RPGキャラバトルロワイアル2

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1名無しさん@お腹いっぱい。
このスレはRPGゲーム(SRPGゲーム)の登場キャラクターでバトルロワイヤルをやろうという企画スレです。
作品の投下と感想、雑談はこちらのスレで行ってください。


RPGロワしたらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/11746/
RPGロワまとめWiki
ttp://www32.atwiki.jp/rpgrowa/pages/11.html
前スレ
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220194316/

テンプレは>>2以降に
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:13:41 ID:BIgpXqN+
参加者リスト

6/7【LIVE A LIVE】 
○高原日勝/○アキラ(田所晃)/○無法松/○サンダウン/●レイ・クウゴ/○ストレイボウ/○オディ・オブライト
6/7【ファイナルファンタジーVI】 
●ティナ・ブランフォード/○エドガー・ロニ・フィガロ/○マッシュ・レネ・フィガロ/○シャドウ/○セッツァー・ギャッビアーニ/○ゴゴ/○ケフカ・パラッツォ
5/7【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】 
○主人公(勇者)/●アリーナ/○ミネア/●トルネコ/○ピサロ/○ロザリー/○シンシア
7/7【WILD ARMS 2nd IGNITION】 
○アシュレー・ウィンチェスター/○リルカ・エレニアック/○ブラッド・エヴァンス/○カノン/○マリアベル・アーミティッジ/○アナスタシア・ルン・ヴァレリア/○トカ
6/6【幻想水滸伝II】 
○2主人公/○ジョウイ・アトレイド/○ビクトール/○ビッキー/○ナナミ/○ルカ・ブライト
5/5【ファイアーエムブレム 烈火の剣】 
○リン(リンディス)/○ヘクトル/○フロリーナ/○ジャファル/○ニノ
4/5【アークザラッドU】 
○エルク/●リーザ/○シュウ/○トッシュ/○ちょこ
5/5【クロノ・トリガー】 
○クロノ/○ルッカ/○カエル/○エイラ/○魔王
5/5【サモンナイト3】
○アティ(女主人公)/○アリーゼ/○アズリア・レヴィノス/○ビジュ/○イスラ・レヴィノス

【残り49名】
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:15:44 ID:BIgpXqN+
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAPのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。

【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に2エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。

【舞台】
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0087.png

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:16:47 ID:BIgpXqN+
【議論の時の心得】
・議論感想雑談は専用スレでして下さい。
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。

【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NG協議・議論は全てここで行う。進行スレでは絶対に議論しないでください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:18:38 ID:BIgpXqN+
【書き手の注意点】
・トリップ推奨。 騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付けた方が無難
・無理して体を壊さない。
・残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
・完結に向けて決してあきらめない

書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの一時投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に一時投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない一時投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。

書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。

書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
 本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効
 携帯からPCに変えるだけでも違います
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:19:26 ID:BIgpXqN+
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:20:14 ID:BIgpXqN+
【身体能力】
・原則としてキャラの身体能力に制限はかからない。
 →例外としてティナのトランス、アシュレーのアクセス、デスピサロはある程度弱体化
【技・魔法】
・MPの定義が作品によって違うため、MPという概念を廃止。
 →魔法などのMPを消費する行動を取ると疲れる(体力的・精神的に)
・全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいる人物。(敵味方の区別なし)
・回復魔法は効力が大きく減少。
・以下の特殊能力は効果が弱くなり、消耗が大きくなる。
 →アキラの読心能力、ルーラやラナルータやテレポート(アキラ、ビッキー)などの移動系魔法、エルクのインビシブル
・蘇生魔法、即死魔法は禁止
【支給品】
・FEの魔導書や杖は「魔法が使えるものにしか使えず、魔力消費して本来ならばそのキャラが使えない魔法を使えるようになるアイテム」とする
・FEの武器は明確な使用制限なし。他作品の剣も折れるときは折れる。
・シルバード(タイムマシン)、ブルコギドン、マリアベルのゴーレム(巨大ロボ)などは支給禁止。
・また、ヒューイ(ペガサス)、プーカのような自立行動可能なものは支給禁止
・スローナイフ、ボムなどのグッズは有限(残り弾数を表記必須)
【専用武器について】
・アシュレー、ブラッドのARMは誰にでも使える(本来の使い手との差は『経験』)
・碧の賢帝(シャルトス)と果てしなき蒼(ウィスタリアス)、アガートラームは適格者のみ使用可能(非適格者にとっては『ただの剣』?)
・天空装備、アルマーズ、グランドリオンなどは全員が使用可能
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:21:03 ID:BIgpXqN+
とりあえずスレ立て完了……ここ即死値なんぼでしたっけ
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:57:02 ID:GkBfFsNa
【予約に関してのルール】
・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行います。
・予約は必須です。予約せずに投下できるとしても、必ず予約スレで予約をしてから投下してください。
・修正期間は審議結果の修正要求から最大三日(ただし、議論による反論も可とする)。
・予約時にはトリップ必須です。また、トリップは本人確認の唯一の手段となります。トリップが漏れた場合は本人の責任です。
・予約破棄は、必ず予約スレでも行ってください。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 11:57:54 ID:GkBfFsNa
>>1
スレ立て乙!
即死はしないとは思うけど……落ちたらまた立てればいいさー。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 12:12:05 ID:ly/3Frw+
よし、即死しないように雑談して乗り切ろう。
みんなからしてマーダーの分布率と発生率ってどんなもんよ?
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 12:46:48 ID:dDJ2soIM
>>1乙なんだぜ

今マーダーしてるのはオブライト、セッツァー、ケフカ、ピサロ、シンシア、トカ
ジョウイ、ルカ・ブライト、リン、フロリーナ、ジャファル、魔王、ビジュだっけ

12人くらいかまぁそこそこいるかな現状を維持すればバランスいいね
分布はあんまり把握してないけどばらけてる方じゃないかな
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 13:01:02 ID:sbNmAzt+
>>12
ビジュは一応マーダー枠として呼ばれたっぽいけど、一回も登場してないからまだわからんよ。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 13:52:10 ID:GzogV0SR
あとシャドウもマーダーだよね。
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:08:11 ID:C7c2rGOG
全体の1/5以上となれば結構多い方じゃないか?
まあ、リンは一応皆殺しの剣の呪い解除というフラグを持ってはいるが。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:17:30 ID:BAQTOhHK
ビジュ、またズガンされないか物凄く不安。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:22:29 ID:sbNmAzt+
でもされたらされたで両方の死者スレでネタにできるから問題ない。
ビジュは死者になってもおいしいキャラだから。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:44:38 ID:il8REwgS
待たせたな、みんな!
話題のビジュとちょっとHな背徳コンビ、投下するぜ!
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:47:51 ID:cUucFGjZ

20ですろり〜チカラ〜:2008/09/22(月) 23:48:23 ID:il8REwgS
やっほー、ちょこなの〜!
んっとね、きづいたら、真っ暗なおしろにいたの〜。
しびれるりんごをまた食べちゃったみたいなの!
だって、やっぱり、おっきなおいすにすわった人がいたもん。
アクラの父さまといっしょで、魔王なんだって!
んっとなんかむずかしいことも言ってたの。
考えてもむだなの。だって、むずかしいことなんだから!
それでね、それでね。なんか、みんな、さわいでたの。
でもちょこね、子どもだから他の人の後ろからじゃ前が見えなかったの!
いっぱい、いっぱい、冒険したのに。
そしたらね、こんどはいつのまにかはえてたサボテンさんが教えてくれたの〜。
おとなはけっこんするもんだって。
ちょこ知ってるの。ずっと、ずーっと、ずぅーと一緒にいることなのー。
……父さまが、そう言ってたの。
だからね、ちょこ、おねーさんと結婚したの!
わーいのー!

○月○日 ちょこの日記1より
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:49:01 ID:QzrT0LQn
わざわざチャットで投下宣言してんじゃねえよ愚図
22ですろり〜チカラ〜:2008/09/22(月) 23:49:23 ID:il8REwgS



「ちくしょお、ちくしょお、ちくしょおおっ!!」

ボロボロの軍服を引きずり、顔の左側を覆う大きな刺青を施した男――ビジュは悪態をつきつつ砂漠を南下する。
彼の手には一振りの剣が握られていた。
サンダーブレード。
そこそこの切れ味を誇る上に、装備主の魔力をも強化する優れものだ。
使い慣れた召喚獣タケシーに通じる召雷能力もあり、ビジュはこの支給品を当たりだと判断していた。
だからこそ、近くを歩いていた二人連れの人間へと襲いかかったのだ。
帝国軍所属の軍人とはいえ、加虐心が強く、任務にかこつけそうした欲望を満たすことから問題児とされてきたビジュに、殺人への躊躇は無かった。
加えて、それまで誰にも会わず、夜とはいえ砂漠を延々歩き続かせられた彼は相当苛立っていた。
何よりもその二人組の組み合わせが気に入らなかった。
若い女一人に小娘一人。
この島に連れてこられる直前に散々な目に合わされた相手を、嫌でも思い出させるその組み合わせが。

結果彼は敗走し、今へと至る。

「化け物め、そうだ、この島もあの島と同じだ、そうに違いねェ!!」

黒焦げにしてやるつもりで放った雷の呪文は小娘の方に簡単に弾かれた。
見たところ特殊な装備もしていないただのガキにだ。
しかもそのガキはあろうことか、何の媒体も無しに、巨大な火の鳥を召喚しやがったのだ。
まともじゃない。
あんなのは、人間技じゃない!!

「召喚獣だ! あのガキも、魔王も、いや、他の参加者で知らねえ奴も、きっと皆召喚獣だ! 糞がッ、人間様への逆襲のつもりかよ!?」

殺してやる、殺してやる、殺してやる!!
この島にいる奴全部、殺してやる!!
心の中で何度も何度も呪詛を吐くビジュ。
だが、悲しいかな、サモナイト石のない彼に見せつけられた力の差を埋める手立ては無い。
逃げることすら支給されたかすみ玉という道具を使ってやっとこさだった。
あと少し使うのが遅ければ、火の鳥に飲み込まれ、服どころか全身が跡形もなく焼き尽くされていただろう。

「……あん、道具? そうか、そうかそうか、支給品か、あひゃひゃひゃひゃ!!」

いつしか砂漠を抜けきり、目の前には荒地が広がっていた。もう少し進めば草原だ。
ここまで来れば追いつかれはしまい。安堵した途端ふと思いつく。
自分に支給されていた道具は、未使用のもう一つも含め、まあそれなりには使えるものだった。
しかし、だ。もっともっと、強力な道具を支給された参加者もいるのではないか?
例えばサモナイト石、例えば大砲、例えばあの女教師が使っていた碧の光を放つ魔剣が。

「イヒヒヒヒヒヒヒッ! いくら奴らが化け物じみてようがよォ? あの『力』を前にしちゃ手も足も出ねェよなあ!!」

方針は決まった。
道具だ。まずは強い道具を手に入れることからだ。
利用できるなら強者に取り入るのもありだが、さっきの二の舞は御免だ。
当面は弱いと確認できた奴、もしくは怪我して弱った奴を狙って道具を手に入れる。
繰り返してけば、いつかは当たりを引けるはずだ。
化け物達はその手に入れた道具で始末してけばいい。
そうやって次々と力を増やして皆殺しだ!

「いいぜ、いいぜェ! あの女教師も、さっきの化け物も、殺す、殺す、殺してやる!! アヒャヒャヒャヒャヒャ!」
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:50:04 ID:cUucFGjZ

24ですろり〜チカラ〜 ◆iDqvc5TpTI :2008/09/22(月) 23:50:33 ID:il8REwgS

【G-4 南東平野に入ってすぐ 一日目 黎明】
【ビジュ@サモンナイト3】
[状態]:軍服黒焦げ、全身に熱の余波による軽度のダメージ
[装備]:サンダーブレード@FFY
[道具]:不明支給品(確認済み、それなりには使える)×1、基本支給品一式
[思考]
基本: 皆殺しだ!
1:弱者を狙って有用な道具を手に入れる。
2:アティ、アリーゼ、女二人連れ(ちょことアナスタシア)は後で殺す。
3:他の強者も道具がそろいしだい殺す。
[備考]
※参戦時期は不明。お任せします。(ただし、死亡前です)
※ちょこやオディオ他を召喚獣だと思っています。
※かすみ玉@アークザラッド2は使い捨てだった為、なくなりました。



アナスタシアは呆然としていた。
男に襲われたことに、では無い。
その男をいとも容易く目の前の少女が撃退したことにだ。


†††
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:51:40 ID:iVXoHyO3
26ですろり〜チカラ〜 ◆iDqvc5TpTI :2008/09/22(月) 23:52:50 ID:il8REwgS


「ひゃはは、ひゃははは! 死ねエェェェェェ!!」

遡ること数十分ほど前、彼女とちょこは突如緑の髪の男の襲撃を受けた。
振り下ろされた剣から迸る雷光。
ロードブレイザーという世界を焼き尽くしかねない脅威と戦ってきた彼女からすれば大した事のない一撃に見えた。
それでも、聖剣の加護が無い今の彼女にとっては、十分傷を負わしうる攻撃で。
当然当たるわけにはいかなくて、必死で後ろに飛び退いた。

繋いでいた手も離して。
自分が生き残る一心で。
一人だけ死の顎から逃げた。

直撃。
ちょこの幼い身体を電撃が打ち据える。
大人に致命傷を与えるには程遠い威力ではあったが、相手は幼子だ。
最悪、死んだかもしれない。
そう考えた瞬間、胸の奥が僅かに軋んで。

「おいおい、逃げやたったよ! こいつ、ガキを見殺しにしやがった! ヒヒヒヒヒヒヒ!」
「すっごーい! ピカって光ってビリビリ〜ってきたのー!! ゴーゲンのおじーちゃんみたーい!!」
「いひっ、ひゃはははは!うひゃははははは……は?」

それがどういう感情か理解する間もなく、驚愕することとなった。
無傷だったのだ。
落雷を浴びたはずの少女は変わらず笑みを浮かべ、その場でぴょんぴょんぴょんぴょん跳ねていた。
あろうことか跳ねるのに合わせて万歳までしている様は、それだけを見れば非常に可愛らしいものであったが。

「て、手前ェどおして!?」
「今度はねー、ちょこの番なの! いっちゃえ〜!」

声に合わせ炎を纏った巨大な鳳がちょこの前に顕現する。
それだけで砂漠は昼間の姿を取り戻したかのように熱を帯びた。
歪む空気、立ち込める熱風。
良く見知った光景が広がっていた。
規模こそ控えめだが、ロードブレイザーの炎は、いつもこんな風に命を寄せ付けないものだった。

「ひいぃぃぃ……っ!!」

砂塵を舞いあげつつ迫り来る炎熱に男が悲鳴を上げ、デイパックへと手を突っ込む。
怪鳥の爪と嘴が男の服を焼き焦がしにかかるなか、必死で取り出した緑色の玉を男は放り投げた。
しれで、決着だった。
鳳凰をも飲み込む莫大な量の煙が辺りに蔓延。

「けほけほ。真っ白で、何も見えないの〜」

ようやっと視界を取り戻した時には男の姿はどこにも無かった。


†††
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:53:05 ID:yBV/o8fr
>>21
そう言いつつも支援してくれるお前はツンデレだなw
支援
28ですろり〜チカラ〜 ◆iDqvc5TpTI :2008/09/22(月) 23:53:33 ID:il8REwgS


「とうちゃ〜く!」

そんなできごとが無かったかのように、ちょこは目を輝かせておおはしゃぎしている。
新婚旅行のとりあえずの目的地として設定していた塔は、なるほど、覗き見たことがあるとはいえ、
実物はそれ以上におもしろい形に感じられ、観光にはもってこいだとは思う。
無論、アナスタシアの胸中を占める問題を跳ね飛ばす程ではないが。

(……『力』)

ちょこが行使したのは紛れもなく力だった。
この殺し合いの舞台で生き抜けうるだけの力。
アナスタシアの望みを、『生きる』という『欲望』を叶え得るだけの力。

神様は随分アナスタシアの境遇を嘆いていてくれたみたいだ。
出会いすら覚えていないずっと傍にいてくれたあの子の。
彼女が愛した世界を救うために遂に別れの時を迎えてしまったルシエドの。
『剣の聖女』の『力』の片割れである存在に匹敵するだけの新しい『力』を与えてくれたのだから。

(嫌だなぁ、私……)

かってアナスタシア・ルン・ヴァレリアという一人の人間の想いを見ないようにして、
綺麗に飾り付け『英雄』という名の生贄として捧げた世界に今の自分が重なる。
ちょこをちょことして見ずに、『力』として見るようになっってしまった自分が、堪らなく汚いものに思えた。

「どうしたの、おねーさん? お腹痛いのー?」

考えていることが表情に出ていたのだろうか?
ちょこが心配そうに覗き込んでくる。
痛いの痛いのとんでいけーとお腹をさすってくれる少女の純粋な優しさに崩れてしまいそうになる。
それでも、彼女は、アナスタシア・ルン・ヴァレリアは。
精神体にしか過ぎない旧支配者に肉体を与えるまでに強い『欲望』を持った女性は。
ちょこを利用することを、選ぶ。

「ねえ、ちょこちゃん。おねーさんが、居なくなっちゃったらちょこちゃんは悲しい?」

びくりとちょこが大きく震える。
いつも浮かべていた笑みが消え、涙がとめどなく溢れだす。

「おねーさん居なくなっちゃうの? 父さまや、シルバや、村のみんなみたいに。
 さっきまで一緒に居てくれたおにーちゃん達みたいに」

やだやだと悲痛な声を上げ、地団太を踏み、ちょこがアナスタシアにしがみつく。
読みは当たった。
ちょこはやけにアナスタシア一緒にいることに拘っていた。
そこからこの幼い少女が過去に大切な人達を失ったのだということは容易に想像がついた。
だから、甘く、アナスタシアは囁く。

「大丈夫。私は居なくなったりしないよ。ちょこちゃんが、守ってくれるんでしょ?」
「うん! ちょこ、戦うの。おねーさんを守るために戦うの……」

先程までの泣き顔はどこへやら。
華の咲いたように笑うちょこにアナスタシアは続ける。

「じゃあ、ひとつお願い。ちょこちゃんのパック、中身見せてもらえないかな?」
「いいよー、なんかいっぱい入ってるけど、ちょこにはよくわからないからー」
29ですろり〜チカラ〜 ◆iDqvc5TpTI :2008/09/22(月) 23:57:34 ID:il8REwgS

デイパックを渡すとちょこはとことこと駆けだして、塔の観光を再開する。
アナスタシアはこれ幸いとちょこの支給品と自分の支給品を比べ、
生き残ることに適した道具と自分には不要な道具を入れ替える。
気にはしないと思うが、一応数は初期と同数に揃えておいた。
最後に二人の名簿を取り出し、ランタンの火にくべる。
ちょこの大切な人の名前が書かれているかも知れないからだ。
アナスタシアを優先して守ってもらうためには、他にも知り合いがこの地にいることは不都合なのだ。
そして、それはアナスタシア自身にも言えることだった。

彼女は、これからちょこを『使い』人を殺す。
知り合いの名前を見つけ、これ以上覚悟を鈍らせるわけにはいかない。
何としても手に入れるのだ、自身の幸せを。

「ちょこちゃん、お待たせ」
「はーいのー! じゃあ、一緒に、中を探索するのー!」

地を蹴り、抱きついてくる幼女に手を伸ばし、思う。
もしかしたら、他人を求めていたのは自分も同じだったのかもしれないと。
ロードブレイザーが倒され、世界が救われても、彼女は救われず、事象の地平に一人っきりだった。
その永遠に続いた孤独が、無意識のうちに理由をつけてちょこを殺さない道を選ばせたのかもしれないと。
いや、殺さないのではない。ただ、後回しにしただけだ。
自らに言い聞かせ、聖女は魔人を抱きしめる。
二人の行く末はわからない。
けれども、今この時の二人は、傍目には仲の良い幸せそうな姉妹にしか見えなかった。




【F-4 砂漠の塔(背塔螺旋) 一日目 黎明】
【アナスタシア・ルン・ヴァレリア@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:不明支給品1〜3個(負けない、生き残るのに適したもの)、基本支給品一式
[思考]
基本:生きたい。そのうち殺し合いに乗るつもり。ちょこを『力』として利用する。
1:砂漠からの脱出。
2:背塔螺旋を探索する。
[備考]
※参戦時期はED後です。
※名簿を未確認なまま解読不能までに燃やしました。
※ちょこを『力』を持つ少女だと認識しました。
※ちょこの支給品と自分の支給品から、『負けない、生き残るのに適したもの』を選別しました。
 例えば、防具、回復アイテム、逃走手段などです。
※襲ってきた相手(ビジュ)の名前は知りません。
30ですろり〜チカラ〜 ◆iDqvc5TpTI :2008/09/22(月) 23:59:07 ID:il8REwgS



【ちょこ@アークザラッドU】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:不明支給品1〜3個(生き残るのに適したもの以外)、基本支給品一式
[思考]
基本:おねーさんといっしょなの! おねーさんを守るの!
1:逆さまな塔を探索するのー!
[備考]
※参戦時期は不明。
※殺し合いのルールを理解していません。名簿は見ないままアナスタシアに燃やされました。
※アナスタシアに道具を入れ替えられました。生き残るのに適したもの以外です。
 ただ、あくまでも、『一般に役立つもの』を取られたわけでは無いので、一概にハズレばかり掴まされたとは限りません。
※襲ってきた相手(ビジュ)の名前は知りません。 



やっほー、ちょこなの〜!
変なおにーちゃんがピカピカーって雷落としたのー。
ちょこもね、メラメラーって負けずにがんばったー。
でもね、おにごっこには負けちゃったの。
くやしいよ〜。
その後でね、塔で泣いたり笑ったりしたの。
おねーさん、あったかくって、大好き!
そういえば、おねーさんって、ムチムチプリンなのかな?
逆さまな塔を探検しおわったら、きいてみるの〜!

○月○日その2 ちょこの日記より
31ですろり〜チカラ〜 ◆iDqvc5TpTI :2008/09/23(火) 00:01:11 ID:r6bDhUSl
投下終了。トリップ忘れ、一部1への誤爆とミスし、申し訳ない。
なお、一部覚醒イベントの内容が入っていますが、アークザラッド2単体で把握できる範囲です
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:13:22 ID:CaZclAKA
投下おーつ!
おお、マーダーコンビ完成に近づいたか?対主催の戦力がやばいかも
アナスタシアはぜひ外道になってほしいw
ちょこは放送でリーザの死知ったらどうなるかな

…え、ビジュ?その、がんばれ…
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:30:55 ID:sdjPafHL
投下乙

やばいやばい、ただでさえ強いマーダー多いのに、そいつらより更にぶっ飛んでるちょこがこれじゃ。
でも、ちょこはいーこだから無差別に襲い掛からないし死が悲しいものって知ってるからまだいいかな。
おねえさんは外道になりきれるか?
34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:09:46 ID:hM5d5LXl
投下乙

アナスタシアめ、名簿を燃やすなんて、やるじゃない
上手い事ちょこを利用して何処まで行けるのか
ルシエドがちょこに変わった事で『剣の聖女』から『幼女のお姉さん』になるんだなw

…え、ビジュ?その、がんばれ…
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:21:47 ID:5tjKa2Am
投下乙
おねえさんはちょこを『使って』マーダーか
ビジュもいいマーダーっぷりをみせてくれそうだな
このロワのマーダー分なかなかあるかも
しかも普通の実力からラスボスクラスまでバランスとれてる
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 08:12:58 ID:8SgUQFRw
投下乙
ちょこTueeeeeee!
しかしこのロワはマーダー充実してて面白いなw
アナスタシアがちょこをどこまで利用するか期待

…え、ビジュ?その、がんばれ…
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:41:53 ID:tUWksWCH
投下乙
頑張れビジュ。いつかサラマンダーの汚名を返上できる日が来るさ。

で、不思議剣がでてきたけど、伝説の剣とかまだでてきてないのな。
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:10:30 ID:c5Gh9wOi
タイトルに突っ込んでる人が誰も居ないから、今の内に俺が突っ込みいれておく。

……ですろりかよ!?
タイトルに「ろり」とか入ってるくせに、マッチョとショタの方が見せ場に恵まれているあれかよ!?

個人的には結構好きだ。好きなキャラが容赦無く死んでいく無常さは、ロワと通じる所があるかも。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:21:44 ID:5tjKa2Am
>>38
あれだ、あんな可愛い子が男の子なわけないだろってことだよきっと
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:24:30 ID:LARYUNWj
小さいときは女の子より男の子の方が可愛いと思う
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:04:39 ID:9ky3oxsP
投下乙!
さすがRPGロワ最強キャラw いとも簡単に撃退したよw
お姉さんは好きなキャラですから頑張って欲しいなあ。貴重な一般人だけどw
上手くちょこ利用フラグを立てましたね。これで面白くなってきた! GJ!
ビジュは良く分からんが……まぁ頑張れw
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:19:00 ID:RbEDri4Z
皆のビジュの扱いにワロタw折角SRPGロワでの雪辱を晴らせるかと思ったのに
いきなり撃退されたし…まあ死ななかっただけマシか。とりあえず頑張れw
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 17:15:58 ID:FSc5ABq8
ですろりぐぐって噴いたw
元ネタあったのなw
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 03:44:41 ID:cUx2/Jwi
>>43
浅く見ただけじゃ、実物やった時にびびるぞ、でろりはw
あれやると無性に無情死を書きたくなる……
45 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:26:58 ID:F+NGR8ay
お待たせしました。
エルク、アズリア姐さん、オブライト、カノン、リン投下します。
46太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:30:28 ID:F+NGR8ay
そこは楽園だった。弟と共に暮らすことが許されたその場所は―――――楽園だった。


「姉さん!姉さん!」

「ん?」

「これ、僕が見つけてきたんだ。きれいでしょ?姉さんにあげる」

(これはピンクの貝殻!いくら探しても見つからなかったのに)

「ありがとう。イスラ……」


私は幸せだった。弟と『あいつ』とすごす日々が好きだった。この楽園がとても心地よかった。
イスラから貝殻をもらった私は『あいつ』のもとに走る。

――――舞台は楽園の島から地獄の島へ移る。
47太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:32:01 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

さっきはあんなに明るかったの今は闇が広がっている。いや、それはいい。それよりも問題なのはこの島の空気だ。いやな感じがする。この憎しみに満ちた場は地獄の島と言うべきか。

「殺しあえ…か」

とりあえず現状把握だ。地図とコンパスで場所を確認するとここはA-9らしい。続いて名簿の確認をして――私は愕然とした。

「イスラ…」

名簿には死んだはずのビジュの名前もあったが、それはまだ些細なことだ。そこには大切な弟の名前が載っていた。

「待っていろイスラ…。私が…」

守る。そう言おうとした所で思い出す。今までイスラがどんな気持ちで魔剣を振るってきたか。
それでは駄目だ。あの時と同じ。だったら――イスラに会ったら共に戦おう。あいつはわたしの自慢の弟だ、記憶なんてなくても戦える。

「後は支給品の確認か」

最初に引いたのは子供以上の大きさがありそうな――巨大な剣だった。

「ふっ!…くっ」

重いなんてレベルじゃない。なんなんだこの剣は、もしかしてあの魔剣の類だろうか。私には持つだけの資格がないのか…。強引に剣をデイパックに戻す。
次に出てきたのは槍だ。それもかなりの業物。少し扱ってみたところ少々癖はあるが、私にも使える物みたいだ。

(ん?まだ何かあるな…)

デイパックを探ろうとした時、遠くに炎が見えた。

(なんだ!)

しばらく、炎のあがった方を見ていた。次に起こったことは――爆発。
私は全力で走った。イスラが心配だし、危険人物を放っておけない。
途中、川に流されている一人の少年を見つけた。

(放っておけないな)

少年の手を掴んで引き上げる。気絶していて何も荷物を持っていないようだ。更に少年の胸には何かに貫かれた痕があった。何かあったのだろう。命に別状はなさそうだし、起きたら話を聞いてみよう。
48太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:33:19 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

暗闇が広がっていた。いや闇黒の空間というべきだろう。その中に一人の少年が――エルクが佇んでいた。

「また……来ちまったのか」

なら、また来る。父さんに母さん、ジーンにミリルが。

「エルク……」
「ミリルか……」
「一方的にやられてたわね。これで理解した?あなたは誰も助けられない。さっきの人程度止めれなくてアーク達を殺す?そんなの無理よ」
「でも!」
「このまま私たちと暮らしましょ。拒むなら――」

闇の中から父さん、母さん、ジーンが現れる。

「貴方を殺してでもここにいてもらうわ!」

一方的だった。全身を貫かれ、切り刻まれ、心が死んでしまいそうだった。
いつの間にか俺は――氷漬けにされていた。

「貴方は、もう戻れない」

(俺はここで終わるのか?)

そう思った。

(駄目だ!駄目だ!)

必死にその考えを振り払う。

(違う……こいつらは違う。ミリル達じゃねぇ。俺の心の闇。俺の――弱い心!)

炎が駆ける!勝負は一瞬!闇は炎に呑まれ――消えた。

「エルク」
「!」
「やっと……闇を祓えたのね」
「お前の力で……大切な人を守れよ」
「お前はまだこっちに来るにははえーよ」
「エルク……これを」

渡されたのは一振りの剣と――炎だ。小さく、しかし確かな力を感じる『熱い』炎だった。

「あなたは、今までの貴方じゃない、貴方が進むのは闇の道じゃない。貴方は――闇を照らす炎!」

「「「「行きなさい!炎のエルク!!」」」」
「父さん、母さん、ジーン、ミリル……すまねえ。」

俺は駆ける、元いた場所へと。

「俺はもう迷わねえ!ありがとう!行ってくる!」

意識が覚醒する。
49太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:34:43 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

「気がついたみたいだな。大丈夫か?うなされていたようだが」

エルクが意識を取り戻してはじめて聞いた言葉がそれだった。その声の主はエルクの知らない女性のものだった。

(俺、どうしたんだ)

考える、たしかミリル達と――違う!その前はたしか……。

(あれ?)

やたら体が重い、体を見ると全身ずぶ濡れで服が水を吸っていた。それを見て。

(そうだ!カノンと戦って川に落とされたんだ!)

だとしたら、俺はこの人に助けられたのか。そう結論付けたエルクは助けてくれた女性――アズリアに対し礼を述べる。

「ありがとう、あんたが助けてくれたんだな、俺はエルク、ハンターだ」
「初対面で年上の女性に『あんた』か、まあいい。私はアズリア……ただの女だ」

(敵意は無いようだな)

そう判断したアズリアは何があったか尋ねようとした時――脅威の魔人が姿を見せた。
キメラの翼によって飛ばされた魔人オディ・オブライトが。

「なっ!」

警戒する。当然だ、相手の規格外の闘気――この男の実力はどうみてもギャレオ位では手も足も出ないレベルだ。
更に男の体から発せられる血の臭い。私は槍を構え、ひとまず出方を伺った。

「ほう…、俺は槍など使わぬが……なかなかできるようだな。今の俺は少々機嫌が悪い。貴様が何と言おうと俺と戦ってもらうぞ。楽しませてくれよ……女ぁぁぁあああッ!!!」
「くっ!」

回避できない戦いだ。勝てるか?いや―――勝ってみせるッ!エルクのほうを見て叫ぶ。

「エルクッ!お前はまだ無理をするな!こいつは私が倒すッ!」

――戦闘開始。
50太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:36:08 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

(速いッ!)

男の神速の一撃を槍で受け、捌く。――ギリギリだ。男の足が負傷していなかったらどうなっていたことか。パワー、スピード、体力、明らかに私より上。技量だけなら私がわずかに勝っているようだが――穿き慣れないスカートのせいで足が動かしづらい。
私が繰り出す突きも全てかわされ、捌かれる。そんな攻防がしばらく続き――男の一撃が私を吹っ飛ばした。

「ちッ!」

なんとか受けきれたか、それに多少距離も取れた。だが安堵している場合ではない。
分が悪い……。相手には回避するという選択肢がある。さらにあれだけの攻撃を受けながら槍に傷一つないが――私の体力が持ちそうに無かった。
長期戦はだめだ。勝つとしたら必殺の技による短期決戦!やるしかない―――槍による『紫電絶華』を!

「ああああああああッ!!!」

両者、駆ける。決着をつける為に。

アズリア・レヴィノスは武芸に秀でた天才である。リィンバウムに存在する武器はドリルを除けば一通り扱える。だがその中でも彼女と最も相性の良い武器は剣なのだ。
秘剣・紫電絶華――超高速の突きの乱舞。剣の天才である彼女ですらそれを会得するのに途方も無い時間をかけた。このレベルの突きは槍で放てるものでは無いのだ。
それでも彼女――アズリアはアズリア・レヴィノスすら成せなかったことに挑む。
この技は未完成の技だ。しかし彼女の強き想いを乗せた必殺の技!

「秘槍・紫電絶華!!!」

どががががががががががが!!!

「なにィッ!」

超高速の突きに男が驚く。……だが、それでも、男は私の突きを全て受けている。これで決まらなければ……負ける。
ひたすらに突く!突く!突く!
そして勝負は決する。

「がはっ!」

アズリアが吹き飛ばされて。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:37:43 ID:9uqCaEH8
後のグラッドの必殺技支援
52太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:38:32 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

アズリアが突然現れた男と戦っている時。俺はまともに動けなかった。まだ気分が悪い、体が重い、全身が痛む。体を動かそうと悪戦苦闘していると――男の拳がアズリアの胴に一撃を叩き込んでいた。
吹き飛ばされるアズリア。呼吸困難に陥っている。

「今の技、なかなかだったぞ女、おまえは『強者』だ。敬意を表して殺してやろう」

男がアズリアに近寄る。止めを刺すために。
俺はなにをやっている?こんなところでじっとしてるな、俺は、俺は……。


「炎のエルクだああああああああッ!!!!!!」


巨大というのもはばかられるほどの劫火がA-9エリアに火柱を突き立てた。

◆     ◆     ◆

「あれは……」

カノンは遠くに炎をみた。
あの炎、間違いないさっきの男のものだ。あの炎はロードブレイザーのような禍々しさが感じられない。ここまで強大では無かったが、さっきの男の炎も確かな『想い』が込められたものだった。
安堵した。あの男が生きていることに。あの男はけして死んだほうが良い人物ではなかったから。

「あまり、会いたくないな……」

だけどこちらにも、譲れないものがある。また会ったら戦うことになるだろう。
炎から逃げるように踵を反し花園に向かう。
程なくして―――狂気に満ちた殺人鬼に出会った。

皆殺しの剣の殺意に支配された少女リンディスに。

「……獲物」
「……魔か、どうやらその剣が本体のようだな」
「アハはハハはハはは、ころす、コロス、殺ス、殺す!」

リンディスがカノンを殺そうと剣を振りかざし、破壊の嵐を巻き起こす!
カノンは軽々とそれを回避し、自分と相手の戦力差を分析する。

『パワー』  かなりあるようだ。負けている気はしないが、警戒するだけの力はある。
『スピード』 これも常人とは思えないな。だが、私には遠く及ばない。
『技量』   論外だな。おそらくはあの剣のせいだろうが…。

結論―――少女自身が魔では無く、無力化の余裕があるならば少女を救おう。私は『英雄』の末裔だから。

一瞬で接近し、少女の鳩尾に一撃を叩き込む。
ここで激怒の腕輪の効果が発揮されなかったのは、カノンにとって幸運だった。
すぐさま下顎に追撃を加え――少女は完全に気絶した。

「さて、どうするか」

考える、この魔はあの魔人に比べたら小さなものだ。なんとかして助けられるだろう。だが正体がわからない以上、うかつに剣に手出しは出来ん。それに、手首を切るのも出来ればしたくない。

「ここからなら花園より神殿のほうが近いな」

カノンはリンディスの荷物と身に着けていた腕輪を回収し、神殿に向かった。リンディスを連れて。
神殿は人が集まりそうな場所だし、この剣のことを知っている者がいるかもしれない。そう思って。

53太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:39:28 ID:F+NGR8ay
「……壊れているな」

神殿に通じる橋の惨状を見てカノンはそう呟いた。

私一人ならともかく、この少女と共に跳ぶのは難しそうだ。カノンはそう判断し。

「ワイヤーナックル」

カノンの伸びた手は向かいの橋の欄干を掴んで、リンディスと共に壊れた橋を攻略した。

「着いたか」

まだ少女が目覚める気配は無い、気をつけておかないと。

(最悪、この子の手首を切ることになるかもしれないな)


【C-8 神殿入口 一日目 黎明】
【カノン@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:精神的疲労(小)、ダメージ(微小)
[装備]:勇者ドリル@サモンナイト3(右腕)、Pファイアバグ@アークザラッドU、激怒の腕輪@クロノ・トリガー
[道具]:エルクの不明支給品1〜2個(未確認)、リンディスの不明支給品0〜1個(未確認)、基本支給品一式×3
[思考]
基本:『魔』を滅ぼす。邪魔されない限りそれ以外と戦う気はない。ただし、邪魔者は排除する。
1:少女(リンディス)を救う。そのための情報を得るため、神殿で人探し。(最悪、手首を切る)
2:アシュレーを見つけて討つ。
3:アシュレー以外の『魔』も討つ。(現時点:オディオ、魔王、皆殺しの剣)
4:少女(リンディス)の問題が解決したら花園へ向かい2、3の為に情報を集める。
5:あの男(エルク)には会いたくない。
[備考]:
※参戦時期はエミュレーターゾーンでアシュレーと戦った直後です。
※彼女の言う『魔』とは、モンスター、魔物、悪魔、魔神の類の人外のことです。
※勇者ドリル、Pファイアバグは機械系の参加者及び支給品には誰(どれ)でも装備できるよう改造されています。
※カノンは現在デイパックを三つ持っています。まとめていません。

【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:狂戦士、呪い、少し火傷 、気絶、ダメージ(中)
[装備]:皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、
[道具]:なし
[思考]
基本:打倒オディオ
皆殺しの剣による行動方針:見敵必殺
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※皆殺しの剣の殺意に影響されています、解呪魔法をかけるか剣を何らかの手段でリンの手から離せば正気には戻ります。
54太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:40:24 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

アズリアに止めを刺そうとしたオブライトを止めたのは、強大な『炎』だった。
圧倒的な力が魔人の興味を引いた。

「小僧……貴様、何者だ」
「俺は、炎の一族エルク・コワラピュール!炎のエルクだ!」
「おもしろい!楽しませてくれよ小僧おおおお!」

体が熱い、既にチャージ状態だ。
そういえばシュウに聞いたことがあるな。すげー威力の体術があると。
たしかやりかたは……、思い出した。ならやることは。

「リタリエイション」

小僧がなにかやろうとしてるみたいだが関係ない、骨法鉄砲をぶちこんでアクロDDOで止めを刺してやる。

――両者が交差する。

「父さんの力強さが!母さんの心が!ジーンの意思の力が!ミリルの想いが!シュウが教えてくれた技が!……そして、この俺の怒りがッ!てめえをぶっ飛ばす!!!」

リタリエイションにより反射神経が高められたエルクはオブライトの攻撃に対し反撃ポイントを瞬間的に分析。攻撃を見切って――チャージがかかっている炎の拳によるクロスカウンターを一方的にオブライトに叩き込んだ!!

「があああああああああ!!!!」

クロスカウンターの際に源氏の小手がオブライトの腕から外れ。
巨大な体が遥か彼方に吹き飛んでいく。そして―――魔人は海に落ちた。

「はあっ、はあっ、やったか…」
「すさまじい力を持っているなお前は」
「アズリア!大丈夫なのか!」
「ああ、槍のリーチのおかげで相手の拳を深く入れられずにすんだ、骨も全く問題ない」

エルクを見てみれば、ずぶ濡れだった服は完全に乾いていた。

(本当に炎のような奴だ…触ると火傷しそうだな)

アズリアはエルクを昔の仲間である海賊の頭――カイルと重ねた。
向こうは私を全く疑っていないようだ。信じていいか…。そう考えお互い情報交換しようとした時、エルクの手に剣が握られているのが見えた。

「エルク、そんな剣持っていたか?」
「ん?あれ?いつのまに!」

エルクの手には――『炎の剣』が握られていた。
55太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:41:21 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

さて、エルクから情報の内容をまとめると、カノンなる者が魔を狩るために行動している。そしてアシュレーの中に魔人が存在していて、魔人を狩るためにアシュレーを狙っていること。
カノンの様子からするとアシュレー自身はおそらく信用なる者ということ。
リーザ、シュウの二人は絶対に信頼できること。
トッシュという者は世界中で指名手配されている極悪人でまず間違い無く殺し合いに乗っていること。

ここで考える、世界中で指名手配されているといわれているが。私は聞いたことが無い。彼が嘘を言っているようにも見えない。わたしがあの楽園にいる間に指名手配された?
いや、それよりもここがリィンバウムでなく彼もリィンバウムの者で無い。そう考えるほうが自然に思えた。
さきほどの炎…あの魔剣を超えかねない力、リィンバウムの力とは思えなかった。
それに、リィンバウムの人間の私が召喚されたんだ。おそらくあの魔王にとってリィンバウムは、リィンバウムにとってのロレイラル、シルターン、サプレス、メイトルパの様なものなのだろう。
エルクにサモナイト石などについて聞いてみると知らないと言う。ほぼ確定か…。
私の情報も伝える。イスラのことや異世界の可能性、一応ビジュのことも。

さっきの男が落とした荷物を回収して今後のことを考える。男の荷物と残った支給品の確認をすませ、男の荷物はエルクに渡す。
なるべく、人が集まりそうな場所に行きたいが…、何かあるかもしれないし、一番近い海辺の洞窟から行こう。
後は、槍での『紫電絶華』を完成させないといけないな。

こんな殺し合い乗ってたまるか。『あいつ』なら絶対に乗らない、『あいつ』ならどんな困難も乗り越える。

「きっと、二人で帰るから――」

太陽のような笑顔で微笑みかけてくれる、大好きな『あいつ』――レックスのいる楽園に。
56太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:43:03 ID:F+NGR8ay
【A-9 平野 一日目 黎明】

【炎と紫電】

【エルク@アークザラッドU】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)
[装備]:炎の剣@アークザラッドU
[道具]:オディ・オブライトの不明支給品1〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:みんなで力を合わせて、オディオを倒す。
1:とりあえずアズリアと、海辺の洞窟に向かう。
2:リーザ、シュウ、イスラ と合流。
3:カノンを止める。
4:アシュレーは信頼できそう。
5:トッシュを殺す。
6:一応ビジュを警戒。
[備考]:
※参戦時期は『白い家』戦後、スメリアで悪夢にうなされていた時
※カノンからアシュレーの情報を得ました。
※アズリアとお互いの支給品を確認しました。
※A-9にでっかい火柱が立ちました。死角だらけの森林からは見えませんが、神殿からは見えたかもしれません。
※炎の剣@アークザラッドUを具現化しました。ただし一度限りの具現化です。

【アズリア@サモンナイト3 】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(大)
[装備]:ロンギヌス@ファイナルファンタジーVI 、源氏の小手@ファイナルファンタジーVI(やや損傷)
[道具]:アガートラーム@WILD ARMS 2nd IGNITION、不明支給品1個(確認済み)、ピンクの貝殻、基本支給品一式
[思考]
基本:力を合わせてオディオを倒し、楽園に帰る。
1:とりあえずエルクと、海辺の洞窟に向かう。
2:リーザ、シュウ、イスラ と合流。
3:アシュレーは信頼できそう。
4:トッシュを警戒。一応ビジュも。
5:『秘槍・紫電絶華』の会得。
[備考]:
※参戦時期はイスラED後。
※アティ、アリーゼとの面識はありません。
※軍服は着ていません。穿き慣れないスカートを穿いています。
※エルクとお互いの支給品を確認しました。
57太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:43:45 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

海の上で――俺は目覚めた。 

俺は……負けたのか……。
いや!まだだ!俺はまだ死んでねえ!
まだ俺の最強証明は終わっちゃいない!
エルクと言ったなあの小僧……いや戦士か。
今度こそあいつを倒し、俺が最強になってなる。

ピピピピピピピピピピピピピピ

首輪から耳障りな音が聞こえてきた。

「警告する。ここは進入禁止エリアだ、30秒だけ猶予をやろう。さっさと殺し合いに戻れ」

くくくくく……おもしれえ。
俺の首をふっ飛ばそうってわけか。
いいぜ、やってみな。
俺が目指すのは『最強』だ。
こんな首輪なんかに負けてたまるか。

ピピピピピピピピピピピピピピ

「あと10秒……」

ピピピピピピピピピピピピピピ

なんたって、俺はよ……

「5…4…3…2…1…」

「俺こそが『最強』―――オディ・オブライトだ!!」

ピ―――――――バァン!

【オディ・オブライト@LIVE A LIVE 死亡】
【残り48人】

※マップの外に出たため首輪が爆発しました。
※オディ・オブライトの遺体は島に戻って来る可能性があります。
58太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:44:23 ID:F+NGR8ay
◆     ◆     ◆

「やったな、エルク」

「そうだね」

「まだ、エルクは強くなるな」

「うん……縛られてこそいないけど、エルクの中にはまだ強い憎しみが宿っている」

「その憎しみを払拭出来た時こそ、エルク…貴方の真の炎の力は開放されるのよ。ね、ジーン」

「ああ、その時が楽しみだなミリル」

「うん!!」
59太陽が呼んでいる ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:45:16 ID:F+NGR8ay
投下終了です。支援感謝。
いろいろ、ごめんなさい。
炎の剣はエルクの夢でのみ手に入るフロアアイテムで、エルクが具現化させたと解釈しました。
アズリア姐さんの苗字表記が無いのはわざとです。
オブライトの首輪爆発は回避しようと思えば出来たので、キルカウントはエルクにつきません。
ピンクの貝殻はアズリア姐さんが最初から持っていた物です。

恐らく最大の問題はレックスですね。
アウトですか?
書き手の皆さんと読み手の皆さんの意見募集します。
あと…ごめん死者スレのリーザ。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:45:56 ID:9uqCaEH8
投下乙。イスラED後であることにも驚いたがまさかのティンコ主人公かw
他の参加者のことも考えると、一人だけ別の平行世界と認識しておk?
61 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:46:17 ID:F+NGR8ay
ごめんなさい、タイトルつけっぱなしでした。
62 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/26(金) 00:49:36 ID:F+NGR8ay
>>60
支援ありがとうございます。

自分はそのつもりで書きました。
時間だけでなく、似て非なる世界と言うことで。

63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:54:26 ID:il0+jUUt
投下乙ー
うーむ、期待のマーダーオブライトは早期退場か。残念。
炎の剣か…確かに夢の戦闘で手に入るアイテムだからそういう解釈もできるよなー。
展開は自然だから俺はいいと思います。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:08:15 ID:v+JorErP
投下乙です
炎の剣に関しては問題ないと思います
サモンナイトはよく知らないのではっきりとは言えませんが、平行世界というのはちょっとマズイのではないかと
これではキャラ決めの時に、わざわざレックスを外した意味がないのではないでしょうか?
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 09:59:15 ID:zyvwvMVW
時系列の違いは今まであったけど、平行世界はどうだろ・・・?
一応ドラクエ組は勇者達とピサロでそれっぽいのはあるんだよな。(5章と6章はある意味平行世界に近いから)
それでもマズいなら、主人公と生徒をアティとアリーゼに変更すればなんとかなるかも。

ところで改めてドラクエ4の攻略本を読み返したんだが、クリフトもシャナク使えないのな。
こうなったらもう切断だろうか・・・。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:36:49 ID:PRuG8XnC
投下乙です
エルクが高原化してるのを見てかっこいいシーンなのに
馬鹿と馬鹿は通じ合うんだなあ…と思ってしまってすまんw
炎の剣の解釈はそういう発想もありか!って感じで良かった
ていうか何気にリーザの仇とったなエルク

並行世界は…サモン3未プレイなので何とも言えません
個人的には意外性あって面白そうにも感じましたが…
67 ◆6XQgLQ9rNg :2008/09/26(金) 21:49:20 ID:FOb0OR+A
投下乙!
まさかオブライトが早くも散るとは思わなかったぜ。
そしてリンが今後どうなるか気になるところだな。

アズリアの参戦時期だが、レックスが出てくるわけじゃないし個人的には問題ないと思う。
時間軸ずれてるのも平行世界のようなもんだしな。
けど、ちょっと人間関係が複雑になってしまうのは大変かもしれん。

さて、投下します。
68男の契約 ◆6XQgLQ9rNg :2008/09/26(金) 21:51:33 ID:FOb0OR+A
 遠くから、潮騒が響いている。
 無法松にとって波音は、罪を思い出させてくる音だ。
 その音を聞いていると、クルセイダーズのリーダーを務めていたときに犯した罪の記憶が甦ってくる。
 忘れてはならない記憶であり、償うべき罪。それが、無法松の意識を引っ張り上げる。
 目を、開けた。どうやら、まだ生きているらしい。
 一度死んだ身だというのに、まだ生きているというのも奇妙な表現だと無法松は思う。
 小さな明かりに照らされて、木目調の天井が見えた。傷だらけでところどころ穴が開いていて、痛々しい印象を与えてくる。 

「よう、気が付いたみたいだな」
 身を起こしたとき、野太い声が響く。そちらを見ると、熊にそっくりな男が壁にもたれて座り込んでいた。
「俺は……気絶しちまってたのか」
 無法松の呟きに、熊男が頷く。
「ああ。南の湖畔で倒れていたところを拾ってきたってわけだ。命に別状はなさそうだから、安心していいぜ」
 安心などできるはずがなかった。何せ、あたりには彼女の姿がないのだ。
「緑の髪をした女は、流れ着いてなかったか?」
「いや。お前さんだけだったな」
 無法松の胸が一気に熱くなる。付着した水滴が乾きそうなほどの激情が、無法松を焦がしていく。
 衝き動かされて、立ち上がった。寝ている場合では、ない。 

「ここは、何処だ?」
「島の北にある座礁船だ。地図で言うとA−07になる。
 神殿に運び込もうかとも思ったが、そっちの方で爆発が見えたからな。
 ちょいと遠かったが、ここまで運ばせてもらったぜ」

 島の地図を思い出し、舌打ちが落ちた。
 救ってくれた男を責めるつもりはないが、ティナと別れた場所から随分離れてしまったのは問題だ。
 急がなければならない。あの化物じみた男から、逃げ切れていればいいのだが。

「世話を掛けた。すまんが、俺は行かせてもらう。のんびりしている暇はねェんだ」
 駆け出そうとする無法松。その背に、熊男が声を投げかけてくる。
「何処へ行くのか知らんが、何があったのかくらい話してくれ。状況が状況だからな。情報が欲しい」
 熊男の態度に、苛立ちを覚えた。
 こんなところでゆっくりしている間に、ティナが命を落としていたら。
 無法松は、自分自身を許せなくなる。女に守らせた挙句、その女を死なせたとあれば、男の名折れだ。
 そうなったら、ティナは勿論、彼女の仲間にも顔が合わせられない。
「のんびりしている暇はねェって言っただろうが! 話なんざ後回しだッ!」
 熊男を悪いと思っているわけではない。
 だが彼を怒鳴りつけ、無法松は駆け出そうとする。湿った床が軋み、悲鳴を上げた。
 不意に、無法松の肩を大きな手が掴んできた。睨みつけてやるが、熊男は意に介さない。 
「あー、待て待て。手ぶらで行くつもりか? 
 悪いが、荷物を預からせて貰ってるんだ。お前さんがどんな奴か分からなかったからな」
 
 水を吸ったデイバックを押し付けられる。
 無法松が受け取ると、熊男がランタンを片付け、自分のデイバックを背負い始めた。
 そして、立てかけてあった巨大な鍵のような鈍器を引っつかむと、無法松の隣に並ぶ。

 にかりと笑い、熊男は無法松の背を叩いた。 
「だが、そんな心配は無用だったようだな。急いでるなら、移動しながら話を聞かせてもらうぜ」
 熊男の笑みは清々しい。助けてもらったこともあり、無法松は熊男に疑いの念を露ほども抱かずに笑い返した。
「……恩に着る。男無法松、この借りは必ず返す」
69男の契約 ◆6XQgLQ9rNg :2008/09/26(金) 21:52:52 ID:FOb0OR+A
 ◆◆
 
 座礁船の外に出ると、潮の香りが鼻腔をくすぐってくる。海風を浴びながら、二人の男は併走する。
「情けねェ話だ。俺は、ティナって女に救われたんだよ。あの、とんでもねェ野郎からな」
 歯噛みが、言葉に交じる。口惜しさを感じさせる無法松の声に、熊男――ビクトールは耳を傾ける。
「本当、とんでもねぇ野郎だった。飢えた野獣みてぇにギラついた目をした、髪の長い大男でな」
 無法松が告げる男の姿を、脳に描いていく。淀みなく描いていけるのは、名簿に目を通してあったせいだろう。
「何もかもをブチ殺しそうな、殺気の塊だった。人間とは思えなかったぜ」
 ビクトールの背筋に怖気が走る。無法松の表現が、誇張などではないと分かっているせいだった。
 名簿の間違いか、性質の悪い嫌がらせかと思っていた。いや、信じたかった。
「……奴なら、喜んでこの殺し合いに参加するだろうな」

 だが、どうやら現実らしい。ビクトールは、眉をしかめずにはいられなかった。
 その男は相当の脅威だ。奴の恐ろしさは、身をもって知っている。
 だが、死んだはずの男を呼び出した魔王オディオは、その男を遥かに超える脅威だと言わざるを得ない。
 ビクトールは解放戦争に参加していたとき、死んだ人間が帰ってくる瞬間に立ち会ったことがある。
 それは、全ての宿星と門の紋章が起こした奇跡だった。
 その奇跡をたった一人で、しかも自在に起こせるとすれば。
 真の紋章すら超越した、本物の化物だと言っていいだろう。
「知っているのか?」
 尋ねてくる無法松に、ビクトールは重々しく首を縦に振った。

「ルカ・ブライト。俺の知る限り、最も注意するべき男だ。強さは勿論、その残虐さは半端じゃない」
 哄笑を上げる狂皇子を思い起こしただけで、冷や汗が頬を伝う。 
 悪夢の再来だとしか、思えなかった。
「なら、ますます急がねぇとッ!」
 無法松が足を速める。焦りに押されて疾走する彼の腕を、ビクトールは掴んだ。
 足を開き土を踏みしめ、つんのめりそうになる身を支える。急停止の後が、地面に刻まれた。
「何しやがるッ!?」
「なぁ、松。率直に聞きたいんだが」
 神妙な顔で、ビクトールは言う。
「――お前、ルカに勝てると思うか?」
「はぁ!? 今はそんなことを話してる場合じゃ――」
「いいから答えてくれ。率直な意見が聞きたい」
 真剣なビクトールの眼差しに、無法松は口を閉ざす。僅かな逡巡の後、短く息を吐いた。
「……正直、勝てるとは言い切れねぇな。けどよ、諦めるわけにもいかねぇだろうが。
 女を見殺しにするなんて、男のやることじゃねェ」

 無法松はビクトールの手を振り払おうとする。だが、ビクトールはそれを許さない。
「俺は、ルカを倒したことがある。お前よりは奴の気質や戦い方を知っているつもりだ」 
「……何が言いてェんだよ」 
 怪訝そうに眉をひそめる無法松を、ビクトールは見据えた。

「ティナ、だったな。そいつは俺が迎えに行く。お前は、仲間を集めてくれ。
 ――オディオを倒すための、仲間を」
 言うと、無法松が息を呑んだ。
 構わず、続ける。

「魔王の名は伊達じゃない。あいつは、本物の化物だ。
 俺たち一人一人が束になったって、勝てるかどうかは分からない。
 でも、やるしかないよな? 立ち向かわずに屈するなんて、御免だろ?」
「当然だ。こんな馬鹿げたことを考える野郎を許せるわけねぇッ!」
 無法松の啖呵に、ビクトールは歯を見せて笑う。
 いい答えだと、思いながら。
「だよな。俺も同感だ。
 だからこそ、仲間を探し集めてほしい。ルカみたいな奴が他にもいないとは限らないからな。
 別行動を取って、少しでも早く、効率よく人を集めたほうがいい」

「だったら、お前が――」
 食い下がる無法松を遮り、断言する。
70男の契約 ◆6XQgLQ9rNg :2008/09/26(金) 21:54:29 ID:FOb0OR+A

「もう一度言うぞ。俺は、ルカを倒したことがある」

 惑いなく言い切ってやると、無法松は奥歯を食い縛る。数十秒の沈黙の後に、彼は渋々、首を横に振った。
「……分かったよ」
 その返答に、ビクトールは満足げに頷いて無法松の手を離す。
 空いた手で名簿と鉛筆を取り出すと、名前の羅列を指差した。
「リオウ、ナナミ、ビッキー。こいつらは信頼していい。俺の名前を出せば、協力してくれるはずだ。
 ジョウイは……悪い奴じゃあないし、こんな殺し合いを率先してするとは思えない。
 だが、警戒はしておいてくれ。そして――」
「ルカ・ブライトは危険。そうだな?」
 言葉を継いだ無法松に、頷きを返す。
「俺の知り合いはアキラだけだ。
 で、エドガー、マッシュ、シャドウ、セッツァー、ゴゴ。
 こいつらがティナの仲間で、要注意人物はケフカって野郎だそうだ」 

 告げられた名前に手早く印をつけると、ビクトールは名簿と鉛筆をデイバックに放り込んだ。
「魔王が死者の発表をすると言っていたのは覚えてるよな? 三回目の発表の時に、ここでまた落ち合おう」
「ああ、分かった」
 無法松は首肯すると、ビクトールを真っ直ぐに見据えて、唇を噛んでから、続ける。 
「――ティナを、頼む」
「……やれるだけのことはやるさ。死ぬなよ、松」
「それはこっちのセリフだ。お前こそ、死ぬんじゃねェぞ」

 互いの拳を、打ち付ける。その瞬間、二人の間で『死なない』という契約が結ばれる。
 一瞬だけ笑みを交し合い、ビクトールと無法松は再び地を蹴り身を跳ばした。
 二人の男が同じ信念を抱き、異なる方向へ駆けていく。
 距離は、すぐに開く。
 無法松の足音が完全に聞こえなくなったところで、ビクトールは息を一つ吐いた。
 
 ビクトールは確かに、ルカ・ブライトを倒したことがある。
 だがそれは、数多くの兵士と、十八人の精鋭と、優秀な軍師の策が結集して、ようやく掴み取った勝利だった。
 決して、ビクトール一人で手にした勝利ではない。
 しかし、敢えて明かさなかった。あたかも、この手でルカを討ち取ったと思わせるように、言い聞かせた。
 ルカの元へ、無法松を連れて行かないために。 
 否、ルカの元へ、ではない。
 ルカと相対した、ティナという少女の元へ連れて行かないために、だ。
 
 無法松らを襲撃したのがルカであると察した瞬間、ビクトールはある確信めいた直感を抱いた。
 その直感が外れていれば、何の問題はない。そのときは、無法松と約束した通りにティナと合流すればいい。
 だが、当たっている可能性の方が遥かに高いとビクトールは思う。
 決して悲観的な予測ではない。
 ルカの強さ、凶暴さ、容赦のなさを考慮すれば、そう断ずるのは妥当だ。
 狂皇子ルカ・ブライトは、たった一人で止められるような相手ではない。

 その直感とは、即ち。
 ――ティナ・ブランフォードは既に、ルカの手に掛けられているだろうというものだった。
71男の契約 ◆6XQgLQ9rNg :2008/09/26(金) 21:55:14 ID:FOb0OR+A
 もしもその通りなら、無法松を連れて行くわけにはいかない。ティナの遺体を、無法松に見せたくはなかった。
 屍となったティナを前にし、返り血を浴びて、狂皇子が高笑いを上げていたならば。
 無法松は、黙っていられないだろう。
 それは、避けなければならない。
 怒りに捉われ冷静さを見失ってしまったら、決してルカには勝てない。
 周りが見えない状態で勝てるほど甘い相手ではないのだ。激情に身を任せ殴りかかった結果など目に見えている。
 そんな結末を迎えさせるわけには、いかなかった。
 
 ――火を放ちやがったって話だし、急がねぇとな。
 
 故に、ビクトールは一人、疾走する。
 鍵のような鈍器――魔鍵ランドルフを担ぎ直し、嫌な直感が外れているよう、祈りながら。
 
【B-7 平野 一日目 黎明】
【無法松@LIVE A LIVE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、潜水ヘルメット@ファイナルファンタジー6、不明支給品0〜2(本人確認済)
[思考]
基本:打倒オディオ
1:アキラ・ティナの仲間・ビクトールの仲間をはじめとして、オディオを倒すための仲間を探す。
2:第三回放送の頃に、ビクトールと合流するためA-07座礁船まで戻る。
[備考]死んだ後からの参戦です
※ティナの仲間とビクトールの仲間について把握。ケフカ、ルカ・ブライトを要注意人物と見なしています。
 ジョウイを警戒すべきと考えています。

【B-7 森林 一日目 黎明】
【ビクトール@幻想水滸伝U】
[状態]健康
[装備]魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(確認済)
[思考]
基本:打倒オディオ
1:ティナの生死を確認する。生きていれば合流。
2:アキラ・ティナの仲間・ビクトールの仲間をはじめとして、ルカおよびオディオを倒すための仲間を探す。
3:第三回放送の頃に、無法松と合流するためA-07座礁船まで戻る。
[備考]参戦時期はルカ死亡後のどこかです。詳細は後の書き手さんにお任せします。
※ティナの仲間とアキラについて把握。ケフカを要注意人物と見なしています。
72 ◆6XQgLQ9rNg :2008/09/26(金) 21:55:52 ID:FOb0OR+A
以上、投下終了しました。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:45:10 ID:NJbOaZ4y
>>59
投下乙! オブライトォォォォ!!
最強のチョイ役が死んだw 原作通りと言えば原作通りw
炎の剣は原作でも夢から具現化してたし、何よりエルクの精神世界は読んでてこっちまで熱くなったのでおk!
並行世界は、原作をまだ把握してないのでなんとも言えないです。主人公変えて2周する事になるってことですかね?
オブライトは死んだけど誤解などの火種は残ってるし、リンも絶好調そうなので今後どうなるかは分からないですね。GJ!

