投稿規定
【全ジャンル共通】
名前欄には以下のように入れる。
X月「タイトル」(例:10月「創作発表物語」)
タイトルの後ろにはトリップ推奨。
本文最初にどのスレからの投稿かを示す。ない場合は書かなくてもおk。
その前、もしくは後に使ったお題を示す。
例1:雑談スレから投下します。お題は「秋」です。
例2:投下します。お題は「秋」と「誕生」を使いました。
アップローダーは創作発表板アップローダーを推奨。
URL:
http://www6.uploader.jp/home/sousaku/ 【文章】
5レス以内。複数レスになる場合には必ずタイトルの後に番号を付けること。
投下終了後には「終わりです」「完」などをつける。
規定レス内に納まらないなどの場合はアップローダーを使うこと。TXTファイルもしくはHTMLファイル推奨。
【画像】
GIFファイル・JPEGファイル・PNGファイル推奨。
【音楽】
MP3ファイル推奨。
【料理】
レシピ、写真等。詳細は文章や画像に準ずる。
「批評」厨、荒らしはスルー。
十月のお題は「秋」「十」「誕生(ハッピーバースデイ)」「新・初」です
明日零時より作品を受け付けます
最初は集中が予想されるので投下前にはリロードし、割り込みがないように気を付けてください
最初に必ずテンプレを読んでください。
4 :
1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/09/30(火) 23:55:26 ID:17DboC+l
あと五分ですかね、一番のりとか狙われてカオスになると困るので
ぼちぼちお願いします
5 :
1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/10/01(水) 00:01:18 ID:AZo4UwZg
ただいまから開始します
投下します。掌編作品で、お題は『誕生』
「ハッピー・バースデイ」
青年はつぶやいた。
その言葉に、うれしそうな様子はまったくない。それどころか、どこか自嘲的な響きすら
こもっている。
小さなアパートの一室、夜だというのに明かりも点けず、ベッドに寝そべる青年。
カーテン越しにわずかに差し込む月明かりが、彼の憂いに満ちた顔を照らす。瞳にたまっ
た涙に、その光が反射する。
青年には、親しい友人も恋人もいなかった。家族は早くに無くし、天涯孤独の身。誕生
日だというのに、自分のことを祝ってくれる人間は誰一人としていない。
「恋人なんて、俺には一生縁がないんだろうな……」
半ばあきらめたように、小さくつぶやく。目尻をつたい、涙がこぼれ落ちた。
「そんなことはないわ」
突然、話しかけられた。
驚いて起きあがり声がした方を見ると、部屋の片隅には一人の少女が立っていた。その体
は透き通り、淡い輝きを放っている。
「君は……ゆ、幽霊か?」
「失礼ね、わたし、これでも女神なのよ」
言われてみれば、どこか神々しいオーラのようなものが漂っている。
「あなたの願いを叶えに来たの。恋人がほしいんでしょ? わたしが力になるわ」
「ほ、本当かい?」
「ええ、嘘なんてついても仕方ないわ。さあ、まずはあなたの名前を教えてちょうだい」
言われるままに、青年は自分の名を告げた。だめでもともとだ。
名を聞いた少女は、ポケットから一本のペンを取りだした。七色に輝くそのペンを宙に
走らせる、すると、青年の名前が虹色の文字で浮かび上がった。
「次は相手の名前よ。あなた、好きな人くらいはいるんでしょ?」
青年の頭に一人の女性が浮かぶ、職場の後輩に当たる美しい女性だ。外見ばかりでなく
内面もすばらしい、社内の男性のほとんどが、彼女に夢中だった。青年も例外ではないの
だが、どんなに憧れても所詮は高嶺の花、こう思いあきらめきっていた。しかし、もし女
神の力が本物なら……
憧れの彼女の名を告げると、少女は先程と同じ要領で宙に文字を描く。そして青年と彼
女、並んだ二つの名前をハートマークで囲むと、ふっと息をかけ消しさった。
「これで大丈夫、楽しみにしていてね」
にっこりと微笑む少女。次の瞬間、少女の体がまばゆく輝き青年は思わず瞼を閉じる。
目を開けると、少女の姿は消えていた。
次の日、出社した青年は、いつものように淡々と仕事をこなす。昨夜のことは夢だった
のだろうと忘れかけていた。代わり映えのない一日が過ぎる。
「先輩、あの……」
仕事が終わり、さあ帰ろうというときに声をかけられた。振り返るとそこには、一人の
女性の姿が。青年が思いを寄せてやまない、後輩の女の子だ。
「ななな、なんだい?」
彼女の方から声をかけてきたことなど、今まで一度もない。緊張のあまり呂律がまわら
ず、間抜けな返事をする青年。
「その……もし迷惑でなければ、一緒に食事でも……」
そう言うと恥ずかしそうに頬を染め、潤んだ瞳で青年を見つめる。
これは夢ではないのか、そう思い自分の頬をつねるが、たしかな痛みを感じる。夢ではな
いのだ。
「ぼぼ、僕でよければ喜んで」
断る理由など何一つない。頭が真っ白になりながらも、青年は少女のくれた奇跡に感謝
していた。あの子は本物の女神だったのだ。
その日から青年と女の恋が始まり、次第に仲は深まる。やがて二人は結ばれ、ほどなく
して二人の間には……
深夜の病院の分娩室。扉の前の廊下にあるソファーに、青年は一人、腰掛けていた。
病室では、小さな新しい命を育もうと妻が必死で戦っている。青年は、誕生の瞬間を今
か今かと祈るように待っていた。
「うまくいったみたいね」
聞き覚えのある声がした。青年の隣に、いつのまにかあの時の少女が座っていた。
「ああ、君のおかげで毎日が幸せさ。ずっとお礼を言いたかったんだ」
「ごめんね、なかなか会いに来られなくて。ここのところ、仕事で忙しかったの」
いたずらっぽく舌を出す少女。
「あなたみたいな人が、今の世の中には大勢いるのよ。だから、わたしが手助けしてあげ
ないとだめなの」
「そうかい、恋の女神も大変だね」
何気なく言ったのだが、その一言を聞いた少女は不思議そうな顔をする。
「あら、わたし自分が恋の女神だなんて一言も話してないわよ」
「え? それじゃあ君は一体……」
青年が尋ねると、少女は無邪気な笑顔を浮かべながら答えた。
「わたし、戦争の女神なの。今度、大きな戦争を企画してるんだ。この間の大戦なんて目
じゃないくらい、すごいスケールのものをね。世界中で大勢の犠牲者が出るでしょうね」
少女は嬉しそうに続ける。
「でもそのためには、今よりもっと人口を増やさないとだめ。大勢で派手に殺し合わない
と盛り上がらないわ。だから、あなた達も頑張って、たくさん子供をつくってちょうだい
ね。そのために、こうしてみんなの恋のお手伝いをして回ってるんですもの」
その時、「おぎゃーおぎゃー」という力強い鳴き声が、廊下いっぱいに響きわたった。
少女はその産声を聞き満足げに頷く。そしてにっこりと青年に笑いかけ、こう告げた。
「ハッピー・バースデイ」
――了――
10 :
1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/10/01(水) 01:29:31 ID:AZo4UwZg
>>6 乙です
祝!S−1初投稿w
誕生の目的は戦争…反戦ってわけでもなくこれでオチですよね。
この子が大きくなってからの英雄譚とか見てみたいかも
どう落とすのかなーと見てましたが戦争でしたか……
まぁまぁ面白いけど暗いな
お! 早速投下があるじゃないかwではでは俺も早速感想を。
>>6 女神様が人の善悪を超越してていいキャラしてる。
ペンで縁を結ぶっていうのが新しいと思った。名前を書くとか、怪しい契約っぽくて何かいやぁな予感がしたんだよw
>ここのところ、仕事で忙しかったの
がさりげなくエグいねw彼女が頑張るほど、本来の役目と実際の仕事とのイメージのギャップが出て怖い。
いざ戦争が始まってしまえば後は人間任せで、彼女はただ見てるだけで役目を果たせるんだろうなぁ……。
投下来てる!
俺は女神が見せてるのは実は夢で、
「今まで幸せだった?」って聞かれてそこで死亡か夢から覚めるオチかと思った
まさかこういうオチとは
これスレ名乗っての投下もありなんでしょ?
スレごとの特色が見える作品もみたいな
獣人スレのやつとか見たい
あとGGGとか
GGGっぽい特色の作品ってどんなだ?
いつもやってる御題創作と一緒だろ
あんまりここで雑談はしないほうが…
いやむしろ雑談して盛り上げたほうがいいと思うけど
人が少なくて盛り上がってないように見えると参加しにくいしな
よし! 今から投下するよ。
件のGGG住民だけど、今回のジャンルはショートショート。こちらも地味に盛り上げたいスレです(宣伝
レスは多分一つ。お題は「十」。……こっそり「誕生」と「新」も含まれてるのは内緒。
ほいさ支援!
キタキター
どうした?何かトラブル?
2レスになっちゃうみたい…
世界から『2と8を足した数』がなくなって、早9年目。
人々の注目は、来年に世界がなくなるのではないか、という所にあった。
その説を最初に唱えたのがエス氏である。彼の自説はこうだ。
「我々が『5と5を足した数』が認識出来なくなったのは、今から9年前である。以来、原因はいまだ不明のまま。
私はこれを、宇宙全体のパラダイムシフトと考える。
世界のプログラム自体が『6と4を足した数』にエラーを出すようになったのだ」
この説を彼から聞いた人は、間違いなく理解に苦しみながらもこう問う。
「それはつまりこの世界自体が、教えられた事しかこなせない機械的なものだったと、そういう事なのでしょうか?」
「その通り。というより、そうとしか説明できないのだ。
現在の我々は、『7と3を足した数』や『2に5をかけた数』といった方法でその数を示す事が出来る。
だが、直接それを表現する事は出来ない。それはつまり、この世の法則が壊れていると考えるのが妥当だ。
現に、以前は問題なく使えていた公式も、『1と9を足した数』などと書き換えないと使えなくなっている」
「それは、確かにそうかもしれませんけど。でも書き換えれば問題ないのなら、これからも大丈夫なのではないですか?」
「とんでもない事だよ、君。九年前の事をもう忘れたのかね?
たとえば時計だ。機械の偏屈な律儀さゆえに、針が『6に3をかけて8を引いた数』を指した途端、全て壊れてしまったではないか。
あるいは物差しだ。目盛りに数字が振ってあった物は、ことごとく中途で絶ち折れてしまった。目盛のないものは何ともなかったのに!」
「……では、これから世界はどうなるというのでしょう?」
「恐らくは『5に4をかけて2で割った数』年目……つまり来年に、世界は終わってしまうだろう」
エス氏のセンセーショナルな説は、瞬く間に世の話題を席巻した。何しろ、世界の終わりを示されたのだ。
人々は絶望し混乱した。その呷りで自殺や犯罪を犯す者達も急増し、エス氏は世間を騒がせた罪で裁判にかけられる事となった。
裁判には、裁判長・検事・弁護士のほか、時の為政者と陪審員9名も参加した。
「……という事で、被告は怪しげな風説を流布し、善良な市民を恐慌におとしいれた。それに間違いはないかね?」
「意義があります! 私の予測は現況をつぶさに観察して得られた、合理的な推論です。風説などと……」
「静粛に! 発言を認められるまで、被告は黙っているように」
「裁判長!」
もはや、エス氏の弁護が認められることはなかった。
「……わかりました。私はどんな裁きでも受け入れます……。ただし、条件があります!
陪審員ほか検事や裁判長も含め、私を有罪とする者が丁度『3に4をかけて2を引いた数』にならぬ限り、私は自説を覆さない!」
……果たして。
エス氏の提案は受け入れられたが……有罪票が『7に2をかけて4を引いた数』になることは、決してなかった。
それからも裁判は遅々として進まず。あまりにも埒が明かぬために、為政者の強権により結局エス氏は投獄。処刑される事となった。
その間も、世間では『3と3と4を足した数』によるトラブルが頻出していた。
ある債権者は、幾つかの借用書が読めなくなった為に不渡を出して破産した。
ある虫歯患者は、数合わせのために健康な歯まで抜かねばならなかった。
ある戯作者は、9章より先が書けなくなって自殺未遂をした。
社会生活のあまりの変化に、誰もが世界の終わりを意識せずにいられなかった。
一方エス氏は、牢獄の小さな窓の月明かりを頼りに、宛てもない手紙を書いていた。
「私とて、予測が外れてくれればどんなに良かったか。かの愚説を方々で話したのは、誰かにそれを論理的に否定して欲しかったのだ。
しかし……今思うと、ひとつだけわからない事がある。
私は多くの人に問いかけたのだが、その『1と2と3と4を足した数』番目に話した相手が思い出せない。確かに話したはずなのに。
……あれは、あの姿なき『6と6を足して2を引いた数』番目の相手こそは――ひょっとしたら、この世界の神だったのかもしれない。
『4と7を足して1を引いた数』こそが、すなわち神そのもので、神はすでにこの世におられないのではないかと、私はそう思うのだ。
ならば我々人間は、今こそ神に代わる数字を、創作しなくてはなるまい。
私はその数を、矮小な我々人間をあらわす『1』と、この世におられぬ神をあらわす『0』とを併せ、『10』と呼ぼうと思う」
そして。
エス氏は磔刑に処された。
しかし、彼の死後に発見されたその手紙こそが、世界を救うこととなったのだ。
その後の話である。
やがて、それまで『8と1と1を足した数』と言われていたその数字は、エス氏の提案通り『10』と呼ばれるようになった。
それを各地に積極的に広めたのは裁判に参加した、裁判長、検事、弁護士、陪審員9名である。
彼ら12人にとっては罪滅ぼしでもあったのだろう。
一部では『10』の字形に、エス氏の磔刑姿を表意文字にして採用する地域もあり、それは遠い異国までも広まった。
世界を救ったエス氏の功績を讃えるための宗教も生まれ、そのシンボルも磔刑がモチーフとなった模様である。
しかしそれも昔の話。今日ではローマ数字や漢数字の『10』などが、僅かにその形跡を残すのみである。
―了―
ご心配をお掛けしました。投下終了です。
テキスト容量が多かったみたいだぜ……珍しく長いの書いたばかりにこんな事に……
投下乙!
おおーいかにもショートショートっぽいな
行数制限に引っかかってたのかw
いかにも正統派のSSだね
10の代理表現のバリエーションの豊さが面白かった
新しい10の誕生もかけてるんだな
ショートショートスレは俺も見てるよ
かなり良作があっていいよな
>>27の作品もGJ!
この不条理さと最後のオチがたまらん
31 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 20:07:56 ID:CFfOvbGX
発想は面白いけどオチがダメだろ
ショートショートは設定とオチが命
設定は100点満点中85点くらいだが
オチは20点くらい
総合評価 ランクD
12人、ってことは
エス氏ってイエス、か?
磔になってるし
最初に石を投げなさいのネタも絡めてあるしね
十字架で十にも絡めてあるんだろうね
きれいにまとまったショートショートが書ける男の人に抱かれたいです
俺は絵が見たいです
投下しますー。暗黒史スレから来ました。エッセイ風。
その少年は作曲が好きだった。
親の携帯に付いていた作曲機能を使って「かさじぞう」を作ったのが始まりで、
作曲の決まりこそ知らなかったものの、見ていたアニメの曲を作ってみたり、
自分で思い付いた旋律を思い思いに鳴らしてみたりと、少年なりに楽しく、音を創る喜びを楽しんでいた。
少年は他にも小説を書いたり、漫画を描いてみたり、ゲームを作ってみたりと、何かに取り憑かれたように創作活動に勤しむ日々を送る。
少年は、創作することが好きだったのだ。
そんな少年も中学三年生の冬ともなると、高校受験に追われることになる。
塾では大量の問題集を解かされ、家では家族の期待と戦いながら、それでも少年は創作に取り憑かれたままだった。
興味を持った物にはとことんのめり込むタイプの彼がその頃嵌っていたのは、とある動画投稿サイト。
クリエイティブな思考を持った者が集まるそのサイトは、少年に取っても魅力的だった。
毎日サイトを開いては、ひたすら動画に目を通す日々。
楽しいな、と思いながらも少年は、このままでは駄目だ、という焦りを感じていた。
大晦日を過ぎ、三学期が始まると、その思いは一層強くなっていった。
いつまでもこうして見ている側に回っていては、きっと受験に落ちてしまうだろう。
ならば多少時間を犠牲にしてでも作る側に回り――ひとつ動画を投稿したところで、キリよく見るのをやめればいいのではないか。
そんな考えが頭に浮かび、片隅に張り付いて離れなくなっていった。
その作戦を実行に移すのに、そう時間はかからなかった。
「ちょっと見辛いかもしれません、と……」
一月の終わり、少年はパソコンの前に座って、投稿者が動画に付けるコメントを打っていた。
少年が選んだ動画の種類は、作曲。小説も漫画もゲームも時間がかかり過ぎ、見映えが良くないといった単純な理由からだった。
投稿確認のページを前にして、少年はゴクリと息をのむ。
即興で作ったにしては、動画は中々いい出来だと思っていた。
どれだけの人が見てくれるだろうか。どれだけの人がコメントをくれるだろうか。
まさかとは思うが、ランキングに載ったらどうしよう。てか、さっきメールで友達に投稿するって言っちゃったし、引き返せねぇよ!
期待、不安、様々な思いが頭の中で踊り狂う。マウスを持つ手が震える。やはり、やめようか。
しかし、ここでやめたら後悔するかもしれない。そんな思いが、少年に勇気を与えた。
「投稿が完了しました」
こうして少年は、動画を初投稿することに成功した。
全く作曲理論を知らず、調がずれている上に不協和音が視聴者の脳を破壊する、ベースも何も考えられていない耳コピ曲を。
次の日から、少年はそのサイトを見ることを一切諦めた。少年の心は豆腐のように脆かったのだった。
中途半端な負けず嫌い精神と極度のショックで勉強にも気が入らず、少年はオカルト板に入り浸るようにすらなった。
幽体離脱を試し、コトリバコを読み、気をまぎらわし続けた。
動画を投稿したことを知らない友達にサイトの話をされるだけで恐怖を覚える日が続いた。
そうして、また幽体離脱を試し、トミノの地獄を目に焼きつけた。
受験が近付いた二月二十二日、体育の時間。
サッカーの試合中に転び手を付いた少年は、左手首の骨を骨折した。
全治一ヶ月。骨には縦にヒビが入っていた。
かくして少年の初投稿は、惨めな結果に終わった。
奮起して、サイトの確認を承諾して、転んで得た結果がこれだった。
甘い考えだったのだ。創作することを道具にして、サイトを断つ引き金にしようとした。
即興で作った物でも受け入れられるだろうとたかをくくって、有頂天になっていた。
完全に、創作することに対して敬意を払うことを忘れていたのだ。
これでは、罰を受けても仕方のないことだろう。
そこから少年は勉強を始め、左手にギプスを填めて受験し、志望校に受かるに至った。
もし「初投稿」をしていなかったらどうなっていたかは、少年にも分からない。
了
以上です。オチがあるとするなら、この話がノンフィクションだってことだろうか……。ああ、この話自体が後に黒歴史になることを含めると二重オチか。
みんなも黒歴史をどんどん晒せばいいと思うよ、と一応宣伝しておく。
投下乙!
コレはいい黒歴史w
でもこれ動画サイトってことは実は結構新しい話か?
投下乙!
黒歴史というものはこうして作品に仕上げることで昇華されるのです
なんまいだぶなんまいだぶ
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 23:03:42 ID:CFfOvbGX
ランク C
ある男が紙に大きく十と書いた。
それを見た同僚が何故そんなことをしたのかと男に訊く。
男は、こうして書いた十という文字をじっと見ていると、なんだか十という文字が本当にこれでよかったのかという気になるんだ、と答えた。
同僚は興味を示し、男が壁に貼ったその十を、男と共にその前に座ってジッと眺めることにした。
眺めている内に、目にうつる十の輪郭が曖昧になり、足元が揺らぐような、不思議な感覚に襲われた。
同僚は感心して男に、なるほど、これは面白いと言った。
男は腕を組んでなにやらしかめっ面をしている。
同僚がその理由を訊くと、男はこう答えた。
「いやあな。なんか違うんだ。」
「一体何が違うんだ?」
「俺は普段やっていても、こんな感覚は経験したことがないんだ。」
「そうなのか?」
「ああ、そうなんだ。」
二人はまた十を見た。
十の輪郭はぼやけたままだった。
その時、男が何か考えにぶつかったらしく、ポンと手を叩いた。
「なぁんだ、そういうことか。」
「だからどういうことなんだ?」
「つまりだな。」
男は立ち上がり、壁に貼った十をはがす。
「ここに書いた十がぼやけたってことは、十を書くとぼやけるようになってしまったってことだ。」
同僚は男が何を言い出したのか、理解出来なかった。
「つまり?」
「つまり、僕たちは十を書くとぼやける世界に来てしまったというわけだ。」
そうして男は窓辺へ向かう。
窓の外は、知らない世界だった。
発想に十分、推敲に数分の超大作です。
反省はしていますが後悔はしていません。
>>38 _,,...,_
/_~,,..::: ~"'ヽ
(,,"ヾ ii /^',)
:i i"
|(,,゚Д゚) 呼んだ?
|(ノ |)
| |
ヽ _ノ
U"U
テンプレに従うのを忘れていました。すいません。
1/4
盛大なパーティが開かれていた。
スズムシやコオロギがファンファーレのごとく鳴き声をとどろかせ
オンブバッタやキリギリスは興奮を抑え切れぬとばかりに跳ねて回っていた。
そして、パーティの主役。
集まった虫たちの中心には、一つの卵があった。真っ白な卵。
とても厚い殻に覆われていて中を覗くことはできない。
その覗くことのできないという状況が
パーティ参加者の昆虫たちにとって恐ろしくも、また楽しくもあった。
2/4
「まだか。まだ生まれないのか」
しびれを切らしたとばかりにキリギリスは卵に詰め寄った。
「よしなよ。そんなふうにおどかしていつまでも出てこれなかったらどうするんだい」
と言って、コオロギが止めに入った。
「でもさ、このまんま生まれるのを待ってていいのかい?
とんでもなく危ないやつが出てくるかもしれないぜ?」
スズムシが言った。
「なに言ってんだ。そんときは逃げりゃいいのさ。オイラみたいにね。ぴょーんとね」
オンブバッタか言った。
そのとき、卵が動いた。みな一様に「おっ」と言って卵の方を見た。
3/4
「はじめましてこんにちは」
殻を押しのけ出てきた虫は全身どこも真っ黒で
体はそこそこ大きいが温厚そうな性格ですぐさま逃げる必要はぜんぜんないやと判断し
コオロギ、スズムシ、キリギリス、オンブバッタはみな安心。
「君も今日から友達だ」
ある日、みんなの役に立ちたいと新入りは考えた。そこで彼は仲間たちに言った。
「とっておきの楽園を知っている。えさがいっぱいある。春のようにあたたかい」
そんな楽園あるはずないと仲間たちは口をそろえて言った。
しかし彼は旅立った。楽園を下見するために。
一日二日と経っても彼は戻ってこなかった。
彼は民家に忍び込みスリッパで叩き潰されていた。
4/4
命からがら彼は民家の庭先まで逃げてきた。
そこで親友のコオロギに再会した。
コオロギはぺしゃんこにされ死にかけたそのゴキブリに声をかけた。
「大丈夫か」
「お礼がしたかっただけなんだ。後悔はしてない。みんなと過ごした時間は忘れない」
そう言ってそのゴキブリは息耐えた。
コオロギはそれからしばらく庭をうろうろした。
そこで、捨てられた鶏の卵の殻を見つけた。
元気なゴキブリも見つけた。
そのゴキブリに声をかけた。
「今夜、向こうの雑木林でパーティをやるんだ。きっと楽しい。
会場の場所を教えるからコイツを被って待っていてくれ」
完
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 00:27:16 ID:v3ybW1M1
>>25>>26 これはなかなか新鮮、設定や世界観を練りこんで短編〜中編に仕立てても面白そう。
うわ!ちょっと見ない間にいっぱい増えてるwこういう時は一言感想だ!
>>39 黒歴史乙!胃がキュウっとなったわwでも創作に戻ってきたんだね。おかえり!
……昔使ってたPCが健在であったなら俺だって……ちくせう
>>47 ゲシュタルト崩壊乙!大の大人が二人して何やってるんだよw
でも「十」だけに十分で書くというのは面白いね。1月に「一」のお題が出るのが楽しみだぜ(コラ
>>48 菌類乙!
ていうか呼んでねえ!土瓶蒸しにしちまうぞ!
>>50 G乙! オンブバッタは虫の種類じゃねぇww
そして「誕生」がテーマになってるのに死ぬなよ>G そして生き返んなw
>>55 バンディッド乙! S−1初絵投下おめ!相変わらずペイント&マウス好きだね。
というかそろそろお絵かきソフト導入すれ! 色々出来てもっと楽しいから!
容量のペースは丁度良いみたいだね。いま57レスで28KB。
投下の途中で気づかない内に容量落ち、ってのはしたくないからね。
というか、なるべく分けて投下すればいいのか……
俺だけ空気読んでねえw
>>50>>57 オンブバッタ、虫の種類だった……てっきり交○してるバッタの俗称かと……
はずかちい!
朝起きたら投下いっぱい来てる!
俺がみたかった絵ときのこる先生もいるしw
それにしてもペイント&マウスなのにどんどん腕上げてるな
ゲシュタルト崩壊とGもちょっとひねった御題への答え方がステキ!
黒歴史のやつはその作曲した音楽が聞きたいw
Gのやつはゴキブリの卵囲んで祭りをする虫の集団創造したらウゲッってなったw
モミジの絵はちょっと浮世絵っぽくて綺麗!
64 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 15:28:18 ID:+IxBe3ro
他のスレも投下来ないかなー
まだ三日だぜ、書き込む前の段階の人が多いんじゃないのかな
先ほど盛大に本スレに誤爆してしまいました。恥ずかしいですがもう一度こちらに投稿します。
シェアードワールドスレの者です。お題は「秋」「初」を使いました。
*****
私の名はブチという。
白い身体に黒いブチがいくつか付いているからだ。
いかにも安易に名づけられた名前だが、私は気に入っている。
過剰な装飾は嫌いなのでね。
名前なんて、これくらいシンプルなほうが良い。
言い忘れていたが、私は猫だ。
生まれてからずっとこのお寺に住んでいる。
今日はこれからこの寺の和尚に相談事をしに行く予定だ。
何の相談に行くかだって?
まあ話せば長くなるが、別に急いでいるわけではないし
特別に教えてあげよう。
昔、私がまだ子猫だった頃の話だ。
丁度今くらいの季節になると、朝晩の冷え込みがだんだん厳しく
なってくるだろう?その日も私はお寺の片隅でうずくまりながら、
朝日が昇るのを待っていたのだ。
そんな私の前を一人の人間が通りかかり、丁度私の目の前で
足を止めた。見た感じ、仕事帰りのOLさんといった風貌だった。
髪をアップにまとめ、メガネをかけていたのを覚えている。
彼女は寒そうにしている私を見かねて、手に持っていた紙袋から
何かを取り出し、そっと私に差し出してくれた。それが、私と焼き芋
との最初の出会いだった。その時の焼き芋の暖かさ。今も忘れはしない。
しかし私は猫なので、当然猫舌だ。だからせっかくもらった
焼き芋も、冷めるまで口をつける事ができなかった。あの時程、
己の運命を呪った事は無かった。なぜ私は猫なんかに生まれた
のだろうか、と。犬か何かであれば、ほかほかの状態の焼き芋を、
思う存分ほうばれたというのに!
だが、私は諦めなかった。どうしても焼きたての焼き芋を食べて
みたかったからな。その日から、私の猫舌克服大作戦が始まった。
人様の家に忍び込んで、味噌汁で特訓した事もあった。お寺の
芋煮会に紛れ込み、煮えたぎった芋と戦ったりもした。しかし結局
何の成果も得られず、私自身が猫の中でも指折りの超猫舌である
という絶望的な現実を、ただ突きつけられただけだった。
つい昨日の事だ。八方塞な私のところに、一つの噂が届いた。
それは、このお寺の和尚が実は猫と話が出来て、色々な悩みや
相談を聞いてくれるらしいというものだった。私は既に大人になって
おり、分別も常識もあった。だからその話をすぐに信用は出来な
かったが、とりあえず藁をも掴む気持ちで和尚のところを訪れたのだ。
どうやら和尚は、本当に猫と話をすることが出来るようだった。
その日は先客の猫に何やら相談事を持ちかけられているみたい
だったので、私は遠くからその様子を伺っていた。
そんな私を見つけた和尚は、今日は予約が入ってるから明日
また来るがいい、と言って手を振ってくれた。何とも優しいお人だ。
そういう訳で、私は今から和尚の所に相談事をしに行くのだ。
人間に頼るのはしゃくだが、贅沢は言ってられないしな。
お、噂をすれば和尚ではないか。今から伺おうと思っていた
ところだ。なに?何の相談かと?実はな、かくかくしかじかと
いう訳で焼きたての焼き芋を食べてみたいのだ。どうにかならん
かのう。
なに?一つ方法があるだと?してそれは一体どの様な……
ふむふむ、なるほど、和尚の身体に私の魂を乗り移らせて、
和尚の身体で焼き芋を食べるとな。そんなことが出来るとは、
さすがは頼りになるのう。では早速お願いしたいのだが宜しいか?
なに?儀式の準備が色々必要だから、もう暫くしてから縁側の
ほうまで来て欲しいとな?うむ、了解した。
……。
そろそろ頃合いか。それでは縁側へ行くとしようか。
……おお!これは凄い!儀式に必要な飾りが一面に施されている!
しかも既に焚き火が炊かれて芋のスタンバイまで完了しているとは、
さすが和尚。只者ではないな。お、丁度儀式が始まるようだ。
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー」
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー」
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー」
何を言っているのか全く分からんが、きっと凄いありがたいお経か
何かなのだろう。猫と話せるくらいだからな。神通力のようなものを
持っていても不思議ではない。
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー」
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー」
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー」
うむむ、何という真剣な表情!汗の量も半端ではない。これは、
相当高度な儀式を執り行っているのだろうか。私のようなただの
野良猫にここまでしてくれるとは、なんともありがたいことよ。
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー」
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー!」
「ハーミャーハーミャーナモアヴィダヴォー!!」
「モッケモケピー!!!」
おお!和尚の坊主頭が金色に輝き始めおった!なに?この頭に
私の額をくっつけろだと?了解した。私の額は猫の中でも
ずば抜けて狭いので非常に難しいが、何とかやってみよう。
どうだ?これでいいか?
おお、おおおぉ〜!坊主頭に吸い込まれる!
どうなっているのだ、あああぁぁぁ〜……。
はっ!私は一体どうなって……。
ってこれは和尚の身体ではないか!ということは、あの儀式は
成功したという事か。素晴らしい!さすがは和尚じゃ!ありがとう!
よし、では早速焼き芋を頂くとしようか。どれどれ……、ほほう、
これなど丁度良く焼けておる。ガサゴソガサゴソ。
おお!何という芳しい香り。
香ばしさと甘さの中に気品すら感じられる。そしてこの湯気の
暖かさはどうだ!食べる前から身も心もほかほかになるではないか!
ではそろそろ被りつくとしようか。こうやって半分に割って……。
ここの一番ホクホクでおいしそうな所を……カプ。
っ
あっ
あっっ
あっっっっっっっっっっっっっちぃぃいいいっっっっっっっっっ!!!
和尚……アンタ……もしかして猫舌……。
<おしまい>
投下乙です
さつま芋食いてえw
焦ってた気持ちを、じっくり落ち着けてから読みました(何故かは察してくれ)。
猫の一人称が読ませるね。>指折り とか、>藁をも掴む でニヤニヤ来たw
おまけに味噌汁食ってるしwなんて萌えるにゃんこだ!抱っこさせろ!ついでに和尚にも萌え!
……失礼、取り乱しました。
状況がコロコロ変わるテンポが良いね。最初に読んで(4/5)の展開はまさか想像できんw
なのに全体で見ると不自然じゃない。いや状況は非常に不自然なんだがw
ていうか猫!猫なんですよ!(意味不明
いまいち投稿のルールがわからない
どこからの投下か書くって一体どういうこと?
他スレからの転載のときだけ書けばいいの?
それとも出身スレとか常駐スレを書くの?
出身スレ、常駐スレでお願いします
はっきりそう書くべきでしたね…orz
もちろん転載おkです
お、投下来てる来てる!
シェアードスレってファンタジーじゃなかったっけ
和尚とかいるのか?っていうのが若干きになるけど
そんなことよりもぬこかわいいよぬこー!
オチもいい感じ!
投下しやすね。常駐というか作品を書いてるのはシェアードを作ろう&シェアードで青春物語でつ
お題は秋です、……ちょっと被っちゃったかもorz
1/2
息子が最近、ちいさい秋を見つけたちいさい秋を見つけたと可愛いけど煩い。好奇心旺盛な歳なのは分かるけど。
一応それなりに言葉が分かる歳の為、少し意地悪な質問をしてみた。
「お前の言う秋ってのは、どんなものなんだ?」
すると息子は首を横に振って答えた。
「ものと言うか……。でも秋なの。上手く言えないけど」
すると息子は、私を引っ張って付いてくるようせがんで来た。私はやれやれと溜息をついて、息子と共に外に出る。
息子の歩く速度が意外に早く、私は息を微かに荒げながら必死について行く。
「一体何処に行くんだ?」
そう聞くと、息子は立ち止まり、こう言った。
「もうすぐ。この近くにあるよ、秋が」
どこまで歩いたのだろうか、気づけば私達は紅葉が美しい山の中を歩いていた。
辺りを舞う紅葉の葉が、歩いている私達の間を縫う様にハラハラと落ちていく。
そういえば息子とこうして歩くのは何時頃だっただろうか。色々と忙しかったせいで全く構ってられなかったから懐かしい。
ふっと、息子が立ち止まりキョロキョロすると、だっと横の木々の間へと方向転換して走り出した。
「お、おい!」
私は無我夢中で息子の後を追いかけた。ませてはいるがまだまだ子供だ。あのままにしては危ない。
だが息子は結構駆け足が早く、私は彼の姿を見失ってしまった。非常にまずい。
私は息子の名を大声で呼びながら辺りを歩き回った。そろそろ日が暮れてしまう。
2/2
探し始めてから彼是1時間以上は経っただろうか、本気で心配になってくる。
その時、大声で息子が私の名を呼ぶのが聞こえた。私はその声のする方へと走り出した。
もしかしたら怪我でもしたのかもしれない。自然と動悸が早くなる。
しばらく走ると、しゃがんでいる息子の姿が見えた。急いで駆け寄り、声を掛けた。
だが息子は私に気づいていないようだ。何かを一心に見つめている。
怪我はしていないようで安心したが、何を見ているのだろうか……私はそっと、息子の背後に近寄り、目線を下げた。
そこには確かに小さい秋があった。いや……
秋というより、あきだ。うむむ? あきと首に名札を付けられた……子猫だ。
私達と同じく、捨てられた野良猫らしい。こんな所に自力で来れたとは思えん。全く……
この子を連れて帰れば、また飼い主さんに迷惑を掛けてしまう。けど、息子の潤んだ目を見ると……
私は無言のまま、そのあきという名の子猫の首輪を咥えた。やはりというか軽い。
このまま家に帰ろう……飼い主さんが認めてくれるかは、また別々の話だ。所で……
「お前、この子の名前はもう決めてるのか?」
「うん。僕の名前がフーユだから、アキが良いな」
終わりです。内容が無くてごめんなさい
乙でし
小さなあきねwあったというかいたというかw
咥えたってどういうこと……
うん、まさに小さいあきだな
>>76 シェアードスレはファンタジーで和尚とかは居ません。
スレと投稿作品には一切関係がございません。
紛らわしくてすみませんwオチは落語風にしてみました。
>>77 投稿乙です。おお!同じスレ住人ですね!
シェアードスレは猫好きの溜まり場なのでしょうかw
ぬこスレの流れだww
でもこの話で一番萌えるのは、恐らく飼い主さんだな
この後で困りつつも拾ってしまうに違いないw乙です
84 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 00:03:09 ID:p+d7S6Us
ageとくか
投下行きます!
GGGよりはさみさん! オリキャラ話だぜヒャホーイ! 知らない人の方がきっと多いぜ!
Gでの初出スレはdate落ちしたけど、盛り上げるための対策スレを探せば画像だけは見つかるかもよ?(宣伝
創発Wikiやうpローダを探せば、GGGログをDLする事だって出来るよ!(また宣伝
使用お題は……色々? 文量は前回の反省を生かして4レス分であります。
わたくしは鋏である。銘はあるのだが、はさみさんを通称としている。
明治の生れだ。変化する時代の流れの中、仕事を失った老刀工がなんとなーく作った物であるという事だけは記憶している。
ただ彼の掌に載せられた時何だかずっしりした感じがあったばかりである。
商店街のうらぶれた一角、今日も今日とて閑古鳥を御礼する古道具店の片隅にて。
日課である脚部の刃を手入れしていると、
「ところで、はさみさんは女の子なの?」
ここの店主の孫娘である万里絵君が話しかけてきた。
因みに万里絵君は小学五年生の少女である。
本来女性の年齢を明確に示すのは刀剣の道に反するのだが……このくらいは是非もあるまい。
脚に丁子油を塗りながら、わたくしは誤魔化すことにした。
「それは面白い問答だ。無機物に男女の別有りや否や」
「もう、難しいこと言って誤魔化さないでよ」
お見通しであった様だ。聡いお嬢さんである。
「然しそうは云われてもだね。わたくしにも判じかねるのだよ」
これは本当だ。
『何某丸』等という刀が多い様に、本来刀剣は男の性を持つものだ。フロイト氏の説を持ち出すまでもなく自明である。
然し。
「見た目は女の子だよね。はさみさんって」
……子供の瞳というものは、誠に正直なのである……残酷な程に。
脚を十分に拭い終えたわたくしは、二枚の刃を閉じて万里絵君の側を向いた。
「……自分としては、全うな武士である心算なのだがね」
「じゃ、男の子って事?」
「…………」
然り、と云えない己がもどかしい。
その時背後から嬌声がした。
「ふぉふぉふぉ。万里絵よ、あまり鋏めを苛めてやるな」
「あ、御祖母ちゃん。お帰りなさい」
「……お帰りなさいませ、婆殿」
「ただいま。留守番ご苦労だったねぇ」
この店の主殿の御帰城である。
「今日もお客さん来なかったよ」
「それは結構」
「婆殿……商売は良いのですか?」
この店はどうなっているのだろう。
婆殿とは云うが小学生の孫を持つ程度の女性だ。人生五十年の昔ならいざ知らず、現代では働き盛りと呼ばれる御歳だろう。
それにしたって同年代の女性と比べても遥かに若いのだが。何でも老人の様な口調は商売用であるらしい。
わたくしもこの店の売り物である以上、店主殿には敬意を払っているのだが……。
「鋏めは己が可愛らしい少女の姿であるのが、あまり気に入ってはおらぬようだのう」
「……婆殿それは」
「え〜? お洋服とかだってこんなに可愛いのに?」
「そうそう。可愛いのにのう?」
「上はぴしっと決まってて、下はスカートみたいなのがひらひらっとして」
「お洒落には気を使うあたり、やっぱり女の子だのう」
……少々意地の悪いのは切に勘弁戴きたい。孫が感化され過ぎぬ事を祈るばかりだ。
「……これは燕尾服だ、万里絵君」
わたくしにはそう返す事しか出来なかった。
「まぁ鋏めを苛めるのはこのくらいにして……」
「え? 苛めてたの?」
「万里絵君……無邪気さは時に罪だよ」
万里絵君が「え〜?」と抗議する様に驚いて、婆殿は「ふぉふぉふぉ」とまた笑った。
婆殿は万里絵君が来ているといつも機嫌が良いのである。
「鋏は一対の刃からなる。つまり陰陽和合ともいえるのう。
であれば、服装と心とが男の――もののふの性である以上、身体が娘であるのは、一つの調和といえるのではないのかえ?」
「そうなの? はさみさん」
「……その通りですね」
そう云う考え方もあったか。そう腑に落ちる物がある。
このちぐはぐな自分の身体に違和感を覚えた事もあったのだが。
「さすが御祖母ちゃんだね」
「……婆殿には、いつも教えられる事ばかりです」
「ふぉふぉ、明治生れとはいえ小娘が何を言うか。
……さて。わしはずっと外に出ていたので、喉が渇いたのじゃが?」
「あ、私お茶を淹れて来るね」
「焼芋もあるから切っとくれ」
「はーい」
万里絵君は元気に店の奥へと消える。
わたくしと婆殿は黙ってそれを見送っていたのだが。暫くして婆殿が口を開いた。
「……孫が手入れを止めてしまって、すまなんだのう」
わたくしは驚く。
「いえ……お見通しだったのですか?」
「ふぉふぉ、刃にまだ少し油が付いておるでな。
あの子を構ってやる為に、ずっと鋏の刃を閉じておったのじゃろう? お前の切れ味は天下一品じゃからな」
「……いえ」
全く。
婆殿には敵わない。
「しかし……お前もそういう所は忠義じゃのう、鋏よ」
「……はい。
わたくし、心はもののふですから」
――――――
炉の灰の中、燃え残りの炭は仄かに赤く、時たま小さな音が弾け響く。
小屋を包み込んでいた熱気は、秋の夜風に吹かれて、今はもうない。
所々に古い火傷を滲ませる、錆色の腕をした老人が一人。
皺だらけのその掌には、小さな鉄の工芸品を乗せ。
老刀工は、静かに語りかけるように。
それはわたくしの最古の記憶。
「何それとなく、斯様な物を作っては見たが」
――はい。
「うっかり両刃にしてしまった。刀の時の癖であるな」
――何と……矢張りうっかりで御座いましたか……。
「然し。物が斬れるのであれば、其れで善しである。莫迦と何とかは遣い様とも云う」
――嗚呼。わたくし、その言葉だけは聞きとう御座いませんでした……。
「……時代は。天下は、武士の物から遷り変ろうとしておる。
刀の時代が終わったのか……或いは、町民が武器を持つ世に為ったのだと、只それだけなのかもしれん。
武士の家が絶えたとしても、まだ暫く世は戦に乱れるであろう。それが人の常だからだ」
――それは……そうなのかも知れません。
「刀だけを鍛えて来た。先代、先々代、更に遥か以前からだ。
終りは必ず在る。恐らくは……拙の代でそれが来ただけなのであろう」
――はい……。
「先頃布告されたばかりの、この国の新しい元号は『明治』であるそうだ。
明かに治む。その名の通りの時代になる事を、わしは切に願う」
――はい……わたくしも、それを心に刻もうと存じます。
「……鋏よ。
お前は拙の鍛え上げた、最初の鋏にして……最後の刀だ。
老い先短い拙の代りに、この国の行末をどうか見続けて欲しい」
――……はい、お任せ下さい。。
わたくしは、貴方に産み出された事を、誇りに思います。
お疲れ様でした、父上。
投下終了です。
あまりお題を意識してるようには見えませんが、
日本刀の美称を「秋水」といったり、明治改元の詔が10月に出されていたりと、
色々それっぽいものはあるんですよ!?(言い訳っぽいな
乙です
もうGのキャラの一人になってますよね
雰囲気が大好き!
ジツはひそかに料理を警戒していたのですがw
来ませんねーwww
すごいー
かわいい
別にエサをあげてみても構わんのだろう?(背中
ていうか、S−1での初立体投下おめぐらっちゅれーしょん!
これが噂のフェルトなんとか人形(名前忘れちゃった…)なんですか?
96 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 02:21:52 ID:mJYiMnXB
すげえww
立体作品は新鮮だな、一匹ほしい
おれも参加するよ。SFスレから来たよ。
今から書く。
10歳の誕生日に死ぬ。ここは子供の国。大人は存在してはならない。
子供でいるのが幸せなんだ。大人は汚く疲れ果て、醜い動物だった。
世界から大人を皆殺しにしてできた国。それがここ、子供の国。
トエムは明日、十歳の誕生日を迎える。殺される。もう、トエムの人生は終わりだ。
十年生きた。満足な人生だろう。子供が子供のために働き、あとはロボットが世話をしてくれる子供の国。
十歳になったら死ぬ。それが子供の国。新しい子供はどこかで人工子宮によって人工培養されているはず。
ばんっ。一人。トエムの銃が子供を殺す。生き残る。トエムは誕生日に殺されたりはしない。
「明日を生きのびてやる」
トエムが子供を殺す。子供の国の反逆者だ。時々、トエムのような子供の国の理念のわからない反逆者が出る。
子供の兵隊で手に負えなければ、ロボットが出てくる。絶対に誰も勝てるわけがない。
十歳の誕生日を迎えた子供はいまだかつて存在しない。
「トエム、降参するんだ。きみに勝ち目はない。十年間、自由に遊んでいられたじゃないか。その恩を返す時が来たんだ」
「いやだあ。死にたくないよ。昔は十歳を超えても生きていられたんだろ」
「歴史を勉強しちゃったんだね、トエム。可哀想だけど、それは堕落への道だよ」
明日の誕生日に、アヤちゃんと抱き合う約束をしたんだ。死にたくない。
ロボットがマシンガンを撃つ。トエムの銃が迎え撃つ。血が飛び、思いが儚く消えた。
今日も反逆者が愚かな犠牲となって朽ち果てた。
「ハッピバースデイ、トエム」
反逆者の死体をアヤが抱きしめていた。
了
18分で書いた。オチてないな。
やぁ、SF板のSSスレに居たよね
うん、あすこの住人らしい設定厨っぷりだ
>>90 刀は諸刃より片刃が多いんだよね…?
WIKI見ただけだからわからんけど。
なんかどっかで見た事ある文だなぁ…いや、パクリとかではなく文の癖が。
エロパロ出身?
>>101 刀は基本的には両刃です
ご指摘の通り、諸刃は小烏丸のようなものしかありません
そして片刃ですね
ハサミも片刃ですが両刃ではありません
>>102 刀はよくわかんないけど雰囲気あって良いSSでした。
GJ
俺は作者じゃないんですよorz
同じテーマで台詞物を書いたことはありますが…
見られますよ
特にアブないイケない右足がw
な、なんだってー>ΩΩΩ Ω
えーと、とにかく鋏のSSの作者さんGJ
>>108>>109 作中では両刃(V字型)片刃(レ字型)の違いであります
刃物は大好きですが、ここで熱く語るのは激しくスレ違いなので(笑)某所に誤爆してきました
刃物は大好きです(大事な事なので二回言いましたw)
投下します。
*****
昔々、ぽんぽこ山というところにタヌキがたくさん住んどったそうな。
お調子者のタヌキ達は毎日を面白おかしく生きておったのじゃが、
そんなある日の事。
一際大きな身体をした親分タヌキが、突然
「マツタケが食いたい」
と言い出しおった。さっそくタヌキ達は手分けしてマツタケを
探しに行こうとしたのじゃが、親分が
「ちょっと待てい!」
と皆を呼び止めたのじゃ。
「お前ら、マツタケやからっちゅうてくだらんシモネタに走るなよ!」
何匹かのタヌキがびくりと肩をすくめ、股間に伸ばそうとしていた手を
さっと隠しおった。
「お前らみたいなアホをシバくために、この山におもっくそ呪いかけたった!
シモネタに走った奴は全員信楽焼きにされてまう呪いじゃボケ!
お前ら全員まじめに探せよドアホウどもが!」
数日後、ふもとの村人がぽんぽこ山に登った時のことじゃ。
山には溢れんばかりのタヌキの置物が、所狭しと並べられておったそうな。
全部信楽焼きじゃ。
中でも一際大きなタヌキの置物が、山の頂上に置かれとった。
その顔には、えもいわれぬ満面の笑みが浮かんでおったそうな。
めでたしめでたし。
乙です
親分の語り口が味があるなあ
日本昔話風でいいなーこういうの好き
Gスレより投下します。お題は「秋」です。
「ふむう……御前さんいつもそうして裏庭を眺めているが、この庭が好きなのかい?」
「わたくしはこうして静かに座つてゐるのが好きなのです。今日はお客様はいらつしやいましたか」
「今日は信楽焼の狸をひとつ、持ってきた人がいたよ。ほら、いつも花を持っていらっしゃる」
「ええ、それで狸は如何でした」
「何やら本物のような気色だったよ。今は表に出してある」
「そうですか。ちよいと見てみませう」
「それから、あの糸車は売ったよ」
「お向いのあの書生ですか。」
「そうさな、魚をもらってしもうた。今夜戴こうか」
「立つ派な鮟鱇ではありませんか」
「捌いておくれでないか」
「お水と小出刃をお願がいします」
「おお、鯵切しかないが。水は庭で汲んでおいで」
「御茶も淹れて参りますから、そこでゆつくりしておいでください」
縁側に佇む老婆。庭の井戸の際に、柄杓を持ち鮟鱇を掛ける姿があった。
冷たい風に木の葉が揺れ、燕尾服の裾は微かに翻った。
冬が来る。 (了)
115 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 09:15:45 ID:idA6h9G2
雰囲気あるね
>>112 感想ありがとうございます。
関西出身なので、関西弁っぽく喋らせるの好きなんです!
親分の台詞は音読しながら書きました。馬鹿ですみません。
>>113 こちらも感想ありがとうございます。
そしてシモネタですみません。
最終的に親分もシモネタ我慢できなかったというオチが
若干よわかったかなと今は反省しております。
117 :
かがみ:2008/10/11(土) 13:31:13 ID:Ltnf/3IP
やけにレベルの低いグランプリだな……
グラン‐プリ【grand prix フランス】
最高位の賞。大賞。
>>117がレベルの高い創作をしてくださるそうです
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 22:23:48 ID:vjJkI/SB
ではどうぞ
荒らしへの反応がとっても投下しづらい雰囲気を醸しておりますね
猥談でもしませう
猥談とな!?
Y談って何の略?
124 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 08:44:34 ID:NOtT2j3H
やましい談話の略
なるほど
投稿します。お題は「秋」「初」です。
「おう、辰吉! 俺だ、権造だ! へぇるぞ!」
小せぇ長屋の、障子に穴の開いた戸に手をかけながら怒鳴り声を上げたが、中からは何も声がしなかった。
「せっかくの日本橋の建築仕事をさぼりやがって! いくら新婚でも勝手は許さねぇぞ! 辰吉!」
不機嫌に中に入ると、辰吉の奴は、布団にくるまってわんわん泣いているところだった。
「何かあったのけ? ・・・嫁はどうしたんだ?」
見回すと、新婚したはずなのに、嫁の姿が見えなかったので聞いたが、それがいけなかったらしい。
余計派手に泣き出してしまった。
「子供じゃあるまいし、泣いてるだけじゃわけがわからん。事情を話してみな。」
布団を引っぺがして、辰吉の奴を起こしにかかる。
「・・・へい、親方。現場をさぼっちまってスイヤセンでした。」
「まあ、それはいい。それより、何で泣いてたんだ?」
「実は、嫁が出ていっちまいやして。」
「なんだって!? おめぇ、結婚してまだ二日じゃぁねぇけ!」
「へい、そうなんです。あれだけ親方や皆に祝福して頂いたのに、二日でまた一人身に戻っちまいやした。」
「あれだけ気のいい女はそうはいねぇのに、いったい何があったんだ?」
「・・・実は、鰹が悪いんです。」
「結婚祝いに、皆から頂いた鰹ですが、こいつを食べようとして思い出したんです。こいつは今年初めて食う鰹だって。」
「ほう。」
「それでですよ、親方。『初物は嫁に食わすな』って言うじゃぁありませんか。『そいつはいけねぇな』ってんで、嫁が気づかないうちに、鰹を自分一人で食っちまったんですよ。」
「あんな大きな鰹を一人でか。」
「へぇ。そしたら、『こんな立派な鰹を一人で食っちまうなんて、そんな身勝手な人とは一緒に居れない』って怒って出ていっちまったんです。」
「確かに、初物は嫁に食わすなって言うが・・・辰吉、今は何月だい?」
「なんですか、親方。突然、時蕎麦みたいな。」
「いいから、今は何月だい?」
「神無月ですよ、親方。本当に神も仏も無いくらい、こっちはまいっちまいやしたよ。」
「いいや、仏はいるさ。もうすぐ嫁は帰ってくるから心配しなさんな。」
「また親方、適当なことを・・・」
そのときだ。戸が派手にダンと開いて、嫁が旅装束のまま駆け込んできた。
「ごめんよ、あんた。鰹ぐらいで実家に帰るだなんて滑稽だって、途中で気づいて帰ってきたんだ。」
「そうかい! すまねぇなぁ。俺の身勝手なせいで怒らせちまって。」
互いに誤り抱き合って泣きだす二人。
どうやら元の鞘に納まったようだ。俺もほっと息を吐いた。
「・・・でも親方。何で嫁が帰ってくるって分かったんですかい?」
しばらくして、辰吉が不思議そうに聞いてきた。
「それはな、お前が鰹を勘違いしたせいだ。」
「勘違いって、俺が何を勘違いしたっていうんですかい?」
「今年初めて食うからって、あれを『初鰹』って呼んじゃいけねぇよ。今の鰹は『戻り鰹』だ。だから、嫁だって戻ってくるって思ったのさ。」
「そんな理由で!?」
辰吉は飽きれたようだが、いいじゃぁねぇか。戻ってきたんだから。
(了)
投下乙です
江戸っ子なら五月末には鰹食ってるものですよね
勘違いする気持ちもわかる希ガス
ちょいちょい誤字が気になるがしーらないっと
うめえじゃねえかよバーローちきしょうめ
感想ありがとうございます。
誤字ありましたか? あちゃー、チェック足りないですね。推敲気をつけてみます。
>>130 つ「新婚した」
「互いに誤り」
「飽きれた」
重箱隅で申し訳ない
あんまり気にするな〜
指摘ありがとうございます。こんなに間違ってたんだ。
・・・しかし、オチで誤字はかなり恥ずかしい(*つд⊂)・・・
133 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 06:47:52 ID:hYM4wdOD
>>132 嫁は神様で、出雲に行ってたって考えるのは間違ってる?
134 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 10:35:46 ID:K4EMgaCz
ある日私は詠子と散歩に出かけた
私はこの世界に疲れを感じていた
先のことを考えれば考えるほど私は疲れていた
「さあ、詠子。どこへ行こうか?」
何を思うでもなく自然に発せられた言葉
詠子は私の言葉には答えずただただ前を歩いている
思えば私はこの子とこうして話すのは初めてではないだろうか
いつもいつも仕事に行き人付き合いで行きたくもない飲屋などにもいった
帰るのが遅くなり子供や妻と話す時間を取らなかった
いや無理にでも取ろうとしなかった自分が悪いのだ
誰だって仕事に行けば疲れ人間に出会えば楽しくもあり腹立たしくなることだってあるんだ
当たり前のことから逃げた私は自分勝手に疲れを感じ周りに当たり散らして勝手に壊れた
今も独りでただ前を歩きどんどん追いつけなくなってしまっている詠子の背中
いつだって後悔する
うまくない
でもそこから逃げていてはいけなかったんだな
もう今は詠子の顔すら思い出せない
そう、私の最期の散歩は終わったのだ
135 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 10:51:50 ID:uRS/pmj0
江戸っ子SSGJ!
