自作キャラでバトロワ Part2

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674創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:38:33 ID:/s7a8vPK
投下乙。
優勝候補?水晶が本領発揮。
そして平田…。今更シルビーの名前を連呼してた辺りから予感はしていたが…。
これで剣客は全滅か…。
675 ◆YGvZTkqXsE :2009/03/14(土) 19:47:48 ID:TMywhK7Z
676 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/14(土) 23:44:33 ID:eOgBd+tM
投下します
677 ◆WbTWHphZS. :2009/03/14(土) 23:45:11 ID:eOgBd+tM
自暴自棄から意気消沈し、千鳥足のまま同エリアをふらついていた鈴木正一郎の前に、朱広竜が姿を現したのは、彼が古賀を殺害したそのすぐあとのことだった。

広竜と鈴木は、10数mほど離れていて、森の木の陰がようやく照り始めた朝日を遮っていたが、両者共に、ギリギリその人物が誰なのか認識することは可能だった。

「朱広竜………」

あまり表情を変えることなく、広竜は近づいてきた。
鈴木自身もあまり表情を揺るがすことはなかった。

「鈴木正一郎か」

朱広竜も、鈴木の間近に来て、発した言葉と言えば、この時点ではその一言だけだった。

「お前。人を殺しただろう? 何人殺した?」

沈黙は、なかったようにも見えた。広竜が、鈴木に対し、先の言葉から間髪いれずに言い放ったようにも見えた。

だが違う。コンマ数秒。どれくらい短い時間だったかは見当もつきはしないが、確かに、沈黙や死臭、負の感情などが渦巻き、それと同様の空気を、ほんの少しだけ作りだしていた。
「どうでもいいだろう。それよりお前には色々と聞きたいことがある」
鈴木自身も、ようやく尋ね人を見つけたわけだ。彼との距離を改めて詰め、問い掛けた。

「松村友枝を……知っているな?」

「ああん? 松村?」

「トマックから聞いてる。お前が奴を返り討ちにしたことは既に知っている」

「あん? アイツは生きていたのか?」
「お前は奴が、あのまま死んだと思っていたようだが…アイツは生きていたぞ。そして、奴は松村が爆発を起こして、自爆したとも言っていた」


「それは本当か?」

静かであるが、威圧的な鈴木に対し、広竜は


「知らねえな」
とだけ答えた。
678Raging bull ◆hhzYiwxC1. :2009/03/14(土) 23:46:56 ID:eOgBd+tM
「そんなはずはない。トマックは爆発物を持っていなかったし、お前は見たところ爆発に巻き込まれた形跡がない。矛盾だらけだ」

「鈴木よ。お前はアイツはその後どうなったんだ?」
「殺したよ。ゲームに乗ってるって言ったからな」

「だろ?」

朱広竜の表情が、途端に華やいだ。

「全てアイツの狂言だ。アイツはマジにヤバい奴だ。ほぉれ」
広竜は、右手の、ほぼ全て吹き飛び、布切れで蓋をするように雁字搦めに縛っている中指を見せつけた。

「殺しておいてよかったな〜。別に気に病むことはないぞ?」
「嘘をつくな」


「あぁ?」
広竜は、眉をひそめた。

「俺はトマックの言ってることが嘘だったとは思ってはいない。あの時の奴にあんな余裕はあったようには思えない」
「オイオイ。じゃあなんでその余裕のない奴を殺したんだ。そっちの方が矛盾するじゃないか」
「だから殺したんだよ。奴はゲームに乗ろうと思っていたと言っていた。だから殺したんだ」


「お前狂ってるな」


まただ。
この言葉。
鈴木は、自分でも薄々気付きつつある。自分自身が悪なんじゃないのか?と。
先ほどいとも簡単に屠った古賀葉子の今際の言葉もそうだった。
自分が悪だと思っている奴は、実は悪ではなく、俺自身が悪なんじゃないのか?

