいのも自治会って書いてあるぞ!!
 あれなら楽勝じゃねぇか?
 こっちは10人もいるんだ。俺一度年上の女ヒイヒイ言わせて見たかったんだよな!」
「逃げるぞ!もっと応援呼べよ。」
「あ……もしもし、ちょっと今から来てくれるか!」
冗談じゃない。こんなの相手にしてられない。
早くゼミ室に行ってそんでヒルトさんに見せてあげなきゃ!
過去に言ってるときも何故か携帯が使えて励ましてくれたお礼を言わなきゃなんだから!
だからアタシの邪魔しないでよ!
24 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/13(火) 23:56:57 ID:DV6VUzHm
新入生は徐々に出てくる予定です。
名前とかは随時wikiに追加していきます。

>>20
そうだね、困ったときのアンゴルモアで良いと思うよ。
25創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 07:36:57 ID:ASJ3Q+wm
投下乙です!
なっちゃんは新製品のお菓子どこで手に入れてるんだろうw
まさかこれも実験か
26創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 13:51:49 ID:eeTgP/2i
乙ですー
ライダーマンも大変だろうなw強いから大丈夫か
なっちゃんがくれるお菓子は食べたくないw
27 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:26:17 ID:eeTgP/2i
また失礼して投下してみます
学園の近くか島のどっかにちょっとした山があることにしといてください
28燃えよ絆・咲けベラドンナ!1 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:31:54 ID:eeTgP/2i
 ヒーロー学園近くの広場に、ワゴン車がとまっていた。
 テーブルやイスが設置され、青空の下にカフェができる。

「ヒーロー学園女子生徒のみなさーん、カフェ・ベラーッチェに寄ってってー」
 長い鼻に出すぎた前歯、猫背でガニ股のカラッカスが、客を呼び込んだ。
 ここ最近、ベラドンナ一味は軍資金を集めるため、移動式の屋外コーヒーショップを経営
していた。
 物珍しさもあって、そこそこ繁盛している。

「はいはい、いらっしゃいま……」
 客寄せするカラッカスの前に、白衣のポケットに手をつっこんだメガネの女が立つ。
「何をしているの」

 正義部・ライダーマンゼミのナツミだ。研究室まで持っているほどの頭脳派として知られ
ていた。

「ああ、まあその」
 決まり悪そうに、カラッカスは頭に手をやった。悪と正義の違いはあれど、研究者とし
ては同じ道をともに歩んではいる。

「人に聞いて来てみたけど、本当だったとはな。こんなことをしている暇があるのか?」
 ナツミは呆れた様子だ。
 咳払いすると、カラッカスは弁解がましくも、研究者らしい普段のクールな(と自分では
思っている)口調になった。
「おまえほど優秀で研究室があるようなのにはわからんだろうけど、いまや俺はチームの
一員で、役割ってもんがあってだな……」

 そんなカラッカスに近づく影。
「おーまーえー、何イチャイチャしてんだい!」
 スタイルのいい、明るい色の髪をした、ペルソナで顔の上半分を覆った長身の女が、カフェ
の制服らしいエプロン姿で立つ。
「いや、違いますよベラージョ様、知り合いなもんで」
 あわてて腰を低くするカラッカスに、ナツミは冷たい目線を投げ掛けた。
 あとからもう一人の部下、太い手足でごつい顔のボケクサーもやってくる。

「おまえ、たるんでないかい? ハイドだかの言うこときいて武器なんか造って、ベラドンナ
はどうでもいいってかい?」
「いや、そんなことないですって、ベラドンナ最優先ですよ。だからこうしてウェイターも
やってるじゃないですか」
「やーかましい、このスッカラカン!」
「ほげー!」
 銀のトレイで殴られ、カラッカスはよろけて頭を左右に振った。
 カラッカスの懐から、写真が数枚落ちた。

「おや、なんだいこれは」
「あっ! いや、これはなんでも」
 カラッカスが拾うより先に、ベラージョのしなやかな手が写真を取った。
 ヘレネやエリカが写っている。
29燃えよ絆・咲けベラドンナ!2 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:34:31 ID:eeTgP/2i
 蝶のようなペルソナに飾られたベラージョの目が、燃えるようになってカラッカスを
にらみつけた。

「ち、違いますよ! ハイドの奴が武器を造った礼とかいって勝手に渡されまして、俺は本当
に断ったんですが……」
「おまえはこんなもののためにベラドンナの仕事をサボるんだね、こーのドッピンシャン!
ヘッポコピー!」
「ギャー! ぐほぇっ、へぶし!」
 エルボー、ひざ蹴り、回し蹴りを立て続けに食らい、カラッカスはうずくまった。

「これはわいが預かっておくまんねん」
 ボケクサーが厚い手で写真を拾った。
「お、おまえ、ずるい……」
 目に涙を浮かべてカラッカスは手を伸ばす。その手をベラージョのハイヒールが突き刺した。
「いぎゃー!」
「早くもっと客を集めるんだよ!」
「うう……ズラベラサッサ」

 泣きながらカラッカスは敬礼した。ベラージョは接客のため歩いていった。
 見ていたナツミは、心底不思議がって首をかしげた。
「何でよりによってあんなバカ女に従うんだ?」

 これを聞くとカラッカスはむっとした顔になった。
「俺の前でベラージョ様の悪口を言うな。俺は生きる楽しみ、喜びに目覚めたんだ」

「カラッカス! ちょっとこっちに来るんだよ!」
 ベラージョに呼ばれて、カラッカスはすぐ態度を変えた。
「はいはい、ただ今っ」

 カラッカスは急いで走っていく。
 楽しいようには見えないけどな、とつぶやき、ナツミは困惑した様子で見送った。

「はい、何ですか」
 息をはずませ、カラッカスは女ボスにきいた。忠実な部下そのものだ。
 ベラージョはワゴン車に設置されたコーヒーメーカーをながめ回していた。

「お客がさあ、コーヒーがまずいっていんだよ」
「えっ、おかしいな。調整が悪いかな」
 カラッカスはコーヒーメーカーの蓋を開けて内部を確認した。
 このコーヒーメーカーはカラッカスの発明だ。上の投入口から何でも入れれば、分子レベル
で分解し、コーヒーを生成する。
 どんな材料からでもコーヒーを作れるが、味や香りはいまひとつ安定しなかった。

「おっかしいなあ」
 カラッカスは配線をいじくった。
 火花が散り、銀色の機械が嫌な音を立てて振動した。
「う、うわっ」
 コーヒーメーカーが倒れ、コーヒーの材料として用意されたゴミの入った袋を吸引しだした。
30燃えよ絆・咲けベラドンナ!3 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:37:18 ID:eeTgP/2i
「やばい、コーヒーメーカーが暴走した! このままでは地球がコーヒーになってしまう」

 おののくカラッカスの眼前で、コーヒーメーカーは強引にゴミ袋を飲み込み、コーヒー
を噴射する。
「なんだって? おい、ボケクサー!」

 ベラージョの命令に応え、ボケクサーはどこからか手に入れた大きな木槌を振り上げた。
 木槌が落ちて、コーヒーメーカーが粉砕される。

「ふぅー、これで地球は救われた」
 安堵して、カラッカスは胸に手を当てた。
 気が付くと、客たちが集まっていた。

「俺たちは、ゴミを飲まされていたのか?」
「ふざけんな!」
「金返せ!」

 男女の客が騒ぎだす。多くは正義や悪のヒーローだ。暴れだしたらベラージョたちには
たまったものではない。
「はーい、今日は閉店ー」
 ベラージョはすばやく食器などをワゴン車に放り込むと乗り込んだ。
 カラッカスも転がり込み、ボケクサーも運転席に駆け込む。
 脱兎のごとし、ワゴン車はあっという間に走り去った。
 客たちは逃げていく車に罵声を投げ続けた。


 今はベラドンナのアジトと化した、地下格納庫に三人は集まって金勘定した。
 ベラージョの機嫌よさそうな高い声が、鉄骨むき出しコンクリート打ちっぱなしの壁に
響く。

「ゴミを売って大儲けだねえ」
 カラッカスは具合悪そうに頭に手を当てた。
「いえ、それが、あのコーヒーメーカーを作るのにそこそこ金がかかってまして」
「それじゃ儲けは?」
「まあ、とんとんでしょうか」
「なーんだい、このボンクラッカス!」

 ヒールの高い靴で蹴られて、カラッカスは引っ繰り返る。
「うう、何で俺ばっかり殴られたり蹴られたり……」
「ベラージョ様の愛でまんねん」
 ボケクサーはもっともらしくうなずいた。
「本当かよ……」
 若い科学者は頭をさすった。

「くだらないこといってないで、メカをどうにかおしよ」
 いらだつベラージョを、カラッカスはなだめるように言った。
「それならご安心を。廃車やら廃材、粗大ゴミなんかを再利用してメカはほぼできてます」
 格納庫の隅にある、布がかけられた大きな何かをカラッカスは指差した。

「へーえ、やるじゃないか」
「できれば金をかけて完璧にしたかったんですがね」

 などというやりとりをしていると、コーヒーカップが回りながら近づいてきた。
「ん、なんだこりゃ」
 コーヒーの香りに誘われてカラッカスが覗き込むと、湯気が出てきてドクロのような形になる。
31燃えよ絆・咲けベラドンナ!4 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:39:49 ID:eeTgP/2i
「ドラー! おめえたち控えろゴラー!」

「ひえーっ、マンドラゴラ様!」
 あわててベラージョがひれ伏し、カラッカス、ボケクサーもならう。

「今週もベラボーンの情報を教えてやるぞゴラー!」
 湯気がしゃべると、ははー、と三人は床に額をつけた。

「山に今は使われていない古い寺があるゴラー! その奥にベラボーンがあるゴラー!」
「寺なんかあったかなあ」
 山を思い出して、カラッカスは首をかしげた。無人メカの試運転に何度か行ったことが
ある。

「うるせえ、あるったらあるんだゴラー、失敗したらライダーの特訓より恐い猛特訓だゴラー!」

 ははー、と三人がまた頭を下げたとたん、コーヒーカップが爆発した。
 閃光が走り熱が伝播し、響き渡る大音とともに発せられる爆風が、カラッカスたちを
吹き飛ばす。
 服をぼろぼろに焦がし、三人はふらついた。辺りに煙が漂う。

(あれは肉体をなくしたファンガイアか何かじゃないのか)
 カラッカスは疑っていた。ファンガイアは強力だが、不滅ではない。
 ベラボーンとはマンドラゴラの肉体だろうか。

「さっさとメカを仕上げるんだよ!」
 やけくそになったようなベラージョが命じた。

(それならそれで研究対象としておもしろそうだし俺はいいけど、ベラージョ様は落ち込む
だろうなあ)
 カラッカスはボケクサーと並んで敬礼した。
「ズラベラサッサ」

 しばらくは黙っておこう、とカラッカスは心に決めた。
 メカ製作は歌いながらやらなければならない。
 ベラージョ、ボケクサーは一瞬でベラドンナのコスチュームに着替える。
 カラッカスは急いで着替えを終わらせた。三人は歌い踊りつつ、作業した。

 べらぼーブラボーベラドンナの歌
 〜省略〜

 溶接、結合などの作業は終わる。
 実はほとんど完成したメカをカラッカスが組み立てやすくバラし、歌い終わりと同時に
三人で(ベラージョは踊るだけで何もしないが)完成させる。
 一見無駄な工程だが、メカ完成の儀式でもあり、チームの結束を高めるための重要な行為
らしい。

「今週のメカ、全国コーヒー協会推薦・ボジョージポカンダルーツァイアよーん」
 カラッカスが誇らしげに我が子を紹介した。大きなコーヒーポットに手足がついた形だ。
32燃えよ絆・咲けベラドンナ!5 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:43:40 ID:eeTgP/2i
「何だか言いにくい名前だねえ」
「でも強いですから。擬似グラニューム合金仕様です。正義なんかにゃ負けません」
「本当かい? おまえったら右手でっかい先生のゼミ生よりダメだっていわれてるよ」
 右手でっかい先生といえばライダーマンだ。
「失礼な! あんな奴のゼミには負けてませんよ! ドクトル・G(ゲー)様みたいな悪こそ
俺の道です」
「おまえ、エビになりたいのかい」
「いやカニでしょ。いやそうじゃなくて、あの、もういいです」

「じゃあその……、ボンボリポカスカダイミョージンで、しゅっぱーつ!」
 はりきる女ボスにカラッカスと、ボケクサーが敬礼した。
「ズラベラサッサー!」

 ポット型のメカが脇を開いて、内部へと誘う。開いた蓋を足場にして、三人は中に入った。
 ベラージョは中央に陣取る。カラッカスは左の席に座って、システムを起動させた。
 地下格納庫の天井が開き、メカが下部からジェットを噴射して飛び出す。
 水蒸気の跡を作って、ボンボリポカスカダイミョージン(ボジョージポカンダルーツァイア
改め)が空を駆けた。
 一見、ポットの形をしたメカは飛べるようには見えない。巨大なコーヒーポットが飛ん
でいくさまは何とも異常に見える。
 実は、流線型のフィールドを造る装置が取り付けられていて、これで空気抵抗をなくし
揚力を得て飛んでいる。これを使えば基本的にどんな形でも飛べるし、防御用のバリアにも
転用できる。
 メインモニターが眼下に山を映し出す。カラッカスはあちこち指差した。

「向こうが発電所、あっちに浄水所とかがあるんですよ」
「へーえ、よく知ってるじゃないか」
「ええ、戦闘禁止区域を利用してロボットを作ったり、そしたら女ライダーにぶっ壊されたり
とかしましてね……」
「そうやっておまえはこっちをお留守にしてよそで仕事するんだね」

 ベラージョはカラッカスの耳をひっぱった。
「いたた、ち、違いますって」
 余計なことをいわなきゃよかった、とカラッカスは後悔した。
 などとやっている間に、メカは山の中腹辺りに降り立った。

「木が邪魔で寺なんて見つからないから、徒歩で探しましょう」

 メカを茂みに隠すと、カラッカスたちは山道を登り歩いた。木々が枝をのばして、たまに
葉をざわめかせる。どこかで鳥の羽音がした。
 ヒールの高いブーツをはいたベラージョは歩きにくそうだ。
33燃えよ絆・咲けベラドンナ!6 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:46:13 ID:eeTgP/2i
 しばらく歩き続けると、三人は道の先、崖っぷちに廃寺を見た。ベラージョが白い手で
指さす。
「あった、あれだよ!」
 突端に器用に建てられた、吹けば飛ぶような小さな寺だ。

「金目教かなんかの寺かなあ」
 つぶやくカラッカス。
 駆け出そうとするベラージョの前に、木の影から五人の男女が出て立ちはだかった。
「そこまでだ!」

 カラッカスはうるさいハエでも見るような思いだ。
「正義か。なんだよ、ついてきてたのか」
「うるせー、ゴミのコーヒーに百七十円も払わせやがって!」
 赤いジャケットを着た、赤っぽい髪の男が、顔まで赤くした。
 ベラージョはバカにしたように言ってやる。
「あら客だったの、そりゃ毎度ありがとやんした」

「ゆるさねーぞ、煉獄エナジー充填! ゴクフォームチェンジ!」
 男子生徒は赤いスーツに身を包む。
「業火の猛犬! ゴクレッド!」
「深海の大王! ゴクブルー!」「迅雷の複合獣! ゴクイエロー!」「鉄壁の巨人! ゴクブラック!」
「疾風の翼! ゴクホワイト!」「神をも恐れぬ地獄の軍団! 煉獄戦隊ゴクレンジャー!」

 名乗っている間、正義も悪もお互い待っていなければならない。校則で決まっている。
当事者の他に誰もいないと意味がないようだが、一応守られる。
 今度はベラージョが長い脚で地を踏んで名乗る。

「花も実もない砂漠なら、咲かせてみせます悪の花、べらぼーブラボーベラドンナ一味のボス、
べらぼーべっぴんベラージョ様だよ!」
 続けてカラッカスも名乗った。
「ヒーロー学園女子生徒のみなさーん、べらぼー天才カラッカスよーん」

「なんだそりゃ」
 ゴクレッドが気を抜かしてちゃちゃを入れた。
「俺の決めゼリフなんだよ!」
「キャラ変わってないか?」
「うるさい、俺は生きる喜びに目覚めたんだ」

「べらぼー怪力ボケクサーでまんねん」
 名乗りおわると、ベラージョが手を前にやる。
「べらんめーっ! おまえたち、やーっておしまい!」
「ズラサッサ」「ベラサッサ」
 敬礼するとカラッカスは皿を何枚か手にした。肉弾戦はやはり不慣れで、緊張に声も震える。
「コーヒー皿手裏剣だ、食らえ」
 皿が宙に投げられて飛んだ。
 ゴクレッドは跳ねてかわしたが、皿は意志をもったように目標を追った。
 ゴクレッドは抜いた剣で打ち払う。払われると、皿は破裂し破片を飛ばした。
34燃えよ絆・咲けベラドンナ!7 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:48:12 ID:eeTgP/2i
「追尾型爆弾なのか」
 ゴクレンジャーは飛び回る皿から逃げつつ、武器で打って破壊した。
 ボケクサーは棒を手にして振り回す。
「シナモンバー棍棒でまんねん」

 一見ただの棒に見えるが、心地よい香りが戦意を喪失させる。ゴクブラックのハンマーと打
ち合って重い音をきかせた。

「いいにおいでまんねーん」
 ボケクサーはぼんやりとした目になって、足腰をふらつかせた。
 コーヒー皿手裏剣が弧を描いてボケクサーの頭に当たり、炸裂した。
 ボケクサーは黒くなって煙を吐き、ぶっ倒れる。

「何やってんだおまえは」
 カラッカスはあわてて駆け寄り、ボケクサーの太い体を引きずった。
 生徒としては目上だが、チーム内では同格なのでこんな言葉遣いも許される。

「食らえ、トライヒートスレイヤー!」
 ゴクレッドのサーベルから炎が噴き出し、カラッカスとボケクサーに襲い掛かった。
 熱が伝わり火の粉が舞い散る。カラッカスとボケクサーは尻を焦がしてコスチュームに
穴を開け、パンツを見せて走った。お約束で三悪はこうしなければならないのだ。しかし、
熱いことには違いない。

「ひーっ、ベラージョ様ーっ」
「なーにやってんだい! こうなったらメカ戦だよーっ!」
 ベラージョが腕を振ると、待ってましたとカラッカスはコントローラーを手にした。
「ズラベラサッサ!」

 遠隔操作で大きなポットが飛んでくる。
 ジェット噴射しつつ、ポットは太い足で着陸した。風がベラージョの髪を乱す。三人は
開いた脇から内部に乗り込んだ。

 カラッカスはマイクをオンにした。
「おい、ザコヒーロー、おまえらどーせメカないんだろ?」
 悔しがるのかと思いきや、メインモニターが映し出す五人は何か勝ち誇るようにしている。

「俺たちもメカを手に入れたんだぜ!」
 ゴクレッドは携帯電話をかざし、何か操作した。

「んっ、何かセンサーに反応あり」
 カラッカスが計器を見て言うと、小さなメカ三体が操作盤から飛び出した。
「反応アリッ!」「働きアリッ!」「オラ休みアリ」
 三体のアリ型メカはスコップで掘るような動作をしてから、引っ込んだ。

「余計なもん作ってんじゃないよ!」
 ベラージョが平手でカラッカスをはたく。作れといわれて作っているのに、とカラッカス
は憎々しげにした。
35燃えよ絆・咲けベラドンナ!8 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:51:42 ID:eeTgP/2i
「じゃあ予報メカでバトルの予報をしてみましょう」
 ボタンが押されると、今度は八角形の筒が出てきた。
「俺が作った未来予知メカです」
 手が打たれると、たたまれた紙が飛び出た。メカが歌いだす。
「オミクジオミクジ何が出る、今日も今日とて凶が出る」
 紙をひろげ、カラッカスは読み上げた。

「えーと、……特大凶。火の難あり。想い人離れる……」
「こーのピッピキピー! 何でそんなもん引くんだい!」
 ベラージョにあごを蹴り上げられ、カラッカスは引っ繰り返る。
「ギョヘー!」

 などとやっている間に、ジェット機やらバイクやらF1カーやら五種の乗り物が集まって
いた。
 五種の乗り物は変形、結合していき、一つの大きな戦闘機になった。
 鳥の形だ。

「驚いたか、俺たちのメカ、Gガルーダだ!」
 拡声器を通した声が山に響いた。金属の鳥が悠々と空を旋回し、地に影を投げる。

「あれは戦隊というより、科学忍者隊っぽいな」
 カラッカスは各種センサーからの情報を分析してキーボードを打つ。
「ついにメカ同士で戦えるね、火の鳥かい?」
 ベラージョは目を輝かせて手を合わせた。
「喜ばないでくださいよ」
「おっとそうだね」

「ただのレプリカかな。どこで拾ってきたんだろう。えい、先手必勝、マウスをクリっとな」
 カラッカスはマウスをクリックしようとした。ただのマウスではない、ネズミ型メカだ。
 ネズミメカがカラッカスの指をかじった。
「いでー、この!」
 ネズミメカはチューチュー鳴いて前歯を光らせ、しゃべった。
「お昼寝チューよ、しちゅ礼しちゅーわ!」

「おまえがチーズをやらないからだよ」
 と、ベラージョが肩をすくめる。
「かりにも造物主に!」
 どこかから借りた言葉でカラッカスは怒りを示す。
「生意気なネズミめ、クリっとな!」
 改めてクリックされると、ボンボリポカスカダイミョージンは上部の蓋を開いた。

「いけー、違いがわかるコーヒー豆爆弾!」
 空の鳥に向かって、スイカ大のコーヒー豆がいくつも飛んだ。一つ一つが爆弾だ。
 Gガルーダに爆弾が命中し、空にいくつも爆発が起きた。
「いいよいいよ、ボンボリポカスカダイミョージン!」
 コックピットでベラージョはポンポンを手に応援する。
 煙が晴れると、Gガルーダは傷一つない輝いたボディを見せた。

「なんだいなーんだい! 効いてないじゃないか!」
36 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 18:53:44 ID:eeTgP/2i
いったんお休みします
あと5レス前後になるかと思います
またあとでー
37創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 19:05:43 ID:k7pFNm3X
投下乙
カラッカスはどこのゼミなんだ?
38燃えよ絆・咲けベラドンナ!9 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 19:47:01 ID:eeTgP/2i
 ベラージョに両のほおをひっぱられながら、カラッカスは弁解した。
「並みの装甲なら破れるはずなんですが、あいつらの結構いい機体みたいで」

 大空の怪鳥は角度を変え、背のミサイルを打ち落とした。
 ボンボリポカスカダイミョージンに向かって、雨のようにミサイルが降り注ぐ。
「ひえーっ、ベトナムみたいに撃ってくるよ! カラッカス、大丈夫なのかい?」
「まったく、どっちが悪やらわかりませんね。バリア起動、クリっとな」

 ボンボリポカスカダイミョージンは障壁に包まれ、難を逃れた。周囲で爆発が起き、土が
飛び散って大音がこだまする。
 モニターを見て、ベラージョがああっ、と声を上げた。寺の近くでミサイルが爆発した。
 爆風で寺はゆがみ、崖は崩れそうだ。

「ベラボーンが!」
 ベラージョは飛び上がると手動で入り口のハッチを開け、外へ出ていった。
 爆発をかいくぐり、ベラージョは寺をめざす。
 追い掛けようと、カラッカスは立ち上がった。
「ベラージョ様!」

 Gガルーダは燃え上がるや、炎をまとってボンボリポカスカダイミョージンに向かって
降下した。

「うわっ、やばい火の鳥か、バリア最大出力!」
 巨大なポットは逃げながら、障壁を強くする。燃える大きな翼がバリアを打って、衝撃を
伝えた。
 Gガルーダは低空飛行したあと急上昇した。
 落ちる火の粉が辺りを燃やす。寺にも火が移って煙が上がった。
 ベラージョは火から逃げようと窓から出て、屋根へと上った。
 寺は火に囲まれて降りれそうにない。

「ベラージョ様!」
 コックピットのカラッカスは思わず叫んだ。
 ベラージョは寺の屋根でなすすべない。
 ボケクサーが青い顔で大きな口を動かした。
「ボンボリで助けにいくまんねん」
「ああ……、いや、こいつが行くと重さで崖が崩れる」
「飛んでいくまんねん!」

「ダメだ、こいつは飛ぶとバリアを張るから、寺ごと吹っ飛ばしてしまう」
「じゃどうするまんねん?」
「あれだ!」

 カラッカスは壁ぎわに設置された三人乗り自転車に飛びついた。
 緊急脱出口を開き、自転車の二番目の座席にカラッカスはまたがる。
 ボケクサーは後ろの席にまたがった。カラッカスは自転車を飛行モードに設定する。
 自転車から羽根が飛び出した。

「こげっ、ボケクサー!」
「おまかせまんねん!」
39燃えよ絆・ベラドンナ!10 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 19:55:58 ID:eeTgP/2i
 二人がペダルをこぐと、その力は増幅され、羽根の下からジェットが噴き出る。

「ベラージョ様のためならば!」
「たとえ火の中水の中!」
 二人は燃える廃寺へ飛び込んでいく。
 煙に包まれ、屋根の上でベラージョは大きな筆のようなものを手にしていた。払子(ほっす)
という仏具だ。

「ああ、こうして私の短い十八年の生涯ははかなく散るんだねえ……」
 屋根の上で熱に苦しみもだえ、ベラージョは涙した。

「誰が十八ですか」
 頭の上からの声に、ベラージョは見上げた。煙を押しのけかきわけ、カラッカスとボケクサー
が自転車をこいでいる。

「おまえたち、助けに来たのかい?」
「当たり前でしょう、俺はベラドンナのカラッカスですよ!」
 カラッカスが手を伸ばす。
 ベラージョも手を上げるが、わずかに届かない。

「もっと近づくまんねん」
「わかってるからしっかりこげよ」
 言い合いながら、二人は女ボスを救出せんとする。
 崖は崩れかかって、寺は傾いた。燃える木片が谷底へと落ちていく。
 ベラージョは屋根の端につかまってぶらさがった。今にも寺ごと落ちそうだ。「ぎゃーっ、やだーっ、死ぬーっ!」
 ベラージョの高い声が谷に反響した。カラッカスは近づこうとするも、熱と煙でうまく
いかない。
 下を飛び、カラッカスは呼び掛けた。
「ベラージョ様、飛び降りてください、受けとめます」
「な、何だって!」

 谷は千尋とも思えて、底知れぬ暗闇からは冷たい風がはい上がる。
 真っ赤に燃え上がるGガルーダは、寺に向かって突進した。

「くそっ正義め、そこまでやるか」
 カラッカスは正義を憎み、毒づいた。谷から風が吹き上げ、寺を囲む火があおられる。
 意を決し、ベラージョは屋根から飛んだ。
 重力に身を任せて、ベラージョは宙を舞う。
 自転車は谷を飛んで、ベラージョがカラッカスの背にぶつかった。
 バウンドして落ちそうになるベラージョの腕を、カラッカスがつかむ。
 勢いに負け、カラッカスが座席から離れて落ちそうになった。
40燃えよ絆・咲けベラドンナ!11 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 19:58:52 ID:eeTgP/2i
 あわや落下というところ、ボケクサーの厚い手がカラッカスの足をつかんだ。

「助かった……」
 逆さになったカラッカスは安堵し、息をついた。
 ボケクサーは力を振り絞ってペダルをこぐ。
 どうにか自転車は谷底に無事着地した。思ったより高い崖ではなかった。不死身のベラージョなら軽傷で済んだかも
しれない。
 一息つくと、ベラージョは泣きながら払子でカラッカスをたたいた。

「死ぬかと思ったじゃないか、オタンチン、ヘッポコピー!」
「痛い痛い、痛いですって」
 たたかれつつも、カラッカスはベラージョの無事を喜んだ。
 上方で大きな爆発が起きた。黒煙が上がり、地が振動した。破片がいくつも飛び散るの
が見える。
 煙を引きずって、大きな鉄の鳥が空を横切った。

「ああ、ボンボリポカスカダイミョージンがやられたみたいです。くそっ、俺の作品を……」
 カラッカスは我が子、我が芸術の死をなげいた。
 ドクロ型のキノコ雲が上がるが、カラッカスたちからは確認できない。
「また負けたんだね。でも、ベラボーンは手に入れたからね」
 ベラージョは払子を手に、得意そうにした。

「ベラージョ様、ベラボーンは、その……」
 おそらく宝石の鉱脈などではあるまい、とカラッカスが言おうとしたとき、空から声が
聞こえた。

「助けてくれーっ! 制御できないーっ!」
 ゴクレッドの声だ。
「なんだ、勝手に動いてたのか。もしかするとあれは、機械生命かもしれません」
 言ってみて、あれはナツミが造ったのではないか、とカラッカスは気付いた。
 他に機械生命を造れるような者は、なかなかいない。
「ナツミのやつ、ザコヒーローを実験台にしたな」

 思えばコーヒーショップに来たのも宣戦布告だったのかもしれない。
 たまたま来ていたゴクレンジャーを使ったのか。

「おまえがイチャついてたあの貧乳メガネかい」
 ベラージョに耳をひっぱられて、カラッカスは涙をにじませた。
「だから違いますって」
 ナツミは本気ではなかったのだろう、とカラッカスは推測した。あの女科学者が本気を
出したら、こんなものではすまない。
 空から、また別の声が響いてきた。

「ドラー! おめえたち、ベラボーンは手に入れたのかゴラー!」
41燃えよ絆・咲けベラドンナ!12 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 20:01:01 ID:eeTgP/2i
「ひっ、マンドラゴラ様! ごらんください、この通り!」
 ベラージョはあわてて払子をかかげる。
「こーのドラポンタン、それはガラクタだゴラー!」

 低い声を聞くと、ベラージョは落胆して肩を落とした。
「そんなー!」
「だってあんたが取ってこいっていったんでしょ」
 カラッカスが抗議すると、空のドクロのような雲が怒りに震えたようだ。

「我輩が悪いっつうのかゴラー!」
「そんな、めっそうもございません」
 ベラージョが訂正しようとするが、もう遅い。

「今週は特別きつーい猛特訓だゴラー!」
 坂の上から、黒い塊が恐ろしい音を出して転がってくる。

「ほら、自転車で逃げるんだよ!」
 大あわてでベラージョたちは自転車に飛び乗った。運命から逃れようと三人は必死に
ペダルをこぐ。

「カラッカス! おまえが余計な口答えするから悪いんだよ」
「だっていくら何でもひどすぎませんか。ベラージョ様、ベラボーン以外にもお宝はたぶん
ありますしね、これからは色々探したら……」

 口を動かしながら、カラッカスが振り返って見ると、迫ってくる物体は巨大なコーヒー
豆だった。
 さらに、コーヒー豆には導火線が伸びて、熱い火花を散らしている。
 響き渡る三重の断末魔の叫び、続く大爆発。
 天空の極みに飛び上がった三つの光が、空を流れる。
 流星のような輝きを見て、世界平和など願う人もいたかも知れない。

 三人は学園近くの砂地に墜落して、三つの穴を空けた。
 少しの間のあと、ベラージョたちは顔を地上に出し、砂を吐いた。

「まったく、おまえのお知り合いの貧乳メガネのせいで、ひどい目にあったよ!」
「はあ……。俺のせいじゃないんだけどなあ」


 ベラージョの小言に相づち打ちつつ、カラッカスは深く息をついた。
42 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 20:03:41 ID:eeTgP/2i
終了です
>>37
うん、決めてないんだよね 適当でスマン……
悪部の教師も書いたほうがいいかな
漫画のキカイダーにドロメダ博士ってのがいるからそれにしようかなあ
などと考えたり なんかいいのあるかな?
43創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 20:08:59 ID:k7pFNm3X
それでいいんじゃない?
44 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/14(水) 20:48:13 ID:eeTgP/2i
じゃあそうしようかな もう少し考えてみる
思ったけどSS書けない・書かない人は
登場人物案だけ出してみるってのはどうかな
使われない、扱いが悪くても泣かないっていう約束で
生徒、教師、対立する生徒、関わる生徒などを
全部作るのって大変だし
45創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 21:16:34 ID:eXTfR6un
過疎ってると難しいかな
今日あたりは週の真ん中で過疎なだけかもしんないけど
46 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/15(木) 21:49:22 ID:i6F3CDRK
ccu2hP6PPAです
トリップ違ったらすみません。

>>44
一応私は 今後下記のキャラクターを登場させる予定ですので
良かったら参考にしてください。

タルタロス……冥府で暴れていた72の魔人を封印したベルトを体内に持つ 
       冥府の精霊モートの力により、意思と関係なく触れたモノ全て灰にしてしまうため 
       常に黒い手袋をしている。頭脳明晰で温厚な性格。普段は科学者として生活しているが
       妹のプルートに危険が迫ると
       愛犬(ケルベロス)と共に飛び出し。冥府の騎士 仮面ライダータナトスに変身する。
        その姿を見た者は『死』を意味する。
       テュルフィング という魔剣が武器  が家族にもそのこと(ライダーの事)は内緒。
       現世に復活した108の悪の組織再び冥府に封印する使命を担う。

ライダーマンゼミ       
ヨハネ   …絶対的正義(神)の名の下に全ての悪を叩き潰すために存在する。
       仮面ライダーサリエルに変身する。
       有名な修道院の出身で潔癖症
       エクスカリバーという聖剣が武器
       一瞥で相手を傷つける事の出来る邪眼を左目持つ。
       (そのせいで捨てられ修道院で育った)
       その範囲は目に見えるほどに空間が歪む。対象の体を物理的に引きちぎると言った強力な殺傷能力の他、
       発動した相手の術を空間ごと別の場所に飛ばして不発させるなど高い応用性と効果を合わせ持つ術である。
スーパー1ゼミ
カストル(兄)…バイクの名手。父似のため不死身ではない。家族の中でも特に頭がいい。
        普段は研究者として兵器の開発に余念がない。
        ちなみに戦闘能力は高くないが、予知能力があるためどんな攻撃も交わすことが出来る。
        一応アポロン(男)という光の精霊と契約しているが……。
        普段は温厚だがキレルとヘレネも恐れるくらい怖いらしい。
        双子でセット扱いは嫌い
        ある目的のためにあえて正義部に入学


悪部
ボスガン・ビシュムゼミ

プルート(女)…右目に映ったものを本人の意思とは関係なく燃やしてしまうバロールの邪眼があるので、常に黒い眼帯をしている。
        変身すると母親譲りの蒼い炎で敵を焼き尽くす。火の精霊オグン(女)を従える。
        普段は黒装束を着ているが、変身すると深紅のローブに変わる。
        理由は血が目立たないようにするため。
        タルタロスとは双子の兄妹で性格は逆
47 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/15(木) 21:51:11 ID:i6F3CDRK
ポルックス(弟)…剣術とボクシングの名手。
         大地の精霊 アルテミス(女)の力を借りて戦う砂を操る。
         砂だけでなく地震を起こすことも可能。母や姉と同じで不死身。
         また兄がヘレネのガタックを真似て造ったサソードゼクターで、仮面ライダーサソードに変身する。
         
サソード…モチーフはサソリ。
     基本カラーは紫。サソードヤイバーを用いた剣術を得意とする。
     装着者の体内酸素濃度を上昇させるクロロトキシンを含むナノ粒子構造体を生成し装着者を活性化させる。
     フォームを問わず、クロックアップをしていない状態でも高速で移動する相手を確認することができる。

シャドームーンゼミ
イヴァン …アンノウン族の王

ネロ…クライシス皇帝の生まれ変わり

マリー…グロンギ族の王女

親衛隊…子供達   

詳細はwikiに追加しておきます
48創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 22:37:48 ID:eXTfR6un
おおーなんかすごいな
クライシス皇帝の生まれ変わり!大物入ってきたw
49創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 22:50:05 ID:5zq0YySR
登場人物募集やりだすとあれる気がする。
wikiで募集はどう?
50 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/17(土) 18:55:18 ID:vLn0lny2
こんばんわ
ネロ君なのですが、ストーリーの関係上
正義部
ミナミ・カイドウゼミにします。
クライシス皇帝の生まれ代わりはそのままです。
51風物詩〜大乱闘〜1 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/17(土) 19:41:48 ID:vLn0lny2
「いたぞ!こっちだ!」
ヒルトさんの待つ(はず)のゼミ室はすぐそこなのに〜。
後輩達がじりじりとアタシの距離を狭める。
困ったなぁ。
後ろは校舎は前は後輩。こういうのなんていうんだっけ。
ん?なんだ。この土ぼこりは?
足元を何かがシュシュシュと走り回る。
ネズミ……違うサソリだ!!!
慌てて飛び上がった。
研究室から逃げ出したのかなぁ。やっぱり刺されると痛いのかなぁ。
後輩の一人が勇敢にもサソリを摘みあげる。
「なんだ。ロボットじゃないか!驚かしやがって。ハハ」
そういうと、サソリ型ロボットをポイッとこちらに投げ捨てる。
「キャア!何すんのよ!!危ないじゃない!!」
「キャだってよ。聞いたか?」
後輩達がその様子を笑いながらはやし立てる。
くっそムカつくなぁ〜。
絶対ヘレネとハイドに言いつけてやるんだからぁ。
「ねぇねぇ君達何してるの?」
「え?」
頭の上の方から聞きなれない甘えたような声がする。
「なんだてめぇは?おどかしやがって!」
「驚くのはこれからだよ。ねぇ君達僕と遊ばない?トオ!!」
声の主が屋上からジャンプして降りてくる。
あれ……この顔どっかで見たような……。
「サソード…変身!!」
彼は先程のサソリをベルトに取り付けると、なにやら変身を始めた。
この子もライダー??
「いきなり変身だと?やんのかこら!!」
「弱い犬ほどよく吼えるってね。」
「野郎共やっちまえ!!」
あのアタシもう行っても良いかしら?
52風物詩〜大乱闘〜2 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/17(土) 21:14:48 ID:vLn0lny2
私の名前はジュリ!握力300KG!
よく聞かれるのだが、私の胸は妹ほど大きくない。
別に伸縮自在のサラシで締め付けてるわけじゃないぞ。
公言してるじゃないか。
だからそんなあからさまにガッカリするな。
その代わり、肩を揉んでやる。
得意なんだ。

「さすが自治会つええ。」
何度言わせたらわかるんだ?こいつ等は……。
さっきからユイと私を間違えているようだ。
在校生ならそんなのは、胸を見れば一目瞭然だから有り得ないはずなんだがな。
それに顔は似てるかもしれないけど、髪の色だって全然違うんだ。
ユイは茶髪、私は黒髪だぞ。
来年からはカラー写真を貼ってくれ。
コストカットだかなんだかしらんが、こうも多いと腹が立つ。
「戦士の癖に女一人に多勢で掛かるとは情けない。
 その腐った根性(格闘技部で)叩きなおしてやろう。」
「誰がそんなもん(自治会)入るか!!俺達は暴れたくて入ったんだよ!」
「(試合で)存分に暴れれれば良いだろう。」
「なんだと馬鹿にしやがって!!」
「ふん。」
パンチを受け止めて背負い投げ。
一人くらい骨のある奴はいないのか。
片っ端から殴り倒す。それにしても弱すぎる。
リョウコと戦っているうちに、いつの間にかこんなに私は強くなっていたのか。
53風物詩〜大乱闘〜2 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/17(土) 21:15:15 ID:vLn0lny2
いつも負けてばっかりだから自信がイマイチもてない。
「生身の人間の癖に!さっさとデルタに変身しろ!」
だから私はデルタにはどうやってもなれないだって言ってるだろ!
「ボコ!次!」
カッとなって顔面にパンチを入れてしまった。
こんなことで心を乱すとは私もまだまだだ。
それにしても、こいつら私がヒーロー学園最大の武闘派集団といわれる
格闘技部の副主将だと知ったらどんな顔をするのだろうか。
去年は土下座して謝りに来たのが数人と、菓子折り持ってご機嫌とりにきたのが10数人いたな。
全員格闘技部に強制的に入部させて、二度とそんな気を起こさないようにしごいてやるのは楽しいもんだ。
「ん?」
スカッと私のワンツーが空を切った。
考え事をしていて目測を誤ってしまったか。
私もまだまだ戦士として未熟……こんなことではリョウコはおろか
女(主にはハルコ)を道場ではべらせて、ロクに乱取もしない馬鹿主将(コウジ)にも勝てない!
「どりゃぁ!!!」
思いっきり踏み込んでキックをするが、またも空を切ってしまった。
パターンが単純すぎたか?読まれてる?
「なかなかやるじゃないか。お前には特別に変身して相手になってやろう。こいアギト!!」
私の声に反応してどこからかアギトゼクターが現れた。
「変身!!」
ベルトにゼクターをとりつけ、アギトに変身する。
「挑戦を司りしアギトか……。」
「何をぶつぶつ言っている?お前も変身をしろ!」
しかし男は変身する素振りがない。
「何故変身しない?」
「必要ないからです……。」
ほぉ、この新入生……腕も立つが口も立つらしい。
軽くワンツーをくりだすもジャブが当たらない。
この反応速度はなんだ……。見て避けてるとかそういうレベルじゃないぞ。
私が攻撃をする瞬間にはもう避けていた。
「僕はアナタとイクサを助けるためにヒーロー学園に来ました……。」
「どういう意味だ?」
「アナタはアギト完全に掌握できていない。その証拠にアギトを他人に装着されたことがあるはず。」
この男何故そんなことを知っている?
54風物詩〜大乱闘〜2 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/17(土) 21:15:37 ID:vLn0lny2
「掌握しきれない理由はタダ一つ、心の奥底に迷いがあるからです。」
なんだこいつは。何か変だ。
「お前何者だ?」
私の表情が険しくなる。
「僕なら出来る。イクサとアギトを共存させることが……。」
ちょっとまてコイツ新入生か?
薄気味の悪い奴だ。なんでイクサのことまで知ってるんだ。
「僕は全てを見通す者にしていウォッチメンの名を継ぐ者……カストル……
 イクサの改良は確かにもう限界です。
 しかし改造ならまだまだ余地はあります!」
その鋭い眼差しが私を捉えて話さない。
「ウォッチメン?なんだそれは?」
「イクサはこれから起きる大きな戦いでシャダイムと共に人類の希望となります。
 ゴホゴホ……いけない。力を使いすぎた……。」
カストルと名乗る男は咳き込みながら胸を押さえる。
「おい、どうしたんだ?しっかりしろ。」
「ゴホゴホ…。だ…大丈夫です。いつものことですから……。
 少し休めば……またすぐ……。」
顔色がドンドン悪くなっていく。
「横になる。良い場所がある。」
ちょうどいい。コイツをゼミに連れて行こう。
多少背中が痛いかもしれないが、あそこなら隅で横になっても問題あるまい。
55 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/17(土) 21:57:05 ID:vLn0lny2
次回も大乱闘は続きます。
あと2年生追加です。

悪部2年生
ボスガン・ビシュムゼミ
フレイア…この世で高貴な種族であるエルフ族の王の娘だが、今はダークエルフ
     (ある理由でエルフ族を追放された。)
     戦闘力はハンマーを振り回すだけであまり高いとはいえないが
     高い回復能力や豊富な知識を持つ存在
     非常に美しく、自由奔放な性格で、欲望のまま行動し、性的には奔放
     不良に絡まれたところをハイドに助けられた過去があり
     それ以来影からこっそり見つめている。
56創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 22:22:07 ID:gGZXCjQl
投下乙です
ゼミ生が複雑に絡み合ってますね。
57創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 22:30:32 ID:jcwp7H12
いつも更新ごくろうさま
読むのが楽しみになってます
また濃いキャラきたwどうなってしまうんだ

明日はいよいよキバ最終回でしたかね
見逃さないようにしなくては
58 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/18(日) 11:10:07 ID:IgkGU0vp
すみません
自分で投下した分だけでもwiki編集しようと思い
テスト、テスト二というページを作ってしまいまして
ページ名変えるのにログインできなくて
どなたかログインできるかたはページ名変えて使うか、
ページ消すかしていただけると有り難いです
慣れないことで迷惑かけます
外見に影響ないですので
申し訳ないです
59 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/18(日) 12:40:41 ID:IgkGU0vp
とりあえず作者別一覧からの投下分だけ載せさせていただきました
えらい時間かかってしまった とりあえず今のとこはこれでお許しを
どうにも苦手で申し訳ない
だんだんできるようになっていきたいものです
60創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 14:38:50 ID:om1aPW9F
投下乙
また濃いキャラクター出てきましたなぁ
有志で保管して行くのはどういうルールだっけ。
何でもかんでも作者さん頼みは負担が大きいしなにか出来ないもんだろうか
61風物詩〜大乱闘〜3 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/18(日) 20:45:58 ID:SKoI87yP
我が名はネロ。
数千年前はクライシス帝国の皇帝としてその名を轟かせていた訳だが……。
仮面ライダーRXに破れ冥府に送られたのだ。
その後は地獄に落とされ、血の池地獄に沈められていたはずなんだが。
突然眩い光に体を包まれて気がついたらどこかの森に立っていた。
それだけでも充分驚くに値するのだが、
肉体が若返っていることに気がつきさらに驚かされた。
その後途方にくれていた所をミナミコウタロウに保護されたのだ。
あのときは憎くて堪らなかったが、話せば良い奴だったのだな。

コウタロウ邸で傷を癒すまで厄介になった我は、奴からヒーロー学園とアンゴルモアなるものを聞かされた。
大王だかパンドラだか知らんが、我を従えようとは生意気な奴だ。
不遜な考えを持った者は御仕置きせんとね。
まずを仲間を集めねばならん。クライシス帝国のときの部下は皆殺しにされてしまった。
そんな訳で我はコウタロウのコネでヒーロー学園に入学した。
学部の方は正義部だ。我も少しは冥府で丸くなったのだ。コウタロウの顔を立ててやらんとな。
それに仲間が次々倒されていき、最後には我が直接出向いて惨敗などという屈辱はもう沢山だ。
一度は黄色い声で名前を呼ばれてもみたいしな。
(にしても騒がしい学園だ。)
今日はゼミ選びということで早起きして学園に来たのだが……。
途中何度も若造に絡まれた。
絡まれて気がついた。この若返った肉体……以前の肉体と違う上に弱くなっているようだ。
このままでは御仕置きどころか、学園内でやられてしまいかねん。
ゼミ選びとは言っても、仮にも我も一度は皇帝を名乗った男
自分より弱い奴に教わるなどと、プライドが許さん。
コウタロウのゼミ一択だ。
聞けばオルフェノクとかいう種族の裏切り者として手配されて困り果てたところを
コウタロウが保護した者と一緒に学生の面倒を見ているらしい。
さてゼミがアッサリ決まってしまったので昼寝の場所を探しているのだが……。
ちょうど良い場所が見当たらない。
迂闊に眠ると永遠の眠りになりかねない。
せっかく甦ったのだまずはエンジョイしなければ!
(お……あの倉庫はどうだろう?)
黄色い屋根の建物が目に入る。
あまり綺麗ではなさそうだが、この際贅沢はいえない。
(ん??)
62風物詩〜大乱闘〜3 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/18(日) 20:46:33 ID:SKoI87yP
(ん??)
ガシャガシャとノブを回すが、鍵が掛かっている。
昔の我ならドアもしくは窓を破壊して侵入する所なのだが……。
今度は穏便に生きていくと誓って早々に破るわけにもいかん。
立ち去ろうとそのとき、中からドアを叩く音がする。
「なんだ。先約がいたのか。邪魔してすまなんだ。我は他を探す故に安心して眠られよ。」
「…け……て」
よく聞こえないので耳をドアをピタっとくっつける。
「助…け…て……」
助けを求められているのか。
昔は我を見ただけで人間達は逃げ回っていたのに、時の流れは早いものよのぉ。
ここでドアを壊しても誰も怒らないであろう。
昔RXと戦っていたときも、我等はスピード違反の切符を切られそうになっていたが、
後ろから追い抜いくライダーは誰も咎めなかった。
正義とはいわば免罪符なのだ。
「今助けてやるから下がっておれ。
 ちなみに我は怪人の姿に変身するんだが、それを見たショックでPTSDになったとか
 トラウマで学園に通えなくなったと弁護士を通じて訴えられても困る故、
 まず何か書面にて事前に一筆書いていただけると助かるのだが……。」
「早く助けろっていってるでしょ!!」
せっかちな女だ。何事も手続きが大事だということがわからないのか。
ただでさぇ、我は元悪ということでそういった事には厳しくあれとコウタロウからも言われていると言うのに。
ちょっとしたトラブルもこれだから悪上がりは困るんだとなってしまうのだぞ。
世間の目は厳しいのだ。
「さっそとしろや!」
あまり気が進まんなぁ。渋々変身してドアを蹴破る。
「待たせたな。ちなみにこのドアの修理代は君持ちだよな?」
ドアの傍にいたのは膝上25cmくらいの真っ赤なミニスカートを履いた女。
最近のファッションなのか右目に黒い眼帯をしている。
63風物詩〜大乱闘〜3 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/18(日) 20:47:39 ID:SKoI87yP
「御主馬鹿か?さっさと助けろ。」
かなり気の強い女のようだ。
感謝の念は微塵も感じられない。
おかしい。コウタロウの時には「ありがとう。ライダー!」とかみんな言っていたではないか。
下手くそな字のサインを求められていたではないか!
いや、待てよ。もしかしたらあまりの恐怖で正気を失っているだけやもしれん。
「それでココで何をしているのだ?」
「あいつ等が無理矢理余をココに連れ込んだのよ!」
あいつ等?…ふと倉庫の奥を覗くとそこには男が数人倒れている。
「男の一人が余に抱きついてきて…うう…」
泣いているとこ悪いのだが、それなら逆ではないか。
何で男が血ダルマになっているのだ。
「お…男同士が仲間割れを始めて……。」
我の怪しむ視線に気がついたのか、慌てたように説明を始めた。
う〜む。美人を取り合うのならわかるのだが取り合うほどの美人か?
現代の基準がわからんからなんとも言えんが、よくて中の上…まぁ普通な気がする。
「ところで御主は誰だ?」
「おお…自己紹介がまだだったな。我は正義部一年 ネロというものだ。」
「ほぉ、正義部の者か。余は悪部一年 プルートというものぞ。
 一応礼を言っておく。お陰で自慢のネイルと母上から貰った大切な指輪を汚さなくて済んだ。」
スカートの裾を摘んでペコリとお辞儀する。
「ところでプルートよ、そちは派手な格好であるな。」
「これか?余は方向音痴でな。冥府にある実家ですら迷子になってしまう故に
 誰が見ても余とわかる様に着ておるのじゃ。」
冥府だと……。まさか我を追ってきたのか……。
「ここには兄が通っていてね。それで余も入学してみたんだけど、
 物騒な学園じゃのぉ。」
「ところでどうだ?食堂で一杯やらんか?」
我がペットボトルを飲む仕草をする。
「構わぬよ。ゼミまで暇ゆえな。」
「そういえばそちはどこのゼミなのだ?」
「ボスガン・ビシュムゼミよ。ビシュム先生は特異な目をお持ちなので
 余の目の使い方も知っておるやもしれんから。」
「特異な目?」
プルートが眼帯を指差す。
その眼帯の下の目はどんな能力を秘めているのだろうか?
こうして我の学園生活が幕を開けた。

ナレーション
この出会いが後に正悪問わず組織で居場所がなくなった者の駆け込み寺
独立国家ネオ・クライシス帝国の建国へと繋がるのだが……
そのことをまだ二人は知る由もない。
64 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/18(日) 20:50:23 ID:SKoI87yP
大乱闘編は一応あと2回の予定です。

ところで何方かwikiに前スレの私の投稿分を収録してはもらえませんでしょうか?
ちょっと時間がないもんで、お手を煩わせて申し訳ない。
65創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 23:06:45 ID:IgkGU0vp
投下乙です
クライシス皇帝、なんだか常識人になったなあw

前スレからあるんですよね
自分がやって変なんなったら申し訳ないしなあ
ふがいない
できる人がやってくれると有り難いですがのう
66創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 15:05:24 ID:cVYwow/G
投下乙です。
ネオって響きがかっこぇぇなぁ
PTSDを心配する皇帝w
67 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/20(火) 09:32:25 ID:OcAq9DrY
前スレ落ちてしまいましたねえ 落ちるの早いなあ
WIKI更新できる人いないなら下手ですが自分がやってみましょうか
うまくいくとよいですが スレ落ちててもできるかなあ
できなかったらお許しください……
68創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 12:31:19 ID:OcAq9DrY
過去スレ見られなかったのでしかたがないから
携帯べっかんこ見ながら書き写しましたが
やっぱ量が多くて……友情の証だけ更新しました
どなたか前スレからコピーペーストできるかたは>>477からWIKI更新お願いします
どうもすみません
あとゴースト関連どうしますかねえ
69創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 16:27:39 ID:6CdPXrFb
過去スレ見れないなぁ
ゴーストはしばらく放置じゃないか。
作者氏忙しいみたいだし
70創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 19:06:37 ID:OcAq9DrY
昨日あたり突然スレがいくつか落ちたみたいだなあ
前スレにゴースト関連もあるんだよね
ccu2hP6PPAさんもヒルト作者さんも
内容控えていたらもう一度投下してみては
まあ直接WIKIに載せる手もありますが
71 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 19:10:39 ID:36Y+jfjy
>>68
ありがとうございました。

タルタロスなのですが、諸般の事情でゼミ
赤影ゼミに変更です。
すみません。
72 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 19:30:53 ID:36Y+jfjy
一応手元にバックアップがあったので、それをwikiに貼っておきました・
スレは保存してなかったよぉ
73創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 21:42:29 ID:OcAq9DrY
乙です あまり力になれず情けない
書き写しですので誤字などすみませんが
時間ある時に確認しておいてください
お手数かけます スレ落ちるの早かったような……

赤影!さすが伝統あるヒーロー学園 おそるべし
74風物詩〜大乱闘〜4 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:34:15 ID:36Y+jfjy
私の名前はハルカ。
希望の女帝 仮面ライダーシャダイムに変身する。
好きな食べ物はアップルパイ。
休日には寮の食堂を借りて自分で焼いたりもするんだけど。
やっぱり一番美味しいのは、商店街の限定50食のみのエンペラーアップルパイよね。
今度アルバイトでもしようかしら。

「あら?ナツミ……タバコ止めたの?」
講義を終え白衣のポケットからチョコレートを取り出すナツミを見て驚く。
ナツミは口に何か入れてないと落ち着かないんだ。
だから白衣のポケットにはいつもタバコが入っていたんだけど……。
「彼氏の部屋が禁煙になったのよ。
 ベットの上でタバコ吸ってたら灰が落ちちゃってね。」
ちょっと待って今なんていった?爆弾発言しなかった?
「聞き間違えでなければ、彼氏と聞こえたんだけど……。冗談よね?」
「言ったわよ。処女には刺激の強い話だったかしら?」
「だ……誰と付き合ってんの?正義部?それとも悪部?
 わかった!!この前バイトしてたカラッカスとかいう奴でしょ。」
「ブー。彼はカラッカスみたいに頭良くないわよ。
 どっちかというと、ハルカみたいな戦闘馬鹿?」
馬鹿は余計だって。
「流石は、訓練で鍛えてるだけあって激しかったわ。」
怪しい……。ナツミらしくない。
こんなにベラベラと喋るキャラクターだろうか。
むしろ筋肉馬鹿だけあってベットの上でも知的さがなかったくらい言うような気がする。
それに私の知る限りナツミは意外と異性には奥手。
私やユイに対する態度と他のゼミ生(男)とで態度が全然違うのだ。
最初はぶりっこなのかと思っていたがそうではなかった。
聞くところによると
中学生のとき初恋の男と映画を見に行ったあとで、その映画の矛盾を論理的に指摘したところ
男の方がかなり引いてしまって別れてしまったらしい。
それ以来年頃男性と話すのが苦手なんだとか。
ただこの学園に来て研究者としては、比較的話せるようになったと聞いていたんだけど……。
ちなみにここだけの話、
ナツミがユウキゼミを選んだ理由なんだけどね。
表向きは表の科学も裏の科学も両方に精通したユウキ先生の元で勉強したいからって事になってるけどね。
あえて苦手な異性の研究者のゼミにすることで、退路をたったらしいよ。
本人曰く一大決心だったんだって。
75風物詩〜大乱闘〜4 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:34:36 ID:36Y+jfjy
え?私が何でそんな事知ってるかって?
特別に教えてあげよう。ナツミはね、アルコールが一滴でも体に入ると、幼児化してもの凄く甘えん坊になるの。
普段の強気でキリッとしたインテリから打って変わってこのギャップが私とユイにはたまらない。
「ちょっと突っ込んでよねぇ〜〜。」
ナツミが顔を赤らめて甘えた声で私を小突く。
ははぁ〜、さてはチョコレートに酒が入ってたな。
「ナツミまだ昼間だからね、チョコレートはオヤツにしましょうねぇ。」
「ええ〜、ハルカちゃん食べないでよ。」
「食べないからね。とりあえずお薬飲みましょうねぇ。」
「飲ませて〜。」
口をアーンと大きく開ける。
驚いたことに酔っていた時の事を本人はほとんど覚えていないの。
(彼氏とやらはもしかしたら、この酔ったナツミを見たのかもしれない。)
アルコール無効化剤(ナツミ作)のカプセルをナツミの口へ放り込みながらふと考える。
「おみじゅ。」
「ん?ああ水ね。」
「ケホケホ…」
ペットボトルを渡したがなんだか苦しそう。
「ナツミ大丈夫?」
「ハルちゃん飲ませて〜お口で…」
「は?嫌だよ。」
それはキスで直接飲ませろということ他ならない。
「ハルちゃん。ナツの事嫌いなんだ。ワーン。ナツなんか要らないんだ。エーン。」
ああ…また始まった。
こうなるとしつこいんだよなぁ。
「わかったから…目はつぶって。」
たくもう、まぁ減るもんじゃないし別に良いんだけどね……。
76風物詩〜大乱闘〜4 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:35:14 ID:36Y+jfjy
数十分後
「またやってしまったようね。私としたことが……。」
いつものクールさを取り戻したナツミが頭をポリポリと掻く。
「そうよ。ナツミでも失敗するんだから人の失敗に突っ込むのはやめなさい。」
「はて?そんなことしたかしら?」
「朝の授業のことよ。スパイダーマン先生やユガミ先生の些細な間違いを指摘したでしょ。」
何か質問は?と言われナツミは真っ先に手を上げ、
先生の誤訳や数式のケアレスミスを指摘してしまったの。
お陰で隣に座っていた私まで顔を覚えられた。
「そういえば、ユイはどうしたの?今朝から顔を見ないけど……。」
「ユイは午前中ツルヒメ先生のくノ一の歴史とジライヤ先生の世界忍者の講義」
「そうだったわね。やっぱりあっちの方が当たりね!私は登録ではそっちにするわ。」
私達はより面白い講義を発掘するために、履修登録の時期はあえて二手に別れて情報を集めるのだ。
ちなみにジライヤ先生の研究テーマは『忍術と科学の融合』で、
ナツミはユイの武器製造の参考にするためによく研究室を訪問しているらしい。
「何であんなにスパイダーマン先生に突っかかったの?」
「別に突っかかったつもりはないわよ。
 間違っているという事実を述べたまでよ。」
巷ではそれを授業テロというんだよ……。
「馬鹿は一度覚えると死ぬまで忘れないからね。
 覚えるときにちゃんと覚えてもらわないと!
 アメリカ帰りだか何だか知らないけど、所詮蜘蛛男でしょ?
 なんでみんなあそこまで尊敬するのかしらね。」
「そんな事言ってると教育実習のときしっぺ返しくらうわよ。」
ヒーロー学園の研究部門の4年生以上の学生は、社会貢献の一環で大学や企業で講義を行うのだ。
3年生では一部の学生にその前段階として教育実習を選択することができる。
ナツミは成績が優秀なこともあり、ユウキ先生からも期待されていたのだが、
「あくまで講義はボランティアですよね?私の講義に相応しい報酬と人材が集められるのであればお引き受けいたしますが……」
の一言で無残に断ったと双方から聞いている。
ちなみに報酬の額は、某国の国家予算数年分だったとか……。
こうしてまた教員室でのユウキ先生の立場は悪くなっていくのだろう。
ユウキ先生が気の毒でならない。
「それにしても、今日は騒がしいわね。」
「新入生が暴れてるんだってさ。」
「研究者に順番が付いたら私はどうしたら良いのかしらね。」
もうわかったよ。ナツミが偉いことは。
「ナツミってさぁ、絶対損してるよね。」
「どうしたの急に?」
「だってさ、ナツミって意外と情に厚いところあるじゃん?
 そうやってツンツンしてることで損してると思うよ。」
「私が情に厚い?」
「ほら、悪部のエリカの家庭教師をしたりしてるじゃないの。
 確か一年のとき図書館で半べそ掻いてて勉強教えてからずっとでしょ。
 なかなか出来ることじゃないよ。」
「ああ……あれ?、ペットの躾は飼い主の責任だからね。
 それにあれはあれで私の研究の役にたってるのよ」
ぺ…ペット…だからその口の悪さなんとかならないのぉ?
まぁ確かに愛玩系の顔してるけどさぁ。
いったい何をさせられてるんだろう。
「お話中すみません。」
「うわぁ、ビックリした。」
振り返るとそこには黒い手袋を両手にした若い男が立っていた。
見かけない顔だ。一年生かもしれない。
「ナツミ…下がって。私が相手になるわ。」
「いえいえ、ちょっと道を聞きたいのです。
 赤影・ツルヒメ・ジライヤゼミのあるカラクリ校舎はどこにあるのでござるか?」
77風物詩〜大乱闘〜4 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:35:35 ID:36Y+jfjy
カラクリ校舎
様々な難解で危険な試験を突破した者のみが入館を許される特別な校舎
校舎の至る所にカラクリが仕込まれており、常に五感を鍛え上げている。
特殊諜報員を養成する授業や訓練施設に特化されており詳細はトップシークレット扱い。
治外法権のヒーロー学園の中でも治外法権にあり、
毎年必ず死亡者を10人以上出すその厳しい試験や訓練内容もなんら問題になっていない。
※これは無事に卒業していった優秀な特殊諜報員達の情報操作の賜物である。
しかし生徒同士でそういった負の情報は確実に受け継がれており
年々志望者の数は減ってきたのと少数精鋭主義を取っているため数年ぶりのゼミ募集である。
ちなみにジライヤ研究室もこの校舎内にある。

