そう、我が身には首輪が括りつけられていた。
「ほら、ご主人様に挨拶をしろ」
「な、これは、なんで……」
「いいから、挨拶をしろ」
戸惑っていると上から足が降ってきた。
椅子に座った少女が組んだ足の片方を下ろしたのだった。頭を無理矢理に押さえつけられて、自然と相手に頭を垂れる形となる。額が冷たい床に当たって痛んだ。
「お前に拒否権は無い、これからは私のペットとして再就職だ」
「な、そんな、なんでいきなりっ!」
「いいから、ほら、挨拶をしろ、わんと鳴け」
「だ、誰がっ!」
「わんと鳴けっ!」
首輪に繋がる縄が強く引かれた。首が痛いほどに締まる。
頭を足で押さえられているので、双方からの力が加わり自然と首が絞まる形となる。満足に呼吸も出来ない状況に、自然と首は縦に振れた。いや、頭は固定されているので、客観的には身体をガクガクと振るわせたに過ぎないだろうが。
「そうだ、ご主人様には絶対服従なのだ、分かったか?」
「ぅう……」
「ほら、ワンと鳴け」
「わ、ワン…………」
「声が小さいっ!」
再び縄が引かれて首が絞まる。
僕は慌てて声を上げた。
「ワンっ! ワンワンっ!」
応じて、縄が緩められて器官が開放される。
喉から漏れたのは安堵の息だった。
「ふふ、アイツも中々良い拾い物をしてきたものだ」
「…………」
ちっぽけな自尊心は僅か数秒にして地に落ちた。
そして、そんな僕の態度に少女は満足した様子で笑い声を漏らす。
「いいか? お前は今日から私のペットだ。家畜だ、畜生だ。よーく憶えておけ、お前の生きるも死ぬも全て私が管理する。食事も、排泄も、自慰も、何もかもを私に許可無く行うことは許さない」