1 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :
2008/08/31(日) 05:52:01 ID:/zETKl1s 創作文章発表。ただし二次創作は専用スレへ 感想批評もおk。ただし中傷は文に対するものも一切禁止 三行から長編まで。 ばいさるあるようなので長い場合はあらかじめ支援願いを。 同じく1レス以上使う場合、あらかじめ、投下しますなどコメントを。 その場合名前を 作品名(1/3) 等にすることが望ましい
2 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 06:09:38 ID:/zETKl1s
とまあそんな感じでバンバン投下しちゃってくれ、いやください 脱線は良識の範囲でってやつ。 テンプレはこんなもんかな、新板なんで様子見にスレ立てました どーぞ それにしても板自体が過疎だなあ
そりゃできて3日だもの つまりここはオリジナル作品を投下して評価してもらうスレなの?
4 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 06:18:15 ID:K6UZg7YN
過疎で落ちないのがこの板のいいところか
5 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 06:22:23 ID:/zETKl1s
>>3 そんなとこです。
メインは投稿ですね。
まだ試験的な段階なのであまり縛らないようにしました。
この時点では総合のような扱いかな。
6 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 06:24:28 ID:/zETKl1s
総合だったら1次作品総合スレがあるから 批評して欲しい人メインがよさげかも
8 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 06:32:14 ID:/zETKl1s
>>7 ありがとうございます。それでは
ここは作品を投稿し、評価してもらうスレです。相互に投稿、批評しあいましょう。
このスレは投稿者と批評者の相互関係で成り立っています。積極的に評価しましょう。
と、こんな感じに。
どうもレスがつかないな…ま、すぐに沈むだろうがちょいとあげる。 投下者、批評者、いらっしゃい〜 お題ありでもいいよ〜
10 :
暗鬱短編 :2008/09/01(月) 16:03:13 ID:OIJ2AMzX
世界は雑音に満ち溢れている。騒々しくて喧しくて嫌になるくらい不愉快だ。 耳障りな音だけじゃない。見る風景にも全て忌々しいノイズが掛かっている。 朝から晩までのべつくまなく雑音とノイズに辟易とさせられる。 だから音楽を聞く。 生温いポップスなんてクソ食らえ。そんな物は紛い物だ。もっと激しい奴じゃないと全てがクリアーにならない。 腹に響く様な爆音を叩き出すドラム、銃声の様なリズムで頭を貫くベース、嵐の様に全てを吹き飛ばすギター、絶叫ともいえるダイナミックなボーカル。 精神と肉体は、不協和音に近い不透明な音色を求める。 全てをズタズタに切り裂く様な鋭さを持つ音こそが本当の音楽。 イヤフォンでボリュームを全開にして聞くと、この世に満ち溢れている雑音とノイズを吹き飛ばしてくれる。 音楽がもたらす快感は絶頂に達してしまいそうになる程のエクスタシー。 脳髄が揺さぶられて、身体の細胞が一つ一つ活性化していくのが分かる。 陶酔と恍惚が精神と身体を支配していく。 何がなんだか解らない衝動に駆られる。 衝動は天国へと続く階段。一歩一歩踏み出す度にハイになっていくのがわかる。 その衝動は破壊衝動に容易く変わる。戦闘に出ればそれがハッキリと解る。 目の前の敵をズタズタにしたくなる。敵だけじゃなくてウザいアイツらも潰したくなる。 僕以外の奴等をこの世から消してやりたくなる。 誰にも止められない衝動が加速する。衝動がビートを刻んで魂を揺さぶる。 揺さぶられた魂が僕を解き放つ。 全てのものが関係ない、凶暴なビートとリズムの世界が見える。 でも、そこまで。至高の世界に到達する事は出来ない。クスリという手枷足枷に繋ぎ止められるからだ。 天国から地獄。禁断症状は嫌いだ。世界に満ち溢れる雑音とノイズを加速させる。 不快感が虫みたいに肌の裏を這い回って苦痛にまみれる。視界が閉じて真っ暗になって疎外感に頭をぶん殴られる。 こんな身体じゃなかったら。クスリ漬けの身体じゃなかったら。 至高の世界に行ける筈なのに。凄く悔しい。 雑音とノイズ、クスリ、そしてクスリ漬けの俺の身体。世界の全てが―――ウザい。 ――幕。
前いた板で投下したのをちょっと変えたの投下。
勢いがある 意味の無い言葉を叫びだしたしたくなる文だった
>>10 あざーす!
いいっすねー
一発目からレベル高いです。DADAとでも言うのかな、ハイな時の疾走感
と内省的な瞬間の悲哀っていうか絶望感がいいですね!
最後のクスリのとこぐっと落とすとこだと思うんで、ウザいってとこを
もう少し哀しく女々しい感じにすると文のキレが上がるかなーっと思いました。
またどうぞ!
試験投下。特定されそうだ…w 昔々あるところに、一人のみなしごの少年が大工の家族と一緒に住んでおりました。少年の名前は、トシキと言います。親方はなかなかの男前、 かわいい奥さんと娘さんがいました。四人は、小さな村の中で幸せに暮らしていたのです。 いつの頃からだったでしょうか。奥さんのトシキを見る目が変わり始めたのは。 奥さんの視線は冷やかな憎しみをたたえるようになっていったのです。月日が経つにつれ、奥さんの仕打ちは、ますますひどくなっていきました。 トシキの分の食事はない、なんてことが、ちょくちょくあるのです。見かねた大工さんが奥さんを?ると、 その時だけはひどい仕打ちは収まるのですが、すぐに元通り。奥さんの行動は、悪化する一方。 それは、トシキに対する完全な無視へと変化していきました。そんなある日のこと。 今日もトシキの朝食はなく、親方の娘さんのリリアが、食事の後でとっておいた自分の分のパンをそっとくれたのでした。 こんなことはよくあるのです。 「トシキお兄ちゃん、かわいそかわいそなのです。」 「ありがとう。でも、これはお前の分だ。お前が食べなくてはいけないよ。」 「ううん、いいの。お母さんはトシキお兄ちゃんにひどすぎるよ。私にはあんなにやさしいのに…。」 「何かわけがあるんだよ。僕には身に覚えはないけれど。何か…もしかしたら、奥さんが若い時に好きになって、 殺してしまったひ弱な幼馴染に顔が似ているのかも。」 「ううん、そんなのじゃないの。私、知ってるもの。お母さんはトシキ」 「リリア、裁縫の続きだったでしょ。」 離れた部屋から奥さんの声。リリアはパンをロ黄に押し付けると、呼ばれた方へと駆けて行きました。 けなげなリリア。これからパッチワークにかかるのに違いありません。 「はぁ…」 ため息をついた途端。目の前に影が差しました。親方は、トシキの手のパンを見ると、 「まったく、またリリアは。しょうがねえなあ。お前も大変だよなあ。ほら、さっさとそいつを食って、道具箱と水を持ってこい。 今日はメイヤーさんのところの畑の小屋をしなくちゃならないんだ。こないだの火事で焼けただろ、立て直すって。」 畑の焼け跡にはもう材木と煉瓦が運んでありました。二人が働いていると。 「トシキちゃん、偉いねえ。大変なんだって?ほら、これでも食べて元気を出して。それにしても、大きくなったねえ。」 トシキの境遇は村の公然の秘密のようなもので、誰でも知っているのです。トシキはメイヤーさんの奥さんが持ってきた軽食とお茶をいただきました。 親方はじっと、嬉しそうに食べるトシキを見つめています。メイヤーさんの奥さんは親方をちらりと見て気の毒そうに笑うと、去っていきました。
15 :
2/2 :2008/09/01(月) 16:25:34 ID:G/VPJ1mT
午後は家に戻って丸太の木挽きです。樵さんが持ってきた丸太を資格の材木に挽いて入ると、作業場に奥さんが慌てた様子で入ってきて、 親方にこそこそと何かを言いました。聞いた親方の表情が変わりました。 「トシキ、お前宝石とか見てないよな。」 トシキは正直なものですから、見ていませんと言いました。 「本当か。」 「はい。」 「じゃあ、探すから手伝え、うちの奥さんの紫水晶のペンダントがなくなったんだ。」 確かに、奥さんは教会に行く時にはいつも、そのペンダントを付けていました。 その宝石は、奥さんが少女だった時に亡くなった、母親のものだったと、話していたものでした。 一家総出で家中を、居間、洗い場、寝室と探し、最後にトシキが住ませてもらっている屋根裏部屋へ。 トシキの物入れの箱の中に、アメジストは輝いていました。親方たちの怒り様は一通りではありません。 トシキの恩知らずをさんざん罵り、服まではぎとって馬の鞭でミミズ腫れになるまで叩き続け、 血がにじむトシキを下着姿のまま、夕暮れの街へ放り出しました。みなしごのトシキには行くあてはありません。 どうしよう。傷はひどく、ひりひりと全身が痛みます。惨めなトシキは教会へ入って行きました。 トシキの身体はミミズ腫れにあざ、それにいっぱいの傷跡で、夕日を浴びる磔刑像そっくりでした。嗚呼…トシキは像を仰いで祈りました。 どうしてこんな目に遭ってしまったのでしょう。絶対に奥さんが仕組んだのに違いありません。 このとき、トシキには自分の思い込みが間違っていることを知るすべはありませんでした。いつしか疲れのままに、トシキはうとうとまどろんでいました。 夜半過ぎ。寒々とした星明かりに照らされて、小さな影が教会へ近づきます。気配でトシキは目を覚ましました。リリアでした。 手にはなにやら持っています。 トシキ「お兄ちゃん。」 「しっ、静かに。」 「トシキお兄ちゃん、寒いでしょう。これを着て。」 それはトシキの服でした。 「痛む?」 「痛いよ。とても痛い。」 何が痛いと行って服の布地が肌に当たって痛いのです。 「お兄ちゃんかわいそう…。」 「ありがとう。でも、リリアは帰らなきゃいけないだろ。ほら。」 リリアを家の前まで送ると、トシキは教会へ戻ろうとしました。空には一面の星。 「お兄ちゃん、どこに行くの。」 「教会だよ。心配しなくても、大丈夫。」 「違うよ。もう家の中に戻ってもいいんだよ?ほら。」 トシキは気が引けましたが、リリアの促しに仕方なく、リリアについて入ると、リリアはろうそくの手燭を灯し、 「こっちこっち。」 寝室の方へ歩きます。訝りながら寝室に入ると…。 床に横たわる親方の頭は潰れてぐちゃぐちゃ、奥さんの首筋はぱっくりと横ざまに切り口を開いて、シーツは一面血だまり。 トシキは言葉を呑みこみました。 「へへ、すごいでしょ。」 「お前…。」 「お母さんの首は包丁で切ったの。お父さんは金槌で何度も頭を叩いたわ。だって、二人ともお兄ちゃんをいじめるんだもん。」 「あれ、なんで泣いてるの、お兄ちゃん。きっと喜んでくれるって、思ったのに。お兄ちゃんまで、あたしを避けるの?」 ともかく、このままではまずいことは明らかでした。トシキとリリアは死体を斧、鋸を駆使してばらすと、 教会の広場の井戸に投げ込みました。二人は夜のうちに逃げだし、さまざまな困難に遭遇しながらも成長し、 ある谷あいの町に腰をおろしました。手に職があったもので、大工の仕事は何とか形になっていきました。 二人は結ばれ、かわいらしい娘を持つことができました。こうして、二人は幸せに暮らしましたとさ。 とはならなかったのです。彼は孤児を住み込みの見習いにすることにしたのでした。 それにしても、こうまでうまくいくとはね…実際、一家の全員が一人の少年を愛したなんて、 笑えてしょうがないわ、ふふっ。血は争えないってやつかしら、やっぱり。 私のトシキをお前らに渡すはずないじゃない。まともな妻子をもったショタコンとかいい年して少年愛しちゃった人妻とか気持ち悪すぎるってもんよ。 ああ、そう、並んだ死体は綺麗だったわね…まるでアメジスト。血液はルビーを溶かした液なのね、きっと。 そういえば、宝石が無くなっても誰も私を疑わないんだもの、うまくいきすぎるのも張り合いないわね。 切断された肢体もなかなか美しかったわ。何といっても、折檻された後のがトシキ一番綺麗だったけれど。 傷だらけで、打ちひしがれて、ぞくぞくしたわ。ふふ。 この頭、お父さんのかしら、重いわねー。脳空っぽのくせに。大体、井戸が遠すぎるのよ。ああもう、腕がきつい!