だとしたら俺はとんだピエロだ。
自分の目的を、自分で阻害している。
宍戸やトマックがゲームに乗ろうと思っていたのは事実だろう。だが今思えば、最後改心したのも事実だと思う。
加賀は確実に乗っていなかった。
古賀は純粋に俺を恐れていただけ。
シルヴィアは説得できたかもしれないの、しなかった。
他の生徒だって同じだ。どれも根拠がない


「ああ……そうだよ。俺は暴れ牛ってとこか? 止まれない。止まる手段を知らない」
「そのうち柵に頭をぶつけて死ぬだろうよ……」

「だがなあ…朱広竜」


「この暴れ牛の頭でも分かる」


「悪とは……お前のようなペテン師のことを言うんだとな!!」

鈴木の叫びが、朝霧立ち込める森の中に響いた。
679Raging bull ◆hhzYiwxC1. :2009/03/14(土) 23:47:41 ID:eOgBd+tM
広竜は、ハァとため息をつくと、とっさに身構えた。

「で? 暴れ牛さん。俺相手に何をする気だ?」
「聞くまでもないが…お前はゲームに乗っているのか?」


「Yes Noで答えるならYesだ。できるなら今戦闘は避けたいが、お前は手負いだし乗ろう。」
「俺に傷を負わせられたら、松村について話して……」

広竜が言い終わる前に、鈴木は既に動いていた。
チップカットソーが奏でる不快な強震音が、広竜の耳を劈く。制動する刃は、既に耳元にまでせまってきていた。
広竜は、とっさにそれをしゃがんで躱し、鈴木の懐に忍び込むと、左手で奇妙な型を形成し、その手を、その型のまま鈴木の腹の中心目掛けて打ち込んだ。


「くっ……かはァッ!?」

突然訪れた未だかつて味わったことのないような言い知れぬ痛みのあまり体勢を崩し、とっさにチップカットソーを手放してしまった。
広竜は、その僅かな隙も全く見逃さない。
宙を舞ったソーが地に落ちようとするその前に、左手で、それを奪い取り、鈴木の顔に向けた。

「お返しだ! 暴れ牛!」


鈴木は、反射的に右手でそれを庇おうとするが、それはこの場においては愚行だった
右手で防げるのは木々の間から差し込む光だけだった。
ソーは無情にも鈴木の右手の半分を、奪い取った。
肉も、指も、骨もそこにはありはしない。そこには赤い砂漠のような肉の断面と風呂敷のように敷かれた痛みだけしかなかった。

「ぐ……おぉおお」

「くくくっ…暴れ牛も所詮は牛か……屠殺されて食卓に並ぶのが宿命だ」

苦痛の叫びは、広竜をどうしようもなく高揚させる。
そうして、口裂け女の如く口を歪めた広竜は、コメディアンのようなテンションで言うのだった。

「最期だから憐みの意を込めて言っといてやるよ。トマックの言ってることは、アンタの憶測通り全て真実だ」
「松村は俺の襲撃から奴を救おうとして勝手に死んだよ」


「この傷は爆発から逃れるために忍び込んだ民家で、鹿和に付けられた傷だ。油断とはいえあんな豚にやられたのが癪だったから奴は顔をプレスした様に潰して殺したよ。あれも傑作だった」

気味の悪い笑い声と共に、先の強震音が、今度は鈴木の耳元に近づいていた。
「今宵の晩餐は……不味い牛のソテーってとこか!?」

広竜は、一度ソーを空高く掲げ、勢いよく鈴木の顔目掛けて振り下ろされた。
680創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 23:48:29 ID:NUPYKsdO
支援
681創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 23:48:45 ID:/s7a8vPK
支援
682Raging bull ◆hhzYiwxC1. :2009/03/14(土) 23:50:44 ID:eOgBd+tM
―――――――――――――――――――――




「……?!」

朱広竜は、ソーの動きが止まり、刃軋んでいることが理解できなかった。
なぜ刃がこいつの肉を切り裂かない?
なぜこいつは――――素手で制動する刃を止められるのだ?!

「この痛みは……俺が受けるべき痛みの一つとして受け取ろう…」
鈴木の左手は、今まさに血しぶきと共に抉られていたが、それでも彼は表情一つ変えない。
それどころか、ソーの回転はどんどん弱まり、刃にヒビが生じ始める。
そのヒビが見えるのだ。それはもう、ほとんど回転してはいないということを示していた。
間もなくして、ソーの刃は砕け散る。

「………やっぱりクレイジーだな……」
広竜は、このとき鈴木に対しある感情を抱いていた。


それは“恐怖”

明らかに追い詰めているのはこっちなのに、明らかにあちらは瀕死なのに、何故だか鈴木の事が恐ろしくて仕方がなかった。

回転が止まったソーを、広竜は手放すと、そのまま鈴木から遠ざかった。
それを見届けると、鈴木は安堵したような表情を浮かべ、沈んだ。
683Raging bull ◆hhzYiwxC1. :2009/03/14(土) 23:51:24 ID:eOgBd+tM
―――――――――――――――――――――