「悪いことは言わない。命が惜しければ止めておきなさい。」
私もナツミに賛成だよ。
「優しいんですね。でも拙者には果たさなければならないことがあり
 そのために諜報員にならねばならんのでござる。」
「や……優しいなどではない。ただ血生臭いのは嫌だし、
 私が教えたせいで訓練中死なれでもしたら寝覚めが悪いじゃない?」
ナツミの顔が真っ赤になっている。
普段素直じゃないから、感謝されなれてないんだな。
面白そうだから少し黙っててみよう。
「心配していただいた御礼に、困ったときはいつでも御呼びくだされ。
 すぐに某が駆けつけますゆえ。」
そういうと男はナツミの前に跪くと、ナツミの右手をとり忠誠のキスをした。
「拙者の名は赤影・ツルヒメ・ジライヤゼミのタルタロスでござる。
 姫の忠実なる僕にして忠義を尽くすもの。以後お見知りおきを……。」
「もしかして私の事かしら?姫って??」
季節の代わり目には変わった奴が出やすいというけど本当みたいねぇ。
「左様でございます。
 姫が殺れと一言仰れば、親兄弟…赤子であろうとも情け容赦なく血祭りにあげ、その首献上いたします。
 また死ねと仰れば、笑顔でこの命を姫に捧げます。」
「……。」
流石のナツミもあまりのことに言葉を失っている。
「しょ…初対面でしょ?」
「私の記憶には無いんだけど……。」
顔を見合わせる私達を見てタルタロスが目を拭う。
「生まれてこの方、あれ程優しい言葉を掛けられたことはございません。
 これを運命といわず何と言うのでしょうか。
 この不肖タルタロス生涯を掛けて姫にお仕えいたします。」
はっきりいう運命でもなんでもない。ただの勘違いだよ。
あれで優しい言葉って今までどんな環境で生きてきたんだろう。
ナツミはまだ唖然としているので、私がカラクリ校舎への道案内をしてやる。
「感謝する。姫の家来よ。」
私がいつドコでナツミの家来になったのよ。
パートナーと呼んで頂戴。
「では姫、いつでもお気軽に名前を御呼びください。すぐに駆けつけます。
 それではごめん。」
ボンっという煙と共にタルタロスの姿が消えた。
「今のは何?私は夢を見ていたの?」
「さぁ?お姫様…お城(ゼミへ)へ参りましょう。」
私がナツミをからかうと、ちょっと顔が赤くなった。
するとプチン耳元で何かが切れる音がした。
78風物詩〜大乱闘〜4 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:36:01 ID:36Y+jfjy
カラクリ校舎
様々な難解で危険な試験を突破した者のみが入館を許される特別な校舎
校舎の至る所にカラクリが仕込まれており、常に五感を鍛え上げている。
特殊諜報員を養成する授業や訓練施設に特化されており詳細はトップシークレット扱い。
治外法権のヒーロー学園の中でも治外法権にあり、
毎年必ず死亡者を10人以上出すその厳しい試験や訓練内容もなんら問題になっていない。
※これは無事に卒業していった優秀な特殊諜報員達の情報操作の賜物である。
しかし生徒同士でそういった負の情報は確実に受け継がれており
年々志望者の数は減ってきたのと少数精鋭主義を取っているため数年ぶりのゼミ募集である。
ちなみにジライヤ研究室もこの校舎内にある。

「悪いことは言わない。命が惜しければ止めておきなさい。」
私もナツミに賛成だよ。
「優しいんですね。でも拙者には果たさなければならないことがあり
 そのために諜報員にならねばならんのでござる。」
「や……優しいなどではない。ただ血生臭いのは嫌だし、
 私が教えたせいで訓練中死なれでもしたら寝覚めが悪いじゃない?」
ナツミの顔が真っ赤になっている。
普段素直じゃないから、感謝されなれてないんだな。
面白そうだから少し黙っててみよう。
「心配していただいた御礼に、困ったときはいつでも御呼びくだされ。
 すぐに某が駆けつけますゆえ。」
そういうと男はナツミの前に跪くと、ナツミの右手をとり忠誠のキスをした。
「拙者の名は赤影・ツルヒメ・ジライヤゼミのタルタロスでござる。
 姫の忠実なる僕にして忠義を尽くすもの。以後お見知りおきを……。」
「もしかして私の事かしら?姫って??」
季節の代わり目には変わった奴が出やすいというけど本当みたいねぇ。
「左様でございます。
 姫が殺れと一言仰れば、親兄弟…赤子であろうとも情け容赦なく血祭りにあげ、その首献上いたします。
 また死ねと仰れば、笑顔でこの命を姫に捧げます。」
「……。」
流石のナツミもあまりのことに言葉を失っている。
「しょ…初対面でしょ?」
「私の記憶には無いんだけど……。」
顔を見合わせる私達を見てタルタロスが目を拭う。
「生まれてこの方、あれ程優しい言葉を掛けられたことはございません。
 これを運命といわず何と言うのでしょうか。
 この不肖タルタロス生涯を掛けて姫にお仕えいたします。」
はっきりいう運命でもなんでもない。ただの勘違いだよ。
あれで優しい言葉って今までどんな環境で生きてきたんだろう。
ナツミはまだ唖然としているので、私がカラクリ校舎への道案内をしてやる。
「感謝する。姫の家来よ。」
私がいつドコでナツミの家来になったのよ。
パートナーと呼んで頂戴。
「では姫、いつでもお気軽に名前を御呼びください。すぐに駆けつけます。
 それではごめん。」
ボンっという煙と共にタルタロスの姿が消えた。
「今のは何?私は夢を見ていたの?」
「さぁ?お姫様…お城(ゼミへ)へ参りましょう。」
私がナツミをからかうと、ちょっと顔が赤くなった。
するとプチン耳元で何かが切れる音がした。
79風物詩〜大乱闘〜4 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:36:32 ID:36Y+jfjy
「何事よ?」
左頬がスッと真一文字に薄っすら切れて少し血が出てきた。
目の前の壁にはクナイが突き刺さっている。
(あれが私の頬をかすめたのか。)
って落ち着いてる場合じゃない。
(ん…。)
よく見るとクナイの柄に何か紙がくくりつけてあった。
まさか決闘状とかじゃないよね。
紙には黒い筆で
『姫を貶める者。辱める者。愚弄する者は例え家来であろうと誰であろうと斬る。
 拙者はいつでも姫の傍にいる。』
と書かれていた。
「どうしたの?」
ナツミが私の手からそれをひったくる。
「タルタロス!」
お…怒ったのか。知らないぞ。
「は!ここに!やはりその無礼者始末するのでござるな!」
どこから見ていたのか。煙と共にタルタロスが再び現れた。
ただ今度は私を睨みつけている。
「私は血を見るのは嫌いなの……。」
「わかりました。それでは斬るのは止めて手討にしましょう。」
そういうとタルタロス黒い手袋を外す。
「冥府の精霊モートの力をたっぷり味わうでござる」
ちょっと遅いぞ。ナツミから見えないと思うけど、タルタロスの目はマジだ。
「もう良いわ、タルタロス、ハルカは家来ではないの。友達だから多少の事は多めに見てあげて。」
「こんな最低の屑を庇うとは、姫はなんとお優しいのでござるか。
 貴様、姫の恩情に感謝するでござるな。」
コイツは何か勘違いをしていると思うよ。
それもとても大きな点を……。
「それからタルタロスよ、校内では出来るだけクナイを投げてはならん。
 人に当たったら危ないからね。それに私は実験室に居ることが多いから器具が壊れるわ。」
「申し訳ありません。次回からは姫の目に触れぬよう背中から敵を刺す事にいたします。」
おいナツミ、こいつ全然わかってないぞ!
謝るポイントがずれてる。 
「全然駄目ね。もっと勉強して良い方法が思いついたら教えてちょうだい。
 一流の諜報員は証拠を全く残さず鮮やかに仕事を行うものよ。
 これから頑張りなさい。」
80風物詩〜大乱闘〜4 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:37:04 ID:36Y+jfjy
「勿体無いお言葉、この不肖タルタロス肝に銘じ、鍛錬に励みます故、どうかお許しを!!」
また跪いてるよ。しかしナツミは黙っている。 
「ああ…拙者はとんでもないことをしてしまった。
 姫がお怒りになるのは無理も無い。この屑が先生に密告すれば、姫の名誉に関わる。
 かくなる上は拙者の血で償うほか無いでござるな。」
そういうとタルタロスが地面に正座し、背負っていた剣を鞘から抜く。
「まてまてまてまて、早まるな。やることがあるんだろ?そのためにココに来たんでしょ?
 私は別に気にしてないから……。赤影先生に面識ないし。
 ナツミだって怒ってるわけじゃないの。
 ちゃんと謝れば許してくれると思うよ。」
「姫の深い洞察力に感服いたしました。
 目的を果たすその日まで我が身を姫にお預けいたします。
 そして目的を果たした暁には、父エンマの許しを得てこの命が続く限り、姫にお仕えいたします。」
タルタロスは平身低頭した。
「わかったわ。許してあげる。その代わりもう命を粗末にしちゃだめよ。
 自分の命も人の命もね……。」
「はは!!」

タルタロスと別れた私達はゼミへと向かう。
「諜報員ってあ〜いうのがなるの?」
「さぁ?ユイも向いてるとは思えないんだけど…
 タルタロスもあんまり向いてない気がするわ。」
ユイは一流の忍者になるため、ゼミを3年生から変更したのだ。
数年振りのゼミ募集でしかも急募ということもあり、
かなり試験は混乱したようだったけど無事合格出来たとメールで早々に連絡を受けたけど
今日はその正式な報告をゼミで聞くことになっていたのだけど、とんだ邪魔が入ってしまったわ。
「今度ブルーベリーに会いがてら様子を見に行きましょう。」
ブルーベリーというのは、ジライヤゼミの2年生で忍者に関心があるとかで居ついているらしい。
ナツミはもう何度か話したことがあるらしいんだけど、私はまだ会ったことはない。
ユイの話では日本語で大丈夫とのことなので、ちょっと安心したことは内緒。
「なんだ。ユイのこと心配してんじゃない!
 やっぱり損してるよ。」
私がナツミの背中をポンと叩く。
「そんなんじゃないわよ。私の実験体をいじられたくないだけよ。」
またまたそうやってすぐ隠す。照れ隠しのつもりかなぁ。
そんなんだからユイに影でツンデレなっちゃんなんて言われるのよ。
「何か言った?」
「ううん…なんでもない。行こう」
私もそろそろ進路決めないとなぁ……。


ナレーション
これが後に冥府より逃げた108の悪の首領を闇から闇へと葬る通称黒影と
黒影が葬った魂を封じ込める脱出不能な牢獄を冥府よりさらに深く暗い世界に設計する科学者との出会いになるのだが
二人はまだそのことを知らない。
81 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/20(火) 22:40:00 ID:36Y+jfjy
ふう大乱闘もあと1回
人間関係がややこしくなってきたから、
チャートとか相関図とかつくるかと思ってるんだけど
ツールとかあるのかなぁ

>>73
いえいえ。
ありがとうございました。

82創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 01:20:11 ID:qiSdEIdi
>>81
投下乙です
登場人物が多いから、確かに人間関係の把握は大変そうだなwww


ところで、前スレのログを消さずに取っておいたんだけど、
これって未収録の作品を勝手にまとめてもいいのかな?
ざっと見た感じでは、ヒルト氏の作品が三話ほど抜けてるけど。
コータがグロウになるやつと、ゴースト関連が二つ。
他にも見落としてるかもしれんが。
というか、まとめるにしてもタイトルどうしようか迷う。
83創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 09:47:22 ID:enhQyG2o
>>81
乙です
ナツミどんどん壊れていっておもしろいw
新入生はすごいのばっかだな
>>82
おおーぜひまとめてくれたらよいかと
タイトルわからないんだよね
コータは仮面ライダーグロウとか、
ゴースト関連は数字つけて4、5とかでいいんじゃないかな
84創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 12:19:36 ID:NT4L+Pdj
投下乙です
ツンデレwww
なっちゃん壊れていくな。

タイトルは仮ってして83の案で良いと思うな。
有志で収録しちゃって問題ないと思うよ
85創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 15:09:16 ID:qiSdEIdi
仮面ライダーグロウと、ゴースト関連4〜6をまとめました。
アドバイスの通り、タイトルはそのまんまで
これで一スレ目の作品は全部まとめ終えたと思うけど、
また暇な時間があったら見直してみる
86創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 17:02:10 ID:enhQyG2o
>>85
更新乙です
前スレ保存してる人がいてよかったよかった
改めて見てみるとおもしろいな
クロノはやっぱり死んでしまったのだろうか…
87風物詩〜大乱闘〜5 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/21(水) 23:05:39 ID:m7K2FGg/
アタシの名前はエリカ。
ママの名前はポントス。過去で会ったけどお料理いくつか教えてもらったんだ。
今度みんなに作ってあげよっと。
最近に悩みはママにちょっとポッチャリしてきたこと。
体重計に乗るのが怖い…

「覚えてやがれ!」
アタシに襲い掛かった(未遂だけど)新入生達は蜂の巣をつついたように逃げ出していく。
助けてくれたのはこの人……
確か変身の時にはサソードとか言ってたよね。
「もっとスマートなセリフは言えないんですかね。はじめまして僕の名前は……。」
彼がアタシに手を差し出したそのとき……。
「ラブファントムトルネードキッッッッツク!!!!!」
「え??」
赤い影がアタシの視界に入ったかと思うと、サソードが吹き飛ばされ校舎の壁に叩きつけられた。
(まだ残ってたの?それとも新手?)
キックの威力か。それとも風のせいか、砂煙がアタシの周囲を舞った。
その中から赤いボディーが薄っすら見えてくる。
「ヒルトさん??」
アタシが最後に見たダーリンの姿とちょっと変わってるけど多分間違いない。
彼は現在進行形で進化する生命体なの。
カッコいいでしょ?
「怪我は無いか?おのれ新入生、女の顔をこんなに腫れるまで殴るなんてとんでもない奴だ!」
あの〜〜、え〜となんて言ったら良いのかなぁ
別に戦ったわけでもなければ、殴られたわけでもないよ。
過去に行ってさぁ、ママが作ってくれる料理が美味しくてさぁ、
毎日欠かさず食べてたら、レーダーさんとの3食の食事と合わせて多いときには1日6食(間食を除く)
その上ママはいつもご飯もおかずも大盛りにしてくれたから、そりゃあ太るよねぇ。
どのくらい太ったかって?
過去から戻ったとき、ヘレネが一瞬目がぼやけてると勘違いしたくらいだよ。
ママの言ってた女の子は横に大きくなって縦に大きくなるってのを信じてるんだけど……。
目指せヘレネ体型!って私の些細な悩みは今は良いの。
「ちょっと見ない間に成長したなぁ。背も伸びたんじゃないか?」
「ヒルトさんこそ、メールで言ってた通り、またちょっと姿が変わったんですね。
 ちょっとかっこよくなってますけど、浮気してませんよね?」
「当たり前じゃないか。」
そういうとヒルトさんがアタシをギュッと抱きしめる。
キャ大胆!こんな公衆の面前で!
でも会いたかったよぉ。
88風物詩〜大乱闘〜5 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/21(水) 23:05:59 ID:m7K2FGg/
「あ…そうだ。ヒルトさんにお土産があるの。」
右のポケットからビスケットを一つじゃなかった…左のポケットからペンダントを一つ取り出す。
「髑髏だよな?」
「うん。ママが教えてくれたんだけどね、髑髏って恐怖の象徴なんだって!
 立派な悪党になってくださいね。」
「ワイルドな感じだな。」
「気に入ってくれました?ちょっと付けてみてくださいよ。」
アタシがダーリンの首に手を伸ばす。
え〜ん、届かないよぉ。あと15cm身長が高ければ惜しい。紙一重か。
「これで届くか?」
優しいダーリンが何も言わないのに屈んでくれたおかけで、無事ネックレスをかけることができた。
「砂のクッションを作ってなきゃ、危なかったですよ。
 全くいきなりなんて酷いなぁ。」
こいつKYだね。普通空気の読める男なら倒れたままのはず。
「俺のキックを喰らって立っているとはなかなかやるな。
 本来なら褒めてやるところだが、エリカを襲おうとした罪は万死に値する。
 あの世で後悔するがいい!」
そういうとダーリンは足払いで相手の体勢を崩し、マウンドポジションを取りボコボコに殴り始めた。
ボカバキボカバキ
「ヒルトさ〜ん。もう良いからゼミ行こう。それにその人アタシのこと助けてもくれたの。」
「二度とエリカを怖がらせるんじゃないぞ。」
「いやぁ、腰の入った良いパンチでしたよ。」
男が飛び起きる。
あんなに殴られてたのにピンピンしてるのはなんで??
「僕の名前はポルックス。大地の精霊アルテミスの力を借りれば、
 自分の背中がついた地面だけを綿のように柔らかくすることも簡単なんですよ。」
ポルックス……どこかで聞いた名前……
それもほんのつい最近聞いたような……。
あ!!!
ヘレネの弟君じゃない?
やっばいなぁ。とぼけたフリしようかな。
ダーリンに名前何回も呼ばれてるからバレテるよねぇ。
89風物詩〜大乱闘〜5 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/21(水) 23:07:36 ID:m7K2FGg/
一歩その頃
「デスサイズ!!」
我輩が叫ぶと愛用の武器が飛んでくる。
窓が割れてしまったがそれは不可抗力という奴だろう。
『声紋認証クリア、指紋認証クリア、網膜認証クリア、セキュリティーオールクリアー
 これよりデスサイズ起動します。』
「小僧共、判決を言い渡す。死だ。」
我輩がデスサイズの大鎌を振り回す。
周囲はあっというまに火の海になった。
「逃げろ〜」
「どこへじゃ?わらわはこの学園で一番速いんじゃが……。
 逃げれるものなら逃げてみるんじゃな。
 わらわはハイパーガタック!!」
新入生の何人かが宙を舞う。
恐らく最速ってどんなもんじゃいとチャレンジして失敗したのだろう。
前方は我輩の火の海、後ろに下がればヘレネの超光速攻撃
本来ならここでクラマの竜巻が入る予定なのだが、今はいうまい。
「身の程を思い知るが良い!我輩は破壊神マハーカーラの契約者 ハイドである!!はははは!!!!」
「また腕を上げたな。後輩を指導するのも王の務め。変身!!!」
キングがダークキバに変身する。
「ザンバットソード!」
ほぉ、あれが噂のキングの自慢の剣というわけか。
我輩も大鎌をブレードモードに変え構えをとる。
すると部屋が明るくなり、クイーンの声が聞こえてきた。
「え〜、このように私達シャドームーンゼミでは、先輩後輩の壁も無く、仲良くやっていますので
 是非ゼミに入ってくれると嬉しいです。(全て棒読み)」
そう、思わず本気になってしまったが、これはゼミ紹介の一部始終。
ナツミとカラッカスに休みの間に造らせておいたロボットで模擬戦闘を行っているのだ。
(カラッカスはヘレネのサイン付きプロマイドで。
 ナツミはヘレネの髪の毛を一本で快く協力してくれた。
 髪の毛を何に使うのかは知らないがとても喜んでいた。)
我輩達はゼミを随分バックレたお陰で、1日8公演というアイドルもビックリな公演の多さ。
脚本・監督・演出はシャドー先生が担当しているのであるが、
「て」「に」「を」「は」も変えさせてもらえないのだ。
90風物詩〜大乱闘〜5 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/21(水) 23:19:20 ID:m7K2FGg/
「うむ、これでバッチリであるな。」
「そうねぇ、それにしてもエリカとヒルトはまだかしら?」
「どこかでいちゃついておるのじゃろ。」
ヘレネはエリカが過去に行っている間に、交際していたシンと別れてしまったのだ。
我輩はたまにメールするように言ったんだぞ。
でも別れたらそれまでと、ヘレネが聞かなかったのだ。
「ちなみに一人も新入生入らなかったらどうなるんですか?」
キングが真面目な顔をしてムーン先生に尋ねた。
「ムーン。ヘレネとハイドとエリカには今年のゼミの単位やらんだムーン。」
ちなみにゼミの単位を落とすと他がどんなに優れた成績でも、留年させられてしまうのである。
我輩はアンゴルモアを倒しに来たのだ。
そんなことで足踏みしてるほど暇ではないのである。
なんとしてでも、新入生を獲得せねば……!
「そういえば、ヘレネよ。弟が入学したと言っておったであろう?
 この際贅沢は言えんのではないか。」
「そうなんじゃがな、
 ポルックスは騎士道を習うとかで別のゼミに入ったようなんじゃよ。
 カストルは何を考えておるのか正義部じゃから論外じゃし……
 そういう、そなたも妹と弟が入学したのじゃろう?」
「ああ…そうではあるのだが…。
 確かに姉を欲しがっておったのじゃがな…。」
我輩が思わず口ごもる。
「我輩の母上には会ったであろう。」
「活発な方じゃったのぉ」
「あれを5倍にしてエリカを足したような性格であるぞ。
 タルタロスの方は地味ゆえこのゼミには向かんのである。」
「妹殿の例えがよくわからんが、ようは仲が悪いということでよいのじゃな。」
母上とプルートを見ていると思う。
我輩は絶対おしとやかな女と結婚して、静かな家庭を築くのだ!
そのときチャイムがなり、どやどやと新入生達が入ってきた。
 
91次回予告 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/21(水) 23:28:40 ID:m7K2FGg/
ゼミを変更し、心機一転カラクリ校舎に足を運ぶユイ
最初の課題は師である天才くノ一ツルヒメの部屋から
ゼミ室までこぼさずお茶をついで来ること
しかし6年生の姉弟子ミユキの邪魔もあり……。
そのときタルタロスと赤影は…。

次回「プロとアマチュア」お楽しみに
92創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 10:29:19 ID:qhzZeyt/
投下乙
ハイドは本当に空気化してきたな。
93創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 11:30:37 ID:zLyZ4aXU
おつー
そんなに空気でもないと思うけど
ヒルトとエリカいつのまにそんなアツアツにw
94創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 21:33:16 ID:lAn1GYBN
ヒルトってイシイさんといい感じじゃなかったっけ?
95創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 22:20:31 ID:lQai+WpV
おつー
個人的にはネロがお気に入りw
96創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 11:10:37 ID:WzN643Xm
おつー
確かに人間関係複雑だなw
97創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 13:48:17 ID:FmxbNOPH
戦隊物書いてた人はどうなったんだろう
98創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 16:06:25 ID:LZmbAfje
再生怪人の先生とかどうだろ?
99 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 21:57:55 ID:15hFVmLY
拙者の名前はタルタロス。
兄者の名はハイド、双子の妹の名はプルート。
二人とも母上に似て俺様タイプで、拙者が冥府にやってきた科学者や武道家から習い事をしていても
やれゲームをしようだの。やれ本を読めだの。邪魔ばかりされていたのでござる。
(まぁ冥府には時間という概念がほとんどないから、別に問題が無いといえばないのでござるが)
しかし2年前ヒーロー学園に入学した兄者がドンドン丸くなっていき、
最後に帰省してきたときには、なんと拙者の勉強を邪魔しようとしたプルートをしかりとばしたのでござる。
これは何かの超常現象か。でなければアンゴルモアとやらに寄生されてしまったのでござろうか。
ちょうど父エンマより、冥府から脱走(後から聞いた話でよみがえりの儀式で甦った)した
108の悪の組織の関係者全員を冥府に連れ戻す命を受けたところだったので、地上に降りがてらその秘密も探ってみることにしたでござる。

(古めかしい建物でござるな。)
ここが今日から拙者の学ぶ場所。
カラクリ校舎……。
なんでもこの国でかつて活躍していた諜報員の家を模して建造されているらしい。
「うわぁ、建物で近づいただけで携帯圏外じゃん!
 なっちゃんに今度改良してもらおうっと。」
「ん?」
甲高い女子の声がするでござる。
母上といいプルートといい、女の声というのはみなこんなに甲高いのでござろうか。
あ…でも姫の声は甲高いというよりも、ハッキリした声でござったな。
「君……誰?見かけない顔だけど先輩って訳じゃなさそうよねぇ。」
「拙者の背後に立つなぁ!!シュパ!!」
昔から他人が背後に立つと無意識のうちに排除してしまうのでござる。
例えば今のように裏拳もその方法の一つ。
「危ないなぁ、今年の新入生は物騒なのだが多いのねぇ。」
(ほぉ)
今のをかわすとはなかなかやるでござるな。
100 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 21:58:25 ID:15hFVmLY
「私の名前はユイ、3年生よ。一応忍者ライダーなんだぁ。」
忍者とは確かこの国のエリート諜報員の業種でござったな。
それにしても自分から名乗るとは諜報員としてどうなのでござろう。
(いや、まて)
もしかしたら、諜報員が諜報員と名乗るはずがないという裏をかいた巧妙な作戦でござるか。
それとも拙者のリアクションをさぐっているのでござろうか。
この女只者ではない!それに胸もやたら大きい。何か武器を仕込んでいるに違いない。
ん…ん…いかん。いい匂いにつられて思わず見とれてしまったでござる。
拙者には姫がいるではないか。
ポカポカと頭を叩く。よし邪念は振り払った。
この女は虎だ。虎だ。女ではない。今正面に立っているのはユイ殿という名前の虎だ。
「ど…どうしたの?大丈夫?」
ユイ殿が拙者の顔を覗き込む。
「拙者の名前はタルタロス。一年生でござる。
 ライダーとは何か存ぜぬからわからぬが、
 拙者にもバトルモードのようなものはござる。」
「タルちゃんかぁ。宜しくね。」
タ……タルちゃんだと……。
プルートのタロスも手抜きだと思っていたが、こっちも随分な手抜きでござる。
そんなに長い名前ではないのでござるが……。
そういえば、姫はちゃんと呼んでくれたでござるなぁ。(ハート)
「ニヤニヤしてどうしたの?タルちゃんってのが気に入ってくれた?」
「そうではござらん。」
「タルちゃんは何でこのゼミを選んだの?
 他にもたくさんゼミあったでしょ?」
拙者が赤影ゼミを選んだ理由でござるか。
「悪の組織を闇から闇に葬るためには、もっと深い闇になる必要があるのでござる。
闇とは何かと考えたとき、表と裏を上手に使い分ける諜報員が参考になると考えたからでござる。」
「一年生なのに色々考えてて偉いねぇ。
 ユイにも何か手伝えそうなことあったら言ってね。」
うむ。悪の組織のことだ。時間を与えると碌なことがなさそうなので、
早く始末したいと考えているので、力を借りることもあやかもしれんでござる。
「ユイはねぇ、守りたい人がいるんだぁ。
 凄く頭の良い科学者なの!そういう人ってさぁ、
 悪の組織に真っ先に誘拐されちゃうじゃない?
 だからユイが守ってあげるの。」
同じ諜報員でもユイ殿はどうも拙者とは違うタイプの諜報員を目指すようでござるな。
101 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 21:59:55 ID:15hFVmLY
「私の名前はユイ、3年生よ。一応忍者ライダーなんだぁ。」
忍者とは確かこの国のエリート諜報員の業種でござったな。
それにしても自分から名乗るとは諜報員としてどうなのでござろう。
(いや、まて)
もしかしたら、諜報員が諜報員と名乗るはずがないという裏をかいた巧妙な作戦でござるか。
それとも拙者のリアクションをさぐっているのでござろうか。
この女只者ではない!それに胸もやたら大きい。何か武器を仕込んでいるに違いない。
ん…ん…いかん。いい匂いにつられて思わず見とれてしまったでござる。
拙者には姫がいるではないか。
ポカポカと頭を叩く。よし邪念は振り払った。
この女は虎だ。虎だ。女ではない。今正面に立っているのはユイ殿という名前の虎だ。
「ど…どうしたの?大丈夫?」
ユイ殿が拙者の顔を覗き込む。
「拙者の名前はタルタロス。一年生でござる。
 ライダーとは何か存ぜぬからわからぬが、
 拙者にもバトルモードのようなものはござる。」
「タルちゃんかぁ。宜しくね。」
タ……タルちゃんだと……。
プルートのタロスも手抜きだと思っていたが、こっちも随分な手抜きでござる。
そんなに長い名前ではないのでござるが……。
そういえば、姫はちゃんと呼んでくれたでござるなぁ。(ハート)
「ニヤニヤしてどうしたの?タルちゃんってのが気に入ってくれた?」
「そうではござらん。」
「タルちゃんは何でこのゼミを選んだの?
 他にもたくさんゼミあったでしょ?」
拙者が赤影ゼミを選んだ理由でござるか。
「悪の組織を闇から闇に葬るためには、もっと深い闇になる必要があるのでござる。
闇とは何かと考えたとき、表と裏を上手に使い分ける諜報員が参考になると考えたからでござる。」
「一年生なのに色々考えてて偉いねぇ。
 ユイにも何か手伝えそうなことあったら言ってね。」
うむ。悪の組織のことだ。時間を与えると碌なことがなさそうなので、
早く始末したいと考えているので、力を借りることもあやかもしれんでござる。
「ユイはねぇ、守りたい人がいるんだぁ。
 凄く頭の良い科学者なの!そういう人ってさぁ、
 悪の組織に真っ先に誘拐されちゃうじゃない?
 だからユイが守ってあげるの。」
同じ諜報員でもユイ殿はどうも拙者とは違うタイプの諜報員を目指すようでござるな。
102 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 22:00:31 ID:15hFVmLY
「まぁ、立ち話もなんだし、中に入ろうよ。」
「待たれよ。ここはカラクリ屋敷……中を調べさせておったところです。」
拙者は首にかけていた犬笛を2〜3度吹く。
この冥府の岩でつくった笛の音は、拙者の愛犬ケルベロスにしか聞こえないのでござる。
「ガルル…。」
すぐにケルベロスが戻ってきた。

ケルベロス
3つ首で竜の尾と蛇のたてがみを持つ巨大な犬。
3つの口からはそれぞれ、雷・炎・吹雪を吐き出す。
なおその牙や唾液には猛毒があるといわれている。
死者の魂が冥府にやってくる時には友好的だが、
冥府から逃げ出そうとする亡者は捕らえて貪り食うという。
これが冥府の番犬の由来である。
忍犬ということになっているが、
実は冥府の科学者達(主にはギル博士)により改造された改造犬で
その頭脳とボディーは最先端科学技術とロストテクノロジーが見事に調和されている。
普段はドックモードで忍犬としてタルタロスを助けるが、その他にもバードモードやフィッシュモードがある。
主人が仮面ライダータナトスに変身すると、バイクに変身する。
103 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 22:01:27 ID:15hFVmLY
「よしよし、中はどうだった?」
そっと頭を撫でてやる。
「ところどころ罠はありますが、御主人なら大丈夫だズラ。」
「そうか。では行くとするでござる。」
「かわっっわいい!!!しかも喋るの?ユイのことも紹介してよ。
 名前何ていうの?」
「冥府の番犬ケルベルスだズラ。」
「ケルちゃんか。宜しくね。ユイもペット何か欲しいなぁ。」
ユイ殿にかかれば、その名を聞いただけで冥府の悪党を震え上がらるケルベロスも
形無しでケルちゃん呼ばわりでござったか。
「ペット…ペットじゃないズラ……。」
チャイムの鐘の音が聞こえたので、ケルベロスへのフォローは後にして急いで校舎へと入る。
(確か試験のときの待合室に集合だったはずでござるな。)
校舎がやけに静かなのは気のせいか
(午前中に授業を受けた正義舎は良くも悪くも、ワイワイガヤガヤとしていたのでござるが……。)
「ここらは壁を伝っていくだズラ。」
「ちなみに地面に足が触れるとどうなるの?」
「レーザーで蜂の巣のされるズラ。」
とんでもない校舎でござるな。
しばらく上へ上へと壁を上っていくとガチャンという音共に壁が動き始める。
「ねぇ、タルちゃん。壁がさぁ狭まってない?」
「ユイ殿もそう思うでござるか?」
「つ…潰されちゃうよ。早く上ろう。もう少しだから。」
顔を見上げると、確かに明かりが見える。
・・・
104 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 22:02:21 ID:15hFVmLY
「訓練中にペチャクチャクチャ、チンタラうるさい奴等だわさ。」
ユイ殿の手を借り迫り来る壁よりも早く、天井の窪みを登っていくと、
そこには仁王立ちした金髪の女が待ち構えていたでござる。
「あのぉ〜すみません。赤影・ツルヒメ・ジライヤゼミってここで良いんでしょうか?」
恐る恐るユイ殿が尋ねるといきなり、グーのパンチが飛んできた。
「合言葉を言うだわさ。」
「あ…あいことば・・・??」
そんな話は聞いてござらん。
拙者達はここに集合といわれただけでござる。
「一度しか教えないから良く覚えておくだわさ。
 アタイが山といったら、アンタは川というんだわさ。」
「は…はぁ。」
今度は往復ビンタがパチンと乾いた音を立てる。
「気を抜くな!!!」
「す…すみません……。」
「山」
「川?×2」
「良し、以後気をつけるだわさ。」
「はい。」
「ところでアンタら誰?アタイは6年生でゼミ長のミユキってんだけど。」
拙者達がそれぞれ自己紹介をすると、部屋の奥から青い瞳をした少女が現れた。
「ワタシ……ブルーベリーと申します。ブルーとヨンデクダサイ。」
「よろしくでござる。」
「よろしくね。」
諜報員に国境は無い様でござるな。
105 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 22:19:20 ID:15hFVmLY
「学外研修で今は居ないけど、5年生にユキチってのと
 今日は機械科の試験の手伝いに行ってる4年生にコウジってのがいるからそのうち紹介するだわさ。
 結局合格したのは各学年で一人だったのねぇ、
 下級生のタルタロス(1年生)とブルー(2年生)は良いにしても、
 ユイはアタイが6年掛けて学んだことを半分の期間で習得するわけだから気合を入れるだわさ。」
まぁそれはユイ殿の入学した年にゼミ募集が無かったわけだから、仕方が無いことでござる。
ちなみに試験の手伝いとは試験監督のことのようでござった。
特にメタル戦士のスーツ装着者選抜の試験の手伝いをよくするという説明を受けたでござる。
「まぁ何にせよ。これがメンバーが揃った。苦節6年待ちわびたわさ。」
「メンバー?ユイは戦隊科じゃないんですけど…。」
拙者も戦隊科に入学した記憶は無い。
書類を100%書き間違えていないかというと、
それはそれで自信があまりないのでござるが……。
「胸は大きいくせにジュリと同じで小さいことを気にする娘だわさ。
 別に戦隊みたいにいつも一緒にってわけじゃないさ。
 普段は別々に活動するんだわさ。だけど一度声が掛かったら何をおいても駆けつけるだわさ。
 アタイは昔から映画が好きでね。
 それぞれの道のプロで出来上がったドリームチームで難題に取り組むってのを一度やってみたかったんだわさ。」
「ミユキ殿は何の専門家なのでござるか?」
「アタイかい?アタイは格闘技部で主将をやっていたこともあるくらい格闘には自信あるだわさ。」
こうして拙者はミユキ殿の強引な勧誘により、謎のドリームチームに入れられてしまったのでござる。
「それじゃぁ、まず杯を交わすとしよう。」
そういうと、ミユキ殿が食器棚からお猪口を4つ取り出す。
「良いんですか?学園の中でお酒って……。」
ユイ殿がお猪口を受け取りながら、心配そうに尋ねるが無視して注がれる。
「良いかい?全員一気に飲むんだわさ。
 飲んだら吐くんじゃないよ!」
拙者とユイ殿そしてブルー殿は顔を見合わせる。
「ほらほら飲んだ。飲んだ。」
ミユキ殿がせかすので、ゴクンと酒を飲み干す。
(本当に良かったのでござろうか。
 先生達に見つかって怒られはしないか……。)
「これでユイ・タルタロス・ブルーベリー
 そしてユキチとコウジはアタイの舎弟になったわさ。
 まずはアンタら三人を使い物になるレベルにする…話はそれからだわさ。」
今一瞬表情が変わったでござる。
その意味はすぐに知ることになるのでござるが、
それはまた別のお話でござる。
106 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 22:21:18 ID:15hFVmLY
ブルーベリーちょっと借りました。
学年も勝手に設定しちゃってごめんなさい。
ちなみにタイトルは『契り』です。
保管してくれる方、お手数ですがその際はよろしくお願いします。
107次回予告 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/25(日) 22:28:58 ID:15hFVmLY
カストルが目を覚ますと、そこには胴着を身に付けたジュリが正座していた。
「あのとき、どんな手を使ってでも勝つべきだった。
 いや、勝たなければならなかった。」
「まるで本気を出さなかったような言い方だな。」
視線の先の男の正体とは?
次回「兎と亀」お楽しみに
108創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 08:01:46 ID:vw5uKlNj
投下乙です
カラクリ校舎スゲェwいまさらだがむちゃくちゃな学校だなw
いやー使ってくれてうれしいですと◆Omi/gSp4qgもいっております
近いうちまた投下させていただきたいです
109創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 09:53:23 ID:CfwYPZvs
投下乙
オーシャンズ12みたいなのをミユキは考えてるんだろうか
いったい何をやるつもりなんだかw
地味にwikiが更新されてることを今知った
110創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 20:53:00 ID:TysKlYVq
おつー
姉御肌ですなぁ
111創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 16:39:07 ID:zcCg5Ope
あれれユイって余程のことがない限り
殴った方がやられちゃうような改造をなっちゃんから受けなかった?
112創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 22:15:07 ID:R5VMxNlM
SSきぼんぬ
113 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:38:55 ID:ps4DgfFv
また投下してみます
あんまり求められてない気がするので
このエピソードはいったん一段落させる方向でやっていきます
114渚の争奪戦!1 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:42:34 ID:ps4DgfFv
 学園近くの広場、青空の下にイスやテーブルが並べられていた。
 若い科学者カラッカスが客を呼び込む。
「ヒーロー学園女子生徒のみなさーん、ベラーッドロブスターによってってー」

 あたりにいいにおいと料理の熱気がただよっていた。今回はロブスター料理屋で軍資金
を稼ごうという算段だ。

「はいはいいらっしゃいませー、ツインテールなんかよりおいしいのよーん」
 カラッカスは客寄せから接客、レジ打ち、調理場へと忙しく走り回る。
 調理スペースは仕切りで隠されていた。
 仕切りの裏にはカラッカスが造ったクローン生成器が銀色に光って、でんと構えている。

「どうです、クッキングマシン一体型クローン生成器の調子は」
 ザリガニをクローン培養で増やし、調理までするすぐれものだ。
「一匹のザリガニを百匹にも千匹にもできて大儲けです」

 ウェイトレス姿で顔にペルソナを付けたベラージョも、ほくほく顔だ。
「本当だねえ、ヒーローどもなんて舌が貧相な味オンチだから、ロブスターもザリガニも
わかりゃしないしね」
「ええそうですとも。材料はゴミと水と空気です」

 口が広くなった太いホースのようなものに、カラッカスは用意していたゴミを放り込んだ。
 ベラージョはカラッカスの頭をなでてやる。
「まったくおまえはたいしたワルだよ」
「ええもう、俺はワルの中のワル、悪の大天才よーん」

 カラッカスは気分をよくして浮かび上がりそうなほどだ。
 ゴミを飲み込むとクローン生成器はランプを光らせ湯気を吐き、チーンというベルの音
とともに料理を完成させた。

「さあ運びなボケクサー」
「ズラサッサ」
 太い手足、岩のような顔のボケクサーが、皿に盛られたロブスターシーザーサラダを
運んでいった。
「おまたせまんねん」
 おとなしく待っていたネロが、フォークを手にした。
「我がシーザーサラダを頼んだのは皇帝だったからというのは秘密だ」
 などとつぶやきながら、彼はサラダを口に入れた。

 調理場でカラッカス、ベラージョが動き回っていると突如、機械が振動音をきかせ、ランプ
を点滅させた。

「あれっ、おかしいな」
 カラッカスは異常を知らせるランプの赤い光を確認した。
 料理の取出し口から、大きな赤いハサミが飛び出す。
 と思うや、ザリガニの赤い甲殻をまとった、人間型の生物が出てきた。
115渚の争奪戦!2 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:44:54 ID:ps4DgfFv
 たった今機械から誕生したザリガニ型怪人は息を荒くして、生まれ落ちた世界を見回す。

「お、おまえ、これはなんだい」
 ベラージョはおびえて身をふるわし、歯を鳴らした。
「やばい、怪人製造モードに切り替わったぞ」

 機械の裏に回って若い科学者は調節するが、火花が散り煙が上がる。
 怪人はあとからあとから出てきて、二本足で立ち手に付いたハサミを振る。
 クローン生成器はゴミやらそこらの土を飲み込んでは、怪人を生み出した。

 ザリガニの装甲、人型の怪物は奇妙で恐ろしい。
 怪人は暴れて皿や食器を打ち壊した。物音とベラージョの高い悲鳴に、客たちが駆けつける。
「おい、どうした」「なんだそいつらは」

 カラッカスは即座に計算した。
「このままでは一時間後にはクローンザリガニ怪人はヒーロー学園の生徒数を上回り、一日後
には日本人口を、一週間後には世界人口を上回る!」
「なんだと?」
「そうはさせるか!」
 客はだいたいが正義か悪のヒーローだ。みな腕に覚えがある。
「仮面ライダーコーカサス!」「ケタロス!」「ヘラクス!」
 わいて出るように生まれるザリガニ怪人をヒーローたちは殴り蹴り、次々なぎ倒す。
「俺は元平家ガニ怪人だぞコラァ!」
 戦闘の殺気が辺りを覆う。
 大きなザリガニのハサミや頭が、そこらに転がった。
「あの装置を壊せ!」
 ヒーローたちはクローン生成器に飛びかかり、配線を引きちぎり、蹴り倒した。
 機械は爆発を起こした。鳴り響いた爆音がやがてやむと、煙の中に機械の残骸が散らばっ
ていた。

「さすがはヒーロー学園の生徒。ふぅー、これで世界は救われた」
 カラッカスは安堵して額の汗をぬぐう。

「俺たちはクローンのザリガニを食わされてたのか?」
「ロブスターだから千円も払ったんだぞ!」
「金返せ!」
 空気が険悪になっていく。

「はいはーい、本日は閉店」
 ベラージョはすばやく荷物をまとめると、ワゴン車に突っ込んだ。
 カラッカス、ボケクサーも転がり込むと、ワゴン車は排気ガスを吐いて逃げていく。
「待てー!」
 さすがはヒーローの集団、並みの車には追い付いてしまう。

「おいおい、つかまっちゃうじゃないか」
 車の中ではあせったベラージョが、助手席に座るカラッカスの首を絞めて揺さ振っていた。
116渚の争奪戦!3 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:47:19 ID:ps4DgfFv
「お、おまかせを」
 カラッカスがギアチェンジすると、車は変形して羽根を出し、ヘッドライトが目になる。
 車は側面から飛び出したジェット噴射口から火を吹き、飛び立った。

「対ヒーロー逃走用メカ、ベラールブイッブイーンよーん」
 空中でターンして生徒達を見下ろすと、メカは口から催涙ガス弾を乱射した。
 破裂音とともに地上は煙に包まれ、咳と悲鳴が飛びかい大混乱だ。
 ベラドンナ一味を乗せたメカは空を駆けて騒乱をあとにした。


 鉄骨むき出しコンクリート打ちっぱなしの地下格納庫で、ベラージョは金勘定する。
「何だか思ったほど儲かってないねえ。それに計算が合わないよ。全部千円なのに何で半端
が出るんだい?」
「ええ、まあ実は恐い客が何人かいて、一割引して差し上げたりなどしまして」
 ベラージョの固いヒールがカラッカスの頭を襲う。
「こーのポカホンタス! どうせ女の子だけ割引したんだろ」
「ギョヒーッ! ち、ちがいますって、悪質なクレーマーですよ、新入生は態度が悪くて、
牧師みたいな危なそうな奴とか」

「へーそうかい」「そうですよ」
「ふーん。ところでヘレネの妹が入園したらしいよ」
「ななななんですとー!」
「やっぱり女目当てじゃないか、このパッパラピー!」
 ベラージョのひざ蹴りが飛んでカラッカスの腹にめりこむ。
「グェヒーッ!」

「あーもう、それより今回は黒字出たのかい?」
「ええまあ、とんとんでしょうか」
「またかい、こーのスッカラカンカン!」
 ベラージョの腕がうなってカラッカスの脳天に拳が落ちた。
「メカはどうするんだい!」
「そ、それならご安心を、例によって廃材等をリサイクルしてすでにほぼ出来上がってます、
エコかっこいいでしょ」

 格納庫の隅、布がかけられた物体の前へとカラッカスは小走りした。足音が反響する。
「へーえ、どれどれ」と、ベラージョは興味津々といったところ。
 布が外されると、カニのようなハサミを持ち、いくつも足を生やした大型メカが姿を現す。

「いいねいいねぇ、これなら憎ったらしい正義にも勝てそうだね!」
 ベラージョがはずむようにいう。カラッカスは声を低くした。
117渚の争奪戦!4 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:49:28 ID:ps4DgfFv
「正義といえば、あのゴクレンジャーってあやしくないですか」
 と、カラッカスは上司に進言した。
「ん、何がだい」
「タイミングよく二度も出てきて邪魔するなんて、偶然にしちゃあおかしすぎますよ。それに、
あいつら地獄と関係あるようなこといってますが、知り合いに地獄の奴がいますけど感じ
が違いますし」
「だったらなんだっていうんだい?」

「俺が思うに、ゴクレンジャーはマンドラゴラと関係あるんじゃあ……」
「マンドラゴラ様の親戚かなんかだっていうのかい?」
「いや、そうじゃないですが、手先とか、あるいは何らかのつながりがあるとか」
「馬鹿だねえ、マンドラゴラ様の手先なら私たちの邪魔するわけないだろう」
「それは、わかりませんけど何かあるのでは……」

 その時、地を這う乾いた音が聞こえてきた。ボケクサーが太い指でさした。
「あれ、なんでまんねん」
 三人の目線の先に、小さなザリガニがいる。

「ドラー! 控えろゴラー!」
 ザリガニが乱暴にしゃべりだした。
「マンドラゴラ様!」
 ははー、と三人はひれ伏した。いずれ正体暴いてくれるぞ、とカラッカスは企みを胸に
秘めて目を光らせる。

「今週はなんと! ベラボーンのありかを教えてやるぞゴラー!」
 おい、とさすがに忠臣のベラージョも呆れた。
「いつも違うではありませんか」
「今度は本当だゴラー! 西側の海岸の洞窟にベラボーンがあるんだゴラー!」

「洞窟なんかあったかなあ」
 カラッカスは頭を傾けた。
「あるったらあるんだゴラー! とっとと行けー!」
 ザリガニが両のハサミを上げた。爆発すると察して、三人は我先に離れた。

「このために用意しました」
 カラッカスはジュラルミンの盾を拾って立てる。
「今日は用意がいいねえ、おまえ」「そうでしょ、へへへ」
 ジュラルミンの盾は灰色に鈍く輝いて爆発を待つ。だが、格納庫は静かなままだ。
「今日は爆発しないんですかね」「マンネリ飽きたのかねえ」
 盾から三人が顔をのぞかせたとき、光が発する。
 轟音が鳴り響き、爆風が熱を押し広げる。
 カラッカスたちは顔を真っ黒にした。

「……メカを仕上げるんだよ!」
 口から吐いた煙でドクロマークを作って、ベラージョは腕を振り上げた。二人の部下は
敬礼して応えた。
「……ズラベラサッサ」

 べらぼーブラボーベラドンナの歌
〜省略〜

 三人が歌い踊るうちにメカは仕上がる。
118渚の争奪戦!5 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:51:55 ID:ps4DgfFv
「今週のメカ、全国ザリガニ食用推進委員会推薦、甲殻機動ザリガニッコウセーンよーん」
 エビかカニかザリガニのようなメカは重厚感があってなかなかの迫力だ。
 ベラージョも満足そうにながめ回した。
「強そうだねえ、いいじゃないか」
「ヨロイ元帥先生の装甲をちょっといただいて、同じ組成のボディを作りました。
デーストロン!」

「よーし、それじゃ甲殻機動ザリガニッコウセーンで出発だよーっ!」
「ズラベラサッサ!」
 巨大なザリガニの脇腹が開き、三人は内部へといざなわれる。
 コックピットでベラージョは中央に陣取る。カラッカスは左の席に着くとキーボードを
打ち、ボタンを押し、レバーを引いて操作した。
 格納庫の天井が開き、ザリガニッコウセーンは外界へと飛び出す。
 日光を受けて空飛ぶザリガニはなんとも異様だ。
 空高く舞い上がると、メインモニターからまぶしいくらいに白い正義舎が見下ろせた。

「正義の新入生がいるのはあの辺かな。少しいたずらしてやりましょ」
 カラッカスは狙いを定めてボタンを押した。ザリガニッコウセーンはハサミを広げる。
開いたハサミからエビ型ミサイルが発射された。
「シュリンプミサイルだ、食らえ!」

「いいのかい、おまえ」
 ベラージョがとなりにきく。
「何がですか?」
「確かヘレネの弟が正義に入園したそうだよ」
「ななななんですとー!」
 時すでに遅し、ミサイルは命中して爆発し、正義舎が揺れる。この程度で壊れる校舎では
ないが、生徒は大いに驚いたはずだ。
「た、たいさーん」と、カラッカスはさっさと機体を飛ばし、海岸に向かった。


 海風が潮のにおいを運ぶ。ベラージョたちは海岸に降り立った。
 波が打ち寄せ岩に当たると、白い泡ができた。

「もしまたゴクレンジャーが出たら、奴らはマンドラゴラと関係があるってことでいいですよね」
 カラッカスは長身のベラージョを見上げて念を押した。
「ああわかったよ、だから洞窟を探しな」
 カラッカスは、マンドラゴラに傾倒するベラージョの気持ちがわかる気がした。
 ベラージョたちは落ちこぼれだ。超人ぞろいのヒーロー学園で、まともにやっていては
ついていけない。
 ベラボーンでも見つけて一発逆転を狙うしかない。

 岩場を歩いて探したが、フジツボなどがあるばかりで、洞窟は見つからなかった。
「おかしいねえ」
 ベラージョはため息つき、細い肩を落とした。
 その時、カラッカスの胸で何かがうごめき、音とともに声が聞こえた。

「反応アリッ反応アリッ」携帯用センサーのアリ型メカだ。
「んっ、何かが来ますね」
119渚の争奪戦!6 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:54:34 ID:ps4DgfFv
 あちこち見回すと、空から何者かが金髪を光らせて飛んでくる。
「見つけましタ、マスター・カラッカス!」
「なんだブルーベリーか」

 背にマントを付けた少女が降り立つ。
「知ってんのかい」
 ベラージョはペルソナに飾られた目を大きくした。
「アメリカから来た正義の生徒ですよ」
 答えるカラッカスを、青い瞳のブルーベリーが指さして責める。
「マイティマフガール・ブルーベリーでス!
 マスター・カラッカス、正義舎を攻撃しマシタネ! やはりあなたは悪デス」

 カラッカスはふてぶてしく、鼻息を一つ出した。
「そうとも、悪の中の悪、べらぼー天才カラッカス様とは俺のこと。しょせんおまえらとは
相容れないのだ。今頃気づいたか」
 ベラージョは気分よさそうに笑んだ。
「おいカラッカス、ゴクレンジャーじゃなかったじゃないか」
「そうですねえ」
 やっぱりゴクレンジャーとマンドラゴラの間に関係はないのか、とカラッカスは首を
かしげた。

「マスター・カラッカス、挑戦しマス」
「いい度胸だな、ヒーロー後進国のチビめ」
 カラッカスは準備していた武器を両手に装着した。カニのハサミの形をしている。
「クラブハンドグラブよーん」
「オゥ、宇宙ニンジャですネ」
「フォッフォッフォッ、さすがに詳しいな。ところでおまえ、赤影・ツルヒメ・ジライヤゼミに入ったって?」
「イエス、マスター・カラッカス」

「ユイって人がいると思うんだが」
「はイ、よい先輩でス」
「あのさあ、今度紹介してくれ……」
 カラッカスの耳をベラージョが引っ張って伸ばした。
「何をボソボソ話してんだい」
「い、いや、敵である正義の情報を探ろうかと……」

 カラッカスは両手のハサミを小さなブルーベリーに向けた。
「仕切り直して、勝負だブルーベリー! ベトナムの二の舞にしてやるぞ、ガム噛み人種め」
「オゥ! 祖国の侮辱は許しませン」
「ふん、ヒーローの本場で生まれ育った日本人の力を思い知れ。コーラで顔洗って出なおして
こい」

 構えたハサミからビーム弾が放たれる。光弾は軌跡をいく筋も作って、岩に当たると
破裂した。
 ブルーベリーは飛び上がり、小さな拳を突き出した。

「ニンジャパーンチ!」
「ほんげー!」
 カラッカスは数十メートル吹っ飛ばされて、空に半円を描く。哀れな若者は海に落ちて水
の柱をたてた。
「ギャー! カラッカスが死んだよ!」
 ベラージョはブーツのヒールを鳴らしてさっさと逃げる。
 ボケクサーも女ボスに続き走った。
120 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 11:56:20 ID:ps4DgfFv
ここまでで半分くらい
いったん休憩入ります
121渚の争奪戦!7 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 13:58:13 ID:ps4DgfFv
 海岸に流れ着いたカラッカスは頭にコンブを引っ掛けて、くしゃみした。風が吹くと身
を震わす。
「ベラージョ様たち逃げたのかなあ、薄情だなまったく」
 ぶつくさとつぶやくうち、カラッカスは海岸の黒い岩場に洞窟を見つけた。
 のぞいてみると、金属製の扉が固く閉ざされている。
 扉の下に波が当たってしぶきが飛んだ。

「ここか! そうか、潮がひくと入れるんだな」
 開けようとするが、鍵がかかって開かない。脇に入力キーがあり、数字を打ち込まなけれ
ばならないらしい。
 カラッカスは手持ちサイズの機械を取ると、端子をのばしてドアの入力板に接続した。
 操作するとパスを当てて入力し、ロックを解除する。
 ドアは不快な音を立てて開いていく。

「この程度のロック、天才カラッカス様にかかればこんなもんだ」
 誰もいないがカラッカスは自分の手際を誇った。ドアの向こうは上り階段だ。上ると、
部屋があった。岩の中の空洞らしい。
 本棚がいくつも並んでギッシリと本やファイルを詰めている。入り切らない本やノートが
床に散乱していた。
 机にはパソコンがある。

「こりゃちょっとした研究室だな」
 パソコンを立ち上げ、その間にもそこらの資料にカラッカスは目を通す。
「ふーむ、古典的だけどこれはすごい。改造手術が専門らしいな」

 ライダーに代表される改造技術は医学、遺伝子等の知識はもちろん、機械工学やエネルギー
力学、果ては古代魔術までかかわる広く深い知が要求される。
 知の集合体が仮面ライダーなのだ。
 とりあえず、とカラッカスはCDロムを取り、めぼしいデータをコピーすることにした。
 その間、あちこちあさってみる。

「これはムー帝国、これはアクマ族、こっちはゴルゴムか。古代超技術研究もしている
らしいな。何でここの人は学園に来ないんだろう」
 部屋の片隅に、カラッカスは円筒を見つけた。茶筒のようでもあるが、フタはない。奇妙
にうねった模様がついていて、古代の遺物を思わせる。
「もしかしてベラボーンか? いただいてくか」
 コピーを終えると、カラッカスはそそくさと部屋をあとにした。
122渚の争奪戦!8 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 14:00:04 ID:ps4DgfFv
 一方、ベラージョとボケクサーは海岸を歩き回っていた。
「カラッカスー! ああ、本当に海の藻屑になっちまったんだね!」
 ベラージョは部下の死をなげいて、砂浜に手をついた。
「さようなら、カラッカス! おまえのことは忘れないよ! 遺産と香典は私が管理するからね!」

 泣いて悲しむベラージョに、砂を踏んで近づく足があった。
「カラッカス?」
 希望をもって顔を上げるベラージョの目に飛び込んだのは、人間ではなかった。
 毛むくじゃらで虫の顔をした、大柄な怪物だ。

「ひゃあ、怪人!」
 ベラージョは驚き飛び上がって、ボケクサーの影に隠れた。
 怪物は虫の頭でうなずいた。
「人からは再再再生蜘蛛男と言われている。よみがえりの儀式の影響で復活した」

「蜘蛛男? なんだいお仲間じゃないか、私たちは清く悪く美しく、悪の華べらぼーブラボー
ベラドンナ
一味だよ」
「私は悪でも正義でもあり、またどちらでもない」
「はあ? 何言ってんだい?」
 とベラージョは高い声を出してきく。が、蜘蛛男はそれには答えなかった。

「マンドラゴラの命でベラボーンを探しているのだな」
「な、何でそれを知っているんだい」
「ベラボーン探しはやめるんだ」
「な、何であんたにそんなこといわれなくちゃならないんだい!」
「どうしてもやめないなら、力ずくになる」
 蜘蛛男は口から白い糸を何本か出して動かした。

「ひええっ、ボケクサー! やーっておしまい!」
「ベラージョ様に手は出させないまんねん」
 岩のようなボケクサーと蜘蛛男がにらみ合う。

「ベラージョ様ーっ!」
 どこか間抜けな声が海岸線に響き渡った。
「カラッカス!」
 ベラージョは喜び笑みを浮かべる。
 再再再生蜘蛛男は素早く跳躍し、その場を離れた。見る間に小さくなって、蜘蛛男は
見えなくなった。
 入れ違いに、カラッカスが砂を蹴ってやってくる。

「おまえったら、私を置いてどこへ逃げ隠れていたんだい!」
 ベラージョはいつものように部下の頭を殴った。
「ひどいなあ、そっちが逃げたくせに……まあともかく聞いてくださいよ」
「おまえこそお聞きよ、今ね」

 にぎやかに言い合ううち、二人は大体の情報を共有した。
「蜘蛛男と言えば、あの初代ライダー改造をした緑川博士を殺した怪人ですよ。
 もしかして、俺が見た研究室は緑川博士の関係者がいたのかも知れません」
123渚の争奪戦!9 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 14:03:56 ID:ps4DgfFv
「ってことはつまり、どういうことだい?」
「蜘蛛男が緑川博士の関係者を殺そうとしているのかも。タイミング的に見て、ベラボーン
とも無関係ではないでしょう」
 カラッカスは拝借してきた筒をながめた。

「見つけたぞ、悪党!」
 わざとらしい呼び掛けに振り向くと、小高い岩の上にゴクレンジャーの五人がすでにスーツ
を着込んで立っている。
「業火の猛犬……」

 名乗りを無視してカラッカスとベラージョは話し合った。
「ほら、出てきましたよ」「ホントだねえ」
「だんだんわかってきましたよ」「どういうことだい?」

「つまり、緑川博士の関係者、蜘蛛男、ゴクレンジャー、あとおそらくブルーベリーも、全員
がベラボーンを狙っているんです!」

 無視されてゴクレッドが怒鳴り声を飛ばした。
「おい、名乗りを聞けよ! このたび正式に科学忍者隊Gスクワッドを兼任することに
したんだぞ」
 カラッカスは苦い顔になる。
「レンジャー兼科学忍者隊? 欲張りだなあ」
「いいじゃんか、V3カザミさんだって本当はアオレンジャーなんだろ」
「それは秘密だろ。秘密戦隊だけに」
 カザミシロウはあちこちの組織で活躍している。

「だからその名乗りも聞けよ」
「聞いてられるか馬鹿。どうせおまえらなんか、赤影ゼミに入れてないだろ?」
「ううっ、だって校舎に入れないんだよ……地獄の戦隊名乗ってたら、ほんまもんの地獄の人
来ちゃうし」
「いちいち何もかもが中途半端なザコヒーローだな」
「ザコヒーロー言うなあ!」

「べらんめーっ! ベラボーンは渡さないよ! 今週はさっさとメカ戦だよ!」
 いつのまにか始まっていたベラボーン争奪戦に女ボスは燃えていた。部下も応える。
「ズラベラサッサ!」

 甲殻機動ザリガニッコウセーンが飛んでくる。
 ゴクレンジャー兼Gスクワッドのもとには戦闘機やレースカーなど、五種の乗り物がやって
きた。

「あのメカを造ったのはナツミじゃない誰かなのかな。ゴクレンジャーの背後に何かがいる
となると」
 と、メインモニターを見ながらカラッカスが独り口を動かす間に、G−1〜5号メカが
合体し、Gガルーダができあがった。
 正義のメカ合体中に攻撃しないのが悪の礼儀だ。真の悪とは精神の美を追求するのだ。

「合体が終わったな。じゃあ食らえ、マウスをクリっとな」
 ネズミ型メカのマウスを探したが、カラッカスの手は虚しくマウスパッドをたたく。
「あれ、どこいった、おい」
124渚の争奪戦!10 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 14:07:35 ID:ps4DgfFv
「あっちでチューチューしてるよ」
 ベラージョが指さす先で、ネズミ型メカが別のオスネズミ型メカといちゃついている。
「チューチューいやんチュー」

「造物主が一度もバレンタインチョコもらったことないというのに、この生意気なネズミめ!」
「そんなだからモテないんだっチューの」
「うるさい、戻れ」
 カラッカスはネズミ型メカのマウスをつかんで、無理に戻した。ネズミ型メカが造物主の
指を噛む。

「いでー、この! おりゃクリっとな」
 モーター音を聞かせ、ザリガニッコウセーンはハサミを開いて
空飛ぶ金属の鳥を狙った。
 ハサミの奥から光が発して、赤い光線が天を衝く。
「行けカニ光線、これがホントのカニレーザー!」

 レーザーに焼かれて、Gガルーダは煙を出した。鉄の焼けるにおいが地上に届きそうだ。
「超高圧エネルギーレーザーですからね、これならどんな装甲でも破れますよ」

 負けずにGガルーダはミサイルを落とした。
 爆発が巻き起こり、ザリガニの体が激しく揺り動かされる。
「だ、大丈夫かい」
 内部ではベラージョが不安そうにカラッカスにしがみついた。
「ヨロイ元帥先生と同じ強度でして、あの人が大丈夫なら大丈夫……ですがねえ」

「はっきりおしよ!」「最近カルシウム不足とか言ってましたから」
 たび重なる爆撃に、ザリガニッコウセーンの装甲は亀裂を入れた。
 ダメージを知らせる骸骨型のコックピットメカが、操作板から飛び出してラッパを吹く。
「破損状況報告! だいたい十パーセント破損、はー損損」

「もーっ、先生に牛乳飲むように言っとくんだよ!」
「俺も牛乳嫌いですからねえ」
「うんまあ私も嫌いだけどねえ。こうなったら今週のハイライト! だよ!」
「はいっ、主砲用意! 特上豪華イセエビミサイル!」

 おもちゃのような機関車型コックピットメカが飛び出し、しゅっほーしゅっほーと高らか
に歌う。
 ザリガニッコウセーンの背中が二つに割れ、内部から大きなミサイルがせり出してきた。
 イセエビ型ミサイルが日光を反射して、恐ろしく輝く。「追尾型ですから一度狙いが定まれば追いかけてくれます、ファイヤ!」
 発射直前、素早く何かがザリガニッコウセーンの下に潜り込んだ。
 マントをひるがえすブルーベリーが、怪物のあごを蹴り上げる。
「ニンジャキック!」
 機体が上を向く。

「うわーっ、なんだ?」
 うろたえるカラッカスにはお構いなしに、ミサイルは真上へと飛び立った。
125渚の争奪戦!11 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 14:09:31 ID:ps4DgfFv
 目標を見失ったミサイルは真下を向いて狙いを決めた。

「わーっ、やばい、こっち来んな」
 カラッカスはあわててメカを動かしミサイルから逃げる。サブモニターに一瞬、ブルーベリー
が映った。
「あのガキかっ、くそーっ!」
 Gガルーダが機首あたりからミサイルを発する。煙を引きずってミサイルはザリガニッ
コウセーンを襲った。
 そこをイセエビミサイルが直撃する。
 閃光走り轟音響く大爆発、何かの部品がいくつも飛び散り、
キノコ雲がドクロの形に浮かび上がって空を飾った。。

 ベラドンナの三人は三人乗り自転車をこいでいた。服はボロボロ、顔は真っ黒、髪はパーマだ。
「お約束でうれしいですか、ベラージョ様」
「あんな奴らに負けてうれしいわけないだろ! でもおまえ、ベラボーンは持ってるんだ
ろうね?」
「はい、この通り」

 カラッカスは茶筒のようなものをかざして見せた。
 ベラージョは汚れた顔で何度もうなずいた。
「よしよし、それさえあれば……」

「ドラー! おめえたち、ベラボーンは手に入れたかゴラー!」
 空から稲妻のような強い声が落ちてくる。
「マンドラゴラ様! はい、ここに」
 ベラージョは恐る恐る、カラッカスの手にある筒をさす。

「そいつは偽物だゴラー!」
「そ、そんなー!」
 だからおまえが取ってこいと言ったんだろうが、と文句が出そうになるのを、カラッカス
はぐっとこらえた。マンドラゴラの言い方に何か引っ掛かるものがあった。

「それじゃあお待ちかね、今週もライダーの特訓より恐い猛特訓開始だゴラー!」
 運命のミュージックとともに、四方八方から赤いものが這ってくる。赤いじゅうたんが
迫ってくるようだ。
 よく見るとそれらはカニだった。

「ぎゃーっ、カニの大移動だよーっ!」
 ベラージョの悲鳴は、鼓膜を破らんばかりに響く。
 カニは自転車をパンクさせると、ベラージョたちをハサミではさむ。
「いたたたた」「痛い痛い」「痛いでまんねん」
 三人は泣きながら走り、無数のカニから逃げ続けた。



 翌日、満身創痍でミイラ男のようになったカラッカスは独り、いつもの地下格納庫で
戦利品の筒を分析していた。
 内部構造はいまひとつはっきりしなかった。

「マンドラゴラの奴、ベラボーンの偽物って言ってたな。つまりイミテーションか……?」
126 ◆Omi/gSp4qg :2009/01/28(水) 14:15:02 ID:ps4DgfFv
終わり
次の投下でベラボーン探しは完結させようと思います
謎を残しながら書くのはなかなか難しいもんですね
そのうち登場人物WIKIに書いておきます
127創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 14:39:56 ID:YnIDDGlV
更新お疲れ様です。
楽しんで読んでますんで期待してます。
壮大なストーリーですね。
128創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 11:06:06 ID:3uIwySOl
投下乙
ちゃんと読んでますんで。
この板ではレスとかあんまり気にせずノビノビと書いて欲しい
129火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:00:05 ID:H2hjDqWh
私の名前はジュリ。
母さんから受け継いだイクサシステムと、
ファンガイアのリョウコから譲られたアギトゼクターを駆使し正義の戦士だ!

