ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第三部

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1名無しさん@お腹いっぱい。
このスレはジョジョの奇妙な冒険のキャラクターを使ったバトロワをしようという企画です。

まとめサイト
http://www10.atwiki.jp/jojobr2/

したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11394/
前々スレ ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第一部
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1212171472/
前スレ  ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第二部
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1212967001/

2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 12:21:15 ID:4nbvQZZn
【第一部:ファントムブラッド】8/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/○ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/●ダイアー/○黒騎士ブラフォード/○タルカス/●ワンチェン/
●ジャック・ザ・リパー

【第二部:戦闘潮流】6/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/○シュトロハイム/●リサリサ(エリザベス・ジョースター)/●スージー・Q/
○ドノヴァン/●ストレイツォ/●サンタナ/○エシディシ/○ワムウ/○カーズ

【第三部:スターダストクルセイダース】14/15
○ジョセフ・ジョースター/●モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○エンヤ婆/○J・ガイル/○ンドゥール/
○オインゴ/○マライヤ/○アレッシー/○ダニエル・J・ダービー/○ヴァニラ・アイス

【第四部:ダイヤモンドは砕けない】10/12
●東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/○広瀬康一/○山岸由花子/○岸辺露伴/
●矢安宮重清(重ちー)/○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影

【第五部:黄金の旋風】13/15
○ジョルノ・ジョバーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/●トリッシュ・ウナ/○サーレー/○ホルマジオ/○プロシュート/○ペッシ/
●ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ

【第六部:ストーンオーシャン】 11/15
○空条徐倫/●エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
○エンポリオ・アルニーニョ/●ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/●ラング・ラングラー/●ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ

【第七部:スティール・ボール・ラン】 8/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/○マイク・O/●オエコモバ/
○スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/○ミセス・ロビンスン/
●ベンジャミン・ブンブーン

【残り70人】
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 12:24:16 ID:4nbvQZZn
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
開催場所は、荒木のスタンドで作られた異次元世界であり、外に逃れることは不可能である。
開催場所は、杜王町ベースのJOJOワールド。
MAPはこちら>http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index.html

【首輪と禁止エリア】
プレイヤーは全員、荒木のスタンドで作られた首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない。爆発後にC・ダイヤモンドで治す等は不可能)
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、荒木にプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
また、プレイヤーには説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は荒木に筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。

* 荒木が放送で指定した禁止エリア内に、プレイヤーが入ったとき。(首輪が自動で爆発)
* 首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
* 24時間で、一人も死者が出なかったとき。(全員の首輪が一斉に自動で爆発)
* プレイヤーが、荒木に不利益な行動をとろうとしたとき(荒木本人がスイッチを押すことで、手動の爆発が可能)
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 12:26:00 ID:4nbvQZZn
【主催者】
荒木飛呂彦。ジョジョロワ1stの荒木飛呂彦とはまた違う荒木である。

【参加者】
参加者は、上記の通りこれ以上の増員は絶対に認められません。
参加者の容姿、記憶、能力は、そのキャラクターを最初に書いた人に委ねられます。
(例:ディオ・ブランドー:ラグビー終了後 ジョルノ・ジョバーナ:ブチャラティに会う前)
そのキャラクターを最初に書く人はいつから来たのか明言を、
続けて書く人は前の話をよく読み時間軸の矛盾が起こらないように注意してください。
また、「作中で死亡したキャラクターが生き返った」は無しです。
あくまで死亡する前の時間軸から連れてきただけになります。
(例外として、殺されたのに永遠に死ねないディアボロがいます)

【能力制限】
スタンドは、スタンド使い以外でも視認可能。ただし、接触・破壊はできない。
柱の男は、頭を潰されれば死ぬ。
肉の芽、GER、バイツァダスト、メイド・イン・ヘブンは使用不可能。
カーズの究極生命体化も不可。

【支給品】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給される。
「食料(パン数個)」「飲料水」「懐中電灯」「開催場所の地図」
「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」 「デイパック」「名簿」「ランダムアイテム」
以上の9品。

【ランダムアイテムについて】
「ランダムアイテム」は『ジョジョ作中に登場するアイテム』『日用品』『現実の武器』等から選択。
猫草、ココ・ジャンボなどのスタンド能力を持つ支給品を登場させてもOK。
『参加者に能力を付与してしまう可能性』のあるアイテム、
つまり石仮面・弓と矢・聖人の遺体などは不可。

5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 12:27:16 ID:4nbvQZZn
【予約】
キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
例 【予約】:空条承太郎、ディオ・ブランドー
期間:予約当日から三日間。予約期間後は、他の人が予約または投下してもOKです。
予約しなくても投下することはできますが、
その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
予約制度
@期間→1週間。その後は他の人が投下してもOK(一言断って貰えると助かる)。
A権利→本編で2作以上採用されている作者のみ。新人はまず2回採用を目指そう。
B途中報告→2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回。
C間に合わなかったときのペナルティ→次回だけ予約の期限が3日以内に。
{間に合わなくても、投下しても構わない。その代わり、なるべくお早めに。
その際も、途中報告をちゃんとする。}

【トリップ】
投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
書き手は必ずトリップをつけてください。

【投下宣言】
投稿段階で被るのを防ぐため、
投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。

【キャラクターの参加時間軸】
このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは
「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。

【ステータス】
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表す
ステータスを書いてください。
テンプレはこちら。
【地名・○○日目 時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名】
[スタンド]:『名前』
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
      複数可、書くときは優先順位の高い順に)

【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 12:28:54 ID:4nbvQZZn
どうも、クラウンから移転してきましたジョジョの奇妙なバトルロワイアル2ndスレです
住民の話し合いの結果こちらの方に移住する事が決まりました
既にこの板にはいくつかのロワスレが立っているので、そちらの方とも仲良くやってゆきたいと思います

この企画を初めて見る方はまずwikiで今までの話を全話見てきてください
当企画はリレー形式でやっているので書き手様を常時募集しております
今までの話を読んでなんとなく面白そうだな〜と感じた方は是非是非、書き手として参加してください
SS書きの初心者でも大歓迎なのでどうかよろしくお願いします
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 12:38:32 ID:LdXtNasg
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 13:05:38 ID:R8G12JGk
最高に乙って奴だァーーーーッ!!

しかしこのスレには安価式アニメロワが先にあるからな
リレー形式のパロロワとの軋轢がないか少し心配ではある
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 16:58:41 ID:0BloMonD
乙。
テンプレの参加者間違いだらけだよ〜
マライヤとかジョバーナとか。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 17:39:33 ID:4nbvQZZn
すまん、前スレでその辺の訂正案が出てたのをすっかり忘れてた
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 18:27:11 ID:Kl837wfW
乙!!
試験的な移転だからまたーり行こうぜ。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 18:27:47 ID:wMWUab1t
ジョジョロワなんてのもあったんだ
移転してきたスレは2つめかな

創作発表板にいらっしゃい
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 20:11:28 ID:0BloMonD
ガイルwwwよりによって爆心地に飛ばされやがったwwwwww
14 ◆FoU.wbC/ko :2008/08/31(日) 20:51:30 ID:xYbQqofC
乙です!!

それと、したらばの一時投下スレにティッツァーノ・ヴェルサスSSを投下しました。
移転一発目の投下はプレッシャーなので、矛盾点など指摘お願いしますw
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 21:10:42 ID:5Rg/XDjk
仮投下GJ!
面白いですねぇ! そうかケンゾーを掘り起こす手があったか……制限も悪くないかと。
地図をもう一枚出すってのもいいアイディアですよ。届きそうで届かない感じがグッドです。

でもこいつら弱えw
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 21:39:38 ID:Rt4v++MU
そもそもヴェルサスはスタンドを具現化できたっけぇ?
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 21:46:03 ID:1L7uZukN
ウェザーのDISKを掘り起こしてたから出来るんじゃね?
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 21:46:50 ID:5Rg/XDjk
>>16
原作で無理とは言ってないね。
◆FoU.wbC/ko氏はガオンされたケンゾーだけを掘ったぽい。
会話してたドラゴンズドリームの姿と声はでてないみたいだし。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 21:57:46 ID:5Rg/XDjk
そういやウェザーのDISKは本物だったか
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 23:08:00 ID:H3BJqjyp
そういう議論っぽいのは向こうでやればいいのか、こっちでやればいいのか
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 23:25:34 ID:R8G12JGk
短く済むんだったらこっちでいいとおも
難航しそうな話は議論で
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 00:16:14 ID:IjL9DHlq
仮投下中なら向こうの方が指摘内容を確認しやすいかもね
あっちで呼び掛けてるんだし
23 ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 14:24:12 ID:YXbZP7N/
>>15
ありがとうございます。
ティッツァーノも頭脳タイプっぽいですが、承太郎やアブドゥルほどには思えないんですよね。

>>16-19
どうなんでしょう?
「早人の奇妙な冒険〜愉快な人外達with野球帽」のSSの中で、エンポリオ達が
・ヴェルサスの呼び出したスポーツマックスはスタンドを使わなかった
・スタンドは精神エネルギー。それを他人が再現することはできない

との考察をしており、なるほどと思いそのまま使わせてもらいました。
なので「スタンド再現は不可」というのは荒木による制限ではなく、もともとの能力と考えていましたが……

>>20-22
どちらでも大丈夫ですよ。一応両方とも目を通しているので……
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 17:53:50 ID:GMa+jI9I
ぶっちゃけて言えば、作者がそこらへんハッキリさせないうちにヴェルサス死んじゃったからね。
ただ、ヘビー・ウェザーやボヘミアン・ラプソディの効果を見る限り、「最初から具現化できない」で合ってるかも。

それをスタンド本体が知らないっていうのは、目覚めて間もないからしゃーないけど…
すごく間抜けなハナシだよな。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 19:30:54 ID:s8o5ArS7
しかし大人数予約が三つも来るとwktkするよな
更に、そのうちの二つはメンバー全員がマーダーだというwww
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 19:35:39 ID:6lE/o+m2
確かにここまで揃うと壮観だw
6時間の間でみんな血の気多いよなぁ。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 19:42:24 ID:GbY9Loqz
うまくいけば明日は一気に2つ・・・
読み手達よ(支援の)覚悟はいいか?俺は出来てる・・・
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 20:23:05 ID:AzZTtmjf
ところで一つ質問なんだが、吉良の角砂糖爆弾。
あれって角砂糖を砕いて砂にした状態でも爆弾としての機能役に立つのか?
それとも砕いたらその瞬間爆発する?

戦術としても、ただ角砂糖を投擲して爆発させるのと、砂状にして相手にかけて爆発とでは
爆破効果範囲とか相手の回避率とか大分違うと思うんだが……。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 20:41:23 ID:HGn0vwmK
他ロワの漫画ロワでは可能だった
ちょうど毒薬みたいな感じで使ったみたいだよ
30 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/01(月) 20:44:13 ID:tQ6O/DiJ
途中報告です。大体出来上がってます、7・8割と言ったところです。
が、盛り上がってるところ、水を差すようで申し訳ないのですが一時投下させてください(汗

うまくいけば今週の金・土曜日にはこちらに本投下できそうなので…どうかお願いします
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 20:51:46 ID:GbY9Loqz
>>30
了解です。待ってま〜す。
ところで・・・その〜〜・・・・一時投下はいつ頃出来そうですかね?
もう楽しみで楽しみで、あの面子のSSをずっと考えてたら・・・その・・・フフ・・下品なんですが・・・勃(ry
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 20:56:06 ID:GMa+jI9I
吉良吉影は空気のカタマリを爆弾にしていたな。
ならば答えは「爆弾になった物は散らばらない」だと思う。
コーヒーに入れて溶かしても、溶けてるのに解けない謎のカタマリが爆弾として出てくるはず。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 21:18:46 ID:8saYEpjo
空気弾は潰れなかったけど真っ二つには切れたし、
各個人解釈の仕方によると思う。

そもそもスタンドは精神ができると思えばできる!できないと思えばできない!
ってそういうもんだし
34 ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:37:02 ID:YXbZP7N/
それでは、ティッツァーノ・ヴェルサス投下します。
35暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:38:14 ID:YXbZP7N/
(さてさて、どうしたものかな……話に応じてくれればいいけれど)

今、遺跡の角に隠れている男の名はティッツァーノ。視線の先には1つの人影があった。
誰かに会ってみようと他の参加者を探してここまで来たが、いざ遭遇すると迷いを感じていた。
相手はゲームに乗った殺人者かもしれない。楽観的だった彼も、さすがに神経をとがらせていた。

(暗くてよく見えないが……首輪をつけているみたいだし、参加者だろう。
 しかしあれは……老人?あんな人まで参加させられてるのか?
 いや、だからと言って油断はできないな。もしかすると強力なスタンド使いかもしれない……)

しばらく観察していたが、相手が動く様子はない。何か独り言をしゃべっているようにも見えるが……?
このままでは埒が明かない。ティッツァーノは意を決して、老人のほうに近づき自ら声をかけた。


「ああ、すみません……あなたも参加者ですよね?」
ゆっくりと、老人がこちらを向く。ここで刺激してはいけない。

「全く、ここは変なところですね……イタリアの遺跡ばかりだが、どう見てもこの町はイタリアではない。
 さっきは大きな流れ星のようなものも見えましたし……あなたも見ましたか?」

……なにも喋らない。ただ、胡散臭そうにこちらに視線を向けている。
警戒されてしまったのだろうか?
持っていた傘を地面に放った。両手を上にあげ、敵意がないことをアピールする。

「見ての通り、こちらには戦う意思はない。できればお互いに知っていることを話しておきた…………ッ!?」


突然の事態に、ティッツァーノは全く反応できなかった。
遠目では弱々しく見えた老人。そんな相手が、まるで若者のような俊敏さで飛びかかってきたのだから。
思い切り突き飛ばされて地面に転がるティッツァーノの上に、なおも老人ははい上がろうとしてくる。

「くっ!?ま、待ってくれッ!!俺は何も持ってないし、攻撃するつもりも……」
「ワシは復活するのじゃぁッ!40年!40年この時を待っていたのじゃ!
 そんなワシが『大凶』の方角にいる!?そんなはずはないッ!ワシは、ワシはッ……!」


こちらの言うことには耳も貸さず、意味不明なことを必死でわめく老人。
もはや話のできる相手ではない。ティッツァーノは渾身の力で老人を払いのけた。

「い、いやじゃアアアァァ!待ってくれ、ワシは……」
36暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:39:44 ID:YXbZP7N/



     ガ オ ン ッ  ! !


石造りの遺跡に響き渡る不気味な音。
次の瞬間、老人の体は跡形も無く消えていた。

「……ッ!?」

とっさのことだったが、直感で危険を感じて後ろに飛び退くティッツァーノ。

(これは……まさか、スタンド攻撃かッ!?いったい、どこから……!?)


落ちている傘を拾い、剣道のように構えたままジリジリと後退する。
次に攻撃されるのは間違いなく『自分』だ。その攻撃を見極めようと右か、左かと周りを見回す。

(どこだ……?いったい、あの攻撃は、どこから……)


全神経を集中させるが、何一つ物音はしない。
ただ自分の鼓動だけが、やたらと大きく聞こえてくる。

訝しがりながらも、足音をたてないようすり足で後退する。

(……?消えた……のか……?)

ゴクリと唾を飲み込み、傘を握る手を緩めかけた、その時


    ドンッ

      ・・・・
背中に感じたその感触は、明らかに石造りの壁ではなかった。


誰かが、いま、後ろにいる


「う、うわあああああああああああっ!」

その瞬間、夢中で傘を後ろに振り回した。バシッ、という音が響く。

「うぐぉぉぁっ!?」

男が声をあげて石畳の地面に倒れこむ。その背中に、なおも2度、3度と傘を振り下ろすティッツァーノ。

「ハァ、ハァッ……こ、このっ……」
「うがぁっ!い、痛えっ!痛えなチクショウッ!!
 くそ……ま、待て!俺は戦う気はない!話を……」
「ハァ、ハァ……ふざけるなっ!あの男を消したのはお前だろうっ!?
 それを、ハァッ……『戦う気はない』だと!?ふざけるのも……」
「ち……違う!あのジジイは誰かに消された!
 俺のスタンドはそれを掘り起こして再現しただけなんだよ!!」

再び傘を振り下ろそうとした手が、ピタリと止まる。

「再現……だって?」
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:40:05 ID:nJjIneEg
 
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:40:07 ID:GbY9Loqz
これは支援だ・・・規制に打ち勝てと言う・・・支援と俺は受け取った!
39暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:42:02 ID:YXbZP7N/


       ★   ☆   ★



10分後。そこには並んで腰をおろした二人の姿があった。
「なるほど……それで、そのスタンドの能力を確認していたと?」
少し離れたところで付近の様子を観察しているスタンドの方を見ながら聞いた。

「イテテ……ああ、何故だか『アンダー・ワールド』の能力が使えなかったからな……
 そんであそこに行ったら地面を掘れたんで見ようとしてたら、急にあんたが来たんで、それで……」
「物陰に隠れてた……ってわけですか」


過去の出来事を地面から掘り起こせる、という能力がこの男のスタンドらしい。
すぐに連想したのは、ブチャラティチームのアバッキオ。確か似たようなスタンドを持っているはずだが……

「ったく、人の話を聞こうともしねーで……
 大体、俺があのスタンド使いだったらどうするつもりだったんだ?」

全くだ。さっきまでの自分を思い出し、思わず笑ってしまう。
必死で傘を振りまわすその姿は、傍から見たらさぞかし滑稽だっただろう。

「それで……ええと、まだお互い名乗っていませんでしたね。
 わたしはティッツァーノと言います。あなたは……?」
「ん……ああ、俺はヴェルサス。ドナテロ・ヴェルサスだ。」
「ヴェルサス……それで、何かわかったことは?さっきの老人は一体?」

ヴェルサスはため息をつく。

「それがよ……何故だか知らんが、掘れるのはここ1時間ぐらいのことだけみたいだ。
 それに、どうも他人のスタンドは再現できないらしい。あのジジイも何かにしゃべりかけてたみたいだし、スタンド使いだとは思うが……」
「確認はできない、ということですね。なるほど……」

1時間ぐらい、というのはこのゲームが始まってからということだろうか。そんなことを考える。
しばらくの沈黙。やがて、ティッツァーノは一番聞きたかったことを口にしてみた。


「……それで、あなたはこれからどうするつもりなのですか?」
急に質問を振られて戸惑った様子を見せるヴェルサスだったが、すぐにいらだたしげにそれに答えた。

「どうって……決まってるだろ!?こんな馬鹿げたゲームで死ぬなんて御免だッ!!
 俺はこれから幸せになるところなんだ!なんとしてでも脱出してみせるッ!」

口調が荒くなるヴェルサス。

(事情は知らないが、どうやらこの男も『まともな』人間、って訳ではなさそうだな……
 しかし、それにしても……)


「えーと、あなたのことは何も知りませんが……
 あなたも一度死んでここに来た人間……ですよね?」



「……」
「……」

再びの沈黙。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:42:50 ID:hWi06K4g
 
41暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:44:28 ID:YXbZP7N/



「ちょ、ちょっと待て!何言ってんだ!?俺が一度死んだ、だと!?」
動揺するヴェルサスと、むしろその様子に困惑するティッツァーノ。
「え?ええ……違うのですか?
 ここは地獄で、我々は死んだからここに来たものと思ってましたが……」
「ば、バカ野郎!!そんな訳……」

(ない……よな?だって俺は、病院の下の穴で徐倫達と戦っていて……
 ええと……そうだ!あの神父のヤローのせいでしくっちまって、それで一か八かウェザー・レポートの記憶DISCを投げたんだ。
 それから、俺は……ええと、それから……?)

そこでプッツリと記憶が途切れている。

(まさかあの時、徐倫にやられた……?
 いや、ずいぶん離れていたし、それはないだろう。
 じゃぁまさか、あのエセ神父が後ろから……?)

「……いーーーーーーや!絶っっ対違う!」
「はぁ……本当ですか?」
「な、なんだよその目はッ!
 だいたい、何でンなこと言い出したんだ!お前は何で死んだって言うんだよ!?自信あるんだろうな!?」

ムッとした様子でティッツァーノが答える。
「疑ってるんですか?スタンドとは言え、銃弾をあれだけ喰らって生きてられるわけありませんよ」
「な……銃弾だとぉ?おまえ、何でそんなことに……」
「話すと長くなるんですが……まぁ、ギャングの抗争、とだけ答えておきましょうかね……」


「……」

三度目の沈黙が訪れた。



       ★   ☆   ★



「なぁ、ところでよぉ……」

地図とにらめっこするティッツァーノに、ヴェルサスが声をかける。

「なんでしょう?」
「あんたのスタンド、まだ見せてもらってないぜ?
 こっちは名前も能力も教えたんだからな?、フェアにいこうぜ、フェアに」

能力を他人に教える。
スタンド使いにとって、それは一歩間違えれば死にも繋がりかねない行為である。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:45:23 ID:hWi06K4g
 
43暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:45:49 ID:YXbZP7N/

(いつもなら初対面の人間に能力を教えるなんてことはしないが、こんな状況では仕方がない。
 今はこの男と助け合うしかなさそうだし、お互いに『信頼』することは大切だからな……)

ヴェルサスの鼻先に、指でつまんだ自分のスタンドを差し出す。

「……なんだそりゃ?」
「『トーキング・ヘッド』。能力は相手に嘘をつかせることです。
 もっとも、どうにかして相手の舌にくっつけないといけないんですが、ね……」

それを見て、頭を抱え込むヴェルサス。

「なんだよそりゃあ……そんなんでどうやって戦うんだよ……
 俺の『アンダー・ワールド』は弱くなってるし、どうしろってんだよチクショウ!」

……ああ、戦力を求めていたのか。
残念ながら『トーキング・ヘッド』は戦闘型ではない。
あくまで戦うのは『クラッシュ』、それを『トーキング・ヘッド』がかく乱して援護する。それが今までのやり方だった。

「支給品は確認しましたか?何か武器が入っているかも」
「ああ、とっくに見たよ……地図と名簿と食いモンと、あと紙が何枚かだけだ……」

言いながら、自分のバッグを開いて見せる。ティッツァーノはその中から折りたたまれた紙を取り出した。
「これ!この紙ですよ、これを開くと中から支給品が出てくるんです」
「なっ……マジかよ!?オメー、そういうことは先に……」


言うが早いか、紙をひったくるように取って開くヴェルサス。すると、中から地味な色の箱が現れた。

「んっ……何だこりゃ?」箱の表面のひもをほどき始める。
「気を付けてくださいね、何が入っているか……」「わ、分かってるよ……」

恐る恐る蓋を開ける。「ん?」「ああ?」
出てきたのは、どう見ても武器ではない。笹の葉に包まれた、肉料理だった。
ヴェルサスは一切れ取って、クンクンと臭いを嗅いでから口に入れる。

「……こりゃ牛肉だな。ローストビーフみてぇだが、食った事ねえ味だ。
 あと、かすかに豆の味がする。良く知らんが、アジアとかそっちの国の料理……
 って!武器が出てくるんじゃなかったのかよ!?」
「……武器が出てくる、とは言ってませんよ。
 現にわたしのは傘とマンガ、有名人のサインでしたから」

深く溜息をつきつつ、蓋をしめて2枚目の紙を開けるヴェルサス。
ところが、次にでてきた物を見てその顔にはニヤリと笑みが浮かんだ。

「それは……拳銃?見たことない型ですが……」
「なんだぁ、知らねぇのか?こりゃぁテイザー銃だよ。
 ポリ公が威嚇のときに使うやつだ。撃つと弾の代わりに針が飛んで相手を麻痺させる。
 まぁ、拳銃型のスタンガンってことだ。『バットマン』でも使ってたぜ?」

ヴェルサスの話によると、これはあくまで犯人確保のために使う物らしい。
つまり、あたると数分間気絶させるほどの電流を流すが、殺すほどの威力はない。
また一発撃つと針がなくなるので、カートリッジを交換しないといけないという。
なかなか不便ではあるが、今の二人にとっては命綱と言っていいだろう。

「ヴェルサス、紙はこれだけですか?」
「ん?紙はこれだけ……ああ、そういやもう1枚あったかな、ほれ」

3枚目の紙を開けると、また何重にも折りたたまれた紙が出現する。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:45:59 ID:GbY9Loqz
規制という物は・・・支援しても・・・石の下から・・・ミミズの様にはい出てくる・・・
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:46:11 ID:hWi06K4g
 
46暗闇のかくれんぼ ◆GBgDlD6OXI :2008/09/01(月) 23:46:49 ID:YXbZP7N/

「ん、こりゃあ地図か?大きさが違うみてぇだが……地図ならもう持ってるっつーの、これもハズレかよ」

すっかり興味を無くした様子のヴェルサス。しかし、ティッツァーノはしばらく眺めた挙句、ニヤリと笑みを浮かべた。



「そうでもなさそうですよ、ヴェルサス……これを見てください」
そう言って、自分の地図を一緒に並べる。

「いいですか?こっちが2人に配られた地図……たぶん全員に支給されているのでしょう。
 それで、こっちが今出てきた地図です。……なにか気づいたことは?」
「なにかって……最初のはベネチア運河があったり、タイガーバームガーデンがあったり、めちゃくちゃだぜ。
 こっちのはただの地図だ。普通のな。」
「ええ、そうですね。これは『普通の』地図です。
 ところがこの海岸線、それからこっちの湖の形を比べてください。」
「ん?海岸に湖……こりゃぁ、同じ形か?」
「ええ、そうなんです!縮尺が違うので、分かりにくいですがね。」
「なるほど……すると、こっちが正しい地図ってわけか。
 そうだよな、こんなでたらめな町あるわけが……」

そう言いかけたのを、ティッツァーノは首を振って制止する。

「いいえ、違います。あっているのは、この最初の地図ですよ」
「なっ……何言ってんだよ!?誰がどう見たって、こっちの方が正しいだろ!?」

予想外の言葉に、いきり立つヴェルサス。

「そうなんですがね……いま我々がいるのはこの<H-5>、ポンペイ遺跡です。
 わたしはイタリアの人間ですから、ここに来たこともありますし、間違いないでしょう」
「で……でもよぉ、こっちのデカい地図には『杜王町三千分の一』ってあるぜ?
 この『モリーオーチョー』ってのは漢字だし、日本か中国か、そのへんの町だろ!?」

「……そうなんですよね。日本や中国に、イタリアの遺跡があるわけはありませんし。
 となると、ここはやっぱり地獄……」
「だーーっ!だからそれはやめろっての!!」



どうにも話がかみ合わない二人。ここはいったいどこなのか。
ふと、ヴェルサスが一つの考えを口にした。

「なぁ、ティッツァーノ……もしかしたら、この町、ニセモノなんじゃねーか……?」
「ニセモノ?町全体が、ということですか?」
「ああ、ずっと考えたが、やっぱり地面に何にも『記憶』が無いってのはおかしい。
 それに、本物の町だとしたらこんな地図はおかしいだろ?だから……」
「これは造られた町だというのですね?なるほど……
 となると、あのアラキという男、随分強力なスタンド使いですね。」


「スタンド?スタンド使いなのか、あいつ?」
思わず笑い出すティッツァーノ。
「あなたが言い出したんでしょう?この町には『記憶』が無いって。
 人工的に造ったのなら、造った時の『記憶』もあるんじゃないですか?」
「あ、そうか……」

納得した様子のヴェルサスを尻目に、ティッツァーノは名簿を取り出す。
47暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:47:44 ID:YXbZP7N/

「そうだとするとここは現実で、私たちは生きている、ということになります。
 そしてアラキは『物のコピーを造る』スタンドの能力者で、ここは杜王町をベースに造られた町である、と。
 ただ、疑問点もあります。どうやってこれだけの大人数を集めたのでしょうか?
 名前から推測しただけでもアメリカ人、イギリス人、イタリア人……世界中から集められたようですが」
「え?うーん、それは……」
「それに今気づいたがこの名簿、国籍順でもABC順でもない……これは一体……?
 あ、それから……」

矢継ぎ早に疑問点を並びたてるが、ヴェルサスの方はそれに追いつけなくなったようで、
「おいおい、こんな地図と名簿だけでそんなの分かるかよッ!
 いま俺たちがやることは、アラキのヤローを倒してこの町から出る!そうだろ!?」

あっけに取られるティッツァーノだったが、すぐに笑いだした。

「ええ、そうですね……ここから出るにはあいつを倒さなければなりませんね。
 ただ、我々2人だけでは無理でしょうから……ヴェルサス、この中に知り合いは?」
「ん……まぁ、いるっちゃぁいるが」
「その中で仲間は?協力してくれそうな人はいますか?」
「仲間……」
「……」



(徐倫にエルメェス……あいつらに助けを求めるか?
 い、いや無理だ!こんどこそ殺されかねねーぞ!!
 そしたら、プッチ神父に……?ふざけんなッ!あんなヤローと手を組むなんて……)



「……」
「いないんですね、分かりました……」
「う、うるせーなっ……いろいろ事情があるんだよ!
 お前は?なぁ、ギャングなら仲間の一人や二人くらい……」

ティッツァーノは悲しそうに首を振る。

「残念ですが……知っている人間は何人かいるんですがね。
 あいにくわたしと敵対していた奴らばかりのようです。協力してくれそうにはないですね……」

(参加しているのはブチャラティチームと、リゾットらの暗殺チーム。
 サーレーにディアボロというのは知らない名だが、おそらく下っ端の構成員だろう。
 ボスの親衛隊は、わたし以外にチョコラータがいるが……奴は根っからの殺人者だ。
 あの性格からして、既に嬉々として殺人を楽しんでいるだろう。会ったとしても殺されるのがオチだな……)


「お互い、知りあいをあたるのは無理そうですね……
 しょうがない、他の人を探しましょう。できれば、このあたりの人間がいいのですが。」

そう言って、名簿の真ん中あたりの漢字で書かれた名前を指で囲む。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:48:53 ID:hWi06K4g
 
49暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:49:07 ID:YXbZP7N/
「ああ?なんかアテでもあるのか?」
「いえ、そういう訳では。ただ、イタリア人の我々組織の人間が大勢いて、イタリアの遺跡がある……
 ということは、この日本人か中国人かは、この町の住民かもしれません。」
「ああ、そうか。何か知ってるかもな……」

その時ポツ、ポツと水滴が肩に落ちてきた。
二人が見上げた先には、厚い雲が今にも月を覆い隠そうとしていた。

「雨か……」

立ち上がり、傘を広げるティッツァーノ。

「じっとしていても濡れるだけですね……そろそろ行きましょうか。」
「そうだな……」

『アンダー・ワールド』を呼び戻し、差し出された傘の中に入る。

「とりあえず町の中心部に向かいましょう。その方が人は多いでしょうし」
「ああ、任せる。ったく、こんな所からはさっさと帰りたいぜ……」



       ★   ☆   ★



スクアーロ。
あの時私の身に何が起こったのかは分かりませんが、とにかく私は生きているようです。

なぜあなたは呼ばれていないのか?なぜ、私を撃ったナランチャはいないのか?
なぜ、私たちはここに呼ばれたのか?なぜ、殺しあいなどさせるのか?

まだ分からないことだらけですが……私はここから脱出して見せます。
そしてその時にはスクアーロ、また二人でコンビを組んでくれますよね……?




50暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:49:59 ID:YXbZP7N/
【H-5 ポンペイの遺跡/一日目 黎明(2:05頃)】
【あてのないブラザーズ】
【ドナテロ・ヴェルサス】
【時間軸】:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
【状態】 :背中が痛む(怪我は無し)、荒木に怒り
【スタンド】:アンダー・ワールド
【装備】 :テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:絶対に死にたくない。
1.どんな事してでも生き残って、幸せを得る。
2.誰か(できればこの町の住人)に会って、仲間にする。
3.プッチ神父に会ったら、一泡吹かせてやりたい。
【備考】
※ティッツァーノの『トーキング・ヘッド』の能力を知りました。
※ティッツァーノ以外のマフィアについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の2点の制限がかかっています。
 ・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
 ・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
※『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。


【ティッツァーノ】
【時間軸】:ナランチャのエアロスミスの弾丸を受けて、死ぬ直前。
【状態】 :健康
【スタンド】:トーキング・ヘッド
【装備】 :ブラックモアの傘、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)
【思考・状況】
基本行動方針:生きて町から出る。
1.アラキを倒し、生きて町から出る。
2.誰か(できればこの町の住人)に会って、協力を得る。
3.この名簿は一体?なぜ自分はここに呼ばれたんだ……?
【備考】
※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。
※ヴェルサスの知り合いについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※雨はウェザー・リポートが降らせているものです。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:52:20 ID:GbY9Loqz
支援+投下乙!
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:52:21 ID:hWi06K4g
 
53 ◆FoU.wbC/ko :2008/09/01(月) 23:52:45 ID:YXbZP7N/
以上です。何かご指摘ありましたらお願いします。

今回は新板一発目ということで、1レスを長めに書き込んでみました。
どうやら60改行まで大丈夫なようですね。ラウンジはどうでしたっけ?
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:56:49 ID:hWi06K4g
投下乙です、しかし荒木の誤解が早速一つとかれてしまいそうだ。はたして最後まで誤解するのはだれだろう
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:58:41 ID:zVCnmBb1
投下乙ッ!

最初ケンゾーが出てきた時にはびっくりさせられた
アンダー・ワールドの描写がすごく丁寧でかっこよかったッス!


最期に一言
ティッツァーノがどう見てもガチホモにしか見えません
本当にありがとうございました


56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:59:41 ID:GbY9Loqz
乙です。1尽くしの作品ですね。
9月の1日に投下して新スレ&新盤の1作目で氏が書いた5部キャラが氏にとって1人目で
これで氏のトリップに1でも入ろうものならもはや奇跡でしたね。とにかく乙です。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 00:10:28 ID:LNkv71YD
乙です。駄目だこいつら・・・早く(ry
テイッツァーノは暗殺チームとチョコラータの出方によるがは余計なこと言わなければ、というか組織の人間と素直に言ってもブチャラティ達とは敵対しないんだがな・・・
その点ではトリッシュの遺言フラグがあるアバッキオがいるがディアボロも一緒だよね?実はお互い一番厄介なのが眼中じゃない奴らというのがなんとも・・・
>>55
ホモじゃない!ただの仲間思いだ・・・二度と間違えるな・・・
ホモでもガチホモでもぬうわあああああああいいいいいいいいーーーーーッ!
初登場のあれか?あのポーズがいかんのか!?
>>56
つ>引き籠もり王。駄目だぞ!ぷかぷかフラグなんて言っちゃ!
58 ◆FoU.wbC/ko :2008/09/02(火) 00:13:54 ID:M4xDnWHt
>>55
書いた自分でもそう思います。本当にありが(ry

しかし、本投下前からすでに三行状態表が更新してあって吹いたww
どこのペリーコロさんか知りませんが、本当に(ry
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 00:25:19 ID:MADI++Rz
ちなみに三行状態表を作ったのは私だ

そして本投下の前に更新したのも私だ
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 13:00:24 ID:l7wmsjYZ
それも私だ
61wktk:2008/09/02(火) 18:23:32 ID:yQ74eKTe
wktk
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 18:36:46 ID:gUBcuIWI
三行状態表クソ吹いたww
とくにボスはなんつー投げやりだよww
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 19:14:38 ID:WWaonZUL
ごめんね、なげやりにしたの俺だけどごめんね。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 19:35:13 ID:LNkv71YD
ごめんね、ペッシの所弄っちゃった。
シーザー・シゲチニオ・ヤングウにしちまった・・・・・
65地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2008/09/02(火) 23:18:31 ID:L509/gOJ
前スレ>>866 ◆Y0KPA0n3C.氏
【空条承太郎】【吉良吉影】

>>50 暗闇のかくれんぼ ◆FoU.wbC/ko氏
【ドナテロ・ヴェルサス】【ティッツァーノ】

http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html
以上を現在地地図に追加しました

新スレお疲れ様です
予約いっぱいでワクワクする
傘振り回すティッツァーノとても好きです
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 00:31:01 ID:Zgx3OnZo
地図の人乙です!

予約たくさんだと楽しいね、ずっと一時投下スレをチェックしてるぜ
67 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/03(水) 00:34:30 ID:IOxQUuu3
>>65
地図氏、いつもすばやい対応乙です。
>>31
明日って今さ!!
と、言うことで一時投下スレに投下しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、気になる点、他何かありましたらご指摘ください。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:06:16 ID:Pf5+dAtf
遊びに来ました
誰も来てないみたんなんですが、絵の投下をしても良いですか?
クオリティには期待しないでください……
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:10:45 ID:F+4Xvw9D
断る理由などないッ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:12:27 ID:Pf5+dAtf
では失礼して
縦横なってないのはご容赦を

先生
http://imepita.jp/20080903/833910
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:18:59 ID:vlYW1KQv
イロイコがwwww
本人見たらぶちギレるぞこれWWW

マジでありがとうございます!!
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:19:21 ID:F+4Xvw9D
吹いたwwwwwwwwww
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 23:20:26 ID:Pf5+dAtf
暖かい反応に感謝
絵師が来る事を祈っちょります
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 00:31:25 ID:hN3VmJHz
まとめサイトに画像うpもできるPBBSがあるから、そっちも使ってあげてね。
ゆっくりしてほしいけど、あまりゆっくりするとウジュルウジュルされるよ!
75 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/04(木) 20:39:38 ID:OfQYiJrF
ぶっちゃけ要らない気がする中間報告します

現在予定の三割ほどまで書きあがりました
土日で一気に仕上げて推敲、月曜日に再推敲→投下
といったスケジュールなのでまぁまぁ順調かな?って感じですね
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 21:04:21 ID:hN3VmJHz
余裕だと思った時、お前は既に負けているのだ…!
77 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 21:54:25 ID:+eYLTnC1
>>70
予想外のクオリティの高さに吹いたwwww
>>75
了解です。頑張ってください。

ヴァニラ・アイス、ドノヴァン、アンジェロ、ラバーソール、J・ガイル 投下します。
78 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 21:55:36 ID:+eYLTnC1
―河の底にて
優しい水音を立て穏やかに流れるこの川は、どこか、のどかなこの町を象徴しているようだった。
それが今は激しい雨で河は勢いを増していた。暖かい春の一日のような面影はもうなく、そこには大自然の驚異が作り上げたひとつの獣がいた。
岩を噛み、飛沫を上げ、河は激流に身を任せたヴァニラ・アイスの動かない体を押し流す。
彼は川底を死んだ魚のように無抵抗に転がっていく。顔には奇妙なまでの虚ろな表情を貼り付けて、夢見るような顔をして。
(そうだ、あの時DIO様の…遂に私は、あの方と同族に…それもあの方自身の手で、遂に……ッ!)
気分が高揚し、嬉しさの余り身が震えるのがわかる。自分への誇り、そして主への感謝と敬いがこみ上げ、冷たい川底で火照る顔の熱さだけが妙にリアルだった。

恍惚状態がそう長く続かなかったのは彼にとって幸運だったのか不運だったのかはわからないが、水中でパニックにならなかったことでヴァニラ・アイスは重傷を負いながらもその島を確認できたとき、無事にそこまでたどり着くだけの体力は十分あった。


    ◆    


―空中にて
どのぐらい、距離的に時間的にも、飛んだかわからないが高度が上がっていくにつれて比例するようにJ・ガイルの意識も暗闇から上昇し始めた。
覚醒しきらない頭でも反射的に周りが安全かどうか確認してしまうのは、先ほどの男の拷問と命に関わる蹴りを食らったことが関係しているだろう。
自分が今重力から解き放され、大地が妙に離れた位置にあるのを見ると不思議とこの現実が本物のものだとは思えなかった。
だが地球上の物理学の法則により、彼の目にだんだんと拡大されてくる目の前の景色が映ると死への恐怖が真っ黒のインクが紙に広がっていくかのように体中に拡散していく。
恐怖が唐突に込み上げて来るのを抑えられずに、悲鳴にも、叫びとも取れない音が口から漏れたとき口の中に広がる鉄の味がやけに生々しかった。
気を失うことが彼にとって幸運だったのか不運だったのかはわからないが、液体というクッションがあったことでJ・ガイルはその体に更なる衝撃を受けることなく、その島に流れ着くことができた。






    ◆   


流れ着いて見ればそこは島だった。
未だ痛む全身を、だが脅威的な回復力と狂信的な精神力で痛みを抑え込みヴァニラ・アイスは砂浜に跡を残しながらも自らの体を動かしていた。
息遣いは荒く、意識もハッキリとしない。目の前の像がぶれ、狂ったように耳鳴りが命の警報を発す。心臓が送り込む酸素というガソリンを運ぶ血液そのものが足りないのを感じるヴァニラ・アイス。
なんとかしなければ、その意思と裏腹に太陽は昇るのを止めようとしない。
それどころか刻一刻と、朝日が刺す時間は迫ってくる…。

――運命
彼の瞳に映る人影
――命を運んでくると書いて運命、とはよく言ったものだ
地面を這いずりそれへと向かって行く
――文字通りある人物によって命を落とし、ここに身を運ばれたそれ
飢えた獣かのようにその骨を、肉を、血を貪る人間が一人… いや、もはや人間ではない。
食べ尽くし残った頭部を熟した果実かのように握り潰す、その様は立派な吸血鬼であった…。



    ◆   
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 21:56:19 ID:D98rXCv3
wktk支援
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 21:56:39 ID:WODSzGZr
支援
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 21:58:48 ID:D98rXCv3
支援
82 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 22:01:19 ID:+eYLTnC1
    ◆   


流れ着いて見ればそこは島だった。
彼は自分がどこにいるのだろう、と考える前に自らの命がいまだあることに感謝し、同時に万全ではない自らの体の損傷にJ・ガイルは顔をしかめた。
うっすらと目を開くといまだそこには満天の星空が浮かび、片方しかなくなった耳より柔らかなさざ波が心地よく流れた。
背中からは自らの体温を奪い取っていく水滴を感じ、同時に包み込むような砂のクッションの感触が今自分の体は安全である、少なくとも先ほどまでいた凍えるような冷たい川の中よりは安全であるということを理解した。
単調な波の音に突き動かされるように、なんとかその場に立ち上がろうと不自然に曲がった両腕を使うと予想したとおり痛みとは言葉で済まされないほどの刺激が襲う。
じんじんとした鈍い痛みを自らの精神力で押さえつけ、両の腕を庇う様にしてみるとなんとも情けないことにその様はまるで、寒さに震え恐怖におびえる子供のような格好になった。
大の大人が、それも人の命をなんともおもわない外道が堕ちたものだなと自嘲的には思いながらも人間としての本能がそれを求めていることは認めざるを終えなかった。
同時に自分の今までの人殺しの経験と、そして嫌でも目に付く赤い液体の量、体の芯から襲ってくる寒さと震えにより冷静に自らが死ぬかもしれないと悟ったときには驚きよりも恐怖よりも諦めに似た感情が湧き上がってくるのを感じた。
人間、死ぬときは案外あっさりと逝くものだと考えていたその時、彼の耳は控えめな水音以外の何かを捕らえた。しっかりと整った歩調を聞き、襲撃者の存在を認識するも今のJ・ガイルにとってそれはたいしたことではなかった。
人の手によって殺されるか、はたまたこのまま大量出血により命を落とすか、結果的には一緒だろうと思いそのままの姿勢でJ・ガイルは死が訪れるのをひたすら待った。
が、彼にもたらされたのは死でも攻撃でもなかった。
「選べ、J・ガイル。貴様に与えられた選択肢は二つ、死か服従か。それを選ぶだけは貴様の権利だ…。」
顔を見上げるとそこには仁王象のようにそびえ立つヴァニラ・アイス、その人がいた。


ヴァニラ・アイスの条件、彼に服従すること。
これから昇ってくる朝日の元、主と同様動けなくなってしまった自らの代わりにこの舞台に血の証を刻む。
死か、服従か。
更なる力か、自らのプライドか。
――J・ガイルは受け入れた



   ◆  

こいつに対しては憧れもないし、見下すような気持ちもない。かといって恐怖を感じ無いかと言われたらそういうわけでもないし、今やつと同じようにDIO様のために命を捧げろと言われても即座に“NO”と言えるだろうとJ・ガイルは考えた。
しかしながらもこのヴァニラ・アイスに命を助けられるという借りを一つ作ったことで、先ほどまでの自分の考えがいくらか変わったのは彼の中でも確かのようだ。
思えば自分はなんとも情けなく動いた男だろうと誰に言われるともなく、あのJ・ガイル本人が、反省さえしてしまうのだから。

早々と参加者である女を殺し、いくらかそれで遊んだまでは別にいい。いつもどおりの自分だ。
柱の男と名乗る人を超越した、それこそ人間を止めた吸血鬼であるDIOとはまた違う、ワムウの前に屈した。これもいい。あいつの戦士としての誇り、純粋なまでの戦いへの渇望、そのカリスマ性。
認めれる、あいつは殺戮のエリート、それこそ自分とは違う存在であると。
だがここからだ。
同じく柱の男であるカーズ。弱肉強食、まさにそんな感じだ。狩る側が狩られる側になり、強者であった己のプライドは踏みにじられた。
今まで命乞いをし、生への執着心をつねに必死で手放すことを拒否してきたのはどっちだ?誰だ?あの態度はなんだ?あの目はなんだ?人を地を這いずる羽虫かのように見下ろす、あいつは何者なんだというんだ?
83 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 22:03:37 ID:+eYLTnC1
(やつには返すべき借りをもらった…この屈辱を払うためなら俺は…、俺はなんだってやってやるッ!!例えこいつに利用されようとも…最終的に…)
出血が止まった傷口をなでる。まるでそこから怒りの怨霊が湧き出てくるのを宥めるように。その傷の痛みを忘れてはならないと言うかのように。
だが同時にもうひとうの感情も湧き出てくる。

超えるべき壁ができたときだ。彼の瞳に恐怖の色は、傍から見てもわかるほどに浮かんでいる。彼の心で天秤が揺らぎ、何を優先すべきかがわからなくなる。
本当に自分はあのカーズを殺せるのか?あの柱の男を。認めてしまえば、楽になれるじゃないか、俺はあいつに敵わないと。
だが本当に自分はあの男を許せるのか?自分が受けた拷問を同じようにあいつに施さないと気がすまないとまで思ったんじゃないのか?
彼の天秤はゆっくりと傾く。だが完全にではない。駄目押しをするかのように最後の一言を無理やり捻り出した。

(…勝てばよかろうなのだッ!!)
それだけで何か困難をやり遂げたような達成感と共に、溜息をひとつ吐いた。
そんなことで満足しそうな自分自身に少し気が滅入った。



【I-6 島/一日目/黎明】
【ヴァニラ・アイス】
[時間軸]:回転しながらポルナレフに接近する途中
[状態]:鼻骨、左胸骨、左肩甲骨 骨折 全身に打撲(随時吸血鬼の能力で回復中)、吸血鬼化  ウェザーに対して静かな怒り
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜2(本人は確認済み)  ゾンビ馬(怪我ひとつを縫える程度)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ(DIO)様以外の全員を殺害し、優勝させる
1.朝日を避けるためサンタ・ルチア駅へ向かう
2.先ほど自分を倒した参加者(ウェザー・リポート)を必ず殺す
3.他のディオの部下も含め、参加者は見つけ次第殺害する (J・ガイルに関しては保留)
4.日が出てきたら駅で待機 その間J・ガイルに参加者を殺しに行かせる
5.ディオ様と『DIOの館』(C-4)で合流する
[備考]
※ヴァニラ・アイスは、自らの肉体の『吸血鬼化』に気付きました。
※『吸血鬼化』はまだ完全ではありません。
※支給品のひとつはゾンビ馬でした。
※ヴァニラ・アイスが捕食した死体はリサリサのものです。絞りかすがI-6にわずかに残されています。

【J・ガイル】
[時間軸]:ジョースター一行をホル・ホースと一緒に襲撃する直前
[能力]:『吊られた男』
[状態]:左耳欠損、左側の右手の小指欠損、右二の腕・右肩・左手首骨折 カーズに燃えるような怒り、それを上回るほどの恐怖 軽く情緒不安定
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1.とりあえずヴァニラ・アイスに従い、サンタ・ルチア駅に向かう
2.日が出てきたらヴァニラ・アイスに従い参加者を殺しに行く…のか?
3. カーズには必ず自らの手で借りを返す…のか?
4.3のために力をつける。結局はこのゲームでは力がないと死んでしまう…
[備考]
※デイパックと支給品一式をカーズに奪われました。
※『吊られた男』の射程距離などの制限の度合いは不明です。
※左耳・左手の小指の出血はゾンビ馬で止血しました。
※ワムウによる蹴りのダメージは右二の腕・右肩・左手首骨折でした。それぞれに対して添え木がしてあります。



◇  ◆  ◇
84 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 22:06:19 ID:+eYLTnC1


「それ」を見つけることができたのはラバーソールの視力が格段に良いわけではなく、ただ単にこの舞台で人間以外の生命体が存在しないことと、「それ」そのもの自体の色が暗闇という色と再反対の純白であったという2つの要因が「それ」を目立たせたのだろう。
ラバーソールは食事に勤しんでいた手と口を休め鳩を見上げ、その鳩で自らの分身であるものの食事でもしようかと思った。
だが先ほど二つもの立派な食事を終えたこともあり、なによりその鳩が自らめがけてやって来るのを見て彼の中で好奇心が食欲に打ち勝った。

しかしその思いを読み取り、まるで鳩は嫌がらせでもするかのように彼の思惑とは間逆にイエローテンパランスをつつき始める。鳩の嘴を黄色の半液状態に沈み込み、再び顔を持ち上げようとした鳩を固定する。
そればかりか、底なし沼に入り込んでしまったかのようにゆっくりとその体が沈み込む。
鳩の顔が沈み、鳩は呼吸ができなくなった苦しさにもだえ苦しむ。
羽を羽ばたこうと何度も動かすがその運動も次第に弱弱しくなり、こわれたブリキの玩具かのようにラバーソールには見えた。
ラバーソールが丁寧とはいえない態度で鳩の首根っこをつかみ、無理矢理黄色の沼より引きずり出したのはその鳩の足首にくくりつけられた手紙があったからこそだろう。

  仗助さんお久しぶりです。早人です。
  ぼくは今からサンタ・ルチア駅に隠れようと思ってます。
  もしよければ、会いませんか?
  エンポリオという仲間ができたのですが、彼からとんでもない事を聞きました。
  空条承太郎さんの事についてです。お返事待っています。

丁寧な文章の中に彼がどこかで見たことがある名前があることに気づいたのは手紙を読み直した二度目だった。早人…この殺し合いの舞台、最初に会った男仗助との会話の中で出てきた名前である。
名探偵でも刑事でもないラバーソールだが筆跡を見てこの早人が少なくとも成人はしていないだろうと予測を立てることができたのはそこまで難しいことではないだろう。
だがそんなことより何よりも気を引いたのが最後の文章。“空条承太郎に関するとんでもない事”
かつて自分に苦汁を舐めさせた男の何かとんでもない事、それも手紙ではかけないほどの重要なことと知ったらこのラバーソウルが黙っているはずもない。

今だ仗助がいるであろうイエローテンパランスの中身を穿り出そうと拘束から逃れる努力を続ける鳩を適当にデイバッグに押し込む。
微かに付着した汚れをパンパンと手で払い、口元を拭うとその場で大きな伸びをする。背中で暴れる妙な膨らみを無視し、先ほど見つけた二人の“食事”の遺品を回収し、ゆっくりと馬にまたがる。
月明りで彼の顔が陰になる。だがその形がグネグネと変化し、何者かの形になることはわかった。
気分が高揚しその口元からいつ笑顔が消えるかはラバーソウルにもわからなかった。



【G-3中央部 /1日目 黎明】
【ラバーソール】
[時間軸]:承太郎と戦闘中、ザリガニ食べてパワーアップした辺り。
[状態]:健康。仗助、重ちーを食べてパワーアップ!?  少し気分が高まってる
[装備]:サブマシンガン@小消費(ヴェネツィア空港警備員の持ってたやつ)、ヨーロッパ・エクスプレス(シュトロハイムの愛馬) 、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)
[道具]:支給品一式 ×3(ラバーソウル・重ちー・仗助) 内一食分食料消費、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1(重ちーの分)
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り、優勝。溺れるほどの金を手に入れる。
1.サンタ・ルチア駅に向かい早人から承太郎についての情報を聞きだす。
2.状況によっては承太郎、仗助、花京院に化ける。
3.ディオからの報酬よりも美味しい褒美だ!ディオなんてどうでもいい!
4.この鳩、いったいどうしようかねぇ…?
[備考]
※ラバーソウルは現在仗助の顔をしています。
※ラバーソールは承太郎、仗助、花京院に化けれます。偽のスタンド像も出せますが性能はイエローテンパランスです。
※ラバーソールは仗助が自分自身の怪我も治せると勘違いしています。
※仗助、重ちーの死体はラバーソールが美味しく頂き、消滅しました。
※早人の年齢は10〜18ぐらいだろうと予測してます。
※鳩は早人が同封した返事分、一回分の便箋を持っています。
※ラバーソールは重ちーの残りのランダム支給品の中身をまだ確認してません。



◇  ◆  ◇
85 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 22:07:55 ID:+eYLTnC1

天気というこの極めて予測が難しい自然現象に対して何故もっと早く起きなかったのだと理不尽な怒りをぶつけるか、自分にとって有利であることに喜びを表すか、アンジェロはなんとも言えない複雑な心境だった。
目の前に立ち間抜け面をしている男の体内にいる自らのスタンド、アクア・ネックレス。半開きになった口より見えるこのスタンドの性質こそ最大の売りであり、今アンジェロの頭を悩ませているのである。
好条件である雨を優先するか、当初の目的地に定めたコロッセオ、どちらを目指すべきか。

が、それもすぐに解決する。
間抜け面を引きつれ雨が視認できる距離まで近づくと奇妙なことに、まるで定規で区切ったかのように綺麗に自分の目の前で雨が途切れているのである。自然ではない自然現象が起きる、すなわちスタンド能力。

自らの趣味“人殺し”を実行できるチャンスを逃すほどアンジェロはお人よしであるはずがなく、懐より地図を出しこの先の目的地を定めようと考える。アンジェロ自身、何人もの人を殺してきたベテランの犯罪者である。
長い間で培ってきた頭脳もある、鍛え抜かれた肉体もある。アクア・ネックレス、そのスタンドがなくても決して他の参加者とは引けをとらないだろう。
しかし彼の中で最優先は“自分の身を安全にし、且つ趣味を実行する”こと。
駒を操るために安全な場所が必要であると共に彼はひとつの場所を拠点として行動することのアドバンテージをしっかりと理解しているのだ。拠点を張ればそこに罠を仕掛け、地形を利用し相手をハメ、また何か役に立つ物資もあるかもしれない。

拠点を目指し進む、アンジェロは目的地に歩を進め急ぎながらも狡猾さは失わない。しっかりと自らの駒を先行させ安全を確認後その後ろ続いていくほどの冷静さは充分ある。

冷静さだけでない。復讐心、彼の中で燃え上がるそれは降りしきる雨を撥ね退けるほどには充分なほど燃え上がっていた。
東方仗助、空条承太郎。両者は文字通り自分にとって殺したいほど憎い存在。それがこの舞台に、いる。

雨音はただでさえ忍ばせているふたりの足音と気配を完全に消してくれた。
駒と共に握っているナイフの光は彼の興奮という燃え滾る青い炎のように妖艶に輝いていた。



【G-2 南部 雨の切れ目/1日目 黎明】
【ドノヴァン】
[能力]:野生のコウモリにさえ気づかれず尾行する移動術とコマンドーの格闘能力
[時間軸]:JC6巻、ジョセフの顔面に膝蹴りを入れた瞬間
[状態]:健康 アクア・ネックレスが憑依しているので意識が無い
[装備]:包丁(吉良の親父が持っていたもの)
[道具]:支給品一式、ただし飲料水は空
[思考・状況]
0.このゲームでどう行動するか悩んでいる(憑依されているせいで考えていません)
1.アクア・ネックレスが憑依しているので一切の自由が利かない。
[備考]
※ドノヴァンの移動経路はJ−2北西から道なりにI−1→H−1です。

86 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 22:10:32 ID:+eYLTnC1
【片桐安十郎(アンジェロ)】
[スタンド]:アクア・ネックレス
[時間軸]:アンジェロ岩になりかけ、ゴム手袋ごと子供の体内に入ろうとした瞬間
[状態]:健康、テンション高
[装備]:ナイフ(ディオが吸血鬼になる為にジョージを刺したもの)ライフルの実弾四発、ベアリング三十発  
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:安全に趣味を実行したい
1.サンタ・ルチア駅に向かい、そこを拠点とする
2.天気を操るスタンド使いに警戒 
3.場合によっては天気を操るスタンド使いを利用する 
4.東方仗助、空条承太郎を殺す。
5.コロッセオに向かう…?
6.荒木は良い気になってるから嫌い
[備考]
※アクア・ネックレスの射程距離は約200mですが制限があるかもしれません(アンジェロは制限に気付いていません)
※アンジェロはドノヴァンを視認できる距離、およそ50メートルほど先行させています
※アンジェロの支給品はナイフ(ディオが吸血鬼になる為にジョージを刺したもの)と包丁(吉良の親父が持っていたもの)でした。
※ドノヴァンよりライフルの実弾四発、ベアリング三十発 を奪いました。 
※名簿に目を通しました。



◇  ◆  ◇


それぞれが向かうはH−3のサンタ・ルチア駅。
それぞれの目的を胸に彼らは集まる。

舞台は 整った。


87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 22:11:26 ID:Jfk8op74
支援
88 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 22:13:49 ID:+eYLTnC1
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、気になる点・おかしな点がありましたら指摘お願いします。
書き換えた部分・書き加えた部分が多々あるのでお願いします。

一時投下スレにて指摘してくださった方々、ありがとうございました。
89Panic  ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/04(木) 22:15:35 ID:+eYLTnC1
しまった、支援してくださった方々
ありがとうございました

後題名は「Panic」です。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 22:20:11 ID:sT8pcd/V
投下乙!
脱出組コンビ、早くも暗雲が
ラバーソールにアンジェロ組が突っ込んでくるとやべえ!ほんとにやべえ!
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 23:00:43 ID:/fi87Qww
投下乙です!
Jガイル・・・傷が治ったのはは屍生人化したの?
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 23:02:40 ID:yubxokdk
ゾンビ午って書いてあるでしょ。
93地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2008/09/04(木) 23:26:35 ID:Jfk8op74
>>89 Panic  ◆Y0KPA0n3C.氏
【ヴァニラ・アイス】 【J・ガイル】
【ラバーソール】
【ドノヴァン】【片桐安十郎(アンジェロ)】

http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html
以上を現在地地図に追加しました

馬つけたしてみた
他の大きなアイテムは新たなssに登場次第追加してみます
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 23:52:16 ID:yubxokdk
>>93
乙です。
ワムウの乗っていた馬も追加してみては?
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 00:14:16 ID:969wzFw6
>>92
あ なるほど 失礼した
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 01:05:44 ID:TaF8slTe
投下乙!
マーダー5人(4人)が集結したら駅は10人(マッ!込み)の大乱戦かwww

逃げてー三人共逃げてー
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 07:08:57 ID:uVhfAwO8
投下乙です!
これLSロワ以来の包囲網じゃね?www
ウェザ早人もモアポリオも生き残れる気がしねぇwww

J・ガイルにさりげなく2部勢味方によるフルボッコフラグが立ってるな。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 07:59:07 ID:XPts02Hm
むしろマーダー同士の潰しあいが起こりそうで怖いぜ…
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 10:56:33 ID:1mCYDbQq
>>97
寧ろ共闘フラグじゃね?プロシュート兄貴と言い、カーズは人気者〜
どっちにしろ2部勢味方でまともに闘えるのシーザーだけですが何か?
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 11:25:44 ID:AsB/0p05
ちょwww鳩消えたwww
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 14:57:16 ID:7AYkvo/8
>>97
LSロワってこれかw
http://www11.atwiki.jp/row/pages/210.html

マーダー9人もたいがいだけど、今回もマーダー6人だからなぁ
(ヴァニラ、ガイル、ラバーソール、ドノヴァン、アンジェロ、ブラックモア)
第1回放送までに何人死ぬ事やら・・・
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 15:52:20 ID:rhx/OX1v
というかこれ拡声器使わなくてこの人数だぜ
まぁ、ウェザーが呼び寄せたのかもしれんけど
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 17:03:05 ID:AsB/0p05
ねーねーkskアニロワ見て思ったんだけどさ、wikiの右端の履歴消さないかい?
左下(メニューの下)に移せるモノだし、大きなAAの邪魔になっちゃうんだよね。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 17:38:49 ID:XPts02Hm
2部勢で思い出したけどシュトロハイムって絶望だよな。身体が機械でできてるからジョルノじゃ治せないし
機械に強いキテレツみたいな人間も参加者にはいないし
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 18:09:26 ID:1mCYDbQq
>>103
別にいいよ。俺はあれがないとwikiって感じがしなくて嫌だ。
>>104
逆に考えるんだ。機会の部分を人間のパーツに変えて完全に人間の状態にして治せばいいさと考えるんだ。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 20:14:02 ID:yPebtyFb
>>105
お前頭いいな
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 20:14:54 ID:7jooohDI
ddd
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 20:16:45 ID:XoS5JUHa
>>98
アンジェロ → 仗助(ラバーソール)
誤解の可能性大 しかしラバーソールが説得すれば共に承太郎に対して共闘の可能性有り

ヴァニラとガイル  ←→ 仗助(ラバーソール)
誤解の可能性小 ラバーソールがすぐに変身を解けば 協力の可能性大

ヴァニラ ←→ ウェザーと早人
因縁 戦闘になるでしょう

ウェザー → ブラックモア
探してた相手 ブラックモアの態度次第で戦闘になる

因縁ありすぎて吹いたwwwww
ラバーソールとブラックモアがどう動くかで大きく変わってくるな
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 20:20:49 ID:XoS5JUHa
あ、あと三行状態表、勝手だけど更新しといた
アンジェロとドノヴァンはなんか気の利いたこと書けないな…
110 ◆vthFSU.BqE :2008/09/05(金) 20:29:28 ID:7jooohDI
がんばって
111地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2008/09/05(金) 21:08:29 ID:yYIny7j4
>>94
時間のあるときにちょこちょこいじっていくね
放置されてるアヴさんのトラックとかも画像追加したいなあ
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/05(金) 22:12:26 ID:xYpgP0VN
これ以上地図がカオスになるのかwww
113 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/05(金) 23:09:10 ID:PWEgL2Uw
>>109
複雑な関係作ってサーセンorz
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 19:42:57 ID:nwH96Q9k
>>113
むしろGJだろ
ドノヴァンなんて描写がないに等しいキャラをあそこまで扱いやすくしたのは氏のおかげ
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 19:53:18 ID:GNjjdJmR
自分もそう思う。
ぶっちゃけアンジェロに死なれたらドノヴァンへの対処に困る…

それもそのはず、だって彼はズガ(ry
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:15:02 ID:uC6jvnc1
面倒臭いからオリキャラにしちゃおう・・・・・
仕方ないとはいえ、あまり好きになれないやり方だな。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:18:11 ID:KyzWhmM4
おっと、某キャラや某キャラをキャラ改変したあげくこれから某キャラを改変しようとする俺の悪口はそれまでだ
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:20:18 ID:gCsxqE1G
改変する奴ってぶっちゃけジョジョキャラでバトルロワイアルしなくても問題ないんじゃない
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:28:07 ID:KyzWhmM4
>>118
すまん軽い冗談だったんだ
で、具体的にどのキャラが改変されてると思うかをパープルヘイズにかk(ry
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:42:23 ID:cBA6DWco
えーっと、思いつくのはあだ名が全2文字でボから始まってスで終る人かな
まぁあれは登場話から既にオリ入って…おや、誰かきたようd(ry
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:46:18 ID:gCsxqE1G
あれは問題ないディアボロの大冒

 キ ン グ ク リ ム ゾ ン ! !
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:04:32 ID:uC6jvnc1
えーっと、思いつくのはスタンドが全4文字でゲから始まって神で終る人とか巷でホモ扱いされてる人かな
愛しのピー様への奉仕とかまた二人でコンビを組みましょうスク○ーロとか正直狙いすぎ…おや、誰かきたようd(ry
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 01:28:29 ID:4v0eAJp3
これ以上やるとG・E・Rの無限ループに叩き込まれるぜ?
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 12:30:33 ID:CV/emM1W
真実は一つ 面白ければいい!!
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 19:43:43 ID:8x/iy24T
確か今日期限だよな?
126 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 20:03:28 ID:FwG+/E7q
ゴメン、途中報告で余裕かました癖にちょっとギリギリ
最悪でも明日には投下する
じゃ、今から書き終わるまでフルスピードで頑張ってくるわ
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 20:12:58 ID:HYeg07bp
乙!
楽しみにしてるぜ。
無理しすぎて体を壊すなよん。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 20:19:44 ID:2CSR5gJM
応援してるよ!
棺桶の中で!
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 21:02:02 ID:4v0eAJp3
>>76だけどなんか罪悪感出てきた…
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 21:17:13 ID:2CSR5gJM
珠美さんの出番ですね!
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 21:23:27 ID:FwG+/E7q
むしろ俺が罪悪感で死にそうだよ!!
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 21:29:28 ID:2CSR5gJM
スコリッピさんの出番ですね!
133 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 22:54:29 ID:FwG+/E7q
出来た〜
23:20辺りから投下いたしますね
134過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:18:27 ID:FwG+/E7q
先が全く見えないほどの濃霧、霞んだ白に覆われた世界の中で対峙する老婆と怪物、
怪物は人の形をしてはいるものの5メートル以上はあろう異様な体躯を持つハンター、
非常に小柄で皺だらけの老婆は当然狩られる側。
そして、霧の外の世界で髪を振り乱しながら老婆の行方を気にする少女。
ホラー映画としてみたら最高のシチュエーションなのではないだろうか?
だが、このアスファルト上の舞台でエンヤ・ガイルは被害者役としての登場ではない。
彼女は魔女。暗黒に染まった主に永遠の忠誠を誓った狂信者。
眼前にいるのは既に両手にストレッジハンマーを構えて足を少し曲げた体勢のタルカス、
彼がこっちに走り出したら自分が死んだ事に気付く暇も無く潰れたカエルの様にペチャンコになってしまうだろう。
しかし、彼女には切り札があった。



『DIO』



様々な時代、様々な人物に影響を与え続けた闇の帝王。
彼女は数多く居る彼の部下の中でも腹心に近い立場。
なので過去の話を聞いたりする機会も度々あり、その時に聞いた話に屍生人の事も少なからず混じっていた。

常人では考えられない巨体に鉛色の鎧。
DIOから聞いた情報に完全に一致している。
エンヤは確信した。コイツの名はタルカス。
100年前にDIOによって屍生人に変えられた騎士だ。
とうの昔に死んだはずの彼の存在に疑問を感じたがそんなのはどうでもいい、
彼女の息子だって生きてたのだ。荒木の能力であるのだろうと自らを納得させる。

ゆっくりと、相手を刺激させないようにギリギリまでゆっくりと腕をあげてタルカスを制止させるエンヤ。
それと同時に唾で口の中を潤わせた後、皺まみれの口を開き息を吸う。

「お主はタルカスじゃな?」

少しだけ話を聞いたらそのままエンヤを殺す気だったタルカスがハンマーを下ろして地面を少し揺るがせる。
そしてハンマーを片手に持ち替えて続きを問うた。

「何故俺の名前を知っている?」

唸る様な声。
あまりにも重く低い声は空気中を波となってエンヤの耳へと届く。

「主、DIO様から聞いていたのじゃ。まぁワシも本物の屍生人に会うのは初めてじゃがな」

エンヤはあくまでも淡々と返事をする。
コツコツと小さい靴音を立ててタルカスへと近付いてゆき、ついには彼の目の前にまで至った。
そこは彼の射程内。
ハンマーなど使うまでもなく、その拳でエンヤに確実かつ無残な死を与える事ができる距離。
しかしタルカスは動こうとしない。
普段は使わない頭を使って思考を繰り広げているのだ。

「―――ん?」

不意に彼がさっきの重低音とは全く違う疑問に満ちたような声を発する。

「おい、貴様はディオ様の部下と言ったな? しかし見たところ貴様はただの人間ッ!!
 本当にディオ様の部下だったのか!?答えろッッ!!」
「ひっ!」
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:19:17 ID:2CSR5gJM
裸で待ってたぜ!あと1分かっ!SSYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!
136過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:20:14 ID:FwG+/E7q
歴戦の戦士であろうとも容易く怯ませるであろう怒声。
圧倒的な肺活量から生み出されたそれは濃霧の一部を吹き飛ばし、エンヤも思わず顔を覆ってしまう。
一瞬であったがエンヤは恐怖した。
目の前の怪物、タルカスの醸し出すオーラ。
生前は騎士として、死後は屍生人として修羅の人生を歩んできた彼は弱小な吸血鬼やスタンド使いでは及ばないほどの重圧を周りのものに与える。
だが、エンヤも只者ではない。
一癖も二癖もあるDIOの部下であるスタンド使いを統括してきた彼女も強靭な精神力を持っている。
承太郎一行とは真逆のベクトルを向いているが、大きさだけなら引けを取らないであろう。
ギドギドと心の中心に纏わりつく恐怖心を瞬時に心の底に追いやって、先ほどまでの冷静さを取り戻す。

「フェフェフェ、すまんのぉ。ついつい驚いてしまったわ」

極々自然に不自然で不気味な笑い声をあげて自分の余裕をアピールする。

「わしの能力は……口で言うよりも実際見たほうが分かりやすいかの」

タルカスから射殺す様な視線で見つめられているがもはや慣れてしまった、
余裕をアピールするかのごとく口の端をあげて気味の悪い笑いを浮かべる。
合図代わりに杖で地面を叩こうとするが、肝心の杖が手の中に無い事に気が付き不機嫌そうな様子で手を叩いた。



フッ



「なっ―――」

白一面の世界から、再び暗闇の町に連れ戻された事にタルカスは動揺を隠せなかった。
主、ディオは水分を操作する事であらゆるものを凍らせる事ができる。
しかし、この量の霧を生み出すことは決して出来ないだろう。

会ってからずっと気圧されてばかりだったタルカスの度肝を抜くことに成功したエンヤは上機嫌そうな笑みを漏らす、
当然その笑みも例に漏れず不気味なものであったが……。

「お主は知らないだろうから一から説明するとするかの。
 ………おっと、自己紹介が遅れたようじゃな。わしはエンヤ・ガイル。DIO様の部下じゃ。
 今わしが使った能力の名はスタンド。名前の由来は――――――」

再びスタンドを発動させて辺りを濃霧で包んだ後、タルカスにスタンドの説明を始めた。

DIO/ディオが蒔いた未来への遺産がが二つ。
二人は誓った。
帝王の仲間と共に他の参加者を全て地獄へ送った後に荒木に挑戦する事を。

ワンチェン、ジャック・ザ・リパー 、黒騎士ブラフォード、ラバーソール、J・ガイル
ンドゥール、オインゴ、マライア、アレッシー、ダニエル・J・ダービー、ヴァニラ・アイス
そして帝王のカリスマに導かれて下僕となるであろう名も知らぬ参加者達。

こうして、本人の全く知らない所で部下たちは盛り上がってゆくのだった。



★   ☆   ★
137過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:21:56 ID:FwG+/E7q



(あいつらは一体何時出てくるのよ!?)