鈴木は、奇妙な感覚を抱いていた。さきほどまでの痛みはどこかへ消え去っていたのだ。
だが、辺りはどうしようもなく暗く、冷たい。

「ここは……どこだ?」
「あっちの世界だよ」

そこには、松村友枝が立っていた。
「お前が俺のお迎えか? 俺もとうとう死ぬわけだ」
「ううん。違う。鈴木君はこっちには来れない」

鈴木は咄嗟に、松村の足元を見た。
松村の立つところだけが、光を受けているかのように、微かな暖かさを持っていた。
それがこちらからも分かる。

「俺は地獄行きか」
「そうだよ」
松村の声が、震えていた。
「私さ……鈴木君のこと好きだったんだ…入学したころから」
「そんで修学旅行で告白しようと思ってた」

「やめておけ…このゲームが始まる前から俺は穢れてた」


「それでもいいよ!! 私はそれでもいいんだよ」

松村の瞳は、涙で潤んでいた。そして、鈴木はそれを直視することはできなかった。
なぜならあまりにも悲しすぎるから。

「でも……私決めたの。鈴木君のこと。私からフることにした」
「………」

鈴木は、言葉を返せなかった。

「だから……鈴木君は、自分を貫いて……」


「私は応援してるぞ?」
松村はそう言って、鈴木の肩を小突いた。
彼女は、笑顔だった。
684Raging bull ◆hhzYiwxC1. :2009/03/14(土) 23:52:08 ID:eOgBd+tM
間もなくして、鈴木正一郎と言う名の、罪深き暴れ牛は意識を取り戻す。


「そうだ……俺は命を掛けて贖罪を果たそう。松村友枝……」
「もとより捨てるつもりだった命だ。微塵も惜しくはない」

「お前と同じ天国の地を踏むことは…無理そうだ……」

「命尽きぬ限り………悪を滅す事に粉骨砕身し、やがては己が身も己で砕こう…………」


傷だらけの暴れ牛が一頭。朝日の祝福を浴びて立ち上がった。


【C-5 森/一日目・早朝】
【男子十五番:鈴木正一郎】
【1:俺(ら) 2:あんた(たち) 3:○○(名字さん付け)】
[状態]:自己嫌悪、右脚負傷、右脇腹打撲、背中に刺創、腹部中心に激痛、右手半分欠損(Tシャツを千切って包帯代わりにしている)、左手が抉られている、疲労(特大)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、不明支給品(確認済み。武器ではない)、アイスピック、
    バイクのチェーン(現地調達)錆びた鉄パイプ(現地調達)
[思考・状況]
基本思考:脱出派(危険思想対主催)
0:自分の認識の多くが間違っていた事を反省
1:だが悪人狩りはやめない
2:貝町ト子、朱広竜を殺す
3:脱出不可能なら自分以外の誰か一人を生き残らせる
[備考欄]
※彼はクラスメイトの人間関係を色々誤解していることに気付きました
※使命感と罪悪感から、自分の命を粗末に扱うつもりでいます

【男子二十番:朱広竜】
【1:俺(達) 2:お前(達) 3:○○(呼び捨て)(達)】
[状態]:右手中指欠損(止血、応急処置済み)、屈辱
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(鹿和太平から奪った支給品)
[思考・状況]
基本思考:ゲームに乗る
0:今は鈴木から遠ざかる
1:積極的に相手には近付かない(今は尚更)
2:しかし機会があれば相手をすぐには殺さず痛め付けて楽しむ
2:危ない橋を渡るのは極力止す
[備考欄]
※トマックも爆発に巻き込まれたものだと思っています
※中指を失ったことで拳法の腕が格段に落ちました
※これにより技の発動などに支障が発生することがあります
※貝町とは別方向に移動しています

