【ロリ】ロリババァ創作スレ2【幼女】

このエントリーをはてなブックマークに追加
524第1章-3ページ ◆iWLZ/Zxp0A
「一文字直人」
少女の視線に耐えきれず、俺は目をそらして自分の名を言った。
こんな子供の注視にさえ屈してしまうなんて、俺も落ちぶれたな。
敗北感を俺は感じた。
「いちもんじなおと、とっても素敵な名前ですのね」
俺の気持ちなどお構いなしに、少女は嬉しそうに微笑んだ。
なぜこの子はこんなに喜んでいるんだ。
大して珍しい名前じゃないだろうに。
「直人はどうしてここにいらっしゃるのかしら。川を眺めるためという訳ではないのでしょ」
見透かされている。
皮を被っていたのか。
畜生、騙された。
優しい顔で近づいてきて、まんまと騙された。
糞、糞、糞、糞。
「家も仕事もないからだ。どうだ、面白いだろ。俺は屑だろ」
糞ったれ。
糞ったれが。
しゃべり出したら、気持ちが一気に高まって止まらなくなった。
「リストラされたんだよ。俺は負け組なんだ。ホームレスなんだ。もうチャンスがないんだよ。死ぬんだ。俺は死ぬんだよ。分かったか、分かったか。わかっ、た、ごほっ、ごほっ……」
思考に体が追いついていかないのか、俺は繰り返し咳をした。
無理に話したからか。
体もぼろぼろだ。
こんな惨めな気持ちになるのなら、すぐにでも死にたい。
「もう放っておいてくれ」
咳も落ち着き、俺は力なく言った。
しばらく俺は膝に顔を埋めていた、顔を上げた時、クルエラがいなくなっている事を期待して。
……。
……。
……。
どれくらいが経ったか。
5分くらいだろうか、10分くらいだろうか、顔を埋めているのが息苦しくなってきた。
そっと顔を上げる。
まだいた。
怒鳴られたにもかかわらず動揺した様子を見せずにクルエラは俺の目の前に変わらず立っていた。
怒っているのか、いや、そんな様子は見えない。
どうしてまだいるんだ。
「あなた、ワタクシの家で使用人をなさいませんこと」
え、使用人?
メイド喫茶や執事喫茶を思い浮かべたが、そういうのではないだろう。
使用人の訓練なんて俺は受けた事ないぞ。
そもそも子供の言う事だ、真に受けるな。
しかし、俺は仕事がもらえるかも知れないという強烈な誘惑に打ち勝てないでいた。
「さあ、参りましょ、直人」
どう対応していいか迷っていた俺の手をクルエラはつかむと、そのまま歩き出した。
「お、おい、そんな勝手が親に許されるはずがないだろ」
これからこの子の親に面接されるかと思うと気が重かった。
きっと酷い事を言われて、追い返されるに決まっている。
しかし、ひょっとしたらいい人で俺の事を本当に雇ってくれるかも知れない。
そんな淡い期待もあった。
「その事なら大丈夫ですわ」
あっさりクルエラは答えた。
子供故の、根拠のない自信なのか、何かちゃんとした考えがあっての事なのか。
判断はつかないが、考えるのが面倒になってきた。
このまま何もせずに成り行きに任せよう。
いざとなれば死ねばいいと思い、俺はクルエラに手を引かれるままついていった。