16 :
暗鬱短編 :2008/09/01(月) 16:31:25 ID:OIJ2AMzX
ふと、思い出した。今日はあの娘の命日だ。 今の今まで忘れていたけれど、確かにあの娘の命日だ。 あの娘の事を思い出すとなんだか苦い記憶が蘇ってくる。 あの娘が原因で疎遠になった仲間がいるし、結局の所俺はフラれてしまったのだから良い思い出ではない。 だけど、思い出の善し悪しじゃなくて思い出してしまったのだから何かをしなければならないとは思う。 花を捧げる? 俺は彼女の好きな花を知らないから却下。 あの娘の眠る慰霊碑にでも行ってみる? 今からだと帰りが遅くなるから却下。 アルバムから彼女の写真を取り出して見てみる? 一番簡単で手っ取り早いからそれに決定だ。 探せば色々出て来た。隠し撮りした写真や書きかけのラブレターがとか色々ある。 若気のいたりと言える物残しているとは片腹痛い。 必要無いものを後生大事に残しておいてあるとは、我ながら女々しい野郎だな、思ってしまう。 無用の長物を見ていると、思い出が鮮明になってくる。嫌な思い出ばかりだけれど。 そう言えば、あの娘を巡ってケンカ別れしたアイツは元気だろうか。 風の噂だと外国にに渡ったとか渡らないとか。多分、行動に筋が通って無いのは変わっていないだろう。 三つ子の魂百まで、なんていう諺もある。 さて、この無用の長物をどうしようか。残しておいても良いけどなんだか癪に触るし困ったものだ。 そうだ。いっその事、火にくべて燃やしてしまおう。 線香代わりに燃やしてしまえば思い出す事もないだろう。 思い出したのが命日だったから、思い立ったが吉日だ。 善は急げと新聞紙とライターを持ち出して庭で火を着けた。 一枚一枚火にくべて灰にする。風が無いから煙は真直ぐに天に登っていく。 なんだか涙が出て来た。煙が目に染みた訳じゃない。多分、俺は彼女に心底惚れていたのだろう。 心の傷が鈍く痛み出す。 まあ、なんだ。罰が当たる訳でもないから彼女の冥福ぐらいは祝ってやろう。 さよなら、俺はお前の事が嫌いだけど好きだったよ。 ――幕。 これも某所に投下したのをいじくった奴
>>16 乙です!それなのに俺は童話なぞあげて…
すごく感情移入しやすいSSですね。気にかかったのは「俺は」の主語が多いことかな
墓じゃなく慰霊碑ってことは何か過去にあったのかな…もっと深く読みたいですね
線香がわりってフレイズが好きです。
>>17 GJ!
すらすらと読みやすい文章で面白いと思いました。
短編だと出だしの三行で読者を引き付ける必要があるのだけど、十分引き付ける力があると思う。
二次で書いた奴を改変した奴だから深く読ませられないorz
>>18 あざーす。俺のはある意味ロリババァw
ちょっとネット環境を離れますが、別に1がいてもいなくても機能するはずのスレなので
皆さんどんどんご利用くださいね〜
今日はもう一つ上げて帰る予定
20 :
1 :2008/09/01(月) 17:11:34 ID:G/VPJ1mT
福岡市中央区、赤坂。けやき通りから坂を上がると、緑地や、一見してセレブな家が随所に立っており、古い武家屋敷などもある。 そんな高台の高級住宅地の中、一軒の木造の建築物があった。表札が読める。SO.NO.DA.園田。洋装白塗りで、屋根は緑。 若干の庭には一本の桜の樹がある。あいにくと葉桜の頃も少し過ぎて、若葉が明るく萌えていた。梅雨入りにはまだ間がある。 既に初夏の日差しが溢れていた。光に満ちた博多の海。坂の向こうの青い空を、雲は流れてゆく。二度と再び帰っては来ない。 ただ流れて―。果てから風が吹く。 男がうつぶせに倒れている。よく見ると、体の下から赤ん坊の腕のようなものが出ているのが見える。 まるで、恋人をかばって死んだかのように、二人は折り重なって倒れている。だが、この小さな世界には、生きているものはいない。 男は何を守ろうとしたのか。男の体の向こう、ガラス越しに、冬枯れた桜の木が見える。辺りは一面銀化粧。 夜のうちに降り積もった雪は、背景を白一色に染めていた。しんとして音もない。 「うーっ、寒いっ。ホトケさん、自殺で間違いなさそうですね、ただ女物の靴の跡は気にかかりますけれど。 笹石さんはどう思います。」 「この人には女性がいたんでしたねえ。彼女の靴を調べてみてください。ああ、缶コーヒーを一本帰りに頼みますよ。 私はもう少し家の中を調べてましょうかねえ。」 「わかりました。」 部下は背を向け、歩き出した。 こんにちは。私の名前はさつきと言います。今から少しお時間をいただいて、私の人生を狂わせたあるできごとについて、お話をさせてはいただけませんか。 そして、私の罪を罵ってください。罪な女と罵倒してください。私には、そうされる理由があるのですから。私は、一人の人を殺しました。 これからお話しするのは、世にも奇妙な、そして何物にも優って美しい憎しみと、汚れなき愛の物語です。それでは、まいりましょう。 さつきは心を痛めていた。最近、恋人の園田―彼女はソーダと呼んでいた―が、どうも自分の殻にこもりがちなのだ。彼の親友の中井にも聞いてみたが、どうやら彼女の前に限らず、どこでもそうらしい。 「最近は家からも出てないんじゃないかな。あいつの家、ほら、坂の上の。この前二回くらい通ってみたんだけどさ、いつ通ってもあいつの原付があるんだ。」 同棲の話なども出ていただけに、決して他人事ではない。最近は電話しても留守電になることが多かったな、などと思う。 何か傷つけるような言動をしたかどうか振り返って考えてみるのだが、さっぱり身に覚えはない。さつきは、彼の家に行ってみることにした。
21 :
2 :2008/09/01(月) 17:15:28 ID:G/VPJ1mT
確かに銀色の原付はあった。風はかなり涼しいとはいえ、急な坂で体はほてるほどだ。さつきは、門の前で息を継いでいたのだが、 ふと登ってきた方を見て、ふっと息をのんだ。この見晴らしがよい高台にはこれまでも何度も来てはいたが、 これほど展望が素晴らしいとは思いもしなかったのだ。福岡市内と、その向こうの博多湾、海の中道と広がる玄界灘が見える。 大気は澄み、海は碧く、白い街々に日射しは映える。庭の桜の木はもはや葉をつけてはいなかった。 一息ついて、呼び鈴を鳴らす。一度。二度。出てこない。三度。待ってみたが、何の応答もなかった。 仕方がない。帰ろう。さつきは門から足を踏み出した。そのとき、隣家の人らしき影が隣の庭に見えることに気づいた。 主婦のようだ。尋ねてみる。 「あのー。ここの家の人って…」 「ここの人の知り合いかい、あんた。用があって来たの?ここの若い男の子でしょう。最近は時たま出入りするくらいかねぇ。」 「そうなんですか?」 「んー、なんだか気味が悪いのよ。話し声みたいなのがしょっちゅう聞こえるんだけれど、あの子以外… 誰も出入りしていないみたいなんだよね。なんか女の子の声も聞こえるような気がするのよ。」 初耳だった。当然だが。誰かと電話でもしているのか。だが園田の交友関係は狭かったはずだ。 とすると、このおばさんの見ていない時に、相手は出入りしているのかもしれない。 「あの、ありがとうございました。」 「いいのよ。これ、うちで採れた野菜だけれど、要る?」 申し出は丁重に断り、その場を後にした。そのとき、窓のカーテンから覗く、人のものならぬ目に気づかなかったのは、 むしろさつきにとっては幸運だったに違いない。 胸中に暗雲が鎌首をもたげるのを感じながら、帰路、園田との歴史を振り返っていた。二人が出会ったのは、高校生の時だ。 四年間時間を共有してきたさつきだったが、これほど不安になったのは初めてのことだった。 さつきは園田の家を少し見張ってみることにした。さりげなく離れた場所で見守る。 秋風はそろそろ冷たさを交え、紅葉した落ち葉が道の隅には吹きだまっている。二日間、仮眠を取ってはいたがほぼ眠らずに観察していた。 さつきは、自分にこんな熱意があったことに驚いていた。それほどに、園田の存在は大きなものとなっていたのだった。 一度園田は出入りしたが、食品を買って来ているようだった。とくにほかの人間の出入りはない。 流石に身体に限界が来たので、携帯で中井にわけを話して交代してもらうと、自分のアパートに帰るや、ベッドに倒れこんでしまった。 そのまま二日の疲労もろとも眠りの世界へ旅立とうとしたちょうどそのとき、携帯の着信音が聞こえたような気がした。 このとき、携帯を見ていたなら、少しは異なる結末を迎えられたのかもしれなかった。だが。
22 :
3 :2008/09/01(月) 17:19:00 ID:G/VPJ1mT
誰かが戸を叩いている音でさつきの意識は覚めた。時計を見る。ほぼ二十時間眠っていたことに気付き、愕然とする。 携帯を見ると、不在着信通知とメッセージ。メッセージを聞いてみる。 「ピー。もしもし、中井でーす。寝てんのかな?いま、あいつの家から話し声が聞こえるよ。 ひとつは女の声みたい。このメッセージ聞いたら返信して。ピー。」 またノックの音がしている。ドアを開けると、去ってゆく背中が見えた。中井だ。 呼び止めると高い背中はこちらを向いた。二人がアパートのドアまで戻ると、中井は話し始めた。 「さつきちゃんが帰ってから三十分くらい後かな、あいつの声が聞こえたんだ。やっぱり浮気してるよあいつ。 あんまりよく聞き取れなかったんだけど、たしかに女の声みたいなのがするね。」 さつきはもう許せなかった。園田の家に乗り込んでやる。あっけにとられた中井を尻目に、走り出した。 勢いのままに玄関の扉を叩いた。出てこない。原付はある。絶対に居るはず。何度も叩く。叩き疲れたころ、扉が開いた。 「うっせーなー。誰だこんな時間に。全く…」 園田の言葉が途中で凍りついた。 「お前か…」 「お前かじゃないわよ。私に隠れて浮気て、ソーダ、どういうことよ!」 「浮気って…はあ?お前なんか勘違いしてるんじゃないの?何が浮気だよ。」 「嘘だっ!だって、女と会話してるソーダの声を、みんな聞いているのに。 居るんでしょ。中に。出しなさいよ!」 「んー…誰もいないんだけどなあ。なんなら上がって探しまわったっていいぜ?」 「そう。じゃあ勝手に上がるわよ。」 さつきは靴を脱ぐと、上がりこんだ。居間。園田の部屋。台所。クローゼットの中。屋根裏。納屋。 家のどこにも人が隠れている様子はない。園田は悠然とさつきについて歩く。 一階の居間を通った時に、三十センチ四方くらいの黒塗りの飾り箱があって、園田に聞くと、彼は子供のころ、集めた貝殻を入れているのだと答えた。 さつきは深く気にとめはしなかった。大体人間が入る大きさではない。女を隠している場所はないかさんざん探し求めた挙げ句。 「ほら、誰もいなかったじゃねーか。」 「私の知らないところに隠しているのかもしれない。わからないじゃない。ソーダの自信満々の態度が怪しいわ。」 「おいおい、ちょっと理不尽すぎるだろ。人を疑いすぎなんだって。大体人間一人隠しおおせるわけないだろ。 言っとくが、俺以外、この家に人は住んでない。人の家に傍若無人に上がりこんできやがって…」 「悪かったわね、上がっていいって言ったのはソーダでしょ。大体ソーダのことを心配してなかったらこんなこともしないんだからね。」 「でもこれでわかったろ?」 「なあ、機嫌直せよ。そうだ。今度の土曜、俺のお詫びも兼ねて出かけないか。とりあえず天神行って、大名で昼飯食って夕方は海岸でまったりしようぜ。」 さつきは園田を疑っていたことで気がとがめてもいたので、それ以上強気に出ることもなくデートの約束をしてその場を去ったのだった。
23 :
4 :2008/09/01(月) 17:21:17 ID:G/VPJ1mT
