【ロリ】ロリババァ創作スレ2【幼女】

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 我が家の祖母は、ちょっとばっかし変わっている。
 性格や言動は、まあ普通のお婆ちゃんなんだが、何が変わっている
かというと、その外見だ。いや、まあ、中身もなんだが。
 俺の祖母……ヒカル婆ちゃんは、“俺より若い”のだ。
「飴さんいるかい、ゆうくん?」
「……い、一応貰っとく」
 何がどうなってこんな事になったかはわからないが、婆ちゃんは
ある日突然若返ってしまった。それも、俺、つまりは十五歳よりも
若い、十二歳くらいにまで。
「ゆうくんは飴さん好きだねぇ」
「べ、別に好きってわけじゃねえけど……婆ちゃんがくれるから」
「あらあら、ありがたいことだねぇ」
 若い頃は、近所でも評判の美人だったという婆ちゃん。その言葉を
信じられるに足る美少女が、俺の目の前にいるわけだ。
 孫の贔屓目もあるかもしれないが、婆ちゃんは本当に綺麗だった。
人形のような、という形容がぴったり来る、和風の美人。その美少女
が、従姉妹の寛子――中学一年生だ――の洋服に身を包んでいる
姿は、なんだか絵本か何かの一ページのように見えて、俺は何故か
どきどきしていた。
「よっこらっしょ、っと」
 老いていた時の癖が抜けないのか、すんなり座れるにも関わらず、
婆ちゃんはそう掛け声をかけて、ゆっくりと座布団に座る。背筋が
少しだけ曲がっているのも、やはり老いていた時の癖なのだろう。
「悪いけど、お茶を入れてきてもらえんかねぇ」
「うん、わかった」
 身体も若返っているのだから、普通に動こうと思えば動けるはずだ、
とは思わない。もう、十年二十年も「お婆ちゃん」をやってた癖が、
そうそう抜けるわけもないだろうから。
 だから、婆ちゃんが若返ったと言っても、特に俺たちの生活が
何か変わるわけでもない。頼まれればお茶もいれるし、肩だって
叩く。新聞だって読んであげるし、歩くときには手を引いてあげる。
「はい、婆ちゃん」
「ありがとうねぇ、ゆうくん」
 糸のように目を細めて笑う婆ちゃんは、やっぱり綺麗で……でも、
婆ちゃんだった頃――というのも、今時点で俺にとっては婆ちゃん
なわけだからおかしいのかもしれないが――と同じような、温かい、
包まれるような感じがする。
「ねえ、婆ちゃん」
「なんだい、ゆうくんや」
「婆ちゃんは、若くなって何か変わった?」
「そうだねぇ……」
 婆ちゃんはゆっくりと首を傾げ、
「別に、何も変わらないと思うけどねぇ」
 そう言った。
 なんでこうなったのかはわからない。
 でも、婆ちゃんが、若くなっても婆ちゃんのままでいてくれるのは、
何だか凄く安心できる事のような気がした。
「ああ、でもねぇ、良かった事なら」
「何、婆ちゃん?」
「ゆうくんが結婚して、ひまごが生まれるまで、生きとれそうな事、かねぇ」
 いたずらっぽく笑う婆ちゃんの笑顔は、外見相応のように見えて、
それでいて、しわくちゃな顔で見せていた時のそれと同じにも見え、
俺も笑った。
「そっか……結婚かぁ」
「ゆうくんなら、きっといい娘が見つかるよ。婆ちゃんが保証するからねぇ」
 その時思った事は、婆ちゃんには言えなかった。
 できるなら、婆ちゃんみたいな人と結婚したい、とは……流石にね。

                                     終わり