スポーツをテーマにした小説を書くスレ

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115LastPitch
規制されましたので代行スレから投下。

◆10
 レギュラー組の4番は西原幸人(登録名YUKITO)。昨年のオールスターゲームにも出場した人気選手
だ。昨シーズンの成績は.266 24本塁打 77打点と、レギュラーとしてはまずまずと言えるが4番と
しては物足りない数字だ。外国人打者の不振で空いた4番を任されるなど打順が固定できなかったという
チーム事情もあるが、やはり4番は荷が重いと言わざるを得ない。本来は6番か7番でのびのびと打たせた
ほうが良い選手だ。ちなみにギターが趣味でオフの間には学生時代に同じ野球部だったメンバーとバンドを
組んでライブを開催したりしている。
 西原に対しても実戦さながらの厳しい内角攻めを徹底する藤木。左腕から右打者の胸元にグッと食い込む
ストレート。打席の西原はこれに対してファールにするのが精一杯といった様子だ。結局、2ストライクと
追い込んでから最後はフォークで空振り三振に抑えた。

 続く5番打者は左の河田だ。昨シーズンの33本塁打 81打点は供にチームでは一番の成績だった。元々
は投手として入団しながら肩の故障で断念し野手に転向した苦労人である。この河田にはホームランを避ける
投球をする藤木。低めのカーブでサードゴロに打ち取る。
 藤木は6番のバルデスも打ち取り、この回もレギュラー組を三人で抑えた。

 白(控え+新加入)組の三点リードでむかえた二回裏は七番の高木暁から。高木はバッテリー以外どこでも
守れるいわゆるユーティリティプレイヤーである。普段はベンチをあたためている事が多く、打率はわずか
一割台。この打席も三振に倒れた。
 八番の谷田部尚義はベテランの控えキャッチャー。若い頃は強打を売りに広島レッドウォリアーズの
ホームベースを守っていたが、最近はあまり打席に立つ事は少ない。果敢に打って出たもののライトフライ
だった。
 二死無走者で左打席に立つのは高卒新人の神岡一良。埼玉県立鷺ノ淵高校からドラフト7位で入団した。
高校では投手兼外野手だったが、プロではシュアな打撃と身体能力を生かすため外野手一本で勝負する。
ちなみに、高校時代の成績は埼玉県予選の決勝まで進んだものの、甲子園で準決勝まで勝ち上がった浦江学園
に優勝を阻まれた。その浦江学園のエース・浜崎は同じリーグのさいたまレイダースに1位指名され入団した。
「プロの舞台で今度こそ浜崎を打ち崩してやる」神岡はそんな強い気持ちを持っていた。
 神岡は2球目のストレートをセンター前に弾き返す。そして、打順は早くも一回りして一番の相原に再び
回ってきた。
 相原は前の打席と同様にバットを短く持ち、楠木の投じる球をカットする。しかし、この打席は球数こそ
10球投げさせたもののファールフライに終わった。

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白30− −−− −−−|3