【ロリ】ロリババァ創作スレ2【幼女】

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414創る名無しに見る名無し
「魔王」
 手の中に握りしめた存在に、細身の少年は語りかけた。
「うむ。ああいや待て待て握りつぶそうとするな! 話を聞け!」
 黒い仔猫と見紛う、超小柄な幼女は慌てた。
 猫の耳に尻尾、淡く黒い光を放つ姿は明らかに人のそれではない。
 むしろ妖精種に属するモノだろう。
「あー、なるほど、言い伝え通り」
 少年は、自身の金髪を掻き分けた。
「なぬ?」
「そうやって甘言で人を惑わすんだよな、悪魔って」
「うむうむ。そして人を邪悪の道へ――ってだから待てと言うに!」
 しかし自称魔王の言葉を聞き流し、少年は手に力を込めた。
「言っとくけど、俺は魔族に与するつもりなんてないぞ? これでも将来の目
標は正義の味方なんだからな」
 もっとも今は、新米の冒険者だけど、と内心呟く。
 武器はショートソード一本のみ。
 よくもまあ、これで追っ手三人を倒せたモノだと、自分でも呆れたりする。
 深夜のスラムの路地裏。
 地の利が自分にあった事、相手が武器を持っていたとはいえ明らかに素人で
あった事。それらが幸いしたと言える。
「うむ、正義の味方誠に結構ではないか」
「という訳で、悪の親玉はココでサクッと殺っとくべきだと思うんだが……う
うむ、こんな手のひらサイズの魔王を倒すのもなー。けど、魔王だしなー」
 配達仕事の帰りに思わず助けてしまったが、追われていたのが、よりにもよ
って魔王。
 問答無用で斬りかかってきたとはいえ、倒れている彼らはひょっとしたら教
会の審問官とかそんなのだったらどうしよう。
 でも明らかにチンピラだしなぁ、服装。
 などと、少年は迷ってしまう。
「ま、ま、最後まで話を聞け。そもそも、魔王についてお主どこまで知っておる」
「俺の知ってる範囲でいいのか?」
「知らん範囲までどう答えるつもりじゃお主?」
「口の減らない魔王だな」
「一つしかない口じゃ。これが減ったら喋れんようになる」
「で、魔王か」
 少年は、孤児院のシスターから教わった歴史を思い出す。
「通称魔王マーリーン。いつから現れたかは知らないけど、少なくとも過去三
百年、十五回までの魔王討伐軍が編成された。暗黒大陸の主で、一年前に勇者
クラークによって討ち滅ぼされた……だったかな」
「だが、妾はここにいる」
「考えられるのは、魔王の騙りか復活かってとこだな。そもそもお前を狙った
連中の狙いは何だ?」
 少年は、倒れている死体を指差した。
「それならほれ、そこに沸いてきておる。気をつけろ」
 見ると、黒い霧状のモノが、死体からゆっくりと立ち上ってきていた。
「……何だこの黒い霧?」
「馬鹿者、迂闊に近づくでないわ!」
 ショートソードで触れようとしていたところを、魔王に怒鳴られて思わず引
っ込めた。しかし、その先端は黒い霧に触れた途端、ドロリと溶けてしまった。
「ぬおっ!? 剣が溶けた!?」