獣人総合スレ 2もふもふ

このエントリーをはてなブックマークに追加
110/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ
獣人ものの一次創作からアニメ、ゲーム等の二次創作までなんでもどうぞ。
ただし耳尻尾オンリーは禁止の方向で。
エロはエロの聖地エロパロ板で思う存分に。

前スレ http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220293834/
獣人スレwiki(自由に編集可能)http://www19.atwiki.jp/jujin
あぷろだ http://www6.uploader.jp/home/sousaku/
210/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/18(土) 22:07:39 ID:N3C/pvK4
>>1乙!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 22:16:08 ID:JkUpCdma
>>1おつー
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 22:40:13 ID:4Ak5Jqea
スレ数カウントはもふもふなのなw

>>1
510/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/18(土) 22:40:28 ID:+6LXbosP
前スレ1000GJ!よしがんばってケモ絵の練習をしてくれ
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 22:42:37 ID:uO0soxmz
>>1
最近ここに投下できるようなの描いてないや
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 23:13:33 ID:BKP9opUb
>>1もふ

暇があったらまた小ネタを投下してみるかね……
8わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:41:06 ID:/tSHn/Qj
>>1さん、もふです。
前スレではケモノ学校でお世話になりました。絵師さんたち、ありがとうございます。
早速ですが、新たな泊瀬谷せんせいとヒカルくんのお話を投下します。
9本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:41:45 ID:/tSHn/Qj
午前中の授業は全て終わり、これからは生徒たちやわたしたちのお昼休み。
わたしは家から持ってきた、ささやかなお弁当を机で頂くとする。
「やあ、泊瀬谷先生は手作りのお弁当ですか」
「や、やめてくださいよ。じろじろあんまり見ないで下さいよ、へたくそなんですから」
帆崎先生はおしぼりで手を拭きながら、わたしの小さなお弁当箱を笑う。
だめですよ、そんなこと言ってもわたしだけのとっておき、たこさんウィンナーはあげませんからね。
緑茶の香り漂う職員室、あいかわらず猪田先生の机は空席。きっと進路指導室にいるのだろう。ご飯返上で生徒と相談に応じる猪田先生、
今日も明日も未熟者のわたしには真似できないな。いや、わたしになんぞ相談に来る子はいなかろう。

「ラーメンにチャーハン大盛り!すぐに!すぐに!ええ?学校までですよ!!」
わたしのネコミミをも揺らす大声はサン・スーシ先生だな。受話器を片手に叫んでいる姿はユーモラスでカートゥン的だ。
おなじみの食堂に出前をとるサン先生、きっと電話相手の受話器からは先生の大声の風が吹き、耳が揺れている事だろう。
注文を終え電話を切ろうとした瞬間、サン先生は電話機に受話器を置くのを止め、こう付け加えた。
「ギョウザもお願い!!」

わたしの手作りのお弁当。一人暮らしをするわたしにとって、朝早いお弁当作りはひと労働。
ウィンナーを焼き、煎り卵にから揚げ。今日は果物も持って行こうかな、頭の中でそう考えながら、あつあつのご飯を冷やして、
一人前のお弁当の出来上がり。これでも、ちょっとは料理に自信が付いてきた方なんですよ。はじめの頃はホント酷かったんですから。
猪田先生の大きなお弁当箱は机の上で主の帰りを待っている。時計がお昼休みの約三分の一を過ごしているのに、先生は戻って来ない。
「遅い!遅すぎるよ!!」
注文をしたはずのラーメン、ギョウザ、チャーハン大盛りがなかなか来ない事に痺れを切らして、サン先生はうろちょろと
職員室を歩き回っている。シロ先生が「これを飲んで落ち着け」とコーヒーを勧めているが、それでも出前はやってこない。
コーヒーカップ片手にサン先生が再び受話器を持ち上げる。
「催促の電話をしてやろうか!!」
「今はお店も忙しいだろうからやめとけ。きっとすぐに来るから大人しくな」
「むー」
母親に諭される子供のようなサン先生は口を真一文字につぐんだ。外からバトミントンで、はしゃぐクラスの女子の声が届いてきた。
10本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:42:16 ID:/tSHn/Qj
「ごちそうさま…」
大地の恵みに感謝。
流し台で軽く空のお弁当箱を洗いながら中庭を窓越しに見ていると、白いイヌの男子生徒が一人で本を読んでいた。
ヒカルだ。
群れる事が嫌いなヒカルのお昼休みは大抵、小さな池のほとりの石に腰掛けて文庫本を捲っている。
しかしヒカルの姿を見るたびに、この間自転車で送ってくれた時の事を思い出すのは何故だ。
時間にしてホンの十数分。一日にしたら240分の1だろうか。そんなわたしの生きてきた中、
瞬きひとつ分の体験、若いケモノの匂いが脳裏に蘇るのはどうしてだろう。誰にも尋ねられない悩み事ほど厄介な物はない。
ふきんでわたしのお弁当箱を拭きながら、故意にヒカルから視線を逸らすと、そこにはサン先生とタスク、ナガレ、アキラの男子三人組。
あいかわらずの暴走っぷりを見せているサン先生。備品の台車にサン先生が乗り、アキラが後ろから押して『カーレースごっこ』か。

「おりゃああ!走れー!せんせーい、ぶっぱなすぜ!!」
「くおー!ぶつかる!!ここでハンドルを右に!」
「ナマステ!」
先生は授業用の大きな分度器をハンドルに見たててドライバー役、一方アキラはエンジン役。
お昼ごはんが来ないから、待ちきれずに男子と中庭でふざける先生はどう見ても少年。しかも、実際の少年よりも少年っぽいので、
知らない人が見れば何の変哲のない光景なのだが、わたしたちが見ると…でも、やっぱり何の変哲のない光景なのだ。
尻尾と耳を風に受け、中庭を走り回る先生と生徒を見てシロ先生は髪を掻き揚げるばかり。尻尾がぴくぴく動いているのがわかる。

一方、同じ中庭にいたヒカルはいきなりすっくと立ち上がり、本を手にしたまま校舎に戻ってきた。
それと同時にわたしは何故か職員室を飛び出し、中庭への出入り口に足が動く。どうしてかは…わからない。
「ヒカルくん!」
「……」
出入り口でヒカルと鉢合わせするのは重々承知。なのに、この後の言葉が浮かばない。
「…えっと…読んでくれてるんだね」
「……」
もともと口数の少ないヒカルは頷いてわたしの答えに答えてくれた。そんなヒカルを見てわたしは手を握り締め思わず胸に手を当てる。
11本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:42:49 ID:/tSHn/Qj
――――ヒカルに自転車で送ってもらって数日後のこと。
その日は学校もお休み、久しぶりに街で買い物しようと、わたしは街の中心部・十字街へ向かう路面電車に乗っていた。
平日よりかは乗客の多い車中、子供連れのヒツジや杖を付いたシカ、みんな同じ時間を共有する。
速度を上げる電車はゆっくりと左右に揺れる。子供のヒツジがキツネの運転手の肩越しに車窓を見て笑っている。
つり革はゆらゆらと、子供のヒツジはきゃっきゃと、各々の時間。窓に映し出される街の色は次第に都会の色に変わってゆく。

「次は図書館前ー、図書館前です」
大きな音を立てながら古い電車はゆっくり止まる。ガタガタと扉が開くと電車の中に乗ってきたのはヒカルだった。
薄いパーカー姿という私服姿のヒカル、本を片手に車内に立つ。落ち着いた物腰は私服姿でも変わらない。
「あっ!」
わかってる、わかってるんだから。
驚いて声を上げちゃ、ヒカルにも悪いことなんて。それでも思わず声を上げてしまったのはいけないと思う。
そんな『わるい子』のわたしの目の前に、ヒカルはつり革を掴んで立っている。
「泊瀬谷先生…、こんにちは」
「う、うん」
「買い物ですか?」
「うん」
トートバッグを締め付けながら、マヌケな答えをしているわたしはなんなんだ。しっかり、答えろ。

なかなか目を合わせられない臆病者のわたしは、ヒカルの持っている本ばかり見ていた。だがヒカルの持っている本の著者は、
わたしが知らない人物であった。わたしは国語教師、まかりなりにも、言の葉を教える生業の者が「知らない」なんて、生徒に知られたら笑われるかな。
ヒツジの子供は無邪気に車内を走り回り、母親からうるさいと注意されている。その子が風を切ると、ヒカルの尻尾が揺れる。
12本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:43:56 ID:/tSHn/Qj
「…本、好きなんだよね」
「うん」
「好きなの?この作家」
「…うん。この作家の作品…なかなか手に入らないんです」
「ふーん」
時代を感じさせる装丁の文庫本。おそらく、ヒカルの親御さんたちがヒカルと同じ年の頃に
出版されたであろうと、素人目ながらにもそれは推測することはできる。ネットオークションで探してみたら?と聞くと、
インクの香り漂う実際の本屋や図書館じゃなきゃイヤだと言う。本は手に触ってこそが命だとか。

ヒカルの父親は名こそ無いが児童作家であり、元から本に囲まれた生活を送っていたと聞く。
活字に関して、もともと触れる機会の多い家庭に育っていたのだから、本に夢中になるのは当然か。
猪田先生から本の魅力を教わって以来、ヒカルはずっと本を手放さない。そんなヒカルは本を守るように抱えて、こう話す。
「この作家の本は一冊読んだだけで夢中になりました。もっと、読みたい…」

老体に鞭打って走り続けた電車が十字街に付く頃、いきなり大きな音を立てて急停車する。ヒツジの子供がよろめいて、
まだ丸い角でヒカルのわき腹を突付きながら、彼のふともも目掛けて吹っ飛んできた。
ふとももを手で擦りながらも本を手放さないヒカル、一方わたしは何も出来ないまま茨の椅子に座っていた。
ヒツジの子供の怯える顔。少し痛そうなヒカル、そして茨のとげが食い込み居た堪れないわたし。
「ユウタ!ごめんなさいは?」
「ごめんなさい。もうしません」
ヒカルは跪き、ヒツジの子供をけっして見下ろすことなく「だいじょうぶ」と頭を撫でて安心させていた。
不謹慎ながら、わたしがあのヒツジの子供だったらなあと、ふと思う。
ヒカルに無条件で抱きついてきたヒツジのことを羨ましく思うなんて、オトナ失格と思いませんか。
わたしがオトナとしてヒカルにしてあげることは…、なんだろう。
先程の顛末を詫びるアナウンスの中、時間を置くことなく電車は十字街に到着。「またね」とヒカルと別れる。
ヒカルを乗せた電車は大きな音を立てながら、わたしの側を不器用に走り去った。
街の喧騒に包み込まれるわたしは電停にたたずむ。わたしの前にヒカルはもういない。
13本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:44:38 ID:/tSHn/Qj
買い物を終えたわたしは電車に乗って帰ると、アパートに付いた頃にはまわりは真っ暗だった。
夜ってヤツは随分と勝手なヤツだ。けっしてわたしを待ってくれず、自由気ままにまわりを闇で掻き消すから。
アパートは虫の声で包み込まれている。

その宵、普段深夜に出歩くことのないわたしは『夜会』へと向かう。
『夜会』、またの名を『ネコ会議』とは…。わたしたちネコ族はもともと「ネコ」からの急激な進化で「ネコ族」として生まれてきた。
当然、ネコ本来の習性、好みなどそのまま受け継いできたものもあるが、進化の途中や世代間でわたしたちが捨ててきたものもある。
例を挙げれば柑橘系の香りの話。ネコはもともと柑橘系の香りが苦手なのだ、しかしわたしたちの世代となると平気でそれらを食す。
ミカンにポンカン、グレープフルーツ…みんな食べる。それは「ネコ」の名残がわたしたちの世代になると薄まってくるからだ。
その証拠にかつて、祖父母やそれ以前の年代の者は苦手だったというお話を聞くではないか。
きっと誰かが食べてみて美味しかったのだろう。結局は食わず嫌いだったのかもしれない。

それとは逆に、「ネコ」だった名残を取り戻そうとする者たちもいる。その一つが『夜会』。深夜、だらだらと何かをすることもなく
集まっているネコたちをみなさんは見かけたことがあるでしょう。その『夜会』を復活させて、
情報交換に役立てようとする者たちが、わたしの住む蕗の森町にいる。風が冷たい中、パジャマにちゃんちゃんこを着て蕗の森公園へ。
処は周りに人家のない林の中の公園。各々好きな位置に座り、自由に語り合っている姿が申し訳程度の水銀灯に浮かび上がる。
ざわわと風で揺れる木の葉が彼らの会話に入りたそうだ。きっと瞬く星も嫉妬してることだろう。
メンバーはわたしと同い年位の子から年配者まで、多種多様。みな、寝巻き姿でどうでもいい話をしている。
この『夜会』、来たければいつでも参加していいし、飽きれば来なくてもよい、気まぐれなネコ族ならではの実に民主的なルール。
以前ネットで初めて知って以来、わたしは何度か参加したことがあるのだが、最近は忙しくてとんと出ていない。

さて、わたしがここに来た理由は一つ。この『夜会』最年長の老ネコに会うこと。蕗の森町で古本屋『尻尾堂』を古くから開き、
この町を知り尽くし、『夜会』の最古参でもある彼とはわたしと少しばかり顔見知り。多忙なわたしは、
この『夜会』でなければ彼の顔を見ることはなくなっている。老ネコはベンチに座って若いネコたちをのんびりと眺めていた。
帽子を深々と被り、髭を伸ばし、うんうんとゆっくり頷く姿を見ていると、彼の周りの時間はゆっくり動いているように見える。
1410/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/18(土) 23:45:15 ID:+6LXbosP
支援
15本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:45:27 ID:/tSHn/Qj
「あの…すいません。お話いいですか」
老ネコの横に膝を抱えて座る。話はヒカルの読んでいた本の作者について。
そして、その著作は今、手に入るのか…。きっと『尻尾堂』なら、ヒカルの読んだ事のない本が見つかるはず。
期待に胸膨らませながら、うんうんと頷く老ネコに話すと、先の明るい答えが帰ってきた。
なんと、その作者の著作がまもなく『尻尾堂』に入ってくるというのだ。
「あれは…南の街の店にあったけな。二、三日したらその店の者が来るから、持ってきてくれるように電話しとくよ」
「わあ!ありがとうございます」
古本屋は横のつながりは強く、古本屋同士で競を開いての本の取引はしょっちゅう。本の目録なんかもお互い交換しているそうだ。
故に、お互いどんな本があるのかという情報が古本屋同士で回っており、その中から思わぬ掘り出し物が見つかったりするというのだ。
こうして、本の融通を利かせ品揃えを豊かにしていると言う。なるほど。

あさって位に『尻尾堂』においでと言う言葉を頂き、明日は仕事のあるわたしは早々と『夜会』を後にした。
公園を振り返ると、『夜会』はこれからという雰囲気。ごめんなさいね、もう寝坊はできません。
若いオスネコが「尻尾堂のジイさん、若い子をたぶらかすなよ」と、からかう声が聞こえた。空に浮かぶ月が眩しい。

二日後、『尻尾堂』でヒカルが探している本が入ったと連絡が来る。
なんでも尻尾堂のおじいさんも一度しか見たことが無く、やっと巡りに巡ってきたらしい。わたしは運がいい。
「わあ!ありがとうございますう!」
「礼には及ばん。お安くしとくよ」
ヒカルの喜ぶ顔を思い浮かべながら、本を手にする。昔の本の匂いがわたしの鼻腔をくすぐる。
この文庫本、なかなか手に入らないんだってね…ヒカルくん。嬉しいね。そして、わたしは早速ヒカルにこの本を渡す時がやってきた。
本を片手にその時を待つわたしはまるで、初めてのデートの待ち合わせのような気持ちだった。
今日の授業が終わったら、今日の授業が終わったら!この本を渡すんだ。その時までの時間がわたしを心地よく苦しめる。
授業終了の鐘と共にヒカルの元へ駆け寄り、手に入れた本を差し出す。ヒカルは顔色を変えないが、嬉しいってことはわたしはわかってる。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 23:45:41 ID:uO0soxmz
間隔開けないとさるさんになるよ支援
1710/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/18(土) 23:46:00 ID:+6LXbosP
支援
18本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:46:15 ID:/tSHn/Qj
――――帆崎先生が中庭に向かって叫んでいる。
「サン先生、サンせんせーい!出前が届いてますよ」
「なに?やった!!」
台車に乗せられたままサン先生は職員室に戻って来た。男子三人組は何か言いながら台車を押す。
職寝室から中庭に繋がる扉を開くと、サン先生は義経八艘跳びよろしく、ぴょんと台車から飛び跳ねて叫ぶ。
「ひぁっほお!ラーメンだ!チャーハンだ!ギョウザも付いてるぞ!」

しかし、入り口に立っているのはいつもの食堂の人ではなく、そこにいたのは猪田先生の奥さん。
お盆にラップを被せたラーメン丼にチャーハン、ギョウザを持って息子さんと一緒に立っている。
「あの…突然電話が架かって、『学校までラーメンとチャーハン大盛り!』って言われて。
そんなに今日のお弁当が足りなかったんでしょうか…?あっ!ギョウザも持って来ていますよ!」

どうやら、サン先生は電話を架ける際、短縮ナンバーを押し間違えて猪田先生の家に架けてしまったようだ。
ろくに相手を確かめず大声で注文した為、全くそのことに気付かず、奥さんも猪田先生が忙しいのが分かっているから
きっと代わりの先生に頼んだんだろうと思い込んで、注文そのまま作って持って来たと言う。
「いやー、やっとお昼ご飯ですよ」
反対側の職員室入り口から、ハンカチで汗を拭きながら猪田先生がやってきた。が、ここで夫婦ご対面とは思っていなかっただろう。
猪田先生、どうして奥さんがここに居るのか、理解に苦しみながら大汗を掻いている。
「わ、わたしでもこんなに食べられませんよ…」
しかし、いちばん気まずいのはサン先生。猪田先生以上にむず痒い汗を掻く。
ナガレとタスク、そしてアキラの三人組はそろって困った顔を並べてやって来た。
「あのー、台車…何処に片付けたらいいですか」
「え…えっとお・・・えっとね!あ、はは」
笑うしかないサン先生は呆れ顔のシロ先生からひょいと脇を抱えられ、台車に乗せられてそのまま進路指導室に運ばれてしまった。
1910/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/18(土) 23:46:32 ID:+6LXbosP
支援多ければ大丈夫さ支援
20本をひらけば ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:47:38 ID:/tSHn/Qj
一方、わたしとヒカルは校舎の入り口で向かい合い、わたしが勧めた本の話に花咲かせる。
「あの本…気に入ってくれたかな」
「…うん。この本…すぐに気に入りました」
ヒカルくん、わたしが出来る精一杯のことはこれだ。こんなことしか出来ないわたしだよ、バカでしょ?

「ぼく…急ぎますから」
ヒカルがそそくさと校舎に入ると、外からクラスの女子・犬飼さんたちがやって来た。
手にはバトミントンのラケット。昼休みにバトミントンに興じていたのだが、どうやら羽根が木に引っかかったらしい。
「ヒカルくん!お願い!乙女の祈りは何者にも代えられなくってよ!」
「……。先生、これをお願いします」
わたしに本を預け、犬飼さんたちに連れられ再び中庭に戻るヒカル。読みかけだった本に挟まれたしおり、
はみ出た部分から覗く、可愛らしいクローバーの押し花。悪いなと思いながら、ちょっと拝見。
ぱらぱらとしおりのページまで本を捲ってみると、ある事実に気付く。なんだかおかいしのだ。
カバーのタイトルと本文左右端に付いている『柱』のタイトルが一致しない。カバーを外してみると、
中表紙と全く違うという決定的な証拠が見つかった。カバーはわたしが渡した本のもの、中身は別物だったのだ。

…もしかして。わたしの渡した本を読んでいるように、わざとカバーを架け替えて
『わたしの渡した本を読んでいる』かのように、気を使っていたのではないか。そんな憶測が脳裏をよぎる。
そういえば電車でヒカルと会ったとき、彼はヒカルの父親について話していた。
「ぼくの父さん、古い本ばかり集めている。しかも偏った趣味でして…無名作家ばかり集めているんです」って。
それなら、わたしが渡した本をとっくに読んでいてもおかしくない。ヒカルが言っていた「一冊読んで夢中になった」本こそ、
わたしが渡した本だったのか。事の真相はヒカルのみぞ知る。誰にも尋ねられない疑問ほど厄介な物はない。ごめんね、ヒカルくん。

おかしいぞ。胸が熱い。何故だ。
まかりなりにもわたしとヒカルは教師と教え子の関係。なのに胸のこみ上げてくる物は何なのか。だけど現実がわたしを引き戻す。
授業開始の鐘の音だ。アイツはわたしを現の世に戻す悪人だ。でも、必要悪ってものも存在する。必要悪ってヤツはオトナなヤツ。
それに比べてわたしはお子さま。授業開始の鐘は子供を叱る母親のようだ。

その鐘の音と同時に進路指導室から、シロ先生が押す台車に正座して乗ったサン先生が戻ってきた。
「サン先生、ごめんなさいは?」
「ごめんなさい。もうしません」
サン先生は母親から叱られた子ヒツジのようだった。


おしまい。
2110/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/18(土) 23:48:40 ID:+6LXbosP
投下乙!

ちょw本筋と関係ないサン・スーシ先生がかわいすぎるんだけど
22わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/18(土) 23:49:47 ID:/tSHn/Qj
支援のみなさん、ありがとうございます。
無事に投下できるか、どきどきでした。新スレを祝して、では。

投下終了っす。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 23:51:52 ID:uO0soxmz
乙!
進展期待
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 23:54:14 ID:JxBRtbCg

なんて可愛いケモノたちだ
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 01:37:39 ID:HaLw8bFh
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 01:38:59 ID:sn9W/POg
>>1乙。新スレ早いな…
帆崎先生が好きすぎて思わず描いてしまったラフ漫画。
何だかよく分からない上に、うpろだに大量投下すみません。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00198.jpg
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00199.jpg
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00200.jpg
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00202.jpg

>>9
読む前に漫画描いてしまった…設定無視ですみません。
泊瀬谷先生とヒカル君は相変わらず可愛くて和みます。
2710/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 01:42:49 ID:bZv4cS4R
>>25-26
一気にキター!!
なんだこれ幸せすぎだ
ああもう先生達かわいいなぁ

>>26
最後の夕焼けなんだこれ!凄すぎるぞ

28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 01:45:28 ID:ZBnmxlaj
ボブの絵画教室みてーだ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 01:46:24 ID:oSYmLG9o
>>25-26
絵師さんの連撃乙
このスレの勢いぱねぇw
3010/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 01:50:33 ID:bZv4cS4R
>>28
俺も「ね?簡単でしょ?」が頭によぎったw

本当に先生達かわいすぎるな
それにしても爬虫類勢はやっぱ冬眠するのか
ネズミとか熊とかも危なそうだな…
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 01:58:05 ID:jGfA1kYa
なんという幸せ!
寝る前にこのスレ除いてよかった
もういくらGJしても足りないよGJ過ぎる!
3210/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 02:21:08 ID:v1d8t+Li
おおおお、乙であります!
最後の夕焼けに言葉もなく感動しました!なんと美しい……
いやーもふもふはいいものですな、みんな可愛いよー
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 02:56:17 ID:rMoKa3Q3
前スレの>>1000がいつかケモ絵をこのスレにうpしてくれることを願ってる。
3410/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 03:00:19 ID:bZv4cS4R
前スレのログをwikiに収録しときました
で、前スレに投下された絵やSSを一気に収録しようと思ったんだけど
なぜかwiki編集画面でだけ全角が打てないトラブルにより挫折orz

なんなんだよこの症状……
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 03:23:50 ID:KQH9uOQW
今スレに複乳はありますか
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 03:38:47 ID:SQcf04TP
TAGROの過去作とトータルリコールと道満晴明あたりで我慢しなさい
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:03:31 ID:oSYmLG9o
今完成したんで、週末の投下ラッシュの流れに乗って蛇SS投下
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:04:16 ID:oSYmLG9o
「今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹をとりつつ……」
 麗らかな昼下がり、教科書を音読する男子生徒の声を聞きながら、彼は瞼を微かに開き

、無機質な瞳で周囲を見回し、再度瞼を閉じる。
 古文の授業など、将来何の役にも立たないだろう事を勉強する気なんて、今の彼には毛

頭無かった。もっとも、蛇の彼には毛の一本も無いのだが。
 爬虫類特有の大きな口を限界まで開き、先の割れた細長い舌をチロチロと宙で波打たせ

ながら、「しゃぁあ……」と大きな欠伸をする。
 この前の授業で当てられたばかりだから、そんなにすぐ当てられる事は無いだろう。
 元から授業に参加する気などないとでも言いたげに、突っ伏して目をつぶると、窓から

入る日の光で、凹凸の少ない滑らかな鱗が光沢を放つ。
 黒と赤の鱗で彩られた体は、いかにも“私には毒がありますよ”と言いたげなカラーリ

ングだが、毒もないし気性が荒いわけでもない。
 寧ろ、興味の対象外にはとことん無気力な性格もあって、どっちかというと無害な部類

だ。
 突っ伏したまま数分もすると、彼が静かな寝息を立て始める。周囲の生徒の瞳も、教師

の忌々しげな視線も、意に介すことなくいびきさえ立てていた。
 月曜日は嫌いだ。休みが終わってしまうというのもあるが、一時間目から興味のない古

文で、二時間目は苦手な体育だというのが大きい。
 彼は根っからのインドア派なのだ。竹刀を持った体育教師に追い掛け回されるようなス

パルタは、望むところではない。
 授業終了のチャイムで、うっすらと意識を覚醒させながら、寝込む前と同じように「し

ゃぁあ……」と大きな欠伸をする。
 少しむず痒い感触の残る、鼻面へ細長い舌を伸ばし、剥がれかかった鱗を撫で付けた。
 鱗を持ち脱皮をする種族なら、入浴の際に全身をたわしで洗うなどして脱皮を促し、こ

ういった剥がれかけのむず痒さを防ぐものなのだが、風呂嫌いの彼は3日に一度ぐらいしか

体を洗わない。
 爬虫類というのは、発汗も少なく皮脂や垢がほとんど溜まらないので体臭も薄く、それ

で通じてしまう事も多いのだ。
 鼻の痒みもとれたところで、彼は目を開けると、大きく背伸びをしながら、3度目の欠伸

をする。
 例の「しゃぁ……」という声を出しながら、舌をチロチロと動かす。眠たいし、いっそ

昼までこのまま寝てたい気分だ。
 しかし、そういう訳にも行かない。背後から自分の席へと近寄ってくる、足音を感じる

。長い首を持ち上げて、気だるそうに振り向くと、勝気な人間の女生徒が仁王立ちしてい

た。
 その後ろでは、猫に犬に鳥に蜥蜴に、その他諸々教室に残っている女子たちが、彼の方

を見ながらヒソヒソ話している。
 別の場所で着替えればいいだけなのに。彼があからさまに溜め息をついて見せると、女

生徒は不機嫌そうに話しかけてくる。
39次スレでも自動改行発動してもた:2008/10/19(日) 04:05:52 ID:oSYmLG9o
「ほら、男子で残ってるのあんただけよ。さっさと行きなさいって!」
「分かった分かった。眠いんだから怒鳴るなよ。こっちは……」
「いい加減になさいよ。また朝方までネトゲしてたからとか?
サボりまくって留年するのは勝手だけど、早く出てってくれないと、女子全員次の授業に遅刻するの」
 強気な女はどうにも苦手だなと思いながら、剥がれかかった鼻面の鱗を再度舐めつける。
 ズケズケものを言う相手には、どう反応すれば良いか困るのだ。とりあえず気の抜けた返事を返して、緩慢な動きで席を立つ。
 女生徒は貧乏ゆすりをしながら、一連の動作を眺め、終いには痺れを切らし、彼の尻を足蹴にして教室から追い出す。
 蹴られた尻を擦りながら「いてて……」と呻く後ろでは、扉が勢い良く閉まる音と、女子たちが「さっすが、いいんちょ!」とハモる声が聞こえた。
 男を足蹴にすると賞賛される原理が、彼にはとても理解できない。彼が少しでも反撃すれば、その瞬間学校中の晒し者になるだろうに。
 さて、昼まで何をしていようか。保健室で寝るのもいいが、利用しすぎてしまったらしく、先日とうとう「我が校始まって以来の虚弱体質ね」と皮肉たっぷりに言われてしまった。
 いくら彼が他人の心の機微に疎く、普通よりも図太い神経をしていようと、そうまで言われて、堂々と保健室へ向かうのは無理だ。
 体育の授業を休むのはもはや決定事項らしく、彼は何処か人に邪魔されずに、昼まで授業をサボれる場所を求め移動を始める。
 屋上は彼と同じように授業をボイコットした奴らが、たむろしていたりするので、あまり好きではない。
 その手の奴らは総じて柄が悪く、彼には居心地の悪い雰囲気を出しているのだ。
 そう思いながらも、口内をうろちょろしているうちに、彼が辿り着いたのは、結局屋上だった。
 誰もいない中庭のベンチなど、随分心を惹かれもしたが、職員室から丸見えのあの場所で、授業時間中に寝るというような愚行は犯せない。
 月曜の午前中という事で、彼の苦手とする連中は、屋上どころか学校に来てすらいないようだった。彼はこれ幸いとばかりに、屋上で横になり、寝息を立て始める。
 蛇というのは執念深い生き物だから、集中した物事に対しては、類稀な集中力を発揮するが、興味の無い事は本当におざなりになる。
 彼の場合は、興味の対象がネットゲームであり、一度レベル上げや低確率ドロップアイテム収集を始めると、ついつい朝方までノンストップで励んでしまう。
 その代わりにおざなりになるのが、学校での授業なのだから、委員長が呆れるのも当然だろう。
 だが、そう簡単に愛想を尽かしたりしないのが、委員長の長所でもあった。寝息を立てる蛇の方へと、カツカツと足音が近寄ってくる。
 蛇の隣に腰掛け、時折口から飛び出してチロチロと揺れる舌を、マジマジと見つめる。
 ある程度その規則性を掴むと、タイミングを合わせてその舌を人差し指と親指で摘む。
「ふぁっ、なんふぁが」
 そのまま上へと引っ張られれば、流石に彼も起きざる得ない。少し慌てた調子で、奇声を上げながら、目の前の女生徒へ視線を合わせる。
 まさかと思って腕時計へ視線を向けるが、勘違いではない。何でこいつが、授業時間中に、こんなところに居るのか。
 珍しく驚いた様子で、目をまん丸に開き、縦に割れた瞳孔がカメラのピントを絞るように開く。
「授業なら、体調不良って事になってるわ。私はあんたと違って、ここまで無遅刻無欠席だから、怪しまれたりしないの」
「お、おう」
 彼の顔には“何なんだこいつは”と、露骨に浮かんでいる。本来なら、爬虫類はポーカーフェイスと相場は決まっているのだが、今は例外のようだ。
「留年するのは勝手って言ったけど、私には委員長としての責任があるの。
うちのクラスから落伍者を出すつもりはないわ」
「別にテストなら問題ねーぞ。一夜漬けは得意分野だしな」
 委員長は、さも呆れたように返す。
「そういう問題じゃないわよ。出席日数も微妙だし、あんたのやる気が尽きて学校に来なくなってもダメなの。
とにかく、私には責任があるの。あんた一人サボり三昧しようたって、そうは行かないわ」
「おい!」
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:06:45 ID:oSYmLG9o
 委員長が彼の手を引いて立ち上がらせ、そのまま屋上から連れ出そうと歩き始める。
「後ね、あんたは人付き合いを軽視しすぎ。私以外に話しかけてくれる女子なんていないでしょ」
「だから、そんな事はどうだっていいんだよ。もう少し寝かせてくれ」
「良くないのよ。うちのクラスであんたが一番パッとしない。
今までは休み時間だけだったけど、これからは自分の授業を潰すつもりであんたを更正させてやるわ」
 なすがまま腕を引かれ、屋上から引きずり出されながら、彼は“厄介なのに捕まった”と、溜め息を吐いた。
 たかがクラスの委員長なんて役割に、ここまで真面目にならないで欲しい。
 彼は、もう一つ大きな溜め息を吐く。この調子では、大好きなネトゲの時間を減らす事になるかもしれない。
 瞳孔を細めながら、マジマジと委員長を見つめる。同属の女性ほどじゃないが、毛皮や羽毛付きより、こっちの方が好きだ。
 こちらはこんな虐めにも近い仕打ちを受けているのだからと、彼は自分を納得させるように考える。
 この委員長をギャフンと言わせる方法を、他には思いつかない。
「仕方ないな。じゃあ、俺が更正したら、一緒に映画でも見に行くか」
「代金があんた持ちならね。楽しみにしてるわよ」
 せめて付き合えぐらい言えば良いのだろうが、彼は人付き合いが薄い蛇なのだ。
 言い換えれば、デートが本格的な付き合いを同列に見えるほど、初心な蛇だ。
 さっきまでの険しい顔を、いくらか緩めながら、委員長は彼の手を引いて歩き続ける。
 いったい何処が甘かったのか分からない様子で、彼はまた鼻面を舐めつけている。
 困った時の癖になっているようだった。委員長はその舌に手を伸ばして、不意打ちした時と同じように掴む。
「まずはその癖直しなさいよ。行儀悪いわ」
「むおっ、ふぁひふんはっ!」
 彼の更正する日は、恐らく当分先なのだろう



41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:08:24 ID:oSYmLG9o
最初の方が自動改行発動でえらいこっちゃ読みにくくなりました。すんません
4210/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 04:27:09 ID:bZv4cS4R
おお〜投下乙!
蛇ネトゲ廃人なのかw




〜業務連絡〜
wiki編集してたんだけどこれ量多すぎて一人じゃきついっす
お手伝いさん募集ですよん
あと、wiki管理人さんいたら画像認証解除してくれると嬉しい…あれ長時間編集してるときつすぎる
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 05:34:51 ID:El1J0zRn
寝てる間に新スレになってた
>>1乙です あとテンプレ考えてくれた人も乙
皆、スレ立つまで投下は自粛しようぜ
4410/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 13:32:05 ID:fENalNim
投下乙です
青春だぁああああっ!
しっかりした委員長と面倒くさがりな蛇のコンビがいいなぁ


〜業務連絡〜
wiki編集乙です!
非常に申し訳ないのですが、編集荒らしが出ると困るので画像認証は解除できません。
多分いないとは思うんですが、もし出てきてしまった時
大量のページが少ない労力で改竄されることになりかねないからです。

なので、wiki編集してくださる方は右上「このウィキに参加」から
メンバー登録をしていただけるとありがたいです
よろしくお願いします
4510/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 18:42:50 ID:bZv4cS4R
>>44
メンバー登録申請しました
確認お願いしまーす
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 20:43:45 ID:SbTWMMuW
   ノ、__、イ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
   ィ^L_   _⊥_ _,.-、
、//`ヽ、二ィ  ` 、'_ノ
\/    /    ヽ---――
_」--―/   ヽ〈 }
、    {  i  `} l l
ゝ、   { 、_|_,. !_!|
 )--―1 |  イ  い
 {_   | |  |    N  __
   「 ̄{ |  }   」 ̄ |
    |  l | / / ー―'―‐
   /  l l //
_∠___ノ |{
 /     ̄`ヽ

ttp://sankei.jp.msn.com/photos/affairs/crime/081007/crm0810071354025-p1.jpg
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 20:57:35 ID:mBLbwARn
↑そのネタはもう旬過ぎてるだろ
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 21:00:28 ID:mxYTIMw+
今自分が出来る範囲でwiki編集してるんだけど
絵とかそのまま貼り付けていいんだろうか?
重くなるとまずい事もあるだろうし、リンクやサムネ(出来たっけ?)
にした方が良いんだろうかと悩み中…
4910/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/19(日) 21:02:42 ID:bZv4cS4R
普通にアップして#ref()でいいと思う
どうせ@wikiは転送量無制限だし、いろいろ手間かけるほうが大変だよ
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 21:07:27 ID:mxYTIMw+
>>49
なるほど、了解しました
引き続き頑張ってみます
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 22:35:22 ID:7QWzy0gX
>>26
GJだあ!期待の新人さんか?
こういう短編もいいな、もっと読みたいな。
…でも、夕焼けの雲、夏の雲みたいだ…。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 22:53:02 ID:enxbYZpZ
>>46
これを獣人で描いてくるれるのですね、分かります
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 01:32:26 ID:GEC6WnlM
web漫画ってすげえええ。獣人系のやつ読んでたらこんな時間になってしまった・・・
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 01:36:41 ID:zDG9Hm2K
>>26
アップ途中に私のが入ってしまってすんませんです。『お?』と思っ
てアップ中に読ませていただきました。 そうか、寒くなると皆の動
きが鈍くなるんだなぁ。 と言うか、猫は元々暑い国生まれだけど、
犬は寒い国のものだからなぁ。これからもっと元気になるに違いない。

>>38-41
おお、新たな領域。まだまだあちこちで青春群像が。

ところで蛇足ですが、腕を取って引きずってくのがイマイチ頭の中で
イメージできなくて画に出来ずに居ますです。

>>43
スレの最後に煽るようなことをしてすみませんです。自重します。

wiki整備中の皆さん、有り難うございます。 なんか見るたびに項目が
増えていってわくわくしております。 これが整備されるともう一度
リツ君を読み直して描こうかな、と。

で、白人の全裸を見て(笑)そう言えば昔からミス・ピギーが好きで
『豚娘さんを昔よく描いたなぁ』と(服着てますが)。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00207.jpg
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 01:58:50 ID:IMRPMWch
>>54
こんな綺麗な豚娘さん見たことないや…
他で見るものは大抵酷い感じの物が多かったから尚更そう感じる
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 02:02:22 ID:jro+0Dcw
>>54
すげー、これは可愛い豚さん。ぽっちゃりに目覚めそうだ
57通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/20(月) 02:17:48 ID:Gp/c1rLQ
>>26

「昨日は大変だったぜ、ったく……。
あの時、用務員の人がリアカー貸してくれなかったら、俺、眠り込んだお前を前に途方に暮れる所だったぞ?」
「すまなかったなー、家まで送ってくれてありがとうなー」
「礼はいいって。……それより、お前、そろそろ寒さ対策を始めないと行けないと思うぜ?
次、お前が眠り込んだ時に用務員の人がリアカーをまた貸してくれるとは限らないんだしな」
「そうだなー……そろそろあのドリンクの出番かなー?」
「う、あのドリンクか……」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
58通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/20(月) 02:18:35 ID:Gp/c1rLQ
その日の昼休み、授業を終わらせた泊瀬谷教師は、
たまには職員室ではなく外で弁当を食べようと、自作の弁当の入った包みを片手に屋上へやって来ていた。
高台に位置するこの学校の屋上の眺めはすばらしく、晴れた日には遠くの山々まで見渡せるとの評判であり、
景色を肴に弁当を食べれば何時もより美味しく感じるだろう、と言う他愛のない考えで屋上で弁当を食う事にしたのだ。

「あれ……? あそこに居るのは……」

座る場所を探そうと、適当なベンチを探している最中。
一人でベンチに座り、弁当を脇において水筒に入った何かの飲み物を飲んでいる、
赤褐色の鱗のリザードマンの姿が目に入った。

確か、彼は自分の担当しているクラスの子だった筈。と、彼女は彼のことを思い出してみた。
そう言えば、何時もは同級生であり親友である人間の子と一緒なのだが、この日に限っては珍しく彼一人だけで居る。
ひょっとしたら、何か喧嘩するような事でもあったのだろうか?

そう思うと、なんだか一人で飲み物を飲んでいる彼の丸まった背中は何処か寂しく見え、
刺々しい印象である彼の尻尾も、心なしか何処かうなだれている様にも思える。

「担任として、こう言うのは放って置けないわよね」

彼女にとって、彼は顔が怖くて何処か近寄りがたい存在であったのだが、
生徒が一人寂しく昼休みを過ごす姿と言うのは、流石に担任として見過ごす事の出来ない事であり。
担任として何とか彼の力にならないと、と彼女は意を決すると、ベンチに座る彼へ歩み寄る。

実の所、彼は別に親友と喧嘩したわけではなく、ただ単に親友が来るのが遅れていただけなのだが。
彼女はそんな事はつゆ知らず、彼へ声をかける。

「如何したのかな? こんな所で一人で」
「んあー? 誰かと思ったら先生かー、こんな所に何の用なんだ―?」
「ここは景色が良いって聞いたから、弁当を食べにちょっとね」
「そうなのかー、俺も弁当食べてるところなんだ―」

良かった、彼の様子を見る限り、どうやら事はさほど深刻ではなさそうだ。
いや、爬虫類系の人は感情を余り表に出さないとか言うし、もう少し話を聞いたほうが良いかも?
彼女はそう思うと、今の状況を聞き出すべく、彼の座っている横に座り適当な話題を考え始める。

そう言えば、先ほどから彼が飲んでいる飲み物は何だろう?
見たところ、中身は紅茶よりも赤みが濃い澄んだ紅色だけれど、お茶にしては匂いもないのが気になる。
よし、まずはこの飲み物の事から話を始めて、そこから親友とは今、どうなってるのかを聞き出そう。

そう思い立った彼女は弁当を広げつつ、彼に言う

「所で、さっきから君が飲んでるそれ、何なのかな?」
「んー、これかー? これからの季節にとっても必要な飲み物なんだー。
これを飲むとな、身体がぽかぽか暖かくなるんだぞー」

ぽかぽか暖かくなる……ホットミルクみたいなものかな?
言われてみれば、この時期はそろそろ空気が寒くなるから、彼のような爬虫類の人は身体を温める物が必要なのね。
彼女がそう思っていると、彼はコップに飲料を注いで彼女に差出し、

「良かったら先生も一杯どうだー?」
「あら、良いの?」

一瞬、彼女は得体の知れない飲み物を飲む事に抵抗を感じたのだが、
ここで受け取らなければ彼の自分に対する心象が悪くなると考え、素直に受け取った。
59通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/20(月) 02:20:20 ID:Gp/c1rLQ
「ったく、昼飯を食べに行こうとしている人間に職員室まで台車を押させるなよな、サン先生は……
おかげで来るのがだいぶ遅れて……って、あれは……」

その最中、リザードマンの彼の親友が遅れて屋上へ到着する。
どうやら屋上へ向う最中、サン教師に呼び止められ、職員室まで台車押しをさせられていた様だ。
そして、屋上についた親友はベンチに並んで座っている彼と泊瀬谷教師の姿に気付く。

「ちょっと待て、あれってまさか……」

普通ならば『スクープ! 教師と生徒の禁じられた関係!?』だのくだらない勘違いする所だろうが、
あいにく、親友の目に止まったのは、彼女が手に持っている飲み物の入ったコップ。

「お、おい! それを飲むのはやめ――――」
「それじゃ、頂きます……」

慌てて止めに入ろうとするも、時すでに遅し。彼女はコップをグイとひと呷りしてしまった。
―――その途端、

ぴ っ し !

何かが砕ける音が響き、全身の毛をぶわっ、と逆立てて硬直する彼女。
その原因は明らかに彼女が飲んだ飲み物にあった。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 02:20:40 ID:DM1YjTiI
 
61通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/20(月) 02:20:52 ID:Gp/c1rLQ
「――――――――――」
「あれ? 先生? 如何したんだ―!?」

その原因が何か分からなかった彼は、白目むいて硬直する彼女をゆさゆさと揺らす
だが、よほど強烈なショックを受けたらしく、彼女に反応は無い。

「あ〜あ……遅かったか……」
「あ、お前さんかー、なあ、先生がドリンク飲んで固まっちゃったよー」

悲劇を止められず、落胆の声を漏らしながら来る親友にようやく彼が気付き、
今だ硬直しつづける彼女を揺さぶりながら声を上げる。

「……そりゃ当然だろ、
激辛唐辛子と多種の漢方薬とその他諸々を詰め込んで煮詰めた激マズエキスをまともに飲んだんだ。
小さい頃から慣れてるお前ならともかく、初めて飲む奴にとっては気絶する程の代物だぞ。
つか、小学生の頃にそれを飲んだ俺がその場でひっくり返ったのを、お前は憶えてないのか?」

彼女が飲んだ飲み物は、爬虫類系の獣人が冬の時期に飲む一種の漢方薬のような物で。
飲めば一日中体が温まる代わりに、その味はそれこそ慣れない人間が一口で気絶する凄まじい味の代物であった。

「うー、あの頃よりもう少し味が改善してると思ったんだー」
「改善、ねぇ……ジョロキア(世界一辛い唐辛子)とサルミアッキ(世界一不味いグミ)と青汁をミキサーで掻き混ぜ、
それを更に数倍に濃縮したような味だぞ? どう考えても改善のしようが無いと思うんだがな……」

何処か申し訳なさそうに後頭部の辺りをぽりぽりと掻く彼に、
何処か呆れるような感じに言いながら、親友は床に転がっているホットドリンク(?)の入った水筒を見やる。

「とりあえず、先生を保健室まで連れて行くぞ。このままにしちゃ行けないからな」
「えー? 俺が先生を運ぶのかー?」
「当然だ。先生に気絶するようなマズい物を飲ませたんだから、お前が責任とって先生を運ぶんだ」
「うー、わかったー」

親友に促されるまま、彼は仕方なしに気を失った彼女を担ぎ上げ、保健室へ向う。

「さて、この事を白先生に如何説明した物か……。
激マズドリンクを飲んで気絶しました、なんて言っても、信じてもらえそうにないからなぁ」

そして、保健室に向う彼を横目に、親友はこれからの事情の説明に頭を悩ませるのであった。


なお、この後。ショックを受けて気を失っただけだった為、泊瀬谷教師は程なく意識を取り戻した物の……

「……えっと、私は何で保健室で寝てるんだろ?
それに、暖房が効いている訳でもないのになんだか身体がぽかぽかと暖かい……なんでだろう?」

どうやらドリンクの余りのマズさの所為か、彼女は気を失う前後の記憶を完全に失っていたのだった。

――――――――――――――――了―――――――――――――――――
62通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/20(月) 02:24:08 ID:Gp/c1rLQ
……よくよく考えてみれば、
ホットドリンクはにが虫とトウガラシを調合して作る以上、味は凄く不味いだろうなーとか、

泊瀬谷先生には悪い事をした、反省している。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 02:26:03 ID:jro+0Dcw
あれを思い出した。ニコニコ動画のハイポーション作ってみたって奴

まあ薬品に味を期待しちゃダメだよね
このドッキリに他の先生方ならどんな反応するか、少し気になったり
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 03:18:47 ID:o4s6I+9z
>>53
ひょっとしてチョメチョメ広場ってとこ
6510/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/20(月) 09:20:32 ID:QyZM+7K4
>>54
な、なんて綺麗な豚さんなんだ

>>62
ちょwwそれだけまずいのに臭いはまったくないっていうのが逆に怖いなw
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 11:38:14 ID:zDG9Hm2K
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 21:53:57 ID:IMRPMWch
>>66
サルミアッキ…ジョロキア…青汁
味はもう見た目ではっきり再現されてていいなぁw


―チラシの裏―
ケモノ学校シリーズ編集してたら結構な量になってきたので、
絵、漫画、SSで分けてみました
前の方がよさそうなら戻しておきますが…
6810/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/20(月) 21:57:16 ID:QyZM+7K4
>>66
先生!?
そ、その体勢で倒れたらスカートが酷いことにー

という感想が最初に浮かんだ俺は変態だと思いました、まる
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 23:52:45 ID:eveKdEwJ
うおお…ちょっと留守の間に次スレ建ってるわSSに出させて貰ってるわ
漫画描いて貰ってるわでちびりそうだった。ありがたや。
そしてwiki編集乙です!

http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00216.jpg
とりあえず生活指導もそれなりに伏線ぽく。
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00218.jpg
だらしない姉としっかり者の弟。
7010/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/20(月) 23:58:22 ID:QyZM+7K4
>>69
漫画キター!
ちょっとせんせーい?その女の子は誰なのかな?かな?

あとタスク姉いいキャラしてるw
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 00:58:41 ID:pKus1gMC
>>69
おお姉さんめっちゃ可愛いです
圧力政治いいね
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 01:23:49 ID:GZo2m23S
>>69
姉ちゃん怖ぇw GJ!

―チラシの裏的な―
759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 00:53:37 ID:sO4x+G+4
まぁ別のろだでいいか
ttp://www.imgup.org/iup705935.jpg
ヒカル君。もっともふもふというかもさもさしてる方がらしかったか

どなたか、もしくは描いた絵師さん ↑の絵UPしてくれませんか…
絵無くてwiki編集出来ないorz
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 01:32:03 ID:GZo2m23S
すみません自己解決しました/(^o^)\よくよく前スレ探したらうpされてたよ!
スレ汚し失礼しましたっ
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 06:38:44 ID:TZ+PfqmZ
>>57
いつもSSを書いてもらっている気がする…ありがとうございます!
ホットドリンクってこんなに酷い飲み物だったのかw
この2人コンビ大好きすぎるんですが、お名前ってあるんでしょうか?

>>69
帆崎先生に新展開キタ! これは続きが気になるなw
ギャルとタスクは姉弟だったのかー。
タスク姉が怖すぎるww
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 13:06:44 ID:Fu2uouxs
自分の中のイメージは、前スレ789が初出のリザードが
前スレ802「リザードマンたけし」のイメージなんだけど、
爬虫類SSとはまたキャラが違うのかしらん
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 15:53:05 ID:GZo2m23S
絵もSSも作れない俺に出来ることはwikiを編集するくらいしかできねぇ…


とりあえずモンハン好きのリザードマンと
リザードマンたけしは別人って感じで編集しましたが
もし違ったら何なりと言ってください。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 15:58:06 ID:O5tOXuJY
wikiメンテ乙です。
すみませんが、「メイドな体育教師さん」は実は
「ロリータファッションの体育教師さん」にしてもらえますか?
判りにくい画ですみませんです。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 16:26:19 ID:GZo2m23S
>>77
直しておきました!

よくよく見たら確かにメイドじゃなくてゴスロリでした
今度からはもうちょっと落ち着いて編集しますorz

他にも、これ名前違うとかこれはこうじゃない?とかあったら
絵師さん、SS職人さん、スレの皆さん、何なりとどうぞ
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 16:33:20 ID:uCQYg7G7
>>78
じゃあまずメイド服になってもらおうか。

じゃなく、編集おつかれ。とても見やすいよー。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:04:53 ID:ZBXvy9hf
SSを書いてみたので投下します。SS書くの初めてなので至らぬ点もあると思いますが、
よろしくお願いします。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:05:41 ID:ZBXvy9hf
「おーい。眠兎ー帰ろうぜー」
授業も終わり、挨拶も済んで皆が帰りはじめる放課後。机の中に入っていた教材や、休憩時間などに
読んでいた推理小説をを鞄に詰めて立ち上がったと同時に、俺は名前を呼ばれた。俺の名前は柊 眠
兎。種族は狼だが狼の獣人であるというのに兎という漢字が入っているから、小さいころはそのこと
でからかわれ続けてきた。故に今でもこの名前は好きじゃない。

「ああ、今行く。」

好きではないと言っても、生まれた時に決められたものだから仕方がない。少し不機嫌になりながら
も、俺の名前を呼んだ男のもとへ急ぐ。鞄の重さでよろけそうになったが、どうにか体勢を立て直し、
焦らず、なるべく早く歩き始めた。

「遅かったな。いつもの所に寄って帰るぞ。」
「分かった。」

放課後になると俺の名前を呼び、一緒に帰ろうと誘ってくれる彼の名は駿河 流虎。名前の中に虎と
いう漢字があり、その漢字の通り虎の獣人である。
性格は明るくて元気が取り柄のやつだ。悪く言えば、能天気で楽観的とも言うが。流虎とは小さい頃
からの友達であり、家も近いので学校の帰りはいつも一緒に帰っている。
帰り道の途中には駄菓子屋があり、学校の帰りにはその駄菓子屋に寄って帰るのが二人の日課になっていて、
流虎の言った、いつもの所とはその駄菓子屋のことである。
(今日はどんなお菓子を買おうかな・・・)
俺はそんな事を考えながら歩き始めた。チョコレート、飴玉、キャラメル、スナック菓子・・・食べ
たいお菓子のことを考えながら歩くと、ふとあることに気が付いた。
(来年は受験生だから、こうやって駄菓子屋に寄るのもあと少しかもしれないな・・・)
今の俺たちは高校2年生。来年は受験戦争の中にいるのだ。流虎と一緒に遊ぶ時間も長くはない。今
ある時間を大切にしなければ。

「眠兎。何ボケーッとしてるんだ?もう駄菓子屋に着いたぞ」

流虎の声でハッとした。考え事をしている間に駄菓子屋に着いていた。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:06:26 ID:ZBXvy9hf
「えーっと、おばちゃん、これ下さい。」

駄菓子屋に着いた後、どのお菓子を買おうか迷ったが、最終的にはチョコレート菓子、チューインガム、ラムネ、綿菓子に決めた。
今日は甘いものが食べたい気分なのだ。俺たちはこの店のの常連客なので、この駄菓子屋を経営しているおばちゃんとも仲がよい。
俺が勘定を済ませた少し後に流虎も買うものを決め、勘定を済ませていた。
駄菓子屋を出た後、俺たちはいつものように近くの公園のベンチに座りながらお互いにお菓子を食べ始めた。
俺は読みかけの推理小説があったので、本を捲りながら菓子を食べることにする。その後訪れた長い沈黙。その沈黙に耐えられな
くなったのか、流虎が口を開いた。

「お前本当に推理小説が好きだなぁ・・・だけど食べながら本を読むのは行儀悪いぞ。」

・・・確かにそうだ。続きは気になるが、このまま読み続けるのは流虎に失礼だと思って本を閉じた。
続きは帰ってから読むとしよう。

「でも、お前って本当に頭が切れるなぁ。いつだったかな・・・学校で起こった事件の犯人を暴いた
こととかあったよな。将来探偵とかになれるんじゃないか?」

・・学校で起こった事件か。事件といっても殺人事件とかそんな本格的な物ではない。女子の鞄を盗
んだ犯人を探し出したり、教材費などを横領した犯人を暴いたりしたぐらいだ。目撃証言や、残され
た証拠を照らし合わせれば自然と真実は暴かれるものである。

「・・・そうだ!眠兎。ちょっと知恵試ししてみないか?」
「・・・知恵試し?」

流虎が何かを閃いたかのようにそう言った。あまりに突然の事だったので驚いたが、彼の言う知恵試
しというのも気になる。何故突然そんな事を言い出したのかという疑問があったが、好奇心が勝ったので、
その話に乗ることにする。

「で、どんな知恵試しをするつもりだ?」
「俺のこのコーラを使った、ちょっとした問題だ。知ってるやつは知ってると思うが、知らないやつには難しいとかもしれん。推理
問題というより科学の問題だと思えばいい。」
「・・・?まあいい、さっさと始めるぞ。」
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:07:28 ID:ZBXvy9hf
空は赤く染まり始めている。あまり遅くなっても困るので早く始めるように促す。

「ルールは簡単だ。このコーラの中身を外に出せばいい。ただし、この容器に触れたり、倒したりするのは駄目だ。容器を動かさず
に、中身だけを外に出すんだ。」

流虎は、コーラの蓋を開けながら問題を提示した。微かな炭酸の音と匂いがする。。

容器に触らず、中身だけを外に出す。・・・蓋をしたままの炭酸飲料を振った後に蓋を開けると中身が飛び出すが、このコーラの蓋
は開けてある。それに、『触ってはいけない』という条件を満たしていない。倒したりするのもアウトなら、容器を動かすのも駄目
という事になる。石を中に入れてこぼすとか・・・蓋が小さいので小石しか入らない。これでは溢れさせることはできないだろう。
・・・ストローなどで吸い上げるとか・・・?生憎、そのような道具は持っていない。ん・・?道具・・?

「・・・道具は使用してもいいのか?」
「ああ。というか、道具を使わないと不可能だと思うぜ。」

道具を使わないと不可能。この問題の重要なピースの一つだ。他に重要なポイントを考えてみるとする。コーラは炭酸飲料だ。詳し
い原材料は、製造会社が味を盗まれないように非表示にしているらしいが、予想はつく。砂糖、コーンシロップ、炭酸水、カフェイ
ン・・・他にもあるだろうが大体はこんなものだろう。そして、蓋を開ける際に流虎が発した、『科学の問題』だと思えばいいとい
う言葉から察するに、炭酸水が重要なものかもしれない。そして、道具を使わないと不可能ということは、今俺が持っているもので
この問題は解けるという事になる。今俺の持っているものは、学校で使った教材、鞄、手元に置いてある推理小説、財布、先刻駄菓
子屋で購入した菓子・・・学校で使った教材は教科書ぐらいしかない。恐らく、これは役に立たないだろう。鞄でペットボトルを吹
き飛ばす訳にもいかないから鞄も駄目だろう。推理小説も教科書と同じで除外。財布の中身は・・・数枚の紙幣と小銭が入っている。
・・・紙幣を使うということは無いだろう。小銭は・・・何か使い道はあるだろうか。思い浮かばないのでとりあえず保留。そうな
ると後、残された物は駄菓子という事になる。何か飲み物を買っていれば、それを足して溢れさせる事もできたかもしれんが、手元
にないのでその方法では駄目だ。駄菓子屋で買ったお菓子・・・チョコレート、チューインガム、ラムネ、綿菓子・・・うーむ・・・

「早くしろよ。でないと炭酸が完全に抜けちまうだろ」
「分かってるよ。・・・ん?」

炭酸が抜けてしまう・・・やはり炭酸が重要なのか。ただの飲み物、大雑把に言えば水として考えてはいけないのだろう。炭酸は二
酸化炭素が水に溶けたもの。他にある炭酸の種類は、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸ナトリウム・・・他にもあるのだろうけどこれぐらいしか思い浮かばない。・・・科学的な考えでいくと・・・化学変化を起こ
せばいいのかもしれない。だが、化学変化なんてそう簡単に起こらない。そうすると、何かの気体を含んだものとか・・・気体を含
んだり化学変化を起こすような物なんて・・・
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:09:31 ID:ZBXvy9hf
(・・・いや、その考えでいくと・・・一つだけ・・・ある!)

駄菓子屋の袋から目当てのものを物色し、取り出す。

「投げ込むぞ」

そして、その中身を少しだけコーラの中に投げ入れた。コーラの中身は勢いよく噴出し、公園のベンチを濡らす。

「まさか、駄菓子屋で買ったラムネが必要になるとは思わなかったよ。」

つまり、こういう事だ。炭酸飲料には水分中に含み切れないほどの二酸化炭素が含まれていて炭酸飲料はその含み切れない二酸化炭
素を無理やり封じ込めているので、ちょっとした刺激で簡単に、溶け込んでいた二酸化炭素が泡となり膨張する。炭酸のジュースを
振った直後に中身が飛び出してくるのは、振ったことで膨張した二酸化炭素の泡が外に出ようとするためだ。ラムネ菓子は小さな粒
々が集まってできたものだ。その粒の間には小さな空気のかたまりがたくさん入っており、炭酸飲料にラムネを入れると、ラムネが
溶けることで、たくさんの空気のかたまりが水中にあふれ出してしまうわけだ。膨張した気体の泡をたくさん生み出し、それによっ
てペットボトル内の体積が膨張して、中身を噴出してしまうわけだ。ラムネの中に含まれている重曹は炭酸水素ナトリウム。炭酸水
はH2CO3で表し、ラムネ(重曹)をNaHCO3とする。噴出したときに出てくる気体は二酸化炭素なので、H2CO3とNaHCO3から二酸化炭素
を二つを取る。そうすれば2つ二酸化炭素が出てきて残りはH2OとNaOHが出来る。恐らくこのような化学変化が起きたのだろう。断言
はできないし、間違っているかもしれないが。

「お見事。・・・推理の問題では無いかもしれないが、楽しかったか?」

いや、推理とは、いくつかの情報、事実からある結論を導き出す事だ。この問題は『触ってはいけない』という事と、『動かしては
いけない』という条件が、謎を生み出した。そして、流虎の言葉から大切なキーワードを引き出す。そのキーワードからさらに情報
を絞ったりする。・・・恐らく流虎は炭酸にラムネを入れたら噴出すという事だけ知ってたんだろうが、知らない俺は、難しく考え
ざるを得なかった。知ってる人はラムネを入れておしまいだろうが、俺にとっては十分、推理の問題だった。

「結構、おもしろかったかな。」

「それはよかった。おっと、もうこんな時間か。早く帰ろうぜ。」

もうすぐ日が落ちるだろう。宿題もまだ終わらせていないし、推理小説の続きも気になる。推理小説を今日中に読み終えたいが、間
違いなく徹夜になる。寝坊したらクラスの女子委員長からこっ酷く叱られるかもしれないな・・・まあ、学校に行くときも流虎と一
緒だ。遅刻するなら二人一緒だから一人だけで叱られるという事はないだろう。

願わくば、明日も幸せな日であるように。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:11:59 ID:ZBXvy9hf
ここでおしまいです。推理物を書こうと思っていたら、何だかよく分からない感じになってしまいました・・・
次また書く機会があったら、今度こそ推理物を書いてみたいと思います。ここまで読んでくれた人、ありがとうございました
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:23:07 ID:O5tOXuJY
>>78
ありがとうございます、お手数をおかけしました。

>>80-85
答えは「フリスク」かと思いました(笑) 虎と狼で、これは又女の子が
近寄りにくそうな二人組ですね。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 17:34:30 ID:tBTwO6tI
眠兎の声が某高校生探偵で再生されましたw
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 19:24:18 ID:n4AOET05
狼&虎獣人が駄菓子屋さんに寄るシチュに萌えた。
8910/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/21(火) 20:12:05 ID:2ioGBzoa
フリスク&コーラは本気でヤバイらしいな
同時に飲んで口からコーラ噴出して食道裂傷で病院行きになった人がいるとか
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 20:38:19 ID:yYsimL1j
>>89
中国だかどっかの国で、コーラとフリスクを同時に飲みまくると
どうなるか?と遊び半分で友人達とガブ飲みした女性が
数分後にゲップを何度も何度も繰り返し、その直後倒れ救急へ。
しかし無事だったという記事を思い出したw
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 22:12:19 ID:uLFHkmPF
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 23:04:41 ID:9LrkEFPH
ちょっw
超イケメンwww
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 23:15:54 ID:d3y77NV1
あたま鷲掴みになんかワロタwww
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 23:39:56 ID:GZo2m23S
>>81-84
GJです、聡明な狼もまたいいですね

>>91
二人ともイケメンすぎて溜息…



―チラシの裏的な―
前スレに投下されてた作品は全てwikiにUP、編集出来ました!
やっつけ仕事なので、管理人さんや編集出来る方は変なとこガンガン直しちゃってください


なんだか疲れちゃった…サン先生、僕なんだか眠いんだ…
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 23:48:46 ID:pKus1gMC
>>95
GJ! ゆっくりお休み・・・・しかしサン先生は渡さねー
いのりんの腹と猛のトゲトゲ鱗のサンドイッチで我慢しな
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 00:07:15 ID:eRifnycd
虎と狼というからてっきり校内ベスト3に入る恐ろしい人ランキング上位
みたいな感じになっちゃったぜ…
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00223.jpg

>>94
お疲れ様!寝たら死ぬぞ!寝たら上から体育教師の竹刀が
すっ飛んでくるぞ!
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 00:10:51 ID:D3qWBVKu
人相だけはやたら悪い前虎後狼を地で行く人々だとばかり
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 00:11:40 ID:mJeEVNzh
>>94
おつかれサマー!

算数先生「寝るの?寝るの?もう寝るの?」
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00224.jpg

>>96
こわいこわいこわい(笑)
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 00:14:25 ID:K5kQ5JOC
>>96
ちょww こえぇwww
これは強盗と間違われて通報されてしまっても仕方が無いレベル


あとwikiで小説読み返してて気付いたが、
前スレで出て「この世に不思議な事なんて」実は二次創作だったのな
姑獲鳥の夏を読み始めたばかりで、えらくタイムリーだった
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 00:19:03 ID:J2tc4sth
細かいことだが、メントス+コーラじゃなかったっけ?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 01:15:21 ID:tkZmRykS
>>100
メントス+ダイエットコーラでFA
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 18:25:54 ID:qYAzxuTw
>>98
こわいこわいこわい(笑)
10310/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/22(水) 18:28:21 ID:AcjlZDSz
この世に不思議な事なんて、と聞いて
丁度黒のSSとレスがつながってたもんで、つながった1つの話かと誤解したことを思い出した
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 22:12:27 ID:JrqxFm8s
>>96
何処の組の方ですか?

>>98
所々体がヒリヒリすると思ったら貴方の仕業か…


―チラシの裏的な―
ケモノ学校シリーズが増え、ページの上下移動が多くなりそうなので、
更に細分化しました、合わせて総合の方のケモノ学校も同じ様に。
扱いにくい、目的の作品まで行くのが手間、と感じたら
即座に編集orレスをお願いします。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 23:29:19 ID:mJeEVNzh
>>100,101
何故かメカニズムを誤解しておりました。なるほどメントスでしたか。

>>104
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00228.jpg
wikiが凄い勢いで整備されていきます。乙です。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 23:32:34 ID:K5kQ5JOC
>>105
その絵を見てると乳を?げが脳内でエンドレス再生されてくる
うおおおおお揉ませろぉおおお
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 23:51:27 ID:JrqxFm8s
>>105
おっぱい!おっぱい!おp(ry
でも巨乳より貧乳の方がもっと好きです


―チラシの裏的な―
wikiは、なんというか勢いに任せてやってたので、
思いもよらないミスがあるやもしれない…
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:16:26 ID:EPv4cPXp
>>105
乙! 俺は巨乳が大好きだ! ついでに言うと大女と気の強い女も大好きだ
この牛さん最高すぎる


なんか、結構昔に書いたのをHDDから発掘したので投下
ケモノ学園設定でギャルゲーやりたいです。というかそのギャルゲーの主人公になりたいです
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:17:18 ID:EPv4cPXp
――ジリリリリリリリリリ!!
「うぅ……」

 目覚まし時計の鐘の音が部屋の中に響く。俺は重たいまぶたを開けて、音の方を見た。
 二段ベッドの下の段に寝ている俺の目線から、少し上に位置する、妹の勉強机の上にそれは置いてあった。
 枕元に置かないのは、朝の弱い兄貴に対して、「近くに置いていると消してから二度にしちゃう」と言う妹の配慮である。
 しかし、甘いぞ妹よ。こっちはただでさえ中間テストを終えたばかりだと言うのに、連日繰り返される部活動により、疲れはピークだ。
 ベッドから気だるそうに起きると、机の上の目覚まし時計をリセットし、またベッドに横になり頭から毛布を被る。
 今はまだ6時になったばかり、土曜日の朝くらいは昼まで朝寝坊させてくれ。
 俺は目をつぶると、また目眩(めくるめ)く惰眠の世界へ向かっていく。
 この眠りかけてるけど、まだ完全には眠っていないときの、妙にふわふわした感覚は好きだ。
 この感覚を楽しんでいると、いつの間にか眠っている。
 おそらく次に起きるのは昼ごろだろう。起きたら何をしようか。やはりテレビゲームかな。
 このまえ雅人に借りたゲームがまだやり掛け――ッ!?

