古典RPG・ウィザードリィの二次創作スレです。 正伝#1〜#8、外伝1〜4、ディンギル、エンパイア、XTH、BUSIN etc. エロ、グロなどの18禁ネタはエロパロ板の該当スレで。
2 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/12(日) 21:01:31 ID:+01oot6t
スレ住人はふりかぶった
そして 10かいあたり 100のダメージ
>>1 はどくをうけた
>>1 はまひした
>>1 は石化した
>>1 はくびをはねられた!
とかでもいい訳ね
おおっとテレポータ
能力ボーナス7の戦士です よろしく
いしのなかにいる
わたしはなに?
大量に待機してる「あ」さんとか「あああ」さんとかの話でもいいのかw
身ぐるみはがされ抹消されるだけの人たちか
ディオス唱えさせるためだけに呼ぶのは勘弁してほしい
ぐあ。テメェの書くネタがまとまったら、世界樹やら、ととモノやらと合わせて 『3Dダンジョン総合』を立てようかと思ってたのにWizスレが立っちまってたか。 個人的には書きたいネタがWizだからあんま問題ないけど、Wizだけだったら過疎らねえ?
ああああは ウィッチをはげしくついた! そして 1かいあたり ……こどもがうまれた!
>>10 だって基本同じでも細かいところ別だしなあ。
自分としては纏められるとちょっと……
よし、早速投下するz
ささやき-いのり-えいしょう-ねんじろ!
よじかんかけたSSは もはやカドルトをつかわなければならない
俺、ウィザードリィが一番好きなゲームだと公言してはばからないけど 実はどれもクリアしたことないんだ
クリアなんて飾りです
1とディンギルと隣り合わせの灰と青春しか知らない
手塚の『ワードナの逆襲』小説版はオモロイ。 今で言うところの「死亡フラグ小説」。 1:ワードナ蘇る ↓ 2:ダンジョン徘徊 ↓ 3:見張り番発見 ↓ 4:見張り番の回想話(読者は見張り番に感情移入) ↓ 5:ワードナの超絶的な攻撃で見張り番木っ端微塵になって死亡 ↓ 2へもどる こんな流れで、最後はカント寺院にたどり着き マルチエンディング(最終章が何パターンか用意されてる)。 描かれる死に漂う、そこはかとないエロさとか、 ものすごく単純な手法が、むしろコロンブスの卵的なマルチエンディングとか、 単なるゲームのノベライズで終わらせちゃうのは勿体無い作品だと思う。
>>16 ゲームのノベライズによくある、アイテムや呪文をくどくど説明するウザイ部分がないから、話そのものを愉しめるのがいいね、手塚の#4小説。
ベニ松のはそういう部分がえらく多くて最後まで読む気にならんかったわ。
今から読みたいとも思わんけどw
最近流行ってる世界樹の迷宮はスレ違いですか? これもOKなら、スレ伸びる! …かもしれない
仮にもwizスレなんだし、ほかのダンジョン系はスレ違いだと思う 新たに立てた方がいいんじゃないのかな それか迷宮スレに統合させるとか
20 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/28(火) 22:47:49 ID:cjTq33ri
age
21 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ :2008/11/01(土) 03:44:26 ID:K+w1Udbp
ウィザードリィサモナーの新職業になるための初期パラメータを教えてください!!!
22 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ :2008/11/01(土) 10:56:26 ID:Lm2FOLwC
中卒 職歴なし 彼氏歴なし 性行為歴なし 1978年以前生まれ でサモンWIZになれる
おおっと!
ビリビリビリッ! ズガガガッ! いきなり 灰エンド
!!ああっと!! ……はスレ違い。
スレが無かったから18禁にいたけど、これからはこちらに投下できるんだ! グロはどこまでオーケー?
注意書きでもつければそれでおkじゃね 2chの削除ガイドラインでは18禁にあたるのエロ下品だけだし
グロ目的でないんならいいんじゃない? なにしろ首のよく飛ぶゲームですから
29 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/07(日) 10:18:13 ID:KdwoG6jt
城へ戻りますか? →はい いいえ
「宝箱だ」 「宝箱だな」 「おい僧侶。カルフォかけろ」 「お前盗賊だろ? 自分の腕に自信ねえのかよ」 「俺は用心深いんだよ」 「分かった唱えてやる、CALFO」 「どうだ?」 「高圧電線だな」 「高圧電線? バチッバチッと来るアレだな」 「まあ、アレだな」 「ところでこの罠ってどんな仕組みなんだろうな」 「は?」 「だってさ、これ高圧電線って名前だろ? でもその電気が通った高圧電線に一番近い奴、つまり罠解除に失敗した奴が助かって宝箱から離れていた奴がフライにされる時があるんだよな」 「ああ、そうだな」 「つまり高圧電線自体は宝箱には仕掛けられてなくて、そこら辺の壁や天井に張ってあるってことだよな」 「そうなるな」 「ちょっと高圧電線が発動した時にどうなってるか調べようぜ」 「つまりわざと普通に開けるってことだよな」 「お前がな」 「待て、なんで俺なんだよ。ここは普段宝箱を開けているお前が妥当だろ」 「いや、どうせ誰が開けようが開けまいが同じだろ」 「それじゃお前が開けても一緒だろ」 「チッはいはい俺が開けるよ」 「分かればよろしい」 「よし、開けるぞ……おおっと!」 とうぞくは かんでんした! そうりょは かんでんした!
戦士「ったく! せっかく拾いに来てやったってのに、 何やってんだか・・・ おい! 灰を集めて、とっとと上がるぞ! 急げ!」 魔法使い「勘弁してよぉ・・・ パーティーに二つも空きがあるままじゃな〜い」
地下一階にて 「じゃあ俺らここで待機してるから、宿屋よろしく」 「また馬小屋かよ……」 「ビショップどうする?」 「冒険者の店に捨てて来い、治療は高いからな」
ニューエイジオブリルガミンの#5で城で死亡状態になっているキャラをカンディすると「城の死体置場の中」って表示されるんだっけ?
生き返らす前には必ずフロッピー抜いとこうぜ
>>34 PC版ですな?
俺がプレイ済みなのはファミコン版の三作とスーファミ版のY
までだな、
>>33 の言う最近?のはやってない。
みんなは何作手をだした?
