ヨハンふるぼっこw
うざい人ランキング一位になっても、今のままでいて欲しいw
ヨハンは音楽の先生だっけか?
音楽つながりで、吹部のリンゴとも繋がりがありそうな予感。
料理され(ry
いのりん、娘さんが進学先を佳望学園を希望したら、ヨハンせんせの事で、気が気でなさそう。
あと、ヨハン先生に近寄られた腹癒せに、同人女から妄想ネタにされるのか…。
やっと追いついたらこんな時間になってしもた。
生徒も教師も増えてる。
だんだんと、生徒の顔と名前と特徴が一致しなくなってきたww
ヨハン先生良いキャラしてるなぁw
そういや色男ポジションなキャラいなかったよね。
関係ないけど白倉先生カオスだよカオス
メキシコ帰りのルチャドールで覆面教師で解剖フェチでマッドサイエンティストで白衣で下っ端言葉
3キャラ分くらいの属性が詰め込まれてるんだが
白倉カオス、どっかで聞いたことがある名前・・・
下の名前、カオスだっけか?
ほとんどの先生方は下の名前出てなかった気がする。勿論白倉先生も。
皆気になったらwikiとか読んでこようぜ
い っ そ 俺 ら で 決 め な い か
じゃあ白倉カオスで
初期から投下してるトリップ無しの人とか特に名前をあまりつけないよね
つけても名前か苗字のどちらかだし
張・白倉(チャン・パクソン)
ていうかパンダって事は華僑……?
まぁ短い方が覚えやすいっちゃやすいよね
>>112 今思い出した。ニコニコにうpされてるくまうたのうp主兼ゲーム内での熊の名前
決めるのは自由だと思うけど、もし今SS・絵・漫画書いてる
人が作中で名前出してたりすると、と思うと俺はあまり
そういうの思いつかんわw元作品の雰囲気とか壊したくないというか
ROM専とかの考えを、書き手に押し付けたくないというか。
二次書きあがりの人だとむしろ名前決めて貰った方が楽だったりするよ
>>121 そういう人もいるし、そうじゃない人も居るかもしれないだろって事w
俺も名前なり何なり決考えるのは楽しいし、創作板だからそういうの
面白いと思うよ。でもあまり突っ込みすぎ(?)ても何だかなぁーて。
作品・作品を作った人第一って思考が強いせいなんだけどね。
キャラに名前付けるのって大変ですよね。苗字とかが特に。
今日時間が沢山あったのでSSを書き溜めることができました。その一部を
今から投下させてもらいますね。推理物なのか何なのか分からなくなって
きた作品の続きですが
あの後、高杉は家に帰った。一人で帰るのは危険だと思い、花音に頼んで護衛を頼んだが。昼間の騒ぎが嘘のように家の中は
静かになり、外を見ると綺麗な夕日が沈みかけていた。あの烏の獣人のことは、2人に話したが、高杉は知らないと言っていたので
脅していた奴とは別の奴ということになる。だが、高杉を狙っていたということは絶対に脅した奴と関係しているだろう。花音は、
同じ高校生が人殺しという話を最初は疑っていたが、俺が真剣に話した甲斐あってとりあえずは信じてくれた。
「烏の獣人か・・・・」
正直、この世界の獣人の中で鳥系の獣人は珍しい。例えば、犬の獣人と猫の獣人が結ばれて、子供が産まれたとする。その子供は
犬と猫の血が混じりあう訳ではなく、父親の遺伝子を色濃く受け継ぐため、必ず父親と同じ種族になる。だが、鳥系の獣人は父親
と母親、両方が同じ種族の鳥の獣人でないと産まれる事はない。仮に鳥系の獣人と犬系の獣人が結婚して子供ができたとしても、
その子供はお互いの種が混じりあった子供となり、血が混ざり合った子供は病気などに対しての免疫力がなく、体も弱いためほぼ
100%の確立で死ぬ。そのため、鳥系の獣人が結婚するには必ず鳥系の獣人が相手ではないといけないと決まりがある。その決まり
のおかげで、鳥系の獣人は中々数が増えない。ほかのクラスであるにも関わらず人の顔を覚えるのが苦手な俺ですら、あの烏の
獣人が同級生だということを覚えていたのは珍しい種族だからだろう。
「・・・・烏の野郎の情報を集めるのは後にして、色々と対策を考えないとな。」
相手は銃を持っていた。幸い、俺を殺す気はなかったらしく、弾は入っていなかったが。だが、そんな奴から目をつけられた今と
なっては護身用の道具くらいは揃えておくべきだろう。多少物騒な道具を揃えても、どうせ俺は一人暮らしだし誰かに見つかる心
配もない。とはいえ、流石に法に触れるものは調達するわけにはいかない。今、家にあるもので役立ちそうなものは・・・・お、催涙
スプレーと防犯ブザー発見。でもこれだけでは心許ないな。あの男が教師を殺した証拠が見つかって警察に捕まりさえすればこん
なものはいらないが、警察があいつを追い詰めることができるだろうか。もし証拠が見つからず、事件が迷宮入りしてしまったと
なれば俺たちは危険な状態のままだ。そっちの方も気になるが、気になる点がもうひとつ。あの男は俺の瞳の色のことを知っていた。
オッドアイの事は誰にも言っていないし、知るわけがない事をだ。つまり、この事を知っている人間があの男に教えた事になる。
考えられる人間とは・・・
「馬鹿親父・・・・まさか人殺しと手を結んでいる訳ではないだろうな・・・・」
俺が小学生の頃、病気で死に掛けている母さんを置いて失踪した親父。母さんは死ぬ間際も親父の名を呼び続けたが、結局親父が
戻ってくる事はなかった。オッドアイの事を知っているのは両親だけだ。親父があの烏と関わっている可能性が高い。元々最低な
親父だったが、もしあの烏の奴と関係しているとしたら、絶対に許すものか。
「ん・・・電話か」
親父のことを考えている途中で、突然家の中にある電話のベルが鳴った。誰からだろう。
「はい、柊です。」
「あ、柊君かな。担任の時任だけど・・・」
電話の主は、俺たちの担任である時任先生だった。下の名前は・・・楓だったかな。流石に担任の先生の名前くらい覚えていないとま
ずいよな。何の用だろうか。
「色々あって、月曜日は休校です。間違って登校しないように。休みの間は試験勉強を頑張ってください。」
「はい、分かりました。」
休校か。まあ、殺人事件があったのだからそんな簡単に生徒を学校へ行かせるわけないか。そういえば、楓先生も珍しい種族になる
んだっけ。俺たち獣人とは違う人間だ。毛皮も持たないし、牙も爪も持っているわけではない。だが、牙や爪を持ってはいないがそ
れを補うために自分たちを守る道具を作ることに秀でている。やっぱそれぞれの種族に長所と短所があるんだな。
受話器を置き、時計を確認すると時刻は18時を少し過ぎたところだった。そろそろご飯を作らないとな。そう思い台所に向かうと今
度は玄関のチャイムが鳴らされた。・・・・・今日は本当に来客が多いな。何かをしようとするたびに誰かが来るなんて本当に監視カメ
ラがついているんじゃないのかと疑いたくなる。
「もしまたあいつが来たら・・・」
昼間のように烏の奴が来たらまた危ない目に合う可能性もある。でも、あいつは今日のところは帰らせてもらうとか言ってたから
流石にそんなことは無いと思いたいが・・・・念には念をだ。催涙スプレーを持っていこう。
「どちら様ですか。」
ゆっくりと、玄関の扉を開けるとそこに立っていたのは・・・・
「よう、何やってんだ?スプレーなんか持って。」
・・・・・何だ。流虎か。危うく催涙スプレーを噴射させるところだった。危ない危ない。
「な、何でもないさ。それより、こんな時間に来るなんて珍しいな。」
催涙スプレーを近くの棚に放り込みながら俺はそう言った。やばい、何か悪いことしてるみたいで動揺する。なるべく、自然な話し
方をしようと心がけるがこいつは人の心読むのがうまいから怖いんだよな。
「学校で事件があったから月曜日は休校だってな。」
「・・・・そうらしいな。」
その事件と思いっきり関係してるとは口が裂けても言えない。たった一日や二日で人の人生がこうも簡単に変わるとは。
「まさかとは思うが、事件に首突っ込んだりしてないだろうな?お前、こういうことに首突っ込みそうな奴だからなー」
「そ・・・そんな訳ないだろ」
本当は事件に首どころか全身突っ込んでる感じだがな。やばい、何か見透かされていそうで本当に怖い。
「それならいいがな・・・・いいか、もし俺に隠し事や嘘をついたら許さないぞ。」
「・・・・・肝に銘じておくよ」
正直、流虎に嘘をつくのは嫌だ。だが、下手に事件に巻き込むのはもっと嫌だ。花音も本当は巻き込みたくはなかったが、高杉の
件に彼女も関わったので後には引けないだろう。巻き込む人間はなるべく少ない方がいい。
その後、他愛もない世間話を少しした後、流虎は帰っていった。玄関の扉を閉めようとした時、ふと下を見たら昼間の烏の男の羽
が目に付いた。やっぱり、昼間の出来事は現実だったんだな・・・夢だったらどんなに良いことか。
「こうしていても始まらないか・・・・学校に行ってみよう」
殺人事件があったので、校内に入ることはできないだろうが行くだけ行ってみたい。もしかしたら何かあの烏の男に関する手がか
りがあるかもしれないから。本当は、体を動かして気を紛らわせたいだけなのだが。
ええええええーー父親限定なの?
すっかり日も暮れて、薄暗くなった時間に学校に向かうのって新鮮だ。立ち入り禁止のテープがしてあって校内に入れないが。
さて、学校に来たはいいがこれからどうするべきか。どこかに忍び込めるような場所はないものか・・・
「・・・仕方ない」
人の居ない裏口の方のフェンスを飛び越え、人に見つからないように職員室のほうに向かう。流石に職員室の近くには人が居て近
づけないか。さて、ここからどうしよう。ん・・・?何か今視線を感じたような・・・?気のせいかな。
とりあえず、勢いでここまで来たが現場にいけるわけでもないのに手がかりを掴めるものなのだろうか。
にしてもあの烏は夜の学校にどうやって忍び込んだのだろう。鍵はかかっていただろうに何故あいつは校内に・・・・
「・・・・そうか!あの日は・・・・」
放送室の騒ぎのとき、ガラスの割れた音がした。あのガラスの音は教師の注意を引き付けるだけではなく、校内に侵入するための
ものでもあったんだ。もし高杉が失敗したときのための準備までしておいたのか!だが、割れたガラスをそのままにしておくと誰
かが入ってくるかもしれない。そのため昨日は宿直の教師が居たのかもしれない。そして、不運な事にその教師は・・・
「もっと考えなくては・・・・あいつを追い詰めるぐらいの証拠を見つけなければ・・・・」
少しでもあいつを追い詰める証拠を集めようともっと職員室の近くに行こうとしたその時、背後から何かの気配がした。驚いて、
後ろを向くとそこには・・・
「こんな所で、何をしてる。これ以上首を突っ込んだら殺してしまうかもしれないと言っておいたはずだが。」
昼間の烏の男が立っていた。さっきの視線はこいつのだったのか!?何故わざわざこんなところに・・・・
「俺が教師を殺したという証拠を集めようとでもしてるんだろうが、そうはいかない。」
「貴様・・・!何故俺がここにいることを・・・!」
俺がそう言うと、男は少しだけ笑みを浮かべながら俺の前に何かを突き出した。それは何かのモニターのようなもの・・・
「あの煙幕に紛れて、お前の服に発信機を滑り込ませて置いた。わざわざ人気のないところに来てくれて助かったよ。」
そう言われたので、ポケットの中を探ってみると男の言ったとおり小型の発信機が出てきた。こんなものまで用意してたのか・・・
これはまずいかもしれない。
「学校の裏なら、警察は居ないし簡単に人を殺すことができる。まさか警察も同じ場所で続けて死体が出るとは思わないだろう
がな。さて、何か言い残すことはあるか?」
烏の男は、そう言ってナイフを俺に突きつけた。昼間と違って、近くに人は居ないし刃物なので銃声も出ない。これでは打つ手
がない。どうすれば・・・
「うおおおおおおおっ!!!」
観念して目を閉じようとしたその時、獣の咆哮に似た誰かの声がした。それと同時に烏の男はバランスを崩しその場に倒れる。
誰かが烏の男の背後に突進したのだ。その誰かとは・・・
「流虎!?何でこんな所に!?」
「気になってお前の後を追ってみたら案の定、危ないことに巻き込まれてるじゃねえか!!」
そう言いながら彼は烏の男の落としたナイフを拾い上げそれを遠くへ投げ飛ばした。
「ちっ・・・!邪魔が入ったか!」
烏の男は受信機をその場に放り投げ、物凄い速さでこの場を去った。逃げ足が速い奴だ・・・・烏の男が去ると、学校裏は先程の
ように静寂を取り戻し、残されたのは俺と流虎だけ。何か話さなければいけないと思うのだが言葉が出ない。
「・・・・眠兎。お前、やっぱり俺に嘘ついてたな。」
静寂を破ったのは流虎の方だった。流虎は低い声でそう呟いた。微かに怒りが篭った声だ。
しえん
「俺に嘘が通用するとでも思ったか?」
流虎がそう言ったかと思うと、次の瞬間俺の体は吹き飛ばされて地面に倒れた。その時に頬に強い痛みを覚えて殴られたこと
を理解した。
「お前、俺が来なかったら殺されてたんだぞ・・・・分かってんのか!?」
流虎の言う通りだ。流虎が来てくれなかったら、多分俺は殺されていただろう。だけど、それでも俺は流虎を巻き込みたくな
かった。首を突っ込んだのは俺だ。流虎には関係のない話なんだ。
「だけど、俺たちに関わったらお前もこんな目に遭うかもしれないんだぞ!そんな事になるぐらいなら死んだほうが・・・」
言葉の途中でまた殴られ、最後まで言うことができなかった。
「・・・もう一回言ったら、絶対に許さねえからな。それに、こんな事になった以上、俺ももう無関係じゃないんだ。
さあ、洗いざらい話してもらうぜ。覚悟しな。」
結局、俺は全てを話すことになった。昨日の放送室の騒ぎのこと、花音と高杉のこと、今日の事件にそのことが関係してること、
何もかも全てだ。すべて話し終わった後、もう一発殴られた。流石に続けて三発は痛い・・・
「まったく・・・守らないといけない奴がいるんなら死んだっていいなんて思うなよ。それにお前が死んだら委員長も、高杉って
奴も悲しむことになるんだぜ。勿論俺もな。」
「・・・・そうだな。すまない。」
全てを話したら心が軽くなった気がする。不思議と話してしまった事に後悔はない。何だかんだで巻き込んでしまったが、巻き
込んでしまった責任は俺が取ればいい。あの烏の男を完膚なきまでに叩き潰す。こうなった以上全力であいつを追い詰めて早く
この事件を終わらせてやる。
支援
ぶっちゃけ名前だけ名字だけしか明らかにしない書き手もどうかと思うけど・・
○○初登場!
↓
こいつは○○。いつも明るくてetc..
って流れでフツーに紹介できるのに
クタクタになって家に帰り着いたときにはもうすっかり暗くなっていた。あの場から男が落としていった発信機セットを有難く
頂戴させてもらったので有効に活用させてもらうことにしよう。流虎は、あの烏の男を警戒してるのか、俺が家に帰り着くまで
見送ってくれた。
「それじゃ、俺もそろそろ帰るわ。今度何かあったときは、絶対に俺を呼べよ。」
「・・・・今日は、ありがとな。」
「気にするな。俺が困っているときはお前が助けてくれるだろ?お互い様ってやつだ。それじゃあな。」
殴られた頬は痛むけど、それ以上に痛かった心の痛みはこれでもうすっかり無くなった。さて、今度はこちらから責める番だ。
住んでいる場所も、名前すら知らない奴を追い詰めるのは難しい。だが、それを知ることができれば策を練ることができる。
相手が教師を殺した証拠を見つけるのが一番だが、現場に入れない以上それは難しい。そっちは警察に任せるとして、こっち
はこっちでやらせてもらおう。幸い明日と明後日は休みだ。考える時間は沢山ある。とりあえず、明日花音たちに来て貰って
それから考えよう。メールで呼ぶことができるからメールアドレス知っていて良かった。・・・・・ん?
ちょ・・・何で花音は俺のメールアドレスを知ってたんだ!?勝手に見やがったな!・・・・見られて恥ずかしいものは無いからいい
が・・・・はあ・・・・
「そういえば・・・宿題・・・・」
今日は色々あって結局宿題ができなかった・・・テスト勉強もできなかったし。時任先生を怒らせると怖いんだよな・・・・
また生徒指導室に呼ばれる・・・
「・・・・寝よう」
もうどうでも良くなってきた。疲れてクタクタだしもう寝てしまおう。明日起きたら全て夢だったらいいのになぁ・・・
とりあえず頬をつねらなくても痛いから夢ではないだろうが。窓の外から微かに聞こえる雨の音を子守唄代わりにし
ながら瞼を閉じる。ああ、雨が降ってほしいという祈りが今頃通じたよ。本当、うまくいかないもんだな。
sienn
支援
とりあえずここまでです。今回も肝心の推理的なものがありませんでしたが気にしないでください。(次回こそは・・・・)
何だかんだで久々に虎登場。ストーカーっぽい役回りな気がしますが気にしないでください。
烏の彼がかませ犬っぽくなっているような気がしますが気にしないでください。
主人公が一番活躍していないような気がしますが気にry
話は変わりますが、前回・・・が全角だとwiki編集が大変だと指摘してもらって初めて気づきました・・・
今までwiki編集してくれた人、すみませんでした!今回は半角にしようと心がけましたので多分大丈夫だと思います。
最近寒くてキーボードを打つのが大変になってきました・・・冬はわくわくするようなイベントが
多いので好きですが、この寒さだけはどうにかならないものか・・・
SSおつー!
>>133 まるで書き手全員に責任あるような言い方しなくて
いいんじゃないの?まぁこれから投下したりする人とか
増えたらその時話聞けたり質問してみればいいじゃん。
>>138 投下乙!
なんか主人公が邪鬼眼っぽくなってきてるが
そういうのも突き抜けてて面白いなw
むしろ設定とかは最初は曖昧でいいよ
特にキャラをシェアードする場合はね
決めるために決めるより流れの中で自然とわかってくるほうがいい
しかし、この世界では子供は絶対に父親の種族になるのか
浮気とかモロばれなんだろうなw
*とか・とか-とか文頭半角スペースとかはwiki構文だからwiki収録のときに置換が必要なんだよね
気が付かずにそのままコピペすると凄い表示になったりするwww
しかし、このシリーズ新しいシリーズ名つけないのか?
明らかにケモノ学校シリーズとは矛盾してるから別シリーズだと思うんだが
そういえばそうだな
てかシリーズで書いてる人はみんなシリーズ名つけてほしいな
間があくと前の話忘れてたりするんだが、そういうとき名無しで題名なしだと前の話をwikiで探すのに苦労する
そういえば連載っぽくなってる作品はいくつかあるけどそういうのは全部wikiでまとめたほうがいいんだろうか
だいたい短編かシリーズのページにまとめてるけどケモ学はそのシリーズの中でいくつかの話が進行してるから
SS乙! 次も楽しみです。
細かい設定は書き手によって違っていいと思うよ
厳密なシェアードじゃなくて、学園がありますよーってだけだし
146 :
穴蔵書き手:2008/11/26(水) 19:25:21 ID:9pLbTaxl
>>104 遅レスですまん。
まさかイラストを描いて頂けると思わなかった。
本当に嬉しいぜ。ありがとう。
ネタもなくはないので、また書くかも。
俺も白先生と黒三毛が絵になったとき鼻血でそうだったよ
一番最初のヌコ小学校の人か!
思えばケモ学はあそこからはじまったんだよな
[なんどめのこい]1/2
「こんな話をすると、犬飼さんには笑われてしまうかもしれないけれども 」
何がきっかけでこんな話になったのかは忘れてしまったけれども、射し込む光もも
う輪郭だけを浮かび上がらせるだけとなった夕刻の教室で、あの一寸女性にしては
低い良く透る声で美王先生はゆっくりと語り始めた。
「もうずいぶん前になるわ。 先生もね、一度だけ、恋をしたことが有るのよ」
『え?』普段の美王先生からは思い至らない内容に思考が付いていかず、思わず
「それで、その恋はどうなったんですか?」なんて、馬鹿な質問をしてしまう。
結果は判ってるんじゃない?今、ここで、話しているんだから… 口を出た言葉は
取り返せない。反射的に何でも口に出す癖は一生治らないのかな。 耳の奥でツン
と音がして校庭から聞こえていた運動部の生徒の嬌声が遠ざかる。 自分の顔が赤
らむのが判る。 教室が暗くて良かったと、頭のどこかで誰かが言っているのが聞
こえた気がする。
「うん、駄目だったのよ」
笑ったような声で先生が答える。先生の声は奇麗だ。
「あれはまだ今の犬飼さんと同じ年の頃、だったかしら?
いろいろ有ったけど… あのひとはもう…
そうね、あれからもう恋はしていないわ」
いつもと違った歯切れの悪い先生の言葉に、言いたくないことだって有るんだろう
なと気づいても、ついまた考え無しの言葉が口を突く。
「でも先生だってまだまだイケてるんだから、これからコイビト探せばイイんじゃない?」
何を言ってるんだ?私は。
[なんどめのこい]2/2
「ありがとう」
今度は本当にクスりと笑い声。
「でも、ね。先生の恋はあれでお仕舞。
たった一度の、一生に一回きりの恋だったのよ」
馬鹿だ、本当に私は馬鹿だ。先生の声まで遠くなる。
「先生はね、ひとにはたぶん一生に出来る恋の回数ってのが生まれたときに決まっ
てるんだ、と思うの。 先生に用意されていたのは一回だけだったのね、それに
気づかずずいぶん無駄な時を過ごした気がするわ」
「犬飼さんがこれから何度恋が出来るかは判らないけど、それぞれを大事に悔いの
ない恋をしてちょうだいね」
少し身体を傾けて、窓に顔を向けた美王先生に夕日の最後のひとかけらがすうっと
射した。 瞬間、学校中に響き渡るチャイムの音と、生徒を追い立てる下校のアナ
ウンス。 うるさいうるさい! 私はもう少し先生の顔を見ていたいんだ。
「さぁ!帰りましょう! 窓の鍵を見てくれるかしら?」
いつものような凛とした声でそう言いながら教室の出口へ向かう美王先生。 追い
かけるように急いで身支度を整えて廊下に飛びだすと、先生は職員室へ向かう廊下
の端の角を曲がるところだった。
「恋って何回、出来るんだろう…?」
私は先生の背中を見ながらそうつぶやくと、振り返って玄関へと駆け出した。
(おしまい)
美王先生に惚れそうなんですがどうしたらいいですか
わたしもです。
wikiの存在に今更気付いて、
そんで、高杉クンもリザードマンだと始めて知った今日の午後
あっぶねー。
誤解してSS書いちゃわないように、ちゃんとwiki熟読してくる!
メスヲタwww
名前といえば、黒とミケは苗字も名前も出てきてないな
>>151 ほんわかした熊のおばさんが気になるなぁ
>>154 投下しにくい雰囲気になってたよねぇ…、やっぱ
それで親しまれてるんだから普通に名字や名前だけでよかったのに
でもそれでわざわざ名前考えてもらえたキャラはラッキーなのかもw
しかし…パンダの尻尾って黒じゃなかったのか?
あと、問題メス攻めワラタw
>熊のおばさん
地理の山野先生、だっけか
登山趣味?
フルネーム決まってる人が他にいれば、できれば出して欲しいかも
気付いたんだが、 名前分からないままにしておくと、後から出てきたキャラと被る可能性アリww
気付けば白ちゃんと白先生も名前被ってるww
そして、鎌田氏を「ゆきひろっぽい」と思っていたら、ほんとうに之博でワロタ
>>154 テキストファイルの名前のところが一瞬タテ読みで「アナタモネ」って見えてびびった。
ナナシノゲエムプレイしたばっかだからこういうのに敏感になってしまってる。
>>151 自分も先生に惚れてしまいそうな今日この頃
>>154 言われてみればパンダの白と黒の部分がよく分からない・・・尻尾は白のような気もするし黒のような気もしてきた。
あとコーラとメントスは死亡フラグ。
SSで新キャラを登場させるときにはやっぱフルネームがいいんですかね。
自分も気をつけよう・・・と思いつつまだ名前すら出ていないキャラが居ることに気づいたorz
何という不親切設計
いや別にフルネーム出す必要も無いと思うけどね
名前だけ決まってるキャラが大量に増えても…
それよりキャラが立ってるほうが重要だってばよ!
マジレスすると答えは白
たれぱんだ等が黒く設定してあるせいか勘違いする人多い
〜科目と教師〜
国語:泊瀬谷、帆崎(古典)、佐藤
数学:スーシ
英語:英
理科:跳月(化学)、白倉(生物)
社会:山野(地理)
音楽:アーネット
体育:牛沢
保健:白
不明:猪田、時任
あれ、誰かを忘れている気がする。
自分で描いた(生んだ)分だけは考えておきますね。
サンスーシ
今まで曖昧にしてきたけれども、サンスーシで多分成句だと思うので
ひとつながりで… 一応名字として考えてます。未だ名前が決まらな
いです。 呼ばれるときは「サン先生」。
牛沢花子(うしざわはなこ)
生徒が呼ぶときは「花子先生」(ど根性ガエルの「ヨシコ先生」の様
にアクセントが無く平たく読む)
山野(やまの)・マリヤ・ミハイロビッチ
呼ぶときは「山野先生」。親しい人からは「マーシャ」。
一応夫と息子有り。でも週末はひとりでふらっと山に登りに行ったり
する。
英美王(はなぶさみお) (並べ替えると美瑛)
普通に「はなぶさ先生」と呼ばれることが多いが、手芸部の生徒から
は「みお先生」呼ばれる。間違えて「えい先生」と呼ぶ児童も居る。
八木権乃介(やぎけんのすけ)
「教頭先生」。友人からは「けんちゃん」と呼ばれるが、一部生徒か
らは「ごんのすけ」と呼ばれることも有る。
田中太郎(たなかたろう)
あまりにも平凡な姓名なので「タナカ」とか「タロー」とか呼ばれる
のが嫌いで、小さいころから『肩書きの有る偉い人になろう』と思っ
ていてので、今は「校長先生」と呼ばれてシヤワセ。
跳月十五(はづきじゅうご)
普通に「はづき先生」。 えと、出来れば『物理/科学』担当で。
ファインマンつながりで「理茶人(リチャード)」ってのも考えまし
たが、付けていただいた「跳月」が凄く良いのでそれに合わせてみま
した。
良く考えたらおっさんおばさんばっかりだな、私は。
>>152,153,159
英先生を只のハイミスにしたくなかったので書いてみましたが、文中
『獣人成分』が皆無だって事に、寝て起きたら気付きました。
先生の悲恋は、何時かそのうちに。
>>124 うわー、使いたかった設定の一部が書かれてる(笑)
>>154 ずいぶん以前、リースアップ屋さんに有ったレーザーメスを買おうかと
本気で悩んだ事有り。公私共に全く使う場面はないんだけど…
>>161 いつもお疲れさまです。
本当は皆にいじってもらいたいなーって思いも有ったりするんですけどね。
>>163 猪田先生は歴史担当じゃなかったかしら?
>>164 校歌最高。 美術部の生徒、大変だなぁ(笑)
>>165 名前の呼びで「マーシャ」なのかな。
クマみたいな子って意味なら「ミーシャ」って意味も、どっかの国で
あった気がする。
自分のIDがハンターハンターでふいた
>>167 あんまり詳しくないのですが、ロシア語では「姓」+「名」+「父称」って
話だったので、そうしてみました。 なので、本人の姓は「山野」、名は
「マリヤ」で、ついでに父の名前は「ミハイル」=(ミハイロビッチ)って
ことになります。
マリヤの愛称は「マーシャ」で、ミハイルの愛称は「ミーシャ」になります。
ミーシャは「熊」を表す愛称でもあり、さらに私の割と好きな絵本に
「マーシャと熊」と言うのが有ったりして、まぁ色々と含みの有る状態です。
こんなに深い意味があったとは!
山野せんせ、すごく商店街にいそうな雰囲気。
バーゲンセール!
これはいいもふもふ!
あんよがかわいいねぇ
水彩で書いてるのかな?ふんわりした感じがキャラによくあってる
>>174 盗賊っぽい!
ヤバイこのキャラ凄く好みかも
>>172 おおお、かわえええ!
イイ、もふもふしたい!
>>174 素敵なトカゲだ。ちょっとやんちゃそうだなw
尻尾にもカバーついてるのが、芸が細かいね。
まさか拙作のイラストをこんなに描いて頂けるとは思わなかった。マジで嬉しいです。
レスくれた方も、描いてくれた方も本当にありがとう!
>>174なんだが、
レリさんのつもりで描いたら、まちがってジャクトさんのセリフを引用してしまった!!
これは申し訳ない……
いろいろ来てるな
トカゲ一族と冬に強いひつじ娘いいねー
>>174のトカゲの話もそのうちみてみたい
一人で冬も起きつづける変わり者のトカゲは何を思って起きてるんだろう
たった今書き終わったのでSSの続きを投下します。
今回は結構急いで打ったので誤字とかがあるかもしれませんが・・・
日曜、月曜日は嵐のように過ぎて火曜日。火曜日は通常通りの登校となり、殺人事件があったのが嘘のようにいつもの日常が
始まった。山のようにあった宿題は徹夜して何とか処理することができ、テスト勉強もそれなりにすることができた。午前中
は丸々テストだったので、少し目が疲れているようだ。肩も痛い。昼休みの間ゆっくりと眠っていたいと思うが、そうは言っ
てられない。昼休みの間にあの烏の男に接触して名前くらいは聞き出さないと。廊下をつかつかと歩き出し、別のクラスにあ
の烏の姿は居ないかと余所見をしながら歩いていると、何かにぶつかって勢いよく倒れてしまった。
「うわっ・・・ご、ごめん」
何がぶつかったのかと思えば、犬族の女の子。しかも物凄く小さい。小さくて見えなかったとはいえ、俺の不注意だ。謝っ
て立ち上がると、その女の子も勢いよく立ち上がり
「ごめんなさい!急いでたので・・・!」
風のように去っていった。昼休みとはいえパンを咥えながら歩く女の子なんて初めて見たな・・・何だか人の視線が痛いので早く
この場から立ち去らねば・・・・って誰だ笑ってるのは・・・!
「何やってんだよ馬鹿」
笑いながら俺に話しかけてきたのは探していた烏の男。ああ、よりによってこいつにこんな所見られるなんて最悪だ。と、と
にかくこいつを見つけることができたんだから良しとしよう。
「話がある。何の話かは・・・分かるな?」
「ああ、別に構わないぜ。場所を変えるならな。」
確かに人の多い廊下でするような話ではないな。場所を屋上に移すことにした。俺を殺そうとした奴と話すのは嫌だが、少し
でもこいつの事を知らないと打つ手が無いからな。
「お前も変な奴だな。俺はお前を殺そうとしたってのに普通に話そうとするなんて」
「本当はお前の顔見てるだけで胃が痛くなりそうなんだがな。それはともかく、色々聞きたいことがある。全て話してもらお
うか。」
「・・・まあ、少しぐらいなら話してやってもいいぞ。どうせお前はもうすぐ死ぬんだからな」
「冥土の土産って事か。洒落にならないな。俺は意外としぶといから、やられるのはお前のほうかもしれないぞ?」
この男はまた俺を殺す気でいるだろうが、流石に学校内じゃ凶器を持ち歩くわけにもいかないから今は安全だろう。
「まず聞きたいことは、お前は職員室から何を取ったかということだ。関係ない教師を殺してまで手に入れたいものなんてあ
るのか?」
俺がそう言うと、烏の男は懐から何かの紙を2枚取り出して黙って俺の前に差し出した。一枚目の紙にはシャープペンで書かれ
た数字がいくつか並んでいた。
【43,21,54,23,54゛,31,23,34】
そして、2枚目の紙に書かれていたものは・・・・
【五十音を左から並べ、十の位は縦として、一の位は横として考え進む。ただし文字からはスタートしない。】
「・・・・何だこれは?全く意味が分からないんだが・・・」
「それを俺は職員室から盗ってきたんだよ。その紙には俺たちが必要とする物の在り処が示されてるらしいが、俺にもさっぱり
分からないんだよな。仕方ないからとある奴に頼んで解読してもらおうと思っているんだが、もしお前がこの暗号解けるという
のなら教えてもらおうかな。まあ、無理だと思うが。」
烏の男は俺たち≠ニ言った。この事件はこいつだけが関係してるわけではなさそうだ。とある奴というのも気になるが、それ
以上にこの暗号とやらが気になる。前に高杉が言っていた暗号のような紙とはこの事だろう。もし俺にこの暗号が解けたとして
もこいつに教える気はないが、この紙にこいつらが必要とする物の在り処とやらが示されているのなら、こいつらの目的を知る
事ができるかもしれない。この紙に書かれた文字をメモしておこう。
「お前が何かを手に入れるために職員室からこの紙を盗ったというのは理解できた。だが、何故そんな紙が職員室にあるんだ?
あと、何故わざわざ高杉にその紙を盗らせようとした?」
先ほど見せられた紙の内容をこっそりメモし終わった後、俺は一番聞きたかったことを聞いた。すると、烏の男は俺に背を向けて、
「そいつはノーコメントだ。下手に話したら俺の身が危ない。」
そう言った。そして、屋上から出て行こうとしたので、俺は慌てて呼び止める。
「待て!お前の名前くらいは聞かせてもらおうか。」
「・・・関村 影斗だ。次こそはお前らまとめて殺してやるから、覚悟しとけよ」
そう言って、彼は屋上から去った。
「関村か・・・覚えておこう。」
名前を知ることができたのはいいが、それよりも暗号の書かれた紙が気になって仕方が無い。これは一体どう解けばいいのだろう。
おそらく、二枚目の紙が暗号を解く鍵なんだろうがその二枚目の紙にかかれた文字の意味さえよく分からない。五十音を左・・・・
・・・・・まあいい、後でじっくり考えよう。
「あ、さっきの狼さん」
「・・・・ん?」
突然、後ろから声がしたので振り返ってみたらさっき廊下でぶつかった女の子が立っていた。パンを大量に持っている所を見ると
屋上で昼食を食べるつもりなのだろう。
「さっきはごめんなさい!」
「い・・・いや、あれは余所見してた俺が悪かったんだし君が謝らなくても・・・・」
頭まで下げなくても・・・・ボディーランゲージが派手な子だな。校章の色を見る限りでは俺と同じ高校二年生なんだろうが、どうみ
ても小学生にしか見えない。
「それはともかく、見たことない顔だね。前から居たっけ?」
「いやー今日転校してきたばかりなんですよ。転校したはいいものの、事件が起こったりテストが始まるわで大変ですよー」
・・・・姿だけでなく声や話し方まで小学生みたいだ。見たことのない子だと思ったら、今日転校してきたばかりなのか。
「でも、色々準備とか、テスト期間中だという事もあってまだクラスの人とも会ってないんですよ。多分午後から紹介されると思いますー」
「そうなのか。で、何組になる予定なんだ?」
同じ高校二年なら同じクラスになるかもしれないな。
「えっと、確か二組だったと思います!」
「・・・・なら俺と同じクラスだな。」
「そうなんですかー!それじゃあ、これからよろしくお願いしますね!」
また勢いよく頭を下げたかと思えば彼女が大量に持っていたパンがドサーっと音を立てて地面に落ちた。何というドジな子。
まあ、袋に入っているから汚れる心配はないだろうが。
「あわわわっ!」
「ほらほら慌てない。また落とすぞ。」
その子は慌ててパンを拾おうとしたがこの調子だとまた落としそうで怖いな。結局、俺が地面に落ちたパンを拾い上げ彼女に手渡
すハメになった。
「あうぅ・・・狼さん本当にごめんなさい!」
「気にするな。それより、早く食べないと昼休みが終わるぞ?」
昼休みが終わるまであと三分ほど。彼女が時間内に食べ終わることはできるのだろうか。
「邪魔しちゃ悪いから俺はそろそろ教室に戻るよ。あ、そういえばまだ名前を聞いてなかったな。」
「私の名前ですか?樫村 琉海です。狼さんの名前は?」
るい・・・女の子の名前にしては珍しいな。名前を聞かれたからには俺も答えないとな。
「柊 眠兎だ。」
「いい名前ですねー!それじゃ、またお話しましょう!狼さん」
ガクッ・・・名前教えた意味ないじゃないか・・・とりあえず、早く教室に戻ろう。屋上から下へつながる階段を降りようとしたとき、そ
こに見覚えのある人物が笑顔で立っていた。
「眠兎君?確か烏の人と話す予定だったよね?なのに何で女の子と楽しそうにお喋りしてるのかな?」
花音・・・・いつからここに!?高杉と流虎も居るし・・・
「私たちが眠兎君の心配をしてここに来たっていうのに、小さな女の子と二人っきりで一体何をしてたのかな?」
「ご・・・誤解だ!俺はただ・・・」
「問答無用!」
次の瞬間、俺の鳩尾に花音の拳がめり込んだ。最近殴られてばかりのような・・・
「だ・・・大丈夫?」
高杉が心配そうにそう言ったが、返事ができないぐらい苦しい。ああ、お花畑が見えてきた。
「眠兎。小さな女の子に手を出すのは犯罪だからやめた方がいいぞ」
何?もしかして俺ロリコンだと思われた?そもそも手を出していないし。ああ、みんなの視線が痛い。
「ご・・・誤解だって!と・・ともかく、烏の奴とは話すこともできたし少しだけ情報を手に入れることもできた。あの女の子とは普通に話
してただけだ!だからそんな目で俺を見ないでくれー!」
俺の叫びは、昼休みの終わりを告げるチャイムの音で空しく消えた。ああ、もうどうにでもなれ。
あらぬ疑惑をかけられたものの、何事もなく時間が過ぎて下校時間となった。転校生の女の子は午後の授業が始まる前に紹介されて、ク
ラスの一員となった訳だが・・・・珍しい紹介の仕方だな。午前中ではなく午後からクラスの中に入るなんて。午前中は小さなテストをやっ
ていたからそれの邪魔にならないよう配慮されたのかな。今日も色々あったけど、何事もなく帰れそうだ。
「あの女の子、転校生だったんだな。」
「ああ。・・・・・言っておくが手は出してないぞ。」
流虎が勘違いしたままだと困るので一応釘は刺しておく。全く、小さな女の子に手を出すわけないだろう。でも一応同じ年だから犯罪では
ないが。いやいや手は出してないぞ。可愛いとは思うけど。色々と考えながらも俺は家にたどり着いた。あの烏の男・・・・関村から襲われたら
困るので、高杉は花音、俺は流虎と一緒に下校した。高杉と花音の帰り道の方角が一緒で良かった。
「さて、これをどうするか。」
家に帰り、ポケットの中に丸めたメモ用紙を取り出す。何かの暗号らしきものが記された紙。これは一体何を示しているのだろう。
「五十音を左から並べ、十の位は縦として、その後一の位を横にして進め。ただし文字からはスタートしない。」
五十音を左から・・・・あいうえお表を左から書けばいいのだろうか。とりあえず書いてみる。そして十の位は縦、一の位は横というものは多分
一枚目の紙の43,21,54,23,54゛,31,23,34を解く鍵となるだろう。文字からスタートしないというのも気になる。もしかしたらこの数字
は何かの文字になるのかもしれない。数字ではない何か・・・・
「数字ではないとすると、やっぱりこの五十音が何か関係してるのかもな・・・」
数字としてみるのではなく、ひらがなとしてみよう。この数字をひらがなにするにはどうすればよいか。元々、や行はやいゆえよとなってい
たが“い”と“え”はすでにあいうえおで使われているので除外できるかも。まあ、読みが当たっていればの話だが。不確定要素が多いからな。
十の位は縦として一の位を横・・・・この五十音の縦と横・・・・5つの文字が10個並んでいるので全部で縦5、横10として考えればいいのか?そう考えると・・・・
「縦を4・・・横を3」
俺の考え方が正しければ文字からはスタートしないという所はあ行から始まると考えてしまわぬための予防線だろう。そう考えて最初に出てき
たのはせ≠ニいう文字。この解き方で次々と解き進めていくと・・・・
「せいとしどうしつ・・・・生徒指導室だと?」
俺の考えは正しかったのか?正しいとすればこの暗号が示す場所は生徒指導室ということになる。関村が欲するものは生徒指導室にあるのか?
・・・明日、確かめてみようかな。いや、もしかしたらあいつも今頃この暗号を解いているかもしれない。もし生徒指導室に何か手がかりがあるの
ならそれをとられる前に行ったほうがいい。今すぐ行くべきか・・・準備をして、玄関を飛び出す!俺の考えが、当たっていますように。
中途半端ですが今回はここまでです。最後、自動改行が発動して大変なことにorz
少し見にくいですね・・・気合で読んでもらえると助かります
暗号とか推理物っぽくなってきたなー
それで前のときもいったけど、この話シリーズ名とかつけないの?
>>187 シリーズ名をつけた方がいいかなぁと思うのですが、いざつけようと思うと何も思いつかない・・・!
とりあえず、考えてみようと思います。
お、投下来てる!
なにやら嵐の前の静けさ。
新キャラも登場してるー
クラスは二組で、担任は時任せんせい。
そういや高等部って、みんな同じクラスなんだろうか?
クラスはいくつかあると思う
先生も沢山いるし
>>189 というかケモノ学校の世界と一緒にしてていいのか?と思えてきた…
昨日(だっけ)SSの文中の、種族間の子供の出来方の話も考えると
いのりんの家庭が…((((;゚Д゚))))
シリーズをまたにかけてSS書いても面白そうだな
矛盾なんて気にしない派。
極端な話、ザックスやシンディ、ジャクトやリルフィが学園に居ても俺は驚かない。
だから別シリーズとして名前つけない?って言ってたんだけど俺も
>別シリーズとして名前付ける
シリーズ独立に賛成。とくにケモ学の他キャラとの接触もないし、
個人的にはシリーズ分けしたほうがwiki見た時分かりやすいからいいと思った。
シリーズ名は作者にまかせるぜ!
多分1話目だと思われる駄菓子屋の話に
「難解で幸福な日常」の題がついてるけど、
これこのままシリーズの題名でもいいんじゃね? という案
「ケモ学」の中のワンシリーズと言うことか。
矛盾してるからケモ学とは別シリーズでも
矛盾なんか気にしない方針でケモ学内のシリーズでもどっちでもいいや
どっちにしろ、連載形式で進んでるSSはそれをひとつのシリーズとしてまとめたほうがいいと思うな
康太「なぁ、御堂」
卓「ん?」
康太「俺たち、影うすいよな」
卓「獣人スレだし、しかたないだろ」
康太「やっぱそうかー。なんか妹と姉に全てを持っていかれた感じ」
卓「俺の『マグネシウム』も『汁』には敵わなかった」
二人「はぁ……」
何言ってんだこのエロゲの主人公ポジション共め
そうだそうだ
このスレの住民みんなが切望するうらまやしい環境にいやがる癖に
サン「ヨハン先生」
ヨハン「ん?」
サン「ぼくたち、そんなに目立つんですかね?」
ヨハン「そうかな?別に目立とうとしてるわけじゃないけど」
サン「先生もですか。台車に乗ったり、メイド服ではしゃいだりしてるだけなのにな」
ヨハン「おっ!白先生!!今日もメガネがお美しい!…ははは」
充分目立つわwww
サンちゃんとヨハンちゃんは数キャラ分の個性を一人で抱えてるからw
白倉「キャラが濃すぎるのもどうかと思うんスよ」
跳月「……」
はづきちが磁石にメスくっつけて理科室で怪しげな何かをしていればそれはもう
凄まじい勢いで校内中に広がって大人気DA★
[おうちにかえろう]1/4
太い爪、硬い毛に覆われた大きな肉球のてのひらの上で銀紙に包まれたアーモンドチョコ
レートを転がしてみる。
二時間目の休み時間、教室に顔を出したら入り口の横の席で少女たちがチョコを頬張って
いたのだ。 もちろん学校にお菓子を持ってきてはいけない決まりだ。とは言え、学校へ
の坂道のふもとにコンビニが有れば生徒達はお菓子ぐらい買うだろうなと思う。私だって
買う。 気付かないフリをしてやろうと思ったのだが一瞬早くその中のひとりが「先生!
食べる?」と、チョコを差し出してきた。 チョコを受け取りながら「うん有り難う。美
味しそうだね」と笑いかける。 そうだね、これで共犯だ、って事なんだね、でも一応言
っとくよ、先生だからね。「でも、ね、お菓子は、駄目だよ」 ころころと笑う娘たちを
背に教室を後にした。あれ?何の用で教室に行ったんだったかしら?
そのチョコが今てのひらのうえで銀色に光っている。三個もくれたんだ、どうしよう。
ふと、『このチョコをあの切り株に腰掛けて食べたら美味しいかもしれない』と思い立っ
てしまった。 思い立ったらどうにも美味しそうに思えて止まらなくなってしまった。い
や、きっと美味しい。
既に弱まっている初冬の午後の光を横目に、頭の中で残りの仕事を考える。 今日はもう
既に授業は終わっている。週明けに使う資料は以前のものが使えるから特に何もない。指
導するべき生徒達は帰った頃だ。 よし。
机の上を片づけつつ、主任の英先生に挨拶をすませ、身支度をして教室を出る。 おっと、
チョコを忘れてはいけない。 急いでポケットに放り込む。
ロッカーにはいつものリュックが押し込んである。一晩ぐらいなら何も問題無いだろう。
こんなふうに飛び出すのはよく有ることだし、用意は怠り無しだ。ブーツとパンツ、セー
ターにダウンを着込んでリュックを背負うとそのまま玄関を出る。 少しウォーミングア
ップをかねて速足で校門からの長い坂道を下る。 坂下のコンビニで水と少しの直ぐに食
べられる物を見繕って買い、リュックに入れる。
[おうちにかえろう]2/4
路面電車の停留所で電車を待ちながら旦那に『今晩、山に行ってくる』と短いメールを入
れる。これで通じるのだ。良い夫だ。いつも勝手にふらふらと、あまり安全ではないかも
しれないところへと出かけてしまう私を、いつも自由にさせてくれ、幼稚園に通う息子と
ともに待っていてくれる。私は幸せだなぁと思う。
既に暗くなりかける山道を登り始めるが、何せこの山は私が小さなころから何度も登って
いる山だ、月明かりでも有れば楽々と進んでいける自信はある。とは言え過信しないよう
に気を配りつつ進む。
山頂へ向かう道を途中で外れ、暫く進んだ所に突然現れる僅かばかりの空間。松葉のよう
な細い月が放つ僅かの光でも眩しく感じる。その草原の真ん中に、何故か草に埋もれるこ
と無く残っている大きな切り株。 何時から有るのか判らないけれども、いつの間にか私
のお気に入りの素敵な椅子だ。
以前使った石を積み直していつものように火を熾しケトルをかけると切り株に腰掛けて火
を眺めながらお湯の沸くのを待つ。 火で目が幻惑されたのか、月が沈んだのか、辺りは
急速に暗くなっていく。 ポケットからチョコを一粒取りだすとゆっくりと齧りながら暫
く目をつむる。
瞼を上げると、そこには満天の星空。口の中で融けていくチョコとアーモンドの香を味わ
いつつ空を見上げる。
お湯の沸く音でケトルを見ると首が痛い、空を仰ぎ見続けたせいだ。 ケトルに茶葉と砂
糖をたっぷり投げ込みカップに注ぐ。 甘い茶で買ってきたサンドイッチを飲み込むと、
さっさと後片づけをしてリュックからシュラフを取りだす。 火が消えないように気をつ
けながら、シュラフに身体半分包まってまた暗い空の星々を眺める。 いつもこの瞬間に
何故だか楽しくなってくる。
[おうちにかえろう]4/4
自分の起こす音以外何も聞こえない、そんなゆっくりと過ぎていく時間と星座たち。時た
ま思い出したころに残りのチョコを少し齧りお茶を飲む。
何時しか長い闇が誰にも気付かれない程度に青くなってくるころ、火を消して荷物をリュ
ックに詰め戻すと、私は来た道を引き返す。 これから山を下れば駅に着くころには始発
の列車に乗れるだろう。 家に着くのは早起きの息子が週末で休みの夫を、寝かせておこ
うか起こそうかどうか悩んでいる頃だろう。ヒト族の夫は宵っぱりで朝が弱い。息子は私
に似て朝が早いのだ。 何時しか足取りが少しだけ速くなる。 さぁ、家に帰ろう。早く
二人に会いたい。 列車の中で寝れば大丈夫、遅い朝食は何を作ろうか?