鏡の前でモーションをチェックするすぐ横では、後輩のカストルが腹を出したままデーンと床に寝転がっている。。
『(中略)僕は全てを見通す者にしてウォッチメンの名を継ぐ者……』
最初は流行の不思議ちゃんか、もしくはどこか妄想癖のあるのかと思っていたんだけど、
どうやらそうではないみたい。
しばらく行動を共にしてみてわかったことがいくつかある。
まず一つ目に体は180KGを超える巨漢の癖に、避けるが異常に上手いのだ。
私の攻撃をかわしたのがまぐれか知りたかったので
試しに後輩数人と乱取をさせてみたんだけど、誰一人当てることすらできなかった。
驚いたのはそれだけじゃない。二つ目は守りは鉄壁の癖に攻撃の方は、からっきし駄目なんだ。
あと虚弱体質……予知能力(私は信じてない)を使うと疲れるんだとか。
今だってほんの10分私とスパリングしただけで、もうあの様だ。
ウォッチメンとかいうのはあれか?引き籠りかなにかの外国語なんじゃないか?
「だらしない奴だなぁ、お前あのヘレネの弟なんだろ?」
「学力テストなら姉にも負けませんよ。」
まぁ確かにカストルの頭の良さは光るものがある。
私の宿題もいくつか簡単に解決してくれたほどだ。
そこへ、主将のコウジが両手を違う女の細い肩に乗せて道場へと入ってきた。
相変わらずチャラチャラして節操がない男だなぁ。
あんなのが主将やってるもんだから、部員の大半はやる気をなくして他の部へ移ってしまった。
ムクっとカストルが起き上がる。
「もう起きて大丈夫なのか?」
「ええ、慣れてますから。」
「少しは体鍛えたらどうだ?元々顔はそこそこ美形なんだし、女にもモテルはずだぞ。」
ここだけの話、絶対損してるとおもうわけだ。
130火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:01:30 ID:H2hjDqWh
「運命が予めわかってしまうと、何だか無駄に覚えてしまうんですよね。」
「馬鹿なこと言うな。仮にも正義部の戦士が無駄とか諦めるとかそういう言葉を口にするな!」
思わず言葉を荒げたので、ちょっとビビッタのかカストルが首をすくめる。
「ねぇねぇ、ケーキ屋さんに行こうよ〜。」
「ミカコもつまんなぁ〜〜〜い。」
私のイライラの原因はこれだ。
道場の隅でいちゃつくカップル。
神聖な道場でこの不埒な行為……許せん…
「そうだな、体調不良ってことにしてサボるか。」
どっこいっしょとコウジが立ち上がる。
今来たばかりじゃないか。
「新入部員が見学に来る今月くらいは、ちゃんと主将らしくしてくれないか?」
私がそれを制する。
「別に成りたくてなったわけじゃないし、それに格闘技やろうなんて変わり者いるのか?
 今や時代はレーザー銃とか、改造人間の時代だぜ?」
「なんて事を言うんだ!見損なったぞ。それでも男か!」
「弱い犬ほどよく吼えるというが本当だな。どれ久しぶりに調教してやろう。
 また無様に地面に這い蹲って泣きながら許しを請うが良い。」
断っておくが泣いてはいない。確かに地面に這い蹲らされたけどね。
「お前がサボっている間に私は強くなった。
 あの時(主将決定戦)の私とは次元が違う!」
「キャンキャン吼えるな。
 どうせまた触れることすら叶わず終わる。
 ジュリがどれだけ強くなろうとも、人間ごときが俺に勝てるはずがない。」
「それが運命だというんであれば、私がその初めての人間になってやる!」
「今日はやけに噛み付いてくるな。後ろの後輩にカッコいいとこ見せようと思ってるのなら
 無駄だ止めておけ。」
見ていろカストル。運命は変えられるんだ!

その頃食堂では
131火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:02:43 ID:H2hjDqWh
場面変わって食堂

我の名前はネロ。
クライシス皇帝の再来というか本人である。
そんな我は正義に生きる者として、大きな悩みを抱えていた。

「まぁまぁ、そう気を落とすでない。」
真っ赤なミニスカート(最近わかったがこれが戦闘モード)のプルートが我の左肩を叩く。
「何故不良から助けたのに、化け物呼ばわりされねばならんのだ?
 そんなに醜いか?我の変身は?」
この学園ではか弱き非戦闘員の女学生ですら環境柄、そういうのには慣れているはずであるが……。
その彼女達にして化け物といわれる我はどういう立ち位置に立てば良いのか。
「まぁ確かにあの姿で正義の味方と言われても、初対面のときは余でも信じられなかったしねぇ。」
「ところでいつまでその姿なのだ?さっさと着替えればよかろうに。」
「なんじゃ?元気付けようと思ったのじゃが……。」
悪いが好みのタイプではないのだ。
我の好きな異性のタイプは会話に知性を感じるタイプである。
「それにしても困ったもんじゃなぁ。
 せめて緑ではなく、赤とか黒なら怖がられないんだけど……。」
断言する。それはプルートの好きな色というだけだ。
「我もみんなから賞賛されるような姿になりたいものだ。」
賞賛まではいかないにしても、エンペラーに相応しき姿に成りたいものである。
「実はゼミで面白い話を聞いてな。」
プルートが顔を近づける。
オイ近すぎやしないか?
チラッと目を背ける。
「御主…助平じゃのぉ、余の谷間がそんなに見たいのか。悲しき男の性よのぉ。」
「谷間なんぞどこにある?良いから本題へ……。」
ゴホンとプルートは咳をすると話し始める。
何でもボスガン・ビシュムゼミの同級生の双子の兄が正義部にいるんだとか
で…その兄は弟に変身道具を造ったというから驚きである。
「名前は確かカストラ、カステル……違うのぉ。
 カステラ!そうよ。カステラよ。思い出した間違いない。」
怪しいそんな御菓子みたいな名前ありえるのだろうか。
「正義部を余が歩き回るわけにもいかんし、後は自分で探すんだね。
 一つだけアドバイス、見ても決してデブといってはならんそうだ。」
「何だそれは?」
「禁句らしい。まぁ酒に酔っていたとはいえ、
 余なんかを無理矢理何度も抱こうとしたくらいじゃから、御主は人を見かけでは判断せんと思うから
 心配はしておらんよ。」
我が慌ててプルートの口を塞ぐ。
132火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:03:26 ID:H2hjDqWh
場面変わって食堂

我の名前はネロ。
クライシス皇帝の再来というか本人である。
そんな我は正義に生きる者として、大きな悩みを抱えていた。

「まぁまぁ、そう気を落とすでない。」
真っ赤なミニスカート(最近わかったがこれが戦闘モード)のプルートが我の左肩を叩く。
「何故不良から助けたのに、化け物呼ばわりされねばならんのだ?
 そんなに醜いか?我の変身は?」
この学園ではか弱き非戦闘員の女学生ですら環境柄、そういうのには慣れているはずであるが……。
その彼女達にして化け物といわれる我はどういう立ち位置に立てば良いのか。
「まぁ確かにあの姿で正義の味方と言われても、初対面のときは余でも信じられなかったしねぇ。」
「ところでいつまでその姿なのだ?さっさと着替えればよかろうに。」
「なんじゃ?元気付けようと思ったのじゃが……。」
悪いが好みのタイプではないのだ。
我の好きな異性のタイプは会話に知性を感じるタイプである。
「それにしても困ったもんじゃなぁ。
 せめて緑ではなく、赤とか黒なら怖がられないんだけど……。」
断言する。それはプルートの好きな色というだけだ。
「我もみんなから賞賛されるような姿になりたいものだ。」
賞賛まではいかないにしても、エンペラーに相応しき姿に成りたいものである。
「実はゼミで面白い話を聞いてな。」
プルートが顔を近づける。
オイ近すぎやしないか?
チラッと目を背ける。
「御主…助平じゃのぉ、余の谷間がそんなに見たいのか。悲しき男の性よのぉ。」
「谷間なんぞどこにある?良いから本題へ……。」
ゴホンとプルートは咳をすると話し始める。
何でもボスガン・ビシュムゼミの同級生の双子の兄が正義部にいるんだとか
で…その兄は弟に変身道具を造ったというから驚きである。
「名前は確かカストラ、カステル……違うのぉ。
 カステラ!そうよ。カステラよ。思い出した間違いない。」
怪しいそんな御菓子みたいな名前ありえるのだろうか。
「正義部を余が歩き回るわけにもいかんし、後は自分で探すんだね。
 一つだけアドバイス、見ても決してデブといってはならんそうだ。」
「何だそれは?」
「禁句らしい。まぁ酒に酔っていたとはいえ、
 余なんかを無理矢理何度も抱こうとしたくらいじゃから、御主は人を見かけでは判断せんと思うから
 心配はしておらんよ。」
我が慌ててプルートの口を塞ぐ。
133火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:06:01 ID:H2hjDqWh
「頼むからそのことは内緒にしておいてくれんか?」
「正義部のネロが酒に酔って、力尽くでか弱い女を手込めにしたと知られてはまずいのか?」
当たり前であろう。
「それに未遂であろう。文字通り大火傷したであろう。」
「さぁどうだったかな。」
酔うと心拍数があがって興奮が抑えられなくなり変身してしまうことに気がついたのは、
初めてプルートと出会って、お互いに初めての友達ということで意気投合し
いけないとは思いながらも初っ端からゼミをサボって学園内のバーで語り明かしてしまい
翌朝気がついたら何故かダブルベットにプルートが裸で寝ていて、起きたプルートから事の顛末を聞いてからである。
プルートによると、我が力に物を言わせてプルートに襲い掛かったと言うことだった。
コウタロウに知られたら卒倒するかもしれん。
いやそれどころか、監督不行きで辞表を提出しかねない。
だから二人だけのいけない秘密ということにしてある。
ちなみに襲い掛かった我をプルートは眼帯を取って撃退したんだとか。
プルートの眼帯の下には、恐ろしい眼があるらしいのだが、我はまだその力を見たことが無い。
最初はファッションかと思っていたが、本当に違うのか疑わしいものである。
とはいえ、部屋の備品が壊れていたりベットのシーツが少し焦げていたから一部は事実なのだろう。
134火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:06:22 ID:H2hjDqWh
「カステラ、太ってる、伊達眼鏡。」
プルートと別れた我は紙に書いてもらった特徴を確認する。
こんなので本当に見つかるのか。
大雑把すぎである。
途方にくれていたそのとき……シュパシュパと短剣が足元に飛んでくる。
(なんだ?)
咄嗟に校舎と倉庫の路地に逃げ込む。
誤射か?それとも我を狙ったのか。
ドクンドクンと心臓の鼓動が大きくなる。
(落ち着け……。)
行く手を大きな壁が遮る。
『クライシス皇帝の生まれ変わりネロでござるな。
 早々に冥府に送り返すでござる。』
どこからか男の声が聞こえた。
周囲に人の気配はない。
すると辺りに黄色い煙幕が立ち込める。
「毒ガスであるか?」
素早く口を手で覆う。
煙の中から漆黒の甲冑を身に纏った謎の戦士が現れる。
その姿は歴史の講義で聞いたサムライとかいう者の姿に似ている気がした。
(見かけない顔だな。)
声から察すると男だと思われるが、何故我の正体を知っているのだろうか。
冑の方はマスクにもなっているのか、コーフーコーフーという呼吸音が静かに聞こえる。
「何者だ?名を名乗れ!」
しかし戦士は答えず、右腰の刀の柄に手を当てる。
『ウルヴァリン流殺法 剣の舞 一の型 コーフーコーフ』
135火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:08:35 ID:H2hjDqWh
ウルヴァリン
悪人を殺しすぎた罪でパニッシャーと共に一時的に冥府へ送られた。
時に残虐になれる精神性だけでなく、ヒーローとしての心構えをタルタロスに教えた。
タルタロスの憧れの人で忍者としての最初の師

パニッシャー
犯罪者らを冷酷に処刑・殺戮しすぎた罪で冥府へ送られた
タルタロスにあらゆる銃火器・爆発物を自在に使いこなし、白兵戦での戦闘技術を叩き込んだ。

ウルヴァリン流殺法
ウルヴァリンとパニッシャーに習ったことをタルタロスなりに融合させ超人的な技に昇華させた殺法

「我はまだ何もしておらぬのでな。悪いがまだ冥府に戻るつもりは無い!
 返り討ちにしてくれようぞ。変身!!!」
ドクンドクンドクン。心臓の鼓動が早まる。
皮膚が緑色に変色し、体が少し大きくなる。
「見よ。我が姿。我が名は超人ネロ!!」

超人ネロ
一度この姿になると圧倒的なパワーでありとあらゆる物を破壊してしまう。
皮膚は緑色で姿は人間状態より若干大きくなる。

『お前はもう死んでいる。』
戦士に飛びかかろうとしたそのとき、戦士は親指でカチンと柄を鞘へ戻す。
「ぐわぁぁ」
突然、体中に刀傷が現れた。
痛みで地面をのた打ち回る。
(な……何が起こった?)
いつ斬られた……それどころかいつ刀を抜いたのか。それすらわからない。
『ウルヴァリン流殺法 剣の舞 五の型 コーフーコーフ』
今度は両腰の刀の柄に指を当てる。
(目を離すな。見極めろ。)
緊張が高まる。
そのとき、みかん位の大きさの火の玉が騎士に当たった。
しかし騎士は気にする素振りすら見せない。
『イザ…』
カチャっと刀が抜かれた瞬間、我の背後から今度はバスケットボール程の大きさの火の玉が現れた。
これには流石の騎士も避けないわけには行かない。
ジャンプで倉庫の屋上へ避難する。
『仲間がいたのか。まぁいいでござる。
 貴様如きならいつでも始末できるでござる。』
騎士はそういうとボンっと煙を立てて姿を消す。
いったいあの騎士は何者なのだろうか。
フラッと体から力が抜けた。
そういえば、かなりダメージを受けたのであった。
「ネロ……ネロ……。」
プルートの我を呼ぶ声が聞こえる。
そうか。さっきの火の玉はプルートが助けてくれたのか。
それにしても、追われるということはこんなに恐ろしいことだったのであるな。
いつどこで狙われるかわからない恐怖。を我は今日身をもって知った。
「すぐにマザーの所に連れて行ってやるわ。」
我が気がついたのはそれから3日後のことだった。
136 ◆ccu2hP6PPA :2009/01/31(土) 21:16:57 ID:H2hjDqWh
ちょっとアメリカのヒーローの皆さんがよぎる様な人物の登場でした。
上級生とうまく絡めていけると良いなぁ。

今後の登場予定
(現世に甦っておるのですが、実際にどう出すかは未定なので、ご自由にご利用ください。)

ドクター・ドゥーム
その高度な知能を駆使して、
強力な超科学兵器の創造と驚異的な陰謀・罠を張り巡らせ悪事を働いた罪で冥府へ送られた。
仮面ライダータナトス(タルタロスの変身後)の
「死の権化」というテーマを決定し、漆黒の甲冑を設計した。
性格は好奇心旺盛で積極的。

ドクター・オクトパス
物理学の天才的な頭脳の持ち主。
4本のアダマンチウム合金製金属アームのついたコルセットを開発し、
その力を使って悪事を行う犯罪者へと成り下がったため冥府に送られた。
ケルベロスに改造手術を行った。

性格は完璧主義者
137創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:04:52 ID:2vMyIiQl
相変わらずスゴいことになってんなぁ
138創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 22:58:29 ID:I/YuBrGa
ウルヴァリンきたよ!
検索したらウルヴァリンっていろんな作品に出てんだな
Xメンしか知らなかった
ビーストとか先生っぽいな
139創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:57:08 ID:Ay/UNfTj
ヒルトはどうしてスカルマンになったと思われる?
140 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/02(月) 13:46:22 ID:2WtfrJZ3
>>139
もともとスカルマンだったんでは

WIKI過去へをこのスレ分継ぎ足して後始末、風物詩1だけ更新しときました
あと人物書かせてもらいました
風物詩の1は半角のほうがよかったかなー すまんです
もっとバリバリWIKI更新できるようになりたいもんです
141創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 19:19:05 ID:v76xqGtN
>>139
スラブ神話のチェルノボーグ=不幸を司る悪神=スカルマンで
ヒルト自身何をやっても上手くいかない、ついてない不幸体質
マスクの出所は009のスカール準拠の模造品

もう一対のベロボーグは幸運を司る善神、前に踊ってたのは人形
本物のベロボーグはヒルトと仲が悪い、二人が揃うと世界が泡(水)の底に沈む
違法の脳改造も含めたサイボーグなので、この二人を作った連中は証拠を消したい
どのみち不幸になる諦めからベロボーグだけは助けようとヒルトは行動してます
142火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:31:43 ID:SCtPjlMZ
戦いが呼ぶ 血が呼ぶ 女が呼ぶ 悪(オレ以外の全ての男と生意気な女)を倒せとオレを呼ぶ
オレは正義の戦士 仮面ライダートール!
オレの名前は理由があってコウジと名乗っている。
本当の名は…シゲルという。
まぁ面倒だからコウジで覚えておいてくれ。
電気人間であるオレのことを人は痺れさせる男と呼ぶ。


「おのれ……。」
学習能力の無い女(ジュリ)が恨めしそうにオレを睨みつけながら倒れる。
無理も無いオレは常に体から超電圧を発している電気人間
ノーマルな人間如きがオレと組み合おう等と身の程知らずも甚だしい。
「さっきの威勢はどうした?」
耳の穴をほじりながら尋ねる。
「まだだ……。」
体をビクビクと痙攣させながら立ち上がるとオレに唾を吐きかける。
(相変わらず気の強い女だ。)
ポケットからハンカチを取り出し頬を拭く。
まぁこういう女を屈服させて奴隷にするのもたまには悪くない。
「お前もオレのコレクションの一つにしてやろう。」
「フザケルナ!!」
「別にふざけてなどいないさぁ、
 そもそも主将決定戦のとき負けた方は卒業まで絶対服従の約束だろ?」
「再戦だ!主将は部員の挑戦を断ることは出来ないはずだ!
 コウジが兎なら私は亀だ。遊んでいた兎と努力した亀が戦うとどうなるか思い知らせてやる。」
オレが兎ねぇ、もっとカッコいい動物には例えられないのか。
「ルールはあのときと同じ。どちらかが参ったというまで勝負だ!」
また馬鹿の一つ覚えでイクサか……。
学習能力の無い女だ。
143火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:32:21 ID:SCtPjlMZ
「どうやら調教が足りなかったようだな。
 二度とご主人様に逆らうとどんなどうなるか体で覚えさせてやる。
 この際だ徹底的に再調教してやろう。」
「魅せてやる。この一年間でお前を倒すために編み出した技の数々!来いアギトゼクター」
どこからか黒い龍のロボットが現れた。
悪部のリョウコの言っていたアギトとかいうライダーになるのか。
全く面倒なモノを面倒な奴に渡してくれたもんだ。
確か時間を遅くするとか言ってたな。
「復讐心にかられるあまり悪の者から貰った力に手を出すとは、
 どうやら唯一の取柄であった戦士としての誇りも失ってしまったようだな。」
「何とでも言うが良い!クロックアップ!!」
ほぉさっそくか。
まるで新しいおもちゃを買って貰って見せびらかしたい子供だな。
(忍法、身代わりの術っと)
一応これでも忍者ゼミ所属、様子見としてはこれが最適だ。
散々殴ってそれが無駄だったと知ったときの敵の愕然とした顔は何度見てもたまらない。
(ん?)
印を結ぶ手の反応がにぶい。まぁそんなに気にするほどでもないか…。
(なるほどねぇ。)
お陰でアギトの特殊能力がわかった。
周りの空間の時間を遅くすることで、超高速の連打を可能にするというわけか。
「な…なに…丸太……」
ようやく気がついたようだ。
変身しているので顔色がわからないのがちょっと残念だ。
「奥の手というのは、最後まで取っておくものだな。
 変身!!仮面ライダートール。」
変身し力を解放したことで全身に力が行き渡っていく。
(うむ、プチッと潰すとしよう。)
「いでよイナズマブレード!!」
叫び声に呼応するかのように
天窓を突き破って落雷がズドンと床に落ちる。
雷の正体はオレの主要武器の一つイナズマブレードだ。
144火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:32:47 ID:SCtPjlMZ
イナズマブレード
仮面ライダートールの主要武器
普段は雷の精霊王であるゼウスの家で保管されている。
どういった経緯でトールの手に渡ったのかは不明。
刀の周りをを雷でコーティングされており、斬られた者は傷口から電気が流れ自由を奪われる。
(防いでも同様)
刀身の長さは約260cmと大太刀の長さを片手で自在に扱えるのはトールのパワーがあってこそ。

「その武器は?クサナギブレードがお前の唯一の武器じゃなかったのか?」

クサナギブレード
仮面ライダートールのサブ武器
現存するブレードの中で最強の威力を誇るといわれる伝説の刀
伝説では風や水や炎などあらゆる物を斬る事ができると言われ、その昔鬼を斬ったとの伝説もある。
普段はトールの右腰の鞘に収まっている太刀。
145火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:33:29 ID:SCtPjlMZ
おいおい新兵器が自分だけの専売特許だとでも思っているのか。
イナズマブレードを床から引き抜く。
「さぁ、お仕置きタイムだ。」
「今までの攻撃が無駄だったなんて!」
「一年間無駄な努力ご苦労さん。」
イナズマブレードで一刀両断にする。
「うわぁ。」
ジュリの変身が解け床に倒れこむ。
「くそ……。まだだ……。」
ほぉまだやるつもりか。
相変わらずゴキブリ並みにしぶとい女だ。
「キャーーーーー」
ギャラリーの女達が叫び声を上げて逃げ出す。
(まったくヒーロー学園の生徒の癖に情けない。)
女達はジュリの赤い血で染まった床を見て逃げ出したのである。
(まぁ良い、女の連れなど腐るほどいる。)
なんなら帰りに道場の前で現地調達もありだ。
「それにしても変身していて尚この威力か。やはり使いようが難しいな。」
「何をブツブツ言っている!まだ私は参ったなんて言ってないぞ!」
ジュリの威勢のいい声が寂しく道場に響く。
確かあの時もなかなか参ったを言わず、オレを困らせたんだったな。
「今度は腕を折るくらいじゃ済みそうにないなぁ?」
そういうと、ヨロヨロのジュリの首を掴み持ち上げる。
「なぁさっき兎と亀の話をしていたが、いつまで寝てたら亀は追いついてくれるんだ?
 このペースじゃ一生追いついてくれなさそうなんだが……
 まぁ気にするな。タダの人間の女がオレに勝てるわけがない。」
「ぐううう……。」
ジュリの顔が紅潮する。
「参りました。ご主人様。っていえば許してやるぞ。」
「誰が言うか!お前の言いなりになるくらいなら……。」
赤い唾が飛んでくる。いったいどこにそんな元気があるのやら。
「可哀想に。血が出てるじゃないか。これたらたっぷり可愛がってやるからな。」
「ウルサイ!カシャン」
ジタバタと体を揺らすジュリの服の中からイクサナックルがカシャンと地面に落下した。
146火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:33:55 ID:SCtPjlMZ
イクサナックル
仮面ライダーイクサの電磁ナックルウエポンとして使用できる近接格闘戦用の武器であり
イクサに変身させるジェネレーターの発動キー
これそのものが非人間型のサポートロボットであり、
装着者のバイタルやスーツの状況を管理し、時には戦闘時にアドバイスを与える参謀的な役割をもつ。
内部に搭載されるボードやCPUは年を追うごとに換装、バージョンアップが行われている。

ブロウクン・ファング
イクサベルトにナックルフエッスルを装着させる事で、
瞬間電圧5億ボルトという落雷に匹敵するエネルギーを相手に打ち込む必殺技。

「なんだ。この玩具捨ててなかったのか?」
「玩具だと?」
「昔から気に喰わなかったんだ。女の癖に戦士などと、
 女は家でクッキーでも焼いてれば良いんだよ。」
嫌味を言いながらイクサナックルを足で拾い上げようとする。
「触るな!」
「そんなに触れるのが嫌なら、大事に金庫にでも閉まっておくだなぁ!!!」
そのまま右足で踏みつけると自動車事故のような大きな音が道場に響き破片が床に散らばった。
ジュリの涙の滴が赤く染まった床にポタリポタリと落ちる。
気がつけば顔色が真っ青に変わっていた。
「ふん。興醒めだな。これに懲りて二度とオレに刃向かおうなど思わぬことだ。」
ジュリをポイっと投げ捨てると、デブが慌ててクッションになる。
「ジュリさん。しっかりしてください。」
ふん、ゴミはゴミ同士仲良くやるがいい。
「噂通り暴虐非道な振る舞いだわさ。」
オレがその場を離れようとすると、背後(入口の方)から女にしては低い声がする。
147火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:34:59 ID:SCtPjlMZ
「久しぶりですね。」
振り返るとそこにはミユキ女史が腕組して立っていた。
どこから見ていたのだろうか。
この女も気が強くて苦手だ。
「アタイのいるときはあんなに仲良かったのに、ユキチから聞いていた通りだわさ。」
知ったことか。人は成長するもんだ。
「ジュリ大丈夫かい?ところでアンタの妹、ユイって言ったっけ?
 ツルヒメ先生に就職決まって暇なんだから、面倒みろって言われたから合宿に連れていくわさ。
 何か文句あるかい?」
相変わらずチョコマカと身のこなしが素早い先輩だ。
いつの間にオレの横を通って、ジュリのところまでいったのだろう。
「弱い者いじめは元自治会長として見過ごすわけにはいかんわさ。」
ちょっとまって突っ掛かって来たのはジュリだぞ。
「久しぶり稽古をつけてやるわさ。」
相変わらずオレの話を聞かない人だ。
「トールに変身した今のオレなら、例え先輩でもそう簡単にはいきませんよ。」
「いつも言っているだわさ、そういうことは勝ってからいうわさ。」
振り返るとそこには既に先輩の姿がある。
ミユキ女史は特異体質で体をゴムのように伸縮させることができるだけでなく、
ゴムのように電気も通さない体だから厄介だ。
格闘技だけでも充分強いオレが剣を学び始めたのは、
こういう敵が今後他にも現れたときに困らないようにするためである。
「ところで一つ聞きたいんだけど、イクサを破壊する必要がどこにあったわさ?」
オレの耳元でミユキ女史が尋ねる。
(また後ろを取られたか。)
「先輩はアリを踏み潰すのに理由がいるんですか?」
「暫く見ないうちに生意気になりおって。」
148火花 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:43:08 ID:SCtPjlMZ
挑発にのった女史がオレの服の左襟を掴む。
これで背後を取られる心配はなくなり、前だけに集中すればいい。
背後を気にするのは襟から手がなくなったときだけだ。
「だが……それを聞いて安心したわさ。
 同じ理由でアタイもアンタを思いっきり殴れる。」
よくみると、既に右手は後ろに伸びている。
「可愛い後輩が一方的にやられてるのを見て、今最高に気分が悪いんだわさ。
 だから加減はしないわさ。女子更衣室の前まで(約500m)伸ばしてたから少し時間が掛かったわさ。」
慌てて手を十字にクロスしてガードする。
「お待たせだわさ。右手の到〜〜着。」
拳がカードと衝突しフワッと体が浮き上がった瞬間、左襟を掴んでいた手が離れる。
オレの体は女史から離れていくとそのまま道場の壁(厚さ15cmの特殊金属壁)を突き破っても
まだ勢いは衰えず、一直線上にある第一食堂の壁(厚さ30cmの特殊金属壁)を薄皮一枚残したところでようやく止まった。
(ううう。)
頭を軽くはたかれる。
自分の殴った相手に追いつくってどういう運動能力してるんだ。
そんな忍歩は、多分歴代忍者最強最速と謳われる師範達にも出来ないぞ。
「これから暇だからアタイはいつでも挑戦受けてやるわさ。
 下をいじめてる暇があったらもっと高みを目指すわさ。」
まだ視界がぼやけてハッキリと女史の姿は見えない。
得意気な声が段々遠くなる。
オレはそのまま意識を失い気がついたのは、医務室のベットの上だった。
149 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/02(月) 22:44:40 ID:SCtPjlMZ
>>140
サンクスです。

ドSキャラにしようと思ったら上手く書けなかったよぉ。
150創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 23:41:26 ID:W7gEj19k
初対面の人間の手が伸びたらいくら先輩とはいえ俺なら引くな。
151創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 09:03:40 ID:aL6ZJ9Z/
ミユキ女史ルフィかw ピザカストルドン引きw
152創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 23:27:21 ID:gz7ovsVB
投下乙でーす。
個性派揃いだね
153創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 00:15:35 ID:CoYB55oS
投下乙っす
オススメされて初めてこのスレ来たんだけど、いいなこの世界観
154疑念 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/04(水) 21:21:56 ID:qnGxaSou
アタイの名前はミユキ
1000年に一度と言われる就職超氷河期の中、
中堅商社ユニバーサル貿易から内定を得たことで就職活動も無事終わり、
あとは入社前研修(昨日人事から送られてきたCD-R問題集)をソツなくこなし
内定を取り消されるような不祥事を起こさぬよう平穏に暮らし卒業試験に備えるだけだわさ。
ちなみにアタイの配属になる部署はお互いをコードネームで呼ぶらしく、005というのがアタイのコードネームらしい。
同じ部署には他に8人の先輩がいて、みんな00〜と呼び合っていてお互いの本名も知らないらしい
上司はOG訪問で訪問したマコト先輩とのことだわさ。
まぁその話はいずれまた。

「カストル、悪いけど私はちょっと先に帰らせてもらうよ。」
生気を失ったジュリがアタイにチョコンと頭を下げ、道場を出て行く。
(今日のところは何を言っても無駄だわさね。)
「傷の手当はちゃんとするんだわさよ。」
聞こえているのかいないのか
ジュリの背中がいつもより小さく見える。
敗者に慰めの言葉など無用。
プライドの高いジュリのことだ。余計惨めな気持ちになるに違いない。
まぁよく斬れる刀の傷は癒えるのも早いというし、毒でも塗られてない限りは大丈夫だろうし
それにいくらコウジでも、元カノに本気で斬りかかってはいないはず……。
(どうせ表面の皮膚だけを派手に斬ったとかそういうオチだわさ。)
地面に人工血液を撒くことでジュリに揺さぶりを掛けたのだろう。
コウジのやりそうなことだ。
155疑念 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/04(水) 21:23:33 ID:qnGxaSou
「ところでアンタ誰だわさ?」
床に散らばったイクサナックルの破片を集めている大男に話しかける。
その様子はまるで巨大な雑巾が床を拭いているよう。
・・・・・・
「アタイを無視するとは良い度胸だわさ。」
沈黙に耐えかねて頭を踏みつけてみた。
「痛いなぁ。」
後頭部を擦りながら男がヌっと立ち上がる。
(でか…。)
同時にアタイの足元が暗くなった。
多種多様な民族が通うヒーロー学園の中においても、一番大きいのではないか。
小柄な(160cm)アタイからみるとまるで壁だわさ。
縦にも横にもアタイの倍はある。
「アンタもしかして道場破りかい?」
「違いますよ。僕はスーパー1ゼミの一年生のカストルと言います。」
「う〜む。アンタ今日からヨコヅナって名乗るわさ。」
アタイの故郷では強さの象徴なんだがね。
「嫌ですよ。」
ノリの悪い奴だわさ。
スーパー1ゼミってことはジュリが連れてきたのかしら。
「アタイは……。」
「イギリス諜報機関でエースとして活躍後、
 S.H.I.E.L.Dの長官Mとして名を残すミユキ先輩ですね。」
「諜報機関?何のことだわさ?
 アタイはしがない商社で2-3年事務員したら、
 そこで部長の紹介とかで玉の輿みつけて出来ちゃった結婚するだわさ。」
(こいつ何者だわさ?)
156疑念 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/04(水) 21:24:20 ID:qnGxaSou
S.H.I.E.L.D(スーパーヒーロー戦略干渉実行支援機構)
スーパーヒーロー(ダークヒーローも含む)を管理する国際諜報機関であり
ヒーローを支援するという点ではヒーロー学園と理念は似ている。
実際ヒーロー学園には、突然変異で異能に目覚めた所を彼らに保護され入学した者が何人か居る。
ちなみに卒業生の7代目アイアンマンは長官就任の記者会見をヒーロー学園の大講堂にて行った。
(今では立て替えられ、その場所には石碑が立っており学園祭などの際には観光スポットの一つとなっている。)
ヒーローであること以外参加条件がほとんどないため非常に多くのヒーローが在籍経験を持ち
(入ってすぐに離脱することも珍しくない)
またその機関としての拡張性の高さがこの機関の魅力でもある。
157疑念 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/04(水) 21:24:47 ID:qnGxaSou
ユニバーサル貿易は表の顔もキチンとしているから、その実態はヒーロー学園の生徒と言えど殆ど知らないはずなんだけどなぁ。
「すみません。喋りすぎました。気にしないで下さい。」
慌てたようにヨコヅナが取り繕いながら破片を丁寧に風呂敷に包む。
「イクサナックルが破壊されるのは、最初に見た未来ではもっと先のはず。
 やはり僕がジュリさんとの接触を早めたせいで未来が変わり始めているのか…。
 とすれば、僕に求められる役割はただ一つ……。」
でかい図体してブツブツと独り言を呟いている。
(だからアタイを無視するなって言ってるわさ。)
腰を入れて正拳突き…おまけで左でもう一発♪
ヨコヅナのがボコボコとへこむがすぐに元に戻る。
「急になんですか?」
効いてないだと、まさかコイツもアタイと同じゴム人間なのか。
「み……未来が見える等と世迷言を言うから……寝ぼけているのかと思っただわさ。」
動揺を悟られないように慎重に答える。
(弱みを見せては駄目だわさ。)
同じ技を使うなら体重が重い方が断然威力は上がるだろう。
100KGを優に超えていそうな巨漢である。
もし先程コウジをノシタ技をヨコヅナが繰り出したとしたら……。
『死』という言葉が頭によぎる。
早めに謝っておくか。
いや、待て、
(アタイは仮にも最上級生。)
卒業後は伝説の傭兵や老獪な策士を相手にしなければならない。
たかが相手は一年のデブ一人。
こんなことでビビっていてわ、先が思いやられる。
それに一年生がヨコヅナが増長してこれ以上部の雰囲気を乱されても困る。
(何としてでも、ここは勇気と上級生としてのプライドを振り絞って威厳を保つだわさ。)
158疑念 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/04(水) 21:25:09 ID:qnGxaSou
「困りましたねぇ、確かに証明出来ませんしね。」
ヨコヅナはうーんと再び黙ってしまった。
どうやら殴られたことすら気がついていないよう。
考え事の方が大事だったということだろうか。
それはそれで腹立たしい。
だが今は武器もないことだし、屈辱は一時だけ忘れるとしよう。
「まぁいいだわさ、一年ってことは新入部員だね?」
「そ……そうみたいですねぇ、僕はジュリさんに無理矢理連れてこられただけなんですけど……。」
「退部は10万一括で払わないと駄目だわさ。」
「んな馬鹿な!!!」
なんだ。大きい声も出せるんじゃないか。
咄嗟に耳をふさいだ手を戻しながら笑う。
「伝統だわさ。部員も少ないからねぇ、
 コウジもジュリも普段はいい子達だから教わるだわさ。」
若干不服そうだが、何とか先輩としての威厳は保てた。
(あとはコウジの仕事だわさ。)
「あの今日はお二人ともあの様子なんで、練習はもう終わりですよね?」
「そうなるだわさな。」
アタイもちょっと顔を見に来ただけだから、次の予定(合宿へ向けての買出し)がある。
ふと時計を見る。
「いかん!!用事が出来たさらば!」
タイムセールに間に合えば良いのだが……。

一人残されたカストルが呟く
「あのぉ…。この壁の穴どうするんですか?」
159 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/04(水) 21:41:08 ID:qnGxaSou
今後の登場人物

7代目アイアンマン 本名 ダビンチ
表の顔は巨大軍需企業の社長にして天才科学者だが、
裏の顔は自らが1から設計・開発したスーツを身に纏い、昼夜を問わずヒーロー業務に勤しむ。

ヒーロー学園の卒業生で、
学生時代はV3・ライダーマンゼミに所属していた。
そのため、ヒーロー学園アイアンマンと言えばこの7代目の事をさす。
(詳細はwiki 海外で活躍する卒業生の項目にもある。)
ちなみに1〜6代目までのアイアンマンには血縁関係はなく、
アイアンマンという名称と巨大軍需企業の社長の座を継承していく。
(スーツも代によっては違う)
ちなみに継承の詳細な条件は不明だが、
ライダーマンもその後継者選抜に深く関わっていると噂がある。
160創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 23:30:33 ID:fCU3YUmE
よく考えられてますなぁ。
誰が次のアイアンマンになるのかなぁ
161創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 15:27:37 ID:8Zn/Ri3V
相撲取りは脂肪も多いけど筋肉も多いはず。w
162創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 17:11:58 ID:w/mI1Gm8
乙ですー またおもしろくなってきたな
就職氷河期とかせちがらいなw
ゴム人間はファンタスティックフォーにいるんだっけか
Xメン系だとかなり自由にキャラ作れそうだな あんまフリーダムでもいかんだろうけど
163動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:55:19 ID:Ujid3epA
わらわの名前はヘレネ。
クイーン・後輩のフレイアと並んで学園3大美人とか呼ばれておる。
全く勝手にランキングなんてつけおってから……。
それを聞いたエリカがわらわの予想通り拗ねてしまったじゃろうに。
ハイドよ、次からはもう少しマシなフォローするんじゃな。

「ご飯♪ご飯♪」
女子寮にて一人食堂へ向かうエレベーターを待っていると、
昼間とはうって変わってご機嫌なエリカが、スキップして向こうの方からやってくるのが見える。
エリカの後ろには無愛想なナツミもいる。
わらわとエリカが仲良くなる前から行われている家庭教師のアルバイトだろう。
最初の頃は報酬としてエリカが夕飯をナツミに奢っていたのだが、
去年から部屋にある読み終えた最新ファッション雑誌が、その報酬と成っている。
どういう風の吹き回しだろうか。最初は首を傾げていたが理由はすぐにわかった。
プライドの高いナツミには、今更ファッション雑誌を購買するには抵抗があるんだと
つまりは男子高校生が弟に特撮の本を買いに行かせたり、妹に少女マンガを買ってきてもらうようなものだ。
「あ…ヘレネ〜。夕飯?」
「そ…そうじゃが…。ご機嫌じゃな?」
「うん。ナツミちゃんに言葉の意味教えてあげたの♪」
たったそれだけで機嫌の直りよう、一体どんな言葉を教えたのだろうか。
(確か頬を膨らませて部屋の前で別れたはずなんじゃが……)
まぁだいたい察しはつく。くだらないファッション用語かもしくは髪型のことだ。
エリカが人に教えれることなど、ましてやプロフェサーともまで言われるナツミに教えることなど他にあるはずがない。
(にしても……乙女心と秋の空とはいえ、気が変わるの早すぎじゃて)
「ところでまだ怒ってるの?」
「当たり前じゃ!!!」
嗚呼思い出すだけでも腹立たしい。
わらわとクイーンの写真を撮影され売られていたのだ。
今日までそんな事が陰で行われていたとは露知らず、今日までのうのうと過ごしてきたかと思うと余計腹立たしい。
ちなみになんで発覚したかというと、アキレスという生徒が授業が終わった後手帳を忘れていてな。
それに気がついたわらわが親切で持ち主を調べていたらドッサリ出てきたわけだ。
あまりの量の多さに頭に来たので、ブラックショーグン悪部長に届けておいたら、
この低俗で卑劣な手段に激怒した悪部長により芋づる式に男子生徒が呼び出され
忍者ゼミの捜査(拷問)等もあり、
最終的には販売していたカラッカスという学生ということを突き止めその者が主犯ということで、
罰として学園中の掲示板や壁に指名手配のような顔写真を張り出されているのだが……。
(どうも腑に落ちないんじゃよなぁ。)
ナツミに鑑定してもらったのだが、アイコラ等の合成映像ではなく間違いなく撮影されたものだとことだった。
改めて写真を見たが盗撮とはとても思えない。
164動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:56:12 ID:Ujid3epA
もちろん業者に頼んで部屋の方も盗聴器。カメラ等確認したが回収された後なのか無かった。
ちなみにクイーンの写真なんて売りさばいたら、キングに喧嘩を売ることになることくらいわかりそうなもんなのだが……。
案の定激怒したキングが血眼になってそのカラッカスを探しているとのことで、
近々赤い月が男子寮の上に昇ることは間違いないはずだ。
クイーンはクイーンでサボる口実が見つかったと、ショックで寝込んでいるフリをして自室でゲーム三昧である。
そんな二人を見て、少し羨ましいと思ってしまった。
(わらわのために怒ってくれる者は、どこかにおらんのじゃろうか。)
周りには何人かその者を知っている者が居たので評判を聞いてみた。
「カラッカスはう〜ん。悪の組織に入ったみたいだからねぇ…。写真も世界征服の一環かしら」
とはナツミの評価。
「我輩がついていながら、こんなことになるとは……。
 アヤツは前々からいやらしい目つきで、ヘレネを見ておったから気にはしていたのだが…。
 全く申し訳ない。クラマもそうだったが、本当に悪い奴というのは、姿を見せないのだなぁ」
気になるのはこの男(ハイド)である。
(こんな友達思いの奴じゃったろうか。)
むしろ『慰謝料の取立てなら手伝うぞ。』とかの方がまだらしい。
「Aセットにしようかなぁ。Bセットにしようなぁ。Cセットは太るからなしだなぁ。」
仮に出回ったのがエリカの写真だったら……。
きっとヒルト先輩が怒るのであろう。
「あ…プルートちゃんとハルカちゃんとフレイアちゃんがいるよぉ。」
夜が遅いということもあり食堂には人がまばらにいるだけだ。
(夜更かしは、お肌の天敵じゃからなぁ。)
「珍しい組み合わせね。」
「ナツミ、待ってたぞ。」
ナツミが腰掛けると待ち構えていたように、ハルカが顔を近づける。
「今度は何?また新しい変身でもしたの?」
「違う、視聴覚機能の故障かもしれない。
 ジュリさんが連れてきた後輩と10分間組手をしたんだが、一発も当てられなかったんだ。
 最初は流してたんだが、あまりに当たらないから最後ムキになって当てに言ったんだけど駄目だったんだ。」
「ちなみに組み手をしたのはハルカだけ?」
「いや、ヨハネとネロとタカノリもだ。アイツ等も当てられなかったよ。あとジュリさんも……。」
「なら問題ないわ、絶対当たる攻撃なんて私造れないから。」
ミートボールをフォークで摘みながら二人の話に耳を傾ける。
(ヨハネ?ネロ?初めて聞く名前じゃなぁ、
 一年生と言えば、カストルとポルックスは元気にしておるのじゃろうか。
 まぁカストルの方は格闘技ってタイプじゃないしのぉ。)
「なんでもその一年、自分は未来が見えるとか言うんだ。」
「はぁ?部活の前に医務室に行った方が良いんじゃないっすか?」
同じく横で話を聞いていたプルートが会話に入る。
「アタシもフレアとプリクラといに行ったときお店であったよ。
 自分は女の子専門の占い師だから手相を見てあげるって言われたよぉ。
 体が大きい子だよね?」
「それで二人共見せたのか?」
「ううん、アタシの触れて良いのはヒルトさんだけだもん。」
「私はそういう占いとか信じないですから。」
体が大きい……。未来が見える…。女好き…。
頭がくらくらしてきた。
165動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:56:46 ID:Ujid3epA
「あれ?ヘレネさんどうかしました?なんか顔色悪いですけど?」
「ヘレネはねぇ、学園3大美人とか呼ばれてるの知って怒ってるの。」
プルートの問いにエリカが変わりに答えてくれた。
(今わらわの顔色が悪いのは、そっちじゃないんじゃがな。)
「光栄ですわぉ、この私目如きがヘレネ様やクイーン様と同格の言われるなんて
 まぁ私なんてお情けもお情けの3番目なんでしょうけど。」
「良いじゃない。順番なんてどうでも。」
ナツミが紅茶のカップをトレーに戻しながら呟く。
「そうだよ、ハイドなんかさぁ、
 エリカは入っておらんから写真も撮られんかったんじゃろう。
 良かったのぉなんて言っちゃってさ。」
「ハイド兄さん……。なんて事を……」
「あ…ごめん。プルートちゃんの前で言うことじゃなかったね。ごめんね。」
「良いんですよ。悪いのは兄さんなんですから……
 それにしても、兄さんが怖くて誰も男が近寄ってこないんですけど、そんなに怖いんですか?
 最初の日に絡んできた男子達は、恐怖のあまり退学しちゃったみたいなんですけど……。」
確かに顔はイカツイし凶暴だ。
「ハイドっていうか、ハイドの周りのハイド軍団じゃないかなぁ。
 学部学年性別関係なく友達いるんだよねぇ、
 後輩だけじゃなく、テュポン先輩とかエキドナ先輩とかも仲良いしねぇ。」
(エリカは知らんのじゃ。)
外から見るとわらわ達もその一員に数えられていることを…。
「そういえば、ヘレネ様のご兄弟も入学されたんすよね?」
フレアよ。そこに持っていくのか。
「カストルとポルックスのことじゃろ?
 全く顔見せんのじゃ。」
「ポルックスなら同じゼミです。
 いつも先生から騎士道とかいうのを習ってます。」
なんじゃ、プルートと同じゼミじゃったのか。
ひとまず安心じゃな。
「カストル君ってどんな子なの?」
「ああ!!どこかで聞いた名前だと思ったら思い出した!
 ネロから聞いたんだ!」
「プルートさん。レディーが大きい声出してハシタナイですわ。」
「ご…ごめんなさい。」
ほぉ、フレアがなんか大人に見えるぞ。
(去年まではいつも本を読んでる読書少女じゃった癖に)
166動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:57:21 ID:Ujid3epA
「まぁまぁ、元気を出しなさい。でどうなの?ヘレネの弟は?」
コーヒーのお代わりを取りに行っていたナツミが戻ってきてシュンとなったプルートの肩をポンと叩く。
一人っ子のナツミは、兄弟というものに憧れを持っているらしい。
「テストのヤマ勘がバッチリ当たったとか。オートレースで大勝ちしたとか……。」
ポンっと手を叩くとハルカが頷く。
「その話なら私も本人から部活のときに聞いたわ。
 確か夜コッソリ寮を抜け出して、
 カジノに遊びに行ってクラップスで大勝しすぎてカジノを1軒潰したとか。」
学園で顔を見かないと思ったらそんなことをしていたのか。
今度実家に帰省した時に母上にチクってやろうと誓うのだった。
「その様子だと正義部で馴染めておるみたいじゃのう。」
「そうだな。部活でも、ネロとヨハネとあとアイツだ。
 編入してきて学年は違うけどウラノスとか、タカノリとも楽しくやってるみたいだぞ。
 ただカストルは体力無いから、20分練習したら後は床に転がって日なたゴッコしてるよ。」
むしろメキメキ練習しはじめたときの方が心配だ。
……
その後しばし、やれ男子で付き合うなら誰だの、兄が怖いと損だのという他愛も無い話が続いた。
突然食堂のテレビのボリュームが上がる。
「そこの一年生、何時だと思っておるのじゃ。」
「す……すみません。でもこれ見てください。」
画面には臨時ニュースが流れると共に、アナウンサーが汗を拭きながら何やら喋っている。
『繰り返します。本日未明アスガルドと名乗る悪の組織が地球そして我国に対して宣戦布告を行いました。
 ただいま衛星通信で放送いたします。』
もう少し落ち着いて話してほしい。
(やはりこういうときは国営放送に限る。)
後輩にチャンネルを変えるように指示しテレビの方に視線を向ける。
『愚かなる地球人の諸君…我等は死の帝国ユグドラジル……
 そして我が名は絶望の王パンドラ…
 アンゴルモアは上手くしのいでおるようだが、もう我慢出来んので早々に地球をいただくことにした。』
「あのぉ、この地球にはですね。ヒーローたくさんいるんですよ。」
アナウンサーが馬鹿にしたように笑う。
『確かに一つの組織なら退けるかもしれん。しかし今までの悪の組織が協力し合ったとしたらどうかな?
 これを見よ。』
パンドラが指を鳴らすと、背後の壁がスクリーンに変わる。
そこには歴史の教科書で見たショッカーの首領から様々な悪の組織の幹部といわれていた者達が一同に会していた。
それぞれ、ワインのようなものを手に持っている。
『ちなみにお前らのいうヒーローとは殆どは我等の失敗作だ。
 見よ。完成品の数々を……。』
画面が横にずらされ食堂が一気にざわつく。
「学部長?」
「ライダーマン先生?」
偽ヒーロー総登場であった。
いや、あちらさんにするとこっちが本物なのか。
『それでは地球の諸君よ。逃げまとうが良い。』
テレビ中継はそこで途切れザアーザアという砂嵐だけが空しく流れた。
「ヘレネ〜、あの黒いのパンドラとか言ったっけ?」
エリカが服の袖をチョイチョイ引っ張りながら小声でわらわにささやく。
「そうじゃよ。」
「アタシ今見てて思ったんだけど、シャダイムに似てなかった?」
「わらわは二回くらいしか見たこと無いからのぉ……。
 本人に聞いてみたらどうじゃ?」
「なんて?似てるねって?無理だよぉ〜」
167動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:57:48 ID:Ujid3epA
その頃、男子寮でも……。

我輩は冥府の10000の獄卒を束ねるもの
名をハイドという。
写真を売っていたことがヘレネにバレてしまったが、
なんとか全責任を販売したカラッカスに押し付けることで事なきを得た。
しかし勘のいいヘレネのこと、いつ勘付くかわからぬ故に、カラッカスに今一度口止めをしようと
探しているのが、キングが怖いのか。逃げ回っているようで捕まらない。
まぁ我輩も出来れば本気で怒ったキングとは戦いたくない。

さてカラッカスも捕まらないことだし、寝る前に食堂で牛乳でも飲もうかと椅子に座ると尻の辺りに何か当たる。
(いかんいかん、リモコンを踏んでしまった。)
慌ててテレビを消そうとするが……。
(なんだこれは?)
そのときガヤガヤと食堂に人が入ってきた。
「いや、カストルの読みは的確だよなぁ。オーナー泣いてたなぁ。
 これで在学中どんだけ金使っても困らんな……。ハッハッハ」
「僕は疲れたんでもう寝ますね。
 明日の放課後は部活なんで遊びにはいけません。ジュリさんに怒られます。」
「おう、お疲れ。」
カストルとエレベータで別れて、入ってきたのは正義部一年通称三馬鹿である。
「貴様らこんな時間までどこに行ってたのであるか?」
「いえねぇ、お義兄さんちょっとそこに綺麗なカジノが新しく出来てねぇ。」
「ネロよ。何度も言うが貴様にお義兄さんと呼ばれる覚えは無い。
 我輩にはタルタロスとプルートしか兄弟はおらん。」
「いずれお義兄さんと呼ぶことになるわけですから、問題ないでしょう。」
認めん……。我輩の可愛い妹を寄りにもよって敵(正義部)に差し出すなどありえん。
またカストルの仕業か!
あやつ適当に言ってはおらんか?ネロとプルートが将来夫婦になるなどと。
戯けた事を……。もっと笑える冗談を言え。
奴がヘレネの弟でなければ、血の雨を降らせているところである。
「ネロよ。まだ私も脱落したわけではないぞ。私には神のご加護がある。」
「聖職者が恋人等と良いのか?そんな俗世に染まってよいのか。」
「プルートは野蛮な奴は嫌いなんだよ!二人とも減点だな。ねぇ、ハイドさん?」
三馬鹿 最後の一人、ウラノスが二人をからかう。
我輩は三馬鹿と一纏めにしているが、この馬鹿はそこらの馬鹿とは一味違う馬鹿だ。
兄としてはこの常識人であるウラノスとならまぁ、5000万歩譲ってやっても良いかとは思っているのだが……。
こやつはアンドロイドで、両腕を自由自在に武器へと変えることができるだけでなく、触れたモノに擬態することが出来るのである。
なんでも液体金属骨格に人工細胞組織をまとった人造人間だからなせる技らしい。
ちなみにその金属のお陰で優れた回復力を持っていて、我輩の黒炎からも唯一生還した。
(初対面では喧嘩を売ってきた馬鹿の一人でしかなかったのだがな……。)
168動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:58:23 ID:Ujid3epA
実は未来のタルタロス夫婦が過去を守るために送り込んだということは、シャドームーン先生と我輩達だけの内緒話だ。
夫人はもちろんタルタロス本人にも内緒らしい。
知ることによって、未来が変わってしまうからな。
その体内には時空転送装置(ようはタイムマシン)が埋め込まれていて、それを使って現代へ飛んできたらしい。
それだと既に我輩が知ってしまったから未来が変わるではないかとか、何で一気に過去に飛ばさないのかという点も
ちゃんと説明書があったのだが、文章を夫人が書いたのかとても偉そうな文章だったので破り捨ててしまった。
そんなわけで、シャドームーンの協力もあり、宇宙人ウラノスとして正義部2年生赤影ゼミへ編入させたのだ。
ゼミは他のゼミと接点が少ないのと、タルタロスがいるので本人も多少安心だろうということで決定した。
(あとはもう勝手にやってくれ。)
それにしてもプルートがこんなにモテルとは予想外だ。
実の妹ながら正直あの眼帯と飽きっぽい性格はいただけないと思っていたが、
やはり人は中身ということなのだろうか。
それとも最近女らしさ仕草とはどんなものかを教えてくれているというフレイアの教育が良いのだろうか。
「貴様等付き合うのは自由だが、泣かしたときはどうなるかわかっておるだろうな。」
フフと我輩が笑うと、三人が首をすくめた。
(それにしても……。)
パンドラと名乗る男の後ろにいるのは懐かしい顔がある。
(これも貴様の計算どおりなのだろな?)
我輩だけが知っていたクラマの裏切り
「おのれカラッカスめぇ…」
また誰か帰宅したようである。
今度はキングの登場だ。
クイーンがショックで寝込んでからというもの、
キングは授業以外の全ての時間をカラッカス捜索につぎ込んでいる。
「もう良いのではないか?」
「クイーンを傷つけたものは処刑せねば、他のファンガイアに示しがつかん。
 ただでさぇ、レジェンドルガとの一件で不満が溜まっておるしな。
 お前はヘレネを傷物にされてなんとも思わんのか?」
「別に我輩……ヘレネの恋人でもなければフィアンセでもないし……」
「明るく振舞っておるが、あれはあれで傷ついているはず。少しはいたわってやれ。」
いつも思うのだが、キングは入る学部間違ったと思う。
169動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:58:47 ID:Ujid3epA
義侠心があり友人や親しい者に敵対する者には容赦がなく、まさに品行方正でヒーローの鏡ではないか。
正義部と悪部の自治会長は逆にした方が良いと思う。
「はてそのテレビはなんだ?」
キングが画面について尋ねるので説明をしてやることにした。
「ファンガイアに敵対する者は排除するのが王の務め……
 それにしても、このパンドラの姿どこかで見たような……はてどこだったかな。
 まぁいい。私は今日の授業の復習と明日の予習それに筋トレをして寝なければ……」
キングは朝誰よりも早く起きて、誰よりも遅く寝る勤勉な男である、
朝起きるとまず学園の周りをランニングするのが日課で一度付き合ったのだがその日は1日授業にならなかった。
そんな多忙な男を怒らせてカラッカスの奴知らんからな。
だからあれ程、売る奴はちゃんと選んで売れと言ったのだ。
まぁ確かに我輩もあの女生徒が売ってくれと言えば売ると思うがな。
ヘレネが手帳を拾い上げて写真が落ちたときは、さすがの我輩も焦った。
それにしても、女が女の写真を買ってどうするつもりだったのだろうか。
(まさか呪いでもかけていたのか。)
「ねぇ、ハイド兄さんもうすぐプルート誕生日でしょ?デートに誘っても良いですか?」
「抜け駆けはずるいぞ。」
「我が誘うのだ。」
三馬鹿がまた騒ぎ始めたので、そろそろ寝るとしよう。
何か考え事をしていた気がするが、忘れたからもういいか。
170動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/06(金) 23:59:19 ID:Ujid3epA
僕の名前はカストル
歴史の語り部ウォッチメンを継ぐ者。
友達どころか、姉さんや弟にまで理解されないので、
入学するまで軽く引きこもりだったんだ。
お陰でこんなに太っちゃったよ。
最近では未来が変わり始めたのか、予言が全然当たらなくなってますますうそつき呼ばわり。
僕の友達はジュリさんとタカノリさんとウラノスとネロとヨハネだけだ。

(さてと……)
自室に戻った僕はヘッドホンを耳にあてラジオをつける。
僕は父似だから不老不死でも無いし化ける能力もないけど、1日に1分も目を瞑れば休息はそれで充分なんだ。
『おかえりなさいませ。』
お世話係のヘラが慌てたように奥の部屋から出てくる。
多分充電中だったんだね。

ヘラ
高度な電子頭脳を持った人間の女性型ロボット
600万を越す宇宙言語や暗号、各種族の儀礼に精通しているだけでなく
宇宙船等の操縦、電子、機械修理からソフトウエア航法ナビゲート・
機関制御・暗号解読からクラッキング、ホログラム映像の録画再生や送受信および転送等、様々な能力を持っている。
ボディーは特殊金属になっており、真空の宇宙空間から灼熱の砂漠や極寒の雪原・果ては水中まで、高い環境適応力で活躍できるように設計されている。

「ただいま、ヘラ何か変わったことはあったかい?」
「いいえ、御主人様」
「これから僕はイクサの改造の続きをするから、ヘラは休んでいて良いよ。」
「はい。御主人様。」
再びヘッドホンを耳にあて作業を再開する。
ジュリさんはアレから3ヶ月経った今でもどこか元気が無い。
忘れようとしているのか必要以上に稽古に打ち込んでいる気もする。
早くこの新たなるイクサを見せてあげたいものだ。
(ん…なんだこのニュースは……パンドラ?まさか…)
ヘッドホンを外してPCの画面を切り替える。
インターネットで常時世界のニュースをチェックし、些細な事件も見逃さず調査するのが僕の役目。
(やっぱりだ。未来が変わってきている……。)
『ようやくわかったであるぞ。』
光の精霊アポロンの声がする。
彼の能力は母さんや姉さんのように、肉体的に強化してくれるわけでもない。
光が全てを突き抜けるように、未来を見通すんだ。
(何がわかったんだい?)
『未来が変わっているのではない。過去が狂わされておるのだ。』
171動揺 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/07(土) 00:00:40 ID:Ujid3epA
(どういう意味?)
『カオス理論のバタフライ効果というのを覚えておるな?』
初期条件のわずかな差が時間とともに拡大して、結果に大きな違いをもたらすってやつだね。
(それで?)
『奴等いくつもの時代に怪人を送り込んでおるのだ。それで過去が少しずつ変わっておるのだ。』
(まさかヒーローを倒してるとか?)
『今はそこまではしておらん。文化遺産を壊したり偉人を誘拐するだけでも歴史は変わる。
 だがいずれはその事に……。』
現代の科学力を持って過去に行けば、確かにヒーローといえど一筋縄ではいかないかもしれない。
『安心せよ。過去が変わったということは、未来も変わるということだ。』
それは知ってるよ。お陰で散々インチキ呼ばわりだ。
カジノとかそういうすぐ先の未来では大丈夫なんだけどなぁ。
だんだん自信が無くなってくる。
(それで?)
『この学園のどこかに未来からやってきた戦士がおる。
 その者を探すのだ。』
この学園で戦士を探すなど、砂漠で砂を探すようなもんだ。
(もう少しヒントくらいないと……。)
『向こうも我等を探しているおるはずだ。
 何故ならその戦士にはどの時代に飛べばよいかわからんからな。
 歴史ではカストルが最後のウォッチメンということになっておる。』
こうして僕の未来人探しが幕をあけた。
急がなければ…。
172 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/07(土) 00:11:11 ID:pTp/znkg
ちょっとわかりにくかったので解説しますと
ウラノスはターミネーターみたいなのをイメージしてます。
最終的にはジュリ タカノリ ウラノス ネロ ヨハネで
時の番人クロノスを結成して、過去を正常に戻す旅をする予定です。
(戦隊ではなく、リーグ・オブ・レジェンド的な感じ)
173創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 01:36:58 ID:n/tNRMRn
Glowing system setup
197EXP...Cheap chop

ヒーロー学園地下訓練施設に対峙する正義と悪の影。
今まさに緊迫の一瞬をつんざくようにコータのへなちょこチョップが
カブトガニの怪人へと振り下ろされる。

「たおりゃッ!」
「なんだその掛け声?」

べちりと音を立てヒルトのこめかみへとコータのチープ・チョップが振り下ろされた。
無防備な怪人相手に繰り出されたその一撃はまさにチープである。

「だって名前がカッコ悪いんだもん……」
「我慢しなさいッ!男の子でしょッ!?」

我が侭を言う息子をあやす母親のようにヒルトはコータをなだめる。

「何でそこでお母さん風になるのさ!」
「おふくろ風だッ!」
「いやどっちでもいいし……」
「なんだよーそこで落とすなよーこれだからコータは
風呂場で姉貴のパンツを間違えて履くんだよー」

さり気に危うい私生活を暴露されコータは顔を上気させながら否定する。

「な、何でそんなこと知ってんのさ!」
「あれ……マジで? 今のちょっと適当だったわ、悪い」
「そ、それはともかく残り3ポイントでレベル上がるんだから、もう少し付き合ってよ」
「へいへーい……」

本来相対するはずの正義と悪が訓練場で延々とツッコミの修練に励む姿が
訓練場内に異様なふいんきを醸し出し、不測の事態に備える為の
監視カメラすらもそっぽを向き、あまつ管理職員はUNOを始める有様であった。

「ちぇりゃッ!」
「あ、今のちょっとおもろい」

211EXP...LV up.!!
無機質な機械音声の後にグロウのリミッター機構の一つが解除される。
グロウとは急激な出力による負荷で体を痛めることなく、無理なくステップアップできる
まるで通信教育講座のようなライダーシステムなのである。

「やったー! これでまた一歩ライダーに近付いたぞ!」
「おめでとう、これも私の支えによる出世だと思うと鼻が高いよ」
「ヒルト君と組み手すると大量に経験値入るんだよね、何でだろ?」
「ふッ……俺ははぐれメタルのような物だからな、あと君付けで呼ぶのやめろ」
「あははッ、ヒルトくーん!」

きゃいきゃいとはしゃぐ、いい年した男達を遠巻きに眺めながら、
腐った脳を持ったイシイがコンセントから盗電しつつ充電中のアイに語りかける。

「頬を赤らめたりはしゃぎまわったり、男同士で何を話しているのかしら」(ドキドキ)
「ご期待に添えるような状況でないことは確かですよ」
「何勝手に充電しちゃってるのアイちゃん!?
ッて、うちの電気代が最近になって跳ね上がったのもあなたの仕業ッ!」
「生きる上では電気代もバカにならないのですよ」