「ぐへっ……!」

 胸の上に着地する衝撃、突如舞い降りたそれに混乱しながら、俺は重いまぶたを開いてその相手を見つめる。
 俺を見下ろすくりくりした瞳、楽しそうにパタパタ揺れる尻尾、昨日の朝も同じ衝撃を受けた覚えがある。

「お兄ちゃん、私が二度寝なんてさせないからね!」
「うっ、……舞……?」

 ほとんど眠りかけていた頭も体も、無理矢理に覚醒させられた。
 目から星が出るかと思うような衝撃に、錯乱した俺の瞳を、胸の上に乗っかった我が妹が覗き込んでいる。
 女の子らしいお洒落なパジャマを着て、くりくりした目と、灰と白の混ざった滑らかな毛皮、それにピンと立った耳。
 狼と言うと粗暴なイメージもあるが、まだ14歳の女の子なんだから可愛らしい外見だ。
 兄の贔屓目かも知れないが、大きくなればかなりの美人へ成長するだろう。

「つぅ〜……。不意打ちで飛び乗るのはやめてくれって言ってるだろ?」
「お兄ちゃんが寝坊をやめたら、私もしないって約束したよ。
もうお姉ちゃんが朝ごはん作り始めてるし、起きようよ」
「はぁ……。分かったからどいてくれよ。起きれないから」

 やってられない、と首を振ってジェスチャーしつつ溜息を吐くと、俺は舞に言った。
 血の繋がらない妹が胸の上に乗っかって、朝起こしてくれるというのも、連日に渡って体験するとそんなに良いものじゃない。
 一部の人間ならお金払ってでもやりたいシチュエーションだろうが、こっちはほとんど毎日こうやって起こされているのだから、堪らないよ。
 舞は少し名残惜しそうにしながらも、俺の上からどいてベッドの脇にどいてくれた。
 ようやく上半身を起こすと、頬に毛皮の引っ付けられる感触が走る。
 慌てて隣を見ると、舞がしたり顔でこちらを見ながら言った。

「フフ、寝ぼすけさんにおはようのキスだよ」
「舞、もう14なんだから少しくらいは慎みとかさ、……いつも言ってるだろ?」
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:18:04 ID:EPv4cPXp
 舞は満面の笑みを浮かべて言った。「お兄ちゃんだからいいの。さ、早く行こう」さすがにこれは耳が熱くなる。誰がこんなませガキに育てたのか。
 まあ、娘二人と夫を捨てて蒸発した、舞の血縁上の母親が悪いのだろう。
 貴女のせいで後の義兄である、俺が苦労していますよ。舞の兄であることは嬉しいけど、貴女の蒸発がもう少し遅ければ、ここまで恥じらいの無い娘に育たなかった筈ですよ。
 とまあ、顔を知りもしない相手に脳内で文句をたれてみる訳だが、もっと現実的な問題に目を向けにゃならん。
 俺は軽く咳払いをすると、照れを誤魔化すため、眠気を覚まそうとしている振りをして、自分の両頬をビンタした。
 こっちは舞のように、兄妹だからと簡単に割り切れる頭を持っていない。ナイーブで繊細なガラスの少年なんだよ。
 親の再婚で一緒に住むようになってから、すでに3年経ち、お兄ちゃんと呼ばれるのにも慣れたが、親密すぎるスキンシップは未だに慣れていないのだ。
 シャイな俺に出来る最大限の愛情表現、キスのお返しに頭を撫でてやると、舞は嬉しそうにまた尻尾を振った。
 彼女に手を引かれるままベッドから抜け出し、部屋のドアを開けて廊下へ出る。
 振り返ると、広くも無い部屋に置かれた二つの勉強机と、古びた二段ベッドが見える。俺と舞は一つの部屋を共用していた。
 この家に住む未成年で、自分の部屋を持っているのは、姉の美希奈ともう一人、五ヶ月になる弟の満だけだ。
 だが、満の部屋は両親がはしゃいで買ったベビー用品に埋め尽くされて、実質は使われていない。
 姉はと言うと、現在19歳の大学生で、「一人部屋がないとやってられない」と親に直訴して、今の部屋を手に入れた。
 俺だって同じことはしたさ。だが、舞が俺と一緒の部屋がいいなんて言い出すもんだから、全てが台無しに終わった。
 懐かれるのは一向に構わないが、健全な男子高校生に一人部屋を与えないとは、安心してアダルトサイトにアクセスすることすら出来ない。
 なんという生殺し状態だろうか。
 他にも三つの部屋があるのだが、両親の寝室と義父の書斎で使用され、残った一つの部屋に俺と舞がいる訳だ。
 家族になる前に姉さんと舞で使っていたと言う二段ベッドも、今は俺と舞のものになっている。
 これから先、なんとか自室を得る方法は無いかと夢想しながら、何となく舞に視線を向ける。
 おでこの毛皮についた寝癖を、必死で撫で付けているところだ。
 ロリ属性を持っているつもりは無いが、仮にも妹でなければ、一緒の部屋で眠るなんて緊張してしまうな。

「舞、今朝の朝ごはんはなんだった?」
「えと……、お姉ちゃんが目玉焼きを作ってたと思うよ」

 階段を下りて一階のダイニングへ向かいながら問いかけると、舞は可愛らしく首をかしげて考え込み、答える。
 鼻を鳴らして匂いを嗅いでみると、確かにそれっぽい匂いがあたりに漂っていた。
 料理は一日交代で俺と姉さんがこなし、今日は姉さんが当番の日だ。また、洗い物や掃除は舞も入れてのローテーション。
 俺らの両親は、長らく一人で家を支えていたため、家事を子供に任せっきりで働いていた。
 そのせいで、再婚し金銭的にも精神的にもゆとりが出来た今でも、それ以前から続く悪癖が抜けきらないのだ。
 多分今頃も満と一緒に眠っているのだろう。俺は大きな欠伸をしながら、そんなことを考えた。
 舞に手を引かれるうちにリビングへ到着し、テーブルについてテレビの電源を入れる。
 朝のニュース番組の音だけを聞きながら、キッチンで料理をしている途中の姉へ振り向いて声をかけた。

「おはよう、姉さん」
「ああ、おはよ。もう少しでトースト焼けるから、顔洗ってきて」

 オーブントースターの前に立って、中の様子を覗いていた姉さんだが、こちらから話しかけるとすぐに振り向いて返す。
 舞と同じく父の連れ子で、雪のように真っ白な毛皮の狼だ。
 標準以上に出るところも出てるし、姉御肌で面倒見のいい性格も好感の持てる、自慢の姉だ。
 ……これは断じて、弟としての贔屓目などではなく、客観的な意見のつもりだ。

「うん。今行ってくる」
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:18:58 ID:EPv4cPXp
 返事をしながら、姉さんの投げてよこしたタオルを右手でキャッチし、洗面所へと向かう。
 舞はさっさとテーブルについており、朝のニュース番組で星座占いコーナーを見ているところだった。
 後で俺の順位を教えてくれるように頼んでおく。
 昨日見たときは俺が12位で、舞が6位で姉さんが3位。別に占いを信じている訳じゃないが、結果は何となく気になる。
 朝っぱらが「今日はあなたが一位です」ってとこから始まったら、気分がいいじゃないか。
 納得のいかない結果ならば「占いなんて誰が信じるの?」でスルーすればいい。
 所詮、『当たるも八卦、当たらぬも八卦』だ。都合の良い結果だけ信じることにしている。
 洗面所に着くと、タオルを首にかけ、水道の蛇口をひねってお湯を出す。
 そろそろ水で顔を洗うのはきつくなってきた。
 まず手を洗ったあと、泡立てた石鹸で顔を洗い、お湯を何度も被って洗い流す。

「ふぅー。スッキリしたな……」

 さっきまでの眠気も、今ので粗方はとれた。
 鏡に写る自分の顔をまじまじと見ると、顔を洗う前の気だるそうな表情と違い、爽やかな表情が浮かんでいる。
 タオルで顔を丹念に拭くと、洗濯機の中にそれを投げ込んで再度ダイニングへ向かった。
 着いてみると、丁度朝ごはんが出来たところのようで、舞と姉さんが二人で食器を並べているところだった。

「僕も何か手伝おうか?」

 甲斐甲斐しく動いている二人を見て、自分だけ何もしないのも気分が悪く、そう聞いてみたが、二人は首を横に振った。
 晩御飯を俺一人で用意してくれ、と言う魂胆を、相手の目の前にも関わらず笑いながら話している。
 女性と言うのは妙なところで強かなものだ。犠牲となる男性のことを、少しでいいから気にしてくれないものか。
 軽く溜息をつきながら、自分がいつも座っている席に腰掛けた。
 今朝のメニューは、一人トースト2枚とハムエッグが一個ずつ。いつも通りの献立だ。

「舞、ついでにマヨネーズと醤油とってくれる?」
「うん。ちょっと待ってて」

 冷蔵庫の中から牛乳を取り出していた舞に、その二つを持ってくるように頼む。
 世の中には目玉焼きを塩コショウで食べたり、ただの醤油で食べたり、そのまま食べたりする人たちがいる。
 現に舞はただの醤油派だし、姉さんに至ってはケチャップだ。目玉焼きにケチャップって、一体なんだよ。
 どれここれも、俺に言わせればそれら全てが邪道だ。
 目玉焼きと最も合う調味料、それは醤油マヨネーズに他ならない。
 醤油とマヨネーズの織り成す絶妙なハーモニーは、目玉焼きのみならず、餃子、焼肉、スルメなど、様々な食材へ応用も利く。
 炒め物の時だって、醤油マヨネーズは美味しい料理を作るために欠かせない。
 三人全員がテーブルに着いたことを確認すると、「いただきます」と手を合わせて言い、早速舞から受け取った二つの調味料を使用した。
 目玉焼きの黄身の部分にマヨネーズをかけ、その上に醤油を垂らし、それをフォークで黄身ごとかき混ぜ、白身の上に塗りたくるようにする。

「あんたよくそんな食べ方するわよねぇ……」
「気にしなくてもいいよ。これが俺の食べ方なんだから」
「お兄ちゃん、そんな事より私にもお醤油ちょーだい」
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:19:37 ID:EPv4cPXp
 姉に引かれた挙句、妹に「そんな事」呼ばわりされる食べ方だが、俺にとってはこれ以外考えられない。
 醤油を舞に渡すと、バターを縫ったトーストの上に目玉焼きを乗せ、もう一方のトーストにはジャムを塗りたくる。
 目玉焼きをトーストに乗せると言う食べ方にまで反論する相手は、さすがにいないだろう。
 もっとも、パン派かごはん派かと言うので、もめる可能性も残されているが。
 そんな不毛な空想にふけりつつ、トーストを口へ運んでいると、ふと妹の食事姿が目に映る。
 やんちゃ盛りな舞らしく、アグレッシブかつワイルドな食べ方だ。……早い話が、がっついている。
 まあ、いっつも見ている光景なんだけど。
 イヌ科の口と言うのは、食べ溢しが結構多くなりやすくて、今も舞がパン屑を落としている。
 姉さんや父さんは同じ口の形で上品に食事をするが、舞はそこら辺に無頓着だ。

「舞ー。そんな食べ方してると毛皮が汚れるぞ。服と違って取替えが聞かないんだから気をつけろよ」
「ホントね。舞、ガサツなままだと行き遅れるるわよ?」

 おわっ、そこで姉さんがに合いの手を入れるのか。これは予想外だ。でもって舞の性格では逆効果なの分かって言ってるだろ。
 案の定、二人がかりで注意された舞は、腕を組んでぷいっとそっぽを向いた。
 姉妹で外見は似ているところもあるが、姉さんと舞とでは中身がちっとも似ていない。
 いや、少し頑固で自分の非を認めたがらないなど、根っこの部分では似ているところもあるが。
 舞は姉さんへの反論を考えているようで、食事を中断してうんうんと唸っている。

「いーもん。いざとなったらお兄ちゃんが滑り止めだから」
「滑り止めって……」

 手に持っていたトーストを思わず落としそうになる。
 反論する部分はそこかとか、兄を滑り止め呼ばわりするなとか、そもそも戸籍上は兄弟だとか、突っ込みどころ満載だ。
 どうせ冗談なんだろうけど、おいそれとそういうことを言われては困る。
 抗議の視線を舞へ向けるが持ち前の天然な明るさをフル活用し、俺の視線には気づかないまま、ジャムトーストを美味しそうに頬張っていた。
 困ったような顔をしながら姉さんに目配せすると、こちらは何か分かってくれたようで、コクりと頷くと、舞に話しかける。

「悪いけど、康太は私が行き遅れた時の滑り止めにしようと思ってるから、いざって時に役に立たないかも知れないわよ」
「そんな事ないよー。お兄ちゃんだって三十路ぐらいになれば、年下の体の方が魅力的に移るだろうし」
「いつまでも20代の体形を維持する自信のある私には、関係の無い話ね」
「そんなの自信だけじゃんかー」

 さて、こうして姉妹の不毛な言い争いが勃発したわけなんだけど、姉さんは何が分かって俺に頷いたのだろうか、俺の視線にラブコールが混ざっていたつもりは無いよ。
 え、もしかして話をこじらせて俺を困らせたかったとか? 勘弁してください。
 そもそも俺にだって自由に恋愛する権利があるでしょうに。滑り止めだなんて物言い、本気で傷ついちゃうよ俺。
 この手のことは関わらないのが一番と、体験で知っている俺は、女同士の陰湿な言い合いをBGMに、黙々と朝食を平らげる作業へ移る。
 周りを見ないようにして食事に集中すると、随分と早く終わるものだ。うん。やっぱり目玉焼きは醤油マヨネーズ以外考えられない。
 食事を終えると、自分の食器を持って立ち上がり、流しへと運び、シャワーを浴びるために風呂場へと歩き出した。

「姉さん。俺のジャージ洗濯終わってる?」
「ええ。お風呂場のタンスの上から2段目に入ってるわ」
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:19:48 ID:c3MdGqeQ
シェン
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:21:14 ID:EPv4cPXp
 歩き去っていく俺の背中に、「私が畳んだんだよー」という舞の言葉が投げかけられる。
 畳んでもらってすぐ広げちゃうのも悪いけど、それはほぼ毎日容赦なく行われる部活動のせいだよ。
 言われたとおりに風呂場のすぐ近くにあるタンスから、タオルとジャージを取り出し、服を脱ぐとシャワーを浴びに入っていく。
 そろそろシャワーだけでは寒い季節だ。部活から帰ったら、熱いお風呂にゆっくりと浸かろう。
 そう心に誓いながら、手早くシャワーを終えて、出口のすぐ横に置いていた着替えを手に取る。
 下着のほか、学校指定の体操服とジャージだ。シャワーの熱が体から逃げないうちに、大急ぎで着替えた。
 着替えを終えた俺は、湿った髪にドライヤーをかける時間も惜しく、まだダイニングへと足早に向かう。
 そこでは、姉さんが俺の出納にお茶を注いでくれているところだった。

「ありがと、姉さん」
「気にしないでいいわよ。それよりお昼は家で食べる?」
「んー。今日は伊織さんとラーメン屋行くことになってる。学割で安くなんの」

 舞は俺に向かって「それってデート? うわーラブラブー」などと言ってくるが、断じてそんなものじゃない。
 伊織さんに手を出そうとしたって、俺じゃ返り討ちにされて川に流されるのがオチだ。
 舞には「伊織さんに同じことは言わないで。俺が殺されるから」と返し、姉さんから出納を受け取る。
 テレビ画面の左上に表示された、現在の時刻を見ると、6時43分となっている。十分すぎるほどの余裕だ。今日はこちらから迎えに行ける程である。
 しかし、いつも迎えに来てもらってる手前、こちからから向かうのは何処か気恥ずかしく感じる。
 俺は受け取った出納と、着替え、タオル、サイフ、携帯電話などを学生鞄にしまい、椅子に腰掛けてニュース番組に意識を向けた。
 ここら辺の決断が、俺がヘタレたる所以だ。
 そのまま10分ほどニュースを見ていると、玄関のチャイムが鳴った。

「お兄ちゃん、伊織さんが来たよ」
「分かってるよ。じゃ、行って来ます」

 舞と姉さんに挨拶をしながら立ち上がると、鞄を持って玄関へ歩いていく。
 玄関に無造作に脱ぎ捨てられている、お気に入りのスニーカーを履き、ドアを開けた。
 そこには俺と同じジャージを着た、タカの女性が立っている。
 その女性は少しイライラした様子で俺の額にデコピンすると、開口一番にこう言った。

「遅い。たるんでるぞ康太」
「伊織さんがせっかち過ぎるんですよ」

 こっちだって準備をして待っていたんだから、理不尽な非難だ。これでも一応迅速に行動したつもりだというのに。
 しかし、伊織さんは俺の弁明など聞く気も無いらしく、「さっさと行くぞ」と俺を急かす。
 正直なところ、休日を返上してまで行われる部活などやめてしまいたいのだが、それを出来ない理由がこの伊織さんだ。
 彼女の鋭い目つきと荒っぽい言動にかかれば、ヘタレの俺など服従せざるを得ない。
 更にはお隣さんなので、毎日家まで俺を迎えに来て、ジョギング登校を強要することも容易いし、毎日顔を合わせる手前、退部などすれば『気まずいってレベルじゃねーぞ』というやつだ。
 伊織さんに続いて走り出しながら、彼女から見えないように溜息を吐く。
 俺は別に大会で成績を残したいとか、そんなことはこれっぽっちも思っていない。
 ただ伊織さんに勧められたという理由で、彼女と同じ陸上部に入った訳だが、それによって、彼女に燃える鬼コーチのスイッチが入ってしまったのは、まったく予想外のことだった。
 彼女にすれば俺をレギュラーにするのが、自分が試合で勝つことと同じくらい大切なことの様で、こうしてスパルタンぶりを発揮してくれている。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:21:58 ID:EPv4cPXp
「康太、ペース上げるぞ」
「勘弁してくださいって」
「男ならしゃんとしろ。私に出来てお前に出来ないはずが無い」

 少しだけ走るスピードが上がる。そろそろ息切れをしてきた。しかし、このジョギングも苦しいことばかりではない。
 俺は伊織さんの左斜め後ろを走っているが、その俺の視線にある、二の腕の後ろに垣間見える彼女の胸は、走りに合わせてリズミカルに揺れていた。
 きっつい性格をした彼女だが、外見ならかなりのものを持っている。
 本人は運動の邪魔だと言って嫌がっている、豊かな両胸も、彼女の指示の下で厳しい運動を続ける俺にとっては、数少ない癒しなのだ。
 俺の部活に対する僅かな意欲の9割を占めるのが、この胸だと言っても過言ではない。
 美人の先輩の乳揺れを拝んで鼻の下を伸ばすのは、健全な高校男児の正しい姿ではないか。
 このリビドーの力があるからこそ、俺は伊織さんを追いかけて走ることができるのだ。
 男相手じゃこんなに根気良く走るなんて芸当、できるはずもない。伊織さんが女で心の底から良かった。
 しかし、そろそろ本気でヘタってきた。
 少し慣れてくると、伊織さんはすぐにペースを上げ、俺に余裕と言うものを実感させてくれない。
 荒い息で学校近くの坂道に辿り着き、その上り坂を見上げ項垂れている俺に、彼女が声をかける。

「踏ん張れ。昼飯のラーメンは私の奢りだ」
「ハァ…ハァ…、ど……、どーせ、一番安いやつなんでしょ……ッ」
「ご馳走してもらう側が文句を言うな」
「さーせん」

 そこから学校までは早かった。ぜぇぜぇ言いながら肩で息をしている俺とは対照的に、伊織さんは少し息が乱れている程度だ。
 やはり根っからの体育会系である彼女を相手に、運動なんて面倒臭いとのたまう今どきの若者が敵う筈が無かろう。
 そもそも、小学校時代は運動系のクラブ活動をした覚えが無いし、中学に至っては三年間帰宅部だった。
 そんな俺が高校に入学した途端、いきなり部活動に引きずり込まれてしまったのだから、期待するのが酷だろう。
 しかし伊織さんが言うには、まだ見込みはあるらしい。この調子で頑張れば、来年の県大会で記録が残せるかもしれないそうだ。
 まあ、来年は俺を部活に留めている唯一での理由である、伊織さんが卒業してしまうのだが。
 そうこう思考をめぐらせているうちに、俺達は校門をくぐり、学校の敷地内へ入っていく。
 グラウンドを横切って、東校舎にある部室へと走った。思ったとおり、今日も一番乗りは俺と伊織さんだ。
 鞄から携帯を取り出して時間を確かめると、まだ8時前だ。
 他の部員が登校してくるのは大体9時過ぎぐらいから。一時間近く部室で伊織さんと二人きりと言うわけだ。
 だが俺の期待するようなことはありえない。1時間みっちりと、面白味の無いほど健全かつ倒れそうなほど濃厚な部活動をするハメになるだけだ。
 溜息混じりに自分のロッカーを開け、鞄を押し込んでいると、それみたことか伊織さんに声を掛けられる。

「康太、少し休憩したらハードル走の準備を始めるぞ。倉庫の鍵を開けて来い」
「はいはい。今日も今日とてあなたにパシられてます」

 ここで嫌味を言ってしまう俺を責めないで欲しい。これも不本意な事象に対して俺が行う、ささやかな抵抗なのだ。
 所詮俺は何処にでもいる少し気弱な高校生。怖い先輩に逆らうなんて出来ないんだよ。
 しかし、俺が言葉を切ると同時に、背筋に冷やりとした感覚が走る。
 彼女を見据えていた訳ではないが、伊織さんの瞳が猛禽類特有のギラリとした光を放った気がした。
 そのまま数秒間が流れるのだから、背中に冷や汗が溜まってしまう。

「嫌なら別にいいんだ。私が行って来るからお前は休んでおけ」
「い、いえ。僕が行きますよ。先輩の頼みを断るはずないじゃないっすか」

 俺が答えるより先に、伊織さんが倉庫の鍵を投げてよこす。俺は部室を出て隣接する倉庫へと歩いていく。
 いつも思っているのだが、無言の圧力と言うのが上手い人だ。
 将来は学校の教師なんか向いていると思う。生徒が逆らえないから学級崩壊なんて起こりようが無いだろう?
 俺は体育倉庫へ走った。不良生徒に購買ダッシュさせられるいじめられっ子のように。

ひとまず終
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 02:25:17 ID:EPv4cPXp
支援あざーっす
昔長編書こうと思って結局一話で力尽きた作品だけど、そのうち続きを投下できたらと思ってます
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 03:29:58 ID:94lqKBNa
GJ!
たべこぼす妹かわいいなぁ
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 07:39:23 ID:3C8DLZue
誰かキャルゲー作って!この設定でキャルゲー作って! 姉を落とすから!
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 11:09:16 ID:QsoehYU5
あー、帰ったら妹を描きたい。康太は前髪で目が隠れるのかなぁ…?

登場人物はこれで良いのかしらん?

    父死┬─母─┬─父─┬失母
    人亡│ 人 │ 狼 │踪狼
    ??│ ? │ ? │ ?
      │   │   ├──┐
 伊鷹───康高  満弟  美姉 舞灰
 織娘   太校  人五  希白 妹狼
 先隣   陸生  ?月  奈狼 ロリ
 輩人   上人      巨乳 14
 17   部?      19
      16
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 17:52:34 ID:EPv4cPXp
>>119
おお、嬉しいっす!
康太はステレオタイプなギャルゲの主人公イメージなんで、
前髪が長く地味な顔立ちでヘタレで周囲に流されやすいのはデフォルトです

人間関係はそれでオッケーです
元父とか弟の種族とか、書いてる側があんまり深く考えていないところも多いですし
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 18:31:33 ID:94lqKBNa
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 21:40:49 ID:NmZeFcJE
あら、やっぱり同じ場面を描きますか>>121
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00229.jpg
12310/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/23(木) 22:05:00 ID:xB2ppYzt
胸の上にのって起こしてくれる血のつながらない妹…
うーん、これはギャルゲの定番だねぇ

ここはひとつ、食べこぼす妹ちゃん、もしくはエプロンな姉とかどうでしょう
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 22:09:50 ID:B+yHqI/y
照れ隠しで兄を蹴りまくる妹
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 22:12:56 ID:DmashBm4
今まででちょっと気になったんだけど、ただURLだけをぽんと置くだけじゃ
何の絵かわからないし、wiki編集してる人も解りにくいだろうから
せめて一言だけでも書いていっちゃどうだろう。
見てるこっちもわかりやすいし。
12610/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/23(木) 22:38:43 ID:bf5cb9Sh
いつも題名は適当につけちゃうけどね

>>123-124いいなw
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 00:03:09 ID:Ub4lWQ5P
>>121-122
ありがとうございます
おおおお。やっぱこれは漢の夢だなぁ。絵で見ると改めて康太になりてぇ
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 00:18:23 ID:cW7eC3DK
>>123-124
折角だけど俺は鷹の伊織先輩を選ぶぜ!


―チラシの裏的な―
絵師さん、SS職人さん、作品いつも喜んで見させて頂いてます。
私が編集した作品で、タイトルの無い作品はボキャブラリーの無い私の頭から捻って出した
しょうもない物ばっかり付けてますが、もし正しいタイトルがあったら
そちらをドンと提示してくだされば、すぐさま修正等をします。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 01:46:58 ID:I9H6LykR
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00233.jpg
おっぱいおっぱいおっぱいいい!
そういえばおっぱい先生は何て名前なんだろう。

http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00234.jpg
気張って描いたらサイズがばかでかくなってしまった…
こっちはオリジナルで極道目指そうとして玉砕。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 03:13:56 ID:RrHUImor
>>123
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00235.jpg
まだまだ描くとこ有りますね(笑)


予備知識無しでポンって開いて「あぁ、こうきたか」って納得してもらう、
ってのを狙ってるのでわざと今みたいな出し方にしてたりします。スレの
ライブ感みたいな…
 あと、つけてもらったタイトルってのも、面白いなーと思ってるので。
 『なるほど、そこが気に入りましたか』って感じで(笑)

>>129
相変わらず全力疾走(笑) 牛先生の名前、名字はまだ決めてないけど
名前は「花子」だろうなぁ。この名前とゴつ目の体格が一寸コンプレック
スで似あわないと思いつつロリータファッション、って感じかな?
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 19:50:39 ID:58Uv09y5
投下の勢い半端ねぇ
三行にまとめる

三人組内での役割分担が大体分かった。
妹可愛すぎ。口元に伸ばされた手は俺の手
あの面子に囲まれて顔色ひとつ変えない幼女は間違いなく極道
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 21:39:39 ID:RrHUImor
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 22:35:26 ID:Ub4lWQ5P
おおおおお! 絵がいっぱい
極道と姉さんがつぼったぜ。というか姉さんのアングルがエロ過ぎる
これはあらぬ妄想をしてしまわざる得ない
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 00:42:41 ID:UMZQzfnU
絵師さんGJ
そしてwiki整理の人もいつもいつもGJ
13510/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ:2008/10/25(土) 07:45:25 ID:E/BrrBYv
ああ、萌えすぎてもう死にそう
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 12:20:56 ID:sSebtDHZ
ケモナーってキモガリやデブオタばかりだよね・・・・。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 12:27:49 ID:KRuBMBRY
あぁ、俺も鷹の先輩にスパルタトレーニングされたいお
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:51:38 ID:47sQKo8B
やっぱり兄妹っていいですよね。何だかんだ言っても仲良いのが羨ましい。


前回、駄菓子屋の話を書いた者ですが、続きを書いたので投下します。あと、前回
イラストを描いてくれた方、お礼が遅くなってすみません。ありがとうございました!

では、少し長いですが投下します
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:52:23 ID:47sQKo8B
今日は朝からついていない。遅刻して委員長にこっ酷く叱られ、宿題を忘れて二倍の量の宿題を貰ったり、弁当を家に
忘れたり・・・これで済めばまだ良かったのだが

「覚悟は出来てるよね?眠兎君?」

「・・・はい」

突然行われる持ち物検査。それで慌てる人も多いだろう。そして、今日俺は不運な事に携帯電話を持っていた。
普段、持ってくることは無いのに・・・俺が携帯を持っていたかというと、学校の帰りに携帯を買い換えるつもりだったのだ。
番号はそのままで継続して利用する人にとっては、前の携帯が必要になる。何故こんな日に持ち物検査があるんだ・・・

「話は後でゆ〜っっくりと聞くから、帰らないようにね。もし帰ったら・・・」

委員長はニコッと笑顔を浮かべながらそう言った。・・含みのある笑顔を。ああ、これは帰るわけにはいかないか。
帰ったら俺の命が危ない。まあ、今日は金曜日だし遅くなってもかまわないか。

「はははっ。持ち物検査にひっかかるなんて災難だな。ま、委員長を怒らせないように気をつけろよ。あいつを怒らせたら・・」

その先は聞きたくない・・・あの暴力的な委員長を怒らせたら屋上から突き落とされたりしそうだ。

「待っててやるからさっさと済ませてこいよ。」

流虎の気持ちは有難いが、あの委員長が簡単に帰してくれるはずはない。来週はテストもあるし勉強する時間も必要だろう。先に
帰るように促し、没収されて携帯を取り戻すために生徒指導室に向かう。オマケに有難いお説教も付いてくるだろう。有難すぎて
涙が出そうだ。

「失礼します。・・と言っておいたほうがいいかな。堅物委員長さん」

「あら。それは喧嘩を売ってるのかしら?幼馴染の女の子に普通そんな事言う?」

そう、俺とこいつは一応幼馴染だ。・・・認めたくはないが。小学校は同じところに通っていたが、中学校でバラバラになり、高
校でまた同じになったという訳だ。こいつは気に入らないことがあるとすぐに猫パンチしてくるから注意が必要だ。小学生のとき
に猫パンチが鳩尾にクリティカルヒットした時は死ぬかと思った。猫の獣人だから猫パンチが得意なのか?まあそんな事はどうでもいいか。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:53:50 ID:47sQKo8B
「・・・携帯を持ってきたことは謝るよ。だけど、その堅物な頭をどうにかしないと彼氏ができないぞ?委員長・・・いや花音」

普段は委員長と呼ぶか、苗字で呼ぶのだが、二人きりの時は名前で呼ぶ。周りに誰かが居る状態で名前を呼ぶと冷やかされたりす
るからだ。間違ってもこんな奴とは付き合いたくはないが。

「忠告ありがとう。でも別に彼氏なんてほしくないよ。」

そろそろお説教が始まるかと思ったが、意外なことに携帯をすぐに返してくれた。

「来週はテスト期間だから早めに返すわね。ちゃんと勉強するように」

来週のテストのおかげで長い説教が回避できた。それでもお咎めなしというのは考えにくいが。不幸中の幸いというやつか?何は
ともあれ、携帯を取り戻すことができ、帰ることができる。

「それに、私、もうすぐ下校の音楽を鳴らさなきゃいけないの。だからお説教はまた今度ね。」

・・・いっそ忘れてくれると有難いのだが。流石に、説教を完全に回避することは出来ないか。

「下校の放送というと・・・あの帰るように促す放送だな。部活動が終わるまであと・・・30分ほどか。」

いつも学校が終われば俺は直帰するが部活動をしている生徒は多い。この高校の部活動は体育会系のものが多いため、俺は入らなか
ったが。運動は苦手という訳ではないが暑苦しいのは嫌いだ。

「早く教室に鍵を取りに行かないと。」

俺も教室に荷物を置いているから一旦戻らないといけない。生徒指導室と教室の距離は短いため、1分もかからずに教室に着いた。
荷物を持ち上げ、教室を出ようとしたとき、花音が俺を呼び止めた。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:54:39 ID:47sQKo8B
「眠兎君!放送室の鍵が見つからないんだけど、一緒に探してくれない?」

・・・面倒くさいから帰りたいんだが、ここで断るのも悪いか。一応了承して、鍵を探すのを手伝う。早く見つかればよいが。

「・・・鍵はどこに置いてたんだ?」
「生徒指導室に行く前は机の中にあったの!」

生徒指導室に行く前には鍵はあったというのなら、生徒指導室と教室との移動時間に往復二分程。生徒指導室に居た時間は3分ほど。
ちょっとした誤差はあるだろうが合わせて約5分前にはあったことになる。始末が悪かったのか?

「・・・見つからないな。」

教室の中を一通り見たが、鍵らしきものは存在しなかった。誰かが勝手に持っていったとか?放送室の鍵なんか持っていったって何
のメリットもないと思うが・・・嫌がらせのために持っていったとか?・・・もし誰かが持っていったというのなら委員長が鍵を持
っていることを知っている人間に限られる。誰かが持っていった可能性は限りなく低いと思うが・・・

「・・・やっばり無い・・おかしいなぁ・・・」

教室の中にも、鞄の中にも無いとなるとどこかに落としたとか・・・廊下を探してみるか。・・・ん?

「・・・これは・・何の音だ?」

ガリガリとした、何かの雑音のような音。その雑音が数秒続き、その後何かの音楽が流れ始めた。

「下校放送の・・・音楽?」

スピーカーから下校の際に流れる音楽が流れ始めた。・・・部活動が終わるまで30分近くあるのに流れ始めることはおかしい。それ
に、鍵を持っている者にしか放送室には入れないはずだ。つまり、誰かが花音の持っていた鍵を使って、放送室の中に入り、下校の
音楽を鳴らした。何故そんな意味のないことを?・・それよりも、花音の不機嫌オーラが怖い。花音が笑顔を浮かべるときは大抵裏
がある時だ。やばい、急いで帰らないと。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:55:30 ID:47sQKo8B
「眠兎君。一緒に放送室行こ?」
「いや、今から帰ろうと・・・」

次の瞬間、鈍い音がして地震のように教室内が揺れた。花音の拳が壁にめり込んでいる。

「行くよね?」
「は・・はいっ!」

あの拳を喰らったら多分死ぬだろうなぁ。これはもう猫パンチというレベルではない。削岩機と同じくらいの威力を持っていそうな
パンチをもらう訳にはいかない。渋々ではあるが放送室に駆け込む。

「・・・やっぱり誰かに鍵を取られたようね。鍵が開いてる。」

花音がそう言って放送室の扉を勢いよく蹴飛ばす。・・・扉が壊れたんだけどいいのか?放送室の中には誰も居なく、ただ下校の音
楽が吹き込まれているテープが回っているだけだ。一応電源は切っておくか。・・・というか今、花音が扉を蹴飛ばした音が放送さ
れたんじゃないか?いつもと違う時間に下校音楽が流れたことと、扉蹴飛ばされた音がしたとなると間違いなく教員の誰かが来るだ
ろう。案の定、どこからかバタバタと足音がしてきた。多分2、3人くらいは来るな。

「・・んで、どうする?」
「事情を説明するしかないでしょ。誰かに鍵を取られた挙句、下校の音楽を勝手に流された上に放送室の扉を壊されたって。」

・・・何か罪状一つ増えてませんか?鍵を取った誰かさん、ご愁傷様です。もし鍵を取った犯人を見つけたら俺が庇わないといけな
いのかなぁ・・・・・・そんな事より、鍵を取った奴は何がしたかったのか考えることにしよう。教員への事情説明は花音に任せるか。

花音から鍵を取り、放送室に入り30分前に下校の音楽を鳴らす。悪戯目的にしては、中途半端すぎるな。
・・・いつもとは違う時間に下校の音楽を流すと、生徒たちは混乱するだろう。混乱、と言っても数分すれば何かの間違いだったと
気づき収まるだろうが。そうなると・・・花音をおびき寄せるためか?だが、こんな事すれば教師たちも様子を見にくるので、その可
能性は薄い。それに、壁に拳を叩きつけたり、放送室の扉を壊すほど蹴飛ばす奴をおびき寄せて何の意味があると言うのか。誰かが恨
みを持っていてリンチ目的でおびき寄せたとしても返り討ちにされるだろうしな。それに回りくど過ぎる。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:56:42 ID:47sQKo8B
教師に事情を説明する花音を横目に見ながらさらに考えたが、これだけの情報で犯人の目的を知るのは難しい。まあ、そんなに大層な
目的とは思えないし、ここで帰っても問題ないだろう。・・・と思ったが、どうやらそうはいかないらしい。

「・・・何の音!?」

放送室から大分離れたところから、ガラスが割れたような音がした。野球の球でも当たったか?だが、音がしたのは運動場の方ではな
く、中庭の方。中庭で活動する部活動は多分、無い。多分、また職員室から別の教師が駆けつけるんだろうなぁ・・・ご苦労様。
ん・・・?騒ぎが起きると、教師が駆けつける。現に今、放送室にも教師が2人来た。そして、音のしたほうにも駆け寄るだろう。

「眠兎君!私たちも行ってみよう!」
「・・・ごめん花音。ちょっと、確かめたい事があるから先に行っててくれないか?」

音のしたほうに花音は向かおうとしたが、それを俺はやんわりと断った。

「もしかして何か分かったの?」
「いや、何も。だが、少し気になる事があってな。後で行くから先に行っといてくれ」

花音は、頷き音のした方へ向かった。怪我人が居なければ良いが。

「さて、行くか。」

放送室の扉を閉め・・・ようとしたが壊れていて閉まらない。パンチどころかキックも殺人級だなんて・・・今度から寝坊するのはよ
そう。本当に怖くなってきた・・・花音たちが向かった方向とは違う方向に俺は歩き始めた。向かった先は・・・職員室。

「・・・まさか本当に読みがあたるとは思わなかったよ」

職員室内には教師が一人も居ない。部活動の時間なので教師は元々少なかった。そして、二件も騒ぎが起き、教師は騒ぎの方に向かい、
職員室は手薄になる。いつもなら最低一人は職員室に残すのだろうが、ガラスの割れた音がしたならそうはいかない。怪我人が出てい
るかもしれないからだ。放送室に来た教師は二人。部活動の時間帯に職員室に残っていた教師は大体三人くらいだっただろう。犯人の
目的は、職員室にあったという訳だ。放送室の件と、ガラスの件はどちらとも職員室とは離れていた。半分は勘でこの職員室に来たが、
どうやら当たっていたらしい。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:57:44 ID:47sQKo8B
「君は何をしてるのかな?大体予想はつくけど。」

職員室内には、同じクラスの生徒が居た。同じクラスの生徒とはいえ、名前を覚えていなかったから『君』と呼ぶしかなかったが。そ
の生徒は、職員室の引き出しの中を物色していた。手には数枚のプリント。

「こ・・これは・・その・・・」

相手は慌てている。まあ、クラスメイトに職員室を物色してるのを見られたのだから当然か。相手は随分気が弱そうだ。確か、クラス
の中であまり目立たないが、優しい人だったはず。こんな事するような人には思えない。

「・・・見逃してあげるから、そのプリントを元の場所に戻せ。すぐにここから出るぞ。」
「え・・・?ど・・どうして?」

騒ぎになるのは好きではないし、放送室の件や、ガラスを割ったのは恐らくこの生徒ではないだろう。時間的に難しい。恐らく複数犯。

「君の持っているものは、来週のテストの回答用紙だろ?その様子だと、誰かに脅されでもしたか?」
「!?」

・・・この様子だと当たりだろう。来週テストがあるという事を考えると、彼の持っているプリントは来週のテストの回答だと予想で
きる。金目の物も無いだろうし、他に盗るべきものもないからな。そして、多分この生徒は脅されている。目立つところに傷があり、
痛そうだ。種族はおそらく蜥蜴人なんだろうが、蜥蜴人特有の硬い鱗がここまで傷ついてるとなると相当痛めつけられてのだろう。

「・・話は後だ。急がないと誰か戻ってくるぞ。叱られたくなかったら急げ。」
「う・・うん」

・・・花音には何て説明するか。一応謝る必要もあるし、説明しなければならないだろう。この蜥蜴人の男子から首謀者の名前を聞く
ことができれば後は花音が何とかするだろう。多分鉄拳制裁が下るが。まあ、人を脅して動かせ、自分は安全な所でその動向を見てい
る輩はぶっ飛ばされても文句は言えないだろう。・・・いかん、花音に感化されてきたかも。俺らしくない。
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:58:40 ID:47sQKo8B
「えっと・・君・・・ごめん、俺、名前覚えるの苦手だから名前知らないんだ。教えてくれるか?」
「う・・うん」

この蜥蜴人の男子は、高杉 時雨と名乗った。・・・そう言われればそんな名前の奴がクラスに居た様な気もする。体格はガッシリし
ていて、見かけだけで判断するのは失礼だが力強そうだ。正直、苛められるようなタイプには見えないのだが・・・まあ人は見かけに
よらないのだろう。

「ごめんね。眠兎君。・・俺、ある人に脅されてテストの回答を盗って来いって言われたんだ。盗ってこないと酷い目にあわせるって
言われて・・・」

・・・悪者の常套句だな。まあ、高杉君にも非はあるが、脅されれば誰だって言う事を聞いてしまうだろう。・・・あれ?何故か花音
が壁を殴ったシーンが思い浮かんだぞ。ははは・・・

「とりあえず、花音・・・じゃなくて委員長にも事情を説明してくれないか?放送室の鍵を取られて怒り狂ってるからさ。俺もできる
かぎりフォローするからさ。」
「う、うん。脅されたとはいえ、委員長には悪い事をしたから謝らなくちゃ・・・」

素直だ。あの花音に謝るとは相当勇気がいるはずだ。・・・まあ、いきなり放送室のドアみたいに蹴飛ばしてくる事はないから大丈夫
だろう。・・・多分・・・多分。そうだと思いたい。

「あ、眠兎君お帰り。放送室の鍵見つかったよ。・・あれ?時雨君も一緒なの?」

放送室に戻ると、花音が椅子に座っていた。聞けば、放送室の鍵は廊下の途中に投げ捨てられていたらしい。・・・普通人目に付くよ
うな場所に捨てるとは思えないが、運が良かった。花音から話を聞いた後、俺たちは事情を説明し、気が付けば下校の時間を過ぎてい
た。早く下校しなければいけないが、この場合は仕方ないだろう。話を聞き終わると、花音は別に驚きも、怒りもしなかった。意外だ。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 17:59:22 ID:47sQKo8B
「うーん。まあ、悪い事をしたと認めて、反省したのなら私は何も言わないよ。だけど、今度困ったときは誰かに相談する事。そこに
いる眠兎君とか優しいから相談に乗ってくれるはずだよ。勿論私でもいいよ」

おお、まさか花音が俺の事を優しいと思っていたなんて。うれしい様な恥ずかしいような。

「俺で良ければいつでも相談に乗るよ。・・・少し頼りないかもしれないけど。あと、高杉君を脅した奴には俺たちが何とかしておく
から心配しないでいいよ。」

・・・我ながら自分らしくないセリフだと思う。だが、腹が立っているのも事実だ。本当は行動的とはいえない俺だがこうなったら殴
りこみでもなんでもしてやる。・・・やっぱ花音に感化されてきたような気がする。まあいいか。

「あ・・ありがとう。でも、君たちにそんな迷惑かけるわけには・・・」
「大丈夫。私たちもやりたいようにやるだけだから。さて、今からでもお説教しに行こうかな。私に恥をかかせた罪、何倍にもして返
してあげるから。」

花音さん、その笑顔が逆に怖いよ。でも、無敵の花音さんが味方だと心強い。

「でも、多分奴らももう帰ってるだろうし、お説教は来週だな。」
「残念。じゃあ、休みの間にどんなお説教をしようかじっくり考えておくね。」

お説教で済んだら良いが・・・壊れたドアを横目に見ながらそう考える。・・・何も考えないようにしよう。死にはしないはずだ。多分。
そういえば、花音は教師たちに放送室の件をどうやって説明したのだろう。花音の話を簡単に信じたのかな・・・?・・・まさか力ずくで・・・

「眠兎君?今物凄く失礼な事考えてなかった?」
「い・・いえ。何も考えてません。」

・・・こいつは心を読めるのか?タイミングが良すぎて心臓止まるかと思ったじゃないか。さて、荷物を取りにもう一度教室に戻るかな。
今日は色々あってドッと疲れた。携帯を買い換えるのは今度にしよう。どうせそんなに使わないし。

「それじゃ眠兎君、テスト勉強と宿題頑張ってね。」

花音がそう言い残し、放送室をでた。・・ああそうだった。宿題忘れたから二倍の量が出たんだっけ。・・・早く帰ろう。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 18:00:20 ID:47sQKo8B
大分遅くなったので、教室に鍵がかけられない内に急いで教室に戻った。ああ、本当に疲れたなぁ。荷物を持ち、教室を出ようとした時、
高杉君に呼び止められた。

「待って!・・・どうして俺を助けてくれたの?職員室で会ったとき、誰かに言いつければこんな面倒な事にはならなかったのに・・・」

「・・・俺は面倒な事だとは思ってない。目の前で困ってる奴を放っておくだなんて事したらずっと後悔するだろうしな。あと・・・」

そう言いながら俺は柱の影ををチラリと見た。やはり居たか。

「花音。盗み聞きは感心しないな。」
「あら。バレちゃったか。」

柱の影から出てきたのは、荷物を大量に持った花音。昔からこいつは気配を消すのがうまかった。

「盗み聞きするつもりは無かったんだけどね。ほんとに偶然だから。」
「そういうことにしといてやるよ。」

軽く笑い、泣きそうな顔で立っている男の方を向き、俺は言った。

「高杉。俺たちはただの厄介事に首を突っ込みたがる迷惑な奴らだ。だけど、一度厄介事に首を突っ込んだら、厄介事を解決するまで首
を突っ込み続ける。お前が嫌だといっても、解決するまで首を突っ込むから覚悟しろよ。」

「まあ、私たちが勝手にすることだから、気にしないでいいってことよ。」

教室を出て、窓から外を見る。日はもう沈みかけてる。急いで帰っても暗くなるだろう。

「それじゃ、難しい話はなしにして早く帰ろう。気をつけて帰れよ。」

「あ・・ありがとう!俺も・・・もっと強くなる。奴らに負けないぐらいに・・・」

・・・これで良い。どんな形であれ、強くなろうという意思さえあれば人はどこまでも強くなれる。・・・花音は元々強いけどな。とい
うか放送室の扉壊したままでいいのか?・・・考えるのはよそう。今日は悪いことが続いた挙句、花音のおかげで色々な厄介事に巻き込
まれた。決して幸せとはいえない日だったが、良い事はあった。意外と行動的な自分を知ったことと、誰かを救えることができた。
・・・来週は忙しくなるな。でも、楽しみでもある。厄介事がどのような解決をするかが・・・な。
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 19:15:30 ID:47sQKo8B
10回以上コメントしたら規制されるということをすっかり忘れてました・・・
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 19:20:37 ID:0zR0ilqo
支援
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 19:22:23 ID:1Z1MSGWf
>>148
超乙
バイさる規制鬱陶しいですよね
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 19:24:02 ID:47sQKo8B
長くなりましたが、まさかあとがきを書くときに規制されるとは思いませんでした。

推理物を書こうとしたはずなのに何故か推理っぽいものがあまりないという罠。
後半は急いで書いたので説明が不足してたり誤字があったり荒削りな部分があるかもしれません。

ここまで読んでくれた人、ありがとうございました
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 20:29:14 ID:qW5VKTnt
楽しく読ませていただきました。GJ
推理物を短い中で完結させるのは大変ですね。
花音さんは「ネコ獣人」なんですかね?『ネコパンチ』ってあったから…。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 20:49:22 ID:I5gmBbGn
>>115
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00245.jpg
とりひとの頭身上げると難しい…

>>151
乙です。ふむふむ、どんどん広がっていきますねぇ。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 21:15:38 ID:/ZZvQdO7
>>142
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00247.jpg
少年雑誌のようなザラザラ感を出そうとした結果
ひぐらしのようなものに…
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 21:19:13 ID:I5gmBbGn
>>154
こわいこわいこわい(笑)
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 22:34:23 ID:UMZQzfnU
花音ちゃんかぁいいよぉ。お持ち帰りしてぇー

>>153
ぼ、ボイン・・・飛んで・・・・跳ねて・・・
こいつは確かに必死で付いて行かざるを得ない

>>154
ちょ、怖すぎるwww逆らえねーよww
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 23:04:43 ID:t2x/pQnC
>>139-147
SS投下お疲れ様です。
メインの二人じゃなくて時雨君にキュンとしちまった…

>>153
伊織先輩やっとktkr
鳥独特のもふもふ感がタマランわぁ

>>154
パンチ・キックLVは40以上なんですね分かります。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 16:02:15 ID:xUDzpj6t
159通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:29:00 ID:vRLMGkCh
なんだかこのスレを1日一度は見に来ている俺が通りますよ……

何時もの二人にもう一人加えた話を投下します。
今回は親友目線の一人称、そして更に彼らの名前も判明します。
………というか、今まで名前なんて考えて無かっただけなんだけどな(汗

かなり長いので支援をお願い致します。
160通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:31:04 ID:vRLMGkCh
「ったく、もう三十分も遅刻だ……」

秋晴れも何処か心地よい休日の、昼ご飯にはちょっと早い時間帯。
人の往来の激しい駅前の忠犬すかりょん像の前で、俺、御堂 卓(みどう すぐる)は時計を見やり独り言を漏らした。
にしても、大体忠犬にすかりょんって名前は如何なんだ、とか心の中でくだらないツッコミをするのは、これで三度目だ。

「何時もだったらアイツ、約束の時間前には来ててもおかしくない筈なのに……ひょっとして何かあったのか……?」

先ほどまで俺の横でボーっと待っていた犬の少年が、彼女であろう猫の少女と連れ立っていくのを横目に、
俺は約束の時間になっても未だに来ない親友の身を案じ、再度。呟きを漏らす。

一応言っておくが、単にすれ違い、だとか、見つけてない、とか言う事はないだろう。
何せ、俺の親友ってのは一目見ただけでも一生忘れられない様な姿をしており、
おまけにガタイも結構デカイので、例え人ごみに紛れたとしてもすぐに判別出来る筈だ。
しかも、リザードマンのアイツの顔と尻尾はモンハンのリオレウスそっくりなのだからな。

ああ、そうだ、俺の親友であるアイツの名前は竜崎 利里(りゅうざき りざと)
名は体を表すとか国語の梟の先公が良く言っていたが、この利里ほどその言葉に当て嵌まる存在は校内ではないだろう。
俺と奴との関係は小学生の入学式の時、利里の尻尾を俺がうっかり踏んづけた時から始まっている。
恐い外見に比べて明るくて人懐っこい性格と言う凄いギャップを持つ利里に、俺はなんだか惹かれる物を感じ
そして同時に、その時から既に周囲から見た目的な意味で恐がられていた自分へ、
臆せず話し掛けて来た俺に利里は感動を覚え。その場で友達になろうと二人で誓ったのである。

そして以来、小学生の頃は周囲から悪ガキトリオと呼ばれていた位に常に一緒で居る位の仲となっている。
……っと、二人組なのにトリオっておかしいんじゃないか? と突っ込む奴も居るんじゃないかと思うが、
実の所、俺と利里以外にもう一人居たりするのだが……

閑話休題

それにしても、意外と律儀な性格である利里が、ここまで遅刻するのはかなり珍しい事である。
何せアイツは親友との約束は何が何でも守るのが信条なのだ。
この前、別の用事で待ち合わせした時は、約束の時間の三時間前に来ていた位だ。
そんなアイツにも関わらず、今回の遅刻である。しかも遅れるとの連絡も無しである。
これは何かあったと考えるしかないだろ。
161通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:32:36 ID:vRLMGkCh

「ひょっとしたらアイツ、むかってる最中になんかの事故に巻き込まれたんじゃないだろうな?
ああ見えて利里の奴、ボーっとしている所があるからなぁ……って、ん?」

更に十分経ち、俺のアイツへの心配が不安に移り変わり始める矢先、
晴れていた天気が不意に曇った時の様に、俺の立っている辺りの地面が急に陰り、更に突風が吹き始める。
その急な変化に、俺は思わず雨でも降るのか?と空を見上げると……

「やっほー、卓く―ん」
「って、何かと思えば朱美、お前か……」

大きく広げた翼を羽ばたかせ、頭のポニーテールをなびかせながら
狐に似た顔立ちをしたオオコウモリの少女が俺の前に降り立った。

突然、空から登場したこいつの名前は飛澤 朱美(とびさわ あけみ) 俺とアイツと同じクラスの同級生で、
そしてこいつもまた、俺と利里とは小学生の頃からの仲であり。更に言えば悪ガキトリオ最後の一人だったりする。
天真爛漫、好奇心旺盛、天然気質を地で行き、思いついた事は即実行する困った性格で、
その場のノリでバカをやっては、俺と利里を巻き添えにして先公に叱られるを繰り返していたのを思い出す。

俺達と朱美との馴れ初めは、ある日突然、朱美が友達になろうと言い出した時からで、
朱美本人いわく、二人の掛け合いがなんだか面白そうだったから友達になってみた。との事である。

「なんだか暇そうだねー。誰かと待ち合わせかな?」
「まあ、その通りだな。俺は只今利里と待ち合わせ中……かれこれ四十分近く待たされてるけどな」

翼膜のある手を振りながら明るいノリで話しかける彼女に、俺はどこか疲れた調子で応える。
彼女は「ふ―ん、そっか―」とうんうんと頷くと

「言っておくけど、利里君は今日来れないみたいだよ?」
「は? どう言う事だ? 来れないみたいって」

いきなり朱美が言い放った思わぬ言葉に、
俺が思わず疑問の声を投げかけると、彼女はパタパタと片方の翼手を振りながら、

「それがね、利里君が言うには脱皮が始まったから暫くは動けないんだって。で、あたしが何でそれを知ってるかと言うと、
たまたま利里君の家に遊びに行ったらね、その事を卓君に伝えてくれって利里君から頼まれちゃってねー?」
「なるほど……脱皮をしている最中じゃ電話をする事も出来ないだろうし、連絡が無いのも当然か」
「そうそう、『行けなくてゴメンなー』と卓君へ伝えて、とも言ってたよ。利里君」

言われてみれば、昨日からアイツ、やたらと身体を壁に擦りつけたりしてたみたいだからな……
そろそろ脱皮の時期じゃないかな、とは思ってはいたが……何も今日始まらなくたって良いじゃないか……。
つか、それを最初から言ってくれよ、朱美。

「所でさー、卓君は利里君とは何をやるつもりだったの? ……ひょっとして、男二人で禁断のBLを育むつもりだった?」
「お前の言う禁断のBLについては断じて違うと言わせてもらう」

一応言っておくが、朱美の言うBLについてはググッて調べようとは思うなよ?
多分、色々な意味で後悔する。
162通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:34:25 ID:vRLMGkCh
「言っておくけど、俺と利里が何の待ち合わせをしてたかと言うと、
この駅前に携帯ゲーム喫茶ってのがオープンしたってのテレビで知ってな。
其処で今日、その喫茶店へ一緒に見に行ってみようって話になって居たんだよ。アイツもモンハンにハマってるしな。
……だが、脱皮が始まった様じゃ、今日中は無理っぽいな」
「ありゃりゃ……そう言えば、利里君、すっごく残念そうだったもんねー」

多分、今頃は利里の奴、剥がれ始めた皮を剥ぎ取りながら残念がってるんだろうな。
アイツ、携帯ゲーム喫茶に行くのを本当に楽しみにしてたんだし。
……にしても、1時間ほど前に脱皮が始まったとしても昼過ぎには終われる筈なのだが……?
まあ、アイツにはアイツなりの事情ってものがあるのだろう。

「まあ、そう言う訳じゃ仕方ない……とっとと帰るとするかな」
「へ? 卓君、帰っちゃうの? 何で?」
「いや、何でって……」

仕方なしに帰ろうとした所で朱美に不思議そうに聞かれ、俺は言葉を詰まらせる。
そんな俺に対し、朱美はピンと耳を立て、まるで名案を言う様に俺に提案をする

「せっかくここで会ったんだしさ、デートでもしようよ。ね?」
「デートってな……おいおい……」

行き成り過ぎる提案に、俺は思わず呆れ混じりに呟きを漏らす。
恋人でもあるまいに……デートって言うか、普通?

「言っとくけど、俺はそんなに金ねーぞ? せいぜい二千円程位しかないし……」
「だいじょーぶじょぶじょぶ。実は言うとあたし、学校終わった後はピザの配達のバイトしててお金持ちなんでーす!
だから、あたしが全部奢ってあげるからデートに行きましょう! ほら、レッツGO!」

と、俺の手を取って強引に誘う朱美。
(ちなみに、彼女の翼の手には、ちゃんと物を掴む為の親指人差し指中指に該当する部分があったりする)
当然の事、俺はなんだかんだと断ろうとするのだが……

「いや、それは余計に……」
「さあ、君は何処に行く? 映画館? それとも遊園地? 何だったら両方?」
「……映画館で良いです……」

結局は朱美の強引さに負け、かくて、俺は素直に朱美とのデートごっこに付き合わされる事となった。
すまん、利里。なんだかお前を裏切ったような気がするんだ、俺。
163通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:35:21 ID:vRLMGkCh
                             *  *  *

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!』
『プッツーン☆ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!』

「そこだー、やっつけろー!」
「…………」
「ほら、卓君も応援するのよ! いっけー! 頑張れー、ジョータロー!」
「……ガンバレー……ハハ……」

俺は、今、何をやってるんだろうか……?
無理やり誘われるがまま、映画館で見る気も無いアニメ映画を見ている。
そして隣には翼手をばたつかせて喧しいくらいにノリノリになってる朱美。
さっきから俺に向けて注いでくる周囲の人達からの明らかに迷惑そうな視線がひたすらに痛い。
多分、周りの人は俺達のことを迷惑なバカップルだとか思ってるんだろうな……ハァ……。

「すっごく面白かったねー! 卓君?」
「ああ、そうだな……おもしろかったなー(棒読み)」

俺にとって苦行に近い映画鑑賞がようやく終わり、
精も根も尽き果てた気分で映画館を出た俺は、未だに興奮冷め遣らぬといった調子の朱美に力なく応える。
こいつはガキの頃からこうなんだよな……言ってしまえば、パワーの続く限り周囲を振り回し続けるムロフシャーって所か。
そして先にスタミナが尽きるのは当然、振り回されているこちらの方だ。ま、唯一、利里の奴だけは平気なんだけど。
そんな疲れた気分な俺の手を、朱美はグイと引っ張ると、

「んじゃ、次は近日オープンした湊通りのスイーツショップへGOGO!」
「まだ行くのかよ……?」
「そーよ? 一日はまだ長いんだからここでへばっちゃ駄目駄目ってね? 卓君?
さぁ、美味しいスイーツがあたし達を待っているー!」

この時、最早、俺は朱美へ反論する気力なんぞ残ってはおらず。
朱美に手を引かれるがまま、駅前にある湊通りへ向かう市電の電停へと向かうのであった。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 18:35:37 ID:I04VWbE1
支援
165通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:37:40 ID:vRLMGkCh
プォーン……ガタンゴトン…ギギギィィィ……

草臥れた警笛を鳴らし、重厚なジョイント音を響かせながらやってきたリベット打ちの角張った路面電車が
やや耳障りなブレーキ音を立てて電停へ停車する。
やがてプシューと言うエアーの音が聞こえた後、間を置いてドアがどっこいせという感じな動きで開き、

『駅前〜、駅前〜、終点です。 この電車は折り返し、古浜海岸行きとなります。
長らくのご乗車、まことに有難うございました。駅前、終点でございます』

車掌のアナウンスと共に、車中に満載されていた乗客達が一つの流れとなって電停へ降り立ち、方々へと散り、
その入れ替わりとなって市電を待っていた羊やら鹿やら狼やらの人々が市電へと乗り込んで行く。

「おおっ、ラッキ! これ、20型じゃない!」
「……? 20型? 確かにこの市電には22って書いてあるけど……それが如何した?」

停車している市電を見るなり目を輝かせて歓喜の声を上げる朱美に、
彼女が如何して喜んでいるのかも分からなかった俺は思わず首を傾げる。
そんな俺に、朱美はやれやれと言った感じに説明をはじめる。

「あのね、この20型はこの市電では一番古い形式で、60年以上も昔に作られた車両なの。
車内は木造のニス塗り、そして室内灯は今では殆ど見られなくなった白熱灯! とムードたっぷりな電車なんだけど、
もう今では後2両しか残ってないのよ? とにかく、この電車はすっごく貴重なの!
で、元々はこの電車は完全な木造だったんだけど、後の改造で外装だけを鋼板で覆って―――」
「ああ、熱の込み入った説明している所悪いんだが……話している間に席が埋まっちまうんじゃ……?」
「―――これが半鋼……ってうげ、そうだった!?」

俺の何気ない言葉に、マニアックな説明をしていた朱美はようやく我を取り戻したらしく、
やや席が埋まり始めた車内をはっと見やり、俺の手をむんずと掴むと、

「ほら、座る席が無くなっちゃう前に卓君も急ぐわよ!」
「はいはい……そう急かすなっての……」

やや慌てた調子の彼女に手を引かれながら、俺は市電に乗り込む。
そのニスの匂いが僅かに漂う車内は、全面にニスが塗られた深みのある『木の色』をしており、
車内をほんのりと照らす白熱灯が、その車内の風情をより深めていた。
ちょうど二つ分開いていた赤いモケットの座席に座りながら、俺は車内を見た感想を漏らす。

「へぇ……確かに風情のある車内だな。 お前が喜ぶのも分かる様な気がする」
「でしょでしょ? やっぱり今の無機質なリノリウム張りとは比べ物にならない雰囲気の良さがあるのよね、この電車。
私はこれに乗る為に、わざわざ空を飛ばずに市電を利用して学校に通ってるのよ。
……まあ、たった2両しか走ってないから、これに乗れるのは1週間に一度位なんだけどね?」
「そ、そうなんだ……」

……今分かった、こいつは完全なる鉄子だ……(鉄子とは、女性の鉄道ファンの意)
道理で、こいつは空を飛んでいける筈なのにも関わらず、わざわざ電車を使って学校に通っていた訳だ。
166通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:39:23 ID:vRLMGkCh
そういや、以前こいつの家に来た時、
女の子の部屋には不釣合いな電車の写真が壁に飾ってあるのを見て不思議に思った事があったが。
こいつにそういう嗜好があったからか……ようやく理解できた。

「ん? 何、その私に向ける生暖かい眼差しは?」

朱美の意外な一面を知ってか、俺は無意識のうちに笑みを浮かべていたようで、
どうやらそれが気に入らなかった朱美は、頬を膨らませた不機嫌な表情で顔を詰め寄らせる。

「いや、何でも無いぜ? ああ、本当に良い電車だな―」
「ちょっと! 何よその棒読みー! 余計に気になるじゃない!」
「はっはっは、気にするなって、だからそんなに揺さぶっても何も出ないぜー?」

チンチン、と発車ベルの音と共に、ガクリと車体を揺らしてようやく走り始めた市電の車内
俺はがくがくと朱美に身体を揺さぶられながらも愉悦の笑みを浮かべて笑うのだった。

『まもなく、本町通〜、本町通です、山手町方面へお乗り換えの方は車掌から乗り換え券をお買い求めください』

車掌のアナウンスが流れた後
金属同士が擦れ合う耳障りなブレーキ音を立ててオールドタイマーがゆっくりと止まり、2段スライド式のドアが勢い良く開く。
板張りの床を軋ませて車内に乗り込むのは、子供を連れた熊のおばさんに大きなカバンを背負った犬の少年、
俺と同じ人間の年配のサラリーマンなどに、俺の見知った顔が一つ――って、あれは?