※壊れたチップカットソーが、鈴木正一郎がいた場所に転がっています
685 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/14(土) 23:53:27 ID:eOgBd+tM
投下終了です。
支援してくれた方々には全力で感謝します
686創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 23:55:28 ID:NUPYKsdO
投下乙です。
鈴木が危ない世界に行きかけましたがなんとか生還。
朱広竜も冷静になってきたか?
687創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 00:11:23 ID:JCfkt9lB
投下乙。
おぉ、鈴木格好いい…。
迷走と度重なる誤殺の末にようやくヒーローっぽく覚醒したか。
松村と邂逅して目覚める場面で感動しました。
そして仕留め切れなかった朱広竜。
成績芳しくないまま放送に突入。…卜部に怒られそうだ。
688創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 00:20:39 ID:SrddX/FE
そう言えばそろそろ放送いけるかな?
689 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/15(日) 08:49:36 ID:Pz8XBNdu
じゃあ第一回放送を予約しますがよろしいですか?
690 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/15(日) 11:02:04 ID:Pz8XBNdu
すいません。やっぱり北沢・海野ペアも動かしておきたいので予約破棄します。



北沢樹里、海野裕也で予約します
691創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 21:40:10 ID:SrddX/FE
某所の月報

各ロワ月報 1/16-3/15
ロワ/話数(前期比)/生存者(前期比)/生存率(前期比)

らき☆.    87話(+85) 46/60 (-14)  76.7 (-23.3)
マルチ.  115話(+35) 45/65 (- 8) 69.2 (-12.3)
剣客.    56話(+29) 76/80 (- 4)  95.0 (- 5.0)
自作.    45話(+20) 34/50 (- 9) 68.0 (-18.0)
ロボ     131話(+16) 18/50 (- 9) 36.0 (-18.0)
オール.  164話(+11) 66/152 (- 9) 43.4 (- 5.9)
ksk     153話(+10) 33/48 (- 2) 68.8 (- 4.2)
692創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 22:18:20 ID:/mB67X17
残り人数がもうkskに追い着いてるなw
693 ◆zmHe3wMKNg :2009/03/16(月) 01:11:52 ID:qsW0Bnrw
投下します。
694EGO-IZUMU ◆zmHe3wMKNg :2009/03/16(月) 01:12:37 ID:qsW0Bnrw
片桐和夫を退けてから、随分走った。
足もとがふらつく。視界が霞んで前がよく見えない。何度も樹にぶつかった。
じりじりと回線が焼ける音がする。ファンが効いてないのか滞熱してあちこちから
煙が吹き出ている。石に躓き、こけた。立ち上がろうにも足が動かない。

「……畜生……死にたく……ねぇなぁ……。」

もしやと思っていたが、追原弾は確信した。
自分は完全に故障している。先ほどの戦闘での打ち所が悪かったのだろう。
このままでは機能停止まであと数分もかからないだろう。
とはいえ修理できる環境など用意されてる筈もない。完全に「詰み」だった。
元より作られた命。元よりプロジェクトが終われば破棄されてたかもしれない存在。
だが、そんな自分にもこの世に未練が無いわけではない。

「……キューブ……シティー……会いた、かったな……。」

携帯電話のSNSサイトで知り合いになった二人が気がかりだった。
レプリカントである自分でも対等に喋れることができたネットで特に仲がよかったキューブと、
つい最近新しく友達になった自称ネットゲーマーのシティー。
何度か話してみたところ、この二人は自分のクラスの誰かだったらしい。
共通する話題があまりにも多く、その事にいつの間にか気づいていた。
何度か特定しようと試みたが、できなかった。確実に関係が壊れるから。
でも、最後くらいは、リアルのキューブの顔を知りたかった。

ジリジリ回線が焼ける音がする。

でも、これで良かったのかもしれない。
もし、二人とリアルで再会できたとして「リン」がレプリカントだと言うことを
知ったら失望するに違いない。自分は人間だと言い張ってもそれが事実でないことくらい
理解していた。真実は分からないままの方が二人にとってもいいのだ。

(でもなぁ……畜生……俺がマジで人間だったらなぁ……。)
695EGO-IZUMU ◆zmHe3wMKNg :2009/03/16(月) 01:13:17 ID:qsW0Bnrw
「よぉ、元気ぃ〜?
 おっと、聞くだけ無駄だったかな?
 どう見ても調子悪そうだもんな〜。はははっ。」

気が付くと、誰かがへたり込んでいる弾の前にいた。
そいつは転がっている弾のディバックを漁っている。

「おぉ!結構いい武器持ってるじゃん。その様子じゃもう持っててもしょうがねぇだろ。
 悪いけど戴いていくぜ。安心しろって、ちゃんと有効活用してやるからさ、な。」

―人間?