ロボコンの頭部がイシイのツッコミにより外れ、ネジが飛ぶ
もはや常識人が存在するかも疑わしなった劣等生一行であった。
174創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 11:06:02 ID:wDqvftrq
>>172
なんだか急展開になってきたな!
ヒーローたちはほのぼのしてるけどw
>>173
おおこっちも来てるね コータはいずれ戦力になるのか
にぎやかでいいよー
175創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 13:51:30 ID:rz7TnrdQ
賑やかになってきましたな。
バタフライ効果をどう使うんだろう
176 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 13:55:18 ID:7eSluNqL
では投下してみる
次で終わらせるとか言っちゃったけど長くなってしまったので
二話じたてでいかせてもらいます
177ベラドンナ最終司令1 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 13:57:18 ID:7eSluNqL
 ヒーロー学園近くの広場に、イスやテーブルが並べられる。
「どーもー、ヒーロー学園女子生徒のみなさーん、ベリャーットレーゼに寄ってってー」
 若き科学者カラッカスは客寄せした。甘い匂いが辺りに漂う。
 今回は移動式のケーキ屋で儲けようという魂胆だ。おあつらえ向きに空はよく晴れ、客は
そこそこにいて繁盛していた。
 カラッカスは忙しく動き回って、よく働いた。
 ゴミを材料にした商売が失敗続きなので、今度は趣向を変えている。
 板で仕切られた調理場では、鈍い光沢の鉛色をしたごついパティシエメカがケーキを
作っていた。
 賞味期限切れ材料を仕入れて、ケーキにしているところだ。

「どうです、パティシエメカの調子は」
「悪くないけどさ、もっとパーっと儲けてる感じにならないかねえ」
 エプロン姿で顔に蝶のようなペルソナを付けたベラージョは、ため息混じりにこぼした。
「ええまあ普通の商売に近いですかねえ」
 賞味期限切れ材料を使うぐらいでは、彼らにとっては真面目な働きだ。

「おまえ手抜きじゃないかい? ヘレネの写真売ったりするヒマがあったらもっとベラドンナ
のためになることを考えなよ!」
 ベラージョの細い指がカラッカスの耳をひっぱる。
「か、考えてますとも。ベラドンナの軍資金調達のため、俺はやむなくああいった手段に
出たのであって、間違っても趣味と実益をかねて一石二鳥などとは」
「それで、その儲けは?」
「没収されちゃいましたよ! しかもキングに付け狙われて明日をも知れぬ命……だから
こうやって変装してるんです」
 パーマのかつらをかぶったカラッカスは、ずれたつけヒゲを直した。
「だいたいもとはといえばハイドのせいなのに、あの野郎こんなときは知らんふりしやがって」
 などと恨み節でうまくごまかすカラッカスであった。

「ところでベラージョ様、今日は皆既日食があるって知ってますか」
「へえ、そうなのかい? 怪奇だねえマロンだねえモンブランだねえ」
「だから、二人で丘へ見に行きましょうよ」
「おまえと見に行ってもマロンが半分だねえ」
「どうせ他に見に行く男もいないんでしょ?」
 カラッカスが半笑いすると、ベラージョは腰に手をやり叱り付けるように言った。

「馬鹿言ってんじゃないよ、私はそりゃもう引く手あまた男の十人や百人(中略)おい聞いてんのかい」
 舟をこいでいたカラッカスの頭が定位置に戻った。
「フガッ? ええ、はあ何でしたっけ。ああそう、だから二人で日食見に行こうって話ですよ」
178ベラドンナ最終司令2 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 13:59:33 ID:7eSluNqL
「しょうがないから行ってやるよ。だからちゃんと働くんだよ」
「はいはい、お任せを」

 ベラージョが片付けに行くと、カラッカスはボケクサーを調理場の裏に呼んだ。
「悪いなボケクサー」
「何がでまんねん」
 「実はな」と、カラッカスはポケットから小箱を取り、開けてみせた。
 小粒なダイヤが輝く指輪だ。
「こ、困るでまんねん」
「おまえにじゃねー! そんなお約束のボケいらないんだよ」
「じゃあ誰にあげるまんねん」
「日食の今日な、俺は結婚を前提としたお付き合いをベラージョ様に申し込もうと思う」
「本気でまんねんな」
「ああ、このために金を貯めたんだからな。俺は決めるぜ。まあおまえには申し訳ないと
思うんだが……」

 もともと組織でもボケクサーが先輩だ。カラッカスはベラージョを独占するのが、心苦しい。
「何言ってるまんねん、応援するまんねん」
「そうか! おまえはいいやつだなあ、今度何か武器でも作ってやるからな」
 孤独であったカラッカスには、ボケクサーの友情が心からうれしかった。

「おい、カラッカス!」
 ベラージョの呼び声に続き、悲鳴と物音が聞こえた。カラッカスはあわてて駆け付けた。
「はいただ今っ」

 客席でパティシエメカが暴れている。
「残さず食エー!」
 身長二メートル以上のパティシエメカが金属の腕をうならせ振り回し、客を捕まえよう
とする。
「だって味が変なんだもん」
 黒いフードのエリカがメカに不満を口にした。
「それは素材が賞味期限切れだからだエー! 俺の腕は完璧のはずだエー!」

 なんだって、と客たちが騒ぎだした。
「そんなもん食わせたのか」
 ヒルトがパティシエメカにつかみかかった。
「カブトガニはツインテールでも食ってるエー!」
「何だと! トォ」
 蹴りを食らってパティシエメカは吹っ飛び、倒れて煙を出した。

「おい、ここは賞味期限切れの材料を使ってるのか」
「ええまあははは」
 などとあいまいにして、カラッカスは時間を稼ぐ。
 ベラージョとボケクサーはは猛烈な速さでイスとテーブルをたたみ、ワゴン車に突っ込んだ。

「はいはい閉店ー」
 ベラドンナ一味は車に転がり込んだ。
 怒った客たちが車を囲む。
「カラッカス!」
「ズラベラサッサ、ベラールブイッブイーン改、発進!」
 ボタンが押されるとワゴン車はフロントを顔にして羽根を出し、ジェット噴射して飛び
上がった。
179ベラドンナ最終司令3 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:02:33 ID:7eSluNqL
 客のヒーローが何人かつかまって、車を落とそうとする。
 ガラスごしにヒーローと向かい合ってベラージョは恐れ、震えた。
「カラッカス、なんとかおしよ」
 ベラージョはカラッカスの首をつかんで上下に振った。

「お、お任せを」
 カラッカスがまた別のボタンを押すと、車は天井から腕を出す。
 伸びた手はヒーローの脇をくすぐった。上昇していく車から、ヒーローが落ちていった。
「おりゃ、食らえ」
 空飛ぶ車はターンすると、ヒーロー学園の生徒に向けてミサイルを発した。
 地上では爆発が起き、大音とともに煙が充満した。
 ただの煙ではない、笑いガスだ。ヒーローたちは笑ってしまって力も入らず、飛び去って
いく車を見送った。


 いつもの地下格納庫に三人は集まっていた。
「もう少し儲からないかねえ」
 ベラージョは顔に手をやり息をついた。カラッカスは時間を気にして、うながした。
「まあ次の手をまた考えましょ。で、日食がありますからね、そろそろ……」
「おまえったら日食が好きだねえ」
「ええまあ、なんといいますか……」
 月が太陽と重なり光がリングのように見えているときに、指輪を渡す。
 でなければ意味がない、とカラッカスは考えている。

「今週のメカはできてるのかい?」
「お任せを、例によってあちこちから手に入れた材料を流用して、あとは仕上げを待つばかり
です」
 そこへ、床をシュークリームが転がってきた。

「ドラー! 控えろゴラー!」
「マンドラゴラ様!」
 ベラージョと二人の部下がシュークリームを前にひれ伏す。
「今週はなんと!」
「ベラボーンのありかを教えてやるってんでしょ」
 カラッカスはプロポーズを邪魔されないかと、うんざりだ。
「よけーなこというんじゃないよ、このゲルショッカー!」
 ベラージョの平手がカラッカスの顔を打つ。

「その通りだゴラー! ベラボーンのありかを教えてやるからありがたくきけゴラー!」
 ははー、とベラージョは頭を低くした。

「商店街のケーキ屋にあるんだゴラー!」
「え? そこは前に行きましたが?」
 ベラージョは首をかしげる。カラッカスは呆れて言った。
「とうとうぼけちゃいましたかマンドラゴラ様、ロッテンマイヤーですね? ドッペルゲンガー
だったかしら」
「アルツハイマーでしょ、ベラージョ様」

「うるせえゴラー! あるったらあるんだゴラー! とっとと行けゴラー!」
 怒鳴り散らすシュークリームが赤くなって膨らんだ。
180ベラドンナ最終司令4 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:04:15 ID:7eSluNqL
 すかさず、カラッカスは透明のカプセルを投げた。カプセルにシュークリームが収納される。

「超強化材カプセルです。毎度毎度爆発されちゃかないませんからね」
「やるじゃないかカラッカス、ノーベルベラージョ賞もんだよ!」
 女ボスが誉めると、部下はいい気になって頭に手をやった。
「へへへ、どうもどうも」

 どこかから、シュークリームがもう一つ、落ちてきて転がった。
 大爆発が起き、熱波が押し広げられ、大音響がとどろいた。格納庫は揺れて、爆風が吹き
荒れる。
 ベラドンナの三人は体中焦がして服をボロボロにし、髪をパーマにした。

「……メカを仕上げるんだよ!」
「……ズラベラサッサ」

べらぼーブラボーベラドンナの歌
〜省略〜

 大きなショートケーキに手足が生えたようなメカができあがる。
「今週のメカ、全国ケーキ協会再推薦・真ケーキクッターよーん」

「前と同じ名前じゃないか」
 ベラージョは大きなイチゴが乗ったケーキ型メカを前に、腰に手を当てた。ベラドンナ
の衣裳、ブーツに手袋、ボンテージ風ワンピースに身を包んで悪らしいマントを背負っている。
「でも装甲におけるアプローチがまったく違います。クリームの粘性とスポンジの弾性で
衝撃は完全に吸収できます。熱にも冷気にも刃にも決して負けません。しかも非常時には
食べられます」
 カラッカスのコスチュームは一見、水色の全身タイツのようだが、ツーピースで腹が出て
いる。

「じゃあ今度こそ正義をやっつけるんだよ!」
「はあ、しかしそろそろ日食がですね」
「そんなもんあとだよ!」
「あとって、日食は待っちゃくれませんよ」
「じゃあまた今度だね、それよりベラボーン探してケーキ屋だよ!」
「そ、そんなぁー……」

 計画がさっそくつぶれて、カラッカスはうなだれた。
 ベラージョは構わずメカに近づく。仕方なく、カラッカスはリモコンを操作した。
 真ケーキクッターは前かがみになり、三角形の先端を開いた。ベラージョたちは内部へと
乗り込む。
 コックピットでベラージョは中央に陣取り、カラッカスは左に、ボケクサーは右に座った。
 格納庫の天井が開いていくと、真ケーキクッターは下部から熱いジェットを噴射した。
 三角のケーキが空へと飛び立つ。太陽はやや欠けていて、世界は暗くなりつつあった。
181ベラドンナ最終司令5 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:07:22 ID:7eSluNqL
「やれやれ、計画練り直しかなあ」
 メカを操作しつつ、カラッカスは愚痴をこぼした。
「何の計画だい?」
 ベラージョがきく。いえ、とカラッカスは小さく首を振った。
 飛んでいけば商店街などはすぐに到着する。
 メカを公園に着陸させ、ベラドンナ一味は降り立った。

「最初の仕事を思い出すねえ。変装しようか」
 ベラージョはややはしゃいだ様子だ。対照的にカラッカスは沈んでいた。
「いやあ、その必要はないでしょう」
「何で?」
「みんな皆既日食見に開けたところに行ってますよ。商店街にいるのなんて俺たちぐらい
でしょ」
「へーえ、じゃあ店貸し切り状態じゃないか」

 花より団子、日食よりケーキか、とカラッカスは深いため息を一つついた。

 小綺麗なケーキショップに入ると、店員はにこやかにいらっしゃいませ、と接客する。
 他に客はいない。
 内心おかしく思われているだろうなあ、とカラッカスは恥ずかしかった。
 しゃれたBGMがかかって、甘いにおいが心地よい。

「さーて何を食べようかねえ」
 ベラージョは楽しそうにケーキを選んでいる。
 楽しそうなベラージョを見ると、カラッカスはまあいいか、とも思うのだった。
 楽しむことを知らない、寒々しいカラッカスの人生に、ベラージョは熱を与えてくれた。
 そのことは感謝してもしきれない。カラッカスはこの上司についていこう、何があっても
と決意を新たにした。


 窓の外は暗くなっていった。
 店が揺れ、窓が音を立てた。
「おい、地震かい?」
 ベラージョは恐怖して、カラッカスにしがみついた。
「日食の影響ですかねえ、月の引力がこう……」
 などといいながらカラッカスはベラージョの腰をなで回す。

「どさくさにまぎれてどこ触ってんだい、こーのポッタリアン!」
 高いヒールがカラッカスの脳天に突き刺さった。
「ギョヘーッ!」
 とやっている間にも、揺れはますます強まる。イスは倒れ皿は割れ、店員は床を這って
悲鳴を上げた。
「こ、こりゃただの地震じゃありませんね」
 カラッカスたちも床に手をついて、揺れがおさまるのを待った。巨人が店ごと揺さ振り
持ち上げているかのようだ。
 やがて、揺れはなくなった。窓の外は真っ暗だ。

「なんかおかしいな」
 カラッカスは店のドアを開けた。そして仰天し、目を飛び出さんほどに見開いた。
「み、店の下になんか出てきましたよ!」
 ベラージョもカラッカスの肩越しに、恐る恐る外をながめた。
182ベラドンナ最終司令6 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:09:45 ID:7eSluNqL
 ケーキショップの下には分厚い石の屋根があり、それは太い柱で支えられていた。
 柱にはうねった奇妙な模様が彫られている。
 古代の祭壇のようなものらしい。地下にあった祭壇がケーキ屋を持ち上げ、地上にせり
上がってきたのだ。

「こ、こりゃあなんだ」
 予想外のことにカラッカスはうろたえ、足を震わせた。
 太陽は月と重なり、まさにリングのようになって、暗くなった空に幻想的な姿で浮かんで
いる。
「ついにこの時がきた」
 低い声にカラッカスが振り向くと、ボケクサーが不敵に笑んでいた。
「ボケクサー?」
 同僚の呼び掛けに答えず、ボケクサーは太い腕でカラッカスとベラージョを押しのけた。
「どうしちゃったんだい、おまえ」

 女ボスの問いにも答えず、ボケクサーは店を出て屋根の上を踏み、靴でこすって音を鳴らした。
 カラッカスとベラージョは、顔を見合わせ変な顔をした。
 ボケクサーは柱を伝って降りていった。
 仕方なく、カラッカスとベラージョも同じようにした。
 柱につかまって降りると、ボケクサーは祭壇の奥へと歩いていく。
「おい、ボケクサー!」
 柱にしがみつくカラッカスの声が、祭壇に響いた。
 地中に長い間眠っていたらしい祭壇は、何やら神秘的だ。たまに土が落ちる。
 辺りが日食で暗いことが、祭壇をより不気味に見せた。
 カラッカスは先に降りると、あとから柱を伝うベラージョの尻を支える。

「お気をつけて、ベラージョ様」
「ああ、おまえに気をつけるよ、こーのカックラキン!」
 ベラージョの蹴りがカラッカスの頭にヒットしてよい音を響かせる。
 二人はボケクサーのあとに続いて、柱の間を歩いた。ひどく静かで、足音が反響する。
 奥には台があり、円筒形の何かが置いてあった。カラッカスは海岸の研究室で見つけた
筒を思い出した。

「永らくの封印、ご苦労さまだったな、マンドラゴラ」
 ボケクサーは筒に話しかけた。古くからの知人を前にしているかのようだ。
「なーにやってんだい、ボケクサー」
 ベラージョは高い声を出して聞かせた。
 カラッカスもボケクサーの後ろ姿に尋ねた。
「おい、ボケクサー。何か知ってるのか?」

「ついにマンドラゴラがよみがえったのだ。皆既日食のこの日、ここで復活することをやっと
つきとめた」
「おまえったら、しゃべり方がちがうじゃないか」
「いつものまんねんはどうした?」
 ベラージョとカラッカスは、ボケクサーの豹変に恐れに似たとまどいを感じた。
183ベラドンナ最終司令7 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:11:14 ID:7eSluNqL
 ボケクサーのぼんやりとしていた表情は今はなく、目は鋭く光っている。

「おまえらに動いてもらうためのキャラ作りだ。スタイルだけのバカ女を誘導し、カラッカス、
貴様の頭脳を利用するためのな」
「なんだって!」
 ベラージョはペルソナに飾られた目を釣り上げ、ボケクサーに飛び掛かった。
 ほぼ同時にエネルギー波が発せられ、ベラージョの体は弾かれた。
「ベラージョ様!」
 カラッカスはベラージョを受けとめて緩衝材になった。二人が倒れると、土ぼこりが
舞い上がる。

「俺の肉体にマンドラゴラの精神。俺たちが合体すれば無敵というわけだ」
 ボケクサーは厚い手で筒をつかんだ。
 カラッカスはベラージョの華奢な体を気遣いつつ、立ち上がった。

「ボケクサー……おまえ、マンドラゴラとグルだったのか!」
「やっと気付いたか。自慢のおつむも大したことはないな」
 カラッカスの腹に、感じたことのない怒りが込み上げる。

「だましていたのか、ボケクサー」
「友達だとでも思っていたか? 滑稽だな、科学者君」
「おまえ……!」
「おまえなど脳みそがなければ利用価値のないクズだ」
 ボケクサーは大きな口を開けて笑った。

「よくも……!」
 カラッカスは身を震わし、悔し涙を光らせた。
「ベラージョ、よくやった。おまえはもう用なしだ」
「そんな……、宝石の大鉱脈は?」
 ベラージョは細い肩を揺らし、瞳をうるませる。

「そんなもの、あるものか。今すぐ消してやる。カラッカス、おまえの頭脳だけは生かして
やるぞ」
 ボケクサーの手で筒が光った。
「こいつはただマンドラゴラが封印されているだけではない。超高エネルギーの塊であり、
究極のデータがつまっている」
 光る筒を手に、ボケクサーが一歩、ベラージョに近づく。鬼神の像のような姿だ。
 カラッカスはベラージョをかばいながら、あとずさる。
「究極のデータ……?」

 ボケクサーは恐ろしい笑みを見せると、筒をかかげた。光る筒は変形し、伸びてうねり、
蛇のようにボケクサーの腰に巻き付く。
「まさか……」
 驚愕するカラッカスの目の前で、ボケクサーは手を上げポーズをとった。
184ベラドンナ最終司令8 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:13:06 ID:7eSluNqL
「変! 身!」

 発光とともに、ボケクサーの姿が変わる。
 これはまずいとカラッカスはベラージョの腕を
引いて逃げ走った。

「あれ自体がマンドラゴラで、しかも変身アイテムだったんだ」
「そんな……宝石の大鉱脈はーっ、私の未来はどうなるのさーっ!」
 ベラージョの絶叫が祭壇に響き渡る。
 外に出てすぐ、カラッカスは足を止めた。
 商店街の歩道に、毛むくじゃらで大きな目をした怪人蜘蛛男が立っている。

「く、蜘蛛男!」
 おじ気づくカラッカスをよそに、あとからゴクレンジャーがやってきて、蜘蛛男の周り
に立った。
 それぞれ、すでに原色のスーツに身を固めている。
 少しずつ明るさを取り戻す商店街に、五色がよく映えた。

「な、何だおまえら。なんで蜘蛛男といっしょにいるんだ」
 蜘蛛男はどうみても悪で、ゴクレンジャーと仲間のようには見えない。
「俺たちは緑川博士の指示で動いていたんだ」
 ゴクレッドが答えたが、カラッカスにはますますわからない。
「緑川博士? 何のことだ?」

 祭壇から、変身したボケクサーが歩いてくる。大きな目を光らせ、顔や体に蔦のような
うねった模様をつけた仮面ライダーだ。
 蜘蛛男は世界の終末を告げるような、深刻そうな声を出した。
「遅かったか。あれは大三千世界を輪廻し時空を自在に操るライダー、仮面ライダーマンダラだ」
「仮面ライダーマンダラ? 蜘蛛男、あんた何か知ってるのか」
 カラッカスがきくと蜘蛛男はうなずき説明した。

「私はよみがえりの儀式の影響で再再再生蜘蛛男として復活した。
 だが、緑川博士の因子を多少受け継いだのだ。だから部分的に緑川博士でもある」
 マスクの中からボケクサーが怒鳴り声を飛ばした。「蜘蛛男! よくも貴様今まで邪魔してくれたな」
 ボケクサーと蜘蛛男にはさまれたカラッカスは、ようやく理解しだした。

「何だ、要するにゴクレンジャーは蜘蛛男とグルで、蜘蛛男は緑川博士と同一で、じゃああの
海岸の研究室も蜘蛛男の研究室だったのか」
 どうも踊らされていたような気がして、カラッカスは不愉快だった。

「ふん、ちょうどいい。まとめて死ぬがいい、マンダラ色即是空の力を見せてくれる」
 ボケクサーが何かしようとしたとき、どこかから糸が飛んで腕をからめとった。
185ベラドンナ最終司令9 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:14:45 ID:7eSluNqL
 糸をたどって見ると、壁に赤と青の派手な姿をしたヒーローがいる。

「スパイダーマン先生!」
 カラッカスとベラージョの声を合わさりハモりを聞かせた。
「私が協力を要請していたのだ」
 と、再再再生蜘蛛男が知らせた。
「プロフェッサー・グリーンリバー! マスター・カラッカス!」
 金髪の少女ブルーベリーが空を飛んでくる。

「グリーンリバー?」
 カラッカスが不思議がると、ゴクレッドが教えた。
「緑川博士のことさ。GスクワッドのGも緑川博士、グリーンリバーのGなんだぜ」

 スパイダーマンとブルーベリーは同時に降り立ち、ボケクサーと向かい合った。
「ブルーベリーは私が蜘蛛男・緑川博士の要請を受けて呼び寄せたんだ」
 スパイダーマンはマスク越しに言い、蜘蛛男とうなずき合った。

「蜘蛛同士仲良しごっこか。結局全員グルかよ!」
 カラッカスはふてくされたい気分だ。コケにされたようで、何ともおもしろくない。
「ああ! もうベラドンナはおしまいだね」
 ベラージョは崩れるように、地にひざを落とした。
「何を言われます、ベラージョ様!」
 カラッカスがあわててベラージョの手を取る。

「だってそうだろ、宝石の大鉱脈はないっていうし、三悪が二人になっちゃあ! もう私には
何もないよ」
 ベラージョは大粒の涙をいくつも落とした。
 カラッカスは気持ちを察して胸を痛めるも、ボスを叱咤した。

「情けない! 俺はいつでもベラージョ様のカラッカスです。来い、真ケーキクッター!」
 カラッカスがリモコンを操作すると、明るくなりつつある空に大きなケーキが飛ぶ。
 真ケーキクッターが大音を聞かせて、歩道に着陸した。
 巨大なショートケーキはなかなかの存在感だ。

「ベラージョ様、思い知らせてやりましょう、誰が真の悪なのかを」
「でも、おまえ……」
 カラッカスは強引にベラージョをメカのコックピットへと押し込む。
 カラッカスが操縦席につくと、真ケーキクッターはイチゴの頭を持ち上げ、両手を上げる。
「どいつもこいつも馬鹿にしやがって、まとめて平らげてやるぞ!」
186 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 14:17:19 ID:7eSluNqL
いったん中断で次で終わり 乱丁がないとよいが
ここのスレは懐が深いというか書きやすいんで助かります
187創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 14:44:17 ID:0BtYI8hF
投下乙おーつ
肉弾戦はやっぱ苦手なんかな
皆既日食が赤い月に変わらないうちに逃げた方がw
188 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 19:41:08 ID:7eSluNqL
ありがとうです
では続きいきます
 ボケクサーは造作もなく、スパイダーマンの糸を手刀で断ち切った。
「よかろう、俺の力を見て恐れるがいい」
 ライダーマンダラは地を蹴ると、天高く舞い上がった。

「電光ライダーキィーック!」
 流星のごとくにライダーマンダラが真ケーキクッターに突っ込む。

「無駄だ、この真ケーキクッターはいかなる攻撃も吸収する」
 コックピットでカラッカスは勝ち誇る。
 ライダーマンダラは大きなケーキに落ちた。
 ケーキに穴が開き、ボケクサーは苦もなく貫通して着地した。
 カラッカスのすぐ背後、床と天井に大穴が開かれる。

「そ、そんな、バカなぁーっ!」
 思わず叫ぶカラッカス。
 真ケーキクッターは火花を散らすと、火を吹き、破片を飛ばし、爆風を起こした。
 轟音とともに大破し、ドクロ型のキノコ雲ができあがる。
 爆風が蜘蛛男やゴクレンジャーたちをあおった。

「やはり駄目か。奴の力は時空を超越する。どんな防御も無意味だ」
 蜘蛛男はキノコ雲をながめて首を振った。
「なら俺たちが相手だ」
 ゴクレッドがサーベルから火を飛ばす。ゴクブルーは水流を、ゴクイエローは電撃を
飛ばした。
 ボケクサーが手をかざすと、それらの攻撃は当たらず掻き消えていった。

「奴はあらゆる攻撃を別次元に逃がしてしまう。どんな攻撃も通じない」
 蜘蛛男は蜘蛛の首を振った。ゴクレッドはお手上げというように大声を出した。
「そんなむちゃくちゃな」

「ベラボーンはマンドラゴラを封印しているだけでなく、オーバーテクノロジーの結晶だ。
 かつて聖徳太子はジライヤの磁雷神を造った。一万二千年前、戦士シャイダーはムー帝国
を滅ぼす。
 二万年前にアクマ族のサイボーグ技術、五万年前に暗黒結社ゴルゴム。
 さらに一億年前の恐竜人文明、六億年前の超力文明。
 ナチスドイツはそれら古代ヒーロー技術を集約し、その計画をショッカーが継承、多くの
悪と正義のヒーローが誕生した」
 蜘蛛男がヒーロー史をざっとさらう。ボケクサーは後を継いで言い放った。

「それら全ての結晶、究極のデータ、それがこの仮面ライダーマンダラだ!」
 ボケクサーが太い手を上げると、どこからともなくバイクが飛んできた。
「我が愛機、サイクロータスだ」
 蓮華を模したバイクだ。
「ヒーロー学園さえ支配すれば世界は俺のものだ」

 サイクロータスにまたがり、ライダーマンダラは走らせる。
 突っ込んでくるところを、蜘蛛男は糸を吐いて車輪を止めた。スパイダーマンも手から
糸を投げて、サイクロータスにひっかける。
 ボケクサーが少し手を動かすと、糸は消えてしまった。
「蜘蛛め、まず貴様らを次元のかなた、マクー空間か幻夢界にでも飛ばしてくれる」

「そうはさせるか!」
 ゴクレッドたちが武器を構えた。
「こういうこともできるのだぞ」
 サイクロータスにまたがるボケクサーは笑い声を聞かせると、手を上げた。虚空に光が
走ったかと思うや、黒い人影がいくつも浮かぶ。

「イーッ!」「イーッ!」 黒い全身タイツに黒い目出し帽の軍団があらわれた。
「ショッカー戦闘員?」
 わけがわからず、ゴクレッドはサーベルを手にうろたえた。
「次元を操作し、別の可能性宇宙から都合のいいものを引き出してしまうこともできるのだ」
 虫の口から蜘蛛男はうなるように言う。
「そんな、ズリぃよ」
 黒い群れにゴクレッドも恐れをなした。

「やれ、ショッカー戦闘員!」
 ボケクサーが命じると、ショッカー戦闘員はイーッと応えてゴクレンジャーに向かう。
彼らは一人一人が常人の数倍の力を持つ。
 棒などを手にして襲いかかる戦闘員に、ゴクレンジャーは得物で応戦した。
 ブルーベリーは飛び回って小さな手足を振るい、戦闘員を次々弾き飛ばす。
 ショッカー戦闘員は後からわいて出てヒーローを苦しめた。辺りは騒然として砂煙に
包まれた。
 サイクロータスの上で笑うボケクサーの耳に、鋭い声が届く。

「そこまでだボケクサー!」
 服をボロボロにしたカラッカスとベラージョが、歩道に立っていた。

「逃げていなかったか、手間がはぶけた」
 ライダーマンダラは仮面を揺らしてまた笑った。
「おまえ、何か手があるのかい?」
 ベラージョはすっかり弱気になっている。
「ありますとも。あなたのカラッカスを信じてください」
 カラッカスは両手を天にかかげる。
「出でよ! 俺の全能をかけた大傑作!」

 大丈夫か、と戦闘員とやり合いながら、ゴクレンジャーたちはかたずをのむ。
 空に何かの塊がとんで、商店街に影を落とした。
 いくつかに分かれたロボットのパーツらしい。
「でかすぎるので分けて海に沈めて隠していました。超磁力で合体します」
 カラッカスが言うとおり、空中でパーツが結合していき、一体のメカになった。
 身長五十メートルはあろうかという巨大メカだ。目が大きく、丸い口があって体は太い。
土偶のようだ。頭に花がついている。

「これぞハカイダーが使ったとかいう超兵器ジャイアント・デビル! ……のレプリカ、
ジャイアント・
ベラドンナ!」
 カラッカスが高らかに紹介した。
 金属の巨人が降り立つと地は揺れ、家や店が踏まれて無残につぶされた。
 まさに天を衝くといった巨大メカの迫力に、ゴクレンジャーもブルーベリーも圧倒された。
 山のような土偶の姿は、世界の終わりを告げる魔神をも思わせる。

「カラッカス、私の研究室から持ち出したアレを使ったのか」
 蜘蛛男がきいた。とがめるような口調ではなかったが、カラッカスはややばつが悪いような
顔をした。
「ああ、密かに造ったもののエネルギーが足りなくて困ってたんで、使わせてもらった」

 カラッカスは女ボスの手を取った。
「さあ行きましょう、ベラージョ様」
「すごいじゃないかおまえ! いつのまに?」
「コツコツ稼いだ金で造りました」
「でかしたよ、おまえ!」
「だから言ったでしょう、すべてはベラドンナのため、あなたのためです」

 ジャイアント・ベラドンナの口から光が発せられた。光は二人を包み、浮かび上がらせる。
 カラッカスとベラージョは飛んでいって、巨大メカの中へと入っていった。
 コックピットはいつにも増して近未来的だ。計器が並んで管やコードが壁をめぐっている。
 ベラージョは三つ並んだ席の中央、カラッカスは左に座った。

「おまえ、今週こそ勝つんだよ!」
「お任せを! ついでに学園を占領し、ついでのついでで世界征服しましょう」
「世界征服! ああ、ついにたくさんの先輩たちの夢を私たちが叶えるんだね!」
 ベラージョは操縦席で興奮と狂喜に打ち震えた。
「そうですとも、ベラージョ様! 地球をあなたにプレゼントいたします」
「よーし、べらんめーっ、やーっておしまい!」
「ズラベラサッサ!」

 ジャイアント・ベラドンナが口からビームを放つ。大きな輪になったビームをくぐると、
ショッカーたちは動きを止め、人形のようになって倒れた。
「ESE砲です。生物だろうが機械だろうが、完全に動きを止めるビームです」
 ベラージョはイスの上に立ち、メインモニターを見て腕を振った。
「いいよいいよ、やれーっ!」

 だが、ビームを受けてもボケクサーはお構いなしにサイクロータスを走らせた。
 あせってベラージョはカラッカスの肩をつかんだ。
「なんだいなんだい、効いてないじゃないか」
「まだまだこれからです」
 カラッカスは機器を操作する。
「アーマゲドンX、スイッチ・オン!」

 土偶の目から激しい光がひらめくと、ショッカーたちは蒸発していなくなった。影も残さず
消滅してしまった。

「わーっ、俺たちが死んだらどうすんだ!」
 見ていたゴクレッドは大声で抗議する。
 ボケクサーは気にもしていないようで、バイクを走らせていた。

「いかんな、カラッカスはアレの使い方を間違えている」
 蜘蛛の表情は読み取りにくいが、蜘蛛男の声には失望の響きがあった。
「どういうことだ?」
 スパイダーマンがきく。
「ライダーマンダラは時空を操る。どんなに強力な攻撃も別の宇宙に逃がしてしまう。
 時空ごと消滅するような攻撃をしなければいけないのに、あんな巨大メカの動力源にして
しまった」

 サイクロータスは飛び上がり、仮面ライダーマンダラは愛機を離れてさらに飛んだ。
「ライダー卍キィーック!」

 ジャイアント・ベラドンナの腹の辺りに足を突き刺さしたボケクサーは、機械の内部を
削り掘り、背へと貫通して飛び出した。
 意志を持つようなサイクロータスが旋回し、主人を空中で待った。ボケクサーはサイクロータス
の座席に座る。
 コックピット内ではダメージを知らせるサイレンが鳴り、赤いランプが点灯する。

「バ、バカなーっ!」
 思わずカラッカスは叫んだ。ベラージョは気が気でなく、カラッカスの首をしめて左右に
振る。
「おい、おまえ、どうするのさ!」
「な、なんの、アーマゲドンYを撃ちます! YはXの百倍の威力です!」
 カラッカスが操作すると、ジャイアント・ベラドンナは大きな目でボケクサーを追う。
 巨人が蚊を追うような図だ。
「食らえ!」
 ジャイアント・ベラドンナの目が光り、すさまじい衝撃がボケクサーを襲った。
 遠くで海水が大量に蒸発し、蒸気が山のようになった。
 だが、ライダーマンダラは何事もなかったかのように飛んでいる。
「そんなあーっ!」
 カラッカスは操作盤に伏せて頭を押さえた。
「うう……やっぱりライダーにはかなわないのか」
「カラッカス……」
 いつにない、ベラージョのかぼそい声がカラッカスの耳に届く。

「もういいよ、おまえ。どうせライダーには勝てやしないよ」
 ベラージョはしなやかな手をやさしくカラッカスの肩に置いた。
「ベラージョ様……」
「二人で逃げよう。正義も悪もない、どこか遠くへ」
「二人で……」

 ベラージョの誘いに、本当にそうできたらとカラッカスは祈るような想いをした。
(だが……)
 目に涙をにじませ、カラッカスは未練を断ち切る。
「ベラージョ様のカラッカスとして、俺にも意地があります!」

 カラッカスがボタンを押すと、ベラージョのイスからベルトが飛び出し、座る女をはがい
じめにした。
「な、何のまねだい、カラッカス!」
「お許しをベラージョ様!」
 コックピットの天井が開いていく。
 ベラージョのイスが火を吹き、空へと飛んでいった。
「カラッカスー!」

 叫びを残し、ベラージョははるか天高く飛んでメカから離れていく。
 パラシュートが遠くで咲くのを、カラッカスはモニターで確認した。
 ベラージョを逃がすと、カラッカスはアーマゲドンZの設定をはじめた。

 さすがのカラッカスも、ジャイアント・デビルの完全再現はできなかった。
 アーマゲドンZは時空を消滅させるが、エネルギーをすべて使っても足りないので、機体
自体の物質エネルギーをも使用しみずからも消滅する。
 操作は慎重を要するため、操縦者は離れられない。つまりは自爆技だ。
 カラッカスは設定をすませ、ボケクサーにロックオンした。

(これでいい。俺は独りで死ぬのだ。ずっと孤独に生きてきた。ここで死ぬのもまたいいではないか)
 生きる喜びを知った今となっては死ぬのはつらかったが、カラッカスには誇る思いがあった。
 世の中には不本意な死を遂げる者も多い。こんな死はむしろよいほうだ、とカラッカス
は誉れに酔った。
 ジャイアント・ベラドンナのボディが、虫に食われるように消えていく。
 ボケクサーは強力なエネルギーにとらわれ、空中に釘づけにされたようになった。
「あ、あいつめ……相討ちする気か!」

 操縦席でカラッカスは小箱をとり、指輪をながめた。一息つくと、こんなものはもう
必要ない、とカラッカスは床に投げ捨てる。
 軽い音とともに、指輪は床を転がって、ひそやかな星のまたたきのように光った。
「そういや、ハイドは天国行きにしてやるっていってたな。だがな、俺は地獄に行くぞ。
 地獄には諸先輩がたも多くいることだろう。おおいに語らい宇宙の真理を解き明かそう
じゃないか」
 自分の言葉にうなずくと、カラッカスは目を閉じ、最期の時を待った。

 カラッカスの目がカッと見開らかれた。
「うわーっ、やっぱり死にたくなーい!」
 あわててコックピットを走り回るも、すでにメカは全エネルギーを使い果たしている。
脱出すらできない。
 やはり彼は超人ではなかった。ただの人として泣き叫び、救いを求めた。

「ひーん、誰か助けてくれー! 死にたくない死にたくない死にたくないよぉーっ!」
 わめきもがいても、もう遅い。
 その時は来た。ジャイアント・ベラドンナはカラッカスごと、跡形もなく無と帰し、消えて
しまった。
 同時にボケクサーも消滅した。

 見上げていた蜘蛛男たちは、呆然と立ち尽くした。
 足音が近づくのでヒーローたちが振り向くと、疲れた様子のベラージョがいた。

「カラッカスは……」
 蜘蛛男は虫の頭を振った。
「刺し違えた。彼もヒーローだった」
 ベラージョは地に手をつき、涙を落とした。
 肩を震わすベラージョに、誰もなんと声をかけたらよいかわからなかった。

 不意に、中空に輝きが起きた。光の中に影があった。
 光がおさまると、男が二人いた。やせっぽちの男と、太い体の男だ。

「カラッカス!」
 ベラージョは叫び、カラッカスに飛びついた。
「ベ、ベラージョ様? これは夢かまことか……」
 などといいながらカラッカスはベラージョの体をなで回す。

「こーのナッポリターノ!」
 ベラージョの拳が飛んで、カラッカスの頭を打ちつけた。
「ギェー!」
 すぐそばでは、変身したボケクサーが傷だらけで倒れている。
「ボケクサー……、助けてくれたのか」
 頭をさするカラッカスが語りかけると、ボケクサーはわずかに顔を上げた。

「勘違いするな……。おまえの頭脳を残したかったのだ。いずれまたよみがえり、その時こそ
は……」
 ボケクサーは体重を地に預け、動かなくなった。
 ボケクサーの姿は変質していき、植物のようになった。

「こいつはいったい何者だったんですか」
 ゴクレッドが蜘蛛男・緑川博士にきいた。
「再再再生サラセニアンだ」
 蜘蛛男の口調には哀れみがあった。
「私と同時期の一怪人にすぎなかった。
 オーバーテクノロジーの結晶であるデータが精神を持ちマンドラゴラとなり、サラセニアン
を操ったのだ」

「ボケクサー……。おまえもヒーローだった」
 カラッカスは助けてくれたボケクサーに友情をよみがえらせ、目に涙をにじませた。
 静かな風が吹いて、何かの破片が少し引きずられ音を立てた。

「だがまあともかく、この件は片付いた。みんな、ご苦労だった」
 ねぎらうように蜘蛛の怪人が言った。
「使命も終わったことだし、これからはマッタリお気楽極楽戦隊ゴクレンジャーとでも
名乗るかあ」
 ゴクレッドは伸びをして、すっきりしたというように言った。
「ワタシは本格的にニンジャ修業シマス」
 小さい体のブルーベリーも、全身から役目を終えたといううれしさを伝わらせた。
 彼らにとっては最初のヒーローらしい仕事だ。

「緑川博士は?」
 ゴクレッドがきくと、蜘蛛の口が動いた。
「実は教師にならないかと学園に誘われていたんだ。今はこんな姿だし、悪の教師になろう」
 蜘蛛男はカラッカスとベラージョを見下ろした。

「君たち、もしよければ私のゼミ生になってくれないか」
 複雑な表情で、カラッカスとベラージョは顔を見合わせた。
 あまりいい気はしないが、事情もあった。

「実は、あちこちのゼミでたらい回しになっていて……」
 ベラドンナはインチキ商売などにばかり熱心で、ろくにゼミに出ない。
「単位が取れなくて困ってるんだよ」
「君たちになら単位は無条件であげよう」
 蜘蛛男は快く約束した。

「よかった……。でも、もうベラドンナはおしまいなんだね」
 ベラージョはさみしそうに、赤い唇を動かした。
「もうこんなものも……」
 と言って顔のペルソナを取ろうとする。
 ベラージョの細い腕をカラッカスがつかんだ。
「何をいうんですか! まだまだ世にお宝はありますよ、ダイナモンド、生命のもと、あるいは
ジュジャク、オシャカパズルはたまた……」

「でもねえ、二人じゃあね」
「三人目を見つけたらいいじゃないですか。探しましょうよ」
 カラッカスの瞳の奥には光があった。
「おまえったら、どうせ女の子ばっかり目をつけるんだろ」
 ベラージョの声に、明るさが戻ってくる。

「ええ、それについてはね、俺もね、身を固めたら落ち着くんじゃないかと思うんですよ……」
「へえ?」
「だからベラージョ様……、結婚してーっ!」
 飛び付くカラッカスをベラージョの蹴りが迎え撃つ。
「だーれがおまえなんかと!」

 カラッカスは地面を転がり、赤くなった鼻をさすった。
「どうせ売れ残るんだから、俺と結婚しとけばいいじゃないですか」
「馬鹿言うんじゃないよ、私と結婚できるのは世界一のお金持ちなんだからね! わかったら
お宝を探して手に入れるんだよ!」
「はあ……では、お宝が見つかりさえすれば!」
 立ち上がり、若き科学者は新しい希望に燃えた。

「見つけてみせますぞーっ、世界一のお宝を!」

 次なる目標にカラッカスは全身を火のようにする。
 どこかから、ジャイアント・ベラドンナの一部と思われるネジが落ちてきて、カラッカス
の頭に命中した。
「ホゲーッ!」
 ベラージョは肩をすくめた。
「……ダメだね、こりゃ」
197 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/08(日) 20:10:26 ID:7eSluNqL
終わりです 長々と失礼しました
これでこいつらのエピソードはいったん終わります
またなんかネタ思いついたら書かせていただきたいもんです
そのうちWIKI書いたりしときます
198創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 22:23:07 ID:2ZPx3agO
前スレの97氏は降臨されないのだろうか
199創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 15:39:49 ID:ZEHonjey
IC−01633・デストロイヤー、新機軸超AIトライシステムを搭載し、多彩な武装を誇る
ちょっと型番落ちした戦闘用アンドロイドである。
善の『良心回路』、悪の『悪魔回路』、暴走を防ぐ為につけられた『服従回路』
元々の開発経緯はロボットに『柔軟な』思考感情を持たせることにある。

処は変わりヒーロー学園購買部、メイドルックで佇むアイの横でハリセンを握り
声を張り上げて客を呼び込むヒルトの姿があった。

「らっしゃえ、らっしゃえ、安いよ!安いよ!
天災少女アイちゃんが真心込めて作ったこのケーキが
なんと今なら大特価の大失血死サービスだ!」

ヒルトの姿を見咎めたイルーゼが偶然通りがかると
並べられた怪しいケーキ群に眉をひそめ、出所を問いただした。

「毎度のことだから深くは詮索しないけど、アンタ商品はどこから調達してくるの?」
「うむ、つい先程ケーキにフナムシを挟んで
”この店はフナムシの入ったケーキを食わせるのか?”と難癖をつけようとした所
かくかくしかじか、けんけんがくがくでこのような事態になったのだ」
「あんたの説明能力に期待した私が馬鹿だったわ……」
「それは元からですよ」

イルーゼの容赦ないツッコミがアイの頭部に炸裂すると
周囲からのブーイングが浴びせられる。

「アイちゃんを虐めるなッ!」
「それが正義の味方のやることかッ!」
「そうだ! 引っ込めデカ尻!」(CV.ヒルト)

鈍器を振り回しながら激昂したイルーゼがどさくさ紛れに禁句に触れたヒルトを追い立てる。
ぽつねんと取り残されたアイの足元に1匹の子猫が現れると
アイはその場に屈みこみ顔を見合わせた。

「7号、今日はお金が沢山手に入ったですよ」
「みぁー」

アイは何食わぬ顔で売り上げのお金を手に取ると猫の7号を引き連れて学園講内の広場へと訪れる。
悪事に対する自制心のなさ、人への反逆、発言における嘘、彼女のAIトライシステムは欠陥品として総合評価され
型番は生産中止、同型機の多くは生産途中で廃棄された。

「今日も寒いですか」

戦闘用として開発されたがゆえに重要視されなかった、言語ソフトウェアのプログラムから単調的に繰り返される語尾。
アイが体表温度の設定を高めると、茂みの中から他の野良猫たちが姿を見せ
暖を取りにアイの元へと群がってくる。

常備設営された構内の充電器を使わず、芝生の上に座り込み、緊急用の充電プラグにコンセントを差込み充電する。
毎日のように繰り返されるルーチンワーク、雨の日に充電を試みてショートしたこともあった。
善と悪どちらの回路がそのような行動に走らせるのか、担当技術官は一様に頭を抱え……

「暖かい……」

”緊急用充電の方が従来の充電より完了時間が短いからだろう”とあっさり結論付けた。

マシン学科の生徒の多くは”寮”すなわち地下格納施設に格納され、スリープ状態に入る。
特に暴走の危険性の多いアンドロイドは、定期的な端末への接続が義務付けられており
日常生活で得られた情報を各サーバーに集積、メインコンピューターが監視する際の検索情報にもなる。

「またIC−01633の集積情報にノイズが入ってますね」
「メインコンピューターが面倒起こすと難だ、IC−01633の情報は隔離しよう」
200創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 15:40:30 ID:ZEHonjey
管理職員はキーボードを打ち、情報のバックアップを作成した。
機体の清掃メンテナンスを終え寝巻き代わりに白い病衣に着替える。
カプセル状のメンテナンスボックスに入リ、機体の最終チェック完了するとパチンと言う軽快な音ともに
格納施設の照明電源が切られた、彼女が目を閉じて次を開けた瞬間にはもう朝である。

「おはようアイちゃん」

アイがもそもそと立ち上がると、隣から別型機のヒナエに声をかけられる。

「おはようございます、ひなえさん今日はお泊りですか?」
「そんなところね、ではまた」

アイは腕を左右に振り、見よう見まねでばいばいの真似をする。
普段着のワンピースに着替え、いつもの所に隠したへそくりの財布を持ち、いつものように学園へ向かう。
いつもと違うことと言えば学園の前に駐車された保健所の車。

「何でそんなところにはいってるですよ、7号」
「みーみー」

車の荷台につまれ籠に入れられた、野良の動物達の中に子猫の7号の姿を見つけたアイが立ち止まると、
職員と思しき青年がタオルで汗を拭いながらアイに話しかけた。

「君は学生さん? 近所の住人から役所に苦情が来ててね可哀想だけど……」
「七号が何か悪いことしたのですか?」
「え? そ、そういう訳じゃないんだけど」

きょとんとしたアイの赤い瞳に見つめられた青年が彼女の正体に気付いたのか
気まずい表情を浮かべると、多くを語ることなく野良猫達を乗せた車に乗り込んだ。

「……どこへ連れて行くのですか?」

彼女の問いに答えることなく車はそのまま発車する、アイは動物達がカゴから出ようと足掻くのを確認すると
逃げる車両に右腕を向け戦闘モードを起動させる。

「マグナムパンチ……マグナムパンチッ! 出ない…何で?
七号……七号ッ!!」

人間のヒーローであれば独断で戦うことも可能だが、アンドロイドの戦闘AIには
暴走時に備えた制御プログラムが幾重にも施されている為に、自衛以外の手段では民間人への攻撃は不可能。
車に乗せられ遠ざかる七号の姿をアイはただ呆然と眺めることしか出来なかった……

「はぶおっほ!?」

……と思ったら真横からカブトガニが車に飛んできた。

「ちょこまか逃げんじゃないわよ、このッ!」
「な……何なんだあんたらッ!?」
「通りすがりのカブトガニさ……」
「往生しなさいッ! ヤークトッパンターッ!!」

爆音とともに放たれる魔弾の咆哮、紙相撲でインチキして息を吹きかけられた力士のようにヒルトの体が宙に舞う。
昨日の続きで未だに争っていたヒルトとイシイの両名の戦闘に巻き込まれ
横転した車両からカゴが滑り落ちると、次々と野良の動物達が開放されアイの元へと駆け寄ってきた。

「風が吹けば桶屋が儲かるとはこのことですよ、七号」
「みぃ!」

アイは微笑を浮かべると大勢の動物達を引き連れ、軽やかにその場からトンズラこいたのであった。
201創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 17:42:31 ID:szFgEM21
投下乙です
おもしろかったよー ヒルトはわざとやったっぽいな

97氏とヒルト作者氏って同じ人ではないのん
202苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:10:13 ID:cYe3kAAM
私の名前はナツミ。
人は私のことを畏怖の念をこめて、プロフェサー(教授)と呼ぶ。
って今日はのん気に自己紹介なんてしてる場合じゃなかったわ。

「タルタロスいるんでしょ?」
「ここに!」
私は慌てたように自室に戻ると、忍者タルタロスの名を呼ぶと跪いた彼が現れた。
奇妙な縁から彼はいつも私を見守ってくれている。
忍者ということで、素顔を見られぬようにいつも仮面をしているんだけど今日は鬼の面ね。
(私があげたの気に入ったのかしら)
ちなみに私の傍にタルタロスがいることを知っているのはハルカだけ。
「聞いてたと思うけど、プルート会いたがってるわよ?
 たまには顔見せてあげたら?」
ここが地球上で一番侵入が難しいといわれるヒーロー学園女子寮ということは今は忘れて頂戴。
厳しいセキュリティーの網を物ともせず、彼は現にここにいるのだから。
「姫がお望みとあらば。」
別に私は地獄兄妹(ハルカ命名)が仲良かろうが悪かろうが、あんまり興味ないんだけどね。
「まぁ良いわ、今日はもう寝るだけだから下がって大丈夫よ。」
「御意!ニュースでもやっておりましたが、不穏な空気が漂っておるでござる。
 戸締りには充分ご注意を……。
 もし万一の際には真夜中でも、無線で某に一声いただければすぐに駆けつけるでござる。」
タルタロスの胸にあるバッチは私との専用無線機になっているの。
「では…今宵は御免……とその前に姫。素敵なマントありがたく頂戴するでござる。」
彼の変身した姿を何度か見ていて、漆黒の甲冑というだけでは愛嬌が無いので
ちょっと早いけど誕生日プレゼントとして漆黒のマントをプレゼントしたの。
「10倍返しだからね。」
「しかるべく。では御免!」
ただまぁ変身しなくても充分強いから(シャダイムとガチでやって引き分ける位)あんまり出番はないかもね。
ちなみに変身した姿(冥府の騎士 仮面ライダータナトス)を知っているのも、この学園では二人だけ。
さてタルタロスが去ったのを確認し戸締りを確認してからパソコンを立ち上げる。
(こっちはどう ごまかすかな。)
先程のパンドラとかいう戦士の画像をクリックで拡大する。
私の売った最後のエンペラーストーンがこんな形で世に出てくるとは……。
203苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:11:13 ID:cYe3kAAM
先程のパンドラとかいう戦士の画像をクリックで拡大する。
私の売った最後のエンペラーストーンがこんな形で世に出てくるとは……。
エリカが似ているというのには、「洗礼されたボディーとは必然的に似てくる。」ということで納得させたが、
見る人が見れば例えばユウキ先生とか見ればわかる。
ここまで似るなんてことは、設計図が一緒でないと有り得ない。
幸い今日から学会に行っているから、今のうちにデータを消してしまうか。
しかし研究データは私にとって命そのもの。
このまま消してしまうのはあまりにも惜しい。
(でもバレタラ……。)
クリックした手がある画像でピタっと止まる。
この完成品と呼ばれていた過去のヒーロー達は、
Gシリーズを造るときに先生達から測定し
脳改造を受け120%の力を常時使いこなしていたとする場合のデータと
その場合の設計図をオマケでつけてやったのを
元に設計されている気がしてならない。
(こっちは科学の進歩は日進月歩ですからで大丈夫かな。)
………
204苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:11:44 ID:cYe3kAAM
チュチュチュチュンという小鳥のさえずりで目を覚ます。
どうやら昨日はあれから眠ってしまったみたい。
なのに何故かベットに移動しているのは、またタルタロスの仕業ね。
もう帰って良いって言ったのに律儀な子だわ。
(今何時かしら?)
枕元にタルタロスが置いていってくれた時計に手を伸ばす。
お気に入りの黄色い目覚ましのタイマーは、一限目の遺伝子工学の講義に間に合う時間にセットしてある。
まだ時間は少し早いので二度寝しようか。それとも起きるかで迷う。
(目が冴えちゃったわ。)
何度か寝返りを打ち二度寝を試みたが、目が冴えて眠れない。
ムクリと起き上がると、白いカーテンを開ける。
(ん?)
あそこで逆送させた戦車を腰に結んだロープで引きながら走っているのは…。
(悪部の自治会長さんかしら。)
あの人は何を目指してるのだろう。
何度か夜研究棟の窓から走っている姿を見たことはあるけど、引く物がドンドン大きくなっていく。
(今どき正義部でもそんな特訓しないわよ。)
噂では婚約者の写真を売りさばいていたカラッカスのことを探してるらしいけど、ご愁傷様としか言いようが無いわね。
戦ったら骨も残らないんじゃない。アイツ弱そうだし努力しなさそうだもの。
才能溢れる努力家と正反対だわ。
私がもしあの人に奴の居場所を聞かれたら?もちろんシャダイム用の人工衛星で探してあげるわよ。
(あっちはボクサーみたい。)
その100m位後ろを夏なのに長袖の黒いサウナスーツを着込んだジュリ先輩とハルカとタカノリそれに一年生のネロとヨハネが続く。
ジュリ先輩の方は昨日ハルカの話していた通りに、途中で力尽きてしまった噂の巨漢(身長2m体重1t by ハルカ)占い師カストルを
まるでガリバー旅行記のガリバーのように手押し車にロープでくくりつけてそれをタイヤ引きのようにして走っている。
何でも走りこみなんて嫌だとか、僕は頭を使う方だとか行ったのがジュリ先輩&ハルカの逆鱗に触れてしまったらしく
朝のマラソンは強制参加ということになったんですって。
二人の朝は夜遊びで疲れはてあわよくば、昼まで睡眠を貪ろうとか考えている怠けた後輩を叩き起こすところから始まる。
(あの二人頑固だからねぇ。)
さて私も行動を始めるとしよう。
服を着替えジャケットを着て、その上に白衣を羽織るとこれまたタルタロスの仕業であろう冷房を切り、充電器の上に置かれた携帯電話を手に取る。
(ユイからのメールね。)
ユイは今ゼミのミユキ先輩とやらと修行兼アンゴルモア偵察の旅に出ているのだ。
あの子は気がついたら毎年合宿に行っている様な気がするんだけど、単位は大丈夫なのかしら?
また泣きついてきても知らないわよ。
『おはよう(`∀´ノ)ノ  なっちゃん。あ……そっちではこんばんわだっけ。(・∀・)
 ユイはこれからミユキ先輩とアンゴルモアの大王の居城と思われるお城に潜入します。(´ー`)
 もうすぐ帰れると思うので待っててね★(━(-( ( (゚∀゚) ) )-)━)━) ━━ !!!!!」
相変わらず読みにくいメール。
改行されてて顔文字が崩れてる。
敵の居城を目の前にした緊迫感は微塵も感じられない。
(ユイらしいわねぇ。)
205苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:12:22 ID:cYe3kAAM
そういえば、昨日ニュースでやってたアスガルドだかユグドラジルだかの悪の組織はどうなったのだろう。
「モーニングセットお願いします。」
小麦色に焼けたトーストの上に乗せられたバターの甘い匂いが食欲を誘う。
まずは喉を潤すためにコップの100%オレンジジュースを一口。これも酸っぱ過ぎず甘すぎずちょうど良い塩梅。
(早起きは三文の徳ね。)
トーストの粉でお気に入りの青いスカートを汚さないようにペーパーナプキンを膝の上に置く。
「ナツミちゃん。朝早いねぇ。新聞届いたから読みなさい。」
食堂のおばさんが新聞を持って来てくれた。
どの新聞も一面は昨日の事件だ。
『地球最後の日?』
『今度の侵略者はヒーロー自身?』
『同時侵略作戦開始!!?』
各新聞とも一部でも多く売ろうという意気込みが感じられる。
(知りたいのは最新情報なのよ。)
こういう週刊誌的な新聞記事は百害あって一利なし。
ポチっとテレビをつける。
画面の上には電車遅延のお知らせのように何かが流れている。
『ドイツ…フランス…サウジアラビア…ユグドラジル帝国およびアスガルド軍団総帥パンドラに対して降伏を宣言。』
「今入ったニュースですが、メキシコも陥落したようです。
 これから大統領の記者会見が行われるようです。」
アナウンサーが興奮したように原稿を読み上げた。
「メキシコもですか。あそこはアメリカとも近いですし、いよいよヒーローとの直接対決でしょうか。
 ヒーロー評論家のタチバナ先生とキクチ先生はどう思われますか?」
オレンジジュースを噴出しそうになる。
あの爺達最近見かけないと思ってたら、こんな所で油を売ってたのか。
「僕はね、ユグドラジル帝国ってカッコいい名前ですけど、
 所詮過去の悪の組織の烏合の衆でしょ。
 いくらパワーアップしたとはいえ、負けるはずないと思うんですよね!
 それにアスガルド軍団でしたっけ未知数だから、いつもどおりだと思うんですよね。」
「私も同感ですねぇ。
 彼らにあるのは特訓でパワーアップしたり、二度の改造を行う前のデータですよね?
 負けるわけ無いですよ。だいたい……」
コメンテーターとは無責任な職業だ。
そのパワーアップしたり二度の改造を行ってさらに、脳改造で常時120%の力を発揮した場合のデータと
それを可能にするための設計図が、
どうやら奴等の手に渡ってしまったみたいだから私が昨日から悩んでいるというのに……。
206苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:12:42 ID:cYe3kAAM
「あ〜。ナツミちゃんだ。」
声の主はエリカだ。まだ寝ぼけているのか目をショボショボさせている。
手をつないでいるのは学園で最恐の兄を持つ女(プルート)
「珍しいわね。昨日はヘレネと寝なかったの?」
「うん。プルートちゃんとお話しながら寝たの。」
ねぇ〜と顔を見合わせてニッコリと笑う。
(ヘレネも肩の荷が下りて一安心ね。)
「エリカ〜ちょっとトイレに行きたいんですけど……。」
「一人で行ける?付いていこうか?」
赤子をあやす様にエリカが尋ねる。
一見滑稽なように見えるこの光景も
相手が実家でさぇ迷子になってしまう(らしい)ほどの方向音痴なプルートなら納得だ。
「付いてきて貰っても良いですか?ごめんなさい。」
足をもじもじさせながら、プルートが顔を俯ける。
「良いのよぉ。気にしないで〜。行こう。」
ジュリ先輩とユイ、エレボス先輩とアキレス先輩。
この学園を代表する美人姉妹が有名なわけだけど、彼女達も若い頃はこんな感じだったのだろうか。
嵐のような二人が去った後、オレンジジュースを一気に飲み干すと寮を出て教室へと向かった。
……
207苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:13:04 ID:cYe3kAAM
私の名前はタケシ
人は私をキングと呼ぶ。

さて私には今悩みがある。
婚約者のリョウコが写真を売りさばかれるという恥辱を味合わされたショックで寝込んでしまったのだ
犯人が写真を張り出され一応社会的制裁は受けたことで事態は収まったかのように見えたが……。
いまだにリョウコは寮の自室に引きこもったままなのだ。
先生達が始末をつけたことに、口を挟める身分にないことは重々承知しているのが……。
今年新入生として入学したナイトやビショップの息子や娘は、親に似て血の気が多いのか
見つけ次第処刑すると息巻いている。
(どうしたら良いのだろう。)
師であるシャドームーン先生に相談しては見たのだが
「王とは孤独なものだムーン。」
としか助言はいただけなかった。
ようは私自身で考えろということのようだ。
もしかしたら、キングと呼ばれることで驕っていたのだろうか。
自分では周りの声に耳を傾け努力してきたつもりだが、知らぬ間に裸の王様になっていて
ファンガイアの未来のクイーンなどそこらの娼婦と同じだとナメラレているのだろうか。
ナイトやビショップの子供ということは、彼らは将来私やリョウコの片腕となってくれる人材である
リョウコを大切に思ってくれている彼らの気持ちも大切にしてやらねばならない。
「キング…キングよ。」
「ん?」
「今日の稽古は終わりでよいのか?」
「ああ…すまん。今日はこれで終わりだ。明日の稽古の時間は……。」
心静かに瞑想するはずが、いつのまにか考え事にすり替わってしまうとは私もまだまだ未熟。
「押忍!!!」
部員達は元気よく挨拶をすると、私と道場に一礼すると一人また一人と道場を出て行く。
残ったのは私とハイドそれにロキ(ビショップの息子)とキマイラ(ナイトの娘)
「悪いがハイドと二人にしてくれ。」
「わかりました。キング顔色が優れないようですが、最近寝ておられますか?」
「キマイラ……キングはハイドさんと二人でお話をされたいと仰っているんだ。
 我々にできることはすぐにこの場を離れること。」
「失礼しました。」
二人は丁寧にお辞儀をすると出て行った。
208苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:13:24 ID:cYe3kAAM
「…で我輩に何かようであるか?」
「私は舐められているのだろうか。」
「そんなことは無いと思うが……。」
ハイドが首を傾げながら答える。
「では何故クイーンの写真が出回るなどということが起きたのであろう?
 私が恐れられていれば、あのような事は起きなかったはずだ。」
う〜む。と唸りながらハイドが黙り込む。
(やはりナメられているのか。)
「我輩が思うに学園の風紀が乱れておるのではないかと思う。」
(風紀が乱れている?)
思わずギュッと眉をしかめる。
「聞けば正義格闘技部は主将のコウジが弛んでいて、ロクに練習もしておらんらしい。
 我等がいかに頑張っても所詮は悪部。風紀を作り出すのは正義部なのではないだろうか。
 本来なら交流戦で目を覚まさせるのが筋なのだが、不幸にも去年は途中で中止になってしまったであろう?」
そういえば、そんな話もあったな。
「なるほど、正義部が弛んでおるからあのようなことが起きたというのだな?」
「そ…そ…そうだ。そうである。間違いない。」
ハイドが垂れた汗を拭いながら頷く。
(そうか。そうだったのか)
「ハイドよ。ちょっと付き合え。」
「ど…どこへ行くのだ?」
「決まっている。正義格闘技部に気合を入れに行くのだ。
 決闘の邪魔する奴がいたら排除してくれ。」
「心得た。ふふふ腕がなるわい。」
209苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:14:02 ID:cYe3kAAM
正義格闘技部の道場の前には、喫煙を満喫する生徒がたむろっている。
入口の前なので邪魔でしょうがない。
しかも部活棟は禁煙エリアだ。
「お前らここは禁煙ぞーんであろう。?」
「なんだ。お前ら。」
なるほど初対面の人間に対して、この口の聞き方…悪格闘技部ならありえないことだ。
ハイドの言うように風紀が乱れている。
「邪魔だ。」
入口の前の生徒をハイドが蹴り飛ばす。
こういうところを見習ったほうが良いのかもしれん。
「何もんだ!」
「道場破りに来たと主将に伝えるが良い。」
うわぁぁと叫びながら下っ端と思しき生徒が奥へと走っていく。
……
我輩の名前はハイド。
今日は訳あって正義格闘技部に来ている。
横に座っているのは…悪格闘技部主将のキングである。
例の写真の件、何で起こったのかと聞かれたので、こういう悪事を防ぐために正義がいるわけで…。
それが機能しなかったということは、正義部が怠けているのではないか。と
キングに見解を述べたところ、何を思ったか道場破りをすることになってしまったのである。
「生憎今日はジュリがもう今日は帰ってしまってな。」
コウジがキングの前に座って説明する。
「構わん。主将はいるわけだ。頭を潰せばそれで良い。」
温厚な人は怒らせると怖いというが本当のようだ。
いつもの冷静なキングはどこへやら
「まぁ、そんなカッカすんなよ。」
おちょくるコウジを睨みつけると、キングが立ち上がる。
「構えろ。勝負だ!!!!」
迫力のある声に思わずビクっと反応した。
「コウジさん、俺が変わりに片付けてやりますよ。任してください!」
キングとコウジの間に突然現れたのは、坊主頭のタカノリだ。
「構わん。1秒で片付けてやる。」
おいおいキングよ。自分のキャラ忘れてないか
210苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:14:42 ID:cYe3kAAM
「やれるもんならやってみろ!変身!!!」
ブラックのボディーにオレンジのライン姿だけ見ると、まるでダークヒーローだが、
立派な正義部の一員仮面ライダーカイザの登場だ。
「引き受けよう。」
カイザ如きならキングが出るまでもない。
「ハイド!ここで会ったが百年目!!決着をつけよう。」
「デスサイズ!!」
ガムテープで補修されていた窓がパリンと割れ、デスサイズが左手に到着する。
柄を握ると大鎌モードへと自動的に切り替わる。
「貴様の命、今日ココで刈り取ってくれよう。」
大鎌がカイザのボディーを切り裂く。
鎌の間合いが測りにくいのか。
一振り二振り面白いようにヒットする。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
カイザはボディーからバリバリと火花が飛び散り
壁に叩きつけられた勢いで壁を破り外に吹っ飛んでいく。
『GOOD BYE』
ダメージがあまりに大きいのか、変身が強制的に解除される。
(ふん。止めを指しておくか。)
『ブレイドモード。』
痛む体を引きずりながら、なんとか立ち上がろうとしているタカノリに剣を振り下ろす…
「待て!!武器を持っていない相手に卑怯じゃないか!」
確かエリカを親の仇の如くライバル視しているハルカとか言ったか。
「武器を持ってないのはこいつの都合であろう?
 何で悪部の我輩が合わせねばならんのだ?」
「それは暗黙の了解というか。今度は私が相手だ!!変身!!私は希望の女帝 シャダイム!!」
突然背後から飛び掛ってくるもんだから、デスサイズを蹴り飛ばされてしまった。
カランカランと地面に転がっていく。
「勝負だ!!」
女を殴るのは趣味ではないが、そんなに死に急ぐなら相手になってやろう。
ガッシリと両手で組み合う。
「やるじゃない。」
「貴様もな!」
改造人間とはいえ、これが女の力か。
エリカを倒すために随分努力したのだろう。
手加減しているとはいえ、我輩の力を今にも押し返しそうである
「武器を持ってないと女一人圧倒できないのか。冥府の王も大したことないんだな。」
「今度は60%である。」
安い挑発にのって力をグッとこめる。
「こんな挑発に乗るとはお前彼女いないだろ。」
黙れ!五月蝿い殺すぞ!!
(あ・・・しまった。)
一瞬力入れすぎた。
両膝を地面につきながらも何とか応戦するシャダイム
そのときシャダイムのベルトがチカチカと光りだす。
211苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 21:15:08 ID:cYe3kAAM
光の間隔は徐々に短くなり、シャダイムの体が発光を始める。
(ま…まぶしい。)
「私は残虐の女帝 仮面ライダーアナト!!」
発光の色は徐々に深紅に変わり始めたとき、シャダイムの声が聞こえる。
たださっきの声より少し性格の悪そうな低い声だ。