1〜3とディンギル 1は名作だと思う、ソード+2が出ない事を除けば
一番遊んだのBUSINだな…結構ストーリー多いんだけど 「ちょっと主人公死んできてくれ」っていう寄り道イベントがあって まじ死ぬほど笑った
自分は1〜7とディンギル
LOLと7は途中で投げたけど
>>35 最近っつーかNAoLはまんまPC版#4#5の移植+#4のリメイクだな
PCの五つの試練。 シナリオエディターとユーザーシナリオが優秀過ぎ。 へたな公式より面白い。
そろそろ日が暮れる。 日が完全に没するまでには時間があるが、城壁に囲まれた都市では日没の前に夜が訪れる。 既にこの通りに陽はさしていない。 大きな商家の軒先や大通りの街頭に専属の僧侶たちが灯りをともしていく。 城塞都市では今がもっとも暗い時間だ。 街には夕餉の匂いが漂い、城門そばの宿屋は最後の呼び込みに声を張り上げる。 もう少しすれば衛士たちの日暮れを告げる先触れと夜を告げる鐘の音が通りに響き渡るはずだ。 急がなければいけない。商売の種がこぼれ落ちる前に急がなければいけない。 目当ての訓練場近くでそろそろ混み始めるであろう酒場兼安宿に急ぐ。 「ねー、アーノルド。そんなに急いでどこにいくのさぁ。よっていきなよ」 生臭い空気が道を漂い、生臭い男女が道を歩き、生臭い声が道を包み込む。 急ぐ余りにいつもは避けている通りを歩いていることに気がついた。 娼館通り、通称「蜘蛛の巣」。一度絡め取られれば逃げ出すことは難しい。 少女愛好家から異種姦まであらゆる快楽を味わえるとの噂で名高い、この都市の名物の一つだ。 余談だが、この都市には他に2つの名物がある。 一つはボッタクリで名高い総合装備店。 一つは悪魔すら骨抜きになると言うこの蜘蛛の巣。 そしてもう一つが、俺の仕事場だ。 無視しても良かったが、お得意様の一つだ。 立ち止まって軽く話をするしかない。
「シニストラリ、悪いが仕事の時間なんだ。夜型の務めでね。他人様が楽しむ時間帯に働かなきゃならないのさ」 その通り。全く持ってその通りだ。 夜の生き物を自称する俺にとっては今からが活動時間。 昼間は他人様が働き俺は惰眠を貪る。そのかわり夜は他人様のために俺が働く。 「そんなこと言ってー。アーノルド眠そうじゃない。今日は昼間働いたんじゃないの? だったらうちで休んでいきなよ。 アンタからは金なんか取らないからさ。朝まで子守歌を歌ってあげるからさぁ」 シニストラリがよってきて、こちらの腕に身を寄せる。同時に太ももの付け根を絡ませ、奥の部分を軽くこすりつけてきた。 「いいでしょぉ。あたしさ、アンタに助けられてから、ずーっと恩返しがしたかったんだから。たっぷり味わってよ」 シニストラリは腕に絡めていた手を細やかに動かし、撫でさすりながら腰に絡みつかせる。優しく抱きしめながら、その実かなりの力で抱きついてくる。 もちろん痛みはない。抱擁は優しく、拘束は堅く。まったくたいしたものだ。 彼女はその間もどれだけ自分が感謝しているのか、囁き続ける。当然吐息の強さも香りも男の本能を自然に高ぶらせるように計っているのだろう。 こちらとしては古い話を持ち出されても困る。 アレはたんなるついで仕事だった。恩に着せるつもりも、恩を着せておくつもりもない。 助かりました、ありがとう。それですむだけの話だ。 時たまにだが、何ら対価を求めずに仕事をするときがある。 そういったときは何の報酬も受け取りたくないし、感謝されたくもない。 なぜかはわからないが、気まぐれにそういう気分になるときがあるのだ。
どう断ったものか。 騒がしくなった店の方を見れば、たわわに実った極上の果実たちがこちらをうかがいながらなにやら楽しげに会話をしている。 蜘蛛の巣の名店中の名店。ドルーデ・アシュリーヌ。 この世ならざる夢を味わえる、まさに夢幻の世界だ。 耳を澄ますまでもなく話の中身はよく分かる。 店一番の遊女シニストラリが俺を店に引き込めるかどうか、それを賭けているのだろう。 「仕事に遅れると困るやつがいてね。性格の悪いやつだから、あまり待たせたくないんだ」 体を引っ張り店へと連れ込もうとするシニストラリから、数歩離れる。 彼女が拘束をゆるめた訳じゃない。こちらが抜け出ようと動いたからそうなった。それだけだ。 「シニストラリ。アレは単なるついでだった。恩に着ることなんか無いんだ」 腕を輪っかのままにして、眼を白黒させている彼女に告げる。 「で、でも。ねぇ、アタシじゃダメ? 別段それならそれで良いんだよ、他の娘を選んでくれれば。全部アタシが飲み込むからさ」 なおもすがろうとする彼女に、店の仲間たちが声をかける。 「諦めなよ、ニース。アーノルドは女嫌いで有名じゃないか」 良いタイミングだ。これで話を打ち切れる。 「悪いな。俺のは役立たずでね」 「嘘!アンタが立たないなんて信じられないよ。どんなやり方でも好みでも言っておくれよ」 まいったな。あんまり誤魔化してばかりでは通用しないか。流石にこの店の女たちは心の機微にさとい。 「正直に言うとな。俺は、好みの女にはかぶりつきたくなるんでね」 がおーと両手を上げて襲いかかる振りをする。 「いいよ。だから食べておくれって言ってるじゃないかぁ。意地悪だよアーノルドぉ」 「悪いが夕飯はすませてあるんでね。じゃ、またな」 身を翻し、つき始めた街灯の下を早歩きで進む。 後ろから切なげな溜息が追ってきた。 ……勘弁して欲しい。腹が減るじゃないか。
店に着いた。 中をうかがうと、ぎりぎりで間に合ったようだ。 冒険者の酒場のひとつ。それが目的地だ。 何せ都市内の訓練場じゃ、どこの施設でも夕方までは新入りたちの試験と基礎訓練がみっちり詰まっている。 おかげで夕暮れ過ぎれば一気に混雑し、安い店じゃまともに座ることすら出来ない。 見渡すと目当ての一団がいた。 奥まったテーブル。トイレに近い不人気の席。 いわゆる半端者たちの指定席だ。 「よお、しょぼくれてるな新米たち。ちょっとばかり足りないだけでくよくよすんなよ」 そこだけ暗く沈んだテーブルに近づき、陽気に声をかける。 訓練場で全ての希望者が探索者としての資質を認められるわけではない。 かなり厳しい審査と特殊な訓練によって、始めて探索者として登録が許されるのだ。 若年者は貴重な労働力であり、社会の財産だ。 無駄に犬死にしてもらっては困る。 いざとなれば所属する集団のために戦うことを求められるからこそ、訓練場で基礎をたたき込むのだ。 とは言っても訓練の質は年々進歩している。 昔は使い物にならなかった足りないやつら――通称「五足らず」も、今では大半がぎりぎりではあるが探索としての基本職につくことが許される。 それすら合格できなかったやつら。 つまるところやくざ稼業に向いてないまともな生活へ戻るチャンスを与えられたやつらが、俺にとってメシの種だ。
「うるさいな放っておいてくれよ」 色白の坊やが睨んでくる。おお、なかなかの気迫。十分、十分。 見れば他のガキどももそれなりに小粒だが使い物にならないガラクタではない。となるとアレだな。 「くくく。お前ら訓練場を選び間違ったな。マーフィーの所に行っただろう」 「……何で分かるんだよ」 「はははは。あそこは外れなんだよ。どんなに資質に恵まれようが、アソコで訓練を受けると使い物にならなくなるのさ。 出来上がるのは良い木偶人形、新米たちの的だ」 訓練施設にも当たりはずれがある。 そもそも毎日あふれんばかりに都市を訪れる探索者希望者たちを公営の訓練場だけでさばききれるはずがない。 引退した探索者たちに免状を許し、私設の訓練場を作らせたのはもう古すぎて憶えているやつはほとんどいないぐらい前のことだ。 出身の探索者が成功を収めれば訓練場にも余録が入る。 金のあるところは人員も設備も整う。だからますます人が集まる。当たり前の話だ。 施設同士も得手不得手があるし、競争によって使い物にならない場所は潰れていく。 だが、都市の中で唯一潰れないのがマーフィーの訓練場だ。 都市の中にいる探索者に取っちゃ誰でも知っているぐらいの場所だが、余所からきた新参には見分けはつかない。 さらにマーフィーの所は免許だけは一級品で、忍者の訓練も受けられる。さらに新米には装備品一式と支度金まで出る。 毎日ある程度の割合でここを選んでは、訓練期間終了時に絶望する新米たちが生産されていく。
訓練場は基礎からたたき込む。それは反射の域にまで達する程の苛烈さだ。 それに耐えたやつは経験を積んでいければ、ある程度の力量を得ることが保証される。 逆に自己流でやっているやつは最初の成長が早かろうと、必ずどこかで壁にぶち当たる。 そうなれば一生そこ止まりだ。いくら努力しようが自分で基礎を歪めちまったら、完全にぶっ壊すしか直しようがない。 だが、完全に壊した状態から積み上げていけるやつなんて存在しない。 探索者としての旬は短い。もっとも大切な始まりを歪め、壁に行き当たるまで続けて、そこで粉々に砕かれる。 砕けたものをつなぎ合わす。外見からはまともになったように見えるだろうが、既に盛りは過ぎて中身はすかすかだ。 良くて数年経験を積み、中級者にもなれずに終わっていくだけだ。 テーブルで愚痴をこぼしあっていただろうガラクタを見回す。 年は揃って15歳前後。男女同数の二十人。しめて3編成とちょいか。 「やり直す方法があると言ったら、どうする?」 選択を示す。分岐点を、枝分かれを。単に提示する。 「!?」 彼らの表情が疑問の形のまま固まる。 何を言われたのか理解した。その瞬間、脳が未知の事態に停止したのだ。 いくら過去の情報を調べても、答えなど無い。だから探し続ける。だが答えなど出てこない。だから止まる。 「やり直せる。そう言ったらどうする?」
