ドラえもん系SSスレ

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140書いてる人FX:2009/07/01(水) 03:28:38 ID:MaTCXFph

「ただいまドラえもん」
「おかえり」
学校での出来事を話すと、ドラえもんは優しい笑顔でのび太を褒め称えた。
のび太はドラえもんに褒めてもらった事を、ドラえもんに良い報告が出来た事を心から嬉しく思った。
「ありがとう」
それはごく自然に出た言葉であった。


第二話 完
141創る名無しに見る名無し:2009/07/01(水) 23:47:48 ID:Bppx2aOc
やべえ、なんだか凄く良い話だ
今までのび太にイラッときてたのが癒されるw
142書いてる人FX:2009/07/02(木) 00:57:18 ID:prOABm9V
レスありがとうございます(^ω^
やっぱレスつくと嬉しいですわ。
あんまり奇抜な話はかけない自分ですが、せっかく読んでくれた人にはやっぱり楽しんでもらいたいので頑張ります
143書いてる人FX:2009/07/02(木) 01:47:26 ID:prOABm9V
第三話

ぐるぐると回るボールにのび太は悩まされていた。
「えいっ…。駄目だぁ」
「はははっ、ノロマののび太にゃ取れっこないさ」
そう言ったジャイアンの網もまた、水中を出ると仕組まれていたかのように破れてしまう。
「あ、あれぇ〜?」
縁日は華々しくひらかれていた。子供達は親にせがんだ幾ばくかの小遣いを手に目を輝かせ、思い思いの出店に歩を進めている。
「あっ、ドラえもん」
「やあ」
のび太の級友が声をかける。ドラえもんの存在は、すでに皆が知る所であった。ポケットから取り出す不思議な道具で様々な事を可能にしてくれる、そんな存在にこの少年もまた魅了されていた。
「ねぇドラえもん、あの大きなスーパーボール捕りたいんだ。何とかしておくれよ」
「えっ、でも…」
「それぐらいできるだろう、お願いだよ」
ドラえもんは少し考えたふりをしてからやっぱり駄目だと断ると、困った顔で口元に手を当てながら少年を諭す。現にのび太もジャイアンも、決して多くはない小遣いを費やして挑戦しているのだ。
「なんだよ、いいじゃないか」
144書いてる人FX:2009/07/02(木) 02:23:29 ID:prOABm9V
次の言葉を選んでいるドラえもんにかわり、口を開いたのはのび太だった。
「駄目だよ、ドラえもんが困ってるじゃないか」
決して的を射た台詞ではなかったが、気の弱いのび太が発した精一杯の言葉である。対してお約束、お前には関係ないと一蹴した少年は尚も食い下がる。少年にドラえもんは言う。
「ねぇ、皆頑張って捕ろうとしてるんだから、ズルしちゃいけないよ」
その言葉に少年の態度は一変した。ズルとはっきり言われた事に腹を立てたのか、はっきり劣勢に立たされた事が癪にさわったのか、少年は声を荒げる。
「なんだよ!役立たず!」
のび太の肩は震えている。自分が馬鹿にされる事など慣れっこののび太だが、大事な人間が馬鹿にされる事に対しては人一倍敏感であった。
「そっちこそなんだ!好き勝手な事ばかり言って!ドラえもんは道具じゃないんだぞ!」
目に涙を浮かべ反論するのび太をドラえもんはなんとかなだめようとする。
「のび太のくせに!」
145書いてる人FX:2009/07/02(木) 02:56:16 ID:prOABm9V
「おい。やめろよ」
止めに入ったのはジャイアンだった。いつになく歯切れの悪い立ち振舞いであったが、ジャイアンの登場となれば少年は去る他ない。
「ありがとうジャイアン」
ドラえもんはそう言うと、泣きじゃくるのび太を連れて会場を後にした。

のび太がジャイアンに会ったのは翌日だった。のび太が礼を言うと、ジャイアンはバツが悪いようにこれを受けた。照れている、のでないことはすぐにわかる。どこか神妙な顔つきにも見える。
「ジャイアン、どうしたの?」
恐る恐るの問いに、ジャイアンは少し間をおいて話始めた。のび太はそれを聞くと、パッと顔を明るくして、勿論逆鱗に触れないよう注意しながら、終始腕を組み首を捻るジャイアンとの会話を進めた。