「……体育の牛沢先生!?」
「あ、本当ね、牛沢先生だ……けど、何あの格好?」

俺達が我が目を疑うのも当然だった。
牛沢先生と言うのは俺が通う学校で体育を教える牛の女性教師で、かなりの巨乳。
上下のジャージに片手に剣道の竹刀、あるいはTシャツに短パンと言うのが学校で見る何時もの彼女の格好なのだが。
この時の牛沢先生は、如何言う訳か其処彼処にフリフリのフリルが付いたドレスの所謂ゴロスリファッションをしており、
何時もの彼女を知っている俺達にとってはかなり異様な風体を見せていたのである。

「――……!!」

どうやら彼女の方も俺達の存在に気付いたのか、彼女は目を大きく見開き、表情を驚きに歪める。
そしてつかつかとこちらへまっすぐやって来て、俺達の前に立つと、

「……な、何でおまえらがここに居るんだ」
「いや、何でって言われてもな……なあ?」

どうやら本気で俺達が居るとは思っていなかったらしく、
俺達の前に立った思いっきり焦った表情の彼女が小声で問い掛ける。
この彼女の反応から見て、どうやらこの姿で居るのを生徒に見られたくなかったようで。
俺は如何した物かと思いながら朱美に目配せをしつつ、先生へ返す。
167通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:40:43 ID:vRLMGkCh
「私達は湊通りにオープンしたスイーツショップに行く為に駅前から乗ってたのよ?
……と言うか、別に私達が何処に居たって良いじゃない?」
「ぐ、それはそうだが……だ、だが、不純異性交友は良くないぞ!」

俺の意を汲み取ったような朱美の反論に、牛沢先生は一瞬言葉を詰まらせた後、顔を紅潮させて声高に言い返す。
その声に周囲のサラリーマンと犬の少年が一瞬振り返ったが、直ぐに興味を無くしたのか、別の方へ向き直った。
だが、それでも牛沢先生にとっては羞恥の限りだったらしく、顔を余計に紅潮させて言う。

「い、いや……その……お、おまえら、ここで見たことは内緒にしてくれ、頼む」
「……んー、行き成り怒鳴るような人に対して、流石に無料で黙る訳には行かないわよね―? ねえ?」

先生の頼みに対し、朱美は何処か意地悪そうな笑みを浮かべ、俺に目配せして同意を求める。
そういや、この前、体育の授業にホンの数分遅れただけで竹刀で尻をぶっ叩かれた事があったっけ……?
それを思い出した俺は、ちょっと仕返しのつもりで朱美に向けて無言で頷き同意する。
俺の同意を得られた朱美はニヤリと笑みを深めると

「んじゃあ、黙っててあげる代わりに、体育の内申を上げて欲しいな〜とか思ったりして……。
ア、これは私の独り言ね? 今、目の前に居るのは体育の教師じゃなくて只の他人だしねぇ?
まあ、これから他人じゃなくなるか如何かはそれからの行動に掛かってるんだけどね」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

ニシシ、と笑い声が聞こえそうな調子で言った朱美の”独り言”に、
先生、いや、何処かの誰かさんは暫し悶絶すると、何処か悔しそうな調子で言う。

「わ、分かった……おまえらの言う通り、体育の内申表に心付けをしておく……だから、この事は内密にな?」
「OK、私は何も見なかった。そして貴女は知らない人、と」
「ああ、俺も何も見なかった。そして誰にも会わなかった」

交渉が成立し、先生…いや、ゴロスリファッションの知らない人は尻尾を揺らしながら俺達の前から足早に離れる。
やがて電車がある電停に止まった辺りで、彼女は人の波に紛れる様にしてそそくさと電車から降りていった。
その背中を見送った後、俺と朱美は顔を見合わせ、お互いにしてやったりな表情を浮かべ、ハイタッチをしたのだった。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 18:41:27 ID:I04VWbE1
支援
169通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:42:06 ID:vRLMGkCh
「しかし、朱美にあんな一面があったなんて知らなかったな?」
「ん? あんな一面って何?」

そのまま何駅か電停を過ぎた後。
俺が豹の運転手の背中を眺めながら何気に漏らした言葉に、朱美が耳をぴくりと動かし首を傾げる。

「牛沢先生に対しての巧みな交渉術をして見せたところだよ。お前、あんなの何処で覚えたんだ?」
「いや、その……実は言うとね……?」

朱美は何処か恥かしそうに、
指先のかぎ爪で頬をぽりぽりと掻きつつもぞもぞと小声で言い始める。

「さっきやったあれ、昨日見たテレビドラマでやってたワンシーンその物なのよ……それを真似てやっただけ。
まさかそれで上手く行くとはあたし自身、思ってもなかったから……その、ビックリと言うか何と言うか、ね?」
「なるほど……これを牛沢先生が知ったら何て言うかな、はは」

俺が少しだけ乾いた笑いを漏らした後、電車は程なく目的地である湊通りへ車体を軋ませながら到着。
次々と降りて行く乗客に急かされる様に俺達が乗車料金を車掌に渡して電停に降り立つと、
電車はドアを閉め、轟音に近いモーター音(吊り掛け式とか朱美が言っていた)を上げながら走り去っていった。

「やっと目的地に到着っと〜」

暫くの間座りっぱなしだった身体をほぐす様に、朱美が翼膜を限界まで上に広げ、身体を逸らして大きく背伸びをする。
その際、翼膜で隠れて余り見えなかった彼女の脇の部分が顕になる。

彼女のような、腕が翼になっている種族の服は基本的に脇が大きく開いた前掛けに近い形状をしており。
蝙蝠系の種族に至っては腰まで広がっている翼に干渉しない様に、横から見ると殆ど丸見えに近い形状となっている。

……つまり、何が言いたいかと言うと、
早い話、脇を隠していた翼膜の邪魔が無い今、ほっそりとした腰周りやら形の良い横乳等が拝める訳で……眼福眼福。

「ん〜? なんか変なところ見てたでしょ〜?」
「いや、何も見てませんよ俺は?」
「ふっふ―ん……そう、それなら良いんだけど」

危ない危ない、振り向きそうな気配に気付いて咄嗟にそっぽを向いてなければ気まずい事になっている所だった。
にしても、俺と同い年にしては子供っぽい所があるとは言え、こいつももう年頃、出る所は出てる訳か……。
だが、それをついつい意識しちまうのは、こいつの友人としては良くないんだけどな……。
170通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:43:43 ID:vRLMGkCh

「所でね、あたしは人間が嘘をついた時に見せる癖を知ってるんだけど。卓君は知ってる?」
「ん? なんだそれ? 初耳だな……」

なんだか感慨に耽っていた矢先、朱美が行き成り言い出した言葉に、俺は少し警戒交じりに返す。

「その癖ってのはね、嘘をついた時に人間は耳が僅かに動くんだって」
「へ―、それは―――……っ!」

思わず自分の耳を手をやってしまった所で、俺は彼女の狙いをようやく理解した。
自分の迂闊さに気付いた俺に、朱美はしてやったりな笑みを浮かべ、

「実はそれは嘘なんだけど……卓君がマヌケだって事は分かったわ。
卓君はやっぱり見てたのね、私の身体」

くそぅ、これはさっき見た映画のワンシーンそのものじゃないか!
それにあっさり引っかかってしまうなんて俺はトンでもないマヌケじゃないかッ!
俺が一人後悔しているのを余所に、朱美は怒るどころか何故かうんうんと一人で頷き

「やっぱり卓君もそう言うのに興味があるんだー、卓君の成長ぶりを見れてお姉さん嬉しいなー」
「こら待て、お前は俺と同い年だろ!」

思わずツッコミを入れた俺に、朱美は何処か自慢気に胸を逸らし

「残念、同い年というけど、卓君よりもあたしの方が2ヶ月分年上なのよ! だから卓君にとってあたしはお姉さんな訳」
「いや、それはどう考えても若干の誤差程度の違いだろ……」
「ふっふー、何とでも言いなさーい。あたしの方が先に生まれたのは事実な訳なんだしねー」
「それはそうなんだが……むぅ、なんだか負けた気がするのは気の所為か……」
「ま、勝敗が付いた所で目的のスイーツショップに急ぎましょうか、さあ、レッツGO!」

言い合いに負けてなんだか少し悔しい気分を感じつつ、俺は朱美と共に目的の店に向けて歩き出す。
それにしても流石に湊通り、というだけあってか、先ほどから俺の頬をなでる風にほのかに潮の匂いを感じさせる。
人間である俺でもこれだから、嗅覚の鋭いケモノならもっと強く感じる事だろう。
そう思いつつ、横を歩く朱美の方を見やると

「スイーツスイーツ……いっぱい食べちゃうぞー……うふふ……」

既に彼女の思考は完全にスイーツ一色へ移り変わっていたらしく、だらしなく開いた口元から涎が零れていた。
……人が気分を感じてる時にこやつときたら……
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 18:47:53 ID:glbJVWPe
支援
172通りすがり@携帯 ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 18:52:11 ID:gaFj4Wi6
さるさんに引っ掛かった……orz
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 18:53:21 ID:I04VWbE1
もっと支援が必要だったか
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:05:24 ID:Sr9fa3hL
連投でたのか
175通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:14:18 ID:vRLMGkCh
そろそろ書きこめるかな?
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:14:48 ID:xUDzpj6t
間に合わなかったか…
支援しつつ>>160
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00254.jpg
177通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:15:24 ID:vRLMGkCh
(投下再開)

そのまま数分ほど歩き、ずっと黙ってるのも難だしと俺が何か言い出そうとした矢先。
急に立ち止まった朱美が、ある場所を指差し

「あ、あそこよ! あの赤い三角屋根の店、あれが私の言ってたスイーツショップよ」
「へぇ、随分とこじんまりとした店じゃないか……」

指差されたその先には、『菓子店 連峰』と書かれた看板の喫茶店と言っても通用する位の小さなお店があった。
スイーツショップと言うんだからもう少し派手な物かと思ったが、少し拍子抜け。
まあ、スイーツショップは派手な物だとか決め付ける方もおかしいと言えばおかしいのだが……。

「あの連峰って店の目玉はスイーツマウンテンDXだって。なんだかその名前に心惹かれるものがあるよね〜」

と、背負っていたバックから取り出した女性誌に書かれている目的の店に関する記事を見つつ、朱美が漏らす。
元来から甘い物好きなオオコウモリ族の例に漏れず、こいつも甘い物好きである。
しかもそれは半端ではなく、彼女が一旦、ある店を気に入れば、その店の店主が泣き出す位に食いまくるのだ。
その凄まじさは、真偽の程は定かではないが三丁目の菓子店が潰れたのは朱美の所為だとか言う噂もある位なのだ。
万が一、件のスイーツマウンテンDXとやらを彼女が気に入ってしまったら、
多分、あの連峰と言う名の店も三丁目の店と同じ運命を辿る事だろう。この際、店の人に先に謝っておくべきだろうか?
そんな俺の懸念なんぞつゆ知らず、朱美は明るい調子で

「さあ、卓君、これから食って食って食いまくっちゃうわよー!」

と、俺の手を引っ張り、目的のスイーツショップへ突入するのだった。

「店の中はそれなりに広いな……」

店の中の飲食スペースの適当なテーブルの席に朱美と向かい合わせで座り、俺は改めて店の中を観察する。
五台ほど並べられた洒落たデザインのテーブルの周りに、テーブルに合わせたデザインの椅子が数脚ずつ。
テーブルの上には何処の飲食店でもありそうなメニューの書かれた用紙に、昔懐かしの占いマシーン。
会計用のカウンターを兼ねたケーキの陳列台を見なければ、ここはどう見ても喫茶店にしか思えない。
ひょっとするとこの店は元々喫茶店か何かだったのだろうか?
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:16:58 ID:I04VWbE1
支援
179通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:16:56 ID:vRLMGkCh
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」

俺がぼんやりと考えている内に、お冷二つを乗せたトレイ片手のメイド服の似合う猫のウェイトレスが現れ、
テーブルにお冷を置きつつ俺達へ注文を伺って来る。

「んじゃあ、早速スイーツマウンテンDXね?」
「……!」

俺がメニューを見ようとする間も無く、朱美が注文すると、
接客スマイルだったウェイトレスの顔が一瞬だけ真剣な物に変わる。
その表情の変わりぶりに俺は怪訝な物を感じつつ、適当に朱美と同じ物を頼む事にした。

「じゃあ、俺も彼女と同じ物で……」
「……っ!! りょ、了解しました。
で、ではご注文繰り返します、スイーツマウンテンDX二つで”本当に”宜しいですね?」

何だその明らかな動揺は? 全身の毛が逆立ってるぞ? しかも表情が強張ってるし、”本当に”って如何言う事だ!?
その対応に嫌な予感を感じた俺は思わずメニューに書かれたスイーツマウンテンDXの欄を見たが、
代金が千円である事が記されていただけで、特に変わった事は書かれてはいなかった。

「うん、それでOKよ」
「で、ではご注文の品が出来あがるまで二十分少々お待ちください。で、では、失礼します!」

そうやっている間に朱美が勝手に決めてしまい、
俺が止める間も無く、それを承ったウェイトレスがそそくさと席から離れ、厨房へと去って行く。
本気で動揺しているのか、厨房へ向かう最中、ウェイトレスは思いっきり転んでいた。

…………。

さて、注文してしまった以上、今更注文を取り下げる事ははっきり言って出来ないだろう。
ならば、俺に出来る事とすれば、スイーツマウンテンDXに関する様々な情報から、
それが如何言った物かを考察し、それに対しての心の準備をするしかないだろう。
で、今の時点でスイーツマウンテンDXに関する情報は三つ。

一つ、この店での目玉である事。
二つ、代金が一つ千円である事。
三つ、注文した際にウェイトレスが見せた動揺についての事。

まず、一つ目のこの店で目玉である、と言う情報源はずばり、朱美の持っている女性誌に書かれている事である。
ならば其処から簡単に情報を知る事が出来るのではないか、と俺は思ったのだが、
朱美に見せてもらった女性誌のこの店のスイーツマウンテンDXに関する解説には、ただ一言

『名は体を表す!』

と、書かれていただけだった。
その余りにもアバウト過ぎる解説に、俺は思わず朱美へ説明を求めたりしたのだが、
「この雑誌は大体そうだよ?」と、彼女にあっさりときり返され、俺の混迷の度合いは深まるだけでしかなかった。

で、次にスイーツマウンテンDXが千円だと言う話だが、この千円と言う値段がはっきり言って曲者である。
ケーキ1カットだけにしては千円と言うのは少々高すぎるし、逆に1ホールにしては安すぎる、
と言う事は大きめな1カットのケーキ、若しくは高級な素材を使ったケーキと言った所なのだろうか……?

いや、それであったのなら、三つ目の注文した際にウェイトレスが見せた動揺についての説明が出来なくなる。
たかだか大きめor高級なケーキを二つ頼んだ程度なのにも関わらず、ウェイトレスは全身の毛を逆立て、
更に表情を強張らせ、挙句の果てに厨房に向かう最中にすっ転んでしまう位動揺していたのだ。
これは明らかに何かあると見て間違い無いだろう。そう、俺には想像できない何かが……。
180通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:19:41 ID:vRLMGkCh
そうやって俺が色々考えている最中、朱美はと言うと……。

「まっだかな? まっだかな?〜♪」

MyスプーンとMyフォークを手に、万全の態勢で件のスイーツマウンテンDXを心待ちにしていた。
……そのお前の気楽さを俺は見習いたい。

朱美の気楽さに俺が呆れを感じていた所で、
どうやら注文の品が完成したらしく、ウェイトレスの声が俺の背に掛かる。

「スイーツマウンテンDXをお二つご注文のお客様、お待たせしました」
「どうやら来た……っ!?」

その声に振り向き――――それを見た俺は絶句した。

ホットケーキか何かを何枚か積み重ねて高さ一メートル程の土台にし、
その上にバニラ、チョコ、抹茶のバニラアイスを隙間無くみっちりと山の形になるように盛り合わせ、
その山々に生える木々を表したのか、バニラアイスの山肌にチョコプェッツェルやウェハースを何十本も突き立て、
更に念の込み入った事に木々に生えるキノコや竹の子を表してか、同じ形をしたチョコを所々に配しており、
もう一押しとばかりに、彩りの為の多種多様なフルーツが、これでもかと山の麓あたりに盛り付けてあり。
挙句にその山の山頂には槍ヶ岳の大槍小槍を表した2対のソフトクリームがどっかりと盛り付けてあった。

……それは一言で表すとすれば、山だった。
それも小学生が遠足などに行くような程度の低い山などではなく、
アルプスなどの山脈にあるような、自然の脅威で登山者を拒み続ける険しい高山だ。
しかもそれが、それぞれ台車一台ずつに分けられ二つも運ばれてきたのだ。
これで絶句しない方がおかしいだろう。

そこで俺はようやく、ウェイトレスの動揺の理由等の様々な謎が解けてしまった。
とにかく、これは色々な意味で凄まじすぎるのだ。しかも、それを二つ頼んだのだ。彼女らが動揺するのも当然だ。
そして雑誌に書かれていた『名は体を表す』と言う記述も、現物を前にすると確かにその通りと思えてしまう。
スイーツ”マウンテン”DX……まさにスイーツの山(マウンテン)だ。しかもDXだ。
それ以外にこれを表す言葉なんぞ他に無いだろう。
しかし、これが千円だとは到底信じられない。

「では、ごゆっくりと」
「…………」

ウェイトレスは俺と朱美の前に二つの巨山を置くと、ぺこりとお辞儀をしてそそくさと離れて行く。
俺はその去り行くその背を眺め、ただただ絶句するしか他は無い。どうやってこの菓子の山を攻略しろと言うのだ。
それ以前に、この菓子の山を見ただけで軽く絶望感を覚えるのは気の所為だろうか? いや、これは気の所為ではない。
恐らく、この山を前に朱美も俺と同じ気分だろうと、俺は身を乗り出し、山の向こうの朱美の方を見てみると、

「ん〜っ、おぃすぃ〜っ♪」

既に彼女の前に置いてある山の四分の一が幸せそうな表情の彼女の胃の中へ消え去っていた。
えっと、何この超ハイペース、彼女の胃の中にはマイクロブラックホールでもあるのだろうか?
朱美によって削られる菓子の山は、まるで宅地造成の際に重機によって抉られ、形を変えてゆく山の様に見える。
いや、重機どころか核爆弾でもこんなに早く山を抉る事は出来ないだろう。
つか、俺は彼女は甘い物好きと言う事は知っていたのだが、それに加えて凄まじい早食いだったとは……。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:20:38 ID:Sr9fa3hL
支援
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:21:58 ID:I04VWbE1
支援
183通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:22:52 ID:vRLMGkCh
「美味しい上に食べ甲斐があってサイッコー♪」

とかそう考えている間にも、既に山の半分辺りまで彼女の胃の中へ収まろうとしている。
その凄まじい速度にウェイトレス達は何時しか仕事を忘れ、彼女の食いっぷりを見入ってしまっている。
それどころか、この『連峰』の店主らしきパティシエ姿の狐の女性が、厨房から彼女の様子を覗き込んでいた。
と、朱美の食いっぷりを眺めてばかりもいられない、俺も食べなくてはならないのだ。
そう、俺の目の前に置かれたこの山を……。

「頂き…ます」

そして、スプーンとフォークを手にした俺は、緊張混じりに目の前の巨山へ挑むのだった。

「うぷ……もう入らない……」

十分後、俺は情けない事に早くも胃の容量が限界に達し、菓子の山の宅地造成を断念せざる得ない状況となっていた。
それは何故かと言うと、アイスの水分を吸ったホットケーキがとにかく胃にもたれるのだ。
これでは胃薬が幾らあっても足りない。

「くっそ、まだ半分どころか八分の一も食えていないとは……」

対する菓子の山はと言うと、俺の苦労にも関わらず僅かにホットケーキの地肌を見せている程度。
山登りに例えれば、まだ一合目にすら達していない有様である。
つい流れに任せて注文してしまった己の愚かさを呪いつつ、俺はふと朱美の方を見やると、

「ごっちそうさま〜。あ〜、美味しかった」

彼女の前の山が綺麗に消え去ってました。
あれ? ついさっき俺が見た時は半分近くは残ってんだけど……? 見てない間に何処へ消えた?
いや、まあ、消えた先は大体想像できるんだけどさ……幾らなんでも食うのが早すぎるだろ!?

「あれ? 卓君、もう食わないの?」
「あ、いや……もう限界です、ごめんなさい」

まだ8割以上も残っている山を指差して言う朱美に思わず謝ってしまう俺。
昔流行った『お残しはいけません』的な親の教育方針が骨の髄に染み渡ってしまった人間の悲しいサガである。
そういや、俺が三つか四つの頃、嫌いだったピーマンを食わずに流し台に捨てたら、
それを知った母さんが怒って、ピーマンを全部食うまで押入れに閉じ込められた思い出があるなぁ……。
とか、俺がしみじみと思い出を降り返っていると、朱美は何処か嬉しそうに言い出す

「んもぅ、仕方ないわねぇ……私が食べてあげるわ♪」

……え? まだ食うのですか貴女は?
ついさっき山一つを完食したばかりですよね? その小柄な身体の何処にそんなスペースがあるのですか? 
本当に胃の中にブラックホールが入ってるじゃないのですか?

と、いかんいかん……余りにも動揺しすぎて心の中で敬語ツッコミをしてしまったぜ……。
女性にとってケーキ菓子の類は別腹とは良く言うが、流石に山二つ(内一つは宅地造成中止)を食い切れる訳ないだろう。
もしこれで、朱美が残してしまうような事になってしまったら、この後、店の人に如何顔合わせすれば良いのやら……。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:24:00 ID:XmSENtVx
支援
185通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:25:01 ID:vRLMGkCh
「ごっちそうさまー」

……えっと、マジで食い切りましたよ、この人。
あれから三十分足らずでホットケーキの一欠けクリームの一さじすら残さず胃の中に収めちゃいましたよ。
その凄さに、今まで食いっぷりを眺めていた猫と羊のウェイトレス達が思わず拍手送ってます。
更に厨房からこちらの様子を見ていた店主兼パティシエの狐の女性が『負けた!』とばかりに膝を付いて項垂れてます。
どうやら、俺は一つの伝説が築き上げられる瞬間を目の当たりにしてしまった様です。
コングラッチネ―ション、おめでとう、おめでとう……

「卓君、如何したの? 何か色々な意味でやり遂げた時の顔しているけど……」
「あ、いや、何でもない」

いかんいかん、どうやら俺の意識が違う世界に旅立っていた様だ。それも『ざわざわ』とかの効果音が似合う世界に。
とりあえず、俺は気を取り直す為にかぶりを振ると「それより、そろそろお愛想にしようか」と朱美に言って、席を立つ。
ケーキの陳列台を兼ねたレジカウンターの前に立つと、先程まで項垂れていた狐の店主さんがレジに立ち

「お客様、先程のあの食いっぷりは本当に見事でした。
あのスイーツマウンテンDXは元来、私の父がある大食いを打ち負かす為に作った物で、
その大食いを打ち負かして以来、今まで誰も完食を成し遂げた事のない品だったのです。
ですが、それをお客様は一つどころか二つも完食されるとは私は思ってもいませんでした
しかも、只早く食うのではなく、お客様は飽くまで食材を味わい、心行くまで堪能して召上がられた。……私の完敗です」

言って、頭を下げる店主。
それに対し、朱美は片方の翼手をパタパタ振ってあっけらかんと言ってのける。

「いやいや―、あたしなんてまだまだだよ? 
お母さんなんてあたしの倍は食うんだから、これくらいで驚くのはまだ早いって〜」

朱美の言ったトンでもな事実を前に、俺も店主さんもそしてウェイトレス達も只々( ゚д゚ )顔で絶句。
……あれの、倍は食うって? マジでか? 凄いよ、流石は朱美のお母さん!……って違う。

俺は思わず店主さんと顔を見合わせ、お互いに酸欠の金魚の様に口をぱくつかせる。
恐らくは、ウェイトレス達も俺と店主さんと同じ考えをしている事だろう。
この瞬間、俺は見ず知らずの他人同士でも、心が通じ合える物だと言う事を初めて知ったのだった。
186通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:26:50 ID:vRLMGkCh
「いやー食った食った―、美味しいしボリュームもあったし、もう大満足、機会があったらまた食べに行きたいわね」
「だからと言って、毎日の様に通い詰めたりするなよ? 一応、店の人だって生活があるんだし……」
「大丈夫大丈夫、卓君が心配しなくても程々にするわよ。お気に入りの店を無くしたくないし」
「……程々に、ねぇ……まあ、そう言うんだったら良いんだが」

会計を済ませた後、俺は店主さんとウェイトレス達に見送られながら店を後にし、
市電の停留所の駅前ゆきホームのベンチで、俺は満足げな朱美を横に電車がくるのを待っていた。

「……おかしいな……もうそろそろ電車が来ても良い時間なのに……?」

だが、待てど暮らせど電車は一向に来ず、
妙な物を感じた俺は、停留所に掲げられている時刻表と腕時計を見比べながら呟きを漏らす。

「ひょっとして……あの電光掲示板、見てみて」

朱美に言われて、停留所の待合所に設置されている普段はニュースなどを流す電光掲示板へ目を向けると、
『午後3時頃、本町通付近の軌道上にて発生したトラックと乗用車による衝突事故の為、
現在、古浜線は上下線とも運転を見合わせております』
と、電光掲示板に表示されていた。

「おいおい、こんな時にそんな所で事故を起こさなくても……」
「こう言うのばかりは流石に予測できないわねー……」

呆れる俺に、『やれやれ』とばかりに外国人がする様なジェスチャーを取りつつ、朱美は言う。
そう言えば路線バスもあった筈、と俺がバスの時刻表を見てみたのだが、
バスが来るのが今から3時間後だと言う事を知り、余計にげんなりとするだけでしかなかった。
つー事は何か? このまま家まで歩いて帰るしかないって訳か?

「良し、こうなったらアレをするわよ? 卓君、パットは持ってるわよね?」
「アレって……アレの事か? 持ってる事は持ってるけど、今やって大丈夫なのか……?」
「心配ご無用だって、あたしはちょうど腹ごなししたい所だったし。さあ、早く早く」
「ったく、しょうがないな……」

明美に促されるがまま、俺は仕方なしにカバンからある物を取り出す。
それはアニメやマンガに出てくるキャラが付けているようなショルダーアーマーに良く似た形状をした、
身体に固定する為のベルトが何条か付いた丈夫な皮製の肩パット。
俺はそれを肩に装着し、身体にしっかりと固定した事を確認した後、
その場にしゃがみ込み、朱美へこちらの準備が終わった事を伝える。

「こっちは終わったぞ? ああ、それと何時も言ってる事だが……落とさないでくれよ?」
「OKOK、分かってますって」

言いながら、朱美は軽く翼を羽ばたかせ、組体操の様にひょいと俺の両肩に飛び乗る。
そして足の爪を肩パットに食い込ませる様に、肩パットを足の指で掴み、確認する様に俺へ言う。

「それじゃ、そろそろ行くわよ。タイミングは分かってるわね?」
「大丈夫だ、タイミングは大体分かる」
「OK、なら行くわよ!」

お互いにタイミングを確認した後、掛け声と共に朱美が強く羽ばたき始める。
羽ばたきによって発生した風が強まるのを感じると共に、肩に掛かっている朱美の体重が次第に軽くなって行く。
そして、風が一際強く、そして肩に掛かってる重量が皆無に近い所になった辺りで
俺はしゃがんでいた体勢から身体を跳ね上げさせる様に一気にジャンプ。
同時にふわり、と重力から身体が解き放たれる独特な浮遊感を感じると、
俺は朱美の足に吊り下げられた状態で空に舞い上がった。
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:27:15 ID:Sr9fa3hL
支援
188通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:30:19 ID:vRLMGkCh
「あいっかわらず凄い事するよな……お前は」
「あたしは鍛えてるからねー。そこら辺の猛禽系の獣人にも負けないわよー」

徐々に離れてゆく地上を眺めながら言う俺に、朱美は何処か自慢気に言ってのける。
この、人をぶら下げて空を飛ぶってのは本来、蝙蝠系のケモノに出来る技では無い。
小さい頃に鷲のレスキュー隊員が要救助者をぶら下げ、空を飛んで救助するシーンをテレビで見て感動した明美が
特訓につぐ特訓を重ね、一年の歳月を経て遂に習得してしまったトンデモ技なのである。
この技を見た人は大体が驚き、時には携帯で写真を取る人も居る位だ。
まあ、一番驚いたのは俺よりも体重のある利里をぶら下げて飛んで見せた時なのだが。

……ちなみに、彼女がこの技を手に入れた代償として、
腕周りの筋肉が他の蝙蝠系のケモノに比べかなり屈強になってしまった事と
更に最近は運動系のクラブからしつこいくらいに勧誘を受け、辟易する様になったとか。

「やっぱり空は良いわねー、卓君もそう思わない?」

やがて上昇気流にうまく乗ったのか、羽ばたきを少なくした彼女が足の下の俺へ言う。

「良い事は良いんだが……足がこう、ぶらぶらする感覚ってのは如何も慣れないな……」
「あはは、ちょっとの間だから我慢してね」

高所恐怖症の人間にとってはショック死ものな光景を眼下に、
俺が足を軽く揺らしながら言うと、彼女は軽く笑って返し、翼を大きく羽ばたかせた。
これを小学生の頃からやっている俺や利里ならばともかく、慣れない人間にとってこれは絶叫マシン以上であろう。
……何せ、今、俺の身体を支えているのは俺の肩を掴んでいる朱美の足の指の爪だけなのだ。
これでうっかり朱美が足の指の力を緩めたが最後、俺はパラシュート無しスカイダイビングを体験する事になるだろう。
まあ、今の今まで、そう言う事になった事はないから良いんだが……。
それでも、俺は迂闊に動いて落ちたくないので、今、出来るのは空中散歩を静かに楽しむ事くらいである。

「お、あそこに居るのは中等部の三人組か……あ、こっち見て驚いてら。おーいおーい」

ふと、眼下の光景を眺めていると、こちらを見上げて驚く見知った顔が三つ。
彼らに向けて軽く手を振ってやると、その内の一人がこちらを追おうとしたのか走り始め――壁に思いっきり衝突した。
うん、なんだか悪い事した気分だ。後で一言くらい謝っておくとしよう……お互いに記憶が残ってるのなら、だが。

「卓君、そろそろあたしも疲れてきたし、日も落ちてきたから下の公園に降りるわよ」
「ん、分かった。降りるのは北公園だな?」

そのまま十分ほど空中散歩を楽しんだ所で、朱美が言ってゆっくりと降下を始める。
そして地面まで後数mほどの所まで降下した所で、朱美が足の爪で掴んでいた俺の肩を離す。
あらかじめ心の準備をしていた俺は着地する瞬間に足を上手く曲げてクッションにし、地面に降り立つ。

「――っと、無事に着陸完了っと」

通りかかりの狼の少女が驚いた目でこちらを見ていたのに気付き、
俺が肩パットを外しつつ軽く手を振ってやっていると、その横に朱美も翼を翻して地面へ降り立つ。
それを見て遂には( ゚д゚ )な表情になる狼の少女に、俺はちょっぴし優越感を感じる。
……とかやっていると、なんだか不機嫌に頬を膨れさせた朱美が俺の手をぐいと引っ張る。

「もう、何やってるのよ。さっさと行くわよ」
「いや、すまんすまん、ちょっと面白かった物で」

どうやら朱美にもいっちょまえに嫉妬をする所があるようで……って、恋人でもあるまいに嫉妬ってのはおかしいか?
まあ、深くは気にしないで置こう。……それでも期待してしまうけどな。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:31:52 ID:XmSENtVx
支援
190通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:34:47 ID:vRLMGkCh

「今日は楽しかったわ。卓君。利里君にはちょっと悪いけどね?」
「そうだな。家で留守番になった利里には悪いが、俺も楽しめたし、こう言うのも悪くないな」

そして、日が落ちはじめ、街灯の明かりが灯り始めた公園を二人並んで歩き、互いに感想を漏らす。

「ふふ、こう並んで歩いているとまるで恋人同士みたいね」
「おいおい、つまらない冗談は止めてくれって、青少年に変な期待させるなよ?」
「冗談かどうかは分からないわよー? まあ、どちらかと言えば冗談の方が8割くらいだけどね?」
「つー事は、やっぱり冗談じゃないか」
「あはは、そうとも言うわね」

人気の少ない公園の醸し出すロマンチックな空気に、俺と朱美の会話は弾む。
まあ、兎にも角にも、これでこの突発的なデートごっこやらも、そろそろお仕舞いだろう、
……と、俺が思い始めた矢先。

「ようよう、人間の兄ちゃん、見せ付けてくれるじゃないか」
「彼女の居ない俺達にとって目に毒だぜー。だからその蝙蝠のカワイコちゃんを俺達に寄越しな」
「そうそう、怪我をしたくなかったら大人しく従った方が身の為ってモンだ」
「俺達にボコられるか? それとも素直に従うか? 考えなくても分かるよな、兄ちゃん」

茂みの中から豚やら鼬やら蛇やら狐やら犬やらの空気の読めない人達がぞろぞろとご登場。
悪趣味な改造がされた学生服から見て、恐らくこいつらは隣町の山手町にある悪名高い不良高校の連中だろう。
……よりによって面倒な奴らに目を付けられてしまったものである。

「……朱美、俺はアレを使う。だからお前は空に逃げてくれ……後は、俺が何とかする」
「分かった、卓君も気をつけて」

朱美へ軽く目配せをしつつ、俺は連中に聞こえない様に小声で話すと
不良達に気付かれぬ様に気を配りながら後ろ手でカバンの中を探り、その中に『アレ』があることを確認する。

そして、朱美がそっと俺の後ろに引くのを確認すると、
俺は如何にもカバンの中から財布を取り出す様に見せながら、不良たちへ気弱そうな態度を見せて言う。

「え、えっと……その、そう言うのは勘弁して欲しいので、これでどうにかご内密に……」
「へぇ、兄ちゃん、話がわかるじゃないか……」

何の疑いも無く、不良たち全員の視線がカバンを探る俺の手に注がれる――――今だ!

「――お前らにやるのは、これだっ!」

不良達の眼前めがけ、起爆用のピンを引き抜いた『アレ」を完璧なタイミングで放り投げ、目を瞑る。
見た目はボールのような形状をした『アレ』は、不良達のちょうど視線が交差する辺りで「ポム」と乾いた音を立て――

パシュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!

凄まじい閃光を迸らせ、夜の闇を完全に白一色へ染め上げる。

……そう、俺が使った『アレ』こそ、
小学生の頃は親や先生から逃げる為、高校生の今ではこいつらの様な不良に対する目暗ましに使う為、
あるマンガから製作法を知り、口では言えない調合を行って作った自作の閃光玉である。
使えばご覧の通り強烈な光を発し、うっかり直視すればしばらくは目が見えなくなる。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:36:56 ID:I04VWbE1
しぇん
192通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:37:18 ID:vRLMGkCh
同時に俺の背後の方で何かが羽ばたく音が聞こえる、どうやら朱美が俺の指示に従って飛び立った様である。
これで朱美が人質に取られる危険は無くなった……後は、こいつらをぶちのめすのみ!

「うあっ、目がっ、目がぁっ!」

急に視覚を奪われ、悲鳴を上げて身体を仰け反らせている不良豚へ、
俺は一気に詰め寄ると、その開いた股間めがけて一気に蹴り上げる。
めき、ともぶきゅ、ともつかぬなんとも言えぬ手応えを足に感じ、

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

不良豚は言葉にならぬ悲鳴を上げて悶絶し、白目をむいてその場に崩れ落ちる。
どうやら俺の一撃はクリティカルヒットだったらしく、哀れな不良豚は泡を吹いて気を失っていた。
よし、これでひときわ身体のでかい厄介そうな奴は片付いた。

「くそ、てめぇ! いったい何をしやがった!」

不良豚の沈黙を確認した矢先、俺に向って鼬が悲鳴の様な声でわめき散らしながら突っかかってくる。
だが、どうやらこの鼬はまだ視覚は回復していないらしく、腕をめちゃくちゃに振り回していた。
俺は軽く身を屈め、腕を振りまわす鼬の懐へ飛び込むと、その鳩尾へ当て身を食らわせる!
この一撃に鼬が身体をくの字に折り曲げた所で、俺は少し身を引いて、

がっ!

下がりきった鼬の顎目掛け、伸び上がるようなアッパーを叩き込む!
この痛打によって、鼬は脳味噌はあっさりと揺さぶられ、脳震盪を引き起こす。
その結果、鼬は仰け反るように後へ倒れ、そのまま気を失った。
――――これで二人目。

「このやろうっ! ふざけた真似をっ!」
「……しまっ!」

鼬を倒した事に油断した俺の一瞬の隙を突かれ、一足早く視覚が回復した蛇が後から襲いかかってくる!
―――拙い! 対応が間に合わない!

「ひっさーつ、ワールドツアーアターック!!」
「んなっ――ヘバッ!?」

ずがしゃがしゃ

が、蛇が俺へ一撃を加えるより早く、空から急襲してきた朱美の蹴りが蛇の顔面に炸裂!
蛇はまともに吹っ飛び、勢い良く茂みに頭を突っ込ませるとそのまま気を失ったらしく、それきり動かなくなる。
ちなみに、ワールドツアーと言うのはモンハンに出てくる飛竜が良く使う攻撃の通称である。
……これを利里が使ったのなら良く似合って……いや、何でも無い。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:37:37 ID:XmSENtVx
支援
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:40:41 ID:tWCNBFC+
支援
19513:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:41:18 ID:c0zEw9ud
支援
19623:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:41:47 ID:c0zEw9ud
支援
19723:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:42:29 ID:c0zEw9ud
支援はSSスレの醍醐味!
自重してちゃいけないぜー
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:43:05 ID:glbJVWPe
支援
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:43:07 ID:ZziY3iUf
名無しが変わった
20023:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:44:20 ID:c0zEw9ud
変わってないぞ
ただ俺が告知役の仲間なだけだ支援
201通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:46:13 ID:vRLMGkCh
逃げた筈の朱美が戻ってきた事に思わず問い掛ける俺へ、
俺の横へ降り立った朱美は当然の様に言ってのける。

「ちっ。……親友か……言われちまったな」

この時、俺はやはり、朱美との関係は結局は親友でしかない事を悟った。
薄々そういうもんだろうなーとは思ってたけどな……それでも期待するのが男の悲しいサガって奴か……。
ま、分かってしまった方が却って清々しいかもな?

「……? 何? あたし、何か悪い事言っちゃった?」
「いや、別に気にしないでくれ。それより……」

俺の漏らした言葉に不思議そうに首を傾げる朱美を適当に誤魔化した後、俺は前に向き直る。

「テメェ……よくもなめた真似をしてくれやがったな……!」
「幾らテメェが強くとも、こいつには敵わなね―だろうな!」

其処には、すっかり視覚を取り戻し、怒りに心を燃やす残る犬と狐の不良二人。
その手にはそれぞれサバイバルナイフとスタンガンが握られている。
をいをい、このごに及んで凶器使用ですか……?

「こうなったらもう手段なんか選んでられねーぜ! テメェは絶対にぶっ殺す!」
「ついでに女はたっぷりかわいがった後で川に捨ててやるよ!」

……こうやって形振り構わなくなった不良ほど手におえない存在は無い。
ここで迂闊に攻撃しよう物なら、はっきり言って怪我では済まないだろう。下手すれば明日の三面記事確定だ。
俺はこうなってしまう前にとっとと勝負を決めたかったのだが……いまさら後悔しても遅いか。

「ねえ、さっきの閃光玉は?」
「残念だけど……さっきので品切れだ」
「あちゃー……かなり拙いわね……」

打つ手が無くなり、じりじりと後退する俺と朱美。それに合わせじりじりと迫る不良二人。
このまま、ずっと不良達のターン! になってしまうかと思われたその時!
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:47:15 ID:I04VWbE1
紫煙
20323:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:47:41 ID:c0zEw9ud
支援
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:47:45 ID:XmSENtVx
支援
20523:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:48:36 ID:c0zEw9ud
支援
206通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:49:04 ID:vRLMGkCh
「……朱美、逃げたんじゃないのか?」
「言っとくけど、親友を置いて逃げるなんてあたしには出来ないのよ。加勢するわ」

(コピペミスで抜けたので>>201の一番上に↑の会話を追加)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドドドドドドドドドド………

「何、この音……?」
「……な、なんだ? 何がくるってんだ?」

凄まじい勢いでこちらへ迫る地響きが俺と朱美の耳に届き始めた。
不良達もそれに気付いたらしく、何事かと不安げに辺りを警戒している。
そしてその音が、不良達の後ろから来る物だと全員が気付いた―――その刹那

「うおーっ! 見つけたぞーっ!」
「なっ――アベシッ!」
「えっ――ヒデブッ!」

何処かで聞いた声と共に猛スピードで猛進してきた大きな影に、不良二人は避ける間もなくまともに跳ね飛ばされ、
不良二人共々綺麗な放物線を描いて五mほど吹っ飛ぶと、その先にあった公園の池へ落下、大きな水飛沫が上がる。
そして水飛沫が収まった後には、死んだお魚の様に腹を上にぷっかりと浮かぶ、気を失った不良二人の姿があった。

「二人ともこんな所にいたんだ、匂いを追ってずっと探してたんだぞー……って、如何したんだー?」

不良を二人同時に撃破した大きな影が、呆然とする俺と朱美へ不思議そうに話しかける。
その影は、脱皮の為、今日1日は動けないはずの利里であった。……不良をはねた事気付いてないし。
(ちなみに、大型の肉食系の蜥蜴は嗅覚が鋭く、一度匂いを憶えた獲物を延々と追い続ける事もあるそうだ)
20723:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:50:13 ID:c0zEw9ud
支援
208通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:50:30 ID:vRLMGkCh
「い、いや……なんでお前がこんな所に?」
「そ、そうよ、利里君……今日は脱皮で動けないんじゃ……?」
「おう、その脱皮の事何だけどな。これを見てくれー!」

友人の思わぬ突然の登場に、驚き戸惑い思わず問い掛ける俺と朱美に、
利里は何処か嬉しそうに言いながら、背負っていたリュックから何かを取り出す。
見た所、がさがさに丸めた雨合羽の様に見えるが……?

「どうだ! すっごく綺麗に脱皮が出来たんだぞー!」

言って、利里が広げて見せたのは自分の脱皮した皮、
通常、利里のようなリザードマンの脱皮の時、その脱皮した皮は大体がボロボロに破けてしまう物なのだが
利里が広げて見せたそれは、一部が破けてる物のほぼ全体が繋がっており、綺麗に一そろいになっていた。
多分、ここまで綺麗に脱皮するまで相当な苦労が……って、ちょっとまった、
俺は恐る恐る、利里へある疑問を投げかける。

「つー事は、お前が今まで来れなかったのは……それをする為だった、とか……?」
「うん、そうだぞー! すっごく苦労したんだぜー!」

と、利里はあっけらかんと言ってのけた。
や、やっぱりか……わざわざ約束をすっぽかしてまでやった事が、綺麗に脱皮する事だったとは……。
だが、それに対して不思議と怒りは沸いてこなかった。それ所か、俺は口から笑いを漏らし始めていた。
それは朱美も同じ事だったらしく、見れば彼女も身体を震わせて笑いをこらえていた。

「プッ、クックックッ……」
「あれ? 如何したんだー? ひょっとして約束破った事怒ってるのかー? それは本当に謝る、ゴメン!」
「クッ、フッフッフッフッ……」
「え? ひょっとして朱美も怒ってるのか? うわー、二人とも本当の事黙ってて悪かったー。だから怒らないでくれー!」

俺と朱美が身体を震わせているのを見て、利里は二人とも怒っていると勘違いしたらしく、
無表情な筈のリザードマンでも分かるくらいに激しく戸惑い、涙目になって俺達へ必死に謝る。

「ぷぁっ、はっはっははっはっはあはっはっはっ、くーっ、はっはっはっはは」
「くっ、ふふっ、あっはっはっはっはっ、ひーっひっひっひっ」

その滑稽過ぎる姿に、遂には笑いのツボに達し、俺も朱美も笑いが止まらなくなる。
そしてそれが如何してなのかも分からず、利里は更に戸惑う。

「え? あれ? 何で今度は笑うんだ? 俺、何かおかしい事したのか? なあ、教えてくれよー!」
「そっ、それは、くくっ、自分の心に聞けって、くひーっひっひっ」
「自分の心って何だよー!? なあ、だったら朱美ー、何で笑うのか教えてくれよー!」
「それはっ、ふふっ、自分で考えなさいっ、あっはっはっはっはっ」
「そ、そんなー!」

だが、幾ら俺や朱美に聞こうとも理由を教えてくれず、利里は困惑の余り頭を抱える。
そして、結局、俺と朱美の笑いが収まったのは、遂に拗ねた利里が地面に『の』の字を書き始めた頃であった。
20923:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:50:31 ID:c0zEw9ud
  
21023:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:50:47 ID:c0zEw9ud
  
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:50:48 ID:XmSENtVx
しえーん
21223:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:51:29 ID:c0zEw9ud
   
213通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:51:29 ID:vRLMGkCh
「まったく、二人ともあんなに笑うなんて酷過ぎるぞー」
「いや、悪かったな……けど、本当の事を黙ってたお前も悪いんだぜ?」
「そうよ? 本当は行けるのに行けないなんて嘘ついた利里君も悪いのよ?」
「うー、それは本当に済まなかったー」

そして、全員がそろった悪ガキトリオは楽しげに話し合いながら道を行く。
俺は思う。多分、この先の人生にどんなにつらい事があったとしても、こいつらと一緒なら頑張って乗り越えていける。
だからこその親友なのだ。そう、親友とは、人生の宝であり、そして同時に掛け替えの無い物なのだ。
俺は、それを二つも持っている。こんなに幸せな事は他にあるのだろうか?

「ねえ、良かったらこれからこの先にあるカラオケの店に行かない? ちょうどタダ券持ってるのよ」
「おおー、カラオケかー! よーし、俺の自慢の歌声を聞かせてやるぞー! んじゃ、俺は先に行ってまってるぞー」
「おいおい、利里――って、行っちまった……ったく、アイツ、妙な所で先走る奴だな……」

朱美の提案を受け、さっさと先に行ってしまった利里の背を眺めた後
俺がやれやれと言った感じに朱美の方へ振り返ろうとした矢先―――頬に柔らかい毛皮を押し当てられる感触。
慌てて見れば、翼手を後ろに回した朱美が少しだけはにかむ様にこちらを見て言う。

「……さっきの、『俺が何とかする』って言った時の卓君の顔、カッコ良かったよ」
「…………」

突然の事で俺が呆然としていると、
さっと俺の前に出た朱美が顔だけをこちらへ向け、
先ほどの事が夢か幻だったかと思える位のけろっとした調子で言う。

「ほら、何をぼけっとしてるの? 利里君を待たせるつもり?」
「……あ、ああ……分かった。今行くよ」

しばらくの間、俺は感触を確かめる様にキスをされた頬を撫でた後、
ポニーテールを揺らしながらさっさと先に行き始めた朱美の背を追って、俺は歩き出す。

……やっぱり、期待しても良いのかな? なんて思いつつ。

―――――――――――――――――――了――――――――――――――――――――――
21423:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:51:51 ID:c0zEw9ud
  
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 19:52:35 ID:I04VWbE1
21623:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:53:12 ID:c0zEw9ud
終わりかな?
217通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:54:14 ID:vRLMGkCh
以上です、さるさん規制に2度も引っかかってしまい、その結果待たせてしまい大変申し訳無い。
しかもコピペミスまでやっちまうとはorz

そんな俺に今まで支援してくださった方には感謝感激雨あられです!
しかも早速絵を書いてくれた>>178には感激を通り越してなんと言えば良いのやら……
とにかく、有難うございました!
218通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/26(日) 19:55:26 ID:vRLMGkCh
絵を書いてくれたのは>>176だった……orz
とにかく、有難う!
21923:59まで名無し・1001投票@名無し・1001スレ:2008/10/26(日) 19:59:29 ID:c0zEw9ud
投下乙!
凄い大作きたなー
どんどんこのスレが成長してるようで嬉しい限り

そしてやっぱり爬虫類系は脱皮するのかw
トカゲかわいいよトカゲ
みんなキャラが立ってていいね!GJでした!


あと、みんな投下中に立ち会ったら支援しようぜ
空白でも支援でも短文感想でもなんでもいいから
SSが投下されてるときにレスの間に書き込んでいく!
これだけでさるさん規制が消えてなくなるというマジックだ
それに、支援自体が盛り上がりの材料になるしね
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 20:02:46 ID:xUDzpj6t
>>217お疲れサマー。
さて、問題は、こうもり娘だ。脚の指先が逆向きに曲がってる
っぽい。どう描くか…
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 21:55:54 ID:xUDzpj6t
>>169
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00258.jpg

なんだか石ノ森章太郎の描くコウモリ人間みたいになった…
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 22:17:58 ID:I04VWbE1
なんというおっぱい
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 22:41:05 ID:I858fDzW
>>109
思い切り乗り遅れましたが、勿体無いので出してみる。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00261.jpg
このギャルゲ発売マダー?

>>159
新作お待ちしておりました!GJ!
どのキャラも可愛いなぁ。青春ど真ん中な感じがいいw
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 23:01:53 ID:3a4/RFrI
なんというおっぱいの嵐
ギャルゲの発売と幼馴染からどう発展していくかをwktkしつつ画像を保存だ
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 23:50:56 ID:I04VWbE1
なんつーハーレムだ
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 00:27:45 ID:MGhuVist
拙い

これなんて読むの?
《つたない》だとなんとなく違和感があるような気がするけど他の読み方がわからない
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 00:31:37 ID:4aLsMM8W
「まずい」と読む場合も
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 00:46:17 ID:MGhuVist
拙い
おお、確かにまずいで出る
さんくす あろっと
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 03:39:07 ID:VyDo4urs
いいもん見せてもらった、絵師もSSも超一流だから困る

AA長編とかには別途支援スレが立ってたけど
この板にはそういうのは無いみたいだな。あっても意味ないのかな?
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 20:18:56 ID:nj/k5mgS
>>229
あったら使うだろうし、無くても困らないって感じかなぁ。

それにしてもAA長編とか懐かしいな…もう随分覗いてない。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 20:47:46 ID:dyPFHpsw
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 22:00:06 ID:5M2wYryO
>>231
なんというギャル○根……店主さんが敗北を悟るのも無理も無い。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 22:54:33 ID:8+A10Yv6
>>231
それだけ食べてその体系とは、いったい燃費どうなってんだ
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 22:58:09 ID:AprQwF0R
昼飯食べた後で、おひるの3時まわったころに「おなかすいたー」と言って
クッキーの缶幾つも空けるとかいうのを想像した。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 23:59:18 ID:Uu9bDaRQ
ギャル○根は消化が早いと言うか、燃費が極端に悪いと言うか、
食べたものをほとんど吸収せず素通りさせてしまう体質だと聞いた。
蝙蝠や鳥類などの飛行動物も、軽量化のために腹に物を長時間とどめない、という似た性質があるので、
それらの種族の獣人に大食い属性があっても不思議ではn

などと獣人が暮らす夢のような世界であんまりリアルに考えても無粋なだけだから
やっぱブラックホールで良いや。その方が面白いし。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 01:03:10 ID:mQtl9mnI
ギャル○根は食べてるとき体温が上がってるらしい
食ったそばから燃やしちゃうらしい

体を素通りしたら栄養失調で死ぬでしょ
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 01:13:36 ID:xuOv/q6n
結論:ギャル○根は化物(胃袋的な意味で)
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 01:20:11 ID:dRuaYGV8
>>236
逆に考えたらほぼ素通りで栄養失調になるから大量に食いたくなるって考えられるだろ。
曽根以外でもなんかの特集ですげぇ腹減るしいくら食っても体重変わらない女の人やってたぞ。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 01:34:14 ID:Rc70Pwur
>>235
草食の鳥類は食べ続けないと体温が保てないんだよね…
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 02:03:37 ID:EZQI1JyL
ギャル某もコウモリちゃんも腹中に極小ブラックホールがあるだけだ
腹内謎空間に納められた十数キロにも及ぶ八の字型の粒子加速器で高速の99パーセントまで加速させた原子を擦れ違わせて回転を加えてブラックホールをつくってるんだよ
超圧縮された食物の原子は自壊して核エネルギーを放射、なおも圧縮は続き素粒子はボゾンへ変移し純粋なエネルギーを抽出
加速器の稼働に大量のエネルギーをロスしちゃうのがたまに疵☆
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 02:05:29 ID:mQtl9mnI
>>238
逆もなにもすぐエネルギーにしてるってテレビでやってたから
素通りじゃないから

あとギャルソネはスレチだからここでしまいな
242通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/28(火) 02:15:14 ID:fB0sA1tH
>>240
利里「そうなのか? 朱美ー」
朱美「……え、えっと……あたしの大食いの話が如何してそんな話に……?
   というか、あたしでそれならあたしの2倍は食うお母さんはどうなる訳よ……?」
卓「そりゃあ、アレだ……そう、ツインドライブって奴だな、うん」
朱美「……ツインドライブって……00じゃあるまいに……」
利里「なぁ、00って何だ―?」
朱美&卓「それは自分で調べなさい」
利里「えー?」
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 03:01:24 ID:dRuaYGV8
>>241
>テレビでやってたから素通りじゃないから
テレビでやってた情報を信用して言い切るとはまいりました^^
彼女はプロフィール等から日常でも恐らく成人女性の4倍以上はカロリーをとっています。
ましてや大食いの時では10倍〜もの量を食べます。
体温が数度高いぐらいで常人の4倍、約8000kカロリーですら消化できるか計算してみて下さい。
ちなみに平均的な運動を特にしない20代の女性の一日の消費カロリーを約2000kとしての話です。
こんなネットという広大な情報があるんだからたまには見解を広めるのもいいと思いますよ。

ということで代謝多すぎて寝るとき体温下げないと死んじゃうハチドリとかいいよね!
小さすぎてほぼ妖精みたいになりそうだけど。
あとイエティの足跡を日本の捜索隊が見つけたらしいけど、
女である可能性は無いのだろうか。
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 07:03:28 ID:cxSowsR8
まあネットは広大だけど信用度は低いよな
特にwikipediaとかwikiとか2ちゃんとか

しかし獣人の食べる物が元の動物と同じだったら食糧危機が大変なことになるな
イナゴが大量発生したら虫を食べる皆さん大喜びなんだろうか
245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 07:22:04 ID:EZQI1JyL
>>242
もうやめて!朱美のライフはもうゼロよ!(エンゲル係数的な意味で)
246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 07:46:05 ID:UKomlE3v
>>242
ツインドライヴは2倍どころか、2つのドライヴを同調させて共鳴増幅させることで2乗倍の出力を得られる設定だったり
・・・マジ飛澤家ヤバイ食糧危機ヤバイ
247名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 20:04:54 ID:lCEqU+gB
部活で遅くなって屋外の下駄箱覗いたら、弱って縮こまってるネズミみたいなのがいたんだが、
引っ張りだしたら翼があってびびった経験がある。
コウモリってかわいい顔してるよな。普通にペットになりそうなもんだが
そんな話聞いたことない。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 20:54:22 ID:Rc70Pwur
コウモリの毛皮の手触りの良さは異常
撫でるとちっちゃい四角な口ぱくぱくするんだよね
249名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 20:59:52 ID:sixLLsXm
もっと…もっとだ……もっとSSや絵や漫画が見たい…!!!
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 21:07:08 ID:unlaX3Ef
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 21:27:46 ID:i31so7Sr
なんと!ロリママでありながら出力?が2倍!
252わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:28:04 ID:UBFPpopV
>>250
喫茶店でこの親子がそろって入ってきたらワクワクするね。
どんだけの甘味山脈を食べつくすのか。

さて。前スレに投下して、保管庫に収められています「ぼくと牛乳」の続編みたいな物を書いてみました。
のんびりとどうぞ。
253音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:28:55 ID:UBFPpopV
わたしが住み込みで働く小さなレストラン『三毛猫軒』に、ショウがやって来た。
彼は片手に楽器を抱え、オーナーでもあるわたしのご主人さまとなにやら交渉しているが、岡目八目に見ても前途遼遠なご様子。
「ぼくの歌には自信があるんですっ!だからお願いします!!このお店を貸してください。歌わせてください!」
「うーん、結局はこのお店を貸切りみたいにしちゃうわけでしょ?その分、お店は出来ないよね。それなりの御代は頂くよ」
「……お代ですか。はあ」
「タダで店は使えないねえ。うん」
尻尾をだらりと元気なく垂らせて、しょんぼりとしているショウはイヌ族の少年。彼とはわたしが料理人の修行へと
この街にやって来てからの知り合い。わたしよりちょっと年下で、からかいがいのある純朴な子なのだが、
こんなにしょげている姿を見るといつも彼の困りっぷりを笑っているわたしでも、やはり少し彼のことが心配だ。

わざとこのことを無視して横で皿を洗いながら、その光景を見ていたわたしにショウが縋り付く。
わたしのエプロンを弱弱しく引っ張るショウの姿は種族が違っても、実の弟のようにも見える。
「ねえ、ミッケ。なんとかならないかなあ」
「ご主人さまがああ言ってるんじゃ、無理だね。あきらめる?」
「…今度の曲は自信があるんだよ。だからたくさんの人にじっくり聴いて欲しいんだ。
だから、こういう小さなレストランでお客さんを集めて、小さな音楽会でもしてみたかったのに」
「小さくて悪るうござんしたね」
皿を洗う手を止めてわたしのメガネ越しにショウを睨みつけると、彼は尻尾をくるりと巻いた。
ネコ族のわたしはしがないここの見習い料理人、人間であるご主人さまの言うことは絶対。寂しそうなショウの背中が物悲しい。
わたしだって、ショウのことを何とかしてやりたいんだよ。でも、世間様って意外と頑固者。

ご主人さまが断った理由なんか分かりきっている。それは、ショウが小さな地味な子イヌだからだ。
あやつが、例えば立派なレトリバーなんかだったら、華もあるしお店の看板にもなるから大歓迎だろう。
しかし、ショウは言っちゃ悪いが『華がない』。いや、けっしてショウの悪口を言っているわけじゃあない。
ヤツのことをよく知っているからこそこんなことを言っているのだが、ヤツの歌は上手いと思うんだ。
でも、いまいち見てくれがぱっとしない。わたしの住む小さな街でも、ケモノの歌い人たちが自慢の腕前を披露しにやって来る。
旅をしながら名を上げようって寸法だ。しかし、人気があるのはコリーやらアメリカンショートヘヤーっていう
見た目に『スター』のオーラが放たれているヤツら。ヤツらが街で歌えば、わたしと同い年位の女の子がきゃあきゃあ取り巻いてくる。
なんだい、下手糞のくせに見てくれがカッコいいから持ち上げられて、いい気になりやがって。山高きが故に尊からず。
254音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:29:44 ID:UBFPpopV
雑種のイヌ族であるショウは人前で歌うには、少しヤツラには見劣りしちゃうのも当然なのだ。
それに、牧場でのんびり育ったショウは純粋すぎるのかもしれない。世間様の波なんぞこれっぽちも知らないショウ。
芸の道で食っていくには、仔犬の瞳と仔猫の愛嬌、そしてオオカミの牙がいるんだぞ。

「ごめんなさい。ご迷惑をかけました」
そう一言残して、ショウは意地悪な秋風で少し冷えてきた外へ出て行った。バタムと扉が閉まるのを確認すると、
わたしはご主人さまにそっと話を持ち出す。もちろん、話の内容はあのこと。ご主人さまは優しくわたしの話を聞いてくれた。
「ご主人さま、あの…さっきの件なんですけど。要はここを満席にすりゃあいいんでしょ?」
「う、うん。まあ、お客さんに帰られなければね」
「じゃあ、わたしにお任せを。きっと満席にしてみせます!」
わたしのメガネがきらりと光る。それがご主人さまに伝わったのか、なんとか承諾をしてくれたのだ。
言っておくけど、けっしてショウのことが好きでやってるんじゃない。あんな…ヤツ。

ショウはけっして目を合わせて話をすることがない程、気の弱い仔犬だ。「楽器がぼくの友達なんだ」って言ってるけど、
裏を返せばあんたにゃケモノや人間の友達が居ないってことだよね。わたしがショウの住むヒルック牧場に
買出しに行って以来のショウとの付き合いだが、お得意先であったことをショウは後生大事にするんだな。
のんびりと牛に囲まれて育った彼、そして単身家出同然で田舎から飛び出したわたし。
この街はショウを南の大洋のように広い心で包み込み、そしてわたしには北の海の荒波のように厳しく冷たい。
同じ街に住むケモノなのに、こんなにも街は見せる顔が違うのか。

日中の仕事を終えると、既に外は闇に包まれおやすみなさいのご挨拶。もう、日が落ちるのが早くなっている。
そして、月明かりだけが田舎町の石畳を照らす。ちらほらと街の灯が輝き出し、夕餉の香りが微かに漂う。
もう、こんな時間に出歩いてるヤツなんかいない。わたしの足音がペタペタと響く。街はずれへの道へとひたすら歩く
料理人の服を脱いだわたし、そりゃもともとネコ族なので夜道は得意なのよ。何の為に歩いているのか。
わたしの目的地は星空輝く丘にあるヒルック牧場。もちろん門は閉ざされ、家畜たちは小屋に帰っている。
255音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:30:19 ID:UBFPpopV
母屋も早い明日の為に、お休みの準備をしているらしい。わたしの勘ではこの辺でこの時間、軽やかな弦の音が流れてくるはず。
周りは暗く涼しく、わたしのネコ毛でさえもその冷たい空気を凌ぐのがやっとにも感じてくる。
だが、この闇の中の草原に誰かが居ることは確かなのだ。勘が当れば…。
すると…。
牧歌的な静かな歌声が、虫の音だけが独り占めしている闇夜に申し訳なさ気に、お邪魔して楽しげに走り回るのが聞こえてきた。
当った、勘は当った。ここの一人息子、ショウが牧場の柵に腰掛けて、一人で楽器を鳴らしている。
その音のする方へわたしは駆け出し、楽器の主に声をかける。
楽器の主は己の手を止め、やや挙動不審にわたしを見つめていた。

「おーい。ショウ」
「……ミッケ!どうしたの?」
夜中、一人で演奏をしていたショウは弦を触る手を止めた。唖然としているショウの横にわたしは並んで柵に腰掛ける。
女の子慣れをしていないショウ、わざとわたしとくっつかないように横にわたしが気付かないように移動し、
俯き加減で肩をすぼめている。おいおい、わたしだぞ。けっしてあんたに気があるんじゃないからね。
「それ、新曲?たくさんの人の前で歌えたらいいのにね」
「無理だよ…うん」
「でも、わたしがなんとかしてあげよっか?だって、こんないい曲埋もれさせるのって、
厨房に残った最高のヒレ肉をゴミ箱に捨てちゃうようなもんだからね」
「でも……」
「わたしのメガネを信じて!」

うんと小さく頷くショウはイヌミミを寂しそうに垂らしていた。しばらくするとショウは再びポロンとウクレレを奏でて、
その心地よい音色で牛たちのいない牧場をちいさく包み込んだ。星空の下、観客がたった一人の音楽会なんて寂しすぎる。
せめて、瞬く遥かな星たちでもいいので精一杯の拍手を送ってくれ。
256音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:30:54 ID:UBFPpopV
翌日、お店はお休み。わたしも今まで縮こまっていた羽をうーんと伸ばしたいわけだが、ショウのことで頭が一杯。
わたしは朝から街を駆け巡り街と戦う。そう、わたしはこの街の者たちに勝負を挑む。今に見てみなさい、世間様なんてバカヤロウ。
わたしの知ってる限りのケモノ、人間たちにショウの音楽会のことを宣伝しまくった。
徹夜で作ったガリ版のチラシも街中の人やケモノたちに配った。

「あの…すいません、わたし『三毛猫軒』のミッケと申します」
「ん、なんだい」
「今度の日曜日、ウチでちょっとした音楽会を開きます。このビラを見てください」
「…ばってん、誰か有名な歌い人でもくるとですか?」
「まだまだこれからの歌い人ですが…けっして損はありません!!」
「ふーん、ヒマがあったら覗いてみるばい」
そして、『あることを忘れずにして』街中を走り回ったのだ。そう、あることを…。
ライバルの料理屋、道具屋、市場とどれだけ走り回ったか。人の多いところを選んで、ショウの名を広めてやる。ふう、疲れるな。

すると、街の往来でどこかから来たのかチワワが横笛を吹いていた。しかし、そんなに上手とはいえない音色、むしろショウの方が上手いぞ。
だが、チワワの周りには人だかり、ケモノだかりが出来てゆく。しかも街のメスばっかり。
そいつらは黄色い声をチワワに惜しむことなく投げかける。
「きゃー!かわいい!!」
「この子、タイプ!!ファンになっちゃうかも」
なにが『かわいい』だ、『タイプ』だ。ヘタクソって誰か言ってやれ。だから街の女どもはころっと騙されるのだよ。
ショウの代わりにわたしが「このヘタクソ、やめちまえ」って叫んでやった。但し、誰にも聞こえないくらいの小声で。

ショウよ、これだけわたしが骨を折っているんだから、ちゃんと自信を持ちなさいよ。
でも、わたしが骨を折るなんてそうそうないんだから、その価値をキチンと自分で理解しなさい。ちいさな仔犬ちゃん。
さて、最終段階。この街では知らない者はいない名家、東の丘のお屋敷・ハルクイン家に向かう。
なんでもハルクイン家はこのあたりの大変な地主で、ショウの家の牧場の土地もハルクイン家から借りているらしい。
その屋敷にはわたしのいちばんの理解者が住み込みで働いている。理解者は持ち上げすぎか、そうだな『便利屋さん』かな、ヤツは。
とにかく、東の丘を目指して走る。走る。走る…。わたしの本気を見やがれ。
257音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:31:33 ID:UBFPpopV
「おーい、リツ」
その便利屋さんは丁度、庭で落ち葉を拾っていた。リツはお屋敷のお嬢さまに仕えているショウと同じイヌ族の男の子。
三毛猫軒のお得意さまでもある。目をクリクリしながらわたしを見ているリツはマヌケだ。
「ミッケ…ヒマなの?」
「ヒマじゃないよ。それより、お願い!」

リツにわたしからのお願い事をしてみた。ちなみにお願い事とは『音楽会においでね』なんて簡単なことではない。
リツ、空気読んでOKしなさいよ。あんたの答えようで仔犬の望みが叶うのかどうかが掛かっているんだからね。
「ミッケのお願いじゃあ、しょうがないよ。わかったよ」
「…話は決まったね!じゃあ、今度の土曜日の午後。『忘れずに』来なさいね!」
「ミッケには負けるよ…」
「じゃあ、お嬢さまにはよろしくねっ」
「んじゃ、マリカさまに言っておくよ。大丈夫だと思うけど」
「大丈夫だよね!!」
「う、うん」