にしても関西の俺としては日本橋と聞くと大阪のあそこにか思いつかんw
>>134 詠子と聞いて十叶詠子で頭がいっぱいになる俺はもうダメだ
投稿します。お題は「誕生」。
短歌です。
生まれてと誰が頼んだわけじゃない
だけど生まれてくれてありがと
投下終了です。
短歌も来た!
子供のときは産んでと頼んだ覚えはないとかよく言うもんだよねー
母の短歌になんかしんみりしました
短歌GJ
ありがと、でなんかほっこりした
>>136 俺がいた
142 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 02:22:53 ID:TVQAlAuW
短歌とゆー手があったか
持ち上げすぎだろ…… 言いたいことはわかるけどリズムが悪すぎ………
現代短歌だね
サラダ記念日とかそのへん思い出した
短歌スレもあるもんな
ってことはそのうち漢文での投稿とかも来るかもしれないのか
投下します。お題は『秋』
SFSSすれより。
「帰秋」
秋霖凍街路
雨及長斯如
竟見月山蘆
君忘勿拙居
終了です
昨日満月でしたので書いてみました
一応韻も踏んであります
マジで漢詩キタwwww
しかしSFスレからなのかw
投下します。お題は「秋」「初」を使わせていただきました。
常駐スレは古代・中世的ファンタジースレですが、今回は学園モノ(?)です。
___________________________________
イチョウの葉がひらひらと落ちてくる。
何枚も、何枚も。
時折私の頭に載り、髪の上を滑り落ちる。
くる、こない、くる、こない、くる……
コスモスの花で占いをしたって、花びらの数は把握しているのだから、
答えは見えている。
でも、そうでもしていないと心が不安に押し潰されてしまいそうで……。
イチョウの木の下で、私は待っているのだ。あの人を。
あの人は、強くて、かっこよくて、人気者で。
私なんか近づくことすらできないと思っていた。
でも、そんな僻みと妬みに満ちたちっぽけな私の心を、
あの人は優しく包んでくれた。
自分に取り柄がないと思い込んでいた私を、心で抱きしめてくれた。
ううん。実際に触れたわけじゃない。
ただ、言葉の上で救ってくれただけ。
本当にあの人に抱きしめられたら、私はきっと、
幸せのあまり心臓が張り裂けてしまうだろう。
こない……。
8枚の花びらしかないのだから、わかっていた。
わかっていたけれど、切なくなった。
本当に来てくれないのだろうか。
約束の時間はとっくに過ぎている。
否、約束ではない。
私が一方的に突きつけた指定時刻だ。
「遅くなってごめんね。委員会が長引いちゃって」
うつむいていた私に声がかかった。
待ち人来たり。
委員会か……。仕方がないね。人気者だから。
私はコスモスの茎を握っていた手を後ろに回した。
この人からは隠してそっと背中で捨てる。
恥ずかしいじゃない。花占いなんて乙女チックで。
確かに私は年齢的にも性別的にも乙女なのだが、認めたくない。
乙女チックなんて、私には似合わない。
「いえ、私もそれほど待っていたわけではありませんから」
嘘だ。指定時刻の三十分も前から、私はここにいた。
足が棒になるほど、疲れていた。
でも、そんな事情はおくびにも出さない。
「そう? 良かった。で、話って何かな?」
あんな手紙で呼び出されれば大体の察しはつくだろうに。
意地悪な人だ。私にどうしても言わせたいの?
「ええ、口に出すのはちょっと恥ずかしいので……ちょっとかがんで
耳を貸してもらえませんか?」
胸が高鳴る。私より大分背の高いこの人に仕掛けるつもりの罠は、
私の心の中から飛び出してしまいそうだ。
思わず口元を押さえるけれど、言葉にはならないようだ。
「了解。これで良いかな?」
素直に従ってくれるなんて、なんて良い人なのだろう。
私のなけなしの良心がちくりと痛む。
そして私は……。
ちゅっ。
そんな音が響いたのかどうかはわからない。
軽く頬に触れただけの唇。なのに熱い。
「何のつもりかな?」
心なしか怒っている? 声のトーンが少しだけ低い。
でも、怒っても、相変わらず綺麗な人だ。
むしろ、怒るなんて感情を見せるこの人がもっと愛しく思える。
「貴方が好きなんです。もう、我慢できないくらい」
言ってしまった。言ってしまった。
反応が怖い。聞きたくない。見たくない。
気がつくと、下を向いて目をつぶっていた。それはもうしっかりと。
「ふむ……なるほどね」
耳をふさぎたいくらいだ。でも、ちょっぴりの期待がそれをさせない。
次に繰り出される言葉が何を伝えるのか。
怖い。心臓の動きが大きく感じる。心が重い。
「そう言ってもらえるのは嬉しいよ」
閉じていた目を思わず開いた。
嬉しい? 本当に?
「けど、ねぇ……。わかっているんだろ?」
やはりそうか。『けど』がつく答えなのか。
私の浮き上がった心は、急に支えを失って、奈落の底に落ちていく。
「わかっています。でも、好きなんです! 貴方しか好きになれない!」
私は必死に訴える。
思いのたけの百分の一にも満たないけれど、気持ちをぶつける。
見上げると、難しそうな顔をして、考えをめぐらせているその人がいた。
そして……。
「そう。わかった」
覚悟を決めたといった表情がそこにあった。
その時、突然の強い風がイチョウの葉を、私のスカートをまき上げた。
「ひゃっ……」
思わずスカートを押さえる私。
すると、華奢な指先が私の顔を上に向かせていた。
「んっ……」
先ほど熱くなった唇に、もっと熱い唇が当てられる。
私にとっては初めて体験する感触だ。
まさか……まさか……こんな……!?
「女の子とキスするなんて初めてだよ」
唇を離すと、その人は言った。
女の子と? ということは男の子とならあるんだろうか。
なんとも言えない気持ちが、心の底でくすぶっているのを感じる。
「私は……キス自体が初めてです」
きっと私はリンゴのように赤くなっているのだろう。
頬が、顔全体が熱くてたまらない。
勿論、唇もだ。
「そう……。ファーストキスがこんな相手でがっかりかな?」
「いえ! いいえ! そんなことありません」
私は全力で否定する。がっかりなんてするわけがない。
「嬉しいです……とても」
「参ったな……本当に私のことが好きなんだね」
長い髪をかきあげながら、その人は言った。
まだ風は弱くなったがふいている。
その人のスカートもめくり上げられない程度に揺れている。
「好きです。女じゃダメですか?」
涙が出そうだ。
拒否されることにじゃない。受け入れられることが怖いのだ。少しだけ。
「普通ならダメだけど、キミは……私も好きだ」
信じられない言葉。え……私のことが……好き?
「先輩……!」
思わず抱きついていた。
身長は高いけれど、柔らかいその身体に。
女の象徴を十分に示しているその身体に。
「ふふ……甘えんぼだね、キミは」
拒んだりなんてされなかった。むしろ、強く抱きしめられていた。
嬉しい。凄く嬉しい。
「はい……ごめんなさい」
抱きしめられたけど、心臓が張り裂けることはなかった。
柔らかくて温かな気持ちがこの胸を包んでいる。これが本当の幸せなのだろうか。
「良いよ。謝らなくて。甘えられて私も嬉しいから」
この人の笑顔は本当に心を温めてくれる。
幸せがいっぱいだ。こんなに幸せで良いんだろうか。
「さあ、もう遅いし、帰ろうか。この続きは、また明日から」
「はい!」
続きってどういうことになるんだろう。
少々疑問がわいたけれど、すぐに打ち消した。
明日からが楽しみだ。
ー了ー
154 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 14:58:09 ID:73m+gUY1
相手は男だと思ってたからしてやられた。二人の今後が気になる良作だなぁ
これは百合!百合じゃないか!
あなたぜひ百合スレへカモン!
SFスレから漢詩、ファンタジースレから学園物百合とはいい感じにシャッフルされてるなw
いやあえて違うものを書いてそれに該当するスレがあるこの板が凄いのか?
>>154 俺も絶対男だと思ったから
最後のほうでスカートが出たときにまさかと思ったよw
たらちねの 母の子守りの歌を聞き 我も我が子に 歌い聞かせて
あしびきの 山並み燃える 紅葉の 話せんかな 高見の杜に
ぬばたまの 闇夜に浮かびし 望月の 欠け行く姿に 綴る文かな
限りなく 吹けば花びら 散るものと 心短き 青き秋桜
心をば 思いも寄らぬ 秋風の 情けも依らぬ 夜の静けさ
舞落ちる 葉の色 茜になりにけり
シェアード青春とかファンタジーとかロボットスレからきますた
おおー正統派短歌キタ
最後だけ575じゃないのはなんか仕様?
「帰秋」
秋霖凍街路
雨及長斯如
竟見月山蘆
君忘勿拙居
書き下し文にしてくれよ!!!!!!
>>154 >>156 見事に引っ掛かってくださってありがとうございます。
「彼」「彼女」という言葉を使わずに表現するのは難しかったです……。
固有名詞をつけても良かったんですが、良い名前が思いつかなかったので、
名前はご想像にお任せということで。
でも、「彼」「彼女」を使わなかったことで、すぐに相手が女だと気付かれるかなぁと思っていたんですが……。
二人も釣られてくれたということで私としては大満足です。
ありがとうございます。
>>155 百合スレは私も見ていますw
見ていますがなかなかネタが思い浮かばなく……w
この二人の今後の話とか需要ありますかね?w
ありていの 姿をみれば 姿見の 盃の酒 映る月かな
瀬を早み おつる飛沫に とぶ飛沫 虹がかかりし 渋き柿の木
夕暮れの 釣瓶落としに 誰もなく 彼も無くして 黄昏の風
狂い咲く 桜垂れて 散り行かば いとう心に 杯を重ねん
桜は春の季語かと思ったけど、「狂い咲く桜」は秋なんだ。知らなかった。
投下します。お題は「秋」「十」、歌物語を現代風解釈で作ってみました。
Gスレより。
彼女と出会ったのは秋の初めのことだった。この町に来てすぐのことで、私は新居の近くの川沿いを歩いていた。
海に面した都市から内陸の高原の町への移動は私をもの寂しい気持ちにさせたが、朝に歩く習慣ばかりは変わらず、
処々に歩を散じていたのだった。
小さな橋を過ぎ、河原へ下る草生の道へ踏み入れたとき、私はその背中に気付いた。彼女も散歩をしていたのだった。
次に私たちが会ったのは、月の満ちた夜の事だった。
月影や さやかに揺れぬ笹垣に 白玉置きにし 秋桜ひとつ
私たちは時折逢うようになった。だが、この関係が長く続くことはなかった。彼女が結婚していると知るに及び、
私は慎重になり、彼女はそんな私を責めた。彼女と最後に会ったのは、風が高原に冬を呼ぶ朝、澄んだ高い空の下のことだった。
君が背を 払いて過ぎし 天つ風 野辺の芒に 霜降る朝(あした)
はや年も暮れる。願わくは来年が彼女にとって良い年にならんことを。
人の道の 別るるものと 言いながら 斯くも短し 今年(こぞ)の十字路
(了)
歌物語とは予想外
三行スレから投下致します。といっても、内容は三行ではないのですが。
>>313の前後のお話、という事になりますね。Gも煽てりゃ創作をする、ってことで。
レスは一行分です。あらすじ美人という言葉がありますが、三行美人といわれない事を願いつつ……。
初めて魔術を教わった時の事を、私はよく覚えている。
祖父はいつもの仏頂面。
「……左手を出しなさい」
言って彼が私の手に結んだのは、魔術の初歩である一つの呪だ。
「これは【撥水】の魔術だ」
「これでどうなるの、おじいちゃん?」
「水を弾く」
祖父の説明はいつも簡潔で、そのままだった。
「試すに如くはない」
と彼は小さく呟き、机の銅水差しを取り出して私の掌の上で傾けた。
「わぁ……なんか、ふしぎ」
確かに左の掌が、まるで蓮の葉のように水を弾いた。
祖父は眉を少し動かして微笑む。
「直に不思議でも何でもなくなる。
何故なら、これが魔術師の日常であり、魂に刻み込まれた性だからだ」
「……【撥水】、か?」
悪魔は無感情な声で言った。
私にその顔を見てとれる余裕はないのだが、恐らく表情を変えてなどいないだろう。
「そうだよ」
雨音のせいか、聴こえる自分の声にノイズが混じる。
集中が途切れないよう、じっとりと滲む額の汗を手の甲で拭い、服の裾に擦り付けながら答える。
――祖父に何度も叱られて、それでも直らなかった私の癖だ。
「失礼だが、そんなものに意味があるとは思えないのだが。我が主殿?」
それくらいわかってる。
私の拙い魔術と弱々しい魔力とでは、半時も持たずに呪は解けてしまうのだろう。
でも、今この瞬間だけでも私は、祖父の棺をこの冷たい雨に濡らしたくないのだ。
「非合理だ。主殿」
「うるさい! いいからおじいちゃんをはこびなさい!」
「……初歩とはいえ、稚拙な魔術であるな」
悪魔の溜息とともに生じたのは、この世のものとも思えぬ異音。
それは、揺らぎ、跳ね、羽ばたき、軋むような唸り声。
「……始めから、私にそう頼めばよかったのだ。私の魔力による手柄は、私を召喚した貴女の手柄になるのだから。
一体、何を遠慮する必要があるのだ?」
それはいじけて祖父を困らせた時の、私の口調に似ている様にも思えた。
祖父の棺を淡く包む魔力が、私にも感じ取れる。
私は魔力の集中を解いて、小さく俯いた。
「……ありがとう、あくまさん」
「いいや? どうって事はないが?
それにしても、主殿の如き未熟な魔術師が私を呼び出し使役しているというのは、全く不思議でならないな」
悪魔は早口で並べ立てる。
何となく、彼が仏頂面以外の顔をしている気がした。
でも彼の顔は見れない。私の顔は伏せたまま。
幼くて未熟な私にも、魔術師としてのプライドはあるのだ。
「ありがとう、あくまさん」
もう一度、感謝する。
「……いいや、主殿」
灰色の空はまた一段と雨足を強めてきた。
惜しくも私のプライドから零れ落ちた涙の一粒は、祖父の棺にぶつかり弾けて消えた。
―了―
思わず3行スレの313見に行ったぞ
これか!
間にある空白部分にこの3行が入るのか、奥深いな
なんか雰囲気とかがよくてこれ好きだ
313 :名無し・1001議論中@自治スレ :sage :2008/10/18(土) 09:32:45 ID:RaLh+2ah
魔術師だった亡き祖父から工房を受け継いだ。使い魔の更新が私の最初の仕事になるだろう。
魔法陣に血液を注ぎ呪を紡ぐ。やがて現れた悪魔の仏頂面は、少し祖父に似ている気がした。
「して、先ず何を命じる……いと幼き我が主殿?」「おじいちゃんをおはかにいれてあげるの!」
――秋。それは冷涼な澄んだ空気の中、穀物や果実が実る豊穣の季節――。
うだるような暑さ。もうそろそろ秋だというのに残暑はまだまだ残っている。全く、暑さには少し自重して欲しいものだ。
そんな愚痴を心の中で垂れ流す今日この頃、私は遠い自宅へと下校真っ最中。が、それももう終い。この階段を上りきればそこにはマイホームが。
「ん?」
そこにはそわそわとしている挙動不審な少女。あ、目が合った。
「貴方、この町の巫女様ですね! 頼みたいことがあるんですが……」
……そう。私はリアルで巫女なのだ。今までもしばしば八百万的なトラブルを解決してきた。あ、ちなみに実家は神社で階段が半端ない。マンションとかだったら可愛げがあるってものだ。
「で、何? 明日小テストあるんだけど」
「しょうてすと……? まぁ、それは置いておいて! 一大事なんです」
「えー……」
なんでも夏の神様がもうすぐ秋にも関わらずこの町に居座っているらしい。夏が長いのはここ数年ずっとなのだが、今年は秋の神様が風邪を引いて夏の神様に全く敵わないらしい。
「地球温暖化ね。電気は大切に。じゃっ」
戸に手をかけると、少女は必死にそれを止めて来る。あっ、耳出てる。化け狐かな?
「いやいや待ってください。何でこの町? とか疑問あるでしょ! それに緊急事態ですよ!?」
霊風というのがこの町から吹いていて、四季の神様の力を日本全国に効率よく伝えられるのだ。この土地を管理する家んちでは常識だ。
「いやー、使い魔君さ。風邪は不摂生の賜物よ? 秋の神様も悪いとこがあるんじゃないかな。駅前に薬局あるから、さ」
「諭すように言われてもっ! このままじゃ秋が来ませんよ」
あきがこない【aki ga konai】。スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋。色々あるけどやっぱり深夜アニメの改編期。しかも今期は私の好きな魔法少女アニメが……。
ちなみに巫女は駄目だ。現実に妹がいると妹キャラに欲情出来ないのと似た感覚だろう。
「で、どうすればいいの?」
それにこの暑さも馬鹿に出来ない。
「えーと、夏の神様を倒して下さい」
「いやいや無理でしょ!」
仮にも相手は神様。しかもこの土地を借りているとはいえ日本全国に干渉出来るレベルの。
「では、手っ取り早く秋の神様に憑く病を追い出し、一時的に巫女様に憑依させるのはいかがでしょう」
「とどのつまり風邪うつすってことでしょ?」
難しそうに言っても騙されないぞ。
「はい。しかし馬鹿は風邪を引かないという格言も……」
「あんただんだんなめてきてるだろ」
とりあえず神社の中で降霊することにした。
「神様って降ろせんのかな?」
「いや……でも実体ありますよ?」
つまり私の体に降ろすのは無理。なのかな。
「あー、もうめんどくさいから呼んじゃお。来ーい」
有り難いらしい御札に清めのビールをぶっかける。我ながら酷い儀式だ。
ぽんっと煙が立ち、中から金髪の女性が現れる。なかなかナイスバディだ。
「う〜、酷い呼び出し方。さ、寒気がする」
「あっ、貴方は!」
そう、私がまだ小学生だった時の話だ。私たちは赤や黄に染まった裏山で隠れんぼをしていた。
私は少し張り切りすぎていたんだと思う。誰にも見つけられないような場所を探して隠れた時には疲れて寝てしまった。
そして目が覚めた時には辺りは暗かった。一緒に遊んでた友達も私が先に帰ったと勘違いして帰ってしまったようだった。
暗くて不安で……独りぼっちが怖くて私はその場を動けずすすり泣いていたっけ。しばらくそうしてると、がさがさと落ち葉が軋む。私は恐怖で震えあがったが、そこから人が現れたのだ。
黄葉みたいな金髪で綺麗な人だった。その人は優しく手を差し延べて私を助けてくれた……。私を見つけてくれたのだ。
「あの時の!!」
「い、いやそんな美しいエピソード知らないし。何で呼び出したのよ」
「あっ! 実はですね」
ごにょごにょと耳打ちする化け狐。
「あーら、貴方が」
ゆらりと立ち上がる秋の神様。風邪で顔が赤くてどこか妖艶だ。
「じゃあいただきます」
ぺこりと頭を下げる秋の神様。ん、何を頂くのだろうか。んん?
顎に彼女の指が伸び、ぐいと引き寄せられる。秋の神様のとろーんとした目がとても色っぽい。こっちまで変になりそうだ。
そのまま唇同士の距離が縮まっていき、やがて重なり合ってしまう。
「ん、ふぅ」
「んんっ。ん〜」
思わず突き放す。正気に戻れ私。こんなの冗談じゃないわ! でも……
「そんなんじゃうつらないわ。抵抗しちゃ駄目よ。巫女さん」
「そ、そんな、私たち女同士じゃない……」
またしても空ろな瞳が近付いて来る。あぁ、覚悟を決めよう。目も閉じよう。そして「ふふ……あなたの胸も豊穣にしてあげるわ」とか言われるんだ。
待ち構えているとくしょんくしょんくしょんと三連発。心なしか顔には何か冷たいものが。
「接吻してくしゃみ三回。これが相手に風邪をうつすおまじないなの」
確かに秋の神様はケロッとしている。まじで治ったみたいだ。そしてこちとらなんかぞくぞくする。まじでうつったみたいだ。
「じゃあね〜。これで夏の神様に勝てるわ」
「……お大事に」
秋の神様は大手を振って、化け狐は申し訳なさそうに我が家を後にした。くしゅん。秋なんて大嫌いだ。くしゅん。つーか巫女関係ねぇ。くしゅん
「そんな弥生ちゃん駄目だよ……。女の子同士でその……」
キスしただけでこの動揺。ふふ、可愛いものだ。
「ほら、目を閉じて。もっとすごいことしてあげるからさ」
ごめん、知子ちゃん。わざわざお見舞いに来てくれたのに、ごめん。私は万全の体調で深夜を迎えたいんだ。
了
終わり
開始宣言忘れた……。
ちなみによくいるのはGGG、シェアード、百合。最近ではローゼンスレとか。
ふぅ…
>>173乙です!そしてご馳走さまw
ビデオで録って見ろよwwとか、そんなおまじないがあるなら何故俺に風邪をうつさなかったのか!とか、色々と言いたい事は有りますがww
とりあえず、幕引き直後の知子ちゃんの不幸を思って鳴くことにします。メェー
>>168 gj! ところで、その1レスの前後も読みたい
// ふははは! 今の私は読み手! 故に書き手に無理難題をふっかけても許されるのだ!
一部の方には御待たせ致しました。こんな時間ですがお料理の投下です。
お題は「秋」という事で、みんな大好きサツマイモを使ったデザートを。愛と勇気が友達です。
『薩摩芋とレアチーズのミルフィーユ〜秋のS−1すぺしゃる〜』
☆材料
サツマイモ クリームチーズ 生クリーム 蜂蜜 グラニュー糖 塩 市販のバニラアイス
♪レシピ
蒸かしたサツマイモをマッシュします。
芋はそのままでも甘くて美味しいのですが、今回はデザートなので蜂蜜を少し。
そして塩を少々。芋の甘さが引き立ちます。
クリームチーズをホイップした生クリームでのばします。クリームチーズって、そのままだと固い上に味がないのです。
チーズ4:生クリーム2:グラニュー糖1 くらいの分量で良いでしょう。
生クリームの泡が壊れて柔らかくなりすぎたら、レモン汁を少々加えると固さが出ます。でも入れすぎには注意!
お好みでリキュールやブランデーを少し入れても良いですね。
サツマイモを細く切り、低温の油で揚げます。
写真の芋は一ミリほどの薄さに切って、格子状に並べてから揚げてますが……まぁそこまでする事もないでしょうwチップス状で十分です。
上記が全て出来上がったら盛り付けです。
重ねます。ぐらぐらするけど、重ねます。層を作るように、重ねますです。
とどめ…じゃなかった、仕上げにバニラアイスを乗せて粉糖をふりかけて完成!
フォークでぱりぱり崩しながら召し上がれ。
ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp00209.jpg ※撮影後、スタッフが美味しく頂きました。
恥も外聞もなく氏に粘着していたがしつこく料理リクしてよかったぜw
おおーすげーうまそー
滑り込み投下こないかなー
>>176 これは素晴らしい
林檎の飾り切りと芋の薄切りのシャープな形が映えるな
連投の上、まさか
>>175に応えてしまうとは誰も思わなかったに違いない。俺もびっくりです。
流石にそのまま繋ぐと文脈に無理が出ますが……き、気にしないぜ?
レスは二つ消費予定。お題に沿っているかどうかは、正直微妙なところであります。
俺以外の滑り込み投下もお待ちしてます! というか頼むぜ! あ、点呼スレも宜しく(宣伝
祖父の使い魔を初めて見たのは、あれはいつ頃だったか。
「はじめましてお嬢様? ごきげんうるるるるわしゅう?」
言って、掌ほどの大きさの悪魔はケタケタケタと早口に笑った。
私はといえば、あっけに取られて声も出せずに呆然とするのみだ。
「…………」
「おや? 寡黙なお嬢様ですね? 我があるるるるじ様と話す時の元気はどうされたのです?」
「……あの、ちょっとびっくり……りりりしちゃって」
心を落ち着かせて、何とかそれだけを返す。
「慌ててどもるるるる所も、とってもキュートですよ?」
「はぁ……ありがとうございます」
「お嬢様のお名前は?」
「…………」
悪魔を相手に、迂闊に名を明かしてはいけない。
それは、祖父にきつく教えられていた事だ。
「流石? 我があるるるるじ様のお孫様ですね?
そう? 沈黙こそが正答です?」
「あなたは、おじいちゃんのつかいまさんなの?」
訊くと小さな悪魔は自慢げに頷いた。
「その通り? 我こそが老ラルルルルフ師の十指の六本目であるるるるのです?」
祖父が十の使い魔と契約しているのは、確かに聞いたことがある。
「でも……おじいちゃんのなまえは、そんなに”る”がおおくないよ」
記憶しているのは、そこまで。
あの無口で仏頂面の祖父が、こんな……陽気で調子の良い悪魔を使役している事を、暫くして意外に思った。
―――――――――――――――――
雨はますます激しく冷たさを増しているように思えた。
私は祖父を運びながらもどうしてか悪魔の顔から目を離せなかった。
「休憩が欲しいのかね? それとも悪魔が珍しいのかな、主殿?」
「……ちがうよ」
感情の篭もらない声を聞いて、ふと不思議な事に気づく。
「あくまさんのかお……」
初めて見た時は、祖父にそっくりだと思ったのに。
今こうして見ると、全然違う。否、むしろ……。
「あくまさん、かおがかわった?」
「ふむ? その様な事はないが」
「…………」
私は彼を呼び出した時の印象を話した。
すると、悪魔は憮然としながらにやりと笑う。それは複雑で不思議な表情だった。
「それはだな、主殿。
私が契約の代償として、主殿の持つ祖父との記憶を”喰った”からだ」
「…………それって、どういうこと?」
「一般的には、契約者の感情を代償にする事が多いようだ。そうして魔術師は無駄な感情を切り捨てる。
どうだ? 魔術師の先達である主殿の祖父は、欠落している感情がなかったか?」
彼の言っている事が、理解できなかった。
しかし言われてみると確かに、祖父は殆ど感情を動かす人ではなかった。
それに何故だか、必死に思い出そうとしても、大好きな祖父の顔が……!
「……っっ! おじいちゃん!」
棺の蓋に指を掛ける。
「棺を開けるのはやめた方が良いと思うが、主殿?」
「どうしてっ!」
「それを開けて、中に全く会った事もない他人が入っていたら。
……主殿は困るであろう?」
私は……何も言い返せなかった。
これ以上重ねて祖父を失うのは、きっと耐えられない。
それに、彼の言葉には納得出来る部分もある。
魔術師とは。
悪魔との契約とは。
本来、そういうものだからだ。
「主殿の秘めたる才能もあろうが、それだけでは私の如き高位の悪魔は使役出来なかったであろうな。
……実に、良質な糧であったぞ?」
「……っ!!」
「さぁ、急ごうではないか。時間は有限だ……幼き身にこの雨は長くは耐えられまい」
悪魔は私に背を向けて、再び歩き出す。彼の言う事は、確かにもっともなのだ。
雨と疲労と絶望で重くなった体を無理矢理に鼓舞して、私はその背中に声を掛ける。
「……わかった、いこう」
「その意気だ、主殿」
振り向かずに、悪魔が答えた。
過ぎ去りし美しい日々と交換したのは、魔術師としての人生の始りだった。
多くのものを失った気がする。だというのに、この小さな体は何も持たないままだ。
しかし胸中に不安はなかった。
祖父に似ていたはずのその顔を、その後黙り込んでしまった彼の背中が、ずっと隠してくれていたお蔭かもしれない。
―了―
割り込んじゃった……orz ゴメンナサイ
HAHAHA☆ すげえタイミングでかぶっちまったぜww
>>184 背後から抱きしめたくなるようなロリババァGJ! 抱きしめた後の悲劇など気にしないぜww
やっぱり創発にはロリババァが欠かせないと思います! 結婚して!
>>176 今度作ってみることにしよう
おいしそうです
>>184 ロリババァいいな!
だがしかしケモナーの俺はぬこの均整のとれた体つきもみのがさないぜ!
>>185 なんだか世界観がどんどん広がってるな
これ普通に長編で書けるんじゃね?
契約の代償に悪魔が祖父の記憶を奪ったって所になにか
すごい複線がありそうでwktkだ、っと無責任に煽ってみるw
ギリギリだ…
TSスレからきました。お題は「秋」を使います。
風が、一段と強い風が、私の前を通り過ぎていった。
その匂いに、またあの季節が訪れたことを改めて実感する。
真っ赤に染まった葉がひらひらと舞い降りてきた。
ひとつ掴み取って眺めてみる。
夏には緑だった葉も、すっかり色を変えてしまった。
目をつぶると、あの頃の思い出がまだ鮮明に蘇ってくる。
十年前のこと。
「せい……り?」
医者の言葉に戸惑う私がいた。
自分の体調不良の原因がそんなところに行き着くなど夢にも思わなかった。
なにせ当時の私は男だったのである。
いや、男だと思っていた。私も周りも。
でも本当は違った。
『仮性半陰陽』――聞いたこともなかったけど、私はそういう体質だった。
それから私は真新しいセーラー服に身を包み登校することになる。
さすがに高校生にもなるとあまり深く詮索してくる人はいなかった。
ただ、逆に遠慮がちになりすぎてあまり話しかけられなくはなった。
とは言ってもそれまでも積極的に人と話す性格ではなかったので特に苦痛ではなかったのだが。
とにかく私は、クラスから孤立していった。
「寒いかな」と昼間でも思いはじめるようになった頃、突然クラスメイトの一人が話しかけてきた。
あの時のことは一生忘れないだろう。
「大丈夫?」
「え……?」
「寂しそうな顔、してたから。」
彼は気づいていたんだ。
本当は不安でしょうがなかった。
思春期に「あなたは実は女でした」なんて言われて大丈夫なわけがない。
そんな時に同じ年齢にある同級生の誰にも相談できないで、ひとりで抱え込んでいた。
私は泣いた。その場に泣き崩れてしまった。
人の輪というのは広がるもので、彼と話し始めるようになって、私には友達が増えていった。
男だった頃はあまり喋ったことのない女子とも仲良くなった。
そして彼とは親友と呼べるような間柄になった。
いつも私を助けてくれた彼。
彼に、友情とは違う別の感情を抱き始めたのは、それぞれの道を歩み始めた三年後のことだった。
不意に、私の肩をがっしりとした手が優しく抱え込んだ。
「また昔のこと考えてたんだ。」
「うん……。」
会話はそれだけで途切れた。
今から二年前。私はとある会社に就職した。そのときにはもう私は『普通の女』だった。
ある日、休憩時間にフロントの自動販売機でカフェオレを買った時のこと。
缶を手に、顔を上げた瞬間。
「あ……。」
彼がいた。うん、間違いなく彼だ。男の人って成長するとこんな風になるんだ。
お互い立ち尽くしたままだった。
受付の人の気まずそうな視線を横目に感じる。
「元気だった?」
何か言わなければと、間抜けな挨拶が口をついて出た。
彼は営業で偶然うちの会社に来ていたらしい。
その後のことは一瞬だったような気がする。
告白、数十回重ねたデート、プロポーズ、そして……。
「なんか不思議な感じ。」
ふと思ったことを口にした。
「私の中に、別のいのちがあるなんて。」
彼は黙ったまま聞いている。
「男の時の私が聞いたらどう思うのかな。」
またひとつ強い風が吹いた。
それを見送って彼は口を開いた。
「男も女も関係ないよ、きっと。素敵なことだと思う。」
「そっか、そうかもね。」
私たちは身を寄せ合って公園の木々を眺めていた。
【おしまい】
由香はかわいそうな少女だった。七歳の誕生日に彼女は突然倒れ、病院に運ばれた。そのときは一命を取り
とめたものの、医師は彼女が十歳までしか生きられないだろうと告げたのだ。それは体内の器官の一部の成長
が止まってしまう病気であり、現代医学では解明されていないものであった。
その後の由香の人生が酷いものであったかというと、決してそうではなかった。両親は不治の病に冒された娘
をこれでもかと言うほど甘やかしたし、よく由香と喧嘩していた双子の弟である健太も彼女が病気を盾にして罵
ると何も言い返せなくなってしまった。
由香は自分が十歳で死ぬという事実に早い段階で適応した。死んでしまうのは悲しいけれど、学校へ行かなく
ても両親は怒らないし、食べたいお菓子や欲しいおもちゃは好きなだけ買ってもらえる。宿題に追われる心配は
ないし、ムカつく弟も一発で黙らせることができる。
十二の季節が流れ、彼女は十歳になった。由香はまだ生きていた。
十六の季節が流れ、彼女は十一歳になった。由香はまだ生きていた。
由香の家族は十一歳の誕生日に、彼女を病院へ連れて行った。病院で精密な検査を受けた結果、成長が止
まっていた器官が成長を再開しており、原因は不明であるが病気は治っていると診断された。
涙を流して喜んでいる両親と、ホッとした顔をしている弟を余所に、由香はそっと病院を抜け出した。
由香は困惑していた。彼女だって死ぬのは怖かった。しかし、これからのことを考えるのはもっと怖かった。両
親は今までみたいに彼女を甘やかしてはくれないだろうし、学校へも行かなくてはならない。そして何より弟が怖
かった。両親が由香に付きっきりだった四年間、健太は両親からほとんど放置されてきた。そして彼女自身は健
太をパシリのように扱ってきた。勉強も運動も彼女よりずっとできるようになった弟が、これから由香に対してど
う接してくるか想像すると、由香は震えが止まらなくなった。
気づくと、由香は一つの川の前に立っていた。紅葉の葉で彩られた流れはとても綺麗で、吸い込まれそうにな
る魅力を覚えた。
由香は川を見つめ続けるうちに思ってしまった。『いっそこの川に飛び込めば楽になれるかな……。この高さ
なら無傷では済まないだろう。大怪我すれば父さんと母さんだってまた……。でも、死んじゃうかも。でもでも、死
んでしまうならそれはそれで―――』
強い風が吹いた。それが由香の意志であったかどうかは分からない、しかし彼女は川に落ち、意識を失った。
「姉ちゃん!! 目をさましてよ、姉ちゃん!!」
その聞きなれた声で彼女は覚醒した。
「健太? どうしてここに?」
「姉ちゃんが突然いなくなったから僕が探しに来たんだよ。父さんと母さんが心配してたんだよ。姉ちゃんこそな
んで溺れてるんだよ」
由香は健太が自分を助けたことを意外だと思うと同時に、自分がまだ五体満足であると知り、軽く絶望した。
「……ねぇ、健太」
「ん?」
「健太はお姉ちゃんのこと嫌いよね?」
「え?」
「嫌いに決まってるわよね。わがままばかり言って父さん母さんを独占してきたお姉ちゃんのことなんて」
「……」
「お姉ちゃんね、飛び降りたの。でも死ねなかったの」
「……」
「だからもう一回……」
二人の間を沈黙が支配した。それを打ち破ったのは健太だった。
「ねぇ、姉さん」
「ん?」
「今日が何の日だか知ってる?」
「えっと……お姉ちゃんの誕生日?」
「うん。そして僕の誕生日だ。だからさ、縁起の悪いことはしてほしくないんだ。」
由香はその言葉に何も返せない。
「小さいほうは大きいほうの言うことを何でも聞くこと!!」
健太は叫んだ。
「え?」
「姉ちゃんの口癖だよ。最近の姉ちゃんは僕をこき使うためにこの言葉を使ってるよね。でも、僕は覚えてるよ。
昔の姉ちゃんはこの言葉を使って僕を守ってくれたことを」
「……」
「姉ちゃん。姉ちゃんが病気の間に僕の方がずっと大きくなったんだ。姉ちゃんの背は僕の肩までしかないんだ
から。だから、ね。僕に甘えていいんだよ」
「でも」
「でももだっても無いんだよ。『小さいほうは大きいほうの言うことを何でも聞くこと!!』」
由香はなんだか悲しくなって、嬉しくなって、四年ぶりに泣いてしまうのだった。
了
投下乙!
仮性半陰陽か
最近そういうの流行なのか漫画でよく見るね
リアルでは結構つらいものらしいけど
なんか雰囲気というか全体的に漂う空気感がいいね
投下乙でした!
って感想書いてるうちにさらにキター
まさに滑り込みだなw
>>194 御題つき1レス創作とはずいぶん縛りありなんだな
でもこれはいい話だ
双子の弟凄くいい子だなー
きっと由香もこれから先しっかりと生きていけるだろう
>>191 時間ギリギリじゃないかw乙です!
>お題は「秋」
とか言いつつ、全部のお題が入ってるっぽいし。同じTSスレ書きwとしてジェラシーだぜ!
俺も最初の一文字を書かせた甲斐があったというものです(俺うぜぇw
200 :
10月「葬送」1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/10/21(火) 00:00:04 ID:TNz320bw
>>200 なんという予想外さw
まさか画像を開いたらこんなものが見れようとは思わなかった
そして、10月度s−1終了おっつー
このあとこのスレは1ヶ月分の感想祭りかな
締め切りか、みんな乙でしたー
皆さん乙でした。
しかし、ずいぶん多種多様な作品が揃いましたね。
職人の幅の広さに感動です。
住人の意外な多さにもびっくりしたなあw
次回はもっと増えますように…なむなむ!
205 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 08:05:00 ID:HoenEC2F
皆さん乙です。
序盤に投下が少なかったんで焦ったけど、何だかんだで色々と集まったね。
ちょっと読み返してたんだが、
>>50がめっちゃ好きだわ俺ww
読んでて楽しくなるというか虫達みんな良いやつらだしw
潰されたGも可哀想ではあるんだが、それを悲壮感と感じさせない陽気さがまた良い
この板と住民のイメージを虫達に投影して見てるのかもしれんwうん大好きだわ
208 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 01:03:12 ID:bgrXo/2/
>>206 おお、まとめ乙!
さて、この調子で来月のお題も考えようかね。
運営スレの流れをみると、11月のお題は猫に決まりそうな雰囲気ですねw
>>66の◆svMdfnlanc氏と
>>77の◆t7o38J.FFo氏、更にロリババァの◆y5PlOoIW6M氏に期待!
ふふふ…楽しみにしてますぜ?
210 :
66:2008/10/29(水) 21:50:43 ID:V1PRoED1
S1運営より
11月のお題は「猫」です。
投下期間は11月1日0時から20日24時まで。
その他は前回に準じます。即レス感想大歓迎!
今回より、終了後の感想、全体感想などはここでお願いすることになりました。
盛り上げていきましょう!
212 :
1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/10/31(金) 19:56:33 ID:0cyMD9vi
しまったage
1種類か
きついなー
もう1種類欲しいところ
214 :
1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/01(土) 01:41:28 ID:rqnXt5Ms
実はもう始まってます
頑張ってー!
俺も頑張るw
215 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 01:44:17 ID:YdsiiZZa
うおもう始まってるのか
俺もなにか創作しよ
>>216 名前欄に月入れ忘れました、申し訳ない…
218 :
1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/01(土) 01:55:39 ID:rqnXt5Ms
うまい!
これは木炭ですか?
2B鉛筆と0.3シャーペンです。
また書き忘れ一言。
視覚デザイン研究所の猫の絵を描いてみよう!の写真を参考にお借りしました。
220 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 02:03:58 ID:YdsiiZZa
猫キターー!!!
なんというリアルぬこ!これは素晴らしい
すげー絵うまいなー
222 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 02:29:12 ID:YdsiiZZa
GGGからー
小ネタ「猫からのラブレター」
ねぇ知ってる? 私あなたのことが大好きなの。
甘えてるのは食べ物が欲しいからじゃないんだからね。
ああ、でももらえるものはもらっておくわ。
ねぇ知ってる? あなたの手、とても魅力的なのよ。
あなたの手でなでられるととても幸せな気分になるの。
でも、私の気分が乗らないときはほっておいて欲しいわ。
ねぇ知ってる? 私、猫じゃらしで遊ぶほどもう子供じゃないの。
でもせっかくあなたが遊んでくれるんだから手を出してあげるわ。
べ、べつに興味を引かれてるわけじゃないんだからね!
ねぇ知ってる? 私、この家の中にあなたが知らない隠れ家を持ってるのよ。
そこからいつもあなたを見てるのが私の楽しみ。
でも、たまにそこが掃除されてるのはなぜかしらね?
わかってるんでしょ? 私がこの家に来たときから私はあなたが好き。
でも、こっちから態度に出すのはプライドが許さないわ。
あなたが先にかまってちょうだい。そうしないと甘えられないの。
猫だーー!!!
これは動き出しそうというより、動き出したいの我慢してそうなぬこだぜ
とかのんびり書いてたらまた投下来たーーw
つんでれ猫だー!
可愛いなあw
猫は飼ったことないが…これが、猫萌えというものなのか…!!
227 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 03:21:41 ID:rqnXt5Ms
うちの子で再生されたじゃまいか
こんなだけどすりすりしてきたり寝てる所に寝に来てくれたりするんだ
……俺、生きてて良かった!
>>216 SUGEEEEE!!
リアルでは猫が少し苦手な俺がちょっとキュッときたぜ……!
>>222 かわいいwww
まだちっちゃい猫で脳内再生されたわ
>>222 猫の「ほおっておいて、でも、かまって」な距離感の表現がいいですね。
でも、無理にツンデレ表現にしなくてもよかったかも。
(読み手のイメージの(自分が飼ってる)猫が、「若い雌」に強制変換されてしまうのが惜しい)
230 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 19:01:48 ID:bMg14u/X
誉めてばっかりね。
>>229では少し批評してるけど、だいぶ遠慮がちね。
だめよ、馴れ合いの雰囲気じゃ。新規参入者が減るわ。
231 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 12:31:53 ID:kZMAJ4OU
新作まだかなぁドキドキ
232 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 12:38:06 ID:N2f8gMz6
>>230 批評っぽいのはお断りっていう雰囲気だと思ってたけど。
つか、これで批評する方向に行ったら、それこそ文芸板でやればって話になる気がする。
新規が減るかは知らないけど、良い所悪いところを挙げるくらいはいいと思うけどなあ
世辞は考えなくてもいくらでもでるから、あまりありがたみもないし。そりゃもらえたら嬉しいけどね
受け取る人の心がけ次第じゃないかな。嫌な感想は無視でいいし
234 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 12:50:40 ID:kZMAJ4OU
そういう議論になると投下しにくい雰囲気になっちゃうの
新作待ってるからやめて欲しいの
235 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 12:51:42 ID:N2f8gMz6
>>233 BNSKとか見てると、そういうのからどんどん批評が活発な流れになるとオモ。
それが嫌でBNSK出た俺としては、温い雰囲気が好きだからあんま細かく批評される流れはなぁ……。
ここで文章作法とか言い出す奴が出たら、心底萎えるし。
んじゃ御題話でもすっか
今月の御題は「猫」なわけだけど
これ直球なら簡単、ひねろうとするとちょいと悩むな
237 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 12:52:44 ID:N2f8gMz6
おっとごめんなさい。もう止めますね
238 :
1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/02(日) 13:15:04 ID:1Vd95/sX
(´-`).。oO(批評禁止とは言ってないが議論は禁止したいなあ…
(やるならS−1運営でやってほしい。評価スレには批評屋来ないのに……
240 :
11月「一時間」 ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/03(月) 02:08:21 ID:vFV03Xf/
19:30。玄関先で激しく鳴く。どこか具合が悪いようだ。見ると、左足を引きずっている。
いつかも同じような症状が出たことがあった。トイレへ行くと黄色い尿をたくさん出した。
日頃から腎臓が悪いようだったが。病院に連れていくべきかもしれない。取りあえず座布団を敷いた椅子に寝かせる
腹部を触ると悲鳴のような声を上げる。痛ましさに目を背けてしまった。最近、殊に痩せてきている様子だった。
落ち着いたが、まだ具合が悪そうだ。いつものように甘えた、信頼しきった眼をしていない。苦しいのだろう。
20:00。安静になった。
20:10頃。落ちるように椅子から降りた。餌の皿の方へ行く。水を飲んだ。少し飲むとうずくまった。
膝の上に載せてやった。落ち着いたのかどうかはわからない。目を閉じている。
そのまま十分間くらいそうしていたが、不意にズボンに爪を立て、もがいた。支えていた手に咬みついた。
痛いのだろう。手をゆっくり顎から外す。歯の後から血の玉が膨らんだ。
20:25分頃。静かになった。それと信じられなかったが、動かなくなった
ううう。゚(゚´Д`゚)゚。
最後の1時間か…これは泣ける
何これ?レポート? 正直、何がしたいのかわからないんだけど
飼い主の心境の動きや、ネコと遊んだおもちゃなど
小道具の描写を合間に入れると、もっとよくなると思うよ。
いや、淡々と無機質に書くのがいいんじゃないかな
お涙頂戴になっては逆に興ざめる
「猫」で1本書いてみました。
何分、はじめて投下するもので不安の方が大きいです。
もしよかったら住人の皆様の感想や、容赦ない批評等お待ちしてます。
次回作への励みや反省点にしたいので、よろしくお願いします。
オマエ達はみんな俺の事を悪く言うけどさ、
ヒモのどこが悪いんだ!と自称モラリスト共に問いたい。
オマエ達は労働によって、俺は女に癒しを与えて正当な対価を得る。
根幹は同じで至極まっとうじゃないか。
フン…言い返せないだろう。
オマエ達は納得出来ないだろうが、俺もオマエ達一般的な労働者の主張には納得出来ない。
つまり議論の平行線とか、水かけ論ってやつだ。
よってこの話はここで終わりだ。俺は帰る。それじゃまたな。
「ごめん。待った?」
帰宅した俺から遅れること三時間、彼女が帰宅した。
いつもの事とはいえ待たされた俺の機嫌は、はなはだ悪い。
ジロリとにらみ不機嫌な気持ちをアピールする。
コイツの名前はチヒロ。俺と一緒に六年前からこのマンションで暮らしている。
俺はチヒロに食わしてもらっており世間でいうところのヒモの関係だ。
そんな俺の今の最大の問題は空腹が限界に近い事だ。
このままじゃおとなしい俺の心もすさんでくるってもんだ。
一刻も早く心の平穏を取り戻すべく夜食にありつきたい。
「遅れたおわびに今日はご馳走だよ〜 」
当然だ。これだけ遅れたのに残り物なんかじゃ許さない。
こんなもんで機嫌をとられるのもシャクだが、メシがうまいのは素直に嬉しい。
ありがたいことに普段より一品多いご馳走はすぐに出てきた。
待ってましたよ、チヒロさん!
ご馳走を食べてるうちに遅刻の件なぞ忘れてしまった。
我ながら便利な頭の構造だと思う。単純とも言うが……
黙々とかきこむ俺を見ながら、夜食を食べていたチヒロが口を開く。
「今日はね、会社の連中と飲みにいったんだ。そしたら課長がしつこくてね〜 」
また始まったよ……
「話長いし帰らせてくれないし、すぐ下ネタ振ってくるしマジ勘弁! 」
ったく……わかってて行ったんだろ?
自業自得じゃないか。まったくもってくだらん限りだ。
毎日毎日よくもまぁ飽きずに愚痴と文句が出てくるものだと感心する。
まぁ……チヒロは見た目かわいいからな。男共が色気立つのも仕方ないだろう。
そのおかげでタダ飯タダ酒飲める機会も多いんだからむしろ得してるとも思うが、
こいつはおごってもらった事なんぞすぐ忘れるらしい。本当に単純な女だ。
「んでさぁ、課長ってすぐ髪触ってくるんだよ?マジ最悪。死ねってーの」
いつもの事だがコイツは俺の話なんぞ聞こうとはしない。困ったもんだ。
最近わかったんだがチヒロだけじゃなく人間の女性というものは、
よく喋りよく食べよく考えるが一切他人の話は聞かない。そういう生き物らしい。
そんな時俺は聞き役に徹する。これが大人の対応でありヒモとして生きるコツだ。
チヒロはあいかわらずマシンガンのようにまくしたてている。
何を言っていたかはもちろん覚えてないし覚える必要も無い。
どうせくだらん話なので全く問題無い。
長くつらい時間はチヒロを見つめていればいつかは終わるのだ。
数十分もたっただろうか、俺はやっとチヒロから解放された。
ヒモも結構大変なんだぞと労働者共に言いたい気分だ。オマエ達にはこんな苦労は知らないだろってね。
一通りの愚痴を吐き終わったチヒロは風呂に入って上機嫌に鼻歌を歌っている。
レパートリーは少なくいつもAIKOばかり。
同じ所で音程が外れるのはお約束で、お世辞にもうまいとは言えない。
一緒にカラオケに行った男共はどう思っているのか?と知りたくもあるが叶わぬ望みなのは残念だ。
チヒロが風呂から上がるまでやる事も無いのでソファーで横になる。
ふかふかで柔らかいここは特等席。部屋がすべて見渡せ少し偉くなった気分になれる。
ポジションを決め落ち着くと、すぐ眠たくなりうつらうつらと船を漕ぐ。
俺は目を閉じ眠るか眠らないかというこの瞬間が一番好きだ。
しかしこの時間は突然終わってしまった。
風呂あがりのチヒロが、眠りかけてた俺にじゃれついてきたからだ。
「ほーれほーれ。よくのびーーーーる! 」
チヒロが俺の顔を縦に横に伸ばし始めた。
いててててて!このやろーはなせ!そこはひっぱるな!
俺様の至福の時間をぶち壊したばかりか、この乱暴沙汰は許せん!
腕を振り体をくねらせ、渾身の力で脱出を図り思いっきり抗議の声を上げる。
「ごめん、ごめーん。一日一回これやらないと気がすまないのよ〜 」
ふん、たまにはやられた方の気持ちになってみろってんだ。
「あーんもぅ、これで機嫌直してよ〜 」
チヒロはビニールボールを俺に転がしてきた。
こんな子供だましにひっかかると……
……
…………
仕方無い少し付き合ってやるか。少しだけだぞ!
これもヒモのつらさ、労働の一環と思えば腹もたたん。
でもたまにイガイガのボール投げるのは勘弁してくれ。あれ当たると結構痛いんだよ。
どうやら美容や健康に良い代物らしいが、俺には確実に効果が無い。むしろ悪化するわ。
しかしコイツも器用だ。俺とボールで遊びながら髪をとかしてドライヤーまでかけている。
更に携帯からメールを送り歯磨きまでこなす。まさに達人技だ。
とても俺には出来そうにない。まぁやろうとも思わんがな……
いつしか楽しい時間は過ぎ、チヒロは布団に入り目覚まし時計をセットしはじめる。
どうやら寝るようだ。
やれやれ、俺の仕事も終わりか。今日も一日ごくろうさん。
「ねぇ……一緒に寝よ」
チヒロは布団を持ち上げ手招きした。
俺は出来れば1人で寝たいんだがなぁ……チヒロは寝相悪いし。
「一緒に寝ると……気持ちイイよ? 」
ちょっと待て……いつも気持ちよくなるのはチヒロの方だろうと……
ただ、ここまで言われれば男として黙っている訳にはいかない。
俺がオマエの体も心も暖めてやるぜ!
布団に入り体を密着させてチヒロに視線を向ける。
チヒロはトロン蕩けた表情でずっと俺をみつめている。
吐息がかすかに聞こえ、彼女の冷たい手が俺の体を断続的になでてくる。
悪くない感触だ。特に首筋が気持ちいい。
「大好きだよ……」
「おやすみ……レオ……zzz 」
オワリ
猫お題のS−1じゃなければ、語り手を騙されて読んでたかもw
最初に猫視点で読むと「やっぱ猫は自分本位だなぁww」って思ったけど、
次にチヒロに感情移入して読んでみたら「あれ? 実は凄く人間味のある話だぞ?」と感じました。
なんというか、猫じゃなくわんこ飼ってる自分も共感出来ました。
もしお題が犬だったら、ひょっとして自分も似たテーマで書いてたかも? ってくらいにwこういう作風は好きです。
253 :
1:2008/11/06(木) 01:01:33 ID:FEtGkLvB
盛り上がらなくてごめんなさい
全て僕の責任です
本当にごめんなさい
この企画は僕が指揮を執ると決めた時点で企画倒れでした
自分の器」の小ささも省みず住みませんでした
254 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 01:04:05 ID:d+T63/OC
工業大学でさ、機械システム専攻だったの。
で、ある動物番組で、猫の首輪に20秒おきにシャッターを自動で切るカメラを付けて行動を観察する、って企画があったの。
これ、俺でも作れるな、って。
デジカメは勿体ないから、前使ってた携帯をバラして、電子情報科の奴にプログラム作ってもらって。
番組のより小型で、10秒間隔で撮れるようにした。
家の猫に付けた。
3時間くらいして帰って来たとき、子猫咥えてた。
わけわかんないから、写真見た。
色んな餌場しってんなー、って感心してた。
なんか、草掻き分けてくの。
そしたら、死んだ猫。猫の死体。
脚折れて、腹破れて、中身出てた。
その猫の死体に、子猫が三匹まとわりついてるの。生きてる子猫。
たぶん餌取りに行った母猫が、交通事故に遭って、子猫のもとまで辿り着いて、死んだんだと思う。
血だらけの破れた腹の横で、必死に母猫のおっぱい吸ってた。
子猫、親の血で真っ赤。
家の猫は、しばらく遠巻きから観察してた。
1枚。2枚。3枚。4枚。5枚。視点が変わらないの。
6枚目、一匹の子猫、咥えてた。でも違った。噛み殺してた。
7枚目、もう一匹殺した。
その後しばらく、死んだ母猫の横に殺した子猫を寄せてた。
もう一匹は?と思ったら、最後の一匹が、家の猫を、威嚇してる写真。
小さいのに強そうだった。
家の猫、かなりでかいのに、しばらく揉み合ってる写真つづいた。
10秒の間に何があったのか、次の次の次くらいの写真で、家の猫、傷つけた子猫を、舐めてた。
そいつを咥えてた帰って来た。ってわけ。
どうせ生きられないなら、ってトドメ刺そうとしたのかな。
最後の奴だけ、必死に抵抗したから、認めたのかな。
飼い猫のくせに、なかなかジャクニクキョウショクのコトワリを弁えていやがりますね。
俺、ちょっと家の猫、見直した。
了
普段は獣人スレに潜伏しております
>>255 おお、すっごく好きな感じ。
人の見てないときの猫の行動って不思議ですよね。
GJです
やべえ泣いた
259 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 03:39:46 ID:d+T63/OC
猫……:;
ネコもケモノなり…か。
目覚めれば視界が霞んでいた。
よく眠った後のまどろみに似ている。
車ってのは本当に危ないね。
足が動かない。
鈍い痛み。
足が曲がっている。
ああ、痛い。
お腹から何かが溢れている。
なんとか納まらないものか。
無理だねぇ。
舐めても舐めても、錆色の味が広がる。
帰ろう。
あの子たちにミルクをあげなければ。
ただいま。
どうしたのきみたち。
何を怯えているの?
怪我が怖い?