家の陰に隠れて霧の中に消えたババァと怪物の様子を伺う。
彼女のイライラは爆発寸前。眼輪筋が全力で痙攣を始めて目尻の辺りがせわしなく動く。
いや、目尻だけではなく手足。そして髪の毛が怒りのあまりに震えだした。
スグにでも霧の中に突っ込んでババァを絞め殺してやりたい。
頬に流れる汗を強引に袖で拭う。

(制服が汗臭くなると康一君は嫌がるかな?)

ふとそんな考えが頭を過ぎる。
恋する乙女が相手の事を過剰なまでに気にかける。それはある意味正常な思考だ。

(康一君康一君。あぁ、早く彼に会いたい)

この会場の何処かにいる彼の事を思って妄想の世界へと足を踏み入れようとする。
般若の面と比べても見劣りしなかった表情はすっかりなりを潜めて、うっとりとした表情に変化した。
が、幸せな妄想はスグに終わり、やってくるのは苦難の道しか待っていない現実。

(でも……あたしは彼のために参加者を全て殺す……
 そんな私に彼に会う権利はあるの? ううん、私のためだけじゃない。
 自分のために殺し合いをしてると知ったら康一君はきっと悲しみ傷つくわ……)

康一と出会うまでは彼女は自分の事しか考える事ができなかった。
しかし今は違う。今の世界の中心は康一。
表情を180°変化させて、悲壮なまでの覚悟を決めた彼女は再び心の中で誓う。

(私は覚悟を決めたんだ……絶対に彼を救うって…だけど……だけど私が彼の前に出る事は決してない……。
 康一君は何も知らないで生き延びてもらう……そう…何も知らないで……)

誰にも聞かれることのない心中の誓い。
証明する物も人物もない小さな小さな誓い。

(康一君を優勝させるって事は……つまりあたしが死ぬ事……。
 でも恐怖はないわ…彼のために死ねるならむしろ本望………。
 ただ、もう生きて彼に会えないのは……やっぱり…寂しいわね…。)




全ては愛しの彼のために
肉も、骨も、自慢の髪の毛も、人間としての心も……自分の命ですらすらも




彼女の誓いは“献身”


美しくもあり醜くもある愛の形。


闇夜に一滴光る涙は、修羅となる彼女の人間としての最後の感情かもしれない。



★   ☆   ★
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:22:40 ID:CV/emM1W
 
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:22:49 ID:lH/sfrrY
『支援』したッ
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:23:49 ID:2CSR5gJM
しえんえし
141過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:25:30 ID:FwG+/E7q



「ポフェーイヒイヒイヒイヒイヒイヒヒヒヒヒ」

ダービーの自我を支える支柱はほぼ完全に崩れかかってる。
痛みなら耐えることができた。
しかし、自分の専売特許だったギャンブルでの敗北、そして命と同等の価値を持っていた自分の両腕の喪失。
どちらか一つでも精神を病みかねない程の衝撃を与えるのに、それが二つ同時にやって来たら?
人間としてのプライドもクソもない。
今のダービーは空想の世界で見知らぬ相手とギャンブルに興じ続けていた。



「流石に哀れみを誘うな……」

ダービーを片手で支えながら、ヘリの操縦を変わって貰ったプッチに話しかけるエシディシ。
あくまでも彼の中でダービーはカビ爆弾としか認識していないが、目の前で此処まで錯乱されると流石に同情する。

「おや? コイツを鉄塔に投げ捨てるって言ったのは君じゃないか」
「うぅ〜む、じゃあお前は自分が乗ってる馬が疲れて息を荒げてたらどう思うんだ?」
「確かに同情はするが、足を止めさせたりはしないだろうな。
 だが、この声を飛行中にずっと聞くのは気が滅入る。
 まだ私のスタンドのもう一つの能力を教えてなかったね? コイツを黙らせるついでに説明するよ」
「MM? スタンドとやらは一人一能力しかないんだろ? もう一つの能力とはどういう意味だ?」
「さっきの説明には少し間違いがあったんだ。私の能力は『DISC』を生み出す事だ」
「ほう、つまりお前は人間の記憶やスタンドを素としてDISCとやらを作るわけだな」
「あぁ。本当に君は察しがいいな。しかし私は無からDISCを生み出すことも出来る」

ホワイトスネイクの片手のみを発現させてDISCを生成する。
DISCは月光を浴びて無機質な光をヘリの中に撒き散らした。
理由は分からないがスタンドで生み出したものにも関わらずDISCは一般人にも視認ができる。
だからこそF・Fをトラクターの番人として常駐させておいたのだ。
プッチはエシディシにDISCのみを見せるつもりであった。

エシディシの顔に驚きが張り付いて数刻。
おかしい。いくら目の前で超現象を見たとしても彼が思考停止するほど驚くものなのだろうか?
一応、声をかけよう。
そう思った矢先にエシディシがプッチに話しかける。

「なぁプッチ。スタンドについてひとつだけ聞きたい。
 無自覚のスタンド使いなる者は存在するのか?」
「!?」

ホワイトスネイクが手に持ったDISCを取り落とす。
重力に引かれてヘリの床と無音の衝突を果たす銀のDISC。
プッチはその一言で全てを察したのだ。
自分のスタンド、ホワイトスネイクがエシディシには見えている事を。
驚いたといえば驚いたが少しもおかしな事ではない。
彼の友人も吸血鬼でありながらも自らのスタンドを持っていた。
それにこの会場には少なくない数のスタンド使いがいることも推測できる。
ならばエシディシがスタンド使いでは無いと断言する理由を探すほうが難しい。

「エシディシ、多分君は無自覚なスタンド使いなのだろう。
 もし君が望むなら私のスタンド能力によって君の能力を知る事ができるがどうだい?」
「是非頼もう」

エシディシのあまりの即答に驚いたプッチ。
142過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:27:33 ID:FwG+/E7q

「いいのかい? 僕の能力は知ってるんだろう。もしかしたら隙を突いて君を殺すかもしれないじゃないか?
 私の能力は肉体の強弱には関係しない。君にも説明したじゃないか」
「さっきの小屋の中でお前は俺を信用した。俺がお前を信頼する理由としては不満か?」
「すまない……信頼できる仲間があまりいなかったものでね。
 君の即答振りに少し驚いてしまったみたいだ」
「そうか、まぁそんな事はどうでもいい。
 早く俺のスタンドを確認してくれないか? 俺に怪焔王の流法の他にも能力があるならそれを知りたいんだ」

(本当に好奇心の強い男だ)

好奇心と書けば、子供のキラキラした目を思い浮かべる人が少なからず居るだろう。
エシディシも目を輝かせてこれから発掘されるであろう自らの才能を心待ちにしている。
しかし、その輝きは無垢なものではない。
新しい知識への渇望でギラギラしている飢えた猛獣の目。

「じゃあジッとしていてくれよエシディシ」

ホワイトスネイクを全身発動させる。
最初は完全にプッチと重なっていた影は徐々に分離して行き、完全にプッチと切り離された。

「この亜人がお前のスタンドか」
「あぁ。名前や能力はさっき説明した通りさ」

狭いヘリ内なので近寄るまでもなく、エシディシはホワイトスネイクの手の届く位置に居る。
柱の男の鋼の肉体がまるで泥かなにかであるかの様に容易く指先の進入を許した。

「MUOOOOOH!自分の頭に手を突っこまれる経験は初めてだがコレは中々気持ち悪い。
 よかったぜ。いままでに俺の頭にまともな攻撃を喰らわせる奴がいなくてな」

生死を握られているのにもかかわらず軽口を叩くエシディシとは対照的にプッチは顔から冷や汗を流し、なにやらブツブツ呟いている。

「…53……59…スタンドDISCが見つからないだと?……61…67……71…73……
 落ち着け…79……83……97……エシディシはスタンド使いじゃなかった…ただそれだけだ……」
「俺がスタンド使いではないだと? ならば何故俺はお前のスタンドの存在を感知できるんだ?」
「恐らくは荒木の所為だ。スタンド使いと非スタンド使いの格差を埋めるために何かしらの細工をしたんだろう」

プッチから告げられた残酷な現実に落胆を隠し切れないエシディシ。
だが、泣き喚いてスッキリしなくてはいけないほど重症だったわけではないらしい。
彼は一瞬で我を取り戻して新たな考察に移る。

「しかしプッチ。その場合には考えられるケースがいくつかある。
 一番可能性が高いのは首輪か会場が俺たちに作用して誰にでもスタンドが見れるようにした可能性だ」
「あぁ他に可能性があるのは―――――」
143過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:29:06 ID:FwG+/E7q



「フハハッ クックックッ ヒヒヒヒヒ ケケケケケ ノォホホノォホホ
 二人ともそんな難しい話は止めてこっちで一緒に遊ぼうよ。
 ヘラヘラヘラヘラ アヘアヘアへ」

スタンドが見えたことから一連の事態で二人は忘れていた狂気に呑み込まれた哀れなギャンブラーの存在を。
一切の空気を読むことなく口から涎を垂らしながら焦点の会わない目で笑うダービー。

「そういえば私の能力の説明は終わってなかったね」

ホワイトスネイクが腰を屈めて、先ほど取り落とした命令DISCを軽く拾い上げる。
そして、エシディシの目の前に持って行き説明を始めた。

「コレが私の作れる三つ目のDISC。
 おおまかに言ってしまえば相手を洗脳する効果がある」

プッチが実演してみるよ。と告げた後にホワイトスネイクが軽く手を振った。
まっすぐに、少しのブレも見せずに飛んでゆくDISCはダービーの頭に命中すると同時に、吸い込まれるかの様に頭の中へと消えていった。
通常なら致命傷になるであろう挿入中に出来た穴は完全に塞がり、ダービーに異物が入った事実を全く感じさせない。

静寂があたりを支配する。
先ほどまで哀れな笑い声をあげていたダービーも完全に沈黙してしまい、今響いているのはヘリのプロペラが回転する音だけ。

「『一切声を出さない』という内容を命令した。これでDISCが排出するまで彼が喋る事はない。絶対に……だ」



★   ☆   ★
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:31:26 ID:2CSR5gJM
紫煙(パープルヘイズ)
145過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:32:11 ID:FwG+/E7q



「ふむ……荒木は時を操るスタンド使いかもしれんのう」
「時を操る……だと?」
「さっき言ったじゃろ? DIO様の能力も時間に干渉するものじゃ。
 ならば荒木が持っている可能性だって十分ある。じゃがな……帝王の器は二人もいるべきじゃない!
 荒木! 愚かにもDIO様に楯突いた罪は重いぞ!!」

タルカスの話を聞いたエンヤが導き出した結論。
それは荒木が時を操るスタンド能力者であるということであった。
根拠は一切ない。
恐らく彼女がDIOの能力を知らなければ気付かなかったであろう仮説。
そして、その仮説はエンヤの怒りを大いに買う事となった。



ザ ワールド
『世界』




帝王であるDIOにのみ許された文字通り世界を支配するに相応しい能力。
時を止めると言う強大すぎる能力は普通を大きく逸脱したような人物であろうと使いこなせない。
世界があるからDIOが帝王になったのではない。
DIOが帝王の器であったからこそ世界を手足のように使いこなせるのだ。
なのに、あの東洋人―荒木―はその神聖な領域に土足で踏み込んできた。

タルカスとの会話の途中で気が付いた。
Jガイルは生きていたのではない。荒木によって生き返らされた。もしくは生きていたときから連れて来られたのだと。
息子ともう一度出会うチャンスを与えてくれた荒木には少なからず感謝していた。
ついさっきまでは。
今の彼女の胸に巣食うは荒木に対するどす黒い怒り。
主を侮辱された事への怒りが彼女の心を突き破って噴出しようとする。
いや、既に噴出し始まっていた。
見るものに恐怖を与える白さを孕んだ霧となって。
彼女の体から正義が噴出する。
ギャグ漫画で怒った人の頭から湯気が出ると言う表現がよくあるがこれはその比ではない。
ドライアイスを水に入れた時の様に発生する霧のような濃さ、そして噴火した火山ガスのように多量の霧が体全体から発生しているのだ。
一メートル先すらまともに見ることが出来ない。
目の前に手を出してもその手すらぼやけて見える。完全に白一色で覆われた世界が唐突に動き出す。
半径100メートルは広がった霧が、排水溝に吸い込まれる水のように渦巻きながら一箇所に収束する。
限界まで密度を大きくしたそれはもはや霧とはいえない。
そして、球体になったそれから生まれいずる異形。
タルカスは思わず恐怖した。
自分の体躯と同じくらいの王冠を被った髑髏。
その頭を両手で抱えて毒薬を飲んだが如くのた打ち回る。
タルカスには確かに聞こえた。髑髏の、エンヤ婆の怨嗟の声が。


*  *  *
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:32:12 ID:CV/emM1W
 
147過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:33:59 ID:FwG+/E7q


「ぜひぜひぜひっひゅーひゅー。
 ひ、久しぶりじゃ……ここまでスタンドを酷使したのはのう……」

一時的とはいえ制限を力ずくで突破した。
それによるエンヤの疲労は計り知れず、民家の壁にもたれかかって座り込む羽目になってしまう。
完全に肩で息をするエンヤからは先刻の迫力は全く感じられず、一見只の老婆にしか見えない。
スタンドを少し引っ込めることによって精神力の回復を計るエンヤ。
彼女がスタンドを解除したおかげで町は本来の姿を取り戻した。

マンションやアパートは殆どなく、一軒家が等間隔で並んでいる。
それは日本に置いては極々普通の光景。
アスファルトに覆われた地面も、頭上に見える電線も日常生活に完全に溶け込んでいるものであった。

「そういえば何故貴様は常にスタンドを発動しているのだ?」

現代文明に全く無縁なタルカスであったが、それらに興味を持つ事は一切ない。
出会った時から一番の疑問であった事をエンヤへとぶつける。

タルカスの質問ももっともな物である。
昼夜を問わず、霧がある一帯にだけ広がっていたらかなり目立つ。
奇襲を受ける確立だってぐんと上がるし、獲物に逃げられるかもしれない。
一見エンヤの行動は非常に不合理なものであるかのように見えた。
だが、彼女も何の考えもなく正義を常時発動させているわけではない。
たった一つ、しかし数あるデメリットを全て払拭できるメリットがあるのだ。

「この霧はかなり目立つの? だがそれがいいのじゃ。
 DIO様やJガイルがこの霧を見たらわしの存在に気付くからのう」
「なるほどな……」

感心した声を出すタルカス。

「だが、それは俺と行動する気はないという事でいいな?」
「お主は昼間動けないからのう……
 出来るだけ日中も参加者を減らしたり、仲間をふやしたりしたいのじゃから仕方あるまい」

そう言うとエンヤは背負っていたディバッグを下に置いて、ジッパーを開ける。
彼女の“右手”がディバッグを漁る。
邪魔なペットボトルや食料を“右手”で掻き分け、目当ての物を“右手”が掴んだ。
タルカスの目の前に差し出されたもの、それは地図であった。

「タルカスよ、お主には行って貰いたい所がある」
「どこだ?」
「ここじゃ」

エンヤの“右手”の人差し指が地図のある一点を指差した。
タルカスは指先を目で追って、一つの地名を目にする。
目で確認してから、脳に達するまでの時間タルカスは硬直し、脳がその場所にある建物の主の名を理解した瞬間にタルカスは訳の分からない声を発する。

「WRYYYYyyyyyy!これはディオ様の屋敷!!」
「そう。わしらの時代のDIO様の居城がここじゃ」
「俺はそこへ向かうのだな?」

興奮が収まらないタルカス。
忠誠を誓った二人目の主の居城を発見した事により彼のテンションは色々なものをブッチギッた。
148過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:36:00 ID:FwG+/E7q

「恐らくDIO様本人や、部下たちは此処を目指そうとするじゃろう。
 だからお主にはそこの門番となり、来たもの達にわし達の計画を話すのじゃ」
「承知した」
「そうそう、一つだけ言い忘れてた事があったわ」
「ん、なんだ?」
「さっき、DIO様の方角に隕石が落ちたのじゃが知っておるか?」
「いや、貴様と会うまではずっと叫びながら走っておったからな。 
 余り周りの事を気にしとらんかったわ」
「三発が近い間隔で落ちたから恐らくスタンド攻撃。
 もしかしたら参加者がそっち方面に集まるかもしれん」
「ほぅ、狩甲斐があるじゃねぇか」

タルカスが口の端から牙を覗かせてニヤリと笑う。
戦闘の気配を感じて武者震いが止まらない。

「じゃあな」

エンヤに背を向けて歩いて行こうとするタルカス。
その巨大な背をエンヤは呼び止めた。

「タルカスよ、受け取るのじゃ」

飛んでくるのは人の掌より一回りほど大きい銀色の円盤。
キャッチしたときの触感からするとある程度の堅さはあるようだ。
しかし、少し曲げようとするとゴムのようにグニャリと曲がる。

「何だこれは?」

触ってみた感想をエンヤへと率直に伝える。
だが、その返事はタルカスの期待に沿うことはない。

「分からぬ、支給品としてディバッグの中にコレだけが入っておったんじゃ。
 が、屍生人の力があれば飛び道具ぐらいにはなるじゃろ?」
「ふん、余計な事を……」

そういいながらも、鎧の中にスッと円盤をしまう。
そして巨大な指がディバッグの中を漁り、一枚の紙を取り出した。

「貰いっぱなしは性に合わん」

そう言って、エンヤに紙を手渡す。

「これは?」
「開けると支給品とやらが出てくる」
「本当にいいのかえ?」
「俺にはもうハンマーがあるからな。武器はもういらん」

そう言ってタルカスは地響きを発生させながらDIOの館へと走り去っていった。



★   ☆   ★
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:36:40 ID:CV/emM1W
 
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:38:26 ID:2CSR5gJM
タルカスかっけえ・・・・・
支援
151過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:38:54 ID:FwG+/E7q



「さて、奴から貰った支給品は吉とでるかの?凶と出るかの?」

タルカスからのプレゼントである支給品を意気揚々と開けるエンヤ。
死体を見つけるまでの繋ぎとなるのか期待しながら、紙の端を摘んで―――

ドサッ

何か重いものが落ちる音がしたかと思うと、エンヤの体は紙から出てきた何かに潰される。
支給品の下敷きになったエンヤの最初の感想は『柔らかい』であった。
実際、受身すら取れなかったにも関わらず、エンヤの体には傷一つない。
そして手に触れる感触は布のそれ。
微妙に暖かい感じのするものの、人の体温よりは少し冷たい。

「いたたたた、一体何が支給されたんじゃ?」

自分の腹の上に乗った異物を必死で手で押しのけようとする。
乗っているものは意外と重いらしく、老婆の細腕では少しづつずらしてゆくのが限界だった。
彼が悪いのではないと知りつつも内心でタルカスに毒づく。
そして、自分の体を異物の下から完全に脱出させて、手に持った懐中電灯で出てきたものを照らす。

「タルカスよ。お主の支給品は最高じゃ! わしのためにコレは支給されたんじゃないかのう?」

エンヤをここまで喜ばせる支給品、それは――――――






この殺し合いにおいて最初の犠牲者となった、空条承太郎の妻の死体であった。

バァ―――z___ン

嬉々としてジャスティスを一部だけ発動。
固いアスファルトに横たわる死体の元へと霧を集めてゆく。
頭が繋がっていたはずの真っ赤な断面に吸い込まれるように進入する霧。


ピクリ


生命の宿っていないはずの死体の指が痙攣する。
その震えは大きくなってゆき、電池が切れたように唐突に止まった。
かと思いきや死体が自分の手を使いムクリと起き上がる。
そして死体の頭のあった辺りに霧が収束し、西洋人の女性の顔が生まれた。
生前は美しく整っていたであろう顔立ちは、すっかり歪んだ醜悪なものとなり無残な容貌を晒す。


(なるほど……死体を操るスタンドってわけね。
 ミイラ取りがミイラになったら洒落にならないから気を付けなくっちゃ……)



★   ☆   ★
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:39:58 ID:CV/emM1W
 
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:41:01 ID:CV/emM1W
 
154過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:41:23 ID:FwG+/E7q



西へ、一刻も早く西へ。
屍生人の筋力はその巨体や重厚すぎる鎧などはものともしない速さをタルカスに与える。
道路を駆け抜ける彼の姿はまさに大型トラック。
うっかり彼の目の前に飛び出す哀れな参加者が居なかった事は本当に幸運だったのだろう。


バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ


不意に聞きなれない音がタルカスの耳に飛び込んでくる。
急な音にも一切動揺せずに、何事もなかったかのように足を止めるタルカス。
彼の脚は今まで上げ続けたスピードと重量によってもたらさせる多大なエネルギーを悠々と受け止めた。

(この音は…?)

自分が生きてきた中でも死んだ後でも聞いたことが無いなんとも形容し難い音。
段々増して行く音量がついに騒音の域に達したとき、ついにタルカスは音源を突き止めた。

「上かぁッッ!!」

首筋を痛めそうなスピードで上空を仰ぎ、人間の言語として聞き取るのがほぼ不可能な声で咆哮する。
まずタルカスの目に映ったものは、この殺し合いの場においても温かい光を発する月。
闇に染まった空よりも更に暗い色をしたまばらに存在する雲。
そして、音の正体である空を飛ぶ箱。

「なっ!?」

鳥ではない。羽が無い上にサイズが大きすぎる。
ならばあれは何なのだろうか?
タルカスの脳内を電気信号が駆け巡り、空飛ぶ箱の正体を推理する。
だが、今まで経験した全てを思い出そうとも、自分の想像力の限界に挑戦しようともあの箱が何であるのか分からない。
落とすべきか否か。
最終的な判断を下させてくれたのは一人の男の存在であった。

謎の腕によってヘリの外に出されて、月光を浴びる男の名はダニエル・J・ダービー。
遠くにいた事によりはっきりとは分からないが、顔立ち、ベスト、ネクタイとほぼ全ての特徴がエンヤから聞いていたものと一致した。
だが、探していたディオの部下を早速見つけたのにも関わらずタルカスの表情は渋い。
それもそのはず。
彼が探していたのはスタンド使いでディオの手足となるダービーを探していたのだ。
なのにタルカスの目に映るダービーの姿はどうだ。
肩や腿の先に付いている筈のものは存在せず、ただ断面から緑色の黴が姿を見せるだけ。
表情は緩みきっており、ヘラヘラ開いた口からは涎が垂れている。
だれがどう見ようとも今のダービーは完全に再起不能だ。
つまり、タルカスやディオにとっては今の彼は用済みの足手まとい。

だからタルカスはダービーと共にヘリを落とすことを決定した。
万が一にもヘリの中に居る人間が味方である可能性は無い。
理由はシンプル。
もし仲間であるのなら重症のダービーを外に吊るすわけが無いからだ。
それにエンヤから聞いた情報にはカビを使うスタンド使いはいない。
ならば、ダービーは飛ぶ箱の中に居る敵に敗れた後、目的は分からないが晒し者になったと考えるのが自然。
ストレッジハンマーを地面へと落として、懐からDISCを取り出す。
その際にストレッジハンマーがアスファルトにひびを入れるがタルカスにとってはそんな事知ったこっちゃない。

「貴様ら血袋は俺の夜食にしてくれるわ!」
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:42:59 ID:CV/emM1W
 
156過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:43:25 ID:FwG+/E7q

右手を後ろに持って行き力を溜める。
メキメキという音が聞こえるのは決して幻聴などではないだろう。
張り詰めたそれは細かく振動して、今にも限界を迎えてしまいそうだ。
そのまま、左足で地面を力いっぱい踏みしめる。
鈍い音を立ててアスファルトが陥没して小規模なクレーターができた。
右腕を楕円の軌道を辿りながら思いっきり振り切って――――――



「WRRRRRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY」


*  *  *


いきなり風を切りながら飛来した何かに対して、エシディシはとっさに手元にある物を使って防御を図ってしまった。

(やっちまったぜ……)

手元を見ると先ほどまでの笑みが完全に消え、体をよじらすことすらしなくなったダービーの姿があった。
―――死んだ。
エシディシは当然そう判断する。
だが頭の奥底で何かが引っかかっている。
そういうものは喉に絡まった痰の様に、吐き出さないと絶対にスッキリしない。
エシディシは何かが飛んできた時の状況を脳内でリプレイしてみた。
確かに飛んできたものは恐ろしいまでのスピードを持っていたが柱の男の動体視力なら十分視認可能である。
一瞬見えたそれの特徴は銀色で、中心に穴が開いていて、円形で、薄っぺらくて……。

「!?」

気が付いた。
プッチもエシディシのおかしい様子を見て声をかけてくる。

「どうしたんだエシディシ?」
「いや、さっき見たお前のDISCらしき物が飛んできてコイツに突き刺さったんだ」
「ふむ……確かに心当たりはある。
 大方、何も知らない奴が飛び道具と思って投げたんだろうな」
「む…? 何かあったのかプッチ?」
「いや、別になんでもないさ」

明らかに何でもないわけがない。
その位は表情を見れば一発で分かる。
だが、あえて深いところまでは追求しようとしない。
話したくなれば自然に話してくれるだろう。エシディシは既にプッチを心底信用するようになっていた。

「とりあえず下から襲撃してきた奴を何とかしなくてはな」
「どうする?俺が下に行って直接始末してくるか?」
「いや、その必要はない。相手は遠距離攻撃の手段を持ってないはずだから、投げるものがなくなったら諦めるさ」
「ふむ。じゃあ俺はこっち側からの攻撃に備えておくから、そっちもスタンドを展開しておけ」
「やれやれ……敵が多いからあまりホワイトスネイクを目立たせたくはないのだがな……まぁ仕方ない」

近距離パワー型並みの力を持つスタンドに、柱の男。
この二つの壁を突き破るためには生半可な能力や力ではどうしようもないだろう。


*  *  *
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:44:20 ID:2CSR5gJM
ストレッジハンマーじゃなくてスレッジ・ハンマーですよ〜
支援
158過去への遺産、暗黒の遺産 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/08(月) 23:46:29 ID:FwG+/E7q


地上でタルカスは心底不思議そうな表情でダービーに熱い視線を送っていた。

(奴は死んだ。それだけは間違いない。
 だが……あの固さを俺の力で投げたなら頭をトマトのように爆散させた後にあの箱を破壊する位なら出来たのではないか?)

普通の屍生人ですら、救命用の浮き輪で容易く人の命を奪う事ができる。
ならば、屍生人の中でもナンバーワンのパワーを誇るタルカスの筋力なら?
だからタルカスは投擲の結果には非常に不満を持っていた。
しかし、そんな細かい事に何時までもウジウジとこだわる性格ではない。
地面に落としたハンマーを再び片手で拾い上げて、肩の上部へと持って行き正確な狙いをつける。
そして、DISCに次いでハンマーをヘリに向かって投げつけた。

縦方向に回転しながらヘリの元へ向かうハンマー。
タルカスはヘリが完全に破壊される事を予測してほくそ笑む。
彼は知らなかった、ヘリの中に居るのが自分以上の怪物である事を。
彼は知らなかった、ヘリの中の柱の男と自分の関係は捕食者と非捕食者との関係ですらない事を。
彼は知らなかった、ヘリの中に居る二人は自分のことを歯牙に掛けてすらいなかった事を。


念押しにもう一度言っておこう、現実は非常だ。



★   ☆   ★



立ち直れる気がしない。
屍生人になるまでも、なってからも変わらない自分のポリシー『弱肉強食』。
自分は強いからこそディオ様に二度目の生を与えられたのだ。
そして、自分を蘇らせたディオ様こそが最強の存在であると信じていた。
だが現実はどうだ?
あの箱の中にいる男は片手で、虫を払うかのごとく俺の投げたハンマーをあっさりと弾き飛ばした。
パワーだけはディオ様にも勝ると自負していた俺が投げたハンマーをだ。

とぼとぼと地面に落ちたハンマーを拾いに行く俺の姿はとても惨めで、情けなくて。
俺が人間だったら涙を流していたのだろうか?
全身が引き裂かれるかのように痛む。
痛みを忘れたはずのこの体がだ。

考えるのはもうやめよう。
とにかく今はディオ様の館を目指して歩くんだ……。

絶対の力という唯一のアイデンティティが崩壊した彼に以前の覇気は無い。
強さ。騎士としてのプライドを既に失った彼が依り代としたそれは今や何の意味も為さない物となってしまった。
流れ星が二つ彼の頭上を流れる。
しかし、今の彼が眺めているものは只の泥であった。


★   ☆   ★
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:47:30 ID:CV/emM1W
 
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:49:54 ID:2CSR5gJM
SS支援する時にSSの新しい部分が投下されるのってまるで
ボインゴの漫画の予知の新しいページが現れたみたいで楽しいな〜
支援
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:52:00 ID:CV/emM1W
  
「大丈夫かエシディシ?」
「あぁ、治りが何時もより遅いのが気になるが順調に回復中だぜ」
「しかし……あの襲撃してきた奴の正体は一体なんだったんだろうな?」
「それなら分かるぞ」

弾き返した際に砕け散った右手の甲を左手でさすりながらエシディシが答える。

「奴は屍生人、吸血鬼の僕だ。
 しかし、あそこまで強い固体をお目にかかったのは初めてかもしれんな。
 餌の下僕のごときに俺の体に傷を付けられるとは夢にも思わなかったぞ」

豪快に笑うエシディシとは対照的に、プッチは急に黙り込んでしまった。
よくよく見ると、ホワイトスネイクをこちらに向けて今にも戦闘を開始しそうな剣呑な雰囲気を醸し出す。

「どうしたプッチ? まさか俺とやるとは言わないよなぁ〜〜?」
「あぁ、これからの君の態度によってはな」
「MM? 俺になんか不服でもあるのか?」
「君は吸血鬼を餌と呼んだ。言っただろ? 私の親友は吸血鬼だって。つまり君は私の友人を侮辱したのだよ」

プッチからは今までの穏やかなオーラは既に消えて、代わりに殺気が噴出している。
まさに一触即発。
エシディシの一言、一挙動でヘリの中は血みどろの地獄絵図に変わりかねない。
極限まで張り詰めた空気の中でエシディシがとった行動は。

「すまんな。軽はずみな発現でお前の友を侮辱した事を謝罪しよう。
 しかし、お前は本当に面白い。友を侮辱されただけで俺にココまで突っかかってきた人間は初めて見たぞ」

エシディシの発言は心の底から本心であった。
この人間の事をもっと知りたい。あわよくば友となりたい。
自覚の無い感情が彼の心の内を支配しようとジワジワと侵食を開始する。

「友を侮辱されただけか……。私は人の出会いとは引力だと思っている。
 出会うべくして出会う。私が君とであったのも一種の引力なのじゃないのかい?」

少しため息を吐きながら、プッチは自らの持論をエシディシへと語る。
エシディシは深く考えているようで、顎に手を当てたまま返事をしようとしない。

「まぁ、その事は後で考えればいいさ。まずは優先してやらなくてはいけない事がある」
「優先する事?」
「この男の頭の中に入っている記憶DISCを回収する事だ。
 コイツを鉄塔に落としたら回収が不可能になってしまうからな」
「確かにそうだが……このカビはスタンドなのだろ? 
 だったらお前のスタンドにもカビが感染する可能性だって十分あるんじゃないか?」
「大丈夫。他人の記憶DISCは頭に衝撃を与えれば簡単にでてくるからね。だからエシディシ……」

プッチが言い終わる前に、ヘリの外に吊るしてあるダービーの側頭部を死なない程度の力で叩くエシディシ。
叩いた方とは逆の向きから飛び出すそれを柱の男の身体能力で悠々キャッチ。
『怪焔王の流法』で殺菌した後に、プッチの所へと投げた。

キャッチしたホワイトスネイクの視界から見えるDISCの模様。
それは予想したものと寸分違わぬ物であった。
神妙な表情になりだんまりとするエンリコ・プッチ。

「なぁプッチ。人と人の出会いが引力なら、人と物の出会いだってもしかしたら引力かもしれんな」

ニヤリとニヒルな笑い方をしながら独り言のように言ったエシディシ。
一瞬ポカンとした表情を浮かべるプッチであったが、顔に微笑を浮かべてエシディシに頷く。
目的地まであと少しとなったヘリの前を二つの隕石が過ぎた――――――。
【C-5/1日目 黎明】
   
【追う恋人、追われる正義】

【エンヤ婆】
[時間軸]:聖痕で全身に穴が開いた直後
[状態]:全身穴だらけ、上機嫌
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、承太郎の妻の死体
[思考・状況]
1.DIO様と部下と一緒に荒木をぶっ殺す
2. DIO様は守る、J・ガイルに会う、両方やらなくちゃならないのが老婆のつらい所じゃな
3.ポルナレフとホル・ホースを地獄の苦しみの末に殺す
4.ジョースターの奴ら(ジョセフ・ジョースター、モハメド・アヴドゥル、花京院典明、空条承太郎)も殺す
5.なんで“正義”が広がらないんじゃ?
[備考]
※スタンド“正義”が制限されていることに気づきました。主な制限は次のふたつです。

射程距離が50メートルほどに制限されています。
原作より操る力が弱体化しています。人間はともかく、吸血鬼や柱の男たちにはエンヤ婆の精神が相当高ぶってないと操れない程度に制限されています。
前者はわかっていますが後者は気づいていません。
※頭部に由花子の髪の毛が埋め込まれています。
※南に向かっています。

【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、強い覚悟
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:広瀬康一を優勝させる。
1.この老婆の後をつけ、利用する。
2. 康一のために参加者をすべて殺す。
3. 康一と自分だけになったら自殺して康一を優勝させる
4. 康一には絶対に会わない
5.エンヤがたくさん人を殺すことに期待
6.正直知り合いにはなるべくあいたくない。けど会ったら容赦しない。


[備考]
※エンヤの頭部に髪の毛を植えつけました。
※エンヤの後を30メートルほど離れて尾行しています。また、彼女がエンヤを殺さないのはエンヤが“危険人物”であろうだからです。エンヤの行動しだいではいつでも始末する気です。
※エンヤの能力が死体操作であることを知りました。生きた人間も操れると言う事はまだ知りません

【C-5/一日目 黎明】

【タルカス】
【時間軸】:ジョナサン達と戦う直前
【状態】:健康 、挫折感
【装備】:大型スレッジ・ハンマー
【道具】:基本支給品
【思考・状況】
1.自分の強さに疑問
2.DIO様と部下と一緒に荒木をぶっ殺す
3.それ以外の奴らは皆殺し
4.出来れば鎖が欲しい
【D-3orD-4/一日目 黎明】

【純白の大蛇と炎の策士とカビ爆弾 in スカイ・ハイ】

【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる
[装備]:ヘリコプターで運転中 ※燃料には限りがあるが、C-10からD-2、D-3あたりまで飛ぶ量は充分にある。
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻でチョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
    不明支給品0〜2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
1.ゲームへの参加方針という意味で無理に出歩くつもりはない。
  が、面白そうなのでカビ爆弾(ダービー)を鉄塔付近(D-2、D-3あたり)に落としてみよう。
2.こいつ(エシディシ)は良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
3.ディオとジョルノに会いたいが、時代が違いそうで不安。
4.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)。

【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(回復中)、ちょっとハイな気分。ヘリコプターの窓から手を出してる(ダービーを持ってる)
[装備]:ヘリコプターに搭乗中
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
  が、カビはウザイので移動しよう。燃やせばどうにかなるんだけど。
2.こいつ(プッチ)はなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
3.鉄塔付近(D-2、D-3あたり)にカビ爆弾(ダービー)を落としてやろう。

備考
※二人ともお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※ダービーさえ鉄塔付近で捨てさえすればそれでいいと考えてます。
 日光から逃れれるのなら付近に建物、及びアヴドゥルの隠れ家に戻ってもいいと考えてます。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※どの程度情報交換したのかは、わかりません。空のどの地点で隕石を目撃したのかはわかりません。
※ヘリコプターの進行ルートのゴールは決まってますが、途中のルートは次の書き手さんにお任せします。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※柱の男の回復力に制限が掛かっています

【ダニエル・J・ダービー】
[時間軸]:本編初登場前
[状態]:満身創痍。手足が無い。カビ侵食中。ヘリコプターの窓の外に出たエシディシの手にぶら下がってる。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:これは夢なんだッ!バンザーイッ!
1.イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ
2.痛みでまともな思考ができない
3.ホワイトスネイクの命令DISCにより喋れない

※ダービーの傷は後6時間程放置されたら死ぬ程度のものです
※自分以外の参加者はみんな死ねばいいのに、と考えてます。
※どうせ死ぬんだから誰かが死ぬためならなんだっていいと考えています。
※他の参加者がヘリコプターの通ったルートの真下を歩いてもカビに感染するとは限りません。
 これはグリーン・ディのカビと地面の距離が充分離れている、つまりカビの媒介物であるダービーが空にいるからです。
 逆に言うとダービーが地面に落とされた地点の周辺に誰かが近づいたらそいつは(ry
165 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/09(火) 00:00:55 ID:Sr1jJLJG
以上で投下終了です

支援をしてくれた方、代理投下してくれた方には本当に感謝しております
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 00:03:49 ID:q9ptUDCj
投下乙です
しかし見事に悪人しか登場していない
そして自信が粉々になったタルカスはどうなるのか
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 00:10:42 ID:igbIoSXM
投下乙
しかしジョースターの妻支給するとか荒木どんだけ外道だ!!
そして塔に投下されることによって、サーレーやその他の面々がピンチになりそうだな
この遺産たちは今後何をもたらすのか
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 00:10:59 ID:UApm9Vjp
投下乙
覚悟が決まったエンヤ、由花子
それに対して不安定ながらも館に向かうタルカス
相変わらずの三人

丁寧に描写されていてとても読みやすかったです!
GJ!

タルカスはこのまま行ったらリンゴォに遭遇することになるけど果たしてどうなることやら…

最後に一言
ここで承太郎の妻を支給品で出すとは、どう見ても外道ですwwww
ほんとにありがとうございましたwwww

エンヤ・由花子、そして吉良・承太郎が遭遇したらテラ修羅場wwww

169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 01:28:57 ID:bBTJviB4
乙でした。

今日来たばかりなんだが、読み手として少しでも協力したいと思い
wiki編集(SS収録?)をやってみたんだが、今回の投下分は
時系列的に言うと、どこに入れればいいんだろう?
一応、投下順のところは更新したんだが
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 01:39:34 ID:A5m4wXnb
特に細かい時間指定はないし、黎明の一番下でいいんじゃないかな?
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 01:57:00 ID:bBTJviB4
>>170
なるほど!d

早速やってきた。ミスあったらスマソ
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 06:54:23 ID:zAaeZ1OK
投下乙です
すごく面白くて読みやすかった。大バトルがあった訳でもないのにこれは凄いな
承太郎の妻の死体って・・・最悪な至急品が最悪なやつに渡ったな
ジョリーンと出会ったらって考えるとそれだけで悪夢だ

喋れなくなったダービーはカビ爆弾として落とされるまで空気化しそうだなw
とことんカワイソスだ。いい加減死なせてやろうぜw
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 07:33:48 ID:cyrL4D6D
>とことんカワイソスだ。いい加減死なせてやろうぜw
なんてこった。ダービーに無意味に生存フラグが立ちつつあるじゃないか
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 08:12:54 ID:YM5Ys/mP
ダービーは鉄塔に落とされようとしている。
ジョルノ達も鉄塔に向かっている。
つまり・・・わかるな?
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 18:10:18 ID:TyI8EHe1
投下乙ッ!
承り妻まさかの支給品&ゾンビ化にドッギャーンッ!!
渋いねぇ……まったくおたく渋いぜ。
タルカスかっこいいけど2ndでも柱の男に心を折られたのなwww

……一番ぞっとしたのはウェザーのDISKだったり。
176 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/12(金) 00:00:14 ID:fnTaNA7j
一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、他気になる点がありましたらご指摘よろしくお願いいたします。

177 ◆/N8q5ODajQ :2008/09/12(金) 23:32:50 ID:tTWrzG3d
マルチロワのジョジョ勢頑張ってるな〜
向こうから書き手が流れ込んで来てくれれば嬉しいんだけどな……

ここで本題

サンタ駅組みに非常に興味があるのだが、前の話で駅組みの主要人物のウェザーにフラグを立てちまった
こうなると殺しても生かしても何となくシコリが残っちまいそうになるんだがどうしよう?
元々、絶望的な遅筆な上に自分の力量に見合わない山場だからちょっと不安なんだがな……


後、予約はしばらくしないんで他に書きたい方がいたらどうぞ。
西部劇のガンマン風に言うと…
『書きな!どっちが素早いか試してみようぜ』
というやつだぜ……
178 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:07:14 ID:BUh4qoRQ
ジョナサン・ジョージ・エリナ・ブラフォードの本投下を開始します
179泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:09:00 ID:BUh4qoRQ
「―――さあ、もうすぐジョースター邸です。そこまで見えてきていますが……お身体は平気ですか?」
そう背後の男に問うのは長髪の騎士、ブラフォードである。
一方、その質問を投げかけられた初老の男性は、少々息を荒げながらもはっきりとした口調で答える。
「あぁ。“最優先は息子たちの保護。今は他の参加者に出会わないように山道を行こう”と言ったのは私自身だからな。
そうそう音を上げる訳にもいくまい。君には私の分の荷物まで持ってもらっている。これ以上我儘は言わんよ」
服の所々に泥をつけ、整っていた髪には小枝が絡みついている。一見しただけでは山奥に身を潜める浮浪者のようだ。
しかしこの男性、れっきとした紳士である。
ジョージ・ジョースター。この“ゲーム”に放り込まれた息子たちを保護し、荒木の打倒を目指す誇り高き男。

彼らは、町の中心部を迂回するように――地図で言うところの1の列を通るように――草木をかき分けながら歩を進めていた。
そして今……町の最北西、B−1エリアと、B−2エリアの境界までたどり着いたのだ。
「ここからはもう舗装された道のようです、ジョースター卿。ここからどう行動しますか?必要ならば一時休息を取ってからでも構わないのですよ?」
甲冑を着込んだまま湖を渡り切る程の体力の持ち主であるブラフォードにとってここまでの道のりは苦ではなかった。
しかし、頑健な体つきとは言え山道など歩きなれない貴族の老人だ。気を使わない訳にもいかない。
「いや……必要はない。もう少し歩けばゆっくりと休めるのだ。今ここで我々が足踏みをすることは出来ない」
疲弊の表情の中にもキリッとした眼差しを宿して答えるジョージを見たブラフォードは、やはりな、と少し安堵したようだった。
「では、改めて向かいましょう。ですが、決して無理はなさらぬよう」
「分かっている」

* * * *
180泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:11:02 ID:BUh4qoRQ
「ダニー……」
自分の足にじゃれ付く犬。その名をぽつりと呟く屈強な青年。
しかし、その表情はどことなく暗く、複雑な表情だった。
どのくらいそうして立ち尽くしていたのかは青年自身にもわからなかったが、心配そうな表情をするダニーの前に観念するかのように腰を下ろす。
一方のダニーは、彼の心の内を知ってか知らずか、喜んで彼の周りを駆け回り、袖を引き、背中におぶさって遊んでいた。

青年、ジョナサン・ジョースターは考える。

――さっきまで、僕はどう行動しようとしていた?
信頼すべき仲間、愛する人が襲われるかもしれない。その原因とも言える吸血鬼、屍生人たちを止める。いや……倒すと。
仮に屍生人でなくとも、死者が生きている訳がないと。いくら波紋の力をもってしても、死者の蘇生だけは不可能であると。

自分の行動方針についてはこの上なくシンプルなものだ。
多くの人々を保護し、夜の住人を駆逐、そして荒木の討伐。誇り高き彼ならではの発想である。
だがそこにもうひとつの疑問符が頭に浮かんでくる――と言うより、今のジョナサンにとって本当に悩むべきはこちらの疑問かもしれない。

――だとしたら、この“犬”はいったい何者なのか?
幻覚や、僕自身がいつも夢の中で見るものではない。かといって屍生人、いや、屍生犬とも言い難いが……
だが、これだけは間違いない。ダニーは……七年前に死んだのだ。つまり――
これは……“ダニー”じゃあない。
“ダニー”であるわけがない。
ダニー……いや、この“犬”は止めなきゃあいけない。しかし――

「……くそォッ!!」
ぐるぐると頭の中を駆け回る“ダニー”と言う単語。親友の名。記憶。そして――現実。
俗に“ブチ切れる”と呼称される、悩みの末に発生する本能的な破壊衝動を拳に乗せ……思いきり床に叩き付る。
それは態度、言葉遣い共に紳士とはかけ離れた行動。しかし、今の彼にはそうすることしか出来なかった。“ダニー”は驚いて後ずさっている。

真に倒すべきはあの男、荒木である。そこだけは間違いない。
だがしかし、そこに辿り着くまではいくつもの障害が立ちふさがる事だろう。
死者を蘇らせ操る者と闘う……つまり“蘇った顔見知りを殺さねばならない”のである。
そして……ジョナサンにとって、その一つ目の障害はあまりにも大きく……あまりにも残酷なものだった。
181泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:13:05 ID:BUh4qoRQ
「波紋を使って心臓を止めれば……倒すことは出来る。
やらなきゃあいけない。覚悟を決めなゃあいけないッ……!」

ぐっと唇を噛む。痛みの感覚はどこか鈍く、その傷口から顎に向かって血が流れ出しているのに気が付くには少々の時間を要した。
そして……先ほど床に叩き付けた拳からも血が僅かに滲み出している。
ダニーが普段と違う雰囲気の主に少し怯えながらも、傷口を舐めてやろうと近寄ってくる。七年前まではよくあった光景だ。
ペロペロと傷口を舐めるダニーに「くすぐったいよ」と言っていた過去の自分の姿が脳裏をよぎる。
だが――ジョナサンはその思い出を、近寄るダニーごと振り払い、グッと立ち上がった。

そんな主を見ながらなおもダニーは歩み寄る。
覚悟を決め立ち上がったとは言え……無垢な表情の相手に対しジョナサンは無意識のうちに距離を取ろうとしていた。
だが、そんな自分に喝を入れるように声に出して決意を表す。

「く…くうッ!や…………やってやるッ!
 これは荒木によって生み出された“まやかし”!!
 この犬とはここで決着をつける!
 こいつをやらなければ……ここで“倒さ”なくては
 きっと“荒木”の元までたどりつけないだろう……ッ!」

ジョナサン・ジョースターは気付かなかった。
ゲーム主催者、荒木飛呂彦の能力は“死者を蘇らせること”ではないことを。現状に焦り、死者を蘇らせる能力だと心のどこかで決めつけてしまっていたことを。
ダニーは正真正銘、本物の“ダニー”であったことを。
そして何より、未知の存在を判別する材料に、無意識のうちに“自分の経験”を使用していたことを。
それは“おもいで”と言い換えても良いのかも知れない。
ダニーはかつて死んでしまったという“おもいで”と、死者は蘇ることなどないという“戦闘経験”。ジョナサンにとってはどちらも紛れもない事実であった。
――その一つの“事実”がジョナサンの決意へのだめ押しとなる。

もしも、ダニーが今なお元気で生き続けていれば――
もしも、彼が対峙した相手が“吸血鬼”でなく“スタンド使い”だったならば――
もしも、ディオが犬嫌いでなければ――
もしも、ジョージ・ジョースターとダリオ・ブランドーが出会わなければ――

いくつもの“もしも”が考えられる事だろう。しかし今、ジョナサンの心の支えになっているのはもはや“覚悟”だけであった。

……どこか遠くで地響きがした。
その振動はごくごく僅かなものだったが――ジョナサンの目に溜まった涙を床に落とすには十分だった。

* * * *
182泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:17:58 ID:BUh4qoRQ
「間違いない……あの人はここにいる……」
館の正面で立ち止まる女性。額に汗を浮かべ、息を切らし、走り辛かったのだろう……大きく引き裂かれたドレスの裾からは泥にまみれた素足が覗く。靴さえも履いていなかった。
彼女の名はエリナ・ペンドルトン――いや、エリナ・ジョースターと言うべきだろう。
かつてジョナサンと泳いで遊んだ川こそ見当たらなかったが、エリナにはこの館がジョースター邸である、と言う確信が持てた。
なぜだかはわからない。過去に遊びに来た経験もない。だが先程からずっとそうだった。
あの人が近くにいる。そう思うだけで足取りは軽くなり、不安も吹き飛び、こうして確信を持つまでになっていたのだ。

「とにかく――ここで待っていても埒が明きませんね」
誰に言うでもなく小さく呟き、扉の前に立つ。
慎重と言うよりは優しさを込めるような手つきでそっと扉を押し開き、僅かに出来た隙間から中を覗き込む。
しかし、暗くて中の様子ははっきりとはわからない。エリナは迷うことなく、しかしそっと中に入り、律儀にも、扉を閉める。
重い扉はエリナの意に反して大きな音を上げた。バタム、という音が暗闇の中に響く。

「だれか――いるのかい?」

静寂から返ってきたその声は、エリナが探し求めていたまさにその男のものだった。

「ジョナサン!」
「その声は……エリナ――エリナなのかい?」
「そうです。あなた、ジョナサン・ジョースターの妻、エリナ・ジョースターです。どうか私の前に出てきてくださいませんか?」
この世界に“連れてこられた時間”がそう離れていないことも幸いし、一片の疑問もなくここに一組の“夫婦”が再会を果たした。
見る見るうちに表情が明るくなるエリナ。しかし、歩み寄るジョナサンの違和感に気付き、その表情が強張る。
愛する夫は今はどこかやつれており、その瞳は闇夜のように暗く、唇からは血を流していた。
“違和感”がそこまでだったらエリナはきっと持ち前の明るさ、優しさで彼を癒すことだろう。しかし、それだけではなかったのだ。

目の前に立つジョナサンは、まるで生まれたばかりの赤子をそうするかのように……一頭の犬を抱きかかえていた。
眠っているのだろうか?だが、抱きかかえている夫の掌からは――唇と同様に血が滴り落ちていた。

「この子は……ダニー?ダニーなの?ダニーに何があったの?」
状況が飲み込めない。エリナは心に思ったことをすぐに口にしていた。

夫はその質問にはすぐには答えてくれなかった。
ほんの数秒前まで自分を見つめていたその目はいつの間にか遠く――自分の背後を見つめているようだった。
その視線に促されるように踵を返し、ジョナサンと並んで立つエリナ。そうした時、やっとジョナサンの口から言葉を聞くことができた。

「君は聞いたね、この子はダニーなのかと。ダニーに何があったのかと。
きっと、あの人もそう質問するだろう。ダニーの事はあの人も良く知っているからね。
だから――その時まで、その質問の答えは待っていてくれないか?」
そう囁くジョナサンが抱えていたダニーを足元に下ろす。そしてすぐ正面に向き直った。

視線の先には、先ほど閉めた扉から光が差し込み、二人の人影を形作っていた。

* * * *
183泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:21:42 ID:BUh4qoRQ
ジョージとブラフォードがエリナと遭遇しなかったのはむしろ不自然だと言えた。
エリナが館の正面に立つ頃、ジョージ達も館の裏手に到着していたのだ。

「間違い……ありませんね?」
「うむ。こんな街に建っている、と言うこと以外は紛れもない我が家だ」
自分の住んでいた館である。たとえ裏手だろうと見間違う筈もない。質問してくるブラフォードにきっぱりと答えるジョージ。
普段とは違う異様な雰囲気に包まれるジョースター邸は今や寂れた幽霊屋敷と言われてもおかしくない状態だった。
「とにかく――ここに立ちつくしていても仕方がない。正面に回ろう、ブラフォード君」
「ええ、ですが敵が潜んでいる事も考えられる……私が先を行きましょう」
警戒心こそあれど落ち着いた歩調でゆっくりと歩を進める。すると、正面から扉を閉める音が聞こえてくるではないか。
びくりと緊張する二人。しかし、ここで引く訳にもいかない。ましてやジョージにとって、ここは自宅である。ここに帰らず、どこに帰るというのだろう。
目で頷き合い、先よりもなお慎重に正面玄関まで辿り着く。
空は次第に明るんできており、扉は美しく照らされようとしていた。

「誰かが入ったと思うか、誰かが出て行ったと思うか、だな。きみはどう思うかね?」
「こう言った時は“最悪の状態”を考えるに越したことはないでしょう。誰かが入ったとみておくべきです」
「ふむ――と言ってここで引き返す訳にもいかない。入ろうか、ブラフォード君」
「もちろんそのつもりです。しかし敵と鉢合わせする可能性もある……私が扉を開きます。下がっていてください――」

ぎぃ、と慎重に扉を開け中を――奇しくも数分前にエリナがそうしていたように――覗き込む。
しかしいくら明るくなってきたとは言えまだ宵の内。館の中は暗く、現状を確認するにはいささか情報不足だった。
目で訴えるジョージに頷いたブラフォードは、思い切って扉を開ききった。
誇り高き二人は隠れることもせず、仁王立ちのように館の入り口に立つ。
そうすると、次第に中の様子が窺えて来た。

館の一階、その中央。一組の男女がこちらを見つめていた。
そして……右側に立つ青年。彼こそ二人が探し求めていた男であった。
――厳密に言えばジョージにとっては別人かもしれない。
しかしその彫りの深い顔立ち、少し跳ねた前髪。どことなく面影が残っている。間違いなかった……いや、ジョージは年齢の違いこそあれどわが子を見間違うほど耄碌していなかったと言う方が正しいだろう。

だが、この“親子の再会”は先の“夫婦の再会”とは随分と違った雰囲気の中で行われる事となる。
長年息子を見続けていた父親が、長年戦闘を続けてきた騎士が、ジョナサン・ジョースターの違和感に気付くのに時間はかからなかったのだ。
一歩館に踏み込み、ジョージが息子に問う。

「ジョジョ……よく生きていてくれた。話したいことは山ほどあるが、まず聞こう――その足元にいるのは……ダニーなのか?」
「……」
目を逸らすことはなかったがジョナサンの口は固く閉ざされたままだった。
隣にいる女性――ジョージにとっては後に娘になる存在だが彼がそれを知る由は今はない――は事態を飲み込めないのか、オロオロと親子の顔を交互に見比べていた。

しばらくの沈黙。ジョージは息子が答える気がないことを察し、もう一度口を開く。
「そこにいるのはダニーなのかと聞いているのだ!ジョジョ!答えなさい!」
無論、敵意や殺意は微塵もこもっていない。だが、父親としての厳格な態度をもってジョナサンに今一度回答を求めたのだ。

「――エリナ。さっきの質問に答えてあげるよ。そして、あなたも……」
息子の口から発された言葉は質問の回答ではない。
その言葉の先に何があるかも疑問ではある。しかし、質問に対して素直に答えることが出来ないということは貴族であるジョースター家においては“質問に対し質問で答える”と言う行為に匹敵するほどの無礼と言えた。
ジョージは自分が今殺人ゲームの中にあるということも忘れ、拳を固く握り、息子に向かって叫ぶ。
「答えなさい!ジョナサン・ジョースター!その犬に……ダニーに……一体、何をしたのだァ―――ッ!!
質問に答えられないような育て方をした覚えはないぞッ!」
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 23:23:10 ID:MMZRUdBI
なにをするだああああああ支援
185泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:24:52 ID:BUh4qoRQ
しばらくの沈黙があたりを支配する。ジョージは息子の回答を待った。その重い口が、開かれる。

「これは……ダニーじゃあない。荒木が蘇らせた“まやかし”のダニー。
そして……お父さん、奥にいる黒騎士ブラフォード。あなた方も……

……この、ジョナサン・ジョースターが倒さなければならないッ!荒木に辿り着くためにッ!!」

言いながら涙がぼろぼろと零れ落ちる。それを拭うこともなく、むしろさらに涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら構えをとるジョナサン。
その言葉に対し、父も妻も言葉を失っていた。卒倒する事さえも忘れていた、と言う程の衝撃であると言えよう。

そんな中、次にその沈黙を破るのが今まで一歩引いたところで状況を見つめていたブラフォードになるのは必然ともいえた。甲冑を擦る音を引き連れて一歩踏み出し問う。

「ジョナサン……君は実の父に向ってそのような口をきく男だったのか?
君に“父殺し”をさせることも、逆にジョースター卿に“息子殺し”をさせることも出来ない。
その言葉、そしてその真意……この剣を通して聞かせてもらおうッ!」

腰に携えていた剣に手をかける――が、その切っ先がジョナサンに向けられることはなかった。

この“ジョースター邸”に新たなる来訪者が現れ、そこに立つ全員の挙動の一切を止めたからである。
それは、少々の咳払いの後にこう言った。
「えー、聞こえてるかなー?それでは、これから第一回放送を開始しま〜す」

ゲーム主催者、荒木飛呂彦であった。



【C-2 ジョースター邸内部/一日目・早朝・第一回放送直前】


【ジョナサン・ジョースター】
[時間軸]:エリナとのハネムーンでアメリカに向かう途中の船上でワンチェンと遭遇する直前
[状態]:健康。唇と右手から少量の出血(生活、戦闘に支障無。未治療)。号泣
[装備]:なし
[道具]:不明支給品1〜2(未確認)。ダニーについて書かれていた説明書(未開封)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームを止める。屍生人?となって蘇った者を倒す
0.何、放送!?
1.目の前にいる二人(とエリナ)への対処
2.死んだはずの人達が蘇っているなら倒さねばならない。吸血鬼、屍生人も同様
3.スピードワゴンの捜索及び保護
4.覚悟は出来たッ!迷いも……ないッ!
186泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:26:55 ID:BUh4qoRQ
【紳士と騎士】

【ジョージ・ジョースター1世】
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:健康。多少の疲労。動揺
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:ジョナサンとディオの保護
0.何、放送だと!?
1.ジョジョを説得しなければ!
2.ディオも保護したい
3.ブラフォード君の言う事はよくわからないな……
4.もちろんゲームは止めるつもり

【黒騎士ブラフォード】
[時間軸]:LUCKの剣に血文字でPを書き加えた瞬間
[状態]:健康。若干の動揺
[装備]:タルカスの剣
[道具]:支給品一式、不明支給品0
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームの破壊
0.放送!?
1.ジョナサンを止める
2.ジョージを助け、協力する
3.2のために基本的にはジョージの行動方針に従う


【エリナ・ペンドルトン】
[時間軸]:ジョナサンと結婚後
[状態]:疲労。ジョナサンに会って興奮、動揺。
[装備]: サブマシンガン(残り弾数不明)。ドレスの裾が破れてSexy
[道具]:木刀(元々はアレッシーの支給品)。支給品一式。不明支給品残り0〜1(確認済)。靴(脱いでデイパック内にしまいました)
[思考・状況]
0.放送ですって!?
1.この状況、どういうこと???
2.ジョナサンを守るための戦いの覚悟はできている。
3.でもなるべく人は殺したくない。
4.もし再び会えるのならば、あの男性(ミスタ)に謝罪をしたい。

※アレッシーを、「危険人物」と認識しました。またアレッシーの支給品には武器が無いと判断しました(あくまでエリナの判断です)
※自分の支給品、アレッシーの支給品を確認しました。


【ダニー 死亡】
187泣いた赤鬼 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/13(土) 23:30:01 ID:BUh4qoRQ
以上で投下終了です。
仮投下の時とは随分と文脈を変えました。そのせいで脈絡のない文章が増えてるかも……誤字とかもあったらどうしようorz
三行状態表を更新してくださった方もいたようなのですぐに本投下に踏み切らせてもらいました。

泣いた赤鬼=ジョナサンですね。泣くどころの話じゃないですがw
究極の親子喧嘩(?)はいったいどうなるのか!?って感じです。ホント続きはどうなる事やら……。
あと、ダニーに関しては投下後にちょっと議論になっていたので思い切ってこのような結果に。
どこかで地響き〜 の下りは“ウエストウッドvs鉄塔?戦の隕石”です。ジョナサンの思考や時間経過等々を考え露伴戦の隕石ではないと言う事にしました。
と言ってもあんまり気にしなくてもいいかもしれませんが(ぇ
それと、時間帯うんぬんで指摘があったので登場順の入れ替えと放送オチと言う手段を取らせてもらいました。

誤字脱字、矛盾の指摘、感想等々ありましたらお願いいたします。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 02:57:30 ID:6CGGt/Vr
投下乙です
対主催強化話かとたかをくくってたら・・・予想をいい意味で裏切られた
ジョナサンが切なすぎる。愛犬と父を殺す決意なんて悲しすぎだろ・・
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 07:12:59 ID:HrQxIYoD
投下乙
荒木を倒すという決意があるが故に生まれたジョナサンの悲痛な決断が見ててほんと辛い…。ブラフォードとジョナサンの二度目の対決、キーとなるのは彼の中で唯一普通に生きているエリナと見た!

