スポーツをテーマにした小説を書くスレ

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別れる時に、妻から言われた最後の言葉が、頭から離れない。
妻とは大学で出会った。
僕の一目惚れで、何度もアタックをして、やっと取りつけた初めてのデートで、僕はプロポーズをした。
驚いたことに、彼女は頷いてくれた。
大学卒業と共に彼女と結婚をした。
僕は大手の銀行に就職が決まって、彼女もその事を喜んでくれた。休日も返上して、仕事を頑張った、おかげで同期の中でも一番に出世した。
だけど、もう彼女にはその頃、別の男が出来ていた。ある日、突然彼女から離婚届けを渡された僕は、理由を彼女にたずねた。
彼女は涙を流しながら、僕に言った。
「結婚するときに貴方は言ったわ、僕は一流の企業に入って、30歳までに管理職になって、35歳には独立して45歳になる頃には会社を人に譲って、海外に小さな家を買って、そこで小説を書くんだって、
確かに貴方は予定よりも早く出世したし、独立して、今は会社を2つも経営してるわ、でもそれだけ、私の事なんか、何も見ていないのよ」

僕には、わからなかった。
彼女の為に一生懸命働いてきたつもりだったし、浮気やなんかも、したことは無かった。

彼女が家を出る時、僕は精一杯陽気に振る舞った。
僕は彼女に、駅まで送っていこう、と申し出た、が、断られ、それならと僕は提案した。

「ほら、君が気に入っていた、あの車、あの車は君にあげるから、乗って行って構わない」

すると彼女は、彼が車で迎えに来るからと、足早に玄関へと向かった。
僕はそこで初めて妻に男がいたことを知ったが、陽気を崩さず、お互いの人生の再出発を讃えて、笑顔で彼女を送り出そうとした。
扉を背にした彼女は、僕に向かって、こう言った。

「そうやって、貴方はいつも冷静な振りをして、笑顔を作って、誤魔化して、結局、私のことなんてどうでもいいのよ」

そして彼女は家を出ていった。