1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
携帯電話やパソコンのある現代版耳をすませばを……すげえ展開変わると思うんだ、電波とストーカー的な意味で
ジブリか
この板にはトトロ大活躍のクロスSSスレがあってですね
ジブリの短編「on your mark」をノベライズして下さいお願いします
ディズニー組はまだきてないんだな〜
ラマ王とかマイナー系も見てみたい
ラマ王ってどういうのだっけ
>>6 正式名称は「ラマになった王様」
わがままな若い王様が、解雇した部下に復讐されてラマになり、元の姿にもどろうとする話。
恋愛系というより友情系の物語だから、いままでなかなか話題に……
なんか見たことあるような気もする
でも内容覚えてないな
ディズニーはパークもおk?
今季のシーSPフォトにすんごい萌えを感じるのだよ…
いいんじゃない?
>>10 レスありがとう
今日中に推敲終わらない気がしてきた…ミキ短編観てる場合じゃなかったorz
あと遅ればせながら
>>1乙
こういうスレ待ってた!
ジブリやディズニーのキャラや世界で
二次創作や空想をwebで発表しても
著作権無問題?
小説や絵など。
やってみたいんれすけど。
問題はあるだろうけど、deviantARTが野放し状態なのを見ると、日本は過剰反応なんだと思う
実際見つけられないと思う
15 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/09(木) 23:43:49 ID:hTsXoLjE
保守あげ
再びage
ハロウィーンの話書いてるけどオワンネorz
くじけそうなのでここで宣言しておく
>>16 がんがれ超がんがれ
今期ショー、テーブルイズウェイティングのネタ投下します。
・ショー開始前の話
・BIG8+ルミエール
“ディズニーシーパークのキャラクター達”ではなく、“ドックサイドステージの俳優達”を意識して書いてます。
スペシャルフォトが元ネタだったのに、10月後半の今現在ではSPフォトはネタにしたところと撮影場所が違うというOTL
キャラ達に夢見ててごめんなさいor2
苦手そうな方はタイトル避けお願いします。
では、【A TABLE is Waiting】ご賞味ください。
ニューヨークシティ。
19世紀の面影を随所に残すこの町へとS.S.コロンビア号が戻って来たのは日も明け切らぬ早朝。
世界一周の航海などしていないとでも言わんばかりにひっそりと、元ある場所…
ニューヨークの港にその巨体を鎮座させたのであった。
「みんな、こっちに来て!下を見てみてよ!!」
朝から溌剌とした声がデッキに響く。
この豪華客船のクルーを取り纏めるその人、名前はミッキーマウス。
彼とその仲間達は、世界中を巡り、たくさんの土産品を持ち帰った。
様々な思い出、様々な宝物。
その中でも、今回は…
「ワア、すっごい!」
「円卓?素敵な“テーブル”ね!」
世界各国で巡り会った、たくさんの食べ物。
それをニューヨークの人々に紹介する、そう心に決めたミッキーと仲間達は
旅の途中から舞台の準備を積み、とうとう本拠地のニューヨークへと帰ってきたのだった。
「今回のショーはうまくいくかなぁ?」
「あんなに練習したんだし、ダイジョーブ!あっ、もしかしてデール…また自信ないのぉ?!」
「いやっ、そんなことないよ!!あの歌、気に入ってるしね!」
「ほんとう?僕もそうなんだ!」
キャッキャッと無邪気に笑う2人。
それを楽しげに見守るミッキーの傍には、アメリカ国旗をモチーフにしたテーブルナプキンを首に掛けご満悦のプルートが寄り添う。
さらにその横では、いつミッキーがこんなステージを用意したのか、
ドナルドとデイジーがああでもない、こうでもないと議論する。
議論はかなり白熱しているのだが、いつもの口論へは発展しない。
これからのショーを心待ちにしているのが2人だけでないことを如実に物語るその様子に、
ミッキーはまた楽しそうに笑い、プルートの頭を撫でるのだった。
「ミッキー!」
可憐な声がデッキに響く。
声の方向に目を向ければ、歩く‘サンプル’となった人影がふたつ。
「衣装完成だよ、アッヒャ!」
「もう、デイジーったら!細かい手直しの最中にいなくなっちゃうんだから!」
ミニーはそう言って口を尖らせる。
しかし、デイジーは悪びれもせず
「だぁって、ドナルドも、ミッキーも呼んでるのよ?それは何が何でも行かなくっちゃ!」
そう言うと、いそいそとグーフィーの持つ大きな袋を覗き込むと笑顔を浮かべた。
「楽しみね!」
デッキに衣装を身に着けた全員が揃うまで、あまり時間はかからなかった。
先ほどの面々に、フランス郊外で知り合ったルミエールも加わり話に花が咲いている。
「しかし、素晴らしい衣装を創ったものですね。いやはや、さすがお二方と言うべきか」
「あらルミエールったら!ウフフ」
「ファッションディレクターたるもの、これくらいはしないと、ね!」
ルミエールの言葉に、2人は満足げに目を細めた。
しかし、
「ねぇ、ボクの服はどっちがデザインしたの?なーんか変じゃない?」
そうドナルドが言うと、デイジーの周りの空気が豹変した。
「あら……そんなこと、言う?」
「全員の服、二人でいっしょにデザインしたのよ」
「え〜、そうなの?」
ミニーの言葉にもまだ何か言いたそうなドナルドに、デイジーは冷たい視線を浴びせた。
「…だったら、ドナルドだけ、衣装脱いで頂いて構いませんわよ?
作り直したりなんて、……絶!対!に!しないんだから!!」
「グワワ、そこまで言ってないだろ!? なに怒ってるんだよ?!」
今にも喧嘩を始めそうな二人の様子に、あわててルミエールとミニーが仲裁に入る。
「まあまあ、お二方とも落ち着いて!」
「そうよ、二人とも! あのね、ドナル…」
そう言いかけた言葉は、ミッキーのよく通る声で遮られた。
「ねえみんな!記念撮影しない?!」
朝8時前。
ドック脇のステージ周りには、さすがに人影はない。
出航前のステージとあまり大きさに変わりはないはずなのだが、
それでも全く違うステージに見えるのはさすがにミッキーが発案したものなだけある。
ミッキーから言わせると「ルミエールやみんなの案を集めただけ」なのだが、
あれだけ個性の強い仲間達の具材を上手く絡めて料理できるのはミッキーくらいだろう。
そんなステージを背景に、とびきりの衣装を身に纏った舞台俳優達の撮影会が始まった。
まずはミッキー。
襟やポケット止にあしらわれた黄金の葉が日に当たりキラキラと輝く。
あまりに葉が輝くので、日陰に移動して撮影を始めることになった。
そんなミッキーのポーズは、ミニーこだわりの蝶ネクタイを見せびらかせるかのように両手に持つもの。
その自慢げな表情に、ミニーは人知れずため息を吐く。
そんなミニーにミッキーも気付き、お互いに熱い視線を交わらせる。
「はーい、次ボクの番!!」
二人の様子にうんざりしたとでも言うように、ドナルドがわざと大きな声を出してから移動すると、
ミッキーは照れたように頭を掻き、笑いながら入れ違いに仲間達のところへと戻った。
ミニーがまた別の場所で撮影を始めると、9人は好きなように別れ、自由に行動を始めた。
「ちょっと脇しめた方が可愛いわ」
「もうすこし離れた方がいいんじゃないかなぁ」
「なんだかバランスが悪いわ?もう少し左腕上げて」
「手の位置、低いんじゃない?」
さまざまなポーズをとる仲間に、ああでもないこうでもないと他の仲間から野次が飛ぶ。
瞬間、ここが腕の見せ所、とばかりに撮影される側は奮起する。
どれだけよく見せられるか、どれだけ魅せられるか…
仲間であり、ライバルであるお互いが認め合わないとこんな光景は見られないだろう。
「ああ…素晴らしいな……」
今回からの仲間であるルミエールにとって、ミッキーと仲間達の結束力はとても眩しく見えた。
8時半を回ったあたりで、そろそろステージ周りにも人通りを感じるようになった。
「どうしよう、そろそろ止めようか?」
ミッキーの提案を止める者はいなかった。というのも、
『だってさ…』「お腹空いたよねぇ」「ワン!」「ペッコペコ…」
そう、皆が皆、高揚感からか朝食を取るのを忘れていたのだ。
これから舞台の総稽古だって控えている。
食べ物の格好をしているのに食べることを忘れるなんて、とんだ笑い話だ。
とそのとき、クー、と間の抜けた音がひとつ。
「…ハハッ、そういえば僕も食べてないんだった!」
「まあ、ミッキーもなの?」
「早く朝食の準備をしなくちゃね!」
デイジーが踵を返すと、そこに立つのは新しい仲間。
「はい!お食事の準備は整っていますよ!」
えっ、と顔を向ける仲間達。
「皆様を世界フルコースの旅へご案内致しましょう! ご注文は何なりと!」
どこかで聴いたことのあるようなフレーズに、皆の顔が綻ぶ。
そんな皆にも負けない眩しい笑顔で、ルミエールはこう言った。
“Bon appetit!”
以上になります。
お粗末様でした。
一発目乙!ルミエール好きだw
ありがとうございます!ルミエールスキーなので嬉しい!
乙!素敵でした!ルミエールがイイ!
うーん投下しにくい……>16です。
それでも投下します。
・ハロウィーン開始前
・ヴィランズメインで+BIG8
・基本は>18氏と一緒で、俳優感が強いです。脳内ワールド広がりんぐなので訳わかんなかったらすみません
・かっこいいヴィランズはいません
・基本的に資料不足なので似非揃い
アレー投下する意味あるのかな('A`)
苦手な方はタイトル避けお願いします。それではどうぞ。
王国が誕生してから早25年。様々な出来事があって、様々な笑顔がやって来て、様々な奇跡が起きた。
その全てを見守ってきた荘厳なシンデレラ城には、つい最近まで裏の顔があった。
城の地下には、闇の世界の住人たちが、我が物顔で闊歩していたのだ。
彼等の主たる魔王ホーンドキングは、日に何度も訪れる勇者志願の中から
選ばれた一人に倒され続けてきた。彼はその様な役目を受け入れる代わりに、
己が眷族と自身の居城を求めた。そして果たされた『彼』と魔王の契約が
『シンデレラ城ミステリーツアー』誕生の発端である。
そのホーンドキングが王国を去って随分経つ。契約の主はもういなかった。
『彼』が消えてからも闇のモノ達とその王がシンデレラ城に君臨し続けたのは、
魔王言うところの『惰性』であり世間で言うところの『優しさ』であったのかも知れない。
ホーンドキングは寛容な魔王でもあった。数え切れないほどある地下室の、
一際広い一室を王国と海の同胞に開放するくらいには。
誰が始めたか知らないが、その部屋にはいつしか夢と魔法、冒険とイマジネーションを
嫌う連中がたむろすようになった。魔王の去った今、城の地下全体を頂戴した彼等を、
他の住人たちは総称してこう呼ぶ――――悪しき闇の申し子『ヴィランズ』と。
ただ、一介の小悪党であるファウルフェローたちからすればその呼び名は実に過ぎた物で、
大物の集うサロン(だが例えばフックは集会と呼び、ハデスはだべり場と呼び、クルエラは暇潰しと呼ぶ)
には日頃滅多に近寄ることはない。暗い地下室で彼等と顔を合わせ続けられる度胸などないし、
それなら光溢れる元でゲストと戯れる方が楽しいに決まっている。
しかし、ファウルフェローとその相方ギデオンはそこにいた。部屋の隅に縮こまるようにして
サイズの合う適当な椅子にかければ、召使のグーンが乱暴に紅茶らしきカップを置いていく。
彼等の他に見えるのは――。
魔王の忘れ物であるサイズが明らかに違う大きな椅子に腰を下ろし、分厚い書物を開く
ひょろりとしたローブ姿はジャファー。相方のイアーゴはクラッカーに夢中だ。
その隣、同サイズの椅子にぴったり落ち着く冥王ハデスは、部下であるペインとパニックとで
何故かババ抜きに興じていた。カードを抜いた瞬間その頭の蒼炎が一瞬揺れる。引いたのか。
鮮やかに赤い貴族の様な衣装を纏ったフック船長は、見よう見まねな優雅っぽい物腰で
紅茶を楽しんでいたりした。スミーがその傍らで忙しく立ち働いている。
そのテーブルの反対側ではクルエラ・ド・ヴィルがフックとまるで同じ態度で
スミーをこき使っている。カップを片手に時々向けられる、フックの凄まじく
不機嫌な視線は読んでいるペットの雑誌で弾く。当然、本当にペットを飼いたいわけではないだろう。
そして。
「さて誰が来たかと思えば、狐と猫じゃあないか。まったく珍しい、お前達は
城の裏の馬鹿げた世界が好きだろう?」
「とんでもない!」
ファウルフェローはすかさず起立、帽子を取り胸に当てる。一礼する横では
ギデオンが物凄い速さで頷いている。肯定してどうする。とりあえずはたいた。
そんな二人の漫才染みたやりとりを、闇の魔女マレフィセントはにこりともせずに眺めていた。
王国や海に漂うカボチャや栗の香りと秋の気配。その先に待つのは、ハロウィーン。
仮装に彩られた華やかな狂乱とゴーストが飛び回るこの季節は、ヴィランズが
暴れるに好ましい時期だった。パレードを乗っ取ろうと画策したり、ショーを潰そうと
試みたりとその方法は毎年多岐に渡る。
誰がその祭り騒ぎに参加するのか……その采配は、ヴィランズの司令塔たる
マレフィセントにかかっている。ただでさえヴィランズとしては小物である
ファウルフェローとギデオンだ。去年は呼ばれなかった。彼等を上回る迫力と
実力を持った者はいくらでもいるのでその辺は諦めがつくが、やはり仕事を
干されるのを黙って甘受するわけにも行かない。そんなわけで、ゴマすりに来たのだ。
「で、今年もまたショーでも乗っ取るつもりか。マレフィセント?」
ジャファーが本から目を離すことなく言った。
専用の椅子に身体を沈めたマレフィセントは、ゆっくりと頷く。
「当然だ、今はもっとも闇の者たちの力が満ちるとき……今度こそあのネズミに
一泡吹かせてやらねば気が済まぬ」
「いつも返り討ちだけどな……そろそろ飽きてきたぜ」
負けたらしく、カードを投げ捨ててハデスが呟く。そちらへは氷の視線を叩き付け、
マレフィセントは口許に手をやって考える素振り。
「……結果はどうあれ、あの連中の騒がしい宴を一時でも邪魔できればいいのさ」
何だか手段が目的になっている気もするが、黙っておく事にした。下手に動いて
睨まれては困るし、そもそもファウルフェローもギデオンも本気で王国を支配したいなどとは
欠片も思っていないのだ。一昨年のナイトショーの時など、ビッグバッドウルフたちと
何故自分達が呼ばれたのかと首を傾げたものだ。
ふと、室内にふわりと風が入り込む。いつの間にか開いていた扉から、一羽の
カラスが空を切って現れた。マレフィセント腹心の部下、レイバンだ。
椅子の背に音もなく止まったレイバンから何を聞いたのか、マレフィセントの
細い指がゆらりと動いた。杖の先端に輝く水晶が妖しく光り、壁へと伸びていく。
奇怪な緑の光は色と形を変え、とある情景を映し出した。
壁に出来たスクリーンの中に、見覚えのある建物が揺れている。どこか退廃的な
気配を漂わせるゴシック風の洋館。薄暮の中、その窓辺にちらりと何かの光が動く。
ファンタジーランドの一角に鎮座する、ホーンテッド・マンション。
999のゴーストたちが住まうその屋敷の壁には、何故か黒いソリが突っ込んでいた。
景色が切り変わる。侘しい墓碑と崩れかけた石像が立ち並ぶホーン・テッドマンションの中庭だ。
そこで長い足を折り畳み窮屈そうに正座しているのは、ハロウィン・タウンの
支配者ジャック・スケリントンである。
スタイリッシュな燕尾服と蝙蝠タイに身を包み、いつも自信に満ち溢れている
その白く丸い顔は実に申し訳なさそうに項垂れていた。隣では彼の恋人であるサリーが
おろおろと忙しく視線を往復させている。
その視線の先、仁王立ちしているのは一人のキャスト。その顔にはディズニースマイルの
代わりに怒りを何とか押さえ込んだ具合の攣った様な笑みがあった。心なしか、
この季節にだけ纏う紫のケープの肩が震えている気がする。
マレフィセントが切ったのか、音声はない。それでも状況はあまりにも分かりやすかった。
混乱と驚きと狂乱を愛するジャック・スケリントンの来訪はいつも派手だったが、
今回は慣れが災いしてトナカイ捌きを誤ったに違いない。
「――あの連中が来た、いい加減方針を決めねばならん」
ジャック・スケリントンがハロウィン・タウンの奇怪な仲間を引き連れ来訪する頃、
王国のハロウィーンも開幕する。それなのにまだ何も決まってなかったのか、と
うっすら思ったが黙っておく。個性豊かなヴィランズに統率があるわけもなく、
それを強引にまとめているマレフィセントとてそんなに人望があるわけでもない。
撤退命令を無視して踊り狂った『クーキー・スプーキー・ハロウィーンナイト』は実に楽しかった。
「ちょっと待ちな、あの虫野郎を引き入れるつもりかい?」
クルエラが初めて雑誌から目を離して声を上げた。
「あいつが来るならあたしは降りる、そういう話だったはずだよ」