ごめんね。
大丈夫、大丈夫。
きみたちを置いていったりしないよ。
しばらく静かにしていれば、すぐ良くなるよ。
だからほら、ミルクを飲みなさい。
私は少し疲れたから、眠らせてもらうよ。
大丈夫だよ。
と、母猫の気持ちを書いて保守
猫よ…
初参加させていただきます。
獣人スレにたまにいます。
眠りを知らない電脳の街、東京・秋葉原。
わたしはこの街のネットカフェに入り浸りしている。ネット難民か、そう言うやつらもいるだろう。
お年頃の女の子がこういうところに住み着くんじゃない、と知ったかぶりのお説教をするやつらもいるだろう。
でも、知るもんか。わたしは糧さえ得ればいい、そういう女なのだ。
そんなどうでもいいセリフを繰り返しながら、マウスのホイールを回しながら無機質な文字羅列に見入っていると、
携帯電話がわたしの時間に割り込んできた。ふう、お仕事ですから。
片手で携帯を取り出し、慣れた手つきで受信ボタンを押す。相手は見知らぬ番号の羅列。
でも、お仕事ですから。
「はい…。大丈夫ですよ、今の時間は」
「どうやって知ったの?…ふーん、ネットの書き込みね」
PCの画面に気を取られながら、電話の相手と約束。相手はわたしより少し年下の中学生男子。
難しいお年頃の子だ。わたしの居場所を教えると30分後に彼と会うことに。
電話を切ってふとPCの方へ目を向けると、どぎつい液晶画面には無慈悲な突っ込みの嵐の掲示板が映し出されていた。
無意識のうちにアクセスしたんだろう。慣れは怖い。
約束の時間の5分前。秋の風が寒くなってきた夜、街の灯に星空たちは掻き消されている。
しばらく寒さを耐え忍んでいると、ネットカフェの入り口で先程の少年と落ち合う。
学校帰りなのだろうか、こんな時間なのに、彼は制服を着たままだ。寄り道してきたのだろう。くんくんと匂いを嗅ぐ、まだまだ若い。
わたしはそんな少年とわざと目を合わせず、ボブショートの襟足を掻きあげお姉さん振る。
「いらっしゃい…。ミケコです、よろしくね」
「はい…」
気弱そうな少年はわたしの姿をじろじろと見る。わたしが人間だったら
彼とはいいお友達になれただろうか、とか考えている時間はない、少年の袖を引っ張り路地裏へ。
数少ない持ち物を入れたポーチが揺れる。
人気のない路地裏はわたしにとっちゃ気楽な場所。しかし、人間からすれば不安の風が吹き抜ける場所なんだろう。
その証拠に少年は、ニワトリのようにキョロキョロしている。
「では、早速始めますよ…いい?」
「ちょ、ちょっと待って」
「だめです。時間がないの」
少年の言葉を無視し、マイペースなわたしはポーチから短刀を取り出し、刃先を天に向けて両手でぎゅっと握る。
短刀を手鏡のごとくわたしの方にはわたし、少年の方には少年の顔を映す。冷ややかな刀身には恐ろしくなるぐらい、はっきりと顔が映る。
くらっと気を失いかける。月の光さえも入らない路地裏。少年は何かを話しかけてくるが無視無視。
完璧にわたしの目の前が真っ暗になった次の瞬間、わたしの目の前には少年のスニーカーが目に飛び込んだ。
わたしは尻尾を立てて、目の前の脚に擦り寄る。
「ほら…、抱き上げなさいよ。シノブ」
「ね、姉ちゃん?姉ちゃんの声がする」
「まったく、シノブは小さい頃から変わらない!」
「ホントだ…。姉ちゃん、来たんだ」
少年はわたしを抱き上げ、優しく抱っこをしてくれた。喉を丁寧に擦ってくれる。
空を舞うように高い位置から見えるのは…意識なく短刀を持ったまま倒れている『人間』の姿のわたし。
黒ネコの声で少年の目を見ながら何気ない会話を楽しむ。
「わたしが死んで、もう2年かあ。早いよね」
「姉ちゃん、ぼく…久しぶりに声を聞いたよ」
「そうね、ミケコさんのお陰だよね」
小さな黒ネコになったわたし。いや、今はシノブ少年の『姉』になったわたしは、ペロペロと自分の舌で毛繕い。
…おかしいだろうか、わたしの言っていることは。
わたしは一言も『人間』の姿でシノブの姉になっているとは言っていない。ただ、ネコの姿でシノブの姉の魂を借りているだけだ。
そのネコは、『人間』の姿のわたし・ミケコの中に居る。なぜなら、いつまでもネコの姿じゃ、商売あがったりだからだ。
普段は現世で動く際は、ネコの姿は差支えがあるが、いざお仕事の際ケモノの姿なら人間どもは油断するからやり易いのだ。
しかし、そんな理屈はどうでもいい。目に見える物は全て現実、PC画面の突っ込みの嵐のように。
「そろそろ、姉ちゃん…帰るよ」
「う、うん」
「シノブさ、言っとくけど…あんた優柔不断」
「分かてるって!」
最後に黒ネコになったわたしは、シノブの首筋を牙で甘噛みする。彼の首筋からは薄っすらと赤いものが。
ぴょんと少年の腕から跳び出したわたしは、すっと倒れている『人間』の姿のわたしに溶け込む…。
「ふう…どうだった?」
めまいがする中、起き上がると少年は恥ずかしげに俯いていた。
久方ぶりに聞いた姉の声のこと、そして命在りし頃の姉のように怒られたこと、たった今起こった短い出来事に感謝をしている少年。
彼との再会を約束し、ここでお別れ。わたしは再びネットカフェに向かう。
しかし、人間とういやつは哀れなものだ。こうでもしなければ、現世の者と黄泉の国の者と会話が出来ないなんて。
それにしても、あの少年…姉と会えて嬉しそうだった。不幸な事故で姉を亡くした彼は、
わたしの生まれた黄泉の国に立ち入ることが出来ず、黒ネコの姿を通して大好きな姉とお話ができたんだから、無理もないな。
わたしのようなやつは、ネコの姿で媒体となって黄泉の国で暮らす魂を呼び出す。
現世の者は、自らの命を削り報酬としてわたしに血を差し出す。
血は黄泉の国に携わるわたしたちの糧となる。わたしも人間も喜ぶ。
等価交換なんだから、資本主義に実に素直な方法。だれ一人とて損するもんか。
でも、もうすぐわたしに頼らなくても、あの少年は姉と思いっきりお話できる日が来るはずだ。
だって、わたしは死神だから。
おしまい。
うわ最後のオチこえー
シノブ君死んじゃうのか
ネカフェ難民のイタコにして死神か
最初はミケコが売春かなんかしてるのかと思って、
次に殺人鬼かと思ったよ
初投稿です。やまもおちもいみもたぶんない。
---------------------------------------------
彼女はいつも眠そうにしている。
目をいっぱいに開くのが億劫だ、いつだったか彼女はそう言った。
朝、目覚まし時計を睨みつけ、夜、扉を開けると玄関に倒れこむ。そうして彼女は一日は始まり、終る。
俺は生まれて3ヶ月くらいは、家族と暮らしていた。母さんと、兄ちゃんと、妹と弟と弟。ややこしいな。
ある日、彼女がやって来て俺を連れて帰った。それ以来、家族とは会っていない。
最初は、ちょっと怨んだ。でもそのうち、彼女と暮らすのが当たり前になった。
彼女は俺を「フォルテシモ」と呼ぶ。長いから普段は「フォル」って呼ぶ。
彼女の名前は知らない。彼女は名乗らなかった。それから、俺以外に彼女を呼ぶ奴は今のところ見たことがない。
名前を呼んでみたくって、色んな彼女に似合いそうな名前を呼んでみた。でも全部ハズレだったらしくて、俺が呼んでも彼女は「お腹が空いたの?」としか言わない。
またハズレかぁ、って残念に思うけど貰えるもんは貰っとく。お陰で最近ちょっと太ったかも。
「おいしい?」
やっぱり眠そうな目で、彼女は俺を見詰める。そして首の後ろを指先でくすぐるように撫でる。どきどきする。
いつだったか、眠っている彼女の心音を聞いてみた。俺よりずっとゆっくりだった。
心臓が速く動くのは、短命の証なんだって。箱の中の人間が言ってた。
俺、短命なのか。彼女より早く死ぬのか。
すげぇ、悲しかった。心音が早いだけで彼女より早く死ぬなんて、そんなの耐えられそうになかった。
ずっとずっと彼女のそばにいたい。
考えてたら段々切なくなってきて、変な声が出てしまった。恥ずかしい。
「どうしたの?喉につまった?」
ああ、的外れな彼女の発言が今は、ありがたい。
小さな掌で俺の背中をさすってくれた。
いつも不思議なのだが、なんで彼女はこんなに毛が少ないんだろう。
-------------------------------------------------------------------
終。
猫とのドラマはやっぱり死別にあるんだなあ
どちらが死ぬのかはともかく…
いや、スレの流れに乗っただけかと
少なくとも俺の猫カメラの話は病気で死ぬ猫の話が投下された流れありきで書いた
もし伝綺物の流れだったら猫又山に住む猫又に富山弁喋らせてた
病気で死ぬ猫……Σ俺のか!
猫飼ってるとね〜どうしてもいろんな別れ方しなくちゃいけないし、
最後は猫に送ってもらうんだろうからなー
猫との悲惨な別れを経験した人に悪い人はいないって猫好きの作家さんが言ってた気がするよ
いい人かい
猫好きに悪い人ないない!
もうあと五日^^;
猫…猫…なに創作しよう
そーいえば三題話の新着も猫のはなしだったな
ヒント:今回はなぜか文章しか来てません
獣人スレこそ今月の御題にふさわしい気がする
獣人の人来てくれてたよ
例の絵師じゃないけれど良かった……
やっぱり、お題は複数あったほうが良かった気がする。
そうですね、その辺も試せたから良かったかな
こちらもageますね
286 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/15(土) 23:28:34 ID:PzEm4TE6
あげれてなかったw
age
串が並んでるなw
288 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/15(土) 23:30:41 ID:PzEm4TE6
そうなんだw
焼き鳥大会か
立体造詣乙です。
でも、見た瞬間「犬?」と思ってしまったのは、マルズのせいかな?
292 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/17(月) 01:37:35 ID:7+jhHDdo
早くも運営では反省会っぽい流れのところに投下
キターーーーーー!
これを象った箸置きとかできそうな感じ!
練り消しは立体に使えるな
可塑性高いし
ちょっと犬っぽい……?
うp乙
面白いな、でもこれいぬだよwww
マズルの長さと顔と首のバランスのせいだなw
でも尻尾は猫っぽいね。
この角度から見ると猫だ。
前から見ると犬で、後ろから見ると猫とは、不思議な作品だね
297 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/17(月) 01:52:40 ID:7+jhHDdo
ふむふむ
足とか全体に太いなって思ったけれど
この角度は猫に見える
これは猫度高いwwww
騙し絵のような立体だねえ
299 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/17(月) 02:36:05 ID:7+jhHDdo
かわいい
もうちょっと顔べちゃっとしてて
耳が上のほうについてたら猫っぽくなるのかな
色的にブロンズっぽいのがいい感じだね
今月二回目ですが、投下します。
だめだめだめだめだめええええ!!
ぜんっぜんアイディアが浮かんでこない。いや、半分まではプロットも出来て、ネームも出来ているんですよ。
なのに、後半が思い浮かばないなんて、わたしの才能がもう枯渇してるんじゃないかしら?
1年前、担当の牛乃坂さんに見据えられ、やっとの思いで連載に扱ぎ付けたわたしの意欲作『にゃんこ!』。
「このネコ獣人がかわいいねえ。毒舌っていうギャップがすんばらしい」って、
牛乃坂さんからお褒めの言葉を頂いた、わたしの渾身のキャラ・ミミ子に申し訳がつかない。
この後一体どうしていいやらてんで思いつかない。いっそどこかへ逃げ出してしまおうか、いやいや…ぽっと出の新人のわたしが
そんな大それたことをすれば、光り輝くコミック業界に今後一切居させて頂くことなんか出来ないだろう。
ネームの締め切りは明日のお昼十二時。前回は一時間遅れで許してくれた。前々回は十五分遅れだ。
今回はもうだめかも…。FMラジオからは落ち着いた声の俳優のナビゲートと共に、優しい洋楽が流れてきた。
空ではキラキラと星が見えるはずなんだが、冷たい都会はそんなこと容赦しない。
今頃、田舎に住む高校の同級生たちは何処かで遊んでいるんだろうな。
「ぜったい名を残す漫画家になる!」って大口叩いて、田舎から飛び出して来たわたし。
アシスタントを経て独立するも、都会の風に晒されて鳴かず飛ばず、臥薪嘗胆の日々を過ごし、やっとこさ連載を勝ち取ったのに、
「クビになりました、アハハ」ってボサボサの頭を掻き毟って都落ち。こんな筋書きばかりが思い浮かぶ。
すると、ヤツらは「鈴代ゆうかは、負け犬でしたー」ってせせら笑うんだろう。ま、今のわたしじゃ、同級生達に笑われても仕方がないね。
肝心な『にゃんこ!』のネームを考えず、悲惨なわたしのプロットばかりひょいひょい思い浮かぶのは何故だ。
いくら頭を絞っても、肝心のミミ子が思い通りに動いてくれない。お願い、わたしの言うことを聞いて。
ふう、頭が痛い。『原稿描きたくない病』か。
もう…寝てしまおう。締め切りなんか知らん、出版社なんか潰れてしまえ。
わたしは真っ白な原稿用紙を枕にして、仕事机の上で寝させて頂く。このほうが落ち着くし。
深夜…というより早朝、暁が昇り始める前の頃。目が覚めると、わたしの横に見慣れた顔があった。
何処かで会ったような、でも初めて会うような。よく見るとソイツは尖った耳にふさふさの毛、人間離れをした口元に長い尻尾…。
しかもまるでニンゲンのように二本足で立ち、わたし好みのワンピースに身をまとっていった。
眠気まなこのなか、その子が怒鳴り散らしているのがはっきりと見えた。
「おきろ!ボケナス!!」
「ネコが喋った!!」
「バカ!あんたがなかなか続きを書いてくれないから、こうして直談判してるんだよ」
「…うわあああ!わたしはどうかしてしまいましたあ!」
わたしが狂乱に取り付かれていると、そのネコはトントンとわたしが描きかけた原稿を叩いた。
その原稿にはわたしが描いたミミ子…が、描かれている筈なのに、はさみで切り取られたようにすっぽり開いている。
おかしい。昨日まで必死に描いた絵が消えている。しかもミミ子の部分だけ。この腱鞘炎になりかけの右手首に申し訳立たない。
「まったく…鈍いんだねえ。わたしを描いておいてさ」
「もしかして、ミミ子?」
「遅い!!」
紛れも無く、この子はミミ子だった。
何処かで見覚えのある服だと思ったら、何処かで見覚えのある髪型と思ったら、何処かで聞き覚えのある毒舌と思ったら。
何のことはない、わたしが描きあげたものだったのだ。それにしても、「わたしに直談判」とは何ぞや?
ミミ子は尻尾をぱしっぱしっと振りながら、わたしに向かって文句を垂れた。
「あんまりあんたの仕事がのろいので、こうしてわたしはサボることにしました」
「そんなあ…ミミ子!お願い!!ちゃんと動いて!!」
「あんたも一瞬サボろうって思ったくせに!」
それを言われると弱い。それで要求はなんざんしょ。
「…要求?そんなものありません!!」
「直談判って」
「わたくしミミ子は、この愚鈍な作者・鈴代ゆうかに玩ばれることがいやになりました。
それでこれからわたしは、何処かへ旅に出ることにしました。さようなら・鈴代大先生」
そう言うと、ミミ子はくるりとワンピースを揺らし部屋を出ようとした。
わたしは、咄嗟に彼女の尻尾を掴んだ。その行為は、わたしにしてはよい判断だったかもしれない。
「いててて!は、放せ!」
しかし、何故掴んだのかは分からない。きっと、ここでミミ子に逃げられると、何も描けなくなるとでも思ったのだろう。
まだ眠い中、ピーンと尻尾を掴む感覚が張り詰める。
「お願い!逃げないで!!ほら…ねこまんまをご馳走するから」
「ゴクリ…」
「おまけに秋刀魚の蒲焼も付けちゃう!」
「まことか?」
「お願い…」
わたしが掴む尻尾の手ごたえが緩んだ。
晩の残りのおみおつけを暖めなおし、貴重な秋刀魚の蒲焼の缶詰を開けてミミ子をおもてなし。
おみおつけが温まった頃に、不貞寝をしていたミミ子が文句を言う。
「ほほう。鈴代大先生は猫舌って言葉をよーくご存知で」
急いでコンロの火を止めた。すっかり忘れていた…ごめんね。
後ろで音がすると思ったら、ミミ子が勝手に冷蔵庫を物色していた。
「わたしだけがご馳走になるのは、やっぱりずるっこいよね」
そう言いながら、良く冷えたチューハイの缶を取り出すミミ子。彼女の行動をいぶかしみながら、
お盆に程よく冷えたねこまんまをのせて、四畳半の部屋に向かうとミミ子はごろんとおなかを向けて転がりながら、喉を鳴らせていた。
そして、わたしに気付いたのかミミ子は、音も立てずにすっと立ち上がり、チューハイの缶のふたを
ぷしゅっと開け、わたしの顔の前に甘い香りを放つチューハイを差し出す。
「ささ、一杯いかが?」
「でも…お仕事が」
「わたしのおかげでご飯を食べてゆけるんでしょ?」
「は、はい…」
完璧にミミ子のペース。ちょっとだけと思いながらチューハイを口にすると、牛乃坂さんの優しい顔が浮かんできた。
さらさらとねこまんまを掻き込み、ぺろっと秋刀魚の蒲焼を平らげたミミ子は、再びごろんと横になる。
「もー一杯いかが?」
どこで持ってきたのか、再びチューハイを勧めてきたミミ子。立て続けにアルコール8%の飲み物を飲むと、流石に思考が危うくなる。
ここでミミ子のご機嫌を損ねたら最後。一生、漫画が描けなくなるかもしれないというリスクを背負いながら、
わたしはぐるぐると回り続ける蛍光灯を見続けていた。
……外が明るい。月の変わりに太陽が昇っている。野犬の代わりにスズメが鳴いている。
FMラジオからは、能天気なパーソナリティの声。
「時計の針は午前11時47分を回りました…。ここからは…」
わたしの頭から背中にかけての血液が冷え切った。
仕事机の原稿用紙を見ても、未だネームは完成せず。ミミ子の部分だけ真っ白だ。
そうだ、ミミ子は?
いない。部屋にいない。台所にもいない。トイレにもいない。逃げられた。
空っぽになったお茶碗とお皿に、わたしの描きかけの原稿用紙を使った置き手紙が、わたしと似たような筆跡で残されていた。
「お腹がすいたら戻ってきてやる。バーカ ミミ子より」
これを読んで、もうわたしはミミ子が描けないと感じた。作者が考えること以上のことをミミ子はやりやがる。
ふと気が抜けた瞬間、まったりした音楽に乗せてFMラジオからこんな声が。
「はい、それではメールの紹介をしましょう。ラジオネーム『みけねこ』さんからのメールです。
『ネコとイヌでは迷子になる確立はネコの方が多いいんだそうです』ほう、みなさ…」
ムカつく内容のラジオは消してしまえ。わたしはミミ子を待ってるぞ。
お昼の十二時を回る頃、わたしのケータイが叫び出す。発信主は牛乃坂さんだった。
よくみると、午前中だけで八件も牛乃坂さんから掛かってるではないか。ははは…。
ミミ子のいないわたしなんて、もう何の意味を成さない。
その前に、ミミ子のお茶碗片付けなきゃ。
おしまい。
ちょwwミミ子どこ行っちゃったんだよw
308 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/17(月) 23:52:40 ID:7+jhHDdo
毒舌なにゃんこ、それも空想具現化というか、創作物の人格化というか…
妄想が自分の手を離れた瞬間だなー
ミミ子は間違いなく戻ってくるね、俺の経験からするにw
>>303-306 えらいかわいいのに救いがないwww
鈴代ゆうかの取り乱しっぷりにもワロタ
初投下します。
かなり長いです。
やや不愉快な表現を含みます。
ダメな方はNG登録お願いします。
日焼けした畳の上で、朱美は目を覚ました。
日はすでに沈み、冷えきったガラス戸を吐息が曇らせている。
11月の寒さは、弱った体に堪えた。全身にまとわりつくけだるさを引きずりながら、朱美はのろのろと身を起こす。
下腹の奥が、鈍く、重く、痛んだ。
「……ああ」
呻く。べったりと汚れた畳の上にうずくまる小さな肉の塊に、目が止まる。
肉の塊と自分の股。繋がっていた。赤黒い肉の紐に、意外なほどしっかりと、繋ぎ止められていた。
「痛そう……」
顔を歪めて泣き言を漏らしながら、テーブルの上に投げ出していた果物ナイフを手にとる。
一刻も早く、切り離さなければならなかった。
なぜなら自分と――桜井朱美とこの赤子は、何も関係がないのだから。
――そうでなければ、ならないのだから。
*****
「ぶみゃあ」
醜い声で、野良猫が鳴いた。
食堂の裏口に面している、汚い裏路地だ。大きなポリバケツが三つほど並んで、腐りかけの臭気を放っていた。
「ぶにゃあ」
太った野良猫が、また嫌な声で鳴く。
汚らしい猫だった。灰色の毛並みはさんざんにもつれ、固まり、あちこちがはげていた。腹はゆるみ放題にゆるみ、ときたま地面を擦るかと思えた。右前足は足首から先がなく、名残のような肉の筋が二本垂らされ、ひきずられている。
野良猫は塀から降り、右端のゴミバケツの蓋にどすんと着地した。
残った前脚で器用に中央のゴミバケツの蓋をめくり、はねのける。
「ぶみゃあああ」
威嚇するように、野良猫は吠えた。
成猫一匹ぶんほどの肉の塊が、その中には置かれていた。
肉の塊は小さな手足を緩慢振り回しながら、だらりとそこに横たわっている。
それは人間だったが、猫が知っている人間とは違った。何もかもが、違った。
人間はこんなに小さくない。
人間はこんなに赤くない。
人間は――
人間は、ゴミバケツの中に捨てられたりしない。
野良猫は戸惑った。
戸惑い、鳴き、毛を逆立て、威嚇し、また戸惑った。
何も反応せずただ手足を動かし続ける、人間のような生きもの。
鼻を近付ける。臭いを嗅ぐ。脇腹を舐める。
生きものは、かすかに身をよじった。
猫は口を開けた。尖った牙とざらつく舌が、赤い口腔の中でぬらぬらとひしめいている。
汚らしく黄ばんだ牙が、赤子の赤い肌に触れた。
*****
結婚式は来月に迫っていた。
何の不満も、不安も、障害もなく、桜井朱美は河原崎朱美になる。
「冷えるね」
肩を並べて歩きながら、朱美の婚約者――河原崎慶一が、優しいテノールで囁く。
「もう11月だもの。早いわね……」
しみじみと言って、微笑する。慶一は笑みを返し、朱美の細い肩を抱き寄せた。
「本当に、早いね。夢みたいだ」
「覚えてる? 二年前、初めて会ったときのこと――」
むつごとを囁きながら、二人は歩く。
11月の寒い夜。大通りの人気はまばらだ。風もなく冴えた夜気に、街灯の冷たい光がにじんでいる。
風が吹いた。髪がなびいた。つややかな栗色のロングヘア。手入れを欠かしたことはない。
何もかもが満ち足りていた。若く美しい自分。優しく将来性にあふれた婚約者。寒い夜を暖める語らい。二人の部屋まで、もうそんなに距離はない――
朱美が浮かべた笑みは、満月に張り合うように輝いていた。
「ふにゃあ」
その笑みが、固まった。
「にゃあ。うにゃああ」
足が止まる。血の気が引く。静かな夜に、冷えきった夜に、不吉な鳴き声が響き続ける。
心臓が跳ねた。あるいは止まった。進むことも戻ることもできず、震える自分の肩を抱く。
「……朱美?」
立ち止まった慶一が、気遣うように呼び掛けた。
「猫が、怖いんだね?」
「え、ええ。また……」
こんなことは、初めてではなかった。
だから、平気で嘘が言えた。
ほんとうは、猫が怖いのではない。
人の産声にあまりにも似た、猫の鳴き声が怖いのだ。
(いない)
ふらふらと歩きだしながら、自分に言い聞かせる。
(わたしには、いない。子供なんて、いない)
そう決めた。だから、そうならなければならない。
猫にも劣るような嬰児に、やっと掴んだ自分の――一人前の人間である桜井朱美の幸せを邪魔する権利など、あっていいはずがないのだ。
決然と胸のうちのもやを振り払い、朱美は婚約者にすりよった。
「慶一さん、もっと近くに……怖いわ」
「大丈夫だよ、僕がついているから」
生真面目な口調で応えて、慶一はまた朱美の肩を抱き寄せた。
*****
満月の夜に、猫は鳴く。
歌うようにでもなく、吠えるようにでもなく、ただ、鳴く。
打ち棄てられた廃屋に、十数匹の猫たちが群れている。
あるものは屋根の上に。
あるものは縁側に。
あるものは塀に。
傷みきった板間の上、月明かりと柱の影の境目に、一人の子供が座っている。
汚い子供だった。灰色の髪は伸び放題に伸び、もつれ、汚れていた。痩せこけた裸体のそこここには、化膿した生傷が痛々しく刻み込まれている。右目は抉れたようになくなっており、左手の小指と薬指と中指は第一関節から先がなかった。
残った左目で、子供は膝の上へ視線を落とす。
子供の膝の上には、灰色の塊が乗っていた。
これも、汚い野良猫だった。右前足のない、異様に太った雄猫だ。傲岸そうな面構えだが、すでにその体はぴくりとも動かない。
死んだ猫の毛を、子供はぺろりと舐めた。
そして月を仰ぎ、また鳴いた。
長く、甲高く、哀しい声で、まぎれもない猫の声で、鳴いた。
*****
次の年の6月を待って、桜井朱美は、河原崎朱美になった。
なめらかに始まった平穏な結婚生活が、忌まわしい記憶の底から這い寄ってくる、とるに足りない不安を癒してくれた。
もうすぐ、子供も生まれるだろう。11月に入っていよいよ、朱美のお腹ははっきりと目立ってきていた。
「赤ちゃんは、元気かい?」
風呂上がりの慶一に尋ねられ、朱美は編み物をする手を休めて膨らんだ腹をさする。
「元気よ。だってこんなに幸せだもの」
「どんな子に育つかな」
パジャマに着替えた慶一が、洗濯機のスイッチを入れながら言った。
「あなたに似て、頭のいい子よ」
「君に似て、優しくて可愛い子だよ」
ぬるま湯のような心地よい会話をかわしながら、朱美は編み物を再開する。
猫の声が、聞こえた。
とても近くから、聞こえた。
朱美は手を止めない。笑みも消さない。穏やかな笑みのまま、生まれてくる我が子への贈り物を作り続ける。
「猫だね」
「猫だわ」
「怖くないのかい」
朱美はやわらかい仕草で、かぶりを振った。
「あなたがいるから、怖くなんてないわ」
――自分の子供は、一人だけだ。
それで、十分なのだ。
*****
子供は塀を見上げていた。
白い塀。小さな家。暖かい光が、窓から漏れている。
猫も犬も飼っていない。餌を出しているところも見たことがない。生ごみの処理も完璧だし、池に鯉や金魚がいるわけでもない。
そんな、何のうまみもない、ただの人間の住みかだ。
「ふぎーいっ」
黄色い歯を剥き出して吠え、子供は跳んだ。
*****
どん!
庭のほうから、音がした。
「何だろう?」
夫婦の軽い口付けから唇を離し、慶一は首を傾げた。
「庭かしら? 何かが落ちたんじゃない?」
「見てくるよ」
懐中電灯を手に庭へ向かう慶一を見送って、朱美はまた手元へ視線を落とした。
*****
子供は舌なめずりをして、赤く汚れた牙を掃除した。
喉ぶえを食い破られた人間の雄の、灰色に変色した顔に、冴え冴えとした満月の光が降り注いでいる。
子供はうつろな左目に男の顔を映し、首をかしげる。
これではない。この人間ではない。
*****
支援
11時を回った。慶一はまだ帰ってこない。
時計の針の音ばかりが大きく響く応接間に、不意に耳をつんざくような猫の鳴き声が響いた。
にいぃぃぃぃ
にゃああぁぁ
手が止まる。にじんだ冷や汗が、プラスチックの編み棒を湿らせる。
呼吸が早まる。息苦しいほどの圧迫が、喉をぐりぐりと押してくる。
体が震える。歯の根がすでに合っていなかった。
(なにを……そんなに、怯えなきゃならないの?)
唾を飲み下し、自問する。
「怖くないわ。わたし、お母さんになるんだもの」
乾いた喉からしゃがれた声をしぼりだして、自答する。
うにいぃぃぃ
朱美のつぶやきに覆い被せるように、赤子のような鳴き声が響く。
朱美は立ち上がった。編み物を椅子に置いて、勝手口の方向へそろそろと向かう。
応接間の扉を開ける。廊下には誰もいない。
廊下を進む。勝手口は開け放たれている。
庭から吹き込む夜気に少し震えながら、朱美はスリッパをはいた。
裏庭を見回して、足元に落ちていた懐中電灯に気付く。
「……?」
拾い上げる。
電源は入っていない。なぜ、こんなところに放り出していったのだろう?
朱美は、スイッチを入れた。
カチリ、と乾いた音が響いて、勝手口脇のゴミ箱に光が当たる――
朱美は声にならないうめき声を上げて、懐中電灯を取り落とした。
ごん、と音を立てて、明かりが消える。
勝手口脇に置かれた留め具つきのゴミ箱が、開け放たれていた。その周囲には黒い水溜まりがひろがり、静かな夜風にさざなみをつくっている。
濡れたゴミ箱には、慶一が放り込まれていた。
赤子のようにだらりと手足を投げ出し、灰色の顔をして、喉から冗談じみた量の血をあふれさせた慶一が、月明かりに照らされていた。
*****
にゃあ
にゃう
にゃう
くぐもった声で、子供は鳴いた。
残された匂いが濃い。多分、ここで間違いないはずだ。
*****
勝手口を締めて、掛け金を下ろす。
激しい動悸を訴える胸を押さえて、朱美は息を整えた。
「警察……警察、呼ばなきゃ」
繰り返し呟きながら、よろよろと廊下を引き返す。電話は応接間だ。震える膝を無理矢理進めて、ドアを開ける。
後ろ手にドアを閉め、ふらつきながら電話をとる。
「110番」
指が震えて力が入らない。受話器を取り落としかけながら、耳元へ持っていく。
「110番……」
ぞっとするような静寂が、朱美の耳を襲った。
「…え? え?」
電話線が切れていることには、もう少し落ち着いていれば気付けたかもしれない。混乱しながら、とりあえず朱美の指はダイヤルを押してしまう。
1。
何も聞こえない。
1。
静寂はつづく。
0。
にゃあああああん
響いた。
長く長く、響いた。
とても近くから、響いた。
朱美は振り向く。振り向いてしまう。
そこには子供がいた。
裸の子供。
四つんばいの子供。
汚い子供。
顎から胸にかけてを真っ赤に濡らした子供。
朱美が編んだマフラーを、我が子のためのマフラーを、首輪のように巻いた子供。
にゃん
短く、鋭く、子供は鳴いた。
まるっきり、猫の声だった。
「あ……」
立ち尽くす。
動けない。
子供はゆっくりと近づいてくる。猫そのものの動きで、猫そのものの眼差しで。
目が、合った。
見て、しまった。
自分とまったく同じ形の鼻――
あの男によく似た唇――
にゃああん
子供が、朱美にとびかかった。
子供の顔に我を忘れていた朱美は、それから逃れる間もなかった。もつれるように倒れこんだ衝撃が、腰を突く。
血に濡れた子供の胸が、目の前にあった。
次いで、顔。
しまいには、それも見えなくなる――
「……な、なに?」
胸元に異物が押しつけられた。しばらくしてからようやく、それが子供の頭であることに気付く。
子供は、朱美の胸元に額を押しつけていた。母猫に甘える子猫のように、飼い主にじゃれつく飼い猫のように、すりよってきていた。
「……そう、か」
小さく、朱美はつぶやいた。
「そうか……そうよね」
笑みさえ、浮かべたかもしれない。
そしてその笑みは、極上の母の笑みだったろう。
朱美は子供をかき抱いた。痩せた肩をさぐり、髪をかきわけ、うなじをたぐった。
ごろごろと喉を鳴らす子供を、あやすように撫でて――
子供の首を、掴んだ。
ゆっくり力を込めていく。もがく子供を乱暴にくみ敷いて、目を閉じて、ひたすらゆっくり、じっくりと。
「わたしはおまえの母親じゃない!」
朱美は、叫んだ。
「わたしの子供はこの子だけ! 慶一さんとの子供だけ!」
子供が白目を剥く。じたばたともがく。泡を吹く。
「おまえは猫だ! 猫らしく死ね! 惨めに死ね!」
ぐるるるるう
おぞましいうなり声が土気色の唇から漏れだしたのを最後に、子供の手足はぐにゃりと横たわった。
荒い息をつきながら、朱美は身を起こす。全身を濡らす冷や汗の冷たさを意識しながら、子供を見下ろす。
この子供の死体だけは、どうにかしなければならないだろう――警察を呼ぶとすれば、なおさらだ。
朱美は額を拭いながら、呟いた。
「エドガー・アラン・ポー……やれるかしら?」
そしてそのまま、どたりとへたり込んだ。
*****
白い部屋で、朱美は目覚めた。
いつか感じたあのけだるさが、全身をべっとりと包んでいる。
かたわらに立つ看護婦が、輝くような笑顔を浮かべた。
「おめでとうございます!」
出産は成功したようだ。亡き夫の笑顔を思い浮べて、思わず涙を滲ませる。
「とっても元気な……」
産着に包まれたそれが、差し出された。
「女の子ですよ!」
にゃあああああああ
世界が固まる。すべてが固まる。
産着に包まれた赤裸の猫が、長い鳴き声を響かせる。
朱美は差し出しかけた手をひっこめて、こぶしを握り締め――
決して自分のものではありえないその子供を、何か他の物体を――
了
以上です。支援ありがとうございました。
投下乙!
怖いよ怖いよ
文章に緩急があっていちいちためがあるのが堪らなく怖い
テーマにそった文体やテンポがうまいね
337 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/18(火) 13:37:09 ID:P+pBfU6J
猫の仔か、人の児か……
赤黒い光沢のある狂気が伝わってきますね
迫力がある文です
f確かにこれはきつい人にはきついかもしれんが
それだけ真に迫ったものが書けるっていうのはやはりうらやましい
1
三日月峠には一匹の猫が住んでいた。
その猫は、朝になると峠をくだり、
ふもとの小さな村へ行き、村人たちから食べ物をもらっていた。
そして、日が沈むと峠に戻り、決まったねぐらで朝まで寝て過ごすのだった。
村人の中には、その猫を厄介者扱いする者もあれば、大事にかわいがる者もあった。
ある日、三日月峠の猫を退治しようという話が持ち上がった。
提案したのは村の有力者だった。
彼は村にやってきては食べ物をねだるその猫を腹の底から嫌っていた。
また、それを無闇にかわいがる連中のいることが彼の怒りに拍車をかけていた。
納屋にしまってある弓矢で射殺してしまおう。
そんな有力者の意見に対して猛烈に反対する者たちがいた。
村八分になることも恐れずに強く抗議する者たちがいた。
そうした状況に村の長は困り果てた。
彼はその猫のことが大好きでよくかわいがっていたのだった。
2
ある朝、村の有力者はこっそりと三日月峠に行った。
彼は猟銃を携えて猫をしとめてやろうと息を荒くしていた。
しばらく歩くと猫が出てきた。すぐさま有力者は銃を構えた。
猫は素早く反応して逃げた。有力者は一発二発と撃ち込んだ。大きな銃声が響く。
しかし弾は当たらない。猫の逃げ足はとても速くなかなか狙いが定まらない。
有力者は走って追いかけた。足の速さには自信があった。
猫は林の中へ入っていく。奥へ奥へと駆けていった。
有力者も負けじと駆けた。そのとき後ろから怒号が聞こえた。
3
「何してるんだ!」
有力者が振り返るとそこには三人の村人がいた。男が二人に女が一人。
有力者は三人のことをよく知っていた。彼の猫退治に猛抗議していた者たちだったからだ。
「こんな朝早くにどこに行くかとあとを付けてみれば、こんなことだったのか!」
三人のうち無精ひげの男が言った。
「姑息にもほどがあるぞ!」
もう片方の男が言った。
「やかましいわ、貴様ら村の貴重な食料をなんだと思ってる!
少しでも蓄えなきゃならんのだ!あんな畜生に食わせるぶんなどないのだ!」
有力者がそのように反論すると二人の男は彼に飛びかかった。
「ふざけんな!!」
一方、女は別の角度から回り込み、鈴の音を鳴らしながら猫に近付いた。
猫は鈴の音に惹かれ女の方に寄ってきた。女は抱き寄せて言った。
「怖かったでしょう。もう大丈夫だからね…」
4
三日月峠に何度か銃声が轟いた。飛びかかった二人の男は有力者によって撃ち倒された。
一人は頭部に銃弾が命中し即死だった。肩で息をしながら有力者は女に近付いた。
「あなたは…最低の人間よ!」
涙ながらに女は言った。猫を強く強く抱きしめていた。
猫のことを、身を持って銃弾から守ろうという強い意志が有力者にも感じられた。
だが彼は容赦しなかった。何発もの銃弾を撃ち込み女も猫も死なせた。
一仕事終えたとため息をついたとき彼は突然後ろから首を絞められた。
無精髭の男だった。死力を振り絞り有力者の首を絞めていった。
有力者が息絶えると、無精髭の男も倒れ込み、腹にできた銃創から
どくどくと血を流し死んでいった。
5
彼らの屍を拾う者はなかった。彼らが死んだのはとても深い林の中で、
並の捜索では見つけられなかったためだ。
また、三日月峠の付近一帯は方位磁石が利かない不思議な場所であり、
生半可な気持ちで深みに入ると致命的な遭難をするおそれが十二分にあった。
当然のごとく、村に三日月峠の猫がやってくることはなくなった。
かわいがっていた村人たちは一様に残念がった。
村の長はペットショップでシャム猫を購入しかわいがることにした。
完
ちょwwオチそれかよ!
ちょwww 俺より手の込んだもん食ってやがるwww
(´・ω・`)誰か、俺のえさも作ってくれよ
俺、キュムキュムの猫になるから飼ってくれよwww
おおー昨日話してたやつだな
なんてプリプリでうまそうなんだ
70度前後でじわじわ加熱した鶏肉のうまさは格別だからな!
しかしこれが猫の餌かよwなんて贅沢なw
348 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/18(火) 23:30:17 ID:P+pBfU6J
猫に味付けしたもんはダメだと信じてた俺には目から鱗w
いやダメだってwww
実はこれとは別に塩分スパイス抜きのヘルシー猫用も用意してあるんですぜ?旦那
見れなかったぜ…キュムキュム
私がそれを拾ったのは冷たい光を帯びた下弦の月がぽっかりと浮かぶ、寒い夜だった。
秋と言うには遅すぎて冬と言うには早すぎる、そんな夜。
夜風が冷たくて、うなじがきしん、と軋むなか、スポットライトみたいな街灯に照らされてにゃーと鳴いていたそれは、猫だ。
まだ生まれて間もないのだろうか、満足に目を開けることすら出来ない仔猫。
カラスみたいに真っ黒な黒猫で、『拾ってください』と書かれた段ボール箱の中に入っていた。
捨てた人にもそれなりに温かい心があったらしくて、せめて寒くないように、とタオルが敷かれていた。
大変だね、キミ。そう呟いたら徐に開かれた目と視線が合った。
目と目が会ってしまったから仕方ない。独り暮らしは寂しいし、ペットを飼ってはいけないと大家に言われた記憶もない。
即断即決。飼うことに決定だ。
吐く息は白くて、ポケットから手を出すのが億劫だけど、意を決して段ボール箱を持つ。
寒風にさらされた手がかじかんでひりひりするけど、この子だって寒かろうよ、と自分に言い聞かせて我慢する。
さっさと帰ろうと思い足早に家路につくと、女の子の声に止められた。
「あっ……」
たった一言たけど、あどけない幼い声は私の歩みを止めるのに充分な程の威力(?)を持っていた。
振り替えると、声に負けないくらい可愛い女の子が私の事を恨めしげに見つめている。
初見の子に睨まれる覚えはないけど、思いあたるフシならある。
多分、この仔猫だろう。
ハア、と溜め息混じりに近付くと、女の子はビクッと後退りをする。
「ねえ、この子大事に出来る?」
私の言葉を上手く理解できなかったのか、きょとんとした顔で小首を傾げ、私を見つめる。
その子の目線と同じ高さになるようにしゃがんで、仔猫が見えるように段ボールを地面に降ろすと、女の子はパァッと明るい笑顔になった。
「この子、飼いたいの?」
今度は理解出来たのか、ブンブンと音がするくらいに頷いた。
「じゃあ、この子の事をお願いして良いかな?」
「うん。ありがとう、おばさん」
「……お姉さん、ね」
手短に訂正を要求。まだ四捨五入しても二十歳の女心はそれなりに繊細なのだ。
一期一会、多分二度と会う事はないから、尚更訂正して貰わないと困る。
兎に角。
女の子に仔猫を託して一人寂しく帰路につく。
でも良いや。少しばかり寒くなったけど、心は温かくなったし。
了。
>>351 投下乙です!
これはとてもいい話、癒されるなーGJ!
文体や書き方もすごく読みやすくていいね
台詞以外全てを文頭下げってすごく読みやすい。今度真似しよう
353 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/19(水) 00:07:16 ID:x59vdQh1
はい。ストーリースレでお見かけしてよりお待ちしておりましたー。
投下乙です!
文のリズムが心地いい
突発的に仔猫あげちゃったの……
>>335 凄くどきどきしました。
怖い以上にどきどき感が面白かったです。
「嘆かわしい……貴様らには猫としての誇りはないのか!」
変な客が来た。店中の人間の視線がこちらに集まる。
元々、ここ秋葉原は変人の万博会場のような場所なのだが、目の前にいる青年もかなり
ヤバイ部類のようだ。
「あはは……ご主人様、今日は随分とご機嫌にゃにゃめですにゃん♪」
営業スマイルと猫なで声で取り繕ってみる。
「俺は貴様の主人などではないし、猫たるもの、そんな風に易々と他人に媚びなど売るん
じゃない!」
叱られてしまった。でもこれは店のマニュアル通りの対応なんだから、わたしに言われ
ても困る。
時給につられ、ここ『猫耳カフェ』でバイトを始めてから三ヶ月。この手の変な客への
応対には慣れたつもりだったが、コイツはまた一段と強烈だ。
「まったく、我々は本来ハンターなのだぞ。その本分を忘れて、ご先祖に申し訳ないとは
思わんのか!」
察するに、コイツは自分のことを猫だと思いこんでるようだ。演技かとも思ったが、そ
んなそぶりでもない。何だかちょっと面白そうだ、適当に話を合わせてみよう。
「そうにゃんですよね〜、でもわたしにはこんな生き方しか出来にゃくて……狩りにゃん
てとても無理。お客さん、すごい男らしいにゃ〜」
『オスらしい』と言った方がよかったかな?
「そ、そうか? そう言われると何だか照れるな……まあ、何だ、さっきは怒鳴ったりし
てすまなかったな」
ちょっとおだててみたら、途端に顔がほころんだ。何だ、単純な奴じゃないか。
「俺の家系は代々ハンターなんだ。祖父も父も、その生涯で一万匹を超えるネズミを始末
している。俺も、その名に恥じぬオスにならねばな」
「すごいにゃ〜。で、お客さんは何匹くらいやっつけたんにゃ?」
「…………」
そう聞くと、うつむいて押し黙ってしまった。
「……匹」
「え? 聞こえないにゃ」
「まだ、ゼロ匹だ……悪かったな……」
空気が凍り付く。やばい、地雷を踏んでしまったようだ。慌ててフォローに入る。
「そ、そんなこと気にしちゃいけないにゃ。まだまだこれからですにゃ」
男に笑顔が戻る。なんて単純な性格なんだ、簡単に乗せられてしまうらしい。
「しかし、どうにも上手くいかなくてな。父上のように多くの獲物をしとめられるように
なるのは、一体いつになるやら……」
また落ち込む。めんどくさい男だ。
「大事なのは、数より質ですにゃ。一度にたくさんの獲物を狙うより、まずは一匹に狙い
をしぼってみてはいかがかにゃ?」
何となくアドバイスしたのだが、男はこの考えが気に入ったようだ。拳を握り、目を輝
かせる。
「なるほど……数でかなわないなら、獲物のランクで勝負するということか」
突然、男は立ち上がった。
「ありがとう、君のおかげでやるべきことが見つかった」
「何ですにゃん?」
「ちょうど我が家の近所には、大物のネズミがいやがるんだ。そいつを血祭りにあげると
するよ。さて、善は急げだ、今からさっそく準備にかかるとしよう」
そう言うと、男は会計を済ませ意気揚々と帰り支度を始める。変わった客だったが、喜
んでくれたようで何よりだ。
「狩り、頑張って下さい。上手くいくといいですね」
「ああ、絶対にアイツを狩ってやるさ」
「秋葉原にはよく来るんですにゃ? また遊びに来てほしいにゃ」
ほんとは来なくてもいいんだけど。
「ああ、また寄らせてもらうよ。家はここからそんなに遠くないしね」
男は不気味な笑みを浮かべ、言葉を続ける。
「浦安だよ、千葉県のね……」
358 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/19(水) 01:17:53 ID:x59vdQh1
うぉると・ねずみーを狙う気かwwwwwww
>>357 これは傑作www
こういうの大好きだわwww
どんだけ高ランクのねずみを狙う気だwwww
今日(20日)で締め切り?
363 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/20(木) 01:17:44 ID:I/4tmxbN
そうですね
いまパッと書いた。
投下します。
――見つけた。奴はまだ私が寝こけていると高を括っているだろう。
奴にはご主人の付けた罠など意味を成さない。むしろ巧妙に餌だけ持って行くだろう。
干支の順番決めで敗北して以来、私たちは奴等を負い続けて来た。先祖の間抜けは否めないが、その憤怒は身体を巡る血に溶け込んでいる。
愚かな。台所に行こうというのか――奴との距離が近くなって来た。射程圏内に入った瞬間に奴の身体に牙を突き立ててやろう。内心、舌なめずりをする。
あと五歩。五、四、三、二一……今だ。半目を見開き、奴を視界の真ん中に入れて、脚の筋肉を躍動させる。跳躍は美しい弧を描き、奴に向かって行く。
が、地面に前足を叩き付けるもまるで手応えがない。それもそのはず。奴はほんの少しだけ横にずれて難を逃れていた。
馬鹿な。突然、飛び掛かる私に眉一つ動かさず冷静に回避。自分の何倍もの質量の相手に対して何の恐怖もないというのか!?
奴は依然として台所に向かう。何と何という貪欲でしたたかな精神よ。その前身に対して勇敢ささえ覚えよう。
奴のジグザグでこまやかな走行は確かに捕らえにくい。台所に侵入されたらかなり困難になろう。故にここが天王山!!
速さは流石にコチラのがある。さぁ、どうする? お前のジグザグ走行もだんだんと掴めて来た。緩みを見せれば我が爪の餌食となろう。
――次の瞬間、奴は急ブレーキをかけ、Uターン。何だと、死ぬ気か? 格好のチャンスにも関わらず手が出ない。どうした!? 窮鼠を恐れているのか。
一瞬、判断が遅れて奴は大胆にも股の下をくぐってそのまま巣まで全速力で疾走して行く。体勢的にもはや追いつくことは出来ないだろう。
「やられたな。完全に手玉に取られた。慢心があったのは私の方だったという訳だな」
ぎりっと悔しさから柱を爪で引っ掻く。ご主人に叱られたのは言うまでもあるまい。
了
この猫のCVは中村悠一さんかな。
こらw
また逃げられたのか……orz
1
小さな木造屋敷の一室に男たちが集っていた。
部屋の中央には石油ストーブがあった。男たちは
それを囲み、暖をとっていた。男たちはみな狩人だった。
街中から集められた選りすぐりの狩人たちだった。
そんな彼らの目的は満月山に出るという化け猫の退治だった。
満月山というのは、街から北の方に3キロほど外れた
ところにある、標高200メートルほどの小ぶりな山である。
かつて街の者たちのあいだで、その山の頂上で満月を仰ぐ
風習があった。そこから見える満月は格別綺麗だったという。
そうした経緯があり、その山は満月山と呼ばれるようになった。
2
「決行はいよいよ明日だ」
狩人Aが切り出した。部屋中に緊張感が走る。
「わかってる」
その緊張感を飲み込むようにして小さく頷く狩人B。
「命を失う危険もある」
冷静な視線で皆を見渡し狩人Cが言う。
「そんなことはわかっている。何たってもう10人以上はやつに食われてるんだ」
そう言って、感情を押さえ切れないとばかりに猟銃の手入れをする狩人D
「まぁ落ち着け。今は冷静に作戦を練るんだ」
狩人Dの肩をぽんぽんと叩き、狩人Aは言った。
「俺達がこうして集まったからには、必ずここでしとめなきゃならん。
もう一人たりとも犠牲者を出しちゃならないんだ。わかるな。
まぁ化け猫のほうもいきなり退治されるんだから気の毒だ。
だが、どっかで踏ん切りつけなきゃならないときがある。
野生動物と平和に共存なんて土台無理な話なのさ。
平和なんてきれいな言葉使うのは人間だけさ。
アフリカの動物達を見てみろよ。あいつら毎日殺しあってるぜ。
自然界の中で自分らを成り立たせるにはどっかで踏ん切りをつけるしかないのさ」
「アフリカの動物って…おまえ、アフリカ行ったことあるのかよ」
狩人Bがおどけた調子で聞いた。
「動物奇想天外でそういうのを見たんだ」
「テレビかよ」
しばし部屋の中に笑いが起こった。それは悲劇の前の団欒であった。
どこまでも深くて暗い洞窟の前にかざされた1本のろうそくの火のように
ささやかで儚いひと時であった。
3
翌朝早くに、狩人たちは小屋を発った。
まだ日も出ていない薄暗いうちに、彼らは満月山の登山道を歩き出した。
必ずやってくる、今日こそ倒す――狩人たちの結束は最高潮だった。
満月山を登り始めて約1時間、ちょうど足腰に疲れが出始めた頃だった。
「出たぞ!」
目の前に化け猫が現れた。その図体は馬鹿でかく、
一瞬にして狩人たちを萎縮させた。化け猫は大きな爪をむき出しにし
狩人たちの方向に素早く振り回した。狩人Dは首を引っ掻かれ絶命した。
狩人Bが銃を乱射する。銃弾が化け猫の大腿部をえぐる。
怒った化け猫は全速力で狩人Bに飛びかかり頭から胸まで一かじりした。
当然のごとく、狩人Bは即死した。残りは狩人AとCだけになった。
狩人Bの放った銃弾は思いのほか深くまで到達したらしく
化け猫の動きは次第に鈍くなった。AとCは十分な距離を置き
ありったけの弾を撃ち込んだ。化け猫は倒れ、口から血を吐き息絶えた。
4
にゃーにゃー…
小さくかわいらしい鳴き声が聞こえた。
狩人AとCは思わず顔を見合わせた。
大木の陰から、一匹の子猫が現れた。
にゃーにゃーと鳴き、化け猫の亡骸に擦り寄っていった。
「もしかして…こいつの子どもか?」
狩人Aはその子猫をつまみ上げた。
化け猫の子どもとは思えぬほど小さくかわいらしい子猫だった。
小さな鼻や口がたまらなく愛らしい。
「どうする?」
「やつのこどもだぞ。将来何をしでかすかわからん」
「そんなこというな。きちんとしつけをすれば大人しく育ってくれるかもしれないぞ」
彼らは対立した。つかまえた子猫をどうするのか。
話をまとめるため、彼らはまず場所を変えることにした。
満月山を下りようとしたそのときだった。
「イテッ」
子猫をつかんでいた狩人Aは手の甲を思い切り引っかかれた。
血がだらだらと流れ、傷の深さを物語った。
「ほらみろ、やっぱり化け猫の子どもさ。油断してると殺されるぞ」
「そうだな…この袋に入れよう」
硬い皮の袋に子猫を入れ、彼らは下山した。
最初の三十分ほど、化け猫の子は働き蜂のように袋の中で暴れていたが
次第に大人しくなった。
5
その日の夜、猛烈な議論が繰り広げられた。
子猫を殺すべきか育てるべきか――
意地とプライド、そして信念がぶつかり合う議論だった。
深夜12時を過ぎてからは狩人たちの雇い主も交えて議論は一層激しさを増した。
雇い主とは、街の有力者である。住人の激しい要望に応え
化け猫退治を企画した張本人である。3人の話し合いは彼の家で繰り広げられていた。
初めは、袋に入った猫をかわいそうなので部屋に入れていたが
夜になってまた袋の中で騒ぎ出した。とてもうるさく
話し合いの邪魔だったので庭に出した。
上品な和室で、その子猫の生き死にを決する激論が今まさに行なわれていた。
3時、4時と時間が経てど決着がつかない。
とうとう2人の狩人と雇い主は話し疲れ、眠り込んでしまった。
朝の6時になった。女中が庭で掃除をしていると
とても汚い一つの袋を見つけた。その中では、夜通し暴れ続けた子猫が眠り込んでいた。
「あらやだ、きたない袋。だんな様ったらだらしないんだから…」
女中は汚物を指先でつまみあげるかのように
その袋を持ち上げ、燃え盛る焼却炉のなかに放り投げた。
「ニャーニャーニャニャーニャーニャニャー!!!!!!!!!!」
子猫は白目をひん剥いて死んでいた。
こうして満月山の化け猫は完全に駆除されたのだった。
了。
374 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/20(木) 22:45:22 ID:I/4tmxbN
もう残り一時間か
>>368-369 仔猫も化け猫なのね
女中のような一般人がとどめを刺しているってところが何かを思わせるなw
>>373 かわゆす……としか言いようがない
かわゆす……
>>373 縛られてるように見えたw
かわいいのう、かわいいのう
またギリギリなのよん。TSから
* * *
吾輩は猫である……今のところ。
話は数週間前にさかのぼる。
その朝、いつものようにけたたましい目覚まし時計の音で目が覚めた。
そしていつものように目覚ましを止めようと手を伸ばした。
が、手は空を切るばかり。夜中に寝ぼけて落としたのだろうか。
しかたがないので立ち上がろうとしたのだが、うまくバランスが取れない。
別に酔っているわけではない。でもなにやら違和感を覚える。
何気なく目をこする。そういえば手、こんなにふさふさしてたっけ……。
俺は手を見つめたまま凍りついた。猫?
混乱している間に、もぞもぞと動く音がして目覚ましが止んだ。
見上げると俺がいた。
俺は俺と同じように不思議そうに手を眺めていたが、やがて洗面台のほうへ歩いていった。そういえばあっちには鏡があったな。
俺はすぐに戻ってきた。手にはキャットフードを持って。
「食べる? これおいしいよ。『この』口には合わなかったみたいだけど。」
俺? 俺に話しかけてるの? どうみてもそのようだ。
ということはやっぱり俺は猫に……。
「ケンちゃんでしょ? 体、入れ替わっちゃったみたい。」
俺には飼い猫がいる。タマ、二歳メス。
つまり俺は今タマになってるってことなの? いろいろ聞きたいことがある。だが、どんなに声を出せども……。
「にゃあ!」
「……やっぱり言葉は通じないか。」
そして今に至る。いや、本当はいろいろあったんだが思い出したくもない。
近所のオスどもに追いかけられて即引きこもりになった。こいつそんなに可愛かったのだろうか。猫の基準はよく分からない。
猫の基準といえば、キャットフードはなかなか美味かった。開発者の人間はよくこんなに猫の舌にあったものを作れたな。
そしてタマの方はというと、俺とは対照的にうまく仕事をやっていってるらしい。
その上最近は俺が長い間できないでいた女まで連れ込んできやがった。お前本当にメス猫か?
