真夏だと云うのに、ポリシーなのかどうかは知らないが
随分と色褪せた、モスグリーンの軍用コートを羽織った
若い刑事が無線に向かって声を張り上げていた。
『レンホー・ブリッジ・・・閉鎖出来ませんッ!! (;´д゜)b〜〜 』
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201X年の夏、天下の悪法と後に評される
『平成版・生類憐れみの令』の破綻の日がついに訪れた。
この国の街という街に、溢れかえった野良『実装石』達が
ついに、更なる権利の獲得を求めて、なんと・・・あろう事に
一斉に大挙して『国会議事堂』へのデモ行進を始めたのであった。
それは皮肉にも所謂、『虐待派』や行政による駆除作業が曲りなりにも
『間引き』という、自然淘汰の役割を果たしていた事の証明でもあった。
>>484の続き
モスグリーンの軍用コートの男は今や、悲鳴を上げていた。
何故ならば、逃げ場のない橋の上で前後左右・・・ありとあらゆる方向から
『糞虫』達の『投糞攻撃』に晒されていたからだ。
『室井さんッ!?なんで現場に『糞』が流れるんだッ!! ヽ(#`д´)ノ=33 』
声にならない情けない声を振り絞り、男は無線の相手に抗議する・・・
そこうこうしている内に、警察の封鎖線を乗り越えて無数の『糞虫』達が
百鬼夜行の如く都心へと雪崩れ込んで行く・・・
『まるで、安保闘争の再来だな・・・』
刻々と迫り来る、深緑の肉塊の群れを『指導員』の腕章を着けた
ベテラン刑事がモニター睨みつけて呟く。
>>485の続き
一方、その頃・・・デモ実装石達が目指している
件の場所『国会議事堂』では、予てよりの懸案であった
『外国人参政権』の採決の真っ最中であった。
『売国奴!!』『日本が乗っ取られるぞ!』
『税金泥棒!』『ハニートラップ野郎!!』
こちらでも『糞虫』顔負けの罵詈雑言と
『投糞』の代わりに、灰皿やコップ、ペンやマイクスタンド・・・
ありとあらゆる物が投げつけられ、会議室でも『血』が流れていた。
一国家の、最高意思決定機関である国会からしてこの有様である。
議員先生達の乱心ぶりが、そのまま現場の混乱に拍車をかけていた。
封鎖線が、数の暴力によって次々に突破され、真夏の都会を更に
ヒート・アイランド化させる・・・
>>486の続き
実装石達による百鬼夜行の光景を目撃した人々は
口々にこう呟いたに違いない・・・
『まさか!?』・・・である。
実装石の各コミュニティが徒党を組んで
デモ行進をする日がやって来る・・・などとは『想定外』の事である。
脆過ぎる封鎖線も所謂、事業仕分けで予算を締め付けられた
結果ばかりとは、決して云えなくはなかった。
何ゆえ彼女達は、人間社会に対して
このような暴挙に出たのか?
幾ら『糞虫』であっても、天下の悪法『生類憐れみの令』で
手厚く保護されているとしても、数々の疑問符がつく。
だが、ここで改めて思い出して頂きたい・・・
彼女達はその多くが『クローン』とは云えど、我ら人間などよりも
数十倍の速さで『世代交代』しているという事実を!!
しかも・・・人間の『悪』の意思(石)を映し出す鏡とも云われる
『偽石』をその『魂』の拠り所としているという事を!!
つまりは、何もかもが規格外、想定外なのだ。
誠に言い古された表現で恐縮であるが、まさに『出鱈目生物』そのものなのだ。
>>488の続き
『ヒャッハーー!!奪え!!犯せ!!殺せェエエエッ!!』
『としあき』達の雄叫びが木霊する・・・
群集心理によって焚き付けられ、膨れ上がった『暴力』の嵐は、疾風の如く駆け抜け
都市のオフィス街を蹂躙してゆく。それは所謂『虐待派』や『無産階級』が
ついに、非現実的な出鱈目生物や、二次元のアイドル達などよりも
より現実的な物質や、快楽という物に目を向けた瞬間でもあった。
次々に破壊され、根こそぎ奪い盗られてゆく『貴金属専門店』
焼き討ちされ、その職員店員達が集団で嬲られ、リンチされる『銀行・消費者金融』
真昼間だというのに、所謂『用心棒』の制止を掻い潜り拉致され
次から次へと犯されて、ついには殺されてしまうであろう『風俗嬢達』
たいした痛みも額も支払わずに、のうのうと胡坐をかき
現役世代から蛭のように血を吸い続け、搾取して暮らす『年金生活者』
既得権益に蚤やダニの様にしがみつき、世襲と談合、そして汚職にまみれた
『木っ端役人』等々・・・
至る所で黒煙が立ち込め、人々の悲鳴が空気を震えさせる・・・
そして血生臭い風が、ビル風に乗って街から街へと流れていった。
最早、目に映る全てのものが『破壊』の対象になってゆくのに
たいした時間は必要としなかった。所謂『愛護派』と『富裕層』が推し進めた
『生類憐れみの令』は、予期せぬ最悪の結果をもたらしたのである。
全く・・・皮肉な事ではあるが『実装石』が今の今まで、それらの害悪や
ストレスの 調整弁、捌け口になっていたのだ。
>>489の続き
『く、糞虫どもめ・・・ッ!!』
現場の黙示録的な状況を他所に未だ、モニタリングを続ける事しか出来ないでいる
『管理官』は眉間に皺を寄せる・・・
都内の随所に設置されている、無数のカメラとマイクがデモ実装石達と
今や文字通り『ヒャッハー』=『北斗の拳』のザコ敵へと変貌を遂げた
『としあき』達の乱暴・狼藉振りを、余すところ無く記録してゆく・・・
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『ヒャッハーーッ!!気に喰わねえ奴等は、全て『隔離』行きだあぁああッ!!』