「安心しろ、あいつと何かやるには手間が掛かる」
ウーギー・ブギーがいないのをいいことに、ヴィランズの怖い怖い女性陣は好き放題言っている。
いつだったかブギーと共に騒動を起こす計画が持ち上がったのだが、クルエラ
ご自慢の毛皮のコートがブギーの内側に潜む虫共に穴だらけにされたのをきっかけに頓挫した事があるのだ。
「おいおい、そんなワガママ言ってちゃあ出来るモンも出来ないだろ?」
よくブギーとルーレット(一度見た事があるが、もはや盤面を挟んでいるだけのイカサマ合戦だった)
に興じていたハデスが口を挟む。クルエラはギロリと冥王をねめつける。
「またあたしに虫食いだらけのコートを着ろって言うのかい?」
フックがここぞとばかりに割り込む。
「いいだろ、どうせ山ほど持ってるんだから」
「黙ってな海賊!茶化す暇があったらワニ恐怖症を治したらどうだい」
「キャプテンはワニが怖いわけじゃあないですよ、ただ時計を飲んだアイツが怖いだけで」
「バカ、そこまで言うなスミー!悲しくなる!」
スミーまで参戦した言い合いはジャファーの眉をしかめさせる。本を乱暴に閉じれば
尾羽を挟まれたイアーゴが飛び上がって叫ぶ。
「ええい静かにせんかッ!落ち着いて読書も出来ん!」
「つーかお前何スカしてんだよ、一応オレらの話なんだぞ!?」
「何ささっきから茶々しか入れてないくせに!」
「そう言やクルエラ!前々から言いたかったんだがお前のせいで冥界に迷い犬猫が
やたら来るんだよ!追い返すのが骨でならねぇ」
「ジャファー!俺の羽根どーしてくれんだよ!!」
「うるさい!クラッカーのカスをぼろぼろ吐くな!!」
ヴィランズの大物達の言い合いをファウルフェローとギデオンは互いに抱き合って
がたがた震えて見守る。ついにマレフィセントが荒々しく立ち上がった。
「ええいお前達!黙らんか!」
がぃん!と杖の先を石造りの床に叩き付ければ、映像も途絶えてしまう。
燻ぶりながらもようやく沈黙したヴィランズに、マレフィセントはうんざりしたように
片手を目元に置いた。
「まったく、これだから馬鹿のお守りは疲れる……」
何故そこでまた火種をぶち込む、と冷や冷やしたが、ファウルフェローと
ギデオンにしか聞こえない程度の音量だったらしい。
と、不意にレイバンが首を巡らせア゛ァと鳴く。それを聞いたマレフィセントが
訝しげに杖の先端を撫でると再び光が壁に落ち、別の映像が現れる。
一面艶のある黒だった。
「何だ、これは?」
マレフィセントの疑問に答えるように、黒全体がぶれる。それが急にスライドした先には、
いつも希望に溢れるくりくりとした瞳があった。
来訪者の正体を悟ったヴィランズの中から驚きの声が漏れる。日頃この地下室に
現れることなど絶対にないはずの――
「ミッキー・マウス!」
『やあマレフィセント!いいお日和だね!』
ヴィランズの驚きを知ってか知らずか、夢と魔法の国の王は訪問者を監視する術の
かかった石像ににこやかに手を振ったらしい。顔が近すぎて眼と鼻先しか分からないのだ。
すぐそばから『ミッキー、近すぎよ』と鈴を転がしたような声がした。するとミッキーは照れ笑いし、
距離を確かめるように二三歩後退りする。すると、城の地下室入り口の状態が見えてきた。
そこに揃っていたのは、誰あろうBIG8であった。
ギリシャ風の衣装が意外にも似合うグーフィーの肩には、ガーゴイルの仮装を
したチップとデール。足元にはドクロをあしらったギリシャの装飾を身に付けたプルート。
不機嫌そうなドナルド・ダックの衣装はアラビアの富豪サルタンそのもので、
魔女に扮したデイジーはその隣で困ったように肩をすくめている。ミニーはと言えば
デイジーと同じく魔女なのだが、いつしかの衣装と違うのはピンクをあしらった
ぐっとダークなデザインというところ。
そして、どこから湧いて出るのか実に楽しげな笑顔のミッキーは、マレフィセントの
天敵フィリップ王子を意識したデザインの衣装を纏っていた。しかしその色合いは
さながら闇の王子とでも言うべき暗い配色で、妙にヴィランズたちのセンスに合致した。
そんなミッキーが、再び口を開いた。
『ハロウィーンの相談をしたいんだよマレフィセント!』
「勝手にやっているがいい」
マレフィセントは冷たく即答した。それは向こうにももちろん届き、怒ったドナルドの
ガアガア声とチップとリスたちのブーイングが返ってくる。
『そういうわけにも行かないよ、今年はきみたちをメインに持ってきたいんだもの!』
「――――!?」
ミッキーの思わぬ一言に地下室側に動揺が走る。
「……何だって?」
先に疑問を口にしたのはクルエラ。それを受けてデイジーが前に出る。
『ねぇ見て!今年の私たちの衣装、テーマはヴィランズなの!もちろんそのものズバリってわけには行かないけど』
『フロートもヴィランズなんだよ、あひょっ』
『今年もダイタンに作ったんだぁ』
『ボク達はハデスと一緒!まだ一人乗れるから、そっちで誰か呼んで来てよ!』
提案してくる割にはなかなか適当である。
『ほらぁ、ドナルドも何か言って!』
『その仏張面やめなよ〜』
チップとデールがキャアキャア言いながらドナルドの肩へ移動し、更にヘの字に
曲がったくちばしへよじ登る。
『ただでさえ』
『ブサイ……おっとこれ以上言ったらダメだ!』
二人の息はぴったりで、ドナルドの口は左右から引っ張られ笑顔らしきものになる。
おそらくヴィランズを呼ぶこと自体が不満であるらしいドナルドは、実に分かりやすくブチ切れた。
『グワワワワッ!いー加減にしろーっ!!』
ドナルドの喚き声をBGMに、ミッキーは首を傾げた。
『君たち、毎年乱入してくるでしょ?けどそれじゃあハロウィーンパーティーとは
言えないと思うんだ。君たちはただの悪役じゃあない、『ヴィランズ』なんだ……
僕らは君たちあってこそだって言ってもいいかも。そんな君たちをないがしろにし続けるのは、
間違ってる。ね、ミニー?』
ミッキーが振り返ったのは、ミニーの愛らしい笑顔。彼女もそうよ、と頷いた。
『今年はみんなで楽しみたいの。ほら、あなたたちも毎年パーティーの邪魔ばかりしてると
飽きてくるでしょう?』
「ちぇっ、バレてやがる」
ハデスが呟いた。毎年似たような事をやっているのだ、バレるも何もない気もするが。
BIG8にその呟きは聞こえなかったらしい。ひとくさりハロウィーンの企画を好き勝手に喋り、
『と言うわけだから!良かったら打ち合わせ、顔出してね!』
とミッキーが締め括ったかと思えば嵐のように去って行ってしまった。
後に残されたヴィランズの顔は、個人差はあれど豆鉄砲を喰らったハトの顔だ。
それも当然だろう、宿敵と定めていた相手から思わぬ誘いを受けたのだから。
「どうするよ?」
ハデスが誰ともなしに尋ねた。クルエラが煙草を吹かす。
「行ってもいいけどね、あたしは」
「おい!裏切るつもりかよ!?」
いきり立つフックを横目で睨み、クルエラはわざとらしく煙を吐きかける。
「ぶっ!?げほっげほっ――ぁにすんだ!」
「何が裏切りだよ、そ知らぬ顔でジュビレーションに出てるのはどこのどいつだい?」
「!……そ、そーれーはだな……」
ヴィランズで唯一新しいパレードに呼ばれたフックは微妙な顔であさっての方向へ
視線を逸らす。そこにジャファーの追撃がかかる。
「そもそも貴様はワンマンだのエレクトリカルだのに出すぎだ……ワシを差し置いて」
「ま、どーせピーター・パンの引き立て役だけどなぁ」
「うっさいぞお前ら!出ればこっちのもんだ!…………何だよクルエラだって
おととしはブランコこぎまくりだっただろ!いい年して!」
「なっ、何だってもう一回言ってみな!?」
「あああああの皆さん落ちついてぇ……」
それこそ年甲斐もなく言い争い始めるヴィランズ達の周囲をスミーがあたふたと駆け巡る。
「……面白い」
誰かが呟いた。一瞬聞き流しかけた一同だが、遅れて来た衝撃で全員の顔が声の主へ向けられた。
「……マレフィセント?何を言っている?」
ジャファーの訝し気な声も気に留めず、マレフィセントはにやりと笑んだ。
「奴らが我等を招きたいと言うなら好きに招かせれば良い。招かれてやろうじゃないか……もちろん、奴らと仲良しごっこをする気は毛頭無いが、な」
そこまで言うと、マレフィセントの肩が震え出す。密やかな笑いは、やがて高らかな哄笑ヘと変化した。
「そう、そうとも……今年こそは……奴らに目に物見せてくれる!
もう浮かれ騒ぐだけの夜などうんざり、ハロウィーンの夜は我等ヴィランズの物だ!!
フフ……フハハハハハハハハハ…………!!」
良い悪いに関係なく、笑いというものは伝染する。マレフィセントの笑いにつられて他のヴィランも笑い出す。
笑い出せば、もう止まらない。それぞれの悪に満ちた笑いはシンデレラ城の地下に長々と響き渡り続けるのだった。
「……大物も大変だよなぁ」
そんなシンデレラ城を背に、ファウルフェローはステッキをくるくる回して歩いていた。その隣を行くのはギデオン。
ミッキーの言った通りの良い天気だった。今まで地下室に篭っていたのがバカらしくなるほどに、秋の空は高く青い。
「俺達はのんびりとやろうや。無理に出なくたって俺達の魅力を分かってくれる奴はいくらでもいる
……な、そうだろギデオン?」
ギデオンはこっくりと頷いて、それからファウルフェローのマントの裾を引っ張る。
指差す先には、満面の笑顔に彩られたゲスト達がいた。
二人が手を振れば、嬉しげな声がこちらにも届く。そう、グリーティングは楽しい。悪巧みと同じぐらいに!
――マレフィセント、ミッキー達、そして運営側の議論の果て、その結果ヴィランズの負け演出が
昼夜ともに固定となってしまうのは、まだ先のこと。
【小ネタ】
「分からんのじゃが」
ウィックドウィッチが口を開いた。彼女の他にはハートの女王やフロローと言った、
日頃あまり地下室には顔を出さない面々がそれぞれパレードの打ち合わせに勤しんでいる
――専用フロートがないことにお怒りのハートの女王がお決まりの台詞と共に
トランプ兵をジャファーにけしかけた。彼女ほど手持ちの部下がいないジャファーも
杖で決死の抗戦に挑む。イアーゴは物凄いスピードで逃げた。
そんな大騒ぎを毛ほど気にせず、ハデスは自分の顔が象られたフロートの設計図に赤ペンで細かくチェックを入れていた。
「で、何が分からないって?」
「アタシが呼ばれる時はいつもこの姿……前から疑問だったんじゃ、何故元の姿で呼んでくれん
……ワンマンぐらいでしか出番がないじゃあないか」
「そりゃあ……」
ハデスは忙しく赤ペンを走らせる。眉毛はもう少し細めで、肌の色はもう少し死んだ感じでよろしく、などなど。
「あんたの元の姿、後姿がマヌケじゃねぇか。振り返れもしねえ」
「……」
ウィックドウィッチがありったけのの毒リンゴをハデスに投げつけまくるまであと数秒。
***
長文スマソorz
ありがとうございました!
>>16氏乙乙!ヴィランズ素敵!
フェローとギデとチデにきゅんきゅんした…っ
生き生きとしたヴィランズ達だ〜!
話はてんでまとまってないのに笑うときだけ一緒というのがつぼに入りました。
フェローとギデ、いい奴らだなあ〜。
>>16氏ありがとう!
39 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 22:05:20 ID:PXjqWiAJ
うわ人いねえええぇwww
18だけど、続き(というかサイドストーリー)投下してもいいかな
…まあまだできてないんだけどさ
クリスマス始まるまでにはまとめるために自分にプレッシャーを、と…
こいこい!
>>40 レス早過ぎ吹いたw
>>41 書き込みの文章を見るにオリジナルのようなのでスレ違いでしょう。
それに、読んでほしいならば投下した方がよろしいかと。
2chで批評されたいなら2chに書いてくださいね(^^)
よし俺が保守代わりに過去作品を投下しようと思うのだが
好きなのを選べただしクオリティは保証しない
・06ハロウィーン開始話
・今年のSOHの話(殺伐)
・12/15の話(暗い)
・25周年開始の話
・気の毒なドナルドの話(超短編)
全部!
45 :
18:2008/11/03(月) 11:17:18 ID:MirihJl5
>>43 SOHで殺伐って何事?w
12/15って何かあったっけ…?
ということで上記2つ読んでみたーい!
自分も書き上がったんだけど、
>>43さんが投下するんだったらちょっと待とうかな?
46 :
43:2008/11/03(月) 12:27:42 ID:/H+Oc3ze
よーし季節的にもSOH投下
18氏のオードブルにでもどうぞ
ちなみに12/15はヲルト氏の命日なんだ
そんな俺は実は>16
・「今年のSOHはフリーグリがやばい」(殺伐的な意味で)とネットの噂で耳にしただけの
年1ワンデーな俺が妄想を膨らませただけの話
・実際何か違うかもしれない
・割かし現実を直視した話
・BIG8がだらだらしてるだけでオチがありません
そんな感じでどうぞ
シーズン・オブ・ハート。大切な人へ、心からの想いをこめて。
日頃照れ臭くて言えないけれど、愛情や友情は、確かにゲストの心を満たしているから。
冷たい海風に身体を縮こまらせるこの季節でも、冒険とイマジネーションの海は
形こそ様々だが暖かな愛に包まれる。
――はずなのだが。
「やっぱりショー削ったのはよくなかったと思うんだ」
「そうそう、あの博士コス気に入ってはのにふぁー」
チップがアップルムースを掘り、後ろに放るとデールが口でキャッチする。
「そういう問題なのかしら。5周年のとちゃんと差をつけなきゃ、ゲストも拍子抜けしちゃうわ」
ミニーが紅茶を片手に首を振る。
「シンデレラブレーションもフィナーレだしねぇ、全力投球できるのは嬉しいんだけど……」
「ボクはグリーティング楽しいよ?あの衣装好きだし、デイジー可愛いもん」
エビフライカレーをつつきながらグーフィー、ドナルドがシチューボウルをぱくつきながら続いた。
「あら、嬉しいじゃない。私もジュリエットの衣装好きよ。けど、やっぱり恋人や
家族だけじゃなくて、隣のゲストも大切な人って思えるようにしたいわよね……」
サラダのフォークを持ったままデイジーが呟く。
「けど、もう変更は無理だよ。今のプログラムでゲストが満足してもらえる方法を考えなくちゃ」
足元に寝そべるプルートにカレー肉をあげながら、ミッキーが珍しく真顔でまとめた。
今年のシーズン・オブ・ハートは、リドアイルでのショーを無くした代わりに、
新衣装をまとったミッキー達のグリーティングが用意されている。だが閑散期でもない限り、
グリーティングとは常に戦いだ。もちろんミッキー達もそれは十分わかっている。
だが、新衣装とは……ゲストを必要以上に駆り立てる。
キャラクターキャプテンにドアを開けてもらいピアッツァ・トポリーノへ歩き出そうとした瞬間、
メディテレーニアンハーバーの空気がギラリと殺気立つのだ。いや、戦いは既に始まっていると
言っていい。既に最前列をキープしたゲストはまだいいが、後から来るゲストの水面下の
小競り合いが絶えない。ゲストコントロールキャストも尽力しているが、どうにも空気のトゲは抜けきらない。
ミニショーの時はいい。だが、グリーティングタイムがまさに静かな戦争状態になってしまうのだ。
ゲストは全て立ち見なので思うままに移動する。全員を平等に相手にするなんて不可能だ。
幸いというか何と言うか直接触れ合うタイミングはほとんどないが、せめて写真だけでもとカメラを構えるゲストは山ほどいる。そうなるとやはり近くからカメラの
シャッターを押したいのが自然な感情だ。と言うわけでお目当てのキャラを追う移動にも熱が入る。
そこにはどう贔屓目に見ても『愛』の入る余地はなさそうだ。
そんなギラギラした雰囲気が苦手なグーフィーは『家族』の象徴としてピノキオとゼペット親子が
出ると聞き、これ幸いとグリーティングを欠席した。そうでなくてもあの殺気の中、
BIG8をフリーで全員揃え解き放つ事の恐ろしさは、王国及び海に関わっている者全員が理解している。
「こうなったらゲスコンを増やすしかないよ、後はベテランのキャラキャプと……」
「そう簡単に行かないわよドナルド。手間が掛かりすぎるもの」
「いっそカメラ禁止にしてみよっか!」
「バカ!暴動が起きるぞ!」
「もぉ、チップもデールも!ゲストはお化けじゃないのよ?」
「あひょ、ビアンカ達も呼んでゲストが分散するようにすればいいんじゃないかな?ね、ミッキー」
「それも悪くないけど……ミニショーが大変になっちゃうな。全員紹介してあげないと」
「じゃあもうちょっと尺取ればいいじゃん」
「そんな長い時間、ゲストを立ったままお待たせできないわ!」
「……リドアイルで座り見の方が良かった、かも」
誰かの一言に全員が黙ってしまった。プルートでさえ気まずそうに水をちろちろ舐めている。
そう、そうなのだ。企画書を受け取った段階から微妙な気配は感じていた。
新衣装でフリーグリーティング!いくら閑散期とはいえ無謀なのでは?