本日、土曜日。快晴。念願、お楽しみのデート…なのだが。 「ねえソーダ。なんか上の空じゃない?」 「そうか?いつもこんなんだろ。ほら、海行くぞ海。」 こんな時、さつきは何かが空回りしているような気分になるのだった。 「あの建物は何?」 「福岡マリンメッセ。目立つよな。」 「ほんとに。それにしても、ここ船が多いね」 さつきには、あの話し声について話を振る勇気はもはやなかった。今の一時だけでもいい。この幸せを。 さつきは気づいた。園田の視線が宙をさまよっているのを。デートしているはずの自分の方を見るどころか、 白中夢でも見ているかのように見える。心ここにあらず、といった風情だった。さつきの目に涙が浮かんだ。 こんな時間さえ、奪われてしまうのか。怒気を抑えて尋ねてみる。 「ソーダ今、誰かほかの人のこと、考えてたでしょ。」 「いや、さつきのことを考えてたさ。」 二人の共有した四年間という時間は、その答えが本当かどうかをさつきが判断するには十分すぎた。 「もう知らない!その人と幸せになればいいじゃない!」 さつきは駆け去った。園田は思わず立ち上がったが、結局、追いかけなかった。 走っているさつきの口から、つぶやきが漏れる。 「死んでやる」 絶対に死んでやる。 「死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる 死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死ん でやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでや る死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでや 死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる 死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる 死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる 死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる。」
24 :
5 :2008/09/01(月) 17:23:48 ID:G/VPJ1mT
走って、走って、さつきは立ち止った。あいつは追ってこなかった。私のことなんかどうでもいいんだわ。死んでやる。 さつきは死ぬのは怖くなかった。それどころか、いつ死んでもいいとさえ考えていた。だが、一つの考えが頭をよぎった。 私から私のソーダを奪ったやつは一体どんな人間なんだろう。死ぬ前に顔を拝んでおきたいものだわ。 いっそ、殺してやろうかしら…さつきはまた、ソーダの家の前へ行った。ほどなくして、園田が帰って来た。何やら呟いている。 園田が家に入っていってしばらく後だった。あの声が聞こえたのだ!それに対して園田は、ただいまだの待たせたねだの言っているように聞こえる。 さつきは家の中に乗り込んだ。どこか冷静な自分を感じる。園田はどこ?会話の聞こえる方へ― 園田は居間にいた。さつきの顔を見てもさほど驚いた様子もなく、さつきに一言も口をはさませることなく、彼は語った。 「とうとう見つかってしまったか。仕方がない。紹介しよう。山梨まきなさんだ。伊万里を裏切ったことは申し訳ない。だが、いま俺たちは相思相愛なんだ。 どうか、身を引いてくれないか―」 「私は最初、ソーダが何を言っているのか、まったくわかりませんでした。なぜと言って、 ソーダの腕の中に抱かれていたのは、一体の人形だったのですもの。ただの、人形だったのです。 私は、語っているソーダの眼に、狂気の色がないのを見て、大丈夫だと思おうとしました。 ソーダは普通の人間に普通の人間を紹介するのと同じように、丁度中井を私に紹介してくれた時と全く同じように、 語っていたのです。しかし、そのとき私は気づきました。ソーダの眼が、どこをも見ていないことに。 焦点が違う次元にあっていることに、気づいたのです。それなのにソーダは恐れを抱いた私には目もくれず、 『山梨まきなさん』のことを滔々と語るのです。どんな人間のことをしゃべっている時よりも生き生きと、 活力に満ちた様子で。たまに人形の方へ同意を求めるような素振りさえしており、ソーダを見ていると、 人形も実際に答えているかのように思えてしまうほどでした。私はショックで逃げ去ってしまいました。」
25 :
6 :2008/09/01(月) 17:26:45 ID:G/VPJ1mT
「アパートに帰ってからも、私は精神的ショックのあまり、狭く暗い部屋の壁を見詰めてうずくまり、 両膝を抱えてがくがくと震えていたのです。やっと落ち着いたとき、私の心の中には一つの決心が生まれていました。 私はそれを実行に移すことにしました。もう一度、あのいとおしいソーダを取り戻すために。 人間の世界へ引き戻すために。私はソーダが外出したすきに、家に押し入って、あの居間へ行きました。 思ったとおり、そこにソレはいました。あの飾り箱の中です。ふたを上げて中のソレと目が合ったとき、 私はぞっとしました。それは、美しかったのです。その造作はたいそう艶めかしく、凄まじいまでの生気を感じさせました。 私は人形についてさほどの素養を持っているわけではありませんが、装い、大きさは普通の人形と変わるところはありませんでした。 違っていたのは、どんな者にもはっきりと伝わる、表情です。私は、ソレに魂が宿っていることを確信しました。 この小さなひとがたには、並の人間ではありえないほどの壮絶な意思がこもっていたに違いありません。 そうでなくては、あれほどの美しさが存在し得るわけがありませんもの。事実、その瞳に取り込まれるような気さえしました。 次の瞬間、ソレは笑っていたのです。私は頭に血が上り、何も考えられなくなりました。この人形が、すべてをめちゃくちゃにしたのです。 気がつくと、私は人形の頭をひっつかみ、振り回していました。球体関節の四肢を無理やり引きちぎり、ガラスの卓に叩きつけ、 洋服をひきはがし…丸い頭は後頭部が欠け飛び、腕は確実に裂けて割れていました。室内そのものにしてからが、それは悲惨なありさまで、 少し気がとがめ始めたのですが、ソーダを救うためにやっていることです。私は自分の腕が動かなくなるまで、破壊し続け、満足してアパートに帰りました。 事実その夜、私はソーダがあの状態になってから初めて、ゆっくり眠れたのでした。ソーダに会うと、彼は私を許してくれました。 それどころか、よく道に迷っていた俺を救ってくれた、俺はどうかしていたよ、と。晴れ晴れとした顔で言うのです。 それは以前の通りの私の恋人でした…そこで私は目が覚めました。朝になっていました。」
26 :
7 :2008/09/01(月) 17:28:54 ID:G/VPJ1mT
「私はソーダの様子を見に行こうと思い、彼の家へ行きました。居間のドアを開けた時、そこにあったのは、 以前はソーダだった死体でした。人形の上に倒れ伏し、目が開いたままの。それは、一種神聖なものでした。 ソーダと目が合いました。悲壮な表情は、死んでいるにしては妙にリアルなところがあって、私は奇妙な感情に襲われました。 私はついに、人形に負けたのでした。一度限り、永遠の敗北なのです。人形は彼を連れて行ってしまいました。 私の手の届かぬ場所へ。ソーダが怒って私を打ってくれればよかったのに。それならば、ソーダはまだ、人形に奪われてはいないと私は喜んだでしょう。 喜んで殴打の嵐に身をゆだねたことでしょう。それなのに。ふと、そばにある遺書らしきものに目が留まりました。 一行、私とこの人形を共に荼毘に付してほしい。と。そんなことを許せるはずがないではありませんか。 私はその紙を持って、荘厳な光景を後にしました。」 のちにその紙は警察の手に渡ることになり、あの人形は園田聡葵の墓の裏に埋められた。 すべてを見守っていた桜の木は今なお、洋館を見下ろしてそびえている。 ふ…ふふ…頭さえ欠けてこのザマだけど… あなたには渡さないわ……絶対に渡さない。 渡すものですか だーって、私の最後の、マスターですもの。 私の愛しい愛しい、園田様…永遠の夢を見ましょう… …そう。 …永遠の愛に、溺れましょう… (完)
やっと終わった…それでは失礼しま〜す
乙
29 :
暗鬱短編 :2008/09/01(月) 20:42:40 ID:OIJ2AMzX
彼が死んでから幾つもの季節が私を通り過ぎて行った。 星が移ろい時代が変わり子供から大人になっても、人の心は変わる事はない。 私の心には死んでしまった彼が住んでいる。でも、彼を失ってしまったからぽっかりと穴が開いている。 いくら戦争で仕方がなかったとしても彼を見殺しにした人達に対してはわだかまりがある。 けれど、それは表には出さない。 彼は優しい人だったから、私がわだかまりを露にすると悲しむだろう。 私は彼に嫌われたくないからわだかまりを厳重に封じ込めている。 でも、一度だけ怒りに我を忘れた事がある。それは遠い昔の忘れてしまいたい事柄の一つだ。 今日は彼の命日。私は彼が眠る慰霊碑に赴いた。 慰霊碑は静かで神秘的な雰囲気を作り出している。 周囲には色とりどりの花が彼の代わりに精一杯に力強く、美しく、香しい匂いが溢れる様に咲き誇っている。 その健気な姿に傷付いた心が癒される。 目を閉じると在りし日の彼の姿が浮かんで来た。彼は私に向かって微笑んでいる。 不意に静寂を切り裂く様に騒がしくて無神経な足音がした。 目を開いて振り向くと、何処かで見た亊のある顔があった。 彼を見殺しにした人達の一人だ。 私はそいつを無視して慰霊碑に向かって手を合わせる。そいつが私に挨拶などをして来るけど。私は無視する。 今日でなければ、此所でなければそれなりに愛想を振り撒いても良いけど、今日という日、此所という場所では無理。 もとよりそいつが私の心に入り込む余地などは全くない。 それでもそいつは私に向かってペラペラと話しかけてくる。 あまりにも五月蠅いので少しだけ相手をしてやろうと振り向くと、綺麗な花束を差し出された。 私がきょとんとしながら黙っていると、機関銃のような勢いで言葉を撃ち込んできた。 でも、言葉は右から左にすり抜けていく。 解った事は、その花束を私にくれるという事だけだ。 丁度良い。花束を慰霊碑に供えてしまおう。 花には罪はない。そいつから花束を受け取ってそのまま慰霊碑に供えると、風が強くなってきた。 空を見上げると彼の姿にそっくりな雲が浮かんでいる。 ――私は思い出を抱き締める様にその雲にいつまでも手を振り続けた。 ――幕。
>>29 ねと環境復帰。遅レス失礼
例によって「私は」の多さは気になりましたね。自分だけかもしれませんし
そういう表現もありだとは思うのですが、視点が一貫しているだけにもったいない気がしました。
「私の心には死んでしまった彼が住んでいる。でも、彼を失ってしまったからぽっかりと穴が開いている。 」
ここの描写なんですが「心の中の彼は永遠に死ぬ前の彼であって、もう物語は増えない」という意味だとすれば
「私の時は、彼が死んだ時点で止まってしまった。季節は私を通り過ぎてゆくけれど…。」
のような(一例)描写もありかなと感じました。
「そいつが私に挨拶などをして来るけど。私は無視する。」
もくどいかな、「挨拶をしてきたが、無視する。」のようにリズム重視の短文を挟むとよいかな、と思いましたが
やっぱり書き手の味なんで、自分の味を大事になさってください。
シーンとシーンの構成力は素晴らしいです。「〜様に」が多いかな、と時折引っかかるくらい。
ありがとうございました。
こっちも盛り上がって欲しいな
一応感想書き書き
>>14-15 読んだことあるwwwwwwwwwwwww三行スレではお世話に(ry
初心者スレではなんか揉めてるけど、文法は守ってもらうと読みやすいかな
文章自体は読みやすいと思う。けどラストをわざわざ一人称にしなくても良かった。むしろ文体変わってぶち壊し感が
例えば部屋の片隅で不気味に笑わせるとかして、リリアの独白にして処理するほうがぐっと綺麗にまとまるはず
後、
>一家の全員が一人の少年を愛したなんて、
の描写が薄かったかも。特に大工の妻が惚れてるのが良く分からなかった。
リリアの台詞だけじゃなくて、もう一声工夫を
以下個人的な意見
>見かねた大工さんが奥さんを?ると、
>リリアはパンをロ黄に
>トシキ「お兄ちゃん。」
>折檻された後のがトシキ一番綺麗
誤字?