「タマにもカッコイイ彼氏見つけてあげるからね」なんてことまで言いやがる。
できてたまるかっ! と思いつつちょっと期待している自分が怖ろしい。
早く元に戻らないとこのまま適応してしまいかねない。でもいろいろ調べようにも外は怖い。
まあ……そんな感じで、猫をかぶる日々はしばらく続きそうです。
さりげないエロスを感じるんだぜ
378 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/21(金) 00:00:38 ID:nYRkRzAq
∧∧
ニャ━━━━\(^o^)/━━━━!!
>>373 ああなんというタビー柄…かわいい…超かわいい!
↑誤字orz 一発芸に「使い」⇒「近い」
後、自分でIEで聴こうとしたら上手くいかず
FirefoxからならキチンとDLして聴けました、もし聴けない方がいたら参考までに
なんでじゃろ・・・
383 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/21(金) 00:53:14 ID:nYRkRzAq
「ねーこ」で止まった瞬間怖かったw
にゃー↑にゃー↓にゃー♪
にゃーにゃーにゃーにゃあにゃにゃにゃにゃにゃににに
なんか耳裏に染みついてしまったwwww
>>383 1さん、運営スレで遅れる旨をやんわり受け止めてくださってありがd。
そしてお疲れ様でした!皆さんもお疲れ様でした!(何様
後、
>>344を暇があればウチの猫に作ってあげようかと思案中w
385 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/21(金) 01:08:53 ID:nYRkRzAq
味付けしちゃだめですよw
爆発したw
今月の「ねこ祭り」が終了した所で、印象に残ったのどは、どの作品でしょうか?
「ネズミ狩り」は、参った。いや、参りました。
「M/Other」が凄かったなー
>>355-357のネズミ狩りの完成度が高いなぁ
無駄がないし オチも秀逸 文章も読みやすい
390 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 20:51:14 ID:hzfhRJVw
>>388 たしかにインパクトあったな。
かなり人を選ぶ作品だけど、筆力がすさまじい。
俺にはあーいう文章は書けんわ。
あれ、今月もいつの間にか期間が終わってら(アハハハ
>>255が読んでて印象に残ったな
___
/::::|:ヽ
.. ノ::::::::|:::::| 投稿されたの全部みたけど、面白かったよう
|:::::::::::|:::::::| いろいろ投稿されるのが待ち遠しかっただよう
/ ヽ;;;;;;;|;;;;;;ハ
|: ゜ ゜ | 来月もなんかつくるぜ
|::::: ●) ●)|
ヽ:::::::......∀/ヽ○))
(⌒)]つ∠)__)
.  ̄ミ (_ノ 彡キュム
俺は
>>368の結末が印象的だったなー
この呆気なさがいい。
394 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 19:22:56 ID:a5n7oBnl
ねり消しの立体猫もかわいかった
上げてみる
次の投稿期間までは感想期間だよ!
料理もおいしそうだったな
是非作ってみたい
396 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/23(日) 22:08:18 ID:6rTYr5o5
あの料理ね
今度作ってみよう
印象に残った話が多かったな
397 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:10:31 ID:a5n7oBnl
低温でじわじわ仕上げた鶏肉はマジでうまいぞ!
398 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/23(日) 22:15:08 ID:6rTYr5o5
高温で蒸し焼きも捨てがたいがオーブン持ってないww
中華鍋で焼き上げた鶏も肉汁たっぷりで良いものだ
とスレ違いで身の程知らずな俺w
ホラー調なのが多かったな
400 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 22:16:42 ID:a5n7oBnl
やっぱり猫にそういう側面があるからじゃないかな
うん
あと「自由気ままな」ってイメージが使いやすいよね
402 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/23(日) 22:27:21 ID:6rTYr5o5
猫は犬に比べて忠誠心が低いなんて言うけれど
上下関係じゃなくて同じ目線の結びつきだよな
と今回あまり投下できなかった猫好きが言ってみる
やはりお題としてはすごくピーキーだったよね
だからこそSSにしてる方はすごいともいえるんだが…
猫を視覚的に表すには形取るのが凄く難しかったな
やっぱりあのしなやかさを出すのが難関
猫の何気ない仕草が自然にSSに織り込まれてるの見てすごいと思った
作者への質問コーナーみたいのもあっていい気がする
>>404 ことさら解説を求めたいほどの作品はない
それがこのスレの総意
放置されてみて解ったか
じゃあ作者への質問を書いてみよう
01:どれの作者?
02:猫は好き?
03:今回の創作にかかった時間は?
質問あげ
犬派の自分も楽しかったよー
猫のエサうめぇ
作ってみたのか
409 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/28(金) 02:16:27 ID:ga9Tws4C
>>406 02:好き!!
03:創作って程ではないな、おおよそ10分と5分
(~)
γ ´⌒`ヽ
{ii:i:i:i::i::i::i::i:i:iii} エサ作りました
{iii:i:i:i:i::i::i::i::i:i:i:ii} 正味1時間半くらいです
.|:::: >) <)| 叔父の家に猫が二匹おります
.ヽ:::::::.....∀....ノ レーザーポインタ大好きなやつらです
.(:::::::::::::)
.し─J
412 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/28(金) 12:51:36 ID:ga9Tws4C
>411
可愛いなぁw
413 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/28(金) 14:38:36 ID:mZ1Ad2Ej
俺も10分くらいかな
1レス小ネタだったし
01:
>>373です
02:犬派長っ鼻原理主義者ですけど、猫も好き。
03:下描きからスタートで5~6時間。
01:
>>255 02:生の動物全部嫌い。てか怖い。キャラとしては好き。
03:30分くらい
04:好きな小説は?
05:最近見た面白い映画は?
02 たいていの動物は好き
03 1時間くらいと30分くらい
04 最近はラノベばっかり
05 しばらく見てないなぁ
418 :
271:2008/11/29(土) 22:03:16 ID:5X/eNThP
>>406 01:
>>271 02:とても好き
03:一回途中でほっぽって、数日後に45分くらいで書き直した気がする
てか名前失敗した。スタッカートの方がよかったかな
飼い猫を事故で亡くしているので(10年以上前の田舎なので室内飼いという概念がなかった)
寿命で猫を喪うのはどんな気持ちか想像しようとしたら猫視点になった
ちなみにモデルは死んだ飼い猫 あいつが喋ったら絶対あんなんだと思う
02:猫は好き? …ネコもイヌも小鳥も好き。
03:今回の創作にかかった時間は? …思いつきなので1時間くらい。
04: 好きな小説は? …フツーの生活の中の非現実、星新一、「鹿男あをによし」、「狼と香辛料」とか、あと乙一、太宰治。
05: 最近見た面白い映画は?…映画は最近見てない。言うなら、三谷幸喜作品。
01:仔猫の話
02:好きじゃない
03:即興で30分程度
04: 昔は司馬遼太郎、陳舜臣、中島敦。今だと有川浩、甘木つゆこ、森奈津美
05: 昔のだけど卒業、アンタッチャブル
421 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/11/30(日) 22:59:49 ID:h0e954OX
こっちもage
明日から12月ですな
早く御題決めなきゃな
424 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 23:12:02 ID:zfx680CN
S-1 GP スレのほうで12月の御題決めてるんで興味のある人はよろしく
425 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/01(月) 00:14:00 ID:mN1y5kuF
今月のお題は「12」「鐘」「冬」らしいよ
スタート
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!
「あの、アタシそろそろ帰らなきゃ……」
マジヤバイ、早くしないと。
「何だい、まだいいだろ?」
目の前の男が不服そうに言う。金髪のイケメンで、おまけに超の付く大金持ち。
「遅れると、帰りの乗り物が無くなっちゃうんですよ……」
「何だ、そんなことか。大丈夫、僕がちゃんと送らせるから」
人の良さそうな顔でにっこりと笑う男。
あーもう! 金持ちって、どうしてこんなに空気読めないんだろ。育ちがいいせいか、
人の言葉は何でも額面通り素直に受け取って、裏を読もうとしない。アタシは「早く帰ら
せろ」って言ってるんだってば、少しは察しろ!
「その、アタシ門限があるんです。家族が色々とうるさくて……」
ウチのババアはマジでウザい。ガミガミ怒鳴るわ家事は全部押しつけるわ、最悪の女。
「そうか、お嬢様ってのも大変だね」と男。
別に『お嬢様』だなんて一言も言ってないけどね。まあ勝手に勘違いしてくれるなら、
それでいいや。
「でも、君だってもう子供じゃないんだ。少しは自分のしたいようにしてもいいんじゃな
いかな?」
だーかーら、アタシは帰りたいんだってば!
それに何だかんだ理由つけてるけど、下心見え見え。
「ほら、まだ十二時にもなってないよ?」
男の言葉で時計を見る。ゲッ、もうこんな時間じゃん。
「本当にごめんなさい、もう行かないと。今日は楽しかったわ」
そう言って、半ば強引にパーティー会場を抜け出した。
やっぱりアタシには、こんなセレブの集まるパーティーなんて合わない。言葉遣いも作
法もよく知らないし、なんつーか住む世界が違うみたいな。
取りあえず外に出ないと……あーもう、慣れないヒールなんか履いてくるんじゃなかっ
た。ドレスもそう、走りにくいったらありゃしない。
「ぬわっ!」
案の定、盛大にコケて、靴が脱げてしまった。
「待ってくれ〜」
後ろから、さっきの男の間抜けな声がする。しつこいなぁ、どんだけアタシとヤりたい
んだよ。さっさと逃げないと。
急いで立ち上がり、裸足のまま走り出す。この方が走りやすい。毎日の家事で鍛えた足
腰を活かして、さっさと男を振りきる。アンタみたいなおぼっちゃんとは鍛え方が違うん
だ。
――ゴォーン……ゴォーン……
十二時の鐘が鳴り響く頃、何とか表に辿り着いた。ギリギリセーフ!
それにしても疲れた、服も髪もボロボロだ。
家に帰り着き、こっそりドアを開けると、ババアが鬼のような形相でアタシを睨んでい
る。アタシを見るやいなや甲高い声で怒鳴りつけてきた。
「一体こんな時間までどこをほっつき歩いてたんだい、シンデレラ!」
428 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/02(火) 04:28:20 ID:J+qU2Up7
シンデレラwww
1レス目では気付かなかった
429 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 04:33:29 ID:X3T+52g+
12時の鐘のシンデレラかw
あたし彼女風の文体がいいな
一行目からこうなるとは読めなかったww
これは巧い
やられた!この発想はなかったよ!
お題に鐘をプッシュしてよかったと心底思ったw
いやー、面白かったですw
(~)
γ ´⌒`ヽ
{ii:i:i:i::i::i::i::i:i:iii}
{iii:i:i:i:i::i::i::i::i:i:i:ii} あー、除夜の鐘、製作したいよう
.|:::: >) <)| 鋳物は金かかるから、分厚い鉄を叩いて叩いて
.ヽ:::::::.....∀....ノ デコボコも溶接したりして、除夜の鐘自作してえよう
.(:::::::::::::) 20日までかあ。除夜の鐘になりそうな、紡錘型の
.し─J よさげな流用できる既製品、なんか無いかなあ
あったら溶接機買って自分でつくりてえなあ
434 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/03(水) 02:39:22 ID:5BHAXUEd
>>433 つ廃車のミッションケースw
軽自動車くらいが手頃?
>>426-427 1レス目では何の話か分からなかったぜw
コケるときの声が「ぬわっ」だったのに吹いたw
“Snow”
1/2
リンゴーン、リンゴーン。
大聖堂の鐘の音が灰色の曇り空に染み込んで行く。
クーポラの尖端は白くモヤがかり、輪郭のピントがずれたみたいにぼんやりとさせていた。
そこ本来は立ち入る事の出来ない場所のはずだが、見覚えのある人影が見えたような気がする。
しかし、それはただの見間違いだ。冬の物悲しさに惑わされただけに過ぎないだろう。
「雪が降りそうですね」
連れのじゃじゃ馬娘が手のひらに白い息を吐きかけながら、こちらをチラチラと窺ってきた。
足元に背筋をピンと伸ばして、生意気そうな顔をツンと澄ました黒猫を連れ立っている。
「さあな。俺は天気の番人じゃない」
カツ、カツと革靴の底が、石畳をリズミカルに叩く。
「雪が嫌いなんですか?」
「降るだけなら別に構わないけどな。積もると誰かさんが滑って転ぶ」
好きとも嫌いとも答えない曖昧な返事に、当の誰かさんは顔を朱に染めて此方をじいっと睨んできた。
「――私、転びません!」
「別にお前の事だって言ってないだろう。それとも思い当たる節でもあるのか?」
「――あう」
図星なのか、耳まで真っ赤にした拗ねた顔でムムムと口ごもる。
「まさか本当にそうだったとはな」
「違います! 違わないですけど、雪が凍ってツルツルしてたんですよ!」
「そうか。俺は踵の高い靴でも履いてたのかと思ってたけどな」
「――なんでそれを?」
拗ねた顔からキョトンと顔へ。まるで百面相だ。純真と言うよりは天然という言葉が合っている。
まあ、そんなだから俺はコイツを放っておけない――否、コイツに惹かれたんだろう。
「靴でも買いに行くか」
「え、嬉しいんですけど……良いんですか?」
怪訝そうでいて、それだけど嬉しさの混じった顔になる。
「ああ。懐が寒い訳じゃないから靴の一足や二足は買える。もっとも、ガラスの靴って訳にもいかないけどな」
「ありがとうございます!」
顔を綻ばせながら腕に抱きついてきた。それだけ嬉しいのだろうが、少しばかり恥ずかしい。
「よせ、マシュウが見てる」
黒猫――マシュウが此方を眠たそうな瞳で見つめている。そして、ニャアと一鳴きしてスタスタと足早に去っていった。
夫婦喧嘩は犬も食わないらしいが、猫はノロケを食わないのだろうか。
「――雪?」
砂糖の様な粉雪がサラサラと空から舞い降りてきた。
2/2
俺は彼女の手を取り急かすように、急ぐように走り出す。着いてくる足音が遅れないスピードで。
彼女の手はほんのりと温もりを帯びていて、冷えきった俺の手を温めてくれる。
俺の冷たい手は彼女にとって不快ではないらしく、ギュッと握り返してきた。
「躓いて転ぶなよ?」
「転ぶ前に、助けて下さいね?」
「ああ、お前のドジは織り込み済みだ」
「――あう」
リンゴーン、リンゴーン。
大聖堂の鐘が響く。舞い降りる粉雪と共に。
寒空の下、フィレンツェの街に。
了。
投下終了。
BITTERSWEET FOOLSをイメージして書いてみた
劣悪な作品であり、評価に値しない
>>436-437 仔猫の人か、GJ!
かわいいなぁ、ドジな女の子かわいいなぁ
「――」が多すぎる気もするけどかわいいからよし
441 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/03(水) 13:30:36 ID:5BHAXUEd
>>438 いい意味でハードルが上がっているところへ投下乙です
まさにハルトシュラーの鑑
本来なら自分がやらないといけないのですがまだ途中なんで><
純粋なドジっ子いいよ〜いいよ〜背景の鐘もいい感じに
BITTERSWEET FOOLSは知りませんが
※いちゃいちゃカップルに嫉妬した幼女がいるようですがヌル―進行で
かわいいなぁ。
冬の寒さが伝わってくるようで素敵
443 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 14:46:40 ID:PXMvwkwh
投下乙!
イチャイチャいいねー
イチャつくための服がない
>>438 冬の寒さが和らぎますた
“White”
1/2
彼女は、寒さのせいなのか頬を真っ赤にしていた。赤いミトンの手袋をした手に、はあっと吐息を吐きかけてもいる。
白いもやみたいな吐息は、ソフトフォーカスをかけたようにあどけない、だ幼い彼女の輪郭をぼんやりとさせた。
「寒いのかい?」
ずっと小さい位置にある頭に手を置き、撫でる。いきなりの事で驚いたのか、目をぱちくりと、白黒とさせた。
「え……はい、大丈夫です」
石畳に視線を落とし、消え入りそうな小さな声でポツリと答える。
「遠慮はいらないよ。寒かったら寒いと言ってくれた方が、僕は嬉しい」
撫でるのをやめた手を持ち上げると、微かに良い匂いがする。
「香水かい?」
「ちょっとだけ……ですけれど」
ただでさえ小さすぎる彼女が肩をすぼめて更に小さくなる。
「猫背はいただけないな。姿勢はちゃんとしないとね」
丸くなった背中をツンとつつき、首に巻いていたマフラーをほどいて、彼女の首筋にそっとかけ直した。
「寒くないですか?」
「ああ、君よりはね。僕はこう見えても鍛えているんだ」
力こぶを作ってみせると、ツボに入ったのかクスクスと笑みを溢し始める。
「君の悪いところは遠慮がちな所だね。少しはワガママを言ってくれないと、僕が困る」
「そう、ですか?」
「ああ、そうとも」
難しい年頃のせいなのか、彼女は俯いて押し黙ってしまう。足取りは重そうで、トボトボと。顔色は暗く重くて浮かんでいない。
歳の差がありすぎるが悪いのだろうか、彼女は僕に追い付こうと背伸びをする。だけど、その背伸びは彼女の為にも、僕の為にもならない。
気負ってしまうのは仕方ない。でも、僕は彼女の年相応の明るい笑顔が見たい。
「そうだね。プレゼントは何が欲しい? 万華鏡? ヌイグルミ?」
努めて明るく振る舞う僕に、彼女はそっと上目使いの視線を寄越す。
「――話が聞きたいです。昔の、貴方の」
「話しかい? そうだね、この前パスタが美味しい店を見つけたんだ。そこで何か食べながら話そうか」
「はいっ!」
良い返事だね、と頬をつつくと、大聖堂の鐘がリンゴーンと響く。そして、灰色の空から綿みたいな雪が舞ってきた。
彼女はそれを手で受け止めて、嬉しそうに顔を綻ばせる。
赤いミトンに白い雪。儚くあっというまに融けていく。
「何で雪って見上げる時は灰色なのに、下に落ちると白いんですか?」
2/2
「光のせいだね。降る時は自分が影になって黒くなるんだ。下になれば影が無くなって白くなるのさ」
「なんでも知ってるんですね」
「ああ、そうとも」
彼女の幼い笑顔は、僕の冷えきった身体と心をとかしていく。なんだかそれが嬉しくて、彼女に笑みを返すと、訳がわからないのかキョトンとした顔になる。
「そう言えば、日本では鐘に書かれた文字が原因で戦争になったそうだ」
「酷いですね。鐘に罪はないのに」
「いつだって罪を犯すのは悪い大人さ」
「その鐘の音ってどんな音色だったんでしょうか」
「たぶん、綺麗な音色だよ。きっと、ね」
暗く沈んでいきそうな彼女の横顔に、僕は悪戯心を起こして、柔らかそうな頬を、ちょんと摘まんだ。
「え、ええ!? ふえぇ!?」
キャッと悲鳴を上げて慌てふためく彼女が可笑しくて、思わず笑ってしまった。
「そんな、いきなり酷いです!」
ぷくっと頬を膨らませる彼女は年相応の顔を見せてくれる。
「そう、それそれ。そういう反応を見せてくれないとね」
「何でですかっ」
怒気を孕んだ口調に、ごめんと謝まる。「僕はね、自然な君が好きなのさ」
「あう」
彼女は火が着いた様に真っ赤になって黙り込む。
そんな彼女が可愛くて、つい僕は彼女の頭を撫でようとするけど、彼女は手を払ってハッキリと拒否した。
なんで、と良いかけたけど、横目で睨んでくる彼女は僕の腕に腕を絡めてきた。
「子供じゃないですから、こうしてください」
「ああ、そうだったね」
腕を組んだ僕達を、ガラス色の雪が閉ざす様に舞い降りてくる。
リンゴーン、リンゴーン、リンゴーン。
大聖堂の鐘の澄んだ音色は、祝福の鐘だろうか。
嬉しそうな彼女を見ていると、本当にそう思う。
了。
以上、投下終了。
今度は幼女をイメージして書いてみた
12ってあんまり思い浮かばないよママン
448 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 16:28:41 ID:PXMvwkwh
またカップルキター!
今度は年の差カップルか
あちこちイチャイチャカップルばっかになる今の時期を反映してるんだろかw
どいつもこいつもラブラブしやがって……
投下乙だぜ!!
450 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/04(木) 02:39:17 ID:Pf0A6V+X
まさかのシリーズ化
キャラ立てに味が出てますよね
こうしてはおられん(`・ω・´)
何か今回は盛り上がってる?
やるか……
“鐘が鳴るなり”
牡蠣を食ったら鐘が鳴らずに腹がぎゅるるるると鳴った。どうせ鳴るならと金に成りたかった。
ピーピーと腹を下して十六連打並みの速さでトイレとコタツの間を行ったり来たりだ。
夜通し運行してたら、知らぬ間にトイレで朝を迎えていた。洋式で良かった。本当に良かった。
いや、良くない。水洗トイレだったのは幸いだけど、トイレで眠りこけてしまうのはいかがなものだろうか。
這いつくばって、やっとの思いで電話で119番に助けを求めたら、誰も電話にでんわ。
後で聞いたら救急車をタクシー代わりに使ったオバチャンがいたらしい。その対応に手間取ったそうだ。
世間の風が世知辛い。たたでさえ一人者には寒い季節なのに、吹き付ける風はスペイン風邪みたいに身に染みる。
どうせだったら六甲おろしみたいに熱ければ良いのに。十年前なら凍死する程寒いけど、今ならそれなりに暑苦しい。
兎に角、すったもんだがあって病院に運ばれた。
診断結果はノロウイルスと十二指腸炎がなんたらかんたら。詳しい病名は怖くて聞けなかった。
臆病風に吹かれやすいから正確な病名の告知はしなくて良いと言ったら、医者にゲラゲラ笑われた。
取りあえず入院しないと駄目だとのお達しで、入院する羽目になった。
どうしよう。師走も良いとこそろそろ年末だってのにハメを外す事も出来やしない。
シャバにいたらサンタ狩りやトナカイ鍋だって思いのままの筈に、今の俺はベッドの上でハリー!ハリー! とポタポタ落ちる点滴の滴を見る事だけしか出来ない。
いやだねえ。辛気くさいったらありゃしない。
クリスマスなのに景気が悪いからケーキも食えない。もちろん年越しソバだって食えない。
美人の看護師さんにあんたの側にいたいって言ったら痛い人を見る生温かい視線で見られるわで悲惨散々、鎌倉幕府だって滅亡する。
気付けばゴーン、ゴーンと除夜の鐘が聞こえてくる。
ちくしょうめ、どうせ突くならケチな事言わないで素手で突けってんだ。
鐘なんて柿を食ったら鳴るだけで十分だ。重要文化財なら別の与太話になる訳だけですが。
お後がよろしいようで。
了。
以上、投下終了。
>>451 盛り上がるのを待つよりも盛り上げる方がハルトシュラー主義だって串の人が言ってたら嬉しいなぁ
454 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 17:35:01 ID:np82Duwa
言ってないんかいw
なんかテンポがよくていいなー
スルスル読める
読みやすくておもしろかったー
“プレゼント”
1/2
テディベアが11人。全部プレゼントとして貰ったものだ。みんな同じテディベアだけど一つ一つ個性がある。
個性だけじゃなくて、密かに名前だってつけたりしている。
たとえば一番右のネルソンはつぶらな瞳がチャームポイントの生真面目さんだけど、左から三番目のイソロクは凛々しい顔の割には悪戯好きでギャンブル狂。
一つ一つに名前と個性を付けてあげれば見ているだけでも楽しい。
アフタヌーンティーを楽しんでいると、コン、コン、コン。控え目なノックが三回、几帳面なリズムでドアが叩かれる。
ベルがあるのだから押せば良いのに、あえてノックをする人は一人しか知らない。
「どうぞ」
ドアの向こうに声をかけると、あまりたてつけのよろしくないドアがぎいっと軋んだ。
「やあ、こんにちは」
グレーコートに白い雪を散らばせながら、綺麗に包装された箱を胸に抱いて彼が入ってきた。
はにかみ顔であるけれど、外は寒かったのか眼鏡が曇っている。
勝手知ったる他人の家とはこの事なのか、彼は荷物をテーブルの上に置いて、スタンドにコートをかける。
「紅茶で良い?」
「いや、これで良いや」
彼は私の対面に座ると、飲みかけの紅茶に口を付けた。何か違和感があるのか、僅かに眉をしかめる。
「ちょっと甘いね」
「私は甘いのが好きなの」
「ふーん、なんだか機嫌悪そうだね」
「いえ、別に?」
機嫌が悪い理由は沢山ある。
お子様みたいな味の好みを指摘されたのが悔しくて、私はプイとソッポを向いた。
窓の向こうに見える街は、ガラス色の雪に閉ざされている。まだクリスマスの四日前、どうせだったらホワイトクリスマスになれば良いのに。
「ああ、そうそう。これ開けてみてよ」
「なに?」
包装を綺麗に剥がし中身をみると、それは予想通り――テディベアだった。
「ヌイグルミをプレゼントされて喜ぶ年じゃないんだけど」
「そうだったかい? それはすまない事したね」
強がってみたけど、やっぱりテディベアは可愛くて、私は衝動的に抱き上げてしまう。柔らかくて温かくて良い気持ち。思わず、うわあと声をあげてしまった。
「喜んでいただいて嬉しいね」
「喜んでません!」
彼の笑顔と図星をつかれたのがあまりにも悔しくて、テディベアを抱きつつ紅茶の残りをぐいっと一息に飲み干した。
2/2
「さっき僕が飲んだけど、良いのかい?」
言葉の意味を妙に勘繰ってしまった私はむせてしまうけれど、耐え難きを耐え忍び難んだり色々堪えて、努めて平静をよそおう。
「大丈夫かい」
優しくされるのがなんだか非常にムカつく。
「ええ、大丈夫ですとも」
「そうかい。それなら安心した」
「心配される筋合いはありません!」
沸き上がる怒りを押さえながら答えるけど、口調がやや早口に、強くなる。
私の言葉が終わらないうちに、彼は窓際に歩み進んだ。窓の向こうは既に暗くなっている。それでも雪は降り続いていて、全てを濃い闇色に染め上げている。
「まあ、安心したよ。君が気落ちしてるっておばさんに聞いたからね」
ええ、そうですとも。
一週間ほど前に誰かさんが綺麗な人を連れているのを見かけた。多分その女の人は恋人で、つまり、私は失恋した。
失恋して気落ちしない女のコはそうざらにはいない筈だ。
それでもその誰かさんの顔を見ると憎らしくとも嬉しくなってしまう私の単純な思考回路が恨めしい。
今日だってクリスマスを前倒しして私にプレゼントを渡しに来て、当日は彼女さんとデートなのだろう。
はっきり言って優しいけれど優しくない。彼の主体性の無さ、八方美人な性格が私の苛立ちを加速させる。
解りきった事だけど、彼にとって私は近所の女の子でしかない。
歳の差という見えないバリアは万里の長城よりも堅くて難攻不落なのだ。
「ねぇ、クリスマスは空いてるかな?」
唐突な言葉に彼方に行っていた思考が此方にぐいっと引き戻された。
「空いているかもしれないし、空いてないかもしれない」
振り向かずにテディベアをぎゅうっと抱き締めた。今の顔はとても酷い顔だろう。とてもじゃないけど彼にこんな顔は見せられない。
「出来れば空けといてくれないかな」
「バカじゃないの? 折角のクリスマスなんだから好きな人と一緒にいれば良いじゃない!」
駄目だ。涙の堰が決壊して、更に感情が暴発した。憎まれ口なんて叩きたくないのに叩いてしまう。
抱き締めたテディベアに顔を埋める事だけしか出来ない。
トン、と肩を叩かれるけど、顔をあげられない。
「うん。だから君といたいんだって言ったら迷惑かい?」
涙でくしゃくしゃな顔は見せられない。だけど涙は悔し涙じゃなくて嬉し涙だ。
テディベアが十二人。みんな嬉しそうに笑ってる。
――勿論、彼も、私も。
了。
以上、投下終了。
12は難しいですね
>>458 お前さん頑張りすぎだろww
結局一緒に歩いていた綺麗な人が誰だったのかは謎のままか
ありがちだけど姉と予想する
他のベアの名前が気になってしょうがない
461 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/04(木) 19:15:38 ID:Pf0A6V+X
既にss三本?いや四本?
すごいな
遅れてなるかーw
462 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 20:01:49 ID:np82Duwa
またキター!
この女の子かわいいな
熊が12匹ということは出会ってから12年たったってことなのか
“クレヨン”
子供の頃、クレヨンが好きだった。私は12色しかの物持っていなかったから、24色に憧れていた。
その中でも一番憧れたのは銀のクレヨンだ。キラキラと、ピカピカと光っていて、とても綺麗だった。
あの色で空や雲、海を描けたらさぞかし幸せだろうなぁ、そう思っていた。
12歳の冬、小学6年生の時にバラ売りの物を画用紙と一緒に小遣いで買った。
思うままに描いてみたは良いのだけれど、ネズミ色みたいな雲と水平線は幼心にがっかりして、ちょっとしたトラウマになった。
だけど、今では良い思い出だ。
それでも、銀のクレヨンは短くなってしまったけどとても綺麗で、大事にとっておいてある。
苦くて悲しいけど、甘くて嬉しい、子供の頃の大事な思い出だ。
「なあ、なんでアンタはそんなにパステルが好きなん?」
モダンアートの課題を描いていたら、友達が不思議な顔で、訊ねてきた。私は手を止めて答える。
「んー、好きなんだよね、パステル」
「あー、アンタそんな感じやわ。ペールトーンやね。味で言うとだだ甘やね」
ペールトーン。うすく淡く、女性的な弱さを持ち合わせた優しい色だ。
「そうね、あんたをたとえるとポスカラかなぁ」
「ビビッドやね。鮮やかで目立つからウチにピッタリやわ」
「生きが良すぎて騒々しいけどね」
なにか思うところがあるのか、ほっぺたを膨らませてなんとぉー、と怒りだした。
どうにも仕方がないので頬を挟むように両の人差し指でつつく。
「なにすんのぅっ!」
「うん、なんでだろうね。そこにほっぺがあるからだろうね」
「そんな理由じゃ納得できひんっ!」
「大丈夫。あんたを味にするとケレン味だから」
「ケレン!?」
んが、と唸って愕然として、金魚みたいに口をパクパクと動かす彼女は表情がコロコロと百面相して面白い。
「褒めてるつもりだけどね。私にはあんたみたいな味が出せないし」
「それ、褒めてないやろ!」
キーンコーンカーンコーン。
丁度良いところで終業のチャイムがなる。
先生の課題は次回に持ち越し、との言葉に安心したら、私達二人は後で職員室に来るようにと言われた。
「アンタのせいで怒られるんや」
「いーや、その言葉は熨斗を付けてお返しします」
二人揃って怒られるのも、銀のクレヨンみたいに、きっと後で大事な思い出になるだろう。
――多分、いつまでもキラキラと綺麗に光っているに違いない。
以上、投下終了。
風邪で寝込むとネタが溢れてくるなぁ。
>>464 仕事が早すぎるだろwww
方言って書くの難しいよね
読んでるとそんな感じしないんだけどなぁ
466 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 20:56:23 ID:np82Duwa
美大生の話かな?
日常の一編がいきいきしてていいね
しかしあんた頑張りすぎだろwいいぞもっとやれw
頑張りすぎw GJ!
チャイムってのは考えなかったなぁ。
キーワードの解釈が面白い。
でも何より話の空気感が好きだ。
468 :
12、鐘、冬:2008/12/05(金) 14:12:52 ID:QlFCE0LX
「そんなに回してもチャンネルの数は変わらないぞ」
ボソボソとした声が横合いから聞こえる。
うるさい、そんなの分かってる。
第一、回すってなんだよ。昭和かよ。
年末のある夜、私は兄と二人で居間のコタツに足を突っ込んでいた。
親は二人でどこかに出ていった。家には私たち二人だけが残されている。
見たい番組が無かったのでチャンネルは適当にボタンを押して決めた。
結果、テレビからは青い狸の声が聞こえてくる。
兄は黙々と本を読み続けている。
さきほどの一声がおそらく今夜で初めての発言だ。
快活で明るかった兄。
私に懐かれて、友達の前で苦笑いしていた兄。
毎日遅くに帰って来て、それでもニコニコしていた兄。
その面影はどこにも無い。
きっとテレビのスイッチを切れば、この部屋の中では本当に何の音もしなくなるだろう。
そうしてその後、じっと見つめ続けていたら流石に気になって構ってもらえるかな。
普段家に引きこもって家族とも話そうとしない兄、
最近はその存在を邪魔にしか感じないのに、今は何故かそう考えた。
それほどに私は退屈していたのだろう……私は自分で理屈付けた。
そうしてテレビの電源を切って数十分。
除夜の鐘は鳴り止んだが、結局部屋の中で何か音を出したのは時計の針だけだった。
兄はひたすら本を読んで――一冊読み終えたのに次の本を取り出して――私に話しかけようとはしなかった。
とても寒かった。
部屋の中には暖房が効いている筈なのに、薄っすらと汗をかいているのに、私は真冬のような寒さを感じていた。
以上です><
創作バージンを捧げてみました
470 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/05(金) 14:18:37 ID:hIT+SGDg
処女喪失おめでとうございます
この年越しはやだなw読んでるこっちにまで空気の寒さが伝わってきた
471 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 14:23:23 ID:XEebZpZT
会話がなくなった引きこもりの兄との気まずい空間か…
なんか身につまされるな
うむ、こういうSATSUBATSUとした話こそ、冬にふさわしい。
恋人同士キャッキャウフフなんてのは邪道なり。
僻んでる? やだなあ、そんなわけないじゃないか。
“枯れ木”
冬の寒さが骨身に染みる。季節が冬なら景気も冬で、財布の中身は凍死寸前だ。
親の脛をガジガジ齧ってキャッキャウフフと季節外れの人生の春を満喫してるバカップルが腹立たしい。
ついつい奴等のご両親の心労をお察しして欠伸と一緒に涙を流してしまう。
何年かして社会に出て世間の風に吹かれれば、語り合う愛は砂上の楼閣よろしく崩れ果て、金をたかり合うこと請け合いだ。
そもそも愛を語っても一銭にもならない。
別れる時に水を掛けられて、とっておきの吊しのスーツをクリーニングに出す羽目になるから収支的にはマイナスだ。
騙るなら息子を語れ。見知らぬ人に電話して舌先三寸口八丁で誤魔化せば金になる。
その後は八丁堀か鬼平に取っ捕まるかは運次第。捕まって塀の中に入る奴は運がない奴だけだ。
運試しするなら宝くじの方がマシかも知れない。
なけなしの金で夢を買って、当たれば億万長者にだってなれる。夢が破れても金の使い方を妄想する楽しさがある。
間違いなく三百円は当たるからタバコ銭ぐらいにはなるだろう。
値上げされたら素直に諦めよう。諦められない頑固者は四の五の言わずにストをしよう。
二の句にでもはご法度だ。海の向こうでやったら偉大なる将軍様のケツに火が着くガスを吹く。
何にせよ、議事堂前ならいけすかないバカップルの姿はない筈だ。
お後がよろしいようで。
了。
ふと浮かんだから投下
―――――――――――
「ふふふ、いい感じにカップルを呪っているようだね。四捨五入すると30男」
「余計なお世話だこんちくしょう。それにまだ25才だ! わざわざ四捨五入するな!」
「ふふふ、私は四捨五入すると20だぞ」
「四捨五入しなくても20だろ! お前は!」
一人さびしく粉雪の舞う冬空を歩いていると、唐突に声を掛けられた。
目の前に現れたそいつは、口を笑みの形にして俺を見ている。
あー、くそ! 分かってるよ! クリスマスなんてつぶれちまえなんて思ってるよ!
カップルなんて、しっと団にでも襲われちまえと思ってるよ!
だからって、彼女いない歴=年齢の俺をわざわざ蔑みにくるなよ!
「今日は12月24日。クリスマスイブだというのに相も変わらずお寒い御様子で」
「うるせーなー」
俺の態度を露骨に無視し、そいつは腕を組み、鷹揚に頷く。
「そんな眼光鋭く、世の中を恨んでます、な様子だから彼女の一つもできんのだ」
「そんなことをいっているお前はどーなんだ」
「……」
あ、止まった。
「ま、まあいい。それはともかく、借金の取り立てに来た」
「唐突だな。しかも俺は、借りてねー」
「……」
ゴホンと咳払いし、そいつは再び口を開く。
「将来、私に借金をするかも知れないから、取り立てに来た」
「たかりの間違いじゃねーか。それ」
「そうともいう」
「そこはあっさり認めるのか!」
俺の突っ込みは再び無視。そいつは地図を取り出すと一つの場所を指す。
「ほれ、居酒屋『鐘』、12日に開店したばかりだが評判はなかなかだ」
「……愚痴ぐらい聞けよな」
「くっくっく、交渉成立だな」
――結局、朝まで生愚痴大会が開催された。
最後に除夜の鐘1080回打ち鳴らし大会を開くから強制連行な、と言い残しそいつは去っていた。
後に残るは12円しか入っていない財布のみ。
その財布の中身を見ながら――思う。
まったく……俺と違って見てくれはいいのだから、彼氏の一人くらい作れというのだ、妹よ。
476 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 19:20:35 ID:XEebZpZT
なんか全体的にネガティブになってきたww
俺のせいではない……と信じたい
478 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/05(金) 19:34:56 ID:hIT+SGDg
やっぱり……お題案にクリスマスが出てた頃から予想していた事態が徐々に現実になりつつある…
締め切り延ばして、イヴ当日に投下される作品も見てみたいな
480 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/05(金) 19:41:53 ID:hIT+SGDg
>>479 それやりましょう!
本来の締め切りまでの投下期間に加えて
24日は特別投下日に
481 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 19:46:50 ID:XEebZpZT
マジかww
おおいろいろ来てる
みんなよくこれだけ御題こなして違う話かけるなー
483 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 20:20:54 ID:XEebZpZT
確かに1作1作同じ御題でも全然違う作品に仕上がってるのは面白い
“冬の味覚”
1/2
お喋りだとは思っていたけれど、感心した。
まさかカニを食べる時までお喋りが止まらないとは思いもよらなかった。
「ん、食べないの? 美味しいよ。カニミソなんか特にね」
積み上げられる蟹の殻はゆうに12分匹はある。
「食べ過ぎると痛風になるよ?」
「ん、大丈夫。今日はヤケ食いしてるだけだから」
器用に蟹の身をほじくり出しながらパクパクと食べ続ける姿に、見てる私が胸やけしそうだ。味噌汁だけでお腹一杯になってしまう。
「ヤケ食いって、なにかあったの?」
「ん。バイトでさー、サンタやった訳よ。ミニスカサンタ」
「ええ? アンタが!?」
「そうだよ。やりたくなかったけどね」
「だけどあんたがミニスカサンタなんてしんじられないわ。だって色気ないじゃん」
そう。彼女は良く言えばスレンダーだ。出るべきところが出ていない。へこむべきところが出ていないのが救いだろう。
「わかってるよっ! どうせ私は寄せて上げるブラでも寄せて上げれませんよ!」
「無駄な贅肉がついてないだけ良いじゃん」
あの手の矯正ブラでサイズアップ出来ないのはある意味美徳だ。引き締まった身体という事になる。
「でもさぁ、アンタのどこに入るんだろうね、蟹」
「胃の中っしょ」
「そりゃそうだけどさ。感心するわ。蟹食べながら喋るし身体と小さいし」
「小さいは余計だろっ!」
怒りながらも蟹を食べるのをやめない。喋る口と食べる口とで口が二つあるのだろうかと妙な勘繰りをしてしまう。
でも、こんなに食べて大丈夫なのだろうか。
「あんたさぁ、大丈夫?」
「ん、平気平気。食べた分だけ動けば太らないし」
「そっちじゃなくてこっちの方」
人差し指と親指でまるを作る。心配なのはお金の方だ。食べた量が激しく違うのに割り勘だったらたまらない。
「んー、大丈夫。ミニスカサンタのカッコで稼いだから」
「――変なバイトじゃないよね?」
私の心配が解ったのか、やっと蟹を食べる手が止まった。
「ただの客寄せパンダだよ。ビラ撒くだけさ」
「ミニスカサンタは何処行った」
「そんなの知らん」
お腹一杯食べて満足したのか、彼女はお茶を飲んだ。
2/2
「ところで、クリスマスはどうする?」
「ケーキ買ってアンタんちで食う。独り者同士楽しくやろうよ」
「私が男を見つけたらどうする」
「んー、びっくりする」
びっくりとは失敬な。私は彼女を睨み付ける。
「睨まれてもねえ。だってさ、アンタ散々言ってたじゃん。クリスマス前に彼氏探したってろくな男残ってないってさ」
『クリスマスから現実逃避してるやつ?』
二人して同じ事を言ったのでハモッてしまった。そして、お互いに顔を見合わせて笑い出す。
まあ、色気より食い気の彼女に付き合ってばか騒ぎするのもたまには良いのかもしれない。
――ジングルベル、鳴るのは鈴と腹の虫のどっちだろう。
了。
486 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/05(金) 21:08:58 ID:hIT+SGDg
とどまるところを知らないな
感動ものだ
どこから着想湧いてくるんだw
以上、投下終了。
24日まで伸ばすのか。多分その頃にはネタが尽きてるよw
488 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/05(金) 21:12:09 ID:hIT+SGDg
いんや、二十日までで投下期間は終了
24日はそれとは別に投下日
489 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 21:26:43 ID:XEebZpZT
24日まで書きつづけるという発想がでてくるところが凄いww
個人的に
>>484-485のやつが今までの話で一番好きだな
羊娘キター!!!!
もふもふいいよもふもふー
492 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/05(金) 22:25:09 ID:hIT+SGDg
カラフルなのが来るのかと思ってたらなんともはややあらかな色彩だこと
いいねぇ
これはかわいい!GJすぎる
もっふるもっふる
テレビを席巻する年明けカウントダウンに厭きた僕は、時報を聞いてしっかり時間を合わせた時計を眺めながら、除夜の鐘に耳を傾けていた。
年明け第一報のメールは、思いがけない人物からだった。
『明けおめ!』
別れて二週間も経つ彼女から、そのメールは届いた。
そういや、送信日時指定メールの送り方を教えてあげた頃だっけ。
文面には、画像アップローダのURLと、謎の暗号。
『《□*3^2=新年》
□に入る1文字が画像ページのパスでーす☆(o^-')b
わっかるかなー?わっかんねーだろーなー(笑)』
ちょいウザイメールが懐しかった。
Aから順に1文字づつ確かめていってもいいのだけど、僕は敢えてその挑戦を受けてたった。
過去の君と、今の僕。
二週間は二人を隔ててしまったけど、この戦いは現在進行系だ。
3^2ってことは9だから……9かけると新年に関連するものを考えればいいわけか。
──ゴォーン……ゴォーン
そうか、除夜の鐘、108だな。
答えは12だ。
僕はパス入力画面に12を打ち、送信した。
『パスワードを入力してください』
失敗だった。
除夜の鐘は関係無いのかな?……いや、そうだ。
やはり除夜の鐘だ。
わかったぞ。
僕はCを打ち、送信ボタンを押した。
案の定、画像のページに繋った。
16進数で12とは、手の込んだ事を考えるね。
画像は、彼女のキス顔の写メに、今年もよろしく、という文字フォントを足したものだった。
機械オンチの彼女にしては頑張ったほうかな。
僕は、少しためらったが、やがて返信を書き始めた。
『問題、一回間違えたけど解けたよ』
送信。
『ユーガッタメール』
合成音声がなる。
彼女の形見が、受信を告げる。
僕は聞かないフリをする。
メール、届いたかい。
君のメールは時間を超えたよ。
僕のメールも、超えられたかな?
おわり
いつもは獣人スレにいたりいなかったりラジバンダリ
497 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/06(土) 03:03:13 ID:SP4XGEWj
別れたっていうから普通に別れたのかと思ったら
畜生、モニタが滲みやがる
なるほど、そういう事か
じわじわ悲しくなってきた、文章上手いなぁ
おお、これはなかなか斬新……と思ってたら後半部分で意表を突かれ、胸にグッときた。
「お……おおっ、う、うううっ……!」
涙など、とうに枯れはてていたものとばかり思っていた。
だが、受けた衝撃が涙腺を刺激し、とめどなく目から溢れる雫が頬を伝っていく。
……どれ程の時間サウザーは涙を流し続けていただろうか。
それすらも定かではなくなる程溢れ続けていたサウザーの涙がピタリと止まった。
サウザーは乱暴に手で涙を拭うと、
「……ふ……ふふふふっ……!」
両手を大きく広げ、
「ふははははははははは――ッ!!」
高らかに笑った。
その表情は、先ほどまでのものとは明らかに違っていた。
女に逃げられた、負け犬のものとは――!
切り立った崖の端に立ち、サウザーは吼えた。
「命をかけた演技が無駄になったな。この俺から逃げる女など――存在しないッ!」
その自信はどこから来るのだろうか。
「どうやら、これはこの聖帝を愚弄するための茶番のようだな。ならば……わざわざ付き合う必要もない」
それは――
「この会場にいる人間を全て、南斗鳳凰拳の餌食にしてくれるわ! そうなれば、“愛”どころではないだろうからな!」
――誰にもわからない。
「ふははははははははは――――ッ!!」
誤爆ごめんなさい!
愛ゆえの誤爆ッ!
504 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/06(土) 03:33:29 ID:SP4XGEWj
誤爆の旨謹んで承った!!
お気に召されず行かれい!
「やっと見つけたぜ。愛しい愛しいサンタクロォォォース!!」
血に染まった衣装。蓄えられた白い髭はふてぶてしさを強調している。
「はて……私に何の用じゃ」
「昔は待ち焦がれた聖夜。ただ今では――あぁ、狂おしいほどに会いたかったぜ……」
男は爪で血が滲むほど拳を固く握り締めた。
「だから、クリスマスを破戒する!!!!」
「ほぅ、クリスマスはただの『現象』に過ぎん。それをどうやって」
「ふっ、お前がその『現象』の具現化、象徴……つまりお前をやれば『現象』自体破戒できるはずだ!」
――嗤う。赤い悪魔は高らかに嗤う。
それは男に対する悲哀と侮蔑が混沌と渦巻いていた。
「たが少々私を見つけるのが遅かったようだ。あと三分で『性の六時間』に突入。喪男は皆行動不能となるぞ」
「三分もあれば――充分だ」
男は懐からしなやかに小箱を取り出す。
「結婚――してくれ」
「なっ……」
「大丈夫、今度はちゃんと戒めのために避妊具を持って来た」
「……ホテル行こっか」
サンタもとい彼女はミニスカートを裾をもじもじとそう言った。
男はそっと彼女の付け髭を外し、優しく口付けをする。
二人の姿は街中にそびえる絢爛な城壁の中へと消えていった。俺は泣いた。
了
506 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/06(土) 03:53:06 ID:SP4XGEWj
>>俺は泣いた。
がやばかった……
この時間なのに爆笑しちまったじゃねーかwww
前半と後半の温度差が激しすぎるwww
恋人はサンタクロースwww
思いがけないハプニングッ!
乾燥した空気が冷たい。息を吐けばその色は真っ白。
ふと小学生の時に怪獣ごっこをしていた男子を思い出して口元が緩む。
誰もいない公園をベンチから見渡す。昼間、子供たちがじゃれあう場所とはまるで違った異世界。
据え付けられたのっぽの時計には約束の時間とは大幅に遅れた時刻が映っていた。
約束――いやもうそれはとっくに無効なのは分かり切っている。
そう、反故ではなく無効。約束そのものがもう無用の長物なのだ。
だから彼はここには来ない。分かっている。分かっているが、待たずにはいられない。
我ながら不思議だ。どうかしてる。身体もだんだん冷たくなってきているのに。
コートにマフラーに手袋。それでもまだ寒い。これは心が寒いのか。身体が寒いのか。それさえも曖昧。
今ならマッチ売りの少女の心境も分かる。こんなにも心細くて寂しくて……とても切ない。
彼に恨みは一切ないが恨み言の真似ならしてみたい。
彼の困り顔が浮かびまた微笑してしまう。
あぁ、眠い。
瞼が重い。
身体は凍えきっている。肩には知らないうちに雪が薄く積もっている。
それにいつの間にか辺りがうっすらと明るくなってきている。
半目で時計を確認しようにも視界がぶれてよく分からない。
そうだ、そういえばアパートの更新がまだ……だっ……た、な。
了
上から見たけどいいなあこのスレ
513 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 20:20:44 ID:aUSI0Ddm
おおおおおおおぉぉぉ!いろいろ来てる
>>495 彼女の携帯が形見として横にあるってことは…ことは…
最後でうるっときた
>>505 ちょwwww俺傍観者かよww
>>510 雪の日にずっと待ってるとかしちゃらめぇぇぇぇ
寝たら死んじゃう!死んじゃうから!!
「ちょっと殺し合いをしてくれんかの」
神様が、目の前に集まった動物たちにそう告げた。ざわめく一同。
あらゆる種類の動物たちが、神様の命によりこの孤島に集められていた。理由は告げら
れず、ただ「一族の中でもっとも優秀なものをつかわせ」という注文があるだけだった。
そんな中、いきなり「殺し合え」と言われ、うろたえる動物たち。
「実はの、そろそろ十二支のメンバーを入れ替えようと思うのじゃ。前回は競争で決めた
が、今回はこの島で戦い、生き残ったものに新メンバーになってもらうとしよう」
「しかし、いくら何でも殺し合いなど……」
気乗りしない声が上がる。
「安心せい、『死ぬ』といっても一時的なものじゃ。死して脱落したものは、ワシがきち
んと生き返らせてやるわ」
安堵する動物たち。神様は具体的なルールを告げると、「健闘を祈るぞ」と言い残し姿を消した。
参加者たちは方々へと散っていったが、ネズミを始めとする現十二支の動物たちは、そ
の場に残った。
「入れ替えだと? 冗談じゃない」
「十二支といえば、我が国の動物の頂点に立つエリートにして、他の者を率いる立場にあ
る。我々以外に務まるものか」
「この座を守るため、我々は血の滲むような研鑽と努力を続けているのだ。のうのうと生
きてる他の動物どもとは、格が違うというものだ」
口々に不平を漏らす。
「まあまあ、落ち着いて」
前回優勝者であるネズミが一同をなだめる。
「ネズミ殿、いかがいたしましょう」
体は小さいが、ずば抜けた知恵を持つ切れ者であるネズミには、みな一目置いていた。
「みなさんのおっしゃる通りです。他の有象無象の輩などに、十二支の座を渡してはなり
ません、それには優勝することです。どうです、ここは一つ我々で協力しませんか? 他
の参加者に、目にもの見せてやりましょう」
うなずく一同。
かくして、ネズミ率いる十二支連合軍が結成されたのだが、その進軍ぶりたるや、まさ
に破竹の勢い。
長い間、権力の中枢という、生き馬の目を抜く世界に身を置いていた彼らである。平和
ボケした一般動物たちが相手では、最初から勝負は決まっていた、赤子の手をひねるよう
なもの。
彼らは情報操作にだまし討ち、ありとあらゆる権謀術数を尽くし、瞬く間に他の動物た
ちを殺し尽くしてしまった。
「どうです神様、これが我々の実力です」
神様の前で、得意げに胸を張る十二支たち。
「うむ、やはり予想通りじゃったな」と神様がうなずく。
「それでは、十二支の役目は引き続き我々が……」
「ならん、そなたらにはメンバーから外れてもらう」
予想もしなかった言葉に耳を疑う一同。
「一体どういうことなのです、我らは勝ち残ったではありませんか?」
納得がいかず、ネズミが思わず詰め寄る。すると、神様は静かに語り始めた。
「今回このような争いごとをさせたのはな、そなたらの適性を見極めるためなのじゃ。長
いこと権力の座におると、どうしても心が汚れてしまう。今のそなたらのように他者を傷
つけ、騙し、蹴落とすことに何のためらいも持たなくなってしまう。残念じゃが、そのよ
うなものに、責任ある立場を任せるわけにはいかんのじゃよ」
神様の真意を知り、愕然とする十二支たち。つまり、自分たちのやったことは全て逆効
果だったのだ。がっくりと肩を落とし、その場を後にした。
「さて、新しい十二支は……」
かくして新たな十二支が選ばれた。面子は想像にお任せするが、いずれも人の……いや
、獣の良い温厚な連中ばかり。
「これで狡猾、残忍な性質を持つ連中は排除された。動物の世も、これから少しはよくな
るじゃろ」
そうつぶやくと、神様は満足そうに微笑んだ。
それからしばらくして、動物の世界は……目茶苦茶になった。
新十二支のメンバーは、いずれも世間知らずのお人好し、もとい獣好しばかり。
他者を信じ、敬い、褒め称えることしか知らない彼らは、性善説に基づいた理想論で、
みなをまとめようとする。しかし、そんなものが上手くいくはずもなく、世の中はたちど
ころに大混乱。
「こりゃいかん……」
神様は、大慌てで元のメンバーを呼び戻した。
やはり世の中、きれいごとだけではやっていけない。
上に立つ者には、それなりの腹黒さ、したたかさが要求されるのだ。
ついでに、も一つ小ネタをば。
519 :
12月『十二単衣』 ◆phHQ0dmfn2 :2008/12/07(日) 17:41:40 ID:YkLevna/
俺は一枚のTシャツを羽織った。決戦の時が近づいている。
俺は一枚のTシャツを羽織った。絶対に負けられない戦いが、そこにはある。
俺は一枚のTシャツを羽織った。去年は、あと一歩というところで力尽きてしまった。
俺は一枚のTシャツを羽織った。今年こそは、何としても勝利と栄光をこの手に掴む。
俺は一枚のTシャツを羽織った。奴には何度も煮え湯を飲まされてきた。
俺は一枚のTシャツを羽織った。目を閉じると、勝ち誇った奴の顔が浮かぶ。
俺は一枚のTシャツを羽織った。しかし、それも今日までだ。
俺は一枚のTシャツを羽織った。今度こそ、目にもの見せてやる。
俺は一枚のTシャツを羽織った。さすがに、これだけ重ね着をするのは苦しいものだ。
俺は一枚のTシャツを羽織った。まるで拘束具だ、肺が圧迫され呼吸もままならない。
俺は一枚のTシャツを羽織った。だが何だ、このくらい。全ては勝利のためだ。
最後にスリーサイズ上のフリースを羽織った。これで準備は万端だ。
俺は決意を胸に戦場へと向かう、忘年会という名の戦場に。
今年こそは、あの女を脱がせてやる。
520 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/07(日) 17:44:33 ID:sgs7rUVD
じゃんけん弱w
>>519 チートwww
でもむきえびのように剥かれるのですよね
ダメだww同じ格好した女と決戦を繰り広げる図を想像しちゃったwww
バカみてえwwww
523 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 19:01:12 ID:Alo0YYS3
>>519 好き〜?嫌〜い? キ・ラ・イいじゃないけど…
ってのを連想しました(笑) ヒッキー北風だっけ?
