スポーツをテーマにした小説を書くスレ

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243代理
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 ここ東京都江東区有明に10年前完成したトーキョーベイスタジアム有明(有スタ)
は東京シャイニングヴィーナスのホーム球場であり、一週間後には横浜ブルーマーメイズ
とのレギュラーシーズン開幕戦が開かれる。
 球場前に設置された特設ステージには開始予定時刻30分前には既に人だかりが。
 とりあえずイベントが始まるまでしばし待つとしよう。

 それから30分後、司会者と思われる男性がステージの中央に姿を見せた。
「さぁー。皆さんお待ちかねッ! 東京シャイニングヴィーナスと横浜ブルーマーメイズ
の選手達の登場ですッ!!」
 わああああああああああっ。特設ステージの最前列に陣取った両球団のファンが歓声を
上げると、その後ろを歩いていた通行人の一部が「おっ、なんだなんだ」とその足を止め、
ステージの方へと顔を向ける。
「はいはい、皆さん落ち着いて。それではッ、順番に登場願いましょうッ!!!」
 わー。わー。少し自重しながらも声と拍手で囃し立てる両球団のファン達。
 と、その時だった。会場にメロディが流れる。
 そして、ステージの衝立の裏側からアイドルっぽい衣装を着た女の子が現れた。
 さらにそのアイドルが歌い始めると、一部の観客のテンションが上がっていく。
「あれ? 何で急にアイドルショーみたいになってんだ?」
 つぶやいたのは栗田だ。なんだかんだ言いながら見に来てるじゃないか。
 ここからおよそ5分間の熱唱とダンスが続く。しばらくお待ち下さい。
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「みんなー、声援ありがと。ミウミウの新曲“恋は直球ストレート!”来週発売だよっ。
一人最低十枚は買ってねっ☆ 初回限定特典は――」
 いやいやいや、この期に及んで宣伝かよ。なんという図々しいアイドルだ。と、栗田は
思った。