そうだ、月曜日には彼女達に「チョコ美味しかったよ」と言ってやろう。
#どうも私の文章は「山無しオチ無し意味無し」になります(笑)
なんと!
絵も達者でSSも魅力的とは。
わたしゃこういう情景描写のSSは趣があって好きですよ。
お前さんのおかげで、旅に出たくなったぞい。
山野先生きた! アウトドア派のおばちゃんー
211 :
1/2:2008/11/29(土) 02:24:35 ID:HfIai7ya
「あ、これはこれは白先生」
「なんだ?」
「最近昼休みにここに来ること、多いっスね」
理科準備室にはいつもどおり白倉と跳月がいた。
鬱蒼と積まれる得体の知れない文献。
棚に並ぶホルマリン漬けの標本。
薬品のにおい、切れ掛かった蛍光灯。
ただならぬオーラに満ちた準備室に、白衣が三人。
「白先生も、理科準備室の空気に魅了されたんスか?」
「ちがう、蒸留水でコーヒー入れると美味しいから」
「ついでに、久しぶりに白衣三人で語らいません?」
「たまにはいいじゃないっスかぁ」
「断る、っていうか、二人とも何してるんっ!!」
手のひらサイズの巨大な磁石が机の上に。
そして、弁当を食べながらカエルを解剖する白倉。
「白先生も手伝ってください。デスクに磁石がくっ付いて取れないんです」
「跳月先生ドジっすよねぇ、へへへへへぇ」
「白倉先生もカエル切ってないで、ちょっと助けてくださいよ」
「だぁかぁら、バーナで焼いて磁気飛ばせばイイって言ってるじゃないスかぁ」
「いやです! 高かったんですよ? これ、ネオジムですよ!」
「じゃあどースるんでスかって話。 ねぇ白先生ぇ」
……くだらない。
「跳月先生ったら、なんで、そんなもん学校に持ってきてるんですか?」
「なんせ跳月先生、磁石フェチっスもんね」
「白倉先生も白倉先生! お弁当食べながら解剖って、おかしいです、やめたほうがいいです絶対!」
「ですよ白倉先生、そもそも、それは一体どこのウシガエルなんですか」
「スっごくリアルでしょ、これゴム製なんっスよぉ。 胆嚢の色がリアルだから衝動買いしたんス」
「メスは危ないからしまう!」
「はーい」
白倉はカエルの解剖セットをビニルの袋にしまい、立ち上がった。
立ち上がった拍子に、メスがデスクに落ち、スルスルと磁石に引き寄せられ、
そしてくっ付いた。
212 :
2/2:2008/11/29(土) 02:26:08 ID:HfIai7ya
「ああああ、メスがくっ付いちゃったっス!」
「白倉先生、刃物あぶなっ」
「なんだこの吸着力! とれないっス、とれないっスよぉ!」
「おちつけパンダ! 磁石に傷つけないで下さいよ!」
「だって! とれない!」
「刃物あぶないってば」
昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った
「二人とも、昼休み終わりましたよ」
「磁石が!」
「メスが!」
〜〜〜
「あ、山野先生だ」
「行動派だよねぇ週末だってのに」
「ねぇちゃんも見習えば?」
「ああ? 私はインドア派なの」
「チョコばっかり食べて、ふとr」
「うっさい!」
「延髄、痛っ!」
「なんか今日は、やけにご機嫌じゃないの、どしたの?」
「そうそう、今日の午後の授業、自習でラッキーだった」
「え? タスクも? 私も5限の物理自習だった」
「ふーん。でさ、ナガレが白倉センセの断末魔聞いたって言ってたから、なんだろうなって」
「ところで先生の尻尾って、結局何色だったの? 緑?」
今日も夕日がきれいだ。
213 :
寒がり ◆e48ruZS9lQ :2008/11/29(土) 12:22:19 ID:vA/RjQhw
いつも推理物らしきものを書いている者です。シリーズ分けしたほうがいいと思って、
wikiの方を編集させてもらいました。初めて編集して、いつもwikiを編集してくれる人の
苦労が分かりました。いつもありがとうございます。
至らぬ点などがありましたら指摘してもらえるとありがたいです。
>>212 弁当食べながら蛙の解剖・・・・本当に凄い先生だ。
蛙って確か鶏肉に味が似てるんですよね。淡白でおいしいかも。
いろいろ来てる!
ほのぼのミーシャ先生にドタバタ白衣コンビかw
メスに強力磁石は危なすぎるってw
おおかわいいな
横にいろいろ妄想のあとが見えるw
若頭は12歳キター!!!!
もう若頭シリーズでいろいろやるとか面白そうだw
アニメ化するぐらい人気のラノベなんだよな
ちょっと見ないうちにいろいろ作品が
みなさん乙です!
冬眠リザードマンのやつ、みんないいキャラだなー
これは続きが見たい
ところで、今雑談スレで厨名前について話してるの読んでて
ちょっと前の最初にフルネーム出してふりがな入れろっていう話題でもやもやしてたのは
初登場でフルネーム(ふりがな)%
途中送信したorz
続き
初登場でフルネーム(ふりがな)、そしてキャラの説明という流れが俺にとって厨臭く感じていたからだということに気づいた
名前の発音で、キャラのイメージって変わるんだよな。
たとえば、
山野先生は「マーシャ」だから優しそうなイメージだけれど、
もしも山野「ケイコ」先生だったら、てきぱきしてそうじゃないか。
名前と設定だけ初めに書かれると、しり込みしちゃって書きづらい。、
名前なんぞ無くとも実際にSS内で動いているのを見たほうが妄想が湧いてくる。
キッチリーダーはるかちゃんや不良のツインライオンズが良い例だねぇー。
だから、獣人スレの今の流れは間違ってないと思う。
ごめん、日本語でおkだな自分・・・
だよなー
姓名や設定よりいかにキャラが立ってるかのほうが大事
名字か名前片方しかないキャラでものすごくキャラが立っててイキイキしてるキャラ沢山いるもんな
塚本鎌田来栖の三人とか最初は名前すらないままSSになったしw
あの3人大好きww
いいキャラしてるよなー
特に鎌田いいな
ライダーかわいいよライダー
うん、まさか蟷螂獣人があそこまで萌えるものだったは
お気楽三人組vs鹿馬ロ
メガネ団vs白衣'S
と書こうとして眼鏡の多さに気付いた
白先生サン先生猪田先生英先生跳月先生八木先生校長先生ナガレきゅん
もしかして教師はメガネの方が多数派?
そういえば確かに
むしろ眼鏡軍団VS裸眼軍団が出来そうな気配
ナガレ君w
生徒に眼鏡って意外と少ないんだな
投下してもいいですか。
以前、登場させたヒカルくん、こういうことをさせてみました。
職員室で猪田先生が慣れない手つきで、デジカメの画面と勝負の付かないにらめっこをしていた。
大きな身体で、小さな機械を扱う猪田先生は、難解な推理小説を読んでいるような顔をしている。
しかし、その本には結末は書いていない。本はニシシと意地悪く笑う。答えはお前が導き出せ…か。
そんな猪田先生の姿を見ながら、ぼくは泊瀬谷先生との用事を済ませると、先生はにっこりと笑う。
「ありがとう。ヒカルくんのおかげで早く終わったよ」
「うん…」
泊瀬谷先生は少女そのままだ。ちょっとでもいいから、泊瀬谷先生から誉められるのは、やっぱり嬉しい。
誉められるとあまり表情が出ないといわれるぼくでも、尻尾を振ってしまう。でも、人にあまり見せたことはない。
ついてない日の最後には、いいことで終わりたいのは道理。何故なら、今日は同じ学年の女子・永遠花(ハルカ)から…
「ヒカルくんは、いつもお昼はパンばかりなんだね。全く、栄養が偏るよ!10年後のヒカルくんの身体を考えて御覧なさい!
たまには肉!肉をきっちり食べなさい!なんなら、星野さんを呼んで来ようか?りんごちゃん!でも、あの子怒らせると…怖いぞお」
と母親のようにお説教されてしまったからだ。実際、文化祭の時にハルカは割烹着だったので、それと相成って余計母親に見える。
ぼくは中等部のころ同じクラスだった時から、ハルカのことは少し苦手。彼女がぼくの母に似ているからだろうか。
あと、星野りんごは勘弁。
一方、泊瀬谷先生は上機嫌なのだが、ぼくにはどうしても気にかかることがあった。
猪田先生のデジカメと行動に興味が湧いて、職員室を去る前にそっと先生に近寄る。
「先生、どうしたんですか?」
「おお、犬上くんか。実はね、娘の写真を撮ったんだが…どうも画面が暗くてね。
折角だろ?きれいに残したいんだけど、撮ってしまったものはしょうがないよね…。うーむ」
小さな画面に映える猪田先生の娘さんは、愛くるしい晴れ着姿であったが残念ながら、
空気の読めない薄暗い冬の光りの罠に嵌っている。カチカチっと画面を切り替える猪田先生は、
どこかに一枚でもきれいに取れている画像がないかどうか、ぼくらがテストの問題を解くときのような顔をして探していた。
親心としては、娘さんの姿をきれいに残してあげたいのは無理もないお話し。娘さんは猪田先生にそっくりなのでなおさら。
モニタの中では、心なしか隣で微笑む奥さんの顔が映っているのに寂しく見える。出来ることなら、美しい笑顔にしてあげたい。
……そういえば、ぼくの幼い頃の写真は母と映っているものは、殆どないような気がする。
仕事で海を渡り、空を飛び、そして己の足で駆け回るキャリアウーマンの母は、家にいる時間はごく僅か。
人見知りの激しいぼくにとっての遊び相手は、家でもの書きをしている父親だけだった。
ぼくは、猪田先生のお子さんに対する気持ちは苦しいほど分かる。なんとかしてあげたい気持ちでつい、一言。
「…確か、サン先生の…」
「ん?呼んだ?」
耳をピクッと動かして、サン先生が椅子に座ったままくるりとこちらへ回転する。
以前にサン先生のPCで、フォトショップを立ち上げられている所をちらっと見たのだ。それを使わせてもらえば…。
サン先生にことを話してお伺いを立てると、尻尾を振りながら二つ返事で先生は快諾してくれた。
無数のボタンの配列や、蛍のように輝くLED、モニタの上の文字羅列、男子なら一度は機械なるものに興味は持つはず。
ぼくとて例外ではない。幼い頃から、PCに向かいカタカタと何かを紡ぎ出していた父の背中を見ていたぼくは、
ちょくちょく父のPCをいたずらしていた。それを見ていた母がぼくを叱る一方、父はやんわりとなだめていたことを覚えている。
そして、必ずぼくは母の尻尾にしがみ付き、「ごめんなさい」と謝るという思い出が甦る。
PCは幼かったぼくにとってオモチャ箱。小難しい細かい文字よりも、画面映えのよい絵の方がぼくにとっては、格好の遊び相手。
その為、特に気に入っていたのは、画像編集のソフト…そう、今、ぼくが目の前にしている相手だった。彼との付き合いは長い。
ぼくはサン先生のPCを今までにないぐらい食い入るように見つめていた。すごい…。
こんな最高のマシン…見たことない。どうして、サン先生はこんなマシンを手に入れているんだろう。
もっとも、サン先生なら不思議ではないことなのだが。プロのイラストレーターでも持っていないスペックだ。
猪田先生の願いと別に、ぼくもこんなマシンを扱ってみたいという願望が芽生えてくる。
伝説の宝箱を見つけたように夢中になっていたせいか、サン先生が呼びかけていることに気が付かなかった。
「ぼくも、まだまだ使いこなせない所もあってね。ヒカルくん、やってみる?」
「うん」とぼくは頷き、サン先生の許可を得てフォトショップを立ち上げる。モニタに大きな向日葵が咲き、しばらくすると準備完了。
しかし、友達は今日に限って『戦う相手』。きっと容赦はしてくれない。
ぼくは離陸前の戦闘機に乗る、家族を捨てたパイロットのような気持ちになる。
覚悟はよいか、背中にみんなの期待、両手に敵への不安。相手は笑わぬ機械たち。ぼくは一人で立ち向かう。
もっともパイロットのことは、本の中でしか知らないのだが。でも、そんな気持ちなんだ…ということは、お分かりだろうか。
猪田先生のデジカメから画像を取り込む。ファイルを開くと、グレーの画面に一輪の別の花が開く。
改めて、大きな画面で見てもウィンドの中の娘さん、光の量が足りなかったのか、全体的に薄暗くなっている。
とりあえず画面上部にあるコマンド、画質調節からレベル補正を選び、慎重にマウスを動かしてレベルを正し、
画像が白くなりすぎないように、画面全体を明るくしてみる。どうだろうか…。
「おお。結構明るく見えるね」
「……はい」
猪田先生、モニタを覗き込んで少し顔がほころぶ。やった、やったぞ。これだけでも明るく見えるのだが、
さらにその画像をコピーし二枚重ね、重なったレイヤー(画像)のモードを変換し、フィルタで少しぼやかす。
父もPCの前に座っている時は、きっと今のぼくのような気持ちなんだろう。とにかく、夢中だ。
ふと、我に返ると、画面の中の小さな子と目が合う。画面の上とは言え、ぼくはどきりとする。
……うん。出来た。思ったとおりの出来だ。柔らかく、女の子らしい写真の出来上がり。
「猪田先生…少し、ソフトフォーカスにしてみました」
振り返ると猪田先生ではなく、クラスの犬飼さんと目が合った。
いつの間にかに何人かの教師や生徒が、ぼくが写真屋さんをしているのを見物していたのだ。
「へえ!ヒカルくん…すごい!すごいね!!見直した…」
「…こういうの、好きだから」
お昼にお説教を食らわせたハルカが、いつの間にかぼくの後ろに居た。ハルカとぼくの母の尻尾が重なって見える。
ハルカもこのときばかりはいつもの『きっちりハルカ』を忘れて純粋な少女に戻り、ぼくの肩をポンと親しげに叩いてくれた。
PCなんてものがなかったら、ぼくはただの『本だけの少年』になっていたかもしれない。
機械いじりへの憧れはきっと、女の子に自慢する為に付いている男の子の本能なんだろうな。きっと。
PCを使って思い出すのは、父の笑顔と母の尻尾の温もり…。
「いやー、犬上くんありがとう!!家でもパソコンを買ったんだがどうも使いこなせなくてね、
妻や子どもたちは使い方をマスターしていくんだけど…、こんな使い方があったなんて知らなかったよ!」
「フォトショップは、なかなか入れませんからね…」
「なかなかやるね、ヒカルくん。ぼくは、絵を描くのにコイツを使ってるんだよ。
これがあれば、配布するプリントのクオリティが飛躍的にアップするもんね」
と、語るサン先生は流石だ。タブレットにスキャナ、MOドライブにこっそり増設されたハードメモリ。もちろんプリンタも最新式。
さながら先生の机の周りはまるでゲーム開発の現場のよう。ぼくもこのくらいの環境が欲しい。いや…ぼくの年じゃ、こんな環境…。
じっとサン先生のPC装備に食い入るように見ていると、それに気が付いたのかサン先生がぼくの肩を叩いて呼ぶ。
「ヒカルくん…、PCに興味あるなら、家にあるスキャナあげようか?前、使ってたものだけどさ。今、使ってるヤツはね、
電器屋で衝動的に買っちゃったんだ。安かったし、解析度もアップしてるしね。で、前のヤツが宙ぶらりんになっちゃったんだ」
「…そんな。高い物は…」
「いいよいいよ。使ってくれる人がいると、スキャナも喜ぶよ」
「折角だから、頂いときなさい」
猪田先生も勧めるので、今度スキャナを頂きにサン先生の家に伺うことにした。
ぼくが補正調節した猪田先生の娘さんの写真をプリントアウトし、猪田先生に渡すと大喜びしてくれた。
ぼくは一仕事を終えて、椅子から立つと泊瀬谷先生がふとやって来る。帰る途中なのか、トートバッグを肩に掛けて
ぎゅっと脇で挟んでいる先生。写真を見ると向日葵のように、ぱあっと明るくなりニコニコしていた。
「へえ!娘さんですね!お父さんそっくりでかわいい!!」
「そ、そうですか?性格は妻に似て、なかなかちゃっかりしているんですよ。生意気にもね、はは」
「息子さんはこの子ですね。猪田先生の奥様の遺伝子そのまま受け継いで、きっとイケメンになりますな。そもそもXX遺伝子は…」
ぶつぶつと生物の白倉先生が、ふむふむと興味深そうに覗き込む。
「泊瀬谷先生の小さい頃の写真は、さぞかし…ね!あはは」
と、尻尾を振ってサン先生。照れ笑いをする泊瀬谷先生は、トートバッグをさらにぎゅっとする。
「子供の頃の写真って、今見るとちょっと恥ずかしいけど懐かしいもんですよね。サン先生の小さい頃って…」
「見てみますか?確か、引き出しのCD-Rに…。あった!これだ、これだ」
無数のCD-Rが詰まった中から、一枚を引き抜きPCに読み込ませ、ピクチャを開くと幼い頃のサン先生の姿が映し出された。
しかしその画像を見ると、普段あまりものを言うことが苦手なぼくでも、どうしても言いたいことが出来てしまった。
「サン先生…、小さい頃から全然変わっていませんね…」
おしまい。
うん。サン先生は小学校高学年で成長止まってそうだ
未だにボーイソプラノだったりしたらいいなぁ
ヒカル君パソコンに強かったのか、これは意外
しかしサンスーシ先生はまた濃くなったなwww
PC関係までハイスペックなのかw
娘の写真のために悩むいのりんがかわいいなw
>>240 しっぽが!しっぽがもふもふーーーー
それぞれの先生達の小さい頃の写真とか見てみたい
>>244 まっくろくろすけでておいでー
重っ、軽いように見せかけて実は凄く重いぞ白倉先生の過去
パロディいいねー
白倉先生=黒ちゃんか
おk把握
しかし、その幼馴染の話はトラウマ物だな
まさかのボスラッシュwww
パロ描きたくなる気持ち、わかるw
なんかあだながまっくろくろすけっていうのがツボった
>向日葵
ってことはエレメンツかなー
佳望学園生徒・教職員一同
猫:白先生、泊瀬谷先生、帆崎先生、コレッタ、黒、三毛、保健委員姉妹、ナガレ、トオル、ハルカ、花音、更紗
犬:サン先生、ヨハン先生、英先生、タスク、アキラ、犬飼、モエ、ヒカル、琉海、田中校長
狐:悠里
狼:舞、眠兎、丈
爬虫類:猛、利里、時雨、ヘビ君
虎:流虎
うさ:跳月先生、りんご、いいんちょ
クマー:山野先生
パンダ:白倉先生
猪:いのりん
鳥類:佐藤先生、伊織、関村
昆虫:鎌田
馬:塚本
鹿:来栖
牛:牛沢先生
やぎ:八木教頭
こうもり:朱美
あざらし:水島先生
人間:時任先生、卓、康太、祥子
不明:剣道部部長
猫と犬が圧倒的に多いようです!
誰か忘れてるキャラがいたらゴメン
「ようこそ、数多の戦に勝ち残りし軍神達よ。ヴァルハラへの道は君達に開かれた」
厳かにそう言ったのは、寒風吹き荒ぶ屋外のプールサイドにピッチピチのブーメランパ
ンツ一丁で仁王立ちしている水島先生だ。所謂“ガチムチ体型”の水島先生は1ミリも寒
さを感じていないかのようだった。
「あ、ありえねー!なんでジャンケン勝ったのに、こんなクサレ寒みー中プール掃除なん
だよ!」
塚本が、ガタガタ震えながら文句を言った。
「ふ、うふふ‥‥塚、本……僕、身体、の、震え、が……治まっ、て、き、たよ……?」
筋肉の痙攣発熱すら止まりかけている鎌田がうずくまる。
「ライダー!死ぬなー!」
塚本は歩くユニクロ状態のもこもこした鎌田を抱き起こした。
一方、鎌田の生態を知らない水島先生は、
「はっはっはっ、鎌田を見習え塚本。震えが治まってきたそうだぞ?やはり心に正義を燃
やす熱い男は違うな!はっはっはっ」
ヤケに元気いっぱいだった。
「アホかハゲ!ライダーは死にかけてんだよハゲ!ハゲ!」
「あ゛?」
誰がハゲだと。
一瞬、水島先生はキレかけたが、本当に死にそうなライダーを見て呆れた風に溜め息を
フーと漏らした。
「まったく、今年も一般生徒は戦力外ばかりだな。まぁいい、いつも通りにやるさ。皆、
でてこーい!」
水島先生の轟々とした掛声に呼応するように、プールサイドの更衣室の扉が開いた。駆
け足で出て来たその人数、男女合わせて20人。構成人員は白熊、ペンギン、トド、アザラ
シ、セイウチ、果てはイルカにシャチまでも。その全員が全員、本来夏に着て然るべきで
あろう水着を身に纏っている。服を着ている塚本と鎌田が変に見えるくらいだ。
先頭を切って出て来た白熊が身振りで全員を整列させ、一斉に声を張る。
『水島先生!今年も宜しくお願いしゃーっす!』
20人が声を合わせて挨拶をする。
「うむ、今年も張り切って部活に励もうぞ!《寒中限定水泳部》の諸君!」
水島先生は女子の方向をずっとチラ見しながら檄を飛ばした。
寒冷地使用の肉体をフルに活用すべく発足された寒中限定水泳部は、寒さに強い種族の
生徒に結構人気の部活なのだ。
「……も、俺達帰って良い?」
衰弱して無抵抗になった鎌田からコートを奪って羽織りながら、塚本は鼻を啜った。
そろそろ鎌田が死ぬかもしれない
>>250 やっぱり豚とかゴリラとか人気なさそうなのはいないんだな
>>253 ブタさんのかわいい絵はうpされたことあるよ
かわいいっつーかかっこよかった
いのりんは豚みたいなもんだが普通に可愛いと思う
>>255 それ、兵士っぽいやつのこと言ってない?
小さいポーチみたいの抱えた女性のブタさんも居たじゃん
>寒中限定水泳部
想像するだけでかき氷を一気食いした時の様な頭の痛みと寒気がw
白熊いいな、もふもふしてて暖かそうで
鎌田は冬の間中、無駄に体温高そうなキャラの背中に張り付いてればよくね?
週末ごとにこのスレ読むのが楽しみで仕方ない自分がいる
花沢先生と山野先生、伊織先輩が大好きなんだぜ
・・・と思ってたら山野先生の話と絵が来てる!!!!
自分も時々、真夜中にバイクで山の上まで行って空を眺めたりたりするので
こういう気持ちはなんとなく共感できたり
小説、絵の作者様、どちらも乙です
>花沢先生、山野先生、伊織先輩
お前巨乳好きだろ
>>254 それは知ってるよー
ケモ学シリーズにはいないのねってことね
>>256 豚と一緒にされるいのりん可哀想w
猪と豚は吻と毛皮の有無くらいしか違わないと思う
犬と狼ぐらいは違うかな? と思って
猪と表記した自分、250です。
263 :
静かな図書館:2008/11/30(日) 15:33:36 ID:9+x9P/Pt
和賀甲介(わがこうすけ)は、手に取った紙を見て思わず溜息を吐きそうになった。
その紙には、新規購入調査票とタイトルが書かれており、その下には本のタイトルが幾つか記載されていた。
「予想通り……だな。」
「それを言うならガメラ先輩も同じですよ?」
「うるさい。それにそのあだ名は止めろ。咬むぞ。」
紙を置き、向かい側にいる象人に向かって口を上下させて鳴した。
ワニガメの様に鋭利な形をした口は、何でも噛み砕く。
その威力を痛感している象人は、逃げる様に一歩下がった。
「や、やだなぁ。冗談は止めてくれませんか。」
「フン、本当に図体だけは無駄にある中学生だな、ババール。」
「あ!先輩だってオイラのあだ名使ってるじゃないですか。後、オイラがでかいんじゃなくて、先輩がちい……」
ババールもとい、羽場大吾(はばだいご)が反撃に出ようとした時、和賀がまた口を鳴らたため、押し黙ってしまった。
慎重は実際の所、和賀は小学生並に低く、羽場は2mを超えている。
「たく……比取(ひとり)はどうだ?」
「あの、これです。」
和賀は、隣にいたペンギン人の比取に話しかけると、彼は恥ずかしそうに紙を差し出した。
「んーと……これじゃあ俺達と変わらないな。」
呆れと自虐が入り混じった声に、比取は、顔中が赤くなってハイっと小さく応えた。
「しかし比取は、本当に絵が好きだな。初等なのに凄いな。」
比取が紙に書いたのは、絵本と有名絵画絵師の作品集でばかりであった。
因みに、和賀が選んだ本は、歴史及び軍事小説物。羽場が、ファンタジー中心のライトノベルである。
「良いじゃないの。新しい本が増える事には変わりないんだから。」
司書室から4人分のジュースを持った人間の女性が現れ、三人に渡しつつ紙に目を通すと、和賀に笑いかけた。
「お、織田さん……」
「言いたい事は分かる。でもリクエストボックスにちゃんと他のがあるから大丈夫よ。」
織田は、近くにあった箱の中から紙を数枚取り出し、和賀に渡した。
紙には、三人のジャンルと全て違った物のタイトルが書いてあり、安心するかと思いきや、怪訝な顔をするばかりであった。
「こ、この筆跡……」
「そうなのよ、ねぇ。」
織田は、何故か溜息を吐いてしまった。
理由は、リクエストを人物にあった。
リクエストと書いたのは、全て教師の人達であり、合同図書館にも係わらず、生徒からのリクエストは一切ない。
これは今回のみならず、毎回同じ結果になっているのである。
「みんな、本に興味が無いのかしら?」
「そ、そんな事ないですよ!?オイラ達の他にちゃんと利用している生徒はいますから。な、比取?」
「は、はい!」
テーブルに突っ伏して泣き言を呟く織田に、羽場が懸命のフォローをかけ、話を振られた比取も懸命に頷く。
「でも今は俺達以外いないんだよな。」
和賀の溜息交じりの小さな一言に、全員が凍りついた。
今日も静かに合同図書委員会が終わろうとしていた。
何か書くって難しい
キャラ紹介の文章を考えていた方がずっと楽だったよ
補足説明
和賀は、高等部の生徒。文で分かるとおり亀人
┌─────────
│・新規購入調査票
├─────────
│ 若頭は12歳
│
└─────────
委員長は図書館に来ているようです
┌─────────
│・新規購入調査票
├─────────
│ おいしいジビエ料理
│
└─────────
料理する気満々です
「…………ふう」
晩秋から冬へ移り変わろうとしている時期の、ある日の昼下がり。
窓際の席に座る朱美が、何処か遠い目で窓の外を眺め、溜息を一つ。
その様子は何時もの明るい天然気質な彼女から想像できないくらいに暗い物であった。
「なあ、さっきから朱美、如何したんだろうな? 悪い物でも食ったのか?」
「馬鹿、お前じゃあるまいに、んなくだらない理由でああなる訳ないだろ、利里」
その様子を横目に、卓と利里の何時もの二人がひそひそと話をする。
「それに、身体の具合が悪いにしても、1週間ほど前からあの状態ってのはおかしいだろ?」
「あー、確かにそうだな―」
付け加える様に言った卓の言葉に、納得行った感じに返す利里。
そして、利里は何か思いついた様に卓に言う
「ひょっとすると、朱美が溜息付いてるのって、恋の悩みなのかもなー」
「……っ! ま、まさか……そんな訳は……」
「あれ? 卓、如何したんだ―? すっごく驚いてるみたいだけどー」
思わず最悪な想像をしてしまい、動揺を隠せずに思いっきりうろたえる卓。
だが、利里はそんな親友の動揺の理由が分からなかったらしく、不思議そうに首を傾げる。
「あれは……恋する乙女の目だな」
「………っ!! そ、そんな筈は……って、獅子宮先生、何時の間に!?」
「あ、先生ー。まだ授業の時間じゃないけど如何したんだ―?」
後から掛かった声に二人が振り向くと、
其処には咥えタバコ(火は付いてない)に右目に黒の眼帯をした、
現代社会を教えるライオンの女教師、獅子宮 怜子(ししみや れいこ)の姿があった。
そして、彼女は驚く卓といまいち状況を理解していない利里に向けて、冷静淡々と言う。
「私が何時来たかとか、まだ授業の時間では無いとか、
そう言うくだらない事は如何でもいい、問題はあれを見て少年達は如何動くかだ」
「そ、それは……」
「えー? 如何するって言われても、先ずは訳を聞くかなー?」
思わず言葉を詰まらせる卓。そしてのん気に答える利里。
それを前に、女教師は隻眼の目を瞑ってうんうんと頷き。
「良し、ならば少年達に代わり、今から私が彼女へ黄昏ている理由を聞きに行ってくるとしよう」
「おう、俺達の代わりに行ってきてくれるのかー、助かるぞ―」
「え!? ちょ、せんせ……あ……行っちゃった……」
言って、卓が止める間も与えず獅子宮教師は尻尾を揺らしながら、未だ黄昏ている朱美の元へと向かう。
そして、不安げな卓を余所に、彼女は朱美と二言三言会話すると、直ぐに踵を返し二人の元へ戻ってきた。
続き待機
「彼女から、黄昏ている理由を聞いてきたぞ」
「で……先生、如何だったんだ?」
「俺も気になるぞー」
別々の理由で興味津々な二人に対し、
彼女はわざと焦らす様に天井を見やった後、二人の方へ向き直り。
「ああ、どうやら今、彼女はゼロ、とか言う者の事が気に掛かっているらしい。
しかも如何も、今月の終わりにそのゼロが遠い所に行ってしまうのでな、さっきから彼女はあんな状態らしい」
「おお、朱美が恋心を抱く人が居たんだなー、驚いたぞー」
「な、なんだって―!? そ、そんな……」
淡々と言った獅子宮教師の言葉に、利里は素直に驚き。
そして卓は何処ぞの編集部員の様な声を上げた後、がっくりと机に突っ伏す。
彼女はその様子を微笑を浮かべながら眺めた後、項垂れる卓の肩にポンと肉球のある手を置き
「まあ、待て、卓少年。 まだ挽回のチャンスはある」
「……え?」
「そうだな、今月の終わりに彼女を旅行に誘ってみると良い。
旅行と言っても新幹線に一駅ほど乗る程度の小旅行だ、金もそうは掛からないだろう」
「それだけで良いのか……?」
獅子宮教師のアドバイスに、僅かながらに希望を感じた卓は顔を上げて答える。
「ああ、それとその時に乗る新幹線の車両はなるべく古い……そうだな、丸っこい団子っ鼻の車両にすると尚良いだろう。
それをやれば彼女の卓少年に対する印象は鰻登り間違い無しだ」
「う、鰻登りか……分かった、やってみる!」
徐々に勇気を湧き上がらせた卓は遂に立ちあがり、決意の炎を燃え上がらせる。
そんな卓の背を後押しする様に獅子宮教師がポンと叩き。
「分かったなら直ぐに行動だ。さあ行け、少年、迅速な行動は恋愛において何よりも大事だぞ」
「ああ、言われなくても! アドバイス有り難う、先生」
「ふふ、その意気だ」
そして、早速朱美の元へ向かう卓の背を眺め、
してやったりな笑みを浮かべる獅子宮教師に向けて怪訝な物を混じらせた眼差しを浮かべた利里が問い掛ける。
「なあ、先生……本当の所は如何なんだー?」
「ん? 本当の所は、と言うのは如何言う事だ?」
しれっと誤魔化す獅子宮教師に、利里は更に指摘する。
「いや、だからさー。先生がさっき言ったゼロとか云々は嘘だろー?」
「くく、利里少年は見た目に比べて意外に鋭いな、驚いたよ。
実は言うと、彼女が想っているゼロと言うのは人間でもケモノでもないのだよ」
「じゃあ、ゼロって一体何なんだー?」
鋭い利里の指摘に、彼女は僅かながら驚いて見せた後、
早速デートの誘いをしているであろう卓と朱美のやり取りを微笑を浮かべて見やりながら、利里の問い掛けに答える。
「東京オリンピック開会の年に生まれた、高度経済成長時代を支えた立役者の一つさ」
「………?」
今度こそ彼女の言葉の意味が理解できなかったらしく、利里は不思議そうに首を傾げた。
その数日後の11月終わりの日曜日、
カメラ片手に喜ぶ朱美の横で、卓は彼女が黄昏ていた理由を知り、
同時に、獅子宮教師に一杯食わされた事を痛感したのだった。
支援
11月30日の今日、あの名車が引退するのを知り、早速書いて見た。
ついでに出した新キャラの獅子宮教師は食わせ物な女なイメージを思い浮かべると良いかも
……つか、文化祭のSSが大幅に遅れているのに何をやっているのかと自問自答。
ゼロってあぁ0系か新幹線と聞いたらあの形しか思い浮かばない自分はもうおっさんなのかなと思いつつうp乙です
鉄ヲタ魂炸裂w
新幹線?よくわからないがノスタルジックななにかなのか
鉄ちゃんではない俺も
幼少時から乗り物図鑑等でよく見たあの形には親しみがあったな
なんとなくケモのマズル的な感じもしないでもないような
白倉先生と豚っ娘きたー!!!
ちょwwそのカエルの内臓はww
昨日から大規模規制がきてるみたいだねー
他のスレの書き手さんも規制されてる人がいた
>>277 その解剖セットはww
>>280 な、なんだってー!!
しかし、規制されてる人多いんだな
アイパッチに痺れるー
286 :
寒がり ◆e48ruZS9lQ :2008/11/30(日) 23:32:08 ID:uBLNkEgK
短いSSを投下します。本編とは一切関係ありませんのでご注意
ある晴れた休日。突然流虎が遊びに来た。こういう時に、二人が集まると何故か決まって行われることがある。
「ちょ、何だこの地下迷宮。これアドベンチャーゲームだったよな。」
「ああ、そこは鬼門だから気をつけろ」
通常、押入れの奥にしまわれているゲームを引っ張り出し二人で楽しむ。懐かしいゲームは、2人以上でやると意外と
おもしろいものだ。
「・・・駄目だ!疲れた!他のゲームにしよう!」
流虎がゲームのコントローラーを投げた。惜しいところまで行ってたのにここでひだりにまがれという落書きに素直に
従ったものだから余計ややこしい事になったじゃないか。まあ、反応を見るのがおもしろいから言わないけど。次にひ
っぱりだしたゲームはRPG。電源を入れて起動すると・・・
「・・・何これ。いきなりフィールド画面に放り出されたんだけど・・・しかもプロローグ的な物は無いのか?」
このゲームは・・・うん、何とも言えない。まずゲームバランスがおかしい。最初の雑魚敵から中ボス級の敵が出てきた
りするし最初の町は超能力とやらで隠されているし。案の定、流虎はゲーム中最強の魔法を使う雑魚敵にいきなり遭遇
してしまった。
「ちょ・・・こんなの倒せるわけないだろ!にげないと・・・」
「言い忘れていたが・・・そのゲーム逃げるコマンドなんて無いぞ?」
「!?」
画面の中で一人の戦死の命が尽き、現実では即効でコントローラーが投げられた。子供の頃、これを母さんから小学校に
入学したお祝いとして買ってもらってあまりのゲーム内容の酷さに涙したことがある。次に引っ張り出したゲームはアクシ
ョンゲーム・・・プロローグムービーもボイス付で豪華だ。
「・・・何で敗走中に偶然見つけた遺跡のなかにとにかく入ってみるんだ?せっかくだから赤の扉を選ぶって何がせっかく
なんだ?コードネームに本名を露出してるけど意味あるのか?」
「流虎。世の中には突っ込んだら負けという言葉があってな・・・・」
ガンアクションものなので銃を構えてスタートした。
「うおっまぶし。何だよこれ、撃つたびに画面が光るのかよ!」
しかも撃っても照準がずれてるというオマケ付き。子供の頃、これを母さんから誕生日プレゼントとして買ってもらって
あまりのゲーム内容の酷さに涙したことがある。流虎がまたもコントローラーを投げたので気を取り直して次のゲームに。
「おお、これは本格的だな。」
長いプロローグを終え、わたしの ゆうしゃとしての ちがさわぐ!という表記とともに本編が始まった。
10分後・・・・
「・・・なあ、これ最初の扉が開かないんだけど・・・」
「・・・・どこかに鍵があるから探してみろ。」
ダンジョン探索をするゲームなので閉じた扉の鍵は自力で見つけなければ。それから五分後、鍵を見つけて扉を開け、
次に進む。扉を開けた次の部屋には、本が置かれていた。ダンジョン探索型のゲームはとりあえず調べるのが鉄則。
流虎がその本を調べると・・・
「・・・え?何これ、何で本を調べたら落とし穴にはまるの?」
「・・・・・そういうゲームだからさ・・・」
子供の頃、これを母さんからクリスマスプレゼントとして買ってもらってあまりのゲーム内容の酷さに涙したことがある。
「・・・・もう、帰っていいか?」
「・・・・ああ」
懐かしいゲームを引っ張り出して遊ぶという行為は、時に人のトラウマを引っ掻き回してしまうことがあるのだ・・・
分かる人にはわかるかもしれないネタ。ゲーム名はあえて伏せてあります。
分からない人には大変申し訳ないネタですみません。
暗い話を書いていると気分転換にこんな下らない話を書きたくなるという罠
なんでこんなゲームばっかりw
これ母さんわざとだろ
母さんのゲーム選びセンスに絶望した
獣人なら「オオカミおんなの エサと なってしまった」ときに
人間とはまた違った感想を持つんだろうな
結構有名どころなので一本目のソフト以外は何かわかった
しかしこういうゲームで育つと耐性が付いて逆に他のゲームを楽しめるかも?w
「ア○サガ?解体真書買ってシステムさえ理解すれば結構奥深いよね音楽もいいし」
「聖剣○説4?聖剣らしさは無いがムチの扱いにさえ慣れればパニック祭りだよ、そこまでが長いけど」
「ゼノ○ーガEP2?コンボが上手く繋げられりゃいける
ああキャラデザとシナリオ?もっと悪い作品なんていくらでもあるさ」
シリーズブレイカーとしてのクソゲーと真のクソゲーとは似て非なる物ですぜっ
あと半分で終わりの予定。
ていうか間空いちゃってサーセン
キープしといたtxtファイルを紛失して結局下書きを元にして書き直してました
とは死んでもいえない
そういや名前云々の話題で思い出したけど、フォスターの姓出してなかったや
別に分からなくても支障はないけど一応補足しときます、ウェルデリアです。
>>215 貴方とはいい酒が飲めそうだ
ウルカが超タイプですわ
>>219-222 何という俺
いい大人がベソかいちゃうぞ☆
「とりあえず、どうする?」
「どうするったって…もう行くアテないんだろ?」
クロンファートでの異常気象。
あれは全てビリアルデの幹部と名乗るウルカという女の仕業だった。
何のためにあんな事をしたのかは定かではないが、何にしろバグに関しての件は結局振り出しに戻ってしまった。
「まぁ、どの道日は暮れちゃったんだ。明日に備えて休もう。」
「…そうね。」
長かったような短かったような。
今日という日は過ぎ去る準備を始めようとしていた。
ひとまず目に留まった大きな木の近くに腰を下ろした。
「今日はさすがに飯抜き…よね。」
シンディは空を見上げながらお腹に手を当てて言う。
「…だな。はぁ…規則正しく三食摂りたい。」
「ワガママ言わないの。…あれ、ソフィは?」
「……あれ、いねぇ。さっきまでいたよな…?」
どうりで随分静かだったわけだ。
ここまでの道のりはずっと一本だったから、はぐれたって事はまずないだろうが…。
「道端で蝶でも見かけたら追いかけていきそうなタイプよね。」
それは言えてる。
「しょうがない。探してくる。シンディはここにいて。」
「いってらー。」
と、俺がよっこらしょと立ち上がる前に
「オーイ!!」
ソフィが手を振りながらこっちに来ているのが見えた。
まったく心配かけさせて。18なんだからもっと自覚というものをだな――
「そこの林にピピールの巣あったから捕まえたよー美味しいよー。」
袋いっぱいに詰められた赤黒い生き物を差し出す。
前言撤回。
貴女はボクらよりしっかりした救世主たんです。陰口言ってサーセン。
そのピピールという小型の生物は、こんがりと焼くと良い香りを放ち、
とてもやわらかい食感で大変美味な肉だった。
正直今まで食べたどの肉類より美味い。
「ありがとうソフィ。なかなか頼りになるわね。」
「そんなーこれ見つけたのはグーゼンだよーグーゼーン」
ソフィは笑いながら後頭部に手を置く。
「美味しかったけど、ちょっと可哀そうだったかな…。」
「何言ってるのザックスくーん、ピピールは作物を食い散らかす悪い子なんだよー」
「えっそうなの?」
ソフィの話では、ピピールは時期を問わず畑の作物を食い荒らしに来ているらしい。
更にそれだけではなくピピールの歯には植物を枯らせてしまう成分が含まれているため、
ほんの一口でもかじられようものなら、その作物はあっという間にダメになってしまうそうだ。
ピピールはいわゆる『害獣』として、全力で完全駆除に向けて対策を進めているとの事だ。
その対策の一つに『いっそ食べてしまう』という項目があるわけで、
レストランには『ピピールの和風ソース和え』なんてメニューが普通にあるらしい。
それにしてもよく知ってるなこの子は。
さすが狩人。意外と彼女をパーティに入れたのは大正解だったかもしれない。
「んで何だっけ……そうだ、これからどうするか考えてたんだ。」
「あぁ、そうだった。…でもいくら唸っても案なんて出ないわ。」
二人揃って腕を組み考え込んでいると、後片付けを終えたソフィが言った。
「ハイハーイ!迷える子羊サンに朗報有りだヨー!」
「え、もしかしてアテがあるのか?」
ソフィは自分の胸をドンと叩いた。
「二人ともブレッガーって人知ってる?」
「あぁ、ちょっと前にスタークラフトって飛行船の開発に協力した人だろ?」
「私もそれ知ってるー。凄く頭良いんだってね。」
スタークラフトは今までの飛行船の十倍速く、静かな機械音で低燃費。
完全に実用化したら地上での交通手段は廃れてしまうのではないか、とテレビで大々的に放送していた。
そのスタークラフトの推進力・軽量化に貢献したのがグレイ族のクレート・ブレッガー。
若くしてとある科学研究所の長を担っているらしい。
…テレビで見たとは言ったが、これも設定、偽の記憶ってヤツなんだろうか。
はぁ、自分で自分が信じられなくなるなんて。もう堕ちたなこりゃ。
「聞いて驚けぇっ!なんとそのブレッガー君とこのあたし、ソフィ・バーティニーとは大の仲良しなのだー!!」
不覚にもちょっぴり驚いてしまった。
「友達…なのか?」
「そりゃもーマブだよマブ!アカデミーで二個上の先輩だったんだー」
彼女がそんなコネ持ってるなんてとんだ伏兵です。
俺は一体何回驚けばいいんですか。
「あ…もしかして、そのブレッガーに話を聞きにいく…って事か?」
「ピンポンピンポーン!」
「なるほどね…私はそれに賛成。わからない事は物知りに聞けばいいってコトよね。」
確かにそうだ。彼なら何か知っているかもしれない。
確実性はないが、どの道右も左もわからない身だ。
今はワラにでもすがる思いで行動するしかない。
俺達は明日、朝イチでクレート・ブレッガーのいる大都市、アグラヴェインへ向かうことにした。
――ふむ。今日で家を出てから三日目か。
ぐっすり寝るつもりだったが早朝に起きてしまった。
辺りは微妙に明るくなっている。
ソフィは木の根元でスースー寝てる。
寝顔見てやろうか、と思ったがそれは無理な話だ。
何故なら今回の寝ずの番はシンディなのだから。
ぐっすり眠ってる女に男が近づこうものなら、もれなく彼女の鉄拳が……。
あれ?
…シンディが…いない。
あいつ…どこ行ったんだ?
また「ゴフジョウ」か?
……なんというか、俺は世話焼きなのかな。
気付いたら目をこすりながら起き上がって、彼女の事探してたよ。
――!
いた…ビックリさせやがって。そんな離れた所でもないじゃないか。
平たい岩の上に座って、太陽が昇ってくる方を見つめている。
朝方の微妙に冷たい風によって、彼女の美しい髪がなびく。
……あぁ。これはアレか。感傷に浸ってるのか。
ここからではどんな顔をしているのかは分からないが…。
普段あんなにギャーギャー言う人がする行為とは……思えん。
うん、我ながらちょっぴり失礼だったな。
…どっちにしろお邪魔だよな。
その内戻ってくるだろうから、こっそりおいとm
「ザックス…?」
おーのー気づかれた。つーか何で気付いた。チクショー
「何こそこそしてんのよこの豚が」と罵倒されながら空の彼方にぶっ飛ばされている俺の姿が目に浮かぶ。
腹くくれ俺。歯ぁ食いしばれ俺。心の準備は出来たぜ。さぁ来い!
…来ない。
ずっと岩に座ったままこっち見てるだけ。
「何やってんのよ。こっち来れば?」
……その顔は怒るどころか、笑っていた。
――ふむ。今日で家を出てから三日目か。
ぐっすり寝るつもりだったが早朝に起きてしまった。
辺りは微妙に明るくなっている。
ソフィは木の根元でスースー寝てる。
寝顔見てやろうか、と思ったがそれは無理な話だ。
何故なら今回の寝ずの番はシンディなのだから。
ぐっすり眠ってる女に男が近づこうものなら、もれなく彼女の鉄拳が……。
あれ?
…シンディが…いない。
あいつ…どこ行ったんだ?
また「ゴフジョウ」か?
……なんというか、俺は世話焼きなのかな。
気付いたら目をこすりながら起き上がって、彼女の事探してたよ。
――!