仮面ライダーアナト
もっとパワーが欲しいというハルカの願いにエンペラーストーンが応え生み出された姿。
赤くとがった形の冠を被った女戦士 ボディーカラーはダークレッド
テクニックやスピードはシャダイムより少し落ちるが、それを補って余りある程の圧倒的なパワーが売り
ソラスブレードはこのモードでは、馬鹿でかくなる。

パワーモードということなのか。一気に膝を伸ばしイーブンの位置まで手を戻される。
「まだまだここから本領発揮だ!」
ググっと手が押し込まれる。
「見よ!これがアナトのパワーだ!」
「うむ。見事なパワーだ。しかしまさか我輩も変身できることを知らぬわけではあるまい。」
「なに?」
「今の人間状態の能力を10とするなら、本来の姿に変身した場合の能力は100である。」
「どうだかな。女に押されて焦ってるんじゃないか?」
「その身に刻みこめ、これがパワーだ。変身!!!」
額の角がニョキニョキと生え、肌の色が色が赤くなる。
「酒呑童子参上!」
組んでいた手をパッと離すと、力んでいたアナトが体勢を前かがみに崩す。
そのままアギトの両腕を脇の下に挟んで固定する。
「まずは…。」
脇の下で挟んだ右腕をピンと伸ばさせ、アナトの肩を掌でグッと押す。
そのまま真上に右膝をあげ梃子の原理を利用して右腕を破壊する。
ボキリという嫌な音と共に心地よい悲鳴が聞こえた。
(もう1回♪)
同じように左腕も破壊する。
「まだまだ続くぞ。」
腋をパッと離し、左右の脚にアウトローキック。
「グァ…。」
カクンと頭が下がる一瞬を見計らい、アナトの後頭部を掌をで押さえ全体重を掛けた飛び膝蹴り
右膝がアナトの顔面を串刺しにする。
ちょうど良い高さになったので、
続いて前蹴りから左右の中段と上段回し蹴り、そして渾身の踵落とし・右アッパーなどのコンビネーション
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
(決まった!!)
数にしてキックとパンチ合わせて25連打 
自己ベストを2打更新したとき、サウンドバック同然となったアナトの体が一回転して地面に倒れる。
「見たか。これがパワーだ。ハハハハ」
(ほぉ。)
最初の腕を折ったとき以外は叫び声一つあげんとは、なかなか性根の座った女である。
(お楽しみはここからなのだ。)
しかし一向にアナトに立ち上がる気配はない。
体力を回復させるつもりかもしれないがそうはいかない。
「まだ。参らぬか。流石は残虐の女帝と名乗るだけの事はある。」
倒れたアナトの腹と頭を2・3回サッカーボールキックしてから踏みつけた。
212創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 21:34:10 ID:szFgEM21
さるさんかな
213苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:01:04 ID:cYe3kAAM
「その辺にしとけ。お前の勝ちだ。」
コウジが我輩の肩に手を置く。
「まさか死んだのではあるまいな?」
「そんなヤワではないはずだぜ。」
足元を見ると、変身が解けているのに気がつき慌てて足をどける。
(いかんいかん。)
意識を失った戦闘要員への攻撃は校則で禁じられている。
(にしてもつまらん、もう終わりなのか?)
せっかく久しぶりに変身したのだ。もう少し戦いたい。
「もっと骨のある奴はおらんのか?」
「いるぜ、ここに!」
「リョウコが交流戦に出さなかったのは正解だったようだ。」
主将二人が我輩に向かって拳を向ける。
(何故こうなる?)
二人の後ろではネロとカストルがハルカを邪魔にならないように運んでいる。
本来は戦闘員の仕事なのだがこの場合は仕方がない。
「後輩の相談に乗るのも王の務め。変身。(キバットバットが紋章をカプリ)仮面ライダーダークキバ!」
「負けた奴に同情はせんが、俺は女を殴る奴は許せん!(斬る蹴る関節技はあり)変身!
 戦いが呼ぶ 血が呼ぶ 女が呼ぶ 悪(オレ以外の全ての男と生意気な女)を倒せとオレを呼ぶ!
 オレの名は仮面ライダートール!!ドカン!!」
背後で待機していたネロが打ち上げ花火に点火をしたである。
赤と黒のボディーとコウモリをイメージしたと思われるダークキバと
ボディーに金色のベルトをし、白いマントを身に纏ったトールとかいうライダーがジリジリと間合いをつめる。
「サンダーボルト!!!」
トールが人差し指で空を指すと、落雷が我輩の周囲に落ちる。
「この程度。」
狙いが正確なだけに避けやすい。
「フエッスル3」
ダークキバのベルトについているキバットバットがピューと笛を吹くと
地面にキングの腕にある紋章が薄黒く出現し我輩に向かってくる。
(まずい。)
この紋章は敵を捕縛しダメージを与えるタイプの紋章だ。
落雷を避けながら紋章に捕まらないようにするのは流石の我輩でも至難の業である。
「グワァァ!!」
早々に紋章に捕まってしまい体が痺れる。
一定時間経つと、ダークキバに体を引き寄せられる。
キック→紋章→キック→紋章のコンボである。
214苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:01:28 ID:cYe3kAAM
(うう)
10往復はしただろうか。
ようやく紋章から解放され自由になったが膝はガクガクである。
(少しは加減せんかい。)
「ライダーキック!!」
「死ね。必殺サンダーーーーキック!!!」
二人のライダーが同時に空を飛ぶ。
(今死ねって言わなかったか?)
「なんのアルティメットナックル!!」

アルティメットナックル
ハイドの必殺パンチ
拳に炎を纏い渾身の力で殴りつける。

パンチとキックがぶつかり、大爆発が起こる。
幸いこの場所は引火するような建造物は無いので問題ない。
カストルやネロがゴホゴホ咳をするくらいだ。
「もう一度だ!!」
トールが再びジャンプしキックの体勢に入ったので、慌てて我輩も準備を整える。
再びパンチとキックが衝突しようとした瞬間、トールの変身が解ける。
(げ…止めれない。)
振りぬいた拳が体勢を崩したコウジに当たりそうなそのとき、
突然男が現れ我輩のパンチを片手でいなす。
(生身の人間が片手で我輩のナックルをだと)
男はそのまま我輩を背負い投げする。
(んな馬鹿な)
驚愕の出来事に驚くあまり受身も取らず地面に叩きつけられてしまった。
「非常事態宣言で研修が中断されたんで一汗流そうと思って来てみれば…」
男は飽きれたようにコウジとダークキバに説教している。
三人は知り合いのようである。
「いやぁ、助かりましたユキチ先輩。」
コウジの背中が我輩の視線を遮る。
服が白いため汗で肌が透けてみえる。
(ん…、コウジの背中に…傷???)
215苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:01:59 ID:cYe3kAAM
……
今日の講義を終えた私は自分の研究室でホッと一息
(さてとどうするかなぁ。)
先生が戻ってくるまであと1週間……それまでに上手い言い訳を考えなければならない。
科学的好奇心で売りましたなんて言い分が通らないことはわかっている。
理由や経路はどうあれ、私の造った兵器が悪の組織の手に渡り悪用されてしまっているのは事実だ。
これには否定のしようがない。
ダイナマイトを悪用されたノーベル博士もこんな心境だったのだろうか。
(ん…)
寝不足のせいか、朝が早かったせいか、授業中もときどきうたた寝をしてしまった。
(私としたことが……)
フッと目を瞑る。
どのくらい寝たのだろうか。
タルタロスの声がする。
(もう研究室には来るなって言ったのに)
「姫…」
(何よ。)
「動いてはなりませぬ。」
(え?)
目を開けると首筋に銀のピアノ線が…
……
216苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:02:30 ID:cYe3kAAM
拙者の名前はタルタロス。
好きなモノは姫。嫌いなモノは姫と妹のプルート以外全部
冥府でいろいろな勉強をしていたので、成績は優秀。
実技の方もウルヴァリン師匠やパニッシャー師匠に鍛えて貰ったおかげで割りと特異なのでござるが
このことはゼミ以外では、姫と拙者だけの内緒なのでござる。
あ…あと姫の家来のハルカ殿も知っておるでござるが、タナトスの事は秘密でござる。
もちろん家族も知らんゆえ、ユイ殿やコウジ殿にも口止めをお願いしている。

「もう一度言う。姫の首に掛かっている物騒なモノを引っ込めるでござる。」
拙者の右手の短刀は女の頚動脈に当てられている。
「嫌だと言ったら?」
「死んでもらう。」
「おお、怖い怖い。」
この女恐怖心というものはないのでござろうか。
ニヤリと笑うと首を絞めている左手を外そうとする。
「動くなと言ったはずでござる。死ね!!」
「オマエガナ!」
耳元で男の囁きがボソッと聞こえる。
(何?)
拙者の首筋に突然忍者刀が出現する。
「動くと首を刎ねるぞ。」
「形勢逆転ね。」
「二人組だったのでござるか。
 貴様が拙者の首を刎ねた瞬間に右手で女の首を刎ね、
 そして刎ねられた拙者の首は貴様の腕を食い千切るでござる。」
「たいした忠義ねぇ、兄さんどうする?」
「エレボス任務のためだ、死ね。」
「見つかったのはアチキのヘマだししょうがないか。」
『ハイハイハイ!!そこまで!』
背の低い女が拍手して研究室に入ってくる。
「姉ちゃんごめんよ〜。」
先程の強気さとはうって変わって甘えた声
「オイラはミスってないだべさ。」
「テュポン、エレボスご苦労さんどす。」
(姉ちゃん?)
どうやらこの三人は姉弟のようである。
217苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:03:21 ID:cYe3kAAM
「久しぶりどす、ナツミはんもたまにはウチの研究室いらしてくださいなぁ。」
「アキレス先輩は相変わらず悪趣味な悪戯しますよね。」
姫が笑いながら女と談笑を始めた。
笑った顔の姫が一番拙者は好きでござる。
「そうどすか?」
「私がパニックになったらどうするつもりだったんですか?」
「ナツミはんはそんなタマじゃありまへんやろ。
 ところでナツミはんの後輩の旦那ハンに刀仕舞わせてくれへんやろか?」
「貴様の子分が姫の首筋から手を離すのが先でござる。」
アキレスはクイっとエレボスに顎で何やら指示をする。
「わかったわよ。はい、離した。」
エレボスは大袈裟に銀のピアノから手を離した。
「…そのもう一本もでござるよ。」
「旦那ハンこれが見えるんどすか?」
「当然だ。拙者の目をごまかせると思うな。」
実は本当は適当に言ってみたのだ。
赤影師匠のゼミでわかりやすい武器ではなく、本当の武器は隠し持っていることがあると聞いたことが合ったからでござる。
一個目の武器を放棄して油断させてブスっと相手を貫く、ブービートラップでござる。
姿を見せたエレボスに神経を集中させ、透明なテュポンが止めを刺すという方法を使ったので、
そういうタイプだという予想はだいたいついていたが、本当に持っているとは思わなかったでござる。
「離したっす。今度はアンタの番っすよ。」
「貴様の指図は受けん!それに誰も離したら自由にすると約束した覚えはない。」
この兄妹のことでござるから拙者と妹ごと姫を刺さないとも限らない。
特にテュポンは目つきが鋭く、ウチのハイド兄者に似ていて危うい印象。
「タルタロス!三人は先輩よ。」
姫は安眠を妨げられ、ご機嫌斜めのようでござる。
「このアキレス先輩はねぇ、悪部にこの人アリと言われている伝説の科学者よ。
 体が虚弱だから試験のたびに病気になってるから
 三留してしまって弟や妹の方が上級生になってるけど
 悪部なのと試験にいないから有名ではないけど
 私なんか足元にも及ばないんだから、その証拠に一年生から研究室を与えられてるわ。」
(珍しい。)
姫がここまで他人を褒めるとは、拙者の知る限り初めてではござらんか。
218苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:03:53 ID:cYe3kAAM
(どういう関係なのでござろうか。)
「わかったでござる。」
拙者は武器を懐にしまう。
「どうかしましたか?」
「いやぁ、ナツミはんに聞きたいことがあるんどす。
 昨日からニュースでやってる件と言えば、心あたりあるでしゃろ。」
(ニュース?)
姫の顔色が一瞬曇った。
どうかしたのでござろうか。
「長話になりましょうから、向こうで遊んでくると良いでしゃろ。」
「行くっす。」
二人が研究室を出て行く。
「タルタロスもよ。」
「しかし……」
「私の言うことが聞けないの?」
姫がジロリと拙者を睨みつける。
何もそんなに睨まなくても良いでござるのに。
「御意!!」
拙者は研究室を出ると、胸ポケットにある盗聴器のイヤホンを当てる。
(姫に危険があってはならん。)
屋根があるためか、受信状態が悪いでござる。
仕方なく研究棟から出る。
(このチャンネルだったか……。いや、これは女子寮の食堂でござった。)
チャンネルをカチャカチャと合わせていると、二つの人影が拙者の前に立つ。
219苦悩 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:04:31 ID:cYe3kAAM
「何か用でござるか?」
「さっきは姉さんの前で恥を掻かせてくれたっす。お返しするっす。」
「ほぉ、さっきは姫の前、故に引いてやったが、どうやら死にたいらしいでござるな。」
刀と刀がぶつかる。
流石に二人の相手を同時にするのは骨が折れる。
一人一人もかなりの技量だが、奇襲攻撃やコンビネーションを特に鍛えているようでござる。
(あそこにいるのは…)
姫の家来のハルカ殿の姿が見える。
この際贅沢は言えない。足を引っ張られなければそれで良いでござる。
エレボスを地面に蹴り飛ばす。
「な…何だ?敵襲か?」
ハルカ殿は首をキョロキョロとさせている。
「上でござる。」
「タルタロス……、お前何やってんだ?」
「こいつら姫の命を狙ったでござる。
 こらしめるから家来も手伝うでござる。」
「だから私は家来じゃない!それに私は今……」
「男は拙者が引き受けるでござる。」
「二人まとめて始末するっす。」
エレボスが口の中からバズーカを取り出す。
あれがあの女の能力でござるか。
「仕方ない。変身!!あれ…変身!!」
「ど…どうしたでござる?」
ハルカ殿の変身の声だけが何度も空に消える。
「何か知らんけど、チャンスっす。」
エレボスが引き金を引くとミサイルが発射された。
220 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/10(火) 22:07:44 ID:cYe3kAAM
中途半端な京都弁と大阪弁がでてきましたが大目に見てください。
キャラをわかりやすくするために、方言を取り入れようと目論見ました。
205で昔XライダーをGシリーズが分析したとき、100%にならなかった理由はそこらへんにあります。
完全に蛇足ですが…
221創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 22:49:35 ID:5u+6r3Jz
投下乙
盛り上がってきてますね。
特にヒルトはほんわかしてて好きだわ。
222創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 22:56:37 ID:szFgEM21
>>220
大量投下乙です
ハルカ災難だなあwかわいそうに
色々いておもしろいね
223創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 13:46:36 ID:QKKBZzCL
大量投下乙
先生とか生徒のアイデアはまだ募集中なんかなぁ
サイコキネシス使う奴とかどうよ
224創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 16:21:26 ID:waQI41vi
ジーン・グレイみたいな?Xメンも調べてみると深いもんだな
アメリカの子供はあんなん理解してるんだろうか
225創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 19:45:09 ID:hzxYDuKC

魔法少女――それは少女のドリームを体現したヒロインである。
学園の傍に佇むマンションの一室で一人ペンを走らせるルイーゼの姿があった、
上下はしまむらのルームウェアに身を包み、ちらちらと時間を窺うように落ち着きがない。
玄関から呼び鈴を押す音が聞こえたイルーゼはぺたぺたと素足のまま応対に出る。

「お手伝いにきたのですよ」
「あぁ、アイちゃん助かったわ、じゃぁジャージに着替えて
原稿に写植打ち込むのを手伝ってちょうだい」
「アイアイサー!」

カロリーメイトをモサモサと口元に詰め込み、朦朧とした瞳で原稿へと向かう。
残り原稿は二枚、ホワイトで修整を済ませトーンワーク
アイが全ての原稿に台詞の文字を入れれば完成となる。
テンションが少しおかしくなったイルーゼはブツブツと何事かを呟きながらアイに語りかける。

「ねぇ、アイちゃん? ヒルトとコータどっちが受けだと思う」
「ウケってなんですか?」
「うふふ、何ってあなた、ヤラれる方よ……」
「? ヤラれるのはいつもヒルトに決まってるですよ?」
「奇遇ね、私も同意見よ、
きっとアイツは俺様の総受けね、運命めいたものを感じるわ」

ふふふと笑いながら、片手にカッターを持ちながら原稿に貼るトーンを捜す。
探す内に次第に顔が青ざめていくイルーゼ、ふと脚の周辺に
トーンの切れ端が付いているのが目に入るとそれを剥がし原稿に貼った。

「サイズ的にもちょうど良かった、これも日頃の行いのおかげね」
「文字がゴチャゴチャしていて読めないのがあるです、
これはなんと読むのですか?」
「勃起よ」
「勃…起……と」

アイのボディから伸びた端子がパソコンに繋がれ、デスクトップ上のアプリケーションから
プリンターへと出力する、ぺたぺたと台詞の中を埋めていくと
ついには”怪しい原稿”が完成したのであった。

「後は入稿するだけで終り、今回は筆のノリが今一だったわ
さぁ、アイちゃん次回作の資料を撮影しに行くわよッ!」
「人遣いが荒いです……」

イルーゼがカルティエの財布から現金を取り出すとこっそりとアイに袖の下を渡した。

「たとえ火の中、水の中でも、お供致しますですよッ!!」
「ふっ、頼もしい仲間が出来て私も嬉しいわ」

ヒーロー学園の地下訓練施設、今日も今日とて二人の男達が火花を散らしていた。
コータは手に持った両刃剣ビートブレードを横薙ぎに振るうと、ヒルトは難なくその刃を掌で受け止める。

「うぅーッ! 何でッ?」
「出す技出す技、狙いが単調なんだよ……ところで」

デジカメを持ち、遠巻きに二人の対決を見学していた二人をヒルトはジト目で見つめる。

「チミ達、構内は撮影禁止だぞッ!」
「カタいこと言わないでよ減るもんじゃなし、ねぇアイちゃん」
「これも世の為人の為なのですよ」
(何か嫌な予感がするなぁ……)

レンズ越しに感じる視線に身の危険を感じるコータなのであった。
226創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 21:55:56 ID:waQI41vi
イシイさん何やってんだwヒルト受けw
コータだんだん強くなってる感じするなあ
227創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 04:06:27 ID:vz4eLgCq
投稿乙です!イシイさんなんちゅう本作ってんのw
ちょっと見てみたいような見たくないようなw

そういやヒーロー学園のバレンタインは色々と激しそうだなあ
228創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 12:54:46 ID:oDZO8XJB
作者氏にはトリップくらいつけて欲しい。
wikiにどう保管したら良いのだろう
229困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:19:43 ID:SPKcefCa
「わぁぁ!!」
ミサイルが発射されたところで私の目が覚める。
(またあの時の夢か。)
額の汗を拭いながらホッとため息をつく。

私の名前はハルカ。
体内に移植されたエンペラーストーンで、仮面ライダーシャダイムに変身していた。

こうやって自己紹介するのも、もう何回目になるだろうか
さて今「変身していた」と過去系で言ったのに理由がある。
あの後ナツミにすぐに両腕を修理してもらい再度変身を試みたのが失敗に終わったのだ。
もしかしたらと思いベルトを検査するも、そっちの方(エンペラーストーン)は至って正常……
最初は連戦の疲れの影響とナツミ共々タカを括っていたのだけど、
あれから3週間、未だに変身ができずにいる。
(世界の危機だというのに……)
私は何をしているのだろう。
こういうときにはバイクをかっ飛ばして、海にでも行きたい気分
しかしカーテンを指でちょっとだけ開けてガッカリ、窓越しに見ても分かるほど土砂降り
(せっかくの休みなんだけどなぁ。寮の室内プールで泳ごうかな……。)
どうせ泳げば濡れるしサーフィンでもと思って目をやると、サウナスーツを着込んだ数人の姿が……。
(キングさん今日も砂浜を戦車引きながら走ってるよぉ、
 クイーンさんもいい加減電話くらいしてあげれば良いのに……。)
最近はゲームをやりつくし今度は映画にハマったとかで、隣室のフレイアさんに視聴覚室からMPD(マルチプレイディスク)
を大量に借りてきてもらうだけでは飽き足らず、インターネットレンタルサービスもフルに活用しているみたい。
(前から思ってたけどクイーンさんって凝り性よね。)
一度返却を頼まれて以来、私がその返却係に任命されているんだけど1回の量が半端じゃないの。
少ないときで10枚位、多いときで20枚位あるんだ。
もしかしてレンタルした物をコピーして良からぬ事に使っているのではないかと勘繰って、
借りていた心理学の参考書を返しがてら、向かいのクイーンさんの部屋に遊びに行って驚いたよ。
クイーンさんの部屋には入学式前日、女子寮に家具等を運び込んだとき母と一緒に挨拶に行って以来チョクチョク遊びには行ってたはずなんだけど、、
最後に入室したときよりも漫画や小説を仕舞う本棚が3個くらい増えててまるで図書館みたい。
でも一番驚いたのは、アキレス姐さんに誕生日プレゼントということで造って貰ったという
10.1サラウンドシステム(最新音響システムで100箇所にナノマシンが配備されてあり、それぞれが本来聞こえない音まで再現することで、映画の中に入ったような錯覚を起こす)と
ナノマシンテレビ(空中に散布したナノマシンによって光を反射・屈折させ精密な立体映像を作り出すシステム世界に一個しか居ないテレビ)だよ。
部屋を真っ暗にすれば、それはまるで映画の中の登場人になった気持ちになれるらしい。
ちなみに私が部屋に入ったときには、ヒーロー学園の講堂が巨大怪獣に踏み潰されるというシュールなシーンだった。
(こりゃぁ、一年くらい出てこないかもね。)
230困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:20:12 ID:SPKcefCa
寮の中にはボーリング場からスポーツジムまで完備されているとはいえ、流石に飽きないのだろうか。
後ろを走っているのはジュリさんと……ネロ…ネロ???
自分で言って思わず確認しちゃったよ。あの黄色いモヒカン頭はネロで間違いない。
(意外に頑張ってるのね。)
ジュリさんが直々にダイエット迎えに行くカストルは当然にしても、ネロまで走っているとは思わなかったよ。
(そういえば、カストルはどうした?)
ジュリさんに引きずられては居なかったので、多分近くにいるはずなんだけど……。
(いたいた。)
カストルは砂浜にクレーターのような穴を空けながらトボトボと歩いていた。
(少しずつだけど走る距離は伸びてるんだから元気出せよ。)
『一周ちゃんと走るのに付いてきたら、ご褒美に一週間私の事好きにして良いぞ。
 その代わり走らなかった日は、イクサに触れることは許さん。
 苦手なことから逃げるような弱虫に私のイクサを預ける気はない。』
というジュリさんの発破が余程聞いたのだろう。
(恐るべし、妖狐の性欲)
動機は不純だけど、みんな前に進んでるんだなぁ……。
私も明日から変身できない理由をナツミと検証しなきゃな。
………
231困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:21:06 ID:SPKcefCa
『赤外線センサー解除します。第一ゲート開錠します。』
ここは男子寮の地下格納施設…
(ふん。チョロイでござるな。)
能の仮面を被り深紫の装束を身に纏ったウラノスは足音を立てないよう慎重に小走りで次のゲートに向かう。
彼の目的は最深部にあるマシン学科のスリープエリア
管理職員は既に催眠ガスで眠らせているが念のため、1時間前の映像をエンドレスで監視カメラの映像として流してある。
この学園の生徒である彼が夜な夜なこうして侵入してきたのには理由がある。
(今度は声紋認証か。網膜認証か。)
「チェンジ…ホンゴウです。 開錠願います。」
顔を正義部の学部長ホンゴウに変え、ゲートを空けアクセス記録を抹消し奥へと進む。

私の名前はウラノス
聞いて驚け私は未来(1000年後)からやってきた最新・最強諜報用アンドロイドなのでござる。
アンドロイドとは言っても、この時代でいうとバイオロイドに近い。
当然人工知能IH〜は最新式で感情を抱くことも可能となっている。
尚、基本思考回路は父と母をベースにプログラムされており、そこから自動的に形成されていく。
父タルタロスから過去を守るように命令され過去のハイド叔父さんの所にやってきたのでござる。
過去の自分は色々と忙しかったのと息子が来たと知ると未来が変わってしまうからとのことだったが、
その判断が正しかったかどうかはまだ誰にもわからないでござる。
232困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:25:08 ID:SPKcefCa
(着いたでござるな。)
拙者のまずやる事は育ての母を捜すことでござる。
名前は「ヘラ」。
実の母が研究と仕事に没頭するあまり育児に手が回らなくなったのを見かねた父の友人が、お世話係にと卒業後倉庫で眠っていた彼女を送ってくれたらしい。
母上曰く「お義父さんとお義母さんが私の顔を見るたびに孫はまだかというし、
     私もまぁ立場的に子供くらいいないとまずい立場だし産んだは良いけど不治の病だっていうから断腸の思いで改造したんだけど、
     よく考えてみると、育児の手間もないし、怪我もしないし、手も掛からない。一石三丁だと思ってたんだけどねぇ。」といつもこぼしていたでござる。
だから拙者には母上は二人いるのでござる。
何故育ての母を捜しているのかというと、父の学生時代未来を見れる人物というのが噂になったらしいからだ。
肝心の名前はというと
父に聞いたところ「拙者は色々影で仕事をしていて部活にも入ってなかったし、それ以外はデートしておったしなぁ」という怪しいモテ期の話を聞かされ
生みの母に聞いても「そんなくだらない噂を覚えてるわけないでしょ!
          なんのために高い人工知能入れてると思ってるのよ。少しは自分で考えなさい。
          ああもう会議で忙しいのよ!じゃねぇ切るわよ。」という冷たい返事でござった。
心にダムはあるのでござるか?
育ての母は長い期間倉庫に眠っていたためか、集積回路の一部が破損しており過去のデータが消えている。
(はずれ……)
最深部にたどり着くと作業に取り掛かる。
両手を端子に変え、左右のアンドロイドに接続した。
(一度に二台やれば、半分の時間で済むでござる。)
この学園に潜入してはや半年、最初はその預言者とやらがもっと有名な話かと考えていたので、その人本人をいきなり探そうとしていたでござる。
しかし名前も顔もわからない者を探すのは予想以上に時間が掛かってしまったので発想を変えたのでござる。
パソコンにUSBケーブルを接続するように端子を接続すると、それぞれのアンドロイドの集積回路に侵入する。
233困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:26:05 ID:SPKcefCa
(ふん、この程度のセキュリティー……。)
機械科の生徒なら会った事がある人物をデータベースに保管している。
それを見たほうが早い。
(きっと母上も褒めてくれるでござるな。)
我ながらこの発想。ナイスアイデア!
セキュリティーをかいくぐり、記憶ファイルにハッキングし検索しながら重要そうなファイルのダウンロードを開始する。
文字にすると簡単に見えかもしれないが、何の痕跡も残さずこんな芸当が出来るのは1000年後の最先端テクノロジーの総合商社であるハイテク忍者(ジライヤ先生命名)ウラノスただ一人。
もちろんアクセス時間を捏造することも朝飯前
そのために事前にバックアップを取る時間を調べてあるでござる。
(チッ。両方はずれか。)
まぁ良い。まだまだアンドロイドはたくさんいる。
重複ファイルは削除し、追加情報をドンドンダウンロードしていく。
(なるほど次のテストは…。って忍者ゼミは試験も特殊だから関係ないでござる。)
30台くらいのデータを調べて見たが殆ど重複になってきた。
(ヘラのへの字も出てこないでござる。)
本当にこの学園にいたんでござろうな。
まさか時代を間違えたとかいうオチではないだろうか。
あの時の母上、会議資料を片手に8カ国同時衛星電話会議しながら拙者を飛ばしたし……。
「お……このアンドロイド可愛いでござるな。
 無駄なく洗礼されているて美しい。まるで母上のようでござる。」
今日一番の美人アンドロイドに小躍りしながら接続する。
「……。ん?なんだノイズが……」
234困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:26:30 ID:SPKcefCa
以下 超高速通信中の会話(会話にするとピポパポだけになるので文字化)
「貴方は誰?」
「起きてたでござるか?」
「私の名前はアイ、思考回路が3個あるの……。」
「ほぉ、まぁ起きてるのなら話は早い。人物ファイルを見せてもらおう。」
「誰か探してるんですか?」
「ああ……。ヘラというアンドロイドを探しているでござる。」
「ところで貴方は?」
「拙者か?拙者の名前はウラノスでござる。」
「私の名前はIC−01633 通称アイです。ウラノス君?おかしいですね、データが見当たりません。」
「当然でござる。そんなもの初日に寮からメインコインピュータにハッキングして消しておいた。
 つまりデータが御主達に送信される前にでござる。今あるのはダミーファイルでござる。」
「ふ〜ん、それでそのヘラさんを探してどうするんですか?」
「拙者は過去に行かねばならん。そのキーマンなのでござる。」
「よくわかりませんが、お困りのようですしお手伝いしましょう……。
 う〜ん。見当たりませんね。ヘラさんですよねぇ?」
「アイ殿でも駄目か。どこにいるんだ母さん。これじゃぁ未来が見える人なんて見つかるわけないでござる……。」
「未来が見える?その話なら前にどこかで聞いたような……。」
「本当でござるか?」
「少し待っててください。ん…んと名前はわかりませんが、仲間のイルーゼちゃんが食堂で占い師にあったって言ってたような…」
「イルーゼ?拙者のデータベースにはまだない名でござる。その人物ファイル頂くとしよう。」
「そんな強引なことすると、女の子に嫌われますよ。条件が二つあります。」
「条件?一つはお面を取って顔を見せてください。もう一つはまた夜に遊びに来て未来の話聞かせてください。」
「お主、拙者に通信中でファイヤーウォールがないとはいえ、拙者の暗号化されたファイルを解読するとはやるではないか。
 仮面は取るのは何故でござる?」
「友達の顔を見たいからです。駄目ですか?」
「友達?」
「ウラノス君と私はこうして一つになったんですよ。初めてだからお相手の顔くらいみたいじゃないですか。」
「…まぁ良い。拙者は顔がたくさんあるから…」
「本当の顔を見せてください。」
「……仕方ない……その代わり保存はするな。誰にも言ってはならんでござる。」
「わかってます。その顔は…」
「母上の知る者で最も勇敢で立派に死んだ戦士の顔をモデルにしたそうでござる。」
「え…その方は…裏…」
「さぁ、ファイルをくれ。もうすぐ夜が明ける。近いうちにまた遊びに来る。」
235困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:28:40 ID:SPKcefCa
データを受け取った拙者は体を液体金属に変えると、換気口から格納庫を出る。
(友達ってなんだ?初めて聞く言葉でござる。)
アイ殿は友達っていっていたでござるが、どんなものなのでござろうか。
そして拙者の素顔をみて何故あんなに驚いていたのか……
(魔法使いイルーゼ……占い師……食堂……。)
まぁいい。また遊びに行ったときに聞くとしよう。
もしかしたら、何かの暗号かもしれんし。
カラクリ校舎の自室に戻った拙者は改めてファイルを確認する。
まずは母さん探しは後回し。
(それにしても、魔法使いって何科なのでござろうか……。)
見当も付かないので、あとでジライヤ先生に聞いてみるとしよう。
236困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:29:01 ID:SPKcefCa
我を名をネロと呼ぶ
またの名を超人ネロ(新ハルク)!!
焼肉が大好物である。
得意科目は歴史だ!

朝練を終えてカストルと別れた我はキングと共に食堂に向かう。
ちなみにカストルはジュリと明日の衣装とイクサのパーツを買いに出かけたのだ。
(まぁアヤツはサイズがデカイからなぁ。)
明日はヒーロー学園の創設に多大なる尽力をしたと言われるフランケンシュタイン夫婦とドラキュラ伯爵夫婦の結婚記念日
学生の間ではその日に付き合い始めたカップルは幸せになるという言い伝えが先輩から後輩へと語り継がれてきた。
(我らはコウジから聞いた。)
告白しない者もその日ばかりは、正義・悪、種族・信念の関係なくひたすら踊りまくるらしい。
ちなみに告白の際には、女子から男子へとチョコレートやクッキーをプレゼントするのが恒例となっていて
受け取った男はそれを必ず目の前で食さなければならないらしい。
(その女子がどうしても嫌いな場合には、失礼の無いように紳士的に断ることは認められている。)
尚、女子はチョコレートを義理・本命などいくつ贈っても良い事になっていたが、非常事態で食糧危機が起きるかもしれないのに
そういうことで良いのかという教師陣からの指摘もあり、今年から本命は3個までという制限が加えられたのだとか。
ただ、これにも抜け道があり、何を持ってして一個というのかは誰にもわからない。
カストルは姉のヘレネから「みんなに紹介するから恥ずかしくない服を着て来るんじゃ」と脅され、
洋服ダンスをひっくり返したのだが、月刊ヒーロースタイルやH★R★E★Oなどのファッション雑誌に載っているようなオシャレな服が
なかったため、恥ずかしくない服ってどんな服ですか。とジュリに泣きついたのだ。
未来をチラッと見たら、弟のタキシードと見比べて激怒したヘレネに夜通し説教された未来が見えたんだとか。
(シスコンか)
「何をブツブツいっているのだ?」
キングが卵を割りながら尋ねる。
しまった独り言のつもりが口走っていたか。
237困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 21:29:29 ID:SPKcefCa
「いや、それでな、キングに相談があるのだ。」
「私に相談?この後代々キングに伝わる帝王学の写経をするつもりなのだが……。」
キングは勉強熱心なのである。
「いやぁ、あのキングの変身したダークキバもう1回見せてくれんか?」
この前のハイド義兄(予定)の前で変身したあの姿見たいのだ。
「見せてどうする?」
「いやぁ、我の変身はまるで怪物だと非難轟々なんじゃて。」
先日も自治会のアンケート調査で
「ヒーローらしくないヒーローランキング」
「助けられたのか不安になるランキング」
「悪夢にでてきそうなヒーローランキング」2位以下にトリプルスコアをつけての三冠(グランドスラム)を達成したばかりなのである。
我はポケットからHPを印刷し赤ペンで線を引く。
「人は見かけではないと思うぞ。誠意を持ってせっすればだな……。」
「それはそなたがカッコいいから言えるのだ。
 どうせなら気持ち助けたいのである。」
「はてさてどうしたものか。」
キングがうーんと唸っておる。
これはもう一押しだな。
「もちろん、色は黄色と赤いマントとかもう初期の偽ライダーくらいわかりやすくする。
 著作権や肖像権など今厳しいからな。デビュー後に莫大な慰謝料を請求されたヒーローや怪人が何人居た事か。」
つい先日もよみがえりの儀式で復活したショッカーの博士の一人が、ホンゴウ学部長に対して、
仮面ライダー1号に搭載されているテクノロジーの特許はショッカーに属するモノであり、それを本来の意図せぬ形で使用するのであれば
パテント(特許料)を支払えとヒーロー裁判所に提訴し、裁判所が全面的にその主張を認め莫大な制裁金と慰謝料の支払いを課したばかりだ。(即日控訴済)
「ネロ君はそういう製造関係も出来るのか?それとも誰かブレーンでもいるのかい?」
下級生の我にも君付けで呼ぶとはなんと紳士的な男だ。
我も見ならねば。
(そういえば昔は将軍すら呼び捨てにしておったなぁ。)
「カストルが造ってくれるのだ。アヤツは手先が器用だからな。」
「ほぉ…。それで先程からデジカメを持っていたのか。」
「何とか頼めんじゃろか?」
238困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 22:07:00 ID:SPKcefCa
我のイメージではゴールドとかそういう派手な感じにする予定なのだ。
カストルはもう少し控えめな色にしたいようだが、
ここは装着者の意見を優先させてもらう。
我もようやく女子から黄色い声を浴びるヒーローになれる。
颯爽と登場してバッタバッタと敵を倒していく。
(想像しただけでも楽しみだ。)
カストルにも褒美を与えんといかんな。
何がいいだろうか。
クライシス時代の物は没収されてしまったしなぁ。
「そういえば、ネロ君は確か女子寮によく足を運んでいたな。」
いや、別にそんな通いつめてるみたいな言い方されてもなぁ。
サッとキングの顔色が変わる。
「クイーンは寮では元気にしているのか?
 明日のパーティーには出るのか?」
「知らん。自分で聞けばよかろうに」
実際男子禁制の女子寮に大型ゴミの搬送のアルバイトでいく我に入れるのは、
(結婚した場合にはGPSチップ付きのIDカードが配布され、妻の部屋と食堂のみ許される。
 尚 偽造・複製・売却した場合には退学処分。)
ゴミ捨て場くらいのものである。
それも誰のごみ化なんて見てる時間はない。
「男が女の機嫌を伺うなどと、そんな破廉恥な真似ができるか。
 私はファンガイアのキングとなるものだぞ。
 それにそんなことすれば、結婚後にアドバンテージを取られてしまうではないか!!」
「そんなに凄まれてもなぁ。」
キングって意外とメンドクサイ奴かもしれん。
ちなみに我は勿論、プルートを誘う予定であるが、邪魔が入らないか心配だ……。
「とにかく、クイーンを明日連れ出してくれ。
 それをしてくれたら、ダークキバでも何でもみせてやろう。」
239困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 22:07:33 ID:SPKcefCa
ここはヒーロー学園の島の最北端に位置する。
人呼んで最果ての教会や。
「主は全てをお許しになるであろう。」
懺悔の間のアルバイトは楽や。
このバイトにありつけたのも、ワイが有名な修道院の出身者だからや。
神父の格好をして、椅子に座って話を聞くだけでいいんやから、ほんまボロイ商売やで。
「次の方どうぞ〜」
相手の顔も見えんから、ヘビーな話も気にならへんしなぁ。
「ヒルトさんが最近コータさんやイルーゼちゃんと遊んででアタシと遊んでくれないので
 腹いせにヘレネのお風呂上りのプリンを食べてしまいました。
 神父さん…アタシはどうしたら良いのでしょうか?」
なんか論理が破綻しまくってる気がするんやけど……。

ワイの名前はヨハネ。
義理のオカンが厳しかったから、
人と話すときは「私」なんやけど真面目臭くて嫌いや。
さってさっきも言ったけど、ワイはバイト中やから待っててな。

「神に祈りなさい、そうすれば主は全てをお許しになるでしょう。」
便利な言葉やなぁ。
ワイ卒業したら教祖にでもなれるんちゃうかな。
迷える子羊(業界用語)は静かに祈りをささげると、懺悔の間を出て行く。
「神は何故悪党を生み出したのでござるか?」
この「ござる」口調…またアイツや。
ワイのバイトの邪魔しよってから、
なんでも悪の組織を一つ潰すごとに懺悔に来てるみたいなんやけど
「ワレ何しにきとんねん?」
コイツは懺悔なんて気はさらさらあらへんのや。
なんでも魂さえあれば、冥府では実態を再生できるから殺しにはならんのんやて。
(ようは商売敵や)
240困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 22:10:46 ID:SPKcefCa
「神の面を見に来ただけでござる。」
「なんやと……。神ナメ取ったらあかんで!地獄に送るで!」
「生まれ故郷でござる。」
せやった。コイツには脅しが聞かんのや。
「そこ喧嘩しないの。」
暗幕をあけてフレイアはんがメッと怒る。
「ター坊も飾りつけ手伝ってよ。
 ほらヨハネ君もそっちやって。」
フレイアはんはバイトの先輩や。
なんでも生まれは高貴なエルフ王の娘なんやけど、
友達を守るために人間を傷つけたために
追放されて今はダークエルフやから悪部におるんやて。
(どや?)
泣ける話やろ。
我慢せんでええねんで。
「ちょっとちゃんと押さえててよ。あと上見たら怒るからね。」
膝上35cmの黄色いミニスカートで脚立の上に昇ろうとするフレイアはん。
(そら無理やて)
学園でも3本の指に入る美女がミニスカートで脚立に昇るんやもの
しかもストッキングとかはいてない、生足やで?
それを上向くなっていうのは、マグロに泳ぐなっていうようなもんや。
あれや、蛇の生殺しや。
(それみんかったら。男子一生の恥やで)
「ふん、エロ助が。鼻血でてるでござる。」
修道院では清楚でガードの堅いシスターは一杯おったんやが、こんな大胆なシスターおらんかったんやもの。
しゃあないやろ
「自分かてお姫様おるんやろ?お姫様があんなかっこしたら鼻血くらい出すやろ?」
冥府には優しい女おらへんから、姫さんに惹かれた言うてたやないかい。
「姫はそんな淫らな格好はせんでござる。」
「ター坊、誰が露出狂ですって?」
フレイアはんがお気に入りの鉄のミュールでタルタロスの顔をグリグリと踏むつける。
あれやったら、丸見えやないかい、羨ましい限りや。
241困惑 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 22:12:32 ID:SPKcefCa
「ところで二人は明日は誰と踊るの?チョコもらえそう?0だったらあげるわね。」
明日の準備も一通り終わり、フレイアはんが笑いながら話しかける。
「拙者はそういうことに興味はござらん。ちょっと気になる者がおるので調べる予定でござる。」
「気になるって?」
「ちょっとグロンギとゴルゴム訛りの生徒を見つけたでござる。」
「またその話か。明日は安息日だから手伝わんからな。」
ワイも何度か一緒に組織を潰しに行ったことがあるんや。
だって今から行くって来るんやで、死なれでもしたら寝覚め悪いやん。
それにワイも悪の組織嫌いやしな。
「私は一人誘う子います、悪部の女の子です。」
「神に仕えているのではないのでござるか……。」
「だから安息日やっていうてるやろ。」
それに好きになったもんはしゃぁないやん。別に悪部やから駄目いうのも変やろ。
「で…どんな子なの?」
「赤いミニスカートよくはいてることです。あと黒い眼帯。
 そのこに明日眼帯を外してごらん。君は可愛いよ。って言ってあげるんや。」
なんや、タルタロス眉をしかめたり首傾げたり。
まさかワレも狙っとったんかい。こればっかりは譲らへんで。
主キリストやて結婚しておったんやからな。
「その黒い眼帯の女と話したことはあるでござるか?」
「何度か遊びに行ったことがあるで、あのハイドはんの妹はんや。」
「悪いことは言わん。火傷せんうちに他を探すでござる。」
「やけど?何言うてんねん。」
「まぁ良い好きにするでござる。
 拙者は止めたでござるからな。」
ふん…人の恋路を邪魔するヤツは馬に蹴られて地獄におちろや。
フレイアはんまで何がおかしいんや。
なんか受けとるやないかい。
いよいよワイの時代が来たで〜。これほんまに〜。
明日は気合いれていくで〜。
242 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/12(木) 22:16:48 ID:SPKcefCa
>>227
たぶんこっちのリクエストではない気がするんだけど、一応考えてはいたんだ
バレンタインではないですけど〜

>>225
またキャラ借りてしまいました。
すみません。

イルーゼって寮じゃないんですなぁ。
やっぱ地図が欲しいなぁ。
どんな島なんだろ
243創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 22:43:31 ID:YhyvrbcD
すごい勢いで投下するなあ 乙です
アイちゃんうまく使ってるね
ヨハネは腹黒いやつだったんだなw
244創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 09:21:15 ID:f5D608AW
お二方とも投下乙です。
コータのレベルアップ具合は今どのくらいなんだろう。
コミケとか行っちゃうのか。
245創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 12:15:06 ID:2DuexvID
ラスボスと毎日訓練してるんだから既にカンストしてるんじゃね?
246創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 15:47:16 ID:oVhHf0f5
>>201
別人であります、流れ的にお借りしました

>>228

>>173 劣等生

>>199>>200 ロボコン100点

>>225 イシイの一日

の三本です
次はグロウのお話です
247創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 15:48:14 ID:oVhHf0f5

「演習の成績が芳しくないのよね」

学園の教練の一室、互いに机を挟み、椅子に座り向かいあう
正義部機械科担当教諭、白木がそう言い放つとコータはピクリと肩を揺らせ、白木と目を見合わせた。
ヒーロー学園における”演習”とは一般に実戦演習を指し、市街戦、山林、地下施設など
島に点在する多数の戦闘スポットにおける戦績をまとめ、総合評価を下している。

「今までに撃破数が0、敵機体小破12、中破、大破、ともに0」
「僕……どうなるんでしょう?」
「コータ君、ここから先は少し真面目な話になるけど
学園側としても入学した人を送り出して、はい終わりと言う訳にはいかないの」

白木の声が穏やかな口調から一転して真剣みを帯びた声に変わり、
手元の資料をコータへと差し出しながら話を続けた。

「学園内では正義も悪も組織の門を潜ることで安全は保障されるけど
実戦でアウトサイダー相手ともなれば撃破されて死に至ることも珍しくない」
「……はい」
「今度行われる市街戦演習の結果次第よ、頑張ってね」

コータは一礼して部屋から出ると、下唇を噛み締めながらとぼとぼと廊下を歩いていく。
イルーゼやアイは実戦では相応の戦果を上げており、卒業は確実視されている。
それに引き換えコータは目立った成績を上げることが出来ず
鬱屈とした日々を過ごしてきた。

「僕だって……頑張ってるのに、何で僕だけ」

ふと窓から外を見下ろすと楽しそうに笑いながら家路に着く正義部の一団が目に入る。
ベルトを巻いて変身すれば強くなれる、そう信じていた夢想と現実の板挟み。
苛立ったコータはグロウのベルトを掴み出し、地面に叩きつけようと振り上げる。

「訓練場で待ってたのにコータ君来ないんだもん、酷いわ!(ぷんぷん)」
「ヒルト君……」
「なんだ、今日はえらくテンション低いな、白木に性的な悪戯でもされたか?
よもや、日本の教育機関の腐敗がここまで進んでいたとはッ!」

両手を広げて大仰に驚いてみせた、ヒルトを無視するようにコータは横を通り過ぎる。
いつもと違ったコータの様子をみても、自重しないヒルトは廊下を歩きながら口を開く。

「お前負け越してばっかだもんな」
「僕だって勝つ為の努力はしてるよッ!
寮のトレーニングルームで自主トレもしてるし、居残りで訓練もしてるよ!」
「他人より努力している自分は”結果”を出せると?……そいつは違うなぁ、コータ」

振り向きざまに大きな瞳を見開いてコータがヒルトに食って掛かると
頭に向かってぴしりと指をさしながら、言い放った。

「才能だ、才能……お前はタッパもないからその分膂力も貧弱だ
他の奴は1000や2000からスタートしてるから強い、お前は0からスタートなんだよ」
「!? そんなことないッ!」
「おいおい周りのヒーローを見てみな、努力なんてしてるぅ?
俺なんてちょちょいと体弄っただけで強くなったぜ? 超楽勝」

コータの体が小刻みに震えると目を潤ませながらベルトを強く握り締め、腕で顔を拭った。
ヒルトは一瞬無表情になるとコータの目を見据え問いかける。

「――ヒーロー諦めるか?」
248創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 15:49:00 ID:oVhHf0f5

互いに向かい合ったまま長い沈黙の後、コータはヒルトのいつになく真剣な言葉に息を呑む。
その表情は無機質でいて、感情が見えず、そこにいる友人はまるで別人であるかのようにも思えた。
仮に感情を当て嵌めるとすれば切なげな表情だろうか。

「……あ、諦めない」
「悪い、よく聞こえなかった」
「ヒーローになる、諦めないッ!」
「どうも歳のせいか耳が遠くなってねぇ……」

ヒルトの顔にいつもの砕けた表情が戻ると鼻を鳴らしながら手を上げた。
その様子を見てコータの顔に笑顔が戻るとヒルトの手が彼の肩を押す。

「ほんじゃぁ、訓練でもしにいきますか」
「うんッ!!」

翌日、早朝の市街地を覆う深い霧の中に演習に参加する戦士達が一堂に集い
思い思いに体をほぐすストレッチに入っている、市街地で行われる実戦形式の演習。
戦場に放たれた模擬戦用機体を追跡し仕留めるというもの、参加人数に引き換え放たれる敵の数は少ない
つまり戦績は早い者勝ちとなる。

「落ち着け……落ち着け、コータ」
「あ、ちょっと君」
「え…ぁ…なんでしょう?」

コータが腰にベルトを巻く途中、技術担当官の一人がコータのグロウベルトを手に取ると
しげしげとベルトの外周を見つめアナライザーを手にグロウのコードを確認していく。

「これ、設定モードがフラットになってるけど君が弄ったのかい?」
「え? フラットってなんですか?」
「駄目だよ、勝手にベルトの中身弄ったら」
「す、すいません」

まったく身に覚えがないコータだったがへこへこと技術管に頭を下げる。
しばらくするとトレーラーが現れ、模擬戦用の機体が市街地に放たれるとついには演習の幕が開けた。
それぞれが変身ポーズを取る中、コータはグロウのベルトを腰に巻きシステムを起動させる。

glowing system setup...
1779081EXP...LV up.!! LV up.!! LV up.!! LV up.!! LV up.!!...

「わッ、わッ、ちょっとッ!」

赤いボディに閃光が走り、けたたましくなり続けるレベルアップの音声に
周囲にいた他の参加者達もコータの方角へと振り向く、周囲から突然注目され慌てふためく
コータを尻目に、演習開始の合図が鳴らされると、一斉に戦闘が開始された。
気を取り直したコータが後を追うように一歩を踏み出すとグロウのボディがアスファルト駆け
空気を裂くような急激な加速に他の参加者達をたちまち追い越し
敵のボディへと追突すると真っ二つに引き裂いた。
249創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 15:49:40 ID:oVhHf0f5

『チャーリー4、大破……』
「わわッ!?」

市街地に設置されたスピーカーからアナウンスが流れる。結果的に敵の群れの中へと
突撃する嵌めになったコータは、次々と襲い掛かる敵の攻撃をかろうじて避ける。

(発声が乱れれば技も乱れる、呼吸を乱すな!)
「ハァッ!」

コータの放ったグロウの突きが分厚い装甲版を撃ち抜き、敵は地面へと力なく崩れ落ちる。

『チャーリー1、大破……』
(急所ばかりを狙うと狙いが単調になる、ならば)

ビートブレードで敵の攻撃を切り払い腕を飛ばし、続けて敵の踏み込んだ脚に刃を突き立てると
捻じ込むように振るい上げた剣閃が敵のボディを両断する。
形勢不利を悟った戦闘用AIが飛行ユニットを出し、ビルの屋上へ向かって退避行動をとると
それを追うようにコータが大地を蹴り、空高く舞い上がった。

『チャーリー3、大破……』
(優位に立ったら一気に攻め落とすッ!)

Relord...

脚部のリロードアクションと共にグロウの集めた熱エネルギーが一点へと収束していく、
敵の背後へとグロウのライダーキックが直撃した瞬間、爆炎の渦を巻き起こしながらグロウが吠えた。

FIRE

市街地に響き渡る怒号、黒鉛を巻き上げ二次点火し強大な推進力を得たグロウの蹴りがビルの内部を突き抜け
背部へと貫通、なおも加速の止まらぬ勢いは着地した道路のアスファルトを抉り出し粉砕、
200mほどの黒煙の帯を引いた後にようやく停止した。

『チャーリー2の信号が途絶えました……』

帯を引いた後には轟々と立ち昇る業火。
周囲は緊急避難用のサイレンが鳴り響き、先程通過したビルには向かいの空が見えるほどの大穴が開いていた。
呆気に取られていたコータは変身を解除しふと我に返ると、つけていたグロウベルトを外し、交互に見返す。

「なんだよ……これ」

自らの成した破壊の爪痕を省みて、勝利の喜びすら色褪せるほどの
言い知れようのない恐怖が彼の頭を擡げていた。
250創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 15:52:35 ID:oVhHf0f5
投下終了です、イシイのバレンタインネタ>銭ゲバデストロイヤー>最終決戦なので
後4話か5話で終わる予定です
251創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 18:32:12 ID:mWN2mey+
ヒルトの作者さんも戻ってこないかなぁ
ヒナエG08書いてた人も新人さんもいっらっしゃい
252創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 18:52:17 ID:rkDyjcV0
つか、タイトルが名無しなのがヒルト作者でしょ
253創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 19:13:32 ID:mWN2mey+
ゴースト関連の作者さんと戦隊物の作者さんだったか。
wikiでゴーストと一まとめになってたから勘違いしてました。スマソ

お詫び次いでにキャラクター考えてみた。
名前 ユウト
学年 3年生
学科 バイオ科
成績 普通
性格 神経質
能力 背中に翼がある。

戦隊科
バレーボールズ(バレーボールを武器に戦う。)
レシーブが続くごとにボールの威力が上がる。

こんな感じで出していけばいいんだっけ
254創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 19:26:12 ID:BiMzHEJN
だからヒルトがゴースト編のスカルマンで
ヒーロー適性テストの為の試験官だろ、クロノは時間を切られて止まっただけ
255創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 20:09:47 ID:f5D608AW
なんか荒れてんなぁ
楽しくいこうよ
256創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 20:10:37 ID:f5D608AW
sageすまん
257創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 22:19:56 ID:OxtnlUyE
>>253
羽根生えてるのXメンにいたなあ
何か書けたらそのうち書かせてもらおうかな
258創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 22:21:24 ID:tRC4kiWl
おおー、ヒルトの話が進んでいて嬉しい!投下乙です!
コータの急激なレベルアップがかっこいいけど、クライマックスが近づいている気配。
カウントダウンされるのが切ないなあ。
ヒルト作者氏の、ヒルト達の馬鹿やってる日常生活好きなんだよー
259創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 15:20:40 ID:7Ue3KvXF
未来から来たアンドロイドは誰が送ったん?
260創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 20:58:28 ID:daghodco
街中に昼を告げる時報が鳴り響き、駅前で佇むイルーゼが白い吐息を吹く、
厚く来たコートを身に寄せ暖を取る、白い肌はほんのりと赤く染まり。
一息深く息をつくと、ついには待ち人が姿を見せた。

「お待ちどうさまですよ!」
「おっそいわよ、ロボットの癖に、なんでかあなたって時間にルーズよね……」
「昨日ヒューズが飛んだので、腹時計が止まっていたのです」
「ほら、チョコを買いにいくわよ」

深くは追求しないイルーゼは待ち人と合流するとデパートへと足を運ぶ、
お目当ては当然バレンタインのチョコレートである。
イルーゼは傍と気が付くとアイに向かい話しかける。

「アイちゃん、ちゃんとお配りチョコは買ってきた?」
「しかとここに、”ごえんがあるよ”ですよ!」

説明しよう! ”ごえんがあるよ”とは不景気など、どこ吹く風よと
1個5円と言う定価を維持し続ける、ミラクルなチョコなのである!

「ちょっ! せめてそこはチロルチョコでしょ
お配りで”ご縁があります”ようになんて壮絶な嫌味じゃない」
「お釣りに目が眩んでつい……」
「ま、まぁいいわ、お配りはアイちゃん担当だものね」

バレンタインコーナーに到着した二人は買い物客でごった返す店内を掻い潜り。
お目当ての特売品チョコの前へと辿りついた。

「安くても見た目がそこそこなら大丈夫よね、こういうのは気持ちの問題だもの」
「ヒルトかコータにあげるのですか?」
「バカね、あんな連中にやった所で何の得もありゃしないわよ
教授方に配って心象を良くすれば、何かと都合がいいじゃなぁい?」
「甚だご尤もですよ」

二人は特売のチョコを手に取りカゴに入れると
アイの掴んだチョコを遮るようにイルーゼがその手を止める。

「アイちゃん、ホワイトやストロベリーは食べない男が多いから
カカオのチョコだけを買うのよ、それと配ったチョコが一人だけ違うと
本命だと勘違いされる恐れがあるわ、同じ種類に揃えなさい」
「バレンタインは奥が深いものなのですね」

義理チョコを買い終わり、店内を一通り見て回ると
アイが自作チョコのコーナーへと足を止める。

「自分でチョコが作れるですか?」
「あぁこれね、道具を買い揃えるのに結構お金がかかるから、パス」
「でも、本命とか買う必要はあるのですか?
アイはロボットなので渡す相手なんていないですよ?」
「……アイちゃんあそこの人をよく見なさい」

イルーゼが向いたその場所には”婚期を逃した嫁き遅れOL風”の女性が
懸命に本命チョコを選ぶ姿があったのだった。

「あ……あれは!?」
「誰に渡すかは重要ではないのよ
バレンタインに本命を捧げる相手のいない女……なんと悲しい生き物なのでしょう
それでも私達は選ぶの…例え渡す相手がいなくとも……家で食べるのよッ!」
「おぉ……涙なくしては語れぬ生き様ですよ」

結局、その後買った本命チョコを齧りながら家路に着いた両名なのであった。
261創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 21:15:53 ID:i9eiOkwd
教授方って誰が出てくるんだろ?
またクロノかなぁ
262創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 01:01:18 ID:6QQaVIiS
ここでもバレンタインネタ来たか
263創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 18:16:15 ID:aMZ8n/Y7
今回は微妙だな
264創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 18:39:33 ID:GYlwIm2A

石焼ぁき いも いもー いもー
焼きたて美味しい 石焼きいもはいかがですか
いもー いもー

黄昏の住宅街をリヤカーを押し引きながら、ヒルト他一機の
二人組みが石焼いもを販売して回る、そこそこの数が捌けた後
公園の中で荷を降ろすと売上金をベンチの上に置き分配を始める。

「ここ数日売り歩いて24600円か、そろそろ潮時だなぁ」
「はやくバイト代を下さい、14522円ですよ」
「えーそれじゃこっちが赤字になんべ?」
「石焼の石はアイの動力源で焼いたので、
光熱費などの経費が計上されるのです! これは正当な配分なのですよ」

ヒルトが口をくの字を曲げ渋々とバイト代を渡すと
アイは手早くそのお金を財布に仕舞い、電光石火の稲妻の如く
その場を走り去った。

「あら、アイちゃ……」
「お晩ですよッ!」
「だ、誰がオバンですってぇッ! ちょっとアイちゃん待ちなさいッ!」

ヒーロー学園から入れ違いになったイルーゼが声をかけアイが返答すると
晩のご挨拶を曲解したイルーゼが怒りの表情を浮かべる。
秘密の場所に辿りついたアイはさながら骨を埋める犬の如く
地面をしゃかしゃか掘り起こすと一つの手提げ金庫を取り出した。

「はぁ…はぁ…何してるの、アイちゃん?」
「お金を計算してるのです」
「あぁ、”例のお金”ね、どう貯金は順調?」

アイはにかりとぎこちない笑みを浮かべると精算を済ませたお金を金庫の中に入れ、
再びその場からカッ飛んで次の目的地へと向かった。

――数日後 ヒーロー学園 共同慰霊墓地

墓碑銘
IC−01631
IC−01632
IC−01634
IC−01635
IC−01636...