「いらっしゃい。待ってたよ」
「おう」
「こんにちはのび太さん」
先の密会から二日後、ジャイアンとしずかちゃんがやってきた。
待ってましたと言わんばかりののび太と、急な訪問に戸惑うドラえもん。そんなドラえもんに構わず、ジャイアンは抱えてきた荷物を開ける。
「こいつだ」
146書いてる人FX:2009/07/02(木) 03:16:47 ID:prOABm9V
ジャイアンが取り出したのはたこ焼き機だった。のび太としずかはわぁと声を上げたが、ドラえもんにはこれが一体なんなのかわからない。
いよいよ居心地の悪くなったドラえもんに、のび太に促される形でジャイアンが声をかける。
「ド、ドラえもん、あのさ、ごめんな」
あの時、スーパーボールが取れなかったあの時、ジャイアンもまた少年と同じようにドラえもんに声をかけようとしたのだ。のび太と少年のやりとりを見て以降、その事をジャイアンは気に病んでいた。
「それでさ、たこ焼き食べたことないって聞いたから」
ドラえもんは縁日でたこ焼きを食べる事を楽しみにしていた。だが早々に会場を去ることになってしまい食べられなかった、というのがのび太が先日ジャイアンに伝えた内容だ。
謝ることに慣れていない彼にドラえもんは全てを聞き出す事なく、いいんだよ、気にしないでと声をかけた。
147書いてる人FX:2009/07/02(木) 03:32:46 ID:prOABm9V
「それじゃあ、これでたこ焼きが作れるんだね。うわぁ」
不恰好な鉄の塊は、どんな便利な道具よりも素晴らしい物に思えた。

台所に移動した4人はタネを作る。と言っても、手を動かしているのはほぼしずかとのび太の母であった。子供達が買い求めた分よりもタコの量が多いのは、勿論母の配慮だ。
「はい。しずかちゃんありがとう。でも、あなた達だけで大丈夫?」
「大丈夫だよママ。ね、ジャイアン」
「はい、大丈夫です」「そうね。ドラちゃんもいるし」
それを聞いたジャイアンはドンと胸を叩くと際立った口調で
「いえ、今日は俺達がドラえもんに作ってあげるんです」
子供達の笑い声をのび太の母は優しく笑顔で送り出した。
148書いてる人FX:2009/07/02(木) 03:48:44 ID:prOABm9V
油を塗り、温まったところでタネを入れる。見知るようにクルリとはいかないが、回数を重ねる毎になんとか形になってきた。
「ジャイアン僕にもやらせてよ」
「ダメだ、ちょっと待ってろ」
ジャイアンが持っていた銀色の器具をのび太に渡したのは、出来上がった綺麗な丸が8つほど皿に並んだ頃だった。
「さ、ドラえもん、食ってくれ」
「うん、ありがとう」
どうだ、上手いか、と前のめり気味に聞くジャイアン。ドラえもんの答えは勿論決まっていた。

それからは皆が交互にたこ焼き作りに挑戦した。のび太と同等かそれ以上に下手なのがドラえもんで、一番楽しそうなのもドラえもんだった。

帰り際、ジャイアンにありがとうと声をかけるドラえもん。おう、と手をあげひらひらと振って見せたジャイアンの顔はとても満足そうであった。

おしまい
149創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 18:22:48 ID:VHvTKb95
じんわりくるのう
特別な物語運びしてる訳じゃないのになんでだw
原作の不条理藤子ワールドが先にあるからギャップが凄くいいのかなー
150創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 18:57:41 ID:5Soib8HU
読んでて気分が良いな
いいぞもっとやれ
151書いてる人FX:2009/07/02(木) 21:15:03 ID:prOABm9V
第四話