【スシ・ステーキ・コンペイトウ・・・いっぱいよこせデスゥ!!】
『ヒャッハーーッ!!目障りな書き込みも、全部『なー』にしてやるぜぇええッ!!』
【ドレイニンゲン!高貴なるワタシタチをもっと楽しませろデスゥ!!】
『ヒャッハーーッ!!次に血祭りになりたいマヌケ野郎は一体、どいつだああッ!?』
【デプププ・・・スクは完全に『完成』してからじゃないと投下は認めんデスゥ!!】
『ヒャッハーーッ!!壷や他へのリンクも絶対、認めないぜえエエエエエエッ!?』
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悪魔でも、身勝手に押し付ける『ルール』という名の『我儘』を押し通そうとする
『糞虫&としあき』達に、普段は温厚である『管理官』も流石にキレた。
そして一言、重々しく言葉を発する・・・。
『国家治安維持局の『中将』さんに連絡しろ・・・暴動を速やかに沈黙させるッ!!』
>>490の続き
『暴力』に訴える者は『暴力』によって駆逐される。
・・・更に強い力によってだ。
実装石達の増長も、自作自演さえも、一向に厭わぬ種類の
人間である『としあき』達の狼藉さえも・・・結局は同じ事。
為政者達の側にとって見れば、それは等しく『糞虫』で
所詮は駆除の対象なのだ。
寧ろ、社会の安寧・秩序の為に、障害と成り得る
不安要素・不安分子をこの際、一斉に排除出来ると云う
またとない口実になったのである。
『管理官』が決断したその瞬間は、言い換えると国家権力さえもが
ついに『在日外国人』の生命・財産保護の名目で
『他の国々』とも 一致協力して、『実力行使』に踏み切るという事なのだ。
牙を抜かれ、隅々まで洗脳されきったこの国の軍隊だけでは
最早、この時代に於いて自立した
『自衛』などというものは、到底・・・出来ない相談であった。
>>491の続き
2010年に起きた『ギリシャの暴動』は、世界中の為政に携わる者達に
貴重な教訓を与えた。それは所謂、市民暴動はその初期段階に於いて
最大限の 『戦力』の投入によって封じ込む事が肝要だという事を・・・
誠に、古典的な教訓ではあったが、現場の実戦経験者など
とうに死に絶えて、 ずぶずぶに平和ボケしたこの国に於いては
そうでは無かったのが この一連の暴動での
悲劇的なシーンの幕開けであった。
教訓である筈の最大限の『戦力』の投入・・・その力の加減具合が
末端の組織にまで理解が行き届かず、また徹底されずにもいた。
悲劇は如何なる時代でも、同じシナリオをなぞりゆくものである・・・
『パーーーン・・・!!』
乾いた音と共に、一発の銃弾が独りの『としあき』を貫いた
実装石駆除用の実弾が、不幸にも人間に向けて放たれてしまったのだ。
日頃、運動不足で虚弱体質が多い『としあき』にとって『実装石』用とは云えど
流血せしめるのに、十分な威力をその銃弾は秘めていた。
>>492の続き
かの『としあき』にとって不幸だったのは、夏場の事でもあったのと
ヒャッハーの為に、極々薄着でいた事が怪我の度合いを大きくした。
しかも、辺りは不潔極まりない野良実装石達で溢れかえっている。
傷口から感染症の恐れがあった。それも重篤な病状を齎すものを・・・
『@@@@@@@@@@@ッ!!!!!』
治安維持局の隊員によって誤って撃たれてしまった
間抜けな『としあき』が声にならない声を張り上げる。
所謂、引き篭りが多い『としあき』にとって
自身の肉体が傷つく痛みの感覚の閾値が、とんでもなく低く
設定されているのが、やがて来る恐慌状態に油を注いだ結果となった。
『ヒイイッ!?こ、殺されるッ!!』
【デ、デエエエエエエエエエッ!?】
『逃げろッ!!やられるぞッ!?』
【デエエエエエエエン!!!!】
暴徒の群れは、ついに混乱の極みに達した。
>>493の続き
数週間後・・・
暴徒達により、破壊し尽くされた街の復興と共に、各マスメディアによる
事件の総括が一巡しつつあった。当初、主に在日外国人による破壊活動が
センセーショナルに報じられていたが、時が経過するに連れて、実際に暴動に参加した
人間の多くの国籍が、何故か『ジャパン』であった事が、広く世間一般に知れ亘ると
火を消したように批判の数々が消え、その代わりに暴動鎮圧の為に
(とは云うものの、相手は実装石の群れと、人間の屑のとしあき達であるが・・・)
獅子奮迅の活躍をした現場の人間達や、その指揮官に非難の眼が向けられていった。
確かに『外国人参政権』の採決の最中で、上層部や指揮系統に混乱があったものの
実際に数多くの死傷者と、想定される被害総額を目の当たりにすれば
誰かに責任を擦り付けたくなるのが人情というものである。
そして、その『生贄』となるべき相応しい地位と、名誉を兼ね備えた人間を
見つけ出す事が得意な人種が、この我々でもある。
全く、嘆かわしい事この上ないが・・・
程なくして、マスコミは『管理官』の更迭を報じ
そのニュースに隠れるかのように
国会ではある重要な法案が、また人知れず可決されていた。
『国民総ID制度』の法案である・・・
これにより、国民一人一人がその『納税額』に応じて権利を取得し
様々な医療サービスや、年金などの特典を享受できるようになった。
今度は個人個人が所謂、事業仕分けの対象となった瞬間でもある。
余談ではあるが『としあき』達は
無産階級、通称『蛆』クラスに振り分けられていた。
(おわり?)