広大な土地に並べられた慰霊碑の中にあり、ひときわ小さな慰霊碑の前にアイの姿があった。
そこには愛称すらつけられなかった単調な文字列が淡々と並び
アイはただその墓前に立ち尽くしその光景を回路に焼き付けていた。

「きっと……これでアイちゃんのご姉妹も安心して眠れるわね」
「……」

廃棄処分にあたり失った姉、体を得ることすら敵わなかった妹達。
それぞれの思考回路に当たるチップがハンニバル博士の手により納められると
その様子を遠巻きに眺めていたヒルトとコータ両名の前へと立ち博士は口を開く。

「あの子が泣けるのなら、きっと今頃は泣いているのだろうな」
265創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 18:39:48 ID:XN+pxJdA
恋愛的なものが読みたかったのか

>>236
今気付いたけどドラキュラ=バンパイア+フランケンシュタインでバレンタインなのか!
感動した
266創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 18:40:55 ID:GYlwIm2A

アイの足元にとてとてと七号が歩み寄り、その場で顔を洗う仕草をはじめると
アイは握り締めていた着たきりのワンピースから手を離し、登場ポーズをびしりと決めた。

「アイはヒーローになりますッ! 人間も…ロボットも…動物も…
みんなで仲良く出来る世界を作りますッ!」

イルーゼは傍らに立ちただ真剣に語るアイの言葉に耳を傾ける。

「証明してみせる、みんなはダメなロボットなんかじゃないって、
それがアイの”ロボ根性”ですよ!!」

その言葉を聞くと、コータの肩がわずかに揺れ、ゆっくりと顔を上げる。
機械である彼女でさえも、明確な意思を持ちヒーローを目指していることを知り驚きを隠せなかったのだ。
その様子を見たヒルトはコータに語りかける。

「一人の英雄の影に千の涙ってとこだな」
「そうなのかな?」
「お前のグロウだってポンと作って
”はい、できました”で完成したわけじゃないだろ……」
「命を背負うなんて……僕には重過ぎるよ」

そういうなりコータは顔を挙げ広大な墓地に転々と佇む、かつてのヒーロー達の姿を省みる。
正義に準じて、志半ばに朽ち果て、受け継ぐ者を残せなかった英雄達の末路。

「まぁ、例え命と引き換えに世界を救おうが
誰も墓参りにきやしねぇ、そんなもんだろ、ヒーローって?」
「僕は……」
「まぁ、”それでもいい”と思えるようになるまで頑張りたまえ
これにてドロンッ!」

往年の忍者宜しく周辺に煙幕が立ち昇り、ヒルトの姿がドロンと消える。

「彼が言うのは極端な話だよ君が頑張れば周囲も支えてくれる、そう気に病むことはない」
「そうでしょうか?」
(それだけ彼が君には期待しているということさ)

ハンニバル博士はそういうと不安な表情を浮かべるコータの肩を軽く叩いた。
後日――休日の昼下がり、公園内でけたたましい怪鳥の鳴き声が鳴り響き。
アイとヒルトの激しい戦闘が展開される。

「この卸値の半分だから125円だろ」
「消費税は含んだ卸値で取り引きするのですよ」
「消費税は含まないのが一般的な常識!」
「個人の常識は世間の非常識ッ! 
レーザーアーム式デン・ジ・エーンドッ!」

交差したアイの腕が光り輝きアイのデン・ジ・エンドが炸裂すると、
ヒルトはヒビの入ったガラスを両手に持ったまま叫び声を上げ、つんのめるように仰向けに倒れながら爆散した。
公園で遊んでいた幼児達からやんややんやの喝采が沸き起こると、すかさずCMにはいる。

「こ、これがデストロイソーセージのパワーか!?」
「デストロイヤーカレー(×100)も新発売ですよ!」

戦え、人造人間アイ、”夢の世界”独裁国家デストロイヤー王国を作るその日まで!
267創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 18:51:01 ID:XN+pxJdA
うわーなんか割り込んじったごめん
ヒーローの悲しみを感じさせるね
金稼がなきゃならんのがせちがらいなあ
268創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:02:09 ID:GYlwIm2A
墓石を買ったのでもう稼ぐ話はないですね
269創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 20:21:57 ID:/DSZcWLD
あと3回でどうやって終わらせるんだろう。
270創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 12:47:42 ID:lW2f5q8n
投下乙です、アイちゃん可愛いよアイちゃん
呑気そうに見えるキャラも皆、案外過去が重いのかもしれないな
むりに重い過去とか悲劇とか押し付けて悲劇のヒーローぶってるのは好きじゃないけど
普段能天気でチラっとそういうのが無理なく見えるのは好きだなー

あと三回っていうけど、あと三章なのかもしれんね
なんとなくうる星やつらとか思い出した
永久ループの終わらない日常とかビューティフルドリーマーな感じ
正義と悪とうたう限りいつかは白黒決着をつけないといけないんだろうけど
ぬるい日常に浸っていたいというか、まだまだヒルト達が読みたいというか
ウザイ感想書いてすいません
271創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 15:35:41 ID:guuBJB5b
いい加減トリップとタイトルくらいつけれや!
あとまとめてから投下しろや
272 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 18:33:40 ID:demhhcDE
今の流れぶった切って投下して良いものだろうか
273鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 20:42:33 ID:demhhcDE
ドカン…
爆発音で目が覚める。
(誰よ?朝から訓練なんてしてるのは)
目をパチッと開けると目の前には、銀色の宇宙人が私の唇を奪おうとしている。
冗談じゃないわ!
私には将来を誓い合ったフィアンセがいるのよ!!
「ククルカン!!」
誰の部屋に侵入したつもりかしら、私はこれでもファンガイアの次期クイーン。
こんな真似してただで済むと思わないことね。
変身して暴漢を殴りつけた。
(あれ?)
パンチが空を切る。
何か様子がおかしい。
よく見るとこの銀色の宇宙人どこかで見たような……。
わかった!昨日寝る前に見た映画の登場人物よ。
でも確か最後まで見て寝たはずなんだけどな。
また寝ぼけてリモコンに触っちゃったかしら。
幸いなことに防音仕様の部屋で良かったわ。
誰かにこんな所見られたら恥ずかしいもの。
「それにしても飽きたわね。」
悲劇のヒロインを演じて授業をサボるというのは名案ではあったけど、
ゲームも漫画もあらかた見飽きてしまった。
事実は小説より奇なりという言葉があるように、学園を散歩しているほうがよっぽど面白いことありそう。
(でも困ったなぁ。)
タイミングを逸してしまった。
もしかして私の事なんて誰も覚えてなかったりして……。
充実した引き籠りライフで曜日の感覚はとっくの昔に失っている。
手帳をペラペラとめくりながら長い休みを振り返っていく。
274鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 20:43:41 ID:demhhcDE
ところどころにアルバイトの執筆の締め切りの印がある。
アルバイトは一年生のときから業界紙(週刊)に寄稿してるの。
基本的週刊なのだが、たまに特大号とか合併号があるので、その印をつけているのだ。
タイトルは『ガールズヒーローの卵観察日誌』
日常生活で起こったことをコラムに書いているの。
実名は出したりはしないけど、勘の鋭いフレイアとヘレネにはばれちゃった。
これ一応副会長の仕事でもあるのよ。まさに一石二鳥でしょ。
あと、ありあまる時間を利用してHPを立ち上げ、ゲームや映画の感想を共有する掲示板を作ったの。
一応それなりの物になったようで、私を「神」と呼ぶ人もいるわ。
(でも流石に飽きたわよねぇ。)
コラムの人気投票も最近順位を落としてきたし……。
するとピンポンとチャイムがなる。
またハルカが参考書を借りに来たのだろうか。
「おはようございます、ちょ…ちょっとドア閉めないでください。」
キマイラの顔を見て慌ててドアを閉めようとしたが、あと少しのところで足を挟まれてしまった。、
「いつも言ってるわよね、二人のときは敬語やめてよね。普通に名前も呼んで。」
「痛い!痛い!!!挟んでるから。いや、確認してしめないでください。」
構わずドアを強引に閉めようとしたので、苦悶の表情を浮かべている。
「わかった。わかったから。」
彼女とは私がお母様の屋敷に連れて来られてからのもう長い付き合い。
同い年でいうなれば幼馴染なの。
だけど彼女はナイトの娘だから、クイーンである私を守るのが彼女の役目
そのために入学を自分の意思で遅らせて、ルシファー(ルークの息子)と共にナイトとルークの下で修行をしていたの。
私はそんなことしなくて良いから一緒に遊ぼうって言ったんだけど、ずっと傍にいたいからってあえて彼女はイバラの道を進んだ。
次の親衛隊では彼女が唯一の同性ということもあり、お母様からもお目付け役を任されているらしい。
(たいていのことは握りつぶしてくれるんだけどね。)
275鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 20:44:34 ID:demhhcDE
「全く目を離すと油断もすきもあったもんじゃない!何このゴミの山?」
彼女の趣味はロッククライミングやキャンプなどアウトドアなことだ。
私とは相容れないものがある。
「良いじゃない。別に〜。」
本棚から無造作に取り出そうとした漫画本(初回版保存用)を取り上げリビングの椅子に座らせる。
「で何かよう?」
「何かって?リョウコ今日何の日か知ってる?」
「今日?」
というより、今日って何月何日?なんていうと怒られそうだなぁ。
「やっぱりね、パーティーよ。キングと踊るんでしょ?ていうか踊れ。」
「ええ〜〜」
とはいえ、外出するちょうど良い口実になるので少し嬉しい。
彼女の事だから私が引っ込みがつかなくなって、困っていることに気づいていたのだ。
「キングをパーティーで一人にするなんて失礼なことしたら、承知しませんからね。
 そんなファンガイアの恥をさらすようなことしたら私にも考えがあるから」
お母様につげ口するという脅しであること他ならない。
(キマイラの口調お母様に似てきたわね。)
「それなりの格好してくるのよ。」
「そんなプレッシャー掛けないでよ。」
「キングに心配をかけたリョウコが悪い!まぁこんな部屋じゃ、ドレスも出せないからまずは掃除ね。」
そういうと腕まくりをした彼女が掃除をはじめる。
「あ…盛装のときのメイクは私がルーク様から教わったからやってあげるわ。」
こうして私の自堕落生活は終わりを迎えた。
276鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 20:45:41 ID:demhhcDE
拙者の名前はタルタロス。
今日は休日ということもあり、午後から調べモノをと思っていたのでござるが。
ゼミで緊急招集が掛かったということでこうしてカラクリ校舎にやってきた。
(緊急招集とは何事でござるか)
「不穏な空気が漂っているズラ」
忍犬ケルベロスがポツリと呟く。
確かに最近ユグドラジル帝国だか、アスガルド軍団が急にニュースで騒がれなくなったのは不思議でござる。
もうどこの国が制圧されても珍しくないということなのか、それとももっと別の理由なのでござろうか。
「来たな。」
ゼミ室にはコウジ殿の姿が既にあった。
いつも「人生という道に迷った」とか遅刻の言い訳をするくせにどういう風の吹き回しだろう。
「何かあったのでござるか?」
「知らん!」
「コウジ殿はモテルから今日は忙しいのではござらんか?」
「大きなお世話だ。」
コウジ殿がフンっと鼻を鳴らすと、隠し扉がウィーンと開く。
(あんなのところにも隠し扉があったのでござるか。)
このカラクリ校舎は至る所に隠し扉や隠し通路があり、全てを把握しているのは32代目赤影師匠・30代目ツルヒメ師匠・25代目ジライヤ師匠の三人だけでござる。
それを把握していてどうなる?と言われるとゼミでの潜入演習のときに少し有利になるといった程度しか意味がないので、拙者は真剣に覚えていない。
「とにかく入ってみるぞ。」
コウジ殿が中を覗き込みながら左手でチョイチョイと手招きする。
ここはカラクリ校舎である細心の注意を払って進まないとどんな罠が潜んでいるかわからない。
一列に並んで狭い通路を進んでいく。
(こういう風に歩いておけば、最悪一人は助かるでござる。)
冷酷なようだがこれは基本である。
拙者の方が後ろを歩くのは、コウジ殿の方が経験が豊富で強いからであってヘタレなわけでない。
277鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 21:28:28 ID:demhhcDE
「揃ってるな。」
キシキシという音に気がついたのか隠し部屋の奥からユキチ殿の低い声がする。
「この部屋なんですか?」
隠し部屋ではスーツを着た大人達がパソコンの前で右往左往している。
「ここは諜報通信指令室だ。」
部屋の壁には大きな世界地図が表示されており、各国の首都の時間も一目でわかるようになっているようだ。
「この通信指令室では通信管理官が24時間体勢で世界中の通信・メールを傍受し、正義や悪の組織を衛星から監視している。
 また5年生からあるヒーロー研修中のサポートデスクも兼ねて中間報告等も受け取っているんだ。」
父上からこのよう設備があることは薄っすらと聞いていたでござるが、
聞いていたよりずっと規模が大きそうだし、携わっている人の人数は明らかに多い
前々からどうしてそんなに上手くよみがえりの組織を見つけてくれるのか疑問だったのでござるが……
こういう非合法な仕組みになっておったのでござるな。
正面の大きなスクリーンには何かの取引の現場がリアルタイムに映し出されている。
『大量破壊兵器の取引現場を確認しました。
 大量破壊兵器はヒーロー協定第25条 一般市民に被害が及ぶ兵器の使用は禁止に違反しています。』
(あのメインコンピューター喋るんでござるか。)
アタッシュケースが拡大され、中をスキャンしたと思われる映像が映し出される。
「了解。ハッブルでどこの国のトラックか、もしくはどこの確認できるか?」
「画像解析中。無線等も専用エシェロン・システムを起動し盗聴しますか?」
「そうだな。今後72時間監視の上、怪しいようであればS.H.I.E.L.Dに連絡」
「了解しました。」

ハップル
ナツミが学園に入学する前に設計・開発した
神の眼とまで言われる程の精度を持つ高精度偵察衛星
ちなみにナツミは色々なところを経由して依頼されたので、ヒーロー学園が依頼元ということはしらない。
シャダイムとデルタ専用の諜報活動衛星はこれを元に改良して設計した。

エシェロン・システム
カストルが開発したシステム
エシェロンはほとんどの情報を電子情報の形で入手しており、
その多くが敵や仮想敵の放つ電波の傍受によって行なっている。
電波には軍事無線、固定電話、携帯電話、ファックス、電子メール、コンピュータ・データ通信などが含まれており、
電波通信基地やスパイ衛星、電子偵察機、電子情報収集艦、潜水艦を使って漏れる電波を傍受したり、
時には直接通信線を盗聴することで多量の情報を収集している。
またこれらを独自に分析し登録された単語が含まれていないかが自動認識されて、無害と判断された情報は破棄される。
後にヘラを設計する際には、収集と分析だけでなく、過去のデータから見解も伝えてくれるともっと良いということで
大幅にアップグレードされることとなる。
278鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 21:29:07 ID:demhhcDE
再びイヤホンをした通信管理官達は忙しそうにPCの画面をチェックし始めた。
「これがワシ等忍者ゼミの裏の顔を支え、全てを闇をいぶり出すマート・システム。」

マート・システム
25代目ジライヤの開発した人工知能マート、
古代エジプト神話で「法」「真理」「正義」を司るとされるマートから名前を取った。
多視点(例えば、正義・悪・人間など)からの推察ができるようにプログラミングされており、
ハップルやエシュロンを統括している。

「……ここはまだ我等は入れないはずでしょう。」
コウジ殿は知っていたのか。特に驚いた様子はない。
「ああ、そうだ。ちょっと事態がややこしくなってな。
 ミユキさんとユイちゃんがアンゴルモアの大王の居城と思われる城に潜入していたんだが……。」
アンゴルモアとは確かよみがえりの儀式を行った集団でござるな。
兄上が倒すように父上から言われた者でござるな。
「んでその二人がどうしたんです?」
ミユキ殿の名前が出た途端、コウジ殿の機嫌がより悪くなる。
「んとな、48時間前に定時連絡をこちらに送ってから連絡がつかない。」
「ということは?」
「行方不明ということになる。」
ユキチ殿がのん気に答える。
「ミユキ女史のことだ。簡単には死ぬまい。」
「そっちはワシも心配してない。殺しても死なないゴキブリ並の生命力があの人はあるからな。」
(酷い言われようでござるな。)
「問題は……。ユイちゃんがなぁ。
 ミユキさんだけなら天罰で済むだけど、ユイちゃんが一緒だからなぁ。
 探さないわけにはいかんだろぉ?」
「簡単に敵に捕まることはないと思うが……。
 一緒にいるのがトラブルメーカーミユキ女史となると…。」
「何かトラブルを起こした!」
二人の声が珍しく揃う。
279鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 21:30:04 ID:demhhcDE
ちなみにそれぞれ長所を活かしたミユキ殿…不死身忍者(ゴムのように伸縮自在で、殆ど攻撃が効かないのと1年に1回死に掛けるから)
               ユキチ殿…無重力忍者(自分の体重を自在にコントロールできるから)
               コウジ殿…雷帝忍者(雷を使うのとその暴虐不尽ぶりから)
               ユイ殿…四次元忍者(苦手なことが発生すると、どこからか新しい道具を出すから)
               ウラノス殿…ハイテク忍者(機械に強いから)
               拙者…サムライ忍者(武器はなんでも使いこなし、特に剣が得意だから。)
通り名を師匠達から頂戴しているのでござる。
 
ミユキ殿とは接点はそんなにないのだが、そんなに無茶苦茶な人なのだろうか。
確かに武勇伝は学園にいれば、必ず耳にした事がある有名人ではあるのだが。
「二人とも心配ではござらんのか?」
「してるよ。ユイちゃん心配してるよ。」
「ユイは優しいからな、ミユキ女史なんかどうせ刺される以外殆ど効かないんだから、盾に使えば良い。」
「全くその通りだ!!あの人はいつもこうだ。」
コウジ殿はともかくとして、常識人で知られるユキチ殿からも嫌われているのが窺い知れる一幕。
(長い付き合いで色々あるのかもしれんでござる。)
ユキチ殿が入学してすぐのとき、当時から最強と呼び声高かった(ツルヒメ師匠談)ミユキ殿を襲撃してからの付き合いである。
自治会長まで務めたユキチ殿からは想像もできないが、当時は若くて好奇心が旺盛だったんだとか。
「それで?」
「合宿でそんなことやってたって後で知れたらまずいんで、得意の情報操作の出番というわけだ。
 コウジとタルタロスは先に現地入りしている赤影教授達の手伝いをすること。
 ワシはウラノスと最後に送られてきた暗号文を解読するから。」
「……。」
フッとコウジ殿が姿を消したので、慌てて拙者もその後を追った。
280鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 21:31:22 ID:demhhcDE
……
我輩は冥府の次の王である。
名をハイドという。
今日はなんぞやパーティーに来ておる。
ふん。のん気なもんだ。

「何を拗ねておるのじゃ?」
「うぉぉ…。」
「何じゃ?」
「誰かと思ったのだ。」
いつも見慣れたヘレネのピンクのドレスに思わず生唾をゴクっと飲んでしまう。
ヘレネは両手をチョコレートでふさがれている。
(欲張りすぎだ。)
我輩の視線に気がついたのか、ヘレネが慌てて弁解する。
このチョコレートの山は自分が義理でばら撒くための物ではなく、同性の後輩から告白と同時に貰ったものなんだと。
「女同士でどういうことであるか?」
「そなたはわらわの偉大さを知らんのじゃ。」
まぁ確かにヘレネを紹介しろという同級生や先輩は多くいる。
がしかし、実際何人か紹介した記憶がある彼らからその後何の話も聞かないところから想像するに
黙ってれば可愛いのにという残念なタイプなのかもしれん。
「ところでそなたはチョコレート貰えんじゃろう?」
我輩のポケットにはプルートから貰った5円チョコがあるだけである。
(いつの間に透視まで……)
それにしてもプルートよ、兄は嬉しいぞ。
小さい頃は兄上兄上と寄ってきていたお前が、こんなに非道な仕打ちが出来るようになるとは!
それに引き換えタルタロスの方は、相変わらずこういう場は苦手なのか姿が見えん。
正義部に入るなどと鬼の風上にも置けんヤツである。
その息子(内緒な)のウラノスの姿もない。
まぁアンドロイドには女というものはわからんのかもしれん。
281鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 21:32:41 ID:demhhcDE
「ハルカを一方的にタコ殴りしたバツじゃよ。」
「何でその事をしっておるのだ?」
「女子のネットワークを侮るでないわ。」
そんな威張られても凄いことなのかどうか……
イマイチよくわからないのである。
「お陰でハルカは夢にまでそなたの事を見て魘されておるのじゃ。」
あの場合仕方ないであろう。
「百獣の王はその力を誇示するために、月に一度兎をなぶり殺しにするというではないか。」
言い終えた瞬間、頭をバチンと叩かれる。
「アタシもチョコレートあげなぁい。」
珍しくハイヒールを履いているエリカだ。
素手が届かないのでお手製のハリセンを左手に持っている。
「エリカは今日ご機嫌斜めであるな。」
ヘレネに小声で尋ねる。
「ヒルト先輩が最近メールくれんのだと。」
「まぁ今まで続いただけ良かったのではないか?
 男でそういう話になったとき、付き合う選択肢から一番最初に外れるタイプだからな。」
「どういうことじゃ?」
「胸ない。尻ない。金ない。の三拍子揃っておるであろう。」
「そなたも容赦ないのぉ、金ないはどうなるかわからんじゃろ。
 今までヒルト殿にやれ車だのやれステレオだの貢いでおったのじゃから。」
「そうなのか?」
意外な新事実に驚く。
282鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 21:33:27 ID:demhhcDE
「そうじゃよ。デートのときの食事代から全部エリカ持ちじゃて。」
「本当に付き合ってたであるか?」
「じゃと思うんじゃがなぁ。」
そんなに甲斐性がある男だとは知らなかった。
どこら辺がエリカにとってそんなに魅力的だったのだろうか。
(それにしても……。)
エリカのテーブルの前、空いたグラスやジョッキが散乱している。
「何見てんのよ?」
「え、いや。見てなどおらんよ。」
「なら良いわ。何か面白いことして。」
赤い顔をしたエリカが我輩を上目遣いで見る。
「面白いこと?」
「一発芸とか。」
いや、というか。我輩そういうキャラじゃないし。
「やれっつってんでしょ!!!」
ハリセンで今度は尻をバシッと叩かれる。
「痛いって!!」
「何よ?反抗する気?」
バシバシとエリカがハリセンを振り回す。
「エリカは酒癖が悪いから禁酒中じゃったんじゃが……、
 普段大人しい癖にアルコールが入ると、途端に人格が変わるからのぉ。
 おおかたジュースと間違えて飲んだんじゃろ。」
「わ〜〜ん。ヒルトさんに棄てられた〜。」
「ああ…良し良し……。エリカは悪くないじゃろ。」
暴れたり泣き上戸だったり忙しいヤツ
面倒なので介抱をヘレネに押付けて他のテーブルに顔を出そうとしたそのとき
「ハイド先輩ですよね?」
右肩をグッと鷲掴みにされ振りむく。
そこにいたのは……。
283 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/16(月) 21:37:44 ID:demhhcDE
>>266
割り込んですみませんでした。

デストロイヤー王国 悪っぽい名前ですね。
やっぱり出生率とかもコントロールされるんだろうか。
続き期待してます!
284ゴースト編 7:2009/02/16(月) 22:19:23 ID:QyNxcVx8
厳重な警戒態勢が引かれた中央情報管理ブロック、
白衣を着た研究者達が怪訝な様子でスーツに身を包んだ男
ノブの顔を覗き込む、分厚い自動ドアを潜り、彼がぱたりと足を止めた室内には、ハンニバル博士の姿があった。

「ヒーロー学園機械科開発室長、ハンニバル博士ですね?」
「やぁ、ノブ君だったかな? 今コーヒーを入れよう、砂糖はいくつかな?」
「あ、すいません、ブラックでお願いします」

訪れた来客は勧められた椅子に座り、博士はその場を立ち上がると、
雑然と散在する書類の山に埋もれていた、年季物のコーヒーメーカーを作動させた。
ノブは辺りを観察して沸き起こった疑問を口にする。

「紙の資料が随分と多いですね」
「ははは、機械オンチと言うわけではないよ
貴重な情報はデータ化せずに、アナログで残しておくのが癖なのでね」
「なるほど、では公にはならないデータの多くは、こうやって保管されている訳ですね」
「あぁ、君の調べている『死なない兵士』に関するデータもここにある」

博士は背中を向けたままコーヒーをカップに注ぐとソーサーの上に乗せ
ノブの手元へと伸ばし、彼は軽く会釈しながらそれを受け取った。

「脳と中枢神経は機能しておらず、AIで作動してる訳でもなければ動力源もない、体は全て機械のみで構成され
”統一場理論”に直接干渉する特殊能力を持ち、認識・事象・概念を自由に改竄出来る。
偶然が重なり完成した『死なない兵士』はそういう代物だった」

そういうなり博士は音もなくコーヒーを口につけると、
ノブは博士の言葉の意味が理解できずに困惑する、”脳や人工知能で動いていない”
そんな代物は改造人間・人造人間どちらの分野でも聞いたことなどない。

「それは……その、生きてるんですか?」
「生物とは呼べないが、物を考え、人と対話し
物の好き嫌いだってある、食事も補給も必要ないがね」
「まるでオカルトかホラーですね……」
「昔の話になるが、ある国からの依頼で幾つかの研究を平行して行うことになってね、今は閉鎖されているが」

博士はコーヒーを机の上に置くと積み上げられた資料の内の中ほどから
数枚の報告資料を取り出すとノブに手渡した。

「新世代エネルギーの技術開発中に起きた反応炉の暴走により
研究所は崩壊、誰も立ち入られぬよう、立ち入り禁止区域となり廃棄区画となった」
「それはこの学園がここに建設される以前のお話ですよね?」
「大勢の研究者達は事故の犠牲になり、上層部はそれを秘匿したのだよ
もう一つの研究は成功したが、私はその研究成果を持ち出し……」
「第三国の手の届かないように、治外法権と独自の権力機構を持つ”ヒーロー学園”に託した」

ノブがそういうとその言葉を肯定するように博士はただゆっくりと頷く。

「では誘拐事件は?」
「強大なPSY能力を持つ超能力者を集め、反応炉の暴走で出来た”穴”を塞ぐ気のようだ」
「そ、それならば、皆に協力を求めれば!?」
「反応炉の研究成果が成功だと外部組織、或いはゴーストに知れれば……
また同じことが起こるとは思わないかね、彼はその為に自ら進んで悪になったのだ」
「一体誰なんです? その男とはッ!?」

博士の返答に聞き入るように、ノブが真剣な面持ちでコーヒーを飲み……

「誰って君、ヒルト君だよ」
「ブーッッ!!!」

ゴジラの如く盛大にコーヒー吹いた。
285創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 22:22:11 ID:QyNxcVx8
>>269
基本的にドリフ系なので、投げっぱなしジャーマンです
286創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 23:17:21 ID:hhK2f7NK
>>283
乙です!
同時進行で色々書けてすごいなあ
アンゴルモアに近づいているのだろうか
エリカかわいそうだけどヒルトはそれどころじゃないかもしんないしな
あの、割り込んでしまった265は自分ですが……??
なんか勘違いしてるかな俺
>>284
こっちも核心に迫ってるね
終わってしまうんだとちょっと残念
でも思うままにやってください

創作表現者たちに拍手を送りたい!
287創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 14:56:22 ID:lIFHKVPp
投下乙です
マターリとシリアスなヒルトどっちも好きだわ
エリカは可哀想だけどなw
288創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 17:44:40 ID:MijLrkDi
WIKI更新しときました
自分で書いたのは一通り更新しました
あと◆ccu2hP6PPAさんの風物詩と契り更新しときました
風物詩は5ページ使わないほうがよかったかな
もっと更新できたらよかったですがのう なかなか慣れませんで
289創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 18:50:55 ID:jvXSyaTW
漆黒の髑髏の影が闇夜の森を疾走する、闇から闇に影から影に孤独と戦い続ける
一人の男の姿が、ついには研究所の外れに佇む一軒家の前で立ち止まった。
6LDK二階建てシステムバス付きの秘密基地である。

「おかえりヒルト」
「ただいま、玄関に回覧板が差しっ放しになってたぞ」
「あーごめん今日家の外出てないから忘れてた」

スカルマンことチェルノボーグが変身を解きスカルマスクを外すと、ヒルトの素顔が露わになる。
髪をがしがしと手ぐしで梳かし、左耳につけたピアスの位置を直しながら部屋に入ると
ヴェロボーグことベロニカがソファの上でうつ伏せになり
足をパタパタと動かしながら出迎えた。

「よっこらせ」
「ねーねーヒルト」

ヒルトが床に寝そべるのを見計らってベロニカは読んでいた本を投げ出し
ソファから立ち上がると男の上にのしかかり、ゴロゴロと転がった。
件の穴も既に塞ぎ超能力者たちは解放、彼女の全身を覆っていた重度の傷も塞がった為、
本性むき出しでゴロゴロ中なのである。

「何よ?」
「ううん、何でもなーい」

親亀に乗る小亀の如くうつ伏せ状態で上になったベロニカは
ヒルトの後ろ髪を器用にくるくる回すと三つ編みを作り始める。

「みつあみぃ、ヒルトちゃん可愛いぃ♪」
「やめろぉ、ショッカー!」
「やめませぇん♪」

ベロニカはひとしきりヒルトの髪で遊ぶと、きゅるると腹を鳴らしながら
その場で上半身を起こし、夕飯を催促した。今生切ってベロニカは料理オンチであり
野菜を普通の台所用洗剤で洗おうとして怒られた経験から
自分から飯は炊かないし、作らないのであった。

「ねぇ、ご飯作ってぇ、ベロニカはハラヘリマンモス」
「何食うんだ?」
「オムライス! オムライス!」
「鶏肉はまだあったかなぁ……」

ヒルトがキッチンへと向かい料理に専念してる内に
ベロニカはヒルトの携帯をこっそり開き着信履歴を確認した。

(ハンニバルの伯父さんにコータは男よね……
アイはこないだ問い詰めたら、ロボットって言ってたからセーフ
イルーゼは私の半身だから別に問題はないでしょ、問題は……)

「できたよ、オムライス」
「わほぉ!」

皿に盛り付けられたオムライスにコンビニのサラダを添えて
ベロニカはもさもさと口に運ぶとオムライスのカドをスプーンで切り崩しながら、
TVのニュースを流し読みしているヒルトに先程の疑惑を突きつけた。
290ベロニカさん:2009/02/17(火) 18:52:20 ID:jvXSyaTW

「あのさぁ、ヒルト?」
「ん?」
「私達は5億年前から存在する支注神で
いわば惹きあうことが運命で定められた、神々の戦士だと思うのよ」
「宗教の勧誘かよ、俺は無神論者ですぅ」
「ぶっちゃけ聞くけど、エリカって誰?」

自然な話題の切り出しから、すかさず先程の携帯をヒルトの前に突き出すと
頭上にクエスチョンマーク大発生中のヒルトが眉をひそめ答えた。

「大学の友達だよ?」
「嘘、嘘、嘘ッ! そんなんじゃ誤魔化されないわよッ!
みてよこの着信履歴…なんでもない友達と、こんなに細かく連絡する必要ないでしょ!
「そ、それは向こうからかかってくるわけで、コータからアドレス聞き出したらしく……」
「あんたはタダでさえ見た目で女が寄ってくるんだから、
家の外では変態のフリしなさいっていつも言ってるでしょ!」

さりげに無理難題を押し付けつつも、萎縮したヒルトは
ヘこへこと頭を下げるお辞儀マシーンとなりはて、ベロニカの追求が続く。

「飯とか食いに連れてって貰ってました、すんません」
「自分で作れるのに食いにいく必要ないでしょ、あなた、
ともかく貰ったものはちゃんと返して、菓子折りもって謝ってくるのよ」
「あの人押しが強いんですよね」
「まだ彼女が吹っ切れてないみたいなら、幻滅するようなことでも言っときなさい
”実は俺、ロリコンで幼女のワレメにしか興味ないんだ、ぐひひ”とか」
「も、もっとましな例はないのか?」

ベロニカの蒼い瞳がきろりと輝くと、ヒルトはそそくさと立ち上がりながら玄関先へと向かう。
見送るように彼女が口元を突きつけると、彼が答えるように口付けると。
二人で分けた一対のピアスがゆるりと揺れた。

――閑話休題

夕暮れ時の住宅街、エリカの前で”例の台詞”を言ってしまったヒルトは、
偶然居合わせた警官に追い立てられゴミ箱へと身を隠していた。

「仮面ライダーッグロ……あれ? ヒルト君、この辺で変態が現れたって
通報があったんだけど知らない?」
「コータ、俺泣いていいよな?」

唯一信じられる友を前にただただ咽び泣くヒルトなのであった。
291ベロニカさん:2009/02/17(火) 18:53:39 ID:jvXSyaTW
>>288
乙です
292鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:26:15 ID:Lmkfr7q0
わらわの名前はヘレネ。
茶色のロングヘアがトレードマークじゃ。
ちなみに油揚げは別に好きじゃないんじゃよ。

わらわの右横では弟のポルックスと悪の代名詞ハイドが談笑している。
(良からぬ、ことを教え込まねばよいのじゃが……。)
視線に気がついているのかいないのか。
まだハイドは無茶を言い出してはいないよう。
左横ではもう一人の酒乱エリカが後輩の二人に絡んでいる。
「アタシの注いだ酒が呑めないっての?」
既に顔色が悪くなっているフレイアとプルートのグラスに目のすわったエリカが再び酒を注ぎこむ。
「ひいひぃひぃ…。」
「もう堪忍してください。」
ようやく半分まで減らしたグラスに並々と注がれ二人がガクッと首を垂れる。
「エリカや、二人とも困っておるようじゃよ?」
「アンタ達がシャキシャキ呑まないから、アタシが虐めてるみたいに見えるでしょ!!」
(これはいかん。)
二人には余計気の毒なことになってしまったようじゃ。
それにしても、何があったのじゃろうか?
わらわが見る限り、結構上手く行っていたような気がしていたのじゃが……。
「こういう子供っぽいところが嫌われたんじゃないですかね。」
プルートがポツリと呟く。
「あ?誰が処女ですって?悪い?悪いことなの?別に下ネタなんて気にしないわよ!!
 ヒルトさんさぇ言ってくれれば、いつでも心の準備は出来てたのよ!
「準備とか。これだから処女は困るんですよねぇ。」
「あらフレイア。グラスからじゃない。遠慮しちゃ駄目よ。どうせただ酒なんだから!」
293鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:27:20 ID:Lmkfr7q0
生真面目なフレイアは吐くのを我慢して呑んだのじゃろうが……。
悲しいかなその誠意はエリカには伝わらなかったよう。
再び並々とグラスに注がれてしまった。
(ウォッカロックはきついじゃろうなぁ。)
「プルートも呑まなきゃだめよ。」
「もう焼酎は飽きました♪♪」
ほろ酔い気分のプルートの語尾が上がる。
「じゃ、プルートもウォッカね。」
エリカはグラスの中の焼酎を一気飲みすると、今度はウォッカを注ぎ込む。
なんだかんだでエリカが一番呑んでいる。
巷では水とアルコールの区別が付かないほど、ザルなんだそうだ。
空元気が痛々しい。
いっそ泣き崩れでもしてくれた方が、わらわとしても対処の使用があるんじゃが……。
「やぁ楽しんでるかい?」
コータ先輩が不意に話しかけてくる。
この先輩は可もなく不可もなくといった容姿だが、誠実な人柄がわらわは気に入っている。
(そうじゃ…)
「コータ先輩、ここだけの話、なんでエリカは棄てられたんじゃ?」
わらわが小声で尋ねる。
「棄てられたって?別れたの?いつ?」
「それも今まで貢いだ物は全部返すから無かった事にしてくれとは
 随分と非道な仕打ちではないじゃろうか?」
「そ……そんなことしたの?」
「まぁエリカも頭に血が上ったんじゃろうなぁ。
 そっちで処分しろって追い返したようなんじゃが……。」
「じゃぁあの最新式のカーナビがついた陸海空宇宙対応の赤いスポーツカーは?」
「売ってローンの支払いの足しにすれば良いものなんじゃが……。」
「ローンってどのくらいあるの?」
「車だけでも100年くらいじゃろうなぁ、ヒルト先輩が卒業したら二人で住もうと思っていた新築のマンションもあるそうじゃし。」
コータ先輩がガクッと崩れる。
294鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:27:52 ID:Lmkfr7q0
「彼女そんなことまで考えてたの?」
「初めての彼氏じゃったそうじゃからのぉ。」
初恋なんてもう遠い昔の話じゃ。
「ちょっと二人何イチャツイテルンデスカ?凍らせちゃいますよ?」
甘えた声でエリカが近づいてくる。
今のエリカなら本当にやりそうだから怖い。
(あれ…担当を任せていた二人は?)
チラッと横目で見ると、プルートとフレイアは頭を机に寝かせて唸っている。
どうやらノックアウトされてしまったようである。
「すまん。エリカ。わらわちょっとコータ先輩と踊ってくるから。」
「え?僕?」
先輩が慌てて汗を拭く。
「ヘレネ踊れるの?」
エリカはキョトンとしながら尋ねる
(わらわは誰だと思っておる?妖狐族の次期女王じゃぞ?)
 「当然の嗜みじゃて。では参りましょう。コーター先輩。」
戸惑う先輩の手を握ると踊り場へと足を向ける。
「コータ先輩もお上手ですなぁ。
 さては結構遊んでおるのじゃな。」
「こら先輩をからかうな!」
「で彼女どうするの?」
「何か世界を征服して借金をチャラにするそうじゃ。」
そんな理由で征服されたら歴史に名前が残るじゃろうな。
「他に方法は…。それに本当にわかれたのかな?」
「エリカのことはもう良いから、わらわの事だけを見てくれんじゃろうか。チュ。」
「熱いねぇ、ご両人!」
わらわが無理矢理先輩のやわらかい唇を奪うと、ギャラリーから野次が飛ぶ。
エリカのブーイングは無視じゃ。
「ちょっと何するんだよ。」
顔を真っ赤にして先輩が照れる。
「なんじゃ照れておるのか?可愛いのぉ。ブチュ。」
今度はジックリ舌を絡めてキスをする。
(初恋とは実らないもんなのじゃよ。エリカ……。また良い恋をすんじゃな。)
ギャラリーからヒューヒューという口笛と割れんばかりの拍手が巻き起こると一曲目が終わる。
295鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:28:14 ID:Lmkfr7q0
「思わず見とれちゃったわ。」
「ヘレネって意外と大胆なのね。」
同級生達の声が聞こえる。
確かにわらわ自身も意外じゃった。
(アルコールのせいじゃろうか。)
そうだ。この勢いならあれも渡せるかもしれん。
「先輩……これ受け取ってくれんじゃろうか?」
スカートのポケットの中から手作りのチョコレートを取り出す。
「はい?顔が赤いぞ、熱があるんじゃないか?」
「からかわないで欲しいもんじゃ、わらわは真剣なんじゃから。」
「だって僕は正義部の仮面ライダーで、君は妖狐の女王様だろ?
 将来敵同士になるかもしれないんだよぉ?」
「別に日陰の女でも良いんじゃ。」
エリカを見ておってわらわも無性に恋がしたくなったのじゃ。
「ううぅぅん。」
「古典にはロミオとジュリエットという作品もあるくらいじゃから、対して問題ないじゃろう。」
「そうかなぁ?」
「急な話で先輩もあれじゃろうから、お試し1年以後延長の権利は先輩でどうじゃろう。」
「そんなに自分を安売りしないほうが良いと思うよ。」
このままでは母上が見つけてきたどこの馬の骨とも知れない男とお見合いさせられて、
叔母上のような愛情の無い生活を送ることになるのじゃ。
母上自身は親族一同の反対を押し切り父上(人間)と恋愛結婚したくせに、わらわにお見合いをさせようなどと企んでおる。
(そうなるくらいなら、少しでも好きと思った人と結ばれたいと思うのは普通じゃろう?)
2曲目を踊りながらふと先輩の顔をみる。
顔が真っ赤じゃ。初心で可愛いのぉ。
……
296鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:31:09 ID:Lmkfr7q0
戦いが呼ぶ 血が呼ぶ 女が呼ぶ(以下略)
俺の名はコウジ。
こう見えても甘いモノに目が無い。

(たく、今日はパーティーの日だってのに。)
リカとカオリとヒトミがバッタリはちあわせたら、面倒なことになるし良かったと思うべきか……。
断っておくが別にやましいことはない。
付き合ってくれっていうから承諾していたら、気がついたら三人になってただけの話しだ。
一時は七人まで膨れ上がっていたのが、気がついたら三人まで減っていた。
4人の女はどれも2-3回抱いて、イマイチだったからちょうどいい。
変わりはいくらでもいるのだ。全ての女は俺のために生きているのだから。
俺の子を産む女は知性があり強くなくては駄目だ。
何故なら弱い女から生まれた子供は、いくら俺が天才で強くても、男+女で普通に成り下がる。
俺が欲しいのは子孫であって、女はただ大人しく言われたときに子供を産めば良いのだ。
(ミユキ女史のように強すぎるのも問題だがな。)
女は男に従順で無ければな。
だが最初から従順なのはつまらん
従順になるように調教していき、俺好みにしていく過程が面白いのだ。
「どうかしたんでござるか?」
「いや、何でもない。」
今日は久しぶりにタダ酒とタダ飯にありつけると楽しみにしていた。
しかし急なゼミ活動が入ってしまい、それは叶わなくなってしまったのである。
何でもミユキ女史と巨乳(ユイ)が諜報活動中に連絡を絶ったらしい。
諜報員の仕事には、ヒーロー達が活躍しやすい場所をリサーチしたり、あらかじめ強敵の弱点を調べておいたり
罠にどのような種類があるかを調べたりすることもあるわけだから、当然危険も伴う。
これがもしミユキ女史だけだったら、教授やユキチさんだって「昼寝でもしているんだ」で終わりなのだが……。
巨乳がいるんじゃぁ、助けに行かないとしょうがないわなぁ。
(介抱するついでに一度抱いてみるか。)
一瞬思い浮かんだがすぐに考えを改めた。
そんなことしたら、ジュリと本気で一線を交えることになるだろう。
あ〜いうタイプは自分のためより、大切な人の為に力を発揮するタイプだから要注意だ。

297鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:32:50 ID:Lmkfr7q0
「ところで、タルタロス…お前あっちの方は順調なのか?」
このタルタロスは結構ヘビーな裏事情を持っているのだが、残念なことに俺は男の話を30秒と記憶していられない。
あっちというのが、何を指していたのか。
彼女の話だったか。いや、これなら女絡みだから覚えているはずだ。
さてなんだったか…。
「最近学園の周りにいた組織を2つ潰したでござる。
 あと。104つの組織でござる。」
「大変だなぁ。(手伝う気0のため、棒読み。)
 お前が居ない間にポルートだっけナンパしてくる奴がいたら、また追い込み掛けとくから安心しろよ。
 あとお姫様の方もな。」
確かコイツの妹が入学早々絡まれたとかで、その報復の手伝いをしたのだ。
報復って言っても命まではとっちゃいない。
寝ている隙にベットにロープで縛りつけ、ボコボコにして意識が無くなったら水を掛けて起こしまたボコボコにし
二度と近づくなと忠告してやっただけだ。
「助かるでござる。ちなみにプルートでござる。」
「その代わり、そっちもちゃんと頼むぞ。
 この前のカラッカスだか…PC破壊して部屋に爆弾投げ込むくらいじゃ報復には生ぬるいぜ。」
「そうでござるか?」
「お前も実の妹を野獣どもの性欲の捌け口にされてみろ。気持ちが分かるから。」
俺とタルタロスはゼミの先輩・後輩ということでお互いの共有している。
コイツにだけは俺の本当の名前とこの学園に入学した目的を教えたのだ。
お互いの秘密は墓場まで持っていく覚悟だ。
(というか俺はあんまり覚えていないし)
妹にこんな裏家業のようなことをしているとは知られたくないらしく、
マスクには変声機をつける念の入りようということだけは覚えている。
一度変身を見たが、どう見ても正義の戦士とは思えなかった。
毒をもって毒を制すとはこいつのためにある言葉に違いない。
298鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:34:00 ID:Lmkfr7q0
「最近学園の付近に諜報員がちょこちょこ出没しているようなのでござるが、
 どうも何かを探しているようなのでござる。」
「ほぉ、何を探してるんだ?」
「それがよくわからんのでござる。」
俺にはお前の話がよくわからんよ。
「む……。」
タルタロスが急ブレーキを掛ける。
「どうした?」
「今怪しげな。声が……。」
そういうと森へとバイクを進路変更してしまった。
「おい、俺達は先を急いでいるんだぞ!」
「この辺りであたりでござる。」
バイクを降りたタルタロスが木の枝から周囲を見渡す。
『おのれ〜、スカルマンめぇ……』
弱弱しい男の声が聞こえる。
『”時”を切り裂けッ! 黄金丸ッ!!』
ん…この声…アイツの声じゃないか?いやでもアイツはそういう剣とか使わないはずなんだが……。
『ユグドラジル帝国バン ザイ !!ドカーン』
爆発の音は近い。
「こっちでござる。変身!!」
タルタロスを追いかけながらふと思う。
ユグドラジル帝国の諜報員が何でこんなところにいるんだ?
「何者でござる?」
骸骨のマスクをした男が真っ二つに切り裂かれた男の前に立っている。
「拙者の名は冥府の騎士 仮面ライダータナトス!!コーフー。コーフー。」
黒いマントをひるがえしてポーズをとっているのは良いのだが……。
仕方ない俺も変身するか。
「変身!!戦いが呼ぶ 血が呼ぶ 女が呼ぶ!!悪を倒せと俺を呼ぶ。
 俺の名は仮面ライダートール!」
「……黄金丸ッ!!」
骸骨の男は名乗ることも無くダッシュして斬りかかって来る。
「問答無用でござるか。仕方ないでござる。唸れ!魔剣 テュルフィング !!」
299鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:34:31 ID:Lmkfr7q0
魔剣 テュルフィング
仮面ライダータナトスの主要武器
文字通り魔剣のため。この剣で傷つけられた傷は治すことはできない。
毒は即効性なだけでなく、傷口を徐々に腐らせていく。
タナトスの言葉によって伸びることがある。

「貫け!クサナギブレード!」
なかなか早い、加速装置が付いているのだろうか。
残念だが俺もタルタロスも既にそういったモノは既に装備されている。
超光速の戦いが続く。
「答えろ、ここで何をしていた?」
「別に……。」
「貴様…イミテーションか?それとももっと上のパンドラの手下か?」
「答える義理はない。”時”を切り裂けッ! 黄金丸ッ!!」
「タルタロス…ちょっと下がってろ。」
どうやらコイツの剣も時間を切れるらしい。
イナズマブレードを召還していたら逆に危なかった。
タルタロスとのコンビネーションを考えていなければやられていたかもしれない。
「何?受け止めただと?」
「お互いビックリだな。」
相手の剣を受け止めながらニヤリと笑う。
この男できる。
「トール殿、伏せるでござる。」
「射抜け テュルフィング !!」
タナトスの剣が髑髏の男へと向かって伸びる。
「危ねぇよ!」
今しゃがみ込んでなければ、俺の背中に刺さってたぞ。
「チ!」
髑髏の男は後ろにステップを踏んで避けたが、運悪く木にぶつかってしまった。
300鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:35:05 ID:Lmkfr7q0
「覚悟するでござる。」
ガキン…タナトスの剣が受け止められる。
「どういうことでござるか?サリエル!」
エクスカリバーを払いのけながらタナトスが尋ねる。
全く次から次へと出てくるものだ。
今年の一年生はどうなってるんだ。

仮面ライダーサリエル
神の忠実なる僕。
純白の聖なる甲冑はあらゆる闇を打ち払う効果があるといわれている。
聖なる黄色いマントは掛けたものに安らぎを与え聖なる結界をつくれる。
聖剣 エクスカリバーは邪悪な結界で身をまもられた者を攻撃することが出来る。

「今日は安息日やから戦いはご法度なんやけどな。
 神に仕える者として、無意味な殺傷沙汰は止めんわけにはいかんやろ。」
「無意味とはどういう意味でござるか?」
「全ては神のみが知ればええやろ。
 ワイとフレイア姉さんが聞いたお告げでは、ワレとこの髑髏男はんが戦うことは神の意思に反するっちゅうこっちゃ。」
「生憎、神など信じておらんでござる。特にお前のような奴はな!
 そもそも何故お前がここにいる?パーティーでは無かったでござるか?」
「しゃぁないやろ。ワイ等もそんな声が聞こえたのはじめてやから、半信半疑で木の上に居ったら寝てもうたんや。
 起きたらビックリやで……、ほんまに正義の戦士同士が戦っとんのやから。
 ほんまなら、カストルの占いと合わせて女子といちゃつくはずやったのに……。 
 全く良い迷惑や!これ以上やるっていうのなら、その命…神に返してもらうで!」
この関西弁……ああ、ヨハネか。
一度部活に見学に来てたか牧師だな。
剣の持ち方と前に体重を掛けた構えでようやくわかった。
301鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/17(火) 23:37:44 ID:Lmkfr7q0
「ところで自分行かんでええの?
 誰か探しに行くんちゃうん?そっちは遅れるとまずいねんから助けたってな。」
コイツ…ふざけた態度だが…。
「タナトス…お前は先に行け。俺は後から追いかける。」
「……御意!!」
「あれれ、アッサリ引きさがんねんなぁ。
 実は大嘘でこの骸骨の兄さんとワイがグルで先輩殺すとか考えんのん?」
ふてぶてしくサリエルが笑う。
「試してみるか?なんなら二人同時でも構わんぞ?カチン。」
そういいながら剣を鞘にしまうと、骸骨男の後ろの大木が真っ二つに斬れる。
(俺を誰だと思ってる?)
タルタロスが居ると奴はまだ自分の全力を出すので精一杯で、俺の全力を交わしながら戦うということができないので、
俺が奴を巻き込まないように戦わないといけなくなり、それは面倒だし何より邪魔だから先に行かせただけなんだが。
「冗談やて……。ほんまアイツの言うとおり喰えん人やなぁ。
 いつもふざけた振りしてる癖に……。」
道化を演じ、自分の技量を相手に悟らせず油断させるのも忍びの手法の一つである。
「解除……。」
サリエルは変身をとき、牧師の格好に戻る。
「今日のところは退散するとしよう。
 俺の名はスカルマン。」
「別に仲良うやりましょうや。共通の敵がおるんやから…」
「俺の邪魔だけはするな。邪魔する者は何者であろうと容赦はしない。
 さらばだ 仮面ライダータナトス・トール…そしてサリエルよ。」
スカルマンはそういい残すと、商店街の方へ姿を消してしまった。
302 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/18(水) 00:00:30 ID:eFfZbp/j
>>288
乙です。
教師の項目も登場人物一覧みたいにした方が見やすいかな?
今度ちょっとやってみますね。

皆さん心配しているエリカですが、もう少し不幸のどん底に叩き落とします。

ちょっとネタバレしますと、神のお告げというのはヨハネの方便で
全てを見通す者カストルが見た未来を伝えてます。
ただいきなり未来が見えるといっても信じてもらえないので、
神ということばを使ったようです。
303 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/18(水) 00:29:05 ID:eFfZbp/j
一応やっておきましたので、作者の皆様確認&加筆よろしくお願いします。
勿論追加もご自由に〜
学部長は追加したけど、総長どうすんだろう。
304創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 11:29:16 ID:PKvUV6ME
乙ー
まさかのコータwガキのイメージだったけどな
正義の学部長ホンゴウタケシはまさにこの人って感じたね
学園の一番偉い人とかその側近とかがわからんよね
あえてまだぼかしとくってのも有りかも知れないが
305創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 15:13:17 ID:XHGqiT3P
更新乙
エリカのパワハラわろたw
コータはどうなることやら
306不合格:2009/02/18(水) 19:03:55 ID:0J2Nh4kN
月明かりが林道を駆ける青年のバイクを照らし出す、
向かう先は島の外れに存在する既に廃墟となった研究所。
アクセルを緩め、リアを流しながらブレーキをかけると青年はヘルメットを脱ぎ
廃墟の壁を仰ぎ見た。

重ね着た上着のよれを直し、コータは研究所の内部へと歩き出すと
崩れ落ちた天蓋から差し込む月明かりに照らされて一人の男が姿を現す。

「よぅ、来たか」
「来たけど? 何なの急な用事って?」

暗闇から姿を現したヒルトの目が赤く輝くと、皮膚の角質が甲殻化し全身を覆い始める。
見る間の内に怪人化した姿を見て、いつものようにコータはベルトを取り出す。
機械音声と共にベルトが装着され、トリガーを引くと
赤熱の閃光を放ちながら仮面ライダーグロウへと変身した。
glowing system setup...

「抜き打ちの訓練かな?」
「いや、今回は実戦だ……」

足元の粉塵を巻き上げ、怪人の姿が眼前から消失する、
殺気を感じたグロウは身を翻し機能を開放、急激な加速と共に怪人の姿を捉えた。
併走するように走る二人の影、怪人は速度を瞬間的に増幅すると
音速を突破、発生した衝撃波により後方を走っていたグロウの体勢が揺らぐ。

「くッ!?」
「音速域での戦闘には不慣れのようだな」

体勢を崩したグロウの側頭部に飛来した怪人の膝が直撃すると
バランスを失った腹部へと足刀蹴りを撃ち込み、続けて放った突きにより
吹き飛ばされたグロウの体は研究所内部に出来た地面の裂け目へと滑落した。
疑問を感じる暇もなく戦いへと投げ出されたコータは
半ば錯乱状態になりながらも墜落際に受身を取り、振ってくる瓦礫の山を避ける。

「はッ……はッ、何でッ! 何でッ!?」
「疑問に感じる方がおかしいだろうコータ、俺とお前は本来なら敵同士なんだぜ
毎日顔を合わせて、会話してる方がおかしいとは思わないか?」
「僕らは友達だろッ!!」
「それとこれとは話は別だ……」

怪人は黄金で装飾された見慣れない刀を大きく一度素振り、構えると
それに対するかのようにグロウはビートブレイドを椀部装甲から引き抜いた。

「タイプ的にな、戦闘愛好者(バトルフリーク)ってのは、分かるもんなんだよ」
「僕はただ強くありたかったんだッ!!」

踏み込むと同時に繰り出される刃が宙空で克ち合い、暗闇で火花を散らす。
数合打ち合わせた後に、不意をついたグロウの水面蹴りに体勢を崩され
続けて薙ぎ払うビートブレードが怪人の脇腹を正確に捉える。

「ぴったり肝臓の位置だ、また急所を狙ったな
それがお前の本性だ、お前は殺しが好きな男なのさ」

思いがけないヒルトの発言にコータの思考が停止する。
307不合格:2009/02/18(水) 19:04:56 ID:0J2Nh4kN

「な、何を根拠に……」
「お前のそのベルト、お前しか使ってないよな?
GLOWのベルトは常に使用者の肉体を進化させる性質がある
つけてやる時にちょっと細工してやったが、技術者連中にはバレちまったようだな」
「……な、そ……んな」
Addict assault

コータの視界に閃光が走る急激な頭痛に頭を抱え膝をつく、
みるみる内に装甲板にヒビがはいると、覆っていた殻を打ち破るように
装甲の内部から異形の生命体が姿を現した。ベルトの力により先へと進化した人類の姿。
欠陥品のロボット、落ちこぼれの魔術師、万年Eランクのヒーロー候補。

「お前達は、ていのいい実験材料(モルモット)だったって訳だ」
「……」

進化生命体”S”がゆっくりと身を沈めると、俊敏な動きで怪人の下へと襲い掛かる。
薙ぎ払う敵の一撃をかろうじて防御するとヒルトは敵に向かい言葉を放つ。

『物質は固相から液相へと変質する』

言葉が放たれた瞬間、”S”の肩口がスプーンで抉られるように丸い穴を穿つと
肉体が液体へと変わり周囲へと撒き散らされる。体勢を崩した”S”は身を翻し着地すると
周囲に漂っている物質を体内に取り込み肉体を再構成し始める。

「やはり一筋縄ではいかんか」

加速装置により加速するヒルトの行き先を回りこむように”S”が進行方向を塞ぐと
振り下ろされた腕に吹き飛ばされる、加速装置が連続使用出来ないシステムな上に
使用した上でも純粋な脚力のみで追いついてくるデタラメな”S”の速度に翻弄される。

ヒルトが身を引いた刹那、世界の全ての物理法則は停止する。
ひび割れた腕部を支えながらヒルトが一旦距離をとり離れると再び世界が動き出した。
周囲に”S”の咆哮が轟き、ヒルトは時間を分断しながら間合いを計りつつ
放たれる攻撃をいなしながら避ける。

「……」

互いに無言で向き合う二人、すかさずヒルトの頭部へ向かい”S”の突きが直撃すると
続けて腕を振るう”S”の動作が停止する。ヒルトはただ何をする訳でもなく
かつての友人の姿を見つめていた。

「ヒ…ル……ト」
「呼び捨てすんな、ヒルト”君”だろ?」

白熱した閃光がグロウの体を覆い始め、顔を押さえ込むように後ずさる。
次第に視界が開ける内、壁に寄りかかるようにコータが倒れ込むと
強制的に変身を解除した。

「当面は人死にが出ずにすんだ」
「僕にはもう、な、なにがなんだか、分からないよ」
「いっそのことアレだ、お前もダークヒーローになっちまえ
まぁ、兎も角、俺の撃破記念にこいつをあげよう」
「……?、なにこのぺらいカード?」

コータが倒れこんだ場所から腰を挙げ、衣服についた埃を払うとヒルトが差し出したカードを受け取った。
光が透けるほど薄いカードに英文が書かれている、至って普通のカードだ。
308不合格:2009/02/18(水) 19:06:08 ID:0J2Nh4kN

「今回ヒーロー選抜試験を受けたクロノ・イルーゼ・アイには既に合格と伝えてある」
「え!? じゃぁこれが噂に聞くヒーローパスッ!!
や、やったーッ! これで僕もヒーローだぁッ!!」

その場でぴょいぴょいとウサギの如く飛び跳ねながら喜びを体で表現する
コータの頭をヒルトは軽くコブシで小突くと言葉を続けた。

「話は最後まで聴きなさい、そもそも君は不合格」
「ええッ!? 何で、僕強かったじゃんッ!?」
「強いだけでなれるんなら、俺もヒーローだっつーの
市街戦でビル滅茶苦茶にしたんだって? 明らかにやりすぎ」
「て、手加減しにくいんだよぉ」

コータは大きく開いた目を潤ませ、頬を膨らませながら上目使いにいじけた。
かわいこぶるコータの耳にヒルトはひっそりと口を寄せ、小声で話しかける。

「お前は知らないだろうが、ヒーロー学園には第九層に分かれる
閉鎖区域が存在し、そこにお前のようなバトルフリーク連中が防衛に当たっているらしい」
「何だかジャ〇プ漫画みたいだね、そいつら強いの?」
「俺が単体で七層までは攻略できたんだが、六層の相手が二人組みでなぁ……」
「ヒルト君ですら、二層しかクリアできないの? じゃぁこれ偽造のヒーローパスなんだ」

かくしてコータの脳内では天秤にかけるが如く、天使と悪魔の声が囁きかけるのであった。

天使コータ曰く
「これは面白そうだよ、全員倒せば僕が.1だ!」
悪魔コータ曰く
「ヒルト君ですらてこずるほどの強敵、こいつは楽しみだよ!」

「さぁ、どうする? 伸るか反るか?」
「のるーッ!!」

悪の道に引きずりこまれてなお、無邪気な笑顔を絶やさないコータなのであった。

309不合格:2009/02/18(水) 19:07:01 ID:0J2Nh4kN

ヒーロー選抜試験 最終結果報告

担当試験官 コウガミ ヒルト

合格

クロノ ヤスアキ
イルーゼ・シュミット・イッセルシュタット
IC−01633 デストロイヤー
ハザマ ユウキ
ワタヌキ ユキエ
ワタヌキ サクヤ

不合格

フラノ コウタ

End...
310不合格:2009/02/18(水) 19:08:18 ID:0J2Nh4kN
打ち切りっぽい感じで終わらせてみまんた
311創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:23:03 ID:PKvUV6ME
みまんたてw乙でした
Sとか閉鎖区域とか超気になるよ
なんとかしてーw
312創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:59:20 ID:XHGqiT3P
ユキエちゃんって新キャラかなぁ
続きが気になるわぁ
313創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 23:24:08 ID:GjTVYLk1
ちょw何をあっさり悪に走ってんだコウタ!!そう来たかwwwww
あれか?もうちょっとだけ続くんじゃよ?なのか?続きお願いしますよ作者さん!
悪に走ったのって他にいたっけ?
314創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 08:32:13 ID:Yz3Rg3tv
八月朔姉妹ていうのがいたな
わたぬきと読むんだったのか
すべて試験だったんだろうか
315鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 20:47:39 ID:4Sm7zV4/
私の名前はジュリ。
最近出来の悪い後輩を鍛えていたら、いつの間にか母性本能というか
守ってあげたいというか。そういう感情を抱いていて……。
どういうわけだか、その後輩からプロポーズされ受けちゃったんだよ。
まぁ所謂気づいたらこうなってましたってやつ。
イクサを壊されてようやく分かった
元々みんなの幸せを守る力なんて私には無かったんだ。
そういうのはコウジやミユキ先輩やユキチ先輩みたいな超人に任せて
これからは分をわきまえて自分のささやかな幸せを彼と共に築いていこう。

「カストル…そろそろヘレネにちゃんと紹介してくないか?」
「姉さん機嫌良さそうですか?」
私に聞かれても困る。
(ただ踊ってるときは幸せそうな顔をしていたぞ。)
左手の薬指には昨日買い物が終わって、食事をしたとき貰った婚約指輪が光っている。
イクサの改造は初めての共同作業といったところだろうか。
もう少しで完成してしまうのがちょっと残念だ。

「じゃぁ、ちょっと行きましょうか。ネロまた後で。」
「しっかりやれ。最初が肝心であるぞ。先手必勝だ!」
別にヘレネと戦いに行くわけじゃないんだが……。
私の手を引く、カストルの手が汗ばんでいる。
(緊張してるのか。)

彼は対人恐怖症とまでは言わないが、あまりコミュニケーションが得意ではない。
特に容姿に優れた者(姉・弟・母)との話は家族なのに、心臓がバクバクするんだとか。
「カストル リラックスだ。」
心配になってカストルを後ろから抱きしめる。
ただし抱きしめるとは言っても、
私の身長が172cmくらいだから足は地面から浮いていて前から見るとよくてオンブ
もしくはチョークスリーパーのようになってしまう。
316鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 20:48:52 ID:4Sm7zV4/
「ジュリさん、ドレスのスカートが皺になりますよ。それにみんな見てます。」
「良いんだ。私は今こうしてお前とくっ付きたいと思ったからこうしてるんだ。」
う〜ん。この肌触りフカフカの感触、ベットの上だと、最高級抱き枕なんだよなぁ。
彼の心臓の鼓動が急に早くなる。

(ん……どうしたんだろう。)
「ジュリさん……予定外です。姉さんがこっちに来ます。」
「え?」
「やっと来たか。ポルックスはとうの昔に挨拶に来ておるのじゃ
 全く兄らしくシャンとできんのじゃろうか。」
「姉さん遅くなったのは謝るけど、僕にも友達が……。」
「そなたの友達は、愛と勇気だけじゃ。」
話には聞いていたが、本当に仲悪いんだな。
これじゃぁ出るに出れないじゃないか。

「ロボットや機械を造るだけでは飽き足らず、自分の体まで改造しよってから。
 手はまぁ4本あってもよいと思うが、足が4本というのは変じゃろうて。」
私の事にまだ気がついていないようである。
もう少しタイミングを待ってみるか。
「それにしても、細くて短い手じゃのぉ、こんなのつけてどうするんじゃ?」
ヘレネが私の腕をぺたぺたと触る。
「姉さん大事な話があるんだ。」
私はカストルの右肩からひょこっと顔を出す。
「へげ…」
驚いたヘレネが酒のグラスを地面に落とした。
「ちょっと姉さん大丈夫ですか。」
317鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 20:49:20 ID:4Sm7zV4/
「婚約者とはどういうことじゃ!」
ひとしきりカストルが事態を説明すると、甲高い声でヘレネがカストルを問い詰める。

「どういうこともないよ?」
「騙されておるのじゃよ。研究ばかりしておるから、世間知らずなのじゃよ。
 そなたの財産目当てに決まっておるじゃろう。」
カストルは学生の身分にありながら、既に多くの発明品を世に送り出しておりそのパテントなどはとんでもない額なのだ。
例えばあそこでワタヌキ姉とロキが使っている携帯ゲーム機も……ワタヌキ妹の使っている携帯電話…あそこの照明器具
すべてカストルの発明がなければできなかったものなんだ。
(もちろん私に仕組みなどわかるはずがない。)

「いくら姉さんでも、それはジュリさんに失礼だよ。謝ってよ!!!」
いや、私だってヘレネの立場だったらそういうぞ。
「話はまだ終わっておらんぞ。妖狐族の統領の長男が人間と結婚などと……。」
「ヘレネだってコータ先輩とさっきキス(モゴモゴ)」
「ちょっと黙っておれ」
エリカの口におしぼりを数個放り込み、ヘレネが再びしゃべり始める。
(いったい何を言いかけたんだろう)
私が来たときには、コータと楽しそうに喋っていただけなんだが……。

「そんなに疑うなら、貯金は全部姉さんにあげるよ。
 ちょっと使っちゃって減ってるけど。」
カストルは財布から黒いクレジットカードを数枚とキャッシュカードを数枚取り出す。
何でも預金総額が多すぎて、銀行が一社では扱えきれず、六社くらいに跨っているらしい。
「一回に全額を卸すと、また銀行や保険会社がいくつも潰れちゃうから気をつけてね。
 あと、これ世界のどこの銀行でも換金できる小切手、好きな金額書いていいよ。」
またってなんだ。またって?
318鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 20:50:09 ID:4Sm7zV4/
「馬鹿者!わらわは世界経済をコントロールする気などないわ!
 それにこの莫大な金はそなたがポルックスに馬鹿にされながらも、
 コツコツと小遣いを貯め参考書を買い、研究して貯めた金じゃろう。」
「お金なんていくらでも入ってくるし、
 僕姉さんみたいに不死じゃないから、使いきれないんだよね。イタ!」
私がヘレネに見えないようにカストルのわき腹をつねる
(そういう野暮な話をするときじゃないだろ。)

「女尊男卑の妖狐族に僕の居場所なんてないよ。母さん似のポルックスは別だろうけど
元々卒業したら出て行くつもりだったんだ。」
「わらわは別に駄目とは言わんが……」
その後馴れ初めなどを1から100まで報告させられた。
……

「ところで、ジュリ先輩の薬指の指輪はそなたがプレゼントしたんじゃろうか?」
ヘレネが私の指先をまじまじと見つめる。
「そうだよ。僕だってそれくらいできるんだから。」
(よく言うよ。)

買い方がわからなくて、百貨店ごと購入したくせに。

「そなたは本一つ買うために、図書館ごと購入した前科があるか心配なのじゃよ。」
「姉さんは相変わらず過程にこだわるんだね。
 どうせすぐ次の本を読みたくなるんだから、本屋ごと買った方が効率的じゃないか」
私がちょっとトイレに行っている間に、
百貨店と出展しているテナント企業を買収したと聞いたときにも聞いた言い分だな。
そのときは、どうせまたデパートで買い物することだろうしだったか。
妖狐族はそういう買い物スタイルなのかと思ったが、ヘレネの様子だとどうやら違うらしい。
(後で厳しく叱っておかねば。これは二人で生活していくのだから。)
319鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 20:50:37 ID:4Sm7zV4/
「あの頃は若かったんだよ。僕も成長してるんだよ。」
ああ…してるよ。変な方向にだけどな。

「なら良いんじゃが……。
 ちょっと使ったというのはそれじゃろうか?」
「ううん。学園の近くの無人島が売りに出されてて、ジュリさんと住む家決まってなかったし買ったんだ。」
それは私も初耳だ。
てっきり私は商店街のマンションでもカストルの卒業までは住もうかと思ってた。
「島を買った……じゃと?」
「うん。」
カストルが屈託のない笑みを浮かべる。

「ひ……広いのか?」
「なんじゃ、ジュリ先輩にも相談しておらんのか。」
「サプライズにしようと思ってたんだよ。広さは9,686,850km2だからこの島の2/3倍くらいかなぁ。」
それは本当に島なのか。
(大陸なんじゃないか。)
ヘレネと顔を見合わせる。

「最近隕石が墜落して陸地ができたんだってさ。
 だから今僕の会社が、総力をあげて開発してるところなんだ。
 あと、婚約記念に惑星も買ったよ。」
聞き間違いか今僕の会社って言わなかったか。
そんな話も私は初耳だぞ。

「僕の会社じゃと?ほとんど外に出ることがなかった、そなたがいつ就職したのじゃ?」
「馬鹿だなぁ姉さん、株だよ株。世界中の銀行に分けて貯金してたんだけど
 もうこれ以上預かれないっていうから自分で銀行作ったんだ。
 そしたら融資してくれっていうから、じゃ株をお金分頂戴っていって…。
 貯金も寝かせとくのもあれだからファンド設立して運用したり、発展途上のお金の無い国に貸してあげたり。」
だんだん頭が痛くなってきた。
国にお金を貸すって、まさかテロリストを支援したりはしてないだろうな。
仮にも私達は正義部の人間だぞ。
320鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 20:53:11 ID:4Sm7zV4/
「そなたの会社って今何社あるんじゃ?
 わらわでも知っている会社か?」
ヘレネが眉間に皺を寄せて尋ねる。
「数が多すぎて僕にもわかんないから、
 オリュンポスホールディングで資産とか株は一元管理してるんだ。
 傘下で有名な会社だとスマートブレイン社とか
 あとはD&Pと一緒に出資してる株式会社イクサとか
最近始めた怪人派遣会社サーチと就職サイトヒーロナビとか。あとは……」
「イクサだと?」
私が立て板に水で喋り始めたカストルの言葉を遮って尋ねる。
「ええ。イクサの老人介護とか過疎地とかの肉体労働用にしたものですよ。
 一応登記上はジュリさん社長でリョウコさんが副社長ですから。
 役員報酬の方も今月から振り込まれてるはずなんですけど。」
「聞いてないぞ!!」

「あれ?キング先輩から聞いてません?
 リョウコさんから伝えてもらうって言ってたんですけどね〜。」
「それは後で相談して欲しいのじゃが、
 惑星や島を買うというのは、人間の世界では普通にやることなんじゃろうか。
 初めて聞くのじゃが……。」

安心しろ私も初めて聞いた。
「島を空中に浮かせて、空中都市にする計画なんだけど、完成予想図を姉さんにも見せてあげるよ。
 ヘラお出で……。」
お手伝いロボットのヘラをカストルが呼ぶ。
胸からプロジェクターのようなものを出すと映像が出てくる。

『ジュリさん専用トレーニング棟 ジュリさん専用シャワールーム、ジュリさん専用プール 
 ジュリさん記念館(ジュリさんが生まれてから貰ったトロフィーを飾る建物)
 ジュリさん専用大浴場&サウナetc
 ……系東京ドーム2個分
 オリュンポスホールディング関連施設系東京ドーム5個分
 僕関連 図書館 研究所…東京ドーム1個分』
これによると、島の東半分をプライベートで使い、後の半分を好きなことに使うようである。
ただこういうことは、やっぱり相談して欲しいな。
これからは…
321鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 20:55:18 ID:4Sm7zV4/
「何で殴るんですか?」
「あのなぁカストロ。私は別にアンタが金持ちだからプロポーズ受けたわけじゃないぞ。
 アンタさえずっと傍にいてくれればそれで良いんだよ。」
「ジュリさん海の見える所でトレーニングしたいって言ってたじゃないですか!
 魚が毎日でも食べたいって言ってたじゃないですか。」
そりゃ言ったけどさ。
覚えててくれたのは本当に嬉しいだよ。

「カストル……。この島はもっと有効的に使わないか?」
「気に入ってくれなかったんですね。やっぱり季節が4つもあるのは嫌ですよね。
 ジュリさん雨きらいですもの……。
 それに海に珊瑚礁は無いのは駄目ですよね。」
カストルはガクッと肩を落とすとヘラを連れてトボトボと出て行ってしまった。
「勘違いせんでやって欲しいのは、別にカストルは悪気があったわけじゃないんじゃよ。
 本当にジュリ先輩に喜んで欲しかったんじゃ。
 というか頭の中にそのことしか無かったんじゃろうな。
 あんな奴じゃかよろしくお願いしますわ。」
ヘレネがペコリと頭を下げたので、私も慌てて頭を下げる。
これから私どうなっていくんだろう。
やっぱり花嫁修業とかしたほうがいいんだろうか。
322鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 21:00:49 ID:4Sm7zV4/
ヒューという風の音がする。
タルタロスがユイを探しに行くというので一応GPSで調べてはあげたけど……。
何で私にいちいち報告にくるのかしら?