人参、じゃがいもに玉ねぎ、それと肉。今日の夕食はカレーかな、そんな事を考えながらのび太はまだ空のカゴをフラフラと振って歩いていた。もちろんドラえもんも一緒だ。
八百屋と肉屋はすぐ側にある。買い物の多い八百屋を後に回さずとも労に大差ない事をのび太は知っていたので、まずは道なりに八百屋で足を止める。
「くださいな」
「いらっしゃい。いつも偉いねぇ、のび太くん」
見知った店主と一言二言交わした後、のび太はメモ書きをそのまま朗読するようにして店主に伝える。一通りを確認した後に支払いを済ませたのび太に、店主が尋ねた。
「ところでのび太くん、もしかしてこの後肉屋さんに行くんじゃないかい?」
「えっ、どうして」
「はは、なんとなくね。しかしそりゃあ困ったな」
聞くに、贔屓の肉屋は臨時休業だという。そうなんですか、と顔を曇らせるのび太とそれを見るドラえもん。
「うん、ちょっと待っててごらん。ああ、お客さん、すいませんね、少々お待ちを。おーい母ちゃん」
妻と店番を替わり奥に消えた店主。少々の後に再び現れのび太に渡したものは、一軒先の肉屋までを示した手書きの地図だった。よく町を知った人間が書いたものだけあって、目印や曲がり角の数など、綺麗ではなかったが中々に分かりやすい。
「もし途中でわからなくなったらね、『肉の鈴木』ってお店だから、近くの人に聞いてみるといい」
そう言いながら一旦地図を手元に戻し、肉の鈴木、と大きめに書き足した。
「ありがとう、おじさん」
「なんのなんの。気をつけて行ってらっしゃい」
152書いてる人FX:2009/07/02(木) 22:00:27 ID:prOABm9V

キョロキョロと頻繁に辺りを見回し、その都度に立ち止まって地図を改める。そんなのび太の足取りは遅かった。ドラえもんはそれを見て少し微笑みながら、半歩ほど下がって後を続いていく。
肉の鈴木はのび太の家と隣町の住宅街との丁度真ん中程にあった。
「あ、あったよドラえもん。良かったぁ」

店に着くほんの手前で少年とすれ違った。
聴いた事のあるような音がして、のび太が振り返って見ると、どうやら彼が小銭を落としたらしい。
「君、待って」
少年の名前は野呂くんといった。
落とし物についてのやり取りと、ドラえもんについての話題を交わした頃には、既に友達と言って差し支えない景色が出来上がっていた。
性格が、気質が、出来の悪さが似通った相手、そんな事をわずかの会話から汲み取ったわけではないが、二人は互いから心地よい空気を感じたのだった。
「いけない、おつかいがあるんだった」
二人は野呂くんに別れをつげ、肉屋までのごくわずかな距離を急いだ。

買い物を済ませたのび太の手元には、300円程のお金が残っていた。お釣はお駄賃として使っていい事になっている。
遠くまで来て少し疲れたからと、何か食べ物を買ってどこかで休む事にした。肉屋に戻って尋ねると、近くに団子屋があり、店で食べられるという。
近くと聞いてすぐ振り返ろうとしたのび太にかわってドラえもんが詳細な道を聞き、店を離れた。
153書いてる人FX:2009/07/02(木) 22:23:45 ID:prOABm9V

「団子屋さんかぁ。全然知らなかったな」
実際には大した距離ではない。しかし子供にとって、見知らぬ場所に出かけるという事は大冒険なのだ。まして使命を持って、であるから尚更だ。
目的を果たしたのび太は達成感と興奮に満ちていた。故の、落とし穴。
「あっ、あれっ、ドラえもん!」
聞かずともドラえもんにはわかった。人の振り見て云々、などと言ってる場合ではない。今来たわずかな道を戻り、二人は銀色のお駄賃を探す。

それはすぐに見つかった。見知らぬ少年が高々と持ち上げていたからだ。
「あっ、それ僕の!」
分が悪い事を二人は直ぐに察した。その少年、まるであのジャイアンに引けをとらない。体格はその通り、片方の頬を高く持ち上げて歯を見せる笑みまでもが。