>「トシキお兄ちゃん、かわいそかわいそなのです。」
さすがにちと寒い
>このとき、トシキには自分の思い込みが間違っていることを知るすべはありませんでした。
オチを盛り立てるなら、ここでネタ晴らしするのは勿体無い
>さまざまな困難に遭遇しながらも成長し、
いきなりざっくりしすぎに思える。山を越え谷を越えじゃないけど、少し添えていいかと
>>32 ありがとう…いつぞやはお世話に。
誤字は言い訳の仕様もありません。ほんとにお恥ずかしい
内容はこれからに生かしていきたいと思います。
勢いだけで適当に書いた奴を投下しますよ2レスくらいですよ 大学に入って最初の夏休みに、私はメイド喫茶で何人ものご主人様を笑顔で萌えを大安売りをした。 その結果、秋口にはバイト代で中古のノートパソコンを手に入れる亊が出来た。 私はそのパソコンで就職に有利になりそうなワードやエクセルの使用技術を学ぶ事もせずに、ただひたすら己のリビドーを燃料にして妄想小説を書き殴っていた。 基本は二次。一次だってどんとこい。 鼻息ばかりを荒くして、傷付きやすく繊細な年頃の少年達が身を寄せ合い、いつしか友情は愛情に代わり互いに愛し合うという感動的なストーリーを何本も紡ぎだしていた。 女子ならば至って普通の亊である。 男なんてものは観賞用でしかないのだから、見て妄想して楽しむだけで充分なのだ。 男臭いのは嫌いだし、嫌らしい視線は生理的に嫌だし、なによりデリカシーがない。 酒に酔ってはセクハラをして恥じないし、満員電車ではすぐにお尻や胸をを触ってくる。 痴漢を駅員に突き出した回数は両手の指よりずっと多い。 そもそも一年も浪人生活を送った原因は受験会場に行く前に痴漢にあったからだ。 心身ともに傷付けられた私は実力を発揮する事も叶わずに、試験の間ずっと涙を流すハメになった。 受験には惨敗した私は、痴漢を社会的に抹殺することでウサを晴らす危険人物にまで落ちぶれてしまった。 でも、そんな黒歴史はどうでもいい。 現在の私はトラウマを埋めるべく、妄想恋愛小説を書き進めているのだ。 雀の鳴き声に気付くと空は明るかった。またオールで書き続けてしまった。 やっちゃったなぁ、と一人ごちると台所に向かいヤカンに火をかける。 コンロはおんぼろで火力の調整は不可能で弱火のまま。 洗い物はそのまま。カップラーメンのゴミが積み上げられて搭みたいに屹立としている。 女性の住処にしては生活感に道溢れてだだ漏れになっている。 お湯が沸くまでに暫く時間がかかるのでそこらじゅうに転がっている雑誌やDVDの箱を踏まないように気を付けながら、ユニットバスに向かう。 鏡を見れば当然の如く酷い顔だ。幸いなのはやつれて目元にクマがあるだけで見れない顔では無いことだろう。 蛇口を捻って勢い良く水を出すと、手を濡らして試供品で貰った洗顔フォームの袋を開けて掌に垂らす。 豪快にバシャバシャと顔を洗うとヤカンが私に呼び出しコールを送信してきた。
お肌の手入れをおざなりにして私は台所に戻ってコンロの火を止める。 安アパートの壁は隣の若者が夜中に見ているアダルトビデオの音を通過させる程薄いのだ。 他人に迷惑をかけても他人に迷惑はかけたらダメなのだ。 私を創作の世界に引きずり込んだ中学生時代の先輩の教えを未だに守る私はそれなりに可愛い女だと思う。 うん、それなりに。 彼氏がいないのは当然だとしても彼女がいないのが不思議なくらいだ。 投下おわりですよ
ふむ…リアルですね…。 特に表現や文章に粗もないし。 強いて言えば長い文がすっきり読みにくい印象がありますかね、 >私はそのパソコンで就職に有利になりそうなワードやエクセルの使用技術を学ぶ事もせずに、ただひたすら己のリビドーを燃料にして妄想小説を書き殴っていた。 や、 >お湯が沸くまでに暫く時間がかかるのでそこらじゅうに転がっている雑誌やDVDの箱を踏まないように気を付けながら、ユニットバスに向かう。 の文は当然二文程度に分けた方が良いかと感じました。長くするにしてもどうつなぐか、修飾するかってのは難しいものですね。 イイ女かつ腐ってジャンルを最近よく見る気がするんだが、これは現実を反映してるんだろうか? さて問題は、自己紹介文では読者を引きずり込みにくいって所ですかね。ここは仕様なのでこのまま 頑張るしかないですね、ありがとうございました。 複数の方のレスがあった方がいいと思うので、もしROMな方いらしたら感想だけでも書き込んで>< 二行、三行から長文、投稿お待ちしてまーす
試しに投下、ちょい18禁 〜懐古〜 ある夏の日だった。 たくさんの人で賑わう公園。その一角に、ファーストフードの露店が出ている。それは特に珍しい光景ではなく、多くの人が足を止め、思い思いの物を買っては笑顔でその場を後にする。 そこから少し離れた場所に、一人の少女がいた。少女はなにをするわけでもなく、じっとベンチに座っている。その視線は、随分前から露店に注がれたままだ。 やがて少女が立ち上った。おもむろに露店の前へ歩み寄り、しかしすぐに注文するわけではなく、しばらくそこに並んでいるものを見つめていた。 「……ソフトクリーム」 囁くような声。少女は売り子に硬貨を手渡し、代わりにバニラのソフトクリームを受け取った。 少女はその場でおずおずと舌を出し、ソフトクリームのてっぺんを舐める。 「…………」 なにかを考え込むように、少女は一度動きを止めた。自分が舐めたソフトクリームを凝視し、再び舌を出す。一度目よりも慣れた様子で、ゆっくりと味わうように白い山を舐めとる。 「あの……どうかしましたか?」 少女の様子をじっと見ていた売り子が、恐る恐る口を開いた。 「……甘い」 そう呟いた少女の目から、涙が溢れていた。止めどなく零れ落ちる涙を気にも留めずに、少女はソフトクリームを口にしている。売り子はどうしていいか分からずに、ただおろおろと少女のことを見つめていた。 ソフトクリームを口にしながら、彼女はいつか交わした会話を思い出していた。 《自由になったら、お前はなにをしたいんだ?》 『そうねえ……。とりあえず、夏になったらソフトクリームが食べたいかな』 《ソフトクリーム?》 『そ。こんな形のコーンに乗ってて、冷たくて甘くて、美味しいの。一度だけ食べたことあるんだ』 《ほぉ》 『いつか……本当に自由になったら、一緒に食べよ』 《……そうだな、興味はある》 『うん、じゃあ約束。絶対気に入ると思うよ。女の子だからね』 それは、本当にささやかな会話だった。まだ少女が平和な日常に憧れていた頃、少女が『その存在』と共にあった頃の、夢の話。その頃は、こんな時間が訪れることをまるで予想していなかった。少女も、少女に宿った『その存在』も。 (約束したのに……) 涙を零しながら、彼女は独りでソフトクリームを食べる。 そして、もうこの世にいない、約束を交わした者との時間を彼女は思い出していた。
〜覚醒〜 「ぁ、ぅ…………あ……」 突然の惨劇を前に、アヤは呻き声を漏らしながら冷たい床に座り込んだ。 アヤの目の前には、赤銅色に染まった人間の残骸。全身に鮮血のドレスを纏い、アヤは震えながら自らの右腕を見やった。凶器と化したそれは、獲物を欲するかのように確かな脈動を繰り返し、アヤに語りかけてくる。 〈私の声が届くか?〉 「ぇ……だ、誰?」 〈私はお前の中に宿る者だ。今、お前は私を見ているだろう〉 アヤが見ているもの。それは先程、アヤの意識から離れ男を貫いた異形の右腕だ。 「腕……? あんたが、これをやったの……?」 〈そうだ。この腕だけは私にも操れるらしい。もっとも占有ではなく、あくまでもお前との共有という形らしいが〉 「……なに、が……なにを、言ってるの? どう……なってるの……?」 状況の理解がまるで追いつかずに座り込んだままのアヤの耳に、聞きなれた音が届いた。 鉄製の廊下を規則的に叩く革靴の音。アヤがなによりも嫌悪する者が、ここに近付いて来ている。 やがて、赤く染まったその部屋には不釣合いな純白の白衣を纏った男が、ゆっくりと姿を現した。 「…………」 男は目の前の惨状にも顔色一つ変えずに、床に座り込んだままの血まみれのアヤを見下ろす。その目は冷酷な程に鋭く、アヤとその右腕を交互に見つめた。 「実験体RA-02……随分と稀有な結果が出たな。単なる強化しか施していないはずの右腕が、形状が変化する程に進化している」 「……私は、人間よ……実験体なんかじゃないっ。そんな記号で呼ばないで!」 「何度も言っているだろう。お前達は、人間ではなく兵器。正確には、それを作り出す為の道具でしかない」 「違うっ……! 私は人間よ!」 〈過度なストレスを感じているな。原因はあの男なのだろう? 殺してもいいんだぞ。今のお前なら出来る。出来ないというなら、私がやってもいい〉 その声と共に、また右腕がアヤの意識を離れてゆっくりと持ち上がると、まっすぐ男に向けられた。 「いや、やめて!」 悲痛な声を上げ、アヤは右腕に力を込めた。すると、アヤの意思通り、右腕はすんなりと下がる。 「え、あれ……? 動かせる……」 〈さっきも言ったが、この腕は私の占有ではなく、お前との共有だ。それに、どうやらお前の意思が優先されるらしい〉 「……共有……あんた、一体なんなの……?」 「一人でなにを言っている?」 アヤを見下ろしていた男が訝しげな表情を浮かべている。どうやら男には、アヤの右腕の声は聞こえていないらしい。 「なにって……私をこんなにしたのはあんた達でしょ! この腕も、声もっ……なんでこんなことするの!? 治してよ!」 はち切れそうな声。アヤは涙を浮かべ、男を睨み付けた。 だが、そこでアヤの声が途切れた。睨み付けた男はそれまでの冷たい無表情ではなく、驚愕の表情を浮かべ大きく目を見開いている。 「今、なんと言った? 声……だと?」 初めて見る男の様子に気圧され、アヤは視線を外すことも出来ず体を強張らせた。 「声……命が宿ったというのか? 一つの体に二つの命が……そんなことが……」 小声で呟きながら、男はふらふらとアヤに近づいてくる。禍々しい狂気を帯びた瞳。 「思わぬ形の成功……いや、これは……」 恐怖に支配され、アヤは思わず叫んだ。 「いや……来ないで、来ないでっ!!」 〈精神状態が限界だな。私がやる〉
その声の直後に起こった、再びの惨劇。しなる右腕が一瞬で伸び、男の胸部を貫いた。アヤが止める暇もない程の、刹那の出来事。 「……あ、あぁ……」 くずおれる男を見つめるアヤの目から、一滴の涙が零れ落ちた。 「私……は、なに? もう、人間じゃないの……?」 〈この腕は確かに人間の物ではないだろうな。だが、その涙はお前が人間であることの証だろう。少なくとも私には、涙は流せない〉 慰めのつもりなのか、それともただ思っていることを口にしているだけなのか、アヤの中に宿った存在は淡々と告げる。 「あんたも……なんなの? 私の腕を、こんなにして……」 〈この腕の変化は私の関与するところではない。私の意識が覚醒した時には、既にこうなっていた〉 「……やっぱり、ここの奴等のせい? 変な手術されたり……兵器にする為だって……」 これまでのここでの生活を思い返し、アヤの心を影が覆った。人間ではなく、兵器となる為の実験体として扱われてきた日々。 〈私はお前の味方だ。それは信じてもらっていい〉 「え?」 〈その上で聞こう。お前は今、苦しんでいるんな。その苦しみはどうすれば消える? お前はこれからどうしたいんだ?〉 突然の問い。これまでアヤは、したいことなど考えたこともなかった。ただ、実験体ではなく人間として……。 (……そう、そうだ) アヤの中で、一つの答えが導き出された。アヤはいつも、ただそれだけを望んでいた。そして、今ならそれが叶うかもしれない。 「私は…………自由になりたい」 〈なら、そうすればいい。お前がそうしたいと言うなら、私はお前に力を貸そう〉 力強く帰ってきた声。その声に背中を押されるように、アヤは腰を上げる。 「じゃあ……逃げよう、ここから。でも……」 ゆっくりと立ち上がったところで、アヤはぴたと動きを止めた。 〈どうした?〉 「……あんた、本当に私の味方なの? 信じていい?」 〈……ふむ〉 やや考え込んだような間の後、突然アヤの右腕が顔の前まで持ち上がった。目の前で起こった惨劇を思い出し、アヤの体が恐怖に震える。 「イタッ」 だがその衝撃はアヤの予想に反して軽く、肉を裂く激痛も血の生暖かさもなかった。アヤの右手は、中指で自分の額を小突いただけだ。 衝撃に続き、僅かに機嫌の悪そうな声が聞こえた。 〈私は味方だ。お前が信用するまで続けてやろうか?〉 「分かった分かった、痛いから止めてっ」 自分の腕とじゃれ合うという傍目にはおかしなことをしながら、それでもアヤは鮮血と屍に満ちた部屋の中で笑っていた。 会話をするということ。人間として扱ってもらえるということ。例え、その相手が人間ではなかったとしても、今のアヤにはそのことがなにより嬉しかった。 「あんた、女の子でしょ」 〈私か? 身体を持たない私に性別などないと思うが〉 「ううん、たぶん女の子だよ。私には分かる」 〈そうか。まあどちらでもいいが〉 そんな他愛のないことを口にしながら、アヤは冷たい廊下を必死に走った。どこが出口かも分からない。出口の先になにがあるのかも分からない。 ただ、自由が欲しかった。 不思議な程に誰もいない廊下。もう誰もいないのか、アヤが逃げていることに誰も気付いていないのか。それとも、わざと見逃しているのか。 その答えを出す余裕もなく、アヤは足を動かし続ける。