窓を閉めようとすると
「見つけましたよ…ナツミ博士」
背後から聞きなれない声がする。
「ああ…あのときの……。」
振り返るとそこには前にエンペラーストーンの完全版を売った老人が立っていた。

「ここに来るまでに何人か同士を失いましたが、
 博士に会えたのだから良しとしよう。」
「何のようかしら?私は特に用事はないんだけど?」
この警戒態勢でどうやって学園の敷地内まで侵入したのだろう。
クラマのときといい、警備体制を強化して貰わないとおちおち研究もできないわ。
「貴方に我がユグドラジル帝国の技術顧問になっていただきたい。
 そして皇帝パンドラのブレーンとしてその頭脳を存分に発揮していただきたい。」
そういうことに興味が無いのよね。
世界を支配して何になるって言うのかしら。
「そうパンドラの体内には博士の開発したエンペラーストーンが埋め込まれています。」
そんなこと見ればわかるって。
お陰で私は大目玉食らったんだから。
「で?」
「え?」
「人間にそんなこと頼むなんて、よっぽど人材難なのね。」
そんな人材難の組織尚更願い下げよ。
323鮮血のバレンタイン ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 21:01:59 ID:4Sm7zV4/
「ただの人間なら頼みません。軍需産業とバイオ医学の分野に特化し、他社の追随を許さず
 あのオリュンポスグループのヘスティア社すら一時本気で撤退を考えさせたという
 オージングループを一代で築き上げたナツミ博士だからお願いしているのです。」

「そこまで知ってるなら話は早いわね。忙しいから嫌よ。」
「残念です。手荒な真似はしたくなかったのですが……。」
チクッと首筋に痛みが走る。
(何を注射したのよ。)
連れて行くつもりだったのだから、毒ではないと思うけど……。
段々指先から力が抜けていく。
そのとき、ウィーンと自動ドアが開いた。
「ケーキとジュース貰ってきたから食べようよ。って何やってんだ!!」
「うるさい人が来ましたね。」
「ハルカに何かしたら私は舌を噛むわよ。」
あれは私の大切なモルモットなんだから。
(壊したらしょうちしないからね。)

「私は何もしませんよ。私はね。やれ」
「キキー!!」
「出番だがねぇ!」
老人は胸ポケットからカプセルを取り出すと床に叩きつけた。
すると赤い煙の中から戦闘員5人と怪人が3人現れる。
「おい!ちょっと待てこっちは一人だぞ!」
怪人の一人がハルカに飛び掛り窓へと投げつける。
「うわぁ!」
核弾頭が直撃しても壊れないはずの強化ガラスが割れ、ハルカの体は地面へと真っ逆さま。
「ではいくとしましょう。」
「どこへ……。」
「決まっているでしょう。我等が城デス・スター…」

その様子を通信指令室から確認するユキチとウラノスとアキレスそして…ユウキ教授
「とりあえず、作成の第一段階は終了ですね。ユウキ先生」
「ああ…」
「ナツミはんちゃんとできますかね?」
アキレスが心配そうにユウキに尋ねる。
「ミユキ君が暗号で知らせなくても、遅かれ早かれこうなることはわかっていた。
 自分で撒いた種だ。ちゃんと刈り取ってもらわんとな。」
「大丈夫かなぁ。」
ユキチも心配そうである。
「最初は戸惑うかもしれんが、戻ってくる頃には立派なヒーローになってるよ。」
「やけに自信満々ですね?」
「前例があるんだ。偉大な先輩でね。彼とナツミはよく似てるんだわぁ。
 というわけでウラノス終わったかい?」
ウラノスは右手をメインコンピュータに差込み、ナツミのファイルを休学中に書き換えているのだ。
「前例って?」
「秘密…」
ユウキはクスクスと笑うと、部屋を後にした。

第一部完 ヒーロー学園 エピソード2

ナレーション
行方不明になったミユキとユイの運命は?
そしてウラノスは未来を守ることができるのか。

第二部 ヒーロ学園エピソード1に続く
324次回予告 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 21:04:17 ID:4Sm7zV4/
忍者ゼミがゼミ生募集を見合わせざるを得なくなった事件など
現4〜6年生を中心にハイドの例の事件まで
ちなみに2でちょっと出てきたマナミとユウコとかがアンゴルモアの手下になるまで
の予定
325 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 21:06:53 ID:4Sm7zV4/
カストルのイメージは富豪刑事
ちょっとあざとかったかな。
326創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:18:05 ID:G2mhLgLJ
投下おーつ
ヒルトは多重人格なん?
カストルは単なるピザじゃなかったかw
327創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 21:42:11 ID:Yz3Rg3tv
御坊茶魔みたいだなカストルw
過去の話になるのか 投下しようと思ってた話どうしようかな
パラレル風味な感じにすりゃいいかな
328 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/19(木) 23:42:01 ID:4Sm7zV4/
>>327
エピソード3で現代に戻るので、
上手くつなげるよう頑張ります。
ややこしくてすみません。
329創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 08:20:02 ID:nkIOrBPD
んじゃこっちはこっちで書かせてもらおうかな
>>253ユウトを使ったりしようかと
330創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 12:07:44 ID:C9yvbttP
俺も考えてみたから良かったら誰か使ってちょ
シロキゼミ
名前 サエジマ ナミ
性別 女
学年  2
学部 正義部
学科 バイオ科
成績 落ちこぼれ
性格 几帳面
能力 ライオンマスクに変身する。
   百獣の王なので助けようとしてるのに襲ってると間違えられるのが悩み

名前 トドロキ アカネ
性別 女
学年 3
学部 正義部
学科 機械科
成績 普通
性格 綺麗好き
能力 トンボの改造人間

教師
アオミ マタサブロウ
…就職試験の健康診断で引っかかり不採用となる。
 その後行く当ても無いのでとりあえず講師となった典型的サラリーマン講師
 (助教授や教授になる程の力はないのは自覚している、)

キミドリ イワオ
体育会系の気質で暑苦しいと一部女子生徒から不評
現役時代はライダーのサポート役として活躍?
子供には絶大なる人気を誇っていた反面、主婦からは不評だった。

キャラ考えるのは難しいな。
既にいるのと被ってもつまんないし
331創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 13:01:40 ID:JuJxKPKp
新作期待してます。
カストルはあれですか
たった五億ぽっちのために銀行強盗とか言っちゃうのかw
332創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 20:30:12 ID:hMUOl2Zu
>>326
多重人格ではありませんが怠け者の為
その辺のザコになりきります、復讐、報復を避ける為なるだけ負けます
無機質な言動に無表情なのが素顔で、それ以外は相手によって適当に変えます
333創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 14:12:34 ID:Xk4IuCTI
ふざけた方のヒルトが好きだな。
あのマターリ感はなかなかでない
334創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 21:58:57 ID:BPeGrk3F
329の作品に期待しよう
335創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 22:29:00 ID:qV5CUUgh
じゃあまだ最初のほうだけだけど投下してみようか
まだ何ともいえん感じかもしれんけど
 せまいキッチンの小さなテレビは、テロリスト幹部護送のニュースを放送していた。

――ブラックスミス太子を名乗るテロリストはアメリカでさらに取り調べを受けたのち、
国際司法裁判所へと送られる予定です。超日本警備社とヒーロー学園から派遣されたヒーロー
が護送するとのことで……

 朝食のパンをむりやり腹に詰め込んだナオコは、慌ただしく家を出た。
「いってきまーす」

 ミドルの黒髪が揺れ、制服のスカートがひるがえる。足音が歩道を移動した。
 どこにでもあるような光景だ。
 高校生の彼女は今日小テストに出るかも知れない英単語を頭で繰り返した。
 平凡ながらもささやかな幸せの続く毎日を、ナオコは疑わなかった。
 毎日か判で押したように同じであることに、特に不満もない。
 まさに今出発しようとするバスに向かって、ナオコは懸命に駆けた。

「乗ります、乗りまーす!」
 突然、ナオコの目の前が黒くなった。
 見上げると、黒い仮面がある。目の部分だけ開いた鉄の仮面はシンプルだが不気味だ。
 ナオコは黒い腕に抱えられ、地から離れるのを感じた。

「ちょっ、何?」
 鉄の鎧に身を固めた男は、ナオコを抱えて空を駆けた。
 ナオコが悲鳴を上げても、地上ははるか下だ。風に身をこすられ、ナオコは身動きも
とれなかった。

 気づけば、ナオコは高層ビルの屋上にいた。風が強く吹いてナオコの髪を乱した。
 はるか下に見下ろせる街では多くの人々が変わらぬ毎日を忙しく生きている。。
 鎧に黒い仮面の男が、ナオコに近づく。

「おおプリンセス! 会いたかったぜ」
 仮面の裏から聞こえる声は、意外によく通る軽いものだった。
「プリン? あ、あの、な、なんですかこれ」
「すまないが人質ということになってもらう、ソーリーソーリー」
「ひ、人質って……」

「私を覚えていないのか?」
「え?」
「記憶を操作されているのだな」
「へ?」
「いいんだ、私は気にしないぜドントマイン。少しずつ思い出せ。私はブラックスミス太子」

 どこかできいたことがある、と少し考えてから、ナオコは思い出した。
「あ、テレビでやってたテロリスト?」
 ブラックスミス太子を名乗る男は仮面をかぶった顔でうなずいた。
 人質の意味を知って、ナオコはまた恐怖に身をすくめた。
 たまに新聞に載るテロリストで、線路を破壊したりダムを決壊させようとする悪人だ。
 屋上に吹く風がやや弱くなった。

「ナオコ、マイワイフよ」
「はあ?」
 ナオコは思わず高い声を出した。
337シュバルツェル・レオパルト2 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/21(土) 22:34:28 ID:qV5CUUgh
「ともにヒーロー学園に入ってくれ、シュガーベイベ」
「ヒーロー学園?」

 海に浮かぶ島にあるというヒーローの学園。その存在は、ナオコも知っている。しかし、
自分に縁があると思ったことはない。自分の平凡さにナオコは自信がある。
「ヒーロー学園ならすぐ警察に捕まることはない。ヒーローとは何なのか、正義とは悪とは
何なのかを私は知りたい」
「はあ……そんなこといわれても。あの、人違いじゃないでしょうか」

 ナオコが弱々しく言うと、ブラックスミス太子は仮面の奥の瞳に悲しみの色を浮かべた。
 その目に見つめられると、ナオコは体の芯に何か熱いものをおぼえた。

 不意に、見つめ合う二人に影が投げ掛けられた。
「見つけたぞ、ブラックスミス」
 白鳥のような大きな羽根を背負う短髪の男だ。ジャージを着てバレーボールを手にして
いる。

「一球入魂、勝利のアタック! バレーボールズ・ユウト!」
 空中で背の羽根を広げている以外は、ユウトは普通の人間に見える。ユウトはバレーボール
を高く放った。
「いくわよーっ! サーブ!」
 ユウトに打たれた球はオーラをまとって、ブラックスミスを襲った。
 黒い鎧にボールが激突すると、爆発に似た閃光が走った。

「おのれ、ヒーロー学園か……」
 おびえるナオコの前で、ブラックスミス太子の仮面が落ち、音を立てた。
 ブラックスミスの黒い瞳は冬の夜空を思わせるように澄んで輝きを宿し、通った鼻は高く、
あごは細い。長い白金の髪が風で男の顔にかかった。

「あ、あの……」
 ブラックスミスの素顔に、ナオコは恐怖も忘れて見とれた。ただ顔が美しいという以上に、
ナオコは何かを感じた。かつてこの人に会ったことがある、というかすかな記憶だった。

 ブラックスミスは静かに怒りを燃やした。
 バレーボールは浮かび上がる。
「よっしゃあ、ラリーがつづくぜ、アタック!」

 まだオーラをまとうバレーボールを、空飛ぶユウトがまた打った。
 ますます威力を高めて、バレーボールは高速回転しながらブラックスミスに飛び掛かる。
 地面に落とさず打てばバレーボールは力を増す。ユウトの能力だ。

 砲弾のようになったボールがブラックスミス太子を撃ち、黒い体を弾き飛ばした。
 まぶしい光が飛散する。
 キャアと叫ぶ以外ナオコは何もできず、座り込んで身を震わせた。

「あっ人質がいたのか。やばかったな……」
 ユウトはボールを追って旋回した。

「クェーッ!」
 と突然、甲高い鳴き声が響いた。
 ユウトとは別の、黒い羽根を広げた何かが飛んでいる。クチバシを付けて羽毛で覆われた
顔の、軍服を着た鳥人間だ。
338シュバルツェル・レオパルト3 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/21(土) 22:37:28 ID:qV5CUUgh
「あちき、ブラックスミス様のしもべ、シュヴァルベ将軍ざんす! 愛刀『大飛燕』と『小飛燕』
の餌食になるざんす!」
 クチバシを上下させながら、両手に大小の日本刀を光らせて鳥人間が急降下する。
 とっさにユウトは飛び上がって二振りの刀をよけた。
 ボールは屋上に落ちて力をなくした。

「くそっ、鳥怪人がぁ!」
 ユウトはいったん降りてボールを取ろうとする。シュヴァルベは左右の刀を手に飛び込み、
させまいとした。二人の飛行超人がとびまわり、白や黒の羽が雪のように舞い散った。

「太子、ここはあちきにお任せざんす!」
 シュヴァルベ将軍がクチバシから声を飛ばすと、ブラックスミスはナオコの手を取った。
「ゆこう、ナオコ。明日へランナウェイ!」
「いえ、あの、ランナウェイって言われても」

 どうすべきか、ナオコは迷った。ブラックスミスは美しい顔をしているが、テロリストだ。
 白い羽根を生やして空を飛ぶジャージの男はヒーローらしい。
 迷っていると、ブラックスミスの足元で床がうごめいた。
 床はうねるとブラックスミスにまとわりつき、鎧のすきまに入って首を絞める。

「レオパルト、貴様……!」
 ブラックスミスを突き放すと、不定形の物体は獣の形へと姿を変えていく。
 あらわれた黒いヒョウは口を開閉し牙を見せた。
「ナオコ様、ここを離れましょう」

 立て続けに色々なことが起きて、ナオコは混乱気味だ。
 レオパルトという黒ヒョウはかまわず、ナオコの首をくわえ、引きずるように駆けた。

「マイワイフ!」
 追いかけるブラックスミスの腕を、すばやくユウトがつかむ。
「おっと、市民に手は出させないぞテロリスト!」
 ブラックスミスはすずやかな目でユウトをながめる。
「その服は化学繊維か?」
「だったら何だ」
「次会うときはコットンを勧める」

 ブラックスミスが言い終わると同時に、ユウトのジャージは黒くなった。
「ぐあっ、重っ?」
 鉄になったジャージのせいで、ユウトはへばりつくように倒れた。
 周囲にある無生物や、生物由来の物(綿や絹など)以外を鉄にするのがブラックスミス
の能力だ。

 ブラックスミスが見回すと、すでにナオコはいなかった。
「クェッ、殺しますか?」
 白い羽根を広げて腹ばいになるユウトに、鳥人間シュヴァルベが光線のような二振りの
刀を向ける。

「ほうっておけ。ヒーローを一人殺せば二人のヒーローに恨まれる。スマートに行こう」
「そうざんすね、ちょっといい男でござんすし」
 それぞれの刀を鞘におさめるシュヴァルベの体付きは、女のものだった。
 ユウトは身震いする思いだが、身震いすらできない。
「他のヒーローか超日本警備社が来ないうちに離れよう」
 ブラックスミスを腕に抱き、シュヴァルベは飛び上がった。
 黒い羽を何ひらか残し、二人のテロリストは去った。
339 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/21(土) 22:41:49 ID:qV5CUUgh
いったん終わり
うんまあベラドンナ作者です
今度はもっと学園物っぽくしたい
といいつつまだ学園に入ってもいない
ちなみにバビル2世をもとにしています
340創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 23:20:03 ID:BPeGrk3F
た。た。って文章の語尾がなんかト書きみたいなのが微妙だな
341創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 23:26:24 ID:qV5CUUgh
そうかな じゃあ今後気を付けてみよう
342創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 02:01:27 ID:cdmO2Sgb
ヒルトとコウジは似た者同士なんだな。真逆にも見えるけどw
コータはダークサイドに堕ちるのだろうか
でも本当に堕ちたらパワーアップするのかな?
343プロローグ ◆ccu2hP6PPA :2009/02/22(日) 12:38:36 ID:fR9DfgBQ
「危ないところだったわさ。」
アタイは後輩のユイを連れて閉鎖区域第九層を突破し、その先の地図にも記載されていない謎の城を訪れていた。
「卒業までにもう一度は攻略してみたいと思ってたけど、こんな形でとは思わなかったわさ。」
「こんな場所があったんですねぇ。もう一度はって前にも来た事有るんですか?」
デルタの変身を解除しながら、ユイが辺りを見回している。
「6年生になる前の春休みに腕試しで来たわさ。」
「お一人だとどの位まで?」
「真面目に受けてた最上級生は誰でも第九層まで来れるわさ。
 ただ戻れなくなるのがたまに出るから、アタイ達忍者ゼミや有志の腕自慢が交代で警備してるってわけ。」
「ユイもいつかするんですかねぇ?」
ユイが不安そうに尋ねる。
「どうかした?」
「だってあんな怪物ですよ?さっきのなんかもう怪人とかいうレベルじゃないですよ!
 あんなの一人じゃ無理ですよ!」
「第五層以上は敵も複数で強くなるから、チームで挑まないと負けちゃうから気をつけるわさ。」
本当なら合宿っぽく四層辺りにキャンプでもしたかったのだが、
『それならついでに、ちょっと調べてきて頂戴。』
というツル先生のお願いで最奥ゾーンまで来る羽目になった。

ツル先生といえば、アタイが就職活動の面接会場で大乱闘を起こしたときに、
謝りに行ってくれた大恩ある先生だから聞かないわけには行かない。
ちなみに乱闘騒ぎの原因は最近流行の圧迫面接とかで
『どうせ結婚してやめちゃうんでしょ?』とか
『女の子は敵に惚れられちゃったりして、教育上よくないことがあるんだよねぇ。』と失礼な発言を連発されたからである。
後に続く後輩達のためにも怒らないといけないと思ったのだ。
344プロローグ ◆ccu2hP6PPA :2009/02/22(日) 12:39:16 ID:fR9DfgBQ
「あまりお役に立てずすみません。」
「さっきの戦いも悪くはなかったわさ、 
 戦いのときにもっと冷静になれば、今年のうちに四層までは一人で突破できるわさ。
 ただ無線機が破壊されたのは予定外だわ。」
6層の怪人から攻撃を受けたときに、ユイが腕に巻いていた通信機を破壊されてしまったのだ。
「でもなんで閉鎖してるんですかぁ?」
「危ないからだわさ。さっき四層の怪人が、五層の怪人に取り込まれるのみたろ?」
「はい。ビックリしました。」
階層が奥へ行く程、怪人は強くなる。 
同じ階層の怪人同士が基本的に争うことは無く、自分のテリトリーの中で生活をする。
階層の違う怪人が何かの拍子で
そのテリトリーに侵入者が足を踏み入れると、途端に上位階層の怪人が下層の怪人を食べてしまうのである。
食べるといっても人間のように食事をするわけではない。
アンゴルモアのようなスライム状の生き物を寄生させるのである。

「あんなのに巻き込まれたら面倒だわさ?」
「確かにそうですけど……。」
「長年の調査により、奴等は自分の意思をもったアンゴルモアだということが判明したわさ。
 奴等はこの城にいる大王を守っている。
 さっき倒した奴も完全に消滅したわけじゃなくて、小さく分裂しただけで何年かしたらその分裂した分怪人が増える。
 本能なのか階層ごとの怪人の人数は一定なんだわさ。」
「大王って玉座で話してた奴ですか?あの・二つに分裂したのですか?」
「わかんないから助けが来るまで調べるんだわさ。」

アタイ達が城に潜入すると、そこは既にも抜けの殻となっており、
驚いたアタイ達が玉座に向かうとそこには一人の怪人が何やら老人と話していた。
物陰から息を殺してしばらくその様子を観察していると
しばらくして怪人は二体に分離し、一体は青い光に包まれると、もう一体は老人の手の中にあるカプセルへと消えた。

「先輩!これなんですかね?」
「見せてみるわさ。」
ユイが黄色いファイルを見せる。
ファイルには歴代のヒーロー達の写真やスクラップがファイリングされていた。
所々、年代や場所に赤い付箋が付けられている。
345プロローグ ◆ccu2hP6PPA :2009/02/22(日) 12:40:02 ID:fR9DfgBQ
「あまりお役に立てずすみません。」
「さっきの戦いも悪くはなかったわさ、 
 戦いのときにもっと冷静になれば、今年のうちに四層までは一人で突破できるわさ。
 ただ無線機が破壊されたのは予定外だわ。」
6層の怪人から攻撃を受けたときに、ユイが腕に巻いていた通信機を破壊されてしまったのだ。
「でもなんで閉鎖してるんですかぁ?」
「危ないからだわさ。さっき四層の怪人が、五層の怪人に取り込まれるのみたろ?」
「はい。ビックリしました。」
階層が奥へ行く程、怪人は強くなる。 
同じ階層の怪人同士が基本的に争うことは無く、自分のテリトリーの中で生活をする。
階層の違う怪人が何かの拍子で
そのテリトリーに侵入者が足を踏み入れると、途端に上位階層の怪人が下層の怪人を食べてしまうのである。
食べるといっても人間のように食事をするわけではない。
アンゴルモアのようなスライム状の生き物を寄生させるのである。

「あんなのに巻き込まれたら面倒だわさ?」
「確かにそうですけど……。」
「長年の調査により、奴等は自分の意思をもったアンゴルモアだということが判明したわさ。
 奴等はこの城にいる大王を守っている。
 さっき倒した奴も完全に消滅したわけじゃなくて、小さく分裂しただけで何年かしたらその分裂した分怪人が増える。
 本能なのか階層ごとの怪人の人数は一定なんだわさ。」
「大王って玉座で話してた奴ですか?あの・二つに分裂したのですか?」
「わかんないから助けが来るまで調べるんだわさ。」

アタイ達が城に潜入すると、そこは既にも抜けの殻となっており、
驚いたアタイ達が玉座に向かうとそこには一人の怪人が何やら老人と話していた。
物陰から息を殺してしばらくその様子を観察していると
しばらくして怪人は二体に分離し、一体は青い光に包まれると、もう一体は老人の手の中にあるカプセルへと消えた。

「先輩!これなんですかね?」
「見せてみるわさ。」
ユイが黄色いファイルを見せる。
ファイルには歴代のヒーロー達の写真やスクラップがファイリングされていた。
所々、年代や場所に赤い付箋が付けられている。
346プロローグ ◆ccu2hP6PPA :2009/02/22(日) 12:42:29 ID:fR9DfgBQ
机の持ち主はよっぽどのマニアか評論家か何かだったのだろうか。
時期・時間詳細にメモ書きがされている。
「こっちの机も調べてみますね。」
「引き出しは下からあけるわさ。」
そうすれば、一番上まで引き出しを閉めずに全部を見れる。
ユイが赤い机を調べている間に、アタイはその横で誇りを被っている金庫を調べることにした。
随分年季の入った古いタイプのダイヤル式金庫のようである。

カチカチ…カチカチ
適当にダイヤルを合わせてみるがもちろん開くわけがない。
「先輩〜これなんて書いてあるんですか??」
ユイの情けない声がアタイを呼ぶ。
「どこにあったわさ?
 見たことが無い文字だわ。」
辛うじて数字だけはなんとか読めるが、内容の方は全くわからない。
後でコンピュータに解析させるしか無さそうだ。

「こっちには設計図っぽいのがあるんですけど……。」
それは後でウラノスにでも分析させよう。
一通り探索を終えると、コウジがめんどくさそうにアタイ達を呼ぶ声がした。

「ほら、迎えがきたわさ。」
「良かったぁ。でも帰りもあそこを通るんですよねぇ?」
「大丈夫だわさ、アンタ忘れてるかもしれないけど、半年近くもアタイと二人で合宿してたんだわさ。」
少しは強くなってるはずなんだから、自信を持て自信を……。

その後、学園に戻ったアタイは連中がどうやら過去に飛んで、
ヒーロー誕生の瞬間を襲撃しようとしていることを突き止めた。
347次回予告 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/22(日) 12:53:46 ID:fR9DfgBQ
イルーゼという女生徒を探すが、
見つけることが出来ず焦るウラノスのは、再びアイの元へ訪れる。
そこで目にしたものは!!!

一方
カストルはジュリに頼まれ変身機能を失ったハルカの体を調べることになる。

次回「豹変」お楽しみに
348 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/22(日) 12:56:34 ID:fR9DfgBQ
普通にエピソード進めることにしました。
1はまぁいずれ。

>>342
コウジはまぁ、やる気は無いけど絡んできたら徹底的に潰すから逆かなぁ。
思考回路は似てはいるのかもしれないねぇ。
一応こっちでは同級生って事になってるし、なんかいつか絡むと良いね。
どっちかっていうと、エリカの方が似てるっていう気がしないでもない。
(ヒルトほど上手くできなくて、本人が意図せず勝っちゃうけどね。)

>>332
ところで読み間違ってたら本当に申し訳ないんですが、
クロノって先生じゃなかったっけ??
349創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 14:08:28 ID:cdmO2Sgb
投下乙です。
アンゴルモアの残党?はレベル上げにちょうど良い存在に落ち着いたね。
進むのに夢中で帰れなくなるってのがいかにも学生っぽいね。
スピインオフとしてヒルトかコウタの葛藤物語 みたいなの読みたいっす。
350 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/22(日) 15:51:27 ID:xLd9C269
乙ですっ!
ユイさん無事で一安心
では>>336-338の続き投下してみます
ライオンマスク登場……
351シュバルツェル・レオパルト4 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/22(日) 15:54:26 ID:xLd9C269
 神社の境内で、ナオコは解放された。ブレザーの汚れをナオコは気にした。
 街の神社に黒いヒョウは、いかにも不自然だ。
「あ、あのう、私、何が何だか」

「無理もありませんね。あなたは記憶を操作されて、自分をずっと女学生だと思っているの
です」
 目を光らせる黒いヒョウはあごを動かし、りゅうちょうにしゃべる。流線形に近い黒い体は
目を奪うようで美しい。
「私はレオパルト。あなたを見守っていました」

「人違いじゃないですか。私は本当にただの学生で……」
 ナオコが小さな口で訴えるが、レオパルトは首を振ってヒゲを揺らした。
「それはツクヨミ様に与えられた仮の記憶です。同じような毎日をコピーして植え付けた
だけです」

「そんなこといわれても……」
「じゃああなたに両親がいますか」
「親は物心つくまえに亡くして、義理の父母がいるわ」
「違います。ツクヨミ様が金を渡して、そういうことにしているだけです」

「嘘よ! 本当の親みたいにしてくれてるわ」
「ですからその記憶はツクヨミ様がそのように作っただけで、実際にあなたが今のような
生活をはじめたのはほんの数ヵ月前からです」
 レオパルトの婦人のような声には、冷酷な響きがあった。
「そんな、そんなはずは……」
 ナオコは必死に今までの人生を思い出そうとした。しかし、思い出されるのは同じような
日々の繰り返しばかりだ。

「もしその義理の親に愛されてると思うなら、それは別の愛の記憶と混同しているのでしょう」
「別の愛……」
 ブラックスミス太子の顔がナオコの脳裏に自然と思い浮かぶ。

「私は……ヒーロー……?」

 何かの気配を察知し、レオパルトは身構えた。
 赤い鳥居をくぐって、黒い鎧、白金の髪をしたブラックスミスが歩いてくる。
 鎧は悪のロボットか、魔神の像か何かを思わせた。

「ここにいたか、マイリトルプリンセス」
 ブラックスミスはユウトにやられたダメージをまだ残して、ゆっくりと歩いた。
「ああ……ブラックスミス……」
 夢遊病者のように歩きだそうとするナオコの前に、レオパルトが四つ足で立ちふさがる。

「いけません、ナオコ様。ブラックスミスは悪に染まってしまったのです」
「え?」
352シュバルツェル・レオパルト5 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/22(日) 15:58:45 ID:xLd9C269
 そのとき、木が枝を揺らし、葉が音を鳴らした。
 若い女が飛び出してきた。浅黒い肌で茶の髪を乱している。
「獣王変身!」
 女が姿を変え、ライオンを模した仮面を付けて武装した姿になる。

「千尋の谷もはい上がる! 百獣の王女、正義の獅子乙女ライオンマスク!」
 メスライオンなので、たてがみはない。勇ましい吠え声を空に響かせ、ライオンマスクは
砂利を蹴った。

「またしても!」
 いらだつブラックスミスにライオンマスクが突進する。
「ライオン拳獅子十六連発!」
 一瞬にして十六発のパンチがブラックスミスにたたき込まれる。
 ブラックスミスの体は吹っ飛んで狛犬にぶち当たる。石の狛犬が破壊されてがれきが弾け
飛び、砂埃が舞い上がった。

「助けに来ました。大丈夫ですか」
 ライオンマスクは丁寧にきいたが、ナオコは恐ろしくてうまく口がきけない。
「は、はあ」
 ライオンのマスクは妙にリアルだ。
 音を立てて、ブラックスミスが立ち上がった。
「やってくれたな、正義」
 ブラックスミスが念を込めると、彼の周囲にある砂利が黒くなって浮かび上がる。
 ただ無生物を鉄にするばかりでなく、彼はそれを操ることができる。ブラックスミス(鍛冶屋)
と呼ばれるゆえんだ。

 弾丸と化した砂利が雨よあられよとライオンマスクに降り注ぐ。
 銃弾に撃たれてもヒーローだから死んだりはしないが、さすがに弾数が多い。
 ライオンマスクはかがんで防ぐしかない。

「ここは場所が悪かったようです」
 レオパルトは身を低くしてブラックスミスに近づいた。
 ブラックスミスの踏む石畳が黒く堅くなっていく。
「裏切り者のフーリッシュキャットめ」
「裏切ったのはあなたでしょう。私たちはクライムファイターのチームでした」 レオパルトはブラックスミスと対峙しつつ、ナオコにきかせて言った。

「私たちはツクヨミ様をリーダーとする、無法を無法にて裁く闇の正義でした。しかし、
ブラックスミスは悪に堕ちました」
「おまえにはわかるまい」
 鉄になった石畳が揺らめき、細くそそり立って槍が形づくられる。
「せめて一撃で葬ってくれる、レオパルト!」

「ナオコ様、お逃げください!」
 レオパルトは強く願い叫んだ。迷うナオコを、ライオンマスクが抱えるようにした。
「よくわかりませんが、あのヒョウに任せましょう」
 ライオンマスクはナオコとともに素早く跳び、神社の裏手へと消えた。

 レオパルトは牙をむき、爪をブラックスミスに向ける。
 ブラックスミスの槍は伸びて、レオパルトの腹を貫いた。
353シュバルツェル・レオパルト6 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/22(日) 16:02:21 ID:xLd9C269
 レオパルトはかまわずそのままブラックスミスの頭に爪を立て、咬みつこうとあごを大きく
あけた。

「不定形の貴様には無駄だったか? これならどうだ!」
 槍は形を変え、傘の骨のようになって枝を広げた。レオパルトはいくつもの欠けらに分断
され、無惨に引きちぎられる。
 いくつかの黒い塊が砂利の上に落ちた。

「愚かなアニモーよ。さて」
 ブラックスミスはナオコを探して辺りを眺め回した。古びた神社が何事もなかったかのよう
に構えている。
「シュヴァルベの報告を待つか……?」
 シュヴァルベは目で見た映像をテレパシーでブラックスミスに送ることができる。


 神社の裏から逃げたナオコとライオンマスクは、陸橋の下に身をひそめていた。ライオンマスク
は変身を解き、女の姿に戻った。浅黒い肌、茶の髪をした若々しい女だ。
「大丈夫? 私はサエジマ・ナミ」
「あ、ヤス・ナオコです」

 ナミは上着のポケットからメモ帳をとった。
「メモっとこう、ナオコ、と。驚かせちゃったね。私の変身ちょっと恐いから」
「は、はあ、いえ」
「私たちはヒーロー学園の生徒よ。学園外活動の一環でテロリスト護送の手伝いしてたんだ
けど、まさか脱走の現場に居合わせることができるなんて! すごくラッキ……い、いえ」

 本音を言いそうになったナミは、あわてて首を振った。
 おい、とナオコは心で突っ込む。
「それにしても、あなたユウト先輩は人質って言ってたけど、あの犯罪者と知り合いなの?
 あのヒョウは何?」

「それは私が教えてほしいくらいで……」
 言いかけたとき、ナオコの頭に声が響いた。
(ナオコ様……)
「あっ、レオパルト?」

 ナミはきょとんとした顔でナオコを見つめている。ナオコにしかレオパルトの声は聞こえて
いないらしい。
(私の体は滅びました。まだ記憶が戻りませんか?)「うん……ごめん」
(あなたが『ブラックマリア』になればブラックスミスにも勝てるのですが)

「ブラックマリア……」
(あなたのヒーローネームです。こうなればしかたありません。私の精神と合体して変身し、
ブラックスミスを倒して改心させましょう)
「合体って、え?」

 ナオコの体が光り輝いた。エネルギーを発して、ナオコは姿を変える。
354 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/22(日) 16:06:24 ID:xLd9C269
とりあえずここまでです
ちょっと改行変になったかな
この後ユウトの大逆転! の予定……ではでは
ここはヒーロー学園の女子寮の屋上食堂
食堂の窓からは島の南半分を一望できるようになっている。
「誰じゃ!わらわのプリンを食べたのは!」
か弱き乙女の悲鳴が夜を切り裂くとき、私は宇宙刑事マリリンへと変身します!
私はヒーロー学園 正義部 機械科 1年生 サオトメ リカ  シャイダーゼミ所属であります。
宇宙刑事になろうと思った理由は、両親のように正義のためにひたすらまい進し、
平和を守るために尽力したいと思ったからです。

「事件ですね!全員動かないで!」
「じ…事件?わらわのプリンが無くなってるだけじゃが……。」
「盗難事件ですね!!わかりました。」
警察手帳さながらに、学生手帳をかざす。
「全員動かないで!
 ヘレネ先輩……宇宙刑事マリリンの名にかけて、必ず犯人を見つけ出します。」
「そんな初めて聞く名前の刑事の名前掛けられてものぉ。」

ヘレネ先輩は頭をポリポリと掻きながら呟く。
「こ…これから全世界に轟かせますから!!」
(無茶言わない欲しいです。)
まだ一年生なんですから、知名度ばかりはしょうがないです。

「どうせいつもの如く、誰か間違って食べたんじゃろ。」
「そうはいきません。この宇宙刑事が出動したからには……。
 そこ!!!現場から離れてください!」
事件が起こったらまずは現場保全に努めるべし (by シャイダー先生)


(よし、ここまでは順調。
 で次は何をすれば良いんだっけな。)
捜査マニュアルを検索しながらゼミで教わったことを思い出す。
「面白そうだから手伝ってあげるよ。」
エリカ先輩がヘレネ先輩の背後からひょこっと現れた。
背は普通なんだけど、並んでいるとズングリして見えるのが気の毒です。
「アタシはまず何をすれば良いの?」
「まずは現場検証です!証拠品を集めましょう。」

現場百遍(by シャイダー先生)

「このカップに指紋付いてないかなぁ。」
エリカ先輩が机に放置されたカップを指差す。
「ああ…。素手で触っちゃいました?」
(しまった。)
バイオ科の先輩には先に注意しておくべきでした。
現場検証をするときは手袋をするのが基本なんです。

「ごめん、次から気をつけるね。」
「楽しんでるとこ悪いんだけど手短に願えんじゃろうか?
 さっきから思ってたのじゃがリカは何で変身しておるのじゃ?」
「宇宙刑事だからですよ。変身してるときはマリリンと呼んで下さい!」
「まずは被害者兼第一発見者のヘレネ先輩から調書を作成します。
 参考人の皆さんはこの後、調書を作成しますから……。
 あとテープの中には入らないで下さいね!」
関係者以外進入禁止の黄色いテープを現場に張る。
これで食堂の右隅ゾーンが使えなくなった。
『あの一年生何様よ?』
心無い声が聞こえましたが無視します。

捜査協力は市民の義務だ(byシャイダー先生)

すれ違い際に
エリカ先輩に怪しい動きが無いか見張っておいてくださいとお願いしました。
「何か大事になってしもうたのぉ。」
「ここに入りましょう。」
夕飯の時間はとうに終わっているため、誰もいなくなった調理室に入る。

「それでは、調書を取ります。
 まずお名前と性別と年齢を……。」
「そこからやるんかい」
ブツブツと先輩が呟きながら答える。

「では本題に入ります。
 秘密は厳守しますから安心して証言してください。
 最後にプリンを見たのは?」
ウーンと先輩は少し唸ってから答える。

「エリカ達と夕飯を食べて、大浴場に行く前じゃな。」
「達というのは?大丈夫です、怖がらないで。
 私は宇宙刑事ですから絶対に大丈夫です!」

証言者の安全は保証されなければならない (by シャイダー先生)
「いや、別にそういうわけじゃないんじゃが……クイーンとプルートじゃよ。
 あと食事のときにはイルーゼ先輩もおったのぉ。」
なるほど、仲良しグループで食事をしていたわけですね。
「食べようと思った時間は?」
「大浴場から戻ってちょっとしてからじゃな。」
「ちょっと?」
私の調書を書く手がピタっと止まる。
「テレビを見て居ったからのぉ。」
「わかりました。後でテレビ局にCMに入った時間を問い合わせてみますね。」

犯行時間を特定し、容疑者のアリバイを調べる。

私達刑事の仕事は地味ですけど、それの繰り返しなんです。
「最後にヘレネさんを恨んでいそうな人は?心当たりとかないですか?」
「恨み……恨み……。有りすぎてわからんのぉ。」
特にヘレネ先輩は悪部の自治会にも所属していますから
いろいろな所から恨みを買っているいるのではないかという
私の考えたとおり、怨恨の線が濃厚なようです。
「すぐに犯人を捕まえます。」
「あんまり無茶してはいかんよ。」

捜査に危険はつきもの。
捜査官が恐れていたら被害者は誰を信じるのか(by シャイダー先生)
「余に何か用か?」
彼女とは同級生ということもあり、仲は良いが私は誇り高き宇宙刑事 捜査に私情は挟まない。
嘘発見器や心拍数・呼吸数、眼球の動きを測定する装置を彼女の腕につけながら質問をぶつける。
ちなみにこの計測データは私のゴーグルで随時見ることが出来ます。

「貴方がやったんですね?」
「は?」
「監視カメラに映像が映ってました。」
「はぁぁ?余が一人でか?」
プルートは少し飽きれた様な顔をしている。

「え?」
「余が方向音痴なことは知っておるじゃろ?
 そんな余が一人で?」
嘘発見器の反応を見るまでもない、彼女が方向音痴なのは有名な話です。
どうやら誘導尋問には失敗したみたい。
(まだまだ勉強が足らないなぁ)

「なるほど仲間が居たんですね。」
「余を何としてでも犯人にしたいようじゃのう?」

だって彼女…目つき悪いんですもん。
それにこの凶悪そうな外見……。
きっと叩けば埃がでるはずです。
「では聞きますが、貴方がやっていないという証拠はありますか?」
「余は先輩達と一緒にいたぞよ。」
アリバイを主張するわけですね。
確かにヘレネ先輩の証言にもそのようなことはあります。

「本当にずっと一緒に居たんですか?」
「しつこいのぉ、クイーンやエリカと手をつないでおったわ。」
確かにそういう光景は私もたびたび見たことがあります。

取調べに詰まったときは切り口を変えて証言の矛盾点を探せ (by シャイダー先生)

「動機はなんなんですか?
 やはり先日のパーティーのときにエリカ先輩に絡まれたのを助けてくれなかったからですか?
 噂ではベロンベロンになったようですね。」

「別にいつものことじゃ。
 それにそれならエリカさんに仕返しするはずじゃろ?」

う…悪部の癖になかなか鋭いですね。

「もう取り調べは終わりじゃな?」
この挑戦的な態度、絶対尻尾を掴んでやります。
私は歯軋りをしながら調書に黒丸を書き込む。
「先輩を呼び出すなんてアンタ良い度胸してるわね?」
イルーゼ先輩が不機嫌そうに椅子に大きなお尻を乗せて足を組み。
機嫌が悪い理由はわかっています。
先輩には同じ正義部ということもあり、とても可愛がってもらっているんです。
(飼い犬に手をかまれたとか思ってるのかなぁ。)

でも私は今捜査官。時として辛い選択を迫られることもあります。
先輩だって正義のヒーロー……きっとわかってくれるはず……。

「寮生でないイルーゼ先輩が何故今日は夕飯を寮で?」
「一人暮らしだからねぇ、たまには温かいご飯を食べようと思ってね。
 別に今日だけじゃないわ。月に1-2回はしてるよ?」
(なんでしょう。)
今一瞬、心拍数があがりました。

「先輩。今一瞬動揺しましたね?」
右手のライトを先輩の顔に当てる。
「眩しいって!」
慌ててます。
もうちょっと取り調べてみましょう。
「カツ丼食べますか?」
一度言ってみたかったんです。
「ダイエット中だからパス!」
「田舎のご両親が泣いてますよ?」
「そうかなぁ?」
「そうですよ。」
「実は……。って何言わせんのよ。」
心拍数……呼吸数乱れてます。

「私に何か隠してませんか?」
「全然。ただアンタがネコだったら、タチだったらとか考えてたら1作思いついただけ。」
この先輩ときどき意味不明な言葉を使ってくるので苦手です。

「全くおこちゃまだねぇ、こんな言葉も知らないのかい?」
一応犯罪用語で検索してみたんですけど、該当する言葉は見つかりませんでした。
確かにまだまだ勉強中ですが、いったいどんな言葉なんでしょう。

「もしかして先輩……ヘレネ先輩がプリン買ったの知ってたんじゃないですか?」
「うん。地下のコンビニで会ったし。」
甘いものに無い先輩です。それで目がくらんだのかもしれません。

「ハハハハ」
「え?」
ゲラゲラと先輩がお腹を抱えています。

「アンタ馬鹿?」
「へ?!」
「何でプリン一個で何でそんなことするの?」
「それはその……。あの……。」
「今日は本の締め切りだからもう帰るよ。」

怒った先輩は部屋を出て行ってしまいました。
泣き落としも失敗したようです。
取調べで相手のペースに持っていかれてしまっては駄目ですね。
次の取調べは5年生のエレボス先輩です。
6年生が就職活動に行っているので、今や寮のドンと言っても過言ではありません。
特にエレボス先輩は自治会長まで務めた方ですから、油断していると一気に持っていかれてしまうかもしれません。

「こんなことして、違いましたなんて言ったら、アンタ卒業まで奴隷だからね。」
タバコの煙フーと私に吹きかけてきます。
ゴーグルが曇ってしまいました。
「そ……それは捜査するなって脅しですか?」
確かに先輩は怖いですけど、これで正義の宇宙刑事を志しているんです。
どんな卑劣な脅しに屈するわけにはいきません。
(卒業まで奴隷は嫌ですけど)

「で……私に何が聞きたいの?」
タバコを灰皿にこすり付けながら私を睨んできます。

「ヘレネさん達が大浴場に行っている間食堂に居ましたよね?」
「うん。」

「プリンの存在には気づいてましたか?」
「甘いもの好きだからねぇ。ただ私は食べてないよ?」
「証拠は?」

「卵アレルギーなのよ。」

「じゃぁプリンは?」
「当然NG!!なんならDNA鑑定する?」
「結構です……。」
「何か言うことは?」
「すみませんでした。」
「わかればよろしい。で約束覚えてるわよね?」
ああ…そういえば…、私何させられるんでしょ。
「はい……。」
怖い先輩なだけに、私の今後の学生生活の行く末が心配になります、

「ところでアンタ スリーサイズいくつ?」
「え?82 - 63 - 88 cmですけど……。」
結構スタイルには気を使っているんです。
テレビに映ったときとか困りますから。

「そう。制服は用意しとくわ。」
今背中がゾクっとしました。
Hなお店に売り飛ばされちゃうんでしょうか?
次の取調べは4年生のリョウコ先輩です。
先程のショックはまだ抜けませんが、いつまでも引きずってはいられません。
この方は現在悪部の副自治会長さん。
でもさっきのエレボス先輩は、元自治会長さん。
つまりは格下ということになります。

もう恐れるものはありません。

「ではお名前を…」
「弁護士を要求するわ。」
私の質問を遮って先輩がネイルをいじりながら答えます。
答えたというか……。
開口一番というのでしょうか。
捜査に非協力的なようです。

「はい?」
「弁護士が来るまで私は一言も喋らないから。」
怪しい。まだ何も喋ってないのに、完全黙秘を決め込んでます。
そのとき調理室のドアが開きます。
「誰ですか?取調べ中ですよ?」

後ろを振り向くと、そこには眼鏡をかけたアキレス先輩とキマイラさんでした。
二人とも何故かスーツを着て、アタッシュケースを持っています。
「ファンガイア顧問弁護士のアキレスどす。」
「私はリョウコ専属弁護士のキマイラです。取調べへの立会いを要求します。」
「弁護士ですか??」
「これが資格書どす。」
二人は名刺入れから、免許書サイズのカードを取り出しました。

(第一級宇宙弁護士…)

第一級宇宙弁護士
ヒーロー界の弁護士。弁護する範囲は人間のヒーローから宇宙人まで幅広く
最も難しいといわれる宇宙司法試験を突破した者のみが与えられる国際弁護士資格
二級以下は弁護士事務所に所属しなければ、弁護士活動を禁じられているが
一級に限り個人での活動が認められている。
二人ともかなり年上なことは知っていましたが、
まさかこんなに凄い人だったとは知りませんでした。

キマイラさんは同級生ということもあり、
よく教室で難しいタイトルの法律の本を読んでいるのをお見かけしていましたので
てっきり受験するのかと思っていたら、復習だったんですね。

(でも顧問弁護士とか、過保護すぎやしませんか?)

捜査官は弁護士の立会いを拒否することはできませんから、
同席は許可するしかありませんね。

(やりずらいですねぇ。)
どうもその「先生」といわれる職種の人達はどうも苦手です。

「ありがとうございます。」
二人はリョウコ先輩を挟むように座ると、アタッシュケースからPCを取り出しました。
「もう大丈夫ですからね。」

大丈夫も何もまだ何も聞いてません。
それどころかご本人は黙秘を決め込んでネイルいじりにお忙しいようです。

「あのぉ、何か喋ってもらえませんか?」
机をバンと叩き、先輩に尋ねる。
「カタカタカタ…。」
その瞬間、横の二人の指が素早く動く。
「あのぉ、何か?」
「取調べの刑事が机を激しく叩き声を荒げ恫喝し、
 捜査上有利な証言を強要したと検察審議会の方に抗議いたします。」
検察審議会
正当に取り調べが行われたかどうかを調査する公的監査機関
尚、恫喝や暴行など不当な取調べで得られた証拠は一切認められない。
ちなみにヒーロー学園では機械科の教授会がそれに当たる。

(冗談でしょ。)
私の顔が青ざめます。
そんなことされたら、入学早々停学処分になってしまうかもしれません。
幸いなことにゴーグルをしているので、こちらの動揺は伝わらないでしょう。

「まぁお茶でもどうぞ。」
いったん空気を変えようと、三人にお茶を勧めます。
するとどうしたことでしょう
再び二人がタイピングを始めました。

「今度はなんでしょうか?」
「証言誘導のための利益供与を行おうとしたと記録してるんどす。」
「そんな馬鹿な……。」

「この取調べは任意どすな?」
「もちろんです。」
そんな強制する権限は見習いの私には与えられておりません。

「では失礼しましょう。」
「ああ……疲れた。」
先輩ただ爪弄ってただけじゃないですか。

「逮捕令状とって出直してきなさい。」
クスクスと笑いながら私の顔をゴーグル越しに見てきます。

なんたる屈辱でしょう。
弁護団が既にいるなんて手回しが良すぎます。
この人が犯人に間違いありません。
刑事見習いの感がそういってます。
「ユイのプリンが無い!」

食堂の方から誰かの甲高い声がします。
「え?」

「あら、良かったわ。
 私はここに居たわけだから、もう参考人じゃないわね?
 他ならぬリカが証人じゃない。」
先輩が再び不敵な笑みを浮かべた。
きっとトリックです。
私の目の前で盗難などと、これは宇宙警察に対するいえ、私に対する挑戦状ですね。

(受けてたちますわ。)

捜査は一からやり直しですが、絶対このアリバイトリックの謎は解いてやります。
今に見ててください。
「捜査頑張ってね。」
この高みから見下ろされる屈辱…絶対忘れない……

「いつか必ず先輩を逮捕します!!
 宇宙刑事マリリンの名に掛けて!!」
368宇宙刑事 マリリンの事件簿〜惨敗そして〜:2009/02/23(月) 12:04:15 ID:x7SWsO13
パンパンパン!!
(へ?)

変身を解いて赤い目をハンカチで拭いながら調理室を出ると
クラッカーが私を出迎えました。

「誕生日おめでと〜う。」
ヘレネ先輩とエリカ先輩とイルーゼ先輩が再びクラッカーを鳴らします。

「覚えていてくれたのは嬉しいんですけど、私の誕生日って明日ですよ?」
お二人ともボケてしまわれたのでしょうか。
それともお酒呑まれてます?
首を傾げながら時計に目をやると、いつの間にか12時を過ぎています。

「クイーンにこっぴどくやられたみたいだったから、
 励ましてあげようかと思って……。」
(私は正義の味方なのに……。みんなの希望の星にならないといけないのに……。)
「まぁ気長に見つけてくれれば良いんじゃよ。」
悪部の先輩の優しい言葉が逆に自分を惨めにさせます。

「先輩……イルーゼ先輩もなんか言ってくださいよぉ。
 正義部の先輩でしょ?」
「知らない。こういうときは甘いもの食べて気分転換。
 はい。食べな。」
先輩は笑いながらケーキをお皿に取り分けてくれました。
何も言ってくれませんけど、そっちの方が嬉しかったです。
背中が励ましてくれるっていうんでしょうか。
私はこの初めて事件とケーキの味を一生忘れることはないでしょう。


その様子を通信指令室から見ているシャイダーが実習結果に入力を始める。

現場実習評価

サオトメ リカ 

初動捜査 A

取調べ C

客観性 D

洞察力 D

総評 一年生ということでまだ技術的にはレベルは低いが、
   これから伸ばしていけると思われる。

終わり?
369創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 12:17:00 ID:R2Dz5nye
さるさん?になってしまいました。
初めて小説書いたので乱文ですみません。
出来れば感想とかたくさん聞かせて貰えると幸いです。

キャラをたくさん借りてすみませんでした。

イルーゼはあまりフィーチャリングされた話が無かったんですがこんな性格で良かったんでしょうか?(汗)

長々と失礼しました。
370創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 12:55:04 ID:fW8EMDTo
面白いと思うよ〜
あと、会話文だけど「〜〜。〜〜。」じゃなくて「〜〜。〜〜」の方が読みやすいかも。
「〜〜?」と「〜〜!」は良いと思います。
371創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 15:02:20 ID:/3Cp/aHs
>>370
基本中の基本だな
372 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/23(月) 15:55:13 ID:m2LQlaDt
>>369
乙です
リカのキャラとかクロスっぷりがよいと思います

俺もう投下やめたほうがいいですかね……
373創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 17:09:27 ID:R2Dz5nye
>>372
止める必要なんかないと思いますよ。

クロスできずすみませんでした
374創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 18:16:41 ID:m2LQlaDt
いや別にクロスしろといってるわけじゃないですので
余計なこといいました すまんです
375創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 22:50:43 ID:pS2Rg5Zx
無理にキャラ絡めてクロスする必要はないと思います、
前に戦隊物書いてた人もあまりクロスしてなかったと思うし。
極端な話、同じ世界で同じ舞台だったらシェアワールドとしてなりたつし、
無理に出さなくていいキャラ出して絡ませて話がやりにくくなるんじゃ本末転倒だし

同じ世界の片隅で別な話が進行し、色んなキャラが活躍暗躍するのが
シェアワールドの楽しさのひとつだし、深みも出るんじゃないかなーと思います
376創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 07:51:49 ID:EGuOp1BM
376です
ありがとうです そういってもらえると助かります
サイドストーリー的に細々とやらせてもらえたらありがたいです
377創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 07:52:31 ID:EGuOp1BM
すんません374でした……
378創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 13:51:17 ID:NiMXL7HG
投下おつでーす
イシイさんはレズ系も描くんかいw
379創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 15:41:05 ID:Un7I+M8Q
どの話が本筋なんて決め付けなくても、連載している全ての話が本筋だと思うよ!
その話の登場人物達にとっては自分達こそが話の主軸にいるわけだしな!
380 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/24(火) 17:43:24 ID:EGuOp1BM
何という良スレ……
では>>351-353の続きいってみます
残り容量も微妙なのでちびちび1レスずつ行きます
381シュバルツェル・レオパルト7 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/24(火) 17:46:10 ID:EGuOp1BM
 体はなめらかに黒くなり、長くしなやかな尾が生えて、顔はヒョウになる。
 ナオコは夜行性の光る目で、自分の手足を眺めた。

「やだあ、なんか全身タイツみたい」
「セクシーでかわいいよ、私の変身より」
 ナミのフォローに、変身したナオコは首をかしげ尾を垂らす。
「そうですかぁ……?」
 ナオコの頭に立つ、尖った耳が動いた。いまや聴力は常人の数百倍だ。
(来ますよ!)
「うん」

 シュヴァルベの腕にぶらさがったブラックスミスが、空からやってくる。
「クェッ、あれはなんざんしょ?」
「レオパルトのようだが……あいつ、人型になってどうしようというんだ」
 シュヴァルベが高度を下げる。ブラックスミスは飛び降り、アスファルトを踏んだ。

「おまえはレオパルトか?」
「わ、私は……」
 ナオコの頭で声がする。
(あなたはシュバルツェル・レオパルトです)
「私はシュバルツェル・レオパルト」
「やはりレオパルトか、馬鹿キャット!」

 さっきまでプリンセスだったのに今度は馬鹿キャットかよ、とナオコはすねたくなる思いだ。
 瞳を閃かせ、ナミはまたライオンマスクと化す。
「今度こそ仕留めるわ」

「生意気な猫どもざんす!」
 軍服の鳥人シュヴァルベが二振りの刀を抜いた。

(あれも私と同じ生体アンドロイドです。今なら戦えるはずです)
 ナオコの頭の中で、またレオパルトの声が響く。
「そ、そう言われても」
 長い刃物のまぶしい輝きが、ナオコを怯えさせた。

(あなたは五千年前地球にやってきた宇宙人バビルの遠い子孫なのです。ブラックスミスも。
サイキックがあります。戦いかたを教えます)
 高速で襲いかかる刀をレオパルトは紙一重、体をずらしてかわすと拳を繰り出した。

「ライフルカノンパンチ!」
 強烈な一撃がシュヴァルベの胸を打つ。
「グェーッ!」と空を裂くかのような叫びをクチバシからきかせ、シュヴァルベは宙を舞った。
 鳥人間が地に落ちると、黒い羽が散らばる。
「や、やった」
 自分の力に驚愕するシュバルツェル・レオパルト・ナオコ。
 ライオンマスクも驚いて立ち尽くした。
 ブラックスミスが足元のアスファルトを鉄に変え、長い剣を作る。
「許さんぞレオパルト……斬り刻んでくれる」
(あなたはただ強いだけではありません。サイキックを使ってください)
 語りかける声にナオコはうろたえた。
「そんなこと言われてもぉー……」

 ブラックスミスが踏み込み、空を割って黒い剣を振り下ろす。
382 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/24(火) 17:48:55 ID:EGuOp1BM
続きはまた今度
ちなみにレオパルトとかシュヴァルベとかは戦車、戦闘機の名前からとってます
バビル二世のロデム、ロプロスがモデル
383創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 18:22:30 ID:NiMXL7HG
一杯になったら次スレ立てればいいじゃん
「お姉ちゃんいつもの!」
「はぁ〜い。」
私はお酒の入った瓶を手に取り、お客さんのグラスに注ぎます。

このお店(オリオン)にエレボス先輩に連れてこられたときは、
ひょっとしたらもうお嫁にいけなくなるんじゃないだろうかと思っていたのですが
そういうエッチなお店ではなかったのでちょっと安心しました。
流石にこの島にそんな店ありませんよね。
(私の知らないだけでしょうか?)

