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代理:
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「あいこでぽんッ!」
試合は続行された。あづさと美羽は双方共にチョキを出し、再びあいこになった。
「浅沼のチョキに対して一歩も引いてない……ふふっ、流石はあづさだ。その実績は伊達
じゃないな」
「良く見て下さいです。チョキの指の開き具合では浅沼さんにも負けてないです」
「ふむ。この勝負、長期戦もありうるな」
「あんたたち……」
さくらに代わり英子をフォローする丸山みのり。チームの正捕手であり、投手陣の性格
はだいたい把握している。拾えないトークがあるものか、構えたミットで受け止める。
そして、さくらはそんな2人のやりとりを見て呆れている。
試合続行。あづさと美羽は共にグーを出した。
「しつこいですよー、御堂さんっ」
「それはおんどれやろっ、とっとと負けろやっ」
「さあ、ヒートアップしてまいりましたッ。ドンドンいきましょうッ」
あいこでぽん。あづさはパーを出した。対する美羽の手はグーだった。
「よっしゃー! 仇は取ったで!」
「あぁ〜ん。負けましたぁ〜」
へぼのけ、へぼのけ、おかわりこい。浅沼美羽は退場し、横浜の2番手、栃原かなえが
ステージ中央へ。
例によって脱衣はありません。どうしてもミウミウの裸体を拝みたいお方は“浅沼美羽
1st写真集「ほわすと!」”をお買い求め下さい。勿論大事なところは隠しているが、
セミヌードを披露し話題になった一冊だ。――以上、宣伝乙でした。
「青龍の方角ッ! 清楚で可憐な球界の女番長ッ、御堂あづさッ!」
称号が採用されたようです。でも女番長は相変わらずなんですね……。
「白虎の方角ッ! ハマのホームランプリンセス、栃原かなえッ!」
栃原かなえ。高校時代から“御堂あづさ2世”と注目されていた右の強打者だ。守備も
あづさと同じくホットコーナー(三塁)を守っている。
「直接対決ですねっ。正々堂々とやりましょう、あづささん」
かなえはニッコリと微笑んだ。彼女にとって御堂あづさは憧れの人である。
「よっしゃあ、負けへんよ」
改めて気合いを入れるあづさ。同じポジションの先輩として、ここは負けられない。
「とっちぃー、勝たなきゃダメだよっ! わかってるよねっ?」
かなえの後ろから声がした。浅沼美羽だった。
美羽は人差し指をビシッとかなえに向け、笑みを浮かべている。