絡めちゃらめぇw
頑張ってねー。
なぜか暗い話ができてしまった('A`)
普通の話が難しい・・・
「ただいま!」
学校から帰ってきた、小学生になる娘の声が、今日は一段と大きいようだ。
「おかえり、梨花。何かいいことでもあったのか?」
漫画の原稿のベタ塗りをやめ、私は廊下に顔を出した。
「ただいま、お父さん。見てみて、かわいいでしょう!」
そういって娘は、扉から顔だけ出している私に向かい、白い毛玉を差し出した。
良く見ると、それは真っ白なアザラシのぬいぐるみのようだ。
「ああ、かわいいね。これ、どうしたんだい・・・」
いつの間に買ったのかと、聞こうとした時だ。
「キュー!」
「うわっ! 動いた!」
突然そのぬいぐるみが身動きをし、鳴き声を上げたので、
思わず私は声をあげ、後ろに飛びのいてしまった。
「はははっ! お父さん驚いてる。」
「これ、ぬいぐるみじゃ・・・ないのか?」
「違うよ。これ、ロボットなんだ。」
「ろ、ロボット?」
つぶらな瞳で私を見つめるアザラシを見据えて、間の抜けた声で娘に問いかけた。
「…それでね、美樹ちゃんの家に遊びに行ったら、この子がいてね。すっごいかわいかったんだ。」
夕食時、妻と私に、アザラシが家にやってきた経緯を嬉しそうに話してくれた。
「自分で歩いたり、自分から甘えたりする、すごい子なんだよ。」
「へー、最近のオモチャは賢いんだね。」
「そうだよ! でね、いいなぁって美樹ちゃんに言ったらね、しばらく貸してくれるって言ってくれたんだよ。」
「それは良かったわね。大事に扱って、壊さないように返すのよ?」
友人との仲を心配し、妻が心配そうに言った。
「うん。東京じゃ一個しかないって言ってたから、大切にするんだ。」
娘は、うれしそうに答えた。
我が家に風変わりな家族が増えてから、2日後のことである。
帰ってきた娘に、私は申し訳なさそうに、娘に真っ黒なシミだらけになったアザラシを差し出した。
「これ・・・どうしたの!? アザラシが真っ黒!」
「すまない。書斎の扉を開けっ放しにしていたら、いつの間にか入ってきていて、インクをひっくり返したみたいなんだ。」
「そんな・・・汚れ、おちないの?」
「これでも、インク落としでキレイにした方だよ。でも、インクが強すぎて、完全な白には戻らないみたいなんだ。」
アザラシを受け取り、娘は泣き出してしまった。
「どうしよう! 美樹ちゃんに返せないよ! 絶対怒るよ!」
娘の話では、東京では一つしかないというオモチャだ。替えを用意するわけにも行かないだろう。
どうしたものかと、二人で困っていたら、パートから帰ってきた妻が、不思議そうに声をかけてきた。
「ただいまー。早く食事の用意をするわね。・・・あら? どうしたの、二人で困った顔して?」
娘が黙ってアザラシを見せると、妻はすべてを把握したらしかった。
「ああ! これは・・・ それで、二人で困った顔をしていたのね。」
「そうなの。お母さん、どうしたらいいの?」
「そうねぇ・・・」
妻は、いいアイディアが無いかと考え出した。
「そうだわ。ねぇ、あなた。インターネットっていうので、調べて欲しいものがあるの。」
何かをひらめいたらしい妻に促され、事情が分からないままに、私はネット検索を行った。
私が検索したページに気を良くした妻は、娘に何かを告げ、明日アザラシを返してくるようにと伝えたのだった。
「ただいま!」
次の日、娘が元気な声で帰ってきた。
「お母さんの言うとおりに返したら、美樹ちゃん納得してくれたよ!」
「本当かい! いったい、何を言って返したんだ!?」
一人事情が分からない私は、娘と妻に説明を求めた。
すると、にやっと笑った娘が、こう答えた。
「返すときに、こう言ったんだ。『すごいロボットだね。本物のアザラシみたいに、大人の毛色に変化したよ!』って。」
私は納得した。検索したページが、ゴマフアザラシのwikipediaだったのは、そういうことだったのか。
インクまみれになったアザラシは、確かに成体のアザラシに見えなくもなかったのだ。
ホノボノ話デキタ-(゚∀゚)-!
このジャンル、オチが難しくて書くの難しいorz
ええ話や・・・ええ話か?
まあいいや、ほのぼのはするからw
でも、ゴマフアザラシの成体を見てがっかりする子供も多いらしいね。
ゴマちゃん的なイメージで考える人が多いから。
でも、ロボットだと考えると確かにすげえ機能だと納得してしまいそうだw
451 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 19:52:02 ID:HZQdbdpX
キュー!かわいいよキュー!