―…そうだ、いいこと思いついた。

―はは、こいつは凄ぇぞ。やっべ、俺、超優秀じゃん。

「……なぁ、良く見えなくて誰だか分らんが、その中身やるからさ、俺の頼みを聞いてくれねぇか?」

「あぁ?おぅ、いいぜ。死にぞこないの遺言くらい聞いといてやるよ。なぁ、追原弾。」

「……追原……弾、か。……くくく、違げぇよ。」

「は?いや、何が?」

「…………『俺』の名前は、『リン』だ。」

そう言い終わると、弾は耳たぶの裏に隠されているスイッチを押しながら、プログラム内でロックを解除した。
すると、まるでCDの取り出し口のように額から中に入っている何かが解放された。

「うぉ!?何やってんの弾!?……て、いうか、お前ロボットだったのか?」
「ああ、知らなかったのか?まぁいいや。」

その中に手を入れ、チップの様なものを取り出した。

「これは、俺の記録カード。USB端子が付いてるその辺のパソコンでも中身が見れる筈。
 で、お願いなんだが、『キューブ』と、『シティー』って奴を、捜してくれねぇかな?
 SNSで…そのハンドルネームを使っているのが…このクラスの誰か、なんだ。」

そして、チップを目の前の男に差し出した。

「頼む、今日からアンタが、『リン』になってくれ。」
696EGO-IZUMU ◆zmHe3wMKNg :2009/03/16(月) 01:14:03 ID:qsW0Bnrw
男は、やや沈黙し、しばらくして口を開く。

「なぁ、そいつらってさぁ、女?」
「実は会話中にこっそり裏は取ってある。ほぼ間違いなく。女性。」
「へーえ。そりゃ断る理由なんかねーな。俺に任せろ、弾!喜んで引き受けるぜ。」
「……そっか……サンキュー……太田。」
「え?判ってたのか?」
「……ヤマ勘だよ……見事的中。」
「はっはっはっ!すっげーじゃん、追原!ちょっと見なおしたぜ!」
「…はは…そう、ですか…。」


――これでいい。『俺』は死なない。『リン』は死なない。

――待ってて、キューブ。待ってて、シティー。

――すぐ人間になった『俺』が、『リン』が、君たちを見つけ出します、から。

――まタ、一緒二、楽シ・・・


――――――――――――――――――――――――

太田太郎丸忠信の予想通り、追原弾は自分が手を下すまでもなく機能を停止した。
強力な武器を特に労することなくゲットし、弾の節約もできた。ラッキー。

「…さて、どうすっかねー?遺言通りこいつの代わりに捜してあげましょーか?
 でも、もう二人とも死んでたりして、はははっ。」

弾の記録が入っているというチップをくるくる回しながら太田は今後の行動方針を考える。
力ずくで女を抑えるのもいいが、銃を持っているかもしれないので危険だろう。
そういう意味で、確実に信頼を得られそうなこの情報は結構有利に働く。
それに、今の自分がやりたいことを実現するには駒が必要だった。
自分のグループの仲間。
愛餓夫、壱里塚徳人、吉良邑子、―――。
…辺りなら直ぐに駒に出来るだろうが…少し物足りない。

入手した銃に弾を込めながら、教室に連れてこられた時、ラトが喋っていたことを思い出す。

『若狭先生、テトさんと二階堂さんと卜部さんはどうしたんですか?』
『元から僕を殺すつもりだったのでしょう? いいでしょう。それが彼女の意思なら僕は止めません。
 彼女自身の結末がどうなろうとね』
697EGO-IZUMU ◆zmHe3wMKNg :2009/03/16(月) 01:16:50 ID:qsW0Bnrw
くくくっと喉を鳴らす。なぜ今まで気付かなかったのか。
この殺し合いを誰が仕切っているのか。それに心当たりがあることを。

「報復のつもりかぁ〜?テトのお譲ちゃんよぉー?
 へへへっ、そう簡単に事は進みませんぜ?
 どうやらきつーいお仕置きが必要みたいだな〜?」

別にゲームに乗っても問題ない。このクラスの連中など全員死んでも何の感情も湧かない…筈。
だがそれだけでは面白くない。必ず、テトを引き引き摺り出して調教し直してやろう。