ただのグリーティングならいいのだ。ゲスト側の運もあるし、全ゲストが集中するなんて事もないのだから。
「けどさ、ミッキー。きみは言わないだろ」
「うん、言わない」
ドナルドの問いに、ミッキーはきっぱりと頷いた。
王国と海でのBIG8(と、二つのパークをまたいで銀行役に納まっているスクルージ・マグダック)の
影響力は計り知れない。全員が声を揃えずとも、ミッキーの一声でパークのエンターテイメントはいくらでも変化する。
だが、ミッキーも他のBIG8もその力を良く分かっていて、よっぽどの事がない限り運営に
口出しなどしないのだ。彼らは役者であり、俳優であり、エンターティナーである。
与えられた役を、力の限り演じ切ってゲストに笑顔をもたらすのが仕事だ。
つまり、いくら昼食のついでとは言え、今こうやってBIG8が揃って額を突き合わせ
ショー内容について議論し合うという事は相当に複雑な事態なのだ。口は出さないと決めている。
しかし、現在の状況は決して良いとは言い切れない。
「……ゲストの良心と、キャストさん達の努力を信じるしかないわねぇ」
ミニーが肩を竦めて
紅茶に口をつけた。結局行き着くのはそこしかなく、ハングリーベア・レストランでの
ランチタイムが再び動き出した。
と、何故かそこにキャラメルの甘い香りが漂ってきた。鼻の良いプルートが身を起こし、
シチューボウルを片付けてしまったドナルド、アップルムースの空きカップで遊んでいた
チップとデールが反応した。
「いよぉ、珍しいなー。BIG8がおそろいだ」
「あら、こんにちはビッグ・アル」
灰色の巨体を揺らし、のっそりとテラス席にやってきたのはカントリーベア・バンドの長(らしい)
ビッグ・アルだ。その手にはキャラメルポップコーンのバケットが抱えられていて、先ほどの
香りの正体だと知らせていた。
「何難しい顔してんだ?」
ひょっこりとウェンデルも顔を覗かせた。彼は何故かハニーチュロスをもりもりとかじっている。
「いろいろあるんだよ……あっ、ポップコーンちょっとちょうだい」
ドナルドが立ち上がって、バケットに手を突っ込もうと近寄る。それを大きな手で
押しのけてビッグ・アルは豪快に笑った。
「スターが何みみっちぃ事言ってんだ。自分で買って来いって言うかむしろ買ってくれたら嬉しいんだけどなあ」
のんびりと答えるビッグ・アルだが、実は既にチップとデールの侵入を許し続々とポップコーンを
運び出されている。それに気がついてミッキーは思わず吹き出し、両手で口を押さえた。
「それにしてもいいの?グリーティング中じゃないの?」
デイジーの質問に今度はウェンデルがからから笑った。
「何せ暇だもんで!せめてうまいもの持ってゲストを釣ろうって魂胆さ……おっ、カモ!
テレンス!リバーリップス!今夜の夕飯だ!」
テラスをのんびり歩くカモを見つけたウェンデルがにやっと笑い、来た方を振り向いて手を振る。
カントリー・ベアも全員揃っているらしい。
ポークカツカレーを手にテラス席に落ち着いてしまったビッグ・アルや、カモを
追い回すウェンデル達を眺めてBIG8は一瞬だけこう思った。
『ああ、これぐらい自由に遊べたら気楽だろうな……』と。
ナンバリング忘れた……orzおしまいです。
支援
うわ、変なことしてしまった
今携帯だからリロードしないで支援しちゃったよ
なるほどーゲストに見せない悩み事、ね
ディズニーキャラたちが身近に感じられていいね!
超GJ!
ユルいグリーティング好きとしてなんかすごい共感…というかしんみりしてしまった。
確かに今年のSOH激しかった…負けまくったいい思い出or2
やはり
>>16氏の書かれるキャラクターいいなぁ…
>>16氏がステキな振りしてくださいましたが
だらだらしててメインはおろかスープにもならないようなヌルい品です
・ドナルド一人称
・三馬鹿
・あんまオチない
では、3レスお借りします。
コロンビア号前、設置されたスクリュー。
周りを彩る花壇の花達は、朝日にきらきらと輝いている。
「素敵だね」
眩しそうに目を細めるミッキー。
でも僕は……
「そうだね‥‥」
空返事の僕に、ミッキーは呆れ顔。
「もう!朝から何ふてくされてるの!」
僕だって好きで悶々としてるわけじゃない。
「ミッキーには関係ないよっ!!」
ミッキーからはそっぽを向いて帽子を被り直す。
そんな僕を見てか、ミッキーはため息をついた。
「もう、キミったら…
さっき、そうやってデイジーも怒らせてたよね?」
そのミッキーの言葉に、デイジーの態度を思い出す。
僕そんなに悪いこと言った?
それにしてもあの怒り方はひどい。
ルミエールがあんなに持ち上げるから、デイジーがあんなに…
ああ、思い出すだけでも嫌だ。体が暑い。
「ちゃんとデイジーに謝りなよ?」
ミッキーは更にデイジーをかばう。
「なんで僕が!
あっちが勝手に怒って、盛り上がってただけだ!」
「…ドナル「2人とも、どしたの?」
更に言葉を重ねようとしたミッキーの声は、のんびりした声に遮られた。
「怖い顔してるよぅ、ほ〜ら、スマーイル!」
グーフィーが僕らの頬を引っ張る。
「やめてよ!痛いってば!!」
「ハハッ、そうだね、なんてったってこれから撮影なんだし!」
なんでミッキーもグーフィーもそんなに脳天気なんだろう。
「ドナルド、まだ怒ってる?」
「だって、きみが…」「デイジー?」
突然出た名前にどきっとする。
「キミがあんなこというから怒ってたんだよぅ」
「あんなこと?!」
「衣装のこと!デイジー、すごく頑張ってたんだよ?」
グーフィーがかなりの割合で衣装作りに参加していたのはミニーから聞いていた。
でも、だからって…
グーフィーにはそんなこと言われたくない!
「きみには…」「ドナルド。デイジーはね」
いつもは見ない真剣な表情に言葉がつまる。
「…デザインは確かに二人でしてたよ?
けど、キミのその服…ぜーんぶ、デイジーが作ったんだよ」
「この服? …全部?!」
びっくりした。
デイジーは、確かにお洒落が大好きでちょっとした裁縫もよくしてる。
けど、こんなボタンや帽子みたいなしっかりした物は作ったことはないはず。
「ボクはアドバイスしてただけ。ちょっぴり危なっかしかったけど」
アッヒョ、と笑う声がなんだか遠い。
「キミのためだから、って!」
デイジーに謝らなくちゃ!
ぼくは、夢中で駆け出した。
******************
「慣れない作業も頑張って、……?
あんれま、行っちゃった」
「……デイジー、頑張ったんだね」
「ミニーもね」
「?」
「きみの服は全部ミニーが作ってたんだ。一針一針、すごく丁寧に繕ってた」
「……うん、そっかぁ…」
「あ、そろそろ準備できたのかな?」
「うん、行こう!
…ありがとう、グーフィー」
「ん? うん!」
その後、撮影が終わった後の食事では食卓を囲むカップルが二組、
仲間たちに暖かく見守られながら睦まじく食事しましたとさ。
「みぃんななかよし!よかったね」
「ワン!ワン!」
おわり
さて、投下終わった自分は過去作もないし名無しに戻るとするよ
他の職人さんも現れるのを楽しみにしてるノシ
ジブリの人書き込みにくいふいんき(ry な気がしますが自分ジブリも大好きです
スレ盛り上がるといいねー
GJ!
デイジー姉さんやミニーやグーフィーが肩を寄せ合ってお裁縫している姿が浮かんだ!
(ぽん吉は、元気にしているだろうか。)
「正吉さん、もうそろそろ休みなさいな」
おキヨのいうことはもっともである。
すでに草木も眠る丑三つ時。
しかし、正吉はまだパソコンと格闘している。
人間世界につきものの『残業』、きわめて厄介な代物につき、持ち帰りの自宅作業は連日深夜にまで及ぶ。
まあ、狸は元来夜行性であるからして、徹夜自体はちっとも苦にならない。
辛いのは昼間に眠れない事である。タイムフレックス制うんぬんというものの導入を待ち望む都会の狸はきわめて多い。
正吉は疲労困憊。
安普請のアパートでは狸の姿にもどっているものの、人間社会での蓄積されたストレスは目の周りを黒を余計に濃くしている。
(ああ、帰りたい。多摩の里へ帰りたい。)
今やまぶたの裏にしか存在しない懐かしの我家をぼんやり思っていると、マウスを握る手は自然とグーグルを立ち上げ、キーボードにのせた手も『多摩』と検索欄にうちこむ。
一番にヒットするグーグル地図。その航空写真をじっと眺めれば、住宅街の隙間にぽつりぽつりと緑がみえる。
カビのようにちらほらと、隙あらば勢力を取り戻さんとばかりに散らばっている。
この緑のどこかで、ぽん吉や花子が生きている。
この緑のあちこちで、仲間ががんばって暮らしている。
(俺も、元気に生きようではないか。)
正吉はパソコンの電源を切る。
真面目が彼の性分ではあるが、今回は真面目に言い訳を考えてみることにしたらしい。
(終わり)
GJ!
コンパクトな中にぽんぽこ世界がぎゅっと詰め込まれていて素敵な文章だー!
平成たぬき合戦ぽんぽこか!
またぽんぽこ見たくなったよ
眼鏡のインテリ狸・佐助と、そのガールフレンドの青服が好きだったよ。
青服の名前は『お福』? 妖怪大作戦以降みかけなくなっちゃって残念。
正吉とグーグルが違和感ゼロで吹いた
ぽんぽこ33年春。万福寺の定例会議にて。
『本日の議題:生活圏の縮小にともなう繁殖抑制の具体的方針について』
居並ぶ狸たちは、皆一様に気まずそうな顔をした。
「まー、早い話が、身を慎めということじゃが・・・・・・」
議長の鶴亀和尚が、ふくみをもった声で狸たちをみまわす。当然、目をあわすものはいない。
正吉−−あの、常に和尚の真正面で毅然と発言する青年狸−−ですら、顔を赤らめてうなだれている。
口火をきる者、皆無。
無駄につづく沈黙を壊したのは、「かあちゃん、おちっこ!」という甲高い声だった。
一匹の雌狸が幼子を抱きかかえてそそくさと退場する。
「ったく、女子供がくるような会議じゃねんだ!」
「こら権太、女性を軽蔑するでない。この時期の子では仕方のないことじゃ」
「へいへい悪かったよ、おろく婆ちゃん。ガキのピーピー声が癪にさわってね」
「お前のところにも赤子がおるだろう?」
「俺んとこは特別よお。どいつもこいつも俺に似て肝がすわっていて、腹が減ってもピイとも鳴かねえ」
目じりをだらりと下げた権太を皮切りに、狸たちの親馬鹿合戦がはじまる。
「僕のところもみんな妻に似て、落ち着きがあるんですよ〜」
「そりゃ佐助、お前の子でねえんじゃないか?」
「俺んとこはみんな、花子に似たべっぴんさんだ」
「いや〜、うちの方が何倍もかわいいね」
「いやいや、うちこそ三国一よ」
「正吉のとこは4匹だって? おめでとう!」
「へえ! 正吉、お前もやるときゃやるんだ」
「・・・・・・お恥ずかしいかぎりです」
「いやいや、それが男の甲斐性というもんじゃ」
「和尚、なにを鼓舞しておるのです。ただでさえ住処がないというのに・・・・・・」
「わしが思うに、そもそも身を慎む事自体が自然の摂理に反しておるんじゃ。外を見れば、虫も鳥も恋のさかり。無理な我慢をするなんて、人間のすることじゃ」
「和尚、僕も子供を持てたのは計画の遂行にとって意義のあることだったと思います。」
「ほう、正吉。して、そのこころは?」
「今まで僕は、自分の故郷だから、という理由で人間に対抗してきました。しかし、守るべきものが増えたことで、この地を人間の手から救いたいという気持ちがより強くなったように思います」
「おお、さすがは正吉じゃ」
「おらには今考えついたように見えたが」
「ははは。お婆さんの目はごまかせないですね」
「だが、その言葉に嘘はなかろうて・・・。おキヨを大切にしておやり」
「もちろんです、おろく婆さん」
かくして議題は忘れ去られ、例会は各自の出産祝いの祝宴と化したのだった。
〔終わり〕
ふたたびぽんぽこキタワァ
全員の声が脳内再生されるよ、GJ!
69 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/28(金) 22:53:19 ID:1nsAbhFe
保守!
「そうすけ。みーんな帰っちゃったね」
「そうだね、ポニョ」
保育園『ひまわりの園』には、今日も宗介とポニョだけが残る。
宗介の母親は隣のデイケアセンターで、夜遅くまで働いているのだ。
物心ついたときからこうして一人で待つことが多かった宗介は、時間の潰し方を心得ている。
折り紙をしたり、レゴで船の模型をつくったり。
今は海底二万里の絵本を読んでいる。
「そうすけ、本よむのってたのしいの?」
「うん」
「ポニョ、つまんなーい」
「しずかに。今、巨大イカがでてくるすごい場面なんだ」
ポニョはぷくーっとふくれっつらをした。
つい数ヶ月前まで愛情深過ぎる父の庇護の下でたくさんの姉妹たちと暮らしていたポニョは、こういう空気になかなか馴染めない。
「おそとで遊びたーい。ねえ、そうすけ、おそとで遊ぼ!」
「もう暗いから危険だよ。それに寒いし。ポニョ、寒いのは苦手でしょ?」
宗介は絵本から目をそらさずに、そっけなく答えた。
ポニョは『寒い』と聞いてうなだれる。
数ヶ月前まで魚だった彼女にとって、初めての冬は少々厳しいものだった。
「ポニョ、寒いのきらい。あったかいのがいい」
「冬だから仕方ないよ」
「海のなかじゃ、寒くなかったもん」
海の温度は季節をとおしてほぼ一定なのだ。
相手にしてくれない宗介から離れて、ポニョはひとりでガラス戸へ歩いていく。
今の宗介の言葉で外へ出る気はなくなったが、そこからの景色を無性に見たくなったのだ。
透明なガラス戸をへだてた園庭。その端は切り立った崖になっていて、そこから先はみわたすかぎり黒い海が広がっている。
海。
人間として暮らすことになった以上、もはや戻ることはできないおうち。
でも、こんなにも近いおうち。
あの波を見ているだけで、魚として泳いでいたころの感覚や海の牧場の色とりどりの生物達がありありと思い出される。
ところどころでの波のうねる様子が、次第に自分をよぶ水魚の群れのようにも思えてきて、ポニョは無意識のうちに一歩前に踏み出した。
ゴンッ「つめたっ!」
ガラス戸にぶつかった額をおさえて、うずくまる。
やっぱり遠いおうち。
ポニョの目にうっすらと涙がたまってきた。
「あっ、ポニョ、外を見てごらんよ!」
突然宗介の声がして、ポニョははっと顔をあげた。
すると、さっきまでとまったく違う景色がとびこんできた。
まっくらで凛と冷えきった外の世界で、ちらちらと舞い踊る大量の白い粉。
「プランクトンだ!」
その光景は海の中で日々目にしていたマリンスノーを思い出させた。
色も大きさも形も、まさにそれ。
「違うよ、ポニョ。雪っていうんだよ」
いつのまにか傍らに宗介が立っていた。絵本は小脇にかかえ、ポニョの驚く顔をにっこり見ていた。
「ゆき?」
「そう。積もったら一緒に雪だるまつくろうね」
「……ゆき!」
ポニョの好奇心が噴きだした。
もっと『ゆき』を知りたい!
冷たいガラス戸を押し開けて、ポニョは園庭へ飛び出した。
ポニョは園庭の真ん中で、天上を見ながら両手を大きくひろげてくるくるとまわってみた。
夜空は深海のように暗くて静かだった。
袖や腕に落ちようとしていた雪は、ポニョの動きにつられてふわりと少し舞い上がり、他の方向へそれていった。
この感触も動き方も、まさにマリンスノーそのものだった。
海の世界とは全然ちがう陸の世界。
でも、なにげないところに、同じ感覚や同じ景色がひそんでいる。
ひょっとしたら、海の中と陸の上、さほど違いはないのかもしれない。
海の中のおうちには帰れなくても、陸の上には今日も明日もこれからも、宗介と一緒に帰るおうちがある。
「ポニョ、中に戻っておいでよ!」
戸口で手招きする宗介に向かって、ポニョは大声をはりあげた。
「ポニョ、ゆき大すき! ありがとう、そうすけ!」
うじうじしていた気分は、すっかりどこかへ吹き飛んでいた。
<終わり>
ポニョだ!
ポニョかわいいよポニョ〜
すごく和んだよ〜ありがとう
こんなスレあったのかと飛んできたらなにこの秀作ぞろい
75 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 00:32:23 ID:0wykrDk5
ほっしゅほっしゅ
トトロの話が読みたいなぁ
ポニョ萌えだGJGJ
和んだよ〜
78 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 10:31:58 ID:FXF1NsMn
ほしゅ!