「――どうやってだ」 ようやく彼らのリーダー格の少年が言葉を発する。 「簡単な話だ。おまえたちの体は筋が完全に歪んでいる。歪められている。そのままでは使い物にならない」 事実を告げる。 他には何もいらない。 事実のみを告げ、望みを聞く。 技法も情実も脅迫も哀願も同情も何も必要ではない。 事実だ。真実などと言う人の数だけあるまやかしなどではない。事実だ。それ以外必要なことなど無い。 「歪んだ骨組みのかわりに、筋を通す。一本な。しばらく続ければ歪んだ骨子が矯正される。叩き直す事に比べれば確実だ。 そもそも訓練場とはおまえたちの体に基礎的なラインを形作るものだ。基礎となる骨組みが出来上がればあとは自分たちで肉付けしていくだけだ。。 それが歪んでいるなら、かわりの一本すじを通してしばらくそれだけに従えばいい。体が覚えた頃には歪んだ骨組みも矯正されている。まあ当然対価としてしばらくの間、護衛のようなことをしてもらうことになるが」 「――――」 声無く彼らは俺の次の言葉を待っている。詐欺師か救世主か、判断するためにだ。 「無論まともな方法じゃない。取引にのるにもリスクは当然つきまとう。だが――――」 言葉を切る。その先は自分たちの頭の中で思い浮かべればいい。 ――――もし探索者となる夢を捨てきれないなら。 ――――リスクを負っても成し遂げたい目標があるのなら。 ――――故郷に逃げ帰るのをよしとしないのであれば。
「四日間待とう。人間が出来てなくて気が短いんでな。どこかのやつのように四十日の間だ時間をかけるつもりなど無い。 「決心が付いたら四日後の夜までに俺の住んでいる家に来い。アーノルド・ポールに用事があると言えばこの界隈のやつなら誰でも案内する」 探索者が集う都市にはある問題が必ず発生する。 探索者間の階級差だ。 そもそも探索者は都市の定住者から見れば武装強盗と変わるところがない。 国家の軍事力により統制されている雇われ、つまり冒険屋なら問題がない。 だが都市の近辺に危険となる魔窟が存在し、その探索のために四方八方から探索者が集う状況では問題は山積みとなる。 文化や風習の違いによるトラブルから、はては迷宮探索時に財産を失い不法民となるやつらまで多種多様に問題を生み出し続ける。 成功しているやつは良い。 成功した探索者は金回りが良い。周囲に必ず還元し、いずれは都市の重要人物として定住をして要の人物になるのが多数だ。 成功すると言うことは周囲に認められると言うことだ。認められれば人間変わっていく。 元々一攫千金を目指すために探索者になるやつが大多数だ。 そう言うやつらは成功すると必ず決まって同じ事をする。 自分の子供たちに教育を与え、身分の高いやつらと婚姻させる。 そうやって正当な血筋を手に入れ、有り余る資産と探索で得た名声を元に誇りを積み上げていくのだ。
だが失敗したらどうなる。 仲間が死んだら? 寺院での蘇生は完全先払いだ。 迷宮で武装を失ったら? 武装を破壊する魔物がいないとは限らない。 仲間を助けるために救援隊に依頼して、結果ロストしていたとしたら? そうやって落ちぶれていったやつらは、不法民となり犯罪に手を染める。 定住した都市の市民から見れば危険極まりない。だが恐ろしくて対抗できない。 ではその矛先はどこへと向かう? 単純だ。 探索者になろうとしてなれず、諦めきれずに都市に残留するガラクタたちにその怒りは向かう。 四日後、俺の住処にきっかり3編成、18人が訪れた。 どいつもどこかしら怪我をしている。 片腕をつるし顔を腫らした少年、手首にあざを作り自分の体を堅く抱きしめた少女。 何があったのか。 考えるまでもない。 「二人足りないな。男女仲良く故郷に帰ったか」 「……そろって死にました」 「一昨日路地裏で見つかったのがそうだったか。仲良くまわされていたそうだな」 定番だ。 故郷にさっさと帰ればいいものを、踏ん切りがつかずにうろうろする。 金と体目当てのやつらに襲われ、抵抗しても嬲り殺される。 「馬鹿なやつらだ。さっさと決心すれば良いだけだ」 俺の嘲笑いに、唯一無傷なお坊ちゃん顔が反論する。 一歩間違えば同じ身だ。他人事とではないのだろうが。 「なんでそんなことを言うんですか。一生がかかっているならだれだって迷います」
だれだって迷う?違うな。こいつらはそこからして間違っている。 「迷うから死んだ。迷わなければ生きている。おまえたち勘違いするなよ。あの穴蔵の中で迷えるなんていう贅沢があると思っているのか」 別に語気を荒くもしてないし責めるつもりもない。迷宮での当たり前のことを言っているだけだ。 だというのに、ガラクタたちには今さらながら後悔の色がにじみ出てきている。 何とも幸せな人生を送ってきたんだろう。 迷宮の中で迷う暇など無い。 戦うか、退くか。 和睦か、殲滅か。 右か、左か。 進むか、引き返すか。 信じるか、信じないか。 使うか、使わないか。 ありとあらゆる選択肢が次々と突きつけられる。それが迷宮だ。 「まあ、そのあたりはどうでもいい。おまえたちの人生だ。おれのじゃない。どうでもいいことに構う程人生は長くない。 契約に移る。条件が呑めなければそこまでだ。 一定期間の間、雇用主の下で働いてもらう。その間の衣食住は支給されるが、基本的に生活は雇い主の敷地内で行ってもらう。 やる気があるならとりあえずついてこい。おまえたちの雇い主に引き合わせる」 きびすを返し、地下の通路へと向かう。 階段を下り、地下室にはいる。 壁の隠し扉を開け、さらに地下へと続く階段を下る。 行きついた先の転移地帯から、雇い主の待つ場所へ通じる回廊へと跳んだ。
「さあ、ついた。彼がおまえたちの雇い主だ。仕事は彼の自宅周辺の警備。報酬は歪んだ骨組みの矯正具の貸与と衣食住の手配だ」 薄暗い玄室。 王宮の応接間を超える広さのそこに、雇い主はいた。 磨き上げられた床。天上を支えるのは巨人族が数人かかってようやく手を結べる程の太さの柱。 壁にはドワーフたちが彫り上げた彫刻と雇い主に破れた探索者たちの石像。 迷宮最深部。 魔窟を作り上げた魔導師が紹介する雇い主だ。 流石にガラクタたちも声を上げない。 無理もないか。何せ周囲を魔物たちに囲まれてるんだからな。 「就業規則や待遇について聞いておくなら今のうちだぞ。まあ、対して細かいことは求めないとのことだが」 魔導師から送られた人員募集要項をめくりながら言う。 「希望職種があれば最初に言っておくこと。あとは功績により昇進有り。具体的に言えばLV1メイジがLV5に。 いずれはアークメイジもあり得る。ああ、組合の交渉により新たにLV3メイジ職が追加された。 これによりLV5までが遠いとの現場からの不満を解消。士気が向上し先月までの探索者撃退効率がかなり上がっている」 ん?なんだ?こいつら、まだ迷っているのか。 「お前ら、復讐したいんだろ。探索者には何しても良いぞ。殺そうが犯そうが好きにしろ。 探索者が持っている金品は半額が与えられるから、独立後の生活設計も立てられるぞ」 近くの魔術師に命じて、先月のMVP撃退者の記録を映し出させる。 そこにはガラクタたちと同じ年代の少女が、LV4シーフたちに言い様に組み伏せられている映像が映っている。 さらに探索者の男がハイプリーテスに踏みにじられ、むち打たれている様子も流れ始めた。 「矯正が終わったらお前らを好き勝手にした街のやつらにも復讐できる。悪い条件じゃないと思うが」
――――かくして本日の人材確保は終了。めでたく20人全員が就職した。 2人多い? 多くないさ。 魔導師はありとあらゆる護衛を求めている。 アンデッドの類もな。恨みを抱いて殺されたやつなんて、生者への憎しみを抱く怨霊にすぐなるしな。 さて、帰るか。 来るときは最下層まで直通で跳んで、あとは顔バスだが、帰りは面倒だ。 何せちまちま入口まで歩いていかなきゃならない。 運が悪いと探索者のやつに出くわしちまうんだ。 もっと運が悪いと、迷宮の守護者が防衛しているときに出くわしたりな。 ああ、噂をすれば影。 玄室の中で派手に戦闘が行われているようだ。 魔術で引き起こされたのだろう。猛烈な冷気が離れたここまで吹き付けてくる。 玄室の中をのぞくと、ほぼ全裸の女たちが探索者たちに斬りかかられているところだった。 面倒だが助けるか。取引先の従業員だ。見捨てるのもアレだしな。 玄室の陰、冒険者たちの死角に滑り込むと手持ちの魔具から呪文を呼び出す。 派手な炎も、凍てつく吹雪も呼び出されない。 だが、新たな敵の襲撃に戸惑う冒険者たちがばたばたと崩れ落ちた。 広範囲に影響を及ぼす窒息の呪文だ。 運良く呪文の影響に巻き込まれなかったのは、皮鎧を着たホビットとローブをまとったノームだけだ。 短剣を構え直そうとするホビットを無視して、そのままローブ姿のノームの懐に滑り込むと細首を貫手で打ち抜く。 手に伝わる感触が、気管をつぶし頸骨を砕いたことを教えてくれる。 後は簡単なものだ。 「なあ、シニストラリ。おまえわざと俺がさしかかるたびに不意打ちを受けてるだろう?」 「え!?そんなことないわよ!こいつら強かったんだからさぁ。ねぇ、また助けられちまったねぇ。これは恩返ししなきゃ」 「……絶対わざとだろ」
以上。 投下時に予告とレス数を書いておくべきだったね。 すまない。 こんな感じでよければちょぼちょぼ書いていこうと思う。
すげーWizっぽくて面白かったよ GBのWizを引っ張り出してやりたくなったw
>>40 投下乙
無残無情もWIZの醍醐味の一つ
面白かったよ
>>56 猫娘に犬娘か
ドットで打てるのは一つの技術だなぁ
俺的にはOK 二重丸あげたい
できれば竜娘なんかも見たいね
しかしBCFとはまた懐かしいw
ところで
iアプリのネザードメインもOK?