非常に続きが気になる作品でした。
GJ!

指摘と言うか疑問と言うか気になる点が一点

作中で放送が流れるのが少し早くはないでしょうか…?
登場人物四人は全員深夜からのリレーでした。
テンプレにも載っていますが深夜は0〜2時であり、山中を突っ切ってきたジョージ・ブラフォードはともかく、エリナ・ジョナサンが六時に流れる放送までの四時間の間の行動が薄い、というか…

その、特にエリナは館に向かっていたはずなのにあの距離に四時間かかるというのはどうも…
後、エリナは館の外観自体は知ってると思われます。
JC一巻にて、ジョナサンがハンカチを取り出すとこで知ったかもしれません。



指摘ばかりで申し訳ありません…
190 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/14(日) 21:12:15 ID:x5vUB//g
えー、ご意見下さった方ありがとうございました。引き続き矛盾の指摘や感想お待ちしています。

さて、議論になっている4時間の空白ですが必要なら埋め合わせ、もしくは放送オチの廃止と修正する予定です。
※放送オチに関しては正直なところ「第1回放送まででこんなカオスでいいのか?」ってのが自分の中で疑問だったため少々焦るように放送開始させただけですので廃止に関しては問題ありません。
したらばに“その4時間でのようにネタを作った”と言う方もいらっしゃるようなので、私自身は“4時間についてどうするか?”の議論をしばらく待つ形になると思います。
修正投下はそののちになるので、転じてwiki掲載も相当(?)先になりそうですね。

この旨はしたらばにも書き込ませていただきましたがこちらでも意見を仰ぎたいと思います。
なお、キャラ予約期間等で不都合があるようでしたらその点もお知らせください。。
191 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:04:50 ID:3SoxDvhF
>>190
乙です。把握しました、修正作業頑張ってください!

電車関係で議論が未だ決着ついてませんが、ジョセフ・ディアボロ・ホルマジオ・音石明 投下します。
192 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:08:36 ID:3SoxDvhF
…いる。確かにいる。
そして、見られてる。さっきからずっと、わしの背中を射抜くように。もっともそれが誰かは見当がついてるんじゃが…今更振り向くのはどうも気が向かんのう…。
チラッ
…案の定ディアボロ君と目がばっちり合ってしもうた。適当に笑顔を向けてみるも…
「…」
まるで変化なし…。
ディアボロ君のあの目。あれはいやな目じゃな…。
今までどんな時も能天気に、楽観的に生きてきたわしもやる時はやることをやってきたんじゃが、その過程で何度も絶望を味わったもんじゃ。それでもあそこまで酷い「目」はしてなかったじゃろ…。
なんと言うか、鬱病人というかのう?仕方なくこの世に生きてるというか、まさに無気力という言葉がぴったりというか…。こう、瞳に力が無いんじゃな。死んだ魚みたいなのう…。
「あ〜…ディアボロ君。体調は大丈夫かね?疲れてるならそろそろ休憩をとってもかまわないんじゃが…」
「大丈夫だ、ジョセフ」
「そ、そうか…頼もしい言葉じゃな、わしなんかもう年じゃからこんな運動でもこの老兵の体には染みるわい」

そうは言っても波紋の呼吸を絶えずしてるおかげで実際疲れなんてまるでないんじゃがな。こんな物騒な場所じゃ、油断はしてはならん。
それに仮にディアボロ君がスタンド使いである可能性もあるとなると、これまた『ハーミットパープル』を隠すのには気を使うわい。

「………無理はしないほうがいいぞ。今日のジョセフ、なれない運動で心臓麻痺なんてなったら…」
「…?なんか言ったかのう?」
「いや、なんでもない…」
どうも彼はマイナス思考みたいじゃな。なんとナァーく空気が重いもう。仕方ない、ここは一発わしのあれで流れを変えて…


「まぁ、あれじゃのう。“疲れ”がたまったらお風呂に“漬かれ”、なんちゃって!!」

・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・・・・・

シーン


「…」
「ナハハハハハ、ハハハ……」
193 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:10:32 ID:3SoxDvhF
…柄にもなく嫌な汗だ止まらないぞ、ジョセフ・ジョースターッ!!
Oh,my god!このわしのギャグが通じないとは…。どんなくだらないギャグでも承太郎も花京院もなんらかのリアクションをとってくれたのに、ディアボロ君は…ッ!
気まずいのう、さすがの百戦錬磨のわしでもこの空気はどうにもできない…。仮に今、もう一度ギャグを放ったら「滑る」のは確実ッ!そう、コーラを飲んだらゲップが出るぐらい確実じゃ!
自分が滑るとわかっててギャグを放つ馬鹿者はいるか?いなぁーいッ!

「…」
そんな目で見ないでくれ、ディアボロ君!まるでわしが口汚い言葉で罵ったかのように冷たい目で見てくる…。なんて冷たい目なんじゃ、わしは悪いことは一切してないというのに…。
そもそもわしは君を気遣って故の行動だったのに、これじゃわしが悪いみたいな感じじゃないか!
断じてそうじゃないぞ!うん、たとえ寒いギャグを言おうが、それは善意あっての行動じゃからな、決してわしは悪くない!
うん、間違いない…多分。

「ジョセフ」
「な、なんじゃ?」
「目的地が見えてきた」
彼が指差したほうを見ると、わしたちの最初の目的地 E-7のネアポリス駅が見えていた。



◇   ◆   ◇



一方そのころホルマジオは―――
どうやらやっと目的地についたみてぇだな。え〜っと確か駅に向かう、って言ってたな…。頼むから駅に誰かいてくれよなぁ…。この二人、意外に隙がねぇぜ。
ディアボロはなんか底が知れねぇな。なるべく地味に過ごそうとする臭いがプンプンするぜ…。なんか吐かせるにはえらく骨が折れそうだぜ。ま、俺のスタンドは拷問には向いてるからな、なんとかなるだろう。

それより注意するのがこのジョセフってじーさんだ。ただの老人キン肉マンってわけじゃねーな、こいつは。動きにキレがあるし、結構な距離歩いたってーのに息一つ乱れてねぇぜ。周りへの警戒心も高いし、こいつはどことなく修羅場を何回も潜ってきた凄みがあるぜ。
…しょうがねーなぁ〜〜支給品を確認するのはまた後にするか。別に急いだってどーもなんねーし、バレちまったら本末転倒ってやつだぜ。


……それにしても


ゥエップ…人のポケットん中に長くいるとこんなにも揺れが酷いなんて………。



◇   ◆   ◇
194 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:13:52 ID:3SoxDvhF

う〜ん…と、これは飲料水?ペットポドルだな多分。紙切れが数枚、そーいや名簿と地図があるって言ってたな…。多分それだん。それじゃ、これは…?いや、これは…?
くそ、やっぱこんな暗い中で手探りで中身を確認するなんて不可能だぜ…。かといってこんなことに俺のスタンドは使いたくねぇし、なによりまだ億泰と承太郎がいるかも…。
もういっその事デイバッグごと引っ繰り返したほうがいいな…でも音を聞きつけて人が来たら……。
くそっ、弱気になるな、音石明ッ!!こんなんでびびってるようじゃ優勝するなんて不可能だぞ!!

ガサッ ボトダゴタァッ―

…これはペットボトルだな。中に入ってるのはただの飲料水…か?毒だったらどうしよう…。懐中電灯に鉛筆と紙、時計も入ってるのか、気が利くぜ、荒木のやつ。
お、名簿があるな。
いるいる…知れた名前がいくつかあるな。東方仗助、空条承太郎に虹村億泰、広瀬康一などなど。それに…う〜ん、どうやら俺があの弓矢で射抜いたやつの名前もある見てーだな。
おっと、俺がさっき会ったブーンブーンのおやっさんとミセス・ロビンスンの名前もあるからこの名簿はたぶん本物だな。
方位磁石と地図…ここはE-7のネアポリス駅か。いや、それよりこれって杜王町の地図じゃねーか?いやいや、明らかにそうだろ…。
でもそんなことはどうでもいい。荒木が杜王町出身だろうが、杜王町ひとつ作り上げるほどのスタンド使いだろうが、今の俺にとっちゃもっと大事なことがある…。
武器!武器がなくっちゃ今の俺は参加者から見たら絶好の獲物だぜ…。武器、武器、武器…。

ってあれ…?うそだろ?デイバッグの中身は…あれ、もうなんもないの?いやいやいやいや、そんなわけ無いでしょ、落ち着け俺。
食料にパン数個だろ、ペットボトルに入った飲料水だろ、懐中電灯に地図に鉛筆と紙、方位磁石と時計、名簿、それに紙切れ…。
…冷静になれ、パニックになるな。とりあえずバッグの中身はこれだけだ。これは確実、事実俺自身がこうやって確認したんだから間違いない。
問題はその中で不自然すぎるひとつのもの、この折りたたまれた紙だ。…おいおい、怪しすぎだろこれ、常識的に考えて…。
しかもこれたしかブーンブーンのおやっさんがなんでも収録できる紙って言ってたような…。つまり、これには支給品が収録されてるって考えて間違いねぇよな?
・・・でも開けると危険って言ってなかったっけな?

スタンドも使えない、長年のギターに対する打ち込みで運動不足で体力は無い、命の次に大事なこの指を痛めまいとどんな時も喧嘩を避けてきた…。
そう、今の俺にはこの紙しか残されてない…。この中の支給品が武器じゃなかったら、俺はおしまいだ…。

ドキドキ…ドックン、ドックン、ドックン、ドックン―――臆するな、俺。

今の俺にはこれしかないんだッ!やるしかないぞ、音石明ッ!!腹くくれッ!!

ゴクリ…

ゆっくり、慎重に…。震えるな、俺の指…!何かあってもすぐ逃げれるようにして、よし、開くぞ…。1、2の3、で行くぞ。

フゥー…
いくぞ、1、2の さ「ちょっとそこの君、だ「うわぁぁああああああああ!」

   ◆

195 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:15:48 ID:3SoxDvhF
背中にかけられた手を振り解くと目の前に筋肉隆々のおっさん、後ろには俺のことを睨み付ける不気味なオーラを漂わせる男。
あ、俺死んだ。
「いや、驚かせてすまない。落ち着いて話し聞いてくれ、なにもわしらは君を取って食おうってわけじゃない。わしらは君の味方じゃ」
ああ、もうだめだ。今俺はここで殺されるんだ…。もう抵抗できねぇよ…最後に叶うなら、1曲だけギターが引きたかったな…
「デイバッグを広げて、顔中に汗を浮かべて難しそうな顔をしてたんでのう、きっと君はゲームに乗ってないと思ったんじゃが…違うのかな?」
ギターを抱えて舞台で死ぬ、そんなことを期待してたのに、夢見てたのに…ああ、やっぱり盗みとか殺しには手出すんじゃなかった…きっとこれは天罰なんだ…って、え?
「もちろんわしらはゲームに乗ってない。むしろこのゲームをぶっ壊そうと仲間を探してるんじゃ」

………

―俺、助かった…?……俺、助かった!
腰が抜けてその場にヘナヘナと座り込んじまったぜ…。俺、ほんとについてた…ありがと、神様。
後ろから見られてたんだぜ?真後ろ。銃なんか持ってたら、一撃ズガンで俺死んでたんだぜ?レンガでもあったら後ろからガオンで俺死んでたぜ?
なのに死んでない。ほんとによかった…。
「おっと、まだ自己紹介をしてなかったのう。後ろにいるこっちが…」
「……」
「…?」
「……ディアボロだ」
ピンクの髪の毛で、服…か、これ?刺青か?ギターか、ドラムでも持たせればロックコンサートのバンドの一員みたいな格好してやがる。楽器には触れたこともなさそうなツラしてるがな。
まぁよくわからないけど、とりあえず俺から見たらこのディアボロって奴は気にくわねぇな。なんか不気味なオーラを纏ってやがるぜ…。
「そしてわしの名前は…」
それに比べてこのおっさん、こいつは好感が持てる。自信に満ちてる顔、きらきら子供みてーな好奇心溢れる瞳、鍛え抜かれた肉体…。
安心感つーか、リーダーシップつーかあんたについてけば大丈夫って感じがムンムンするぜ〜!

「ジョセフ・ジョースター」
「なぁにいいぃーーーーーーーッ?!」


   ◆


神様、俺のことがそんなに嫌いですかーーッ?!おいおい、嘘だろ。まるで仕組まれたみたいじゃねーか!
そんなにこの俺を過酷な運命に突き落として楽しいいですかーーーッ?!
「え…今、なんて言ったんッスか?もっかい言ってくれませんか?俺、今聞き逃したみたいで…」
「ジョセフ・ジョースター、ジョセフ・ジョースターじゃよ。ちなみにイギリス生まれじゃ」

聞き間違いじゃなかったよ、チクショオォーーーーッ!!
アメリカからこの俺を探しに来た承太郎のじいさん、その人。…つまり俺が必死で殺そうとしていた相手じゃねーかッ!
なんてこったい、こんなタイミングが悪ぃの良ぃのかわかんねー、こんな時に会うなんて…ッ!
「ちなみに趣味はコミック集めじゃ。君は東洋系の顔してるから、コミックにはずいぶん詳しいんじゃないか、うん?」

…………あれ?
196 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:17:34 ID:3SoxDvhF

おかしいぞ、確か承太郎が言ってたはずだぜ。億康のバイクのバッテリーの中で確かに聞いたぞ、この俺の耳は。
確かジョセフ・ジョースターは…
80代で、総入れ歯で、ボケ始めてて、足腰が弱くて杖を突いてて、手術もしてたはず だよな。
つまり…
「映画も好きじゃな。もちろん今の若者が音楽を愛すようにわしも音楽を愛してる!ビートルズの“Get Back”がお気に入りじゃな!」
わかった、わかったぜ…そうか、そういうことか…。つまりこいつは 偽 名 だ!嘘をついてやがる、間違いねぇ!
何も知らない参加者に偽名を名乗り、情報を聞きだす。そしてデイバッグの中身も奪い取る。そうやって行動する二人組みだったのか!
「…もしもぉ〜し、ノックしてもしもぉ〜し。ねぇ、聞いとるか〜い?」
くそ、なんてやつだ…。でもよぉ〜それなら俺にも考えがあるぜ?
「あ、はい、大丈夫です。すみません、いきなり殺し合いに巻き込まれてあんた達が始めてあった人だったんで…」
「わかるよ、当然じゃな」
くそっ、偽善者ぶりやがって!この俺を利用しようといこうたってそうはいかねぇぜ?
「それで、君の名前はなんというのかな?」
「仗助、東方仗助ッス」


……………


「なぁにいいぃーーーーーーーッ?!」



◇   ◆   ◇


―ピンポンパンポン
え〜駅にいる参加者皆さんに連絡です。あと15分で列車が発車しま〜す。忘れ物と命に気をつけてご乗車くださ〜い。



【E-7 ネオポリス駅構内/1日目 黎明】
【子持ちのおっさんコンビ〜ポケットの中には小さいお兄さん〜 チキンの音楽家添え】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:健康。だけど目が死んでる。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:とにかく生き残り平穏な生活を送る。
1.ジョルノには絶対殺されたくない。
2.自分の顔と過去の二つを知っている人物は始末する。
3.とりあえずはジョセフに協力。でも無理はしない。
4.自分の過去に関するボロは絶対に出さない。
5.普通に死ねるならそれでもいいや。でもなぶり殺しは勘弁。苦しまないように殺して欲しい。
6.なるべく名前は言いたくないんだが…
197 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:18:54 ID:3SoxDvhF
【ジョセフ・ジョースター】
[時間軸]:DIO討伐後、日本に帰る飛行機の中。
[状態]:健康。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:必ず生きて脱出する。打倒アラキ!
0.なぁにいいぃーーーーーーーッ?!
1.承太郎、シーザー、リサリサ、アヴドゥル、花京院辺りと合流して自分の推測について話し合いたい。
2.スージーQ、ジョージ、ジョナサン、ツェペリ、エリナ、スピードワゴン、仗助、徐倫は見つけ次第保護する。
3.勿論それ以外の殺し合いに乗っていない参加者達も護る。或いは協力していく。
4.ディオや柱の男達は見逃せない。ストレイツォに関してはリサリサの育ての親でもあるし保留したいが…
5.ディアボロにちょっと戸惑い。自殺をしそうで怖い。
6.機械に詳しい人間がいたら『隠者の紫』で首輪の内部構造を描き、解析してもらう。
7.正直な所スージーQと仗助はなるべく会わせたくない(スージーQに自分が殺されかねない。ばれるとは思わないがねっ!)
[備考]
※参加者達は時代を超えて集められたのでは?と推測しています(ディアボロにはまだ話していません)
※首輪を『隠者の紫』で調べましたが機械には疎いので詳しい事はわかりません。分かった事といえば隙間がまったく無いという事くらい。
※1で挙げた面子はジョセフが聡明と判断した面子なだけで別にポルナレフが信用できないというわけではありません。
※ポケットの中のホルマジオには気づいていません。

【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:健康。小さくなってジョセフのケツポケットの中に潜んでいます。 軽い酔いと吐き気
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3(本来はジョセフの物。ホルマジオ、ジョセフ共に未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:ボスの正体を突き止め、殺す。自由になってみせる。
0.オエッ…気持ち悪…
1.とりあえず今はポケットの中で機を窺う。
2.ディアボロはボスの親衛隊の可能性アリ。チャンスがあれば『拷問』してみせる。
3.トリッシュ、ティッツァーノ、チョコラータの三名からもボスの情報を引き出したい。
4.もしもジョセフが仲間を攻撃しようとすれば容赦はしない。
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。
※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。

【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(姿形は完全修復。しかし激しく動いたら消滅するレベル→JC34巻の黒ずんだ状態)
[状態]:健康、
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品 ×1
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
1.あれ、もしや知り合いだったの?!
2. とりあえず仲間が欲しい
3.これからもどこかで少しづつ充電したいが、電線に潜ったりパワーを極端に使うのは自粛
4.ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています
5.サンタナ怖いよサンタナ
6.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)


※放送は荒木の声の録音です。残り15分で電車が出発するようです。

198Trouble is ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/15(月) 21:23:24 ID:3SoxDvhF
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、気になる点多々ありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて、感想及び指摘を下さった方、ありがとうございました。

電車の件については未だしたらばにて議論が行われてます。
ご意見がある方、読み手様・書き手様問わず皆さんの意見をお待ちしています。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 05:10:25 ID:My/ZDUae
投下乙です
今日のジョセフとかww

音石はヘタレすぎてとても優勝狙いには見えないなww
そして口にした偽名がそれか・・・すごく次回が気になる展開だ
200 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/17(水) 19:57:30 ID:ywR9H70b
したらば・一時投下スレに修正したもの(一部分だけですが)を投下しました。
修正内容他はしたらばに表記しておきましたのでそちらを参照してください。
遅くなって申し訳ない。。。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:16:00 ID:7pA+Kqdm

なんつーか…ボスが痛々し過ぎて見てらんない…
どうにかして帝王の誇りってやつを取り戻して前回のように活躍してほしいな…
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:45:28 ID:IT3cC0BO
>>201
ジョルノが死んで、トニオさんの治療を受ければ多分完全復活する。
ボスは全パロロワで見ても最悪レベルな状況からの参戦だし仕方ない。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:32:57 ID:fbwpo/ng
>>201
ちょっと展開予想入るが…トリッシュ死んだ事をどこかで察するかもしれない。放送まで気付きそうもないけど
それが切っ掛けで再び燃え上がる、とか。無理かなぁ
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:47:50 ID:EVLy4IxC
投下乙
>>199と同じく今日のジョセフにはワロタwww
音石はついてなさすぎだな、会う人会う人もう……ねえw

あとちょっと気になったのは>>194
>あの弓矢で射抜いたやつ って所なんだけど、音石って誰か射ってたっけ?
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:27:51 ID:IT3cC0BO
由花子はどうだったっけ。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:35:02 ID:pjxr02Aa
ネズミ
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 16:41:42 ID:GaMhIMnt
ブーンブーンじゃなくてブンブーンですよ〜
それだと⊂二二二( ^ω^)二⊃⊂二二二( ^ω^)二⊃になっちゃいますよ〜
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 20:22:03 ID:M97WEat+
オエコモバ(だっけ?)といいこのブンブーンといい
7部のキャラは名前間違われすぎだなw
209 ◆yxYaCUyrzc :2008/09/19(金) 22:45:40 ID:4LYPu3sf
wiki掲載してくださってありがとうございます。
何だかんだ言いつついつも他人様任せで本当に申し訳ない…orz
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 03:36:50 ID:PE1gbiEq
>>209
載せた人じゃないけど、どどんまい
211 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:03:57 ID:6khAI65U
投下します。
212夢のCHANCE 3 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:06:50 ID:6khAI65U
エリアF-4には、大きな建物がある。
目の前を通れば、誰もが一度は気にかけるほどの高さを持つビルである。
ビルは動かない。決して動かない。ビルに与えられた権利は3つだけ。
まず『自らは何もしない』こと。次に、壊されても文句を言わない……つまり『第三者の介入を受け入れる』こと。
ビルは今日も客人がふらふらと訪れるのをひたすら待ち続ける。
総じて建物には、3つの権利がある。その最後の1つは――

◇ ◇ ◇

差し入れの鎌倉カスターを頬張りながら、ナルシソ・アナスイはふぅ、と息をもらす。
彼もまた、ビルの存在に惹かれた1人だった。
F-3はさほど大きな建物もない一般住宅街だったので、西から進出してきた者には新鮮だろう。

「どうだ、誰か見えるか? 」

アナスイは空を見上げるように顔をあげて声を放つ。
視線の先にいるのは、自分よりはるか高くで佇む相棒。
愛の求道をモットーとする我らがカウボーイ――マウンテン・ティム。ルックスもイケメンだ。
ティムの双眼鏡には、おびただしい数の傷がついたビルが写っている。
それはラング・ラングラーとマイク・Oが一戦を交えた際に生じた余波だった。
ラング・ラングラーが射出したボルト&ナットによる、窓ガラスの破片を外の地面に散布。
マイク・Oが放ったバルブ鳥&バルブ犬が破壊した、屋上付近の壁や出入り口。
百人が見れば誰一人として見落とすことはないだろう。

「人の姿はないが、何かあったのは間違いない」
「後の祭りになってなきゃいいんだがな……潜入するぞ」

ロープワークで華麗にビルの外壁を移動するティムに合図を送りながら、アナスイはビルの入り口へ突入した。
その近くで1人の女がこっそり隠れているとは、夢にも思わずに。

(……やっぱりアイツはナルシソ・アナスイッ! アメリカ全土を騒がせた人間分解野郎だッ!
 名簿を見たときはまさかと思ったが、ゾッとしたよ。冗談じゃねー……どうみても本物!
 オイオイ、まさかこの名簿に載っている名前はみんなグリーンドルフィンの囚人ってことなのかッ!?
 ウゲェェェそんなのアリかよォォォォ。あたしなんか絶対生き残れるわけねーってのッ) 

女の名前はグェス。アメリカはグリーンドルフィンストリート刑務所に服役中の女囚。
ヴァニラ・アイスの強襲から運よく逃れた彼女もまた、このF-4ビルに惹かれていた。
エリアH-5のポンペイ遺跡で引き当てた大吉――支給品、『杜王タクシー1台』を運転して。

(キャブが手に入った時は思わずはしゃいじゃったけど、これハンドル逆だし使いずれぇ。
 ……やっぱり、コイツを使うしかないのかねぇ)

グェスは、しょんぼりしながら自分に与えられた支給品に頬ずりをした。
黄金に輝く、きゅうすの様な形をした入れ物。
馴染みのある者なら、口を揃えて魔法のランプと呼びそうな代物。
説明書には『お前の願い事を3つ言え! 』としか書かれておらず、妖しさ満点。
だが自分のスタンドを最弱と認識しているグェスにはその非現実さが頼もしくもみえた。

「ん……ゲゲェー!? 」

そしてその願いはいよいよ現実味を帯び始めていた。
カタカタカタとランプを己を震わし。もうもうと煙と噴出していった。
その煙はやがて巨大な体躯を象り、魔神という名にはいささか似合わない機械的な存在を召喚した。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:08:19 ID:NjXQhfLv
紫煙(パープルヘイズ)
214夢のCHANCE 3 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:09:28 ID:6khAI65U
◇ ◇ ◇

「お前も俺のように死から蘇ったのか? ……どちらにせよ、やりきれなかっただろうな」

アナスイと二手に別れたマウンテン・ティムは、ビルの屋上にいた。
アナスイが下からビルを調べるのならば、自分は上から調べる。つまり挟み撃ちの形になる。
彼は、ラング・ラングラーの死体と鉢合わせになっていた。

(成り行きはどうであれ、絶対に有り得ないはず二度目の人生を与えられた命を……粗末にするのは許せん)

ラング・ラングラーの独特なファッションも気にかけず、ティムは黙祷を済ませる。
そして急ぎ足でラング・ラングラーの荷物をまとめると、彼は下の階へと下った。
人がここで死んでいるということは、少なからず犯人が潜んでいる可能性が極めて高いからである。

(これ以上、命を弄ぶ愚挙を野放しにはしておけない! )

マウンテン・ティムは思い出していた。
かつて自分が16歳のとき、砂漠で死にかけたあの出来事を。
調査団の1人として、アリゾナ砂漠を遠征していたマウンテン・ティムは唯一の生還者だった。
スタンド『オー! ロンサム・ミー』を受け入れる代償として、彼は生きながらえたのだ。
奇妙な運命に左右される自分に苦笑しながらも、ティムはこれまで悠然と生きてきた。
その運命を手に取るように操れる者の存在を知ったとき、彼は怒りに燃えた。
アラキのような、殺し合いのために他人を復活させる者、運命を冒涜するものを許せなかった。

「アナスイ、気をつけろッ! もうスデニ、屋上で1人殺されているッ! 」

屋上から大きな怒声をあげて、ティムは身を乗り出しながらビルの外壁をチェックする。
するとアナスイのダイバー・ダウンが何層か下の階の窓ガラスを割って合図を送り返してきた。
意外にもアナスイの反応が早かったことを疑問に思いつつ、彼はすかさず飛び降りた。
時空を超えた建物も、ところどころにロープを引っ掛ける場所があるのなら、彼にとっては渓谷を下るのと同じだ。
短い物干しロープを器用に操り、するりするりとビルの外壁を伝ってアナスイの元へ降りてゆく。

「ようティム、早かったな」
「それはこっちの台詞なんじゃあないかな。上にいる仏はグリーンドルフィンストリート刑務所の男囚ようだ」
「何ッ!? ……と。その反応を見る限り俺の仲間じゃあないんだな」

ティムの紛らわしい説明を皮肉るかのように、アナスイはニヤリと口端を吊り上げる。
だがここで笑顔を出す余裕がある、ということは少なからず安堵しているのだろう。
ここでアナスイは、ふとソファーを指差した。ティムも体を傾けてソファーを覗き込む。
黒人の男が寝息をたてて休んでいた。
2人は互いに顔を見合わせ、両手を軽く挙げると、ため息をついた。

「――で、この男は」
「顔見知りか」
「どうだったかな……どこかで会ったような気もするが。さっきからずっとここで寝ているのか? 」
「まぁそういうなティム。お前の居場所がわかったのは、この男のおかげなんだぜ」

アナスイは、懐から鉄でできた塊を取り出すす。
そのメタリックさと複雑そうな目盛り板の並びは、ティムを困惑させるのには充分だった。
この機械の名は『トランシーバー』といい、マイク・Oの支給品なのだ。
2つで1セットらしく、トランシーバー同士で通信が可能だ。
通信アンテナの有効範囲はそこそこ広いらしい。
アナスイはこのトランシーバーの片方をダイバーダウンに持たせ、屋上にいるティムの声を拾わせたのだ。

「トランシーバーってのは早い話、コードレス電話みたいなもんだからな。
 しかもバッテリーも電話より持つし、コンセントも町中にある。こいつは使えるぜ」
「……もう少し分かりやすく教えてくれ」
「このスイッチを押せばつながる。もう一度押せば切れる、それを覚えとけ」
215夢のCHANCE 3 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:10:52 ID:6khAI65U
さすがに西部時代に生きる男にメカの説明はスタンドよりも常識外だったらしい。
だがアナスイはそっけなく説明し終え、説明書につきっきりになった。
彼が目を通す項目は、注意書きだ。
分解マニアの彼には、精密機械の仕組みへの興味がとまらない。

「電池式でもいいし、充電式でもいい。リバーシブルで使用できるのはスゴクいいな。
 ……何々、“この充電器は手回し機能もあります”? あーそうか、コンセントがなくても手動充電ができ――」

『ガシャン』

「……!? ティム? 」
「窓ガラスが割られたようだ」
「おいちょっと待てッ! ダイバー・ダウンはビルの外壁に潜って周囲を見張っていたんだぞ」
「新手の『スタンド使い』か」
「わからねぇ。だが……屋上で人を殺したゲスが、まだビルにいるのかもしれない。上を頼むぜ」

アナスイはトランシーバーをティムに放り投げると、非常階段口から階段を走る。
一足飛びに降りているので、彼の靴と階段の擦れ音が快活に響く。
ちなみにトランシーバーはスイッチが入りっぱなしなので、変にいじらなければこのまま通信可能のようだ。
彼の進行方向は下。ダイバー・ダウンの回収と、犯人の逃げ道を潰すため。

(この箱の仕組みはさっぱりだが……)

同じくしてティムも階段を登りながら、アナスイのサインに頷く。
まだ映画も存在していていない1890年代の彼には、全てがあやふやだ。
だが悪の存在は彼にもわかる。
雄大に広がる牧草地では決してかぐことの無い、邪な香り。

「しかし俺にはお前を見極めるために、戦う義務がある。
 感謝してほしいな。窓ガラスを俺にだけ見えるように割ったのは、サシで話がしたいからだろう? 」

階段と階段の隙間から見える階下の様子をチラリと覗き、ティムは深く吐息を出す。
アナスイはもう一階まで降りきってしまったらしい。
ティムは、安堵していた。
仲間が余計な戦いに巻き込まれることを、彼は望んでいなかった。
だから、窓ガラスが割れた原因もアナスイには話さなかった。
彼が見たあの謎の風船は、おそらく目の前の男の仕業。

「マウンテン・ティム、大統領に反逆して始末された世界の貴様が、なぜここにいる」
「甦ったのさ。さっきのお前みたいに寝たフリをしていたわけじゃないぜ。 屋上の男を殺したのはお前か? 」
「……言うまでもない世界だ」

トランシーバーのスイッチを切ると、マウンテン・ティムはポケットにあるロープをつかんだ。
いつの間にか覚醒していた黒人風の男に、直感が囁いている。
決して目を離すな、と。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:11:35 ID:3oWxc+73
支援
217夢のCHANCE 3 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:11:44 ID:6khAI65U
【F-4 南部ビル内部/1日目 黎明】
【チーム・愛の求道者】
【マウンテン・ティム】
[時間軸]:ブラックモアに銃を突き付けられたところ
[状態]:健康
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、 ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3)
[思考・状況]
1.アナスイが戻ってくるまでマイク・Oを対処する 戦闘も考慮
2.アナスイの仲間を捜す
3.「ジョースター」、「ツェペリ」に興味
4.アラキを倒す
[備考]
1)アナスイと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました
(空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ)
2)ラング・ラングラーの死体を屋上で確認。

【マイク・O】
[時間軸]: 13巻、大統領の寝室に向かう途中
[状態]:左足に銃撃による傷が複数。全身に軽い疲労。
[装備]: なし
[道具]:支給品一式、不明支給品は1つでした。
[思考・状況]
基本行動方針:大統領夫人(スカーレット・ヴァレンタイン)を護る。
1.ブラックモアに殺されたはずのコイツがなぜ生きている……モアめ、しくじったのか?
2.大統領夫人を命を賭けてでも護る。
3.自分の身は護るが自分から襲ったりはしない(下手な逆恨みで大統領夫人を危険に晒さない為)
4.襲ってきた相手には容赦なく反撃する。
5.大統領夫人を襲ったりしないのなら別に誰かに協力するのもやむを得ない。
6.できるだけ大統領夫人と共に脱出したいが無理そうなら大統領夫人を優勝させる為最後の二人になったら自決する覚悟。
7.どういうわけか死人ばかりだが気にしない。大統領夫人を襲うつもりなら元同僚でも容赦しない。

※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。
※ラング・ラングラーの死体は、実はマイク・Oが乗り込んでいたビルの屋上にあったようです。
※マウンテン・ティムがルーシー・スティールをかくまった謀反人であることは知っているようです。
※マイク・Oの支給品は1つでした。


【トランシーバー×2】
マイク・Oの支給品。
JOJO6部でウェザーとFFがストーンオーシャン11巻あたりで使っていたもの。
トランシーバー同士で通信可能。充電は電池か付属の手回し充電器で。
同じビル内ならば、通信に不備はない。
218夢のCHANCE 3 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:12:17 ID:6khAI65U
◇ ◇ ◇

ランプから現れた魔神は、名をカメオと言った。
カメオはスタンド使いで、目の前にいるこの魔神こそがスタンドのヴィジョンと話した。

「それじゃあ、アンタの本体はどこにいるのさ」

グェスがこう質問したくなるのは当然だった。
名簿にもカメオという名前はない。スタンドが入っていたランプは紙に包まれていた。
その不思議な紙は、カメオのスタンド能力ではない。
一体、カメオに何があったのかと考えたくはなる。

『すまない、俺はあくまで橋渡し役なんだ。俺に返答の権利はない……お前の質問に答えるのは俺ではない』
「橋渡し? なんの話さ? あんたは答えられない? 」
『――グッド・イブニング、グェスくん。ここからは僕がカメオ君のスタンドを通じて話そうじゃないか』
「え、あ、あんだだれ? どっかで……ちょっと待て! まさかッ! てめーはッ!? 」
『そう、荒木飛呂彦だよ。この殺し合いの主催者さ』
「うるせえええええ! 何が目的だあああああああ! 」
『いやね、君の願い事を3つ……叶えてあげようと思ってさッ! 』
「はああああああああ!? 」

このやり取りのわずか5分後、グェスはあっさり荒木の提案に飛びついた。
疑わしさと胡散臭さはあったものの、それ以上にグェスは助かりたかった。
突然わけのわからない世界に呼ばれて、殺し合いをさせられる危機を脱したかった。
得体の知れぬ相手に狙われるという危機から脱したかった。自分が死ぬという危機を脱したかった。

「……参加者の現在地、参加者の情報、参加者のスタンド能力などなど。とにかく情報をくれるってわけか」
『そう、ただし1回の願いで聞けるのは限度があるよ。いきなり全員の情報を教えたら不公平だし……常識的に考えてね
 ま、目安としては“参加者1人”についての“何か1つ”を教えれば“1回”ってことで』
「願いごとを増やせって願いは? 」
『もちろんだめだよ。あくまで僕が答えられる範囲の質問に限定してね。答えられるのなら答えるさ』
「それでたった3回……しかも答えられない質問もあるのかよ」
『僕は気晴らしに君たちの情報をかいつまんでいただけだからねぇ……そうガッカリしないで。
 答えられない――つまり質問の失敗はノーカウントにしてあげるから』
「それてめーに都合の悪い質問は全部無視できるじゃん。しかも嘘かもしんねーし」
『だからこそのノーカウントさ。同じ質問でも答える時と答えない時があるかもしれない。
 信じるも信じないも君しだい……ピンチになったら意外と使えるかもしれないよ。“情報”は武器になる』

アラビアン・マジックに誘われた魔人は天使か悪魔か。
グェスの強運は何をもたらすのか。

『さぁグェス、何か聞きたいことはあるかい? 』



この2人――打ち合わせッ!
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:12:57 ID:OX+1OfwA
支援
220夢のCHANCE 3 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:13:13 ID:6khAI65U
【F-4アナスイ達のいる南部ビル付近/1日目/黎明】
【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:やや混乱 タクシーの運転席に乗車中
【装備】:なし
【道具】:支給品一式
【思考・状況】
1.とにかく生き残りたい
2.ゲームに勝つ自信はない
3.徐倫には会いたくない
4. ヴァニラやばい。ヴァニラやばい。
【備考】
グェスは、エルメェスや他の刑務所関係者は顔見知り程度だと思っています。

※グェスの支給品は2つでした。


【杜王タクシー】
JOJO4部で宮本輝之輔(エニグマの少年)がエニグマの紙から出して乗っていたもの。
運転手はいない。ガソリンが残ってるので運転可能。
現在はF-4南部ビル入り口付近に停車中。

【魔法のランプ】
JOJO3部でポルナレフがこすったランプ。
こすると中からスタンドである審判(ジャッジメント)が、荒木飛呂彦と会話させてくれる。
『こすった者が』望めば情報を3つ教えてくれる(参加者1人につき3回まで?)。
目安としては“参加者1人”についての“何か1つ”を教えれば“1回”。
荒木が答えたくない質問をたずねてもノーカウント。
同じ質問でも答える時と答えない時があるかもしれない。3つ叶えたあとどうなるかは不明。
ちなみに審判(ジャッジメント)本体、カメオは荒木飛呂彦に囚われの身。
221夢のCHANCE 3 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:14:31 ID:6khAI65U
◇ ◇ ◇


「おいティム! もしもし! おーい……あのバカ、間違えてスイッチ押しやがったな」

アナスイの思惑をよそに、物語は暗転していく。
しかし寸劇の舞台袖にいたビルは動かない。決して動かない。
ビルに与えられた権利は3つだけ。
『自らは何もしない』こと、『第三者の介入を受け入れる』こと。
そして『事実を見届ける』ことしか、ビルには許されていない。
総じて建物には、3つの権利がある。

「ま、しょうがねえ。いい加減に説明した俺も悪いし。何とかなるだろう」


人には、その権利を放棄する権利がある。



【F-4南部ビル入り口周辺/1日目/黎明】
【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:健康
[装備]:トランシーバー(スイッチON)
[道具]:支給品一式 、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡
[思考・状況]
1.さて、犯人は出てくるかね
2.仲間を捜す(徐倫は一番に優先)
3.殺しあいにのった奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない。
4.アラキを殺す

[備考]
1)マウンテン・ティムと情報交換しました
ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバのスタンド能力を把握しました
2)アラキのスタンドは死者を生き返らせる能力があると推測しています
3)鎌倉カスターは食べました
4)ティムがわざとスイッチを切って交信を遮断したことにまだ気がついていません。
222 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:15:29 ID:6khAI65U
投下完了しました。
223 ◆F1qx8r1D/c :2008/09/21(日) 19:15:56 ID:6khAI65U
支援、ありがとうございました!!
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:24:43 ID:dDJ2soIM
投下乙!
これなかなかいいな
マイクO対ティム、グェスとジャッジメント、一人のアナスイ
どうなるか楽しみなんだぜ
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:50:50 ID:ob2sx/kC
投下乙!
意外!それは荒木ッ!
グェスは何を聞くか、荒木は本当に答えてくれるのか?!
そしてティムとマイク・Oの戦いはどうなる?
短すぎるロープで武器もない今、ティムに勝機はあるのか?!

続きが気になるゥ――作品でした!
GJ!
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:00:26 ID:mhlr81BG
投下乙!
ジャッジメントの情報がもしかしたら後々役立つかもしれんし重要なアイテムだなぁ
マイクOとティムはまぁ十中八九ぶつかるとは思うがもしかしたら戦わずに済むんじゃないだろうかという見方も…
これの続きはどこも楽しみだね!

アナスィ?あぁ、一人ぼっちの彼ね(笑)
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:51:48 ID:E2L9hjId
かっこい七部勢と情けない六部勢の対比がちょっとwww

駄目だwwいろいろ書きたいのにランプから荒木のインパクトが全部持っていっちまった
228 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/23(火) 22:42:45 ID:XBazcYpL
前回投下したSSについての感想及び指摘ありがとうございます。

修正が必要と思われる二点
JCを確認したところ、どうも音石の件は確証がないためうまくぼかしたいと思います。
ブーンブーンのおやっさん、ごめんなさい。ブンブーンでした。


予約をとった四人のSSは現在四割が完成といったところです。楽しみにしている方には申し訳ありませんが予約いっぱいの土曜日に投下予定です。
したらばにて一時投下するのでご了承ください。


最後にひとつ聞きたいことはタルカスの剣は原作だと描写的にものすごく大きいですが、四人中四人、誰でも振るうことは可能だと考えて良いですかね??
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:49:48 ID:/jBPdbph
>>228
ブラフォードとジョナサンは間違いなくOKだと思います。
ジョージさんは微妙な所で、エリナは無理ですかね?
というよりその質問から察するに前回の方より後の時系列のようですけど
前の話が放送オチだったので必ず放送を跨ぐはずですがまだ全然他のキャラも進んでませんし大丈夫ですか?
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:52:12 ID:/jBPdbph
あ、すみません。もう修正されてましたね。見落としていました。
申し訳ありません。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:07:30 ID:/owiGvj4
>>228
世の中には突然背が縮むキャラもいるし、そこは凄みでw
マジレスするとタルカスの剣は大きく見積もっても2メートル以下(180cmのジョナサンと同じくらいの大きさだった)ですし。
ブラフォードの髪の毛とジョナサンの波紋なら持てるかと。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:08:29 ID:/owiGvj4
ジョージはちょっとキツイかもしれませんね。一人で持つなら。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:54:24 ID:zB6LI3jF
今更なんだが、ブラフォードが屋敷までの移動に4時間以上かかってんなら
屋敷に着く前に太陽→ハムエッグ→プギャー(^Д^)になると思うんだが。
お手製の日傘を差す訳でもあるまいて。
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:56:07 ID:zB6LI3jF
まぁジョナサンの波紋で人間に戻ったてんならおkだけど。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 05:39:59 ID:WlaRdm2I
ギリギリだったんじゃない?色々と。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:11:31 ID:Oh5f/djL
ところで億泰とオインゴの予約をとった人はどこ行った?
たしか一時投下した後に予約とったんだっけ?
237 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/27(土) 22:03:02 ID:an8JA87w
一時投下スレに投下しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、気になる点、他何かありましたらご指摘ください。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 21:11:10 ID:hKhoKsQm
三三三三三三三  (     | ロムラー共!
三三三三三     ))    |
三三三三)ミ,((^^彡ミ彡  /    きさまッ!
三三三三 ((三三  6)彡//\
三三三∩三ミl三三  /ミ彡 /) |  見ているなッ!
三三三|彡ミ三l三 / \ / /、 |
三三三ヽ_)二 | ̄ ノ / ミl :l、\
三 /二 /ミ ‐v-― ´/ )ミ/ / /ヽ ̄ ̄ ̄ ̄
三/  ̄ /ミ   lミ   (_/ 三`´`´`´


ゴメン、昨日の某所をみてたらどうしても書きたくなった
239 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:18:16 ID:susd/Z4a
「SSを書く」「プライベートも充実させる」両方ともしなくちゃいけないところが書き手のつらいところだな…
覚悟は出来てるか?俺は出来ている…

ということで ジョナサン・ブラフォード・エリナ・ジョージ 投下します。
240 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:20:29 ID:susd/Z4a

さてさて、このバトルロワイアルが開幕し早五時間ばかりは経過致しました。皆さんお楽しみ頂いておられるでしょうか?
命というチップを握りしめ、運命というルーレットを回す参加者の動向に皆さん手に汗握り、ほんの些細なことにも一喜一憂されてことでしょう。
ある者は水を得た魚かのように殺戮を満喫し、ある者は怒りに震えこの遊戯を止めようと奮起しています。またある者は興味なさげに一服、惰眠を貪る始末。またある者は普段と変わらず平穏に暮らそうと、優雅に紅茶を一服しています。
どれも興味深く何一つ見逃せなくなりつつあります。今回皆さんにご覧頂くのはその中でも飛びっきり、第一回放送というひとつの区切りの前のビッグイベントです。
舞台はジョースター邸、役者は四人。
全てを守りきると誓う青年、勇気を知り聖母のような優しさを併せ持つ女性、厳格でありながら息子を思う気持ちなら誰にも負けない紳士、そして二度目の生に戸惑いつつもその命を恩人に捧げる戦士。

喜劇というよりは悲劇。今回の演劇はまさに一家、そして一族の運命を螺旋に巻き込んだジョナサン・ジョースターが主人公に相応しい悲劇でごさいます。
ここから先に起こることは観客である皆様に判断して頂きます。
結末はいったい誰の罪なのか?大きすぎる誓いをしたジョナサンか?彼の父親であるジョージ・ジョースターか?ブラフォードか?何も知らないエリナ・ジョースターか?それとも……この遊戯を開催した荒木飛呂彦か?
それでは…ごゆっくり御覧下さい……。

ふざけた格好のピエロが人を小馬鹿にしたかのように馬鹿丁寧に一礼すると、何処からともなく彼を照らしていたライトが一つ、また一つと消え始めた。

―悲劇、開幕



ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd 第73話 Inconsolable



流れ続けるのは涙だけではなかった。
四人を照らす蝋燭の雫、顔から吹き出る汗。その両方がこの部屋の異様なまでの熱気と緊張感を物語っていた。天井からぶら下がる豪華なシャンデリアだけがやけにきらびやかで、今、ここと不釣り合いだった。
扉の前に立っていた二人のうち剣を持った長髪の男がゆっくりと動き始める。それが合図となり一組の夫婦より、屈強な体つきをした男が妻の制止を振り払い闘いへと身を投じる。
互いに言葉をあげることはなかった。引きとようとする言葉は無意味であった。彼らの覚悟が言葉でなく心で理解できのだから。
241 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:22:11 ID:susd/Z4a
ジョナサン・ジョースター、黒騎士ブラフォード。二人の戦士はゆっくりと円を描くように対峙しながらまわる。
館の床板が二人の鍛えぬかれた肉体の重みに軋み、唸りをもらす。その様は決闘、命を懸けた闘いそのもの。二匹の狼かのように目をギラつかせ、歯を剥き出し、互いを眼光するどく睨み付けていた。
ジョージ・ジョースター、エリナ・ペンドルトン。二人に残された事は祈る事しかない。 だが…なにを?なにを祈るというのだ?片方の勝利を?両者の安全を?否、ただ無事に終わって欲しい、この悪夢から解放されたい。それだけが二人の祈りであった。

コツコツと靴音がやけに大きく反響する。永遠に続かれるかと思われる均衡状態。極限まで高まった緊張感は両者の集中力を最大まで高める。

―――その刹那 2つの影が動いた

   ◆

常人の目では二人の動きを追うのがやっとであろう。思うにジョージ、エリナ、両者には正確に何が起きたかはわからなかったのではなかろうか。
先に動いたのはブラフォードであった。屍生人の驚異的な瞬発力、その力で一瞬でジョナサンとの距離を詰める。そして繰り出されるは銀の一撃 。
頭上から重力によって更に加速された一撃が降り下ろされる。その速さ、その威力! しかしそれは館の床板を破壊するのみ。ジョナサンはそれを上回るほどの速さ、そしてなによりそのリーチでブラフォードの剣を叩き落とす。
剣を持った者が素手の人間にリーチで負ける?屍生人の握力がただの一撃で叩き落とされる?

ブラフォードの中で驚愕と動揺が奔る。それもそのはず、ここにいるジョナサンは彼が知るころのジョナサンではない。あのツェペリより最後の波紋を受けタルカスを打倒し、悪の帝王ディオさえも波紋で消滅させたジョナサン。
彼の波紋力で繰り出されるズームパンチ、その威力、そのリーチ。降り下ろされた剣を避けつつも、攻撃に転じることなど成長した彼には造作もない。
剣を持った腕にその波紋の込めた一撃を喰らい、思わず剣を取り落とす。当然のごとくその隙を逃さず、距離をつめ追撃の意思を見せるジョナサン。今やブラフォードに守りの手、攻めの手は共にない。

波紋をこめた拳を握り締めながらジョナサンは勝利を確信した。早くも勝負は決した、少なくともジョナサンにはそう思えた。ブラフォードの瞳が獲物を捕らえた獣のようになるのを見るまでは。
瞬間、幾つもの黒い大蛇が彼の足下よりはい上がり、体に巻き付いた結果、とどめの一撃はブラフォードの目前で止められてしまった。

ジョナサンを空中で髪の毛で締め上げられながら、ブラフォードは案外自分の策がうまくいったことに安堵しながらも彼の成長に末恐ろしさをかんじた。
ブラフォードの策はジョナサンと対峙し、円を描くように動いていたその時から始まっていた。慎重に、相手の死角となる場所からあらかじめ髪の毛を伸ばしておき、絨毯の下に忍ばせておいたのだ。二人がぶつかり合うであろう場所に、予測して何百、何千本もの髪の毛を。
そしてこれまた計画通りに自ら攻撃を仕掛け、仕掛け網を引き上げるようにジョナサンをまんまと策にはめたというわけである。
242 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:23:43 ID:susd/Z4a
狙うは波紋使い最大の弱点、首。もがき続ける彼の体がミシミシと音をたてるほどまでに強く締め上げ動きを封じ、ゾワゾワと髪の毛を伸ばしていく。
殺すだけであったらブラフォードには可能であった。首輪を髪の毛で引っ張るだけでジョナサンはなんの実感もないまま、その短い生涯を終えるだろう。
だが屍生人の彼にとって首を絞め、気絶させることすら力加減を誤れば命を奪うことになる。その微かな葛藤が、躊躇いがこの運命を加速させる。
結果としてブラフォードが望んだのは気絶、ジョナサンの漆黒の殺意と比べたら覚悟が違う。
ジョナサンの成長、そして彼の殺意のどす黒さ。これが彼の最大の誤算であった。

波紋使いが修業で鍛えぬく肺活量。その鍛練は凄まじく、一秒間に十回の呼吸を行うことから始まり、十分間息を吸い続ける、十分間息をはき続けることが可能になるまで。
すなわちジョナサンの肺活量も同等、それ以上と考えても何らおかしくはないだろう。
事実ブラフォードのその一瞬の躊躇いの間に波紋を練り上げたことでジョナサンの肺活量がいかほどかはご理解いただけるだろう。
黄金のような輝きがジョナサンから発せられ、自らの髪の毛を伝わってきた波紋がブラフォードの頭部に達し、その激しい嘔吐感と焼けるような痛みに彼は拘束を緩める他なかった。
ジョナサンは渾身の纏わりつく髪の毛を引きちぎり、己の自由を手に入れると横っ飛びで床に転がる“それ”に飛びついた。

朦朧とする意識ので顔を上げたブラフォードの視界が捕らえたのは巨大な剣を持ち上げたジョナサン。
なんとか足腰に力を入れ、倒れるのを必死で防いでる合間に彼が切っ先をこちらに向けるのがわかった。
生命の危機からか、脳内に過度に分泌されたアドレナリンによってブラフォードにはこの光景がまるで映画のフィルムを一コマ送りにしているかのように見えた。
右脇に剣を固定し、凄まじいスピードで突っ込んでくるジョナサンの進行を食い止めようと波紋によって溶け、少なくなった髪の毛を操る。
だが彼の波紋の力よりも、大の男とそれに勝るとも劣らないビッグサーベル、この二つの重量の物理学によって生まれた運動エネルギーは止まることを知らない。
いとも簡単に髪の毛の拘束を振り切って、再び向かってくる銀の切っ先を見て最後に思ったことは…

(どうか、このジョースター家に幸あらんことを……ッ!!)

生前も一人の女に尽くし続けた男は屍生人となった今度もどこまでも誰かに尽くす、忠義高い男であった。
こうして彼の二度目の人生は幕を降ろそうとした。
―――その刹那 ひとつの影が動いた。



   ◆
243 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:24:13 ID:susd/Z4a


現実は非常だ。何時だって神は残酷だし、そこに例外はない。それはあの時もうわかったと思ったのに……。妻、メアリーを亡くしたあの時、わかったと思ったのに……。
そうだ、神はこうやって弱い私のような人間が頼る造り上げた偶像だ。
神なんていない、少なくともこの荒木の“世界”には。いたら私達にこんな仕打ちを与えるわけがない。その神のいない世界で祈ることなんて無意味だ。

でも逆に考えるんだ、いないなら自分が行動するばいいと考えるんだ。だってそうじゃないか?この悲劇が起きたのは私達人間が原因だ。
ならばそれにケリをつけるのも私達人間しかいない。そうだろ……?ジョナサン…



   ◆



手に持った剣にズシリと手応えを感じた。目の前で赤い鮮血が飛び、自分の頬を濡らした。
貫かれたその人の逞しく、整った表情が一瞬苦痛に歪み、そして糸を契られた操り人形のように崩れた。
反射的にその身体を支えようと剣より手を離し、抱き抱えるようにする。重いと思った体はやけに軽く、どこか脱げ殻のようであった。
貫いた剣は未だ刺さっていてそこから流れ出るぬめりとした液体の生暖かい感覚が、今自分が目にする光景とリンクせずどこか非現実的であった。

顔を覗きこむと焦点がぼやけかけた瞳のなかに自分が写った。
「気にするな、ジョナサン……。そうなるべきだったところに……」
一時だけ輝きを取り戻したその目は優しく、どこか満足気であった。
「戻るだけなんだ。元に戻るだけ……ただ元に…。」
一瞬だけ力強く握られた手が、やるべきことを果たしその温もりを―失った。

悲鳴と唸るような叫び声がどこか遠くで聞こえた気がした。
彼の腕の中からその人はもぎ取られていき、その拍子に突き飛ばされたジョナサンは尻餅を着くような形で床に座りこんでしまった。
二人が倒れた人物の側で膝を付き何かをやっている。男が慎重に抜ききった刀を放り投げた時、響いた音がやけに耳にこびりついて離れなかった。

ゆっくりと下ろしていた手を持ち上げる。自らの目線の高さまで上げた手を見つめる。いつも通りの自分の手、そんな幻覚が見えたらよかったのに。

見慣れた両手は自分の父親の血で真っ赤に染まっていた。
「うわあああああああああああ―――――ッ!!」



   ◆
244 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:24:54 ID:susd/Z4a

『おれは人間をやめるぞ!ジョジョ――ッ!!』
―違う、僕はディオじゃない…。ディオなんかとは違う……。
『こいつは生まれついての悪だッ!!』
―悪くなんかない…事故、事故なんだ…。僕はただみんなを守りたかっただけなんだ…。
『またまちがえたぞッ、ジョジョ!6度目だッ!同じ基本的なまちがいを6回もしたのだぞ!』
―父さん、やめてよ、痛いよ。見て、こんなに血がついてる。こんなに真っ赤だよ…。
『…わたしの父だった』
―やめてくれ…。僕は父さんを殺してない。あれは父さんじゃない…。父さんじゃないんだ!
『UUURRRRYYY!!』
『わしは……自分の運命に満足しておるよ…。』
『悪くないぞ、ジョジョ……。息子の腕の中で死んでいくと………いう……のは』
―違う…僕は父さんを殺してない…、僕が殺したんじゃない…僕が殺したんじゃないッ!!僕が僕が僕が…ッ!!

「気にするな、ジョナサン……。そうなるべきだったところに、戻るだけなんだ。元に戻るだけ……ただ元に…。」
―父さんを殺したのは……僕………?



   ◆



涙はもう流れなかった。 いや、流してはいけなかった。 自分にはやるべきことができたのだから。
そう心に強く誓うが先ほどの波紋の影響か、ブラフォードの視界は霞み歪み、こみ上げてくる胃液が彼の精神をかき乱した。
ジョージの看病をしようとした途端、茫然自失となったジョナサンが突如館の外へと飛び出していった。
それも当然である、事故とはいえ実の父親を殺してしまったのだから…。
ブラフォードはなにもできなかった自分に無力感を感じ、歯噛みし、いっそ自分があの剣に貫かれればよかったのに…と思った。
しかしながら彼はだからといって歩みを止めないし、未だ何かから逃げるように走り続ける青年の背中を睨みその後を追っていた。
自分より傷ついた人がいる…しかも彼は自分の恩人だ。そんな人を命がけで説得し、守る。そんなこともできないようでは死後の世界にいる主に示しがつかない。
なによりも彼は自暴自棄になってはならない、なぜなら彼の父親はそんなことのために命をかけたのではないのだから…。
もう一度自分に渇を入れなおし、開きかけた二人の距離を縮めるため、彼は大地を蹴った。

―まもなく第一回放送 地平線がうっすらと明るくなり始めていた。数十分後には太陽が優しく二人を包み込むことであろう。最もそれが分かっていてもブラフォードは歩みを止めないであろうけれども。


【C-2 中央部/一日目/早朝】
【ジョナサン・ジョースター】
[時間軸]:エリナとのハネムーンでアメリカに向かう途中の船上でワンチェンと遭遇する直前
[状態]:唇と右手から少量の出血(生活、戦闘に支障無。未治療)、精神疲労(大)、身体疲労(小)、顔と胸が血塗れ、混乱、現実逃避
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームを止める。屍生人?となって蘇った者を倒す (今は考えてない)
1.父さんを殺したのは……僕………?
245 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:25:17 ID:susd/Z4a
【黒騎士ブラフォード】
[時間軸]:LUCKの剣に血文字でPを書き加えた瞬間
[状態]:髪の毛の量が少ない、頭部への波紋による頭痛と吐き気、 精神疲労(中)、身体疲労(中)、胸が血塗れ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームの破壊
1.ジョナサンを止める
2.ジョージを助け、協力する
3.2のために基本的にはジョージの行動方針に従う

【備考】
※ジョナサンは混乱のため、何処へ向かって走っているか本人も分かっていません。現実逃避からがむしゃらに走っているだけです。
※ブラフォードはジョナサンの後を追っています。二人の距離は200メートルほどです。
※二人が何処へ向かっているかは次の書き手さんにお任せします。


   ◆



涙はもう流れなかった。 いや、流してはいけなかった。 自分にはやるべきことができたのだから。
だがわかっていても涙は止まらなかった。口からは嗚咽が漏れ、歪んだ視界の中必死で止血をする己の手がただやるべきことをわかっていた。
抑える布が次々と真っ赤に染まるその様子から義父の身体から刻一刻と魂が離れていくのがわかった。自分の努力が無駄で、馬鹿げてると思えるほどもうジョージの顔は白く、体は冷たくなっていく。

「誰か助けて…。お願いだから、誰か…誰かいないの…?!」
助けを呼んだって誰もいない、誰も来ない。そんなことはわかっているはずのに。
「神様…おねがい…ッ!助け…て…………」
神に祈ったって何も起きやしない。そう思ったからこの人は行動したのに。

―それでもエリナ祈るしかなかった。

誰かに頼りたかった、誰かが颯爽と現れてこの危機を、この人を助けてくれると信じたかった。
神を信じたかった、ジョージが目を開き、もう大丈夫だよと少し苦しそうに、だが笑顔で答えてくれると信じたかった。
だが彼女はわかってしまった、知ってしまった
このままではジョージが死んでしまう、。それがわかってしまった今、彼女に残されたことは祈りしかなかった。
ポタリポタリと涙が頬を伝っては床に落ちる。すぐ傍に横たわる一匹の犬、その氷のように冷えきってしまったその体を強く抱く。

―ねぇ、ダニー…神様っていると思う…?もしいるなら…もし神様、どうか本当にいるのなら…奇跡を―
「この人を救ってッ!!!神様ァ!!!」

奇跡を信じるエリナに語りかけるように、3つのデイバッグの中の折りたたまれた紙がカサリと動いた。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 22:25:30 ID:IdSNT1Tr
 
247 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:25:50 ID:susd/Z4a
【エリナ・ペンドルトン】
[時間軸]:ジョナサンと結婚後
[状態]:精神疲労(大)、身体疲労(小)、号泣
[装備]: サブマシンガン(残り弾数不明) ドレスの裾が破れてSexy 手は血塗れでgrotesque
[道具]:木刀(元々はアレッシーの支給品)。支給品一式。不明支給品残り0〜1(確認済)。靴(脱いでデイパック内にしまいました)
[思考・状況]
1.誰か…誰でもいいの…!!神様…助けて…、お願い!
2.ジョナサンを守るための戦いの覚悟はできている。
3.でもなるべく人は殺したくない。
4.もし再び会えるのならば、あの男性(ミスタ)に謝罪をしたい。
[備考]
※アレッシーを、「危険人物」と認識しました。またアレッシーの支給品には武器が無いと判断しました(あくまでエリナの判断です)
※自分の支給品、アレッシーの支給品を確認しました。

【ジョージ・ジョースター1世】
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:右わき腹に剣による大怪我(貫通しています)、大量失血により瀕死
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:ジョナサンとディオの保護
1.気にするな、ジョナサン……。そうなるべきだったところに、戻るだけなんだ。元に戻るだけ……ただ元に…。

【備考】
※不明支給品1〜2(未確認)とダニーについて書かれていた説明書(未開封)が入ってるジョナサンのデイバッグ、タルカスの剣、ジョージのデイバッグの三つがエリナの傍に放置されてます。



  ◆



いかがでしたか?お楽しみいただけたでしょうか?
歴史は繰り返されるといいますが、まさかこんな形で繰り返されるとは!
ジョースター邸、その場所。かつてディオがジョージを殺した場所で今度は実の息子が親を殺す。なんとも皮肉な運命になりましたな…フフフ……。

嗚呼…それにしても、どうしてこんな悲劇が起きてしまったのか…!皆が皆、ただそれぞれの守りたいものを守っただけなのに、それぞれがそれぞれを愛していただけなのに…。
違う時間軸から呼び出されたからこそ狂ってしまった歯車、殺し合いという名の椅子取りゲーム、荒木飛呂彦という圧倒的悪。
全て、このゲームだからこその原因!まさにバトルロワイアル!まさにデスゲーム!
ここまで見事に滑稽であるといっそのこと喜劇といったほうがいいですかね?フフフ……。

ジョナサン・ジョースター、彼はこの後どこへ向かっていくのか。坂道を転げ落ちるように破滅への道を転がり落ちるのか、再び勇気を振り絞り打倒荒木に燃え上がるのか。それとも…?ジョースター家の捻じれた運命の始まりとなった彼の今後に目が放せません。

しかし残念ながらもう演劇の時間は終わりです。この話はまた後ほど…。今後の彼の運命を“神”祈りながら一時閉幕といたしましょう…。
それでは皆様、またのご来場お待ちしております…。その時まで、御機嫌よう………。
248 ◆Y0KPA0n3C. :2008/09/29(月) 22:32:39 ID:susd/Z4a
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、その他気になる点及びおかしな点がありましたら指摘お願いします。
したらばにて感想・指摘をくださった方々、ありがとうございました。

>>◆yxYaCUyrzc氏
許可してくださり、本当にありがとうございます。
氏の素晴らしい一文があったからこそ自分でもこのSSが書けたと思います。
1stより引き続き参加している氏は自分の憧れでもあります。
どうかこの先2ndでも頑張ってください…。
249名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 20:22:48 ID:lsYbWPg4
投下乙!

立った!立った!ジョナサンが立った(発狂フラグ的な意味で)
作中でも書かれてますが原作とは真逆のシチュエーションでしたよね

正義の心を持ったブラフォードが日光によって死亡って言うのは悲しすぎるから……
早く立ち直ってくれジョナサン



250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 19:08:00 ID:m6nbanGe
投下乙です。
ジョナサンの誤解がもっとひどくなってる……
このまま発狂し続けたらディオの言ってたことも間違いじゃなくなりそうだぜ

あと、今回シリアスな展開だったのに、ブラフォードの状態表の

>髪の毛の量が少ない

で禿げたブラフォード想像して吹いたw
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 21:04:27 ID:sVWwg4cj
若干過疎気味か?したらばの方もあんまり動きがないが…
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 21:42:30 ID:EsFog3wV
一応いるよ〜
試験あるから来週一杯予約できないけど

適当に話題振ろうか?テーマは個人的に気になってる【支給品】とかで

放送やったら人気投票とかもやりたいんだよねぶっちゃけ
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 23:08:16 ID:vk0i3MwY
貴様、(某掲示板を)見ているなッ?!