久々にディズニーで投下参ります。
・旬も過ぎたジュビレーション!ネタ
・かっこいいミッキーはいません
・可愛いミニーもいません
見たくない方はタイトル除けをお願いします。それではどうぞ↓
トゥーンタウンの大扉が閉じられた。音楽もいつしか止んで、最後のスピールが本日の『ジュビレーション!』の滞りない終演を告げている。
出演者は互いに労いの言葉を掛け合いながら、次々とフロートを降りていく。キャストのチェックを受けながらのため、
フィナーレフロートから降りられるのは自然と最後の方になる。
柵に頬杖を突き、ドナルド・ダックはパレード後の慌ただしい風景を眺めている。
「ああああぁぁぁぁ…………ミニー〜〜〜〜…………きみが遠いよ〜……」
「…………」
遥か頭上で嘆く夢と魔法の国の王を、なるべく見ないようにしながら。
ジュビレーション!のフロートは9台。ミニーとブルーフェアリーが夢の世界へとゲストを誘うのを始まりにして、
様々な世界を持つフロートが25周年を祝いながら進む。その最後を飾るのが、ミニーを除く残りのBIG8とクラリス、
ティンカー・ベルを乗せたフィナーレフロートだ。我らがミッキー・マウスの不満はそこにある。
しかしそんな気配は一切見せずにパレードをやり切る辺り、さすがはスターと言うべきか。
「僕とミニーをよりによってトップとラストに分けるなんて!他のみんなは同じフロートなのに!」
「う〜ん、確かにミニーだけフロートが違うから……ちょっとさみしいかもねぇ、あひょっ」
「グーフィー!下手なこと言っちゃ――」
ドナルドの制止も遅い。ミッキーはブルーラメがちりばめられたタキシードのままグーフィーにすがりつく。
パレードが終わったその足でトゥーンタウンのシティホールに休憩に来たのだ。
「ねっ、ねっ!?さみしいよね!おかしいよね!?おまけに僕からはミニーが全然見えないんだ!プラザのカーブの辺とかで
何とかなるかなーって思ったりもしたけど、やっぱり見えないし見えてもミニーはこっちを見てくれもしないんだ!」
「そりゃあそうよ……」
デイジーがうんざりと呟いた。フロートが隣接しているわけでもなし、前後左右にゲストが溢れている状態で
ミニーが遥か後方のミッキーを気にする必要は特にない。
「けどさあ、ミニーと一緒か隣ってのも結構珍しいんじゃない?」
「そうそう!あんまりないと思うよ〜……クーキー後半とかそうだったけど」
チップとデールの会話を皮切りに、ミッキーとミニーが同フロートに乗っているパレードが次々とあげられた。
一昨年のクリスマス、ポルト・パラディーゾ・ウォーターカーニバル、プリマヴェーラ、プリンセス・デイズ、
そしてエレクトリカルパレードなどなど。
その総数は多いと言えば多いのだが、少ないと言えば少ない。ショーやパレードの数と比べればどうしても少なく聞こえてしまうのだ。
その結果にミッキーが撫然と言った。
「ほら少ない」
「だから、いつものことだって言ってるの。ボクだってデイジーと一緒か隣ってそんなにないよ?」
たしなめるドナルドは珍しく噛んで含めるような口調だ。しかしミッキーも負けていない。
「25周年だよ!『ジュビレーション!』だよ!?何でミニーだけいないのさ!ミニーは他のフロートになっちゃって、
高いところでひとりぼっちな僕の足元ではきみとデイジーやチップたちとクラリスがいちゃいちゃしてる……ねぇ!耐えられると思う!?」
「あらミッキー、あたしたち別にいちゃいちゃしてるわけじゃないわ?」
『えっ』
いきなり口を挟んだクラリスに間の抜けた声をあげるチップとデール。それをまるで気にせずに、クラリスはにっこりと微笑んだ。
「チップもデールもあたしの大切なお友達だもの。それじゃあね」
双子リスに凄まじいショックを与え、森の歌姫は化粧直しに行ってしまったのだった。
「って言うか!」
落ち込んでいる約2名は気にせずにいきなりミッキーが足を鳴らした。足元に寝そべっていたプルートがびくっと身を引く。
「何で僕だけいつもフロートが高いのさ?」
『…………………………』
何とも言えない沈黙が場を支配した。何故ならそれは、ミッキー本人だって分かりきっているはずの暗黙の了解なのだ。
世界の恋人ミッキー・マウス。様々な理由で早くから場所取りが出来ずにパレードを遠くから見るしかないゲストのために、
彼の立ち位置は高くなっている。フィナーレフロートも同じ理由でミッキーのみが足場を高く取られているのだ。
そもそも彼が大体のパレードで真ん中辺りのフロートに乗ってるのもそういうことだ。よっぽどの例外を除いて、パレードの主役は彼なのだから。
しかしミッキーはテーブルに突っ伏しひたすら喋り続ける。
「ドリームス・オン・パレードもそうだったし……そうだミシカも!ミシカはあれ、何なの?
いくら僕だって地上何十メートルって怖いんだよ?何が悲しくてあんな高いところでひたすら回ってなきゃいけないの?」
「ポートが満員だからよ……多分」
デイジーが曖昧に言った。チップとデール以外、バージの相乗りが設定的に難しいのだ。悲しいかなデイジーが
『レジェンド・オブ・ミシカ』から外れているのもそういうわけだ。きっと。
「しかもプリーツスカートなんて穿いちゃってさあ……」
「あひょっ、でもミッキー、ちゃんとスパッツ履いてるでしょ?」
「スパッツ履いてるからいいとかじゃないの!」
勢い良く顔を上げるミッキー。その横で、ドナルドが心底不思議そうに尋ねた。
「…………あれってスカートなの?長い上着じゃなくて?ボクの衣装いつもあんな感」
「きみは黙ってて!!」
ドナルドのお尻をたっぷり覆う、ふわふわの羽毛から眼を逸らして顔を覆うミッキーだった。
世界の恋人のぐだぐだとした愚痴はまだ終わらない。せめて海だったなら酔った可能性が期待出来たが、残念ながらここは王国。
醒めぬ夢に酔いしれる場所だ。
「あのね、ミッキー」
ついにデイジーが口を開いた。ミッキーとまとめて三バカと呼ばれてしまうグーフィーとドナルドでは
どうにも頼りないと思ったのだろう。
「あなたの気持ちは分かるのよ。ミニーと引き離されちゃつまらないわよね。けど、あなたは他にいろんなことを任されてるの」
デイジーの言葉に気だるげに視線を寄越すミッキー。彼女の話は続く。
「あなたはパークの顔よ。そしてほとんどのショーやパレードの主役でもある。その理由は、あなたがそれだけの
活躍をしているからなの。そんなに日がな一日ミニーとくっついてるわけにはいかないの、わかるでしょ?」
デイジーがミッキーに説教するというなかなか珍しい光景に、残る男性陣は眼をぱちくりさせて成り行きを見守る。
「『ワンマン』でも言われてるでしょ?あなたは“輝くスター“。私たちもそうだけど、スターならスターとしての義務
……って言うと重いかしら、とにかく責任があるのよ」
そう、彼は世界の恋人ミッキー・マウス。世界で一番有名なネズミだ。
その存在はBIG8の中でも別格と言っていい(と表現すれば当の本人から猛抗議を喰らうのだが)。
それ故に生まれる弊害を嫌うなら、彼は舞台を降りなければならない。夢と魔法の王国は、そんなに軽い物で出来ていない。
「……わかってるよ」
彼らしからぬふてくされたような声音でミッキーは呟いた。
「そうだよ、わかってる。好きなものだけ見て過ごせるなんて思ってないさ。うん……」
俯いてぽつぽつと喋るその姿は何だか申し訳ないやら珍しいやら。ドナルド達はきょときょととお互いに視線を交わす。
しかしデイジーは言うだけ言ってさっぱりしたのか、けろりとした顔でコーヒーを飲んでいたりした。
「あっ」
しかして妙な沈黙を打ち破ったのは、誰あろうミッキーだった。
「そうか、何でこんな簡単なことに気づかなかったんだろう――ドナルド!」
「ぐわっ?」
何故か飛び上がるドナルドに、ミッキーはにこやかに言い放った。
「きみ、明日からワンマンのラスト締めてね」
『えーーーーっ!?』
デイジー以外の全員の声が室内にこだまする。ようやく復活したらしいチップとデールの頭上で、デイジーが長々と息をついた。
しかし当のスターはまったくもってさわやかに言葉を続ける。
「グーフィー!」
「あひょ?」
「BBBのドラムは任せたよ!大丈夫、きみは背が高いからきっとかっこいいよ!」
「わぁお、ぼくにそんな大役務まるかな?」
「凄いや!頑張れグーフィーきみなら出来るよ!」
「そうそう……って違ーーーーう!!」
チップが声高らかに叫んでデールの鼻をべしっとはたいた。続いてドナルドがテーブルをばん!と叩く。
「そ・う・い・う・こ・と・じゃ――――なぁあああああい!!」
「何で?僕はミニーのためなら地位なんていらないもの」
「ミッキー……――」
涼しい顔で返すミッキーに、言葉もないといった調子で深々とテーブルに突っ伏すデイジー。グーフィーは鏡に駆け寄って
何故か服装を直している。すっかりその気だ。
「つまりそういう事だよ。僕はスターよりミニーを選ぶ!!」
ぐっと拳を固め、不必要に格好良く言い切るミッキー。プルートが付き合っていられないとでも言いたそうにその場に丸まった。
と、そこへ。
「あら、今日はいつになく情熱的なのね。ミッキー」
可愛らしい楽器を爪弾いたような、愛らしい声がその背後に響いた。
その場の誰より、ミッキーが一瞬早い。満面の笑顔で振り返る先には、ピンクとパープルの衣装に身を包んだミニー・マウスその人がいた。
パレードが終わった直後、そのテンションを維持したままトゥーンタウンのグリーティングに繰り出したミニーは、
心行くまでゲストと触れ合って戻ってきたようだった。にこにこと穏やかな笑みが全員に注がれている。
しかし、その視界に確実に入っているであろうミッキーには、視線すら合わせない。
「えっと……ミニー?」
さすがにおかしいと思ったか、ミッキーが一歩近寄ってその黒い瞳を覗き込む。鼻と鼻が触れ合う距離になっても、
彼の恋人は驚くほどノーリアクションだ。
「あの、ミ」
「ミッキー」
ミッキーを遮ってミニーが笑いかけた。パレードの先頭を飾る天使のように素敵な笑顔。
『きみが笑顔見せてくれなきゃ何も始まらない』。誰ともなしに、そんな懐かしいフレーズを思い出す。
「あっちでちょっと、お話しましょ?」
こくん、と愛らしく小首をかしげてミニーが言った。ミッキーは即座に頷いた――というか、鼻をむんずと掴まれて、
強引に縦に動かされればそうするより他にない。
それをしっかり確認すると、ミニーはにこっと微笑を深くして、くるりときびすを返し別室へと歩き出した。
ミッキーも引きずられるように後に続く。
そして、後には5人と1匹が残った。
次の日も快晴、ジュビレーション!は一切の問題なくスタート予定。
ポールにもたれ、ドナルド・ダックはパレード直前の慌ただしい風景を眺めている。
「さあみんな!今日も頑張ろうねっ!!!!」
「…………」
遥か頭上でやたらと元気いっぱいな夢と魔法の国の王を、なるべく見てやらないようにしながら。
**完**
ワガママなミキかわいいなw
GJGJ(´∀`)
「ボクの衣装いつもあんな感」 っていうドナルドもイイ!
ドナルドはいつもパンツないな、うん。
天然ドナ、説教デジに調子乗るグーと最強ミニ様ww
みんなパークの子とアニメの子うまく混ざっててかわいい!GJ!!!
キャラ立ってるねー
GJ!楽しかったです。
ただ、双子リスっていうのが気になる・・・チデは友達だった気がした・・・
似てるから双子リスって表してるだけかな?(・ω・`)
今のところ両方の設定が使われている>双子と親友
どっちでもいいんじゃないかな?好きなほうで
ここってキングダムハーツとかのネタもありか?
あくまでディズニーランドとかシーだけ?
>映画媒体が主な『会社』の作品を対象にします
一応スクエニのメインの商売はゲームと出版だからなぁ
個人的には歓迎>ダムハネタ
FFキャラや機関キャラしかいないのはきついけど
他所のダムハスレだとディズニーキャラが絡むのはご法度っぽいイメージもあるし
いいんじゃないか?
ダムハって略しかた初めて聞いたな。
95 :
88:2009/02/27(金) 15:18:37 ID:tuK+dQ3b
>>89 そうなのか、ありがとう!
以前、TDLで双子を連れたお母さんが「チップとデールと一緒で双子なの!」と栗鼠に言ったら、二人で首をぶんぶん横にふりはじめて・・・
近くのキャストに「チップとデールは似てるけど、双子じゃないんですよ〜」って言われてた。
栗鼠はそのキャストの言葉に、うんうん頷いて、僕らは友達なんだよ!とアピールしてたの見て以来、彼らは親友なんだな〜と思ってました。
過疎ってるな
97 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 00:28:54 ID:1VSwiT7E
ほしゅる
ミ○キー「ハーイ、僕ミ○キー。正直みんなウザイんだよね」
ミ○キー「でも、女の子を抱いてる時だけは嬉しいけどね」
ミ○キー「彼氏目の前で自分から抱きに来る時のあのww彼氏達の淋しそうな顔とくりゃwww今てめえの女抱いてやってんだぜwwwwざまあねぇってなwww更にムチムチの胸が当たってwwwその時はタマンねえなぁwwww」
ミ○キー「ああ、でも女だからといってデブと不細工は論外だよ」
つまんね
鳥が囀り、蝶は花を巡る。
水面に反射するいっぱいの日差しを浴びて深呼吸すると、心が晴れ渡る。
色とりどりの服に身を包んだ仲間たちは、開園前のパークをまるでお花畑のように彩っていた。
「ミッキー、新しい服いいね!」
「ハハッ、ありがとドナルド!前と違う感じするけど、だいぶ着慣れてきたよ!」
ミッキーが腕を振るとひらひらと布が舞う。
それはまるで新芽を纏った木の枝が風に揺れて踊っているようだった。
「新しいダンスに合いそう!」「僕たちは変わらないからなあ」
そう言ってデールが服を摘むと、シャツがズボンからはみ出る。
あわててしまう動作を邪魔するように、チップはデールのお腹を叩いた。
「でも、衣装よりも大切なことだってたくさんあるでしょう?」
「そうだねぇ」「ワン!」
蝶々が鼻の頭にとまると、グーフィーは嬉しそうに目を細めた。
「やっとね」
「やっとだね」
花が咲き誇る運河を眺めて、ドナルドとデイジーは抱きしめ合う。
「ワクワクするね!」
「大好きな季節だわ!」
「今年も、海沿いに笑顔の花が咲き渡る…すてきなスプリングカーニバルにしようね!」
「「おー!!」」
仲間たちの高く上げた手は、春の眩しい光に包まれた。
このごろ雨が続いて鬱々してたけど100氏のおかげでちょっと春にもどれたよ。
ありがとう。
100です
前フリも後始末もしないで書き込んですみませんです
101さん、暖かい言葉ありがとうございます
ジブリは平気だろうけど、このスレディズニーに24したらどうなるの?
試してみてもいい?
ニコ動が意外と削除すらされないのに、このスレを通報してもねぇ
ここはエロネタでもなんでもない作品ばかりが書き込まれているし、
104さんの言うとおりこんなスレ立ち入るくらいなら先にニコ動が消されるべき。
自分は書く側だけど、たとえ通報されたって自信をもって「これが自分の考えるミッキー達です」って言えるよ
106 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 17:28:23 ID:lb0Z89UM
ディズニー映画「アラジン」
まさか、現実に出来るとは・・・
東武東上線池袋から約1時間
7月25日のTJライナー3号小川町行が、最高のシチュエーションとなる
保守
108 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 13:11:43 ID:BalEZZYS
保守age
保守ついでに
【キャラ当てSSクイズ!】
このssの登場人物、ないしは作品名、わかって下さる人はいらっしゃるかな〜
一応正解がでるまで何スレッドでも沈黙します。
110 :
【同志】1:2009/09/02(水) 03:23:40 ID:rtswkY9F
いい『カモ』がきた・・・。
赤ら顔のでっぷり太った来客をみた瞬間、オレは心の中でほくそえんだ。
「いらっしゃい。なんのようです、同志?」
赤ら顔の男はおどおどして、事務所のあちこちに視線を泳がせるばかりだ。
「この狭い部屋に秘密警察の隠れるスペースはないと思いますよ。それとも単に狭い部屋がめずらしいのですかね」
男はギョッとしたふうだったが、やがて、オレの机の前の、あしがぐらついた椅子におずおずと腰掛けた。
椅子が彼の重さにギイィと唸った。
気をつけてくれよ。壊れてしまったら、替えはめったにないのだから。
「あ、あの、こちらでは、その・・・都合してもらえるときいたもので・・・・・・」
ここで男は息をとめて、今一度あたりをみまわしたあと、一オクターブ低い声で先をつづけた。
「自由の道を。つまり、ビザやパスポートを・・・」
オレはわざと困った風な顔をしてみせた。
「ビザにパスポートですって? そんなのは役所の仕事であって、僕のようないっかいの労働者にはそんな大それた権限はありませんよ。
・・・まあ、『よほど』のことがあれば別、ですがね」
男は急に意気込んだ。
「同志、これはその『よほど』の非常事態なのです。私はパリに行かねばならない!
