スポーツをテーマにした小説を書くスレ

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98LastPitch ◆smnN9MIlWU
規制長かった・・・いよいよプロ野球も開幕しましたね!

◆8
 キャンプも第二クールに入り、今年は例年よりも早く紅白戦が始まった。オーダーは以下の通り。

先攻・赤組      後攻・白組
1(中)8山下大裕   1(左)31相原駿一
2(二)1大谷清広   2(二)61榊一幸
3(遊)23結城智樹   3(右)25城野哲哉
4(三)3YUKITO   4(一)44エドモンズ
5(左)5河田一樹   5(指)50沼田仁
6(指)42バルデス   6(三)33安田孝太郎
7(一)9田本健太   7(遊)10高木暁
8(捕)22柳沢健治   8(捕)27谷田部尚義
9(右)32上川隆広   9(中)67神岡一良
 (投)21楠木亮平    (投)0藤木真介

 そのオーダーは、昨年のレギュラーと控え+新加入選手にきっちりと分かれている。高倉監督と
牧尾ヘッドコーチは白(控え+新加入)組のベンチに座った。白組の先発はキャンプ初日からブルペン
で熱のこもった投球練習を披露した藤木だ。一方の赤組の先発は昨シーズン中盤から先発ローテ入り
し、6勝(5敗)を挙げた若手有望株の楠木亮平だ。
 一回表。赤(レギュラー)組は一番の山下大裕から。「藤木さんか。実績はスゲェのかも知れない
けど、正直ロートルっしょ」と山下が軽口を叩いて左の打席へ向かう。ところが藤木のインハイへの
直球を目の当たりにした山下は驚いた。「これが39歳の球かよ……」完全に腰の引けた山下はアウト
コースへのスライダーを引っ掛けてショートゴロに倒れた。

 二番はベテランの大谷清広だ。優勝請負人と期待されて名古屋デンジャラスから移籍してきたものの、
ここまでは結果を残せず悔しいシーズンが続いている。年齢的にも残された時間はそうない。チームの
将来を考えるといつまでも自分がスタメンを張っていて良いのだろうかという思いもある。二年前の
オフに守備走塁コーチ就任を打診されたときも現役にこだわりコーチ兼任という形で落ち着いた。表向き
には「二塁のレギュラーとして固定できる若手がまだ育っていないから」というのが理由だが、大谷自身
の考えは違った。あくまで現役としてユニフォームを着てチームを優勝させたい。という一心であった。
 大谷は三振に倒れ、三番の結城智樹が打席へ。高校時代は3年春の選抜大会で4番として、エースとして
八面六臂の活躍。自らのサヨナラホームランで優勝という離れ業をやってのけた。その年のドラフト会議
では5球団が一位に指名。それをよりによって弱小球団ギャングスターズが引き当ててしまったのだ。
「東京のチーム(おそらくエンペラーズのつもり)が希望」と言った手前、拒否できずそのまま入団。投手
としては通用しなかったが、4年目に内野手に転向。そして現在に至る。しかし、かつて甲子園で見せた
輝きは鳴りを潜めている。
「こいつ(結城)の穴は……このコースだ」普段は控えのベテラン捕手、谷田部尚義が結城が苦手とする
インコース低めにミットを構える。紅白戦でそこまでするかというほど徹底してウィークポイントを攻め
るバッテリー。結果、結城は窮屈なバッティングでピッチャーゴロに倒れた。
 復活を期す藤木はレギュラー組をまずは三者凡退に仕留め上々の立ち上がりを見せた。