リツに手を振ってハルクイン家を後にし、そのままの足でショウのいるヒルック牧場へ。
ショウのせいでわたしはどれだけ走り回っているのか分かるか?ショウ。わかんないだろうなあ。
思ったとおり、呑気なショウは切り株に腰掛けてお茶を飲んでいた。まあ、無理もないか、わたしが勝手に始めたことだ。
「ショウ!日取りが決まったよ!あんたの音楽会、来週の日曜日の夕方!きまり!」
「ええ?な、なに?」
小さなイヌは武者震いなのか、それとも怯えているのか持っていたカップのお茶を波立たせていた。
遠くではそんなことに気を揉むことのない牛たちがモオオと鳴いている。
258音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:32:07 ID:UBFPpopV
―――約束の日の午後。ショウはびくびくしながら三毛猫軒の裏口にやって来た。
自慢のウクレレを片手に、この店で戦いを挑みにやって来た、といっても過言じゃない。
彼の人生でいちばんの賭けかもしれない。気の弱いショウは震えながらわたしに縋る。
「大丈夫かな…」
「あんたはね、最っ高の歌い人よ。わたしはウソをつかない」
今はショウの両肩をポンと叩いて、彼の不安を払いのけてやることしかわたしは出来ない。

さあ、開演は夕方、それまではいつもの様に料理店として三毛猫軒は働く。二階にあるわたしの部屋で、
自分の出番を縮こまりながら待つショウ。ショウが持つわたしが差し入れたお茶のカップは、小刻みに波立っていた。
茜色に空が染まる頃、お店も一旦おしまいになり、この後はショウの一人舞台だ。任せたぞ、ショウ。わたしがやれることはやった。
ここでコケたらあんたのせいだかんね。でも、あんたは大丈夫、きっと。

時計は開演の時間を指差す。バカ正直な時計はわたしにショウを呼べと急かし立て、わたしは言われるがまま階段を昇る。
ノックをしてショウのいるわたしの部屋に入ると、彼はウクレレを抱えたまま部屋の隅にうずくまっていた。
呪いのようにショウは同じ言葉を繰り返している。
「だい…じょうぶかな」
「うん。あんたは大丈夫」
「お客さん…いるかな…。帰ったりしないかな…」
これ以上話しかけても、ショウにプレッシャーを与えるだけ。だんまりを通しながらゆっくりショウの手を引いて階段を降りる。
いつもなら気にしない階段の軋む音が大きく聞こえる。階段を降りきると店内への扉。
自ら扉を開けるように促すと、ショウはゆっくり扉を開いた。さあ、あんたの出番を待ってる人たちが居る。

いちばん驚いていたのはショウとご主人さまだった。
乳牛二頭が入ればぎゅうぎゅうになるぐらいの店内。そこにはイヌ、ネコ、ケモノそして人間のお客さんでいっぱい。
こんなに大勢のお客で詰まった三毛猫軒を見るのはわたしもご主人さまも初めて。
テーブルからの小さな拍手はやがてだんだん増えてゆき、何時しか店内全ての者が手を打ってショウの演奏を待つ。
「みなさん、お待たせいたしました。ほんっと名前も無いし、だーれも知らないかもしれませんが、歌はピカイチだと思うんです。
なので、わたしの働くこの三毛猫軒だけでちいさな音楽会を開いてみました。今宵の主役はイヌのショウくんです。さあ、どうぞ」
わたしの仕切りで、音楽会は幕開く。さあ、いつもの調子だぞ。あんたはぜったいそんじょそこらのヤツラよりか歌は上手い。
ただ、周りはその才能を見抜けなかったり、あんたが一人で暗闇に潜っているから気が付かないだけなんだぞ。
そうだ。アイツらに見せ付けろ。お前のことは誰も心配なんぞしていない。
259音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:32:43 ID:UBFPpopV
薄暗い店内に、ショウとお客さんが向かい合わせ。しばらくの静けさが包み込む。
「あ…あの、聴いてくれますか」
ゆっくりした口調でショウが口を開く。ただ、それだけの言葉を残して、ポロンとウクレレを鳴らし始める。
お客さん、わたし、そしてオーナーは静かにショウだけを見つめる。
ショウの優しいウクレレの調べは店内を包み込み、お客さんたちの酒の入ったカップの手を止める。
ほかに聞こえる音といえば、ご主人さまが調理をする音ぐらいか。そんな音に気を取られる事なく、ショウは弾き続ける。

ウクレレの音色って、どうしてこんなに優しいんだろう。
ウクレレの音色って、どうして人々を引き付けるんだろう。
ウクレレの音色って、どうしてこんなにやさぐれたわたしを何でも許してあげる『聖女』にすることができるんだろう。

そんなウクレレを己の言葉のように操るショウ。あんたはけっして口は上手くない。ヒツジとオオカミで言ったら、
あんたは確実にヒツジだ。オオカミから牙を向けられても、メエエ!って悲鳴を上げて、緑の大地に埋もれるだけの弱いヒツジだ。
でも、あんたがウクレレを持った時にゃ、王様から授かった剣を持った勇者のように、怖いものなんか何もないように振舞えるんだよ。
その剣で冷たい血のオオカミたちをばっさり斬りつけることが出来る、ヒツジたちの勇者になれるんだ。
でも、あんたさ…気付いてないだろ。今、あんたは美しい光の剣を持っているということを。
そう怒鳴ってやりたいわたしはウクレレのン音色でショウを許してあげることができる。

―――2時間後、音楽会は終幕。そのあと、三毛猫軒はちょっとした飲み屋に様変わり。ショウの歌のこと、わたしのこと、酒の肴はいろいろと。
ここからはご主人さま一人で大丈夫、明日に備えてもうお休みとご主人さまから優しく声をかけられ、
わたしとショウはわたしの部屋に引っ込む。ショウにミルクを勧めながら労をねぎらう。

「よかったよ」
「ウチの牧場のミルクだね」
「うん、あんたのところの牛乳、最高。なんでも東の丘に住んでるお嬢さまも、飲んでるんだって」
「すごいね」
「すごいよ」
「でも、どうしてタダで今日はここで歌えたの?」
「そんなことは考えないで。あんたはただ歌のことだけ考えてりゃいいの」
「そう……。でも、ありがとう」
裏口からショウを見送る。送ってあげようかと言うと、帰りの夜道は女の子一人じゃ危ないとやんわりショウは断る。
その足取りは軽やかに、宵の街にショウの後姿は消えていった。
260音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:33:13 ID:UBFPpopV
スズメがさえずり始め、わたしが起き出す頃、下の階から『サクラ』だった客がパラパラと帰っていく。
わたしが彼らに渡したコインはどのくらいだろうか。彼らにはタダで飲み食いさせるって約束で音楽会に来てもらったのだ。
そう。わたしがやった『あること』とは、お客さんに金を握らせること。そして、ご主人さまにナイショでそのコインを
三毛猫軒で落としてもらうという計算なのだ。サクラの割合はほぼ全員。お客さんたちは身銭を切ることはない。
ただ、勢い余って大幅に金を落としてくれた御仁もいらっしゃるようだが、それはそれでよし。

そして、ご主人さまへ前もって支払った店の貸しきり賃、それはわたしが出しておいた。わたしと言うより、
丘の上のお嬢さまが住むお屋敷で働くイヌ族の使用人・リツに芝居を打ってもらい、
お嬢さまがこの音楽会の為に資金を『出した』という名目にしておいたのだ。
「あの…マリカさまが音楽会を開きたいって言うのです…。だから…」
そう言って、リツはご主人さまにコインが詰まった麻袋を持ってきた、と言うか持ってこさせた。故に、実の出資者はわたしだ。
あの『ハルクイン家のお願い』って言われちゃあ、さすがのご主人さまも断れないだろう。
お陰で、わたしが将来一人立ちをするときに使う資金がごっそり減ってしまった。でも、人間さまや、
勘違い歌い人の鼻をあかすことも出来たことだし、誰も損はしていないはずだ。
だって、わたしが店を開くことより、ショウが歌い人になって有名になる方の見込みがあるんだから…。
おっと、今までの件はご主人さまとショウには内緒ですぞ。
それに、わたしはウソを吐くことしか出来ない、ひねくれたネコですから。
261音楽会 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:33:46 ID:UBFPpopV
数日後、暇を持て余した三毛猫軒に老犬が現れた。しょぼくれた姿は人生に疲れたように見える。
そのおいぼれの姿を見るや否や、ご主人さまは少し震えていたのは何故だ。しかし、答えはすぐに出る。
「この間の少年の歌、聴かせて頂きました。実はわたくし、とある劇場の支配人でして…彼にぜひ出ていただきたいんです」
ご主人さま曰く、この老いたイヌはかつてこの街で名を馳せた舞台俳優だという。
昔、誰も知らないうちにデビューし、主役を張れるほどではないが妙に印象に残る演技で、カルト的な人気をかっさらい、
そして何時しか彼は表舞台から消えていったという、知る人ぞ知るいわゆる『怪優』。
ご主人さまは昨夜、この店に来ていたことなんぞ全く気付かなかったらしい。

「身の気配を消すのも芸のうち」
と、のほほんとのたまう老犬は懐から少額の札を出して、なにやら万年筆でサインをしている。こっそり覗いてみると、
『興味がおありなら、わたしの事務所へお越しください。連絡先は…』
との意味の文が書かれてある。
「少年によろしく」
と言葉を残して、老犬は姿を消した。いや、気が付くと居なくなっていた。これも芸のうちなのか。

わたしとご主人さまは老犬を見送り、しげしげとサインが書かれた札を見ていた。
「ご主人さま、ご存知?」
「…ああ、わたしも昔はよく彼が出ている舞台を見に行っていたものだが、まさか彼がここに来ていたなんて」
もしかして、わたしが街中を歩き回った日にその老犬に会っていたかもしれない。
でも、そんなこと気付いていない。それも『姿を消していた』からか。しかし、どうでもいい、こんなこと。
ショウが人様から一目置かれるなんて、これを逃したら一生ショウは小さな仔犬で終わっちゃうかもしれないぞ。
余計なお世話と思いながらも、どうしても世話を焼いてしまうわたし。ご主人さまから札を引ったくり、
「ご主人さま!ちょっと牛乳を買いに!」
そんなウソを吐いて、サイン入りの札を握り締めたわたしはヒルック牧場へ走る。


おしまい。
262わんこ携帯 ◆TC02kfS2Q2 :2008/10/28(火) 21:40:00 ID:kwJL1agN
お話はおしまいです。
SSに登場させたキャラをSS、まんが、イラストに使って頂いて
すべての職人さん、読み手さんに感謝です!
では。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 21:44:56 ID:unlaX3Ef
>>262
面白かったです。今度はミッケが主役ですね、よーし。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 22:47:17 ID:unlaX3Ef
265通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/29(水) 00:48:02 ID:wUjoDCpO
港通りをひっきりなしに走っていた市電の本数も、やや少なくなり始めた夜遅く。

「それにしても、あのお客さん、凄かったね」

営業が終了した『菓子店 連峰』の店内で、
メイド服姿が可愛らしいキジトラの猫のウェイトレス、美弥家 真央(みやけ まお)がデッキブラシ片手に漏らす。

「あのお客さんって……ああ、あのデカモリを人間の彼氏の分まで食い尽くしたコウモリのお嬢さんの事ですかぁ?
確かにアレは凄かったです、私ですらも思わず仕事を忘れて、あの子の食いっぷりを見続けてしまった位ですからねぇ……
にしても、中々取れないわぁ、これ……もぅ」

その言葉に、角にリボンを巻いた何処か優しげな目をした羊のウェイトレス、
金森 未井(かなもり みい)が床にへばり付いたガム相手に苦戦しつつ応える。

「ええ……難攻不落のスイーツマウンテンDXが二つも平らげられるとは思いもしませんでしたよ……
しかも、それが大男ならともかく、どう考えても多くは食えなさそうな少女がそれをやってのけたのです、
あの時ほど、私は敗北感を感じた事はなかった……」

その横で、鋭い目つきに何処か精悍さを感じさせるパティシエ姿の狐の女性店長、狐利山 香苗(こりやま かなえ)が
レジの売上を帳簿に書きこみつつ何処か悔しげに漏らす。

「……で、これから如何するんです? 店長」
「如何するとは、如何言う事だ?」

真央が何気に言った言葉に、耳をぴくりと動かした香苗の目がギラリと輝く。
その際、香苗が一瞬だけ発した殺気に、傍にいた未井がビクリと身体を震わせる。

「いや、だから、スイーツマウンテンDXを攻略されてしまった以上、
他に目玉を作らないと行けないかなーとか思ったわけで……で、如何するんですって言ったんですけど?」
「…………」

しかし、殺気を感じ取れなかった真央が何となくって感じで応える。
それに対し、無言で真央の方を睨む様に見つめる香苗。その膨れ上がった殺気に危険を感じ、後退りし始める未井。
だが、香苗は何する訳でもなく、暫く真央を見つめた後、やおら踵を返すと厨房の方へと向って行った。

「……ちょ、ちょっと、真央さん。何を聞いちゃったりしてるんですかぁ?」
「へ? いや、だからこれからの事を……」
「今の店長はものすっごい不機嫌ですよぉ? そんな時にあんな事を聞くなんて自殺行為じゃないですかぁ……」

香苗が去ったのを確認して、未井が慌てて真央に話しかけるが、
真央は何が起きていたのかも分からない調子で言う

「不機嫌って言いますけど、店長の尻尾は見たとこピンと立ってましたし、むしろ上機嫌な方では……?」
「え、えっと……あの、それはあなたと同じ猫であればの話ですよぉ?
けど、店長のような狐の人の場合、尻尾がピンと立っている時は逆に不機嫌な状態なんですよぉ……」
「え? マジ?………って事は、あたし、店長を怒らせたって事?」
「多分、そのとおりかと思いますぅ……だから、真央さん、覚悟した方が良いのでは?」
「……あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……あたしったら、なんと言う事を……」

未井の指摘によって、ようやく勘違いに気付いた真央は耳を伏せ、その場で頭を抱える。
しかし、今ごろ気付いた所で後悔後先立たず。真央は己の取った軽はずみな行為を呪うしか出来ない。
多分、髯を根こそぎ抜かれるかもしれない、と、彼女がこれから身に降掛る店長の厳罰に身を震わせていた矢先。
266通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/29(水) 00:49:23 ID:wUjoDCpO
「…………」

香苗が先ほどと同じく、無言で厨房から出てきた。
それに気付き身を凍らせる真央と未井に、彼女がやおら振り向くと、

「二人とも、これからスイーツマウンテンDXに代わる次のメニューを考えましょう」
『………へ?』

香苗の言い出した事に、二人は思わず声をハモらせ首を傾げる。
そんな二人の様子に構う事無く、胸の前で腕組をした香苗は続けて言う。

「スイーツマウンテンDXが攻略されてしまった以上、次に我々がやる事は只一つ。
あのコウモリの子でも攻略できない新たなるスイーツマウンテンを作り出す事だけです!
そう、それが大食いメニューを作り出す者としての義務!」

そう宣言する香苗の目は、二人から見ても分かるくらい闘志に燃えていた。

「え、えっと……あの子でも攻略できないくらいって…どれくらいなんですか?」
「そうですね、ざっと考えて前の3倍強でも足りないと私は思っています」
「さ、3倍……」

恐る恐る問い掛ける真央に、香苗はごく平然と言った感じにとんでもない事を言ってのける。
只でさえ超ボリュームなスイーツマウンテンDXの3倍である、はっきり言って想像できない。
もはや唖然とする二人を余所に、闘志に火のついた店長は張り切って言う

「そう言う訳です、今晩は徹夜で新メニューの考案と行きましょう!」
「え、あの? 私達もやるんですか?」
「当然です」
「そ、そうですか……」

未井の質問に、毅然と応える香苗。
もうこうなると誰が何を言おうと彼女は止まらないだろう。
二人は、この店長の性格を誰よりも良く知っていた。

「さあ、早速試作品の製作開始です! 二人とも、張り切っていきましょう! エイエイオー!」
「え、えいえいおー……」
「声が小さいです! もう一回、エイエイオー!」
「え、エイエイオー!……ううっ」
「今日は、帰れそうになさそうねぇ……」

気合を入れる香苗と涙目になる真央を横目に、未井は疲れた様に呟きを漏らす。
そして、『菓子店 連邦』の夜はふけて行く。
267通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/29(水) 00:50:29 ID:wUjoDCpO
そして数日後

「…………」
「あれ? 店長……如何したんですか?」
「今は話し掛けない方が良いですよぉ?」
「へ、何故?」
「あれから、あのコウモリの子が母親を連れてやってきたんですよぉ。
それで、店長が早速、真スイーツマウンテンDXをその親子に薦めたんですけどぉ……」
「……それで、どうなったの?」
「お二人とも、お代わりまで要求されたそうですぅ」
「…………」

完膚なきまでな敗北を味わい、床に突っ伏す香苗の姿が其処にあったと言う。
268通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/10/29(水) 00:53:18 ID:wUjoDCpO
と言う訳で『菓子店 連峰』の人達の小ネタでした。

やはりあの親子の胃にはブラックホールがあr……あれ、こんな夜に誰か来た……?
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 13:17:57 ID:bhwM+vbb
>>262
お、漫画もあるのか…と前スレ漁ってみたけど見つからなかった…
wikiのどこにあるか誰か教えてくれ…or2
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 13:23:28 ID:v7o/R9zG
>>269
学校シリーズの所に
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 13:33:57 ID:bhwM+vbb
>>270
連レスすまん。学校シリーズって、ケモノ学校の漫画のページでいいのかな?
スレのレス番号で教えて下せえ…
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 17:18:04 ID:v7o/R9zG
遅レスですまん出掛けてた
>>271
そうだけど
前スレのレスの番号で良いんだよね?
>>228.>>254.>>282.>>331.>>425.>>631.>>811.>>832.>>857.>>896
コマ割してあるのはこれだけ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 17:34:59 ID:A7RKBhDt
      ,. -く-、-''_,,並r- .、
       ,ィにニ久ノ'"  /   ヽ、
      ,.'  >ー/   ,   ;.   i`.ヽ
    ,.'  /  ,'  / /./ M   ノ   !         ._,,_, ,,,..,
    /  /   {  トト,r='' ヽイレレ |_,,_, ,,,..,     \ヾス/    ._,,_, ,,,..,      
    !  ,'   ヽト! ',ィ:Cヽ   ィy;ソ// \ヾス/_,,_, ,,,..  ヾ,ケ _,,_,_, ,.\ヾス/
   i !|l   | `  じ'_   .{'j/'イ   ヾ,ケ \ヾス/  ,ハ \ヾス/ ヾ,ケ       
    ! | ヽ!| !        丶 ! l|   ,ハ   ヾ,ケ  γ.;iil,. ヾ,ケ  ,ハ
    丶ヽト| l 、   t_ァ ノ ! !  γ.;iil,.  ,ハ.  λ,;iiキi  ,ハ γ.;iil,  
        _ヽヽ. ト、` ー--イ  ノノ  λ.,iiキi. γ.;iil,. ,{ .,,iiilヨ|,γ.;iil, λ,;iiキi
    ,_-''"    丶、f'@}|_ / / ..,,;;iiill.{ .,,iiilヨ|λ,;iiキi'" ,''" ''λ,;iiキi.,{ .,,iiilヨ|lliii;;,,..
  /...二丶、    .入_ト ".,;i ' ",.."' "' ''"' { .,,iiilヨ| 、   { .,,iiilヨ|"''"' "' ":;';;,i;,.
 f,r''''''''ーァ`ヽ、  /__   ,il| ii;;;,,.. 、 "';" '"''' '" ", "' " "' '" '' " "、..,,,;;;ii |li,
 ト二二.-''"~ヽ  fー=-r‐(丼""'''''!!!lllllllliiiiiii;;;;;.....,,,,,,,.....,;;;;;;iiiiiiillllllll!!!''''"" 丼)''-_、
  ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.ト、'〜-i| `'''ー=================一''''" |
   ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:Y:.ヽ   l !    ,rーケ___                       ,' il
    ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:\_!>''"〔   ̄ =-う                   ,.' /〉
      ヽ:.:.:.:.:.:.:.:i_;; -''":.:.:.:.:.:.:.ヽ   二不 ____________. ,'/'
ttp://file.chosunonline.com//article/2005/08/24/898827382080179180.jpg
ttp://bbs50.meiwasuisan.com/bbs/kaiki/img/12053331350001.jpg
ttp://www.chosunonline.com/article/20050824000069
>>1に差し入れです。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 17:45:54 ID:egpqGs2M
スケキヨwww
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 18:11:05 ID:6uhWumOW
ぬあー、少し見ない内になんかいっぱい来てる!
ありがたやありがたや…


―チラシの裏的な―
>>265の『菓子店 連峰』、
>>266の『菓子店 連邦』と書いてありますが、これどっちが正しいんでしょうか?
多分前者だと個人的には思うんですが…
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 18:13:02 ID:6uhWumOW
って、前回のSS見れば良いんだったorz
スレ汚し失礼しました…
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 18:34:47 ID:SJ3tYsdb
>>272
うーーん…??ミッケ君とかの漫画が出てるって意味で、訊いてたんだが
ちょっとすれ違いしてたようだwスマヌ
見た感じじゃSS職人とは別の漫画もあるようだし。
278252:2008/10/29(水) 18:42:54 ID:mO/UzYAR
語弊を生む書き方をしてすいません。
「ぼくと牛乳」ではマンガは無いのですが、ケモノ学校シリーズで描いて頂いているので
そのお礼を込めて、ご挨拶をしました。お騒がせしてごめんなさい。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 21:56:24 ID:ljSjl/Co
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 00:42:06 ID:BZKwNMdE
>>267
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00282.jpg

なんだか、ロダが夜でも軽くなった気がするのは気のせい?
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 00:45:36 ID:M693rhp0
メイドさんは正義!
羊っ娘がちゃんと横長な瞳孔のところに感動

確かに今日はロダ軽いね
282名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 23:22:59 ID:Q8wY7Fst
何だか最近ちょっと過疎気味?(´・ω・`)
283名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 23:25:57 ID:M693rhp0
確かに最近感想雑談が少ないかもね
新しいゲーム買ったもんで、俺はそっちにかまけちゃってたや
284名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 23:39:32 ID:HRoobFwX
ゲームか・・・最近だとケモノ的にはチョコボとかが萌えるか?
285名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 23:42:12 ID:M693rhp0
いや最近買ったっていっても中古でかなり古いゲームなんだが
ひつじ村っていうケモノがかわいいゲームでね
286名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 23:55:13 ID:/L4xM1gy
週末にまた投下ラッシュが来るといいなもふもふ。
287名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 23:55:58 ID:KJiS4O/j
無茶言うな明後日は祭りだ
288名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 23:57:21 ID:BZKwNMdE
週末はこれを観に行ってて絵を描けなくなるので、ラッシュが来たら
悔しいなぁ… と思いつつ。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00285.jpg
289名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 00:04:01 ID:L0UdpjJ9
とべねぇ獣人は…ただの獣人だ
290名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 00:33:04 ID:ZwVDIg8K
>>288
これ見てPSの鳥獣人が飛行機に乗ってなんちゃらする奴を思い出すなぁ、名前覚えてないけど…
他のゲームでの獣人だと、アンリミテッドサガのアーミックさんとか、
ムゾル・ヤニーさんとか、ダグル・ボースさんとか


最近球団マスコットにハマってるんだけど、やっぱり獣人とは違うんだろうか
特にクラッチさんとかカビーあたりが、可愛く感じて仕方が無い今日この頃…
291名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 00:53:27 ID:ti6BHgMD
獣ゲーといえばやはりフェーダは外せんな。
獣ばかりか昆虫も出てくるし。あれは普通に格好いい。
忍者+螻蛄というのがツボった。
292名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 01:02:11 ID:TaBLvd1h
>>290
アーミックを出しておいて、何故メリトやカレシンやスプリーを出さない?
293名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 01:05:11 ID:8t0Bz5JL
>>287
思い出させてくれてありがとう
294名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 01:05:16 ID:VNaYvwdX
「ゲーム」「獣人」だとやっぱり「テイルコンチェルト」が…。
まもる君もいいな。
295名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 01:22:13 ID:ZwVDIg8K
>>292
ごめん素で忘れてたわ…
チエラとかオラベラとかベニカもいいよね!
296名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 01:35:52 ID:8t0Bz5JL
テイルコンチェルトDSで出ないかなぁ…
297名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 01:45:40 ID:ZwVDIg8K
>>296
それらしい物を発表してどれ位経ったっけ?
時々CC2のサイト見に行くけどその度に更新なくてショボーンになる俺…

そろそろ大まかな形でもいいから見せてくれよCC2さん…
298名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 02:04:08 ID:8t0Bz5JL
>>297
随分経つよ…
PS版やったことないからやってみたいのに


ところで、S−1(月間お題創作発表)の11月のお題が猫なんだけど、獣人スレの皆さんも参加しませんかー
299名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 02:04:19 ID:4kC2pTQG
>>291
トビカゲね
ラセツ戦の時はかっこよかったよ

FEDAはなあ……アービー、リチャードとシェリーが属性のせいで両立出来ないのが
そのせいで極カオスのジェノサイドまっしぐらなんだよね
あの物凄い胸と被ダメージ時のかわいらしい顔を拝む為に

>>292
あの地獄のようなアイテム収集を思い出す……
300名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 02:31:49 ID:VNaYvwdX
>>298
S-1グランプリですね。11月の御題は当スレにぴったりなようで。
わしもちょっとづつ書いたり削ったりしてるが…。でも、ぜひとも参加したいな。
10月は断念してしまったので。
301名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 07:22:24 ID:Ki7iWPMI
>>290
スカイガンナー?
302名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 13:49:34 ID:BsowlTJ4
アンサガ知ってる人意外といるのなw
303名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 14:14:35 ID:fG7zpic6
なまじ獣人好きなせいで
上級者向けのアーミック編を最初からいきなり選んでしまって
糞ゲー認定して投げてしまった人もいたのだろうな

勿体ないことです
初心者はローラ編だよな種族も多いし
304名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 14:46:11 ID:o/x5bnbq
目押し養成ギプス過ぎて疲れて投げた……


グラとか音楽が良いだけに残念な作品だったなー
305名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 17:49:25 ID:L0UdpjJ9
獣人なゲームって結構あるのな
306名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 17:51:11 ID:epWtUFxe
でも獣人の女の子が出る格ゲーはないんだよなぁ
307名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 18:24:16 ID:Ki7iWPMI
羅媚斗と申したか
308名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 18:27:04 ID:y3JtMV2s
無ければ作ればいいじゃないか
獣人ゲー作ろうと思ってRPGツクールを始めたはいいものの、思った以上に難しいな
根気の要る作業だし、SS書くときみたく行かないよ
309名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 18:31:38 ID:L0UdpjJ9
この板に格ゲつくってるスレとギャルゲつくってるスレあるけど
妄想で盛り上がるのは格ゲ、実際先に進んでるのはギャルゲのほうみたいだね
やっぱシステム面とかのめんどくささが段違いだからだろうか
310名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 18:37:50 ID:epWtUFxe
ドッター死ぬもんね
311名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 18:58:30 ID:wKSgrcan
ギャルゲーは絵を紙芝居で進められるが
格ゲーはアニメーションとかコマンドスクリプトの組み合わせとかマジ鬼畜
312名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 22:47:57 ID:lOU14OGp
久々にケモノ学校SS読みたいなあと(主に先生方のも)思ったら
最近過疎ってたぽいのねー
週末か!?週末に入るからか!?
313名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 23:00:29 ID:VNaYvwdX
ここは投下が一気に集中する傾向にあるみたいね。
それに、SS投下直後、すぐに保管庫に載っている所はスゴイ。
このスレの保管庫管理人さんのマメさには、いち書き手として頭が下がります。ホント。
314名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 23:03:16 ID:y3JtMV2s
確かに平日の投稿は少なくて、土日に集中するよな
315通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/01(土) 01:11:17 ID:z+nt2CDg
ちょいとこんな時間に投下しに俺が通りますよ……

1時間ほど遅れてしまったけど、時期に合ったネタのSSを投下します。
316通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/01(土) 01:12:20 ID:z+nt2CDg
「そう言う訳で今日はハロウィンなんだけど、皆集まってくれた?」
「ああ、先週辺りから散々言われたからな、忘れる訳無いだろ?」
「おう、俺も約束通りに来たぞ―」

夕闇色に染まった空に、切り抜いたような三日月が浮かぶ10月31日の夕方。
卓、利里、朱美の何時もの悪ガキトリオが卓の家の前に集まり、何やら始めようとしていた。

「あたしは三角帽子に黒系のドレスで魔女スタイルって所で」
「俺は、まあ、バンパイアってとこかな?」

何故か卓と朱美の格好は何時もの私服ではなく、異様な格好をしていた。
卓は黒系の服装に裏地が紅の黒いマント、そして口にはおもちゃの付け牙が装着されており。
朱美は翼に干渉しない様に脇が大きく開けられた黒いドレスに、ドレスと同じく黒系の三角帽子
その片手には小さな黄色いカボチャを顔の様に刳り貫いて加工したランタンを持っていた。

「ふーん、卓君の格好、中々似合ってんじゃん、ダークヒーローっぽくてカッコイイわよ?」
「そう言う朱美こそ、その魔女ルック、良く似合ってるぜ?」
「あはは、誉めたって何も出ないわよー」
「なぁ、二人ともさー、そんな格好して一体何するつもりなんだー?」

二人は互いの姿を見て、お互いに感想を漏らし合う。
が、その中で利里だけは話に付いて行けてない模様であった。
その様子に疑問を感じた卓が、私服姿の利里へ問い掛ける。

「利里……お前は何も準備してない様だけど、大丈夫なのか?」
「え? 準備って何の事だー?」
「何の事って……今日はハロウィンだってさっき朱美が言ってたじゃないか。
ひょっとしてひょっとすると、お前、まさかハロウィンが何する日だとか知らないとか?
「んー……残念だけど知らないぞー。まあ、今日集まるとは聞いてたけどなー?」
「や、やっぱりか……如何するんだよ……」

あっけらかんと言ってのける利里を前に、卓は思わず頭を抱え、うめく様に漏らす。
それを見た朱美はやれやれ、といった感じに腕組みをして考える、
317通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/01(土) 01:13:13 ID:z+nt2CDg
「良いもの見っけ」

そして何気に廃品置場の方へ視線を移した所で、妙案を思いついて手をポンと叩いたつもりなのだろう、
ペシンと翼同士を打ち合わせると、廃品置場にあった手ごろな大きさの紙袋を手に取り

「んじゃ、これでも被ってて」
「うおっ? 前が見えにくいぞー」

紙袋に覗き穴を二つ開け、突起が引っ掛からない様に気を付けながら利里の頭に被せ始める。
その際、利里が抗議の声をあげるも、朱美は気にせず紙袋を最後まですっぽりと被せる。
そして、完全に被せた事を確認した朱美が卓へ披露する様に

「ジャジャーン、紙袋モンスター完成!」
「おお、これだけでもう一種のモンスターだな。怪しさ大安売りだ」
「うー、さっきから二人とも何がしたいんだー? 俺にも教えてくれよー」

利里を放ったらかしに騒ぐ二人に対し、遂に焦れた利里が不満げに疑問を投げかける。

「ああ、すまんすまん。何でこんな事するかって言うとな、今日はハロウィンだからだよ?」
「ハロウィンってのは分かってるぞー! 俺が聞きたいのはそのハロウィンが何をする事かと言う事なんだー!」

卓のアバウト過ぎる説明に利里は余計に不機嫌になり、尻尾をバシバシと地面に叩きつけ始める。
それを見た朱美が卓に取って代わり、

「んもぅ、卓君は説明が足りないわよ? あたしが代わりに説明してあげる。
あのね、ハロウィンってのはね。本来、キリスト教の諸聖人の祝日「万聖節」の前夜祭で、
この前夜祭の時は、あたしや卓君の様に魔女やお化け、怪物などの仮装をした人達が家々を回って
その家の人にTrick or treat(トリックオアトリート:お菓子くれなきゃ悪戯するぞ)と唱えて、お菓子を貰ったりするのよ。
まあ、これをするのにも意味があって、恐ろしい仮装する事でその家々から悪霊を追い払う魔よけの……」
「朱美、解説するのは良いが……そろそろ止めないと利里が寝るぞ?」
「――う……ホントだ」

卓の指摘に利里の方を見れば、
どうやら利里は長話に眠気を催して来たらしく、紙袋を被った頭がやや舟を漕ぎ始めていた。
それに気付いた朱美は仕方なく解説を中断し

「とにかく、そう言う事なの、分かった?」
「んあ?……んー、良く分からないけど、
恐い格好してトリックオアトリートと言ってお菓子を貰うってのは分かったぞー」
「何とか理解してくれたみたいね……」

利里の理解の仕方に少し微妙な物を感じたものの、
それでも理解はしてくれた様なので朱美はほっと一息漏らす。

「んじゃ、利里君の理解も得られた事だし、改めてハロウィン菓子大量ゲッツ作戦に出発しますか!」
「菓子大量ゲッツ作戦って……まあ良いけどさ」
「お菓子一杯貰えたら嬉しいなー、なあ、ハロウィンって楽しいんだろうな?」
「そりゃあもう楽しいわよ! 頑張ったらお菓子も一杯貰えるしね?」
「おお、凄いぞー、なら俺も頑張るぞ―!」
「果てさて、どうなる事やら……」

かくて、意気込む朱美と利里、そしての何処か不安げな卓三人は夜の町へと繰り出していった。
318通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/01(土) 01:14:42 ID:z+nt2CDg
「成果は上々って所ね、結構集まったわ」
「お菓子が一杯だぞー、大成功だー」
「一回は門前払いされるかと思ってたけど、皆親切な人達で良かったよ
まあ、一回だけ利里の格好を見て驚いた人に通報されかけたけどな」
「うー、何で紙袋被っただけなのにあそこまで驚かれるんだ―?」
「あはは、一回鏡見てみたら分かると思うわ」

それから約一時間後、3人はそれぞれ収穫を手に、歓談しながら道を歩いていた。

「ア、あの人達も私たちと同じかな?」
「ずいぶんと凝った仮装をしている人達だな……」

その最中、向かいから歩いてきた仮装グループに朱美が気付き、卓も利里もそのグループへ注目する。
卓たち3人の、悪く言えば子供だましな仮装に比べ、そのグループの仮装はとても見事な物で。
それはまるで本物さながら、と言える代物だった。

「うんうん、あれって昔の映画のフランケンシュタインの怪物じゃない? 本当に凝った仮装ね―
「その横に居るのは大アマゾン川の半魚人だぞー、まるで映画から抜け出たみたいだな―」
「そしてミイラ男ならぬ透明人間も居るわね……中々通な人達ねー」
「つーか、なんで二人ともそんなカルトな映画を知ってるんだ?」

二人のカルトな会話に、卓は何処かついて行けない物を感じつつ、話の種となった仮装グループと擦れ違う

「……? 何だろ、これ?」

その際、グループの内の一人から零れ落ちた何かに卓が気付き、咄嗟に拾い上げる。
暗くて良く分からなかったが、それは小さな丸く薄い板のような物だった。
当然、卓は直ぐにその拾った何かを、落とし主であるグループの一人に渡そうと振りかえったのだが、

「……あれ? いない?」

振り返った時には、そのグループの姿は何処にもなく、夜の住宅街の風景が広がるだけだった。
そうやって居ると、卓が立ち止まっている事に気付いた朱美が卓を急かす様に言う

「ちょっと、卓君? さっきから何をボーッと突っ立ってるの? 置いていくわよ?」
「あ……いや、さっきのグループの誰かが落とし物をしてな……あれ、おかしいな?」
「……? 何がおかしいの?」

周囲をきょときょとと見まわす卓に、朱美は不思議そうに首を傾げる。

「いや、それがさっき擦れ違ったばかりなのに、振り返った時には何処にも居なかったんだよ……何処に行ったんだ?」
「大方、其処らへんの家に入ったんだと思うなー? それより早く帰らないと皆心配するぞー」
「あ、ああ……そうだったな。皆待たせてる事だし、早く家に帰ってハロウィンパーティーをしないとな。
……これ(落とし物)は明日辺りに警察辺りに届けておけば大丈夫だろう」

そして、朱美と利里の二人に促される様に、卓も向き直り、二人と共に歩き出す。
ふと、卓は先程拾った落とし物をポケットから取り出し、街頭の明かりに照らして観察する。
その落とし物は、尋常ではない大きさの魚類の鱗だった。

「……こういった夜には本物が出るって聞くけど……まさか、な?」

呟きを漏らしつつ、もう一度だけ振り返って見たその光景に浮かぶ月は、不気味なまでに紅く見えたのだった。
319通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/01(土) 01:17:30 ID:z+nt2CDg
(おまけ的な物)
その日の夕飯時、卓の家に御堂家 竜崎家 飛澤家の三家族が集まり、ささやかながらのハロウィンパーティーを催していた。
奥様方は唐揚げやフライドポテトなどをつつきながら世間話に花を咲かせ、
そして夫たちはつまみを前に、酒を交えながらお互いの妻帯者の苦労話に花を咲かせていた。

「この手作りクッキーは泊瀬谷先生がくれた物ね、美味しいわ」
「このドーナッツも結構イケるぜ?」
「それはいのりんの奥さんがくれた物だなー、皆良い人達だー」

そして悪ガキトリオ達はというと、卓の部屋で今夜の収穫を床に広げ、
それらを口にしながら三者三様の感想を漏らしていた。

「んで、この包みはサン先生から貰った物だが……」
「中身はなんだろうなー? サン先生がくれる物だけになんだか不安だぞー」
「そうよね……あの先生は悪戯好きだから何があるか分かったものじゃないわね……」

そして、粗方収穫を口にした後、
最後に残ったサン教師から貰った包み紙につつまれた丸い円盤状の品を前に、
3人はまるで危険物を見るような眼差しを包みへ向けながら論議し合う。
まあ、くれる人が人だけに、3人がそうなってしまうのも無理はない話であるのだが……。

「とりあえず、先ずは不安がる前に包みを開けて中を見てみましょ? いきなり爆発する事はないだろうしね」
「そうだな、朱美の言う通り、先ずは開けてみない事には話は進まん。……んじゃ、開けるぞ」
「何が出てくるかなー? どきどきだぞー……」

一通り論議した後、先ずは中身を確認すると言う事に話が落ち着いたらしく。
卓が恐る恐ると言った手つきで厳重に包まれた包み紙を剥がし取っていく。そして……

「こ、これは……!」
「まさか……!」
「う、嘘でしょ……!?」

その中身を見て、3人は一様に驚きの表情を浮かべる。

「これは噂に聞いていた、花○牧場名物、生キャラメル!」
「口に入れただけで解けて消えてしまうと言う噂のキャラメル……
あたし、これをTVで見た事はあったけど、この目で見るのは初めてよ」
「俺も噂で聞いたり、TVで見たりしただけしかないけど、とっても美味いんだろうなー?」

包みの中にあったのは、はるばる北海道に行かなければ手にいれる事が出来ない至高のキャラメルであった。
一箱12個入り840円、新鮮な素材を40分以上根気良くかき混ぜながら煮込む事で完成するキャラメル至上最高の味。
それが、3人の前で燦然と輝いていたのだ。
320通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/01(土) 01:19:45 ID:z+nt2CDg
 
「サン先生……俺は前々から先生の事を変な先生だとか思っていたけど、今からそれは撤回するよ。
サン先生、あんたは最高に生徒想いな良い先生だ! 俺は感動した!」
「あたしもサン先生は子供っぽくてその上悪戯好きで本当に先生なの?とか思ってたけど、
その考えは今日のこの時から捨て去るわ! あたし、サン先生の事を尊敬しちゃう!」
「俺、何ていったら分からないけど、サン先生はちびっこくて踏み潰しちゃいそうになったりするけど
サン先生の心の大きさは俺達が思っている以上に大きかったんだなー」

当然、3人は感極まってサン教師に対する感謝の言葉を思わず口にしてしまう。
まあ、つまり言えば、それくらい3人はこの生キャラメルと言うものに憧れを抱いていたのだ。

「それじゃ、サン先生への感謝の気持ちを感じながら、このキャラメルを食うとしよう」
「そうね、生だから早く食わないとサン先生の気持ちが無駄になっちゃうわ」
「すっごく美味いんだろうなー、どきどきしちゃうぞー」

3人は口々に言いながらキャラメルの箱を開け、一粒ずつキャラメルを手に取る。

『それじゃ、頂きまーす』

そして、3人同時にキャラメルを口に放りこみ……

ぴ き ぃ っ !!

――――口に広がった味に、心の何処かで何かが壊れる音を立ててその場で凍りついた。

「な、なんだこれは……何と言うかエグしょっぱい……!?」

舌を壊滅的状況に追いやった味に、めまいのような感覚を感じながら卓が漏らす。

「ひ、酷すぎる味だぞ……これが生キャラメルなのか……?」

同じく、口に広がった酷い味に利里は尻尾を振るわせながらその場に突っ伏す。

「こ、この味、あたし知ってるわ……」

そして、朱美もまた酷い味に頭痛を感じながらも、その味に覚えがあったらしく、その名を口にする。

「これは、同じ北海道でも最凶と名高い極悪名物、その名も……ジンギスカンキャラメル!」
「な、なんだって……あの、北海道土産の中では一番ネタ系としても名高い、あれなのか!」
「お。俺知ってるぞ、親父が友人から送られたそれを食って、その場でゴミ箱へ投げ捨てたアレかー!?」

そう、3人が生キャラメルだと思って食べたそれは
生キャラメルとはまさに真逆な意味で有名な、極悪非道の激マズキャラメルだった!
(筆者も一度食べた事あったが、その味の酷さにその場で吐き出してしまった)

「これをする為だけに、先生は北海道に行って生キャラメルとジンギスカンキャラメルを仕入れたんでしょうね……」
「それで、本物の生キャラメルを食べた上で、中身をジンギスカンキャラメルと入れ替えたんだな……」
「こんな手の込んだ悪戯をするなんて……先生、あんたって人は……」

恐らく、この仕込をしている時のサン教師はそれこそ尻尾をぶんぶん振りまわして喜喜としてやっていたのだろう。
その光景が3人の脳裏にありありと思い浮かんだのだった。
そして3人は口をそろえて叫ぶ。

『なんて酷い先生だ!』 と……。

……当然、サン教師に対する3人の好感度は、最低まで下がったのは言うまでもないだろう。
321通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/01(土) 01:23:36 ID:z+nt2CDg
以上です

ハロウィンは悪戯して悪戯仕返すのが慣わしだとか聞いたり聞いていなかったり……。

ハイ、嘘です。ごめんなさい。
322名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 02:01:02 ID:YdsiiZZa
ちょwwwサン先生なんてひどいww
323名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 02:05:45 ID:ZIXlvRe5
なんという凶悪ないたずら…これはトラウマ物
てかサン先生生キャラメル独り占めか!俺にも食わせて!
324名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 02:51:37 ID:ztZTNSMm
次の日

「ぼーいずえんがーるずおぶ、えぶりえーいじ、うどぅんちゅ、らいかしーさむしんぐすとれーんじ♪」

「サン先生、嫌に気分良さそうだな。なんか楽しいことでもあった?」

「あ、白先生!聞いてよ聞いてよ!あのスリーアウツの面々にジンギスカンキョロメル食わしてやったんだー!」

「ほう、ジンギスカンとな」

「そうそうあの激マズ飴!今朝擦れ違った時の僕を睨む彼らの憎々しげな目ったらさー、もうおっかしくて!あははー!あれは絶対食べたね!」

「ほうほう……飲み物ここ置いとくな」

「あ、白先生ありがとう!やー、白先生の淹れてくれるコーヒーってマジでおいしいよね」

──ぐびっ

「!!!?」

「私コーヒーだなんて言ってないぞ?それ、爬虫類用冬越しドリンク。別名《利里汁》」

「…………(バタリ)」

「トリーーーックOOOOONLYYYY(ニヤリ)」

白先生の協力で復讐を果たした三人であった。
325名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 08:58:53 ID:Q3VbBYpf
>>288
絵師さんアエロバティックス行くんだ、いいなぁ羨ましい
メットにちゃんと耳用のスペースがあるのが素敵
ラストフライト楽しんできてね

>>315-321
朝っぱらから笑わせていただきました、サン先生マジ外道w

>>324
ナイスこんびねーしょん!!
326名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 10:52:23 ID:oWBsaHnW
>>315-321
サン先生ひでぇwなんという天国から地獄
高校生になってハロウィンをする悪がきトリオいいなぁ
利里が袋をかぶっている所を想像すると、なんと凶悪…通報されなくてよかったなw

>>324
お菓子くれなかったからいたずらされたー!
え?いやいやジンギスカンキャラメルはお菓子じゃ(ry

>>313
おぉっと!編集人さんは管理人ではないのですよ!
俺は初期にメニューを作っていただけで、
今神速の編集人やって下さっているのはメンバーになった方の一人です
本当に有難うございます!
327名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 12:06:10 ID:aLvpiuXX
                 /\  それは報告しなくていいです
               />>1 .\
 報告すんな ____    ̄|  | ̄    ___
        |>>8 /.   .|  |     \ >>3|それも報告しなくて良いです 
        |   \    .|  |     / .   |
        |/\  \___|  |__/. /\|
        /|  \  ⌒   ⌒ :::  /  |\
  しね  /  . ̄ ̄ (●), 、(●)、.  ̄ ̄ . \ 全然報告しなくていいです
.      < >>7    ,,ノ(、_, )ヽ、,,   .    >>4 >
       \   ___ `-=ニ=- '  .:::::___   /
        \|.  /  `ニニ´  .:: \   |/
           |\/  /ー┐ ┌-\.. \/|
           |>>6 ./     |  |    \ >>5.| 不要なレスです
それも       |   \   .|  |   / . |
報告不要です . ̄ ̄ ̄  __|  |_   ̄ ̄ ̄
              !.(●)   (●),!
              ゝ_      _,r''
             /  ;;;;;;  ・・ ;;;;) <私にレスしなくていいです
             /          (_
            |    f\ トェェェイノ     ̄`丶.
            |    |  ヽ__ノー─-- 、_  )
               |  |            /  /
             | |          ,'  /
            /  ノ           |   ,'
          /   /             |  /
         _ノ /              ,ノ 〈
        (  〈              ヽ.__ \
         ヽ._>              \__)
328名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 16:07:39 ID:W1t3ZC3e
期待sage
329名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 17:37:17 ID:yORoTH8G
朱美たんはハロウィンの仮装にぴったり。
330名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 18:01:41 ID:FlXd20OS
利里君は上半身は何も着ないで、そのまま出ても違和感は無いと思うんだ
331名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 18:16:36 ID:YiQs1kiX
>>69で伏線といった割に薄味になってしまった\(^o^)/
某所で1枚だけうp済みですが回収。
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00291.jpg
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00293.jpg


http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00292.jpg
あと紙袋と聞いて、てっきりこんなB級ホラーのあれな
奴かと……これでボディーガードのバイトできる気がする!
332名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 18:21:23 ID:YdsiiZZa
シリアスと見せかけてなんといううやまやしい生活…
ちょっとそこかわれやロリコン教師!!

そして下怖すぎるww
333名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 18:22:44 ID:ZIXlvRe5
玩具に見えないw玩具に見えないよw
334名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 18:36:02 ID:uUCGLDSB
ヒゲはらめぇええええのところで妙に萌えた
335名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 19:54:03 ID:FlXd20OS
>>331
ぺロキャン+サン先生…だと!?
それと、帆崎先生そのままゴールしちゃいなYO

下の人は何持たせても玩具には見えないわw
336名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 21:35:24 ID:BDNeXrxi
指輪ひとつで+血眼で=鍵?
337名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 13:04:17 ID:kZMAJ4OU
なんか遺産関係を手に入れるためのカギとかそういうのかもね
さすがに指輪1つで3億円は……いやものすごいのだったらありえるのかな


そして、このスレの人に宣伝だよー
今日はこの創作発表板の名無し・1001決定投票!
投票に参加したい人は名無しスレ、1001スレにかもーん

あと、板全体のスレ単位参加御題祭りs-1もやってるからよろしく
今月の御題は「猫」だよー
338名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 03:47:16 ID:c6ZSDqxx
気がつけばハロウィーンが過ぎていたので、慌てて書いてきました
やっぱり家族のふれあいは書いてて和みます
前に絵師さんが考えてくれた一姫二太郎の設定が気に入ってたり
339名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 03:47:51 ID:c6ZSDqxx
 薄暗い部屋の中を、テレビ画面の発する光が照らしている。いのりん達家族は、四人掛けのソファーに全員で座って、映画を見ていた。
 映画の場面が切り替わるのに合わせて、ソファーの後ろの壁に、ソファーに座った家族影が、ちかちかと写りこむ。
 いのりんが二人分のスペースを一人で使うため、彼と同じ猪の顔をした娘は、父親の太ももに座り、柔らかな腹を背に映画を見ていた。
 だが、あまりに座り心地が良かったのか、それとも弟や友達と一緒に、街中歩き回ってお菓子を貰ってきた事に疲れたか、
はたまた小学校低学年が見るには、退屈すぎる映画だったのか、瞼を閉じてスヤスヤと眠り込んでいる。
 娘より2つ下で、人間の姿をしたの息子も同様で、父と母に挟まれてソファーに座りながらも、すでに意識は夢の中だった。
 ソファーの前のテーブルには、子供たちがハロウィーンで貰ってきたお菓子が、
開封済みのもの、手付かずのもの関係無しに散らばり、床には仮装に使った衣装が投げ捨てられていた。
 ハロウィーンの夜は、子供たちの貰ってきたお菓子をつまみに、家族でホラー映画鑑賞としゃれ込むのだが、どうにもグダグダな結果に終わりがちだ。
 部屋の中に響く女優の絶叫も、悪魔に憑かれた少女の奇声も、疲れた子供たちを覚醒させるには不十分で、
普段なら震え上がるような怖い演出も、この先どうなるか気になって堪らない展開も、外で思う存分遊び回った後の子供には、退屈なものでしかなかったらしい。
 目の前のテーブルに広げられたお菓子の山から、手付かずのウィスキーボンボンを取り出して口へ運ぶと、いのりんは小さく溜め息をついた。
「せっかく仕事が早く終わったのになぁ……。
キャンペーン中だからってホラーに拘らないで、アニメ映画にしておけば良かったね」
 地元のレンタルビデオ店では、ハロウィーン企画だか何だかで、10月20日から31日まで、ホラー映画のレンタル料が半額というキャンペーンをやっている。
 子供たちが学校に行っているいる間に、夜家族で見るための適当なホラー映画を、奥さんが借りてきてくれたのだ。
 結果は、見てのとおりなのだが。彼女は、労わるようにいのりんの頭を撫でながら、自分の選択ミスをあまり気にしていない様子で返す。
「いいじゃない。明日また子供たちに選んで貰いましょ」
「まぁ……そうだね。いつものファミレスで朝ご飯食べて、そのままビデオ借りに」
 奥さんの言葉に相槌を打ちながら、いのりんは再度、テーブルの上のお菓子の山に手を伸ばす。
 今度はビターチョコレートを抜き取って、口へと運んだ。苦いチョコレートなんて、正直彼もあまり好きではなかったが、
子供もこれが嫌いなので、勝手に食べても文句を言われない。それは先ほどのウイスキーボンボンも同じだ。
 テレビ画面に目を向けると、彼と同じ猪の男優が扮する神父が、二階の窓を突き破って生垣に投げ出されるところだ。
 ガラスの割れる音や、悪魔に憑かれた少女の悲鳴が部屋の中に響く。こんな騒音の中で寝ていられる辺り、性格の方は気の小さい父親には似なかったらしい。
 腹の上で寝息を立てる娘の、毛むくじゃらの頬を撫でながら、しみじみと話す。
「見かけは僕に似たけど、中身は君にそっくりだね。
結婚相手はきっと尻に敷かれる筈だよ」
「失礼ね。それじゃ私が尻に敷いてるみたいじゃない」
 いのりんは、口の端を吊り上げて牙を剥き、例の傍目からは攻撃的にしか見えない笑いを見せ、「ごめんごめん」と面白そうに謝った。
 映画はクライマックスを向かえ、感動のラストに差し掛かろうとしているが、もはや二人とも見てはおらず、可愛い子供を抱きながらの談笑に集中し始めていた。
 やがて物悲しいエンディング曲が流れ出したところで、二人はようやく映画が終わっている事に気付いた。
 ラストを見逃したという不完全燃焼感溢れる空気が、周囲を包むが、巻き戻して再度見るような気にもならず、子供たちを寝室へと運んでいく。今夜ぐらい、歯磨きをさせなくても平気だろう。
 子供部屋の二段ベッドに姉弟を寝かせ、自分たちは夫婦の寝室へと向かい、ダブルベッドに横になる。
 映画の怖い場面が瞼の裏でリフレインしてしまい、完全に眠るには少々の時間を要したが、すぐに二人寄り添って眠りに着いた。
 家族での映画鑑賞会は、明日に持ち越しだ。今日はじっくり休まなければ。

340名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 03:48:34 ID:c6ZSDqxx
かなり短いですが、以上です。すみません。
341名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 10:57:31 ID:QPVSe2uX
和むなあ。
342名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 11:42:24 ID:kTxilSYP
何だか凄くマイホームパパだ
見てる映画はエクソシストか
343名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 11:55:29 ID:f7/Un9KZ
ああ和むねぇ
344名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 12:09:07 ID:n3ropTqd
GJ
345名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 16:33:41 ID:YI04U1TN
指輪、ずっと「三億」だと思い込んでたら素で
「三十億」になってた事に気づかなかった\(^o^)/痛恨のミス。
某芸能巨乳姉妹みたいな指輪だと思って下さい…オワタ…

あと、超亀レスなんだけどパロ大好き人間なのでSSから
2枚ほど描かせてもらいました。
>>20
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00300.jpg
>>38
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00301.jpg

wiki編集さんいつも手間かけさせてすいません&有難うございます。
>>342
トラウマが抉られる映画借りてくるなんて(((゚Д゚)))
346名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 17:15:24 ID:kTxilSYP
イタズラする子はしまっちゃおうねー
347名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 17:34:28 ID:PK12uB0K
>>325
昨晩、ラストフライトから帰ってきました。こんな楽しいものが来年か
ら日本で観られなくなるなんて、全くどうかしていますよ。

出かける前に描いたけど未投稿だったものを投下。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00302.jpg

>>331
なんか、普段の言動とのギャップがイイ!

>>339
なんか、娘描くのが楽しい。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00303.jpg

>>345
「どんどん仕舞っちゃうよ」おじさんは、ぼのぼの中最強キャラだと思う。

>>wiki編集人様
えと「エアショー」じゃなくって「エアロバティック」ってにして貰える
と嬉しいです。細かいこだわりですけど(笑)
348名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 18:16:39 ID:X5V4gTtl BE:47102786-PLT(12356)
う○○お○○氏のケモ絵がたくさん見れる、なんという幸せ。
349名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 19:32:39 ID:gGokbaUL
>>348
誰だかわかんねー
半端に出すと気になるし、絵師の事考えようよ。
350名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 19:34:25 ID:f7/Un9KZ
おおーうまいな
なんかアニメ化したみたいだ
351名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 19:50:29 ID:dWEAc821
>>347
子供の頃を思い出すなぁ…
こうやって抱っこ?されたっけ…


―チラシの裏的な―
人間にかなり近いタイプのケモノの全裸、半裸等の絵は
ワンクッション置くようにしてみました(R-15位?)
汁絵等の濃いタイプではないですが、
大丈夫そうなら元に戻しますが、一応念の為。
352名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 20:16:19 ID:SNkwklsg
>>351
エロ苦手でエロパロも覗けない人間がここにいるので助かりますノシ
創発板が出来て本当に良かった
353名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 20:37:44 ID:PK12uB0K
>>351
御配慮感謝いたします。 なんか私の画だけだねぇ…
>>352
申し訳ないです。
354名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 20:50:01 ID:dWEAc821
エロ、というより
えっち〜、な感じだと個人的には思ってます
週間系の漫画雑誌等で主人公の男の子がヒロインの着替えを覗く、
入浴シーンを覗く位のLVだと思いますが、感じ方は人によりけりですから…
355名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 22:50:49 ID:PK12uB0K
いちおう道産子でもあれは不味いですが、でも嫌いじゃないの
は何故なんだろう? ラベンダー物に比べれば格段に旨い(笑)
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00305.jpg
356名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:11:30 ID:PK12uB0K
連投でゴメン。

食べた人なら判ると思うけどジンギスカンキャラメルの味ってのは、先に
タマネギの味で攻撃してきてその後で脂の味がいつまでもボディブローの
ように続く感じなんですけど、これってどっちも猫に食べさせてはいけな
い食品ですね。 大丈夫なのかしら?白先生は。
357名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:12:16 ID:gGokbaUL
何回もごめんなさい。どうしてもこれだけ描きたかったので。
元ネタは「あずまんが大王」のOP(>>345のも)
アキラとシロ先生とヒカル君。
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00306.jpg

>>355
現道産子でもラベンダーが不味く感じない私は異常者ですか!?
そしてwikiでシロ先生が「しまっちゃうオバサン」になっててふいた。
オ、オバサンw ………ん?こんな夜中に誰か来t
358名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:19:00 ID:f7/Un9KZ
あずまんがだ!すごい!
359名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:20:52 ID:c6ZSDqxx
おおおお二人とも乙!
ジンギスカンキャラメルとはどれほどのものか気になってしまう。
絵を見てたらOPの音楽が脳内再生されてきた
360名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:23:30 ID:PK12uB0K
>>357
目の前には皆勤賞と書かれたお父さんのトロフィーが…

北海道を離れて1/4世紀の私は、ラベンダー物は香りがきつすぎて
口には入れられないですよ。 北見の薄荷ならオッケーですが。
361名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:24:15 ID:QPVSe2uX
なつかしいな。おい。
「けもまんが大王」かよ。フルver見てみたいな…
362名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:25:52 ID:f7/Un9KZ
けもまんが大王…なんて心踊る響き
363名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:32:09 ID:wvCTRgOo
ア ニ メ 化 決 定
364名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:43:39 ID:Iisv+c/3
これは期待すっきゃないな
365名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:52:50 ID:PK12uB0K
覚えてるところだけ記憶で描いてみた。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00308.jpg
366名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:54:56 ID:f7/Un9KZ
サンスーシ先生かわえぇぇぇぇぇぇぇ
367名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 23:58:51 ID:QPVSe2uX
ワロタww
サン先生は忠吉さんに乗(ry
368名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 08:49:12 ID:WuUuWePJ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222150495/1001-1100
このスレどうしてこんなことになってたの?
369名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 09:43:24 ID:lzSkDxOe
>>365
先生かわええ!

>>368
GGGスレがどうかしたのか?
370名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 12:21:34 ID:XLgQdQi9
使われて無いスレを乗っ取って使い切る
長編AA系スレとかでもよくある事だ
371名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 13:09:12 ID:mJfTi1pZ
何だ、それだけのことか。てっきりここの(獣人総合)のスレのキャラでも
出てきてるかと思ったよ。スレ乗っ取りは別に誰も使わないなら、
新しくスレ建てする必要ないから悪い事じゃないと思うよ。
372名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 13:40:15 ID:SfwuqcBc
    / ̄ ̄ ヽ,  | /  ピッ
   /        ',   c―、
  ,、{0}  /¨`ヽ  {0[゚二] 〉 )ヽ  /⌒ヽ、
  ノ/i   ヽ._.ノ    `ー' ノ// /⌒l |
 ( )    `ー'′        ̄ /   | |
  i' | ゝ            γ     ノノ L、
  | ヽ⌒           ヽ____|__)__r⌒l
  ゝ.ノ/\________________|
373名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 14:04:56 ID:lzSkDxOe
>>371
主旨がメディア化されてる版権の獣人キャラでの殺し合いみたいだからまずそれは無いよw
それに所詮何処かのタイミングが読めないアホか例の自演学歴基地外が立てさせたスレだし
374名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 15:19:33 ID:bytT0Ov8
>>365
うめぇw
375名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 17:31:42 ID:QZWCKjPu
いつもの様にwiki覗いたらなんか重いぜちくしょう

あずまんがならぬ、けもまんが大王…
元ネタ知らない俺涙目、名前しか知らないとか俺\(^o^)/オワテル
だけどまぁ、サン先生が可愛いのわかるよ!
376名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 19:43:12 ID:BkKjLT+h
>>375
参考までにOP
http://jp.youtube.com/watch?v=x4_sOg0zIh8
zoomeだともっと高画質なものが見れるかも。
377名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 20:26:40 ID:QZWCKjPu
>>376
ああ、ありがとう
しかし見てみるとケモノ学園の人物とOPの人物重ね合わせても
違和感なくて吃驚w
378名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 20:35:52 ID:QZWCKjPu
>>377
ああってなんだよああってw
おおって打ったつもりなのになんだよこれ…
379名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 22:54:17 ID:erfQtNtC
「取りましたね」は単行本発掘して読み直したら微妙にアングルとか違っ
て、意外と記憶が当てにならないなと再確認。
ところで帆崎先生は「ゆかり先生」なのか「古文の木村」なのか?
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00310.jpg
380名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 22:56:49 ID:sq6zmC2M
サン先生が飛んだwww
381名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 22:57:43 ID:jBLM3Jer
くそう、携帯じゃ見れないのが歯がゆい
帰ったらすぐに速攻で見るぞー
382名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 17:51:43 ID:bVAaqVAH
そういえば学祭シーズンだね
ケモノ学園に中等部ってあるのかな
ていうか保健室って各棟ごとにあるよね、小等部棟とか高等部棟とか
運動会シーズンってもう過ぎたっけ
マラソン大会なら今かも
猛は進学すんのかな
はせやんとヒカルきゅんの進展気になるよね
いのりんて運動会とかで無理しそうだよね。いや、無理するのはサンちゃん?
寒くなってきたけど、利里んは居眠りばっかしてんのかな
学園結構でかいっぽいし、部室棟とかあるよねきっと
部活なら小中高関係なく交流ありそうだなぁ



絵やSSのネタいっぱいあるよねぇ……
誰か書いたり描いたりしてくれないかなぁ
383名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 18:52:37 ID:BfU7lpCr
自分の団が優勝し、胴上げになるも、重すぎて全然あがらないいのりん
同じく胴上げになるも、軽すぎてかなり高くまで上がり、サーカス曲芸状態のサン先生

こういうことか
384名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 19:14:03 ID:0kAaLl72
>>382
新参か?力抜けよ。前スレくらい漁ってこないと
ロリータ爆乳体育教師にしばかれるぞ!

中等部は確かあの3人組が居たはず。
385名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 19:15:57 ID:0kAaLl72
と思ったけど普通にwikiとかでリンク貼った方が良いよね。
ttp://www19.atwiki.jp/jujin/pages/183.html
今気づいたけど「3人組」って割と多いねー。
利里のグループ、推理狼のグループ、中等部のグループ。
386名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 20:00:29 ID:TKr+jaN7
>>382
そんだけネタあるなら自分で創作すればいいのさ
きっと誰かが絡んでくれるさ
387名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 20:15:01 ID:gPRIImW2
ズッコケ三人組に乱太郎にハルヒにエヴァにジョジョ4部に、学園での三人組はもはや定番だよな
無理なく動かせてキャラも重ならずそれぞれの個性を際立たせやすいし
388名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 20:18:45 ID:bVAaqVAH
>>386
アリスのウサギとヌコ小書いたの俺です><
ただもう今のスレだと携帯による投下では太刀打ち出来なくてですね……
389名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 20:23:45 ID:BfU7lpCr
確かに携帯環境からの投下は辛いよな
保存できる文字数の限界、タイピングのスピード、考えるだけでパソコンが欲しくなってくる
390名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 20:28:50 ID:TKr+jaN7
>>388
アリスの人かー
俺も携帯だから大変さはよくわかる…

でも、またSS読みたいです
391名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 21:16:53 ID:Ei+3yzV9
>>388
メモ帳で足りないなら、メールに書いて保存して、
その中身をコピーではムリなんだろうか?
392名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 22:32:41 ID:bVAaqVAH
256字ずつしかコピペ出来ないのが致命的なんです
PC買いましたんで、慣れたらまた投下させていただきます
393名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 23:52:44 ID:Hh7O+9iD
>>379
SSとあずまんがのOPがたまたま場面が似合ってそうだから
描き始めたものの、位置的には「木村」の方が近そうだw
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00315.jpg
(これも一応パロネタってことで)
394名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 23:55:11 ID:BfU7lpCr
そう来たかwww
描かれると意外にはまってる気がして困る
395名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 00:58:27 ID:cb57npf+
シロ先生は暦か。
396名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 20:45:02 ID:cb57npf+
狼&虎の学園探偵ものの続きが早く読みたいな…。
397名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 21:46:54 ID:6umNO4v9
私だってケモノ学校のSS読みたいわい!!!
398名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 23:15:35 ID:XpWSUJHm
ギャルゲーの続きマダー?
399名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 23:53:13 ID:/Rvpf8lz
自分で描くときの資料ですけど、先生ってこんだけでしたっけ?
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00317.jpg
400名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 05:06:50 ID:8IEG+Ns7
どうだっけ?
他にも居たような…
401名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 08:09:43 ID:dh4vk+X4
名前がこんがらがって来てたからすごく助かる!
402名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 11:26:53 ID:7rTmh8JB
キャラクターズファィルか。
分かりやすいね。
403名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 15:06:41 ID:LqCJpzj4
逆に生徒数の方が半端ないからまとめるにしても大変だなこりゃw
年末に近づいてきてるし、クリスマスネタとか正月ネタも作れそうだ。
404名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 17:52:29 ID:nPUyLWp2
そろそろぼくらのが出来る人数だよな
405名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 17:56:00 ID:DXcWuMLP
>>399
ヤギの教頭とかいなかったっけ?
あれは話題づくりで出ただけ?
406名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 19:35:08 ID:cPTcfe1d
>>405
ああっ、そうだ!居ましたね。 と言うか、SS直後に描いたのですが、
気に入らなくて公開していなかったので忘れていました。
と言う事で描き加えてみました。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00320.jpg
407名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 20:09:24 ID:CMiQF8dC
教頭の強調っぷりワロタ
408名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 22:21:03 ID:a4rsA8vA
>>404
やけにそのネタ引っ張るな、そんなに死なせたいならどっかのバトロワスレ
でもいけばいいじゃないのww
409名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 22:46:42 ID:cPTcfe1d
初等部と中等部。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00321.jpg
高等部は多いよう… で、私はここに来て初めてリザードマンが二人
居ることに気付きました。 ちゃんと描き分けてなかったのは内緒。
410名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 22:55:10 ID:nPUyLWp2
右三人の表情がかわえー
高等部は一番人数多いから大作業になりそうだ
411名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 22:55:53 ID:TEfI5qXG
俺もwiki見てから二人いたことに気づいたよ
いつの間にか脳内で一人にしてたよ
412名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 22:59:04 ID:3pnb3TQI
基本的には犬・猫獣人が圧倒的に多いんだな
もしくは全然バラけてないだけなのか
413名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 23:02:35 ID:TEfI5qXG
そういえば高等部は人数も多いけど色んな種族がいるね
414名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 23:55:15 ID:jRsfAaUR
みんな、冬服だね。
そういえばwikiはいろんなお客さん来てくれてるみたいだな。
415名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/08(土) 01:08:28 ID:QQpAwWfJ
高等部。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00325.jpg
ひとり名前がわからないです。 あと、描いてないひとも居ます。
『蛇男と委員長』は“蛇の手足”が描けなくて躊躇してます。
416名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/08(土) 02:28:19 ID:TSmcJAFt
うわ、スゲー!
GJ!
高等部多いですねw
417創る名無しに見る名無し:2008/11/08(土) 08:17:36 ID:3BoPu/84
携帯じ縮小されすぎてよく見えないなぁ
はやく家に帰ってパソコンでみたい
418創る名無しに見る名無し:2008/11/08(土) 11:35:29 ID:TSmcJAFt
ファイルシークとかで二枚に分けて拡大してみればいいじゃないか
419創る名無しに見る名無し:2008/11/08(土) 14:54:17 ID:+DvBUQbL
>>415
犬飼=ギャルだっけか…?高等部多すぎてこんがらがってきたぜ!w
420創る名無しに見る名無し:2008/11/08(土) 17:14:31 ID:DOrjdQeY
すげー
今までのいろんな作品でこれだけのキャラが出てたんだな
しかもこれでまだまだ全部じゃないのか
421創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 00:19:08 ID:RF/2VVGU
スレストとな
422創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 00:28:21 ID:XH0wsKzh
妄想がまとまらない…
423創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:45:15 ID:4nJkcsea
自分のキャラを、人様がSSでも絵でも何でも描いてくれると
うほっ!となりますね。どきどきがおさまらないぜー。

http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00334.jpg
カマキリ(昆虫)…は流石に獣人の類に入らないか…?
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00335.jpg
ついでに馬と鹿の不良も。
424創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:48:38 ID:K/C8Zjoy
カマキリいいね!
獣人っていっても哺乳類だけじゃなくて虫もおkじゃね?