断固として!愛のために!!」
・・・何を言い出すかと思えば・・・『愛』だと?
男はとろんと夢見ごこちのような目になった。
「そう、涙なしには語れぬ恋路。もう10年以上前に生き別れ、いらい一度も会うことあたわず。
あの美しき乙女の心の中にのみ私は生きる。この極寒の地にいる私は、ただの抜け殻。
ああしかし、彼女に触れられない日々に、私はついに耐えることができなくなったのです」
10年以上前の乙女は、今頃おばちゃんになっているだろう。
が、 こんなに恋をあつく語れる人間がこの国に存在するとは思わなかった。
皆がただ生きるのに必死なこの国で。
111 :
【同志】2:2009/09/02(水) 03:25:11 ID:rtswkY9F
「お話はわかりましたよ、同志。
まあ、あなたの恋の病は医者に見せてもいいぐらい緊急を要する事態ですね。
ただ、僕がビザを発行するというシベリア送りものの危険を冒すには、僕自身にも『よほど』のことがないと」
最後の一文を強調したおかげか、男はわれに返った。そして、コートからそっと輝くものをとりだした。
「拝見しますよ。・・・へえ、このネクタイピンのルビーやダイヤ、どうやら本物のようですね」
最初の直感どおり、こいつは上客だ。
そして、こいつはオレの一番憎む人種だ。
そう、警察に密告されて当然の悪魔・・・。
オレはネクタイピンを持ったまま、客に背を向けた。
「さて、これで商談成立です。どうぞお引取りを」
「じゃあ、ビ、ビザは・・・」
「ビザとパスポートの用意には1週間ほどかかります。
ご自宅までお持ちしますよ。住所は、そこらへんの紙に書き付けておいてください。
・・・あなたは外にでるだけで命が危ういのでしょう?」
男が椅子から立ち上がる音がした。
「なんのことですかな?」
しらばっくれていられるのも、今のうちだ。
「単なる労働者の僕でも、こういう仕事をしているうちに宝石やアクセサリーの類に詳しくなるもので。
このピンにはロマノフ家の紋章があしらってあります。
・・・あの革命に参加した同志達は、今、すばらしい勢いで粛清されているそうですね」
理不尽に殺された殿下や王妃や皇女達・・・彼らの持ち物をくすねることはできなかったはずだ、命からがら逃げた使用人達には。
まちがいない、こいつはオレの生活を壊した側の人間だ。
不平等? 知るか。
何不自由なく厨房の見習いとしてすごしていたオレを、その日暮らしもやっとな、この地獄へ引きずり込んだ、あいつらの一人なのだ。
「私の誇りにかけて、一つだけ言わせておくれ」
ふいに、あの男の声がした。振り返る。まだいたのか。
こころなしか、じゃっかん怒っているように見える。
「そのタイピンは、殿下からじきじきにいただいたものだ。君がこの事実をどうとらえるか、あるいは信じないのも勝手だが、それだけは言っておく」
その声には、さきほどまでには微塵も感じさせなかった威厳があった。
男は事務所に入ってきたときとはうって変わって、その体型にあるまじき機敏さできびすを返すと、颯爽と立ち去った。
宮廷の者特有の、優雅さを伴って。
このネクタイピンは返さなくてはならない。
整った字で書き付けられた住所を見ながら、オレはそう思った。
だが、住所を眺めているうちに、もっと愉快なことを考えついた。
ビザを持っていくとき、彼にこうたずねてみよう。
あのすばらしい世界を知る、オレの唯一の同志に。
「あのころの生活に戻れるチャンスに、かけてみる気はないか?」
<終わり>
112 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/30(水) 19:02:00 ID:/jQLj+b0
自信ないけど、アナスタシア?
文章うまいなー
そんで
>>43の職人ってもういないかな
12/15の話が1年前から気になってるんだがw
sage忘れスマソ
114 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/01(木) 02:29:38 ID:jgMvRCTN
ジブリ「ゲド戦記」の後日談の需要あるかな?
「ゲド戦記」大好きなんだけど「ゲロ戦記」とか言われてるくらいで超不評だからなぁ……
好き嫌い以前に見てないからなんとも言えない
まぁ極端な過疎スレだから嵐レベルじゃない限り不評もこないだろ
116 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/01(木) 23:30:03 ID:s7S1/kXn
>112
アナスタシア、大正解!!
詐欺師コンビの過去話でした。マイナーすぎてすいません。
ゲド戦記、wktk
久々に覗いてみたら過疎過ぎワロタw
けれどくじけずにディズニー話投下するよ!今更海ハロ話だよ!
・ハロウィーン幻想譚
・といえばかっこいいけどただの雰囲気文章
・意味不明ぶりは仕様
・キャラ分少なめ
よろしければどうぞ↓↓↓
やわらかな日差し、舞い散る落ち葉、高い空。オレンジ、パープル、宵闇の黒。怪しく笑うジャック・オ・ランタン。
夢と魔法の王国に、ハロウィーンがやって来た。
この時を待ち焦がれるのは様々なキャラクターの仮装をするべく準備をしてきたゲスト達。過ごしやすい季節を王国で味わおうと足を運ぶゲスト達。
そして……闇に遊ぶゴースト達に混ざり、王国の夜を支配しようと目論む『ヴィランズ』達。
だが、今年はその全員に驚愕の事実が訪れた。
ハロウィーンが、冒険とイマジネーションの海にもやって来たのだ。
それを喜ばないゲストは誰もいない。誰もが初めての顔を見せる海のハロウィーンに期待を寄せる。
反対にそれは、ヴィランズにとっては全く持って残念な一報だった。彼等の大半は王国に属している。深海の魔女と砂漠の悪臣は王国の招致を
受けている上に、それが無くともそれぞれの領地からは動けない。冥王もそれは同じで、海に属するヴィランズは全員王国から動けない状況となっている。
彼等を(とりあえず)束ねている闇の魔女マレフィセントは大いに怒った。ことのすべてが偉大なる自分たちの隙をついて行われたように見えたからだ。
だがどれだけ歯軋りしても、海への進出は叶わない。しかしそれで諦める彼女ではなかった。
腹が立ったので今年も王国へ襲撃をかけると決めて、マレフィセントは考えた。王国にも海にも出入り出来る扱いやすい者はいないか。出来ればにっくき王
――海においては''提督''――の動向を把握し邪魔をしてくれる程度のずる賢さは欲しい。どういう因果かヴィランズを名乗る闇の住人たちの部下どもは、一部を除いて実に頭の出来がよろしくないのだ。
さて、白羽の矢は立った。王国にも海にも出入りは自由、それなりに愛嬌もあってゲストやミッキー陣営の連中にも怪しまれにくく、それなりに知恵も回るだろう……あの二人に。
メディテレーニアンハーバーの水面を秋風が撫でて行く。『レジェンド・オブ・ミシカ』も無事終演したそこに留まる
ゲストは少ない。皆ショップを覗いたり、運良く行き会ったキャラクターたちと戯れたり、目指すアトラクションへ急いだりと、
辺りには独特の緩急が漂う。
ファウルフェローとギデオンはゲストたちににこやかにグリーティングを続けながら、じりじりとアメリカン・ウォーター
フロント:ニューヨークへと向かう。偉大なる闇の魔女様から畏れ多くも、そして実に迷惑にも頂いてしまった任務の舞台はそこなのだ。
海の世界が確立して以来初めてのハロウィーンは、ニューヨーク市保存協会が率先して行うことになった。
いつも活気に溢れている街並みが、その落ち着いた佇まいを少々変えていた。あちこちに飾られたハロウィーンを祝う
装飾たちがひらひらと揺れる。ふと視線を感じて振り返ればカボチャがニヤリと笑っている。抜けるような秋空は、
張り巡らされた蜘蛛の巣で霞む。
いつしかゲストは去ってしまい、ファウルフェローの後ろには相方ギデオンがのこのことついて来ているだけだった。
BIG8以外では少ない、海と王国どちらにも出入り出来るのがこんな形で仇になるとどうやれば予測出来ただろう!
そうだ、アリスから海にしか売っていないレターセットを頼まれていたんだった。後で買って帰らねば。
そんなことを考えているうちに、ようやくホテル・ハイタワー――通称、タワー・オブ・テラーが見えてくる。辺りを歩く
ゲストもキャストもみんながみんなハロウィーンマスクを付けていて、表情がわかりづらい。その妖しい雰囲気の中心にあるのが、
今回のハロウィーンメインイベント『ミステリアス・マウスカレード』のステージだ。
賑やかしにと展示された未だ行方知れずのハリソン・ハイタワー三世氏の曰くつきのコレクションを見つめながら、
ファウルフェローはさて、と立ち止まった。その背中にギデオンが鼻先をぶつける。杖で軽くぺちりと打ってから腕組みをした。
「来てみたはいいんだが……何をどう報告すればいいのやら」
何せショー本番時には彼等は海には入れなくなるのだ。唯一の例外はクリスマス期間だがそれはまだ一ヶ月後の事。
なら昼に来ればいいだけの事だったがファウルフェローたちにだって都合というものがある。とりあえず意匠だけでも見ておくかと
無人のステージに近づくことにした。
スペシャルイベントのためだけに誂えられた特設ステージと言うのは、それだけでもう独特の雰囲気を醸し出す。
あらゆる演目を際立たせる役目を持つ常設ステージ、フロートと言う小さな移動する舞台の上で世界を確立させる
パレードとはやはり違った趣きがあるのだ。今目の前にあるそれは、例えるなら出番を待って沈黙する偉大な役者の様だ。
すると、その舞台の袖からするりと影が現れた。ファウルフェローはぎょっと眼を見開く。開演時間でもないのに
キャストがステージの上をうろつくなんてことは、彼の記憶の中にもない。
人影は、誰かだった。
マスカレードのきらびやかな衣装と、顔の半分以上を隠す仮面。たったそれだけがその人物を書き換える。
祭の宴に歌い踊るだけの『誰か』にしてしまう。
『誰か』たちは次々とステージに踊り出る。どこからか愉しげで、それでいて底冷えのする妖艶なパイプオルガンが風のように辺りを舞う。
踊り手たちは旋律に乗ってくるくるステップを早め、広がるドレスとジャケットの裾は舞台に咲く何輪もの花になる。
絹の花々の間を無表情なマスクの蝶が飛び交う。いつしかファウルフェローは舞台の上で、花に追いやられ蝶に追い回されていた。
何故かはっきり物を考えられない中、見知った姿を見つければ駆け寄って行くのは人の常だろう。
そこにいたのはミニー・マウスだった。この季節のためにあつらえた、蜘蛛の巣レースをふんだんに使った豪奢なドレス。
いつも咲いているはずの愛らしい笑みはやはりマスクで隠されていた。
ご機嫌ようシニョリーナ、これはどういう騒ぎだい?――いつもは吐息のように溢れる気障ったらしい言葉が
喉の奥で固まり腹の底へと沈んでいく。声を詰まらせた狐を、ミニー・マウスは扇子の奥で含み笑う。
くすくすくす……いつもの彼女の笑い声ではなかった。そのままヒールを
音もなく捌き、ドレスを翻して人混みへ溶ける。後はマスクの蝶が阻んで追いつけない。
蝶は怒っている。泣いている。笑っている。
わらっている。
小悪党の直感と言うべきか、ファウルフェローは舞台から降りようと相方の手を引いた。しかしその手は
むなしく虚空を掻き、誰かのドレスを掠めてしまう。どこか甘えるような、ふざけたような悲鳴が上がったが
悲鳴の主が分からない。皆、みんなみんな踊っている。
ギデオンがいない。あのノロマネコ、きっとこの雰囲気と人ごみに飲まれてはぐれてしまったのだ。
しかしこの舞台、こんなに人が乗るものだったか?キャラクター二人がはぐれて身動きが取れなくなるほど?
それでもファウルフェローはとにかく前に進んだ。どこまで行っても足元の感触は木。つまりまだ舞台の上で、
このイカレた舞踏会に巻き込まれているというわけだ。見回しても見知らぬ顔、顔、顔。しかし見えない、マスクの奥に
確かにあるはずの両の目が!
マレフィセントと相対した時とは違う。ストロンボリーに感じた湧き出るような恐怖感もない。
たのしい。そう、ここはたのしい。足がひとりでに知らないステップを踏む。周りとまったく同じステップを!
だがそれが何より気持ちが悪い。
まるで、自分がコップの水になってしまったかのような。そしてそのコップが今まさに海に向かって傾けられてしまいそうな。
傾けられ零れ落ちれば、後は塩水に溶けて二度とコップに戻ることはない!
「…………ッ!」
ぐっと力を入れて、ダンスの輪から抜け出す。板の上を張って果てを探す。偵察どころの話ではなかった。
この場の主は、一体誰だ。首を巡らせると、そこにはあまりにも見慣れた姿がいた。さっき見たときは確かに
いなかったのだが。いや、方向感覚さえ手に手を取ってポルカを踊るこの場ではそんな情報など無意味なのだろう。
そこにいたのは、誰もが知っている夢と魔法の国の王。冒険とイマジネーションの海の提督。
ミッキー・マウス。金色とオレンジの羽飾りとレース。シックな衣装と肩に羽織られた紫のマントに張り巡らされるのは蜘蛛の巣。
その模様の中に何かが音もなく蠢いた気がして思わず眼を擦った。
彼は、黄金のマスクの内側で笑んだ。
「――やあ。お楽しみ頂けているかな?」
「誰だ、あんた」
その一言に朗らかな響きはあっという間に掻き消えた。声自体は変わっていない。だが、それを操る主が絶対的に違う。
「……残念、卿とは嗜好が違うのか」
肩を竦める誰かに、ファウルフェローはかろうじて握り締めていた杖を突きつけた。
「ゴースト・ホストの知り合いか?シリキ・ウトゥンドゥのお使いか?何にしても、ここは"海"だ。あんたたちの遊び場じゃあない」
「生憎とどちらも存じ上げないね。聞くところに寄ればここは、初めて万聖節を祝うのだとか。あちらの方とは
どうも相性が悪くてね、こちらに舞台を据えさせて貰ったよ」
指し示したのは王国の方角だ。しかし、曖昧な物言いは変わらずファウルフェローを戸惑わせる。王国のゴーストを
統括するゴースト・ホストも、海の怪異の黒幕たるシリキ・ウトゥンドウも知らないという事は、
つまり、どちらでもない存在なのだ。そんな存在は、いないはず――……。そもそも、自らの膝元で
こんな騒ぎを起こされて、あの邪神が黙っているはずはないのだ。
「……ど、どっちでもいいさ。とにかくうちの提督とそのガールフレンド、ついでにうちの相棒を返してもらおうか」
「ああ、返すとも――この夜が終わればね」
夜?見上げればそこには猫の微笑みのような三日月。一体いつの間に?わからない。
「そう、怖い顔をしないで頂きたいのだがね。我らが出てこれるのは今夜だけ。たった一晩の事だ、
卿の不利益になることは何もないと思うのだが?」
今夜?それは一体いつの夜のことだ。ハロウィーンの期間があとどれだけあると?
「大丈夫だとも、確かに我らは外の者だが道まで外してはいない。無限に続くとも思える今宵、だがハロウィーンの
精霊達があちらへ帰ると共にこの夜は終わる。彼らは一晩踊りあかし、全て万聖節の夢と忘れて目覚めるのさ。
卿は不運だったね、卿とは是非とも一緒にワインでも飲んでみたかったのだが」
ファウルフェローは一言も喋っていない。だが、彼は滔々と言葉を繋げていく。
「だが、君の御友人が紛れてしまったようだね。仕方がない――『今宵』は仕舞いとしておこうか。
さぁさ、お目覚めなさい。おかえりなさい。縁があればまた『今晩』お会いしよう」
彼の口がにぃっと吊り上がる。世界の恋人が決して作らない笑顔が瞳に飛び込んだ次の瞬間、ファウルフェローは眼を閉じた。
そこは、アメリカン・ウォーターフロント:ニューヨーク。翻るハロウィーンの飾り物。行き交うマスクの人々
――その奥にはきちんと眼が二つある。見上げれば張り巡らされた雲の巣の向こうにきれいな夕焼けがたゆたっていた。
はっと振り返れば、そこには無人のステージ。その座席のひとつに、ギデオンがぼんやりと座っていた。
慌てて駆け寄ると、思わずその頭をはたいた。
はたかれた箇所を押さえて抗議の呻きをあげる彼の手を強引に引っ掴むと、急かして立ち上がらせる。
まるで変わった様子のないギデオンは、わけが分からない、といった様子で首を傾げた。あれ、偵察するんじゃなかったっけ?
「偵察ならもう終わった!ほら、もうこんな時間だ……」
――さあ、闇の魔女はどう説明すれば納得してくれるのだろう。
夜が来る。知らない誰かの夜が来る。
以上です
改行ミスった……見にくかったらすみません。
ギデオン可愛いな!
GJ118氏!
キャラがイキイキしてて素敵だぁ
去年のファウルフェローssと同じ人?
あれからファウルフェロー萌にめざめますた。ありがとうございます
126 :
海ハロの人:2009/10/20(火) 23:20:35 ID:PbCOk5Fg
コメントありがとうございます。
>125さん正解ですwこの二人は扱いやすいので気づいたらいつもネタの中心地に……。
一応このスレでは
>30-36
>46-49
>79-83
をやってました。
>112さんもありがとう、ファイル発掘次第時間見て投下します。
わぁ
>>16氏お久しぶりです!