結局脱がされる俺っ娘
526 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:25:51 ID:W9ifTvFe
干支ロワはちょっとやってみたいかもw
マンションの三階。
冬の月はどうしてこんなに明るいのだろう。
ベランダへの硝子戸を少し開け、部屋の温みを逃がす。
白い息が細く長い。
ふと、月が融けて滴る妄想に駆られた。
排水口に溜まった、髪と垢の混るぬめりのように、化膿した傷に、滲む膿のように。
途端に月が忌わしくなり、逃した温みが生きて行けるのか、胸が潰れそうなほど心配になった。
大丈夫だろうか。
帰れたのだろうか。
変われるのだろうか。
そのまま布団を頭まで被り、ぐるぐると考えていたら、朝になった。
外から聞える、ごみ収集の音。
九時頃だろうか。
余りの寒さに、まどろみの淵に在った意識が覚醒した。
部屋は、一面の雪景色だった。
窓。
昨日、閉めるのを忘れたんだ。
窓から冬が吹きこんで、吹き溜って、居着いてしまったんだ。
布団に積った雪を払い、素足のまま、くくっ、くくっ、と、雪を踏締める。
スリッパは、カーペット上の雪原に埋まっていた。
やっとのことで煙草を掘り当て、ベランダに出た。
悴んだ手で火を着ける。
私の部屋に冬が引籠ったせいか、外は、夏の陽射が照り付ていた。
暑くなりそうだ。
ベランダで吐く白は、伏流煙の白で、寒さによる白は無かった。
部屋の中に入ると、途端に、寒さの白が口から溢れる。
部屋着のスウェットだけでは寒すぎた。
クローゼットからダウンを取りだし、それを羽織りながら、玄関へ行く。
室内の季節はますます厳冬を窮め、更に積雪を増す。
ファー付の暖いブーツを見繕い、履く。
しかし、外に行くには、ダウンとブーツが暑すぎることに気がついた。
仕方無く、くくっ、くくっ、と、靴のまま部屋を横断し、雪の積った衣装ケースから、ティーシャツとジーンズを掴み出す。
お気に入りは、一番上に置いてあったから、雪が染みて着れそうも無い。
玄関を出る際にサンダルを取り、やっと外に出た。
お隣の奥さんとエレベーターで乗り合わせる。
「おはようございます」
「おはよう、かなこちゃん。なんだか暑そうな格好ね」
「実は、窓を閉め忘れまして」
「あらあら、もしかして、今年の冬は、貴女の部屋に住んじゃったの?」
ええ実はそうみたいなんです、まぁやっぱりなのねフフフ、と話して居るうちに、一階に到着。
白いワンピースと青いリボン付き麦藁帽子の隣りの奥さんは、私より一回りも年上なのに、夏のオジョウサンぶっていた。
歳を知らない男なら騙されそうなものだが、歳を知っている私には、
夏のオジョウサンの向うに隣りの奥さんが見え過ぎるほど透けているのだった。
隣りの奥さんはゴミ収集車を横目に、燃えないゴミ置場に立った。
そういえば、隣りの奥さんの夫には、浮気の噂が起っていた。
ゴミ収集車の荷台に夏のオジョウサンがフワリと乗り込むのを見て、私はクサクサした。
歳を知っていても、隣りの奥さんの細い首は、舐めてみたいほど透き通っているのだ。
あんなに燃えそうなのに、何故隣りの奥さんの夫は、隣りの奥さんを"燃えない"ゴミにしてしまったのだろう。
ラムネのびいだまの味がしそうな、透き通った白い首が、白いワンピースが、青いリボンが。
……行ってしまった。
私は改めて後悔した。
逃した温みは、きっと死ぬだろう。
おわり
528 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/09(火) 01:02:36 ID:O9i7iRd2
透き通るように明るく寒く
冬の晴れ空みたい
でも影になにか鬱々と這い寄る感情が最高
よくわかんなかったけど凄く好き
鐘ダッシュを御存じだろうか。
寺の鐘に雪玉を力一杯ぶつけて鳴らしまくり、怒った住職から逃げる、という遊びだ。
5〜6人で集まり、一人づつ鐘ダッシュにチャレンジする。
ある日、クラス1の弄られキャラA君が鐘ダッシュにチャレンジすることになった。
これは何か仕掛けねば、むしろA君に申し訳ない。
その年はなかなか雪に恵まれていたので、ゴボりんぐ・ホール(雪の落とし穴)を仕掛ける運びとなった。
A君が雪玉片手に寺の境内の松に隠れているのを一人が監視し、他の4人でゴボりんぐホールを造る。
ちなみにゴボるとは雪にハマッて足を取られる事を言う。
道の除雪用に置いてあったスコップを拝借し、寺の門前の踏み固められた雪を掘る。
深さ30cm、広さ40センチ平方メートル程度の穴をいくつも掘る。
開けた穴に、まだ軟らかい雪を詰める。
硬いと思って踏み込むと深々と足がゴボる、ゴボりんぐホールの完成だ。
──ボゴーン、ドゴーン
雪玉の鐘撞きが始まった。
「んごるぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!んにやっとるんじゃぁぁぁぁダラァァァあ!」
なんと老いぼれ住職ではなく、タコヤクザと呼ばれる雇われ坊主のほうが出て来た。
蜘蛛の子を散すように逃出したゴボりんぐホール製作班。
A君監視係も駆け出すが、
──ズボっ!
A君監視係が、見事にゴボった。
A君の監視に夢中過ぎて、落とし穴の位置を確認していなかったのだろう。
A君は監視係をチラリと見やったが、猛然と近付いてくるタコヤクザの雄叫びに気圧されて駆出した。
「ま、待ってよぉ!待ってよぉ〜!」
顔面蒼白の監視係。
とにかく足を引き抜こうともう一歩踏み出し、
──ズボっ!
もう一つのゴボりんぐホールを踏み抜いてしまった。
ゴボりんぐホールは緻密な計算の上に製作されており、一歩めの足を引き抜く際に踏ん張るであろうポイントに二つ目の穴が掘られているのだ。
憐れ、監視係はタコヤクザにて寺に連行され、監視係から名前の洩れた鐘ダッシュメンバーは全員学校で叱られた。
ちなみA君は筆者である。
おわり
こっちなら理解できるwww
もしかして実話か?
「最近の者は遠慮という物を知らん!」
「そうですねぇ」
怒っている住職に対して小坊主の俺は適当に相づちを打った。
日本のバブル経済が崩壊し、ウィンドウズ95が発売され、ITブームの時代。
粉雪がハラハラ舞っている冬の話だ。
中小企業経営者の間で、なぜか、この寺で鐘を突くと、資金繰りが楽になるという噂が
広がっていた。風の噂だと、単に「冬賜(とうし)寺−この寺の名前だ−で、鐘を突く」と
いうしょうもないダジャレの縁起担ぎが発端らしいのだが、貸し剥がしに弱り果てている
彼らには、藁にもすがりたい思いなのであろう、文字通り、わらわらとくたびれた風貌の
オヤジどもがこの寺に押し寄せていた。
もちろん、喜んだのは住職だ。
抜け目のない住職はグッズ販売を始め、順調に売り上げを伸ばしていった。そして、
気を良くした住職は、日ごろの感謝の気持ちを込めて、達筆なのかよく分からない字で
書かれた「冬賜寺で金が付く」と書いた色紙(全く、下品な色紙だが)を百枚、無料配布
することにした。
そして、冒頭の住職の怒りに戻る訳だ。
参拝者が一人で大量に色紙を持って行くため、すぐになくなってしまったらしく、遅く来た
参拝者からクレームが入ったのだ。「大体、人の気持ちを知ることが仏の・・・」眠気を
誘うような住職のバリトンボイスをBGMにしながら、色紙を置いた場所に我々は向かった。
結論から言うと、すでに無くなっているのかと思った色紙は4枚残っていた。住職も、
(まだ残っているではないか!)という不思議そうな顔をしている。が、貼り紙を見て、
俺は原因がすぐに分かった。
「住職、最近パソコン買いましたよね?」
「うむ。これからはいんたーねっとの時代じゃ」
「この貼り紙も、それで作ったんですか?」
「無論。仏の道もあいてぃー時代に適応せねばならないからの」
「漢字変換がうまくいかなかったんですか?」
「い、今勉強中じゃ。あと、後で小さいひらがなの出し方を教えなさい」
「了解しました」
貼り紙には、「じゆうにおとりください」と、ワープロの文字で書いてあった。
後で聞いたところ、俺の推測は当たっていて、中小企業のオヤジ達は、きっちり
12枚ずつ色紙を持っていったらしいとのことだった。
533 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/09(火) 14:17:44 ID:O9i7iRd2
ウィン95www懐かしいってレベルじゃねーぞ!
下品な色紙に爆笑
住職可愛い
あいてぃー住職はじまったなwww
なあ、覚えているか? 子供の頃のこと。
色々なことがあったよなあ。目を閉じると、今でも昨日のことのように思い出すぜ。
俺とお前は喧嘩ばかりしてたっけ。と言っても、いつも俺が殴ってばっかだったけど。
でも、お前のことが嫌いだったわけじゃないんだぜ。むしろその逆だ、お前だってそう
だろ? 喧嘩ばかりしてたのに、俺たちは不思議とつるむことをやめなかった。
そーいや、ヤバい修羅場に巻き込まれることが何度もあったっけ、そんなときにはいつ
も助け合っていたよな。
普段は喧嘩してても、本当に困ったときには協力し合える。お前みたいな奴のことを、
『親友』っていうんだろうな。
ところで、俺が今どこにいるか分かるか?
驚くなよ、紅白だ。そう、あの紅白歌合戦の会場だよ。びっくりしたか?
十二月三十一日、大晦日の最後を飾る一大イベント。その大舞台で、今から俺は歌うん
だ。
昔から、俺は勉強は全然ダメだった。ああ、お前もだったな、二人してよく先生に叱ら
れたっけ。
そんな俺の、唯一の取り柄が歌だった。歌うことが、好きで好きで大好きでたまらなか
った。
初めてお前らに俺の歌を聴いてもらったとき、お前は涙を流して喜んでくれたよな。そ
のうち評判になって、人を集めてリサイタルの真似事なんかもするようになった。みんな
泣きながら褒めてくれて、俺は人前で歌う喜びを知ったんだ。
俺は心に誓った。歌手になり、日本中の人に俺の歌を、心を届けよう。
それから練習を重ね、俺は歌手のオーディションを受けた。結果は知っての通り……ダ
メだった。いくつ受けても合格できなかった。
でもなあ、どう客観的に聴いても考えても、俺の歌が周りの連中に劣ってるとはどうし
ても思えなかったんだ。俺は思い切って審査員に聞いてみた、俺の歌の何が悪いのか。
「君の歌は……インパクトがありすぎるんだ」
困った顔で答える審査員。
そうなんだ、自分でも薄々気づいていたことなんだが、俺の歌は『上手すぎる』んだ。
もし俺が世に出たら、他の名だたる歌手の歌が霞んでしまう。だから、俺をデビューさせ
るわけにはいかなかったんだよ。
俺は悩んだ。
そんなときに手を差し伸べてくれたのは、やっぱりお前だったよな。
「そう、君の歌は上手すぎるんだ。だから、少しばかり下手にした方がいいんだよ。こん
な薬を持ってきたんだけど、よかったら飲んでみて。これにはね、君の声を抑える効果が
あるんだ」
そう言って薬を手渡してくれた。
正直、半信半疑だったぜ。でも、だまされたと思って飲んでみたら、それからはオーデ
ィションに次々と合格するようになったんだ。まるで魔法だぜ。
そして俺は晴れてデビューを遂げ、今や日本を代表する歌手だ。へへ、自分で言うのも
恥ずかしいんだがな。
俺は忙しいが充実した毎日を送っていた。
そんなときだったよ、お前が結婚するって聞いたのは。あれには驚いたな。まさかお前
が、俺たちのアイドルだったあの子と結婚することになるなんてなあ。
今だから言えるが、実はウチの妹もお前に惚れてたんだぜ? お前はてっきりアイツと
くっつくもんだと思っていたから、妹の幸せを願う兄としちゃあ複雑だ。
それでも、心から祝福させてもらうぜ。おめでとう。
538 :
12月『友よ』4/4 ◆phHQ0dmfn2 :2008/12/11(木) 00:23:05 ID:ai31AO60
今日の舞台では、俺は薬を使わないつもりだ。本気の自分を出してみたいんだ。
デビューして以来、薬を飲まず地声で歌ったことなんてないからさ、何だかちょっと緊
張しちまうぜ。
全国ネットで、みんなに俺の本当の声を聞いてほしい、そんな気持ちももちろんある。
けどよ、一番の理由はお前だよ。俺はお前のために歌うんだ。
ガキの頃からの親友のために、俺は本気で歌いたい。今日の舞台は、俺からお前に送る
結婚祝いのプレゼントだ。
さて、いよいよ本番だ。舞台袖でじっと待つ。
「さあ次に登場するのは、彗星のごとく現れた大型新人!」
司会者が俺の名前を呼ぶ。さあ出番だ。
じゃあ行くぜ、お前に捧げる歌だ。心の友……のび太。
539 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/11(木) 00:24:08 ID:fiTBI2yi
物理的に大型新人www
これはいいw
最後までオチが読めなかったし、
最後を読むとこれまでの話が全部繋がる
これは素晴らしいwww
おまえかwwwww
国営放送終わったなwwww
この人はネズミ狩りの人か……
毎度ながらオチが秀逸だぜ
明らかに上手くなったのはそんな原因があったのかwww
546 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 00:33:34 ID:0DLc6Vr0
これはすごいwwww
最後の1行でこのSSは完全に完成されたなw
これは文句なしにうめえwwwwwwwwwwwww
リサイタルの文字で気付いてしまったけど、これはいいwwww
なんという台無しwww死ぬほどワロタwwwwwwww
「美声になる飴」でジャイアンが歌手デビューしかける回があったなぁ。
途中で飴の効果が切れて結局流れちゃったけど。
あれなんていうアイテムだっけ?
土鍋に水を張りコンロにかけ、昆布で出汁をとる。
「北海道利尻産の昆布だ。いい出汁でるぞ〜」
「パパ、料理できるんだね、見直したよ」
「はは、お父さんは鍋奉行なんだ、鍋にはちょっとうるさいぞ」
沸騰する直前にサッと昆布を取り出し、白菜を投入。
「はい、あなた、白菜切っておいたわよ。これくらいでいいかしら」
「うむ、上々だ。腕を上げたな、お前」
「もう、あなたったら」
白菜がしんなりしてきたところで、鶏肉の出番だ。もも肉を入れ、中火にして蓋をする。
「秋田産の比内地鶏だ、高かったんだぞ」
「おいしそうだね、パパ。はやく食べたいな」
「まだまだ、我慢だ我慢」
グツグツと煮立ってきたら、吹きこぼれないように弱火にし、しばし待つ。
「あなた、ビールと日本酒、どっちにする?」
「それより君に酔いたいな」
「もう、馬鹿……」
頃合いを見て春菊、ネギ、えのき、しらたき、豆腐を入れ再び蓋をする。
「お腹減ったよ〜パパ」
「あせるなあせるな、あと三分」
さあ、そろそろいいだろう。小皿に取り分けポン酢をかける。
「はい、今日は奮発して、発泡酒じゃなくプレミアムモルツよ」
「おお! さすが我が妻、話がわかるぅ〜」
いよいよ待ちに待った瞬間だ。白菜と鶏肉を一緒に口に運び、ふうふうと息を吹きかけ
一気に放り込む。弾力のあるもも肉とみずみずしい白菜、噛みしめると口の中にじゅわっ
とうま味が広がる。
うむ、最高だ。やはり冬は鍋にかぎる。
ただ欲を言えば、やはり鍋は大勢でつつきたいものだ。一人三役で一家団欒風に盛り上
げようとしてみたが、むなしいだけだと気づいた。
カヨコ、タカシ、お父さんが悪かった。もう浮気なんかしないから帰ってきておくれ。
プレミアムモルツをぐいと飲んだ、何だかしょっぱい味がした。
552 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 00:25:54 ID:BjQNAh3v
即興で書いてみた。
553 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 00:27:36 ID:WP5Nfbr2
全部独り言かよwww
ハハッあるあるあるある……
555 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/12(金) 00:29:09 ID:MfJm7PMy
プレミアムモルツがオチで哀愁を醸しまくるのがジンと来た
これも最後で綺麗にオチたな
普通にレベル高いスレだ
カラオケUGAのCMワロタwww
走っているため、朝の冷たい空気が突き刺すように肌に当たってくる。
防寒具をこれでもかという程着込んでいるとはいえ、露出している顔は寒さを感じていた。
少し歩きたくもなるが、目標まであと一歩。
文字通り足踏みしている暇は無い、という訳だ。
先週からまともな食事をとっていないためか、まるで自分の体が油の切れたロボットのように感じられる。
だが、それももうすぐ終わる。
「シッ、シッ!」
左の拳を放ち、そのまま流れるように右の拳を放った。
――ああ、ゴングが鳴るのが待ち遠しいぜ。
おわり
鐘=ゴングか、そいつは思いつかんかった
今のところ“クレヨン”が一番好きだな
562 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/15(月) 11:12:06 ID:Qgd8dsOl
ココですね
さりながら さるとも言わぬ 山梔子の さりとてならぬ 待つ雪思ふ
石の上 ふる雪つもる 松が枝の きみ色そめん 我が身山梔子
遠つ人 雁飛ぶ空の 雲ならば 鈍色たりし 君ぞ思わん
ツンデレを和歌にしてみたり
564 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/15(月) 23:38:18 ID:Qgd8dsOl
短歌キター
短歌ってイイっと思ってもどこがいいのか分からない時があるよな
俺はコレ好きだ
565 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 04:37:01 ID:+L4XAP+b
確かに素人じゃうまい感想書きにくいよね
勉強したらいい感じでコメントできるようになるのかな
どのへんがツンデレなのかがわkらんw
“ひだまりに雪を思う”
1/2
外の風は冷たいけれど、部屋の中は暖かい。
ストーブは消してしまったけれど、窓から射し込んでくる柔らかな陽射しが、温もりを保ってくれる。
ひだまりに椅子を運んで腰をかけると、此処が図書室であるにも拘わらず、うつらうつらと瞼が重くなってきた。
「や、久し振り」
その声で夢見心地から現実へ。いつの間にか、先輩が隣にいた。
知らぬ間に何処にでもいて、それだけど不思議じゃない先輩は、まるで猫みたいだ。
「ええ、ホントに久し振りですよ。元気でした?」
「全然。受験生は大変だよ、マジで」
ガタゴトと椅子を引っ張って来て隣に座った先輩は、窓の外の枯れた冬景色に目を細める。
僕はと言えば、足を組んで乱れたスカート、そこから伸びる柔らかそうな足に目を奪われて鼻の下を伸ばしてしまう。
「僕は時間があるからまだまだ気ままですよ」
「キミらしいね、いかにもさ」
僕を見ないで呟く視線は窓の外。
なんだか物憂げな先輩の横顔に見惚れてしまい、心臓の鼓動がバクンと跳ね上がった。
「部活の方はどう?」
「――駄目ですね。なんにも浮かびませんよ。何を書けば良いのかサッパリわからないですよ」
「だらしないなぁ、キミは。張り合いもないよ」
全く、呆れて嘆息した先輩に頭を小突くかれる。
「先輩から部長を引き継いだのは良いんですけど、文芸って奴は難しいです」
そう付け足して盛大に溜め息を吐くと、僕に振り向いて、文系のクセに理屈っぽいからね――キミは、と笑いながら瞳を覗き込んで来た。
「なにもなければありのままを書けば良いのよ」
先輩は視線を僕から窓の向こうに移すと、すうっと息を吸い込んだ。そして、徐に。
踏みいらば 知らず不知火 白根山 すべはなくとも 心ありけり
澄んだ、張りのある綺麗な声で、リズミカルに一編の短歌を吟じた。
「ま、こんな感じさ」
短歌を詠んだ先輩は満足そうだけど、僕は憮然とする。
「で、誰の作った奴です?」
「――私の歌だよ」
今度は先輩が憮然とする。唇を尖らせて、僕を睨み付けてきた。
2/2
「なんとなく凄いと思うんですけど、意味がわからないんですよ、短歌って奴は」
「だろうね。字面を追っても無駄だし」
そう前置きして、先輩は目を片目を閉じた。
「文章の書き方がわからないのなら、心に思った事を素直に書け。そんな意味さ」
難しいですね、と苦笑して窓の外を見る。冬景色はそれなりに綺麗だとは漠然と思うけれど、それが巧く言葉に出来ない。
「感性が鈍いんですかね、僕」
「多分、キミは感性の出し方が分からないだけだよ」
先輩はカバンの中をガサゴソと漁って一冊の文庫本を取り出して、僕に手渡す。
「なんです、コレ?」
「中也の詩集さ。キミにあげるよ。読めば少しは感性の出し方が判るようになるよ」
「短歌じゃなくて?」
「いきなり短歌じゃ荷が重いでしょ?」
渡された本をペラペラとめくると、手垢だらけでなんだかボロボロだ。所々に折り目が付いている。
こんなになるまで読んだ本なのだから、先輩の好きな本なのだろう。
お古だとしても、お古だからこそ嬉しくなる。
「難しく考えないで、楽しく考えれば、文章なんてちょちょいのちょいで書けるよ」
キミは拘り過ぎなのさ、そう付け足す先輩の顔がやけに眩しい。
「すみませんね、細かい設定に拘るタチなんですよ」
僕の減らず口を笑いながら、先輩はじゃぁね、とスカートを翻して去っていった。小さくなっていく足音に耳を傾けながら、表紙をじっと眺める。
汚れつちまつた悲しみに……
やっぱり意味がわからないけど、本に染み付いた先輩の残り香が、白い雪を想像させた。
春になれば先輩とは会えなくなるな、とぼんやり思っていたけれど、実感が湧いてきた。
窓の外では雪が待っている。僕の胸にも雪が降っている。
想いを歌にしたためてみよう。どうせ実らないのが初恋だ。当たって砕けよう。
――雪がとける前に。
了。
以上、投下終了。
570 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/16(火) 18:00:36 ID:0sli2HJs
うたのみちよ よみゆくむねの うちならで
ちぢにものかく わがみこそとぞ
“はじめて”
ポンコツの一歩手前のCDデッキが、軽快と言うには激し過ぎる曲を流している。
部屋を満たしているのは、私が生まれるずっと前の、それでいて決して古臭くないナンバーだ。
彼は私の隣でベッドに寄りかかりながら、一言もしゃべらないで、流れる音楽に耳を傾けている。
幾つかの曲が流れる間、手持ち無沙汰の私は俯いたまま、彼と同じく言葉を発しない。
お気に入りの12曲目になった時、彼が手を伸ばしてきた。
私を見つめるた瞳にぼーっとしていて意思がなく、目に付いたものに何気なく手を伸ばした、そんな感じだ。
彼の頭は私の肩よりちょっと高い位置にある。水平よりも上に向かって伸びてくる手は、明らかに私の胸ほどの高さになっている。
「触りたいの?」
「え、いや、そ、そうじゃっ」
恥ずかしさと焦りが入り交じった表情で、彼は縮こまった。
「違うの?」
一気に我に返った彼が後ずさると、置いてあった雑誌に手を滑らせて仰向けに倒れた。
「え、いや、なんとなくっ」
慌てふためく彼の姿が面白くて、不意に笑みを溢してしまう。
伸びをして、そのままベッドに上半身をドサリとベッドに横たえる。
突然な私の行動に、起き上がった彼氏は目を白黒とさせていた。
「そうはうまくいかないよ?」
「……ごめんな」
自嘲気味に俯く彼は、ポリポリと頭をかく。その仕草に耐えきれなくなって、私はそのままベッドに乗り上がって笑い転げた。
つられたのか、彼も笑みを浮かべる。
「来なよ」
「え……良いのか?」
素早い反応で立ち上がろうとしたけれど、今度はさっきの雑誌に足を取られてずっこけた。
「何度もお約束をされたら萎えるね、気持ち」
上体を起こして、間抜けな格好で転がっている彼に手を伸ばす。
よいしょ、と引き上げると、緊張していたのか彼の手がやけに冷たい。
「……悪いな、始めてなんだよ」
「私も始めてだけど?」
ムムム、と口をへの字に曲げて唸る彼が何だか可愛くて、肩を引き寄せてそっと唇を重ねた。
「続きは今度、ね」
唇をはなして、名残惜しそうな彼の頬ををツンとつつく。
ふと気付いた。いつの間にやらCDは一番最初の曲にリピートしている。
――今度12曲目を聞く時は、私も彼も大人になった後だろう。
了。
以上、下手な鉄砲投下終了。
573 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 22:43:56 ID:+L4XAP+b
おお!2作も来てる
俺の短歌がよくわからないなんていうアホなコメントがこんな作品に昇華されるとは
中也の詩集ね…名前はよく聞くけど
教科書でちらっとみた以外は読んだことないなぁー
こんど読んでみよう
そして2作目はこれは雑談スレのこの板で許されるエロさはどこまでだろう議論からか!
これはあり!ありだな!
“久方の”
1/2
久し振りの青空を見上げると、高く、高くなる程にその青さを増している。
依る辺ない青さと太陽の陽射しが目に染みて、堪えきれずに手を翳すと、空の色と眩しさがやんわりと和らいだ。
寒冷地ゆえに山には針葉樹が多い。
だからなのか、12月の半ばを過ぎても緑が色濃くて、青と緑のコントラストが澄んだ冷たい冬の空気に映える。
目を凝らせば、うっすらと雪化粧を始めた山も見える。
久方の 空に思わば 色に出よ 継ぎ語らへば 葵になりけり
一首詠んでみたけどしっくりとしない。主題ががぼやけて、ちょっとピントがずれている。
「おーい、そんなトコでボンクラして、なにしてるん?」
振り向くと、友達が自転車を止めて手を振っている。
「べーつに。大した事してないよ」
膝下まで伸びてる枯れ草をガッサガッサとかき分けてそちらに向かうと、爆笑された。
「あんなぁ、そないなお土産いらへんで?」
お土産という言葉の意味が分からずに、手持ちぶさたで所在なくしていると、彼女は私の足下、靴下を指差してケタケタ笑った。
「ひっつき虫さんついとるわ」
「へ? むしぃっ!?」
一般的な女の子の例にも依らず、私は虫が大嫌い。慌てて跳び跳ねて振り落とそうとする。
「虫やない、ひっつき虫さんや」
ポコンと頭を叩かれて、私はジタバタするのを止める。
落ち着いて良く見てみると、靴下に小さな訳の分からない変な種みたいなのが沢山付いていた。
「――虫じゃないじゃん、これ」
「ウチんとぅはなぁ、これをひっつき虫さん言うんよ」
彼女は鼻がかった声で懐かしいわぁ、と呟いて、彼女は私にくっついたひっつき虫さんとやらをプチプチ取り始めた。
「あ、ありがと」
「お礼なんていらんわ。アンタ笑えたし、ええもん見せてもろたし」
懐かしいのか、嬉しいのか、それとも両方なのか、彼女の横顔は心が何処かに消えていた。
「田舎もええもんやね」
「そうなのかもね。たまには、だけどさ」「不粋やなぁ。だからアンタの絵ぇはつまらないんや」
「あんたのシュールレアリズムに比べればマシだよ」
下らない話をしているうちに日が陰って、本格的に風が冷たくなってきた。
帰り道 並びて歩む 輩の 手袋越しに 指を絡めん
――今度は巧く詠めた。持つべきものは、やっぱり友達だ。
了。
以上、投下終了。
では、またそのうち。
576 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/16(火) 23:07:31 ID:0sli2HJs
はーいお疲れ様〜
577 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 23:08:11 ID:+L4XAP+b
またキター!?
あんたマジで凄いな、どんどん出てくる
短歌の入ったこういう作品は歌物語っていうジャンルなのかなー
“午後12時、電波にのせて”
午前12時を過ぎて明日が今日になる頃、ラジオのチューニングを合わせる。
受験勉強のささやかな息抜き、ラジオの時間だ。
バリトンで元気の良い男性DJと女性アシスタントの軽妙なやり取りに耳を傾けつつ、漢詩の白文をノートに書き取る。
机の上には、教科書と辞書、ノートに筆記用具。覚めかけた泥水みないなコーヒーと、携帯。
オープニングナンバーは流行りの女性テクノ。メリハリの聞いた高音が、疲れた頭に心地良い。
雄壮に歌われる詩に想いを馳せつつ、書き下すと、アシスタントの鼻がかった声に、ついつい力が入り鉛筆の芯がポキンと折れた。
次のリクエストは、私のだ。
同じ大学を目指すあの人に向けた密かなメッセージを電波に流されて赤面してしまう。
でも、誰も気づかないだろう。一応ラジオネームだし、こんな思いの女の子は沢山いる筈だ。
リクエストナンバーはあの人の好きな曲。
私が生まれるよりもずっと前の、クラシカルでスタンダードなロックナンバー。
勧められて私も好きになった、有名バンドの定番の曲だ。
パンチの聞いたベースラインが、空き始めたお腹に響く。空腹を誤魔化す為にコーヒーを一口飲む。
冷たい苦い味が、舌を、喉を、頭にパンチのようにクリーンヒットした。
流れるメロディに合わせてハミングすると、苦さがほんのり甘くなる。
カチコチと時計の針が時間を刻んでいく。放送時間が残り半分を過ぎると、コーヒーも無くなって瞼が重たくなってきた。
――次のリクエストは――
私の好きな、クラシック。フィギュアスケートで良く使われる名曲だ。メッセージは、私に答える物だ。
間違いない。私のラジオネームに向けたメッセージの主は彼の名前だ。
睡魔も何処かに消えて、数学の公式が頭からポロポロ消えていくけど、ラジオにかじりつく。
ラジオの向こうのあの人に、電波に乗せたメッセージが届いた。
真夜中にも拘わらず、私は嬉しい悲鳴を上げる。明日、ゆっくりと彼と話が出来る――二人きりで。
午前二時過ぎ、ラジオは砂荒し。
だけど、私は幸せ。
了。
以上、投下終了。
内容に深い意味はないと思うよ。
そうだよね! 深い意味なんてないよね!
乙、さくさくとこういう文章が書けるようになりたいぜ
581 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/17(水) 02:45:36 ID:qI2fP5Hw
くそういちゃいちゃしやがって………!www
すげえ。
主人公の思考がかわいいなぁ
NN1さんの描く主人公達は本当にピュアだなぁ。ちくせう泣きたくなってきた…
584 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/17(水) 21:06:00 ID:qI2fP5Hw
綺麗な人間関係を書くよね
見習いたい
それよりもあの創作速度を見習いたいが
携帯なんですよね。
すんげえなあ
586 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/17(水) 21:07:49 ID:eb+xEO56
うんうん
携帯書き手でこの速度と質は凄すぎる
“ためいき”
花はおろか葉っぱすらも散ってしまった桜の幹は、ザラザラとゴツゴツしていて、排気ガスのせいなのか黒っぽい。
季節になれば匂い溢れる程に満開の花が咲くこの桜も、冬の景色の中で枯れた風情を演出している。
駅前の桜並木とは違って、俗っぽいイルミネーションが施されていない校庭のこの木は私のお気に入りだ。
雨降りの休み時間、雨が雪に変わらないようにと願いながら窓越しに桜の木を見下ろしていた。
薄暗い鈍色の曇天模様の空が、私を憂鬱にさせる。
「なあ、英語の宿題みせてくれよ」
幼馴染みのクラスメートの顔が、ひょっこりと視界に入った。
「嫌よ。自分でやりなさいよ、宿題なんだから」
気持ちがささくれだっているからなのか、言葉にトゲがでる。
「なんだよ、ケーチ。見せたって減るもんじゃないだろ」
子供染みた言葉のせいで、ささくれどころか亀裂が入る。
「いーえ、減るわよ。アンタのオツムがね」
「もう頼まねーよ、バカっ!」
「なっ……! バカにバカって言われたくないわよ!」
こんな言い合いをしたくはないんだけど、売り言葉に買い言葉、火に油を注がれて、タガが外れて抑えが効かなくなる。
踵を返し、肩をいからせて歩いて離れてく背中に、「待ちなさいよ!」と投げつけるけど、その次の「仕方ないから見せて上げる」という言葉が出せなかった。
意地っ張りで強情だから、口から出た言葉を訂正出来ない自分が恨めしい。
「お、夫婦喧嘩か?」
下らない事を囃し立てるクラスの男子はもっと恨めしい。
言い過ぎてごめんなさい、そう謝れない私が自分ながらに大嫌い。謝ってこれないアイツも嫌い。
子供の頃からの付き合いだから、お互いに相手を知っているから、余計に意地を張ってしまう。
窓から見える桜の木は、大きくどっしり構えていた。雨が降ろうと雪が降ろうと、花吹雪を降らせようとも、それは変わらない。
それがなんだか羨ましくて溜め息を吐いたら、窓ガラスを白く曇らせる。
掛け間違えたボタンみたいに、間違いを簡単に直せれば良いのに。
焦ってもどうにもならないのは、自分の事だけに良く判る。時間をかけてクールダウンするしかない。
だけど、無性に悔しいので曇ったガラス窓にキライバカと書く。
――素直な女の子になりたいよ、ホントに。
了。
以上、投下終了。
昨日の投下分の誤字の多さに絶望しちゃうね
投下乙です
文章だけで女の子を魅力的に書くって凄いなぁ
590 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/18(木) 00:25:55 ID:7guxIIH/
ラブラブさんは明るいSSを投下してくれる、俺の太陽なんだから!
簡単に絶望するのは俺だけで十分なんだぜ
591 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/18(木) 00:26:21 ID:v+MOG4ou
これはいいツンデレ
お互いにね
“星空”
1/2
私の町にはプラネタリウムがある。
バブル景気の時に建てられた物にしてはシンプルで、品のいい所だ。
目印は焦げ茶色の丸い屋根。ちょっとした公園が前にあって、ちょっとした散歩道にぴったりだ。
小さな町だし、町の外れの小高い山の上にあることもあり、利用者が少ないので、静かで落ち着いた名所になっている。
もっとも、プラネタリウムをデートコースに組み入れる若いカップルは天然記念物並みに希少で、ほとんど私達専用になっている。
12月に入ったばかり日曜の空は鈍色の曇天模様だ。
雨が降らない事を祈りながら部活を終えた私は、所々寄り道をしつつ、適当に昼食を済ませてプラネタリウムに向かった。
ロビーは暖房が効いていて、外との温度差のせいなのか、眼鏡が曇った。
ポーチからハンカチを取り出してレンズを拭いて、掛け直す。
来る途中に、印象的な青い表紙に思わず衝動買いしてしまった文庫本をペラペラとめくりながら、制服のブレザーにシワがつかないように気をつけて、ソファーに深く腰を下ろした。
カチコチとゆっくり時を刻む腕時計を確認すると、三時を少し過ぎた頃。待ち合わせにはまだ一時間ほど余裕がある。
活字を追う事に没頭。彼が来る前に読みきれるかどうか、時間との勝負。
半分ぐらい読み進めた時、自動ドアが開いた。栞がないので仕方なく、開いてあったページの下の方を折り込んで本を閉じた。
「よ、待たせた?」
近付いて来る学ランにジャンパーを着こんだ彼氏が、腕捲りをしながら歩いてくる。
「ううん。本を読んでたから平気よ」
「全くさぁ、試合前だから練習が長引いて困るよ」
「やっぱりね。ちょっと汗くさいよ」
げ、マジ? と学ランの袖を鼻に当てて匂いを嗅ぐ彼の仕草は、なんだか面白い。
「そう言えばさ、学ランなんだよね」
「まあな。似合うか?」
「ごめん、似合いすぎててブレザー着てる姿が想像出来ないよ」
「ふーん、そんなもんか」
なんだか釈然としない彼氏の手を引こうとすると、逆に手を引かれた。
「なに?」
「今日は止めとかないか?」
「別にいいけど。どうするの?」
「ちょっと歩こうぜ」
何度も見たプラネタリウムに未練がある訳でもなく、私は彼氏の後ろについていく。
外は少々寒いけど、それなりに着込んでいる私はさほど寒くない。だけど、彼は腕捲りをしたままだ。
「寒くない?」
「うんにゃ。暑がりだからな、俺」
2/2
そんなものなのかな、とぼんやりと考えつつ、私は彼の指にそっと指を絡ませた。
彼の指は確かに温かくて、ポカポカしている。その温かさが気持ち良くて、私は顔を綻ばせた。
彼の横顔を見上げると、至って普通でちょっとがっかりした。少しは反応があっても良いのに、と思う。
「ひゃっこくて気持ちいいな、おまえの手」
少し訛ってる言葉にプッと吹き出すと、彼は僅かに憮然とした表情になる。暗いから良くわからないけど、赤くなってる気がした。
歩き続けて街灯が疎らになって真っ暗になった所で、彼は足を止めた。
「上、見てみ」
空を見ると、いつの間にやら雲が消え失せて満天の星空が広がっている。
「――うわぁ、綺麗――」
瞬く星々に目を奪われ、圧倒された私は、星の海を泳いでいる錯覚に囚われる。
「――冬の星座は――」
彼はプラネタリウムの受け売りの説明を始める。所々つっかえたり、間違いながらの説明だけど、それでもとても嬉しくなる。
「たまには良いだろ、こういうの」
「うん、ありがとう」
プラネタリウムも綺麗だけど、本物の星空は宝石みたいに綺麗で、思わず絡めていた指を強く握りしめてしまう。
彼の見ると、彼もこちらを見て、ギュッと握り返してくる。
「ねえ、あれって流れ星?」
夜空を横断する光を見つけて指差すと、彼はうーんと唸って、夜空に目を凝らした。
「いや、あれは星じゃなくて飛行機じゃねえかな」
うん、それは言われなくてもわかってる。わかってて言ったんだから。
無防備な横顔に、ちょっと背伸びをしてキスをした。
一瞬びっくりしてだじろいだ彼は、何をされたのか気付くと顔を耳まで真っ赤にしている。
頬を押さえて、固まってしまった彼が可笑しくて、べぇっと舌を出した。
――不意打ち、ごめんね。
了。
以上、投下終了。
タイトル間違えた。“星空>プラネタリウム”ですね。
596 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/18(木) 19:48:54 ID:v+MOG4ou
なんでまたこう女の子が可愛いんだ
ラブラブですのうラブラブー
“止まり木”
1/4
鈍くぼやけたオレンジ色の灯りの下、シーツの乱れたベッドの上で、私は彼の手が伸びてくるのを待っていた。
始めはくるぶし。ぎこちない指が上に上がってきて、膝小僧まで来た辺りで堪えきれずに限界を超えた。
「アッハハッ! 止め止めっ! くすぐったくて駄目だわ」
彼はちぇっと舌打ちし、じいっと自分の手を見つめた。
「気持ち良いじゃなくてくすぐったい?」
「なんて言うのかな、前に比べて下手になった感じ」
「下手ってねえ……。お前、簡単に俺のプライドをへし折ってくれるなよ」
お互いに気分が削がれ、私は蛍光灯の紐を引っ張って明るくする。
「良く見えないんだったら、眼鏡掛けた方が良いんじゃない?」
私の言葉がカンに触ったのか、彼はムッとした表情になる。
「俺はね……こういう時は、生のお前を見たいんだよ」
「眼鏡掛けてたって同じじゃない?」
「だーめ。気分が違うよ、気分が」
拗ねてしまった彼の機嫌を直すために、唇を重ねた。
「ん……、キスは上手いままだね」
「そりゃどうも」
服を着てテレビをつけると、年末恒例の面白くもない特番がやっていた。
暫くそれを見ながら、そのくだらなさを笑っていると、彼は眼鏡を外してコメカミの辺りをグリグリと押し始めた。
「どうしたの?」
「んー、最近何だか目がショボショボすんだよ」
パチパチと瞬きをして、私は顔をじいっと覗き込まれた。
「大丈夫?」
「平気さ。お前の可愛い顔が良く見える」「セクシーじゃなくて?」
しなを作ってみせると、彼は勝手に言ってろ、と笑い飛ばした。
「気になるんなら病院行ったら?」
「そのうちな」
なんだかんだで、その日はそのまま彼の家を退散した。
新年の足音が近付き始めた頃、クリスマスをすっぽかした彼に、急に呼び出された。
病院に来いというのだ。
急な話に驚いた私はいつもなら入念にする化粧を適当にして、急いでタクシーを呼んで病院に向かった。
道すがらお土産を持ってない事に気付いたけれども、財布の中身と相談した結果、一番乗りお土産は私の顔を見せる事だと結論付けた。
渋滞とは言えないけれど、空いているとは言えない車の流れにやきもきする。
2/4
何があったのか、なんで入院したのか一切告げてはくれなかった彼に、心の中で毒吐きながら、前を睨む。
運転手さんがギョッとしていたから、よっぽど酷い顔をしていたのかも知れない。
病院に着くと、一万円を渡してお釣りはいらないよ、と吐き捨てて入院病棟に向かう。
ナースステーションで、彼の名前を告げて部屋が何処にあるのか尋ねると、告げてもない私の名前で呼ばれてビックリした。
心なしか、看護師さんの顔がにやけている。
ちくしょー、あんにゃろめ、なにか変な噂でも流したのか、と呟いたら、呟きじゃなくてデカイ声になってたらしく、病院では静かにね、と笑われた。
カツカツと五月蝿いくらいに足音を立てて、彼の部屋の前に立つ。見た感じ、どうやら個室らしい。
ポーチからコンタクトを取りだして、顔をチェックする。うん、変な顔じゃない。
コンコン、軽くノックして扉を開けると、名前を呼ばれた。
「お、良くわかったじゃん。やっぱり彼女ならわかる?」
「まーな、がさつな彼女で良かったよ。音だけでわかる」
ベッドの上の彼の姿にちょっとひいた。
いつもみたいににやけているけど、目に包帯が巻かれていたのだ。
「ん、びびったか?」
とぼけた声に、ベッドへと引き寄せられる。
「ねぇ、どうしたの?」
「良く知らない。なんだかわからないけど失明するかも知れないんだとさ」
危機感が欠落している彼の声に、不安なのか心配なのか良くわからない微妙な気持ちになる。
「全くさぁ、もっと早く教えてくれたって良いんじゃない?」
「バーカ。言いづらかったんだよ」
「私ら遠慮するような仲だっけ?」
「そう言えばそうだったな」
いつも通りのやり取りに、不安よりも安心が打ち勝つ。
調子が出てきた所で、安っぽい椅子に腰を掛ける。
「お前、なんか土産持ってきた?」
「ないね。私が来ただけで充分っしょ」
「そりゃそうだ。お前にフルーツの盛り合わせを持って来られても困る」
「ん、なんで?」
「だってお前、ミカンとバナナ以外に皮が剥けるヤツある?」
「……ないね」
お互いに上戸のツボにハマって、笑う。ひとしきり笑った後、彼が神妙な顔になった。
「あのさ、頼みがあるんだけどいいか?」
「変なプレイじゃなければね」
3/4
お前な、と上半身を起こすと、彼は手探りで枕を見つけてどかした。
「なあ、膝枕してくれないか?」
「なんで膝枕?」
「お前の足が好きだから」
「こーの、足フェチめ」
個室だし誰にも遠慮する事もないので、私はベッドに乗って正座する。
ゆっくりと降りてくる頭を誘導して、ちょこんと足の上に乗せた。
「どう、これでいい?」
「違うな、横じゃなくて縦になってくれ。足の間に頭がしっかり収まるようにさ」
「贅沢な男だなぁ」
全く、と呟いて、リクエスト通りに座り、足の間に頭を置いた。
「今度は?」
「ん、気持ち良いな」
彼はそう言うと、静かに押し黙る。私の足の感触を楽しんでいるのか、口元が弛んでいる。
「なあ、俺の事足手まといだと思ったら見捨ててくれていいからな」
「何を今更。そんなのだったらとっくの昔の見捨ててるよ」
――沈黙。膝枕のせいなのか、言葉が続かない。それでも、うんうん唸って話題を探す。
「ねえ、今は見えてるの?」
「全然。なんも見えない」
「それじゃあさぁ、真っ暗?」
ちょっとした沈黙。地雷を踏んだのかな、と不安になると、彼の口が動いた。
「真っ暗なんだけどな、時々青空になるんだよ。そんで、お前の顔が向こうに見えるんだ」
私はへぇ、と頷くだけ。彼の言葉は止まらない。
「まあ、なんだ。目は見えないけど、夢は見るんだ。小鳥になって、青空を越えて真っ直ぐにお前の肩に止まるんだよ、俺」
柔らかく彼が笑う。その笑い方は今まで見た事のない笑い方だ。
「お前の足も好きだけどさ、ホントはお前の横顔が好きなんだよな、俺」
無言のまま聞いている私は、彼をあやすように撫でる。
「なんてな……」
「――少女趣味だね」
「誰かさんが勧めてくるマンガの影響だな」
ポタリ、ポタリ、と彼の目に巻かれている包帯に、雫が落ちる。知らぬ間に、私は泣いていた。
「そろそろ面会時間も終わりだろ」
彼の言葉で膝枕は終了。私は帰る事に相なった。
帰り際、私はナースステーションでの事を思い出した。
「アンタさあ、看護師さんに変な事を言わなかった?」
4/4
「言ってないな。ただ、電話してからお前が来るまで、誰かが入ってくる度にお前の名前を呼んだだけだ」
「成る程。覚えられる訳だ」
じゃあね、なにか会ったら連絡してね、と言い残して病室を後にする。
名残惜しいのでドアを閉める前に一度だけ振り向くと、あさっての方に手を降っている彼の姿が、なんだか霞んで見えた。
「……泣くなよ。俺はお前の笑顔が好きなんだからさ」
小さな掠れた声に、チクリと胸が痛んだ。だから私は精一杯強がって笑う。
「だーれがアンタの為に泣きますかっ。勿体なさ過ぎだよ」
ドアが乾いた音を立てて閉った。
ええ、誰が泣くもんですか。アンタの為なんかに。
その日からカレンダーに印を始めて、年を跨いだ12日目。
中途半端な正月気分が抜けきらない私の元に、電話が来た。
彼の母親からで、彼の訃報だった。
死因は自殺。手術が失敗した次の日だったらしい。葬式も、内々だけで済ませたそうだ。
子供の頃からの腐れ縁もこれでおしまい。あっけなさ過ぎる結末で、彼は行ってしまった。
別に悲しくはない。彼は私に会いに来たくて飛ぼうとして、落ちちゃったんだろう。
抜けてる所が、いかにも彼らしい終わり方だ。
大丈夫、私は悲しくない。いつかアイツは鳥になって私の肩にとまりにくる。
私の横顔を見る為に、きっと。
了。
以上、投下終了。
手癖で書いたらスイーツ(笑)になっちったw
乙。これもハッピーエンドの一種なのかな…
な、泣いてないんだからねっ!
603 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/18(木) 21:17:20 ID:7guxIIH/
投下の嵐w
まさに独壇場だな
凄いっす
604 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/18(木) 22:40:43 ID:7guxIIH/
丘望聖夜街
光溢煉瓦通
銀輝煌々彩
鐘楼独耐欲
今冬東方赴
帆路延々足
最涯至港埠
波止橙淡燭
異国十二月
人々面喜色
灯背坂歩且
凍気身沁鋪
十有二段登
眼下遥夜景
頂十字白楼
下界響音霊
十二音闇開
十二音光差
十二音触告
聖夜半鐘音
読めた!
十二月の光景、いいなぁ。
目に浮かぶようでした。
字を追いながらなんとなく想像するのが心地良いw
こういうの全然わからないんだけど
字面だけで雰囲気が読み取れるっていうのは漢民族として素晴らしいなあと
思ったり思わなかったり。
“図書館ラビリンス”
ウチの学校の図書室はかなりの広さで、蔵書もかなり沢山ある。
そのわりには利用する生徒が少なく、図書委員である僕の仕事は楽な物だ。
ありがたや、活字離れ。
司書の先生は嘆いているけど、仕事が楽なのは僕にとって嬉しい事だ。
今日もいつものように、適当に面白そうな本を引っ張り出してカウンターに座る。
ただいま午後四時過ぎ。校庭から離れた此処は静かで思う存分読書に集中できる。
ある意味、僕の城みたいなものだ。
没頭すると、時計の音も気にならなくなり、時間が進む事を忘れる。
読むスピードがそんなに速くない僕はじっくりと読むタイプだ。一字一句逃さぬように、字を追っていく。
どうしようもない程の活字中毒者だ。
ドアが開く音に、ページをめくる手を止める。利用者――つまり、お客さんだ。
足音を立てないように歩いてくるのは、数少ない常連さんで見知った顔。一年生の女子だ。
「すみません、返却したいんですけど」
透き通ったソプラノが小さい声ながらも図書室に響く。鞄から出した本は全部で十二冊。
本来なら六冊までの貸出しだけど、常連さんには多少の融通を効かせる。僕の図書カードを使って上げたのだ。
先週末に貸し出したばかりだから、彼女はかなりの速読派だ。
事務的に返却処理をして本棚に戻そうとするけど、彼女はカウンターの前に居座ったままだ。
「あれ? どうかした?」
「ちょっと……探したい本があるんですけど……」
地味な外見に似合った、遠慮がちな物言いが僕の図書委員としての使命感に、火に油を注いだ。
「OK、任してよ。何て本?」
彼女が告げたのは、料理関係、特にお菓子の作り方の本だ。
「えーとそれ系は……」
ぶらぶらと本棚の前ををうろちょろする。彼女は僕の後ろをついてくる。
「こまったさんは……駄目だね」
児童図書シリーズの名前をあげると、彼女はクスクスと笑った。
「良く知ってますね、こまったさん。マイナーだと思ってました」
「まーね。図書委員としてはそれぐらい知っておかないとね。マイナーだけど有名な方だしさ」
「そうなんですか?」
口元に手を当てて笑う彼女は、良く見ると結構可愛くてドキドキする。
何故か緊張してしまって、ギクシャクとした動きで探すけど、クリスマス前だからなのか、めぼしい物はみんな貸出し中だった。
「ゴメン、みんな出払ってるね。どうする? 返却されたら予約って事で取っておこうか?」
「いいえ、探してくれただけで充分です。こまったさんを知ってる人がいて、ちょっと嬉しかったですし」
身振り手振りでとんでもない、と言う彼女に、悪戯心を起こしたので思っていた事を聞いてみた。
「お菓子の本って、誰かにクリスマスケーキでも作るの?」
彼女は急にモジモジして、おそるおそるといった感じで、徐に口を開いた。
「はい、彼に作ってあげようかなって……」
「あ、そう。――彼氏に、ね。頑張って、応援してるよ」
結局彼女は一冊も借りずに帰った。
俺はカウンターに戻って、読書に戻る。
なんだか非常に疲れた。
シャバが冬なら心までひんやりと寒くなる。ストーブ焚いてるけど何故か冬の寒さが目にしみる。
ちくしょう、悔しくなんかねーよ。
了。
以上、投下終了。
オチがww
あと凄く懐かしい名前を見た。
木暮先生…(´;ω;`)
お邪魔します。お題”冬”で1レスSSです。
----
……あいつは、冬が好きだ。
「どうしてか、って……」理由を聞けば、あいつはちょっと首をかしげて言うのだ、「んー
と、それは……」
……それは、たぶんね、たとえば……
たとえば、雪。朝起きて、庭一面に降り積もってる雪。
たとえば、空気。陽が昇る前の、頬を焼くような、けれど透明な空気。
たとえば、太陽。昼間でも眠そうに、低く昇って、まどろむような陽気を降らせる太陽。
たとえば、月。冷たい大気の向こうで、いつもよりも冷え冷えと輝いている月。
たとえば、こたつ。外で冷え切った足を突っ込んで、気持ちよさにうっとりするこたつ。
たとえば、食べ物。おでん、肉まん、おもち、その他もろもろ、あったかい食べ物。
たとえば、――
「もう、いい」わたしはふてくされたような声になってしまったことに気付く。「……十分わ
かったわよ、あんたが冬にゾッコンだってこと、それに最後までマジメにやるってことが
相変わらずできないってこと」
「んー……なんで不機嫌なの?」そしてあいつはにっこり笑って、「あ、もしかして、嫉妬?」
太ももを思いっきりつねられた、空気の読めない男の悲鳴が響く。
……けれどわたしも、冬が好きだ。
石油ストーブのにおい。朝、冷たい布団から起きて、居間から漏れ香るにおい。
慌ただしげな、けれど浮き浮きとするような街の流れ。色とりどりのイルミネーション。
クリスマスを歌う歌。懐かしく心に響くメロディ。
降りゆく雪、草木を覆う霜、吐息は氷の結晶のように白く染まり……
白い雪は全てを覆い、やがてその下に芽吹く命をやさしく包む。
過ごしてきた時が過ぎゆくことへの、寂しさに似たせつなげな気持ち……
そして眠りに落ちるときに心に抱く、新たな季節への淡い希望――
そっと肩を寄せ、目を閉じる。
「……たとえば」とあいつは言う。「たとえば、こうして……きみと寄り添っていられる、
ただ冬だからっていうだけで……」うつむいた顔は、柄にもなく真剣。
あいつの手が、触れれば溶けて消えてしまうものに触れるような、臆病とさえ言える慎
重さで背中にまわされる。けれどわたしは、その手がわたしを抱きしめるよりも早く、
あいつの胸に飛び込む。
暖かな感触。ばかみたいに早い鼓動。見上げた顔は、みっともないくらい真っ赤。
「まだ足りない」わたしが言うと、あいつはびっくりしたような、困ったような顔でわたしを
見る。「冬が好きな理由と同じだけ、わたしが好きな理由をあげなさいよ。じゃなきゃ……」
ぎゅ、と抱きしめる、その身体を、熱い身体を。「……離したげない」
「……や、やっぱり」あいつはしどろもどろに言う、「嫉妬じゃ……んっ!?」
唇がふれあい、リップクリームの味がひろがる。
それは冬の味、はじめて口づけしたときの、思い出の味。
それは身を寄せ合ってバスを待っていたとき、なりゆきで重ねた、その湿った唇の味。
それは甘酸っぱくてどこかわざとらしい、忘れられないレモンの味……。
わたしにとって、だから、この冬という季節は特別な季節。
唇が離れ、あいつの瞳がわたしを見つめる。
「……好きだよ」柄にもない優しい、誠実な声で、ただそれだけ、あいつは言う。
出会ったときから少しも変わらない、恥ずかしくなるくらいにいちずで、目を背ける
こともできないくらい、まっすぐな瞳。
そこに映るのは、あいつの大好きな冬の景色、そして……
「わたしも、――
……だからわたしも、冬が好きだ。
(了)
612 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/18(木) 23:57:21 ID:7guxIIH/
やべ
ラブな熱いカップルにあてられそうだ
これは素敵に熱い。
614 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 09:26:43 ID:4P3DeKIQ
やばいわかったさん懐かしい
小学生の頃図書室の棚を全制覇したのもいい思い出
そして冬好きカップルめちゃくちゃラブラブしてんなw
24まで締切り延長?