正直その意見には賛同せざるをえない…
なんか寂しいよな、投下がなきりゃなんも回んないもんな、ここ…


人気投票はもっと後半にやってもいいんじゃないか?
やっても人いないし……orz
254 ◆x0A8sCOhf. :2008/10/05(日) 23:29:34 ID:fWXhFAtl
水臭いじゃないですか!私だって協力しますよ!
でもやっぱり放送終わってからですかねえ・・・
投票日を決めといてその日だけしたらばのIDを表示すれば出来るんじゃないですかね?
人が来ることが前提になってるから甘い考えかなあ・・・
255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 18:36:04 ID:Z1D5VtHF
人はいると思うんだけどねぇ。
あと、ロワとは全く関係ないが明日のスーパージャンプに「死刑執行中脱獄進行中」が載るよ〜

http://sj.shueisha.co.jp/contents/sj-preview/index.html
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 20:24:58 ID:Fy/esNDJ
mjd?
バオー、B・T、アイリンは買ったんだけど、それだけは持ってなかったから助かるわ
デッドマンズQとかドルチとか岸部露伴は動かないとかもどっかで読めねーかなぁ
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 20:28:37 ID:jdOjSMHQ
いるんだが
すでにッッ!!固定されているッッ!!

つまり四、五人ぐらいしかいないんじゃないか??
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 20:34:35 ID:G1dbx5y+
地方の俺は明後日だな……>スーパージャンプ
でも楽しみだ
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/09(木) 21:06:23 ID:ctc952zR
死刑執行中面白エえええええええええええええええええEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
見事すぎる展開と発想にマジで驚かされたわ、やっぱり荒木先生は天才すぎだろ
やべぇ……俺ごときがこんな人の二次創作書いてると思うとプレッシャァ〜だわ
一歩でも神の領域に近づけるように精進しやす!!
260 ◆F1qx8r1D/c :2008/10/11(土) 13:50:25 ID:bCg+FHKS
投下します。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 13:52:27 ID:EDPksjSj
あ、今から2ch整備するんで投下はやめた方がいいかと
男がぶらぶらと川沿いを散歩している。
両肩に簡易的な添え木をへこへこ歩く姿は、リハビリ中の患者のようだ。
向かう先はサンタ・ルチア駅。本音を言えば、彼にとってはどうでもいい場所。

「ヴァニラ・アイスは……そろそろ駅についてる時間かね」

一足遅れた男の足は何を導いていくのか。
戦火の火花を散らせるのか、はたまた収束させるのか。

「ま、俺は美味い女にありつけりゃあ充分なんだがな……お? 」

屍生人J・ガイルが降水に囲まれたコロッセオに進入をしようとしたその時。
駅から何かが崩れる轟音が響いた。

「お! どんぱち、やってるやってる……」

まるで他人事にように欠伸をしながら、J・ガイルは左の腕でお腹のかゆい所をかいた。
日の出まで、あと2時間。



【I-4 北部 /1日目 早朝(4:00過ぎ)】
【J・ガイル】
[時間軸]:ジョースター一行をホル・ホースと一緒に襲撃する直前
[能力]:『吊られた男』
[状態]:左耳欠損、左側の右手の小指欠損、右二の腕・右肩・左手首骨折 カーズに燃えるような怒り、それを上回るほどの恐怖 軽く情緒不安定
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1.ヴァニラ・アイスに従い日の出までにサンタ・ルチア駅に向かう。援護も"とりあえず”する。
2.自分だけが助かるための場所の確保もしておきたい。
3.カーズには必ず自らの手で借りを返す…のか?
4.3のために力をつける。結局はこのゲームでは力がないと死んでしまう…
[備考]
※デイパックと支給品一式をカーズに奪われました。
※『吊られた男』の射程距離などの制限の度合いは不明です。
※ワムウによる蹴りのダメージは右二の腕・右肩・左手首骨折でした。それぞれに対して添え木がしてあります。
※午後4時ごろ、サンタ・ルチア駅で何かの破壊音が響きました。
それでは仮投下スレに投下します
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 13:56:26 ID:EDPksjSj
嘘に決まってんじゃん……
この程度でだまされるとは……
気の毒になってくる
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 14:25:20 ID:6KdX8//G
>>261
おいおいトーキングヘッドにでもとりつかれてるのか?
舌の力抜けよ、すぐに引っぺがしてやるからな



>>261「ああ! >>265! もっとやさしく
    そこはダメ! ダメッ! ダメッ! ダメッ!
    ああ! やさしくして やさしく!
    舌を引っ張らないでッ! 感じる
    うああああ ダメ もうダメ〜〜ッ!」
それでは本投下をします。
★ ★ ★


「私の『面』が見えますか? 」

陰鬱なトーンで質問しながら、男は雨粒で造られた足場から飛び降りる。
低血圧を思わせそうな彼の話し方は、深夜に降り注ぐ雨のように暗い。
ゆっくりと近づいてくる男の姿にエンポリオは更に恐怖したが、素直にその質問にYESと答えた。

「では2つ目。あなたの仲間の情報を、スタンド能力も含め出来るだけ細かく教えていただけませんか? 」

男の質問が明らかな情報搾取に姿を変えたので、エンポリオは運命を呪った。
人としてもスタンド使いとしても弱く、反逆する意思も簡単に消されてしまう。
そして紳士的な口調で静かに脅迫するこの男は、いずれ仲間の障害になる。
スタンド使いの戦いでは、相手の能力を知ることは大きなリードをもたらすからだ。
とはいえ頑固に口を閉ざして逆らえば、用済みとして始末されてしまう。
おまけに、正直に話したからといって助かる見込みはない。

「だが断る! 」

エンポリオはわきあがる感情を押し殺し、拒否の一答をぶつけた。
正しいと思える行為。立ち向かう意思。
納得のできる行動は、弱弱しく頭を下げる柳じゃあなく、どっしりと上に伸びる頑固な大木だった。
人の弱みに付け込むような略奪者に、捧げる命はない。
ここで折れることは、母親を殺したプッチ神父に、命乞いをするようなものだ。

「残念ですねェ。お若いというのに」
「死ぬのは怖いさ……でも、あの時の僕は譲らなかった」

ケープ・カナベラルの戦いで、プッチの圧倒的戦力に押し負けて仲間は死んだ。
絶望的だった。
だが無謀とわかっていても、勇気を出してプッチに拳銃を構えた。
かつてのエンポリオ・アルニーニョの誇りは、

「僕は、今も僕のままでいたい」

まだ、死んでいなかった。
★ ★ ★

2、3倍はある体格の大人の背中に、全身を預ける。
初体験が赤の他人、しかもこんな状況で迎えるとは誰が予想しただろう。
背負われることによって始めて伝わる温かみがこそばゆく、心を安らげてくれる。
両親の愛を大して受けずに育った川尻早人には、それだけ"おんぶ"に衝撃を受けていた。
その養育列車もサンタ・ルチア駅が終点となる。

「もしかして、野球帽を被った少年のお知り合いですかァ? 」

駅で待っていたのは、友ではなく他人。
初対面の相手から、それも明らかに年上の人間にお辞儀をされるなんて珍しいな、と早人は思った。
仰々しい態度で接されるのは、小学5年生である身には縁のないことだ。
元から内気ではあったし、親や友人は割かし図々しい性格が多かった。
幸い男は善人だったらしく、手当てを施してくれたらしい。

「エンポリオは無事なのか? 」
「失血による酸素欠乏で気絶しているだけです。容態は危険ですがねェ」

淡々と交わされる端的なやり取り。
恐怖に震えながら駅を離れた時とは大違いだ。
天候を操る能力者、ウェザー・リポートが仲間になってくれた。
ウェザーを探すために涙を呑んで見捨てたエンポリオは無事だった。
エンポリオに大怪我を負わせたヴァニラ・アイスはウェザーに敗れて河に転落した。

「早人、お前も傷の手当てをしよう。応急処置はしたが、傷の具合を見てみないとな」

怪我人を介抱している彼らがとても頼もしくみえる。
何もできないチッポケな子供を一身で背負う姿に、テレビで見たヒーローを重ねたくなった。
ヒーローは負けない。もう寂しい別れは味わいたくない。
沢山の仲間が集まりみんなで力を合わせて悪を倒しにいく。
こんなことがこれからもずっと続くといいのにな、と考え始めていた。

「早人、あれは誰だ」

その時、ウェザーが自分の顔を背中に向けて早人に問いてきた。
サンタ・ルチア駅の別の入り口から近づいてくる客。
ウェザーは身に覚えのない人物なのだが、早人はよく知っていた。
『運命に勝ったッ! 』、そんな確信がふと頭をよぎる。
心配だったが、伝書鳩は無事に"彼"に手紙を届けてくれたようだ。
その上、エンポリオの下僕、ヨーヨーマッまで一緒にいる。
もっとも会いたい相手が、こんなに早くやってきてくれたのだ。
これを喜ばずとして何を喜ばないのか。

「僕たちの仲間だッ! 」

仲間と呼ばれた男は、早人の声に反応し手を振る。
その名は東方仗助(とヨーヨーマッ)。
早人と同じ世界の住人である。
★ ★ ★

「な……な……"治せない"……」

涙を浮かべて、早人は激しく狼狽している。
地面に膝から足までぺたりとつける姿に、さっきまでの生気は微塵も感じられない。
希望が打ち砕かれた人間は弱いものだ。

「悪いな……こればっかりはどーしよーもねえんだ」

その早人に謝っている男、東方仗助は早人にとっての希望だった。
あらゆるものを治す能力、『クレイジー・ダイヤモンド』のスタンド。
早人は自分とエンポリオの怪我を彼に治してもらうつもりだったのだろう。
答えはNO NO NO 
彼のスタンドが『治せる』のは、形あるものだけ。
ヴァニラ・アイスに粉微塵になって消された早人の右足とエンポリオの腕は、どこにも無い。
ゆえに治せない。

『旦那"候補"様、落ち着いてください。傷に響きます。あなたにも、旦那様にも』

だが受難はそれだけではない。
この降り注ぎ続ける雨のせいで、彼らの血は固まらずに流れ続けていた。
河に流れてしまったり、地面に吸い取られたり……考えられうるケースは様々だが、出血した分の血は回収不可能。
クレイジー・ダイヤモンドは彼らの体に血を戻すこともできないのだ。

「僕はッ! 途中でウェザーに止血を……でも彼はッ! ……う、うううう……」

悲しみにうちひさがれていた少年はついに脇目も振らず泣き出した。

『旦那"候補"様、落ち着いてください。泣いたところで何も解決いたしません』
「ううう……どうして僕をそんな風に呼ぶんだ……! 」
『今の旦那様はあなたを信頼しております。旦那様の遺志はあなたの意志でしょう。
 おそらく"僕が死ぬ時になったらヨーヨーマッは君に託すよ"とおっしゃるかと』
「うるさいッ! 」

早人の悲しみは擦り寄る下僕の戯言にさえも癇癪を起こしてしまう。
歯に衣着せぬ言葉による強制的な現実直視は、この状況ではなお痛ましい。
しばらくはいたずらに時が過ぎていくのを待つしかないだろう。

「……? どうかしましたかウェザー・リポート」

卑屈さを漂わせる黒いコートの肩にウェザーが手を置く。
質問には答えない。無言のまま強引に駅の奥へと連れ込んでいこうとする。
声ださずにその場を去ろうとしたのは、気遣い以外の何物でもない。

「わかりました。あなたの相談、承りましょう」

ウェザーは去り際に東方仗助へサインを送った。
川尻早人の傷を癒すのは『治せる』彼だけだからだ。
仗助は左手を軽く胸にあて、目で訴え返してきた。
意図を汲んでくれたようで、"任せろ"と言わんばかりの顔つきだった。
★ ★ ★ 

「残念で仕方なりませェん」

両手を胸の中心で組んで、男は深くお辞儀する。
仗助たちのいる駅の入り口から北に大分離れた野原。
雨の音がけたたましく丘を叩き、ドラミングを披露している。

「私がもっと、もっと早くあの場にたどり着いていれば――」
「どうしてエンポリオを助けた? 」

ウェザー・リポートのこの質問には、当然ながら裏の意図がある。
てがかりは彼が最初に見つけた青年の死体。
そして死体が握っていた黒い毛糸。
その感触は少し不思議だった。
雨の濡れかたを見ればわかるが、材質が少し古臭くて生糸としては売り物にはなりにくい。
まるで"何十年も昔の洋服から千切られた"ような印象を受けた。
この特徴的な感触を持つ黒い衣服。そのコートを着た人物こそが、青年を殺した犯人と思っていたのだが……。

「……? 見殺しにするわけにはいかないでしょう」
「お前は雨を固定することによって止血ができる能力者。わかっていたんじゃないのか」
「"止血しても手遅れだった"と? 買いかぶり過ぎですよ」
「買ってなんかいないさ。止まない雨は無いし、雨で出来た止血のフタもいずれ蒸発する……それが自然だ」

それらの都合がこの上なく揃う疑惑の男が、いきなり現れて人助けをしていたら。
真だ、と目星をつけていた結論に綻びが生まれるようなもの。
誰だって戸惑うし、先にに進みにくくなるものだ。
元々、ウェザーは"青年を殺した男は有無を言わず先手必勝を狙う"というイメージ持っていたのだから。

「強いて挙げるなら……気になったからですかねェ。
 彼は"先"を見ていた。自分の死んだ後のことを考えていた。何を見ていたのか……それを知りたくなったんですよ」

疑いは払拭されることはない。しかし、この男は話を聞く限り"頭がいい"。
尻尾を見せないというか感情が掴み取れないというか、とにかく油断ができない。

「用件はそれだけですか? 」

ポケットにしまってある黒い生糸。殺人を立証する手がかりだ。
早人の仲間である東方仗助のスタンドの『治療』でこの糸が黒いコートに戻れば証拠として立証が可能。
だが、うかつに出せば誤魔化される恐れは否定できないのだ。
"その青年を私を殺そうとしたので、やむを得ず正当防衛を……"と反論されてしまうだろう。

(とはいえ、どす黒い悪意は感じられる)

極力無難は話題で少しづつ、素性を探っていくか。
それとも思い切って襲い掛かり出足を見るか。
"雨を固定できる"というスタンドを悠々と他人に見せられる事態が、奥の手の存在を匂わす。

「そういえば名前をまだ聞いてなかったな」
「……ブラックモア、以後お見知りおきを」


ウェザー・リポートの苦労は続く。
【サンタ・ルチア駅周辺(H-3中央部)/一日目/早朝(4:00頃)】
【ウェザー・リポート】
[時間軸]: 12巻、脱獄直後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(本人は確認済み)、黒い糸数本
[思考・状況]
基本行動方針: とりあえず殺し合いには乗らない。
1.駅に戻る
2.『雨』を降らせ、仲間に自分の存在を伝え合流する(ブラックモアが気になるが←のために降雨は続行)
3.ブラックモアを警戒。じっくり見極めるか即・滅殺するか考え中。
4. 男(ロメオ)を殺したやつ(ブラックモアか?)を探す。相手次第で始末する
5.襲ってきた相手には容赦なく反撃する。
6.エンリコ・プッチ、ラング・ラングラー(再起不能のはずだが…?)の二名に警戒

※雨はウェザー・リポートが降らせています。
 雨が降っている領域は【I-3】の周囲一マス程度です。
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。早人と情報交換しました。
※ブラックモアとは情報交換を完全にしていません。交換されたのは下の情報だけです。
 @ブラックモアが、気絶しかけていたエンポリオを止血して助けた。
※黒い糸はブラックモアの服からちぎりとったものです。

【ブラックモア】
[時間軸]:ジャイロの鉄球が当たって吹っ飛んだ瞬間
[状態]:左腕にかすり傷
[装備]: 一八七四年製コルト
[道具]:支給品一式×2(デイバッグ二つ)予備弾薬(12/18)不明支給品1〜3(本人は確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1.駅に戻る
2.優勝する為の味方が必要(ウェザーたちが気になる)
3.遺体を捜す
4.名簿にある“ツェペリ”“ジョースター”“ヴァレンタイン”の名前に注目
5.傘が欲しい…。

※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。"ツェペリ""ジョースター""ヴァレンタイン"の名に警戒と疑問を抱いてます。
※ブラックモアがほかの七部の参加者をどのぐらい知っているかは不明です。
※エンポリオからは情報を聞き出せませんでした。

★ ★ ★ 

(こいつらを騙すのには成功したが、面倒くさいことになっちまったなあ)

自分のとった行動に毒づきながら、東方仗助――になりすましていたラバーソールは、耳障りな号泣を聞いていた。
未だ意識のハッキリしない子供と、その子供に抱きついて呼びかける少年。
わざとらしいオーバーな素振りが、彼の眼隣筋をひきつかせる。

(合流するタイミングも悪かった。話しかけられる雰囲気でもねーし……。
 仗助みたいな甘ちゃんは、泣き止むまで大人しく待つタイプだよな。
 "すっきりしたか? じゃあ墓を立ててやろうぜ"みてーな臭い台詞かましてよお)
『旦那"候補"様、旦那"候補"様……ああ、まったく取り合ってくれない』
(このミョウチクリンな生き物もこのガキどもには媚びうる癖に、俺はガン無視だ。
 あ〜〜"どっちが早人"かすらも、わかりゃあしねえ。"早人"は日本人なんだろうが……うーん。
 仗助も外国人並の身長だったし、どっちも髪を染めてるっぽいしなあ〜〜)

ラバーソールは早人たちに気づかれぬように立ち上がり、駅の奥に向かって歩き出した。
向かう先はサンタ・ルチア駅の時刻表だ。

(駅を通る列車は、地図に書いてある線路を通るらしい。この赤いラインがそうだな。
 途中で途切れているのは何でだ? ……あ、そうか地下鉄か。線路が地下を走ってるんだな。
 なるほどぉーっ、うまく使えば最高に逃げ道だが一歩間違えると袋のネズミってわけだ……ん? )

ラバーソールはふと首筋に冷たさを感じた。
氷を肌に当てたような持続的な寒さではなく、北風が通り過ぎたような刹那的な寒さ。
雨が降る日には、誰もが冷たさに雨を連想する。
建物の中で滴りを感じれば、顔を上げて見据えてしまう。

「雨漏りしてるの――かッ!? 」

ラバーソールが化けていた東方仗助の脳天に、鋭利な包丁が突き刺さる。
天井から落ちてきたものは雨ではなく、雨で濡れていた来訪者だったのだ。
身軽さを生かした暗殺術を極めたナチスコマンドー、ドノヴァン。
彼の技量を持ってすれば、駅の屋根をつたい、上空から襲撃するなど朝飯前。
……もっとも、今の彼はただの人形だ。彼の意識はすでに無い。
それは水のスタンド、アクア・ネックレスの仕業。
体も水で出来ているアクア・ネックレスはドノヴァンの全身に寄生することで、体を乗っ取っているのだ。

「……痛ってえじゃあねえか。俺の眉間にちょっぴり刺さっちまったぜ。
 ヒヒヒ、仗助は俺より身長が高いからよお……イエローテンパランスで頭部を水増しさせといた。
 シークレットシューズならぬシークレットヘッド! ドゥーユゥーアンダスタァ〜〜ン?
 つまり仗助の頭をブッ刺しても、本体である俺様には距離が……足り、足り、足り、足り、足りなあ〜〜いッ! 」

しかしドノヴァンはスタンド使いではない。
ちょっと腕の立つ程度の軍人であり、その実力は一般人の枠を超えないのだ。
この世界に招かれた80余名の中では下位に属す。

「こいつはメチャ許さんよなアアアアアアアアアアアアアアッ!! 」
『ギャアーーースッ! 』
「おお? それがてめえのスタンドか? ゲロみてーに吐き出してんじゃねーよッ! 」

ゆえにラバーソールのスタンド、黄の節制(イエローテンパランス)に、いとも簡単に捕らえられてしまう。
縦横無尽に伸びる黄色のスライムが彼の骨格を捻じ曲げ、肉を破り、血を啜る。
その容赦の無さはアクア・ネックレスにも耐えられなかったらしく、とうとう宿主を放棄してしまった。
ドノヴァンは晴れて自由の身となったのだ。
もっとも、彼はそのまま人食いスライムの今宵4度目となるメインディッシュになってしまったわけだが。

「ブジュルブジュルすり潰して、いただきま――」




ガ オ ン ッ ! !





まるでコルクの栓を切り取った斬痕のように穴が開いた体。
啜っていた血が、噴水として夜を照らしている。
全てが一瞬だった。
謎の"何か"は、ラバーソールのわずか数センチ頭上にあるドノヴァンを、黄の節制ごと消し去ったのだ。

「あれ? 」

東方仗助の頭も一緒に巻き込まれたせいで、ラバーソールはバランスを崩して倒れた。
呆気にとられるしかなかった。
脱出不可能の捕食地獄は、もうひとりの襲撃者の存在を夢にも思っていなかったのだ。


【H-3サンタ・ルチア駅の奥 /1日目 早朝(4:00頃)】
【ラバーソール】
[時間軸]:承太郎と戦闘中、ザリガニ食べてパワーアップした辺り。
[状態]:健康。仗助、重ちーを食べてパワーアップ!? 地面に倒れている。
[装備]:サブマシンガン@小消費(ヴェネツィア空港警備員の持ってたやつ)、
    巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)
[道具]:支給品一式 ×3(ラバーソール・重ちー・仗助) 内一食分食料消費、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り、優勝。溺れるほどの金を手に入れる。
1.……は?
2.サンタ・ルチア駅に向かい早人から承太郎についての情報を聞きだす。
3.状況によっては承太郎、仗助、花京院に化ける。
4.ディオからの報酬よりも美味しい褒美だ!ディオなんてどうでもいい!
5.この鳩、いったいどうしようかねぇ…?
[備考]
※ラバーソールは現在、首なしの東方仗助になっています(仗助と身長差があったため本体の頭は無事です)。
※ラバーソールは承太郎、仗助、花京院に化けれます。偽のスタンド像も出せますが性能はイエローテンパランスです。
 多分ウェザーとブラックモアにも変装可能でしょう。(エンポリオと早人は身長の問題をクリアできるのかは不明)
※ラバーソールは仗助が自分自身の怪我も治せると勘違いしています。
※本物の早人を知りません。早人の年齢は10〜18ぐらいだろうと予測してます。つまり……
※鳩は早人が同封した返事分、一回分の便箋を持っています。
※ラバーソールは重ちーの残りのランダム支給品の中身をまだ確認してません。
※ドノヴァンの持っていた包丁(吉良の親父が持っていたもの)は消滅しました。

【地下鉄の謎】
この世界の鉄道は途中で地下を通っているようです(地下鉄)。
サンタ・ルチア駅がどのルートを通って地上の線路とつながっているのかわかりません。

【ドノヴァン 死亡】
★ ★ ★

ろくに動けぬ少年2人と大量の荷物を抱え、ヨーヨーマッは駅を後にした。
愚鈍な体に相応しいゆったりとしたスピードで、雨の中を進む。
自立型というカテゴリーに特化されたスタンドゆえに、パワー&スピードはほぼEランク(超ニガテ)。

「仗助さんが……偽者だって? 」
『推測ですがね』

しかし体のほとんどを一度に消滅させられても、時間をかければ完全に修復可能。
生活の知恵も豊富に備えている博識家。
欠点を補って余りある知能と耐久性がヨーヨーマッの持ち味だ。

「いつから目星をつけていたんだ? 」
『最初からです』
「決め手は? 」
『いきなり私に声をかけたからですよ。"早人! 読まさせてもらったぜーっ、お前の手紙をよぉーっ"、と』

ヨーヨーマッは、サンタ・ルチア駅に初めて来たときの状況を思い出していた。
いつの間にか、主人であるエンポリオが駅の外で倒れていて、黒いコートの男と何やら会話をしている。
いつの間にか、彼の友人である川尻早人が行方をくらませている。
理解に苦しむ状況の中、とりあえず最優先事項としてエンポリオに接触することを決めた。
そこに、東方仗助が現れたのだ。川尻早人が送った伝書鳩の手紙と共に。
背丈、格好、口調、スタンド、どれもが早人から聞いていた情報と合致していた。

「お前を川尻早人と間違えたってこと? ……見間違えるかな。スタンドと人間を」
『いいえ。見間違えていないからこそ、声をかけたんですよ。
 旦那候補様がピンとこないのも無理はありません。だってあなたはスタンド使いじゃあないのだから』

――スタンド使いはスタンド同士で会話ができる、という事実がある。
スタンドとスタンド使いは一心同体であるゆえの法則だ。
スタンドが怪我をすれば本体も怪我をするし、スタンドによっては五感もお互いに共有できるケースがある。
では、あなたがスタンド使いになったと仮定していただきたい。
"行方不明の東方仗助を探している最中に、彼のスタンド、クレイジー・ダイヤモンドを発見しました。どうしますか?"

「仗助さんのスタンドを見つけたんだから、こっちもスタンドで話しかけ……あっ!!
 まさか駅にいた東方仗助は、"僕がスタンド使い"だと勘違いしていたのか!? 」
『おおかた、手紙の内容だけで川尻早人という人物像を読み取って、私を旦那候補様のスタンドと決め付けたんでしょう。
 どうみても怪しいです、本当にありがとうございました……本物だったら警戒は怠らないはず。
 荒木飛呂彦が作り出したこの世界で、未知のスタンドと遭遇したんですよ? フレンドリー過ぎるでしょ』

そうか……と肩を落として納得する早人に、ヨーヨーマッは警告を続ける。
偽者の仗助は、ミスを犯したとはいえ完璧な変装をやってのけていた。
つまり川尻早人を知らないのに、東方仗助を知っていたことになる。
次に、本人にしか届かないはずの伝書鳩の手紙を、偽者は読む機会があった。
それは偽者が東方仗助と接触する機会もあったことを指しているのだから。
「仗助さんは、ひょっとしたら……」
『そこまでは計りかねますが、一応、旦那様と旦那候補様の本名は黙ってておきましたら大丈夫ですよ。
 偽者は"4人"から本物の川尻早人を探さなければならないから、きっとボロを出します』
「……お前、意外と空気が読めるんだな」

早人の言葉を大きなお世話と思いながらも、ヨーヨーマッには理由があった。
ヨーヨーマッと早人が初めて出会ったときに下された注意。
"はい、わたしはヨーヨーマッ DアンGのスタンドで、今のだんな様はエンポリオ・アルニーニョ様です"
"ちょっと待ってよヨーヨーマッ! 何でぼくの名前まで教えちゃうんだよ!"
"エンポリオ様、最初に自分から名乗るのは礼儀ですよ? "
"だからって……"
ヨーヨーマッは主人を守るために命令を曲解する傾向があるが、時には主人の意思を全面に尊重するのだ。

『まあ今回はイレギュラーということで一つ。せっかく逃げれるチャンスなんですから逃げちゃいましょう
 この先にいるウェザー・リポートたちと合流して、ついでに馬もGETします』
「馬? 馬がいるのかい? 」
『ほらあれです。偽者の東方仗助が支給品だとぬかしていました。あれに乗れば……』





ガ オ ン ッ ! !




『……"こっち"のことを失念しておりました。
 旦那候補様の悪い予感が当たってしまいましたね。非常に残念です』
「奴は……ウェザーさんが……さ、再起……不能、に……」
『だが、生死まではわからなかった。ウェザー・リポートに河へ叩き落としただけです』

ヨーヨーマッは立ち止まると、右腕に挟んでいた荷物と川尻早人を解放した。

『たった今、私の本来の旦那様であるDアンGが、荒木飛呂彦に殺されたのを感じました』
「そんなッ!? こんな、こんなところでッ! 」
『"仮の主人であるエンポリオ様が死ねば、DアンGは殺される。そしてDアンGのスタンド、ヨーヨーマッも死ぬ"』 
「あ……あああ……エンポリオ……ヨーヨーマッ……! 」
『主人の死は即ち下僕の死。それが私に架せられたルールです、ハイ』

早人はヨーヨーマッを力なく見やる。
ザックリと削り取られた左半身。
掛けていたはずだったバッグは、欠片を。支えていたはずだったエンポリオは、肉片を。
それぞれが残骸を遺して消えていた。

『旦那候補様……いや、"川尻早人"様。
 旦那様の分も頑張ってください。旦那様も、きっとそう望んでおられることでしょう』

降りしきる豪雨の中、煙のように崩壊していく体躯。
精神エネルギーの塊である、スタンドが天に召される予兆だ。

『健闘を祈っております――――どうかお気をつけて』

ヨーヨーマッは腰にぴったりと右手をつけて、丁寧に頭を下げた。
川尻早人に贈る、最初で最後の見送りだった。
【サンタ・ルチア駅 北出入口周辺(H-3)/一日目/早朝(4:00頃)】
【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:右足前部欠損、疲労
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。殺し合いにはのらないけど、マーダーは仕方ない。
1.うわあああああああああああああああああああああああ
2.他の知り合いにも会いたい。でも一応警戒
3.吉良吉影を最大限警戒。ディオ、プッチ神父も警戒。駅で会った東方仗助(ラバーソール)も警戒。
4.死んだ人達にはどう接すればいいんだろうか?
5.エンポリオを信頼する
6.ライターを警戒、緊急時には仕方ない?
7.荒木の能力を解明したい

※偽者の東方仗助(ラバーソール)は川尻早人がスタンド使いであると勘違いしている。
 あるいは、ヨーヨーマッを川尻早人のスタンドと勘違いしていると推測しています。
※仗助に危機が迫っていることを感づきました。
※早人の悲鳴が周囲一マスに響き渡りました。
※ヨーヨーマッの主人(エンポリオ)が死んだので、ヨーヨーマッは消滅。
 したがってヨーヨーマッの本来の本体であるDアンGも荒木によって確実に殺されました。
※ヨーロッパ・エクスプレス(シュトロハイムの愛馬)が近くで待機しています。
※川尻早人の周囲に以下の支給品が散らばっています。その他は消滅しました。 

ジャイロの鉄球、ノートパソコンの幽霊(普通に使用可能)、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ポルポのライター



【ヴァニラ・アイス】
[時間軸]:回転しながらポルナレフに接近する途中
[状態]:鼻骨、左胸骨、左肩甲骨 骨折 全身に打撲(随時吸血鬼の能力で回復中)、吸血鬼化  ウェザーに対して静かな怒り
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜2(本人は確認済み)  ゾンビ馬(怪我ひとつを縫える程度)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ(DIO)様以外の全員を殺害し、優勝させる
1.朝日を避けるためサンタ・ルチア駅を拠点にする。駅周辺にいるものは皆殺し。
2.先ほど自分を倒した参加者(ウェザー・リポート)を必ず殺す
3.他のディオの部下も含め、参加者は見つけ次第殺害する (J・ガイルに関しては保留)
4.日が出てきたら駅で待機 その間J・ガイルに参加者を殺しに行かせる
5.ディオ様と『DIOの館』(C-4)で合流する
[備考]
※ヴァニラ・アイスは、自らの肉体の『吸血鬼化』に気付きました。
※『吸血鬼化』はまだ完全ではありません。
※リサリサの絞りかすがI-6にわずかに残されています。
※東方仗助(ラバーソール)は死んだと思っています。

【エンポリオ・アルニーニョ 死亡】
【ヨーヨーマッ 消滅】
【DアンG 死亡】
★ ★ ★ 


靄と霞が幾重にも交錯する水の社交場から少しはなれた川辺に、片桐安十郎(通称アンジェロ)は座り込んでいた。
ドノヴァンを操っていたアクア・ネックレスの本体である。

「アクア・ネックレス……このまま続行するんだ、駅の偵察を」

駅にドノヴァンを侵入させたとき、アンジェロは歓喜していた。
己を再起不能にした張本人である東方仗助の居場所を早くも捉えたからだ。
ところがどっこい。隙を突いて殺したはずの男はピンピン。
大した怪我もせずドノヴァンを締め上げて、ご満悦そうに勝利を確信していた。

「あの野郎……俺を出し抜いて良い気になってたんだろうなあ。俺が殺してやりたかった」

欲望の消化を訴え続ける本能に自制をかけて、ぐっと堪える。
東方仗助の頭とドノヴァンを消した謎の現象。
スタンド能力ならば、スケールの大きさで負けてしまいそうな使い手だ。

「何が起こってやがるんだ? あの駅で」

アンジェロは雨という絶好の状況にも関わらず、用心を欠かせないでいた。

日の出まで、まだ2時間。



【H-3 川辺 /1日目 早朝(4:00頃)】
【片桐安十郎(アンジェロ)】
[スタンド]:アクア・ネックレス
[時間軸]:アンジェロ岩になりかけ、ゴム手袋ごと子供の体内に入ろうとした瞬間
[状態]:健康、テンション高
[装備]:ナイフ(ディオが吸血鬼になる為にジョージを刺したもの)ライフルの実弾四発、ベアリング三十発  
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:安全に趣味を実行したい
1.俺は……反省すると……厄介だぜ?
2.サンタ・ルチア駅に向かうのは保留。駅がヤバそうだから少し様子をみるぞ!
3.天気を操るスタンド使いに警戒。場合によっては天気を操るスタンド使いを利用する 
4.東方仗助(先を越されたぜ、チェッ)、空条承太郎を殺す。
5.コロッセオに向かう…?
6.荒木は良い気になってるから嫌い
[備考]
※アクア・ネックレスの射程距離は約200mですが制限があるかもしれません(アンジェロは制限に気付いていません)
※アンジェロはドノヴァンを視認できる距離、およそ50メートルほど先行させています
※名簿に目を通しました。
※東方仗助が死んだと勘違いしています。
投下完了しました。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 16:38:42 ID:+sL7Ex3e
投下乙!
ヴァニラが猛威をふるっているなあ
原作の描写も相まって本当にマーダーに使えるよなコイツ
そしてラバーソール早くもばれる!ヨーヨーマッ使えるなと思ったが、
ヴァニラにやられてしまったのが残念だ
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 17:32:08 ID:diOI4pzF
乙です
駅はホント地獄だぜw
ヨーヨーマッまで脱落とは1st生還者に厳しすぎるぜ
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 19:16:56 ID:O3hJwdxU
投下乙。
内容の矛盾点は特にないかと。人物が多いから把握するのが難しいところだけど。
あとは若干の脱字かな。そこさえ直せばサクサクした流れで面白作品だと思うよ。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 19:20:51 ID:EDPksjSj
言い換えると今のままじゃ面白くないSSだってことですね
分かります
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 20:52:20 ID:hERD8GiZ
玉取ったら鬼の好感度は上がらないんですか?
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 20:53:22 ID:hERD8GiZ
すまん誤爆した・・・orz
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 22:21:48 ID:yyZ0nkLH
投下乙!予約、即投下だからスレ開いて投下されててびっくりしたぜ!

うわあああああああああああ 
エンポリオォーーーーーッ!!ヨーヨーマァアアアアアッーーー……!

ラバーソールの行動からのヨーヨーマッの推測が見事でした。それだけに彼の死が悔やまれる…
そしてヴァニラアイスの襲撃!はたして早人はかつて吉良吉影の時のように運命を打破できるのだろうか?
早人の悲鳴で駆けつけてくるであろうウェザーとブラックモアの腹の探りあいも非常に気になるゥ!
今後のアンジェロとガイルの動向にも注目…って見所ありすぎだろ、おい!

さらに今後が気になるSSだったぜ GJ!

ん?ドノヴァン?ああ、そんなのいたね(笑)

286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 23:18:49 ID:f7yLnYts
ついに死者が20人越えたぜ!
第一放送前だってのにwww
287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 22:14:27 ID:6tf32lJN
このまま30人逝くヨカーンwwww
288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 22:44:36 ID:TWgs3GPU
俺…第一放送が終わったら死亡者名鑑書くんだ…
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 22:47:39 ID:zuzTGw6G
>>288
信じてるぞ・・・頼むぞ・・・?
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 22:56:56 ID:NumqJZCQ
俺、この試験週間が終わったら予約するんだ……
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 06:54:44 ID:JQuj475l
>>290
終わりが無いのが終わり
それが追試レクイエム……
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 15:08:06 ID:4ZJycIP5
>>288
奪う悦びをくれないか?
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 19:02:24 ID:s3yG48G1
>>292
ゆるすかゆるさねぇか、心の中を読んでみりゃあいいじゃねーか

YESYESYES


つーかもう更新してんじゃねーか!
更新乙、アヌビスとヨーヨーマッのAAに吹いたwww
俺もなるべく早く参加するぜ
294名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/14(火) 21:40:08 ID:C562UJuy
少し気になったんだが参加するキャラの基準はどう決めているんだ?
295 ◆xrS1C1q/DM :2008/10/14(火) 21:56:03 ID:razBFo3l
>>294
部ごとに投票で決めたのさ〜

ではナチス軍人と兄貴を投下します
296墓標のない墓場 ◆xrS1C1q/DM :2008/10/14(火) 21:59:48 ID:razBFo3l
「クソッ、かなり流されちまったみてーだな」

意外と快適であった亀の中から抜け出して俺は毒づく。
目の前に河口があるってことはここはG-8辺りってことか。
まぁ現在地が早々と確認できる場所に来れたのは不幸中の幸いって所か?
おかげさまでさっきまでいたエリアは大体特定できる。
流された距離から見て恐らくH-7。
で、これから俺はどうするんだ?
自分自身の心に向けた馬鹿馬鹿しい問い。
答えなんざたった一つしかねぇ。

『カーズをぶっ殺す』

これが現状における最優先事項だ。
あまりにも分かりきった事をわざわざ再確認する自分に怒りが湧いてくると共に、苦笑いまで浮かんできやがった。
こんな姿をペッシに……いや、あいつら全員に見せるわけにはいかねぇ。
一瞬で表情を平常時のものへと戻し感情を覆い隠す。
職業柄必須事項のはずなのだがうちのチームにはできない奴が数人いたりするから不思議だ。
そんな事はどうでもいいか……

で、カーズを殺すとは言ったものの現状じゃ実行する手段が全くねぇ。
亀の中で気絶してるシュトロハイムとやらの言う事を信用するならば、奴の弱点は日光か波紋。
カーズの口振りから奴とシュトロハイムが敵対してたのは事実だろうからシュトロハイムは限りなく白に近いだろう。
弱点が分かってるからとはいっても現在は戦うべきではないがな。
第一に、こちらには波紋使いとやらの存在は影も形もねぇ。
万が一俺らの仲間になったとして、そいつらに戦わせて俺は傍で見るだけになるなんざ死んでもゴメンだ。
マンモーニになってまで生き延びるよりは普通に殺られた方が遥かにマシってやつさ。
第二に、太陽が出るまではまだ時間がかかる。
老化は効かないわ、格闘でも勝ち目が薄いわとグレイトフルデッドと奴の相性はどん底に最悪ってやつだ。
正面きって戦ったとして一分持ちこたえりゃ上出来だろうよ。
だから俺が選んだ戦法は奇襲。
それも真昼間の一番太陽がドギツイ時間帯での奇襲だ。
元々俺は暗殺者。
勝利のために一々手段を選んでたんじゃ話にならねぇ。
あくまでも俺は俺の流儀で奴をぶっ殺す。
最後にして最大の理由。
それは俺がカーズの居場所を掴んでいないってことだ。
これはかなり重大な問題で、奇襲のために探し回った挙句、見つけたときには既に真夜中で何もできずに殺されましたじゃお粗末すぎる。
だから、タイムリミットは今日の日の出から日没まで。
理想は昼前に見つけることだけどな。
しかし、その問題が解決するのは時間の問題だろう。
奴と戦った地点からその近辺の建物を漁っていきゃその内見つかるはずだ。
当然奴ら弱点をカバーするために罠を張ったりもしてるんだろうけどよ、その辺は承知済み。
むしろ命を取りに行く野郎が命を懸ける覚悟をしないでどうするんだ?

大体の見当は付いている。
日本人だって言うだろ? 木を隠すためには森だってな。
恐らく奴は建物の数が多いであろう食屍鬼街に向かうはずだ。
死ぬ覚悟は出来てるかカーズ? 俺は出来ている。



こうしてプロシュートはカーズとの対面を避けて、エルメェスと離別した場所へと歩き出す。

川沿いの道を黒衣の死神が行く、上流へと向かう足取りには一片の迷いも見せずに。
柱の男という不死の存在に死を与えるために、己の誇りを蘇らせるために。



★  ☆  ★
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 22:00:43 ID:+hnJ750b
 
298墓標のない墓場 ◆xrS1C1q/DM :2008/10/14(火) 22:01:01 ID:razBFo3l



“そこ”は辺り一面に悪臭が漂っていた。
焼けたゴムの臭いに火薬特有の臭い、……そして何かの肉が焼け焦げたような香り。
地面に飛び散ったジープの破片が激戦の名残をプロシュートへと伝えてくる。
未だに煙が燻っている様な景色の中、彼は見つけてしまった。
大破して、二度と使用できないであろう無残な姿に変わり果てたジープ。
そしてその周りに飛び散る煤にまみれた肌色の欠片。
誇り高き女性、エルメェス・コステロの残骸を。

「こいつは……ひでぇな」

仕事で死体の山や惨劇を幾度も作ってきたプロシュートであったがここまで悲惨な死体にはそうそうお目にかかれないだろう。
人間としての原型を殆ど残していない肉片が散らばるアスファルトはそれだけでも気の弱い物くらいなら気絶させるくらいのインパクトを持つ。
しかし、命の恩人の凄惨な死体を見たとしてもプロシュートの心に動揺や悲しみは生まれてこない。
元の職業が死と隣りあわせだった上に、相手の死は周知の事実であったからだ。
彼は胸の中で肉片となったエルメェスに問いかける。

『あんたは……最後に栄光を掴む事ができたのか?』

死者にとっては全く意味の無い質問だという事は自身が理解している。
だが、彼はどうしても聞かなくてはならなかった。
仲間のために命を懸けて勝ち目の薄い戦に飛び込んでいった彼女に対して。
永遠に返事の来ないであろう質問を数回繰り返した後、プロシュートは再び口を開けた。

「カーズ……やはり、てめぇは俺の手で」

殺すと言おうとしてギリギリで食い止めた。
先程までは自分がマンモーニという事実を再確認するために使っていたのだ。
後々癖になっては困る、そう考えてプロシュートは口を閉ざす。
そのまま無言で川原へと降りて行き―――

「ザ・グレイトフルデッド」

己の半身である異形を呼び出した。
異形はその太い手で川原の表面にある砂礫を吹き飛ばす。
そして、露出した湿っている地面に腕を突き出して、土を抉り取る。

一回、二回、三回…………
299墓標のない墓場 ◆xrS1C1q/DM :2008/10/14(火) 22:02:55 ID:razBFo3l
グレイトフルデッドの手が削掘作業を終えた時、プロシュートの目の前には深さ一メートルほどの穴と、土の山が出来上がっていた。
腕に所々に土が付着したグレイトフルデッドを引っ込める。
すると腕に付いていた土が行き場をなくし、重力に引かれてその場に落下する。
再び川原からアスファルトの路面へと戻ったプロシュート。
右手に持った亀を目立たない場所へと隠し、エルメェスの肉片が飛び散る辺りへと歩み寄る。
そのまま、血や体液が付着するのを一切気にせずにプロシュートはエルメェスの肉片を拾い集め始めた。
ここへ辿り着いてから微塵も変わる様子を見せない彼の表情からはなんの感情も読み取れない。
ただ淡々とアスファルト上に存在する肉片を拾い集めるだけだ。
拾い、ある程度集めたら穴の中へと納める。
この単純なサイクルを何回行ったのだろうか?
プロシュートの手はとっくに血で真っ赤に染まり、脂でべたついている。
しかし、それでも彼はその作業を止めようとはしない。
そして、ついにめぼしい死体は全て拾い終わり、最後の一掴みを穴の中へと入れた。
再びグレイトフルデッドを発現させてさっきまでとは間逆の作業をさせる。
土を掴んでは穴の中へと放り投げ、掴んでは放り投げという単純な動き、
常人であったならばそれなりの労力が必要だったであろうが、スタンドであるグレイトフルデッドは疲れる様子を見せない。
こうして、掘り起こした穴はエルメェスの死体を含みながら元の姿を取り戻した。
全てを終えた後、川で血まみれとなった手を洗うプロシュート。
中々流れようとしない血液に悪戦苦闘しながらも大方を川の水に流し去った。
それをやっている間も一向にプロシュートの表情は変化を見せない。
が、急に背後からの気配を感じたとき、今以上に険しい顔となってプロシュートは振り向いた。

「貴様がカーズを倒したのか?」

所々に喜びを孕ませた驚愕の声がプロシュートの耳へと届いた。
水分の足りて無さそうな髪の毛に、深い緑に染まったナチスドイツの軍服。
機械でできた右目と胴体は大破しており、切断された右足には失った部分の代用としてテーブルか椅子の足が紐で括りつけられていた。

「てめぇかシュトロハイム……」
「あぁそうだ。まぁそんな事はどうでもいい。
 俺たちが生きてるという事はカーズを倒したと考えてもいいのか?」
「いいや……ちがうな。俺たちは逃がされたんだ」

苦々しげに言葉を吐くプロシュートと、彼の隣にいるはずの人物がいないことによって
シュトロハイムは全てを悟り、重苦しい口調で聞き返した。

「エルメェス・コステロか……」
「ご名答だ」

プロシュートが短い返事を発するやいなや、シュトロハイムは川に向かって一部の隙も無い見事な敬礼をする。
そして、大きく息を吸い込み―――。

「エルメェス・コステロよ! 俺はどんな人物であろうとも勇気のあるものには敬意を払う!
 カーズを相手に一歩も引かなかったその勇姿、確かに俺の胸に刻んだ!!」

悲しみと賞賛の入り乱れた表情で敬礼の姿勢を崩そうとしないシュトロハイム。
そんな彼の頭をプロシュートは――

「馬鹿かてめぇ」

思いっきりぶん殴った。

「な、何をする貴様!」
「何をじゃねぇ、こんな所で大声出しやがって。
 ここは殺し合いの会場なんだぜ? 自分の居場所を伝えるような事をして何のメリットがあるってんだ!」
「ぬぅ……」
「ほら、一旦亀の中に隠れんぞ」

そう言ってプロシュートは亀の甲羅に付いた鍵の宝石に向かって足を踏み出す。
一瞬にして姿を消したプロシュートにシュトロハイムは驚きを隠せ無かったものの、彼にならって亀の中へと入り込む。
300墓標のない墓場 ◆xrS1C1q/DM :2008/10/14(火) 22:03:55 ID:razBFo3l

〜数分後〜


「そういえば、お前かなり重症じゃねぇのか? よく動けるな」
「ブゥワァカメエエエエエエエエエ! 
 ナチスの科学力は世界一イイイイイイイイイイイイ!
 この程度で機能が停止するほどのやわな作りではないわああああああああああああ!!」
「うるせぇ! たたき出すぞこの野郎!」




【G-7川原/1日目/黎明】
【独伊二国同盟】

【プロシュート】
[時間軸]:ブチャラティに列車から引きずりだされた直後
[スタンド]:『ザ・グレイトフル・デッド』
[状態]:背中に傷・マンモーニ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3(未確認)
[思考・状況]基本行動方針:『カーズ』を倒したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
1.どんな手段を使ってでも自分の手でカーズを倒す。
2.日が出たら食屍鬼街へと向かう
3.暗殺チームの仲間を探す。
4.トリッシュを確保する。
5.邪魔する者は倒す。
6.シュトロハイムと情報を交換する

※亀の中にいます

【シュトロハイム】
[時間軸]:スーパーエイジャを貨物列車から奪取した直後
[能力]:ナチスの科学力
[状態]:左腕喪失、右足全壊、重機関砲大破、右目完全失明(紫外線照射装置大破)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2(本人確認済み)
[思考・状況]基本行動方針:ゲームを脱出
1.ナチスの科学力は世界一イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
2.『柱の男』に警戒。
3.JOJO、リサリサ、シーザーらと合流。
4.プロシュートと情報を交換する

※亀の中にいます
※右足は亀の中にあった机の椅子を代用に使っています 
 運動性能は後の書き手様に任せますが、少なくとも走ったりは出来ません



※エルメェスの死体の大半は埋葬されました。墓標などは無いので、普通ならまず気付かれないでしょう
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 22:04:22 ID:+hnJ750b
 
302 ◆/N8q5ODajQ :2008/10/14(火) 22:07:01 ID:razBFo3l
投下完了です、支援に感謝!
こんな短い話に一週間も使ってすみません……

後、いきなりですが今回から新しく上記で使った鳥を使わせていただきたいと思います
なんとういか、この鳥は流石にマズイだろと最近思うようになりましたので新しく変えさせてもらうことにしました
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 22:32:08 ID:sbi/yXRc
いいなこのコンビ、いわゆる凸凹だな。
兄貴の活躍にとっても期待
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 22:45:11 ID:0otxzJdD
投下乙
シブイねぇ…まったくおたくシブイぜ…
淡々と墓を作る、だが逆にそのを感情を隠す様が兄貴の偉大さを物語るッ!
まさに男は背中で語れッ!…まったく兄貴はシブくて、その上かっけーぜ……

シュトロハイムとの奇妙な関係もベネ
ペッシとは少しずれた関係でありながらいいコンビだ…


はたして兄貴の予想通りにカーズは動くのか?前回『動く死亡フラグ』だったシュトロハイムは今回も健在なのか?
続きが気になるゥ――!
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 23:20:25 ID:WpW4qmOe
投下乙
カーズはどう出るかな・・・
兄貴・・・俺はあんたについていくぜ・・・
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 21:56:58 ID:Zi69PtqP
投下乙です!
よかったな兄貴、放送越えられそうだw
柱の男を知ってるシュトロと組めていい感じだね。
これでカーズがこなきゃいいんだが…・・・。

>【独伊二国同盟】

これ素直にスゲー&ウメーと唸ってしまった。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 08:05:59 ID:7LUFEVCQ
遅ればせながら乙。
独伊二国同盟ってことは、もしや、どっかで「日」も入るのか?
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 13:07:34 ID:oLLlo8qe
>>307
候補
花京院、トニオさんとマーダー以外の4部勢。
承太郎の場合、『英』も追加される。
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 17:21:23 ID:OotRE867
承太郎って英・伊・日の3つの血が流れてんだよな
そうなると…徐倫は英・日・伊・米の4つの血が…
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 21:48:59 ID:zwjVYnO0
次はイタ公抜きで(ry
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 22:07:08 ID:EJvdsvmX
五部全滅フラグですね、分かりm(ry
312 ◆Y0KPA0n3C. :2008/10/17(金) 20:34:39 ID:+2PKtHdF
テストオワタ\(^o^)/
まぁ、そんなことは置いといて少し相談を
某所でも言いましたが◆jFO/7ippCg氏の億泰・承太郎のSSについて、どのようにすればよいのでしょうか?
wikiに収録するのか、まだ本投下が終わってないのでそのままないものとして扱っていいのか、代理投下すればいいのか
本人様がいれば一番なのですが…意見がある方はお願いします。
313 ◆F1qx8r1D/c :2008/10/18(土) 11:31:01 ID:UqH1Ajel
>>312
自分は代理投下してもよいと思います。◆jFO/7ippCg氏はラストもいくつか用意してくれましたし。
◆jFO/7ippCg氏が発言してくれるといいんでしょうけど……。

ところで、リゾット、F・F、ペッシで投下します。
ディ・モールト短いSSですが。
314ほんのすこしの話@ ◆F1qx8r1D/c :2008/10/18(土) 11:35:01 ID:UqH1Ajel
ドッカアアアアアアアアアアアアア……ン!!


リゾットがブチャラティたちの嘘の情報を伝え終えたその時。
2人の間を崩すのに、それは最高の介入だった。
天から零れ落ちた巨魁の襲来だ。

「ゲーッ! 何だありゃあッ!? 」
「驚いたな……」
「知っているのかよリゾット!?」

相手に聞こえるように舌打ちしながら、リゾットは手を組みなおす。
そのわざとらしい返事を受ければ、彼は苛立っているはず――と誰もが考えたくなる。
だが怒りと呼ぶには硬すぎる顔、焦りと呼ぶには静かすぎる態度。
憤怒の感情を汲み取るにしては、彼の全てはあまりにも無で、あまりにも冷え切っていた。

「隕石だ……誰だってそう答える」
「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」
「俺にはそう見えた。知らないのか? 」

とはいえ彼がそうだというならば、それは隕石以外の何ものでもない。
F・Fは両手を広げて、世界のポーズ、アメリカ式"信じられない!”をするしかなかった。
刑務所内の図書館でしか見たことがなかった隕石の墜落。
リゾットという男を警戒し、かつ探っていたからときに、このアクシデントは精神的動揺による混乱を招いた。

「まずいぞ……本で読んだことがあったが、あんなにスゲーのかよ! 」
「確かにまずいな。隕石でひしゃげた鉄塔に、命知らずの野次馬が集まってくるかもしれない」
「そんなんじゃねーッて! 問題はそこじゃねーッ! 」

F・Fには心当たりがあった。
ウルトラセキュリティの独房で、空条徐倫から小耳に挟んだ『隕石のスタンド使い』。
エンリコ・プッチのスタンドDISCで隕石使いになった、刑務所の看守と徐倫が死闘を繰り広げたこと。
看守は再起不能になったが、スタンドDISCは行方不明だった。

「神父の野郎……もう次の『使い手』を見つけたのかッ!? 」

エンリコ・プッチ神父のスタンド、ホワイト・スネイクの凶悪さはスタンドのDISC化による永久保存。
相手才能さえ噛み合わさってしまえば、何度でも再利用でき、新たなスタンド使いを生み出すことが可能なのだ。

「おいF・F! あそこに向かうのかッ!? 賢い行いじゃあないぞッ!」

常識を持って呼び止める男の忠告に、FFが止まるはずがない。
この数分でほとんど好意を見せなかった男に、反応など期待していない。
それよりも、あそこに仇敵であるプッチ神父がいるかと思うと、いてもたってもいられなかったのだ。

「"ゼンはイソげ"ってのは賢い行いだろーがよ。じゃあな! また後で会おうぜ!」
315ほんのすこしの話@ ◆F1qx8r1D/c :2008/10/18(土) 11:36:07 ID:UqH1Ajel
【D-2 森の中/1日目 深夜〜黎明】
【F・F】
[スタンド]:フー・ファイターズ
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式
[思考]:
1.鉄塔を目指す。(隕石のスタンド使い、及びそばにいるであろうプッチ神父の始末)
2.徐倫達に会ってホワイトスネイクの正体を教える
3.承太郎のDISCを奪還する 勿論荒木は倒す
4.あとでリゾットと組んで行動し、リゾットを信用していいかその時に見極める
5.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
[備考]
1.リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
2.承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
3.リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
4.隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
316ほんのすこしの話A ◆F1qx8r1D/c :2008/10/18(土) 11:36:45 ID:UqH1Ajel
+ + +

F・Fと別れてからはや数時間。
リゾットは一人、荒木飛呂彦ワールドを散策していた。
メタリカで体を覆って、ひっそりと、ゆっくりと。

(結局、あれは時間の無駄だったのか。違ったのか)

リゾットは、その道中で皮肉にも、誰にも会えなかった。
コロッセオの近辺から南に真っ直ぐ舵を取ったというのに。
F・Fとお喋りしたのがそこはかとなく懐かしい。
彼女と喋る意外に、自分は何かしたというのか。ただ、歩いていただけではなかったのか。

(肝心な情報はまるで手に入らなった……)

背を向けている北では、何かしらの戦闘音が聞こえているような気もするが、あえて無視をする。
争いが起こることは想定の範囲内であり、別段興味があるわけでもない。
あるとすれば、誰かがブチャラティのチームメンバーを葬ってくれたかどうか、ぐらいだ。

(とはいえ……)

リゾットは息を潜めて、様子を見る。
仕草、癖、喋り方、スタンド、様子……あらゆる要素を入念にチェックする。

(感謝、ぐらいはすべきかもな)

納得の結論を導いたのか、リゾットは『彼』の前でメタリカを解除する。
完全な無防備と化したが、問題はない。

「あ、あ、リ……リーダーッ! 無事だったんだねッ!? 」
「ようペッシ、少しはマシな顔になったな。聞きたいことがあるんだ、山ほどにな……」

317ほんのすこしの話A ◆F1qx8r1D/c :2008/10/18(土) 11:38:31 ID:UqH1Ajel
【G-3 町/1日目 早朝】
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:正常、頭巾の玉の一つに傷
[装備]:フーゴのフォーク(ポケットに隠している)
[道具]:ボヨヨン岬の岩の欠片、支給品一式
[思考・状況]:
1.荒木(=ボス)を殺害し自由を手にする
2.トリッシュを捕える。ブチャラティチームの連中は皆殺し
3.首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む
4.暗殺チームの仲間と合流
5.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
[備考]
1.ボス=荒木だと思いこんでいます
2.F・Fのスタンドを自分と同じ磁力操作だと思いこんでいます
3.F・Fの知るホワイトスネイクとケンゾーの情報を聞きましたが、徐倫の名前以外F・Fの仲間の情報は聞いてません

【ペッシ】
[時間軸]:ブチャラティたちと遭遇前
[状態]:頭、腹に多少のダメージ。悲しみと決意。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(数不明)
    重ちーが爆殺された100円玉(爆弾化しているかは不明。とりあえずは爆発しないようです。)
[思考・状況]
1. リーダーッ!探したよ!
2.この殺し合いをぶっ壊す 荒木をブッ殺す
3.チームの仲間(特に兄貴)と合流したい
4.ブチャラティたちを殺す…?(或いは協力するべきなのか?信頼できるのか?)
5.娘(トリッシュ)を手に入れる



【真っ黒雑炊微生物添え SOLD★OUT(売り切れ)】
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 14:25:31 ID:lb909yfP
age
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 17:43:30 ID:U+HScdXW
投下乙です。
FF乱闘突入・・・リゾッはトラブルを避けペッシと合流か。今回の暗殺チームは対主催気味で好きだな〜
ペッシは多分リーダーって言わないと思いますよ。それに前話の状況からするとペッシが軽すぎじゃないですかね?
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 20:15:32 ID:ICZVP4mG
投下乙
くそ、先を越されたか…orz
だが今まで過疎気味だっただけにこれは嬉しい悲鳴だぜ

このまま行ったら鉄塔に向かう神父とエシディシイと遭遇か…FF逃げてぇええええー!
リゾットのドライな感じがまさに暗殺者って感じがしてべネ、1stでは見れなかった暗殺チームに期待
ゲーム終盤で対主催者、マーダー、暗殺チームとかの三つ巴になったら楽しすぎるwwww

作品にはまったく関係ないことなのですが、wiki編集について以前問題になったことがあるので投下して二・三日以内に指摘がないようだったらwiki収録は自分ですることをお勧めします。

>>319
>ペッシは多分リーダーって言わないと思いますよ。それに前話の状況からするとペッシが軽すぎじゃないですかね?
「リゾット」…の呼び捨てじゃ変だし…まさか「リゾットの兄貴」とか?www
まぁ、ペッシ決意がついたって言ってもつねに「凄味があるペッシ」であるわけじゃないしべつにいいんじゃね?
321名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 20:29:12 ID:U+HScdXW
普通にリゾットでいいんじゃね?
呼び捨てでOKでしょ。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 20:33:44 ID:U+HScdXW
えっと、途中で書きこんじまったが、ブチャラティ達と戦う前も
ホルマジオとイルーゾォの敵って普通に呼び捨てにしてたし。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 20:33:57 ID:nmd7ARb5
う〜ん、呼び捨ての方が違和感感じるから今のままでいいと思う
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 23:42:47 ID:qaHlyRhk
どっちかと言ったらこのままでいいかな
上下関係があるのかは知らないけど。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 00:43:29 ID:Q5/CvvMr
投下乙です
釣り針と磁力を操るスタンドが組んだらどんなバトルが見られるのかな
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 02:01:37 ID:JFo6PfoH
かといってリーダーも違和感あるしなあ・・・
まぁこの辺は原作で面識ねえから仕方ないが。
327 ◆F1qx8r1D/c :2008/10/20(月) 21:03:50 ID:KwloD/fd
少し修正したものを一時投下スレに落とします。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 21:23:56 ID:jAaLJEs+
>>327
修正お疲れ様です。
それと◆jFO/7ippCg氏のSSについてご意見ありがとうございました

◆jFO/7ippCg氏、自分の勝手で選ばせていただくことをお許しください。
それでは代理投下開始します。
329◇jFO/7ippCg氏の代理:2008/10/20(月) 21:25:20 ID:jAaLJEs+
長身の陰が2人、夜明け近い町にたたずんでいる。
億泰と、承太郎――に変身中のオインゴだ。

少し休もう、そう提案したのはオインゴだった。
億泰は「まだまだイケるッスよ」と答えたが、半ば強引に腰を下ろしたのだ。
場所は駅からそう離れていない。

オインゴは疲弊しきっていた。気付かれてしまえば終わりだ。
己の隣にいる男――億泰――のスタンド能力は、未だに分かっていない。
かろうじて戦闘型なのだろう、と推測出来ただけだ。

このまま逃げ切ることが出来るのかどうか、オインゴ自身分からない。
逃げ続けた先に未来があるのかどうかさえも。
当分の間は、この頭の悪そうな顔をした男を騙し続けるしかない。
しかしそれは可能だろうか?どんなきっかけでバレてしまうかは分からない。

「承太郎さん……失礼なんだけどよぉ〜」
先ほどからもじもじと物言いた気だった億泰は、ついに我慢できない、とでも言うかのように口を開いた。
「な、なんだ」
オインゴは、もう何度目か分からない、心臓がぎゅっと握り潰される思いで答える。
「その……矢、なんだけどよぉ〜。どうも、おかしい気がするんスよね〜」
「そ、そうか?」
「くるくるよく動く割に、誰にも会わねえッスよね〜」
疑っているのか。オインゴは内心、真っ青だった。
必死にポーカーフェイスを作るも、冷や汗は抑え切れそうにない。

「その矢、壊れてるんじゃないでしょ〜ね〜?」
オインゴはハッとした。億泰が腕を伸ばし、矢に触れようとしている。
「さ、触るんじゃねえぜ、億泰」
「……承太郎さんよぉ……」
億泰の人相の悪い顔が、更に凶悪さを増す。
「あんた、どっかおかしいッスよ。なんとなく……さっきまで真っ暗で見えなかったけどよぉ〜」
ハッとした。白々と夜が明けようとしている。おかしい筈はない!変身は完璧な筈だ!
少なくとも、見た目だけは。

しかし、オインゴは気付いてしまった。そうだ、俺はこの男を今日まで知らなかった。
この男の名は、虹村億泰。彼が承太郎の知り合いであることは明白だ。
仲間の名、敵対している人間の名も、聞いてもいないのに自分からゲロってくれた。
頭はそうよくない。単純に見える。しかし……。
「あんた、やけに若いんだよなぁ〜。それに服も、いつもと違うみてぇだしよぉ〜」
オインゴはぶるりと震えた。
「ば、馬鹿言うんじゃねえぜ。オメーは俺の服を全部把握してるとでも……」
「……」

(――マ、マズイ!疑っている!この眼は……マズイぞッ!)
オインゴの顔色がくるくると変わった。蒼褪めたかと思えば紅潮し、
そうかと思えば蒼褪める。
「承太郎さん、アンタまさか……」
逃げるか殺るか、どうする!?しかし殺れるのか!?逃げるにしても、逃げ切れるか!?
オインゴは腹を括り掛けた。しかし、続く億泰の言葉は予想外のものだった。
「スタンド攻撃を受けてるんじゃね〜だろうなぁ〜!?」

330◇jFO/7ippCg氏の代理:2008/10/20(月) 21:26:16 ID:jAaLJEs+
バッと立ち上がり、億泰は周囲を警戒した。
オインゴは呆気に取られ、億泰を見上げる。億泰は真剣な顔で首を左右に動かしている。
「……」
(どうする?ここは乗るべきか?こいつはさっき、承太郎が若すぎると言った。ならば……)
「億泰ッ!お前、どうしたんだ!」
「えっ」
「お前、おかしいぞ!?顔がおかしいッ!!」
「えっ、俺ッスか!?」
「スタンド攻撃だァーーーッ!」
オインゴはそう叫んで、弾かれた様に走り出した。
とにかくこの場を離れたかった。矢の動きにすら関心を払う余裕がなかった。

億泰は咄嗟に状況が飲み込めず、更にきょろきょろと周囲を見渡す。
「……ま、待ってくれよ、承太郎さんッ!」
オインゴから数秒遅れて億泰も走り出す。
奇しくもふたりは、再び駅に向かって走っていた。
音石明の隠れる駅前へ……。


【F-8 駅周辺、海岸沿い/1日目 早朝】
【ダブル"O"ブラザーズ】
【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康 。承太郎(オインゴ)への疑惑。
[装備]: なし
[道具]: 青酸カリ、支給品一式。(不明支給品残り0〜2)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)。
1.承太郎さん、待ってくれよぉ〜!
2.承太郎さん、なんか変なんだよなぁ。服はともかく、若返った?
3.なんで重ちーや吉良が生きてるんだ……!?
4.その内、仗助や康一と合流出来ればいいなぁ〜。
※オインゴが本当に承太郎なのか疑い始めています。
※オインゴの言葉により、スタンド攻撃を受けている可能性に気付きました。ただし確信はありません。
※ 名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。ジョセフの名前には気付いていません。


【オインゴ】
[スタンド]:『クヌム神』
[時間軸]:JC21巻 ポルナレフからティッシュを受け取り、走り出した直後
[状態]:承太郎の顔に変身中。胃が痛い。
[装備]: なし
[道具]: エルメェスのパンティ(直に脱いぢゃったやつかは不明)、首輪探知機(※スタンド能力を発動させる矢に似ていますが別物です)、支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残れそうに無いが、変身能力を活かしてバトルを避けたい。
1.やべぇ!疑われてるッ!うまく誤魔化せるかッ!?
2.このまま誰にも見つかりませんよーにッ!
3.とりあえず億泰以外の奴と接触はさける(矢が反応したら、演技でごまかして人のいない方向に逃げる)。
4.億泰のスタンド能力を聞き出したい。(とりあえず戦闘型ではないかと推測)
※ 口からでまかせに、スタンド攻撃を受けていると叫びました。実際に受けているのかどうかは不明です。
※現在は承太郎の顔ですが、顔さえ知っていれば誰にでも変身できます。スタンドの制限は特にありません。
※億泰の味方、敵対人物の名前を知っています。
※オインゴたちがどこに行くのかは次の書き手さんにお任せします。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/20(月) 21:30:26 ID:jAaLJEs+
代理投下完了しました

駅が修羅場になるな、こりゃ…
オインゴのその場しのぎもいつまで持つか、放送が近いし仗助の死を知った億康がどう動くかがポイントだな
332 ◆F1qx8r1D/c :2008/10/20(月) 21:42:12 ID:KwloD/fd
投下乙です。
電車が来るまでに穏便にすめばいいんですけど……それはなさそうですねw
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 20:34:07 ID:+pvA34vW
>>◆F1qx8r1D/c氏
修正お疲れ様でした。
wikiに「ほんのすこしの話@・A」を収録したのですが、時間軸がいまいちはっきりしないのですがどこに収録すればいいのでしょうか?

