>>153 不吉フラグ乱立ワラタ
この島の東側は断崖絶壁になっていて、一面の海を視界に納めることができるのだという。
「案内しますよ」
後ろからついていく。彼はひょいひょいと身軽に岩のはざまを歩いて行くのだが、
不慣れな者にはきつい道だった。
「ああ、ほら」
開けた岩場に出た。巨大な奇岩がそびえていて、注連縄が岩に掛かっている。
「烏帽子岩って言うんだ」
さもあろう、巨大な岩塊である。だが、その岩に目を奪われたのも長いことではなかった。
目を奪うような広大な海原。想像を絶する海洋、寄せ付ける外海流の潮目の前に、僕らはあまりにもちっぽけだった。
陽が強い。影を岩地に焼き付けんばかりだ・
「この下は海蝕洞になっているのさ」
海に出ると見えるらしい。ちょうど鬼の口のように開いているそうだ。
「ほら、さっきの、あれが角だで」
ここのことを鬼牙瀬というらしい。
この日、僕らの周りで、日光がギラギラと海面を灼きつけていた――。