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代理:
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「ジャンッケンッホイッッ!!」
奈美はパーを出した。
「残念でしたねー、小宮さん」
美羽の繰り出した手はチョキだ。
ハサミが紙を切り刻んだ。
「勝者ッ、浅沼美羽ッ!」
「イエーイ☆」
美羽は指の形をVサインのまま頭上に掲げた。会場のボルテージが上がっていく。
「ふむ……流石は横浜のエースだ。奴のあのチョキの強さ、あなどれんな」
「英子さん、解説っぽく言ってますけど意味分からないですから」
さくらはしたり顔で解説する英子にさらっとツッコんだ。
「うぅ。負けたっス……」
へぼのけ、へぼのけ、おかわりこい。奈美に代わって、あづさが前に出た。
なお、今回は本家野球拳のルールに基づき、脱衣はありませんのでご了承ください。
「しゃあないな。仇はとったるさかい見とき」
奈美は「かたじけないっス」とあづさに告げ、後ろのイスに腰掛けた。
「がんばってくださいっ、御堂先輩っ」
「おう」
あづさはみらいの応援に答えた。
「よろしいですねッ! 青龍の方角ッ! 球界の女番長ッ、御堂あづさッ!」
誰が女番長やっ。清楚で可憐な美少女スラッガーやっちゅうねん。とか何とかたわごと
を吐くあづさをスルーして、司会者の男は進行に徹する。これがプロの仕事だ。
「白虎の方角ッ! 陸(マウンド)に上がったリアルマーメイドッ、浅沼美羽ッ!」
第二戦、東京・御堂あづさ対横浜・浅沼美羽。
「野球するならッ(都合により割愛されました)ジャンッケンッホイッッ!!」
あづさの繰り出した手はパーだった。
そして、美羽もパーを出した。
「あいこ……だと!? ……なるほど、両者の実力が拮抗しているという事か」
「いや、同じ手を出しただけですから……」
英子は解説を続けた。さくらはそろそろ付き合いきれないといった様子だ。