>>◆jFO/7ippCg氏
タイトルがわからなかったので「無題」と言う形で前回のSSを収録させていただきました。
ご意見がありましたらよろしくお願いします。
334 ◆F1qx8r1D/c :2008/10/25(土) 09:21:49 ID:kby/l+cG
>>333
お疲れ様です。お手数をかけて申し訳ありません。
@は黎明、Aは早朝でよろしくお願いします。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 23:12:21 ID:jIcFsryB
いい具合に過疎ってるな。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 23:48:17 ID:thILJbU0
>>335
何、文句あるの?だったら見るのやめれば?
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/25(土) 23:59:35 ID:fN3SEvnS
「いいかッ!オレが怒ってんのはな、てめーの“心の弱さ”なんだ>>336
そりゃあ確かに“過疎”とイキナリ突きつけられたんだ、衝撃を受けるのは当然だ!認めたくないんだからな。オレだってヤバイと思う!
だが!このロワの他のヤツならッ!あともうちょっとで3本もSSが投下されるスレを決して荒らしへの反応で険悪なムードにしたりはしねえッ!
たとえ煽られようがAA連打を喰らおうともなッ!オメーは“ママッ子(マンモーニ)”なんだよ>>336
ビビったんだ。甘ったれてんだ!分かるか?え?オレの言ってる事。“荒らし”のせいじゃねえ。心の奥のところでオメーにはビビリがあんだよ!成長しろ>>336
“成長”しなきゃあオレたちは“栄光”をつかめねえ。
過疎には勝てねえ!そしてハッキリと言っておくぜ。
オレたちジョジョロワ住人はな!本スレやや毒吐きスレで“投下マダー?”“投下マダー?”って催促して仲間と心を慰めあってる様な負け犬どもとは訳が違うんだからな。
“SSを書く”と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!」
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 00:18:00 ID:Rf8h8Hnd
すまねえ兄貴・・・俺はまだマンモーニだったみたいだ・・・
兄貴の「覚悟」が!言葉じゃなく心で理解できた!
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 00:25:59 ID:r8E9CILg
こういう時は、お前が盛り上げろって言った方がいい
ってアブドゥルさんがいってた
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 00:42:05 ID:Rf8h8Hnd
>>339
ウルムドの方かよwwwww
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 18:18:17 ID:PSncbkg7
342 ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:09:00 ID:5uwZbuTc
深夜ですが、伊・独・脚を投下させて頂きます
343「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:11:55 ID:5uwZbuTc
今、俺達は駐車場へと戻ってきている。
本来ならもう少し川原で潜んでいたかったのだが、亀が水の方へ歩んで行ったので慌てて移動することにした。
俺達はこの亀の操縦(って言い方があっているのか分からねーが)方法を知らない。
もしかしたら説明書でも存在したのかもしれねーが、支給された本人が爆散していたことを考えると探すだけ無駄だ。
要するに、行き先は全て亀任せなのだ。再び水に戻られては困る。
陸上ならともかく、水中に潜られたのでは簡単には出られないからな。
ちょうど情報交換も終わった所だったので、水から離れた場所へと移動することにしたわけだ。

ちなみに、シュトロハイムとの情報交換は予想以上に実のないものだった。
既に聞いていた柱の男と波紋使いの話の詳細は有益だったが、それ以外は真面目に聞くのも馬鹿らしくなるような内容だった。
本人はナチスナチスと連呼しているが、大方コイツはナチスの復活を目論み地下で活動しているナチス信者の集団にでも属してるんだろう。
スタンドを知らない人間にもスタンドが見える事には驚いたが、深くは考えない事にした。
『スタンド使いの素質が高い人間にはスタンドが見える』みたいな俺の知らないスタンドのルールがあるのかもしれないしな。
荒木のスタンドでそうなっているかもしれないが、当面の目的はカーズの妥当だ。
荒木についての考察はカーズを倒してからでいい。
それに、余計な事を考えるくらいなら、「全ての参加者が俺のスタンドを見る事が出来る」と認識しておく方が有益だろう。
なお、スタンドのルールについてはシュトロハイムにきちんと説明しておいた。

そして俺がシュトロハイムからあまり有益な情報を得られなかったように、シュトロハイムも俺からほとんど有益な情報を得ていない。
先述したスタンドという存在について知れたぐらいか。
シュトロハイムは信頼出来そうだが口が軽そうだからな(実際初対面の俺にあっさり仲間の名前をバラした)
仲間の情報やパッショーネのことは黙っておくのが得策だ。
スタンドについても、『老化させる能力』とだけ伝えてある。
どの道カーズとの戦闘では使えそうもないし、氷も持ち合わせていないのだ。
巻き込まれない方法を教えておくメリットはない。
344「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:13:31 ID:5uwZbuTc

亀の中で行った情報交換の時間で最も有益だったのは『支給品の見せ合い』だろう。
先程失ったジープ以外にもシュトロハイムはデリンジャーとヘルメットを所持していた。
そして俺のデイパックにはバイクとスタングレネードが。
それらの支給品と今置かれている状況を考え、俺達は役割分担をすることにした。
支給品を見るまでは必要なかったため調べなかったが、先程まで乗っていたジープにまだ燃料が残っているかもしれない。
もしも残っているのなら、今の内に燃料を補給しておいた方がいいだろう。
小回りが利くバイクはカーズを探すのに役立つこと請け合いだ、亀のおかげで何人同行者ができようと問題なく使えるしな。
だから比較的怪我も軽く足も健在な俺が支給品のバイクに乗って駐車場へ向かい、シュトロハイムは亀の中で待機することにしたのだ。
と言っても、シュトロハイムはただ亀の中で休んでいたわけではない。
襲撃者が現れた際いつでも援護できるように、デリンジャーとスタングレネードを外に向け臨戦態勢をとっている。
最悪の場合は俺ごとスタングレネードの爆発で相手を昏倒させ、亀の中(スタングレネードの効果が及ばない可能性がある)にいるシュトロハイムが外に出てとどめを刺すことにした。
駐車場の状況から見て大きな爆発があったと考えられ、音を聞いてくる奴がいてもおかしくはないからな。策を練るに越したことはない。
勿論そんな奴がいたらとっくに駐車場まで辿り着いて俺を殺していただろうが、ここに向かう途中戦闘を行った奴がそろそろ辿り着くという可能性もある。
何せここには大勢の人間がいて、頻繁に戦闘が行われているのだ。
実際俺も亀の中に入るまでエルメェス・カーズと連戦している。
音を聞いて駆け付けるまで誰にも会わない方が難しいだろう。

「ぐあッ!」
「むう、どうかしたのか!?」
だから警戒をしていたのだが――クソッ、やられたぜ!
無意識の内に『頭部を守るフルフェイスヘルメットがあるし、心臓付近さえ守れば奇襲で即死することはまずないだろう』なんて油断でもしちまったか……
確かに喰らったのは指先だったしダメージ自体はほとんどないが、誰かの仕掛けた“罠”に見事にかかっちまったぜッ。
こんなコンセント、乗ってた時にはなかったからな……おそらく“後から来た誰か”がこれを仕掛けたんだろう。
ちょっとビリっとした程度だったが、あれで終わるわけがねえよな……
「罠だ。お前は“中”から様子を見ていろ」
丁度俺の死角となる方向へ亀の出入口を向け、そちらの方向の警戒をシュトロハイムに任せる。
音を聞いて駆けつけた奴なら気になって調べるであろう横転したジープに、わざわざスタンドで罠を仕掛けたんだ。
ちょっとビリっとする程度で終わってくれるわけがねえ。
幸いなことに、ジープに注意を引きつけている間に遠くから攻撃出来るような武器は支給されていないようだ。
だが、罠の解除を餌にして交渉しようとしてこないことを見るに、この罠を仕掛けた奴に話し合う気は無いらしい。
にも関わらず追撃してこないということが、『すでに追撃が必要ない状況に俺が陥っている』ということだッ!
この罠には、“相手を殺せる威力がある”ッ!

「……誰かいるか?」
気配の察知をペッシに任せ続けてたツケが回ってきたか……
辺りを見回すが、どこに敵が潜んでいるのか皆目見当もつかない。
そして相手の姿を見つけられないのはシュトロハイムも同じらしい。
亀の中にいることがバレぬよう、敵を見つけたとき以外は喋らないよう言ってあるからな。
何も喋らず発砲もしないということはシュトロハイムも敵を見つけていないと考えていいだろう。
もっとも、シュトロハイムは俺と違って“亀越し”なので索敵難易度が大幅に上がっているわけだが。
だから念のため振り返り、担当する警戒方面をシュトロハイムと入れ替えたものの、やはり姿は見当たらない。
(まさか、メローネのように本体は遠く離れた所にいるのか?)
だとしたら不味い。
本体を仕留めて罠を解除するつもりだったのだ、「本体がここには居ません」では打つ手がなくなる。


カタカタカタ……


そんな事を考えていたからか分からないが、俺はしばらくこの異変に気が付かなかった。
シュトロハイムも亀越しの狭い視界ではすぐに気が付く事が出来なかったようだ。
だが、異変は確実に始まっていた。
345「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:16:04 ID:5uwZbuTc
「何ィィーーーー!?」
長い長い無言の警戒時間の終焉を告げるように、シュトロハイムの絶叫が響き渡る。
背後から敵が現れたのかとスタンドを発現させ慌てて振り返るが誰もいない。
一体、シュトロハイムは何を見たのか……

どんっ

背中に何かが当たった。
しかし、奇襲にしては威力がない。
挨拶で軽く背中を叩く時程度のものだ。
しかも、振り返ってみても相変わらず誰もいないときたもんだ。

「“後ろ”じゃあない、プロシュート! “背中”だアアアアーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

何かが確かに背中に当たったというのに、地面にはそれらしきものは落ちていない。
そして、シュトロハイムのこの発言。
背中に手を回してその意味を理解した。
異変はすでに俺の体で起きていたのだッ!
大破した車の破片が背中に張り付いている。亀からはみ出たシュトロハイムの腕と共にッ!
「ぐおおおおおっ、引きずり出されるッ!」
叫び声をあげるシュトロハイムは、おそらく亀の中で何か物にでも捕まって必死に抵抗しているのだろう。
“だろう”と言ったのは、そちらの方を見ている余裕がなかったからだ。
誰も乗っていないのにジワジワと動いている自動車に、俺の眼は釘付けだ。
幸い、シュトロハイムが抵抗してくれているからか体にかかる負荷は今はまだそんなに大きなものではない。
シュトロハイムが完全に引きずり出され、重みで身動きが取りづらく前に何とかしないとな……!
346「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:16:47 ID:5uwZbuTc
「振り落とされるな、シュトロハイムッ!」
バイクに跨りながらそう言ったものの、シュトロハイムが落ちることはまずないだろうと考えている。
亀から引きずり出されても俺の背中に否応なしにくっ付き続けるだろうからな、
事故るとしたらシュトロハイムの体重でバランスを崩す恐れのある俺の方だ。
(敵はおそらく磁力使い……射程距離はリゾットの数倍はあるだろうな……
 隠れていたシュトロハイムまで俺にくっ付いてる事を見るに、向こうが鉄製品を操ってるわけじゃあなさそうだ)
仲間に磁力使いがいるからか、比較的早い段階で『磁力』という単語が頭に浮かび、敵スタンドの予想が比較的簡単にできた。
十中八九、敵の能力は『コンセントに触れた奴を磁石にする能力』ッ!
鉄製の破片を鋭利な部分から突っ込ませれば早いのに、奴はそれをしなかった。
そのことから考えると、恐らく細かい磁力操作までは出来ないのだろう。
細かい指示ができない辺り、メローネのベイビィ・フェイスを思わせる。
だとしたらメローネと同じように本体は安全な所にいるはずだ。
様子を見るため近くにいるとしても、俺に向かってくる車の波に飲まれかねない駐車場内にはいないだろうな。
まったく、無人のくせに車は大量に用意されてるとは、荒木の野郎もやってくれるぜ……ッ!
磁力でくっ付き放題の絶好のスポットじゃねえか! 磁力使いにとってはよお!

「待て、プロシュートオオオオオ!!」
シュトロハイムの言葉の意味を理解出来た時、俺は既にバイクごと地面に転がっていた。
出口から出ようとした瞬間、出入口付近に設置されていた自動販売機が顔面めがけて飛んできたのだ。
幸いフルフェイスヘルメットのおかげで鼻血一つ出ていないが、身動きが取れそうにない。
(クソッ……明らかに磁力が強力になっていやがるッ)
車がこちらに向かう速度を見て、今の磁力ならバイクで駆け抜ければ自動販売機が張り付く事はないと判断したのだが……
どうやら磁力が強力になったらしい。
振り向くとシュトロハイムも完全に亀から出されていた。無論、全身を俺にくっ付けて身動き一つ取れないでいる。
後方に見える自動車も、先程よりスピードを上げているように思えた。
(だがッ! テメーが近くにいることは分かったぜ! 近付くほどに強くなるのは俺のスタンドも同じ事だッ!)
威力を自在に上げられるなら、さっさと上げて車で押しつぶしていたはずだ。
なのにそれをしなかったということは、磁力は相手の意思以外の理由で強められたということだ。
恐らく、敵はこの辺りに潜んでいる……
“直”の方が素早い『ザ・グレイトフル・デッド』ように、遠距離まで攻撃出来るスタンドでも近距離の方が威力が上がるからな。

だが、近くにいるのなら好都合。
先程からジワジワ発動させていた『グレイトフル・デッド』で、お前を老いぼれに変えてやるぜ!
威力は落ちてるみてえだが、近いんだったらそんなこたあ関係ねえ! ゾンビみてえに干からびちまいなッ!
「我がナチス軍人に見つけられぬ敵などいなァァァァァァァァァァァいッ!」
背後から突然聞こえる馬鹿の雄叫び。
まだ何とか動けるらしいシュトロハイムが、腕を上げデリンジャーを構えるのが視界の端に映り込んだ。
「馬鹿野郎、撃つんじゃねェェェェーーーーーーッ!」
今度は俺が絶叫する番だった。
予測出来ているだろうと思い、何も言っていなかったのが不味かったのか、
相手の能力に気付いていないらしいシュトロハイムは引き金に掛けた指に力を込める。
その銃口が、どちらに向くかも知らないで。
「がァッ……!」
そしてその弾丸は、案の定目標には辿り着かずに、俺の腕へとめり込んでいった。
347「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:19:27 ID:5uwZbuTc





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





結論から言うと、マライアは繁華街へ行けなかった。
道中で聞いたベンジャミン・ブンブーンのSOS。それが彼女を繁華街から遠ざけた。
『人を襲う気満々の人食いモンスター』がいる所にわざわざ行くほど彼女は愚かではない。
いくら鉄製品が多いだろう繁華街とはいえ、花京院以上に厄介な奴を相手に『バステト女神』で切り抜けられるとは思えなかった。
ましてや支給されたのがただのタバコと望遠鏡だ。
こんな装備では、走れなくなるほど相手に鉄製品が付く前に距離を詰められでもしたら、そのまま殺されてしまうだろう。
そんなわけで、繁華街から離れた位置に飛ばされた己の不幸を呪いながら、繁華街行きは諦めることにしたのだった。
行くとしても、せめて武器を手に入れてからだ。

そしてマライアは一旦食屍鬼街に引き返した。
他の道よりも自分が何事もなく通ってきた道の方が安全だろうと判断したからだ。
運よく誰とも会わずに食屍鬼街に戻ってきたマライアは、次に一番高い建物に入った。
そこで望遠鏡を使い、鉄製品の多そうな場所を行き先に決める。
それが自動車が多く止まっている駐車場だったというわけだ。
戦闘の後のようだが殺人者はすでにいないようだし、遮蔽物変わりに車を利用する際コンセントに気付かず背中を付けてくれるかもしれない。
更には凄惨な現場が周りの注意を引いてくれるため、隠れるのも容易に思われる。
繁華街を除けばこの周辺であそこまで絶好の狩り場となる所はない。
そんなわけでマライアは罠を仕掛けようと駐車場までやってきたのだ。

コンセントの設置場所は、駐車場の中央に横たわったジープに決めた。
死体になった者が生前乗っていたと思われるため、中を調べられる確率が一番高い。
それにあれだけ目立っていると気になるのが人間の心理というものだ。

ジープと凄惨な死体がが注意を引いてくれるため、意外と気付かれにくいだろうと自分自身は駐車場内のトイレに潜む事にした。
あまりに臭いようなら別の場所に行こうと思っていたのだが、不思議な事に異臭は無い。
まるで建設後誰一人利用していないかのような、そんな不自然な臭いの無さだ。
それがこの珍妙な街の秘密を知る手がかりになる気もしたが、逃げられそうになったらすぐ追える場所なら何でも良かったので深くは考えないことにした。

その後、逃走経路の確保なども終え、ただ待つだけの時間が来た。
準備を終えてからそう時間が経たない内に獲物が現れてくれたのだが、死体を埋葬する気らしくジープを調べる気配は全く無い。
とはいえ今の装備で襲いかかるわけにもいかず、黙って待つしかなかったのだ。
「やはり露骨すぎなジープはやめとくべきだったか」だの、「餌としてデイパックでも近くに置いておけばよかったか」だの、
早くも脳内反省会を開いたまさにその時、獲物がコンセントに触れてくれた。
あとは簡単、トイレの中から獲物が逃げないか窺っているだけでいい。
何かの爆発に巻き込まれたらしく、大破した車がここにはいくつも存在している。
おかげでこの場に留まらせるだけで体を重く出来るってわけだ。
348「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:22:29 ID:5uwZbuTc

勿論、逃げられては意味がないので、獲物が辺りを見回してる内にトイレを出、駐車場を迂回しバレないように出入り口の方へと向かう。
トイレの陰に予め足場を作っておいたので、さほど音を立てずにフェンスを乗り越えられた。
その後は第三者の存在に気をつけながら移動するだけで、これも特に問題なく終えられた。
勿論スタンドが解除されない距離の位置を行ったとはいえ、磁力は軽減されてしまう。
だがそのおかげか相手はこちらの能力に気付く様子もなく、無意味な時間を過ごしてくれた。
バイクに乗られた時は焦ったが、出入り口への到達は何とか間に合う事が出来た。
経過した時間から考えて、出入り口付近まで行けば出入り口横の自販機が張り付く(勿論、張り付きやすいように自販機を固定する器具は壊しておいた)
予定通り自動販売機に押しつぶされ、獲物は見事に転倒した。
慌てて出入り口に向かったためか、スタンドで隠れていたらしきもう一人の男に見つかり攻撃されそうになるも、攻撃手段が銃だったため磁石と化した仲間に向かって発砲してくれた。

――運命は私に味方しているッ!

今のマライアは自信に満ちていた。
スタート地点が鉄製品の何も無い場所だったのも当初はアンラッキーだと思ったが、繁華街に人食いモンスターまで現れると分かった今、人の寄り付かない場所から出発できた自分はラッキーだと思っている。
そもそも殺し合いに巻き込まれなければジョセフ達にやられていたのだ。
その殺し合いにしても、承太郎やDIOと言った強力なスタンド使いが参加している。
最初はそれを嘆いたが、よくよく考えれば参加者の人数減らしは彼らに任せてしまえばいいのだ。
自分は無理せず殺れる相手を殺って装備を充実させておいて、最後の2人になってからゆっくり罠にはめればいい。
わざわざ食屍鬼街を目指す者は少なそうだし、食屍鬼街でスタートしそのまま根城にしている奴がいない(仮にいたとしても、下を移動してた自分を攻撃する力のない奴しかいない)ことも知っている。
つまり自分は、高確率で誰にも会わずにやりすごせる場所を知っていることになるのだ!
何という幸運! 天が味方しているとしか思えないッ!
今ならガラスのシャワーですら無傷のままで抜けられる、そんな不思議な自信がある!
マライアは今、ツキまくっているッ!

(小型で大した威力じゃあなさそうだけど、銃は銃……
 ワラシベ長者っていうのかしら? 煙草と望遠鏡しかなかったのに、たった一度の戦闘で銃が手に入るなんてねえ……
 ククク、この調子で装備を充実させていけば優勝も目じゃないわね)
そう、マライアは今ツイテいる。
だから、傍らに置いた望遠鏡に伸ばした手にいつもより皺ができているのに気付いたこともラッキーと言えるだろう。
肌の手入れには気を使っているのだ、こんな急に皺くちゃになるなんてことはありえない。
だとしたら、これはスタンド攻撃と考える方が妥当である。
獲物がスタンド使いであることは予想していた(だから攻撃されぬよう少しだけ場所を移動しようとした)が、この効果は正直想定の範囲外だ。
『バステト女神』のように本体を殺せば解除できるタイプの能力ならばいいが、アヴドゥルの『魔術師の赤』のようにスタンドで与えたダメージは本体が死んでも残るというタイプだと不味い。
どういう仕掛けか知らないが(水分でも奪われたのかしら?)、これ以上皺皺になり、しかも当分そのままの姿でいるなどという事態は何としてでも避けなくてはならない。
女として、そこは譲れないのだ。

「ふざけやがって、ビチグソがァ……ッ!」
接近しすぎるのは危険に思える。敵スタンドの射程距離が分からない。
だが――奴は今、身動きの取れない状況下にある。
自販機にバイク、そしてどこかに潜んでいたらしき男が何故か分からぬがくっ付いているため立ち上がれないようだ。
スタンドにしても、一番入口に近い位置にあったため既に飛んで行った軽自動車が本体の体を押し潰さぬよう支えるだけで精いっぱいに見える。
まあ、皺にさせる効果はしっかりと発動しているのだけれど。
とにかく、スタンドが動く余裕はなさそうに見えた。
349「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:25:03 ID:5uwZbuTc
「テメーらの××××切り落として口に捻じ込んでやるッ」
だからマライアの選択は、『接近して早急に息の根を止める』だった。
唯一最初から支給されていた磁石にくっ付く凶器――シャープペン。
普通ならこんなものを飛ばした所で簡単に弾かれてしまうのだが、今の相手にはそれだけの力も残っていないように見える。
車を破壊せず支えているところから見ても、ジョセフと同じで直接的な破壊には向かないスタンドなのだろう。
ならば車を破壊して襲いかかってくることも、シャープペンを撃墜することもないと見て問題ないはずだ。
フェンスで遮られてしまうこの場を移動し、出入り口についたら先端をあちらに向けシャープペンを発射する。
単純だが、確実な作戦だ。

「ぬぐうう〜〜〜ッ、わざわざ姿を見せるとは、コケにしおってぇ〜〜〜〜〜!」
出入口に一歩足を踏み入れると、台形ヘアーの男が悔しそうな声を上げた。
「立てるか、プロシュート!? 奴に目にもの見せてくれるわァァァァ!」
必死に立ち上がろうともがくが、仰向けになっているうえに重荷を背負う形になっているためか上半身すら起こせていない。
プロシュートと呼ばれた男も、重みに耐えかねているのか返事すらできていない。
肩で息をして、フルフェイスヘルメットで隠した顔をこちらに向けているだけだ。
「おい、何をしているプロシュートォ!」
プロシュートは返事をしない。
確かに、バイクと自販機と大の大人に圧し掛かられているのだ、無事とは言い難いだろう。
だが――何かが引っかかる。
マライアの頭の中で、何かが警告を発している。

「やかましいぜ、シュトロハイム……」
プロシュートが、ようやく重い口を開く。
シャープペンシルを取り出そうとマライアがデイパックに手を突っ込んだ時だった。
「目にものを見せるだなんて、仮にも俺と組んだ奴なら軽々しく口に出していいもんじゃねえ……」
マライアの動きが止まる。
やはりおかしい。
先のジョセフやアヴドゥルと比べると、プロシュートは異常にダメージを負っているように見える。
先程死体を埋葬した時は怪我をしているように見えなかったというのにだ。
「お前まで俺みたいなマンモーニになっちまうぜ……お前は誇り高き軍人なんだろ……?」
そして、気が付いた。
うつ伏せに倒れたプロシュートのポーズの不自然さに。
そして、プロシュートの体の下に出来た“謎のシミ”に。
あのシミはバイクから漏れたオイルなんかじゃあない!
あれは――

「“ビッチに目にもの見せてやった”なら使ってもいい」

あれは血だ!
そう思った時にはすでに、眼前に手首が迫っていた。
切断された手首と重なるようにして存在している、不気味なスタンドの手首が。
「“直”は素早いんだぜ……ッ!」
350「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:27:16 ID:5uwZbuTc





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





『栄光を掴む』
そのために必要とあらば、手足がもげたってスタンドは解除しねえ。
それが俺の誇りだ。
たとえマンモーニになっちまってても、その信念は曲げたくなかった。

だから、躊躇いなどなかった。
体に張り付いた鉄板の切り口(おそらく爆弾で吹き飛んだ車のボディのどこかだろう)に手首を当て、一気に手首を切り落とす。
情けない話だが、痛くないわけがなかった。
叫び声は上げなかったが、俺の顔は相当無様なものだったろう。
フルフェイスヘルメットのおかげで、その表情を読まれる心配はなかったんだけどな。

とにかく、俺は手首を切り落とした。
切断したのは、既にシュトロハイムに撃たれていたため今後もあまり自由に動かせないであろう左手首の方だ。
飛んできた軽自動車は『グレイトフル・デッド』が体で支えている。
手首を失ったため押し返す程のパワーは出ないが、左手首がない事を隠しながら支えるくらいは可能だった。
あとは体の下に手首を隠し、『グレイトフル・デッド』の老化ガスで相手を誘き出せばいい。
こちらにまだスタンドを使える元気があると分かったら、確実にとどめを刺しに来るだろう。
誰だってそーする、俺もそーする。
351「バステト女神」のマライア ◆wKs3a28q6Q :2008/10/27(月) 02:29:22 ID:5uwZbuTc

案の定奴は現れた。
そのまま隠れ続け、スタンドが解除されるまで老いてくれてもよかったんだが、どうやらそう都合よくはいかないみてーだな。
どのみち敵は女だったようだから、遠距離からの老化ガスじゃ相当時間がかかっただろう。
出てきてくれて助かったぜ……
おかげで直を食らわせてやれる。

「“直”は素早いんだぜ……ッ! 喰らえ、『グレイトフル・デッド』ッ!!」

己の手首を投げ飛ばす。
と同時に左手首部分にスタンドパワーを集中させ飛距離を伸ばす。
そして、驚愕に染まった女の首を『グレイトフル・デッド』の手首が掴み、“直”のパワーであっという間に敵の女はババアになった。
「ひいっ!」
――そう考えてた時期が俺にもあったんだがな。
やられたぜ。ついてねえ、全く。
女が無造作に手を払った際、その手からシャープペンが発射された。
手で払われそうになったら、その手を掴んで“直”をお見舞いすればいい。
だが、シャーペンで撃墜された場合、俺にはもう成す術がない。
シャープペンに弾かれ軌道をずらされた左手首は、女の肩を掠めるようにして飛んで行った。
そして、そのまま地面を滑り闇の奥へと消えていく。

「ふ、ふふふ……ツイてる。やはり私は最高にツイてるわ……」
女が喉を鳴らして笑う。
確かに、“直”が当たらなかったのは痛恨のミスだ。
決まれば決着が付いていたはずだからな……
「うおおおおおおおおッ! 立てんッ! 何故だッ、世界一の科学力で作られた俺が何故立ちあがれないィィィィィッ!」
背中でシュトロハイムが暴れている。
そりゃ無理だ。世界一の科学力だか何だか知らねーが、鉄部分が多ければ多いほど俺にくっ付く事になるんだぜ。
ましてや足の一本は急ごしらえ、そんな状態で簡単に立てるほど今の磁力は弱くねえ。
俺の方もバイクや自販機のせいで立ち上がれそうにないがな……
幸い、腕を失くして機動力がガタ落ちしてるとはいえ、敵は『グレイトフル・デッド』の行動圏内。
俺が動いて射程距離に入れる必要は全く無い。
だがしかし、策もねえのにガムシャラに突っ込ませ、距離を取られたら洒落にならねえ。
そうなっちまったら完全に終わっちまう。

「プロシュートって言ったかしら? 最後に言うけど、アナタなかなか“ステキ”だったわよ。
 ほんの十数分の出会いだったけど、その行動ぶりから行動力があって
 仲良しクラブのチンピラにはない修羅場をくぐった経験からくる判断力があるということを私は感じたわ。
 最後には殺し合うけど、恋人になって手を組んでもいいなんて思ったりして。ウフフフ」
近くに停めてある車から順に、すでに数台が俺に向かって飛んできている。
そいつらを防ぐ方にスタンドパワーを使い老化ガスが弱まってきたからか、女に余裕が生まれてきた。
「ナメおってからにィ〜〜〜〜ッ! 助ける気など更々ないのだろう、貴様ァ!」
「当然よ。だってあんたら、DIO様の魅力には遠くおよばないもの。
 それに、私の瑞々しい肌を荒らされた恨みがあるしね。残念だけど死んでもらうわ」
右手首から先をどうにかして女にぶつけたい所だが、どうやらそれは無理なようだ。
さっきまでは体の下敷きにして何とか抑えこんでいたが、上半身同士は猛反発するみたいだからな……
おそらく俺と反発して、磁力が及ばない所まで飛んで行ってしまっただろう。
川に入って流されて行った可能性もある。
何にせよ、手首はもう諦めた方がよさそうだ。この戦いでも、その後でも。

「それじゃあさよなら。貴方の最後の抵抗は今後の戦いの参考にさせてもらうわ」
余裕綽綽と言った風に笑いながらも、女は慎重に辺りを見回す。
そして一歩、また一歩と近づいてきた。
そうやって磁力を強め、早期決着を狙っているのだろう。
『グレイトフル・デッド』を向かわせても、辿り着く前に車に押し潰されるだろう。
片手を失ってまで遠距離からの攻撃を選んだのだ、不意を突き一気に距離を詰められるほど『グレイトフル・デッド』は素早くないことくらい向こうも十分分かっている。
その辺はちゃあんと計算しながら歩いているようだ。あまり油断している様子はない。
自分の後ろに鉄製品が来ないかもきちんと確認しているように見えるし、頭も悪くはないようだ。
――隙がない。
おそらく、これ以上の攻撃を加えることはできないだろう。俺にも、シュトロハイムにも。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 02:57:38 ID:AupVe0Qt
 
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 03:16:13 ID:+xxJuuDE
「恋人になって、手を組む……か」
入口付近に停められていた車全てが、今や『グレイトフル・デッド』へと圧し掛かっている。
体はギシギシと悲鳴を上げてきているが、その程度で意識を失うつもりはない。
マンモーニのまま死んでくなんて、俺は絶対ごめんだぜ。
「こっちから願い下げだぜ、お前のように醜悪な女はな……」
「……ああ?」
上機嫌な女の笑いが止まる。
そんな短気な性格じゃあ一流の殺し屋にはなれねえな。
……まあ、ウチにはもっと短気な奴もいるけどよ。

「自分に自信があるようだから、俺が教えておいてやるぜ……
 テメエは大した奴じゃねえ。女としても、磁力のスタンド使いとしてもだ」
この女を侮辱したいがために上っ面だけの皮肉を言っても、そんな薄っぺらい言葉じゃコイツには効果がないだろう。
だから、心から思う事を言う。あまり言いたくない本音だがな。
「生憎俺は知ってるんでな……お前以上にイイ女を……
 顔はアレだが、誇り高く美しい、尊敬に値する女をな……」
ああ、そうだ。
エルメェス・コステロ。
エルメェスは、あのカーズ相手に真正面から挑んでいって命を落とした。
仲間のために、てめえの命も顧みないで。
そんな奴に助けられた命だ、簡単に諦めてやるわけにはいかねえ。
ましてや無様な命乞いをなんて出来ようはずもない。
そんなことをしたら、エルメェスやチームの奴らに顔向けできなくなっちまう。
そうさ、カーズを倒してマンモーニを脱却し、チームの奴らと真の栄光を掴むためにも、俺はここで屈するわけにはいかねえんだ。
体も、心も!
「それに……お前より遥かに凄い磁力使いも知っている……

                 ・・・・・・・
                 てめえは雑魚だ。

 いいか、もう一度だけ言ってやる。てめえは雑魚だ。最強でもなければ強運でもねえただの雑魚だ。
 DIOって野郎にいいように使われてるだけなのに、自分までDIOのように凄い奴だと思い込んでいる、ギャングの下っ端のようなどうしようもないクズ野郎だ」
「言うとる場合かーッ! 来るぞッ、車がアアーーーーーッ!!」
シュトロハイムの絶叫を聞き、視線を女から外す。
先程までにじり寄っていた車が、誰か乗っているんじゃないかって程のスピードでこちらへと向かってきていた。
轢かれたらただでは済まないだろう。
「調子に乗りやがって……そのままぐちゃぐちゃのミンチになってくたばりやがれッ、ビチグソどもがアアーーー!」

ドスドスドスッ

「……え?」
女が間の抜けた声を上げる。
その体がぐらりと揺れるが、女は何とか踏みとどまる。
倒れてしまえば楽だったと言うのに。
「な……に……?」
距離からいって大したダメージは来ないだろうと判断し、『グレイトフル・デッド』で先程まで止めていた軽自動車を離す。
体にぶつかるが、せいぜい鈍器で殴られた程度の痛みだった。
真横に飛んできているため、俺の上に乗るシュトロハイムには大したダメージがないように見える(本来なら俺の体と共に車にぶつかったはずの左腕を、今のシュトロハイムは持ち合わせていない)
『グレイトフル・デッド』は、今は猛スピードで飛んでくる自動車を全身を使い受け止めている。
だがそれでも全てを防げるわけではなく、一台の自動車が右足へと吸い込まれた。
調べなくても分かる。
右足に乗りあげた自動車のおかげで、俺の右足はへし折れた。
「何が……起こ……」
だが、重症なのはこちらだけではない。
肩を貫かれた女の方も――いや、何が起きているのか分かっていない分向こうの方が深刻な状況と言えるかもしれない。
「さっきおまえの事『雑魚』だなんて言ったが、撤回するよ……無礼な事を言ったな……」
女の肩を貫通した“それ”が女の目に映る。
にわかには信じがたい。
そう言いたそうに女は“それ”を見つめている。
無理もない。
“血液中の鉄分が磁力に反応し、俺に向かって飛んでいこうとしている”なんて、そう簡単に信じられることではない。
俺自身、リゾットがやってるのを見てなきゃ鉄分で攻撃しようなんて思い付きもしなかっただろう。
「アイツにしか出来ねえと思ってた芸当を、意識をしてたわけでもないのにやってのけちまうんだからな……いやマジに恐れ入ったよ」
切り離した手首から溢れ出る血液を『相手の向こう側』に運ぶ。
それが最後の策だった。
流れ切った血液は“俺の体の一部ではなくなる”からな……反発し合う磁石じゃなくなり、鉄分を含むただの“物”となれば俺の磁力に反応する。
もっとも、俺の磁力が血液中の鉄分を引き寄せられるほどの威力になってないと、固まった血で攻撃することは叶わなかったんだがな。
だから、本当に女がただの雑魚で、対象を『血液中の鉄分をも引き寄せる程の磁力』に出来ない場合、俺はあのまま死んでいただろう。
「だが……お前はツイテない女だ。俺の手首をああやって弾いちまった時点で、ツキには逃げられちまってたのさ……」
この策は成功する可能性が恐ろしく低く、しかも敵の能力に大きく左右されるため、出来る事なら奇襲による“直”でケリをつけたかったんだが……
それが失敗した以上、何とか鉄分で攻撃するほかなくなっちまった。
俺にもシュトロハイムにも攻撃が出来ないと言うのなら、自滅を誘うしかないからな……
だから相手を挑発してスタンドパワーを出来る限り上げさせた。
スタンドは精神力に左右されるからな……怒りやスゴ味でそのパワーが増す事もある。
僅かでも可能性があるならそれをやっておきたかった。
更に、幸運にも血液は相手の肩から背中にかけてベッタリと付着してくれた。
地面に付着した血液だけでは足を抉るくらいしか出来なかっただろう。
だがしかし、背中に付いてくれた今、俺と血液を結ぶ直線状に、女の肩や胸が入っている!

そして俺は賭けに勝った!
女の体に付着した血液は俺の磁力に反応し、直線状にある障害物を突き破ってこちらへと向かう!
血液に『障害物を避けていく』なんて考えられる知能はねえ!
直線上にいた女の肩を、力任せに貫通するッ!

「ぐえッ!」
女の右肩が千切れ、真紅の刃が飛んでくる。
飛来する車を叩き落とすので『グレイトフル・デッド』は手いっぱいなため、刃を防ぐ事は出来ない。
肩から先を持って行かれる覚悟をしたが、予想に反し刃は眼前で墜落した。
見ると、女が白目を向いている。

――痛みで一瞬意識が飛んだか!

スタンドが解除されているッ!
今ならば届く! 奴がスタンドを再開させるよりも早く、命を奪える一撃が!
「外すなよ、シュトロハイムッ!」
言うより早く、シュトロハイムは自由になった右腕を上げる。
目標は足だけ上質のあの女。
銃の中に残ってるのはあと一発。
これを外したら、次弾を装填する前にスタンドを再発動されちまう!
正真正銘、これが最後のチャンスだ!
「ぶぁかめエェェェェェェェェ!
 我がナチス軍人に『銃弾を外す』などという言葉はなアアアァァァァァァいッ!!」
やかましいが、威勢だけの負け犬とは違うらしい。
ナチス軍人を自称するだけあって、銃の扱いにはなれてる、か。
発射された銃弾は女の胸にあっさりと吸い込まれていった。

「ビ、チ……グ……ソ……があッ!」

端正だった顔を醜く歪め、女は倒れた。
スタンドが解除されてるため大丈夫だとは思うが、念のため生死を確認しないとな……
「フン、礼を言うぞプロシュート! 貴様のスタンドとやらが体を張って車を止めたおかげですぐさま銃撃が出来た!
 車が圧し掛かっていては、腕が自由になったところで満足な銃撃は出来なかったろうからな!」
「大声出すなっつっただろ、学習しやがれ馬鹿野郎」
立ち上がったシュトロハイムは、頼んでもいないのに女の生死を確認に向かった。
追撃を加える様子がないことを見るに、女はちゃあんと死んでるらしい。
俺も立ち上がろうと圧し掛かるバイクをどけようとするが、上手く力が入らない。
……少し、血を流しすぎたかもしれねえな。
それに打撲の影響もあるか……
『グレイトフル・デッド』で勢いを殺したから、車が俺達に衝突する時のダメージは二人ともほとんど無かったんだが、
腕で叩き落とせず体で車を止めた時のダメージは丸々俺に来てたからな……
「……プロシュート。貴様は少し休んでおれ」
バイクをどかし、シュトロハイムが手を差し出す。
払いのけて一人で立ってやりたかったが、左手首を無くし右足もへし折れた状態では自力で立つのは難しかった。
仕方なく、シュトロハイムの手を借りる。
「悪いが、もうすぐ夜が明ける……
 そしたら俺は行かなきゃいけねえ……カーズの野郎と決着をつけるために、食屍鬼街へ……」
そうだ、俺は『マンモーニ』を卒業するため、何としてもカーズの野郎を倒さなきゃならねえ。
そのためには休むわけにはいかないのだ。
日が昇ったら奴の居場所を探しはじめなきゃならねえ。
「フン! ぶぁか者めえ、カーズにとどめを刺すのは我がナチスだッ!
 貴様一人で食屍鬼街に行かせるわけないだろうがァ〜〜〜〜〜ッ。
 日が昇ったら俺も向かうわ! 貴様はのんびり亀の中にいるがいい!」
……確かに、こいつが付いてくることは予想済みだ。
だが、やるべきことを他人に丸投げするってーのは趣味じゃねえぜ。
「それに、『ここは殺し合いの会場で、自分の居場所を伝える事は愚策である』と言ったのは貴様だろう?
 あれだけ派手に音を立てたならさっさと移動せねばならんだろうがア〜〜〜〜〜〜!
 その体で素早く移動が出来ると思っているのか?」
正論だ、クソッタレ。
確かに今、俺はただの足手まといだ。
満足に歩くことすらできないのだ、このまま放っておかれたら騒ぎを聞きつけた人間に魚でも捌くかのようにあっさり殺されてしまうだろう。
コイツにどうこう言える立場じゃねえ。
あっという間にコイツ以上の重傷人になっちまったからな……
「安心しろ、放送はキチッとメモしておくし、向こうに着いたら起こしてやるわ!
 それまで精々体を休めておけい、大事な場面で倒れられたら困るからな」
確かに今は体を休めておくべきか。
『どんな手段を使ってでも自分の手でカーズを殺す』――それが俺の当面の目的だ。
自分の手で倒す際に貧血で倒れましたじゃあシャレにもならねえ。
休む間全ての事をシュトロハイムに任せるのも、“俺がカーズを殺すための一手段”としちゃあ悪くないな。
どうせ今の俺はマンモーニなんだ、情けねえだとか言ってられねえ……
そうだ、俺は無様に地べたを舐めてでも自らの手でカーズを倒す。
慣れ合うつもりはないが、必要とあらばシュトロハイムを頼ってやるさ。
「分かった……だが、大丈夫だろうな?
 仲間の名前が呼ばれたからって、ショックを受けてメモをし損ねるようじゃあ困るぜ」
「フン! 安心しろ、何が起きようとドイツ軍人はうろたえないッ!」
本当かよと思ったが、疑っててもしょうがねえ。
とりあえずはコイツを信じて、まずは体を休めるとしよう。
俺にとっての本当の戦いは、これから始まるんだからな……





【マライア 死亡】

【残り67人】
【G-7・駐車場/1日目・早朝】
【独伊二国同盟】
【プロシュート】
[時間軸]:ブチャラティに列車から引きずりだされた直後
[スタンド]:『ザ・グレイトフル・デッド』
[状態]:背中に傷、左手首喪失、左肩に銃創、右足骨折、全身打撲、貧血気味、マンモーニ
[装備]:スタングレネード、フルフェイスヘルメット
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3(未確認)
[思考・状況]基本行動方針:『カーズ』を倒したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
1.どんな手段を使ってでも自分の手でカーズを倒す。
2.亀の中で少し休む。
3.暗殺チームの仲間を探す。
4.トリッシュを確保する。
5.邪魔する者は倒す。
[備考]:亀の中にいます


【シュトロハイム】
[時間軸]:スーパーエイジャを貨物列車から奪取した直後
[能力]:ナチスの科学力
[状態]:左腕喪失、右足全壊、重機関砲大破、右目完全失明(紫外線照射装置大破)、左半身に軽度の打撲
[装備]:スタングレネード×2、レミントン・ダブルデリンジャー
[道具]:ココ・ジャンボ(プロシュート入り)、基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:ゲームを脱出
1.ナチスの科学力は世界一イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
2.放送の後、食屍鬼街へ移動しカーズを倒す。
3.『柱の男』に警戒。
4.出来れば2までにJOJO、リサリサ、シーザーらと合流したい。





[岸部露伴のバイク]
プロシュートの支給品。
ジョジョロワ1stにも登場した岸部露伴のバイク。
シュトロハイムのジープと同じく燃料はそんなに入っていない。
派手に転倒しプロシュートにくっ付いたが、まだきちんと動くのかは不明。

[フルフェイスヘルメット]
シュトロハイムの支給品。
小型拳銃の弾丸くらいなら貫通しないかもしれない。

[レミントン・ダブルデリンジャー]
シュトロハイムの支給品。
小型拳銃でポケットにも収まるが、装弾数は2発しかない。
銃撃戦ではあまり使えないということもあり、機関銃を装備したシュトロハイムは今まで使っていなかった。
5発分の弾丸と共に支給されたが、内2発はシュトロハイムがマライアとの戦いで消費した。

[スタングレネード]
プロシュートの支給品。
閃光や音響で相手に怪我や後遺症を与えないよう昏倒させる手榴弾。
殺傷能力がないためか3つセットで支給された(が、若干数が多いためかプロシュートにはこのセットとバイクの二つしか支給されなかった)

[望遠鏡]
マライアの支給品。
遠くの物を見られる他、鈍器として使えなくもない。
投下終了です
矛盾点の指摘などあったら遠慮なくして下さると助かります
乙です!
兄貴カッケェエエエエエエ!!
しかしこの兄貴戦うたびにボロボロになるなぁw
カーズと戦うまでに回復できるのだろうか?
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 03:56:27 ID:AupVe0Qt
投下乙
これほどまでに熱い!
さすが兄貴、俺たちにはできない不言実行を平然とやってのける!そこにしびれる!あこがれるぅ!
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 18:30:46 ID:5uwZbuTc
代理投下ありがとうございました
明日の夜まで待ってみて問題が浮上しないようならwikiに収録させていただきます
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 19:25:29 ID:os4OaxFz
投下乙ッ!!
うおおおおおおおおおおおおッ!!
なんと熱い戦いだッ!二転三転する戦い、互いに互いの腹の探り合い、スタンド能力の推測、そして体を張った作戦ッ!
兄貴かっけぇええーッ!エルメェスやリゾットをたてるその精神も実に兄貴らしいィ!
さすが兄貴、俺たちにできないことを平然とやってのけるゥ!そこに痺れる、憧れるゥ!

シュトロハイムもかっこよかったぜ…ペッシとは違ってこれもまたいいな

マライヤも彼女らしさが出ててベネ
ただ益々この舞台が男臭くなるぜwwww

ま、最終的になにが言いたいかっていうとこのSSを書いた氏にGJ!
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 20:27:55 ID:PkB3WR/X
GJ!!

面白い! 実に面白いぞッ!
勝っていた……彼女は勝っていたのに……後ろに血を投げたのか……兄貴。
マライアが圧倒的に上回っているはずだったのにッ!
すげーぜこのバトルッ! 今、ジョジョロワがSEXY!!

当のカーズがどこに行ったのか気になる。
北には行かなかったのかそれとも入り違いだったのか……。
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 21:11:55 ID:nUQWVT4l
13人(FFとエンヤ含む)中5人の女キャラが死んでもーた…
前ロワでもそうだったけど、このロワの女キャラ生存率ってすごく低いね。
366 ◆Y0KPA0n3C. :2008/10/28(火) 00:11:00 ID:Gh6Oov0q
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、他気になる点、感想等々ありましたらどしどしお願いします。

追記として今日から四日間ほどパソコンに触ることが出来なくなりますので本投下は来週になりそうです。
期限を過ぎた上に申し訳ありませんがどうかご理解お願いします。
367 ◆Y0KPA0n3C. :2008/10/28(火) 00:34:57 ID:p3OKl33M
すみません、一時投下スレにて投下完了しました。
言葉足らずですみませんorz
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 00:52:07 ID:B6O9qlVo
投下乙
見た限りでは問題ないしいいと思う
369 ◆MU3oLAwdKk :2008/10/29(水) 21:48:53 ID:J5WGktpq
一時投下スレに投下してきました

色々と問題のありそうな作品で最悪破棄を覚悟してるので
バンバン指摘お願いします
370 ◆xrS1C1q/DM :2008/10/29(水) 21:49:30 ID:J5WGktpq
すみません……途中送信してしまいました
371名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 17:53:53 ID:ZPnbRHbH
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1876088
資料無いって言ってた人に。
確か仕事場まで映ってる。
372名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 00:34:36 ID:4Zp7E+/x
個人的にはいいんじゃないかなあと思います



だって荒木だし
373 ◆xrS1C1q/DM :2008/10/31(金) 20:58:01 ID:0/J3xPhX
荒木先生の自宅の資料を渡してくれた人や内容のアドバイスをくれた皆さん、ありがとうございます
おかげで本投下までいけそうだと思います


ですが、現在熱を出してしまい完全に寝込んでしまってます
更に個人的な用事で下手したら11月中盤まで本投下が遅れてしまうかもしれません

なので今後予約する方は今回のSSは無視していただいて結構です
万が一矛盾がでるならこちらが修正いたしますので安心してください
最悪は私の許可なしに破棄して頂いても構いません

頭がぼーっとしてる状態で書いたので支離滅裂な文章となってしまい申し訳ありません


遅れましたがジョジョロワ2ndにこんな形で迷惑をかけたことを深くお詫びします
374名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 22:46:28 ID:B3s4q0Tz
「サッパリ問題ない」と言わざるを得ない。
そりゃね…ニコロワ初期くらいのアホみたいな加速時に延期だと
破棄しろ〜なんて言われかねないけどね。
マッタリしてる時くらいいんじゃないかね?
風邪なんて誰が悪いもんでもないし。お大事にね。
375 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:42:22 ID:AEeOcHzo
>>◆xrS1C1q/DM氏
了解しました。本投下楽しみに待ってます。
風邪が一刻も早く治るよう祈ってます。無理せず、お大事に…

それではプッチ、エシディシ、ダービー、サーレー、ジョルノ、ディオ、FF、シーザー 投下します。
376 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:43:03 ID:AEeOcHzo
もう朝が迫っているのであろう。今までこうやって何十年、何百年も生きてきた彼にとって時計なんぞ気にしたことはないし、きっとこれからもそうだろう。
沈み始めた月や星を眺め、朝を知る。そうして下に広がる町を一瞥した後、エシディシはこの空間に流れる心地よい沈黙を破った。
「ところでプッチよ」
幾年もの間成熟させた赤ワインかのように深く、濃い声にプッチは視線を向けて答える。
「さっき手にいれたDISC、あれで俺がスタンドを使えるようになることはないのか?」
エシディシの期待を込めた意見に対し、プッチは心底残念そうに懐からDISCを取りだし少し高く持ち上げた。
「……いや、残念だけど君にスタンドを授けることはできそうにないよ」
「それはつまり俺にスタンドの才能がないってこと……」
「いや、そういうわけじゃないんだ…。まず大前提としてこれはスタンドDISCじゃないんだ」
まるで駄々を捏ねる子供を諭すかのようにプッチは優しい言葉でこの大きいお友達を宥めた。励ますように肩に手をおき、そのまま言葉を続けた。

「中身を確認するにも今、この状況ではあまりにも不安定なんでね…。実際のところ断言はできないんだ。まぁ、十中八九記憶DISCで間違いないな」
「MU…ならば仕方ないな…」
「そうがっかりすることもないさ。参加者の中のスタンド使いから君に相応しいものを抜き出せばいい」
実際の所、適応しなければ使えることはないのだがエシディシィはその言葉に喜びと感謝をプッチに述べた。
狭い車内がエシディシが身体全体を使って喜びを表したことによりますます狭くなり、プッチは苦笑いを浮かべた。
ゆっくりと爆音を響かせ上空を移動していく二人が鉄塔にたどり着くのにそう時間はかからないであろう。



◇  ◆  ◇



「!!」
「…急いだほうがいいですね」
そう言ったわりに呟きを洩らした青年の表情は変わらなかった。実際のところ、その鋭い眼光がさらに厳しくなったのだが少なくとももう一人の青年にはそう思えた。
もっともそれは二人が目的地へ向かい、足を動かしているので仕方のないことかもしれないが。
先を行くジョルノの背中を幾らか眺めた後、堪らずディオは自分の中の疑問を彼に問いかけた。
「今起きた“あれ”はスタンド能力か?“あれ”がさっきお前が言った地響きの原因だとおもうか?」
1900年代に生きた彼からしたら流れ星など未知のもの。実態も掴んでいない、仕組みもわからない流れ星をコントロールすることが可能なスタンドという能力にディオは驚き、微かにだが恐怖した。
377名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 20:43:44 ID:7QlhmVei
支援
378 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:44:10 ID:AEeOcHzo
ジョルノは隣に並んだ彼をしばらくの間じっと見つめ、一度だけ星を眺めた後、口を開いた。
「何とも言えません。スタンド能力である可能性は極めて高いでしょう。けれどもそれだけであれがさっきの地響きの原因だと考えるのは浅はかでしょう。事実、今地響きは起こりませんでしたし。」
「………」
「ただ……」
「ただ?」
「今その場に行くのは得策ではないでしょう。あれがスタンド能力だと仮定した場合、スタンド本体はもちろんその能力を自覚しているでしょう。この殺し合いの場でわざわざあそこまで目立つような真似を故意でするとは思えません。
もちろん緊急事態や想定外の戦闘に巻き込まれたこともありえるでしょうが、この殺し合いの場であそこまで目立つような行為をするということは…」
「つまり自ら表立って参加者を引き付ける罠、だと」
「僕はそう思います。とりあえずはもう少し西に向かい、参加者がいるであろう施設を周り先程の地響きについての情報を集めたいと思います。あの流れ星のスタンド使いについても可能ならば正体を突き止めましょう」
綺麗に整理された彼の言葉には確かな説得力があった。ディオも納得できたし、なによりジョルノの意見を覆してまで彼自身進んで自分の命を危機に晒したくは無かった。
しかしながらその説に二つ返事で賛成を示したり、その冷静な考察に賞賛を示すのは癪だった。なにより目の前のこの青年がまるで動揺しないのに対し自分が流れ星ごときに動揺したのが彼の自尊心を傷つけた。
ディオはそのことを悟られまいと、すこし足を速めジョルノの先を歩いた。

そうしてどのぐらいか歩いた二人の周りは徐々に住宅や建物が消え始め、田園などの自然が目に付くようになった。周りの緑が漂わせる朝の匂いが二人の鼻腔をつく。
どちらとともなく口を開こうとしたまさにその瞬間、二人の耳に遠くから響く機械音が聞こえた。反射的に音源の方向を確かめる二人の視界に上空を駆けていく人工物が写った。
「…おい」
「ええ」
顔を見合わせることもなく、二人はそれだけで意思の疎通を交わした。互いの考えがこのときばかりは完全に一致した。
あの乗り物に乗った参加者も自分達と同じように地響きの元凶を突き止めに来たのであろう、と。
走る。二人はその乗り物を追うため、走った。
なんとか振り切られることなく、それを追い続けることが出来た二人の視界に天を突くように伸びた建物が見えた。あそこが終点なのだろうか、そう思った二人だったがそれについて深く考えることはできなかった。
なぜなら奇妙な銃撃音とともに数え切れないほどの銃弾が襲い掛かってきたからである。



◇  ◆  ◇



「こいつはひでぇな……」
映画やコミックで見たゴジラとかガメラでもいるんじゃねえか、とFFは無残にも折れ曲がった鉄塔を眺めながら能天気につぶやいた。
リゾットとの交戦で、この場ではもっと注意したほうがいい、と知った彼女が警戒を強めていたためか、鉄塔にたどり着いたときには結構な時間を費やしていた。
移動の途中に流れ星が二つ流れたことでまたどこかで戦闘が起きたことがFFにもわかった。
かといって、今更そこにいっても間に合わないだろうし、もしかしたら鉄塔には自分の仲間がいるかもしれない。そう思った彼女の足は自然と予定通り当初の目的地へと向かった。
そして無事鉄塔にたどり着いた直後の感想がこれである。
379名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/01(土) 20:45:32 ID:GF7ysqMq
 
380 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:46:01 ID:AEeOcHzo
ちょっとした衝撃で崩壊しかねない鉄塔に振動を与えぬよう抜き足さし足でFFは周りを調べた。だが時間をかけたわりに見つかったものは壊れた懐中電灯だけと、がっかりするものだった。
ため息をひとつ吐くと手ごろなサイズの石ころに腰掛け、頬杖をつく。事態は急を要するというのに仲間は見つからない、気持ちは焦るばかりで空回り。今の自分に冷静になれと言い聞かせクールダウンしたFFが考えたことは次に何をすべきか、であった。

(リゾットん所に戻る……のはなしだな。あいつの荒木をぶっ殺すって意志とその頭の良さには確かに頼りがいはある。けどよぉ、頭がいいからこそこのあたしのことなんかもう見切りをつけてるかもしれねぇ…。きっともう違う目的地に向かってるだろ。
じゃここで待って誰か来るのを待つか?…いや、それは柄に合わねぇ。それになによりそんなのは弱気だ。やっぱり自分自身の力でどーにかしねーと…。
そーするとやっぱり隕石が落ちた場所にでも行ってみっか。徐倫もあいつのスタンドだって気づくだろうし、きっとこっちにもう向かってるだろう。もしかしたらアナスイの奴も来てるかもしんねーな。ま、とにかく行動するのみだ。)

仲間がいるかもしれない、その前向きな考えが彼女を行動させた。
導き出した結論を胸にデイパックを担ぎ直したFFは早速隕石の落下地点へと歩きだした。
(…ってこの音は……ヘリコプターッ?!)
だが闇夜に響く爆音が彼女の動きを止める。街の光もなく微かな星の光を頼りに夜空に目を凝らすと確かにそこにはヘリコプターらしきものがあった。
プロペラの回転音が段々と大きくなってくることは即ちそれはヘリコプターが近づいて来ているということ。彼女はとりあえず誰が乗ってるかわからないことだし様子を見ようかと思った。
ヘリコプターを追いかけて地上を走ってきた二人組を見るまでは。
(…!!あの男はリゾットが………ッ!!)
特徴的な髪型、細身の長身で華奢な身体、鋭い目付き。自分の仲間の脅威となりうる人物、ジョルノ・ジョバーナに向けFFは一切の躊躇いもなく引き金をひいた。



◇  ◆  ◇



ジョルノ・ジョバーナは極めて優れたスタンド使いである。大抵のスタンド使いとの一対一ならばまず負けないであろうし、多人数相手でもうまく立ち回ることは可能だろう。
しかし今のこの状況はあまりに特別すぎた。人影が見えたと思ったその瞬間に幾つかもわからない程の銃弾が襲いかかって来る、その上隣には守るべき同行者。彼が辛うじてながらもなんとか二人の頭部や心臓などの致命的な器官を守ったのは素晴らしいことであろう。
「ぐあっ……!」
ジョルノが未だ収まらない銃弾の嵐をスタンド、ゴールド・エクスペリエンスで弾きながら同行者の前に立ちはだかると、彼が右手を抑えその場に座り込んでしまった。
状況はヘビー。相手の人数、明確な目的、説得可能か否か。それら全てがいまだ不明。暗闇のため動いてる相手の顔も武器もはっきりとはわからない。
明らかに自分達は不利な状況に追い込まれてしまった。
381 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:49:30 ID:AEeOcHzo
(くそ、忌々しい…なんてザマだ……ッ!)
ディオは悪態をつきたくなるのをなんとか堪えて目の前にいるジョルノと名も知らぬ襲撃者を睨み付けた。
今の状況を冷静に分析するとまさしく防戦一方。襲撃者は自分の有利を最大限利用し距離を変えることもなく、手を休めることもなくまるで隙を作ろうとしない。その様から戦闘慣れしてるのであろうとディオは苦虫を潰したような顔をしながら思った。
一方それに対するジョルノは迫り来る弾丸を全て弾き防ごうと必死であった。
…いや、正確に言うとジョルノには幾らか余裕が生まれつつあった。相手の一定の速さで飛んでくる銃弾に慣れたのであろうか、きっとやろうと思えば相手に向かって走り距離を詰めることも充分可能であろう。しかしながらそれができないのは…
(ほかでもない、このディオのせいで……ッ!)
屈辱的だった。そしてそれを認めたくはなかった。けれどもそれ以外に方法はないように思えた。
自分が今一番になすことが逃走であること、それが屈辱的だった。なによりもジョルノに自分が無力であると思われるのがディオには堪らなく嫌だった。しかしながら背に腹は変えられない。右腕に負った傷痕を庇いながらも自分の分のデイバックをなんとか拾い上げた。
そんな時だった、ジョルノが彼に話しかけたのは。
「僕の声は聞こえますか…?」



   ◆



惨めな気分だった。こんなにも惨めな気持ちになったのはいつ以来だろうか、母が死んだ時以来だろうか。
出血が止まらない撃ち抜かれた右腕の痛みも、全力で走ったために酸素を送ろうとする心臓の素早い動悸も気にならなかった。立ち止まってからの時間と比例するように自分の中の憎しみという感情が膨れ上がっていくのがわかった。
『助けを呼んできてくれませんか?このままではジリ貧です。状況を打破するためにも助けを呼んできて下さい。もしも間に合わないと思ったら僕のことは見捨ててもらって結構ですから。
ただ第二回放送の時にもう一度合流しましょう。最初に会った館に第二回放送の時に……。いいですね?』
背を向けていたため表情はわからなかったがジョルノ・ジョバーナの言葉は淡々と述べられ、感情をなるべくこめないようにしてるかのように思えた。
結果的にそれは好都合だったかもしれない。

(このディオに対して同情のつもりかッ?!情けでもかけたのかッ?!)
なぜならそれがプライドの高いディオの精神を逆撫でする結果になってしまったから。
(このディオが仮定や結果など度外視して生き残ることだけを優先しているとでも思ったのか……ッ?!二度もだ、二度もッ!!このディオが一度ならず、二度も、それも同じ人間にッ!!)
膝に置かれていた手のひらを持ち上げ目の前で握りしめる。辺りに響く静寂、その中になにか聞こえやしないかと耳をすませる。そうしてゆっくりと鉄塔があるであろう場所へ顔を向ける。
暗闇だけで彼にはなにも見えなかったが、そこではまだ命がけの戦いがまだ続いているのだろう。
(だめだ…やはりこのオレがここで逃げるわけにはいかないッ!!『誇り』が消える……、ここであそこから完全に退いたら!)
呼吸を整え、彼はその場でスッと背筋を伸ばしひと呼吸をを置く。『行ってなにができるというのだ?』と心の中の呟きを無視する。『死ぬかもしれない…』という微かな不安を強くかき消す。
(誰の言葉だったか…人間の偉大さは恐怖に耐える誇り高き姿にある!このおれの新しい姿を!その目に確と焼き付けろ、ジョルノ・ジョバーナッ!)
そうしてディオが一歩を踏み出した時だった。
「そこの男、止まりなッ!」
声に振り向いた先にいるこの男はもしかしたら殺人鬼かもしれない。自分の勇気が試されてるのかもしれない、そう思ったディオはいたって平然とした表情を作りながらも速まる心臓の鼓動を抑え、男と向かい合った。
382 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:50:10 ID:AEeOcHzo
【D-3南部/1日目 早朝】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:右腕負傷、体力消耗(小)、プライドがズタズタ(悪化)、スタンド使いへの激しい嫉妬、ジョルノ(と荒木)への憎しみ、自分に対する無力感、ストレス
[装備]:なし
[道具]:チャーイ(残量1.5g)、基本支給品 不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
1.目の前の男に対処。ゲームに乗ってるようなら“自らの力”でどうにかする。
2.鉄塔に向かい“自らの力”であの場をどうにかする。
3.ジョルノが憎いが、借りを返すまではジョルノと行動を共にする。返した後は不明(現在は腹を立てているので借りについては保留)
4.勿論ジョルノとの行動の途中でジョナサン、エリナ、ジョージを見つけたら彼らとも合流、利用する
5.なるべくジョージを死なせない、ジョナサンには最終的には死んでほしい(現時点ではジョルノにジョナサンを殺させたい)
6.ジョルノに変な違和感
7.自分もスタンドが欲しい……
8.ジョルノと合流できなかった場合、第二回放送時に「DIOの館」で合流

[備考]
1.見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
2.チャーイは冷めません
3.着替えは済んでいます
4.ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
  ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
5.ジョナサン、ジョージの名前をジョルノに教えました。
  エリナは9割方死んでいるだろうと考えているので教えていません。(万が一見つけたら合流するつもりではいます)

【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:首に若干の痛み(戦闘には支障無し)
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
1.目の前の男に対処。
2.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
3.スピードワゴン、スージーQの保護。
4.ストレイツォは出来れば殺したくない。
5.女の子がいれば助ける。



◇  ◆  ◇
383 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:52:42 ID:AEeOcHzo