この馬と鹿だったら俺は馬が好みかなー
しかし馬鹿不良コンビかww
425創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:48:42 ID:h3adryRL
効果音もあってカマキリが仮面ライダーに見えるぜ
というか不良の癖にやることちっせぇ。さすが馬と鹿のコンビ
426創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:50:02 ID:0lfKgL/P
おおーカマキリかっけー
427創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:51:19 ID:k8BRP9zF
カマキリが仮面ライダーに見えるって言おうと思ったらもう言われてた
428創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:53:53 ID:0xxEE06U
俺もそれ言おうと思ったw
429創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:55:08 ID:K/C8Zjoy
仮面ライダーはバッタか
きっとそれよりは強いんだろうな
430創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 19:56:01 ID:0lfKgL/P
しかしなんで環境のために効果音は口なんだ?
431創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:04:04 ID:K/C8Zjoy
>>430
エネルギー節約でエコなんじゃね?

しかし昨日全然レスなかったくせにいきなりこれだけ出てくるかw
お前らどこにいたんだよ
432創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:06:36 ID:4nJkcsea
即レスふいた。上のレス書き込まれてる途中で描いたけど
皆と同じこと描いたから別にいいよね!
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00336.jpg
>>430
金使っておもちゃで効果音出すより口の方が
安上がりだからだと思ってください。でも結局二酸化炭素が
口から出てるのであまり意味もないと思って下さい。わお!
433創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:10:48 ID:K/C8Zjoy
あだ名はライダーかw
434創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:11:22 ID:0lfKgL/P
>>432
あ、そういう意味なのか
むしろ環境じゃなくて財布に優しいんだな

そしてライダーww
435創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:12:30 ID:0xxEE06U
正義の味方扱いなのかw
436創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:31:13 ID:h3adryRL
>>431
投下がなければ静かなまま。当然のことさ
437創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:32:50 ID:K/C8Zjoy
いや雑談ぐらいしたいじゃねーか
438創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:39:16 ID:4z0jFeeu
ネタふってください!
439創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:42:14 ID:K/C8Zjoy
んじゃ昆虫獣人について、とかか?
俺は蜂獣人とかかっこよさそうだと思うが
440創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:44:48 ID:0lfKgL/P
顔が昆虫ならカッコイイ系
人間ならかわいい系になりそうだな
441創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:47:01 ID:K/C8Zjoy
ああ、顔が人間だとよく萌えキャラでいるな、蜂人間
442創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:51:09 ID:3Tf4BUtz
花カマキリは巨乳のおねぇ様ですよね
443創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:53:50 ID:K/C8Zjoy
>>442
いいね〜

虫虫…と考えてセミを想像したがうまいこといかんかった
そもそもセミの顔がわからない
444創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:55:03 ID:0xxEE06U
コオロギとかいいんじゃね
バッタとかぶるけど
445創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:56:11 ID:h3adryRL
蟲人って言ったら、鉄腕バーディーの警部さんが思い浮かぶなぁ
446創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:58:15 ID:K/C8Zjoy
コオロギ、バッタと聞いてどこかにイナゴがいたの思い出した
はて何のキャラだっけ
447創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 20:58:45 ID:4z0jFeeu
ところで
虫人の手の本数ってどうしよう。
足一対、手二対で六本?


それとも、人間や他獣人と同じが良いんだろうか
448創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:01:22 ID:K/C8Zjoy
俺は6本でも4本(普通と一緒)でもどっちでもいいな
449創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:05:58 ID:0lfKgL/P
俺は他獣人と同じであってほしい
6本足はあんまり萌えないな
450創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:11:16 ID:u91IomVw
獣耳>ケモノ>怪物で、6本足とかの濃い虫人はこの怪物のほうに入る気がする
451創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:12:32 ID:u91IomVw
あ、「>」は別に意味無かった
452創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:13:01 ID:K/C8Zjoy
怪物という言い方はちょっと違う気がする
それって獣人よりも原型に近いものを指したいんだろ?
453創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:35:00 ID:3Tf4BUtz
「チーム・鹿馬ロ(カマロ)、本日の集会は小等部にガンつけに行くぞ」
 馬面の男が精一杯悪振りながら二人の友人に声をかける。まぁ馬面は馬だからしかたな
いが。
「意義あり」
 友人の鹿くんが意義を唱える。
「なんだよ、リーダーの決定に文句あんのかぁ?」
「ああ、三つくらいある。先ずチームを組んだ覚えがない。そしてチーム名にカマキリの
文字が1ミリも入ってない。見ろ、ライダーの元気が全然無いだろ」
 カマキリの姿をしたライダーくんは床に倒れ付し、ガタガタ震えていた。秋だから死に
そうなのだ。
「ライダーが死にそうなのは俺のせいじゃないだろ!ああ、クソ、死ぬなライダー!だか
ら利里汁分けて貰えってあれほど言ったのに!」
 馬くんは枯れ枝のように節くれ立ったライダーを抱き起こす。
「寒い、寒いよパトラッシュ……アレ?……きみはトウカイテイオー……?菊花賞はどう
したんだい……?」
「やばい!ライダーの意識が混濁してるぞ!しっかり、しっかりしろライダー!」
 馬くんとライダーがてんやわんやしているのに、
「そんで三つめはやることがしょぼ過ぎることだ。小等部いじめたって何も意味ねーだろ」
鹿くんは冷静にさっきの話を続けていた。
「おい、そんば場合じゃないだろ!そのカモシカのような脚で一っ走り利里汁調達してこ
いよ!」
「待て、まだ四つ目が…」
「さっき三つって言っただろうが馬鹿!」
「なんだと!お前だって馬鹿のうちに含まれてるだろ!馬のクセに!」
「なんだと!鹿のクセに!」
 二人は大げんかを始め、ライダーは徐々に冷たくなってゆくのでした。
454創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:35:46 ID:3Tf4BUtz
だれかライダーを助けてあげて!
455創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:38:05 ID:K/C8Zjoy
利里汁を!利里汁をだれかー!!
456創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:39:33 ID:k8BRP9zF
利里汁ってなんかエロいな!
457創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 21:39:49 ID:0lfKgL/P
とかげを呼びにいけー!

そうだよなw爬虫類よりもっと寒さに弱いよな虫はw
458創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:03:44 ID:IFzci/ot
聖剣伝説LOMに「セミになった父さんが、ミンミンミンミン鳴き続けた一週間後の朝、台所の隅で固くなって・・・」
みたいな台詞があったことが思い起こされたw

虫人と聞いて、
「蜂娘は鬼畜シューターで、なぜか洗濯機に大して異様な執着を見せるんだろうなぁ」
というアホなことしか浮かばないCAVE脳
459創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:20:46 ID:dwmf+g4W
ううう、微妙に流れに乗れない画の投下になってしまいました。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00338.jpg
460創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:23:43 ID:k8BRP9zF
おっぱい!
461創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:27:53 ID:K/C8Zjoy
なんかうpロダが重い…
462創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:28:20 ID:0lfKgL/P
これはいいもふもふおっぱい
463創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:29:09 ID:K/C8Zjoy
よし見れた!
ネコかな、これは確かにいいおっぱいだ
464通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/10(月) 22:57:42 ID:1S7HcumS
>>453
利里から利里汁(ホットドリンク)を分けてもらったが……

「――――――――」
「お、おい、利里汁を飲んだのにぶっ倒れちまったぞ!?」
「ああ、飲んだ瞬間 『ぐへっ』って声を上げていた様な気もするな、如何する? 如何しようか?」

蟷螂の彼は何故かカニバブラーの様に泡を吹いて机に突っ伏し痙攣するだけとなった。
それを前に馬と鹿はおろおろと慌てるのを横目に、利里は何処か自慢気?に胸を逸らして言う。

「そりゃそうだろー? 本来は爬虫類用と昆虫類用とは違うんだからそうなるのも当然だー」

その時、その場に居た誰もが思った『それを先に言え』と。
まあ、それはとにかく、体の構造そのものが違う昆虫種に爬虫類種用のが合う訳がないのは当然の事で。
最初はぴくぴく動いていた蟷螂の彼の触覚も、次第に力を失い、動きを鈍くしていっていた。

「おいおい、このまま起こさなきゃ拙くね?」
「だが、起こすと言ってもどうすれば良い? 見た所、そう簡単に起きそうには……
「仕方ないな。俺が起こす」

瀕死になった蟷螂を前に狼狽する馬と鹿の様子を見かねた卓(利里に付いて来ていた)が、
突っ伏した蟷螂の彼の後へ周り、羽交い締めにする形で椅子から立ちあがらせると―――

「ふっ!」

がっ!

「――――はうっ!?……あ、あれ? トウカイテイオーは? ナリタブライアンは?」

膝蹴りで蟷螂の背中へ活を入れ、強制的に意識を取り戻させる。
(ちなみに、この方法は脳に障害が残る可能性があるので良い子は真似しちゃ駄目だぞ?)
卓は彼が意識を取り戻した事を確認すると、何事もなかったかの様に馬と鹿に向けて言う。

「ほら、起きたぞ。 これでもう用はないな?」
「あ、ああ……」

対する二人はと言うと、何時も悪ぶっているとはいえ実際にこう言う事を前にした事はなかったらしく。
卓の行動を前に只、呆然とするしかなかった。

「……ったく、お前はなぁ、こんな面倒な事になる前に重要な事は先に言えっての、
俺が何とかしてなかったらどうなってた事か……」
「ううー、スマン―」

何が起きたのかも分からず「あれ? あれ?」と言いながらきょときょとと周囲を見まわす蟷螂の彼を余所に
馬と鹿はブチブチと文句を言う卓と申し訳なさそうな利里の背を見ながら思った。

……彼(卓)には逆らわない方が良いかも。と……。
465創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:59:28 ID:K/C8Zjoy
おおっと、ここでリレーとは心憎い!
しかしライダーこれ根本的には助かってないぞw
466通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/10(月) 23:00:57 ID:1S7HcumS
訂正orz

×最初はぴくぴく動いていた蟷螂の彼の触覚も、

○最初はぴくぴく動いていた蟷螂の彼の触角も、

×「だが、起こすと言ってもどうすれば良い? 見た所、そう簡単に起きそうには……

○「だが、起こすと言ってもどうすれば良い? 見た所、そう簡単に起きそうには……」
467創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 23:03:10 ID:0lfKgL/P
利里汁やっぱりダメだったかw
468創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 23:32:45 ID:dwmf+g4W
469創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 23:35:12 ID:K/C8Zjoy
元祖いいおっぱいキター!
470創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 03:07:23 ID:bLQwef5f
>>464

「とりあえずさ、ここで立ち話もなんだから…」
「よし、『喫茶・フレンド』でも行くか」
「…そうか、じゃあ」
馬くん、鹿くん、そしてカマキリ男のライダーくんは行きつけの喫茶店に向かう。
閑静な住宅街を馬くん先頭で歩き、あまり乗り気でない鹿くんはライダーくんの背中をぽんと押す。
カランと喫茶店の扉を開けると、カウンターには初老の男性がグラスを磨きながら、
AMラジオを聴いていた。ライダーくんの古くからの知り合いのお店。

「よお、おやっさん」
「おお、来たないつものトリオ。残念ながらあの子はまだ来てないぞ」
「ちぇっ、ついてねえな。おやっさん、取り合えず飲み物でもくれよ」
馬くんはカウンターに腰掛けながら、店内を見渡す。カウンターには古い型の留守番電話、
まるでここだけ時代に取り残されたような錯覚を覚える『喫茶・フレンド』。
おやっさんはジュースの瓶を冷蔵庫から取り出し、使い込まれた鍋に注ぎダルマストーブの上で温め始めた。
「ほら、ホット・ネーポンの出来上がりだよ」
グラスに注がれたオレンジ色のジュースからは湯気が立ち上がる。

おやっさん、馬くんに飲み物を差し出しながらぼやく。
「お前もさ、足が速いんだからさ、何か陸上でもやらないのか?宝の持ち腐れじゃねえか」
「ふっ、かけっこなんかにゃ興味ないね」
次は鹿くんに飲み物を差し出す。
「いいのかい?おれ、金持ってねえよ」
「ははは。実はな、わしな、この間の競馬でしこたま儲けさせてもらったんだよ。
きょうはわしの奢りだ!いやー、ウォッカたんさまさまだよ」
おやっさんは続いてライダーくんの前にグラスを差し出す。
ぐったりしていたライダーくん、馬の名前と目の前の飲み物を聞き間違え真っ青になって叫んだ。

「刺激の強い飲み物はごめんだよ!!」
471創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 14:00:30 ID:FDB+DQke
ん?
新キャラが出てきそうな雰囲気のまま終わってるけど無視していいの?
472創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 18:13:48 ID:MkLz3QQh
何か一杯キテルヨー

ライダーとか馬さん鹿さん良いキャラしてて微笑ましいw
そしてそれがすぐにSSになっていく様が凄いなぁ
創作者皆様GJです!


―チラシの裏的な―
絵系統等の一覧のページの上の方にちょっとした注意書きを追加しておきました。
絵のタイトルからえっちぃ物と勘違いされそうな物もあるので、分かりやすい様に分別してみました。
文字黄、背景黒だと目がチカチカしたので、無難に赤にしておきました。
473創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 18:16:26 ID:XVrNhZ+5
俺も続きがいかにもありそうに見えるが
これはリレーSSの流れなのか?なのか?
474創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 18:37:08 ID:2uJqCHSx
>>473
書いちまえよ。続き書いちまえよ
475創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 18:48:10 ID:FDB+DQke
>>472
保管庫更新乙!GJ!
476創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 18:50:03 ID:x7EzrCDZ BE:308262233-2BP(0)
>>472
いつも乙です!
いつもやってもらって悪いから俺もやろうかと思うんだが
wiki編集がよくわからない罠
477創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:22:13 ID:Xwo7Nvmb
なんて平和なスレなんだろう
和んだ。
478創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:29:03 ID:Ph1eXEsy
あががが一晩のうちにSSやら絵やら凄まじい勢いで
オラ心拍数がどうにかなりそうだぞ。
保管庫更新お疲れ様です。 ……そして更新された途端
また投下でごめんなさい(ノД`)

http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00341.jpg
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00342.jpg
折角なので名前とかつけてみた。
479創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:32:11 ID:tODHua2y
やばい鎌田可愛い
480創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:33:34 ID:XVrNhZ+5
なんだこれ半纏カマキリの破壊力が高すぎる!!
481創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:33:51 ID:x7EzrCDZ BE:1096042548-2BP(0)
鎌田かわいすぎるだろこれ
482創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:34:58 ID:4oAloNO4
ライダーがかわいすぎる
お持ち帰りしてー
483創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:38:11 ID:XVrNhZ+5
このへタレ寒がりカマキリマジかわいいな
484創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 19:58:20 ID:MkLz3QQh
なにこの蟷螂さんマジかわいいんですけど
そしてタスク姉こえぇw検閲掛かってるとかw
485創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 20:08:26 ID:MkLz3QQh
>>476
編集の事なんですが、自分は最初に出来上がってた作品のページを見て、
それを真似て+編集例とか参考にして、後はこれで見やすいかな+見栄え良いかなとか
そんな感じで編集してます。
そうしてプレビューとか使ってこのコマンドはどうなるんだろうとか、繰り返しやってくとその内楽しくなってくるよ!∩゚∀゚)")
486創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 20:49:40 ID:JswbckIN
カマキリ可愛いな なんかアリス探偵局を思い出したw
487創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:07:14 ID:lcoDwPV4
wikiメンテありがとうございまーす。

なんか、ここは皆が一気に「わ〜!」ってなるから追いつくの大変だし楽
しいし(笑)
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00343.jpg
488創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:09:58 ID:XVrNhZ+5
小学生への焼入れ実行したのかw
コレッタを泣かせるとはおのれゆるせん!
ちょっとそこかわれやああああああああああああああああ
489創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:14:21 ID:4oAloNO4
不良の癖にw
490創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:17:40 ID:tODHua2y
自分で焼き入れたのに泣かれて焦る!そこにシビれないしあこがれない!
491創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:41:25 ID:hAF4rS7i
栗栖がカクカクシカジカに見えたのは秘密だ
492創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:59:36 ID:lcoDwPV4
493創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:03:35 ID:XVrNhZ+5
やっぱりライダー扱いwww
494創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:05:14 ID:2uJqCHSx
それショッカーのベルトだろww
495創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:10:18 ID:FDB+DQke
「よし、次だ次!」
「泣かれてあんだけ焦ったくせにまだやるのかよ」
 懲りない馬に鹿が呆れた声を出した。
「俺はガン飛ばしを、チーム鹿馬ロの名が売れるまで止めない!」
「ガン飛ばして名前が売れるとは思えないが……」

「ちょっとそこの馬、待つにゃ」
 次なる標的を探す馬を、黒い毛並みも美しい子猫が呼び止めた。
「ああ?なんだ、ガキんちょ」
 馬が凄んで脅かす。が、子猫は全く怯まない。
「コレッタ泣かしたのあんた達かにゃ?」
「コレッタぁ?誰だそりゃ?」
「髪の長い小学生にゃ」
 馬くんと鹿くんは顔を見合わせ、さっきの子かな?多分な、と目で会話。
 馬くんはしゃがみ、子猫と目線を合わせて言った。
「ああ、確かに泣かしたぜ。なんか文句あっかゴルァ?」
 黒い毛並みの子猫はニヤリと微笑んだ。
 ターゲットロックオン、にゃ。
「んーん、私あの子のこと大っ嫌いにゃ。お兄さん達と友達になりたいくらいにゃ。握手
して欲しいにゃ」
「え?あ、握手?」
 思いがけない反応に戸惑いつつ馬くんは手を差し出した。迂闊だった。
「キャーーーー!誰か助けてーーーー!チーカーンーー!!」
 突如黒い毛並みの子猫が裂帛の悲鳴をあげ、隠れていた三毛猫が飛び出して、
「もしもし!警察ですかにゃ?!友達が痴漢に触られてマワされて猫鍋にされそうにゃ!
はやく助けて欲しいにゃ!!」
と、持っていた携帯に叫んだ。
「ちょっ、まっ、えっ、なななな何ですとぉぉぉ??!べ、弁護してくれ鹿!……鹿?」
 焦った馬くんが鹿くんに助けを求めようとするも、既に50メートル以上遠くを駈けて行
く鹿くんの後ろ姿がみえるだけだった。
「し、しかぁぁぁ!!!(泣)」
 コレッタは気に入らないけど、小学生全部ひっくるめて舐められるのは気に食わないにゃ。
 ヤンキーより怖い小学生が居た。
496創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:25:09 ID:XVrNhZ+5
黒と三毛怖いw
497創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:27:01 ID:tODHua2y
>>492
完全に弄られキャラww

>>495
この学校の女生徒のギャル率はなんだww
498創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 00:33:11 ID:Aps1oJDk
カマキリ嫌いだったのに、鎌田には今までにないくらいときめいてしまった…
何この気持ち、これが恋?
499創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 00:33:45 ID:pKzL6KAm
誰か馬くん鹿くんカマキリくんの名前を教えてくれ!
携帯じゃあ見れない!
500通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/12(水) 00:39:21 ID:s6HG6NUM
「ったく……酷い目にあった。最近の小学生も油断ならねぇな……」

通り過ぎゆく市電のモーター音が鳴り響く町の歩道を、
若干鬣をぼさぼさにした塚本が肩で風を切って歩きつつ愚痴を漏らす。
あの時、彼は三毛と黒の美人局によって警察に捕まりそうになった物の、何とか逃げおおせる事が出来た。
彼はこの時ほど、自分の脚の早さに感謝した事はないだろう

「にしても、来栖の奴、友人を置いて逃げ出すなんて酷いにも程があるぞ!
くっそー、後で絶対にコーヒーセットを奢らせちゃる」

と、自分を置いて逃げ出した友人の来栖に対しての怒りをあらわにする塚本。
先ほど自分が振り撒いた種が元で美人局に遭った事は、この時にはもう既に彼の頭の中から消え去っている。
言ってしまえば、彼は良く言えば楽天的な、悪く言えば懲りないタイプの獣人なのだ。

「……お? お前は……」

憂さ晴らしにゲーセンで遊ぼうか、と塚本が考えていた矢先、彼の前に立ちふさがる大きな影。
その影は同じクラスのリザードマンの利里であった。

「……利里じゃないか。如何したんだよ、いきなり」
「…………」

彼の問い掛けに対し、利里は何も答えないばかりか、その身体に怒気を纏わせていた。
その怒気に気圧された塚本も黙らざるをえず、重苦しい沈黙がその場を支配する。
そして、そのまま数秒ほど、だが塚本にとって永遠に等しい時間が流れた後、利里がゆっくりと口を開く。

「お前さん……俺の妹を泣かせただろ?」
「……え゛?」

塚本は思わず間の抜けた言葉を漏らしつつ、今まで自分のやった事を思い返してみる。
そう言えば、コレッタとか言う子猫を泣かせる前に、緑色の鱗のチビリザードマンも泣かせたような……?
それを思い返した彼は確かに、自分の頭からざぁっ、と血の気が引いてゆく音を聞いたような気がした。
狼狽する塚本のその様子から、彼が妹を虐めた事を確信した利里は纏っている怒気をより濃くして塚本に詰め寄る。

「やっぱりか……やっぱりお前さんだったんだな!?」
「いや、あの……アレはちょっとした冗談みたいな物で、別に泣かせようとは思ってなかったんですよ? マジで。
それに、泣かせたといってもちゃんとその後で飴を上げてなぐさめてあげたんだし……」

後退りしつつ、身振り手振りをして必死な弁明をする塚本。
だが、必死な彼の願いもむなしく、双眸を怒りに染めた利里が叫ぶ。

「結果的に泣かせたのは同じだーっ! 許さんぞぉーっ!!」

この時、彼には利里の口から黒煙を巻き上げている様に見えた気がした。

「……やっぱりこうなるか! くそっ!」

無論のこと、即座に逃走を選択した彼は、
己に振りかかった運命に対して文句を漏らしながらその場から逃げ出す。
大丈夫、さっきと同じ様に自慢の逃げ足で振りきれば! と塚本はそう考えた。
だが、逃げる彼の背を追う様に聞こえ始めた地響きのような音に、嫌な物を感じた彼は思わず振り向く。
501通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/12(水) 00:40:48 ID:s6HG6NUM
「ぴぎゃあぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ど、どどどどどひぃぃぃっ! お、追いかけてきてる! しかもこいつ、意外に足早ぇぇぇぇ!!」

彼の見た物、それは牙を剥き出しにした鬼気迫る表情?でこちらを追う利里の姿だった。
此方を追いかける利里の足は思いの外速く、徐々に塚本に追いつこうとしていた。
この時、彼の脳裏に今、自分が今夢中になっている携帯ゲームで見た
怒り狂った飛竜の突進から必死に逃れるハンターの情景が写ったのは無理も無いだろう

(そういえば、こいつは一旦走り出すとほぼ真っ直ぐにしか進めなかった筈、ならば!)

ふと思い立った塚本は、横道にすばやく入る事で怒り狂った利里をやり過ごす事にした。
横道に入りさえすれば、真っ直ぐにしか走れない利里から逃げ切る事が出来る、と、安易に考えたのだ。
そして、ある程度走った所でビルとビルの間にある適当な横道を見つけ、其処へ飛び込む様にして逃げ込む。

「……ふう、一時はどうなる事かと思ったぜ……」

と、思わず安堵の息を漏らす塚本。
彼は予想していた、自分が急に横道に入った事に対応できず、利里が通り過ぎてゆく様を。
だが、残念ながらこの世の中、全てが思い通りに行く様には出来てはいなかった。

「あれ?……いきなり立ち止まって……こっちに向かってきたっ!?」

走ってきた利里が塚本の逃げ込んだ横道の前で急停止すると、その場で横道の方へ90度旋回、
そして先ほどの勢いのまま塚本の方へ向かってきたのだ。

「ぎゃおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ちょ、話せば分か……ヘブシッ!」

そして、説得する間も無く跳ね飛ばされた塚本が最後に見た光景は、
怒り狂って突進する利里の顔のドアップであった。

502通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/12(水) 00:42:19 ID:s6HG6NUM
                        * * *

「おーい、いきてるかー?」
「……んあ? 俺は……?」
「あ、生きてたか……何気に通りかかった道でお前が倒れてるのを見た時は本気でビックリしたぞ?」

目が覚めると、此方を覗きこむ友人の来栖の顔があった。
頭を動かして時計を見ると、あれから三十分ほど過ぎた所であった。
そして、彼はかぶりを振りつつ身を起こし、やれやれなポーズをしている友人へ問い掛ける。

「な、なぁ……来栖、利里の奴は何処行った?」
「利里?……俺が来た時には無様に寝転がるお前だけしか居なかったが……?
まあ、お前の事だから大方、利里の奴を怒らせて酷い目に遭わされたって所だろうな」

的を居た友人の言葉に、塚本は思わずぐっ、とうめきを漏らす。

「それより、塚本、自分の顔を見ろよ。 酷い様だぞ?」
「……何?……ってなんだこりゃ!?」

来栖に言われ、塚本が思わずカバンの中から鏡を取り出して見れば
其処には横っ面にリザードマンの物とおぼしき見事な足跡が残る自分の顔が写っていた。
その際、自分の身体を調べてみて分かった事だが、顔面に足跡を残した以外に何もされていない事から
どうやら、利里は突進を食らって倒れた彼の顔を踏んづけてそのまま走り去っていったのだろう。

(あいつ、怒りの余り、俺を追いかける以外の事を考えてなかったんだな?……お陰で助かったというか何と言うか……)

そう思った塚本は、今度こそ安堵の溜息を大きく漏らした。
そして、塚本は服についた塵を払い落としつつ立ちあがると、思い立った様に来栖へ言う。

「ああ、そうだ、来栖、お前は俺を置いて逃げたんだから、お詫びとしてコーヒーセットくらい奢れよ?」
「げ、そういう所はしっかりしてるな……分かった、後で奢ってやるよ。……金が出来たらだけどな」
「へへっ、コーヒーセット儲けた」

やるべき事はしっかりと憶えていた塚本、だが、どうやら来栖が最後にボソッと言った言葉に気付かなかったようだ。
そして、二人は秋の夕日の光によって黄昏色に染まった道を歩き始める。

「さーて、馬鹿ロの名を広める為、明日もガン飛ばしを頑張るとするか!」
「おいおい……まだやるのかよ……」
「当然だ! あんな程度でへこたれてたら不良の名折れだぜ!」

あれほど酷い目に遭いながらちっとも懲りてない様子の友人の横顔を眺めつつ、来栖は思った。

そういや、馬耳東風、って四字熟語があるが……こいつはまさにその言葉の通りだな、と。

【馬耳東風】
馬は耳をなでる春風に何も感じないという意味で、
他人の意見を聞き入れず、心に留めようともしないことの例え。
503創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 00:42:30 ID:xbw9fUfp
まだまだリレーは続くのかすげぇ!
そして利里怖いw
504通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/12(水) 00:43:45 ID:s6HG6NUM
以上です、
リオ夫妻の突進キャンセル突進は恐いよ、とか思いつつ書いて見た。
……反省していな……いや、している。
505創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 00:44:19 ID:xbw9fUfp
>>499
カマキリが鎌田
馬が塚本、鹿が来栖だよ
506創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 00:47:57 ID:XK/0VEiV
なんという妹想いの兄貴
507創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 00:57:11 ID:pKzL6KAm
>>505
ありがとう!
>>504
ああー!
馬鹿にならないようにカマロにしたのに馬鹿ロにー!w
508通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/12(水) 00:58:00 ID:s6HG6NUM
>>507
orz

訂正をお願いします……
509創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 20:23:14 ID:/n8C8Gnc
馬鹿ロふいたwww  何だかSSが素敵な事に……ガクガク

流れに乗ってない気がするけど2枚ほど。
あまり部活の話が出てこないなーと思ったものと、
前スレ789のリボンの子の名前が気になりつつ。
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00345.jpg
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00346.jpg
510創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 20:32:39 ID:xbw9fUfp
なんかもうメインの部活とかおかんなリーダーとかよりも
鎌田がかわいくてかわいくてしょうがないw
511創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 21:24:08 ID:/n8C8Gnc
512創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 21:25:20 ID:pKzL6KAm
きっちりーだー可愛いなぁ
名前付けてあげようよ。俺はさっぱり思い浮かばないけど。
513創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 21:28:36 ID:xbw9fUfp
ぎゃー鎌田がー!!
514創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:05:05 ID:8PPttPeS
ここって長編SSありかな
とても数レス重ねて終えられるレベルじゃないんだが・・
515創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:09:14 ID:xbw9fUfp
もちろんありあり
てかもうすでにシリーズ化して連載してる人も何人かいるぞ
516創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:09:14 ID:NiAdSx4a
個人的にはアリでしょ。
でも「さるさん」が10スレ以上投下させてくれないから、連載で投下するとかなら。
517創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:09:58 ID:xbw9fUfp
あ、あと
投下するものが長くなりそうなときは投下前に支援願い頼む
そしたら支援しまくるからさ!
518創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:13:27 ID:xbw9fUfp
>>516
だからそういうときは
居合わせた人が支援レスをするんだぜ?
「支援」とか「 」とか短文感想とか
投下の邪魔にならない程度のレスを居合わせたやつらでやりまくるんだ
519創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:15:51 ID:KA3coeXL
もしくは、長編をtxtでロダにあげても良いかも?
520創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:21:34 ID:LwbHWR24
>>519に賛成
521創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:23:45 ID:xbw9fUfp
俺は直接投下のほうが好きだけどな!
なんかみんなで支援してると盛り上がるんだよ
あと、txt投下だと携帯とか見れない人も出るし
522創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:31:11 ID:LwbHWR24
やってるとき楽しいのはわかるけど
あとで読むときはぶっちゃけ読みづらいんだよな>支援
523創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:31:20 ID:pKzL6KAm
合計何レスかによるよね
30レス超えるとちとツラい
524創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:34:06 ID:Gd/VvHSi
この板だとkskとかは凄く支援を楽しんでるよなw
まぁ投下する人が好きなようにしたらいいよ

>>522
wikiで読んだら?
525創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:36:39 ID:NiAdSx4a
ここまで住人の多いスレに居たことが無かったので
「支援」の嵐を見たときは感動しました。
526創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:51:00 ID:8PPttPeS
>>523
確実にそれ以上
まだ書きかけなんだが、章ごとに分けてtxtファイル6つで終える予定
多分投稿する日が来たらzipになるかも・・
527創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 23:00:29 ID:xbw9fUfp
それだけ多いんだったら
1章ずつとかある程度分けて投下して欲しいな
途中で次どうなるのかなとかわくわくしながら読みたいや
528創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 23:06:27 ID:LwbHWR24
力作だな
まずは書きあがるのを楽しみにしてるよ
529創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 23:09:51 ID:8PPttPeS
>>527
了解しました
俺は出来てるならまとめて晒せや!というせっかちな子なんだけど
完成させて添削終えたら投稿してみます
530創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 01:04:17 ID:YO8/5lUd
531創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 01:06:31 ID:X0AUWHfw
七五三はこの時期だったか
もうすっかり忘れていた
532創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 01:07:34 ID:D2+seVmR
七五三で親子キタ――――\(゚∀゚)/―――ッ!!
いのりんは撮ってる側か
533創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 01:18:37 ID:IVoiyvcA
うりりんかわいいようりりん
534わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/13(木) 02:49:35 ID:Ew4+0GWa
うりりん、かわいいなあ。
新キャラも続々登場して、ケモノ学校も楽しくなってきましたね。

久しぶりに投下しますが、こんなおはなしは如何でしょうか。
535いのりんと! ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/13(木) 02:50:25 ID:Ew4+0GWa
「シロ先生のお父さんって、どんな方ですか?」
「…ふっ、どんな思い出があったかな…。わたしと似てるってよく言われるよ」
シロ先生と泊瀬谷先生のふたりは、昼休みのまったりとした時間、コーヒーを飲みながら静かに過ごしていた。
泊瀬谷先生は外を眺めながら、温かそうな湯気が立つコーヒーが入ったマグカップを両手で持っている。
一方、魚の絵の描かれたマグカップを軽く回しながらシロ先生は聞き返す。
「どうした…?突然」
「いや…ちょっとですね、この間弟からメールが来て、父さんが『姉ちゃんは元気か』ってばかり言っているって。
それで、わたしのお父さんのことをちょっと思い出しちゃったんですよ」
「ほう。泊瀬谷先生の」
「うちの父、メールとかそういうのに弱くって…いつも弟頼りなんですよ」
薄っすらコーヒーに映りこむ泊瀬谷先生の顔は、困ったようにも照れくさそうにも見える。
コトンとカップをデスクに置いたシロ先生、うんうんと静かに泊瀬谷先生の話に耳を傾け、うんうんと頷いていた。

そんな会話を離れたデスクで聞いているのは、いのりんこと猪田先生とサン先生。
デスクに置かれた紙の箱にはお茶請けの飴玉。食後のお茶を楽しみながらも、内心いのりいんは、
女教師二人の会話が非常に気になるご様子。パパさんであるいのりんにとっちゃあ、
娘さんのことが気になるのは誰だって分かること。それを隠したいのか、ぽーんとお茶請けの飴玉を口に投げ込む。
「猪田先生の娘さん、お幾つでしたっけ?」
「ああ、もうすぐ7つだね。誕生日も近いし…」
「かわいい盛りじゃないですか」
「はは」
ところが自慢の娘の話をしたばかりであるいのりんに、シロ・泊瀬谷先生の声が突き刺さる。

「そういえば、お父さんとは中学からあんまり話したってこと…無くて」
「どこの家もそんなもんなんだ。わたしの場合はこの白衣よりも白い目で見てたな」
「シロ先生らしいですね…。そういえば弟も中学生の頃、お母さんに反抗ばかりしてましたからね」
残っていた最後の飴玉を遠慮なくサン先生が奪い取り、もごもごさせながら笑っている。
「…そんなもんなんですか」
「……」
「へへへ」
いたずらっ子の目をしたサン先生は、尻尾を振っている。サン先生がこんな行動をするときは、大抵何かを思いついたとき。
いのりんの心のスキを見つけたかのごとく、とある提案をサン先生は差し出す。

「猪田先生、娘さんと一緒に笑ったこと…最近ありますか?」
「うっ、それがね…機会が無いんだよね。帰りはいつも遅いし、休みの日もウチの家内と出かけることも多いし」
「協力しますよ、不肖・サン・スーシ」
サン先生はボリッと口の中の飴玉を噛み砕いた。
536いのりんと! ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/13(木) 02:51:06 ID:Ew4+0GWa
――――にちようびの午後。
猪田家にはサン先生が遊びにお邪魔していた。なんでもない話をソファーでくつろぎながら、二人のオトナは語り合う。
「いやー、サン先生。今日はのんびりしてくださいね」
「猪田先生のお宅は羨ましいですね」
そんなオトナの社交辞令。サン先生には全く持って不釣合いか。
脱衣場の洗濯機前には奥さん、リビングのソファーの横では、父親そっくりの娘が朝のアニメ鑑賞。
そして、母親そっくりの息子は姉の側で塗り絵に夢中。うららなか休日、いのりんとサン先生はリビングで談笑している。
パンパンと洗ったばかりの洗濯物のしわを伸ばしながら、奥さんは鼻歌を歌う一方、娘はごろんとじゅうたんを転がっている。

「ちょっと、先生…携帯に生徒から…失礼しますねっ」
サン先生、いきなり立ち上がり玄関に向かう。サン先生の携帯が鳴ったらしい。いのりんは『うん』と頷くだけ…。
息子の悠がいのりんに尋ねる。
「ねえ、おにいちゃんどうしたの?」
「ちょっと…用事だよ…」
それにしてもいのりんの声は歯切れが悪い。その答えは、何を意味するのか。そんなことを気にせず、姉はテレビのアニメヒロインに声援。
「プニキュアがんばれ!」
その言葉を聞いたか聞かないかの刹那、海賊の格好をしたサン先生が、片手に水鉄砲を持って、
猪田家の廊下をドタドタ駆けて、リビングにやって来た。
「うおー!かわいい子をつかまえに来たぞ!!」
リビングにいきなり入り込んできたサン先生は、片手でひょいと小さな息子の脇を抱え
そのまま子ウサギのようにソファーにぴょんと跳び乗った。

「なに?なに?」
「ふはははは!吾輩は七つの海を制覇した海賊の中の海賊『キャプテン・サン』である!
今度の旅にはどうしても小さな男の子が必要でな、こうやってつかまえに来たのだ!」
「あら、サン先生もうすぐお茶が入りますよ」
ひょっこり奥から洗濯物を持って奥さんが覗いている。
キャプテン・サンに抱えられた息子の悠は、キョトンとして何が起こっているのか全く理解をしていないご様子。
「ゆう!かみつきなさい!!ちょ、ちょっとおとうさん!きて!」
「出たな!キャプテン・サン!!お前の狼藉は許さんぞ。さあ、その子供を放すんだ!」
娘が振り向くと大きなウォーターガンを両手で構えたいのりんの姿があった。一体何処で?
挑発されたキャプテン・サンは照準をいのりんの手元に合わせ、子供を盾に応戦。

「うう、吾輩に楯突くとは100年早いわ!」
「只今お茶をご用意しますね」
「子供が泣いてるぞ!さあ、早く放すんだ」
「きゃはは!おにいちゃん、たかいたかいして!」
「ゆう!!こら!」
「サン先生、玄米茶はお好みですか?」
奥さんは台所でかぽっと茶筒を開ける。いのりんはじりじりとキャプテン・サンに歩み寄る。
一瞬の隙は見せられない、それは作戦失敗を意味する。脇をしっかり締め、右手でトリガーに手を掛け、左手で銃床を支える。
537いのりんと! ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/13(木) 02:51:45 ID:Ew4+0GWa
いのりんとキャプテン・サンの目が合ったわずかな瞬間のこと。
いきなりキャプテン・サンは悠をソファーに置いて、いのりんの頭を跳び越すほどの華麗なジャンプを見せる。
キャプテン・サンはいのりんを跳び越し背後に回り、後方からいのりんを制圧するつもりなのだろうか。
いや、両手でしっかりキャプテン・サンは己の水鉄砲を握り、いのりんの額を照準器越しに睨んでいるではないか。
悠はキャプテン・サンを見つめていた。
娘は父を見つめていた。
テレビではアニメヒロインが敵を倒していた。
奥さんはあったかいお茶を入れていた。
そして、いのりんは腰を落として、ここぞとばかりにトリガーを引きながら、ブンと大きな銃身を下から上に振る。
同時に銃口からは、命を吹き込まれたかのごとく水しぶきが扇状に弾道を描く。大型のウォーターガンの水の勢いは激しくリビングを舞う。
蛍光灯の灯と重なりシルエット姿となったキャプテン・サンには、彼とクロスするように水の炎が被弾した。

もんどりうって、向かい側のソファーの上に受身を取って落っこちたかと思いきや、ソファーのバネで懲りずにもういっぺん宙を舞い、
今度はカーペットの上に不時着。しりもちついたキャプテン・サンからは断末魔。
キャプテン・サンから手放された彼の小銃は、くるくる回りながら自由落下に従う。そして彼の頭の上に、コンと落ちた。

「うわああ!いてててっ!無念、残念だぜ!残念だ!!」
「あなた、サン先生、お茶が入りましたよ」
「は、はい?キャ、キャプテン・サン!息子はもう逃げているぞ!あとはお前だけだ!」
「なんだって?ち、ちくしょう!!我が計画に抜かりがあるとは、なんたる不覚!さらばだ!」
そういう捨て台詞を吐いて、キャプテン・サンは廊下から逃げ帰ってしまった。
ソファーに乗っかるゆうたがぼそっと一言。
「なーんだ。もうおわりか」

「おとうさん、なに?いまの…」
「娘よ…。おとうさんはな、悪者を退治したんだぞ」
いのりんはウォーターガンを肩に掛け、ぽんと娘の肩を叩いた。
テーブルには玄米茶が注がれた湯飲みが三つと、ジュースが注がれたコップが二つ…。
しばらくすると、びしょ濡れになったサン先生がリビングに帰ってきた。
「いやー、教え子からいきなり進路相談ってケータイに掛かってきてね、ははは。あれ?今何者か来ましたか?」
二人のお子たちはポカーン。
538いのりんと! ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/13(木) 02:52:17 ID:Ew4+0GWa
―――げつようび。
ざわざわとしている朝早いケモノ学校。生徒たちがぞろぞろと玄関から校舎へ入ってゆく。
窓から朝一番の光を浴びながら、職員室では、いのりん、サン先生、泊瀬谷先生にシロ先生がストーブに当っていた。
そして、恥ずかしそうにいのりんは頭を掻きながら、後日譚を語った。
「いやー、参りましたよ。サン先生」
「どうしたんですか?昨日の作戦で?」
「実は娘があれからずっと水鉄砲で撃ってくるんですよ」
どっと沸く一同。
「息子は息子で『このあいだのおにいちゃん、またこないの?』って言う始末ですし…。
恥ずかしいお話…サン先生、またお願いできませんか?」
「ええ?ま、まあ。喜んでいただければ、いつでも駆けつける心ですよ」
「…わたしの父は真面目な人だったから、猪田先生のようなお父さんに憧れますね」
いちおう、フォローというフォローをしておいた泊瀬谷先生。困った顔はウソがつけない泊瀬谷先生のトレードマークか。

そして、今回の首謀者・サン先生も続いて…。
「まあ、娘さんも笑ってくれてこの作戦も大成功ですね。あの海賊のコスプレは保健委員の子から借りてきたものなんですよ。
背丈もぴったりで…それにしてもカッコよかったなあ、あの猪田先生の最後の掃射は…。
娘さん、猪田先生のことを尊敬する事でしょうね。『お父さんはカッコよかった』って」
いのりんとサン先生が笑っている側で、シロ先生が一言。
「んなわけないって」


おしまい。
539創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 02:52:37 ID:IVoiyvcA
おお!投下キタ
540わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/13(木) 02:54:12 ID:Ew4+0GWa
夜分遅くに失礼しまっス。
wiki編集の方、読み手、書き手、描き手の皆さんありがとうございます。
541創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 02:57:23 ID:IVoiyvcA
サン・スーシ先生いいなー
俺が子供の頃にサン・スーシ先生に遊んでもらったりしたら
即効でなつきまくった自信があるぞ
542創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 03:56:12 ID:RELGbEua
サンさんグッジョブ!
543創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 10:07:47 ID:LEOSh8Nh
サン先生さすがだ。いのりん悲しい程にリア充……学校で一番リア充度高いんじゃないのか
544創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 14:53:55 ID:zbPEH1wt
オキシドールで生徒を脅す独身三十路ババアとは大違いだ!
545創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 15:28:28 ID:wxgQ8JB2
ババアと申したか
546創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 17:23:41 ID:IVoiyvcA
お前背後に気をつけろよ
547創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 17:34:42 ID:D2+seVmR
その後>>544の姿を見た者はいない
でも保険の先生は少しキツイぐらいが丁度いいよ
548創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 17:38:21 ID:IVoiyvcA
ああ、確かに甘いと授業サボりたいやつが大挙してくるもんな
549創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 17:43:18 ID:wxgQ8JB2
>授業サボりたいやつが大挙してくるもんな
保健室に押し寄せる不良やら何やらを想像してふいた
550創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 17:52:22 ID:Kz0wQuVv
恋するババア
551創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 18:41:00 ID:JePtI7nZ
熟女萌え
552創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 20:09:25 ID:5JkDwGzM
553創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 20:13:46 ID:D2+seVmR
ちょwwジョジョじゃんかww
馬鹿たち逃げろwww
554創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 22:20:56 ID:jt0Otu1B
なにジョジョ?シロ先生がオキシドールの瓶を振り回して恐ろしい?
逆に考えるんだ、「正気に戻すという名目で『ズギュウゥゥン』するチャンスだ」と考えるんだ

そしてドサクサに紛れて胸でも触り
「これがてめーの『スタンド』か! 丸くて柔らかくてまるでたわわに実ったメロンだな!」と言ってやれば良い

まあそれなりの能力が無いとガボガボ死確定だがな!
555創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 22:45:28 ID:3D5toyB/
ワラタ
556創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 23:39:26 ID:gzmPVZMG
554のマンガが描いてるサン・スーシを思い浮かべてしまったw
それにしてもケモノ学校のキャラが多くなったよな
ゴチャゴチャにならない為にキャラ紹介みたいなプロフを自分用に作ってたら凄い量になったぞ
557創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 23:45:41 ID:D2+seVmR
>>556
何をしている。早くそのプロフをwikiに書き込む作業に戻るんだ
558創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 00:36:17 ID:WcmCmazt
>>557
残念ながらwiki編集はやったことないから分からない
だからここに投下する

(小等部)
コレッタ
猫人の女子生徒。美しい毛並と柔らかな髪をくしゅくしゅと舐めたり、ネズミを怖がったり、猫じゃらしを本気で追いかけちゃったりなどなど、
男子がついキュンときちゃう仕草を何気なくするため、クラスの中で断トツ人気が高い。しかし、異性への興味をどう消化してよいかわからない男子達はちょっかいを出すため
クラス一の泣き虫でもある。運動神経が悪いため、よく保健室のお世話になっている。

クロ
猫人の女子生徒。ミケと一緒にコレッタを意地悪(嫌味)する。

ミケ
猫人の女子生徒。クロと一緒にコレッタを意地悪(嫌味)する。
因みに可愛さの序列は、コレッタ>>>>>越えられない壁>>>>>クロ>ミケである。

(中等部)
お気楽三人組
ナガレ
猫人の男子生徒。の一人で、基本的に無口。

アキラ
犬人の男子生徒。お気楽三人組の一人で、何かと理由を付けては、特攻して玉砕している。

タスク
犬人の男子生徒。お気楽三人組の一人で、かなりの小心者。姉のモエには頭が上がらない。

舞(まい)
康太の妹。しかし、血は繋がっておらず、彼女自身は狼人である。
康太と結婚したいくらい好きな模様。ただし、あくまで滑り止め。大学生の実姉(美希奈(19))がいる。

保険委員の妹(弟)
保険委員と同様、性別不明な生徒。尚、保険委員が女子だった場合、女装癖のある弟になってしまう。

(教師)
白(シロ)
猫人の女性保険教師。年齢は30代で、オバサンと言われるとオキシドール攻撃が待っている。

サン・スーシ
犬人の男性数学教師。身長が小学生並みに低く、学校一声が大きい。子供っぽい所があり、よく悪戯や悪巧みを思いつく。
単車を愛車にしていたが、運動を理由に台車(浅井カー)に乗り換えてしまう。絵が上手く、運動神経も非常に良い。

泊瀬谷(はせや)スズナ
猫人の女性国語教師。新人故、色々失敗したり、生徒に翻弄とされている事が多い。弟がいる。

猪田(いのだ)
生徒に「いのりん」呼び慕われている猪人。目つきの悪さは高等部一だと言われているが、その性格の温和さと物腰の丁寧さでも、高等部一。
生徒への助言生徒への助言に関しては、非常に頼りになっている事からベテランさが伺える。因みに15歳年下の奥さん(人間・元生徒)と娘に息子がいる。

帆崎(ほざき)
猫人の男性古文教師。生活指導も担当。しかし、生徒と遊ぶ事が多く、生徒指導しているかどうか疑わしい。ルルと言う人間の女性(20)が居候中。

牛沢(うしざわ)
牛人の女性体育教師。学校ではジャージを着ており、しかも巨乳。しかし、休日になると、ゴスロリ姿でどこかに出かけている。
559創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 00:42:30 ID:WcmCmazt
入りきれなかったので続き

(高等部)
保険委員
性別不明な猫人の生徒。海賊風のコスプレをしており、語尾に「っス」が口癖。
怪我人がいると、保健室へ連行してしまう(勿論治療の為)。因みに、コスプレの帽子には、某医療系の赤いマークがついている。

ヒカル
犬人の男子生徒。無口で、群れるのを嫌っており、いつも一人で本を読んでいる。しかし、泊瀬谷には気を許している模様。

モエ
犬人の女子生徒。タスクの姉で、今時の女子高校生。古文のテストの解答にギャル文字を使うほど、今時である。

龍ヶ谷 猛(りゅうがや たけし)
顔面凶器の二つ名を持つリザードマンの男子生徒。学年は三年。
眼光の破壊力は、小動物なら確実に目が合っただけで死ぬレベル。幼馴染とも彼女とも取れる猫人とよく行動する。モデルは、オオヨロイトカゲ。

御堂 卓(みどう すぐる)
人間の男子生徒。手製のマグネシウム閃光弾を携帯しており、いざと言う時に使用し、危機を回避しようとする。
利里と朱美とは小学校の時からの仲。朱美に多少の恋心を持っているが、惜しくも砕かれてしまう。

竜崎 利里(りゅうざきりざと)
蜥蜴人の男子生徒。顔が某ハンターゲームの飛竜種にそっくりな為、いのりん並かそれ以上の強面。
利里汁と言うオリジナル激辛ホットドリンクが無いと冬を過ごせない(眠ってしまうため)。卓と朱美とは小学校の時からの仲。尚、小等部に妹がいる。

飛澤 朱美(とびさわ あけみ)
蝙蝠人の女子生徒。天真爛漫な性格で、卓達を振り回している。鉄オタ+大食漢で、スイーツ店「連峰」のスイーツマウンテンDXを10分で完食してしまう程。
訓練の末、人を足で掴んで運搬も出来る。卓と利里とは小学校の時からの仲。

柊 眠兎(ひいらぎ みんと)
狼人の男子生徒。学年は二年。推理小説を読むお陰か、切れ者で、学校で起きた事件を解決した事が何回かある。
名前に"兎"があった所為で、小さい頃にからかわれた為、今でも名前が嫌い。流虎とはクラスメイト。

駿河 流虎(するが るとら)
虎人の男子生徒。学年は二年。明るくて元気が取り柄(逆に言うと能天気で楽観的)で、眠兎とよく駄菓子屋で買い食いをして帰っている。

康太(こうた)
人間の男子生徒。学年は一年。陸上部に所属。妹の朝の起こされ方に加え、伊織のスパルタの毎日お陰で心身共に苦労をしている。

伊織(いおり)
鷹人の女子生徒。学年は二年。陸上部に所属。康太を陸上部に入部させた張本人。自分に厳しく他人にも厳しい性格。巨乳だが、本人は運動の邪魔だと嫌がっている。

花音(かのん)
猫人の女子生徒。眠兎達の学級委員長で、眠兎とは幼馴染。コンクリートの壁がめり込むほど、怪力の持ち主。

高杉 時雨(たかすぎ しぐれ)
蜥蜴人の男子生徒で、眠兎達のクラスメイト。ガッシリした体格だが、気が弱い。要するに苛められっ子。

塚本(つかもと)
馬人の男子生徒。チーム「鹿馬ロ」の(自称)リーダー。チームの名声を上げる為、小等部にガンつけを行うが、色々な反撃に遭う。でも諦めない。

来栖(くるす)
鹿人の男子生徒。チーム「鹿馬ロ(カマロ)」の一人。冷静沈着で、危機回避能力に優れており、逃げ足に定評がある。

鎌田(かまた)
蟷螂人の男子生徒。チーム「鹿馬ロ(カマロ)」の一人。「ライダー」の愛称で親しまれている。
寒さに弱い為、冬は丹前を着ている。凍死しかけた時の呟きから、競馬の知識が豊富な模様。
560創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 00:46:00 ID:WcmCmazt
>>556、558、559です
高等部が多すぎw
学校以外のキャラやキャラ設定自体があなりないのは、まとめてないのでご了承下さい
あと、ふりがなもこっちが勝手に付けたもの。こいつのが物足りないと感じたら勝手に添削して下さい

ふと思ったけど、この学校はエスカレータ式マンモス学校なのかな?
561創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 00:58:40 ID:S98eYG7B
お、乙。   こんなにいたんだ。

キャラがイキイキしてて楽しいな。
私も、さりげに書きたくなった。

勝手にキャラ使っていいの?
562創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 01:11:17 ID:yInroIWe
使っちゃえ使っちゃえ
563創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 01:12:13 ID:+OnMDEwd
キャラは使うためにあるんだぜ
564創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 11:40:38 ID:PiIP3aQk
ああ…次はうpだ…
565創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 12:12:26 ID:SYFwU9YK
先生の人物紹介のページ作ったらカオス…というか鬱陶しくなっちゃった
一々戻るボタンクリックさせてしまうのも面倒だから、新しいで開かせるようにしてみたけど…様子見で待機。
というかサン・スーシ先生の紹介文がリンクばっかりで編集愛が偏りすぎた、許して。
566創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 13:28:38 ID:a0YJGczb
>>565
乙です。 算数先生、クリックしまくったら画面がウィンドウだ
らけになりました。 結構楽しい。

ひとつだけ気になってるのは、他の方も「小学部、小等部」って
書かれてますけど、「初等部」の方が良くないですかね?

あと、いのりんはなんの担任なんだろう…?
567創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 14:09:43 ID:HFyzYqLD
パッと見の印象は地理か日本史
568創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 14:49:49 ID:VAb5HGtQ
初等部のがいいよね
初等部って言葉が思い浮かばなくてずっと小等部って書いてたんよ
569創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 17:08:38 ID:VAb5HGtQ
 それは、校長室で校長先生と教頭先生が将棋を指している時のことであった。
 歴代の校長の写真が飾られた壁、校長用の机と椅子、2人掛けの合成皮革(牛系の生徒
や教師を配慮の結果)のソファーが2つ、ガラスのテーブルが一脚。校長と教頭はガラスの
テーブルを挟んでソファーに対面で座っていた。
 種族がヤギで名字は八木(やぎ)というスゴく分かりやすい名前の教頭は、刻み海苔一本
分くらいしかない細い目の奥に横長の瞳を輝かせていた。完全に優勢だ。
 他方、長い眉毛に阻まれて外目には全く表情のわからない校長は、表情を見るまでもな
く焦っていた。せわしく頭を掻いてみたり、眉毛をこよってみたり、ネクタイを緩めてみ
たり。

「如何なされましたかな校長先生、手が止まっておりますぞ?」ニヤリ、と八木。
「わ、わかっておるわ!」
「やれやれ、速くして頂かないと昼食を食べ損ねてしまいますよ」

 どうやら昼食を賭けているらしい。老練な教育者が集まって何をやっているんだ。

「ぬぐぐぐぐぐ…………」

 校長が顔を真っ赤にして考え込む。

「あっ!!」
「え?」

 何か起死回生の一手でもあったのか、校長が感嘆を発し、教頭が疑問を発した。

──ガシャン

 将棋盤を急いで片付け始める校長。

「あっ! なんて大人気ないことを! 今の投了ですよ! 昼食おごってもらいますから
ね校長先生!」
「ばかもん! 昼食くっとる暇なんぞないわ! 八木ちゃん、急いで先生方を集めて来る
んじゃ! 大変なことを忘れておった!」
「は? 大変なこと、と言いますと?」
「学園祭じゃよ」

 それを聞いて、八木も真っ青になる。

「そういえば、何か忘れている気がしてました……学園祭だったのか」
「早く先生方を呼んで来るんじゃ!
もうだいぶ手遅れ感漂う季節に差し掛かっておるぞ!
速く! 八木ちゃん、ダッシュ!」
「ら、ラジャ!」

 かくして、ケモ学の遅すぎる学祭準備が始まったのだった。
570創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 17:14:23 ID:8Bzl9u6f
学園祭とな!?
それはコスプレ喫茶とかコスプレ喫茶とかのあれかね?
571創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 17:23:09 ID:VAb5HGtQ
リレーのきっかけにでもなればいいかなと
572創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 17:25:06 ID:8Bzl9u6f
楽しそうだな学園祭
無駄に張り切りそうなキャラがいろいろいるし
573創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 17:31:03 ID:HFyzYqLD
学校行事忘れちゃう校長萌え
574創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 18:01:53 ID:yInroIWe
一番張り切りそうなキャラはサン・スーシ先生だろうなw
575わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:13:17 ID:HftO2lEE
あ…。偶然書き溜めていた、学園祭ものが丁度書き上がったから投下します。
教頭と校長の会話から約1ヵ月後のお話ということで。
では、6スレ程お借りします。
576あしたは、学園祭 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:14:10 ID:HftO2lEE
「わあ!泊瀬谷先生、似合う!」
ええ?わたし…そんなに似合いますか?わたしの生徒たちのらんらんとした眼差しが、わたしに降り注ぐ。
黒色のワンピースに、白いエプロン。足元はニーソックスに、頭にはフリフリのカチューシャ…。
わたし、こういう格好は今までしたことが無いんです。でも…みんなが『似合う、似合う』って言ってくれるから、そうなのかな。
「先生!ほら、これ持ってよ!!」
「ええ?」
わたしに手渡されたのは、トレーの上にミルクの入ったグラス。犬飼さん、これを持って…?
恥ずかしさで縮こまるわたしの姿が、クラスのみんなには堪らないらしい。
でも…わたしって、そんなにメイド服が似合うんですか?

そう。秋も深まり、この学校ももうすぐ文化祭の季節がやって来る。
クラス総出で模擬店を出したり、バンドを組んだりと生徒のみんなは、準備に時間を追われる日々を過ごしている。
そして、わたしのクラスのみんなが選んだ出し物は喫茶店。
実行委員の犬飼さんを中心に、飾りを作ったりアイデアを出し合ったりして、クラスのみんなで約一ヶ月間準備をしてきた。
しかし、生徒たちが用意してきたウェイトレスの服は一着しかなかった。どうして?って、犬飼さんに聞いてみたら、
「先生が着た方が、ぜったいかわいいって!」
と、良くぞ聞いてくれました!と言わんとばかりに張り切って答えてくれた。
そうなのかな…?今まで人生の中で目立ったことも無く、遠慮がちに生きてきたわたしだけど、
服装ひとつでこんなにドキドキできるなんて、まったく持ってしらなんだ。

でも、この衣装…あといくつか用意してるんだよね?きっと。
「ええ?このクラスの看板は先生ですよー!他に服装があるわけがないじゃないですか」
まさか、わたし一人で?犬飼さんは人を乗せるのが上手だ。いや…わたしの方が人がよすぎるのかもしれない。
周りの女子も一緒になって、やんややんやとわたしを盛り立てる。
「『いらっしゃいませー!ご主人さま』って、ほら!せんせ!!」
「い、いらっひゃいませ?」
「かわいい!!」
わたしがもじもじすればする程、犬飼さんをはじめ一同は黄色い声でわたしを持て囃す。
教室の隅っこでは、ヒカルたち男子生徒が着々と喫茶店の飾り付けを進めている。
明日は文化祭。お祭りは、楽しくね。
577あしたは、学園祭 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:14:46 ID:HftO2lEE
―――1ヶ月前。学校は文化祭の準備に取り掛かる。
職員室の窓から放課後の中庭で、ヒカルが初等部の子ネコと大声を出していた。
ヒカルが叫べば、子ネコも続く。緑の中でいつまでも叫んでいる。
「あ!え!い!う!え!お!あ!お!」
「あ!え!い!う!え!お!ニャ!お!」
「あかんぼ赤いな、あいうえお!」
「あかんぼ赤いニャ、あいうえお!」

しばらく見ていると子ネコはもじもじしながら、ヒカルに縋り付くように話しかけ始めた。
うんうんと頷くヒカルは、優しく子ネコの頭を撫でている。まるで子ネコを苦しめる何かを払いのけるよう。
みかんを食べながらその光景を見ていると、ゆず湯を飲みながらシロ先生がわたしに解説してくれた。
「コレッタの学年では、学芸会があるんだ。それで、コレッタが不安になってさ」
「そうなんだ…。それで」
「そう。じゃあ、中庭で声出す練習しなさいって言ったら、毎日ああしてるんだ」
「へえ…。でも、ヒカルくんは…」
初等部の文化祭について、ヒカルは無関係なはず。と、シロ先生に尋ねるが。
「そこまでは知らん」と、一言。
幾ばくかの静けさの後、再び声が聞こえてくる。ヒカルとコレッタは、ベンチに仰向けで寝てさっきの続き。
シロ先生曰く、こうすると腹式発声の練習になり、喉を痛めないという。
「あ!え!い!う!え!お!あ!お!」
「あ!え!い!う!え!お!ニャ!お!」

こっそりヒカルとコレッタの側にわたしが近づくと気付いたのか二人は、ひょっこり起き上がった。
ヒカルは話す。お昼休みにいつも練習しているのを見るから、付き合ってあげているということを。
そして、毎日コレッタと残ってお芝居の練習についてあげていることを。
だけど、クラスの模擬店の準備もあるんだよ。と、ここは犬飼さんを見習ってビシッと言わなければ。

「うん…。でもね…ヒカルくん…」
「先生はヒカルくんの先生かニャ?」
「……」
ヒカルは貝のように口をつぐむ。
「聞いて、ヒカルくん」
「ごめんなさい、先生」
ヒカルとコレッタを見ていると、これ以上問いただすことを咎められる気がした。
わたしは犬飼さんには、なれない。
578あしたは、学園祭 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:15:23 ID:HftO2lEE
その日の放課後。わたしは学校の校門前で落ち葉拾い。急にサン先生が焼き芋をしたいと言い出したのだ。
生徒たちは家路を急ぐもの、のんびり帰るものと様々、そんな中に混じって下校途中のヒカルとコレッタが通りかかる。
ヒカルは自転車を押して、一方コレッタはヒカルの横に並んで歩いていた。
思わずわたしは自分の気配を消してしまったのは、何かを感じたからだろうか。
木の陰からそっとわたしは見守る。二人は何を話しているのだろう。部外者って分かっているけど、悪い子になったつもりで盗み聞き。

「大分、声が出るようになったね」
「うん。ヒカルくんと一緒に残って練習したおかげニャ。ヒカルくん、約束だからニャ?」
「うん」
「ぜったいニャ?」
「ぜったい」
なんだろう、約束って…。
ヒカルは自転車にすっと跨り、コレッタに申し訳ない顔をする。
「ごめんね、今日は早く帰らなきゃ…」
「明日も来るニャね!」
「うん」
指切りげんまんをしてヒカルはすっと自転車を走らせた。

その後ろからやって来たのは、実行委員の犬飼さんとクラスの女の子。
いつものような黄色い声で二人しておしゃべりに夢中、お年頃の女の子としてごくありふれたワンシーン。
二人の周りには花が咲き乱れているかのように華やかだが、その花に小さなとげが生えているのにわたしは気付いた。
「ヒカルくんったら、いっつも早く帰っちゃうんだもんね」
「そうそう、少しぐらいわたしたちのお手伝いしてもいいじゃん」
不機嫌そうな犬飼さんをかばいながら、女の子は自分の尻尾を回していた。

わたしの周りには落ち葉の山。ここまで成果が見えると達成感もひとしお。そこにサツマイモを持ったサン先生とシロ先生がやって来る。
アルミホイルに包まれたサツマイモを落ち葉の山に埋めて、古新聞を種にマッチで火をつける。
パチパチと秋の音を立てながら、煙を立てる落ち葉の山。煙の向こうからシロ先生がヒカルのことを話している。
579あしたは、学園祭 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:15:56 ID:HftO2lEE
「猪田先生に聞いたんだが、ヒカルの家って共働きなんだよな」
「ええ?ええ。お父さんが児童小説の作家で…」
「うん、で、母親は商社勤めでキャリアウーマンって聞く。海外出張に出たりして
なかなか母親は家にいることが少ないらしい。だから、ヒカルは家事を少しばかり手伝っているらしんだ」
ヒカルの担任なのにどうしてそこまで知らなかったのか、わたしはなんだか恥ずかしくなってきた。
一度、ヒカルの家に行ってみなきゃ…と思っていると、急にサン先生がぱあぁっと明るくなる。

「文化祭、張り切ってますよ。ぼくも頑張らないと…」
「ええ?先生が?」
「実はですね。高等部の美術部の子たちがね、アニメを作るって言ってぼくもアフレコに参加させてもらうことになったんです。
今や個人ユーザーレベルのPCで、CGアニメなんかすぐできちゃいますからね。
ウチの学校の美術部、レベル高いんですよねえ。カット割りの天才が居るんです。能ある鷹はなんとやら…」
全然知らなかった。わたし、生徒どころか学校のこともよく知らない。頑張らなきゃ…。
さっきから煙はサン先生の方ばかり流れてゆく。シロ先生は「煙に好かれたな」とすまし顔。
サン先生は落ち葉の山の周りをくるくるまわるが、じゃれ付くネコのように煙に付き回されていた。
焼き芋が焦げてますよ…。と、落ち葉の中を枝で穿り返すと、中から紙くずが出てきた。
紙くずは拾っていないはず、どこから紛れたんだろうと思いながらよく見ると、サン先生が少し青くなっているではないか。
すかさず、シロ先生が横目でサン先生を睨む。口数は少ないが、シロ先生の尻尾は雄弁だ。

「サン先生、もしや…また、先生がわたしのマンガでも描いたのか?この間といい…」
「ええ?保健室のマンガなんか知りませんよ。オキシドールなんか知りませんよ。ね、泊瀬谷先生」
「なんですか、それ」
サン先生は、煙から逃げながらケラケラと笑う。そして二言目には…
「煙に巻いてみせましたよ。ニシシ」
サン先生、シロ先生に『お願い、突っ込んで!』って顔をしてニコニコしているが、無論シロ先生は無視。
サン先生がちょっとかわいそうになり、わたしはサン先生に向かって突っ込んだ。
「な、なんでやねん?」。
580あしたは、学園祭 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:17:10 ID:HftO2lEE
―――明日は文化祭初日。時間も夕刻近く、犬飼さんが男子生徒たちに檄を飛ばす。
時間は待ってくれないぞ、ここの飾りはこうだ、テキパキと仕切る犬飼さん。
彼女はわたしには持ってないものを持っている。と感心していると、廊下が騒がしいことに気付いた。この校舎では聞きなれぬ声も聞こえる。
「ヒカルくんのクラスはここかニャ?」
高等部の生徒たちに囲まれていたのは、コレッタであった。
コレッタはお姫さまのドレスに身を包み、頭には可愛らしいティアラをつけている。
普段、初等部の生徒は高等部の校舎に来ることはない。なのに、わざわざコレッタがここまで来たのは、
何かしらの故あってなのだろうか。しかも、お姫さまの格好をしているし…。
恐る恐るわたしはコレッタに尋ねると、彼女は張り切って答える。

「ヒカルくんの先生ニャ!あしたの本番をヒカルくんに見てもらいたくて、宣伝にここまでやって来たニャ」
「その格好…もしかして?」
「あした、わたしは『お姫さま』の役をするニャよ。似合ってるでしょ?あ!ヒカルくんニャ!!」
教室からヒカルが出てきた。コレッタの声が聞こえたからだろうか。コレッタはスカートを摘み、ヒカルに衣装の自慢。
コレッタの肩をポンと叩くと、ウンと小さく頷くヒカルは優しくコレッタに言葉を送る。
「明日はきっと、大丈夫」
「うん!がんばるニャ!」
「うん」
「それはそうと約束はまだかニャ?」
そういえば、そんなことも言っていたっけ。
ヒカルとコレッタの約束…。恥ずかしげに「いいよ」と答えたヒカルはくるっと踵を返す。
ふわりとヒカルの尻尾が弧を描いて一緒に回る。

「うわーい!もふもふニャ!!」
コレッタはヒカルのふっさふさな尻尾に抱きつき、顔を埋めていた。無邪気なコレッタの笑顔に思わずクラスのみんなも笑っていた。
一方、ヒカルはヒカルで少し恥ずかしそうな顔をしている。約束とは言え、こんな所で果されるとは、ヒカルも思ってなかろう。
太陽をいっぱい浴びた枕を抱えるように、ヒカルの尻尾を両腕で抱えながら、コレッタはわたしに話しかけてきた。
「そうはそうと、ミルクを一杯頂けニャいかしら?」
「ええ?」
「メイドさん、とびっきりの新鮮なミルクをお願いニャ!」
しまった。メイド服を着たままだったことをすっかり忘れていた。
これじゃ、どう見ても『お姫さまとお付の侍女』。振り向くと、気配り上手の犬飼さんがコップにミルクを注いでいた。
581創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 18:18:01 ID:8Bzl9u6f
うおおおおお!?