中身完全にWIZなんだけど
wizらしい世界ならなんでもいいんじゃない? PCの五つの試練はぶっ飛んだ面白いシナリオだし、ユーザーシナリオが無料で作れたり遊べたりするから いろんなタイプのwizにであえるよ。 ここでもそうやっていけば盛り上がるんじゃないかな。
まあある程度は広げた方がいい気はする
階段に腰掛けて、僕は、じっと地下の闇に目を凝らしていた。 降り立ったところから二股に、回廊が伸びているのが見える。 その回廊の先にうごめく何かの気配を感じた。 背筋に冷たいものが走り、思わず腰の短刀に手を伸ばす。 刃こぼれ一つなく、磨き上げられた新品の短刀。買ったときにはこれ以上なく頼もしく 感じられたのに、いざこうして地下の闇に相対してみると、こんなちっぽけな武器なんて 何の役にも立たないのだと、気付かされる。 いったい、どんな化け物がこの先に待ち受けているのだろうか? そんなことを考え出すと、 不安でいてもたってもいられなくなる。短刀を握る掌に、じっとりと汗が滲んだ。 僕は今日、初めて地下に潜る。 怖くないかと聞かれれば、正直怖い。今すぐこの階段を駆け登って、あの陽光の射す 城塞都市の街路に戻りたい。そんな思いが頭をかすめもする。 でも、僕には仲間がいた。つい昨日知り合ったばかりだったけど、僕よりずっと経験を 積んでいて、頼りになる仲間。冒険者になりたてで、右も左もわからない僕に声をかけて、 仲間に誘ってくれた、本当に気の良い人たち。 彼らに出会えなければ、僕は、自分と同じような新人同士で地下の闇に挑まなければ ならなかっただろう。 それと比べたら、今の状況はとてつもなく幸運なことなんだ。この街に来てほんの数日の 僕にも、それは理解できる。 だから、恐怖に屈するわけにはいかない。 僕はがくがくと震える膝を叱りつけて、もっと前向きなことを考えることにした。 仲間たちの力を借りながら、少しずつ一人前の冒険者に成長してゆく自分を思い描く。 彼らとなら、ワードナにだって勝てそうな気がする。両手に抱えきれないほどの財宝を 手に入れて、ついでに近衛兵の勲章をぶら下げて、故郷に帰ることができたら、どんなに 誇らしいだろう。 故郷。僕の生まれた村。狭く、痩せた畑しか持たない小さな村。狂った王の課す重い税を 払うため、毎年口減らしを出さなければならない貧しい村。僕が金貨を持ち帰ることが できれば、もうそんな必要はなくなる。多すぎる弟妹たちにパンを買ってあげられる。 金貨があれば、また、父さんや母さんと一緒に暮らせる……。 「アレフ」 名前を呼ばれて、僕は一気に現実の世界に引き戻された。 ちょん、と肩をつつかれて、慌てて後ろを振り向く。 「リーザ! みんな!」 迷宮の入り口から差し込む光を背負って、黒く浮かび上がる五つの影。 頼もしい仲間たちの姿が、そこにあった。 「待たせちゃったかしら? 準備に手間取っちゃって……ごめんなさいね」 先頭に立つエルフの女性――リーザが、鈴を転がすような澄んだ声色で、優しげに そう言った。 耳に心地よいその声を聞きながら、僕はリーザの顔を見上げる。人間では考えられぬ ほど細くなめらかな金髪が、逆光をまとって輝き、きれいな面立ちとあいまって、 まるで天使のようだった。暗闇に慣れた僕の目にはまぶし過ぎて、ついつい目を細めて ぼうっと見てしまう。 「一人で待ってて、心細くなかった?」 「へ、平気だよ」 そう聞いてきたリーザの瞳には、ほんの少しだけ悪戯な光が宿っていた。僕はさっき までの怯えぶりを見透かされた気がして、慌てて大声で否定する。すると、リーザは くすくすと笑って言った。 「最初なんだから、怖いのは当たり前よ。でも安心して。今日は戦わず、みんなの後ろに 下がって見ているだけでいいから」 僕はその言葉を聞いて、正直、心の底からほっとしてしまった。それが露骨に表情に 出たのだろうか、リーザは再び笑い声を漏らすと、こう続けた。 「だから、はぐれたりしちゃ駄目よ? いい? これだけは、約束してね。何があっても、 どんな状況になっても、必ず私たちの後についてくること」
それくらいなら簡単だ。ひょっとしたら、リーザは僕が一人で逃げ出すとでも心配して いるんだろうか? 少しだけ軽く見られた気がして、僕はリーザの心配を振り払うように 力強く頷いてみせる。 「うん。絶対に、約束する」 その返事に、少しは信用してくれたのだろうか。リーザはとても満足そうに微笑んだ。 絶対に、足手まといにだけはならないようにしよう。 僕は心の中で、改めてそう決心した。 * * * 仲間の戦士の鋭い一撃が、僧服を、下に着込んだ鎖帷子ごと貫いた。 「ぐ、……う、ぐぐ……ううう」 敵の僧侶が苦悶の呻きを漏らしながら、仰向けにどうと倒れる。 僕は左右を見渡し、これですべての敵を倒したことを確認すると、そのまま腰砕けに ぺたんとへたり込んでしまった。 熾烈な戦いだった。 僕はあたりに転がる七体の敵の死体を眺めて、改めて肩を震わせる。 戦士、僧侶、魔術師、そして、よくわからない格好のが一体。どれも人間……のように、 見える。もっとも、僕らが部屋に入るや否や襲い掛かってきたし、仲間たちも躊躇なく 切りかかっていたから、きっとそういう姿の化け物なのだろう。 強かった。そりゃあ、僕には敵の強さなんてわかりはしないけど、こいつらがこれまで 蹴散らしてきた敵と別格だったというのは、はたから見るだけで理解できた。 地下一階で襲ってきた豚の顔をした化け物を、リーザたちはいともあっさりと撃退して みせた。それで、僕は仲間たちの強さを改めて認識し、すっかり大船に乗った気でいた のだ。 ところが、「エレベーター」とかいうものに乗って更に地下に降りて、そこで出くわした 凶暴な熊や馬鹿でかい昆虫どもには、さしもの彼らも少してこずっているようだった。 そして、この戦闘だ。 仲間の魔術師が機先を制して呪文を唱え、四体ほどがばたばたと倒れたまでは良かった。 だが残る三体も手強く、前衛の戦士たちがよくわからない黒尽くめのヤツにかかりきりに なっている間に、残る二体が僕らのほうにまで魔法を飛ばし、リーザがひどい傷を負った。 あれの標的が僕だったら、きっと一撃でやられていたに違いない。 僕がこうして生き残れたのは、まったくの運、だった。 「またこいつらと戦う羽目になるとはな」 「まあ、これもアレを手に入れるためだ」 仲間の誰かがそんな風に囁き交わすのが聞こえた。 僕はふらりと立ち上がり、魔法で自分の傷を癒している最中のリーザのもとへと近寄る。 「リ、リーザ。それ、大丈夫?」 癒しの光で見る見る傷口が閉じていくようだったが、眉をしかめるリーザは随分辛そう だった。 すると、前衛のドワーフが大声でリーザを呼んだ。 「おうい、リーザ。傷を癒してくれんか」 見れば、ドワーフは左腿を切りつけられたらしく、鎧下にべっとりと血が滲み出ていた。 僅かに顔をしかめているだけで平然としているが、浅い傷には見えない。ついつい大丈夫かと 心配してしまう。 しかし、リーザの返答は厳しいものだった。 「魔法には限りがあるの。それくらい我慢なさい」 「このままでは動きが鈍ってしまう」 「泣き言なら、聞きたくないわね」 冷淡に言い放つリーザ。彼女が言うなら、きっとその判断は正しいんだろう。でも、僕と 接するときと違い冷酷ささえ感じるその語調に、僕は改めて、冒険の厳しさというものを 見せつけられた気がした。