「なんだよ、名前でも書いてあんのか」
そんなものあるはずがない。威圧感がたぎる彼の理論に、二人の道徳は踏み潰されようとしていた。
「のび太くん?」
通りかかったのは野呂くんである。即座にのび太を認識したが、向かってくる歩みは遅い。
「なんだよ野呂、知り合いか?」
「ガンちゃん…」
154書いてる人FX:2009/07/02(木) 22:42:39 ID:prOABm9V
返してくれと頼み続ける二人を、依然ガンちゃんと呼ばれた少年は相手にしなかった。
「ねぇ、野呂くんも知ってるだろう!あれは僕がさっきおつかいに行った、そのお釣なんだよ。それを僕が落としたんだ」
野呂くんは黙っていた。いや、喋れなかったのだ。
返事を促したのはガンちゃんだ。もちろん、右手で作った拳を添えてである。
「そんな事ないよなぁ野呂?」
え、だとか、あ、だとかを何回か散りばめた後、野呂くんはようやく言葉を絞り出す。
「ごめん、僕、ちょっと、わからないな」
「そんな!」
野呂くんは下を向き、顔をあげようとしない。不規則に肩が揺れていることがわかる。
見ろと言わんばかりのガンちゃんの振り返った表情。迎えたのは同じく下を向いてしまったのび太でなく、遂にのしのしと前に進み出たドラえもんだった。
「いい加減にしろっ!僕はもう怒ったぞっ!」
155書いてる人FX:2009/07/02(木) 22:59:00 ID:prOABm9V
なんだ、やるかと距離を縮めるガンちゃんにドラえもんは向かっていく。
「返せ!この、わからずやっ!」
しかし手も足も短いドラえもんなのだ。相手に頭を押さえられ、ジタバタと滑稽な姿を晒された挙げ句にスッテンコロリン、転がされてしまった。
「ははは、なんでぇなんでぇ」
「ドラえもんっ!」
助けに出るのび太を待たず、ドラえもんはガンちゃんのスネに噛みついた。
「いでっ!いででっ!は、離せ、このっ」
抵抗するガンちゃんにずるずると引きずられても、ドラえもんは力を緩めない。
「あいだっ!わかった、返す、返すったら!」
握っていた小銭を近くに放ると、去り際にガンちゃんは涙声で捨て台詞をはいていったが、そんなものはどうでもよかった。
ドラえもんがゆっくりとそれを拾いあげようとした所に、のび太は駆け寄って膝をつく。
「大丈夫、大丈夫ドラえもん!」
「平気さ」
笑ってみせたドラえもんの顔はすっかり汚れていた。
156創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:02:53 ID:5Soib8HU
ズタボロで青アザできてるドラえもんが浮かんだ

あ、今は元々青かったですよね
157書いてる人FX:2009/07/02(木) 23:25:20 ID:prOABm9V
よかったと言って立ち上がり、ドラえもんの手を引くのび太。ドラえもんはポンポンと汚れを払ってから再びのび太を見あげ、とても辛い顔をする。

のび太は何も言えなかった。のび太の視線の先にいる彼も、何も言うことは出来なかった。
ドラえもんはヒゲもしっぽも垂れ下げたまま、二人を見る。置きっぱなしにされた買い物カゴを取りに行くと、のび太にそっと触れて、帰ろう、と小さく言った。

家につくとのび太は直ぐに部屋へと上がっていく。ドラえもんは母親にカゴを渡し、離れた肉屋まで行った事を報告すると、続けて遅くなったことを謝罪した。
158書いてる人FX:2009/07/02(木) 23:38:58 ID:prOABm9V
部屋の明かりを消すと、襖ごしにのび太が話しかけた。
「…ドラえもん?」
「うん」
「僕ね、怒ってないよ。すごく、残念だったけど、だけどわかるんだ、野呂くんの気持ちも」
「うん、うん」
「だから、大丈夫だよ」

涙は止まらなかった。こんなにも辛い涙は久しぶりだった。だがのび太はその悲しみに溺れる事なく、しっかりと自らの意思を固めていた。
次に、次に野呂くんに会うことが出来たなら、きっと自分から話しかけよう。

時間などわからない。ただ泣きつかれた頃、のび太は眠りについた。
のび太が野呂くんに会うことはもうなかった。

おしまい
159書いてる人FX:2009/07/02(木) 23:41:20 ID:prOABm9V
レスありがとうございます(^ω^
今回はあんまりスッキリした話ではありませんが…まぁ、ね。
頑張れのび太くん
160創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:52:20 ID:5Soib8HU
いや、これは面白い
これからも期待する!
161創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 01:12:41 ID:vV+haFxe
こんなハートフルな投下を楽しめる創発板は素敵だze!
162書いてる人FX:2009/07/04(土) 18:59:00 ID:ugAoympe
レスありがとうです(^ω^
ちょっと向こうのスレが心配ですな。まぁ態勢を見るに、問題はないでしょうが。
さて、こちらは平和に細々と更新していきますよw
163読者:2009/07/04(土) 19:06:57 ID:jDwdeUd7
楽しんでます
164書いてる人FX:2009/07/04(土) 19:32:07 ID:ugAoympe
第五話