いた…ビックリさせやがって。そんな離れた所でもないじゃないか。
平たい岩の上に座って、太陽が昇ってくる方を見つめている。
朝方の微妙に冷たい風によって、彼女の美しい髪がなびく。
……あぁ。これはアレか。感傷に浸ってるのか。
ここからではどんな顔をしているのかは分からないが…。
普段あんなにギャーギャー言う人がする行為とは……思えん。
うん、我ながらちょっぴり失礼だったな。
…どっちにしろお邪魔だよな。
その内戻ってくるだろうから、こっそりおいとm
「ザックス…?」
おーのー気づかれた。つーか何で気付いた。チクショー
「何こそこそしてんのよこの豚が」と罵倒されながら空の彼方にぶっ飛ばされている俺の姿が目に浮かぶ。
腹くくれ俺。歯ぁ食いしばれ俺。心の準備は出来たぜ。さぁ来い!
…来ない。
ずっと岩に座ったままこっち見てるだけ。
「何やってんのよ。こっち来れば?」
……その顔は怒るどころか、笑っていた。
「…シンディが物思いに耽るなんて、ちょっと意外だな。」
「失礼ね。私だって悩みの一つや二つあるわよ。」
俺はシンディの真前にあった小さな岩に腰掛ける。
どんな悩みなんだ?と聞いてみるところだと思ったが、生憎俺は口下手だ。
それらしいフォローをしてあげられる自信が全く無い。
だから敢えて聞かなかった。
といっても、聞いたところで教えてくれない可能性もあるわけだが。
しばらくはそんなとりとめのない話が続いた。
「あー……ザックス?」
「ん?」
シンディは突然流れを切った。
その言葉は何ともぎこちない口調だった。
「その…なんていうか……ごめんね」
「…え。ど、どうしたんだよ急に。」
何故か謝られた。ホントにどうしたんだ。
何だか俺、ここ最近ビックリしすぎ。あと何回ビックリすれば気が済むんだ。
「いや、ホラ。ほとんど何も知らないアンタを連れ回してさ、無茶言ったり…してたから、うん。
私一人で…旅してれば良かったよね…。」
ホントにどうしたんだ…予想もしない言葉ばかり飛び交う。
言い終わるとシンディはうつむいていた。
チクショー出やがれ慈悲の神様。俺は何て言えばよろしいんですか。
…しばらくの沈黙の後、俺は口を開いた。
「シンディが突然現れて突飛な事言ってきた時は驚きもしたし、信じられなかったさ。今は違うけど。」
「…………。」
「でもさ、迷惑だとは思ってない。むしろ感謝してる。」
「!」
ここでようやく顔を上げてくれた。
「だってシンディは俺を助けに来てくれたんだろ?わざわざリュネットから。
実際あの時来なかったら、ホントに死んでたかもな。ハハッ。
フォスターだって追っ払ってくれたわけだし。あの時の俺じゃ敵いっこなかったよ。
……だからさ、別に謝んなくていいよ。今結構楽しいしね。
逆に俺が言わなきゃな…。あの時は言えなかったけど、ありがとう。」
はぁ…はぁ…よくやった俺。自分でもナイスフォロー。ありがとう神様。
まぁ、思いつきではないんだけど…ね。
「……ザックス…私……私は」
「うわああああああ置いてかれたあああああ寝坊してごめんなさあああああああ!!!!」
突然叫び声が、それは紛れも無く一人で寝てたソフィの声だった。
「…やっべ。放置プレイかましてた。」
「…フフ。おしゃべりが過ぎたわ。戻りましょ。」
シンディは俺を軽く小突いて先に行ってしまった。
何か言いかけてたのは気になるけど……これで良かったのかな。
俺も戻るとしよう。ソフィはなだめてあげるのが大変そうだ。
「もー!!ひどいよ!!」
「ごめんごめん。」
半べそかいてた彼女をなだめると、次はやはり怒り出した。
「すごく心配して淋しかったってのに、二人きりでデートなんて!!」
「ちょ、それは違」
「何よーもー!二人で勝手にイチャついてろー!」
ソフィはプリプリしながら先に行ってしまった。
うん、二人で勝手に赤面してる。
よく考えると、あながち間違ってはいないよな。
なんて言ったらシンディに何されるかわかんないから無論黙ってたけど。
誤解を解くのには街に着くまでの時間全てを費やすハメになった。やれやれ。
支援っ
>>300ミスった('A
なんで毎回ミスるんだ俺は
「…シンディが物思いに耽るなんて、ちょっと意外だな。」
「失礼ね。私だって悩みの一つや二つあるわよ。」
俺はシンディの真前にあった小さな岩に腰掛ける。
どんな悩みなんだ?と聞いてみるところだと思ったが、生憎俺は口下手だ。
それらしいフォローをしてあげられる自信が全く無い。
だから敢えて聞かなかった。
といっても、聞いたところで教えてくれない可能性もあるわけだが。
しばらくはそんなとりとめのない話が続いた。
「あー……ザックス?」
「ん?」
シンディは突然流れを切った。
その言葉は何ともぎこちない口調だった。
「その…なんていうか……ごめんね」
「…え。ど、どうしたんだよ急に。」
何故か謝られた。ホントにどうしたんだ。
何だか俺、ここ最近ビックリしすぎ。あと何回ビックリすれば気が済むんだ。
「いや、ホラ。ほとんど何も知らないアンタを連れ回してさ、無茶言ったり…してたから、うん。
私一人で…旅してれば良かったよね…。」
ホントにどうしたんだ…予想もしない言葉ばかり飛び交う。
言い終わるとシンディはうつむいていた。
チクショー出やがれ慈悲の神様。俺は何て言えばよろしいんですか。
…しばらくの沈黙の後、俺は口を開いた。
「シンディが突然現れて突飛な事言ってきた時は驚きもしたし、信じられなかったさ。今は違うけど。」
「…………。」
「でもさ、迷惑だとは思ってない。むしろ感謝してる。」
「!」
ここでようやく顔を上げてくれた。
「だってシンディは俺を助けに来てくれたんだろ?わざわざリュネットから。
実際あの時来なかったら、ホントに死んでたかもな。ハハッ。
フォスターだって追っ払ってくれたわけだし。あの時の俺じゃ敵いっこなかったよ。
……だからさ、別に謝んなくていいよ。今結構楽しいしね。
逆に俺が言わなきゃな…。あの時は言えなかったけど、ありがとう。」
はぁ…はぁ…よくやった俺。自分でもナイスフォロー。ありがとう神様。
まぁ、思いつきではないんだけど…ね。
「……ザックス…私……私は」
「うわああああああ置いてかれたあああああ寝坊してごめんなさあああああああ!!!!」
突然叫び声が、それは紛れも無く一人で寝てたソフィの声だった。
「…やっべ。放置プレイかましてた。」
「…フフ。おしゃべりが過ぎたわ。戻りましょ。」
シンディは俺を軽く小突いて先に行ってしまった。
何か言いかけてたのは気になるけど……これで良かったのかな。
俺も戻るとしよう。ソフィはなだめてあげるのが大変そうだ。
「もー!!ひどいよ!!」
「ごめんごめん。」
半べそかいてた彼女をなだめると、次はやはり怒り出した。
「すごく心配して淋しかったってのに、二人きりでデートなんて!!」
「ちょ、それは違」
「何よーもー!二人で勝手にイチャついてろー!」
ソフィはプリプリしながら先に行ってしまった。
うん、二人で勝手に赤面してる。
よく考えると、あながち間違ってはいないよな。
なんて言ったらシンディに何されるかわかんないから無論黙ってたけど。
誤解を解くのには街に着くまでの時間全てを費やすハメになった。やれやれ。
ごめん今日ミスりすぎだ 何やってんだ俺
何というかまぁ、これが都会ってヤツなんだろうか。
アグラヴェインに到着するなり、車輪のない車が多く徘徊し、巨大な電子掲示板がドンと置いてあり。
そこには実際には見たこともないものだらけだった。
そして見渡す限りの人、人、人。
首が痛くなる程高い建物。
嗚呼、我典型的な田舎モン也。
二人を見ると、特に驚いている様子もなく、しれっとしていた。
ソフィはまだ分かるが何故シンディまで…。
俺が非常識なだけなのか。
「ほら何してるのー行くよー」
ボケーッとしている俺を見て、背中をグイグイ押すソフィ。
ぶっちゃけちょっと和んだ。
ブレッガーがいるという研究所は、ずば抜けてでかい点を除けば周りの建物とさして変わらない地味な風貌だった。
まぁ、俺の町エーダインにはこんなの無かったんだけどな。
「着いたのはいいけど、中に入れさせてくれるのか?」
「大丈夫だって。あたしがパスポートだよ」
そうは言うが、仲が良いってだけで入れてもらえるほど世の中は甘くないんだぜ、ソフィさん。
なんて言う暇もなくソフィはさっさと行ってしまった。
「ま、行くだけ行ってみましょ。」
「…そうだな。」
確かにここでモジモジしてても仕方がない。
俺達もソフィに続いて中に進んだ。
「だーかーらー!ブレッガー君は友達なんですってばー!」
「そんな事申されましても……。」
あらら、やっぱりこの展開ですよ。
ソフィがカウンターに身を乗り出して、ロビーの人ともめている。
だからそんなに世の中は甘くないんですよ。
そろそろ勘弁してあげてください、ソフィさん。その人困り果ててますよ。
と、その人は突然後ろを向いてパソコンをカタカタといじる。
おいおい、警備員でも呼ばれるんじゃないか、ヤバいって。
……だけどそれは違ったようだ。モニターにブレッガー本人の顔が表示される。
《どうした?》
「ソフィと名乗る女の子が、ドクターに会わせろと聞かないんですが……。」
《えっ……》
モニターをチラリと見るなり、ソフィは叫んだ。
「あ!オーイ!!ブレッガーくーん!」
もう、何てデカい声だ。手までブンブン振って。何だか恥ずかしくなってきた。
《…その声…本当にバーティニーか。》
「ほ、本当に知り合いなんですか?」
《あぁ…通してやってくれ。》
「!ですが…ドクターは今」
《分かってる。だが来るなと言っても聞かないからな、そいつは。》
「しかし……。」
《ま、スパイみたいな事するヤツではない。サーモスタットの件は俺が責任を持つ。
5階の休憩室で待っていると伝えてくれ。》
「…了解。」
「どうやら、話はついたみたいね。」
「まったく…ヒヤヒヤしたよ。」
本当にソフィがパスポートとなった。まさかこれほどすんなり入れるとは。
「お待たせしました。5階の休憩室でドクターがお待ちです。」
「イェーイ!さぁ2人とも!行こー!」
しかし彼女の親は、ちゃんと躾というものをやってあげたのだろうか…。
「ひっさしぶりーブレッガーくーん!」
「まったく全然変わらんな、バーティニーは。」
茶髪に黒縁のメガネ、テレビで聞いたあの声。
彼は間違いなくグレイ族のクレート・ブレッガーだ。
そういえば実際のグレイ族そのものに会うのは、彼が初めてかもしれない。
頭が良くて背が低い、という事しか聞いていなかったが、それは本当だったようだ。
彼は俺達より遥かに背が低い。1メートルあるかないかって感じ。
「ん、そっちの2人は?」
ブレッガーは入口で立ち尽くしていた俺とシンディに気付いた。
「…あ、初めまして、ブレッガーさん。シンディです。」
「ザックス・・です。」
「あー、いいよいいよ敬語は。俺そういうのニガテなんだ。あと俺の事はドクターでいい。」
ふむ、思ってたより軽いんだな、このヒトは。
『知の業界』っていうの?そういう所のヤツらは、みんなお堅いんだろうとばかり思っていた。
「ハハ、そりゃ偏見だな。仕事の時以外は、皆が皆こんな感じさ。」
ブレッガーはそう言いながらコーヒーを注ぎ、俺達に差し出した。
「んで、何の用でここに来たんだ?『遊びに来たヨー』ってワケじゃあるまい。」
「……実は」
俺はこれまでの事を簡単に話した。
ハッキリ言って非科学的だ。ハナから信じてもらえる話だとは俺でも思っていない。
ソフィみたいな子ならともかく、相手が博士とあっちゃあなおさらだ。
一通り話し終わると、彼はコーヒーを一気に飲み干した。
「……。」
正直、笑われると思っていた。バカじゃねーのかと、有りえないだろと。
だがその予想は音もなく崩れ去った。
「…そうか。」
「え、信じるのか…?」
「わざわざそんな遠くから嘘をつきにくるとは思えん。」
意外と話が通じるヒトのようだ。心底安心した。
「……大陸レードの消滅事件は知っている。公には発表されていないが。」
「どうして?これは大変な事よ。このランセルが消えないとも限らない。」
「……昨日それに関しての会議に出席した。あちこちの学者や研究員が集まって様々な説を主張してきたが、
さすがに突然跡形もなく消えてしまうような現象は、今までの事例から考えて有りえないし、考えたことも聞いたこともない。
結局その件は謎に包まれ、世間に公表する事を固く禁じてその会議は終わった。」
…なるほど。確かに彼の言い分には納得せざるを得ない。
あれから3日も経つのに、ちっとも知れ渡っていないのはそのせいか。
「それにしてもゲームの世界、か。さすがに想像したこともない。」
「だがそれは――。」
「あぁ、完全に否定はできないな……。そうだと仮定すれば辻褄が合う。」
ここまですんなり受け入れてもらえるとは思わなかったな……。
聞ける事は全て聞いておこう。
「じゃあ魔法も?」
「その件は理論上不可能ではないな。本当に使える者は限られているそうだが。
俺もそれは実際に見たことはある。」
「え、そうなのか?」
こんなそこらの町より何年も先を行く街にいる立派な博士が、魔法を肯定してるなんてなあ。
彼はどこか違う・変わっている、いや、新しい考えを持っている?
「なに、そう難しいものじゃない。今現在考えられているのは、『陰陽五行』ってヤツがあってだな――」
「…ストップ。長くなりそうな話は勘弁してくれ。」
「ム、そりゃ残念。中々興味深いものなんだが。」
知に生けるヒトの興味深い話などたまったもんじゃない。
日が暮れても続くに決まっている。
「じゃあ突然地が割れた、あの亀裂は?」
「そいつは多分『ファンディエ』だろう。自然現象だ。」
マジかよ。あんな危ないものまで自然現象にノミネートされてるのか。
何らかの前兆がある竜巻とかよりよっぽどタチが悪い。
「……これの説明は」
「結構です。」
これも長くなるだろう、絶対。よっぽど話したかったのか、ブレッガーはちょっぴりうつむく。
「えーと、それで本題は何だっけ?」
「とにかく最近変わった事が起こっている場所か何かを知っていたら教えてほしい。何でもいい。」
ブレッガーは顎に手を当て、カラになった紙コップを見つめる。
「…そうだな……。」
換気扇が回る音しか聞こえない、この静寂の時間。
どうにもこの感じは俺にとって苦痛だ。
「ここランセルと隣の国、ローナンとが睨み合っているのは知っているな?」
そういえばシンディがそんなこと言ってたな。
「実はつい最近までは、特に仲が悪かったわけじゃなく、普通に貿易も行なっていた。
……コトを吹っ掛けてきたのは向こう側からだった。」
「何をしたんだ?」
「輸出入する品物の価値がそっちと釣り合わない、と不満を言ってきた。
こっちにしてみれば言い掛かり以外の何でもない。品物の額そのものは、大きな差が出ないように出しているつもりだったし、
それで向こうも納得していた。誰かに感化されでもしたんじゃないかと思った。」
……それで険悪な関係になってしまったのか。
そう言われてみれば、フィンで見た市場の品揃えは、はっきり言って良い方ではなかった。
恐らくローナンとの貿易をしていなかったからなのかもしれない。
「じゃ!決まりだね!目指せローナン!」
ソフィはバっと立ち上がり、窓に指を突きつける。
「おいおい、そうは言ってもここからじゃローナンまではかなり遠いぞ?時間が掛かりすぎる。」
「それなら大丈夫だ。」
ブレッガーはネクタイを締めなおしながら言った。
「実は例のスタークラフトの試運転日が今日なんだ。目的地はローナンの工業都市、コルネリ。」
「え?乗ってもいいの?」
「他にも大勢乗るが、定員オーバーには程遠い。お前達3人くらい余裕で乗せられる。
……それに例えダメだと言っても聞かないヤツが約一名いるからな。」
ソフィの目はキラキラと輝いていた。
あぁ、こうやって彼女は彼を困らせていたんだろうな、今までずっと。
嫌いってワケではなさそうだが、彼はソフィが苦手そうだ。
「運転手には俺から話をつけておく。気にせず乗ってくれ。」
「わかった。恩に着るよ。」
「ワーイ!シンディちゃん!!空だよ空!」
「空か…初めての体験ね。良い思い出になりそうだわ。」
まったく呑気なモンだな。コトは深刻、まだ何が起こるかわかったものじゃないのに……。
やれやれ、まぁせっかく乗せてくれるんだ。どの道それ以外にアテはなさそうだし、
ここはお言葉に甘えて……。
「…ザックス、だったっけ?」
「!」
キャーキャーはしゃぎながら部屋を出る二人の後を追おうとする俺を、ブレッガーは呼び止めた。
「……俺はアクマでも研究者、科学の進歩に貢献していかなければならない身であって、
科学的説明も証拠もない発言をするのは、研究者にとって物笑いされて当然な行為だと思う。
それを踏まえた上での発言だと思って、これから言うある一言を、お前の頭の隅にでも置いておいほしい。」
…突然どうしたんだ?でもそんな言い方されると気になってしまう。
「………何だ?」
「この世界には、神がいる。」
支援
あれさるさん?
んー
とりゃー
「…どういうことだ?」
「ここがゲームの世界だと仮定して考えた、いくつかの仮説の内の一つでしかない。その『いくつか』の中で最もそれらしい仮説を言った。
証拠もないし科学的説明もできないが根拠はある。」
「……逆にその他の仮説の方が聞きたいね。」
ブレッガーはカラの紙コップを片づけ始めた。
少々間をおいて俺はまた聞いてみる。
「何故そう思った?それに……何故俺にそんなことを?」
一瞬ブレッガーの表情が曇ったような気がした。
「……ゲームなんてのは自然現象なんかで出来るようなものじゃない。100%間違いなく人為的に創られたものだ。
そこから考えたのは、この世界の創造主の存在……故に神、って感じだな。」
確かに世界を創るなんてのは、誰が何人いれば――なんて話では到底納まらない。
そうなるとやはり神がいるのだろうか……。
「後者は……愚問だな。」
「え?」
「俺を誰だと思ってる。ここに来た理由、質問や話の内容、これまでの経験。
これだけ材料が揃っていれば、お前の立ち位置くらい容易に分析できる。」
……見透かされていた。天才は侮れん。
「間違いなく一番の受難を被るのは、世界の中心であるお前だ。
だがこの先、辛くても逃げ出す行為だけはするな。運命を受け入れろ。」
運命……。
「……分かった。」
「…それだけだ。呼び止めてすまなかった。」
「いや、意味のない話ではないと思うよ。それより試運転って事は今日初めて飛ばすんだろ?
大丈夫なのか?墜落しないだろうな。」
「ッハハハ!そりゃ暴言だな。この俺が設計したんだ。その時は俺もそこの窓から『墜落』してやる。」
「こりゃ失礼。それじゃ、ありがたく乗せてもらうよ。」
「ボン・ヴォヤージュ。」
俺は軽く会釈して部屋を出た。
ボン・ヴォヤージュ、『良い旅を』か。
本当に、良い旅になりゃあ大歓迎なんけどな。
あーヒドい目にあった
ミス投稿したばっかりに('A
支援して頂いてるのに投稿できないってのは俺だけなんでしょうかね
支援力が足りなかったみたいだ
すまん
そういう問題なんすかwwww
どう見てもミス投稿した俺が悪いとですさーせん
ミスなんてよくあることさ
途中の二人のラブ展開で思わずニヤニヤ
おお続き来てる
投下乙です!
あぁ、やっと規制解除されました、長かった… 別回線も規制にかかってました。
>>277転載有り難うございます、お手数をおかけしました。
カエルの解剖セットは、私が買ったときは3990円程度でしたが、今は1999円位で
売ってるようです。 内蔵とかの手触りがモニュモニュして物凄く気持ち良いので、
お奨めですよ。
規制解除おめでとう!
モニュモニュの内臓ってww
規制解除おめです
手触りが気持ちいい内臓…
>>319 おお!いつもの絵師さんが帰ってきた。
何故に週末に規制が現れるのだろう…と、自分も何度も規制に巻き込まれて辛酸を舐めたことかと、
そんなことを思い出しながら新作お待ちしています!!
やっと規制おわたー
書きたい連絡事項とかたくさんあってやきもきしてた
―チラシの裏的な―
>>323 よくよく考えたら単発扱いでよかったんですね、ケモ学のSSでそのまま勘違いしてました
だって自然にケモ学の中に馴染んでたから…という訳で移動させました、指摘感謝です。
それと難解な日常シリーズの方を、勝手ながら編集させていただきました。
それと編集に関しての事なんですが、自分自身真似してる部分が多いので、
編集例を参考にしつつ、真似してみるのがいいのでないかなぁ、と。
>>323 ちょwww塚本www
そして若頭は12歳すげぇぇぇぇぇ!!!
これはGJすぎる!!
規制の際にはレス代行スレもよろしくね!
>>326 これはいいフリフリww
>>323 >>326 お二人とも乙!
そういう部屋って大抵物置と同じ扱いになるよなw
しかし、若頭は12歳の世界がだんだん見えてきてワクワクする
これひとつのシリーズとしていろいろ見てみたいな
牛沢先生はさすが元祖いいおっぱい
塚本の馬のおにんにんがw
実験道具室兼理系科目担当教師用職員室という物置がw
つーか綾近かっこいいなぁw
どんだけ解剖モデルのカエルさん大好きなんすかw
牛沢先生ゴツカワイイ!
英先生はぁはぁ
熟女の色香ハァハァ
>>265・266
2限目が終わった休み時間。和賀の制服の内ポケットに規則的な振動が発生した。
和賀は、慌てる事無く教室を出ると、人気のいない場所に移動し、ポケットの中から携帯電話を取り出した。
画面を見るとメール着信のアイコンが付いており、メールを開くと和賀は、眉を顰めた。
「緊急委員会?」
メールの送信者は、司書の織田からであり、『三人一緒に絶対来る事!』と打ってあった。
珍しい、と思った和賀は、『分かりました。』と返信し、教室に戻るついでに羽場と比取に声をかけていった。
放課後。三人は図書館に入ると、既に委員会の定位置に座っていた織田が気付くと、激しく手招きをした。
何事かと顔を見合わせた三人は、急ぎ足で席に座ると、織田は何も言わずに何かををテーブルに置いた。
それは数日前に見た新規購入調査票であり、全部で二枚あるそれはキチンとタイトルが記入されていた。
「?この調査票は、何ですか?」
「羽場君、よく見てみなさい。」
言われた通りにもう一度、今度は注意深く見た羽場だったが、特に変わった所が無かったので余計分からなくなってしまった。
「こ、これは!?」
「も、もしかして!?」
和賀と比取は、突然後退りを始め驚愕の顔を浮かべていた。
まだ分からない羽場は、急に仲間外れなった事に不安になり、縋る様に和賀の肩を捕まえた。
「せ、先輩!あれに何の秘密が隠されているんですか?!」
「お、お前はあれが何なのか分からないのか?」
「分からないから聞いてるんです!」
「あ、あれは……生徒からの……リクエストだ。」
その言葉に織田から皮切りに、四人の声にならない叫びが図書館中に響いた。
至福っ・・・・・・
図書委員会の夢…‥
法悦‥‥垂涎の至福………
嬉々として騒ぐ羽場
至福の叫び‥‥
比取‥‥
ただ突っ立ってるだけ…
至福の傍観……
無論和賀も……
至福っ……
桃源郷を彷徨うが如くの圧倒的至福っ‥‥
開放っ‥‥
織田も‥‥
狂喜乱舞っ……
咆哮…歓喜…感涙…嗚咽…‥感動…‥そして…‥
感謝っ…‥
圧倒的感謝っ‥‥
そうだ……この調査票によ和賀達は成し得たのだ‥‥
図書委員会‥‥奇跡のリクエストを‥‥!
「それでは発表するわよ。」
至福の時から一時間後。和賀達は、もう何杯目か分からない缶ジュースをテーブルに置き、盛大な拍手が巻き起こった。
「まず一枚目は……あら?」
いよいよ発表されると思いきや、織田の疑問の声にそれは中断されてしまった。
「どうしたんですか?」
「『若頭は12歳』って、この間入れた本よね?」
唐突に聞かれ、和賀は懸命に思い出そうとしていると、羽場がすぐさま答えた。
「それならオイラ覚えてますよ。表紙がマンガっぽくて印象に残ってましたので。20Aの棚にあります。」
「そうよねぇ。もう一枚は……」
織田がもう一枚の方を見ると、何故か泣きそうな顔になった。
「ねぇ、『おいしいジビエ料理』って本もこの間入れた覚えがあるんだけど……」
その言葉に、今度は比取が答えた。
「あ、はい。それなら10のCにあります。」
何という事であろうか。リクエストされていたものは、既に購入されていたのであった。
この図書館は途轍もなく広い。何かに例えるならビッグエッグと同等の広さである。
それ故に、生徒は置いてある場所を探しきれなかったから、無いと思ってリクエストされたのだった。
「い、今までの喜びはい、一体……」
四人は、魂が抜けてしまった様にその場に立ち竦んでしまった。
そして今日もまた利用者は、指に数える程しかいなかった。
>>330-331 ┌─────────――――――――┐
│ ・新規購入調査票 |
├─────────――――――――┤
│ モン○ターハ○ターP2G攻略本 |
│ |
└─────────―――――――ー┘
朱美「珍しく利里君が図書館に行ってるなーと思ったら……これを出す為だったのね」
卓「つか利里、お前は図書館を何だと思ってるんだ?」
利里「だってさー、漫画本があるならこれも良いかなってー」
卓&朱美『良くない良くない』
利里「ダブル突っ込みされたー!?(ガビーン)」
>>331 わたしのリクエストした「若頭」はどこにある。
あれだけ探しても見つからない。これだけ利用者に不親切な図書館、図書委員の資質が問われるぞ。
こういう所は、きっちりしてくれないと。
いや、借りようと思って探してるのではない。ただ『そこにある』というだけで、ニンマリしてしまうファン心理。
日常に潜む僅かな隙間に、『わたしだけが知っている』という独占欲。
ま、にわかの読者には分かりまい。
…しかし、この図書館。寂しすぎるね。この孤独感は第2巻の『母(姐さん)の背中』を思いだすね…。ゆみみ、寂しかったんだろうな。
┌───────
│新規購入調査票
├───────
│公務員試験テキスト
└──────
塚本「うー、いてて、金的とかねぇよな……アレ?どこいってたんだライダー」
鎌田「ん、警察官とか正義の味方だなぁー、と思ってね」
塚本「はぁ?」
投下いっぱい来てる!GJ!
図書館利用者激増w
純粋な気持ちで本を借りるという者がほとんど居ない気もしてきたぞ!
本とか好きそうなイメージあるキャラが生徒にも先生にも少ないよなぁw
心から本が好きなのってヒカル君くらいしか思いつかんな…
他は教師・生徒含めてエロ本やら漫画本やら雑誌やら攻略本やら何やら
好きそうだw
きっとまだあんまりキャラ立ちしてないキャラの誰かが本好きだったりするよ、きっと
∧_∧
(´∀` *) 候補に選ばれますた
U θ U 当日はインフルエンザでやすみます
/ ̄ ̄T ̄ ̄\
|二二二二二二二|
| |
パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ
パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( )】 ( )】 ( )】 【( ) 【( ) 【( )
344 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 17:57:34 ID:kjZTZiRv
こんなスレにも余波が…
暫く見ないうちに投下いっぱい来てたのな
物語に出てきていないだけで、休み時間は図書室に引きこもりっきりの
万年図書委員な奥手ブンガク少年・少女はどこかにいると信じたい
そして仲良くなった年若い司書の先生と青春のランデヴー
>>343 、_人_从_人__/
_)
,..r;;: ( 人) ) ,;`ー、 | ヽ丶 _) 消 エ イ
ヾゞ、 ゞ'´ '`´ `ヾ、 ─|─ _) 毒 ン ン
-‐':、ゞ'`` ,l / | ヽ _) だ ザ フ
ヾ、 ゞ;;. ,r-、 `ヾ、 ヽ、 _) l は ル
, rヾ ,r!/r'ヽ '` \ _|_ _) っ
_,,,.,ノ、_ ヽ, `ゞ;; ;:、 /| `) !
,r‐'''" ,.r ,イ彡ミミヾ、 `` ´;;i V^V⌒W^Y⌒
__,.;;,ィ'´ ,:;;;;彳彡ミ;j`、 `i;:、 オ
;; ヾ、彡;;;ノリ;jjjjj;;;jr' i . ノ;;:'' `゙`、 ``ー、 ,ィ
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;レ ,t'´ ,.、ー、 ゝ ォ i|l;
;'イ;;;'ヾ``ヽ、ィ;;i ,ri'´ ヽ ヾノ ,ry' il'Y゙r ヽ、 ,j|l;;
j'´ '´ '´/ゞ';;::`´ヽ ``´ー ゙i ;;: ,r' ) ,r、 ,rヾlir'ミ,
/ ,;:' '´/ ー≡;i{、 /ヾr'´ ,. '`;;:、 〉ゝ r-ー-、_ ,{i=i= }i、
ーr-、j ,! ,;',;'ィ;;:イ''``ゞ、_,、-‐'´ヽ:;/ 、 ``ヽ ;:、 `' (´ `ゞ、;;;;'',,fi、,≡:;イ==、
,,:' ``ゞ、,;;ゞ、 "´イ ,... `'彡 ,/´ `ヾ、ヾ ' ー、 ii;j `i;;!'´ニil';;;;ゞr、_,r'ミ
' ー‐─ ,rー'゙ー─-、_j;:r'´ ヾ,ゞ 、 ゞ,ミ;:l;;l ,! ,!,i;;'´¨/
;. r-‐;;'"} ``ヾ、 ノ ,;;;: (i,;)))、,,:;!、__,:};!_,.、l
.... _,,,ィ、 i 'ヾ人 、}( / ノ ,r'i r'"ヾ-‐i‐-:;イ, / ヾ
┌─────────――――――――┐
│ ・新規購入調査票 |
├─────────――――――――┤
│博士の異常な愛情〜または私は如何に |
│ |
└─────────―――――――ー┘
(……記入欄が狭くて書けない)
原爆ライドとはまた懐かしい。
>>332-334 今日の授業が終わり、何時も通り図書館に来た三人は、カウンターで溜息を吐いている織田を見つけた。
「また、何かあったんですか?」
「……これ。」
和賀が声をかけると、ほぼ投げやりに織田から渡されたのは、またもや二枚の調査票であった。
「えーと何々?『モン○ターハ○ターP2G攻略本』と『公務員試験テキスト』?」
「えと、どっちも前に買ってる本です。」
羽場が読み上げ、比取が答える。そこで三人は、気付いた。
生徒が、また場所が分からずじまいでリクエストされた、という事に。
「利用者が増えている事は、素直に嬉しいのだけれどね……」
再度溜め息を吐く織田。
気持ちが分かる和賀は、かける言葉が見つからなかったので、また調査票を見るとある事に気がついた。
「ん?この筆跡……」
どうやら誰が書いたのか分かった様で、次第に怒りを露わにし始めた。
「先輩、書いた人分かるんですか?」
「ああ……あいつ等、明日噛み付いてやろうか。」
「な、何を言ってるんですか。病院送りは止めて下さいね?」
末恐ろしい事を口走る和賀に慌てた羽場は、嫌な予感しかしなかったので、懸命な説得を始める事になった。
数分後。何とか羽場の功績のお陰で、説教で終わらせる事で落ち着いたのであった。
「しかし、何か対策しないとな。」
「その件何だけど……」
織田は、新たな調査票を一枚、今度は困った様に差し出した。
その紙には、御丁寧に委員名と名前が書いてあり、中身については、最もな意見と理解出来そうで出来ない内容が書
かれていた。
「何なんですか?この人?」
「俺に聞くな。」
和賀と羽場は、呆れと疲れが入り混じった溜め息を吐いた。
その時、比取にある変化が訪れていた。
「この人、借りて、くれな、い……」
比取は、今直ぐにでも泣きそうな顔をしており、目には涙が溢れ返ろうとしていた。
「待て待て待て、比取!この人はそういう意味で書いた訳じゃないぞ!」
「そうそうそう!この人は本がある事を楽しみにしているだよ!」
「だから泣くのは止めよう?ねっ?ねっ?」
それに漸く気付いた三人は、慌てて比取を懸命に宥め始めた。
比取は、一度泣き始めると泣き疲れるまで絶対に泣き止まない。
それに加え、泣き続ける時間が途轍もなく長い。短くて三十分、長ければ数時間以上泣き続ける。
そうならない様に三人は、懸命に宥めるのであった。
「と、取りあえず、検索用の簿冊を作るしかないわね。」
「で、ですね。」
十分かけて比取を宥める事に辛うじて成功した三人は、意気消沈となり、簡単な解決策を出す事で委員会は終了し
た。
比取萌え
大きい本屋とか図書館行くと思うけど
本の場所を検索するもんとか無いと大変だよなぁ
意外なとこにうもってたりするし
埋もれてるのを探すのが楽しくなったら末期
ヒカル君はきっと図書室っ子だ。
とりあえずリクエストした生徒にはその本を渡してあげようぜ
流れを読まずに投下します。 学園の隅っこでこんな話もあるようです。
[あにといもうと]1/3
授業の後にそのまま駆け込んだアルバイトからやっと開放されて帰り着いたのは、もうそ
ろそろ小さな子なら母親にベッドへと追い立てられる時分か。 アパートのドアを開ける
とあまり広くもない部屋のすべての電灯が煌々と灯っている。いつものこと、妹が居るか
らだ。 二人分の食器の並べられたダイニングテープルの横をぬけて妹を探すと、案の定
これも点けっぱなしのテレビの前に置かれた古びた小さなソファーの上で小さく丸まって
眠りこけていた。これもいつものことだ。
そして僕はソファーの横に立ち、いつものように妹の寝顔を見つめながらしばし思いに耽る。
父が死んだのは妹が幼稚園ぐらいの頃だったか。ずいぶん長い患いだった様に思えるけど、
こないだ数えてみたらそうでもないようだ。妹はもうほとんど忘れてしまっているらしい。
それから母は僕たちふたりを育てるために働きずくめだ。もうずいぶんと母がゆっくりと
休んでる姿を見たことが無い。だから家事は僕たちふたりの役割だった。おかげで僕も妹
も家事全般は大概こなせるようになった。「たいへんだね」と他人に言われるけれども、
あまり実感はない。ずーっとこうだったか『こういうものなんだ』と慣れてしまったのだ
ろうか。
ただ、母が夜遅くまで働きに出るようになって、ふたりきりで母の帰りを待つ部屋が妹に
は怖かったらしく、少しでも灯の点いてない場所が有ることを嫌がり、あちこちの電灯を
つけまくって居た。夕方になり日が陰ってくると、妹とふたりで部屋の電灯のスイッチを
ひとつひとつ点けて廻った。妹が先にスイッチまで走り、僕が従い、届かないスイッチに
は抱えてあげ、ひとつひとつ。おかげで電気代が大変なことになり、そのために僕たちは
テレビを観るのを我慢することになった。かわりにふたりで絵本を読んだり話をしたりし
て過ごすことが毎日の日課になっていった。母が帰ってくる頃にはふたりしてソファーの
上で丸くなって眠っていたらしい。すべての灯の点いた部屋の中で。
いつしか妹も灯がなくても我慢できるようになり、馬鹿みたいにあちこちの電灯を点けっ
ぱなしにすることも無くなったが、それでも僕らはあまりテレビは観ずに、寄り添ってソ
ファーの上で本を読み話をすることの方が多かった。アイドルだのマンガだのでクラスで
の話題についていくことよりも、妹ととりとめもなく話をしてることの方が楽しかったの
だ。おかげで我が家のテレビは買い替える必要が無いのでずいぶんと旧式だ。
学校の帰り道に買い物をし、食事を作り後片づけをする。風呂を沸かし洗濯をする。部屋
を掃除する。毎日は繰り返され、いつまでも続いていた。
[あにといもうと]2/3
秋の日、妹が中学三年生、放課後の校舎の裏。僕は偶然、妹が告白されている場面に居合
わせてしまった。あまりらしくもない場所で妹の姿を見かけ、声をかけようと窓に手をか
けようとしたその時に、すぐ横に立つ男の姿に気づいて僕の身体は凍りついた。そのまま
立ち尽くす僕の耳に男の声が響く。好意を告げ、答えを尋ねる。妹は何か答えたのだろう
か、僕の耳は僕の鼓動の音でいっぱいで何も聞こえない。先生、変ですよ、僕の心臓は頭
の中にあります。 あまりのうるささに目を閉じると、瞼の裏は真っ赤だ。僕はゆっくり
と崩れるように窓を背にして廊下に座り込む。普段ひとの通らない廊下で良かった。僕は
その時に自分の気持ちに気づいてしまった。閉じた瞼が熱い。赤い視界はいつしか真っ暗
になっていった。この気持に気付いてはいけなかったんだ。
日の暮れた廊下で僕はずいぶん長いこと泣いていた様だ。妹が待っている。帰らなければ。
自分の気持が整理できず頭のなかでぐるぐると渦巻く、熱にうかされたようなどうにもフ
ワフワした感覚のまま部屋に帰りつく。このままで妹に顔を合わせられるだろうか? で
も、なぜだろう、玄関を開けた瞬間にまるでスイッチが切り替わったかのようにいつもの
僕、いつもの兄になっている。ちゃんとしてる。不思議だ、僕はこんなことが出来るのか。
妹の作った料理を食べ片付けをし風呂に入ってソファーでくつろぐ。変わりないいつもの
日常だ。このままやり過ごせれば、きっと明日にはこの感情のスイッチはロックできるだ
ろう。僕の気付いた事はそのまま心の奥底に隠してしまえるだろう。 ふと見上げた先に、
ソファーの端に腰かける妹の何か問いたそうな目が有った。 その目に、耐えられずにス
イッチが、廊下で泣いていた僕に切り替わる。
あの男とは付き合うのかい? 問い掛けに妹は目を丸くする。しばらく黙って僕を見てい
た妹はゆっくりとかぶりを振る。 なぜだい?知ってるよ、あの男は評判のよい男だ。ス
ポーツも勉強も出来、誠実で真面目だそうだ。何が不満なんだい? 僕は妹にそう問いか
けながらだんだん不安になる。答えを聞いてはいけないんじゃないだろうか? 妹は答え
る。ゆっくりと、話始める。そうだ、妹はとうの昔に気づいていたんだ。
[あにといもうと]3/3
次の春、妹が高等部に入った時から僕はアルバイトを始めた。 三年になってからのアル
バイトに、担任も母も不安を漏らしたが、何とか説得して許しを得た。 始めるに当たっ
て出された条件は、大学の推薦がが得られる成績を維持することだった。 時間が有った
ためなのか、僕と妹は成績は良かった。これを維持できるのなら続けてよい、下がったら
即刻バイト中止と言う約束になった。 そして結果はもちろん成績はちゃんと上位のまま
だ。このまま頑張れば推薦は得られるだろう。
大学は県外の医科大学を選んだ。さしあたっての必要な金はバイトで稼いでおくつもり。
それに奨学金を得られれば何とかやれるだろう。医者になれば母を安心させてやれるかも
しれないし、何時か、きっと役に立つだろう。
バイトを始めて僕の帰りが遅くなったら、部屋中の電灯をつけておく妹の癖が再発したよ
うだ。そして僕の帰りを妹は食事をせずに待っている。ふたりで食事をして後片付けをし
て、ソファーで話す。たとえ僅かでも妹はこの時間を手放そうとはしない。そして、僕も。
「お兄ちゃんが大学に行ったら寂しくなる」「だから私もアルバイトして、旅費を稼いで
お兄ちゃんのアパートの掃除に行くね」と妹は言う。 そうだ、僕は家を出る。そして、
妹も、いつか。
この企てが知られればとても母は悲しむだろう。そして、その先にもっともっと悲しませ
ることになるかもしれない。きっと僕らを許してくれないかもしれない。だから誰にも知
られないように、僕らは計画する。母が悲しまないように、母を苦しめないように。
僕はマンクスだ。そして妹も母も父も。 両親には短いながら尻尾が有ったが、僕ら兄妹
はランピーだ。そして、僕らの遺伝子は子供を生かさない。 もしも妹があの男と結ばれ
れば、きっとかわいい子供を得られただろう。僕らの血からは母に孫を抱かせてやること
を望めない。 悪魔に祝福された血なのかもしれない。 でも僕と妹は気づき、悪魔と契
約することを選んでしまった。
尻尾の無い尻をそっとたたき、妹を起こす。不機嫌そうな顔で目を覚ますが、僕を見つけ
てニッと微笑む。「お帰りなさい」。 笑顔を見ながら僕は思う。引っ越したらすぐにバ
イトを始めよう。そして最初にちいさいソファーを買おう、と。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00489.jpg
これはGJ!!!
思わずマンクス ランピーで検索してしまったけど
無尾のマンクス(ランピー)同士だと無尾遺伝子が致死遺伝子になるから絶対子供が生まれないんだね
もぐらさん!!
手がおおきいなー
確かに暗いとこにいそうなイメージw
モグラ? それともヒミズ?
本が顔に近いのは視力悪いせいかな
ヒミズってなに?
何をしているだァー!ww
ちょwwwww
買って帰ったのかw
サン先生もやっぱり男だもんなぁw
>>370 それは違うよー
三毛猫の色は黒、茶ひとつずつがX染色体上にのるから
XXのメスだと2色そろって三毛になるがXYのオスだと1色にしかならない
極々稀に生まれる三毛のオスはXXYの染色体を持つ遺伝子異常
致死遺伝子はその遺伝子を持つ染色体が2つ揃うと致死性になる遺伝子
1つだったら致死性じゃなくその遺伝子の形質がでる
>>370 三毛猫の場合はオレンジor黒を発現させる遺伝子が性染色体のX染色体上にある。
雌の場合は染色体がXXだから片方黒発現、もう片方オレンジ発現で三毛になるけど、
オスの場合はXYだから両方発現して三毛になることはない。
それでもたまにオス三毛がいるのは、減数分裂のときの異常で性染色体がXXYになっちゃった猫がオスの三毛猫になるんだそうな。
かぶった…なんという偶然
ところでこのスレって理系の人が多いのかしら。
跳月先生と白倉先生の会話についていけてる人いたし。
一応バイオ系大学生っす
専門は遺伝子組み換え実験体作成によるとある遺伝子の役割解明
>>375 上手く役割解明できたら繋ぎ合わせて獣人を生み出してくれ
>>375 そういうとこ行きたかったわぁ。
おれなんて猫が景観に及ぼす影響について研究してんだぜ。
無理www俺の実験体大腸菌と酵母ととある植物だw
大腸菌て遺伝子増やすとき使うんだっけ
もりもり増やしてね
獣人って萌え成分無しに考えるとSFだよなー。
理系の話好きだ。いいぞ、もっとやれ。
と思ったが、
遺伝子とか生命倫理の話より、
獣萌えの話のほうが盛り上がる気もする……
跳月先生「いいぞもっとやれ」
キウイでマタタビの代用ができるだと?
にゃーーーん
もしかすると猫人の人はみんな、
鎌田を「はしっ」て捕まえたくなる衝動と戦っているのかもしれない
人間サイズだと、はしっ というかバギィッ って事になりそうだ
>>372,373ご教示感謝です。
そう言えば昔どこかで読んだ記憶が有りました。ただ、系統立てて記憶してな
いので、何か有ったときにちゃんと思い出せないんですね。物事をトリビア的
に覚えていても駄目ですね、と実感。
私は理系とは言い難いので「技術系」かな?
>>383 鎌田「なんか、やたらあちこちで、後ろから肩叩かれるんだ。みんな叩いた
後に慌てた様子で『やぁ!』とか『元気?』とか言うんだけど、何な
のかな?あれって。知らない人ばっかりだし」
「そういやみんな猫ひとだったっけ」
それをいうならコウモリや鳥も…
佐藤先生の肩を叩く→アイアンクローが返ってくる
朱美ちゃんの肩を叩く→笑いながら叩き返される
鎌田→もうやめて!鎌田のHPはゼロよ!
鎌田もバッタとか見たら反射的に食ってそうだけどね
ちょっと本能的な部分が出る→我に帰る
という流れが獣人の醍醐味の一つだと思うんだ
全校集会で、犬や猫系の生徒が一斉にしっぽを振りだすのを思い浮かべたら
萌え死んだ。
ゆーら、ゆーら
……今すぐ飛び掛かってくれと言っている様なあの動き、ああ、今すぐ飛び掛かりたい。
ゆーら、ゆーら
だめよだめ、私は先生なのよ。ここで本能に駆られちゃ……ああ、でも、飛び掛かって猫パンチを食らわせたい!
ゆーら、ゆーら
だから、本能に身を任せちゃ駄目、ここは先生として理性を保たなく…て…ああ、もう我慢できない!!
「泊瀬谷先生?……何やってるんです?」
「……っ!? あ、いや、ちょっと落し物しちゃって探していたんですよ、ええ」
「そうですか……?」
目の前で揺れる物に飛び掛かる直前、
パック牛乳片手の卓に話しかけられた事で我に帰った泊瀬谷教師は、
飛び掛かろうと屈んでいた体勢から慌てて立ちあがり、手をパタパタと振って誤魔化した。
……彼女が飛び掛かろうとしていた物、それはベンチに座ったまま昼寝する利里の尻尾であった。
「それより利里、そんな所で寝るなよ。他の人の迷惑だぞ」
「んあ……ああ、今日は日差しが暖かかったからついうとうとしちゃったぞー」
「(危ない所だった……もう、わたしったら!)」
早速話し始める二人を余所に、
泊瀬谷教師は暴走しかけた自分の本能に恥かしさを感じ、その場からそそくさと離れる。
……尚、彼女が昼御飯を食いそびれた事に気付くのは、その三十分ほど後の事である。
それは小春日和の日差しも暖かい、ある晴れた昼休みの事だった.
りあたい支援
支援は有り難う。だが済まない、あれで終わりなんだ。
自分の書いた話のシーンが絵になった時はなんだか嬉しくなるよね? ね?←(必死に誤魔化し
ヽ(・ω・)/ ズコー
\(.\ ノ
でも少数の行で、読み手を引き込ませるのはやっぱりすごいなあ
投下きた!
と思ったら、規制なので携帯からGJ!