「さ、アレフ。私は大丈夫だから、あなたはあなたの仕事をしてちょうだい」 「う、うん」 リーザに促されて、僕はようやく自分のすべきことを思い出す。 そう、僕は盗賊なんだから、戦闘が終わったら宝箱を調べなければならない。 慌てて部屋中を見渡すと、隅の方にぽつんと、随分大きな長櫃が置かれているのに気付く。 覚束ない足取りでそれに近づき、改めて見下ろす。 これが、宝箱。初めて目にするそれに、僕の心臓は早鐘のように打ち始める。うまく 開けられるかという、緊張。罠がかかっているかもしれないという、恐怖。おそるおそる 手を伸ばし、馴れない手つきであちこちを調べ始める。 罠は、ない、ような気がする。 実を言えば、よくわからない、というのが正直なところだった。でも、盗賊の僕がそれを 言ってしまったら、他の誰にわかるはずもなく、この宝箱は開けられないことになって しまう。先ほどの熾烈な戦闘が、無意味になってしまうのだ。 ごくり。我知らず喉が鳴る。……足手まといにはならないと決めたのに。 「どう?」 問いかける声がした。いつの間にか治療を終えたリーザが僕の隣に来ていたのだ。 「罠はない……と、思う」 「そう? じゃあ、早く開けてちょうだい」 「あ、あの、万が一があるから、リーザは下がってて」 「……大丈夫よ」 自信なさげに言う僕に、リーザは少しだけ面倒そうに短くそう呟いた。 その言葉に押されるように、僕は震える手を伸ばす。 がちゃり。 宝箱は、呆気なく開いた。罠なんてかかっていなかったのだ。 拍子抜けしたように感じながら、僕は中をのぞきこむ。そこに、一本の杖と……指輪が あった。 杖は古臭く、簡素な作りで、価値はよくわからない。僕の両目はもう一方――指輪の方へと 吸い寄せられた。 キレイだ。そして、禍々しい。 矛盾した二つの印象が同時に浮かぶ。精緻極まりない細工が施され、きらきらと輝く宝石が びっしりと埋め込まれている。それだけでとても高価そうなのに、指輪には加えて、なんと 表現したものか、魔法的な輝きがあった。何か底知れない「力」が秘められているかのような。 そしてその妖しい輝きが、同時になんだかとても忌まわしいのだ。 「素敵……やっぱり間違いないわ。これは高く売れるはず……」 そんな呟きを耳にして横を見ると、リーザもその指輪に見入っているようだった。切れ長の 瞳を大きく見開き、食い入るように指輪を見つめる。目の色が違った。欲望にぎらぎらと輝いて いるようで、なんだか少しだけ怖かった。 「さ、これは貴方が持ってちょうだい」 「う、うん」 リーザに促され、僕は気を取り直して指輪と杖に手を伸ばし、それらを背負い袋の中に収める。 「その指輪にはきっととてつもない価値があるわ。アレフ、それが手に入ったのも、あなたの おかげよ」 声がかかった。改めてリーザを見ると、そこにはいつもの、優しげに微笑む彼女がいた。 「そ、そうかな」 さっきリーザが別人のように見えたのは、気のせいだったかもしれない。そう思い直して、 僕はちょっと照れ臭そうに答えた。 「ええ、そうよ。自信を持って」 罠もかかっていなかったし、結局僕は蓋を開けることしかしていない。それなのにそこまで 言ってもらえると、なんだか面映かった。 「だから、ちゃんと地上まで持ち帰ってね?」 「うん!」 僕は強く頷いた。 * * *
視界が霞んだ。 目の前のリーザの背中が二重に見えたかと思うと、足元がふらつき、たたらを踏んだ。 ちゃんと歩かなきゃ。そう思って足を踏み出すと、今度はぐるんぐるんと目が回り、仰向けに 転倒しそうになる。心臓が、何かを振り絞るように高鳴る。体中からどっと嫌な汗が噴き出した。 頭が割れるように痛い。息を喘がせようと口を大きく開いても、喉の奥のほうで「ひゅう」と 力ない空気が漏れるだけだった。 おかしい。おかしい。おかしい。 あの部屋を出て、ほんの数フィート。何も起こってない。化け物にも襲われていないし、罠に かかったわけでもない。なのに、今の僕は、まるで高熱に冒されて生死の境をさ迷っている重病人の ような状態だった。 宝箱を開けて、指輪と杖をしまって、立ち上がった。その時点ではちょっと立ちくらみを感じた 程度だった。先を急ごうとする仲間たちについていこうと、二三歩踏み出したところで、急に 息が上がり動悸が始まった。それでも、まだ気のせいだと思っていた。 ところが、一歩踏み出すごとに劇的に苦しみが増し、今やもう歩くことすらできない有様だった。 辛い、苦しいだけではない。それを耐える力の方も、歩く度衰えてゆくようだった。 「あ……あ、……リィ、……ザ」 浅い呼気の合間に、なんとか仲間の名を呼び助けを求めようとするが、哀れなほどか細い呻き しか出なかった。リーザの背中に手を伸ばす。すっかり血の気の失せた土気色の手は、ふるふると 震え思うように上がらない。 なんだこれ。なんだこれ。なんでこんなことに。 朦朧とする意識の中で必死に考えをまとめる。 そうだ、あの指輪だ。どう考えても、そうとしか思えないじゃないか。あれを拾ったから、あれを 持っているから、こんな風になっているに決まってる。 僕はあの指輪を入れた背負い袋の口紐に、手を伸ばす。 あれを手放せば、あれを捨てれば助かる。そうしなければ、死んでしまう! 「駄目よ」 口紐をとろうとした僕の手を、誰かが掴んだ。 「……リィ……」 もはや名を呼ぶこともできない。リーザが、その美しい顔を能面のような無表情にして僕を見つめて いた。 「指輪を捨てては駄目」 ひどく、冷ややかな声だった。「なぜ」。そう口にしようとして、ぜえはあという荒い吐息だけが 出た。だけど、言おうとしたことは伝わったようだった。 「だって、その指輪を運んでもらうために、わざわざあなたみたいな役立たずを連れてきたんですもの」 リーザが何を言っているのか、理解できない。意味を考える余裕もなかった。 もう、これ以上動くことはできない。そう態度で示そうとその場に崩れ落ちようとする。 しかし、それすらもリーザは許さなかった。 「立ち止まるのも駄目。約束したでしょう? 『何があっても、どんな状況になっても、必ず私たちの 後についてくること』って」 そう言ってリーザは掴んだ僕の手をぐいと引く。その力に引きずられるようにして、僕はさらに 一歩踏み出してしまった。 がくん。その一歩で膝からまた力が抜け出たのがわかる。 「……ひゅう……ひゅう……」 辛い、苦しい。もう一歩でも動いたら、死んでしまう。そう訴えようとして、また意味のない 呼気が漏れた。仲間たちを見る。リーザだけではなく、みんながみんな、能面のような無表情で僕を 見つめていた。辛い、悲しい。僕は、もう死ぬしかないの? 「大丈夫よ。死んでも街まではちゃあんと運んであげるわ。私たちがあなたの死体を運び、あなたの 死体が指輪を運ぶ。そうすることで、安全に指輪を持ち帰ることができるの」 リーザが再び僕の腕を引く。 抗う力もなく、前に踏み出そうとして……僕は前のめりに、無様に倒れた。 もう、指一本動かす力も残っていなかった。体から、最後の生命力が抜け落ちていくのがわかる。 死ぬ。僕は、死ぬんだ。 遠のく意識の中で、頭上から降り注ぐリーザの声が聞こえた。 「運ぶ者に必ず死をもたらす呪いの指輪。でも、それでも欲しいじゃない?……だってその指輪は、 売れば山のような金貨になるんですもの。あなたも冒険者なら、わかってくれるわよね?」
65 :
死の指輪 :2009/01/11(日) 04:12:25 ID:TAxVTD6g
以上です。
朝おーーつ やはり、WIZは殺伐としたシュールなオチが冴えますなぁ
RING OF DEATH!www 確かに回復呪文無しで普通に持ち帰ろうとすると絶対に瀕死になるか死人が出るしなww
リーザ属性EVILだろ…きたないなさすがEVILきたない
69 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/15(木) 02:22:23 ID:VuLmb4QP
VA 開け ヴァウアリフ GU 扉よ ガインウーク I 願い イェー NA 心 ヌーンアリフ 「開け扉よ、願う心と共に」 ※鍵のかかった扉を開ける
* しんでしまいますよ! *
71 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/03(火) 23:12:06 ID:wY+EAGI2
墓場は暗く……
罠は時を刻みしもの
この先は行かぬが得策。 しからずんば……
74 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/24(火) 18:36:02 ID:qe0ytdgv
過疎の中に居る!