夏休み。フンフンと鼻歌を楽しそうに奏で、下ろし立てのワンピースに袖を通すしずかから今回は始まる。
お気に入りの立ち鏡を穴が空くほど眺めてから、机の方へと視線を移してまもなく、しずかは新しいノートを用意するのを忘れていた事に気づく。
「いけない」
わざわざ声に出して言うと、しずかは足早に部屋を出て外へ出た。

「あ、しずかちゃん」
後ろから声をかけられ立ち止まったしずかは、真っ直ぐと振り向いてから返す。
「あらのび太さん」
「どこに行くの?」
間をおくこともなく出た言葉に少々残念な気がしたが、落ち込む理由があるかといえば、それはそれで思う所がない。
「今日は午後から出来杉さんと図書館に行く約束をしてるの。それで、使うノートがなかったから……」
行き足に買えば足りるというのに、その行動は、のび太には不思議な物だった。やっぱりしずかちゃんはしっかりしてるな、そんな訳のわからぬ結論を取りあえず用意した。
165創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 19:56:57 ID:jDwdeUd7
がんばってね
166書いてる人FX:2009/07/04(土) 20:21:45 ID:ugAoympe
「へぇ、そうなんだ」
釈然とした態度で返すぐらいの器量はどうやらのび太にもあるらしい。
「ええ。宿題の自由研究、一緒にやる事にしたの。良かったらのび太さんも一緒にどうかしら?」
その誘いにのび太はしずかの上機嫌の理由をはかりかねたが、気が向いたらいかせてもらうとだけ伝えて別れた。

台所ではドラえもんがのび太の帰りを待っていた。母が用意した昼食に、のび太が買ってきたプリンが添えられた。
事の次第を聞いたドラえもんは、いいじゃない、と言ってただのび太を促すだけで、その対応にのび太はやや気を悪くしたが、結局言われたままに参加することにした。

図書館に着いたのび太達は二人を探す。先客は予期していた他にもいて、出来杉、しずかと同じ机についているジャイアンが何か独特の存在感を放っていた。
「やあ、のび太くん、ドラえもん」
ヒソヒソ声になってもその爽やかさは健在である。一方、声を抑えきれていないジャイアンの挨拶に、のび太は何か心地よいものを感じた。
三人はまだ、適当に選んだ本を並べて出来杉の博識にただ感心しているだけの段階にあったようだ。
挨拶を終えた所で出来杉自らが一仕切りをつける。5人は出来杉の言う通り、一度建物の外に出て話し合うことにした。
167書いてる人FX:2009/07/04(土) 21:26:33 ID:ugAoympe
応援ありがとうございます
ちょっと書いてて構成がブレてしまったので続きは今度にします(・ω・`スイマセン
168創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 21:35:03 ID:+0nPItj3
和やかSSスレでなければ俺も書きたかったけど・・
頑張ってね
169書いてる人FX:2009/07/04(土) 22:23:08 ID:ugAoympe
>>168
いやいや、是非書いて下さいよ(^ω^
今は自分が占領してるからそう見えるだけであって、スレとしては現状こそあるまじき姿なんですから。
自分も次回からはちゃんと一話まとめて書ききるよう気をつけます。今回だけはすいません(__)
170創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 22:33:18 ID:+0nPItj3
>>169
続き書くんですよね?それが終わって、次のうpがないかな?
と思ったらねwタイミング様子見てたんだけどどんどん次がうp
されてるからさ、全て終わったら明記してねー
誰もいなくなったらうpします
171書いてる人FX:2009/07/06(月) 23:07:38 ID:t3ZF9+qj