396 :
寒がり ◆e48ruZS9lQ :2008/12/03(水) 22:53:45 ID:EfQQDyw5
規制に巻き込まれる人、多いですね。早く解ける事を祈ります。
SSの続きを投下します。今回は結構短め
全速力で俺は学校へ向かった。あの暗号が示した場所は生徒指導室。生徒指導室の中に誰も居ない事を確認して忍び込む。普通の教室で
あり、何の変哲もないように見えるが・・・とりあえず棚の中などを物色。これ赤の他人が見たら泥棒に見えそうだ。ロリコンなうえに泥
棒疑惑がかけられたら救いようがないな。・・・お、何か発見。
「何かの資料か。」
紙が束になって出てきた。何かの資料のようで、文字がズラリと並んでいる。ページを開くと、何かの写真が載っていて、その下には月
影孤児院と書いてある。孤児院の写真か。さらに読み進めていくと・・・
「集められた孤児たち・・・人体・・・実験・・・」
【我々は、集められた孤児たちに対し、秘密裏に人体実験を行った。孤児たちはどこにでもいるので簡単に人数は集まる。たとえ死んで
しまっても、警察は金さえ積めば動かない。それに加え、あの方が圧力をかけてくれるので気兼ねなく実験を行える。】
「・・・・何だ、これ・・・」
【新薬の実験、解剖、遺伝子組み換え実験・・・何にでも使える。実験のための資金は解剖の際に余った臓器などを売り調達することが可能。
我らの周りを嗅ぎまわっている奴ら、これを知ったものはあの子供たちを使って始末する。なお・・・】
「・・・これ以上は見たくない。」
何なんだこれは・・・子供の命を何だと思ってるんだ・・・・関村は何故こんな物を求める。何故この学校にこんな物がある。写真つきの資料で
解剖記録や新薬を投与された者の成れの果て、色々記されている。・・・気分が悪くなってきた。
「・・・知ったな。」
後ろから突然声がした。この声・・・まさか・・・
「知らなければいい事って、世の中には沢山あるんだぜ。そして、やりたくもない事をしなければならない事も・・・」
関村・・・こいつもあの暗号を解いてここにきたのか・・・
念の為しえーん
「ある奴の協力であの暗号を解いてここに来た。その資料は、ここの教師の一人が俺たちを裏切って持ち去られた研究記録であり、人の目に
触れてはいけないものだ。それを渡してもらおうか。」
「・・・お前たちがここに記されたような事をやっているというのなら、これは動かぬ証拠となる。ここに記されていることは犯罪だ。
絶対に許されるものではない。そんなものを、俺が素直に渡すと思うか?」
「・・・犯罪か。だが、お前がいくら許さないと言っても、この国の法は脆いんだ。金さえ積めば見て見ぬ振り。」
さっきの資料の中にも金さえ積めば警察は動かないと書いてあった。・・・もっと根本的な問題なのか?
「・・・仕方ないな。校内で暴れるわけにはいかないから今日のところは見逃してやるよ。」
そう言って関村は教室から出た。意外な反応。こいつなら校内で暴れるぐらいはしそうなものだが。
まあ、逃がしてくれるというのなら全力で逃げるか。逃げ足だけは速い俺。ああ、本当に情けない。おっと誰か来た。
「昔パンを焼いたのはー6000年も前のことー♪小麦を粉にしてこね・・・ってあれ?狼さん、また会いましたね。」
「何だ、また会ったな。こんな所に何しに来たんだ?」
昼間会った女の子が歌を歌いながら生徒指導室の中に入ってきた。何か昔聴いた事があるような歌だな。
「いやー何だか小腹が空いちゃったんで昼休みに食べ切れなかったパンをここで食べようかなーと思って来た訳ですよ。」
見るとまた両手いっぱいにパンを持っている。何この子。パン工場の回し者?俺までパンが食べたくなってきたじゃないか。
「やっぱパンには牛乳ですよねー高温殺菌は論外ですけど。」
「そ・・・そうだな。」
高温殺菌の牛乳しか飲んだこと無いけど。確か高温殺菌の牛乳は牛乳に含まれている蛋白質や、カルシウムなどの栄養素が
熱変性を起こしてしまうんだっけな。帰りにスーパーで買ってこようかな。そういえば牛の獣人は牛乳って飲むのかな。
・・・っていかんいかん何か脱線していってる気がする。
とりあえず適当に挨拶をして下校した。帰りに近くのスーパーでパンと低温殺菌の牛乳を購入。そのパンと牛乳を食べなが
らさっきの資料の続きを読む。本当は見たくないけどな。殆どが先ほどのような内容の研究内容。食事中にはちと辛い。
そして、最後の方のペ−ジを捲ったとき、目に飛び込んできた文字は・・・
「施設の者たちで生き残った者の一部は我々に協力してもらう・・・」
・・・どういうことだ?実験された子供たちが、この実験を行ったものに手を貸すというのか?どうしてそんな・・・
次のページには・・・肉親や親しい友人を人質にするような事が書かれていた。・・・もうどこから突っ込めばよいのか。最初から
最後まで狂った内容だな。さて、この資料をどうするべきか。警察に渡して信じてもらえるか・・・この資料の中に書いてあっ
たように圧力をかけられているのなら意味がないのかもしれないが。
「・・・これをどうするかは明日決めようかな。」
低温殺菌牛乳を最後まで飲み干し、そう思った。どうせこの資料を持ち歩いていたら関村に狙われるだけだ。そうなるぐらい
ならこの資料をどこかにに隠してしまえばいい。この資料が隠してある限り俺たちの命は安全になる・・・と思う。
「とりあえず・・・」
今日はとりあえずベッドの下に隠しておく。・・・何か思春期の少年的な発想っぽくて嫌だな。ってあれ?俺一応思春期・・・
如何わしい本を隠す訳ではないんだから堂々としてればいいのだろうが何故か背徳感が・・・ベッドの下とは恐ろしいものだ。
・・・さて、この資料のことを高杉たちに伝えるべきかな。突拍子もない話だし迷うな。
「・・・それにしても、低温殺菌牛乳って意外とおいしいな・・・」
・・・駄目だ。こんな考えしかでないぐらい俺の頭は疲れているようだ。今はパンだとか牛乳とかはどうでもいい事なのに。
もう寝てしまおう。宿題は明日の朝やればいいか。
早朝。急いで宿題を終わらせて、朝食を作って家を飛び出す。あの資料は鞄の奥深くに隠して持っていくことにした。
「あ、眠兎君。おはよう。」
「ああ、おはよう。」
かなり早く家を飛び出したから一番乗りだと思っていたのに、高杉のほうが来るのが早かったようだ。早起きなんだな。
いつもの俺なら今頃が起きる時間だ。俺が遅すぎるだけか。今、教室には二人しかいないしあの資料を出してもいいだ
ろう。奴らが高杉を使って職員室にあった紙を取らせた理由を知る手がかりになるかもしれないし。
「これ、あの烏の男が探していたものらしいが何か心当たりはあるか?」
鞄の奥から資料を取り出し、高杉の前に差し出す。彼は最初の孤児院の写真が載っているページを開いたところで手を止めた。
「・・・・この孤児院・・・」
「この孤児院がどうかしたのか?」
「俺の父さんが経営してる孤児院が何で載ってるの・・・?」
え・・・高杉のお父さんが経営している孤児院だと?関村はそれを知っていて高杉を使ってあの紙を取らせようとしたのか?で
も、前に高杉に聞いたときは関村ではない誰かに脅されたと言っていた。そいつは一体誰なんだ・・・?
「・・・なあ高杉。お前を脅した奴がどんな奴だったか覚えているか?」
「えっと・・・眠兎君と同じ狼の獣人の大人の男の人だったと思う・・・確か片目が赤い人だったよ。」
「何だって!?」
片目が赤い狼の獣人・・・関村が俺の赤い目を知っていた事・・・それらから考えると・・・
「そいつ・・・俺の親父かもしれない・・・」
自分でも体が震えるのが分かる。もう間違いない。この事件は・・・この出来事は・・・・あの男の仕組んだ・・・
「今頃気づいたんですか?狼さん?」
教室の扉のところから声がした。教室に入ってきたのは・・・犬族の女の子、樫村琉海だった。
例のごとく中途半端な感じですが今回はここまでです。
とりあえず、今回は短い割に色々詰め込みすぎてgdgdな感じに・・・
つ、次こそもっと・・・
>>348 果てしなく静かな図書館
「また、懐かしい物がリクエストされたわね。」
司書室で缶ジュースを飲みながら新たに投函された調査票を見て、織田はにこやかに笑っていた。
タイトルは、『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』と、かなり長い。
「でも残念ながらここにはDVDは置いてないわ、図書館ですからね。原作の『赤い警報』なら置いてあるけど。」
悪戯なのか、それとも本気なのか。本気だとしたら誰がリクエストしたのだろう、と思いながら織田は、調査票をテーブルに置いた。
その時、図書室の出入り口が開き、和賀が入ってきた。
ただし、表情はいつもの不貞腐れた顔ではなく、苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。
「あら?和賀君があんな顔するなんて珍しいわね。一体どうしたのかしら?」
和賀は、そのまま司書室に入り、織田に軽く挨拶をすると近くの椅子に座った。
「何かあったの?」
「……いえ、何もありません。」
「だったら何でそんな顔をしてるの?」
理由を問われ、更に表情が険しくなる和賀。そして一瞬目を閉じ、意を決したかの様に織田を見た。
「あの……聞きたい事が二つあります。」
「……どうぞ。」
和賀の真剣な表情に織田も応える為、真剣な表情を返す。
しかし、それは一瞬で終わってしまう事になった。
「ここに……アダルトな本はありますか?」
「……何ですって?!」
織田は素っ頓狂な声を上げ、目を何回も瞬かせた。
「あのね、和賀君。ここは……」
「分かってます!それ以上何も言わないで下さい!」
織田が言おうとした時、大声で待ったをかける和賀。
様々な本が揃っている図書館であっても、ここは学校である。
無論、そういった類のものは一切無い。ただし、近くの図書館に行けば、アイドルのヌード写真集なら存在するが。
「はぁ、一応聞くけど誰に頼まれたの?」
「それは……言えません。」
織田は、見当は既についていた。
大人な子供もとい、子供な大人の犬人が頭に思い浮かばれた。
「それで?もう一つは?」
話を打ち切り、続きに進めると、和賀は慌てて話し始めた。
「は、はい!比取の事です。」
「比取君がどうかしたの?」
「はい、最近常連さんと仲良くなったと言っているんですが……」
そこで和賀は、歯切れ悪そうに言葉を切り、織田は首を傾げた。
「どうしたの?」
「えーと、その常連さんなんですが……一度も会った事が無いんです。」
「……どういう事?」
和賀の言っている意味が理解出来なかった織田は、もう一度聞きなおした。
「つまり……比取があった場所に行ってもいないんです。比取はそこにいるとは言ってるんですが。」
「え?それってもしかして……」
その時、どこからか音が響き、二人は、驚いた様に互いを見た。
そしてまた音が響き、二人は、今度は同時に頷くと、音を立てない様にゆっくりと図書館を後にした。
何回か投下したのでコテハンつける事にしました
>>391 こういうのを待ってたんだよな。GJ!!
やっぱり獣人には動物っぽい面を期待してしまう
>>391 上手いなあ。短い文章でも萌えさせるとは、お見事。
>>404 つい、触発されてしまいました。投下します。
織田さんが、いつもはぼくら生徒には見せない曇った顔をして、カウンターに控えていた。
図書館にいつも来ている嘱託の司書・織田さんは、ぼくらの学園では数少ない『人間』の職員。肘を付いて、はあ…と、
ため息を吐く姿を見ると、いち利用者ででしかないぼくでも、老婆心ながら心配になってしまうのは、論を俟つまでもないこと。
そんな織田さんを横目に、ぼくは暇を持て余したカウンターに並ぶ。窓から光り一杯溢れるカウンターは、静かな図書館にお誂え。
「犬上ヒカルくんですね…、はい。確かに3冊返却承りました」
先週から借りていた文庫本をあたふたしながら、返却担当・ペンギンの比取が預かる。
最近こそ利用者数が増えてきたと感じるももの、市立図書館よりも半端ない蔵書に埋もれてか、
まだまだ閑古鳥が鳴いているのが現実だ。しかし、織田さんのゆううつは、利用者が少ないからってことではなさそうである。
織田さんのあんな顔は、ぼくが図書館に通い始めてから初めて見る。
一方ぼくは、ぼくで本棚を巡る。蔵書の杜は知り尽くしているつもり、借りたい場所は大体分かる。
それだけ、休み時間は図書館のお世話になっているってことか。ぼくの人嫌いも自分でもほとほとあきれてしまう。
辿り着いたのは、空想科学の書物が犇くD-25の棚。偶然見かけた一冊が、一生の友になることは多い。
今日も、そんな一冊がないのかと本との出会いを楽しみ、ぼくの白い尻尾をゆらしながら歩いていると
偶然、と言うか、いつも同じ場所に座り込んでいるモグラの土門が分厚そうなハードカバーの哲学書を捲っていた。
彼も同じように図書館に休み時間は引きこもる『本の虫』。何度か会ううちに顔見知りになる。
が、ぼくも土門も付かず離れずの関係。お互いに『犬上ヒカル』、『土門』という名前だということ位しか知らない。
そんな土門は本を捲りながら、いきなり織田さんのことで話しかけてきた。
「おい、ヒカルさあ。織田さん…どうしたのかね。おれ、あんな顔の織田さん、初めて見たぞ」
「……ぼくも、知らないよ」
「へへっ、そうかい。じゃあさ、ヒカル。聞いてみろよ、おれ…明るい所、苦手だし」
「土門が聞けよ、まったく」
光りを嫌う土門の人見知りにも程がある。しかし、土門の人見知りより織田さんのため息の方が気になる。
織田さんは、誰も並んでいない貸し出しカウンターに一人で佇んでいた。
割り込みしてしまった\(^o^)/ついでに支援!
「これ、お願いします」
カウンターに借りたい本を持って、織田さんに手渡す。慣れた手つきで、ピッピとバーコードで処理を行い、
レシートとして印字された貸出票を本に挟み、白い手でぼくに本を渡してくれる。
「はい…。二週間後の17日までの貸し出しです」
いつも聞きなれた声も、少し物悲しく聞こえる。
一度だけ気にしない振り。そして、思い出したかのようにくるりと回れ右。織田さんに『本を借りる時の会話』以外の話を初めて試みる。
ぼくにとっては冒険だ。まだ誰も駆け抜けたことのない草原を走る期待感、そしてもしかして、不意に現れる泥沼にはまり、
二度と生きて戻って来られなくなるんではないか、と言う不安感。そんな気持ちでぼくは、カウンター越しに織田さんの前に立って居る。
「あの…」
「何かしら」
座っている織田さんに向かって、ぼくが持てる出来る限りの勇気を振り絞り、声をかける。ゆっくりと織田さんはぼくの方に振り向くと、
水色のリボンで結んだふわりとした長い髪が、ぼくの尻尾のようにくるりと回る。
「…あの、織田さん、いつもと…」
「わたしのことかな…。ちょっとね、なんでもないの」
「……」
ぼくも、けっして会話上手ではない。織田さんもそうなのだろうか。
ぼくに出来るのは、これが精一杯。目を合わせることも出来ないので、ぼくは俯いた織田さんのリボンばかりじっと見ている。
音楽科のヨハンなら「織田さん、バラは美しく咲こうとするために咲いているのではない。
咲いてあるから美しいのですよ。そう、その存在が美しい。織田さん…あなたは、バラのようだ」と、
往年の映画かと思わせるセリフで、軽くやり取りをするかもしれない。
「きみ、わたしのこと気にしてるでしょ」
織田さんの方から話しかけられたぼくは、尻尾をいきなり丸めてしまった。
もしかして、織田さんはぼくの心のうちを見透かしているのかもしれない。
「ここにきてくれる子があんまり居ないから、みんな顔を覚えちゃったのね。
それで、あの子はどんなこと考えながら本を探してるんだろう、って思ったりしてね」
「…ぼくは、どう映りましたか」
「そうね。自分の尻尾に聞いてごらんなさい」
木漏れ日に照らされる織田さんの栗色の髪の毛は、ぼくらの毛並みとは全然違う。
返却席にいた比取がバタバタと一冊の文庫本を持って、織田さんの方へ駆けて来た。
「織田さん!織田さん!この前よりもひどくなってますよ!」
「最近ね…。多いのよね、こういうこと」
織田さんは、比取から受け取り、文庫本を捲りそして呟く。
その本の表紙には、ラミネート加工された小さなシールが貼られ、ワープロ打ちのコメントが静かに、そして悲痛に叫んでいる。
『残念ながら、この本は傷んでいます』
横に添えられたウサギの絵が今にも泣き出しそうだ。冒険ファンタジー物の表紙には、竜人勇者のイラスト。
シールとのギャップが心なしか悲しい。織田さんから渡された文庫本を手にし、幾らか捲るとケモノ独特の爪の跡が、
丁度ぼくの本を持つ位置に合わさる。まるで、この本の主人公であろう竜人の歴戦の傷のよう。
「確かに」
「爪の鋭い種族の子が借りた時にね、本を傷付けちゃうみたいなの。
きっと、内容にのめり込んで握り締めちゃったのね。悪気はないはずなんだけど…。ごめんなさい、愚痴っぽくなって」
その傷は深く、おそらくぼくよりも大柄な種族のヤツの者のようだった。
ぼくは少しケモノの一人として恥ずかしくなるが、織田さんはすかさずにフォロー。
「きみじゃないってことは分かってる。爪の跡が違うしね…。ごめんなさい、心配かけちゃったかな」
「い、いいえ。気をつけます」
「ふふふ。ケモノさんって大変ね」
織田さんのメガネの奥の瞳は、窓の外の青空の如く澄んでいた。傷ついた本を返す瞬間、ふっと織田さんの手が触れる。
織田さんの手は冷たかった。ケモノのぼくらには想像は出来ない冷たさ。
いや、織田さんのせいではない。織田さんが『人間』だからだ。ぼくらのように毛並みも尻尾を持たない織田さん。
優しそうな肌は、傷ついたりしないのだろうか。白い肌は、冬の厳しい風を許してくれるのだろうか。
不思議だ。人間ってヤツは。
「どうして、ぼくが織田さんのことを気にしているって分かったんですか?」
「ふふふ。自分の尻尾に聞いてごらんなさい」
織田さんの顔は、少し晴れやかだった。
帰りはわざと土門のそばを通る。無論、土門はぼくに織田さんのことを聞いてきた。
だけど、答えなんか教えてやるもんか。そんなことは、自分で考えろ。
土門にそっけなく「別に」と返事だけ残して、ぼくは静かな杜を後にする。
おしまい。
〜おまけ〜
図書委員の子も家路に着いた、その日の夕方のこと。
「おや、猪田先生。どうされましたか?」
「織田さんお帰りですか。実は…いや、なんでもないですよ。はは」
長い一日が過ぎ、今日の勤めを終えてわたしは、髪のリボンを解きエプロンを脱ぐ。図書館から退室しようとしていると、
猪田先生がDVDのコーナーを大きな身体でこっそりうろうろしているところを見つけた。
閉館時間はとっくに過ぎているのに、探し物をしている猪田先生の力になろうと、そっと近寄る。しかし、余計慌てふためく猪田先生。
「大丈夫です!大丈夫です!」
「見つからないものがあったら、聞いてくださいね」
出来る限り利用者の力になりたいわたしは、猪田先生に探し物を聞こうとしたが、余りにも先生は断り続ける。
ふと、猪田先生の手に持ったメモ紙が床に落ち、拾い上げると先生が書いたと思われる殴り書きの文字が目に飛び込む。
「ド○えもん・の○太の結婚前夜」
猪田先生には、七つになる娘さんが居ると聞く。きっと既に娘さんが嫁ぐ日のことを考えているのだろう。
しかし、そのDVDは既に貸し出し中であった。借りたのはシロ先生だった。
無論、職務上の守秘義務があるためそんなことは言わないが、「ないですねー」と一緒に探してあげる振りをするわたしだった。
おしまい。
モロ好みのタイプの話だ…
GJと言わざるをえない
ってか、この世界にもドラ○もんあるのねw
獣人特有のことが書かれてるのってなんかいいよね
GJです
緒田さんかわいい!
そうか、爪があるから興奮すると本が破損しちゃったりするのか
…子供が風船であそんでパンパン割りまくる様子が目に浮かんだ
しかも味付けなしというwww
カリカリに焼いて塩振ってくれたらいい弁当だったのに
また絵がキタ!!
しかしゾウにモグラにペンギンって改めてすごいメンバーw
>>423に一瞬「鼠先輩が〜」と見えたが気のせいだったぜ
>>408 アキラの弁当のマンガで、この国語の教科書の話を思い出した。
という、お話です。
アキラが昨日、エビの尻尾ばかりの弁当を食べた、と、今日は愚痴ばかりこぼしていた。
何も味のしないおかずと白米では、思春期真っ只中の少年には辛いものがある、とアキラはこぼし続ける。
そんな話が職員室のごく一部で広がっている中、国語科の泊瀬谷先生は思い出したように、ポンと手を打つ。
「エビの尻尾って言えば…、昔、教科書にありましたよね。出稼ぎのお父さんが田舎に帰るときに
『エビフライを買って帰るから、ソースと油を用意しておけ』って手紙を送って…。
みんな東北の訛りで『えんびフライ』って言ってるんだっけ」
「そうそう!家族のみんなは『エビフライ』をはじめて見たから、尻尾まで食べちゃうだよね。
おばあさんがむせこんでさ、あーあ。エビフライ食べたくなっちゃったな!」
サン先生が椅子に座ったまま、ゴーっと車輪を走らせ泊瀬谷先生の側に近寄る。
若い教師が学生時代の教科書話に花咲かせているとき、職員室で大きな『人影』が動いていた。
休憩時間の終わりを告げる鐘が鳴る。さあ、午後の始まり。それぞれ、教師達は各教室に移動し、受け持つ教科の授業を始める。
A組では泊瀬谷先生の現代文。
「この『永久欠番』と言う言葉、作者が伝えたかった意味は何ですか?では、今日は5日だから…、出席番号5番の人!」
毛並みにチョークの粉が付くのを気にしながら、板書を続ける。
B組ではサン先生の数学。
「この場合…補助線を引けば。ホラ!簡単じゃん!!」
ぐらつく椅子を踏み台に、図形の問題を解説する。
C組では山野先生の地理…のはずだった。
黒板には大きく『自習』の文字が力強くふんぞり返っている。
そして、今日一日は過ぎてゆく。いきなりの『自習』を除いては。
翌日、職員室の床には大きなイセエビが魚市場の如く並んでいた。誰の手によるものかは、もはや論じるまでもない。
「ははは。ちょっとね、三重県まで日帰り旅行してきたのよね。それでね、伊勢湾でイセエビをガッとね…。
この間、北海道の千歳川でサケを捕まえに行ったときの要領で捕まえたから、意外と楽勝よねー。
あっ!もちろん地元の漁師さんの許可は貰ってきたから、みんなは真似しないでね!!」
豪快に笑う山野先生の右手には、昨日までしていなかった大きな絆創膏が何故か付いていた。
いきなり、ウサギの星野りんごが職員室の大きな扉を開ける。
大きな耳でイセエビの殻の音、ヒクヒク鳴らす鼻で潮の香りを嗅ぎ取って誘われたのか、
りんごの目は真剣である。いわゆる『料理の鉄人モード』か。ひとり、炎立つ。
「古くから『ハレ』の日に食され、見た目が勇猛果敢なつわものに似ているため『威勢がいい』とひっかけて、
縁起物とされているイセエビ…よ、わたしに戦いを挑むと言うのか…。この星野りんごが料理してくれるわ!!」
もやは、彼女を止めることは、サン先生に『台車に乗るな!』と言うのと同じことであった。
むんずとイセエビの尻尾をりんごは掴むと、家庭科教室へと消えて行った。
この日の午前の家庭科教室は初等部が使う予定なのだが、彼らが来る前にイセエビのエビフライがずらりと家庭科教室に並んでいた。
コンロには特大の鍋がずしり、今だ中の油は落ち着くことはない。小麦粉や卵の跡が、この戦いを物語っている。
興奮冷めやらぬ勇者・星野りんごは、剣の代わりに包丁、盾の代わりにボールを手に午前のか弱い光を浴びて呟く。
「…この程度か!」
がやがやと初等部の生徒たちが集まると、目にしたのは大きなエビフライ。
こんなエビフライなんか見たことない。お子たちが興奮するのは言うまでもなかった。
「すごいニャ!見たことないニャ!!」
コレッタ、クロ、ミケの三人は目を星のように輝かせ、ちょいちょいっと片手でネコパンチを試みる。
折角だからと、山野先生と海の恵みに感謝しながらみんなで頂くことに…。
「ふう、お腹いっぱいニャ!」
「もう、一年分のエビフライをたべたね」
食べ盛りのお子たちのこと、大皿に犇き合っていたエビフライが尻尾を残しているのみだけになってしまった。
それを見た星野りんごが一言。
「母なる海の恵みを残してしまうのは…心苦しい」
「星野さん、ちょっと」
星野りんごは勝手に午前の授業をサボったために、山野先生に呼び止められた。
「山野先生、ちょっと」
山野先生は勝手に昨日の授業を自習にしたために、教頭先生に呼び止められた。
大皿の上にのっかるエビの尻尾が笑っていた。
授業を終え、職員室に戻る通りがかりにサン、泊瀬谷両先生が家庭科教室の窓越しに宴のあとを目の当たりにする。
すると、サン先生の頭上にひと玉の電球が灯り、泊瀬谷先生が話しかける前にサン先生は何処かへすっとんだ。
「ほら!こっちこっち!!白米はちゃんと持ったよね!」
「うおー!!豪華なる弁当のおかずがあるのはここの教室ですかー!!」
サン先生が連れてきたのは、アキラだった。
おしまい。
イセエビのエビフライ…なんて贅沢な
そしてアキラwwwww
>>421 やっぱ、凄いなあ…。
自分で描くと、比取くんがアヒルみたいになってしまうー。
投下おしまい。
エビの尻尾が食えない俺はりんごちゃんにごめんなさいしないといけないね
>>421 俺の織田司書の脳内イメージはキスティス・トゥリープだったので
イメージが近いかもしれない
カードゲーム上手そうだな
なんという伊勢エビづくし!! 山野先生、自分にもぜひ一匹お裾分けを!!
つか穫ってきた山野先生は家でどうやって食べたんだろ、関係ないけど気になる…
殻を器に伊勢エビサラダ、一匹丸ごと入ったみそ汁なんかもお薦め
個人的には茹でたてをワサビ醤油、またはマヨネーズ醤油がベスト、異論は認める
アキラはそういう運命かw、つかサン先生マジ黒いww
>自分の尻尾に聞いてごらんなさい
こういう表現の仕方っていいなぁ、表情やボディアクションよりも直情的
>図書委員たち
なんか親近感湧きまくり、お疲れさまといわざる得ない!!
……いのりんカワイイヨ
[尻尾の喜怒値]1/1
つたーん…
とーん…
かちかちと刻む時計の音が支配する教室。皆、顔を伏せて机の上の白い紙に集中している。
そうだ、今は試験の真っ最中だ。
つてーん…
この問題は確かノートのあの辺りに書いたはず。思い出せ思い出せ。
こつーん…
集中だ、頑張れ俺!
とこーん…
ああああああ!ダメだ駄目だ! 前の席の猫、尻尾で椅子を叩くな! そっと叩いてるつ
もりだろうけど、静かな教室だしすぐ後ろの犬の俺には聞こえるンだよ! 背もたれと座
面の裏側を交互にゆーっくりと行ったり来たりして
とすーん…
ううう、なんか耳の横で鐘が鳴ってるみたいに大きく聞こえる。だめだ、意識が持ってい
かれる。問題を理解しようにも頭の中は次の音を待ってるようで、目が文章の上を横滑り
するだけだ。 ほらもうすぐ背もたれから音がする
とととん…
おお?今度は尻尾を曲げて叩いたから音が変わった。 いやいや、そんなこと考えてる場
合じゃない。問題に集中しないと。頑張れ俺、頑張れ俺、がんばれおれ、ガンバレオレガ
ンバレオレガンバレ…
うあああああああ!だめ駄目っ! 前の席の犬!なんか知らんけど尻尾振るなー!あんた
の尻尾は白くてもさもさで太くて長いんだから、そんなもん振られたらあたしの視界の隅
に絶対入っちゃうんだって! 言ってる間に右に行った。後から追いついた先っぽがクネ
っと追い越してふいふいっと揺れる。もうすぐ左に戻るぞ。そーら左にいった。空気に揺
られて長い毛がふわふわと揺れる。追いかけるように先っぽがついていく。毛先が奇麗だ。
男の癖に、尻尾の先までブラッシングしてるんだ、やるなぁ。 ってそうじゃない!問題
に集中だ!えーとなになに… あれ?動き出さないよ?止まってる?
あちこちで尻尾により集中力低下かw
>>434 ばんっ
ばんっ!!
ばんっ!
さっきから何かうるさいなと思ったら……利里の奴か。
あの様子から見て、どうやら分からない問題にぶち当たった様だな、尻尾を思いっきり床に叩き付けてやがる。
あ、前の席の奴が頭抱えて机に突っ伏した。そりゃ五月蝿いだろうな……その気持ちは分かる。
ばん……
ん? 尻尾の動きが収まった所から見て、利里の奴、解くのを諦めたか?
いや、左右にゆっくり振り始めた所から見て、問題の解き方を思い出したと見て良いか?
利里の後の席にいる猫の子は尻尾の動きが気になるのか、さっきから利里の尻尾を眼で追い始めてる。
つか、大きく振るのは止めろ、先端に付いてるトゲトゲが隣の俺に当たって痛い。
びくーん!
お? 尻尾をいきなり跳ね上げたぞ?
……ははーん、どうやら次の問題のヤマが外れたな?
ばん!
ばんっ!
ばんっ!!
思った通り、問題が解けない苛立ちを表す様に尻尾を床に叩きつけ始めた。分かりやすい奴め。
おまけにさっきから佐藤先生が冷たい眼差しを投げかけてるのにも気付いてないでやんの。
多分、後三回くらい床に叩きつけた辺りで佐藤先生のアイアンクローを食らうかな?
ばん……
あ、尻尾の動きが止まった。
あいつ、佐藤先生の視線に気付いたな? 尻尾を内側に折り曲げてるし。
アイアンクローが出来なかった佐藤先生は何処か悔しそうだ。
って、呑気に利里の尻尾を観察している前に、俺も問題に集中しないと……
ばんっ
ばんっ!!
ばんっ!
だぁぁぁぁぁぁっ!! 利里、尻尾を叩きつけるの止めろっ! マジで気が散るっ!!
いい加減にしないと本気で尻尾を部位破壊するぞ!
* * *
……結局、俺は利里の尻尾の所為で最期まで問題に集中出来ず、テストの結果は散々な物に終わった。
そして対する利里の奴はと言うと、俺の点の30点増しだった。
それを知った俺に尻尾を踏んづけられ、利里が悲鳴を上げる事になったのも無理も無い話だろう。
つか、部位破壊されなかっただけでも有り難いと思ってほしい。
――――――――――――――――――終われ――――――――――――――
以上、期末テストの時の卓の思考でした。 おそまつ
尻尾でご迷惑をかける生徒がどこそこでw
若いと尻尾の動きを自制できないんだろうかw
人間でもテスト中の貧乏ゆすりやらなんやらトラブルあるもんなw
動かしやすい尻尾がある獣人たちはそりゃあっちこっちで大変だろう
しかしこの中では音の問題で一番利里が迷惑だなw
いろいろ来てる!
尻尾描写いいねーもふもふ
〜制服を着る上での注意点〜
スカートはひざ下まで長く!
ネクタイ、リボンを正しく身につける!
ピアス等のアクセサリー禁止!
ズボンを下げすぎない!
尻尾をズボンの中に入れない!
シャツはズボンの中に入れる! 丹前
V
※冬季は上着(ジャンパー、コート等)を羽織っても良い。
最後明らかに鎌田用に後からつけたしww
尻尾をズボンの中に入れたらすげぇカッコ悪い事になるよなww
>>443 この世界も、一時はわざわざ足を短く見せる穿き方が流行ったぐらいだからなぁ……。
中入れ・チョイ見せ尻尾でガイアに囁いちゃえ☆なんて記事が載ってるのかも知れん
ズボンを下げてる男子が多かった時期もあったねー(今流行ってるかわからんけど)
でもあれって、外国の刑務所の中で流行ってたやつだから良い意味では
無いんだよね。
今でも実は田舎には…
北陸にはまだ棲息してるよ→腰穿き
九州南部にもそういう個体は生息してる
同じく九州南部の田舎者ですがそういう学生よく見ますね。
どげんかせんといかん
尻尾とズボンといえば…
ズボンの尻尾穴は、買った人の尻尾に合わせて開けてくれるのかな?
尻尾の採寸とか想像したら萌えるw
尻尾回り計測とかかw
ジーパンの裾上げ的なww
──難しいな。
どこがわかんねーのかもわかんねー。
ケモ学の眼光凶器こと龍ヶ谷猛は追い詰められていた。理解不能な数学のテストが、彼
の卒業単位取得を阻むべく立ちはだかったのだ。
──みんなこんなもん本当に解けんのか?
回りを伺ってみる。……そんなに余裕のある者は見当たらなかった。
要卒単位に推薦枠、進学先の最終決定。結果に懸かる重大性を考えれば、このテストに
於いて余裕の在る者が居る方がおかしいのだ。
静かな教室に鉛筆の音が疾駆する。ボイラー室で焚かれた熱がスチームを膨張させカン
カン鳴らす。
──年貢の納め時って奴か。
猛は読み方すらも判然としない数学式から思考を飛ばし、今までの出席回数と今回の限
り無くゼロに近いであろうテストの得点を思い浮かべた。
既にテストの終了した古文と英語も、まず間違いなく赤点だろう。
──留年、かも。
そうなったら辞めるだろうな、と諦観の底でかえって冷静な思考を巡らせた。
卒業しようが留年しようが、学生生活は残り少ない。ひとつ前に座る永遠花の頭を見つめる。
あと何日だろう。あと何時間だっけ。
こいつと居られんの。
──?
何やってんだ、こいつ。
猛の疑問は永遠花の尻尾の動きによってもたらされた。
クネクネと小さく中空を漂い、まるで何かを伝えようと──いや、まさしく伝えているの
だ。猛に向けて、問題の答えを。
──な、何やってんだっ!カンニングなんかバレたら、俺の留年はもとよりお前の進学
に支障がっ……!
そう思った瞬間、サン先生が音もたてずに近付いて来た。
猛の横を通り過ぎる。
ひとつ前の──揺らめく永遠花の尻尾に、サン先生の手が……
──ったく、永遠花の野郎、世話焼かせてくれるぜ。
カチャン
「ん、何の音?」
サン先生が音のした方向を見ると、ジッポを拾おうとする眼光凶器と目が合った。
猛は、似合わない笑顔をサン先生に向けた。
サン先生も負けじとほほ笑み、猛に語りかける。
「ト・カ・ゲ・くん、そいつはなんだい?」
「なにって……タバコ吸うためのライターだぜ?先生みたいな子供は吸っちゃダメだからな」
サン先生のコメカミに、毛並みの上からもわかるほど血管が浮かぶ。
「バッカモーーーン!!!!指導室まで着いてこーーーい!!!」
──なに、気にすんなよ永遠花。ちょっと辞めるのが早まるだけさ。
そんな辛そうな顔すんなよ。
>>406 織田をSS使ってくれるとは……恐縮です
絵も投下してくださりありがとうございます
アニメチックで二人とも物凄く可愛いです
>>421 イメージ通り過ぎて逆に驚きました
激しくGJと言わざる得ない
そして新しいの投下します
師走でも静かな図書館
ホームルームが終わり、各々が行動を起こし始めている中、羽場はまだ帰りの支度をしていた。
それには理由があった。
中等部で一番の体格を持ち主の羽場は、教室の出入口よりも高い。
その為、出入りする時は一度頭を潜らせなければならないので、他の生徒の邪魔になる。
なので羽場は、いつも一呼吸置いて行動をしているのである。
準備が終わる頃には人は少なくなっているので、悠々と教室を出ていつもの場所へと向かった。
図書館では比取が既に来ており、忙しなく動いては返却された本を片付けていた。
「頑張ってるなぁ、比取は。」
「あっ、羽場さんこんにちは!こっちの本のお片付けお願いします!」
比取が手を指した先には、本が数冊置かれており、それは比取では届かない本ばかりの物であった。
「OK、任せといて。」
指でサインを送ると、比取がお辞儀をしてまた本の片付けを戻ったのを見て、羽場は任された本を手に取った。
片付ける所には、若干の隙間があった所為かドミノの様に倒れていた。
それを見て羽場は、ムッとしながらも鼻で元の状態に戻して倒れない様に押さえ、空いてる方の手で本を戻した。
作業が終わり、司書室に入った所で羽場は、和賀がいない事に気付いた。
「あれ?そう言えばガメラ先輩は?」
「和賀君なら神社に行っているわよ。」
パソコンで本の貸し出し状況の整理をしていた織田が、羽場の疑問に答えた。
「神社?」
「ええ。何でも来年の流鏑馬大会に出場するから、神社の方に協力して貰って練習をするってね。」
それを聞いて羽場は、馬に乗るというより乗せられている鎧を着た和賀の姿を想像した。
「怪我してきそうですけど?」
「大丈夫よ。毎年やってるし、それに和賀君は弓道部だからきっと優勝して来るわよ。」
弓の扱いだろうが馬の扱いだろうが悪い予感しかしない羽場は、苦笑するしかなかった。
「そう言えば試験はどうだったの?」
作業を終わらせた織田が、羽場の方へ振り向き、期待の眼差しを向けた。
言うべきか言わないべきか、少し考えた後、羽場は答える事にした。
「まぁまぁでしたけど……ちょっと困った事がありました。」
「どんな?」
「尻尾の長い人がいまして、そいつが大きな音を立てるんですよ。お陰でみんな集中出来ないのなんの。終いには先生のチョークがそいつに飛んできましたよ。」
「あはは。それはいつになっても変わらないのね。」
手を叩きながら笑う織田を見て、羽場もそのシーンを思い出して笑った。
「お片付け終わりました。」
「あ、比取君お疲れ様。さて、面白い話聞けたし、今日はもう帰りましょうか。」
「「はい。」」
戸締りを確認した後、荷物を持って図書館を出る三人。
近くで部活に励む生徒の声を聞きながら、三人はそれぞれの帰途に着くのであった。
場所は変わり、学校から少し離れた所にある神社に、鎧を着た和賀の姿があった。
「まだまだだな。」
「い、いや!?十分凄いよ、君!?」
的には既に矢が刺さっており、それは全て真ん中を貫いていたのであった。
馬と馬獣人が共存する世界なんだな
的外れな思いつきでゴメン。
>>455 弓でガメラ先輩が飛んでいっちゃうところが、ふと浮かんだ。
もちろん弓矢もガメラ先輩サイズですよね?
ちなみにゾウは女系社会だと聞きます。
群れの中で一番なのは、年老いたメスのゾウで、自分たちのテリトリーのことを知り尽くしているそうです。
ということは…羽場くんの家には、長老のお婆さんがいてみっちり躾けられて…。とか。
いろいろ来てる!
これはまさに尻尾祭りだなw
>>453 逆に尻尾の動きでカンニングしようとしてることに気づくことが凄いかもw
>>455 図書委員は仲良くて和むなー
尻尾がふさふさな種族の皆さんはパンツの穴通すとき逆毛でぞわわっ!
ってなるから、ひもパンみたいなのが便利でよく使われてる
って設定があったな、はいぱーぽりすに
あれは実に理想的な世界観だった
女性キャラのケモ度がもっと高ければ最高だったんだがなー
あ…ありのまま今朝見た夢を話すぜ!
『絵師さんが、白倉先生や跳月先生や帆崎先生や
校長や若頭は12才とかヒカル君やら色々なツーショットの
絵を描いて投下していた…その勢いに便乗したSSも
投下されまくっていた…』
そんな夢の中テンション上がってきたぜーーーー!!という
所で目が覚めた…起きた時の何とも居えない脱力感……
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
そろそろ末期だと思いました。
きっとそれは正夢さ!
――ボクは本気っス。
そう自分に言い聞かせながら部屋の前に立つこと三度目。
ボクには、目指している職業がある。
今のような真似事ではなく、本物になるのだ。
高等部ともなれば進路を決めなくてはならなくなる。
そのために、今日は調べ物に来たのだ。
しかし、ボクはいつも静かなここに入ったことがない。この場所は優等生がいるようなイメージがある。
ボクが入っていくと場違いではないのか。
そう思うと扉を開く勇気はでず、ため息をついて回れ右をするしかないのだった。
http://imepita.jp/20081206/665370 変な先入観で図書室に入れない、妙な所で意気地無しな保健委員。
>>462 保険委員君が目指してるのは保険医?それとも看護師か医者かな
>>463 ルルかわええええええええええええええ!!
あと帆崎へたれww
もう夫婦でいいじゃんこいつらw
ケモノな女の子が好きだけど、獣人男と人間女のカップルも好きだな
かなり長くなっちゃったのでwikiの方に載せておきました。
お手数ですがそちらでお読みください。
だって支援頂いても何故か俺には効かないんですもの。なんでだろー('A
無駄に長くなった上に色々詰め込みすぎて「こいつ必死だな」って思われてもしょうがない出来になっちゃいました。
あと今更ですが章ごとにタイトル付けてみました。
そのタイトルにも当然の如く、厨二病成分100%で付けましたよ、ええ。
とりあえず、FORMATは次の投稿で最後になります。
ここまでじっくり読んで頂いた方も、サクっと飛ばし読みしてきた方も
どうか最後までお付き合いください。
乙です。 厨二だなんて気にしないー むしろ好きだぞっ
漫画キタ!保険委員君やたらかわいいなw
>>468 うわああ、ネタ拾ってくれてありがとう!
保健委員可愛く描いてくれて嬉しいです
ヒカル君マジいい人!
最近推理のすの字も無くなってきたシリーズの続きを投下させてもらいます。
前回よりも今回は超展開で、打ち切り漫画っぽい展開になっていますが
俺たちの戦いはこれからだ!!という展開にはならないのでご安心を。
では、投下します。
教室の扉から入ってきた樫村は俺たちのいる机に真っ直ぐに向かってこう言った。
「私はその資料に載っている孤児院出身で、実験の手助けをしています。関村君も私と同じですよ。」
こいつ・・・関村の仲間だったのか。こんな外見をしているが、こいつも人殺しの仲間・・・
「お前たちは何がしたい!?教師を殺し、高杉や俺たちを狙うのは何故だ!!」
「高杉君を狙うのは、憎いからですよ。あの人の子供なのに、普通に暮らしていた・・・・まあその資料を手に入れる
ついでですので本当はどうでもいいんですけど。高杉君、お父さんがしている悪行を知った感想はどうですか?」
「嘘だ・・・こんな事を父さんがするはずない!!」
そう言って、彼は資料を机の上に叩きつけた。いきなりこんな事信じることのほうが難しい。俺だってこの資料に
書かれている事を全て信じたわけではない。だが・・・
「もしお前たちが孤児院出身だと言うのなら、何故そんな実験の手助けをする!?俺の親父がそれに関わっている
というのか!?」
「・・・あなたに答える義理はありません。だけど、狼さんのお父さんがこの事に関わっているというのは、事実です。」
あの親父・・・!俺たち家族だけではなく、ただの高校生までこんな事に巻き込むなんて・・・・
「・・・さて、関村君にも言われたと思いますがその資料を渡してくれませんか?」
「断る。」
「まあ、普通そう言いますよね。」
そう言って、彼女は笑顔のまま鞄の中を探って中から銃を取り出した。・・・銃を見るのは二度目か。
「ああ、先に言っておきますが撃つ気はないですよ。ただ、この校舎から出られないようにするだけです。」
「どういうことだ?今は朝早いから生徒は俺たちしか居ないが、しばらくすれば誰か来る。なのに、そんな銃を取
り出して、この校舎から出られないようにするなんて何の意味があるんだ?」
「人なら来ませんよ。実は、先刻学校の校長先生に学校のあちこちに爆弾をしかけたと言っておきましたから。今
頃、警察が動いて生徒を学校に入れないようにしているはずです。でも、爆弾をしかけたというのは嘘ではないで
すよ。今、こうやって話している間にも関村君が学校の内にも外にも爆弾を取り付けているところですから。」
な・・・関村の奴の姿がないのはそんな事をしていたからなのか・・・でも・・・
「俺たちを校舎に閉じ込めて何がしたい?それに、まるで俺たちが早朝来るのを狙っていたようなタイミングじゃないか?」
「ああ、それなら簡単な事ですよ。高杉君は今日、早朝の掃除当番ですから。狼さんが来るのは予想外でしたけど。」
「・・・うん、確かに俺は掃除当番だけど・・・」
そうか、高杉が学校に来るのが早かったのは掃除当番だからか。・・・掃除当番はこの新校舎の隅々まで掃除しなけれ
ばならないんだっけ。あれ?掃除当番って確か二人一組でやるんじゃなかったっけ。もう一人は寝坊でもしたのかな。
「何でこんな事をするのか、不思議に思っていますよね。まあ、平たく言えばあなたたちを人質にするためです。」
「・・・人質、か。警察が動かないというのなら交渉する相手なんて居ないと思うのだが。」
「相手ならすぐ近くにいますよ。ここは新校舎。生徒たちの教室がある場所です。ですが、教師たちが集まる職員室は
ここから少し離れた旧校舎にあります。交渉の相手は、先生たちです。」
・・・教師たちと何を交渉するっていうんだ。確かに教師たちと交渉するなら生徒を人質にすれば効果的だろうが、リス
クが大きすぎる。警察は圧力をかけられているといっても、こういう事態になればどうなることか。
「・・・お前たちの目的はこの資料ではないのか?」
「その資料も手に入れたいとは思っていますが、それを手に入れたところで私たちの目的は達成されません。忘れまし
たか?その資料の在り処を示した暗号の紙は職員室にありました。関村君は昨日言いませんでしたか?ここの教師の一
人が私たちを裏切ったって。」
・・・確かに聞いたような気がする。じゃあ、俺たちを人質にするのはその教師をおびき寄せるためか?じゃあこの転校生
が昨日転校してきたのは下見をするためか。昨日の放課後、すぐに帰らずに生徒指導室辺りをうろついていたのもこの
ためかもしれないな。まさかこんな事になるとは・・・・
「言っておきますが、逃げようなんて思わないでくださいね。外には、関村君に頼んで地雷を仕掛けてもらいました。
量は少ないですが、踏まずに学校の外に行くのは難しいですよ。」
「・・・・何のためにこんな事を・・・お前もその資料に載った孤児院出身なら、酷いことをされたんじゃないのか?」
俺がそう言うと、彼女は少し視線を下にして呟くようにこう言った。
「・・・仕方ないんです。私たちが生きるためです。それと、守らなければいけない人も居ますから・・・」
・・・この反応だと、こいつも誰かに脅されてやっている感じがする。そして、その脅した相手は・・・
「・・・俺の親父は一体何をしている。高杉を脅し、俺たちをこんな事に巻き込んで何がしたいというんだ。」
「・・・それは私たちにも分かりませんよ。ただ、ひとつだけ分かっているのはあなたのお父さんがこの事件の首謀者である
ということです。それと、高杉君のお父さんも。」
「・・・・・・・・・・・」
・・・やっぱりあの親父は酷い奴だ。母さんを見殺しにしただけではなくて、今度は俺たちもこんな事に巻き込んだのだから。
関村が俺の命を奪おうとしていたということは、俺なんて死んでしまってもいいと思っているということだ。
「・・・さて、そろそろ時間かな。」
そう言って、彼女は携帯を取り出しどこかに繋いだ。電話の相手は・・・多分旧校舎の教師たちだろう。学校の内外に爆弾を仕
掛けられたと言われては、彼らも身動きできないだろう。
「・・・どうも。校長先生ですか?一度しか言わないのでよく聞いてください。学校の中と外に爆弾を仕掛けたというのはすで
にご存知ですよね。それらを撤去してほしいのなら私の言うことを聞いてください。新校舎に居た生徒数名を人質にしますの
で、私の言う事を聞かなければ生徒の命は無いと思ってください。」
・・・電話の相手は校長か。
「・・・そのお願いとは、時任先生を理科室につれてくる事です。そちらに迎えの者を送りますのでその人の指示に従ってくだ
さい。もし迎えの者に危害を加えたら生徒の命はありませんよ。」
そこまで言って彼女は電話を切った。何故時任先生を理科室に・・・?その直後、教室の扉付近でガタッという音がした。まさ
か・・・誰か居るのか!?