75 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/06(金) 08:59:08 ID:SDkzA3Of
確か外伝ってシナリオ作成ツールがオマケであったよな? このスレにまだ人がいるなら、 みんなでシナリオ作って実装してみるのも面白いかもしれない
おおっと 過疎!
投下します。 タイトルは「ララ・ムームーを追って」。全部で7レスです。 LOLとHOMのネタバレを含みますのでご注意を。
――"La-La moo moo"? "La-La moo moo"は何者かって? そりゃあ俺にもわからんよ。 見た目は……そうだな、駱駝だよ。トーガを纏った駱駝に見えた。 でも駱駝じゃあない。アレを駱駝だと思って、「じゃあエジプト人だ!」って言ってた 奴がいたが、俺は違うと思うね。だって駱駝はブレスなんか吐かないよ。そうだろう? だからアレは駱駝の面をした駱駝以外の何かなんだ。もっと強い……別の生き物さ。 いや、ひょっとしたら、生き物ですらないかも知れねえ。それくらい、強かった。 なんで"La-La moo moo"なんていうけったいな名前かって? さあてね。 名前の由来がわからない化物なんて、地下にはごまんといるだろ? ただ……そうだな。ムームーっていうのは、アレの鳴き声のことだと思うぜ。いや、 ホント、ムームーって鳴くんだよ。笑っちまうだろう? そんな可愛らしい鳴き声を上げる 生き物に、おれたちは手も足も出なかったんだ。 ララの方は……ううん、さっぱり、見当もつかないな。意味のない歌声のようでもあるし、 何かとても古い、神秘的な言葉のようにも聞こえる。 ん? ……ああ、そういえば、ブラザーフッドの坊さん方も「"La-La"に賞賛あれ」とか 言ってたな。 仮にも神様の名前を駱駝に使うなんて不謹慎じゃないかって? だから駱駝じゃないって……いや、まあ、そうなんだけどね。 でも知り合いのブラザーフッドの坊さんにアレのことを話したら、ちょっと驚いたみたい だったけど、「なるほど……確かにそれは"La-La moo moo"に違いない」って言ってたよ。 だから、別に構わないんじゃないかなあ。 奴さん方が崇め奉ってる"La-La"とやらと、アレに、どういう関係があるかは、おれには わからんがね。さあ? そいつは本人たちに聞いてくれよ。 (ララ・ムームーに会ったことがあるという、とある冒険者)
――"La-La"? ララに賞賛あれ! 汝、ブラザーフッドの門を叩く者よ。"La-La"について知りたいと願うならば、同時に "三軸の調和"についても知らねばならぬ。心して聞くのだ。ララに賞賛あれ! あらゆる物事の背後には、四大元素の力が働いている。すなわち、大地、水、炎、空気。 これらの力は、ひとつの門より、我らの存在する次元へと流れ込んでいるのだ。 流れが調和していれば、力はすべての生命の源となる。しかし、ひとたび流れが滞れば、 門には裂け目が生じ、メイルシュトロームが生まれることとなる。メイルシュトロームとは、 災いを撒き散らす渦である! おお、ララよ憐れみたまえ! ゆえに、門では"三軸の調和"が達成されねばならぬ。なぜならば、"三軸の調和"こそが、 荒れ狂う力を鎮めるものだからである。 そして、これは力自身の望みであり、意志でもあるのだ。 四大元素の力は、自らが調和してあることを欲する。この、力そのものの意志こそ、我らが "La-La"と呼ぶものなのである! ララは偉大なり! "La-La"の声に耳を傾け、門にて"三軸の調和"を達成すること。すなわち、三軸の門を守る こと。これぞ、ゲイトキーパーの知恵と教えなり! おお、ララを賛美せよ! 汝が追い求めるその生き物は、"La-La"そのものではない。しかし、まったく関係がない わけでもない。"三軸の調和"の本質に迫ることができたなら、その正体は自ずと明らかになる であろう。 ララに賞賛あれ! (ブラザーフッド教団の高僧、グブリ・ゲドック)
――"三軸の調和"? まずは自己紹介をさせてもらおうかの! わしはThelonius P.Loon。時間の支配者であり、しかも 優れた予言者である。 おぬしはある生き物の正体を追い、"三軸の調和"の本質を知るために、ここにやってきた。 そうじゃろう? 人類の歴史上、いたるところにおいて、賢者達はこの宇宙の全てのものを動かす力の関係、 すなわち宇宙の力の永遠の調和について語ってきた。 死すべき運命を持つ人間達のほとんどには、これらの力のふたつの側面しか見えない。 それゆえ、それらの側面を例えば、「善と悪」、「正義と悪事」、「本当と嘘」などという 名前で呼ぶのじゃ。 明らかに、これらの相反する力は全ての人間の魂の中で、長い間戦ってきた。 しかし、わしはここでおぬしに、この戦いには価値が無く、ただの錯覚である、と言わねば ならぬ。 "三軸の調和"の正しい本質を理解するためには、この錯覚の覆いを見抜き、ふたつではなく みっつの力が働いていること、そして、それらはおぬしが今信じているのとは 異なる本質を 持つことを、認めなければならぬ。 二軸からなる均衡は脆弱なものじゃ。反発し合うふたつのものは、容易に一方に傾き得る。 そして、本質を見失わせる。 ゆえに、平衡はみっつのもののなかにこそある。何も難しいことではない。一方のものが 一つの鍵を手にし、他方のものがもう一つの鍵を手にしたとしても、仲立ち受け渡すものが いなければ扉は開かぬ。ただ、それだけのことなのじゃ。 みっつの力が存在することさえ理解できれば、自ずとみっつを統一するもう一つの力を 知ることになろう。そしてその四つの力それぞれの、さらに三つの側面を知ることができれば、 三軸の調和の本質を理解したと言える。 もっとも、おぬしの目的にとっては、そこまで知る必要はあるまい。 《成長》と《本質》と《変化》。これらはかつて偽りの名前で呼ばれていたし、今でもなお、 その名で呼ばれている。しかし、呼び名はどうあれ、人々が、このうちのふたつの力のみを 頼みにしていた時代には、おそるべき"天変地異"が起こったことを忘れてはならぬ。 それこそ、力自身がみっつの力による調和、"三軸の調和"を望んだことの、確かな証なのじゃ。 ハッハッ! わしには、おぬしの未来がはっきり見える! かつてリルガミンを襲った"天変地異"について、調べるがよい。そして、"三軸の調和"の 本質を思い出すのじゃ。そこで、おぬしはおぬしが追い求める生き物の正体を知り、その誕生の ときに立ち会うことになるじゃろう。 (ジグソー信託銀行の予言者、セロニウス・P・ルーン)