せっかくドラえもんがいるのだから観察や体験を含む内容にしよう、と言う出来杉の提案がまず採用された。
「ならよ、カブトムシなんかどうだ。皆で取りに行こうぜ」
「う〜ん、悪くはないけど」
彼是と案を出すが一向に採用されないジャイアンの姿はどこか健気に見える。
一方ののび太は、相槌に追われ忙しくしているばかりだ。
そんな中、いよいよといった感じで、しずかがはいと手を挙げた。
「私、蛍を見てみたいな」
蛍かぁ、などとのび太の相槌が入った後、頷いた出来杉がいいんじゃないかな、と続ける。
出来杉からこの言葉を得た以上、もはやそれ以降の議論は意味をなさないものだった。
ジャイアンはやや口を尖らせている。この時ドラえもんはのび太でなく、ジャイアンの側に寄っていた。
172創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 23:33:02 ID:sLzSyRaS
出“木”杉、だよー
173創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 23:41:13 ID:t3ZF9+qj

いよいよ蛍を探しに行く日を迎えたのび太の心境は、この日までの数日間、図書館で調べ物をしていたという事実さえ述べれば、後は説明するまでもないだろう。
待ち合わせ場所にしずかと出来杉が一緒にやって来たことに、のび太はまたわざわざ傷口を広げるのだった。
わりぃわりぃ、と声が聞こえて全員が揃ったところで、ドラえもんは道具の名前を呼ぶ。

扉の向こうはどこともわからぬ池のほとりであった。
闇の中に草木が繁る風景に、皆はやや身のひける思いを抱いたが、視点を狭めて見れば確かに図鑑に見た風景である。
「ここならいそうだぞ」
そう言いながらも、出来杉の歩き方はまるで足探りといった感じだ。
待ってよジャイアン、そう言うのび太の声すら幾らも離れて聞こえている。
後ろでは、ドラちゃんを盾にしたしずかが、何を探すでもなく視線を様々動かしていた。
ジャイアンは突き進む。既に目的地の範疇にいるというのに、どこを目指しているのかはわからない。
「この辺りにいそうだぞ」
そう言うとガサガサと音を立てて草をわけ始める。
のび太はと言えばすっかりジャイアンを見失って、こちらも蛍を探し始めていた。
174創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 23:57:57 ID:t3ZF9+qj

「あんまり離れちゃ危ないよ〜」
ドラえもんの声に、2つの返事が異なった距離から聞こえた。姿を表したのはその内の一方だ。
「ドラえもん、ほんとにここにいるのかよ」
いるはずなんだけどなぁ、と言いながら、ポケットから図鑑を取り出すドラえもん。
その時ガサガサと音を立てながら、もう一方の声が姿を表した。
「みんな、見てよこれ」
のび太が差し出したのは小さな虫だった。
しかし一斉に集まった視線に、光が映る事はない。
「なんだよのび太、光らないじゃないか。俺達は蛍を探してるんだぞ」
皆が強ばった体を楽にする。しかしのび太は一層の興奮を伴って言うのだ。
「よく見て、蛍だよ!」
虫をドラえもんに託し、逃がさないでと念をおしてからバラバラと図鑑をめくるのび太。
「これだよ!」
175創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 00:25:22 ID:zSJvFB08
蛍と言えばどのようなものを思い浮かべるだろうか。
実は日本国内には幾つもの種類の蛍が生息しており、その生態も様々である。
のび太が捕まえた蛍は、片方の性のみが発光するという特徴を持つものであった。
出木杉の、図鑑を見ながらの解説を聞くのもほどほどに、皆は視線を小さな虫に集めた。
「すごいわのび太さん!」
しずかの言葉に頭を掻くこともせず、のび太は体を回す。
「こっちだよ!」

どこだ、どこだ、と後ろに尋ねながら歩くジャイアンを先頭に、5人は進んでいく。
しずかちゃん気をつけて、と最後方から言うのは出木杉だ。
目的地に辿り着く前にのび太は足を止めた。
やや引き返して、頭越しに覗きこむジャイアン。
「おぉ、やったなのび太!」
そこには小さな光が弱々しく舞っていた。
それから挨拶するかのように、極々近くにとまった蛍に、一同は目を輝かせた。
「うわぁ、綺麗ねぇ」
176創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 00:57:50 ID:zSJvFB08
「本当だ。すごいなぁのび太くん」
「そ、そんなことないよ」
そう言いながら、のび太は一番蛍が見やすい位置を出木杉に譲ったのだった。