俺の>>570での妄想があっという間に形になったぞ!?
582あしたは、学園祭 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:18:06 ID:HftO2lEE
「コレッタ!だめじゃないか。こんな所に…」
廊下をバタバタと駆けてくるのは、サン先生とコレッタのクラスメイトだ。
クラスメイトは同じようにお芝居の服装をしている。サン先生、初等部の算数も担当していることもあって、
初等部のお子たちにも人気。だけど、コレッタはヒカルの尻尾が気に入ったのか、先生の言うことをちっとも聞かない。
「…もうちょっと、もふもふさせてニャ…」
「コレッタ!ずるい!!わたしももふもふしたいよ!」
「クロ!わたしもしたいんだから!もふもふ!!」
「ミケはあと!!」
「コレッタ!ミケ!クロ!さあ、もう夕方だから下校の時間だよ」
しぶしぶヒカルの尻尾を手放し、サン先生から背中を押され帰ろうとしているコレッタ。
帰り際にこちらを振り向き、ヒカルにポツリと投げかけた。

「ぜったい、あしたは見に来てちょうだいニャ!」
「……」
きっとヒカルは準備をろくに手伝う事ができず負い目があり、それ故に途中でクラスの模擬店を抜けることに躊躇しているのだろうか。
わざわざここまでコレッタが来てくれたのだ。見に行けるものなら行ってみたい。
が、いつも一人っきりであることが多いヒカルとて、クラスのことには参加したいだろうし。
メイド服のエプロンを翻して、わたしはヒカルにビシッと一言。
「ヒカルくん、わたしが許可します。学芸会の時間は抜けていいですよ」
「…先生」
「ぜったい来てニャ!」
ヒカルはわたしにお辞儀をしていた。コレッタがいよいよ帰る間際に、サン先生はわたしの姿に今更ながら物申した。
出来ることなら気付かずにそのまま戻って欲しかったのだが、サン先生のことだから仕方がないか。
ニコニコしながら、サン先生はメイド姿のわたしを見て何かを閃いていた。

「泊瀬谷先生、お似合いじゃないですか」
「あ、ありがとうございます。生徒たちが…」
「うーん、ここの模擬店だけで披露するには勿体無いですね。先生」
いけない。サン先生の目がいたずらっ子のようになってきた。
メガネの奥で光るサン先生の目はこの中でいちばん幼く見える。そして、次に出たセリフは…。
「これは…、いや…実は、この間話していた美術部の作っていたアニメが完成しましてね。
文化祭初日に美術室で上映会をするんですが…。泊瀬谷先生、ね!ぜひこの衣装で上映会に…。生徒たちも喜びますし」
「ええ…?でも…クラスの喫茶店もありますし…。へへ」
ところが、気配り上手の犬飼さんがグラスにいっぱいのミルクを持ってビシッと一言。
「泊瀬谷先生。わたしが許可します。上映会の時間は抜けていいですよ、」
いちばん嬉しそうなのは、生徒たちより無論サン先生であった。


おしまい。
583創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 18:20:22 ID:8Bzl9u6f
すごい…なんというタイムリーさなんだ
584わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/14(金) 18:20:50 ID:HftO2lEE
wikiの整備っぷりには感謝!
前回は猪田家のことを書かせていただき、息子さんの名前を勝手につけてしまいました。
物語上必要でしたので、ご了承を。
投下は終了です。
585創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 18:55:11 ID:SYFwU9YK
学園祭リレーktkr、やっぱり作品作れる人羨ましいなぁ


―チラシの裏的な―
流れ切ってごぬんね
プロフィール編集してて、ふと疑問に思った事が

コスプレ保健委員の性別不詳は分かってるんですけど、
妹と、というか弟?の絵を探して見つけたら…
ttp://www19.atwiki.jp/jujin/pages/77.html

と書かれてたけど、もしかしてどこかで性別不詳の話題出たんでしょうか?
586創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 20:04:33 ID:QZcOKXxK
わー、GJGJ!
コレッタ学芸会も拾ってくれて嬉しいです。
すっごくwktkしてきました。

>>585
一枚絵が保管されてないのかな…?
それの前に保健委員のカラー絵を描いてもらったはずなんですが。

―チラ裏―
保健委員の年齢も実は考えてなかったです。
なるほど高等部か、とにやにやしてます。
587創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 20:32:33 ID:SYFwU9YK
>>586
なんかコスプレ保健委員の一枚絵(顔だけ)がページだけあるという状態になってた、即刻修正しましたorz

結局保健委員の妹(弟?)性別不詳でいいのかしら、絵だと妹と性別不詳があるからわけわかめ/(^o^)\
588創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 20:37:19 ID:GCiFHITI
実は陸上部でも。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00350.jpg

※SSより先にこっちを思いついちゃったので。
589創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 20:46:43 ID:GCiFHITI
えと、「エアバッグコマンドー」の最後のコマで保健委員がキラキラしな
がら出てきていたのをみて私が“ナルな美少年”と勘違いしてしまい妹を
描いたのですが、実は女の子のつもりで描いたらしく、結局どうなんだ?
となったけど、元を描いた方も「どちらでもよし、むしろボカす」とおっ
しゃられて、結果ウヤムヤ。

じゃなかったかしら?

最終的に、男装の伶人&女装中学生ってのがキャラが濃くて美味しい、っ
て雰囲気だったかと。
590創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 20:49:20 ID:yInroIWe
もうどっちでもいいじゃない
わからないほうが面白いって流れだったと思う

>>588
これはいいおっぱい
591創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 20:53:23 ID:05Wg6xaZ
>>588
本音は学園内で着れてよっしゃぁか
592創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 21:15:23 ID:VAb5HGtQ
 カマロの2人は学祭の雰囲気を楽しみつつ、方々にガン飛ばしながら校内を行脚してい
た。次なる標的は陸上部の喫茶店だ。
「……ぶはっ!ヒハハハハハっヒヒヒフハハハヒャッヒャッハッハッ!!」
 馬の塚本が喫茶店の扉を開いた途端に大爆笑を始めた。
「……おい塚本、俺とお前が並んで歩いてるとタダでさえ馬鹿なんだから馬鹿っぽい行動
は止めろ」
 来栖はいつも通り呆れている。
「だ、だってよぉ、ぷっ、ブハハハハハハハハ!げほっごっほぉ、ひぃひぃ……中見て見ろよ」
「ああん?一体なにがあるって……」
 塚本を押し退けて扉の向こうを覗いた来栖は──

「!!」

──フリフリメイド姿の“元祖おっぱい”こと花子先生を見た。
「い、いらっしゃいませ御主人様……」
 もじもじと身をよじらせて、花子先生は赤らんだ顔をやや伏せた。
「ぶはははは!!なっ?笑えんべ?笑えんべっ──ごはぁ」
 またも笑い出した塚本の横っ面を来栖の拳が黙らせる。
 塚本が吹き飛んで行った先も見ず、来栖の目線は花子先生に釘付けだった。
「先生、ギザカワユスっす!!」
 来栖の目は完全に惚れていた。
「あ、ありがとう……来栖」
 言われた花子先生は満更でも無さそうだ。
 来栖はハートマークを瞳に浮かべたまま喫茶店に入っていった。床にのびている塚本の
ことは既に頭にない。
 放置された塚本はいつの間にか搬送され保健室で気がつき、治療費として400CCの献血を
シロ先生に強要されたのちに鎌田のヒーローショーを見に行ったとか行かなかったとか。
593創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 21:16:09 ID:SYFwU9YK
>>589
なるほど…把握しました

―チラシの裏的な―
一応人物表の編集終わりました、やっぱりカオスになってしまった、許して。
594創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 22:18:14 ID:yInroIWe
ちょwww塚本www
595通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/14(金) 22:42:26 ID:TrOdX6Wy
>>588

  | ∧
壁 |∀・)<「良くお似合いですよ、牛沢先生」
  |/

  |
壁 |ミ ピャッ                   「……!?」>
  | 


「アレ? 朱美、こんな忙しい時に何処行ってたんだ?」
「ん〜、ナ・イ・シ・ョ♪」
「……?」
596創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 22:50:59 ID:wtfN14kc
朱美www
597創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 22:57:51 ID:yInroIWe
一言だけ言って逃げんなwww
598創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 23:48:58 ID:GCiFHITI
599創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 23:51:41 ID:sTBFtY76
そ、そういえば伊織先輩も…
600創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 23:53:20 ID:feuxTQLl
ホルスタイン的には禁止薬剤バリバリかもだ
601創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 23:53:57 ID:yInroIWe
胸を大きくするドーピングですね、わかります
602わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/15(土) 00:34:10 ID:wLBPsw+Q
急ごしらえですが…続き、書いてしました。
603祭りの日 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/15(土) 00:34:54 ID:wLBPsw+Q
学園祭初日は大忙し。
サン先生の上映会での挨拶にお付き合いしたのちに、クラスの喫茶店に舞い戻るという
スケジュールをこなし、クラスもとい喫茶店に帰ってきた泊瀬谷先生は、生徒たちがたくさん入っているのを目の当たりにする。
「泊瀬谷先生ー。お客さんですよ」
実行委員の犬飼さんもばたばたとスカートを翻しながら接客に張り切り、一晩で現れた小さなお店を切り盛りする。その姿は、もはやプロ。
学校一堂を会して行われるこの学園祭では、初等・中等・高等部全ての生徒が祭りを盛り上げようと、お互い刺激しあう。
「まさか、牛沢先生のとこもやってるとはねえ」
犬飼さんの予想を上回る牛沢先生の行動に尻尾、いや舌を巻くばかりだ。さて、お仕事お仕事と、ぐっと手を握り締める。

「い、いらっしゃませ!」
「えっと、ミルクティをひとつッス」
席には海賊姿の子が一人、別に出し物というわけでもなく、いつもこの格好なので誰も気に止めることが無い様子。
傍から見れば、『メイドさんに海賊』とよくわからないカオスな店であった。
トンとミルクティが入った紙コップが机に置かれ、彼だか彼女だかわからない海賊さんは、
ふんふんふんと祭りの雰囲気を楽しみ、
そして急な救護活動が起きやしないのかと、内心ドキドキとしているのであった。これもいわゆるひとつの職業病か。

一息つき、『喫茶・泊瀬谷』を後にした保健委員の子は、自分も何か出店でも出せばよかった、と後悔しながら
校内をゆっくり見回り。もちろん、パトロールを兼ねて。
「水鉄砲のおにいちゃんだ!」
と、いきなり後ろから抱きつく感覚がする。小さな幼稚園ぐらいの男の子。
その後ろには、若い女性とイノシシの女の子の姿。その女の子は慌てるように男の子を引き剥がそうとする。
「ゆう!その人はサン先生じゃありません!!」
「ちがうもん!」
とにかく、自分は水鉄砲など知らないと焦りながら戸惑うと、脇にいた女性がペコリと頭を下げる。
イノシシの女の子は女性の袖を引っ張りながら、こう聞いた。
「ねえ…おかあさん、おとうさんは?」
「さあ…、学校の中にいるのは聞いているんだけど…」
そう言いながら、親子はその場を後にした。
604祭りの日 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/15(土) 00:35:40 ID:wLBPsw+Q
保健委員の子が中庭に出てみると、池の側で鎌田くんのヒーローショーが開催されていた。
「で、出たな!恐怖・携帯電話男め」
「はっはっはっ!必殺・赤外線アドレス交換ビーム攻撃!!」
ダンボールで作られた巨大な携帯電話のきぐるみの中の人は、猪田先生だった。
きぐるみは、鎌田が徹夜で作ってきたというので驚きだ。もっとも、誰もこの企画に参加したがらなかったのだが。
ビームが出る(という設定の)頭の上の丸いレンズは、100均で買ってきたプラスチックのザラダボールというお手製。
そのレンズを鎌田にむけようと前のめりになった携帯電話男。バランスを崩して、うつ伏せんに倒れた。
じたばたさせている携帯電話男に、観客である学芸会を終えた初等部のお子たちはどっと笑う。

「ちょ、ちょっと…スタッフのみなさーん!!」
自力で立てない中の人、もとい猪田先生はきぐるみの中でもごもごと暴れまわる。それをすればするほど、笑いが起こるので
いのりん、ちょっとまんざらではない様子。もともとスタッフなんかいないので、誰も助けに来ない。
仕方なく鎌田は携帯電話男を起こそうとしてあげた。力の限りの腕力で、巨体を起こしながら叫ぶ鎌田。
「うぬっ!なかなかしぶといな!携帯電話男め」

保健委員は「なんだ、出番なしッスか」と中庭を後にし、一階のPC教室の側を通りかかると、何故かレトロゲー喫茶が開かれていた。
PCに飲み物は厳禁なので、現在使用中の最新式マシンは隅に片付けられそのかわり、初代の某ゲーム機が繋がれた
天井から吊り下げられたプラズマTVを使って、懐かしの『けっきょく北極大作戦』がプレイされている。
リザードマンの龍ヶ谷猛とその幼馴染みのネコっ子が、必死に画面上の小さなシロクマを操る。

おっとシロクマくん、クレバスに引っかかってずっこける。
保健委員は性なのか、ドット絵で描かれたCGのシロクマくんの救護活動をしそうになった。
「ちょ、ちょっと!たけし!!このゲーム超むずいんだけど!!」
このゲーム、古文の帆崎先生が実家から持ってきた20年以上前のゲームなのだが、グラフィックのクオリティはさておき、
結構単純なゲーム内容なのに熱くなってしまうから不思議だ。これこそレトロゲーの魅力でもある。
ネコっ子はブンブンといかついコントローラーを振り回し、コードを蛇口全開のゴムホースのように暴れさせている。
そして、横でコーラをちびちびと飲んでいる猛がポツリ。
「こんなゲームにまじになっちゃってどうするの」
605祭りの日 ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/15(土) 00:36:55 ID:wLBPsw+Q
ふと、保健委員は気がついた。
無意識のうちに保健室前の廊下にいるではないか。日ごろの習慣とは恐ろしい。
祭りの日なのに、ついつい職業意識が働いてしまうとは…と、少し頭を抱えながら仕方ないので保健室に向かうと、
何故か大行列ができているを目撃する。こんな行列は保健室、開びゃく以来初めて。

「…し、知らないうちにこんなに急患がっ!いそぐスッ!!」
しかし、おかしい。並んでいる生徒は誰もが活きのいい男子生徒ばかり。
救護活動なんぞ必要とはしない子がこんなに並んで、どうしたことか。
「いったい、何事か!」
保健室の扉がいきなり開く。シロ先生だ。
先頭にいるのは中等部のおき楽三人組み。その一人アキラがシロ先生に不思議そうに尋ねる。
「あの…ここって聞いたんですけど、ほら…」
「誰だ、こんなことしたのは!!」
シロ先生が扉のほうに振り向く。そこには『ドクター・シロ。愛のお説教部屋(もちろんタダよ)』と張り紙が。
犯人は言うまでも無かろう。ソイツを連れてこいとシロ先生は、オキシドールの瓶を持って逆上した。

そのころ、張本人は美術室でTV画面のアニメキャラでの自分の声を聞きながら、ポツンと一人で椅子に座っていた。
美術部制作のアニメの上映会が行われていたのだが、開会のご挨拶以後、泊瀬谷先生がいなくなってしまったので、
美術室はかなり華のない光景が広がっているのは否めなかった。
「お客さん、野郎ばっかりだ!せっかくメイドさんもいるのに!!」
身にまとったメイド服のスカートを足でバタバタさせながら、サン先生は逆上した。


おしまい。
606わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2008/11/15(土) 00:38:29 ID:wLBPsw+Q
>>598
牛沢せんせもかわいいっス。

投下終了です。
607創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 00:38:59 ID:AgxbjT4j
携帯電話男のいのりんかわいいw
608創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 00:41:23 ID:4PqrSIfD
サン先生のメイド服だなんて見たくてたまらんwww
こんな賑やかな学園祭なら一日中入り浸ってしまう
609創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 00:44:10 ID:AgxbjT4j
むしろ見る場所多すぎて1日じゃ足りなさそう
610創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 00:57:39 ID:TJElZlQM
初、中、高が一緒になったとこだし三日間くらいやってそうだな
611創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 01:18:13 ID:AgxbjT4j
むしろ5日ぐらいやって欲しい

ところで、この創作発表板でも文化祭ならぬ、創作発表祭をこのスレでやってるわけだが参加してみたりしないかい?
1月ごとに違う御題で創作するっていう企画なんだが
しかも、今月の御題は「猫」。かなりこのスレ向きだと思う


【お題で創作】月間創作発表グランプリ作品投稿スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222782546/
612創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 01:27:19 ID:oySFT6Fm
>>608どぞ。
「ちぇー!」
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00353.jpg

>>611
一寸前に描いた猫娘は、半分そのグランプリ向けに描いたんですけど、
流石に獣人だとお題に沿わないだろうと思って止めました。
613創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 01:28:10 ID:TJElZlQM
ちくしょー可愛いなぁ可愛いなぁ
614創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 01:30:04 ID:4PqrSIfD
可愛すぎる
これはもはや犯罪クラスの可愛さ
615創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 01:32:16 ID:AgxbjT4j
な、なんという可愛さ!

獣人で全然おkだと思うぜ
むしろお題が猫になったのは獣人スレに期待してみたいだったみたいだし
この機会に獣人の素晴らしさを伝えようぜ!
616創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 01:37:33 ID:4DnQY8Zr
獣人であるという特徴を活かした描写とかお話の構成とかって難しいよね
以前人外を主人公にした文章を書いたことがあったけど
やってることがあまり人間と変わらなくて自分で情けなくなったよ
617創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 02:00:52 ID:4PqrSIfD
陸上部でメイド喫茶と聞いて伊織さんにも着せてみたぜ投下。


グランプリはネタが浮かばんなぁ。ぬこって意外に難しい。考えてみても誰か既にやってそうな感じになってしまう
捻りすぎると猫である必要も獣人である必要もなくなってまうし
618創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 02:02:32 ID:4PqrSIfD
「そんなどうして私が!」
「仕方ないんですよ。運動部じゃ女手少ないから、牛沢先生と伊織さんに頑張ってもらわなきゃなんないんです」
 学園祭当日になっても、未だに不平を言い続ける伊織さんに、頼み込むように話しかけながら、俺は心の中で溜め息を吐く。
 伊織さんがこういう女の子らしい格好が苦手なのは分かる。男勝りな性格で、今さら引っ込みがつかないのも分かる。
 自分では面倒臭がっている、大きな胸を強調するようなメイド服が、彼女にはまさに冥途服に見えているのも分かる。
 けれど、ライバルの多い喫茶店をやる上で、お色気要素が無くては太刀打ちなど出来ない。
 そりゃ、俺だって少しぐらい料理には自信があるが、家庭料理が主なので紅茶にコーヒーに菓子は他の喫茶店を越えるものが出来るか不安だ。
 そうなるとこの陸上部主催喫茶店が、他の飲食店を圧倒できる要素など、この学校でもトップクラスの胸を持つ牛沢先生と伊織さんしか居ない。
 幸いな事に、牛沢先生は予想外あっさりと了解してくれたが――ここで俺は、開店前から接客の練習をしている牛沢先生へと目を向ける。
 最初は渋々ながらと言った態度をとっていたのに、いつの間にかかなり乗り気になってるようだった。
 フリフリのメイド服にカチューシャで「いらっしゃいませ、ご注文はいかがいたしますか?」と女性にしては低く遠くまで響く声で言う姿は、日ごろの体育教師の姿からは想像がつかない。
 何なんだこのギャップは何なんだこの手馴れた様子の着こなし方は。数々の疑問を抱えたまま、俺は伊織さんに視線を戻した。
 この伊織さんが問題なんだ。彼女の性格を知ってる他の部員は、俺にまる投げして「当日までに絶対に了承を貰えよ」だから困る。
「伊織さん、学祭終わったら、俺んちで打ち上げしましょう。伊織さんと俺と舞と姉さんの四人で。
打ち上げを思いっきり楽しむには、出来る事を全力でやるのが一番ですよ」
「むぅ……。それもそうだが……」
「姉さんも舞も伊織さんが喫茶店でウエイトレスやるって聞いて、とても楽しみにしてるんですよ」
「そうか……」
 俺の顔とメイド服を交互に見つめながら、「う〜ん」と呟いて考え込み始めた。もう一押しだ。
「何でも言う事聞きますから」
 そう言って伊織さんに向けて両手を合わせて懇願すると、彼女は照れくさそうに咳払いをして、俺の首に手を回して強引に引き寄せる。少し苦しい
 何事だと思っていると、耳元に口が近づけられて、うっすらと暖かい吐息が耳に掛かった。
 というか胸がくっ付いてます。やめて。それ以上マシュマロを押し付けないで。俺は男ですよ。伊織さんの性格にいくら色気が無くても、その胸は色気の象徴みたいなもんなんですよ。
 俺の葛藤を他所に、伊織さんは何が恥ずかしいのか他の誰にも聞こえないような、小さな声でささやいた。
「学祭明けの代休、私に寄越せ。付きっ切りで練習だぞ」
 デートの誘いじゃないんだから、何処にそこまで照れるのやら。
 俺が『そりゃないっすよぉ!』と叫ぶ前に、伊織さんは俺の手からメイド服を引ったくり、教室の隅にカーテンで区切られた更衣スペースへと入っていった。
 しばらく待っていると、牛沢先生と同じくフリフリのメイド服を着込んだ伊織さんが出てくる。
 室内の男子たちが「おおっ」とざわめく声が聞こえる。俺だってその中の一人だ。
 学校じゃ制服どころかジャージ姿で通していて、色気を感じさせる服装などまるでしてこない伊織さんが、胸元を強調したフリッフリのメイド服。誰だって「おおっ」ってなるさ。
 男どもの不穏な視線に対して、伊織さんは「何だ。文句でもあるのか!」やら「私だって好きでやってるんじゃないんだ。ジロジロ見るな!」やら恥ずかしそうに声を張り上げている。
 そして最後に「私がここまでしたんだ……。みんなもその、頑張れよ。やるからには目指すはトップだ。私も応援している」とのフォロー。
 素でツンデレ喫茶を演じるとは伊織さんも中々器用な人だ。
 俺は噴出してしまいそうになるのを堪えながら、一旦教室を出ると、そこで少しだけ笑ってから教室に戻る。
 さてさて、あの伊織さんがここまでやってるんだ。不味いケーキとコーヒーじゃ、いよいよ不釣合いになってしまう。頑張る必要がありそうだ。

619創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 03:02:07 ID:TJElZlQM
620創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 08:15:21 ID:NjtkxHzA
>>619
うおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!!!!

俺の中で新しいナニかが目覚めた
621創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 09:46:20 ID:64OlEfmV
こんな先輩欲しいぜチクショウ
622創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 10:09:07 ID:OuEErOKy
あああああ!
こいつはやべぇなんという可愛さ
前まで姉派だったんだが先輩に揺れちまったw

そういやこの世界って人間でも、俺らみたいなケモノ好きが極普通なんだよな
623創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 12:57:11 ID:ecGD+CNt
普通に人間と獣人のカップルがいるしな
そういえば違う獣人同士のカップルの場合子供はどうなるんだ?
混ざるのか?それともいのりんのところみたいに別れてでんの?
624創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:19:07 ID:AgxbjT4j
鳥と猫のカップルで翼の生えた猫獣人が生まれるとかそんなのか?
俺的には混じるんじゃなくて子供は親のどっちかの種族になるほうがいいな

てかそうじゃないと、純血の姿の獣人いなくなりそうだし
625創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:27:26 ID:X2pl8Q+W
現実では雑種の生き物は生殖能力が低いので自然に消滅する
全く違う種だと子供できないんじゃない?
626創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:34:01 ID:4DnQY8Zr
そもそも他種族では交配できないとか。「レディ・ガンナーの冒険」であったよねそういう話
同じ種族同士、あるいは人間と純血種でないと子どもはできず、
異種族同士で生まれても子どもには生殖能力が無く子孫が残せない〜みたいな
627創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:38:45 ID:cVpY+bRL
種族的には女性側が生まれやすいと、どこかで聞いた事があるような
1:1でも問題ないと思うけど
628創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:39:47 ID:AgxbjT4j
レディガンナーは純血同士は無理で
人間の血が混じると混血できるようになるんじゃなかった?
ただし、一度人の血が混じると獣人の形質がでなくなって
さらに獣人側との婚姻を繰り返して人間の割合がほとんど無い状態までならないとケモっぽくならなかった

だから違う種族の形質を持った混血児は
一度人間の血が祖先で混じったけど、その後ずっと獣人側で婚姻した家系の人が
多種族の同じような家系と子供をつくった際にしか生まれなくてものすごく希少って話だった
629創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:54:15 ID:zAJkJ030
ファンタジーには理屈より浪漫が重要ですよ
子供は頃合を見計らってペリカンが郵便受けに入れといてくれるのです
630創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:56:09 ID:EJGZgR0o
普通の猫と犬が子作りしないのと同じ理屈だと思ってた
獣人の場合はお互い会話が出来るから必ずしもその限りじゃないって感じで
631創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 13:56:34 ID:AgxbjT4j
浪漫か…いいな
632創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 14:38:07 ID:AgxbjT4j
しかしそうなると両親の形質を受け継いだ獣人も浪漫かもしれない
633創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 14:54:12 ID:4DnQY8Zr
なかなかしぶい組み合わせだな、人間の体に鹿のツノとは
634創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 14:55:42 ID:OuEErOKy
ケモノ学校でいえばリザードマンの龍ヶ谷君がどうなるかだな
猫人の幼なじみとフラグが立ってる
しかしトカゲ×猫のハイブリッドって想像つかないんだが
635創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 15:07:37 ID:cVpY+bRL
>>633
人間の体に鹿のツノ、と聞いて
即座にコイツが頭に浮かんだんだが
ttp://mainichi.jp/select/wadai/graph/20080415_2/1.html
636創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 15:14:38 ID:AgxbjT4j
わかってた…画像見る前からこいつだってことはわかってたよ…
637創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 15:46:54 ID:zAJkJ030
莉翫?ョ繝輔Λ繧ー縺」縺ヲ縺ゥ繧後□縺代≠縺」縺溘▲縺?
蜊禿玲愕鄒?
蟶?蟠偲励Ν繝ォ
迪崚怜ケシ鬥エ譟?
縺ッ縺帙dテ励ヲ繧ォ繝ォ
迚帶イ「テ玲擂譬?

縺薙s縺上i縺??シ?
逡ー遞ョ髢薙ヵ繝ゥ繧ー縺ー縺」縺九□縺ェ繝シ
638創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 15:50:08 ID:zAJkJ030
おっと失礼
639創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 15:57:19 ID:AgxbjT4j
日本語でおk
640創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 16:25:51 ID:X2pl8Q+W
>>637
把握した
641創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 16:37:49 ID:AgxbjT4j
で、なんて書いてあるのだろうか
642創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 16:47:05 ID:uQaEJf5t
サン!サン!サン!サンスぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!サンサンサンぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!サン・スーシたんの銀縁の眼鏡をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!体毛モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
メイド服のサン・スーシたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
焼き芋出来てサンたん!あぁあああああ!かわいい!サン・スーシたん!かわいい!あっああぁああ!
生活指導室に拉致監禁されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!監禁なんて現実じゃない!!!!あ…SSも絵もよく考えたら…
サ ン ・ ス ー シ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!浅井カーぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?絵のサン・スーシちゃんが僕を見てる?
絵のサンちゃんが僕を見てるぞ!サンちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のサンちゃんが僕を見てるぞ!!
SSのサンちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはサン・スーシちゃんがいる!!やったよいのりん!!ひとりでできるもん!!!
サンちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ白様ぁあ!!泊瀬谷先生ぁああああああ!!!牛沢先生ぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよサンへ届け!!ケモノ学校のサン・スーシへ届け!
643創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 16:49:39 ID:4DnQY8Zr
637 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2008/11/15(土) 15:46:54 ID:zAJkJ030
今のフラグってどれだけあったっけ
卓×朱美
帆崎×ルル
猛×幼馴染
はせや×ヒカル
牛沢×来栖

こんくらい?
異種間フラグばっかだなー
644創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 16:51:22 ID:AgxbjT4j
>>642
クンカクンカからモフモフに変わるところは芸が細かいなw

>>643
翻訳ありがとう
結構異種間フラグあるな
645創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 16:54:18 ID:uQaEJf5t
異種間っつーと代表的ないのりん一家
子供はあんな感じになるのかね
646創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 17:03:13 ID:AgxbjT4j
そういえばいのりんの子供がどんな感じかの話で
似たような話をしたことがあるような記憶が
647創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 17:46:18 ID:64OlEfmV
フラグなら康太を忘れるな。あいつはギャルゲの主人公だぞ
648創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 17:53:21 ID:uwGq4bLk
柊眠冬&いいんちょ
も気になるね。

てか、続きを早く見たいな
649創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 17:57:20 ID:wcOKZ2Ua
まさかレディガンナーの話まで出るとはw
子供は、少なくとも容姿は親のどちらかと同じになる、くらいが考えやすいかな
能力とかは混ざったりしてると面白そうだ
650創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 18:03:55 ID:AgxbjT4j
それは…冬は汁が必要な猫の誕生フラグか?
651創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 18:09:35 ID:/Q8y9H1t
ククク…肉付きの良い豚人と豊満な牛人の血を使うことで
私は今こそ禁断の生体兵器「超乳」を復活させるのだ!
652創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 19:46:47 ID:BOrx0LOx BE:955109298-2BP(0)
今更ながら名前をつけてみました。
SSや漫画に出して戴けて、本当嬉しいです。

ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00357.jpg
周りがメイド姿の中、一人だけ。
653創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 19:50:38 ID:BOrx0LOx BE:132654825-2BP(0)
今更ながら名前をつけてみました。
SSや漫画に出して戴けて、本当嬉しいです。

ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00357.jpg
周りがメイド姿の中、一人だけ。
654創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 19:51:27 ID:uQaEJf5t
割烹着となっ!?
655創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 19:58:29 ID:zAJkJ030
きっちりーだーハルカたん!
稀代のおかん!
656創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 20:23:18 ID:oySFT6Fm
そう言えば科学系の先生がいないなーとおもったので。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00358.jpg
657創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 20:36:56 ID:SBvYKJA/
よくもまぁそんなにホイホイと描き出せるものですな
日々、着々と広がりゆく感覚が楽しいではあーりませんか
658創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 20:42:11 ID:U8ardq58
>>656
懐かしい実験だなw
659創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 20:47:53 ID:uQaEJf5t
そういえば兎はまだいなかったのか
660創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 01:38:18 ID:VNSNQ7c+
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00359.jpg
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00360.jpg
剣道部も参加していいのかしら…|∀・)
あまりに長すぎたんで二分割。
あと、上のレスで種族間でどういう姿になるか〜てのを
参考に「人間(8割)と獣人(2割)になったらどう描くか」と
試しに作中で描いてみたけどただのケモ耳に……
661創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 05:18:20 ID:TmV49Rcl
気合入ってますなぁ
グッジョブです
662創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 06:23:40 ID:yIDp3cMi
■ おすすめ2ちゃんねる 開発中。。。 by FOX ★
このスレを見ている人はこんなスレも見ています。(ver 0.20)
【携帯マンガ】マンガ★ゲット【広告料分配】 [アニメ漫画業界]
ルカリオ萌えスレ チョコ37枚目 [ポケモン]
【携帯マンガ】マンガ★ゲット【広告料分配】Part2 [アニメ漫画業界]
乙女ゲーに獣人キャラを望み願うスレ5 [女向ゲー一般]
ルカリオ萌えスレ チョコ36枚目 [ポケモン]
ポケモンもそういや獣だな
663創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 08:30:54 ID:ZNCR2F3h
ポケモンはポケモンだろjk
664創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 09:32:27 ID:D7B3kosF
先生方元気やなぁw
665創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 20:26:55 ID:MoIoVzwe
実は、クロミケペアが割とお気に入りだったりする。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00361.jpg
666創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 20:27:57 ID:3q+jVR2X
>>665
これはいいケモロリ
667創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 22:48:23 ID:23EfPoly
        ∧_∧
        (´・∀・)   げつようびもってきたよ
        ( っ¶っ¶
      (ニ二二二ニ) ガチャン
        )=========(
      |    ||   |
      ()   (||)   |
 ( (    ヽ     ||    / ) )
      /ヽ二ニ====/、  ブロロロロロ......
 ( (    |/ / /、  /、 | ) )
        |_/ | ̄   |/
          |
          |
          |
          |
       [げつようび]
668創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 23:01:36 ID:93U9wLLJ
月曜日嫌い……萌える。
669創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 23:05:31 ID:FMR16UPW
>>667
いやぁっ、いやぁっ! こっち来ないでぇえ!
670創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 00:03:46 ID:MoIoVzwe
明日は午後から大事な会議なのに、この時間からウィスキーが旨い。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00362.jpg
671創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 00:08:06 ID:7+jhHDdo
来週の月曜は消さんといてー!
672創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 01:19:49 ID:FfTZ2w+8
レスが少ないな
漫画とか黒三毛とかメイドサンとかをもっと讃えようぜ
673創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 01:34:09 ID:xWe37RZ5
みんな疲れているのさ
月曜だもの
674鴨 ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:43:28 ID:MnzMSBjE
かつての>>514です。
とりあえず形になったので、空気読まず章ごとに投下してみます。
・・と思ったけど>>616でちょっぴりドキっとしてしまった。
動物らしい仕草も取り入れろや!って事なんでしょうかね・・

・あらかた添削は済ませましたが、誤字脱字やワケワカメな表現があるかもです。
・作中の文章は基本主人公のモノローグ進行です。
 そのため上手く表現できない点や、グダグダになってる部分もあるかもしれません。
・作中に出てくるキャラとか技名とかが厨二くさいのは仕様です(

あとよく使う用語で、種族の説明だけおいときますね。↓

テリア族 :犬獣人。温厚で人当たりが良い。鼻が異常に利く点以外は普通のヒト。
コラット族:猫獣人。明朗・せっかちな者が多い。夏に弱い。
ロップ族 :兎獣人。大半は人見知りが激しい。身体能力が優れている。
グレイ族 :鼠獣人。知能が発達しているため、学者等になる者が多い。背が低く大人でも90〜100cm程
ベンガル族:虎獣人。気性が荒く独りよがり。腕力がズバ抜けて高いので、傭兵・狩人が多い。


ではどーぞ
675FORMAT序章(1/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:44:58 ID:MnzMSBjE
俺は夢を見ているのだろうか
それとも君の夢の中にいるのが俺なのだろうか


『夢幻』に広がるアクションRPG 結末(こたえ)を探すのは、貴方―


-Trace of the Dream-


○月×日発売予定!乞うご期待!!







――へぇ。面白そうだなぁ。今ふところ温かいし、買ってみようかなぁ。
676FORMAT序章(1/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:46:05 ID:MnzMSBjE
目覚まし時計がやかましく鳴る。
腕を伸ばしてスイッチを押し、重いまぶたを開き、ゆっくりと起き上がる。
カーテンの隙間から光が漏れている。
朝の到来だ。
窓を開けると雪が積もっている。
庭も、屋根も、道路も、そして吐く息も真っ白だ。
スキーウェアみたいな防寒着を着た小さな子が、塀に積もった雪を掴んで投げながら歩いている。
……が、いつもの光景だ。
こうブルブルと震えながら、家の前に敷きつめられた雪を除けるのはいつものことだが、
いつか年中気温の高い――トコナツとかいうらしい――クニへも行ってみたいものだ。
くだらない物思いは、俺の腹の虫がぐぅと鳴ると同時に停止した。
「飯・・食うかな。」
両膝をパンっと叩いて立ち上がり、キッチンに向かった。
「…何もねぇ。」
戸棚、冷蔵庫を一通り探ったが、ぎゅるぎゅると鬱陶しく鳴く俺の腹を満たせる食べ物は無かった。
そういえばここしばらく買い出しに行ってなかった気がする。
正直めんどうだが、飯抜きはイヤなので店に行くことにしよう。
顔を洗い、毛並みを整え、財布片手にドアを開ける。
冷たい空気が肌にしみ、長毛種のテリア族である俺を震わせた。
今日は一段と寒い。
こんな気温の中、外に出たがるような好き者は小学生くらいだろう。
だが、俺もギリギリ未成年だ。
めんどくさがりではあるがすぐ疲れてバテるようなタマじゃないし、毛並みだってまだサラッサラだ。
ここで「寒ーいやっぱ無理ー」なんて言いながらコタツに飛び込みようものなら、
今時のコラット族にすら笑われてしまう。
そんなのどうでも良くなるくらい重要なのは、繰り返すことになるが、「飯抜きはイヤだ。」
ポケットに手を突っ込んでバザーに急いだ。
677FORMAT序章(3/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:47:04 ID:MnzMSBjE
>>676ミス 2/9です・・・orz

すっ飛んでこちらバザーの出入口手前。もう買い物はとっくに済ませた。
だけどもビッグプロブレム発生。
朝飯と色々な食材を両手に抱えてバザーを出た俺に立ちはだかっていたのは、台風並の猛吹雪だった。
ほんの5、6分前まではカラッと晴れていたっていうのに。
しばらく入口で少しは弱まらないものかと待ってみたが、弱まるどころか更に轟音をたてて酷くなる一方だった。
………。
この吹雪の中をこんな軽いお出掛けスタイルで進めば、確実にカゼをひいてしまうだろう。
それはわかっている。わかっているさ。
だが腹の虫がこれでもかとわめいているんだ。そろそろ限界である。
朝飯優先、意を決せ俺。
まだお前は元気いっぱいピチピチボーイだぞ。
息をフンっと思い切り吹き、店を飛び出し、吹雪の中駆け足で家に急ぐ。
くう、薄目でいるのもキツい向かい風だぜ。
だがこの程度で参る俺じゃない。空腹を満たすためだ。
よーし、あと数十メートルほどで……。

「え?」

俺は突然の出来事に驚き、棒立ちしてしまった。
時間が止まったような感覚だった。

あの猛吹雪が、急にピタリと止んだのだ。

そしてしばらくして、俺の中の何かが反応して身震いを起こした。
朝、家から出る前の震えとは全く違う別の身震い。
直後、遠くから崩れるような音が響く。
辺りは静寂に包まれていたため、それはハッキリと、段々と大きくなって聞こえてくる。
「……マジかよ。」

崩れるような、という表現はドンピシャだった。
家の方向からこちらに向かって、地面がガラガラと崩れていく…!
678FORMAT序章(4/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:47:42 ID:MnzMSBjE
それは並のスピードではなかったが、
足腰だけが取り柄の俺なら逃げ切れる程のものだ。
って、ならさっさと逃げるべきだろ!
こんな落ち着いてモノログってる場合じゃねぇ!
俺は素早く180度回転し、一目散に逃げ出した。
始めはかなりリードしたが、段々と崩れる速度は増している。
追いつかれるのは時間の問題だ。
だが俺はとにかく走った。
もしかしたら、いずれどこかで崩れはストップするかもしれない。
根拠はないが、今はそう願いつつとにかく走るしかない。
あー、こんな淡い期待は小学生の頃の初恋以来だぜ。
やがて曲がり角に差し掛かる。
ここでバカ正直に左へ行くのは自殺行為である。
確かこの先はずっと一本道で、崩れていく方向に逃げられない。
珍しくとっさに頭を回転させた俺は、自分の身長くらいの塀を飛び越えた。
高跳び新記録更新。ああ、これが火事場のナントカってやつか。
…と、華麗な着地をする前に、突如崩壊が止んだ。
はは、思った通りになったじゃないk
「…っぐぇ!」
ホッと胸をなで下ろさせる時も与えられず、首が締まり宙吊り状態になる。
やべ、どっかに服がひっかかったか?
なんとか振りほどこうとジタバタしたが、ふと上を見上げると俺はもがくのを止めていた。


コラット族の女性が俺の服の襟首を掴み、
青い長髪をなびかせて塀の上に立っている姿が目に入ったからだった。
679FORMAT序章(5/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:48:36 ID:MnzMSBjE
彼女はぐいと俺を持ち上げ、塀に乗せた。誰なんだこのヒトは?
「動かないで。」
手のひらを俺に向け、彼女はそういう。
その際に初めて彼女の顔を見た。

青く大きな瞳、雪で染められたかのような真っ白な毛並み、蝶のように揺れる尾。
それはそれは夢でしか会えなさそうな程妖艶な姿であった。
彼女は数いる女性の中でも、相当の美人に部類されるだろう。
年齢は俺と同じか少し年上と見た。
腑に落ちない点を挙げるとすれば、この辺りでは見慣れない服装をしていること、
そして胸が少しばかり乏しいことぐらいか。
って何言ってるんだ俺は。

それより、動かないでって何?脅し?人質?
男が女にカツアゲされちゃうわけ?
なんてくだらない事を考えている間に、彼女は崩れた方を見て叫ぶ。
「さぁ!姑息なマネしてないで出てきなさい!」
俺は視線を彼女と同じ方向に向けた。
すると、砂煙の中これまた妙な格好をしたロップ族の男が現れた。
それよりも驚いたことに、奴は空中に浮いている。
「女…いい加減鬼ごっこは飽きたぞ。」
「奇遇ね。こっちだってストーカーは御免よ。あんまりしつこいとモテないわよ。」

……あぁ、何のこっちゃわからんが、少なくともこれは厄介事である点だけは確かだな…。

彼女の皮肉が気にさわったのか、男は怒鳴った。
「ならさっさと去れ!こいつが元凶だということがわからんのか!」

こいつ?…って俺か!?
この今にも大規模な喧嘩が始まりそうな雰囲気の裏には、俺が関係してるのか!?
ちょっとちょっと勘弁してくれよ。
俺は君達二人とも初対面だし、自分なりにまっとうに生きたつもりなんだぞ?
私は何もしてない、晴天白日だ。
神に誓ってそう言えるぞ。っていうか言わせてくれ。

はい、上記四行は心の声であって実際に割って発言したわけではないので、あしからず。
この二人明らかにヤバそうだし、割って入る勇気なんてありません。アイアムチキンボーイ。・・・犬だけど。
「…言いがかりね。根拠もない。」
しばしの沈黙の後彼女はそう言い、身構えた。やっぱりドンパチやるつもりらしい。
「なら力ずくだ。消してやる。」
男の方も手を上に掲げた。絶対やべえ。逃げたほうが・・いいよね?
「じゃ、俺はこれで…」
「ダメよ!あんたはこの世界の…あー今言ってる暇ない!とにかくそこにいて!動かないでよ!」
引き止められた。というか動けなかった。
初対面相手にここまで叫ばれるとは思わなかったので、思わず「は、はい」と言ってしまったのだ。
あぁ我ながら情けなし。
680FORMAT序章(6/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:49:08 ID:MnzMSBjE
「スパイラルストーム!」
男はそう言うと円柱状の竜巻を彼女に向けて放った。
・・・これって・・魔法・・・か?
さっきから驚きの連続だ。
こんな摩訶不思議な出来事を立て続けに体験しているのに、精神がどうもならない俺はおかしいのか。
彼女は高くジャンプしてその竜巻をかわした。が、俺はその風で吹っ飛ばされそうになった。
とっさに塀にしがみつく。
風が止んだ。それと同時に彼女は着地し、男の方へ向かって跳んだ。
男はとっさに後ろへ下がり、何かをブツブツと呟く。
「詠唱なんかさせないわ!」
彼女は背中から何かをシャキンと引き抜き、両手に持つ。銀色に輝く鋭利なナイフだ。
それを素早く振り回し、男を斬りつけようとする。
男はよける事に気が紛れて、呪文を唱える暇などない様子だ。
だが素早い身のこなしで、男は彼女の後ろに周りこむ。
「遅い!」
「・・・・っ!!」
背中を思い切り蹴りとばし、すぐさま詠唱を再開する。
彼女は数少ない足場で受身をとり、またも男に向かって跳ぶ。・・が
「インフィジャールぅ!!」
「きゃあっ?!」
遅かったようだ。男の周囲から爆発的な突風が起こり、彼女は民家に跳ね飛ばされてしまった。
物凄い音と共に、民家が全壊してしまう。
「・・ふん。我々ビリアルデに敵うものか。」
男は構えを解き、服のホコリを掃った。
「・・・・さて・・お前を消そう。ザックス・フリーデル。」
空中から俺を見下ろす。ザックスは・・俺の名前だ。ここでかよ!なんて声が聞こえたような気がするがスルー。
「・・なんで俺の名前知ってるんだよ。」
「何も知らないのか?お前はこの世界の・・」

 セ カ イ ?

その時だった。
ドガアアアアン!
大きな音と共に、民家の破片が宙に舞った。

「ざーんねんだったね。」
「!?」

男の目前に彼女はいた。
服は多少汚れていたものの、身体はキズひとつ付いていなかった。
どうなってんだ?フツー死ぬぞ?!
だが俺以上に驚いていたのは男のほうだった。
「・・バカな・・っ!」
「油断大敵ってヤツね。あんた、私がどういう者なのか知ってるでしょ?」
ナイフをクルクルと回しながら言う。男はまた構えなおしたが、既に遅かった。
「今度はあんたが吹き飛ぶ番よ!ルーティンエール!!」
辺りがカッと光に包まれた。俺はとっさに右腕で目を覆う。

次に視界が開けたときには、俺と彼女の2人だけになっていた。
681FORMAT序章(7/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:49:46 ID:MnzMSBjE
「ヨユーヨユー♪なーにがビリアルデよーん♪」
彼女は俺がしがみついている塀の上に着地し、泥を掃った。
「何なんだよ一体!?急に止んだ猛吹雪!まるで俺を襲うかのような崖崩れ!
 そしてお前ら2人が使ってた魔法みたいなの!どういう事だよ!?」
気が動転していたわけでは無かったが、この訳の分からない展開に少々焦っていたことは確かだ。
「・・ま、始まってないからしょうがないか・・。」
何言ってるんだよこのヒト。俺の質問無視かよ。
「じゃ、説明してあげる。あんたは誰?」
「・・ヒトに名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るべきではなくて?」
「はぁ、それもそうね。シンディよ。シンディ・システィ。リュネットから来たわ。」
シンディ・・か。
リュネット・・・は確か、俺の住む港町エーダインから見て北のほうにある町だ。
「・・・ザックス・フリーデルだ。」
「そっか。なら、あんたで間違いなかったみたいね。」
「え?」
シンディは耳をパタつかせ、一息ついて続けた。

「ザックス・フリーデル。19歳。テリア族の雄。親と姉の4人家族。去年故郷のブレンダンからこの町に引越し独立。
 好きな物は酸味のある果物で、苦手な物は虫。趣味は散歩と映画鑑賞。違う?」

・・・大当たり。俺は更に焦って言う。
「な、何で分かるんだ?名前聞いただけでそのヒトの詳細が理解できる・・とかじゃないよな?」
「んー正確には『知ってた』って事なんだけどね。あんたに会う以前から。」
何コレ。運命のなんたらかんたらってヤツか?
「違うわよ!何ていうのかな、自分でもよく分かってないけど、私案内人みたいな役割なのかも。」
「・・・はい?」
「私には分かる。これからあんたが出会うヒト。
 そして普通にコトが進んでいれば、進むはずだった道を、ストーリーを。そして結末を。」
「・・何言ってr」

「ここはゲームの世界。そしてそのゲームの主人公は、ザックス、あんたよ。」

目が点になった。ますますわけわからん。
「今あんたの詳細を言ってみせたけど、アレは設定よ。わかる?」
「設定・・?」
「あんたの過去の記憶は、ゲームを成り立たせるために作られた偽の記憶。
 つまりあんたには家族なんていないし、ブレンダンで過ごした日々も『そう思わせてる』だけ。」
そんなの信じられるか!と叫びたいところだが、数々の妙な出来事を体験した俺は、正直迷っていた。
魔法だって、そうでないと説明がつかないような気もしてきた。
偽の記憶・・家族と過ごした日々・・覚えてはいるが、鮮明に残っているわけではない。


自分という存在を証明できるものは、何も、なかった。
682FORMAT序章(8/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:51:00 ID:MnzMSBjE
「けど、今こうして話しているイベントは、ストーリーとは全く違うものなのよね。」
ただでさえ脳がついていけない話なのに、コトは更に複雑なのか?
思考回路はショート寸前。今すぐ泣きたいよ。
「泣くなら後で思いっきりどうぞ。泣いても事実は変わらないけど。」
ひどいわ。
「んで、何で設定通りに動いてないかというと、バグってヤツがプログラムにあるみたいなの。」
「・・バグ?」
「深刻なものよ・・。それにより私の町リュネットは昨日消滅したわ。」
「!!」
ということは、さっきの崖崩れはそれによるものなのか?
「リュネットだけじゃない。ここから見て北側はもう全壊したわ。今一番損傷が少ないのはここエーダイン。」
「じゃあシンディが俺の元に来たのは・・」
「そう。主人公であるあんたを助けるため。」
そうか・・ここが本当にゲームの世界なら、主人公がいなければ話は成立しない。
もしいなくなれば、この世界そのものが崩壊する・・って事なのだろうか。
「まぁ正解ね。」
シンディは手を腰に当てて空を仰いだ。
「もうここも危ないわ。早く脱出しましょ。」
脱出って・・ここ以外が崩壊したなら、もう逃げ場はないんじゃないか?
「あんた・・ここは港町よ?船の1つ2つあるでしょ?」
「いや、船でどこに逃げるんだよ?海か?海の上でアダムとイブか?」
「・・・・・世間知らずって、あんたの事を言うのね。」
これがマンガなら、今の俺の頭上にはガーンと書かれているに違いない。
「南東にあるのよ、クニが。大陸ランセルとローナン。」
シンディは地図を広げ、指をなぞりながら教える。
この地図は見たことなかった。今いるこの大陸レードだけが書かれている地図なら知っていたが、
シンディの地図の左下には大きな大陸が書かれてあった。
「今この2国は睨み合ってるんだけどね。」
戦争が起きそうなのか・・。そんな危ないところに逃げるのも、と思ったが
どの道ここにいては確かに危ない。
「・・わかった。俺も死ぬのはゴメンだしな。」
「んじゃ、港に急ぎましょ。船・・操縦できる?」
「もちろん。父さんから教わった・・・という設定だからな。」
「上出来。」
この状況は把握したが、事実を完全に受け入れたわけじゃなかった。


だが今は彼女についていくしかない・・それしかないような気がした。
683FORMAT序章(9/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/17(月) 02:52:03 ID:MnzMSBjE
やがて港に到着。
見覚えのある、中型の船に飛び乗った。
「なるべく急いで。『崩壊』は一瞬だからね。さっきの崖崩れは地震で言えば初期微動みたいなもんよ。」
エンジンをかけ、船は海へ出た。
ハンドルを手にかけながら、港の方を見る。
それから数秒もしない時だった。
「なっ!!」


港は、いや、エーダインが、消えた。


壊れたんじゃない。一瞬で、消滅した。
残骸のかけらも浮かんでいない。
さっきまでそこにあった町は、すでに大海原の一部となっていた。

もう、受け入れるしかなかった。
崖崩れも、魔法のような力も、そして大陸の消滅も。
信じざるを得なかった。
「・・大丈夫。きっとバグを見つけ出すから。」
シンディは町があった方を呆然と見ていた俺にそう言った。

だがこの時の俺が思っていたのは、『ケータイとかも持ってこれば良かった・・』であった。
逆にこういう緊急事態の時は落ち着いてる、というヒトがいるが、俺は呑気すぎるね。ホントに。

そしてシンディに襟首を掴まれ、上を見上げた時、
彼女のスカートの下の白いものを見てしまったコトは、俺だけの秘密である。


船は真っ白な轍をゆらゆらと作りながら、南東に向かう・・・。
684創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 08:09:05 ID:UD5pvpel
中二病臭いね
でもそれがいい!
GJ!!
685創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 09:40:49 ID:pJr6SIAS
ファンタジーだぁ!
実は、この流れを期待していた、
グッジョブです。
686創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 13:36:21 ID:WiVqCwb0
昨日1日来なかった間にいろいろ投下されてる!
みんなGJだ! 来週の月曜日は消さないでえええ
687創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 18:01:20 ID:LML29qT1
すごい。続きが気になりますね。
新たなワールドにwktkしてGJ
688創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 19:12:19 ID:aozouVvM
ファンタジー大好き!
続きに超期待。
689創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 21:50:12 ID:8TvUEJ1X
そうかー、みんな無理してつきあってくれてたのかぁ(笑)
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00364.jpg
690創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 23:44:59 ID:FfTZ2w+8
俺はケモ学もつづけたいです><
691創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 23:52:44 ID:WiVqCwb0
おおーファンタジーだ!

何いってるんだい、ケモ学はこのスレのメインだってw
でも読み手というものは貪欲にいろんなものを求める生き物なのさー
つまり、ケモ学も、ファンタジーも、狼少女も、リツ君も、ジジケモも、
とにかくどんなやつだって、なんでも読みたいお年頃なのです
692創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 00:07:57 ID:luww0vBs
>>689
シンディカッコよすぎるぜ

俺もネタが続く限りケモ学続けたいぜ
693創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 00:33:21 ID:JjiAPuHf
ケモ学ばっかだから、このスレって投稿しにくいぜ。
それ以外はやっぱ流れ的にダメなのか?
694創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 00:36:52 ID:Fi/GHKtG
>>693
そんなことは全然ない
どれがダメとか言うことはまったくない。むしろ全部読みたい
695創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 01:45:41 ID:kXjw3tn+
どんなSSも絵も許容されてきてるのだがなぁ
696創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 06:54:51 ID:0jUqLJe9
697創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 08:28:46 ID:lHHdolGW
相手は死ぬ
698創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 08:37:08 ID:Fi/GHKtG
ちょっww しぶいうさぎだww
699創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 11:47:13 ID:P+pBfU6J
どことなく漂うギアス臭
700創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 11:51:29 ID:pu6boyYx
俺にはジョジョっぽく見えた
701創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 16:02:51 ID:lzLIb1CV
俺はネウロかと思った
702創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 18:59:12 ID:zbLYnsZ9
あえて最遊記
703創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 20:00:27 ID:+Zpw3L3u
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00369.jpg
| ∧         ∧
|/ ヽ        ./ .∧
|   `、     /   ∧
|      ̄ ̄ ̄    ヽ
| ̄ ̄ ̄火曜日 ̄ ̄ ̄)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.\
|ヽ-=・=-′ ヽ-=・=-  /   平日が無くなればいいのに…
|::    \___/    /
|:::::::    \/     /
704創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 20:03:40 ID:usEHqWfn
ハハハハハ推薦入試の日で休みだったぜ

ってかわぇぇ右上の怒った顔が好きだ
705創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 20:05:58 ID:+Zpw3L3u
付け足し。「真っ白な毛並み」ってあるのにあまり白くならなくて
ごめんなさい(´・ω・`)アニメ塗りにすると、白が反射しまくって
難しいね〜。
706創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 20:08:39 ID:OdE5tgSD
あるある
707創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 20:09:43 ID:18avlWla
かわいす
708創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 20:57:34 ID:XZgAYK9k
>>703
なんか、けっこう何も考えずに描いたのに、細部まで拾っていただいて
有り難いです。 最初に描いたラフとシンクロ率が高くて一寸ビックリ。

主人公はわざと少しオタ臭く描いたけど、文主は怒ってないかな?
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00372.jpg
709創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 21:01:48 ID:Fi/GHKtG
>>703
凛々しくていいなー
白って難しいよね、どうしても影の色で色がつくし
でもその絵は銀色っぽくて綺麗だー
710鴨 ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 00:57:00 ID:1OD4dQb7
感想ありがとう絵ありがとう。すごい励みになります。
キャラクターの容姿とかは、一応自分でもこんな感じかなーと考えてたりするんですが、
想像するのが楽しいんですよね、これが
だから敢えてどんなかは見せません(´・ω・`)
酷い絵だからとかそんな理由じゃないんだからね、勘違いしないでよね

>>708
むしろニヤけてます(笑

投稿の間隔ってどれぐらいがいいのかなぁーよくわからない
711FORMAT2章(1/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 00:58:42 ID:1OD4dQb7
太陽が真上まで昇っている。
もう昼だ。
なかなか陸が見えてこないこと、
そして結局朝飯抜きになって極限の空腹状態に陥っていることもあって、
俺はかなり険しい顔をしていたことだろう。
シンディはというと、鼻歌なんか歌いながら遠くを眺めていたりしていた。
話は既にあらかた聴いた後だったから、もう彼女に用はないが、
何というか、船の上という狭い空間に二人しかいなくて、一人がこうして懸命に働いているのに
もう一人が遊んでいるのを見たら誰だってムカつくだろ?画的にも。
とはいえ船の運転は彼女はできないし、特にやってほしいことなんて無かった。
ぶつけようの無いこの苛立ちのまま、俺はただひたすら船を陸にまで持っていく「作業」に専念するしかなかった。

吹雪が突然ピタリと止んだワケ、それは崩壊の影響によるものだった。
崩壊は全てを消す。まさにあの時、雲が崩壊したのだ。
例のロップ族の男はフォスターとかいうらしい。
ビリアルデ…その怪しい機関は、どうやら話がスムーズに進んでいても対立するはずだった奴らだそうだ。
奴らはバグの正体はこの俺、ザックス・フリーデルだと考えているらしく、
元々敵役なのだから丁度いいと思ったのだろう。
だがシンディの考えは、このゲーム世界そのものは主人公がいる事で成り立って出来ているものであり、
それを消すイコール崩壊に繋がるというものだ。
何故奴らが俺を元凶だと思ったのかは、彼女にもわからないみたいだ。

そして主人公なのに魔法みたいな力どころか、剣の一本すら持っていないのはどういうことだと聞いてみたら
「レベル1だから」
と即答されてしまった。
敢えて聞かなかったのだが、この先俺は本来ならどういう経緯で旅に出ることになるか……。
どうしても知りたいわけじゃないが、少し気になる。
それとその先で出会う愉快な仲間たち様々方も。

「…!シンディ、あれじゃないの?」
九時の方向に陸らしきものが見える。
「あ、ごめーん方角間違えちゃったみたーい。」

あぁ神様どうかコイツをこづく権利を我にお与えくださいませ。
712FORMAT2章(1/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 00:59:26 ID:1OD4dQb7
船をつけ、陸に降りた。
はぁ、やっと着いたか。俺は大きく伸びをした。
何やら賑やかな町だ。あちこちに新鮮な野菜や海鮮類を売っている市場が開いている。
目に留まった看板を見ると、ここはフィンという町らしい。
そうか、もうここは大陸ランセル…もとい外国だ。
それほど気温は高くなかったが、年中どこへ行っても真冬であるレードと比べると遥かに暑かった。
汗をかくなんて何年ぶりだろう。
それよりこの空腹をなんとかしたい。これ以上おあずけかまされたら死ぬ。溶けて死ぬ。
「そうね。私もお腹減ったし。」
ここからチラリと覗いているレストランを見て、今すぐにでも走っていきたい気分になった。
・・・お、ちょっと待てよ。
この展開は、二人きりで食事フラg

「んじゃお金ちょうだい」

は?