客の来ない南の島の鄙びたラブホのエレベーターにヤモリが2匹張り付いていた。一匹はオスで一匹はメス。
足を進めては、しばらく動かず、体勢を変えたかと思うとまた戻し、なにやら
そんなことを延々と2匹で繰り返している。それは夜中中続いた。
飽きもせず、よく彼女も見ていたものだが、求愛活動というのは人間に限らず、下等
動物ですら面白いものなのだ。セリフにしてしまえば、「さして」「いやよ」
「いやいやよもすきのうち」とかそんなものかもしれないが、下等動物であっても
一つ屋根の下、交尾のある夜はとても空気が濃厚になるものだそうだ。
そんな濃厚な空気のなか、一つの結論が持ち上がったらしい。とうとうヤモリ達は
3日間の夜の攻防を終えて、交尾に成功したのだ。!「キューキュー」と声をかすかに上げて
いたという。 彼女は屋外に出ると満点の星が輝いていて、若干空気が澄んで身が軽くなったと
言っていた。あれからあの2匹のことは知らないらしい。ただのヤモリだから。
お題『今日は新聞の日』
454 :
◆91wbDksrrE :2010/02/04(木) 17:57:29 ID:33nhp3d4
今日は、新聞の日らしい。
だが新聞という媒体が、その機能を失ったに等しい状態になってから、もう何年になるだろうか。
「……さむ」
マフラーに手袋。四枚重ねの厚着という完全防備も、寒さは容赦なく貫き通して行く。
しんしんと降る雪に、心身は深深と冷え切っていく。なんて駄洒落るくらいの余裕は、まあ一応
あるのだけれど、余計に寒さが増したような気がするのは気のせいか。いやまあ、気のせい
なのだけれど。それでも、ちょっとした後悔が心を苛む。
一事が万事、私の人生はこんな感じだ。ちょっとした後悔をいつまでもくよくよと抱え込んで
しまう。そもそも、こんな事をしているという事、それ自体も後悔の種の一つだったり。
自慢の愛車で、暗闇に沈んだ街路を駆ける。そんな耳障りのいい言葉で飾ってみると、
凄くカッコいい事をしているように聞こえるかもしれないけど……その実、乗っているのは自転車
で、駆けているのはご町内だ。自慢の愛車、三万円で買ったスポーツタイプ寄りのクロスバイク
の前には、車体に似合わない前籠がつけられ、そこには無数の紙束が入っている。
ようは、それを配って回るのだ。その紙束を。最早、意味を見出そうとする人間にしか意味が
無くなってしまった、過去の遺産とも呼べる物を。
新聞配達。
最早、その機能を失ったに等しい状態になった、新聞という情報伝達媒体を、それでも求める
奇特な人々に届ける、奇特な仕事。そんな仕事を、後悔しながらも黙々とこなし、辞めようと
する事はできない私は、奇特というよりは危篤なのかもしれないけれど、それでも既得の
権益――バイト代が高い――を考えると、辞められない。それに――
「あ……おはようございます。今日も寒いですね」
声を掛けられた。まだご町内は暗闇に包まれ、時折響く犬の鳴き声や、どこか遠くから聞こえる
車の音を除いては、静寂に包まれている。そこに、その声は、大きくならないようにと、ご近所に少し
でも迷惑をかけまいと配慮された小さな声は、それでも確かに響いた。私の耳には、確かに。
見れば、そこにいつものように彼は立っていた。いや、寒いのはあんたの方だろ、と思わず
突っ込みを入れたくなる、着流し? 袴? ……まあ、とにかく、書生さんという言葉がしっくり
くるような和装に身を包んでいるのも、これもまたいつも通りだ。流石に上半身には肩掛けを
羽織っているが、下半身――変な意味ではない――はむき出しで、見ているこちらの方が寒くなる。
――寒くなる、はずなのだ。本来。
「……おはよう、ございます」
いつもの事だ。この人が、新聞を待ちかねて、ちょうど届くだろう時間になると、外に出て
待っているという事は。そして、届ける人間――つまり、今現在は私だ――に挨拶をし、そこで
新聞を受け取って、いそいそと住居へと戻っていくという事は。
いつもの事なのに……そして、そうしたいとは思っていないのに……どうしても、私が彼の挨拶
に返す挨拶は、ぶっきらぼうなものになってしまう。二度や三度ではない。両手に余る回数、彼と
挨拶を交わしているというのに。
その理由は、わかっている。
この頬が、寒さに反発して染まるそれとは違う、内側から湧き出してくる熱さで赤くなっているのが、
その理由だ。
私は、彼の事を、多分……そう、多分としか言えないのだけれど……多分、好きなのだと、そう思う。
それは、初めてここに新聞を届けに来たその時、彼の笑顔に心を掴まれて以来、ずっとだ。
――だから――だから、この仕事を、やめたくない。
彼とこうして会話を交わせる機会は……勇気の無い私には、この時間しかないのだから。
ただ、おはようという言葉を交わすだけでも、それだけでも、その瞬間は私にとってはかけがえの
無い時間で、それだけで十分で、だから……失いたくなくて……。
「……どうかしましたか? 僕の顔に何かついてます?」
「あ……! い、いえ……そ、そ、そんな事はっ!」
「ふふふ……面白い人ですね」
どうやら、気づかない内に彼の顔を凝視してしまっていたらしい。その上、面白い人だなんて
言われてしまった……ああ、恥ずかしい……後悔の種が、また一つ増えてしまった……。
「では、お仕事頑張ってくださいね」
「はい!」
……まあ、でも……この後悔の種は、そんなに悪い種ではないのかもしれない。彼に、どのような
形であれ、"私"を見てもらえたんだから。
「……」
彼の姿が、家の中へと消える。それを見送ると、私は再び愛車にまたがった。
「が、頑張ります!」
寒さは、もう気にならなかった。
終わり
455 :
◆91wbDksrrE :2010/02/04(木) 17:58:04 ID:33nhp3d4
ここまで投下です。
456 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/04(木) 19:59:59 ID:BuEMrgGH
457 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 21:15:38 ID:pC3///ma
>>454 最初主人公は男だと思ってたから首かしげたw 女の子だよね?w
あれもこれもがんばれと言いたくなるねぇ。
おうふっ!?
確かに口調はあんまり女の子っぽくないから
わからないですね!? もちろん女の子です。
BLに興味はありませんw ・・・アリマセンヨ?
459 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 22:32:52 ID:FIWZ1tTq
ダジャレー好きだなw
>>454 いいっすね! 日本語ならではの音を合わせたダブル(トリプル?)ミーニングもイイ!
たしかに新聞はもはや役割を終えた感がある
少なくとも紙媒体の必然性はない気がする
でも、好きだけど!
こういう情景、大好きです
早くこういうのをサラッと書けるようになりたいな
461 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/10(水) 14:28:03 ID:/UGuukgI
とある小さな国に一人の少女がいた。
少女には背中に大きな痣があった。
それは生まれた時は目立たないものだったが少女が成長するにつれくっきりと見える様になっていった。
その模様があまりに不気味であったため、人々は少女を不吉だと忌み嫌うようになった。
不幸を呼ぶ子供と決めつけられた少女は森の奥深くにある古びた城の牢屋に閉じ込められた。
誰も止める者はいなかった。両親さえも少女を見放してしまっていた。
城には一人の番兵がいた。
番兵は少女と話す事を禁じられていた。しかし毎日を孤独に過ごす少女が段々と不憫に思えて
きてある日とうとう話しかけた。
「ここは窓もなく外の様子が全く分かりません。もしよろしければ教えて頂けませんか?」
少女の願いを聴き、番兵は国で起こっていることや流行り物のことなど色々少女に教えてあげた。
少女は時に驚き、時に笑いながら番兵の話に耳を傾けていた。
それから番兵は毎日少女の下で外の話をしてあげるようになった。
ある時番兵は「いま国は作物が獲れず皆食べ物を欲しています。」と話した。
すると少女は「ではわたしは作物が獲れるよう祈ります。」と跪き、祈りを捧げた。
少しして国はまた作物が獲れるようになった。
またある時番兵は「いま国は流行病で沢山の人が死んでいます。」と話した。
すると少女は「ではわたしは病が収まるようよう祈ります。」と跪き、祈りを捧げた。
少しして流行病はおさまった。
少女は国で何か不幸がある度に祈りを捧げた。
不思議な事に少女が祈るとやがて不幸はおさまるのだった。
月日は経ち少女はもう16歳になっていた。
ある夜番兵は少女の下へ行き予てから考えていた事を話し始めた。
「国の人々は皆、不幸が起こるのはあなたのせいだと言っています。しかし私はそうは思いません。
あなたは国に不幸がある度に懸命に祈りを捧げてきました。あなたの様な尊い人をこんな所に
閉じ込めておくのはもう耐えられません。私は明日国王の下へ発ち、
これまでの事を話してあなたがここを出してもらえるよう直訴致します。」
いつも番兵の話に相槌を打つ少女がこの時は何も言わなかった。
翌朝番兵は国王の下に出発する前に少女に挨拶をしに行った。
しかし牢屋の中からは何も聞こえなかった。おかしいと感じた番兵は牢を開け中に入った。
少女は自ら命を絶っていた。傍らには番兵宛てに今までの感謝の手紙が認められていた。
少女は気付いていた。番兵が自分との会話を禁じられていたこと、そしてもし国王に直訴などすれば
彼の身はただでは済まないだろうことを。
手紙の最後には「私は誰も恨んではいません」と書かれていた。
番兵は一言少女が死んだと伝えた。
誰も悲しむ者はいなかった。
ただ一人番兵だけが少女の墓の前で静かに涙を流していた。
ステキな話ですね
読み手が「少女が幸運と不幸のどちらをもたらしたか」を選ぶことで、物語が変わるのが面白い
悲しいけれど、とても美しい話と思いました
これは、寓話……? なにかを暗喩しているようだけど
自分にはそれを読み解く頭が無かった……
464 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 00:17:15 ID:cjQX5Xv3
>>462 >>463 ありがとうございます。
実際読み返してみると結構不自然なところがあったりして、もっと練ってから
書き込めばよかったとも思いましたが好評を頂けて嬉しく思います。
また何か思いついたら書きたいと思いますのでその時は恐縮ながらまたお付き合い下さい。
すげえいい話だと思ったよー。
最期まで綺麗な心のままでいられる、そんな少女だったから、
祈りが天に届いたんだろうなぁ。
・・・裏を勘ぐった考えもでないではないけどねw
御題カモーン
468 :
規制解除:2010/02/11(木) 14:07:29 ID:BUcv2xiU
地方の有名な劇場での話。
「入場規制を解除致しました! 是非とも皆様お越しくださいませ!」
入り口で呼び子が声を張り上げるが、通りを過ぎる人々は感心を示さず通り過ぎていく。
中には、「ざまぁみろ!」と罵声をあびせる者もいるくらいだ。
そんな状況を見たオーナーは、過去に下した、自分の安易な決断を後悔した。
・・・話は3ヶ月前に遡る。
美人で有名な役者が舞台に上がると、決まって迷惑な客が表れるのだ。
彼は、臭い香水をつけ、役者のダンスに合わせて踊り出し、その役者の芸名を高々と呼びやるため、客も舞台関係者も迷惑していた。
「・・・あいつ、また来てますよ。摘み出しましょうよ。」
係員が舞台裏で、オーナーに小さな声で呟いた。
「そうしたいところだが、窃盗や暴行と違い、罪状が無い場合は、それもしづらいんだ。」
「何故ですか?」
「例えば、声を上げるからダメだと言っても、それがダメな理由が『他の客に迷惑だから』だと、『本当に他の客に迷惑なのか』を調べたり、ダメな基準を決めたり、全ての客が納得する理由を考えないといけないんだよ。」
「でも、映画館は携帯を禁止して、鳴らしたら強制退出できますよね。ああいう感じではダメなんですか?」
「あれは、条例のおかげなんだ。劇場は映画館とは違うんだよ。」
二人は困ってしまった。なんとか、アイツが入って来れない策は無いだろうかと頭を捻った。
しばらく考え込むと、係員がポンと手を打って、オーナーに伝えた。
「あ! ねぇ、オーナー。要は根拠があればいいんですよね。」
「ああ、そうだが。アイツを追い出す根拠なんて作れるのか?」
「例えば、『役者が全員花を持って、匂いを楽しんでもらうステージのため、香水を付けられている人は入場禁止』としたりと、演目に合わせた理由を作るのはどうですか?」
「それなら確かに納得できる。うん、いい考えだな! よし、それで行って見ようか!」
さっそく「花を持った舞台」を公演したところ、結果は大成功。
迷惑な客は、延々と入り口で喚いていたが、「花の匂いを阻害するので、香水をつけられている御客様は入場できません」の一言で、見事に突っぱねることができたのだ。
後は簡単である。迷惑な客が入場できない、「明確な理由」の規制を考え続けるだけである。
「・・・舞台で作る料理の匂いも楽しんでもらうので、香水をつけた御客様は入場できません。」
「・・・今回は動物が舞台に上がりますので、動かれる御客様は入場できません。」
「・・・申し訳有りませんが、トーキー風演出のため、声を上げられる御客様はご遠慮ください。」
再度の入場規制に、迷惑な客も諦めたようで、最近は姿を見せなくなった。
「いやぁ! 素晴らしい成果だ! これで安心して御客様も楽しめるだろう。」
「・・・あのぉ、言いにくいんですが、私のアイディアは失敗したようです。」
係員が言いにくそうにオーナーに、悪い知らせをもたらせた。
「ん? 何が失敗したのだね? あいつはここ数回の公演に表れていないじゃないか。」
「見て頂くのが早いと思います。今、公演中の客席を見てください。」
不思議がるオーナーが客席を覗くと、今までほぼ満員だった客席は、10%にも満たないくらいガラガラになっていた。
「な・・・なんだこれは!?」
「それがですね、迷惑な客を追い返すためのルールに該当する御客様もいらっしゃったのですが、そういう方も追い返すことになります。」
「まぁ、そうだな。」
「特に、香水をつけられた方を追い返すのなら、女性の大半を追い返すことになり、そういう方は気分を悪くして、二度と来てくれなくなります。」
オーナーははっとした。一人の客を追い出すルールが、どれだけ多くの客に該当するかを想像していなかったのだ。
「オーナー、規制を辞めましょう。今からでも、来なくなった客を取り戻すべきです。」
「ああ、そうだな。このままでは潰れてしまう! 一刻も早く規制を解除するんだ!」
しかし、全員薄々と分かっていた。
一度失った信用は取り戻せない。おそらく、この劇場は潰れるだろう。
今日も呼び子の虚しい宣伝が、重い雲の下、響いていた。
あるあるw
ただまあ、だからって客だったら何でもありってするのは
違うんで、難しいところだよねぇ。
470 :
郵便配達の少年のはなし:2010/02/11(木) 23:52:57 ID:5GQ/XLaZ
少年は郵便配達をしていた。
長らく続いた大きな戦争がようやく終わり、少年の国は復興を始めていた。
かつての技術の多くが失われた中、通信技術もその例外ではなく人々の連絡手段の要は郵便だった。
決して楽な仕事ではなかった。
険しく危険な道のりを越え、遠くの村や町まで郵便を届けなければならなかった。
得られるお金は僅かばかり。それでも少年はこの仕事が好きだった。
手紙を受け取った時の人々の笑顔、自分が人と人とを繋いでいるのだと言う使命感。
孤児の少年にとって郵便配達は自らの存在理由でもあった。
ある日配達から戻った少年に悲しい知らせがあった。
同じ郵便配達をしている少女が死んだのだった。
少女は配達に向かう途中で熱を出して倒れた。連日の辛い配達と栄養不足で弱った体が流感に
やられたのだった。少女は倒れたその日の夜に息を引き取った。
少年が配達のために数日留守にしている間の事だった。
少年と少女は同い年で二人共孤児。配達員の中でも一番若い二人はそれこそ実の兄妹の様に
とても仲が良かった。周囲に冷やかされることもしばしばだったがお互い悪い気はしていなかった。
その少女が死んでしまったのだった。
しかし、少年を気遣う周囲をよそに、彼は涙一つ見せずこう言った。
「彼女が届ける分だった郵便は僕が配達してきます。」
皆止めようとしたが少年は構わず出発した。
配達を終えたばかりで少年はとても疲れているはずだった。だが彼は辛い素振りなど微塵も
見せずにいつもと何ら変わらぬ様子で配達をこなしていった。
遠くの町に居る家族や友人からの手紙、受け取って笑顔を見せる人。少年も笑顔を返した。
不幸の知らせに涙を流す人。少年は心から弔いの言葉を掛け、静かに立ち去った。
冷たい風と地面を覆う雪。
体力を奪われ、息を切らせながらも少年は森を越え山を越え配達を続けた。
最後の配達がようやく終わった。
出発してから三日三晩、ほとんど休むことはなく、少年は疲れ切っていた。
帰ろうと歩き出した時、足に力が入らず少年はその場に座り込んだ。
上着の下に隠れていたペンダントが飛び出した。
その昔、少女とお揃いで作った大切なペンダントだった。
少年はペンダントを手に取って見つめた。
途端に今まで堪えていたものが溢れてきた。
少年の目から涙がぽろぽろと零れていた。止めようとしても止まらなかった。
もう少女の笑顔を見ることは出来ない。話すことも触れることも。
全ては少年の居ぬ間に終わってしまった。最後の言葉を掛けることも叶わなかった。
少年はうずくまり、いつまでも震えていた。
戻ってきた後も、少年は人前では決して涙を流す事無く郵便配達の仕事を続けた。
皆彼を強い子だと言った。しかし彼はきっと強いわけではなかった。
次の年のある日、少年は配達に出たきり帰って来なかった。
配達はきちんと終わらせてあった。人々は彼を探したが、見つからなかった。
少年は二度と戻ることはなかった。
少女が死んだ時と同じ、冷たい雪の降る季節のことだった。
471 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 21:35:38 ID:7eH8p17p
切ない話ですね。
ああ、涙腺が……
472 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 22:07:28 ID:3GFTZpD2
子供って、辛いことがあっても伝え方がわからないばかりに限界まで溜め込むことがあるよな
大人の方は、子供が何も言わないから平気だと思い込む
水曜日に続いて、また悲しくも美しい物語……
一見、救いが無い悲劇のように見えてしまう(自分の読み方が浅いんだな)
けれど、読み終わった後あれこれ考えていると……
受け入れられるようになる(これはこれで良かったんだな、みたいな)
不思議な読後感があって、いいなと思いました
474 :
470:2010/02/13(土) 11:33:49 ID:m0NiQWDd
どうもです。
この話の世界設定は「ポストマン」という米国映画からヒントをもらいました。
結局あまり上手く絡められませんでしたけど・・・
お話作るのって難しい・・・
475 :
忘却の川:2010/02/13(土) 17:17:37 ID:m0NiQWDd
その青年は全てを忘れ去りたかった。
とても辛い記憶があった。
それはどれだけ時が経とうとも青年を常に縛り付け、彼が前に進むことを妨げた。
だから青年はここまでやって来た。
目の前を流れるは忘却の川。
青年はひと思いに飛び込んだ。
川の流れに身を任せ、青年は静かに目を閉じる。
自分の中の数多の記憶が川の水へと溶けて行くのがわかった。やがて青年の意識は途絶えた。
気がつけば青年はどこへともなく歩いていた。
青年は全ての記憶を忘れていた。
自分の名も、身分も、自分がなぜここに居るのか、どこへ向かおうとしているのか、
何一つわからぬままに、彼は歩き続けた。
辿り着いた小さな町で青年は木こりの仕事に身を置いた。
全てを忘れた青年にとって毎日がとても新鮮だった。
一から様々な事を経験し、様々な事を学んだ。
人々と語り合い、笑い、時に喜び、時に怒りに震え、時に悲しみに涙した。
それは例えようの無い充実した日々だった。
ある日青年が森で仕事をしていると花を摘みに来た一人の女性と出会った。
美しい女性だった。彼女を一目見た瞬間、青年は今まで感じたことの無い感覚を持った。
それから青年は仕事の合間を縫っては女性を探し、話し掛ける様になった。
自分の持った感覚が一体何なのか知りたかった。それには兎に角彼女に会わなければと思った。
いつも純粋な瞳をした青年に、女性も惹かれていった。
日が経つごとに二人はまた長く、また長く互いの時間を共有し合うようになっていった。
ある時青年は勇気を出して女性に尋ねた。「あなたと初めて会った時からずっと消えないこの感覚、
もし知っているのなら教えて欲しい」と。
女性はしばらく黙っていたが、やがて真っ直ぐ青年と向き合い口を開いた。
「わたしもずっとあなたと同じ感覚を持ち続けています。それは、恋と言うものです。」
青年と女性は結ばれた。
幸せな毎日だった。青年は女性をとても大切にした。女性もまた深い愛情でそれに応えた。
二人で色々な場所へ行った。色々な話をした。沢山の思い出が二人の心に刻まれた。
だが別れは突然訪れた。女性が流行病に倒れ、死んでしまった。
青年は冷たくなった女性の傍らで泣いた。声が枯れる程に大声をあげて泣き続けた。
しかし青年の悲しみは消えることはなかった。
人々は青年を慰め、手を差し伸べたが塞ぎ込んだ彼はそれを拒み続けた。やがて皆、離れて行った。
孤独となった青年。何もする気が起きなかった。
全てが新鮮だった昔の日々が途端に無意味なものに思えてきた。
女性との幸せな思い出。今の青年にとって唯一つの拠り所。
しかし同時にそれは青年の心を縛り苦しめる鎖だった。
とある噂を耳にした。浸かれば全ての記憶を忘れることが出来る川があると言う。
青年は一つの決心をして、町を出た。
僅かな手掛かりを頼りに青年はその川を探した。幾日、幾月の時が過ぎて行った。
そしてついに青年は川に辿り着いた。
川の水に己を映し、青年はしばし考えた。
多くの経験、皆と笑い合った日々、そして最愛の人―――楽しく、美しい記憶も沢山あった。
それら全てを忘れてしまうのが果たして正しい事なのか。
しかし今自分を支配する巨大な悲しみの記憶。このままでは前へは進めない。
青年の決意は固かった。
目の前を流れるは忘却の川。
青年はひと思いに飛び込んだ。
エンデの「鏡の中の鏡」っぽさを感じました
シュールさと寓話性がいいですね。
こういう話が書ける技術が欲しいなぁ
477 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/13(土) 21:00:20 ID:m0NiQWDd
>>476 ギリシア神話に登場する忘却の川レーテーをちょっとネタにして書いてみた話です。
もっとも自分ギリシア神話には詳しくないので用いたのは記憶を無くす力があるって
部分だけです。
面白くて深い物語だと思う
行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。という方丈記の有名な文を連想する
人間の喜びや苦しみもいつだって似たようなものだけど、青年のループがいつかは報われるそんな結末を祈りたい
「ひとは、忘れることで生きていける」ってのは誰の言葉だったかな?
忘れなければ生きていけないほどの深い悲しみもあれば、
その思い出があるだけで生きていけるほど、美しく強い思い出もある
青年には、「忘れない」、悲しみも受け容れる生き方もあったのでは……と思ってしまう。
浅はかな読み手の勝手な考えだけど
480 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/14(日) 14:37:45 ID:HS7cOkps
少年はクラスに一人は居る、「孤独な奴」だった。
気弱で人と接するのが苦手だった。初めの方こそ彼に声を掛ける者も居たが、仲間の中に
上手く溶け込むことができず、いつもおどおどして少年は浮いていた。その内誰も相手にしなくなった。
家と学校をただ往復するだけの毎日だった。
唯一の楽しみは物語を書くことだった。ファンタジーの世界を舞台にした胸躍る冒険譚、スペースオペラ
もどきやエブリデイ・マジックもの。少年は自分をそれらの主人公に当てはめては空想に耽っていた。
自分に自信が持てず、いつも己の安住の地に閉じ籠もり、外に目を向ける事を拒んでいた。
ある日の帰り道、少年は奇妙な少女に出会った。
その少女は何かを探すように道端をうろうろしては、不意に立ち止り考え込むように唸っていた。
少年は無視して通り過ぎようとしたが、少女に呼び止められてしまった。
背は低いが少年と同い年くらいだった。
少女は探し物をしているから手伝ってほしいと言った。
何を探しているのか尋ねると少女は「天使の羽根」だと答え、勝手に説明し出した。
―――この世には目には見えないけれど人間を見守る天使が存在していて、天使は時々背中に生えた
翼から羽根を落とす。その羽根を拾った者には幸せが訪れると言う―――
この年頃にはよくある他愛も無い妄想だった。
だが少年は少女を手伝うことにした。
別に彼女の話を間に受けた訳ではなかった。そういう話はあくまで物語の中だけでの事だとわきまえていた。
ただちょっと少女に興味を持っただけだった。
少女は呆れるほど真剣に天使の羽根を探していた。少年も指示された場所を探すものの、当然ながら
天使の羽根など見つかりはしなかった。傍から見れば実に滑稽な様だった。
結局二人は日が暮れるまでありもしない天使の羽根を探した。
別れ際少女は「また明日ね」と言って学校近くの公園を待ち合わせ場所に指定した。
それから少年は少女の「天使の羽根探し」に付き合うようになった。
少年は何故か少女にはおどおどせずに接することが出来た。少女は自由奔放に少年を振り回したが、
そんな彼女の態度はむしろ彼には心地が良く、自然なままの自分で居られた。
徐々に少年は少女との関わりを楽しむようになっていった。
そしていつしか少女と同じくらい真剣に天使の羽根を探すようになった。
勿論それが存在しないものだと言う事は理解していた。ただ、一度でも何かに本当に真剣になってみたかった。
例え無意味な行為だとしても、その先には何か得られるものがあるはずだと信じた。
一方の少女はいくら探しても天使の羽根が見つからない事に落ち込んでいた。
少年は何とか少女を元気付けてあげようと考え、一つ自分に出来る事をひらめいた。
放課後、いつもの公園で待っていた少女に、少年は一冊のノートを手渡した。それには少年が少女の為に
作った物語が書かれていた。一人の少女が天使の羽根を探し、やがてそれを見つけて幸せを得る話だった。
自分の作った物語を誰かに読んでもらうのはこれが初めてだった。
少女は瞳を輝かせ夢中で物語を読んでいた。読み終えた後、少女は少年に「ありがとう」とお礼を言った。
満面の笑顔だった。
少年はその時ようやく、自分が少女を好きになっている事に気が付いた。
ふと足元を見ると、真っ白な羽根が一枚落ちていた。
少女はその羽根を拾い上げると、少年の前にかざした。
「見つけたよ」
「見つかったね」
きっと、ただの鳥の羽根だった。二人ともわかっていた。
少女は羽根を空へと放った。
羽根は風に乗ってどこへともなく飛んで行った。
二人は静かにそれを眺めていた。
得られるものは確かにあった。
手はしっかりと繋がれていた。
481 :
480:2010/02/14(日) 15:03:24 ID:HS7cOkps
題名「天使の羽根」で
すんません。忘れてた・・・
うわ、何この清々しさ。
さくっと読めるし、面白いよ。
483 :
狙撃手の少年:2010/02/16(火) 23:43:01 ID:sa/aR+Ow
毎日指示された場所で待機して通りかかった敵兵を撃ち殺す。
それが少年の任務だった。
少年は若くして既に優秀な狙撃手だった。
多くの敵兵を射殺した少年には勲章が贈られ、街に出れば人々は皆英雄と彼を称えた。一方で敵兵からは
「死神の子」と呼ばれ恐れられた。
放たれる銃弾、スコープの向こうで倒れる兵士達。
何処か現実味を欠いた光景。しかし紛れもなく少年がやっていることだった。
なぜこんな事をしているのだろう?
彼は自分が何のために戦っているのか知らなかった。
「お前が考えるべき事はなぜ殺すかではなくどうやって殺すかだ。」
上官に尋ねても返ってくる答えはいつも同じだった。
少年の周りに居る大人達は皆、彼が自分の意思を持つことをことごとく妨げた。
大人達が少年に求めていたのは彼が命令のみに忠実な兵士であることだった。
少年もまた大人達の要求に応えようとしてきた。言われた事さえきちんと実行していれば大人達は少年を褒めて大事にしてくれた。
これでいいのだと少年は自分に言い聞かせてきた。
それに、家族の居ない少年には他に居場所がなかった。
しかし、街で自分と同年代の子供達を見かけるとなぜか少年の心はざわざわと波立った。
彼らは戦いの事など欠片ほども知らず平和に日常を過ごしていた。
かたや自分は敵影を探して引き金と引く毎日だった。
関係無いと思っていても気が付けば少年の目はいつも彼らの姿を追っていた。
英雄と呼ばれようが死神と呼ばれようが少年の心には何も響かなかった。
どれだけ過酷な経験をしていたとしても少年はやはりまだ子供だった。
ある非番の日、少年はよく行く本屋に顔を出した。そこの店主の女性は少年を英雄とも死神とも呼ばなかった。
女性は少年の表情で何かを察したのか、どうしたのと尋ねた。
少年はぽつりぽつりと自分の心情を話し始めた。およそまとまりがなかったが、後から後から言葉が口を突いて出てきた。
全部聴いた後、女性は少年に一言「大切なのは君の意思。」だと告げた。
少年は女性にお礼を言うと本屋を跡にした。
幼い頃から死んだ父親に銃の扱いの手解きを受けた少年は瞬く間にその才能を開花させた。
やがて軍に入隊して今の任務をこなすようになった。
確かに狙撃手は少年の天職に違い無かった。
だが少年の意思はどこにも介在していなかった。
いつも誰かに言われてやってきた事ばかりだった。少年も考えるのをやめて身を任せてきた。
本当はずっと前から分かっていた事だった。
少年はもうこんなことはしていたくなかった。
ある日少年は右腕に負傷して戻ってきた。任務中に撃たれたのだと彼は話した。
右腕は完全にはだめにならなかったがかつての様に銃を扱うことは出来ないだろうと医者は言った。
少年は軍の除隊を申し出た。
並の兵士と同等になってしまった少年になどもう用は無かった。軍は勲章と僅かの金を渡して少年を追い出した。
それは少年が初めて自分の意思で「行動した」結果だった。
少年はあの本屋に行って、店主の女性に軍をやめたと話した。
「君が望むならここに居ていいよ。」
女性はそれだけ言うと優しく微笑み、少年の髪を撫でた。
軍をやめた少年に街の人は皆親切にしてくれた。おっかなびっくりだったが同年代の子達とも徐々に付き合うようになった。
相変わらず大して意味の無い争いは続いていた。これで良かったのだろうかと時々心が揺れることもあった。
だが全体的には平和で幸せな毎日だった。
少年はようやく「少年」になることができたのだった。
心がホッとする話
乙です
なんか、最後に「良かったなぁ」って素直に思える話だな。
486 :
ゴモラ:2010/03/24(水) 12:26:24 ID:8tF9oTbm
『アホだった』
遠い未来のある日、とある一人の科学者が謎の「宇宙意思」を発見した!
宇宙意思はどうやら宇宙が始まった頃から存在している事が証明された!!
そして、この、宇宙意思こそが宇宙創造の神ではないのか?と一部の科学者
達の間で噂され始めた…
パニックを避ける為に公表は先延ばしにされたが、長い会議の結果、一人の
科学者が宇宙意思とコンタクトを取る事に決められた。
宇宙意思「…どうも…」
科学者「…あっ、ど、どうも…ハジメマシテ!私はニンゲンです」
宇宙意思「…ニンゲンさん…まあ…そんなに緊張せんと楽にしといて下さいよ」
科学者「あの、出来れば…我々ニンゲンの代表である私とお話させてもらってもかまいませんか?」
宇宙意思「ええ、ヒマですしね…何でも聞いて下さい、こちとら全知全能ですきん」
科学者「あなたは神ですか?神ならば教えて欲しい!我々はどこから来て…どこに…」
宇宙意思「パス!」
科学者「…すいません、私が何か失礼を?」
宇宙意思「いや…そない大問題あんまり簡単にワイが答えを言ってしまっては…その…アレやろ?」
科学者「………ええ…はい、分かりますそうですね、もっともです、すいませんでした…」
宇宙意思「じゃあもっと簡単なんで…」
科学者「では、アインシュタインの方程式は正しいのでしょうか?」
宇宙意思「は?」
科学者「例えば、その…特殊相対性理論は正しいのでしょうか?」
宇宙意思「…ブツブツ」
科学者「はい?」
宇宙意思「いや…タイムマシンとかの話だろ?今あんたらの星でタイムマシンが発明されて凄い騒いでるよな…」
科学者「ええ!ご存知でしたか!さすが宇宙意思さんですね!どうやって知ったのです?超能力か何かですか?」
宇宙意思「……別に…ええやん…そんな事…」
科学者「…そうなんですよね、発明したのはいいんですが、使ってもいいものか我々は迷っていまして…」
宇宙意思「…タイムパラドックス問題?」
科学者「そうなんです!どうしたらいいでしょうか?使っても大丈夫ですか?パラドックスは起こりますか?」
宇宙意思「……起こらん方がええか?」
科学者「……と、言いますと?」
宇宙意思「…どうしょーか、まだ、考えてへんねん…どーしたらええと思う?」
科学者「……」
宇宙意思「…」
科学者「……(んな、アホな!)」
487 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/24(水) 12:30:17 ID:8zFk6+MF
宇宙意思適当だなあww
ぷるんぷるん
ぷるんぷるんぷるんぷるん
ぶるんぶるんぶるん
ぷるぷるぷるぷるんぷるん
ぶるんぶるん
ぷるううううううううう
このノリで宇宙を制御されるのは嫌すぎるw
490 :
創る名無しに見る名無し:2010/04/12(月) 02:10:07 ID:4McOeshD
『雨男』
雨男、雨女って、よく聞くでしょう。
私も良く知人からは雨男なんて呼ばれてました。
実際、自分でもそう思ってたんですが。
まぁ聞いてください。小さな頃から運動が苦手で、特にマラソンなんかは死にたくなる程嫌いでした。
学生時代は運動会やマラソン大会なんかはほとんど雨で中止になりましたよ。
喜ばれもしましたが、気合いの入った教師なんかは雨天決行するものだから、辛かったなぁ。
今ではプログラマーなんかやってるものだから、運動する機会なんてありませんでして。
学生時代に、もっと運動しとけば良かったなんて、今じゃ後悔してますよ。
他にも、受験や就職面接の時なんかも酷い雨になりました。
一番、天気が荒れたのは結婚式前日でしたな。
いやあ、本当に雨男だったら良かったのに。
おや、ラジオがようやく入ったみたいだ。
『昨夜未明、東京を襲った地震ですが、現在も余震が続いており、危険な状況が続いております。
周辺地域の皆様は、指定の避難所に避難し、自治体の指示を受けてください。
繰り返しお知らせします……』
おかげで納期は伸びましたけどね。
今はこの瓦礫の下からどう抜け出すかが、重要です。
491 :
創る名無しに見る名無し:2010/04/12(月) 12:28:47 ID:QO0fDM/c
のんきだなおいw
いやあうん、好きな文だ
のんき杉ワロタ
「わたしは生まれてこなければ良かったのかな、先生」
どう答えたらよいものか迷った。それが彼女に伝わったらしい。
「……そっか」
彼女のささやきが、低めのトーンで吐き出された。
僕は後悔した。しかし慰めを言ったところでその言葉に重みはなかっただろうとも思う。
彼女は十歳で死ぬと医者に告げられた。彼女のご両親は深く悲しんだそうだが、どうにもならなかった。流行のセカンドオピニオンとかで
さまざまな医者を頼ったらしいが、みんなそろって首を振った。
せめて。とご両親は思ったそうだ。「せめてこの子が笑って逝けるようにしよう」と。
「ほしいものなら何でも手に入ったよ」
ご両親は彼女の欲求を満たすために手段を選ばなかった。たちまち彼女の部屋はぬいぐるみとおもちゃで埋まったし、テーブルは彼女の好
物で一杯になった(彼女が現在ぽっちゃり気味なのはここら辺に由来する)。洋服だってより取り見取りだった。
「やりたいことも全部やったかなあ」
生まれてからずっと病院にいる彼女が望めることというのはひどく限られたものだったが。
彼女は生まれながらにしてその命の可能性に枷をはめられていた。
彼女が進められる時間は短かった。
彼女は一瞬の閃光だった。
……はずだったのだが。
「なんで生き延びちゃうかなあ……」
彼女はベッドに腰掛けながらぼんやりとつぶやく。天井を見上げていて、表情はよく見えない。
なんで、といわれてもそれが現実なのだから仕方がない。今日は彼女の十一歳の誕生日。来ないはずの誕生日。外には秋の肌寒い風が吹い
ている。
彼女のご両親は来ていない。仕事で忙しいからだ。ご両親は休日返上で働いている。彼女の望みをかなえるのに使った借金を返すそのため
に。
「でも知らないじゃんか、借金までしていたなんて」
そのことは彼女自身には秘密だった。余計なことは知らせずに逝かせるつもりだったらしい。
彼女は生き延びた。そして知ってしまったのだった。
「あーあ、死んじゃえばよかった。それか生まれてこなきゃ……」
長年地下深くに閉じ込められていた囚人というのは。
もしそこから出られることになっても、そこから出るのを恐れるらしい。
彼(もしくは彼女)は外の世界に大きく取り残されているのを悟っているのだろう。
目の前の少女がそうだとは言わないが、なんとなくそんな話を思い出した。
僕はグラスを持ち上げる。ハッピーバースデイ。
「……」
彼女は何も言わなかったが、僕はかまわず歌いだした。ハッピーバースデイトゥユー。
たとえ彼女が望まなくとも、これは紛れもなく奇跡であって医者の僕にはそれをたたえる義務があった。
そして彼女には今日を生きる義務がある。
ハッピーバースデイディア――
終わり
使われなかったお題を探して練習に使おうという計画を思いついた。実行中。
良い話だね。いい話ではないかもしれないがw
これ絶対お互いにめちゃくちゃ気まずくなるよなぁ
ある種の予定調和ってたとえいい方にでも裏切られると困るもんだ