やがて、アヤの目の前に大きな扉が姿を見せた。アヤを束縛から解放する、世界を隔絶する扉。 「…………」 深く息を吸い、アヤは扉に手をかけた。その細腕には重いはずの扉も、変貌した右腕のおかげですんなりと道を譲る。 「……これが……外?」 扉の先、アヤの視界に映ったのは荒れ果てて久しい廃墟だった。かつては大きな街だったらしいそこには、まだ昔の面影が随分残っている。 〈おい、あれを見ろ〉 「あれ?」 アヤは右腕が指す先に視線を向けた。誰も暮らせるはずのないその街に、確かに人影が見える。そして、その身体は明らかに人間のそれとは違っていた。アヤのように右腕だけではなく、全身が異形へと変貌している。 〈よく分からないが、あれもお前と同じなのか。どう見ても普通の人間ではないな〉 「多分、私みたいになにかをされたんじゃないかな……でも、なんで外にいるんだろ」 全身異形のそれは、アヤの姿を確認したらしくゆっくりと近づいてくる。どす黒く染まった身体を左右に不規則に揺らせながら、それの右腕が持ち上げられた。 「……ッ!」 アヤはハッと気付き、自分の体を見下ろした。アヤの服は、右腕が殺した二人の男の返り血を浴びて赤というよりどす黒く染まっている。 「あの身体……血、みたいね」 〈ああ。いい予感はしないな〉 「……ねえ」 アヤはその場所から動くことなく、静かに口を開いた。 〈どうした?〉 「私、自由になるよ、絶対。今覚悟した。とにかく、まずはこの街を出よう。これからなにがあるか分からないけど……全部、乗り越えてみせる」 〈……そうか。なら、その覚悟の程を見せてもらおう〉 異形の腕から、鈍く光る刃のような物が幾筋も生えた。その腕を持ち上げたまま、異形は足を止めることなく確実にアヤに迫ってくる。 アヤも右腕を上げた。近づいてくる異形に向けて、真っ直ぐに構える。その動きには微塵の躊躇いもなく、アヤのダークブルーの瞳には強い決意が浮かんでいた。
〜逃亡〜 今は廃墟と成り果てた、とある街。まだその街が街として機能していた頃、その街の中心にある大きな建物の中で一つの実験が始まった。 それは、命ある兵器を作り出す実験。実験体として老若男女たくさんの人間を集め、様々な手術を繰り返した。身体を強化し、異形へと変貌させ、命さえも作り出そうとしていた。 だが、自然の摂理を侵す実験から生まれたのはただの屍か、異形となり心を失った人間の成れの果て。 それは失敗作として街にうち捨てられ、ただ本能に従い街の人間を殺した。赤黒く染まる異形の群れと、血肉の匂いに包まれる街。やがて、街は廃墟と化した。 異形が跋扈する街の中心で、今なお実験は続いている。 そして、数え切れないほどの失敗を繰り返した末に、たった一度だけ「成功作」と呼ばれるものが生まれた。 「……これで、何人目?」 〈何人と数えるなら、四人目だ〉 血飛沫を舞い散らせながら、アヤは異形の頭部から右腕を引き抜いた。 肉を貫く感触。返り血の匂いと温度。最初は吐き気をもよおすほど不快に感じた物に、アヤはすっかり慣れてしまった。 漆黒の髪がワインレッドに染まったとしても、ここから逃げ出し自由になるまで足を止めない。それが、アヤの覚悟。 アヤは血に染まった右腕から力を抜いた。異形の右腕はシュルシュルと音をたてるように長さを失い、その異様ささえもまるで作り物だったかのように、普通の腕に姿を変える。 〈もう完全に扱えるようになったな。便利な腕だ〉 「兵器、だからね……。それにしても、どこまで行けばいいんだろ」 随分走った気がするが、まるで街から出られる気がしない。 〈とにかく、今は進むしかないだろう。ここでこうしていても、襲われるだけでなにも解決しない〉 「……うん、分かってる」 アヤは形を持たない同行者に頷き、また走り出した。それも手術のせいなのか、実験体として捕まってからほとんど運動をしていないアヤだったが、どれだけ走ってもまるで疲れることがなかった。 自分の身体がどこまで作り変えられているのかを考えるとアヤはぞっとしたが、今だけはそれがありがたい。 アヤは闇雲に走り続ける。目に映るのは朽ち果てた建物と、腐敗した屍の山。そして、ふらふらと彷徨う異形達。 そんな場所でアヤの目に映ったその姿は、夢の中に迷い込んだような錯覚をアヤに与えた。 異形に追われ、アヤの方に向かって逃げてくる一人の少年。どこからどう見てもその姿に異形の影はなく、それは間違いなく、ここにいるはずのない人間の少年だった。 「どうして、こんなところに……!?」 〈理由は分からないが、どうする? どこかに隠れてやり過ごせば、見つかることはないと思うが〉 「そういうわけにもいかないでしょ!」 アヤはスピードを上げ、少年に向かって疾走した。少年もすぐにアヤに気づき、驚愕とも困惑とも取れる表情を浮かべる。
「このまま走って!」 「えっ……!?」 すれ違いざま少年に声をかけ、アヤは異形に向けて右腕を構えた。アヤの右腕が禍々しく姿を変える。だが、それが異形を貫く前に異形も右腕を突き出し、二つの拳がアヤと異形の中間でぶつかった。 「ぐっ……!」 元が人間にしては太すぎる異形の腕。その外見に違わず、異形は凄まじい圧迫感でアヤの右腕を押し返してくる。 〈力では勝てないな。一度下がった方がいいんじゃないか?〉 「でもっ……」 声に従うことなく、アヤはかろうじて自分の背後に視線を送った。そこには、何が起こっているか分からず、ただ呆然と立ち尽くしている少年がいる。 「ッ……巻き込みたく、ないから……」 〈……仕方ないな、力を貸そう。そのまま拳を下げるな〉 「分かった、お願い……!」 言われたとおり、アヤは右腕を伸ばしたままの姿勢で必死に堪えた。少しずつ、右腕になにかが込み上げてくるような感覚がある。 もはや押し切られると思ったその時、突然アヤの右腕が回転するように細く鋭くなり、異形の右腕を肩口まで貫いた。 「っ!」 〈後はとどめだ〉 アヤは驚きのあまり一瞬動きを止めたが、すぐに身体を捻り右腕を左に下げた。そこから、全身を使って遠心力を乗せ、一気に右上に切り払う。腹部から胸部にかけて身体を両断され、異形は重い音をたてて血で濡れた土の上に崩れ落ちた。 〈本当に便利な腕だな〉 「おかげで、私はどんどん人間離れしていくけどね……」 そんなことを口にしながら、アヤは右腕を元に戻す。その腕を見つめ、心深くから沸き起こる感情を、アヤは無言で振り払った。 「……あっ」 思い出したような声を上げ、アヤは後を振り返った。そこには、やはり少年が立ち止まったまま固まっている。 「大丈夫だった?」 少年に歩み寄り、そっと手を差し出すアヤ。少年は大袈裟なほどにビクッと身を震わせ、恐る恐るといった様子でアヤを見つめた。 「……怖いよね、やっぱり」 アヤは手を引くと、作り笑顔を浮かべて少年に背を向ける。 「ここは危ないから、早く逃げた方がいいよ」 それだけを告げて、その場を離れようとアヤは足を踏み出した。 「あ、あの」 少年の声に、アヤの足が止まる。アヤが振り返ると、少年はまだ顔を強張らせたまま、それでも笑顔で頭を下げた。
「助けてくれて、ありがとうございます。あの、どこに行けば逃げられるか、分からないんですけど……」 「私にも分からないの。ごめん」 「……そうですか……」 項垂れ、暗い声を出す少年。アヤは少年に背を向けることが出来ず、二人はその場で立ち尽くしていた。 〈どうした、逃げないのか?〉 「うん、逃げるけど……」 アヤは少年へ視線を向けた。少年は相変わらず俯いたまま黙り込んでいる。 「ねえ」 「あ、はい」 「一緒に行く?」 「え?」 アヤの言葉に、少年は目を丸くした。 「でも、どこに行けばいいか分からないって……」 「うん、分からない。だから、とりあえず歩き回ることになるけど、それでいいなら」 出来るだけ優しく、アヤは少年に笑いかける。少年の顔には、まだ少し恐怖が浮かんでいる。アヤは、少しでもそれを拭いたかった。 「どうする?」 「…………」 〈私は推奨しないな。危険が増すだけだ〉 「仕方ないじゃない。このまま見捨てるわけにもいかないし」 「はい?」 「ああ、なんでもないの。気にしないで」 不思議そうにアヤを見つめる少年に、アヤは苦笑いで答えた。 少年はしばらく逡巡していたが、やがておずおずと口を開いた。 「……本当に一緒に行っていいですか?」 「うん」 「じゃあ……お願いします」 少年の顔から、やっと恐怖が消えた。アヤは少年に向けてそっと右手を差し出す。 「私はアヤ。あなたは?」 「僕は……」 少年は確認するようにアヤの右手を凝視した。やがて、自らの右手を伸ばしてアヤの手をそっと握る。 「僕はユウです。よろしく、アヤ」 二人の手が静かに繋がる。人間とは違う力を持ったアヤの右腕は、初めて傷つけることなく人間に触れた。
〜悲恋〜 隣を歩く、自分より少し背の低いユウに、アヤは視線を向けないままそっと声をかけた。 「……ねえ、ユウ」 「なんですか?」 「ユウはどうしてここにいたの?」 それは、アヤにとって聞きづらい質問だった。おそらくは同じ境遇であるユウにとって、それが答えづらい質問だと分かっていたからだ。実験体としての毎日を思うことは、アヤの心に痛みしか生み出さない。 アヤはそう思ったのだが、ユウはそんなアヤの内心をよそにあっけらかんと答えた。 「それが、よく分からないんです。気付いたらここに連れて来られてて」 「なにもされなかった?」 「いえ。何度かよく分からない検査や手術をされましたけど。昨日、『もうお前は必要ない』ってここに置き去りにされて……」 アヤは首を傾げた。ユウの言っていることがどんな意味を持っているか、アヤには分からない。だが、ユウがアヤのような生活を強いられていないらしいことは救いだった。 「……僕も一つ聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」 「うん?」 アヤがユウの方へ目を向ける。直後、アヤはユウの身体を強く抱き寄せた。 「ぁ、あの……」 驚き、ユウが声を上げたのとほぼ同時、アヤの右腕がユウの目の前で姿を変えた。その腕は、家の影に姿を隠していた異形の首をしっかりと掴み、そのまま首を握りつぶす。異形の頭部は胴体から分断され、人形のそれのようにあっけなく地面に落ちた。 「なに? 聞きたいことって」 右腕を元に戻すと、アヤは胸に抱いたままのユウの顔を覗き込んだ。 「あ、その……えっと……」 やや頬を朱に染め、ユウはもごもごと口を動かしている。その姿がなんだか微笑ましく、アヤは思わず吹き出してしまった。その笑い声に、ユウはさらに頬を染め、俯いて黙り込んだ。 「あは、ごめんごめん。ユウ、ちょっと休んでいこうか。ユウの話もちゃんと聞くから」 アヤはユウの返事を確かめることなく、手近な家の中へユウを促した。その家はほとんど損壊がなく、テーブルやベッドも家主がいた頃のままであろう様子で残っている。
〈いいのか、早く街を出なくても〉 「大丈夫、この様子だとなんとかなりそうだし。ユウに無理させるわけにもいかないしね」 ユウに聞こえないように小声でアヤは答えた。ユウの様子を窺うと、やはり疲れているのかベッドに腰を下ろしてボーっと目を泳がせている。 アヤもベッドに歩み寄り、ユウの隣に勢いよく腰を下ろす。布団が沈み込む音と同時に、放置された年月を物語るように埃が舞い上がり、部屋に充満した。 「それで、聞きたいことってなに?」 アヤが問いかけると、ユウはどこか申し訳なさそうにアヤの顔を見つめ、やがて小さく口を開いた。 「……アヤの、その腕はどうしたんですか?」 その言葉を聞いたとき、アヤは強張る自分の表情を隠すことが出来なかった。拳を強く握り、歯を食いしばって、湧き上がる怒りを必死に抑える。 「…………ユウと同じで、私も随分前にここに連れて来られたの。そして、何度も手術を受けて……ユウはなにもされなかったみたいだけど、私の腕はこんなにされた。『お前は兵器だ』って、それだけを何度も聞かされて……」 話しているうちに、アヤの瞳からは涙が溢れていた。激しい怒りは、いつの間にか心を引き裂かれるような痛みに変わっている。涙は次々に零れ落ち、囚人服のようなアヤの服を濡らしていく。 「どうしてこんなことになったんだろ……。必死に逃げてきたけど、本当はこれからどうすればいいのか、全然分からない……ただ、自由になりたかった……。でも、いくら自由になったって、こんな化け物になったらもう……」 「アヤ」 独り言のように言葉を吐き出していたアヤを遮るように、ユウはアヤを抱きしめた。 人の温もり。人に抱かれる安らぎ。アヤの痛みは、まるで水に溶けていくように静かに薄れていく。 「……アヤは化け物じゃない。アヤは僕を助けてくれた、優しい人間です。一緒に自由になりましょう。僕はずっとアヤと一緒です」 「ユウ……ありがとう」 アヤはユウの背に腕を回し、その身体を思い切り抱き寄せた。アヤよりも小柄なはずのユウの身体が、随分大きなものに感じる。命を奪うために作られた右腕で、アヤはユウの頭を引き寄せる。 静かな廃屋の中で、お互いを求める息遣いだけがやけに大きく響いた。