「無駄ァ!」
走っていく彼に向けられた銃弾を何度弾いたことだろう。然り気無く、相手への注意をはらったまま後ろを確認するともう相当の距離があり、ディオを撃ち抜くのは困難だろうとジョルノは判断した。
そうしてやっとこさ目の前の相手に完全に集中できるようになったジョルノは手始めに“口撃”を開始した。
「貴方の名前はなんですか?なぜ見も知らずの僕を、僕らを襲撃したのですか?」
返答がわりの相手からの銃弾を軽くいなし、じっと相手を観察する。未だ距離が縮まず、相手の表情も読めない現状を打破するためジョルノは大胆にも相手へと歩を進めた。自分の考えを、推測を展開しながら、口撃を休めず。
「貴方の目的が見えません。優勝を狙っているというならばこんなにも簡単に“彼”を、明らかに力を持たない僕の同行者を見逃すとは思えません。もっと執拗に狙えばもっと優位に事を運べたはずです。
…だがあえてしなかった。つまりそれは“僕”が狙いだと、そうですね?」
僅かだが確かに攻撃の手に躊躇いがはしった。今まで息つく暇もなく撃ちっぱなしだった相手に確かな変化が起こったのである。
「僕も色々とやってきたので知らず知らずのうちに他人から怨みを買っていたのかもしれません。しかしながら貴方はその類いではない。僕と面識がないようなら善人面して油断を誘えばいい。
付け加えると動機が怨恨の場合、問答無用で相手を殺しにかかるのは少し不自然ですし。」
もはや戦いの主導権は完全にジョルノにあった。殺意のない迷った攻撃では彼を仕留めることは不可能に近い。例え二人の距離が先ほどより短かろうが。

「怨恨でもない、優勝を狙ってるわけでもない。あくまで僕個人を狙う。…この結果からわかることは
           誰かが貴方に嘘の情報を吹き込んだ。僕が危険人物であるとガセの噂を掴まされた。
違いますか?」

ジョルノの考えから言うと見事にビンゴしたといった所だ。正直、今言ったことには色々と不自然な所があるだろう。ただの偶然で済ますことが可能な部分は多いだろう。しかしながらジョルノのブラフに相手は反応した。
二人の間に流れる沈黙は相手の肯定を示しているだろう。見事な口撃だったのである。しかしながらその沈黙は破られた。それは口を閉ざしていたジョルノでもなく、迷いながらも口を開きかけたもう一人でもなかった。空から落ちてきた第三の人物の叫びが夜に木霊した。
「ポフェーイヒイヒイヒイヒイヒイヒヒヒヒヒーーーーーーーーーーーーーッ!!」



◇  ◆  ◇
384 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/01(土) 20:53:41 ID:AEeOcHzo
「どうだい、エシディシ」
「FUMU…どうもヘマしちまったみたいだ。落とした場所が見事にへこんで低い場所になっちまった。鉄塔の脇に投げたつもりだったんだがなぁ…」
「なに、そんな悲観することもないさ。下の二人は間違いなく何が落ちてきたか調べるだろう。誰だってそーする、私だってそーする。その後はもう感染の連続だ。」
「…どうだかな。お前を見てるとどうも人間というものがイマイチ掴み所の無いものに思えてくる。」
「買い被り過ぎだよ、エシディシ…」
「フッ………」

―――バババババババババ………

「………プッチ、どうやら俺たちの目論見は失敗に終わりそうだぞ」
「…何があったんだい?君たち柱の男と違って人間は視力も夜目も効かないんでね。下で何が……?」
「二人人間がいる。一人はカビ爆弾が落ちたへこみの傍にいる。もう一人は近くにいるが爆弾のことは見ずにこちらを明らかに見ている。」
「……」
「問題は爆弾の近くにいる人間だ。ヤツもお前と一緒、スタンド使いだ」
「…それで?」
「そのスタンドの能力が問題だ…!ヤツが殴った近くの石が形を変える…手だ、手になったッ!もう一個は…足ッ!不味いぞ、プッチ。ヤツは爆弾を治療する気だ!ヤツのスタンド能力は体の部品を作るスタンドだッ!」
「おい、エシディシ!何処に行くんだッ!?」
「下に降りて始末してくる。たかが人間二人だ、そう時間はとらせない。すぐに終わらせてくるからプッチ、待っていてくれ。ああ、先に言っとくが一応俺は朝日を浴びても死にはしないから安心してくれ。」
「おい、エシディシッ!おいッ!……やれやれ敵は“一人”じゃないってのに」

―――バババババババババ………

「……いつから俺に気づいてやがったんよォ〜!まったくお前らのせいで安心して昼寝もできねェぜ。どォーしてくれんだよ、お前ッ!?」
「彼は反対側の扉から下を覗いてたんでね、気づかなかったようだがな……」
「…」
「“物を固定する”…なんとも薄っぺらい能力だ。人の空間に自分勝手に入ってくる貴様のようなチンピラには相応しいスタンド能力だな」
「おぅおぅ…よく話す口だぜ、その俺の眠りを邪魔したうるさいヘリと同じくらいな」
「…」
「でもよォ、実をいうとお前らが来てくれたのは嬉しいことだぜ。お前らが俺の睡眠を邪魔したことを忘れてやってもいいほどな…」
「……」
「だってよ、こんないいもんわざわざ俺に献上してくれんだろ?ヘリコプター、いいもんじゃねーか、ええ?!最高じゃねえか、この殺し合いに対してやる気と希望がムクムク湧いてくるってもんだぜッ!おいッ!」
「…一つ言っとこう。王には王の、料理人には料理人の、聖職者には聖職者の各々の器という物がある。その点で貴様にはこの舞台で優勝できるはずがないッ!貴様のその安っぽい器では到底なッ!
そしてその王の器を脅かす貴様の行為ッ!その上私と彼の深淵の仲に踏み込んだ罪、ここで償わせるッ!」


【D-2 鉄塔の脇の上空 ヘリコプター内部/1日目 早朝】
【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる
[装備]:ヘリコプターで運転中 ※燃料には限りがあるが、C-10からD-2、D-3あたりまで飛ぶ量は充分にある。
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻でチョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
    不明支給品0〜2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
1.下にいる男の処理。その後エシディシと再合流。
2.こいつ(エシディシ)は良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
3.ディオとジョルノに会いたいが、時代が違いそうで不安。
4.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)。
5.DISCの確認
6.エシディシに相応しいスタンド探し
385名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 09:51:17 ID:z7M1tuVt
備考
※二人ともお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※日光から逃れれるのなら付近に建物、及びアヴドゥルの隠れ家に戻ってもいいと考えてます。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※未だ朝日が昇ってないため音は聞こえますが、下の様子がわかりません。
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。

【サーレー】
[スタンド]:クラフトワーク
[時間軸]:ミスタ戦直後
[状態]:背中に軽い火傷
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(懐中電灯以外)、『ピンクダークの少年』3部までセット、高級シャンパン(空瓶)
[思考・状況] 基本行動方針:優勝してポルポの遺産を奪う
1.男を殺してヘリコプターを奪う。
2. 出来ればブチャラティ達を探して遺産の隠し場所を吐かせたい
[備考]
※幽霊部屋の中にも荒木の放送は聞こえてきます。
※D-2が禁止エリアになった時は、幽霊部屋もその例外ではありません。
※ピンクダークの少年の1部を読破しました。
※ベットは幽霊部屋に放置されてます。
※サーレーはヘリコプターの10メートルほど下、漫画の頁を破り捨て固定しながらヘリコプターへと向かってます。


◇  ◆  ◇


386名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 09:51:52 ID:z7M1tuVt
FFは思わず頭を抱えたくなった。あまりにも一度に同時のことが起きすぎたし、同時に判断に迷うことが起きすぎた。
ジョルノ・ジョバーナは本当に悪なのか、この空から降ってきた男はなにものか、ヘリコプターには誰が乗っているのか、そしてそのヘリコプターから突如飛び降りて来て平然としてる目の前の“これ”はなんなのか。
「FUN…俺を目の前にしても汗一つかかん。呼吸も乱れん、体温の変化も見られん。これは面白い戦いになりそうだ…」
人間じゃない自分を棚に上げていうのもなんだが、どうやらこいつは人外らしい。それはあの高さから降りてきたのに生きていることや、衝撃で開いた傷口が瞬く間に修復されていくのでわかった。しかもどうやらヤル気満々ときたもんだから更に面倒なことになっている。
「おいおい、黙っときゃ言いたい放題しやがってッ!とりあえずあの男はなにもんなのか、それとてめぇ自身もなにもんなのか説明しやがれッ!」
だがそんな言葉はどこ吹く風。いつの間にか男とジョルノ・ジョバーナの間には明らかな緊張関係が築かれていた。

「お前はその男をどうする気だ?」
「治療します。何が起きたか、誰にこんな目に合わされたか、情報を聞き出します。」
「それを俺が許さないと言ったら?」
「…止めるようなら止めてみてください」
「FUMU…ならばやってみようか」
自分がこの場に馴染めていないのは明らかだった。当たり前のように自分の言葉が無視されたことにFFの中で怒りよりも、自分の空回りの虚しさが込み上げた。
「一つ聞かせてください…。このカビのようなスタンドはあなたのものですか?」
「それも戦えばわかることだ」
今にも戦闘始めそうな二人。だが定まらない自分の心。
(ジョルノ・ジョバーナも本当に信頼できるのかイマイチわかんねぇ。かと言って目の前のこいつに協力するのもナンセンスだ…。一体どうすりゃいいんだ…?)
空中でも地上でも闘争というなのパーティーが始まろうとするなか迷うFF。地上では柱の男とスタンド使い屈指の実力者同士の戦い。 空中ではヘリコプターに乗ってるのは彼女の倒すべき相手。
この鉄塔という火薬庫に火がつくか否か、それは彼女の肩にかかっていることは間違いないだろう。


【D-2 鉄塔の脇/1日目 早朝】
【F・F】
[スタンド]:フー・ファイターズ
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式、壊れた懐中電灯
[思考]:基本行動方針: 徐倫達に会ってホワイトスネイクの正体を教え、共に承太郎のDISCを奪還する。勿論荒木は倒す
1.目の前の二人に対処。
2.あとでリゾットと組んで行動し、リゾットを信用していいかその時に見極める
3.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
※ジョルノに対しては未だ完全に信頼していません。
387名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 09:53:51 ID:z7M1tuVt
【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(回復中)、ちょっとハイな気分。落下の際に脚部に軽いダメージ(戦闘に支障なし)
[装備]:ヘリコプターに搭乗中
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.ダービーをカビ爆弾として使うためにも目の前のスタンド使いを殺す。
2.こいつ(プッチ)はなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
3.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
4.自分のスタンドを探す
  
備考
※二人ともお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※日光から逃れれるのなら付近に建物、及びアヴドゥルの隠れ家に戻ってもいいと考えてます。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。よってジョルノに気づいてません。
388名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 09:55:51 ID:z7M1tuVt
【ダニエル・J・ダービー】
[時間軸]:本編初登場前
[状態]:満身創痍。手足が無い。カビ侵食中。落下による全身へのダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:これは夢なんだッ!バンザーイッ!
1.イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ
2.痛みでまともな思考ができない

※ダービーの傷は後6時間程放置されたら死ぬ程度のものです
※自分以外の参加者はみんな死ねばいいのに、と考えてます。
※どうせ死ぬんだから誰かが死ぬためならなんだっていいと考えています。
※他の参加者がヘリコプターの通ったルートの真下を歩いてもカビに感染するとは限りません。
 これはグリーン・ディのカビと地面の距離が充分離れている、つまりカビの媒介物であるダービーが空にいるからです。
 逆に言うとダービーが地面に落とされた地点の周辺に誰かが近づいたらそいつは(ry
※声は出るようになりました。これはプッチとエシディが声で他の参加者が近づいてくれると判断したためです。
※ダービーが落とされた場所は凹んで低い場所です。ジョルノやFF、エシディシが彼を抱えあげるようなことをしない限り感染は広がらないようです。
 逆に言うとダービーが穴から這い上がるようなことがあれば……?
※ヘリコプターより落とされた影響で全身にダメージを受けています。治療まで時間がかかるようであれば出血や内臓へのダメージで死ぬかもしれません。

【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:健康(ゴールド・エクスペリエンスで治療済み)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・状況]
1.目の前の男に対処。
2.仲間を捜す
3.ディオに変な違和感
4.ジョナサンの名前が引っ掛かる
5.安全な場所でカビの男(ダービー)を治療、情報を入手する
6.ディオと合流できなかった場合、第二回放送時に「DIOの館」で合流

[備考]
1.ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
2.このディオは自分の父親とは同姓同名の他人だと今のところ思っています。
3.ディオにスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教えました。
 仲間や敵のスタンド能力について話したかは不明です。(仲間の名前は教えました)
4.彼が感じた地響きとは、スペースシャトルが転がった衝撃と、鉄塔が倒れた衝撃によるものです。
  方角は分かりますが、正確な場所は分かりません。
5.ジョナサン、ジョージの名前をディオから聞きました。ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
389名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/02(日) 23:29:14 ID:wZZVcyeU
投下乙!

ジョルノVSエシディシ、サーレーVSプッチの二局面に分かれたバトルに加えて
FF、シーザーとそれぞれに因縁のあるキャラがいるっていうのがwktkだぜ
しかもディオは相変わらずツンデレだしwww
とにかく人間関係が面白すぎる状態になってきてるよね
蚊帳の外にいるヤツがサーレー一人っていうのがなんともwww
続きが期待できる良SSでした!!

390名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 04:07:49 ID:wuWQXU31
おおお、投下超乙!
因縁のカードが入り乱れての鉄塔バトルがついに開始か……
やべえ、何人死ぬか予想が出来ねえww
超GJでした!
391 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:22:35 ID:oXWDrgBb
◆xrS1C1q/DM復活! ◆xrS1C1q/DM復活! ◆xrS1C1q/DM復活!

明後日からウェカピポのごとく国外追放されるから今のうちに投下するぜ!
溶連菌感染症なんて初めて聞いた病名だったなww

更なる修正があったら日本帰ってきてからになるんで
向こうで修正案を考えるために出来れば指摘は今日明日でお願いします
392 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:23:46 ID:oXWDrgBb
コンクリート製のビルから離れるようにして、タクシーは排気ガスと騒音を発生させつつアスファルトの道路を走る。
深夜の町における何の変哲も無い日常の光景。
しかし“この場”は一人の悪意によって作り出された空間。
当然、走行中のタクシー内にも不穏な空気は流れていた。

「おいおいグェス君。質問をする気がないなら帰らしてくれないかい?
 ちょうど面白いイベントがあってね、出来ればそっちに集中していたいんだよ」

安っぽい合成皮の座席に座る女性『グェス』に語りかけるは人型の異形。
この殺し合いの主催者、荒木飛呂彦のスピーカーとなった『審判』という名のスタンド。

「うるせえええぇ! お前とは違ってこっちは何時何が起こるのかわからねぇんだ!
 あそこには殺人鬼のナルシソ・アナスイがいるんだぜ!?
 それが参加者の情報を貰えるなんて聞いてみすみすとあたしを見逃すの思うか? 思わないだろ?
 楽しくお喋りしてたら後ろからズガンなんざゴメンなんだよ!」
「おっと失礼。なら、安全そうな所に着いたらまた僕を呼び出しておくれ。
 ……君がそのときまで生きていたらの話だけどね」
「ちょっと待て! 不吉なこと言い残して消えるな! 
 おい! おいってば! 返事ぐらいしてくれよ!!」

しかし、荒木からの返事は一切無い。
やはり話し相手が一人いるのか、誰もいないかでは差が大きすぎる。
グェスは黙々とタクシーを運転し続けた。安全な場所を求めて……。



★  ☆  ★



(どうする? どうするんだあたし!)

荒木に聞きたい情報はそれこそ星の数ほど存在する。
殺し合いに乗ってない信用できるような人物の名前や現在最も安全な地域、逆に火種が集結する地獄。
また、徐倫の現在地を一応聞いておくのも悪くはないかもしれない。
強力なアドバンテージを手に入れたことによって少し落ち着きを取り戻すことができたようだ。
だが、安心しすぎて油断するというのはあまりにも愚かすぎる。

(あくまでも慎重な行動を取んなきゃね)

これからの行動は生死に大きく関わるもの。
荒木から聞きだせる情報も石になるか玉となるかは分からない。
なんせ、知りたい事は数多あれど実際に回答が来るのは三つまでなのだから……。

(でも……やっぱり“奴”の情報は聞いておくべきだよな?)

比喩でもなんでもなく、文字通り一人の老人を消し去った謎のスタンド使い。
思い出しただけでも寒気が全身を駆け巡り、胃袋がひっくり返って中身をぶちまけそうになる。
だからこそ奴の情報は必要なのだ。
名前、スタンド能力、現在地。ありとあらゆるプロフィールを網羅しておきたい。
更に贅沢を言うならば、他の殺し合いに乗った人物の事も知りたい。

(頭のいいヤツならスパッと決められるんだろうな〜)

自分は悪知恵のきく人物だと思っているが聡明だとは言い難い。
ここでと言う時にそれが致命傷になるとは……。
少々落ち込むも、うだうだしている時間は無い。
タクシーを飛ばすあたしの目に巨大な箱が見えた。
393 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:26:00 ID:oXWDrgBb
★  ☆  ★



「やあ、どうやらここは特別懲罰房の近くみたいだね」

水族館の囚人なら誰もが恐れる特別懲罰房。
一切の温もりを感じさせない聳え立つ灰色の外壁。
ちょうど、その壁によって死角になった所にグェスはタクシーを停車させ、再び黄金のランプを擦ったのだ。

「僕を呼んだという事は願い事はもう決まったんだろ? 最初の一つから言ってみてくれないかな」
「あぁ、いいぜ荒木飛呂彦!」

堂々と啖呵を切り、グェスは己のディバッグからペットボトルを取り出す。
そして、透明なペットボトルを引っ張り出した。
右手でペットボトルを支えて、左手で勢いよくキャップを捻る。
キャップが完全に開け終え、透き通る水を喉へと流し込み緊張による渇きを癒した。
ぷはぁと気持ちの良い声をが自然と湧き上がって来る。

「よし、仕切りなおしてもう一度言うぞ。三つの願いごとが決まった!」
「そうかい? ならば念のために確認しておくよ。
 願い一つ回の目安は“参加者1人”についての“何か1つ”。
 僕の答えられない質問は当然無しだし、願いを増やせってやつもアウト。
 もしも僕が叶えられない願いを君が言った場合は、それはノーカンとする。大丈夫だよね?」
「大丈夫だ」
「じゃあ早速聞かせてもらおうかな」
「一つ目の願い――――」



「エメラルドスプラッシュ!!」




グェスの言葉はフロントガラスを突き破る攻撃によって妨げられた。
飛び散ったガラスと共に車内へと飛来する謎のエネルギー体。

「うわあああああああああああああああああ!!」

死んだ。
グェスは迫り来る“死”の恐怖に我を忘れて叫ぶ。
茨のように心に絡みつく恐れは体の震えを引き起こし、冷静な判断力を全て毟り取る。

(駄目だ…もう駄目なんだ……)

動けずにただ縮こまる彼女を他所に第二、第三のエネルギーの束が車内へと打ち込まれた。
既に彼女の心は壊れかけ、何時パニックを起こしても不思議ではない。
両手で頭を抱え、存在を一度も肯定した事がない神へ必死の祈りを捧げる。
……その願いは確かに叶った。

「僕がヤツを食い止める! その間に早く車から逃げるんだ!!」

車外から青年の声が聞こえたのだ。
グェスは震える手を必死で動かしてドアノブに手にかけた。
しかし、恐怖に支配された体がその先の動作を許そうとしない。

「うわ! うわ!」

掴みかけた希望が絶望へと一気に変わる。
394名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 12:26:05 ID:JRXW6k0f
私怨
395 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:30:05 ID:oXWDrgBb
ガチャガチャガチャ。

スタンドを発現することも忘れて必死にノブを弄る。
………開いた!
ほうほうの体でタクシーから這い出したグェスは最後に車内を振り返る。
見えたのは外からの攻撃を両手で弾き、防ぐ審判の姿。
そして、攻撃が止まった刹那にヴィジョンが消えた。

「あっ……」

荒木からの情報というチャンスを失った事で、ついついマヌケな声をあげてしまう。
呆然とした様子で襲撃により大破したタクシーを眺めるグェス。
彼女は自分の背後より徐々に徐々に近付いてくる触手に気が付かない。
触手は彼女の背中に触れるか触れないかの微妙なラインへと近寄った後、先端を天へと向かわせて――――


「ひあっ!」


身動きを取るわずかな猶予さえ残さずに触手は彼女の全身を絡め取った。
再びグェスは恐慌状態へと叩き落され、がむしゃらに手足を動かして抵抗しようとする。

「うあっ!」

いくら抵抗しようと身をよじろうとも彼女の肢体に絡む触手はピクリともしない。
むしろ動けば動くほど締め付けが強くなっていくのだ。
暴れまわった事によって服装は乱れ、所々から白い素肌が露となる。
服越しに触る感触も不快であったが地肌で感じ取ると更に生理的嫌悪が倍増する。
ジワリと彼女の瞳から涙が滲んできた。
しかし、触手はそんな事には一切構わずに彼女の体を蹂躙していく。
柔らかい肌には触手が食い込む様がハッキリと映しだされた。
瞳から涙が零れ落ち、筋となって頬を伝う。

ハァハァハァ

荒い息が暗闇の中から聞こえてきた。
やられる――
反射的に目を閉じて、これから起こるであろう行為から目を背けようとした。
湿った土を踏みしめる足音がすぐ傍へと迫りくる。
元から歩みが速いタイプなのか、この状況だからこそなのかは分からないがやたらと早歩きの歩調。
グェスは既に固く目を閉じるだけで抵抗する素振りすら見せなくなったが、受け入れたわけではない。
諦めざるを得なかったのだ。

「申し訳ありません……危害を加えるつもりはなかったのですが……。
 この場では誰が敵なのか分からなかったので一応拘束しただけです。安心してください」

落ちついた…いや、意図的に焦りを隠しているのだろうと読み取れる声がする。
危害を加えない。
今のグェスにとっては何よりも救いとなる一言に彼女は涙で濡れた瞳を開け、目の前にいる人物を見た。
眼球を覆う水分のせいでぼやけてしか見えないがどうやら相手は180センチほどの青年らしい。
グェスの全身から力が抜け、強張っていた筋肉が弛緩する。
簀巻きにされて半泣きのグェスをよそに青年―花京院典明―はタクシーへと乗り込み、
助手席にある絶対的な存在感を放つ金色のランプを拾い上げた。

「おい! それはあたしの支給品だぞ!」

相手が無害であると分かって安心したのか、グェスは唯一まともに動く場所の口を用いて抗議する。
花京院は顔を赤くして怒る彼女にあくまでも冷静そうに対応した。
396 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:31:07 ID:oXWDrgBb
「いえ、恐らくそれは偽者の支給品。僕はそれの正体に心当たりがあります。
 あなたもあのスタンドに何か言われたのでしょう?」
「………」

グェスは花京院の質問に答えようとしない。
確かに心当たりはある審判とかいうスタンドを通して荒木と会話したのは確かに事実だ。
だが、それを軽々しく言ってしまうわけにはいかない。
万が一青年の言ってることが正しいとしたらこの支給品らしきものは確実に自分を殺す。
しかし、相手が本物であれ偽者であれ荒木飛呂彦と会話していたという情報は絶対に漏らすべきではない。
殺し合いの主催から情報が貰える。
たとえ罠であれどもそれはどの参加者にとってもおいしすぎる甘い蜜。
話を聞いた青年が自分を殺してランプを奪う可能性はゼロではないのだ。
沈黙を保つグェスに気を悪くしたりすることはせずに花京院は話を続ける。

「言いたくない気持ちは僕にだって分かりますよ。
 “三つまで願い事を叶える”なんておいしすぎる提案を人には教えられないですからね。
 真相さえ知らなかったら僕だって同じ行動を取っていたでしょう」
「………」

あくまでも口を閉ざすグェス。
しかし、彼女の表情は花京院の言が真である事をありありと示していた。

「ですが……その願いを叶えるというのは嘘なのです……。
 いや、ある意味では真かもしれないですね…。
 ヤツの能力の前にして願いを言ったが最期――――」




「やあ、随分な物言いじゃないか花京院君」
397 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:34:47 ID:oXWDrgBb




花京院のディバッグから悪魔の声が響き渡る。
それはごく普通の中年男性の声。
最初の舞台で聞いた荒木飛呂彦の忌々しい声であった。
だが、花京院は荒木の声には一切耳を貸そうとはしない。

「偽者には黙っててもらおうか、審判のスタンド使いよ」
「失礼だなぁ。僕の事を信じてくれないのかい?」
「信じた物を突き落とすのが貴様のやり方だろう? この外道め」
「もう〜君は本当に頭が固いヤツだなぁ」
「何とでも言うがいい!」
「そうかい……」

花京院の脳裏にほくそ笑んだ荒木飛呂彦の顔が映しだされた。
特別懲罰房の一角を不気味な雰囲気が包み込む。

「じゃあ、君にも信じてもらえるように証拠を見せなきゃね」

何かがヤバイ!
五感全てと第六感が警鐘をけたたましく鳴らす。
咄嗟にグェスを拘束していたスタンドを解除、寸分の隙も見せずに再発現。
彼のスタンド―ハイエロファント・グリーン―は先程までの紐状の姿ではなく人型の姿を見せた。

「エメラルドスプラッシュ!」

高濃度のエネルギー体がハイエロファント・グリーンの掌から発せられて審判を襲うはずだった。
そう、はずだったのだ。

(意識が……遠く…なってい……くだ…と?)

ハイエロファントの攻撃が始まる前に荒木は何らかの攻撃を花京院に仕掛けていたようだ。。
少しずつ、まるで消しゴムで少しずつ消されているかのように彼の意識は白に塗りつぶされていく。
それでも必死にハイエロファントを動かし審判を攻撃しようとするも、姿を保つだけで精一杯。

(すまない…みん……な)

こうして彼の意識は完全に白に染まった。



☆  ★  ☆
398名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 12:37:28 ID:JRXW6k0f
支援って一人が複数回やってもいみあったっけ?
とりあえず支援
399 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:37:51 ID:oXWDrgBb

 

「おはよう二人共」

別段大きな声だったわけではない。
面と向かって対話するときに出すような調子の声であった。
なのに、花京院とグェスはその声によって同時に目覚める。
覚醒した直後のイマイチ働かない脳をフルに使って二人は考えた。
―――ここはどこだ?



純白の壁に囲まれた狭い部屋。
家具らしき物は机、椅子、棚の三つしか存在していない。
机の上はファイルや紙が多数置いてあるがなぜか雑多なイメージは感じさせなかった。
窓には淡い青色のカーテンがかけられており、外の様子を伺う事は一切出来ない。



その部屋の主が椅子に座ったまま首だけを二人のほうへと向ける。
意思が通じ合ってるかのごとく二人は同時に思い出した。
なぜ自分がこのような場所にいるかを。
椅子から立ち上がって二人と向き合った主催、荒木飛呂彦は最初に見たときと全く変わらない微笑を浮かべている。
底知れぬ本性を覆い隠す仮面のような笑みを。

「花京院君。これで僕が本物の荒木飛呂彦だと分かっただろう?」

悪戯の成功したようなしてやったりという顔で荒木は花京院を見た。

「いや! まだだ! 僕は貴様の能力の限界を知らない!
 もしかしたらこの部屋だって土で出来た紛い物の可能性だってあるじゃないか!?」

花京院の冷静さという物は完全にどこかへいってしまったようだ。
彼らしからぬ大声を上げ、唾を飛ばしながら必死で反論する。
冷や汗が彼の額や頬をダラダラと止まることなく流れていく。
彼の様子には流石の荒木も呆れてしまったようだ。
無駄毛の一本生えていない美しい指で花京院の首を指差した。

「この現象は審判の能力だけじゃ説明がつかないはずだけど?」

まさか!
自分の首筋へとゆっくりと手を近づけていく。
彼自身が確かめる前に正解は明らかとなった。

「おおお! 首輪がねぇぞ!」

狭い部屋に響き渡るグェスの歓声。
花京院は思い切って自分の手を首元へと持っていく。
やはりない!
普段ではあまり意識して触ることの無い部位ではあったが、本当に久しぶりに触った気がしてならない。

「ふふふ、いくら頭が固い君だってこれは認めるしかないでしょ?」
「どうやら…お前は正真正銘本物の荒木飛呂彦であるようだな……」
「分かってくれて嬉しいよ」

顔を下に背け俯く花京院と嬉しそうな荒木。
横槍を挟んだのはグェスの一言であった。
400 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:41:01 ID:oXWDrgBb

「で、荒木さんよ。あたしに言ってた願い事の件は有効なんだよな?」
「あぁ、そんな事もあったね」
「おい! ふざけんじゃねぇぞ!!」
「まぁまぁ落ち着いて聞いてくれよ。
 こうして僕と直接会話できるわけなんだしチャラにしてくれないかな?」

怒りに沸騰したグェスを相手にしても荒木は相変わらずだ。
ふと、荒木と花京院の目が合った。

ゾワッ

背中を巨大な舌で舐められたような強い嫌悪感が花京院を襲う。
なぜ気が付かなかったのだろうか?
部屋に呼ばれたときには焦燥と困惑に満ちていたのだろうか?

(こいつは違う……DIOとは…DIOとは違う!
 荒木にはDIOの持つ妖艶さは無い。だが、隠された何かがある!)

急に込み上げてきた吐き気に花京院は口を押さえ、壁に手をつく。
喉を胃酸が焼くのをハッキリと感じたが決して吐き出したりはしない。
やっとの思いで吐瀉物を胃袋へと押し戻し、激しく胸を上下させた。

「いきなりどうしたんだよ!?」

花京院ほど修羅場をくぐっていないグェスには目の前の男の危険さがあまり掴めていないようだ。
やばいスタンド能力を持ってはいるものの、本体はただのおっさん。
グェスには分からなかった。
目の前にいる男からあふれ出す邪悪が。
血の気を一切感じさせないほど顔を真っ青にして体を震わせる花京院の心中が。
目をうつろにし、歯をガチガチと鳴らす花京院をグェスは不安げに見つめた。
彼女が疑うのは荒木のスタンド能力。
それが花京院をおびえさせているのではないか? という勝手な推測をし、一人怯える。
恐怖に負けた花京院、ただ無口となるグェス。
そして、ニヤニヤと笑いながら二人の様子を観察する荒木。
狭い部屋にはただ、花京院の歯が互いに打ち付けあうことによって発生する音のみが響いていた――――。



☆  ★  ☆
401 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:42:55 ID:oXWDrgBb

「で、荒木さんよ。あたしに言ってた願い事の件は有効なんだよな?」
「あぁ、そんな事もあったね」
「おい! ふざけんじゃねぇぞ!!」
「まぁまぁ落ち着いて聞いてくれよ。
 こうして僕と直接会話できるわけなんだしチャラにしてくれないかな?」

怒りに沸騰したグェスを相手にしても荒木は相変わらずだ。
ふと、荒木と花京院の目が合った。

ゾワッ

背中を巨大な舌で舐められたような強い嫌悪感が花京院を襲う。
なぜ気が付かなかったのだろうか?
部屋に呼ばれたときには焦燥と困惑に満ちていたのだろうか?

(こいつは違う……DIOとは…DIOとは違う!
 荒木にはDIOの持つ妖艶さは無い。だが、隠された何かがある!)

急に込み上げてきた吐き気に花京院は口を押さえ、壁に手をつく。
喉を胃酸が焼くのをハッキリと感じたが決して吐き出したりはしない。
やっとの思いで吐瀉物を胃袋へと押し戻し、激しく胸を上下させた。

「いきなりどうしたんだよ!?」

花京院ほど修羅場をくぐっていないグェスには目の前の男の危険さがあまり掴めていないようだ。
やばいスタンド能力を持ってはいるものの、本体はただのおっさん。
グェスには分からなかった。
目の前にいる男からあふれ出す邪悪が。
血の気を一切感じさせないほど顔を真っ青にして体を震わせる花京院の心中が。
目をうつろにし、歯をガチガチと鳴らす花京院をグェスは不安げに見つめた。
彼女が疑うのは荒木のスタンド能力。
それが花京院をおびえさせているのではないか? という勝手な推測をし、一人怯える。
恐怖に負けた花京院、ただ無口となるグェス。
そして、ニヤニヤと笑いながら二人の様子を観察する荒木。
狭い部屋にはただ、花京院の歯が互いに打ち付けあうことによって発生する音のみが響いていた――――。



☆  ★  ☆
402 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 12:45:15 ID:oXWDrgBb



わずかな輝きすらも見せない暗闇の中を僕は一人漂っていた。
これは僕の恐怖心と絶望が生み出した幻影。
本当の自分が荒木の前にいるということは理解している。
だけど、あまりにも強大すぎる邪悪に耐えかえ僕の意識があそこにいることを拒んだんだ……。

負けた

一滴の血も流さずに、一箇所の負傷もなしに
ただヤツの目を見ただけで僕の心は敗北を認めてしまっていたんだ。
情けないとは思う。
だけど体は僕の支配下から完全に逃れていた。
とても喉が渇く。
水が……水が今すぐ飲みたい。

『ゲロを吐くぐらいこわがらなくてもいいじゃあないか…
 安心しろ…安心しろよ花京院』

あの時のDIOの言葉が空間を満たし、何度も何度も反響していく。

「やめろ! 僕は二度と屈したりはしないんだ!」

必死に“外側”からの声を拒む僕を“内側”からの声が犯そうとやってくる。

『本当かい? 花京院典明。
君は荒木に屈したからこんな姿になっちまったんだろ?』

「黙れ!」

『黙る? 君は僕なんだぜ?
 本心から黙らせたかったら今頃僕は貝よりもに無口になってるはずさ』

「ハイエロファントグリーン!!」

この狂った空間を破壊する為に自分のスタンド名を叫んだ。
……しかし、幼き頃から傍にいた緑色の友人は僕の下へ現れない。

「なぜ……なぜ出ないんだハイエロファント!」

僕は両膝を闇へと落とし、呆然と呟いた。

『残念だったな。
 スタンドは精神の力。今のお前にスタンドを仕えるだけの力は残っていない。
 今、ハイエロファントを使役してるのは―――』

やめろ! やめてくれ! 結論だけは言わないでくれ!!





『僕だ』
403名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 12:46:04 ID:JRXW6k0f
支援
404 ◆xrS1C1q/DM :2008/11/04(火) 13:08:42 ID:JRXW6k0f
すみません…さるさん喰らいました……
したらばの仮投下スレに投下したので誰か代理投下お願いしますm(__)m
405名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 13:43:29 ID:9fCFbpjF
テレビ朝日「TVタックル」でのビートたけしの発言(11月3日)
「みんな、国民はいらついてるよ〜ほんとにねえ・・選挙やったほうがいいと思うんだけどな〜」

国民の良心ビートたけしも早期解散しない麻生にあきれている!!!!!
今、いらいらしない奴って空気よめてね〜〜〜
さぁみんなーーー国民の良心ビートたけしに続けーーーーーーーーーーーーーーーー
草の根から早期解散を求める怒りの声をもっとあげるんだ〜!!ウォーーーーーーーーー!!!!!!

406◇xrS1C1q/DM 氏の代理投下:2008/11/04(火) 20:19:48 ID:MGhliwqv
やめろやめろやめろヤめろやメロやメろヤメろヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ

「どうしたんだい花京院君? かなり顔色が悪いみたいだよ?」

なんだ? この声は
頼むから僕のことはほっといてくれ。

「ふふ、今の君の姿を空条承太郎君が見たらどう言うだろうね?」
「空条!? 空条だとっ!?」

あぁ……うるさい! うるさい!! うるさいッ!!!
少しくらいは静かにしてくれないのだろうか?
それに承太郎達は別に関係ないだろ!

「おや? 知らなかったのかい? 空条徐倫の父親の名前だよ」

そうか。やはり徐倫とやらは承太郎の娘だったのか。
でも……もうそんな事はどうでもいい。
いや、僕にとっては全ての事がどうでもいいのだろう。
だけど……僕はまだ死にたくいない。
僕はどうしたらいいんだ? 誰でもいいから教えてくれ!!

「君が思っていることを言い当てよう花京院君。
 『自分はどうすればいいのか?』君の顔がそう言ってるよ」

その通りだよ。僕は何をすればいいんだい?
君が教えてくれるのか?

「簡単さ、参加者達を皆殺しにすればいいんだよ」
「…………殺……す………?」
「うん。ほら、ここに丁度いい生贄がいるだろ?
 君のスタンド、ハイエロファントグリーンで彼女を殺すのさ」
「え? うっ、嘘だろ!? ちょっと待てよ!!
 聞いてねぇぞそんな話!! おい! おい! おい!」
「グェス君、殺されたくなければ逆に殺せばいいんだよ。簡単だろ?」

景色が元に戻った。
さっきまでは出てこなかったハイエロファントも今回はちゃんと発現してくれた。
そうか、僕は目の前にいる彼女を殺せばいいのか。

ちくり

何だろう? 心が刺されたように痛い。
まぁいいか……まずは目の前にいる女を殺し、他の参加者も皆殺しにして元の世界に帰るだけだ。
ハイエロファントの両手を合わせて発射体制に入った。
エネルギーが掌へと集中していく。
エメラルドスプラッシュを当てたら生身の女など簡単に死ぬ―――



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜わかんねぇ」


      ズキン
407◇xrS1C1q/DM 氏の代理投下:2008/11/04(火) 20:21:08 ID:MGhliwqv
今度ははっきりと胸が痛んだ。
頭に男の低い声が響き渡る。

「〜〜〜〜〜助けた?」

間違いない。これは僕の声だ。
そして、さっきと全く変わらない返事が返ってくる。

「〜〜〜〜〜俺にもよくわかんねぇ」

あれ? たしかこんなやり取りをどっかでした気がする?
確かあの時の会話は―――――――



「なぜ…自分の命の危険を冒してまで僕を助けた?」
「さぁ、そこんとこだが俺にもよくわかんねぇ」


おモイダシたゾ。ジョウ太ろウトのデ会いのトキダ。
カレは。カレヲ殺そウトしたボクを助けてクレタンだ。
自身ガ肉ノ芽ニ犯サレルりすくヲ乗リ越エテ。
ソウダ……そうだよな承太郎。
ここで僕が殺し合いに乗ったら君を裏切ることになってしまう。
いや、彼だけではない。

アブドゥル、ジョースターさん、ポルナレフ

できたんだ! こんな僕にもできたんだ!!
おかしな事じゃないか!
直接言ったりはしないが確かに心は繋がっていたぞ!
初めてできたんだ! 心の底から友と呼べる存在が!


ハイエロファントの掌が日に透けた葉の緑色に輝きだす。


「エメラルドスプラッシュ!!」

僕の相棒の自慢の技。
自分の影が言っていた通り、スタンド能力は精神力に依るところが大きい。
ならば今回のエメラルドスプラッシュは威力、量ともに最高のものが出せるだろう。
狙いは当然荒木飛呂彦!



★  ☆  ★
408名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 20:21:44 ID:5SUFN205
支援
409◇xrS1C1q/DM 氏の代理投下:2008/11/04(火) 20:22:16 ID:MGhliwqv
「……なぜ僕を殺さなかった?」
「僕の機嫌が良かったからさ。ゲームが面白くて面白くて仕方ないんだよ」

沈黙の後に交わされた会話。
部屋は花京院が叫んだときと埃一つ分の変化も見せずに存在していた。
エメラルドスプラッシュを、それも生涯最高だと使い手が自負するものを喰らったら鋼鉄製の部屋であっても原型を留めるかは怪しい。
ならば何故木製の家具には傷一つ付かなかったのだろうか?
答えは単純。
初めからエメラルドスプラッシュは発射されなかったのだ。

(なぜだ?)

花京院は思考を始める。
エメラルドスプラッシュ発射前の荒木の行動。
つまり、彼のスタンド能力のことについてだ。

(エメラルドスプラッシュは発動したはずだ。
 いつも通りエネルギーが集まるのも確かに感じた……)

やつの能力は何だ?
勝てない相手に向かって無駄死にするよりは、惨めに生き延びるとしても荒木の能力を突き止めて後に託すべきだろう。
花京院はそう判断して、攻撃の手を止めて思考に入った。

チラリ

ふと、隣に蹲るグェスのことを見た。
雨の日に外へ放置された捨て犬のように震えている。
口元は忙しく動き、何かを言っているのは分かったが内容までは聞き取ることが出来なかった。


彼の心が激しく締め付けられる。
罪悪感が重くのしかかり、思考を妨げようとするが花京院はあえてそれを振り切った。

(ヤツの能力はスタンドや物質を消し去る能力だろうか?
 いや、時代別に参加者が集められているならば消し去るだけでは説明がつかない。
 ならば物質を別の時間、別の場所へと飛ばす力か?
 それともヤツには協力者がいて複数の能力を駆使してこの殺し合いを開催している?
 大体、僕の仮説があってるかすら分からないんだ……)

分からないことが多すぎて考察することすらままならない。
だが、花京院はそこで諦めるわけにはいかなかった。


(簡単な答えだ。情報が欲しければ目の前にいるアイツに聞けばいい。
 荒木飛呂彦! たとえ欠片であっても貴様の能力の秘密をあばいてみせよう!
 僕の……僕の命に代えてもだ!)


一人決意を固めた花京院。
大きな深呼吸を一回。酸素とともに覚悟を補充する。
これから持ちかける提案は文字通り“いのちがけ”のもの。
花京院は発した。自身の全てを懸けた一言を。
410◇xrS1C1q/DM 氏の代理投下:2008/11/04(火) 20:23:35 ID:MGhliwqv
「荒木飛呂彦。僕と賭けをしてくれないか?」
「僕は構わないよ。でも賭けにはチップが必要だよね?
 お互いに何を賭けるのかハッキリ言ってくれないかな?
 後、ゲームの種類も教えてね」
荒木は楽しくて仕方が無いのだろう。
さっきよりも遥かに口角が高く吊り上がっていた。
「手早く済ませたいから種目はじゃんけんにしよう。
 純粋な運試しだ。スタンドで先読みやイカサマしたりすることが無いただの運試し。
 お前に賭けてもらいたいのは一つの質問に答える権利。
 僕が何を賭けるかは……お前に任せよう」
言った直後、荒木の目が明らかに細まった。
再び押し寄せる寒気に支配されそうになるが、今度は意思の力で荒木の視線を押し返す。
「よし、僕が勝ったら君には時報になってもらうとするよ。
 記念すべき第一放送ののろしさ。どうだい?」
「言ったじゃないか、どんな条件だって飲むって」
「グッド! 面白い賭けになりそうだね。あっ、ただ一つだけ条件は付けさせてもらうよ。
 君が勝ったとしても答えられない質問だってある。
 僕のスタンド能力。この場所へと来る為の方法。首輪の解除法の三つだ
 嫌だといったら僕は降りなくちゃいけなくなるんだけどいいかい?」
あくまでもこの賭けに乗ったのは荒木の気まぐれだという事を花京院は分かっている。
だから、こちらは限界まで譲歩しなければならない。
直接聞けないのは歯がゆいが全く情報無しよりは遥かにマシだ。
「では始めるとしよう」
花京院が右手を腰の辺りまで下ろす。
対する荒木は右手を正面に突き出して、そのまま空中に保つ。
「じゃん」
自分は何を出すか花京院は少し迷った。
承太郎の拳、剣を握るポルナレフのグー。
茨を出すジョセフ、アブドゥルがCFHを発射するときのパー。
もしくは間を取ったチョキ。
自分の命を賭けた究極の三択。
「けん」
答えは決まった。
拳を少し上げて再び腰辺りまで下ろす。
次の言葉を言えば自分の運命は決まる。
荒木は相変わらず右手を前に突き出したままグーの形を取り続けていた。
花京院は裏や裏の裏をかいたりすることは諦めている。
先程決めた自分の選択を信じるだけだ。

「ほい!」

花京院は勢いよく右手を前に突き出していく。
命を乗せた拳を。
五指が全て曲げられた状態から人差し指と中指が伸ばされてゆく。
彼の出した答えはチョキ。
仲間のどちらかを選ぶ事など彼には出来なかったのだ。
花京院は荒木の選択を見届けた後に、視線を荒木の顔へと動かす。
さっきと全く変わらない笑みを浮かべていた。
荒木の口がゆっくりと動きだす――――
411◇xrS1C1q/DM 氏の代理投下:2008/11/04(火) 20:24:08 ID:MGhliwqv
【F-5特別懲罰房の外壁/1日目/早朝】
【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:かなり混乱
【装備】:なし
【道具】:支給品一式
【思考・状況】
1.??????
2.とにかく生き残りたい
3.ゲームに勝つ自信はない
4.徐倫には会いたくない
5. ヴァニラやばい。ヴァニラやばい。
【備考】
グェスは、エルメェスや他の刑務所関係者は顔見知り程度だと思っています。
空条承太郎が空条徐倫の父親であると知りました


※グェスの支給品は2つでした。
※タクシーはエメラルドスプラッシュで大破しました、動くかどうかは後の書き手様にお任せします
※ランプの所在は不明です。もしかしたら荒木が回収したかもしれません
412◇xrS1C1q/DM 氏の代理投下:2008/11/04(火) 20:24:35 ID:MGhliwqv
【花京院典明】
【時間軸】:ゲブ神に目を切られる直前(目、顔に傷なし。恐怖を乗り越えていない)
【状態】:とても喉が渇いている。周囲を警戒。恐怖を乗り越えた?
【装備】:なし
【道具】:ジョナサンのハンカチ(ジョナサンの名前入り)、ジョジョロワトランプ、支給品一式。
【思考・状況】
1.自分の得た情報を信頼できる人物に話す。(承太郎、ジョセフ、アヴドゥルが望ましい)
2.仲間と合流しなければ…
3.安心して飲める水が欲しい。
4.荒木の能力を推測する


※水のスタンド(=ゲブ神)の本体がンドゥールだとは知りません(顔も知りません)
※ハンカチに書いてあるジョナサンの名前に気づきました。
※水や食料、肌に直接触れるものを警戒しています。
※4部のキャラ全員(トニオさん含む)を承太郎の知り合いではないかと推測しました。
※1で挙げている人物は花京院が100%信頼できて尚かつ聡明だと判断した人物です。
 決してポルナレフやイギーが信頼出来ないという訳ではありません。
※荒木から直接情報を得ました
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
413名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 20:34:03 ID:MGhliwqv
すみません、>>410>>411の間が抜けてましたorz
申し訳ない…

「ちぇっ、僕の負けか」
荒木の右手は全ての指が開かれた状態。いわゆるパーであった。
拗ねた子供のような声を出す荒木。
彼の様子からは先刻見せた邪悪さは微塵も感じ取れない。

「確かに僕の勝ちのようだな」
感情を出さないのか出せないのかは分からないが、非常に淡々と花京院は言った。
「賭けは公正な物だったしね。仕方ない、君の質問に答えよう」
流石に不機嫌さを引きずるつもりは無いらしい。
あっさりと元の微笑へと戻った荒木が問いかける。
「じゃあ遠慮なく聞かせてもらおう。貴様に協力者はいるのか?」
「ん〜確かにこのゲームには沢山の協力者はいるね。
 ただ、皆脅して使ってる連中だから同盟関係にあるわけじゃないけど。
 ちなみに支給品が入ってる紙を生み出すスタンド使い以外は皆支給品として使わせてもらってるよ」
「下種め」
ありったけの憎しみを込めて花京院は毒づいた。
本当ならば今すぐにでも荒木と戦いたい。
しかし、さっきも感じたとおり今の自分では100%勝ち目はないだろう。
だから彼は耐えるのだ。
後へ続く仲間たちへ情報を渡す為に――――
本当に僕がするべきだったのはこの質問だったのか?
ふと、彼の心に湧き上がってきた疑問。
今までの影とは違う。彼の心には既に影の存在は無い。
僕は焦りすぎてて真にすべき質問を出来なかったのではないか?
苛む声に焦燥感を募らせていく花京院。
だが、一度聞いたことを撤回することなどは出来ない。
自責の念に駆られながらも花京院は荒木へ伝えようとする。

『ならば実質の運営はお前一人でやってるのだな?』

花京院の唇が言葉を紡ぐために動こうとしたが、それは叶わない。
此処へ連れて来られた時と同様の意識が侵食されていく感覚。
「グッバイ花京院君。また会えることを願っているよ」

荒木の言葉を最後に、花京院の世界は――――――――消えた。
414名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 20:41:19 ID:MGhliwqv
代理投下完了しました。
また何か不手際がありましたらご連絡ください。
本当にすみません……orz

◆xrS1C1q/DM 氏、投下乙ッ!!そして体にお気をつけて…海外で更に体調を崩すよう無いことを祈ってます。
まず最初に 荒木自重www
なんてフリーダムな主催者だ…間違いなく1stと同じように参加者になるな、これはww
スタンド能力もいまだわかんないし、これは荒木が今暑いッ!

花京院典明復活ッ!!花京院典明復活ッ!!……花京院典明…復活!?
疑心暗鬼は晴れたとはいえ、未だ迷走の可能性は大だな、こりゃ……
ジョジョキャラは基本根底に貫き通す信念があるから、ちょっとした誤解で盛大なことになりそうだ…

最期に、俺の嫁、グェスにあんなマニアックなプレイをした花京院…GJ!
415名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 21:33:47 ID:+V1htV13
投下&代理投下乙です
途中花京院がゲームに乗るかと思ったが見事に持ち直したな・・・
承太郎との会話を思い出すシーンは胸が熱くなったわ
416名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/04(火) 21:42:57 ID:oObJ410R
投下乙
花京院、男を見せた!ここまで立ち直ったこいつはいかすぜ
そしてまだ荒木ww今回もやらかしそうだなあw
417名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 00:02:41 ID:QzYQpvCp
あwwwwwらwwwwwwきwwwwwwwwwwwww
いや一応即殺じゃないだけ大人になってるけどもwww
相変わらずジョジョロワの名物キャラだなああのおっさんwww

そして花京院覚醒ktkr
問題はグェスとこのあとどうなるかだよなあ
すんなりいけるか怪しいし

それと体調の回復を祈ってます
目を治して駆け付けた花京院のように、大事な場面で戻ってきてくれると信じてるぜ!
418名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 08:59:34 ID:kPbdoZue
1stと違って捻た荒木だし、わざわざ初代とは別の方法で参加しそうだな。
419名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 16:24:18 ID:m+fciCwk
正直グェス触手プレイのところでハァハァハァウッ

……ふぅ
420名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 17:32:28 ID:dAC2J15N
よかった、グェスの触手んところで軽くおっきおっきしたのは俺だけじゃなかったんだ、あぁよかった
421名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 20:06:16 ID:QzYQpvCp
      Y^´       ∨// /,∠ ,. ' /l/// /, ' , '/ ! | l }´     〈
       〉    変  〈/ , ' // ̄`>< /// /// _,.=‐|'"´l l〈  変  /
        〈    態.   ∨, '/l|   ,.'-‐、`//`7/  /''"´__ | ハ l丿  態   {
     人)   ! !   (/!  |ヽ〈_ ・.ノ〃  〃 /  '/⌒ヾ.! ,' !く   ! !  (_
 ト、__/   ヽ、_,.イ    /l l |:::::::```/:::::/...´..   //´。ヽ }! ,'  !! )     /
ト'    亦   ,イ⌒ヽ/   !l l ! l し   J ::::::::::::::::::::``‐-</ /  ,'、`Y´Τ`Y
l      夂   (ハ ヽ l i   ! l ', !   , -―-、_   ′::::::::::::: //! Λ ヽ、ヽl
ヽ          〉,\ ! i   ',.l `、'、/_,. ―- 、_``ヽ、  ι  〃,'/! ヽ、\ ヽ、
 !     能   // ,' lヽ! ii  ',l  ∨\'⌒ヽー-、 `ヽ、!   / ハ ノヽ._人_从_,. \
 |    心   { / ,' ' ,! ll  l`、 { ヽ' \     ヽ  '  '´   Λ ',}      ( \
.丿         ∨ // ,',! l l  l ヽ`、 \  \   ∨   し /! ∨  変   ,ゝ、
∧     / /   ヾノ //l l l  l、_ヽ\ \   ヽ , '   ,.イ |ノ    態   (ヽ
/ノ__  ゚ ゚  (⌒`〃'j | l  l   l `ヽ `ヽ、.ヽ _,.}'′ ,.イl {  | ヽ   ! !   ,ゝ\
/ /`Y⌒ヽ/⌒ 〃 ノ | l   l   l   } ヽ、._ } ノ,.イ l | ! !  |  )_
422名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 17:56:15 ID:TvsJX0wQ
◆xrS1C1q/DM氏、投下GJ!
花京院と荒木の手に汗握るじゃんけんがグッドッ!!

読んでてすごくwktkしちゃったぜ!!
こんな熱いバトルを投下してくれてありがとう〜〜〜!!
423名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 19:14:53 ID:/AcDlUce
グッチョの死亡者名鑑用のAA探そうかなと思ってたのは内緒。
424名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/06(木) 20:42:59 ID:RIh+HFPj
グッチョは参加してないぞww
425創る名無しに見る名無し:2008/11/09(日) 22:33:44 ID:P5jWGqhK
予約キター!たぶんまた誰か死ぬなw
426創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 09:58:50 ID:aEqpil0Z
ツェペリ組VSサンドマン(?)の予約来てるwww
wktk
427創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 20:13:45 ID:w9UKSqNz
読み手側からの提案
作者さんに色々質問してみたいんで、チャットを開催してみたいんですハイ
自分(特にただの読専)が勝手に決めるのも微妙なのでみなさんの意見を聞きたいのですがどうでしょう?
428創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:01:45 ID:i+k0H517
終盤にどうせやるんだけどNe!
俺、就活終わったら書き手復帰するんだ。
429創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 21:44:19 ID:IhCMSpM6
ニートフラグktkr
430創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:06:34 ID:Zo3ei0jo
>>428
十年後、そこには作家として執筆する元気な428の姿が!

まぁ、それは置いといてチャットについてだが正直自分も興味ある
だけどこんな早期にやってメリットはあるんだろうか…?
他ロワでよく聞くのが早い段階でやってもあんまり意味が無いし、展開が縛られるっていうのもあるとかないとか
それに書き手同士互いのお気に入りキャラがわかって殺しにくくなったりも…
どっちみち書き手だけでやったほうが…?
てより読み手からしたらネタバレ全開のものになりかねんし
431創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:12:05 ID:Aj26jMRA
来年になれば428は就活が終わり復活する、俺は受験でリタイヤする
つまりバトンタッチの形になるな……
432創る名無しに見る名無し:2008/11/11(火) 22:54:09 ID:6gJvslWF
むしろ名無しのまま「小説書くとき気を付けてること」についての話やロワ雑談、ジョジョトークをしたいなあと思ったり
書き手でも木端だと入りにくかったりするんだぜ・・・
433 ◆wKs3a28q6Q :2008/11/12(水) 01:44:34 ID:j3nU15pJ
いくらなんでもそろそろ孤立しすぎだろ……ということでアレッシーを投下させていただきます
繋ぎもいいとこなんで恐ろしく短いですが
434然るD-02鉄塔アレッシー警報! ◆wKs3a28q6Q :2008/11/12(水) 01:48:07 ID:j3nU15pJ
う……ん……
何だあ……? 何かやたらとでけえ音が……
って痛えええーーーーッ!
ひぃーーーッ、どうなってんだ、体が痛い〜〜ッ!
足が! 腕が、背中がァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!
い、一体どうなってやがるんだああーーー!?

……はッ! この首に感じるひんやりとした感触は……
お、思いだしたぞ!
俺は殺し合いなんてもんに巻き込まれて、マシンガンを持った女にぶちのめされたんだ!
チクショウ、あの女〜〜〜ッ!
思いだしたら腹が立って来たぜえ〜〜〜!
次に会ったらメッタメタに痛めつけて殺してやるゥ〜〜〜〜ッ!

それにしても……あの女、俺を殺さずに行くとはな……
くくく、全然えらくないと思ったが、そこに関してだけはえらいねェーー。
だが……木刀は持っていかれちまったみたいだな……
やっぱり全然えらくねエェェェ〜〜〜〜!!
何故かカップ麺を置いていってやがるし……何のつもりだ?
まさか、爆弾とかじゃねえだろうな……

……いや、それはないな。
どうやら1時間以上眠っちまったみてえだしよお〜〜、爆発するのがそんなに遅い爆弾は置いてかねえだろ。
早めに目を覚ましたらこの俺が有効活用しちまうんだからなあ〜〜。
だとすると一番可能性が高いのは毒だな。
殺し合いの場で配られたのがただのカップ麺ってことはないだろうしよォ。
まあ、“善良な大人”だったあの女が毒に気付いてやったのかまでは分からねーが。
とにかくこいつは貰っておくとするぜ……
木刀を取られちまった今、貴重な武器だからな……
上手く立ち回れば、こいつでジョースターの連中をぶっ殺す事も出来る!
俺ってえらいねエ〜〜〜!

……とと?
何だ、立ち上がろうとしたら目まいがしやがった……
クソッ、散々殴られたせいで貧血にでもなっちまったか!?
チクショウ、だんだん腹が立ってきた……猛烈に弱い者いじめがしたいイイイ!!
出来ればミスタとマシンガン女に報復してやりたいが……今の状態じゃ返り討ちに遭うのが関の山だ。
卑怯な手を使って不意を打てる時以外は関わらない方が賢明だろうな。
もしくは強力な武器が手に入った時か……
いずれにせよ今はやめておこう、何せ残ったのは毒を除けば使い道のなさそうなこいつらだけ……

「……って、なんだあ?」

思わず声に出してしまった。
木刀の他にも取られたものがないか確認するため、デイパックの中身を確認したんだが……、
支給された『携帯電話』がピカピカと光りを発していやがる。
開いてみると、そこには『着信アリ』の文字が。
更にボタンを押すと『1秒間着信』との表示がされた。
435然るD-02鉄塔アレッシー警報! ◆wKs3a28q6Q :2008/11/12(水) 01:55:55 ID:j3nU15pJ
……どこの誰だか知らねーが、やっぱり他にも電話を持ってる奴がいるのか……
1秒だけってあたり、さっきのマシンガン女のような“簡単に人を信じる超善人”ってわけじゃなさそうだな。
だが――これは使える!
少なくともこれをかけてきた奴は参加者に接触しようとしているはずだ。
俺の目的は殺し合いに乗ることじゃねえからな……ここらで仲間を作っておくのも悪くない。
殺人鬼の罠って可能性もあるが……それは大した問題じゃあないぜ。

“相手がどんな奴でもいいように、俺は二重の策を取る”ッ!

まず適当な奴と遭遇して同盟を結ぶ。
即効いじめてやりたいとこだが、そこはグッと堪えてまずは手を組む(我慢強い俺ってえらいねー)
それから携帯の話題を切り出し、上手いこと言ってそいつに電話をかけさせる!
当然スタンド能力までは電話をかけさせる奴に教えないから、俺の情報は電話の相手には漏れようがない!
上手く行けば善人と会える。そうすれば身の安全は保障される、少なくとも今よりはな……
それにルール的にも数が物を言うだろうしなあ〜〜。
最期の一人になりたがる奴は単独行動だろうしよぉぉ〜〜〜。
弱い者いじめは身の安全を確保してからゆっくりこっそりやればいい。
見えない所で行動を起こすのは得意分野だからな……
もし電話の相手が殺人鬼だった場合、もちろん合流など図らない。
電話を切り、それから電話をかけさせた奴を子供にしていじめ抜く!
それでスッキリしてから改めて今後どうするかを考えればいい。
どっちにしろ、今の状況から悪化する可能性はほぼ0!
完璧だ! 完璧な作戦だッ!
俺ってえらいねェェーーーーッ!

そうとなればまずは適当な奴を探す必要があるわけだが……
それももうどうするか決めてある。
くくく……出会った相手が五体満足の殺人鬼だと、ヘタすりゃこっちが死んじまうからな……
「確か爆音はあっちからしたよなあああ〜〜〜〜〜〜」
先程目覚ましとなった爆音――あれの爆心地、そこに行くッ!
あれだけ目立ったんだ、知人を探したりで人が集まるだろうよ。
まあ無力でいじめ甲斐がありそうな奴はそこから離れちまうだろうが、それでもある程度の数の“善人”と殺人鬼が集まってくることだろう。
そして、奴らは大規模な戦闘をおっぱじめてくれるはずだ。
その戦いのあとに残るのは、おそらく満身創痍の殺人鬼(いじめやすそうだぜ、ククク)か数人の“善人”(おそらく全員無傷では済まねえだろうな)だ。
全てが終わった後、その生き残ってる奴と接触する!
それなら戦闘になってもミスタの時のように不覚を取ることはない!
子供にして、しっかりいじめまくってやるぜェェェ〜〜〜!
相手に戦闘する気がなかったら予定通り携帯電話を使わせればいいだけの話だしなあ〜〜〜!
ククク、漁夫の利ってやつだ。それも大きな大きな利だぜ、ハハフフフ。
ほぉんと、

「俺ってえらいねぇ〜〜〜〜」



【C-2/1日目 黎明】
【アレッシー】
[スタンド]:『セト神』
[時間軸]:不明
[状態]:顔面に殴られた痕(ミスタからとエリナからの分)、背中に刺された傷(浅い)、地面を転がり蹴られたのでドロドロ、
片腕に少女エリナの歯型、足のつま先に痛み、顔中鼻血の跡、貧血気味。
[装備]:なし(※木刀はエリナに没収されました)
[道具]:カップラーメン(アレッシーは毒入りだと勘違いしています)、携帯電話、不明支給品×1、支給品一式。
[思考・状況]
1.ゲームに乗るつもりは今のところないが、明らかに自分よりも弱い奴がいたら虐めてスカッとしたい
2.隕石の落下現場で漁夫の利をゲットする!俺ってえらいねェーー!
3.上手く不意を突ける機会があればミスタとエリナに報復する
[備考]
セト神の持続力が弱体化しているようです。アレッシーが気絶しなくても、アレッシーに何らかの異常があれば子供化は解除されるようです。
436 ◆wKs3a28q6Q :2008/11/12(水) 01:58:13 ID:j3nU15pJ
えー、短いですが異常です
場所も若干離れてますし、アレッシーが鉄塔のバトルに間に合うかは分かりませんということで、あちらに向かわせました
問題点がありましたら遠慮なく指摘して下さい
437創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 03:11:12 ID:x3Yw3CIw
投下乙です。正直な感想を言うと…

アレッシーって参戦してたんだ?w
438創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 06:40:35 ID:1zjIMvvn
投下乙。うまいこと携帯に関して解消(まだ1台分だけど)したあたりはいいと思う。
そしてゲリラ投下!?と思ったら予約してましたね。失礼。
まぁどっちにしても若干ペースがゆっくりになってきたから問題にはならないかなと思います。
439創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 22:56:52 ID:07TWs6HT
投下乙!
ナチュラルに外道なアレッシーが素敵すぎるぜ!
さて、ここで一番重要なことが一つだけある……
「エシディシにセト神は効くのか?」
ショタ時代ACDCというマニアックな萌えに何人が着いて来れるか心配だぜwww


p.s 結局チャットはどうするの?
   @書き手のみ
   A混合
   Bやらない

このままだと答えB!答えB!って展開になりそうなんだけど?
440創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 23:23:05 ID:pI8MbdvG
投下乙!
相変わらず氏が書くキャラは再現度が高いぜ…
鉄塔組みにどうアレッシーが絡んでくるか、正直な話ガチで戦ったら誰にでも敵わない気がするぜ
しっかりと携帯電話のフラグも回収する辺りは…えらいねぇ〜〜〜〜

>>439
現実は非常である 答え B…
441創る名無しに見る名無し:2008/11/12(水) 23:52:40 ID:j3nU15pJ
ひ…ひと思いに1で…やってくれ
に…2?
ノーコメントですかあああ〜
もしかしてチャット案自然消滅ですかーッ!?


多分こうなると予想せざるを得ない
442創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 08:46:46 ID:4UMVJ9YF
報告ー
wikiでかなりの数のリンク切れが確認されましたー
それらは全部「次へ」の部分です
前の話へのリンクは貼るけど、前の話から更新した話へのリンクを忘れる人が多いみたい
自分が編集した時も忘れてた形跡があるので強くは言えないんですけど、次からその辺意識して更新した方がいいかなと思います

443創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 09:04:14 ID:Wr104Yb/
ACDCには効くハズ。
ただし、それこそ何ヶ月かかかるけど。
444創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 12:26:29 ID:pp31cbP4
まったく効かないグレイトフルデッドよりは救いがあるなw
445創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 17:07:23 ID:DhCjO+mz
原作を見るに、2〜3秒で20年くらいは戻せるようだ。
エシディシはカーズとタメ口で年齢もそう変わらないだろうと考えて約10万歳とすると…
がんばれアレッシー、3〜4時間ほど影を踏ませ続ければ君の勝ちだ
446創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 18:53:24 ID:PepP/QKm
3〜4時間と仮定するなら同行者に上手くなれれば有り得ない話ではないな
447創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 18:57:40 ID:4UMVJ9YF
気付かれないって条件が厳しそうではあるが、それ以上に承るみたく「ショタでも強い」な可能性があることが厄介だなw
がんばれアレッシー・・・
448創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 18:58:26 ID:R3MpxW/6
一瞬で24のポルナレフが6歳児になっちまったなそういえば。
あとカーズは柱で1万年以上眠ってた+ワムウの10倍生きてるってセリフがあったはずだから
そのくらいになるね。ワムウハ一万歳くらいしかないから10分で何とかなるかもしれん。
449創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 23:50:48 ID:BCMp6ZZT
>>442
編集お疲れ様でした
次からは俺も気をつけるぜ…

鉄塔はほんと先が読めんな…前回生還者のジンクスといい目が離せないぜ
結果的に流れ星で集まった参加者はアレッシー含んで6人だけか?
450創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 22:08:21 ID:mzaHchk0
ほっしゅ
451創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 22:12:50 ID:aNEL/2Tj
保守は止めろ。
レスの無駄、他力本願、不快感を煽るだけ。
むかつくからやめろ
452創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 23:28:50 ID:SGNRkm5b
何と戦っているんだ
453創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 16:13:42 ID:WV5LLjJg
保守するのはやめろって事だろ。
そういう言い方は余計煽るぞ
454 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/18(火) 23:00:05 ID:M2V5jG29
一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
特に今回は色々と踏み込んだ話なので書き手の方は特に一度目を通して下さい。
なにかありましたら一言よろしくお願いします。
455創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 20:46:14 ID:5lpO627z
まぁ…いんじゃない?
でも、爆弾で柱の男って死ぬのか?
サンタナは頭もバラバラで生きてなかった?