ちなみに今日は看護婦さんの制服でアルバイトをしています。

「なぁ聞いてくれよ。
 今日ボスが新しいドラッグが手に入ったって言い出してさ。」
このお客さん(コジロウさん)は商店街を裏で取り仕切るギャング団の一員
「ドラッグですか?駄目ですよぉ。」
「俺もそう思うんだけど、もう女子高生とかを中心に売ってるみたいなんだよ。
 おっと喋りすぎたようだ。そろそろ帰るとしよう。」
オリオンに来て一週間、だいぶん慣れてきました。

「ちょっとリカ!そっちのお客さんグラス空いてるじゃない!」
胸谷間が大きく開いた赤いワンピースを着たエレポス先輩が、
隣のお客さん(ヒルト先輩とハイド先輩とコウジ先輩)の注文のお酒を取りに行きがてら、私の右足をハイヒールで思いっきり踏んでいきます。
(すみません。グスン)
あまりに痛かったので、足に穴が開いちゃったかと思いました。
でも別にイジメじゃないですよ。
気の利かない私に先輩が教育をしてくれたのです。
私一人っ子で鍵っ子だったので、
集団生活とか誰かに気を使うとかそういうことに慣れてないんです。

「ところで向こうの色っぽい娘に聞いたけど、君はヒーロー学園の生徒なんだって?」
「あらやだ〜。実はそうなんですよぉ。お客さんは?痛い。」
先輩に帰り際も足を踏まれました。
今度はさっきのように一瞬じゃなくて、ヒールでグリグリと……。
お客さんのことを深く詮索するなという意味のようです。
(分かってますよ。サラッとですよね。)
顔が笑顔なところは、さすがナンバーワンホステスといったところでしょうか。
「どうかしたかい?」
「いえ…なんでもないです。お二人はお友達か何かですか?」
不思議な二人組です。
一人はサラリーマン、もう一人は若いけど杖を持ってるから目が見えないのかしら。
「うん。僕はフォギー、こっちはマット」
「はじめまして。」
握手が出来たってことは見えてるかしら。

目で見るだけでなく五感を働かせてその人を見極めろ(by シャイダー先生)
あの杖は何かしら足でも悪いのかしら。
「僕達は学園の顧問弁護士をしててね、
 今日はちょっと打ち合わせもあってこうして飲みに来たってわけ。」
弁護士ですか。
この人達もあの先輩達みたいに銀河警察の捜査妨害をするんでしょうか。
「心拍数が上がったけど、どうかしたかい?」
(え?)
マットさん何者でしょうか。
「変な事いうから彼女困ってるじゃないか。」
フォギーさんが笑いながら私に尋ねます。
「ところで君はまさか正義部じゃないだろうね?」
正義部の生徒はこういう風俗店でのは固く禁じられています。
※悪部は全く問題なし

「も……もちろん悪部です。」
エレボス先輩にSOSの視線を送りますが、お客さんと談笑していて気がついてくれません。
「ふ〜ん……そう。じゃぁ弁護士とか嫌いなのかな?」
「嫌いです!あんな捜査の揚げ足とりばっかりして!
 悪人を守るなんて最低です!」
「仕事だからねぇ。ところで捜査ってなに?」
つい口が滑ってしまいました。

宇宙刑事たる者常に正直であれ(by シャイダー先生)

今度ばかりは恨めにでてしまったようです。
ああ……、短い学生生活でした。
お父さん、それにお母さんごめんなさい!!!
「実は……。」
私はお二人に全てを白状しました。
女子寮で有った事件、無実の先輩を疑ってしまったこと。
第一級宇宙弁護士が怪しい先輩を弁護したために尋問ができなかったことも……。
マットさんはたまに頷きながら黙って話を聞いていました。

「それで君はどうしたいんだい?」
「どういう意味ですか?」
空いたグラスに気がつき私を睨みつける視線を背中にゾクッと感じたので、
慌てて二人分のお酒を造りながら尋ねます。
(また役立たずって帰りの車の中で叱られるのね。)
「宇宙刑事見習いの君がこんな公序良俗に反する店で働いてたとなると
 君はキャリア組なんだろ?将来面倒なことになるとは思わないかい?」
「面倒なこと?」
お酒を注ぐ手が思わず止まる。
「例えば将来君が幹部になったとき
「それにここは悪名高いG地区の一番奥とはいえ、学園の傍だ。
 悪部の教授達だっていつココに来るとも知れない。」

6区画
島を大きく6区画に分割た区画。
かなり大きく別けたためのその中でも分かれており、A-23区等と表現する。
ちなみに学園の区画はA〜D区画であり島の半分を占める。
(閉鎖されているのはCとD区)
G地区にはヤクザやマフィアなどの裏組織がゴロゴロ存在し一般人は殆ど住んでいない


(そんなこと言われなくてもわかってます。でも……)

宇宙刑事たる者どんな些細な約束でも順守し信頼を勝ち得るべし(by シャイダー先生)

こう先生も言ってるんですよ。
「君は正直なんだね。でも正直だけじゃ正義は守れないよ。」
「どういう意味ですか?」
「そろそろ行こうか。延長料金持ち合わせは無いんでね。
 興味があるならここにおいで。」
マットさん達は胸ポケットから名刺を取り出すと机の上に置きました。
「お二人とも、一級宇宙弁護士なんですね。」
「うん。凄いでしょ?」
「昔は普通の国際弁護士免許しか持ってなかったんだけど、
 色々時代のニーズに合わせてってところかな。」

本当に最難関の試験なんでしょうか。
こんなに周囲に持っている人がいるとなると、もしかしたら私の勘違いなのかもしれませんね。
でもパパもママも受験しても取れなかったって言ってましたし……、
もしかしたら、あまりに難しすぎてなり手が足りなくなったんでしょうか。

銀河連邦警察 キャリア組(幹部候補生)条件 (銀河連邦警察刑事課の場合)

・宇宙弁護士資格2級以上を持っていること
(1級は2年以上の実務経験がないと受験資格を与えられないため為)

・体力・格闘技・武器の使用に秀でていること

・ヒーロー学園において常に学年全体でTOP3の学業成績を収めていること
 (1〜6年生までで一度でも成績を落とした者はキャリア資格を失う。)

・清廉潔白であること
いくら心・技・体全てが揃っていないといけないとはいえ、この条件が厳しすぎませんか。
ここ数年キャリアの方はいないそうで、タカノリ先輩が久しぶりの候補と聞きました。
特に3つ目の条件がネックになっているようです。
同じ学年にヘレネ先輩とナツミ先輩がいるので、順位キープするだけで精一杯だとこの前愚痴ってました。

ちなみに私の場合は2つ目が心配だったりします。
昔からスポーツとか苦手なんですよね……。

名刺を受け取った私はお二人を見送ると店の照明が消え
支配人がクローズの看板を掛けはじめました。

(もうこんな時間か……。)
「珍しく楽しそうに話してたじゃない?」
帰りの車を運転していると、
助手席でタバコを吸っていたエレボス先輩が、お気に入りの音楽を検索ながら話しかけてきました。
(この車禁煙なんですけどね。)

何度注意しても吸われるので、灰皿を撤去したんですが今度は携帯灰皿ご持参ですか。

「学園の顧問弁護士さんでした。」
「弁護士って余計な事喋ってないでしょうね?」
私は包み隠さず白状しました。
すると……。
「誰がそんな事しろって言った?」
「好きでしたわけでないというか。」
「馬鹿正直というか……。なんというか……。
 暫く店には近づいちゃ駄目よ。
 でも迎えには来て頂戴。」
(そんなぁ。)
ようやくバイトに慣れてきて楽しくなってきたのに〜。
それから数日したある日

「このように昨今の組織犯罪は、巧妙になっており……。」
アンドロイドのタック先生の授業は、いつ聞いても勉強になりますわ。
やはり最前線の現場で活躍されていた方は話題が豊富です。

タック客員教授
銀河連邦警察 時間保護局長でミミズク型サポートアンドロイド。
現局長のため非常勤で週に一度講義を受け持っている。
世界中にある刑務所の全囚人データや、18世紀から30世紀の犯罪データや法律データ等が蓄積されている。
沈着冷静だが人間らしい感情も持ち合わせている。
可愛らしい外見から絶大なる人気を誇り、教授陣に中ではバレンタインのチョコレート数一位。
近々オフィシャルグッズとして、携帯ストラップが発売されるとHPで発表になった。

最前列に陣取った私の横では、キマイラさんが一言一句聞き漏らさぬようメモを取っています。
噂では全ての講義の録音も取っているそうで感心しますが……。
悪部の人のやる事とは、とても思えません。
「今日の授業はここまで。」
質疑応答の時間も終わり先生がパタパタと羽音を立てて、教室を出て行きました。

「ところでキマイラさん何でスーツ着てるの?」
今日の彼女はグレーのパンツスーツ姿です。
就職活動中の6年生や、現場実習のある5年生なら珍しくありませんが、
1年生でのスーツ姿はちょっと珍しいのです。
「今日アルバイトなの。」
「アルバイト?」
彼女がアルバイトをしているというのは初耳です。
私のようにどこかの飲食店でアルバイトしているのでしょうか。
(でもスーツですよねぇ。)

「弁護士事務所よ。」
「ほへ?」
そういえば彼女なんで弁護士資格なんて持ってるんでしょう。
「何これ?職務質問?」
「そういうわけじゃないですよ……。別に言いたくなければ良いですよ……。」
私が席を立つと、彼女も席を立ちました。
「アルバイトまで時間も有るし、喫茶店でお茶でもしながら話しましょうか?」
「はい!」

喫茶店ではちょうどスイーツの食べ放題のタイムサービス中です。
「リカはどうするの?」
「ええ〜っと。」
財布の中の残金を確認するとお札が二枚見えました。
(今日が15日でお給料が5日だから……。)
「私は食べ放題にするわよ。」
「じゃ……、じゃあ私も……。」
「無理しなくて良いのよ?」
「してません。」
本当はちょっとしてますけど……。
お皿に3個タルトを取り席に座ってふと考えます。
(キマイラさんと二人っきりで話すの初めてかも……。)
「ええ……、そんなに取ってきたんですか!」
お皿に4個のタルト、さらにはカスタードプリンとヨーグルトをトレイに乗せて彼女が戻ってきました。
「料金から計算すると、このくらい食べないと赤字よ。
 リカはもっと相手の思惑を読む癖をつけないと駄目よ。」
別に食べ放題なんだから、また取りに行けば良いじゃないですか。
「まぁいいわ、さっきの話の続きね。」
「なんで弁護士資格取ったかって話ですね。」
「そう、私ね。ファンガイアの王族親衛隊でね。」
「ファンクラブですか?」
確かタック教授にもあるんですよね。

「あ〜ちょっと違うなぁ。
 お世話係っていうか、侍女っていうか、家来って言えば良いのかな。」
「ファンガイアの王族って……。リョウコさんでしたっけ?」
「そうクイーンとキングね。
 本当は公の場ではクイーンって呼ばないといけないんだけど、
 説明が面倒になるから、リョウコって呼ぶけど大目に見てね。」
「うん。」
「私は女って事もあってリョウコの担当なの、
 もともとリョウコとは幼馴染だしね。」
「それでそれで?」
「あの娘に降りかかる火の粉を全て振り払うのが私の役目なの。
 で私達みたいな悪みたいなのは、何かって疑われるから公的資格が欲しかったのよ。」
(いろいろ考えてるんですねぇ。)
「アンタはなんで銀河連邦警察に入ろうと思ったの?」
「お父さんとお母さんが刑事だったし、
 せっかくなるんだったら、キャリア組になってスーツとか欲しいなぁと思って。」
「ご両親はなんて?」
「友達の敵討ちなら止めとけって。」
私の親友はあるギャングの抗争に巻き込まれて、私が小さいときに死んでしまったんです。
「一応聞いておくけど、それってファンガイアじゃないわよね?」
「違うよ。」

「ラストオーダーになりますが、ドリンクのご注文宜しいですか?」
兎のカチューシャをした店員さんが飲み物の注文を取りに来てくれました。
(もうそんな時間ですか。)
「だから言ったでしょ。あのくらい取らないと割りに合わないって。」
時計を見る私をクスクスと笑います。

「トゥルルルル♪」
そのとき、私の携帯電話が鳴りました。
(誰かしら)
周りはみな蹴落とすべきライバルという機械科において、私の携帯電話を知る人はそんなに多くありません。
(非通知…公衆電話かしら?)

「ちょっとトイレ行って来るわね。」
「ここで話せば良いじゃない。友達でしょ?それともバイト先?
 エレボス先輩がお嬢様に露出狂が多いってのは本当だったって言ってたわ。」
「ちょっとスカートが短くて、下着が見えるだけです!!」
首を傾げながら電話を取ります。
「もしもし?」
「マリリンちゃんかい?」
マリリンというのはオリオンでの源氏名。

店長さんに好きな名前をっていわれたんで言っちゃったんだよね。
シャイダー先生に知れたら絶対怒られるので内緒ですよ。

「俺だよ。コジロウ……わかるかい?」
「ええ。どうかしたんですか?」
「アンタ刑事なんだってな。助けて欲しいんだ。」
「刑事って見習いですよ?助けて欲しいってどうしたんですか?怪我でもしたんですか?」
「1時間後に港の倉庫に……。ツーツーツー」
電話は切れてしまいました。

「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。」
(コジロウさんどうしたんでしょ。)
『助けて欲しい』って仰ってました。
「そう、アタシこれからバイトだけどそっちはどうする?」
「私もそろそろ寮に帰るわ。」
誰かに相談した方が良いんでしょうか。
でもそのためには、アルバイトのことを話さないといけなくなります。
(それは困ります。)
コジロウさんのことも心配ですし、港の倉庫に行ってみましょうか。
396創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:04:20 ID:RPfu06Nl
また書いてみました。
とりあえず前半です
カイザが宇宙刑事とか大目に見てください。
(お前仮面ライダーじゃねぇかよ。)とかそういうのね。
397創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 08:33:24 ID:n1ZlZe2M

設定が色々出てきて楽しいね
キャラもいいと思うよ 続き待ってます
398創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 13:16:26 ID:NYO4ipG1
投下乙
だんだん島の輪郭が見えてきたな。
タイムレンジャー出てきてわろたw
確かにモテそうだな。
そういえば、ヒルトの同棲相手は奴が学園に行っている間は何してるんだ?
399創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 13:21:30 ID:NYO4ipG1
ところでそろそろ次スレのスレタイとか話さないか。
スレタイはシンプルに[正義]ヒーロー学園物語3時限目[悪]で良くないか?
400 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/25(水) 15:50:26 ID:n1ZlZe2M
いいんじゃないかな テンプレはどうしようか
俺はゲキレンのシャーフーを先生として出そうかと考えたり
といいつつひっそり投下>>381の続き
401シュバルツェル・レオパルト8 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/25(水) 15:54:28 ID:n1ZlZe2M
 体が本能的に反応し、シュバルツェル・レオパルトは剣をよける。すぐに爪を出し、
ブラックスミスを斬った。

「サイキック・斬鉄爪!」
 光が一閃し、ブラックスミスの体を覆う黒い鎧に亀裂が走る。卵の殻がむかれるように、
鎧はブラックスミスの体からはがれていった。
 白い肌ははまったく斬れていない。

(サイキック・斬鉄爪、やわらかいものは斬れませんが硬いものなら何でも斬れます)
 頭に響く解説もナオコにはBGMにもならず、心に留まらない。彼女はただ唖然とした。
 ブラックスミスのたくましい裸体があらわになると、ナオコはヒョウの顔を横に向けた。
「あ、あの、すみません」
 ライオンマスクも手で目を覆う。

「おのれ、レオパルト……!」
 ブラックスミスは斬られた鎧をまた再生しはじめる。生き物のように鉄の破片がうごめき、
ブラックスミスの体に貼りついていく。

 不意に影が落とされるのでナオコが見上げると、上半身裸、下にジーンズのユウトが翼で
飛んでいた。バレーボールを携えている。
「さっきはよくもやったなーっ!」
「ユウト先輩、何で裸なんですか」
 ライオンマスクは恥じらって手を振った。
「だって俺、普通の服着らんねーもん」
 ユウトは背の白い羽根を動かしてみせる。

「いくわよーっ、サーブ!」
 ボールが波動をまとってブラックスミスへ突進した。ぶつかると光が発し衝撃が周囲に
広がる。
 大音とともにブラックスミスは地に倒れた。斬られた鎧を直す間もなく受けたため、ダメージ
は大きい。

「ナミ、ボール拾え!」
 ユウトが命じ、すぐさまライオンマスクはボールを追う。
「はいっ!」
 トスされると玉はまだオーラに包まれて、空高く上がった。

「まずい、次食らったら……」
 ブラックスミスは苦悶して顔を歪める。

「くたばれ、テロリスト!」
 球が打たれようとする。
 そのとき、空間から太い腕があらわれた。ごつい手がユウトの手首をつかむ。
 ボールはあらぬほうへと落ちていった。
 予想外のことに、ユウトは目をむく。

「やめんか、入学希望者だぞ」
 浮かぶ丸い岩に、ステテコ腹巻の太った男があぐらをかいている。
「あ、あんたは?」
 ユウトが口を動かすと、薄い頭が縦に振られた。

「悪部の事務、ギロチンピエールだ。あいつらは悪部の入学試験を受けるからつれていく。
手を出すな」
「おい、犯罪者だぞ、逃がすのかよ」
「前途有望じゃないか。文句付けたら死刑!」

 たじろぐユウトから離れ、ギロチンピエールは岩を降下させ地に近づいた。
 ギロチンピエールは、ギロチン博士とロベスピエールの遺伝子から生まれた人造人間で
超能力者だ。
 ヒーロー学園研究部により、事務担当として造られた。
402 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/25(水) 15:56:43 ID:n1ZlZe2M
ではまた今度
次で誕生編が終わる予定
403創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 20:38:28 ID:UvLZ3CNs
【ヒーロー】ヒーロー学園物語 三時限目【ダークヒーロー】でもよくね?

ヒルトの話の続きも読みたいなぁ。
アイちゃんとの絡みがもっと読みたいなぁ
404プルートの誕生日 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/26(木) 19:30:22 ID:eSA/oZ10
「ジャンジャジャーン♪♪」
エリカはんがプレゼントの髑髏のエンブレムがついたハーレーを押してくる。
ちゅうかハーレーの方がいかいさかいハーレーがひとりでに動いてるように見えますなぁ。

「おお!!」
今日はプルートはんの誕生日会 in 女子寮
毎度みたいに、それぞれプレゼントをしよけかちゅう話もおしたんせやかて、
どないせならみんなでお金や知恵を出し合って、何や記念品を造ろうちゅう話にならはったんどす。

ある者は高稼ぎの風俗店でのアルバイト、ある者は安定した収入の塾講師のアルバイトに精を出し、
ほんで、ある者はなんをプレゼントどしたらええのかを相談どしたどす。

なんをプレゼントしはることにならはったかと言いまんねんと
プルートはんと言えば、女子寮の中の自室に辿り着けないほどの方向音痴。
いつも誰かと一緒というのは意外とストレスになもんどすから
ちゅうわけで、プルートはんの足になる物=バイクにならはったわけどす。

とへーえ、たや普通のバイクを造ってもしょーもないさかい、
研究に秀でたもん(ナツミはんとか)で集まって色々と会議をどしたとどす。
(もちろん、プルートはんが自室や授業に行っている間に)

その結果完成どしたのがこの超ハイテクハーレー通称ヘルバイクどす。
「乗っても良いじゃろうか?」
「ちびっと説明しはるわね。
 まずその髑髏のエンブレムは言わずと、知れたプルートはんの変身後のイメージどす。
 変身どしたときのことも考えて、車輪やボディーは炎かて耐えられへん設計になっておるんや。」
405プルートの誕生日 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/26(木) 19:30:45 ID:eSA/oZ10
ヘルバイク(通常はハイテクハーレー)
プルートの変身と火の精霊オグンに感応して、
炎の車輪を持ち、車体各部から蒼い炎を吹き上げる姿に変化する。
垂直の壁面や水面も走ることができるが、飛行能力はない。
母コレーから譲り受けた指輪につけられたGPS装置の電波でプルートの居場所を探知でき、口笛で呼び寄せることができる。

ちなみに方向音痴のプルートのために、
一度行った場所は自動操縦でアクセル操作だけで行くことが可能。
またアキレス特製カーナビも搭載し、その地図情報は随時衛星から自動更新される。
(データを他のカーナビからコピーすることも可能。)

ゴーストライダー
ボディーを冥府の蒼い炎が包み、蒼く燃える髑髏の顔を持つ。

地獄の炎(ヘルファイア)
ゴーストライダーの全身を包む灼熱の業火。
銃弾などの攻撃を防ぎ、悪魔をも燃やすことができる。
チェーンなどにこの炎を帯びさせることで自在に操ることができる。

バロールの邪眼
ゴーストライダー最大の武器。
燃える眼窩を見つめると、
自らが犯した全ての悪事と、他人に与えた全ての苦痛が本人に舞い戻り心を焼き尽くす。
(変身することにより、バロールの邪眼の持つ本来の力が引き出される。)
406プルートの誕生日 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/26(木) 19:31:26 ID:eSA/oZ10
「やっぱり先輩達は頭が良いんだねぇ。冥府に戻っても一生大切にするぞよ。」
「私は肉体労働だったけどね、大変だったんだからね」
エリカはんは確かレストランのウエイトレスやったわな。
ケーキ屋はんでバイトしとったやけど、つまみ食いが多すぎて首にならはったんどしたな
「あんさんもしっかり勉強して、後輩にプレゼント造ってあげよし。」
「うん!!頑張る!!!」

相変わらず返事やけはええ返事や。
具体的には一体どないかんばるつもりなにゃろうか。
聞いてみたい気持ちもおますが、今日はプルートはんの誕生日やし大目に見るとしまひょ。

お祝いのケーキをみんなと食べもって、
プルートはんは色々質問して来はるんどすけど困ったんもんやなぁ。
ナツミはんが担当どした部分がおーいんどす。
うちが担当どしたのは、カーナビと本体半分なんやどすやろ。

考えればわかるんせやかて、こうゆー質問ちゅうのに答えるのは、
研究者の楽しみの一つやておますさかいそれを奪ってしまうのもどないなんやろう。
早う戻ってきてね、なつみはん

それから暫くして、
学園の怪談の一つに夜な夜な蒼い炎に包まれた黒い革ジャンをきた髑髏の怪人が、
大きなハーレーで暴走行為を繰り返してはるちゅうのが加えられたというのを
耳にしたんやが、そらうちらのせいおへんな。
407 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/26(木) 19:33:51 ID:eSA/oZ10
番外編でした。
京都弁難しいっす。

>>396
投下乙です。
カイザはあんまり本編では目立たなかったので、使ってあげてください。
殺しはしないでね。
それにしても、TOP3ってハードル高いっすねぇ。
408 ◆ccu2hP6PPA :2009/02/26(木) 19:38:10 ID:eSA/oZ10
番外編でした。
京都弁難しいっす。


>>396
投下乙です。
カイザはあんまり本編では目立たなかったので、使ってあげてください。
殺しはしないでね。
それにしても、TOP3ってハードル高いっすねぇ。
弁護士資格は何か使えそうだから覚えておきますわ。

出来れば良いのですが、
学園の怪談というか七不思議みたいなの募集したいんですが……。

例えば、
真夜中の保健室では改造手術に失敗した生徒の啜り泣きが聞こえるとか
そういう学園っぽいのが良いのですが、誰か良い案ないですかね?
409創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 21:30:57 ID:OoN9bROT
投下乙
和やかな雰囲気だななっちゃんは死んじゃったんかな?
不思議な話
夜な夜な悪を切り刻む黒騎士とかか
410創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 00:29:42 ID:pW5mRnVk
不思議京都弁も味があってカワユス

七不思議っぽいのだと
グラウンド隅にある地蔵の前で、夜中に変身の練習を続けると、
何時の間にか足元の透けた大勢のチビっ子に囲まれてしまうらしい…とか。

怖いめの怪談系だと
元の主を求めて旧校舎の廊下を這い回る
サイボーグ化の際に切り落とされた手足や摘出された臓物の幽霊に出会うと、
見てしまったモノと同じ部位を、将来失う事になるらしい……とかとか?
411創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 14:37:51 ID:unvHOnar
京都弁は優雅なイメージだな
お母さんというかお姉ちゃんというか
そんなイメージだ。
今後どう絡んでくるのか期待してます
412宇宙刑事 マリリンの事件簿〜リカの危険なアルバイト事件〜:2009/02/27(金) 20:23:22 ID:TxWTSeCm
「コジロウさ〜ん?」
結局私は言われた通り港の倉庫に来たのでした。

助けを呼ぶ声には最優先で駆けつけよ(by シャイダー先生)

言われなくても、困ってる人を放っておくなんて私にはできません。
(しつれ〜いします。)
倉庫の扉を開けて中に入ります。
本来電子捜査令状も無く、そんなことしたら不法侵入なんですけどね。
「誰かいませんかぁ?」
「うう…うう…。」
真っ暗の倉庫内から唸り声が聞こえます。
「コジロウさん?」
「マリリンちゃんか……こっちに来てくれ。」
「は…はい…。」
「これを君に託そう。」
「何ですか?」
コジロウさんからA4サイズの茶封筒を受け取りながら尋ねます。

「ウチの組織がどっかの悪党から買って来て売りさばいてる新型の麻薬と
 その主要な取引先のリストさ。複数のダミー会社を通じて医薬品って事で販売して
 ヤブ医者に合法的に出させてるのさ。」
そんなの近くの交番にでも行けばいいじゃないですか。
「G地区は多くの警察官が賄賂で生計を立てる汚職警官で、
 警察署長や市長を筆頭に行政機関の上層部までもが、マフィアや悪の組織との癒着で成り立ってるんだぜ。
 握りつぶされるに決まってるだろう。」
噂には聞いていましたが、そんなに酷いのでしょうか。
どれもハッキリと断定できないので、警察も銀河連邦警察に困るとは聞いていました。

「だけどマリリンちゃんが、銀河連邦警察の刑事さんだって言ってたのを思い出してさ。」
「どうして急に?ボスを裏切ったら困るんじゃないんですか?」
「ウチの組織さ、最近出てきた謎の怪人集団に乗っ取られちゃったんだ。」
「怪人ですか?」
「うん。いつの間にか一人また一人と入れ替わってたんだよね。
 縄張りごとゴッソリ持ってかれちゃったよ。」
413創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 20:35:13 ID:TxWTSeCm
読んでくれてる人がいてホッとしてます。
なにぶん慣れてないもんでいちいち反応求めてすみません。

怪談話ですか。
25時25分に変形するホンゴウ部長の銅像とか
瞬きする音楽家の絵とかかな
414創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 22:59:29 ID:unvHOnar
頑張りなはれ
屋上への13階段とかな
415 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/28(土) 11:13:31 ID:G3cUCALa
投下おつおつです
ヒーロー学園も麻薬汚染か……
では>>401の続きひっそりちびちび投下
416シュバルツェル・レオパルト9 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/28(土) 11:15:03 ID:G3cUCALa
「ヒーロー学園悪部入学試験をおこなう。来い」
 ギロチンピエールが濁った目で見下ろす。
 よろよろと立ち上がり、白金の髪を乱すブラックスミスは言った。
「あと一人、ナオコがいないんだ」
(ここにいるんだけどなあ)と、ナオコは複雑な気持ちだ。

「中途半端な時期の試験を認めてやったんだぞ! 遅刻したら死刑!」
 ギロチンピエールは打つような重い声を飛ばす。
「クェッ、太子、超日警も近づいています。ご決断を」
 シュヴァルベがクチバシを主人に近付けた。
 超日本警備社は、民間の警察的組織だ。ヒーロー学園を卒業できなかったり、成績が優秀
でない生徒が優先的に雇われるのが特色だ。

「おのれ、フーリッシュキャットのせいで愛しのマイプリンセスを置いていかねばならない
とは……」
(だからそれどっちも私だっつーの)
「しかたがない。マイリトルプリンセス・ナオコ、どうかあとから来てくれ」
(ここにいるんだってば)
 ナオコは困ったように、長い尾をぶらつかせた。
 丸い岩の上に座する中年男が、大きな口を動かした。
「この岩に手をつけろ。俺は何かを媒体にしないと超能力が使えんのでな」
 ブラックスミス、シュヴァルベが岩に手を当てる。強い光が発せられた。中年親父が発する
「テレポーテーション!」の掛け声とともに、三人は光に包まれて影になる。
 光が弱まると、そこにブラックスミスたちはいなかった。

 ユウトはゆっくり着地すると、バレーボールを拾い上げた。
「まいったな。どうするよ」
 羽根をたたむと、尻のポケットから布を出し、ユウトはボールを大事そうにふく。
「えーっと」
 変身を解くと、ナミはメモ帳を取り出した。

「超日本警備社とシロキ先生に報告しましょう」
「俺やだなあ。おまえやれよ」
「ええー……」

 何だか気が合ってそうな二人だなあ、などとと思いながらナオコは様子を眺めていた。
変身を解除し、ナオコはもとの学生の姿に戻る。
 ユウトは羽根をびくつかせた。
「うわっ、こいつあの人質かよ。おまえの友達かなんかだと思った」
「ヤス・ナオコさん。ヒーローだったみたいです」
 ナミが紹介すると、ナオコは小さく頭を下げた。
「はい……記憶はないんですけど」

 ナオコは自分が何かを握っていることに気づいた。見ると、黒い猫のような、小さな置物だった。
(これが私の核です)
 またナオコの頭で婦人のような声が響いた。

(ナオコ様。どうかヒーロー学園正義部に入ってください)
「えっ?」
(ブラックスミスが力をつけ、ますます悪の道へ進まぬよう、彼を止める力をつけてください)
「うん……」
 ナオコは迷いの中で、弱々しく返事するしかなかった。
 ブラックスミスにひかれるものがあるのも確かだ。
 彼の黒く深い瞳を思い出すと、ナオコは胸に苦いようなうずきを覚えた。

「う、うん……、やってみる!」

 かくして、ヒーロー・シュバルツェル・レオパルトの学園生活が始まろうとしていた。
417 ◆Omi/gSp4qg :2009/02/28(土) 11:16:38 ID:G3cUCALa
誕生編終わり
超日本警備社はヒーローになれなかったヒーローくずれがならず者の犯罪者にならないための
社会的救済みたいな組織って設定
「警察だ!」
そこへ完全武装した警官隊がなだれ込んできました。

「君には黙秘する権利がある。
 君の証言は法廷で不利に扱われることがある。
 君には弁護士と相談し、尋問中弁護士を同席させる権利がある。
 経済的理由で弁護士を雇えない場合、公費で弁護士を雇うことが出来る。」

警官の一人がコジロウさんに手錠を掛けながらお決まりの警告

この警告を被疑者にしていないと、
後で証言を証拠として認めて貰えなくなるだけでなく、
人権問題になるってタック先生の授業で聞きました。

「君はなんだね?」
「こんな時間になんだね!身分証を見せてなさい!」
強い口調で警官の一人が詰め寄ってきました。
「わ…私は……そのヒーロー学園の……。」
「ヒーロー学園?嘘付け仲間なんじゃないのか?
 その封筒はなんだ?」
猿轡をされたコジロウさんの唸り声が聞こえます。
「ちょっと止めて下さい!
 私は本当に学生です。今証拠をお見せしますから……。」
私は胸ポケットから手帳を取り出し、警官隊にかざします。

「ヒーロー学園 機械科 シャイダーゼミ……。」
「警部まずくないですか?」
「揉めるのはまずいよ〜、揉めるのは〜。でも偽造じゃないか?」
「自分も初めてみるものですから。」
「照合依頼かけるにしても、もう夜だしなぁ。」
警官達が向こうでヒソヒソ話を始めました。
419宇宙刑事 マリリンの事件簿〜リカの危険なアルバイト事件〜:2009/02/28(土) 22:57:37 ID:mp/uKPms
「銀河連邦警察の方とは失礼いたしました!!!
 大変ですよね、
 成績が悪いとすぐ退学させられて、連邦捜査官に戻されるんですよね。」
「ええ……まぁ。」
「頑張ってキャリアになってください!!自分は捜査一課 ヨモギ警部であります!」
警官の一人はビシッと敬礼すると、コジロウさんをパトカーに乗せるように指示します。
「一応お伺いしておきたいのですが、
 銀河連邦警察の所属とはいえ、今は学生であるサオトメ捜査官がどうしてこんな所へ?」
やっぱり聞きますよねぇ。
言って良いものなでしょうか。コジロウさんの方をチラッとみます。

「まさかあの容疑者とご関係が?」
視線に気がついたヨモギ刑事がフッと笑う。
「ええ……、ちょっとした知り合いでして呼ばれたといいますか。
 ちなみに何の容疑なんですか?」
「判明しているだけでも、殺人強盗が5件……あと恐喝は数え切れません。」
「そうなんですか。」
「今日はもう遅いですし、
 また日を改めて署に出頭していただき、簡単な事情聴取をさせていただきますので……。」
それはしょうがないですよね。
翌日

私はシャイダー先生から緊急の呼び出しをうけ制服(黒いジャケット)着用で教官室へ

教官室は助教授以上は各一部屋あるので、該当の部屋を探すだけでも最初は一苦労でした。
呼ばれるときはだいたいロクばことではありません。
機械科のそれも私達のような捜査官が呼ばれかつ
制服を着用を指示されるきは、良かれ悪かれニュースがあるときで、

マリリンのスーツを貰ったときも、
試験結果発表のときも、ゼミ発表のときもそうでした。
今回思い当たるのは昨日の事くらいです。

(でもヨモギ警部は身分照会はしないって仰ってたのに……。)

「失礼します。」
「誰だ?」
「マリリン捜査官であります。」
「入れ!!!」
ドアをコンコンとノックすると、シャイダー先生の声が中から聞こえました。
(機嫌悪そ〜う)
嫌な予感がします。

この前の取調べ試験の結果を告げられたときもそうでした。

正面の書類をデスクと肘掛け椅子に座ったシャイダー先生の姿が見えます。
「お呼びだそうで」
敬礼をしながら何事かお伺いします。
理由はわかってるんですけどね。
(一応ほら万が一ってこともあるじゃないですか。)
「よく来た。早速だがこちらのお二人が君に聞きたいことがあるそうだ。
 黙秘は許さん!可能な限り即答するように!!」
「了解しました!そちらは?」
来客用の椅子には背筋をピンと伸ばした男性と女性の姿があります。
「銀河連邦警察 警務局 人事1部 アーノルド監察官だ。」
「同じく ニコール監察官です。」
立ち上がって手帳を見せ、ニコール監察官は厳しい口調で続けます。

監察官は警察内部に不正が無いかを調査するのが仕事なので、
接待とか賄賂とかそういうのを防止するために男女でペアーになって行動する規則だとか。
※同性だと二人まとめて接待される可能性があるため。

年齢から見て、アーノルド監察官の部下がニコール監察官と見るのが妥当でしょう。
お二人の鋭い視線が私の顔に突き刺さるのを感じます。

「本来ならば本庁で厳しく取り調べるところですが、
 マリリン捜査官のご両親がジバン監察総長の入庁時の上司だったことと、
 ゼミ担任であシャイダー警視監のご配慮もありこういった形を取る事にした。
 お二人に感謝するように!!!座って良し」
「は!」
「単刀直入に聞きます。
 昨日23時17分 G地区の第8ブロックにある港で職務質問を受けたのは何故?」
やっぱりその件ですか。
「たまたまその場に居まして……。
 それでそのなんとうか……その。
 どうしていたのかというと、呼ばれたというか巻き込まれたというか。」
「それで?」
「何者か、聞かれまして身分証を出しました。」
こういうときは、正直に言うに限ります。
「なるほど。」
「はい。」
わかってくれたみたいです。
「君は何か勘違いしているようだね。」

「え?」
今まで黙っていたアーノルド監察官が低い声で話し始めます。

「我々が問題にしているのは何故職務質問を受けたのかではなく、
 どうしてそんな場に居たのかということを問題にしているんだよ。
 G地区は学生の立ち入りは禁止だよねぇ?」
 これは、『連邦警察倫理法』及び『連邦捜査官倫理規程』に該当する。」

「たまたまですって?笑わせるんじゃないですよ。
 アナタがG地区にある高級風俗店オリオンにおいて、
 マリリンの源氏名でアルバイトをしていたことはわかっています。
 期間は約2週間 得た報酬の総額は……。
 これはマリリン捜査官の車に搭載されているカーナビの走行記録と一致します。
 報酬が同級生プルートさんの誕生日プレゼントに使用されていなければ、
 即刻拘束し処罰するところです。
 誇り高き捜査官の名前を事もあろうに、風俗店の源氏名に使うなどと汚らわしい!!
 アナタは全ての女性捜査官を辱めたのですよ!!」

畳み掛けるように説明を終えたニコール監察官が、調査結果と書かれたレポートを机の上の置きます。
置いたというよりも、叩き付けたと言った方が正しいかもしれません。
顔を真っ赤にして怒ってます。

「ニコール監察官…冷静に……。」
「走行記録ってそんなのいつ調べたんですか?」
「今朝。寮長のミサキ教授の立会いの下、厳正に行った。
 それに君の尾行は今日で2週目だ。」
尾行されていたなんて、全く気がつきませんでした。
「私の学園時代の同期が弁護士をしていて、個人的に知らせてくれたわけだ。
 正義部のそれも同じ機械科の私やニコールの後輩が、
 大胆不敵なアルバイトをしているがこれはまずいんじゃないかとね。」
弁護士……マットさんのことだ。
確証はないですけど、そんな気がします。
「私も学生時代、校則の穴を探しては随分遊んでいたからねぇ、
 人の事を注意出来る程立派ではないけども……。
 ニコールがそれを聞いて一言どうしても言いたかったそうなんだよ。」
「ずるいですわ、私だけ悪者にして。」
お二人の顔が急に綻びはじめました。
「え?それじゃぁ、ジバン監察総長とかの話は?」

「ハハハハ、驚かして済まなかったねぇ。
 例え警視総監であろうと、我々の監査活動に口出しはさせんよ。
 実際別件で車は調べさせてもらったけどね。
 お金が欲しければコレに懲りて別のバイトを探すことだ。」

思い出しました母さんから昔聞いたことがあります。
監察官の中に「死神」と呼ばれ、警察内部の犯罪行為を徹底的に追及する鬼監察官がいると
そしてその監察官はどんな些細な不正にも容赦がなく、
追及のためには違法な手段(令状なしの家宅捜索など)に出ることも辞さず、
結果として監察対象の犯罪を暴き出すためこれらの違法捜査は黙認されており、
自身が処分の対象になったことはほとんどない。という話を……。

「別件ですか?」

「もともと我々は別件でこの島を訪れたのだよ。」
「アナタがあの倉庫でコジロウ容疑者から貰ったものがあるわね。
 それを私達にくれないかしら?」

ずっと尾行していただけにあのファイルのことも知ってるようです。
(監察の人なら握りつぶされることもないはず……。)
私は鞄の中から昨日の封筒を取り出し机の上に置きました。
「中は見てません。」
「それが賢明、アナタにはまだ荷が重いわ。
 いつの間にか知りすぎて消されちゃった同僚も数多く居る。
 アナタの成績シャイダー教授に見せてもらったけど心配ね……。」
そんなに悪かったでしたっけ。

「学力の方は普通ね、だけど実技はあんまり得意じゃないのね。」
「総合ではちゃんと3位以内なんで、順調にいけばキャリアの条件満たせると思うんですけど?」
「3位?下を見たら切りがないでしょ?
 キャリアはねぇ、銀河連邦警察に勤める全職員の見本と成らなければいけないの。
 肝に銘じて二度とこんなことが起きない様にしなさい。」
もうプルートちゃんへの誕生日プレゼントも終わったし、アルバイトする理由は無くなりましたしね。
「うん。この資料で立件出来そうだな。」
アーノルド監察官は封筒の中身を確認すると不敵に笑います。
「そろそろ裁きの時間のようだ。」

(まさか私もう退学なの?)

「あのぉ……、私はどうなるんでしょうか?」
「学園内の処分は追ってシャイダー教授から通達します。
 監察としては厳重注意で済ませる予定です。
 もちろん、今後は正義部の学生として学業に邁進することが条件だよ。」

私は顔をブンブン縦に振って頷きます。
なんとか死刑(退学)は免れたみたい。
これからは駄目なのものは駄目と、自分に厳しくあろう。
もう取り調べを受けるのは嫌です。
「うむ。」
「捜査協力もした事だし、反省文くらいで良いんじゃないですかね。
 では我々はこれで……。アーノルド監察官行きましょう。」

夕方

「よぉ。」
射撃訓練場で自主訓練を終えた私が、駐車場に向かって歩いていると突然視界が暗くなりました。
「タカノリ先輩……、じゃなかった。カイザ捜査官どうしたんですか?」
機械科の捜査官はお互いを変身後の名前で呼ぶのが常なのです。
「ハルカから聞いたんだけど、お前も監査を受けたんだって?」

ハルカ先輩(?)ああ……宇宙刑事セリーヌのスーツを与えられながら、
エリカ先輩に惨敗したショックで捜査官を止めて、改造人間に方向転換した変わり者のことですね。
女子寮でも一度も話したことないです。

「お前もってなんですか?」
「入学早々俺も受けたしあんまり気にすんなよ。
 俺の場合はアンゴルモア騒ぎ+カイザギアの取得についてだったから大変だったんだぜ。」

タカノリ先輩のカイザギアはメタルスーツと違って、装着すると改造人間のようになるんです。
どう違うのかと言われると、私達捜査官はスーツを身に着けた際の強さの上限は変わりませんが、
改造人間の皆さんは鍛えれば鍛えるほど強くなれるのです。
他にも機械工学的になんかあるらしいんですけど、まだ説明できるほど理解できてません。
「しかも死神と女教皇だろ?あのペアーに睨まれるなんて、お前もつくづく運が無いよな。」
ニコール監察官のあだ名は今初めて聞きました。
そんな異名をお持ちだったんですね。
先輩の話では史上最強の監察チームなんですって。
(なんかカッコいいですね。
 出来る女って感じしましたもん!!!)
「で?」
「実技の成績が心配だって言われました。」
「お前も部活入ったらどうだ?」
今更運動オンチで笑われるのも嫌だし、ちょっと考えておくことにしましょう。

それに取り調べされるのって疲れるんですねぇ。
(もう絶対取り調べられたくないよ。)
特にニコール監察官には……。

終わり
427創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 23:07:08 ID:mp/uKPms
また思いついたら投下しますが、考えてた分は投下しました。
考えてみると宇宙刑事って逮捕するのが仕事だから少し扱いにくかったですね。
誰かストーリー思いついたら、主人公に使ってあげてください。

一応考えてたのは、マット(デアデビル)がちくりのお詫びに格闘技の先生として
恋人のエレクトラを紹介するみたいなのを考えてたんですけど
書くかどうかは微妙です。
戦闘シーンが苦手なもので。
それでは
428創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 23:22:19 ID:mp/uKPms
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235830635/

次スレ立てておきました。


33KBなんで自然に埋まりますかね。
429創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 23:33:12 ID:mp/uKPms
ウィキの更新あれで出来てるのかな
クリックしていったから大丈夫かな
430創る名無しに見る名無し:2009/03/23(月) 21:51:48 ID:XlDk8iM2
埋めたほうがいいのかな

一見さんのためにやっぱあらすじがあったほうがいいだろうか
どっかのスレでも言われてたし
431創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 19:12:13 ID:1g+MAmT6
試しにあらすじ作ってみた

・ハイドがドクトル・マザーに拾われる。ハイドには記憶が無い。
・ハイドがエリカ、ヘレネ、クラマと会う。アンゴルモアのことを知る。
・ハイドたちは洞窟の奥で正義の生徒、古代のロボットと戦う。
・ハイドが記憶を取り戻す。タカノリがカイザと契約する。
・一年後、ハイドたち、タカノリたちは自治会に入っていた。
・セリーヌ含む宇宙刑事たちとヘレネ、クラマ、エリカ、タカノリ自治会の戦い。
・エリカとセリーヌの戦い。エリカは水の精霊ウンディーネと契約していた。
・エリカはラグーン族で、ラグーン族はアンゴルモアに滅ぼされた。
 ウルフル族に助けられ、兄シゲルとは別れている。
・エリカたちとキング、クイーン、オウ、ヒルトの試合。
 クイーンとジュリはコウジをめぐって因縁がある。・オウが殺される。犯人はライダートール・コウジ?
・元セリーヌ・ハルカがオウから遺言とピアスを預かり、リョウコ・クイーンに渡す。
・ハルカがライダーマンゼミでライダーシャダイムになる。
 シャダイムがナツミのノートを取り返すためタイガーバズーカと戦う。

まだこんだけだけど
こんな感じで箇条書き風に作ってみたらどうかな
432創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 15:47:55 ID:ETarUi5w
・エリカがカブトゼクター、ヘレネがガタックゼクターをクイーンからもらう。
・学園祭で試合の予定。ヘレネが原田シンと試合。エリカはハルカと、クイーンはジュリ、
クラマはユイ、キングはコウジと試合予定。
・ハルカとユイ・デルタがロボットと戦う。
・ハルカとユイが歴代ライダーたちから特訓を受ける。
・ハイドとアンゴルモアの因縁。
・ハルカとユイの特訓が終わる。学園祭の交流試合へ。
433創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 17:24:28 ID:TueTe8Xm
ヒルト系のあらすじ

・ブラックホール精製時の事故により、算譜体(プログラム)ヒルト参上
・開発されていたカブトガニ型マシンボディに憑依する
・コピーされたプログラムからベロニカが分離*1
・ヒルト、身分を隠す為にハンニバルと学園に潜伏
・安定しない事故現場の放射線を取り除く為、副業でスカルマンを始める
・コータ、グロウベルトに寄生され生体兵器化するが、自覚無し
・アイ、姉妹2名が処分され、AIチップを引き継ぐ*2
・イルーゼ、監視役としてアイの面倒を見始める
・(本編ここから)
・ヒルト、試験官として雇われコータらと出会う
・ノブ、死なない兵士開発の謎を追う*3
・ヒルト、スカルマンとして老年ライダーに引退する切欠を作る*4
・クロノ、スカルマンに報復しようと意気込むも返り討ちに遭う
・コータ、グロウベルトにより完全生体兵器化、処分命令が下る
・ヒルト、コータを呼び出し、仲間に引き込む
・(本編ここまで)

(*1)ヒルト本体は時空や時間に影響されないプログラムなのでコピー可能
(*2)アイのAI、トライシステムは長女・服従回路、次女・悪魔回路、三女・良心回路
の三重人格で構成されており、有事の際に切り替わる
(*3)死なない兵士=コータ
(*4)クロノのヒーローIDは引退した老年ライダーから受け継いだ(イベント書き損ね)
434創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 18:16:23 ID:ETarUi5w
おーわかりやすい
四時限目の最初のほうに貼っておこう
ブラックホール精製や死なない兵士の設定はシェアードできるかな
435創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 18:18:43 ID:ETarUi5w
・ヘレネ対原田シン。ヘレネ変身、勝利。
・エリカ対ハルカ。ハルカの攻撃に対しカブトゼクターが防衛反応。エリカ自動的に変身。
・カブトの攻撃に対し、エリカ・シャダイムがタイムライダーに二段階変身。
・ダメージを受けたエリカはカブトによって外へ出ていく。場外で試合はハルカの勝利。
・チェックメイトに囲まれたエリカをクラマが助ける。ラッキークローバーにエリカがとらわれる。
・クラマがタカアキたちを殺す。クラマはアンゴルモアの飼い主パンドラに協力していた。
・ジュリとクイーンの試合中、エリカとユイをさらったことをアンゴルモアが知らせる。
436創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 16:26:40 ID:K2miv0RL
・クイーン、ヘレネ、ハイド、ジュリ、ハルカがエリカを助けにいく。
・ラッキークローバー・マナミとチェックメイトナンバー5ユウコ、カブトのエリカとユイを操る。ヘレネたちが戦う。
 ジュリがライダーアギトに変身。
・ジュリとリョウコ・クイーンの因縁。ジュリはリョウコに助けられたことがある。
・レジェンドルガとの戦い、クイーンがライダーサガに変身。
・ヘレネのガタックがハイパーガタックに。ユイ・デルタを助ける。
・シャダイムがユニコーンライダーになる。エリカのベルトを刺す。
・エリカのウィンディーとカブトが協力、ハイパーカブトになる。
437創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 16:30:20 ID:c/dtZ2AW
・グリフォンレジェンドルガ去る。エリカたちは解放される。ヘレネはシンと付き合っている。
・リョウコはレジェンドルガともめ事を起こした罰を受ける。
・ナイト、ポーン、ルーク、ビショップに痛め付けられるリョウコ。
 オウを殺したのはビショップだった。
・タケシがビショップと戦い勝利。
・ハイドがルーク・ライオンファンガイアに勝利。
438創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 11:46:40 ID:O1P9Qp+r
・ナツミはシャダイムのメンテナンスをしている。ユイを紹介される。
・研究棟に侵入者。アンゴルモアに殺されたナツミはクローンだった。
 タカアキを殺したのはクラマだとナツミは知っている。
・エリカたちがクイーンに会おうとキャッスルドランに。ナイトが立ちはだかる。
 冥府の女王コレーがあらわれる。ヘレネが倒れる。エリカがコレーに追い詰められる。
 カブトとガタックはコレーの知り合い。ヘレネの母レーダーもコレーの知り合い。
・レーダー登場。エリカ助かる。ハイドの父エンマ、ヘレネの父メネラーオス登場。
・リョウコの母シバが扉を開け、レーダーの案内でエリカは過去へ。母ポントスに会いに行く。
・研究棟に侵入していたクラマたちをユイたちが逃がしてしまう。
439創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 13:08:40 ID:Xbq81EsO
・新入生たちが毎年恒例の乱闘。自治会のエリカたちが狙われる。
 エリカはユイに助けられ、ヨハネに会う。
・ジュリとカストルが出会う。
・ネロとプルートが出会う。
・ハルカ、ナツミとタルタロスが出会う。タルタロスはナツミに仕える。
・ポルックス・ライダーサソードとヒルトが戦う。
・タルタロス、ユイがジライヤゼミに入りミユキに会う。
440創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 11:32:24 ID:iPi9Quoj
・カストルは正義部格闘技部に入る。ジュリ対コウジ。コウジ勝利。
 ネロが酔ってプルートを襲うが撃退された。ネロはカストルを探す。
 ネロ対タルタロス。
 コウジがシゲル? コウジ対ミユキ。ミユキ勝利。
・クイーンやヘレネの写真が出回る。アキレスが写真を買っていた。
 ユグドラシル帝国・アスガルド軍団来襲。パンドラが地球に宣戦布告。
 パンドラはシャダイムに似ている。パンドラの後ろにはクラマの姿が。
 ウラノスはタルタロスの子で、未来から来ている。
 カストルは未来人の戦士を探すことに。
441創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 21:28:38 ID:lMzU5axV
・ナツミが売ったエンペラーストーンと、ナツミの設計図がパンドラに利用されたと考えられる。
 ユイとミユキはアンゴルモアの居城をめざす。
 ドイツ、フランス、サウジアラビア、メキシコなどがユグドラシル帝国に降伏。
 キングとハイドが正義部格闘技部に殴り込み。タカノリ・カイザ対ハイド。ハイド勝利。
 ハルカ対ハイド。ハルカはシャダイムからアナトに変身。ハイド勝利。
 キング・ダークキバとコウジ・トール対ハイド。ユキチが止めに入る。
 コウジの背中に傷?

 アキレスがナツミに会いに来る。エレボスとテュポン対タルタロス。
 ハルカは変身できなくなった。
442創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:25:52 ID:wsIWiOI6
ここ埋めたほうがいいよね
コピペでもしてるか
443創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:28:00 ID:wsIWiOI6
1010 名前:名無しさんなのね〜[sage] 投稿日:2009/05/15(金) 23:28:07
「悪魔は実はイイヤツで神こそが人間を滅ぼす勢力だった」
なんてのはよくあるけど、そー言うストーリーが問題なだけで普通は悪魔は悪いから悪魔なんだけどね。
宗教的な対立とかで、土着の神が悪魔扱いになったとかはまた別だけど。

1011 名前:名無しさんなのね〜[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 00:45:31
アダムとイブに林檎(知恵の実)を食べるように勧めた蛇(悪魔)は、悪意が有ったかもしれないが
無知のまま神(上位者)に従うのもアレだなw

1012 名前:名無しさんなのね〜[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 08:54:24
そこでグノーシス主義ですよ。

1013 名前:名無しさんなのね〜[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 08:59:31
松本久志の『悪が呼ぶ!』は人類が滅んでしまうともがき苦しむさまが見られなくなるから
過激派天使たちの人類浄化計画を阻止する為に戦う話なんだが(デビルマンのパロと言ってはいけな…いいか)
直接人間を傷つけたり殺したりなんてするのは天界側だけで
悪魔はそんな野暮な事はせずに人間同士不信感を煽って殺し合わせたりするもんだという主張に納得した

聖書でスーパースターの前に現れる悪魔もそんな感じだったのに
「誘惑に負けない強い心を持ちましょう」的な教義に対するカウンターに過ぎなかった悪魔が
>土着の神が悪魔扱いになったとか
してるうちに直截的な存在になっちゃった

1014 名前:名無しさんなのね〜[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 09:25:05
キリスト教の言う悪魔って元々は超自然存在じゃなくて、
漫画でよくある天使と悪魔の葛藤表現的意味合いだったけど、
土着の神を悪魔扱いし始めたあたりでキャラクター性が出来たってことかい?

1015 名前:名無しさんなのね〜[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 09:34:04
土着の神を悪魔扱いして、それの信望者も悪魔の手先である
→だから彼らを開放する為に土地を占領するのも仕方ないよね!

っていう為の詭弁だと思ってたが。
444創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:33:39 ID:wsIWiOI6
日本サッカー協会が赤字に転落 代表戦バブルが弾け、ビジネスモデル崩壊 


日本サッカー協会の07年度決算が、日本代表の集客力低下により収入が見込みを大きく下回った影響もあって、
赤字になったことがわかった。同協会は7月の評議員会でこの決算を承認する。

 07年4月から08年3月までの事業活動と投資活動の収支を合わせた当期収支差額は、9077万8081円の赤字だった。
同協会の資料で「減収の大きな要因」と指摘されているのは、各日本代表の試合開催などの「代表関連事業」だ。
公式スポンサー料などの「事業関連」と並ぶ収入の2本柱。代表関連事業の中で、男子のフル代表関連は黒字を
9億7千万円と見込んでいたが、3億8千万円にとどまった。

 1試合の観客数は4万人と想定するが、07年度に上回ったのは7試合中2試合。03年度は12試合中9試合、04年度は
10試合中8試合、05年度は8試合中5試合、06年度は7試合すべてが上回っていた。収入への影響は、例えば、07年6月
の国際親善試合2試合で入場料収入を4億2千万円と予想したものの、観客数計7万4千人弱だったため3億1千万円だった。

 代表関連事業は、採算のとれないユースなどの合宿、遠征を含むため全体で約7億円の赤字と見込んでいたが、赤字が
15億円以上にふくれあがった。

 日本代表のユニホーム販売も伸び悩んでおり、代表関連グッズのロイヤルティー収入は当初見込みより1億5千万円少なかった。

 北京五輪出場権を獲得した当時の男子U22代表も、2億6千万円の黒字を見込んでいたが1億6千万円の赤字だった。

http://www.asahi.com/sports/update/0626/TKY200806260295.html
445創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:43:37 ID:wsIWiOI6
医者「ウィルス検査の結果、あなたは妖精です」
ぼく「えっ」
医者「非常に残念です」
ぼく「僕が妖精なんですか?」
医者「はい」
ぼく「びっくりだけど・・・嬉しいかも」
医者「えっ」
ぼく「えっ」
医者「皆にうつらないように、人と接するのを避けてください」
ぼく「他人の目に映っちゃだめなんですか?」
医者「目というより、体ですね」
ぼく「乗り移るってことですか」
医者「はい」
ぼく「妖精が」
医者「まあそうです」
ぼく「妖精が増えますね」
医者「はやく全滅させたいんですけどね」
ぼく「えっ」
医者「えっ」
ぼく「殺すんですか」
医者「世界中に広がってますから」
ぼく「この殺人鬼」
医者「えっ」
ぼく「えっ」
医者「まぁだいたいこのクスリ飲めば自然に死んでいくんですけどね」
ぼく「なにそれこわい」
医者「あなたも毎日飲んでくださいね」
ぼく「絶対嫌だ」
医者「えっ」
ぼく「えっ」
446創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:44:35 ID:wsIWiOI6
488 :恋人は名無しさん :2007/01/12(金) 12:29:01 ID:dJUyq3j7O
34歳の彼から昨夜きたメール
 
[件名]グッドナイト愛してる
[本文]
でもまさかね…そんなこと言えない。
なんつっ亭☆こんばんは☆
〇〇(私)、今僕のコト考えて下の茂みがビショビショだろ…。
今すぐ僕の愛棒(相棒☆)を挿れてあげたいよ…。
なんつっ亭☆(はぁと☆)
ねぇ〇〇…聞こえてる?
脈打つ僕の愛棒が君を求めてやまない(一つになりたがっているんだ)
今日も会えないの?今日も愛棒は独りぼっちだよ…。
はぁはぁはぁはぁはぁはぁ……うっ…うぁっあっあぁっ…。
 
ごめん。〇〇のコト想像して…出しちゃった…。
はぁ……なんつっ亭☆
明日は会えるよね?明日は〇〇の巣の中に出せるよね?
ごめんね。独りでイッちゃって。
明日は君の可愛いお口でイカせておくれ!
天国へ大天使ミカエルの元へと!!(はぁと)
447創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:52:57 ID:wsIWiOI6
8 : ◆91wbDksrrE :2009/04/11(土) 20:50:10 ID:GY3EXZOZ
 私はウーパールーパーである。名前はまだ無い。
 何の因果か『五人揃ったら超無敵! でも四人しかいないから
比較的普通な俺達モバイラーズ!』の一員として数えられる事に
なってしまった私であるが、別に特にこれと言った特徴は無い、
普通のウーパールーパーである。
 周りの三人は『よっしゃ後一人だ!』と意気込んでいるが、しかし
ちょっと待って欲しい。私はウーパールーパーであり、モバイラー
では無いのだが、それでいいのか? さらに問題を挙げるならば、
周りの三人も、変わっているのは二人だけで――赤いのと、黒いの
の二人だ――、残りの一人はごく普通の人間に見える。これもまた
それでいいのかと問いたい。世間の習慣に倣うならば、小一時間程。
 そもそも、そもそもだ。
 モバイラーズとは何なのか。
 語尾にチェックをつければ、携帯代金支払いに使えるプリペイドに
なってしまうが、恐らくそれとは関係が無いだろう。言葉をそのまま
考えれば、モバイル――つまりは携帯電子機器、恐らくは携帯電話
であったりPDAであったりを使用する集団という事なのだろうが、
赤いのも黒いのも普通のも、そういった電子機器を持っている気配
は見られない。無論、当然ながら、私にはそんなものを持つ事も、
使う事もできないのは言うまでもないが一応言っておこう。
 疑問ばかりが浮かび、それについての答えはさっぱり現れない。
問おうにも、私はウーパールーパーであるが故に問う口を持たない。
 何やら大事にしてくれそうな雰囲気を感じるので、ここにいても
特に問題は無いのだろうが……最近話題になっているような、
食用としての同族と同じ道をたどる事になりはせまいかと、少々
気にかかる部分はある。大事にするとは、非常食として、という
意味ではあるまいか、と。聞けば、臭みだか何だかがあって常食
としては適さないが、ビールで流し込めば普通におつまみとして
食べられるそうだ、私の肉は。……そこまでして食べたいと思う、
人間の食に対する欲求には感服する事しきりだ。
 ……まあ、そうなった時は逃げればいいだろう。幸い、走るのは
得意な方だ。何故かその姿に人は微笑むのだが、これでも一生懸命
走っているのだから、笑わないでもらいたい……という常日頃から
感じていた想いは一先ず置いておくとしよう。
 とりあえず、しばらくはこの三人の言動を観察する事にする。
ウーパールーパー生において、このような経験ができる機会は、
早々無いと考えられる故に。
 こうして、普通のウーパールーパーである私の、比較的普通な
モバイラーズでの生活が始まった――のだが、今後その生活が
続くかどうかは、神も知らないらしい。どうしたものか。
 どうもしないでいいかと結論づけ、私は丁度天から降ってきた餌に
向けて口を開いた。

 終わり

----------------------
ここまで電波が来たので投下です。
反省はしない(ぉぃ

13 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 21:53:47 ID:GbFqxE1T
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp01314.jpg

ふー。
448創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 07:54:06 ID:wsIWiOI6
22 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 23:40:37 ID:GPAfxsoS
「若ぇの……百年早かったな」
 おじいちゃんは目を血走らせていた。
 ウーパールーパーはスッポンとフグの中間のように上品な味わいである。
 塩でさらっと頂くのがよろしい。
 そう僕が呟いた途端だった……。

 つづく

結果:
ウーパールーパー死亡(死因:食用)
おじいちゃんと普通のモバイラー戦闘継続中

こうでいいのかな

25 :創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:02:35 ID:U8dVMWGg
「俺、スーパーモバイラー。よろしく」
 伊藤(仮)はそう言うと、比較的中途半端なカリスマ性を持つウーパールーパーを天ぷら粉につけた。
「あなたって、いっつもそう」
 よし子(仮)は、これ以上はないほどゆっくりと、重々しく拳銃を取り出して、田中(仮)に向けた。
 池下(仮)が驚いて立ち上がる。
「まて! まだ鈴木(仮)と森(本名)が戻ってきていない!」
「なんですって!?」
 かな子(仮)は肩を竦ませた。

 つづく

結果:
 破棄で。

27 :創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 03:38:58 ID:sGCwBKfU
モバイラーとは、文字通りモバイルを操るものの総称である。
ただし、ここで言うモバイルとは携帯電話をさすものではない。
「モバイル」は様々な技術を組み込んだ超空間発生装置のことであり、
モバイルを操るものは、この世に存在するありとあらゆる物体を超空間を経由して知覚、
接触、輸送が可能である。
モバイルはニューグリニッヂ天文台によって観測された太陽に住まう神格生物(サンピタラ)によってその設計図がもたらされた。
神格生物は宇宙を創作した知性であり、
現在は地球に発生した知能生物たる人間を観測するために太陽の中核に意識を“蒸着”している。
神格生物の重力震言語を解析した結果、この宇宙が他の宇宙と繋がる時期が近いことを国連は知り、
同時に外宇宙人との武力均衡を図るための兵器の設計図を神格生物から授けられた。
国連は秘密裏に兵器を開発し、作動させた。
そうして完成したモバイルは超大型の構造体であり、空間と空間を繋ぐ超空間の発生装置である。
その構造はあまりに複雑であり、起動には神格生物が重力震の祝詞で加工した偏光プリズムが必要であった。
偏光プリズムにはモバイルを操る適性者を選別するプログラムがC++言語で10万エクサバイトにわたって書き込まれており、
適性者以外がモバイルを使用すると即座に物理パルスを発振してその心臓を止めるよう設定がなされていた。
モバイルは、人が“モバイルを使用したい”と願うだけでその願いを唱えたものの適性を計り、
適性者の望みを叶え、不適性者を駆逐していった。
何千万もの人が自らの適性を確かめ、倒れていった。
そうして適性者として生き残ったのが、スーパーモバイラーとブラックモバイラー、
只野モバイラーとウーパールーパーだったのだ。
ウーパールーパーは人ではないが、筑波大学ES細胞研究機関の実験によって大脳に神経節化可能細胞を増注、
結果人並みの知能を得たウーパールーパーは研究員からモバイルの噂を聴き、
「あちらの水槽に移動したい」
と願い、見事移動に成功。
モバイルの適性者となった。
449創る名無しに見る名無し
480超えてほっといたら落ちるんだっけ
これでいいかな