「……アヤ……」 「んっ……ユウ、ユウッ……」 ベッドの上で身体を絡ませながら、貪るように唇を交わらせる二人。服を脱ぎ捨てたアヤの身体には、実験の名の下に付けられたたくさんの傷が痛々しく残っている。ユウはいたわるように、もう消えることのないその傷を優しく舐めた。 「ちょっと、くすぐったいっ……」 思わず身をよじらせるアヤ。ユウは逃げようとするアヤの身体を抑え、傷を舐める舌を少しずつ下腹部へと移していった。 「アヤ、ここはどうですか……?」 「ッッ……!」 茂みに辿り着き、ユウはそこも丁寧に舐め始めた。アヤは恥ずかしさに目を閉じ、懸命に声を堪えている。やがてユウが舐めるそこから蜜が溢れだし、淫らな水音がアヤの耳に届いた。 〈この行為はなんだ? これは不快感ではないのか……?〉 困惑気味の声に答えることが出来ず、アヤは首を左右に振った。それを見たユウが慌てて口を離し、アヤに声をかける。 「すいません、辛かったですか?」 「ハァッ……ううん、違うの。それより、もう大丈夫だから……」 ベッドに背を預け、アヤは行為を促した。ユウは頷き、いきり立ついちもつをアヤのそこに宛がう。 「ゆっくりしなくてもいいよ……辛いのは、すぐ済ませたいから」 「でも……」 「大丈夫だから、ね」 「……。分かりました」 無理に微笑むアヤの恐怖を拭い去るように、ユウもアヤに笑顔を返した。そして、ユウはアヤの上に覆いかぶさるように身を構え、腰にグッと力を込めた。すべての抵抗を無視して、ユウのいちもつは一気にアヤの中に埋没する。 「……んッ、ぃた……」 思わず漏らした声。その声に反応するように、アヤの右腕が姿を変えようと蠢いた。 (! 待って、これは違うっ……) アヤは腕に力を込め、ユウを切り裂こうとする右腕を抑え込む。それが気に入らないらしく、荒っぽい声がアヤを責めた。 〈何故だ? お前は今苦痛を感じている。それを与えているのはこの男だろう〉 (違う……そうだけど、違うの……) そう口に出すことも出来ず、声に『大丈夫』と答える代わりにアヤはユウを抱き寄せた。まだ痛みは消えない。それでも、ユウの温もりに包まれているうちに、右腕の疼きはいつの間にか消えていた。 アヤは静まった右手でユウの左手をとった。指を絡ませ、ユウがそこにいるのを確かめるようにしっかりと握る。朽ちかけたベッドを軋ませながら、お互いを求め合う二人。 行為が終わった後も、二人はしばらく繋がったまま余韻を味わっていた。アヤが初めて味わったその感覚は、痛みを伴いながらも温かく、ユウの持つ優しさに満ちていた。
静かに寝息を立てるユウを起こさないように、アヤはユウの前髪をそっと撫でた。返り血を浴びて固まっているアヤの髪とは違い、ユウの髪はまだ清潔感を保ったままでさらさらと指の隙間を流れる。 その感触を楽しんでいると、声がアヤに語りかけてきた。 〈どうした?〉 「……なにが?」 〈何故泣いている? まだ苦痛を感じるのか?〉 アヤは頬を拭った。僅かに頬を伝っていた涙が、アヤの指で光っている。 「痛いからじゃなくて、嬉しいから泣いてるの」 〈嬉しい? 嬉しいのに何故泣く? 人間は嬉しい時笑うものだと思っていたが〉 「もちろん笑うよ。でも、嬉しくて流れる涙もあるの。痛くも苦しくもない……これは、あったかい涙だよ」 〈……私には理解しかねるな〉 そう言って首を傾げる姿ないはずの声の姿を、アヤは見たような気がした。瞼に映ったその姿が、命を奪い取る右腕とあまりにかけ離れていて、思わずアヤは笑ってしまう。 〈なにがおかしい?〉 「あんた、やっぱり女の子だったよ。思ってたよりずっと可愛かった」 〈? なんのことだ?〉 「いつかあんたが人間になったら分かるよ。その時には、たぶん嬉し涙の意味もね」 その言葉に、声の向こうにいる存在が息を飲んだのが、アヤにも分かった。 〈人間に? 私が? なれるわけないだろう〉 「なんで? 私の腕もこんなになったんだから、あんたも人間になれるかもしれないでしょ。自由になったら一緒に探そう、人間になる方法」 〈……人間、か……。ところで、一つ聞きたいんだが〉 珍しく声からアヤに問いかけてきた。アヤは間の抜けた顔で首を傾げる。 「なに?」 〈自由になったら、お前はなにをしたいんだ?〉 「そうねえ……」 ひと時の安息の時間の、他愛ない会話。眠っているユウを起こさないようにそっと、二人の会話はしばらく続いた。 「まだ眠い?」 「いえ、大丈夫です。ただ、なんだかボーっとして……」 休憩を終え、二人はまた街の外へ向かって進みだした。無理に起こしたせいか、ユウはまだ完全に意識が覚醒していないらしく、ふらふらとした足取りでアヤの後をついて来る。 「大丈夫かな……」 〈気を抜くな。こんな所で死ぬわけにはいかないだろう〉 「うん、約束したしね。……ユウ、頑張って」 笑顔で声に頷き、アヤは後を歩くユウに視線を向けた。重い足取りで歩くユウの背後に異形の姿を確認し、アヤの表情は一瞬で険しさを増す。 「ユウ、逃げて!」 叫びながら、アヤは右腕を異形に伸ばした。だが、 (間に合わない……ッ!) アヤの腕が異形を貫くより早く、異形の振り下ろす腕がユウの身体を両断しようと迫る。 「ユウッッ!!」 悲痛な叫び。その声の直後、アヤの顔は驚愕の色に染まった。 異形の身体を貫いたもの。それは突然ユウの背から服を突き破り生えた、禍々しい一対の棘。 「……ユウ……それ、まさか…………」 「アヤ……体が、熱い……。それに、声が……聞こえ……」 苦しげにそう言ったユウの腕が、足が、身体のすべてが、人間ではないものへと形を変えていく。 やがて、ユウの身体が完全に異形へと変貌した時、アヤの瞳から涙が零れた。それは一粒の、痛みの涙。 「…………どう、して……」
C
〜真実〜 「今頃、あの実験体はどうなっているでしょうか」 「例の成功作のことか? 覚醒するのもそろそろのはずだ。ゆっくりデータを取った後で、然るべき処理をすればいい。試作としてはそれで充分だ」 「失敗作が一体逃亡したとの情報があります。なにか興味深い結果が出たとか」 「ああ、あれか。強化した右腕に命が宿ったらしい。もっとも、本当に命かどうかは怪しいところだが」 「命、ですか? ですが、一つの身体に二つの命というのは……」 「そうだ、有り得ない。確かに興味深いのだが……だが、人間の意識を保っている以上、兵器としては使えん」 「そうですね」 狭い部屋で交わされる会話。その言葉は、白衣を着た二人の男以外誰にも、実験体と呼ばれる本人達にさえも聞かれないまま、淡々と記録されていった。 「……なんだ、お前は」 もはや人間ではなくなったユウの口が、冷たく言葉を吐き出す。 「……ユウ、あなた……」 「ユウ? なにを言っている。お前のこの腕はなんだ、お前は我と同じ存在か?」 異形の手がアヤの右腕を掴んだ。人間とはかけ離れた力。アヤの腕が姿を変えていなければ、おそらく一瞬で握り潰されるであろう程の力で、異形は掴んだアヤの腕を振り払った。 「ッ!」 〈気をつけろ、こいつは既にあの男とは違う存在だ。殺さなければお前が殺される〉 「……、でもっ……!」 「その声は我と同じ存在だな。人間の中でなにをしている? さっさとその身体を侵食すればいいだろう」 アヤは目を見開いた。アヤにしか聞こえるはずのない声。その声が、目の前の異形には確かに届いている。 「ユウ、この声が聞こえるの!?」 「黙れ、人間。我はその声の主に話している」 「うっ……」 射抜くようにアヤを睨み付ける異形の瞳。初めての恐怖に、アヤは言葉を失い一歩後ずさった。 「どうした? 簡単なことだろう、その人間の精神を喰えばいいだけだ」 〈……何故、そんなことをする必要がある?〉 「何故、だと? 我らは人間を殺す為に生まれた。今のお前は、おそらくその人間にあらゆる制約を受けているだろう。それでは我らの存在意義を果たせない」 〈私の存在は、人間を殺すためにあるわけではない。この人間を守る為、この人間と共にある為に、私は今ここにいる〉 「……何を言っている? 我には理解出来ない」 〈出来なければ理解する必要はないだろう。私も、お前の言うことを理解するつもりはない〉 「…………」 異形は口を閉ざし、軽く首を振るような仕草を見せた。そしてゆっくりと上げられた視線は、少しもぶれることなくアヤに注がれている。 「……ユウ?」 「ならば、理解するのは止めよう。我は我の存在意義を全うする」
そう言うと同時に、ユウはアヤへ向かって突進してきた。数歩分も開いていた距離が、一瞬で詰められる。 「ユウッ!」 アヤはかろうじて声を出したが、身体までは反応出来ない。異形の腕が、アヤの目前まで迫る。 だが、その腕がアヤの顔を貫こうと届く前に、アヤの右腕が目前に迫る腕をかろうじて止めた。 「……! ハァッ、ハァッ……!」 〈大丈夫か?〉 「……うん、ありがと」 異形の腕を振り払うとアヤは後ろへ大きく飛んで距離を取り、何度も荒く息を吐き出した。 「本当にその人間を守るというのか?」 異形はアヤを、アヤの中に宿る者を責めるように視線を向けた。 〈今そう言った。偽りはない〉 その視線に臆することなく、声は異形に答える。互いに、引くつもりは微塵もないらしい。 その中でアヤだけが泣きそうな表情を浮かべ、震える声で異形に話しかけた。 「ユウ、元に戻って……もう止めよう……」 「ユウとはなんだ? お前はなにを言っている?」 〈諦めろ。あれの中身はもうユウではない〉 「違う! あれは、ユウだよ……きっと元に戻せる……。ね、ユウ……お願いだから、目を覚まして。一緒に逃げよう」 ふらふらと、おぼつかない足取りで異形へ近寄るアヤ。異形は表情を変えることなく、向かってくるアヤに殺意を込めた視線を注ぐ。 〈アヤッ! ……仕方ない、私がやる〉 アヤの右腕が瞬時に伸び、異形の頭部を掴んだ。異形は虚を付かれたのか、避けることもせずその場に立ち竦んでいる。そのまま握り潰そうと、声は右腕に力を込めた。だが、腕にはそれ以上力が入らない。 「止めて……ユウを、殺さないで……」 〈アヤ、あれはもう……〉 アヤは俯き、涙を流していた。右腕は完全にアヤの意識下にあり、声にはそれ以上どうすることも出来ない。 すると、頭部を掴まれたままの異形が怪しげに口元を緩ませた。 「なるほど、この身体はこういう使い方もあるのか」 そう呟き、異形は左腕をアヤに向けて構えた。その腕が別の生物のように蠢き、少しずつアヤとの距離を縮めていく。 〈アヤ〉 「…………」 突然、異形の腕が一気に伸びた。腕は狙いを狂わせることなくアヤの心臓をめがけて迫り来る。 〈アヤッ!〉 「……ッ!」 アヤは目を閉じ、右腕に力を込めた。異形の鋭い爪がアヤの左胸に突き刺さり、その腕をアヤの血が伝っていく。だが、異形の腕がそれ以上アヤの身体を傷付けることはなかった。 肉も骨も、アヤの右腕は掴んでいたすべてを握り潰した。その腕は重い音を響かせ、周囲に鮮血を撒き散らせる。 「…………」 返り血を浴びながら、アヤはその場に立ち尽くす。その瞳は暗く沈み、もう涙を流すことさえなかった。
〜別離〜 どこへとも知れず、アヤは無言で足を動かし続けた。目の前に異形が現れようと、攻撃する素振りも見せない。ただ右腕だけが、アヤを守る為に赤い雨を振らせ続ける。 〈アヤ、しっかりしろ〉 「……」 〈自由になるんだろう?〉 アヤは地面に座り込んだ。力のこもらない声で、独り言のようにぶつぶつと呟く。 「……自由になっても……もう、ユウは……」 〈言っていただろう、『全部乗り越えてみせる』と。私と約束もした。あれは全て偽りだったのか?〉 「…………ごめん……ごめん、ね」 それは、誰に対する謝罪だったのか。アヤはその言葉を告げると、自らの首を右手で掴んだ。今右腕の力を解放すれば、アヤの首は間違いなく握り潰され、アヤの命はここで尽きる。 〈アヤッ、止めろ!〉 「もう、いいよ……なにもかも……」 アヤは笑っていた。希望ではなく、絶望に染まった笑顔。声は理解した。もう、アヤを救うは出来ないのだと。 理解するのと同時に、声はそれを行っていた。アヤの精神を喰らい、アヤの身体を侵食すること。せめて自分だけはアヤのことを忘れず、アヤと交わした約束を守る為に。 (……ありがと) アヤの声が聞こえた気がした。手を伸ばし、その姿を捕まえようとする。声を張り上げ、その姿を引きとめようと……。 「アヤッ!」 だが、伸ばされた手は虚しく空を掴み、口から吐き出された名前はその持ち主を見つけられず、静かに廃墟に溶けていった。 少女は走った。街から出ることさえ忘れ、ただ闇雲に走った。その途中、姿を見た異形を何体殺したかも分からない。足が動く限り走り続け、やがて血だらけの足が止まり座り込んだ時には、街の出口まで辿り着いていた。 雨が降っている。いつから降っていたのか、少女はまるで気づいていなかった。俯くと、濁った水溜りに少女の顔が映っていた。それを見て、少女は自らの頬にそっと触れる。 「アヤ……」 少女が口を開いた。雨音にかき消され、その独白は少女にしか聞こえない。もっとも始めから、それを聞かせる者はどこにもいない。 「お前が言ったとおりだな……私は人間になれた。可愛い女の子だ。お前の身体を貰ったんだ、当然だな。あと一歩進めば、やっと自由だ。約束通りだぞ。……そうだな、ソフトクリームも食べられる。お前が好きだったんだ、私もきっと好きになる」 そこで一度口を閉ざし、少女は高く灰色の天を仰いだ。 「だが……」 それは、水溜りに映る少女の泣き顔を見ない為。ただ一つだけ、それを理解出来なかったことを悔やむように少女は乱暴に瞳を拭った。 「これが涙か……痛いな。私には重すぎる。すまない、アヤ。嬉し涙だけは……私には、理解出来そうにない」 少女は空に向かって腕を伸ばした。今は人間の形をしている右腕。 血も、涙も、痛みさえも、すべてを洗い流してもまだ飽き足りないように、涙雨はしばらくそこに降り続いた。(完) 思ったよりレス数増えた…失敬
