【ロリ】ロリババァ創作スレ2【幼女】

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「ところでどうして今日はまっすぐ帰らないんだ?」
「なんとなくじゃ。尖十郎とあれこれ寄り道したくなっただけじゃな」
 腰の後ろで手を組みつつ木錫はベンチに腰かけた。
「別に帰宅部だからいいけどさ、さっさと帰らないとお母さん心配するぜ。ただでさえ最近──…」
「うむ。何だか物騒じゃからのう」
 というのも最近県内のとある学校で猟奇殺人事件が起きた為である。
(狙われたのは学生寮。幸い騒ぎに気づいた管理人たちが生徒たちを避難させたから被害は
拡大しなかったっていうけど……)
 この世の物と思えぬ絶叫に管理人が駆け付けた部屋には──…
(腹部から食べかけの内臓を引きずり出された死体が居たとか、ドアを開けたらアンパンマン
よろしく頭齧られた女生徒が目玉こぼしつつコンニチワだとか……。まったく。明治か大正ごろ
の北海道じゃあるまいし、そういう熊にやられたような傷できる訳ないだろ)
 生徒たちの噂話を一笑に伏したい尖十郎である。
 とにもかくにも女生徒が五〜六人殺されたというのは事実らしい。川に漂着したほとんど骨
ばかりの両足をDNA鑑定した結果、どうやら行方不明の女生徒の物らしいというニュースも
耳にした。
 刺激的なニュースを欲するマスコミ連中は「きっと犯人は食人癖のある者で足の肉を喰い尽
したから骨だらけ」などと煽りたててはいるが、現状は魚か鳥に喰われたか、或いは岩か何か
にぶつかって損傷したする見解の方が一般的であり尖十郎もその支持派だ。
(もっとも、その女生徒が足を切断されたって事実にゃ変わりねーけど)
 顔も名前も知らないが、尖十郎はその若さゆえに五歳と年の離れていない者が酸鼻を極め
た目に遭うのを聞くとどうにもやるせない。
 ぶすっとした表情の尖十郎につられたのか、木錫も若干心細げな声を出した。
「少し前は県外で似たような事件があったそうじゃが」
「今度は県内だもんな。距離的にはあんまりここから離れていないし」
 おかげでこの界隈で子を持つ親の不安は日に日に高まり、尖十郎の母などもしきりに木錫を
送り迎えするよう口はばったくいう始末。
「しまいにゃ不審者を見たとかいうウワサが立つ始末だ。本当にいるのかねーそういう奴。口
裂け女とか人面犬みたく社会不安がどうとかで出てきた代物っぽいが」
「まー、大丈夫じゃろ。わしとヌシが一緒にいれば襲われても何とかなろう」
「いや、だからさっさと帰った方が親御さんも安心するだろ。もうそろそろ暗くなってきたし」
「んー、しばらくこうしていたいのじゃ。わしは」
 ピトリと身を寄せてきた木錫にため息が漏れた。
「いっとくが俺はお前なんか恋愛対象なんかにしない。ロリコンじゃないからな。小学校で年相
応の奴見つけて仲良くやってろマセガキ。ま、大喰らいで雲梯の上走り回るような奴がモテる
とは思えねーけど。鼻だって低いしな」
 からかうようにいうと、木錫は露骨に頬を膨らませた。
「また馬鹿にする」
(ハイ怒った。忍者がどうとかいってもやっぱ子供だなコイツ)
「前々からいっておるがわしの方がヌシより年上なんじゃ! 本当にもうずっとずっとずーっと
年上なんじゃぞ!! だいたいこの低い鼻はわしの”こんぷれっくす”なんじゃぞ! いうてく
れるな!」
「年上は小学校なんかに通いません」
「う……! そ、それはじゃな、義務教育とやらに興味があるし、第一今後の任務のためにも
色々と必要なワケで…………」
「任務って難しい言葉良く知ってるな。で、何の任務なんだ?」
「そ、それはいえん。いったらきっと、ヌシはわしを嫌う……。絶対に嫌う」
「どうせ給食係とかザリガニの水槽の掃除とかだろ。まあ頑張れ。小学生は小学生らしく毎日
身の丈にあった事を楽しくやりゃあいいんだ」
「う、うん。そうす……ちーがーう! わしのが年上なんじゃ! 何うまい事なだめておる!!」
「へいへいこりゃ失礼しました」
「う゛ぅ〜」
 頭をぱしぱし叩かれると、木錫は下唇を噛んで呻いた。
「とにかく早く送ってかないと今度は俺が不審者にされるからな。幼女誘拐犯なんて疑いかけ
られるのはまっぴらだし。まあなんだ。守ってやるさ送り迎えの時ぐらいは」
 半泣きで睨むように尖十郎をしばらく眺めていた木錫は、腹の虫がぐぅと鳴るとバツが悪そう
に立ちあがった。
「無礼の詫びに手を繋いでけ。そしたら……許してやらんでもない」
「了解」