幼女を創作するスレ(YSS)

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915創る名無しに見る名無し
1月17日
「聞いたぞ。最近金髪少女と同棲しているらしいな」
「はい……」
遮光カーテンを買ったらしく研究室は薄暗い。隙間から入る光の筋は漂うほこりの存在感を引き立てている。
教授に呼び出され、いつものごとく雑用だろうと思い行ってみれば。
「学生ごときがあまり”調子”コいてんじゃねェぞ……!?」
どこぞの不良マンガのような台詞を言う教授に説教されていた。
「まぁ不良マンガはさておきだね。そういえば管理人も若い女性だそうじゃないか」
「えっ、なんでそんなことを」
「ソラくんに聞いた」
いつの間に連絡を! というかそんなに仲良かったんすかあんたたち。
「百瀬に金髪に管理人にソラくんねぇ」
教授は名前を上げながら指折り数える。
「まぁ大学生だしね。いろいろやりたい盛りなのはわかるよ?」
「いや、別に私はそういうつもりで」
「口答えするなァー!」
「はい、すみません」
「と、言ってみるけどもう話すことないんだよね。まぁあくまでも学生の本分は……って私が言うのもあれだけどさ。
 いやー、学生のころは楽しかったなー。何人も女の子はべらせてさ。私の絶頂期だったね」
「え、女の子?」
「何か問題でも?」
「いえ、何も」
くるくると椅子を回転させて遊ぶ教授。いい思い出に浸っているらしく、すごく笑顔で楽しそうだ。しかし目を回さないのだろうか。
しばらく回転したあと、ぴたりと止まり机の上にあった本をめくりはじめる。
「ソラくんは元気かい?」
「ええ、おかげさまで」
「ソラくんは多分魔法が使える」
「そう……ですか」
あまり驚くこともない。空の彼方から来ただのこの前の態度だの思わせぶりなところが多々あった。
「彼女の血のサンプルをね、ちょっと知り合いに回したんだよ。面白そうだったから」
「知り合いですか」
「そう、茄子と一文字違いのアメリカにあるでかい組織の友人」
「ああ、茄子の一文字違いで宇宙とか研究するあそこですね」
「そうしたらね、面白いものを送ってきてくれたんだよ」
さっきまで捲っていた本を適当に投げて、紙の束を引っ張り出した。こういう風に使ってるからあんな腐海が出来るのか。
読めと言わんばかりに俺に突き出してくる。受け取って読んで見る。紙には参考に図がいくつかと文字がぎっしり書いてあった。
どうやらレポートのようだ。ページをめくる。まさか、これはそんなことが!
「すみません、英語読めないんですけど」
「それでも大学生か。この程度の英文を読めないなんて」
「すみません」
俺は今日何度目かのすみませんを言い、レポートを返す。彼女はページをぺらぺらめくりながら話し始めた。
「あそこの施設は他星人のサンプルとか我々以外のいろんな怪しいサンプルを持っててね。ソラくんのと比較したんだよ」
「それがその図ですか」
「うむ。で、だね。これがとあるところで製作されたホムンクルスのデータ……とは言っても不完成品だけどね」
「不完成品ですか」
「うむ。完成品を作った人間など歴史上見てもほぼいないだろう。でだね、こっちがソラくんのデータなんだが」
ふたつの図を並べる。よく似ているが少しだけ違うようだ。それが何の違いなのかはわからないが。英語だもの。
「でだね、このデータが完成品のホムンクルスの予想図だ」
もう一枚の紙を並べる。よく似ている。いや、見比べれば見比べるほどこのふたつは。
「不気味なほど一致するんだよ。他にも他星人だとかUMA関連のデータと比較してみたけどこれほど一致するものはなかった」
「ということはまさか」
「間違いなくソラくんはホムンクルスだ。それも恐ろしく珍しい完成品のね」
ホムンクルス。話だけは何度も聞いている。かつて錬金術師が作り出したといわれている人造人間。
確かホムンクルスの製造法を書いた著者のみが製造に成功したという話だったけど。
「私の別の検査方法では他星人とでたからね。他星人のホムンクルスとも考えられるけど」
「それと最初に言ってた魔法が使えると何か関係するんですか?」
「別の検査だと魔術師との特殊パターンが一致。理論上は魔法が行使できる肉体ってわけ。最も理論上で使えるかどうかは置いとくけど」
「他星人でホムンクルスで魔法使い、ですか。血ひとつですごいことまでわかるんですね」
「血でわからんのはその人の運命くらいさ。今の世の中ではね」
教授はそういって持っていた紙の束を机に放り投げた。