――"天変地異"? "天変地異"、ね。 ええ、確かに、あれはそうとしか言いようのないものでしたよ。 ようく知っておりますとも。なにしろ、手前どもは、もとはアルビシアの植民島で商いを しておりましたから。 とてつもない大津波がね、こう、押し寄せてきて。街を、逃げ遅れた人たちともども、 呑み込んでいったんですよ。ええ、ええ、そうですとも。アルビシアの人間は、あれで全てを 失ったんですよ。 それでこのリルガミンに逃れてきて……もっとも、当時はこちらも大変な混乱でしたね。 なんでも地震で、ニルダ様の寺院まで崩れてしまったとかで。ええ、ええ、それだけでも 大事ですけれども、倒壊に巻き込まれて、かのニルダの杖まで失われたそうで。 ただ、実を申しますと、それは手前どもにとっては、幸運だった部分もありました。 ご存知でしょう? それまでリルガミンは、杖の加護で守られていた。市に害をなす者、 つまりは、《悪》の戒律の者の大半は、立ち入ることもできなかった。杖が失われたことで 初めて、この街はすべての人間に開かれることになったわけです。 いえいえ、手前は《悪》ではありませんよ。このリルガミンに対して、悪意を抱いたことも ございません。ですからもちろん、それまでも街に入ることはできました。 でもね、《悪》の方々がいらっしゃらないところでは、手前どもの商売も上手くは回りません。 《中立》の商人の売りは、なんといっても《善》の方々とも《悪》の方々とも、平等に取り引き させていただける、という点ですから。 ご覧下さい。生糸、香料、象牙。ここにある品々はね、全部、ガリアンたちから仕入れた ものなんですよ。ええ、ええ、確かに彼らは《悪》の海賊たちですとも。ですが、彼らだって どうにかして、略奪品を金貨に換える必要があるわけです。……これもアルビシアの頃からの ツテでしてね。 杖の加護が失われて、リルガミンにもこうした取り引きが増えました。《中立》の商人も、 随分増えましたね。ベイキ女王様の御時世には、考えられなかったことですよ。おかげ様で、 手前どももこれだけの大店を構えることができました。 あの"天変地異"の原因は、なんでも"L'kbreth"とかいうドラゴンが現れたためだったとか。 ええ、ええ、駱駝ではなく、ドラゴンだったと聞いていますよ。結局、そのドラゴンから…… 確か、宝珠かなにか……を持ち帰ったおかげで、"天変地異"が治まった、と、そういう話です。 振り返ってみれば、複雑な思いがございますな。 そもそも"L'kbreth"が現れなければ、故郷を失うことはなかった。けれども、こうして成功を 収めることもなかったわけです。 いったい、なんだったんでしょうね。あの"L'kbreth"というのは。 (リルガミン市中立商人ギルドに属する、とある豪商)
――"L'kbreth"? フウム。それは難問だな。 世界蛇の五匹の子のうちの一匹であるとも言われているが、これは伝承の域を出ない。 いつから存在し、また、なんのために姿を現したのか。かのものについては、余りにも 多くの謎が残されている。そのほとんどについては想像でしか語り得ないが、判明している 点もなくはない。 まず、名前。 "L'kbreth"は「ル'ケブレス」ではない。「エル'ケブレス」と読む。おそらく、Lで 始まる何らかの単語が省略されているのだ。それが何であるかについては、賢者たちの 間でも論が分かれているが。 続く「kbreth」についても、諸説紛々だ。まったく無意味な綴りにも思えるが、ある 有力な見解では、「龍」を意味する古い言葉だとされている。 そう。"L'kbreth"は「龍」なのだ。 「龍」はドラゴンともドレイクとも異なる。それらよりももっと古く強力な生き物だ。 いや、生き物と呼んで良いかさえ、定かではない。天変地異の先触れとしてこの世に姿を 現すのだとも、天変地異を引き起こす存在なのだとも、言われている。 その姿もドラゴンとは似て非なる。……遥か東方の伝承によれば、「角は鹿、頭は駱駝、 眼は鬼あるいは兎、体は大蛇、腹は蜃、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛に似る」 とされている。 もっとも、預言によれば"L'kbreth"とは「この星の力そのもの」だという。それが真実なら、 龍としての姿さえ、仮初のものだということになるだろうか。 いずれにせよ、"L'kbreth"は天変地異と同時にこのリルガミンに現れた。そして、 「善き者のみにても、悪しき者のみにても勝利を得ることはない」と告げると、言葉通りの 試練をリルガミンの民に課した。 宝珠を持ち帰るためには、《善》と《悪》と、そして《中立》の者が必要だったのだ。 いや、これは宝珠の探索だけの話ではない。 リルガミンは長くニルダの恩寵の下にあった。《悪》の僭主が台頭したほんの一時期を 除き、《善》によって統治されていたのだ。しかし、今や恩寵は失われ、《善》と《悪》と 《中立》の、三つのものが必要とされている。望むと、望まざると。 まさに、「New age of Llylgamyn」。リルガミンは新しい時代を迎えているのだ。 まるでそうなること自体が、かの"L'kbreth"の目的であり、望みであったかのように。 さて、そうして望みを達した"L'kbreth"がどうなったかは、誰も知らない。少なくとも、 棲家であった火山からは姿を消した。本来いるべき世界へと帰って行ったのかもしれないし、 あるいは、また別の姿をとって、どこかに存在しているのかもしれない。 (最も高位なる賢者、イェルダーブ)
――"La-La moo moo"? ついに巡り会えたな、か弱き者よ。もし、力を求めるならば、それは現れよう。 (???)
「我こそはエル'ケブレス。平衡の守護者なり。汝ら、誉むべし。その行く手よ穏やかなれ」 まるで地響きのような声だった。 同時に、巨体が退き洞窟への道が開かれる。 目の前の存在の強大さに圧倒されていた《中立》の侍は、そこでようやく我を取り戻した。 左右を振り返り、仲間たちの表情を確認する。《善》の君主は微笑を浮かべ頷き返してきた。 《悪》の忍者の双眸は既に洞窟の先へと注がれている。残りの仲間たちも、覚悟を決めている ようだった。 侍は右手を上げ、前進の合図を送る。そして、五人の仲間たちとともに、洞窟の入り口へと ゆっくりと歩き出した。 彼らが去ってからもしばらくの間、龍は洞窟の闇を見つめていた。 「……この姿は役割を終えた」 やがて、龍はそう呟くと、眠りにつくかのように、その巨躯を迷宮の石床に横たえる。 彼は深く長く息を吐いた。その吐息は燐光を纏って迷宮の闇に散らばる。すると、あたかも その一息で精気をも吐き出したかのように、巨躯はみるみる縮み、そこには力を失った一頭の 動物だけが残された。 今わの際に龍より吐き出された燐光は、しばらく所在なげに明滅していたが、やがて寄り 集まり四体の人影に形を変えた。 それは四人の君主であった。 豪奢な衣装を纏い、瞳には聡明な輝きを宿し、四人ともが全く同じ顔立ちをしている。 「荒れ狂う暴龍の時代は去り、」 「教え導く君主の時代が訪れる」 「彼らは『二つ』でなく『三つ』であることに気付いたに過ぎぬ」 「聖なる側面、時間と王国と本質の発見は後世にゆだねられよう」 四つの人影が囁き交わす。 ――Moo,Moo そのとき、かつて龍であった動物が鳴き声を上げた。 龍の魂魄が四人の君主に変じたのだとすれば、それはまさしく抜け殻、龍の肉体の残滓と 呼ぶべきものだった。知性なき瞳は魯鈍に曇り、ただただ惨めな鳴き声を上げ続ける。神威を 失い知恵なき獣に堕した抜け殻は、砂漠に住むというあの愚鈍な生き物によく似ていた。 "La-La Kbreth"(龍に化体したララ)の肉体は、今や"La-La moo moo"(ムームーと鳴くララ) という別の生物に変じていたのである。 「龍の肉体の処分は如何にする」 「知恵はないが力は残っている」 「地上に残すには危険すぎるな」 「地獄の最下層に封じればよい」 君主たちはその惨めな動物を取り囲むと、地下777階への門を開いた……。 (END) 以上です。
投下乙! ララ・ムームーを中心に色々よく繋げられていてすごいと思った
でも駱駝だろ?
AppleII版のグラフィックを見ると・・・ 龍だと言われれば龍かなという気分にならなくもないぜ!
ボスも居ないのに強くしてどうするの?