「動かないでください!!」
「う・・うわぁっ!俺っちが何をしたって言うんだよぉ・・・」
物音がした方に樫村は銃を向けると、そこから同じクラスの生徒である青くキラキラとした鱗を持った竜人の男子学生が出て
来た。何でこんな朝早くに学校に・・・
「・・・何でこんな所に居るんですか?」
「そ・・・そんな事言われても俺っちとぐれぽんは今日掃除当番だから・・・」
「ぐれぽん・・・?ああ、高杉君の事ですか。」
「そうそう!・・・・・ってギャー!」
次の瞬間、樫村は竜人の足元に向かって発砲した。人体には当たらなかったが、彼が怯んだその隙に腹を蹴り、無理やり教室
に押し込んだ。・・・こいつ、物凄く戦い慣れていないか?
「げほっ・・・!うぅ・・・俺っち何もしてないのにー!」
「・・・ここに居る以上、あなたも人質になってもらいます。申し訳ないですけど。・・・狼さん、彼に詳しい事情を説明してやっ
てください。私は今から理科室に行かないといけないので・・・」
彼女は、銃を懐にしまい教室を出た。腹を押さえて蹲る竜人の男の元に高杉は駆け寄り介抱してやった。掃除当番は二人一組
だから、こいつは爆弾が仕掛けられる前に学校に来ていたのか。何という不運な奴・・・
「だ・・・大丈夫・・・?」
「う・・・うん。俺っちは大丈夫だけどこれ、一体どういう事?転校生の女の子に銃を突きつけられたり蹴られたりするなんて
これは何かのドッキリ?どこかにカメラでもあるのかな・・・?」
彼が混乱するのも無理はないだろう。とりあえず、学校の外には地雷が埋められているため外には出られないという事と、樫
村がある目的のために俺たちを人質にしたという事を簡単に説明した。
「えっと・・・・俺っちどうすればいいのかな?」
「・・・・俺たちも聞きたいぐらいだ。とりあえず、今は下手に動かない方がいいだろう。」
外には行けないし、電話も無いので助けを呼ぶことはできない。彼女の言うとおりなら警察も頼れないし、下手に動けば樫村
は銃を持っているので撃たれるかもしれない。
「・・・・どうするかな。」
俺たちは結構、余裕の無い状況に追い込まれているみたいだ。だが、それは樫村たちも同じだろう。こんな強硬手段に出たと
いうことは、何かあったのかもしれないな。
その頃、外では警察が学校の周りを包囲していた。爆破予告のあった学校の中に生徒を入れないためである。
「どういうことだ!!中には俺の友達もいるんだぞ!何で助けにいかないんだよ!?お前ら、警察なんだろ!?」
「・・・上からの命令で、何があっても動いてはいけないと言われているんだ。それに、下手に動けば人質の命も危ないぞ。」
学校に登校してきた流虎と花音はこの騒ぎに眠兎たちが巻き込まれている事を聞き、近くに居た警官に詰め寄ったが、首を振る
ばかりで何もしようとはしない。その数秒後、乾いた音が学校内から聞こえてきた。
「・・・これ、銃声ですよね!?これでもあなたたちは動かないんですか!?」
花音の問いかけに、警官は答えず黙って首を振った。
「・・・こうなったら俺だけでも・・・」
「よせ。運動場のあちこちに地雷が仕掛けられているという情報が入った。危ないから中に入れるわけにはいかない。」
「・・・お前たちが動かないなら、誰が動くんだよ!?危険だろうが何だろうが行かないと・・・」
無理やり校内に入ろうとする流虎を警官と花音が食い止める。
「何で止めるんだよ花音!」
「・・・流虎君が今行って何ができるというの?もし爆弾が仕掛けられているという情報が本当なら正面から行くのは自殺しに行く
ようなものだよ。少し落ち着いて。・・・私に考えがあるから」
「考え・・・・?」
花音は、警官に話を聞かれないように小さな声で流虎に話した。その話を聞いた流虎は、すぐに学校の正門から離れて、花音と
一緒にある場所に向かった。
・・・・外が騒がしくなってきたな。警察は突入する気はなさそうだ。警察は登校してきた生徒を近づけさせないようにするために
しか動いていないようだ。ふう・・・状況は良くないな。
「そういえば・・・お前、名前何だっけ?」
「うわ・・・!同じクラスなのに覚えてないのかよ!そりゃないぜみんみん!」
みんみん・・・もしかしなくてもそれは俺の事を指しているようだ。セミの鳴き声みたいで嫌だ・・・
「まあ、いいや。俺っちの名前は石和 健吾さ!ちゃんと覚えておけよ!」
石和か・・・不運なことに全く関係ない奴が巻き込まれてしまったな。だが、今はその事を嘆く暇は無い。幸い、彼は話好きで明る
い性格をしていたのでこんな状況でも辛気臭い事にはならなかった。とにかく、これからどうするかを考えなければ・・・
樫村が出て行って、すでに一時間近く経っていた。時任先生を理化室に呼んだが、一体何のために・・・先生・・・無事だといいが。
今回はここまでです。今回は珍しくセリフ量の方が多かったですね。
色々と情報が多くなってきましたので簡単に説明するとこうなります。
高杉のお父さんが経営する孤児院は悪の巣窟でした→関村と樫村はその孤児院出身
→色々あって、二人は悪い組織に協力することに→その組織には眠兎の父親も暗躍
→時任先生もその組織と繋がりあり→その他の生徒たちも何かしら関係がある予定
色々と説明不足で突拍子も無い感じがしますね・・・実はもっと時任先生は目立つ予定
だったのに最も存在が薄い人に・・・
乙
ケモ学でアニメEDパロの動画作って、smilevideにアップしたら
エンコ待ちで1時間以上もページ変わらない…/(^o^)\
土日のこの時間帯ってこんなに酷いのか…?ううう。
>>482 flvとかmp4にしてうpした?
aviとかwmvでうpするとかなり時間かかるよ
>>483 ファイルはflvの5.78MB
混雑状況が「大変混雑しています」のなってたんだよねえ。
ログアウトして中断しようにも、再ログインすると動画エンコ順番待ちに
なってるしなー。内容がそろそろスレチになって来てるからもう少し
様子みてみる(´・ω・`)
乙乙。みんなかわえー
>>468 ヒカルくんのマンガが読めるとは!わくわくしながら楽しませて頂きました。
保健委員さん、かわええ。キャラは動くとイキイキしますね。
推理ものの方も、動画の方もGJっす!!
ヒカルくんでまた一つ書いてみました。
「ヒカルくん、だっけ」
ぼくの隣でハンドルを握るシロネコのお姉さんが、助手席で居心地が悪そうなぼくに話しかける。
お姉さんはガタガタと揺れるギアを片手に、ぼくらの学校への坂道を駆け上る小さな軽トラックをまるで、
魔法使いのように手に取り操り、校門へと軽トラックを進める。彼女は、ぼくが今までに会ったことのない女性だ。
ネコミミが付いたコットンの帽子、そこから美しい滝のように襟首まで流れ落ちる金色の短い髪は、オトナの雰囲気を醸し出し、
ダウンベストにハーフパンツという活動的ないでたちは、怖いものを知らない巣立ち前の若者のようにも見える。
「ねえ、サンは元気?」
「サン…、さん?」
「サン・スーシ。ここで数学の先生してるんだよね、確か」
ぼくらの学校ではちょっとした有名人のサン先生、隣に座る女性は彼の名を親しげに呼ぶのは何故か。
彼女への答えを返そうとした時、彼女はグイっとアクセルを吹かす。荷台の物が音を立てる。
「おっと、いけない」
「あの、サン先生がどうしたんですか」
「んふふ。アイツったらホント…バカだよね」
そんなことより、ぼくは荷台に積んでいるぼくの自転車が気がかりだ。
今日はついてないのか、それともついているのか。下校途中、現代文のノートを教室に忘れたことに気が付き、
再び学校までの坂道を登っていたところ、あろうことにも自転車の前輪のタイヤがパンク。
途中、近道のつもりで工事現場を通ったせいか、小さな鉄片をタイヤが踏んづけていたようだ。
ここじゃ、ぼくは手も足も出ない。足取りが重くなってしまった自転車を坂の上まで押しあがる覚悟を決めていると、
このお姉さんの車が通りかかったのだ。親しげに話しかける彼女に、一抹の警戒心を抱きながら彼女の話を聞くと、
ぼくらの学校に詳しい者らしいことが分かった。丘のこと、校舎の時計台のこと、そしてサン先生のこと。
「パンクしてんでしょ?自転車押して坂を登ろうったて、ムリムリ。荷台に乗っけなよ…あとで、あたしが直しとくからさ」
お姉さんの白い毛並みを自転車のチェーンの油で汚しながら、荷台にひょいと乗っけると、呑気に鼻歌を歌っていた。
ふと、荷台に目を向けると古めかしいが何処となく未来を感じさせる、一台のスクーターが『お先にごめんよ』とふんぞり返っていた。
「あの…」
「さ!行くよ!乗ったり、乗ったり!」
スクーターから後ろ尻尾引かれながら、ぼくは運転席の彼女の隣へ座る。
軽トラックは自転車と比べ物にならない速さで、ぼくらを毎朝苦しめる坂を駆け上る。
車窓を賑わせる両脇の桜の木は、遠すぎる春を待ちながら後ろへとすっとんで行く。
「お姉さん…あの」
「ミナでいいよ。杉本ミナ!」
「ミナさん…」
ぼくがミナに話しかけるや否や、軽トラックはすっと校門を潜り、彼は疲れを癒すように静かに玄関前に止まった。
エンジンを止めると、ミナは軽トラックから跳ねるように飛び降りる。ぼくも一緒にミナに続く。
ミナはドアのポケットに置いていたペットボトルの水をごくりと飲みながら、自分の毛が濡れるのを気にしていた。
「んじゃ、いっちょひと仕事するかな」
軽く荷台のほうに跳ねてスクーターを降ろす準備を始める。荷台から地上へとスチール製のスロープを掛け渡す。
恥じらいもなく片足でひょいと荷台に飛び乗るミナは、ネコ獣人ならではの跳躍力。尻尾が美しい孤を描く。
短い髪をふわりと回して振り向き、ミナは両手を膝に当て上からぼくを見下ろしながら、ニシシと笑っている。
「おーい、男の子!男の子だったら手伝いなさいよ!!」
「……」
「ふふふ、ヒカルくんさ、きみには彼女は居るのかな?」
唐突な踏み入った問いかけに、ぼくは戸惑う。中性的なミナの女の子を見た気になる。
ただ、その問いかけにぼくは、素直に首を横に振ることしか出来ない。ミナはそれを見ると、軽く頷き再び作業に戻る。
「ふふーん。きみのその毛並み、大切にした方がいいよ。宝物じゃん」
ゆっくりとスクーターを降ろしながら、またもミナは少し太腿の羽毛をスクーターの油で汚していた。
しかし、このスクーター…不思議なフォルムをしている。古いものだとは分かっているが、
まるで某ショートショートの大家の本の挿絵に登場しそうな、近未来的ともいえる個性的なスタイルである。
ミナのことなんぞ忘れて、ぼくはじっとこのスクーターを見つめていた。
「こら!男の子!」
「ふあっ!」
スクーターを大地に降ろして得意気なミナは、やはり女の子。汚れた自分の毛を気にしている。
ぱんぱんっと油で汚れた部分をはたくが、暖簾に腕押しなのはぼくでも分かる。
ふふんとミナは、スクーターのグリップを握り校舎玄関ぎりぎりまで押しながら、ぼくに説明する。
「このスクーターさ、『ラビット』って言うんだよ」
「うさぎ?」
「そう。彼是何十年前に作られたスクーターでね、単純な構造ゆえに修理も簡単で長持ちするんだな。
それに独特の魅力に取り付かれたヤツなんかごまんと居るんだ。ホラ、あいつがそう」
振り向くと、サン先生が校舎の中からバタバタとぼくらの方へ走ってきた。
サン先生の目は、クリスマスのプレゼントをはじめて貰った純粋な子どもと、互いはなかった、はずだ。
大地に降りたったばかりのスクーターにサン先生は飛びつき、尻尾を振って歓喜の声を上げる。
「ミナ!待ってたよ!」
「職場にまで持ってこさせるなよ、バカ」
「だって、コイツに乗って早く桜の坂を駆け下りたいんだもん!だから、今日は市電で学校に来たんだぞ」
ぽんぽんっと座席を叩くサン先生は、生徒が居る前にもかかわらず駄々を捏ねる。そんな姿、シロ先生に見られたら知らないぞ。
「おーい。サン先生!集合!戻って来い!ハウス!!」
校舎の中からシロ先生がサン先生を呼ぶ声が聞こえる。ちぇーっと言い残して、校舎の中へ消えていった。
「そういえば、ヒカルくんの自転車さ。直してあげるって言ったよね…ここで直してあげるからさ」
「そんな…悪いですよ」
「もちろんタダよ。良心的でしょ?」
ぼくが「うん」と言う前にミナは、さっきと同じようにぴょんと荷台に飛び乗り、ぼくの自転車を抱えて荷台から降ろすと、
助手席下に置いてあった工具箱を持ち出し、飲みかけのミネラルウォーターのペットボトル片手に、せっせと修理の準備を始める。
パンクした前輪のタイヤを器用に外し、力をなくしたゴムチューブが引きずり出すと、携帯用空気入れで瞬きの間に空気を入れる。
ペットボトルの水でチューブを濡らしながら、気泡でチューブの穴を探す姿は、若いのにまるで熟練した年配の職人のようだ。
「やだ!手が濡れちゃった…。ンモー」
それでも、杉本ミナは街角で甘い香りを放ちながら歩く若い女の子と同じ世代のネコ。
毛並みの汚れなんか全く気にしていないのか、せっせとチューブの穴を探す。
今、ミナは自転車の修理に夢中だ。ぼくになんか気を払っていない。
そして、目の前には『ラビット』。初めて見たのに懐かしく、そして古めかしいのに新鮮なこの乗り物。
見たことのない機械はぼくにとって、見知らぬ旅先の老人に話しかけるときのように、期待、不安、そして新たな発見を呼び起こすものだ。
(…なんだか、いいな。これ)
見知らぬ乗り物にぼくは腰を掛け、グリップを軽く握る。
(こんな気分なのかな…。バイクに乗るってことは)
足を伸ばすと右足にペダルが当たる。そして、グリップをさらにぎゅっと握り締める…。
桜の木が花咲いた。優しい春風も吹いてきた。そよ風の誘惑に惑わされて、ついひとっ走り。
ぼくは、ラビットに乗って学校の坂を下っている。風がぼくの毛並みをすり抜けて行き、尻尾も風に倣ってはためいている。
毛並みのおかげで寒くはない。聞いたこともないのに、エンジンの音がぼくの耳に届く。
「ヒカルくん?気に入った?」
「あ!ご、ごめんなさい!!」
ぼくの顔の横には、ミナの油ですすけた顔が控えていた。ぼくは我に帰る。
気のせいだったのか…。依然、ぼくの周りは学校の玄関前。ラビットなんか走っていない。
ぼくの出来心だ。ごめんなさい。ぼくは軽率だ…。ラビットから降りようとするぼくをミナは何故か止める。
しかし、ミナはぼくを責めることなく、むしろ誉めてくれた。
「コイツに乗れる年になったら、ウチのお店においで。コイツをまた探してやるからさ」
そういいながら用意しておいたバケツに、校庭の水やり用の蛇口からいっぱいに水道水を湛える。
ミナは用意しておいた洗い物洗剤をバケツいっぱいの水に少し垂らし、それで毛並みの油を落としていた。
ただ、ネコの血の性か水に触ることを怖がっているようにも見える。
「ヒカルくん。恋人がわたしみたいに油だらけの毛並みの女の子って、イヤでしょ?」
「……」
「これでもからだ中の毛並みはね、しっかりとわたし染め直したのよ。でも、こんなお仕事してちゃ
すぐに汚れちゃうのはしょうがないし。さて、水ですすがなきゃ…、やだな…濡れちゃうの」
ぱっぱとそれでも落ちない油だらけの手を振って水を切り、清らかな水道水ですすぎ直している。
ミナの顔はただの女の子の顔。ペロペロと濡れた手首を舐めるさまは、甘えん坊だった子ネコ時代を思い出したのだろうか。
いや、ミナが甘えん坊だったなんて言ってはいない。ただ、彼女の仕草がそう見えたのだ。
しばらくした後。サン先生は、意気揚々としながら玄関を飛び出して来た。あきれた顔をしたシロ先生と
笑っている泊瀬谷先生が後に続く。ぼくらにとっては見慣れた光景。同じようにミナはふふんと笑っている。
「さーて、今日の仕事も終わったし、コイツに早速乗って帰るか!」
「サン、乗って帰る気?」
「帰る気マンマンだよ!」
気の置けない会話を交わす二人は、どういう関係だろうと気にしていると、シロ先生が答えをにおわす。
「サン先生の方が子どもに見えるな…」
「……。でも、何時になくはしゃいでませんか」
「サン先生は、子どもに地位とお金を与えたような人だからな」
泊瀬谷先生はサン先生に気を使ってか、小さくくすくすと笑う。
ぼくがさっき跨った『ラビット』に、サン先生は飛び乗るが新たな問題が。
「ほらさ。サンったら全然足が届かないじゃん」
「なんでだよ!ちくしょう!!」
「こいつにはブレーキペダルがあるからな。一目ぼれの衝動買いも剣呑だな」
サン先生は浮いた足をバタつかせている。ミナはなんとか改良してやるからと、弟を叱るように優しくなだめ、
サン先生を両脇に抱えて座席から下ろすのだった。
―――「じゃあ、またな」
と、あっさり一言残してミナは乗ってきた軽トラックにサン先生とラビットを乗せて、花びらを忘れた桜並木を駆け抜ける。
風はまだまだひんやりと、『そよ風』と呼ぶには遠すぎる厳しさ。泊瀬谷先生は思わずぶるっと毛を揺らす。
しかし、ぼくが『ラビット』に乗っていたときには、確かに『そよ風』のような気がしたのだ。
「いけない!」
そうだ、ぼくは忘れ物を取りに帰ったのだ。現代文のノートを…、すっかり忘れていた。確か、教室に…。
その旨を両先生に伝え、校舎に向かおうとすると、泊瀬谷先生が声を上げる。
「あ!わたしも現代文の教科書が確か…机に!」
同じように泊瀬谷先生も忘れ物をしたと、すたたと職員室に戻る。
―――教室から忘れ物を持ち帰ると、シロ先生一人で玄関先にて泊瀬谷先生を待っていた。
折角だから、コーヒーでも飲んで温まりなさいと、ぼくは誘われて職員室に寄り道。
「ホント、寒くなったね」
暖かい室内ではシロ先生のメガネが曇る。泊瀬谷先生は教科書を握り締めて、職員室から出るところとぼくらとかち合う。
泊瀬谷先生も誘い、ちょっとばかしのナイショのお茶会。シロ先生とっておきの高級コーヒー豆、折角だから一杯どうぞ、と。
一旦、握り締めた教科書を自分の机に再び置いた泊瀬谷先生、目をつぶって香りを楽しんでいる。
「普通だったらのませないぞお」
サン先生に負けず、シロ先生もけっこうお茶目なのかもしれない。
シロ先生自慢の最新式のサイフォンがこぽこぽ音を立てて、ぼくらのためにコーヒーを注ぎ出す。
コーヒーが入る間にサン先生のPC装備に見とれる。やっぱりすごいや…、ぼくも欲しいな。
ふとモニタの横に、ある写真が飾られていることに初めて気付いた。一枚の青い写真。
この間、PCを扱わせて頂いたときには、写真の存在に全く気が付かなかったが、その写真の中には、数人の若者の姿。
ど真ん中に写るサン先生は、あの大きな声が聞こえてきそうなほど跳ね、そして隣には杉本ミナがすましていた。
学生時代の写真だろうか。後ろには広大な青い海と、高く天に向かう白い雲が広がっている。
そして、写真の中の杉本ミナは、今日よりも真っ白の毛が眩しかった。夏の雲のように。
「コーヒーどうぞ」
ぼくは、ぼくの白い毛並みを汚さぬよう、ゆっくりと冬のコーヒーを楽しむ。
『きみのその毛並み、大切にした方がいいよ。宝物じゃん』か…。
ふと窓を見ると、外はもう既に薄暗くなっていた。春のそよ風はまだ遠い。
「それじゃ、もう遅いから一緒に帰ろうか」
泊瀬谷先生は三人分の空のマグカップを流しで洗い、ぼくとシロ先生は帰宅準備。
三人分のマグカップを洗いあげた泊瀬谷先生は、ぼくらに追いつこうと駆けて来たが、三人揃った所でひゅんと声を上げる。
「いけない!また教科書忘れるところだった!!」
おしまい。
投下お疲れ様です。
ほぼ無敵先生の友達ともなれば、こんな感じでないと振り回されるんだろうなぁw
そしてシロ先生のハウスにふいたw
>>472 ほら、バーローとかも推理物とはまた別路線の本編があるからいいんじゃないかw?黒ずくめ関係の
>>485 動画すげぇw元ネタは見た事なかったんだけど保健委員君の位置は
多分蒼星石だろうなと思って元ネタみたらやっぱり蒼星石だった
>>487 なんかヒカル君がどんどんフラグ建設してる気がするのは気のせいだろうか
>>485 見てきた!これはすごい!!
みんなすごくかわいかった
ただ誰が誰だか思い出せないよう
最初2人の猫とウサギって誰だっけ
アカウント登録してみた。アクセスしてみた…
最新のフラッシュプレーヤ入れろと言われた。
Mac OS 9では駄目なんだ… とほほ。
501 :
487:2008/12/08(月) 01:07:56 ID:go9WwH+1
>>497 うひょー。かっちょいい挿絵、ありがとうございます。
ヒカルくん、一人歩きを始めて言う事を聞いてくれません。
誰か諌めて下さい…。
あ、その二人か、ありがとう
永遠花表情がいいね
りんごちゃんはねこかぶったおしとやかって感じw
ヒカルくんヨハン先生化フラグ?w
二人目のエロゲの主人公か…
>>500 1年前の俺の家状態だわ。
まだ9を使っている人がいるとはおもわなんだ。
1年前に豹に買い換えたとき驚かれた。
9と最近のじゃ大分ちがうからなー。悩みどころだなぁ。
つかエコノミーモードってので再生できない?
>>485 お疲れ!! 自分はりんごだけはすぐに判った、でもあれは包丁じゃなくて鉈だろうw
>494
初めて自分がバイクに乗った時の事を思い出したよ
しかしラビットスクーターとはこれまたシブい、サン先生もヒカルくんもいい趣味してる
毛皮に油が付くと落すの大変なんだよね、きれいに落とせても毛がガビガビになったりして
手首をなめる仕草に萌えたw 猫族の本能的な振る舞いって感じが出ていいねぇ
最後から二番目って舞?
せんせーい、新宿の音ゲーが上手く行きませーん
真・ガブリエルで無理ゲーですね分かります
コレッタ! 小学生とは思えぬ美貌w
こ、これはかわいい!!!
あのどうやってシャツ着るんだか謎なゴツゴツ兄貴の妹とは思えないw
カワE!!!!
くそっ、塚本の馬野郎!
馬鹿ロリータ!
こんなカワイイ娘を泣かせやがってぇぇ!!
ザッキーの尻尾ひっぱりたいw
>>508,
>>510 真ガブリエルで詰まって、ずっと放置して忘れていた俺のトラウマを掘り起こされたw
トラウマ繋がりで前回の酷いゲームSSを投下します。今回は最近のゲームですが
決して批判してる訳ではありません!決して!!
ある晴れた休日。突然流虎が遊びに来た。こういう時に、二人が集まると何故か決まって(以下省略
「今度こそ普通のゲーム出してくれよ。」
「心配するな。今度のゲームは割と新しいから。」
そう言って、俺はパッケージに赤い月の載ったゲームを取り出した。タイトルに(仮)という字が入っていて製品版
なのに体験版っぽく見えるのは俺だけではないはず。
「・・・すみません。このルー語を話す女の子は何ですか?ある県の人を馬鹿にしてるとしか思えないんだけど。何このクs・・・」
「言うな!!それを言ったら特定の人物を攻撃することになってしまう!!」
大人の事情なので軽くスルーするとして、今度は大河ドラマで人気の出た題材をゲームにした物をプレイする。
「・・・何この逆裁を目指したようで全然違うようなゲーム。歩き回るだけなのか?」
「・・・大奥の生活をお楽しみください。」
流虎は数分で飽きたようなので今度は次世代機のゴルフゲームをプレイさせてやる。
「おっゴルフゲームか。これならおもしろそうだ。」
「ああ、リモコンを振るだけの簡単操作だ。」
10分後・・・・
「・・・・スタッフロールが流れてるように見えるけど10分でクリアできるゲームなんて存在するわけないよな?な?」
「・・・・本当の地獄はこれからだよ。」
本当、俺が楽しいと思えるゲームにめぐり合えるのはいつになるのか・・・・
強制終了。ヒハンシテルワケデハアリマセンヨエエ
このSSの元ネタが分からない人は ファミ通 3点でググってみよう!!
その凶運は何なんだww
「ファミ通 3点でググって」プレイ動画を見たけど、これはひどいwww
本人が買ってきたなら、前回で語られた母親のチョイスセンスを完璧に受け継いでいるな。
オキシドール!
この点は出ねぇよぉ!
ところで、白先生のシロって苗字かな?
womanって大人の成人女性って意味だから普通獣人はfemaleが使われるけど
まあどうでもいいか
大人の成人女性じゃなくて「成人女性」だった・・・
「頭痛が痛い」と似たようなもんだな!
今唐突にHappy Kemogaku Friendsが浮かんだ
それはガチでやめてくれ
俺のトラウマなんだ
キャラがかわいいのに、凄惨なグロのアレだね
SSだ……SSをもっと…読ませてくれ……!!!
絵も、何でも…もっと、もっとだ…!
>532
まっててくれ、描いてるぜ! (いつになるかわからんが)
むしろ一緒に描こうぜ
豚の仔可愛いよ豚の仔
チョコンとした尻尾が!
しっぽがああああああああぁぁぁぁ!!!!
右の子も負けてないぞ。
もふもふ!
豚♀はケモノ界隈でも爬虫類以上に希少だよなー
萌え
週末なのに何だか静かだね
亜人スレとファンタジーっぽいものスレに出張してるからね
いつものノートに手書きの人キタ!
ノリノリで描いてる様子が目に浮かぶww
>>540 あれは出張ってほどでもないような
あれくらいのレスこの板のスレいくつもにしてるしさksks
目がきれいに描けてるからなんとなくまとまって見える
美王先生ー!俺だー!結婚してくれー!
クッキーマンだ!
楽しそうだなぁ〜
よみうりランドにあるチュロスの広告の絵思い出した
>>544 色使いがきれいだなあ。きつねちゃんかわええ。
風が日に日に冷たくなる季節なので、ケモノさんたちも気をつけてね…。
短めのものを一つ。
ぼくが気付いたときには、保健室のベッドの中にいた。
そう言えば、「ヒカルくん!ヒカルくんがあ!!」って声が微かに聞こえた気がする。
お昼休みはとっくに終わっているのだろうか。被さる布団を上げて起き上がろうとすると、シロ先生が無理するなとぼくを諌める。
「……ぼくは」
「ヒカル、聞いたぞ。風邪気味なのに無理してたなんて」
キャリアウーマンである母の出張が長引き、物書きをしている父と二人で家を守っている今。
人の良さだけがとりえの父は、ぽんぽんと安請け合いで仕事を引き受け、椅子に根を生やしてしまったようにPCの前に座り続ける。
自分で自分のことを苛めているようにぼくには映る。しかし、父は笑いながら物書きに没頭する。
「ははは。わざわざ仕事を持ってきて頂いたのに、断っちゃ悪いよね…ヒカル」
それで、ぼくが家事を任されたのだが、このところの季節の変化についてゆけず、体調を崩してしまった。
父も心配をしていたのだが、学校だけは行っておきたいと父を振り切って、重たい身体を起こして家を出た。
しかし、そんな傷だらけの身体で無理して登校したぼくがバカだった。
「保健委員の…ほら、アイツが『ヒカルくんが図書室の前で倒れたッス!』って慌てていたぞ」
「…ぼく、ゴホン!!」
「無理するな。鼻も乾いているし、毛並みのつやが無いのを見れば、素人でもすぐ分かることだぞ」
シロ先生に言われてぼくの鼻を触ってみると、確かに濡れていない。ふと見た手の毛並みも酷いもんだ。
頭がくらくらして周りが見えていなかった。それにかまけて、自分のことをずいぶんとなおざりにしていたのがよくわかる。
棚に置いてある魚の形をしたシロ先生の置時計は、「お前は今、泊瀬谷先生の授業をすっぽかしているぞ」とぼくを責め立てる。
「そういえば…あの…」
シロ先生はコーヒーを入れながら、ぼくが聞こうとすることを答えてくれた。
ぼくの考えていることを見抜くシロ先生は、隙が無い。サイフォンの声だけ響く保健室にシロ先生の声が加わる。
先生曰く、ぼくが倒れたお昼休みに『保健委員のアイツ』が、ぼくをここに連れてきたあと、ぼくのことを心配しながら
授業の為に教室に戻ったとのこと。そのときのことは、全く記憶が無い。非常に歯がゆい。
小さい体でここまで連れて来た『アイツ』に布団の中で感謝していると、「アイツは本気の目をしていた」と、
ぽたぽたと雫をたらすサイフォンを覗きながら、『アイツ』のことをシロ先生は振り返る。
もうすぐ、授業を終わらせる鐘が鳴る。
シロ先生は、先生の愛用する魚の絵のマグカップにコーヒーを注いでいると、ふと思い出したように呟いた。
「ヨハンのヤツ…、忘れてるんじゃなかろうか。わたしの読んでいた詩集が読みたいって言うから持ってきたのに。一週間待ったぞ。
…ふう、ずいぶんとほったらかしにされたもんだな、わたしも。ヒカル、わたしは少し外に出るから」
用を思い出したのか、マグカップを置き、ぽんと机に置いてあった一冊の本を軽く叩き、ガラリと保健室の扉を開けて表に出て行った。
シロ先生が外に出た隙に、ぼくは重い身体を起こし机の上の本に目を向けると、見覚えのある名前が飛び込む。
『いぬがみゆたか・詩集』
そう、いぬがみゆたか・犬上裕はぼくの父だ。ヨハンは、知ってか知らずかぼくの父の本を読みたいと言っていた…か。
ヨハンのことだ。きっと尻尾を振って、出任せにシロ先生のご機嫌でも取ろうとしたんだろう。そんな発想、ぼくにはない。
ただでさえ頭がぐらつくのに、ヨハンのだらしなさを思い出すと、余計に頭が痛くなってきた。
ヨハンも父の本のことなんか忘れているに違いない。ヤツはああいう男なんだ。
再び、扉の音が聞こえる。シロ先生か?いや、足音が違うことぐらいイヌ族なら直ぐに分かる。
「ははは!ヒカルくんも、医学の神・アスクレピオスも裸足で逃げ出すと言うシロ先生に診て頂いて果報者だな!」
あの能天気な声はヨハンだ。こんなところではち合うなんて、今日はとことんついてない。
やはり、ヤツの声を聞くと頭が痛い。いや、その上を行く『頭』の『頭痛』が『痛い』…か。
そんなくだらないことを考えながら、ヨハンに背を向けて布団を頭の上まで被る。
尻尾が寒い。ベッドからはぼくの尻尾だけがはみ出しているけど、面倒くさいので引っ込めない。
「ヒカルくんは、なかなか面白いね。白いイヌだけに…」
涙を誘うくだらな過ぎるヨハンの言葉を耳にしたので、急いで尻尾を引っ込める。
布団の隙間からヨハンの様子をこっそり見ているとヤツはコーヒーの香る保健室に入ってきて、
机の上の『いぬがみゆたか・詩集』を拾い上げ、ぱらぱらとページを捲っていた。
長い髪を揺らしながら、その本を心底嬉しそうに眺めるヨハンは、少女漫画に出てくるようなワンシーンに見えた。
もっとも、少女漫画のことはよく知らない。しかし、ヤツから放たれる何かは、そういう感じがするのだ。
「この作者の本はね、読んでいてとても豊かな気持ちになるんだよ。作者が『ゆたか』だけにね」
「……」
「いや、冗談で言っているわけじゃないよ。ぼくが好きなのは、作者の人柄のよさがよく現れているところだね。
言葉遣いが実に面白い。そして、砕けすぎず固すぎず…ぼくは好きだな、この人の文は。作者は何かの縁できみと同じ苗字だ。
一度、きみも読んでおくことをオススメするね。女の子を誘うときのセリフの参考になるかもね」
……こんな本、家に何冊も山積みになっている。同じ本が何冊も部屋を埋め尽くしている。
きっと、ヨハンは知らないのだろう、『いぬがみゆたか』がぼくの父であることを。
しかし、父の『人の良さ』だけは完全に見抜いてしまったヨハンの嗅覚には感心。
言の葉だけでの書いた者のことを見抜くヨハンは、隙が無い。
「ヒカルくん!」
飛び込んできたのは、授業を終えた泊瀬谷先生。抱えている出席簿が息苦しそうでもある。
シロ先生曰く、ぼくが休み時間にぐっすりと寝込んでいるとき、一度保健室にやってきたらしい。
が、休み時間が終わってしまい、先生は保健委員の『アイツ』と一緒に、授業の為に教室へ。そして、再びここに戻ってきたのだ。
泊瀬谷先生の柔らかな手のひらがぼくの額に触れる。しかし、泊瀬谷先生のことを心配
させるような感覚がする。
動揺してか隠れているはずである泊瀬谷先生の爪が、ぼくの額に突き当たっているのだ…。
ヨハンは見かねたのか、泊瀬谷先生の肩を叩きいつものように、歯がゆい言葉をかける。
「泊瀬谷先生、ご心配なく。ヒカルくんの毛並みは、みるみるうちに光りを取り戻しています。
先生もお疲れでしょう。ささ、先生の為にコーヒーを入れておきましたよ。冷めないうちにどうぞ」
まだ湯気の立てている、魚の絵のマグカップを泊瀬谷先生に差し出した刹那、再び保健室の扉が開き、声が響く。
「それは、わたしのコーヒーだ!!」
おしまい。
思いつきで書いてしまいました…。
ヨハン先生は、こう動かせばいいのでしょうか?投下終了っす。
投下乙!
やっぱり犬獣人は風邪引くと鼻が乾くんだな
ヨハンww勝手に人のコーヒーすすめんなw
投下乙です!
尾も白いで不覚にもww
マスター、
あちらのレディーに大便酒を
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
ハ,,ハ / `ー一′丶
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∧ ∧
ハ,,ハ / `ー一′丶
< ;`∀´> / : : :: :: :::::ヽ お断りします
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ヨハンw
まさにサカリの付いた犬www
同じ原理でタスク君もネコだと思っていた時期があった。
ざわ…っ ざわ…っ
564 :
553:2008/12/16(火) 00:02:28 ID:yMuK44s8
月曜日もおわりか…。
>>559さん、いつも素敵な挿絵をありがとうございます。
>>562 鎌田くんはいい牌来ても、顔に出なさそう。いつも(ある意味)ポーカーフェイスだし…。
なんという馬鹿wwwww
塚本本当に心底馬鹿だなwさすが馬鹿ロの一員
いがいとワルっ子の多いケモ学園。
雀荘バイトで初等部にガンつけるウマとか
ガンつけるつもりは無くても怖いヘビースモーカーなリザードマンとか
校舎で台車に載っちゃう先生とか
大変ねぇ
最後w
いのりんやら泊瀬谷先生辺りの常識人で暴力に頼らない先生は特に苦労してそうだ
ひかる君の風邪っぴき画を描いたら風邪うつされてダウンしました。
今調べたらシボレーの車、Camaro(カマロ)ってフランス語で『仲間』とか『友達』
の意味を持つcamarade (カマラード)が語源なんですね。 なんか、塚本もしゃれ
た名前を付けるなぁと思ったりしました。
これはいいおへそ!
こ、これはなんというゆっくりだるまww
てか前にいる娘かわいすぎるうぅっぅうぅぅ
めちゃくちゃ気に入りました即保存物ですよこれは!!
みみあて!しっぽ!
かわいい!!
それにしても左のww
ほんと最近の中じゃ一番のクリーンヒット!!
俺の好みにぴったんこだよ
うおおおおお、もっふもふ!もっふもふ!
こいつは保存するしかない!
それにしてもゆっくりだるまの顔が憎たらしいw
ミケとクロだー!
あったかそうで可愛い!
色鉛筆も使えるとはスキル豊富だぜ
ほんわかー
このじんわりと心に広がっていく気持ちは…そうか、これが癒しか
なんとも見てて心地いいなー
クロとミケだ!!
いやーかわいいなぁ子の二匹は
クラスの男子には寝てたら天使とか言われてそうだw
ミケクロってスタート悪役だった(笑)けど私は案外好きですた。なので、もうちと
フォーカスしてやってもいいかなと思いました。 それにしても、ケモ園は少子化で
初等部にキャラ少ないなぁ。
>>573 そうそう、防寒具として耳の手当てをどうするかって、かなり悩ましいですよね。
兎とかだとみょーんと長い中に耳を入れる毛糸の帽子とかになるのかしら?重そうだな。
※こないだゆっくりのヌイグルミを買いました。立体になるとかなりキますなぁ。
冬のうさぎってめちゃくちゃ耳つめたくなってるもんね
防寒具はぜひつけたいところだろうけど確かにどうやるんだろう
初等部はもっと動かしてみたいな
兎の耳当てと言えば、セイクリッドブレイズのカッテントみたいな感じが理想的になるのかも
保健委員は下書きしてる時点では初等部のつもりだったりとか。
今では自分でも高等部のイメージですがw
なにかと思ってぐぐってみたけどカッテントってうさぎ獣人なのね
耳カバーみたいなのが確かにイイ!
ほぉ、これはいい…
なんと名づけよう、手袋から考えて耳袋だろうか
猫、犬系の耳の防寒具はモンハンのオトモアイルーの装備の一つにあるマフモフスーツの帽子? が良さそうだな。
尻尾も寒そうだよね、獣人って
もほもほ
やっぱり耳全体を包み込むのが一番いいのかな
>>591 短毛の獣人は寒そうだね
犬系の人達は大丈夫っぽい
耳もだけど、尻尾カバーのファッションとかありそう
女子高生はなんかつけてるだけで重そうなカバーつけたりw
やっぱりあっちでも女子高生は寒そうな格好してると思うな
>>595 鎌田の漫画でモエがスカート短くして寒がってなかったっけ
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【2008】クソゲーオブザイヤー part42【総合】 [家庭用ゲーム]
……あの不幸な母子の影響か
ちょwあれで興味持っちゃったのか
柊くんのおかげで、今年最強の糞ゲーに出会う事が出来たよ。
そういえば来年の干支は
ずっと牛沢先生のターン!
ハッ、もしや年賀状は牛沢先生だらけ?
メイド花子年賀状が大流行!
てか大流通?
メイド花子年賀状実物キター!
これはGJすぎる!
さすが噂が現実になるスレだぜ
ペルソナ2?
セクシーでかわいいとかじゃなくて極寒スタイルに憧れるのかw
ニーソかわいいのにねぇ
まあ確かに足が細くないと似合わないけど
>>608 こないだから描いてる豚の女の子は、脚の太いの気にして黒タイツなんだけど、
タイツなんかの方が目立つのかしら? 私は太い足は好きなんだが(笑)
まだ名前決めてないけど、きっと渾名は「とんこ」だろうなぁ。
牛沢先生の着物姿はお年賀のよてー。まだ着れるけど振り袖でないほうが良いで
しょうか?
黒タイツは細く見えると思う
ニーソが太もも太いと似合わない
牛沢先生の振袖wktk
ぜひ振袖でお願いします!
>>608 いもジャーか。
伊織さんなんてモロ体育会系だし常時いもジャーのイメージがある
タスクはそこに危険があって地雷を踏むと知ってても避ける事が出来ない子か
>>608 こんな姉弟ゲンカは大好物。
がんがれタスクきゅん。
怖い姉貴によく大根足とか言えるもんだw
タスくんはM!
そりゃ快感を感じる奴じゃないかwww
ただ単にうかつなだけだよきっとw
違うよ、殴られてもいいからねーちゃんに可愛くいて欲しい。マシな格好して欲しいから言ったんだよ。
姉思いな弟なんだよ。
大根足やらむにむにの腹を出したダッサいのの弟だと思われたくないのが本音だろうが。
適当に誉める父や何でも可愛いと言う母や友人にかわって、
姉のおしゃれの暴走を止めるのも弟の役目なんだよ…
ところで頭突きのシーンはまだですか?
窓際のたぶん後ろのほうの席だよな
席替えのときには憧れのポジション
個人的にドア側の後ろが絶好の席だったなぁ
窓際社員ならぬ窓際生徒のポジション。
窓際はスチームがあるうえ低空飛行の太陽が差すからなぁ
冬は廊下側寒いんだよね
>冬は廊下側寒いんだよね
席替えで運が悪ければ鎌田死亡フラグ
そこは目が悪い人があとで席交代するみたいに
ヒーター横との交代が認められると信じたい
猫も寒いの嫌いそうだ。
そういえば体毛って冬毛になってるのかしら
なるんじゃないの?
毛の生え変わる季節はあっちこっちで抜け毛がイパーイ
掃除のおばちゃん涙目
>>631 鎌田と隠れ冷え性の子が交代させられて
内心ショックだが鎌田がリアルに生命の危機だから何も言えなくなる女生徒が思い浮かんだw
抜け毛を減らすためのブラッシング講座があったりなかったりでだね
小まめな手入れをしているために抜け毛の少ない男の子が、清潔感があるとかいってモテたりするわけですね
正反対にやたらぼさぼさのワイルドな生徒もいるかもしれない
そのぼさぼさがワイルドな感じで似合うタイプと
ちょっとでも手入れをサボると一気に不潔っぽくなるタイプがいるわけですね
あぁ、前にだらしない蛇が剥がれ掛けの鱗そのまんまとかの描写あったなぁ
アリスのウサギは相当神経質そうだったな
オオカミと喧嘩してたもんなぁ
あの狼は不潔上等、言われない限り絶対身づくろいしないワイルド通り越した野生だったもんな
季節が変わるときの生え変わりの抜け毛だけで収集車が何杯もいける
冬の廊下側は地獄でもあるが、だからって暖房側も幸せではなかったなー。
暖房側はヌクヌクできるが、教室全体を暖めるために暖房ガンガンだと灼熱地獄。
そして中列の前と後ろは、休み時間に戸が開いていると廊下の冷気にやられるポジション。
窓 │暑 寒 ◎┃戸
暖房│暑 普 寒│廊下
窓 │暑 寒 ◎┃戸
◎=昼休みに購買部へ猛ダッシュポジション
各教室の購買部へ猛ダッシュポジションに居る生徒達が
チャイムの終わりと共に駆け出し壮絶なバトルを繰り広げるべく
校内競争をするというデスティニー
そして台車にのってその競争をぶっちぎっていくサン先生
チャイムと同時のスタートダッシュが鍵になるんだよなー。
あとは、うちの学校は2階=3年 3階=1年 4階=2年だったから、必然的に3年が有利だった。
きりが悪くてチャイムが鳴っても少し授業が続いた場合、
だいたいの生徒はダッシュをせず、諦めてとぼとぼと購買部へと向かったっけな。
うちは金曜が学食カレーの日だから、金曜の4限目は空気が緊張してたな
チャイムと同時に走る足音が聞こえてた
購買部へのダッシュにおいて利里は無敗だと思う。
何せ、あいつは顔がリオ○ウスだし。 ノーモーション突進は恐いよ……
でも足は遅そうだからスピードで惨敗じゃないか?
購買部へダッシュしている姿が真っ先に浮かぶのはアキラだなw
>>651 そこでまた角で何かとぶつかるんですね、わかります。
犬も走れば角で衝突
>>650 怒り状態だと馬の塚本よりも足が速い利里。
今のところ学内施設の描写が割と乏しいわけですが(笑)暖房はやはりスチー
ムのセントラルヒーティングなのかしら? 私はずーっとダルマストーブだっ
たので実はあまり知識が無いです。 で、ストーブだと煙突の関係で廊下側の
入り口そばに設置されたりして、窓側は案外寒いポジションだったりしました。
勝手に描くとまた整合性がとれなくなりそうだしなぁ…
描いたモン勝ちだと思うぜ。
ところで、スチームの暖房って
「かんっ!!」みたいな音が突然鳴るって聞いたんだけど、まじ?
うちはボイラーで沸かした温水での暖房だったな
ふむむ。 やはりあれかな? 初等部中等部は割と校舎が古いので石炭だるま
ストーブで、高等部は新しい建物なのでスチームとか。私の中学高校も割と継
ぎはぎだったしなぁ。
石炭ストーブなら「石炭当番」とか「蒸発皿で牛乳温め」とか「デレッキと十
能でチャンバラ」とか「長靴乾かし」とか、まぁノスタルジックかつエキゾチ
ック(?)なネタは持ってます。 とは言え、北国雪国人間割りと多かったの
であれかな?
氷点下20度の日の石炭当番は辛いです。
スチームだと臭いが充満するので「弁当温め禁止」とかの学校も有るとか聞い
たこと有るけど、本当かしら?
スチームの音はウォーターハンマー音か何かじゃないのかしら?
石炭ストーブは親から聞いてたなあ。
中学校も高校も、地元が田舎のせいで教室にストーブは1個しか
無い上に最前列の窓側に設置してあって、しかも従来の古い
ストーブ式だったもんだから焚き始めの時期はたまったホコリが
燃えて臭いというひどいものだったぜ。
暖かい地方なんで、うちは石油ストーブくらいしかなかったなぁ
描いちゃって後で齟齬がでても気にしないでいいと思うんですけどね。
そりゃ祖誤や矛盾が出ないに越したことはないけどそんな気にする必要はないと思う
それよりノリと勢いと面白さが大事だよ
むしろ、いまの時期だからこそ
あえて浜辺水着の絵とか
中にいる小人さんが蒸気の熱さに苦しんで内側からガンガン叩いてるからね
あれ・・・後ろにカクカクシカジカが・・・
これはコート掛けて置くのに便利そうな角ですね
絶対あちこちに引っかかりまくるw
後ろでサン先生がww
チビタスクかわえー
来栖マスツリー!