いつも素敵なお話投下ありがとう!!幻想的で引き込まれました。
でもレス番120で誤字発見、『ミステリアス・“マスカレード”』だよねw
いやーしかしギデオン可愛い…。ファウルフェロー格好いい…。
ここはずーっと変わらず良スレだなぁ…
良かったです!
>16氏キテター!
ほんとハイクオリティだなぁ雰囲気すごい
キャラが本当にあの地で生きてるって感じが好きです
ついでに自分112だけど言ってみるもんだ正座して待ってます!!
−−死者の皆様へ−−
オリンポスへの反逆罪で、何百年か死者の溜池でシンクロナイズドスイミングを強要されていたハデスが、このたび冥王の座に復帰いたしました。
またこれを期に、大神ゼウスの命にて、『生きがいある死者の国』をモットーに生活環境改善にとりくむ、逝活協同組合(せいかつきょうどうくみあい)が結成されました。全死者、自動的に加盟済み。
ご意見・ご要望があればメッセージカードにご記入のうえ、ペイン&パニックの『ひとことポスト』まで。冥王ハデスの回答つきで掲示板にはりだします。
−−−−−−−−−−
この通達が出たとき、誰が想像したであろう?
掲示板が個人的な悩み相談でいっぱいになる日がこようとは・・・。
−−−−−−
【ひとことNo.27:世界で一番美しい・ウィックドクィーン】
ここには鏡がなくて残念きわまりない。
**ハデスの回答**
あんたを含めて、人生の花が色あせた人々が多い中に鏡を置くのはかえって酷だと思うが・・・検討はしておこう。
−−−−−−
【ひとことNo.34:プライドランドの元国王・スカー】
今度はもっとうまくやってみせる。
もう一度チャンスをくれ。
**ハデスの回答**
デンマークで失敗した時も同じことを言ったのをお忘れか?
3度目のチャンスをやる気にはなれないね。
−−−−−−
【ひとことNo.57:ロンドンの大悪党・ラティガン】
生前はなまいきな青二才探偵のせいで、ねずみの王国を支配する計画が頓挫した。
今度機会があれば、同じくねずみが君臨しているという夢の国を支配したく思うのだが、カリフォルニア・東京・パリ・香港・・・、攻略するに当たって貴殿のお考えをうかがいたい。
**ハデスの回答**
オリンポス侵略の腕をかわれたかな?
とりあえず俺の経験を踏まえると、機会を見定めることと、邪魔者はきちんと始末しておくことがポイントだな。
あと、これは俺には実行できなかったが、侵略後の心得についてスカーがいいこと言ってた。『民意が離れていくと、自分に対する自信が失せ、鬱病になりやすい。くれぐれも国民を失望させてはいけない』と。
夢の国を支配した暁には、北京石景山とまちがえられんように○ッキーのきぐるみを常着することだな。
−−−−−−
−−−−−−
【ひとことNo.81:アグラバーの右大臣・ジャファー】
この国には富も名声もないので、王になるメリットが感じられない。
**ハデスの回答**
俺だってやりたくないけど、貧乏くじひいちゃったんだよね。
まあ、おいおい良くしていくさ。とりあえずあんたのご意見を参考に、資本主義と階級制度の導入を検討しよう。
逝協に貢献しそうなご意見をありがとう。
・・・ってか、俺のポストを狙ってる?
−−−−−−
【ひとことNo.201:パリ判事・フロロー】
私は生涯を神にささげ、パリの治安の維持に努めました。
それなのに地獄に落とされるとは心外です。どうか私を神のお膝元にお救いください。
**ハデスの回答**
こっちこそ心外だね。地獄も天国もなにも、死人のくるとこはこの黄泉の国と決まってるんだ。
たしかに居心地はよくないかもしれないが、『地獄の炎』に焼かれるよりましだろ?
それに、俺の膝はメグ級のかわいこちゃん専用席! おっさんは却下。
【ひとことNo.223:パリ判事・フロロー】
なぜ『地獄の炎』のことをご存知なのか・・・。
たしかに人生の最後に魔女の誘惑に負けそうになったことは認めますが、私の渾身の祈りにも関わらずあの魔女を滅ぼさなかった神にも非があると思います。
**ハデスの回答**
神はなんでもお見通しさ。
だが、恋愛は俺の担当じゃないし、人のせいにするのはお門違いだ。
【ひとことNo.242:パリ判事・フロロー】
断じて、決して、愛などではなかった。
**ハデスの回答**
自分に正直になりなさい。
だいいち、オリンポスでは不倫もホモも含めて恋愛大推奨。独身のあんたがなぜあんなに悩んだのか、俺には理解できん。
だがな、恋にしてもメッセージカードにしても、しつこい奴は嫌われるぜ。
−−−−−−
【ひとことNo.276:ハロウィンタウンのギャンブラー・ブギー】
死者の池の流れが速すぎて、俺のずだぶくろから虫が流れていく一方だ。何とかしやがれ!
**ハデスの回答**
最近、『いも虫を食っちまった』という苦情が殺到してんのはおまえのせいか。
あれは、体育の授業でやる『流れるプール』みたいなもんだから、死者がみんなで反対方向に泳ぐようにしたらそのうち緩やかになるはずだ。
あと、最近の苦情で、『視界が突然真暗になる』『墨の汚れが落ちない』というのがあるが、心当たりのあるやつは以後気をつけること。
−−−−−−
【ひとことNo.285:深海の魔女・アースラ】
タコ墨で姿をカモフラージュしているけど、なにか?
あたいのグラマラスなナイスボディは、皆様の目に毒だろ?
**ハデスの回答**
自意識過剰もいい加減にしやがれ。
だが、その露出度の高さは別の意味で目に毒だ。クルエラから毛皮のコートを分けてもらえよ。
−−−−−−−−−
逝協のハデスさんに幸あれ。(とりあえず終わり)
もとねたは『生協の白石』さんです。
GJ!フロローさん粘着しすぎワロタw
新しい切り口だなー乙でした!
>>130 ハwデwスww
ちゃんと死にキャラだけ出てるのがなんともこだわりを感じる。
GJ!
ヴィランズ一ウィットに富んだ返しをできるのがハデスの魅力ww
以下ネタ投下につき注意書き
○ディズニーの、リスじゃない方のチップの話
○王子一人称
○この二人、メインなのに会話らしい会話がないのでほとんど想像
○王子は一人称が三種類もあるので紛らわしい
○作品背景についても一部捏造設定あり
138 :
「苦手意識」:2009/10/28(水) 20:10:12 ID:y3MLlfba
「ご主人様、本当に申し訳な……ゴホッ」
今朝早くコグスワース達からポット夫人が風邪をひいたと聞かされた僕は、彼女が心配になって
使用人達の部屋がある塔に久々に足を伸ばした。
彼女の部屋は清潔かつ小綺麗な飾り付けがされ、何とも彼女らしい。
僕の訪問にポット夫人は気落ちしながら、ただ謝罪の言葉を述べるばかりで、見ているこっちまで
沈んだ雰囲気に飲まれてしまいそうだった。
「あなたも人間だろう。体調を崩す日だってある。今日は来客もないのだから、ゆっくり休めばいい」
呪いで外界との繋がりが断たれていた時期は、不幸中の幸いとでもいうべきか重い病にかかる者はいなかった。
一人アレルギーを持った者はいたけど。
その間ほぼ毎日メイド頭として部下を仕切っていた彼女にとっては、このアクシデントは不名誉なはずだ。
その証拠に、僕の下手な慰めの言葉も彼女の耳には届いてないようで。
「いいえ、王家に仕えることができるなんてごく一部の者にしか許されないことです。
最低限の仕事もできないなら、私は辞めなくては」
「わかった、わかったから」
これ以上僕がどうこう言っても駄目そうだ。
調子が戻るまでそっとしておこう。
元々明るい人だ、風邪が治ればきっと元に戻る。
「それでは、“お大事に”」
自分でも違和感をのある挨拶を済ませて、僕は彼女の部屋から出た。
ポット夫人の穴を埋めるべく、どの使用人も今日は一段とせわしく動いている。
何事にも指揮者がいるといないとでははかどりが違うのだろうか?
少しだけポット夫人の落ち込んでいる理由が理解できた気がする。
彼らを邪魔するわけにはいかないし、特に今日予定があるわけでもない。
魔法の鏡は暇つぶしには最適だったが、僕がベルに渡し、さらにガストンという男が手にしてから行方知らずだ。
仕方がないので図書室に行くことにした。
今なら僕一人でも易しいものを読める。
図書室は今日も陽光が大量に差し込んでおり、暖かかった。
どの辺りの本なら自分でも読めるだろう、と見渡す。
すると、隅っこに先客を見つけた。
髪は明るいブロンドで、城の誰よりも幼くて、僕が忙しいときはしょっちゅうベルと一緒にいる……
「チップ?」
やっと思い出せた。ポット夫人の息子だ。
「ご主人様!」
僕の声に気付いたのか、振り返るなりこちらに駆け寄ってきた。
小さな身体に大きな一冊の絵本を抱えている。
「ねえご主人様、ぼく今日ベルをずっと探してるんだけど、どこにもいないんだ。
どこに行ったのか知らない?」
口の聞き方というものがあるだろう。
まあ、子供にそれを言うのも大人げないか。
「ベルなら今日は城の外にいる。何故かというと」
「えーっ!またご主人様と喧嘩したの!?出てっちゃったの三回目だよね!?」
そんなに驚かなくても……
そもそも、僕がベルを釈放したときの理由は喧嘩したからではない。
彼女の父の命が危なかったからだ。
いったいいつ誤解したんだ?
「話を最後まで聞け」
僕はこの子供にベルの今日の予定を順をおって説明した。
139 :
「苦手意識」:2009/10/28(水) 20:15:00 ID:y3MLlfba
彼女と父は家に戻っていること。
二人の家には発明品が沢山あること。
それらをこの城に移す必要があること。
発明品の中には、城の者だけで運ぼうとすると危険なものも存在すること。
そのため、今頃二人が中心となって家から運び出しているはずだということ。
夕刻には戻って来るということ。
説明を終える頃には、彼の顔は話を聞く前より残念そうな表情に変わっていた。
「つまんないなぁ。せっかくベルにこの本を読んで貰おうと思ってたのに」
「そうか。ポット夫人も今日は休んでいるからな」
彼の兄や姉は忙しく働いているし、いつも一緒の犬が読めるはずもない。
絵本を本棚に戻そうと、とぼとぼと引き返した彼が不憫に思えて、僕はこう言ってしまった。
「それ、読んでやろうか?」
口走った瞬間、何を馬鹿なことを、自分らしくもない……と内心慌てたが、チップの目は途端に輝いてしまった。
これでは撤回できないじゃないか。
「本当!?でも、ご主人様は忙しくないの?」
「今日は何も……本当は忙しいのだがお前がそう言うなら」
馬鹿正直に自分が暇だと子供に言う必要なんかない。
「ありがとう、ご主人様!テーブルはこっちだよ」
また威勢良く走っていったチップを眺めていると、元気の良さが羨ましい反面、暗い気持ちになる。
「……こうして彼は王様に誉められ、国中の人たちからいつまでも英雄と呼ばれ続けました。終わり」
結局、いつもはベルに読んでもらうことが多い僕だったが、何とか無事読み終えた。
ある一人の男が勇猛な兵士として活躍する物語だった。
読み手の僕にとっては単純過ぎて面白くもなんともなかったが、聞き手には刺激的だったみたいだ。
「いいなあ、ぼくも『英雄』って呼ばれたいな」
チップは僕が読み終えた絵本を取り上げ、挿し絵を楽しんでいる。
僕はというと、まだ居心地の悪さを感じていた。
ベルと違って僕は子供の扱い方を知らないし、彼が近くにいると嫌な記憶が蘇ってくるときがあるんだ。
その記憶は十年前のちょうど今頃、僕達が聖夜に呪われてから最初の春がやってきたときまで遡る。
僕はまだ子供で、ベルが城にやってきたときより、更に傲慢だった。
何で自分がこんな不幸な目に遭わなければいけないのか、全く理解できずにいた。
ただ苛立って毎日を過ごす僕に、献身的にお茶を出し続けてくれたのが彼の母親。
感謝しなければいけなかったのに、僕がすることといったら八つ当たりばかりだった。
僕が紅茶を飲むティーカップに、たまたまチップが選ばれた日のことだ。
ベルの父の髭でさえくすぐったがる彼だったから、全身毛皮に覆われた僕なんかに触られたら、
笑わずにはいられなかったんだろう。
でも、僕はそれを見て、なめられたものだと本気で怒った。
「お前、俺を馬鹿にしてるんだな!そんなに俺の姿が面白いのか!」
「ご主人様、申し訳ございません!どうか、どうかチップを許してあげて下さい」
「……」
今よりもっと小さかったチップは、僕が怒るわけもわからないまま、許しを請う彼の母をただ心配そうに見ていた。
「うるさい!もう親子揃ってさっさと出てけよ!」
僕は二人に、怒りに任せてひどい暴言を浴びせてしまったんだ。
もう数え切れない程使用人に迷惑をかけてきたけど、あのときの態度は言い訳のしようがない。
ベルが城に来て、僕に他人に優しくする方法を教えてくれるようになった頃まで、
僕は自分の行いがどんなに愚かしかったかを考えたことさえなかった。
彼女と出会えて僕は幸せだけど、出会ってから彼らに対する重い罪悪感が顔を出し始めたのも事実だ。
特に今同じテーブルを使っている、この何の罪もない子供には。
ベルがチップを可愛がっているときも、二人に近づきたいとは思えなかった。
140 :
「苦手意識」:2009/10/28(水) 20:20:11 ID:y3MLlfba
チップは相変わらずページを何度も何度もめくっている。
ひょっとすると、本を自分の思い通りに動かすこと自体、彼にとっては楽しいんだろうか。
呪われてなければもっと好きに遊べたはずなのに、彼は大事な時期を狂わされてしまった。
今なら魔女がどうして僕に試練を与えたのか想像はつく。
とはいっても納得のいかないことだって沢山ある。
僕の場合、身体の自由に関しては城の誰よりも恵まれていた。
そして魔女の最大の罪は、僕に干渉しない者にまで呪いを与えたことだ。
チップも犬も僕に何の影響も与えてこなかったのに、責任がある多くの者よりも厄介な身体にされた。
コグスワースやルミエールをもっと不自由にしろ、というわけではない。
だけど、やっぱり腑に落ちない。
彼女が正義感であんな姿にしたのなら、どうかしてる。
でも、どうかしてても力のある魔女を怒らせてしまったのは、他でもないこの僕で。
……やっぱり全部、僕のせいなのかな?
どうすれば彼に償えるのだろう?
いつまでも避けてばかりじゃ駄目なんだとは、わかっているのだけど。
「ご主人様、どうしたの?ぼく悪いことしちゃった?」
隣に座っていたチップが僕の顔を覗き込んできた。
僕と同じ色をした目が、彼の本の辺りにあった僕の視線とぶつかる。
どうやら長いこと苦々しい顔をしていたらしい。
「いや、お前のせいではないんだ。なんでもない」
怖がらせないように、声の調子に注意して返答した。
顔つきもいくらかましなものになっていればよかったが、柔和な表情は出せなかった。
くそ、言葉と表情が一致してなかったら、余計怪しいだけじゃないか!
そんな僕の心中を知るはずもなく、チップは不自然過ぎる態度の僕を怪しむばかりだ。
「さっきからなんかおかしいよ」
万事休すだ、もう誤魔化せない。
「聞いてくれ、チップ」
僕は椅子から離れた。
チップはやっぱり王子を怒らせちゃったんだ、と言わんばかりに怯えて僕を警戒した。
「すまなかった」
僕は平民の子供に頭を垂れた。
自分は行動を起こすのにすぐ尻込みするが、始めることさえできればその後は頭が冷静になるらしい。
ベルに謝るのだってそうそう素直にはできないから、我が身のことながらその動きに驚く。
「ちょっと、ご主人様!ねえ、何でぼくに謝るの?やめてよ!」
意味不明―――当たり前だ、順番を間違えている―――で唐突な展開に焦ったのか、
チップまで椅子を飛び降りて僕を止めたが、構わない。
ここで謝らなかったら、僕はまたずるずると引きずってしまう。
いつか彼が大人になって、城を去るそのときまで避け続けるわけにはいかないんだ。
「お前……君まで呪いをかけられてしまったのは、私が悪かったからだ。
その他にも、怖い思いを何度もさせた。
私は、そのことを申し訳なく思っている。どうか、それは覚えていて欲しい」
ああ、僕が保とうしていた威厳がまた跡形もなく崩れていく。
きっととんでもなく、真剣だけど情けない顔を僕はしてるはずだ。
でもこれでよかったんだ。
141 :
「苦手意識」:2009/10/28(水) 20:24:24 ID:y3MLlfba
「ご主人様、魔法のこと気にしてたんだね。
でもぼく、ティーカップになる前のこと、ほとんど覚えてないんだ。
その分、みんなよりは悲しくなかったよ。
お茶をブクブクさせたりとか、今ではできなくなっちゃったし、楽しいこともあったんだ」
精一杯の冗談を交えつつ、チップが僕を励ますように笑った。
彼を含めこの城の者は僕にどこまでも優しい。
どうしようもない主人に言いたいことは山ほどあるだろうに、皆我慢している。
彼の笑顔を見ると、責められるよりも胸が痛い。
「だからさ、ご主人様も気にしないでね?」
「君がそう言ってくれるのはありがたいことだ。だが私がそれでは納得できない」
「変なの。ぼくがいいって言ってるのに」
僕の反応が解せないようだ。
「私ができる範囲で、君への反省を目に見える形で表したいんだ。駄目か?」
しばし考え込んだ後、彼は何かを思いついたらしく、両手をパン、と叩いた。
「ご主人様は、いつかこの国の王様になるんでしょ?」
どういうことだ?