乙でーす。ちょっとゆっくり読ませていただきますです。
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/05(金) 00:39:42 ID:tIjRYD4E
うーん。受けた印象を順番に書くとこんな感じ。 あれ、これBlackCatの二次? ↓ ちょwwww邪気眼wwww ↓ スイーツ(笑) ↓ 板的にアウトじゃねwwwwpink池ww ↓ ツマンネ こんな感じかな。
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/05(金) 00:41:21 ID:tIjRYD4E
スイーツ(笑)と邪気眼の順番逆だった。
>>20 遅レスながら感想を
口うるさく言いたいわけでもないけど、ダッシュとか三点リーダとか鍵括弧前の句読点とか、文法は守ってもらった方が……
まあ、それはさておき
展開に対して描写や形容がチグハグした感じを受ける
例えば、さつきが園田の家を観察するシーンとかは、二日ずっと観察していた、という行為が相当異常なのに、
それを「私こんなにアイツの事・・・//」で片付けると読者置いてけぼりで辛い
三人称なので、観察の異常さをなんらかの形で表していいんじゃなかろうか
あと、大げさな形容が多いような
>園田との歴史を振り返っていた
とか、歴史じゃなくて思い出でよくね? とか。申し訳ないが、小難しく書こうとして失敗しているようにも
見直してみて、大仰かな? と思ったら直しちゃうのがいいべ
あと、やっぱり三人称と一人称が一つの作品にどっちもある、ってのは文章自体の構成美やら読みやすさやらからしても良くないと思う
少なくともさつきの一人称はいらなかったと思う。役割的には導入だけだし、敬体がちょこっと挟まるのが統一感が無いというか
もっと言えば人形のも。三人称はカチっとしたホラーな展開なのに、一人称がアニメみたいなノリに感じられる。お互いがうまみを殺しあってる
余計に煽ったりしなくても十分に展開が引っ張ってくれるので、もっと淡々と進めていいと思われ
以下気付いたところ、気になったところ
・全体的に、会話文の間に描写が無いのが気になった。入れればいいってものでもないけど、
できるなら会話を工夫した方がいいかも
>二度と再び帰っては来ない。
重複表現
>男は何を守ろうとしたのか。
公判の内容的に、
>一階の居間を通った時に、三十センチ四方くらいの黒塗りの飾り箱が
さすがにあからさま過ぎる。「人が入れそうな箱まで残らず調べた」とか誤魔化したほうが
なんかボロクソ書いたみたいで申し訳ないけど、一応ざっと気になったところだけ。頑張ってくだしあ><
発想と展開は文句なしです。寄生獣ほかいくつかの作品を思わせます。
立派に作者様の中で世界構築されているのではないでしょうか。
エログロに関してですが、グロは特に問題ないかと。
エロの方ですが、私見ですが本当に必要だったでしょうか。
少なくとも私には、この物語に必要な要素とは感じられませんでした。
無い方がいいかとは思います。ここから先は私が意見する域ではないので、
ご自分で決定されてください。
文章表現にミスはないようですが、少し引っかかった部分を以下に拾います。
量の都合で
>>37 に限らせていただきます。
>ある夏の日だった。→冒頭に「ある日の昼下がり」「ある公園でのこと」「ある所におじいさんと」など、
「ある」を用い形はよく見受けられますが、ここでは「ある」は外した方が良いかと。
>それは特に珍しい光景ではなく、→上同様。「それは」の指示語が省ける。
指示語は便利だが使い方によってはくどく感じるので注意が必要。こういう部分には注意が必要かな。
>>37 では「彼女」って単語がいっぱい出てきますが、日本語は主語に変化がない限り、特に主語は必要ないものです。
もちろん使うことはできますが、鬱陶しくなることがありますので極力省きましょう。
シンプルな文がおいやな場合は無視してください。
例: 涙を零しながら、彼女は独りでソフトクリームを食べる。
そして、もうこの世にいない、約束を交わした者との時間を彼女は思い出していた。
二個目の「彼女は」にとってつけた感がありませんか?省いた方がいいかなと思います。
全体でこれを行うとかなり文の印象は変わるでしょうね。
例であげた文章の問題点は他にもあって、この文だけ少女の心中がわかる、いわゆる神視点ですので浮いているんですね。
ここは断定を避けた方が良いと思います。
約束を交わした者との時間を思い出しているかに見えた。 なんてのがいいかもしれませんね。
最後に展開の手法について…最初に回想から入るのはほんと多いです。
前にも幾人か、ここではない評価スレに上げてきてるのを見てますし、自分でも書いてるんで思うんですが
はっきりいって、避けるのがベターでしょう。読者を引きずりこみにくいです。ネタばれしてるようなもんです。
映画「タイタニック」くらいのクオリティであれば可能でしょうが…
こんなところでしょうか。このレスで不快に思われた部分などありましたらスルーしてください。
的外れなこと言ってないか自分でも不安ですので。
>>34 勢いとはいえ、ちょっと見直そうぜ
>私はメイド喫茶で何人ものご主人様を笑顔で萌えを大安売りをした。
>私はそのパソコンで就職に有利になりそうなワードやエクセルの使用技術を学ぶ事もせずに、
これはさすがに。てをにがだかなんだかがぐちゃぐちゃなので、読み辛い
あとは普通のちょっとメンタルに問題がありそうな女の子、って感じで読めた。強いて言えば、
>搭みたいに屹立としている
>音を通過させる程
辺りは、一人称の女の子が言うにはちょっと変な言い回しかな、と感じた事と、オチ弱いかな、ってことくらい
まあ、頑張ってくだせえ
>>37 18禁と聞いて飛んで(ry
でも18禁はいらなかったかと。会って即ニャンニャンってのはちょっと唐突
展開が飛び飛びで読みにくいので、そこをうまく調整できればもっと面白いはず
てか面白かったです。乙
あとどうでもいいけど、
>漆黒の髪がワインレッドに染まったとしても
黒髪に血が付いてもワインレッドにはならないと思
なんか文句ばっかりみたいになってしまってスマソ
おお、人が増えてる。
>>55 ありがとう。文法は…見苦しく言い訳させてもらうと、ワードの縦書き二段組みの文章から抜いてきたんで、
2chのルールには沿っていないらしい。というのは、ダッシュ、三点リーダに関しては、
必ずしも偶数個使用しないといけないわけではないからなんだ。
説明は省くが特に海外小説訳の文庫本などを読めばわかるかも「キャリー」、「海流の中の島々」「エウリックサーガ」「抜き打ち庄五郎」等で確認。
とはいえ、郷に入っては郷に従えというし、投稿文を適する形にしなかったのはいかにもまずかった。
カギカッコ最後の句点(←これは絶対の不文律)ともども、これから徹底します。
内容(特に人称)についてもおっしゃるところは思い当たる節が多いですし。
また機会がありましたらお願いします。投稿の方もどうぞー。
拙作にレス感謝
>>56 >発想と展開は文句なしです。
や、素直に嬉しいw
今回時系列を逆転させたのは軽くミスリードを狙ってみたんだが、やっぱ難しいな
その他指摘ありがとう
不快には思わないよ、批評してもらってこそ成長できる
>>57 展開は確かに早足だったかな
もう少しゆっくりを心がけてみよう
>なんか文句ばっかり
批評してもらって(ry
あと、髪については単なる比喩なので、あしからず
エロに関しては、まぁ……完全に自己満足です、申し訳ない
その部分は読み飛ばしてもわかるように書いてるから、
不快な人は読み飛ばしてもらっておkですよ
>>37 面白かったです。
完全にミスリードされました。
他の方も指摘なさってますが、俺もセックスシーンは唐突に感じました。
思い切って省いてしまうか、物語内の期間を延ばしてユウと仲良くなってゆく過程を挟めば
よいのかなと思いました。
なかなか下がっていたので上げてみる。週末前だし。 三行から受付中、お気軽にどうぞ
ここって、他スレで投下した作品もいいのかな? 次の作品を書くためのステップにしたいんだが
>>62 かまいませんよ〜
ただ、的確な感想が書けるかどうかは別ですが……
>>64 おk。返答どうもです
取りあえず完成させてそのスレに投下した後、ここに持ち込みますね
お待ちしております
現在、構想中(?)の自作長編小説の序章部分をアップします よろしかったら、感想、批評など、よろしくお願いします。 分厚く、薄暗い雲が、寂れ果てた一本道を、浅い闇で覆い尽くす。 既に日の出の時刻は過ぎ、太陽は朝の陽射しを地上に注いでいる。 だが、街の郊外から遠く離れたこの道には、明るい陽射しは全く差し込まれない。 大型車両がやっと通れる程度の幅しかない一本道を挟んで、みすぼらしい人家が、左右、 あちこちに散らばるような形でポツンと建っている。その数は10軒あるかないかの程度だ。 朝の訪れ、朝の陽射しを拒まれたこの道を、コート姿の一人の人間が黙々と歩く。 フードが頭をすっぽりと覆い、どのような表情をしているのか、そもそも、どんな顔を しているのか、はっきりと確かめる事ができない。 両腕には、30cm近くはある“何か”が、薄手の毛布に包まれた状態で抱えられている。 薄暗い空の下、身を切るような寒風が吹きすさぶ中、その者は顔をうつむかせたまま、 自分の他には、人も車の類も全く行き交わない道を、黙々と、重い足取りで歩き続ける。 表情を完全に包み隠してはいるが、見るからに疲れ果てた様子で歩き続ける事30分弱、 その者の足がピタッと止まった。 目の前には、有刺鉄線が張り巡らされた巨大な鉄の壁がそびえ立っている。 鉄壁特有の冷たさ、威圧感が、手荷物を抱えたまま立ち尽くす一人の人間を見下ろす。 鉄壁と有刺鉄線が、真上から見下ろし、冷たく睨み付ける。 その眼差しの先には、一人の人間と、その真正面に積まれている幾つかのゴミがある。 そこは指定のゴミ捨て場ではないが、無造作に投げ込まれたごみ袋や粗大ごみが平然と 置かれている。 それに加えて、全身に殴られ、蹴られた痕が色濃く刻まれている子犬の死骸や、刃物で 深々と刺された痕が100近くもある子猫の死骸が、これらのゴミの群れに紛れている。 弥が上にも嫌悪感をもよおすゴミの塊に、毛布に包まれた手荷物が載せられる。 手荷物をゴミ捨て場に捨てると、その者はうつむいたまま横を向き、去って行く。 捨てられた荷物を振り返る事無く、その者は先程と同じく、黙々と、重い足取りで歩く。 すると、 「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」 鉄壁の下にある違法のゴミ捨て場から、か細い泣き声が聞こえてきた。 完全な静寂の中で、微細ながらもやっと聞こえる程度の泣き声である。 「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」 再度、ゴミ捨て場から泣き声が聞こえてきた。見てみると、毛布に包まれた手荷物から、 泣き声が途切れ途切れに漏れてくるのが認められた。 毛布に隙間がある。そこから中を覗いて見る。 すると、その隙間からは、痛ましい無数のあざで埋め尽くされた、小さな赤ん坊の顔が 見えてきた。肌は青ざめ、唇も全く動いていない。 「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」 生死もわからない状態の中、三度、か細い泣き声が赤ん坊の口から漏れてきた。 助けを求めているかのように泣き続けるが、赤ん坊の目からは涙が流れてこない。 散々に痛めつけられたのだろう。涙を流す力さえ無いようだ。 その挙句、その辺のゴミと同様に、違法のゴミ捨て場に捨てられたのだ。 しかし、真上から冷たく見下ろす有刺鉄線と巨大な鉄壁以外には何もないこの場所で、 一人の赤ん坊を取り巻く忌々しき出来事に、目を向け、耳を傾ける者などいるはずが無い。 ただ、身を切る寒風だけが、周りのゴミ諸共、毛布に包まれた赤ん坊を横殴りにする。 「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」 孤独の冬空の下、赤ん坊は尚も泣き続ける。 誰一人、全く気づく者も無く、まして、救いの手を差し伸べる者などいないのに……
>>66 “男(女)が不法投棄のゴミ山に赤ん坊を捨てた”ってのが要点だよね?
情景描写をしっかりしようとする気は伝わるけど、ちょっと仰々しいというか重たいかも。
まとめられる部分はまとめて、すっきりさせてみては?
『郊外の細く暗い一本道、民家はまばらで人通りもない』みたいに。
>>66 ついでに重箱つつきで申し訳ないんだが、
>街の郊外から遠く離れた……
→街の郊外or街から離れた、で良いのでは。
あと“郊外だから陽の光が届かない”ってのがチョイ引っかかった。林道か何か?
