【ロリ】ロリババァ創作スレ2【幼女】

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229仙女と異能者(3/6)
「用意はいいか」
 豪は背後の武桜に尋ねた。
「ふ。誰にモノを言っておるのじゃ。いつでも襲ってくるがよい」
「……伊達には絶対聞かせられない台詞だな――」
 背筋に寒気が走り、振り返りざま、とっさに両腕を固め正面の盾にした。直
後、建物全体が軽く揺れ、腕に衝撃が駆け抜ける。
「――かはっ!」
 背中が窓際にぶち当たり、たまらず呼気が漏れる。
 見下ろすと、いつの間にか武桜は間合いを詰めていた。
 近すぎる。これでは豪の攻撃は充分な威力を発揮できない。
「油断しすぎじゃ。勝負はもう始まっておるのじゃぞ」
 右拳が来たかと思えば浴びせ蹴り、続いて左の裏拳に足払い。
 リーチこそ短いが、小さな台風のような高速攻撃には残像すら生じている。
豪は防戦一方にならざるを得ない。それでもいくつかは(攻撃を)もらってい
た。
「ちょ、おい、待てって!」
「待ったなしじゃ」
 猛攻の間も、武桜の呼吸に乱れはない。
「そう――かよ!」
 肝臓狙いの小さな拳を払い除け、迫り上がってきた足先をスネでガードする。
後方宙返り状態になった武桜に対し、豪は練り上げていた精神を足下で解放す
る。
 青く輝く力の渦が豪を中心に発生し、その勢いを借りて低空飛行で武桜めが
けて突進する。豪が持つ『念動力』という異能の力のバリエーションだ。
 空中にいる武桜にこれを避ける術はない。
 そのはずだった。
「サイクラッシュか。ふん、いきなりそんな大技が当たるモノか!」
 武桜は宙を蹴り、突進してきた豪の後方へと逃れた。
 しかしそこ(二段ジャンプ)までは、豪も読んでいた。
「こっちだって、当たると思っちゃいないさ!」
 対面の壁に激突寸前、豪は強引に身体を反転させ、壁、天井と勢いを殺さず
に突撃、武桜に迫った。
「おおっ!?」
 さすがに武桜も焦ったのか、床に着地と同時に飛び退いた。
 そのつい今し方武桜のいた場所を、豪が前方に突き出していた青い光をまと
った両拳が突き刺さる。
「どうよ」
 豪も着地し、武桜との間合いを取った。
「むー」
「……不満そうだな」
「それは、円転流仙術じゃなくてお主の技じゃからな。豪は突進系と奇襲系は
ともかく受けが弱いと前から言っておろう――」
 再び、武桜が尋常ではない速度で豪に迫ってくる。
 しかし。
「――む?」
 豪は武桜の最初の拳を、何とか受け止める事に成功した。精神波を利用した
防御領域(シールド)だ。
「誰の受けが弱いって? ダテに賭け試合をこなしてきた訳じゃないぞ」
 拳を豪に封じられたまま、武桜はにっこりと笑った。
「うん、よかろう。そういう事ならば、我も本気でゆくぞ」