そもそも吸血鬼ってヴァニラさんしか残ってないんだよねぇ。
456創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 23:29:41 ID:+LyoJQMi
そういえば看守VS露伴のときの隕石は目撃者いないのか?
鉄塔だけに人が集まるのは不自然だと思うが…
457創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 10:56:37 ID:KpXFYIKg
>>455
頭含め全身が爆発で吹ッ飛んで平気でも、さすがに内側から爆発したら死ぬ…と思う。
DIOもポルナレフに頭掻き回されたら死ぬみたいなこと言ってたし
458創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 17:16:11 ID:+ngxplvU
>>455
というかそれで死ななきゃロワとして成立できない気が
それに首輪を狙うことで実力差がある奴でもチャンスがあるわけで
459創る名無しに見る名無し:2008/11/20(木) 20:57:02 ID:sFlbQFyR
ドモン!で終了
胃もたれもおこさん。まあ昼間はほぼ行動不可でなおかつ太陽の下にさらせば終わりなんだし
別に正攻法で死ななくても問題ないと思う。どうハメ込むかでしょ
460 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/24(月) 00:10:38 ID:aQN1QdN1
遅くなりましたが カーズ、ワムウ 投下します。
461創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:13:51 ID:M3avPj1U
おおきた!そしてジョジョロワスナイプ成功おめでとう!
462 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/24(月) 00:13:57 ID:aQN1QdN1
親しいと言ったら親しいのだろう。なにせもう何千年、何万年供に生き、同じ目標を掲げ、同族なんぞはもう彼らを含めもう四人しか残ってないのだから。
仲間とも家族とも師弟とも違う。身分というものがある以上、彼ら二人の関係は極めて形容にしにくいものになっていた。
あえて言うならば、主従関係とでも言えば相応しいのだろうか。その関係を映し出すように二人の間には微妙な距離と空気が流れていた。
一種の緊張感、安堵感が入り混じったなんとも奇妙な。
それ故に、ワムウは先を行くカーズに決して自分から声をかけるようなことはしなかった。
戦士たるもの主に仕えなければただの野蛮人、そういった価値観がどこかにあるのだろう、だから彼はここまで戦いに生きカーズと供に生きているのだ。
カーズの行く先を聞く必要はないし、それに仮に聞いたとしても己はそれに従うのみ。
生き返ったエシディシとシーザー、J・ガイルの語った未知の能力スタンド、そして荒木飛呂彦。
色々と気になることはある。聞きたいこともあるし、言いたいことも少しながらある。
しかしながらなによりもここに来て彼の中で闘争を求める気持ちが大きくなっているのは否定できない事実であった。それらを全て上回るほどのその欲望に。
それ故にかれは黙って歩を進めた。一秒でも早く、どうか主の目的地に戦士が、闘争があることを願いながら。

どれぐらい沈黙が流れたか定かではない。しかしながらその沈黙を破った声は気まぐれで発せられたものであろう。
言うなれば王が道化師に暇つぶしを、賢者に問答をするような、目的を目的としないただの時間つぶし。
「ワムウよ、このカーズがなにを考え、何処に向かっているかわかるか?」
「………」
よってワムウはそれに相応しい答えをしなければならない。カーズが満足するような答えを出そうと彼は考える。
ワムウは戦士である。だがそれは決して彼がこのような問答を苦手としてるということにはならない。
むしろ戦いの中で瞬時に相手のしぐさや動き、言葉から考えを読んできた彼にとって得意な分類であろう。
少しの沈黙の後、ワムウが口を開いた。

「風に運ばれて東より火薬と血のにおいがします。時間はまだそこまで経っていなく、その濃さからして相当の量が流れたと思われます。
そして同様にカーズ様の体からも相当の血のにおいが…。このことからカーズ様はここからさほど遠くない東で戦闘を行われた」
「続けよ」
「我々が最も苦手とし、避けなければならない太陽の光。夜が明けようとする今、この未知の舞台で大切なものは日光を避けることが可能な拠点の確保。
よって先程戦闘が起きて参加者が集める可能が高い東に向かうのは愚かな行為。
残るは北・西・南。建物が多い街、ある程度の大きさは保障されている遺跡、木陰が多くまた人間が作った小屋も多いと思われる果樹園。
それぞれある程度は日光を避ける保障はあるでしょう」
「………」
「しかしながらそれに伴い危険が大きすぎると思われます」
「ほう、『我々』に危険がある……と」
うなずき肯定を示すワムウ。カーズの声には当初のふざけた様な調子はなく、ただ興味深げにワムウの次の言葉を待った。
「地図に載っていることは人間どもの興味を惹くでしょう。無力のもならばいい、波紋戦士ならば望むところです。
だがスタンド能力…この状態で太陽が出てる中未知の敵と向かい合うのは危険でしょう。
もちろん我々が負けるようなことは万に一つもありません。だが戦いが原因で拠点とした建物が崩壊するようなことがあってはなりません。
したがってカーズ様の考えはここらにある人間の家に立てこもり、昼は耐えてやり過ごす」
463創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:14:25 ID:vfVcS4Co
 
464 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/24(月) 00:15:45 ID:aQN1QdN1
最後の言葉が闇にとけ去るとカーズは笑みを浮かべ少しの間パチパチと手を叩き賞賛を示した。そしてカーズは心底愉快そうに、だが優雅に口を開いた。
「さすがワムウだ……。風でこのカーズの戦闘を知ったあたりは伊達に『風』の二つ名を名乗ってはいないな。なにより拠点の確保の重要性に基づくその理論、見事だったな。
しかしながらまだ詰めが甘い…。そう、決定的にな。お前自身が言ったスタンド能力についての不安、それをさらに計算に入れなければならないだろう…。
施設に立てこもらないのはお前の言うとおりだ。人間どもとの不要な接触を避けるため。だが、ここらの民家に立てこもり息を潜めているからといって我々の存在を見つけることが可能なスタンド能力がないとはなぜ言い切れる?
ここらのサイズの建物ならばスタンドを使わずとも、既に人間どもが開発した火薬の類を使えば簡単に崩壊するだろう。もし我々が隠れてる場所が見つかったら…その上その人間が建物を崩壊させることが可能であったならば…」
「………」
「そう、我々が必要とするのはこの舞台に呼び出される前に使っていたあの館のようなもの。求めるのは、ワムウよ…逃げることも可能な広さ、尚且つ戦闘を行える広さ、またそれ故に一部が壊れようとも構わない圧倒的な大きさ」
言っていることはわかる。そんな場所があれば本当にあればなんと理想的だろう。しかしながら少なくとも周りにはそんな建物はないように思えた。
それどころか地図確認してもこの周辺おろか、そこまで言い切ることのできるものはこの舞台上には無いのではないか、そうワムウには思えた。
だが彼は知っている。カーズはほらを吹くようなことはしないと。だからこそ混乱した、そして考えた。
カーズは黙りこくったワムウを見て、含み笑いを洩しながら口を開いた。
「ワムウよ、空ばかり見つめては見えるものも見えてこないぞ…?もっともこれから行くところは『風』のお前には辛いところとなるだろうがな…」
「…まさか?!」
「その通りだ。我々は地下に潜る!」
マンホールを軽々と持ち上げたカーズの目には深く目の前に広がる暗闇が広がっていた。



   ◆



いくら闇に生きる彼らと言えども星の光ひとつない漆黒の闇では光を必要とするのだろう。
右手に下げられている灯りより生まれた光がその鍛え抜かれた肉体を影として壁に映し出す。まるでどこかの美術作品のような完成された肉体、男の長年の鍛錬が作り上げた努力の結集であった。
突然の光に驚いたのか、ネズミやこうもり、蜘蛛が慌てて逃げていく様にワムウは張り詰めていた顔を緩め、ふと笑みをこぼした。
ヒタヒタと自分の足音を聞きながらワムウは主が語った言葉を反芻していた。
スタンド使いとその能力の多様性、それ自身の本来のルール、そしてそのルールを捻じ曲げた荒木飛呂彦とやつの能力「時間操作」、それによって生まれた「死んだもの」との再開。
そしてなにより…
465 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/24(月) 00:16:32 ID:aQN1QdN1
『ワムウよ、なにより超えるべきものはこの首輪だ。この首輪を外さねばいつまで経っても我々は奴にとって鎖に繋げられた家畜当然。
未知の力スタンド、人間の進化、それによる新たな技術そしてなにより奴の絶対的自信。これを打ち負かすには並大抵のことじゃ太刀打ちできまい。
足りないということはないだろう、お前にはたくさんの首輪を集めてもらおう…。我々は必ずやこれを外さなければならないッ!!情けなどはかける必要は無いぞ、首をへし折ってでも、ちぎり飛ばしてでも首輪を回収してこい。
…そして手に入れたならば……月が再び真上に登るときまた会おう。場所は、そうだな…フフフ…ジョ−スター邸はどうかな?もしかしたらあのジョセフ・ジョースターに会えるかもしれないぞ?
あの波紋戦士に再び見舞う時にはぜひともやつらに綺麗な首を見せ付けてやりたいものだな。その時あやつがどんな絶望の表情をするか、クックック…。
では、ワムウよ。お前の働きに期待しているぞ…』

グッと拳を握る。戦う理由もできた今、彼の中でその願望はさながら巻き起こる台風のように渦巻いていた。
この舞台に呼ばれる直前に死合うたシーザー、孤島でのリサリサとの死闘、そして飄々としながらも底知れぬ可能性を持つ波紋戦士ジョセフ。
思い出すだけで心が震える。興奮が、敬意が、殺意がそれら三つが入り混じった感情が己の中で湧きあがってくるのを抑えることが出来ない。
何千、何万と相手にしてきた波紋戦士のなかでも飛びっきりのものだ。

(………)

言葉はいらない。ただ拳と拳で、体と体で、己を解放したい。戦士として、また『風のワムウ』として。
朝はもう間もないのだろう。持ち上げたマンホールから見上げた空に太陽が昇ってくるのも、もはや時間の問題だろう。
しかしながら止まらない。いや、止まるわけがない。
誰もいなかったらすぐにでも地下に潜ろう、首輪が見つかったらそれだけでも拾ってそれで満足しよう。
そう思いながらもどこか心の奥底で戦いを望んでいる自分を、ワムウは否定できなかった。
なにより火照ったその体が言うことを聞きそうに無かった。


【I-7 南部/1日目 黎明】
【ワムウ】
[時間軸]:ジョセフとの戦車戦のちょっと前
[流法]:風
[状態]:健康、戦いたい
[装備]:ストレイツォのマフラー
[道具]:基本支給品×2、不明支給品0〜3個(リサリサの分)
[思考・状況]基本行動方針:人類殲滅、特に波紋戦士とその一族
1.参加者との接触、戦いたい。
2.太陽が昇る前に地下に潜る。
3.逆らうもの、波紋戦士は問答無用で殺す。
4.再び会ったならJ・ガイルを殺す。
5.カーズの命に従う。
6.5よりできるだけ首輪を集め月が真上に上がった時(真夜中・第四回放送時)にジョースター邸に赴く 。
[備考]
※ ボートが川沿いに放置されています、燃料はもう殆どありません。
※ I-5にエル・コンドル・パサが放置されています。
※カーズと情報交換しました。
※カーズとワムウがマンホールに入った地点はH-7です。



   ◆
466創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:18:37 ID:vfVcS4Co
 
467 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/24(月) 00:18:39 ID:aQN1QdN1



手を挙げれば優々届くほどの高さだった狭い通路が開けた。カーズは目の前に広がる空間に顔を向け、その氷のように冷たい目をさらに細くした。
今までの通路と違い倍以上の高さになったアーチ状の天井を眺めようと灯りを高く持ち上げた。少しの間天井を睨み付け、反射してキラリと輝く銀のレールに気づいた彼は表情を先程よりさらに険しくした。
なにか思うところがあるのだろう、脇にゆっくりとしゃがみこむとレールをじっと見つめ、考えにふけった。

(…これは覚えている。そう、ごく最近眠りから覚めたときに同じようにこれがあった。人間は確かこれになにやら滑車をつけ荷物を運んだり、移動の足ともしていたな……。
………フン、いかにも貧弱な人間どもが考えそうなものだ。しかし……………)
そっと指先でレールに触れる。先端より感じるヒンヤリとしたその感触だけを意識しながら彼は再び思考の海に沈む。
(妙だ。やけに光りすぎている。汚れどころか、傷ひとつもない……)
同時に顔を上げ、天井を睨み付ける。首を左右に振り、視界に飛び込んできた幾つかの管を確認するとおもむろにカーズは地図を取り出した。
(染みや煤の汚れがない天井、繋げる必要のない管、そしてこの地図に乗っていない真新しいレール…。
間違いなく荒木が作った、付け加えたもの。本来あるべきでないものを無理矢理作ったが故にこの真新しさ、これがなによりの証拠…。多すぎる通路は我々一族やエサに対する奴なりの配慮か…?
主催者の立場で言えば太陽の光で動けなく、昼の間は一ヶ所に留まり続けられては興醒め、そう言いたいのか………?
気に入らんな、このカーズが奴の言いなりになってるだと?奴の配慮をそのまま利用しなければならんと………?
フン…この借りは必ず返すぞ、荒木飛呂彦よ………。

……しかしながら不自然な点は残る。場所から判断してここは…H-5辺りか?
おそらくサンタ・ルチア駅とやらとこの線路は繋がっているのだろうが……なぜこれを地図に載せない?
まさか時間が足りなかったとでも…?いや、こんな舞台を用意した男がそんな不手際をするとは思えない。…逆に地下に参加者を呼び寄せたくない……のは違うな。ならば元々こんな地下通路を作らなければいいだけ、矛盾してしまう…。
…もしや何か『作らざる終えない』状況だったのではないかッ?当初の予定ではなかったがなにかがきっかけで作らざる終えなくなってしまった………)

考えごとに集中していた彼の指は無意識の内にリズムを刻んでいた。心臓の鼓動音と同様に、一定で寸分の狂いもなく単調に、トン、トン、トン、と。
そのリズムに合わせるように解けない問題をとりあえずは追いやり、彼の考察も次なるものへと移った。

(この首輪………。我々に殺し合いを強要させるために家畜同然に鎖に繋がれたようなもの………。だが本当にそうなのか?もしこの俺が感じた『違和感』、それが本物ならば或いは奴が我々に対して施した抑止力は相当なものだったのだろう)
468 ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/24(月) 00:21:14 ID:aQN1QdN1
直ぐ様彼はその『違和感』が本物なのかどうか確かめることにした。その方法は……
(……抵抗がないわけでない。無論、恐怖してるわけではないが治るとわかっていても自分の頭を解剖するなんてことはこれっきりにしたいものだ…………)
彼の流方である光の真骨頂、高速で動く刃は身を潜めているがそれでもその切れ味は抜群だ。彼自身、それを身をもって体験しているところなのだが。
ゆっくりと息を吐きながらゆっくりと刃を頭部に押し込んで行く。痛みに声をあげるようなことはしないものの、顔は歪み、その額には水晶のような汗が一気に吹き出していた。
どのぐらいそうした身を犠牲にした調査は行われたのだろう。カーズが刃を再び体内に入れ、一息ついた時には朱色の水溜まりが足元に広がっていた。
(一度下水管に体を押し込んだ際に感じた違和感の正体は『これ』か…。頭部に埋め込まれた第二の爆弾…ご丁寧に首輪とは配線が繋がってるときたもんだ。まぁ、我々の再生力を考えれば首輪だけで安心するというのは愚かだろうがな…。
一応心臓についても調べておきたいが今の体力を考えたらまたで良いか…)

彼が感じた違和感、それは今彼自身が行った実験ではっきりとした。そう、それは頭部に埋め込まれた第二の爆弾。首だけでも生きることのできる彼らに対して荒木が施した保障。
(しかしなから頭部にあるのは爆弾のみ。配線が首輪と繋がってるということは、つまり『首輪が活動停止となれば頭部のものも爆発することはなくなる』、そういうことになる……のか…?
実に奇妙だ。これぼどの技術力があるならばそもそも首輪などつけないで良い。この頭部の爆弾ひとつで事は済むはず。
明確である分、参加者にしっかりとした恐怖を植え付けることができるとでも思ったのか?外される可能性もデメリットがあるとしても?
府に落ちんな……。先ほどの地図といい、奴は何を考えている?まさか、奴は首輪を外して欲しいとでも思っているのか…ッ?!)

考えれば考えるほど答えは見えない。まるで今この地下通路を灯りなしに進んでるようなものだ。
暗中模索、五里霧中。カーズは先ほどの実験から絶えず起きる頭痛と吐き気以上に荒木、その人の読めない思考に苛立ちを隠せなかった。
(とにかくサンプルが必要だ。人間もだが、なにより首の配線の構造を把握したい。エサ一匹確保できればそれに越したことはないのだが…。
しかしながら太陽もすぐに昇ってくる時間だ。手こずるようだと面倒なことになりかねんが…。夜になるまで待つか、このレールを辿って駅まで行くか…。それとも…)
チラッと視線を向けた先には二つのデイバッグ。
(今の時間がある内に中身を確認しておくべきか…。もしかしたら荒木に関するヒントがあるかもしれない…。さて、どうすべきか…?)
悩むべきことが多すぎる柱の男の頭は深々とため息を吐いた。それは誰に聞かれるともなく漆黒の闇へと溶けていった。


【H-5 南部 地下鉄の線路上/1日目 早朝】
【カーズ】
[時間軸]:リサリサとJOJOにワムウと自分との一騎打ちを望まれた直後
[能力]:柱の男、『輝彩滑刀の流法』
[状態]:全身に裂傷、中ダメージ、中疲労、頭部にダメージ(小)、頭痛と吐き気(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、輸血パック(残量0ml)、首輪、不明支給品0〜2(J・ガイルの物) 不明支給品0〜2(未確認)、
[思考・状況]基本行動方針:荒木を殺して力を奪う、スーパーエイジャを手に入れる
1.支給品を確認するか、レールを辿っていくか決断する。
2.首輪解析のためにたくさんのサンプルを集める。特に首の配線があるであろう、吸血鬼が一匹欲しい。
3.地下通路や首輪について考察し、荒木の目的を突き止める。
4.エイジャの赤石を手に入れる。
5.月が真上に上がった時(真夜中・第四回放送時)にジョースター邸に赴く
6.荒木について情報を集める。
7.エシディシ、サンタナと合流する。
[備考]
※血を吸った際の回復力に制限がかけられています。
※カーズと情報交換しました。
※カーズとワムウがマンホールに入った地点はH-7です。
※心臓にもなにか埋め込まれてるのではないかと考えています。
※地下鉄はある程度周りの下水道や空気供給官なとと繋がっているようです。(イギーVSペットショップのような感じ)

469創る名無しに見る名無し:2008/11/24(月) 00:21:24 ID:vfVcS4Co
  
470Safest place to hide ◆Y0KPA0n3C. :2008/11/24(月) 00:27:27 ID:aQN1QdN1
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて指摘を下さった方々、ありがとうございました。

主な修正点
→カーズが今いる場所は地下鉄の線路上
→心臓にも何か保障が施されてる可能性がある

なにかありましたらよろしくお願いします。
ほかの書き手の方々には負担をかけてしまうことになり、すみません…
471創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 13:13:57 ID:IF9eQR19
投下キテターーーー
こいつらの怖いところはしっかり考えた上で行動してることだよなあ・・・
この二人、隙が少なくて怖いぜ・・・
472創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 18:57:38 ID:9Q1kb+Ql
ちょっと気になったんだが・・・

どこかで、ロワ参加者以外の動物は一切いないというのが無かったっけ?
もしそうならば、ネズミやコウモリや蜘蛛は描写のなかにあってはならないような
特にネズミはイギーみたいな動物のスタンド使いの参加者がいるだけあって困る気がするんだが
473創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 23:19:39 ID:mquGio+8
それは他のロワであってウチが気にする事じゃない
474創る名無しに見る名無し:2008/11/27(木) 06:42:07 ID:awf+RFkI
たしかにあまり気にしなくていいと思う
猛獣が住んでたり鼠がスタンド使いだったりっていう内容じゃないんだし
475創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 00:51:40 ID:FQNIYJNm
『予約』はすでにされている……ッ!

これでは今夜から……くつろいで熟睡できそうにないな
476創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 13:49:23 ID:ICE+2p23
誰かって聞きたそうな顔してんで自己紹介させてもらうぜ…
俺はおせっかいやきのスピードワゴン!

こいつはくせェ!作りたてホヤホヤの臭いがプンプンするぜェーッ!!
一時投入スレにてSSが投入されてるって?
住人さん、早いとここいつに指摘なり感想なりしてやんな!
477 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/03(水) 22:41:27 ID:pHknfzTS
一時投下スレでの指摘等ありがとうございます。
ですが現在実生活が忙しくて手直しがあまりはかどっていませんorz
本投下は早くてもあす夜、遅ければ土日になってしまいます。申し訳ありません。
本投下が遅くて差し支えある方いらっしゃいましたらご一報ください。
引き続き感想・指摘お待ちしております。
478創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 22:56:19 ID:8Pn2UtkD
気になさらずごゆっくり修正してください
土日の投下を楽しみにしています
479 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:37:49 ID:yW7gRDmT
お待たせしました。本投下開始します。
もし規制かかったらしたらばに投下しますのでどなたか代理をお願いします。では
480マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:39:28 ID:yW7gRDmT
「厨房に入ったはいいけど、えーと……まず何から始めようかなァ〜?掃除っつったって『順序』ってもんがあるんだよなァ〜、整理整頓とかさァ……」
そう呟きながら頭を掻く男が一人。
囚人番号、MA−57258。サンダー・マックイイーンである。職業は、レストラン『トラサルディー』店長代理。
もっとも―――その職を得たのはほんの数十分前なのだが……

彼は自分の出来ることを考えていた。
トニオ店長に休息を与えるため厨房に入ったはいいが、『水族館』では厨房の掃除は囚人が行えるものではなかった。刃物や火を簡単に得られるためである。
つまり―――彼は調理場の掃除に関してはほとんど素人同然だったのだ。その事が脳裏をよぎり思わず愚痴る。
「はァ……幸先悪ィなあ……こんなんじゃいつまで経っても綺麗になんか出来ねェよ……死にたくなっ―――」
と、無意識にそこまで言いかけていた自分にハッと気付きブンブンと頭を振る。
「いや!ダメだ俺!ついさっきトニオさんと約束したばっかりじゃあねーかッ!くそッ!しっかりしろ俺!
 ……そう、まず掃除だ。とりあえずこの辺の邪魔なもんどかして、掃除用具探して、だな―――」
自分に言い聞かせるように一つ一つ言葉に出しながら作業するマックイイーン。
ぶつぶつと呪詛のように自分の目的を呟きながら作業する様はいささか奇妙ではあったが、彼はしっかりと仕事をこなしていきそうである。

* * * * *
481マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:41:42 ID:yW7gRDmT
「えーと、このデカい剣は……さっきの箒頭のもんか。アブねぇけど、ここに置きっぱなしって訳にもいかねぇしなぁ。
 次は……ッと。何だこれ?『区』ってなんだよこの石。重てぇから気を付けないとな……
 この包丁はどうするんだろう……?箒頭相手にトニオさんが闘ったってぇのか?さすがトニオさんだぜ。
 しかしこれ、どうすっかなぁ〜……うーん、でも料理に使うもんだし、とりあえず抜いとくか……ッと」
厨房の整頓を始めてからどれほどの時間が経っただろうか。十分か?一時間か?
それさえも気づかぬほどマックイイーンは“掃除”という一つの仕事に夢中になっていた。
壁に突き立った包丁の刃こぼれに気を遣いながら柄を握る手に力をこめ、引き抜く。
恐る恐るその先端を見つめ、傷どころか曇りひとつない刃先を確認するとほっとため息をつき、包丁が並べられた棚の中にそっとしまう。
ぱたん、と棚の戸がしっかり閉められたことを確認するとマックイイーンは振り返りあたりを見回す。

「あとは―――ん、なんだこの缶。スプレーか?」
ふと視線を落とした先に無造作に転がっているスプレー缶に気付く。
手に取ったそれはちょうど手になじむような形をしているが、何も記述されていない。
上から、下からと弄ってみるがやはり何も見当たらない。強いて言えばノズル部に“HP”と彫られているくらいだろうか。
頭を抱えるマックイイーン。外から眺めても何もわからない以上、中身を見ない事にはこれが何かを断定はできない。しかし―――
「えーっと……流石にいきなり厨房の壁はマズいよな。汚れ落としの洗剤とかなら丁度いいんだけど……」
そう。何かがわからない以上“どこに吹き付ければいいか”さえ分からないのである。
「うーん……いや、悩んでも仕方ねぇ。そーだな……とりあえず俺の靴の裏にでも吹いてみるか。カチっとな」
厨房の床が汚れないようなところに移動したのち、片足を持ち上げる。
塗装のためのスプレーだったり、妙な臭いがしたならば靴を脱ぎ捨てればよい。そう考えての事だった。
が、スプレーから噴射されたのは泡のような、ミンチのような……到底スプレーから出てくることは想像できないようなものだった。
「なっ、なんだよこの変なミンチみたいなやつッ!?くそっ!これじゃあウンコ踏んづけたみてーで歩きにくいぜ!
 ちっくしょォ〜〜、気持ち悪いけど引っぺがすか……」
片足で跳ねながら踵に付いた肉に手をかける。彼はこれがテープのようにぺりぺりと剥がれてくれることを想像していた。が―――マックイイーンの驚愕は止まらない。
「ん……え!?なんなんだこのミンチ!俺の指と混ざっちまったッ!!くそっ!訳わかんねぇ!どーなってんだよこれぁよォ〜!?
 ……でも変だな、痛くも何ともねぇぞ。むしろ手が奇麗になった気がする?」
482創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 20:43:17 ID:XyuC9Amg
支援
483マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:44:57 ID:yW7gRDmT
目の前で、いや、指先で起こったあまりにも非現実的な現象に驚きを隠せないマックイイーン。
しかし―――『スタンド』と言う存在を知った今、“非現実的”と言う事態に対し、彼は思いのほかすんなりと対応する事が出来た。
たった今起こった事実を否定せず、すべてを受け入れ、その上でこの現象に対しての解釈を進める。そして―――
「するってぇとなんだ、この“肉”は……絆創膏、みたいなもんか?傷口に吹いたら傷がふさがるとか……?」
マックイイーンはあっさりと、そして的確にこのスプレーの謎を解いてしまったのだ。
そして、自分の仮定が正しければ―――
「そうしたらトニオさんも治る……!?」
そう、恩人の命を救うためにこのスプレーを使う事が出来るかも知れないのだ。グッとスプレー缶を握りしめ彼のもとへ走りだそうとする。
そして……ある“確認すべきこと”を思い浮かべその足を止める。
「いや待てよ……実は毒だったとか言う可能性も無いとは言えないしなァ……箒頭で実験してみるか」
自分とは直接の縁がないとは言え、トニオを傷つけたであろう人物に対し治療になりかねない行為をすることに抵抗がない訳ではない。
しかし、この他の方法でスプレーの効果を確認する手立てはない。仕方がないと頭を切り替え再びスプレー缶を握りしめる。
厨房の外に顔を出すと、ポルナレフ――もっともマックイイーンは彼の名を知らないのだが――は未だに気を失っているようだった。
壁にもたれかかるポルナレフを見下ろせる位置まで慎重に近づき、傷の場所を確認する。
「さすがに目に吹いたらまずいよな、スプレーだし。ってことは頭か……気乗りはしないけど、やってみるしかねぇもんな。
 まっ……こいつはトニオさんにケンカ売ったんだ。死んでも悪いとは思ってやらねーぜ。よっ―――」
ひょいと顔面にスプレーを近づけ、ひと吹き。すると、先に自分が体験したようにスプレーから噴出された肉は見る見るうちに顔面の皮膚と一体化していく。
「……お、毒ではないみたいだな……って事は、中はどうだか知らねぇけどとりあえず傷口は塞がるッ!これはイイぞ!『アタリ』だッ!!」
484マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:46:15 ID:yW7gRDmT
飛び跳ねそうになる衝動を押し殺し静かに喜びを噛みしめる。
結果としてポルナレフを助けたことになってしまうが、マックイイーンにとってはそんなことよりも“トニオさんを助けられる”という喜びの方が圧倒的に大きかった。
胸の前で小さくガッツポーズをするマックイイーン。が、握りしめた拳の中、スプレー缶の重さの変化に気付く。その真意を確かめるべく軽く振ってみるがやはり気のせいではない。明らかに残量が少なくなっているのだ。
「……こりゃあヤバいかもな……残りどのくらいだって穴開けて見る訳にもいかねぇし……うーん、せいぜい『あと一人分』ってところかな……?
 そしたらやっぱトニオさんに使うべきだよなァ〜。これ以上箒頭に使ったら目ェ覚ました途端にトニオさんの事襲いそうだし、そこまでする義理もないしな……トニオさんの治療に使わせてもらうぜ。トニオさ―――」
と辺りをぐるりと見回しトニオを探すマックイイーン。トニオはポルナレフとはちょうど向い側、一番端のテーブルについていた。
しかしトニオは俯いたまま動こうとしない。まさかと思いダッと駆け寄る……が、どうやら不安が的中と言う訳ではないようだ。静かな呼吸音に安堵する。
「そうだよな、あれだけやり合った傷で起きてたら痛すぎてイカれちまうもんな。さて、どこに使おうか。とりあえず料理するんだから上半身優先で良いよな、腕とか」
そう独り言を言いながら先ほどポルナレフに対してそうしたようにスプレーのノズルを向ける……と、その時マックイイーンはふとトニオの“優しさ”を思い出した。
「いや……トニオさんの事だから『彼に使ってあげてくだサイ』とか言い出しかねないなァ。トニオさん優しいもんなぁ〜〜。
 そしたら―――ここはトニオさんに任せるか。後は……そうだな、これとこれで」
しばらくの沈黙の後そう言い残しテーブルにスプレーを置きその場を立ち去るマックイイーン。そこには先の掃除で厨房から見つかった一枚の紙切れが添えられていた。
『このスプレーは肉の絆創膏のようなものです。吹き付けたところに肉がくっついて傷口がふさがりますがもう残りが少ないです。うまく使ってください』と書かれた紙が―――
さらに……トニオの肩には不格好ながらもマックイイーンの上着が掛けられていた。トニオから学んだ彼なりの“心遣い”の第一歩なのだろう――
「これで良し、ってトコか?変な置手紙になっちまったかなァ?……まぁいいか。わからなかったら聞きに来るだろうし。さ、俺は掃除だ、掃除――」
そう言いながら厨房に戻るマックイイーンの目は、つい先程まで些細な事で自殺未遂を起こしていた囚人と同一人物とは思えないほどに決意に満ち溢れていた。

* * * * *
485マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:47:47 ID:yW7gRDmT
「―――ふぅ、これで大体いいか。掃除用具まで手入れしてるあたりさすがトニオさんだよなァ〜〜
 あとは開店の準備か……でも俺料理なんてしたことないし、まだトニオさん(箒頭もいるけど)寝てるからどうしようもないんだよなァ……何からやればいいんだ?」
額ににじむ汗をぬぐいながら一息つくマックイイーン。結局、床にこびりついて乾きつつある血液に手こずって結構な時間を費やしてしまっていた。

料理の“仕込み”やレストランでの“テーブルセッティング”等の教養は一切ないため、ここからは彼一人ではどうしようもない。
「仕方ない、トニオさんを起こそうか」
と声にならないような声で呟き厨房を後にする。その瞬間、“とおるるる・とおるるる”と電子音が室内に木霊したのだ。
「うぉッ!?何か今なったぞ?なんだ!?デイパック……トニオさんのやつからだッ!」
マックイイーン自身が言葉や音を発さない限り一切の雑音がないこの静けさ。それを破る第三者の登場にマックイイーンは驚愕し、その音の発信源と思しきデイパックに駆け寄る。
トニオとポルナレフは――疲労の方が勝っているようであった。あれ以来大きな出血等は見られないが相変わらず意識はブラックアウトしたままである。もしかしたら眠りについているのかもしれない。
「……いや、でも寝てる人のもの勝手に開けたらまずいよなァ〜〜……でも時限爆弾か何かかも……ちくしょォ、迷ってらんないぜッ!」
これがポルナレフのデイパックだったら全く躊躇わなかったのかも知れない。トニオのものだったから躊躇らったと言う可能性も勿論ある。
しかし、囚人時代にこそこそと、しかし躊躇わずに病人から金をくすねていた事を考えるとマックイイーンはこの数時間でほんの少し成長した、かも知れない。
閉じられたジッパーを引き裂くように開き思いっきり手を突っ込む。すると指に固い感触。今度は一切の躊躇いを見せずに“それ”をつかみ取り手を引き抜く。
「…………は、携帯?不在着信・1件って……ここ電波来てんのか?」
自分の焦りの結果が電話の着信だった、というくだらなさに思わず素っ頓狂な声をあげる。
と、同時に一つの率直な疑問が浮かぶ。電話回線が生きているのならば誰かと連絡が取れるかも知れない。考えがまとまると同時に店内にあった固定電話の受話器を耳に押しつける。
「鳴らねぇな……」
やっぱりか、という落胆と、ほんの少しの希望が遠のいた不安の入り混じった感情がマックイイーンを取り囲む。
しかし――彼はやはり成長の兆しを見せていた。悲観的になることなく携帯電話の有効活用法を模索し始めたのだ。
「うーん……かけ直す――はマズいよな。相手誰だかわかんねぇんだし。でもこれ何かうまく使えないかなァ……
 電話帳……二件か。でもまぁ、これに登録していない携帯だって無くはないんだろうしなァ〜〜
 でも死にたくはないぞッ!トニオさんのためにこの携帯を使って見せるッ!」
ぶつぶつ呟くマックイイーン。そうやって数分ほど悩みぬいた末に一つの単語が脳裏をよぎる。

予約―――
486マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:49:13 ID:yW7gRDmT
「あ、そうだ予約だッ!予約受付とかすりゃいいんじゃあねぇのか!?
 携帯は個人のもんだけど……ここの店の電話が繋がらねぇんならこれを代わりにすりゃあいいってことだろッ!?そう考えたらコレも『アタリ』だぜトニオさんッ!!」
自分の発想の勝利と言わんばかりに喜びの声をあげるマックイイーン。その声は眠る二人を気遣って小さなものではあったが、それでも自信に満ち溢れた声であった。
そうと決まれば彼のやるべきことはひとつ。“留守電の音声対応を自分の声にする機能を探し出し、録音する”だけである。
機械だとか携帯電話だとかに詳しい方ではないものの、ボタンを弄り回すうちに目当ての機能を発見した。
「えーなになに……『最大1分まで応答内容の録音が可能です。その後発信音が鳴り通話時間となります』か……1分。うーん、予約で聞くんならなんだ、名前と―――」
自分に言い聞かせるように電話の機能と録音すべき内容を何度か復唱する。そして……ボタンを押した。

* * * * *

レストラン・トラサルディー。
その店内にはテーブルを磨く男が一人。
囚人番号、MA−57258。サンダー・マックイイーン。職業―――店長代理。
彼は自分のやるべきことを見出し、自殺への衝動を抑えながら現在は厨房を出て店内の掃除をしている。
「トニオさん、そろそろ起こすかな……いや、まだいいか。あんまり騒がしくならない程度に掃除と整理してれば自然に起きてくるだろ。
 さてと、掃除掃除―――ん、そろそろ六時か。放送とか言ってたような……この状況、誰も来なかったって良いことなんだろうけど店としてはどうなのかなぁ……
 ま、いいか。トニオさんが起きたらその辺も考えよう。あ、いや待て放送の時に起こした方がいいかなぁ?箒頭もいるけど」
鼻歌のようなトーンでそう呟く彼は随分とその職に慣れてきているようである。

* * * * *

お、お電話ありがとうございます。レストラン・トラサルディーです。
えー……ご予約のお客様は、お名前と人数、あと……ご来店予定時間を発信音の後にお伝えください。
お客様のご来店をお待ち…あ、いや、心よりお待ちしております―――
487創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 20:50:58 ID:XyuC9Amg
 
488マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:51:49 ID:yW7gRDmT
【最強のシェフと最狂の囚人と最凶の剣士】
【E-5(レストラン・トラサルディー)・1日目 早朝(放送の少し前)】

【トニオ・トラサルディー】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕・左肩・右足太股・脇腹に一ヵ所、右肩に二ヵ所の刺し傷(いずれも割りと深い。衣服で一応は処置済み)、半裸にマックイイーンの上着が掛かっている、睡眠
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
0.仮眠中なので一時思考停止
1.マックイイーンを励ましながら、彼と共に対主催の人に振る舞う料理を作る
2.対主催の皆さんに料理を振舞う
3.自分とポルナレフの怪我を何とかしたい
[備考]
1.レストランにある食材のうちいくつかが血液でダメになった可能性があります
2.衣服の他にも店内にあった救急箱で多少の応急処置(若干の消毒等)はしましたが完全ではありません。

【サンダー・マックイイーン】
[時間軸]:エルメェス戦中
[状態]:精神的に不安定(現在は若干安定)、トニオ(の料理)に依存、掃除中
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
1.オレはトニオさんの下で幸せになる
2.トニオさんのためになることなら“なんでも”する
3.あの箒頭(ポルナレフ)をどうするか考えながら厨房を掃除する
4.放送になったらトニオさんを起こそうか
[備考]
1.マックイイーンはトニオの存在を心の支えにし、死ぬのをやめようと考えていますが、まだ不安定なため何かの切っ掛けがあると反動で一気にネガティブになる可能性があります
2.マックイイーンは『ハイウェイ・トゥ・ヘル』の能力を把握しています
489マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:54:01 ID:yW7gRDmT
【J・P・ポルナレフ】
[時間軸]:3部終了後
[状態]:気絶(寝てる?)、失明?(トニオの血液が目に入っただけの一時的なものか飛び出した血管が当たったことによる長期的なものかは不明)、頭部の出血は回復
[装備]:無し
[道具]:不明(戦闘や人探しには役に立たない)
[思考・状況]
0.…………
1.仲間を集める
2.死んだはずの仲間達に疑問
3.J・ガイルを殺す


【レストラン・トラサルディー店内】
厨房:綺麗になった。備品・食材がどうなったかは不明(マックイイーンは食材を未確認)
店内:現在掃除中。
店内の隅に、『LUCKとPLUCKの剣』『ローリング・ストーン(ズ)』『トニオのデイパック』『ポルナレフのデイパック』が置かれています
店内テーブル上に『クリーム・スターター(とマックイイーンのメモ)』『携帯電話』が置かれています
二つのテーブルにトニオとポルナレフがそれぞれ座っています
[クリーム・スターターについて]
能力と制限:傷の治療に使用可能。消耗品。『使用者の肉』は霧状にならない。内容量は最初から缶に入っている分のみ。
現在:マックイイーンが能力を把握。メモ書き(ローリングストーンが入っていたエニグマの紙)を添えてテーブルの上に置いてある。内容量はおよそ後一人分くらい。
[ローリング・ストーンについて]
能力と制限:能力は完全に制限されておりただの馬鹿デカい文字入りの石。マックイイーンは『凶』を『区』と読み間違えた。
[携帯電話について]
もともとはトニオの支給品。
現在、留守電状態。録音の音声対応はマックイイーンの声に変っている。
マックイイーンの推測では『電話帳登録以外の携帯がもっとある“かも”』とのこと。携帯の存在については以降の書き手さんにお任せします。
490マッチ売りの少女 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/04(木) 20:55:37 ID:yW7gRDmT
以上で投下終了です。
マッチ売りの少女=どなたかマッチを買ってくれませんか?=どなたかレストランに来てくれませんか?からですw
深夜〜黎明までのキャラの動かし方が難しいですね。下手をすると投下順で最新でも時系列では2,3作前という事が多くなりそうで大変ですね。
他の書き手さん方にも頑張ってもらいたいものです。

個人的には
・繋ぎなのにやたら文章が多い
・携帯電話フラグをもう消化していいのか
・二人がずっと寝てるってご都合主義?
・前回のマックイイーンの“何でもする”フラグについて折ってない(つもりです)が触れてもいない
などなど気にする点が少々ありまして……こちらでもそういった指摘をお待ちしています。

※一時投下で言われていた件に関して
・時間軸を早朝に:放送(6時)前は早朝の分類だったので完全に俺のミスですorz修正しました
・眠る二人の描写:実はこのSS、執筆当初は前に書いた『1stの仗助たちを描いた2ndのSS』のように台詞オンリーSSだったのです。
 その名残で全部マックイイーン視点なので描写については特に追加はしていません。『きっと掃除に夢中で気付かなかったんだよ』という事で脳内補完してください(ぇ
 wiki掲載までにそれっぽい文章を組み込めそうなら修正して投下する予定です……申し訳ないorz
・マックイイーン明るすぎじゃね?:個人的に今回は『M氏の成長記録』のようなSSにしたかったので若干明るめにしています。
 「死にたいとは思わない」などの文章(セリフ)を追加して少々それっぽく見せましたが……
 これはいずれ機会があれば時間軸を遡ったSSで保管したいところです。
・何でもフラグはいいんじゃない?:一時投下では問題視されていなかったので修正なしです。もし問題あるようなら指摘してください。

引き続き感想及び誤字脱字や矛盾その他の指摘、お待ちしております。では。。。
491創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 21:19:29 ID:JfA35R9o
投下乙です!


原作があれだから、頑張るマックイイーン見てるとこっちも嬉しくなってくるわw
でもその分堕ちた時が怖すぎるんだよね((((;゜Д゜)))

【最凶の剣士】
ここ吹いたwww
確かにある意味最凶だよなハブナレフww
492創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 21:25:59 ID:1ssHnC7L
投下乙!
このマックイーン…!確実に成長しているッ!
肉スプレーの回復するアイテムいいな。なかなかいいつなぎだったぜ、肉的な意味でも
493創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 22:07:47 ID:T/F+/c+f
投下乙です!
綺麗なマックイーン……絶望した後が怖いぜ、これは
携帯電話のフラグの処理の仕方もさすがです
それにしてもポルナレフはいつまで寝てるんだwwww
494創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 01:50:38 ID:+EmaBWYT
放送前ということは、一時投下スレ607氏の『わがまま』は通らなかったのいうことか
495創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 06:42:02 ID:08QGS8yD
まぁ、仕方ないんじゃね?
投下した氏にも考えがあっての放送直前なんだから
496 ◆yxYaCUyrzc :2008/12/09(火) 21:38:36 ID:IbC5EDZ4
>>494氏、>>495

返答が遅くなって申し訳ない。。
えー、結局放送前にしたのは
・放送に行けるほど話が進んでるキャラがいまだ少ない
・逆に「そろそろ放送入れないとまずいんじゃないの」というほど進んでるキャラも少なからずいる(であろう)
・自分には放送を書くほどのスキルがない
と、もろもろの理由で放送直前とさせていただきました。
一時投下スレの607氏にもこの場を借りて説明と謝罪を。せっかくのプロットを俺の我儘でこのような中途半端な形に進めてしまって申し訳ないです。

今後も空気・空気化候補キャラを出来るだけ動かすSSを書こうと思いますのでその時はまたよろしくお願いいたします。。。
497創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 21:51:08 ID:mvuBragR
やれやれだぜ
498創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 21:51:11 ID:H3d7C4n8
氏の空気キャラを積極的に動かしこのロワに貢献しようとする行為ッ!
僕は敬意を表するッ!
499 ◆zQyD4guRRA :2008/12/10(水) 00:15:16 ID:cic8nN3d
したらばのスレに一時投下しました。
何かありましたらご指摘等よろしくお願いします。
500 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 21:55:31 ID:pfRdM6mx
本投下します。
501虫と恐竜 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 21:57:41 ID:pfRdM6mx

……ミセス・ロビンスンの幸運は、殺されなかった一点に尽きる。



闇夜の街を、隻眼の男が歩んでいる。
暗闇に馴染む奇妙なコスチュームと、
顔面のタトゥーが、見る者に強烈な印象を与える。

しかし今、そんな彼の歩調は極めて弱々しいもの。
黒塗りに蔽われた表情にも、蓄積した疲弊が存分に表れていた。

男は、ふと思い出す。
彼が孤独となる寸前に巻き起こった、直視しがたい現実を。

――邂逅した全裸の男は悠然と駆け寄り、
変形したその腕がブンブーンの脚を容易く消し飛ばした――。

首を振り、こめかみを押さえ、生々しい想起を掻き消す。

あれから、どれだけの時間が過ぎたのだろうか?
二時間? それとも三時間?

……畜生。なんでこんなことに。

男――ミセス・ロビンスン――は、
走る余力すらとうに失い、何処とも知れぬ路上を彷徨い続けていた。

……俺は、SBRレースに戻りたいだけだってのに。

ロビンスンはただ、逃れたかった。
異能の超生物からも、スタンドと呼ばれる奇妙な力からも。
そしてこの、互いを殺し合う、理不尽な戦闘世界からも。

……クソッ、死ぬのだけは絶対に嫌だッ……!

身が押し潰されるような危惧の念と、
えも言えない焦燥に支配されたロビンスン。
しかしそんな彼にも、ただ一つ、僥幸と呼べる事実があった。

それは――"まだ、殺されていないこと"。

もしも、先程の男のような超常存在と鉢合わせにでもなれば、
命乞いをする暇すら与えられず、一瞬で彼の命の焔は掻き消されるだろう。

数時間にも及ぶ、底冷えするような孤立状態。
しかしそれは同時に、血に餓えた殺戮者とも出会っていないということ。
ある意味で、彼の救いは孤独そのものだった。

だが――そのささやかな安息にも、終焉が近づいていた。

遥か上方――ビルの屋上からの一対の眼光と、
音もなく地上へと降り立ったその持ち主を、
彼が認識できるはずもなかったのだ。

場所は、両脇を建造物と塀に挟まれた、狭い路。
ロビンスンの数メートル前方――暗闇の奥深く。
502虫と恐竜 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 21:59:08 ID:pfRdM6mx

視界の中で、曖昧な輪郭が明確な形へと瞬時に変貌を遂げた。

びくり、と停止する、ロビンスンの緩慢な歩み。

――それは、勘違いでも、幻覚でもなく。
『何か』が路上に屹立し……微かにだが、蠢いていた。

「…………ッ!」

ミセス・ロビンスンの、この哀れなる男の、
暗闇に慣れ拡大した瞳孔に浮かび上がった、その存在の正体は。

くすんだ色彩の、荒々しい肌面。
闇の中、しかし黄金色に煌く双眸。
大口から覗く、曲々しい肉食獣の歯列。

砂漠の穴ぐらに隠れ住む爬虫類に似た――しかし人間大の、巨躯。

『そいつ』は、紛れもなく、
ヒトで有らざる存在――異形の怪物!

「……ぁ……あ……うぅ……ッ!」

絡む、視線。
『そいつ』が、ロビンスンの存在を認識し、生物と理解したのは明白だった。

「……うおおぁぁぁぁぁぁああアアアアアアアァァッ!!」

反射的な、絶叫。
同時に、ロビンスンの左の眼窩から、飛翔する黒点。
それは、人知を超えた異獣でも、『スタンド使い』とやらでもない、
この砂漠のならず者が身に付けた、唯一の特技。
たった五匹の生き残りは、怪生物に向けて一直線の軌跡を描く。

――同時に、彼は敵に背を向けた。
羽虫共が、この異形を倒せるなどとは露も考えていない。
自分が夜闇に身を隠し、潜むまでの時間稼ぎ程度になれば良かった。
それは、眼前の死に対して、彼が可能な精一杯の『撹乱』。

「――――ッ!」

戦慄く右脚が、疾走の最初の一歩を踏み出そうとした途端――!

――一秒足らずの内に、五匹の羽虫の全てをその爪で始末し、
脅威の超速でロビンスンの『前方』に滑り込んでいた怪物が、人語を発した。

『――君のスタンドは、虫を操る能力なのか?
 ……あるいは、他の抵抗ができるのかね?』

503虫と恐竜 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 22:00:22 ID:pfRdM6mx
 ★  ★  ★


……フェルディナンド博士の幸運は、自らに填められた枷を見つけられたこと。



時刻は、午前五時まで二十分を切っていた。
興りの陽光が地に差し込む直前の、最も地平が闇色に染まる頃。

人間にとっての『可視領域』をものともせず、
その恐竜――かつて、モハメド・アヴドゥルと呼ばれていた存在――の動体視力は、
街を歩む一人の男の奇妙な出で立ちを認識した。
それからの、僅か二十秒足らずの対峙の内に、
大まかに分けて三つの感情が、自身が造り出した恐竜の内部に潜む男――
フェルディナンド博士の脳裏を駆け抜けることとなる。

一つは、悦び――
単独で彷徨う参加者を発見し、
抵抗に用いられたそのスタンド能力が極めて貧弱なものであり、
男が無能である何よりもの証拠として、
逃亡の意思を示していた事実を前にした歓喜。

一つは、疑い――
無力な敵の下僕――五匹の羽虫を爪で裂き殺し、
しかしその、純粋な生物であるはずのそれに訪れた、
『スケアリーモンスターズ』の効果に対しての、
たった数秒の、しかし永遠にも思えるような問い掛け。

暫し、呆然とする。
想定されていた一対の選択肢から、
回答がその『間』を突き進んで行ってしまった、異常局面に。

"全ての羽虫が恐竜化"。それが予定していたものだった。
"全ての羽虫が恐竜化しない"。この事態も考慮にあった。
羽虫は男のスタンド能力により操られており、
その為に『スケアリーモンスターズ』の効能が無力化している。
十分に想定できる事態であるし、
そうならば始めから問題など存在しなかった。

だが、そのどちらでも――0でも1でもない、
眼前のリアルに浮かび上がった真実は。

"五匹の羽虫のうち、二匹のみが恐竜に変化。
 残りの三匹に能力効果は見られず"。

――唖然、思索、苦悩、奇妙。
混沌の荒波が、彼が意識を渦巻いた。
意味が判らなかった。理解しがたかった。
生暖かい恐竜の胃袋から吐き出され、
雲一つ無い寒空を漂う思いすらした。

つまり、それは、『どういうこと』なのか――?
504虫と恐竜 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 22:01:20 ID:pfRdM6mx

自らに待ち受けていた『回答』の糸口を遂に掴み、
フェルディナンド博士は最後の一つの感情に辿り付く。
――それは、爆発的な、怒り。

恐竜の脚力で男の『前方』に回り込んだ瞬間も、
歪んだ爪をその外頸動脈に押し当てた瞬間も、
必死に冷静を装い最初の言葉を語り掛けた瞬間も。

はらわたが煮え繰り返らんばかりの激情が、彼が内を支配していた。



――『制限』――。



反吐が、出掛かった。

"五匹の羽虫の内、なぜ二匹しか恐竜化しないのか"?
……その謎に対する答えは、いとも簡単なもの。

『恐竜化が可能なのは、たった三体の生物のみ』。

既にモハメド・アヴドゥルで『一体』。
そして裂き殺した羽虫の内の、『最初の二匹』。
合計で、『三体』。
自分に与えられた『ストック』は、それで終わりなのである。
もし、眼前で震える虫使いの男の首筋を
引き千切り絶命させても、彼は恐竜化しないし、できない。
"既に三匹、恐竜にしてしまっているから"。

『たった三体の生物のみ』。

極めて忌々しかった。不快だった。
不意に荒木飛呂彦の顔を思い出す。楽しげな微笑み。
奇妙かつ異常なるこの世界に呼び出された時点で、
既に自分とその能力には『処置』が為されていたのである。

『三体の生物のみ』。

何度考えても怒りが止まなかった。
頭蓋が直接揺さぶられるような眩暈を覚えた。

制限そのものの存在は勿論のこと、
自身が作り上げたゲームの、駒の力を完全に掌握し、
それに大雑把な『バランス調整』を加えることで、
より観戦を愉快なものにしようとする支配者然のエゴイズムが、
博士にとって総毛立つ程不快だった。

「…………」
「…………」

全ては、闇の中。
異形の鎧を纏い、獣の爪を突き出した勝利者。
眼前の死への畏怖に、身を震わせる敗北者。

勝利者――フェルディナンド博士の内心に沸々と湧き上がる、
この場に存在せぬ男に対する嚇怒。
それが為に、二つの影は、静止を続けていた。
505虫と恐竜 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 22:02:54 ID:pfRdM6mx

ふと、博士の冷静な箇所が、自身に呟き掛ける。
――呪詛の言葉を吐き散らかしたからといって、事態が収拾する訳ではない。
『制限』を理解し、むしろ利用する程でなければ、
とても八十八人の頂点に立つことなどできまい――と。

「……ぐ……うぅ……。
 こ、殺すなら、さっさと殺しやがれッ!」
『――いや、殺さない。少なくとも今の所はな』

激情を、慎重に胸の奥へと仕舞い込む。
眼前で叫ぶ男に対し、あくまで冷静に応対する。

課せられた能力制限は、『生物の恐竜化』についてだけ。
人類を遥かに上回る恐竜の身体能力が失われた訳ではない。

『今からこの爪を離してやるが、抵抗はするな。
 少しでも妙な動きを見せたら殺す』
「……わ、分かった」

爪を青白い首元から離しながら、博士は推測する――
恐らく、能力を解除すれば『ストック』は回復する。
いざとなれば一体に対する能力効果を解除し、次の支配へと回せるのだ。
『スケアリーモンスターズ』の特長――感染による優位性――が、
完全に失われたのではない。

ここで初めて、彼は男から身体を遠ざけた。
適度な距離を置き、夜道で向かい合う格好になると、
フェルディナンド博士は怯える男に命令を下した。

『君にはこれから、私と共に行動してもらう。
 私の命令には速やかに従い、『ゲーム』での私の優勝を助けろ。
 そんな物悲しげな顔をするなよ……殺されるよりはマシだろう?』
「…………」

完全な降伏の意思を示す、『虫使い』の男。
現時点で恐竜化できぬならば、『人間としての手駒』にしない手はない。
囮にでも使えば、多少は敵の目を欺く事もできよう。
ただ殺害数を一点増やすよりも、遥かに有意義な選択と呼べる。

何より、彼のスタンド能力の媒介である虫が失われたのは大きい。
この男は、今や無能な非能力者と同格だ。
邪魔になれば簡単に始末できる点で、便利だった。

そして、恐竜に変化させ、微小なサイズの『翼竜』へと生まれ変わった二匹の羽虫。
これらは手筈通り、『偵察者』として利用する。
『スケアリーモンスターズ』の能力は、恐竜化した生物と本体の視聴覚を共有させる。
これにより、広い範囲での速やかな情報収集が可能としているのだ。

二匹の翼竜は、それぞれ『西』と『南』の方角に向かわせることにした。
北東はあらかた調べ尽くしており、無人を確認しているからだ。
ちなみに、虫使いの男は『翼竜』の存在を認識していない。
506虫と恐竜 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 22:05:00 ID:pfRdM6mx

『そうだな――まず、君の名を教えてくれないかね?
 もちろん、あの名簿に載っている名前だ。
 偽名などは許されない』
「……ミ……ミセス・ロビンスンだ。
 あんたの名は?」
『――確かに、名簿にあった名前だな。
 だが、奇妙な話だ。
 "何故、私が君に名前を教える必要があるのだね?"』
「…………ッ!」

恐竜の口の端が、まるで人間のようにキューッと歪むのを見て、
ミセス・ロビンスンの生きる右眼は畏怖に染まった。

その哀れな姿を眺めながら、フェルディナンド博士は思念する――
これからは確実に勝てると思われる戦いのみを選び、
その他の危険からは極力遠ざかる。
生き残る為の唯一の方策は、それでしかあり得ない。

課せられた『制限』を認知した以上、
より慎重な、かつ大胆な行動が求められるだろう。

あと一時間ほどで発表されるという『放送』で、現状を確認したい。
状況によっては、休息とその為のエリアの確保を考えなければならない。

『しかし、コミュニケーションするに至っては、
 "名無しさん"というのも不便だ。
 ……そうだな、無学な君は『ダイナソー』とでも呼んでくれればいい』
「……あ、ああ……分かった」

博士は、心中で嘆息する。

――どうやら、前途は多難だ。
だが、必ず私は生き残って見せるよ――アヴドゥル君。


 ★  ★  ★


……二人の最大の不運。
それは、このバトルロワイヤルに呼び出されてしまったこと。

507虫と恐竜 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 22:06:00 ID:pfRdM6mx
【市街地(C-6)/一日目・早朝(4:30頃)】
【恐竜男と虫使い】
【ミセス・ロビンスン】
[時間軸]:チョヤッを全弾喰らって落馬した直後
[状態]:疲労
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:優勝してレースに戻る
1.コイツ(フェルディナンド)はやばすぎる!しばらくは従い続けるしかないだろう……
2.アイツ(サンタナ)もやばすぎる!
3.何とか生き残って優勝したい
4.サンドマンやマウンテン・ティムなどの優勝候補を率先的に潰す

※虫は全滅しました。
※ミセス・ロビンスンはフェルディナンド博士の姿と本名を知りません。


【フェルディナンド】
[スタンド]:『スケアリーモンスターズ』
[時間軸]:ロッキー山脈への移動途中(本編登場前)
[状態]:恐竜(元アヴドゥル)の中にいる。健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×4、麻薬一袋、ダイアーの未確認支給品×0〜2個、スティックス神父の十字架、メス(ジャック・ザ・リパーの物)
[思考・状況]:基本行動方針:優勝する。過程や方法などどうでもいい。
1.優勝する
2.ミセス・ロビンスンを利用する
3.第一回放送の内容の確認
4.二体の『翼竜』で南方と西方を偵察する
5.ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎にアヴドゥルの最後の言葉を伝える。協力する気はないが、利用できるならば利用する。
6.荒木に対する怒り

※フェルディナンドは、 『ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎』 の姿と能力を知りました(全て3部時点の情報)。
※フェルディナンドは恐竜(元アヴドゥル)に入っています。
※フェルディナンドは【D-6】に大型トラックを放置しました。
※アヴドゥルの首輪はついたままです。機能自体は停止していますがなかに爆薬はまだ入っています。
※フェルディナンドはミセス・ロビンスンを「虫を操るスタンド使い」だと思っています。
※「スケアリー・モンスターズ」は制限されています。

* 解除後は死亡
* 恐竜化してもサイズはかわらない
* 持続力、射程距離、共に制限されています。ある程度距離をとると恐竜化は薄れていきます。細かい制限は次の書き手の皆さんにお任せします。
* 恐竜化の数にも制限がかかっています。一度に恐竜化できるのは三体までです。

※フェルディナンドは制限の一部に気付きました(『三体まで』の制限)。


【翼竜A】
[思考・状況]
1.南に移動し、状況を観察する

【翼竜B】
[思考・状況]
1.西に移動し、状況を観察する

※翼竜は、ミセス・ロビンスンの虫の死骸にスタンド『スケアリーモンスターズ』を使い生み出されたものです。
※翼竜の大きさは本来の虫と同じ(数mm〜1cm)です。
※翼竜はフェルディナンドが命令し操作できます。
※翼竜は視聴覚をフェルディナンドと共有します。
508 ◆zQyD4guRRA :2008/12/12(金) 22:06:47 ID:pfRdM6mx
投下完了しました。
509創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 00:12:24 ID:Lc2wRzqN
投下乙です。
誰かに言われる前に言っておこう

どうして「3体」だけなのよォオオオ〜〜〜〜ッ!!

いや、文句とかじゃなくってこう言っといた方がいいのかなって……
それにしてもロビンスンカワイソス もう自衛手段なくなったし
510 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/13(土) 00:41:31 ID:F4SJ7Gei
投下乙ッ!!
ロwビwンwスwンwww これは酷いww
正直な話、恐竜化のほうがまだよかったたんじゃないか?w(出番的な意味で
残り少なかった虫も翼竜化されていいとこなしだもんなぁ…
空気キャラ言われてた二人がどう出るかこれからに期待ッ!!
改めて投下乙でした!


え〜、それと一時投下スレにて投下完了です。
誤字・脱字、矛盾点・修正点、他気になる点がありましたらご指摘ください。
特に今回は内容も内容ですから厳しく指摘してください。今回は色々詰め込んだので…はい……

投下が遅くなってすみませんでした…orz
よろしくお願いします。
511創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 08:24:48 ID:1etHnurt
来たッ!サンタルチア駅来たッ!これで勝つるッ!!