>見てみると、毛布に包まれた手荷物から……
>そこから中を覗いてみる……
→この主語はコートの人物だよね? 自分が捨てたのに中を覗き確認する動作にちょっと違和感を覚えた。
赤ん坊を描きたいなら
『風が毛布をさらうと、そこから傷だらけの赤ん坊の姿が……』みたいに、三人称視点のままで書く方が自然な気がする。
細かくてすまんね。
ああ失礼。曇り空の下、郊外の道には陽の光が射さず薄暗いってことか。
70 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/06(土) 16:01:13 ID:JaXXTxaX
>>66 投下終了なら終了宣言しないと駄目だよ。コメントして良いのか悪いから解らないからね。
私見ですが批評をば。
全体的に読点が多いと思う。文がぶつ切りになってるとどの文がどの文に係るのか解りにくくなるから気を付けてね
てにをはに気を使うと文章にメリハリが着くから覚えておいてね。
印象は暗くて重い感じのシリアスな内容。もっと悲惨さが欲しかったかな。
序章ということで出だしに力を入れているみたいだけど、次に繋げるということでラストも同じくらい大事ということを忘れないでね。
文章自体は悪いものじゃないから、完結まで頑張ってね。
>分厚く、薄暗い雲が、寂れ果てた一本道を、浅い闇で覆い尽くす。
既に日の出の時刻は過ぎ、太陽は朝の陽射しを地上に注いでいる。
だが、街の郊外から遠く離れたこの道には、明るい陽射しは全く差し込まれない。
コレは文章の流れがちょっとおかしい。
浅い闇で覆い尽くされている筈なのに、太陽が朝の日差しを差し込んでたら駄目でしょ。
次の文章で明るい日差しが差し込まれてないっていうなら尚更だよね。
説明描写は暗い→明るい→暗いじゃなくて、明るい→暗いにしよう。
> 孤独の冬空の下、赤ん坊は尚も泣き続ける。
誰一人、全く気づく者も無く、まして、救いの手を差し伸べる者などいないのに……
悪くないけどちょっと弱いかな。
赤ん坊の泣き続ける声が孤独の寒空の下に響く。
誰一人気づく者もなく、ましてや救いの手を差し伸べる物などいないのに。
自分の個人的な趣味だとこうなる。無駄な装飾をなくして文章を軽くして、三点リーダーを使わずに文章を切った方がピリッとしまると思う。
投下乙でした。
>>66 「指定の」「違法の」「蹴られた子犬」その他のところは説明で伝えるのではなく、情景描写からそれとなく読み取らせるのが吉。
その雰囲気は出せてるし、説明的な文章を入れると視点があいまいになってしまうから、描写に徹した方がいいよ。
現に
>>68 は後半の視点に明らかに違和感があるみたいだし。 「すると、その隙間からは」ここで「すると、」って必要かな?
こんな風にくどくなってる部分があるのでもう少し省けるところは省こう。重さはそのまま、よりすっきりした文にできるといいね。
今のままだとそれぞれの文のベクトルがごちゃごちゃしてしまう気がする。
>>62 の者です。完成したので、ちょっとづつですが投下したいと思います
ですが元の文章がかなり粗雑なので、ちょこっと直した後でorz
おk
>>72 ども。無茶苦茶長くなるのでゆっくり投下したいと思います
それと、投下した元スレではタイトルを付けていましたがぶっちゃけどっちもピンと来ないので無名で
ではよろしくお願いします
(1) 「博士」のガレージからいつもの様に菜園用の道具を出して、私はいつもと同じく、「博士」の残した花畑へと向かう かつて「道路」と呼ばれたコンクリートの道は微妙に沈下していて歩きにくいが、それもいつものことだ コンクリートの道の両隣には誰も整理していない雑草が生えっぱなしの野原が広がっている。入ると虫が付きそうで入りたくない それにしても何故「博士」はこんな田舎に家を構えたのだろうか。もっと都会なら色々実験できたように そんな他愛も無い事を考えているうちに、「博士」が生前残したお花畑に着いた 私の仕事は「博士」が生前、自らの財産を費やし育てたこのお花畑を管理する事。花を一つでも枯らさない様に 「博士」が私を作り出したのは、このお花畑を自分の代わりに管理させる為・・・と聞いた。その翌日、「博士」は死んでしまった 一応教えてもらった為、自分自身の整備は出来る。まがりなりにも人工知能は伊達じゃない。ただ、だからこそ困った事もある 自分の整備とお花畑の管理以外に、私には行動がセッティングされてない。だからそれ以外何をすれば良いのか分からないのだ なのでこうやって管理している間、私はしばし哲学的な思考に入る。それすらも「博士」にプログラミングされた範囲でしかないが と、言う訳で何時もの思考に入る。まずこれまた何時もの事だが、何故博士――いや、人類は全滅したかだ 「人」と言う名の生物が全滅してもう10年は経つ。無論コレは正確な数値ではなく、私の中の演算装置が弾き出した結果だけどね 「人」が全滅した理由は幾つか聞いた事があるけど、どれも正解とは言えない。正解を見つける前に全滅してしまったからだ 自負するわけではないが、私のようなアンドロイドが作り出せるほど世の中は発展した。にも関わらず何故全滅を避けられなかったのか 全滅と言うにはキレイ過ぎるくらいだった。本当に忽然と「人」だけが消えたのだ。私が作られた翌日に それから私は永遠と変わらずに、このお花畑と「博士」のガレージを行き来した生活を送っている。毎日毎日 にしても・・・私はふとスコップで地面を掘るのを止めて空を仰いだ。気持ちの良い位澄んだ青空だ。何故こうも空は澄んでいるのか 私の暇と言う名の苦労を何も知らずに。少しは悩んでみろ。おっと、雨は止めてくれ錆びるから と、気配を感じ私はスコップを掲げた。時折、小動物が闖入して花畑を荒らすことがあるからだ。 無論威嚇するだけで逃げて行くから良いけど だが今日の闖入者は何時もとは違った。ガサガサと周りの雑草からのっそりとそれは私の前に姿を現した 「・・・君は作業型ロボットか? どうしてこんな所に?」 意外な闖入者の正体は、かつて私よりずっと前に作られた農作業サポートを用途としたロボット、1NE-KAだった トラクターを思わせる無骨な外見と、黄と黒のカラー、それに両目を思わせる大きな愛らしい? ライトと・・・・・・ ずっと昔だが博士に聞いた話だが――私のようなアンドロイドが開発され、大量生産され始めた日 1NEの様な一つの用途にしか使えないロボットは次々と破棄されていった なぜ破棄されたかは考えなくとも分かる。自慢ではないが命令されれば全てをこなせるアンドロイドに比べて・・・ 1NEは農作業しか出来ないからだ 1NEだけではない。「ロボット」と呼ばれる物はアンドロイドの台頭と共に姿を消していった。おそらく人間の手によって そして・・・その人間達も突如として姿を消した。世界中かは分からないが、少なくとも「博士」はそう言った。人類は全滅したと だから今の日本に居るのは、人間以外の生物と、私や1NEの様に人類に作られた「メカ」だけだろう 思考が脇に逸れたが話を戻そう。私は目の前の1NEに視線を向けた。見るかぎり老朽化や故障部位は無さそうだ ・・・待て、それはおかしい。1NEは私が作られる数年前から生産停止にされていると聞いた つまり今目の前に居る1NEは全く使用された事が無い事になる だがそれもまたおかしい。何故なら「人」は全滅したのだから。1NEを起動させる事など無理だ。どう考えても 自然とスコップを持つ手に力が入る。私は想定外の事に柔軟に対応できるほどの思考は持ち合わせていない 取りあえず意思疎通が出来るかどうかを試そう。確か・・・私は両目を数回、1NEに向かって点滅させた
(2) 旧式と言うと失礼だが、 1NEの様に昔の世代のロボットは「人」やアンドロイドみたいに音声による通信は出来ない 光の点滅で使用者や同式と通信しあう。「人」でいうモーリス信号と例えれば分かりやすいか。では早速 私は数回に分けて両目を点滅した。内容は 「ドウヤッテ ココマデ キタ? イッタイ ドコカラ?」 数分経ち、1NEは微動だにせずライトを点滅し、私に返答した。何々・・・ 「キヅケバ ココニ キテイタ ナニモ ワカラナイ」 ……私はしばし思考を止めた。そんな馬鹿な。自分がどう起動したか覚えて無いなんて 私は再度、両目を点滅させて1NEに問いただした 「モウイチド キク ダレガ キミヲ キドウサセタ? ソシテ ドウヤッテ ココマデ キタ?」 その時だ、1NEの背後に、全く気づかぬ間に何者かが立っていた。が・・・太陽の逆行のせいか、よく顔が見えない ・・・目の点滅を止めればいいのか。スイッチを止め、私は1NEの背後に立つ人物に焦点を合わせた するとその人物は、どこか爽やかな言い方で言った 「君は・・・」 1NEの背後にいる誰かに、私はしっかりと向きあう。向き合うと言うか視線を合わせるというか 外見はと言うと、先ほどの台詞から予想できる通り、好青年と言った感じだ。清潔感溢れる黒髪に、整った目立ち それにすらりと伸びた手足。上に淡い黒色のラフなYシャツにジーンズを穿いている。恐らく…いや、推測しなくともアンドロイドだろう 私に対して声を掛けたまま、その青年型のアンドロイドは微動だにしない。ずっと目が合わしているだけで 目を合わせ互いに警戒(私は少なくとも警戒している)し続けて数分が経った。と、青年型がふと1NEのタンク部分、上部に手を触れた 1NEは青年型に対して特に反応を示さない。と言う事は1NEを作動させたのはこの青年型…なのか? しかし今日は妙な日だ。数十年振りに小動物以外の存在に会ったと思ったら、廃棄されたはずのロボットに私と同じアンドロイドとは …で、何が目的でこのお花畑に彼らはやって来たのだろうか。まさか「博士」が昔作り出したロボットが何十年の時を経て墓参りに来たのか すると青年型はゆっくりと、私の反応を伺うように口を開けた 「君は……いや、言いなおすよ。君が彼の言っていたアンドロイドか」 彼? 「博士」の事なのだろうか。だとしたらやはり彼らは「博士」の知り合いか。直接か間接的な関係は知らないが ここはまだ反応するべきじゃないな。私は頷きも返事もせず青年型の返答にじっと耳を傾けた 青年型は私の様子に小さく首を傾けると、話を続けた 「それにしてもよくここまで咲き誇った物だね。彼の遺産にしては美しい物だ」 首を動かさず視線だけを周りに移しながら、青年型がそう言った。嬉しいは嬉しいのだか素直に喜べない 青年型が自己紹介してくれないと私としては心を許せない。機械なのに心と言うのも可笑しな表現だが そうだ、彼が自ら明かさないのなら私から聞けばいい話だ。それなら私自身の警戒心を解かねば 構えていたスコップをその場に置き、私は両手を腰に合わせた そして見つめっぱなしだった視線を若干ずらす。疲れるのだ、妙に。さて…どう切り出そうか 「…嬉しいよ。貴方が褒めてくれてさぞ「博士」も嬉しいでしょうね。それでさっきから聞きたかったんだけど」 私がそう切り出した瞬間、若干青年型の表情が曇る。やはり普通の用事じゃないか。それはそれで…悪いな、やはり
(3) 「貴方とその1NEは、一体どちらから来たのかしら? いえ、先に聞きたい事は一つ。貴方のお名前は?」 私にしては思い切った決断だ。そして数十年ここで暮らしてきたが、ここまで喋ったのは初めてだ 製造されて数十年、会話機能は備わっているのに「博士」と会話する事が無かったからである。亡くなってしまったし 製造された日の自己管理とお花畑の管理の説明時の「はい」と「分かりました」以来だ。というかこれは会話ではないだろう これまた場は沈黙する。私がいけないのだろうか。もう少し丁寧な聞き方の方が良かったのかもしれない 初めてまともに会話機能を使ったから許して欲しい。と言っても苦笑されるだろうけど。ふと、柔らかな風が私達の前に吹く 不思議な緊張感が場を制している…気がする。結構時間が経っている気がするから早く答えてもらいた 「…やはり消されているんですね。彼の名を」 …何だって? 思わず口が出そうになったのを、彼は無理やり制し話を進めた 「今の君は彼の事を「博士」と呼んでいるだろう? …と説明しても君自身理解できないか 着いてきたまえ。真実を教えてあげよう。…この会話も何度目だろうな」 青年型がそう言い放ち、踵を返した。一緒に1NEもくるくると方向転換をして青年型へとトコトコ付いていく 実際には出ていないが、今の私の頭には黙々と煙が出ている。真実? 何度目? 本当にどういうことだろう? って…ちょっと待ってくれ! そんな訳もわからない事ばかり告げられても困るし、こちらの事情も考えてくれ 数分考えた挙句…私は花畑を抜け、どこかに向かい、背中が小さくなっていく彼らを追いかける事にした 結局彼らに逆らうわけにもいかず、私はとