「な、なんですか、これはっ!」
僕は声を荒げて言った。
「何? 何と言ったか?」
「なんでこんな、首輪とか、鎖とか……」
公園で声を掛けてきた女性に付いて行った僕。
そんな愚か者を待っていたのは、彼女に導かれ足を踏み込んだ所有者を不明とする車内での意識暗転。そして、次に目を覚ました時には、着ぐるみ剥がされて素っ裸の自分である。
「それは、お前が私の飼い犬だからだろう?」
「い、犬!?」
目の前には少女が居る。
椅子に座って、地に座る僕を偉そうに見下している。それは先に声を掛けて来た女性とは似ても似つかぬ幼い少女であった。年の頃はまだ小学校低学年といった風を思わせる。身の丈も非常に小さなものだ。
金色の髪と真っ白な肌よりこの国の人間では無いと思われる。
「仕事が欲しいのだろう?」
「い、いや、仕事って、君……」
「お前の仕事は私のペットだ」
「ペ、ペットっ!?」
馬鹿みたいに相手の言葉を鸚鵡返しに問い返す。
それだけ僕は自らの置かれた状況に混乱していた。最後に意識のあった車内とは一変して、今に居る場所は何処とも知らぬ建物の一室だ。そして、此処には自分と目の前の幼い少女しか居ない。
自分に公園で語りかけてきた豊満な女性は影も形も無い。
「仕事が無かったのだろう?」
「な、なんでそんなこと……」
「仕事が欲しいならくれてやろう。一日三食、ちゃんと休息も与えるし、清潔な住処も与える。どうだ? 無職のお前には願ったり叶ったりの話だろう? 今すぐに頷いてみせろ、ほら」
ふと、少女が手にした縄を引いた。
同時に自分の首が上がるのを感じる。
「んぐっ!?」
気づけば、彼女の手にした縄の先は僕の首に繋がっていた。