>>72
投下乙!
熊きた! これは頼りになりそうな対主催ですね。
真実をあえて伏せて、ルカの待つ森に1人で向かうビクトール。漢ですねぇ。
松も原作でも知り合いは少なくて最初は心配しましたが、どんどんフラグ立てていいキャラになってますね。
兄貴同士の絡みが一々カッコいいです。台詞回しが上手いんですかね。GJ!
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 13:27:34 ID:N8YAb9xu
投下乙

熊の漢らしさに惚れる!
松もいい感じに熱い!
頼れる兄貴チーム、無事に再結成されたなら強力なユニットになりそうだぜ
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 11:47:50 ID:fsZhxtGl
投下乙!
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 21:18:19 ID:ztH8HlCp
ビクトール、原作と登場の仕方が同じだw
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:19:08 ID:aPu5pB0W
投下乙です。

かっこいいですねビクトール。

そして支給品……ケフカですね。
降魔フラグがたちました。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 02:52:32 ID:hXa2fDFY
ところで、平行世界云々の話はどうなったのかな?
79 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/09/29(月) 03:31:23 ID:hDU9YsFQ
ここでも報告します。
仮投下スレに「太陽が呼んでいる」の修正を投下しました。
80 ◆jU59Fli6bM :2008/09/29(月) 18:49:31 ID:EpYB+62W
遅れてすみません。今から筋肉2人投下します
81 ◆jU59Fli6bM :2008/09/29(月) 18:51:24 ID:EpYB+62W
孤島の南西、そこに海の脇に寄り添うようにして立つ一つの灯台があった。
海を眺めるには丁度いいが、あいにくこの状況下でやるにもってこいとは言い難く、
有効に使おうと思えば誰もが本来とは逆向きに立つだろう、そんな灯台だった。

そして、その中に二人はいた。
前述の話を違うベクトルに覆しながら、息を荒げて座っていた。

「ゼェ……ハァ……、くっそぉ! 悔しいぜッ! 最後の一段、あそこで突っかかるなんて!」
「だから暗くて危険だって言ったのに……。まあ怪我しなかっただけマシだろ!」

そう、この2人が今の今までしていたこと、それは灯台の階段を下から頂上まで一気に駆け上がる……
言うなれば"かけっこ"をしていた。
体力づくりに欠かせない、合宿で神社の階段を走るあの感覚と言えば分かりやすいだろう。
人々が殺し合う状況下だという現実を意識していないのか、それとこれとは別の話なのかは定かではない。
ただ、この灯台を上る際に高原が一番に思いついたのがこれだった。その点は流石と言うべきか。
そう、理由など至極単純。
彼らにとって灯台は、人探しと同時に競争ができる画期的な建造物だったのである。

「……っと、この部屋は本当に頂上か? 何かたくさん物があるな……」

息も整い、ランタンを掲げたマッシュが呟く。
2人の目に映るのは、埃だらけの鬱蒼とした空間。しばらく人の手が入っていないように見える。
彼は知らなかったが、部屋の脇にはコンピュータと呼ばれる機械が並んでいた。

「おおーい! マッシュ、いつまでそこにいるんだ。まだ上があるぞ!」

明快な声につられるように振り向くと、奥で日勝がはしごから降りてくるのが見えた。
どうやらいつの間にか頂上へ上っていたらしい。

「やっぱり夜じゃ、辺りがどうなってるかなんて全然分からないな。明かりがつけばよく見えるんだが。
そっちは何か見つけたのか?」

マッシュの隣まで歩いてきた高原がそこで足を止める。マッシュは肩をすくめながら答えた。

「いや、この部屋の機械はよく分からないし、他に使えそうな物も無いな……」
「そうか……、ん?」

高原がランタンを突き出し、目の前にある白く背丈ほどの高さの機械を撫でる。
瞬間、その顔がきょとんと不意を突かれたような表情へと変わった。
マッシュがその様子に気付き、声をかける。
82 ◆jU59Fli6bM :2008/09/29(月) 18:52:37 ID:EpYB+62W
「どうした?」
「ん……。これ、俺の世界の機械と似ていると思ってな。あいつ、人だけでなく建物まで持ってこれるのか?」
「そうか、どうりで見ない機械だと思ったぜ。……お前、扱えたりするのか?」
「いや、使い方は知らねえが……」

高原そこまで言って言葉を切り、にいと笑みを浮かべた。

「少し……、いじってみるか!」
「……壊すなよ?」

言うが早いが行動に移す高原。
それに呆れながらも見ていたマッシュは、しばらく眺めていた後に上へと登っていった。

梯子を登った先は屋上だった。
見上げると何か大きいレンズのようなものが見え、塔の外周より少しつきだした床に柵が生えている。
マッシュはそこに寄りかかりながら眺望してみた。が、やはり高原の言った通り暗くてよく分からない。
辛うじて光をいくつか見つけたが、それが街かどうかも怪しい。
気になった事と言えば、森らしき場所のところどころで炎が上がっていることくらいだ。

「……まあ、こんなもんか。早く夜明けねぇかなあ……」

――まさか、このままずっと夜だったりしないよな?

マッシュの頭の中で一抹の不安がふと浮かぶ。

――いやいや、そんな理不尽なことがあってたまるか。

そして、そんな不安を払うかのように首を振り、下へ戻ろうとして振り返った。

すると、その直後。
マッシュのまわりを、目も眩むような図太い光の束が包んだ。
そのままマッシュの不満に応えるかのように辺りを侵食し、闇が追い払われる。

「うおっ、まぶしっ! な、何だぁ!?」
「すげえ! やったぞ、マッシュ!」

目を凝らして前を見ると、下へ続く穴から高原が顔を出し、喜び勇んでいた。
そして、マッシュに向かって鼻高々に叫ぶ。

「見ろよ、適当にいじってみたら光ったぜ! やっぱり灯台なだけあるな!」
「と、灯台ってそういうもんだったのか……。じゃあ、これで辺りが……!」

マッシュは何かに引っ掛かったかのように途中で言葉を切る。そして、辺りを見回した。
その目線は闇夜を貫く光の束と、下の景色を往復し、目の前の高原へと移る。

「こんなに明るかったら、逆に見た誰かがここに来るんじゃねえか?」
「そうだな、つまり仲間を集めつつ遠くを観察できる! 一石二鳥って奴だな」
「……いや、 俺らみたいな乗ってない奴以外にも」

遠くの景色である山や塔は見える。だが、灯台下暗し、周りが相変わらず真っ暗でよく見えない。
つまり誰かがここに近づいても気付かない可能性がある。マッシュはそれを僅かに危険視していた。
しかし、高原はその限りではなかった。
83 ◆jU59Fli6bM :2008/09/29(月) 18:54:25 ID:EpYB+62W
「ん? 別に俺はいいぜ。強い奴と戦えるついでに、殺戮を繰り返す奴をぶちのめせるって事だろ?
お前だってそんな奴には対抗できるはずだ。自信持てよ!」
「……いや、どんな奴がいるか分からないだろ。お前は魔法や飛び道具にも対抗できるのか?」

マッシュの指摘に高原の動きが止まる。
しばらく彫刻のように固まって思案を巡らせる高原。
彼の頭の中ではサンダウンのハリケンショットやキューブのレーザーが飛び交っていたのだが、マッシュは知るよしもな

いだろう。
その様子を見て、マッシュは思わずため息をつく。
この殺し合いの最中では慎重になるに越したことは無い。ここは周囲を確認できたらすぐに明かりを消そう。
そう言おうと近づくと、高原が先に口を開いた。

「それは困るが、あいにく消し方が分からないんだよな。ここは狭いし、銃なら待ち構えてれば大丈夫だろう」

彼の出した答えは簡潔だった。


結局、街から離れていて行き場もないため、夜が明けるまでここで過ごすことに決まる。
人を呼び寄せるのに慎重だったマッシュが最終的に折れたのだ。
高原のスタンスを受け入れ、しぶしぶ納得する形だったが。

「兄貴がこの辺りに来ればいいけどな……」

辺りの真っ暗な草原を見渡す高原の横で、マッシュの目はどこか遠くを見ていた。
84 ◆jU59Fli6bM :2008/09/29(月) 18:55:29 ID:EpYB+62W
【I-1 灯台 一日目 黎明】
【高原日勝@LIVE A LIVE】
[状態]:全身にダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:鯛焼きセット(鯛焼き*4、バナナクレープ*6、ミサワ焼き*4、ど根性焼き*2)@LIVEALIVE、死神のカード@FF6

、基本支給品一式
[思考]
基本:ゲームには乗らないが、真の「最強」になる。
1:仲間を探すため、灯台で待機(エドガー最優先)
2:オーラキャノンの習得……できるのか?
3:レイ・クウゴとはもう一度手合わせしたい。
4:武術の心得がある者とは戦ってみたい
5:オディ・オブライトは俺がぶっ潰す(?)
[備考]:
※名簿を確認、自分とマッシュの仲間を把握。
※ばくれつけんを習得。 オーラキャノンの可能性については後述の書き手さんにお任せします



【マッシュ・レネ・フィガロ@ファイナルファンタジーVI】
[状態]:全身にダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:スーパーファミコンのアダプタ@現実、ミラクルショット@クロノトリガー、表裏一体のコイン@FF6、基本支給

品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:首輪を何とかするため、機械に詳しそうなエドガー最優先に仲間を探す
2:高原に技を習得させる(?)
3:ケフカについてはひとまず保留
[備考]:
※名簿を確認、自分と高原の仲間を把握。

※灯台は現代にあるような無人灯台です。
※灯台の明かりの種類は他にもあるようです。主催によって使いやすい設計に。
85 ◆jU59Fli6bM :2008/09/29(月) 19:01:46 ID:EpYB+62W
投下完了です。所々改行忘れてる……orz
書いてから周りに全然人がいないのに気付いたけど遅かったとです
題名は「最強も煙も高い所が好き」で

調べてたら今の灯台ってモールス信号だったり電波だったりすごいな…
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 19:51:21 ID:fDuJPOM3
投下乙!
高原本当勢いだけで突っ走るなぁw
マッシュがフォロー役になってるし

>>79
こちらも修正乙です
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 21:16:26 ID:cbmP36lO
投下乙!
だめだこの脳筋共…早く何とかしないと…
これでもし高原が拡声器持ってたりしたらもうオワタだなw
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 21:48:30 ID:EKjUtDiI
殺し合いのさなかかけっこってw
すげえぜ、筋肉w
灯台もうまく使えそうだし、投下乙!
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 22:11:32 ID:NdcOKqTF
投下乙。ガチムチかけっこktkrw
殺伐としたロワの中で数少ない癒しとなりそうな気がしますね。
灯台の明かりがついたことで他の参加者にも気付かれたと思いますが、
人に会うのを極力さけかつ灯台を目指していたイスラは一体どう出るのやら。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 23:28:47 ID:hXa2fDFY
投下乙
やっぱりこの筋肉コンビはいいw
殺伐とした殺し合いの場を癒してくれる救世主だな
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 01:58:52 ID:U9hVY6Ob
>>72
投下乙です!
ビクトールかっけえええええええええええ!!!
原作を知らないのに、頼れる男の背中が目の前に浮かんでくるようでした。
男の渋さ全開のうまい掛け合いですね。
こういうさりげない空気感を出せる文章を私も書けるようになりたいなぁ。

>>85
投下乙!
奇しくも男同士の二人旅二連発になりました。
あまりに脳筋な高原が見てて微笑ましいです。
バカもここまで行くと風情がありますねw
しかし、こいつ、はじめに出会ったのがマッシュでよかったな。
ケフカとかだったらグズグズに利用されてた気も……
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 02:14:19 ID:EwfakEVY
投下乙!

なんという脳筋共www
灯台→かけっこ、という高原の超思考には脱帽w
マッシュが常識人に見える不思議w
さて、いったい誰が来るかな?誰が来るかな?
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 16:31:49 ID:mVhFiQIs
ぬう。
リン、カノン、アリーゼ、ミネア、ルッカ、ルカ、アキラでプロットあるんだが、流石に予約まずいかな?
黎明組が4人もいるし、カノン、リンなんて3回目の登場になっちまうんだが。
後人数多いと突っ込まれそうだし。意見求む。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 19:59:24 ID:jabNG4mU
んんー、人数が多いとか3回目だとかは気にしなくていいんじゃないかな
神殿組書こうと思ったら必然的にその面子になるし
あとは時間的な差に矛盾が出ないようにすれば…
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 20:17:11 ID:C9Re9xKT
7人が7人とも出展違う難所と言っていい場所だから、むしろ書ける人居るなら是非って感じじゃね?
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 21:29:21 ID:sLM0jqzA
というわけで、予約できるなら遠慮なさらずにGOだ!

ああ、やっぱりどうやってもミネアが生き残る展開が本気で想像できないw
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 21:34:56 ID:OPGwZJ3N
そのメンバーの中で戦力的にアリーゼが一番死にそうなのにそれすら凌駕するミネアって一体…。
とりあえず書けるなら予約入れてもいいんじゃない?まあ流石に神殿組にルカとアキラを加えた
カオスな面子の続きを書けと言われたら少し難しいが…。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 21:43:06 ID:ZXaIYP+1
ヒント:メガザル
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 00:15:50 ID:Mk0iKR/g
沢山の返答ありがとうございます。
特に問題はないとのことなので、予約、行ってきます。では!
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 22:29:51 ID:vB4qoCZc
アリーゼ:アティ先生との誤解フラグ所持。一番弱そうな奴は返って生き残りやすいジンクス
ルカ:マーダー補正
リン:暴走マーダー
カノン:危険系、アシュレー達との誤解フラグ所持
ルッカ:貴重な首輪解除スキル持ち
アキラ:無法松とのフラグ。つーか今後燃え展開が期待できそうなキャラだけに殺されづらいかも
ミネア:弱いとは言わんが強くもない微妙極まりない対主催=噛ませに最適
    対主催に有効なスキルなし、取り得の回復呪文は役立たず、
    仲間も、ピサロは五章終了後、ユーリルはシンシアとの絡みが期待できるんで
    それ以外の仲間は死んでるし別にここで彼女が死んで再会フラグ折れたところで何の支障もない
    アリーゼの保護者役になってることからアリーゼの何らかの奮起フラグとして殺される可能性もあり
    さらに拡声器の呪いまで所持、そしてとどめの自己犠牲呪文持ち

なんだこれwww場の死亡フラグが全部ミネア一人に偏ってるじゃねーかwww
加えて生存フラグ皆無……これで生き残れたらミネア尊敬するw
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 22:41:12 ID:b1hcuGtx
明らかにバイアスかかってんじゃねーかバーローww
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 22:44:09 ID:gBz9Bxs7
逆に考えるんだ。他の仲間が死亡したからこそ、枠存続の為に生き残ると。
それと、ブラストボイスは拡張機とは違うよ。あれは超音波を発生させて敵を混乱させる機械だから。

ところで、魔石で魔法を習得することは可能みたいだけど、誰かに魔法を伝授するのっておk?
勿論素質のある人物じゃなきゃちゃんと発動しないし、効果もいまひとつだけど…。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 00:30:29 ID:zg+fYGCK
ちょ、ミネアwww
ここはいっそ誰かとの恋愛イベを設けてだな、起死回生をw
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 00:48:20 ID:7j7CjPCQ
最終兵器ぎんのタロットを手に入れれば!
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 12:34:50 ID:iorztZlb
>>102
原作でそういうネタがあるならいいかも
燃え展だしな
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 14:23:50 ID:PwzQOBG4
ライブアライブがノベライズされたって話を聞いたんだけど、誰か読んだ人いる?
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 17:30:31 ID:7HzuqHbN
舞台はSF編、主役はベヒーモス。筆者は入間人間って人>LAL小説版
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 17:55:56 ID:JzM1uK7m
そこはベヒんモスだろ
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 00:42:57 ID:UjdPpEzK
>>85
遅くなったけど投下乙!
殺し合いそっちのけで筋トレとかwこいつらなら仕方ないなw
灯台が光った事で参加者が集まるのかな? なんだか激戦地の予感。
戦闘力はトップクラスの2人。これからの活躍が楽しみですね。
さりげなくムサシネタwさまざまな小ネタが光ってますwGJw
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 21:07:32 ID:Yfwxkw/a
関係無いが灯台が光ったって言われるとどうしてもカレーを思い出してしまう
111剣と炎と召喚師  ◆yp/iQjr9M2 :2008/10/03(金) 23:58:33 ID:43cJ8Sxs
投下開始しま〜す
112剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:03:56 ID:Z+HfC4mI

「何よこれ。魔王の奴乱れてるわ!」
「え、えっと、あはは……」

みわくのブラをぶんぶん振りまわし熱弁するミネアを見ながら、アリーゼは思う。
ミネアさんって真面目な人なんだなあ、っと。
そして、優しい人だとも。
あんまりな支給品に何かのスイッチが入ってしまったようで、どう見ても根暗だったとか、きっと彼女の一人もいない変質者だとか、
オディオのことを口汚く罵っている彼女は、見ず知らずの自分が落ち着くまでずっとそばに居てくれた。
心配をかけさせまいと明るく振る舞ってくれた。
聞いたところによると、魔王に殺されたあの聖職者風の男の人は旅の仲間だったという。
そんな人が眼の前で殺されたのだ。相当辛かったに違いないのに。

――剣よ……、揺るぎない力を……、こいつらをぶちのめすためのチカラを与えてくれええええエエエぇぇェッ!!

想いだすのは、大好きな先生のこと。
心を通わせたいと願っていた人が自分を庇って殺された時、あんなにも人の死を厭っていたあの人は、
剣の力を使い、敵の命を奪うことを選んで。
それでもアティ先生は悲しみと痛みの海に抗って、自分自身を捨ててまで助けてくれた。

そう。
アリーゼはミネアにいくつか黙っていることがある。
彼女の先生、アティもまた危険人物であるかもしれないこと。
アズリアもまた、死んだはずの人間であること。
根はおしゃべりだが、内気で人見知りが激しい少女は、大切な人に不利益が生じることを恐れ、どうしてもその二つを切り出せなかったのだ。
希望はある。
ここがリィンバウムと別の世界であるというのなら、あの忘れられた島の遺跡からの干渉も途切れており、
アティの意識が魔剣より解放されているかもしれない。
しかし、一つの事実がその都合のいい幻想に縋ることを許してはくれなかった。

ビジュ、イスラ。

幾度となく剣を交えた相手。
アズリアやギャレオと違い、笑いながら人を傷つける者達。
既に死んだはずの人間。
死者の蘇生なんて到底アリーゼには信じられないことだったが、ミネアが言うには可能だそうだ。
蘇生とは違うが、アリーゼ自身も霊体としてこの世に残り、マナで構成された肉体を得た少女を知っている。
魔王が彼らを蘇らせても、不思議では無い。

では、何の為に?
ビジュとイスラの行いを知るアリーゼには一つの答えしか浮かばなかった。
即ち――殺し合いの促進である。
ミネアのような善人ばかりでは、殺し合いは成立しない。
魔王がそうならないよう、サクラを忍ばせていることは十分考えられるのだ。
加えてその考察はアリーゼに更なる疑念を与える。
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:08:21 ID:oD1qLxt2
カルマED支援
114剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:08:25 ID:Z+HfC4mI

アティやアズリアも、同様の目的で参加させられているのでは、と。

アズリア・レヴィノスは力無き者を守ることを理想とする軍人だった。
そんな彼女を只単に生き返らせたのでは殺し合いの邪魔にしかならない。
だが、魔王が蘇生にあたり、何らかの手を加えたとしたら?
殺人を禁忌としない人格に改変されたとしたら?
彼女にはそれだけの手間をかけるに値する剣技があった。

アティに至ってはもっとお手軽だ。
自分達の前から姿を消す寸前、無色の派閥を壊滅させた時の彼女は破壊衝動に支配されかけていた。
その支配を完璧にさえすれば、彼女は強大な魔力を扱うキラーマシーンへと成り下がる。
今アリーゼ達がいる集いの泉のように、魔王があの遺跡を召喚していれば、不可能なことではない。

嫌だった。
アティが意に反して人を殺してしまうことも。
彼女が他の人間から人殺しのひどい人間、及びその仲間だと思われることも。

「……アリーゼ?」
「あ、すみません。少し、ボーっとしちゃって」

考え事に夢中でずっと無言だったからか、心配そうに声をかけてくるミネアにぎこちない笑みを浮かべて返事をする。
わかってる。
本当は先生のことは真っ先に告げないといけないのだということは。
その上で、もしこの最悪の想像が当たっていたのなら一緒に先生を助けてくださいと口にすることこそが、
真に先生の為に自分がとるべき道なのだ。

(イヤなことはイヤだと、したいことはしたいと言う勇気……)

大事な人に教わった大切なことを胸に、アリーゼは伏せていた顔を上げる。
さっきはロザリーの探索という大義名分を言い訳に先生と向き合うことから逃げたけど、それでは駄目なのだ、と。
信じてみよう。
あの人のように自分も仲間になった人のことを。

「ミネアさ「誰っ!?」

けれども、決意のもと開かれた口は閉じることを余儀なくされた。
アリーゼを庇うように立つミネア。
彼女のランタンが灯す火の光は、新たに部屋に入ってきた人物を照らし出していた。


115剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:12:23 ID:Z+HfC4mI


カノンの予想通り神殿には先客がいた。
褐色の肌の女性と、ツインテールの少女。
道中ランタンの光に気付いていたカノンは、武装を既に解除している。
只でさえ目を覚ました時のこを警戒して、先程マントで縛り上げた襲撃犯を抱えているのだ。
情報を手に入れるためにもこれ以上見た目で怪しまれるわけにはいかなかった。
もっとも、実際はドリルを含め、彼女の武装はいつでも展開することが可能なのだが。

「カノン。お前達が私に手を出すか、『魔』でない限り傷つける気は無い」

信じてもらえるかは半々だった。
前述したとおりの外見の為、流石の彼女も自身が危険人物に見えることくらいは承知していた。
とはいえ今のカノンにはアシュレーの居場所や厄介な剣についての情報を得るために他者と接触することは不可欠だったのだ。

幸い女性――ミネアの方が剣について知っていた為、危惧したような事態にはならず、情報交換は止め処なく進んだ。
罪悪感はあったが、事前にエルクのデイパックを湖に破棄していたことも、疑われなかった一因だ。

「カノンさんでしたっけ? よく気付いたわね、剣の方が元凶だって」
「見るからに剣に引き摺られたような戦い方だったからな。それに凶祓いの仕事をこなす中で、似たような話を聞いたこともある」

皆殺しの剣というらしい武器を見つめ、カノンは思考する。
専門の解呪魔法を使わなければ、外すことさえ適わないという。
その呪文を使えないアリーゼとミネア、そして勿論カノンにはお手上げだった。
彼女達の知り合いで、呪いを解けそうな人物は幸か不幸かこの場に連れて来られてはいない。
とりあえず今はミネアのラリホーで眠らせた上で魅惑のブラで両手首を縛ってはいる。
間に柱を挟んでいる為、剣を振るどころか、歩くことも叶わない。
無論、単に時間稼ぎにしか過ぎないのは重々承知だ。
まさか、このままずっと眠らせるというわけにはいくまい。

「となるとまた情報、か」
「ええ。彼女本人のことも含めて、ね。特に安全かそうじゃないか」

そうなのだ。
せっかく呪いを解いても、元から危険人物だったのでは大変だ。
そもそも未だにカノン達は襲撃者の名前さえ知らない。
問題は減ることなく、増える一方だ。

(全く、何をやっているんだ、あたしは。こんなことでは『英雄』になどほど遠い!)
116剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:15:32 ID:Z+HfC4mI

その現実がカノンを焦らせる。
アシュレーは見つからず、『魔』につかれた少女一人救えず、理由があったとはいえ罪無き青年を殺しかけた。
この地で彼女が為せたことは、まだ一つもない。
『英雄』なら。あの『剣の聖女』なら果たしてこんな無様を晒しただろうか?

ただ、収穫が全く無いわけではなかった。
右手に握る新たな得物、毒蛾のナイフ。
情報交換時にこちらの手持ちと交換してもらったものだ。
いかんせん切れ味は大した事無いが、麻痺効果がある。
ドリルも左腕に換装し終わり、得意武器も手に入った。
凶祓いの準備は万全だ、標的の情報もまた。

(魔王、ピサロッ!!)

ミネアの世界を支配しようとしたという魔族の王。
更なる黒幕が現れたため、一時休戦となったらしいが、いつ心変わりすることやら。
ロザリーという女性が殺された後ならともかく、それ以前から世界征服を目指していたというのだから。

(狩らねばならない、このあたしがッ!!)
「待って、カノンさん、あなたまさかっ」

カノンの思惑を察し、説得しようとするミネア。
その声もまた、アリーゼの時の様に、別の声にかき消されることとなった。

「火事だあああっ!! 神殿に誰かいるなら気をつけろおおっ!!」

「「っ!!」」

繰り返しハウリング音とともに響き渡る大声に、カノンとミネアは慌てて神殿の窓から外を覗く。
声の言うとおり、そこには煌々と紅蓮の光が瞬いていた。

(エルクかッ!? いや、違う!!)

炎から一人の青年を連想してしまうも、即座にカノンは否定する。
エルクのものであろう火柱が上がったのは神殿から見て北東の方角だった。
現在火災が発生している南西とは正反対だ。
いくらなんでもこの短時間で移動してくるのは不可能だ。
何よりあの炎からは、どこか禍々しさを感じる。
伝え聞いたロードブレイザーのように、全てを破壊しつくさんとする負の念が。

――アシュレーが、暴走した?
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:16:32 ID:oD1qLxt2
まさかのカノン支援
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:18:02 ID:Jib4SpO2
 
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:18:40 ID:hB3wDLWZ
支援
120剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:19:32 ID:Z+HfC4mI

「カノンさんっ!? まだ、話がっ!!」

一度考えてしまうといてもたってもいられなかった。
リンディスの分の食糧他を詰めたデイパックをミネアに投げ渡し、カノンは火災を確認する為に覗いていた窓からそのまま外へと跳躍。
宙空に義体を踊らせ、再び纏ったマントを靡かせ着地する。
慌てた声を背に受けるも、カノンにはもはや迫り来る炎の先にいるかも知れない仇敵しか見えておらず。
地を蹴り、焦りという炎に押され、全力で駆けて行った。


【1日目、黎明】
【C-7、橋から森に入った直後】
【カノン@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:精神的疲労(微小)、ダメージ(微小)
[装備]:勇者ドリル@サモンナイト3(左腕)、Pファイアバグ@アークザラッドU、
    激怒の腕輪@クロノ・トリガー、毒蛾のナイフ@ドラゴンクエストW 導かれし者たち
[道具]:不明支給品1〜2個(確認済み)、基本支給品一式×2
[思考]
基本:『魔』を滅ぼす。邪魔されない限りそれ以外と戦う気はない。ただし、邪魔者は排除する。
1:火災の元凶を突き止め、場合によっては倒す。
2:アシュレーを見つけて討つ。
3:アシュレー以外の『魔』も討つ。(現時点:オディオ、魔王、皆殺しの剣、ピサロ)
4:後に少女(リンディス)の問題解決の為にも花園へ向かい2、3の為に情報を集める。
5:あの男(エルク)には会いたくない。

[備考]:
※参戦時期はエミュレーターゾーンでアシュレーと戦った直後です。
※彼女の言う『魔』とは、モンスター、魔物、悪魔、魔神の類の人外のことです。
※勇者ドリル、Pファイアバグは機械系の参加者及び支給品には誰(どれ)でも装備できるよう改造されています。
※エルクのデイパックを湖に捨てました。基本支給品はちゃっかりぱくっています。
※焦っている為、事後神殿に戻るかどうかはまだ考えていません。
※ミネア、アリーゼの知り合いや、世界についての情報を得ました。
 ただし、アティや剣に関することは当たり障りのないものにされています。


121剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:22:03 ID:Z+HfC4mI


「ったく、俺もついてねーな」

闘うにしろ支給品を確認するにしろ向いてないと踏み、森をどれだけ彷徨ったことか。
ついさっきまで眼前を覆っていた木々は開け、青い、青い湖が広がっていた。
その中心に座するのは地図によると神殿とされている建物。
施設名から受けるイメージとは裏腹に、古臭い感じは一切ない。
アキラが世話になっていた孤児院の数倍は住みよい住居に見える。
正直悪路を歩き回ったためアキラの足腰はくたくただった。
休みたい。
心の隅で弱音を吐く。
そもそものアキラの目的からすれば、それは悪い判断では無い。
けれど、今の彼には休憩を選ぶわけにはいかない理由があった。

業ッ!!

途中で気づきはしたものの、てっきりランタンの明かりか何かだと思っていた。
闇の中では赤い光は目立ちはしたものの、それがなんであるかは判別できなかった。
暗い森を出た今なら分かる。
これは、火だ。
エリアの壁をも超え広がりつつある炎だ!
故にアキラは止まるわけにはいかなかった。
急いで確認したばかりの支給品の一つを取り出し構える。
鈍器でも、バズーカでもないただの拡声器。
それを神殿の方に向け、思いっきり声を上げた。

「火事だあああっ!! 神殿に誰かいるなら気をつけろおおっ!!」

念の為に2,3回繰り返したのち、デイパックにしまう。
周りを水に囲まれた神殿が火災による直接的な害を被るとは思わなかったが、何も知らずに飛び出しては危険だ。
注意は呼び掛けておいた方がいい。
本当は、直接人が居ないか調べに行きたいところだが、その欲求を抑え込む。
アキラにはやることがあるのだから。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

アキラは飛び込む、一切の躊躇なく。
川の中に、ではない。炎の中にだ!
歩いてきた道を引き返し、超能力により生じさせた冷気で炎を消しつつ突き進む!
呼吸系に入り込む煙に咳込みつつも、その速度を落とすことはない。
何故、と同行者が居たら彼に聞いたことだろう。
どうして火から逃げるならともかく、火に向かっていくのかと。
どうしせっかく時間をかけて踏破した道をわざわざ戻っていくのかと。
すると彼は答えるのだ。
決まってる、炎の中に取り残されているかもしれない誰かを助けるためだと。
当たり前のように、ニカリと笑みを浮かべて。

「おい、誰かいるか! 逃げられそうにねえ奴は返事しろッ!」

倒木を回避しつつ、拡声器で呼びかけ続ける。
フリーズで消して回る速度より、燃え広がる速度の方が僅かに速い。
ミイラ取りがミイラになりかねない状況に、いざという時はテレポートの使用もありかと考える。
わざわざ孤島の外の海よりも、近くの泉に引き寄せられる可能性の方が高い。
それなら、現時点では禁止エリアには抵触しない。
そこまで思考した時だった、彼の眼が赤い光景の中に、白い服を着た誰かの後姿を捉えたのは。

「あんた、大丈夫かっ! 逃げるぞ!」
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:25:24 ID:oD1qLxt2
支援
123剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:26:23 ID:Z+HfC4mI

その背中に声をかけ、駆けよろうとする。
瞬間、アキラは身の毛もよだつ悪寒に襲われることとなった。

ゾクリ。

脳が、警鐘を鳴らす。
まずい。とにかくあいつはまずい。
心を読むまでもなく分る。あれは……悪だ。おぞましいまでの悪だ!
ここで、倒さなければ、かってのクルセイダーズのように悲劇を生む!

「飛んで火にいる夏の虫とはよく言ったものだな、くくく!!」

構えをとるアキラに対し、紅蓮の炎を帯びた槍を手に、男は笑い声を上げながら振り向く。
命全てを嘲笑う禍々しい笑みを浮かべて。
森を焼きつつ北上していた狂皇子は、ようやく現れた新たな贄に告げる。

「いいだろう。望みどおり、ここで死ねええぇぇッ!!」



【1日目、黎明】
【C-7、燃える森】
【アキラ@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:拡声器(現実)
[道具]:ランダムアイテム1〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:オディオを倒して殺し合いを止める
1:眼の前の邪悪(ルカ)を倒す。
2:他の参加者と接触する
3:どうにかして首輪を解除する
[備考]
※参戦時期は最終編(心のダンジョン攻略済み、魔王山に挑む前、オディオとの面識は無し)からです
※急いで支給品は確認しましたが、名簿の方は未だ出来ていません
※日勝、レイ、サンダウン、無法松が参戦している事に気付いてません
※テレポートの使用も最後の手段として考えています
※超能力の制限に気付いていません
※ストレイボウの顔を見知っています
※拡声器はなんてことのない普通の拡声器です


【ルカ・ブライト@幻想水滸伝2】
[状態]健康
[装備]フレイムトライデント@アークザラッド2、魔封じの杖(4/5)@ドラゴンクエスト4
[道具]基本支給品一式×2、不明支給品0〜3(武器、回復道具は無し)
[思考]基本:ゲームに乗る。殺しを楽しむ。
1:目の前の男(アキラ)を殺す。
2:会った奴は無差別に殺す。ただし、同じ世界から来た5人を優先
[備考]死んだ後からの参戦です

※魔封じの杖
 使うと相手にマホトーンの効果、回数制限有り。普通に杖としても使えます。
※D-7北東の森林で山火事が起きています。周りのエリアにも広がる可能性があります。
 現在C−7にまで広がりました。


124剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:30:03 ID:Z+HfC4mI



「姉さんといい、カノンさんといい、勝手すぎるわ!」

頬を膨らませぷんぷんとミネアが愚痴る。
身体能力はあまり高くない彼女は、まさか同様に飛び降りて追うわけにもいかず、ぐんぐんと小さくなっていく人影を見送ることしかできなかった。

「ピサロさんを討つ、か」

気持ちはわからないでもない。
いや、彼が為した悪行をカノンの何倍もミネアは知っている。
今でもピサロを許そうとは思わない。
父の仇であるバルザックとも繋がっていた男なのだから。
けれど、許す気は無くとも、殺そうとは思えなかった。
知っているから。愛する人が死ぬことより辛いことなんて、この世には無いことを。
ロザリーには泣いてほしくなかったし、彼女を失った時のピサロの悲しみも身に沁みている。
デスピサロ。
記憶を失ってさえ、嘆き続けた彼の姿は一生忘れることは無いだろう。

「いけない、いけないっ!」

今は感傷に浸っている場合ではない。
カノンのように即決すぎるのもあれだが、火事への対処は考えねばならない。
情報交換で知ったことだが、この神殿と陸地を繋ぐ橋のうち、東側の方が倒壊していたそうだ。
地図の絵からして、元から壊れていたとは思えず、誰かの仕業であることには間違いない。
そして、大事なのは西側の橋しか残っていないということだ。
神殿の西、C−7エリア。
言うまでもなく現在火の海と化している森林のことであった。

「参ったわね……」

幸い神殿は湖のど真ん中にある為、延焼に巻き込まれることはない。
只、このまま止まっていれば、明らかに蔓延した炎に橋の出口を塞がれ、閉じ込められることになる。
これを誰も危険人物が進入できないと取るか、氷結呪文を使えない自分達が逃げ場をなくしたと取るか。
あらかた木々も焼ければ、火事も燃やすものをなくし放っておいてもそのうち収まるだろう。
ずっと神殿から出られなくなるわけではない。
しかし、橋を破壊した人物のことも気になる。
その人物が殺し合いにのった上、この神殿の近くにいたなら最悪だ。
逃げることの適わない今、前衛抜きで正面から戦うことになってしまう。
カノンから強力な武器、デスイリュージョンを手にいれ、アリーゼにサモナイ石を渡したとはいえ、厳しいことに変わりは無い。

「どうしましょうか、アリーゼちゃん? ……アリーゼちゃん?」

カノンの登場後しばらくしてから黙りこくったままの少女に話しかけるも、返事はない。
アリーゼはじっとカノンが連れて来た襲撃者の方を見ていた。
仕方がないとはいえ刃物を持たせたままの危険人物だ。
少女が警戒しない方が無理だとミネアは思う。
まさか、彼女の注目しているのが紛いなりにとはいえ『意思のある剣』の方だとも知らずに。

「一つ、いいですか?」

と、どこか戸惑いがちにアリーゼが問うてくる。
125剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:33:00 ID:Z+HfC4mI
「ん、なあに、アリーゼちゃん」
「……あの人が、このまま剣に呑まれてしまったら、どうするんですか?」
「大丈夫よ、解呪法はあるから。ここじゃ駄目でも、元の世界に戻れさえすれば簡単に解いてもらえるわ」

見上げてくる少女を安心させようと笑みをもって答える。
こんな状況で他人を心配できる優しい子だなとミネアは思って。
だから、続けて聞かれた質問に深く胸を突き刺された。

「だったら。だったら、さっきの話のピサロさん。ロザリーさんが死んだままで、お話の中の進化の秘法が解けなかったらその時は」

「殺 し た ん で す か ?」

それは、ありえたかもしれないifの世界。
もしもピサロが自我も愛する人も取り戻せなかったのなら。

「……ええ。きっと、倒していたわ」
「そう、です、か」

自身の運命に従って。
これ以上の悲劇を生まないように。
導かれし者達はデスピサロを倒していただろう。

「そうならないように早くロザリーさんを見つけましょう!」

沈黙が世界を支配しに掛かるのを嫌い、ミネアは明るく声を出す。
神は誰をも見捨てなかった。
ロザリーは新たな命を得て、ピサロも考え直してくれたのだ。
せっかく全てが上手くいっていたのだ、オディオなんかに台無しにされてたまるもんですか。
カノンが追っているというアシュレーなる人物も、ピサロのようにうまくいってほしい。
そこでふと、思い出す。

「そういえば、カノンさんが来る前に何か言おうとしていたわよね?」





「いえ、なんでもないです」




【C-8 神殿(集いの泉@サモンナイト3) 一日目 黎明】
【ミネア@ドラゴンクエストW 導かれし者たち】
[状態]:健康
[装備]:デスイリュージョン@アークザラッドU
[道具]:ブラストボイス@ファイナルファンタジーY、基本支給品一式
[思考]
基本:自分とアリーゼの仲間を探して合流する(ロザリー最優先)
1:神殿に残るか、去るか……
2:皆殺しの剣をどうにかして解呪してあげたい。また、少女(リンディス)の素性も知りたい
3:飛びだしたカノンが気になる
[備考]
※参戦時期は6章ED後です。
※アリーゼ、カノンの知り合いや、世界についての情報を得ました。
 ただし、アティや剣に関することは当たり障りのないものにされています。
※【デス・イリュージョン@アークザラッドU】
 黒魔術に使われた呪いの札。死者の魂が宿ったこの札には不思議な力が込められている。
 アークUにおける占い師サニアの武器である最強のカード。投げて攻撃する。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:34:59 ID:c7/ZJTNG
支援
127剣と炎と召喚師  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/04(土) 00:35:48 ID:Z+HfC4mI
【アリーゼ@サモンナイト3】
[状態]:健康、泣いた事による疲労(微小)
[装備]:サラのお守り@クロノトリガー、天使ロティエル@サモンナイト3
[道具]:工具セット@現実、基本支給品一式
[思考]
基本:自分とミネアの仲間を探して合流する?(ロザリー最優先)
1:???
[備考]
※参戦時期はカルマED後です。
※ミネア、カノンの知り合いや、世界についての情報を得ました。
※ミネアやカノンとの問答により、方針に影響が生じたかも知れません。
 後続の方にお任せします。





覚悟は決めていたものの、神殿へと向かう足はどうしても重くなってしまった。
無理もない。どれだけ己が才能に自信を持っているルッカとはいえ、失われた命をそう何度も取り戻せるとは思えなかった。
彼女にとって幼馴染であるクロノが一度死んだ地である神殿は一種のトラウマになっていたのだ。

まあ、そんな彼女の暗澹とした想いは、とうの神殿に着くや否や霧散することとなったのだが。

「神殿って言うからもっと辛気臭いとこ想像してたんだけど、中々サイエンスしてるじゃない!」

ルッカが知る由もないが、集いの泉に使われている技術の一部は、機界・ロレイラル由縁のものである。
各種ロボットはもとより、機械と生身の肉体が分子レベルで融合すら可能な世界の技術だ。
その圧倒的な科学力はルッカの心に火を着けるのに十分すぎるものだった。

「さっきの支給品といい、この建物といい、首輪といい、私への挑戦ね! いいわ、片っぱしから解明してあげるんだから!」

………
……


数分後、そんなミネアとアリーゼの様子をこっそりと覗くルッカの姿があった。

(……誰か何がどうなっているのか説明して欲しいんだけど)

躊躇していたとはいえ、カノンよりも一足も二足も早く神殿に辿り着いていた彼女だが、
ロレイラルの技術を解き明かそうと隈なく内部を調査しているうちに、出遅れる形となってしまったのだ。
相当へんぴな所にまで入り込んで調べていた彼女には、後から来たカノンも気付くことはなかった。
正直、あの拡声器の放送が無ければ、まだまだ科学に情熱を燃やしていたかもしれない。

(火事だって聞いたから慌てて作業を切り上げたんだけど、これ、どういうこと?)

彼女の視線の先にいるのは、確かに振り切ったはずの緑髪の女。
橋を爆破までしたのに、何故だか先回りされた形だ。
まさか、もう片方の橋を渡って、追ってきたのだろうか?
ルッカはその考えを否定する。
悔しがるそぶりさえ見せずに森に消えた女が、そこまで自分に執着していたとは考え難い。
縛られていることも考慮すると、誰かがわざわざここに運んできたとするのが妥当か?
まあ、悩んでいないで直接二人組の方に聞けば詳しいことはわかるとは思うが。

(でも、せっかくアイテムを消費して逃げたのに、すぐに顔を合わせるのもちょっと癪に触るのよね)

そもそもカノンが飛び出した後、つまりほんのついさっきミネア達を見つけたルッカには、彼女達が安全かどうかさえ分からなかった。
殺していないから安全だと決めつけるのは早計だ。

さて、どうする?
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 00:44:47 ID:oD1qLxt2
最終支援!
129代理投下:2008/10/04(土) 00:45:56 ID:1FDTKQfB


【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(中)、調査による精神的疲労(中)
[装備]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@LIVE A LIVE
[道具]:なし
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから
1:接触する? 様子見? それとも逃げる?
2:改造、首輪解除するための工具を探す。オートボウガン改造したい。
3:どこかで首輪を探す。
4:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
5:クロノ達と合流、魔王は警戒。
6:17ダイオードの更なる研究
[備考]:
※バイツァ・ダスト@WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
※機界ロレイラの技術の一部を解明し、物にしました。
※ミネア、アリーゼ、カノンの情報交換は聞いていません。





力が、欲しかった。
部族の仲間を、父を、母を奪ったあいつら――タラビラ山賊団に復讐するだけの力が。
そのためには、なんだってすると、私は誓った!
だから、こんなところで、倒れているわけにはいかない!

すうっと、リンディスの意識が覚醒へと向かっていく。
拡声器を通したアキラの声は、睡眠呪文により夢の世界へと落ちていた彼女の意識を呼び覚ますのに一躍買ったのだ。
幸か不幸か、完全に目を覚ますにはいささか遠く、半覚醒の為、殺意に呑まれきっていないこともあり、
目も開けず、身体も大きく動かしていない為、彼女が目覚めつつあることを、誰もまだ知らない……。


【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:狂戦士、呪い、少し火傷 、目覚めつつある、朦朧とした意識、ダメージ(中)
[装備]:皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、みわくのブラ@クロノトリガー
[道具]:なし
[思考]
基本:打倒オディオ
皆殺しの剣による行動方針:見敵必殺
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※皆殺しの剣の殺意に影響されています、解呪魔法をかけるか剣を何らかの手段でリンの手から離せば正気には戻ります。
※みわくのブラで両手首を縛られた上、柱にくくりつけられています。
※意識が朦朧としている為、かえって剣の殺意と本来の意思が混濁しています。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 01:32:22 ID:oD1qLxt2
投下乙!代理投下乙!

魅惑のブラ装備って……。
まさかのカルマED!
死者が出るかと思ったが今回は繋ぎか、カノンが来たらちょっとやばいなルカ様。
そして、カノン無しでの神殿もやばいかも。
これからどうなるか……。

気になった点が2点
カノンはエルクの名前を知らないはず。
エルクは青年に見えるのか?(15歳)

さらにいまさらなことですが
ですろりでのかすみ玉はうつせみの玉では?

話は変わるがビクトールって名簿の法則に気付いたのかな?
フルネームのマッシュはともかくシュウをスルーしているし。

131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 01:37:09 ID:oD1qLxt2
連投ごめん。
あとルカ様とリオウもだけど……。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 02:13:05 ID:YbWsIW9s
投下乙

色々動いております
ルカ様絶好調であります
ルカ様とルッカ、微妙に名前が似てるであります
ミネアとアリーゼの微妙な確執が密かに波乱の予感であります
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 02:17:29 ID:hB3wDLWZ
投下乙
アキラVSルカか、これは結構死闘の予感
リンはあんな過去があったのか―。関係ないけどドラクエ8のゼシカ的なものを感じる
ミネアくみは意味深に終わったな、これが何を意味するのか
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 02:38:18 ID:yq5zt5t3
フリーズイメージは、あくまでイメージを与えるだけだから、実際に火を消したりは出来ないと思う
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 07:00:19 ID:cDgGmjJw
投下乙でした
繋ぎだったか、誰が死ぬか待ち構えちゃったぜ
暴走リンがどうなるか、アリーゼの隠し事がどう影響するかが楽しみだ
そして順調に広がっていく山火事…。ルカ様絶好調であります


話変わるがLAL本スレにここのアドレス張られてて驚いた…
企画が企画だし両方見てる俺はヒヤヒヤしたぜ
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 16:17:30 ID:4r/RPnl3
>>135
よう同士www

俺もLALスレ在住だからヒヤヒヤしてたw
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 17:14:27 ID:u640rnfj
ここで言うなよ
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 19:34:31 ID:TUB8ndDV
投下乙
これは中々先の気になる引きですね。
アキラはいい正義の味方っぷり。 神殿内部組も波乱要素多すぎ。
まだまだ人が集まる可能性もあるし、のっけから神殿は地獄だぜ。

とりあえずミネア、死ななくて良かったね!
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 16:13:11 ID:CCBy3dr8
まとめてみるか

対主催
高原、アキラ、サンダウン、冷房、松、ユーリル、ミネア、ロザリー
エドガー、マッシュ、アシュレー、リルカ、ブラッド、マリアベル、
リオウ、ナナミ、ビクトール、エルク、シュウ、トッシュ、
ヘクトル、ニノ、クロノ、ルッカ、カエル、エイラ、アリーゼ、アズリア、イスラ

マーダー
シンシア、ピサロ、シャドウ、ケフカ、セッツァー、トカ、
ジョウイ、ルカ、リン、フロリーナ、ジャファル、魔王、ビジュ

危険
カノン、アナスタシア、ちょこ

不明
ゴゴ、ビッキー、アティ

FF6勢と烈火勢がマーダーとして有力
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 19:15:11 ID:ZnJx/A+H
そしてLAL勢は死んだレイも含めて全員対主催か

ああ、誰か道を踏み外すのを期待するッ
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 19:40:16 ID:qmnW5F71
9条は改憲してはならない。日本の為にならない。
日本人ではない朝鮮総連や民団でさえ、日本を心配して改憲への反対運動を行ってくれている。
私は日本人だが、「改憲すべき」などという者は、日本人として彼らに恥ずかしいと思います。

Q.中国から身を守る為、戦争に対する抑止力が必要では?
A.前提から間違っています。そもそも、中国は日本に派兵しようと思えばいつでもできました。
  なぜなら、日本には9条があるため、空母や長距離ミサイル等「他国を攻撃する手段」がない。
  つまり日本に戦争を仕掛けても、本国の、命令をだした幹部の命は絶対に安全なのです。
  「安心して戦争を仕掛けられる国」を、中国は、今まで攻めずにいてくれたのです。

Q.それは日米安保によるものでは? そして、その日米安保も絶対ではないのでは?
A.中国の良心を信じられないのはなぜですか? そして、日米安保は絶対です。
  知り合いの韓国人の評論家も「絶対だ」と言っていますし、私も同じ考えです。
  更に、9条が消えても米国の戦争に協力する義務は発生しませんが、米国が被害者の場合は別です。
  米国は日本を守る為に戦っても、(9条があれば)日本は米国を守る為に戦う必要がないのです。

Q.9条が本当に「平和」憲法なら、世界中で(日本以外に)1国も持とうとしないのはなぜか?
A.これは、日本以外のすべての国が誤っているとも言えます。
  「敵国に攻撃が届く国は攻められづらい」というのは、誤った負の考え方です。
  (もっとも韓国や中国の軍に関しては、日本の右傾化阻止の為でもあるので例外ですが)
  更に日本の場合、隣国が韓国・中国・ロシアと、GDP上位の安定した信頼できる国ばかりです。

Q.「9条改憲派」は「戦争反対派」。侵略者を挑発する戦争憲法(9条)を撤廃したいのです。
A.それは、貧しい考え方ではないでしょうか?
  中国や北朝鮮を信じる「強さ」があれば、そんな考えにはならないはずです。
  日本が信じれば、彼らも信じるでしょう。そして、真に美しい関係が始まるのです。

最近このコピペをよく見かけるけど、そこまでして朝鮮を叩きたいわけ?
たとえ総連が悪だとしても、総連の意見に無条件に反発するのは馬鹿の1つ覚えとしか言い様がない。
俺は日本人だし嫌韓派だし、基地外の屁理屈なんざ知ったこっちゃないけど、
9条の改憲には反対だよ。誰だって戦争は怖いもん。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 19:54:47 ID:KhDi64o9
>>140
おっと、死んだオブライトのことを忘れてもらっちゃ困るぜ!

それにラスボスもLALだしなー。
まぁ直接の因縁があるのは冷房と、心のダンジョンに潜ったアキラくらいか。
そういや他のキャラも一緒に潜ったのかね。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 20:54:24 ID:JALtz3lh
ふと思ったんだけど、もしこれでオディオ倒してみんな元の世界に戻った場合、LALの他の主人公達はどうなるんだろう
ルクレチアに取り残されるのか?
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 21:20:11 ID:CCBy3dr8
それだとおぼろ丸は一生原始人とロボと暮さなきゃならないんだよな
永久に会話がない…w
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 23:02:03 ID:4NNFqTIz
>>139
まとめ乙。
うーん、こうして見てみると対主催多いなぁ。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 01:36:08 ID:fnb+mOJt
マーダーの容赦無さとポテンシャルが、それを上回っているからイイんでない?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 02:29:57 ID:iER8mZlM
ついに予約途絶えたな
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 06:10:04 ID:eCAJvO/b
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これを見た人は確実に【不合格】です。これをコピペでどこかに1回貼れば回避できます。
これは本当です。やらないと一年無駄になります.

私も最初は嘘だと思ったんですが、一応コピペしました。それでセンター私大に合格出来ました。
けどコピペしなかった友達がA判定とっていたのに、おちたんです。(慶応合格h.sさん)

俺はもうE判定で記念受験だったんだけど、コピペを10回くらいした途端に過去問が
スラスラ解けるようになって、なんと念願の早稲田に受かりました。(早稲田3学部合格r.kくん)

これを今年のセンター前に見てシカトしたら、センターミスって最悪です。(n.aさん)
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 06:11:33 ID:eCAJvO/b
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これを見た人は確実に【不合格】です。これをコピペでどこかに1回貼れば回避できます。
これは本当です。やらないと一年無駄になります.

私も最初は嘘だと思ったんですが、一応コピペしました。それでセンター私大に合格出来ました。
けどコピペしなかった友達がA判定とっていたのに、おちたんです。(慶応合格h.sさん)

俺はもうE判定で記念受験だったんだけど、コピペを10回くらいした途端に過去問が
スラスラ解けるようになって、なんと念願の早稲田に受かりました。(早稲田3学部合格r.kくん)

これを今年のセンター前に見てシカトしたら、センターミスって最悪です。(n.aさん)
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 09:11:57 ID:S6rO0XZt

ビッグサイト行った人いる?
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 19:36:11 ID:T06ufoqC
>>147
書き手さんはきっと未把握のゲームをプレイ中なんだよ!
…そうだったらいいなぁ。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 12:05:04 ID:+DVgjbU/
となると、SRPGなアークとサモンあたりは把握に時間がかかりそうだな。
SFC組はプレイ時間が比較的短くなりがちだから把握しやすいかもしれない。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 16:34:15 ID:btdWrvnp
把握は会話集あると格段に違うよ。
SRPGロワみたいに各作品の会話集のあるサイトまとめたほうがいいと思う。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 19:13:28 ID:KT72QaKN
セリフ集はほんと助かるな
今度まとめてみるけど全セリフ補完してるところはあまり見つからなそう…
昔愛用してたところが皆閉鎖しててショックだったぜ

今は色々あって書けなくてすみませぬ
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 20:46:58 ID:KT72QaKN
とりあえず見つけてる範囲だけで作ってみた
ただ無断リンクもいいところなので…問題だったら言って下さい
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 09:46:01 ID:6lZ+HHaS
流石に無断はまずいんじゃない?
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 17:28:06 ID:N4fqVz/B
了解です、消しておきました。
管理人さんいらっしゃったら昨日作ったページを消してくれたら嬉しいです。お手数かけてすみません。
じゃあ動画資料も駄目か…難しいな
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 21:51:45 ID:CbCRzIgV
じゃあ雑談のネタフリでも

当選してほしかったキャラ語ろうぜ
俺はクロトリの三魔騎士
特にソイソーは惜しかった
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 22:14:59 ID:7eVz6Ayn
おぼろ丸とジュデッカだな。
おぼろ丸はマーダーにしても対主催にしても映える美味しいキャラだと思う。
そしてジュデッカなら、眼鏡をずり落ちさせながらマーダーをやってくれることだろう。あんま強くないけどw
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 22:26:47 ID:E55NdHBh
キュウマとミスミかな。勿論どちらか一方ではなくセットで。
マーダーになりそうなやつが少ないサモン勢で純粋に奉仕マーダーとして
活動してくれそうなキュウマは能力も性格も美味しいし貴重な存在だ。
そしてミスミ様もどう立ち回ってくれるのかとか面白そうだしな。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 22:41:32 ID:VSISTCSq
参加キャラの紹介文とか書いてみようかと思ったんだけど、
ネタバレってどの程度までOKなのかな?
ちょこの正体とか全部書いちゃうのはマズイ?
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 15:35:19 ID:IFOUfQmF
こんなスレに来た時点でネタバレとか気にしちゃダメだ
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 16:21:41 ID:vSxXMlO0
書いちゃえ書いちゃえ
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 17:17:22 ID:tpeHG5yo
思い立ったが吉日
善は急げ
やっておしまいなさい
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 19:13:01 ID:B432YAPU
よし、じゃあやってみるか
暇なら協力してくれ
主にサモンナイトとファイアーエンブレム辺りを
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 10:22:38 ID:MTDcHMXu
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167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 13:46:38 ID:jwJt1lnE
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168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 16:56:11 ID:qR3bZZOr
お、予約来たな
169 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:37:13 ID:R9D+gZGl
リオウ、エイラ、シャドウ投下します
170 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:39:26 ID:R9D+gZGl
野生の血が沸き、悪を討てと騒ぎ立てる。
ただひたすらに叫び続ける彼女は止まらない。
己の意思を確かめるように、ただ叫びを闇夜に轟かせる。
木々は共鳴する。大地は揺れ動く。大空は震え渡る。
そして、闇と光の下へと彼女の声と意思が届く。

光は動く。
この殺し合いを止める為に、聞こえた声が信頼できるものだと信じて。
そうでなかったとしても、起こりうる殺人を止める為に。
自分ができる限りのことをするために。
光は動く。

闇は動く。
ただ、仕事として。
この殺し合いを動かすために。
次なる獲物を狩る為に。
闇は動く。


171 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:40:29 ID:R9D+gZGl
エイラは吼え続けた。
時間も、場所も忘れるほど吼え続けた。
右足の痛みを忘れられるように、別の感覚を呼び覚ましながら。
このままだったなら何時までも叫び続けていたかもしれない。
エイラの研ぎ澄まされた感覚が、気配を察知していなければ。
「お前、お前も、戦うのか?」
エイラは誰もいないはずの森林を見つめながら問いかける。
察知した何かを頼りに、見えない未知の物に対し警戒を怠らない。
気配を感じるのは確かなのだが、それがどこにいるかまでは把握できない。
それでも、エイラはひたすら前を睨み続ける。

すると、目前で煙が上がり始めた。
煙は徐々に広がり空まで上る勢いで木々を覆い隠す。
大物マジシャンでも登場するような演出である。
普通に人間と接するならこんな回りくどいことをする必要はない。
考えられるのは一つ、煙の中からの奇襲。
襲撃者に備えて両拳を強く握りしめ、迎撃の準備を整える。
冷たい風がエイラの肌を撫でるが気にも留めない。
さらに天空へと舞い上がる煙をふと見上げてみた。


172 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:41:27 ID:R9D+gZGl
煙がおとりだったと気がついたのはそのときだった。
上空から黒を纏った人間がナイフを突き立てながら一直線に向かって来ていたのだから。
おそらく煙に注意が行っている間に横から接近し何かしらの手段で空中へと舞い上がり奇襲をかけるつもりだったのだろう。
しかしエイラは幸運だった、このタイミングで上を見上げることが出来たのだから。
また、自身の持つ驚異的なポテンシャルにも救われたといってもいい。
その襲撃者に対し瞬時に飛び退くことが出来たのは、彼女だからともいえる。
もし、エイラが万全な状況だったなら奇襲は失敗していただろう。
だが、今のエイラは右足に大きな傷を負っていた。故に左に飛び退く際に右足に力を入れるのが一瞬遅れてしまった。
その一瞬の差で、彼女の右腕は大きく切り裂かれたのだ。
頭に突き刺さるよりはマシとも思えるが、右腕がほぼ使えなくなったのは素手を武器とするエイラには致命傷である。

「くっ……エイラ、負けない!」
右腕右足が傷ついたなら、残った左足と左腕でフォローするまで。
襲撃者が再び空へ跳ぶのを見て、その場から素早く離れる。
飛ぶところから見ていたので今度は難なく回避できたが、やはり右足のせいで一瞬行動が出遅れる。
このまま行けば、間違いなく自分がやられてしまう。
かといって自分から踏み込んでいけば間違いなく右足がネックになり大きな隙が生まれる。
それを見逃してくれるほど目の前の敵は甘くはないだろう。
そうなる前に決着をつける。チャンスは次に相手が跳ね、自分をめがけて飛び込んで来たとき。
そこでカウンターパンチを見舞うことが出来れば……追い払うことぐらいは出来るかもしれない。
両者が相手の出方を伺い始める、両者ともその場から動こうとせずただ隙をうかがっている。
エイラは襲撃者の黒い覆面をただ見つめ、襲撃者もエイラの方をじっと見つめていた。
怪しいとは思っていた、その素早さがあればすぐにでも踏み込んで殺せる距離にいたのに。
その怪しさが確信的になったのは、すぐ後のこと。体が鉛のように重くなりつつなってからだった。
「スロウ」
襲撃者の男は、魔法を唱えていた。覆面で口が動いているかどうかが判断しにくかったのだ。
自分の体が動きにくい事以上に、エイラの眼前で起こっている出来事全てがスローモーションのようにエイラには見えた。
首筋へと向かうナイフを止める為に左腕を動かすがいつもよりも遅すぎる。
襲撃者の動きを止める事はかなわず、相手は持ち前の素早さで難なくエイラの抵抗を対処している。
やがて襲撃者はエイラの首筋に、ゆっくりとナイフを当て一気に――――――


173 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:42:25 ID:R9D+gZGl
リオウはなんとも言い表せない焦りを感じていた。
微かに聞こえた叫び声。それが何の叫び声だったのかは分からない。
死に直面しながらも、死にたくないという気持ちから出た叫びなのか。
それとも誰かを殺してしまったが故の後悔の念の叫びなのか。
それとも、ルカのような殺すことに意義を持つ者の叫びなのか。
確かめる手段は一つ、声の聞こえたほうへ急行することだ。
潮の香りが漂う港町を全力で駆け抜け、平野へと躍り出る。
汗を拭う間も持たずに、力の限りただひたすら駆ける。
最悪の可能性、人が死ぬことを避けることが出来るなら。
自分の手によって誰かの命が救えるならば。もしそれが仲間たちだったなら。
走り続ける理由はそれだけで十分だった。

やがて遠くの二人分の人影がリオウの目に映る。
その人影が近くまで来たとき、リオウは驚いた。
リオウが見たもの、それはまさに襲撃者が女性の首を掻っ切ろうとする瞬間。
「やめろォォォォォ!!」
反射的に男に向かって槍を投げつける。
男もそれを察知したのか、瞬時にその場から飛び跳ねる。
槍は外れた、しかし襲撃者にが想定もしていないことが一つだけあった。
「逃がさ……ない!」
スロウがかかっているはずの女性が驚くべき速度で宙へと繰り出したことである。
瞬間的に襲撃者との距離を詰め、必殺の一撃を見舞う。
襲撃者もとっさのガードが精一杯で、腹部にほとんど直撃してしまう。
女性はそのまま勢いを失い重力に従って地面へと落ちる。
襲撃者も攻撃によりバランスを失い地面へと落ちる。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 22:42:52 ID:N5rW12zo

175 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:42:59 ID:R9D+gZGl
「だ、大丈夫ですか!」
リオウは思わず女性へと駆け寄り、女性の体を引き起こす。
すると、女性はリオウの手を振り払い自力で起き上がってきた。
「エイラ……まだ、闘え――――――」

声は途切れた。いや途切れたように聞こえただけなのかもしれない。
女性が立ち上がったと思えば、地面に倒れ伏していて。
自分の体にはついているはずのない大量の返り血が付いていて。
一本の槍が、女性の体を貫いていた。

一瞬だけ頭が真っ白になる、その状況を飲み込むのに時間はかかった。
その槍は、間違いなく自分が投げた槍。
襲撃者を外しどこかへと飛んでいったはずの槍。
それがなぜここにあるのか? 答えは簡単だ、襲撃者は「物を投げる」エキスパートだったからだ。

無意識のうちに再び女性の下へ駆け寄るリオウ。するとまだ微かに動いていることに気が付いた。
胸を貫かれている、助かるわけはない。自分でもそれは分かっているのに。
「大丈夫ですか?!」
誰がどう見てもそうではない状況なのに、なぜかそんな言葉しか出てこない。
「あ……ああ」
女性の目がだんだんと空ろになっていく。そんな状況をただ見るだけしか出来ない。
「クロ……クロ……」
何かを呼んでいるように天へと左手を伸ばし、そして倒れた。
「黒……? 黒がなんなんですか?!」
疑問を投げかけても、もう答えてくれはしなかった。

リオウはこうやって立ち尽くすしか出来なかった自分が無力で惨めで。
「ちくしょう、ちくしょおおおおおおおおお!!」
どうすればいいのかも、わからなくて。

【エイラ@クロノトリガー 死亡】

【C-3 平野 一日目 黎明】
【リオウ(2主人公)@幻想水滸伝U】
[状態]:健康
[装備]:閃光の戦槍@サモンナイト3
[道具]:魔石『マディン』@ファイナルファンタジーY、、基本支給品一式
[思考]
基本:バトルロワイアルに乗らず、オディオ打倒。
1:「黒」……?
2:信頼できる仲間を集める。ジョウイ、ナナミ、ビクトール、ビッキーを優先。
3:ルカ・ブライトを倒す。
4:首輪をなんとかしたい。
[備考]:
※名簿を確認済み。
※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所へジョウイに会いに行く前です。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 22:43:55 ID:QaX/rcy8
177 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:44:21 ID:R9D+gZGl
一方、襲撃者シャドウは槍を投げた後にすぐさま竜騎士の靴でその場から飛び退いた。
魔法とありとあらゆる奇襲を組んでも最後の力だけ予想外だった。
もっと冷静になる必要がある、もっと確実に殺していく必要がある。
「…………俺もまだまだだな」
シャドウは闇を纏い闇の中を進む。仕事を進めるために足を進める。
彼は止まらない、止まれない。
闇に生き闇に死ぬもの、「アサシン」なのだから……。

【D-3 森林 一日目 黎明】
【シャドウ@ファイナルファンタジーVI】
[状態]:左肩にかすり傷、腹部にダメージ(中)
[装備]:アッサシンズ@サモンナイト3、竜騎士の靴@FINAL FANTASY6
[道具]:エイラのランダム支給品1〜3個(未確認)、基本支給品一式*2
[思考]
基本:殺し合いに乗り優勝する。
1:ひとまず逃走
2:参加者を見つけ次第殺す。ただし深追いはしない。
3:知り合いに対して……?
[備考]:
※名簿確認済み。
178 ◆FRuIDX92ew :2008/10/13(月) 22:45:38 ID:R9D+gZGl
投下終了です。
タイトルは「White or Black? There is no gray.      ?」でお願いします

ちと無理がある展開っぽいですが何かあればどうぞ。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 22:53:53 ID:4A6yYoq/
乙です。無理ある要素というのはシャドウのもの投げのこと?
自分の中では外した槍を拾ってブン投げたっていう解釈をしているけどねぇ……

そしてエイラ死亡か。カエルに大きな影響を与えそうだ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 00:01:37 ID:MiTS2W7A
投下GJ!
自分は特に無理があると思うような箇所は無かったな。
エイラはよく頑張ったよ…お疲れ。
クロノ勢は初の死者か?
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 00:07:46 ID:8GjHL8KB
投下乙!
ああ、また女性キャラが一人w
このロワの女死亡率は男に比べてなんか異常w
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 01:43:47 ID:rAmNVfQF
投下乙

シャドウかっけぇ
エイラ奮闘するも残念
リオウのショックたるや
確かにこのロワは女性死亡率が異常w
今後の女性陣の活躍に期待したいですね
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 02:24:44 ID:uFQ0WH2X
投下乙〜!
普通に拾って投げたと判断できたし、エイラ負傷もしていたから問題ないかと
しかし『黒』か。
どうつながるのかなw 楽しみだw
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 15:53:56 ID:NSWBqP74
投下乙!
エイラ南無…。
シャドウ強いな。暗殺者系は戦い方が面白くていい。
片や何もできずじまいのリオウ、これから頑張れ。

女性もだがスクエニキャラの死亡率半端ねえなこのロワw
参加者が多いから仕方ないけどさw
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 21:22:52 ID:aDN1H/3p
有名どころのスクエニ作品のキャラが早々退場しちゃうと、新規書き手が
入ってこなくなるようで少し心配だ。他の作品も名は知られてるけど他ハードに移植とか
されてないから内容の認知度にやや問題がありだし…。
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 21:40:08 ID:F989fkd/
>>185
もう死に体だからコアな書き手しか覗かないし大丈夫
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 22:02:25 ID:ZI2PDGRb
>>185
有名どころだからこそ、書かれやすくて早期退場してるんだと思われる
かくいう俺も書けるキャラばかりばたばた倒れたので書き手参加はあきらめたクチですが
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 01:47:19 ID:bUCbwWj4
>>129
かなり遅くなったけど投下乙!
素晴らしい多人数捌き! それぞれの思考や行動などが丁寧です。
特にアリーゼの心の揺れは上手い。上手くそれぞれの背景を利用したいいフラグ立てです。
カノンやリンなどの火種を一切消すことなく、この場を治めたのが見事。
アキラ対ルカ様……これは名勝負の予感! GJ!

>>178
投下乙! エイラー!
シャドウの特性を最大限に生かしたバトル。見事です。
呆気なく終わりがちな暗殺者による殺人ですが、手に汗握る戦いに昇華させましたね。
残されたリオウも不安だけど、原作でのセリフが殆どないキャラ主人公属性を付加したのは素晴らしい。
エイラもカッコよかったし、シャドウも面白そうなキャラに仕上がってGJ!
展開にも無理は全く感じられなかったですよ。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 20:21:07 ID:D4b24I5w
ミネア:弱いとは言わんが強くもない微妙極まりない対主催=噛ませに最適
    対主催に有効なスキルなし、取り得の回復呪文は役立たず、
    仲間も、ピサロは五章終了後、ユーリルはシンシアとの絡みが期待できるんで
    それ以外の仲間は死んでるし別にここで彼女が死んで再会フラグ折れたところで何の支障もない
    デスイリュージョンという強力な武器を手に入れたことで逃走を選びにくくなるかも
    ブラストボイスが騒音を立てる可能性あり、というかアキラが神殿に向け拡声器使用
    保護しているアリーゼが精神状態的に危なく、すれ違いも発生している
    皆殺しのリン、半覚醒
    神殿の周り火事発生、加えて近くにルカ・ブライト
    危険人物であるカノンを気にしている
    とどめの自己犠牲呪文
    
お、おかしい……
ミネア、生き残ったのに死亡フラグが増えてる!?
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 21:21:28 ID:MNVDjDKP
ここまで八方ふさがりな奴も珍しいw
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 22:41:53 ID:jXsZdcc8
ここまできたら逆にミネアの1人勝ちとか見てみたくなってきたぜw
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 23:03:27 ID:9lK3L0YV
そこまで立て並べるとすげーな。
もうミネアが生き残る図が見えないw
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 23:15:56 ID:0VmR0lpy
    弱いとは言わんが強くもない微妙極まりない対主催=噛ませに最適
    →ミネアより強いキャラがかませになっているのでそれだけではあまり問題にならない。
    対主催に有効なスキルなし、取り得の回復呪文は役立たず、
    →有効なスキルを持たないのは確かだが、回復呪文が役立たずとは決まっていない。
      それに、回復呪文以外の呪文も使え、特にフバーハ、ラリホー系はロワで役に立つ。
    デスイリュージョンという強力な武器を手に入れたことで逃走を選びにくくなるかも
    →状況的と彼女の性格的に積極的に戦闘するよりも逃走を優先する筈。
     つか術師だけで戦うとかどんだけ無謀なんだよw 
    ブラストボイスが騒音を立てる可能性あり、というかアキラが神殿に向け拡声器使用
    →使い方のわからない機械を無闇に弄る事はないと思う。つかルッカが近くにいるから
     接触すれば問題ないだろう。拡張器も、現在神殿は火に囲まれているので、外部から
     襲撃が来る確率は低い。マーダーも多分焼死を期待すると思う。
    保護しているアリーゼが精神状態的に危なく、すれ違いも発生している
    →そんなに危険視するほどではない。むしろ、アリーゼが勝手に単独行動する可能性の方があるので
     死亡フラグはアリーゼの方が強いかもしれない。
    皆殺しのリン、半覚醒
    →即座に気付いてまたラリホーすれば大丈夫かも?つか縛ってあるし起きてもすぐには行動できない筈。
    神殿の周り火事発生、加えて近くにルカ・ブライト
    →ルカ様はアキラ遊びに夢中だしカノンも駆けつけてる。火事に関しては神殿組に影響はあまりないだろう。
    
とりあえず、擁護できるだけ擁護してみた。皆あんまり言ってやるな。ミネアが可哀想だろw
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 14:54:00 ID:UaiFONNq
age
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:08:34 ID:G2AT7aK+
投下します
196白黒パッチワーク  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/19(日) 04:15:24 ID:G2AT7aK+
沈黙が二人を包み込んでいた。
元々ユーリルとクロノは共に無口なタイプの人間ではある。
ただ、そのことを差し引いても二人の間に流れる空気はやけに重いものであった。


ことの発端は数分前に遡る。
何度も名簿を見直したうえで、ユーリルは気になっていたことをクロノに尋ねことにした。
即ち、死者の蘇生に心当たりはあるのかと。
突然の質問に困惑するクロノに、仕舞ったばかりの名簿を取り出し見せるユーリル。
その時点でクロノも質問の真意をおおよそながら察した。
情報交換時に気づいたことだが、どうもこの名簿、知り合いごとに一纏めに記載されているのだ。
クロノの名前にはクロノの仲間が、ユーリルの名前の後にはユーリルの仲間が連なっていたことは、いくらなんでも偶然では済ませられない。
その上で先ほどの質問とくれば自ずと一つの答えへと辿り着く。

「シンシア」

トーンを一つ低くして口に出されたその名前は、確かにユーリルの知り合い達に続く形で記載されていた。
ユーリル達のグループの最後尾と取るか、次のグループの先頭と取るか。
迷いつつとはいえ問うてきたことから、ユーリルには心当たりがあるのだろう。
勿論シンシアという名前は決して珍しいものでは無いため、単なる人違いであることも十分あり得る。
そして質問の意図からするに

――ユーリルが知るシンシアという人物は既に死去している

同時にクロノはもう一つ勘づいたことがあった。
普通死者の名前が名簿に載っていたところで、訝しみはすれど同じ名前の別人だと思うはずだ。
生き返ったのでは等という突拍子も推測には至らない。
けれども、クロノはその馬鹿げた推論を一笑に伏すことはできなかった。
何故ならとうのクロノ本人が一度死に、蘇ったことがあるのだから。
いや、厳密には復活では無く過去修正だ。
死んだことをなかったことにされたのである。

「クロノ・トリガー」

クロノは語る、自分達の冒険のことを。
ユーリルは黙したままじっと話を聞いていた。
やがて、大部分を省略したとはいえあらかた理解したユーリルは眼で問う。
いいのか、と。
歴史を変えれる道具程悪用されるわけにはいかない物は無い。
それをついさっき会ったばかりの自分に教えていいのかと。
問題ないとクロノは首を振る。
ユーリルなら大丈夫だと心の底から信じることができたから。
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:17:35 ID:+99CRX8T
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:18:04 ID:k8ai8aEU
199白黒パッチワーク  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/19(日) 04:19:00 ID:G2AT7aK+

「世界樹の花」

次は自分の番だとばかりにユーリルもまた語り出す。
魔王の軍勢から自分を守って死んだ少女のことを。
別れを済ませたばかり仲間達との冒険のことを。
死者の魂すら呼び戻し、どんなものでも蘇らせる奇跡の代物のことを。

話が進むにつれ二人は、自分達が別世界の住人かも知れないという以上に恐ろしい可能性に気づく。

「……クロノ」
「ああ。あり得るな」

ユーリルは不思議でならなかった。
もしも名簿に載っているのが自分の知るシンシアだとして、何故、魔王はわざわざ生き返らせてまでこの殺し合いに参加させたのかが。
魔王オディオからはかってのデスピサロにも勝る人への憎悪が感じられた。
故に、人々の最後の砦にして護り手である勇者ユーリルの心を乱そうと、幼馴染である少女を殺し合いに参加させることまでは理解できる。
とはいえクロノトリガーしかり、世界樹の花しかり、死者の蘇生はそう簡単に行えるものではない。
前者は幾つもの条件を満たす必要があり、後者が1000年に一度しか咲くことが無いように。
ユーリルにとって大切な人間は、何もシンシアだけでは無い。
無力な知り合いを巻き込みたかったのだとしても、多大なリスクを負うであろう蘇生をするには割が合わないのだ。

そう、あくまでもリスクを負うのなら。

「「タイムマシン」」

時を超える力があれば、律儀に1000年待つ必要は無い。
千年前、或いは千年後ごとに跳べば、なんの苦労もせず、大樹が存在する時間の限り、いくらでも手に入れれる。
クロノ達を攫うに際し、オディオがタイムマシンを強奪したことは十分あり得る。
それぞれの時代に還った筈の彼らが共に呼び出されていることからも、少なくともオディオは何らかの時を超える力を持っていなければおかしいのだ。

まずい。

状況は絶望的だ。
もし、オディオが無制限に時に干渉でき、その気があるのなら、どれだけ抗っても参加者側に勝ち目は無い。
加えて、考察通りならオディオは死者を際限なく生き返らせられるということになる。
自分のためではなく、仲間や過去に失ってしまった誰かの為に殺し合いに乗る者が居たとして、このことを知ってしまったのなら。

考え込んでいるうちにいつしかとりあえずの目標として設定していた小屋へと到着していた。
警戒して窓から中を覗こうとするも暗くて中はよく見えなかった。
正面から入ってみるしかない。
一応の武器を持つクロノが前衛となり、ドアノブへと手をかける。
万一出入りがしらに襲われた時に備え、ユーリルは呪文を放てるようすぐ後方で待機。
顔を見合わせ二人は頷き約束する。
もしも誰かがあの中にいたとしても、自分達の憶測については当面黙っていようと。
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:19:25 ID:k8ai8aEU
201白黒パッチワーク  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/19(日) 04:19:57 ID:G2AT7aK+

かくして時は冒頭へと戻る。
警戒しつつも小屋へと踏み込んだ二人を待っていたのは既に語ることの無い人であったもの。
穴のあいた縦縞の服を纏った肥えた身体。
白髪が混じった青い髪と血で赤く染まった髭。
苦悶の表情のまま固まってしまった顔。

ユーリルの仲間、トルネコの死体が床の上に置き去りにされていた。

「トル、ネコ?」

返事は、ない。

「トルネコ、おい、こんなとこで寝てちゃダメだろ」

揺さ振られた身体から、乾き切っていなかった血が零れる。
ユーリルが掬おうとするかのように手を伸ばす。

「ネネさんやポポロ、待たせたままだろ?」

常にないほどに饒舌なユーリル。
出あって間もないクロノにも、ユーリルにとって死んだ男がどれだけ大切な仲間だったのかが痛いほどに伝わって来る。
同時にクロノは心配にもなった。
ついさっき彼らはオディオが死者の蘇生が可能だと話したばかりなのだ。
知る限りで二人も仲間を失ってしまったユーリルが、殺し合いに乗ってしまうのでは?
生じた疑念を恥じるクロノ。

だからこそ続くユーリルの行動に彼は眼を見開いた。

「メラ」

力ある言葉と共に、ユーリルの右手に小振りながらも火球が生じる。
クロノは咄嗟に身構えるも、遅い。
生じた炎は寸分違わず目標に命中した。

ユーリルの仲間、トルネコの死体の首に。

「っな!?」

予想外の事態に呆然とするクロノを尻目に、トルネコの首輪の周りの肉が削げ逝く。
精々初級呪文のメラでは威力が足りず、白い骨が赤い肉から這い出るに止まる。
最強バンテージを巻いたユーリルにとってはそれで十分だった。

ゴキリッ、ごと。

鈍い音を立て折れる骨、転がる頭部。
腕力が格段に強化された腕は、右一本で人の骨を握りつぶした。

ドサリ。

崩れ落ちるトルネコの身体を受け止めもせず、ユーリルはそれを手に取る。
無骨な金属の輪っか。
参加者の命を縛る首輪を。

「行こう、クロノ」
「おい、待てよ!! お前の仲間なんだろ!!」
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:20:56 ID:k8ai8aEU
   
203白黒パッチワーク  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/19(日) 04:22:51 ID:G2AT7aK+

無残さを増した仲間の死体に目もくれず小屋を出て行こうとするユーリルの手を、クロノはらしくもなく声を荒げて掴む。
信じられなかった、許せなかった。
外れた状態の首輪は、呪縛から逃れるにはあれば便利だということくらいはわかる。
それでも、仲間を弔おうともせず躊躇なく遺体を傷つける精神が、許せなくて。
振り向いたユーリルの表情に今度こそ自分を恥じた。

「返事が、ないんだ」
悲痛な声だった。

「どれだけ呼んでも、返事が無いんだ」
今にも泣き出しそうな顔だった。

「だから、これはもうトルネコじゃない」
自分に言い聞かせるように。

「ただの、屍だ」
泣くわけにはいかない、と。

「何よりも、僕は、勇者だ」
死んだ仲間よりも生きている誰かを優先しなければならない。
言外にそう告げて、世界を救うべく育てられた青年は外へと踏み出して。
続けざまに夜の闇に輝く二色の光を見た。

204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 04:23:24 ID:k8ai8aEU
    
205白黒パッチワーク  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/19(日) 04:23:40 ID:G2AT7aK+
▽ ▲ ▽


「……勇者、か」

カエルの親友だったというサイラスもあんな人間だったのだろうか。
一人小屋の付近に残ったクロノは想う。
あれから二人は別れた。
決して仲違いしたからではない。
北と東、二か所で光が瞬いたからだ。
片や一瞬、されど赤い炎を思わせる眩い閃光。
片や今も明るくなりつつある空を裂き続ける一本の光条。
地図にも記載された灯台によるものであろう後者とは違い、前者は恐らく戦闘によるものだ。
戦いが起きたということは、最低一人は殺し合いに乗っているということになる。
ここまで届くほどの光を放つ炎を使う或いは使わざるを得ない相手。
強敵なのは間違いない。
いや、灯台とて誘い主の真意を抜きにしても、これだけ目立てば十中八九多くの人間を呼び寄せる。
殺し合いに乗った人間からすればちょうどいい鴨だ。
どちらも死地であることに変わりはない。
最強バンテージの効果を実証できたとはいえ、得意の得物が無い状態で戦力を二分したことを、今頃オディオは笑っているかもしれない。

――それがどうした。

これ以上、命を失わせることも奪わせることも御免だった。
ユーリルも同じことを思ったからこそ、ロザリーの保護を決意し、自分にも頼んだのだろう。
なら、それぞれがそれぞれの場所に向かう道を選んだことは間違ってなんかいない。
笑いたければ笑うといい。
朝に教会で再開しようと二つ目の約束は交わされたのだ。
あいつなら、何があっても約束を守ってくれる。
あいつは勇者なのだから。
その時には、技師と会える確率がまだ高いと託された、遺品でもある首輪を返すとしよう。

作業が終わり、クロノは地面につけていた腰を上げる。
いささかユーリルに遅れる形となってしまったが、そのことに悔いは無かった。
できること、できないことを補う。
仲間なら当然のことをしたまでなのだから。
206白黒パッチワーク  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/19(日) 04:25:04 ID:G2AT7aK+

【H-4 小屋よりも北 一日目 黎明】

【ユーリル(DQ4男勇者)@ドラゴンクエストIV】
[状態]:疲労(中)
[装備]:最強バンテージ@LIVEALIVE、天使の羽@ファイナルファンタジーVI
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:打倒オディオ
1:北に向かい、赤い光の真相を確かめる。
2:打倒オディオのため仲間を探す。
3:ピサロに多少の警戒感
4:ロザリーも保護する。
[備考]:
※自分とクロノの仲間、要注意人物、世界を把握。
※参戦時期は六章終了後、エンディングでマーニャと別れ一人村に帰ろうとしていたところです。
※服は時間経過で乾きました。
※赤い光はちょこの炎によるものです
※オディオは何らかの時を超える力を持っている。
 その力と世界樹の葉を組み合わせての死者蘇生が可能。
 以上二つを考えましたが、当面黙っているつもりです。

【H-4 小屋のすぐ外 一日目 黎明】

【クロノ@クロノ・トリガー】
[状態]:疲労(中)、半乾き。
[装備]:モップ@クロノ・トリガー、魔石ギルガメッシュ@ファイナルファンタジーVI
[道具]:基本支給品一式 、トルネコの首輪
[思考]
基本:打倒オディオ
1:灯台へと向かう
1:打倒オディオのため仲間を探す
2:できれば首輪の件があるので機械に詳しそうなルッカ優先で合流したい
3:魔王については保留
4:ロザリーを保護する
[備考]:
※自分とユーリルの仲間、要注意人物、世界を把握。
※参戦時期は魔王が仲間になっているあたり(蘇生後)、具体的な時期は後の書き手さんにお任せします
※オディオは何らかの時を超える力を持っている。
 その力と世界樹の葉を組み合わせての死者蘇生が可能。
 以上二つを考えましたが、当面黙っているつもりです。

※H-4エリアの小屋の傍にクロノによりトルネコの死体が埋葬されました。経過した時間はお任せ。
207白黒パッチワーク  ◆iDqvc5TpTI :2008/10/19(日) 04:26:33 ID:G2AT7aK+
以上、投下終了。真夜中なのに支援してくださった皆様に感謝
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 10:03:21 ID:euIsPskD
投下乙です!
返事がないただの屍だがこう来るとは……予想外です。
ゴキリッ、ごと で有名なボンドサを思い浮かべたのは俺だけでいい……
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 15:52:11 ID:xjByVHG9
投下乙!勇者だからこそたくさんの命を救わなくてはいけないが、何か白黒の雰囲気を感じさせるSS、よかった。
言葉が少ないからこそ、こういう演出もありなのか!
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 09:50:26 ID:9ualQK+J
投下乙!
ユーリルの行動がたまらなく悲壮で、同時にかっこいいぜ…
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 15:21:35 ID:CuIW1B9O
投下乙!
言葉は少なくてもユーリルの覚悟が伝わってきた
というか無口主人公をこれだけ書ける時点ですげえ
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 15:20:47 ID:x4lRbnIe
予約がないと寂しいな
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 17:56:58 ID:KFfiSfAN
寂しくないよう雑談しようぜ!
今後が気になるキャラとかどうかな?
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 18:09:38 ID:YjBd8JVP
コンビでいうとマッシュ高原の脳筋コンビ。あいつら結構やる時はやりそう
個人ではビジュ。某のロワでは一話死亡だから今回はどこまで生き残れるのやら
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 18:24:03 ID:O2kWNlXz
サンダウンとロザリーとニノのトリオが気になるな
実力的にほぼ下位クラスだけど銃と魔道書が手に入ったら大化けするかもしれん
サンダウンの渋みと清涼剤になりそうなロザリー・ニノに期待してるんだぜ

あとはシンシア、一般人マーダーとしてどれだけ活躍してくれるか
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 19:08:28 ID:ydIXPS9b
俺もおっさんと両手に花チーム気になる
女2人がマーダーと関係あるから色々期待

あとはちょこ&アナスタシアコンビ
単に利用するものされるもので済まされなさそうなとこがいい

・・・ていうか人いるんだなw
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 20:14:21 ID:c57eLUjI
書きたいしネタはある
問題は時期と時間だ……
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 23:22:29 ID:unnIk1B5
じゃあちょっと前に中途半端で終わっちゃったおっぱい談義でも
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 00:08:50 ID:aLGBcexr
【巨】
【普通】
【貧】
【無】

さぁ当てはめろ!
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 05:21:44 ID:X1YK8FiP
【巨】 カノン マリアベル アナスタシア リン リーザ エイラ
【普通】レイ アリーナ ロザリー シンシア ビッキー フロリーナ
【貧】 ティナ ミネア リルカ ナナミ ルッカ
【無】 ちょこ

主観で
サモンナイトはよくわからない
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 09:00:17 ID:VS/0f+Ak
【巨】アティ
【普通】
【貧】アズリア
【無】アリーゼ

サモンナイト限定。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 16:17:48 ID:qCljDsvd
この際だから前から聞きたかったことを聞いてみる。
ここってさ、予約期間何日なんだ?
気のせいかテンプレに何日以内に書きあげて!ってのってないんだが
223 ◆6XQgLQ9rNg :2008/10/25(土) 18:27:33 ID:+PkkWO15
>>222
言われてみれば修正期間しか載ってないなぁ。
修正期間と同じく三日ですね。
↓にあります。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11746/1219587734/33

さて投下します。
224守りたいもの、生きるべき人 ◆6XQgLQ9rNg :2008/10/25(土) 18:31:21 ID:+PkkWO15
 暗闇に閉ざされた山が圧倒的な静寂に支配されていて、人の気配を感じさせない。月光の届かない深い森には濃縮された闇の塊が落ちている。
 日の出へと向かっているが、まだ夜と呼べる時間帯。
 葉は揺れず枝はたわまず大気に震えはない。
 光のない世界にあるのは、影。夜闇と同化し音を立てず気配を殺し、一つの影が疾駆する。
 赤茶色の髪をしたその影――ジャファルは、暗闇を物ともしない。

 当然だ。
 アサシンにとって闇は恐れの対象ではなく、絶対的に頼れる味方なのだから。
 闇に溶けて標的に接近し、瞬時に仕留めるのが、ジャファルの戦闘スタイルだ。
 恐怖心や威圧感を与える闇は多くの人間にとって枷となる。だがジャファルは、それを逆手にとって戦える。故にジャファルは、今のうちに可能な限り敵を減らしておきたいと思う。

 敵とは、誰か。
 そんな疑問など、考えるどころか思うまでもない。ニノ以外の参加者は、全てが敵だ。敵は排除する。ただ、ニノのためだけに。
 矛盾であり欺瞞だと思う。光を与えてくれた少女のために、心を闇色に染め上げようとしているのだから。
 その行為は、ニノがくれた光を捨てるということだ。それは彼女に対する裏切りなのかもしれない。
 それでも、止まるつもりなどない。意思を曲げるつもりなどない。とうにこの手は血に塗れている。体には血の臭いがこびり付いている。 
 だから、躊躇なく無慈悲に人を殺せる。呼吸の如き当たり前さで、命を奪える。
 目的はニノを守るため。たった一人のために、身勝手に我儘に殺戮を繰り返していく。
 そう、全てジャファルの独断だ。
 だからこそニノを言い訳にしない。守るためには仕方なかったとか、彼女のために死ねとか、そんな戯言を押し付けるつもりなど毛頭ない。
 ジャファル自身が、彼女に生きてほしいと望むから。彼女は死ぬべきではないと思うから。

 ジャファルは、往く。
 光差さない黒の心に生まれたその感情を拠り所にして、修羅の道を、自らの意志で突き進む。
 敵を探し、闇が満ちる山中をひた走る。物音一つ立てず気配を消しながらも、速さを保ったままで。
 闇は常にジャファルの味方をする。闇は決して、アサシンを裏切らない。
 故に。
 足を止める。闇の中を漂う気配を肌で感じ取っていた。微動だにしないまま、気配の出所を探る。
 耳をそばだて皮膚に意識を通わせる。闇に交じる異物を探り出していく。
 木の上、草叢の奥、枝葉の中。見えざる場所にも注意を飛ばし洗い出す。
 黙して行われる闇との対話に、長い時間は無用だ。
 対話の終わりを示すために、ジャファルは膝を浅く曲げた。それをばねにして、音も無駄もない跳躍を生む。 
 宙でアサシンダガーを構えた身が、不規則に林立する木々の向こうへと跳んでいく。

 そこにいる、鋭い目つきをした三つ編みの女の命を刈り取るために。
 ジャファルの強襲を察知した女の表情に、驚愕と焦りの色が浮かぶ。
 気になど、留めない。
 一撃で仕留めるべくアサシンダガーを突き出す。微かな風鳴りを置いて駆ける刃は、正確に女へと迫っていく。
 閃いた暗殺の刃は、しかし、肉を裂かず血を吸わずに空を切る。
 予想以上に機敏な動きで女は後ろに下がり、そして。
 その姿が、前触れもなく消失した。

 ◆◆
 
 鼓動が異常なほどに昂ぶり、熱毒に侵されたように体が熱く、呼吸が荒い。
 死そのものが怖いわけじゃない。だが、何も為せずに死ぬのだけは怖かった。
 幼馴染を――世界を守る宿命を背負った勇者を守れずに命を落とすのは、本当に怖い。
 それから逃れるようにして、シンシアは、突然の一撃を辛くも回避して距離を取り、すぐさま隠れ蓑に身を隠すことを選択していた。
 奇襲を成功させるには、こちらが気付かれていない状態で、敵を発見する必要がある。
 深い夜闇が落ちる森では、その前提条件を満たしやすい。
 また、モシャスの効果時間を考慮すれば、今のうちに奇襲をかけて敵を殺していくのが最善だと判断していた。
225守りたいもの、生きるべき人 ◆6XQgLQ9rNg :2008/10/25(土) 18:33:59 ID:+PkkWO15
 だが深い闇は、自分だけに与えられたアドバンテージではない。
 変身した身体と不思議な靴のおかげで辛うじて避けられたが、普段のシンシアなら確実に殺されていただろう。
 迂闊だった。 
 自身が弱いと分かっているにもかかわらず、積極的に動こうとしたのは、強い焦燥感に衝き動かされたせいだ。
 早くユーリルと合流しなければ、と。彼を守るために急いで為すべきを為さねば、と。
 その焦りが、シンシアから冷静さを奪っていた。
 隠れ蓑の下で深呼吸をして、内省する。
 これでは駄目。こんなザマでは無為に命を散らせてしまう。それは嫌。それだけは嫌。絶対に嫌。
 落ち着けと内心で繰り返しながら、シンシアは思う。
 
 ――あの男を放っておくわけにはいかないけど、正面切って戦うのは危険。だったら、ここはやり過ごして……。

 思考が、遮断される。
 隠れ蓑越しの視界が、未だ佇む襲撃者の姿を捉えたせいだ。
 男はただ、そこにいる。
 微動だにせず、シンシアを探そうともせず、表情一つ変えず、そこに居る。
 全く気配を感じられなかったせいで、また、隠れ蓑の利便性を先ほど体感したせいで、すぐには気付けなかった。
 一体何をしているのだろうと疑問に思う。
 当然、声にはしない。だから、男に伝わるわけがない。
 そのはずなのに。そうに決まっているのに。

 男の、冷たく無感情な視線が、シンシアのそれと衝突した。
 
 心臓が、一際大きな音を立てて跳ね上がった。
 全身から冷や汗が噴出す。掌がじっとりと湿り、口がからからに渇く。耳につくほどに鼓動は大きく、男に聞こえてしまいそうで不安になる。
 見えているはずがない。気付かれているはずがない。悟られているはずがない。大丈夫だ。大丈夫、大丈夫に決まっている。
 そんな、祈りにも似たシンシアの胸中を見透かしたように。

 男が動いた。
 最小限の挙動で最大限の効果を生む一歩を踏み出し、瞬く間に疾走へと繋げる。
 男が向かう先は、シンシアの望む方向では、ない。
 静かに地を蹴った男は真っ直ぐに突っ込んでくる。視線をこちらに固定して、だ。
 あてずっぽうにしては迷いがない。適当にしては揺らぎがない。
 故にシンシアは確信する。否、確信させられる。
 あの鋭い瞳は間違いなく、こちらを捕捉している、と。
 疑問に思う暇はない。何故と考える時間はない。悠長にやっている間に、男は首を狩りに来る。
 必要なのは正確な現状の認識と、的確な対応だ。
 だからシンシアは地を蹴った。勢いを以って隠れ蓑から躍り出て、バックステップを踏む。姿を晒しても、男の顔色は変わらない。
 距離を取ろうと試みるが、男は確実に追ってくる。
 この身体と靴の効果のおかげでなんとか距離を保っているが、このままだといずれ敵の射程圏に入るだろう。

 ――だったら、戦うしかない……?

 生まれた考えを、シンシアは呑み込む。
 その選択肢は、他の対処法が皆無のときに選ぶべきものだ。正面切っての戦闘は、可能な限り避けたい。
 奇襲を基礎戦略としていこうと判断したのは、弱者であると自覚しているからに他ならない。たとえ今の身体が優秀でも、所詮は他者を模したものだ。
 そのため、強者の能力を得たとしても、力を余さず振るえるとは限らない。
 それに、倒すべき敵は数多い。ユーリルを除く全員をこの手で殺す必要はないにしろ、少ない消耗で人数を減らせるよう考慮すべきだろう。そのためには――。

 そこまで考えたシンシアの脳に、閃きが駆け巡った。
 閃きが生んだのは、策と呼ぶには不確かな賭けだ。賭けに負ければ戦闘は避けられない。だが、勝てたのなら。
 奇襲に頼らずに消耗を抑え、効率よく殺していける。
 隠れ蓑が有効でなかった以上、このままならば交戦は確実だろう。
 そうなる前に打てる手は打つべきだとシンシアは判断し、
「ねぇ」
 口を開く。速度を落とし、賭けに出るための言葉を紡いでいく。
 焦燥感を封じ込め、不敵な笑みを見せ付けて、言ってやる。
226守りたいもの、生きるべき人 ◆6XQgLQ9rNg :2008/10/25(土) 18:35:03 ID:+PkkWO15
「――私と、手を組まない?」 

 言葉は疑問の形を成し、大気を介し男へ飛ぶ。
 声は返ってこない。
 代わりにくるのは、短刀の一撃だ。風を切り裂くその一撃は、急所を狙って迫り来る。
 長い三つ編みを振り乱し、上半身を後ろに引いた。借り物の身体とミラクルシューズが、その動きに力を貸す。
 直撃を、免れる。
 シンシアの肩を掠めた鋭い刃は、肉には食い込まない。皮膚が浅く裂かれて僅かに血が滲むが、それだけだ。
 予想よりも遥かに小さなダメージは、無視できる。だから彼女は即座に動く。
 密着と言っていい距離に居る男へと、膝を叩き込んだ。
 鈍器を思わせる重い蹴りに、破壊の感触は伝わらない。
 男の姿は、消えていた。広がる闇色の空白に膝ごと飛び込み、勢いのままに前へ出る。
 バランスを崩し不安定な体勢になった彼女の背後に、影が降り立つ。振るわれる刃を留めるように、シンシアは再度声を投げる。
 確信めいた口調を作り、言い放つ。

「あるんじゃない? 人を殺してまで、成し遂げたい何かが」

 声は瞬く間に消える。闇の中に交じって溶けて消失する。
 シンシアの首筋に、首輪とは異なる金属が接触した。神経が過敏に反応し、刃の冷たさを訴えてくる。 
 だが。
 刃はそれ以上、シンシアへと踏み込んでは来なかった。 
 故に、続ける。
「私には、あるわ」
 男に動きはない。気配の変化もない。それを、静聴の姿勢だと判断する。
「救いたい人がいるの。その人は、こんな場所で命を失してはならない人」
 確認するように、言い聞かせるように、告げる。
「どんな手を尽くしてでも、絶対に守らなきゃって思ってる。そのためには、何も惜しくはないわ。他者の命も、自分の命でさえも」
 言葉を切り、ゆっくりと振り返る。
 男は、じっとこちらを見つめていた。その無感情な瞳を、真正面から見返す。夜闇を介し、視線が交錯する。

「――あなたにもそんな何かが、あるんでしょう?」

 そう思えるのは、男が徹底的なまでに冷静だからだ。
 殺人に快楽を覚える者ならば、愉悦に顔を歪ませて襲ってくるだろう。
 魔王の恐怖に中てられた者ならば、錯乱に意識を乗っ取られて掛かってくるだろう。
 赤髪の襲撃者は、そのどちらでもない。
 となれば、明確な目的を果たすために、殺し合いに乗っている可能性が高いと考えられる。 
 目的までは分からない。
 自分のためなのか、他人のためなのか。
 その答えを得るには、情報が少なすぎる。
 しかし、どちらでも構わない。
 重要なのは、殺人が目的を果たすための手段であるという点だ。
 感情ではなく理性を抱えて、終着点へ至るために殺人を犯しているのならば、話は通じる。
227守りたいもの、生きるべき人 ◆6XQgLQ9rNg :2008/10/25(土) 18:37:06 ID:+PkkWO15
「……だったら、どうした」
 男が初めて呟いた。

「あなたにも私にも、果たさなければならない目的がある。他者を蹴落としても、譲れないものがある。
 だったら、大切なもののために協力して殺した方が効率的だし、確実でしょ? 
 それに、徒党を組んだ相手と戦うときとか、頭数が多いほうがいいと思うわ」
 シンシアの説得に、男の瞳は揺らがない。
 だが、刃も、引かれない。

「……足手まといを連れるくらいなら単独行動の方が遥かにマシだ」

「あら、結構役に立つわよ。私、他人に変身できるの。詠唱中に斬らないと約束してくれるなら、やってみせてもいいけれど?」

 カードを見せるのは、相手の信用を得るために必要な行為だ。
 それに、手を組むことになった場合、前もって告げておくべき事項でもある。モシャスの効果は永続しないのだから。
 男は再度口を閉ざす。闇に落ちる沈黙が焦燥感を煽るが、耐え忍ぶ。これ以上口を開くのは、逆効果な気がした。
 黙して、答えを待つ。首筋に宛がわれたままの短剣に意識を傾けて、賭けの結果を待つ。
 あらゆる感情を、尊大なまでの笑みで覆い尽くして。
 震える心を、偽って。
 答えを、待つ。それが言葉の形であるよう願いながら。

 分の悪い賭けだとは思っていない。理論的な根拠はないが、シンシアは、男が自分と同じだと感じ取っている。
 何かを守るため、命を賭けているのだと、思っている。
『知る』ということは、シンシアにとって重要だ。モシャスを唱え他人の姿を得るには、相手を知らなければならない。
 短時間で相手を把握し理解するため、シンシアの観察眼は卓越している。
 その武器とも呼べる観察眼が、瞳の奥を覗き込む。
 無表情の奥に潜む意志――自分と同じ匂いを、嗅ぎ取っていた。その匂い以外を、男からは感じ取れない。
 故に、むしろ分かりやすいと、シンシアは思う。 
 やがて、答えが来る。それは、

「……その必要はない」

 短剣が首を掻くものでは、ない。
 シンシアは、内心でほくそ笑んだ。

「提案を呑んでやる。だが覚えておけ。――俺はいずれ、お前を殺す」

 宣言に、シンシアは頷いて返す。構わないし、百も承知だ。
 信頼が欲しいわけではない。求めるのは、ただ利用価値のみ。
 故に、シンシアもいずれ、この男を殺すつもりでいる。
 男の強さは、先ほどの交戦を経て分かっている。だが、どうとでもなる。
 たとえば、後ろから斬る。
 たとえば、他の人物と戦って消耗したところを狙う。
 たとえば、より利用価値のある誰かを利用して潰させる。
 あるいは。
 もし男が本当に、自分と同じように、この孤島にいる誰かを守るために戦うのなら。
 その泣き所を思い切り打ち付けてやるのも、悪くない。
 
 卑劣で愚劣で外道な思考だと自覚しながらも、シンシアは考えを曲げない。
 全ては、彼を――ユーリルを守るため。弱者であるシンシアが無為な死を迎えないため。
 弱い自分が、世界を普く照らす勇者の影となれるのなら、構わない。 
 だからシンシアは嗤う。
 闇の中で嗤い顔を、作る。
 
「大丈夫よ。私も、貴方を殺すつもりだから――」
228守りたいもの、生きるべき人 ◆6XQgLQ9rNg :2008/10/25(土) 18:39:00 ID:+PkkWO15
 ◆◆
 
 アサシンダガーを、女の首筋から離して納める。
 当然だが、気を許したわけでは決してない。手を組むよう提案してきた彼女が、敵であることに相違ない。
 
 しかし、その言い分も理解できた。単独での戦いは得意だが、過信は禁物だ。
 たとえば。
 先刻遭遇した同業者を相手にして、倒せる保証はない。あのような存在を放っておけば、ニノの命が脅かされる。あの男以外にも、実力者がいると警戒しておくべきだろう。
 故に、他者の利用も必要だ。
 そして。
 共に行動している間は、この女を監視できる。
 もしも反意を見せるなら、今度こそ首を掻き切ってやればいい。【死神】の二つ名を持つジャファルに、奪えない命など存在しない。

 たとえどんな能力を持っていたとしても、だ。

「今は、よろしくね?」
 言ってくる女に、ジャファルは答えない。馴れ合いも信頼も不要なのだから。
 必要なのは、利用価値。目的を果たすために役立つかという、その一点のみ。
 冷酷非情で血の通わない、打算によって繋がった同盟が、結ばれる。

 夜闇に包まれて二人は、音もなく歩き出した。
 守るべきものを守るため、生きるべきを生かすため。

 命を奪い尽くすために、歩き出した。
 
【D-4 山地 一日目 黎明】
【ジャファル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:健康
[装備]:アサシンダガー@ファイナルファンタジーVI
[道具]:不明支給品0〜2、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いに乗り、ニノを優勝させる。
1:シンシアと手を組み、参加者を見つけ次第殺す。深追いをするつもりはない。
2:いずれシンシアも殺す。
2:知り合いに対して躊躇しない。
[備考]:
※名簿確認済み。
※ニノ支援A時点から参戦

【シンシア@ドラゴンクエストIV】
[状態]:モシャスにより外見と身体能力がレイ・クウゴと同じ(持って次回放送)
    肩口に浅い切り傷。
[装備]:影縫い@ファイナルファンタジーVI、ミラクルシューズ@ファイナルファンタジーIV
[道具]:ドッペル君@クロノトリガー、かくれみの@LIVEALIVE、基本支給品一式*2
[思考]
基本:ユーリル(DQ4勇者)、もしくは自身の優勝を目指す。
1:ユーリル(DQ4勇者)を探し、守る。
2:ジャファルと手を組み、ユーリル(DQ4勇者)を殺しうる力を持つもの優先に殺す
3:利用価値がなくなった場合、できるだけ消耗なくジャファルを殺す。
4:ユーリル(DQ4勇者)と残り二人になった場合、自殺。
[備考]:
※名簿を確認していませんが、ユーリル(DQ4勇者)をOPで確認しています
※参戦時期は五章で主人公をかばい死亡した直後
229 ◆6XQgLQ9rNg :2008/10/25(土) 18:40:19 ID:+PkkWO15
以上、投下終了です。
感想や指摘など、何でも言ってくださいませ。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 19:20:02 ID:FQfBVJ7d
投下乙
マーダーコンビできましたかー。
このロワはマーダー少なめだから結構いけるかもしれないな
アサシンタイプの方法なら強いかも
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 22:42:20 ID:Qx+9MtjN
投下乙

2人の思考が実にイイね
こういう腹の探りあい、騙しあい的な話は大・好・物☆
このマーダーコンビの躍進に期待
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 23:33:02 ID:0VVGfIC4
相変わらず文章がかっちょいいw
そしてシンシア、いいキャラになってきたw
彼女の変身能力がどうジャファルに活かされるのかも気になる。
投下乙〜
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 10:32:37 ID:+ZL/DtGX
投下乙です!

奇襲コンビ……かき乱しまくってくれそうですね……。
基本的な戦闘能力じゃジャファルが上……でも。
234BIG−TOKA SHOW TIME  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/02(日) 05:34:16 ID:PJFedqbA
一時間ほど遅れましたが投下します
235BIG−TOKA SHOW TIME  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/02(日) 05:35:21 ID:PJFedqbA
「とりあえず支給品見てみましょうよ、支給品!」

トッシュからすれば殺し合いをさせるような男の施しを受けたくは無かった。
けれども、一度モンジを倒そうと先走って、結果危機に陥り仲間に助けられたこと。
そしてまた感情に走ったせいで何の罪もない少女を傷つけかけたこと。
その二つが彼を僅かながらにも冷静にさせていた。

「まあ、そうだな。先立つものが無けりゃあどうしようもねえしな」

ナナミに頷きつつ、若干憮然としながらもデイパックの中に手を伸ばす。
殺し合いを促す支給品だというのだから、武器――刀剣の類の一つや二つ入っているだろうと軽く考えながら。
だからこそ、ランタンや食糧やらに続き、それが出てきた時に絶句した。

棒、だった。
そこらへんに転がっていそうな木の棒だった。
どこからどう見てもただの棒以外にありえなかった。

「……」
「…………」
「………………」
「……………………え、えっと、それ、ヒノキの棒だって。す、すごい、高級品だよ!」
「木の棒なのにゃ変わりねえじゃねえかあぁぁ!!」

思わず地面に叩きつけたくなるのを、トッシュはありったけの理性を動員してなんとか抑える。
おーしおしおし、落ち着け、俺。
アーク達との冒険じゃ石ころですら役に立っただろ。
ただでさえ所持品を全部没収されて無一文なのだ。
何一つ無駄にはできない。
それに、支給品はまだあるみたいだし、ナナミの分も存在するのだ。
欲を言えば酒もあるかもしれないと。
期待して、同じくリュックを漁っていた少女を振り向き、絶句した。

「うっそ、何これええええ!!」
「おい、どうし……どうなってんだああ!?」

――それはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。それはまさに鉄塊だった。

いや、良く見れば生物を模しているのだと取れなくもない。
大地をしっかりと踏みしめる太い脚、鋭い鉤爪を持つ細い腕。
四肢は確かにある。
だが、樽のようなタンクを背負った胴の上には頭部が見られず、ぽっかりと穴が開いており、代わりとばかりに椅子が設置されていた。

――魔導アーマー。

世界征服をし得るだけの力を持っていたガストラ帝国の主力兵器にして、その強大な軍事力の象徴。
魔力と機械技術とを組み合わせた、驚異的な攻撃力と防御力とを併せ持つ兵器。
搭乗することで常人にも魔導の力を振るうことを可能にするそれは、人が搭乗していないにも関わらず、
どこか見る物を圧倒するだけの威圧感を誇っていた。

とはいえ二人が声を上げたのは、その滲み出るオーラに圧倒されたからではない。
トッシュはどう見てデイパックそのものよりも大きな物が出てきたという非常識に対して。
ナナミは彼女の生きてきた世界には存在し得ない機械という物体そのものに。
二人は純粋に驚いていたのだ。
236名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 05:38:17 ID:LENV9g1g
  
237名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 05:38:26 ID:ss6aMoPl
   
238BIG−TOKA SHOW TIME  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/02(日) 05:39:03 ID:PJFedqbA

そんな状態だからこそ、気づくのが遅れてしまった。
このバトルロワイアルに乗った人物が、すぐそこまで迫っていたことに。

「や、やるせねぇーッ!! 我輩が魔法的な支給品で枕を涙で濡らしたというのに、諸君らはそんな科学的な物をー!
 それがあれば、さっきの女のような昨日今日逢った三下どもに遅れをとることなど、ムダ毛ほどもありはしないのにッ!
 身震いするほど腹が立つッ!! そうだ、奪っちまえばいいんだー!! 覚悟ーッ!!」

闇を引き裂く怪しい奇声にはっとして我に帰る二人。
トッシュはナナミを護ろうと、棒を構え、またしても驚愕する。
トカゲだった。
紫のマントを纏った子ども大のサイズはあるトカゲが、必死な形相で短い脚を動かしつつ突撃してきたのだ。
余りの気持ちの悪さに思わずトッシュが棒を振るうも、獲物の違いに加え、咄嗟に繰り出したトッシュの一撃はいわば死んだ剣。
エイラに追いつかれたら厄介だと、クレストカプセルによりクイックを使い、同じくハイ・ヒールで尻尾の傷も多少は癒した。
全速力でエイラが居た方角とは逆方向に逃げていたトカは、戦闘準備もばっちりだ。
魔導アーマーを自称科学的な導きにより発見し、テンションもマックスなトカに檜の棒は届くことは無かった。

「本日のびっくりどっきりメカー! 何ですと? メカじゃない? そんな時は心の眼で見るのだトカ。
 それでも見えないならブってブってブちまくって、眼を節穴にしちまうぜ!!
 見よ、これぞ正しく隠し玉! 出血大サービスッ!! ほんとに怪我してるんじゃ、こっちはーッ!」

トカが手にするはクレストカプセルより溢れ出た光が、トッシュとナナミを打つ。
途端に身体が重く感じられ、事実打ちつけられんとしていた棒の速度が落ちる。
逆にトカの動きは常の逃げ脚すら上回る俊敏さを得ていた。
魔法スロウダウン、及びクイック。
風と水は吹きつける向き、流れゆく方向により人の背を押すこともあれば、動きを阻むこともある。
そのことを体現した二つの魔法が、トカの使ったカプセルに封じられていたクレストソーサーに刻まれたものだった。

「スローエネミーだと!?」

爬虫類に相応しい軽快な動作で地を這うトカに攻撃をかわされたトッシュが唸る。
心当たりがなく只困惑するだけのナナミよりも立ち直りは早かったが、それでも時既に遅し。

「我輩ダー、オーンッ!!」

トッシュが追撃するよりも早く魔導アーマーの足から腕を駆け昇り切ったトカは、見事コクピットに至ってしまっていた。
その様を現すなら『嵌まっちゃった』と言うべきか。
すっぽりと、胴体部の空席を埋める形になったトカの心は舞い上がっていた。

「これぞ素晴らしき科学の力。更に素晴らしきはそれを使いこなす、わ・が・は・い。
 とりあえず適当なスイッチをぽちっとな」
「って、全然使いこなしていないじゃない!」
「馬鹿野郎、つっこみ入れる暇あるなら離れてろ!」

荒ぶる気性が通じるところがあるのか、魔導アーマーの胸の丸い球に炎の力が集まりつつあるのを察し、素早くナナミを連れ射線上から離れる。
直後トッシュ達が直前まで居た場所を薙ぎ払う業火を帯びた光線が夜の平野を駆け抜ける。
これぞ魔導アーマーのメインウェポン、魔導レーザー。
魔導の名を冠するだけあって、搭乗者の魔力に比例して威力を上げる攻撃な為、科学者であるトカでは今一本来の能力は発揮しきれていない。
それでも、魔法系列の攻撃が苦手なトッシュからすれば厄介この上ないものであった。

「む、赤いボタンで熱線とな。つまりは科学的に考えて両隣の黄と青のボタンは電撃と冷気。
 恐ろしい。つくづく我輩の頭の冴えが恐ろしすぎる!!」
「いや、誰でもわかるでしょ!!」
239名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 05:40:46 ID:ss6aMoPl
  
240BIG−TOKA SHOW TIME  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/02(日) 05:41:13 ID:PJFedqbA
加えて痛いのは、魔導レーザーの汎用性だ。
ファイアビーム、ブリザービーム、サンダービーム。
火、冷、雷。
三種の属性を相手によって使い分けることができるのだ。
ナナミの突っ込みを掻き消すように放たれた二発、特に冷気の方がトッシュの体力を奪う。
このままでは
ジリ貧なのは明らかだった。

「くそがっ!!」

ナナミを半ば強引に左腕で抱きかかえたまま、叩きつけられる爪を棒で受け流す。
強度に期待できない以上、まともに受けるわけにはいかない。
余裕があれば残りの支給品に手を伸ばしたいところだが、未だスピードを奪われた二人では、速さを味方につけたトカの猛攻を凌ぐので精一杯だった。

「おい、ナナミ! てめえの紋章とやらで、なんとかなんねえのか! できれば電気が効きそうだがよ!」
「ご、ごっめ〜ん。わたしが今宿してるの、そういう火を吹いたり、雷落としたりするのじゃないの!」

腕の中で謝るナナミ。
そうそう都合良くは行かないかと攻撃を続けてくる敵に注意を戻す。
図体がでかいとはいえ精々三メートル。
何度か打ち込んでみたが、装甲の厚さもヂークベックより薄い。
どういった仕掛けか自己修復されもしたが、一撃の下に断てばいいのだ。
決してトッシュが勝てない相手では無かった。
それ相応の獲物さえあれば。

「ちっ、仕方がねえ」

武器の方に期待できない以上、頼れるのは己が磨いてきた剣技のみ。
トッシュは棒を上段に構え、逃げ回っていた足を止める。

「我輩の科学力の前に遂に観念したと見る。
 安心し給え、科学の発展に犠牲は付き物。
 その潔さは我輩が故郷に帰った暁に発行する自伝のうちの三行を埋めるトカ産めないトカ」

そう、確かにトッシュは観念した。
・・・・・・・・・・・・・
無事に敵に打ち勝つことをだ。

――鬼心法。

死中に活を見出す一種のカウンター技。
敵の攻撃のエネルギーを己が剣に込め利用する絶技。
正直魔法によわいトッシュと貧弱な獲物があの鎧の攻撃に耐えられる保証は無い。
丁か半か、博打もいいところだ。
それでも、トッシュは迷わず勝負に出る。勝つにはもうこれしかないのだ。

「危ねえから下がってろ、ナナミ。かかってきやがれ、木偶の坊にチビトカゲ!!」
「むごいこと言ってくれるじゃねぇかッ! けどそんな毒舌もこれが聞き納めだと思うと我輩の眼にも涙。
 それでもファルガイアは回ってるトカ。アデューッ!!」

ナナミを背後に突き飛ばし、覚悟を決めたトッシュに対し、よりにもよってトカが選んだのは青いボタン。
冷気が収束し、胸部から撃ち出され。

トッシュは、気を失った。
241名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 05:43:51 ID:ss6aMoPl
   
242BIG−TOKA SHOW TIME  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/02(日) 05:44:09 ID:PJFedqbA
ただし一瞬だけ、それも味方の手によって。

「ぐげっ!!」
「駄目駄目だあめええ!! 自殺行為なんて、お姉ちゃん、許しません!!」
「誰がいつてめえの弟になった!?」

ビームが直撃する刹那、ナナミが全速力で駆けよって、後ろから襟元を引っ張り、回避させたのだ。
その上避けた今になっても、心配なのかぐいぐい服を引っ張るのでトッシュの喉は圧迫されっぱなし。
不覚にも
何度か意識が落ちかけた位だ。

「どうすんだよ、てめえのせいで俺の作戦台無しじゃねえか!!」
「大丈夫、わたしに任せて!! 最終奥義を使うから!!」
「最終奥義だあ!?」

そのことも合わせて邪魔をしたことを非難するも予想外の言葉を返されるトッシュ。
ふと、彼の脳裏に浮かんだのは師にして、ダウンタウンの皆の仇に成り下がったモンジの切り札。

――紋次斬り。

かって習得できなかったあの技なら、この状況も打開し得る。
ナナミもまた、あれに匹敵する切り札を持つのだとしたら。

「……わかった、任せる」
「うん、ゲンカクじいちゃん直伝の技、見てたまげること間違いなし!」

会って間もない相手だが、不思議とトッシュはナナミの言葉を信頼できた。
何故かはわからない。
無鉄砲なところが似ているからかもしれないと、苦笑して。

「さあ、喰らええええ、必殺!!」
「ちょ、必殺!? 必ず殺すと書いて必殺!?
 ミミズだって、オケラだって生きているから超カッコいいんだトカ!!
 だから命を奪うのは超かっこ悪いってヘルプミー!!」

文字通りたまげることとなった。

「超絶荒唐無稽花鳥風月百花繚乱竜虎万歳拳!!」

ちょええーっと、ポーズを決め、はったりだと丸わかりな技名を叫びつつ、殴りかかると見せてUターン。
ナナミは唖然とするトッシュを無理やり引きずりつつ、撤退を開始する!

「こら、ナナミ! 逃げんな、あいつをまだ叩き斬っていねえだろ! っつうか、喉、喉締まって!!」

「古人曰く、逃げるが勝ちとかそうじゃないとか!!」
「それは我輩のセリフって、に、逃げるトカ? 諸君らが愛してくれた我輩ですぞ」
 口笛吹いて、空き地に行ったとしても我輩ほど、ビックリするような英雄好漢とはもう、逢えないやもしれませぬぞ!」

ハッタリをばっちり真に受け、両の手で眼を覆い及び腰になっていたトカ。
勿論両手を眼を隠すことに使っていれば、魔導アーマーの操縦はできないわけで。
気付いた時にはもうナナミ達の姿は小さく、それでも諦めきれずに未だ使ったことの無いボタンをポチリ。

が、何も起こらない。

「何故にいいい!? ここは科学的に禁断の禁断の静寂を破って猛悪と驚異に彩られた破壊の象徴たる最終兵装が現れる場面のはずー!?」

そんなトカの断末魔(?)を背景に、ナナミと不本意ながらもトッシュは見事当面の危機を乗り越え、逃走に成功したのであった。
243BIG−TOKA SHOW TIME  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/02(日) 05:46:54 ID:PJFedqbA
【B-7 草原 一日目 黎明】
【トッシュ@アークザラッドU】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、若干の呼吸困難
[装備]:ひのきの棒@ドラゴンクエストY
[道具]:不明支給品1〜2個(未確認)、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いを止め、オディオを倒す。
1:とりあえずナナミに同行する
2:基本的に女子供とは戦わない。
3:あのトカゲ、覚えてろ……。
[備考]:
※名簿は確認していません。よって仲間が参戦している事を知りません。
※参戦時期はパレンシアタワー最上階でのモンジとの一騎打ちの最中。
※紋次斬りは未修得です。

【ナナミ@幻想水滸伝II】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:不明支給品0〜2個(未確認)、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:とりあえず、あのトカゲからこのまま逃げる。
2:施設を探して、現在位置を確認する。
[備考]:
※名簿は確認していません。よって仲間や弟たちが参戦している事を知りません。
※紋章の一つはフェロの紋章です。他の紋章に攻撃系のものはありません。

【B-6 草原 一日目 黎明】

【C-4 森林 一日目 深夜】
【トカ@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:疲労(中)、尻尾にダメージ小。 科学的な武器ゲエエット!
[装備]:エアガン@クロノトリガー 、魔導アーマー@ファイナルファンタジーW
[道具]:クレストカプセル×5@WILD ARMS 2nd IGNITION(4つ空)、基本支給品一式
[思考]
基本:リザード星へ帰るため、優勝を狙う。
1:他の参加者を殺し生き残る。
[備考]:
※名簿を確認済み。
※参戦時期はヘイムダル・ガッツォークリア後から、科学大迫力研究所クリア前です。
※クレストカプセルに入っている魔法については、後の書き手さんにお任せします。
※魔導アーマーのバイオブラスター、コンフューザー、デジュネーター、魔導ミサイルは使用するのに高い魔力が必要です。
244BIG−TOKA SHOW TIME  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/02(日) 05:50:08 ID:PJFedqbA
投下終了。
深夜にもかかわらず支援感謝。
流石に眠いのか、鬼心法だけで竜牙剣に触れていなかったり、誤字脱字があったりと直後に後悔です。
さて、本題。
ぶっちゃけ魔導アーマーって、出してよかったのでしょうか?
禁止欄には含まれていませんし、自立稼働もしません。
初期型なので倒せる範囲ですけど。
意見、求。
245名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 10:01:35 ID:sIpQ6R4E
投下乙!
なにこの馬鹿トリオww突っ込みが追い付かんわww
ナナミがフェロの紋章って似合わないことこの上ないw

魔導アーマーは全然おkじゃないかなぁ
この描写ならバランスブレイカーとも思えないし
搭乗者が搭乗者だしって気もするけどw
246名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 20:58:13 ID:utjY6TQ2
投下乙!

トカ、遂に念願の科学的武器を手にッw
他の所が殺伐としてるのに、なんという喜劇調www
この3人めっちゃ好きだわw
247名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 21:10:21 ID:8U84RR4L
シリアスな戦いの場面なのになぜかギャグ調w
この折衷で描けるとはGJな作品なんだぜ
248名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 21:13:10 ID:FY8tsqik
投下乙!
科学的な武器をゲットしたトカの今後に期待だな。
しかしそれなのに、こいつらから危機感がまるで感じられないぜw

魔導アーマーについては特に問題ないと思う。
敵として出てきたときもそこまで強くなかったしな。
249名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 03:54:39 ID:dG23gQ4+
良スレ保守
250名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 20:04:27 ID:3Q7pBZgg
よし、話題でもふろう。
今回参戦したゲームで、みんなどれが好き?
俺は幻水の仲間が戦闘で動きまくるのが楽しかったw
251名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 20:43:43 ID:FQhxBCMf
どれと言われると困るくらい好きなゲームが多かったりするが、強いて一つを選ぶならばWA2だな。
WA2をクリアしてから、立派なWA信者になったくらいに大好きだ。あのラストバトルは本当に心が震えたし、何度見ても飽きない。

だが、他のどの作品も大好きだぜ!
作品ラインナップを見ただけでテンションが上がって書き手をやっていく決意したからなw
252名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 23:04:04 ID:gmvSKwEm
俺は幻水2だな
初回プレイ時、攻略法とか見ないでやったら全く仲間が集まらなかったのもいい思い出
レシピとか音セットとかも全然使い道分からなかったし
253名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 01:09:53 ID:LoA0+I0z
甲乙付け難い所だがFF6と言っておく
複数キャラの群像劇という感じや、今までのシリーズとは異なる退廃的な感じが印象的だった
世界崩壊後の仲間集めイベントとかも好き
友の翼得るべく甦るセッツァーとか、愛情を知るティナとか
あとケフカねw まさか奴さんがラスボスになるとは思ってなかった
254名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 16:13:20 ID:h5NQNG4C
クロノと迷ったがFF6かな
この二つは音楽聴いただけで泣きたくなる
255名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 17:19:41 ID:PebXOJLb
ストーリーならLALが一番だな。
もうね、中世編とかガキの頃の価値観を全部引っ繰り返された。

戦闘システムならサモナイ3が一番なんだけどね。
256名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/07(金) 21:36:40 ID:bnMAFOqx
ドラクエ4、初RPGだけに印象強い。
キャラも濃いけどそれぞれのテーマ曲もいいな。
思い出もトラウマもいっぱいだ、あのゲームは。

ぼうけんのしょ消滅、アッテムト、ロザリー死亡の夢……ああ、トラウマ
あとハバリアの近くのほこらのシスターが会話の途中でいきなり殺されるのも怖かった
257創る名無しに見る名無し:2008/11/08(土) 17:11:02 ID:vvOANjza
幻水2はもう完全に信者。ずっとロワに出るのを夢見てたw
ストーリーと音楽ならLALが好き。
キャラの好みならアーク2。ちょこは俺の嫁。
ロリコンでごめんw
258創る名無しに見る名無し:2008/11/09(日) 20:10:25 ID:YoyvgAWs
FE烈火かな?
FEシリーズの初めてプレイした作品だから思い出深い
死んだキャラが生き返らないと言う緊張感はよく覚えてるし余裕が出てからは支援集めに一生懸命だった
259創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 20:17:03 ID:tNyQKFrb
執筆のために再把握してるんだが、まずいw
何度やってもおもろくて、こんまま最後までやりたくなってくるw
260創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 21:09:09 ID:vNcCcfml
気持ちは分かるぜ。面白い作品揃ってるからなぁ。
261創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 12:23:34 ID:pgKjg9zx
FEシリーズはどれも面白いなw
個人的には支援のある作品勢がすき。キャラのつながりがいいぜ!
関係者で見ると、このロワの参加者は見事につながってるよな。
リン、ヘクトル、フロリーナの3人はそれぞれ支援つけれるし、
ジャファルとニノとは支援つき。リンとヘクトルは主人公だから二人との絡みも多少ある。
ニノとフロリーナは支援がついている、と。
結構絶妙な絡み具合だ。エリウッドがいないのもまた(笑)
262創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 18:29:38 ID:4frRZ0dw
何気に支援の多いフロリーナが人間関係的に結構鍵になってるな
彼女がどう転ぶか楽しみだ

なんかヘタレ化の兆候も強く見えるがな!w
263創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 00:17:27 ID:II3B/2I6
烈火は他のFEと違って、冒険ものっぽい雰囲気が好き。
あとは、封印の20年前設定とかも良かったなあ。

そういえば、ヘクトルとニノがいないと、
ロイの理魔法戦力がセシリア先生とクラスチェンジ後のクラリーネだけになるw
あと、闇魔法も下級職から育てられるのが一名だけに……
264創る名無しに見る名無し:2008/11/15(土) 21:25:20 ID:N5u7wNd0
闇魔法のばあちゃんのいる魔法使いを忘れてますよー!
その前にオスティアが没落してしまう気がするけどな。
チャドとかどうなるんだろう…
265創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 13:20:18 ID:lmRV64nh
神将器もって帰らないと完全クリア不可ですな
266創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 20:34:38 ID:8cVWt4A5
やった、やったぞ!
サモナイ3、全面ようやくブレイブクリアだー!!

そんなわけでゲームシステム楽しいな、これ
267創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 22:06:19 ID:ugCUKw4Q
キャラは?!キャラはどうしたの?!
268創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 22:33:29 ID:2NRdmHpC
>>266
クリア乙ー
俺、ラストで止まってるんだ…
269創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 22:58:48 ID:5ntPEvWr
>>266
そのまま、番外編もがんばれ!
270創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 00:48:38 ID:+wMgWX0z
なんかもうロワ関係なくなってるな
雑談の続きはゲサロでやれば?
271創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 19:09:39 ID:ncMer8kP
ロワスレだって雑談していいじゃない。むしろ雑談も何もないと人がいないんじゃないかと不安になる。
とはいえ、ロワに関連した雑談の方がいいとは思うけどね。
272創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 19:59:11 ID:7xb/6QQq
まああれだ。
過疎ロワチャットとか見るに書き手さん方も忙しい時期を突破したようだし、
意外と一気に予約が入るかも知れんぞ?w
273創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 23:38:28 ID:WiVqCwb0
雑談はスレの潤滑油ですぜ
274創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 00:06:09 ID:ncMer8kP
雑談してるスレの方が投下しやすいしね。
275創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 11:32:46 ID:LQBI7i0k
>>265
先生!エッケザックスは当RPGロワの支給品に入れても良いですか?
276創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 21:58:44 ID:SWJcsmz2
設定上はあの人の専用装備だがなんのもんだいもない!
でかい剣として扱ってやれ!

……といいたいところだがエッケザックスがでてるのって封印の剣なんだよな。
ここはデュランダルで妥協してくれ。もしくはマーニ・カティやソール・カティ。
277創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 17:32:27 ID:PdANQ19O
先生!アルテマウェポンはどのような扱いになるんですか?
元気度で威力&刀身巨大化?
278創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 20:40:36 ID:QOvrSRKU
先生!核兵器扱いでグラストヴァインを支給してもryギャー!
279創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 23:22:34 ID:yRt2B7fc
>>277
究極の死亡フラグアイテムとして出してやれ!
武器能力解放=死ぬ間際なのは当然だ!

>>278
某ロワの赤い人みたく使用=死亡ぐらいの範囲攻撃ならありかもな!
やっぱりこっちも死亡フラグだぜ!
280創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 00:03:13 ID:nIGz7tkk
むしろそれならアルテマよりバリアントの方が窮地に使うべき武器だよな……
窮地に立たされたときゴミのような威力のアルテマじゃあ……
281創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 03:37:27 ID:xlZp4cBJ
アルテマよりトードの方が役に立つ不思議
282創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 22:30:31 ID:PqbARPoZ
再把握のためWA2やっててふと気付く。
俺、ずっとカイバーベルトを、カイザーベルトだと思ってたー!!orz
283創る名無しに見る名無し:2008/11/21(金) 22:52:20 ID:AhKAs3Nf
把握のためにゲームやってる人結構いるんだな。
そういう俺もアークをやっているけど。
284創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:23:18 ID:Q7zj6bDR
しばらくは把握のための時間って信じてる。
285創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 20:00:58 ID:TsOXnIqS
予約北
リルカオワタ\(^o^)/
286創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 20:47:57 ID:2RwE884s
ま、また女キャラが脱落するのか!?
どんだけ女性に厳しいロワなんだよw
287創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 23:12:23 ID:RdZBjkVx
いやまて、まだ死ぬとは決まっていないじゃないか!
希望を捨てるんじゃあないッ!
288創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 23:20:33 ID:Lb+mDkSZ
うん、リルカが生き残る未来が見えない…w
だが俺は、へいきへっちゃらって生きてくれるって信じてる!
289創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 23:31:13 ID:H36pJ6ul
そうだそうだ!
みんな、ミネアさんの奇跡を思い出すんだ!
誰もが死ぬ死ぬといったのに、生き残った彼女のことを!
案外今回も次が気になる繋ぎ止まりかもしれないぞ、あの人だし!
290創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 18:32:04 ID:T9cTZsHw
つまりさらに危険な状態に置かれて放置されるんですね、わかります
291創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 19:35:50 ID:hdTU/HcG
>>257
儲の紋章者ですね
292 ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:13:23 ID:zqZNPShc
投下します。できれば支援をばお願いします
293創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:17:57 ID:Xirzg70K
投下支援
294夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:19:21 ID:zqZNPShc
月。
銀色の月。
夜の闇を照らし、人々に安息を与え、導く光。
されど。
月はただ、道を提示するのみで、選ぶのも、進むのもその人次第だ。
天に輝くことはあれど、救いの手を差し伸べることは無い。
そして、今もまた。
無慈悲に、孤高に。
一つの戦いを見下ろしていた。


――黒い風が、また泣き始めた……


そんな月を背に、その男もまた、赤きマントと蒼銀の長髪を揺らしつつ、頂きより睥睨する。
魔王だ。
ブラッドと戦った後、人が集まるだろうと踏み、近場の施設を目指し移動していたのだ。
その考えは的中したようで、彼の見つめる先には男女二人の人間。
魔王は迷うことなく、ブラッドにしたように、再び高みから飛び降り襲撃を仕掛ける。
だが、今度は金の虹を閃かせるよりも早く、氷の刃を煌めかせる。
ブラッドとの戦いは結果的には圧勝したものの、この島に居るものがクロノ達以外も決して無力ではないと男に教えていた。
故に、魔王は使い慣れない刀ではなく、自身の最たる武器――魔力を最初っから躊躇なく振るう。

「アイスガ!!」

つらら程のサイズだった氷が、空気中の水分を凍らせつつ、大木もかくやというまで膨れ上がる。
落下軌道中に撃つには最適だと選択した魔法は、主の期待に応え、重力加速を味方としつつ哀れな標的へと迫る。
果たして……。

情報交換に励みつつ、当面の目的地と定めた遺跡に向かっていたジョウイとリルカが、襲撃に気がついたのはほぼ同時だった。
真の紋章が輝き、宿主に警告を発する。
クレストソーサーとしての経験が魔力の急激な収束を捉える。
瞬時に、互いに危機を知らせようと口を開きかけ、目が合ったことで相手が気付いていると判断。
リルカは転がるように左に、ジョウイは大きく後方に跳び、その場を離れる。
直後、降り注ぎしは巨大な氷塊。
あと1秒でも退避が遅れていれば、取り返しのつかないことになっていたのは明白だった。
いや、過去形にしていいものでは無い。
襲撃犯と思われる男もまた、地に降り立ったのだから。
295創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:22:51 ID:npU2//Rg
296創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:23:03 ID:PwoKs6vw
297創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:23:16 ID:m15BmHqJ
298夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:23:39 ID:zqZNPShc

上手いやり方だとジョウイは舌を打つ。
翼なき人の身では、空において逃げ場は無い。
高所からの奇襲は相手の虚を突き確かに有用だが、万一発覚すればたちどころに自分が不利になる。
それが分っていたからこそ、この男は自身の放った氷柱を盾としても併用したのだ。
森の木々のせいで、頭上が見えなかったことも痛い。
逆に男は邪魔な木を氷が粉砕したことで、無傷で地に足を下ろせる。

「いった〜、いきなり何すんのよッ!!」

口ではそういいつつも、リルカもわかっているのだろう。
両手でしっかりと構えたワルキューレの矢先は、青髪の男へと向けられていた。
ジョウイもワルキューレと交換した回転のこぎりをいつでも起動できるようにボタンに手を添えながら、男を注視する。
やはりリルカ同様、額と両手には紋章は見当たらない。
代わりにとばかりに眼を惹くのは、先端を尖らせ、細長く横に伸びた特徴的な耳。
ジョウイは相手の一挙一動に注意を配りつつ口を開く。

「その耳、あなたはエルフ族、ですか?」
「ノーブルレッドッ!?
 嘘、マリアベル以外滅んだんじゃないのッ!!」

奇しくも、リルカもまたその耳の形状に思い至ることがあったのか、声をあげる。
聞いた話では、マリアベルとは、吸血鬼の少女らしい。
そういえば、リオウの仲間にも一人いたみたいだが、耳は人間と変わらなかったはずだ。
内心首を傾げるも、答えを待つジョウイ。
先刻の攻撃から、相手が殺し合いに乗っているのは承知している。
それでも、情報は重要だ。
例えば、ジョウイの考察通り彼がエルフなのだとしたら、人間嫌いな彼らだ。
襲撃してきたこともわかるし、利用する方法にも繋がる。

果たして襲撃犯の返した答えは、二人の予想とは異なる、否、予想し得ないものだった。

「魔王……。オディオとは違う、されど、貴様たちに死を与える者だ」

名簿にも示されていた名前。
訳がわからないと、数分前に二人して首を捻った名を冠する男は。
話は済んだとばかりに素早く踏み込み斬りつけてくる。
狙いは魔王にとって手前に位置するジョウイだ。
かくして戦いの火蓋は、切って落とされた。

ギャリギャリと、ギャリギャリと。
異音と共に、刃は回る。
リルカから聞いたチェインソウという別名や外見から、火炎槍の一種かと踏んでいたが、槍よりもむしろ、剣に近いらしい。
もっとも、扱いやすさに関しては、かなり癖が強いようだけど。
バランスの紋章の助けもあって、ジョウイは振動に引きずられることなく、回転のこぎりを振るう。
幸い、相手の武器との相性は良い。
切断する際手前にスライドさせて、力の向きを切断物に対し直角からそらして加えてこそ、最大の切れ味を発揮する刀では、
常に刀身が回転し続ける回転のこぎりで受け止める限り、その斬撃は上手く決まりはしない。
邪魔な木も、用途に添うのこぎりの刃を止めれるわけもなく、切断され、障害足り得ない。
加えて、数の利もある。
299創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:23:52 ID:npU2//Rg

300創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:24:10 ID:NAYn5qjG
支援
301創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:24:24 ID:PwoKs6vw
302創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:24:44 ID:m15BmHqJ
303創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:25:14 ID:npU2//Rg
304創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:25:35 ID:D4k1PRDP
 
305夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:25:47 ID:zqZNPShc
「ええいッ!!」

刃零れを恐れ、直接打ち合うことを避け後退した魔王に、矢が射られる。
リルカだ。
情報交換時に渡したワルキューレを彼女は不慣れながらも頑張って物にしていた。
命中率自体はまだやや低めではあるが、援護のタイミングに関しては申し分ない。
元々彼女が得意としていた魔法は主に単体を狙い撃つ物。
クロスボウという武器の特性上、次弾の装填までに間が開くという欠点もなんのその。
精神力ことフォースに魔法の発動条件を左右されるクレストソーサレスは、射ちどころを弁えている。
前衛ジョウイ、後衛リルカ。
即席ながらも中々のコンビネーションだった。
並大抵の人物では、徐々にだが、押されていったことだろう。

この場では無意味な仮説だ。

運が悪かった。
男は一つの世界、一つの時代を震撼させた魔王なのだ。
どれほど即席としては優れていても、装備等が万全の状態とは言い難い二人に、太刀打ちできるものでは無かった。

「魔蝕の霧よ……。黒き風に乗りて、全てを蝕め……」

身を穿たんとした矢を切り払い、魔王が力ある言葉を発する。
刀を持たぬ左手に集うは、人には稀にしか発現せぬ冥府の力。

「ダークミスト!!」

圧倒的魔力により編まれ、収束していた魔の霧が、吹き出し、拡散し、獲者達を包み込む。
爆発するわけでも、氷結させるわけでもなく、表立って脅威とはとれない霧は、しかし、ジョウイとリルカの体力を早急に吸い上げて行く。
よく見れば、彼らの周囲の木も朽ちて枯れ果てていた。

「くっ!!」
「嘘、でしょ……」

霧に侵され、立つだけの力さえ失ったリルカが崩れ落ちる。
ジョウイもまた、倒れてこそはいないものの、剣を地に突き立て、杖代わりにして、膝をつかないので精一杯だった。
一撃。
たったの一撃で勝敗は決したのだ。
306創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:25:54 ID:PwoKs6vw
307創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:26:53 ID:npU2//Rg

308夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:27:10 ID:zqZNPShc

「ほう? ちっぽけとはいえ魔力に耐性があるか。ふむ、あの男のように一撃とはいかぬか」

くっくっく、と笑みを浮かべ、止めを刺さんと魔王は歩を進める。
言に反して不満そうには思えない魔王の様子に、ジョウイは理解した。
同じだ、と。
この男もまた、ルカ・ブライト同様、虫けらでも潰すように、指一本、魔法一つで、幾多もの命を奪い続けてきたのだと。
そのことを責める資格はジョウイにはない。
どんな大義名分があろうとも、彼は己が勝手で、終わらせれるはずの戦争を長引かせ、直接手を血に染めもした。
だから。
魔王の言葉に覚えた引っ掛かりを問うたのはリルカだった。

「あの男って……。あなた、まさかッ!!」

甘いと自覚しつつも、友のことでないことを心のどこかでほんの僅かにジョウイは祈る。
決着はこの手でつけたいからと言い訳して。

――その願いは幸か不幸か叶うこととなる

「御名答、とでも言っておこうか? ああ、私は既に、一人殺しているぞ。あの男」

傍らの少女の仲間を犠牲として。

「ブラッド・エヴァンスを!!」
309創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:27:22 ID:PwoKs6vw
310夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:28:09 ID:zqZNPShc
え?
告げられるはずの無い、告げられてはいけない名前に、リルカの思考は一瞬の白き闇に覆われる。
ブラッド。
ブラッド・エヴェンス。
戦闘能力に関してなら、ARMS最強とさえ言われる人物。
力だけではない。
冷静な判断力と、静かなれど熱い心を併せ持つ男。
その彼が。
死んだ?
眼の前の魔王に、殺された?

「そ、んな。そんなのって、ないよ。ブラッドだよ?」

前にも、こんな気持ちになったことがあった。
リルカは思い出す。
あれはオデッサの作戦を阻止するため、エネルギー供給施設を破壊しに行った時のこと。
ブラッドは、作戦を成功させるために、自ら死地へと向かった。
悲しかった。
そうなってしまったのは、ブラッドにそんな役目を負わせてしまったのは、敵の策略に嵌りリルカ達が彼を疑ってしまったからで。
みんなで後悔して。
それでも、前に進もうとアシュレーを始め頑張って。
咄嗟の機転で生き残っていた彼に助けられ、再会できた時、すごく、すごく、嬉しかった。
なのに。

「そうだよ、今回だって、あの時のようにさ。死んだと見せかけて、おいしいところでわたし達を」
「ヤツは死んだ! 弱き者は虫ケラのように死ぬ。ただそれだけだ……」
「なんでッ!! どうしてッ!! 魔法は何でもできる力なのに。それ程の魔力を持ってて、魔法をちゃんと使わないのッ!!」

リルカは声を荒げる。

――魔法はね、ちゃんと使えば、何でもできる力なんだよ

もうこの世に居ない、憧れる姉の言葉と、自分の想い。
大事な、大事な、二つを胸に。
男もまた、姉を失った存在だとは知りもしないで。

「……何でも、できる力?」

魔王の表情からは一切の笑みも余裕も消えていた。
ただただ、地下深く煮えたぎるマグマのような、暗くも激しい怒りが浮かんでいた。

「ならば、何故、私は、俺は、姉一人救えなかった!! そうだ、何もできはしない。魔法は、何も与えてはくれなかった!!
 魔法技術が発展していたからこそ、魔神器が作られ、ラヴォスから吸い上げた力に、母は魅せられ豹変した!!
 魔力が高かったからこそ、姉はラヴォス復活に利用され、使い潰され、あらゆる時からも姿を消した!!」
311創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:28:43 ID:D4k1PRDP
 
312創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:29:00 ID:PwoKs6vw
313創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:29:29 ID:npU2//Rg
314夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:29:48 ID:zqZNPShc
 
魔に魅入られた女王ジールは葬り去った。
星に寄生し、その命を喰らい進化し続けたラヴォスにすらも、クロノ達の力を借りてとはいえ復讐を果たせた。
絶大な力。
人の身でありながら魔族をも統べる強大な魔力。
優しい母も、最愛の姉も、取り戻すことの叶わなかった、無意味な力。

泣いているようだった。
一人は寂しいと悲鳴をあげる子どものように、普段の彼からは考えられぬほどに喚き散らしていた。
自身でも、情けないと思いつつも、魔王の激昂は収まらない。
リルカの訴えも、やむことは無く。
姉を魔法に奪われた二人の人間は、されど逆の位置に立ち、互いに一歩も退かなかった。
口を使っていてはどこまでも続く、平行線だ。
口論の終わりが、暴力により訪れるのは当然の帰結だった。

「魔法はなんでもできる力? ふざけるなっ!! 魔法など壊し、殺し、奪う。ただそれだけの力なのだ!!」
「違うッ!!」
「黙れ。貴様は、実に耳障りだ!! 爆ぜろ、薄汚く肉片を撒き散らしながら!! 久遠の闇に抱かれて!!」
「いけないっ!!」

自分が眼中になく、リルカを狙う魔法が放たれることを察したジョウイが、デイパックより引き抜いた一本の剣を魔王に投げつけるも。
破れかぶれの一撃は、魔王を捕らえることは無く、金色の虹の一閃と共に弾き返される。
迂闊さを呪い、半身を逸らすことで剣を回避するも、助かるのはジョウイのみ。
地に両手をつき、伏した上半身を起こした状態であったリルカの前には、漆黒の宝玉が顕現していた。
違う、物質ではない。
高密度に圧縮された魔力の渦だ。
リルカに接触し、砲丸ほどの大きさのある球が震える。
拡散させることなく貯め込んだ力が、衝突の刺激で臨界点を超え、一気に暴発する!

「ダークボム!!」
「う…………あ、…………」

悪魔が翼を震わせるかの如き爆音が響き、餌食の断末魔さえをも喰らう。
小さな少女の身体は、血肉を欠けさせながら、襤褸雑巾のように吹き飛び、ジョウイの頭を超えて行き。
枝葉を折り、鈍い音を響かせ、地へと墜落した。

「フン。我が前に立ちはだかる者は一人残らず消す。貴様にも聞こえるだろう。黒い風の音が……」

死人に口なし。
ようやっと心を乱すパルスを遮断した魔王は、次はお前だとジョウイに刃をかざす。
315創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:30:12 ID:PwoKs6vw
316夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:30:54 ID:zqZNPShc

「そうだね。君の……言う通りだ、魔王」

リルカに魔王が気を取られているうちに貯め込んだ体力を振り絞り、ジョウイは立ち上がる。
死を、受け入れたのではない。
生を諦めていない証拠に突き出すは右の腕。
手の甲に刻まれしは、先刻投擲した剣に似た赤黒い紋様。
リルカには、武器攻撃力が上がる物だと説明していたそれこそが。
世界の根源を司ると推測される真の27の紋章のうちの一つ。
始まりの紋章が片割れ、黒き刃の紋章。

「魔法は、紋章術は。どれだけ強力でも、決して万能なんかじゃない」

その強さがあれば、全てを守れると思った。
ルカ・ブライトを利用し、一国の王にまで登り詰めた。
そこまでして尚、次々と、掌から零れ落ちるのを、止めることはできなかった。

「ピリカの両親や、ナナミ、シードにクルガンを生き返らせられはしない」

ジョウイの力では、無理だ。
失ったものは、二度と手には入らない。
ジョウイ自身の力、では。

――どのような薄汚い欲望でもよい。何でも望みを叶えてやる
  
魔王オディオはそう言った。
ナナミに関しては、危機一髪で、治療が間に合ったという考えも捨てきれない。
だけど、ルカ・ブライトは違う。
この眼で死体も確認したのだ。
狂皇子は、死んだ。
死んだはずの名前が、名簿にはあった。
死者蘇生。
誰にも不可能だと思っていたことを、軽く成し遂げたあの魔王の力なら。

「それでも、だからこそ。ぼくは、平和な世界を作ってみせる」

ジョウイは賭けた。
オディオに、彼の力に。
チップは、自らの命。
配当は、自分以外の他の誰もの幸せな明日。
ゲームの種目は、バトルロワイヤル。

「その為にも。まだ……、死ねない!!」

獣の紋章を抑える為に酷使した黒き刃の紋章。
後、どれだけ反動に耐えれるかは分らない。
リルカを見捨てず、自身が逃げづらい前衛に立ってまで、封じていた文字通り最期の切り札。
切り札足り得る、最強の破壊の力。

黒き刃が歓喜の声を上げ、紋章が光を得る。

出し惜しみはしない。
まずは、この危機を切り抜ける。

魔王も直感から紋章を脅威と見なし、数度目の魔法を唱えようとして。
317創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:31:44 ID:D4k1PRDP
 
318創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:32:14 ID:npU2//Rg

319夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:32:21 ID:zqZNPShc

「万能じゃ、ない? 当然、だよ。一人で、全部できるわけ、ないじゃない」

闇と黒は、形を得るよりも早く、赫き風に祓われた。

「魔法はね、誰にでも使えて。そして――何でもできる力」

ジョウイは目を見張る。
魔王さえも、驚愕していた。

「クレストソーサーなんかじゃない。紋章術とかいうのとも多分違う。
 誰しもが、持ってる、その人にしか、できないこと」

赤、紅、朱、赫、あか、アカ、AKA。
世界は赤一色に埋め尽くされていく。
禍々しいまでの赤、毒々しいまでの朱。
具現化するまでに濃密な、魔力の奔流。

「わたしなら、失敗しても、躓いても絶対にめげないこと。それが、魔法。そう、誰にだって、できることはあって。だったら……」

そんなあかい世界を引き連れ、中心に佇む少女は。
リルカ・エレニアックは。

「みんなで、なら。わたし達は、なんだって、できるッ!!」

狂い咲く血の色に染まることなく。
瞳に凛然とした意思を宿し、お陽様のような笑みを浮かべて。
言い切った。
彼女がARMSで見つけた、彼女の答えを、彼女の魔法を。
勝者が一人しかいない、バトルロワイアルを否定する言葉を。

「リルカ、無事だったんだね」
「うん、わたしを助けようと、ジョウイが投げた剣のおかげでね」

我に返り、やっとのことで話しかけたジョウイに、リルカが掲げるのは、確かに覚えのある武器だった。
しかし、同時に、全く知らない剣へと変化していた。
力だ。
不吉な形ではあるものの、支給品をチェックした時は何の変哲もない剣だったそれは。
今や、赤きオーラを纏った、一本の魔剣と化していた。

「だから、今度は、わたしが、助ける」

ミスティックにより強引に本来の力を叩き起こした紅の暴君――キルスレスを手に、リルカが庇うように前に立つ。
320創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:32:42 ID:PwoKs6vw
321創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:33:29 ID:PwoKs6vw
322創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:33:58 ID:D4k1PRDP
 
323夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:34:10 ID:zqZNPShc

「ジョウイは、逃げて」

言いつつもリルカは魔剣に意思を通わす。
ミスティック。
リルカ達の出身であるファルガイアにおいては、強い意志や想いは精神論だけではなく実際の力として具現化して現われやすい。
裏を返せば、心を持たない機械や道具は、設定数値以上の力は発揮できないということだ。
その限界を突破させる技巧が、ミスティックだ。
自身のフォースを分け与えることにより、あたかも道具が意思を得たかのような状態にし、秘められた力や規定以上の能力を引き出せるのだ。

リルカが魔剣にミスティックをかけたこと自体は偶然だった。
死に至る傷を負ってさえ、生を諦めなかった少女は、地を這い、なんとか前へと進もうとした。
その手が、自身と同じく魔王の手により打ちつけられた魔剣に触れたことも偶然。
クレストグラフを必要としないミスティックに全てを託したのも偶然。
キルスレスが刀身に担い手の心を乗せるという構造上、フォースが浸透しやすかったことも偶然。
契約者を失った剣が、紛い物でもいいと、リルカを生かそうとしたのもまた偶然。
だがしかし、それら全てはリルカが生きて護り抜こうと足掻いたからこそ起きた必然也。

――奇跡は待つものではない。奇跡は、自分の手でおこしてこそその価値があるのだ

うん、忘れてないよ、アーヴィング。
リルカの意のままに、キルスレスより光が漏れ、ジョウイへと注がれる。
赤き波動がみるみる失われた活力を補っていく。

「力が、戻ってくる?」
「真紅の、鼓動。ジョウイも癒せるよう、範囲を広げてみたんだ。これで、もう、走れる、よね?」
「リルカ。それじゃあ、君が……」
「あ、その、わたしは、へいき、へっちゃら、だよ?」

不安を顕わにするジョウイに笑って誤魔化すも、リルカは既に限界だった。
宿主を生かそうとする剣の力で、ぎりぎり死の淵より戻って来れたに過ぎない。
気を抜けば、そこで終わり。

「おっきいの、撃つから。離れていてくれないと巻き込みかねないんだ」

間違ってはいない。
でも、正しくもない。
知識とともに剣より流れ込む破壊の意思。
万一乗っ取られたら、危害をジョウイにも加えかねない。
それに、自分を責めてほしくもなかったから。

――壊せ、殺せ、破壊しろ、我らと同じ苦しみを、肉を削ぎ落される痛みを、焼き払われる恐怖を、踏みつぶされる嘆きを、与えろ、あらゆる命……。

念が、途切れる。
魔剣から引き出していた力もだ。
ミスティック一回ではこれが限界。
剣もそのことを理解しており、僅かな時間で己が全ての知識と意識を一遍に流し込もうとする為、リルカが受ける負担は常の伐剣者以上のもので。
只でさえ、適格者ではない少女の心は急速に蝕まれていく。

「……わかった」
「あ、それと、これ、持ってって。わたしが剣、持ってっちゃうし」

耳につけていたキラーピアスを外して渡す。
接近戦をこなせるジョウイなら、きっと役立ててくれると信じて。
軋む心を押し込め、リルカは、笑う。

「元気があれば、何でもできるから。ジョウイは、ジョウイの、魔法を見つけてね」
「後で、返すから。無事でいてくれ」

身を翻し、背を向け、駆けだすジョウイを見送る。
324創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:34:32 ID:npU2//Rg
325創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:35:03 ID:PwoKs6vw
326夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:35:11 ID:zqZNPShc

「逃がしはせぬ!!」

黙って見過ごすほど、魔王は甘くは無い。
リルカのミスティックよりも早く、新たな魔法を詠唱。
凝縮された魔力のうねりは疑似的なブラックホールと化し、強力な引力を発生。
逃走しだしたジョウイを笑うかのように、引き寄せ、リルカともども飲み込む……筈だった。

「な、に?」

中空に浮かんだ黒き点が消えていく。
魔王が制御していたはずの魔力は、集うことなく虚空へと散開して行く。
その有り得ない現象を前にして、流石の魔王も、いや、魔王だからこそ困惑した。
これまで魔力の扱いで、彼が失敗したことは無かったのだから。
正気に戻った時には、もう遅い。
ジョウイの姿は刻一刻と小さくなり、3度ミスティックで魔剣を始動させたリルカが立ちはだかっていた。
魔女っ子は魔王へと告げる。

「『魔法』……見せて、あげるよ」

再度、赤き風が吹きすさぶ。
現実に、リルカの心に。
ある一つの島で起きた戦争における犠牲者達の憎悪や怨念が寄り集まり生まれた存在――ディエルゴ。
人一人が抑えるには強大すぎる彼の者を受け止める覚悟をする。

「……――ス」

島一つがなんだ。
リルカは知っている、世界一つの負の感情を取り込み育った焔の魔神に負けることの無かった、一人の青年を。
彼が味わった辛さに比べれば、このくらい。

――へいき、へっちゃらッ!

「――セス」

ずっと、見てきた。
好きだったから。
大好きだったから。
だから、唱える。

「……クセスッ!」

ホクスポクスフィジポスが、元気が出るおまじないなら、それは、立ち向かう勇気の出るおまじない。
人を好きになった証。
自分も好きになれた想いの結晶。
届くことはないけれど、抱いてよかったと思える一つの魔法。

「アク、セスッ!!」

――アシュレー、お姉ちゃん、見ていて。わたしの、魔法を

閃光。
紅が、爆発した。
327創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:35:29 ID:D4k1PRDP
 
328夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:36:22 ID:zqZNPShc

魔王にとって、今夜ほど数多も驚いた夜は無い。
眼を焼く光が晴れ、視界を取り戻した時、敵対する少女のみが様変わりしていた。
各所に彩られていた魔力のアンプは光臨を為し、羽織っていたマントは、魔力に耐えきれず、ずたぼろになり、マフラーのように靡いている。
代わりとばかりに白く変色しほどけた髪は、背を覆い隠さんとするまでに伸び、眼の色もまた真紅へと移ろっていた。
最たる変化は、右腕だ。
血のような赤い色に縁取りされた黄金の剣。
棘の付いた大小二つの輪と連なったその剣は、少女の細腕から伸びていた。
融合、しているのだ、剣が、リルカと。
外見だけではない。
リルカに満ちる魔力は、魔王のそれと比しても、上回るまでに膨れ上がっていた。

「剣の……魔女……」

自然と、魔王の口から零れ出る、呼び名があった。
伐剣者、いや、敢えてこう呼ぼう、抜剣者――セイバーと。
ある王朝の言葉にて、救い、切り開く者の意を冠した本来の名を知らずとも、見る者にそのことを呼び起さす何かが、今のリルカにはあった。

「そんなんじゃないよ。わたしはリルカ。エレニアックの、ううん、ARMSの魔女っ子、リルカ」

首を横に振り、否定するリルカ。
本格的に抜剣し、覚醒したことで、彼女を襲う圧迫は、力を小出しにしていた時とは段違いのものになっていた。
思考領域を次々と冒されていく。
それでも、分っていることはある。
わたしは『戦える』ということが。

この『痛み』も『姿』もわたしが手にした護る為の『力』なんだ。

「認めん!! 俺は、認めんぞ!! 貴様も、貴様の魔法も!!」

魔王の身体は、震えていた。
かって、海底神殿でラヴォスに魔力を吸われ、敗北した時のように、恐怖で。
果たして、彼が本当に揺さぶられたのは、その身体なのだろうか?
心が。

――どうか母を、この国を…… 憎まないで……

心が、大切な誰かの最後の言葉を思い出してしまったからではないのだろうか?

「や……、やられぬぞ俺は……!貴様に、だけはああああああああ!!」

自らの全てを否定する敵を前にして、魔王は持てる最大の魔法を紡ぐ。
天に白きトライアングル、地に黒き正三角形を。
回転し、折り重なる果ては、六芒星。
召喚するは、命許されぬ冥界。
現世と冥府、この世とあの世を入れ替える、禁忌中の禁忌。

「ダーク、マターーーァァァァァアアアアアアアアアアア!!」
329創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:36:35 ID:npU2//Rg

330創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:37:00 ID:PwoKs6vw
331夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:37:09 ID:zqZNPShc
リルカも、遺跡も、下手すれば僅かに背が見えるジョウイをも巻き込み、ウツツを噛み砕かんとする、地獄のアギト。
迎え撃つは、ツルギ。
どれだけ莫大な魔力でも、束ねられなければただの有象無象に過ぎない。
固められることのない砂は、風の一吹きで軽く飛ばされる。
リルカの手に、その為の道具であるクレストグラフは無い。
残っているのは、我が身のみ。
故に少女は、暴走召喚の手順を応用し、己を媒介にして、過剰なまでに力を集わせる。

「オーバーヒート」

イメージする。
一人、核兵器ドラゴングラストヴァインに立ち向かった大好きな人の姿を。
束ねる、拡散しようとする魔力を、自身の周りに。
いつしか少女の内から吹き出そうとする魔力は、一つの形を成していた。
闇を切り裂き、天高く舞う、不死鳥の形を!

「――ファイナルッ」

リルカは地を蹴り、フォースの影響か、金色を帯びた赤き鳳凰の嘴たる魔剣を閉じ逝く世界に突き立て、トリガーを弾く。
空気を送り続けた風船に、最後の一押しを。

「バアーストォォォォォォオオオオオオオオオッ!!!!!!」

刹那、限界までに器を満たした魔力が、遂に、行き場を無くし、破裂した。



綺麗な、空だった。
月が輝き、星が躍る、綺麗な、空だった。
でも、やっぱり、お陽さまが、いいな。
仰向けに倒れ込みながら、リルカは思う。
魔王の姿も、彼が呼び出した闇も、生い茂っていた木々も、どこにもない。
空が見えたのは、こういうことか。
ちょっと、やりすぎちゃったかな?
少し、遠くを見る。
遺跡はやや外壁が崩落しているものの、無事だ。
これなら、ジョウイも多分、大丈夫。
ブラッドだって、信じるって決めたんだから、最後まで、生きてるって信じよう。
……わたしは、ちょっと、だめみたいだけど。
崩れゆく中、リルカは謝る。
ごめんね、みんな。
みんなでいっしょに帰ろうって約束、今度は、わたしが破っちゃいそう。
テリィ、受験、受けられないや。

――もう逢えないことよりも、みんなに出遭えたことが嬉しい

思い出の中から囁かれるその言葉に、リルカは頷けない。
無理だよ、アーヴィング。へっちゃらじゃ、ないよ……。
誰かを護れたことが、嬉しくて、嬉しくて、

「……ああ、死にたく、ない、なぁ」

アシュレーや、みんなに会え、なくなることが、す……こし、だけ、悲しい……。

天へと伸ばした少女の手は、何を掴むことなく、誰にも掴まれることなく、遅れてきた黎明の光の中、砕けて、消えた。




【リルカ・エレニアック@WILD ARMS 2nd IGNITION 死亡】
332創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:37:19 ID:D4k1PRDP
 
333夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:38:01 ID:zqZNPShc



「すまない、リルカ……」

少女の嘘を見抜けないほど、ジョウイは愚かでは無かった。
殿を務める形になった少女は、もうこの世に居ないだろう。
何度も、何度も、繰り返した光景だった。
ハイランドの王であるジョウイ。
彼を先に進めるため、理想に殉じた何万もの兵が散っていった。

そして、今日も、また一人。
彼を庇って、少女が、死んだ。
無駄には、しない。
ジョウイは誓う。

「ぼくにしか、できないこと」

王として、戦争の無い平和な世界を作ること。
誰もが笑っていられるそんな、理想の世界。
成程、確かに、『魔法』だ。
魔法でもなければ、叶えられない。

同行者は失ってしまったが、手に入れたものはある。
リルカから得た情報、特に異世界の実在。
そして、この眼で見た魔王の脅威。
あの男は、紋章も、クレストグラフという道具も持っていなかった。
なのに、術を使えていた。
どうやら自分の常識に縛られていては、命を落としかねないようだ。
やはり、まず必要なのは情報――つまり

「みんなの、力か」

今回は失敗してしまったが、当初の方針に間違いは無かった。
魔王に取り入るという手もあったが、ああも表立って殺し合いに乗っている人物のもとに居ては、人も情報も集められない。
ルカにぶつけられれば、互いに深手を負わせられたかも知れないが、その状況では間違いなくジョウイも煽りをを受ける。

「あの二人が減らしすぎないうちに、誰かと合流したいとこだけど」

地図を見る。
ここからなら、名のある施設は、巨木と花園が近い。

「叶えよう、ぼくの願いを。ぼくを信じてくれたクルガンやシード、兵たちの為に。
 ぼくを愛してくれたジルの為に。ぼくを慕ってくれたピリカの為に。
 ぼくを守ってくれたリルカの為にツっ」

突然生じた痛みにジョウイは顔をしかめ、気付く。
キラーピアス。
意図せず握りしめ、右手の肉を抉ったそれを、ジョウイは何も言わず、もう一度強く握りしめた。
334創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:39:52 ID:PwoKs6vw
335創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:40:12 ID:npU2//Rg
336夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:40:28 ID:zqZNPShc
【E-7 南部 一日目 黎明】
【ジョウイ・ブライト@幻想水滸伝U】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(中)、右手のひらに切り傷
[装備]:キラーピアス@ドラゴンクエストIV 導かれし者たち、回転のこぎり@ファイナルファンタジーVI
[道具]:ワルキューレ@クロノトリガー、ランダム支給品0〜1個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:更なる力を得て理想の国を作るため、他者を利用し同士討ちをさせ優勝を狙う。(ルカや、魔王といった突出した強者の打倒優先)
1:利用できそうな仲間を集める。 花園or大樹に向かう?遺跡方面(南西)から離れる。
2:仲間になってもらえずとも、あるいは、利用できそうにない相手からでも、情報は得たい。

[備考]:
※名簿を確認済み。
※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所で2主人公を待っているときです。
※リルカと情報交換をしました。ARMSおよびアナスタシア、トカ、加えて、カイバーベルトやクレストグラフなどのことも聞きました。
※魔王のこともあり、紋章が見当たらなくても、術への警戒が必要だと感じました。常識外のことへも対応できるよう覚悟しました。


遺跡。
古き時代の遺産。
過ぎた歴史だけを、奉じられた死者だけを友とし、生きる者を拒んでいたその最下層で瓦礫を押しのけ蠢く影があった。

「魔王が魔法に討たれるか……。それもそれでおもしろいと思ったのだがな」

ダークマタ―を消し飛ばされた時、ふと、姉の、サラの姿が魔王の脳裏に浮かんだのだ。
クロノ達は、いわば正義の味方だ。
時を旅する力を、遅かれ早かれ悪用されないよう、廃するだろう。
そうなれば、誰がどことも知れぬ次元の彼方に消えた姉を助けることができようか?
魔王をおいて、他には居なかった。

「フン。マジックバリアが間に合ってさえ、この様か」

致命傷さえ負わなかったものの、魔王は衝撃に吹き飛ばされ、何層もの床を破って地下へと落ちていた。
状況を把握した途中からは、自ら進んで魔法で床を壊し、着地時もダークボムの爆風で速度を緩めたとはいえ、ダメージは大きい。
もっとも、あれだけの威力だ。
攻撃に徹していた術者である少女も恐らくは反動で塵一つ残さず消滅しただろう。
四肢が無事なことと合わせて、僥倖だと素直に思える。
上層を見上げる。
天井は、目では確認できないほど上だ。
今からこの身体で地上に帰るのは、一仕事だと判断し、魔王は休息を選ぶ。
流石の彼も、まさか、自身で壊したこともあって、地下50階まで貫通したとは知る由は無かったが。
337創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:41:19 ID:D4k1PRDP
 
338夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:41:40 ID:zqZNPShc

「みんなで、か」

魔王を打ち破ったカエルは、クロノ達多くの仲間と共にいた。
ラヴォスとケリをつけるのに際し、魔王もまた、仲間と共に闘い、一人ではできないこともあるのだと知った。
少なくとも、いくら自分でも、カオスフレアやダークエターナルを、強力なく撃てはしないというぐらいには。

「一時的に他人と組むのも、ありかも知れぬな」

おあつらえ向きに用意されていた豪奢な玉座に身を埋める。
サイズが大きすぎることこの上なかったが、逆に横になるにはちょうどいい。
昂ぶっていた心が、次第に落ち着きを取り戻していく中、ブラックホールが使えなかったことも含め、考える。
姉と再会するという魔法を、魔王として手でなく、彼女の弟であるジャキとして唱える為に。


【F-7 遺跡(アララトスの遺跡ダンジョン50階) 一日目 黎明】
【魔王@クロノトリガー】
[状態]:疲労(大)、全身打撲、瓦礫による擦り傷多し
[装備]:にじ@クロノトリガー
[道具]:不明支給品0〜2個、基本支給品一式
[思考]
基本:優勝して、姉に会う。
1:休息をとる
2:敵を探して皆殺し
3:場合によっては他人と組むことも視野に入れる
[備考]
※参戦時期はクリア後。
※ブラックホールが使用できないことに気付きました

※リルカの死体は砕け散りました。
 遺跡の入口より少し離れたところに、リルカの首輪と基本支給品一式入りのデイパックが落ちています。
 イヤリングは死体とともに消滅しました。
 紅の暴君も地に突き刺さってはいますが、ミスティックの効果が切れている為、ただの剣です。
 尚、イスラが死亡後参戦な為、彼との契約は切れています。再契約は可能かと。
※F-7中央部の森林が、度重なる激闘の余波で消滅しました。荒れ地になっています。
339創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:43:07 ID:PwoKs6vw
340創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:43:12 ID:npU2//Rg

341夜空  ◆iDqvc5TpTI :2008/11/25(火) 01:43:49 ID:zqZNPShc
投下終了。
支援してくれた方、ありがとうございます。
リルカの死は予想通り過ぎたようで申し訳ない。
べ、別に女性だからって殺したんじゃないんだからね!
342創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:43:49 ID:D4k1PRDP
 
343創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 01:44:43 ID:PwoKs6vw
344創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 02:04:04 ID:t9txNLp9
投下GJ!
うわあああああ!リルカァァァァァ!!!
マーダー二人も、心境にちょっとした変化がってこれからどうなるか期待が広がるね。
ワイルドアームズからは初の死者か。
アシュレーやブラッドにはここから頑張って欲しいところだ。
345創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 02:17:29 ID:YTlwCBiL
投下乙! リルカァァァァァ!!!
本当に薄幸だなリルカw 原作でもアシュレー取られるしw
しかし大規模バトルは素晴らしい! 燃えに燃えさせていただきました。
しかも森林消滅とか……魔法バトルがダイナミックなのは、このロワらしいですね。
リルカの命を賭けた一撃でも死なない魔王ヤバいw仲間のときはあんなに頼もしかったのにw
ジョウイもリルカに感化されて、今後の活躍に期待が持てます。
綺麗な文章と素晴らしい原作・前話把握能力による傑作、見事でした! GJ!!!
346創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 09:35:10 ID:trXxA6vG
投下乙!
予感はしていた。していたが、リルカがぁッ!俺の嫁がぁッ!
だが、まさかの抜剣覚醒にファイナルバーストと、これだけカッコよく散っていくとは思わなかったぜ。
それでも生きてる魔王マジやべぇ。こいつが他のマーダーと組んだらと思うと恐ろしい…
347創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 18:03:51 ID:83DWa9Jx
投下乙!
まったくよう、どいつもこいつも戦死者が出ただけで騒ぎやが
リルカァァァァッッッ!!!

非常に迫力満点且つ楽しみ充実なバトルに大☆満☆足☆な回でした
それにしてもリルカかっこよすぎるぞ。アクセス来たときゃ鳥肌立ったぜ!
マジ惚れ直しですよッ!
今後のジョウイが気になるぞ。そして魔王、コエぇよw
348創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 22:39:43 ID:UvtDzg3U
投下乙
リルカオワタ。なーんて言っても空気的に生き延びるんだろうなぁ
とか思ってたけどそんな事はなかったぜ!

しかし序盤でここまで熱いバトルを書くとは御見事。
これほどインパクトを与えられると早期退場とは到底思えなくなるぜ!
リルカよくやったよ。ジョウイ&魔王の今後にも関わりそう。

そして遺跡ダンジョン50階www
頑張ってワープ装置を見つけるんだ魔王w
349創る名無しに見る名無し:2008/11/25(火) 22:59:19 ID:3/DOeGz1
投下乙
ちょうどリメイクトリガーやってたんで、格好いい魔王が見れてよかった。
ただ切り札のダークマターを早くも見せちゃって、今後の手札が減ってそうなのが心配かも…がんばれ魔王。
まずは遺跡から抜けることを考えなきゃいかんがw アークのアレは鬼畜だからなぁw
350創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 12:46:51 ID:9ypf7Drj
投下乙

お届けもの組はクレストグラフ渡せなかったか。

アーク2単体では50階が限界なんだよね。最下層ってことはこの会場の遺跡ダンジョンはこれより下は無いってことか。

カオスフレアじゃなくてオメガフレアですよ。青の石の三人技は。
351創る名無しに見る名無し:2008/11/27(木) 22:02:37 ID:oX04BEo7
投下乙です。
nice battle
352創る名無しに見る名無し:2008/11/29(土) 23:23:47 ID:9Ocenz8G
ふむ。
感想も落ち着いたし、保守含め雑談でもしておくかw
展開予想にならないよう死人語りでも〜
ティナは生きててもトランスで誤解されただろなーw
353創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 11:38:32 ID:ZT84bhuJ
死者かー。
序盤の割に結構かっこよく散っていくキャラが多い印象がするなぁ。
354創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 17:18:32 ID:FLDGa82+
wikiの死亡者見ると、「加害者無し」ってのが多いよな。
個人的には、最後に戦ってた奴を加害者としてもいい気はするが、どうなんだろう?
結局はそいつらと戦ったせいで死んだわけだし。
355創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 19:49:28 ID:2GBjwEwu
死者といえばwikiでエイラが完全にスルーされてる。空気なのか?

死者じゃないけどエルク(FE)も空気キャラみたいだな。名簿確認したヘクトルとニノに無視されたし。
356創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 21:19:44 ID:JvBnDE2x
FEのエルク……台詞が石田彰の声で再生されそうな魔道士だなw
ニノは支援がないと面識すらないわけだから問題なし
ヘクトルは……一応セーラから紹介は受けてるはずだが、
仮にも大軍のトップの一人、そこまで一人一人把握しきれてないかも。特に縁もないし

そもそもFEはあれだ、自軍同士でも面識すらないって関係が大半だからな
FEの自軍ってゲームではあんなだけど、本当は何百人単位の軍隊らしいし
フロリーナとニノだって支援会話がなかったら縁も何もないし……



……いや待てよ、フロリーナは流石にエルクを覚えてなきゃダメだろw
リン編でエルクと共闘してる。リン編の自軍は所詮傭兵団レベル、規模も小さいし、
それでいくらなんでも面識ないってことはないんじゃ……


あ、でもフロリーナなら仕方ないかw
357創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 22:28:28 ID:n2uyZPUM
FEのエルク、本人参戦してなくてよかったなw
358創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 00:47:50 ID:k4LgxXvP
名前被りといえば、幻水2にシュウもいるな。
結構メイン級だから注意が必要かもね。
359創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 00:55:37 ID:Jon73u5i
フロリーナのネタにされっぷりは異常w
360創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 02:28:23 ID:D8QVjKvX
シュウは確かにw
まあ、幸いにも彼の味方は
・エイラの死に慟哭中
・トカから逃げてて未だ名簿見てない
・お花畑であははははー
だからなw
これからの話で触れればOKだろw
361創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 20:00:49 ID:uhYPo+dU
>・お花畑であははははー

電波な娘みたいな言い方すんなw
362創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 00:42:07 ID:0gwdOY46
ルカ様はシュウの名前は知らなくても大丈夫なんだよな?
知ってたとしても忘れてそうだけどw
363創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 20:26:05 ID:Bi6wznjw
ルカのシュウの認識って
『脆弱な策しか立てれない軍師』
かもしれない。

いや、シュウが「馬鹿な! 智が武に負けるだと!!」とか言ってたから。
364創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 11:32:27 ID:OacsyT/h
でも結局はシュウの策に敗れたわけだし
死後参加だからちょっとは評価してるんじゃないの?
365創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 23:54:59 ID:P5mJVtEc
シュウの策じゃなくジョウイ&レオンの裏切りに敗れたと言った方が正しいかと
366創る名無しに見る名無し:2008/12/08(月) 17:38:36 ID:IHBRianE
現在位置表をはじめ、wikiが更新されてるね。
更新した方、乙!
やっぱり北東の方が激戦区だなぁ。
367創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 01:35:30 ID:bv7wG/Pl
神殿周りすげえよなあwww

368花園に潜む魔物  ◆rfP3FMl5Rc :2008/12/10(水) 04:56:57 ID:FczRLxP6
きゃっきゃ、きゃっきゃと、少女達の楽しげな声が花園に木霊する。
事情を知らぬ者が見れば、それはさぞや微笑ましい光景だろう。
背の高い方、艶やかな黒髪を風に靡かせるがままにしている少女は、
できたばかりの花で編まれた輪飾りをもう一人の人物の首にかけてあげ、ご満悦だ。

「えっへん。思ったとおり、ゴゴさんにぴったり!! 似合うよー」

清楚な外見に反し、ぽややんとした笑みだったが、そこがまた可愛らしいところでもある。

「ありがとー、ビッキーちゃん! じゃあ、わたしからも、はい!」

花の冠と共に返って来た声は、不思議なことにビッキーと呼ばれた少女に瓜二つ。
双子かと一瞬首を捻りがちな程だが、その容姿は似てもつかない。
なのに。
その声は、その雰囲気は。
共に語らい笑い合う少女のそれそのもの。
けれども。
どんなに物真似が生き甲斐でも、ゴゴにはゴゴ自身の心もある。

できればそう、人が多い場所に行きたいとゴゴは思う。
このまま花園で草花のまねをし続けるのも悪くはない。
自ら動くことはないと言われる植物も、時の経過とともに移ろい行く。
何も春夏秋冬といった大きな区別の中でのことではない。
朝、日が射せばそちらに向いて花弁を伸ばし。
昼、絶頂を迎える陽光に歓喜し葉を震わせ。
夕、陰る世界の中その身を休ませ。
夜、光なき闇を背に眠りにつく。
存在する限り変化しないものはない。
故に物真似道に終わりはなく、ゴゴの生の試みは時と場所を選ばない。
……本来ならば。
困ったことにこのバトルロワイアルと呼ばれる催しには時間制限がある。
例えゴゴが最後まで生き残ったとしても、優勝者は元の世界に返されるという。
ゴゴはこの場でも物真似をして過ごすと決めた。
その最後が死か優勝か、はたまた他の結末か。
神ならぬ身ではわかりはしない。
が、一つだけどの最後でも変わらないのは、遠からずこの地を離れるということ。
ビッキーが言うには、あのオディオという男はテレポートを使って自分たちを集めたらしい。
時間をも越える可能性がその能力にはあるとか。
しかも、ビッキーはその力で時をも超えれるという。
彼女の話に出てきた反乱軍や都市同盟のことをゴゴは全く知らないことも踏まえれば、自分と彼女は違う時代の人間、
もっと突飛もない考えだと別世界の人間かもしれない。
ビッキーだけではない。
もしかすれば、この島には、様々な時間や世界から集められた人や物が集っている可能性さえもあるのだ。
この機を逃せば会うことも難しい者達がだ。
そう考えるゴゴの心がじわじわと焦がれてくる。
もっともっと島を動き回って色んなとこを見たい。多くの人と会いたい。
かって打倒ケフカの旅についていったのにも同等の打算もあった。
ティナ達はあの荒廃した世界で唯一の飛行手段を保持し、世界を巡り歩いていた。
一人一人が個性があり、人数も多く、真似し甲斐もあった。
まさに一緒に旅するにはうってつけの人材だったのだ。
一通りは真似しきった人間達だが、さて、普段とは違う環境に置かれた今、彼らもまた別の一面を見せてくれるだろうか?
楽しみだ。
無論、まだ見ぬ者達も興味深い。
未知とはそれだけで尊いものだ。
想像もしえなかった性格や外見、行為を行う者と出会い、彼らの真似をし尽くすことを想像するだけで胸が躍る。
遂に誘惑にゴゴは耐えきれなくなった。
だからこそ、珍しいことに物真似では無く、ゴゴは自らの言葉をもってビッキーに提案した。

テレポートの力で人の多い所に連れて行ってほしい、と。
369花園に潜む魔物  ◆rfP3FMl5Rc :2008/12/10(水) 05:00:29 ID:FczRLxP6

瞬きの紋章。
ビッキーが宿すその紋章の効果は所謂テレポート能力だ。
まさに、この場所から逃げ出すにはうってつけと言えよう。
しかし不安なのは首輪だ。
孤島外は最初から進入禁止エリアなため、外部に転移したところで即爆死しかねない。
ただ、ここで一つ疑問が生じる。
ビッキーのテレポートは普通のそれとは趣を違えている。
彼女は意図してではなく、偶発的にこそあるが、時間転移すら使える紋章術師なのだ。
その跳躍範囲もまたべらぼうに広い。
果たして魔王は時間的にも物理的にもそれほどまでの広域を支配下においているのか?
人によってはこのことから、考察を進めたかもしれない。
しかし、そこはビッキー。

「なんだー。そーゆーことなら、わたしにお任せだよー」

がさごそと取り出したるは一枚の地図。
ちなみにこの二人、マイペースに物真似したり遊んでたりしたため、地図に目を通すのは今が初めてだったりする。
というか、未だに何も決めていないし、支給品すら見ていないのだが、それは置いておく。

すぐにビッキーの目についたのは一つの施設。
お城だ。
ビッキーが直前まで関わっていた戦争でも実に100を超える人物が、都市同盟のリーダーであるリオウのもとに集っていた。
似たような戦いを他にも経験したことのあるビッキーには、お城=人の集まるところという印象ができあがっていたのだ。
よって当然ビッキーが定めた目的地はそこ。
地図上には城は二つあったが、本拠地として居候していたサウスウインドと対を成している北の城に縁稼ぎ込みで跳ぶことにする。

「きっとごちそうも待っているー!」
「うん、そうだねー!」

ついでに、宴会での御馳走を食べようとした途端に、この地に飛ばされた悔しさからの未練もほのかにあいまっていたりする。
そんな
主の意を受けて
輝きだす紋章から、ゴゴは眼を放さない。
ビッキーの特技だというテレポートを実体験しておくことは、物真似をするにあたってこの上ない資料となるからだ。
じゃー、行くよー、と息巻いて答えビッキーは

「えええーーーーーーいっくしゅん」

小さなくしゃみをした。
途端二人の視界が激しくぶれる。
いや、はたまたぶれているのは世界のほうか。
果たして、鬼が出るやら蛇が出るやら。
天に舞うやら、地に落ちるやら。
転位どころか召喚すらし兼ねないのが、ビッキーのテレポート失敗時の現象で。
その中でも特にひどい事態を起こしかねないトリガーを弾いてしまったのだから。
370花園に潜む魔物  ◆rfP3FMl5Rc :2008/12/10(水) 05:04:09 ID:FczRLxP6
それでも、一つ分かっているのは。
今回の下手人が何かということくらいだ。
彼女たちの現在地は、E-9 花園。
周りには色とりどりの花々、一面まさにお花畑。
だからまあ。
花粉が山ほど空気中に含まれているのは当たり前のことで。
ビッキーがくしゃみをしてしまったのも仕方のないことだったのだ。

「あれ? あれ? あれれ??」

光に包まれ行く中、可愛らしく小首を傾げるビッキー。
傍らのゴゴも何が起きたかを理解できてはいないがのだが、とりあえず

「ひくちゅ」

物真似の続きの手始めに、くしゃみをしてみるのであった。


【E-9 花園? 一日目 深夜】
【ビッキー@幻想水滸伝2】
[状態]:健康
[装備]:花の頭飾り
[道具]:不明支給品1〜3個(未確認)、基本支給品一式
[思考]
基本:決めてない。どうしよう。
1:ゴゴとお友達になりたい。
2:お城にゴー!
[備考]
参戦時期はハイランド城攻略後の宴会直前

【ゴゴ@ファイナルファンタジー6】
[状態]:ビッキーの物真似中、健康
[装備]:花の首飾り
[道具]:不明支給品1〜3個(未確認)、基本支給品一式
[思考]
基本:数々の出会いと別れの中で、物真似をし尽くす。
1:ビッキーの物真似をする。
2:人や物の多い場所に行ければいいな
[備考]
参戦時期はパーティメンバー加入後です。詳細はお任せします。


※北の城にテレポートしました。
 が、くしゃみをしたことで何らかの影響があるかもしれません。
 目的地が違う、自分は跳ばずに何か・誰かを呼び寄せる、1時間先くらいに跳ぶ等。お任せします。
 オディオの制限で、会場外転移や、大幅な時間転移はないかと。過去には跳べません。
371花園に潜む魔物  ◆rfP3FMl5Rc :2008/12/10(水) 05:08:49 ID:FczRLxP6
投下終了。
なんかマル投げで申し訳ない。

いざとなれば、

ビッキー は くしゃみ を した  
しかし (制限で)なにも おこらなかった !!

でもw
372創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 05:16:52 ID:+OgZqcOf
誤るくらいなら止めとけよ
373創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 08:03:29 ID:Aww2FvV6
このスレは終了しますした
374創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 10:42:29 ID:IVPzZEvQ
投下乙!
これくらいなら全く問題なし! だってビッキーだしw
ゴゴの思考が魅力的ですね。モノマネをしつつも、自分の欲望・目的をもっている。
単なるコピーキャラでは終わりそうもない感じで面白くなって来そうです。
しかし、ビッキーの口調のゴゴは相変わらずキモいw
それぞれの原作の背景を充分に理解した考察は見事。
ゴゴのテレポートに対する考えは、結果的に合っていようが間違っていようが、この過程がしっかりしているので自然なものになるはず。
後に書く人の自由度が広がるのはありがたいものですよ。GJ!
375創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 19:38:08 ID:I9N/RAYb
投下乙ー
ああ、このマイペースっぷりはビッキーだなw
多くのキャラが殺伐としてる中、この二人になんか癒された。
今後どこに出てどうなるのか楽しみだぜ。
376創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 22:13:12 ID:3jAEDpaX
何というアホコンビ
ビッキーはロワとかもう忘れてるだろw
ゴゴは似合わない装備と物真似をやめいw

こういう作品は癒されます。GJでした
377創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 00:21:25 ID:DoWAHUYW
投下乙
脳筋コンビが居たり、阿呆な子コンビが居たりと、彩り鮮やかなロワだなw
何気にゴゴの深さがイイ味出してる。これでモシャス覚えたら完璧じゃんw
ビッキーは何処まで行ってもビッキーで、なんか安心した
378 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:13:20 ID:/yBS3ibU
投下乙!
こいつらアホだ(いい意味で)。
色んな女性キャラが大変なことになってる中、ビッキーは平和だw
ごちそうを忘れていなかったり、くしゃみしたりと完璧にいつも通りで、妙な安定感があるな。
ゴゴはゴゴでいつも通りだが、だからこそ今後出会うキャラによってはどう化けるかというところか。
とりあえず今はキモいぞw

さて、投下します。
379道化師の哄笑 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:14:56 ID:/yBS3ibU
 背の高い植物が群生する森を、細い月光を頼りにして、青髪の青年が駆けていく。
 息が荒く、その額にうっすらと汗が滲んでいるのは、焦りと緊張のせいだ。
 青年――アシュレー・ウィンチェスターは、片手に持った短剣――ディフェンダーで草を掻き分ける。
 不測の事態が起きた際、すぐさま対応するために、鞘には収納していない。
 彼を衝き動かすのは、少女の命が眼前で消えてしまったという事実だ。
 無力さと後悔が、胸中で渦を巻く。
 もっと早く彼女の元へ辿り付けていたら、もっと何かが出来たはずなのに。
 救えたかも、しれないのに。
 考えても詮無いし、悔やんでも意味などないと分かっている。
 彼女が何者かに襲撃されていると知っていたわけでもないし、起きてしまった事実は覆らない。

 だというのなら。
 立ち止まって後ろを振り返ったところで、過ぎた時間も散った命も返らないのならば。
 前に向かって走るしか、ない。
 後悔を足場にし無念さを踏み台にし命を抱えて、進むしかない。
 だからアシュレーは行く。
 無力さを噛み締め歯を食い縛り、向かう先は南東、島の端にある城下町だ。
 距離はあるが、最も人が集まると考えられる場所を目指す。
 前進に力が入る。
 そうすれば、生まれるのは音だ。
 思い切り地を蹴り、強引に草を切り倒す動きの一つ一つに音が付随する。
 だが構わない。構っている余裕などない。
 そんなことを気にして足を止めてしまったら、無力さも後悔も振り切れなくなりそうだったから。
 足場にしたはずの感情から、足を踏み外してしまいそうだったから。
 だから、前だけを見つめ、音を立てて走っていく。
 ただただ、前へ走っていく。

 ◆◆

 木々の密度が減っていけば、月明かりを直接受けている平野が見えてくる。 
 森と平野の境界線に到達したとき、道化師のような男――ケフカ・パラッツォは足を止めた。
 背後、暗い森の奥から、疾走の音が近づいてきたからだ。
 愚直なその音を耳にして、ケフカは舌なめずりをする。血の混じった唾液を吐き捨てて、彼はそっと振り返った。
 男の手にあるのは、紫色の石。
 霊界サプレスの住人との契約が結ばれた、サモナイト石だ。
 術者は、それに宿った召喚獣を従わせられるという。
 要は、幻獣に近いものだろう。

 使いようだと、ケフカは思う。
 自分以外の存在を使役できるということは、つまり。
 自分が手を下したと悟られずに、他者を殺すことができるはずだ。
 そういった使い方ができるのなら。
 たとえば、力ない弱者のフリをして他人に接触した後でも、優位な状況を作り出すことができる。
 サモナイト石のことを知らない限りは、まさかこんなものが武器になるとは思わないだろう。
 だがそれは、ケフカ自身も同様だ。
 この石に宿る召喚獣が、どれほどの使い勝手なのか、試す必要がある。
 使おうとしたときに、上手くいかなくては困るのだ。目論見どおりに動かない駒に、存在価値はない。
 他者に取り入ろうと考えたのが、あの少女を殺した後だったため、先ほどは試さなかった。
 そして今、誰かが近づいてきている。
 それがどんな人物であろうと、ケフカには関係ない。
 誰が現れようと、実験台にするだけなのだから。

 ケフカは目立たないように木陰に背を預け、サモナイト石を握り締めた。
 音の方向を見据えながら、意識を石に集中させる――。
380道化師の哄笑 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:16:55 ID:/yBS3ibU

 ◆◆

 アシュレーの行く手を阻むように、突然何かが姿を見せたのは、森を抜けようとしたときだった。

 前触れのない何かの出現に、アシュレーは急停止を行う。
 人の頭よりもやや大きいそれは、風船のように丸いモノだった。
 闇を浮遊するその様は幽霊のようにも思えるが、その外観は恐怖を呼び起こすようなものではない。
 半月状の大きな口が特徴的なそれは、ファルガイアに棲息する怪獣、クリッターに似ていて、何処かコミカルだ。
「この島、怪獣もいるのか……?」
 思わず呟いたとき、そいつは白い目をアシュレーへ向け、牙の並ぶ巨大な口を開けた。
 不気味というよりも可愛らしいその表情は、笑っているように見える。

 その顔に、嫌な直感を覚えた。
 直感の源は、これまで培ってきた戦闘経験が告げる警告だ。
 その声に従い、アシュレーは地を蹴って距離を取り右手を振りかぶる。
 下がりながら繰り出すディフェンダーの刃は、怪獣には届かない。
 それでもアシュレーは、右手の動作を止めない。コンパクトかつ鋭い動きで、掲げた手を振り下ろす。
 その動きは、体に染み付いた投擲の動作だ。
 慣れに任せて、ディフェンダーに勢いを与える。流れるように無駄のない動きで、柄から手を離そうとした瞬間、
「――ッ!」
 怪獣が、げらげらと声を上げた。
 それに、寄せられたように。
 一条の雷が、野獣のような鳴き声を上げて駆け降りてきた。
 眩い雷光が刹那の間、森を照らし上げる。雷の着地点は、飛び退るアシュレーの眼前だ。直撃の軌道ではない。
 だがその閃光は、反射的に目を細めさせ身を捩らせる。
 結果、照準がブレて、投擲体勢が崩れた。
 それでも、一度投げる直前まで至った動作は止められない。ディフェンダーはアシュレーの手を離れ、縦に回転をしながら飛んでいく。
 一瞬の雷光は、アシュレーの闇に慣れた視界を奪っていて、上手く視界を確保できない。
 だから、アシュレーは耳を澄ます。轟音の残響とも呼べる耳鳴りに気を取られないよう、注意深く音を拾う。
 怪獣の気配を捉えようとするアシュレーの耳に届いたのは、投じたディフェンダーが幹に刺さる音と、
「ひぃッ!?」
 細長い、人の悲鳴だった。

「誰か、いるのかッ!?」
 アシュレーの背筋を冷や汗が伝い落ちる。
 悲鳴は、ディフェンダーが飛んだ方角から聞こえたからだ。
 自分の投げたディフェンダーが、誰かを傷つけてしまったとあってはならない。
 怪獣は現れたときと同様、前触れもなく姿を消していく。だからアシュレーは、その存在を無視して振り返った。
「すまない。怪我はしてないかッ!?」
 少しずつ回復している目を眇め、声の主を見たアシュレーは、思わず息を呑んだ。
 ディフェンダーの刺さった木にもたれかかっていた男の顔は、真っ白に染められており、また、鮮血のような赤が、目の周りや唇を彩っていたからだ。
 その顔面に打傷があることを考えると、実際に血液を用いたメイクのように感じられる。
 それも相まって、闇の中佇むその様は、薄気味の悪い道化師を思わせた。
 紫色の石を握り締めたその男は、クリッターのような怪獣よりも、遥かに不気味だった。

「き、貴様、このぼくを殺す気かっ!?」
 怒鳴る男の声は震えている。それが怒りのためか恐怖のためなのか、男の仕草からは判断できない。
 だがアシュレーは、ひとまず安堵を覚える。男の身には、ディフェンダーによる傷は見当たらなかったからだ。
「違う、そうじゃない。あの怪獣を狙ったつもりだったんだ」
 言葉を切ると、アシュレーは頭を下げる。
 いくら気味が悪く怪しい男だとはいえ、下手をすれば命を奪っていたかもしれない相手だ。謝罪の意を示すのが当然だった。
「本当に、すまない」 
「けっ、わざとじゃなかったと謝って済むんだったら、どんな悪人もしょっ引かれませんよねぇ」
 吐き捨てる男の態度は、尊大だ。だがこちらに非がある以上、アシュレーは二の句を継げない。
381道化師の哄笑 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:19:12 ID:/yBS3ibU
「そもそも、お前が嘘をついていないとは限らないよな? お前、ぼくを騙そうとしてるんじゃないのか?
 さっきの奴を狙うフリをして、本当はぼくを殺そうとしてたんだろ?」

 ぶつけられる猜疑心に、アシュレーは首を横に振る。
「……誰かがいるとは、本当に気付かなかったんだ」
 応じるアシュレーを、男は下から覗き込んでくる。粘り気のあるような視線は、ひたすらに不愉快だった。
「お前の名前は?」
 その問いに、アシュレーは眉根を寄せる。道化師の表情からは、意図を推し量ることはできない。
「訊いて、どうするんだ?」
 故に尋ねる。
「……どうするか、だと?」 
 すると男は口を開け、耳障りな笑い声を上げた。
 侮蔑に満ちた哄笑が、森の中に溶けていく。愉快そうに細めた瞳には、嘲りが浮かんでいた。
「名乗れない奴の言うことを信用するなんて、無理に決まってるじゃないですか」
 笑い続ける男の意見は、予想外なことにまともなものだった。
 だが、アシュレーは名乗ることに抵抗を覚える。
 男が放つ独特な不気味さと高圧的な態度が、暗闇を通じてアシュレーの意識に侵食してくるせいだ。
 包み隠さない不遜さが、蛇のように絡み付いてくる。
 苛立ちと不信感が、募り積もっていく。
 生まれた暗い感情は、一つの道をアシュレーに示し出す。
 
 この男が、あの少女の命を奪ったのではないかという、疑念へ辿り着く道だ。
 男は顔面に傷を負っている。
 それは、彼女が抗った証ではないのだろうか。死をもたらす道化師と、戦った証拠ではないだろうか。
 だとすると、ここで倒しておくべきではないのか。
 彼女の無念を晴らすために。これ以上の被害を出さないために。

 鎌首をもたげて存在を主張する疑心を、アシュレーは深く呼吸をすることで振り払った。
 冷静さを欠いていると、判断する。
 男の醸し出す雰囲気に流され、早まるわけにはいかない。
 疑わしいからすぐに殺すなどという選択肢は、非常に危険だ。
 命を奪った後で、その判断が誤りだったとなっては、取り返しがつかない。

 全身の強張りを自覚する。張り詰めた神経が、アシュレーの心をすり減らしていく。 
 暑いわけでもないのに額に汗が浮かんでくる。
 嫌な感覚だった。
 明確な殺意を向けられていた方が、どれほどマシだろうか。
「まさか、名乗れもしないんですかねぇ?」 
 催促の言葉には、挑発の意が乗っている。
 覗き込んで来る男の態度からは、どうしても真意が汲み取れない。
 だから、思考する。
 もしもこの言動や仕草が、自身の思惑を覆い隠すための仮面だとしたら、と。
 しかし、理解は生まれない。
 悪意や罪をひた隠すために、わざわざこのような、相手に不快感を与えるような演技をする理由が分からない。
 これではまるで、不信感を植え付けるようなものだ。
 そこまで思い至り、アシュレーは男を見る。

 道化師はにやついた笑みを浮かべ、答えを待っているだけだ。
 攻撃の様子も見せないし、すぐ側の幹に刺さったままのディフェンダーに手を伸ばそうとしない。
 ただただ、挑発的な視線を向けてくる。
 こちらがこれだけ、逡巡しているにも関わらず、だ。
 その視線を受け、ふと気付く。

 まさか、試されているのではないか、と。
 奇怪な態度を通じ、こちらが本当に信じられる存在なのかを見極めようとしているのではないか、と。
 誰もが敵になり得る状況だ。
 そんな中で信頼に足る人間を探すため、男は自らの容貌を利用し、わざと不信感を煽っているのかもしれない。
 もしも、不気味で不審で奇妙な男にすら信頼を傾ける人間がいたとすれば。
 その人間は、本当に信頼のおける存在であると言えるだろう。
382道化師の哄笑 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:21:18 ID:/yBS3ibU
 そこまで考えて、アシュレーは短く息を吐いて小さく頭を振る。
 こんなものは根拠や確信など欠片もない、か細く頼りない推測だ。
 正しいと言い切るには遠すぎる場所に浮かぶ、限りなく希望的な直感に過ぎない。
 結局のところは。
 こうして考え込んでいても正解など見つかりはしないし、最善が明らかになりはしないのだ。

 ――分からない、分からないな……。

 だとすれば。
 最善に届くよう、理解に近づけるよう、手を伸ばすしかない。
 真意や目的を推し量るため、信頼を掲げて歩み寄る他はない。
 こちらが近づいた瞬間、牙を剥いて襲い掛かってくる可能性を考慮した上で、アシュレーは決断し口を開く。
「……アシュレーだ。アシュレー・ウィンチェスター」
 男の瞳を見据え、信頼の意を告げる。すると男は両手を広げて笑い、大仰に頷いた。
「アシュレー・ウィンチェスター、ね。うん、覚えた。覚えたぞ。では、私も名乗ってやろう。私の名は――」
 芝居じみた動きで一礼をして、男が言いかけた、その瞬間。

 西の方で、苛烈な閃光と極大の轟音が巻き起こった。

 弾かれたように西に顔を向けると、紅の輝きが眩く飛び込んでくる。
 灼熱の火焔を思わせる紅の光の量と、大気の振動を肌で感じられるほどの激音の大きさは、先ほどの怪獣が放った雷による、光量と音量の比ではない。
 尋常ではない爆発。
 それは大規模戦闘が行われている証であり、命のやり取りが交わされている証明だ。
 決して近くはない。
 だというのに、炸裂は光と音を以って、アシュレーの元まで、はっきりと辿り着いた。
 激しい焦燥感が胸を焦がしていく。焦がされた胸から立ち昇る煙からは、予感の臭いがする。
 嫌な予感の、臭いが。 
 あの輝きは、とてもよく似ていたのだ。
 自らの身体と精神を起爆剤にし燃料にし炎そのものにすることで、圧倒的な高温と残虐な火焔と無慈悲な爆裂を作り出し全てを焼き尽くす、災厄の一撃――ファイナルバーストに。
 もし、あの爆発がファイナルバーストと似た性質をした技によるものだとしたら。
 撃った者も撃たれた者も、無事では済まない。
 急いで向かわなければと思う。
 無益に命が失われるのを、止めるために。それによって生まれる悲しみを、止めるために。
 視線を戻しながら、叫ぶ。

「悪いが話は後だッ! 僕はあの爆発の方へ――ッ!?」
 視線の先、男の姿はなく、幹に刺さったままのディフェンダーだけが残されていた。
 西の爆発を確認し、退避したのだろうとアシュレーは思う。
 あれだけの爆発だ。戦闘の規模によっては、今アシュレーがいる場所までその余波が来ないとは断言できない。
 そのため、男の行動を非難するつもりは毛頭ない。むしろ、妥当だとすら思う。
 この島に安全地帯があるとは言えないが、進んで戦場へ足を向ける必要はないのだ。
 とはいえ、彼に対する疑念や猜疑心は残っている。名乗り、逃がしたことが正しかったのかは、分からない。
 だが、その疑問は棚上げにし、アシュレーはディフェンダーを引き抜いた。
 現状で行うべきは、思考ではなく行動だ。
 不確かな疑念よりも、明らかな問題に立ち向かうべきだと、自分を納得させて。
 アシュレーは、地を蹴って身を飛ばし、再度疾走する。
 最善を掴み取ろうと、突っ走っていく。
 
 ◆◆
 
「うきーーーっ、お人よしの甘ちゃんめ。吐き気がするっ!」
 小さくなっていくアシュレーの背を、一つの声が罵倒する。
 その先にある光は収束し消えかけているが、アシュレーは足を止める様子を見せない。
 彼を眺めるのは、茂みの中に息を潜めたケフカ・パラッツォだ。
 ケフカが名乗ろうとした瞬間に発生した爆発は、アシュレーの注意を一気に引き付けていた。
 気取られずに茂みに隠れられたのは、彼が爆発に意識を傾けすぎていたからだ。
383道化師の哄笑 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:23:54 ID:/yBS3ibU
 こうやって身を隠したのは、使命感を湛えて西を見やるアシュレーの行動に巻き込まれないようにするためだった。
 破壊の顕現を思わせる西の爆発に興味がないといえば、嘘になる。
 あれほどまでの力を自身の目で見られれば、心が躍ることだろう。
 強者が、弱者が、男が、女が、動物が、植物が。
 あらゆる存在が残酷に踏み躙られ、一方的に蹂躙され、惨たらしく壊される光景を思えば、昂揚を抑えられない。
 だが、しかし。
 その破壊に接近するということは、自らの身を危機に晒すということだ。
 生き延び勝ち上がるには、上手く立ち回り危険を回避する必要がある。
 欲望や興味に任せて行動していては、いつ命を落とすか分からない。
 だから今は耐えるべきだ。
 この島にいる全ての命を利用し蹴落とし踏みつけ、そして。
 魔王オディオを、この手で引き裂くときまで。

 アシュレーに取り入り共に行動しなくとも、彼を利用することは可能だ。
 その名前を、ケフカは握っているのだから。
 聞いた名を、偽りだとは思わない。
 実直で誠実で真面目そうなあの男が、こちらを謀ろうとして嘘を吐くとは思えない。
 アシュレー・ウィンチェスターは信頼のおける人物だといえる。
 そしてそれは――ケフカの大嫌いなタイプの、人間だ。
 
 故に、思う。
 アシュレーが戦闘に巻き込まれ、命を落とす可能性は低くない。
 だがもしも、生き延びたときのために、敵を作っておいてやろう、と。 
 アシュレー・ウィンチェスターという名に、悪評を付加してばらまいてやれば、彼の敵はいくらでも作り出せるだろう。
 自らの閃きに、ケフカは愉快そうな含み笑いを浮かべる。笑みの色を孕んだ吐息が、闇に溶けていく。
 
 ――これはこれで、面白そうですねえ……!
 
 ケフカの脳裏に、イメージが浮かび上がる。
 それは必死で信頼を得ようとするアシュレーが、ことごとく裏切られる光景だ。
 信頼ではなく刃を向けられ、言葉ではなく攻撃を投げかけられ、絶望を抱いて無様に死んでいく男の姿が、鮮明に描かれていく。
 堪らないと、思う。
 耐え切れず、ケフカは声を上げて立ち上がった。 
「アシュレー・ウィンチェスター! この私を心から楽しませてくれるまで、簡単に死ぬんじゃないぞーっ!」
 届けるつもりのない声を笑いに変え、踵を返す。

 歩きながら弄ぶのは、紫の石。
 サモナイト石と呼ばれるその石に宿るのは、タケシーという名の、雷を操る精霊だ。
 どうやら、タケシーに威力は期待できそうになかった。殺傷力だけを考えるなら、ケフカ自身が魔法を使ったほうがいいだろう。
 しかし、問題には感じない。何故ならば。
 アシュレーは、タケシーのことを『怪獣』と呼称するだけで、ケフカとは無関係の存在だと考えていたようだったからだ。
 それだけ分かれば、これは十分に使える武器となる。実験は成功と言っていいだろう。
 今にも鼻歌でも歌いだしそうな様子で、ケフカは平野に出る。
 月光を浴びて、軽快に歩く様はまるで、新しい玩具を手に入れた子どものようだった。
384道化師の哄笑 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:26:49 ID:/yBS3ibU
【F-8 中心部(森林) 一日目深夜】
【アシュレー・ウィンチェスター@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:健康。焦燥感
[装備]:ディフェンダー@アーク・ザ・ラッドU
[道具]:天罰の杖@DQ4、ランダム支給品0〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:主催者の打倒。戦える力のある者とは共に戦い、無い者は守る。
1:西で起きた爆発の原因となった戦いを止め、怪我人を救う。
2:リルカやブラッドら仲間の捜索
3:他参加者との接触
4:アリーナを殺した者を倒す
※参戦時期は本編終了後です。
※道化師のような男(ケフカ)に猜疑心を抱いている。
※島に怪獣がいると思っている。

【F-9 北部(森林) 一日目深夜】
【ケフカ・パラッツォ@ファイナルファンタジーY】
[状態]:上機嫌。顔、腹部に痛み
[装備]:無し
[道具]:タケシー@サモンナイト3ランダム支給品0〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:全参加者を抹殺し優勝。最終的にはオディオも殺す。
1:積極的には殺しにかからず、他の参加者を利用しながら生き延びる。
2:アシュレー・ウィンチェスターの悪評をばらまく。
※参戦時期は世界崩壊後〜本編終了後。具体的な参戦時期はその都度設定して下さい。
 三闘神の力を吸収していますが、制限の為全ては出せないと思われます。
385 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/11(木) 18:29:14 ID:/yBS3ibU
以上、投下終了です。
ケフカみたいに一人称が安定しないキャラって書くのが難しいなぁ。
386創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 22:14:45 ID:aLKv6Z2J
投下乙!
これぞケフカw強いくせに、とことん小物を貫くw
アシュレーの名前もゲットして、益々暗躍が期待できます。
そしてアシュレーはリルカの最期の地へ……。
もし、ジョウイや魔王と会ったらどうなるのか、少し心配。
腹の探りあいを濃く描写して、非常にロワらしい展開でハラハラしました。GJ!
387創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 22:24:33 ID:G3hLxlQx
投下乙!
388創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 23:57:32 ID:aLKv6Z2J
あ、そうそう。時間表記は「深夜」で間違いはないですか?
リルカの話を考えると「黎明」でも大丈夫そうかなとは思ったんですが、コピペしてそのまま変え忘れたとかじゃないですよね?
「深夜」で合っているなら、余計な事を言ってすいませんでした。
389 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/12(金) 00:27:46 ID:k9ZpR2O0
>>388
あ、ご指摘ありがとうございます。仰るとおり、深夜ではなく黎明でした…
完全にミスです、失礼しました。
ですので、時間表記の『深夜』を、『黎明』と読み替えてくださいませ。
390 ◆6XQgLQ9rNg :2008/12/12(金) 20:52:24 ID:k9ZpR2O0
恥ずかしながら、状態表にもう一つミスがありました。
ケフカの現在地は森林ではなく平野です。ここも訂正をお願いします。
391これが僕の望む道  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/14(日) 23:16:44 ID:Jfeu/qXE
投下します
392これが僕の望む道  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/14(日) 23:18:53 ID:Jfeu/qXE
潮風が、長く伸ばした髪を弄ぶ。
僕自身がどれだけ他人に見つからぬよう、気配を消し、身を低くして歩いても、自然達はお構いなしだ。
潮騒が響く中、穏やかな風は気ままに吹き付けてくる。
参加者が風邪や凍傷で倒れてしまっては、下らない催しを楽しもうとしているオディオの思惑からは外れてしまうからか。
時は丑の刻の過ぎ、寅の刻へと近づいているのにも関わらず、不思議と寒いとは思わなかった。

――あるいは、自分の心が常には無かった感情に満ち溢れているからかもしれない。

手を伸ばし、首へと持って行く。
感じるのは硬質的な冷たい感触。
一切の違和感なく、肉体に合致している異物――首輪。
この殺し合いを成り立たせる舞台道具の一つにして、皆の行動を縛る拘束具。
ある者には命を握られていることに対する恐怖を、またある者には屈辱に対する怒りを、
更にある者には無力感を湧きあがらせるはずの物。

なのにどうしたことだろうか?

そんな爆弾を首に付けられ、殺戮遊戯の舞台の場に放り出された自分が抱いている感情は、只一つ。

――自由

それ以外の何物でもなかった。

「あははははっ! あっはははははは!!」

不用意で不謹慎だと思いつつも、漏れ出る笑みが止まらない。
逆らえば死ぬ。外そうとすれば死ぬ。禁止エリアに入れば死ぬ。二十四時間誰も死ななかった場合死ぬ。
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ。
――死ぬだって?
ちゃんちゃらおかしい。
何故恐れる必要がある?
ずっと、ずっと、ずっと。
望んで、渇望して、求めていたものではないか。
しかも首輪が爆破されるには厳密な条件があり、それらは親切にも事前に知らされている。
いつ来るかも知れず怯え続けた生と死の円環。
あの呪いに比べればどれだけお優しいことか。
選択の余地があるのだ。

  強さや信念を貫こうとして魔王に挑み、返り討ちに逢う。
   それも自由
    矜持や誇りのもと首輪を外そうとして死に至る。
     それも自由
      逃亡の果てか、実験の一環か。禁じられた地に踏みいれ朽ちる。
       それも自由
        人を殺したくないと願い、爆殺される。
         それも自由
393これが僕の望む道  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/14(日) 23:22:47 ID:Jfeu/qXE

行動を強制されることなく、意思を奪われもせず、その上で、自ら禁忌を破るのは。
破るという行為自体は可能で、その果ての死ならば。
自ら由としての死を選べるのであれば。
自由という以外になんと呼べばいい?
選び進んだ一つの結果じゃないか。

幼い頃、他人に迷惑だけをかけながら生きている自分が嫌だった。
なんの役にも立たない出来損ないの自分。
僕一人じゃ何を為すこともできず、誰かにつらい思いや、迷惑をかけてばかりで。
死んで居なくなって、負担を取り除くことさえできなかった、成長しない赤ん坊以下の存在。

行きたい所に、自分の足で行ける自由。
食べたいものを食べれて、死の発作にも怯えずぐっすりと眠ることができる自由。
皮肉にも殺し合いの地で、僕は再びそれらを手に入れた。
今度はもう、姉や優しい人達を騙さないでもいい。
手にして以来ずっと侵され続けた魔剣が放つ憎悪の声すら聞こえてこない。
かってとは違い、代価は首輪なんてちっぽけなもの只一つ。

誰に憚ることなく、僕は、僕の意志で生きていける。
心と、身体を縛る物は、もう何もありはしない。
僅かな時間、大地を歩んだだけだけど、そのことが実感できて。
犯してきた罪さえ棚上げし、現金な僕は素直に嬉しいと感じてしまって。

だから、居もしない神様が裁きの光で僕を打ちつけたのは当然のことだったのかもしれない。

「……っ!?」


閃光は一瞬。
されど、愚行だとは分りつつも、闇夜に慣れていた眼にはその光は眩し過ぎて、思わず瞼を下ろしてしまう。
心の中で舌打ちを一つつき、大きく後ろに跳躍。
場所が平野な為、足場や遮蔽物を気にすることなく、全力で跳ぶ。
だが、言いかえればそれは相手からこちらは丸見えということだ。
さっきのが閃光弾の類によるものなら、間違いなく追撃が来る。
未だに機能を取り戻さない視覚に見切りをつけ、聴覚と触覚に意識を集中する。
虫や動物の鳴き声どころか気配さえ混じらせることなく、ざわざわと囁き続ける草木達。
踏みしめた大地に生える同朋を気遣う声が、僕を罵倒しているようにも思える。

ただ、それだけ。

警戒していた攻撃は一向に襲ってくることなく、程なく白一色に染まっていた世界が色を取り戻す。
そして気付いた。
僕が滑稽な一人芝居を演じていたことに。

「あははっ、あはははははハハハ!!」

何度も何度も僕を照らす光。
ぐるぐると、ぐるぐると回り続け、周囲を照らす光の帯。
つい最近も海賊船を襲撃する前に見たばかりの光景。
紛うことなき灯台の灯。
394これが僕の望む道  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/14(日) 23:25:11 ID:Jfeu/qXE

「ははははは!!」

どうも仮面として笑顔を張り付けすぎたみたいだ。
癖にでもなってしまったのか、先程笑ったばかりの僕の口は、二度目だというのにちっとも自重してはくれない。
まあ、必死になって警戒したばかりだ。
周りに人が居ないのは確認済みだし、別に無理に黙る必要は無いんだけれど。
それよりも問題なのは突然灯台が光を得た事態についてだ。
夜に自動的に動くよう設定されていることは、灯台の運用目的上よくある話ではある。
が、それにしては起動するのが遅すぎる。
となれば十中八九人為的に灯されたのだろう。

「日頃の行いが悪かったからかな?」

できるだけ人には会いたくなかったけれど、このままではそうも言ってはいられない。
ランタンの明かりとはケタの違う闇を裂く光だ。
かなり広範囲に届いていることだろう。
加えて、灯台の周囲の地形は、地図によると光を阻む物の無い平野ばかり。
明け方までにはもう少し時間がかかることも入れて考えると、頭が痛くなってくる。

明かりを点けた人間の動機も、続く行動も分かりはしない。
単に人を集めたかったのか、偶然点けてしまったのか。
誘われてきた人間を殺す気か、協力を持ちかけるか、泣いて怯えるか。
候補が余りにも多すぎるため、考えても無駄だ。
そもそも、灯台に居る人間がまっとうな人物でも、集まってくる者達が進んで人を殺そうとしている可能性もある。
真に大事な点は、相手の戦力だ。
どの場合にしろ、灯台に集まった人間達が僕よりも弱いなら、どうとでも手は打てる。
自身のコンディションだけを考えるなら、呪いから完全に逃れれた今、かってなく調子はいい。
けど、試しに呼んでみたが、キルスレスは使えなかった。
総合戦力で見れば最盛期には遥かに劣る。
となると最善なのは様子見だ。
何も灯台の中に正直に入っていく必要はない。
僕があそこを目指していたのは、あくまでも、工具や設備が揃っていそうだからだ。
別に、わざわざ人が沢山居る状況に飛び込むなんて、馬鹿なことをする必要はない。
諜報部に所属しかつ、無色の派閥のスパイもやっていた身だ。
表に出ることなく、聞き耳を立てるのも、盗み見るのもお手の物。
そうだ、今までずっとそうやって生きてきた。
遠くから物事を見つめて、自分に利益がなければ、無関心を決めこむ。
そうすれば傷つくこともないし、他人にも見つからないじゃないか。
同じだ、何も変わらない。
今までと、何も。
何も、何も、変わらな

――もう、いい加減にしてくれませんか?
ふと、死ぬ間際に聞いた少女の言葉を思い出す。

――私も、貴方を見ていてむかむか、イライラしてるんですよっ!
全く言ってくれるよ。

「そうだね。僕もだよ。何度も何度も、自分自身にも腹を立ててきた」

誰にも迷惑をかけたくなくて。
僕の存在で、みんなを苦しめないよう死を望んだはずなのに。
いつの間にか、自分が死ぬ為に多くの人々を苦しめて。

違うだろっ!?
僕が、僕が本当に望んだのは!!
本当に望んでいたのは……っ!!
395これが僕の望む道  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/14(日) 23:28:08 ID:Jfeu/qXE


歩を速める。
体力の温存をしておくべきだという理性を、屁理屈で押し伏せて駆ける。
姉さんや先生は愚かでは無いけれど、馬鹿だ。
人を信じ、他人を守ろうと、灯台に人を集めることはありえなくはない。
どっちも簡単に殺されるような口先だけの人間じゃないことは痛いほどに承知しているが、騙し打ちにはこの上なく弱いと断言できる。
解放しようにも姉さん達が殺されていたら意味がない。
急ぐことで殺人の現場に間に合い、危険人物を処理することで殺されそうな誰かを助けてしまっても、単なる偶然だ。
今更先生のように生きようなんて言うわけじゃない。
その証拠に無力化では無く殺人を、守るための手段として選んでいる。

デイパックの奥に眠るもう一つの武器を見やる。
ドーリーショットと名札付けされた異様に長い砲身を持つ巨銃。
精度、威力共に申し分ないが、持ち運びし辛く、使えば発射に伴う音で僕の位置がばれてしまうからと押し込んだままにしていた得物。
撃ち逃げや、使い捨ても視野に含めてだが、いざという時は、遠距離から攻撃できる分、剣よりも僕の意に沿う。
グリップの感触を確かめ、いつでも抜き撃ちできるよう入れなおし、デイパックを肩にかける。

あくまでも方針を変える気はない。
僕は、僕の意志で、僕のわがままで。
姉さんたちとは会いたくない。
できることなら誰にも見つからずに済ませたいのも同様だ。
きっと、こんな僕でも必死に探してくれている姉さんや先生の想いを踏みにじることだけど。
これは紛れもなく今の僕の願いだから。

「ごめんね、姉さん」

生き返ってまで、迷惑かけちゃって。

灯台まで後少し。
僕はより一層走る速度を上げた。



【H-2 平野 一日目 深夜】

【イスラ・レヴィノス@サモンナイト3 】
[状態]:健康。
[装備]:魔界の剣@ドラゴンクエストW 導かれし者たち
[道具]:不明支給品0〜1個(本人確認済み)、基本支給品一式 、ドーリーショット
[思考]
基本:首輪解除と脱出を行い、魔王オディオを倒してアズリア達を解放する。
1:首輪を解除する為に必要な道具または施設を求めてI-1へ向かう。
2:途中危険分子(マーダー等)を見かけたら排除する。
3:姿を見られないようにだが、襲われたり苦しんでいる人を助けたい。
4:極力誰とも会いたくない(特にアズリア達)
[備考]:
※参戦時期は16話死亡直後。そのため、病魔の呪いから解かれています。
※名簿は確認済みです。
396これが僕の望む道  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/14(日) 23:31:31 ID:Jfeu/qXE
※キルスレスとの繋がりが切れていることは確認済みです

投下終了
397創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 00:48:58 ID:5+qGsJow
投下乙!
心理描写koeeeeeeeeeee!!
一応スタンスは対主催っぽいのに、火種にしか見えないですねコイツw
こういう異質なキャラを演出するのは難しそうですが、見事にコッテリと演出してます! 素晴らしい。
しかし向かうのは脳筋コンビのいつ灯台w
アイツらとの絡みが全く予想できないw でも期待しちゃいますねwGJ!

ところで、灯台が光った話は黎明ですが、イスラは深夜で大丈夫ですか?
398これが僕の望む道  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/15(月) 02:01:36 ID:rCviYxGG
ご意見ごもっともです
うっかりしてました。
時刻を【深夜】から【黎明】に収録時訂正します。
指摘、感謝
399創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 23:01:29 ID:Tty9z6I1
投下乙ー
対主催とは思えないくらい怖い思考だなぁ。
400創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 23:41:12 ID:l8jVWVKA
投下乙。
SRPGロワと参戦時期同じなのに何この違いwww
そしてアリーゼの怒涛の言葉攻め回想の部分で吹いたwあれは強烈過ぎる…
まあここのアリーゼはルートが違うんだけどね。

ところで、イスラの第二支給品のドーリーショットって現実?それとも他作品の物?
401創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 23:53:43 ID:xBvi5u9g
何の前触れも無く、風邪を引きました。
402 ◆iDqvc5TpTI :2008/12/16(火) 00:25:11 ID:rukDHmFO
とと、ドーリーショットはアークザラッド2出典です。
修正しておきます。
403創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 18:44:21 ID:+ls4Okz5
投下乙!
原作未プレイだけどノリノリすぎるだろw戦闘狂でもないのに
ちょっとイスラを好きになったかもしれん
404創る名無しに見る名無し:2008/12/17(水) 00:37:44 ID:8jY4kDMt
エドフロコンビの予約も入ったな
これで各キャラ二話目も一通り揃ったか?

そろそろ一回目の放送のことも視野に入れるべきかも
405創る名無しに見る名無し:2008/12/17(水) 20:35:18 ID:qYWXCQj7
放送か。決めることといえば禁止エリアくらい?
なんにせよ、まだ急いで決める必要はないと思うけど。
406 ◆FRuIDX92ew :2008/12/19(金) 08:06:40 ID:zE8DpxM5
投下します
407 ◆FRuIDX92ew :2008/12/19(金) 08:07:13 ID:zE8DpxM5
エドガー達は城へ向かう。積もりに積もっている雪の所為もありその足取りは重い。
フロリーナが起き上がり、城へ向けて移動を開始してから両者とも一言も口を開いていない。
無口が生み出す重苦しい空気が更に足取りを重くさせる。

エドガーは、危険を賭してフロリーナを試した。
自分の命というチップを差し出し、確認の意味も込めて彼女を試した。
自らが先導して雪を掻き分け、歩く道を創り進む。
当然、背後は無防備になる。「誰かを殺したい」と思っている人間ならこのスキに付け入らないはずがない。
後ろから槍のようなもので一突きすればひとたまりもないだろう。
この条件を揃えた上で彼女が本当に殺し合いに乗り切っているのかをエドガーは試した。
もちろん無様に殺されるつもりもない。彼女が黒だった場合。望まぬ血が流れることにもなるだろう。
なんにせよ無傷で済むことはないだろう。だから、背後の警戒は怠らない。
しかし、もし彼女が白なら。殺し合いに乗らずに抗うことを選んでくれるかもしれない。
賭ける物は大きいが、得られるものは大きいと自分では思っている。
「まったく……どこかのギャンブラーみたいだな」
自分ですら聞くことが難しいほどの小声で呟く。


408 ◆FRuIDX92ew :2008/12/19(金) 08:08:02 ID:zE8DpxM5
自分の中の悪魔と天使と自分の三つの思考を巡らせながらフロリーナは考える。
自分の中の悪魔はフロリーナにこう告げる。
「フロリーナ、今がチャンスよ。このウザったいキザ野郎を後ろから一刺ししてあの世に送ってやるべきだわ。
 貴方の実力があれば造作もないことよ? アルマーズも手に入るしヒヨコの恨みも晴らせる。
 しかもアイツはご丁寧に武器まで渡してくれたわ、殺してくださいといわんばかりの行動よ?
 リン様とヘクトル様を助ける為に全てを殺すと決めたんでしょう? だったら、生きている奴にとどめを刺さないのは傲慢よ?」
自分はリン様を助けたい。ヘクトル様を助けたい。
そのためにはありとあらゆる危険要素を取り除かなければいけない。
目の前のエドガーさんが、何かの弾みでリン様やヘクトル様を殺す事だってありえる。
事実、それは私自身で経験している。あれがもしヒヨコではなく弓矢の類のものだったら――――
二度とないチャンスかもしれない、殺すのならば今を逃すとわけにはいけない。
もし、今逃せば殺せないだけでなく、後々の障壁となる可能性もある。
行動を起こせば簡単な話である。背後から急所一点に絞込んで射止める。
ただ、それだけのこと。
そこから斧を奪い、ヘクトル様に届ければ少なくともヘクトル様は生き残れるだろう。
アルマーズを手にしたヘクトル様がそうそう負けるはずはない。そう信じているのだから。

自分の中の天使はフロリーナにこう告げる。
「本気でここにいる全員を殺せるとでも思ってるつもり? ネルガルだってヘクトル様一人で倒したわけじゃない。
 貴方やリン様、ヘクトル様みんなが力を合わせて倒したのでしょう? あなた一人粋がったところでどうにかなると思ってる?
 もしそうだとしたら究極の大馬鹿だわ。殺し合いに乗ったところでリン様もヘクトル様も死んでしまったらどうするの?
 最悪貴方が殺してしまうことになるかもしれないのよ? 逆に、貴方が人殺しだと分かれば平気で切り捨ててくるかもしれない。
 フロリーナ、これはチャンスよ? こんな場所で殺し合いに乗ってない人に真っ先に出会えたんだから。
 いい? 相手が魔王だろうと何だろうと構わないわ。 魔王を倒そうと考えてる人たちと協力するのよ。
 そこにアルマーズを持ったヘクトル様やリン様が加わればなんだって倒せるわよ。 馬鹿なことをしちゃいけないわ、よく考えて」
自分はリン様を助けたい。ヘクトル様を助けたい。
殺す側に回ったら軽蔑どころか見捨てられ、敵対することになるかもしれない。
よく考えればあの魔王は「最後の一人になるまで」と言っていた。
リン様とヘクトル様が残ったところで、どちらかを殺さなければならない。どちらかを選ぶ覚悟が自分にあるだろうか?
それよりもここで手を組んで、あの魔王を倒すために動くべきなのだろうか。
確かにかつて数々の困難を乗り越えた先でネルガルを倒した。 数々の仲間を失ったものの目的を達することは出来た。
ここでも、同じことが言えるかもしれない。 全員とまでは行かないが、力をあわせて動けばきっとあの魔王を倒すことも出来るかもしれない。
しかし、それも可能性の話。魔王の力が想像することもできない領域にまで達していたのならば。
ありえない状況を揃えても勝てないのならば?

自分は考える。
この状況でどう行動を起こすのがベストなのか?
自分の望みはヘクトル様とリン様が生き残ること。
望みをかなえるだけが目的ならば二人が生き残らなくても良い。自分が優勝すれば良いのだから。
もしくは二人のうちのどちらかが生き残ってくれれば良い。それでも望みはかなうのだから。
しかし、本当にあの魔王が願いを叶えてくれるのかどうかはわからない。
涙を呑んでヘクトル様やリン様を殺した上で何もなければ只の道化師である。
三人生き残った上で魔王も打ち倒す、そんなハッピーエンディングじゃ終われないことぐらい良くわかってる。
じゃあどうすれば良いのか? それは分からない。
今ここでやっぱり殺しておくべきなのだろうか? 槍に力を込めるもやはり貫く気になれない。
今ここで協力を要請しておくべきだろうか? 開けた口からは言葉は出ない。
エドガーに誰かがチラついて見えるからだろうか? それだけとは思えない。
フロリーナは気がついた。
最初にした決意は自分に言い聞かせるだけの上っ面の物でしかなかった事。
アルマーズを見て思い出した決意も、表面だけのものだったのかもしれない。

殺し合いに乗っても良い、今ここで協力してもいい。
ただ、もう少し落ち着いて考えたほうが良いかもしれない。
焦って物事を決めても、何も良いことはありはしない。
エドガーさんには感謝している。もう一度、冷静になって考える機会をくれたのだから。

「まさか、バカな……!!」
フロリーナが「もう少し考える」ことを選んだすぐの事である。
目の前には立派で大きな城が建っていて、それを見てエドガーは口を覆っていた。
「フィガロ城……だと?!」
エドガーは慌てて一人城内へと駆け込んでいく、後からフロリーナが落ち着いた足取りでエドガーの後を追う。
「バカな……そんなわけが……嘘だッ!!」
城内を慌しく駆け巡るエドガー。呼吸が荒くなり、額には汗が滲んでいる。
「いや……失礼、見苦しいところを見せてしまったな。
 ともかく、ここが私の城と同じというなら……情報交換に適した場所がある。そこで情報交換しよう」
エドガーはフロリーナを城内の一室へと案内する。
部屋割り、物の位置、通路の幅。ありとあらゆることに関して完璧に模倣されたこのフィガロ城もどきにエドガーは焦りを隠せない。
だから、気がつかなかった。フロリーナが少し、ほんの少しだけさっきと違うことに。


その後、場所を移動して情報交換自体は行われた。
が、フロリーナの「男性恐怖症」が災いして思う様に情報交換することは出来なかった。
見ず知らずの男性相手には口すら聞こうとしないフロリーナから情報を引き出したのは、エドガーのテクニックも少し関わっているだろう。
「……オホン、まあまとめてみよう。
 フロリーナ、君が探しているのはリン、ヘクトルこの二人。そしてジャファルというのが危険な人物である。
 私が探しているのはティナ、マッシュ、ゴゴ、セッツァーの四人。ケフカとシャドウの二人には気をつけてほしい。
 特徴はさっき言ったとおりだ、もし見かけたら注意を怠らないでくれ」
リンとヘクトルを探しているのは事実である。ジャファルが危険なのも事実である。
きっとジャファルならこの殺し合いには躊躇わずに乗るだろう。そう、ニノもこの場所にいるのだから。
自分がどちらの位置につくかどうかは分からない、だからニノのことは伏せておいた。
「今、ハッキリと分かっている事」だけ。フロリーナはエドガーに喋った。

「ふむ……なるほど。
 ……フロリーナ、もし良ければ少しついてきてほしい」
情報交換が終わったと判断したエドガーが席を立ち上がり、フロリーナを何処かへと誘う。
フロリーナは出来るだけ怪しまずにその誘いを受け入れる。

エドガーはフロリーナをどこかへと案内している途中に、ポケットをくまなく探していた。
それは呼び出した用件に必要な物なのだが、どうにもエドガーのポケットに入っている気配が無い。
「おかしいな……いつもここに入れているはず――――」
城の頂上に着いたときだった。思わずエドガーとフロリーナは息を呑む。
そこから目視できるほどに、炎が森林を飲み込んでいた。
この調子で炎が森林を飲み込み続ければ、燃え尽きるまでにそう時間はかからない。
「フロリーナ、急いでここを出よう。あそこで……物凄いことが起きている!」
そういって焦って階段を駆け下りるエドガー。それについていくフロリーナ。
エドガー自身としてはもう少しこの城に居たかった。
「なぜフィガロ城がここにあるのか?」
「なぜ魔王はここにフィガロ城を持ってきたのか?」
そして「フィガロ城だとすれば蒸気機関は動くのか?」
この三つを考えてみたかったからである。しかし、山火事を見てその考えが吹き飛んでしまった。
あそこに仲間がいるかもしれない。そんな感覚に襲われて居ても経ってもいられなくなってしまったのだ。
結局、蒸気機関の有無を確認しないまま。エドガーはフロリーナと共に城を飛び出した。



フロリーナは考える。
もう少しだけ悩むことにしよう。
ゲームに乗るなら誰かを殺して、決意を固くする。
口先だけではない、もっと固い決意を手に入れるために。
きっとあの山火事の現場に行けば、誰かを殺すチャンスぐらいいくらでもあるはず。
その時になっても殺せないなら――――自分は何が出来るんだろう?

ともかく、今はまだ決めなくて良い。
焦ることも無い、じっくりと何をすれば良いのか決めれば良いのだから。
だから、もう少しだけ。 悩むことにしよう。

私は、冷酷非道の殺人気になれるのだろうか?
何かしたいのだろう?
【A-3 北の城(フィガロ城) 一日目 黎明】

【エドガー・ロニ・フィガロ@ファイナルファンタジー6 】
[状態]:健康
[装備]:アルマーズ@ファイヤーエムブレム烈火の剣
[道具]:昭和ヒヨコッコ砲@LIVEALIVE、基本支給品一式
[思考]
基本:ゲーム阻止・打倒主催
1:山火事の現場(D-7周辺)へ向かい、叫び声の主と接触。
2:仲間と合流・戦力の結集。
3:首輪の解除。そのための資材・人材の調達。眼鏡の少女(ルッカ)が気にかかっています。
4:フィガロ城起動を試みる
5:ヒヨコッコ砲の改造?
6:ケフカを警戒・打倒
[備考]:
※参戦時期はクリア後
※フロリーナの真意に漠然と気付いています
※A-3の城はどうやらフィガロ城と瓜二つのようです。蒸気機関が動作するかは分かりません。
※コインが没収されていることに気がつきました。

【フロリーナ@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:健康、顔面に軽度の腫れ
[装備]:デーモンスピア@ドラゴンクエスト4、ダッシューズ@FINAL FANTASY6
[道具]:不明支給品1個(確認済。武器は無し)、基本支給品一式
[思考]
基本:??????
1:山火事の現場(D-7周辺)へ向かい、そこでどうするか決意を固める。
[備考]:
※ニノとは支援が付いています。
412 ◆FRuIDX92ew :2008/12/19(金) 08:11:40 ID:zE8DpxM5
投下終了です。
フィガロ城やらいろいろとややこしいフラグを盛ってしまいましたが……何かあればどうぞ。
413創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 12:58:22 ID:bkkJFKjr
投下乙です。
フロリーナのスタンスはとりあえず不明ですか。
思考がよく描写されてます。

気になることがいくつか。
エドガーの思考にある叫び声ってリオウのですよね?山火事の目撃はともかく、2エリア分離れている声はさすがに届かないと思うんです。

あとは作中でシャドウを警戒してますが、クリア後エドガーにとってシャドウは白に近いグレーだと思います。ケフカといっしょにされてるっぽいので。
414創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 14:35:43 ID:A8qap/uw
乙乙
フロリーナブレまくりwww
改心したかと思ったらそうでも無かったぜ

シャドウの扱いは問題ないと思うけどなぁ
415創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 19:11:42 ID:lBzaqTS4
投下乙!
ウザったいキザ野郎テラヒドスww
フィガロ城は潜航できれば対主催本拠地にうってつけだし期待

シャドウの扱いは初登場時のエドガーの警戒ぶりをみればこんなところかと
416 ◆FRuIDX92ew :2008/12/19(金) 19:34:17 ID:zE8DpxM5
どうもです。
エドガーの思考に関しては完全にミスです。
アキラの拡声器だったとしてもアキラは神殿に向かって拡声器を使ってるんでたぶん届かないです。

エドガー→シャドウに関しても、加入時にも「修羅の道を極める」などと怪しい発言はあるものの
ケフカほどの扱いを受けるレベルではないのでここも修正対象ですね。

>>410
「……オホン、まあまとめてみよう。
から
リンとヘクトルを探しているのは事実である。ジャファルが危険なのも事実である。
までを以下に差し替えます。

「……オホン、まあまとめてみよう。
 フロリーナ、君が探しているのはリン、ヘクトルこの二人。そしてジャファルというのが危険な人物である。
 私が探しているのはティナ、マッシュ、ゴゴ、セッツァーの四人。あとシャドウというのもいるが、多分大丈夫だと思う。
 無いとは思うが万が一のことを考えて一応警戒してくれ。最後にケフカ、こいつだけはダメだ。何があっても絶対に信用するな。
 特徴はさっき言ったとおりだ、もし見かけたら注意を怠らないでくれ」
エドガーは勿論、信用を得るためにありのままを喋った。嘘をつく要素はどこにも無い。
ただ、シャドウに関してだけは彼が選んだ「修羅の道」にどうにも引っかかる節がある。
だから、シャドウに関しては少し曖昧な表現を使った。
一方フロリーナはリンとヘクトルを探しているのは事実であったし、ジャファルが危険なのも事実である。

エドガーの状態欄1,2を
1:山火事の現場(D-7周辺)へ向かう。
2:仲間と合流・戦力の結集。シャドウに関しては少しだけ警戒。
に修正いたします。
417創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 14:59:27 ID:mnO+n0hC
投下乙!
フロリーナ最高! こういう揺れ動くキャラは続きを書きたくなりますね。
心理描写も丁寧で彼女の心情が手に取るように分かります。
エドガーはいいお兄さんという感じで原作以上にカッコいい。
フィガロ城は面白そうですね。今後、何かに使えそう……。
山火事の現場はティナの死体と、下手人のルカ様がいますが……なんか危険な香りw
エドガーとフロリーナ。名コンビの予感がしまくりますが、どうなるのか期待。GJ!
418創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 20:07:11 ID:a8kZuLh5
FFのサイト見てティナが
「魔導アーマーに乗った兵士50人を3分で皆殺しにした」って作中で言われてたの思い出した

弱体化してなかったらルカでも危なかったかもな…
419創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 23:29:57 ID:TqHg9FBj
まあファイア全体がけを2.3回やれば済む話だし
420創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 00:42:44 ID:2VL3ADfl
ルカは36人の精鋭相手に互角以上の戦いできるしなぁ。

魔道アーマーって兵士何人分の戦力なんだろうか?
421創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 01:05:56 ID:GtyUnJMz
ぶっちゃけ普通の魔導アーマーはサーヴァントとかベルゼキューより弱いし
プルトアーマーやシュミットになると話は別だが。
422創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 01:45:46 ID:lkEQ5sLw
>>420
6×3パーティだから、正しくは18人だな。
それでも精鋭18人なら、一般の兵士3ケタくらいに勝てそうだけどなw
423創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 13:03:57 ID:Y5C2YXws
ルカ様の強さばかり目立っているがはくろうぐんも名無しにしてはかなりの強さだったよな
424創る名無しに見る名無し:2008/12/23(火) 21:47:42 ID:cwI3Y43V
くろうぐんって何?

ルカ無双で守備力を16にしたキバ将軍の部隊がさっくり全滅&全隊があと一撃で死亡状態になった人間は俺だけではあるまい。
425創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 01:16:30 ID:m/wm0Ots
白狼軍だな、ルカの配下のw
しかし、かと思えば一撃でルカ様を倒せることもある2の戦争システムw
426創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 04:01:22 ID:lJw9FkG9
……すごい予約来たああああああああ!!
よっしゃあああああ!!
今度こそミネアさん、逃げてえええええええ!!
427創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 04:03:01 ID:lJw9FkG9
ちなみに過疎だし、あそこら辺人かたまってるし、ルカ目指す奴多すぎだしで問題ない予約かとw
428創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 19:11:00 ID:YrS5vKms
13人すげえw
序盤から飛ばしまくってるなあ
429創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 01:05:06 ID:bCzyyavZ
こ、ここまでくると逆にミネアさん生き残るんじゃないかって気がしてきたw
430創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 10:40:30 ID:zddXT2Dh
密集地帯の全員予約か、すげー。
しかしなんとなく、案外大丈夫な気もするw>ミネアさん
431 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:19:31 ID:rBZIRN85
これより投下します。
432 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:24:08 ID:rBZIRN85
「何とか逃げ切れたわね」

トカゲが追ってくる気配は無く、ナナミはようやく止まってくれた。
……助かったぜ。窒息死するかと思った。

「じゃあトッシュさん、残りの支給品の確認を手早く終わらせましょう」

……ちょっと待て、その前に俺に言う事があるだろ。

「ナナミ!お前俺を殺す気か!思いっきり喉締めやがって」
「ゴメンゴメン、つい『必死で』」

……わざとなのかそうじゃないかは知らないがコイツ、痛いところ突いてきやがった。

「お詫びに、ここから脱出したら私が作ったケーキ食べさせてあげるから」
「いらねえ」

即答。それにカチンときたのか。

「食べて」
「いらねえ」
「食え」
「いらねえ」

そんなやりとりが続いた。

「食べなかったらセクハラのことを世界中に広め……」
「だぁー!!食えばいいんだろ食えば!!!」

……こいつには勝てる気がしねえ。

「はぁ、残りの支給品は……ッッ!!」

支給品の確認作業に入ろうとした瞬間閃光が走った。
見てみれば遠くにかなりの大きさの火柱が上がっていた。

「オイオイ……まさかあれは」

いやあいつがここにいるわけねえだろ。ククルの警護のためにトウヴィルにいるはずだ。

「何だろうこれ、参加者名簿……?」

ナナミは火柱に気づかなかったのか、デイパックの中を調べていた。……って名簿?

「ナナミ!ちょっとそれ貸せ!」

ナナミから名簿をふんだくって中を確認する。そこにはエルク、リーザ、シュウ、ちょこ、俺の仲間たちの名前が記されていた。

「そんな……リオウやジョウイ、それにルカまで!」

名簿を覗いてきたナナミにも知り合いが参加していたようだ、全く悪趣味な催しだ。
433創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:24:44 ID:4L6ZpggB
                                      
434 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:25:31 ID:rBZIRN85
「助けにいかなきゃ!」
「そうだなシュウもきっと動いてるだろうし、じっとしてられねえか」
「あれ?トッシュさんってシュウさんの知り合いですか?」
「そうだが…ナナミ、お前シュウを知ってんのか!」
「ええ、まあ」
「そうか、俺の仲間はシュウの他にはエルク、リーザ、ちょこってのがいるお前は?」
「リオウ、ジョウイ、ビッキーさん、ビクトールさん達がそうです、それとこのルカって人は危険です」

結構仲間も多そうだ、それにシュウの奴ならこの首輪もはずせるだろう。俺は何をすべきか…。

「じゃあ今度こそ支給品の確認を…………」
「どうした?」

俺がナナミの支給品を覗こうとしたが…。

「だめです!こんなもの見るなんてお姉ちゃん許しません!」

隠されてしまった。

「だからいつ俺が弟になったんだよ!」
「じゃあ今からトッシュさんは私の弟です!はい決定!」

何ムキになってんだこいつ、まあいいか。
そんなこんなしているうちに第三の人物が現れた。

「俺は無法松。すまんがお前達、魔王を倒すために協力してくれ!」

無法松という男が。こいつ…いい面構えをしてやがるな。

「魔王を倒す…か。いいぜ!俺はトッシュだ」
「私はナナミっていいます」
「ナナミ…!ビクトールの言っていた仲間か」
「会ったんですか!」
「ああ、実は向こうの森にルカっていうヤバイ奴がいて、ティナって女がその森に残されてしまって、それでティナを迎えに行くって言って別れてしまったが」
「……!!」
「その間、俺は魔王を倒すための仲間を集めることになってな、ビクトールとは第三放送の時に向こうの座礁船で落ち合うことになってる」

地図を確認するとここはB-7ってことか。ようやく位置をつかめたぜ。
お互いに情報交換を進めていく。
……それにしても、さっきからナナミの様子がおかしいな。

「分かったぜ、仲間を集めて第三放送の時に集合だな。なあ松、ちょっと頼まれてくれないか」
「何だ?」
「さっきあっちの方で火柱が上がったんだ。あれはおそらくエルクの炎だ。奴は頭が悪いけどやるときはやる奴だ。あいつは頼りになる。俺はやることが出来ちまってな、あいつへの呼びかけに行ってほしい」
「……分かった。任せておけ」
「俺から紹介されたって言えば協力してくれるだろ。頼んだぜ」

そして――俺たちは別れた。
435創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:25:51 ID:oh3XssmC
支援
436創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:26:29 ID:4L6ZpggB
しえーん
437 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:26:40 ID:rBZIRN85
「ナナミ」
「え?」
「心配なんだろ?ビクトールって奴が」
「……うん」
「止めても無駄だしな、俺も一緒に行くぜ」
「……でも」
「姉ちゃんなんだろ?たまには弟のわがままを聞きやがれ」
「……分かりました。ただ一つ約束して」
「?」
「無茶な真似はしないで。あなたにまだケーキを食べさせてないんだから」
「分かったよ。出来るだけ、な」

俺達は南の森に駆けた。

◆     ◆     ◆

「ふははははははははははははははははははははははは!!!!消えろ豚があッ!!!」

ものすごい勢いで槍に炎が集まっていく。まともに受けなくても死ねる。そう思えるほどの炎が。

(オイオイまじかよ、コイツやばすぎるぜ。……全力でッ!!フリーズ!!)

それで完全にでは無いものの炎の勢いが急激に弱まっていく。

――『思い込み』
それを甘く見てはいけない。本当は熱いものでないのに触る者がそう思い込めば、触ったところに水脹れが出来るなど、それによって体にでる影響は小さくない。
アキラが全力でルカに叩き付けた氷の思念――――フリーズイメージがルカの出す炎を弱めたのだ。だがそれでは槍そのものの炎は消せない。それに―――。

「貴様ッ!!小賢しい真似オオオオオ!!」

アキラの全力の思念を受けてなお――狂皇子ルカ・ブライトは止まってくれない。

(コイツはここで倒さなきゃだめだ!!危険すぎる!!だけどまともにやったら死ぬ!!思念で攪乱しながらチャンスを伺うしかない!!)

無論、それをするのも難しい相手とは分かっている。だがそれでもアキラは後退しない。

(フレームイメージ、マザーイメージは効きそうにないな。ここは方向を狂わせるスリートイメージか。隙を見せたらホーリーブロウを叩き込む!!)

アキラは善戦したと言ってよかった。ひたすら方向感覚を狂わせ、炎を弱めながら隙を伺う。しかしルカ・ブライトは隙を見せてくれなかった。正確に言えば『アキラ』が付け入る隙がなかったのだ。
アキラの身体能力そのものはこの島においてかなり低い位置づけになっている。隙は見える。しかし体がついて行かないのだ。
アキラも一撃ももらっていなかった。それはルクレチアでの経験のおかげだった。もしおぼろ丸に会ってなかったら、もしレイの旋牙連山拳を見ていなかったら、瞬く間にルカの餌食になっていただろう。
現状ではほぼ互角のやりとりだが、アキラは思念を使うことにより大きく疲労し、ルカはスリートイメージに慣れてくる。このままではアキラの負けは確実だった。

「いつまで、受けきれる!!! 貴様のような、虫けらがぁ!!」
「アブネッ」

とっさに身をよじって槍を回避する。
どうればいい。考えろ……アキラ!!

(コイツに組み付いてテレポートするか?だが神殿には人がいるかもしれない。巻き込むわけには・・・・)

ひたすら考える。この状況を打開するために。

(男 アキラ……!無理を通してみせるッ!!)
438 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:27:34 ID:rBZIRN85
◆     ◆     ◆

(逃げに徹していても事態は好転しないわよね)

そう結論づけたルッカはミネアとアリーゼに接触することにした。

「ちょっといい?お二人さん。聞きたいことがあるんだけど。あ、私は殺し合いなんてする気無いから」
「あなたは……」
「ルッカよ。ルッカ・アシュティア」
「わたしはミネアって言います。わたしも殺し合いなんてする気ありません」
「まあ、その可能性のほうが高いと思ったから話しかけたんだけどね。聞きたいことっていうのはそっちの縛られている女の子のことなんだけど・・・・」

聞きたかったことを聞く。橋を壊したはずなのになぜここにいるのか、彼女との関係はどういうものなのかを。

「呪い?非科学的ね」
「ほんとなんですよー」

ルッカは呪われている剣のことを聞くとそんなことを言った。魔法を使う者の台詞ではないのだが。
でも、ルッカは信じてないわけではなかった。実際に幽霊を見たことがあるのだから、呪いだって無いとは言えない。

(うーん、あそこでフレアを使わなくて正解だったようね)

「・・・・で、クロノ、カエル、エイラの3人が私の仲間ね、魔王は・・・・どう動くか分からないわね」

お互いに情報を交換していく、そして工具のことを聞こうとしたとき。アリーゼがつけていた首飾りが目に入った。

「ねえ、その首飾り私にくれない?」
「……別にいいですけど。なんでですか?」
「ちょっとね……」

魔王―――ルッカにとってかつて敵だった相手。しかし一時的に協力して共にラヴォスを倒した仲間でもあった者。
ここにいる仲間達―――同じ時を生きているのはクロノだけだ。エイラやカエルが参加していることはオディオには時を越える力があるということ。
オディオはそれだけ強大な相手であることになる。使える者が全て無くなっていることを考えれば魔王の首飾りも奪われているだろう。
彼がどう動くか分からないが、仲間だった時期もある。大切なものなんだから返してあげたい――ルッカはそう思った。 

「無論、恩の売り逃げはさせないわよ、代価は首――」

首飾りを受け取ったルッカは、首輪を外すことで代価としてもらう、そう言おうとした。
その瞬間轟音が起こった。

ガゴオオオオオオオオオオ!!!!

3人はすぐに音の発信源を見る。そこにはブラを引きちぎり柱を倒壊させた緑髪の少女が虚ろな瞳で立っていた。

「そんな……ここまでの力なんて」

ミネアは知る由もないが、これはリンの力では無い。この異常な空間は皆殺しの剣を少しずつ活性化させている。本来の力を遙かに凌駕するほどに。

「まずいわね……殺すわけにもいかないし、手加減できるほどの余裕も無しとはね」

3人とはいえ前衛で戦える者がいない。そういうわけで――。

「「「逃げないとッ!!!」」」

◆     ◆     ◆
439 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:28:22 ID:rBZIRN85
(『魔』はあたしが滅ぼすッ)

カノンは燃える森を突き進む。己の宿命のために。

「あれは!!」

そして辿り着いた。アキラとルカが戦っている場所へ。カノンは素早く状況を把握する。

(この気配、あの大男が火を放ったようだな。『魔』の気配こそしないが、それに匹敵するほどの禍々しさと殺気、おまけに大きな『力』まで持っているか。『魔』でないとはいえ、いくらなんでもここまでの奴を放って置けないッ!)

「死ねええええええええッ」

(避けられ……)

槍がアキラを貫く一瞬前――一瞬でカノンはルカに接近し――全力でガトリングを放った!!

だだだだだだだだだだだだだだだだ!!!!!!!!

カノンのガトリングはルカに全部当たっていたしかし――

(打点をずらされてる!!こいつ・・・・このまま押し切るッ!!)

「とどめだッ!!」

カノンはガトリングのフィニッシュを放とうとした。しかし――カノンはそれを放つ体勢のまま硬直した。
『義体』――カノンの体であり武器でもあるもの。長年使っていたそれは限界が近づいていた。カノンのメンテナンスだけではどうにもならないほどに酷使されていたのだ。そしてその限界がまさに今来てしまった。
そしてルカに薙ぎ払われ、木に叩き付けられた。

「うう……」
「その体、貴様からくりか。貴様は俺の楽しみの邪魔をした。――死ね」
「やめろおおおおおッ!!!!」

アキラは駆ける。カノンを救うために。
ルカは槍を振りかざす。カノンを殺すために。

「間に……合えッッ!!!」

アキラがカノンの手を掴む。しかし槍はもう目前。どう考えても避けられない一撃だ。

ガッッ!!!

しかし槍はカノンを貫けず、後ろにあった木に刺さった。ルカの前からアキラもカノンも忽然と姿を消していた――。

◆     ◆     ◆
440創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:28:35 ID:4L6ZpggB
支援
441 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:28:57 ID:rBZIRN85
「あっちいな、全く森に火を放つなんて非常識な」

よそ様の家に火を放ったことのある男ビクトールはそんな言葉をこぼした。

「松は川で別れたって言ってたな。そっちから当たるか」

川へ進路をとろうとしたビクトールだったが、そこで最悪の男に会ってしまった。その男は紛れもなく狂皇子ルカ・ブライト本人だった。

「……マジかよ」

ルカはビクトールにとって倒すべき敵だ。だが自分一人の力ではどうひっくり返ってもルカに勝てないことはビクトール自身、十分自覚している。戦っても犬死にするだけ、ならばここで選ぶ選択肢は撤退することだ。
しかし、自身は松の代わりにティナという少女を迎えに行くという役目がある。故にルカとの会話を選択した。

「……よお、死後の世界ってのはどんな所だったか?」
「貴様か……悪くはなかったぞ」
「ちょっと聞きてえんだけどよ、お前……緑の髪の女をどうした?」

(こいつは約束を守らない奴だ、だがここで嘘をつく必要はない。殺したなら殺した。逃げられたなら逃げられたと言うだろう)

ビクトールはどっちにしても答えを聞いたらすぐさま撤退するつもりだ。殺されているなら全力で森から離脱。逃げられたのなら付近を探索しつつ森から出るという違いがあるだけだ。

「殺したがそれがどうした」

撤退!!

ビクトールはすぐさま退路に向かったがその時――燃えさかる木が倒壊した。

「おわッ」
「ふははははははは!!!貴様はここで俺に殺される運命にあるようだな」

(まじいぞ……このままじゃ松とのもう一つの約束まで果たせなくなっちまう。何とかしねえと)

「そんな運命俺が叩き斬ってやるよ」

声がした。そこには見知らぬ男と――ナナミがいた。

「ナナミ!」
「おめえがビクトールか、後は俺に任せな」
「やめろ!!あいつは強い!!」
「俺を信じろ」

駆けつけた男――トッシュは、精霊剣『マーニ・カティ』を構えルカと対峙する。
数秒後――戦闘が始まった。

◆     ◆     ◆
442 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:30:17 ID:rBZIRN85
一閃―――――『真』

「!!!!!!」

トッシュが剣を一振りする。その瞬間ルカの脳から危険信号が送られた。

――――――避けろッッ!!

常軌を逸した速度で回避する。次の瞬間、ルカの背後にあった木がまとめてなぎ倒された。トッシュの剣技の一つ――『真空斬』だ。

(こいつ……剣圧だけでここまで!)

体勢を立て直そうとしたが、気がつくと男はすでに俺に肉薄していた――。

「ちッ!」

槍を構え応戦する。一瞬で数十発の剣と槍の応酬が起こった。
トッシュの力、速さ、技量、全てにおいてルカを超えていた。さらに精霊剣『マーニ・カティ』。紅蓮ほどではないが、精霊の力を持っているトッシュにとって、刀でないとはいえ抜群に相性のいい武器だった。戦況はどうみてもトッシュが有利に見える。
だがそれでもまともに攻撃が当たらない。それはルカの得物が『剣』との相性が悪い『槍』だったことが一つ。もう一つはトッシュがナナミ達に気を配りながら戦っていたからだ。

「……てめえ、ロマリアのキメラ軍団より厄介だな」

――強い。素直にそう思った。ロマリア列車爆破の時に時間稼ぎで戦ったキメラの群れ――。瞬く間に数十匹を斬ることができたが、こいつはそれをさせてくれない。精霊の力も無しにここまでやれることに驚いた。

「……マジかよ。あのルカを押してやがる」
「トッシュさん……すごい」

ナナミやビクトールは驚いていた。ここまでの強さを持った男に。
下手に加勢するのは邪魔になる。そう思った二人は見ていることしかできなかった。

(ふはははははははははははははははははは!!!!!おもしろい!!!おもしろいぞ!!!太った豚ばかりかと思ったが狼が混ざっていたとはな!!!)

ルカは喜ぶ強敵との出会いを。

「一気にケリをつけてやる!『討』――――――桜花雷爆斬!!!!!」

ひのきの棒ではとても放てない、精霊の力を込めた強大な雷が解き放たれた。

バッシャーーーーーーーーン!!!バリバリバリバリ!!

訪れたのは白の世界。
視界が晴れるとそこにはバチバチと音を立てている抉れた地面だけが残された。

「やった……のか?あのルカを」
「いや……手応えがなかった。すまねえ、逃げられちまったみてえだ」

ルカ・ブライトは自分の強さに自信を持っているが決して相手との戦力差を違えるような愚かな男では無い。
これは一時的な撤退に過ぎない。彼はまた現れる。邪悪を貫くために―――。
443創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:31:01 ID:4L6ZpggB
しえん
444 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:32:27 ID:rBZIRN85
◆     ◆     ◆

ピサロは魔力の消耗を回復するために洞窟で休んでいた。入り口が壊れ、洞窟から出られなくなるのを防ぐために入り口付近に陣取っていた。そのため見てしまう。

バッシャーーーーーーーーン!!!

トッシュが起こした雷を。

「あれはギガデイン?いや……ギガソードか!!」

ピサロがいた世界では人間の世界、魔界ともに人為的に雷を起こせるのはほんの一握りだ。だから、ピサロは今の雷を―――勇者ユーリルが起こしたものだと。自分を一度滅ぼした技――『ギガソード』だと判断してしまった。
湧き上がってくる『感情』――それは『オディオ』。

憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い


完全に頭に血が上ってしまったピサロは、先ほど『慎重にならざるをえない』と考えたことも忘れ、雷の起こった方へ駆ける。
勇者ユーリルを殺すために。

◆     ◆     ◆

「レイさん……ごめんなさい」

ピサロが放ったイオナズンで出来た大きなくぼみ、そこにレイを横たえ土を被せることで簡素な墓とした。
墓を作った女性――アティは黙祷を捧げその場を後にした。
罪悪感はある。後悔もしている。だけどじっとしていても仕方がない。
それに――アリーゼが心配なのだ。アリーゼがさきほどの男――ピサロに会う前に助けなければいけない。
そして気付く、遠くの森が燃えていることに。

「いったいなにが!!」

最も彼女にとっては原因なんて二の次だ。取り残されている人がいるかもしれない――。だから、アティは駆けた。

「誰かーーーーー。いませんかー」

燃える森の中で彼女は人を探す。これ以上命を失わせないために。

◆     ◆     ◆
445創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:32:54 ID:4L6ZpggB
shien
446創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:33:04 ID:oh3XssmC
支援
447 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 01:33:22 ID:rBZIRN85
「なんとかッ!!逃げれたわね」
「よりによって逃げ場所がこんなところなんて・・・・とは思いますけどね」
「なによー、橋を壊したことは不可抗力でしょー」
「いえ、そんなつもりは・・・・」
「とにかくこんな所に長くいるのは危険だわ!早くこの森からでないと」

ルッカ、アリーゼ、ミネアの3人はリンを撒いて燃える森の中にいた。片側の橋が壊れている以上、逃げ場所がここしかなかったのだ。

「誰かーーーーー。いませんかー」

微かに声が届いた。この状況では普通認識できない声だ。だけどその声を聞き慣れた者―――アリーゼには聞き取れた。そしてそれがアティの大切な先生の声というのも理解できた。

「先生ッ!!」
「ちょっと!どこにいくのアリーゼちゃん!」

駆け出したアリーゼをミネアが制するが止まらない。どうも声が届いてないようだ。

「しょうがないわねー、追うわよ!」
「はい!!」

先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生先生

言いたいことはいっぱいある。先生に会いたい。
笑わせてあげなきゃ―――もう一度あの笑顔を見るために。
程なくして先生をみつけられた。

「先生ッ!!」
「あ!アリーゼさ――」
「!!!」

気付いてしまった――。近くにきている銀髪の男に。その男の持っている刃が先生に向けられていることに。

「先生ッ!!危ないッ!!!」
「え」

男の持っている刃は――私の心臓を貫いた。

◆     ◆     ◆
448創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:34:31 ID:oh3XssmC
アティーーーー
449創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 01:35:03 ID:4L6ZpggB
しえんん
450規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 01:49:58 ID:4L6ZpggB
訳が分からない。私の腕の中には動かないアリーゼさんがいる。
なんで動かない?
――死んでいるから。
なんで死んでいる?
――この男に殺されたから。
なぜアリーゼさんが殺された?
――私を庇ったから。
また私のせいで命が失われた。私のせいで、私のせいで、私のせいで。

「ああAaあAAAああAAAあAAあAaa」

私は無力だ。
『力』が欲しい。
神でも悪魔でも魔王でもいい。

「こいつをぶちのめすためのチカラを与えてくれええええエエエぇぇェッ!!」

アティのの中の力――『碧の賢帝』の力が発現する。
アティの姿が変貌する。耳のような髪、白髪。
しかしなによりも違うのは―恐ろしいまでの殺気だった。
その時――アティの持っていた水の封印球が輝き出した。

リィンバウムの召喚は異世界とゲートで繋いで成り立つものー。そしてそのためには契約の石『サモナイト石』が必要だ。
紋章の封印球はサモナイト石とは違うものだ。
だが今のアティは強引に紋章と自分を繋ぐゲートを作る。
それも圧倒的な力――即ち『暴走召喚』。
本来、水の紋章は癒しの力だ。しかし『暴走召喚』により絶大な攻撃の力へと変貌するッ!!
起こったことは――大津波。

「AAああAaaaAaaAAあAAAaaあAaaAAああAaaッーーー!!!!」
「これはー。くっ『マヒャド』ッ!!」

迫り来る大津波に対抗するため、ピサロは周りに局地的に冷気を発生させ――津波を防いだ。

「たしかこっちにって、ええええええええーーーーーーー!!!」

アリーゼを追ってきてルッカとミネアが現れたが津波に巻き込まれ流されてしまった。
そして、始まる――アティとピサロの戦いが。

【C-7 森 一日目 早朝】

【アティ@サモンナイト3 】
[状態]:抜剣覚醒。コートと眼鏡とパンツと靴以外の衣服は着用していない。
    強い悲しみと激しい自己嫌悪と狂おしいほどの後悔。コートとブーツは泥と血で汚れている。
   水の紋章が宿っている。
[装備]:碧の賢帝@サモンナイト3、白いコート、
[道具]:基本支給品一式、はかいのてっきゅう@ドラクエW
    モグタン将軍のプロマイド@ファイナルファンタジーY
[思考]
基本:????
1:AaaAAああAaaッーーー!!!
[備考]:
※参戦時期は一話で海に飛び込んだところから。
※首輪の存在にはまったく気付いておりません。
※地図は見ておりません。
※水の封印球@幻想水滸伝Uは砕け散りました
※アリーゼを抱きかかえています。
※暴走召喚は媒体がないと使えません。
※アリーゼは天使ロティエル@サモンナイト3を装備しています。
451規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 01:51:21 ID:4L6ZpggB
【ピサロ@ドラゴンクエストIV 】
[状態]:全身に打傷。鳩尾に重いダメージ。
    疲労(やや大)人間に対する強烈な憎悪
[装備]:ヨシユキ@LIVE A LIVE、ヴァイオレイター@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]:不明支給品0〜1個(確認済)、基本支給品一式
[思考]
基本:優勝し、魔王オディオと接触する。
1:皆殺し(特に人間を優先的に)
[備考]:
※名簿は確認していません。またロザリーは死んでいると認識しています
※参戦時期は5章最終決戦直後

◆     ◆     ◆

リンは探していたあの3人を――否、自分の獲物を、だ。
そして見つけた――鎧を着た大男を。

(見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺)

猛スピードで迫るも、皆殺しの剣によって足運びの技術まで殺されていたため男はあっさり防いできた。

「はははははははははははは!!!貴様!!おもしろそうなものを持ってるじゃないか!!」

男が炎を放つ――私はその炎を回避するも追撃してきた男に槍で貫かれてしまった。

(もう、お前は駄目だな)

「えっ」

男が私から剣を奪おうとした時、頭の中から声が響いてきた。そして剣を奪われた瞬間『リンディス』の意識が覚醒した。

「感謝するぞ小娘!では死ねえッ」

その瞬間だ津波が来たのは。
私はそこで意識を失った。

◆     ◆     ◆

「どっちに行けばいいんだよ。ったく」
「うーん、多分こっち……かな?」

トッシュ、ナナミ、ビクトールは出口を目指し移動しながら自己紹介、これまでの経緯や仲間のことなど軽い情報交換を終わらせていた。
森の状態はかなり酷くなってきていて、まっすぐ進めない状態になっていた。こんな状態でコンパスは役に立たなかった。そのため長い間ふらふらすることになったのだ。
歩いていると川に辿り着いた。

「川か」
「さっきの時よりずいぶん流れが緩やかだな」
「えーと神殿はどっちかな」

川を目印に神殿に向かおうとしたがー。
そこに津波がやってきた。

◆     ◆     ◆
452規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 01:53:05 ID:4L6ZpggB
どっぱーん!!

「ぷはっ」

神殿の湖畔の上空に人影が2つ現れて、そのまま湖畔にダイブすることになった。
その2つの人影はテレポートによってルカから逃れてきた。カノンとアキラだ。
意識のあったアキラはカノンの安否を確認する。

「息は…あるみたいだな、間に合ってよかった」

とりあえずアキラはカノンを起こそうと思って、呼びかけたり揺すったりするものの起きる気配が無い。

「仕方ねえ、とりあえずここから出てそこの神殿に運ぶか」

アキラは出来たら動き回りたかったが、こんな状態の人を放っては置けない。だからとりあえず休めそうな場所として神殿に向かった。
アキラはひたすら待ったカノンが目覚めるのを、まだカノンは目覚めない。放送まで――後僅か。

【C-8 神殿(集いの泉@サモンナイト3) 一日目 早朝】

【アキラ@LIVE A LIVE】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)、服が濡れている。
[装備]:なし
[道具]:拡声器(現実)、ランダムアイテム1〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:オディオを倒して殺し合いを止める
1:気絶している女性(カノン)が起きるまで神殿に待機。
2:他の参加者と接触する。
3:どうにかして首輪を解除する。
4:森であった邪悪(ルカ)を倒す。
[備考]
※参戦時期は最終編(心のダンジョン攻略済み、魔王山に挑む前、オディオとの面識は無し)からです
※急いで支給品は確認しましたが、名簿の方は未だ出来ていません
※日勝、レイ、サンダウン、無法松が参戦している事に気付いてません
※テレポートの使用も最後の手段として考えています
※超能力の制限に気付いていません
※ストレイボウの顔を見知っています
※拡声器はなんてことのない普通の拡声器です

【カノン@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:精神的疲労(中)、ダメージ(中)、気絶、『義体』に異常 、服が濡れている
[装備]:勇者ドリル@サモンナイト3(左腕)、Pファイアバグ@アークザラッドU、
    激怒の腕輪@クロノ・トリガー、毒蛾のナイフ@ドラゴンクエストW 導かれし者たち
[道具]:不明支給品1〜2個(確認済み)、基本支給品一式×2
[思考]
基本:『魔』を滅ぼす。邪魔されない限りそれ以外と戦う気はない。ただし、邪魔者は排除する。
1:アシュレーを見つけて討つ。
2:アシュレー以外の『魔』も討つ。(現時点:オディオ、魔王、皆殺しの剣、ピサロ)
3:後に少女(リンディス)の問題解決の為にも花園へ向かい1、2の為に情報を集める。
4:森に火を放った男(ルカ)を倒す。
5:あの男(エルク)には会いたくない。

[備考]:
※参戦時期はエミュレーターゾーンでアシュレーと戦った直後です。
※彼女の言う『魔』とは、モンスター、魔物、悪魔、魔神の類の人外のことです。
※勇者ドリル、Pファイアバグは機械系の参加者及び支給品には誰(どれ)でも装備できるよう改造されています。
※エルクのデイパックを湖に捨てました。基本支給品はちゃっかりぱくっています。
※ミネア、アリーゼの知り合いや、世界についての情報を得ました。
 ただし、アティや剣に関することは当たり障りのないものにされています。
453規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 01:54:40 ID:4L6ZpggB
◆     ◆     ◆

「ううん……いったいなにが……ってあなた!!」

ミネアが目を覚ましたらそこには腹から血を流している少女リンディスが倒れていた。なぜか剣は持ってない呪いが解けたのだろうか。とにかくこのままにしておくと死んでしまう。すぐに回復呪文をかける。

「ベホマ!」

だが、一瞬で傷を完治させる呪文は気休めにしかならなかった。さらに言えばものすごく疲れる。

「力が弱まってる!」

でもこのままじゃこの子は――。

「だったら……ベホマ!ベホマ!ベホマ!ベホマ!ベホマ!ベホマ!」

ミネアはひたすら呪文を紡ぐ。傷が塞がるまで。その甲斐あって、なんとか命は助けられたようだ。もう少し処置が遅れていたら助からなかっただろう。

「これは……こたえたわ」

頭が痛い、ここでの回復呪文は大幅に弱まるみたいね。ここはどこかしら?ルッカさんともはぐれちゃったみたいだし。アリーゼちゃんも探さないといけないし、でもこの子をここに置いていくわけにも行かないしどうすればいいのかしら?

「前途多難ね……」

ミネアは溜息をついた。
傍らで眠る少女――遙かなる草原はまだ目覚めない。放送まで――後僅か。

【C-6  山 一日目 早朝】

【ミネア@ドラゴンクエストW 導かれし者たち】
[状態]:精神的疲労(大)、ずぶ濡れ
[装備]:デスイリュージョン@アークザラッドU
[道具]:ブラストボイス@ファイナルファンタジーY、基本支給品一式
[思考]
基本:自分とアリーゼ、ルッカの仲間を探して合流する(ロザリー最優先)
1:少女(リンディス)が起きるまで待つ。起きたら話を聞く。
2:アリーゼ、ルッカを探したい。
3:飛びだしたカノンが気になる
[備考]
※参戦時期は6章ED後です。
※アリーゼ、カノン、ルッカの知り合いや、世界についての情報を得ました。
 ただし、アティや剣に関することは当たり障りのないものにされています。
 また時間跳躍の話も聞いていません。
※回復呪文の制限に気付きました。

【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:少し火傷 、ダメージ(小)、腹に傷跡
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:打倒オディオ
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※みわくのブラは引きちぎられました。
454規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 01:55:49 ID:4L6ZpggB
◆     ◆     ◆

「ここには…地面が焼け焦げた跡しかないか」

トッシュの言う仲間はすでにここを離れた後のようだった。ここは平原――日が昇ってきた今はかなり遠くまで見渡せるようになった。だが周りを見ても人は見あたらない」

「うーん。俺が座礁船の方から来たから…こっちの洞窟にでも行っちまったのか?とりあえず、向かってみるか」

(ティナ、ビクトール、ナナミ、トッシュ、…アキラ無事でいろよ)

松は走る。悲劇を生まないために。
ひたすらに今自分に出来ることを――。

【A-9 平野 一日目 早朝】
【無法松@LIVE A LIVE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、潜水ヘルメット@ファイナルファンタジー6、不明支給品0〜2(本人確認済)
[思考]
基本:打倒オディオ
1:エルクを探すため海辺の洞窟に向かってみる。
2:アキラ・ティナの仲間・ビクトールの仲間・トッシュの仲間をはじめとして、オディオを倒すための仲間を探す。
3:第三回放送の頃に、ビクトールと合流するためA-07座礁船まで戻る。
[備考]死んだ後からの参戦です
※ティナの仲間とビクトールの仲間とトッシュの仲間について把握。ケフカ、ルカ・ブライトを要注意人物と見なしています。
 ジョウイを警戒すべきと考えています。


◆     ◆     ◆

「てててててて…ここはどこだ?」

周りは木だらけでいまどこにいるかわかんねえ。おまけにあいつらとはぐれてしまった。
さてどうするか、集合場所を決めているのだから無理に探さず新しい仲間を捜すべきか?
あいつ――トッシュの強さを目の当たりにした時、希望と絶望が見えた。
ルカを倒しうる力を持ったトッシュに希望が見えた、だがそんな男を簡単に連れてこれるオディオに対する絶望が見えた。
いよいよルカよりやばい参加者がいると言うのが現実味を帯びてきたかもしれない。早いうちに仲間を集めなければならない。
トッシュの話によれば奴の仲間は全員安全でその中にはシュウって奴がいるらしい。おそらく名簿は知り合いごとにまとめられているだろうから。俺が知っているシュウとは別人だろう。
奴の様子からすればとにかく『できる』男。そんな印象を受けた。
あそこまで奴が信頼している男だ。早いうちにあっておきたいな。

「後は、松…あいつにティナの事謝らねえとな」

松が起きた頃には――もしかしたら松を見つけた頃には手遅れだったのかもしれない。
だが、それでも自分はティナを助けられなかったのだ。その事実は変わらない。そのためにも―。

「生きなきゃ、な」

【D-8 森林 一日目 早朝】
【ビクトール@幻想水滸伝U】
[状態]健康 、ずぶ濡れ
[装備]魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(確認済)
[思考]
基本:打倒オディオ
1:アキラ・ティナの仲間・ビクトール・トッシュの仲間をはじめとして、ルカおよびオディオを倒すための仲間を探す。
2:第三回放送の頃に、無法松と合流するためA-07座礁船まで戻る。その時、松に謝る。
[備考]参戦時期はルカ死亡後のどこかです。詳細は後の書き手さんにお任せします。
※ティナの仲間とトッシュの仲間、アキラについて把握。ケフカを要注意人物と見なしています
455規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 02:00:39 ID:4L6ZpggB
◆     ◆     ◆

「どわあああああッ!!!、ちくしょう!!いつまでながされんだよ!!」

トッシュはよりによって津波によって山の下にあった水路まで流されてしまったのだ。未だ流された状態が続いている。いいかげんうんざりしてきた頃ようやく光が見えてきた。

「ひかりだ!」

そして、思いっきり水から放り出された。

「ぐおおおおッ!!」

数回バウンドして数十秒後――ようやく起きあがる。

「ここはどこだ?っな!しろぉ?なんでこんなすいろのさきにしろがあるんだよ!」

それにしてもこの男さっきからセリフがひらがなばっかりである。

「ってとりあえずナナミ達を探すか。でも出口ってどっちだ?」

突っ込みが届いたのか、修正に入ったようだ。喋れるじゃないか漢字。

「剣もどっかに落としちまったみてえだ、とりあえず散策するか」

散策を始めようとした時、何かが光った。

「ん、なんだ?………石?」

それは、ティナ・ブランフォードが残した『意志』――残された者達への『力』だった――。
拾わないといけない――そんな気がした。

【D-6 地下にある城(古代城@ファイナルファンタジーY) 一日目 早朝】
【トッシュ@アークザラッドU】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、ずぶ濡れ、ナナミの弟
[装備]:ひのきの棒@ドラゴンクエストW
[道具]:不明支給品0〜1個(確認済)、基本支給品一式 、ティナの魔石
[思考]
基本:殺し合いを止め、オディオを倒す。
1:あたりを散策し出口を探す。
2:必ずしも一緒に行動する必要はないが仲間とは一度会いたい(特にシュウ)
3:ナナミ達を探す。
4:ルカを倒す。
5:第三回放送の頃に、A-07座礁船まで戻る。
6:基本的に女子供とは戦わない。
7:あのトカゲ、覚えてろ……。
8:事が片づいたらナナミのケーキを食べる。

[備考]:
※参戦時期はパレンシアタワー最上階でのモンジとの一騎打ちの最中。
※紋次斬りは未修得です。
※C−6エリアのどこかにマーニ・カティ@ファイアーエムブレム 烈火の剣が落ちています。
※ナナミとシュウが知り合いだと思ってます。
※ティナは魔石になりました。
456規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 02:02:19 ID:4L6ZpggB
◆     ◆     ◆

「はあ、なんだってのよ一体。誰かがウォータガでも放ったのかしら?」

ルッカはミネアとアリーゼの捜索を続けていた。仲間がいないのはやっぱり寂しいものだし、首飾りを受け取った以上、借りを返さないといけない。
ふいにルッカの前に人影が現れる。狂皇子ルカ・ブライトだ。

「……何か用かしら?」
「分からんか?」

分かる、すっごい分かる。こいつの目、正気じゃないわ。おまけにさっきの子が持っていた剣までもってるし。
まずいことになったわね。さっきの子より遙かに強そうだわ。逃げようかな……。

逃げる――妥当な判断だ。だがルカ・ブライトは津波によって流されたアリーゼのデイパックを回収していた。その中身は――「工具セット」。ルッカが探しているものだった。
――ルッカはそれを知らない。

「ホーッホッホッホ、さいならッ!」
「逃がさんぞおおおおおおおおッ!!」


不意打ちで逃げたが、男は猛スピードで迫って来てぐんぐん距離を詰めてくる。
なんなのあいつ!鎧の重さを感じないわけ!速すぎるじゃない!
しかもリンの時と違って木々が燃えてしまったため撒くことが出来ない。――最悪だ。

(ここは、いちかばちかフレアで……)

フレアを放とうとした瞬間!

「花鳥風月百花繚乱竜虎万歳拳!!!」
「「!!」」

声のしたほうには一人の少女が立っていた。

「ほら!早く逃げて!!」

あの子、注意をそらすために!って目の前の男は迷わずあんたのほうに突撃してるじゃない!!
あ、逃げた。

……。
…………。
………………。

「って、恩の売り逃げは、気に入らないわ!!待ちなさい!!」

◆     ◆     ◆

(あーあ、わたしの方が無茶しちゃった)

でも、ここで死んでやる気はさらさら無い。ここにはリオウやジョウイがいる。
彼らを助けなければいけない。
それに…………新しくできた弟にケーキを作るという約束もある。
今、両手にある武器『天命牙双』に誓いを立てる。
決して負けないことを。

(私は、『お姉ちゃん』なんだからー!!!)

◆     ◆     ◆
457規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 02:03:26 ID:4L6ZpggB
◆     ◆     ◆

(見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺)

「黙れ、耳障りだ。叩き壊すぞ」

(…………)

「貴様に操られて殺すのではない。俺は俺の想うまま、俺の望むまま『邪悪』に生きているから殺すのだ。豚は引っ込んでいろ」

ルカ・ブライトは皆殺しの剣の殺意をはね除けていた。彼の突き動かす『感情』――『オディオ』はそんなちっぽけなものでどうこうできるものではなかったのだ。
悲しき過去を持つ狂皇子はどこまでも続ける――『本気の嘘』を。

【C-7 森 一日目 早朝】
【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(中)、調査による精神的疲労(中)、ずぶ濡れ
[装備]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@LIVE A LIVE 、サラのお守り@クロノトリガー
[道具]:なし
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから。
1:少女(ナナミ)を追いかけ男(ルカ)から助ける。
2:ミネアとアリーゼを探したい。
3:改造、首輪解除するための工具を探す。オートボウガン改造したい。
4:どこかで首輪を探す。
5:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
6:クロノ達と合流、魔王は警戒。
7:17ダイオードの更なる研究
8:魔王に『お守り』を返す。
[備考]:
※バイツァ・ダスト@WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
※機界ロレイラルの技術の一部を解明し、物にしました。

【ナナミ@幻想水滸伝U】
[状態]:健康 、ずぶ濡れ、みんなのお姉ちゃん
[装備]:天命牙双@幻想水滸伝U
[道具]:スケベぼんデラックス@WILD ARMS 2nd IGNITION、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:ルカから逃げる。
2:近くにいるであろう、トッシュ、ビクトールと合流。
3:リオウ、ジョウイと会いたい。
4:第三回放送の頃に、A-07座礁船まで戻る。
5:事が片づいたらトッシュにケーキを食べさせる。
[備考]:
※紋章の一つはフェロの紋章です。他の紋章に攻撃系のものはありません。
※トッシュとシュウ(幻想水滸伝U)が知り合いだと思ってます。

【ルカ・ブライト@幻想水滸伝U】
[状態]疲労(中)、思念による精神的疲労(中)
[装備]皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、魔封じの杖(4/5)@ドラゴンクエストIV
[道具]フレイムトライデント@アークザラッドU、工具セット@現実、基本支給品一式×3、不明支給品1〜3(武器、回復道具は無し)
[思考]基本:ゲームに乗る。殺しを楽しむ。
1:ナナミを殺す。
2:会った奴は無差別に殺す。ただし、同じ世界から来た5人を優先
3:あの狼(トッシュ)は自分の手で殺したい。
[備考]死んだ後からの参戦です
※皆殺しの剣の殺意をはね除けています。
※津波で濡れた体は炎で乾かしました。
458規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 02:13:38 ID:4L6ZpggB
「先生、私…怒ってるんですよ。いつもいつも一人で何もかも背負い込んで
 自分の事なんて省みずに周りに心配ばっかりばっかりかけて、わたしそん
 なに頼りないですか、話相手にもなりませんか。たしかに私は人見知りだ
 し、召喚もうまくできないし、先生に迷惑を何度もかけました。わたしじ
 ゃ駄目なのかもしれません。でもあの島には頼りになるいい人がたくさん
 いたじゃないですか誰も頼らない先生を見てるとイライラムカムカするん
 ですよッ!でも、それでも私は先生のことが大好きです。大丈夫です――。
 先生ならきっと手を取り合えます。先生――最後に一つだけお願いがあり
 ます。もう一度笑ってください。また先生の笑顔を見せてください。私は
 いつでも先生のことを見守ってますから――」

【アリーゼ@サモンナイト3 死亡】

【残り45人】

※C−7エリアで大規模な津波が発生しました。そのため、山火事は完全に収まりました。
459規制のため、代理投下:2008/12/28(日) 02:16:39 ID:4L6ZpggB
代理投下終了。タイトルは「本気の嘘」だそうです。
あと>>457の一番上の余分な「◆     ◆     ◆」は私のコピペミスです。申し訳ありません。

87 名前: ◆E8Sf5PBLn6[sage] 投稿日:2008/12/28(日) 01:48:10 ID:yXq0Niik0
投下終了です。また自分は問題作を……。
ティナについては某所と同じネタだからまずければ削ります。

88 名前: ◆E8Sf5PBLn6[sage] 投稿日:2008/12/28(日) 01:58:14 ID:yXq0Niik0
あ、すいません。リンの状態にもずぶ濡れがあります
460創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 02:23:31 ID:4L6ZpggB
では感想を。
投下乙! アリーゼェェェェェェェェェ!!!!
大人数による大作、見事です! それぞれのパートが絡み合い、繋がっていくのは見ていて心地いい。
そしてシャッフルされたチームもなかなかおもしろい組み合わせ。
アリーゼはあと少しでアティに会えたのに、アティ先生大変な事になってるじゃねーかピサロこの野郎w
あとミネアは絶対死ぬと思ったのに、しぶといぜ全く。
そして今度は津波ですか。災害だらけですねこのロワはw 大規模魔法は流石RPG! GJ!!
ティナは別に問題ないでしょう。なかなか上手いフラグだと思いますよ。
461創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 02:26:09 ID:oh3XssmC
投下乙!!この大バトルは水に流されたか
だけどいろんな進展があってとてもよかった。
アリーゼが死んで先生やばい状態になり、
リンのもとから皆殺しの剣が離れ、ルカ様に。
面白そうな展開じゃあないか。
そして、何だかんだいって死ななかったなミネア
462 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/28(日) 03:11:57 ID:rBZIRN85
規制解除されたかな?
代理投下感謝です。
ちゃんと推敲しないと駄目じゃん自分。気絶まで抜けてるなんて
リンの状態表はこれでお願いします。

タイトルの元ネタはWILD ARMS XF
オープニングテーマ「本気の嘘」です。

【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:少し火傷 、ダメージ(小)、腹に傷跡 、気絶、ずぶ濡れ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:打倒オディオ
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※みわくのブラは引きちぎられました。
463創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 11:09:17 ID:Z5zfwb3c
洪水来たあああ!!
水の封印球を活用してくれたことにマジGJ!
あれ、宿せないからどうなっかと悩んでたんだよなあw
うまいことバラけてくれたし

ところでルカの『本気の嘘』って外伝や小説版でのこと?
いや、一応この企画はちょこの覚醒関係でもめたように、
最終話や死亡話以外じゃ繋ぐ他書き手の把握の都合上、ゲーム本編以外のネタは使用不可なんじゃ?
464創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 21:04:57 ID:p6GjZY+E
投下乙!
まさかアリーゼが散るとは思わなかったぜ…
大人数だけあってかなりの乱闘だったなぁ。
リンはなんとか元に戻れたみたいだが、そのせいでルカ様が更に手が付けられなかった気がするw

一つ質問をば。
サモンについてあまり詳しくないのでよく分からないんですが、碧の剣帝はアティの意思で出せるんですか?
これも召喚ってことになるのかな?
支給品にはなかったので、何処から出てきたのか気になりました。
465創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 21:51:11 ID:piQrTmnT
>>464
◆E8Sf5PBLn6氏じゃないけど答えてみる

碧の剣帝はアティの意志で境界ってとこから引き出せたりする。
まあ、原作用語抜きで言うと確かに召喚みたいなもの
支給品とは別扱いで呼べば来る剣って感じ
あと、原作じゃ呼ばなくても契約主を生かそうとするためアティが死にそうなら勝手に現れたりもする
尚、剣自体を手放しても、契約は死ぬか剣が折れるかしないと解除されないので、やっぱり勝手に戻ってくる
伝説の武器よりも呪われた武器の方がイメージ的には合うかと
既に出てきた紅の暴君はこのロワのイスラが死後参戦なため、契約解除済み
故にイスラが呼んでも現れたりはしない

で、あってるはず
466創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 22:05:23 ID:5F0lHN0O
SRPGの方では完全支給品っぽいけどな<魔剣
まあサモンの場合、召喚使えなきゃただ殴る切るしかできないし、魔剣は別でもいいかも。
いい感じに暴走してくれたみたいだしね。

俺としてはベホマの回復量の方が気になった。いくら元が完全回復魔法だからって、
気休め程度ってのはちょっと少ないような気がする。せめて普段のホイミよりやや弱いくらいが丁度いいのでは?
魔力の低いセッツァーのケアルラでさえ火傷の回復が可能なわけだし…。
467464:2008/12/29(月) 00:36:10 ID:+A1schmI
>>465
説明サンクス!
今までのSSからサモナイト石がないと召喚術はできないと思っていたが、その召喚とは別物の専用装備なんだね。
今回のSSからも、ヤバイ代物だっていうのはよく分かったぜ。
468 ◆E8Sf5PBLn6 :2008/12/29(月) 21:42:25 ID:KLtbjXw3
すいません。またミスがありました。ルカ様にガトリングのダメージがなかった。状態にダメージ(小)を追加します。あとアティ先生の状態に暴走を追加します。
誤字はwikiに載ったら直します。

>>463
はい『本気の嘘』についてはそうなんですが。
それが今後のルカ様の行動方針に全く影響が出ないことと、グレミオ復活の件が通っているから小ネタレベルならいいんじゃないかと思いました。
本編だけでも読み取れないことはないですし。
過去に触れるようなキャラもいない。本人も話さない。どこまでもマーダーでいようとするから使わせてもらいました。

>>464
代わりに答えてもらいましたが。まあそんな感じです。登場話で手に入れていたみたいなので。
もっとも、今回の場合アティ先生の意志で出したのではなく、暴走したから出たのですが。
まだ、剣の存在すら知りませんし。

>>465
すいません、答えていただいてありがとうございます。

>>466
改めて見てみると確かに少ない気がします。火傷が治ってないのは完全にミスです。すいません。

『だが、一瞬で傷を完治させる呪文は気休めにしかならなかった。』を
『しかし回復効果は弱く、傷を完全に塞ぐにはいたらなかった。』に修正します。
それからリンの状態からダメージ(小)と少し火傷を削ります。

答えるのが遅くなってすみませんでした。
469創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 02:30:21 ID:zJsNGjOp
投下します
470勇者の強さ、人の弱さ  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/31(水) 02:37:13 ID:zJsNGjOp
かちこちと、かちこちと。
進むは秒針、刻むは時間。
ゆらゆらと、ゆらゆらと。
揺れるは心、鈍るは信念。

俺はどうすればいい……。

当初の目的である北の城を目指し、南東の城を後にしてからずっと、カエルは俯き悩み続けていた。
自分が想像してしまった最悪の可能性――即ちエイラの死に伴う時空改変についてを。
それはほんのわずかな可能性。
今まで度重なる過去への干渉を行ってきたが、自らを含むガルディア王国の存在が揺るがされたことは一度たりともないのだから。
しかしである。
1%とといえど、その確率があるのなら。
カエルには到底無視できるものでは無かった。

全てが、消える?
友が命を賭けて守った王国も、彼と築いた想い出も、自身が護りたかったものも全て?
全てが全て、輝かしい時間では無い。
カエルと化した身が象徴するように、友との死別を初め辛く苦いことも多々あった。
一時は酒に溺れ、大事な友の形見を手放したこともあるくらいだ。
それでも。

手に握られたバイアネットの刀身が震える。
いや、震えているのは己が腕だ。
失いたくはないと思ってしまう己が心だ。

いつも道を示してくれた友はもう居ない。
常に皆を引っ張って来た青年も傍らには居ない。
手を汚すか、汚さないか。
決めるのは俺の……意思……!

俺は、俺は、俺はーーー!!

エイラは心身ともに強い。
簡単に遅れをとるとは思わない。
だったら俺が考えていることは杞憂なのでは?
本当にそうか?
名簿にはあの魔王の名も載っていた。
あいつなら目的のために優勝を目指すことも厭わない。
魔法が相手ではエイラも分が悪い筈だ。
俺の存在が消えていないのだから、現時点では無事だろうが。
待て、オディオはわざわざ殺し合いをさせる為に集めたのだ。
万一エイラが死亡したところで、他参加者が連鎖的に消滅したりしないよう何らかの手を打っていてもおかしくない。
それどころか俺が優勝し、エイラを生き返らせたという未来が反映され、結果、歴史が変動せず、俺も健在だすれば。

もう何度目になるか分らない思考のループに突入しかけた時、カエルは見た。
隣を歩むストレイボウの手に、馴染み深いものが握られているのを。
そのアイテムを目にして、カエルの覚悟は決まった。
471勇者の強さ、人の弱さ  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/31(水) 02:39:38 ID:zJsNGjOp



歯がゆかった。
シュウ達と接触して以来、カエルの様子がおかしいことはストレイボウにも分っていた。
彼は嘘と欺瞞に満ちていた自分とは違い真っ直ぐな人間ならぬ蛙のようで、表情にありありと考えていることが出ているからだ。
大本の原因は分かっている。
名簿だ。
そこには彼の本当に大切な仲間の名前が書かれていたという。
なら、驚き、心配するのは当然だ。
あくまでも推測にしか過ぎないが、カエルは今にでも仲間達の元へと走り出したいのかもしれない。
苦悩する彼にかける言葉を持ち合わせていない自分が何よりも情けなかった。

分らないのだ、何と言って勇気づければいいのか。
知らないのだ、友を傷つける言葉しか。
いつもいつもいつもいつも。
自分が抱いていたのはオルステッドへの嫉妬と逆恨みの感情だけで。
真に彼を労わって声をかけたことなんて一度もなかったのだから。

どれだけ努力しても自分はオルステッドを超えられない。
誰もがオルステッドの方を見て自分の方には目などくれない。
欲しいものを全てを奴は持っていってしまう。
地位も、名誉も、姫の心も、全て、全て、全て。

そんなどす黒い負の念に染まった俺が、カエルの奴の心をどうすれば少しでも軽くできるというのだろうか。

ギリリッ。
自責の念にかられ、歯を食いしばり、手を強く握り締める。
と、カエルがこちらを見ているのに気付く。
いや、正確には手持無沙汰な自身の心の慰めに掌の中で転がしていた例のマジックアイテム、どう見てもただのバッジにしか見えないそれをだ。

「カエル、その手に持っているものは?」
「ああ、これか。なんだろな、支給品なんだが」

剣のことでばつが悪いとは思いつつも、俯きっぱなしだったカエルが興味を持ってくれたことが嬉しくて聞いてみる。
こんななんてことの無いバッジがきっかけで少しでもこいつが元気を取り戻してくれるなら、俺の意地なんてお安いものだ。
けれど、

「……勇者バッジ」

返ってきたのは予想外の答えで。
聞かされた名前に含まれたその言葉に呆然と意味に呆然としてしまう。

勇者、だと?
472勇者の強さ、人の弱さ  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/31(水) 02:42:41 ID:zJsNGjOp
「ストレイボウ、覚えていてくれ。そいつは勇者バッジ。勇者の証と言われるものだ」
「嘘、だろ? こんなおもちゃみたいなバッジが、勇者の証、だって?」
「ふっ、信じられないかもしれないがな。そのバッジは勇者の剣に力を与えてくれる」

俺を見返すカエルの顔はどこまでも真剣で、冗談を言っているわけでは無いのを理解する。
重い。
数刻前まではなんてことの無かったバッジが、今は俺の手には重すぎる。
お前はこんな重圧を背負って、魔王山へと向かっていたのか、オルステッド!

「待て、これを知っているということはお前に縁があるもんなんだろ、だったら!」

やはり俺は変わることなんてできないのか。
それは建前として口にしているような善意だけによるものでは無い。
剣とバッジ、二つに課された重さに打ちひしがれていた俺は少しでも楽になりたかった。
押しつけようとしたのだ。
ふつふつと心の奥底で暗い自己嫌悪の炎が煮えたぎりだし、

「いや……。これからの俺にそれを持つ資格は無い」

またしてもカエルより返された思わぬ返答に一瞬にして鎮火された。
俺のようにあいつにも後ろめたいことがあるのだろうか?
即座に否定する。
カエルは『これからの』と言った。
まさか、あいつは、本当にシュウが言ったように!?
疑うまいとしていた弱き心は、付きつけられた現実を前にもう根を上げる。
後は役立たずと化すのみだった。

「カエル? まさか、お前!?」
「……グレンだ」

強い意思の籠った言の葉をぶつけられた弱い俺の心は圧され黙っていることしかできない。
動くことすら忘れた俺を背に、カエルは歩く速度を上げる。

一歩。
大きく前へと踏み出す。

「俺は、かってを失い、だからこそ多くの物を手に入れた今と決別する!!
己が意思で、友のため、王妃のため、国のため、騎士として、否、ただのグレンとして」

二歩。
腕に掲げた特異な剣を、騎士の宣誓のように天へと突き立てる。

「邪悪なる魔王オディオを倒すよりも、俺の全てを守る戦いを優先する!!」

三歩、四歩、五歩。
そのまま奴は駆けだして行く。
一度も振り返ることなく。
赤いマントを翻す異形の騎士にして、新たなる友は。

――罪滅ぼしのためでは無く、お前の意思で友を救えよ

その友が魔王オディオのことだとも知らずに。
最後にそう別れを告げて。
俺の元を、去った。
473勇者の強さ、人の弱さ  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/31(水) 02:46:10 ID:zJsNGjOp
【I-9 城より西 一日目 黎明】 一日目 早朝】
【ストレイボウ@LIVE A LIVE】
[状態]:健康、呆然
[装備]:なし
[道具]:ブライオン、勇者バッジ、基本支給品一式
[思考]
基本:魔王オディオを倒す
1:カエ、ル?
2:戦力を増強しつつ、北の城へ。
3:勇者バッジとブライオンが“重い”
参戦時期:最終編
※アキラの名前と顔を知っています。
※アキラ以外の最終編参加キャラも顔は知っているかもしれません(名前は知りません)。


優先すべきは魔王の打破ではなく、エイラの生存。
故に選んだ手段は殺し合いを行う気のある者の駆逐。
それが例え不本意ながらの行動だとしても、加減はしない。
彼らを排除して行けば、エイラの身に及ぶ危険は減っていく。
まず向かう先は、煙の昇る西の方角だ。
火の無い所に煙は立たぬ。
危険人物がいる可能性は高い。

この選択自体は間違っているとは思わない。
だがしかし、全てがエイラを守るためだというのなら。
放送で彼女の名が呼ばれた時、或いは、誰一人死なずにその時を迎え皆の首輪が爆破されんとしたら、俺は……。
だから、ストレイボウとは一緒には居たくなかった。
あいつは、言葉の届かない場所に行ってしまった友に詫び続け、逃げたことを悔い続けた、かっての自分自身なのだから。
願うのなら。
願ってもいいのなら。
ストレイボウには彼の友を救って欲しいと、カエルは平野を疾走しつつ思う。
勇者バッジを託したのは騎士の誇りとの決別としての意味もあるが、純粋に彼の進む道を照らして欲しいという気持ちもあった。
俺はもう歩けないかもしれぬ正しき道を、だ。

「サイラスよ、俺は行く。許せとは言わない。せめてものはなむけに魔王はここで討とう」

――長い時間をかけてえたお前の強さは本物のはずだ……

幻聴だろうか?
聞こえてきた友の声に自嘲する。
本物なものか。本物なものか、サイラス!
国を、リーネ様を守るといいながらも、未だに戻れる位置に未練たらしくぎりぎりで踏みとどまっているのが何よりの証拠。
エイラの、仲間の強さも信じられず、全てを捨て切ることもできずに。
放送で彼女の名が呼ばれないことを、俺が間違った道に進まないでいいことを心の底では望んでいる。

俺は、弱い……。

【I-9 西】
 【カエル@クロノトリガー】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:バイアネット(射撃残弾7)、バレットチャージ1個(アーム共用、アーム残弾のみ回復可能)、基本支給品一式
[思考]
基本:エイラを最終的に生存させる
1:火の手の上がる東の方角へ。
2:殺し合いに乗っている人物の排除。
3:エイラの名が放送で呼ばれるか、死亡確認、更には死者が出ない状況が二十四時間続いた場合は……
4:できればストレイボウには彼の友を救って欲しい
参戦時期:シルバード入手後・グランドリオン未解放のどこか。他は後の人にお任せします。
※エイラが死んだら、王国が消滅するかもしれないと思っています。
474勇者の強さ、人の弱さ  ◆iDqvc5TpTI :2008/12/31(水) 02:48:56 ID:zJsNGjOp
投下終了

魔王とオディオがややこしいので
>優先すべきは魔王の打破ではなく、エイラの生存。
をWIKI編集時に
>優先すべきはオディオの打破ではなく、エイラの生存。
に差し替えておきます。
475創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 03:20:19 ID:GDFDKIBx
投下乙! カエルーーーー!
前回生まれたフラグを綺麗に繋いでますね。見事な職人芸です。
そして勇者バッジがいい仕事をしてますね。このアイテムの重みは原作やった人間なら痛いほど分かります。
カエルの友との決別、勇者である自分との決別。両方とも上手く描かれていて参考にしたい部分が山ほど……。
そして残されたストレイボウはどうなるのか、どっちに転がってもおかしくないですねー。怖いw
アイテムやそれぞれの背負った過去が見事に交差して、これぞパロロワ。これぞクロスオーバーという作品でした。GJ!!
476創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 20:08:45 ID:d7XCuWMk
投下乙ー。
ひとまずカエルはマーダーキラーか。しかしエイラはもう…
放送も近いし、次がどうなるか非常に気になるな。
477創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 20:23:59 ID:ZtsJZQDe
投下乙!

カ、カエルが、カエルがぁぁ!!
読んでてメッチャドッキンコしました。カエルの叫びが切ない。
冷房もどうなるのか。先の展開が怖くもあり興味深いですな。
478 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 21:53:52 ID:0ikxOwQI
あけましておめでとうございます。
今年もこの企画が面白いものになるよう、皆で盛り上げていきたいですね。

では、年明け早々予約していたものを投下します。
479『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 21:55:14 ID:0ikxOwQI
 東の空が微かな明るみを得始める。
 このまま時が過ぎ太陽が昇ると、砂の海はあっという間に気温を上げるだろう。
 そうなれば、夜空に散らばっている星たちは見えなくなってしまう。
 名残惜しくて、ユーリルは天空を振り仰いだ。
 命を落とした仲間たちは――クリフトやトルネコは、あの空で星となって瞬いているのだろうか。
 そっと、目を閉じる。
 瞼の裏に浮かんだ神官と商人の姿に小さく祈りを捧げ、ユーリルはすぐに歩みを再開する。
 悲しみに暮れ、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。
 嘆きに引きずられ、ずっと足踏みをし続けていてはならない。
 何故ならば彼は人々の希望であり、人類を救うために立ち上がるべき運命を背負った勇者なのだから。
 強くあるべきだ。何があっても不屈の心を持ち、強くあらねばならない。
 故に、物言わぬ屍と化した仲間の首を、その手で握り潰した。
 後悔はしていない。間違った行動だったとは思わない。
 それが、勇者として必要だと判断したから。勇者としてすべき行動だったから。
 砂に足を捉われながらも、ユーリルは確かな足取りを地に刻んでいく。
 躊躇せずに進む彼が向かうのは、砂漠に屹立する一本の塔。
 先ほど見えた閃光に関わる誰かが、潜んでいる可能性がある建造物。
 出会う人物に力がないのなら、絶対に守ると誓って。
 平気で命を奪う人物と遭遇したなら、必ず倒すと決意して。
 ユーリルは真っ直ぐに歩いていく。
 勇者としての使命を、その胸に抱いたままで。

 ◆◆
 
 その塔は一本道ではあるが、奇妙な構造をしていた。
 塔というものは通常、下から上へと向かうものだ。
 地下にフロアが存在する場合もあるが、ひたすら下に向かうというケースはほぼないと言っていい。
 だが、その塔は違った。
 螺旋状の下り階段ばかりで、地上より高いフロアに通じる道は見当たらない。
 塔と言うよりも、洞窟という表現が相応しいその建造物は、かなりの深さを有していそうだった。
 幅の広い螺旋階段の真ん中を、ユーリルが一人降りていく。
 落ちる床で通路が作られた部屋を抜けてきたが、今のところ、塔の中に彼以外の気配はない。
 両脇が吹き抜けとなっているこの階段に誰かが潜んでいるとは考えにくい。
 それでもユーリルは、足音を立てないように気を払う。
 長い螺旋階段を降りると、大きな部屋へと通じる路に至る。
 どうやらこの塔は、螺旋階段の合間にいくつか部屋があるようだ。
 警戒しておいて、損はない。
 そう判断したユーリルは、すぐに部屋へと足を踏み入れず、息を潜め背を壁に預けた。
 耳をそばだててみるが、特に物音は聞こえない。
 続いて、慎重に振り返り中を覗き見る。扉は付いていないので、さしたる苦労をせずに様子を窺えた。
 見えたのは大きな石版と、そして。

 石版にもたれかかって座る髪の長い女性と、彼女の膝を枕にして目を閉じている赤い髪の幼子だった。
 女性は幼子の髪に触れ、幼子は愛らしい寝顔で夢の世界に浸っている。
 そこには、温もりと慈愛が満ちていた。
 血生臭い殺し合いとはかけ離れた優しい光景に、ユーリルは思わず頬を緩ませる。
 温かな安堵感を覚えたユーリルは、そのまま部屋に入ろうとして、ふと足を止めた。
 急に見知らぬ男が現れたら、驚かせてしまうかもしれない。
 この島にいる人間は皆、魔王オディオに命を握られ、殺し合いを強要されているのだ。
 誰に狙われ傷つけられ殺されるか分からないこの状況で、見ず知らずの他人を簡単に信用できるはずがない。
 またひょっとすると、先の光が放たれる原因となった戦闘に、彼女たちが関わっていた可能性もある。
 もしもそうならば、警戒心を強めているのが普通だろう。
 一声かければいいのかもしれないが、的確な挨拶の言葉が見当たらない。
 腕を組んで床を眺め、頭を捻る。
 警戒や緊張を解きほぐせる言葉を投げかけたいと、そう考え始めて。
 一人の商人に、思い当たる。
480『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 21:56:51 ID:0ikxOwQI
 ――こういうのは、トルネコが得意なんだよな……。
 
 大げさに頭を振って、その面影を拭い去る。
 まだ引きずっている自分に嫌気が差して、ユーリルは自分に言い聞かせる。
 僕は、勇者なのだ。
 生きている人々のために剣を取り、魔を打ち払う宿命を背負っているのだ。
 デスピサロだけでなく、あらゆる危機から人々を守るための存在なのだ。
 だから、勇者として、もっとしっかりしなければ。
 何度も繰り返し、強く強く言い聞かせる。
 勇者という言葉を、唯一の拠り所とするように。
 勇者という言葉が、ユーリルの全てであるように。

 そんな自己暗示めいた思考を断ち切ったのは、部屋から届いた声だった。

「……誰か、いるんでしょう? 覗き見の楽しさは分かるけど、出てきてくれないかしら?」
 
 ユーリルは、顔を上げる。
 勇者の名に相応しい表情で、呼び声に相対するために。
 部屋に入ると、女性は会釈をして迎えてくれる。だからユーリルも、礼を返し、そして言う。
「ユーリルです。勇者、ユーリル」
 敢えて勇者と告げたのは、女性に身分を明かすためというよりも、自身のためだった。
 すると、女性は整った眉を小さく持ち上げた。
「……勇者?」
 確認するように問うてくる女性に、ユーリルは首を縦に振る。
 自分の存在が、彼女に希望を与えられればと願いながら。
「そう。勇者、か」
 何か引っ掛かりを覚えたかのように、女性は目を伏せる。その様からは、希望の色は見られない。
 どうかしたのかと、尋ねようとする。
 だが、ユーリルの疑問が声となるよりも早く、女性が口を開いた。
「わたしはアナスタシア・ルン・ヴァレリア。この子は、ちょこちゃん。
 この子に付き合って塔を探検してたんだけど、仕掛けの解き方を考えてるうちに寝ちゃったのよ」

 女性――アナスタシアは背後の石版を指差す。

「一応、わたしは分かったんだけどね。ちょこちゃんが自分の力で解きたがってたから黙ってたの。
 無邪気な、子だわ」

 何処となく辛そうな声音で言って、ちょこに目を落とすアナスタシア。つられて、ユーリルも幼子の顔を見る。
 規則的な寝息を立てるちょこは、本当に無邪気な顔をしている。
 ちょこの小さな首にもやはり、命を消し飛ばす首輪があった。
 胸に灼熱の感情が込み上げてきて、ユーリルは拳を強く握り締める。
 その感情とは、こんな小さな子どもにまで殺し合いを強要する、魔王オディオへの激怒だ。
 どんな理由があっても、このような罪なき子どもの命を弄ぶなど、許せる行為ではない。
「魔王……許せない」
 憤怒に押し出され呟きが漏れる。
 人々を守り魔王を打倒すると決意しているユーリルにとって、勇者にとって、それはごく自然で当然の感情だ。
「――あなたが、勇者だから?」
 だからその問いに、ユーリルは迷わずに頷いた。
 するとアナスタシアは、またも目を伏せる。
 憂いを孕んだその顔はとても美しいが、ユーリルは、何かまずいことを言っただろうかと不安になる。
「『勇者』って、何? どういう存在なの?」
 前触れもなく、ぽつりと問いが落とされた。
 何故そんなことを聞くのだろうと首を傾げながらも、ユーリルはすぐに答える。
 弱き人々を守るために剣を取り、彼らを脅かす悪と戦う者だと。
 迷わずに言い切り、逆に問う。
 何故そんな質問をするのか、と。
481『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 21:59:06 ID:0ikxOwQI

「よく知っているからよ。『英雄』と呼ばれた、たった一人の女の子のことをね。
 少し、聞いてくれるかしら?」

 ユーリルが頷くと、アナスタシアは目を伏せ、口を開いた。

 ◆◆

「<剣の聖女>の話を、知っている?」
 その問いに、勇者と名乗った少年――ユーリルは首を横に振った。
 どうやら、誰もが知っているわけでもないらしい。
 だが、その方が都合はいい。知らない方がきっと、率直に受け止められるだろう。
 アナスタシアは、語る。
 世界を焼き尽くそうとする焔の災厄――魔神ロードブレイザーを、命を掛けて封印した『英雄』の物語を。

 ――その少女は、伝説の剣を携え一柱の神――ガーディアン・ルシエドを引き連れて、強大な災厄に立ち向かった。

 それはファルガイアの人々に伝わっている通りの、英雄性に満ちた英雄譚。

 ――その少女は、自らの身と命を引き換えにして、災厄の元凶である焔の魔神を封印した。

 それは<剣の聖女>の本質には全く触れられない、後世に伝えられた伝承。

 ――たった一人の女の子を犠牲にして、世界と人々は救われた。
 ――かくして少女は、世界を救った英雄――<剣の聖女>と称えられて崇められた。
 ――そして、剣の少女の血を引く者は『英雄の血族』として、特別視されるようになった。
 
 そんな物語をアナスタシアは、語り終えた。書物に記された文字をなぞるように、淡々と。
 アナスタシアが口を閉ざしたとき、小さな拍手が部屋に響いた。
 眠るちょこを気にしているため控えめだが、確かな拍手を聞きながら、アナスタシアは問う。
「このお話に出てくる英雄は、『選ばれた勇者』だと思う?」
 何故こんなことを尋ねているんだろう。
 そもそも何故、この話をしたんだろう。
 考えながら、答えを聞く。
 ユーリルは迷わずに、何度も頷いた。
「じゃあその英雄は、どうして選ばれたのかしらね?」
 ユーリルの答えを、アナスタシアは聞く。

「彼女は特別な存在で、英雄になるべき人物だったから」
 
 アナスタシアは、内心で溜息を吐いた。
 ユーリルにとって『英雄』というものは、本当に特別で栄えある存在に映っているらしい。
 彼自身が、<剣の聖女>と同じ立場にあるというのに、だ。
 アナスタシアはふと気付く。
 少なからず、失望を覚えていることに。
 それが分かったとき、この話をした理由も尋ねた訳も見えてきた。
 同じような立場にあるユーリルならば『英雄』の本質を悟ってくれると。
 <剣の聖女>に共感してくれると、期待していたからだ。
 しかし叶わなかった。
 きっと、彼は心から『勇者』という称号を誇りとしているからだろう。
 誇りを持つことを悪いと断じはしない。
 それでもせめて、知っておいて欲しかった。
 『英雄』や『勇者』という称号が、美しく高貴な意味を持つだけではないということを。
 完全にアナスタシアの我儘だ。
 自覚していながらも、告げずにはいられない。
 
482創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 22:00:13 ID:omy/4Z2P
 
483『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 22:01:43 ID:0ikxOwQI
「彼女は特別でも何でもなかったわ。
 お友達とお喋りをして、素敵な恋をしたいと願っていた普通の女の子だった。
 ただ、大好きな人たちを失いたくないって、そして、絶対に死にたくないって、心から望んでいただけ。
 世界のことなんて一度も考えず、自分と、自分の周りのことだけしか考えていなかった。
 だからね、その血を引いていることなんて何の意味もない。
 英雄の子孫たちが特別だなんて、思い込みでしかないの」

 押し黙るユーリルを無視し、アナスタシアは再び語る。 
 先ほど物語を話したときとは違い、生の感情が篭った言葉で、朗々と。
 
「<剣の聖女>は『勇者』でも『英雄』でも『聖女』でもないわ」
 
 アナスタシアはそこで一度言葉を区切り、息を吸い、ユーリルの目を真正面から見据える。
 
「彼女は、絶対的な脅威の前に差し出された――『生贄』よ」

 目を見開いたユーリルが息を呑む。それでもアナスタシアは黙らない。
 苛烈な攻撃を掛けるように、<剣の聖女>の言葉を告げていく。
 
「皆が強く望めばよかった。
 大切なものを守りたいと、絶対に生きたいと、誰もが望めば、きっと災厄を払えたのに。
 でも、人々はそうはしなかった。たった一人の女の子に全てを任せ、何もかもを押し付けたの。
 その結果、誰よりも生きたいと望んでいた女の子は命を落としたわ」
 
 深く長い息を吐くアナスタシア。
 彼女の視線の先、ユーリルは俯いている。
 そんな彼を叩き落すように、アナスタシアは続ける。
 
「もう一度訊くわね。――『勇者』って、何?」

 言葉の向かう先、ユーリルは黙っている。
 俯いて、黙っている。

 ◆◆
 
 かつん、かつん、かつん。

 硬い足音だけが一つ、螺旋階段に残響する。
 重い足取りで階段を昇るのは、ユーリルだ。
 降りるときは足音を消して歩いていたのに、今は、耳障りなくらいに足音が鳴っている。
 それ以外の音がないせいで、たった一人ぼっちになったように錯覚し、寂寥感が喉に詰まる。
 人恋しいなら、少しだけ戻ればいい。
 そこにはアナスタシアと、ちょこがいるのだ。
 だが、彼女らの元へと戻るのは気が進まなくて、階段を上がり地上へと向かう。
 
 かつん、かつん、かつん。

 小屋から見えた紅の閃光のことなど、頭から吹き飛んでいた。
 ただただ、アナスタシアが語った物語だけが、ぐるぐると回っている。
 その物語には『英雄』や『勇者』など出てこない。
 登場するのは、世界を滅ぼす災厄と、無責任な人々と、たった一人の『生贄』だけ。
 『英雄』の実体が『生贄』だとするならば、『英雄』と同義である『勇者』である自分は。
 実のところ、体のいい『生贄』でしかなかったのだろうか。
484『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 22:02:57 ID:0ikxOwQI
 かつん、かつん、かつん。

 違う。そうじゃない。
 少なくとも、彼が住んでいた村の人たちは――シンシアたちは、ユーリルを守るために戦い命を落とした。
 何もかもを『勇者』に押し付けようとしたのなら、彼らが魔物に立ち向かったりしないはずだ。
 そしてユーリルは一人ではなかった。七人の仲間が、導かれし者たちがいたのだ。
 彼らは決して、ユーリルに全てを任せはしなかった。自らの意志で、戦ってくれた。
 だから、違う。『生贄』なんかじゃない。

 ――本当に?
 
 別れたアナスタシアの声が、脳裏に響いた。
 アナスタシアはまるで、<剣の聖女>の亡霊のように囁いてくる。
 その声に、ユーリルは頷けなかった。話を聞く前ならば、惑うことなく首肯できたはずなのに。
 それだけではない。
 勇者とは何か、という問いにだって、答えられたはずなのに。
 
 かつん、かつん、かつん。
 
 ユーリルは今、生きている。デスピサロと対峙しても、こうして生き延びている。
 しかし、もしも<剣の聖女>のように、デスピサロと刺し違えていたら。
 そうなっていたら、人々は、『勇者』の死に嘆き悲しむのだろうか。
 あるいは。
 『生贄』を犠牲にすることで得た平和に喜び打ち震えるのだろうか。
 
 アナスタシアは、こうも言っていた。
 <剣の聖女>は、普通の少女だったと。
 それはつまり、『英雄』になるためには、特別な資質など必要ないということを意味している。
 ユーリルはもう一度、仮定する。
 もしも本当は。
 天空人の血など無関係に、誰だって『勇者』になれるとすれば。
 
 ――どうして僕が、こんなに辛くて、怖くて、苦しい思いをしなければならない?
 
 ずっと住んでいた村が滅んだときは、とても悲しかった。
 デスピサロを始めとして、様々な魔物との戦闘は、本当はとても怖かった。
 クリフトの死を目の当たりにしたときも、事切れたトルネコを見たときも、とても辛かった。
 本当はあんな風に、トルネコの遺体から、首を千切りたくなんて、なかった。

 だが。
 特別な存在であると。
 自分がやらなければ誰にも出来ないと。
 そう信じていれば、耐えられた。我慢できた。乗り越えられた。
 なのに。
 誰でもよかったなんて、そんなの、酷すぎる。
 誰でもいいのなら、他の人でもいいはずなのに。

 そこまで考えて、ユーリルは思い至る。
485『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 22:04:50 ID:0ikxOwQI
 ――ああ、そうか。やっぱり『勇者』なんてものは『生贄』なのかな。
 
 特別な『勇者』になってしまったら、使命という荷物を背負わされ、悲哀や恐怖や辛苦を押し付けられ、全てに耐えることを強要されるのだ。
 誰とも変わらない一人の、普通の人間だというのに。
 これが『生贄』でないというのなら、何だというのだろう。
 ひょっとすると、誰も気付いていないだけで。
 ユーリルを育て守ってくれた村人たちも、共に戦った仲間たちも皆、平和のために捧げられた『生贄』だったのかもしれない。

 ――どうして、どうして、僕なんだ……?
 
 かつん、かつん、かつん。

 思惟の底に沈んでいる間に、気付けば螺旋階段を昇りきっていて、塔の入り口まで戻ってきていた。
 開け放たれた出入り口から見える空は、朝へと近づいている。
 ユーリルは外に出るや否や、クロノと再会を約束した教会へと駆け出した。
 まるで、遭遇してしまった亡霊の前から逃げ去るように。

 砂に足を取られ転びそうになりながらも、必死で走る少年の胸で、拠り所が揺れる。
 何事をも耐えるための強さであった拠り所が、ぐらぐらと、大きく激しく、揺れ動く――。

【F-3 東部 一日目 早朝】
【ユーリル(DQ4男勇者)@ドラゴンクエストIV】
[状態]:疲労(中)。『勇者』という拠り所を見失っており、精神的に追い詰められている。
[装備]:最強バンテージ@LIVEALIVE、天使の羽@ファイナルファンタジーVI
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:打倒オディオ
1:急ぎ教会へと向かいクロノと合流したい。
2:打倒オディオのため仲間を探す。
3:ピサロに多少の警戒感。
4:ロザリーも保護する。
[備考]:
※自分とクロノの仲間、要注意人物、世界を把握。
※参戦時期は六章終了後、エンディングでマーニャと別れ一人村に帰ろうとしていたところです。
※オディオは何らかの時を超える力を持っている。
 その力と世界樹の葉を組み合わせての死者蘇生が可能。
 以上二つを考えましたが、当面黙っているつもりです。
486『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 22:06:17 ID:0ikxOwQI

 ◆◆
 
 寝息がだけ落ちる部屋でアナスタシアは、ちょこの髪の柔らかさを掌で、小さな頭の重さを脚で感じていた。
 ユーリルがこの場にいないのは、アナスタシアが同行するのを避けたためだ。
 彼と共に行動すれば戦力は増すだろうが、ちょこが彼に懐いてしまうのは避けたかった。
 ユーリルに情が移ってしまうと、ちょこが彼と戦えなくなる可能性が高い。
 力を持つちょこには、アナスタシアだけを守るため、他の人間全てと戦ってもらわなければ困るのだ。
 不信感を抱かせずに別れられたのは、ユーリルの意識を揺さぶってあったおかげだろう。
 意図したわけではないが、結果的にあの話が功を奏したと考えられる。
 
 去っていく足音は、もう聞こえない。
 『勇者』という肩書きに誇りを抱いていた少年は、どうなるだろう。
 自分を見失い彷徨し、その果てに死ぬのならそれでいい。
 しかし願わくば自暴自棄になり、他の人物を殺して回って欲しいところだ。
 死者が増えるほど、心底渇望する『生』へと近づけるのだから。
 
 汚さと醜さを強く自覚して、アナスタシアの顔に嘲りが浮かび上がる。
 生きるために初対面の子どもを利用し、見知らぬ少年の心を押し倒した。
 挙句の果てに、彼らを含めた数人の死を望んでいる。
 こんな人間が聖女などお笑い種だ。
 これほどの欲望に塗れているから、『生贄』に選ばれてしまったのだろう。
 それでも、飽くなき欲は止められない。手にしたチャンスは逃したくない。
 もっとずっと、生きたくて生きたくて生きたくて、たまらない。
 たとえ、他の全てを奪いつくしたとしても。
 そのために、ユーリルにも役に立って欲しい。

 しかし、そうはならなかったら。
 ユーリルが答えを見つけ、<剣の聖女>とは違う道を歩けたなら。
 <剣の聖女>が見つけられなかった答えを出せたのなら。
 彼は『生贄』ではなく、『勇者』となれるのだろうか。
 それが羨ましいわけではない。特別な称号など欲しくない。
 アナスタシアはあくまで、ずっと普通の人間でいたい。
 だが、興味はある。
 故にもし『勇者』と名乗る彼にもう一度会えたなら、そのときは繰り返し、同じ質問をしてみたい。
 そして、ぼんやりと思案する。
 ユーリルが彼だけの答えを得て、真の『勇者』になったなら。

 ――わたしは守ってもらえるのかな。それとも、裁かれるのかな。
 
 考えるアナスタシアの膝の上、寝返りを打ったちょこが目を擦っている。
 どうやら目を覚ましたらしい。
 だから、アナスタシアは笑いかける。他でもない、自分のために。
 
 それは、聖女を連想させる、美しい笑みだった。
487『勇者』の意味、『英雄』の真実 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 22:07:49 ID:0ikxOwQI
【F-4 砂漠の塔(背塔螺旋) 一日目 早朝】
【アナスタシア・ルン・ヴァレリア@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:不明支給品1〜3個(負けない、生き残るのに適したもの)、基本支給品一式
[思考]
基本:生きたい。そのうち殺し合いに乗るつもり。ちょこを『力』として利用する。
1:砂漠からの脱出。
2:背塔螺旋の探索、あるいは別の施設を見て回る。
3:『勇者』ユーリルに再度出会ったら、もう一度「『勇者』とは何か」を尋ねる。
[備考]
※参戦時期はED後です。
※名簿を未確認なまま解読不能までに燃やしました。
※ちょこを『力』を持つ少女だと認識しました。
※ちょこの支給品と自分の支給品から、『負けない、生き残るのに適したもの』を選別しました。
 例えば、防具、回復アイテム、逃走手段などです。
※襲ってきた相手(ビジュ)の名前は知りません。

【ちょこ@アークザラッドU】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:不明支給品1〜3個(生き残るのに適したもの以外)、基本支給品一式
[思考]
基本:おねーさんといっしょなの! おねーさんを守るの!
1:逆さまな塔を探索するのー! でも、なぞなぞが難しくて扉が開かないの……
2:『しんこんりょこー』の途中なのー! 色々なところに行きたいの!
[備考]
※参戦時期は不明。
※殺し合いのルールを理解していません。名簿は見ないままアナスタシアに燃やされました。
※アナスタシアに道具を入れ替えられました。生き残るのに適したもの以外です。
 ただ、あくまでも、『一般に役立つもの』を取られたわけでは無いので、一概にハズレばかり掴まされたとは限りません。
※襲ってきた相手(ビジュ)の名前は知りません。
488 ◆6XQgLQ9rNg :2009/01/03(土) 22:08:32 ID:0ikxOwQI
以上、投下終了です。
489創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 22:22:43 ID:TDhkN+wT
……うっわあ〜。
こりゃあすげえなw
ステルスだとか、扇動だとか。
そんな言葉ではあらわせられない見事な揺さぶりでした!
重い、アナスタシアから語られた物語は、ユーリルには重過ぎる……。
彼、典型的な選ばれし勇者で。
そのせいで故郷を失ってるからなあ。
ナイスクロスオーバーでした、GJ!
最後のアナスタシアの心情も切ない。

そして何気に背塔螺旋を詳しく書いてくれてうれしかったりw
ゲーム攻略時を思い出したw
490創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 00:29:30 ID:dZsxSrRX
投下乙!
演出うめえええええええええええw今まで見た書き手の方々の中でもトップレベルかも。
アナスタシアの言葉がユーリルの心にジワジワと波紋を生じていく過程が明確に伝わってきます。
しかしアナスタシア姉さんはなかなか面白い立ち居位置になってきましたねw
いろいろと期待が持てるキャラですよ彼女は。
ユーリルは世界を救った後からの参戦で意思は固いと思いきや、素晴らしい揺さぶり。
この邂逅が後々にどう影響するのか、ワクワクが止まらないです。GJ!!
491創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 03:40:08 ID:Hy5qFw9v
投下乙!

いや〜、実に面白い回でしたね。
アナスタシア姉さんと勇者ユーリルの邂逅、その結果がコレとは。
勇者と英雄の出会いで、対主催とは真逆のベクトルフラグが立ちそうなのも面白い。
姉さんにはこれからも期待していですねぇ。ユーリルの動向からも目が離せない。
お見事!
492創る名無しに見る名無し:2009/01/05(月) 01:50:51 ID:u22hBTJQ
投下乙です。

優等生に訪れた精神的挫折の危機ってところですか。
経験豊富な御姐さんは怖いですなw
493創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:20:40 ID:G/Vd1qgX
DQ4の勇者を勇者足らしめてるのは精神じゃなくて、天空人のハーフっていう血統だぞ
選ばれたんじゃなくて、母親が木こりと結ばれた時から決まってた
494創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 23:21:55 ID:7vvxW2LE
血筋ってもろ選ばれたものの証じゃねえか
495創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 03:32:58 ID:OhKhvl9x
乙。
「選んだ」勇者ではない「選ばれた」勇者であるユーリルにはきつい問いですね。
問いを発した人間がかつて選ばれてしまった英雄なだけに余計にきついでしょう。
果たして、ユーリルは選ばれた勇者から脱却し
自分の意思で道を選んだ本当の勇者になれるのでしょうか?
496創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 13:17:22 ID:eCzjfn/5
自己陶酔むき出しだなwww
497創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 15:32:46 ID:OhKhvl9x
大袈裟に言ってみたっていいじゃないか。
498創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:46:15 ID:aCcHOP86
普通にうぜぇよ
499創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 22:53:51 ID:wDThikFD
人の感想にケチをつけることはないだろうに。
500創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 23:00:22 ID:8ih88ROm
書き手としては感想はやる気に繋がるし、純粋に嬉しい。
それがどんなものであれ、鬱陶しいとは決して思わないけどなぁ。
むしろ、感想ない方が凹んだり。
501創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 12:49:17 ID:cLJC6H2D
けっこう時間をかけてSSを完成させて投下したのに感想一つ無くスルーされた時は死にたくなったorz

感想はどんなモノであれ書き手は欲しいと思うけどな
502創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 15:15:05 ID:p6V/QIcM
欲しい書き手と欲しくない書き手の両方が存在する
503創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 22:13:47 ID:ORPghk5j
俺は感想欲しいタイプだなー。
もらえた感想にお礼の全レスしたくなるくらい喜んでる。
さすがにうざいだろうからやってないけどw

なんにしろ、このロワは丁寧な感想も多くて、すごく励みになるぜ。
504創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 20:25:43 ID:P2i7gUws
どなたかわからないけど、すごいぞ、支給品欄!
なんてわかりやすい説明収録してくれたんだ!
よっしゃあああ!
505創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 21:17:27 ID:IsaiLiF7
本当だ。これは見やすいし分かりやすい!
更新してくれた人、超GJ!
506創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 15:32:32 ID:F0+Pv/A2
今まとめwikiに収録されてる作品全部読んで来た
作品の把握率は半分くらいだけど、作品のレベルが全体的に高くてものすごく読み進めていくのが楽しい
個人的にリルカ死亡話と、ユーリルとアナスタシアの英雄に対する価値観の違いを描いた話すっごい好きだった
507創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 16:40:18 ID:F0+Pv/A2
あ、連投すまないが、ちょっと指摘させてくれ
ニノの一人称は「私」じゃなくて「あたし」だったはず
サンダウンとロザリーと出会う話でニノの一人称が私だから気になった
508創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 07:51:23 ID:WcyGNJqr
普通は気にならない
509創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 23:23:10 ID:xcJpUDdX
普通気付きにくいからこそ、気付いた人間が指摘していくのが大事だって事だな。
>>507
指摘ありがとう。

修正したいんだけど、書いた本人以外が修正とかしちゃダメかな?
510創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 00:42:17 ID:1SKB5J/b
常識で考えれば判るだろ
511創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 01:48:16 ID:4eNwbPHl
常識的には、他人の間違いはちゃんと直してあげるべきだよな。
512創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 11:36:06 ID:DOk2g7s+
善意の行動なら何やってもいいと思ってんのかクズめ
513創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 12:00:34 ID:1SKB5J/b
小さな親切、大きな迷惑
514創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 13:34:29 ID:IXqnoKBw
直す前に、ここで一言欲しいかなー
ていうか、あんまりきつい口調になるなよ……
515創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 15:40:08 ID:22v0HrRH
勝手に直すのは流石にマズイからねぇ。
できれば書き手さんが修正してほしいところだな。
516創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 16:45:58 ID:gPINYw1S
>>514
IDみれば分かるけど、そいつは他のロワスレも荒らしてるやつだからスルーで。

修正は本人が原則かな。
ただ、「誤字程度ならしたらばで一言言えば誰でも修正できる」としたロワもあるね。
517 ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:01:01 ID:+ZXNvbDs
そんな中、PCクラッシュで吹っ飛んだニノ、シュウ、マリアベル、ロザリー、サンダウンを書き直したので投下してみる
518傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:04:26 ID:+ZXNvbDs
夜の蚊帳は開け放たれ、天の座を取り戻そうと太陽が重い腰を上げる中、二組計5人の人間が対峙する。
一組目は見るからに怪しげな男女のペア。
片や黒装束、片や奇妙なぬいぐるみを纏い、共に陽の光を避けるかのように闇に紛れている。
それも仕方のなきこと。
シュウとマリアベル、忍者とノーブルレッド。
彼らほど太陽に照らされた世界が似合わないコンビは滅多にいまい。
対する二組目も、これはこれで奇妙な組み合わせだ。
右後方に桃色の髪の美しい女性を。
左後方に緑髪の可愛らしい少女を。
両手に花とでも言うべき光景だが、中心に立つ男はいささか年齢的に女性陣に釣り合いそうにない。
事実、男――サンダウンの庇う二輪の花――ロザリーとニノは、それぞれが別々にちゃんとした恋人のいる身だったりする。
そしてそのことが、この鉢合わせの状況を構築する一因ともなったのだ。

事の発端は数分前。
カエルとストレイボウと別れ、城下町の出口にさしかかったまさにその時、シュウとマリアベルは無人の街に似つかわしくない爆音を耳に した。
続いて目に映ったのは、森の中からもうもうと空へと上がりいく一条の煙。
共に『炎』を扱う人物に心当たりのある二人は、すぐさま現場に急行。
判断自体は素早かったものの、女性二人の速度に合わせなければならなかったサンダウン達を補足したのだ。
519傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:07:09 ID:+ZXNvbDs

早くも訪れた新たなる出会いの機会。
先頭を歩く男の服装が見慣れた荒野を渡る者が好む服装であることにややがっかりするも、
シュウが言うには当然といえば当然かもしれないが、彼の世界にも砂漠や荒野は存在していたという。
外見だけでファルガイア出身と決めてかかるは早計だ。
早く逢って話をしてみたいと、長く一人居城に閉じこもっていた不死者の心は逸る。
そんな彼女とは対照的に忍者は気を引き締める。
疑心暗鬼が過ぎると少女に言われたばかりではあったが、今回は状況が状況だ。
戦闘が起きたのだと決め付けるほど愚かではないが、爆発が起きたのは確かなのだ。
見たところ逃げるかの如く走ってはいるものの、件の3人に目立った傷はない。
他人と組んでいる上に、明らかに年配の男は少女達に気を配っていることからも少なくとも彼は安全だとは思いたいところだが。
かって自らの甘さから手痛い失敗を犯したことのあるシュウは、隠れて様子を見ることを提案する。
案の定マリアベルにはいい顔をされなかったが、浮かれ気味なことを自覚していた吸血鬼の少女は、渋々と最後には折れたのだった。

しかし、思わぬ誤算がシュウ達に立ち塞がった。
三つもだ。

一つは既に夜が明けていたこと。
場所が森なだけに影や闇は存在してはいたが、忍者はともかく夜の支配者が全力を発揮するにはいささか役不足だった。
もう一つはサンダウンという優秀なガンマンの存在。
伝説にまで謳われた保安官である彼の視覚、聴覚、皮膚感覚をフルに活かしての気配察知能力の高さは並尋常のものではない。
そして、最も予想外だった最後の一つは。

「ジャファ、ル?」

凄腕の暗殺者を恋人に持つ少女が、無意識のうちに彼の影を求め、周囲に気を配っていたこと。
ニノ自身にこそ隠行の技能はないものの、彼女は暗殺集団に身を置き続けていたのだ。
僅かにとはいえサンダウンに先んじて、潜んでいたシュウを見つけたのは当然の帰結だったのかもしれない。

「違う。誰っ!?」
「「「……っ!!」」」
520傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:10:21 ID:+ZXNvbDs

衣装の類似に膨らんだ少女の期待が弾けるとともに、動きを見せたのは三人の男女。
ばれてしまえば隠れるているのは逆効果だと踏み、シュウとアリアベルが姿を現す。
シュウの手には万一に備え握られし獲物。
だが、それが突きつけられるよりも、二人の女性を庇おうと前に出たサンダウンの方が早い。
重ねて言うが、彼は凄腕のガンマンなのだ。
早撃ち、及びその初動作であるクイックドロウはお手の物。

「しまっ……!?」

シュウさえ目を見張る一部たりとも無駄のない動作で素早く腕を振り抜き……、

「俺達に殺し合う気はない。降りかかる火の粉は……払うがな」

両の手を天へと挙げた。
ようやっと状況を理解したロザリーと気落ちした表情をひっこめようとしているニノも続く。
戦意はない。
身をもって示す3人に、応えるようにシュウは武器を相手のほうへと投げ捨て、マリアベルも安堵の息を漏らす。

「同感だ」
「わらわがこのような戯れに乗ることなぞなかろう」

一見すれば平和な光景。
ともに歩み寄ろうとしているかに思える。
間違ってはいない。
実際ニノやロザリーは純粋にサンダウンの行動を不戦の意思表示だととり、それに習った。
マリアベルもそんな彼らに対し気を許した。
しかしながらサンダウンとシュウにとってこれは駆け引きだ。


今のサンダウン達3人に戦う力はない。
襲われればろくに抵抗もできないまま全滅したことだろう。
よって、サンダウンは相手が隠れて近づいてきていることから、
少なくとも問答無用に力任せでかかってはくるまいと推測し、口を開いたのだ。
殺す合う気はないと、誰よりも早く。
そう、誰よりも早く、だ。
そこが最も重要なポイントだった。
何故か?
殺しあう気がないと言っておけば、武器を持っていなくとも不自然ではないからだ。
その上でかかってくるなら容赦はしないと念を押しておくことも忘れない。
直前に見せたクイックドロウのこともある。
あの速さならバックから取り出す手間も致命的なタイムラグにはならないと知らしめるには十分。
サンダウン達は武器を持っているも殺し合いに乗っていると思われたくがない故に無手である。
少しでもそう疑わせることこそが狙いだったのだ。
慎重にこちらを覗っていた相手だ。例え善人な振りをして機を狙っている悪人であっても、釘を刺すことはできる。
ロザリーやニノとは違い、恐らくこの二人には身を護る以上の手段がある。
でなければ、理由を知る自分達以外の者が火災の起きた場所へとのこのこと近づきはしないだろう。
火のないところに煙は立たぬ。
古今東西火を放つのは夜盗や山賊、愉快犯に酔っ払いと係わり合いになりたくない類の者だと決まっている。
それでもやってくるとすれば、知り合いであるアキラのような正義感ある人間か、リスクを覚悟で人に逢おうとする実力者か。
はたまた火に誘われる者達を手にかけようとする悪人か。
守るべきものを背にサンダウンは瞳に力を宿し目で問う。
お前達はどの類だと。
521傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:12:26 ID:+ZXNvbDs


相手のことを警戒しているのはシュウもまた同じだった。
武器を手放しはしたが、術という戦う手段を彼らは内に秘めている。
特にマリアベルのレッドパワーは手数、威力、範囲共にかなりのものだ。
誰しもが手馴れた装備を奪われている中、このことは大きい。
並大抵の事態には対応できることだろう。
要するにドッカンピストルは相手の下心の有無を測るための餌だ。
殺傷力がなく、一発限り使い捨てであるため、どう転んでもシュウ達二人を倒すことはできない。
もっとも、自分達のように無手での戦いを心得ている可能性もあり、そうなると策に掛からなかったとしても信用はできない。
打って出た結果、サンダウンの視線がシュウとマリアベルに注がれたままだったにも関わらず、
彼が緊張を解かないのはそういうわけだった。
傍らの少女が何度も言わせるなとばかりに紅き眼で抗議されるも迂闊なことはできないのだ。
多分自分と同じ辛さを味わったこの不死の少女を護る為にも。


サンダウンとシュウ。
共に寡黙なようでいて胸の奥に熱き想いを秘めた男達は無言でにらみあったまま。
さながらガンマン同士の決闘を思わせる二人の静かな気魄に空気が張り詰める。
10秒、20秒、30秒……。
いつ終ると知れず刹那が永遠に続くかに思えた状況を動かしたのはまたしても二ノだった。

「……どうして?」

漏れでたのは言葉と思い。
どうしてまたこんなことになっちゃうの?
あたし嫌だよ。
どうして?どうして戦わなきゃいけないの!?
話し合おうとしているのに、どうしてそんなにぎすぎすしてるの!

「やだよ。あたしは、嫌だ! ここにはフロリーナもエルクもリンもヘクトルもジャファルだっているんだよっ!?」

フォルブレイズを抱えた腕に力が篭る。
そうだ、サンダウンさん達に助けられて落ち着いて以来気になっていたけれど、この魔道書には覚えがある。
当たり前だ。
さっきは色々動揺していて気付けなかったけど、ニノはそれが使われる様を見たことがあった。
激しい戦いの最中、横目に見た程度だ。
すぐには思い出せなかったのは仕方がなかったのかもしれない。
いや。
何よりも。
あの最後の決戦でニノの気はそれどころではなかったのだ。
ブレンダン、ロイド、ライナス……。
間に合わず殺された父が。
避け得ずに戦った兄が。
知らぬ間に奪われたもう一人の兄が。
手の届かないところに行ってしまった、大事な人たちが。
モレフとして、傀儡として、駒として。
少女の行方を遮っていたのだから。
522傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:13:53 ID:+ZXNvbDs

「あたしは、辛かった!本物でも偽者でも、ロイド兄ちゃんやライナス兄ちゃん、父さんと戦ってる時、心が痛くて痛くて仕方なかった!」

ニノはずっと、ずっと、後悔していた。
どうしてちゃんと話できなかったんだろう。
もっとしっかりしてたなら、あんな別れ方もしないで済んだかもしれなかったんじゃないか。
何度も何度も何度も何度も、悩んで、悔やんで、泣いて。
決めた。
決めたのだ。

「あたしは、あたしは戦いたくない! もうあんなのは沢山だもん。あなた達も、そうじゃ、ないの……?」

今度同じようなことがあったら絶対に失はせはしないと。

「そう……、ですね」

ロザリーもまた泣きじゃくる少女を後ろから抱きしめ、言葉を紡ぐ。

「生きているって素晴しいことだと思います。
 会いたい人に会える……。ただそれだけのことがどんなに尊いことか……」

脳裏に浮かぶあの人はこの島のどこで何をしているのだろうか?
ロザリーは想う。
人間のことを一概に悪だとする考えからは抜け出てくれたのだ。
すぐに打ち解けることは無理でも、誰かに刃を向けてはいないと信じたい。
けれども。
人を憎んでではなく、ただ、力の無い自分を守らんがために剣を振るっているとしたら。

「信じてもらえないかもしれませんが、私は一度死んだことがあります。痛くて、暗くて、怖くて、辛くて。
 でも、それ以上に。私を亡くして、悲しみにくれたあの方を見ていることしかできなかったことが……。
 あんな感情を他の誰かに味わってほしくなんかありません」

あの時とは違い進化の秘法に犯され、元に戻れる確証もなかったあの時とは違う今。
言葉が届かなかったとして、かってそうしたように、命を奪ってでも止めてくれとサンダウンに頼むことはできるだろうか?
そもそも殺人を殺しをもって止めることは間違っているのでは?
デイパックに目を移す。
一本のナイフ。
ちっぽけなナイフ。
人を殺すには十分な道具。
……使いたくない。
己が命。愛する人の心と体。争いの無い世界。
幸運にも失った全てを取り戻せ、誰よりもその尊さを知った少女は、考えた末に言葉を変えて、再び願う。

「お願いします。誰にも罪を重ねさせたくないのです……。私と、私たちと! ピサロ様を、この殺し合いを止めて下さい!」
523傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:15:47 ID:+ZXNvbDs

桃色の髪を揺らし頭を下げる少女を前にして、やれやれとマリアベルは息を吐いた。
ニノとロザリーの気持ちが本物だということは痛いほど伝わってきている。
これ以上疑う余地はない。

「のう、シュウ。もういいじゃろ、この辺で。こやつらが嘘を言ってるようには思えぬ。それにエルクとやらはお主の知り合いの名でもなかったか?」

初対面の自分をあっさり信じたわりに、それから後は他人をいささか警戒しっぱなしの男を諌める。

「……一人になればなるほど……人は、人のぬくもりが欲しくなってしまう。お前なら……分かるはずだ」

驚くべきことにサンダウンも少女に追随する。
その顔に既に敵意はない。
相対したことで感じ取ったのだ。
シュウの、そしてマリアベルの根底にあり彼らが共通して一時抱いていた感情を。

――孤独を

それが答え。

シュウとマリアベルが互いに相手をすぐ信じられたのも、
知らずのうちに相手が優勝を――自分や誰かが一人になることを望まない人間だと直感したから。
危険な目にあわせないようにと過敏になっていたのもしかり。
常からして仲間思いの彼だが、世界を救うことと引き換えにアーク達を死なせてしまったことも尾を引いていたのだろう。

「ほれ、やっこさんの方が物分りがいいようじゃぞ? 全く、お得意のハンターの勘とやらもあてにならんのう!」

何故だか薄い胸を張りふんぞり返るマリアベル。
シュウもこうなっては自分が一人相撲をしていたらしいと認めるしかなく頷いた。

「違いない」

口元に僅かな笑みを浮かべて。



524傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:17:37 ID:+ZXNvbDs
シュウは一人森の中を駆け抜けていた。
あの後気まずくなったシュウが脱兎のごとく逃げ出したというわけでは勿論ない。
戦力不足の3人の護衛を仲間内では最強であるマリアベルに任せ、自らは偵察をかって出たのだ。
自分達のように爆発に呼び寄せられた参加者が他にもまだ来るかもしれないと踏んで。
5人で改めて情報交換したものの、探し人のことについて知りえた者は誰一人いなかった。
どころか、ニノの言うエルクとシュウの言うエルクが同名の別人であることが発覚。
カエル達との接触時から同名の人間のことを想定していたとはいえ、こうなっては他の名前も鵜呑みはできない。
サンダウンの言うアキラがストレイボウから聞いた人物像と一致していたことから、少なくとも無関係の者ばかり呼ばれたわけではないはずだが。

「エルク……」

ニノの知り合いの方は、よく難しい本を読んでいる礼儀正しい少年らしい。
ニノも字はあまり読めないが何度か興味から本を覗いたとか何とか。
よくも同じ名前でここまで正反対になるものだ。
そんな小さなことで笑えることが素直にうれしい。

「リーザ、トッシュ、ちょこ」

名簿に記載されていた覚えのある名前。
果たしてこの中の何人が自分の知り合いだろうか。
分かるすべの無い今、シュウはただただ全員の無事を祈った。


【I-8東部 一日目 早朝】
【シュウ@アークザラッドU】
[状態]:健康
[装備]:パワーマフラー@クロノトリガー
[道具]:エリクサー@ファイナルファンタジーY、紅蓮@アークザラッドU、リニアレールキャノン(BLT1/1)@WILD ARMS 2nd IGNITION、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、オディオを倒す。
1:I-8の爆発現場に向かい、誰かやってこないか偵察。
2:エルクたち、マリアベル、ニノ、サンダウン、ロザリーの仲間と合流。
3:この殺し合いについての情報を得る。
4:首輪の解除。
5:トッシュに紅蓮を渡す。
6:カエル、ピサロは警戒。アキラは信頼できる。
[備考]:
※参戦時期はクリア後。
※扇動を警戒しています。
※時限爆弾は現在使用不可です。

525傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:19:12 ID:+ZXNvbDs
「シュウさん、大丈夫でしょうか」
「なに、心配あるまい。おぬしが渡した薬やらもあるしの」

遭遇時のいざこざに時間を取られてしまった残る4人は、シュウとの打ち合わせどおり南下していた。
西は目立つ事故現場、北は未踏地帯、東にはシュウが危険と見なしたカエル。
こうなっては安全だと確認している無人の城下町に身を潜めるしかない。

「カエル、か……」

マリアベルは不機嫌そうに眉をひそめる。
サンダウン達との一件でシュウも少しは懲りたかと思っていたが、そこだけはガンと譲ろうとせず。
バカチンじゃと怒鳴り散らしはしたが、どこ吹く風。
共通の知り合いを持つサンダウンもストレイボウのことは少し気にしているようではあったものの。
結局はカエルに気をつけろと強く主張するシュウに根負けする形となった。

「ふむ、それよりもクレストグラフは使えそうか?」

ロザリーとニノの手に握られているカードを見やる。
サンダウンも銃を手に入れたとはいえ、使い捨てドッカンピストルでは本領発揮には程遠い。
特に弾が一発限りでは心もとない。
そこでリルカと合流するまでという条件で、マタンゴと交換にクレストグラフを二人に貸し与えたのだ。
使い勝手のよさに特化したクレストグラフによる魔法は魔力さえ注入できれば誰でも使えるはず。
そのマリアベルの読みどおり、

「わっ、すごいなー、理魔法よりかんたーん!」
「私にも使えるようですね」

ニノとロザリーの魔力に応え、魔法が発現する。
特に理とクレストの司るエレメントの属性が一致しているからか、ニノの筋はいい。
威力だけならリルカ以上だろう。
あくまでも付け焼刃ではあるが上々だ。
マタンゴも人にとっては毒だが、人外である自分ならフォースキャロット代わりの使用もできよう。

「あ奴も初めてわらわの力を見た時は怯えもせずはしゃいで感心していたのう……」

どのカードを所持するかをわいわいと話し合ってる二人を眺めつつ過去に浸っていると、
同じようにしていたサンダウンが声を声をかけてきた。
何か悩み事でもあるのかと。
若造がわらわを心配するには早すぎると笑って返したが、心中に浮かんだ問いは一向に消えはしなかった。
果たして同名の人間は居たとしても、同姓同名の人間なんてそうほいほい居るのだろうか。

「生き返ったか……。そうじゃの、ここにも一人実例が居るのだし、お主もまたそうなのかの、アナスタシア……」

空を見上げる。何時しか太陽は昇りきっていた。


526傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI :2009/01/31(土) 22:21:13 ID:+ZXNvbDs
【I-9とI-8の境界付近 一日目 早朝】
【マリアベル・アーミティッジ@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:ゲートホルダー@クロノトリガー、マリアベルの着ぐるみ@WILD ARMS 2nd IGNITION、基本支給品一式 、マタンゴ@LIVE A LIVE
[思考]
基本:人間の可能性を信じ、魔王を倒す。
1:元ARMSメンバー、シュウ達の仲間達と合流。
2:この殺し合いについての情報を得る。
3:首輪の解除。
4:この機械を調べたい。
5:リルカにクレストグラフを渡す。
6:アカ&アオも探したい。
7:アナスタシアの名前が気になる。 生き返った?
8:アキラは信頼できる。 ピサロに警戒。カエルに一応警戒?
[備考]:
※参戦時期はクリア後。
※アナスタシアのことは未だ話していません。生き返ったのではと思い至りました。
※レッドパワーはすべて習得しています。


【サンダウン@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:使い捨てドッカンピストル@クロノ・トリガー
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いにのらずに、ここからの脱出
1:ピサロの捜索
2:ひとまず南下してシュウの報告を待つ
2:ロザリー、ニノ、シュウ、マリアベルの仲間の捜索
3:自分の仲間(アキラ、レイ・クウゴ、高原日勝)の捜索(そう簡単には死ぬことはないと思っているので上記の人物よりは優先度は下)
4:まともな銃がほしい
5:アキラを知るストレイボウにやや興味有り
[備考]
参戦時期は最終編。魔王山に向かう前です。
527代理投下:2009/01/31(土) 22:45:23 ID:gPINYw1S
最後の最後に規制されてしまったので、以下、状態表の残り。
代理お願いします。或いは解除後に

【ロザリー@ドラゴンクエストW 導かれし者たち】
[状態]:健康
[装備]:いかりのリング@ファイナルファンタジーW、導きの指輪@ファイアーエムブレム 烈火の剣、 クレストグラフ(ニノと合わせて5枚)@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]:エリクサー@ファイナルファンタジーY、アリシアのナイフ@LIVE A LIVE、双眼鏡@現実、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:ピサロ様を捜す
2:ひとまず南下してシュウの報告を待つ
3:ユーリル、アリーナ、トルネコ、ミネアたちとの合流
4:サンダウンさん、ニノ、シュウ、マリアベルの仲間を捜す
[備考]
※参戦時期は6章終了時(エンディング後)です。
※クレストグラフの魔法は不明です。


【ニノ@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:健康
[装備]:クレストグラフ(ロザリーと合わせて5枚)@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]:フォルブレイズ@FE烈火、基本支給品一式
[思考]
基本:全員で生き残る
1:ジャファル、フロリーナを優先して仲間との合流
2:ひとまず南下してシュウの報告を待つ
3:サンダウン、ロザリー、シュウ、マリアベルの仲間を捜す
4:フォルブレイズの理を読み進めたい
[備考]:
※支援レベル フロリーナC、ジャファルA 、エルクC
※終章後より参戦
※クレストグラフの魔法は不明です。
528代理投下:2009/01/31(土) 22:46:23 ID:gPINYw1S
95 名前:傍らにいぬ君よ  ◆iDqvc5TpTI[sage] 投稿日:2009/01/31(土) 22:27:03 ID:qfMafwh20
以上、投下終了です。
529創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 23:19:29 ID:gPINYw1S
投下乙!
刹那の心理戦が素晴らしい! 無口な奴らを心理描写で上手く描写したのは見事。
疑心暗鬼から信頼に至るまでの過程が綿密に書かれてハラハラしました。
ニノの薄幸っぷりがたまんないw 今回はその健気さに救われたんだけどw
このチームの分け方も面白いです。シュウ単独行動でも安心だけど、城下町の4人が逆に心配。
情報は豊富だけど、何かと火種の臭いがするやつら。どうなるか見ものです、GJ!
530創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 23:33:22 ID:DPi3Lrp2
投下乙!!
このチームはいいなぁ、和む
そして、各々に信念があっていい感じ
一触即発な場面はひやひやしたけど
戦力も少し増強できたし、シーンがよく書けてると思う
531創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 23:58:02 ID:22v0HrRH
投下乙ー!
ニノいい子だなー。このひたむきさは心打たれるぜ。
そしてサンダウンはやはり渋くてカッコイイな。
しかし、クレストグラフでニノとロザリーが魔法を使えるとなると、戦力的に一番心もとない気がするが…w
532創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 09:44:54 ID:zVxSGvh+
終章後って、まさか妊娠してないよね…?とか思ってしまったw
533創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 13:33:29 ID:bwcUU5df
落ち着け、オレもジャファルマジ鬼畜ロリコンwwwとか思ったけど違うっぽい
封印は烈火の20年後だし、ルゥレイはどう見ても10代半ばくらい
つまり、ジャファルは一応ED後数年はニノに手を出すのを我慢してたんだろ
534創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:48:18 ID:sWbyaniH
い、いや、ED後じゃないから!
あくまでも終章後だからー!w

ってことだと思うw
535創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:49:40 ID:sWbyaniH
下げ忘れた。すまそ
536創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 22:22:25 ID:L4YVM7sW
>>533
つまりそれくらいまではニノもジャファルも生きてるってことか

例え生還しても近いうちに確実に死の運命が待ってるってのは悲しいもんが……
って、よく考えたら今回のFE勢ある意味全員その可能性あるんじゃ?
フロリーナはヘクトルと結ばれてたら早死にするようだし、リンも相方次第では……
そしてヘクトルは裏切りが元で死ぬ……と
オルステッド、ヘクトルのこの先の運命を知ってたら、どう思うんだろうな
537創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 21:39:06 ID:ealpaK9Y
そういえばアシュレーのアクセス問題どうなったけ?
なんかエンディング後だから不可?
それじゃつまらん、跡付けOK!とかちょっと出てたけど
538創る名無しに見る名無し:2009/02/04(水) 22:00:06 ID:kYm5nQ56
取り合えず、アクセスは「今のところ」不可だね。
でもリルカの前例があるから必ずしも今後一切不可能ってわけじゃないし、仮に出来なくてもアクセスがWA2の全てってわけじゃないから大丈夫でしょ。
「最終回後からの参戦」っていう設定の良登場話が投下されたなら、それを元に面白い話を考えるだけさ。
539 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:30:05 ID:hSpnRONL
規制だいじょうぶかな? 投下します
540 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:32:57 ID:hSpnRONL
甘かった。
変わった帽子を被った女の子から引き離しつつ逃げ切るだなんて、あのルカ・ブライト相手にできるはずがなかった。
燃え残っていた木々を盾にしようにも、次の瞬間には炎を纏った剣の一振りで全て切り倒されていた。
前回戦った時も確かにわたし達の3倍くらい早かったけど、こんな瘴気の刃を発する技なんて見た覚えがない。
ルカ・ブライト。
運よく手に入った情報から導き出したシュウさん必死必殺の策で、不意打ちした上に18人がかりでやっと倒せた敵。
それをわたし一人でどうこうしようとするのは不可能なくらい分かってる。
ほら、今だってリオウの真似をしてトンファーを回転させて剣を受け流そうとしたけど上手く行かずに失敗しちゃった。

痛い。
斬られた左腕を熱が伝い、一瞬後に感覚がなくなる。
痛い。
胴に繋がってはいるものの、一部炭化した腕は言うことを聞いてくれなくなった。
痛い。
回復しようにも水の紋章が刻まれているのも左腕で。
痛い。
手放したくなかったのに落としてしまった左の天命双牙は、地を転がっていく。
痛い。
焼け斬られたおかげで出血が止まったのがせめてもの幸いだと思い込む。
痛い。
どんなけ痛くても、残るもう一方だけは離しはしない。

だいじょうぶ。
だいじょうぶだから。
だいじょうぶだよ!!
わたしはいつでも元気だもん。

天命双牙を構えながら繰り返すのは、何度も何度も自分自身に言い聞かせてきた言葉。

大切な弟と大切な友達が――リオウとジョウイが戦うのが悲しかった。
そして、リオウが傷つくのが嫌だった。
闘って、傷付いて、武器を振るって、人を殺めて。
その度に本当は悲しいのに、決して表に出すことなく笑顔を浮かべている彼を見るのが辛かった。
どうして?どうしてリオウなの?
何度も、何度も、心の中で天へと訴えた。
わかってる。理由は痛いほど身に染みている。
ゲンカクじいちゃんが都市同盟の英雄だったから。
輝く盾の紋章をその手に宿していたから。
何よりも、リオウは誰よりも優しかったから。
幼いころはそのことが自慢だった。
わたしの弟は優しくて強いんだって無邪気に誇ってた。
でも、いつからだろうか。
その優しさが、怖くなった。
どこか遠くへ連れて行ってしまう気がしたのだ。
会ったばかりの人のために。
さっきまで喧嘩していた相手のために。
時には人でない動物や魔物のためにさえ。
自分の身と心が傷つくことをも厭わず助けようとするリオウを。
人の幸せを願う弟は、自身は幸せにはなれないんじゃないかって。
大丈夫、大丈夫と言い聞かせ、馬鹿な考えだと振り払っても振り払っても、不安は押し寄せてきた。
だからわたしはもう居ないゲンカクじいちゃんに誓ったんだ。
お姉ちゃんは、どこにもでもついていって、絶対守ると。
541創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:33:16 ID:nfmW3SwI
542創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:34:04 ID:G795NI3t
543創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:34:17 ID:nfmW3SwI
544創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:34:24 ID:KNQE7w2H
545 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:34:23 ID:hSpnRONL

ああ、なのに。

いったい何をやってるんだろ。
すぐにでもリオウの傍に行ってあげなきゃと思う心を押しとどめて、見知らぬ女の子を助けてる。
リオウのような優しさも、ジョウイのような理想もない。
ゲンカクじいちゃんの技や、トッシュさんの力にも及ばない。
わたしは、弱い。
でも、でも、でもでもでもでも!
弱いことはいけないことなの?
そうは思えない。
こんなことを思うのはお姉ちゃんとしては失格かもしれないけど。
わたしは強くなくても、優しくなくてもいいから、リオウには幸せになって欲しかった。
助けを求める多くの人を見捨ててでも、リオウには、ううん、リオウとジョウイとわたしの三人で、
ずっと、ずっと、ずっとずっとずううううううう〜〜〜〜っと一緒に居たかった!

だったらわたしはどうして二人を探しに行かないで、あのルカ・ブライトに立ち向かっているの?
この島にはトッシュさんが居る。
わたしが、ううん、リオウやジョウイ、ビクトールさんやビッキーちゃんも頑張らなくていい。
あの人なら一人でだって絶対、絶対、ぜえっ〜〜たっいルカ・ブライトにだってもう一度戦って勝ってくれるんだから。
ふさわしい人が居るなら任せるべきなのだ。
本当は死の恐怖に突き動かされて逃げ出したかった。
すんでのところで拾った命。
戻ってくるあの子を迎えなきゃいけないから捨てるわけにはいかないのに。

見てしまったなら、見捨てることはできなかった。
困ってる人や女の子は助けなきゃねって、リオウに教えたのはわたしなんだし。
それに、何よりも。
声が、聞こえた気がしたから。
忘れもしない大切な弟の泣き声が。
これまでも沢山聞いてきた誰かを救えず嘆くリオウの声が。

バトルロワイアル。
死が隣り合わせな閉ざされた世界。
うん、やっぱりオディオには文句を言いに行かないと。
こんなに狭くて、死者を知らせる放送まであるなんて。
救えずに手から零れた命の死を知らないで済ませることはできないってことで。
ここでわたしが逃げてさっきの子が死んだら、余計にリオウを悲しませることに繋がっちゃう。

わたしは、リオウが傷つくのが嫌。
身体だけじゃなくて、心が傷つくのだって見たくない!
リオウが辛そうなのが、辛いもん。

私は、『お姉ちゃん』なんだからー!!!

再び誓いの言葉を心の中で口にする。
ちっぽけな理由だと目の前の巨悪は笑うかもしれない。
けど、これ以上に自分を鼓舞する言葉は見つからない。
挫けないで居られるのも。みんながみんな、わたしがみんなのお姉ちゃんだと思えばこそ。
だいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶ。
リオウだけに背負わせたりしないから。
みんな、みんな、守ってみせるから。
泣きやんでよ、ねえ……
546創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:34:48 ID:vzIo8sr2
547創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:34:49 ID:nfmW3SwI
548創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:35:04 ID:KNQE7w2H
549創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:35:10 ID:vzIo8sr2
550 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:35:24 ID:hSpnRONL




――そんな小さくも切なる願いさえ、

「さあ、輝け、浄火の紋章よ!!!!」

狂皇子は蹂躙する!!!!




「な、なによ、あれ……っ」

ナナミを助け返そうと追いかけて来たルッカは絶句し、目を疑う。
男が不思議な石を掲げると共に現れしはタイムゲートを思わせる黒き歪み。
深淵の底で爛々と輝くは、一切の慈悲を捨て去った一対の碧の瞳。
漆黒の闇を抉じ開けて、甲冑で包まれた巨大な二本の腕が這い出でる。
否。
腕だけではない。
続く胴と一体化した頭部も、強靭な4本の足も、地を叩く長き尾も。
文字通り徹頭徹尾その全身が金の彩色がなされた白き鎧に覆われているのだ。
頭上に光輪を冠したそれは、あまりにも荘厳であまりにも破滅的あまりにも大きかった。
聖鎧竜スヴェルグ。
強大な悪魔と戦う為に7人の大天使が己の魂を聖鎧に封じひとつとなった姿。
霊界・サプレスにおける最高位の存在にして、召喚師が制御しうるぎりぎりの強大な力。
立っていられるのが不思議なくらい傷だらけな少女に対し放つには過剰すぎる絶対者がそこにいた。

「ふ……ふははははははははははははははははははははははははは!!!
いいぞ、思いの他使える道具だったようだな!!!!」

そう、これはあくまでルカにとっては試射に過ぎなかった。
ナナミと戦いつつルカが見据えていたのは、狼ことトッシュとの再戦。
プライドをも上回る憎悪が、ルカに冷静に思考することを許していく。

敗因の一つである獲物の差はついさっき克服した。
炎の槍は苦い記憶もあり好かなかった上に、本来のルカの武器は剣だ。
殺意を押し付けてくるのが鬱陶しいことに目を瞑れば、この剣はあの男の業物とも十分打ち合える。
大多数を一気に切り裂けるからくりが仕込まれているのも面白い。
だが、立ち塞がる壁はもう一つあった。
相性だ。
ルカ・ブライトを最凶足らしめる剣術と紋章術の融合によるいわば、紋章剣。
彼の世界でも類を見ないその絶技だが、どうもトッシュには効き目が薄かった。
恐らく火封じの紋章でも宿しているのだろうと推測する。
加えて、攻撃が通りにくいルカに反して、魔法ではないトッシュの剣術の数々は確実にルカに傷を負わせていた。
言うなればトッシュはルカ・ブライトの天敵なのだ。
551創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:36:00 ID:KNQE7w2H
552創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:36:16 ID:nfmW3SwI
553創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:36:22 ID:vzIo8sr2
554 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:36:21 ID:hSpnRONL

その現状を打開する為にルカが選んだのが炎以外の力による戦力の増強。
幸いにも彼には一つ心当たりがあった。
意に沿わぬ物だったとしても、その時は己が手でけりをつければいいと思って使った道具だったが、結果は見ての通り。
連射性・持続力こそないが、一撃の威力なら獣の紋章にも匹敵するだけの力をルカは従えた。

「さあ、手始めに薄汚れた都市同盟の女の魂を清めるのだ、聖鎧竜スヴェルグッ!!!!!!!!」

白亜の竜の両腕が大きく開かれる。
彷徨う子羊を抱き迎えるためではない。
悪魔を、堕落せし人間を葬らんが為に。

「つっ、逃げるわよ!」

動くこともままならないまでに血と体力を失ったナナミにルッカは急いで駆け寄り手を引く。
酷い火傷を追った少女が眼で何で逃げてくれていないのか問いかけてくるも、無視。
見ているだけな無力な自分が嫌で科学を志したからだと喉まで言葉が登ってきているが、今は逃げるのが先だ。
ふらつくナナミを強引に背負いルッカは全速力で歩を進める。
しかし、元々体力があるとはいえない身で自分と大して変わらない体格の人間を負ぶった少女の速度は悲しいほどに遅い。
聞き取れぬ異界の咆哮を伴って左右より迫る巨椀から逃れえるには程遠いものだった。
スヴェルグの掌から紫電が迸り、ルッカ達の行く手を遮る。
前方だけではない。
二人を中心に球状にマナの光が形を成して行く。
まずい。
この光のうちに囚われたら終わりだと悟ったルッカが必死に光の扉が閉まりきる前に抜け出そうとあがく。
あがく。
――閉まる
あがく。
――閉まる
あがく。
――閉まる
あがく。
――閉まる。
あがく、あがく、あがく!
……――閉じた
二人の姿だけでなく悲鳴も想いも飲み込んで、希望の光射さぬ無限牢が完成する。

その光景を見届けていたルカは邪悪な笑みを湛えて叫ぶ。
既に亡きこの力の素たる支給品の持ち主へと。

「見ているか、ティナ・ブランフォード!! 貴様の残した力で人が死ぬ様を!!」

川原にて惨殺した少女。
他人を生かすために自らの命を捨てた少女。
その優しさゆえに広域を巻き込みかねないスヴェルグを使うに使えなかった少女。
馬鹿な奴だ。
最高位の召還術をなすのに要した疲労をものともせず、ルカは大声で嘲笑う。
死の間際、沈黙が解けた時になら、至近距離から直撃できたろうに。

「お前は一人の人間を救ったが」

ルカの命に従い、スヴェルグが背にハイロウを展開し、両の手で空間ごと牢を握りつぶす。
世界を焼く極光が晴れた後には、塵一つ残っていない。

「同時に生かしてしまった俺は貴様も含め3人の人間を殺したぞ! まだまだこの先も何倍にも増えるがな!!!
 ふははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
555 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:36:55 ID:hSpnRONL
降り注ぐ光の雨と空間の欠片に背を向ける。
人という存在より解放された地に、止まる意味はない。
後数分で始まる放送を聞いた後は神殿にでも向かうとしよう。
剣が交わる音の聞こえるがすぐ西にも興味を惹かれはしたが。
それ以上に、神殿にいるであろう人間を殺すことは、邪魔をしてくれたあの男への意趣返しになる。

最悪な人物にまで聞こえていた拡声器の主の悲しむ姿を思い描き、ルカは東へと進路をとる。

――ルカは知らない。その拡声器の主本人も神殿に居ることを

狂王子が去り、スヴェルグも虚空へと消え去った地は漸く一時の平穏を迎える。
取り残された柄が血で滲んだ左の天命双牙だけが、唯一そこに誰かが居た証であった。



【C-7 東部 一日目 早朝】
【ルカ・ブライト@幻想水滸伝U】
[状態]疲労(中)、精神的疲労(大)、ダメージ(小)
[装備]皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、魔封じの杖(4/5)@ドラゴンクエストIV 、聖鎧竜スヴェルグ@サモンナイト3
[道具]フレイムトライデント@アークザラッドU、工具セット@現実、基本支給品一式×3、不明支給品0〜2(武器、回復道具は無し)
[思考]基本:ゲームに乗る。殺しを楽しむ。
1:神殿の中にいるであろう人物を殺し、あの男(アキラ)への報復をする。
2:会った奴は無差別に殺す。ただし、同じ世界から来た残る4人を優先
3:あの狼(トッシュ)は自分の手で殺したい。
[備考]死んだ後からの参戦です 。
※皆殺しの剣の殺意をはね除けています。
※召還術師じゃないルカでは、そうそうスヴェルグを連続では使用できません。

※C-7 東部に天命双牙(左)が転がっています。






556創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:37:47 ID:G795NI3t
557創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:37:47 ID:vzIo8sr2
558創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:38:13 ID:nfmW3SwI
559 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:38:22 ID:hSpnRONL
――ルカは知らない。断罪の無限牢内に乱入した珍妙な二人組みがいたことを


それは、本当にいくつもの偶然が重なった末の出来事だった。
毎回の如くでたらめな時間、でたらめな場所へと繋がったビッキーのくしゃみ。
サモナイト石が開いた異界への通路に引っ張られたのか、よりによって無限牢内の内側へと二人はテレポートしてしまったのである。
触れただけで消滅を免れない必殺の檻。
いつも通り転移後の状況を理解できていないビッキーだけなら、そのまま犠牲者が一人増えただけだったに違いない。
そうならなかったのはひとえにゴゴが居たからだ。
真似たのだ、転移後すぐに、ゴゴがビッキーのテレポートを。
それが状況判断した上での行動なら、やはり圧殺される方が早かっただろう。
考えることを要せず、単に息をするように真似をしたが故に、辛くも粉砕される前に牢内の人間全員は牢外へと飛べたのだ。
奇しくも再転位の先はビッキーが最初に目指していた北の城――フィガロ城。
こうして、冗談みたいな話だが彼らは助かった。



――なけなしの体力を無限牢に奪われたナナミを除いて




「ちょっと、返事をしなさい! 勝手に助けておいて、勝手に死ぬなんて承知できるわけないわよ!」

深い闇に落ちていた意識が覚醒していく。
薄ぼんやりとしか開いてくれない目が映す世界は、なんだか色あせていてつまらないけど、わたしを揺さぶってるのが誰かはわかった。
ルカに襲われていた眼鏡の子だ。
良かった。
守りの霧、ちゃんと発動できてたんだ。
がんばったかいあったな。
うん、えらい、えらい、わたしの左腕。
でも、でも、でも、どうせなら、土の紋章宿しておけば、わたしも……助かったのに。

「ナナミちゃん! ナナミちゃん、ナナミちゃん!」

続いて聞こえたのは懐かしい声。
知っている人の声だ。

ビッキーちゃん。
明るくて、テレポートが得意で、でも失敗も多くて。
一緒に居るととにかく楽しい子だ。
ああ。そうだ、だめもとで頼んでみよう。

「ねえ、ビッキーちゃん。リオウのとこまでテレポート、して欲しいな……」
「えっ……。ごめん、ごめんね、ナナミちゃん」

困らせちゃって、ごめんね。
うん、どこに居るかも、分からないもんね。
会いたい、会いたいよ、リオウ、ジョウイ……。
朝日に照らされた城壁が見える。
前にジョウイを待った外壁になんか似てると思う。
リオウ、ジョウイ、わたしはここだよ?
帰ってきてよ。
ずっと、ずっと、ゲンカクじいちゃんの家で待ってたんだよ?
二人が揃って帰って来てくれる日を夢見て。
二度あることは、三度あるって期待して。
560創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:38:27 ID:EroPGoeF
sienn
561 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:39:29 ID:hSpnRONL

「だめ、目を瞑っちゃだめ!」
「なんの、なんのためのサイエンスよ! 私はまた何もできないの!?」

声が、遠くなる。
三人でいたい。
それだけなのに、叶わないのかな。
叶わない、よね。
そんな幸せなことが起きるくらいなら、あの二人が争うことなんてあるはずないもん。
目が、重たくなってきちゃった……。

「ナ……ミ、ナナ……、……ナナミ!」

ほら、ね。そんなに、上手く、い、くわけ……え?
うそ?
うそ、うそ、うそ、うそ、うそ!!
目は碌、に見えな、くて、耳もよく、聞こえ、ないけど、この雰囲、気はもし、かしてリオウ?

「ナナミちゃん、ひっく、もう一回くしゃみしたら呼べたよ、リオウさん」
「くしゃみって、なによ、それ、非科学的、すぎる、じゃない……」

帰って、きた。
帰ってきて、くれた!
リオウ。リオウ、リオウ!
ごめんね、リオウ。
おねえちゃん、リオウの昔っから使ってる武器、片方落としちゃった。
でも大丈夫。
もう片方は何とか守り抜いたから。
ほら、受け取ってよ。ね、ね、ね。

「いいから。武器なんていいから。少し休もう」

562 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:40:02 ID:hSpnRONL
だめ、駄目だよ。
お姉ちゃんは、だい、じょうぶ、だいじょう、ぶだから。
いつかのように、もう少し一緒に待とう。
ジョウイは、ちゃんと帰っ……てくるよ
朝……弱いから、きっと寝坊して、るだけ。
帰りを……待って、いてくれている、誰かがいないと、拗ねちゃう、よ。
あ、れ? なんだか、眠く……。
リオウの、寝坊に加えて、ジョウイの……朝の弱さまで、うつっちゃった、のか、な。

「ぼくがナナミの代わりに待つから。ちゃんと、ジョウイが来たら起こすから」

い、っしょ。代わりにじゃなくて、一緒に、まと。
うん、わかってくれたんだ、ね。
じゃあ、お姉ちゃん、少し眠るけど、だいじょうぶ、だから。
あ、その前に、一つ、忘れ、てた。

「ちょっと、だけ、おねがい……」

うん、うんうん、うんうん。
お願い、聞いてくれて、ありがとう。
やっぱり、わたし、ゲンカクじいちゃんの子どもで、よかった。
リオ、ウのお姉……ちゃんで、よかった。
ジョ、ウイと友達で、み、んなといっしょで……
……に……会……て……よかっ





【ナナミ@幻想水滸伝U 死亡】
【残り44人】




563創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:41:01 ID:nfmW3SwI
564創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:41:02 ID:vzIo8sr2
565 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:41:18 ID:hSpnRONL
リオウは合わせていた手を時、頭を上げる。
後悔に駆られ無力さを嘆く時間も。
哀惜の念に堪えかねず死者を惜しむ時間ももうおしまいだ。
彼の前には小さな墓。
間に合わなかった彼にできた精一杯のこと。
こうしている間にも、他に苦しんでいる人がいるかもしれないと理解しつつも、作らずにはいられなかったけど。
穴を掘るのに適した道具もなく、随分と手間取ってしまった。
それは優しさ故なんかじゃない。
多分、誰よりも、自分の心を鎮めたかったから。
負けないという意思を挫かれたくなかったから。

「ぼくは……行くね」

目的地は決めてある。ここから一番近い施設。
アナベルやキバ将軍達の時と同じく、亡くした者の意思を継いでリオウは再び歩き出す。
リオウを見送るように朝日に照らされ光を帯びる墓石代わりの石には一つの名前が彫られていた。

『エイラ』

――少年は"二度”間に合わなかった

ナナミが死んだのは、リオウが雪原に足を踏み入れた頃のことである。


【B-3 雪原 一日目 早朝】
【リオウ(2主人公)@幻想水滸伝U】
[状態]:健康
[装備]:閃光の戦槍@サモンナイト3
[道具]:魔石『マディン』@ファイナルファンタジーY、、基本支給品一式
[思考]
基本:バトルロワイアルに乗らず、オディオ打倒。
1:信頼できる仲間を集める。ジョウイ、ナナミ、ビクトール、ビッキーを優先。
2:ルカ・ブライトを倒す。
3:首輪をなんとかしたい。
4:エイラが残した『黒』という言葉が気になる
[備考]:
※名簿を確認済み。
※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所へジョウイに会いに行く前です。
566 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:41:51 ID:hSpnRONL





「ごめん、ビッキー。ダメだった」
「ううん、ぐすっ。いいの……。ありが、えう、とう、ゴゴ……」

ナナミの最後の言葉に応え、リオウじゃないと気付かれてしまった俺はビッキーに振り返る。
死に瀕したナナミの為にリオウの真似をして欲しいと頼まれた時、俺は少し悩んだ。
俺はリオウという男に会ったことがない。
ビッキーが世話になったというその青年のことは聞いてはいたが、それはあくまでもビッキー視点のリオウ像だ。
無意識な面も含め脚色され本物とは異なるとこが多々あるのは想像に易い。
そんな虚像を虚像としてでなく本物のリオウとして真似るのはどうも気が退けた。
俺自身の信条もある。
誰の物真似をするかを俺自身に決められるのはあまり好きではない。
ないのだが。
その時の俺はビッキーの真似をしていた。
俺と友達になりたいと思っている少女の真似をだ。
困った。
つまりそれは、ビッキーの真似をしている俺も彼女の友達として振るわねばならないということだ。
世界を救おうとするティナ達と旅した時も、一度、似たようなことがあった。
崩れ落ちる瓦礫の塔から脱出しようとした時、セッツァーにセリスの真似をしろと対象を指定されたのだ。
俺を仲間として扱う彼らの真似をしていた俺に。
結局今回も俺が至った結論はあの時と同じだった。
友達を助けるのは友達にとっては当たり前のことなのだから。
まあ、やはり失敗してしまいはしたが。
悔しい。
いつか、本物のリオウに会って真似しきりたいものだ。

「ナナミちゃん、せっかく、せっかくまた会えたのに……」
「私がついていながら……! 回復アイテムの一つでも入れておきなさいよ!」

ビッキーが泣いている。
知り合いだったらしい。
ルッカも泣いている。
助けてもらったそうだ。
なら、俺はどうだ。
俺はこの少女、ナナミとは一切縁がない。
泣いてやる義理も、涙する理由もない。
けれども、俺は今リオウだ。
どんなに下手でも、どんな理由でも、一度始めた物真似はやり通そう。

俺が真似することなく逝った少女を惜しみ、涙を流そう。
俺に出会えてよかったと言ってくれた少女のために。

――ちょっとだけ、おねがい……。ねえ、ねえ、ねえ、寝る前に教えて。あなたの、名前

俺は、ゴゴ。物真似師だ。

567創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 03:42:43 ID:nfmW3SwI
568 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:42:56 ID:hSpnRONL
【A-3 北の城(フィガロ城) 一日目 早朝】
【ビッキー@幻想水滸伝2】
[状態]:健康、悲しみ、大泣き
[装備]:花の頭飾り
[道具]:不明支給品1〜3個(確認済み。回復アイテムは無し)、基本支給品一式
[思考]
基本:決めてない。どうしよう。
1:ナナミちゃんが、ナナミちゃんが……
[備考]
参戦時期はハイランド城攻略後の宴会直前


【ゴゴ@ファイナルファンタジー6】
[状態]:ビッキー視点のリオウの物真似中、健康
[装備]:花の首飾り
[道具]:不明支給品1〜3個(確認済み。回復アイテムは無し)、基本支給品一式 、天命双牙(右)、
    ナナミのデイパック(スケベぼんデラックス@WILD ARMS 2nd IGNITION、基本支給品一式)
[思考]
基本:数々の出会いと別れの中で、物真似をし尽くす。
1:しばらく泣く
2:人や物を探索したい
3:本物のリオウに会ってみたい
[備考]
参戦時期はパーティメンバー加入後です。詳細はお任せします。


【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(中)、悲しみ
[装備]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@LIVE A LIVE 、サラのお守り@クロノトリガー
[道具]:なし
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから。
1:ナナミ……
2:あの男(ルカ)はどうにかしないと
3:ミネアとアリーゼを探したい。
4:改造、首輪解除するための工具を探す。オートボウガン改造したい。
5:どこかで首輪を探す。
6:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
7:クロノ達と合流、魔王は警戒。
8:17ダイオードの更なる研究 。
9:魔王に『お守り』を返す。
[備考]:
※バイツァ・ダスト@WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
※機界ロレイラルの技術の一部を解明し、物にしました。
569 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 03:44:20 ID:hSpnRONL
投下終了。支援感謝。
タイトルは『三人でいたい』です
570創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 04:15:54 ID:9Nryd6FM
投下乙! ナナミィィィィィ!! うわああああああああああああああ!!
みんなのお姉ちゃんが……ルカ様コノヤロウ!
流石にナナミにルカの相手は荷が重いですよねー……頑張った。
ビッキーたちの前回のあの見事な「ヒキ」からの繋ぎ方は素晴らしい。
さらにゴゴの性質も上手く活かしてますし。モノマネでこんなに切なさを演出できるとは、感心です。
そしてリオウは……放送聞いたら大変な事になるんじゃないのか……。ちょっと楽しみw
原作内での人間関係や、各キャラの能力・設定などを最大限に活かした名作。完璧です! GJ!!!!
571創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 04:26:52 ID:zOw9BZaL
投下乙。
ナナミが逝ったか。ルカ様結構やるなあ。まさに屠殺場!!
ナナミの心情やゴゴの使い方とかよかった
572創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 05:44:32 ID:EroPGoeF
投下乙!

おいおいルカ様、あんた霊属性Sランクかよ!これがSなら獣もSだろうし……マジでハンパねぇ。
ゴゴも瞬きの能力をあっさり真似るとは……恐るべし。
ルッカはエドガーと入れ違いになって、戦闘力の乏しいアキラとカノンに魔の手が迫ろうとしている!GJ!
そしてまた女性キャラが……。

ここから指摘を
>>540
どんなけ→どれだけ かな?

天命牙双が全て天命双牙になってます。


『勇者の強さ、人の弱さ』にて

「カエル、その手に持っているものは?」
「ああ、これか。なんだろな、支給品なんだが」

この会話がよく分からないのですが ……
それと早朝と黎明が二つ表記されています。

『傍らにいぬ君よ』にて

『届いた手、届いた心』からなんですが、いかりのリングがファイナルファンタジーWになってます。
あと日が昇っているから、着ぐるみは装備欄の方かな?もう着てるみたいだったし。

573 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/11(水) 13:17:14 ID:xNqdDFEF
>>573
指摘感謝です。
まずは指摘されていない分から。
ルカがスヴェルグを扱えたのは、彼のありあまる才能のせいかもしれませんし、
主催者側がサモナイト石に手を加えたからかもしれません。
そもそもサモナー以外も使えちゃってますし。
考察や後の展開を縛らないよう、あえて具体的には触れないようにしました。

ゴゴが直前の見方の行動を真似しきるのは仕様です。
とはいえ、さすがにくしゃみ効果は真似できないので、
空間だけでなく時間も黎明後半から早朝後半まで跳んだビッキーとは違い、
あくまでも、ただ距離を移動しただけのテレポートとなっております。

以下、指摘部分
【どんなけ→どれだけ】
一人称だからと崩しすぎましたか。直しておきます

【天命牙双が全て天命双牙になってます】
すみません、ごめんなさい、うっかり覚え違いしていました。修正しておきます

【「カエル、その手に持っているものは?」】
「ストレイボウ、その手に持っているものは?」の間違いです。
【早朝黎明】ともども基本的なミスをしてしまい陳謝

【怒りの〜、着ぐるみ〜】
コピペした後で書き換えを怠ってしまった模様。
出典・装備欄修正しておきます。
ただ、『届いた手、届いた心』は拙作ではないので前回出てきたニノの一人称問題含め、
◆0RbUzIT0To氏の返答待ちです。

では、重ね重ね指摘ありがとうございました
574創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 23:58:19 ID:JqhqmFvO
投下乙!
流石だぜルカ様。この暴れっぷりはヤバイ。
しかもスヴェルグとは、手がつけられねぇ…

そしてゴゴの物まねをこのように使うとは、本当に上手い。
死に際に会えたのがリオウではないと分かってしまっても、ナナミはきっと不幸ではなかったんだろうなー。

GJでした!
575創る名無しに見る名無し:2009/02/13(金) 02:07:38 ID:Ai/nejvF
そういえばWIKIの現在地更新で何気に早朝到達・非到達で色分けされてて嬉しかったw
こういうのすごく便利ーw
編集してくれた人に感謝
576創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 23:12:42 ID:7UQy+UEB
遅くなったが投下GJ!

やばい、ルカ様が格好良い。ティナへの嘲笑が最高過ぎる!改めて狂皇子の凄みを感じるしかない。これは良いルカ。

そしてゴゴの最後の独白すげぇ……。胸にズシンと来る。
まさか物真似をこう使うとは……いかんぞ、涙腺の破壊力高すぎるぞこれ。

ナナミはとにかく、お疲れ様。おやすみなさい。
良いお姉ちゃんだった。きっと弟は頑張ってくれるさ。


ところでゴゴの独白にて

>俺自身に決められるのは

とあるけど、「俺以外に決められるのは」の間違いかな?
577 ◆iDqvc5TpTI :2009/02/15(日) 15:19:08 ID:67hMq+7n
感想と指摘多謝
【俺自身に決められるのは】
おっしゃるとおり、「俺以外に決められるのは」の間違いです。
修正しておきます
578創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:40:36 ID:RbSkt+fR
579 ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:40:36 ID:Kh4M4AEo
それじゃあ、ちょっとだけ長めですが投下します。
580エドガー、『夜明け』を待つ:2009/02/18(水) 02:41:48 ID:Kh4M4AEo
人が集まる。
するとそこにはルールが生まれる。
そして(そこに集まった人々に最低限の常識さえあればだが)、そのルールが秩序を守る。

こうして……『国』は産声を上げる。

さぁ、この出来立てホヤホヤの国が最初に欲するものは何だろうか?
統率者だ。
王、大統領、首相、時にはリーダーなんてのも……呼び名は違えど国には必ずそういった統率者がいる。
彼らは国民を纏め上げ、正しい方向へ導いていく使命がある。
国が栄えるのも、滅びるのも、その未来は彼らの両の肩にかかっていると言っても過言ではないだろう。

だがここで1つ、重要な事があるんだ。
必要とされている統率者は時代と共に変わりゆく、ということだ。
つまり、ある時代で繁栄の極みを謳歌した国の王様を、別の時代の別の国の王に据えたところで、その国が繁栄するとは限らない。
その国の風土、国民の気質、周辺の国々、文化レベル……そんな幾千もの要素が絡み合い、統率者に求められる資質は変わっていく。
資質のないものが支配者の椅子に座ったとき、その国の未来は鋼鉄の扉をもって閉ざされる。
だからこそ盛者必衰の理なんてものが存在するのだ。
最適な統率者を探す事。
それは国にとって最初の使命であり、国の未来を決定付ける分岐点であり、国にとって最高難易度の課題である。
最高の統率者などそう易々と見つかるものじゃないのだ。

だけど、見つけられるか否かは別にして……必ず『ソイツ』はいる。
人々を惹きつけ、未来への道を示す確固たる統率者は必ず存在する。
どんな荒んだ世界にも、地獄の最深部にすらも!

そして、この絶望の殺し合いの会場にも。

仲間達を纏め上げ、魔王を殺すための旗振り役となる人物が必ず……。
しかし残念ながら、本当に残念だが……『ソイツ』は俺じゃない。
俺も国を率いていた。王としては悪くない働きだったと思ってる。
それでも、この果てのない絶望をひっくり返すのは……悔しいが俺には不可能だ。

だから俺は、エドガー・ロニ・フィガロは捜し求める。

新たな王を。


◆     ◆     ◆


「大丈夫か? 転ぶんじゃないぞ」
荒野を進むのは、1人の男と1人の少女。
様々な土地を渡り歩いてきたエドガーにとってみれば、この程度の荒野など、舗装された街道と何ら変わりのないものだ。
しかし、彼の同行者である少女にとってはそうもいかないだろう。
雪原を越えたばかりの疲れた足を休めることなく、荒れた道を歩いているのだ。
そろそろ泣き言の1つでも飛び出すのではないか。
エドガーはそう予想していた。

「だ、大丈夫……です」
彼女が、フロリーナが『どもった』のは、疲れているからじゃない。
単にエドガーと会話するのにまだ慣れていなかっただけだ。
事実、彼女の足並みは軽やかで、抱えた槍の重量すら感じさせない。
このような事、つまり足場の悪い道を進む事をフロリーナは何度も経験していた。
いつだってヒューイを連れて跳べるわけじゃない。
1人で戦場を渡り歩けるような訓練だって受けているのだ。
581創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:41:49 ID:RbSkt+fR
582エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:42:49 ID:Kh4M4AEo

(ふむ……やはりただの少女ではないわけだな)
エドガーが思っていた以上に、フロリーナはこういった『厄介事』に慣れている。
出会った時に彼女が名乗った『天馬騎士』の名は伊達じゃないという事だな。
彼女が抱えた槍も、実はハリボテなのではないかと思えるほど軽く見える。
フロリーナに抱いていた第一印象である『弱気な少女』という印象は、新品の消しゴムで擦らなくてはならないようだ。
そして新たな一文を書き加えなくては。『フロリーナは槍の扱いに長けている』、と。
それこそ『騎士』として申し分のない戦いが出来るほどに。

(だが、それじゃあダメだ。それじゃあ、足りないんだよな……)
たとえ、1人前の兵士として戦場を駆け抜ける事が出来たとしても。
その程度じゃあ……話にならない。
その程度じゃあ……ケフカには、あの悪魔には手傷1つ与える事などできない。
それは彼女が弱いというわけじゃない。
ケフカが強すぎるのだ。絶望的なほど。
一度ケフカを倒したことのある自分でさえも、1対1なら、おそらく勝てない。
それほどあいつは強い。そして残酷で、汚い。
勝つためには手段を選ばず、手段の為にはいかなる犠牲をも厭わない。
どんなに屈強な大男よりも、偉大な魔導師よりも、最悪の敵。

それがケフカだ。

奴を崩す手段があるとすれば……ティナ。
彼女の存在が大きな鍵となる。
幻獣の血を引く彼女ならば、彼女の真の力ならば……あるいは……。

それにマッシュの格闘術、シャドウの暗殺術などもあれば心強い。
セッツァーがいれば、もしものときの決断力はピカ1だ。
ゴゴは……まぁ、モノマネすれば強い仲間が2人になるのだから、それはそれでかなり心強いか。

(結局仲間頼み……か……)
そこまで思考を働かせた俺は、ある疑問に辿りつくこととなる。
ならば、俺の役割は何だ?
ティナやセリスのような魔法もない。
マッシュのような格闘術があるわけでもない。
シャドウのような暗殺術も持っていない。
この殺し合いの世界、秩序の存在しない世界では俺が持っていた『国王』の称号など何の意味もない。

(ならば、首輪か……?)
おそらく、俺の工学の知識は、この忌々しい首輪の排除に必要不可欠なものだろう。
だったら、俺の役割は、首輪を解除させる事……。
そうだ。
そう考えるのが自然なんだ。
なのに、それなのに……。

(何だ……この……違和感は……)
フロリーナに出会ったときから、感じていた……この違和感。
俺には、他に出来ることがあるんじゃないか?
首輪の解除と共に、出来る事があるんじゃないのか?
俺の使命は……。
俺の……価値は……。

「……ッ! これは?!」
583創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:43:12 ID:RbSkt+fR
584エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:43:47 ID:Kh4M4AEo

渦巻状に巡り巡っていたエドガーの思考を中断させたのは……殺気。
禍々しい殺気だ。
それは、自分達が立つ荒野の遥か先に広がる緑の草原から自分達へ向けられていた。

(こいつ……強い……!)
この殺気。そのドス黒さもさることながら、恐ろしいのはその『細さ』である。
殺気とは、誰かが誰かを殺そうと武器を構えるとき、必ずしも漏れ出てしまうものである。
奇襲を行うときには、これを出来るだけ抑え、相手に自分の存在を感づかれないように勤めることが大事なはずある。
が、しかし、その理屈が分かっていても、実際にそれが出来るかは別の話だ。
どれだけ抑えようと努力しても、それを完全に抑えることは難しい。
ましてや、この殺し合いのような状況ならなおさらである。

にも関わらず、この殺気はかなりの強者でも感じ取る事は不可能なレベルにまで『細い』のだ。
ここまで『細く』抑えるなど、並の戦士の業じゃない。
おそらく……熟練の暗殺者によるもの。
隣に立つフロリーナはこの殺気に気付いていないらしく、警戒を強めたエドガーに不信感を覚える。

(いや、これは……まさか……)
この殺気にエドガーが気付く事ができたのは、彼がこの気配の持ち主のことを良く知っていたからである。
朝日が差し込んだはずなのに、暗闇に包まれたようなこの感覚……覚えがある。
仲間達と冒険をしていたときに、何度も何度も感じたこの感覚。

(アイツの仕業か! ……生きていたのか。)
確かに名簿に載っていた。あの名前。
彼が生きていた事をこの身で確認し、エドガーはひとまず安堵する。

「シャドウか! シャドウなんだな?!」
いつもは自分達の傍らで、眼前の敵に対して向けられていた殺気。
それが今は自分に向けて発せられていた。
突然発せられた叫び声に、フロリーナが竦み上がり「ひぃっ!」と小さく悲鳴を上げた。

「出て来い。この俺に奇襲が成功するなどとは思ってないだろう?」
厄介な敵に相対した事実に冷や汗が滲む。
それでもニヤリと笑って余裕であるとアピールする。
後ろで小さくなっている少女をこれ以上不安にさせないように。

「……よく気付いたな」
足音もなく現れたのは漆黒の身を漆黒の衣で包み込んだ男。
それを確認したフロリーナが、信じられないと言わんばかりに目を丸くしている。
シャドウの俊敏な動きを目で追えなかった彼女には、この男が瞬間移動で現れたように見えただろう。
気配なく存在し、気配なく近づき、気配なく刺し貫くのがこの男の戦い方だ。
この暗殺のスタイルは今も変わってはいないようだ。
見た目も、以前に会ったときと何1つ変わらない姿だ。
いや、いつも連れているはずの愛犬の姿が見えない。流石にオディオに没収されたのだろう。

「そりゃあ気付くさ。幾つの死線を渡り歩いた仲だと思っているんだ?」
笑顔を崩すことなく両手を広げ、和やかな雰囲気を演出する。
これで相手が武器を捨ててくれるなら……と淡い期待を抱いていたのだが。

「…………そうか」
奇襲に失敗した事に動揺1つ見せることのない暗殺者は、短剣を胸元に構え、殺気を解放した。
今度は、隠すことなく、禍々しい殺気を放射状に全開にして。
フロリーナが抱えた槍を強く握り締めた。
震えが止まらない両手で。
585創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:44:37 ID:RbSkt+fR
586エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:45:06 ID:Kh4M4AEo

「……1つだけ訊いておこうか。お前は……」
「乗っている」
『殺し合いに乗っているのか?』というエドガーの質問が終わる前に、乱暴に投げ返された答えは、余りにも簡潔で……残酷だった。
当たり前だ。ピンポイントで自分達に殺意を向けてきたのだ。殺し合いに乗っているに決まっている。
先ほども「シャドウは要警戒だ」とフロリーナに伝えてある。

だが、それでもエドガーにとってシャドウは世界を救った戦友だ。
彼の活躍なしにはケフカを倒す事はできなかったであろう。
そして彼は、自分の命を犠牲にしてまでエドガーたちを助けてくれた。
そんな彼が殺し合いに乗ってるとは……信じたくはなかった。

そのエドガー思いとは裏腹に、彼の口から告げられた言葉は、その信頼を容易く打ち砕く。
彼は殺し合いに乗った。
恐らくそこに理由などない。
『誰かを救う為』だとか『叶えたい願いがある』だとか、そんな『もっともな』理由など持ち合わせていない。
殺し合いに乗る。
それこそが彼の日常。
このふざけた殺戮合戦で女子供を血祭りに上げることと、エドガーたちと冒険をした日々との間には、なんの違いもないのだ。
彼にとっては、どちらも『殺戮の日常』なのだから。

「……」 「……」 「……」
それきり、誰も言葉を放つ事はなかった。
シャドウとエドガーは相手の動きを読むことに集中していたから。
フロリーナは単に何を話していいかが分からなかったからだ。
辺りに響いたのは、乾いた大地を風が吹きぬける音。
そして、フロリーナの震える手に握られた槍が、大地をカタカタと叩く音。

その沈黙が続いたのが10分程。
尤も、この張り詰めた状態では、その時間はもっと長く感じられた事であろう。
特にフロリーナには、何時間にも感じられたのかもしれない。

とにかく、沈黙が続いたのは10分だ。
そして、沈黙を終わらせたのは……息。

息だ。

シャドウが息を吐き出した。
ヒュゥ……と小さな音。
しかしそれこそが、神速の暗殺者の疾走を告げる警告。
暗殺対象のエドガーに発せられた、最後のサイレンであった。

「…………え?」
フロリーナが裏返った声を絞り出す。
彼女の目が捕らえたのはたった2つの光景。
1つは、沈黙の中、永遠に続くと思われたエドガーとシャドウの対峙。
そしてもう1つは、シャドウのナイフをエドガーがアルマーズで受け止めている光景。
その2つの光景が、スライド写真のように一瞬にして切り替わった。
シャドウがエドガーに肉迫するところも、シャドウが切りかかる瞬間も……。
一切目で追うことが出来なかった。

「こんな……ことって……」
フィガロ城からここまで歩きとおした上に、シャドウとの10分にも及ぶ緊張状態で疲労したこともあっただろう。
それでも、目で追うことすら敵わないとは思わなかった。
ここまで速い攻撃はジャファル以外では見たことがない。
おそらく、速さだけならリンやヘクトルよりも遥かに上。
その光景を見ながら生唾を飲み込む事しか出来ない自分が悔しい。

シャドウの短剣とエドガーの斧がぶつかり合う音が、フロリーナの鼓膜を振るわせたのはその直後であった。
587創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:45:56 ID:RbSkt+fR
588エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:47:07 ID:Kh4M4AEo


「……くッ!」
エドガーが苦しげな声を絞り出す。
最初の一撃は斧で何とか受け止めたものの、それが精一杯だ。
元々、スピードという点ではシャドウに大きなアドバンテージがある。
それに加えて、エドガーの持っている武器は斧。
槍や剣を得意とするエドガーにとって、斧を使っての戦いはその動きをワンテンポづつ遅らせる事になる。
しかしそれだけではない。
先ほどからエドガーの脳裏にこびり付いては離れない違和感。
自分が何の為に戦っているのか。
その疑問は命の危機に瀕したこの状況ですら、エドガーの思考回路に設置された障害物となっていた。
結果としてそれらが生み出した遅れは、エドガーが次の攻撃に対処する事を不可能としてしまった。

「……ぐがぁ!」
シャドウの右足がエドガーの腹にめり込んでいた。
蹴られるがままにエドガーは後方へと吹き飛ばされる。
なんとか地面に足をつけ、たたらを踏みながらも体制を立て直そうと努める。
対するシャドウは、エドガーを蹴った反動で上空へとやや高くジャンプ。
そしてトランポリン選手の落下時のように、悠々と地面へ到達する。

「…………貴様は……!」
シャドウが何か呟いたような気がした。
怒りのような、失望のような感情が入り混じったような声。
しかしその声は小さく、エドガーには届かない。

地面に降り立ったシャドウは、そのまま膝を曲げて一瞬だけ静止。
再びヒュウ……と息を吐き出すと、未だ不安定な体勢のエドガーへと突進する。
次の攻撃を避けることに成功したとて、エドガーはあと何撃を凌げるのか……。
金髪の国王は厳しい防戦を強いられることになった。
その王に向かって漆黒のアサシンは、同じく『アサッシンズ』と銘打たれた短剣を持つ右手を翼のように後方に振りかぶる。

これほど速い疾走なのに、一切の足音がない。
その矛盾とも思える業は、静観していたフロリーナを、『この世から音が消えうせてしまったのではないか』という一瞬の勘違いに導く。
勿論それは幻想であり、フロリーナは自らが上げた「嘘……」という呟きによって、未だ世界には音が存在しているという事実を確認した。
そして、安堵とともに何十秒ぶりかの瞬きをする。

その一瞬の事である。

「フロリィィィィィナァァァァッッッ!!!」
叫びの主はエドガー。
叫んだ相手は、勿論フロリーナ。
そして、彼女の頭に浮かんだのはハテナマーク。

なぜ自分の名前を?
死に際に愛しい人への伝言でも頼みたいのか?
それとも、『自分だけでも生き延びろ』とでも言いたいのか?
それとも、『自分だけ死ぬのが嫌だから道連れに』とでも考えているのか?
だとしたら……なんて卑しい人なんだろう。
そんな疑問がハテナマークとともに頭上を迂回している。

しかしそれも一瞬の事。

彼女が瞬きを終えて目を開いた瞬間に、全ての謎は解き明かされた。
視界には白み始めた空。
乾いた大地。

その中心に……忍者がいた。
589創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:47:38 ID:RbSkt+fR
590エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:48:09 ID:Kh4M4AEo

「……へ?」
「逃げるんだ!!!! 早くッ!」
エドガーの叫び声により頭上のハテナが割れ、その中からエクスクラメーションが生誕する。
あのシャドウとか言う暗殺者の標的は自分。
自分が瞬きをした一瞬に方向転換をし、ターゲットをエドガーから自分へと変更したのだ。
確実に殺害できる方へと。

「…………終わりだ」
低い声。
淡々と少女の人生の終焉を宣告した。
振り下ろした刃。
無慈悲に少女の人生に終焉の楔を打ち付けるべく。
シャドウはこの刃が少女を切り裂く未来を確信する。
寸でのところでこちらの攻撃に気付いたようだが、こんなタイミングではかわすことはできない。
たとえこの少女がエドガー並の瞬発力を持っていたとしても、だ。
彼はそう、確信した。
そして彼が確信を持って繰り出した攻撃が外れた事は未だかつてない。

いや、過去に1度だけ。
先ほど、エイラとか言う女の首を切り損なったときだ。
確実にエイラの首筋から噴き出た赤色で染められたはずの未来は、妙な格好をした少年から入れられた『横槍』によって書き換えられてしまった。
結果としてエイラの殺害は成功したものの、入らぬ体力を使わされる羽目になった。
だが、今回はエドガーも腹を押さえて立つのがやっとの状態。
周囲には他に怪しい人影はないはず。
更に、この少女はエイラほどの俊敏性はないと見える。

だから、彼が『確信を持って』繰り出した右手が空を切ることは……。

彼の未来が書き換えられることは……。

今回で2度目となる。

「ま、まだ! 死ねない……のッ!!!」
少女は走った。
荒野を駆け抜けた。
がむしゃらに、不恰好に。

フロリーナは走った。

信じられない速度で。

「そうだ! 逃げろ!!」
エドガーの安堵が入り混じった叫び声。
その声を背中に浴びながら、シャドウは素直に驚いてみせる。
少女の身軽さに。

が、驚きながらもそれと同時にフロリーナの走る様を観察していた。
シャドウは気付いていたのだ。
彼女のこの俊敏性が『ハリボテ』であることを。
なぜなら……フロリーナの走り方。
彼女の走り方は、シャドウやエイラのような『俊敏さを武器とする』人間の走り方ではない。
恐ろしい速度で『走る』運動を繰り返している両の足。
それに引っ張られるように、彼女は腕をバンザイさせて後傾姿勢のまま。
彼女の上半身のフォームが足の動きについていけてないのだ。
彼女の意向を無視して勝手に高速で走り出した両足。
そこに、シャドウの見慣れたモノが装備されていた。
591創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:48:46 ID:RbSkt+fR
592エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:49:14 ID:Kh4M4AEo

「…………ダッシューズ……か」
彼はこのアイテムを良く知っていた。
確か、移動速度を倍増させる靴。
街中やダンジョンで移動するときの時間短縮のためによく世話になったアイテムだ。
少女のあの異常なスピードはこのアイテムのおかげだというわけか。
なるほど。タネが分かってしまえば、問題はない。
あのダッシューズは『その人物のスピードそのものを速める』ヘイスト状態とは違い、『移動スピードのみを速める』のだ。
つまり、速くなったのは逃げ足だけ。
彼女の反射神経も、槍を振るう速度も、一切上昇してはいない。
追いついてしまえば、切り殺すに何ら支障はない。

そして後に残る問題は、どうやって彼女に追いつくか、である。
が、これも問題はないのだ。
なぜなら……。

彼も『靴』を履いていたから。

白く彩られた空に、黒い影が舞い上がった。


◆     ◆     ◆


「ぐっ……クソ! フロリーナ!」
エドガーはシャドウが空高くジャンプするのをただ見ていることしか出来なかった。
そんな自分の情けない姿に唇を噛み締める。
しかし、シャドウのあのジャンプ力は……。
異常なまでの俊敏性を有しているシャドウでだが、あそこまで高くジャンプ出来るはずがない。
おそらく、何らかのアイテムを使用したものと思われる。
エドガーには思い当たる節があった。
竜騎士の靴。
フロリーナがダッシューズで足が速くなったように、シャドウも竜騎士の靴でジャンプ力を増したというわけか。

(マズイな……)
だとしたら、フロリーナは逃げ切れない。
シャドウはニンジャである。
跳躍での高速移動は彼が得意とする移動法の1つ。
つまり、彼の跳躍の飛距離が上がったということは、その機動性に更なる磨きがかかったということ。
それに加えて、あの靴は上空からのジャンプ攻撃も可能とする。
彼女は、普段は天馬という羽根の生えた馬に乗って戦うと言っていた。
ならば、地上での戦いは不得手であると考えられる。
そんな彼女が、暗殺のスペシャリストであるシャドウと戦ったら……。
彼の『空中からの奇襲攻撃』を受けたら……。

(間違いなく……殺される……)
悪い予感は、ハッキリとしたイメージ映像としてエドガーの脳裏を駆け巡る。
共に戦う中で、何度も目にしたシャドウの斬撃。
その刃がフロリーナの首を切り裂く。
そして彼女は膝をつき、前に倒れこむ。
もうその目は何も写すことはない。
彼女は、エドガーに一度も笑顔を見せることなく死んでいくのだ。

「……ッ!」
そのイメージを感じた瞬間、彼の頭にチクリとトゲが刺さったような痛みが走る。
それと同時に……パズルが解けたような感覚を覚えた。
何度も何度も挑戦しても、一向に解けることのなかったパズルがふと解けたような。
そんな感覚がエドガーを包み込んだ。
593創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:50:35 ID:RbSkt+fR
594エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:52:06 ID:Kh4M4AEo

「……そうか……そうだったのか!」
フロリーナに出会った時に感じた違和感。
自分に与えられた使命。
この痛みが教えてくれた。
このイメージが気付かせてくれた。

(俺が、ここで成すべき事は……!)
ティナやマッシュ、シャドウたちと旅をしている間、エドガーは『マシンナリー』であり、『国王』だった。
ティナが幻獣と人間のハーフであるように、マッシュが格闘家であるように。
自分は『国王』として、臣下を守り、国を守ってきた。
それこそが彼が戦う原動力であり、彼が刃を振るう意味だったのだ。
だが、この殺し合いの世界に『国』はない。
だからエドガーに『国王』としての役割は存在しなかった。
だったら、何の為に剣を振るうのか?
その疑問が違和感となって彼の脳をずっと締め付けていた。

「おおおおおおおおおおおお!!!!」
だが、彼は今ここに答えを見つける。
ここで彼が剣を振るう意味を見つけた。
それは彼の人生を象徴するかのような『答え』であり。
彼にとって非常に残酷な『答え』であった。
高きから自分を見下ろす生意気な空へと咆哮を放つと、国を失った国王は走り出したのだった。


◆     ◆     ◆


(だ、誰か……ヘクトル……様! 助けて……!)
足が痛い。
いくら装備品の補助効果といえども、走るのは疲れる。
それでも走るのを諦めなかったのは、彼女の騎士としての誇りと日々の鍛錬の賜物だろう。
足腰の疲労は大きいが、大して息を切らすことなく走り続ける事ができた。

(もう……大丈夫……かな?)
そろそろあの男を撒いただろうか。
恐る恐る後ろを振り返る。
もしも自分の真後ろに短剣を振りかざす男の姿があったら……。
心臓の音をBGMに彼女は背後の光景をその目に写す。
そこには……。

(よ、よかったぁ……)
どうやらシャドウとやらは、フロリーナを追うのを諦めてエドガーの殺害を優先したようだ。
立ち止まり、膝に手をついて息を整える。
垂れ落ちた汗が地面に斑点を描いていく。
エドガーには悪い事をしたとは思う。
もちろん罪悪感はある。
だが、自分にはそれ以上に生き残って行わなくてはならない使命がある。
こんなところで犬死するなんてまっぴら御免だ。
それに、あの男はエドガーの知り合いらしい。
おそらく何らかの因縁を持っているのだろう。
そんなものに巻き込まれて死ぬなど納得できない。
ここは、エドガーを見捨てて逃げるのが一番……。

(でも…………)
足が重い。一刻も早く危険から立ち去りたいはずなのに……。
シャドウが自分の方に向かってきたときの事を思い返す。
あのとき、何がなんだか分からない自分に対しエドガーは必死に叫んでくれた。
体勢も不安定で、腹を蹴られた痛みも一切引いてなどいないのに……。
フロリーナの命を助ける為に叫んでくれたのだ。
595創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:53:11 ID:RbSkt+fR
596エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 02:54:06 ID:Kh4M4AEo

(あの人は……)
キザだし、知った風な口をきくし、ヘクトルとは似ても似つかない軽い男である。
あれで国王が務まるなんて、逆にそれはどんな国なのか見てみたい気もする。
それでも、エドガーが叫んでくれなかったらフロリーナは死んでいた。
ここで彼を見捨てても、いいのだろうか?
でも、助けに行ったところであんな化物相手に何が出来る?
わざわざ殺されにいくようなものではないか。

だが……おそらくエドガーはシャドウには勝てない。
今、エドガーが唯一持っている武器は斧。
フロリーナの目にも、彼が斧を使った戦い方に慣れていないのが分かる。
この槍さえあれば……もしかしたら……。
自分が勇気を出して、この槍を彼に届ける事が出来たら……。

「どうすれば……」
あまりのジレンマに、たまらず空を見上げる。
そこで彼女は信じられないものを見た。
真っ白に広がるはずの早朝の空に、黒い影が飛んでいた。
そしてさらに、それは急激に大きくなっていくではないか。

……違う、急激に近づいてきているのだ。自分の方に。
つまり、黒い影はフロリーナ目指して落下してきていた。

「嘘……!? まさか……」
あれは……シャドウとかいう男?!
そんなことあり得ない。
この男は、空を飛んだとでも言うのか?
あまりのショックで上手く繋がらない思考を必死でつなぎ合わせている内に、影はどんどん自分の方へと落ちてくる。
とにかく、逃げなくては……。
「もう疲れた」と不満を洩らす足に必死に力を込め、その場から走り去る

その直後だった。
シャドウの刃が、フロリーナがさっきまで立っていた空間を切り裂いたのは。

「な……ッ!」
上空からの狙い済ましたような攻撃。
まさに自分がいた場所にピンポイントで斬撃を繰り出したのだ。
ペガサスも、ドラゴンもなしに。
シャドウの事を、ジャファルと同質のアサシンだと認識していたフロリーナにとってこの行動は予想外だった。
一瞬、逃げる事を忘れ、立ちすくんでしまう。

そしてその刹那の隙をシャドウは見逃さない。
直ぐに肉薄し、フロリーナを殺そうと刃を振りかざす。
今度は逃がすつもりはない。

「う……わ!」
小手調べでシャドウが振り下ろした左上からの一撃を、何とかデーモンスピアで払いのける。
キィン……と金属同士がぶつかる音。
初撃をいなすことには成功した。
だが武器を比べれば、フロリーナの槍よりも相手の短剣の方が遥かに軽い。
だから、フロリーナでもシャドウの攻撃をはじく事が可能なのだ。
しかしシャドウの軽い武器は、その分攻撃スピードに長けていた。

1撃目に発した金属音が止んでもいないのに、すぐに2撃目がフロリーナに襲い掛かる。
フロリーナから見て左上に初劇をはじき返されたシャドウは、そのまま力に逆らわずにコマのように1回転。
フロリーナの力を利用し、今度は最初とは真逆の右下から切りかかる。

対するフロリーナの槍は、左上に振り上げたまま。
武器の重さの差が早くも戦局に影響し始めていた。
597創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 02:55:28 ID:RbSkt+fR
598創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:02:05 ID:AM1qZo3e
599創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:02:17 ID:eBnH0Qcg
600創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:02:52 ID:NN0H8MZY
 
601創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:03:08 ID:AM1qZo3e
602創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:04:57 ID:7xHb0dme
603エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:06:33 ID:Kh4M4AEo

「くっ……!」
しかしフロリーナは見習いと名乗っているとは言え、今や一流の天馬騎士である。
槍の扱いには長けていた。
それに、ペガサスナイトは矢に弱いのだ。
それこそ一撃でも掠ったらそれが致命傷となるほどに。
だから、戦場での咄嗟の判断力、動体視力は鍛えられていた。
最初にシャドウがエドガーに切りかかった瞬間こそ、精神的疲労と気の緩みで追うことは出来なかった。
だが、真正面から対峙して、敵が切りかかってくるのが分かっている今は違う。
集中さえしていれば、攻撃を絶対に凌げないというわけではないのだ。

今から刃を振り下ろしていたのでは間に合わない事を悟るなり、槍の刃が付いているのとは逆の柄の部分でシャドウの攻撃に対処する。
シャドウの手首に槍の持ち手の部分を当てると、そのまま反時計回りに回転させた。

「……ッ!」
シャドウの目に初めて焦りの色が浮かんだ。
別にシャドウがフロリーナのことを侮っていたのではない。
彼女が今まで見せていた以上の力を、ここにきて発揮したに過ぎない。
右下から振り上げる形で繰り出されたシャドウの右腕は、槍の回転に逆らえずに真上に引っ張られてしまう。
腕が伸びきると、今度はその勢いに上半身が上方向に釣られて背中を反らせる。

(ここだ!)
相手に隙ができた事を確認したフロリーナは、お留守になった下半身に狙いを定めた。
小さく屈んで体勢を低くし、同時に槍を相手のくるぶし目がけて放つ。
足払いを目的とした一撃なので『突く』ための直線攻撃ではなく、あくまでその軌道は『払う』ための弧を描いた回転運動。
そのため、相手に到達するまでに若干時間がかかるという欠点が生じてしまう。
加えて相手は熟練の忍者。俊敏性ならば、フロリーナが今までに相対した人物のなかでも5本の指に入るレベルだろう。
だから、フロリーナの槍の軌道によるその僅かながらの時間のラグも、シャドウにとって見れば大きな猶予となるだろう。
当たるかどうか……厳しい一撃。

だが、重ねて述べる事になるが、フロリーナもはやは一流といっていいレベルの天馬騎士である。
彼女の振るう槍は、そのあどけない姿からは想像もつかないほど速く、鋭い。
加えて技術面でもかなりの力量を持っており、今回の一撃も槍の端を持つのではなく中央部辺りを持って振るっていた。
これにより槍の速度を上げると共に、槍が描くこの大きさを小さくしてその軌道を短くしていた。
これらの工夫と、相手に引く事のなかった彼女の強い心が、『この一撃の命中』という結果を引き寄せた。

フロリーナの槍が、アサシンの足首を正確に叩く。
バランスを失ったシャドウの体が宙に浮く。
それも地面と並行に、空を見上げた格好という絶対の隙を晒した形で。
地面に触れてない以上、踏ん張る事もままならない。
それはつまり一切の攻撃も出来なければ、走って逃げる事すらできないという事!

(貰った……!)
シャドウの腹部へと全力で槍を突き立てる。
まるで、棺おけに眠る吸血鬼に木製の杭を打ち込むが如く。
突き立てるのを刃の方ではなく柄のほうにしたのは、彼女の優しさだろうか。
それとも未だ殺人に踏み出す勇気がないだけなのだろうか。

完璧なタイミング。
相手は避ける手立ても、反撃の手立ても有していないはず……!
絶対に命中するはず……。

そのはずだ………………。

…………。

……。
604エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:08:09 ID:Kh4M4AEo
……そのはずだった。

問題は『固定観念』。

先述したように、フロリーナはシャドウの事を『ジャファルのようなアサシン』と認識していた。
機動力で相手をかく乱し、奇襲や暗殺などで確実に仕留めるタイプのアサシンだと。
その認識には一切の誤認はないだろう。
事実、シャドウはそのような戦術を得意としていた。

だが、それだけではないのだ。
先ほどのジャンプ攻撃もそうだ。
彼女の『アサシン』の認識を超えたような攻撃をシャドウは繰り出してきた。
そしてジャファルには出来ないが、シャドウには出来る攻撃がまだ幾つか存在していた。

その1つが投合。
野性の女戦死を仕留めた、シャドウの真骨頂だ。
彼にとっては暗殺以上の……言わば切り札。
その精度はウィルの弓矢以上に正確だ。

「……え?」
自分の顔面目がけてクルクルと回転しながら飛んできた短剣。
誰が? どこから?
そんな疑問がフロリーナの意識を支配する。
暗殺者の右腕に、あの短剣がないことを確認するまでは。

「く……! そんな……!」
咄嗟にシャドウへの攻撃を中断。
無理にでも体をくねらせて跳んできた刃の軌道から顔を反らす。
無理な体勢に腰が少しだけ痛んだが、そんな事を嘆いている場合じゃない。
出来るだけ体を捩ったつもりであったが、ナイフの先端がフロリーナの頬に赤い筋を刻んだ。
傷そのものは浅くダメージと呼べる程ですらないが、フロリーナの精神に与えたショックは大きい。
ツゥ……っと血が頬を垂れるのを感じながら、フロリーナは考えを巡らせる。
目の前の男は、宙に浮かされた不安定な状態から、あのような正確な投合を繰り出してきたというのか。
大した予備動作もなしに。
フロリーナに感づかれないほど素早く。
単なるアサシンの技能の1つと呼ぶにはあまりにも高いレベルの攻撃。
恐らく、これはシャドウが人生をかけて磨き続けた切り札……!
今のような窮地から脱却する為の隠し玉だ。
現にシャドウはこの投合でフロリーナの攻撃をやり過ごす事に成功している。
そして、これはフロリーナの『アサシンは近接攻撃しか持たない』という固定観念が生んだ失策でもある。

「……ま、まだッ!」
意外な攻撃に一瞬だけ臆したものの、直ぐに体勢を立て直して追撃の準備に入る。
相手は未だ宙に浮いた状態。
しかもその武器は先ほどの投合で失ってしまっている。
相変わらずアドバンテージは自分にある。
シャドウの脇腹めがけて槍を振るった。

さて、問題は『固定観念』だ。
シャドウにあって、ジャファルにない攻撃がもう1つある。
それが……。

「……サンダラ」
……魔法だ。
シャドウもナイフを避けられるのは予想していた。
だが、相手は確実に怯む。
その時間を使って呪文を詠唱してみせたのだ。
605創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:08:10 ID:AM1qZo3e
606創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:08:30 ID:RbSkt+fR
607創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:09:01 ID:eBnH0Qcg
608エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:09:08 ID:Kh4M4AEo

「……?」
フロリーナは自分の周りに黄色い蛇のようなものが旋回している事に気付く。
そして一歩遅れて悟る。
これは電気だと。
パチパチと音を鳴らし走る蛇は、次第に太く大きくなっていき……。
遂には天から雷を召還した。

「ぐ……きゃあああああああああああ!!!」
バチンと破裂音と共に、フロリーナの体を電流が暴れまわる。
攻撃動作に入っていたはずの体は「気をつけ」の姿勢で伸びきり、力の入らなくなった指からデーモンスピアが零れ落ちた。

彼女の世界では魔法とは魔術師が魔道書を読んで初めて使用できるものである。
しかし、シャドウの世界では違う。
魔石を持っていれば、誰でも魔法を習得する事が可能なのだ。
『アサシンは魔法が使えない』。
これもフロリーナが持っていた固定観念である。

「そん……な……」
シャドウはティナやセリスほど魔法を得意としてはいなかった。
よっていくらクリーンヒットしたとはいえ、彼のサンダラに一撃で致命傷を与えるほどの威力はない。

だが、シャドウにしてみればそれで充分だった。
元より魔法で止めをさす気など、彼には更々なかったのだから。
サンダラの雷が止む。
それを確認し、体制を立て直したシャドウは、足元がふらついたフロリーナに瞬時に接近する。
そして彼女の腹部に重い拳をめり込ませた。

「がはっ!」
魔法で体力が削られたところに更なる一撃。
たまらずフロリーナは膝をつき、手をついてゲホゲホと咳き込むしかない。

しかし、冷徹な暗殺者は苦しむ少女の口元を覆うように右手で彼女の顔を掴むと、そのまま体を持ち上げた。
「むぅ……!」
苦しげに歪む顔とは対照的に、だらりと伸びきる手足。
先ほど食らった魔法のせいで、その皮膚はところどころ焦げている。

(苦しい……! これは……私への罰なの?)
エドガーを見捨てて自分だけ逃げようとした。
この仕打ちは、そんなフロリーナへの罰なのか。
切られた頬から流れる血液に混じって、涙が彼女の頬を濡らした。

(助けて……ヘクトル様……!)
そんな願いも空しく、シャドウは彼女が落としたデーモンスピアを拾い上げる。
フロリーナも何とか逃げ出そうと試みるが、口元を塞がれ呼吸が出来ない苦しさと、戦闘のダメージで手足が思うように動かない。
そして暗殺者は一言も発することなく、彼女の心臓に狙いを定めて槍を振りかぶり……。

(誰か……助けて!)
そのまま……。

……。

ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ

「……ッ!」
(……え?)
受け入れる事ができない現実に絶望する少女を目覚めさせたのは、なんともファンシーな泣き声。
そう。横から飛んで来たのは、彼女のトラウマと言うべき……。

……大量のヒヨコ。
609エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:10:09 ID:Kh4M4AEo

ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ

銃口から産み出されたヒヨコたちは、ペシペシと暗殺者の腕に特攻を繰り返ては地面に落ちていく。
1匹1匹は大したダメージではなくとも、こうも連続でぶつかられるとその合計ダメージは馬鹿にはできない。

ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ

「……!?」
驚いたシャドウはヒヨコが跳んでくる方向である右を向いて、それを放っている犯人の顔を確認しようとする。
しかし、迫り来る黄色い雛鳥が邪魔で相手の顔も、その正確な位置すらも確かめる事ができない。
仕方なく、フロリーナを放してヒヨコの軌道から逃げ、犯人の顔を確認しようとした。

ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピ……

だが、次の瞬間にその必要はなくなった。
ヒヨコ部隊の怒涛の攻撃が止んだ次の瞬間……。

「ブリザラ!!!!」
シャドウにとって聞き馴染んだ声が響き渡る。
それと同時に青白い冷気がシャドウの黒衣を包み込み……。

「……しまッ!」
シャドウが始めて驚きの声を上げた。
だが、遅い。魔法は既に発動している。
カキィン! と心地よい音。
シャドウの全身を氷塊が閉じ込め、パキィン……と割れる。
魔法の直撃を受け、よろけたシャドウに乱入者の追撃が襲い掛かる。

彼の手から槍をもぎ取ると、その柄で彼の腹部を思い切り殴りつける。

「ぐが……!」
鎧のない体にクリーンヒットを受け、後方に勢いよく吹き飛ばされてしまう。
2バウンドした後、地面に転がって敵を仰ぎ見る。
追撃をしてくるのではないかと心配したが、どうやら少女の方へ駆け寄っていったようだ。

(甘いな……お前は。…………だが……)
吹き飛ばされた先には、幸運にも先ほど投げた短剣が転がっていた。
それを一目散に拾い上げると、体を起こし、膝をついて、息を整える事に集中した。
まだ……戦いは終わってはいない。


「大丈夫か? フロリーナ。よく頑張ったな」
シャドウを吹き飛ばした乱入者が倒れた少女に駆け寄る。
抱え起こすと少女の手首を取り、脈があるかを確認する。
トクトクと一定のリズムを確認すると、ふぅ……と安堵の溜め息を吐き出した。

「ヘクトル……さ、ま……?」
朝日の逆行で乱入者の顔が見えない。
朦朧とした意識の中、その姿を必死で確認しようとする。

「残念だが、俺は君の愛する王子様じゃない」
男の声がフロリーナの期待を打ち砕く。
残念な気持ちがフロリーナの心を満たしたが、不思議と不快感はない。

「もっとカッコいい王様さ」
前言撤回。
ニヤリとわらうキザ男に、多少の不快感を覚えた。
610創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:10:32 ID:AM1qZo3e
611創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:10:48 ID:7xHb0dme
612創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:11:02 ID:RbSkt+fR
613エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:11:02 ID:Kh4M4AEo

「なぁ、んだ……エ、ドガー、さ……ん……かぁ……」
そこまで言い終えると、少女は安心したのか、フッと気を失ってしまった。
少女の無事を確認したエドガーは、「ツレないなぁ……」と嘆きながらも彼女を大地へ静かに横たわらせる。

「堅い地面で申し訳ないが、もう少しだけ我慢してくれ。
 さて、シャドウ……」
血と涙で汚れた少女の頬を拭ってやると、立ち上がり、かつての仲間に呼びかける。
その視線は未だフロリーナを見つたままで、暗殺者には背を向けた状態だ。

「飛び道具での不意打ち……もとい、奇襲だったが……」
重くて使いにくいアルマーズを地面に投げ捨てる。
そして、シャドウから取り上げたデモンスピアを2,3回振るい、その具合を確かめた。

「まさか、卑怯とは言うまいね?」
シャドウの方を振り向くことなく、そう訊いた。

「…………」
対する暗殺者は何も答えない。
答えなどわざわざ言わなくても分かっている。

「そうか……。じゃあ、もう1つ訊いておこうか……」
そこまで言い放つと、今度はゆっくりとシャドウの方へと向き直った。
徐々に明らかになるその表情は……。

「なぜフロリーナから狙った?!!! 答えろッ!!!!」
……明らかな怒りで満ちていた。
あの状況……エドガーを追い詰めたあの状況で、シャドウはエドガーを放置してフロリーナを襲った。
戦局を考えれば、先にエドガーを殺したほうが得なはずだ。
なのに、わざわざエドガーに回復する間を与えてまで、少女を殺す事を選択したのだ。
そのことにエドガーは怒っていた。

「…………貴様が……」
問いかけられたアサシンは、今度は口を開いた。
ゆっくりと立ち上がったその暗殺者の顔が朝日に照らされる。

「貴様が、腑抜けの顔をしていたからだ……!」
彼の目もまた、怒りで満ちていた。

彼が……シャドウが殺害対象に余計な感情を抱いた事はただの一度としてなかった。
殺すものと殺されるもの。
その関係のみを見つめ、相手が誰であろうと殺すべき相手はその刃の下に切り伏せる。
それは相棒が死に、自らを『シャドウ』と名乗ったあの日から変わる事はない。

だが、先ほどエドガーと剣を交えたとき、彼の心は震えた。
殺す相手と見定めたはずの男。
しかしそれと同時に、その男は一緒に世界を救う旅をしてきた男。
ケフカを倒すたびをしていく中で、シャドウはエドガーの事を自分達のチームのリーダーだと見定めていた。
常に仲間の事を気にかけ、国王という立場にいながら決して驕らず、自分達と一緒に時を刻むことを選択した。
それは、シャドウにとってみれば、かつての相棒ビリーや、シャドウとなってからも心を許したインターセプターと同じ仲間。
信頼できる仲間だったのだ。

それこそ命を捨ててまで助けるほどに。

「それが、俺には許せなかった……」
だが、さっきのエドガーの振るった斧は『ブレて』いた。
自分達のリーダーとして剣を振るっていたときの真っ直ぐさはなく、そこにあったのは迷いに揺れた刃のみ。
自分の信頼した男は、国を失い、敵を見失い、目標を見失って……腑抜けていた。
自らの生き方に従い、この殺し合いに乗ると決めたシャドウにとって、それはとても許せる事ではない。
たとえ、それによってエドガーという強敵を容易く撃破できたとしても、だ。
614創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:11:44 ID:eBnH0Qcg
615創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:11:51 ID:RbSkt+fR
616創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:12:11 ID:AM1qZo3e
617創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:12:26 ID:eBnH0Qcg
618エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:12:48 ID:Kh4M4AEo

だから、フロリーナを殺す事で、彼の怒りを誘発しようとした。
自分を憎ませてでも、かつての彼に出会いたかった。
あの頃のエドガーでなくては……戦う意味がないのだ。


「…………そうか……」
シャドウの言わんとしている事は分かる。
エドガー自身にも思い当たる節があったから。
『国王』としての自分の喪失、信頼していた仲間達との離別。
それにより、自分が成すべき使命を見失っていたのは事実。
目の前の男は、修羅の道に落ちようとも自分の人生を歩んでいる。
それに比べたら、今の自分はなんと情けない事か。



「だが…………」
シャドウが再び口を開く。

「さっきとは違い、今のお前には迷いがない」
「あぁ、お前とフロリーナに教えられたよ」
エドガーがデーモンスピアを高く掲げる。
その切っ先が朝日を反射し、鋭く輝く。
クルリと槍を半回転させると、そのまま勢い欲大地に突き刺した。

「俺はこの殺し合いに参加させられた、フロリーナのような若いやつらを導く!
 命を落とそうとも! 全てを失おうともだッ!」

金色の王は高らかに宣言した。
シャドウがフロリーナを殺すイメージが脳裏をよぎったとき。
彼は自分の使命を悟る。
かつてのように彼自身がリーダーになるのではない。
新たなリーダーを、新たな戦士を導く為に自分はいるのだと。
だから、彼はここで命を捨てる事を覚悟する。
若き者たちを導き、見守って、死のうと決心した。

「そしてこれが、その決心をした俺の最初の仕事だ」
ツカツカとシャドウの方へ歩み寄る。
地面に刺した槍を拾うことなく、丸腰の状態で。
対するシャドウも持っていた短剣を地面に捨て、彼が近づくのを静かに待った。

エドガーがシャドウの眼前で立ち止まる。
一瞬だけ。
拳を強く握り締めると、シャドウの頬目がけて渾身のパンチをお見舞いする。
「……ぐッ!」
「お前はフロリーナを傷つけ、殺そうとした! それだけは許せない。
 そのケジメだけはつけなきゃならないからな。
 …………そして……」
首を掲げ、シャドウの方へ左の頬を向ける。
そして左手の親指を立て、その頬を指差した。
エドガーの拳を食らってよろけていたシャドウだが、それを確認すると咳き込みながらもエドガーに向き直る。

シャドウもまた右の拳を強く握り締め、エドガーの顔に重いパンチをブチ込んだ。

「……ッつ〜!」
「…………これが……腑抜けていたお前へのケジメというわけか……」
口の端からツゥ……と血が流れ落ちたが、それを気にかけることなくニィと笑うエドガー。
それを確認したシャドウの口元、布で覆われてよく確認できなかったが、彼の口元が笑顔になった気がした。
このふざけた殺し合いの破壊を誓った男と、参加者の皆殺しを誓った男。
選んだ道は違えども、共に世界を救った絆はそう易々と千切れるものではなかった。
619創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:13:05 ID:eBnH0Qcg
620創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:13:13 ID:RbSkt+fR
621エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:13:45 ID:Kh4M4AEo



……と、その時だった。
その小汚い歌声が響き渡ったのは。

「『と』〜は、ト〜カゲの『と』〜!」

荒野の空気が一変した。
シャドウとエドガーが作り出したシリアスな空気はその一言で吹き飛ばされ、空間を支配したのはなんとも言えない独特な空気。

「『か』〜は、カマドウマ〜!」
朝日が昇ってから数時間は経過したはずである。
エドガーとフロリーナがフィガロ城を出発したときからずっと、辺りの空は白く周りの景色を見渡すのには何の支障もない。

「『げ』〜は、ゲスタパ・・・」
「誰だッ!!! ケフカか?!!!」
しかし、今叫んだエドガーの目には、真っ赤な背景に立つ真っ黒い怪獣が映っていた。
まるで戦隊モノの特撮で、怪獣が登場するシーンのような……。

「ケフカ? 毛〜深〜? 確かに我輩の科学を愛する心は、情熱という羽毛で包まれているトカいないトカッ!
 だがしかし諸君の愛してくれた我輩のボディは、ツルッツルのピカッピカの穢れ泣き豊満ボディッ!!」
ズシン……ズシン……と銀色の巨体がその姿を現す。
その頂点の操縦席には、緑色のなんとも気色の悪い生命体が鎮座していた。

「見よッ! このめくるめくハードSFの世界ッ!
 皆大好き銀色チャ〜ミングメカッ!
 プルコギドン〜? 知らんなそんなボンコツ眠り姫など!!
 これこそが、星の海へと帰るためッ! 我輩が造りし最高傑作ッ! その名も……」
「…………魔導アーマー……」
「なんだ、魔導アーマーか」
それはエドガーにもシャドウにも馴染み深い機械。
ガストラ帝国の技術の結晶。
魔法という奇跡を科学で再現した人類の英知の結晶である。

「わ〜〜おッ! エスパーなんて非科学的ッ! ステキッ!
 そうッ! これは皆さんお馴染みスター街道まっしぐら猫まっしぐらの人気メカッ!
 その名も……マ、マドゥ〜……? ……マジカル……」
「……魔導アーマーだ」
「そうッ! それそれッ! その味ッ! 魔導アーマーであるトカないトカッ!」
両腕を振り上げ、ガシィン……とポーズを決める魔導アーマーとその上の爬虫類(?)。
どうやら未知の科学との出会いが、彼のブッ壊れた精神を更におかしくしてしまったらしい。
エドガーたちの世界では、そこそこメジャーな発明だったりするのだが……。

「悲しいかな……科学の発展に尊い犠牲はつき物ッ!
 そうッ! これこそが正に尊厳死ッ! 感動で我輩、涙ちょちょ切れちゃうッ!
 と、言うわけで……我輩の優しさビーム発射〜ッ!」
人差し指(らしきもの)を天空に向けて掲げ叫ぶ。
叫び終わるのと同時に指を振り下ろし、赤のボタンを勢いよくプッシュした。
キュゥゥゥ……と心地の良い音と共に、赤みを帯びたエネルギーが魔導アーマーの胸部に集まっていく。
そして打ち出されたのは同じく赤色に光るレーザー。
炎の魔法の力を秘めた、ファイアビームである。

目の前のトカゲモンスターの狂人っぷりにポカンとしていたエドガーとシャドウ。
そんな2人の元へ一直線にビームが飛び込み……。
ドガンという爆発音とともに、巻き上がる土煙。
622創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:14:18 ID:RbSkt+fR
623エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:14:41 ID:Kh4M4AEo

「さらば科学の子供達ッ! 君達の墓標を我輩の故郷に掲げる事を約束しようッ! それもアイスの棒で作った特大サイズッ!
 あぁ、なんという科学の礎ッ! 我輩の優しさの三角フラスコより深い事ッ!広い事ッ!
 死ぬほど感謝して死ねーッ!」
モクモクと立ち込める土煙に向かい叫び続ける異星人。
あまりの興奮に、椅子から立ち上がって操縦席に足を乗っける始末。
本当に科学に対する敬意があるのかは疑わしいところである。


「…………俺がいて……」

ふと、声がした。
未だ止まぬ土煙の中から。

「……んまッ、あれでまだ生きてるトカ〜!」
「…………そして隣にお前がいて、そして目の前に立ちはだかるのは魔導アーマーか……」
煙の中から現れた影。
何がおかしいのだろう。エドガーが笑っていた。

「……なつかしいな」
そしてシャドウ。
彼の表情は読み取れないが、その声のトーンは先ほどよりも一段高くなっているような気がする。

「殺し合いに乗った男と手を組むつもりは毛頭ないが……」
「…………当たり前だ。お前の協力などこちらから願い下げだ」
そしてエドガーの手には、先ほど地面に突き刺した槍。
シャドウの手には短剣アサッシンズ。
眼前の敵を見据え、構えを取ると、かつての光景が今にも浮かんできそうだ。

「『たまたま』息が合ってしまうことは……」
「…………あるかもな!」
合図もなしに、2人で同時に走り出す。
狙う敵は勿論……。

「ひ、人を呼ぶわよッ! この恐れを知らない十代めッ!
 ならば食らうがいい。思い出ビームッ! 微笑みビームッ!」
青色のブリザービームと黄色のサンダービーム。
そして先ほどのファイアビーム。
三色のビームが荒野に次々と穴を開け、土煙を舞い上がらせていく。

「……くだらん」
跳んでくるカラフルな光を最小の動作で避けていくのはシャドウ。
最強の暗殺者にして投合のプロフェッショナル。
この殺し合いでの優勝を誓った男。
カラフルなレーザーの大群もそんなシャドウの突進の前には、その速度を遅らせる程度の役割しか成していない。
そして彼は相手に肉薄しつつも、口元で別の作業を行っていた。
走りながら、彼は呪文を唱えているのだ。

「はら〜〜〜〜〜ッ! 何か来たわッ! 変態よーッ!
 退避ーッ! 科学的撤退〜ッ!」
肉薄してくる忍者に怯え、方向転換をして逃げようとする。
ガギギギギ……と機械的な悲鳴が響き渡ると、魔導アーマーはスタコラサッサと走り出す。

「どこへ行くんだ? 君が誘ったパーティーじゃないか」
トカが逃げようとした方向に彼はいた。
エドガー。
シャドウがリーダーだと認めた男。
この殺し合いを破壊する『若き力』を導こうと誓った元国王。
シャドウがレーザーの囮になっている間に、彼も魔導アーマーに近づいて魔法を唱えていた。
624エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:15:47 ID:Kh4M4AEo
奇しくもシャドウと同じ魔法を。

「うっひょ〜ッ! 暴力反対トカッ!
 ここは言葉の殴り合いでなんとか穏便に……」

「「サンダガ!!!」」
トカが命乞いのセリフを言い終わる前に、その轟雷が彼を包み込む。
エドガーもシャドウも魔法を得意とはしていない。
それでも2人で同時で、しかも上位魔法のサンダガである。
死にはしないものの、かなりのダメージになることは予想できる。

「あばばばばばばばばばばッ!!
 長い長い走馬灯の旅へ出発トカ〜〜〜!!!」
気絶する直前まで口を閉じる事はなかった科学者。
クルクルと椅子の上でバレエを踊り、そのまま操縦席に倒れ付した。
その直後、ズシンと大きな音を立てて魔導アーマーも一時の眠りにつくのだった。

「ふぅ……終わった……ようだな」
エドガーは自分達の生み出した雷が止むのを確認する。
どうやらあの妙な生物も死んではいないようだ。
あの緑色は自分達に敵意を持っていたことは確かだが、どうもその真意がつかめなかった。
だから土煙の中でシャドウに殺すことは避けて欲しいと頼んだのだ。
無駄な死体が増えないに越した事はない。

シャドウが殺し合いに乗ってる以上、聞き入れてくれるかは不安であった。
が、今だけはかつてように仲間として行動していてくれたようで、エドガーの願いをすんなりと聞き入れてくれた。


「…………」
「もう……行くのか?」
そそくさと立ち去ろうとするシャドウを確認して駆け寄る。
ゆっくり茶など楽しもうなどとは流石に言わない。
だが、連戦なうえ、慣れない魔法を連発したシャドウの披露は大きい。
もう少しだけ休んで言ってもいいのではないかとエドガーは思う。
それに……。

「……忘れたか? 俺は殺し合いに…………」
「改心する気はないのか?」
休んでいる間になんとか説得できないかと考えていたからだ。
シャドウやかつての仲間達がいれば、たとえケフカが立ちはだかったとしても、こんな殺し合いなど容易く破壊できる。
そう信じていたのだ。

「残念だったな。俺は既に女を1人殺している。
 それにお前に……貴様に言われて改心するくらいなら……最初からこんな道は選ばない」
「そうか……そう……だな……すまない」
シャドウが説得でどうにかなる男じゃない事は、分かっていたが、いざ面と向かって突きつけられると流石に堪える。
エドガーのいつものニヤついた笑顔の端っこに、悲しみの色が滲み出ているのがシャドウにさえ分かった。

「貴様にもあるんだろ? 自分の信じた生き方が?」
「……! あぁ、そうさ! 俺は俺の信じた生き方を貫く!」
「……そうだ。それでこそ俺の……」
シャドウの言葉の最後の部分は小さくてエドガーの耳には聞こえなかったが、何を言っているのかくらいは容易に想像がついた。
エドガーが元気を取り戻した事を確認すると、シャドウはまたどこかへとその足を進める。
数歩歩いたところでまた立ち止まり、エドガーのほうに少しだけ振り返った。

「……次に会うときは容赦はしないぞ」
「あぁ、俺も本気で戦わせて貰う!」
625創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:16:30 ID:7xHb0dme
626創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:16:45 ID:RbSkt+fR
627エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:16:45 ID:Kh4M4AEo

「「戦友よ」」
お互いの誓いを聞き入れたところで、シャドウは大きくジャンプし、またどこかへと消え去ってしまった。
エドガーもそれを見送ると疲れたような表情で辺りを見渡す。
倒れたフロリーナと緑色の生き物。
見比べると、一瞬の躊躇もなくフロリーナに駆け寄ったのだった。

(幸い、重い怪我はしていないようだ。
 どこかゆっくり休めるようなところを探すか……)
山火事も鎮火したようだし、今更山の方へ向かっても仕方のない事だ。
フロリーナの症状を確認しケアルラをかける。
しかし、傷の直りが遅い。
いつもならば披露はどうにもならないまでも、このくらいの傷なら簡単に直せるはず……。
オディオとやらが何らかの細工でもしたのだろうか。
そんな事を考えていると……。

「……ッ!」
跳んできたレーザーをアルマーズで受け止める。
この斧、かなりの強度らしく、あと何十回打ち込まれても傷がつく気配すらない。

「もう目覚めたのか?! あの緑色……なんてタフな……」
「なっとく、いかーんッ! なぜ科学の結晶である魔導アーマーがあんなチンケな魔法なんぞにッ!
 身震いするほど腹が立つッ!
 だがここは逃げるのが善しッ! 我輩らはここでオサラバだ。
 ……では、引き続き、金髪の悪魔が少女にイタズラをするシーンをお楽しみください……」
「……だ、誰がそんなこと!」
ついエドガーが突っ込みを入れてしまったその隙に、トカを乗せた魔導アーマーは地平の彼方へと走り去ってしまった。
気絶したフロリーナのこともあり、深追いするのは諦めるしかない。

「……なんだか酷く疲れた」
あのモンスターのせいで目まぐるしく変わる世界観に、翻弄されまくったエドガーであった。


【B-4 荒野 一日目 早朝】
【トカ@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:疲労(大)、尻尾にダメージ小。 科学的な武器ゲエエット!
[装備]:エアガン@クロノトリガー 、魔導アーマー@ファイナルファンタジーY
[道具]:クレストカプセル×5@WILD ARMS 2nd IGNITION(4つ空)、基本支給品一式
[思考]
基本:リザード星へ帰るため、優勝を狙う。
1:他の参加者を殺し生き残る。
2:あの金髪キザ野朗〜〜〜!(エドガーのことです)
[備考]:
※名簿を確認済み。
※参戦時期はヘイムダル・ガッツォークリア後から、科学大迫力研究所クリア前です。
※クレストカプセルに入っている魔法については、後の書き手さんにお任せします。
※魔導アーマーのバイオブラスター、コンフューザー、デジュネーター、魔導ミサイルは使用するのに高い魔力が必要です。


◆     ◆     ◆


「…………」
森の中。
木の上でシャドウはエイラという女性の事を考えていた。
あの女を殺さなかったら、自分はエドガーの誘いに乗ったのだろうか。
彼の誘いに乗って、この殺し合いの破壊の為に動いたのだろうか。
628エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:17:41 ID:Kh4M4AEo

「…………考えても……仕方ない」
それはもう過ぎた事。
彼は戦友に誓ったのだ。自分の生き方を貫くと。
戦友の頬を殴った以上、もう迷っていられない。

「誰一人……生かしては帰さん」
シャドウのその目が黒く光る。
だが、連戦の疲れが彼を襲う。
一先ずは気配を消して眠りにつこう。
誰かの気配を察知してもシャドウならすぐに目覚めて反応できる。
体力を回復したら、また狩りを再開しよう。

それが戦友に誓った、俺の生き方だ。

【C-3 森林 一日目 早朝】
【シャドウ@ファイナルファンタジーVI】
[状態]:疲労(大)、左肩にかすり傷、腹部にダメージ(中)
[装備]:アサッシンズ@サモンナイト3、竜騎士の靴@FINAL FANTASY6
[道具]:エイラのランダム支給品1〜3個(未確認)、基本支給品一式*2
[思考]
基本:戦友(エドガー)に誓ったように、殺し合いに乗って優勝する。
1:放送まで寝る。
2:参加者を見つけ次第殺す。ただし深追いはしない。
3:知り合いに対して……?
[備考]:
※名簿確認済み。


◆     ◆     ◆


「……うぅ……ん」
「起きたか、フロリーナ」
「エ、エドガー……さん……?」
フロリーナが目覚めるとそこは、背中の上だった。
どうやらエドガーに背負われているらしい。

「あの……私……」
「大丈夫だ、まだ疲れてるだろ? 寝ていていい」
「ありがとう……ございます……」
今はエドガーの優しさに甘えることにした。
あのシャドウとか言う暗殺者はどこへ行ったのだろうか。
エドガーがやっつけてくれたのだろうか?

「……!」
シャドウの事を思い出すと、殺されかけた恐怖までもが甦ってきた。
苦しくて、怖くて、痛い。
あんな敵がいるのに、自分はこれから生きていけるのか不安で仕方がない。
もしかしたら……リンもヘクトルも……もう……既に……。
そう考えると途端に不安が彼女の心を締め付ける。
このままでいいのか?
629創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:18:19 ID:RbSkt+fR
630エドガー、『夜明け』を待つ ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:18:48 ID:Kh4M4AEo

   『おまえ、さ。
    なんかほっとけねぇよな』

ヘクトルが自分にかけてくれた言葉を思い出す。
その言葉に報いるには自分は何をすればいいのだろう?
エドガーと協力してゲームを破壊する事?
殺し合いに乗ってヘクトルの敵を1人でも減らす事?
どちらが彼のためになるのだろう?
彼女の中の天使と悪魔の争いは、未だその決着がつかないまま、長い長い延長戦へともつれ込んでいた。

(……あとで考えようか……今は、なんか……疲れちゃった)
その争いは頭の隅の隅に追いやって、今はこの背中で再びの眠りにつこう。
答えは、後で出せばいいのだから。
そこまで考えると、彼女はその意識を深い闇に沈ませた。


(眠ったか……)
寝息を立て始めたフロリーナを見る。
彼女がギュっと強く右手を握り締めたのにエドガーは気付いていた。
おそらく、シャドウに襲われたときの事を思い出していたのだろう。

(アイツもやっかいな置き土産を……)
彼女の中の恐怖が、これからの火種にならなきゃいいのだが……。
フロリーナのなかでの葛藤はまだ続いているようだ。
殺し合いに乗るのか、それとも魔王オディオに立ち向かうのか。
善と悪というよりは、『ヘクトル』とやらの利となるのはどちらかが判断基準ってところだろう。

(ま、それを導くのが俺の使命さ)
この殺し合いに参加させられた者たちの中には、フロリーナのような若い命がたくさんある。
そいつを正しい方向へと導き、新しい世代に運命を託す。
それが彼の使命だ。
たとえ自分が死ぬことになろうとも……。

「マッシュ……お前は『親父臭い』なんて馬鹿にするんだろうな……」
弟の馬鹿にしたような顔を思い浮かべ、クスリと笑う。
親父臭いのは仕方がない。もう二十代後半なんだから。

空を見上げると、すっかり朝の光が空を青々と照らしていた。
もうこの会場には朝が来ている。
しかし、まだこの忌まわしい首輪は希望の光を遮っていた。
絶望の夜はまだ続いているのだ。
この夜は果たして明けるのか……。

「明けない夜は……ないよな?」
誰かに問いかけるように呟いた。
大丈夫だと言い聞かせる。
誰かが、この夜を明かしてくれるはずだ。
新たな『王』にふさわしい人物が、太陽となってこの夜を照らしてくれるはず。
ならば自分はそいつを導こう。

それが戦友に誓った、俺の生き方だ。
631創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:18:57 ID:7xHb0dme
632創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:19:42 ID:Kh4M4AEo



【B-5 北東部 一日目 早朝】
【エドガー・ロニ・フィガロ@ファイナルファンタジー6 】
[状態]:疲労(中)
[装備]:アルマーズ@ファイヤーエムブレム烈火の剣、デーモンスピア@ドラゴンクエスト4
[道具]:昭和ヒヨコッコ砲@LIVEALIVE、基本支給品一式
[思考]
基本:戦友(シャドウ)に誓ったように、若きものを正しい方向へと導く。
1:村へ行き、休める場所を探す。
2:フロリーナを更正させる。
3:仲間と合流・戦力の結集。
4:首輪の解除。そのための資材・人材の調達。眼鏡の少女(ルッカ)が気にかかっています。
5:フィガロ城起動を試みる
6:ヒヨコッコ砲の改造?
7:ケフカ、シャドウを警戒・打倒
[備考]:
※参戦時期はクリア後
※フロリーナの真意に漠然と気付いています
※A-3の城はどうやらフィガロ城と瓜二つのようです。蒸気機関が動作するかは分かりません。
※コインが没収されていることに気がつきました。



【フロリーナ@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:疲労(大)、顔面に軽度の腫れ
[装備]:ダッシューズ@FINAL FANTASY6
[道具]:不明支給品1個(確認済。武器は無し)、基本支給品一式
[思考]
基本:ヘクトルに会いたい
1:寝る。
2:殺し合いに乗るかどうか、もうすこし悩む。
[備考]:
※ニノとは支援が付いています。
※ヘクトルとは恋仲(支援A)です。
633創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:20:39 ID:RbSkt+fR
634 ◆Rd1trDrhhU :2009/02/18(水) 03:20:42 ID:Kh4M4AEo
以上、投下終了。
深夜にも関わらずみなさん支援本当にありがとうございます!!!
635創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 03:47:01 ID:Kh4M4AEo
新スレを立ててくださったようなので、はっておきます

RPGキャラバトルロワイアル Part3
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1234895863/
636創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 05:05:41 ID:RbSkt+fR
投下乙!
な、なんだ、この少年漫画的展開はあ!?
かっちょいいぞ、シャドウにエドガー!
それまであまり内面に触れられなかったシャドウをかっこたる存在として描いたのが見事!
冷静に獲物を追い詰めるさまも、修羅の道を行くが故のかっての仲間の腑抜けへの苛立ちも、
らしい上にかっちょいいい!!
エドガーも年長者として立ち直ったし! リーダーの発掘及び若者の育成が頼りになるぜ!
そんな彼らが強大な……とはいえないこれまたらしく空気ぶち壊しのトカを協力してふっとばすんだからにやりとするw
直前のけじめのつけ方のグーパンチも熱い!
フロリーナも結構ペガサスなしでもやれるとこ見せたし。
これからの方針にも影響あったみたいでよかった!
シャドウとのゲームシステムの相違を世界観としていかした対決もグー!
そうだよな、あの世界、分業されまくりだから、万能アサシンにはびびるはw
色々見所のある面白い作品GJ!!
637創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 12:38:09 ID:ltw5KM94
投下乙!
描写力がスゴイ!
エドガーが槍突き刺して宣言するシーンが、ありありとイメージできたぜ。カッコイイなぁ、エドガー!
かつての仲間と出会ったシャドウがどうなるかも気になっていたが、シャドウ自身が選んだ道を突き進むんだな。
そんなカッコイイ奴らの後に出てくるトカゲ。その空気の読まなさは流石だw
638創る名無しに見る名無し
投下乙!
エドガーとシャドウのバトルすっげえかっこええ!
ほんでもってトカ!あいつなんかケフカっぽいよなあw