ゼロの使い魔統合スレッド

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ゼロの使い魔関連の統合スレです。
二次創作やパロ、小説・SSから漫画・イラストまで何でもどうぞ。



関連スレ

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part166
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1219937302//
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:17:05 ID:oBSOC4z0
2get
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:36:17 ID:XW7M27E2
ゼロ魔キャラが他作品に参加するってのはあんまり見ないよなぁ・・・
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 08:48:20 ID:h56ZcQAi
十二国記の麒麟を召喚してルイズ=王として契約して、蝕を起こして十二国世界に連れ帰る。
――というネタを考えた事があるが、十二国記の世界を忠実に描写するのが難しすぎて断念したわ。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 22:51:48 ID:3lPIjqJP
IFスレとかクロススレとか見てると、敷居が高かったりして投稿しにくいから、
こっちで投稿してみようかなぁ…。とっても遅筆だけど。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 09:18:39 ID:Dfk/pzd3
1000なら職安いく
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 10:50:28 ID:HwXosA3r
7なら>>6が不可避な力によってハロワに召喚される。

「フンッ!よく来たわねっ」 と踏ん反り返る少女が1人。
>>6は罵倒されているにもかかわらず頬を染めた。それほど少女は美しかったのだ。
桃色がかったブロンドの髪がその整った顔の真ん中できらめいている鳶色の瞳を優しく色どっている。
「さっさと書類を出しなさいよ。このミジンコ」
最上の美少女と言えただろう。口を開きさえしなければだが…。
「………」

>>6の就活が今始まった。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 00:08:07 ID:FzfLCOsQ
>>7
>>6じゃないけど就活していいですか?
出来ればそのハロワの職員と永久就職したいです。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 11:39:12 ID:0UwnxMY2
かそりすぎ
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 11:41:18 ID:cWR+c9Gs
見てはいるよ見ては
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 11:46:00 ID:BRoyhfs6
この板のROM率は異常
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 20:40:37 ID:0UwnxMY2
点呼でもとろうか。
いーち。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 21:53:31 ID:Ur5hIyh9
俺が1だ。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 22:26:34 ID:uunkOmHw
いや、俺が1だ
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 22:44:02 ID:mWEnK1zO
そして俺も1だ……
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 22:48:04 ID:cWR+c9Gs
俺も1になりたいな
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 23:13:08 ID:kq0uhaaL
じゃあ、とりあえず、タバサは俺の嫁と言うことに問題はないな?
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/06(土) 00:02:23 ID:HEjnTeBm
問題しかない
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/06(土) 09:27:13 ID:QEisCE/1
>>17氏ねよ使用済みキュルケとでも犯ってろ
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/06(土) 11:07:18 ID:a1jjWZdG
>>19
>>17ではありませんがありがたく頂いていきますね。
何も問題はありませんね。
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/06(土) 16:43:01 ID:QEisCE/1
いや、まて。
オッパイだけは置いていけ。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/06(土) 19:57:23 ID:8drSNkop
おっぱいだけ落ちてるとか怖いだろw
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/06(土) 20:58:15 ID:WDu/ZOCF
キュルケは要らんがフレイムは俺のだ。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 00:19:18 ID:sPjVHMj+
なんだやっぱりロビンと盛るスレになったか…
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 10:00:22 ID:ddW3GK4d
よく考えてみればティファニアがいれば
オッパイには困らないので問題ないです。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 13:36:56 ID:M3uMsf+B
タバサのこまんこを
くんくんペロペロしたいです
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 13:46:11 ID:M3uMsf+B
実はこのスレ、オレ一人で回してます。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 13:48:47 ID:UXrjvhdy
なんと、それはすごい
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 00:22:32 ID:DgOK+ZO8
他板でゼロ魔の二次創作書いてるんだが、
ここの板に移転しようかどうか悩み中
30名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 00:32:54 ID:2jVEPvGX
こっちゃこいこい
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 08:46:22 ID:dZVAoJmO
かむかむ
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/12(金) 08:57:55 ID:VWJhWuKg
ルイズのちっぱいを吸いたいです
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 16:19:16 ID:kdjw7z6R
ちっぱいとはいやはや
34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:15:32 ID:T+6fXqbc
ギーシュのおにんにんチュッチュ死体です
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 09:01:23 ID:aM6TIv28
アニメ・漫画・ゲームからの召還なクロスオーバー系は
アニキャラ総合板の方でやってるから、
それ以外の「俺達が召還されますた」みたいなの考えようぜ
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 11:17:40 ID:7GC/8dnH
いいなそれ。燃えるな
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 12:11:54 ID:HEm9Pj+I
オレ召還されても
オナニーしか出来ないよ?
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 21:19:42 ID:7GC/8dnH
それはエロパロ向きだろw
俺は椅子や足置きくらいならなれる自信があるぞ。美少女限定で。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 22:00:59 ID:hUFmzVB5
2chネラー達が召還されますたとかはどうだろう?
人数は5〜10人程度で、軍板・お料理板・VIP・歴史板・創作発表板etc...から
それぞれ1人ずつくらい召還で、ヲタ知識とか特技を生かして
ハルケギニアの世界を頑張って生きていくみたいなのとか
もしくは世界制覇を目論むとかな
召還人数が10人未満なら、それぞれヒロイン勢達とフラグも立てられる
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 00:48:36 ID:TwCkNUdh
書き手複数でやってもいいし、気合入れて1人で書いてもいいな。
軍板関係ならここの板にあるF自スレやミリタリースレから
協力依頼もできるだろうし、その他も基本的に板内の住人で何とかなりそうだ。
株板住人を召還したら、世界経済を支配できるんじゃね?
VIPとか鬼女板とか実況板住人は…
>>38みたいに椅子や足置きになるしかないのか…?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 01:17:03 ID:32YydSE9
それは家畜人ヤプーとのクロスですか?
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 06:11:00 ID:TwCkNUdh
上記の意見も踏まえて個性のありそうな板住人を適当にリストアップ

創作発表板住人……物語を執筆してハルケギニアでベストセラー
軍事板住人……武器の扱いに長け、作戦の立案・慣行と戦術レベルで大活躍
歴史板住人……大局的視点で物事を見る。戦略レベルで活躍
株板住人……株式の概念をハルケギニアに持ち込み、資金確保に動く
VIP住人……何をしでかすか分からない奇抜性がある
オカルト板住人……ハルケギニアの魔法術式を解明する


まぁ、こういう設定でどこかの板の住人を召還でもいいし
単純に2chネラーたちを召還しますたとかでもいいと思う
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 12:43:56 ID:O5EuFcul
>42
無人島物G……
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 13:09:50 ID:wYrECAYn
有事の時に○○板のやつの仕事とかいうコピペあったよな
俺?メイン常駐板はなんの役にも立たない専門板さー
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 16:28:55 ID:ScB7MSj7
軍板住民だって、基本的に頭でっかちだぞ
たまに自衛官がいるが
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 18:02:30 ID:XzTB2Sem
園芸板住民の俺は花でも育てりゃいいですかい?
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 18:27:29 ID:IEqNe8Yp
オーバーズシステムみたいなもんか?
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 19:54:10 ID:NSmQ02p1
>>43
7人のオタクとかな
力を併せて何かするのは結構王道だと思うよ

>>44
何の役にも立たなそうなやつが、
どこかでおいしいとこ持って行くんだよ

>>45
むしろキャラが立つからいいんじゃね?

>>46
農薬を錬金して毒でも作ろうぜ

>>47
きっとそんなもんだ
よく分からんけど
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 20:07:46 ID:wYrECAYn
じゃあネトゲ実況板住民の俺は何をしようか
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 20:22:10 ID:NSmQ02p1
>>49
戦闘時のオペレーターとか
誰かとギーシュとの決闘を福澤ばりに実況
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 20:27:44 ID:TS/6Rklo
じゃあ特撮板住民の俺は新しい魔法の技を考えるよ
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 20:28:56 ID:wYrECAYn
ネトゲ実況板にはネトゲを実況するスレないから無理だわ
映画やアニメの実況スレならあるんだが
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 20:33:00 ID:TwCkNUdh
ネトゲ実況とか一度も行ったことがないからどんな板なのか
まるでわからねぇぜ!

>52
何か自分にできる事を考えてみようぜ
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 20:36:16 ID:wYrECAYn
じゃあ常駐スレ的に考えて自炊するかニコニコ見るか読書するは
今ならもやしと秋刀魚の最強さについてなら実況できるかもしれん
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 20:41:47 ID:TwCkNUdh
>>54
自炊スキルって結構貴重なんじゃね?
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/19(金) 21:24:38 ID:jDSS0Brj
理系板の住人は、コルベールに召喚されてやってくれ
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 08:17:33 ID:eG+YLk4m
!?ナニコレ
何で盛りあがってンの?
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 09:20:25 ID:tcR3qCrJ
じゃあゲハ民の俺は煽り荒らしで仲間割れをおこさせる
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 10:42:46 ID:zhKcl/WN
エロ板住民はオールドオスマンに盗撮術でも仕込むのか
60 ◆hKwxtu1E/M :2008/09/20(土) 17:57:19 ID:ysatDIDU
「ゼロの使い魔って知ってるか?」
友人の創作発表板住民が、唐突に質問してきた。
「ああ、アニメか。お前の好きなやつだな。」
そんな俺は軍板住民だ。そういえば、そういった名前のを軍事的考察するスレがあったっけ。
「違ーう!ライトノベルだ!小説だ!」
どうやら、アニメと言われたのが癇にさわるらしい。
別に、小説だから格が高いというわけでもあるまいに。俺も純文学は嫌いだしな。
少し落ち着いたのか、奴の声が平静に戻った。
「はぁ、はぁ。まあ現代の主人公が中世あたりの、魔法のファンタジー世界に召喚される小説だけど。」
何故か奴は小説に拘る。ライトノベル板住民でもあるのか?いや、ライトノベル板住民の気質は知らんが。
「そんな世界に召喚されたら、お前はどうする?」
「また馬鹿な事を訊ねる。状況次第に決まっているだろう。」
状況次第なら、小国だって大国に勝てる。ベトナムがいい例だ。
「状況、かあ。まずルイズに召喚されるんだけど。」
「どうやって。そいつは誰だ。」
その時、なにやら怪しげな物が俺の隣に現れた。
「そうそう、こんな感じのゲートにって、うわぁぁぁ。」
そこで吸い込まれていく奴を助けようとしなければ、俺は物語の主人公の一人にならなかっただろう。
しかし、俺は奴の手を掴んでしまった。
こうして、俺達の物語は始まってしまったんだ。




とりあえずさわりを。
かっ、勘違いしないでよ。続ける気はないんだからねっ。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 18:04:21 ID:5RezltTw
構わん、続けろ
62 ◆hKwxtu1E/M :2008/09/20(土) 18:18:59 ID:ysatDIDU
レスが早いなw
さてツンデレ風に言ってみたものの、実はゼロの使い魔を漫画で、それも一巻しか読んでいない。
ということでむしのいい話だが、誰か合作せんか?
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 18:23:14 ID:WVRMh7mA
合作は構わんし、むしろ書き手多数でやる方がいいとは思うが
さすがに漫画版1冊しか読んでないのは厳しいぞ
明日中に小説版を全巻読破してくるべき
64 ◆hKwxtu1E/M :2008/09/20(土) 18:37:33 ID:ysatDIDU
委細承知。明日の休みを使い、一巻から最大五巻を読みふける。
資料となる必要上、斜め読みではいかんからな。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 18:56:13 ID:z/1MJMGI
ちなみにライトノベル板住民が小説にこだわるのは正しい、正しすぎる
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 18:58:13 ID:GZ9Ix/ef
盛り上がってきてるなw
GJと言わざるを得ない
67 ◆pbp0.hg586 :2008/09/20(土) 19:05:26 ID:ysatDIDU
トリップ変えるのを報告。
>>65
やはりかw本当に知らなかったのだけどw
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 19:09:41 ID:KtM2IN7j
詰まっても助けるぜ。一応軍板住人だし

頑張ってくれ
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 19:10:25 ID:z/1MJMGI
特にアニメ化してアニメが人気になった作品は
アニメ方面からの人の流入を嫌がる傾向があるな
70 ◆pbp0.hg586 :2008/09/20(土) 21:33:53 ID:ysatDIDU
さて召喚される板住民と、合作してくれる書き手を募集するわけだが。
我こそはと思う奴は挙手してくれ。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 21:35:05 ID:z/1MJMGI
じゃあ俺ライトノベル板住民として召還されよう
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 23:15:36 ID:4YJqNcCH
 盛 り 上 が っ て 参 り ま し た 
73 ◆pbp0.hg586 :2008/09/21(日) 20:43:41 ID:YxZ1ob8z
後方支援ヲ求ム。
魔法ニ就イテノ詳細ナ設定及ビ、各国並ビニ各都市ノ位置関係ヲ御教授サレタシ。
此ガ無クバ現戦線ノ突破ハ期シ難シ。
各員ノ協力ヲ望ム。
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:16:36 ID:xlBWOat8
考察スレでかなり詳しく調べられてるのでそれ読め
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:12:01 ID:77XJDnLe
ルイズがあのキャラをスレの避難所だが

設定・考察スレその9
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1217771847/

非常に細かく考察されているので、テンプレだけでも読みたまえ
76 ◆pbp0.hg586 :2008/09/21(日) 23:58:09 ID:YxZ1ob8z
支援を謝す。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:45:41 ID:fbCm7yah
ヨルムンガントかっけー
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:58:05 ID:k5zsu77u
エントリィイイイイ!!
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 17:56:08 ID:Qaz1mdPm
過疎なのはジオニック社の陰ぼry
80 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 17:03:08 ID:a6RMQ4mn
三日経ったわけだが。
>>71以外に召喚されたい者、合作してくれる者がいたら、本日九時までに申し込んでくれ。
あと>>71は合作してくれるのか、他の面で協力してくれるのか教えてください。
また後者ならば、ライトノベル板住民の気質と>>71自身の性格、後名前を教えださい。
貴方自身に関することは嘘でもいいですよ。
81 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 22:32:52 ID:a6RMQ4mn
反応無し、か。
じゃ第一話を。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:33:38 ID:Mk5GoWDs
おお、投下来るか
83 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 22:33:59 ID:a6RMQ4mn
呪文を唱える。簡単な事だ。簡単な事なんだ。
しかし、一体それに何度失敗した?
ふと頭に不安が浮かび、それを振り払う様に首を振る。
そんな様子を級友が笑っているかも知れないと思い至った時は、顔を赤くして不安でいっぱいの顔に、更に赤みと不安の色が増した。
そんな彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはとにかくも腹を決めた。
やらなければならない。そうしなければ、自分に未来は。
またネガティブな思考に至ろうとした時、彼女は目を閉じて呪文の詠唱を行った。
冷静に、だがつい必死に。
あるいは、その必死さが通ったのかも知れない。必然かも知れない。偶然とも知れない。
ともかくも、彼女は前代未聞の事態にまだ気づいていなかった。
今日幾度目か知れない詠唱終了と共に爆発のようなものが起こり、煙の中に影が見える。
やった!成功したんだ!
これでもう「ゼロ」の二つ名とはおさらばよ!
彼女にとっての偉業を成し遂げた事実は、その虚栄心を充足させ、全ての不安を取り除いた。
そのせいか、今後「彼ら」はそれを裏切った代償の様に彼女になぶられるのだった。


「彼ら」は、折り重なるようにもみくちゃになって転がっていた。
その中でも、ライトノベル板住民の吉川哲がいの一番に状況を把握したのは、ある種当然だろう。
もっとも、把握したせいで興奮してしまったが。
その次に軍事板住民の佐藤三郎が自分のおかれた状況を疑問に思える程に冷静になる。

最後に平賀才人がのろのろと起きあがり、言葉を発した。
「誰だ、お前らは。」
もう煙は晴れているので、自分のおかれた環境が掴めるようになっている。
周りを見渡してみると、奇妙な服装の人間がいたので、彼は考えるより先に口が開いた。
どうにも彼らは、なにかひそひそ話をしているようだ。
そしてその中から、一人の少女が才人達にづかづかと歩み寄ってくる。
三郎は周りの人間の中で一人だけ壮年の者を見付けており、その彼が唯一会話したのが彼女だということも、偶然だが見とがめていた。
「貴様、教えろ。ここはどこだ。貴様らは誰だ。何故ここに連れてきた。」
彼がそう発言した時、哲が彼に耳打ちした。
「ここがゼロの使い魔の世界だ。」
しかし、彼はそれを一笑に付した。
「馬鹿を言うな。本格的に馬鹿になったか?それなら仕方ないが。」
84 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 22:39:02 ID:a6RMQ4mn
哲はそれを聞き、三郎の当面の説得を諦め立ち上がり近づいて来た彼女に話しかける。
「君がルイズ・フランソワーズだね?僕らを召喚した。」
彼女、ルイズは少し驚いた顔を見せたが、恥じ入る様にすぐに元の厳しい表情に戻す。
「ええ、そうよ。ならば、サモンサーヴァントの儀式の事は。」
「おおよそ知っている。こんな姿の僕らと契約する心構えは、出来ているかい?」
彼はなんとかしてこれ以上なく偉ぶった。今後の有利さのためである。
もっとも、この世界の推移する未来を知る彼は、神のような存在かも知れないが。
「もちろん。あなたはメイジですか?」
「いや。残念ながら。」
ルイズは落胆したように顔を下に向けてから、顔を上げて哲に近づく。
「それでも博識ではある、か。」
彼女はそう呟き顔も近づける。
彼は常日頃から神に御願いしていた事が叶うことに謝恩し、彼女と浅く接吻を行った。
深くやったら自分の印象が悪くなるだけだ。さっきあんなに頭を絞ったのに、パアになったらかなわない。
彼のそういった計算により、彼女はとりあえず今現在これ以上は望めない形で初めてを終えた。
「さあさあ、後の二人にも。」
彼は彼女を促したが、彼女は首を横に振る。
初顔合わせの礼儀はおしまいとばかりに、彼女は言葉遣いを変えた。
「知っているでしょ、使い魔は一人と決まっているわ。」
それに彼女には、未だに口を開けてアホ面を晒している童顔男や、何か懐疑的な目でこちらを睨んでくる、
絶望的ではないが理想には程遠い顔の男より、平民だろうが目の前のなかなか悪くない顔をした男の方がずっと良かった。
「確かにそうだが」
彼は左手に痛みを覚え、すぐにそれが収まるやいなや彼女に左手の甲を見せる。
「御覧の通り、不完全だ。」
そこには、綺麗に三分の一になっている紋章が現れていた。
予期していた事ではないが、予想は出来ていた。根拠は無かったが。
「ちょっと、ちょっと。どうにも話が掴めないんだけど。」
そこに、今までぽかんとしていた才人が、慌てた様子で割り込んで来た。
哲は先の壮年の男、コルベールも会話に入れ、彼に必要を訴えそして才人に現状を教え、促す。
「と、いうことで。」
「うーん。役得と呼ぶべきか、棚ぼたと言うか。」
「早くしなさい、アホ面。」
にへへと口を歪めた才人に、ルイズの罵倒がとぶ。
哲は目の前の必然を受け入れた。
才人がにやけながら接吻をするのは、全くもっていい光景ではなかった。
85 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 22:40:15 ID:a6RMQ4mn
「どういう事だ、お前。」
三郎は哲に怪訝な顔で訊ねた。彼は先程の説明を聞いていたが、才人と違って納得などとても出来ない。
「頼むよ。僕には知識とそれを活かせるお前が必要なんだ。
友人としての頼みだ。それにお前が損をするわけじゃあないだろう。」
「そういう事じゃ無い。この茶番はなんだ、と聞いているんだ。」
彼はこの「あり得ない事態」を全く信用していなかった。
性質の悪い冗談だとしか思っていない彼に、哲は時間が解決する問題だと認めた。
「まあとりあえずやってくれ。」
それを聞いた三郎はしぶしぶルイズの前に立ち、悪態を吐く。
「しかし貧相だな、貴様。」
「うるさい、醜男。」
当然ルイズも負けずに悪態を放ち、険悪な雰囲気で彼らの契約は終わった。

「しかし例え本当だとしても、お前一人で大丈夫だと思うが。」
三郎が哲に話し掛けた。先の頼みのことを言っている。
「確かに、僕はハルキゲニアをよく知っているけど、実際に知識通りに進むとは限らないから。」
三郎はため息をつき、諦めたように言った。
「茶番に付き合ってやろう。いろいろ教えてくれ。」
幾らか教えて貰っている最中、才人の紋章のスケッチを終えたコルベールが割り込んで来て、三郎の左手の紋章をスケッチした後、彼は解散を命じた。
因みに、才人のスケッチの間は、ルイズとの口喧嘩が繰り広げられていた。
とりあえず進級試験は無事終わり、周りで時に冗談を言い時に嫌味を言っていた生徒達が解散する。
ルイズに連れられて歩いて案内されている時、彼らが飛行するさまを見た三郎と才人は、目が飛び出そうになった。
「飛んでいるぞ、あれ。」
「メイジだもの、当たり前じゃない。」
才人の質問に、ルイズはあしらうように答える。
ははぁ、と三郎は意趣返しを思い付いた。
「つまりお嬢様が飛ばないのは、我々のためですか。」
当たり前の事が出来ないのを認めるか、それとも、というわけだ。
ちなみに、三郎は哲からすでに彼女に関する事を教えて貰っている。
「そうよ。」
ルイズは後者を選んだ。
「使い魔のアホ面と醜男を迷わせたら、私の恥だからね。」
しかしきちんと返すあたりが、彼女の性格をよく表している。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:41:51 ID:Mk5GoWDs
支援
87 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 22:42:45 ID:a6RMQ4mn
ルイズの部屋にやってきてからは哲が主導しようとしたが、彼の主がそれを許さないかった。
「私の使い魔である以上、私が教育しなくちゃいけないの。」
そして三郎と才人に使い魔の仕事などを長々と説明した後、早速彼女は仕事を命じる。
「もう寝るから、洗濯しといて。後、朝起こしてね。それぐらいしか出来ないでしょ。」
ふと三郎が窓から外を見ると、二つの月が夜空に浮いていた。
彼はまた目が飛び出そうになると、枕を頭にぶつけられた。
「聞いているの!」
はいはい、と彼がよそを見ながら応じると、また何かをぶつけられる。衣服だった。
ルイズの方を向くと、彼女のストリップの真っ最中である。
「おいおいお前、恥じらいというものが無いのか!」
「あら、犬に見られたって恥ずかしくなんか無いわよ。だいたいあんたがよそを向くものなのよ!」
才人が叫ぶと、ルイズは理不尽を言った。
哲はこれみよがしに目の保養を行っている。
「とにかく、ちゃんとやっといてよ。」
彼女が枕を抱えベットに入り込むと、才人が素朴な質問をする。
「俺達はどこで寝るんだ?」
「床に決まっているじゃない。」
それを聞いた三郎はドアノブを掴んだ。
「馬小屋で寝る。豚小屋よりましだ。」
三郎がそう罵倒を残して外に出ていくと、ルイズの返しが彼の耳に届く。
「へへーんだ!目のおかしいあんたには、屠殺場がぴったりよー!」
この二人、決して相容れる事はなさそうである。

なお、才人と哲は素直に床で寝た。
才人は家を夢見ながら、哲は明日からの事に夢を膨らませながら。




第一話終
88 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 22:45:01 ID:a6RMQ4mn
訂正
これみよがしに→これ幸いに
89 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 22:46:41 ID:a6RMQ4mn
まて。これ幸いに、でも駄目だ。
薄目を開けながら、に更に訂正。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:48:20 ID:Mk5GoWDs
投下乙!
ラ板住民のやつがなんか扱いよくてワラタw
軍板のやつはそのうちその特性いかせるのかね
91 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 23:05:33 ID:a6RMQ4mn
このスレのROM率は異常。
92 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 23:06:46 ID:a6RMQ4mn
このスレのROM率は異常。
一分でレスが来るって…。
93 ◆pbp0.hg586 :2008/09/23(火) 23:08:09 ID:a6RMQ4mn
二重カキコスマソ
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:41:08 ID:Yxplka/7
軍板住人まで来たwww

先の展開がすっげえ楽しみだぜ
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 14:15:30 ID:CEDYef2A
さて、今日も変態ワードをかきこ……!?

何があったの?
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:04:19 ID:GokWCrkE
神の視点をどう活かせるか。でも正史とずれたら役に立たなそうだなラ板住人
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 11:35:13 ID:fsZhxtGl
でも魔法とかへの耐性は高そうだ>ラ板住人
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/30(火) 00:41:24 ID:h1EVLbaY
むしろ魔法使えるんじゃないか、30すぎたラ板住人
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 16:59:51 ID:pIRIh3IQ
ラノベ板の人、応援してるんだぜっ!
100 【army:610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 :2008/10/05(日) 08:45:53 ID:qQQ5HQ5H BE:25182353-2BP(1043)
皆様ごきげんよう。
軍事板住人としては、まず社会資本の充実(効率的物動のための道路、海運の整備、公教育の充実による識字率の向上、等)
に真っ先にとりかかりたく、そのために資本の蓄積と権力の掌握を目標として、いかに金を稼ぐか、を考えてしまいますが(w

というわけで、まずはルイズ経由でヴァリエール公爵にとりいって、貴族のバックを得て、酒と煙草で荒稼ぎですね(待て
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 21:10:54 ID:3rvl7Hiz
>>98
30過ぎたら魔法使い、40超えたら大魔導士、60過ぎたら老魔法王ってか?
102 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:42:38 ID:B1ZNiaKY
くそっ。なんなんだ、あの生意気なガキは。あれがツンデレとかいうやつなのか?
ならそれが萌えるとか言っている奴は、頭に蛆が沸いているんじゃないか?
それとも外見でそういっているだけか。
あっ、くそ、外見だけとはいえ可愛いと認めてしまった、畜生。

三郎は今、寮内で悶々としていた。
彼が出ていった時間に馬小屋が開いているはずがなく、ただふらふらとしていたのだ。

それになんだ、この警備のなってなさは。
魔法だかなんだか知らないが、そんなに万能なら俺なんか何の意味もないじゃないか、畜生、畜生。

彼は警備の薄さは、魔法による自信の表れととっていた。
それはすなわち教員らの意識の低下を意味するのだが、彼はそれに気がついておらず、苛立ちはつのるばかり。
もっとも、知ればもっと苛立っていただろうが。
そんな時、二つの人影が彼に接近してくる。声からして、男と女。
どうにも、男が嫌がる女に言い寄っているらしい。
こんな時間に出歩いている時点で、女の側にも非があるが。

くそ。うるさいんだよ貴様ら、特に男。フられたらすぐ諦めろ、畜生、畜生、畜生。
怒りが身勝手なものとなり、憤りはどんどん増していく。
傲慢な彼は、どうしてもそれを晴らす衝動に駆られる。
そんなとき、男らが彼を使用人だと思い何の気なしにすれ違う時、彼と右肩がぶつかった男が三郎を呼び止めた。
「おいお前。俺が誰だかわかっているのか?」

ああわかっているさ。お偉いお偉い貴族さんだろう?
俺を苛立たせている奴らの片割れなんだろう?

三郎が鼻で笑うと、男は腰の杖とおぼしき物に手を掛ける。
「やめなさいよ!」
男は女の呼び掛けに少し迷ったようだが、杖を抜いた。
それを見るより早く「感じた」三郎は、男の鳩尾に拳をめりこませ、
そして彼は今日の鬱憤の一撃に、更に倒れこんだ男に肘で後頭部を追撃し悶絶させた。
それを見た女は、三郎を気遣うように囁く。
「貴方、早く逃げなさい。今逃げれば、こいつも探さないでしょう。」
三郎はすぐに得心した。
なるほど、俺を全く不審に思わなかったんだからたいして顔も見られてないだろうし、この男も平民に負けた事は恥になるだろう。
103 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:43:54 ID:B1ZNiaKY
「しかし、いいのですか?」
着ている衣服からして女も貴族なのだろうが、自分のことを心配してくれる人を蔑ろにする習慣は三郎には無い。
女は吃驚したような顔をし、すぐに答える。
「ええ。平民に負けるような奴なんて、かばう必要は無いわ。」
三郎は少し目線を逸らした。
「平民、ね。ああ、あとあの男は?」
「いいのよ、放っておいて。大して好きじゃなかったし。」
あっ、と彼女は少し言葉が過ぎたことを恨めしく思い、ばつが悪いように顔を背けた。
「醒めやすいのですね。」
三郎もついうっかり言ってしまった事に後悔し、目を閉じて顔を俯むかせる。
「ええそうよ、私の二つ名は「微熱」だもん。すぐ冷めちゃうわ。」
彼女は少し自嘲気味に笑いながら呟き、歩きだした。
「微熱ねぇ。とは言っても、熱を出す程に酔う恋なんだろうに。」
三郎は彼女の言葉の意味を取り違えていた。
彼は先ほど殴った男が可哀想に思え、心の中で詫びてからルイズの部屋に戻る。
ただし中には入らなかった。
正確には入れない、だが。
色々と波乱が過ぎて、彼は冷静さを失っていた。
おかげで先の「感覚」については、さっぱり忘れてしまっていた。





異世界に来て、初めての朝が来た。
俺は同じ境遇にある吉川哲という人に起こされ、仕事を分担される。
同じ境遇とはいえ、彼はこの世界に詳しい。
一体どうしてだろう?訪ねても教えてくれない。
彼の友達らしい佐藤三郎という人も、何も教えてくれなかった。そういえば彼は今どこにいるんだろう?無事ならいいけど。
ちなみに、三郎は高校二年生。ただ背丈は俺より指一本分は大きい。
あと哲さんは二十三歳。背丈は俺と同じ位だ。
何故この二人が知り合ったかというと、とある某巨体掲示板のとあるスレッド群でのオフ会とのことらしい。
けど、三郎が何故哲さんに敬語を使わないのかはよくわからない。
職人同士の友人なので、哲さんがそうさせているとのことだ。
顔を洗ってから少しして起こしにいくと、くそ生意気なお嬢様、ルイズの顔にすこし見とれてしまう。
104 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:44:54 ID:B1ZNiaKY
くそう。こいつ、黙ってりゃ可愛いのに、損な性格してるなぁ。
揺すって起こすと、ルイズは寝惚け眼で凄まじい第一声を放つ。
「あんた、誰?」
「君に連れてこられた使い魔だよ、記憶力ゼロのルイズ。」
既に、哲さんからルイズがゼロと呼ばれたくない旨を教えてもらっているが、早々に呼ばせてもらう。
彼は個人のことにも詳しいが、やはり何故かは教えてくれなかった。
「うるさいわね!ちょっと寝惚けてただけよ!」
ルイズは怒りながら起きると、すぐに命令を出してきた。
「服、クローゼットの上の棚からとって。」
俺がそれに従うと、ルイズは着替えのために服を脱ぎ始めた。
俺は昨日言われた通りによそを向くが、ルイズはまたとんでもない事を言い出す。
「さっさと着替えさせてよ。」
「それぐらい自分でやれ!」
「貴族は普通着替えさせるものなの。」
この世界では俺の常識は通用しないらしい。
俺は出来るだけ目を逸らせながら着替えさせた。そのくらいの良識はある。
「朝食に行くから、哲を呼んできて。」
終わるやいなや命令がとぶ。
やれやれ、気苦労が多すぎるよ。もっといろいろ哲さんに教えて貰うことにしよう。
105 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:46:14 ID:B1ZNiaKY
哲が洗濯籠を持って部屋から出ると、なんと三郎が寝ていた。
哲は三郎をすぐに起こして事情を聞き、一緒に洗濯をしにいく。
「ははは、そんなことだろうと思った。」
「内壁が木でなかったら、凍え死んでいるところだ。」
三郎は両手でそれぞれ反対の二の腕を押さえた。今更ながら、恐怖がわき上がってきたのだった。
「あと、君の会った女はキュルケだよ。とんでもないビッチさ。」
「へえ。まあそんなこと、俺は気にしないがね。」
「それだから、まだ童貞なんだよ。」
「お前こそ。さて、洗濯場に着いたぞ。」
洗濯場には先客がいた。
「あ、はじめまして。私はシエスタといいます。」
笑顔が可愛くて、素朴な美しさのあるメイドさんである。
三郎は自分達を不審に思わない彼女に驚きつつ、自己紹介をする。
「はあ、はじめまして。俺は佐藤三郎です。よろしく。」
哲は固まって何も言わなかった。

「ふーん。俺達って噂になっているんだ。まあ通常一人のところに三人も、だからなあ。
それよりも哲、ちゃんと自己紹介しようや。」
「認めない。認めないぞ。」
哲は、何かぶつぶついいながら手を動かし続けている。
「こう言うのもなんですが、面白い方ですね。」
シエスタが微笑みながら言った。
彼女の仕事は終わったらしく、洗い物を纏めている。
「それでは、お先に。」
そうにこやかに挨拶をして、彼女は洗濯場から去っていく。
「お疲れさまー。おい哲。そろそろ事実を認めろ。」
「ルイズゥゥゥ!君の髪をくんかくんかしry」
三郎は哲の頭を叩き、真面目な顔で切り出した。
「現実に戻れたか?さて、才人のことだが。」
哲も呆けたような顔から真面目な顔に変える。
「ああ、わかっている。あいつに史実を教えるかどうか、だね。」
「お前が判断してくれ。」
哲は既に決めていたらしく、すぐに答えた。
「わかった。教えないことにするよ。出来るだけ史実を変えたくないからね。」
「妥当なところだ。」
三郎が頷いたその時、才人が彼らの所に表れる。
「おーい。そろそろ朝食だってさ。」
彼らは少し驚いたが、その様子は才人には見えなかった。
洗濯は終わっていたので、すぐに纏めてルイズの部屋に向かう。
その間才人が哲を質問責めにしてきたが、哲は半分以上を黙秘した。
106 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:47:52 ID:B1ZNiaKY
「あら、あんた屠殺はされなかったのね。よかったわ。朝食にあんたが入っていると思うと、吐き気がしちゃう。」
部屋に戻った三郎は、ルイズの強烈な言葉で迎えられた。
「お嬢様は、今日も綺麗な豚のような色の髪をしていらっしゃいますね。」
三郎の返しを契機に、彼女らは凄絶な罵り合いを繰り広げる。
その間に洗い物をベランダに干した才人達は、干し終わると彼女らを朝食にいくよう促した。
嫌味でつつきあう彼女らだが、隣の部屋から出てきた女を認めるとそれが終わった。
「あはは。ルイズ、あんた平民の使い魔も従わせられないのね。」
女はルイズらの応酬を聞こえていたのか、すぐに罵倒を放ってきた。
「うるさいわね、キュルケ!」
「そもそも平民を呼びだすのも変なのに、従わせることもできないなんて、流石「ゼロ」ね。」
言い返せないのか、唸りながら睨むルイズ。
三郎はざまみろと言いながらキュルケの方を向く。
なお、才人は既にゼロの由来について教えて貰っている。
「あら。あなたは。」
キュルケが少し吃驚したような顔をした。
「どうも。佐藤三郎です、キュルケ・ツェルプストー嬢。」
三郎は慇懃に挨拶する。
三郎にとって、彼の主人と比べたら、彼女はとても魅力的だからだ。
「俺は平賀才人。」
才人の目はキュルケに釘付けになっている。正確には、彼女の胸に。
「僕は吉川哲だ。」
哲はあまり面白くなさそうに、目を瞑り腕を組んで自己紹介をする。
「へえ、何か貧相ね。変な名前だし。ほんと貴女は変尽くしね、ルイズ。」
「うるさいといっているの。」
二人の視線がぶつかり火花を散らし始めたとき、才人は謎の生物に襲われた。
「うわっ!なんだ、この蜥蜴?」
「もしかしてサラマンダー?」
ルイズの質問にキュルケが得意気になって答える。
「ええ、そうよ。ここまで鮮やかで大きな炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ。」
火竜山脈、ね。
ぽつりと三郎が呟いた。
そして彼女はマントを翻し、首をこちらにひねる。
「朝食に遅れちゃうから、じゃあね。」
そう笑いながら、彼女は火蜥蜴を連れて去っていった。
107 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:51:55 ID:B1ZNiaKY


「ふん。何がサラマンダーだ。山椒魚じゃないか。」
そう鼻を鳴らす哲を、三郎がたしなめる。
「確かに山椒魚はSalamanderだが、それには火の精としての火蜥蜴の意味もあるよ。まあわかって言っているんだろうが。」
へーえ、と才人が少し驚き、ルイズは訳がわからないというような顔をした。
「しかしあの火蜥蜴、完全にポケモンのヒトカゲをイメージしているな。」
神話などで出てくるサラマンダーは、大抵火を消す存在だったような。
そう言おうとする三郎の口を、哲が押さえる。
「迂闊だぞ。」
自分達が、本来イレギュラーな存在であることを知られてはならない。
そんなことになったらパニックどころか、何が起こるかわからない。
イメージしている、の言葉で勘づかれるとまずい。可能性は潰さなければならないのだ。
もっとも、自分が物語の人物だと言われても、信じる者はいないだろうが。
とりあえず、二人は少し不思議に思っただけのようだ。


「しかし、彼女おかしくね?」
「何がよ。」
才人の問いに、ルイズが詳細を求める。
「いや、胸と体のバランスが。いやー、ゼロとは大違い。わっ!」
才人をルイズが殴ろうとし、才人がそれをかわした。
「かわすな!」
「殴るな!」
それを見た哲は、笑いを堪えるのにかなりの努力をしなければならなかった。
やはり、実際に見るのと読むのでは面白さが違った。
108 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:54:26 ID:B1ZNiaKY
ささやかなる朝食がすんだあとは授業である。
彼女らが教室に入った時には、既に生徒が多数いた。
彼らの使い魔に才人と三郎が驚いていると、教師らしき人物が入室してくる。
シュヴルーズと名乗った彼女は、魔法の基本について語り、手本を見せた。
彼女が呪文を唱え杖を振るうと、教卓の上に置かれた石が真鍮に錬金される。
「なぜ金はできないんだ?」
それを見た三郎が、哲に小声で質問した。
哲が金等は錬金が難しく、量産しづらい旨を説明すると、三郎は、そんなものか、と呟いた。
「さて、生徒の方にもやって貰いましょう。えーと、ミス・ヴァリエール!」
「は、はい!」
応えたルイズの声は上擦っている。
「この真鍮を、また石にしてごらんなさい。」
それを聞いた生徒達から、一斉に反対の声が上がる。史実通りに。
「わかりました。」
ルイズは声を更に上擦らせなが応え、教卓に向かった時には、生徒の皆が机の下に退避していた。
「どうなるんだ?」
「まあ見てればわかるわ。あなた達も机の下に隠れたら?」
才人の問いに、そばにいたキュルケが答える。
「彼女は錬金出来ないんだっけ。失敗の時の爆発はどんなもんだ?」
三郎はこの後のことを教えて貰っているが、爆発の規模は教えて貰っていない。
「ルイズが黒板に叩きつけられる位かな。」
それを聞いた三郎と才人は、顔を青くした。
既にルイズは、呪文の詠唱を開始している。
「全員!耳を塞いで口を開けろ!」
生徒と教師は、誰がそんな間抜けな姿を、と思い従わなかった。
三郎の大声に従ったのは、才人と哲と、誰も見てないだろうと思ったキュルケ、及びその親友だけだった。
呪文の詠唱が終わり、ルイズが杖を振るう。

閃光。爆発。轟音。

ルイズとシュヴルーズが黒板に叩きつけられた。
「耳があぁぁぁ!」
「息がっ、苦しい!」
退避していた三郎が机の下から出てくると、案の定前の席の生徒達がのたうち回っている。
爆発の轟音で鼓膜が痺れ、爆圧で最も空気のある肺がやられたのだった。
教卓の方を見ると、ルイズは煤だらけになってぺたりと座り込んでいた。
「ちょっと失敗しちゃったわね。」
「ちょっとどころじゃないわよ!いつも以上じゃない!」
とりあえず無事だったキュルケが突っ込む。
なお、シュヴルーズは完全にのびていた。
そのため、この場を収拾するには長い時間が必要だった。
ちなみに、何故ルイズがほとんど無事かは不明である。
109 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 19:56:24 ID:B1ZNiaKY

三郎と哲は、先の爆発で驚いて飛び出した使い魔が割ってしまった窓ガラスを掃除している。
爆発の責任はルイズのものなので、彼女の責任は使い魔たる彼らにも及んでいる、
その論調でルイズは彼らに手伝い、実質後始末の全てを要求したのだった。
そして彼らは、中で窓ガラスをはめる役と、外でガラスを掃除する役に別れた。
これは哲が決めたものだ。ただ、効率を求めてではない。
「つまり、俺達の登場でこの世界が変わってしまっていると?」
三郎の問いかけに哲は頷いた。
「小説では、あそこまで被害は出ていなかった。」
三郎が一つ溜め息をつく。
「小説のハルキゲニアと、現実のハルキゲニア。それがパラレルワールドだと。」
哲はまた頷く。
「そうとしか考えられない。」
彼ら二人はこの事態にどう対策をうつか、その相談をするために分担したのだった。
「実際、2ちゃんねるでもそういうスレがあった。」
「やめてくれ。俺達がただのSSの登場人物だと?本格的に馬鹿になったか?」
「この世界に来た時もお前、そう言っていたよな。」
三郎は口ごもってしまった。
「こうしていても、答えが見つかるわけもない。何より見つかっても仕様がない。
とりあえず、これからについて話をしよう。」
今度は三郎が頷く。
しかし、ガラスはすぐに片付けてしまえたため、二人はそれほど多くを話せなかった。





コルベールは、一人図書室で本を漁っていた。
才人達の紋章がどうやってもつなげられず、彼はそれらは違う紋章だと推測している。
ただ彼らの紋章の模様が過去に見覚えがあるため、こうやって調べているのである。
そして何時間も調べた結果、彼はある結論に辿り着こうとしていた。
彼は伝説などはあまり信じていないが、こうありありと現実を見せ付けられれば信じる気にもなる。
彼らの紋章は、始祖の使い魔のそれと酷似していた。
先の推測の根拠と、矛盾はしていない。
彼らの紋章を重ねると、始祖の使い魔のそれを三等分した形になるのであった。
「どういうことなのだ、これは?」
もちろん、彼の疑問に答えはかえってこない。
110 ◆pbp0.hg586 :2008/10/13(月) 20:00:45 ID:B1ZNiaKY
第二話終
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 17:42:00 ID:MALwl708
来てたー。乙
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 19:55:00 ID:sdUr7YUO
おおー投下来てる!
さすがラ板住人、メタ的な視点だな
GJ!
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 00:59:04 ID:La0n4jt7
乙です。
現実に引きずられて危険度の増したハルゲキニアマジやばい?
というか、軍板住人の常識が世界の法則に影響してるのかな。
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 12:11:02 ID:4uSbDo/9
そうか、爆発の威力が増してるのは軍板住民のせいなのか
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 16:03:56 ID:c/N8B5qk
とりあえずこの一言は必須だな

「ハルケギニア」じゃヴォケ
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 17:29:18 ID:kSQxnjzo
>>115
一度間違って覚えると、同じ文字列を再度見たときでも
脳が間違ったまま変換して受け入れてしまったりしてなかなか修正されないんだよな。
音として再入力されれば一発で直ったりするんだけど。
117 ◆pbp0.hg586 :2008/10/15(水) 20:24:38 ID:zphtQpFT
正直スマンかった
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 14:29:35 ID:zQEcoMdm
ライフリングとリボルバー式の銃くらいは頑張れば作れそうだよな
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 17:56:17 ID:E/YtQV3y
塩に錬金かけて塩素ガスを発生
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 15:19:06 ID:UaiFONNq
age
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 09:38:25 ID:QqkKO83Y
hosyu
122 ◆pbp0.hg586 :2008/11/03(月) 22:26:07 ID:PSPpUK8B
昼食も終わりそうな頃、才人と三郎は空腹に呻いていた。
才人は調子に乗ってルイズを馬鹿にし過ぎ、三郎はルイズと口論になって、二人共に昼食抜きになったのである。
朝も食事とは言えないほどの量だったので、これはこたえた。
そしてそんな二人の下に、女神が一人。
「どうしたのですか?」
「ああ、シエスタさん。昼食を抜かされてね、腹が空いてしょうがないんですよ。」
「あら、それはそれは。それでは賄い食になりますが、差し上げましょう。」
シエスタは机についた二人の前に、シチューを運んで来てくれた。
ここに来てから苦労続きの二人は、それを実に美味しそうに食した。
才人など感涙しかけた程である。
「さて、恵んで貰うだけというのは感じが悪いので、何か手伝えることはありますか?」
三郎は食べ終わるやいなやそれを提案した。
「そうですね。では食後のデザートを運んで下さい。」
二人はすぐに動いた。食べ物の恩は大きいものだから。
才人にシエスタとの関係を話されつつ、三郎達は仕事を完遂した。
全員の食事が終わった頃、今度は食器の片付けに従事している二人を、哲が見つけた。
「やあ、二人とも。何をしているんだい?僕も手伝っていいかな?」

そうして三人揃って仕事を終えた時に、今度はルイズがやって来た。
「あんたたち、主人ほったらかして何しているの?」
「善人へのボランティアです。お嬢様。」
言葉は穏やかに、視線は火花を散らして三郎とルイズが睨み合う。
「あんたたちは私のために働いてればいいの。」
「ええ。従者への甲斐性がない主人の名声のために働いていますとも。」
更に深くなる二人の谷間に、才人も哲も入る気も埋められる気もない。
才人は今後の身の振り方を、哲はいますぐのことを考えていた。

そろそろかな。
そう思い周りを見渡すと、予想通り彼が来た。
ギーシュ・ド・グラモン。
噛ませ犬にして、愉快な仲間達の一人。
彼がキザな台詞を言うと、ポトリとポケットから小瓶が落ちた。
才人がギーシュに呼び掛けるが、彼は反応しない。
少し試練を避ける誘惑にかられるが、これは必然なのだ、と思うと不思議に誘惑が引いていった。
そして現実は必然に流れていき、才人はギーシュと決闘をすることになった。
そこで僕は、とんでもないことに気付いた。
123 ◆pbp0.hg586 :2008/11/03(月) 22:27:25 ID:PSPpUK8B
「俺達はどうする?」
俺は哲に問う。
哲は答えなかった。逆に質問を返してきた。
「お前は、どう思う?どうすればいいと思う?」
「どうって、」
哲の質問に、俺も答えられなかった。
自分達が介入しなくても、ハルケギニアや才人達に、明るい未来は見えている。
介入したならば?
歴史が変わる。人々の未来を変える。
それは俺達のレーゾンデートルを問う質問だった。
もう最大の決断をする時なのか。畜生、畜生。
俺らが悩んでいる最中に、決闘は始まった。
才人はギーシュの青銅のゴーレム、ワルキューレに一方的にやられる。
やられてもやられても突進をやめない才人。
遂に見かねたギーシュが剣を大地に突き刺し、才人に取るように言う。
偉ぶるギーシュ。挫けない才人。見ているだけの俺。畜生、畜生、畜生。
口だけの、傲慢な人間。そんなのは嫌だ。絶対に、嫌だ。
そう思うと、体が勝手に動いた。頭は今までになく、醒めている。

「おっと。この決闘に、君は関係あるまい。」
剣を掴んだ三郎を、ギーシュが咎めた。
「俺達三人は一蓮托生だ。それとも、貴様のそのヴァルキリーとやらは、たかだか平民一人の加勢でどうにかなるものなのか?」
「ワルキューレ、だよ。いいだろう。口は一人前か。かかってくるといい。」
彼の加勢に、一番驚いていたのは才人だった。
先の自分の醜態を見ていただろうに、何故?
それに気付いた三郎は一言、
「本能と理性の意見が一致しただけだよ。」
それだけ言って剣を構えた。
ともかくも相手の許可を取った三郎は、口の端を釣り上げながら言う。
「しかしまあ、貴様のヴァルキリー。ヴァルハラに連れて行く、あの女神達に比べたら名前負けだな。」
ギーシュは眉をひくつかせて言い返す。
「平民には聞き取り難いかな?ワルキューレ、だ。
この決闘が終わったら、耳の治療も」
三郎はその言葉が終わる前に飛び出した。
と同時に、時間が凍結した。
124 ◆pbp0.hg586 :2008/11/03(月) 22:28:50 ID:PSPpUK8B
何だ、これは。周りが全く動いていない。俺もだ。
奴を挑発して、喋っている最中に飛び出して驚かせる作戦だったが、これはあれか、死ぬ直前のあれか?
くそ、混乱するな、冷静になれ。
なに、奴が動き出した?
俺も、周りの人も止まったままだぞ。
奴の右腕が二本になった?いや、違う。薄い方の腕、おそらくあれは奴の次の動きだ。
奴の動きを予測しているのか。これがガンダールヴ?
しかし、哲の言っていたのとは違うな。また別な能力があるのか?
答えの無い答えを追っていても仕方が無い。よしんばわかったとしても、か。
奴は二体目のワルキューレを召喚しようとしているらしい。意外と判断が早い。
くそっ、少しずつ時間が動き出してきた。
もううだうだしている暇は無さそうだな。一体目は目の前だ。
三郎は一体目を迂回し、続いて召喚された二体目に突っ込んだ。

彼の時間感覚は、まだ完全には元に戻ってはいなかった。
右腕で殴り掛かってくるワルキューレに、彼はカウンターで剣を突き立てる。
剣は右腕の付け根の間接に突き刺さり、握力の足りない三郎は剣の鍔からの手の骨を折らんばかりの負荷と、それに伴う痛みに耐えて体重を掛けた。
ワルキューレの右腕が千切れると、彼はすぐさま脇をくぐってギーシュへと駆ける。
しかしそこには三体目のワルキューレがいた。


駄目だ、止まれない。ええい、ままよ。

彼は剣をギーシュへと投げつけ、それを防御するワルキューレを尻目にギーシュへ突っ込む。
咆哮をあげ、渾身の力で彼はギーシュを殴り付けた。
もう一撃が無理なことはわかっていた。
四体目のワルキューレの拳を左腕で受けて大きく飛ばされた彼の目に、他のワルキューレがそれを待ち受けている様が入る。

ナイスコンビネーション。

そう思いながら、彼は防御した右腕の骨が折れてあばら骨までが軋む音を聞いた。
また飛ばされて地面に倒れ臥した三郎に、ワルキューレが歩み寄る。
「さあ、とどめだ。」
「僕を忘れて貰っては困るなぁ。」
それに、いつの間にか剣を拾っていた哲が立ちはだかった。
「ふぅ。さっきの二人の敗北を観てもまだ闘う気があるとはね。愚かな平民だよ、まったく。」
「哲。いや、止めても無駄か。」
緊張と恐怖が哲に襲いかかってきたが、彼は無視した。
125 ◆pbp0.hg586 :2008/11/03(月) 22:32:47 ID:PSPpUK8B
勝算など、ほとんど無い。けれど、彼にとっては何もしないことこそ敗北だった。
彼は引き返せない道を戻らない程には運命を受け入れるが、決定していない予想を受け入れない程には強情だから。
「絶対に逃げはしない。僕の存在を賭けて闘ってやる!」
小声でそう言ってぎゅっと剣の柄を握りしめると、ふつふつと力が湧いてくるのを感じた。
彼に、左手のルーンが発光している事に気付く冷静さは残っていなかった。
ただ、全身全霊を込めて剣を振る。それだけしか頭には無かった。
殴りかかろうとしてきたワルキューレに、右足を地面に叩きつけつつ袈裟懸けに剣を振り下ろす。
次の瞬間、ワルキューレは両断された。
今度は、すぐ横から来たワルキューレを薙ぐ。
うっかり剣の腹で叩いてしまうが、それでも十分過ぎたのか、くの字にへし折れて壁に叩きつけられた。
剣も折れてしまったが、哲は気にしなかった。
両脇からやって来たワルキューレの攻撃をかいくぐり、片方の片腕をむんずと掴んでもう片方にぶつける。
だが哲の奮闘もそこまでだった。
空からの突然の蹴撃を背後から右肩に受け、倒れてすぐにもう一撃を脇腹に受ける。
そして三郎と並んで地面に倒れ臥した。
ギーシュは決してただの噛ませでは無かった。
一体でもう一体を放り投げる位の連携は十分出来る。
三郎と哲の闘いを呆然と観ていた才人は、いつのまにか痛みが吹き飛んでいた。
「ちょっと驚かされたが、やはり平民ごときではね。」
そしてギーシュはまた驚かされてしまう。
才人が立ち上がり、ファイティングポーズをとっていたのだ。
そこで二人も立ち上がった。
「おい、お前は俺達以上に重傷なんだぞ。」
「そうよ!そんなじゃ無理よ!」
ルイズも説得に参加した。
「僕達は利き腕の骨折程度で済んでいるけど、君は何ヵ所にも及ぶ打撲なんだよ。これ以上は命の危険が」
「命がなんだ。俺はこいつを倒したい。」
哲達は説得を諦めた。声から滲み出る才人の闘争心は、並々ならぬものではなかったからだ。
「死にたいなら死なせてやろう。さあ剣をとれ。」
ギーシュがまた新たに剣を錬金する。
才人はそれをとると、真っ直ぐに突っ込んだ。
「右だ!」
三郎の叫びが才人の耳朶をうつ前に、才人はそれを感じて右を向いた。
するとそこには突っ込んでくる隻腕にされたワルキューレが一体。
才人は慣れた剣さばきでその片腕を切り捨てた。彼もまた左手のルーンの発光に気付いていない。
126 ◆pbp0.hg586 :2008/11/03(月) 22:37:13 ID:PSPpUK8B
「上だ!二体も!」
また三郎の叫びを感じた才人は、目の前のワルキューレを蹴り飛ばして一体目の飛ばされて来たワルキューレをかろうじて避ける。
しかし二体目は避けられそうにない。そこに哲が近くにあった手頃な石を投げた。
石は二体目のワルキューレの胴に食い込み、少し着地点をずらした。
そして才人が一体目を斬り伏せると、また叫びを感じた。
「前だ!最後の二体が!」
すでに残りの二体は至近に迫っている。
どうする?答えはすぐに提供された。
「動け!一体ずつ片付けろ!」
また感じた三郎の叫びに、才人はすかさず反応した。
才人から見て右に位置していたワルキューレの両腕を無駄のない動きで斬り捨て、蹴り飛ばす。
そして一旦離れ、最後の一体を腰の間接部で両断した。
「どうした、もう終わりか?」
剣を引き抜き、切っ先をうなだれたギーシュに向けた才人はそう言った。
その姿は、勝利者以外の何者でもなかった。





ルイズはただ、彼女のベッドで寝ている才人に祈っていた。

水も飲ませた、包帯も替えた。けど今日の夜もそれを済ませた後にずっとベッドの傍。
3日前、才人はギーシュと決闘して、勝った。
私は何度も何度も止めた。けどこの馬鹿、命も惜しくないようなことを言って、勝った。
「おい、三郎、哲さん。俺達魔法使いに勝ったよ。」
才人は、嬉しそうな顔をしてそう言った後に倒れた。
私はどちらかといえば不愉快だった。だって私の名前がないんですもの!
そう、あいつらは私じゃ出来ないであろうことをやってのけた。それが不愉快で、でも嬉しくて。
不意に扉が開けられる音がして、私は振り向いた。三郎だ。手に水の入ったコップを持っている。
ちなみに骨折はもう治っている。
「まだ目を覚まさないか。」
「うん。」
しばしの沈黙の後、私から静寂を破る。
「才人、このまま死んじゃったりしないよね?」
「さあ?熱心な看護が身を結べばいいけど。」
この男はいつも私の神経を逆撫でる!
「あんた!才人が死んでもいいの!」
「やることは全てやったんだろう。薬に、魔法。世話もしている。尿瓶扱っているの、誰だと思っているんだ?」
「でも!」
なんでそんな他人事のようにしているの?もっと心配してよ!
127 ◆pbp0.hg586 :2008/11/03(月) 22:42:17 ID:PSPpUK8B
「心配しても仕方がないしね。それとも、お嬢様がなんとか出来るんですか?まあ、何とかしたいようだけれども。」
私はむっと口を閉じた。
「それに。」
「それに、何よ。」
私がそう言うと、こいつは顔をにんまりさせながら言った。
「お嬢様の辛気くさい姿がね、もう、からかいたくて堪らなくて。」
「馬鹿っ!」
「ははは。もっと気楽にしようよ。暗い雰囲気じゃあ、才人が起きたときにびっくりしちまうよ。」
そう言って立ち上がったこいつは、嵌められたことが悔しくてむー、と閉口してしまっている私に言ってくれた。
「あと、甲斐性のある主人の姿が見れて嬉しいですよ。」
そんな彼に、私は才人の方を向くと小声で呟く。
「三郎…。今度はもうちょっとデリカシーが欲しいな…。」
「了解です、ルイズお嬢様。」
その言葉には、嘲りも侮蔑もなかった。
部屋に温かい空気が生まれて、私には不安が吹き飛ばされたように感じれた。

そのおかげというわけではないだろうけど、その後すぐに才人は起きた。
三郎は私にコップを渡すと、哲を呼びに行った。
三郎には、すぐ起きることがわかっていたのかな。いやそんなはずが。
ともかくそれを才人に飲ませた私は、にやけ顔をする才人におもいっきり説教することにした。
この胸のワクワクと嬉しさを抑えて。
128 ◆pbp0.hg586 :2008/11/03(月) 22:45:04 ID:PSPpUK8B
第三話終
時間がかかってすみません
それなのに、最後やっつけ感がするのももっとすみません
それでは
129名無しさん@お腹いっぱい:2008/11/04(火) 08:24:11 ID:LbZORXVX
乙です!
130名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 22:32:36 ID:Ms/pI3RS
乙!介入の影響でギーシュが強くなってるのにワロタw
131名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 23:59:19 ID:ngFn/O+h
乙です
感覚を加速する表現が面白いな
132名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 10:53:00 ID:KWpwZ04Z
>>130
むしろ、人間自体の耐久性能やら速度の限界がダウンしたんじゃ?
ガンダがあっても、超人的な上昇が得られないとか。
……あれ?今のままじゃフーケとかワルドに勝てなくね?
ロケラン性能がリアルならフーケゴーレムを再起不能に崩せるかな?
133創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 02:34:35 ID:X6vYRene
ほしゅ
134創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 22:17:55 ID:beIsYJWo
落ちたらヤダナ保守
135創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 10:10:00 ID:h58CXak6
砲手
136創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 11:50:41 ID:wiDSdeeC
hosyu
137 ◆pbp0.hg586 :2008/12/01(月) 17:11:34 ID:KwUVHTge
一応生存報告
保守してくれる人がいる限り、何としてでも書き上げて投下する
138創る名無しに見る名無し:2008/12/01(月) 18:00:34 ID:6fXZz+Oj
期待保守
139創る名無しに見る名無し:2008/12/01(月) 18:18:52 ID:GBMxDW76
おお!それは大期待
140創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 21:42:55 ID:g7isnI6O
141創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 16:57:46 ID:voLWNkiG
>>100
ごきげんよう蟹様。
こんなところでお会いするとはw

軍事板住人が異世界に召喚されて先ずやること、といったら恐らくは食い物(食い扶持)の確保でしょうね。
それも目の色変えて、それだけしかしないんじゃないかと思います。

自分の知識とか技能を生かそうと考えるのはきっとその後、飢える心配がなくなった後でしょう。

軍事板に長く居る住人ほど、兵站の確保を最優先に考えた行動を計画実行するんじゃないか?と私は思います。

「おいしいご飯と味噌汁があれば戦争に勝てた」なんてネタスレが長く続く、しかも確かにそうだと皆思ってる板
それが軍事板ですから。
142創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 17:01:29 ID:aUSI0Ddm
軍事板ってそうなのかw
143創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 03:42:49 ID:1LeCzqiV
軍板の食い物レスによるスレ埋め立て能力は異常
144 【army:610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 :2008/12/07(日) 08:46:39 ID:bBzVRp9v BE:40291283-2BP(1043)
>141さん ごきげんよう。
 一応前提条件として「ルイズかその他の魔法学院の生徒に召喚された」というのを前提に考えております。
そうでないならば、言葉もしゃべれるかどうかも判らないわけで、そうなりますと日雇いの労働者にすらなれませんから、
山賊となるしか生き残る術はなくなりますから。そして、山賊となっても魔法を使う騎士の討伐隊に追われるわけで、
まず確実に短時日で殺される事でしょう。
 言葉の壁はそれだけ厚いかと思っております。

 また、言葉がしゃべれましても、中世の食料事情と労働条件を考えますと、早い段階で腹を下して体力を消耗する
羽目になりますから、どれだけ早く身体が現地の食料事情に適応できるか、もあるでしょうね。

 というわけで、そうした下手にリアルな事を延々とつきつめていくよりは、面倒なところをすっ飛ばして「ルイズに召喚された」
という前提の下に話を進める方が建設的かと考えました。

 とりあえずルイズが魔法を使えない事で大きなコンプレックスを抱いている点を利用すれば、相当な待遇を確保できますから、
そこからいかに自分の地歩を固めていくか、でしょうね。
145創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 09:29:47 ID:T6MXUXBv
 いや、ほら、元は『ライトノベル』なんだからさ……。
 そこまでへヴィーに考えんでも、いいじゃないかと。

 ちなみに、酒造で儲ける場合は、ヤヴァイ混ぜ物を混入して、敵性国家に流通させるのですね。
 わかりたくありません。
146創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 11:15:30 ID:aFOeD9sJ
真面目に考察した作品はそれだけで素晴らしい
147創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 13:20:44 ID:aH8Xi5B7
なんだかワクワクしてきた
148創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 17:35:36 ID:bvnqohW2
つまりハルケギニアでLest Darkness Fallですね、わかります。
149創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 13:09:25 ID:4GanTYvM
言葉の壁は薄いぜ
別に使い魔として召喚されなくてもハルケギニアに来た時点で自動翻訳機能搭載されるし
150創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 00:11:53 ID:VTRuIFAs
保守
151創る名無しに見る名無し:2008/12/22(月) 01:02:00 ID:K3M2I5N/
ほしゅ
152創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 09:29:11 ID:Z8Hr+Puw
ほうしゅ
153創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 14:37:24 ID:XOrLuxvK
ほしゅ
154 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 22:54:26 ID:bC4SYe4X
ルイズが就寝した後の部屋で、ランプの周りでぐるりと三人だけの車座を組んでいた才人たちは、ギーシュと闘った時の不思議な感覚と力について論議していた。
哲と三郎はガンダールヴのおかげということがわかっているのだが、才人は当然知らないので論議という形で説明しようというのがまず一つの理由。
「とりあえずまとめよう。僕たちには、恐らくは魔法による不思議な能力が有る。」
かなりの時間と言葉をかけた後、哲はその言を発した。
哲の言葉を才人は頭の中で反芻し、そしてしかめっ面をつくる。
「魔法か〜。現実だとは思えないよ。」
「僕たちにとっては現実世界じゃあないのかもね。」
哲と三郎が哲学的な話に脱線していくことを、三郎が手を叩いて制した。
「そういう話は止めよう。哲学ほど不毛な物は無い。
哲にはゴーレムを一刀両断出来るパワーが、才人には武器を的確に動かせるカンが、俺には時間の感覚が遅くなる集中力と予測能力がある。
それをどう活かすか?それが一番大事なことじゃないか。」
三郎が今回の本当の議題を出した。
能力をいかに活かすか?
それは答えが容易には出ないことでありながら、今後のためにとても重要な要素なのである。
元の世界に帰る
155 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 22:55:35 ID:bC4SYe4X
厳粛に授業の行われている教室の中で、堂々と寝ている男が一人。才人だ。
最も、彼に教師が喋っていることの大半がわからないし、文字も読めないのでしようがない側面もある。
しかし、間抜け面に大口あけて爆睡される様は、確実に人から馬鹿にされるだろう。
それがルイズを苛立たせていた。
それを尻目に、哲と三郎がとても小さな声で話をしている。
「さてフーケとの闘いの事だけど。」
哲が、講義しているシュヴルーズの大きな声に隠すように言った。
もちろんしっかり聞き取った三郎は、簡潔に答える。
「作戦の立てようが無い。」
「それもそうか。」
この二人は付き合いはそれほど長くは無いが、それなりに心が通じた。
結局のところ、破壊の杖を使えばいい。わざわざ史実から離れる必要もなし。
ギーシュ戦でも才人が決めてしまったしね。僕らがでしゃばった意味がなかった気もする。
結論を出すと共に、授業終了の号令が響く。それが終わると、ミスシュヴルーズはとても大きな声で次の時間のことを告げた。
それにしても、何故教師はああ無駄に声を張り上げるのだろうか?声が大きいからって、生徒が聞いてくれる訳でもないのに。
才人みたいに。

「むにゃむにゃ。おいルイズ、寒いからってこっちのベッドに入ってくるなよ。むにゃむにゃ。」
才人の寝言に目を見開いたルイズが頬をはたき、小気味よい音が教室に響かせた。
寝ぼけ眼で辺りを見回す才人に、ルイズが笑顔で、しかしありありと怒りが見える表情でいい放つ。
「才人。あなた、今日は外で寝なさい。」
「えーっと、凍えて死ぬかもしれな」
「夢の中の私が暖めてくれるでしょ。」
「それは夢の話であって」
「反省が足りないようね。2日間に延長。」
「はい…。」
そんな様子を、哲がデレを早く見たいやと思いながら見ていた。
もっとも彼の一番のお気に入りは次回登場するタバサなので、あまり深くは気にしてはいないのだが。
156創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 22:56:44 ID:cBZFdArv
いきなり投下だと!?
支援
157創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 22:57:00 ID:cBZFdArv
 
158 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 22:57:36 ID:bC4SYe4X
昼。
焦り顔の哲は、足早に食堂に向かっていた。
もうそろそろで、昼食が始まってしまうからだ。
ルイズが分けてくれる分ではとても足りないので、彼は使用人達の食事を分けて貰っていたが、その代わりに彼らの手伝いもしていた。
彼らは対価を求めてなどいなかったが、やはり気が引けてしまうのだ。
そんな彼が角を曲がったところで、コルベールと学校長の秘書を勤めているロングビルと鉢合わせた。
「おお、君は。」
「な、なんですか?」
コルベールに話かけられて、焦りを深める哲。
その一番の原因は、どう対応するかという点にあった。
下手に歴史を変える様な事をしてしまったら、大変だ。
「他の二人は?あとミスフランソワーズは?」
「今は一人です。では。」
「まあ待ちたまえ。」
コルベールに引き留められて、哲は焦燥を顔に出そうかどうか考えた。
いや、それよりも手短に急ぎの理由を話す方がいい。
「君たちがかなり特殊な例だということは自覚しているね?」
「ええ。すみませんが用事があるのでこれで。」
「君たちの手にある紋章は、どうやら同じで、かつ別々の物のようなんだ。」
哲はその言葉に眉をひくつかせ、歩き出そうとする足を止める。
そしてコルベールの顔に向き直り、手伝いの事を忘れた。
「始祖ブリミルは知っているね?」
哲は頷き、先を促す。
「君たちの紋章は三分の一ずつしか発現していないように見えるが、始祖ブリミルの使い魔の紋章、それの九分の一ずつなのだよ、実は。」
哲はふと左手の甲を見た。なるほど紋章というには単純な図形だ。
三人召喚されて、発現した図形がちょうど三分の一の形をしているからそうなのだろうと、思考停止していたようだ。
彼は気付けなかった自分への自己嫌悪でいっぱいになりそうになり、ひとつため息をついて言った。
「他に重大情報は?」
「情報ではないが、重大な事だ。君はまた別の世界から来たようだね?」
哲は驚いた顔になった。まさかこんなに早く情報が伝播しようとは。自分たちはルイズにしか話していないはずなのに。
「ええ、そうですけど。」
それを聞いたロングビルが、先ほどからの驚き顔をもっと驚かせた。
コルベールは構わず話を進める。
159 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 23:01:43 ID:bC4SYe4X
「私が今やっている研究に、君の知識が何か助けにならないかと思ってね?ちょっと来てくれないか。」
「そ、それが重大な事ですか?」
「勿論さ!」
突然の話でまた違った困惑の表情を浮かべる哲に、子供の様な目をして断言するコルベール。
彼は哲の手を引っ張り、彼の研究室へと向かった。
彼の研究の内容は直感出来たが、それ助けつつ変な方向に向かわせないために、哲はいろいろ大変なことになるだろう。
さてこの珍事に、コルベールに食事に誘われていたロングビルとしては、呆れるばかりである。
人並みの下心を持っていても、未だに浮いた話が来ないのは当然だろう。
もっとも呆れたといっても、彼女にとってはマイナスではない。
彼女が明日決行すると決めた仕事の為に、計画して煮詰める時間が出来たのだから。
盗賊フーケとしての仕事、この学校の宝物室に収められた破壊の杖を手に入れること。
さきほどコルベールに厳重に守られた宝物室の突破方法を聞き出した。
校長から何度誘導を図っても破壊の杖そのものの情報は聞き出せなかったが、問題はない。
彼女は哲を見送りながらそう直感し、直感を論理にし始めた。
160創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 23:02:18 ID:cBZFdArv
161 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 23:04:20 ID:bC4SYe4X
その夜。
才人は当初はとてつもなく驚かされたルイズの部屋の水洗式トイレに寄らせて貰った後に、激昂したルイズ自らの手で外に叩き出された。
才人は数日前に、自分で馬小屋から持ってきて作った藁の寝床を廊下に置いて、心の中で大滝の涙を流しながら横になった。
寝床の製作には、勿論哲と三郎も手伝っている。
才人たちを「我らの剣」と呼んで尊敬する、学校平民従業員たちから毛布を分けて貰ったためそこまで寒くはないが、やはり辛い。
それでもやっと寝付きかけた時に、才人は手の甲に何か温かいものの接触を感じた。
滑りのあるそれが手の甲を這うと、すぐに正体を確かめるべく才人は起き上がる。
「ああ。キュルケっていう人の使い魔の、サラマンダーか。」
才人が安心してまた寝ようとすると、サラマンダーに服を引っ張られた。
あまりにしつこいので払おうとした才人をサラマンダーが離すと、今度は才人を見つめて歩き出した。
「ついてこいってことかな。」
才人はそう判断し、サラマンダーについていってルイズの隣の部屋、つまりキュルケの部屋のドアをノックした。
すぐにどうぞの声と共にドアが開かれ、才人は中の暗闇へすかさず入っていったサラマンダーを、追うようにして入っていく。
才人が部屋に入りきると、ドアが独りでに閉まり鍵の掛かる音がした。
才人がそれに驚いて振り返ると、暗闇に声が響いた。
「ありがとう、フレイム。ようこそ、才人。」
そして指を弾く音と共に、部屋の中にあったろうそくに一斉に火が灯った。

あのトカゲ、フレイムって名前か。かなり被りそうな名前だなあ。

才人が小さな違和感を感じつつそんなことを考えていると、キュルケが口を開いた。
「座って。」
才人はすぐに従った。
「ああ、私ったらいけない人だわ。でもあのルイズでは貴方を満足させられないでしょう。」
彼女が色気を帯びた声で才人を撫でまわした。
彼の目鼻の先にある、褐色の肌でもわかるくらい赤みのさした顔は、興奮に因るものに違いない。
それに加わり蠱惑的な、才人の知識に拠るとベビードールと呼ばれる服が彼の興奮を促す。
さらに少し薄暗く、チロチロとしたろうそくの火がより加速させると、彼の肌も赤みをさし始めた。
未だかつて、ここまで嗅いだことが無い女性の匂いも、一役買っている。
162 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 23:06:45 ID:bC4SYe4X
「いけないんだろうね。」
才人が適当に相づちをうった。
「ええ、ええ。でもこれを抑えることなど出来はしないわ。その名前は恋。」
キュルケは一度切って、才人の瞳を見詰めて続けた。
「私、貴方に恋しているの。貴方にいろいろしてあげたい。してあげられる。」
そう言って彼女は目を瞑り、才人に寄り掛かってくる。

ああ、なるほど。さっき感じた違和感の正体がわかった。
ルイズの部屋にはランプがあるし、この部屋にもランプがあるのに、わざわざろうそくが使われているんだ。
つまり、これは誘っているってことかな?うん、そうだ。

才人は安易に決め付けた。
本当であれば女性と縁遠い才人にとり、それはとてつもなく甘美なものだ。
しかし、彼には誘いに乗りたくない理由もあった。
それは何か?
実は彼は、先ほどルイズの部屋のトイレで自慰をしたばかりなのだ。
ルイズが激昂して叩き出した理由の大半が、それを占めている。

今ここでヤッて、なかなか勃たなかったり、ごく微量の一発でダウンしてしまったら!

男の尊厳の危機となる、そういうことだ。
なんとかして、上手い落とし所を見つけなければならない。
「この状況は、俺の思っているとおりの意味だと思っていいんだね?」
「そう思っていいのよ。」
「なら」
才人はキュルケの肩に手を乗せて、彼女の瞳をまじまじと見つめてから言った。
「文字教えて。」
「は?」
才人は、出来る限りとぼけた様子を出さないように続けた。
「いやー、契約のおかげで言葉はわかるんだけど、字がわからなくてさー。
ルイズじゃあ上手く教えてくれそうになかったけど、君なら上手く出来るんでしょ?」
いろいろしてあげたいし、してあげられるって、言ったよね。
才人はそう締めて、呆然としているキュルケに微笑んでみせた。
すると彼女も笑いだして、かろうじて了承の言葉をだす。
「いいわよ。」
「よかった。」
才人が、いろいろな理由から微笑みを深くした。
「ますます惚れちゃった。」
彼女が莞爾を伴わせてそう言う様は、才人の頬を赤くする位に魅力的だった。
163 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 23:09:06 ID:bC4SYe4X
それから一時間後。
キュルケは幾人かの男との約束をすっぽかしていたらしく、数人の男が鍵を無理矢理開けたり、飛んできたりして訪ねてきた。
そして彼女は、重複させていたことさえ人としてどうかと思わせるに飽きたらず、才人との時間を優先した。
彼女へ好意を持つ男達は一時的に身を引いたものの、才人が安心して明日から闊歩出来るかは不明だ。
それは才人にもわかる。なにしろ全員が全員、才人を怨嗟の目で睨みながら帰ったり、無理矢理追い出されたりしたのだから。
才人としては迷惑極まりない。
だがこの世界の男達に、女性に恨みの目を向ける習慣などない。

まあいいか、何せあれだけ自信満々だったギーシュを倒した位だし。

才人はその状況を楽観視しているが、覆らされるのはすぐだった。
「キュルケ!」
「あら、ルイズじゃない。」
また男かと思っていたが、今度はルイズがやってきた。もちろんドアから。
「なかなか羨ましい光景だな、才人。俺も美人さんの特別講義を受けてみたいね。」
「やだなあ、三郎。美人さんなら、君のすぐそばにいるじゃないか。」
そして三郎と哲もやってきた。
なんと彼らは、一瞬で状況を把握したらしい。
「いやいや、美少女じゃあ駄目なんだ。あくまでも艶っぽい美人じゃないと。常識的に考えてさ。」
「三郎!お前はわかっていない!」
論争というより持論を押し付けあう二人を尻目に、ルイズは目の前の二人に口を開いた。
「キュルケ!人の使い魔をたぶらかさないでくれる!」
「才人は使い魔である以前に人間よ。彼の意思を尊重してあげたら?」
彼女はキュルケには口ではかないそうもないので、才人の方へ矛先を向けた。
「私はいままであんたのことを人間と見なしてきたわ。」
「まて、それはない。」
才人の抗弁を気にせず、ルイズは続ける。
「けどこれからあんたは犬よ!ご主人様以外に尻尾を振っちゃって、このー!」
そうルイズは叫ぶと、才人を引っ張っていく。
「それにね!あの女はトライアングルクラスのメイジもたぶらかしているから、あんたそいつに八つ裂きにされるわよ!」
ギーシュはドットメイジで、メイジでも最低ランクであることを声を荒げて説明したルイズの苦労を、キュルケがぶちこわそうとする。
「大丈夫よ。私が守るから。」
才人から、首に腕を回そうとするキュルケを引き離すルイズ。
164 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 23:13:27 ID:bC4SYe4X
これって俺を巡って二人の美少女が争っているってこと!?