今はまだ考えたくもないが、確かに僕の王位継承の順位は極めて高い。
城に十年も篭もっていた上、篭もる前の評判も悪かったし、ありふれたお伽話の王子様のように簡単にはいかないと思うけど。
しかし、なぜそんなことを?
「多分……」
曖昧な返事しかできなかった。
返事を彼は肯定の意味で受け取りにっと笑った。
「ご主人様が王様になったら、ぼくをお城の兵士にしてよ!」
「は?」
うっかり無礼な言葉を発してしまった。
「ぼく、この本の人みたいなかっこいい兵士になる!」
戸惑う僕をよそに、再び椅子によじ上り、テーブルに置かれた絵本の最後のページを指す。
玉座に座った髭をたくわえた王様と、彼に跪く主人公の男を中心とした構図だ。
“この本の人みたいになりたい”ってことは……
「君は、王に仕える兵になりたいのか?」
「うん!一番偉い人に仕えて、ご主人様やベルを守るんだ。
いっぱい活躍して、英雄って呼んでもらうの。
ご主人様がぼくを家来にする代わりに、ぼくはご主人様を許す。
こういうの、“コーカンジョーケン”って言うんでしょ?ママとお兄ちゃんたちが言ってた」
「交換条件か」
難しい言葉を知っているものだ。
おそらく手伝いの報酬として何かねだっているのを見たとか、そんなところだろう。
ベルが彼をまだ小さいのに利発だ、と評価していたが、その通りだ。
142 :
「苦手意識」:2009/10/28(水) 20:27:58 ID:y3MLlfba
「ご主人様、このコーカンジョーケンどう?」
「……君がそう言ってくれるなら、喜んで」
うん、悪くない。
僕自身、こういう面白そうな試みが好きなんだ。
提案を聞いてただけの、僕まで愉快になってきたじゃないか。
「やったぁ!お城の兵士になったら、ママとずっと一緒にいられる」
「君はポット夫人のことが大好きなんだな」
「もちろん。その次がベルで、ご主人様は15番目くらいかな」
「はははは、そりゃ微妙な順位だな」
本当に面白い子だ。
「でも、敵が来たら絶対にご主人様を守るよ。ぼく頑張るからね」
「ああ、期待している」
「約束だよ」
「約束だ」
ついさっきまで避けていた相手と、楽しく話せるとは思わなかった。
素直に謝ることってこんなに大事なことなんだ。
ベルが帰ってきたら、早速この話をしよう。
「ぼく、ママに教えてくるね」
「そうか」
チップが図書室から出ていった。
さて、僕も改めて本を……
ん?
ちょっと待て、今そんな嘘みたいなことを伝えたらポット夫人の風邪が悪化するんじゃ!?
「待てチップ、今日はまだ駄目だ!」
図書室の扉を開くと、既に彼の姿は廊下にはなかった。
彼が母の部屋に着くまでに、なんとかして捕まえなければなるまい。
まったく、僕だってまだ二本足で全力疾走するとふらつくこともあるのに、なんで子供が簡単にこなせるんだ?
……いや、子供だからか。
賢くて、すばしっこくって、そして愉快な少年。
近い将来、僕は面白い男を家来にできそうだ。
(終)
以上です。
投下失礼しました。
137氏GJ!
「出てっちゃったの三回目だよね」ってw
子供特有の毒あり無邪気さありのチップがカワユス。
王子の葛藤とか謝罪とか、あの映画のあとに本当にありそうだ。
ヴィランズいいなぁ…悪役なのに可愛いですね。
こっから初投稿です。
自分の執筆スピードの遅さに絶望。
とりあえず、ミッキー誕生日のミニミニラス回を見てて妄想した代物。
駄文でgdgdですが、読んでもらえると幸いです。
3日遅れだけど、ミッキー&ミニー誕生日おめでとう!
今日は特別な日。
自分にとっても、彼女にとっても。
だからこれを久しぶりに練習したんだ。
…ちゃんとできるかな…
今日の最終公演のミニー・オー!ミニー。
毎日多忙を極める中で、ミッキーと一緒にいられる大切な時間。
主役は私だけれど、彼が来てくれるというだけで幸せ。
それに、…今日は、特別な日だしね。
女神の衣装を着て、いつもより浮かれてる私を、ドナルドやグーフィーは冷やかすように見ていた。
「嬉しそうだね、ミニー」
「ええもちろんよ!忙しいミッキーと一緒にいられるんだもの」
「今年のクリスマスパレードは二人で一緒のフロートだろ」
「やっぱり物足りないもの。仕事で、仕方のないことだって解ってるけれど」
「ホワイトホリデーの君たちはとっても楽しそうだもんねぇ」
「グーフィーだってパレード前に顔にやけてるくせに」
「マックスが一緒だものね」
「ショーやパレードで一緒にいられることなんて滅多にないからね。でもにやけてるかなぁ」
「自覚なしみたいだね。今のミニーと一緒」
「あら、私も?」
「ほら解ってない。いいけどね、わからないでもないし。…あ、ミニー。時間だよ」
「あ、そうね。行ってくるわ!」
二人と分かれ、私は舞台の中央へ立った。
ミュージシャン、吟遊詩人、バレリーナ、道化師。
皆いつもと同じ、気高くも少しだけ退屈な格好。
…頑張らなきゃ。
「スタートします」の声に、私は正面を向いた。
ミッキーと一緒にフィナーレに出て、降りてくるテープを見て。
今日のこのステージはこれでおしまい、と毎日のことなのにちょっとだけ寂しく思ってしまった。
すると、
「ねえミニー?」
「なあに、ミッキー」
「見ててね」
いきなり何をするのかしら?そう思っていたら
ポンッ
かわいらしい音とともにミッキーの手の上に現われたのは、小さなケーキ。
「よし、成功!」
「え、ミッキー…?」
「今日は二人の誕生日だろ?だからね」
にこにこと笑ってるミッキー。
手の上でケーキを切り分けて
「はいミニー、あーん」
ぱくっと食べてみると、すごくおいしかった。
「僕にも食べさせて!」
「はいミッキー、あ〜ん」
ぱくっと食べて、おいしい!というミッキー。…自分で出したのにね。
ちょっと笑ってしまった。
サプライズのプレゼント。
最近ちゃんとやってなかった魔法を使ってまで用意してくれた。
まさか貰えるなんて思っていなかったからとっても嬉しい。
…けれど、先を越されちゃったわね。
家に用意してあるケーキとプレゼントを思い起こし、私はまた笑った。
以上!
神とは比べ物にならないくらいぐっだぐだのどうしようもないネタですいません…
仕事が終わってから二人だけでディナーを楽しんだんだろうと思います。
遅くなっちゃったけど>147GJ!
ラブラブチュッチュなミキミニかわいいよミキミニ
そんな余韻をぶっ飛ばして申し訳ないのですがようやくお蔵だしです、
>112お待たせしました。そして待った価値はないと思いますorz
・ミッキーがシリアスにだらだら喋るだけの夢見がち短編
・ネタがワケワカメなのは仕様
・ソースは『ミッキーマウス 涙』でぐぐると出ます
・当時トウィンクル上演中でした。
どうぞ。
昼のパレードが全て終わり王国の日が暮れる頃は、プラザの人通りが少なくなる。
計画的なゲストはプラザのショップを朝の内に概ねチェックしてしまうし、クリスマスのスペシャルメニューを食べるには
中途半端な時刻だ。まだイルミネーションも灯らず、フォトロケーションは薄暗い。キャラクター達が遊び歩く時間も終わろうとしている。
衣装の上からジャケットを羽織ったミッキー・マウスがワールドバザールをひっそりと眺めていても、それに気が付くゲストはいなかった。
「…………綺麗だなあ」
眼を細めて、呟く。
朝陽にきらきら輝くパークが好きだ。
太陽に照らされきらめくパークが好きだ。
夜のイルミネーションに彩られるパークが好きだ。
たそがれに飲まれるほんの一瞬に光り輝くパークが好きだ。その前の夕焼けに照らされるパークも、もちろん好きだ。
ジャケットが冬の冴えた風に揺れて、豪奢な金色の衣装がその下から顔を出す。慌てて押さえて吐いた息が、ほんの少し白かった。
「今年は……寒くなりそうですね」
「去年は随分暖かかった、これがきっと正しい姿なのさ」
いつの間にか、ミッキーの隣にはスーツ姿の男が一人、立っている。低く落ち着いた声の主の顔を見る事なく、ミッキーは笑った。
「暖かいと雪が降らないし、野菜も高くなるってグーフィーが言ってました」
「はは、さすがのグーフィーも家計には敏感だね」
零れた笑い声に、ミッキーは微笑みを深くして言葉を続ける。
「ドナルドは去年それを口実にほとんどフードワゴンで済ませてたから……春にデイジーに怒られてました。太ったって」
「ドナルドらしい!しかし太ってしまっては良くないね。……きみはいつも変わらないな」
「僕は毎日世界を飛び回ってますからね」
誇らしげに胸を張った。しかし、声は心配そうにひそめられる。
「太る暇もない、かい?痩せているに越した事はないが、働きすぎるのもどうかと思うよ」
「大丈夫、健康管理も僕らの仕事の内ですから」
「休みの日はちゃんと楽しんでいるんだろうね?」
「もちろん。プルートとも毎日散歩してますし、この前はミニーとイクスピアリに映画を……ミニーったら、すっかり感じ入っちゃったみたいでもう泣いてばっかりで」
「そうか……きみはどうだったんだい?」
「…………」
ミッキーは言葉を打ち切って、暮れてゆく空を見上げた。隣の男も、一緒に空を見た気配がした。
「……二人揃って泣いちゃったら、格好がつかないですよ」
それが答えだった。男も沈黙してしまう。
ゆっくり時が流れていった。ワールドバザールの賑やかな音達も、穏やかに空気を揺らす。
「…………ミッキー、きみが最後に泣いたのは――いつだろうね?」
世間話の一端のように、男がそう切り出した。ミッキーは首を傾げ、考える。
「……この前撮った映画で、かな?」
「役の話じゃあない、きみ自身の話さ」
声の追求は止まない。ミッキーは視線を動かさないまま、肩をすくめた。
「――――知ってる癖に」
「…………そうか」
声もそれきりで止む。夕焼けはどんどん色を濃くしていき、西の空から宵闇に姿を変えていく。
「……ミッキー」
声が、紡がれた。
「ミッキー。そのままで、聞いていてくれ……」
ミッキーの返答を待たないまま、声はゆったりと力強く、続いた。
「ミッキー……」
どうか、忘れないで欲しい。
どうか、覚えていて欲しい。
きみは、確かに世界の恋人だ。だが……きみは、世界の恋人である前に、私の最良のパートナーであり、私の最高の友人なのだよ。
そしてきみには、愛すべき友がいる。
素晴らしい仲間達がいる。
この空の下で、きみを想ってくれる素敵なゲストがいる。
きみは、すべての始まりだ。
しかしそれは、きみに孤独を強いることでは決してないんだ。
「――ミッキー、きみのこれからのすべてに光あふれるように――祈っているよ」
最後の言葉は、いつしか遠くなっていた。
「っ…………!」
ミッキーは、右隣を振り仰いだ。しかし期待していた姿はそこにはない。夕焼けの紅が黒に溶け消えようとしたその瞬間、
王国は光に包まれた――イルミネーションが灯る。ショップの屋根、華やかなロケーション、木々に至るまでが優しい金色に彩られ輝く。遠くからゲストの歓声が聞こえた。
「…………」
光溢れる中で、ミッキーは立ち尽くしていた。太陽は沈んでしまった。空の紫は暗く黒く沈み、ちらりと星が瞬いた。
「――――……」
知らず、吐息を零す。
振り向くと、そこにはライトに照らされた像がある。朗らかな笑顔で彼方を指差す彼と、彼と手を繋ぐ自分とを象るパートナーズ像。その後ろにはライトアップされたシンデレラ城。
いつもと変わらない夢と魔法の王国が、そこにあった。
そこに、小さな声が響く。
ー……
ッキー…………
「……ミッキー!!」
「ぇえっ?」
ミッキーは思わず頓狂な声を上げてしまう。自分の名を呼ぶ軽やかに高い声。ミニー・マウスに間違いなかった。
慌てて声のした方を向けば、キャストを置き去りにして走ってくるBIG8――一人欠いてBIG7か――がいた。
彼等はすぐに走り寄って来てぽかんと突っ立つミッキーをわいわいと取り囲む。
「急にいなくなるから心配したのよ!?」
「そろそろトゥインクルだよ〜」
「ゲストが来ちゃうよっ!?何やってるんだよ!」
「ボク達みんなで」
「探してたんだから!」
「ワンワンワン!!」
四方八方から一斉に言われてさしものミッキーも言葉を失う。皆思い思いにブランケットをかぶったりコートを着たりして隠しているが、
既にトゥインクル・ホリデーモーメントの衣装に着替えているようだ。
「ミッキー」
僅かな間をついて一際高い声がミッキーを呼ぶ。見ると、表情を心配そうに翳らせたミニーがいた。
「……えぇっと」
何と言えばいいものかと珍しく言葉を詰まらせるスターに、ミニーはそれまでの顔を一瞬で消し去りにこっと笑いかけた。
「――さあ、トゥインクルが始まるわ。行きましょ、ミッキー!」
白い手袋がミッキーの両手を捕えた。走り出す。ふと視線をずらせば、買い物中のゲストがこちらを指差していた。
「あーっもう!気づかれてるぅぅ」
「怒ってないで急ぐのよ!」
「あっひょ、走ろっか〜」
「ハイヨー!」
「プルートー!」
喚くドナルドをデイジーが引っ張る。グーフィーが楽しげに号令し、チップとデールがプルートの耳を手綱よろしく持って跳ねた。
プルートも一声吠えて走り出す。みんな笑っていた。仕事柄走り回るのは慣れていて、そこにみんながいるのならそれは楽しい事態なのだ、何にしても。
ミニーに手を引かれ走りながら、ミッキーは少しだけ振り向いた。パートナーズ像が遠くなる。
「ねーミッキー、誰かと話してた?」
ドナルドが駆けながら息を弾ませ尋ねる。それに答える前に隣のデイジーがつんのめった。ドナルドはとっさにその身体を支え、必死の形相で抱えて走る。
プルートがドナルドの奮戦に激励を送る。チップとデールが囃し立てた。
グーフィーが追い抜き様にミッキーの背を軽く叩いた。見上げると、いつものとぼけたウインクが返る。
前を見た。ミニーが走っている。繋いだ手の温もりは、手袋越しでもちゃんと分かる。
その手を、強く握った。
やわらかに握り返される感覚を噛み締めて、ミッキーは笑顔を浮かべる。
12月15日の夜が、始まろうとしていた。
153 :
12月15日:2009/11/27(金) 23:19:34 ID:puJO70VS
以上です。
今更ですが自分の書くパークはそれっぽい描写がない限り一年中スーパー閑散期です。
ヲルトさんとパークとの関係性を突き詰めると中二病が炸裂しちゃうので抑制難しい(^q^)
夜中に泣かすな…!
個人的にトウィンクルはすごく好きなショーだから、思い出して相乗効果で涙出た。
あったかくなる話をありがとう!
初投下します。
・ボートビルダー終了の話を聞いてカッとなって書いた
・三馬鹿
・あちこち捏造しました。すみません
・バンザイ!ビルダー!