>>671 タスクはねーちゃんが大好きなんだなぁ。
>>667 そういえばトナカイ役やらされる事忘れてたww
うひー、予定が立て込んだのもあって投下が随分久しぶりになってしまいました
これからまた投下が増やせるはず
「はぁ……」
昼休み、職員室のデスクの上に、普段よりも小ぶりの弁当箱を置きながら、いのりんは珍しく大きな溜め息を吐いた。
普段は生徒を指導する身として、無闇に人前で弱気になったりはしないのだが、今回だけは、落ち込んでいる様子を隠さない。
弁当箱の蓋を開けると、中に敷き詰められているのは、肉類を一切省いた、山菜などの低カロリー食品だ。
妻の心遣いは素直に嬉しかったが、この内容の弁当では、テンションが下がるのも当然だった。
箸を進める気にもならずに、ぼんやりとその弁当を眺めていると、職員室の扉がガラリと音を立てながら開く。
ヨハン先生に泊瀬谷先生に帆崎先生、昼前の授業を終わらせて、食事をしに職員室まで来たようだ。
「へぇ、ヨハン先生が昼休みこちらに来るなんて珍しいですね。
いつも女生徒たちと昼食を食べてるでしょう」
「たまには教師同士の付き合いもまともにしろと、煩いのが一人いましてね」
不思議そうに問いかけるいのりんに、ヨハンはにこやかな笑顔を浮かべながら答え、帆崎を指差した。
「俺は正論を言ったつもりなんだけどな」
「分かってないな。生徒たちと至福の時間を共有する事が、教師としての本分ではないのかね」
「お前に正論言った俺が馬鹿だった」
帆崎は『やっていられない』とばかりに、気だるそうに首を左右に振り、ヨハンへの問答を終わりにする。昼休みは長くはないのだ。時間を無駄にするのは良くない。
二人の意見を真剣に考え込んで、少し悩んでいる様子の泊瀬谷先生を尻目に、いのりんの机へと向かう。
「い〜のりん、今日もちょっとばかし……」
誰かにお願いする時の、文字通り猫撫で声で帆崎が言う。視線は机の上に乗せられた、弁当箱へと向けられている。
いのりんはいつも重箱いっぱいの、大量の弁当を持ってくる。しかも専業主婦の作る家庭の味は、間違いなくそこらの総菜屋で売ってる物より上等だ。
そして重要なのは、いのりんの性格だ。別に工夫をする必要はない。昼食中のいのりんに向かって、「今日も美味しそうですね」「それなんですか?」。それだけで分け前は確実にもらえる。
一人が言えば、周囲の3,4人まで恩恵に預かれる。自前の弁当にもう少し彩を加えたい時、何となく物足りない時、一部の生徒や教師から、いのりんは密かに頼りにされていた。
だが、今回はいつもと反応が違う。いのりんは少し申し訳なさそうに笑うと、「今日は無理なんですよ。ごめんね」と言った。
「えー、いのりんの奥さんが作るから揚げ、俺好きなんだけどなー」
「分けてあげたいのも山々なんだけど、肝心の弁当がね」
そう言いながら、いのりんは三人からよく見えるように弁当を持ち上げる。
いつも持ってきていた重箱山盛り弁当とは、似ても似つかない質素な弁当だ。
これは確かに人に分けてやれる余裕もなければ、進んで分けてもらいたいと思うほど、目を引く料理も入っていない。低カロリー高タンパクを徹底した、味気ない料理が詰め込まれている。
確かに健康には良さそうだ、よさそうなのだが……。
「あの、猪田先生、何かあったんですか……? つい先週まで重箱だったじゃないですか」
明らかに落ち込んでいたいのりんの声色もあって、泊瀬谷が心配そうに訪ねる。ヨハンと帆崎も、気になっている様子で聞き耳を立てた。
いのりんは小さく頷くと、ぽつりぽつりと語りだす。
「先週の日曜日、子供に予防接種を受けさせるために病院へ行ったんだ。
そのときに、ついでのつもりで夫婦で健康診断も受けたんだよ。
家内の方は、何も問題はなかったんだ。問題は僕の方にあってね。
高カロリーの食品は控えた方が良い、野菜を増やした方が良い、これ以上揚げ物を食いすぎると、冗談抜きに血管が詰まるって……」
一同の視線が、ワイシャツのボタンを千切ろうかと言うほど出っ張った、いのりんの腹に向かう。
確かに、もう若くもないし、この体系で毎日毎日高カロリーの弁当を大量に食べていれば、医者にそう言われても仕方があるまい。
「それでね、あの、家内のスイッチが入っちゃったらしくて、ヘルシー料理の本とか買ってきて。
子供たちにはいつも通りの美味しい弁当を作ってるのに、僕だけ特別に低カロリーに徹した薄味の料理を……」
あぁ……、同情すれば良いのか。「素敵な奥さんですね」と羨ましがれば良いのか、反応に悩むところだ。
だが、幸いな事にその場にはヨハンが居た。女性関連の話ならば、周りが黙ろうがいくらでも喋ってくれる人だ。泊瀬谷と帆崎がいのりんのフォローに回る必要はなかった。
「いい奥さんじゃないですか。夫の体を気遣って新しいレシピ本まで買って頑張って料理なんて。
何回かお会いしましたが、二人も子供が居る割りに見かけも若くて素敵な方でしたし」
学園祭の時、いのりんが忘れ物をした時、忘年会の帰りに泥酔したいのりんを迎えに来たとき、会った回数は多くないが、他の先生への挨拶もしっかりしていたし、記憶に残っている。
「うん。そこは僕も感謝してますし、そう言ってもらえると嬉しいですよ。
……ヨハン先生に言われると、どことなく不安な気がしますけど」
「心配しなくたって、こいつにも人として最低限の倫理観ぐらいありますよ」
「失礼な。仮にも教師である僕が、並以下の倫理観しか持ち合わせていないようじゃないか」
「違ったのかよ、おい」
いのりんが苦笑いを浮かべながら言うと、帆崎が面白そうに返した。ヨハン自身の言うとおり、仮にも教職なのだ。
帆崎も彼が本当に最低限ながら倫理観を持ち合わせているのを否定はしない。
「へぇ。ヨハン先生って、女性なら誰にでも声をかけるってイメージがあったんですけど、意外な一面ですね」
「はは。僕もさっきまでそう思ってました」
「泊瀬谷先生に猪田先生まで……。僕の愛は他人事はしないというのに」
「こんだけ説得力なくて白々しい言葉もそう聞かねーよな」
帆崎がそう呟くと、ヨハン以外の3人でクスクス笑いが始まってしまう。
ヨハンは困ったように笑いながら、小さく溜め息を吐いた。教師陣が相手だと、どうにも場の雰囲気を作ったり、自分のペースを維持したりが出来ない。
珍しく弱気な態度のヨハンを見て、帆崎もしてやったりと言った表情を浮かべている。
その後4人でひとしきり談笑をすると、弁当のおかずを交換しながら、和気藹々と昼食を済ませた。
職員室の中は、いつもどおり明るく笑い声に溢れている。
終
和気藹々〜〜
いのりんの歳と体型で高カロリー食ばっかりはマジでやばい。
今回ばかりはいくら落ち込もうが。奥さんが正解だ
と言うか夫婦でべったりだなぁ。なんか時間を重ねた夫婦の感があって萌えるわ
うわぁ
そうだよな年齢的にも体系的にもやばいよなーいのりん
あの腹はメタボそのものじゃないか
奥さんが「まーた大きくなってるー」とか言ってるのが聞こえてくるよ
>>677 泊瀬谷先生、帆崎先生、ヨハン先生で新しい3人組みたいなのが
頭に浮んだ。
くっ、忘れていた。山野先生も子持ちのリア充だったんだ
プルプル震えてる足がかわえええ
じゃあ非リア充キャラ作るか
いつも机で寝てるキャラ
土竜くんがいるじゃないか
俺らからしてみれば、この世界にいられるってだけで十分リア充な件
>いつも机で寝てるキャラ
名前は出てないけどヘビ君が毎時間寝ててその上ネトゲしてる完璧な
非リア充じゃないか。
>>685 一瞬ツリーが七夕の笹に見えたよ
着物の威力は凄いなぁ
イヴ!クリスマス・イヴ!!
そういや冬休みの開始もこの時期からか…ケモノ学生は冬休みにうきうきして
尻尾ふりまくったりヒゲ広げたり全校集会とかHRとか全然集中してなさそう。
あっちこっちでパタパタふさふさですね、わかります
むしろ断尾してる奴も多そう
鎌田ぁー!!
来栖マスツリー!!!!!
「えいっ、この、くそっ! ああ、吼えるなって! ちょ、グラビームはやめ…あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
遠くに見える山々が白く染まり始める冬も本番にさしかかった、ある晴れた日の昼休み。
何時もの学校の屋上で上がった素っ頓狂な叫び声に、
近くのベンチで購買部名物特製コロッケパンを齧ってた卓と、
同じく購買部名物パインジュースを啜っていた朱美が思わず顔を上げる。
二人が顔を見合した後、声の方を見やれば、そこには例の如く携帯ゲーム機を手にした利里の姿があった。
彼の尻尾の跳ね上げ具合から見て、余程の事が起きたと見て良い様だ。
「素っ頓狂な声あげて如何したんだ? 利里……まあ、見れば大体の事情はわかりそうだけど」
「またティガ辺りにハメられたの? 利里君」
「あー、それがなー、G級のグラビにてこずっててなー。
これ、キークエストだからクリアしないと先に進めないんだ―、くそー」
卓と朱美の問い掛けに、利里は二人をちらりと見やると何処か忌々しそうに携帯ゲーム機の画面を見やる。
携帯ゲームの画面には無様に地に倒れ伏したハンターと、それを踏みつける様に通りすぎる飛竜が表示されていた。
「あー、G級のグラビモスは流石に手強い相手だな、
良し、俺もちょうど鎧竜の重殻が欲しかった所だし、利里、手伝ってやるよ」
「あ、だったらあたしも手伝いたーい! あたしもちょうど延髄が欲しかったんだー」
「おおっ! 二人とも手伝ってくれるのかー!?」
言って、携帯ゲーム機を取り出す卓と朱美に、利里は尻尾を振り回して喜びの声を上げる。
そして、何時もの通り三人での協力プレイが始まる……筈だった。
それは卓がある事に気付き、不思議そうに首を傾げた所から始まった。
「……あれ? こいつ、誰だ?」
卓が首を傾げるのは当然だった。
本来ならば卓と朱美と利里の三人しかいない筈のオンライン集会所に、
何故か居る筈のない四人目のキャラが居たからだ。
「なあ、この【Syou】って名のガンナー。知ってるか?」
「知らないわよ? 誰なのかしら?」
「俺も知らないぞー? 一体誰なんだろうなー、こいつ」
すぐさま卓が二人に問い掛けるのだが、どうやら利里も朱美も心当たりがないらしく、
結局、謎の四人目の正体が掴めなかった卓は余計に頭を悩ませるだけだった。
「ま、まあ……時間も無い事だし、今はこの誰かさんの正体を考えたって仕方ない。
利里、とりあえずクエストを発注しておいてくれ」
「お、おう、発注しておくぞー」
だが、昼休みの時間が有限である以上、
何時までも考えている訳にも行かなかったのでとっととクエストを発注する事にした。
「良し、罠とかのアイテムの準備も良いな?」
「大丈夫、落とし穴と爆弾は調合分も合わせてバッチリよ」
「なぁ、卓ー、なんか四人目の人も加わるみたいだけど大丈夫なのかなー?」
そして、利里が発注したクエストに卓と朱美が加わり、その準備を始めた矢先。
三人のキャラの周りをうろうろとしていた謎の四人目がクエストボードに向かい
あろう事か利里の発注したクエストに加わってきたのだ。
「……見た所、ハンターランクも俺達と同じだし、高級耳栓のスキルを付けてるから大丈夫……だと思う」
「……なーんか、嫌な予感がするわね……」
早速、アイテムボックスの前で準備し始めた四人目の動きを眺めつつ、卓と朱美は何処か不安混じりに漏らす。
とはいえ今更ここで止める訳にも行かず。結局三人は謎の四人目を伴ってクエストに出る事となった。
そして……三人の不安は案の定、的中した。
「うわ、こいつ、後から散弾撃つなって!」
「ちょっと、そんな所に立たれたら物凄く邪魔なんだけどぉ!」
そう、とにかく、謎の四人目は三人の足を引っ張りまくったのだ。
近接攻撃担当の卓と利里が戦っているその後からボウガンの散弾を撃ちこんで二人の攻撃を妨害し、
更にその上、遠距離攻撃担当の朱美のボウガンの射線上に割り込んでは朱美の邪魔までしたのだ。
「うあ、折角眠らせたのに起こしちゃってるし、この人!?」
「こいつ、本当に何考えてるんだ!?」
それでも朱美が不屈の闘志で睡眠弾を撃ちこみ、飛竜を眠らせるのだが、
その直後に四人目が攻撃してせっかく眠らせた飛竜を起こし、朱美を愕然とさせた。
「ぎゃー! 攻撃しようとしている所に爆弾置くなー!」
「おいおい、しかもグラビームをまともに食らってるし、こいつ!」
しかも、飛竜が麻痺で動けなくなったタイミングに卓と利里が攻撃しようとすれば、
その直前に二人の傍に大タル爆弾G(攻撃が当たると大爆発する爆弾)を仕掛けて、卓と利里諸共に吹き飛び。
挙句の果てには、動きを見ていれば簡単に避けられる筈の攻撃をまともに食らって乙ると、
もうとにかく悪意があるとしか思えないくらいに、謎の四人目は三人の足を引っ張りまくったのだ。
「や、やっとクリアできた……ここまでグダグダになって失敗しなかったのが奇跡みたいだ……」
「で、でも、生命の粉塵(使うと同じエリア内に居るキャラ全員が回復するアイテム)を使いまくってこれよ?
しかも、生命の粉塵を使ったのは全部、この四人目の所為だし……もう疲れた」
「うう〜、四人目の人が2乙した所為で報酬がスズメの涙だ……しかも報酬素材も少ないぞ……」
数十分後、何とか飛竜を倒してクエストをクリアした頃には、三人は精神的にヘトヘトの有様であった。
まあ、普通ならば三人で戦えば十分も掛からなかった物が、四人目の所為で倍近く時間が掛かったのだ。
三人がヘトヘトになるのも当然の事だろう。
「そういや、クエスト前にギルドカード(キャラの個人情報が分かる)を交換したんだっけ……って、おい」
「え? 如何したの……って、ちょっと、これ……」
「ん? 如何したんだー……って、何だと……」
ふと、何気にクエスト前に謎の四人目と交換したギルドカードを見た卓のその表情が引き攣る。
それに気付いた朱美と利里が画面を覗き込み、それを見た二人は卓と同じく顔を引きつらせた。
(利里は爬虫類なので無表情だったが)
「……俺は重殻を一個しか貰えなかったのに、こいつはちゃっかり天殻(凄いレアアイテム)ゲットですか?」
「な、中々の運よね? あたし達の方は目的の物がさっぱりだったのに……」
「お、俺、このゲームやっててここまでムカムカするの初めてだぞ……?」
そう、散々な結果な三人を差し置いて、謎の四人目はちゃっかりとレアアイテムをゲットしていたのだ。
三人にとって、ここまで見事な寄生(他のプレイヤー任せで殆ど戦わない、或いは邪魔をするプレイヤー)は初めてだった。
そして、三人は暫くわなわなと身体を震わせた後、口を揃えて叫ぶ。
『もう2度とこいつとは組むかぁっ!』 と……。
……同刻
「あれ? 帆崎先生、如何したんです? 一人で溜息付いて……」
「あぁ、泊瀬谷先生ですか……いえ、現実の厳しさと言うものを肌で感じまして……」
「……はあ?」
『謎の助っ人現る!』というシチュエーションを上手く出来ず、
携帯ゲーム機を前に一人落ちこみ、溜息を付く帆崎教師の姿があったという。
クリスマス? 何ですかそれ? な俺が通りましたよ……。
恐らく利里はクリスマスの日でもゲームをやっている事でしょう。
そして夢中になる余り、ホットドリンクを飲み忘れて……
頑張れ先生ぇ!
謎の4人目をヘビ君だと思って読んでいた俺がいる
>>695 ちょwww来栖マスツリーwwww
あと鎌田すっかりオチ担当にw
>>701 帆崎せんせぇぇぇぇ!!
>>703 コレッタかわいいのう
華やかだのう
>>701 帆崎先生だって、先生だって…!ね。
>>703 静かな夜に、ほっとする絵ですねえ。かわええ。
>>695 来栖くんは、この後もひと働きをするようです。
というお話です。
師走に入った、ある風の冷たい日。
浮かない顔をして、シカの来栖が職員室から出てきた。この世の終わりを迎えるような、
そんな顔つきの来栖。悪友であるウマの塚本がからかい半分に来栖の角をポンと叩く。
「へへへ。やっぱり絞られたか?英に」
「いや…、そんなには…怒られなかったけど」
「なーんだ。つまんね」
この間行われた英語の小テストで来栖は、これまでに見たこともないような点数をはじき出した。
小テストとは言え、来栖のことを知らないものが見ても吹き出してしまうような、そんな点数だった。
英語科担当・英美王先生の怒髪は、職員室の天井を突き刺す勢い。それを見かねた泊瀬谷先生は、つい一言。
「あの…、英先生。来栖くんも頑張ったんだから…」
「泊瀬谷さん。ここで許してあげようってことじゃ、教師として怠慢不出来ですよ」
「そ、そうですね…」
「ならば罰ゲームってのはどうですか?」
キャスター椅子に座ったまま、スーっとサン先生が飛び込んだ。もちろんその目はいつもの…。
「今度の24日、クリスマス会が初等部でありますよね。それで来栖くんはトナカイをやるんですよ。
で…罰ゲームって言うのは、それのことじゃない。その晩に猪田先生の家でやるんです」
一応話だけは聞いておこうと、美王先生は口を真一文字。来栖はホッとするやら、何をさせられるか不安で心拍数が急上昇。
そしていつの間にか猪田先生もその輪に加わり、恥ずかしげに頭を掻きながら、事の全貌を話し出す。
「実は、うちの子供にですね…サンタの格好でプレゼントを渡そうかって計画をサン先生と立てていたんですよ。
で、始めはサン先生がトナカイをしてわたしがサンタって言うお話だったんですが…。
ここは一つ来栖くんがトナカイをするってことで、英先生…大目に見てやってくれませんか?」
「そ、そうですね。来栖くんや猪田先生にはお誂えですもんね。トナカイとサンタさんって」
ポンと泊瀬谷先生は手を打つ。一方、相変わらず怪訝な顔をする美王先生は、くるりっと尻尾を回す。
「英先生、こういうエンタテインメントも…教育の一つですよね?」
「……じゃあ、猪田さんのお子さんの為なら…許可しましょう。来栖くん!サン先生に免じて今回はここまでですよ!」
トントンと分厚い英語の教科書を揃えながら美王先生は椅子を立ち、そのまま給湯室へと向かった。
かくして、聖夜の猪田家にトナカイ来栖とサンタ猪田がやって来ることになったのだ。
「へへへ。じゃあ、がんばれよ」
「お、おい!それだけかよ!塚本!」
塚本は鼻息混じりに、来栖を嘲笑う。そんな中、鎌田は今年最後の大レース・有馬記念まで体力を温存したいという理由で、
教室でマントに包まったままだ。鎌田はクリスマスを過ぎた、次の日曜日まで起き出すことはない…おやすみ、ライダー。
師走二十四日の亥の刻、つまり夜の九時頃のこと。
猪田家前には茶色の全身タイツの来栖、今回の企みの首謀者・サン先生がスタンバイ。
サン先生は、厚手のダウンジャケットにマフラーと完全装備。それでも、厳しい寒さは毛並みを通してもひしひしと伝わる。
主役の来栖は、タイツの中には使い捨てのカイロをこれでもかと入れて師走の寒さをしのぐが、
時間が立つたびにずり落ちてしまい、来栖も「カイロにまで裏切られた」と角を揺らしている。
もちろん、コートも上から羽織っているのだが、その下は全身タイツのみ、という出で立ち。
これなら英先生のお説教を食らったほうがまだましだ、と思ったが後の祭り。もっとも、祭りはこれからなのだが…。
しかも日中は散々自慢の角で玩ばれたので、来栖の腹の内が納まらない。
「うー!さむさむさむさむ!さむーい!!先生来ねえじゃないか!」
「まあまあ、来栖くん。猪田先生は多忙だから」
「サン先生はヒマなんですね」
「……手が空いていると言いなさい!」
そう。肝心のサンタ役の猪田先生の姿を確認することはできない。寒空の中、震える二人は猪田サンタからの連絡を待つ。
「せっかく、ここまで用意したのに!ちぇー!ラビットのエンジンが冷えちゃうじゃないか」
「まあまあ、サン先生。もうすぐ来ますって、猪田センセは」
サン先生が乗りやすいように改良された、古いタイプのスクーター『ラビット』を玄関の脇に止め、
サン先生が買ってきたホットの缶コーヒーで体を温めていたときのこと。
『わん!わん!わん!』
サン先生の携帯電話が叫び出した。メールだ。ふみの送り主は…サンタ。
文字だらけの一見地味なメールの文章は、猪田先生らしく誠実な文章で打たれていた。
が、その優しい文は、二人を真っ暗闇へと突き落とす。
『急啓 この度、生徒からの急な進路相談を受けまして、残念ながら今回は現場に
臨むことができません。ご理解とご承知をお願いいたします。 敬具』
「おいおい!オレ一人で行くのかよ!!」
「しょうがないじゃん。ほら…猪田先生から預かったお子さんへのプレゼント、ほい」
間もなくすると、二人のお子たちは床に入ってしまう。時間が止まればいい、
来栖の晴れ舞台を見届けるのは、空に輝く星たちだけか。いや、星たちも腹を抱えて笑っているに違いない。
と初めてロマンチックなことを来栖は考える。そう考えると、来栖もやけっぱちになってきた。
「ちきしょう!行ってきます!!」
ピンポーン。
夜更けの猪田家に突然の来客。主人の帰りを待つ猪田夫人、来栖・サン先生と同じく帰宅が遅くなることは承知の上なのだが、
思ったよりも早い帰宅に幾ばくか不安を感じている。キッチンには、玄関の様子が映し出されるモニター。
そのモニターには、ドアップのサン先生の顔が映っている。
「これは、先生?どうなさいました?」
「奥さーん。サンタです!」
「サンタです」
つい、つられて後ろから来栖も同じセリフをこぼした。しかし、画面には映っていない。
「は?サンタ?サン先生ですね?おあがりください、お寒いでしょう」
寝巻きに着替えたばかりの二人のお子たちは、サンタと聞いてテンションが上がる。
夫人は(どうみても、サン先生なのにな…)と、小首を傾げながら玄関に向かい、扉を開ける。
「メリークリスマス!!良い子にしてたかな?プレゼントを持ってきたぞお!!」
「…トナカイ?サン先生?」
失うものを無くしたヤツ程、最強のものは無い。舞台俳優顔負けな大味の演技でごあいさつをした来栖は、背負ったいた白い袋から
二人のお子たちのプレゼントを取り出した。元来、人前に出ることは来栖にとって苦手なことなのだが、
そのスイッチが切り替わった時はとんでもない力を出す。と言うのは、サン先生の計算であった。と言うのは、ウソである。
しかし、来栖の圧倒するような演技は、サン先生の想定の範囲外だった。家の中からは、幼い笑い声が聞こえてくる。
「あ!DSiだ!やったあ!!」
「イノシシのぬいぐるみだ!ほら、悠。サンタさんに『ありがとう』は?」
「はっはっは。礼には及ばん」
やけくその演技で、来栖は踵を返して玄関から去った。ガンと自分の角が扉に当るが、気にしない。
サン先生も来栖の後に続く。
(サン先生と…トナカイ?生徒さんかしら…それにしても)と、猪田夫人が目をぱちくりしてプレゼントを見ていると、
包みの中にそれぞれ一通の手紙が、添えられていることに気付いた。猪田夫人にとっては見覚えのある、小さなそして優しい文字。
『きみのおとうさんにたのまれて、サンタのおじさんがはこんできました』
「バカねえ…あの人ったら」
その頃、トナカイ来栖は、サン先生の運転するラビットの後ろに乗って静かな住宅街の風を切っていた。
亥から子の刻に変わる頃…つまり、深夜11時。
「ふうう。ただいま帰りましたよ。急に生徒から呼び出されちゃってね…」
猪田先生が家に帰りついたのは、お子たちが夢の国にいた頃だった…。
翌日、猪田先生は、サン先生と来栖に詫びた。
「いやあ。楽しかったですよ」
と尻尾を振ってサン先生は、昨晩のことを振り返る。来栖は来栖でのほほんと塚本とたむろする。
「来栖くん、風邪などひかなかったかい?」
「へへへ、コイツが風邪ひくわけないじゃないですか。なんせ、ナントカは風邪ひきませんから」
ちなみに塚本は、ここ数年風邪をひていない。
佳望学園もいよいよ冬休みの時期。生徒たちに『冬休みだからってだらけないように』と一言掛けて、猪田先生は家路についた。
猪田先生はその日、珍しく星が空に瞬くまでに家に帰りつく。自転車のブレーキを軋ませながらガレージに入ると、
カーテン越しに二人のお子たちがぴょんと立ち上がる影が見えた。
猪田先生が玄関の扉を開けると、夕空の代わりにふたりのお子たちの瞳に星を輝かせている。
「おとうさん!きのうね、サンタさんがきたんだよ!」
イノシシのぬいぐるみを小脇に長女、そしてDSiに夢中になっている長男。
昨晩、二人が起きているうちに帰れなかったことを詫び、リビングに向かうとソファーには、サンタの絵本が置いてあった。
キッチンから母親の声が野菜を刻む音と共に聞こえてくる。
「図書館で借りた絵本、ソファーに置いたままよ。散らかさないのよー」
「はーい。おかあさん」
娘は、ぬいぐるみを抱いたままテレビにかぶりついていた。
「そういえば、お母さんに聞いたんだけど…サンタさんが家に来たんだって?」
「そうだよ!」
息子の悠が絵本を拾い上げ、サンタの絵が描かれた表紙を父親に見せた。
本の表紙には『いぬのサンタさん』の題、そしてトナカイのそりに乗った老犬のサンタクロースが
雪の街の天を舞う場面が淡い色遣いで描かれて、疲れた大人には、ホッとさせられる優しい絵。
「サンタさんだよ!サンタさんがそり引いてるよ!でも…うしろの赤い服のおじさん…だれ?」
悠は、表紙のトナカイの絵を指差して叫んでいた。
おしまい。
やっぱりどこまでもトナカイ扱いなのねw
来栖くんも、やっと一息できるようになりますね…。
投下おわり。
来栖君たらすっかり弄られキャラが板に付いちゃって
クリスマスが過ぎようが彼の前途は多難なんだろうな
うわ、失敗しました。
どんまい
綺麗だなー宗教画みたいだー
>でも…うしろの赤い服のおじさん…だれ?
いのりん涙目www
投下いっぱいきてるー
皆GJ
wikiが更新されてないようだから、自分も更新に挑戦しようと思ったら
新しいページ作成がさっぱりわからん…
誰か教えてくれ……
―いきなりチラシの裏的な―
wiki更新サボっててごぬんね
別な事に夢中になってました。
ちょっと出かけなきゃならないから、
戻ったらまた更新しておきます、ではまた。
一人に押し付けちゃってごめんね
最初の頃に少しやっただけでそのあと全然働いてなかった
家に帰ったら俺も手伝います
>>720 ウィキ上部メニューの「@ウィキメニュー」→「新規ページ作成」じゃだめ?
もしメニューが出てないようならページ最下部の「新しいページ」ってリンクを押してみて。
編集モードはデフォルトのアットウィキモードでも大丈夫だけど
一太郎とかWordとか使える人ならワープロモード、
タグうちができる人はテキストモードをオススメしておく
編集に関しては練習用ページもあるからそっちを使えば大丈夫だよ
いやモードは@wikiモードでお願い
編集人によってあちこちやり方が異なってるとあとで混乱するかもしんない
お疲れ様です!!
おいっす!
これはいい昭和の香りw
何このいのりん青年教師時代。若々しいなぁ
メ、メタボってないッ!
昔は熱血教師だったりしたんだろうか
なんか美味しんぼの副部長みたいな雰囲気も醸しているw
GJ
正月、バレンタイン、ホワイトデー、冬休み中の学校での講習(補修)授業……
この先も色々な季節行事があるぜ…!
一番の悩みどころは卒業式ね
こういう学園モノはクレしんみたいに永遠にその年齢に留めておくか、さっさと進学させてしまうかで分かれるが、ケモ学はどうなるか。
多分書(描)き手に任せる、ということになるだろうけど、どっちも複数いるからなー。
好きにしたらいいんじゃないの?
何年生かもわからないんだし
深い事を考えたら負けかなと思ってる
でも入学式みたいなので新キャラ作るのはアリかもねw
実は全員小学生ってことで6年生までやらせるとか
アメリカ式にすれば9年生まで可能。
ま、大切なのはノリと勢いと楽しさだよ
細かいこと考えてもしゃーない
別にリアルタイムで合わせなきゃいけないこともないしねー
サザエ時空に引きずり込んでしまえばどうということはない
部活ってどれくらいあるんだっけ?
ケンドーと陸上と科学
もっといろいろ出しちゃってもいいよね
たいていどこの学校にもある基本の部活ってなんだろう
テニスとか?
寒中水泳部もあるんだった
せっかくだから普通じゃありえない部もいいよね
あま噛み同好会とか毛繕い部とか
あま噛み同好会ってw
何このけしからん同好会wwwww
これはエロいww
これはけしからんwww
うなじがいいなぁ
>>749 R指定の同好会と聞いて。
とりあえず基本?の部活集めてみた。
野球、サッカー、剣道、バレー、バスケット、卓球、弓道、
ソフトボール、水泳、美術部、吹奏楽、科学(生物)、柔道、
放送、テニス、陸上、バドミントン、体操、書道(華道)、家庭、演劇。
パッと思いついたり探したりするとこれくらい?研究とか同好会は
省いてますぞ。
鉄道研究部を作るため激しい勧誘活動する朱美と
ゲーム研究部と騙されて入ってる利里と
当然のように勝手に登録されてる卓
みたいな光景が浮かんだ
康太はどんな経緯でもって陸上部入りを強制されたのかな
入学式当日に伊織さんに拉致られて部室へ連れてかれたんだろうか
電車でGP
間違えた。P→
それを言うなら電車でDだろう。面白いぞ
あま噛み同好会のお姉様がたはなんて名前にする?
黒い娘はクロの姉ちゃんにしたりとか
そんな設定設定せんでも……と思ってしまった。
そういえば正月ネタで気づいたけど、ケモ学の世界の街って
生徒や先生がみんな割りと近い場所に住んでるんだろうか。
バスや電車も出てきてるし、遠からず近からずだろうか。神社とか色々
配置が気になる。
「う〜。さむいさむい、北風が身に凍みる」
季節は師走も後半。そろそろ各家庭では大掃除とおせちの準備に追われる頃。
俺は吹き付ける北風の冷たさに身を震わせながら家路を急いでいた。
その片手には大晦日の日の為に買った年越し蕎麦の入ったビニール袋。
全く、大晦日直前になって肝心の年越し蕎麦を買っていないのを思い出すなんて、義母さんはトンだうっかり者だ。
そのお陰でこの今にも雪がちらつきそうな寒空の下、息子の俺が買いに行かされるとはトンだとばっちりだ。
それにしても今日は一段と風が冷たい、朝のテレビニュースで寒波が来るとか言ってたな?
その所為か、道行く人々は皆寒そうだ。毛皮のあるケモノでさえ寒がるこの寒さ、毛皮のない人間にとっては結構堪える。
「……ん? あれは……?」
雪でも振りやしないかと何気に空を見上げた時、俺は空を舞う何かに気付いた。
大きく広げた翼膜のある翼の形状、そして風にたなびく頭のポニーテール……あれは朱美か?
そう思った俺は、取りあえず空を行く影に向けて手を振ってみる。
すると、どうやらあちらの方も俺に気付いたらしく、
俺の上空で大きく旋回した後、翼を翻してゆっくりと降下してきた。
「やっぱり卓君だ。良かった」
落ち葉を舞い上げながら目の前に前に降り立ったのは俺の思った通り、私服姿の朱美。
その頭には旧日本軍の飛行帽を連想させる外見のゴーグルの付いた、寒さ避けの皮製の帽子を被っていた。
この彼女の帽子と旧日本軍の飛行帽との違いを挙げるとすれば、先ず目に付くのが頭の両側が尖っている事だろう。
これは彼女の獣耳を入れる為のスペースで、その証拠に側面には音を聞き入れる為の小さな穴が無数に開いている。
他にも細かな違いがあるのだが、それを一々挙げていたら話が長くなるので、ここは端折っておく。
尚、この帽子は彼女の手作りの作である。あの翼の両手でよくもまあこんな物を作れるものだ。
にしても、朱美の言った「良かった」とはどう言う意味だろうか……?
「ねえ、卓君、いきなりで悪いけどちょっとあたしを助けてくれない?」
「は? 助けてってのはどう言う……」
「ようやく追いついたぞ! 飛澤」
いきなり助けを求められた俺が、何事かと朱美へ聞き返そうとする間も無く、
彼女を追ってきたであろうジャージ姿の鷲のケモノが、大きな翼を羽ばたかせながら俺と彼女の近くへ降り立った。
……ややハスキーな声と胸の豊かな二つの膨らみから、辛うじてこの鷲の人が女性であるのが分かった。
これだから鳥系のケモノは男女の区別が見分けづらい。
「さあ、飛澤、いい加減覚悟してくれないか?」
「……??」
鷲の人が朱美に向けて言った意味が掴めず、俺は思わず朱美の方を見やる。
だが、そんな俺の視線を余所にして、朱美は何処か苛立ちを感じさせる様に翼手を腰に当てながら言う。
「言っておくけど、宮元先輩。 あたしはもう既に立派なクラブを立ち上げて、その部長をやってるのよ?
だから、幾ら先輩に言われようとも、あたしはあなたのクラブに入部は出来ないの!」
「だが、だからと言って君はこのまま埋もれさせておくには勿体無さ過ぎる逸材だ!
そう、君の能力は世界すら取れると私は確信している。 だから頼む、どうか我が部に入部してくれ!」
「い・や・よ! あたしは世界とか何とかには興味ないの!」
「えーと……あの? もしもし?」
急に始まった話に付いて来れなくなった俺が二人に声を掛けるのだが、
二人はそんな俺に構う事無く、更に言い合いをヒートアップさせる。
「興味がなくとも、少しだけの間でも良いから入部して欲しいのだ!
ひょっとすれば我が部の活動を見ているうちに興味が湧いて来るかもしれないからな!」
「ちょっと、お二人とも? 少し話が見えないんだけど? 聞いてますか?」
「だから嫌と言ってるでしょ? あたしは興味の無い事は断固としてやりたくない主義なの!
これはこの前も言った筈よ。先輩は憶えていない訳?」
「だからその興味が湧くように少しの間でも良いからと言っているではないか!」
「もしもーし?」
「少しでも嫌と言ったら嫌なの! それを分かって頂戴!」
「分かって頂戴、と言うのはこっちの台詞だ。 何故そこまで意固地になって嫌がる!」
「只でさえ腕に無駄な筋肉がついて辟易してるのに、
これで下手に運動会系のクラブに入ったら余計にマッソーになりそうだからよ!」
…………。
「必殺、閃光玉フラーッシュッ!!」
ポム パシュ―――――ッ!
いい加減無視され続けるのに腹が立ってきたので、有無を言わず閃光玉を使ってやった。
『うおっ、まぶし!』
その閃光をどうやら二人ともまともに直視したらしく、
悲鳴に近い声を上げて両手、いや、両翼で目を塞いで身体を仰け反らせる。
これが某ゲームの画面なら、二人の頭の上にはくるくると旋回する星のエフェクトが浮かんでいる事だろう。
「ちょ、ちょっと、卓君……いきなり閃光玉はやめて」
「俺を無視して話を進めるのが悪い……と、その話していた事だが、あの鷲の人と何の事で言い合ってたんだ?」
まだ閃光の影響が抜けきっていないのか、
目をしばたかせながら抗議する朱美に俺は毅然と返した後、事情を聞き出す。
朱美は「無視したのはゴメン」と返した後、視覚が戻るのを待って話し始める。
「あの人は宮元 巴(みやもと ともえ)と言って、1年上の先輩なんだけどね、
大空部って言う、まあ、陸上部の空版みたいな運動会系のクラブの部長さんなのよ。
んで、あたしはその宮元先輩にしつこく勧誘を受けている訳」
朱美に「へぇ」と相槌を打ちながら、俺は何気に宮元さんの方を見やる。
当の宮元さんはと言うと、『うぉぉぉ、目が見えない!』と一人で喚きながらその場で翼をばたつかせていた。
うーむ、流石に感覚の殆どを視覚に頼っている猛禽系の人に閃光玉はちょっと拙かったかな?
「それで、何であたしがしつこく勧誘されているかって言うと、
どうもこの前、あたしが卓君をぶら下げて飛んでいるのを彼女が見ちゃった訳なのよ。
それで『君ならウェイトアップ(重量挙げ)で世界が取れる』とか言い出しちゃってね……
それに、有力候補だった伊織さんが陸上部にとられちゃってる物だから尚更な訳」
「あ〜、なるほどな……」
言いながら、俺は数ヶ月前に朱美に付き合わされたデート?の事を思い返す。
確かに、あれを見れば朱美を勧誘したくなる気持ちも分からないでもない。
人をぶら下げて飛ぶ朱美の姿を見れば大概の人が驚く位だし。
と、ここでもう一つ疑問が浮かんできた訳だが……
「所で朱美。既にクラブを立ち上げてるって如何言う事だ?
「ああ、それはね……」
「フハハ、ようやく目が見える様になったぞ! しかし何だったんだ、さっきのあの強烈な光は?
まあ、それはさて置き、話の続きだ! 飛澤、我が部に入部してくれ!」
疑問を投げかける俺に朱美が答えようとした矢先、ようやく視覚が回復した宮本さんが朱美に対する勧誘を再開する。
と言うか、閃光玉を投げられた事気付いてなかったのか、この人。
無論のこと、話の最中に横槍を入れられた朱美はすっごく鬱陶しそうな眼差しを宮本さんに向け、
「だから先輩、さっきも言ったでしょ? 幾ら言われようともあたしは他のクラブの部長をやってるから無理だって」
「だが、君の言う鉄なんとかと言うクラブには部員が殆ど居ないではないか?
と言う事は活動も殆どしないと言う事だから、私の大空部に入っても問題は無い事になるぞ」
「如何言う理屈よ、それは! と言うか、鉄なんとかじゃなくて鉄道研究部よ、憶えてて!
それに、部員だってちゃんと学校の規定通りの人数が居るんだから。 ねえ、卓君?」
「……へ? 俺?」
いきなり話を振られ、思わず間の抜けた声を漏らす俺。
しかし、朱美はそんな俺の様子に構う事無く、翼手の先で俺を指しながら宮本さんへ言う。
「紹介するわ、彼は鉄道研究部の副部長兼書記の御堂 卓よ!」
「なに!? ううむ、既に部員まで獲得しているとは……やるな!」
「ちょっと待て、何時俺が鉄道研究部とやらの副部長になった?」
朱美の言い放ったかなり聞き捨てならないセリフに、俺は堪らず抗議の声を上げる。
それに対し、朱美はごく当然とばかりに言う。
「何時入ったって? 一週間ほど前に入部届を提出済みよ」
「更に待て、入部届は本人の署名と印鑑が無ければ無効だった筈だぞ!?」
「卓君のお母さんに頼んだら二つ返事で印鑑を貸してくれたわ。 にしても、かなりの美人ね、卓君のお母さん。
で、書名のほうに関してだけど、卓君の書き方を真似るのにちょっと苦労したわ」
「かなり待て! それって私文書偽造だろ!?」
「違うわよ、これは代理として提出してあげたって言うのよ。
それに、利里君は卓君と違って鉄道研究部に自ら進んで入部してくれたわ」
「なんだと? 利里の奴が進んで入部したって? 如何して?」
たしか、利里の奴は鉄道とかに関しては全然、いや、米粒の欠片ほども興味が無かった筈だが……?
そんな利里が喜んで入部するなんて、一体如何言う事情があったんだ?
「『ゲームも研究する』とか言ったら利里君は喜んで入部届を用意してくれたわ。
まあ、後に『ゲームを研究、と言っても鉄道系のゲームなんだけどね』と付け加えてたんだけど、
どうやらその時の利里君は舞い上がってて聞こえてなかったみたい」
……利里、お前って奴は……単純過ぎにも程があるだろ……?
と、俺が親友の単純さに物悲しさを感じた所で、
何やら一人考えこんでいた宮本さんが朱美の方へ向き直り、
「仕方が無い、部員の卓とやらに免じて今回の所は諦めてやろう。
だが、私は信じているぞ! 飛澤の心の中に大空への情熱が眠っている事を!」
「んなの信じなくて良いわよ!」
「それでは、飛澤、入部したくなったら何時でも私に言ってくれ! では、さらばだ!」
朱美の抗議の声をさらりと無視して捨て台詞を残し、宮本さんは翼を羽ばたかせて飛び去っていった。
その後に残されたのはなんだか息を荒くした朱美と、色々ありすぎて呆然としつつ空を見上げる俺。
そして、俺は空を見上げながら、ポツリと朱美に言う。
「なあ、朱美……人を見て我が身を振りかえるって言葉、知ってるか?」
「……? 知ってるけど、それが如何したの?」
「それは……いや、何でも無い。気にしないでくれ」
「ちょっと、気にしないでくれとか言われたら余計に気になるじゃないの、一体如何言う意味なのよ」
そして、意味を問いただそうとする朱美にがくがくと肩を揺さぶられつつ、俺は思った。
多分、自覚していないんだろうなぁ、朱美もあの宮本さんと同じような事をしている、と。
それを考えると、なんだか吹き付ける北風が余計に寒く感じるのであった。
追記
俺に言われて真実を知るまでの間、利里は最期まで騙されている事に気付く事は無かった。
その親友を見て、俺は余計に悲しくなった。
以上です。
>>757の事をアイディアにして少し書いて見た。反省しない。
尚、卓の言う『義母さん』は決して誤字ではありません。
その理由は別の話で……。
>>764 俺は設定厨でもよいっ
絵だけで流れてしまうのには勿体ないエロさだものっ
>>769 朱美の電車愛w
>>757だけどSSにしてくれるとはびっくりだ。謝謝。
朱美かわいい。ケモ学では一番好きだ。
しかし大空部ってまた寒そうな部だな
SSニヤニヤしながら読みました、なんでこう猛禽類系の獣人さんは
俺のツボに来る人ばかりなんでしょうか。
―チラシの裏的な―
宮元さんの声はハスキーで、
その上正確も青春熱血っぽかったので、
SSの文字表現にちょっとした変化を付けてみました。
文章のテンションというか、卓、朱美さんの文章にも、ちょっとした工夫を凝らしてみたり。
(文章自体、何も触ってはいません。)
もし見難いようでしたら、即連絡をば。
馬鹿カレーってwww
遅筆と年末進行のせいで
>>608からのネタでSSを書いていたら
いつの間にやら、こんな日にちになってしまいました。
芹沢姉弟をお借りします。
ごきーん!