「私財布ないの。ザックスはあの店行きたいんでしょ?私別のもの食べたいし。」
図々しく奢らせられる上に自分は他行きたいだと?
わがままってレベルじゃねーぞ。
それに、とシンディは続けた。

「勘違いされたくないしね。」

これがマンガなら、今俺の頭上にはガガガガーンという文字が(ry
シンディは金を受け取るとニッコリと笑って軽く会釈し、あのレストランとは反対の方へ行ってしまった。

あぁ神様俺は一体何の罪の代償を受けているのでありますか。
713FORMAT2章(3/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 01:01:13 ID:1OD4dQb7
>>712みす(2/8) 同じミスを繰り返す進歩しないバカです^o^

100シルバー増しで大盛にしたペペロンチーノを、ものの10分でペロリと平らげ、店を後にした。
はぁ、生き返った。
なるほどこういう時に使うものなのだな、これは。
…さて、これからどうすればいいんだろうか。
「バグ」を探すったってなぁ。手がかりなんて何もない。
いや、それよりも自分の身を守れるだけの腕っぷしが俺には無いことが不安の種である。
足腰だけが取り柄の一般市民が主人公とはよく言ったものだ。
地味で目立たない人が主人公であることが多いと聞くが…。
でもやはり主人公なのだから、いずれあの男のような魔法も使えるとは思う。
何気なく目に入った武器屋を覗くと、包丁のような短剣からゴツい巨大な機関銃までズラリと並んでいた。
どの武器も目玉が飛び出るくらい高価。
あのペペロンチーノを百皿注文しても釣りがくる。
とてもなけなしの金で買えるようなものではなかった。
しばらくガラス越しに武器を眺めていると
「あ、いたいた。行くわよーザックスー。」
シンディが少し離れたところで手招きしている。
…この状況はおもちゃを物欲しそうに眺める子を呼ぶ母親の図だ。
「で、どこに行くんだ?」
彼女にアテはあるんだろうか。
こんなこと言うのは何だが、シンディは頭より体が先に動くタイプなんじゃないだろうか。
コラット族だから―という偏見でなく、パッと見そんな感じに見えるだけだ。
まぁこれはアクマでも予測であって
「とりあえず適当に歩きましょ。」
…正解おめでとう俺。
はてさてクリア時間は一体どうなることやら。

その後、一通りフィンを見て回ったが、特におかしい所は無かった。
シンディも崩壊の前兆は見られないと言う。もうここに用はないな。
町の人に尋ねると、このすぐ近くに小さな農村があるらしい。
有力な情報は期待できないが、とりあえずそこへ向かうことにした。
714FORMAT2章(4/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 01:02:34 ID:1OD4dQb7
町を後にしてしばらく歩くと、広大な畑が両脇に広がる。
「見たことない野菜ばかりだな。」
「あ、これキャベツの類じゃない?」
シンディが指差した野菜は確かにキャベツの形だったが、明るいオレンジ色をしていた。
「酸っぱそうね。」
確かに。
まぁこれだけ環境が違うんだ。
育てることの出来る作物も違うだろう。
しかしこの畑は無駄にだだっ広い。
村自体は小さいのだろうけど。
そうこうしている内に、村の入口に着いた。

「ん?何だろ、あの人だかり。」
村の向こう側の出入口に、村人が規則正しく並んで向こうを見ている。
どの人もクワやスキなどの農具を持っている。
「あの、どうかしたんですか?」
その人だかりに近づき、内一人のテリア族の男に声をかけてみる。
「あ?あんたら旅のモンかい?だったら危険だ。下がってな。」
随分と恰幅の良いオッサンだ。
話し声に気づき隣のオッサンもこちらを向く。
「ヨソモンってやつさ。あいつら、金と代わりの土地をやるから、この村を明け渡せとぬかしやがったのさ。」
「毎日のようにここに来てしつこいんさ。」
周りをざっと見渡すと、なるほど皆が皆険しい表情でピリピリしているご様子。
きっと「この村には云百年の伝統が―」などの理由で今日まで何度も追い返してきたのだろう。
「何べん言っても来やがる聞かん坊だ。今日こそは…。」
「力ずく、で?」
シンディが俺と村人の間に割って入り、そういう。
暴力はよくないよ!と言わんばかりな風貌だったが、
朝に問答無用で人一人光の彼方に吹っ飛ばしたのは誰だよ。
「あーこれは威嚇さ。俺だって暴力なんかで解決するつもりなぞないさ。」
「まあ、相手の出方によっては使うことになるかもしれんがな。」
男二人は農具を肩にかけながらそう言った。

俺はシンディの服の袖を引っ張り、二、三歩下がる。
「なぁ、素直に下がっていた方がよくないか?」
正直そのヨソモンとやらに関わりたくない。
そんな一心でシンディに物申す。
だが残念なことに…いや、わかってたんだけどさ。
彼女は笑顔で、しかし凄みのある声で
「逃げるの?」
と言った。この時の俺は多分涙目だっただろう。

村の事に赤の他人である俺達が口を挟むのはおこがましい行為だし、
それ以前に、もう前も言ったけどさ、魔法も使えない装備もない、
そんなヤツがどうしろというんだ。
やるならお前一人でやれ。
といった感じの反論をしてみたが、

「困っている人を見過ごす行為こそ主人公としておこがましいんじゃないの?」

と彼女らしくない正論をかまされ、泣く泣く村人に加勢する羽目になって
今、俺は何故か先陣をきっている。

あぁ神様そろそろお許しください。
ていうか勘弁してください。
715FORMAT2章(5/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 01:03:35 ID:1OD4dQb7
「おい!来やがったぞ!」
遠くからスーツを着たベンガル族の男、そしてマントで全身を覆っている奴が4人、
並んでこちらに向かって歩いてくる。
超怪しいじゃねーか。マジヤバランクSだ。
下がるどころか本当に逃げ出したいよ。助けてエロい人。

3メートルほど手前で立ち止まり、男が何か言いかけたが、
「さっさと出ていけヨソモンが!」
「何べん来ようとこの土地を渡すつもりはねぇぞ!」
村人は即ブーイングの嵐。
話し合う気は無いらしい。

つーかそんなに刺激しないでくれ…怖いってマジで。

「…やれやれ、今日こそはご理解頂けると思っていたのですが。」
スーツの男はため息をつきながら首をゆっくりと振る。
そして俺とシンディを一見して続ける。
「今回は子供を使って情につけこむ作戦ですか?」
…確かにまだ成人一歩手前だが、そんなに俺は童顔なのか?
「貴様らがそんな事言える立場か!?」
「真夜中にブルドーザー引き連れてきた野蛮人が!」

なんと物騒な。無理矢理村を壊そうとしたこともあるのか。
それも怒りの理由の一つなのだろう。
だが口振りからして、その作戦は失敗したようだ。

「フ…そんな昔の事は忘れましたね。…武器を持っているようですが。」
「っ!そ、そうさ!今日こそは力ずくででも諦めてもらうぞ!」
村人は身構えた。
「ええ、ええ。分かりますよ。


私もそのつもりで来たのですからね。」


「!」
男の黒い微笑に、殺気を感じた。

同時に後ろのマントマン達が、巨大な鉤爪で斬りかかる…!
716FORMAT2章(6/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 01:04:44 ID:1OD4dQb7
ガキィィン!
シンディは素早くナイフを抜き、4人の爪を全て受け止めた。
「シンディ!」
マントマンはすぐ後ろに下がり、間合いを取る。
「おやおや、これまた元気な子だこと。」
「黙りなさい!」

シンディはナイフを構え直し、俺に話しかける。
「ザックス!協力して!」
「協力ったって俺は…!」
「最後まで聞きなさい!いい!?アイツら4人相手にするのは流石に無理だけど、
2人ずつ相手なら余裕で片付くわ!言いたいこと、わかるわよね!?」
「…時間稼げってことか?」
「ご名答!あんたの足腰ならイケるでしょ!」

嫌だ、ていうか正直無理
でもこの窮地を切り抜けるにはそれしかないかもしれない。
まだ力のない俺は、ないなりに彼女のサポートをすべきなのかもしれない。
「…わかった。やってみる。」
シンディは親指を立てた。

「なるべく早く頼むぞ!」
「わかってるって!」
シンディは右側2人のマントマンに向かって跳び、手をかざした。
「オスティルエール!」
黒い翼が現れ、マントマンを遠くに押し飛ばした。
あいつらを引きつけていればいいんだな?
彼女に続き、俺も地面を蹴った。

「こい!豚野郎ども!」
マントマンを踏みつけ、林の中に入る。
多少の障害がある方が逃げるのに有利だ。
マントマンはすぐに起き上がり、俺の後を追いかけてきた。

分断は成功、後は時間を稼ぐだけだ!
717FORMAT2章(7/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 01:06:24 ID:1OD4dQb7
あいつら図体のわりに速ぇ。
林の木をバキバキと押しのけながら、差が縮まっていく。
ダメだ。ほぼ全速力に近いダッシュだ。
続けていたら体力が持たない。
ならば手段は一つ。あいつらの攻撃をよけて、よけて、よけまくるほかない。
俺は素早くターンし、とっさに目についた木の棒を手に取る。
マントマンが鉤爪をかまえ、突進してくる。

怖い。足ガクガク。記念すべき戦闘第一回目からラスボスに立ち向かってる気分。

死ねばそこで終わり。
ならば必死に抗ってみよう
ギリギリのところでしゃがみ、攻撃をよける。
ドォン!!
鉤爪は大木に刺さり、見事に折り倒されてしまう。
足も速くパワーも物凄いが、意外と鈍重じゃないか?
とはいえ、二対一はかなり辛い。
360度全方向を気にしつつ、確実に攻撃をよけるのは、戦闘のイロハすら知らない俺にとって無理がある。
安請け合いするんじゃなかった。
「つっ…!」
タイミングが少しばかりズレて、右頬に爪がかすった。糸筋ほどの血が滲む。
だいぶ息があがってきた。
そろそろ限界だ。シンディはまだか…!
「うわっ!?」
湿った木の根で足を滑らせ、膝がついてしまった。
その隙をついて、二人同時に攻撃を仕掛けてきた。
とっさに前回りを三回転ほどしてかわす。危ねぇ、ギリだよ。
だがすぐに奴らは体勢を整え直してまたも飛び掛る。
立ち上がれぬまま、俺は前に転がり横に転がり。
・・・気持ち悪くなってきた・・ていうかヤバい、絶体絶命だ。

ふと前を見ると、青く燃えながら浮遊する球体が目の前にいた。
そういえばこんなヤツが林の中のあちこちにいたような気がする。
「この忙しい時に・・!」
こいつが何なのかはわからないが、凄い勢いでこちらに向かってきたのを理由に
「邪魔だァ!」
と持っていた木の棒でジャストミートしておいた。
718FORMAT2章(8/8) ◆KAMO...m5E :2008/11/19(水) 01:07:44 ID:1OD4dQb7
球体が飛んでいった方向に、マントマンが2人並んで立っていた。
もう息が、体力が 視界がかすむ
同時に、こちらに向かってくる。
これは死んだ ゲームオーバーだ
シンディめ 化けて出てやる・・

--Notice:ライトニングガン を 覚えた!--


なんだ・・今のは?

・・・・・・・・・・・・もしや?

妄想か気のせいか それはわからない。
だが・・どうせこのままでは死ぬんだ。
「・・・・・ライトニング、ガン・・。」
ゆっくりと、呟いた。

――右手が強く光輝く。
マントマンはそれに驚き、止まった。


いち主人公、爆誕の瞬間だった。
見たことも無い拳銃が、その手に握られていた。


・・・・・・・。



「・・・・・・出番、なかったみたいね。」
後ろから声がした。シンディだ。
「やーっとそれらしい感じになってきたじゃん。うんうん。」
「何がうんうんだ!死ぬとこだったんだぞ!!」
涙目で怒った。
「ゴメンゴメン。思ってたより硬くってさー・・。まぁ生きてたんだから生き得じゃん。ね。」
シンディは高らかに笑う。納得できん。
「しかし・・一体どんな魔法使ったのよ。2人とも黒コゲじゃない。初期に覚えるようなそれじゃないわ・・。」
・・確かに物凄い魔法だ。
あまりの威力に、反動で後頭部を打ってしまったほどだ。
「あ、あの虎男はしょっぴいて村人に引き渡しといたから、安心して。」
そうか・・まぁ、これで良かったのか。
困っている人を助ける・・。口で言うのは恥ずかしいが、行為自体は悪くないかもしれない。
こういうのが主人公・・・・なのか?違うような気もする。

後になって重大な事に気がついた。
もう魔法を身につけてしまった俺は、一般市民うんたらという逃げの口実が言えなくなってしまった。
なんてこったい。
これから先、確かに心強い力ではあるが・・

あぁ神様 これが悪い夢ならどうぞ目を覚まさせてくださいまし。
719創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 01:33:08 ID:P1FJtw4S
支援
720創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 01:40:44 ID:P1FJtw4S
721創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 01:41:16 ID:P1FJtw4S
  
722創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 01:41:54 ID:P1FJtw4S
あ、さるかな
気づくのが遅かったばっかりに・・・
723創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 02:11:38 ID:fzofXuuL
じゃなくて8/8だから二章目の投下はもう終わってるんだと思うよ
724創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 02:27:58 ID:P1FJtw4S
なるほど
てかよく見たら題名の数字が8/8になってるw
俺馬鹿だ
725創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 02:28:57 ID:P1FJtw4S
しかし、マントを着てるからマントマンかw
たこ焼きマントマンを思い出すぜ
726創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 03:04:28 ID:AuDKwAwq
マントか。
俺はローブを思い浮かべながら読んでいたようだ・・・

主人公が術使ったぁ!
これは期待。 投下乙です。
727創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 11:29:38 ID:tzhuoraa
早く続きを読みたい!
728創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 15:20:31 ID:YQAs/qRT
.● 「ト○タちゃん」を救う会からのお知らせ ●

     ┏━━━━━━━━━━┓
     ┃  ./;;;;;;┌--‐""""ヾ,ヽ  ┃ト○タちゃんは
     ┃ /:::::;;;ソ   :;;     ヾ;〉 ┃生まれつき円高に弱く、
     ┃ |;;;;;;;;;l  ___ __i| ┃今後たくさんの為替介入が
     ┃/⌒ヽリ─| 《;,・;》H 《;,・;》|!.┃必要です。
     ┃| (   :::: `ー─' |ー─'|...┃しかし為替介入には
     ┃ヽ,,  ヽ U . ,、__) ::::..ノ! ┃莫大な費用がかかります。
     ┃   |   . :::: ノ   ヽ:::: | ┃ト○タちゃんを救うために
     ┃  ∧     ll===ュ  ./ ..┃年金の使用や増税が必要です。
     ┃   ; ヽ   |、'^Y^',,| /  ..┃
     ┃      \ `-;;;;-''ノ   \┃どうか国民の皆様、
     ┃                  .┃ご協力をよろしくお願いします。
     ┗━━━━━━━━━━┛

          ____
        /      \
       /  ─    ─\
     /    ⌒  ⌒  \     
     |       ,ノ(、_, )ヽ    |
      \      トェェェイ   /   
       /   _ ヽニソ,  く
729創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 20:51:14 ID:/dEFvFBd
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00381.jpg
「ライトニング」といえば「BACライトニング」だろう、ってんでイカ
ニモな垂直二連式にしてみました。もっとファンタジー的なクラッシッ
クな方が良いのかなぁ?
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00382.jpg
730創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 20:57:45 ID:4h93MwBc
カッコイイな!デビライザーっぽいデザインだ
731創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 21:05:48 ID:P1FJtw4S
長細い…銃??
732創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 02:21:28 ID:2MxR6IUN
Q.弾は魔力で生成するんですか?
733創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:47:08 ID:QqP8bqU5
久しぶりにSS投下させてもらいます。
すっかり忘れ去られているかもしれませんが、前回の続きです。
ギリギリで規制は受けないような長さにしてあるので、今回は大丈夫です。
734創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:48:11 ID:QqP8bqU5
雲一つない綺麗な空。綺麗だとは思うけど、あまり好きではない。何故だかは分からないが、雨の日のほうが好きだ。
それを人に言ったらおかしいと思われてしまったが。

「雨、降るといいんだが・・・」

今日の降水確率は0。振るわけがないか。それよりも、休みの間に大量に出された宿題と、試験のために勉強をしなくては。
高杉の件もあるし、月曜に備えておこう。山のように出された宿題に手をつけようとしたと同時に、玄関のチャイムが鳴らされた。
来客か。面倒くさいから早めに済ませよう。宗教の勧誘とかだったら即刻扉閉めてやる。

「何だ、花音か。何の用だ?用が無いならすぐに帰ってくれ」
「あら、不機嫌ね。でも、そんな事言っていいのかなー?折角忘れ物を届けに来てあげたのに。」

そう言って、花音が懐から取り出したのは、携帯電話。・・・あれ、何故俺の携帯を持っている。昨日学校に忘れてたか。

「すまないな。・・・勝手に中身を見たりしてないよな。」
「さあ、どうだろうね。それじゃ、用はそれだけだから。月曜日にまた会いましょう。」

否定はしないのか。まあ、見られて困るようなものはないし別に良いんだが。花音も去った事だし、これで安心して宿題に取り掛
かれる・・・って・・・

「メールか・・・」

ついさっき受け取ったばかりの携帯からエリーゼのためにが流れる。どうやらメールが届いたようだ。というか着信音変えたいのに
変え方分からないからエリーゼのためにのままで困る。昔観ていた怪談もののアニメでこの曲を題材にしたものがあったから今でも
トラウマだ・・・って話が脱線してしまった。画面を見て確認すると、差出人不明。件名は無い。

「どうせスパムメールだろ」

そう呟いて、画面を閉じる。さて、今度こそ勉強に取り掛かろう・・・数秒後、またもエリーゼのためにが流れる。もう一度画面を
開いて確認すると差出人不明。無視しよう。数秒後、またまたエリーゼのためにが流れる。

「仕方ない。開くか。」

メールの差出人は分からないが、本文に書かれた内容はこのような物であった。
735創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:49:13 ID:QqP8bqU5

【眠兎君。メールはちゃんと確認しようね】

花音か。仕方ない、一応アドレス張に記録しておくか。菅原花音・・っと。さて、返信するか。

【忙しいから今はメールできない。また今度にしてくれ】

そう書いて返信。よし、これでもう邪魔者は来ないはずだ。携帯を閉じようとしたその時、ある文字が目に飛び込んできた。それは
携帯の下を流れるニュース欄の文字。そのニュース欄に、俺の通っている高校の名前が載っている。何があったのだろうと思いつつ
文字を読んでいくと・・・

「・・・教師が・・殺されただと」

ニュースによると今日の早朝、宿直の教師の刺殺体が見つかったらしい。そういえば今日はテレビを点けてなかったからニュースも
観ていない。もっと詳しい情報が欲しいからテレビを点けてみるか。

『・・・職員室には物色した後があり、犯人が何かを盗んでいった可能性もあります。おそらく、その教師は犯人の姿を偶然目撃し
てしまい、殺されてしまったのだと思われます。』

テレビから聞こえてきた声が告げたのは、誰かが職員室のものを盗んでいった可能性があるということ。教師が殺されたのは犯人の
姿を目撃したからかもしれないということ。・・・職員室のものを盗むという事を聞いたら、どうしても昨日の事が思い浮かぶ。
もしかしたら、花音はこれを伝えたいがためメールを送ったのではないか。聞いてみるか。

【さっきはいきなり切って悪かった。そのことは置いといて、ニュースを観たか?大事件になっているようだが。】

こんな文面のメールを送信した。少し経って、

【うん。大変な騒ぎになってるね。この分だと月曜日は多分休みだろうね】

まあ、普通休校だろう。殺された教師が親しい教師ならともかく、他の学年の学科を担当をする教師だったから顔すら覚えていない。
いや、こんな事考えたら失礼か。それより、俺が気になるのは、昨日の騒ぎ。昨日の騒ぎがあった場所も職員室だ。関係があるとは
思いたくないが・・・まあ、俺が考えても仕方ない。警察が何とかしてくれるだろう。
736創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:50:30 ID:QqP8bqU5
少し時間が経つと、ニュースの事件の情報が増えてきた。殺された教師は刺殺体と言っても、一撃や二撃で殺された訳ではない。体
中を全身滅多刺し。しかも、殺傷能力の低いナイフでだ。何度も刺されて痛い思いをするくらいなら一思いに殺された方がまだいい
だろう。こういう事に経験が浅い素人が殺したのか、それとも、痛がる姿を楽しんでやった熟練者の犯行なのか。人殺しの心情とい
うものは、同じ人殺しにしか分からないだろう。生憎、俺は普通の高校生だから判るわけが無いが。普通の、高校生。

「・・・俺は普通だ。親父なんかと一緒じゃない」

何で、何で今あんな最低の親父の事を思い出した・・・あの男の姿を思い出すだけで、体中に流れる血を捨てたくなるほどだという
のに。親父のことを忘れようと思っても、忘れられない。俺の右目は、あの男と同じ赤のオッドアイ。その色を隠すために今もカラ
ーコンタクトを付けて隠しているが、毎朝コンタクトを付けるたびにあの男を思い出す。

「・・・こんな事考える前に早く宿題を終わらせなくてはな」

シャープペンを持ち、今考えていたことを無理に忘れさせようとする。人殺しは法により裁かれる。こんな事件を俺が気にかける必
要もない。ただ、殺人事件が身近に起きた。それだけの事だ。宿題に三たび取り掛かろうとした、そのとき、また玄関のインターフ
ォンが鳴った。・・・俺の家には監視カメラでも付いているのか?玄関を開けると、そこには昨日知り合ったばかりのクラスメイト
が立っていた。

「何だ、高杉か。何の用だ?」
「・・・・・・」

返ってきたのは、数秒の沈黙。何かあったのか?・・・長い話なのかもしれないな。

「とりあえず、入れ。何か話があるのなら中で聞くから。」

何も話そうとしない高杉を部屋に招きいれ、棚にあった適当な紅茶を淹れて持っていく。話があるなら早く話してほしいんだが・・
沈黙が痛い、痛すぎる。そう思いながら、俺も黙っていると彼は重い口を開いた。
737創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:51:13 ID:QqP8bqU5
「今日のニュース・・見た?」
「ああ、昨日の夜学校の教師が殺されたらしいな。」

紅茶に砂糖を入れながらそう答える。彼がこんな話を切り出してきたと言うことは、この事件は昨日の事と関係あるのかもしれない。
たかがテストの回答ごときに殺人までするような奴は居ないだろうが。

「実は昨日俺が職員室から取ろうとした用紙、テストの解答用紙じゃなかったんだ・・・」
「・・・え?」

テストの解答用紙では、無いだって?テストの期間が近いから俺はテストの解答用紙だと考えたが、外れていたのか。テストの解答
用紙では無いと言うのなら、一体・・・

「俺も詳しくは伝えられていないからよく分からないけど・・・何かの暗号の様な紙だった。昨日は説明するのも難しかったし、
君たちを巻き込みたくなかったから言わなかったけど・・・」

まあ、テストの解答用紙だろうが別の用紙だろうが職員室に入った事には変わりないからどちらでも良いが、気になるのはその暗号
のような紙というものだ。ただの不良が脅してテストの解答を欲したというのならまだ分かる。だが、その紙を欲しがるものはどん
な理由で、そして何故わざわざ高杉を使って取ろうとしたのだろうか。

「・・今日の殺人が、それと関係があるのかもしれないのか?」

「・・分からないけど、もしそうだったら昨日失敗した俺のせいだ・・・失敗しなければ殺人は起こらなかったかもしれないし、
眠兎君たちを巻き込むことも無かった・・・」

泣きそうな声で彼はそう言った。確かに、昨日のことと事件は関係あるかもしれない。だが、

「その仮定に意味は無いな。お前はもう俺たちと関わった。今更、無関係で過ごすような事、俺にはできないな。
それに、殺人を起こしたのはお前ではない。昨日の事と関係があったとしても、お前とその殺人は何の関係も無い。」

そう言って、少しぬるくなった紅茶を飲み干す。砂糖の甘みは、心を落ち着かせると同時に、頭が回るようになる。少しでもいいか
ら、手がかりを見つける。脅した相手に直接問いただすのも良いかもしれないが、もしそいつが犯人なら危険だ。もう少し考えるか。
738創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:51:56 ID:QqP8bqU5
昨日、俺は花音に生徒指導室に呼び出され、戻ってきたら放送室の鍵が無くなっていた。そして、放送室から予定より早い下校の音
楽が流れ出し、放送室に向かった。扉を壊し飛び込んだ放送室は無人で、遠くでガラスの割れた音がした。その音で職員室に居た教
師たちはすべてそちらの方に向かった・・・そしてその隙に高杉は何かの用紙を取りに行った。・・・うーむこれだけでは情報が少ない。
ただ、この状況から察するに高杉も危ないかもしれないということだ。もし脅した奴が犯人、もしくは首謀者だったら失敗した高杉
の口を塞ぐため殺しにくる可能性がある。簡単に殺人を起こす奴だったらその可能性は高くなり、一時の感情に流されて犯人が教師
を殺したのならその可能性は低くなる。犯人がどんな奴か分からないのだから慎重に動いたほうがいいな。

色々と考えて、この後どう動こうかを考えているとき、またも玄関のチャイムが鳴らされた。やれやれ、来客の多い日だ。

「・・・出ないといけないか。高杉、自由にくつろいでいていいから少し待っていてくれ。」
「う・・うん」

部屋を出て、玄関に向かい扉を開ける。宅配便でも来たのかと思ったが、立っていた相手はダンボールを持ってはいないし、何か荷
物を持っているわけでもない。強いて言うなら、何かを布に包んで持っているということだけだ。

「えっと・・・どちら様ですか?」

「いや、怪しい者ではないさ。柊眠兎君。」

何で俺の名前を知っている?俺はこんな奴知らないぞ。鴉に似た羽を持つ鳥の獣人の男なんて、一度も見たことがないはずだが・・・
何か見覚えがある。けどやっぱ怪しい。一応警戒しとこう。

「何の用ですか?用件があるなら早く・・・」

そこまで言ったところで俺は言葉を止めた。男が布に包んでいたものの中身は・・・

「そこに高杉という奴がいるだろう?そいつを大人しく差し出して、今後一切そいつと関わるな。」

そう言って、男は銃を俺の胸に突きつけた。・・・何か見覚えのある奴だと思ったら、こいつも同じ高校生だ。俺とクラスは違うが、
同じ学年なので時々姿を見かけていたんだ。
739創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:53:02 ID:QqP8bqU5
「今日の事件の犯人もお前か?」
「その通り。まさか教師に見つかるとは思わなくて、つい殺してしまったけど騒ぎになってしまったな。」

まさか同じ高校生が事件の犯人だったとは。その考えが無かったとは言わないが、目の前に事件の犯人が現れたとなれば動揺してしま
う。それに、銃を突きつけられたという事は俺を殺す意思もあるということか・・・

「で、こんな騒ぎになってしまったから、お前と関わりがあった高杉を殺してしまうという考えか?」
「まあ、平たく言えばそうなるな。俺の言うことを聞くか、それとも断るか。断ったら迷わずお前を撃つがな。」

冷たい鉄の感触が服の上からも伝わってくる。それでも、俺は何とか冷静でいられる。何故なら、

「撃てるものなら撃ってみな。ここは住宅街だ。銃声がすればすぐに誰か来るだろう。」

この近くには家が沢山ある。もし俺を殺せたとしても誰かが警察を呼んで、警察が駆けつけてくればこいつは捕まってしまうだろう。
そうすれば、教師を殺したことも明らかになり、高杉を殺す意味もなくなる。

「それに、銃声だけではない。もしその銃で撃ったりしたら、現場近くに居たお前は硝煙反応が出て確実に捕まる。だから、これ
は高杉を誘き出すための只の脅し。違うか?」

「やれやれ、そんな事までお見通しか。中々頭が切れるようだな。」

そう言って、男は銃の引き金を引いた。カチッと音がしただけで何も起こらない。どうやら、最初から弾は入っていなかったようだ。
ふう・・・流石にちょっと驚いた。もし俺の考えが外れていたら多分殺されてたな。

「今日のところは大人しく帰らせてもらうが、覚えておけ。お前がこれ以上この問題に首を突っ込むというのなら、殺してし
まうかもしれない。今のとこは殺すほどの理由がないので殺しはしないがな。」

「待て。お前は、何者だ。」

少しだけ声を荒げてそう尋ねると男は冷笑を浮かべてこう言った。
740創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:53:37 ID:Gz85MGis
キテルー
支援
741創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:53:52 ID:QqP8bqU5
「お前と同じ、ただの高校生だよ。オッドアイの兎君。」
「っ!?貴様、何故それを・・うわっ!」

何だこの煙!煙幕か!?

「・・・もう居ない・・か」

煙が晴れたとき、男の姿はもう無かった。残されたのは足元に散らばった漆黒の羽と、何かが喉の奥に詰まっているような重く苦し
い感覚。・・・何故俺のことを知っている。オッドアイのことは、黒のカラーコンタクトを付けているため誰にも知られるわけが無い。

「・・・考えたって仕方ないか。」

とりあえず、奴が高杉を狙っていることは分かったから、彼を一人にするのは危険だろう。あと、巻き込みたくは無いが花音にも
事情を説明しなくては。俺一人で守りきる自身も無いし。

「とりあえず、色々としなければならないことが山積みだな・・・」

高杉は、家族が居るならその家族から離れないように指示すればよい。もし家族が居ないというのなら俺の家に泊めればいいだろう。
人の命がかかっているんだ。これくらいはしなくては。俺の存在は知られていたが、運がよければ花音は協力者だということがまだ
知られていないかもしれない。流虎は・・・巻き込む訳にはいかないか。

「・・もしかしたら、高杉だけではなくて、俺も何か奴らと関係してるのか・・・?」

俺の名前は同じ高校の者なら知っていてもおかしくはない。だが、オッドアイの事は誰にも言っていないはずだ。もしかしたら、
最初からこうなる事を誰かが仕組んで・・・

「・・・そんな事があるはずない。ただの偶然だ・・・偶然・・・」

あの持ち物検査が無ければ高杉と出会うことも無かった。持ち物検査は偶然行われたものだし、携帯だって偶然持っていったもの
だ。それより今は、これからどうするかを考えるべきか。あの男が教師を殺した証拠をつかみ警察に差し出すことができれば、一
先ずは安全になるはずだ。きっと、何とかすることができる。絶対に・・・
742創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:54:42 ID:Gz85MGis
 
743創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:54:44 ID:0cNND9+P
紫煙
744創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 21:56:15 ID:QqP8bqU5
とりあえず今回はここまでです。前回から一ヶ月近く間が空いたのは
寒くてキーボードを打つのが大変だったって訳ではないんだからね!!
毎度読んでくれる人に感謝しつつ、これからも投下させてもらえたら嬉しいです。
745創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 22:04:01 ID:8TNH0HHd
平和な学園になんつー事件が・・・
とりあえずこのAAを貼って続きを待つ

       ヽ|/
     / ̄ ̄ ̄`ヽ、
    /         ヽ
   /  \,, ,,/    |
   | (●) (●)|||  |
   |  / ̄⌒ ̄ヽ U.|   ・・・・・・・・ゴクリ。
   |  | .l~ ̄~ヽ |   |
   |U ヽ  ̄~ ̄ ノ   |
   |    ̄ ̄ ̄    |
746創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 22:12:33 ID:Gz85MGis
GJです、いつになくシリアスな雰囲気にドキドキだ
ていうか、眠兎君オッドアイだったのかー

―チラシの裏的な―
ものっそい個人的な事なんですが、
文中の「・・・」を全角ではなく半角、もしくは「…」に変換して
投下して頂けるありがたいです。
wikiに全角で・・・が入ると

   ・
      ・
の様な状態になってしまうんです。
文量に比例して全角の・・・が多いと編集が厄介になるので、もし可能ならお願いしたいです。
747創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 22:39:37 ID:0Ayivep1
同じく、平和な学園にry
せめて、ラストシーンは、明るく楽しく…、わたしゃアンタのファンだぜ。
748創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 00:18:08 ID:vQ0Ibbtm
おおー探偵団SSの続きキタ!
749創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 00:48:54 ID:4ARXxaa7
750創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 00:57:44 ID:vQ0Ibbtm
ちょwまだメイドw
751創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 11:13:03 ID:bSgzua6q
なんか乗り遅れた感があるけど、学園祭ネタ投下します。
多分誤字脱字だらけだ。
752創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 11:14:03 ID:bSgzua6q
学園祭前日。いや、正確にはたったいま学園祭当日になったばかりである。
学校の近くの香取楽器店の貸しスタジオでのこと。「ルーズビート」の4人はライブのリハーサルも終え、一息ついていた。
「おい、ジョー。いつも言ってるんだが、サビの手前のところ、ふらふらしてるぞ」
弦を拭きながら文句を言うのは礼野翔子。人間の少女だ。男勝りな性格で、頭の上がるクラスの男子は殆どいない。
自分の容姿に興味がないのか、髪の毛は癖毛だらけ、化粧もしていない。その風貌はさながらスケバンといったところか。
「んなこと言ってもな、俺達の手じゃあなかなか弦が押さえにくいんだよな。」
言い返すのは狼人の張本丈(はりもとじょう)。何事に対してもゆったりと構えているおり、授業中はいつも寝てばかりいる。
190cmの巨体だが、人と目の高さを合わせるためか姿勢は猫背気味である。瑠璃色の瞳は長い灰色の前髪で隠れてしまっている。
気だるそうに髪を掻きながら後ろを振り向き、「トオルたちもそうだろ?」
「いや、僕は小さい頃から触ってたから慣れている。」
「わ、私も今まで弦楽器なんて触った事ないから…」
と香取透と星野りんごが返事をする。
透はこの香取楽器店を経営している香取修介・マリ夫妻の一人息子の黒猫だ。4人が深夜まで練習をできるのはそのためである。担当しているパートはキーボードだが、家が家なだけに、ほとんどの楽器の扱いには慣れている。
眼鏡の奥の金色の瞳は物事を現実的に捕らえることに長けている。身長は160代と小さめで、丈と並んで立つとその差が目立つ。尤も本人はそのことにコンプレックスを抱いている様子はないが。
友人から見放されて丈は耳をしゅんとしおれさせる。ギターやベースの弦は、人間の指より柔らかい肉球を持つ獣人族にとっては扱いにくい。丈もベースを始めて3年になるが、未だにその感覚に慣れていない。
「よし、そんじゃあもう一回通してやるか!」と翔子が言うと、りんごが慌てて
「あ、その、もう12時過ぎているんだし、そろそろ明日にしない?」
星野りんごはやや気の弱い兎の少女である。そのせいでよく男子からいじめられていたのだが、そのたび翔子がいじめっ子を蹴散らせていた。
初等部のころ、りんごをいじめていた虎の男子を翔子が2階の窓から投げ飛ばしたこともある。彼は生垣の上に落ちたから助かったものの、窓際恐怖症になってしまった。
りんごは吹奏楽部で打楽器を担当しており、このバンド内でも彼女のパートはドラムだ。
「おっ、もうそんな時間か。全然気付かんかった。」と丈。
「うわ、やべぇ!親父の晩飯作るの忘れてた!」翔子が慌てふためく。
「明日の朝にでもまたここに来て、もう一回リハーサルしようか。」透が提案すると、
「うす」「あいよー」「わ、わかった」と3人が同時に返事をした。
4人は全員高等部2年の幼馴染で、幼稚園の頃からの付き合いである。種族も性格もまったくばらばらだが、十年以上なにかと一緒に行動してきた。全員家が近所で、家族ぐるみの付き合いである。
このバンドが結成されたいきさつは、透の家が楽器店だったというのもあるが、翔子が中学の時にロックに影響されて唐突に結成してしまったからだ。
学園祭で行われる学生ライブに参加するため、午後6時から日付が変わるまでスタジオに篭りっきりだった。さすがにこれ以上の練習は明日へ明日に響くとみて、全員が帰宅の準備を始めた。
753創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 11:15:18 ID:bSgzua6q
夜が明けて学校の体育館前。朝のリハーサルも無事に終え、いよいよ本番20分前というところ。あたりはライブの見物客でにぎわっている。
そんな中透はただ一人待ちぼうけを食らっていた。確かに朝、スタジオで30分前に体育館前に集合と約束したはずである。
翔子と丈が時間通りに来ないのは分かるが、りんごまでもが遅れるというのは珍しい。
携帯電話で連絡しようにも繋がらない。もう一度掛け直そうと携帯を出したところで、呼び出し音が鳴った。丈からだ。
「おい、丈。一体どこで何をやっている。もう20分前…」
「悪い悪い。ちょっとクラスでやってるオバケ屋敷が思いのほか繁盛しちまってな。今出るわけにはいかんのよ。まだちょっとかかるから待っててくれ」
「お、おい!ちょっとって…!」
呼びかけても答えない。画面は通話終了を示していた。
丈のちょっとは透にとってはとてつもなく長い。透の脳裏に最悪の事態が思い描かれた。

一方こちらは高等部の教室棟。女子トイレの壁に隠れながら、ウェイター姿の翔子は外の様子を伺っていた。
辺りはメイド姿のクラスメイトがちらほらうろついている。
「やっべぇな、今出たら間違いなく捕まるな…。りんごとも連絡取れないし…。」
翔子は性格ばかりでなく、外見も少々ボーイッシュだ。胸も控えめなので、すこし細工をして男装をすれば。
クラスメイトで友人で狐人の小野悠里(ゆうり)はそこに目を付けて、ウェイターの姿をさせた翔子を目玉にして学園祭で喫茶店を企画した。本人の抗議も虚しく、翔子はウェイターの制服を着せられた次第である。
学園祭当日、悠里の予想通り喫茶店には大量の女子が詰め掛けた。ところが翔子は肝心のライブのことを知らせるのを忘れていた。りんごとの待ち合わせの時間間近になってそのことを思い出しこっそりと抜け出してきたのだが、案の定悠里に見つかってしまった。
クラスからすれば目玉の翔子に逃げられると売り上げは激減、目玉目当てで来た客の店に対するイメージも悪化するに違いないため、なんとしても見つけなければならなかった。
きちんと説明すれば許可を得られるだろうが、翔子にはそれが面倒だった。このまま逃げてライブへ行き、終わってから謝罪した方が手っ取り早い。
そう考えていると、入ってきた悠里と目が合った。
「「あ」」
次の瞬間翔子は一目散に飛び出し、すぐそばの階段を5段飛ばしで駆け下りていった。その後を悠里が追いながら、
「翔子発見!3階東女子トイレから階段を使って下へ逃走中!至急応援お願いします!繰り返します!翔子は東女子トイレ…」
とトランシーバーに叫ぶ。集合場所へ到着するのはもう少しかかりそうだ。
754創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 11:16:08 ID:bSgzua6q
ライブ開始10分前。未だに体育館前には透以外のメンバーの姿はない。
体育館をちらりとのぞくとアニメの上映会を終えたメイド姿のサン先生が飛び跳ねながらリンダリンダを熱唱していた。
楽器店のトラックの運転席から父の修平が顔を出す。修平は出演するバンドの楽器類を会場へ運ぶために学校に来ていた。
「まだ来てないのか」
「うん、もう始まるってのに、まったくもう…。どこで何やってるんだろ。」
「まあ、いつものことだな。」と修平は笑った。
「翔子と丈が来てないのはまだ分かるけど、りんごまでも遅刻なんておかしい。」
「それもそうだがな、まあなんとかなるだろ。」
「なんとかって、父さん…」
息子の言葉を遮って、
「それよりチューニングだけでも先にしたらどうだ。じっと待っているよりはいいだろ。」
「ん、分かった。」
父に促され、透は体育館の裏口へ向かった。
修平がふと教室棟を見上げると、2階廊下を突っ走る翔子の姿が見えた。

ライブ開始8分前。翔子と悠里の追いかけっこはまだ続いていた。
状況は翔子の方がやや有利だ。翔子がひょいひょいと避けていく人、机、看板を悠里が完全に避けきれず、結果二人の距離は50mほど離れてしまった。
「はぁ、翔子のやつ、なんで、はぁ、人間なのに、あんなに、ふぅ、足が、速いの、はぁ、かしら…。応援も、誰も、こないし、はぁ、待ちなさい、翔子…」
悠里が翔子のあとを追って角を曲がると、大柄な男とぶつかってしまった。
「あ、すみませ…!」
ぶつかった人に謝ろうとして、悠里は硬直してしまった。
というのも、その蜥蜴人が校内一おどろおどろしい顔面凶器男で知られる竜崎利里だったからである。
ただでさえ怖がりな悠里だが、心の準備もなく目の前に利里の顔が現れたらたまったものではない。
彼女はそのままの姿勢で廊下にぶっ倒れてしまった。
755創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 11:17:22 ID:bSgzua6q

「おい、追っ手はいなくなったみたいだぞ」
利里と連れの人間の少年が悠里を保健室へと運ぶ様子を見ていた丈が、そばの段ボール箱に話しかける。
オバケ屋敷の衣装のまま出てきたのか、服はボロボロ、頭にはボルトが刺さり、顔は血糊まみれである。
丈が話しかけたダンボールから、「ほ、本当か?」
「保健室に運び込まれた。しばらく再起不能だな、ありゃ。」
言いながら丈は段ボール箱を持ち上げる。中から身を縮こませた翔子が現れた。
「なんで急に保健室に…?」
「さぁねぇ。ところで、ライブまであと何分?」
「あっ、ヤベェ!あと5分しか…ん?」
翔子の携帯が震える。透からだ。いままでごたごたしていて気付かなかったが、着信履歴が20件、全て透で埋まっていた。
走り出しながら通話ボタンを押す。
「もしも」
「今何時だと思ってるんだ!もう始まるまで5分しか残ってないぞ!早くこっち来い!」
翔子の声を遮って透の叫び声が聞こえる。丈にまで聞こえるほどの声量だ。
「スマン!いまからそっちに向かう!」
「まったく、りんごも来ていないし、何だというんだ!」
「え?りんごまだ来てないのか?」
予想外の事態に、思わず翔子は声を張り上げてしまった。
「ああ、いつもは僕よりも早く来るはずなのに、今日に限って遅刻だ。連絡もつかない。事件に巻き込まれていなければいいんだが…。」
スピーカーから透の苛立ちと心配の入り混じった声が聞こえる。
「ん?りんごだったらたしか俺のクラスのオバケ屋敷に来てたような…」
と丈が言ったとき、保健室の前に差し掛かった。何故か男子生徒の行列ができている。
嗅ぎ覚えのある匂いを感じ取って、丈は立ち止まる。行列越しに奥に目をやると、ちょうどベッドに寝かされている悠里と、その横で海賊姿の少女と言い合う包帯のカタマリが見えた。
「わ、私オバケ屋敷で気絶しただけですから…!こんな包帯でぐるぐる巻きにされても困ります!はやくしないとライブに間に合わないじゃないですか!」
「ダメっスよ!貧血・脳震盪・ムチウチ・椎間板ヘルニアの可能性があるっス!これから輸血をして点滴をして、それからCTスキャンをして…」
「少なくとも椎間板ヘルニアじゃありません!だ、誰か助けて…!」
その包帯のカタマリは、紛うことなくりんごだった。
756創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 11:18:14 ID:bSgzua6q
ライブ1分前。
透は崖っ縁に立たされていた。20分前に予想した最悪の事態が、今まさに現実になろうとしている。
翔子との通話は突然切れてしまった。丈がいることは確認できたものの、りんごの居場所は依然として不明だ。
時間を延長してもらうことも出来なくはないが、それでもりんごの不在はどうしようもない。
サン先生がライブを終えて体育館裏口から出てくる。
「やぁ、香取くん!僕の歌聞いてくれた?あれ、他のみんなは?」
「それがですね、先生。もしかしたら今日のライブは出場中止になるかも…。」
「なんだって?もし良かったら僕が歌ってあげてもいいよ!」
サン先生がボーカルなどすればパンクロックになってしまう。
「先生、僕らの歌はそういうものじゃなくて、もうちょっと感傷的で…いや、そんな問題じゃないですよ!」
透が言ったところでサン先生が叫ぶ。
「おっ!後ろからやって来るのは、君の仲間じゃないのかい?」「え?」
透が後ろを振り向くと、ウェイターとフランケンシュタインと、それに担がれているミイラがこちらへ猛然と走ってくるのが見えた。翔子と丈とりんごであった。その後ろから海賊と大勢のメイドとが追いかけてくる。
「翔子!店ほっぽって逃げ出すなんて何考えてんのよ!損害賠償請求するわよ!」
「まだ安静にしたなきゃ駄目っス!これから内視鏡検査してバリウム飲んでもらってレントゲン撮影もするっス!」
と口々に叫んでいる。呆気にとられる透の前に3人は到着した。ライブ10秒前。
「お前達なんでそんな格好なんだ!りんごまでそんな包帯だらけで、どこのライトノベルだ!」
「透くん、ごめんなさい!私オバケ屋敷で気絶しちゃって、保健委員の人に…」
「すまんな、着替える時間なくってそのまま来ちまった。」
文句を言おうとする透を尻目に、翔子は
「とにかくもうライブ始まるから、ステージ乗り込むぞ!」
と体育館内へ乗り込んでしまった。
「あー、もう!どうにでもなれ!」
透もやけくそになりながら、突入した。後にりんごを背負った丈が続く。
全力で追いかけたものの翔子に逃げられたクラスメイト達は成す術もなく、その場に座り込んでしまった。
残った保健委員長とサン先生は、
「あっ、サン先生!偽計業務妨害罪で保健室にへ連行っス!」
「うわヤバイ、ばれた!逃げろ!」
「あんなもの誰が見たって一目瞭然っス!保健委員長の名にかけて必ずシロ先生の前に連れ出すっス!」
とまた追跡劇を始めた。

ライブはてんやわんやの大騒ぎだったものの、なんとか無事成功した。
翔子はライブが喫茶店のCMになり売上に貢献したため免罪となった。
サン先生は見事に保健委員からは逃げおおせたものの、職員室で待ち伏せしていたシロ先生に漂白されかけたようだ。
透はというと、自分だけコスプレをせずにライブに挑んだため、「空気が読めない男」と風評被害を受けてしまった。
もう2度とあの3人とは行動すまいと心に誓ったが、翔子の有無を言わせぬ行動力の前に1日で崩れてしまった。

おわり
757創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 11:22:28 ID:bSgzua6q
以上です。
初SSでなんとか学園祭ネタが終わる前に、と急ぎ足で書いたもんだから、ごちゃごちゃだわぁ。
あともしかして人間の女子生徒って初?
758創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 12:01:19 ID:pNKTOf1/
お、新キャラ
759創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 14:53:36 ID:gDwq5B+N
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00401.jpg
そろそろ自重しないといけないのは解ってるんだが……それでも…ビクンビクン

SSがいっぱいで、携帯とかで読むとあっという間に時間過ぎてしまいますねえ。
760創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 15:16:14 ID:qLhfvNyj
>>756
GJ!高校のライブって演者のほうが確実に楽しいよね、やったことないけど
つかサン先生パンクロックが超イメージ通りでワロタw
メガネつながりでイースタンユースとか歌いそうw
>>759
おお!またも新キャラが!
シロ先生とか科学の先生とか物理の先生とか白衣属性が増えてきましたねw
761創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 16:15:11 ID:gDwq5B+N
あ、そういえば>>656のウサギ先生は♂♀どっちなんだろう…(´ω`)
762創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 18:29:04 ID:vQ0Ibbtm
おお!また文化祭SSきてる!
いいねーいいねーライブは文化祭の花だねぇ

>>759
白衣キャラいい!
いったいどこに自重する必要があるというんだい?
もっとはっちゃけていこうぜ!
763創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 21:02:55 ID:4ARXxaa7
>>759
じゃぁ私はおんな先生を二名ほど(笑)
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00402.jpg
>>761
物理担当のロップイヤーの先生はいちおうおとこ先生のつもり。なんか
おんなっぽいなーと思ってはおりました。 名前は絶賛募集中。
764創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 21:39:56 ID:M08kA9HO
ロップイヤーって普通に名前になりそうだよね
ロッテンマイヤーみたいで
〜・ロップイヤー先生
765創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 21:49:50 ID:qLhfvNyj
アラフォー先生!
766創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 22:32:41 ID:TD4UPO/a
ご冗談でしょう、ロップイヤーさん
767創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 22:44:33 ID:4ARXxaa7
>>766おお、なるほど、不敗魔・ロップイヤー先生か。
768通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/22(土) 00:48:56 ID:cZSAedR/
「吹雪の中 遠く 海を見た。 海は荒れていた。 そして海が荒れているわけが 僕には……」

小春日和の日差しが何処か温かい昼前時
教科書に掲載されている詩文を音読する犬の男子生徒の声に混じり、何処からか寝息が一つ。
音の元を辿ってみれば、腕を枕にして、意識を夢の内へ旅立たせている利里の姿があった。

「おい、起きろ……利里、早く起きろ」

それに気付いた隣の席の卓が、絶賛睡眠中の親友を起こすべく小声で声を掛ける。
だが、生憎、木枯らしが吹く日々が続いた後の久々な暖かな日差しに眠気を催した利里はそう簡単に目覚めず。
卓の焦りをより深めるだけしかなかった。

「おいおい、早く起きないと先生に気付かれるぞ、おい」

それでも、卓はちらりちらりと教壇の方を気にしながら利里を起こそうと努力する。
卓は必死だった。利里が早く目覚めないと確実に利里が酷い事になる事を分かっていたから。
そして、彼が焦るその理由は、今は男子生徒の音読に聞き入っている国語の教師にあった。

「はい、座っていいわよ。 
えー、この詩は吉野 広の詩集『消息』に掲載されている『冬の海』という題の詩で……」

全身を覆う羽毛の所為か何処かぽっちゃりとした印象を感じさせる、
メンフクロウの女性の国語教師、佐藤 光代(さとう みつよ)が男子生徒に座るように促した後、
解説しながら翼の先の羽を指の様に使い、流麗な字で先程男子生徒が音読していた詩の内容を黒板に書いてゆく。
どうやら、彼女は利里が寝ているのにまだ気付いていない様だ。

「おい、早く起きろって、早く起きないと本当にマズイ事になるぞ、利里」

だが、危急的状況なのには変わりは無く。
焦れた卓は、こうなればとばかりにシャーペンの先で利里の頬を突ついて起こそうと試みる。
後の方の席にいる朱美も何処か心配そうだ。
769通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/22(土) 00:49:41 ID:cZSAedR/
「う〜ん……もうそんなに食べられない……」
「おいおいおい、在り来たりな夢を見てるんだ……早く起きないと本気で……」

だが、卓の必死の努力も空しく。利里は在り来たりな寝言を言ってもぞもぞと動くだけ。
そんな親友に困り果て、遂には頭を抱えた所で、卓は刺すような視線に気が付いた。

「…………」

卓が恐る恐る振り返って見ると、。
其処には黒板に字を書いている姿勢はそのままにして、頭だけを卓達の方へ向けた教壇に立つ光代の姿。
彼女はフクロウ系のケモノ特有の自由度の高い首間接を生かして、
生徒が黒板の字を書き写しているかどうかを確認しようとしている所で、利里が寝ている事に気付いたのだろう。
その大きめな彼女の双眸は、確実に睡眠中の利里へロックオンしていた。

「……あ〜あ、終わったな……もう、俺は知らんぞ」

この時点で、卓は利里を起こすのを素直に諦め。朱美も沈痛な面持ちで顔を背ける。
……起こそうとしたのに起きなかったお前が悪いんだぞ、と卓は心の内で愚痴を漏らす。
そして、それと同時に―――彼女が動いた。

「授業中に寝る不届きな子は―――」

彼女は手にしたチョークをチョーク入れに置き、言いながら翼を広げて音も無くフワリと飛び立つ。
その降り立つ先は、未だに寝息を立てる利里の頭の上。

「……ふえ?」

唐突に重みを頭に感じ、間の抜けた声を漏らしつつ目を覚ます利里。
この時、利里はこのまま眠ってさえいれば、もう少しは苦痛を感じる事も無かっただろう。
なにせ……

「―――――――――――――――――っっい!?!?!?」

その次の瞬間には、光代の足の爪によるアイアンクローが利里の頭に食い込んでいたからだ。
アイアンクローを食らった利里の声にならぬ悲鳴が教室に木霊し、何人かの生徒は思わず耳をふさぎ、目を背ける。
それだけ彼女のお仕置きは強烈極まる代物だった。

「こうなりますから気をつけましょうね?」

そして、彼女は利里が完全に気を失った事を確認した後、
ひらりと床へ降り立ち、机に突っ伏した利里を羽先で指差しながらウインクして見せる。
それと同時に、授業の終了を知らせるチャイムが鳴り響いた。



佐藤 光代(32)
本当はスマートな体型をしているのだが、全身を覆う羽毛の所為で太って見られる事を気にしている女性教師。
彼女の授業中に不真面目な行動をとる事、即ち、保健室送りとなる事を覚悟するべし。
770通りすがり ◆/zsiCmwdl. :2008/11/22(土) 00:55:19 ID:cZSAedR/
以前に卓が何処かで言っていた梟の国語教師を書いて見た。
実は言うと、フクロウって太っている様に見えて意外に痩せていたりするらしい。

それと修正

×「おいおいおい、在り来たりな夢を見てるんだ……早く起きないと本気で……」

○ 「おいおいおい、何をそんな在り来たりな夢を見てるんだよ……早く起きないと本気で……」

訂正前の物を書きこんでしまったorz
771創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 01:02:27 ID:q/TlYd7R
>>770
ドンマイ&グッジョブ♪ 新キャラがどんどん増えてきてて楽しいわw
7721/4:2008/11/22(土) 13:21:27 ID:X9EjXEEc
流れを読まずに、クリスマスへの伏線。
〜〜〜

「どうした? 来栖? 顔が青いぞ?」

いつものように馬が、座っている鹿の肩を豪快に組む。
細身の鹿は押され気味になりながら、肩を組み返す。

「呼び出し食らった」
「だれに?」
「サン先生」

来栖は食べかけの弁当をしまい、机に突っ伏した。

「来栖?」
「いやだ、職員室に行きたくない」
「どうしたんだよっ! サン先生なら怖くないだろう、梟と違って」
「怖いわけじゃないさ。だいたいこの時期になると呼び出される」
「え? 何? テストの点なら俺の4倍だっただろ? 何を恐れている?」
「ほっといて…」

塚本は塞ぎ込んだ来栖をどうすることもできず、
窓際のヒーターの鎌田に相談するのであった。

「おい、起きろ」
「おきてるよ」
「来栖が変なんだ、ライダー! 何があったのか知らないか?」
「ああ、来月のクリスマス会じゃないの? 来栖はトナカイにされるんだよ、毎年ね」
「なるほど」
「サン・タクロースの載った台車(そり)を引く来栖は、絵になってると思うんだけど
 来栖はさ、人前に出るのがあんまり好きじゃないみたいだしねぇ」
7732/4:2008/11/22(土) 13:22:10 ID:X9EjXEEc
「トナカイ、聞いたぞ!」
「うるさいなって」
「いやいや言ってたって始まらないだろう、職員室行くぞ!」
「……はいはい」

〜〜〜

廊下に出ると、冬の空気。
鹿馬ロの三人は職員室に向けて出発した。

「寒いよ、なんで僕まで」
「俺たちは鹿馬ロだ、寒さごときでヘコタれるな、丹前!」
「もー、丹前とかライダーとか」

鎌田はブツクサ言いつつも結局ついてくる。
来栖は肩を落としたまま。

「塚本、やっぱり嫌だ。 帰る」
「逃げるのか? 男だろ!」
「塚本には、分からないよなっ! あの惨めな気持ち」
「怒んなって」

職員室までの遠く冷たい道のりを、三人は進む。
曇った窓ガラスに、あざけ笑うような落書きがされてある。

沈黙を、鎌田が破った。
7743/4:2008/11/22(土) 13:22:40 ID:X9EjXEEc

「最近の初等部がえげつないのは、知ってるよね」
「そうか?」
「塚本って、忘れっぽい?」
「いや?」
「まぁいいや、話を戻すね。 これは利里から聞いた話なんだけど、
 来栖は毎年、鹿だ鹿だって雪ぶつけら」
「いうな!! 散々だよ。 ガキはもう勘弁だから」

震えた声が廊下にこだまする。
視線を集める鹿馬ロ。

「ちょい待ち、なぜに利里がそんなこと知ってるんだ?」
「ああ、妹でしょ。 保護者同伴、みたいな?」

〜〜〜

「サン先生、連れてきやした」
「いやぁ、ご苦労」

体に似合わない大きな椅子にチョコンと座ったサン先生は
コーヒーを飲んでくつろいでいた。

「先生、勘弁してください。 トナカイいやです」
「だって来栖、トナカイじゃん」
「鹿です! 似て非なる存在です!!」

7754/4:2008/11/22(土) 13:23:46 ID:X9EjXEEc
職員室に悲痛な叫びが響き渡り、昼休みの聴衆はクスクスとざわめいた。

「じゃあさ、こうしよう。 来栖は数学の成績が上から四番だったよね」
「は、はい?」
「でもこの前のテスト、ものすごく初歩的なミスを犯しているから本当は0点でしょ」
「うぁ……それは」
「トナカイやってくれないなら、0点に戻しちゃうよ。そんで、名前欄書き忘れたこと、みんなに言いふらしちゃうから」

後ろで「ぶはっ」と噴出する塚本。
無言でヒーターにあたる鎌田。
もうお終いだ。 来栖は全身から魂が抜けるのを感じた。

「トナカイ役は、来栖が一番型にはまってるの。頼りにしてるよ」

サン先生は、大きな三角定規と名簿を持って行ってしまった。
笑いの止まらない塚本と、ぬくぬくしている鎌田と、放心状態の来栖。
しばらくして、昼休みの終了を告げるベルが儚く校内に響き渡った。


「がんばれよ、トナカイ!」
「……」

日常は変わらない。 ただ、
テスト前になると毎回教師陣から、
名前欄をしっかり確認するように注意が喚起されるようになった。
776創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 17:51:12 ID:XwAiV/1C
頑張れよ…来栖。鎌田は冬になったら登校できるのだろうか。
777創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 17:54:57 ID:Fz8oktc5
トナカイ…そうだよなどうみてもトナカイだよ来栖ww
そりゃサンスーシ先生もトナカイにスカウトしたくなるよなぁw
778創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 17:56:21 ID:JOp4tvWE
サン先生って実は鬼畜だな。学校の先生で一番怖いんじゃないのか
779創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 18:35:38 ID:Fz8oktc5
サン先生はなんかなにをやっててもおかしくない空気があるな
780創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 19:04:04 ID:V+DdfOPZ
トナカイはシカ科だからあながち間違いでもないな
781創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 19:15:24 ID:2l2mLztX
鹿男あをによし放送時はネタにされたに違いない
782創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 19:20:06 ID:Fz8oktc5
そういえば来栖って春になると角落ちんの?
783創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 20:08:55 ID:4wckWVgz
もしかしたら、来栖くん助かるかも?
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00407.jpg
784創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 20:10:06 ID:V+DdfOPZ
いのりんのその顔はなんだwwww
785創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 20:12:10 ID:Fz8oktc5
サンスーシ先生wktkしすぎwww
786創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 20:13:18 ID:Fz8oktc5
あと、地味に椅子に座布団2枚重ねだしw
やっぱり高さが足りないのか
787創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 20:46:30 ID:2l2mLztX
でもさ、昔絵本とかカレンダーで見たサンタのトナカイを思い出してみろよ。
2匹いただろ?
788創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 20:47:19 ID:V+DdfOPZ
!!
789創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 21:14:00 ID:Fz8oktc5
二頭立てか!!
790創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 21:41:19 ID:OqVPh1Gp
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00408.jpg
果たして元ネタの台詞が解る人がいるかどうか不安になってきた。
>>776
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00409.jpg
>>782
書き手さんとかにお任せの方向で(´ω`)カクカクシカジカ
みたいにカスタ〜ムとか言いながら取り外ししても面白そう。
               ./⌒>○
  準備準備!     /,,,,,,,,,,,,|
              (,,,,,,,,,,,,,,,) ̄\
              (O∀O ) ) )☆
       o())o__てO二 ̄ ̄~) )  )
       / /||(二ニ) (☆☆). _/    ドルルル
   γ ⌒ /|V||彡Vミ/⌒_ノ二二ノl0
   l| (◎).|l |((||((゚ )(⌒)/||三三・) | ||  (´⌒(´
__ ゝ__ノ     ̄ ̄ ̄ ̄  ゝ__ノ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
791創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 21:45:39 ID:V+DdfOPZ
      ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
       ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
        ゙、';|i,!  'i i"i,       、__人_从_人__/し、_人_入
         `、||i |i i l|,      、_)
          ',||i }i | ;,〃,,     _) 汚物は消毒だ〜っ!!
          .}.|||| | ! l-'~、ミ    `)
         ,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ   '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
        .{/゙'、}|||//  .i| };;;ミ
        Y,;-   ー、  .i|,];;彡
        iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
        {  く;ァソ  '';;,;'' ゙};;彡ミ
         ゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ   _,,__
          ゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
 ;;;;;;;;''''/_  / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
'''''  ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/ 
792創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 21:46:04 ID:Fz8oktc5
>>790
それだけ着こんで出歩けるとは鎌田力持ちだな
793創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:05:26 ID:2l2mLztX
>>790
白倉さんは犬なのかしら
男なのかしら女なのかしら
それと読み方は「しろくら」であってるのかしら
794創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:09:58 ID:Fz8oktc5
しらくらではないかしら
795創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:15:57 ID:wmPxyFDW
>>793
実は苗字検索で適当につけたなんて言えな(ry
使いやすいほうでドウゾー。因みに♂パンダです。もっと黒くすれば
良かったゼイ!サクサクパンダ美味しいね!
796創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:18:09 ID:Fz8oktc5
パンダとは新しい!
797創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:21:20 ID:V+DdfOPZ
ボーダーコリーだと思っていた時期が僕にもありました
798創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:46:30 ID:2l2mLztX
>>795
パンダ→白黒→白倉
なのか
799創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 00:16:53 ID:WOjCaV3i
じゃあしろくらの方がいいのかな。
笹食べるのかな…
800創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 00:18:58 ID:a5n7oBnl
パンダは竹じゃないの?
801創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 00:20:38 ID:OYPvEVFE
どっちもじゃね?
802創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 00:22:48 ID:wyhOYm0m
>>783
しかしムーミントロール来る
803創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:31:19 ID:REjZY9M6
 化学担当の跳月(はづき)先生と生物担当の白倉先生が、実験道具室兼理系科目担当教師用
職員室で駄弁っていた。試薬棚やら実験道具やら生物標本やら私物のゲーム機やらが雑然
と並べてあり、非常にカオスな場所となっている。
「ノーベル賞って本当に恣意的ですよねぇ。欧州のハドロン衝突型加速器の宣伝見えみえ
ですよ」
 最近マグネシウムリボンがやけに減るなぁ、とか考えつつ、跳月先生は薬品棚の在庫を
確認しながら白倉先生に話しかけた。
「ノーベル賞なんて要するに宣伝っスからねぇ」
 白倉先生はイスの上にデスノートのL座りをして、スチールデスクに広げた英字のネイ
チャー誌をペラペラ捲っていた。
「まーよしんば宣伝でも、存命中に貰えただけましなのかも知れませんねぇ」
「受賞確実なのに寿命が先に来ちゃった人、たくさんいまスもんね」
 おっ、これオモロいっス。
 白倉先生はペン立てに無造作に突っ込んであったメスを取り、雑誌の投稿論文を切り抜
いた。紙片をつまみあげて、目前に翳して読み込む。
「そういや白倉先生は大学でも生物やってたんですよね。やっぱりオワンクラゲのGFP
とかよく使ったんですか?」

──ザクッ

 白倉先生は持っていたメスをネイチャーに突き刺した。
「GFPの話なんてしたくも聞きたくもありませんししないで下さいマジお願いしまス」
 眼が怖い。
 しかし跳月先生は慣れたものである。それ以上何も言わず、試薬の在庫を確認し続ける。
「……」
「……」
 沈黙。
「……」
「……ねぇねぇ跳月先生。僕がなんでGFP嫌いなのか聞かないんスか?」
 本当は喋りたくてたまらないのだ。実は結構おしゃべり。
「喋りたいならなんで一回拒絶したんですか。まったく」
「すみません。ちょっとマッドなサイエンティストの狂気を演出してみたくてでスね……」
 白倉先生はメスと雑誌を片付けて笑顔満面で語り出した。
「蛍光蛋白質ってすっげーもんじゃないスか?青色発行ダイオードが霞んで見えなくなる
くらい」
「ふむふむ」
 跳月先生は試薬棚の整理を終えて、実験道具の数を数えながら適当に相槌を打つ。ガラ
スの器具は壊れやすいのが困りものだ。
「で、GFPは生物の非破壊検査をある程度可能にしちゃう訳ですよ」
 跳月先生の適当な相槌にも気付かず、白倉先生は熱く語る。
「昔はマウスの構成分子の移ろい一つ調べるにも、放射線物質食わせて粉微塵に切り刻ん
で擂り潰して観察してた訳でスよ。それが今は遺伝子にちょいとGFPを組み込んでやれば何の問題もなくたんぱく質の追跡
ができる」
 白倉先生は頭を抱えて身悶える。
「あああ!GFPがなかったらもっと解剖の需要があるのに!のに!」
「はいはい」
 今日も実験道具室兼理系科目担当教師用職員室は平和だった。
804鴨 ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:37:28 ID:vnsASY02
他の方々のSS読んでると、自分の文章力の乏しさが痛いほどよくわかりますわ。
これでも無い頭フル回転させて必死に書いたんだぜ…俺


>たこ焼きマントマン
!!!!!!!!!

>>729
雷を放つ銃なんで、近未来チックなデザインかなーと妄想してたんですけど、
そっちのが全然カッコいいですね
トリガーをひくぜ!コーール!

>>732
厳密に言えば魔力を弾丸にして撃ちだしてる、が正解なんですが、まぁ違いは大差ないか。
銃そのものを魔法で出現させたから分かりづらかったですかね。
レ○ガンみたいに指先から発射するという設定の方が良かったかな?(
805FORMAT3章(1/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:38:52 ID:vnsASY02
大陸レードを出てからもう少しで半日が経つ。
日が傾き、辺りがオレンジ色に染められる。
俺はその半日で普通じゃない、もとい有り得ない出来事ばかりに遭遇し、
もう今じゃすっかり慣れてしまったようだ。
見たこともない生物を、何の躊躇もなくホームランさせた事がそれを証明している。
もはや普通の生活には戻れない。摩訶不思議アドベンチャー一方通行だぜ。

そんな事より、あの後マントマン達のマントを剥いでみて驚いた。
その姿を見たとき、俺は思わず手の甲を口に当てた。

ソレは人の顔じゃなかった。
全身がツギハギだらけで、口は耳元まで裂けていて、元は何族だったかもわからないほど酷かった。
捕まえたスーツ男に問い詰めてみたが、奴は一切口を開こうとしなかった。
だが1つだけ分かったのは、コイツはビリアルデの一員だということである・・。
何の機関なんだ?ビリアルデって。
この俺と敵対するという時点で怪しいものだとは思っていたが、
奴らは一体何をしていて、何が目的なんだろうか・・。

さて、村人達は礼代わりといって、ダンボールいっぱいに詰められた作物を手渡そうとしたが
さすがに荷物になるのでと、丁寧に断った。
その代わり、まさかの有力な情報を聞き出す事に成功した。
最近、ここから北の方角にあるクロンファートという工業都市で、異常気象が相次いでいて、
雲ひとつない快晴なのに雷が鳴ったり、真っ黒な霧が発生したりしているらしい。
これは例のバグと関係があるんじゃないか、と考えた俺とシンディの二人は、早速クロンファートへ向かうことに。
だがそこまでの道のりはかなり険しく、6キロほどの森と巨大な池を渡らないといけない。

そんなわけで今、その森の中を歩いている。
6キロという大した規模の森ではないので、何とか日の入前までに抜けることは出来そうだけども、
薄暗いそれは不気味な香りが充満している。

「なんか、オバケでも出てきそうな森だな。」
「そうね。」
「俺、虫もそうだけどこういうのも苦手なんだよなぁ・・。」
「そうね。」
「・・・・?なぁ、シンディ?」
「そうね。」
「シンディってば!」
その叫びで彼女は目をカッと開き、尻尾がピンっと逆立った。

「・・・・あ、あぁ。ごめん。何?」
「その・・大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。ありがとう。」
そう言うが、彼女はこの森に入ってから落ち着きなくソワソワして、辺りを見回している。
あ、もしかして俺がオバケ云々って言ったせいで怖がってるのか?
だとしたら悪いことしたとは思うが、方角・昼飯・遅刻の件の仕返しだと思えば・・ククク。
806FORMAT3章(2/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:40:03 ID:vnsASY02
「・・・ムリ。」
「え?」
シンディは突然俺のほうを向いて、早口で
「・・ザックス、ちょっとだけ待ってて。すぐに戻るから。」
と言って、道を外れしげみの方に入っていこうとする。
「ちょ、おい!どこ行くんだよ!」
「・・・どこって・・すぐ、そこ。」
「いや、だから何しに行くんだよ!」
こんなに不気味森で、女性を単独行動させるのは危険、というかそんな事させると男が廃る。
ましてや道なき道を進もうとしているんだ。何があるかわからない。
・・・これ、心配してあげてるんだぜ?
だけども彼女の顔は段々険しくなっていった。俺、何か悪いこと言ったか?