かたや才人の好みにこれ以上なく合致するルイズ。
かたやグラマーで妖艶な雰囲気を漂わせるキュルケ。
才人が幸せな悩みに浸っていつもの間抜け顔を見せているところに、哲と三郎が介入した。
「とりあえず夜も遅いし、今日はひとまず、ね。」
哲が三郎と争っていた空気を纏わせて、笑顔で仲介した。
はっきり言って、優しげな二枚目である彼の笑顔はかなり恐ろしげな雰囲気を背にしている。
三郎は才人の腕を、才人が呻く位の強さでむんずとつかみ、二人から引き離す。

リア充め!!

二人は、2ちゃんねるのノリを思い出してしまったらしい。

ゴゴゴゴゴ、と荒木ワールドな効果音が聞こえそうな中、ルイズの部屋で才人とルイズが小さく座っていた。
「ねえ、才人。」
「はいっ!」
哲が口を開いた。怒りがありありとわかる声だ。
才人はすっかり萎縮してしまっている。
「君の主人は、君のことを何と思っていると思う?」
「他の人間から点数を稼ごうとする駄犬であります。」
「うん。君はいままで、主人に何をしてきた?」

「パンツのゴムを弛めたり、顔にイタズラ書きをしたりしました。」
このエピソードは、割愛させてもらっているが、もちろん実際に起きたことだ。
「で、君の主人はそんな君を見捨てたりしたかい?」
「いいえっ!」
「ならなんで、あの状況であんな間抜け顔を見せたのかな?」
「ご主人様が私めの為に嫉妬していると思い込んだからです。」
「さて、これから君がやるべきことはなんだい?」
「ご主人様に謝罪し、以後ご主人様の事情と意思を確認してから行動することです。」
「じゃあ早速。」
「ルイズ様!すみませんでした!」
そうしたら哲は和やかな顔をして、声も優しくなった。
「よし。これからもよろしくな、才人。」
「ルイズもさ、才人につらくあたりたい気持ちはわかるけど」
今度は三郎が口を開いた。
165 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 23:16:48 ID:bC4SYe4X
「人の使役する者には、それ相応の気品と寛容さが必要なんだよ。正直外に捨てるというのは行き過ぎていると思う。」
ルイズは俯いて沈黙している。
「で、それがキュルケにつけこまれる隙になった。わかるね?」
ルイズは沈黙していたが、三郎は先を続ける。
「使い魔を盗られたくないならさ、ちゃんと人並みに扱わなきゃ駄目だよ。言ってみれば、今回は君の身からでた錆さ。」
ルイズは沈黙を破り唸り始めた。
「君はプライドが高いからね。仕返しには仕返しで返したくなるだろうさ。でもそれじゃあ、才人は本当に盗られちゃうよ。」
「わかってる、わかってるわよ」
「じゃあ、才人に何て言ったらいいのかもわかるよね。」
「許してあげるわよっ!もーっ!」
そう言って、ルイズは布団を被り隠れてしまった。
使い魔に説教されることも、作用している。
「あ、そうだ。才人の護身用の武器が必要なんだけど。」
哲がそう言うと、ルイズは小さな声で了承の声を出した。

どうやら二人は、一時の感情でこの世界の歴史を変えようとしているらしい。
しかし、以後二人はそのことを後悔することはなかった。
166創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 23:16:49 ID:cBZFdArv
167創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 23:17:31 ID:cBZFdArv
168創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 23:17:58 ID:cBZFdArv
169 ◆pbp0.hg586 :2009/01/18(日) 23:18:58 ID:bC4SYe4X
第四話終

皆様方、自分のつたない創作のための支援、保守。誠に感謝致します。
170創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 21:19:15 ID:Dmid0FEG
久々の投下乙&GJ
またゼロ魔熱が再燃したw
171創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 20:19:27 ID:dg6AG3eK
新作グッジョブ!
良識がぶっ飛んでる初期ルイズをうまく扱いましたな。
ガンダールヴの能力が三人にそれぞれ特化して分割されてると
これからの戦闘も変則的なものになりそうで楽しみです。
172創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 19:59:39 ID:Cqhd8joq
ほしゅ
173創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 15:45:04 ID:C9L6vcLF
保守
174創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 00:11:26 ID:ZUn+UwwB
ゼロの使い魔が好きなら、深夜のニュースは↓を見るはず。

●○◎ NEWS ZERO 6 ◎○●
http://c.2ch.net/test/-/tv/1220364269/i
175創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:16:50 ID:EyvHCHbC
ほしゅ
176創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 09:36:23 ID:rtqj1oWH
追いついた…だと…?
177創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 18:05:26 ID:enoUPmqy
2chネラーが召還されるネタ、続きが望めそうにないのなら
俺が最初から書いて……か、書いて……

できたら近日中に書くことができたらいいな
とかそういう風に思わないこともないという所存であり、
現在の私を鑑みると遺憾の意を表明するしかないのが残念であります

そんな感じです
178 ◆pbp0.hg586 :2009/03/30(月) 08:42:35 ID:6vzoBGqA
………4月には続きを投下できると思う
2月では3月に投下を目指していたのだが………
179創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 20:06:12 ID:1AomaQ72
おお、続きくるのかー楽しみだ
180創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 01:38:24 ID:RWtbQ3xO
ー-rクフ   ./jハ',.k'_0_ヾlヒミ、イ_0_ン`j.‐、... ‐v7   !'イ jハ',.k'_0_ヾlヒミ、イ_0_ン`j.‐、... ‐v7   !'イ
ー-‐'"   ,ィi  トヾ:t `´ jr 、、  `´ イハー-rクフ   ./jハ  トヾ:t `´ jr 、、  `´ イハー-rクフ   ./jハ
jj=_\.lト\ヘ,,_ミ|ミヾ   '`、'`_'     ハ|-‐'"   ,ィi/ j,!ヘ,,ミ|ミヾ   '`、'`_'     ハ|-‐'"   ,ィi/ j,!
k'_0_ヾlヒミ、イ_0_ヽ γ_,.二二..ヽ.  トミ'-、ヽ,jlヽt ヽγ ヘ,,  γ_,.二二..ヽ.  トミ'-、ヽ,jlヽt ヽγ
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ヽ γ_,.二二..ヽ. 、:ヽ `'ー-‐'" ´ ィjr 、、  `´ イハ∧! 、:  ヽ  `'ー-‐'" ´ ィjr 、、  `´ イハ∧!
ミ. '、v‐、... ‐v7   ヾ \   ̄  ,.イ:/'`、'`_'     ハ|V   ヾ \   ̄  ,.イ:/'`、'`_'     ハ|V
r 、、  `´ イハ∧  '`、'`_'     ハ_ヾlヒミ、イ_0_ン`j、} ∧  '`、'`_'     ハ_ヾlヒミ、イ_0_ン`j、}
`、'`_'     ハ| γ_,.二二..ヽ.   j'´ jr 、、  `´ イハ/ γ_,.二二..ヽ.   j'´ jr 、、  `´ イハ/
二二..ヽ.   jjリ;|,/!ム\|トミ'-、ヽ,jヾ  `、'`_'     ハ| リ;|,/!ム\|トミ'-、ヽ,jヾ  `、'`_'     ハ|
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181創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 00:03:18 ID:A8frfpPu
まだかしら
182創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 04:14:21 ID:JVae37AY
何も知らない純粋なタバサにトラウマになるくらいすっごくエッチなことしたい
183創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 22:12:22 ID:ES5gEBHw
あんな汚れ仕事やってる女がそう無知なわけでもあるまいよ
184創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 22:16:47 ID:/8Rpxrvt
そうとうエグイこととかもやらされてそうだよな
185創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:35:16 ID:5uQQIWdD
「それじゃタバサ…… いえ、シャルロット、昨日の続きね
お父様を殺され、お母様に毒を盛られたのを機に、あなたはジョゼフ王に復讐する事を決め……
人形に因んでタバサを名乗り始めたってわけ?」

「あの頃、私はまだ、ただのシャルロットだった
タバサになったふりをしているシャルロット
自分がタバサだと思い込んでただけ
経験が浅くて
甘かった」

「数年前の誘拐事件
あなたは知らないと思う
さらわれたのは6歳の女の子
犯人は貴族の娘だと勘違いしてた
馬鹿
父親は馬丁で文無しだった

何日待っても脅しが来ない
小さな子供が怯えてるかと思うと落ちつかなかった
だから任務の合間に調べる事にした
必ず連れ戻すと約束して

悪党を十何人も大怪我させてやっと居場所がわかった
王都の貧民地区の廃墟
物騒な所 腐った木と布団の臭いがした

夕方には場所に付いたけど明かりは無かった
裏の空き地から物音が聞こえた
番犬
2匹の大きな犬が骨を取り合ってた
私には気付いて無い
裏口は諦めて正面から入った
186創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:36:12 ID:5uQQIWdD


暖炉には焼け残った下着
台所には大仰な刃物と血糊
犬を見ると、かじられてる骨は靴をはいていた


……
犬を刺し殺した
ぬるま湯みたいな嫌な温かさの血を浴びた
「お母様」とうめいて目を閉じたのはシャルロットだったけど

目を開いた時、私はもう タバサだった」

「帰ってきた犯人を鎖で縛り付け、目の前にのこぎりを置いてから油を撒いて、廃墟に火を付けた
外に立って炎を眺めた

一時間見ていたけど 誰も出てこなかった」

「汗ばみながら火を見てた
胸の返り血が、怖い地図みたいに思えた
清められるのを感じた
暗い大地が動いてるのを感じた
赤ん坊みたいな声で鳴く猫の鳴き声を聞いていた

人間の脂が燃える煙が空に立ち昇るのを見て
天国なんか無いと思った
闇がどこまでも続くだけ
私たちは孤独

訳も判らずに走りまわり、あとで理屈で説明をつけるしかない
虚無から生まれ、人生という拷問に我慢して、それからまた虚無に帰る
ただそれだけ

世界は偶然の塊
パターンなんて見るものが自分の空想を押し付けただけ
本当は意味なんて無い

この最低の世界を作ったのは超越した力じゃない
子供を殺したのは神では無いし その死体を犬に食べさせたのも運命なんかじゃない
私たち人間
人間の仕業」

「煙の中で私の胸に残っていた最後の希望は無くなった
私はお姫様のシャルロットから生まれ変わり、無意味な白紙の世界に自分の考えを記そうと決意した
それがタバサ

あなたの疑問に答えられた?
キュルケ」
187創る名無しに見る名無し:2009/06/21(日) 14:48:36 ID:DbiRGRep
test
188創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 20:13:33 ID:Y4wDrLWu
>>185
どっかで見たことあるなと思ったらウォッチメンかw
189創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 04:25:05 ID:9ftQIoXm
元ネタだとタバサとキュルケはそれぞれ何てキャラ?
190創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 21:39:33 ID:pdnvhy7t
ロールシャッハと精神科医
191創る名無しに見る名無し