図書館で調べた内容を記し、実際に蛍を探した道筋と観察リポートを添える。
全員で分担してと言うには一人足りなかったが、文章は完成した。
こうして出来上がったものを見たジャイアンは眉を潜めながら言う。
「なんだなんだ、これじゃのび太だけが頑張ったみたいじゃないか」
ジャイアンを除く三人が書いた文章には、のび太が蛍を見つけることに大いに貢献した事がその通り表されていた。
「駄目だ駄目だ」
出木杉は反論しようとしたが、のび太の同意を得た事で、ジャイアンがこの部分を書き直すことになった。
最終的に完成した文章は極々平凡な物だった。
池の出来事を綴る冒頭に『ここからは剛田が伝える』などという文句がある事を除いてだが。
177創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 01:05:26 ID:zSJvFB08
自室の机に向かったしずかは、出来上がった課題を眺めていた。
三ヶ所ほど誤字を発見し、これを訂正してからまた一通りに目を通す。
所々で目を止めながら文章を読み進むしずかは少し微笑みを浮かべていたが、何を想っていたかなどと探ることはしないでおこう。

おしまい
178創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 01:07:57 ID:lnzEiJ40

これまたホッコリするわ
っていうかジャイアンが凄くそれっぽいなw
179書いてる人FX:2009/07/07(火) 01:28:20 ID:zSJvFB08
即レスっていうのがまた嬉しいですな(^ω^)
ちょーっと構成がいまいち…う〜ん。すいません。
特に書きためてる物もありませんで、一話完結をボチボチぼつぼつと思ってたんですが。
後ろ詰まらせるわけにもいきませんからね。次に、これは用意しておいた最終回を書いて終わりにします。
180創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 09:05:33 ID:W3yNxPY9
今度こそ全部おしまい?
181創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 09:36:04 ID:zSJvFB08
あの、そうもサッサと終われみたいに言わなくても良くないですかね。
誰もいなくなってからじゃないと書かないって言うもんで、これでも一応気ぃつかってるつもりなんですけどね。
182創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 01:34:32 ID:42xSvkjQ
んー、そんな刺立った言い方せんでもいいんじゃね?
他に書きたがってる人もいるみたいだし、終わったかどうか確認したかっただけなのでは。
183創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 02:45:49 ID:lVtK71G/
>>182
失礼しました。仰る通り、今まで勝手に占有してきた自分ですから、他に書き込みたい方から事前に確認頂けたという事は、むしろ有難い話なわけです。
しかし、SSなんて全部の話が直接繋がってるような物じゃないんですから、その都度きりのいいところで色んな人がポンポン書けばいいと思うんですよ。
切れ目に関しては、一部こちらの不手際で乱れましたけど、一話完結にして『おしまい』って書いてるわけですから。むしろいつ終わるなんてないですよ。
それにしたってもう終わりにするって言ってるのに、こちらの文章は仕方ないにしても連絡書き込みまで読んでいただけず、そう何度も促されたとあっては、
もう気がすんだら早く出ていけって催促に他ならないと私は感じるわけです。
184創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 02:49:51 ID:lVtK71G/
長々すいません。
先に示した次作は書かないので、今ある分で全て終了です。
ご迷惑おかけ致しました。
185創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 08:45:06 ID:kMxwbmHt
>>183-184
投下しちゃえよ、っていうかしなさいよ
それが終わったら俺も心残り無くスレ閉じられるから
186創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 23:49:26 ID:42xSvkjQ
新手の荒らしかと思った。
>もう気がすんだら早く出ていけって催促に他ならないと私は感じるわけです。
その物言いは、ある意味で当たり前の事を叫んでるだけ。
創作という言葉に釣られてこの板に来た人達から、色んな形の反感を買うと思う。
適当にケリつけて「お前らも投下しろよ!」→「また投下します」無限ループ、くらいが丁度良い。

面白い作品なんて人それぞれだから尚更だ。
長文レスする暇で書くべき、または書かないと明言してしまうのがいい。
187創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 02:58:54 ID:e3/FujdL
シンプルにいこうぜ

俺は>>179の書くもんが読みたい
ここで続行をしないのなら、他の場所でやってくれ
見に行くから
188創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 00:23:08 ID:HJKTA1UG
テスト
189創る名無しに見る名無し