では、よろしければどうぞ。
舞台の縁に座って無人の客席をぼんやりと眺める。
今日は終日、キャストの助けを借りなければならないほどに満員だった。18時の終演まで席が空けばすぐ埋まるような状況だったのに、それからは空席の方が目立ち始めて、閉店した今となっては誰もいない。
「ア゛ー……」
溜息をついて横になる。キャンドルライト・リフレクションズの衣装のまま、ドナルドはボートビルダーの舞台にいた。
ショーの終了が告知されたのはつい先日の事。あまりに唐突なその知らせに愕然としたが、その場にいたミニーの手前、喚き散らすことも地団太を踏むことも出来なかった。
ミニーは喜んでいた。ミッキーもだ。当然だろう、自分の作ったぬいぐるみが晴れてショーの主役になるのだ。恋人が作ったぬいぐるみが主役になって、ミッキーも喜ばないわけがない。
それでも二人はショーが終わることを惜しんでくれた。二人とも自分のことを考えてくれて、手放しで喜んでいないのをドナルドは解っていた。
仕方のないことだ。
実際ダッフィーの人気は飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
キャラクターグリーティングは大盛況。関連グッズは売れに売れて伯父のスクルージの店は入店制限がかかる始末。
パーク内を歩く人々は8割方ダッフィーのぬいぐるみを抱えていて、中には二つ三つと持っているゲストもいる。
そのダッフィーが主役のショーが始まる。今の人気を考えればそれは当然のことといえた。
だが、ドナルドにだってコメディアンとしてのプライドがあった。
デビューして70数年。ミッキーよりも出演作品は多いのだ。だから次もきっと、昔みたいなショーをやるのだろうと勝手に思っていた。
次はダンス狂がいい。あれならデイジーも一緒に出演可能だ。まあ、腕白な甥っ子達を出すわけにはいかないから、あの役割はチップとデールにでも振ろう。
そんなことを勝手に考えていた。その矢先の、ボートビルダーの終了の告知。
あんな出来たての、ミッキーに似ている可愛いだけの癒し系の熊に何ができる。手だってまんまるで柔らかくて、サインだって書けないのに。
クッション性なら自分のお尻だって負けていない。触らせたゲストが喜んで帰って行くのを何度も見た。
確かにダッフィーは抱き心地が良くて、可愛くて、見ているだけで癒される。
悲しいかな、自分に癒し属性がないことをドナルドは嫌というほど自覚していた。ドタバタは得意だが、それは癒しとは程遠いものだろう。
ショーが終わるのは仕方のないことだ。開園してずっと変化がなかったことのほうが奇跡なのだから。
それでも、主役を下ろされてしまうのは、たまらなく悔しい。
「ああ、やっぱりここにいた」
「見ぃつけた」
舞台袖に続くドアがいつものように開いて、出てきたのはミッキーとグーフィーだった。
二人ともキャンドルライト・リフレクションズの衣装である赤いコートのまま、さかさまになった階段を下りて来る。
ドナルドは何も言えなかった。黙ったまま視線を天井にやると、二人は自分の頭の脇に座り混んだようだった。
ちらりと窺うと、左斜め上にミッキーの小さくて丸い背中が見える。右斜め上には、ひょろりとしたグーフィーの背中。二人は多分、セットを見ている。
「終わっちゃうの、さみしいね」
「昔みたいで、楽しかったのにねぇ、あっひょ」
ディズニーシーに自分が主役のショーが出来ると聞いた時、ドナルドは本当に嬉しかった。その内容がまた、何年も前に三人で撮った短編のようでそれもまた嬉しかったのだ。
また三人でドタバタ劇ができる。歌ったり踊ったりしない、ギャグがいっぱいのショー。
そう考えるとたまらなく嬉しくて、初演をわくわくして待っていたのを今でもよく覚えている。
「開園初日の初回で、ドナルドが箒を煙突に落としちゃった時は、どぉしようかと思ったけどねぇ」
グーフィーの言うとおりだ。
台本には箒を落とすなどと書かれていなかった。
あれはいつも通りのドナルドのミスによるもので、煙突から箒がぶっ飛んできた時は三人してぽかんと見つめることしかできなかった。
それでもアドリブで乗り切れたのは三人だったからだ。
「僕が『箒に気をつけてね!』って言ったのに、ちっとも聞いてないんだから」
「あひょっ、ドナルドだから仕方ないよぉ」
どういう意味だ。
むっとして文句を言おうと口を開いた瞬間、ミッキーがぽつりと呟いた。
「でもさ……楽しかったよね」
「うん。僕、このショー大好きだよぉ」
自分だって好きだ。だから悔しい。出来ることならずっとやっていたい。
だけど来年になれば早々に終わってしまう。見納めることのできるゲストが何人いるだろう。次に来ようねと言って、見れないままのゲストが何人いるだろう。
けれどもうどうしようもない。決まってしまった以上、残された回数に全力をかけるだけだ。
鼻をすすって起き上がる。誰もいない客席。明日になればまたここはたくさんのゲストで埋まる。
ショーが始まって、食べるのを忘れて見入ってくれるゲスト。
何度も見に来てくれるゲスト。
お腹一杯になって、笑顔になって帰ってゆく幸せそうな人達。
彼らの為に。
「ミッキー、グーフィー」
客席を見つめてドナルドは言葉を続ける。
「明日も、最高のショーにしよう」
「あったりまえだよぉ」
「グワ!」
ぐい、と肩にのしかかられてドナルドはよろけた。肩を組んでグーフィーは笑う。
「僕たち三人がそろって、最高のショーにならないわけがないじゃないかぁ」
「そうだよ、ドナルド! 僕たちは最高の三人じゃないか!」
反対側からミッキーが肩を組んでくる。ぎゅうぎゅうと二人に挟まれてドナルドは泣きそうになりながら笑った。
「さ、帰ろうドナルド」
ミッキーが立ち上がり、コートの裾を払って帽子の位置をちょいと直した。
「デイジーが心配してたよ」
「アワワ。僕、デイジーに謝らなきゃ」
ボートビルダーの事を考えていて、誘導灯――もといキャンドルを逆に振ってデイジーの頭にぶつけてしまったのをすっかり忘れていた。
デイジーも怒りこそしなかったものの、ショー中のどさくさにまぎれて結局ちゃんと謝っていない。
「あっひょ、何だか僕、お腹が空いてきたなぁ」
「グワ、そういえば僕も……どこかポップコーンワゴン、開いてないかなぁ?」
「後で僕の夜食のサンドイッチ、分けてあげるよ!」
「ミッキーのサンドイッチはチーズばっかりじゃないか」
くだらないことを喋りながら階段を上がる。ドアを開けて、ドナルドは舞台を振りかえった。
――また明日。
ボートビルダー終演まで、あと37日。
以上です。ありがとうございました!
そして149氏の
・気の毒なドナルドの話(超短編)
が読んでみたいとこっそり呟いてみます。
>160
素晴らしい作品をありがとう……!
ビルダーは本当に大好きで、シーに行く度見てました。最近サボり気味だったのがこんなことにorz
心からGJ!
そして自分16ですが、反応が遅れてすみません。規制め……。
ばたばたしてるので年明けには投下したいと思います。
実はおととしぐらいから書き始めてだれにだれて結局タイムオーバーしたクリスマス話があるのですが、
正直出来も良くないので適当にうpしてみました(こういうのって板的にどうなんだろう……KYだったらすみません)
スレ汚しはしたくない、けどせっかく何とかなったのでという欲張りですみません。
passはsantaです。
ttp://www1.axfc.net/uploader/He/so/258746.txt
>>163 今更だけど読ませて貰いました!
キャラクターが物凄く生き生きしてて、パークにいる気分になった!
冒頭からBIG8が素敵過ぎてにやにやしちゃったよ……
あとドナヲタとしては三人の騎士の絡みが嬉しかったw
プレゼント貰った時のドナが可愛すぎる!
最初から最後まで暖かくて、読みながら泣いてしまった
本当に素敵な話をありがとう!
163氏の書くキャラクターが大好きです!
>>163 読めなかったorz
時間がある時で構わないので再うpしてくれるとうれしい!
よろしくお願いします!
何だかスレ占拠気味で申し訳ない……
ひとまず再うpです
http://www1.axfc.net/uploader/He/so/261687.txt >164
ドナオタナカーマ
クリスマスのドナの家は自重すべきだと思いますw
で、遅くなりました>160さん
超短編、オチも特にないですがどうぞ
・07ハロウィンのある大雨の日、行きつけのディズニファンのブログにて「スクルージ叔父さんのお店が浸水したんだって!」という記事を発見
・MAJIDE!?と思った瞬間書き上げる
・我に返ってソース探したけど特になかった
そんな残念クオリティ
167 :
ドナの受難1:2010/01/22(金) 10:16:19 ID:ipDSAkVd
「ほらもっとちゃっちゃと動かんか!布製品は真っ先に避難させるんじゃぞ――んなっ!?ドナルド!バカもんその時計はもっと大事に扱え!原価いくらだと思っとるんじゃ!」
「ぐわっ!そんな事言うなら伯父さんも手伝ってよっ!」
蝙蝠と蜘蛛の巣をあしらったスカイブルーのレインコート姿でドナルドが言い返した。この雨で、ハロウィーン関係のプログラムが全てレイニーバージョンに切り替わったのを
これ幸いとしたスクルージに強引に呼び出されたのである。珍しくも焦った様子にデイジーとのディナーも忘れて何事かと甥っ子引き連れ来てみれば、スクルージの経営するショップがあろう事か浸水していたのであった。
先ほどからキャストも大慌てでバケツを持って走り回っているが、当分ゲストを迎える状態には戻せないだろう。
店内の中央のレジカウンターの上でステッキ片手に指示を飛ばすスクルージは、何を言うかとステッキをドナルドに突きつけた。
「儂が監督せずに誰が監督すると言うんじゃ!」
「口ばっかりじゃん!」
「年寄りは労わらんか!」
「ぐわわ!よく言うよ!」
「二人ともケンカしてる暇があったら手を動かしなさい!あの子達を見てみなさいよ!」
デイジーの雷に、二人は盛大に首を竦めた。そしてちらりと見てみれば、三人の甥っ子が目に入る。
ヒューイがバケツに水を汲み、デューイのところに走る。デューイはルーイの元に駆けて行ってバケツを手渡す。ルーイは水を外に放り捨てると、今度はヒューイのいた位置へと走る。
三人の連係プレーは実に光っていた……実は相当無駄のある行程であり、三人が少しでもサボるために知恵を出し合って組み立てた作業なのだが。
「あの子達ばっかり働かせて!いつまでも片付かないわよ!」
「ぐわ……」
「――ふん」
恋人に怒られたドナルドはしょげ返り、スクルージは肩を竦めてカウンターから飛び降りた。尻の羽が濡れてしまわない様に器用に両手で押し上げながら、水を蹴って外へと向かう。
まだ雨は止む気配を見せず、雨音に混じってブラヴィッシーモのキャンセルスピールが聞こえてきた。
「ここまで大雨になるとは思いもせんかった……。雨対策をポート全体にしておくべきじゃな。あと、ショーがキャンセルになってもゲストを引き留める手段ももっとしっかり講じておかんとな……。
うん!?そうじゃ、こういう時こそストームライダーの出番じゃろう!まだ実用化に時間が掛かるなら、CWCに出資しておくのも悪くはないな!そうしたら……」
店の玄関でまた何やら新しいビジネスを見出したらしいスクルージの後姿に、ドナルドはこっそり肩を竦めた。
「まったく……転んでもただじゃ起きないってああいうのを言うんだなぁ……」
「ちょっと、ドナルド」
そのドナルドの襟首をデイジーが引っ掴んで強引に引き寄せる。首が絞まって変な声を上げるドナルドに、デイジーがそっと囁いた。
168 :
ドナの受難2:2010/01/22(金) 10:17:32 ID:ipDSAkVd
「今日駄目になったディナー、ちゃあんと埋め合わせしてくれるんでしょうね?」
「……え」
「せっかくだから、久し振りにカナレットでお食事したいわ。いいわよね?もちろんあなたの奢りで」
「ええっ!?そんな、デイジー……」
「あー!いいなーいいなー!」
「ドナルドおじさん!僕達にも何かちょうだいよ!」
「僕達チョロQとトミカ欲しいんだ!」
二人の会話に、三人組が割り込んだ。またもやの出費の気配に身を強張らせるドナルドだったが、
その口から飛び出した案外安い品物に密かに胸を撫で下ろす。
「チョロQ?トイ・ステーションの?ああ、それっくらいなら……」
ドナルドのあいまいな返事に、三つ子が揃って飛び上がるものだから足元で水が盛大に跳ね散らされた。
「やったあ!チョロQ欲しかったんだー!」
「どうせだったら全種買ってもらおうよ!」
「トミカのパノラマバッグも一緒にね!」
「――何だって?」
どんどん膨れ上がる不穏な会話に、ドナルドは冷や汗と共に長々と溜息をついた。
普通ならば、バイト代としてディナー代だのおもちゃだのはスクルージに払ってもらいたい、と言うか
それが常と言うものだろう。
しかし、こと金銭に関しての常識が一切通用しないのが天下の守銭奴スクルージ・マグダックだ。
可愛がっている甥っ子たちの頼みならともかく、果たしてドナルドへの保障は如何ばかりか。
と言うか自分だって甥っ子なのに、この差は一体何なのだ。
ドナルドはバケツを片手に、かの伯父との交渉戦を思って再び溜息をつくのであった。
以上です。
お目汚し失礼致しました。
ジョリートロリーのチョロQは買っておけばよかったなあ……
カナレット大好きなんですがついついシェフミに流れてしまうキャラヲタでした。
ダックファミリーってやっぱりいいな
ただ、マ「ク」ダックだよ
>>169 ありがとうございますー!
みんなキャラがたくさんでおもしろかったー
ドジなとデールと、それをちゃんと見てるチップが可愛いぃ!
172 :
創る名無しに見る名無し:2010/04/30(金) 21:02:43 ID:PSEJPilE
保守age
ディズニーユートピアデザイン。
保守ついでに投下します。
イースターが楽しくて妄想炸裂した。
・ミッキーメイン
・本当に駆け回るとは思ってなかった
では、どうぞ。
「「「「6着早着替え!?」」」」
異口同音に叫ばれて、ミッキーは思わず肩をすくめた。
「本気なの!?」
「グワッ!」
「どういうこと?」
「あっひょ、説明してよぉ」
ミニー、ドナルド、デイジー、それにグーフィーにまで詰め寄られ、ミッキーは中腰になりながらまあまあと手を出した。
2010年春のイベントはイースターをモチーフにすることが決定した。メインは日中2回行われるパレード。
その構成を考えていた時に思いついたのがそれだった。
パレード中の6着早着替え。そしてパレードルートを先頭から最後尾まで駆け抜けるということ。
「無茶よミッキー! そんなこと!」
「で、できるさ! ……多分」
心配そうに目を潤ませるミニーは可愛かったが、そんなことを考えている場合ではないい。彼らを説得しなければ。
「僕はほら、魔法が使えるし!」
「そりゃそうだけど……だったら別にパレードルートを走らなくったって、瞬間移動すればいいじゃないか。フロートからフロートに」
「そうよねえ。わざわざ走る必要はないわね」
「こけたらどうするのぉ?」
「グーフィーじゃないんだから」
「アヒョ!ドナルド、それどういう意味?」
「……ねえ、ミッキー。本気なの?」
立て続けに喋る三人に反論する前に、ミニーに袖をひっぱられた。ぽりぽりと頬を掻いて、ミッキーは苦笑する。
「うーん……僕は本気なんだけど」
「……」
ミニーがじっと見つめてくる。ああミニー。君はなんて可愛いんだろう。君にそんな顔をさせたくないのに。君には笑顔が一番なのに。
でも僕はどうしても、今回はこれを押し通したい。
「……わかったわ」
「えっ!?」
溜息とともに押し出された言葉にミッキーは自分の耳を疑った。こうもあっさりと受け入れられると逆に不安になる。
「えー! なんでだよー!」
「ミニー、どうして?」
「いきなりどうしちゃったの?」
こちらの会話が聞こえてきたらしい。三人がミニーを問い詰める。彼女は曖昧そうに微笑んで、だって、と言った。
「ミッキーがそうしたいって言ったのなら、そうするしかないと思うの」
そんなやりとりがあってのイースターイベントの初日だった。ディスパッチ2の扉が完全に閉じるのを待って、ミッキーは最後までゲストに振っていた腕を下ろす。
アリスフロートのマッドハッターからの、合計6着の早着替え。そして先頭のフロートから最後尾のフロートへの移動を見事にやってのけることが出来た。
キャスト達が忙しそうに動き回るのを眺めて、満足そうに息をつく。
よかった。無事に終わった。
「ねえ、ミニー」
「なあに?」
薄いピンクの衣装を身にまとった恋人が首を傾げる。本当に花の妖精のようだった。
「僕はいつだってフロートの一番高いところにいるんだ」
「……そうね、知ってるわ」
唐突な言葉にミニーが戸惑っているのが感じられる。
自分の立ち位置は別格だとミッキーは自覚していた。
王国を背負って立っている。ウォルトが残したものを、自分は全て背負っているのだ。
だから、例え座り見の最後尾でも、立ち見の最後尾からでもゲストから自分の姿が見えるよう、自分が乗るフロートは高く設計されている。
それは理解していたが、不満はあった。
「だけど、僕は皆に手を振ることしか出来ない」
見ることは出来るがそれだけだ。だから。
「だから、僕はパレードルートを走りたかったんだ。皆とハイタッチするのすごく楽しかったよ」
いつもは高いところにいて手を振ることしか出来なくて、けれど今回はルート上を走ったことでゲストと触れ合うことができた。
ゲストが自分を呼ぶ声が間近に聞こえる。フロートから降りた時の歓声が嬉しくてたまらなかった。
「ミッキー……」
柵を握る手にミニーの手が重ねられる。顔を向けると、彼女は何故か目を潤ませていた。
「ミニー!? どうしたの!?」
「あなたって……本当に! 最高よ!!」
「わっ!」
思い切り飛びつかれたものの、とっさのことに支えきれず、2人はそのまま倒れこんだ。
「……何やってんだろ、あの2人」
「ミッキー、鼻の下伸びてるねぇ」
デイジーを迎えに来たドナルドは途中でグーフィーと合流し、そのまま2人はボンネットフロートを見上げて佇んでいた。会話までは聞こえなかったものの、一部始終は丸見えである。
「あーあ。僕も来年は6着早着替えしたいなァ」
「……ドナルドには、無理じゃないかなぁ〜」
「どういう意味だよそれ! ワワワワワワー!!」
足の先からうさぎ耳のてっぺんまでとっくりと眺められて言われた言葉に怒って、ドナルドはグーフィーの足を踏みつけた。
以上です。
色々とgdgdですみません……。
GJ!