ふと、動かない追原弾を見る。それに銃口を向け――

「…………ま、弾がもったいねーかな。」

銃をポケットにしまい、開いたままの弾の瞼を閉じてやった。



【男子五番:追原弾 死亡】
【残り33人】


【B-3 森/一日目・早朝】
【男子六番:太田太郎丸忠信(おおた-たろうまる-ただのぶ)】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:左肩に裂傷(応急処置済)、脇腹に打撲
[装備]:イサカM37(4/4)
[道具]:支給品一式×3、簡易レーダー、12ゲージショットシェル(7/12)
    S&W M500(5/5)、エクスキューショナーソード(刀身に刃毀れアリ) 、500S&Wマグナム弾
[思考・状況]
基本思考:ゲームを潰す。最悪自分だけでも生き延びる。テトを引っ張り出して調教し直す。
0:男は皆殺し。女は犯してから奴隷にする
1:「リン」を名乗って「キューブ」と「シティー」に接触し、自分の奴隷にする
2;グループの仲間(愛餓夫、壱里塚徳人、吉良邑子)を捜す。
3:女を引き連れてる“勘違い野郎”は苦しめて殺す(同行している女にトラウマを植え付ける意味合いも込めて)
4:間由佳、エルフィ、ノーチラス、シルヴィアを警戒(近くにいるだろうシルヴィアを特に警戒)
[備考欄]
※「シティー」=苗村都月、「キューブ」=古賀葉子です。
※太田のグループの仲間は三人の他にも居るかもしれませんし、いないかもしれません。
698 ◆zmHe3wMKNg :2009/03/16(月) 01:17:48 ID:qsW0Bnrw
終了デス。
699創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 01:36:47 ID:LObZ0kyB
投下乙です。
弾が危ない相手に託してしまった……
てか太田と吉良が同じグループw
油断しているであろう太田がやばいwww
700創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 10:04:14 ID:z+FVD/SS
投下乙です。
弾……あっちで古賀と会えるといいな……
そして都月もシティーとして色んな場所で交流を深めていたとは意外でした。
そして吉良は…………多分テト目当てで太田と組んだんだろうな…
701 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/16(月) 23:30:31 ID:vuhVQRF1
ちょっと問題のある内容ですので、したらばに投下させていただきます
702創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 23:39:49 ID:vuhVQRF1
したらばの方に投下終了しました。
703創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 23:58:25 ID:LObZ0kyB
投下乙です。
取り敢えず直接描写が無ければ大丈夫だと思います。

北沢が……
704創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 00:01:40 ID:cKA3XFIN
あれっ?
これそろそろ要領オーバーじゃなあかな?
705創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 00:10:53 ID:PbaTACD6
投下乙。
最後に残った二人組は何をしていたのかついに判明。
…うーむ…まさかここまでやってくれるとは思いませんでした。グッジョブ!!
706 ◆EGv2prCtI. :2009/03/17(火) 00:11:02 ID:eZBwtpT4
あと12KB

第一放送を投下してよろしいでしょうか?
707創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 01:33:54 ID:Y1uCorFI
自分は問題ないです
708創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 02:05:25 ID:zvW0bHHC
どうぞ
709 ◆EGv2prCtI. :2009/03/17(火) 02:15:04 ID:eZBwtpT4
では投下します
710第一放送 ◆EGv2prCtI. :2009/03/17(火) 02:16:53 ID:eZBwtpT4

 午前六時を迎えた。
 太陽が照らしつつある島中に配置されたスピーカーを通して、若狭吉雄が放送を始める。
 ただ、事務的に、無機質に。

「若狭です。みんなー、元気にやってるかー? じゃあ六時になったから放送するぞ。まず死んだ友達の名前を呼ぶぞー」


「男子からです。多いなー。一番、愛餓夫君。七番、加賀智通君。十番、如月兵馬君。十二番、グレッグ大澤君。十四番、鹿和太平君。十五番、宍戸亮太郎君。十七番、尻田堀夫君。二十一番、トマック君、二十三番、ノーチラス君。二十四番、平田三四郎君」