616 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 20:11:13 ID:4P3DeKIQ
いつも通り20日までで、でも24日のみ特別投下日だと思う
617 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 03:26:30 ID:fpaHkvXu
〆切日age
例のゲームキターwww
ミクかわいい
621 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 20:45:29 ID:Uvlhek0+
もふもふひつじーーー!!!
3枚目の角度が一番可愛いな
もしかしてこれかなり小さい?
キーホルダーとかにぴったりそうなサイズの予感
623 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 22:18:53 ID:Uvlhek0+
4cmか
やっぱり小さいなかわえー
おまけやたらかわいいな!こんな感じでちょこんと居られたらいつも癒されるよ
624 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 23:02:59 ID:Uvlhek0+
>>618 ダウンロードしてやったよ!
とにかくとにかく文章のテンポがよくて読んでて心地いいなー
俺が一番すきなのがbadendのときの文章だったりするw
めちゃくちゃテンポいいよね
626 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 23:20:34 ID:Uvlhek0+
幼女!幼女!
かわいいのう
>>625 かわいい!
冬のひとこまですねー。
懐かしいクレヨンを見た。
まだry
629 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/21(日) 01:16:14 ID:ozegS4pH
今帰ってきました。締め切りにいなくてすいません
投下された皆さん、感想書かれた皆さん、ひとまずはお疲れ様です
取りあえず今月分は24日を残して終了ですかね
(NN1さんの投下量には畏怖の念が
締め切り遅れだろうが投下だぜ!
ジャンルはミステリィ! 小っちゃい『ィ』は譲れません! でもこの板に該当スレはなし! うわぁぁぁん!
使用お題は『鐘』! 俺も恋愛ものとか書きたかったけど何故か微グロ&蟲注意! タイトルも適当! 俺のバカ!
ここ一年近くの間私が追っていた男は、町の小さな寺の物置蔵に仕舞い込まれた釣鐘の中から、変死体で見つかった。
「ええ、そうです。近年は、夜中になると、悪戯する者が、おりますでな、年の瀬まで、蔵に置いとくのが、慣例になっておりますです」
皺だらけの老住職は、ゆっくりとそう語った。
「ではあの鐘は、一年の殆どを蔵で保管しているわけですね」
「その、通りです」
まぁ、それもそうだろう。
寺の鐘が町民の時を刻んでいた古き時代ならいざ知らず。
現代人にとって、寺の鐘など年に一度――大晦日の除夜の鐘ぐらいにしか必要とされまい。
私は老住職に訊ねた。
「ところで、釣鐘のような重そうなものを、いつもどうやって吊るしているのですか?」
なにしろその鐘は銅製で、その重さは百数十kgはあるものと思われた。
「ええ、はい。うちの檀家に、工場を経営しておる方が、おりましてな。
必要な時期になると、その方に、フォークリフトを、貸して貰って、おりますです」
「なるほど」
私はさもあろうと頷いた。
一人前の男が数人がかりでも、持ち運ぶことはおろか、持ち上げることすら難しいだろうからだ。
むしろフォークリフトで運べる事を、意外に思ったくらいである。
「ふむ。しかし何故」
私は言葉を濁した。
「まことに。恐ろしい事です」
住職は、皺だらけの手を合掌して言った。
依頼者は、とある大企業の重役だった。
「……では、息子さんが行方不明になったと?」
「そのとおりだ」
「無礼を承知で言わせて貰いますが。年頃の男性が両親の前から姿を消すというのは……」
「ああ、おそらく自分の意思でいなくなったのだと思うが」
「では……それを承知で、という事で良いのですね?」
「ああ、宜しく頼む」
救いがたい親もいたものである。
しかしながら。それに伴って支払われた前金と、必要経費の上限額は魅力的なものだった。
私は依頼を受ける事にした。
見つかった死体は、布団等に使う圧縮用の袋に入れられ、更にブルーシートで覆われていた。
それは異臭漏れによる発覚を防ぐ為だったろうか。
「まぁ、元々、殆ど人も寄り付かぬ、蔵ですがな」
「……失礼ですが、寺にはご住職お一人で?」
「そうです。わしの他には、坊主も、跡継ぎもおりません」
「ですが、夏などには」
私はまた、言葉を濁した。夏の放置死体などは、想像するのも嫌な話題である。
「その頃、わしは、腎臓の手術を、しておりましてな」
そして、寺には誰もいない。
「なるほど」
発覚が遅れた訳だ。
――実際の所。
死体の隠蔽処理は厳重ではあったが、完璧ではなかった。
死体とそれを覆った袋などには、各所に少なからず損壊が認められていた――噛み砕いて言えば、獣虫に荒らされていたのだ。
……真夏期に発見されなかった事は、或いは幸運だったかもしれない。
私はまず、重役の息子氏のライフラインを洗う事にした。
人ひとりが生きるという事は、様々な痕跡を残すものだ。それは生活の癖ともいえるだろう。
例えていうなら、捜し人がスパゲティが好きなら、イタリアンレストランに張っていれば良いのである。
特徴があればそれは何でも良い。
息子氏の場合は、その財源に特徴があった。
彼は一般的なフリーターであったらしいのだが、その待遇に比して、出て行く金の量が明らかに多かったのだ。
その出所は不鮮明。
失踪に先立って、家の金が持ち出された形跡もなかったようだ。
どうやら息子氏は、人に言えない影の仕事をしていたらしかった。
私は彼の仕事を追う事にした。
「……私の調べによると、生前の彼は骨董の盗品売買に手を染めていたようです。
彼自身も実際に盗みに這入る事もよくあったようですね。
住職の寺も、その被害に遭われていたようですが」
「うすうす、気付いておりました。寺の、由来の古い物が、いくつも失せて、おりましたでな」
「いつも蔵に錠前などは?」
「掛けては、おりません。一度も。歴史だけはある、古臭い寺の、伝統でしてな」
「そうでしたか」
蔵の様子を思い出す。
所々、不自然に埃の積もっていない箇所が目立っていた。
そこにあったのは――この老住職と寺が守ってきた、歴史そのものだった筈だ。
「取り戻そうと、考えていらっしゃいますか?」
愚問だった。
「どうせ、わしの代で、終わる寺ですからな。未練はありませんです」
「……そうですか」
私は静かに頭を振った。
白く清潔なベッドに仰臥する老人を見下ろして、私は深く溜息をつく。
この老住職が――息子氏を殺した事に、確信が持てたからだ。
盗品売買のルートを逆に辿った私は、ほどなくして小さな寺に行き着いた。
人の住んでいた気配はあったが、所々に草は生えて荒れ放題である。
事情は知らないが、主がいなくなって数ヶ月は経っていると見受けられた。
注意して境内を散策していると、片隅に立つ建物に違和感を覚え、目を留めた。
暫くして気付く。カサリカサリと小さく音がした。違和感の正体はこれだろう。
歴史を感じさせる、古い蔵。しかし錠前は無い。
躊躇いつつも、その蔵の扉を開けた私は、すぐに異臭とその元に気付き、てこを使って釣鐘を持ち上げた。
同時にザワワッと小さな黒い影が……という事は、勿論ない。事前に鐘を何度も叩いて、追い出していたのだ。
中にあったのは、虫食いだらけの汚い袋。
経験上、中身の見当はついている。
手袋は蔵に入る前から嵌めているので、私は躊躇なくそれを開け、その身元が予想の通りであると確認したのだ。
「……どうして、殺したのです?」
だが、これもまた愚問である。
「さぁ、今となっては、わかりませんな」
老住職のその溜息は、しかし私のそれより深いものだった。
「何故殺したか、そうですな。
寺の貴重品を、盗まれた、恨みも、あったかもしれません。
しかし、殺す必要など、なかったかもしれませんし、彼にしたところで、死ぬ事も、なかったかもしれませんです」
「既に腐敗し荒らされていたとはいえ、死体に目立つ外傷はありませんでした。
死因は、感電死ですか?」
「そのとおりです」
「蔵に罠を?」
「そのとおりです」
老人は、ベッドの上で小さく何度も頷いた。
「なるほどね。わかりましたよ、おそらくはほぼ全て」
息子氏を死に至らしめた罠の、その具体的な方法までは、私も尋ねるつもりはなかった。
だが想像はつく。
銅の電気伝導率は高い。
更に、寺の蔵なら銅製の骨董には事欠かないだろう。
そんな貴重品のいずれかに電気の配線を繋ぐ。
たったそれだけの話だ。
「住職……それは、引っかかる方が悪い罠です」
「それは、違いますな。明らかに、仕掛けた方が、悪い」
私と住職の二人は、暫く笑った。
「どうやって、死体を釣鐘の中へ入れたのですか?」
「それも、わかって、おるのでしょう?」
愚問だった。
フォークリフトしかない。
「これは推測ですが。
……この袋の中身は貴重な仏像だ、とでも言ったのでしょう?」
「はずれ、ですな。近頃は、物取りが多いと、そう言っただけです」
「なるほど。嘘は言っていませんね」
――フォークリフトを任された檀家の何某氏としては、釣鐘で被ってしまう事で、盗人の手から骨董品を守るのだと、内心張
り切っていたかもしれない。
勿論、フォークリフトだけでは、死体に釣鐘を被せる事は不可能だが、しかし、釣鐘を下ろす際にもそれは同じ筈だ。
その為に、当日には数人の男手があったと見ていいだろう。
数人掛りなら釣鐘の片側を持ち上げ、死体に釣鐘を被せる事も出来そうだ。
「そもそもが、一人では不可能なのです。しかしながら、殺した人間が複数いるにしては隠蔽が杜撰だ。
故に殺しは単独犯、結果的に死体を隠蔽してしまった人間が複数だと考える方が自然でした」
「なるほど、そう、でしたか」
「ですが、上手く隠せたとも思います。入院はいつ頃から?」
「春からです。
跡継ぎも、おりませんし。もう、今年の、除夜の鐘を聞く事も、ないとも、思いましたから」
そう言って、住職は笑った。力なく。
私が発見しなければ、少なくともこの老人が亡くなるまでは発覚する筈もなかった。そういうことだ。
「あとは、そう、カネに入って死ぬなら、本望だろうと、思いましてな」
「ふふははっ、駄洒落ですか、そうかもしれませんね。
……さてと、私の用事も終わりました」
「ああ、楽しかったよ」
私は身を翻して、静かに退室しようとした。病人を長く拘束するつもりは、私にはない。
しかし、老住職は最後にもう一度力なく笑い、私に訊ねた。
「ところで、あなたさんは、何者ですかね」
「殺し屋です」
その年の瀬。
私は約一年ぶりに、あの依頼者に会っていた。
「どうも。依頼は達成しましたよ」
「あの男は、ちゃんと死んだのか?」
自分の息子をあの男とは。冷たいものだ。
「ええ、完璧です。盗品売買の関係者も全て始末しましたから。
あなたの悪評に繋がる人間は、もうこの世にいません。おっと、私を除いてですが」
「……ご苦労だった。噂通り、完璧な仕事だな」
「証拠や死体写真はご覧になりますか?」
「結構だ、始末してくれ」
「わかりました」
「……待て。
報告書にあった老人はどうなった?」
「ああ……」
一瞬だけ、私は顔を曇らせた。
「大丈夫です。何も問題はありません」
だがすぐに表情を変えにやりと笑うと、依頼者は露骨に嫌そうな顔をした。
「そうか」
依頼者は、後味の悪さを感じつつも、あからさまにホッとしている様子だった。
やれやれだ。
……でもまぁ。
私も、嘘は言ってないから。
―了―
投下おしまい
矛盾点とかに気付いても、それは心の中にしまっておこうね
637 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/21(日) 16:12:06 ID:ozegS4pH
主人公美味しいw仕事する手間が省けたww
ううむ、落とし方が気になるぜ……
ところで書き忘れてた
創作が間に合わなかった方は投下宣言してから投下してください
24日に投下されても構いません
感想はいつもどおりドゾー
ミステリィだ!
ちょっとどきどきしながら読みました。
GJ!
この手のミステリは好きです
とっても素敵なミステリィだと思いました。
読点の多用がちょっと……少し……かなり気になりました。
会話文で顕著に見られたと思います。
ポツリポツリと話していると表現したかったのだと思うのですが、
読点の多用により文章のリズムが崩れてしまっているように感じました。
ただ、ミステリィに筆力を求めるのは不粋なような気もするので、
気にする必要なないかも知れません。
日本語として読めるレベルでしたから。
投下お疲れ様でした。
さて、お前らの皆さん的今月のベスト3はどれだった?
忌憚無くあげつらってみたまえ
>>495にはウルっときた
その後の誤爆で台無しだったがw
聖帝自重しろww
645 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 21:35:00 ID:iEdnMFBR
ミステリーだ!
あ、ミステリィか
淡々と続きつつも段々真相が見え隠れしてくるところにドキドキした
住職悲しいね、そして主人公最初探偵かと思ったら殺し屋とは予想外w
647 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆LV2BMtMVK6 :2008/12/24(水) 00:05:22 ID:GJPvVNzE
特別投下日開始age
軍神への血祭りにこないだアリに書いたSS転載します
ちょっとお借りしますよっと
648 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆QNmf0W7LPA :2008/12/24(水) 00:13:30 ID:GJPvVNzE
鐘の音が十有二、街へ響きいってゆく。応えて遠くで灯台が小さく、明滅したかに見えた。
はや四十年。光陰は矢の走るごとくにして過ぎ去り、あの日の少年はもはや老いている。彼は鐘守りであった。
この街に育ち、この街に齢を重ねた幾十年は、彼の横顔に小さな皺をたくさん刻んできた。
今夜もまた、夕暮れの街に鐘の音が響く。遠くイタリヤ国の田舎で鋳られた鐘は、
百年間毎日、同じ音で夕暮れを告げるのだった。海の向こうから、大きな木枠に包まれてやってきたあの日から変わらぬ、
やや高いような、共鳴して石畳やレンガに沁み入るような、音。
在りし日、この街は大いに繁栄した貿易の都であった。毎週外国船が波止場へつき、
海岸の通りには異国の品を出した土産物屋や宿が並ぶ。街道が街を東西に横切っていて、
交易商人達が山を越えて往来するのだった。朝には商船の霧笛が、街を目覚めさせた。
街は背後に山を背負っていて、頂には白い小さな建物が――教会があった。
日が暮れるとそこから、あの音が夜の訪れを告げていたものだった。
変わらないものは、鐘の音だけだった。いや、鐘の音色も、石畳の染みも、煉瓦の壁の漆喰も、
変わってきていたのかもしれなかったが。ステンドグラスには今も、ひびが入ったままになっていた。
戦時の爆風で、ガラスのはんだ付けが剥離したのだが、結局修理することもできなかったのだ。
今でも彼はあの時刻に起きる。霧笛が山に木霊していたあの時刻。毎朝、白く塗った木の段を登って、
鐘楼から海を眺めるのだった。彼はカソリックの奥義など何も知らなかったが、自分用の小ぶりな聖書は持っていた。
聖書を日々読むのが彼の常であった。鐘の下の室で小さな机の横に水差しを置き、街並みと海を望んで本を読むのである。
彼はそこで日記もつけていたが、果たしてそれに意味があったのかどうかはわからない。
今年も、十二月二十四日が訪れる。朝方まだ暗いうちに、彼は街へ行った。
誰に会うこともなく用事を済まし、通い慣れた細い坂を登る。苔が入り角が丸まった石畳に、靴の音が小さく立った。
頂上へ着くと、彼は振り返る。湾から市内に直線状に延びる水路も、煉瓦の町並みや倉庫も、下方、上ってきた路も、
右手に広がる入り組んだ海岸線までが見渡せた。山に囲い込まれた町は、小さな、世界そのものにも見えた。
向きを転じると、くすんだ白塗りの建物がすぐそこに孤独にたたずむ。くたびれた冬の雑草が這い寄り、
壁面にはツタが紅葉した葉――霜が降りていた――をまだわずかに残して広がっていた。
灰色をした冬の雲が空を覆っている。風はひどく冷たい。
いつもと変わらず、彼は二階の室へ上がり、吹き抜けの室であの本を読む。
彼は幼子イエスが生まれた日が聖書中に書かれていないことは知っていたが、気にとめたことはなかった。
時折水を口に運びながら、擦り切れた革装丁の本を読み続ける。頁の箔はとうの昔に剥がれ落ちていた。
午後、日記を書いた彼は目を閉じ、少年の日に思いを返した。橙色の光に包まれた煉瓦の商店街。
背の高いクリスマスツリーのてっぺんには、きらきらと反射するめっきの星が付いていた。行きかう家族連れ。
誰の顔にも笑顔が見える。暖かな街の夜に聞こえる鐘の音、笑いさざめく声。
目を覚ました。そうして初めて彼は自分が寝ていることに気づいたのだった。
雪が降り始めていた。綿雪が舞い込み、机上のインク壺や、双眼鏡の上に落ちた。
もう、日暮れが近い。机の引出しを開け、聖書を丁寧に置くと、彼は階下へ降り、そのまま外へ出た。
観音開きの大きな戸は海に面している。雪が舞う中、外洋に白波が立っているのが見えた。
案内板を中へ取り込む。もっとも、ここを誰かが訪れることはなかったが。
鐘楼へ上がり鐘を突くころには、街に細々と灯がともりはじめる。クリスマスが、始まる。
彼は燭台を点け、日記に何事か書き足した。それが最後のページだった。彼にはまだ最後の勤めがあった。
夜半に鐘を突かなくてはならない。日記帳の裏表紙を閉じ、例の引き出しを開けて聖書の隣に置いた。ますます雪は強くなる。
夜半になった。あの音が世界の隅々へ響き渡っていく。海岸線に、山なみに、街路に、音は沁みこんでいき、深く小さく反響して消える。
聖歌のごとき十二の音色。
小高い山の天辺に小さな灯が見える。もしそこにいたならば、最後の仕事を終えた彼が開かれた戸の前、段の上に腰かけ、うつむいて動かないでいるのが見えただろう。
ややあって、小さな灯は消えて見えなくなった。 【完】
649 :
[―{}@{}@{}-] 1 ◆FWXGHrV8mc :2008/12/24(水) 00:14:55 ID:GJPvVNzE
ん、鳥が変わったのは12月の1のせいか
tst
650 :
[―{}@{}@{}-] 12月 ◆FWXGHrV8mc :2008/12/24(水) 00:15:53 ID:GJPvVNzE
うん、そうだな
すいませんお騒がせしました
“二人の距離”
1/2
青空は目に痛いほど晴れてるのに、風は冬のわりには暖かいのに、私の心は憂鬱だ。
あの頃――子供の時より手足が長くなったのに、身体もそれなりに成長したのに、私とアイツの間にある壁を越えることが出来ない。
幼なじみという腐れ縁は鉄壁の壁となって、かの万里の長城よりも、ジェリコの壁よりも高く長くそびえていて、私よりもずっと大きな背中になったアイツの背中に近づけない。
蜃気楼みたいに逃げるんだったら追いかければ良いだけなんだけど、難攻不落の城は容易く私を突破させてくれない。
どんなに頑張っても付かれ離れずの距離を保ったまま。
本当は手を触れたくても躊躇ってしまうのは、壁と言うよりも、幼なじみという関係を崩したくない私の気持ちが臆病なせいなのかも知れない。
手を伸ばせばそこにいる、吐息さえ感じる距離なのに、あと残り10センチが近づけない。
クリスマスが近付くと、先週あった期末試験の結果をすっかりと置き去りにして、なんだかクラス中が浮かれているみたいだ。
私も例外じゃなくて、クリスマスの予定をどうにかして埋めようとしてるけど、なかなか上手く出来ない。
たった一言、「クリスマスは空いてる?」とかなんとか言えれば済む話なんだけど、タイミングが上手く掴めない。
察しの良い友達が気を回してセッティングをしてくれるんだけど、気恥ずかしさばかりが先に行ってしまって、言葉が出なくなってしまう。
なんでこんなに不器用なんだろう、と自分で自分が嫌になってしまう。
ホントに自分が大嫌いになる。
はぁ、今日も駄目だったか、後二日しかないのに、と溜め息を吐く。
一人残った放課後、窓際立った私の影が、掃除当番が適当に並べた机の間を縫って、傷だらけの床の上に伸びる。
明るい西日がオレンジ色に染めた教室を横断する影の向こうに――いた。アイツが。
「まだ帰らないのか?」
子供の時からの早口な口調はそのままだけど、声のトーンがちょっと固くて、 丁度顔が影になっているせいなのか、表情が分かりにくい。
「まあね。アンタはまだ帰らないの?」
「まあな。忘れ物だよ」
「アンタがそそっかしいのは昔のままね」 ついつい叩いてしまった憎まれ口に気分を悪くしたのか、鼻を鳴らす音が聞こえた。
一歩一歩近付いてくるアイツの顔を真っ直ぐ見れなくて、私は横を向いて視線を反らす。
652 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 00:41:13 ID:OgLvI6IT
ほほうこれが噂の
おいかわらず情景描写がいいねぇ
2/2
「なあ、最近変だったけど……大丈夫か、オマエ」
「へ、変ってねえ! アンタに関係ないでしょ、バカ!」
駄目だ。どうしても意固地になってしまって素直になれない。
好きって言葉は喉元で止まってしまうのに、憎まれ口ばかりが口からスラスラでてしまう。
「バカってなあ……こっちはお前の事を心配してんだぞ」
距離にして1メートル。アイツはそこで止まって腕を組む。でも、私は横目でチラチラ見てるだけ。
「アンタに心配される筋合いなんてないの。さっさと忘れ物持って帰れば?」
「ああ、そうするよ」
不機嫌そうに呟いて、アイツは自分の机を漁ってなにやらを鞄にしまう。そして、私に大きな背中を向けて、その背中が小さくなっていく。
「ちょっと待って。――ちょっとだけ、話がある」
背中の小ささに耐えきれなくなって、私は必死の思いで言葉を投げた。
震えて上ずった声だけど、アイツは動きを止めた。止めてくれた。
「――迷惑かな、私がアンタの事、好きだっだら」
やっと言葉に出来た思いは、途切れ途切れで掠れていた。それでも、言葉に出来たのが嬉しくて、アイツの姿が滲んで見える。
「泣くなよ。泣かれたって困る」
「あ、うん……ゴメン。私ちょっとおかしいんだ、今」
「見りゃわかる。落ち着くまでここでないてろ」
頭を引かれて、胸元にどしんと押し付けられた。
汗ばんだアイツの匂いがして、髪をかきあげられて、目から堰を切ったように涙が溢れてきた。
「泣くだけ泣いたら、俺の返事も聞いてくれよな」
うん、うんと頷くけれど、タガが外れた感情は止まらずに、学ランにシミを作ってしまうほど泣いた。
ポンと頭に手を置かれるけど、それが嬉しくて、更に涙の量を増やす。
「クリーニング代が高くつくな」
「……バカ」
叩かれた憎まれ口に反応してしまい、私は胸から顔を離した。
「迷惑だったらな、ハンカチ変わりにさせねえよ」
苦い笑いの混じった顔が、西日に照らされて眩しく見える。
「ねぇ、ハッキリ言って。お願いだから」
「そうだな。お前の事好きだよ。真っ赤な目も、涙ぼくろも」
「涙ぼくろは余計だよ」
お互いに顔を見合わせて笑い、額をくっつけ合う。柔らかな額の感触が気持ち良い。
――やっと越えれたよ、幼なじみの壁。
了。
噂かどうかは知らないけれど投下終了。
ち、二番目だったか。悔しくないもんね!
あ、一応フィクションですのであしからず。
655 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 00:46:38 ID:OgLvI6IT
割り込んでしまったw
クリスマスらしいラブラブ話キター!
幼馴染からの脱却か
クリスマスとかバレンタインとかイベントで弾みをつけて告白する話はいいねぇ
いいなぁ
俺の書く女の子にはこんな魅力はないのぜー
657 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 00:52:26 ID:GJPvVNzE
二人の距離が詰まっただと
相変わらず細かい心理にも手を抜かないなぁ
・クリスマス 一歩分だけ 傍に寄り
・隣なる 君に涙を 見せる夕
と返句
ならば俺はこう詠む
学生服 竹馬は遠くなりにけり
660 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 01:15:00 ID:OgLvI6IT
661 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 01:15:23 ID:GJPvVNzE
キラキラしたアップテンポな曲ですねー
お題「鐘」で。1レス分。
----
私は鐘の音を聞く。
かつてこの鐘が、この鐘堂に据えられた時から、私は鐘の音を聞いている。
初めの音は、鐘堂が建てられたことそのものを祝うために鳴らされた。
鐘のための鐘の音。それは高らかに街に響いた。
それから鐘は、街に時を告げるために鳴らされた。朝、昼、そして晩……。
人々は鐘の音で時を知り、この街では鐘が時を刻んでいた。
時としてそれは、恋人たちを祝福するためにも鳴り響いた。
花々が、歓声が飛び交う鐘堂。その下にいる人々はみな幸せに溢れていた。
小高い丘に建てられた鐘堂には人々が集った。春の日、夏の日、秋の日、冬の日さえ。
彼らはここで談笑し、鐘が鳴ると食事に戻るのだった。
鐘は街を見ていた。
そこにある街を、そしてそこに住む人々を……。
やがて鐘は別れの時に鳴ることとなった。
戦いへ赴く人々は、鐘の音に見送られ、遠き異国の地へと旅立っていった。
あるときなどは軍人がやってきて、鐘を取り外そうとした。
街の人々は、総出で金物をかき集め、その代わりとして差し出した。
やがて鐘の音は、はじけるような炎の音にかき消されるようになっていった。
飛び来る鉄の鳥は街を焼き、人々は丘に集い、泣いた。
火が鐘堂を焼いても、鐘は鳴り続けた。
それは崩れゆく街への、死にゆく人々への、弔いのようだった。
いつしか、鐘堂に集う人もいなくなった。
鉄の鳥も、鉄の獣も、誰もいなくなった。街は死んだように静かだった。
それからしばらく、鐘は沈黙した。
あるとき、また、鐘が鳴った。
遠くに見えた光は、やがてその余波をこの地にまで届かせた。鐘は苦しげに鳴った。
それからまた、鐘は沈黙し、また、街も沈黙し続けた。
長い時が過ぎ、私は、人々がまた鐘を打ち鳴らすことは無いのだと悟った。
私は自らの手で鐘を鳴らした。
わずかな力だったが、鐘は鳴った。弱々しい音色ではあったが、それは鳴った……。
そして今日も鐘は鳴る。
鐘は風に吹かれ、風に揺られて鳴る。
かつてそこにあった街を、人々を想うように、寂しげな音色で。
私は鐘の音を聞く。
かつて共にそれを聞いた、よき人々を想いながら。
鐘は今日も静かに鳴るのだろう、誰のためでもなく……ただ、鳴るのだろう。
(了)
663 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 01:31:32 ID:OgLvI6IT
「私」は誰なんだろう
人間ではなさそうだけど鐘自身の意思でもないよね
664 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 01:31:49 ID:GJPvVNzE
こういうの好きだ……
飾らない、語らないストーリー。
「犯人はこの中にいる」
私が告げると、一同はざわめいた。
「そんな……何かの間違いでは?」
一人が反論する。
「いえ、残念ですが、たしかです」
やるせない気持ちになりながら、私は答えた。
「一体だれが……」
しばしの間、沈黙がその場を支配する。
私は静かに目を閉じ、すうっと呼吸をした。悲しい事件だが、真相は明らかにせねばなるまい。
「犯人は……あなただ」
そう言い放ち指さすと、『彼』の顔は真っ青になった。
「そんな……なぜ私が!」
狼狽し、必死に取り繕おうとするが、私には全てお見通しだ。
やがて彼は観念し、その場に崩れ落ちた。
「貴様ぁーっ!」
「なぜ、あんなことをした!」
「金目当てでやったのか!」
激昂した周囲の者たちが、彼に殴りかかろうとする。私はそれを制止した。
「お待ちなさい、彼を責めてはなりません」
私は知っている、彼の苦悩と葛藤を。そして、これから先も罪の重さに苛まれ、地獄の
苦しみを味わうことになるだろう。たしかに、彼の犯した罪は重い。それでも私は願う、
彼の心が救われることを。
しばらくすると、屈強な男たちがやってきた。
「コイツを捕らえ、牢にぶち込め!」
そう叫び、罪人の連行にかかる。私にできることはもはやない。残念だが、後のことは
国家権力に委ねるしかあるまい。
そして、刑が下される日がやってきた。
見守る観衆の中には、母親の姿もある。気丈に振る舞ってはいるが、目には涙を浮かべ
ている。当然のことだ、自分より先に息子に先立たれる……それ以上の不幸があるだろうか。哀しみは計り知れ
ない。
私の胸が痛んだ、私の選択は間違っていたのだろうか? だが、それでも私は信じたい、自分が為したことの
意味を。後の世の人々は、私の行為を理解してくれるだろうか。
そして、いよいよ刑が執行される瞬間が来た。私は静かに目を閉じ、神に祈る。迷いはない。
「この者は妄言を広め、世を惑わせた大罪人である! よって、これより磔刑に処す!」
ローマ総督ピラトの声が、乾いた風と共にゴルゴダの丘に響きわたった。
667 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 02:10:47 ID:OgLvI6IT
キリストかwww
668 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 02:18:31 ID:GJPvVNzE
いまひとつ「私」が誰だかワカラソ
聖書に準拠したわけではないのかな?
669 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 02:20:14 ID:OgLvI6IT
聖書だとバラバとイエス・キリストどちらを十字架にかけるかピラトが選ぶからねぇ
670 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 02:21:46 ID:GJPvVNzE
でもって手を洗うんだよね
「見よ、この人なり」か
そうなのか、知らんかったわ……
ユダかと思った。
同級生の男の子を好きになるだなんて、あたしもつまらない女になったもんだと思う。
「あぁ〜、なんか腹立つ!!」
とか吐き捨てながら、通学路のブロック塀を蹴り上げてみたりして。うん足が痛い。おまけに心が寒い。
あぁそこそこ気にいってる革靴に疵が。
からっ風に煽られて髪もちょっと口に入っちゃったし。
これってどうなのよ?
「これってどうなのよ!」
声に出すとなんと空々しいことか。
昔のあたしは、こうではなかった気がする。
なんていうかね、もっと夢があったんじゃないかな? お姫様とか憧れてたし。
足が棒みたいに細くてさ。ちっちゃい靴履いてるわけよ。たまにウインクなんかしてたりして。おめめのキラキラを誰よりも細かく書き込める自信もあったし。
あとはそう、もっと鋭さだってあった。
たったいまブロック蹴飛ばした直後のあたしが言うのもなんだけど、攻撃的で論理的で、ああなんでこいつらバカばっかりなんだろうって、いつもそう思ってたのに。
それがどうか?
あの強さの源であった爪と牙は失われ、人生に迷いもすれば恋もする。そんな体たらく。
認めよう。
なんたる弱さか。
「…………!!」
口の隙間から白い息が漏れるだけで、もはや声にもならない。
あたしが女だからなのか?
男の子を好きになっちゃったからなのか?
ああ! もうわけわかんない!
そもそもあたしは何で苛々してるのか?
それは決まってる。
いまは冬休み。
部活でもなきゃ、あたしも学校になんて用はない。
でも? なのに?
いつものバス停近くの駐輪場に、あの自転車が停めてあったんだから。
いつもの癖で、つい見つけちゃったんだから。
仕方が無いじゃないか。
「ん? よお、お前も部活か?」
「う、うん」
「ははぁ、休みでも顔出さなきゃいけないのが運動部の辛い所だよな」
「うん」
あぁもう。
あいつだけ、いつもの通りなのがムカつく。
……あ、靴の疵隠さなきゃ。
「でもまぁ、さすがに冬休み中はバスが空いてるのは救いだよな」
「うん」
なんだよあたし。
こんなエンカウント、何度も予習してたはずじゃん!
「しかし寒いよな」
「う、うん」
よみがえれ! 爪! 牙!
あとついでにお姫様!!
「あ、あのね?」
「ん?」
心の中で何度も復唱。
とりあえず今日のあたしは、これだけ言えれば上出来だ。
大丈夫、きっと大丈夫。
「どうかした?
「うん、あのね?」
「……メリー、クリスマス!」
―了―
674 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 13:01:48 ID:OgLvI6IT
告白するのかと思ったw
すごくイキイキしてて等身大な感じでいいなぁ
675 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 16:21:59 ID:GJPvVNzE
素晴らしいメリクリだな
“コンペイトウの憂鬱”
1/2
「なにこれ? コンペイトウ?」
クリスマス・イブに彼が持ってきたのは瓶入りのコンペイトウだ。
赤、青、黄色に緑と珍しい黒。彩りのコンペイトウが、ポケットに入るくらいに小さい瓶の中でキラキラ光っている。
「失礼な事を言うな。それは――ソロモンだ」
手にしようとした私の頭をパコンと叩いた彼の口調は不機嫌そうだ。
「ソロモンてナニさ。 コンペイトウっしょ、それ」
口を尖らせて反論するけど、彼にじいっと睨まれてしまう。
「オマエさぁ、今日が何の日だかわかってるのか?」
「何の日って……イブでしょ」
私の答えが気に入らないのか、彼は目をクワっと見開く。まるで、鬼みたいな表情だ。
「イブ? まさかクリスマス・イブか? 馬鹿を言え」
「じゃあ、何の日だって言うのさ」
彼は、不満顔な私を見ると肩を竦めて盛大に溜め息を吐いた。
「今日は、12月24日は……」
何故か感極まって涙ぐんだ彼は、むせび泣きながら座り込んでドンドンと床を殴りつける。
「――宇宙要塞ソロモン陥落の日、ドズル・ザビ閣下の命日だろうがぁ……」
なにがなんだか分からない私は、オイオイとすすり泣く彼に何一つ声を掛ける事が出来ず、背中を擦った。
「戦争は数なんですよ、ギレン総帥ーっ!」
悲痛な叫びに私も思わずホロリともらい泣きしてしまう。
「良い機体だけど、ビグ・ザムじゃいかんのですよ。ドムが12機もあれば……勝てたんですよ、ジオンは! 公国は!」
――ガツン。
だんだんと理解する事が出来た私は、叫ぶ彼の頭を思いっきり殴った。グーで。
「アンタ、私よりもアニメの方が大事なんかいっ!」
「アニメ言うな! ガンダムは名作だぞ? バーニィだって死んだんだぞ? 嘘だと言ってよ、バーニィィィィィッ!」
真っ赤に泣き腫らした目で見つめられると、この人は本当にガンダムが好きなんだぁと半分呆れ、半分感心してしまう。
純真なのか馬鹿なのか。
たとえ馬鹿だとしても、それを極めていると、ある意味凄いと思ってしまうから不思議だ。
「分かったから少しは落ち着きなよ」
私はなけなしの知識を総動員して、彼に話を合わそうと試みる。
踊るアホウに見るあほう、同じアホなら踊らにゃ損損、だ。
2/2
「えーとね、えーとね……確か……『いくら吹き飛ばされても……僕らはまた、花を植えるよ……きっと』だったっけ?」
思い出した名台詞(?)をしどろもどろに言うと、泣いていた彼が泣きやんだ。
良かった、良かったとあまり出っぱっていない胸を撫で下ろしたら、今度はうがーっと吠え始めた。
「種! よりによって種死すぺエディでしかもキラ! 謝れっ! アカハナにつ! 御大に謝れっ!」
火がついたように暴れ始めた彼は、訳のわからないことを怒鳴りつつ、頭から湯気を出しそうな勢いだ。
「え、ちょ、なんなの?」
「まだ言うかっ! 戦争はファッションじゃないんだっ! 星の屑で俺はお前と添い遂げるんだーっ!」
彼は抱きついてきて、私のミニマムな胸の谷間に涙と鼻水でべとべとの顔を埋めてワンワンと泣き始める。
「やめてよ! 汚れちゃうでしょぉ、服が!」
世間様はクリスマス・イブ。
街は世間の逆風に逆らってクリスマス一色。
普通のカップルはラブラブイチャイチャしてるのに、私は何をしているんだろう。
ダメダメな彼はダメダメ過ぎてほっとけないし、愛想は尽きずにドンドン湧いてくる。
「アニメじゃない、アニメじゃない、本当の事さ……」
泣きじゃくる彼の目は子供みたいで可愛いけれど。だけど、でも。
――私に一体どうしろと?
了。
以上、投下終了。
頭を空っぽにしてバカネタを書くのは楽しいですね。
色々と特定されそうで怖いですがw
679 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 16:58:07 ID:GJPvVNzE
特定はしないけれど実話かと疑った
星の屑で添い遂げたいよ
殴られたとき安易に「親父にも(ry」とか言わない時点でどうみても真性です。彼氏終わってるなwww……ハァ
遏・繧雁粋縺?縺ョ繧ェ繧ソ繧ォ繝?繝励Ν縺昴▲縺上j縺ァ繝上ご繝ッ繝ュ繧ケwww
縺昴s縺ェ繝繝。?ショ?シ・?シ・?シエ逕キ縺ッ荳蝗櫁ヲ区叛縺励※繧?繧翫c濶ッ縺?繧薙〒縺吶hw
知り合いのオタカップルそっくりでハゲワロスwww
そんなダメNEET男は一回見放してやりゃ良いんですよw
684 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 18:58:09 ID:OgLvI6IT
今回も面白かった!
やっぱ文章のテンポがよくてリズムが心地いいな
あとミニスカサンタの立ち絵が種類多くてよかった!
685 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/24(水) 19:39:31 ID:GJPvVNzE
おお、
こういうの気持よく読めるね
「そういえばよー、今日って何の日か知ってるかー?」
「えっ? えっ? なに!? そんな余裕ないんだけど!」
「世間じゃクリスマスイブらしいぜ?」
「えっ? あ? そうだね! そうだからもうやめてぇ!」
「イブだっていうのに俺たちは何をやってるんだか……」
「ちょ、この」
「ケーキの一つでも買ってくるべきだったかね……」
「いや! やめて!」
「しかしクリスマス便乗値上げだろうしなぁ」
「この! いい加減にしんさい!」
「よっと……。なんかこれじゃあいつもどおりだなぁ」
「この! そこ!」
「何も変わらないことはいいことなのかね」
「よしきた! 私の勝ちだぁ!」
「平穏平和に今年もこの日を迎えたことを喜ぶべきだな」
「あ、やめて、それは、だめえええ!!」
WIN の文字が輝く携帯機の画面から目を離し、隣の彼女を見る。
「ということで勝負がついたな」
彼女は鎧姿の男が映る携帯機をふとんに投げて、自身の身体を彼に投げる。
「また負けた! また負けたよ!」
悔しいのか彼の頭を殴る。彼は笑いながら携帯機をふとんに置くと、放ってあったコートを手に取る。
彼女はそれに倣い、自分のコートを引っつかむ。
「で、どこいくの?」
「コンビニ行くぞ」
もうすぐ夜中だけあって外は一段と冷えている。思わずポケットに手を突っ込む。
空には雲もなく、ホワイトクリスマスになることはなさそうだ。
「寒いねぇ」
「寒いのぉ」
そんなどうでもいいことを喋りながら冬の夜空の下、人気のない道を歩く。
どこかの家からは楽しそうな声が聞こえる。夜通しで騒ぐのだろうか。
「んっ」
彼女がポケットから手を出し、彼に差し出す。彼は何も言わず、それを握る。
今日はコンビニまで遠回りで行こう。彼はそんなことをふと思った。
これ以上は俺が死ぬので終わりです! 初投下だから何か失敗してたらスマン
クリスマス
今年も一人
DVD
689 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:46:10 ID:3laPCXZS
いっしょにこういう風に何気ない話が出来る彼と彼女っていいよね
690 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 00:49:08 ID:siK1fwmQ
「いい加減にしんさい」
コレ一度言われてみたい
なんでクリスマスってイブだけ祝って当日は何もしないん?
イブで果てたので、もう聖人モードなのです
>>691 イブの夜にプレゼントが渡されるというジャパネスクレギュレーションを
設けてしまった為、プレゼントを譲渡する日であるイブに本祭が
スライドしてしまったのではないかと愚考する。
>>691 文化祭は本番より準備などが楽しいように
本番とは、さほど重要ではないということかもしれません。
セックス以外は。
女的には準備などののほうが楽しいらしいよ、ってお下品です><
質問ターイム
01:どれの作者ですか?
02:今回の作品にかかった時間は?
03:ライバル視している人や作品なんかはありますか?
04:負けたorzと思った作品は?
01:どれの作者ですか?
クレヨン他多数。
02:今回の作品にかかった時間は?
忘れた。つーか覚えてられない。
03:ライバル視している人や作品なんかはありますか?
串の人は強敵。北斗の拳で例えるとラオウ。
04:負けたorzと思った作品は?
誰にも勝ててないけど『アタシ帰る』と
>>495には逆立ちしても勝てる気がしない。
698 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 22:12:13 ID:noGtWcyQ
01:どれの作者ですか?
>>648,
>>604 02:今回の作品にかかった時間は?
わからんけど、漢詩は30分前後、SSは一時間半
03:ライバル視している人や作品なんかはありますか?
誰かをライバルなんて恐れ多いやね
歌物語の中の和歌にハッとさせられたかな
04:負けたorzと思った作品は?
多すぎ!!!多分ほとんど全部
謙遜抜きで
一言あればどうぞ:
どうも皆さんお疲れ様でした
01:どれの作者ですか?
羊の絵と立体。
02:今回の作品にかかった時間は?
絵は1時間弱。立体は1時間強。
03:ライバル視している人や作品なんかはありますか?
他の全部。みんなすごいよね。
04:負けたorzと思った作品は?
全部勝てねえよ!
01:どれの作者ですか?
ミステリィとか。ィは重要
02:今回の作品にかかった時間は?
1〜2時間くらい? でも冒頭書いてから一晩放置してます
03:ライバル視している人や作品なんかはありますか?
ラブラブさん! 自分も恋愛物が書きたかったというのがそもそもの動機
何にも考えずに一行目書いたらああなったけどな!
04:負けたorzと思った作品は?
そうさくにかちまけなんてあるもんか!! ある…もんか…!(;ω;)
01:どれの作者ですか?
>>495、
>>527、
>>530 02:今回の作品にかかった時間は?
ひとつに30分〜一時間です。
03:ライバル視している人や作品なんかはありますか?
◆NN1orQGDusさん!
同じ携帯職人として負けてられないです。
そしてサウザー。
04:負けたorzと思った作品は?
クレヨン。
ノスタルジーセンサーがギュンギュン漲りまくりんぐ。
>>255とか
>>495みたいな直接的な切なさでしか書けないので、ノスタルジーを表現できる人はマジで尊敬しちゃいます。
羊くんの絵とふもっふ立体にもやられました。
そしてサウザー。
702 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 03:40:22 ID:ocaqsb8K
サウザーww
01:どれの作者ですか?
659
02:今回の作品にかかった時間は?
20日程度で未完成。元ファイル作成日時からだと6年wwww
03:ライバル視している人や作品なんかはありますか?
いない。皆の足元にも及ばない
04:負けたorzと思った作品は?
ない。強いて言うなら創発ろだに負けた気分w
>>691-693 昔は日没が一日の境目だった=日が沈んだら次の日が始まる
だから24日の夜は昔は25日だった
24日の夜に騒ぐの自体はその慣習がずっと続いているんじゃないかって話をきいた事がある
あとはクリスチャンだったら25日はミサに行くんじゃないのかな?
>>703 未完成とは言うけど冬っぽい雰囲気はあって、何よりちゃんと曲になってるから羨ましいわぁw
と、先月/先々月に曲(?)投下した人が言ってみます。さぁ、その調子で来月も(ry
しかしNN1さんは確かにサウザーですなw ウチも見習わんと…
707 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:13:24 ID:7aMJOqub
サウザーはマルチロワからの誤爆だよw
708 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:14:11 ID:7aMJOqub
間違えたマルチロワじゃなくて恋愛だ
誤爆らしいがサウザーは今期随一のインパクトだったwww
あぁぁ、サウザーってそっち(誤爆)かw
さて、そろそろ決まりそうなお題に目星をつけて創作開始するか。
…今年は時間に追われ過ぎた。来年はもっと時間が取れるといいな、創作的な意味で。
一月のお題はこちら! 末広がりの八題を自由に使ってね☆
『白』 『門』 『牛』 『日の出』
『こたつ』 『正月』 『海』 『はがき』
開始時刻は元日一月一日の0:00からだよっ!
新年初投下を狙いすぎて、レス被りでgdgdにならないようにねっw
712 :
【大吉】 【1395円】 :2009/01/01(木) 00:07:54 ID:H+/HZBgZ
さぁ開始なのれすよ!
ミノタウルスって知ってる?
「藪から棒だな、確か……なんかの神話の怪物、だろ?」
そう、ミノス王の息子。
彼はなんとなくの知識で答える。私は確固たる自信と裏付けで答える。
確固たる自信と裏付け=ソースはWIKI。
「それがどうしたんだよ」
先を促す彼は焦れる。
話を焦らす私は笑む。
笑む私、実はS。
愉しい……。
ミノス王は、海の王ポセイドンに白い雄牛を借りたんだって。
だけど、あんまり美しい牛だから、借りパクしちゃった。
そうしたら、ミノス王の御妃さま、白い雄牛に惚れちゃったんだ。
雌牛のキグルミを着て、白い雄牛と、ヤったの。
そうして生れた鬼子がミノタウルス。
「……神話ってなんか結構グロいな」
グロいかな。でも、私は好き。
「はは、お前変わってるよなぁ」
彼はにやにや笑みを浮かべて、夜の街へと門をくぐる。
「じゃ、俺仕事いって来るわ」
いってらっしゃい。
彼はホスト=そしてヒモ。
きっと帰ってくるのは、私が、正月の風物詩、面倒なハガキをコタツで数えて居る頃だ。
初日の出はクラブの帰りに、ラーメン屋で拝むのだろう。
彼は借りて来た綺麗な雄牛。
私は欲情する愚かな妃。
お腹の子が丑年にうまれる予定なのも、なんら不思議では無いのかもしれない。
彼にいつ話すべきか。
了
これで俺は隠しお題解禁ですか?w
スレストあげ
716 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 17:59:32 ID:hQ30LM1u
なんという無理やりwww
だがしかしたしかに全部入ってるな
空に雨の流星が翔け隣の犬がにゃーと鳴く頃、目が覚めた。
カーテンを開けると海のような青空に白い雲。新年の始まりである正月に相応しい天気だ。
門が乱暴に開く音が聞こえる。音はドアを開け、目の前の正体を現した。
「明けちゃったじゃん!」
「明けたねぇ」
「初日の出見忘れたよ!」
ああ、そういえばそんな約束もしていたな。
彼は笑いながら部屋のコタツにもぐりこむ。
「はい、はがき」
「ありがとね」
数枚の四角い紙にはどれも型に嵌めたような言葉が連なっている。
一枚だけ筆だと思しき物で力強く書かれたものがあったが残念なことに達筆すぎて読めない。
「あ、それ私が書いたの。うまいでしょー」
ほんのりと膨らんでいる胸を張る。サイズはきっとBかC。日本人はこのくらいがいい。
だが最近のばk……いや、日本人といえばおっぱい=巨乳と来たもんだ。全く腹が立つ。
あんな巨乳なんざアニメだとかゲームだとかで十分なのだ。最もそこでも必要はないと思うがね。
必要以上に脂肪の付いたものなど、肉風s……いや、牛の乳となんら変わりないのだ。
「ど、どうかしたの? 私の顔に何か付いてる?」
顔を赤くして目線を逸らす彼女。実に可愛らしい。彼はそう思う。
「何も付いてないよ。さてと、まずはミミズの解読を始めようか」
「ミミズ? ……ミミズだとぉ!」
彼の頭を殴る彼女。笑いながら受ける彼。
「あー、初詣も行かないとな。振袖着てこないのか?」
「面倒だもの」
いつものコートを手に取ると外へと出る。
シンとした空気が新年が来たことを教えてくれる。
「正月だねぇ」
彼はぽつりと呟いた。
>>713 なんとなく山本文緒とか絵國香織っぽいのがいい。もっと練ればかなりの良作になる気がする。
「この門を通ったからには、屍となるかこの私を倒すしか出るすべは無い。それは
知っているのだろう? 勇者よ」
「まあ、そうなんですけど……」
仲間を置いて単身その部屋に入った青年がぼやいた。城の最奥だけあって、
豪華な部屋である。光源は蝋燭のみ、床は赤絨毯。青年の引き締まった体つきと
いかにも上等な剣は彼を強く見せていたが、顔つきは「少年」ともいえそうな幼さを
残していた。戦闘ともなれば眼光鋭く魔物共を薙ぎ倒してきたものだが、今回ばかりは
ボスキャラを前に――げんなりしていた。
「俺、魔物退治は平和のためにやってるつもりだったんです」
「ほう?」
男は少し顔を伏せた。白に近い金の髪が、サラリと顔にかかる。魔物は面白がるように
相づちをうつ。
「日常を取り戻すんだ、って。だってそうでしょう? 今のこの有り様は、ねじ曲げられた
狂った世界なんだ」
海のように澄んだ碧眼に、影がよぎった。
「ある日いきなりこんな世界に放り込まれた。俺がじゃない、俺達みんながだ。突然
こんな外見になって、電化製品は姿を消して、なのに病院なんかは都合よく不自然に
変わりはなくて」
彼が話すのはまぎれもない真実であった。なんの前フリもなく、「魔王」と名乗る
超科学的な第三者に歪められた――この国の過去。
「『倒したら全て元に戻してやる』? じゃあ倒しますよ。RPGのキャラクターなんて
自分で本当になるもんじゃ無いんです」
「それがどうした。今さらそれを言うのか?」
魔物の巨体が、笑うように震えた。彼ら魔物を倒すには、弓、剣、棍棒などの原始的な武具と
魔法しか手はない。青年が超人的な体力と剣術を得て勇者となった日、この国からは
重火器が消え、一部の人々が手から火が出たりする能力に目覚めた。魔物を拉致して
研究しようと考えた者は多かったが、研究施設はことごとく魔王により封印されていた。
「だって今日、正月ですよ? こたつにみかんで、テレビ見ながら家族で年賀はがき来るの
待ってる日ですよ? それなのに、現実を見れば勇者が盗賊や魔法使いと旅に出て、
踊り子が酒場で踊って、王様が城で困っている。なんだよ『王様』って、ここ
日本だろ!?……こんな世界は間違っている。ゲーム脳だかゆとり世代だかの俺らですら、
心底そう感じている。――そのつもりでした」
王様は、かつてはとある中小企業の副社長だったらしいと噂に聞く。
マスメディアの大抵が無い今はそれが精一杯だ。勇者は苦笑とも自嘲ともつかない笑みに
顔を歪める。
「映画に出てきそうな虫みたいなクリーチャーの群れを殲滅した時も、俺の身長よりも
ずっとデカいバケモノを殴り飛ばした時も、初めて生で見たドラゴンの首を断ち切って
やった時も。楽しんでなんかない、強さに溺れても、『勇者』に酔いしれてもいない、
つもりでした」
勇者は笑う。目の前の魔物を見据えて。
「違いますね、俺。かっこいい自分が好きで、それがモチベーションだったんだなあ」
ゆっくりと剣を構える。この程度のダンジョンなら何度も攻略してきた。やる気が
なくても恐らくは一撃で決着はつくだろう。だからこそ勇者は自分を鼓舞するでもなく、
哀れな化け物に本心を吐露する。
「倒すんなら、格好よくて強そうな、ゲームとか映画みたいなクリーチャーがいいです。
だから今ものッすごい萎えてるんですけど、勇者として、まあ、やることはやりますね」
勇者は小さく息を吸った。その呼吸を察知し、魔物は神経を尖らせ、じりっと蹄を
持ち上げる。
「――ぅおりゃあッ!」
一閃。剣がその身を煌めかせ、魔物に襲い掛かる。勝負は呆気なくついた。勇者の一撃は
易々と皮を破り肉を絶ち、骨すらも分かつ。魔物は自分の死に気づいているのだろうか、
文字通り一刀両断にされ、断面から鮮血を噴き出す。半身がドサ、ドサ、と落ちた。
四肢を痙攣させ、光を失った瞳が虚空をうつす。
「はぁ……」
剣を空中で振る。買ったばかりの傘のように血糊や油は弾かれ、輝きを取り戻した。
それを鞘に収め、勇者はガラガラと壁の崩れる音を聞く。退路だ。いつのまに日の出の
時刻を迎えていたのだろう、現れた廊下の窓から差し込む光がまぶしい。勇者はパーティーと
合流するために歩き出した。部屋を出る前に、ちらりと魔物をかえりみて、再びため息をつくと
歩を進める。
残されたのは、乳牛と見た目は何一つ変わらない魔物の死体だけだった。四つ足で
白と黒の、ちいさな角の。
終わり。
使用お題:白、門、牛、日の出、こたつ、正月、海、はがき
スペシャルサンクス:OT
よし隠し解禁。
ミスった…スペシャルサンクスの意味がわかんないじゃんorz
ええと、タイトルは「ときめきファンタジーV」のつもりでした。
722 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 08:35:18 ID:OesV9DHC
これは面白い!GJ!
こういう話大好きだ
なるほど……。良作ですな。世界が変わった直後の主人公の様子も見たかったたた。
最後のオチのとこ、なんかぽつんとしててかわいいな。
乳牛と話してると思うと会話のシーンが笑える
『この門、開けるべからず』
まったく困ったものだ。開けるなと言われたら開けたくなるのが人情だ。俺の場合、特
にその傾向が強いらしい。昔から『やるな』と言われると、ついついやってしまい、痛い
目に遭っている。
門に書かれた警告文を見るたび、開けたくて開けたくてたまらなくなる。しかし、そん
なことはできないのだ。
重く分厚い鋼鉄製の扉の前で、ひとりため息をつく。いつものことだ。
今頃、門の向こうはどうなっているのだろう?
暇さえあれば、そんなことを考える。外の様子を知る手だてはない、そのことが余計に
想像心をかき立てる。花畑が広がる楽園だろうか? いや、おそらくは地獄が広がってい
るに違いない。放射能にまみれ、荒れ果てた大地が……
今から五年前、世界中を巻き込んだ核戦争が起こった。
一発の核ミサイルが発射されたのを皮切りに、連鎖的に報復攻撃が始まり、あっと言う
間に世界中が焼き尽くされた。軍人だった俺と少数の者たちは、この地下施設にいたおか
げで、たまたま難を逃れることが出来た。他にも生き残った人類がいるかもしれないが、
通信、交通手段が途絶えた今となっては知る由もない。
この施設は外界とは完全に隔絶されている、放射能の心配はない。地熱エネルギーで装
置を動かし、食料生産から水・空気の循環まで、必要なことはすべてまかなえる。
ここは、人類最後の生き残りが乗る箱舟なのかもしれない。
しかし、そんな生活を続けた俺たちの体は、次第に弱っていった。やはり人は大地に立
ち、陽の光を浴びなければ生きていけないのだろう。仲間は一人、また一人と死に、俺が
最後の生き残りというわけだ。
そして、俺の体にもついにガタが出始めた。おそらく長くはないだろう。
俺は決心した、門の外に出よう。どうせ死ぬなら大地の上で死にたい。それが人間らし
い死に方というものだ。
制御装置にコードを打ち込みロックを解除する。これで出られる。重い足を引きずりな
がら、門の前にゆき、開門スイッチを入れた。
だが扉が開くその瞬間、緊張の糸が切れたのか全身の力が抜け、俺はその場に倒れてし
まった。目の前が暗くなり、意識が薄れる。
残念だ……死ぬ前に、一目でいいから外の世界を見たかった。まあ天罰だろうな。何し
ろ、世界がこんなことになったのは全て俺の責任なのだ。
『このボタン、押すべからず』
核ミサイルの発射係だった俺は、誘惑に負けボタンを……
うまい!
よくできたショートショートと言う感じ
カフカの掟の門を意識してるんだろうか
“嵐の中で輝いて”
1/2
お正月も三が日の最終日だと言うのに、彼は浮かない顔だ。
お雑煮代わりのお汁粉が駄目だったのかな、と思ってしまう。
「ねえ、やっぱりお雑煮の方が良かった?」
「……いや、別に?」
素っ気ない返事がちょっとイラつくけれども、暗い表情が気になって仕方ない。
「ねえ、どうかしたの? 元気ないよ。気分転換に何処か遊びに行かない?」
彼の目をじぃっと覗き込けれど、濁った瞳は私の姿を映さない。
「……ちょっと静かにしてくれないか。今日はそんな気分じゃないんだ」
ボソボソと呟く声には、張りがなくて、まるでカトンボみたいだ。
「でもさあ、心配だよ。じゃあさ、ビデオでも見る? 勧められたから撮っておいたんだよ、ガンダム」
少々オタク気質のある彼が布教に近い感じで勧めて来たガンダムを見れば彼の機嫌も良くなるかな、とビデオをセットした。
テレビの画面にロボットが出てきて、うにゃうにゃびゅんびゅんと、パキューンパキューンと光線銃を撃ち合って戦い始めた。
「ねえ、スゴいよね。武力介入だってさ」
「……違う! こんなのじゃ駄目だ!」
突然、彼はクワッと眼を大きく見開くと、コタツの上に飛び乗る。
「ちょ、ちょっと! やめてよね! コタツが壊れる……じゃない?」
我が家唯一の暖房器具が壊されたら地獄だ。彼を怒鳴りつけて睨むけど、彼の勢いに気圧された。
なんと言えば良いのやら、湯気が出そうな勢いだ。
「“やめてよね”じゃない! オマエ、今日が何の日かわかってるのか? 卑怯なジオンがブリティッシュ作戦でアイランド・イフィッシュは毒ガスだぞ? 保志は関係ないんだ、星なんだ!」
呆気にとられてしまった私をビシッと指差して、彼は更に続ける。
「シロウは目の前で家族が血を吐いて死ぬんだぞ? 最初に殺したのは味方なんだぞ? ナダさんは薬物で身体ボロボロで頭飛ばされても前に進んだんだぞ?」
テンションが上がり過ぎたのか、うおぉ、と叫んで怒りながら泣き始める。
「ね、ねえ。指差さないでちょっと落ち着こうよ、ね?」
「ザク相手に生身だぞ? 絶望的なんだぞ? どんどん死んでくんだぞ? 遺体すら残らないで血煙だぞ? オマエはなんとも思わないのか?」
2/2
コタツの上で咽び泣く彼の言葉は物悲しい響きだ。もらい泣きはしないけれども、別の意味で泣けてきた。
「え、えーと……ザク? 確か……ルナマリアじゃなくて……シャア……だっけ?」 記憶の片隅にから僅かばかりの知識をインディ・ジョーンズばりに発掘したけど、やっぱりそれは地雷だった。
せめて吉村先生にしておけば、と思ったけれども、時すでに遅しだ。
ギラギラと眼を輝かせた彼が、奇声と共に私の胸に飛び込んできた。
「違う! オマエは種厨か? それともジオンなのか? 戦争はポケットの中で俺はオマエと添い遂げる!」
「や、やめてよ! 服が汚れるじゃない!」
折角おめかししたのに、おニューの服が涙と鼻水と涎で汚される。
それだけじゃない。のし掛かられたから絵的にかなりヤバイ。危険信号が点滅する。
でも、こういうのも悪くないな、と思ったら、彼が急に真顔になった。
「……オマエ、結構小さいんだな」
何が? 胸が?
その言葉が私から理性と人間性を奪った。
「余計なお世話! 歯を食い縛れっ!」
握り締めた左拳が彼の顔面を捉える。
大袈裟に吹っ飛びながら彼はニヤリと笑う。どうかなってしまったのだろうか。
「これが若さ……じゃない! ここは“親父にも……”だろ! 俺は駄目だ! ガンダムになれない!」
訳の解らない事を叫びながら、彼は床に頭をガンガンと打ち付ける様に土下座しはじめた。
打ち所が悪かった……と言うよりは、浅かったのかも知れない。呆れて出るのはため息ばかり。
「レビル将軍、ゴップ閣下! 申し訳ありません! ジオンに兵無しです!」
なんなのこのシュールな光景。いったい私にどうしろと?
了。
731 :
一月お題・正月 ◆NN1orQGDus :2009/01/06(火) 09:51:58 ID:4JWvVKhY
投下終了。
自分でもなにがなんだか解らない……
732 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 10:33:04 ID:d1hEBaS+
ガノタかくあるべし、だな
733 :
[―{}@{}@{}-] 1月「問い起せども創発の」 ◆LV2BMtMVK6 :2009/01/06(火) 13:09:18 ID:d1hEBaS+
この歳になって、わたくしにも欲が出てきたように思う。
我が事を思うとは面妖な謂いだが、はっきりと意識されたのはごく最近のことではあるのだ。
欲と一言に云ったが、欲と言っても物欲の類いではない。金銭は不浄にあらず、
富貴は汚物にあらず、財貨は塵芥にあらざれど、不自由なき程あれば求めるにや及ぶ。
所有欲や色欲は元より身の枷、望んで追うに値せず、人らしく生きる妨げに過ぎぬ。
貴方は欲に引き回されて生きてはいまいか。いや、これは失敬、生き方は自由。
だが、覚えておいて頂いていつの日か何かの助けになるなら重畳。
わたくし愚考を幾重か重ねて上の如き思いに至るは閑話休題。
さて、欲に話は戻る。その欲が何であるとはっきり明言する事は出来ないのだが、兎も角は欲である。
恐らくはひとつの体験がその思いを強めたものらしい。
少しく時間を頂こう。
わたくしがこの田舎へ移って来てから数週が過ぎた。この辺りは大分鄙びた町である。
その鄙びた町の、これまた外壁の白漆喰がくたびれたような古旅館に逗留して居る。
もっとも、この町も往時は大分栄えたらしく、旅館の玄関にも名士たちの白黒写真が掲げてあった。
なんでもその昔には皇太子の御幸も賜ったところらしい。
これと云ってすることもなし、暇には事欠かない。
不思議なもので、忙しくしていた時分にはそれこそ次から次へ、
しなくてはならない荷物の山を背負って心臓破りの坂を登るようであったものが、
いざ時間に余裕ができるとなると、存外に手持ち無沙汰である。
朝夕毎に行水を遣う。ここらは温泉が出るのだ。山ひとつ越えると硫黄泉があるのだが、
こちらは単純アルカリ泉というらしい。
わたし個人についていえば、ここの湯のぬるぬるとした心持ちの感触がなかなかに気に入って居る。
この間聞いたところによれば、珪酸がぬるぬるの正体であるという。要は石英と云うか、
硝子のまろい微粒子であるのだろう。
まあ、なにかにつけて良いところである 。人々の顔にも、日向の蜜柑かごのような温かみがある。
暇だと言ってもそうもてあますこともなく、日中は文机に向かい由なき事をつづり、
陽が落ちれば床につく。飽けば短冊を持って辺りを歩く。自分では別段これと言ってすることもないが、
辺りをずっと歩くのは心地よいものではある。海岸に歩を進め、山に登る。こうして詠んだ句が二十あまりになった。
田舎の漁村ではあるが、人の心に訴える何かがあるものらしい。
来月で二十歳になる。成人というのはどんな感慨を持つのかしらん。
自分は半隠居のような日々を送る十九歳である。この間女将に成人するということを告げたら、面白い事を聞かされた。
「それなら、海志の門をくぐられるといい、昔からの習わしで」
門のようになっている海蝕洞のことらしい。新成人が海中を歩いてその門を通る習わしなのだという。
誕生日の前日、夜半過ぎに旅館の勝手を出た。その場所で日の出を見るつもりであった。日の出が美しいと聞いていたのだ。
五時間歩いて、その場所を見下ろす高台に着いた。満天の星空である。宿を出たときには頭上にあった、
細い月が暮れかかるころで、明けの明星がひときわ明るい。細かくちりばめられた星屑がはっきりと見えた。
夜の空はあまりにも近く見えて、星に触れる事さえ出来そうに思えた。天球は銀蒔絵の螺鈿細工と見まごうばかり、正真の「星空」である。
海面に星々が映って、波に揺れる。
このとき、自分のうちに一つの感情が生まれたのだった。すなわち、欲。
それは生きたいというのでもなく、物を得たいというのでもなく、むしろ体験したいというものであった。
心を揺り動かさずにはおかぬこの光景を、あるいは自然界の壮大なる神秘を、あるいは人間の心映えの美しさ、手の技の巧緻を。
魂を震わす感動を得たいと願ったのである。
やがて、漆黒の世界の上半分が切り取られるように薄くなり、突如として水平線に光の直線が現れる。
日の出だ。太陽がちらりと現れ、朝の刃先のような光の中に世界の輪郭がふちどられていく。海中に鋭い影がくっきりと浮かび上がる。
古代ギリシャの海上神殿のごとき、柱状節理の海蝕洞。海が空と交わるところはいよいよそのコントラストを深めてゆき、遠く藍の光と青の輝きが交錯する。
もはや、太陽は完全に姿を現していた。海志の門の日の出である。
海猫が鳴いた。
いま、その門へと、一歩を、踏み出す――
734 :
[―{}@{}@{}-] ◆LV2BMtMVK6 :2009/01/06(火) 13:19:44 ID:d1hEBaS+
忘れてた、投下終了
自分で決めたルールを忘れちゃしめえだな
735 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 14:55:21 ID:7332b/4S
>>726 まさにショートショートって感じ
オチが秀逸だ
>>730 ちょwwいったいどうしちゃったのwww
>>733 古き良き作品、って感じだなー
736 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 15:27:58 ID:C0I4CfZH
残り八日age
737 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 13:06:48 ID:cr205bdf
まだだ……まだ終わらないッ!
738 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 13:51:32 ID:Hz9Pg4Be
>>736 典型的なオナニー作家ですね……もうちょっとマシなもの書くと思ってたんですが……。
表面だけ立派で、中身はない、読みにくい、つまらない………………単なる自己満になってますよ。
739 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 21:18:37 ID:csGm+sY6
誤爆?
足をからめて ぬくぬく男女 コタツの脚が 憎憎し (こたつ)
路肩の雪見て 君がつぶやく 空にも除雪車 こないかな (白)
恋愛お守り ご利益あるよと 巫女のあなたに 手渡され (神社)
どうせ神社に 願かけるなら 巫女のあなたに かけたいな (白)
素人の勢い創作でした。
訂正、3つめのお題は「正月」で。
742 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 02:08:21 ID:7dhMJQ/a
恋愛系都々逸ktkr
7775のリズムってどうなのかしらん、
今度書いてみようっと
おお! 都都逸とは盲点だったぜ!
巫女愛に溢れてるなww思わず自分も書いてみたくなる
これがアリなら 詩吟もいける! 挑戦しようか エロ詩吟
詩吟か
エロは余計だが詩吟となると録音うpが必要かな
>>740見て都々逸は可能性が広そうだなあと思ったよ
俳句の不可侵ルールが季語なら
都都逸の不可侵ルールは恋愛らしいぜ
次は五言絶句に挑戦だぜ!
746 :
1月、『正月哀歌』:2009/01/16(金) 04:17:05 ID:B97yGx9+
都々逸は面白そうだな、俺もやってみよう
(お題:門、海、はがき、白、こたつ、牛、日の出、)
なんと立派な門松飾り オイラのモノとつい比べ
海で見初めた我が女房は 今じゃ怒れる山の神
カミさん怖いが捨てるは惜しし キャバ嬢からの年賀はがき
白いお餅に吸いつくあの子 オイラも吸いたい餅肌を
寒い寒いとぬくもり求め コタツの中で姫はじめ
牛チチ娘と乳繰り合えば ブタ鼻女房に蹴飛ばされ
玄関先から日の出を拝む 頼む許して開けとくれ
わろた
明るいエロだなーw
これは良いエロ都都逸w
古典復古はじまったな
749 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 20:24:21 ID:YzSPJVlJ
都々逸とは予想外
三味線つかってぜひ唄ってみてほしーなー
お題が一つでも、逆にたくさんありすぎても書く気が起こらないんだな
一つだとネタに詰まるし、ありすぎると焦点が定まらない
創作の真髄が垣間見えた気がする
ピンと来た奴だけに絞って書けばいいじゃない
枠が広すぎると優柔不断ちゃんは困ってしまうんです
お題があるなら、全部つかいたくなるもんだしな
やはり三つくらいが丁度いいか
締切日age
755 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 00:14:59 ID:PiqvQ/KH
上がってないぞwww
756 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 00:15:10 ID:4Fw9l0cT
sage
『あなたにしかできない仕事、あります』
仕事無し、彼女も無し、ついでにしばらくの予定も無い俺にそのハガキが届いたのは大晦日のことだった。
冷蔵庫から取り出した牛乳片手に、派手な色でゴチャゴチャと書かれた文字を目で追う。
どう考えても胡散臭い。
誰がこんなもの送ってくるんだろう、そう思いながらこたつに潜り込もうとした俺は文字通り跳びあがった。
こたつが、掘りごたつになっていた。
しかも足を入れる窪んだ部分に違和感を覚え、布団を捲った俺はそのまま固まった。
──そこには海が広がっていた。
「ええぇぇぇえええ!?」
思わず言葉をもらした俺に、今度はどこかから声がかかる。
「遅れてすみません。あなたをお迎えにあがりました」
たかだか二十数年の短い人生だが、これほど驚く出来事があっただろうか。
俺はその声の主をまじまじと見た。
相手は全く動じない様子で続ける。
「早速仕事の説明をしたいのです。私と一緒に来ていただけますか」
「…………な、なんで」
「あなたが選ばれた人間だからです」
全く訳がわからなかったが、海にうかんだまま話しかけるそいつの話によると
その仕事は俺にこそふさわしい仕事なのだという。
決断は今日中にしなければいけないとも。
俺がそいつについて行く事にしたのは、単なる気まぐれだったのか、
『俺にしかできない』というのが思いのほか嬉しかったのか。
とにかく、俺はその仕事の説明を受けるべく、どこからどう見ても牛の姿をしたそいつの背に跨った。
俺を乗せた牛はそのまま沈んでいき、海の中を泳ぎだした。
牛を助けた覚えの無い俺でも、おとぎ話と同じように、水の中でも息はできるようだ。
何も言わない牛に『選ばれた人間』とはどういうことかと問いかけると、条件をクリアしているとの答えが返ってきた。
「条件?」
「ええ。あなたは毎日私からでる白い液体を美味しそうに……」
「はぁ!? ……ああ、牛乳のことか……」
「つまり、その量が見事基準値を越えているのです。私どもの命を大切にしてくださっているのと同じこと」
牛乳を毎日飲んでいることが採用条件なのか?
納得できないまましばらく行くと、やがてやたらと大きくきらびやかな門に辿り着いた。
そこをくぐると、今度は城としか形容できない建物が現れ、俺はそこで下ろされた。
二本足で立つ牛たちに案内され、その城の中へ足を踏み入れると、そこはまるで竜宮城のような世界だった。
豪華な食事、旨い酒、美牛たちの舞い踊り……
当初の目的を忘れてしまいそうなほど、そこは夢のような空間だった。
辺りを見渡すと、俺のような客人がそこここでもてなしを受けている。
誰も彼も、仕事の説明を受けに来たようには見えない。
「なあ、ちょっと」
「はい、なんでしょう」
分厚いステーキを運んできた牛を捕まえて問いかける。
「面接とか説明とか……どうなってるんだ?」
「ご心配には及びません。ここにいらした時点で合格のようなものなのです。間もなく始まる仕事の為にも
皆様には精をつけていただきませんと。さあ、どんどんお召し上がりください」
にっこりと微笑んで立ち去った牛を見送り、そういうことなのかと納得して俺は新たな料理へと手を伸ばした。
やがて俺は満腹感からか、他の人間たちと同じようにいつの間にか眠りに落ちていたのだった。
「準備が整いました」
「ご苦労だった。人数は集まったか?」
「はい。ここ数年は人材が有り余っています故、頭数を揃えるのは容易いことでございます」
先ほどまで賑わっていた宴の会場は、今はすっかり静まり返っている。
あの後も次々と人間が連れてこられ、その度に料理や酒が運ばれた。
部屋はすでに片付けられ、連れて来られた人間たちが倒れて積み重なっている。
「人数を集めるのに苦労せんと言うのも、悲しいことじゃなあ……」
「仕方のないことです。そういう時代なのです」
部屋の中央に置かれた大きな椅子に腰掛けた老体は、立ち上がってひとつ大きくため息をついた。
「それじゃあ、始めるかの。時間に間に合わせねばな」
そう言うと彼は人間の山に手をかざし、何かを唱え始めた。
周りの牛たちも倣って手をかざす。
やがて、倒れた人間一人一人から白く輝く玉のようなものが浮かび上がり、用意された円形の籠に収められていった。
次々と浮かび上がる玉の数が次第に減っていき、全ての人間から出尽くしたと思われたのを確認した後、老人は牛たちに声をかけた。
「時間になったら打ち上げてくれ。時間を間違えんようにな」
口々に返事をして、牛たちは籠を何処かへ運んでいった。
「……今年もやってしまった」
「仕方ありません。今はこれしか方法が無いのです」
肩を落とす老人に、付き従っていた牛が言う。
「新年に日が昇らなければ、人間たちは希望を失うでしょう。仕事も無く、頼られる相手もいないものの魂を使うしかないのです」
「いくら太陽を再び輝かせるためとはいえ、人の命を使うなどと……わたしは……」
「先代の神が考え出したこの方法しか今は無いのです。来年になれば、寅たちが何か別の方法を思いつくかもしれません」
「…………」
「顔を上げてください、ほら、日の出です。新しい年が始まります」
すっとその場を離れた牛が、窓を開け放った。
言葉無く見つめる上空に、牛たちが命を吹き込んだ今年最初の太陽がゆっくりと昇り始めた。
以上、投下終了。
一応お題詰め込んでみました。
俺も打ち上げられる側の人間みたいだな……
何か無性に悲しくなってきたぜ
762 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 02:27:34 ID:4Fw9l0cT
そんな方法で俺たちは毎年……
来年は自分の番かなあ
お日様がくれた命だ、お日様に返すのは道理ってもんよ
764 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 02:54:06 ID:4Fw9l0cT
そう聞くといかにも道理だという気持ちになる
悪いが、俺の命は娘に捧げるって決めてるんだ
投下します。
使用お題:白、牛、正月、日の出
全2レス。
県内のとある神社は御神体が牛なんだそうだ。それで、干支にちなんで今年の三ヶ日は近所の牧場から
牛を借り、境内に繋いでいるらしい。しかも突然変異で白いんだとか。
朝のニュースのその紹介に、ぼくは「あ、近くだ」くらいしか思わなかったけれど、ゆずかは違った。
地名のテロップに喜んで、行きたいとぼくを誘った。せっかく有給をかき集めたのなら、正月くらい
ゆっくり休めばいいのにと思う。年上の恋人はあまりぼくに甘えない。除夜の鐘を聞いてわくわくして
初日の出にわくわくして、そうしたら初詣。楽しそうなゆずかは好きだ。でも、そのせいでぼくは
この間の電話のことを訊けないでいる。慰めることも、何も。
朝とも昼ともつかない時間帯のせいか、乗り換え時間は四十分もあった。ホームに並べられた椅子は
空いていて、ゆずかとぼくで隣り合って座っている。日向の光を浴びた冬の風がときおり通りすぎる。
ゆずかは静かだった。目的地に着く前だけど、しゃべり疲れたのかも知れない。
「三番線は折り返し運転となります、すぐにはご乗車にならないでお待ち下さい」
「八番線、車内保温のためドアが手動となっております」
絶え間ないアナウンスに、行き交う電車。賑やかでのんびりしている。ぼんやりしているとどうしたって
思い出すのはあの電話だった。年末年始休めるからバイトいれないでね、声は震えていてゆずかじゃ
ないみたいで、でも確かに愛しい人の声で。ぼくは反射的に、うんわかった、とか、そんなことを
答えただけだった。だから、ゆずかの涙は見たことがない。
「……っ、しょっと」
不意に耳元で声がした。横目で見れば、ゆずかと反対の隣に若い男が腰かけるところだった。
手に子供用のリュックを握っている。男が来た方向、ホームに下りる階段の方を見たら、小さな男の子が
やって来た。歩いているような走っているような動きはぼくの目にも危なっかしくて、男が
腰を浮かしたのと同時に子供はつまずいて転んでしまう。コンクリートがべちりと鳴った。
男が駆け寄り、しゃがんで顔を覗き込む。
「大丈夫、痛くない? ちょっと見せて、血が出てたら……」
彼はあたふたと手を差し出したり引っ込めたりしている。その目の前で、子供はひとりでよいしょと
立ち上がり、顔を上げたようだった。男の背中であまり見えない。
「平気か、膝はどうだ? ……あー、痛い痛い。バンソーコー出すから、ちょっと待っててね」
男がこちらに歩いてきて、ぼくは慌てて目をそらす。それから、気づかれないようそっと視線を戻す。
子供は、ぎゅうっと眉を寄せて、口をこれでもかとへの字に曲げて、つぶらな瞳を潤ませてどこかを
睨んでいた。小さな体の全てで、涙を押さえ込んでいるように見えた。
「……うし、泣くなあ、バンソーコーはったぞう。ほら、大丈夫だ、ん」
男は、子供の髪をくしゃくしゃと混ぜる。
「あのね、約束したから、泣かないよ」
幼い声がした。その高さからか、いかにも子供のはばかりのない声量のためか、妙にりんと、言葉は強く響く。
「約束? 誰と」
「パパ」
男の手が止まった。こちらに背を向けたまま、地面に置いたリュックを拾う。ファスナーをしめる
チリチリという音に紛れて、「そうかあ」と呟きが聞こえた。
ぼくの隣に、どさりと深く座りこむ。子供も横に座ったようだ。
彼らと反対の肩に何かがぶつかった。ゆずか。いつのまにか、眠ってしまったらしい。前髪がさらりと
顔にかかって、彼女の顔を隠す。ぼくには柔らかな重みがかかる。
「ねー、牛、いるかな?」
「ん?」
不意に、屈託のない声が聞こえた。
「牛ね、知ってるよ、おっきいんだよ。鳴くかな、ね、白いのもモォーって鳴くの?」
「んー? どうだろうね。行ったら神主さんに聞こっか」
男が答える。
「かんぬしィ? かんぬしじゃーわかんないよ。知ってるのは、牧場の人」
「牧場の人?」
「後はねえ、うしやさん」
その時、あたりの空気を巻き上げ目の前を電車が通った。二両編成は減速し、ずいぶんと奥のほうで止まる。
時計と電光掲示板を確認した。目当ての電車みたいだ。
「あれ、電車あっちか」
「あれに乗るの?」
「そうだよ」
ぼくは反対の隣に意識を向ける。肩のぬくもりと重みは心地よかったのだけれど。
「ゆずか。ゆずか、電車来たよ」
「……、んー」
軽く揺さぶったら、疎ましがるように首を横に振られる。それから、ゆっくりと開かれた瞳がぼくを映す。
「白い牛、見に行くんでしょ。乗り換えの電車来たから乗ろう」
「ん……牛? 電車、えっと……あっそっか、わあ、あたし寝ちゃった」
「徹夜だったからね」
ぼくは立ち上がり、電車の方へと歩き出す。ゆずかもそれに続く。肩ごしに確認したら彼女と目が合って、
微笑みを向けられた。
「優しいね」
「ん?」
歩みを早め、ぼくに並ぶ。
「……って、思ってたの。去年も今年も、あたしが我が儘いってばっかりだったのにね。電話のこととか、
訊いてこないし」
「あぁ」
「甘えてばっかりだなぁ……」
独り言みたいなそれは、ぼくには意外で。このくらいの我が儘だったら構わないよとか、電話のことは
気になっているんだけどとか、言いたいことがうまく纏まらない。
「もう、自分で言っちゃう。仕事でちょっと……厳しいこと言われちゃって。へこんでたんだ。でももう
大丈夫」
彼女の笑顔は綺麗だ、と思った。纏まらなくていいのかもしれない、こんなぼくが、ゆずかに良いのなら
それでいい。今もまた、咄嗟に気の聞いた返事はできなかった。なんとなくの曖昧な相づちを、ゆずかは
当たり前の顔で受けとめる。
前方で、さっきの子供が背伸びをして自販機でペットボトルを買っていた。追いついて、そこでまた
会話の断片が飛び込む。
「お茶どうする? 俺が持っとこうか」
「お茶……ねえ、かたぐるまして!」
「かたぐるま? もうすぐ電車乗るよ」
「電車までっ。りょーたのかたぐるまがいい」
「俺?」
「もーっ他に誰がいるのよ、あなたでしょ?」
子供は茶化すみたいにそう言って、そして笑った。ふふふと声をもらして、男の足にしがみつく。
そのまま半分ぶら下がるようにして、男の足を軸に回る。すれ違うぼくとぶつかりそうになって、
男が「すみません」と謝った。
「ごめんなさあい」
子供が続く。ぼくはいえいえ、みたいなことを言いながら彼らを追い越した。背中の方から、よっ、と
力を込める声がする。笑い声はいっそう大きくなる。
「ねー今さ、牛とさ、どっちが高いかな?」
「うーん、どっちだと思う?」
「牛……あーでも、りょーたもおっきいからなあ、うーん、わっからないぞー?」
ふざけているように、真面目なように子供はまくし立て、そして笑う。楽しそうな様子は、男がときどき
揺らしたりしているらしい。
「あの親子も、おんなじトコに初詣行くのかな」
「え?」
「牛の話してる」
「あー。さっき、『白い牛』っていってたしね。たぶん、そうだと思うな」
電車の中はは予想外に賑やかだった。もう座席がほとんど埋まっている。ぼくたちは入った向かい側の
ドアに隣り合って立つ。すっかり目を覚ましたゆずかはしきりにぼくに話しかける。白い牛が楽しみだと
いうこと。初詣でお願いすること。くじびきをしようという約束。まだまだ続く正月休み。
雑踏にあの二人がいたような気がして、すぐに見失った。
しばらくしてドアは閉まる。電車は走り出す。ゆずかは早くもデジカメを取り出していて、興奮を
抑えられないといった様子だった。つられてぼくも笑う。
車内は人々の浮かれたざわめきに溢れていて、単調なアナウンスを掻き消していた。
終わり。
768 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 15:55:17 ID:4Fw9l0cT
電車がホームに滑りこんでくるところの効果が凄まじい
引き込まれてたからなのだろうな
背景描写がするりと入ってきていいssだなあ、って思いました
こういう文章も書きたいなあ……いいなあ……
あああッまたおんなじミスをやらかした!!
タイトルは「一月のホーム・フロム・ホーム」でした。すいません。
本当もう……気を付けます。
770 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:16:30 ID:E0r6xhCk
>>760 宴会もめいっぱい牛乳や牛肉だらけでウシ成分つめこみまくりだったんだろうなー
来年の虎がどうするのか気になって仕方ない
>>769 なんかいいなー
電車の中とかですれ違う相手との出会いってなんかいいよね
一期一会の精神というかなんというか
牧場の朝は早い。
酪農は搾乳作業があるから特に早い。
山田さんはいつものように目覚まし時計がヂリリリとなる五秒前に起きた。
ベッドから飛び起きて、目覚まし時計に食らい付く。
「ヂ……」
──バンっ!
目覚まし時計の鐘が二回打つ前にスイッチを叩き切った。
勝ったのだ。
山田さんは目覚まし時計とのガチンコ勝負に勝ったことを、小さくガッツポーズして祝した。
朝日も登らぬ午前四時、山田さんは藍色のツナギを身に纏う。
熱血酪農家山田さん28歳独身は、朝露を蒸発させるほどの元気を持って牛達の世話を始める。
はずだったのだが。
「……!? あ、あんた何やってんだ!」
宿舎の玄関を出た瞬間に山田さんは度肝を抜かれて叫んだ。
碧い瞳で、つやつやした栗毛の髪が肩までのびた女性が、玄関に蹲っていたのだ。
しかも全裸。
季節は一月。牧場は雪景色である。
唇どころか身体自体がスミレ色に見えるほど冷えきってガタガタ震えていた女性は、
山田さんを見た途端に満面の、しかし顔色があまりに悪いので凄絶に見える笑顔で、勢いよく抱き付いてきた。
しかも全裸。
「山田さん! ふえ〜ん、寒かったよう〜。死ぬかと思ったぁ〜」
首に巻き付けられた腕が細い。そして冷たい。
っていうか。
……誰?
山田さんは日本生まれ日本育ち、ついでに言えば山形県から一度も出た事のない生粋の世間知らずである。
当然、碧眼栗毛のボンキュッボン露出癖外人の知り合いなど居るはずも無い。
しかし山田さんは自分に向けられる親しげな笑顔に、あんた誰、と不躾に聞けるほど不人情ではなかった。
「誰だか知んないけど、とりあえず上がりなよ。あ」
知んないって言っちゃった。
「……」
悲しそうな顔をする女性。
山田さんは不人情ではないが、嘘を吐けるほど器用でもなかった。
宿舎の中に女性を招き入れた山田さんはダルマストーブに火を入れ、裸の女性に服を渡した。
何を着せたら良いか一瞬逡巡したが、
とにかく寒そうなので手近にあったさっきまで山田さんが寝間着に着ていたスウェットを着せた。
裏起毛であったか。
暖かいお茶をはふはふ言いながら飲み、幾分顔色が桜色になってきた元全裸女性。
山田さんは一安心して告げた。
「私は牛の世話しなきゃならないから行くけど、後で事情教えてね。……逃げるなよ?」
「もー、逃げませんよぅ」
栗毛をくるくる揺らし、背筋を正した女性。あらためて顔をよく見ると、まだ10代らしき顔つきだった。
幼げな顔つきとアンバランスな大きさの胸が張りだし、先端が、つんとスウェットを持ち上げる。
目のやり場に窮し、なんだか恥ずかしくなった山田さんはそそくさと牛の世話に向かうのであった。
搾乳、出荷、厩舎の掃除、餌やりを赤い彗星の速度で終えた山田さん。
宿舎に戻ってみると、女性が勝手に炬燵の上のミカンを食っていた。皮ごと。
「お帰りなさい山田さん(むしゃむしゃ)。この黄色い奴(むしゃむしゃ)すごい美味しいですね(ごくん)」
もう一個食べても良いかな?
女性は上目遣いで山田さんの顔色を窺った。
が、表情がよくわからなかったので、結局もう一個食べた。
一方山田さんは複雑な表情で女性を見ている。
この娘、ちょっと知恵遅れなんだろうか。
しかし山田さんと目が合って恥ずかしげに目線を逸らす女性の碧い瞳には、
純朴そうな色こそ浮かんでいるけれど、白痴の狂気は見取れなかった。
ま、いいか、と納得した山田さんは、スウェットを突き上げる女性の爆乳に目線の可動域を奪われながら質問した。
「えっと、あんたはなんでウチの玄関に蹲ってたの?」
「ひどいっ、山田さん、私のこと忘れちゃったんですかぁ?」
“しな”をつくって、よよよ、とくず折れる女性。
カーペットに付いた両の手に寄せられて、爆乳がさらに弾けそうに張る。
そして弾けた。
女性の、スウェットを突き上げる先端が、にわかに染みを創る。
ぼ、母乳……?
「はわわ、ごめんなさいぃ。汚してしまいましたぁ〜」
「わ、ちょ、脱がなくていいから! あ、うわあ!」
ポロリ、というより、ブルン、と言う擬音が聞こえてきそうな勢いで、女性はスウェットを脱いだ。
「くしゅん! ううぅ、人間の身体ってなんでこんなに寒いんでしょうぅ」
山田さんは女性の裸身を見ないように背を向けた。
妙な発言につっこむ余裕はない。
「ねぇねぇ山田さん、私がなんで人間になったか聞かないんですかぁ?」
「や、あの、まずあんたがどなたか聞いてないっていうか服を着ろっていうか」
「なんでですかぁ? いつも裸でも何も言わないじゃないですか。それにぃ……操を許した人に見られたって恥ずかしくないですよぉ。キャッ」
言っちゃった!って感じで顔を手で覆う女性。
さすがに黙って居られなくなった山田さんは背中ごしに抗議した。
「に、人間になったとか、いつも裸だとか、操を許したとか、全部一切意味分かんないし、そんなことした覚えもない!」
「そんな……山田さん、私のこと──マリアのこと忘れちゃったんですかぁ!?」
「だって本当に知らないよ! マリアなんて名前、うちで飼ってるジャージー乳牛くらいしか」
「覚えてるじゃないですかぁ! もう、山田さんの意地悪ぅ〜」
なるほど、あんたはマリアか。だから外人なんだね。
確かに裸でも何も言わなかったし、操も奪ったっていうか、肩口まで腕を突っ込んで人口受精させた。
「ってありえないありえない! どうやったら牛が人間になるの?!」
「神様にお願いしたんでぇす。山田さんと同じ人間になれますように〜って。干支だから大サービスで叶えてくれちゃったの。優しい神様。神様、やさしい。えへへ」
山田さんはいよいよ頭を抱えた。
「あ〜、山田さん信じてくれてないぃ。そだ、きっと飲めばマリアだってわかるよ!」
飲む?飲むっていったい何を……、と山田さんが思った瞬間には、自称マリアにマウントポジションをがっつり取られていた。
「うわ、何をするんだ! 助けた恩を仇で返すのか!」
「違いますぅ〜。胸で返すんです」
頭を両手でグッと押さえ込まれ、大きな胸が上から垂らされる。
先端に浮かんだ白い滴の玉が山田さんの唇に、ポタリ。
ふわりとミルクの香りがする。
「やめろ!」
「嫌ですぅ〜。さぁ、飲んでください。私が搾って飲ませましょうかぁ?」
山田さんの頭を押さえていた手の片方が外れ、自称マリアのピンク色を不慣れにしごいた。
まだ人間の身体に慣れてない、という事らしい。
「あっ……ごめん、なさい。勝手が分からなくてぇ……」
ぽたぽたぽた、と母乳が山田さんの顔を濡らした。
「うぅ……痛い」
今度はピューっと、先端から幾筋ものミルクの軌跡が迸った。
顔じゅうにミルクを掛けられた山田さんだが、痛い痛いと言いながら必死に乳を絞る自称マリアに根負けし、ついに自分から唇を付けた。
「おぉ、飲んでくれる気になりましたかぁ?よかったよかった」
自称マリアがマウントポジションで満足げに目を細めるのを上目にみながら、山田さんは極力痛くしないように胸を吸った。
乳腺から乳管へ、滞りなく乳汁を導き出す。
「やっぱり山田さん、上手ですぅ」
正直褒められても嬉しくない山田さんだった。
マウントポジションから開放された山田さんは、正直な感想をのべた。
「全くわからない」
「えぇ〜! マリアの味を忘れるなんてぇっ! 山田さんのバカァ!」
酪農家の山田さん、困ってしまって、頭を掻いた。ぽりぽり。
「ほら、飼ってる牛っていっぱいいるじゃん?一頭ずつの味まで覚えてられないし」
「な、なんですとぉ! 他の娘にまで手を出していたのですかぁ?!」
「酪農家ですんで」
自称マリアはハンカチを食いしばって悔しがる感じに、乳首の部分に染みの付いたスウェットを噛んでひっぱった。
自称マリアがバタバタして髪が翻り、山田さんは彼女の耳に何かが付いていることに気がついた。
「ねぇ、自称マリア。あんたの耳のそれ、何?」
「山田さんが付けたんじゃないですかぁ。これも忘れちゃったんですかぁ?」
自称マリアの耳に付いているのは、紛れもなく牛のマリアにつけた管理タグであった。
「……驚いた。あんた、本当にマリアなんだ」
「だからそう言ったじゃないですかぁ。ようやく信じてくれたみたいですねぇ」
腕組みをするマリア。胸が殊更に強調される。
……服を着ろ。
「で、マリアはなんで人間になったの?」
「それはですねぇ。私、是非山田さんと番いになりたくってぇ」
「無理だよ。私、女だもん」
山田さん28歳独身。♀である。
「え? えええぇ? だ、だってあの時あんなに熱くて太いものが!」
「あれは腕だよ」
「…………」
「まぁ、残念だったね。乳牛やっててくれれば、発情期毎に手でやってあげるから。大人しく牛に戻りなさい」
「無理ですぅ……干支だから大サービスで叶えてくれちゃったのですぅ……だから、次の丑年まで牛には戻れません」
「…………」
二人とも途方に暮れてしまうのだった。
「山田さぁん?」
「何?」
「その……指でいいから、やってくれませんか?」
「……自重しろ」
終
百合来た!!
百合!百合だよね?
いい
何がとは、はっきり言えないけどいい
もう一度言うけど、いい
それしか言えない俺を許してくれ
777 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 23:53:56 ID:E0r6xhCk
これは…GJとしかいいようがないな!
というわけで今回も無事終了しましたS-1
どうも皆さんお疲れ様でした……ってことで今月投下期間終わり?
山田さんがペチャパイでしかもマリアが人間をあまり見たことがないから、
雌雄の区別が付かなかった
というオチをすっかり説明しわすれてしまいました
なるほど、そういう事だったのか……
なんと……
そこはかとなく通じてたよ!
てっきり山田さんが非常に男っぽいかたなのかと思ったわ
今月は、投下数こそ少ないが面白かった
小ネタの利いたSSがそうだね
コメディっぽい
785 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 01:16:34 ID:TEzXVlLl
うんうん面白かった
気まぐれでインデックス。抜けあったら御免
・・・・・
【 2009年1月のお題(末広がり八題)】
『白』『門』『牛』『日の出』『こたつ』『正月』『海』『はがき』
(八題制覇で隠し『おっぱい』解禁)
・
>>713 /SS
携帯 ◆4c4pP9RpKE
・
>>717 /SS
一月『それはとても普通な正月』 ◆7FtGTaokck
・
>>719-720 /SS
◆LNPZY.1xLA (「ときめきファンタジーV」)
・
>>725-726 /SS
一月『開けるな危険』(お題:門)1/2 ◆phHQ0dmfn2
・
>>729-730 /SS
一月お題・正月 ◆NN1orQGDus
・
>>733 /SS
[―{}@{}@{}-] 1月「問い起せども創発の」 ◆LV2BMtMVK6
・
>>740 /どどいつ
一月「都都逸」
・
>>746 /どどいつ
1月、『正月哀歌』
・
>>757-759 /SS
1月「命の輝き」1/3 ◆FtC/MWKcXA
・
>>766-767 /SS
◆LNPZY.1xLA (「一月のホーム・フロム・ホーム」)
・
>>771-774 /SS
携帯 ◆4c4pP9RpKE (テーマ→牛、白、こたつ)
・・・・・
全11作品。乙でしたー
>>786 まとめ乙です
やっぱり個人的には最後の奴が好きだなぁ
山田さんのキャラがいい
まとめ見やすい!
乙でーす
せっかく解禁したのにおっぱいネタ書けなかったからなぁ
最後にはやられたw
7個ねじこむっていう条件でも色々でてくるもんだね
都都逸が新鮮だったなー。エロいユーモア。
SSは、ショートショートな感じの終末譚面白かった。お前かよ!と突っ込むオチ好き。
雰囲気が素敵でなんか沁みたのが駅のホームのお話。
一番印象が強いのはやっぱり山田さんかなあ。
牛もキャラ立っててオチのあとに二度おいしいw
山田さんウケたようで嬉しいw
元エロパロ民としては、エロい作品が評価されると実に漲ります
個人的には命の輝きが好き
山田さんは命の輝きにインスパイアされて書いたんだよ
792 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 20:20:56 ID:mqtTWe9m
7つ詰め込んでる人結構たくさんでたな
俺も山田さんの好き
アンケートでもするか
Q1:どんな作品が好み?
Q2:投下期間20日は長い?短い?
Q3:感想&お題決定期間10日は長い?短い?
Q4:お題はいくつくらいが良い?
Q5:初恋はいくつ?
Q1:どんな作品が好み?
ショートショート、ミステリ、笑えるネタ作品
Q2:投下期間20日は長い?短い?
どちらとも……帯に短し襷に長しといった感
期間を二十日までと定める必要は、あんまないかと
Q3:感想&お題決定期間10日は長い?短い?
上に同じ
Q4:お題はいくつくらいが良い?
ずばり三つで
Q5:初恋はいくつ?
LRに触れそうなので自主規制
A1:ギャグ
A2:長い。
投下期間を短くしても、お題の発表を投下期間の一か月前とかにすれば、
作る時間が取れない等の問題は起こらないと思う。
変に長いからテンポが悪い気がする。
A3:長いっつーか要らない。
お題は雑談スレとかで決めれば良いし、
もしかしたらそのほうが宣伝になるかもしれない。
A4:三つか四つ
A5:小五。
陸上部の娘が超可愛くて……憧れで終わったけど
Q1:とりあえず何でも読んでみる
Q2:期間としては長いけど、制作期間としては短い気も。
Q3:長い。というか専用の期間は要らないような。
Q4:1〜3くらい?
テーマ決めるのを前倒しで20日くらいにしておいて、
投下開始を一日スタートにしたらどうかなあ。
月末に決まって翌日から投下だと序盤静かになりがちだし
Q1:どんな作品が好み?
あんまりシリアスじゃなければ何でも
Q2:投下期間20日は長い?短い?
長いかな……
次々と投下があって盛り上がってる感を出すために、
もっと投下期間は短くていいと思う
Q3:感想&お題決定期間10日は長い?短い?
感想は投下後すぐに付けるからいらないかも
お題決定も早めにして創作期間を長めにとってほしい
Q4:お題はいくつくらいが良い?
3つ
Q5:初恋はいくつ?
まだ
Q1:小説ならテンポ良くて明るい話。絵ならおにゃのこか猫
Q2:つか、もし投下期間いじるなら、それ以外の時期のことも考えないと過疎で落ちるんじゃね?
Q3:上記に同じ。今が最善とは思わないけど、変えるのなら人を集められる方へ変えないと
Q4:3つ〜5つ
Q5:小学校のころ。近所のいっこ上の人
Q1:どんな作品が好み?
恋愛物とかどうかしてしまったネタ。
Q2:投下期間20日は長い?短い?
長い。
Q3:感想&お題決定期間10日は長い?短い?
長い。
Q4:お題はいくつくらいが良い?
三つくらい。
Q5:初恋はいくつ?
幼稚園の頃
明日からのお題は
「行事」
「2ちゃんねる」
「大統領」
に決定しました。
皆さん奮って御創作賜りますようお願い申しあげます。
802 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 17:31:38 ID:k4lZDK01
え、2ちゃんねるなの!?
2じゃなかった?
856だから2ちゃんねるだよ
「2」にしたかったけど「2ちゃんねる」の方が人気あったから
2かと思ってた
じゃあ
「2」
「2ちゃんねる」
「行事」
「大統領」
の四つで。
ミスタが逃げ出しそうなお題数だがやむを得まい。
807 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 20:19:58 ID:k4lZDK01
す、すまんな
2でネタがあったもんで
投下します。一応お題は全部
ここではないどこかの世界の話。
この世界のウェブ上にはふたつの2ちゃんねるがあった。
ひとつはひろゆきが管理するこの世界と同じような2ちゃんねる。
そしてもうひとつの2ちゃんねるは、二年に一度、住人たちの選挙によって選ばれた大統領が管理していた。
ある冬の日、秋奈はこたつの中で考えていた。
正月に出すはがき、いわゆる年賀状のことだ。
真っ白な面を見ながら、日の出の海を描くか、十二支のうち来年の担当である牛を描くかなどと考えていたのだ。
その時、秋奈のパソコンにメッセージが入った。
「おっぱい祭参加しようぜw」
おっぱい祭、それはふたつの2ちゃんねるの間で大晦日に行われる行事。
一日に連呼した「おっぱい」の数だけで競うという、何もやましくない行事である。本来は。
この行事は公平を期すため、またサーバーの負担上の理由から、『門』と呼ばれる別サイトで行われる。
そして、勝った方が次の年一年間、正式な『2ちゃんねる』を名乗れるのだ。
秋奈は大統領2ちゃんねるの住人であったが、おっぱい祭には特に興味がなかった。
2ちゃんねるの看板にも執着はないし、なによりその名前に馬鹿らしさを感じていた。
おっぱいなんて胸が膨らんでいるだけじゃない。なんで男はそれだけのものにこだわるのか、と。
そういうわけで今まで無視していたのだが、友人のメッセージからリンクされていた支援動画を何気なく見て、ときめいてしまった。
それはおっぱいとは何の関係もなく、誕生したばかりの猫が録られた動画であった。
こんなのもあるんだ。秋奈は関連動画を見ていくうちに実にさまざまなものがあることを知った。
大晦日。秋奈は初めておっぱい祭に参加することにした。
『門』の専用スレでおっぱいおっぱいと書き込みながら、こちらの2ちゃんねるの作戦本部を覗いていた。
どうやら支援には動画だけでなく絵やらSSやら、果ては自作ゲームまで使われているらしい。
今までスルーしていたことを軽く後悔しつつ、秋奈は心行くまでおっぱい祭を堪能した。
夜の十時を回った頃、どうやら劣勢であるという情報が流れた。
やはり参加した以上負けるのは悔しい。
焦る秋奈はついに…………
…………除夜の鐘が鳴り終わり、秋奈は四肢を投げ出して倒れた。
パソコンの画面にはキターの文字や乾杯のAAが飛び交っている。
秋奈は言い知れぬ達成感と勝利の余韻に酔いしれてそのまま眠ってしまった。
今年はいい初夢が見れそうだ。
おわり
809 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 01:10:53 ID:DznRY++g
ま、まさか…
最後の手段おっぱいうp(ry
女神ですねわかります
なにがあったかは ごそうぞうに おまかせします まる
ならばおれはそうぞうするぜ!
>>808 >一応お題は全部
ちょwおまっw全部ってwホントに全部かよ!
凄すぎwww
2ちゃんねる
二(年に一度)
大統領
冬(の日)
秋(奈)
こたつ
正月(に出す)はがき
(真っ)白
日の出(の)海
十二(支)
牛
おっぱい
(大晦日に行われる)行事
門
誕生(したばかりの)猫
初(めて)
十(時)
(除夜の)鐘
一月のお題が沢山ふくまれてるなあと思って、何の気なしに確認してみたら
一月どころじゃneeeeeeeeeee!
Sー1のお題、過去&隠しお題まで含めて全制覇ですか!
これだけ入れ込んで、話としても充分面白い!
感動した!!
スゲーw
815 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 08:51:44 ID:DznRY++g
マジか!
これはスゴすぎるww
816 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 10:34:14 ID:hHad8Wu5
すごい!感動した!
817 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 01:23:51 ID:X34quvA9
なんだっけ、スレタイを統合してみるスレあたりで
何十題噺とかなんとかいうようなスレタイが投下されて
それどうやって書くんだよwwwwってレスした覚えがあるんだが
まさかそれを本当にやる人がいるとはね
818 :
二月『嫁の居ぬ間に』:2009/02/07(土) 05:32:31 ID:OvxlQdYh
縁起モノだよ くわえておくれ
オイラの小振りな 恵方巻き
「鬼は出てけと」 豆まき叫ぶ
鬼より怖い ウチの嫁
2ch巡って 集めしエロ画
巡って妻と 大修羅場
「チェンジチェンジ!」と オバマを気取り
デリヘル嬢から ビンタ受け
建国記念の めでたいこの日
崩壊前夜の 我が家庭
チョコのお礼は 三倍返し
浮気のお詫びは 千倍返し
以上、先月に引き続き都々逸をば。
820 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 09:17:22 ID:RwXiKtzX
821 :
[―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 09:58:12 ID:CetzBG/J
これは悲惨な家庭wwwww
典型的などうしようもない夫婦だなww
823 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/07(土) 15:27:27 ID:uMsP5LUF
夫婦喧嘩で夜が更ける、となw
うーむ
全お題内包SSのインパクトに敵うネタが思い浮かばない
もうガチエロしかないんじゃ
余所でやったのの修正
ジェイソン「……マジでやってられねえわ」
ジェイソン「大体なんだよ、バレンタインとか」
ジェイソン「……胸クソ悪いイベント作り出すんじゃねーっつうの」
ジェイソン「マジやってらんねえ、アベック全員死ねば良いのに」
ジェイソン「……喉渇いたな」
ジェイソン「…………はは、独り言で喉渇くなんて、俺、だせぇ」
ジェイソン「確か、冷蔵庫にビール入ってたよな」
ジェイソン「――うっし、酒でも飲んでパーッといくかな!」
ジェイソン「……一人、だけどよ」
ジェイソン「…………ああもう、やめやめ! 斧の手入れとか明日で良いか!」
ゴソゴソッ…
ジェイソン「ビールビール、っと……」
ジェイソン「――ちっ! マヨネーズしか入ってねぇじゃねえか」
ジェイソン「しょうがねえ、コンビニでも行くかな」
ジェイソン「……あ〜、外寒そうだな」
ジェイソン「確かこの間の“あの日”に殺したアベックから奪ったジャンパーが……」
ゴソゴソッ…
ジェイソン「お、あったあった!」
ジェイソン「ん〜……ちょっと内側が血で真っ赤だけど平気だよな。オシャレ的に考えて」
ジェイソン「戸締りもしたし、財布も持った」
ジェイソン「……っとと、やべえやべえ! マスク忘れてたよ!」
カポッ…ゴソゴソッ
ジェイソン「……ああ、クソ! 後ろのバンドの部分がうまく留まらねえし!」
―カチッ!
ジェイソン「お、いったな。……へへ、やっぱコレがあると気分が違うね」
ジェイソン「斧は……まあいいか。コンビニ行くだけだし、置いてくか」
ガチャッ
ジェイソン「……うわ、寒っ」
ジェイソン「出かけるのどうすっかな……水で我慢すっかな……」
ジェイソン「……」
ジェイソン「いいや、駄目だ駄目だ! こんなことでどうするよ、俺!」
ジェイソン「とっとと行って、とっとと帰って来りゃいいんだよ」
ジェイソン「……うわ、マジかよ」
ヒュウウゥ…
ジェイソン「なんで俺が来たってのにローソン閉まってんだよ!」
ジェイソン「ホラーの登場人物に営業時間で負けるなよ!」
ジェイソン「……まあ、田舎だからしゃあねえか」
ジェイソン「…………駅前のナチュラルローソン、やってっかな」
・ ・ ・
ジェイソン「……」
ヒュウウゥ…
ジェイソン「なんでやってねーんだよ! あぁ!?」
ジェイソン「ナチュラルじゃねえ俺の来店は受け付けてねえってか!?」
ジェイソン「……くそっ、騒いだら余計喉渇いたじゃねーか」
ヒュウウゥ…
ジェイソン「……マジ、寒ぃ」
ジェイソン「結局どこの店もやってねーし、寒いし、喉渇いたし」
ジェイソン「……」
ジェイソン「……帰って水飲むか」
トボトボ…
ジェイソン「――ん、自販機……何か飲むかな」
ジェイソン「…………なんだよ、ココア売り切れてんじゃねーか」
ジェイソン「……俺にはポリフェノール的なものは一切取らせないつもりかよ」
・ ・ ・
ジェイソン「……ただいま」
ガチャッ…バタンッ
ジェイソン「……」
キュッ! ジャアアァ――
ジェイソン「ゴクッ……ゴクッ……プハアッ!」
キュッ!
ジェイソン「……アベック達は、明日は楽しむんだろうな」
ジェイソン「…………あ、もう“あの日”になってんじゃねーか」
ジェイソン「……なんだよコレ、マジで締まらねぇ」
ジェイソン「コンビニ行ってる間に13日の金曜日になるって、なんだよコレ」
ジェイソン「結局酒は買えてねぇし、ポリフェノールは取れてねぇし」
ジェイソン「…………水、まずいし」
ジェイソン「……」
ジェイソン「――とりあえず、ジャンパーしまうか……」
ジェイソン「……」
ジェイソン「……ああ、クソ! 眠れねぇ!」
ジェイソン「13日の金曜日はいつもこうだよ!」
ジェイソン「バレンタインの前日位休んだっていいだろ、別によ!!」
ドンドン!
ジェイソン「あ、す、すみません!」
ジェイソン「……このアパート、壁薄すぎだろ」
ジェイソン「……大体さ、土曜日がバレンタインデーって何だよ」
ジェイソン「どうせ世の中のアベックはあれだろ?」
ジェイソン「キャー、次の日は日曜日だからチョコを渡してそ・の・ま・ま☆」
ジェイソン「二人で、チョコよりも甘く溶け合おう! な〜んて考えてんだろ?」
ジェイソン「……」
ジェイソン「…………自分で言っててテンション下がったわ、チクショウ」
ジェイソン「……あ〜、もうマジでアベック全員死なねぇかな」
ジェイソン「大体よ、一日で全滅させるのとか無理だろ」
ジェイソン「世界中にどんだけ幸せ(笑)アベックがいると思ってんだよ、クソが」
ジェイソン「……」
ジェイソン「……ちょっとだけ、呪いの練習とかしてみっかな」
ジェイソン「……――キィエエアアアアア!! アベック死ね! 死ね! あべし!! アベッk」
ドンドンドンドン!
ジェイソン「あ、すんません! すんません!」
ジェイソン「ああもう、マジで眠れねぇ」
ジェイソン「……とりあえず、バイトのシフトでも確認すっかな」
ジェイソン「…………うわ、来月も“あの日”あんじゃん」
ジェイソン「店長に言っとかないとな。急に言うと迷惑かけるし、個人的な都合だし」
ジェイソン「……」
ジェイソン「……きっと、来月には付き合って一ヶ月の楽しい盛りのアベックばっかなんだろうな」
ジェイソン「…………もう、ホントダルいわ」
ジェイソン「……ああもう、やめだやめ!」
ジェイソン「今日はもう一日寝る! 寝てる間にアベック絶滅!」
ゴソゴソッ…
ジェイソン「……まあ、眠れるわけねーんだけどな」
ジェイソン「――羊が一匹、羊が二匹……」
ジェイソン「……おい、待てよ。なんで羊が良い雰囲気になってんだよ!? チョコ食ってんじゃねーよ!?」
ジェイソン「…………なんで俺、こんなに想像力豊かなんだよ」
ジェイソン「……もうすぐ昼の三時じゃねーか」
ジェイソン「……」
ジェイソン「ホント、何やってんだよ……俺」
ジェイソン「昔は、もっとやんちゃだったじゃねーか。斧、ぶん回してたじゃねーか……!」
ジェイソン「それが、今はごらんの有様だよ……」
グウゥゥ…
ジェイソン「……腹も減ったけど……それ以上に愛に飢えてるってなんだよ……」
ジェイソン「情けねぇ……情けねぇよ、俺……!」
ジェイソン「斧で事件があったりしても、俺じゃなくて全部同人ゲームかなんかの話題だし……!」
ジェイソン「……萌えより恐怖の方が強いだろ……!」
ジェイソン「…………うっ、ううっ……うううぐうっ……!」
ジェイソン「情けねぇ……なんで泣いてんだよ、訳わかんねーよ……う、うくっ!」
ジェイソン「俺、ジェイソンだぞ……隣の迷惑、かっ、考えて……」
ジェイソン「……うっ、ま、枕に顔埋めてんじゃねーよ……うああっ……!」
ジェイソン「……――ははっ、俺ってマジで情けねぇ」
ジェイソン「大の大人が、情けなくて大声で泣くって有り得ねーだろ……はははっ!」
ジェイソン「……」
ジェイソン「――なんだか……思いっきり泣いたらスッキリしたな」
ジェイソン「……うし!」
ジェイソン「――今日はちょっと、昔みたいに気合入れてぶっ殺すとすっかな」
おわり
何か泣けてきた…;ω;
頑張れジェイソン。また来月もあるさ!