強くしても首跳ねや即死ブレスが待ってるからさ
91 :
迷宮の孤独 :2009/05/27(水) 20:26:43 ID:kIe4b4Rt
おれがなぜ、今のような境遇に陥ってしまったか。 それを語るには、まずおれの生い立ちから説明する必要がある。 おれの祖国は、ハーカゾニアというところだ。 もっとも、これは正しい呼び方じゃない。 なにしろ、おれたちの言語というのは特殊で、 たった一つの単語しか持っていない。 その抑揚や、強弱や、息継ぎの仕方、伸ばす音の長さ。 そういったものだけで、あらゆる意味を伝えるんだ。 とても高度で、複雑な言語なのさ。 祖国の名をおれたち流に呼んでみても、たぶんあんたたちには伝わらない。 だから苦肉の策として、あんたたち風に呼んでみた名前が、「ハーカゾニア」というわけだ。 まあ、そんなことはいい。 とにかくおれたちはハーカゾニアで生まれたハーケニスコン種の、 ああ、このハーケニスコンというのも……まあ、いいか。 とにかく、さる高貴な一族の最後の生き残りなんだ。 つまり、とても珍しい一族だってこと。 ひょっとしたら、今となってはおれが最後の一人かもしれない。それくらい……数が少ないんだ。 この、数が少ないってのが曲者でね。 物の価値はその希少性で決まる。 おれはそんな考え方を支持しちゃいないが、たいていの人間にとってはそうだ。 だから、おれたちは希少で、つまり、金になるんだ。 平和だったハーカゾニアに、欲にくらんだ邪悪な人間たちがやってきて、 ひっそりと暮らしていたおれを捕らえ、外の世界へと連れ出した。 売るために、ね。 人格のあるものを金でやりとりするなんて、罪深いことさ。 だが、売られた先で待ち構えていたのは、もっとおぞましいことだった。 おれはね、見世物にされたんだよ。 これもやはり、珍しいからだろうね。 物見高い連中が、はした金を払っておれを見にやってくる。 檻の中のおれを見て、げらげらと笑うんだ。 屈辱だったよ。だけど、それ以上に悲しかった。 こんなにも分かり合えないものかと、思い知らされたから。 ただ、おれは幸いにして頑丈にできていた。力も強かった。 これも、希少な血のなせる技さ。 おれを見世物の境遇におとしめたところの原因が、今度はおれを救ったんだ。 おれはその力で檻を破り、抜け出した。 おれを捕らえていた連中は、自由になったおれに恐れをなして逃げてしまった。 だけど、喜んだのも束の間だった。 おれのいた檻は、地下の閉鎖された空間の中にあったんだ。 見物客は奇妙な装置でもってその空間に出入りしていた。 でもその装置は、おれには扱えないものだったんだ。 檻から抜け出ててみたら、そこはもう一回り大きな檻の中だったんだよ。 笑い話だろ? それとも、哲学的な話かな。 おれはその巨大な檻の中で、たった一人ぼっちだったんだ。
92 :
迷宮の孤独 :2009/05/27(水) 20:27:27 ID:kIe4b4Rt
それからどうなったかって? それから、そのままさ。 おれは未だにその巨大な檻の中にいる。 ときたま、ほんとうに稀なことだけど、あの装置を使って人がくることもある。 見物客じゃあない。 彼らは、おそらく、地下のあちこちの空間を探検している、そういう人間たちだと思う。 おれはね、人間たちにはこんな目にあわされたけれど、 それでも、すべての人間が邪悪じゃあないと、そう思ってるんだ。 彼らの中には、話せばわかる人間もいるはずさ。 ひょっとしたら、おれの境遇に同情して、 おれがここから出る手助けをしてくれる人間も、いるかもしれない。 だからおれは彼らを見つけると、まず会話を試みるんだ。 といっても、おおっぴらに姿を現すのは、うまくない。 おれと彼らは、見た目が少々……異なっているから。 突然現れたら、彼らも驚いてしまうだろう。思わず、こちらに剣を向けてくるかもしれない。 それは望むところじゃあない。 だからおれは姿を消してこっそり近寄り、刺激しないように語りかけるんだ。 でも、ああ、最初に言ったよな? おれたちの言語は、たった一つの単語からなるとても難解なものなんだ。 ほとんどの人間には、それが言葉だということすら理解できない。 * ハークル! ハークル! * 助けを求めるおれの呟きを聞いても、 彼らはきょとんとして辺りを見回して、徒に警戒を強めるばかりだ。 それでも、中にはおれたちの言語を解する者もいるはず。 そんな期待を込めて、何度も何度も呼びかけるんだ。 * ハークル! ハークル! * だけど、ダメだ。どうしても、伝わらないんだよ。 やがて、会話が成立するより前に、彼らはおれを見つけ出してしまう。 おれの姿を目にして、そして……。 その先は、説明したくないな。 しかたがなかった。しかたがなかったんだよ。 おれに、ほかにどうしようがあったというんだ。 ……本当に、おれたちは分かり合えないものなんだろうか? それでも。 それでもだよ? おれはいつかきっと、おれの話を聞いてくれる人間がくると、そう、信じているんだ。 (END)
93 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/29(水) 08:15:12 ID:XOurU4+E
ゆうこうてきな ハークルヒ”ースト →たたかう たちさる
そういえばととモノってWizの正式ライセンスを得て作られたんだぜ
エル’ケブレスのフィギュアが欲しい。
ハークルハークル
まだ いたの!
98 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/08(火) 17:42:41 ID:hmow5T0l
携帯電話のWIZでLV&HP&E.Pがカンストしたぜ!!
99 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/26(土) 19:42:43 ID:xVzWkovI
ウィザードリィ外伝Xリルガミン終焉 おもしろいよ
マルチ乙100
ある日、ワードナーのところに、罠職人がやってきた。 「ワードナー様、いいことを思いつきました。」 「なんだね、罠職人」 「テレポートなんですが、以前の壁の中へのテレポートは、侵入者を生存したまま捕らえることができませんでした。」 「そうだな。取り出せないから尋問もできんな。」 「そこで、考えました。AというテレポートはBというテレポートに移動する。そしてBのテレポートはAのテレポートへ移動するというものです。」 「なるほど、無限に転送するのか。テレポート中には魔法も使えんから、これなら逃げられんな」 「そうです。では、私が試して見ましょう。」 罠職人は二重テレポートの中に入っていた。 「・・・いかん、止め方を聞くのを忘れた」
よし、じゃあ俺も ある日、肉屋のところに、ワードナーがやってきた。 「おい肉屋、いいことを思いついた。」 「なんですか、ワードナー様」 「おまえの所のソーセージを作る装置だが、入れた豚肉をミンチにしてそのまま腸詰めにしているわけだ。」 「そうですね。ミンチと腸詰めが一度に出来て重宝しています。」 「そこで、考えたのだが。豚肉を装置に入れると生きた豚になる。そして牛肉を装置に入れると生きた牛になるというものだ。」 「なるほど、余った豚肉や牛肉を元に戻して飼育して無限に増やすわけですね。増えた分をまたソーセージにして売るわけですから、これなら仕入れ代もかかりませんね」 「そうだ。だが問題はその装置がどこにあるかということだ。」 肉屋は話を合わせながらも、またこの爺さんはじまったよと頭をかかえました。 そしてめんどくさくなった肉屋はこう答えました 「・・・そういえはトレボー王がそんな装置を持っていたような、ソーセージをいれると豚が出てくる…」 その夜、トレボーの城から魔法の魔除けが盗まれました 出典 アメリカンジョークを信じちゃった100人 アスキー出版 絶版
アルパカがララ・ムームーに見えてしょうがない 現代から転送された若者が高冒険者となり、ララ・ムームーと対峙した時に 「ちょwwwミラバケッソwww」 「クラレーッw」 と全員爆笑して首を刎ねられるヲチを考えたが、めんどくさくてやめた
ディンギルやり始めたけどたかだか10マス以内に 魔方陣3、4つなんてざらだしエンカウント高くてイライラする CDの読み込みも相まってイライラ倍増 糞すぎるなこれ
あーもう敵多すぎ 戦闘終わってすぐまた戦闘の繰り返し 何だよこの糞ゲーは
>>105 ちょっとスレちだぞw
1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 20:18:36 ID:yAv5ZzLX
古典RPG・ウィザードリィの二次創作スレです。
107 :
創る名無しに見る名無し :2010/03/19(金) 15:55:17 ID:sVWHLH3q
ウィザードリィ外伝Y リルガミン終焉 なら今製作者がアップしてるけど ニコニコ動画で見ました。
109 :
創る名無しに見る名無し :2010/06/03(木) 16:39:32 ID:Za0zeVwX
>>102 のをつかって俺も
略
肉屋は話を合わせながらも、またこの爺さんはじまったよと頭をかかえました。
そしてめんどくさくなった肉屋はこう答えました
「・・・そういえはトレボー王がそんな装置を持っていたような、ソーセージをいれると豚が出てくる…」
その夜、トレボーの部屋から悲鳴が聞こえました
「ア゙ッーー!」
出典 アメリカンジョークを信じちゃった100人 アスキー出版 絶版
110 :
創る名無しに見る名無し :
2010/06/05(土) 02:19:09 ID:oG+V+h01 イエィ!!! 俺はなん百万も奴らを殺したぞ!