「次は女子だー。一番、麻倉美意子さん。六番、神崎志緒里さん。十五番、古賀葉子さん。十七番、シルヴィアさん。二十一番、仲販遥さん。二十六番、松村友枝さん」


「いいペースだぞー。では禁止エリアを発表します。きちんとメモしておけよー。一時間後に、三時間後に、五時間後に」


「みんな色んな人が死んで悲しいだろうけど、人生は別れの連続です。今の内に慣れて耐えられるようにしないといけませーん。じゃあ今日も一日頑張ろうなー」


 そこでぶつりと音を立てて、声が消えた。
 そして、再び静寂が訪れた。


【一日目・朝方】
【残り34人】
711 ◆EGv2prCtI. :2009/03/17(火) 02:17:41 ID:eZBwtpT4
投下終了です。
なるべくシンプルに済ませてます
712 ◆EGv2prCtI. :2009/03/17(火) 02:22:20 ID:eZBwtpT4
それから禁止エリアに関しては、まだ話し合っていないので省いています。
特に問題が無ければ一時間後に『C−4』、三時間後に『E−3』、五時間後に『D−6』として下さい
713 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/17(火) 05:14:48 ID:aZkEIB+F
問題は見られないようですので、転載します。
>712
投下乙です。私的にはそれで構わないのですが
714制服を着た小悪魔 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/17(火) 05:15:50 ID:aZkEIB+F
早朝。
海野裕也は、激しく後悔していた。どうしてこんなことになったのか。

ほのかに対し、激しく申し訳ないと思っている。



話は、黎明にまで遡る。
学校の保健室のベッドに、重傷の北沢樹理を運んだことから始まった。
彼女の息は荒く、すぐに彼女の傷口を治す必要があることは、裕也にもすぐに分かった。
昔小説か何かで読んだ方法を思い出しながら、包帯を巻いてゆく。

しばらく彼女はその痛みの中でもだえ苦しんだが、しばらくするとその影も薄れ、少しだけ落ち着きを取り戻した途端、樹理はゆっくりと眠りに就いた。

それに安堵した裕也は、しばらく樹理の寝顔を眺め、一息ついたところで席を離れようとした。

だが、突然彼女が、樹理が裕也の服を掴んできたのだ。北沢の息は、再び荒くなってきていた。
「ねえ…海野君さぁ」
「…何?」

「苦しいからさぁ…………上着脱がしてよ」

喘ぎにも似たその言葉に、裕也は顔を真っ赤にして、蒸せたような低い叫びを上げ、樹理から目をそむけた。

「彼女持ちのくせに初心ねぇ…………」

「ところで海野君さ…」
「倉沢さんとはどこまで行ったの?」
715制服を着た小悪魔 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/17(火) 05:17:02 ID:aZkEIB+F
「どこまで行ったの?」

その言葉を、海野裕也は一瞬理解できなかった。
何故どこまで行ったのか?聞いて来るのか分からない。もう告白を成功させた時点で全ては完成させられたのに。
呆気に取られたような顔をしていると、北沢樹理は、呆れ顔で溜め息をついた。

「海野君さ。恋人同士は付き合い始めたらそれで終わりと思ったりしてるんじゃない?」

海野裕也は、かなり遅いながらも漸く樹理が何を言いたいのか理解した。
「………は……初めてのデートの時に……そ…その」


「こ……これって言わなきゃダメ!?」


「ふふ…………ダメーっ」
樹理の微笑みに、悪魔染みた何かを感じた裕也は、適当な理由を付けてその場を離れたかったが、樹理は放してくれない。

顔を再び真っ赤に染めながら、裕也はボソボソと、呟く。

「い………………いい雰囲気になったから…………その…」

「……」
樹理は裕也の態度にイライラしていた。
そして、ある程度予測もできていた。どうせいいトコ行っててキスぐらいまでだろう。

だが、何で苛立ちが募るのかは、よく分からなかった。

「どうせキスがやっとでしょ?! ヘタレ野郎」

思わず大きな声が出てしまった。

ふと我に返って裕也の方を見てみると、彼は驚くべきことに涙目になっていた。


「もしかして泣いてんの? うわあ…リアルで幻滅だわ…」


「ど…どうじで………どうじでそんな……非道いこと……」
「非道いですって? じゃあアンタは倉沢さんと体目当てで付き合ってないって言い切れる!?」

裕也は反論できない。

「…………幻滅2回目〜………………」

「まあ倉沢さん。仲販さんテトさんほどじゃないけど胸大きいしね。触りたいでしょうよ。思春期の男子としては」

「でも……ほのかが嫌だって言ったから…………」
716制服を着た小悪魔 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/17(火) 05:17:49 ID:aZkEIB+F
「………………アンタらさ。ホントにお互い付き合ってるって自覚ある?」


「エッチは愚か胸も触らせてくれない…それどころかキスもほぼ無し。アンタらさ……実際には恋人同士じゃ……」

「そんなことないよ……」


「僕はほのかが…好きだ」

「……幻滅3回目〜…朝っぱらからのろけんじゃねえよ…………」
裕也の躊躇いのない瞳に、睨むような目付きで樹理が言った。

「ねえ…さっきからどうしたの?北沢さん。ずっと変だよ?」
裕也は恐る恐る樹理に問いかける。
だが、樹理は何も言わない。

「もしかして……脚のこと…」

「言わないで!!!!」

ついに、保健室の中に怒号が木霊した。

「殺すわよ……ヘタレ野郎」

樹理の怒りと憎悪の込められた瞳に、裕也はたじろいだ。
そこから彼女に言葉を掛ける勇気は湧かなかった。
だが、すぐに樹理は泣き崩れる。すぐに涙を制服の袖で拭った。


「私さ…………何か悪いことしたかな? 今までずっと…」

「…北沢さんは悪くないよ…」
「悪いのはこのゲームさ。誰も悪くない」


裕也は、樹理に優しい言葉を掛ける。
だが、樹理はそんな慰め求めてはいなかった。

「じゃあさ…………しちゃう?」
「? ………何…」

裕也がそう問い掛ける前に、彼は樹理の手によってベッドの上に引き摺りこまれた。
717制服を着た小悪魔 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/17(火) 05:18:39 ID:aZkEIB+F
「…幻滅4回目。どこまで鈍いのよアンタは」

「鈍いって何……ちょっと北沢さん…………!?」
樹理は、戸惑う裕也の意思をよそに、彼のズボンのチャックを下し始めていた。
「樹理でいいよ。“裕也”」

樹理の言葉が甘い口調に変わった瞬間、樹理もまた、制服を脱ぎ始めていた。
黒を基調とし、紫色の装飾がところどころに目立つブラに包まれた、ほのかほどではないにしろ形のいい胸が姿を現した。

「触りたいなら触っていいよ。倉沢さんは触らせてくれないんでしょ?」

裕也は、このとき口では抗っていた。
だが、何もせずに流された。
結局、海野裕也は、流されたのだ。



――――


北沢樹理は、自分の身に降りかかった不幸が、未だに信じられない。
どうして自分が、と問い掛けても、もう元には戻れない。
だったらいっそ、みんな不幸になってしまえばいい。
失うものは何もない。そのためなら何だって…………


――――

早朝。
海野裕也は、激しく後悔していた。どうしてこんなことになったのか。

ほのかに対し、激しく申し訳ないと思っている。
718制服を着た小悪魔 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/17(火) 05:19:39 ID:aZkEIB+F
【D-4 学校・保健室/一日目・早朝】
【男子 四番:海野裕也(うんの−ゆうや)】
【1:僕(達) 2:君(達) 3:君(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:ほのかに対する罪悪感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×3、P-90(150/200)、P-90の予備弾薬(200発×5本)
12ゲージショットシェル(12/12) 、不明支給品×1(北沢樹里の支給品)、ウィンチェスターM1873(0/4)
[思考・状況]
基本思考:優柔不断故に流されています
0:北沢の行動に困惑
1:誰かに襲われたら自分がなんとかする。
2:倉沢ほのかを捜す。
[備考欄]
※“今からすること”について躊躇していますが反論できずに流されています

【女子 八番:北沢樹里(きたざわ−じゅり)】
【1:私(達) 2:あなた(達) 3:あの人(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:右足損傷(踵から先損失・治療済み)、制服が肌蹴ている、自暴自棄
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:倉沢さんには悪いけど……海野君を奪っちゃおっかな〜?
0:愛餓夫を許さない
1:海野裕也を奪って倉沢ほのかを不幸にする
2:もっともっとクラスメイトに不幸になってほしい(失うものがないので、何でもする気です)
[備考欄]
※“今からすること”についてあまり躊躇していません

※“今からすること”は、どんなに遅くても放送終了までには終わっていますので、誰かが彼らを発見するとしたら事に及んだ後になります
719 ◆hhzYiwxC1. :2009/03/17(火) 05:20:37 ID:aZkEIB+F
投下終了です
720創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 08:21:41 ID:PbaTACD6
>>712
投下乙。
追原弾も入りますので残り33人です。
久々に若狭を見たぜ…。
>>719
転載乙。
海野裕弥、童貞を捨てる。
北沢がなんか可愛い。
721創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 14:19:16 ID:eZBwtpT4
722創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 14:52:43 ID:eiZnFq9B
スレ立て乙
723創る名無しに見る名無し
このスレに作品投下はもう無理そうだな……