「・・・・・・・・・・・・・ゴフジョウ。」
「・・・は?何それ?」
その言葉により、彼女は怒鳴った。
「――っゴフジョウはゴフジョウよ!!言っておくけど、こっち来たらぶっ飛ばすからね!!」
彼女はプリプリしながら森の奥に行ってしまい、やがて姿が見えなくなった。
・・・フ、知っていたさ。思わずとぼけてみたんだけど。
御不浄・・・・要するにトイレの事だろ?
いやはや、ナイスな表情とリアクションでした。これで仕返し出来たな!グヘヘ

む…腹の虫が再来したようだ。
まぁ、あれだけ動いたんだ。かなりカロリー消費したんじゃないか?
フルマラソンするよりよっぽど疲れるわ。
ふと財布の中を見ると、札一枚と小銭が少しばかり入っているだけだった。
元々買い出しするために入れた金だから、こんなに乏しいのは仕方がない。
だけどいつまでこんな旅が続くか分からない。そのためにも金はもっと必要だ。
バイト…なんてしてられる程時間はないしなあ。
アゴに手を置いてそんな考え事をしていると、
ボゴッ
という鈍い音がした。

音がした方向を見て、俺の背筋は凍りついた。

さっきまでそこにあった道は、巨大な亀裂によって遮断されていた。
807FORMAT3章(2/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:40:52 ID:vnsASY02
こんな大規模な亀裂は、突然出来るようなものでは、きっとない。
地学は苦手なんだが・・地震とかがあってこそのものじゃなかろうか・・?
ともかく、この亀裂はあまりにも不自然すぎる。
もしかして、コイツも崩壊の前兆、なのか…?

「お待たせー…って何コレ!?」
シンディは戻ってくるなり、またも尻尾を逆立てて驚く。
「何の前触れもなく突然できたんだ…。」
二人並んで、亀裂の奥底を覗き込む。
辺りが薄暗かったのもあって、底はどうなっているか分からなかった。
「なぁ…これって、やっぱり…。」
「そうとは言い切れないけど…無視できるものじゃないのは確かよ…。」
何にしても、道がこうじゃ先には進めない。
もう日はすっかり暮れて真っ暗だ。
どうしたものか。
「それなら心配ないわ。」

そう言ってシンディは両手を交差させる。
「ガージュエール!」
真っ白な翼が、彼女の背中から生えていた。まさに天使。
「うわっ…それ、飛べるのか?」
「当たり前じゃない。」
彼女は翼を二、三回羽ばたかせながら断言した。
「ちょっとの距離で疲れちゃうから、滅多に使わないんだけどね。さ、行くわよ。」

俺の脇に手を回し、彼女は羽ばいた。
地面から足が離れ、フワリと浮く。
脇が締まる。超怖ぇ。
「おーい、落とさないでくれよー…。」
「大丈夫よ。あんまり動いたら死ぬけどw」

俺は再度地面に足をつけるまで、人形になっていた。

そっから更に数十分歩き、やっと森を抜けた。
森の木々で遮られていた空には、光輝く星が無数に敷き詰められていた。
森の出口から少し離れたところに、巨大な湖が広がっている。
エンダールにてシンディに見せてもらった地図に、
隕石でも落ちたんじゃないかってくらい綺麗な円形の湖が描かれていたのを思い出した。
リュネール・ホスーというらしい。
リュネール…確か古い言葉で『満月』という意味だったか。納得。
湖には橋が掛かっているが、先が見えないほど遠い。
「今日は野宿して、明日渡った方がいいかもね。」
「…そうだな。こんな池と草っぱらしかない殺風景なとこに寝るのは気が引けるけど。」
「森の中よりはマシでしょ。」
火の一つくらい起こすべきかなと思ったら、何処からか香ばしい匂いがした。
元を辿ると赤い火が、周囲数メートルを照らしている。
火の近くには女の子がいて、串に刺した魚を焼いている。
俺たちに気づいたその子はこちらを見て、やらしい物欲しそうな目をしていたように見えたのか
「食べるー?」
と既に焼けた魚を差し出した。
遠慮の言葉を発言する前に、二人の腹が同時に返事をした。
なんて史上最低なデュエットなんだ。無論二人揃って赤面したさ。
そんな姿に彼女はケラケラと大笑いし、
「いっぱい穫れたから食べてよ、ね。」
と魚を勧める。
こちらとしては至れり尽くせりなわけで。
かつ彼女のあどけない笑顔でお願いされたとあっちゃあ、
断る理由なんて考える方が難しいわけで。
俺たちは火を囲うように座り、お言葉に甘えさせてもらった次第である。
808創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:41:29 ID:a5n7oBnl
おお!大学でGFPつかって遺伝子組み換えやってる俺のはなんというぴったりなSS
最近はGFPの緑だけじゃなくて、色とりどりの種類があるんだぜ?
特定の組織だけ染める蛍光色素とかもあるから、色とりどりのサンプルが創り放題!
蛍光顕微鏡で撮る写真がキラキラしくて面白いッス
809FORMAT3章(4/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:42:16 ID:vnsASY02
>>807 またやらかした・・・^o^ (3/9)でした
   チンパンって俺みたいな人のことを言うんですねグヘヘ

「ふう、ご馳走さま。」
「ご馳走さま…ホント助かったよ。」
「いいよいいよー食べきれなくて捨てちゃうはずだった魚だもーん」
この子はずっとこんな軽い感じで話していた。コラット族の典型はまさしく彼女だ。
「そういえば名前、聞いてなかったな。」
「あ、そうだね。あたしソフィ・バーティニーっていうんだー」
しかしまぁ出会った女性が二度続けて綺麗な子だとは。
神様が俺の役回りと悲惨な立場を哀れんで、
せめて出会う子ばかりは美人をと思ってくれているに違いない。

ソフィ、彼女の場合は美人というより可愛いといったほうが適切だろうか。
タマゴ色の綺麗な毛並みとポニーテールがベストマッチングなんだぜ。
ひとつの集団に一人いれば、マスコットキャラみたいな存在になるだろうなあ。

「ザックス君とシンディちゃんは、旅の途中って感じかな?」
「実はそうなのよね。この池の先にあるクロンファートって街に用があるんだけど。」
「!そうなの?あたしそこに住んでるんだよー。」
これは意外だ。ラッキーとしか言いようがない。

ソフィの話を聞くと、クロンファートでの異常気象はほんの二週間ほど前から起こっているらしい。
昨日は人の頭ほどの雹がドカドカと降っり、
それにより多くの建物が損傷、ケガをした者もいたそうだ。
街周辺で仕事や狩り等をしていた人のほとんどは、街から遠く離れ活動しているとのことだ。
ソフィもその内の一人で、お金になる魔物の毛皮や食料の調達に夢中になりすぎて、
日が暮れてしまったとの事だ。
「だからこうやって独りきりで野宿しようと思ってたんだけど、二人が来てくれたおかげで淋しさ解消!って感じだったよー」
ソフィは笑いながらそう言った。
まぁこんな無駄に広い草原と湖、後ろには不気味な森があるだけのところに
独りで野宿するとなれば、相当な肝っ玉の持ち主でないと心細すぎて死ねる。
昔から、淋しいと死んでしまうと言われている兎のように。

一段落ついたところで、ソフィは「次はあなた達の番だよ!」と言わんばかりの眼差しでこちらを見つめている。
これ、話してもいいのか?
ていうか話したところで笑われるだけじゃないか?
俺はシンディの方を見た。ゆっくりと頷く。
それを理由に、俺はソフィにこれまでの経緯を簡単に話した。
810創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:42:37 ID:a5n7oBnl
ってまだ終わりじゃなかった!支援
811創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:42:57 ID:a5n7oBnl
  
812FORMAT3章(5/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:43:28 ID:vnsASY02
彼女は終始、紙芝居を見せている子供のように目をキラキラさせながら聞いていた。
そんなドキドキワクワク大スペクタクルもんじゃないぞ。
マジ死にかけたんだぜ…?
「はぁぁ〜何てゆうかアレだねー」
「?」
「今あたし、そんな凄い体験をいくつも経験して、いくつも死線を越えてきた人と話してるんだよねーいやー運命感じちゃうなぁ〜」
文じゃ分からないだろうが、口調に危機感がない。
「ねね、あたしもついてっていいかな?さっきもいったけど普段は狩りしてるから腕っぷしには自信あるんだ。全力で頑張るから、いいでしょ?ね?」
突然のパーティ入隊申請にビックリしたが、
仲間は多い方が心強いし断る理由もない。
俺が頷きながら了承すると、彼女はガッツポーズをしてピョンピョン飛び跳ねた。

ザックスと愉快な仲間達、第二号が登場しました。

翌日、天候は霧。
寝ずの番させられました。シィット
「眠いんですけど。」
「死にはしないわよ。さ、急ぎましょ」
もうシンディの悪態にはいい加減慣れた。慣れる方もどうかと思うが。
朝からご機嫌なソフィは腕を高く挙げながらノリノリで歩き出した。
湖に掛けられた橋は予想通りかなりの距離で、まだ日が昇って間もない頃に出発したのに、渡りきったのは昼少し前だった。
さすがに俺達足が棒になったよ。一人だけ除いて。
「まだもうちょっとあるんだぞー頑張れーぇぃ」

ようやくクロンファートに到着。
いや、かなり急な展開なんだけど、本当に何時間も歩いたんだぞ。
見ろこのモフモフな足、カッチカチやぞー
まぁそんなわけで着いたんだ。
街を見るなり俺とシンディは唖然とした。

まるで廃墟だ。

あちこちの建物はひどく損壊し、部屋がむき出しになっているものから完全に崩れているものまであった。
人通りも全くなく、あちこちに潰れた自動車が放置してある。
今はその『異常気象』はないようだ。ただ乾ききった風がヒューヒュー吹いているだけだった。
「こりゃ・・ひどいな。」
「・・・・ここの住人はどこにいるの?」
「地下に避難してるよー。あたしもそこにいたんだけど、皆移民の話してたかなー。」
そりゃこれだけ荒れているんじゃ、もう住みようがない。
街を捨てて他の街へ行くか、新しく興すほかない。

「シンディ、どうだ、ここ?やっぱり崩壊か・・?」
シンディは目を瞑ってしばらく唸る。
その間ほんの数十秒だったが、俺にはそれが10分にも20分にも感じた。
そして、シンディがハっと目を見開いた、その時だ。
「伏せて!」
その言葉に反応し、とっさに俺達は地面にうつ伏せになる。

気がつくと周りの建物は、跡形も無く消え去っていた。
813FORMAT3章(6/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:44:11 ID:vnsASY02
「!誰だ!?」
俺の目先に誰かが立っている。
そいつは自分の身長ほどある巨大な鎌をクルクルと回しながら、ツカツカと近寄ってくる。
血に濡れたような薄らピンクの体毛をした、テリア族の女だった。
俺達は素早く立ち上がり、身構えた。

「・・・誤算だわ。まさか貴方達がここに来るとは思わなかった。」
「誰だと聞いている!」
「もう・・せっかちね。同じテリアの癖に。・・ま、いいわ。
 私、ビリアルデの幹部、ウルカ・エオゾーン。よろしく、ザックスクンとその他大勢さん。」

ビリアルデ・・!こいつが・・幹部?
「ザックス落ち着いて!あの兎ヤローは大した事なかったのよ!そんな機関の幹部なんてたかが知れてるわ!」
「・・・あぁ、フォスターぶっ飛ばしたの、貴方だったの。」
ウルカと名乗る女は、耳に巻いた真っ赤なリボンを巻きなおしながらそう言う。
「あいつも一応幹部だったんだけどねー。口だけクンだったかー。」
彼女は更に近づいてくる。俺は武器を構えた。

そこで奴は立ち止まった。
「まーまー落ち着いてよ。今は貴方達に手は出さないからサ。」
鎌を背中にしまって、両手のひらをこちらに向けた。
辺りをキョロキョロと見回して、更に口を開く。
「崩壊の元凶とやらが何なのか考えてたけど、何となく見えてきたわー。」
「なん・・だと?」
「何を考えているの?!」
「教えなーい。でもその内おのずと知ることになるって。安心なさい。


 運命は神が定めし永久不変の存在、『カシュール』は絶対避けては通れないんだもの。」


彼女はそう言って空に飛び立った。背中には炎のような翼が生えている。
「あれ・・シンディと同じ・・。」
上から俺達を見下ろしながら、
「あ、言い忘れてた。私は手は出さないけど、ここから生きては帰さない。そんなわけだからま、よろしく。そいじゃね」
と吐き捨てるように言って遠くへ行ってしまった。
直後、不気味な鳴き声があちこちから聞こえる。
辺りを見回して、俺達は鳥肌が立った。

モンスター、そういうべきだろう。
そいつらが大群で、こちらに向かってきていた。
814FORMAT3章(7/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:44:41 ID:vnsASY02
「くそ!あの女!!」
「ザックス、怒るのは後よ!今は何とかしてこの状況を切り抜けないと!」
「・・そうだな。ソフィ、いけるか?」
「もっちろん!腕がなるなー!」
どいつもこいつも見るに耐えない風貌のヤツばかりだ。
おぞましい皮膚や剥き出しになった牙、目玉がいくつもあるやつまでいる。
あの時の、マントマンと戦ったときとは全然違う。
もしもこの状況で一人なら、俺は諦めていたかもしれない。

けど今は、仲間がいる。なんとかなりそうな気がした。

「ザックスは後方から援護して!」
「わかった!」
モンスターが近づいてくる。
武器は抜かれた。

俺はなるべく威力を抑え、シンディの死角にいる敵を片っ端からハチの巣にしていった。
ソフィの武器は己の拳。両手には鋼鉄の篭手が装着されている。
素早い身のこなしとフットワークで、敵を次々と薙ぎ倒していく様は、とても女性には見えなかった。
シンディも相変わらず、ナイフと魔法を使い分けながら鬼人の如く敵を一掃。
1匹1匹は大した事がないのだが、あまりにも数が多すぎる。

「ハァ・・ハァ・・キリがない、わ・・・。」
「俺、最近疲れっぱなしだぜ・・ハァ・・。」
「ほらー!2人ともー!休んでる暇ないんだよー!」
なんでこの子はこんなにピンピンしてるんだ。
そなたの元気の素を教えてください&分けてください。

が、突然モンスターは何かから逃げるようにその場を離れた。
「・・・?」
終わったのか、と思いきや、もう何というかこれが絶望ってヤツなんだろうなぁ
皆青ざめてたと思う。

超・超・大型モンスター降臨。

大きさ?フジヤマくらいあるよ。
815創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:44:51 ID:a5n7oBnl
816創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:45:10 ID:a5n7oBnl
817FORMAT3章(8/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:45:16 ID:vnsASY02
「なっ何よコイツ?!」
「でっっかー!」
こんなの勝てるのか・・・。半ば戦意喪失しかけた時、
ヤツは俺達に気付くとこちらに顔を向け、
ズバアアアン!!
と口から光線を放つ。
素早く横に飛び込み、ギリギリで回避する。
光線を浴びた地面は、物体は、チリと化していた。

「・・・っザックス!フルパワーで撃って!」
「・・わかった!やってみる!」
「ソフィも出来るだけの力振り絞って!キツい一発ぶちかましてやるのよ!」
「オッケー!」
二人はモンスターに向かって走った。
俺はその場に立って、出来るだけの魔力を手に集中させる。
銃が強く光り輝く。
シンディもソフィも、大きな声で叫びながらモンスターの顔に飛び掛り、
バシュッ!!
ヤツの顔から黒い血飛沫が飛び交う。
それを合図に、俺は構えた。
「いっけえええええええ!!」
巨大な光弾が放たれ、見事に命中する。
凄まじい音と共にヤツの叫び声が聞こえる。
だがヤツはまだ生きていた。力を振り絞るかのように、またも光線を放つ。

「ハァ・・!まだ、少し足りない!」
「シンディちゃん!もう1回!」
「いや!いい!俺が行く!!」

俺はすぐさまモンスターに向かって走り出す。
「ザックス!何考えてるのよ!近づくと危険だわ!!」
「いいんだ!イチかバチか、覚えたてだ!!」
「え?!」


そうだ。俺は、また、あの感覚を感じ取った。
意識を左手に集中、魔力を放つ―!


「ヴォルト・ブレードォ!!!」


左手は光る刃物と化した。
俺は夢中で腕を振る。
その巨大な剣は・・モンスターをいとも簡単に一刀両断にした。


霧はいつの間にか晴れていた。
818創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:45:23 ID:a5n7oBnl
819創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:45:42 ID:a5n7oBnl
820創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:46:01 ID:a5n7oBnl
821創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:46:37 ID:a5n7oBnl
822創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:46:47 ID:a5n7oBnl
823創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:47:31 ID:OYPvEVFE
支援
824創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:48:15 ID:a5n7oBnl
825FORMAT3章(9/9) ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:48:24 ID:vnsASY02
「ザックス君すっごーい!チョーカッコよかったー!!」
ソフィは一人で俺の周りをグルグル回りながらはしゃいでいる。
「・・これまた随分派手な技ねー。」
「あぁ・・危なかった。正直、もうダメだと思ったね。」
俺はヘナヘナと地面に倒れこんだ。全身の力が抜けた。
シンディもため息をついて額の汗を拭う。

元凶・・・一体何なのだろう。
それにあの女、カシュールって・・・。
「・・・分からないわ。」
シンディは首を振った。
分からないことだらけ、謎は深まるばかり。幸先不安だ
この世界は・・どうなっていくんだろうか・・・・。

クロンファートの住人は無事だった。
こうなった以上、やはり別の街へ移動することにしたようだ。
ソフィは皆に別れの挨拶をし、俺達はそこを後にした。
何処へ向かうかは、まだ決めていない。
ただ、急がなければならない事だけは、確かだ。




「ところで、ソフィってもしかして、仲間になるパーティの1人なんじゃないか?」
「お、よく分かったね。敢えて黙ってたんだけど。」
「やっぱりそうかー。あんな子供まで仲間になるなんてなー。さすがに驚いたよ。」
「・・・・あの子、ああ見えて18なんだけど?」
「!?」
826創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:48:58 ID:a5n7oBnl
あれ?おかしいな
まだ9レスだしさるさんには引っかからないはずだけど
827鴨 ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:50:39 ID:vnsASY02
支援ありがとう!
10レスしてないのに規制かかって
「ちょwww何これwwwっぇwwうぇwww」
ってパニくったw助かったよマジで

あとwikiの方に本編載せて頂いて感謝感激雨霰。
長編ってどこにのっければいいのかなーってしどろもどろしてたら
すぐに載せられてて吹いた。面目ない
828創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:50:43 ID:a5n7oBnl
って…リロードしろよ俺orz
829創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:53:11 ID:a5n7oBnl
しかしこのファンタジーシリーズ
ファンタジーというわけでもなくなってきたな
裏にいろいろと練りこまれた設定がありそうだ
830鴨 ◆KAMO...m5E :2008/11/23(日) 01:53:33 ID:vnsASY02
>>805
>6キロほどの森と巨大な池を渡らないといけない。
池じゃなくて湖でした・・・なんで投稿してから気付くんだ、俺orz
831創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 01:53:55 ID:OYPvEVFE
>>803
なんというマッドサイエンティスト

>>825
新しい仲間ktkrっ
832創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 02:02:13 ID:OHIx0o4s
おお、今夜は大漁ですな
833創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 02:16:46 ID:OYPvEVFE
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00410.jpg
久しぶりに長編とかと関係のない絵とか…
封神演義にもこんなシーンがあったなぁ
834創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 02:22:07 ID:a5n7oBnl
これはなんというもふもふ!!!!
835創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 02:28:05 ID:ySr2D3Mo
太上老君だな
ひつじっ娘かわいすぎる!
836創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 03:20:50 ID:vZNdsgWv
真ん中のメエーがソニーにしか見えない。
837創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 03:24:36 ID:a5n7oBnl
俺も見えた!
しかしこの子のおへそよりもそんなところに目が行くとはお前やるな
838創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 09:04:01 ID:9O6wJEex
まさかのサブリミナルw

かわゆいモフモフだ
839創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 16:41:19 ID:POU/W99S
>>756辺りかな? 凄い進の早いよう(笑)
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00412.jpg
840創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 17:08:16 ID:vnsASY02
右端の人が裸に見えた
841創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:12:48 ID:a5n7oBnl
確かにこの指で楽器弾くのは大変だねぇ
842創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:21:34 ID:POU/W99S
>>769
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00413.jpg
>>790
そういや、道北のヤンキーは氷点下20度でも薄手のジャンパー位で学
校来てたけど、今でもそうなのかなぁ?
>>795
パンダか!危なく山野先生パンダにするところだった。
>>802とか
もしかしたら「サンタそっくりの人」が来て算数先生がサンタになれな
くなってムキーって可能性も(笑)
843創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:22:41 ID:yNCXioLX
>>842
こえぇよww
なんていうかレウスの鍵爪攻撃を思い出した
844創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:25:10 ID:MfK+zc3r
>>842
こえええw
こんなん保健室行きじゃあすまんだろw
845創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:27:24 ID:a5n7oBnl
>>842
なんという迫力ww
こええぇぇぇ
846創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:28:38 ID:vO/q1Sbt BE:411016526-2BP(0)
凄い構図だなー
847創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:32:07 ID:tVDLDj7m
相手が利里だったから保健室行きで済んだと…
848創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:34:30 ID:a5n7oBnl
肌がうろこで固いから爪はじきそうだもんな
849創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:52:43 ID:alo45TB0
ツメ→オキシドール
850創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:54:59 ID:POU/W99S
>>839は筆ペンで線を取ったらちょっとアレな感じになってしまった
ので、描き用に最初に描いた設定の方も公開しておきます。こっちの
がりんごが可愛く描けてるし(笑)
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00414.jpg
851創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:58:16 ID:a5n7oBnl
丈やっぱ背高いんだなー
852創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 20:00:57 ID:EceW4Nrw
星野りんごでやっと気づいた
853創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 20:31:39 ID:alo45TB0
ケモノ学校の正式名称って
決まってたっけ?


今、すごく校歌を作りたい気分
854創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 20:32:27 ID:a5n7oBnl
決まってないと思う
校歌いいな!
855創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 20:46:01 ID:REjZY9M6
ヌコ小学校からシリーズになってケモノ学園変わったけど、誰も正式名称は書いてないはず
856創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 20:57:15 ID:POU/W99S
学校の名前は私も先日からずーっと考えていました。 最終的に
「ケモ園(ぞの)」って略されるのはどうかな、と。 なので、
「佳望学園(けもうがくえん)」ってのは如何でしょうか?

以前(いのりんが通っていたころ)は生徒達が「けもがく」って
呼んでいたけど、最近は「けもぞの」が主流、とかってのも考え
ながら会社に通ってたわけですが。
857創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:14:41 ID:yNCXioLX
別の地区にライバル校の「尾棲戸大付属校(びすとだいふぞくこう)」があると見た
858創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:16:44 ID:a5n7oBnl
もうケモノ学園でいいよ
859創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:24:26 ID:fod3lXWE
「佳望学園(けもうがくえん)」に1票
860創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:29:30 ID:vnsASY02
国際的に言えばK.M.N school
861創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:46:54 ID:FiCfvxCT
「俺の嫁学園」とか無茶ぶりも寒い事考えてた時期が僕にも
ありました。オラ何だか流れに乗れてなくてワクワクしてきたぞ!
http://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00415.jpg

>>842
こちらは道南なのですが、学ラン+マフラー+手袋のみ
という姿で真冬でも歩いてる生徒が多いです。見てるだけで
凍え死ぬ。
862創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:52:57 ID:a5n7oBnl
>>861
そうか! 保健室は白衣の園だったんだ!
863創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:57:16 ID:alo45TB0
こちら道央。半袖の人を見ました、マイナス5度です!
アホです こちらが寒いです どうぞ


・・・道産子多い?


ウィキ「校歌」より

>曲と歌詞
>メロディは作られた時代や作曲者などによって違いは様々であり、歌詞も同様である。
>だが、メロディと異なり、歌詞については一定の類型が存在する。
>よく歌われる内容として、次のようなものが挙げられる。

>・学校の所在地周辺の自然や地理、風土、具体的な地名など
>・学校の標語や校訓、教育理念、校風など
>・学校や学校の所在地の歴史
>・社会や未来への貢献、新しい社会の建設などを語るモットーやスローガン
>・学校名
864創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 21:59:01 ID:a5n7oBnl
校歌といえば学校名連呼だよね
865創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:21:20 ID:REjZY9M6
俺の出た学校の校歌はどれも校名でなかったよ?
小中高大全部
866創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:23:03 ID:tVDLDj7m
俺の母高校は三番まで歌って校名が出たの3回だな
まぁサビが全部一緒ってのが原因なんだけど
867創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:23:44 ID:a5n7oBnl
俺は小中高は学校名入り、大学はなぜか地名入りだった
868創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:23:55 ID:tbR3piqT
サン先生なら、ヒーロー風な曲にして却下を食らいそうだw
869創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:25:33 ID:a5n7oBnl
そういえば友人が通ってる専門学校の校歌が凄くヒーロー風だったw
サン先生なら凄いの作詞作曲してくれそうだw
870創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:26:48 ID:MfK+zc3r
なんか日本ブレイク工業思い出した
871創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:27:19 ID:s8aDboTp
俺のときは曲の最後を「ああ○○高校」で締めてたな
872創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:28:42 ID:fod3lXWE
サン先生、完璧超人だからな。いつかは、弱みを見つけたいな…とか思いつつ。
俺の高校の作詞は当時の『国語科教師一同』だったような。

それにしても、北海道人多いいんだね。ここのスレ。
と、九州・福岡より。
873創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:29:20 ID:a5n7oBnl
>>870
ちょっとそれっぽかった
たぶん曲がアップテンポなのと学校名がカタカナで長いのが原因かと
874創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:44:02 ID:28ulCkuK
発信 ゆんゆん 発信 ゆんゆん 発信 ゆんゆん 光と光
875創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:47:44 ID:POU/W99S
>>861,863
やっぱり若い子は元気だなぁ(しみじみ)

>>872算数先生だって恐いものは有るんだぜ?
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00418.jpg
876創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:49:21 ID:tVDLDj7m
この学校の女性教師怖い人多すぎワロタ
877創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:49:50 ID:a5n7oBnl
叱られてるサンシーシ先生もかわいい!
878創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:50:28 ID:alo45TB0
今きづいたんだが、
サンさん、裸足w
879創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:52:54 ID:a5n7oBnl
足裏の肉球も最高だね!
880創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:52:55 ID:REjZY9M6
ミオ先生が超美しい……

なんで行き遅れてるんだろう
キッつい性格してんのかな
881白・美王せんせい:2008/11/23(日) 22:55:06 ID:fod3lXWE
「「なんだと」」
882創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:56:28 ID:FiCfvxCT
>なんで行き遅れてるんだろう
>キッつい性格してんのかな

今の白先生を見ていると同じ道を……おや、夜中なのに誰か来たようd
883創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 23:00:06 ID:FiCfvxCT
秒数カキコ…これは死亡フラグ……ゴクリ
884創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 23:16:12 ID:MfK+zc3r
てかヨハンしゃんって男だったのね
女の子大好きのレズビアンでナルシストなのかと思った
885創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 23:48:38 ID:alo45TB0
性別不明でおk

自分も女だと思ってた
886創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:03:55 ID:OVFa2h9S
ヨハン・アーネットは男だよ。ロン毛だよ。髪の毛無駄に
お洒落しちゃうよ。おっぱい無いしちんこ付いてるよ。
でも大胸筋矯正サポーターは付けてないよ。ブラじゃないよ。
これからは性別書いておかないとなぁ。
887創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:05:18 ID:iymPZJd2
ヨハンは絶対ウザキャラだと思ったのに意外にモテモテなのね
888創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:10:48 ID:d67F3m5y
女の「子」大好きなので、白先生や英先生は(ry
889創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:37:39 ID:tNBaPtHD
>>887
同姓から見たらうざいぜ < モテモテ
890創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:57:05 ID:mNbcjeaY
うおう、自分の考えたキャラの絵を描いてくださっている…。ありがとうございます!
なんだか感動するわぁ。
とりあえずりんごのキャラが薄い気がしたので肉付けSS作ってみた。
891創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:58:04 ID:mNbcjeaY
それを横目で見ている塚本と来栖。
鎌田はというと鍋のそばでなんとか温まろうとしている。
「調理実習とか超だりぃよなー。料理なんて女がやるもんだろ。」
「最近はフェミニズム社会のおかげで男も料理、なんて時代になっているがな。」
「そんな女々しい男になってたまるか。とにかく俺はサボるぞ。おら、キャッチボールだ。」
と良いながら塚本は来栖にトマトを投げる。
放物線を描いて跳んだトマトを、蹄の手で器用に受け止める。
「お前はやることなすこと、いちいち子供染みてるよな。」
「ちょっと塚本、来栖!なに遊んでるのよ!」
「うるせぇ!男はカップ麺の作り方さえ知っていれば生きていけるんだ!」
塚本と来栖は女子生徒の注意を意に介す様子もない。
「まったく、いつの時代も男子はうるせぇモンだな」
「ねー」
と悠里とやり取りをする翔子だが、何かを忘れているような気がした。
何か思い出そうとした刹那、体を液体窒素に突っ込まれたかのような寒気を感じた。
「しまった!りんご…」
とりんごの方を振り向く。手遅れであった。
892創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:58:52 ID:mNbcjeaY
「りんごちゃん、卵ってどのタイミングで入れればいいの?」
「フライパン暖めたら一回濡れ布巾で冷やしてみて。それから入れるといいよ。」
「おいりんご!スパゲッティの鍋が吹きこぼれそうだ!」
「それは火を弱火にしてから…」

昼前の暖かさと寒さが入り混じる時間帯。
家庭科室では調理実習が行われ、大勢の生徒があわただしく動いていた。
人と炎と刃とが入り混じるその様は、フランス7月革命を思わせる。
その中でも迷える民衆を栄光の自由へと導くりんごのその姿は、マリアンヌさながらである。
ちなみに料理はミートソーススパゲティとオムレツである。
悠里と翔子がそれぞれ卵とひき肉を炒めながら話す。
「すごい人気ねぇ、りんごちゃん。やっぱり料理上手いのかしら。」
「ああ、りんごの家レストランやってるからな。小学生の頃料理コンテストで優勝したこともある。」
「マジで?じゃあこんどりんごの家行ってみよう。それより翔子、あんた卵が…」
「ああ、やっちまった!どうしてアタシが焼く卵はこうも黒く変貌するんだ!」
「それもある種一つの才能だわね」
翔子のフライパンから敗戦の狼煙のごとき黒煙がたちこめた。
893創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:59:45 ID:BybjDEQf
なんか順番おかしくにぃ?
894創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:59:49 ID:mNbcjeaY
「オラ来栖、パス!」
と塚本がトマトを投げる。
回転しながら宙に舞うトマト。そのそばを何かが通過し、次の瞬間真っ二つに割れた。
血肉を思わせる果肉が中からこぼれ出し、果汁と共に塚本と来栖の獣毛を赤く染め上げる。
一刻後に部屋の壁に軽快な音色と共に何かがさくりと突き刺さる。包丁である。
二つに割れたトマトが両方とも来栖の手の中へ着地する。
「「…え?」」
不穏な空気を感じ取った二人が横を見ると、何事かを呟きながら近づくりんごの姿があった。
右手には刃渡り一尺はあろうかと思われる出刃包丁、左手には架空のファンタジーで見たことがないような巨大な肉叉。
ただならぬオーラを纏っているのが一目見て分かる。
「り、りんご…一体…」
「…馬肉は低カロリー・低脂肪でありながら高たんぱくでアレルギーも少ないので女性や高齢者の方にもお勧め…。
生で刺身やユッケとして食べても美味…。
鹿肉は馬肉と同じく栄養価が高く、さらにDHAも多く含まれている…。
臭みが少なく、ラムの変わりにジンギスカンに用いられることもある…。」
ぶつぶつと口遊びながら近付くその様子は迷宮内を彷徨うミノタウロスもかくや、という恐ろしさであった。
「まずい!料理の鉄人モードになってる!」と翔子が叫ぶ。
895創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:00:44 ID:mNbcjeaY
説明しよう。
星野りんごは洋食屋を営む両親の熱心な教育の賜物なのか、食への執念が尋常ではない。
そのため食物を粗末にしているものがいると理性の糸が切れ、通称料理の鉄人モードへと切り替わる。
料理の鉄人モードになったりんごの目に映るものは全て食材に変換される。
こうなった彼女の前にはいかなる獰猛な肉食獣も、一瞬で精肉と化す。
そうして作られた料理の数々は、食材の生前の面影をも残さぬ、美食家垂涎の出来であるという話である。
ちなみに鉄人の「鉄」は鉄のように強い、という意味ではない。
体中から鉄、つまり血の匂いを漂わせている、という意味である。
896創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:01:40 ID:mNbcjeaY
腰を抜かした塚本と来栖にりんごが詰め寄る。
慈眉善目のアプロディデは張眉怒目のタルタロスへと変貌した。
「塚本君はタルタルステーキにしましょう…。来栖君はブレゼで…!」
「やややややめろ、りんご。おお俺達不規則な生活してるから肉がカチカチでおいしくな」
「馬も鹿も暴れるから血抜きは手早くやらなくちゃ…!」
「ひぃぃぃぃ!」
兎人ならではの跳躍をし、空中で両手の武器を構える。
振り下ろした刃は倒れこんだ二人の首の一寸横に突き刺さる。
塚本と来栖はりんごの目を見てしまった。
いつもの穏やかな草食獣の瞳ではなく、己の衝動のみに食指を動かすジェイソンのそれである。
二人はこの世を儚む余裕もなく意識を投げ出した。
「あれ…なんでこのお肉ひとりでに動き出したんだろう…。ちゃんと屠畜しなきゃ駄目だわ…。」
もはやりんごには塚本も来栖も人ではなく、材料にしか見えていない。
凶器を引き抜いたりんごは再び両目を獲物に見据え、得物を振り上げる。
この段階でようやく翔子がりんごの両腕を押さえ込み落ち着かせようとする。
「おいりんご、よせ!そいつらは食いモンじゃない!食うなら老衰で死んでからにしろ!」
「だめよ翔子ちゃん、そうなったら肉質が固くなって口当たりが悪くなってしまうわ。」
「あんたたちそういう問題じゃないんじゃないの…」
りんごたちのやり取りに呆然としながら、悠里は呟いた。

おわり
897創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:04:01 ID:iymPZJd2
んー?>>892>>891>>894の順番でいいのかな?
898創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:04:22 ID:mNbcjeaY
>>891>>892順番が逆だた\(^q^)/
すんません、Wikiやってくださる方いらっしゃったら、訂正お願いします…orz
899創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:06:39 ID:BybjDEQf
あ、やっぱり最初逆だったんだね
おかしいと思った

そして、りんごちゃんは料理の鉄人キャラだったのか
900創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:16:32 ID:WIzt64+R
一スレ目のギャルソン犬さんはりんごちゃんの実家で働いているんだね
901創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:19:41 ID:BybjDEQf
おお、あのかっこいいギャルソン犬さんか
902創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:19:43 ID:xhZZj26m
パーカッションっていうから、てっきり音楽キャラかと思いきや
濃いねぇ〜
903創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:28:00 ID:iymPZJd2
オチで正気に戻ってないのかよwww怖いよ!
904創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:38:09 ID:BybjDEQf
ところで、そろそろ次スレのこと考え始めたほうがよさそうだけど
テンプレとかいじるところあったっけ
905創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 01:49:59 ID:WIzt64+R
ケモキャラ主体のSSや絵、造形物ならなんでもありありです。

って書いといた方が、ケモ学の流れで投下を躊躇したりしないで済むんでは?
906創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 02:02:34 ID:iymPZJd2
獣人ものの一次創作からアニメ、ゲーム等の二次創作までなんでもどうぞ。
ケモキャラ主体のSSや絵、造形物ならなんでもありありです。
シリーズ物の流れがあっても、気にせず投下して行きましょう。
ただし耳尻尾オンリーは禁止の方向で。
エロはエロの聖地エロパロ板で思う存分に。

前スレ http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1224335168/
獣人スレwiki(自由に編集可能)http://www19.atwiki.jp/jujin
あぷろだ http://www6.uploader.jp/home/sousaku/


これでどうだろう
907創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 02:07:24 ID:BybjDEQf
こっちのほうがいいなー
なんかそれだとシリーズ物を自粛しろっていう感じに見える

>シリーズ物の流れがあっても、気にせず投下して行きましょう。

>なんでもかんでもごった煮なスレ!自重せずどんどん自分の創作物を投下していきましょう!
908創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 02:09:27 ID:iymPZJd2
そうだね。どっちも混ざってる感じに出来るように投下出来るようそっちの方がいいか
909正義の鎌田1/4:2008/11/24(月) 03:31:50 ID:WIzt64+R
 学園祭初日。
 無事一回目のショーが終わった時、僕は芯まで冷えきっていた。
 ヒーローは常に他がために命を張らねばならない。
 子供達を楽しませるためには丹前を脱ぎ捨て、秋風の無慈悲な熱量に凍死の危機を背負
った我が身を曝さねばならない。
 だが僕はやる。やらねばならぬ。
「ひゃっはっはっ、笑われてたなライダー」
 僕に気安く話かけるこの男は塚本。
 よせばいいのに、わざわざ鹿と徒党を組んでいる奇特な馬男だ。いつの間にか僕も徒党
に入っているらしいが。
「やあ塚本、見てくれたの?」
「ったりめぇだ。ライダーのヒーローショーなんて超しっくりくるもん見逃さねぇよ」
ヒーローショーがしっくりくる……なんて良いこと言ってくれるんだ。
「塚本!君は本当にハルウララみたいな男だ!」
「はぁ?うわ、いててて!止めろ抱き付くな!トゲトゲが!お前の手のトゲトゲが食い込む!」
「あ、ゴメン」
 どうも僕の抱擁は嫌がられる。リアルカマキリの捕食行動そっくりだからかも知れない。
「ってーな。つーかハルウララってなんだ」
「そりゃあれだよ。成績は良くないけど勇気を与えてくれるっていうか」
「……馬鹿にしてんのか?」
「違うってば。褒めてんだよ」
 僕の褒め言葉を素直に受け取れないツンデレ塚本は眉をしかめた。
「なぁライダー。ショー終わったんなら一緒に学園祭見てまわろーぜ」
「ん、次の回まで時間あるし、そうしよう」
「え、まだショーやんのか?」
「何いってんの。ヒーローショーは一日4回公演が基本だよ」
「んなもんの基本知らねーよ」
 軽口を叩き合いながら、疲れてぶっ倒れている猪田先生に業務連絡を済ませる。
「猪田先生、ご協力ありがとうございました」
「いやいや、全、然、問題、無い、よ」
 完全に息が上がっている。中年に無理させすぎたか。すみません猪田先生。
「僕、塚本と学園祭見て回ってきますんで、次のキャストに予定時刻にちゃんと来るよう
言っといてください」
「ああ、わかったよ……少し、休ませて、くれ」
 疲れきった中年を放置し、祭り浮かれた空気を楽しむ。
「クックック、いのりん死にそうだったな」下卑た笑い方が様になっている塚本。
「おいおい、手伝ってくれた先生を笑うなよ」
 口では笑うなと言いつつ、僕自身、死にそうないのりんを思い出して吹き出しそうだった。
「いのりんの次のキャストってなぁ一体誰なんだ?」
 僕に問い掛けながら、塚本は方々ガン飛ばして肩で風をきりつつ歩く。
 元が草食動物なもんだから異様に視野が広く、無駄にガン飛ばしに適した顔面をブンブ
ン振り回してあたりを威圧する。
「次の回は『怪奇!子泣きメイド犬現る』だから、サン先生だよ」
 サン、と聞いて塚本が少し目を剥く。
「あの子供オヤジか……」
「そう、あの人」
 僕の脳裏にサン先生の生み出した数々の武勇伝が駆け巡る。街で行われた北海道物産展
の生キャラメルを全てジンギスカン味に為り変えたとか、実は芸大出身でジャンプに連載
していたことがあるとか、体育大出身でサッカーを極めており生涯無失点の伝説的GKだ
とか、調子が良い時は耳で飛べるとか、音大出身でオペラを選考していたからあんなに大
声だとか。
 噂通りだとすると大学をみっつも出ているじゃないか馬鹿らしい。
 でもあの人なら……と多少なりとも考えてしまうのは、それだけサン先生が異常──も
とい、才気に溢れているからだ。
910正義の鎌田2/4:2008/11/24(月) 03:33:03 ID:WIzt64+R


 メイドサン見物、ヒーローショー公演、牛沢メイド見物(来栖が何故か手伝っていた)、ヒ
ーローショー公演、割烹着ハルカちゃん見物、ヒーローショー公演。色いろ見て居るうち
に秋空は駆け足で赤く染まってしまった。
 既に夕日は西に沈みかけているが、学園祭は三日間開催される予定のため、校内は今日
の片付けや明日の準備の学生でまだまだ賑わっている。
 僕と塚本は校門前で駄弁っていた。
「……なんか今日一日ずーっとお前のヒーローショー見てた気がする」
「はっはっはっ。きっと僕のヒーローショーが面白かったから印象に強く残ってるんだよ。
明日もやるから見てくれよ」
「え゙っ?あ〜、考えとくわ」
 何故だか塚本は苦い顔をした。さては照れているな。
「塚本、ヒーローショーは子供達だけのものじゃないんだぞ?正義は誰の心にも等しく、
正しく響き渡る。ヒーローショーを楽しいと思うことは、全く恥じることじゃ無いんだ」
「……何か俺、頭痛くなってきた」
 塚本はいよいよ苦り切った顔で頭を抱えた。可哀想に、風邪でも引いたんだろうか。
「まーとにかくよぉ、今日はもうそろそろ帰ろーぜ。それかいつもの店いくか?」
「や、今日は遠慮しておくよ。明日の用意とかあるから先帰ってて」
 僕の断りを聞いてますます塚本の顔は生気を失った。
「んっだよ付き合いワリーな……鹿もライダーも学祭エンジョイしやがってよぉ〜……猛
もハルカにゃんとベタベタしてたしよぉ〜……くそー!クリスマスまでに彼女つくったら
ぁボケがぁ!!」
 塚本はぶちぶちクサクサ言いながら草食動物の眼でところ構わずガン飛ばして帰ってい
った。絶対彼女なんか出来なそうな惨めな背中だった。
 塚本を見送ったあと、僕は屋上に登った。
 ヒーローと言えど、見えない位置での悪意に立ち向かうのは難しい。だから僕は屋上か
ら出来るだけ広くを見下ろす。一欠片の悪意にも気付けるように。
 日が落ち切った頃、僕の複眼に浮かぶ偽瞳孔は消え去った。複眼全体が黒に染まり、可
視光域の電磁波全てを知覚して増大し視神経に流し込む。
 校内から漏れる蛍光灯の明りが眩しすぎる。
 だが、これでいい。悪い奴ほど明りを嫌う。
 僕が睨むのは賑々しい校内ではなく、澄んだ秋空の月明りが照らすほの暗い場所なんだ。
 屋上をぐるりと囲む緑のフェンスによじ登り、校舎の一番高い所からできる限り高く跳ぶ。
 運動エネルギーが位置エネルギーに移行し切った最高点で、翅をかき鳴らした。
 飛ぶのが苦手な僕は、徐々に滑空するように校舎や周辺の路地を見て回る。
 やっぱり居た。
 学校に程近い袋小路の突き当たり、柄の悪い輩に、我が校の生徒が取り囲まれて居る。
 毎年必ず学園祭の時期に我が校の生徒を狙ってカツアゲがあるんだ。
911正義の鎌田3/4:2008/11/24(月) 03:37:29 ID:WIzt64+R
 上から見下ろす僕の翅音に気付いた不良達が空を仰いで訝しげな顔をする。不良は6人。
狩りの首謀者らしきライオンが二人、ジャッカルが四人。
 カツアゲされかかっていた犬の男子達二人は、如何にもひ弱な感じだった。
 はは、笑っちゃうね。百獣の王が二人も集まって、その上四人も手下を従えてカツアゲ
だなんて。
 いのりんか花子先生くらい狙わないとかっこつかないでしょうに。
「おい!なに見てんだバッタ野郎!どっか行きやがれ!」
 ライオンが大口を開いて喚いた。
 僕はその声を無視して地面に下り立つ。

──ずしゃぁぁあ

 ……転んでしまった。
「なんだぁ?この馬鹿は?」
 不良達の視線が痛い。ので急いで立ち上がった。
「トウっ!」立ち上がり様に決めポーズ!
「……」
 不良達が訝しげに睨んで来る。
 よしよし、登場シーンで手を出さない悪者は好印象だぞ。
「君達!僕が来たからにはもう安心だ!早く逃げたまえ!」
 慌てず騒がすカツアゲされそうだった犬くん達を逃がす僕。やっべ、僕ったらパネェカ
ッケェんじゃない?
「うわぁ……」
 意図のよく分からない声をあげて犬くん達はドン引きした様子で袋小路のどん詰まりの
壁際に引っ込んだ。
「さぁかかって来い悪党共!」
 うろんな目付きで成り行きを窺っていた悪党共が、僕を取り囲むように散開した。
「なんかわかんねぇけどテメェ頭おかしいみたいだな。俺らが治してやんよ」
 頭の悪そうな口上を垂れ、ガチャ、だの、チャキ、だの、細かな金属音を立てて、彼ら
がエモノを取り出した。折畳み警棒にナイフにメリケンサック。
 どん詰まりの奥でエモノの金属臭を嗅いだ犬くん達が悲鳴を上げる。
「心配しないで!正義は必ず勝つから!ははは」
 犬くん達に声をかけながら、僕は“全方向を”見る。
 夜の闇に在ってなお黒に沈む僕の複眼を構成する単眼の集積が、スキを窺う悪党共の一
挙手一投足をつぶさに凝視し、僕の頭に──叢(くさむら)の本能に紫電を駆巡らせる。
 僕の外骨格の内を走る筋繊維にエネルギーが蟠(わだかま)る。熱い。この瞬間だけは丹前
なんか要らない。
 今、僕は──無尽蔵の発熱体だ。
「何、余裕かましてんだっラァ!」
 痺れを切らしたジャッカルの一人が警棒を振翳す。僕の後方二歩の間合。
「ハハ、“見えてるよ”!」
 僕は警棒の振りより速くバックステップし、ジャッカルの腕を取る。反射的に山嵐を掛
けそうになるが、下がコンクリなのを思い出して投げ放つ。
「ぐあっ!」
 僕の前方に居たライオンを一人巻き込んで揉んどり打ち、ジャッカル一人とライオン一
人が沈黙した。
「残り四人、だね」
 ニヤ、と笑って見せる。彼らに昆虫の表情が判るかは知らないけど。
912正義の鎌田4/4:2008/11/24(月) 03:38:21 ID:WIzt64+R
 ちっ、とライオンが舌打ち。
「こいつ、強ぇ。マジで殺すつもりでやっぞ」
 喉をぐるぐると低く鳴すライオンの号令を聞き、ジャッカル達が油断無く再度僕の周り
につく。
「まだヤるんだ?懲りないね」
 呆れた風を装い、僕はまた全方向をねめつける。
 本気の狩りモードに入った肉食獣をナメてかかったりはしない。さり気なく壁を背にし
て後ろを取られない様にする。
 さっきと違い、取り囲む全員の間合まで完全に目測する。
 前方にジャッカル、二歩半。そのジャッカルの後方にライオン、五歩。
 右にジャッカル、二歩半。
 左にジャッカル、二歩半。
「うおお!」「ぶっ殺す!」「死ねやぁ!」
 ジャッカル三人が同時に動く。
 左のジャッカルが腰溜めに突きかかるナイフを腕の外骨格で弾き落し、同時に右のジャ
ッカルが伸したメリケンサックの拳を掴んで引付ける。
 太腿に蟠るエネルギーを爆発させ、引付けた右に渾身の当て身。
 吹き飛ぶ右のジャッカルに巻き込まれて前方のジャッカルも昏倒する。
 エモノを失った左のジャッカルは後ずさって、ライオンの大将を置き去りに逃げ出した。
「はい、君がラスいち。まだヤる?」
「ぐっ……覚えてやがれ!」
 いやぁ、最後まで悪役っぽいなぁ。彼ら、ヒーローショー出てくんないかな。
「あ、ありがとうございます!」
「助かりました!」
 僕が場違いな事を考えているうちに、危機からの生還を漫然と感じ取ったらしい犬くん
達が礼を述べた。
「いや、礼には及ばないよ。ヒーローは困っている人を助けるために存在するんだからね。
それじゃ!」
 全速力で駆け出した。颯爽と飛び立って行けたらもっとカッコイイんだけどなぁ。
 僕はまた、学校の屋上から世界を見守る飛翔に赴くのであった。



913創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 03:41:49 ID:WIzt64+R
正直、人間サイズになったら蟷螂は侮れないと思うのです
914創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 03:46:34 ID:BybjDEQf
ライダーはマジで正義の味方だったのか!
ヒーローショーでものすごくこだわってた複線はこうなったのね
915創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 06:59:42 ID:7gO8SENm
意外と治安の悪い学校周辺に、ドキッ!
鎌田かっけぇ。これはさりげなく続編希望
916創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 10:30:38 ID:d67F3m5y
獣人総合スレ 3もふもふ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227489989

たてました。

>>909
鎌田くんの活躍で平和が守られた!!
でも、笑ってしまうのは何故だ。
917創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 10:42:36 ID:RMLPu3dI
ちょっと早くない?
今更だけど次スレは○○が立てるとか足した方がいいんじゃないの
918創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 10:50:12 ID:WIzt64+R
容量が500kb近くなったら立てるってので良いんじゃないかなぁ
今も残り12kbしかないし
919創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 11:21:57 ID:HirE62sc
スレ立て乙です。
最近は投下がいっぱいあって幸せ。
きっとすぐ埋まるさ。


鎌田氏グッジョブ!
登場時のSEを自らの口で「しゃきーん」とか言いながら
華麗に飛んでくるところを想像した。

かわいい。
920創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 11:23:14 ID:tNBaPtHD
>>913
                 ___,,r=ー--、,,,,,__        ,、
    __ノ\   // .,、-='ミV/////彡彡彡ヽ、    / `ヽ、_
    )  エ `ヽ、.   / ミミ y// 彡彡彡 三\ ヾ<゙  エ  7
    〈   フ  /  /ミミ\///// /彡彡 ミ\ l ii   フ  _l
    ゙i,  ッ /  /彡.彡=、_川/ 彡=ー'''))-、三 三ミ) |   ッ /
     ゙i, /゙.  ,ノ彡/ )):.:.:`'''ー''゙)):.:.:.:.:.:((:.:\_彡三 ) !r''' ̄⌒
      !'゙   (彡 |:.:ノヘ、゙l:.:.:l:.:((:/ ,へ、,,_)):.:゙i,三三ミヽ )i
        / | l 彡ノi/゙\|i :.|:.:.)//゙゙゙`''ヘ、(('i=y'゙iミミ゙ヽ、
     /\  l  .l彡rt, ,,==、゙i, l:.:.:(/゙゙,,m==、_ _ノh,/ .ノミミト、_,r'''゙,r=-、
   / エ \ i  )゙i、| .( (())i,:.i:.:.:/:::::(.(())ノ`:.:.:.:.:.:lノヽ,ミミミ==''゙
   .)  フ   > ノ((/.゙i, :.:.:.;;,,ン i i(:::::.:.Zニ,__:.:.:.:.ノ.゙i:.:.:.:iミミミヽ==、 \
  <   ッ  / ./人川ヽ、( :.:.:/=ミー、::.:.:.:.:.:ノ,イ ,ノ:.:.:.:.゙i;;;\ミナ-、_ .゙i,
   \ _,rー'''!゙ Vハメ.|:.:.:i:>、:.:`-=r''゙゙:.:.:.:.:.:.ハ y''゙::.:.:.:.:.:.:.`i;;;;;i、ヽ
    `'   (  ゙! r'''゙i:.:.\(ノ<ニ=ニ>、__,r.:./:/:.:.:.:.:.:.:. ノ::i;;;;;;;゙l`''=、, ヽ
    _ニ   /;;ir=':.:.:.:.:.゙i,'゙ヽ-=r''゙゙゙:.:.:ノ/:.:.:.:.:.:. / :::ノ;;;;;;;/;;;;;;;;;;;゙'
      _,、-/;;;;;;;l:.:.:.l :::.:.:..゙i, :.:.:.:.:.)):.:./ /:.:.:.:.:.: :./;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;
   _、r''゙゙;;;;;;;(;;;;;;;;;;;;i:.:.:.:い:.:.:. `=ー--ー'゙:. /:.:.:.: .:./;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;
921創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 12:25:45 ID:kEoeUEBo
鎌田かわい…あれ?カッコイイぞ?鎌田がカッコいいぞ!
922創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 13:20:19 ID:0f+lYsnh
「おい純二、鼻血止まったか?」
「そんなことより腰が痛い。 くそう、あのバッタやろう」
「しっかし、ヒーローが夜な夜な現れるってのは都市伝説じゃなかったんだな」
「ああ、マジいけすかねぇ、ムシの癖に、ああ、情けネェ、百獣の王が」
「鼻血鼻血鼻血、たれてるたれてるってば!」
「兄さん、悔しいよー」
「まずは、おちつけ」

夜の公園のベンチに、ライオンの巨漢が二人。
チョイワル兄弟は見事に「ヒーロー」に打ちのめされ、今に至る。
悔しさで血液が滴る。

「パン食べる?」
「いや、いい」

風が強い夜だ。深々と冷え込む。
とうとう雪がちらつき始めた。

「どうする? 母ちゃんに何て言う?」
「階段から落ちた、とかじゃダメだよな」
「嘘がばれたら、ぶたれてキズが悪化するぞ」
「神様、もう悪い事しませんから、どうか、お許しを」

母の事を思うと、涙が浮かぶ。
ライオネスは世界一怖い。

「へっくすぃっ!!」
「兄さん、怒られるの覚悟で、一旦帰ろうぜ? 寒いよ」

二人は立ち上がった。公園の小さな灯りを頼りに公園の出口に向かう。
「純二、お尻に穴開いてる」
「うお! どうりで寒いわけだ! くそぉーーーー バッタ野郎っ!」
「恥をかかされて黙っちゃいられねぇよな」
「兄さん?」

巨漢の大きい方が、拳を高々と天に上げた

「ツインライオンズは不滅だ! かならず、かならず復讐するぞ」
923創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 13:55:04 ID:WIzt64+R
おお、使い捨てのつもりだったライオン達がキャラにw
卓くん達にやられた奴等と同じ隣り町の不良高校生徒ですかね?
いやむしろ粋がった中学生とかでも面白いかも
924創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 15:48:26 ID:x/G8rotU
白倉「猛君と利里君は似てると思うんスよ」
跳月「顔面凶器、ぐらいの共通点しかないような気がしますけどね」
925創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 17:57:09 ID:WIzt64+R
「結局のところ“自発対称性の破れ”ってのはなんなんスかねぇ」
「解説しましょうか?」
「お願いしまス」
「例えば、常温の部屋に氷を放置すれば解けて水になってしまうでしょう。それと同じで、
超新星爆発で生まれた宇宙の素になった物質も、空間に存在するうちに平衡状態を保てな
くなってしまうんです。本来対称性を保っている物質はまだ未発見の物質とぶつかり対消
滅して無に帰るわけなんですが、それが出来ずに何割かの物質が残る。自然に平衡が崩れ
るというその現象を自発対称性の破れと言うんです」
「へーそうなんスか」
「……本当に聞いてました?」
「はい。今ので小林益川理論の解説を聞いても理解出来なそうって事がわかったっス」
「そうですか。僕にとっちゃ化学より物理より生物の方がよっぽどややこしく感じますけ
どね。酵素とかわけ分かんなくなりません?」
「えーでも面白いんスよ?分子標的薬剤による癌治療とか聞くとゾクゾクしません?」
「僕は医療の進歩ってむしろ怖いです。だって死因No.1の癌まで治せるようになっち
ゃったらもう人間死にませんよ?“メトセラの子ら”みたいな長寿人類が“ソイレントグ
リーン”をむさぼる世の中になりそうで」
「はは、多分そこまで僕ら生きてないっス。でも癌のみについて言えば根治なんてすぐで
スよ?腎不全治療で研究されて来たHGF(肝細胞増殖因子)が癌細胞の成長を促す物質だっ
てわかってから、実際に分子標的薬剤開発が始まってますから。5年以内に新薬発表らし
いっス」
「……今度はこっちがついて行けませんでした」
「ん、医療の話か?コーヒー淹れてやるから私も混ぜてくれよ理系インテリの諸君」
926創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 18:11:06 ID:7EW/dwUn
お、支援って意味あるかどうか分からないけど、支援っ
927創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 18:42:35 ID:WIzt64+R
ごめん、続かない
白衣達喋らせたかっただげw
928創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 18:47:08 ID:BybjDEQf
さて、あと6KBですぞ
929創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 20:32:29 ID:BybjDEQf
 ヘ⌒ヽフ⌒γ  埋めよっか
( ・ω・ ) )
 しー し─J
930創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 20:36:36 ID:gd+In+gH
                       / ̄ ̄ ヽ,
     / ̄"ヽ             /        ',
     b ,-、 d      ./" ̄"ヽ  {0} /¨`ヽ {0}
 r-=、 |. `=' |_     .bi ,-、 id  |  ヽ._.ノ   |
 `゙ゝヽ、|   ノ  `ヽ、  / `=' ノ゙`ー |  `ー' / ̄ ̄ ヽ,   
  にー `ヾヽ'"    .ィ"^゙i   _,,ノ ,  |    /        ',
 ,.、 `~iヽ、. `~`''"´ ゙t (,, ̄, frノ   ゝ-‐ {0}  /¨`ヽ {0}, 
 ゝヽ、__l ヽ`iー- '''"´゙i, ヽ ヽ,/   /   l   ヽ._.ノ   ',
 W..,,」  .,->ヽi''"´::::ノ-ゝ ヽ、_ノー‐テ-/ i  |   `ー'′   ',
   ̄r==ミ__ィ'{-‐ニ二...,-ゝ、'″ /,/`ヽl : : ヽ        )'^`''ー- :、
    lミ、  / f´  r''/'´ミ)ゝ^),ノ>''"  ,:イ`i / \      /     `゙
    ! ヾ .il  l  l;;;ト、つノ,ノ /   /:ト-"ノ  \   /
.    l   ハ. l  l;;;;i _,,.:イ /   /  ,レ''"    ヽ_,,ノ
931創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 20:36:58 ID:BybjDEQf
.        /\                      /ヽ
      / .:ヽ\                  /,.::. i
        ゝ .:::\ \                   / /:::. く
       ミ .::::::\ \             / /::::. ミ  ____
        ミ .:::::::::\  \             / /:::::.. ミ ./     \
/ ̄ ̄ヽ 7  .::::::::::\   \       / /::::::. / /   次   さ  ヽ
      \ヽ  .:::::::::: \  ヽ       / /::::::. / |  ス.   ぁ  |
       ヽ.\ .:::::::::::::ヽ   i     l /::::::. /  .|   レ   さ   .|
        |  \ .::::::::::::)  ヽー-―ノ !::::. /  |  に   ぁ   |
        |   ヽ、w'V            `w /   .|    //  ち  j
  急     |.      )            (    ヽ  ・・     /
  ぐ      |    /  ヽ \        / , ヽ    \     /
  ん     \.   /     \ \,.   、ノ /  ヽ     // ̄ ̄´
  だ     l⌒  l   /⌒ト、        ,イ⌒ヽ !
  //      |.   ,ゝ     弋ゝ    くり   〈
 ・・       l.   /     `ー´        `"´   |
         /  .ミ             __,       ミ
ヽ、     /    ミ、          `'''´     ,ミ     ___
   ̄ ̄´      /\      , ――-v'    /    / `ーヽ
           /i   \              /!|   ,イ  、__ノ
,. -―- 、__/ ヽ    ` ‐-      -‐ ´ 八  /  、_/⌒く⌒く`ヽ
     >       ヽ             /  \/      ヽ  ヽ  ヽ ヽ
     フ                          /   Y   /   /  / /
     ゝ                          |   ` ̄ ̄7⌒7  / /
      Z                      ヽ、  __> ^ー^ーヘ
       /                              ̄ヽ         ヽ
      フ                            )         \

獣人総合スレ 3もふもふ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227489989
932創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 20:37:44 ID:BybjDEQf
                           r'=〈⌒ヌ、
                                { 0 0 0j、
                              {  r'^ヽ }
                           弋 (____..ノイ
                (、.    ,.====z  f´`ー-=、j
           テz--γ‐': :`ー‐f\::::ィヲ'ヽ 大__   f´ノ⌒ヽ
          テr'^/:/: : : : : : :.人: ヽト、`!:ソ  `ー'' (.  ケ `)
          ヽソy八: : : :f---'ヽ: : ヽ^::/   /   (. モ ソ
        ., -'´: : :/,t、`ー‐ゝ ,ィ^ヽ, メ: ∨   /   ノ  │ )
      ィ´: :,7: : :ソ ⌒` =-  `、!::j_,´ /´、  ./    ⌒ヽ.ツ ノ
      {: f/: : 〈   -<^ー、テ ´´':/〈   ̄´/
      、j: : :,: :`-、   ヽ::/___j:/  `‐、___/: \
      {: : :イ: : :___>r' ̄ ̄ ̄〉/     /: :、: : :\
      |: : ||: : / '´ _,. -'´__フ   ッ_ ,/: : : ハ: : :`}
      、: : !、_yゝ ´_,.=、<      7/: : 、: : } 〉: : :|
       ヽ:Y  〈_/    \    /: : : : |: :j ノ: : :ノ
        八   !       `ヽ.__,/: :、: : : ∨: : /
         ヽ.__人..__,.=t、_  7': : : }: : :リ:/
          Z,ッメ    .,、ッ`∨: : : :ノ: : : レ'
           ∧{       ヽ: メ: : :/:{
          /\`、       ∨{: : 八:ス  __,,..r-─‐-、
          〈  ヽj         \:|、__/´  __   \
         ヲソ\__/  d         \_ノ^!イ´   `ヽ   }
       イ´    ハ テ,.        {二ソ--'      ノ  .丿
      {f´    ノ_j_      _,.-≠´ / |ヽ.     /  /
       `メ___/´ /`ヽ.____,..../     ' .! ヽ----‐‐'  /
   ,_.,_,,ッ_,.≠´  /    ヽ./         トー- ___,≠
  ≠ _,.z='   _,.≠     /          .|
 { ´   _,.='´ /      ./          ,リ
 `ー‐''    ./      /            /
933創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 20:38:22 ID:gd+In+gH
                                  /\___/ヽ
    (.`ヽ(`> 、                      /''''''   '''''':::::\
     `'<`ゝr'フ\                 +  |(●),   、(●)、.:| +
  ⊂コ二Lフ^´  ノ, /⌒)                 |  ,,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|    500
  ⊂l二L7_ / -ゝ-')´                .+ |   `-=ニ=- ' .::::::| + .
       \_  、__,.イ\           +     \   `ニニ´  .:::/    +
        (T__ノ   Tヽ        , -r'⌒! ̄ `":::7ヽ.`- 、   ./|  .
         ヽ¬.   / ノ`ー-、ヘ<ー1´|  ヽ | :::::::::::::ト、 \ (  ./ヽ
          \l__,./       i l.ヽ! |   .| ::::::::::::::l ヽ   `7ー.、‐'´ |\-、
934創る名無しに見る名無し
                  _        _
                /  >ュ  '' ~    ̄`    _
                    /〃/ / }|       >r'  ̄    /
             / / { /         /  L      /
            /  /レ/∨        ∠_    レ   /
           /   , / ∧  , -         ̄`ヽ /  ヽ
      次    レヘ  |/  ,' /              V    \
             ヽ|t _L/               ヽ}      ` ーz
   待  ス   r ''' ~ ̄ /                 V  ヽ   ∠_
          ヽ ̄ ̄Ζ レ /   {  レヘヽ  hハ    ヽ  \   √
   っ  レ     \ ´ { / //ハ∧|   \|  ∨|    }   ><
              `T"∨ ハ{         二´ ハ,   い    ゝ
      で       ノ ,ノヘ{∧‐- 、     ィラモ!  i   }    太
   て        =イ   气  ハ Tl ヽ     }r' N _}   ∧ハ レ代マ
            ノ/´}  ∧ }! 、い}      ー ' 二ノ ∠
   る           ノル  |レ、二  、 __    >i ̄三、
                    n> '" ̄`ヽー' //厂   V
   よ
   
   |