…え? な…なに!?
512創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 23:10:44 ID:ZE+hNz+I
個人的な好奇心から…そのがっつくようだが教えてくれないか?
氏はフェルディナンドに何か思い入れがあるのかい?
いや、登場話も含めて三作品中二作も書かれてるし、気になってw
513 ◆zQyD4guRRA :2008/12/14(日) 00:42:30 ID:5haHxh2y
>>512
バ、バレた(笑)
ダイナミックなスタンド能力にインパクト抜群の登場シーン(騎乗で参上)、
グレーフライやロビンスンもびっくりの一話敗退。そしてDioにスタンドを奪われ…。
そんなフェルディナンド地質学・古代生物学博士の全てがお気に入りです。
私情が入り過ぎるとヤバイので、もうロワ内の博士の動向は他の書き手様に任せようと思っています。
514創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 16:15:13 ID:wRL2U6Jp
投下乙です
ロビンソンはボロボロだな・・
虫が全滅+博士の手駒とか優勝どころじゃなくなってきたぞ
515 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:44:58 ID:eXOl59ZA
え〜大分遅れましたが
ラバーソール、J・ガイル、ヴァニラ・アイス 、片桐安十郎(アンジェロ)、川尻早人、ウェザー・リポート、ブラックモア 
投下します。
516 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:47:31 ID:eXOl59ZA
雨音だけが彼らの耳に響く。
しかしながら風を切り、足を進め体を動かし続ける彼ら二人には雨音だけが聞こえているわけでは無いだろう。
ブラックモアには自らのスタンドを出現させる際の奇妙な音、そしてビチャと水溜りの中に飛び込むような音。
ウェザー・リポートには急かすように動く自らの心臓の音、そして体全体を覆うような暴風が耳音を駆け抜けていく音。

二人が同時に駆け出すきっかけになったのは一人の少年の叫び声だった。
「うわああああああああああああ」
雨音を破るように響いたそれは話を切り上げ、駅へ向かおうとしていた二人にもしっかりと聞こえていた。
「今の声は………」
「早人さんの、ですねェ」
その会話が徒競走のスタートの合図であるピストルの号砲かのように二人は全力で駅へと走り出した。
そして今に至るわけだ。
心なしか雨足が強くなったかのように感じたブラックモアは飛び跳ねながら下にいる人物に目を向ける。
先の会話でどの程度彼の信頼を得たのかはわからない。向こうがこっちを掴みづらい男と思ってるのと同様に、ブラックモア、彼自身もウェザー・リポートという人物の全体像は掴めなかった。
(どちらにしても私にとって彼は大切な武器……)
雨粒を固定するという彼のスタンド能力は応用が効き、様々な状況にも対応できる力を持っている。反面、天候に左右されてしまうという大きな弱点があるのは仕方のないことだろう。
そんな彼にとってこの不確定要素である天気を操るウェザー・リポートを手の届く所に置いておくのはこの殺し合いという舞台において最優先事項なのだ。
(ここは彼に信用と借りを築くために早人さんの危機を救っておく必要がありますねェ……)
そういった思案にふけっていたせいであろう、ブラックモアはウェザー・リポートが足を止めたことに気づくことができなかった。慌てて前進をやめ、訝しげにするブラックモアの目に人影が映った。
よろよろと足をもたつかせ、奇妙なバランスで近づいてくるその人物の姿に二人は凍りついた。
「ヤバいッス…駅が、二人が危ないんッスよ……。早くしないと二人が、二人に取り返しのつかないような……!」
右腕を失い、息も絶え絶えになりながら近づいてくる男、東方仗助がそこにいた。



   ◆
517 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:48:17 ID:eXOl59ZA


「何があったんだ?!その右腕はどうした?説明しろ、仗助!」
おいおい、こんな大怪我だぜ?普通は最初に手当てをしようとか思うもんじゃねぇのか?まったく…
案外こいつらって淡白なんだな。まあこの俺のような外道ってわけじゃなさそ−だがな、ヒヒヒヒヒヒ!
それにしても案外善人ぶるってのは疲れるもんだな…今すぐこの肩においてある手からブヂュヂュル磨り潰してジャムにしてやってもいいんだぜェ〜?
「落ち着いてください、仗助さんの声が聞き取れませェん。それで何があったんですか?早人さんは…?」
「早人は…どうなったかわかんないッス…。もう、それどころじゃなんくて大慌てでここまで来たんですから。
ただ、ありのままに駅で起こったことを話しますよ…。『駅の時刻表を眺めていたと思ったらいつのまにか右腕がなくなっていた』」
「………」
「何を言っているのかわかんないかもしれないッスけど俺も何が起きたかわからなかった…。痛みや混乱で頭がどうにかなりそうでしたよ…。
たぶんスタンド能力なんでしょうけど、そんな素振りが一切無かった。近距離パワー型スタンドだとか、圧倒的なスピードだとかそんなチャチなもんじゃありませんでしたよ…。
もっと恐ろしいスタンドの片鱗を味わされたんッスよ…俺にできることと言ったら助けを呼びに必死こいてここまで走ることぐらいでしたから…」
チラッと目をあげると…ヒヒヒ、混乱してるぜ、この二人。
ヒヒヒ…嘘はついてないぜ?嘘は…。
早くこの二人を駅にやんねーともしかしたら後ろからあれが追っかけてくるかもしれないしな…。あんな得体のしれない何かが襲ってくるかと思うとゾッとするね、気が気じゃねーぜ…。
うまくいけばこの二人があれと相打ち、その上俺はノーダメージ…。ヒヒヒヒヒヒ…俺の頭脳勝ちってか?
「それでは今あそこには二人とその謎の襲撃者しかいない、と?」
「ええ、俺じゃもうどうしようもないと思って。助けだけでも呼びにここまで………」
「……ブラックモア」
ん…?こいつ、なんか知ってるみてーだな?もしや、あれと因縁もちか?
「はい?」
「仗助の手当てを頼んだ。急がないと駅が危ない。それにもし仗助が言ったやつが俺の知っているやつだったら…」
「…その様子じゃなにかあるんでしょうね。わかりました、気をつけてください。彼の手当てが終わったら私もすぐに行きます」
大丈夫だ、って呟いたはいいけど本当にこいつ一人で大丈夫か?まぁ、そんなことは俺の知ったこっちゃ無い。
それにもう止めようとしたって姿も見えないぐらいだ、声をかけたって間にあわねぇしな。

「………」
「………」
さてと、そんなことより問題は今のこの状況だ。確かこいつは『雨粒を固定するスタンド能力者』だよな?
手当てが終わったらすぐに駆けつけるとかいったくせに…こいつはさっきからじっと俺のことを見てやがる。
もしや…変装が見破られたか?いやいや、この俺の『イエローテンパランス』の無敵さはこの俺自身が一番に理解してる…絶対見抜けるはずが無いはずだ。
でもよ、だとしたらこれはいったいどういうことだ?
こいつは今確かに一歩、俺から『離れ』やがった…まるでこの東方仗助が危険人物であるかのように!
518創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 22:48:27 ID:cocqw/kT
支援
519 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:49:09 ID:eXOl59ZA
「………」
「その、早いとこ止血だけでもしてもらえないッスか?このままじゃ出血でやばいことになるんッスけど…」
「多量出血による出血死、ねェ…。ふむ…すいませェんが私にはどうもそうなるとは思えないんですけどね…。失礼かもしれませんェんけど、聞きますよ?貴方は本当に東方仗助さんですか…?」
…こいつ、やっぱり疑ってやがる!この俺の正体を…!
「…何言ってるんですか、この通り俺自身のスタンドだってある…」

「まぁ、スタンドについてはどうこう言えませんよ。でも変じゃないですか?血がだんだん『薄く』なってるんですよ、貴方…ほら、振り返って見てみてくださいよ…」
ドドドドドドドドドドドドドド………
「それにその怪我だったらそんなこといってられるほど余裕はないはずですよ?エンポリオさんなんて血の池でしたから、貴方だってそうなるはずですよ…」
     ドドドドドドドドドドドドドド………
「服も変ですよ。本来ならこんなに雨が降ってるんですもの、水分を吸って色が変わるのが普通…よっぽどお高いお召し物なんでしょうねェ…」     
            ドドドドドドドドドドドドドド………

「ですけど何より決定的だったのは…貴方はさぞかし間抜けな方なんで気つかなかったんでしょうが…」

「それこそ私の知り合いにいますよ?…東方仗助のような、頼りにされるような男が…。
そんな人はねェ、腕をもぎ取られようが足が千切れようが一旦繰りついたらスタンド能力を決して解除しないんですよ…。なによりスタンドなんかに頼ることなく、自らの手で運命を切り開いていく覚悟、それを持っているんですよ…『彼ら』って奴は…」
 
      ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!!!

「……ヒヒヒヒ、結構結構……。てめーの頭がいいことは理解したぜ…俺にも色々とミスはあったな、それは反省しねぇーとな…」
ちぇ、ばれちまったもんは仕方ねぇ。偽の傷口に入れといたさっきの男のかすはまぁ、俺のスタンドが栄養にでもするだろ…。
「……」
「でもよ、てめー頭脳が間抜けか?ここで俺の正体を見破るってことはよぉ、俺としちゃお前をただでおいとくわけにはいかんわけよ!
ドゥーユーアンダスタァ〜〜〜〜ンンンド?お前はここで俺に殺されるってわけだ、この田ご作がァーーーーー!」
既に俺のスタンドは地面に張り巡らされてるのだッ!奴からしたら俺はただ顔が変えることが出来るスタンド使い。
その盲点に俺は付け込むッ!まさか自分の足元がすべて俺のスタンドで触れた瞬間、飲み込まれるなんて思っても無いだろうな、ヒヒヒ!
さぁ、来い!こんだけ挑発したんだ、奴は絶対乗ってくる!
「いいえ、私は貴方と戦ったりはしません」
………は?
「なぜなら貴方は私の仲間になるんですからねェ…」
…おいおい、一体どういうことだ、これは?
「私は参加者88人を皆殺ししてこのゲームを優勝しようとしています」
「なにィ〜〜〜〜〜!?」
「毒を制するのは毒、ここはひとつ殺人者同士で手を組みませんかねェ?」
520 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:50:32 ID:eXOl59ZA
ちょっと、待てよ…オイ………ただでさえ、この目の前のこいつの言葉で混乱してるってのに。
なんだ、こりゃ?水蒸気か?…俺とこいつの間にぷかぷかと浮かんだ水滴が急にスタンドになって喋りやがったッ!
「その話…面白そうじゃねぇか…」
またまた突然聞こえた言葉に首を右に向けてみると、水蒸気の次は水溜り、包帯巻きのスタンドが写ってやがる。
「ククク…まったくだ…俺にも詳しく聞かせてくれないか?」
勘弁してくれよな、まったく………。まぁ戦わないにこしたことはねぇな、ヒヒヒ!話だけでも聞いてみるか…



   ◆



「うわあああああああああああああああああああああああーーーーーー…ッ?!」
目の前が霞むほど、それこそまるで滝のような、本来ならば亜熱帯地方でしか発生しないような豪雨。
(え…?)
一瞬で狭まった視界と雨粒の冷たさに早人の頭は比例するように、冷静さを取り戻した。否、無理矢理現実に引き戻された。
依然涙は流れ続けているが寧ろそれが感情の捌け口となり早人は目の前に迫った命の選択に集中することができた。
(雨…天気?これはウェザーさんからの伝言…?)
先ほどの、時間にしてほんの一・二時間前の戦いが彼の脳裏をよぎる。ウェザー
あの時はアヌビス神がいた、ウェザーが駆けつけてくれた。
(…そうだ、僕は独りだ………認めるんだ早人!逃げちゃ駄目だ、今ここで『僕が』こいつを倒すんだッ!)
アヌビス神、ヨーヨーマッ、そしてエンポリオ。
三人の死は彼を絶望に叩き落とすには充分であったろう。それでも早人は立ち上がった。
ウェザーがやって来る、その希望ひとつを胸に、彼の精神は輝きを取り戻すのだ。
友を失いながらも立ち上がるその姿は確かに『黄金に輝く精神』、かつて吉良吉影の前で運命を打ち破った川尻早人が、そこにはいた。

足元に散らばった道具を抱え込み、まずは距離を取ろうと早人は辺りを見回しその存在を確認しようとする。
(いた…!)
ゾッと背筋が凍るような思いがした。わずか三メートル足らずの所、後方に早人の頭の高さほどを透明の球がゆっくりと浮遊している。
すでに二人(?)の命をとったにも関わらずその動作に慎重さに満ちているのは先ほどの敗戦が堪えたのであろう。
(僕の作戦は、やっぱりこれしかない…。このライターを使った作戦でいく………。だけど、ここじゃ不味い。雨で姿が見えてもこの場所には障害物がない…!
奴を倒すことが出来ても、僕が逃げる場所が無い!奴のスタンド能力が先か、あのライターのスタンドが先かなんていう分の悪い賭けはごめんだ!)
拳の中でグッとライターを握り締める。じっとりと汗が湧き出るのがわかった。
決意を胸に早人が駅に向かおうとした瞬間、透明の球が円を描くように動きを変えた。今度はレコード盤のように、ゆっくりと。
(僕の場所を大まかに把握して、逃げ道を塞ぐつもりだ…。あとは時間と供に円を狭めていけば…)
じっくりと観察する。球を観る。軌道を知る。
時計の秒針のように迫る死へのカウントダウンの恐怖に自然と息が荒くなったのを知りながら早人は脳をフル回転させた。
(高さだ……。きっと、僕の頭を狙っているんだ、一撃で仕留めるために…)
奴は自分が見えない。それから搾り出された結論はあまりに馬鹿馬鹿しい。それでいて単純で、これしか道が無いように彼には思えた。
狂気の沙汰、そう人は言うかもしれない。
(飛び越える…僕に出来るんだろうか?この怪我した足で…。いや、やるしかないんだ…ッ!運命を乗り越えろ、早人!やってみせるんだ!)
心臓の鼓動が聞こえる、膝が笑い汗が伝う。自分の命を懸けた戦い、ジャンプを決意する。
521 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:51:36 ID:eXOl59ZA
目の前を通り過ぎた直後、即座にハードルを越えるように削り取る球を跳躍する。大地をけり、空を舞う。
早人は死神から逃れたのだ。空中にいるため、わからない。しかし足が大丈夫な以上、無事にすんだのであろう、そう早人は安堵した。
    ガ    オ      ン   !!
…はずだった、早人の足が万全で負傷によりバランスを崩していなければ。
現実は非常である。

「ぐあああああああああああァあああああああああああああァアーーーッ!!」
今度は先だけではない。かかとと足首、それらを含んで自らの体を支えていた右足が棒切れのような形になった。
二度と体験したく無い、そう思った痛みを再び、しかも一日にも立たずに感じることとなってしまった。
脳は本能が命じるままに痛みという危険信号を発し、その殺人的なまでに強力な電撃に早人の口より悲鳴とも呻き声とも取れないような声が意図せず出てきた。
赤い断面図を両手で抱え込み、体を何度か痙攣させる。痛みが命じるままに、もがき苦しんだ。
転げ周り、泣き叫ぶその姿は惨めなもの。段ボール箱に撃ち捨てられた傷だらけの子猫のような。

そんな状態だったからだろう、早人には気づく余裕が無かった。
駅から漏れている光に照らされ、できた人間の影が。透明化を解除して、塵で見るかのように冷徹な目をしたヴァニラ・アイスがそこにいることに。
瞬間、天地がひっくり返りジェットコースターに生身で乗っているかのような奇妙な浮遊感を感じた。
駅の壁に叩きつけられ、逆流した胃液をぶちまけながら彼はようやく自分がゴムマリのように蹴飛ばされたと理解する。
咳き込み、胃液を吐き、血を吐く。背中と腹部に受けた衝撃で痛みが拡散するわけもなく、相も変わらず痛む右足が恨めしく思える。
壁伝いに体を包む雨粒の冷たさが急に身に滲み、その中で恐怖を感じる余裕も無かった。
それどころかこの痛みから解放されるなら…そんな思考さえ彼の脳裏を横切った。
降り止まない雨音に紛れて一歩一歩近づいてくる死神の足音。自分があの空間に消されるという感じたこともない虚脱感。
目を閉じてその時を待つだけだった。そして早人はそうした。

―ヒーローは遅れてやってくるとはよく言ったものだ。
死神の鎌は振り下ろされることなく新たな獲物に向けて構えられた。その獲物は先に自分が苦汁を舐めさせられた相手。

「貴様…」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 「 早人…ギリギリ間に合ったか…」
「二度も貴様を取り逃がすような失敗を犯すわけには行かない…」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 「その出血は早く治療しないと不味いな…。待ってろ、早人」
「我が主、DIO様のためにも!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 「すぐに終わらせる」
「今、ここで貴様を殺すッ!!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 「今、ここで貴様を殺すッ!!」

「ククク…盛り上がってるところ申し訳ないが…」
「?!」
「J・ガイルッ!!」
「ヴァニラ・アイスよ、その男に手を出すな…。おっとウェザー・リポート、だったかな?お前も動くなよ?動いた瞬間、ククク、この小僧がどうなってもいいならばだが…」



  ◆
522 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:53:28 ID:eXOl59ZA
「いや、見物だったぜ、あの唖然とした顔!ヒヒヒ!三人揃って開いた口が塞がらないって間抜け面揃えてよぉ〜、あの時ほど俺のスタンド能力が素ん晴らしいィーと思ったことはないぜ?」
「けっ、下らねぇ!ラバーソール、おめーそうやっていい気になってっといつか破滅するぜ……」
「ククク…なら俺の話はどうだ?」
ウェザー・リポートは善人だ。しかし囚人である。
日頃刑務所で衣食住を行い、生活してる彼からしたら他の囚人たちのその犯罪自慢も耳慣れたものだ。そんな下らないことに注意を払わないし、なによりそんな連中とつるむのは極力避けていた。
しかし、今の状況ではそうもいかない。場所が狭い駅の待合室であり、嫌がおうでも話は聞こえてしまうし、なによりもウェザー自身が聞き流しても自分の隣に座る少年にはいささか刺激が強すぎるものであった。
下品な笑い声を響かせる三人の男たちを見ている早人は不安げで、小刻みに震えていた。
「怖いか、早人?」
「大丈夫…。それより足が……」
そんな彼を安心させるようにポン、と頭に手を置いてやる。子供とあまり接したことがないウェザーにしてみればこれが精一杯の励ましであった。
早人はそれでもそんな不器用な優しさに安心感を覚えた。それだけで笑い転げる三人の声、そして自分の足を削り取った男の姿により作られた恐怖が薄れていく。
しかし乱雑に布で巻かれただけの早人への手当てを改めて施そうとしたウェザーの行動は一人の男の場を沈める手拍子にかき消された。

「スィませェん、盛り上がってるところ申し訳ありませんが私の話を聞いてください…」
三人のうち誰かがうるせぇ、と喚くのが聞こえた。その言葉に残りの二人の笑い声が重なり待合室に響いた。
再び静寂が訪れるのを男、ブラックモアは待ち、それから口を開いた。その悠々としたしゃべり方はまるで安っぽい結婚式に出てくる神父かのような暢気さをもっていた。
あたかも明日の天気を気にしてるだけだ、とでも言いたげな口調で。
「ここにいる皆様は揃いも揃って飛びッ切りの犯罪者ばかり、殺戮者ばかり!それが何の因縁か、一時的にとはいえ同盟を組むのです。それに関しての約束事を今決めておきたいと思います…」
三人からからかいのような野次が飛ぶ。無視して話を続ける。
「まずこの場で一番の実力者であるヴァニラ・アイスさん…。貴方に聞きたいんです、なぜ貴方は同盟を組む気になさったのですか?
貴方ほどの実力があればここにいる六人ぐらい平気で殺せるでしょう…正直な話、ここは貴方が一番に主張しないといけないでしょう…」
今の今までずっと動かなかったヴァニラ・アイスがその言葉に目をゆっくりと開け、深い声を轟かせた。その声には確かな自信と有無を言わせぬ迫力、両方が確かに込められていた。
「この殺し合いで優勝するのはわが主であるDIO様。しかしながら帝王であるあのお方の手を煩わせるわけには行かない。中にはあの方が手をかけるには相応しく無いものもいるだろう。
ならば自分は下僕としていち早くその手助けをしなければならない。たかが間引きにあの方の手を煩わせるわけにはいかない、つまり貴様らが生きていられるのはあのお方のおかげ。
感謝するがいいぞ、わが主に…」
523 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:55:36 ID:eXOl59ZA
その言葉で部屋の空気が明らかに冷える。
アンジェロは胡散臭げにヴァニラを睨み、ピクピクとその手を震わせている。その動きはさながら首を絞め殺す予行練習を行ってるようで。
ウェザーの眼光は鋭くヴァニラに注がれた。真っ向から視線を絡め合う二人が何を感じたかは当事者のみぞ知るだろう。
「まぁまぁ、皆様落ち着きくださィ」
「それと、ブラックモアと言ったな…私はここの駅に残る。貴様らだけで既に6人、これからもこの駅は参加者が多く来るだろう…」
「訪れてくる参加者は貴方自身の手で処理する、と…。その忠誠心、見上げたものです。それではヴァニラさん……そうですね、ここからC-4にあるそのDIO様の館までどのぐらいかかりますか?」
「主が必要としているならば一刻の時もかからず」
「ふうむ、そうですか…」
顎に手をあて考え込むブラックモア。考えをまとめるためだろう、呟きを小さく漏らすこと数分間、彼は顔を上げた。

「では、これからこの七人の同盟の規約を発表します」
その七人、という部分がさりげなく強調されたように思えたのはウェザーの気のせいなのだろうか?ただ他の5人は気がつかなかったようだ。
ヴァニラ・アイスは再び目を閉じ、壁にもたれかかれ備え付けの椅子に身を沈めた。
三人は三人で、小言や悪態をつきながらも目をぎらぎらと輝かせ耳を傾けていた。
「ひとつ、この同盟は今日の24時までとする。ただしその後個人的に手を組むなりするのは構わない。七人の同盟は24時に解除。
ひとつ、今夜20時に必ずC-4にあるDIOの館に集合する。その際、それまでに得た情報は共有すること。ただし嘘をついても構わない。しかしそれが嘘だと判明した場合、他の同盟者はその嘘をついた本人を徹底的に攻撃する。死んでも文句は言わない。
ひとつ、七人は四組に分かれる。私とウェザー・リポート、J・ガイルさんとアンジェロさん、ヴァニラ・アイスさんと早人さん、ラバーソールさんは単独行動をしてもらいます。
これについてはまた後で詳しく理由も話します。
ひとつ、DIO様及び、ウェザー・リポートの仲間、早人さんの仲間については『可能な限り』殺さない。
まぁ、これについては深くは言いません。どうせ貴方達のことです、殺す気満々なんでしょうから…。けれども出来る限り、避けてください。これは所謂規約ではなくお願い、と言ったところでしょうか。
そして、最後にもうひとつ。この同盟は裏切りが前提であること。いつ裏切っても自由、造反結構、手回し結構。ただしそれが表立った場合、他の六人はその一名を徹底的に攻撃する。殺されても文句は言わない。
以上5点が主な規約です。何かご質問はありませんか?」
各々は今ブラックモアが語った言葉を噛み砕いている様子だった。その中でもウェザーの反応は早かった。

「組み分けについて不満がある。別の組で行動することを希望する」
その言葉には確かに怒りが溢れていた。その瞳は憤怒に染まっていた。そのスタンドから時折発せられる、バチバチと雷がはじける音は彼の内に秘める感情の高ぶりだろう。
胸倉を掴みにかからんぐらいに近づき、説明を求めたウェザーの怒りをいなすようにブラックモアは説明をした。
「組み分けについての説明ですね、わかりました。他の方々も聞いてください。
まず最初に私とウェザー・リポート。恥ずかしながら私のスタンドは雨が降っていない限り効力を発揮できません。ほかの組み合わせでいくと自分は足を引っ張るだけなのでウェザー・リポートと組ませていただきました。
続いて、アンジェロさんとJ・ガイルさん。二人とも水溜り、及び水、それに順ずるものに関係するスタンドなので同じくウェザー・リポートと組みたいと思われるかもしれませんが、先に言った通り自分が一番非力となってしまいます。
その点お二人ならば大丈夫かなと思いまして。それにお二人で気が合われてるようですし。
ラバーソールさんについてはその変身能力を最大限生かすためにも単独で行動されるほうがいいと思います。どうしても私達のようなものと組んでると警戒されますしね…。
早人さんとヴァニラさんについては、早人さんの足の負傷、そしてウェザー・リポートに対する保険としてのペアです」
納得がいかないウェザー。規約の発表がされてから震えっぱなしの早人をその恐怖の張本人と組ませるわけにはいけない。
胸倉をつかみ、グッとブラックモアを近寄せる。脅してでもこの組み合わせだけは変えるつもりだった。
「早人さんは必ず二人で助けに行きましょう。第二回放送時にここを襲撃します。手伝ってくれますよね?」
できるだけ小声で、しかも唇を動かさないように発せられたその作戦を聞くまでは。

524 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 22:56:22 ID:eXOl59ZA
「早人さんは必ず二人で助けに行きましょう。第二回放送時にここを襲撃します。手伝ってくれますよね?」
できるだけ小声で、しかも唇を動かさないように発せられたその作戦を聞くまでは。

あたかも説得が出来ない相手と諦めたかのように、ウェザーは盛大に舌打ちをするときびすを返し再び早人の元に戻った。
「付け加えていいますと、私の組とJ・ガイルさんの組は同じ方向に向かいます。私たちが雨を降らせて水溜りができ、有利な状況で殺しができるのは貴方達にとっても好都合なんでしょうけど…どうですか?」
「ククク…俺は問題ないぜ。アンジェロ、お前は?」
「俺もだ…。だがな、ブラックモア…てめぇーのその私が言ったことはなんでも実現する、みてーな態度はやめな…。そうやっていつまでもいい気になってると俺が殺すぞ?」
「気をつけます…。他にご質問はありませェんか?」

「では、これにて同盟成立!皆様のご健闘をお祈りします!」



  ◆



(さて、彼からの信頼は得れたのか、どうか…。まぁ、そんなことはこの際構いませんねェ…。なんとかこの危険地帯を乗り切っただけでも良しとしますか…)
(早人を助けるためにもブラックモアを信頼すべきなのか…?いや、しかし………。だが今回ばかりこいつに助けられたのは事実だ…。)
(あの偽仗助さんのデイバッグ…動いてる!あれは…きっと僕が送った鳩だッ!こうなったらなんとかして承太郎さんに直接手紙を送るしかない…
 それと………ヴァニラ・アイスはこのライターを知らない…。僕に出来るのか?この僕に…人殺しが、できるのだろうか?!)
(アンジェロ、か…ククク、ホルホースよ…どうやらてめーより有能なナンバー2がここにいるようだぜ?まぁ、本人はそんなこと思っても無いんだろうがな)
(J・ガイル…直接の戦闘はこいつに任せるとするか。俺としちゃ、早く人殺しが楽しめりゃいいんでな…精精がんばってくれよ、J・ガイルのだんな…)
(ヒヒヒ…楽しくなってきたじゃねーか…。ま、最終的に勝ち残るのは俺なんだけどな!それより早人から情報を聞きだしたいところだが…簡単にはいかなそーだな、こりゃ)
(DIO様…)

其々の思惑は複雑に絡み合い、旋律を奏でた。その序曲、サンタ・ルチア狂想曲、これにて終了。
一人の男の指揮が流れ、舞台は第二部へと動き出す。これから訪れるであろう其々のソロパート、ドュエットをご期待ください。
525 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 23:00:27 ID:eXOl59ZA
【H-3サンタ・ルチア駅/1日目 早朝(放送直前)】

【J・ガイル】
[時間軸]:ジョースター一行をホル・ホースと一緒に襲撃する直前
[能力]:『吊られた男』
[状態]:左耳欠損、左側の右手の小指欠損、右二の腕・右肩・左手首骨折、カーズに対して怒りと恐怖、 軽く情緒不安定
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1.アンジェロを可能な限り利用し、参加者を減らす。
2.自分だけが助かるための場所の確保もしておきたい。
3.カーズには必ず自らの手で借りを返す…のか?
4.3のために力をつける。結局はこのゲームでは力がないと死んでしまう…
5.20時にDIOの館に向かう
[備考]
※デイパックと支給品一式をカーズに奪われました。
※『吊られた男』の射程距離などの制限の度合いは不明です。
※ワムウによる蹴りのダメージは右二の腕・右肩・左手首骨折でした。それぞれに対して添え木がしてあります。
※支給品一式をブラックモアから譲り受けました。

【片桐安十郎(アンジェロ)】
[スタンド]:アクア・ネックレス
[時間軸]:アンジェロ岩になりかけ、ゴム手袋ごと子供の体内に入ろうとした瞬間
[状態]:健康、テンション高
[装備]:ディオのナイフ ライフルの実弾四発、ベアリング三十発  
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:安全に趣味を実行したい
1.J・ガイルを可能な限り利用し、趣味を実行する。
2.空条承太郎を殺す。
3.コロッセオに向かう…?
4.荒木は良い気になってるから嫌い
5.20時にDIOの館に向かう
[備考]
※アクア・ネックレスの射程距離は約200mですが制限があるかもしれません(アンジェロは制限に気付いていません)
※名簿に目を通しました。
526 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 23:01:41 ID:eXOl59ZA
【ウェザー・リポート】
[時間軸]: 12巻、脱獄直後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(本人は確認済み)、黒い糸数本
[思考・状況]
基本行動方針: とりあえず殺し合いには乗らない。襲ってきた相手には容赦なく反撃する。
1.早人の安全を確保したい。
2.『雨』を降らせ、仲間に自分の存在を伝え合流する
3.ブラックモアを警戒。
4. 男(ロメオ)を殺したやつを探す。相手次第で始末する
5.20時にDIOの館に向かう…?
6.早人救出作戦を考える。場合によってはブラックモアと相談する。
7.七人の同盟をまもるかどうか、場合によってはブラックモアと相談する。
8.エンリコ・プッチ、ラング・ラングラーの二名に警戒
[備考]
※雨はウェザー・リポートが降らせています。
 雨が降っている領域は【H-3】の周囲一マス程度です。
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。早人と情報交換しました。
※ブラックモアとは情報交換を完全にしていません。交換されたのは下の情報だけです。
 @ブラックモアが、気絶しかけていたエンポリオを止血して助けた。
※黒い糸はブラックモアの服からちぎりとったものです。
※先程よりブラックモアに対する信頼感が増しました。一方でその狡猾さに不安も覚えています。

【ブラックモア】
[時間軸]:ジャイロの鉄球が当たって吹っ飛んだ瞬間
[状態]:左腕にかすり傷
[装備]: 一八七四年製コルト
[道具]:支給品一式、予備弾薬(12/18)不明支給品1〜3(本人は確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1.ウェザーの信頼を得ることを第一に考え行動する。その際に生ずる損得を含めて。
2.可能ならば第二回放送時にサンタ・ルチア駅を襲撃する。ただし無理はしない。
3.早人救出作戦を考える。場合によってはウェザ−と相談する。
4.七人の同盟をまもるかどうか、場合によってはウェザーと相談する。
5.20時にDIOの館に向かう…?
6.早人が用済み(ウェザーの信頼得た後ならば)になったら始末する。
7.名簿にある“ツェペリ”“ジョースター”“ヴァレンタイン”の名前に注目
8.遺体を捜す
9.傘が欲しい…。
[備考]
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。"ツェペリ""ジョースター""ヴァレンタイン"の名に警戒と疑問を抱いてます。
※ブラックモアがほかの七部の参加者をどのぐらい知っているかは不明です。
※エンポリオからは情報を聞き出せませんでした。
※支給品一式をJ・ガイルに譲りました。ウェザーリポートにはばれてません。(二つ持ってたことも渡したことも)
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。
527創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 23:02:16 ID:cocqw/kT
支援
528 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 23:03:01 ID:eXOl59ZA
【ラバーソール】
[時間軸]:承太郎と戦闘中、ザリガニ食べてパワーアップした辺り。
[状態]:健康。仗助、重ちー、ドノヴァンのカスを食べてパワーアップ!?
[装備]:サブマシンガン(消費 小)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)、ヨーロッパ・エクスプレス
[道具]:支給品一式 ×3、内一食分食料消費、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り、優勝。溺れるほどの金を手に入れる。
1.早人から承太郎についての情報を聞きだしたい。
2.参加者をできるだけ減らす。
3.状況によっては承太郎、仗助、花京院に化ける。
4.20時にDIOの館に向かう
5.この鳩、いったいどうしようかねぇ…?
[備考]
※ラバーソールは承太郎、仗助、花京院に化けれます。偽のスタンド像も出せますが性能はイエローテンパランスです。
 多分ウェザーとブラックモアにも変装可能でしょう。(エンポリオと早人は身長の問題をクリアできるのかは不明)
※ラバーソールは仗助が自分自身の怪我も治せると勘違いしています。
※本物の早人を知りました。
※鳩は早人が同封した返事分、一回分の便箋を持っています。
※ラバーソールは重ちーの残りのランダム支給品の中身をまだ確認してません。
※ラバーソールは仗助の顔のままです。素顔をこの6人には見せていません。
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。

【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:右足欠損(足首より下全部)、精神疲労(大)身体疲労(大) 腹部と背中にダメージ大
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ジャイロの鉄球、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ポルポのライター
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
1.なんとかして鳩を取り戻し、承太郎に手紙を送る。
2.ライターを使ってヴァニラを倒す…?
3.荒木の能力を解明したい
4.死んだ人達にはどう接すればいいんだろうか?
5.他の知り合いにも会いたい…。
[備考]
※仗助に危機が迫っていることを感づきました。
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。
※削り取られた右足の処置は出来ています。歩行は困難でしょうが無理をすればできます。

【ヴァニラ・アイス】
[時間軸]:回転しながらポルナレフに接近する途中
[状態]:鼻骨、左胸骨、左肩甲骨 骨折 全身に打撲(随時吸血鬼の能力で回復中)、吸血鬼化 、ウェザーに対して静かな怒り
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜2(本人は確認済み)ゾンビ馬(怪我ひとつを縫える程度)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ(DIO)様以外の全員を殺害し、優勝させる
1.朝日を避けるためサンタ・ルチア駅を拠点にする。
2.駅に来る参加者を皆殺しにする。
3.夜になり次第、DIOの館に向かう
4.頃合を見て早人を殺害する
5.先ほど自分を倒したウェザー・リポートを必ず殺す (保留)
6.夜になり、自分で行動できるようになったら同盟を破棄。皆殺し。
[備考]
※ヴァニラ・アイスは、自らの肉体の『吸血鬼化』に気付きました。
※『吸血鬼化』はまだ完全ではありません。
※リサリサの絞りかすがI-6にわずかに残されています。
※同盟を守る気はさらさらありません。昼間の間だけは、間引きが期待できる5人については生かしてもいいと思ってます。
529創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 23:04:31 ID:cocqw/kT
支援!!
530 ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 23:04:47 ID:eXOl59ZA
[備考]
※七人はほとんど情報交換を行っていません。お互いの名前と姿ぐらいしか正確には把握していません。
※それぞれが何処に向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※馬はラバーソールが所持しています。
※駅には電車が到着しているか、どうかは次の書き手さんにお任せします。誰がそれに気づいているのか、電車が何処に向かっていくのか、誰が利用するのかも次の書き手さんにお任せします。
※ラバーソールは仗助の顔のままです。素顔をこの6人には見せていません。また、イエローテンパランスの能力を「顔を変える」と誤解している可能性があります。
※予定ではブラックモアとウェザーの組とアンジェロとJ・ガイルは同じ方向に向かうようです。

【七人の同盟:悪魔の虹】
【七人の同盟について】
・この同盟は今日の24時までとする。ただしその後個人的に手を組むなりするのは構わない。七人の同盟は24時に解除。
・今夜20時に必ずC-4にあるDIOの館に集合する。その際、それまでに得た情報は共有すること。ただし嘘をついても構わない。しかしそれが嘘だと判明した場合、他の同盟者はその嘘をついた本人を徹底的に攻撃する。死んでも文句は言わない。
・七人は四組に分かれる。ブラックモアとウェザー・リポート、J・ガイルとアンジェロ、ヴァニラ・アイスと早人の二人三組、ラバーソールは単独行動。
・DIO及び、ウェザー・リポートの仲間、早人の仲間については『可能な限り』殺さない。
・この同盟は裏切りが前提であること。いつ裏切っても自由、造反結構、手回し結構。ただしそれが表立った場合、他の六人はその一名を徹底的に攻撃する。殺されても文句は言わない。
531Unmistakable  ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/19(金) 23:11:51 ID:eXOl59ZA
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて指摘を下さった方々、ありがとうございました。
あと、同盟名とても素敵なので使わせて頂きます。だめでしたら連絡ください orz

修正した点は
・指摘された誤字
・ちょっとした描写の追加
・駅について
駅については丸投げ感がありますが、他の書き手さんにお任せします。
よろしくお願いします。

したらばにて地図を作られてくださった方、お疲れ様でした。
本当に感謝します。ありがたいです…
532創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 17:38:26 ID:O3pQQkUW
投下乙!

集まった7人はチーム名の悪魔の虹に恥じぬ多彩な活躍を期待したいですね〜
で、なによりも今回の話で気になったキャラはブラックモア
飄々とした態度の裏にしっかりとした意思を秘める彼のことが好きになりそうですww
533創る名無しに見る名無し:2008/12/23(火) 21:21:46 ID:Zegs3/T9
遅れたけど乙!
早人とヴァニラか…ウェザーが救出作戦考えてるとはいえ、すげー危険だなあ
あと>>532と似たような感想になるけど、なんかブラックモア好きになったw

したらばの予約もwktk!
534創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 16:22:35 ID:0ZpBBFSF
test
535創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 16:27:51 ID:0ZpBBFSF
おお、書き込めた!
jane介さなきゃ本スレに書けたのか……

無予約での投下もOKなようですので、投下させていただきます(なんでもありスレの方、ありがとうございました)
字数や行数の制限が分からないのでいつもよりレス数が分割され、
なおかつ勝手がよく分からないので投下の間隔がいつもより開くと思われます。
予めご了承ください。
536空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 16:35:24 ID:0ZpBBFSF
ここに吉良吉影という男がいる。
男の外見は生まれ持ったそれと大きく異なっているが、それでもそれなりに端正な顔立ちだ。
普通に生きていれば、そこそこ女っ気のある人生を送れていたかもしれない。
もっとも、吉良吉影は『平穏』に執着しているため、彼の人生はほとんどが普通であったと言えるだろう。
例外を挙げるのなら、彼の『性癖』と『悪癖』の二つだ。
前者は、他人の手首に異様な執着心を見せること。
これだけならば、さほど問題ではないのかもしれない。
厄介なのは後者で、『爪の伸びが早い時期には殺人衝動を抑えることができなくなる』というものだ。
これのせいで、多少のリスクが存在すると理解していながらも手の美しい女性の殺害を敢行してしまったこともある。
そしてある時ついつい欲望のままにカップルを爆殺してしまい、東方仗助達に痛い目に遭わされることとなったのだ。
そして、その忌々しい仗助の仲間である空条承太郎という男が、吉良の目の前に腰掛けている。

「ふむ……やはり普段のコーヒー豆でないと落ち着かないな」
テーブルを挟んだ向こう側、そこで宿敵が睨みを利かせているというのに、吉良吉影は特に怯える様子もなかった。
先程入れたコーヒーを極々普通に飲み、そして若干の不満を漏らす。
ここが殺し合いの場であることを除けば、さほどおかしくもない光景だろう。
「それで、いつまでこうしているつもりだ?」
いや――殺し合いの場ということを考えても、やはりそれほどおかしな光景ではないのかもしれない。
殺し合いの開始直後と打って変わって、吉良は心に余裕がある。
コーヒーブレイクを取った所で何の不利益にもならないことをよく分かっている。
廊下はそれなりに足音が響くため、奇襲はまず喰らわないだろう。
仮に庭から来る襲撃者がいたとしても、承太郎が時を止めて対処する。
攻撃されたのが自分なら見捨てる可能性があるが、そこはきちんと考えており、窓の側には承太郎を座らせてある。
襲われるのならまず間違いなく承太郎からだ。
その承太郎からもそれなりの距離を取っているので、不意打ちで時を止められた所で一方的に敗北をする心配はない。
537空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 16:39:12 ID:0ZpBBFSF
「……まずはこいつを調べる。上手く使えば人探しに役立つ可能性が高い」
やれやれと肩をすぼめ、吉良は再びコーヒーを啜る。
吉良によって承太郎に与えられた選択肢は『吉良と戦う』と『吉良と組んでこの場に残る』の2つだけ。
そのどちらをするにしても支給品のことを把握しているに越したことはないという理由で、先程から承太郎は携帯電話を調べている。
それを見て、吉良は勝利を確信した。
本当に自分と戦う気なら、先程激情に任せて攻撃するべきだったのだ。
そうしていれば、無傷とはいかなくとも承太郎が勝ち残っていた可能性は高い。
だが今はどうだ?
吉良はコーヒーを淹れた帰りに承太郎から程良く離れた位置をキープし、そのついでに“罠”も仕掛けた。
今の吉良には、承太郎に負ける理由が何ひとつない。
538創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 16:44:29 ID:5X5trtpB
支援
539空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 16:49:13 ID:0ZpBBFSF
(承太郎……馬鹿な男だ。下手に迷い、決断を先送りし、コーヒーを淹れに行くという隙だらけの私を攻撃しなかった……
 私を始末して娘を探しに行く気なら、おそらくあれが最後のチャンスだったというのに)
内心承太郎を嘲りながら、吉良は優雅にコーヒーを飲み干す。
慣れてしまえばこの豆も存外悪くはない。
おかわりをしたいところだが、先程と違いリビングの外で承太郎に攻撃されたら為す術がないのが現状だ。
爆弾に変えた角砂糖は現在、自分の足の横にある。
台所で取り出して手に握り込んでおき、座る際さりげなくテーブルの下に滑り込ませた。
和風の低いテーブルなため、少し姿勢を低くした程度では見つかるまい。
ここで承太郎と戦闘になった場合、コーヒーカップ横に置いた複数の角砂糖を握り後方へと移動する。
勝負を決める一撃を叩き込むのは不可能と分かる距離だとしても、それらを一斉に投げられたら時を止めて何とかしようとするはずだ。
その場を引けば射程距離からより一層遠ざかることとなるので、おそらく承太郎は時を止めたら攻撃に転じる。
――爆弾に変えた角砂糖の付近を通って、だ。
直線距離を来ない理由は何もない。まず間違いなくテーブルの上を駆けてくる。
よほど長時間時を止めていられない限り、角砂糖の辺りで時は動き出すだろう。
勿論、時が動いたらその角砂糖を即爆破だ。
それで即死するとは思えないが、机を吹き飛ばしその破片で奇襲をかけることはできる。
自身にも被害は及ぶだろうが、この攻撃方法なら時止め解除時に承太郎がどこにいようと問題ないのだ。
その破片を喰らおうが防ごうが隙が生じてくれるので、そこを叩くッ!
……もっとも、承太郎が素直にここに留まってくれるのならこちらも無傷で万々歳となるわけだが。

「……まったく、本来なら紅茶な気分だというのに、そういう時に限ってコーヒー豆しか置いていないとは」
どうやら着実に近付いている平穏に少しばかり浮かれてしまっているようだ。
ついついどうでもいい独り言を漏らしてしまう。
勿論、くだらないストレスで胃を痛める気などないので、家主がコーヒー派などという些事にいちいち苛立ちなどしない。
人様の趣味如きにわざわざ介入しようとする方がおかしいとさえ思っている。
紅茶が置いていないならいないで普通に美味しくコーヒーを飲むだけの話だ。
「しかしまあ、出掛けることも出来ず一日中家にいてもいいというのも暇なものだな」
承太郎が吉良の暢気な伸びに若干反応する。
それを見て吉良はにやりと笑みを浮かべ、「別に貴様が仕掛けないのなら私も襲う気はないが?」と挑発とも取れる言葉を述べた。
勿論、空条承太郎という男がこの程度の安い挑発に乗る男ではないと分かった上での発言である。
「それを思うと、仕事というのは素晴らしいと思わないか?
 問題も起こしたり、出世欲を出し上司にヘーコラするのに時間を割く愚か者は別だろうが、『普通』に決められた時間通り仕事をしてさえいれば適度な時間を潰しながら給料を得ることが出来る」
言いながら、この顔の本来の持ち主を思い出した。
出世をしたかったようだが、吉良にはやはりあの感性は理解できない。
上司に気に入られることに時間を費やし、そして気に入られて出世した後は大金と引き換えに今の自分が味わっているような退屈を味わう。
大きな苦痛は存在するのに大した喜びも存在しない。
吉良にとってまったく理解のできない世界だ。
540創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 16:51:07 ID:5X5trtpB
支援
541空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 16:57:39 ID:0ZpBBFSF

「ピーチクパーチクやかましいぜ……」
承太郎が改めて吉良を睨みつける。
先程までのチラチラとした牽制ではなく、真正面からしっかりと。
勿論、ただ黙れと言いたいわけではないだろう。
わざわざ口を開いたという事は、何か言いたい事があるはずだ。
この状況で改まって言うことなど、当然ながらひとつしかない。
そう考え姿勢を正す。
勿論、戦闘になった際すぐさま行動に移せるような姿勢に。
「それで? ……調べ者は終わったのか、承太郎?」
真剣な顔つきで、吉良が承太郎に問いかける。
吉良としても、結論を出してくれた方が有難い。
改めて同盟を組むと言われたら、せいぜい次の放送まで裏切りを警戒しているだけでいい。
わざわざ2時間待ってから裏切るなどというような回りくどい真似はしないだろう。
だが、このままどっちつかずでいられてしまうと延々警戒態勢を取らなければいけない。
罠を仕掛け終えてのんびりしていられるとは言え、それはあくまでその場に座っている場合の話。
立ち上がる際に自然に角砂糖を握り、それを隠しとおせるかは、はっきり言って五分五分なのだ。
トイレに立ったりする際には、角砂糖爆弾を置いていかなくてはならないだろう。
当然のことながらそんなものを置いていくなんてリスクを冒したくなどないし、トイレは我慢せざるを得なくなる。
要するに、この部屋から出られなくなるのだ。
承太郎が決断することで行動範囲が家全体に広がるのなら、その方がいいに決まっている。

「その前に……もう一つだけ聞いておく。俺と来る気はないんだな?」
なるほど、ここで戦う気か。
承太郎の発言を、吉良はこう解釈した。
「そう言ったはずだが? この吉良吉影は動かない。何があろうと、この家から出ないつもりだ。
 ……勿論、禁止エリアに指定でもされたら別だがね。そんな揚げ足を取ろうと言うわけじゃないんだろう?」
分かりきったことを一々尋ねる。
空条承太郎ともあろう男が、本来敵である自分に意味もなくそんなことをするとは到底思えない。
とすると考えられることは一つ。
具体的にどんなものかは分からないが、この発言には裏がある。
吉良はそう考えた。
おそらく、射程距離内に吉良を収める何らかの策を実行するための時間稼ぎをしているのだろうと。
542空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 17:03:37 ID:0ZpBBFSF
だが、敢えて吉良はそれに乗った。
どの道今すぐ攻撃することはできないのだ。
無理矢理攻撃に転じた所で、時を止めてぶっ飛ばされるのは目に見えている。
だから、奇襲のために敢えて承太郎の策に乗る。
口を動かしながら、ゆっくりと、本当にゆっくりと手を動かして。
「……何年も逃れ続けた殺人鬼ともあろう男が随分と間抜けなことを言う。
 分かっているのか? ここはD-04とE-04の境界付近に位置している……要するに」
「この島の中心である、か?」
承太郎の喋りはダミー。それは分かる。
分かるが……奴が一体何をする気なのかが読めない。
僅かな動作も見逃さないよう努めているが、疑い出すと全ての動作が怪しく思える。
(空条承太郎……どこまでも厄介な男だ……)
僅かに動かされる首。
携帯電話を置く仕草。
携帯を離し自由になったその右手。
見れば見るほど全てが危険に思えてくる。
「ああ、そうだ。コロッセオなんていう人目につく物が近くにあるのに、こんな所で本当に平穏が手に入ると思っているのか?」
その中でも特に怪しいのが携帯電話だ。
スタープラチナを使って投げれば、腕くらいなら潰せる可能性がある。
携帯電話に注意しながら、ゆっくりと床に着いた手を爆弾化した角砂糖へと近付けていく。
『テーブルの上の角砂糖へと手を伸ばしたいが、承太郎の警戒のせいでままならない』と思わせて、本命の角砂糖をキラークイーンの指で弾く。
そして承太郎の体へと辿り着いたら爆破してやるのだ。
テーブルの破片で傷を負うリスクはあるが、真っ向からぶつかるよりはマシだろう。
本命に気付かれないよう、吉良は本当にゆっくりとその手を動かしていく。
囮であるテーブル上の角砂糖に、手を伸ばそうと演技をしながら。
「ナンセンスだな、承太郎。数多くある民家の中からわざわざここを選んで入る者がそうそういると思うのか?
 コロッセオなんていう人目につく者が近くにあるのに、わざわざ何の変哲もない民家などに」
勿論0とは言えないが、それは他の場所とて同じこと。
ならば、移動時にスタンド使いと遭遇するリスクがないこの民家に潜んでいるのが最も良いに決まっている。
キラークイーンの指を角砂糖に掛け、気付かれていないか承太郎の様子を見る。
「……やれやれだぜ。確かに、お前の言う事は正論だ。だがな。

     ・・・・・・・ ・・・・
 ――――おまえの負けだ、吉良吉影」
543空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 17:07:53 ID:0ZpBBFSF
「な……ッ!?」
突然の勝利宣言。
罠、だろうか。
そう思い吉良がキラークイーンの指に力を入れた所で
「少し落ち着け。お前と戦うつもりはない」
そう言いながら、携帯電話を再び持つ。
何を考えているのか分からないが、だからこそ吉良は攻撃に転じることができなかった。
携帯電話で向こうが攻めてくるのなら、角砂糖は一旦放置してでも身を守らねばならない。
あくまで角砂糖は奇襲や反撃に使うための仕掛け。
一撃で倒される恐れがあるのなら、まずはそれを防がなくてはならないのだ。
『……何年も逃れ続けた殺人鬼ともあろう男が随分と間抜けなことを言う。
 ……分かっているのか? ここはD-04とE-04の境界付近に位置している……要するに』
『この島の中心である、か?』
突如聞こえてきた己の声に、吉良の頭は真っ白になった。
なんだこれは。いったいなにが?
「さっきまで調べていて分かったんだが、どうやらコイツには録音機能が付いている……
 携帯電話にそんな機能が何で要るのか知らないが、相当な時間を録音できるようだな……ヘルプとやらで説明が見られて助かったぜ……
 うっとおしいボタン音を消したかっただけだったんだが、とんだ収穫だ」
承太郎が喋り続ける間にも、携帯電話からは二人の会話が流れ続ける。
やがて音声は『お前の負けだ、吉良吉影』のセリフを流し、それからようやく途絶えてくれた。

「……それがどうしたというのだ、承太郎」
腸が煮えくり返る。
だがしかし怒りを抑え、吉良吉影は言い返す。
こちらが追い詰めていたはずが、気が付いたら逆に追い詰められていた――
悪夢のようだと嘆いていても仕方がない。
まだ逆転の可能性が消え去ってしまったわけではない。
だがここで怒りにまかせて攻撃しては100%敗北する。
その事実もまた、吉良の苛立ちを加速させた。
「確かにそいつを使えばその声の主が殺人鬼だと、この吉良吉影が殺人鬼だと分かるだろう……
 だがッ! だがな承太郎……お前を倒す事さえ出来れば、その携帯は破壊できる……
 いいかッ。先程言ったように、貴様には二つの選択肢しか存在しないのだッ!
 この吉良吉影と戦ってここを出ていくか、私と組んで残るかだッ!」
言動に注意を向けさせようと声を荒げる。
テーブルの下に気付かせなければ、吉良吉影は勝てるのだ!
優位ではなくなったが、それでも状況に変化はない。依然変わりなくッ。
「ソイツで私を脅したところで、ただ前者を選んだことになるだけだ……
 先程の状況とさして変わらんッ! 貴様の選択肢が決まっただけだ!」
そんな吉良の言動に、承太郎はハッキリと言ってのける。
「いいや、吉良吉影。面倒だが説明してやる。お前が負けた理由をな……」
544空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 17:14:37 ID:0ZpBBFSF
承太郎のセリフに、吉良は動きを止め考える。
まだ負けが決まったわけではないと吉良自身は思っている。
だがしかし、すでに承太郎の術中にハマっているという可能性は否定できない。
決着をつけるより先にネタをバラすという事は、そう簡単には対処できないものということだろう。
ならば、聞いてみるだけ聞いてみた方がいい。
聞けば何とか打開策が見つけられるかもしれないのだ。
「お前のさっきの驚きよう……どうやら録音機能を知らなかったようだな……
 録音した音声を、ただ保存しておけるだけだと思うか?
 携帯“電話”だというのに、保存する以外何の使い道もないと?」
気が付けば、吉良は汗でぐっしょりとしていた。
吉良吉影は、自分でも驚くほどに追い詰められている。
「いいか、吉良……“録音した音は電話先に聞かせられる”ッ!
 参加者の2人には、この録音を聞かせられるんだ」
「……何を言っている。相手が電話を取ってくれるとは限らないじゃあないか。ん?」
「そして……さっき調べている時に分かったんだが、“10秒間鳴らし続ければ、自動的に留守番電話へと繋がる”そうだ……
 分かるか? お前の言った二つの選択肢は端っから間違っていたということだ。
 この傷を負い人を探せなくなるリスクを冒して戦う必要なんてない。
 テメーの平穏をぶち壊すだけなら、電話をかけた後ほんの数十秒お前から携帯電話を守ればいい……不可能だと思うか?」
殺し合うか、妥協するか。
そんな選択肢、承太郎には端から関係なかったのだ。
吉良の勝利条件が『平穏の死守』であることを逆手に取り、第3の選択肢を作り上げた。
戦ったとしても、秘密の漏洩は免れない。
現在の居場所がバレることなどなど、移動時に襲われるリスクを覚悟すればどうとでもできる。
だが問題は、殺人鬼であることを否定もせずに自身の肉声で会話を続けてしまったことだ。
これでは肯定と取られてもおかしくない。
名前だけなら偽名でなんとかならないこともないのだが、声がバレてしまうと途端にハードルが上がってしまう。
「くッ……このクソカスがぁ……」
故に、吉良の選択肢は一つだけになってしまう。
あくまでも己の正体を隠し通すことが最優先なのだ。
承太郎にここに残るつもりがなく、承太郎と戦っても秘密が漏れてしまうなら、すべきことは決まっている。
「だが……せめて4時までは待ってもらうッ。
 行動に移るならそれ相応の準備が必要だからな……クソッタレ!」
悪態を吐き、承太郎に同行することを渋々ながらも吉良は認める。
少なくとも携帯を取り上げてから出ないと、承太郎との真っ向勝負は不可能だ。
殺すとしても、完全に不意をついて即死させるより他ない。
状況は完全に逆転した。
「やれやれだぜ」
勝利者はそう呟くと、敗者と同じく席を立つ。
確かに吉良の言うとおり、民家の物色などはしておいた方がいいだろう。
そう考えられるほどに、承太郎の頭は、もう随分と冷えてきていた。
545空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 17:18:03 ID:0ZpBBFSF
(……クソッ、忌々しいッ!)
承太郎と別の部屋を漁りながら、吉良吉影は爪を噛む。
爪を噛むと言うのも、吉良の悪癖の一つである。
(ああ、くそっ、何ということだ……!)
そして気が付く。
爪の伸びる速度が、通常よりも早い事に。
吉良の持つもう一つの悪癖が――殺人衝動を抑えられなくなる時期が、もう眼前に迫っていた。
(荒木の奴、最悪のタイミングで呼び出しおって……! クソッタレ、私はただ静かに暮らしたいだけだというのにッ)
爪の伸びが早い時間にされたのか、はたまた目が覚めるまで長い間放置された結果爪の伸びが早い時期に偶然なってしまったのか、そんなことはどうだっていい。
問題なのは、今手の綺麗な女性を見たら欲望を抑える自信が吉良にはないということだ。
(今は駄目だ……承太郎の奴がいる前で殺害を行っては駄目だ……そんなリスクは冒せない……
 極力殺人は行わない……仮に行うとするなら、いないところでだ……あのクソ忌々しい承太郎がいないところで、こっそりと……)

空条承太郎と吉良吉影。
二人の戦いはとっくの昔に始まっていたし、そして当分終わりもしない。
この戦いなど、通過点にすぎないのだ。
決着が着くとしたら、それはおそらくどちらか一人が死に絶える時。
彼らの“決してブレない部分”が、互いを受け入れられないのだから。





【E-4とD-4の境目の民家 リビング/1日目 早朝】
【空条承太郎】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:荒木に対する怒り、抑えきれないほどの悲しみ(相当回復)、“彼女”に対する罪悪感、吉良に対して僅かなストレス
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:荒木をぶっ飛ばす  徐倫を自分の命にかけても守る
1.4時になり次第行動に移る
2.吉良は信用しない(妙な真似をしたらぶっ飛ばす)
3.情報を集める
4.仲間と合流する
[備考]
※スタンドが悲しみで一時弱体化してます。先程よりかは回復しましたが、まだ本調子ではありません。一時的なもので心の整理がついたらもとに戻ると思われます。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※吉良の参加時間軸を知りません。
※携帯電話に吉良との会話が録音されています。通話相手に聞かせる機能があると言うのは承太郎のハッタリです。

【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:若干のストレス、掌に軽度の負傷、承太郎に言い負かされたことで不愉快、爪の伸びが若干早い
[装備]:爆弾にした角砂糖、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り5個)  緑色のスリッパ
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用・残り6個)、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用・残り8個)、未確認支給品×0〜2個、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送る
1.4時になったら移動しながら情報を集める
2.当面はおとなしくしていて様子を見る(まず情報の入手、場合によっては対主催に移っても良い)
3.自分の正体を知る承太郎は遅かれ早かれ必ず抹殺する
4.自分の正体が吹き込まれた携帯電話を破壊したい
5.他に自分の正体を知る者がいたら抹殺する
6.危険からは極力遠ざかる(2と3を果たすためなら多少危険な橋でも渡るつもりではある)
7.緑色はあんまり好きじゃないんだけどなぁ…

[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
546空条承太郎V.S.吉良吉影 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/25(木) 17:19:00 ID:0ZpBBFSF
以上で投下終了です
支援下さった方、ありがとうございました
547創る名無しに見る名無し:2008/12/25(木) 22:45:29 ID:YCBjqs+i
投下乙ッ!!
wK氏…渋いぜぇ…まったくおたく渋いぜぇ……
吉良という独特なキャラクターをものともせず、むしろ吉良らしさを存分に引き出したその丁寧な心理描写。
角砂糖爆弾をうまく使った吉良の狡猾さ。
承太郎のダービー戦で見せた見事なはったりと即座に作り上げた作戦。

………いや、痺れた、ほんとあんたスゲーよ…
改めて投下乙!GJでした!
548創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 11:08:17 ID:FIoppVzw
乙です
この二人が揃うと空気がやばいな・・・
わずかに読み負けた吉良だけど、油断なら無い狡猾さがかっこよかった
549創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 01:00:57 ID:tmxOHv2c
こりゃゾクゾクするぜええええ
550 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 12:15:01 ID:ojzDQooU
投下乙!!
吉良vs承太郎の頭脳戦は承りの勝ちか〜
最初見たときは死にそうでハラハラしてたぜw
氏のキャラクター再現率は本当に異常(褒め言葉的意味で)


〜追記〜
予約した鉄塔組みは今晩投下する予定ですが
容量を確認したら50kくらいあるんですよ……
このまま普通に投下したら埋まってしまうんで新しいスレを立てて投下したいんですよね
ですが、スレタテ規制に絶賛引っかかり中なので誰か代わりに新スレを立ててくださいorz
それともこのスレで投下できるところまで投下した後に新しいスレも使って投下するほうがいいですかね?
551創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 14:48:52 ID:SWIZBd+3
あれ?この板容量は多いんじゃないの?
そんな理由でコッチに移った記憶があるんだが。
552創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 15:09:57 ID:h1jLPhma
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/1.html
1レスの最大容量と許容行数が多いみたいです
スレ全体の容量制限は他の板と同じ500kbですね
553 ◆wKs3a28q6Q :2008/12/27(土) 15:38:52 ID:456egYiG
投下wktk
そしてスレ立てには失敗いたしました、誰か頼む

あと>>546ですが、早朝じゃなくて黎明でした
wiki収録時に直させていただきます
554創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 16:26:55 ID:USLe3nxL
とりあえず投下しちゃってできなかった分はしたらば投下でよくないかい?
555 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 16:42:56 ID:ojzDQooU
>>554
途中からしたらば投下にするなら初めからしたらばで投下したいんですよね〜
ですが、結構量があるのでこれをしたらばに全部投下するのも気がひけるというジレンマ
556創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 17:00:37 ID:USLe3nxL
YOU、やっちゃいなよ!したらばに全部投下しちゃいなよ!
557創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 17:36:24 ID:nHQTWxVy
>>541
「調べ者」は「調べ物」の誤字ですね
558創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 17:43:22 ID:456egYiG
げェーッ、気が付いていなかった・・・・・・
何でwiki収録時にも見直したのに見落としてたんだろ・・・・・・
ありがとうございます、wikiで修正させていただきます
559創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:05:19 ID:JaivTWtq
ぬう・・・次のスレは「第四部」・・・
四は不吉の四・・・出来れば嫌なんだが・・・誰も立てないような俺が立てよう・・・
立ててもいいかなぁ〜っ?
560創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:09:29 ID:46PLnV8N
YES!YES!YES!
561創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:20:21 ID:USLe3nxL
「立てた」なら使っていいッ!
562創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:43:17 ID:USLe3nxL
次スレ
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第四部
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230376576/

さぁ、投下しちゃいなよ!
563創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:05:58 ID:456egYiG
お前のスレ立ての行動、僕は敬意を表するッ!
564創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 02:57:01 ID:lmIdBq9W
埋めた方がいいかな?
565創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 07:55:59 ID:q1tj9Cz/
埋め
566創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:29:25 ID:lhJwsG9i
埋め
567創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 23:37:57 ID:nwNe6Pfu
もう適当なAAでも貼って容量落ちさせていいかな?
568創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 00:09:48 ID:Tzrmd3Sy
問題ない、いけ
569創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 10:56:19 ID:ce1wtGh8
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570創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 10:57:28 ID:ce1wtGh8
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                     |\/./  |  ヽ! /      ...:::::/i7ミョl.   !-'
                     |::: |./  |   /ッ=、___,//)_)ノ ゙ミ| \ノ
                  _,,,-=ベ|   | ./  ~ヽっ,// ̄::: |   .|   Y
                 /    ,,!-.iヽ.|∠__.,,,,;;;;;;;/   :::: .!::::::.../ ._|__
               ,/...::. ...  i⌒i△_.!    //:::  ;:  ::::/:: ;;=< ̄   ヽ
             ィ‐'::   ::....   !__ノノ___,, =<__∠;;='´.;;=-<"  ヽ、   ヘ
       _   /::::::::...  ::..  ._|   {::::(;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;Z=<   ヽ    i...  | |
    _./::::.... ̄ ゙'''ー、;;;;:::... /" ̄ ;;;;|  /ヽ:::::ヽ;;;;;;;;;;;=へ   ヽ   ....i..:::::::::l::::::..|:::ト
   / /―┐ :-‐" ̄   ゙'ー=-   ;;;;ゞ´ ::::\::::><   \  ..ヽ::::::/_,,=夫=〈_,| |
   .l iニニ.i;| ..             .;;;;;\  :::::::V   ヽ   i...::::::::〉二--= ̄ ヾ::ヘ:イ
571創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 10:57:59 ID:ce1wtGh8
   ! ノ    :::.::::.....          :::;;;;;;;;;;ヽ :::/ !    ヘ....:::;;〉-='´:::::      ヽ|ノ
   Li    ..::   ::..      .....:::::;;;;;;;;;;;;;;;;〉イ  \_ ...::::::!"∠~ :::::.        .!
    \:::::::::::     ::::.... ......::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;/ ヽ    `ーr´/;;;;;::::ヽ:::::::....      /
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                                  / /:: ヽ       ::<
                                 / | .::   !      ..:: \
                                 ヘ / .:::::...  i     ..:::/..:::ノ
                                  i::...   /    ...::://
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                     ゝ、;;/ /ゝ、_) ,,__  ーミニニリ .l
                         /\;;;イ7、___)v-‐、   .ノ
                        / /  i__ /i `ー/ニ)/
                       / ̄/  / ゙ヲ .|-=ミ|;;__!
                       ゝ="   /-、 / .l;; ./ .!
                          / :/ / ヽ"ー./
                          `ー=´  !__:/、_/
572創る名無しに見る名無し
              i| i   i| !  !| i i| i         _  /し'/
              ,=ヾ>'⌒ヾ`ヾヾ))、 |     ,r'⌒''"´ j /  /
             ラ7´:::::::::;m::i}:::):::}:::ヽ), l|  /     ,く(   {
             7ノ:〃:/:::i|||!:リ:;r=:、::リ::::} | /  ,,   ,イ l|  /
                "{:::{::{::::{''''''"""{{゙})゙彡:リノッ/ // / l l|  _」
             ィハ、:`:::::::ヽヾ __リ_リ__}='ノ=ツ / / / l  lレ′
            (:レ}ハ:::::::::}}ヅkぜラ゙|リ〈  "′/  ヽ レ、ゝィ.__.. -‐z
              レ^{::::::{{ l l `ヽ レ'))  / ハ ヽ、 /    _ /
              乂ヽ:::::l}〈ッ   ゙ lシ、 / /  ヽ  { l  ,r''7゙// ,'
             / 川 i::::::l=== ,イlハ|ヽl /   ヽ-' {/ / ∠ノ
            ゚゙ /川 ハ:::::l゙~~~~ / |lハ レ′     _  / /,r‐r 、
           ゚゙´ {イlノ| ヾ::|-ー- / , リ ゙゚        f∩ l / l / ノ
        i      ヾjィ| :::` =ヅ_ノ_|    i         l_`| レ | ル/´}
        |        | ̄三三三三三゙i   |      | `|   " / /
      i  ,  i i  |  j: :三三l ゙̄l三三|  i      ,r| `|l、   / /
      |   |i,r‐'='='≦三三三|_,l三三ヾ、.!j__ i__|i  {=j  |l ト、 i /
     i| /三三三ヽ`=ニ三三三三三(´゙)三て_)`ヽ、lノ   ``ヾ、レ′
    i |レ彡'´三ニ=:`ヾ、: :ヽニ.三三三三三三三ニ`ヽ、 ``  ミ、 } l
   ,j//,r''´ ̄: : :`ヽ: :ヽ: :ヽ三三三三三三三三ニ= \、__   }:::|│  i
   l'彡": : : : : : : : : : :ヽ : : : i=三三三三三三ニ(`)三ニ.ハ ヽ、ツ | |  |
   |彡: : ===-、、: : : : : :i 川 三三三三三三三ニ===ヘ、    l !l i |
   |彡: : : : : : : : :)、:=彡 川リ三三三三三三三三≡=r‐-イ゙'   ノ}| | |
   V彡 ≦≡=≦彡ミ: :ミ//三三三三三三三三=' ノ:)::\\ノ /:=) i |i
     V三三=、: :`=ミ、 ヾ、\`三三三三三三ニ=〈:(ヽ: : :ヾ=ミ= -、 | ||
     {彡三ミ`ヾミミ=、: :`=ミ=ジ}三三三三三ニノ::/: : : : : 三ニ ==,イ | |!
    }ニミ== ミ三ミ三ミ==、: :ム三三三三ニィノ/: : ヾノ三三三シハ | |
    ドミ三ニ== 、=== `≡=⊇: ハ三三三三ニ/ : : : /三三三/ニ三\
    |l  |lヾミ三三.ニ二≡=:、=ニ::ノニ.三三ニ/ : : : /三三三/=ニ三三ヽ
     l  !| !|ヾミ三ミ≡== ‐-=≦ミヽ三シ´(: : : : /三三=-'―-=ニ.三三l
         とナ"¨' ̄ ̄,,`ヽ、二.._=シ}r=、-==‐----‐''´: : : :ツノ : :_三三l
   (´_ ̄, ̄ , ̄ ツ ̄ ̄  ヾ..    ̄.:|三=、: : : : : : : : : :__:__: : :-=ニ.三三/
     !|  ̄ ̄`7",r _,,.. i::::..   ..::::|三三=ー=--==≡=≡三三三/
     !     (´ ,r    '")⌒  ___:|三三三三三三三三三三三シ
           ){  ,,ノ ,.、=':´: ̄ : |リ三三三三rっ三三,、==''7´
         /、./´「「ヾニ三三三|l三三⊆)=‐''7フ¨ ̄  _/ /|
        rぅ`/   ' i !|`iニ.三三 ̄ 彡/// //,r='´|  //|
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                 V゙/  ノ三三三三三三 : : : 三三三|
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