これ好きだw
今年は三回も出番があるから頑張ってくれw
ジェイソンの独り言www
そっかー今日はあの日だもんね、ジェイソンにとっては行事かw
明日はバレンタイン…がんばれジェイソン!!
ジェイソーン!
ジェイソンに頑張られるのは大いに問題があるんだが、応援したくなって困るw
自由の国アメリカの象徴、ホワイトハウスは今日も大騒動☆はてさて今回はどんな事件が起こるのかなー?
「諸君、大統領はアイスをお望みだそうだ」
剥げ頭を掻き毟りながら厳粛な声でそう告げたのは、ホワイトハウス警備部主任のクロフォードであった。
一年前の着任当初は僅かであれ確かに残っていた髪も、現場のストレスでいまや見る影も無い。あわれ露出した地肌も引っかき傷で真っ赤である。
「アイス、ですか? ボス」
怪訝そうに部下のスターリングは復唱する。
エリートSP特有のその鍛えられた隙のない肉体と研ぎ澄まされた精神は、しかし上司への毒舌で保たれている事を知るものはごく一部だ。
「そうだ。この×××寒い時期に、あの××××大統領はががーりん君を食べたいんだとさ、×××××ッ!!」
思わず政敵ですら眉を顰めそうな悪口雑言を、興奮したクロフォードは吐き捨てる。
「ががーりん君?」
「ニッポンのポピュラーなアイスだそうだ。あれだけ我々に尻尾を振っておきながら、あのソ連贔屓の×××めッ!」
「はぁ」
どう考えても商品名の聞き間違いではなかろうかとスターリングは思ったが、訂正するのも面倒そうなのでその指摘は避ける事にした。
「それで、私にどうしろと?」
「……あの×××ニッポンに行って、それを買ってきて欲しい」
「ニッポンへですか? たかがアイスの為に?」
アメリカ文化独特の間と手振りを交えて、スターリングは訊き返す。
「その通りだ、スターリング君」
「ああ」アメリカ文化独特の間と手で顔を覆うアクションを交え、「大統領は正気ですか?」もう一度確認をする。その際、クレイジーという台詞は訳者によって差し換えられる。
「行って欲しい」
「なぜ?」
「考えても見たまえ。ただでさえアイス一本を買うだけで、マスコミどもからは温暖化がどうのと言われる」言うまでもなく手振りはオーバーアクションである。「このご時世だ」
「ならば余計に」
「だからこそ」台詞を被せるのもアメリカ式である。「大統領には安息が必要なのだ」
「……この事は、副大統領は?」
「承知している。知らんのは大統領夫人と、彼の愛人の……っと。とにかくだ」
「わかりました」
スターリングにカメラパンアップ。
「行ってくれば良いんですね?」
こんなもん完結できるか!!!!
とうかしゅうりょう。いやーくろれきしってほんとうにすばらしいものですね。
それではまたじかいのえすわんでおあいしましょう。さよならさよなら、さよなら。
844 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 22:44:49 ID:1imjw/G7
さらにすれをあげてしまうというざんにんなふるまい。
ががーりん君違ぇw
ってか大げさなwww
おわりかよっ!
ガリガリ君60円のために日本に行くとな?
てかこれで終わりかいww
「今年の売り上げは、はっきり言ってはかばかしくありません」
あるビルの会議室、男たちが顔を連ね、険しい表情で聞き入っている。
「昨今のダイエットブームに加え、この経済不況。これは我が社にとっての危機です」
彼らは、大手チョコレート会社の重役たちであった。
近年、社の売り上げは低迷を続け、今や死活問題となっている。
「バレンタイン商戦のため、男性から女性への“逆チョコ”を広めようともしましたが、
あまり効果は上がりませんでした」
「まったく、困ったものだ」
うーむと唸る重役たち。そのとき、一人の男が進み出た。
「よろしいでしょうか」
男は、商品開発部の部長だった。
「昨今の風潮の中、われわれも発想を転換させる必要があります」
「なんだね?」
「ダイエットチョコを作りましょう。チョコレートは太る元、
というイメージを覆すのです」
「なんだ、低カロリーの商品ならすでにあるではないか」
拍子抜けした顔の重役たちを制し、彼は続ける。
「いえ、そこからさらに一歩進めるのです。
“太らないチョコ”ではなく“痩せるためのチョコ”を作るのです」
「そんなものが作れるのかね?」
「はい、まだ開発段階ですが、経過は順調です。おまかせ下さい」
男は徹夜で開発を続け、実験を繰り返し、ついに試作品を完成させた。
久しぶりに家に帰り、男は試作品を妻に差し出した。
「なあ、新製品のチョコレートを試食してくれないか?」
「あら、いいわよ。わたし、チョコレートには目がないの。どんなチョコなの?」
「食べれば食べるほど痩せるチョコさ。効果は実証済みだよ」
「まあ素敵、いただくわ」
一口食べて、妻は顔をしかめた。
「ちょっとひどい味ねえ、これ。甘みも風味もないじゃないの。不味いわよ」
「うん、砂糖もバターも使わず、カカオの代わりに特殊な薬草を入れてあるからな。
まあ、これもダイエットのためだ、少しは我慢しなよ」
妻は一瞬、なにかおかしい気がしたが、すぐに思い直した。
「それもそうね。これを食べて痩せれば、その分、
大好きなチョコレートをお腹いっぱい食べられるんですもの。仕方ないわね」
「ああ、仕方ないさ……」
後日、そのチョコレートは飛ぶように売れた。
850 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 00:16:16 ID:sW7OTfDB
>>849 いいわ〜。
出来のいいブラックジョークを見たような、不条理な爽快感がある。
あえて指摘するなら、最後の一行が蛇足な気がするから、それを二レス目の頭の方に持ってきて、
「バカ売れチョコレート」を食べる妻とそれを買ってきた夫という設定にすればよりニヒルでいいと思う。
本 末 転 倒 !
確かに、これを食べれば痩せる!みたいな食品てまずいのに売れてるよね。
>>851 関係ないがIDとか書き込み時間に4が多い
ちょwwそれチョコじゃねぇww
ただの痩せ薬じゃんw
投下します
暦の上では春になったとはいえ、昨夜の空気は特に冷たかったらしい。
一昨日降った雨の名残が、通学路の所々に小さなスケートリンクを造成している。
恐らく真っ赤になっていることだろう鼻と耳は、家を出て三分を過ぎた辺りからキンキンと痛い。
僕の物心がつく頃には既に異常だとか言われていた気まぐれな気象は、どうやら今年も無事不安定なままであるようだ。
「う〜、何だか今朝は特に寒いよねぇ?」
「そりゃまぁ冬だからね」
言いながら、隣でぴょんぴょんと飛び跳ね歩く彼女の落ちかけたマフラーを、僕は白い息を一つ吐きながら巻き直す。
「ん、ありがと〜」
「どういたしまして」
とか言ってるそばから動き回るものだから、またすぐに解けそうになる。
「ほら、結んでやるからじっとして」
「えへへ。何だか去年もこんなことやってたよね?」
「それがわかってるんなら学習しなさい」
それはこの冬だけで何べんも繰り返された会話。僕らが子供の頃から数えると、それはもう何百回にもなるかもしれない。
幼馴染という関係を壊してまで築き上げた、僕らのそれはもう清らかな交際がはじまってからもうすぐ一年になる。
清らか。そう、キスもまだしていない。
まさに驚愕の事実。それは冷酷な現実だ。
「ん〜、もうちょっと甘えていたいお年頃?」
「もうすぐ最上級生だろうが、僕らは」
「そうなんだよね〜。何だかあっという間だよね」
確かにいわれてみれば学年も変わっているし、来年は大学受験なるものが待っている。だが時の流れは万人に平等なのだ。
「……私は、変わりたくないなぁ」
彼女の口からこぼれたのは、それは誰しもが持っている儚い願望の一つだったのだろう。
だがそれは、ずっとこの胸中に抱えていた焦りを指摘するかのようで、僕は返す言葉も出なかった。
「…………」
「あれ? ねぇ、どうしたの?」
「……僕は、変わっていきたいよ」
突き放す声の冷たさに、自分でも驚いた。
「昨日と同じ今日も、今日と同じ明日も、どっちもまっぴら御免だね。
それなら今日という日なんて、全く必要ないってことじゃないか」
口に出してすぐに後悔する。彼女は、とても驚いたような顔で僕を見つめていた。
ただの八つ当たりだって事ぐらい僕にもわかってる。
自分の心の中のもやの様にわだかまっている将来への不安を、二人の関係に重ね合わせているだけなのだ。
来年の自分を、受験や進学の重圧に打ち克つ自分を想像できない。
そんな臆病者の僕が、未来を怖がっているだけなのだから。
「…………」
「…………」
無言が続く。
一言謝ればいいのに、それが出来ない。
これも、幼馴染という関係への甘えなのだろうか。
楽しいはずのひと時が、少しずつ消費されてゆく。
ときどき僕に近づこうとして、その都度動きを鈍らせる足音が、僕の心音のリズムと重なるたびに妙に響く。
もうあと十歩歩いたら……謝ろう。そう思ったときだった
「鬼は外!」
背中にパラパラと小さな何かがぶつかる。
「豆?」
そう、豆だった。
「今日は二月三日。節分だよ」
「いや……それはわかるけど、どうしたのそれ?」
「昨日スーパーで買ったの」
誰かにぶつけてやろうと、わざわざ持ってきたのか?
「鬼は外!」
「ぷゎっ!? 正面から投げつけるの禁止!
もう少しで口に入るところだった。……って、豆だからそれでいいのか。
「福は内!」
言って、彼女は自分の口に豆を放り込む。
「……おいしい?」
「うん!」
ほっぺたを膨らまして、まるでハムスターのようだ。
「……置いて行くから」
「待っふぇ〜」
いつもこうなのだ。いつもこちらが謝る前に、彼女から有耶無耶にしてくれる。
こんな彼女だから、僕は……。
「……豆、美味しい?」
「むぐむぐ、うん!」
「じゃ、僕も味見」
振り返る。
きょとんとした顔の彼女がいた。隙あり。
「む!? …………ん」
福は内、っと。
「…………」
「…………」
とても香ばしい味がしたよ。
ごちそうさま。
「きゃああああぁぁぁぁぁ」
やたらと黄色くて甲高い悲鳴が、決して広くはない文芸部の部室に響き渡った。
流石に呆れたぼくは執筆を止めて、原稿用紙の小説を『味わって』いる最中の声の主に声をかけた。
「吃驚するじゃないですか。いきなりそんな悲鳴を上げないでくださいよ――遠子先輩」
「吃驚したのはこっちよ――心葉くん。あ、気にせずに続きを書いててね」
言い捨てて、先輩は再び原稿用紙をもしゃもしゃと食べ始める。
時々「ん〜、たまんない♪」とか「あまぁいわぁ♪」とか呟くのが非常に不気味だ。
そんな先輩を見ながら、ぼくは溜息を一つ吐きもう一度執筆に取り掛かる。
遠子先輩は物語を食べる妖怪だ。ぼくらがご飯を食べるように、彼女は紙に書かれた物語を食べる。
「ところで、心葉くんがこんな風にストレートな甘いおやつを書くのは珍しい事だと思うのだけど?」
「そうですかね」
「そうよ。いつも甘いおやつだろうと思わせておいて、どこかに唐辛子やニガウリを仕込むのが……心葉くんのやり口じゃない!」
言ってる途中で辛くて苦い過去を思い出したかのように、「むぅ」とぼくを睨みだした。
「ぼく、そんなことをしましたっけ?」
正直心当たりがありすぎる。
「し・ま・し・た! ほら、あのお話のときとか……」
流れるような口調で、遠子先輩は大昔に書いたぼくの小説を講釈し始めた。
なんだかんだで、ぼくの書いた全ての物語を覚えてくれているのだから。ぼくはこの先輩に頭が上がらない。
「……ところで、お味はいかがでした?」
「これだから心葉くんはいつも……え? 味? 甘かったわよ。特にね、幼馴染の」
「いえ、あの、出来れば食べ物に喩えてくれるとありがたいです」
「ええ。今回の物語はシャーベットかしら?
さらさらと固まった二人の関係を、とけてしまう前に味わい尽くさなきゃいけない気もするんだけど、
とけたらとけたで案外ジューシーで美味しいの。むしろ急いで食べると頭が痛くなってしまうわね」
「シャーベット、ですか。……わかりました、ありがとうございます」
礼を言って、ぼくは再び執筆に取り掛かろうとする。
それを邪魔したのは、訝しげな遠子先輩の問いかけだった。
「ねぇ? 心葉くんは、どうして今回のお話をつくろうと思ったの?」
「どうして? って、先輩に食べてもらう為ですが」
「いつもそれでおかしな物を食べさせるじゃない!」
鋭い。
というか、おかしな物って失礼じゃないだろうか?
「えっと……2ちゃんねる、って知ってますか?」
「うっ……し、知ってるわよ! ぱそこんの、い、いんたーねっとの」
「そこにですね、創作発表板というのがあるんですけれども」
「何だか美味しそうな名前ね!!」
「はぁ……そこに最近、ダジャレー夫人の恋人というスレッドが立ちまして」
「だ、ダジャレー??」
「はい。そこへ投下しようかと思ったお話なんですよ」
「…………」
『節分』で『接吻』
「……さ、寒いわ! 心葉くん、それは寒いわよっ!」
「はぁ」
まぁ、シャーベットだし。
「じゃ、いい加減次の小説に取り掛かるんで、先輩は大人しくしてて下さいね」
「はぁい」
ぼくは遠子先輩に背を向け、続きを書き始めた。
……実は、これも引き続き甘い物語だったりするのだが。
「〜♪」
後ろから、先輩の鼻歌交じりのもしゃもしゃ音が聞こえる。
紙を千切る音は小さく細かい。少しずつ時間をかけて食べていくつもりなのかもしれない。
既に先程の疑念は霧散した様子で、どうやらうまく誤魔化せたらしい。
――先輩は気付いているのだろうか?
今日が、二月の何日なのか。
そして、知っているのだろうか?
ちまたでお菓子会社が流行らせようとしている――逆チョコなるものの存在を。
「…………」
ちらりと、ぼくは先輩を盗み見た。
彼女は美味しそうに大事そうに、『シャーベット』を食べている。
「〜♪」
今日はこの目論見が成功するまで書き続けるつもりだ。
何枚でも。何作でも。
「……今度はなんとか、チョコレートになるといいけど……」
「ん♪ 心葉くん、なにか言った?」
「いいえ?」
甘いものは別腹ですよね。遠子先輩?
遠子終了……じゃなかった、投下終了
こういう搦め手はまだなかった気がする
作中作とは確かに無かったな
ピコーン
先輩にエッチな官能小説を食べさせれば媚薬がわりになるかなw
まさかの2作品投下とは
ここでも御題の2をつかってくるとはなかなかやるな
と思ったら作中作なのね、この発想はなかった
チョコの味の話が書けるまでがんばるだなんて
文学少女の設定うまく生かしたいい話だ
863 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 20:39:53 ID:tZPdvPph
とおことこのはのかきかたがうまい
来月こそはこのスレ埋めよう
865 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 19:09:03 ID:aV/w5lLh
なんだろこういうのもメタていうのかな。
良かったけど、ラノベ臭過ぎて素直に称讃できない。なんか俺汚れたな
ラノベ臭いというよりは、まんまラノベだったりする
867 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/23(月) 19:30:42 ID:aV/w5lLh
>>866 まともな作者が書いたらイイ感じに不思議日常話になりそうじゃない?
これじゃただの中二小説だから、なんか惜しいと思って
去年投下した作品について。まぁどうせ誰も見てないし。
十二月の分も一月の分もお題は全部制覇。
十二月でプレイしているのはDFF。鐘は勝負の鐘。
語るほど作品を投下していないのが現状
870 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 00:48:04 ID:zQzCkp7c
3月のお題は
「別れ」「アルバム」「ひな祭り」「小鳥」「雪解け」
です
ではどうぞ
もう作品の受付始まってる?
872 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 05:05:12 ID:y+8zO2KR
1日だからもう始まってるよ〜
では、初参加させてもらいます
874 :
3月「クローバー」1/4 ◆W6r3EkuG1Y :2009/03/01(日) 05:10:56 ID:vbvwBHGt
部屋が広く感じるようになってから二ヶ月。
一人で過ごすには寂しすぎて、それでも慣れ親しんだこの部屋とも今日でお別れだ。
積み上がっていたダンボールが無くなり、綺麗に掃除された部屋の中をレンズ越しに覗く。
いつもならフレームの真ん中に居た、この部屋のもう一人の住人でもある被写体は、二ヶ月前から僕の構えるカメラに写らなくなってしまった。
「おーい、荷物無いなら車だしていいかー?」
「あ、あぁ! ここの鍵を返したら俺も行くから、先に始めててくれ」
ベランダに出ると手伝ってくれた友人たちが見える。何処からか僕が引っ越す事を聞きつけ、勝手にやってきて勝手に手伝って。
そして、この後は僕が新しく暮らす事になる部屋で朝まで騒ぐ、なんて事を勝手に決めていた。
ベランダからまだ傷一つ無い、四葉のクローバーを模ったキーホルダーが着けられた鍵を落とす。
それを受け取った友人が車に乗り込むと、短いクラクションが鳴り、滑るように走り出した。
小さく手を振って見送った後、僕はもう一度カメラを構える。
誰もいない家具も無い部屋。いろんな思い出だけが詰め込まれていて、ほんの少しだけここを離れるのを躊躇う。
「ふぅ……」
こんなにも心細いのは久しぶりだ。だからこうして写すつもりも無いのにカメラを構えたりするんだろう。
僕が覗くレンズの向こうにはいつも彼女がいて、いつも恥ずかしそうに笑ってた。ただ、今はそれが無いだけでこんなにも落ち着かない。
きっと、これが惚れた弱みなんだなぁと思う。元々一人でも生きていけるなんて言えるほど強いわけじゃなかったけれど。
「これでよし……と」
鍵のかかった音が済んだ春先の空に消えていく。戻る事はもう無いこの部屋がくれた、お別れの挨拶のように聞こえた。
まだ道の隅には融け残った雪が、日の光を反射してその白さを主張している。
暦の上ではもう春になってはいたけど、僕のカメラはもう少しだけ冬の名残を写すだろう。
875 :
3月「クローバー」2/4 ◆W6r3EkuG1Y :2009/03/01(日) 05:11:34 ID:vbvwBHGt
徒歩十分の場所にある不動産会社に鍵を返し、これから何度も「ただいま」を言う部屋を目指す。
途中でスーパーに寄って足りなくなるだろう酒や食材を買い足した。
土曜の昼間だからか家族で来ている買い物客に目が行く。
子供の手を引いている父親と、それを幸せそうに見つめる母親。
なんともいえない気持ちになり、気付けば僕の足はいつもより速く動いていた。
「あれ、まだ来てないのか?」
近所迷惑で苦情も覚悟していた僕としては拍子抜けするほど静かな新居。
今後使うかもと念のため契約した駐車場には荷物を積んでいたトラックもない。
聞こえてくるのは階段を上る足音と、品物の入ったビニールが立てる音だけ。一人で過ごした二ヶ月間と重なる。
僕の苗字の書かれた札の下に、301と部屋番号が打ってあるドアの前に立つ。今日からここが、僕の新しい帰る場所だ。
「ん?」
鍵を差し込むが鍵は開いていた。この部屋の鍵は僕が持っている物と、友達に渡したスペアの二本だけ。
管理会社なら持っているかもしれないが、勝手に入ったりはしないだろう。
大方友人たちが鍵を閉め忘れて出て行ったんだと言い聞かせ、恐る恐るドアを開いた。
夕日が玄関を照らし、なんとも不気味な雰囲気を醸し出している。友人たちの靴は無い。やはり鍵をかけ忘れただけのようだ。
「無用心なやつらだなぁ……ただいま」
返事を返してくれる人のいない挨拶は慣れない。玄関の電気を点け、脱いだ靴をそろえてリビングへ向かう。
カーテンの閉められたリビングは夕方でも真っ暗と呼べるほど何も見えない。記憶を頼りにスイッチを探すと、思いの他すぐに僕の手に触れた。
876 :
3月「クローバー」3/4 ◆W6r3EkuG1Y :2009/03/01(日) 05:12:09 ID:vbvwBHGt
指に力をいれ、スイッチを押す。
パチリと小気味の良い音に続いて、明るくなった部屋に軽快な炸裂音と紙吹雪が舞った。
「祝、引越し! ア〜ンド――」
「祝、お父さん! おめでとー!」
「ただの父親じゃないだろ? なんたって双子だもんな!」
「おーっとそうだった、ほいこれ。引っ越し祝いな」
クラッカーが一斉に鳴らされ、一瞬だけ思考と心臓が停止した。
友人の一人が、まだ固まっている僕の手に綺麗にラッピングされたプレゼントをねじ込んだ。
未だ考えられない頭のまま包装紙を取ると、中にはクローバーの描かれたアルバムが入っていた。
それを見てもまだ反応できない僕を見て腹を抱えて笑う友人たち。 はめられたと気付いたのと同時に、顔が赤くなっていくのを実感した。
「お、お前らっ!」
「いいっていいって、お前の趣味って写真だろ? これなら生まれてくる子供の写真とかいれられるからな」
「あ、あぁ……ありがとう。じゃなくて!」
「しかしこんなに見事に引っかかるとはなぁ! はー、腹いてぇ! ほら、そんな事よりお前に電話だ」
877 :
3月「クローバー」4/4 ◆W6r3EkuG1Y :2009/03/01(日) 05:12:41 ID:vbvwBHGt
バカ騒ぎする友人の一人が差し出したのは誰かに繋がっている携帯電話。
押し付けられるように出てみると、そこからは聞きなれた笑い声が僕の耳に入ってきた。
「ふふっ、まんまと引っかかったみたいね」
「お、お前が首謀者か!」
「そう、あなたが一人で寂しくしてるだろうから、みんなに励ましてもらおうと思って」
そう言って二ヶ月前から僕のカメラに写ることの無くなった人が笑う。僕は彼女には敵わないんだと思い知らされた。
彼女は今、出産に備えて実家に帰っている。予定日のひな祭りの日には僕も彼女の実家に行って、立ち会うつもりだ。
「さてさて、せっかくですからもうすぐ父親になるこの部屋の主に、もうすぐ母親になるこの部屋のもう一人の住人に、愛の言葉でも言ってもらいましょうか!」
「おいっ! 変な事いうなよ!」
「いいからいいから。ホラ早くしろよ、皆まだ一滴も飲んでないんだ、ちゃっちゃと始めたいんだって!」
「飲んでないのにこんな状態だったら余計性質悪いわ!」
騒ぎ立てる友人たちと、それにノって僕の言葉を待ってる最愛の人。どうやら本当に朝まで騒ぐことになりそうだ。
今日は僕が二人で過ごした部屋と、二人だった生活と、ただの夫だった僕が別れた日で。
これから四人で過ごす部屋と、四人で送る生活と、父親になる僕が出会った日。
クローバー 完
878 :
◆W6r3EkuG1Y :2009/03/01(日) 05:19:22 ID:vbvwBHGt
以上投下終了
使ったお題は「別れ」「アルバム」「ひな祭り」「雪融け」です
久々にSSを書いたので、おかしな所や誤字脱字、お題との関係が薄かったりするかもしれない
その辺は大目に見てもらえると助かります
複数の作品投下が可能なら、また書きたいと思うんだけど、その辺どうなんでしょう?
879 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 05:34:07 ID:h9Ve31S5
おおーGJ
複数投下は歓迎れすよー!
雪解けて 囀ずる小鳥が 梅の枝
雛内裏 飾り立てれば 桃の花
別れると 解ればよろし 三行半
思い出を 集めて嬉し アルバムの 中で笑うは 門出立つ君
取りあえずこんな所から
>>878 最初「別れ」で同棲してた彼女とわかれ引っ越しかと思ってたら
ラストでいい意味で裏切られたよ!
>>881 春だー春だな〜
>>878 ビックリするくらい綺麗にまとまってるなー
お題もそんなに沢山使ってるとは気がつかなかったくらい自然だったし
>>881 >別れると 解ればよろし 三行半
は口ずさんだときにいい感じだな
この板では未発表の過去作品はアリですか?
いいと思うよー
マルチ投下にならないかとかは他板なら全然気にしなくていいと思う
これはほのぼの……ってちょっと待て
これは泣くべき場面なのではないだろうか
晒しものだし
募集中wwww
壁紙スレで描いてた人だよね?
ふんわりしたタッチがいいなー
かわいいそして切ないw
890 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 15:29:20 ID:h9Ve31S5
保存したw
>>886 これはwwwww
春が来るといいな><
「三題噺」に投下したものの微改訂版です。
使用お題「小鳥」。全1レス。
「ただいま」
「おかえりー」
あたしは反射的に言葉を返して、それから違和感に気づく。同居する姉はサークルの合宿で
居ないんじゃなかったっけか。玄関が開く気配もなかったぞ、ていうか、声が。
課題をこなしていた手を止め、あたしは窓際のアイツの方へ行く。足音に反応して、
ばさばさっと羽音がした。
「ただいま。ただいま、ただいま」
「やっぱおまえか! あー……、うん、おかえり」
おもちゃみたいに鮮やかな黄と水色の体は、せわしなく狭い鳥籠をうろついている。
気まぐれで飼い始めたセキセイインコは近ごろ急激に言葉を覚え出した。いちばん最初に
しゃべったのが「お姉ちゃん?」で恥ずかしかった。その次が「あーっ、もう!」で、
小鳥のつむぐ人間くさいセリフに今度はお姉ちゃんが恥ずかしがっていた。
インコはくるくると喉を鳴らす。ときおり日本語をもらしては、あたしたちを
ドキッとさせる。家計簿のついでの一言日記はコイツのことばっかりで、なかなかそれも
悪くない。
「ねえ、『ただいま』の返事は『おかえり』なんだよ」
インコは無表情だ。
「ね、『おかえり』」
「……あーっ、もう!」
あたしは笑みを溢した。それにあわせて小鳥がさえずる。
「ただいま。ただいま」
「『おかえり』」
帰ってくるまでに覚えて欲しい、と少し思った。思いっきり楽しんだくせに疲れて
愚痴っぽくなるあの人をびっくりさせてやろう。あたしとコイツとで迎えてやろう。
「『おかえり』」
派手に彩られた体と真っ黒な瞳は、きっとあたしの感傷なんか知らない。でも、
無言でくちばしを喘がせる仕草はその言葉を練習しているみたいで、あたしはやっぱり
嬉しいのだった。
おわり。
仲良し姉妹いいねいいねー
くぁーたまらんっ
895 :
◆g9cCq7whdU :2009/03/06(金) 08:27:12 ID:p953rxxv
こういう曲はボカロだからこそきっと映えるよ
歌詞うp!うp!(・∀・)
歌詞どうぞ↓
雪が解け始め 暖かさ増す日差し
でも心の底 冷えたまま
長い時をかけ 育んできたモノ
大きくなりすぎて 崩れたの
アルバム 記憶をここに閉じ込めたくないわ
もう止まったままで動かない時計
いつかこの夢 覚めるのでしょうか?
すり硝子の迷路から
窓の外の小鳥 その小さな翼で
愛の破片 どこかに持ち去って
アルバム 記憶をここに閉じ込めたくないわ
もう止まったままで動かない時計
いつかこの夢 覚めるのでしょうか?
すり硝子の迷路から
やっとこさ聞いたぜ
最初携帯で見てそのとき聞けなかったからあとで見ようと思ってそのまま忘れてたのは内緒だ
なんか聞いてて不安定な気分になってくる曲だなw
てか絵と曲のせいかもw歌は綺麗な感じなのに
これは狙ってるのかな?
あと曲名になんか意味があるのかも気になる
ブリの照り焼き?
これはCDのカップリング曲とかに入ってて耳に残るタイプの曲かもw
いい感じの雰囲気だわ、上手く言えねえけど。俺の脳内PVを見せてやりたいくらいだ
“farewell say Good-bye”
休日の夕方だというのに、駅のプラットホームは人がまばらだ。
傾きかけた太陽が染め上げたオレンジ色の駅の構内は、寂しさをいっそう強くする。
電車が来るまで、あと三十分ばかり。
時間なんて止まってしまえば良いのに、刻一刻と、過ぎていく。
「また、会えるよな」
「うん。絶対に会えるよ」
隣に座った彼が言葉短く呟き、私も言葉短く答えた。
ずっと一緒だった幼なじみの彼とはこれからもずっと一緒だと思っていたのに、家の事情で離れ離れになる。
我が儘を言って、家族とは別に電車で新しい街に向かう私に残された時間は、あと十五分。
言いたい事はいっぱいあるのに、何一つ言葉に出来ない。
沈む夕陽が、時計の針の音が、アナウンスの声が私を急かすけれど、言葉が詰まってしまう。
無言のまま、もどかしい時間が過ぎていく。
薄暗くなっていくのにつれて、涙が視界を閉ざしていく。
サヨナラは笑顔で言おう、と決めていたけれど、堪えきれない。
「――私、寂しいよ――」
「ああ、俺もだ」
同じ気持ち。嬉しいけれど、悲しい。
零れる涙を拭けないでいた私の手に、温かくて柔らかい感触。
「お前の手、冷たいな」
「あなたの手、温かいね」
握り合った手は、体温をお互いに伝え合う。
それは言葉に出来ない想いを交換するみたいで、しっかりと放さないように握り締めた。
チャイムが電車の到着を知らせる。
向かってくるライトの光を見ると、サヨナラが本当なのだと強く感じた。
目の前に止まる電車、開くドア。降りてくる人はいない。
「それじゃあ、行くね」
「最後まで、送るよ」
重い足取りで電車に乗る。
彼はドアの前でうつむいている。
「サヨナラ、だね」
言いたくない言葉だけが、滑らかに口に出来た。
「――手紙書くから、絶対」
閉まるドアが私と彼を隔てる。
私は、ドアのガラスに顔をあてた。
「絶対だよ、私も、手紙書くから!」
景色が流れ始めると、彼が私を追いかけてくる。
私も電車の後ろに走る。
小さくなっていく彼、そして駅。
お別れだけど、サヨナラじゃない。彼はそう言わなかった。
だから、私たちは。
――また会えるよね、絶対。
《了》
901 :
三月・お題『別れ』:2009/03/10(火) 20:28:52 ID:6Fuodsz9
投下終了
900は頂いた
トリ付け忘れ陳謝
903 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:54:47 ID:8gYyuEMJ
トリつけなくてもそれとわかるこの文!情景!
と思ったら下に書いてありましたかそうですか…
900かぁ…
ああ…そういう季節なんだと改めて…
グランド・ファザーズ・クロック。
わたくしの目から見てもかなり年代物の、それは柱時計だった。
「婆殿、こちらは?」
「ん? ……ああ。
それはこの間亡くなった、さる名士の家から引き上げた時計じゃな」
この小さな古道具屋によくぞ入ったと思わせる、見上げるにも困る大きな黒塗りの体。
丸いガラス盤の中の二本の針と、円周を形成する銀色ゴシックのローマ数字。
下部の扉の中では、私の体ほどもある真鍮製の振り子が今にも動き出しそうな存在感を放っている、が。
「動くのですか?」
「……鋏めなら、わかるじゃろう?」
目線は上方を維持したまま、小さく頷く。
一目でわかっていた。わたくしの様なつくも神ならば誰だってわかるだろう。
これはもう、動かない。
「……治せない、のですか?」
「果たして職人が見つかるか。だがそれより……」
生きている道具は語りかけてくるものである。それは、長い時を経て人に愛されてきたものほど顕著だ。
この時計は――恐らく百年以上生きている筈の彼は、わたくしに話しかけてこない。
それが何よりも、終わっていた。
「……それを引き上げる時にな、古いアルバムを見せてもらったんじゃ。――そのさる名士というのも、わしの古い馴染みでな。
その家で撮った古い写真には、大抵その時計が写っておってな。そやつは、家人に愛されておったようじゃぞ。
じゃが、もう二十年ほど……二つの針は、同じ時を指し示し続けていたようであったな」
「そう、でしたか……」
言葉が詰まる。
道具は、いつか壊れる。有機物や無機物に関わらず、別れは平等なものなのだ。
この時計は、そんな別れに悔いがないのだろう。
だから、語らない。語る必要がない。
「……婆殿?」
「そんな顔をするでないわ」
「わたくしは、まだ道具であり続けたいです」
「まだまだ頼りにしておるに決まっておろうが。良い道具は、大事にすれば長く使えるものなのじゃ。
……お前の父親は、お前を丈夫に作ってくれたのじゃぞ? 感謝せい」
「はい」
いつでも閑古鳥の鳴く小さな古道具屋の片隅に、主を失った古い柱時計がある。
それはもはや動く事はないが、かわりに亡き主の最も素晴らしかった時代を、永遠に刻み続けている。
投下終了。音楽作曲スレ332にインスパイア(意味は知らないけど)されてます
907 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 13:40:15 ID:42tOO2LQ
キタ!古道具屋キタ!
おじいさんの古時計。
来歴も味だな、と…
そういえば古道具屋を書いてない
10月ぶりです
>>900 別れはせつないなぁ
これからの遠距離どうなるだろうね、二人は
>>905 古道具屋ひさしぶりだ!
鋏さんいいねいいねー
>>905 すげえ雰囲気がいいな。
でもケチ付けるわけじゃないけど、職人なら直せよ。
ボロボロだったじいちゃんの時計を直してもらったときは、俺は本気で感動したんだ。
『サヨナラ』
「さよなら」って言葉、好きじゃない。何となく今生の別れって感じがして、あんまり使いたくない。
別れ際の挨拶は「またね」で充分。次また会えるって気がするから。
「バイバイ」はまたちょっと違う。「バイバイン」と語感が似てるでしょ? 私ドラえもんは
好きじゃない。どっちかって言うとキテレツ派だし。
そんな事はどうでもいい。
こんな私に「さよなら」を言わせようとしている奴がいるのだ。
井上新蔵。
所謂彼氏なんだけど、最近奴の顔を見るだけで苛々するのだ。
原因は水森麗奈。奴があの娘と浮気をしているのだ。
どっちが先に手ぇ出したなんてどうでもいい。コロコロ浮気をするような奴なんて要らない。
私が捨ててやるのだ。
それにしても奴は女を見る目がない。
水森麗奈みたいなカマトト女の本性を見抜けないなんて、呆れて物が言えなくなる。
あの娘の上目遣いや小首を傾げる仕草や甘ったるい声に男は堪らなくなるらしいけど、
女からのの評判は最悪だ。
男への媚びの売り方はあざといし、メイクは顔面工事レベルの腕前だし、何より人の
物を欲しがるのだ。バッグに靴に財布に男。陰では皆から酷い事を言われている。
そんな訳で、奴との最後のデート。
持ってる物を全て吐き出させる為に私の誕生日をセレクト。
メイクは素材を活かしたカラーレス。白のフワフワワンピにたまご色のカーデ。足元は
ホントはミュールが良かったけれど、時季に合わないから9センチのヒールで我慢。
奴の恰好はいつも通りのスト系だ。小汚い男がそんな恰好してたらルンペンも同然だけれど、
そんな事は口に出さない。私との差を見せ付けるのが重要なのだ。そうそう、私がヒールを
履いたから、身長差が凄い事になっている。プライドだけは高い男だ。引き攣った笑顔が哀れでならない。
ショッピングではピンクトルマリンのリングと24金の華奢なピアスを買わせたし、
新作コフレを時間を書けて見たりして、ちょっとした嫌がらせ。ランチはちょっと高めの
店を選んでなおかつ口に合わないからと残したりしてみたりして。
でも、今日は私の誕生日。文句は言わないし言わせない。
「そうだ、夕飯はこの前言ってたレストランで食べね?予約してあるんだ」
お茶をしていたら、出てきたよこの台詞。
あのレストランてホテルにあるよね?その話をした時にホテルに泊まりたいっていったよね?
プライドの高いあんたの事だから見栄をはってホテルの部屋を取ってるよね?
「ちょっとお手洗いに行ってくるね」
私はそう言うとお手洗いに向かった。
というのは嘘で、奴にばれないように店を出た。
果たして今日は奴にいくら遣わせただろう?
込み上げてくる笑いを堪えつつ奴にメールをした。
☆☆☆☆☆
新ちゃん。
私、この前麗奈と腕組んで歩いてるのを見ちゃいました。
そうだよね。麗奈は可愛いし、私じゃ比べものにならないよね。
今までありがと。大好きだったよ。
サヨナラ。
☆☆☆☆☆
一体奴はどんな顔をしてメールを見るだろうか。そんな事は興味ない。電話もメールも
着信拒否ったし、奴の事はどうでもいい。
ホテルに麗奈を呼び出してみる?でも、絶対来ないよ。麗奈が好きなのは人の物であって
おこぼれじゃない。私は幸せ。私は幸せ。私は幸せ。
こんなにすっきりした別れは生まれて初めてだ。小鳥が囀るように口笛を吹いてみる。
ねえ、新ちゃん。貴方は幸せ?
こわいようwでもなんだか悲しいよう…
これはキツイw
女は怖いのう
こ、こええ
最後の意地だな
残り二日揚げ
「おいおい、すごい人だかりだな」
青年はつぶやく。
旅立つ者、見送る者、マスコミ、やじうま……港には大勢の人々が集まっていた。
その先に停泊する美しい客船の姿を見て、思わず感嘆のため息をつく。
憧れの世界周航を目前にして、青年の胸は高鳴っていた。
「出航にはまだ時間があるみたいだな、少し暇を潰すか」
ちょうど小腹も空いていた。
露店の一つもないだろうかと、青年はあたりを散策することに決めた。
「もし、そこのあなた」
人混みを離れたあたりで、突然、声をかけられた。
見るとボロボロの服をまとった老人が立っている。
「船旅のお供に、可愛い小鳥はいかがですかな?」
老人が手を差し出す。彼の指先には一羽の青い鳥がとまっている。
「へえ、青い鳥とは珍しいね」
「はい、これは幸運を呼ぶ鳥なのですよ」
――こんなみすぼらしい姿の爺さんに“幸運”などと言われてもなあ……と、青年は内心で苦笑した。
「残念だが、僕はその手の迷信は信じないよ。でも、せっかくだからもらおうかな。
独り身だし長旅になるだろうから、ペットの一匹でもいた方がいい」
値段を聞くと大した金額でもなかった。
金を払うと小鳥は老人の手を離れ、青年の肩にちょこんととまった。
「あなたに幸運のあらんことを」
露店で軽く腹ごしらえをして戻ると、港には出発客の列が出来ていた。青年も後ろに並んだ。
係員に乗船チケットを見せ、一人ずつ船に乗り込んでゆく。
青年の番が近づいてきたので、彼はバッグからチケットを取り出し用意した。
すると突如、小鳥が青年の肩を離れ、手元のチケットを奪い飛び去った。
「お、おい! 何するんだ!」
慌てて叫び追いかけるが、鳥に追いつけるわけもない。
老人の元に戻ったのかと先ほどの場所に行ってみるが、すでに彼の姿はなかった。
「くそ……やられた!」
船着き場で係員に事情を話す。
「うーん……そう言われましても、チケットの無い方をお乗せする訳にはいかないのです」
係員はすまなそうに続ける。
「記録を照会すれば分かるのでしょうが、それには時間がかかります。あなた一人のために
出航を遅らせるわけには参りません。申し訳ないのですが、今回は参加をあきらめては
いただけませんか? 窓口に申請して下されば、費用はお返ししますので……」
しばらく食い下がってみたが、結局、船は青年を残し出航してしまった。
がっくりと肩を落とす青年。
そこへ小鳥が戻ってきた。
青年は怒りを込めてにらみつける。
「なにが幸せの鳥だ。お前のせいでとんでもないことになった、どうしてくれる!」
しかし、小鳥は不思議そうに小首をかしげるだけ。
「まったく、なんてついてないんだ……」
ため息をつきながら彼方を見やる。
彼が乗るはずだったタイタニック号は、水平線の先に消えようとしていた。
失礼、トリップ入力をミスった。正しくはこちらで。
投下します。
*
一羽の雄が巣に帰ってきた。
危ない危ない、鷹に食べられそうだったよ。
まあまあ気をつけてくださいよね。
妻と二羽で笑いあう。
夫は捕まえてきた虫を妻に口移しした。
安らぎの時間。
しばらくすると、妻のお腹の下がもぞもぞ動いてきた。
ピーッ!
殻を破って最初の一声。
まあ、あなた、ヒナが!
最初の一羽に続いて兄弟たちがどんどんと孵化する。
夫はすぐにまた餌を探しに飛び立った。
今日は祭になりそうだ。
[終]
*
お題「小鳥」「ひな祭り」でした
ひ、鄙
>>916 こう来たか
相変わらず最後の一行に破壊力のある書き手さんだぜ
>>919 お題見るまで普通にニヤニヤしてしまったw
意味がわかってまたニヤニヤ
〆切日age
動物が長生きすると妖怪になるのをご存じだろうか。
我が家には小鳥が居る。いや、小鳥の時代から居ただけで、今や25cmを越す大鳥だ
が。
奴は仏像みたいな種族名のなんとかオウムという名で、俺よりふたつ年上の二十歳であ
る。鳥の人間換算の年齢など知らないが、かなりジジイだということは間違いないだろう。
そしてこのジジイ、最近妙な神通力を得てしまったからたちが悪い。
深夜にバイトから帰った時、玄関先に置かれた大きな鳥籠の暗幕を少し開く。ジジイが
眠たげにこちらを見た。
「おい、ジジイ。今日は“出る”なよ」
「……ギャア」
ジジイは間延びした鳴声で返事。分かっているのやらいないのやら。
暗幕をしっかり閉じ、親父と母ちゃんを起こさないよう静かに自室へ。バイト先のコン
ビニに新入荷したジュースを飲みながら雑誌を読んでいると、すぐに眠気が沸いてきた。
電気を消してベッドへ。
おやすみなさい……。
「やぁ勤労少年」
……やっぱり出たか。
「出やがったな。妖怪鸚鵡め」
そうなのだ、何を隠そうあのオウムジジイ、俺の夢枕にたってなおかつ流暢に喋りやが
るのだ。またその格好が何とも“うさん臭い”。オウムそのままの姿ではなくわざわざ人
間になって現れやがる。姿形を簡潔に言い表すならば、オウムみたいな原色いろとりどり
のスプレーで髪を染めたおひょいさんにアロハシャツを着せたみたいな感じ。飄げている
、とでもいうべきか。
「何、私はあなたのお休みを邪魔しようとは思っておりませんよ」
「現に邪魔してるじゃねーか。つーか怖ぇし」
「おやおや、確かにそうですな」
オウムジジイは上品に笑う。目尻や頬に浮かぶ笑い皺が人懐っこい。
「申し訳ありません。しかし、私の声が届くのはあなただけのようなのです。お休みのと
ころ悪いのですが、どうかひとつ、私の願いを聞いてくれませんか?」
オウムの願い。
昨日も、おとといも、一昨昨日も聴いた。それは単純で明快な望みだった。籠の鍵を外
して締め忘れろ、と言うんだ。ジジイは自由を望んでいる。ははは、その年で何夢見てん
だよ。
「無理だって。あんたを放したら、俺が怒られるんだもの」
「そこをなんとか」
「ダメだって」
俺が断ると、ジジイは困ったようにオウムみたいな色とりどりの眉毛を顰めた。
「実は私、体を病んでいるようなのです。もう永くはないでしょう」
「え、苦しいのか? じゃあ病院連れてってやるよ」
そういえば母ちゃんが、「最近オウムが変な咳をする」って言ってた気がする。
「いえ、宜しいです。遠慮致します。分かるのです、私の病は医者に掛って治るものでは
ありません」
「そんなもん、医者に聞いてみなきゃわかんねーだろう」
「わかります。わかりますとも、妖怪ですから」
ジジイは顔を笑い皺でくしゃくしゃにして言った。
「医者は要りません。必要なのは、あの世へ持って行く“冥途の土産”です。最後なので
す。このままではもう、一月も掛らぬうちに、私は飛ぶことも侭ならぬ様になってしまう
でしょう」
ジジイは笑いを陰らせ、「最後のチャンスなのです」とつぶやいた。
籠の鳥。
生まれながらに言われ無き無期懲役で過ごした年月、20年。人間ならば殺人鬼だって
釈放される年月だ。
「……OK、わかったよ。俺の負けだ。明日の朝、俺はあんたの飲み水を取り替える。そ
の時、遅刻しそうで慌てていた俺はきっと鍵を締め忘れてしまう」
「本当ですか!ありがとう、ありがとう!」
ジジイは泣き出さんばかりに喜んで、節くれた樫の木みたいな手で握手し、両手でもっ
て俺の手をブンブンとふった。
オウムジジイは逃げだし、俺は親父にすんげーキレられた。
オウムジジイはちょくちょく俺のバイト先に飛来する。ムカツクことに女連れ(カラス)
だ。何が病だ馬鹿野郎、エロジジイ。恋の病だったのかよ。
電線の上で、俺が廃棄の飯を置いて行くのをカラスちゃんとむつみ合いながら待ってや
がる。ふざけんな。
オウムジジイが逃げて三週間がたった頃、奴がまた俺の夢枕に姿を現した。
「こんばんは。お話するのは随分ひさしぶりですな」
オウムみたいなカラーリングのおひょいさんは、例のくしゃくしゃの笑顔をつくった。
「御無沙汰だったな。で、病気はどうだ」
「はい、もうすっかり進んでしまって、明日には死ぬようです。ですから、お別れを言お
うと思いまして」
……病気は本当だったのか。
「なぁ、今からでも病院、行かないか?」
「ふふふ、お優しいですな。しかし、結構でございます」
ジジイは涅槃に際した菩薩みたいな穏やかな顔をして言った。
「最後に、目一杯楽しませていただきました。この愉快な気分のまま、楽しく逝きたいの
です」
「……そか」
「はい」
オウムジジイはクシャクシャと笑い、俺がもう一言何か言おうとすると、手のひらを差
し向けてそれを制した。
「ありがとうございました」
ジジイがそう言うと俺は目を覚ました。
次の日の朝、玄関にはオウムの死体が転がっていた。
これで終われば良い話なのだが……。
春が過ぎる頃、街にはたくさんの鳥がいた。オウムみたいに華やかなカラス。オウムみ
たいに華やかな鳩。オウムみたいに華やかな鷺。オウムみたいに華やかな鷹。他にも色々。
どうやら妖怪に染色体や遺伝子は問題にならないらしい。これだけ遊べば確かに未練はねーだろーな。
さぁ、オチは上々。大団円。
「幽霊ってご存じですか?また、よろしくお願いします。ははは」
「……」
オウムの妖怪の“幽霊”が俺んちに住み着いた。
〜終り〜
動物の時は結構ムリヤリにでも投稿している気がする。
性欲持て余しすぎw
ノリが楽しくていいな、これw
楽しいジジイじゃないか、まったく
妖怪の幽霊とはw
怪物だなwww
さて今月の感想ターイム
個人的には毒男の1人雛が良かったな。
次はタイタニック。
>>919の『小鳥の宴』がなんか好きだw
短いし、オチについても「何だそりゃ」とか思う人も多分いるんだろうけど
なんだろうねw読んでて凄く明るさとやさしさがあるよ
ほんわかするよな
うーむ。
このままでは次月の途中でスレ移行するみたいな中途半端なことになりそう。
感想でも作品でもなんでもいいから書いて埋めてしまわんか?
埋めですか了解
936 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 12:40:53 ID:6ABinxrk
埋立地age
書きたかったけどこのスレに出合うのが遅すぎた
来月に期待
それは期待
939 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 13:48:37 ID:y5gnJIx0
埋めage
あっちの
>>988 了解です
出来るかどうかはわかんないけど、もう立てちゃおか?
来ましたよー
立てちゃっておkだというか頼む!w
無理だったらスレ立て依頼所に頼めば良いのさ
一応雑かなんかにも宣伝した方が良いのかな? どうなんだろ
宣伝はよくわかんないやw
したほうがいいのは確かだけど、スレが立てばいやでも周知されるのかな?
知ってる人は知ってるだろし、とりあえずしばらくage進行だ!
おk、スレ立て逝ってくる
あ、よく考えたらスレタイにパートナンバーはあった方がいいのかしら?
【お題で創作】月間創作発表スレ2【S−1】
こんなの?
地味だがまあいいや。これで行ってみます
んだぁね
とりあえず上の方にあれば人目につく……はずw
パートナンバーはとりあえず無くて良いんじゃないかな
二つのスレがくっついたんだから、それまでの形態とは違ってくるしね
まぁ、前スレも入ってるしそれで十分さね
駄目でしたorz
依頼いこうか……
まだだ! 次は俺が試す番だぜぇ―――ッ!!
頼む!!!
俺のッ!果たせなかった思いをッ!!
あ、ナンバーは入れる方向で行くか
んじゃあスレタイ
>>944で試してきまー
お前の果たせなかった思いッ!
スレ立て依頼所に届けよォ〜〜〜ッ!!
依頼完了
あとは高速のスレ立て人さんに委ねようか
テンプレはどっちが貼ろうか?
示し合わせないとかぶりそうだw
え〜と
じ、じゃあ、ボクが
>>2を貼って、君が
>>3を貼るって事にしようか?(もじもじ
吹いたwww
いてくるよw
こっちでもテンプレ乙w
さてこっちのスレはどうしよっか
個人的には、もうちょい残してもいいんじゃないかな、と
来月の投下者への例にもなるし、
実は笑えない事にwikiの更新が11月で止まっているというwこれも早く何とかしないとw
おわ、wikiそんなに止まってたのかw
暇を見つけて更新しないとだね
とりあえずどっちも残しておけば良いんじゃあないかな?
投下に関しては次からはもう新スレの方にしてもらって、このスレはとりあえず残しとくみたいなね
りょーかーい
wikiに関しては、夜の暇な時とか見つけてちょっとずつやるかなw
wiki編集してて、既に流れちゃってるのがあるのに今さら気付いた
保存してる人、もしくは投下した本人の降臨を待ちますか……
おおう乙です!
サウザーはwwまあしょうがないよなw
ついでにレス番を赤くしよう
>>961 だれかろぐたのむ
っと、こうしてる場合じゃねえww
まず来月のお題決めなきゃだ
wikiの編集関連はとりあえず後回しにしないと間に合わなくなるwww
今更だけどざっと三月感想。
毒男の独り雛は可愛らしくも哀しく、でも寂しくはない感じでよかった。
タイタニックは世界一周と幸せの青い鳥で、先読みしてしまった通りの落ちだったのでちょい残念。
ショートショートとしては王道なんだけど、話として素直すぎな感じでもう一捻り欲しかったかな。
鸚鵡のじいさんの落ちは、カラフルな子ども達だけで終わらずにもう一落ちあって、
作中の俺的にも、読者としての自分にもしてやられた感があってよかった。
全体にいい感じに明るく&軽いのも好きだ。
小鳥の宴は「雛まつり」の解釈がおおっ!って感じだった。
あと夫婦仲良さげでいいなあは順当な感想だと思うんだけど、何故か
>夫は捕まえてきた虫を妻に口移しした。
>安らぎの時間。
にエロスを感じてしまった。
『サヨナラ』は恐いという感想が多かったけど、これくらいなら可愛いもんだと思ってしまったw
ホテルの件だけは、誕生日だから頑張ったのかもしれないと思えば、
ちょっと浮気しただけですっぱり別れるくらい元々さめてられていたのに
気付かずに予約してるのが可哀想ではある。
生きろ。
965 :
誘導:2009/04/01(水) 06:09:36 ID:SIVH0+uh
ちょっと雑かもだけどwikiの文章系の編集は終わらせた
絵とか音楽とか貼るのがわかんにゃい
とりあえずチェックよろしくお願いしま
うおおおお乙です!本当にありがとう!
ページの上の「編集」から「このページにファイルをアップロード」
テーレッテレーン♪
おれは がぞう の はりかた を おぼえた!
まとめに都都逸がないじゃないか! 俺は悲しいね!
あれ? 編集し忘れてたのがあったのかしら
とりあえずその他に入れといたんだけど
見てきた
1月の都都逸が12月に入ってたよww
おぐぅぬうう!
指摘d、直してくる
やっぱ一気にやるとこうなるというか所詮俺だww
もう直したw
ページごとコピっただけだけどねw
見たらちゃんとなってて「まさかエイプリルフールで(ry」と思ったw
フォローあり
ジャンルだけどテンプレに従うとタイトルだからどうしようかなー、って思ってたんだけど……
とりあえず一月の都々逸の表記はあれでいいのかな?
タイトルを「無題」にして、詩吟の中で都々逸を分けた方が良いのか迷うぜ
そういわれると俺も判断に迷うけど、別にわからないわけじゃないから問題ないと思われ
そういう判断も含め、改めて乙です!
ところで関係ないんだけど、ウィキの背景色って変えられるのかしら?
白背景だと文章も読みやすいけど、次第に目が疲れるんだよね。なのであと若干暗めに出来ないかなと
あれって管理人権限なのかな
見てみたけどわからないww
むしろ、俺にはwikiの管理人さんが誰なのかもわからない
自分で調べたwごめん
多分だけど、右上の「このウィキに参加」からメンバー登録して、ログインすりゃ出来るっぽいです
あとでちょっとやってみようと思います
おお、では先に言っておくですGJ!
業務連絡
ウィキの背景色変更できんかったwwwww
なんかこれも管理者権限に含まれるみたいね
どうせならウィキのタイトルも変えたかったんだけどねwスレタイも変わったし
ログインできたってことは管理人さんいることはいるんだろうね
うにゃ
メンバー登録に管理人さんの了承がいらない仕様みたいだから、その辺はまだわかんないです
もし見ていたら、背景色とタイトル変更の件を宜しくお願い致します
そうなのか
wiki管理人俺だ
すまんここ最近s-1見てなかったよ
えーっとどういう風に変更したらいいかな?
ちょっと濃くしたけどこれくらい?
おお、隣のメニューの所と比べたら目に優しくなったのがすぐわかったw
そのままでも問題ないかなぁと思ってたけど、変わってみて驚きのちょっと位白さ
GJ!!
えっと、でタイトルはなににすればいいの?
新スレのスレタイで問題ないかと思うます
それは【】ないも入れて?
うん、【】内も入れてだねー
お題で創作ってのがなかったらスレタイだけだと定例発表会っぽく感じるしw
ほいほーい
これでいいかな
素早い対応乙なんだぜ!
乙
以下独り言
そうだそうだあの人だった
乙です!
丁度2chの背景色と同じくらいだね。見やすいっす
アリガトー
メニューのところも同じ色にしたらどうだろう