曇り空の日曜日、芹沢家の午後は芹沢モエの頭突きの音で始まる。
おでこにたんこぶをこしらえた芹沢家長男・タスクは、慣れた手つきでおでこを擦りながらPSPを器用に操り、
たんこぶを作った主犯者、芹沢家長女でタスクの姉であるモエに、ぐちぐちと不満をこぼしている。
「ちょ…『ダサっ』って言っただけじゃん」
「もう一つたんこぶが欲しい?」
ぷんぷんと頭から湯気を沸かし、モエは短いスカートを気にしながらいつも履き慣れたバーバリーのソックスに履き替える。
ケモノとは言え、冬は冬で寒い。モエはおきにのニーソックスを履いて、いざ街へとお出かけというところだったのに、
タスクの余計な一言で、気分を害し脱ぎ捨ててしまった。八つ当たりはニーソックスにだけに及ばず、タスクにまで及んだ。
「せっかく買ったニーソ、どうしてくれるのよ」
「大根に靴下履かせてどうする気?」
タスクはPSPの画面に気を取られ、姉のお小言は上の空。その姿は、姉のスイッチを発動させるのに十分な出力。
モエは『カチッ』と憤りのリミッターが外れ、グイグイと弟の脳天に遠慮なくげんこを捻り込む。
「…何よ、もう。じゃあ、もう一つたんこぶを作るか、わたしとお買い物に付き合うか二つに一つ。さあ!どっち?」
「いきなり…」
よそ行きの服にばっちり着替えたモエは、リビングのソファーでくつろぐタスクに選択を迫るが、どちらも痛し痒し。
断れば姉型ロケット砲M-0Eの攻撃、引き受ければお嬢さまの買い物に振り回される下僕になること必至。
しかし、もうタスクのHPは限りなく0に近い(というわけではないのだが)。
尻尾をくねーっと隠して、しぶしぶよそ行きの格好に着替える覚悟を決めるタスクであった。
「タスク、モエ。出かけるんだったら、これ買ってきてよ」
母親がメモ紙をタスクに渡し、ついでのお買い物を頼み込む。くんくんと紙のにおいをかぎながら、
タスクは母親に「今晩のごはん?」とメモ紙の内容を尋ねると、母親はにっこり笑って答えた。
「そうね。きょうは寒くなりそうだからね」
遠くでは額に青筋を作った姉の声が響いている。
「タスクー!遅いよ。もう出ちゃうんだからね!」
「分かってるって!行くよ、行くよ!!」
姉弟そろって電車通りまで歩く。休みの日だと言うのに人通りは少ないのは、やはり曇天のせいか。
「姉ちゃん、寒くないの?」
モエはモノトーンのニットワンピースを羽織り、黒のミニスカートをふわりと揺らす。足元はファー付きの流行のブーツ。
一方タスクはニット帽に厚めのパーカー、カーゴパンツとそんなに見てくれは気にせず、お気楽な格好である。
モエの小悪魔的なふとももは、すっとミニスカートから生えて、お年頃のタスクはそれに気にしてちらっと盗み見る。
「タスク!ただじゃ見せないぞ!」
「別に…見たくもないもん。大根足なんか」
街の街路樹もレベルの低い姉弟ゲンカに飽きれて、ざわざわと木の葉を落とした枝を揺らす。
街路樹になだめられたせいか、最寄りの電停にたどり着いたときには、二人ともケンカに飽きてしまった。
姉弟そろって電車に乗るなんて幾年振りだろうか。二人が幼かった頃よりずっと前から走っている路面電車、
彼は普段通りに変わることもなく、鋼の軋む音を立てながら姉弟を迎えに電停にやって来る。
意外と車内は人が多い。仕方ないので、二人そろって扉近くの立ち席に。
ネコの運転手がブレーキを緩めると、従順な市電は重い音を立てながら電停を後にしていった。
「で、何処に行くのさ」
「黙ってなさい。荷物持ちくん」
立ちくらみがタスクを襲う。なんだよ、荷物持ちか。きっと、姉のことだから沢山買い込むんだろう。
こんなことで自分の休日は費やされてゆくのかと思うと、残念でたまらない。時間を返せ。1秒10円ぐらいか。
細い目をさらに細くしながらタスクは、つり革に全体重を掛けてだらりと力なくぶら下がる。
タスクの気持ちを知って知らずか、それでも電車は二人を街へと運んでゆく。
途中の電停に止まり乗り口ががらっと開くと、姉のモエの「あっ」と言う甲高い声がタスクのイヌ耳をつんざく。
「あれ…モエ?隣の子は?」
「…リオじゃないの。あら、りんごも?」
風紀委員長であるうさぎっ娘の因幡リオと、同じくうさぎっ娘の星野りんごが乗り込んできたのだ。
二人そろって、ヒクヒクと鼻を動かすうさぎーズは、マイペースなのんびり屋さん…。
因幡リオはメガネをつんと人差し指で突き上げ、タスクの方をまじまじと見つめていた。
気の小さい星野りんごは、名前の通り頬を真っ赤にして恥ずかしそうに手すりに捕まり俯いて、自分のふとももを締めている。
モエは、異様に恥ずかしがる弟を二人に紹介。くるっとタスクの腕にモエの細い腕が絡み付く。
「こいつ…ウチの弟だよ」
「初めまして、姉がお世話になっています。弟のタスクです」
「へえ、なかなかかわいい子だね。わたし因幡です、よろしくね」
「…星野りんご…です。よろしく…おねがいします」
元来小心者であるタスクは、一度に三人のお姉さんに囲まれ「姉と同じ年の子なのに、どうしてこんなにおしとやかなのだろう」
と、頭の上に雲形のふきだしを作る。それに気付いたか否か、モエはつーんとふきだしを跳ね除け、タスクのおでこをデコピン。
「ウチにもタスクくんと同い年ぐらいの弟がいるけど、取かえっこしちゃいたいくらいだね」
「そっかあ、リオんちにも弟が居たもんね。わたしもリオんとこの弟と取りかえっこしたいね」
「姉ちゃん!!」
星野りんごは空気に流され、その場しのぎの愛想笑い。因幡リオは指を唇に当てながら、学校のモエをタスクに教える。
「きみのお姉さんは、おしゃれさんだからねえ。クラスみんなのお手本だよ」
「あはは!そんな、委員長!リオだっていつもかわいい服着てるじゃないのねえ!」
「いやいや、わたしもモエみたいにすらっとスカートを穿きこなしたいなあ。わたしってモエのようなきれいな脚じゃないし」
星野りんごがうんうんと、因幡リオの言葉に続く。
「そうだよ。モエちゃん…流行に敏感だからね。いいなあ、ネコは耳が邪魔にならないで」
「わたしも欲しいな、そんなかわいいブーツ。タスク…買ってよ」
姉の学校での人気者振りを二人から聞いている。タスクは会話に入り込む隙をなくし、「うんうん」と頷くしかなかった。
「ところでね…こんな都会で市電が未だに走っている理由って知ってる?実はね…。排ガスの出る自動車より、
市電のほうがケモノの毛並みが汚れないからなんだってね。ほら…、華麗な毛並みはケモノの誇りじゃないの…、っね!!」
「へえ、さすが委員長。物知りだ」
「飛澤さん程じゃないよぉ。モエ」
因幡リオは得意気にマメ知識を披露したが、その情報は『若頭は12才(幼女)』からのもの(第26話『都会の色』)だとは、
タスクを始め三人とも知らない。それでも、うんうんとタスクとモエはそろって尻尾を振り、星野りんごはひくひくと鼻を動かす。
ケモノに優しい市電は彼らを乗せて走り、本通りの電停で二人のうさぎっ娘は下車して行った。
しかし、タスクは二人がさよならした後、メガネの方のうさぎが流行のアニメ絵の看板の店に、
こっそりと人目を気にしながら入って行くのを車窓から目撃したのだった。信号待ちの市電からの一こま。
ネコの運転手は信号を見ながら、くいくい顔を拭いている。くいくい…。
「姉ちゃんの友達って…面白いね。ほら、メガネの…」
「委員長のこと?…そう?…面白いのかなあ。あの子は『真面目のまー子』よ」
「ぜったい、面白いって…」
因幡リオの話題で盛り上がる、と言えない会話をしているうちに、二人を乗せた市電は町の中心部・十字街に到着。
さあ、ここからはモエの独壇場。モエは東のショップでブーツを迷い、西の古着屋でブルゾンに心ときめかせ、
そしてタスクは両手いっぱいの買い物袋をぶら下げ、はあはあと姉の軽やかな足に追いつくのがやっとであった。
「チクショー。サイフでも落としやがれよ…」
暴走お嬢さまのお目付け役は、お嬢さまに聞こえぬように毒づいた。尻尾が激しく揺れていると言うことは、聞こえていなかったようだ。
向日葵のような笑顔のモエに対して、空は鉛色に覆われ今にもベソをかかんとしている。
街のコンクリートから雨の匂いがしてくることは、タスクにもモエにも感じているのは言うまでも無い。
しかし、怖いもの無しの女子高生モエは、タスクに人差し指を突き付けてニッと笑う。
「タスクさあ。わたしね…この後、永遠花と約束があるからさ…家までこの荷物をお願いっ!」
「!!」
「もう一度言うよ。わたしね…この後、永遠花と約束があるからさ…」
タスクは、わかってる。モエは同じことを話すことと、『ダサっ』って言われることを非常に嫌うことを…。
もちろん三度目の言葉を話すことなく、モエは街に消えて行った。残るは、家路に戻るだけの芹沢タスク・中学生男子。
とぼとぼと、派手な紙袋を両手に人ごみを掻き分ける。電車通りまではまだまだ先…。
不運なことに、帰りの電停に急ぐタスクに雨粒が襲ってきた。予感が当った。
傘をさせない、いや…持たないタスクは、狭い路地となっている公設市場のアーケードに雨宿りのつもりで飛び込んだ。
幅員2メートルもない路地、魚屋・肉屋・乾物屋と人々の食欲を満たす為の店がひしめき合う、この街の台所。
買い物客の渦に巻き込まれながら、慣れない市場に迷い込む少年が一人。店からは、オヤジの威勢のよい声が飛び交い、
遠慮の無い客も勉強しなさいよとそれに答える。タスクの泣き面裏腹に、それでも市場は廻り続ける。
「やべえ…初めてきたよ…ここ。どこだよ…」
自分の街なのに、初めての光景だなんて心細い…。イヌのクセなのに、小心者のせいでウチに帰れないなんて。姉ちゃん…。
「あれ?タスクくん?」
「あ!星野さん?」
女神だ。奇跡だ。肉屋の前で品定めのにらめっこをしている星野りんごと遭遇するとは、タスクってば!
洋食店の娘として生を受けた星野りんご。店の買出しもかねて、夕飯のためにこの市場にやって来たのだった。
タスクは、事の顛末を星野りんごに話すと、「うんうん」と彼女は何でも聞いてくれた。
気に入らないことがあったら痛い頭突きで済ます女とは、えらい違いだ。とタスクはいたく感心。
「あの…因幡さんは…」
「委員長のこと?本屋さんに行くって言って、あのあとさよならしたの。あの子、週に一度は本屋さんに行かないと気が済まないんだって。
でもあの子、うらやましいな。だって、なんでもきっちりしてるし、いろんなこと知ってるし…。
モエさんにきっちり言える子って委員長ぐらいかな…。なんだか、カッコいいよね。委員長」
「……そうですね。でも、姉は、ああ見えて…何でもないです!」
「ふふふ。モエさんも、カッコいいよ」
尻尾をくるりとうち腿に隠したことがばれたのか、星野りんごはタスクに突っ込む。
「タスクくんって…お姉さん大好きだよね」
「ち、違います!よ…。だいっきらいです」
「うそだあ。毛並みが変わったよ!」
「……」
イヌの最大の弱点は尻尾でウソがつけないこと。弱みでもあるが、誇りでもある。
「でも…タスクくんちって、いいなあ。わたし、一人っ子だからいっつもお父さん、お母さんに怒られてた。
『おまえはお店の看板に謝りなさい』ってね…。で、いっつも一人で泣いてたの。
わたしも怒られても、いつでも甘えさせてくれるお姉さんが欲しいなあ…無理だよね。あはは」
人ごみの雑踏の中、タスクは黙って星野りんごの話を聞いていた。
『お母さん』で、思い出した。頼まれごとだ。そのことを話すと、星野りんごの目が変わった。
その目は、龍をも倒さんとするような鋭くも燃え上がる炎のようでもある。
さっきまでのおしとやかさは何処へ行った。うさぎを被っていたなんてひどい!とタスクは、口に出さず顔に出した。
「まかせなさい!一円でも安く買い物をしてみせるから、ついてらっしゃい!!」
ああ、ここでもお姉さんに振り回されるのか…、と思いつつタスクは星野りんごの後を追った。
―――その甲斐あってか、大幅に予算を余らせて買い物をすることができ、タスクも星野りんごも快い汗を流していた。
余った予算は姉からの迷惑料だ。頂いてしまえ。誰が構うもんか。
アーケードの外に出ると、いつしか空も雨を降らすことに飽き飽きしてしまったようだった。
「いつかお店に行きます」と星野りんごに深々とお辞儀をして、自宅方面の市電に乗り帰途に着くタスク。
車窓はもう黒く塗りつぶされ、景色を楽しむことさえできなくなっていた。
きょうはもう十分。満足のいく疲れ方。この選択も強ち間違っていなかったのかな、と車内のガラスに映る自分の顔をちらり。
―――ようやく家に着くと、母親が晩御飯の支度をしようとしていた。
大きな土鍋をコンロに乗せて、出汁を今から取るところである。寒い冬にはぴったりのおでん。
リビングのソファーでは、先に家に帰っていたモエがうとうとと舟をこいでいる。
(だらしないなあ…。パンツが見えるぞ…)
尻尾は買い物のときと同じように激しく振っていた。
「むうぅ…。タスク、おいで…」
寝言でも、タスクのことを気にしているのか、この姉は。不覚にもタスクは姉のことが可愛くなってしまった。
そんな残念な姉を横目で見ながら、母親にきょうの戦果を差し出すと歓喜の声が上がる。
未来の匠・星野りんごが選び抜いた数々の食材。そりゃ、プロの家が選んだんだから、立派なこと間違いない。
母親もいつものスーパーでは並ばないほど上等な野菜を見て、大層喜んでいる。
「へえ!今日のおでんは豪勢になりそうだね。タスクありがとね」
「へへへ。ほら、この大根の立派なこと」
タスクがリビングに戻り、PSPをやろうとした瞬間。目の前には宙を飛んできたモエの頭が、タスクの目の前に飛び込んだ。
ごきーーーん!!
「何が大根よ。バカタスク!」
おしまい。
>>769 猛禽類カッコいいなあ。わたしゃ、カッコいい系のキャラが書けない…。
>>774 けっこうなお値段がするんですね、ググったところ…。
投下はお終いです。
うわかっちょいい!
>>783 ああ良い姉弟だなあ
なんだかんだいって姉が好きなタスクかわいいよ
あの二人はマイペースで鼻ひくひくってまさしくウサギだね
昔飼ってたの思い出した
>>784 すごいな
よくもまあそういう特殊な服装を描けるもんだ
しかしこう見ると本当に腕逞しいなw
なぜか怪傑ズバットという言葉が脳裏をよぎった
788 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 19:44:47 ID:6Eo7r33O
ズバット解決
>>779 あれ、モエって犬…で良いんだよね?(wiki見る限り)
おお、りんごたんにいいんちょ。
私服もかわええ。
>>789 芹沢姉弟はイヌです…ね。
あけおめ!
あけましておめでとう!1
りんごちゃん意外にキョヌー!
元祖おっぱいぱい花子先生和服似合う!
あけおめー
去年はROM専だったけど今年は何か書くぜー
あけましておめでとう。
少々遅筆な俺ですが、今年もよろしくお願いします。
あけおめッス!
書き手さんが増えるといいな。
と、ちまちま暇を見つけて書いている俺でございやす。
あけましておめでとうございます
今年もよろしく!
うさぎの二人かわえー
振袖牛沢先生美麗すぎる!
FORMATシリーズや難解な日常シリーズはもう投下ないのかなぁ(´・ω・`)
作者さん方が忙しいんでしょう
最終投下からそんな時間経ってないしさすがにあきらめるのはまだ早いだろw
>>802 誰もいないのでこの子も貰っていけますね
こんなかわいい絵が投下されたら黙ってられなくなっちゃうわけだが・・・
確かにこっちの方が可愛い気がする。りんごちゃん可愛い
獣度を上げると髪の毛の対処が難しくなるから困る
デフォルメの加減が難しいところですね
夜分遅れながら、あけおめです。
今年一発目のSSは、泊瀬谷先生の登場でいいですか?
わたしが「ただいま」と生まれ育った泊瀬谷家の門を潜るのは、去年のお日様の照り輝く季節以来のこと。
弟が「姉ちゃん、いつ帰ってくるの?」と言うので、なるべく早く努めていたのだが、わたしが仕事に追われているうちに
いつの間にか除夜の鐘は108回音を鳴らしてしまい、この年始まってのお日様を見るのは、お昼過ぎのことだったのだ。
それもこれも、新学期から始める授業の資料を作っていたときのことだ。
カタカタと職場でノートPCを鳴らしながら、碌に保存もせずにWordで打ち込む作業をしていると、
ついつい喉が沸いてしまい、コーヒーを入れようと席を立ったのだ。しかし、PCから伸びるACアダプタのコードに足を引っ掛けて、
そのままプラグがコンセントから逃げ出してしまった。無論、ノートPCの画面は闇に包まれていた。
そばで見ていたサン先生も、これはもうダメだねと尻尾を垂らす。同じく後ろで座っていたヨハン先生もお手上げ。
今まで打ち込んだものが全て失ってしまい、始めからやり直し。時計は冷酷にも進み続ける。暮れはもう間近。
結局は、わたしが電源コードを雑に床に置いておいたせいなのだが、このときばかりは誰かのせいにしたくもなった。
「泊瀬谷先生、ぼくらもお正月はお仕事なんですよ…」
ヨハン先生とサン先生はわたしを慰めているつもりなのだろうか。
従って、生まれ育った実家に帰りつく予定は、元日の夜中という実にはた迷惑な帰省になってしまったのは申し訳ない。
出発前、実家に居る弟にメールで『今晩帰ってくるから、父さん母さんによろしく』と、ふみを打っておいたので大丈夫だろう。
もう、日が沈み出している。急がなきゃ…。
季節は未だ冬。ネコっ毛を逆立てて空気を入れるという、この世に生を受けてからの習性は、
だれが始めたのか知らないが、この見えないふさふさが私たちネコ族の体温を守ってくれる。
わたしが勤める学校のある街から電車を乗り継いではや一時間、茜色に染まった小さい頃見慣れた風景を車窓から覗く。
海岸沿いに走る線路はわたしの生まれた街へと運び、規則正しいリズムでわたしの乗る列車を揺らしていた。
薄暗い中ウサギの跳ねる海を見ているうちに、列車は終着駅に滑り込む。ここから歩いておよそ20分で目指す実家へ。
実家に戻ってきただけなのに気恥ずかしい気持ちになるのは、わたしだけだろうか。
その家の表札には『泊瀬谷』の名に続いて、父・母・弟、そして『スズナ』とわたしの名前が書かれていた。
「あら、スズナ。帰ってくるんだったら連絡ぐらいしなさい」
母の声で迎えられたわたしは、弟に既にこのことは伝えてあるのに…と、抗弁する。しかし、母は「そんなことは聞いていない」と、
ばたばたと何か急ぐように奥へ消えていってしまった。弟を叱り付けようと思いつつ、廊下の床を鳴らす。
居間に入ると、父はこたつで横になって居眠りをしていた。こっそりわたしもこたつの仲間入り。
ふう、凍てつく冬風の幅を利かせる外から、安眠を誘う暖かい家へと帰ってくるこの安堵感。尻尾までこたつに入れなきゃね。
「お父さん、スズナの帰りを待ちくたびれたのかね。大晦日から『スズナはいつ帰ってくるのかね』ってね」
何か一仕事をしてきた母が、見るだけでつば溜まるようなミカンをカゴいっぱい入れて居間にやって来た。
わたしと同じように、父を起こさぬようそっとこたつに入ると、母の足がわたしの尻尾に当った。
少し背中にすっと涼しいものが通り抜ける気がする。ごめんと母は笑顔で謝った。
「ねえ、お母さん。ハルキは?」
「あの子ったら、友達と飲みに出かけてるのよ」
大学に通う弟のハルキは、友達の誘いで生憎外出中。折角、半年振りにお説教をしてあげようと思ったのに、これで計画はパーだ。
そんなわたしの気持ちを知らず、母はおしゃべりを始める。きっと、話を聞いてもらえる相手が欲しかったのだろう。
止まらない止まらない。父のこと、弟のこと、親戚のこと、ご近所のこと…。母とて『元』女の子、お喋りは専売特許か。
うんうん、と相槌を打つのが精一杯のわたしは、静かにミカンを頂いた。爪の間に酸味の効いた果汁が染みる。
「スズナ、お仕事は失敗とかしてないの?母さん心配でね」
「してないよ!子供じゃないから」
新年早々大ウソを吐いた。わたしは、失敗ばかりしている。この間もやったばっかりなのに。
ごろんとふてくされたわたしの目に飛び込んできたのは、立てに幾筋も走っている柱の傷跡。
その立て傷は、寝転んだわたしの視線からでも丁度目に入る位置から上へと繋がっている。しかし、下に行くほど筋は多く、
逆に上に行くほど少なくなっているのが分かる。まるでグラデーションを描くように。
「思い出した?その傷はね、スズナとハルキが研いだ爪の跡だよ」
……そうだ。小さい頃、腑に落ちないこと、収まりがつかないことがあったときこの柱に爪を立てていたことがあった。
その度に、母から「爪はちゃんと爪とぎで研ぎなさい」と、お説教を受けていたことをこの柱を見て思い出した。
下の爪跡は丁度歩き始めた頃の背丈と同じ位置にあり、小学生くらいの背丈で爪跡は消えている。
大きくなるに連れて柱で爪を研ぐこともなくなってきた証拠なのだろう。
「ネコの家は何処もそうだからね…」
と、半ばあきらめた顔をして母はこたつで寝転んだ。
わたしも弟も、もう柱に爪を立てることなんかない。爪は爪とぎで研いでいる。でも…ちょっとまた柱で研いでみたいかも。
そのとき、わたしの携帯がわたしを呼び出した。メールだ。送り主は、ヨハン先生。
『お正月を故郷で過ごす泊瀬谷先生へ。ぼくは、今から新春の海を見にドライブへ行く所です。
泊瀬谷先生をお誘いできなくて残念ですね。いつか一緒に春の海を見に行きましょう』
その文に添えられた画像は、高級そうな車の運転席に座っているヨハン先生が窓から手を振っているところだった。
画像を覗き込んだ母は、笑っていた。学校の同僚よ、と説明すると母は呑気にこう答えた。
「あら、イケメンじゃないの。スズナを貰ってくれないかね?この先生」
「とんでもない!!こちらから願い下げよ…」
急いでわたしはヨハン先生に返信をし、携帯電話を折りたたんだ。
母は、わたしの答えに不満でもあったのか、ニコニコしながら尻尾を畳に叩きつけている。
話を逸らそうとわたしは、咎なき弟を犠牲にする(ホントはあるのだが)。
「ハ、ハルキ遅いね!!」
「そうね。もう帰ってくるんじゃないの?」
もう、今日が終わってしまうぞ。わたしは、弟に言いたいことがあるっていうのに。
その思いが伝わったのか、玄関の扉ががたがたと鳴る音がする。
「ただいまー。母さん、鍵開けてよー」
聞き覚えのある声もする。弟だ。
その音で父もむくりと起き上がり、泊瀬谷家一同がこうして正月に揃ったのだった。
―――後日、知ったことだったのだが、わたしに送られてきたヨハン先生と車の写メールは、
教頭先生がお正月に新しく買った車の納車の際、それにお供をしていたヨハン先生とサン先生が企てたイタズラだったのだ。
ヨハン先生は、教頭先生の目を盗んで運転席に座り、髪をなびかせながら自慢げにハンドルを握る姿を
サン先生が撮ったものだったのだという。この後、教頭先生に見つかり揃って叱られたらしい。
二人を知るものならここまでは予想がつく者も居るだろう。こういうことを平気でする人たちなんだから。
しかし、そのことに気付かなかったわたしは、さらに自分で自分を苦しめることをしてしまった。
何故なら、そのメールで返した文章が問題だったからだ。その内容は…。
「今度、その車のボンネットに爪を立てに行きますからね」
おしまい。
今年も沢山の職人さんがやって来ますように…。
では、失礼します。
乙ですー
先生可愛いね
柱の傷かぁ
上手いな。確かにありそうだ
先生かわいいねえ
ノスタルジックな気分になったよ
泊瀬谷先生可愛くてニヤニヤが止まらん
猫らしい描写がいいな
すげぇ!長いストーリーになってる
ザッキーのあせりようがなんかかわいいなw
みかんーみかんー
尻尾がかわいいよう
>>815 後日再び三人組に脅しかけられてるザッキーが目に浮かぶぜ
>>817 こたつにみかんは冬の風物詩だな、やっぱり
>>815 痘痕も…なんだこれ…?読めん…
しかしせんせーもよくあの踏みつけを回避出来るなぁ
>>820 あばたもえくぼ、と言うんだぜ?
それより、誰も話題にしない獅子宮先生が可哀想だ。
822 :
811:2009/01/05(月) 02:00:54 ID:PmCtcV9e
「あばたもえくぼ」かな。
タスクくんの帽子、かわええ。
>>817 ほのぼの泊瀬谷家、ありがとうございます!
なんて恐ろしい漢字だ。これで一つ賢くなったが明日には多分忘れる
>>821 どう動かしたらいいか分からんもんで…
これで、そう読むのか…有難うございます、ニホンゴはムズイです…
>>1 アニメ、ゲーム等の二次創作までなんでもどうぞ。
どんとこい
たまたま無いだけで誰も文句は言わないよ
>>825 この子は版権のキャラなんだろうか、誰だか分からんorz
>>827 2枚目めっちゃ懐かしいです
うんにゃ、オリジナルです
版権いいのね ありがと
版権キャラだけのクラスがあるんだよきっと
別にケモ学と絡めんでもw
スーパーセブン・・・またエンスーな。
角ww
もう仕事始めかと少し鬱な気分な俺が通りますよ……
獅子宮先生のキャラが薄いと言う話なので、今回は彼女を主役としたSSを投下します。
それと、少々長いのでお暇な方は支援をお願いします。
私が仕事納めをようやく出来たのは新年になって元日が過ぎようとする頃。
溜まりに溜まった自分の仕事を片付けている内に紅白も終わり、その上、カウントダウンも見逃してしまい
楽しみにしていた年越し蕎麦を食いそびれた事を激しく後悔しつつ、沈み行く新年の夕日を眺めたのだった。
こうなったのも、自分自身のずぼらな性格な所為で溜まっていた仕事を、咥え煙草しつつ片付けていた時の事だ。
隣の席の方から上がる、妙な物音と「あっ」と言う悲鳴に近い声、私が何事かと思いつつ隣を見ると、
画面がブラックアウトしたノートPCの前で、新米教師の泊瀬谷が尻尾も頭も項垂れさせている所であった。
たまたまその様子を見ていたナルシストのヨハンに事情を聞いてみると、
彼女がコーヒーでも飲もうと席を立とうとした時に、どうやら自分のノートPCの電源線に足を引っ掛けてしまったそうで、
その所為で何時間も掛けて仕上げた新学期に使う授業の資料が全ておじゃんになったそうな。
おまけに復旧しようにも内容の保存もしていなかったそうで、状況は絶望的であった。
……彼女の何と言うドジっぷりだろうか、
それを聞いた私は呆れの余り、思わずぽかんと口を開けてしまったらしく、
あっ、と気付いた時には、零れ落ちた煙草はろくに掃除のされて無い所為で埃が多く溜まった机の隙間へと消えていた。
恐らく、今更慌てて拾った所で煙草は埃塗れで酷い有様だろう。こうなってしまってはもう吸う気にはなれない。
クソ、この煙草はまだ火を付けてもいないのだぞ? 後でゆっくりと吸おうとしていたのに……最悪だ。
最近は煙草税の所為で一本一本が貴重だと言うのに、それを無駄にしてしまうとは私は何と言うドジなのだろうか?
いや、ひょっとすると、私は泊瀬谷のドジが感染ってしまったのだろうか。
まあ、それは兎も角、私が煙草の辿った末路に悔恨の意を感じていた時には
泊瀬谷は”とっつあんぼうや”のサンとヨハンの励まし?を受けて、電子の藻屑となった資料の打ち直しを始める所だった。
聞いた話によると、彼女はこれから実家に帰る予定らしく、何としても仕事を早く片付けたかったそうだ。
カタカタとキーボードに打ち込む彼女の手の動きが先程よりもヒートアップしている様子から、
今の彼女の必死ぶりが何となく窺い知る事が出来た。
だが、必死になるのは良いのだが、急いでいる所為で打ち間違いも多発しているのは余り宜しくは無い。
彼女もそれは分かっているのだろうか、「ああ、もうっ」と声を上げながら打ち間違えた分を消しては打ち直すを繰り返す。
だが、余程慌てていたのだろう、うっかり間違っていない部分まで消してしまったらしく、遂に彼女は頭を抱えてしまった。
この調子だと、来学期の資料はグダグダの有様になりそうだ。
昔からの性分なのだろうか、私はこう言うのは黙って見ていられなくなる。
泊瀬谷がが十三度目の間違いを起こした辺りで、新たな煙草を咥え直した私が「どけ」の一言で彼女をどかし、
代わって席に座ると、彼女からこれから何を打ち込むつもりだったかを聞きつつ入力を始める。
私の十本の指が別の意思を持ったかの様にキーボードの上で踊り、入力音がある種の音楽を奏で始める。
一切の間違いも無く、凄まじい速度で文章が書き上げられて行く様に感嘆の声を上げたの、果たして誰だろうか。
そして、時計の短針が一回転する頃には、消えてしまった内容の約半分を書き上げていた。
「私がやれるのはここまでだ、後は自分でやれ」
「す、すみません、獅子宮先生。わざわざ手伝って頂いて有り難うございます」
席を立ちつつ つっけんどんに言う私に対し、彼女はわざわざ頭を深深と下げて礼を言う。
これだから彼女は生徒に舐められるのだ。まあ、その性格が悪いとは言わないが、
だが、ホンの少しくらいは図々しさを持ってもらいたい物だ。
まあ、しかし、偶にこう言う事をするのも悪くは無い。
人に感謝されるのは誰でも心地良く感じる物だ。……だが、過剰な感謝だけは御免被りたい所であるが。
「いやぁ、獅子宮先生の見事な手際には僕も感心しきりですねぇ」
と、ヨハンが一息付いている私に向けて言う。
こいつはここぞとばかりに私を口説くつもりか? だが、簡単に口説かれるほど私は甘くない。
さり気に私の肩に置こうとした奴の手を思いっきり抓ってやると、ナルシストな犬はギャンと悲鳴を上げた。
抓られた手を擦るヨハンの様子を見て、サンがケタケタと笑いつつ私に向けて言う。
「ねえ、ところでさ、獅子宮先生もやる事あったんじゃないの?」
「ん……確かにそうだったな、仕事に戻らねば」
言われてようやく、今、やるべき仕事があった事を思い出した私は外見冷静、内心焦りながら自分の席へ戻り、
止まっていた仕事を再開すべく、MyノートPCへ手を伸ばそうとして、
がた、ばしゃ
―――袖が当たったのか、傍においてあったコップが倒れ、中のコーヒーをノートPCへとブチまけた。
それと同時にMyPCはピーともプーとも付かぬ異音を立ててフリーズ、少しの間を置いて画面がブラックアウトする。
……完全にご臨終だった。
「…………」
「…………」
「…………」
――場の空気が凍りつくと言うのは、この時の状況を指すのだろうか?
私の身に降りかかった不幸を目撃したヨハンとサンは表情を凍りつかせている。
その最中、泊瀬谷はと言うと自分の仕事に必死らしく、私の状況に何ら気付いていなかった。
流石に、自分のミスでこうなった以上、誰かに責任転化をする事も出来ず、私はただ、呆然とするしか出来ない。
「……ご、ご愁傷様」
そして、ようやくサンの奴が言葉を搾り出した頃、
私はこの仕事が徹夜じゃ終わらない事をはっきりと自覚したのだった。
普段は多くの車が行き交う大通り、だが正月の三が日の今、通りから車は消え、
其処を時折思い出した様に走ってくる市電のモーター音も心なしか、何時もよりもけたましく感じる。
それを耳で感じながら、私は何時もの臍だしファッションにコートを羽織った姿に
ケモノ用のヘルメットをかぶって愛車であるZU(高校の頃から乗っている物だ)に跨り、通りを流していた。
周りから見れば冬の時期に私のこの格好はさぞ寒かろうと感じるだろうが、これは私のファッションと言う奴だ。
誰に言われようとも止める気は毛頭無い。そう、誰にだって譲れない物は存在するのだ。
無論、私自身も寒さ対策はしっかりとしている。
とはいえ、獅子族である私は、ネコ族がやるような毛を逆立てて空気を入れるような情け無い真似はしない。
ある生徒から寒さ対策のドリンクを1リットルほど譲り受け、出かける前にそれを飲んで寒さを凌いでいるのだ。
お陰で、一見、寒そうに見える臍だしファッションでも、寒さを何ら感じる事は無い。
それにしても、竜崎といったか……このドリンクの一口飲んだだけで眩暈がするマズさはどうにかできないだろうか?
新学期になった後で、一度、奴に改良する様に頼んでみようか?
……それにしても、暇過ぎる。
今頃は何処の家庭も実家に帰るなり、
海外へ旅行に出かけるなり、或いは新年を寝て過ごすなりの正月気分を味わっている事だろう。
だが、私は生憎、そんな正月気分を素直に味わえるケモノではなかった。
実家は18の頃、壮絶な死闘の末に親父を半殺しにして以来、一度も敷居をくぐってはいない。
そして、この安月給な上に多忙な教師の仕事をやっている以上、海外旅行なんぞ行ける筈も無い。
当然、寝て過ごすなんて論外だ。そんな事すれば太るではないか。
まあ、そんな訳でやる事も無い私は、行く充ても無く愛車に跨って走り回っている訳だ。
こうなる事だったら紅白でも見ながらゆっくりと仕事を片付けるべきだったかと思ったのだが
今更、後悔した所で過ぎ去ってしまった時間は帰ってくる筈も無く、
出来る事とすれば来年こそゆっくりと仕事をして年末を楽しもうと決意する事くらいである。
しかし……何処の店も正月三が日の所為で軒並み閉まっており、暇を潰せる場所が見つからない。
一時、コンビニの雑誌でも立ち読みでもしようかとも考えたが、それは家でも出来ると即座に却下した。
その音が聞こえたのは、バイクを止めた私が煙草を燻らせつつどうした物かとぼんやりと考えている時の事だった。
誰かが人を殴ったような――いや、その物の特有の鈍い音。それが間を置いて、2、3度続く。
それに気付いた私の顔がニィッ、とほころぶのが自分でも分かった。
無論、私は迷う事無くヘルメットを脱ぎ、耳をピクピクと動かして音の出元を探り始める。
そう、私はこう言うのを望んでいたのだ、気分良く暇潰しが出来るシュチュエーションを。
声の大きさと方向からして―――あのビルとビルの間の横道か。
出元を割り出した私は沸き立つ狩猟本能の赴くままにその場所に向けて駆け出す。
(無論、ZUはしっかりと鍵を掛けてチェーンも付けて置いた)
訂正
訂正
×それにしても、竜崎といったか……このドリンクの一口飲んだだけで眩暈がするマズさはどうにかできないだろうか?
新学期になった後で、一度、奴に改良する様に頼んでみようか?
○それにしても、ホットドリンクといったか……一口飲んだだけで眩暈がするこのマズさはどうにかできないだろうか?
利里少年へ一度、味の改良する様に頼んでみようか?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――居た。
それぞれ折り畳み警棒と鉄パイプを手にした明らかにガラの悪そうな同族の男二人。
その向こうでは、片膝を付いた状態で獅子族の男達とにらみ合う、ボロボロな姿の蟷螂族の男が一人。
と……この私と同族の男達は確か、山手の方でツインライオンズとかのたまってる身の程知らずの不良兄弟。
そして連中に追い込まれている蟷螂族は確か、私の学校に居る鎌田とか言うヒーローかぶれの少年だった筈だ。
「へっ、流石のヒーロー様もここで終わりの様だな?」
「この前のカリ、きっちりと返させてもらうぜ」
「くっ、ヒーローであるこの僕が、こんな所で…!」
見るからにありきたりな状況に、私は内心呆れ果ててしまう。
恐らく、これは鎌田少年に一度、酷い目に遭わされた不良兄弟がお礼参りをしている所だろうか?
しかし、鎌田少年はヒーローかぶれだけあってそれなりに強かった筈、
それがまかり間違ってもこんな奴に追い込まれる事は無いと思うのだが……?
と、そう言えば、今日の気温は氷点下を下回ってたな。これでは寒さに弱い彼が追いこまれるのも無理は無いか。
ま、それは兎も角、とっとと”暇潰し”をやるとするか。
やる事を決めた私は、咥えていた煙草をプっ、と吐き捨てると不良二人の背に向けて言う。
「情け無いな……誇り高き獅子族が二人掛かりで弱っている者を攻撃すると言うのは」
『なにっ!?』
私の言葉に、兄弟が不機嫌な声を上げてこちらへ振り向く。……分かりやすい奴等だ。
そして、兄弟の内の少し小柄な方(多分、弟と思われる)が私の方へ詰めより、言う。
「おい、ねーちゃん。今なんつった? 答えによっちゃ同族の女でも容赦しないぜ!」
「ん? 聞こえてなかったのか? ……どうやら、性根だけではなく耳も腐っている様だな」
「なっ……! こ、このアマァッ!!」
私の安い挑発に乗って、鬣(たてがみ)を逆立てた弟が怒りに任せて私に殴りかかってくる。
しかし、警棒を振り下ろそうとしたその腕をぱしっ、と当然の様に私は片手で軽く受け止め、
「……で?」
驚く弟に向け、嘲笑混じりな眼差しを向けてやる。
無論のこと、攻撃をあっさりと止められた弟は慌てて自分の腕を掴んでいる私の手を振り払おうとするが
そう簡単に私が離す筈が無く、より力強く拳を掴む力を強めてやる。
また訂正orz 間違って修正前のを投下してるよ俺……
×そう簡単に私が離す筈が無く、より力強く拳を掴む力を強めてやる。
○そう簡単に私が離す筈が無く、代わりに腕を掴む力を強めてやる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あだっ、あだだっ、いだだだだだだだっ!?」
強まる力にみしりみしりと骨が軋み、更に爪が毛皮に食いこむ激痛に弟は警棒を取り落として悲鳴を上げ始める。
当然、その隙を逃す私ではない。掴んでいる弟の腕へもう片方の手を掴ませ、
僅かに体勢を沈めると、弟の身体を引き込む様に半回転、片膝背負い投げを決めてやる。
だんっ!!
「がっ……ぁ……!」
一瞬だけ、フワリと巨漢の身体が舞い、気持ちの良い音が周囲に響き渡る。
背中をコンクリートに叩き付けられた弟は地面で2、3度身体を痙攣させた後、そのまま気を失った。
この間、僅か十数秒ほどの出来事。
「なっ! 純二!? ……こっ、このアマっ! よくも弟を――――」
弟に降りかかった災難を理解できなかったのか、数秒ほど呆然とした後
ようやく我に返った兄が弟の仇とばかりに鉄パイプを振り上げる!
がっ―――からんからん
「―――って、あれ?」
が、私がカウンター気味に放った足刀の一撃に、鉄パイプは振り下ろされる事無く在らぬ方向へ飛び、地面に転がる。
数秒ほどの間を置いて、得物を失った事に今更気付いた兄は間抜けな声を漏らした。
「……さて、折角の武器が無くなった訳だが……まだやるか?
まあ、私としては、君にはもう少し頑張ってもらいたい所なのだがな。……私の暇潰しの為に」
「ぐっ……憶えてろっ! 畜生!」
詰め寄る私を前に、不利と悟った兄は気を失った弟を背負って捨て台詞を残しながら脱兎の如く逃げ出す。
……ちっ、これでは暇潰しにもなりやしない。 全く、武器を失ったくらいで逃げ出すとは獅子族の血が泣くぞ?
「し、獅子宮先生……ヒーローのピンチに掛けつけてくれるなんて、貴方はなんて」
「ん? まだ居たのか、鎌田少年」
「…………」
私の言った一言が気に入らなかったのか、ピンチから救われた筈の鎌田少年は触角をしょげさせていた。
だが、直ぐに気を取り直したらしく、彼は煙草を咥え直す私に羨望の眼差し(?)を向けながら言う。
「僕は貴方の正義に感動しました! 獅子宮先生! やはり、正義の味方というのはここぞという時に」
「正義の味方? 何を言っているのか良く分からんが、さっきのはただの暇潰しだ」
「…………」
言葉を遮って私がつっけんどんに言い放った一言に再度、沈黙する鎌田少年。
なんだか彼の無表情な顔が泣きそうに見えるのは私の気の所為か?
しかし、鎌田少年は余程我慢強いのか、それともMなのかは分からないが、再び私に話し掛ける。
「そ、それより、僕、獅子宮先生に惚れました!」
…………。
「は?」
余りにも唐突な台詞に、私は思わず聞き返してしまった。
「いや、別に疚しい(やましい)意味で言った訳じゃないですよ?
バイクに乗って颯爽と現れた所とか、悪に決して屈せぬ圧倒的な強さとか、
この寒さでもへそ出しファッションで平気で居られる我慢強さとか、
それにも関わらず決して自慢気にならない慎ましい所とかに憧れると言う意味で言ったんです」
なんだ、そう言う意味で言ったのか。……ったく、この虫男め、人を驚かしてくれる。
しかし、これは少し言ってやらないといけない様だな。
「言っておくが……私に憧れを抱くのは止せ」
「え? ……何故?」
不思議そうに聞き返す鎌田少年に、私はポケットから取り出したライターで咥え煙草に火を付けながら言う。
「私はただの不良教師さ……決して他人から憧れを抱かれるようなケモノではない」
「で、でも……」
「それに、少年は正義のヒーローだとか何とか言っている様だが、そんな馬鹿なことは今のうちに止めておけ。
今回は私のお陰で酷い事にならなかったから良かったのだろうが、
何時までも同じ事を続けていれば何れは取り返しの付かない事になる。
そう、柄にも無く一度だけヒーローごっこをやった結果、片目を失ったかつての私の様にな」
「え……?」
私の言った言葉が理解できなかったのか、呆然と漏らす鎌田少年。
それに構う事無く、私は煙草を燻らせ、遠い何処かを見やりながら話を続ける。
「それに、正義、なんてものはな、人それぞれに存在する物さ。
善人に善人なりの正義があるように、悪党にも悪党なりの正義がある。
所詮は主義主張の押し付け合い、何が正しいか何が悪かなんて、周囲が勝手に決める物なんだ。
それを分からないまま、軽軽しく正義と言うのは……私は好きじゃない」
「…………」
今度こそ沈黙する鎌田少年。むう……少し言いすぎたか?
いや、だが、これくらい言ってやらないとこいつも分かりはしないだろう。
これでヒーローごっこを止めてくれば……
乙
「けど……それでも僕は先生に憧れます!
だってカッコイイじゃないですか。誰かを助ける為に自分の身を省みず戦うその覚悟!
そしてその片目はその時の名誉の負傷! ああ、痺れるッ、憧れるぅッ!」
駄目だ……こいつは正真正銘のヒーロー馬鹿だ。こんな馬鹿は医者でも治しようが無い。
――と、言おうと思ったが、言った所でこいつの事だ、『それは僕にとって最高の誉め言葉だ』とか返すのだろうな……。
「それに、僕は知っているんですよ? 先生は一見、
とんでもない食わせ者で他人を冷たく突き放している様に見えて、実は困っている人を放って置けない性分だって。
聞く所によると、去年末に困っている泊瀬谷先生を助けてあげたとか」
「おい……誰から聞いた、そんな話」
「え? 初詣の時に会ったサン先生から聞いた話だけど……?」
ちっ、誰からかと思えばあのとっつあんぼうやか……余計な事を……。
これ以上余計な事を振れ回られる前に一度、奴をキチンと〆ておかねばならん様だな。
と、その前に先ずは鎌田少年には余計な誤解を招かぬ様に一言言っておくべきか……
「……言っておくが、鎌田少年……」
「ああ、先生、何も言わなくても分かってますよ。
ヒーローたるもの、自分の正体や素性を他人に明かさないのがセオリーですからね、
この事は他の人には黙っておきます、だから先生は安心してください」
「……なら、良いのだが……」
実際は良くないのだが、ここで迂闊に事を荒立てる必要は無いと考え、私は素直に頷いておく事にした。
……とはいえ、このまま放っておく訳にはいかないのだが……。
「……おーい、ライダー、何処に居るんだ―?」
「おっと、あの声は塚本か。そう言えば僕は塚本と来栖と一緒に福袋を買いに来ている所だったんだ。
急に抜け出したもんだから二人とも心配しているかもな……それじゃ先生、このお礼は何時か必ず!」
と、ぺこりと頭を下げ、鎌田少年は友人の居る方へと走り去ってゆく。
「……私も帰るか」
それを見送った後、なんだか急にやる気の失せた私は、素直に家路に就くのであった。
※ ※ ※
……それから数日後、私の住むマンションに宅急便の小包が二つ届いた。
一つは泊瀬谷から、そしてもう一つは鎌田少年から。
「泊瀬谷からは……カツオブシか」
彼女から送られた箱を開けてみると、
恐らく何処かの名物であろうカツオブシが箱いっぱいにみっしりと詰まっていた。……道理で重い筈だ。
多分、これは昨年末のお礼のつもりだろうと思うが……獅子族の私はカツオブシなんて食わんぞ?
どうせなら煙草の1カートンくらいであれば喜んでいたのだがな。
「でだ、鎌田少年からだが……なんだこれは?」
次に鎌田少年から送られた箱を開けてみると、
黒系を基調とした何処かのダークヒーローっぽい衣装が丁寧に折り畳まれた状態で入っていた。
その付属品に妙なデザインのバックルの付いたベルトと赤いマフラーが入っている辺り、念の込み入り具合を感じさせる。
多分、彼は私にこれを着ろと言っているのだろうか?
ふと、衣装に付いていたタグを見てみると、其処には『MADE IN AKEMI』の文字が……。
それを見なかった事にした私が、衣装をクローゼットの奥に仕舞う事にしたのは言うまでも無い。
私の名は獅子宮 怜子。
……最近、自分のやる事が全て裏目に出ている様な気がする25歳の女だ。
―――――――――――――――――――了――――――――――――――――――――――――――――
以上です、と書こうと思ったらさるさん食らってた。
これでもう少し親しみを持ってくれたらなぁと思う次第。
さて、他のキャラの設定ももう少し掘り下げてみるか……
獅子宮先生強えぇ!色んな意味で強いな先生。そして若いな先生。なんか名前が意外だ。
仕事できてかっこよくて強いってかなりの超獣じゃないか。
ライオネスいいなあ。
鎌田が憧れるのも分かるぜ
あ、ちょっと質問が。
朱美と卓でなんか書こうとか目論んでたら、平和な日常とは言い難い
結構な事件シナリオが浮かんでしまった。
期間はあまり長くないし、誰か減るとか増えるとか、関係が特別変化するわけじゃないけど
飛行に関する設定に少々追加があるかも。これこのまま話にしちゃっていいものだろうか?
まだ頭の中にあるだけなんで内容はどうにでもなる。それは待ってほしいとか、
ここは譲れないとか、触れてほしくない部分とかあったら教えてくださいな。
アバウトでいいよ
矛盾が生じたら別シリーズと言い張れば良いし
>>846 「キリン」好きの私としては、「ファッションじゃない、スタイルだ」
って言って欲しかったところも有るのですが(笑) 面白かったです。
それにしても、今度はゼッツーか。資料を集めるのも大変です。昨日は
新し目のBMWの載ってる雑誌を買いに行ったし。 でも、もう一冊昨日
買った雑誌でしばらく前から温めていたキャラが獅子宮先生と絡めそう。
帰ったら描こう。 と言うか、今日も早く帰ろう。
>>833 教頭に萌えた!
ああなんかかわいいなこいつー
表情が素敵だよ教頭、かわいいよ教頭
853 :
846:2009/01/06(火) 14:34:49 ID:jcx3Epep
ちょいと時間が空いたので一言言いに通りますよ……
>>849 卓の家族構成について以外であれば内容は好きな様にしてください。
と言うか、シェアワールドなんだから一々確認取らなくても良いかと(汗
……ちなみに、卓の家族構成云々と言ったのは、それでちょっと話を暖めているからです。
SSが出来あがるのを楽しみにしています。
>>852 「そうか、ファッションではなくスタイル、か。 なるほど、そう言うのも良いな」
と、隻眼の誰かさんが申していました。
それはよかった。では躊躇なく。遅筆だからいつになるかわからんけどね。
そうか!これが生きることか!ww
858 :
857:2009/01/07(水) 00:43:39 ID:r+c0fTiS
昼休みの教室並みのうるささの職員室ww
ザッキーカワイソスwww
だがしかし笑えすぎるw
,へ、 /^i
| \〉`ヽ-―ー--< 〈\ |
7 , -- 、, --- 、 ヽ
/ / \、i, ,ノ ヽ ヽ
| (-=・=- -=・=- ) |
/ 彡 / ▼ ヽ ミミ 、 イヤリングを変えた。
く彡彡 _/\_ ミミミ ヽ 恋がはじまる。
`< ミミ彳ヘ
> ___/ \
/ 7 \
| / \
| / \
ヽ / ヽ
ヽ / ヽ
; / ヽ
ゝ"~} ヽ
/ ノ,,_-ー-、___ノ ヽ
k乃ノγ |
/ |
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(__\_ /⌒;;i
 ̄ー、__ _____,/⌒ヽ/
_____/::⌒;;ヽ,/
/::::::::`ヽ `ヽ:::`ヽ `ヽ::::/
(::::::::::::::::::::) |:::::::| ノ/
\:::::::::::ノ ノ;;;;;;/ /
ー--‐ー ' ""~
く、黒羊さん!!?
もふもふかわいいよもふもふー
なんかクリーンヒットした
もふもふスレンダーっ
こういうキャラ出て来ると一卵性男女双子は生まれない談義に花が咲きますよね
なんかアニメ的な感じ
カトゥーンアニメとかでやってそうだなー
>>866 作中に出てきたケモノ用ヘルメットの形が気になってたが
なるほど、こういう形か
乗り物の形がなんだか鳥山さんっぽいな
『其処のバイク、直ちに停車しなさい!』
私がバイクを軽快に飛ばし、家路に就いている最中、
いやに耳に障るサイレン音とスピーカー越しの怒声に近い停車指示が私の背を叩く。
どうやら、間の悪い事に少しスピードを上げ過ぎていた所を見つかってしまった様だ。
ったく、車通りの無い通りを気分良く流していた所を……こう言うのはとっとと振り切るに限る。
『其処のバイク……って良く見たらお前、怜子か! くそっ、正月早々からスピード違反しやがって!
お前のような事する奴が居るから俺達は正月早々から働く事になってるんだぞ! 分かってるのか!』
『ウルフさん、完全に私情がでてますよ! と言うかマイク切ってから叫んでください』
『あ、しまった』
……あの交機(交通機動隊のパトカー)に乗ってるのはよりによって私の知り合いか。
さっきのやり取りからすると、相変わらず間の抜けている所は変わってはいない様だな。
そうなると尚更、奴等を振り切らねばならなくなった。
ちなみに、さっきからギャンギャンと叫んでいる方の狼がウルフ、
そして交機を運転している方の狐がウルフの弟分のジョー。
認めたくは無いのだが、あの二人と私との関係は昔っからの腐れ縁と言う奴だ。
中学、高校の頃から奴等とは何かにつけてはいがみ合って、殴り合いなんてしょっちゅうだった。
そして、その度に喧嘩両成敗とばかりに三人纏めて若かりし頃のいのりんに叱られていたのを思い出す。
しかし、それが何の因果か、私は学校の教師、そして奴等は警察官になってしまった。
つくづく運命と言うものを不思議に感じてしまう。
『おい、怜子、だから止まれって言ってるだろ? ここで検挙数稼いでおかないと俺達の給料に響くんだぞ!?』
『ウルフさん、また私情が出てますって!』
『うるせぇっ! お前は黙ってろ! 怜子、今度と言う今度は逃がさないからなっ!
カメラでナンバー撮って後で検挙なんて回りくどい方法はやらないから覚悟しろよ!』
『ああ、もう……済みません、玲子さん。俺達の為、今回こそ挙げさせてもらいますよ』
ジョーの声と共にパトカーがスピードを上げ、ぐんぐんと私の乗るバイクとの差を縮めて行く。
奴等の乗る交機は最新型のスポーツカー、対する私の乗るバイクは三十年近く前の骨董品。
このままでは奴等に追い付かれるのも時間の問題だ。
それにしても、あんなのを導入する金なんて警察の何処にあったんだ?
いや……ひょっとすると、奴等が自腹を切って導入した訳じゃ……、
……ありうる話だ、あのウルフの奴ならやりかねん。奴は今までに何度も私に煮え湯を飲まされてきたんだ、
そんな私を挙げる為なら、あいつは自腹を切る事だって厭わない事だろう。
……多分、ジョーは無理やり自腹を切らされたとは思うが……。
しかし、だからといって、私は奴等に捕まってやる訳には行かない。
そう、捕まってしまえば最期、奴等は鬼の首を取ったかの様に私を馬鹿にするのが分かりきっているからだ。
無論、そんなのはご免被りたい所だ。
私はアクセルとブレーキを巧みに調節し、
追い付かれるか追い付かれないかの絶妙な間で奴等との距離を維持しつつ、ある場所へバイクを走らせる。
やがて、私の乗るバイクが古い民家が立ち並ぶ旧街道へと差し掛かった所で、
「じゃあな。事故には気をつけろよ?」
私は奴等に向けて捨て台詞を残し、華麗な二輪ドリフトを決めつつ自動車では到底入れそうに無い細い横道へと入る。
この旧街道沿いの細道はそれこそ迷路の様に入り組んでおり、一旦ここへ入りこめば逃げ切ったも同然なのだ。
多分、奴等は今頃、私が逃げこんだ細道を前に地団駄を踏んで悔しがって……
『逃がすかゴルァっ!』
声に思わず振りかえると、其処には車を横に傾けた片輪走行で追いかけるパトカーの姿!
私を挙げる為にここまでするとは……何と言う執念だ。 正直、私は本気で驚いたぞ。
ま、そうするなら私にも対抗手段はある訳だが、
『ふははは、どうだっ、見ろっ! 3ヶ月間の特訓の末に編み出した対細道用片輪追跡術!
この技さえあれば、お前が幾ら細道に逃げようとも無駄無駄無駄ァッ!』
『あの……二人で特訓したように言ってますけど、特訓をしていたのは殆ど俺じゃないですか……?』
『うるせぇっ、それは言うなって言ってるだろ! まあ、それは兎に角、今度こそ覚悟しろよ、怜子!』
勝利を確信したのか、更に距離を詰めてくるパトカー。
私はタイミングを見計らいつつ僅かに横へ逸れ、ちょうど良い所で急停車をかける。
『うをッ、いきなり止まるなっ――って、おい、ジョー。早く止まれって!』
『そうは言いますけど、片輪走行している時にブレーキかけたら事故っちゃいますから無理ですって!』
『な、なんだってぇぇぇぇぇぇ…………』
そして、停車した私の横をドップラー効果で声を残しつつ通り過ぎ行くパトカー。
少しの間を置いて、遠くで何かが壊れるような音が聞こえた。……多分、奴等は止まり切れず何処かにぶつけたな?
まあ、奴等の事だ。どうせ大した怪我もしていない事だろう。
その代わり、新型をぶっ壊した始末書はたっぷりと書かされるだろうとは思うが。
「さて、帰るか……」
そして暫くの間、私は奴等が通り過ぎて行った方を眺めた後、今度こそ家路に就いたのであった。
「ウルフさん、これは完全に減給物ですね……」
「くっそー、今度こそいけると思ったのに……」
「で……おまわりさん、あなた方が壊してくれた私の家の塀の修理費、払ってくれますよね?」
「「とほほほ……」」
そしてその頃、民家の土塀にボンネットを突っ込ませたパトカーを前に、
怒り心頭な家の主人に怒られ、耳も頭も尻尾も項垂れる二人の警官の姿があったと言う。
以上です。
>>866を見ていたら急にインスピレーションが湧きあがり、その勢いで書き上げてしまった。
如何も遅筆なのか速筆なのか自分自身が分からなくなる。
>>872 おお、あっという間に(笑) なんか、頭に描いていたふたりにかっちり
と嵌まってかなり気持ち良いです。
ちなみに、ウルフとジョーの元ネタも既に30年前の作品です。
素敵なドジキャラっぷりww
ジョーいいよジョー
猫達ガン見www
まるで職員室やら教室やらから覗いている教師・生徒たち
警官かっこ悪すぎるw
こんな娘にぐいぐいされたら惚れちゃいます><
>>目欄
描けばいいじゃないっ!今すぐペンを握ればいいじゃないっ!
なんだこれマジうらやましいぞ!
あとこの3馬鹿トリオはいつも元気だなぁ
売ってくれ!
ニア ゆずってくれ たのむ!!
おしつぶし饅頭も若干暖まりそうだがww
ふむ、これはいくらかね?
いいなぁこれマジで欲しいなー
ぬこが俺んちのぬことおんなじ模様だわ
1もふ=1,000USD
1000ウサギさん抱っこ……
どっちかなんて選べない!
待ちな、100もふ、つまり…100000ウサギさんダッコだ……っ!
10万回もウサギさん抱っこができるだって?
いや、牛さんに抱っこされると言う可能性もありうる。
そう、牛沢先生に力の限り(ゴキメキグシャ
ちゃんと書かなかった俺が悪いかもですが、
>>880はFORMAT4章のパロです('A
きつね娘キター
むっちゃ巨乳っ狐ですやん(はあと
獣人は夏と冬でウエストの長さが変わる
主に毛のため
初等部ってじゃねえと胸が主張しているw
確かにw初等部にしてはいい乳すぎるなw
初等部という事で控えめの巨乳にしたはずが…
くそっ小学生の乳基準なんて分かるかっ!
乳のみ高等部級かもだなw
こ、これで控えめだと!?
いいショタ成分だな〜
そういえばサン先生を含めてもショタ分は希少価値が高いなw
可愛いぜ
サン先生といえば今日出るみたいね
どこに?
>>906 ケモショタかわいいなあ。今年は初等部がブーム?
まとめwikiで再読するのは楽しいですね。
前スレにあった「初等部三人娘VS塚本」の続きを書きたくなってつい…。
>>861の子たちをお借りします。
「コレッタが行くにゃよね!」
「やだやだ。あたしはやだニャ。ミケの言うことなんか聞くもんか。クロが言い出したんだから、クロが行くニャ」
「コレッタも、はじめ『いやだ』って言ってなかったにゃ!」
「行くとも言ってなかったニャ!!」
初等部の三人娘、ミケ・クロ・コレッタが学園中央の大廊下ですったもんだのなすりあいをしている。
傍から見るとかわいいものだが、話を聞いてみるとそうでもないらしい。愛らしい花にはとげがあるのか。
「このままだと、塚本のヤツは癖になるのだ!付け上がっちゃうのにゃ!」
「でも、そんなことしてもしょうがないニャ」
「もー!!行くんだったらクロもコレッタもさっさと歩く!このわからんちん!!」
「そんな塚本がやってるような悪者さんがやること、あたしはしたくないニャね。『ガン飛ばし』ニャんか。
シロ先生にでも見つかってしまえニャ!シロ先生に怒られて、オキシドールで二人とも真っ白けにしてもらうがいいニャ!」
コレッタがクロ、ミケの後ろ三歩遅れて付いて歩く。テクテクと歩いていくさまは愛くるしいが、考えている心は裏腹である。
歩く度に目の前で揺れる尻尾に途中気になったのか、コレッタは前を歩くクロの尻尾にネコパンチ。
不意打ちにお月様のように目を丸くしたクロはコレッタの方にきっと踵を回す。
「ご、ごめんニャ!!つい…」
「だからコレッタはお子ちゃまなのだ」
ミケは肘を手に置いて、コレッタの様子を見ながら爪を噛んで笑っていた。
高等部の塚本から泣かされたクラスメイトの竜崎の敵討ちときめこんで、三人の子ネコ廊下を歩く。
コレッタも以前、塚本からの被害を受けて、クロとミケが敵討ちに行ったのだがこれといっても効き目がない。
やめればいいのに、クロはもはや意地になっている。コレッタもどうでもいいと思っていることだろう。
時はお昼休み。初等部、中等部、高等部と生徒が各々の休みをくつろぐ、うららかな昼下がり。
柔らかな鉄筋の音に続いた校内放送は、風紀委員からの乾いたお知らせが響いていた。
『角を持った生徒のみなさん、廊下を走ると大変危険です。また、角研ぎを忘れないようにしましょう……』
アナウンスをまるでないがしろにするように、三人の子ネコはぱたぱたと走りだす。
しばし走ると、先頭を張り切って走るクロが立ち止まる。周りの者は既にまばら。
道に迷った捨て猫のように、クロは廊下に吸い込まれていく感覚に陥っていた。
「高等部は…どうやって行く…にゃ?」
「ミ、ミケは…しらないにゃ!」
「つ、疲れたニャ…」
しんがりを走るコレッタがようやく追いついて、息を切らしながら一言呟いた。
クロは迷い、コレッタは疲れ、ミケは苛立ちを隠せない。
ミケは手首の毛繕いをしたあと、名案をひらめきポンと手を打つ。
「いきなり高等部に行っても、塚本たちに舐められるだけにゃ。いくらあいつらでも仕返しの方法を考えてるだろうしね。
ならば、高等部より小さい子から『ガン飛ばし』の練習をするのがいいというお話にゃ」
「れんしゅう?高等部より小さい子ニャらサン先生かニャ?」
「そう。サン先生なら…ってバカ!たとえば…ほら、あのヒツジの二人にガン飛ばすにゃよ!ほら、塚本よりかは弱そうにゃ!」
まばらになった廊下には男女二人のヒツジが仲睦まじく寄り添って歩いている。
制服のエンブレムから見ると中等部の生徒であることはこの学園の者ならすぐに分ること。ワルガキ三人から狙われていることを知らずに、
ヒツジの女子は男子の方にしばし構ってちゃんのちょっかいを繰り出している。
「ミケもクロもやめるニャよ」
「コレッタさあ!またコレッタがいじめられてもいいにゃね?!」
そしり顔で、知ったかぶりのお説教をコレッタにミケは始めた。コレッタこそ迷惑千万である。
そんなコレッタはさておき、ミケが目に付けた二人のヒツジ。それは中等部ではちょっとした有名人・夏目兄妹であった。
二人そろってのんびり屋さんでおっとり者という、人畜無害を人名事典に載せたような兄妹。夫婦ならば比翼連理の理想な二人。
「ねえ、お兄ちゃん。お昼、なに食べる?」
「う−ん…」
「もう、お昼も半分過ぎちゃうよ」
「えっと…大根サラダ…がいいな」
兄の葵はライトノベル片手に首をかしげる。妹の茜は兄の袖を引っ張る。
寄り添うように二人のヒツジは往来で立ち止まると、その部分を切り取ったように時間をとめる。
「お兄ちゃん、この本……。面白い?」
「うん」
「じゃあ、後で貸してね」
「まだ…、半分も読んでないんだよ」
「ふーん」
そんな二人の時間の時計の針を鷲掴みするように、三人の子ネコがわらわら近寄ってきた。
「お、おい!おまえらにガン飛ばしにきたにゃよ!」
「は…?なに飛ばし?」
「えっと……。にゃ……」
話半分に聞いていた夏目兄妹はそのまま立ち去ろうとしていた。そんな想定外の出来事に、ミケは対処できない。
沈黙こそ時間を長く体感させる絶好の秘薬。ミケは人生最長の時間に突き落とされる。
ミケはまるで星に手が届くほどの高さからスカイダイビングをしているような気分だった。
先陣を切ったミケは、この後どうしていいのか分らず石のように固まってしまう。地上はまだか、それより早くパラシュートを。
しかし、いちばん困っていたのは夏目兄妹の方。一体なにを考えているのか、とつぐんだ口が語っていた。
「ほら!ミケ!なめんなよゴラァ、って言うんだにゃ!」
「にゃんだって?」
小声でクロが後方支援。コレッタは相変わらずミケの尻尾にネコパンチ。
クロの後方支援も空しく、ミケの瞳は潤んで今にも一雨降らしそうな顔をしている。
しかし、ミケが口火を切る前に草食動物の本能が察知したのか、妹の茜が走り出してしまった。
ちょっと考えた後、取り残された葵は妹を追う。
「に、逃げるなんて……こうなるんだったら、教えといてにゃ!!」
「誰もわかんないにゃ!こんなあらすじ!!」
『風紀委員からです。角を持った生徒のみなさん、廊下を走ると大変危険です。また、角研ぎを忘れないようにしましょう……』
空気を呼んでか読まないでなのか、再び乾いた校内放送。しかし、彼らには塚本のように全スルー。
靴音を叩きながら、茜が逃げ出した先は図書館前の廊下であった。
丁度、図書館前にはヒカルと保健委員の二人が、とりとめのない世間話をしている。
もともと口数の少ないヒカルは保健委員の子には少しながら心を開いているようだ。
それも、以前帆図書館前で出会ってからいらいの仲。うんうんと保健委員の話にイヌミミを傾けるヒカル。
聞き上手は話し上手のはずなのだが、ヒカルにとっては当てはまらないらしい。
そのヒカルに茜が飛び込んできた。茜の羊毛のような頭がぶち当たり、ヒカルはしりもちをついた。
「ヒ、ヒカルくん!大丈夫ッスか?!ああ…ヒツジのきみも…」
「……うん」
幸い、角の湾曲した部分がわき腹に当ったのでヒカルには怪我はなかったが、
保健委員が騒ぎ立てているのは言うまでもないことなので、ここでは省略させていただこう。
ばたばたと保健委員はどこかに駆け出す。何処へ行ったか言うまでもないことなので、ここでは省略させていただこう。
「ごめんなさい」
「茜…」
葵は深々とヒカルに頭を下げる。ヒカルはゆっくりと立ち上がり、葵と同じようにうんうんと頷き返していた。
ふと、ヒカルは葵の持っていた本に興味を示す。
「その本…、たしか」
「……」
茜は葵の陰に隠れている。隠れたつもりだが、角がここにいるぞと自己主張。
葵は急に話を振られたのであわあわとしていたが、ヒカルは悪気のない目だということが分ると静かに話し出した。
「知ってるんですか。先輩」
「……うん。『若頭:』シリーズだね。始めは表紙の印象で軽い本かと思っていたけどね、読んでみたら
他の一般書に負けないぐらいの読み応えでさ、この手の本を読んでいなかったぼくはいくらか損をした気持ちだったよ。
うん。この間…風紀委員長が図書館でこの本棚前にじっと立っていたから、気になっただけだけどね。ふっ」
「そうなんですか。先輩」
「本にはまっちゃうと、人様が読んでいる本まで気になっちゃうんだよ…」
「そうですね。先輩」
生まれて初めて『先輩』と呼ばれたヒカルは、照れくさそうに尻尾をゆっくりと揺らす。
ぱたぱたと軽い足音がする。子ネコの三人組であった。しかし、夏目兄妹はすっかりそのことを忘れていた。
「見つけた!ガン飛ばしてやるにゃあ!!」
「覚悟するにゃよ!!」
ミケとクロは、息を切らしながら夏目兄妹につっかかる。
後からコレッタが二人以上息を切らしながらやって来た。肩で息をしているコレッタには、二人のやっていることなんぞ、
今更どうでもよくなっていた。ヒカルはじっとコレッタを見つめていた。保健委員は…戻っていない。
「と、ところで…塚本が言ってた『ガンを飛ばす』ってどうするにゃ?ミケ」
「わ、わたしに聞かにゃいでよ!」
「コレッタ知ってるにゃ?」
無論、コレッタは首を横に振る。ヒカルはついつい噴き出してしまった。
ヒカルはコレッタの目線までしゃがみこみ、じっと瞳を合わせて優しく諭す。
「そういうのは、本の中だけにしようね」
長く伸ばした金色の髪をブンと揺らして、コレッタはお辞儀をしていた。
夏目兄弟にも同じようにコレッタはお辞儀を繰り返す。ヒカルはミケとクロにぽんと肩を叩いて諭す。
「塚本のことだろ。アイツは…気にするな」
ヒカルの目を見つめながらうんと頷くミケとクロ。すると、どこぞへと出かけていた保健委員がシロ先生を引き連れて戻ってきた。
「ヒカルが怪我をしたって?」
救急箱を抱えたシロ先生は髪を振り乱しながら、白衣の裾を揺らす。
しかし、怪我がないのは一目瞭然。ほっと安堵の顔を見せるシロ先生だが、こんなことでわたしを呼ぶなと保健委員を叱り付ける。
一息ついたのちにふと、シロ先生は夏目葵の角が気になった。つーっとシロ先生は指で葵の角をなぞる。
「お前は角が尖りすぎているぞ。保健室で研いでやるからこっちに来なさい」
「……え」
シロ先生に連行されそうになった兄を引き止めるように、妹の夏目茜は兄の袖を引っ張る。
コレッタたちにはシロ先生に逆らうことが、火中の栗を拾うことなのは重々承知。思わずクロが声を上げる。
「お姉さん!やめて」
「おや…『お姉さん』なんて…クロも随分おべっかが上手くなったな」
もちろんクロは茜を呼んだのに、シロ先生は自分が呼ばれたのかと勘違いしていた。
それでもわざわざクロを押しのけて火中の栗を拾おうと、ミケは茜の方を指差しながらシロ先生に向かって…。
「ちがうにゃ!お姉さんはこっちにゃ!」と、ミケが口にする前にクロはミケをキッと睨み付けた。
「これが『ガンを飛ばす』ニャね!」
「「違うと思う」」
ヒカルと葵は声をそろえてコレッタに突っ込んだ。
おしまい。
以上です。
連休はケモノさんたちに会いに行こうと思ったら、雪が降るらしいので
ケモノさん…丸くなってるだけかも…。
GJ
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莠?
あちゃー
嫌なタイミングで化けてしまった
元の文章消しちゃったし……
初、中、高のキャラが見事に並んだなw
さすがヒカル君、大人だ
>>918 文字化けってるぜ
918 携帯 4c4pP9RpKE :2009/01/09(金) 22:12:30 ID:aNtj8lgn
初等部に通う子犬、大場犬太は、黒い毛並みの子猫と話していた。
黒い毛並みの子猫=佐村井玄子(さむらい くろこ)は、同じクラスの女子である。
普段の差村井玄子は三斑恵(みむら けい)と言う三毛猫といつもつるんでいるのだが、時
折こうして大場犬太と人目を避けながら密談している。
人目を憚る理由は、異性との交流を茶化されるのが嫌だという小学生らしいピュアな理
由、ではない。
切実な、しかも共通の悩みがあったのだ。
二人は今日も放課後の校舎裏で密会を催していた。
「差村井は、ねぇちゃん説得できた?」
「全然だめニャ……大場はどうだったかニャ?」
「こっちも全然。聞く耳もたないってかんじ」
はぁ、と、二人揃って溜め息を吐く。
「やめて欲しいのになぁ」
「ほんと、困りものニャ」
「いったい何なんだろう、《甘噛み同好会》って」
「分かんないけど、大場のねぇちゃんと私のねぇちゃんが“百合カップル”だって噂がた
ったのは、間違いなくその同好会のせいニャ」
はぁ、と、改めて溜め息を吐く。
大場犬太の姉・大場狗音(おおば くおん)と、佐村井玄子の姉・佐村井御琴(さむらい み
こと)の仲は、学内でもよく知られていることであったが、弟・妹の立場からすると居心地
の悪いものがあり、なんとか別れさせたいのであった。
どうやら、うまく別れさせる目処はまだまだ立ちそうにない。
了
変換乙
お、クロとミケの本名?
年が暮れようが明けようが、彼ら三馬鹿に変わりはなかった。
「はいっ、今年もこの季節がやって参りました!チーム鹿馬ロIN初詣っ!今日もガン飛ば
すゼ!イェイ!」
無駄に元気な塚本は今日も体力が有り余っていた。
「塚本よ……、今年は馬鹿な事をして俺達を困らせるなよ」
冷やかに来栖。
「初詣って人多いから嫌なんだよな。俺のトゲが誰かの振袖に引っ掛かったりしそうでさ」
とか言って身体を縮こまらせる鎌田だが、歩くユニクロ状態の鎌田に、引っ掛かりそう
なトゲの張り出す隙は無さそうだった。
ぶつくさ言ってる来栖と鎌田に比べて、塚本はアゲアゲである。
「なんだなんだ〜?ったくよぉ、年が明けたってのに揃いも揃ってシケた事言いやがって。
俺はインテリ鹿野郎と寒がり蟷螂のお前らが暇してんじゃねーかと思ってわざわざ初詣っ
つーイベント会場に連れてきてやったんじゃねーか!ありがとうのひとつも言え!」
「アホらし。帰る」
「俺も寒いから……」
にべもなく踵を返す来栖&鎌田。
「うわ、ちょっ、タンマタンマ!帰んなって!頼むから!このとおり!なっ?」
と言いつつ塚本がポケットから取り出したのは、牛沢先生@振袖バージョンの年賀状と、
牛沢先生@メイドバージョンの年賀状であった。
「こ、これは!いったいどうやってこの年賀状を入手したんだ?!」
食いついた来栖。牛沢先生ファンなのだ。
「くっくっくっ……とある情報筋(朱美)から手に入れた極秘年賀状だ」
未だかつて年賀状に“極秘”と言う修飾語を付けた奴が居るだろうか。いや、居ない。(二重否定)
とか鎌田は思って居たが、寒いし馬鹿らしいのでツッコミを入れる事もせず黙っていた。
「そ、その年賀状を譲ってくれ!頼む塚本!」
来栖は必死である。
「ああ、いいぜぇ?今日一日チーム鹿馬ロのために働く事を誓うならなぁ……?ヒャッヒ
ャッヒャッ、ヒ、ヒヒ、ヒヒーン!ブルルル」
塚本は高笑いが馬の嘶きになってしまうほど調子に乗っていた。
「チーマーごっこも初詣もやる、なんなら牛の着ぐるみ着てカクカクうしうしダンスすら
披露する。だからその年賀状くれ!」
なんだか来栖も馬鹿になってきた。
「よーし、その粋やよし!持ってけ泥棒!」
「アーザーっス(ありがとうございます)!」
「……楽しそうだね、君ら」
鎌田は呆れながらホッカイロを揉みほぐした。
「じゃあ、さっそく拝んでおみくじでも引くか」
来栖は牛沢先生の年賀状を眺めながら言った。顔は笑ってる。
「初詣なんて、それくらいしかやる事無いしね。元旦じゃ店も営業してないし」
鎌田は正義の有り方について考えながら言った。
はてさて、心此所に在らず状態の二人に対して、塚本が妙な事を口走ったのはその直後だった。
「あ、お参りはもう済ませといたから。おみくじも三人分引いといた。これ、来栖の分、
こっちライダーの分。おら、おみくじ代百円ずつ払え」
人の分のおみくじを引いておいた?
来栖と鎌田、二人の塚本に対する馬鹿疑惑が真実味を増し始めた事にも頓着せず、ニヤ
けた馬面がおみくじを配る。
「……このクジ、もう封が切られてるんだが」
「俺のも……」
ちなみに占い結果は、来栖=末吉、鎌田=大吉。 そして塚本のクジは──
「みっつも引いて選んだんだから、どうせ大吉なんだろ?」
末吉の鹿が野次を挟む。
「ヲイヲイ、俺がそんなチンケな奴に見えるのか?俺はこれよ」
ほら、と塚本が二人に見せたクジは、まぎれもなくただの吉だった。
二人はますます意味が分からなくなって困惑したが、塚本の奇行の理由はすぐに明らか
になった。
「よーし、初詣もおみくじも終わった!ナンパすっぞ!」
吉のおみくじは、恋愛運だけ他の二枚より良かった。
寂しく一人でクリスマスを過ごした塚本は、どうしても彼女が欲しかったのだ。
「実は来栖に着せようと思って牛のキグルミ持って来てたんだよ。きっと馬鹿ウケして女
の子よって来るからよ、ぜひ着て踊ってくれよ!……ん?」
塚本がバッグから牛がらのキグルミを取り出してふり返えると、角で人並みを掻き分け
て走り去る来栖と、ブーン、と空の彼方へ飛びさってゆく鎌田の姿が見えた。
その後、一人でナンパに挑戦するも惨敗。
同じく(?)参拝に来ていたタスクアキラナガレの三人にラーメンを奢るかわりに慰めて
もらったとかいないとか。
終
塚本準備しすぎw
もうカクカクシカジカが来栖にしか見えねえw
うぉぉぉぉ!?
なんかすごくカッコイイぞ?
なんだこのめちゃくちゃかっこいいカメラマン
「う゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉっ! 寒いぞッ! こんちくしょぉぉぉっ!!」
冬の朝の静かな空気を吹き飛ばし、一人の男子生徒が何処かぶるぁぁな人を思わせる咆哮を上げる。
その身体は何枚も重ね着をした制服に隠れて殆ど見えないが黒光りする甲殻に覆われ、
頭には自然の造形美と言える複雑な形状をした雄雄しい角が朝日の光に輝いていた。
彼は佳望学園でも数える程しか居ないカブト虫の虫人、甲山 堅吾(かぶとやま けんご)であった。
「ちょっと、朝から叫ばないでよ……はっきり言って近所迷惑だって」
そんな冬でも元気なカブト虫の横で、
一人の生徒が口器から伸ばした舌で朝ご飯代わりの紙パックのジュースを啜りつつ、何処かはた迷惑そうに言う。
この生徒もまた、制服の下の身体は黄色と黒の警戒色の甲殻に覆われ、背中には橙色掛かった透明な二対の翅を有し。
後ろ腰から伸びる警戒色の腹部が防寒用のニット地の袋の中で、呼吸に合わせてゆっくりと伸縮していた。
そう、この生徒もまた学園で数える程しか居ないスズメバチの虫人、蜂須賀 優 (はちすか ゆう)である。
二人の関係はごくありきたりな幼馴染、
優の言葉を借りれば腐れ縁と言う奴であり、幼稚園の頃からの古い付き合いである。
ワンタッチヒーターの異名が付く程に怒りっぽく短絡的、その上、大が付く程の馬鹿である堅吾。
そして、気の弱いケモノなら思わず逃げ出したくなる恐ろしい顔な反面、冷静かつ理知的、そして常に成績優秀な優。
この校内では数少ない虫人同士のコンビは内外問わず有名で、二人でつるんでいる姿は校内でも当たり前の光景である。
……実の所、短気な堅吾が引き起こすトラブルのフォローを何時でも出来る様に
幼馴染である優が付いて周っているだけなのだが、それを知っている者は校内でも数人しか存在しない。
「くっそぅ、なんだってこんなに苛立たしい程に寒いんだ! 体温維持用のドリンクが幾らあっても足りないぞ!」
「……仕方ないよ、この冬の時期は寒くて当然なんだから。
それに、今日は冬将軍の到来でここ一番の冷え込みだってTVで言ってたからね」
と、ジュースを飲みきった優が触角を揺らしながら答える。
飲みきったジュースの紙パックをきちんとカバンの中のごみ袋に入れる辺り、優の律儀さが窺い知れる。
優の性別は実は女性であるのだが、この恐ろしい見た目と喋り口調の所為で男だと勘違いされやすく、
その度に、周囲への説明に苦慮する事が優の最大の悩みだったりする。
(更に言えば、幼馴染である堅吾もまた、優の事を男だと思い込んでいる)
「……冬将軍? なんだか強そうな名前な奴だな?」
「あー、なんて言うか…別の言い方ではシベリア寒気団とも呼ばれているんだけどね。
これが来ると、場合によっては雪も降る事があってね。体温の維持が出来ない虫人にとっては本当に辛いんだよ」
「そうか! この寒さは冬将軍とやらの所為だったのだな!!」
「え、あ?……う、うん、そうだけど……?」
角を振り上げていきなり叫ぶ堅吾に、触角を一瞬びくつかせた優は戸惑いつつも返す。
「そうか……ならば冬将軍とやらを倒せば、この寒さは何とかなると言う訳だな!!」
「いや、冬将軍ってのは倒せる倒せないとか言う物じゃなくて……」
「良し! 今からこの俺が冬将軍を倒しに行ってくる! 優、後は任せたぞ!!」
「あ、ちょ―――……あ〜あ、行っちゃった……」
堅吾は好き勝手に言った挙句、優に止める間すら与えずブ〜ンと空の彼方へと飛び去ってゆく。
一瞬、優は飛んでいった堅吾を追って説得しようと思ったが、直ぐに諦める事にした。
そう、優は知っていたのだ、一旦ああなってしまうと誰にも彼は止められないと言う事を。
多分、今更自分が飛んで追って説得したとしても、彼は頑なに聞き入れない筈である。
そしてその分だけ、せっかく得た体温維持用の栄養が無駄になる事を考えると、
下手に追わず、素直に見過ごしておいた方が懸命だと判断したからである。
「さて、今度は何日位したら帰ってくるかな……?」
そして、優は堅吾が飛び去っていった方を眺めつつ、何処か達観した様に呟く。
堅吾は一月に一度、いや、二、三度はこうやって何かしらの勘違いをした挙句、何処かへと飛び去ってしまう。
そうやって一旦飛び去ると最低でも半日、長い時となると一月近くは帰ってこない。
無論、その度に優がそのフォローに周る事になるのだが、最早、優にとってこう言う事は慣れっこだった。
……この場合、慣れるしか他が無いとも言うのだが。
そうやって、今日も朝一番から堅吾が休む事を先生に言わなければならないのか、
と、優が一人、憂鬱な気分を感じていた矢先。如何言う訳かさっき飛び立ったばかりの堅吾がこちらへ戻ってきた。
「……あれ? 今回はずいぶんと早く帰って来たけど……どしたの?」
「いや、他でもない、少し重要な事を聞き忘れていたのだ」
重要な事? 堅吾の言葉に優の触角が訝しげに動く。
「……重要な事って何さ?」
「いや何、冬将軍は一体何処に住んでいるのだ?」
「…………」
堅吾の馬鹿さ加減に、優は呆れを通り越して頭が痛くなる感覚を感じた。
本来、人間やケモノで言う脳が存在しない(代わりに体の各部にある神経嚢が役割を果たしている)虫人なのだが、
二足歩行している所為か、どうも感覚的に頭痛という物を感じるんだなぁ、と優はぼんやりと考える。
そんな優の考えを余所に、堅吾は更に続けて言ってのける。
「せっかく殴り込みに行こうにも、肝心の住処が分からなければ如何しようも出来ないからな!
でだ、もう一度聞くが、冬将軍の住所は何処なのだ?」
「……シベリアでしょ?」
「おお、そうか、シベリアか! くだらない事聞いて済まないな、優!
良ぉし、首を洗って待ってろよ冬将軍! この俺の角の餌食にしてくれるわ!」
と、高笑いしながらシベリアがあると思われる方向へぶ〜んと飛び去って行く堅吾。
……この時にはすでに、優に堅吾を止める気は微塵も存在していなかった。
ただ、半日位したら凍えた状態で家に運び込まれるかな? と思考の隅で予想する位である。
「ふう、なんだか今日も先生に謝る事になりそうかな……」
暫くの間、優は堅吾が飛び去った空を眺めた後、
堅吾の所為でより重みを増した憂鬱な気分を感じつつ、市電の電停へと向う。
その背中は何処か哀愁を感じさせる物だったと言う。
―――――――――――――――――――――――了―――――――――――――――――――――――
投下乙!
ライダーに続く虫人か
前虫人話になったときに蜂はでたけどカブト虫は斬新だなw
堅吾お馬鹿でかわいいw
以上です。
鎌田以外にも虫の人が居ても良いかな?とか思いつつ書いてみた。
本当はPCから投下するつもりだったのですが、
いきなりの規制に巻き込まれ、結果、携帯からの投下となった次第です。
……巻き添えはマジで勘弁してくれorz
虫の人達きたw
いいなおバカキャラいいな
コレッタのぴょこんっって音が聞こえてきそうなおじぎがかわいい!
そして姉さん達が色っぽすぎる!さすが甘噛み同好会のメンバーだけある…ゴクリ
ヒカルきゅん優しそうだなぁ
おねぇ様がたに甘噛みしたいされたい
すげえ!
これなんてグインサーガ?
かっこええw
風紀的によろしくない獅子宮先生を注意出来なくてヤキモキするザッキーを幻視
かっこよすぎる!
すげぇな
944 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 16:37:31 ID:FOEOWmlN BE:7851124-PLT(12356)
>>938 カッコイイねぇ、映画か広告のポスターみたいだ。
塗りすげぇぜ!
煽り文かっけぇ
いいなー若頭は12歳の世界がどんどん広がっていく
948 :
冬の風物詩:2009/01/12(月) 01:16:53 ID:OkJaKutS
どーも
>>849の中の人です。
実際に書いたら想像以上に長くなりそう。で、導入部分を書いたらそこだけで十分一個の話になってることに気付いた。
つーわけで全体の1/4くらいだけど投下しちゃうぜイェェア!
キャラおかしかったらごめんなさい。
『冬の風物詩』
年が明け、新春。しかし春とはとても言い難い寒空の下、人間の少年がビニール袋を片手に歩いている。
彼の母校からは数駅離れた、人通りまばらな住宅街。袋の中身は瓶詰めの怪しげな白や黒の粉だ。
「…はぁ 失敗した」
この寒い時期に一人で遠出することになってしまった自分の無計画を悔みつつ、少年は足早に駅へと向かっていた。
うっかりしていた。
つい先日、手製のマグネシウム閃光弾のストックが切れた。
やれやれ仕方ないと製作にかかろうと思ったら、その材料まで切れていた。
そんなわけで、数年ぶりにその材料が一括で揃うホームセンターまで遠出してきたというわけだ。
もう悪ガキなんて歳じゃあるまいに閃光弾ってどうなんだ、と薄々思わないでもない。
とは言え、ストックが切れたのは紛れもなく実用し続けた結果。昔ほどではないが、需要は今でも十分ある。
実際絡んできた不良をなんとかできたのはあれのおかげだ。
何より、あれがないとどうも落ち着かない。あれがない自分は自分じゃないというか…設定の一部というか何というか。
閃光弾を完全に使わなくなるまで、せめて高校卒業までは常備しておこうと思っている。
そんなことを考えながら下を向いて歩いていると、地面が急に陰り突風が吹いた。ああ、このパターンはあれか。
俺は空からの来訪者を迎えるべく、ポケットに突っ込んでいた右手を挙げて空を見上げた。
「よ、朱美」
「卓君!」
見上げた先の朱美は明らかに急いでいる様子で目の前に着地、そして間髪入れず電信柱の裏に隠れる。
「どうした朱美?」
「こっち見ないで! 誤魔化して!」
何のことかわからなかったが、朱美が慌てて指し示した空を見上げて納得した。
ジャージ姿の鷲の人が小さく旋回しながらこちらに降りてくるところだった。
「やあ鉄なんとか部の卓とやら! ここらで飛澤を見なかったかな!?」
「…鉄道研究部です」
あぁ、すっかり忘れてた。そういえばそんなことになってたっけ。
個人的に入ったつもりは毛頭ないが、露骨になんとか部言われるのも癪なもので、つい言い直してしまった。
相変わらず声が大きい。朱美を激しく勧誘している大空部の宮本さんだ。
「我が部がピンチなのだ! どうしても君たちの部長の力を借りたいのだ! 一時的でいいんだ!」
「いやそう言われても本人の意思がないことには」
「そうだ本人だ! ここらで飛澤を見なかったか!?」
「朱美は…ええと……あっちの空に飛んで行くのを見かけました」
「そうかありがとう! では、さらばだ!」
俺が示したあさっての方向の空に向かって、宮本さんはすごい勢いで飛び去っていった。
嘘を教えてしまったことに少しの罪悪感を感じつつ、空を見上げる俺。安全を確認して、朱美はこそこそと姿を現した。
おおっと支援
950 :
冬の風物詩:2009/01/12(月) 01:20:21 ID:OkJaKutS
「あ、ありがと、卓君。どうしても断れなくて困ってたの」
「…俺まだ鉄道研究部ってことになってたんだな」
「当たり前じゃない! 我らが鉄道研究部の大切な副部長兼書記よ!」
腰に翼手を当てて自信満々に言い切る朱美。もう朱美に抗議しても無駄なんだよな。
軽く溜息を吐いて、気になっていたことを尋ねる。
「その部があるから入部は無しになったんじゃないのか」
「そうなんだけど、一時的でいいから大会の助っ人として参加してほしいって言うのよ」
「大空部って部員少ないのか?」
「そんなことない、鳥の人たちには結構人気よ。でも主要部員が病気で軒並みダウンしちゃって
来週の大会で結果が残せないんだってさ。だから助っ人を頼んできたのよ」
「ああ、なるほど。もうそんな時期だったな」
ホームルームでザッキー言ってたっけ。
「あー…最近、いつもの病気が超流行ってる。鳥人は十分注意するように!
…っつっても手遅れだよなあ。なんで毎年こう流行っちゃうかね。行動範囲広いから仕方ないのか。
まあそんなわけで、まだ生き残ってる鳥人はあんまり遠出すんなよ。これ以上教師の仕事増やさないでくれ」
病名、鳥インフルエンザ。
何か危険な響きがあるけど何のことはない、鳥人限定のインフルエンザである。
感染力が高くその上長引く、鳥人たちにとっては非常にやっかいな代物だ。症状はそれほどでもないのだが。
これが毎年流行る。これでもかってほどに超流行る。もはや冬の風物詩となりつつある。
そういえば、町を歩いていていつもはパラパラ見かける鳥の人を、今日はほとんど見かけない。
よく校庭を走っている伊織さん、最近全く見かけない。メンフクロウ、佐藤先生の国語も自習だった。
「あれ? でも宮本さんは平気なのか?」
「うーん…よくわかんないけど平気な体質みたい。かかったことないんだってさ」
「へえぇ…そういう人もいるのか。ま、あの人が病気してる姿なんて想像できないしな」
「きっとウイルスなんか全部燃やし尽くしちゃうのよあの人は!」
「はははっ! ありそうだ」
朱美の熱弁がおかしくて、二人顔を合わせて一通り笑いあった。
まあ、宮本さんは相当稀なケースだろう。普通、鳥ならみんなこの病気にかかる。
別の鳥人に助っ人を頼んでも、大会当日ダメになる可能性もある。
実力はもちろん、鳥インフルエンザの心配がない朱美はその点からも、どうしてもほしいんだろうな。
952 :
冬の風物詩:2009/01/12(月) 01:21:44 ID:OkJaKutS
「なあ朱美、あんなに頼んでるんだから一回くらい助っ人してあげてもいいんじゃないのか?」
「やーよ! 興味ないもん」
「おまえの頑固も相当なもんだよな」
「それにたぶん大会は延期なのよ。これだけ流行ってると延期になるってことがよくあるみたいなの」
「…? そうなのか。じゃあなんであんな」
「絶対とは言い切れないからって。それでピンチにかこつけて助っ人に呼んで、大会に出たっていう
既成事実作るつもりなのよ。一回出たら余計断れなくなっちゃうでしょ」
「うーん…あの人がそこまで考えてるとは思えないけどなあ…」
あっ、と、朱美が思い出したように声を上げた。
「そういえばここにいたらまた宮本先輩戻ってきちゃうかも。卓君はなんでこんなとこに?」
「ちょっと買い物に。帰る途中だったんだ」
「そっか、じゃあ一緒に帰らない? 卓君電車でしょ?」
「ん? ああ、それはいいけどさ。飛んできたなら飛んで帰ればいいんじゃないのか?」
「飛んだらまた見つかっちゃうかもしれないじゃない。それにもう腕が疲れてガタガタなのよ」
両翼をゆっくりパタパタと揺らしながら、朱美は腕の疲労感を訴える。
「ああ、なるほどね。鷲に追いかけられてここまで来たんじゃあな」
「もう今日は飛びたくないわ」
「じゃあさっさと行くか」
朱美と並んで歩き始めながら思う。
本来、コウモリの飛行速度はあまり速くない。一方で猛禽類の飛行速度はあらゆる鳥の中でもトップクラスのものだ。
にも関わらず、この距離を逃げてきた朱美のスペックは半端じゃなく高いんだろう。
大空部の競技内容は知らないけど、朱美ならスピード系の競技に出ても普通に活躍できるんだろうな。
953 :
冬の風物詩:2009/01/12(月) 01:23:41 ID:OkJaKutS
「俺は宮本さんじゃないけどさ」
「…え? 何よいきなり」
「朱美の飛行能力を何かに生かさないのはもったいない気がするよ」
「えー? なーに、卓君までそういうこと言うわけ?」
「いや大会に出ろとは言わないけどさ」
「あたしは普通の女の子でいたいのよ。有名になんかなりたくないの!」
「ははっ。朱美らしいな」
コウモリなのに猛禽類に匹敵する飛行能力があって、鉄子で、大食漢。
普通の女の子と呼ぶには少々特徴がありすぎる気がするけどね。
こんな風に二人で歩くのは久し振りだ。
隣で楽しそうに笑う朱美につられて俺も笑う。
世間の風は冷たくても、心がぽかぽかと温かい。
ああ、そうか。
やっぱり俺、朱美のことが…
この帰り道がいつまでも続けばいいのに。
なんて柄にもないことを考えている自分に苦笑する。
隣ではてなマークを浮かべる朱美に、何でもないよと俺は笑って答えた。
<続ける>
改行が多すぎるって文句言われちゃったぜヒャッハァ! 支援感謝。
この後面倒なことになる。反省はしていない。続きはたぶん次スレ。
なんか伊織さん宮本さんが鷹なのか鷲なのかはっきりしない件。
まあ大きいのが鷲で小さいのが鷹だから、はっきり分ける必要はないんかな。
投下乙〜
鳥インフルエンザ…恐ろしい
やっぱり朱美はコウモリで一応哺乳類だから
鳥インフルエンザにはかからないんだな
しかし、なんで毎年冬に流行るってわかってるのに大空部活動してるんだw
大会に出るほかの学校も軒並み全滅とかないのかな
しらなーい
そういえば俺このスレでケモナーの道に入ったんだけど
他にもケモナー系のスレってあんの?
あるのならどの辺りの板にあるのかな
エロパロ板にそれ系のスレは結構あるよ
年齢制限板なんでリンクは張れないが
後はラノベ板と乙女ゲー板にあるのしか知らないな
そうかエロパロか
あ、そういえばシェアードワールドの話に雑談スレかどこかでなったときに
獣人系のスレが紹介されてた気がする
そしてラ板にもあったのか!それは覗いてみよー
乙女ゲー板っていうのは聞いたことない板だな
ゲームカテゴリあたりにあるんだろうか
どうもありがとう!
獣人とかで検索すれば結構出てくるけど18禁とホモがほとんど
紹介された板のスレざっと見てきたけど
エロパロの猫耳少女と召使の物語が神スレの予感、ゆっくりwikiで満喫しよー
ラ板のはなぜレディ・ガンナーの冒険が出てないのかと小一時間(ry
乙女ゲー板はもしかして801系ゲームの板なの?
さすがにそっちのほうはちょっとうけつけなかった
さかさまがかわいい!
鳥用ジャージって羽の動きをさまたげないよう脇の部分がすごく大きく開いてるんだね
次スレは970あたりかねぇ?
おや気が付いたらもう1000近いのか
確かにそろそろ次スレだね
>>952の最後らへんを読んだら,なんか「シンクロナイズドフライング」というのを思い浮かべてしまった。
>>963 やべえwこっちのがかわいいw
まだまだキャラ付けが甘いな俺は
逆さまになってるなんて全く考えにもなかったから目から鱗だ
よし、じゃあ新スレたていてくるー
お嬢様!新スレが立ちましたよ!さぁ行きましょう!
埋める?
へっへっ
尻尾は正直だなぁ、お嬢ちゃん
なんというツンデレデレ
デレキター
お嬢様かわいいよう
スレ立て乙ー
>>962 801系っつーか、女主人公で男を落とす逆ギャルゲだね
この板の力でゲーム化してもらうべき
うわぁあせってるあせってる
気持ちはわかるよ
この世界だと若頭はワンピースくらいヒットしてるんだろうか
コスプレイヤーがいたりアニメ化してたり結構人気なのは確かだよね
>コスプレイヤー
更紗の事かァァーーー!!
若頭は、ジャ○プ連載程のメジャーと言うより、チャンピ○ンぐらいか?
>>980 結果オーライ。むしろグッジョブ。
そっちのが可愛いから書き直してみた。
>>948の該当部分変更
「よ、朱美」
「卓君!」
見上げた先にはやっぱり朱美がいた。
そのまま目の前に降りてくるのかと思いきや、横のアパートに方向転換。
2階ベランダの裏側に足をかけて、ピタッと逆さまにぶら下がった。すごいな、全然揺れない。
「おぉー!」
つい拍手が出てしまった。さすがコウモリ、器用なもんだ。逆さまの姿が様になる。
でも住民さんが通ったら驚くぞ朱美…
「ちょやめっ! こっち見ないで!」
「ど、どうした朱美?」
「誤魔化して! 上上!」
何のことかわからなかったが、朱美が慌てて指し示した空を見上げて納得した。
ジャージ姿の鷲の人が小さく旋回しながらこちらに降りてくるところだった。
男子もいるのかよwwww
ちょwww食われそうww
本気噛み同好会はここですか?
ダメだw
何度見ても吹くwww
牙めり込んでるしなw
噛まれてるほうの顔が本格的に笑えるw
そろそろ埋めちゃう?
モグラが必要だな
埋めちゃうのかー
だめでせう とまりませんな
がぶがぶ湧ゐて ゐるのですからな
ゆふべから ねむらず血も出つづけなもんですから
そこは青く しんしんとして
どうも間もなく死にさうです
けれども なんといゝ風でせう
もう清明が近いので
あんなに青ぞらから もりあがって湧くやうに
きれゐな風がくるのですな
1001 :
1001:
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(_´∀`)_ 創る阿呆に見る阿呆!
/,/-_-_-_-_-_\ 同じ阿呆なら
( ( /,, /― ((神輿))―\ 創らにゃソンソン!! //
(。'。、。@,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。@ ) )
∩ヽヽ∩ヽXXXXXXXX/ .∩
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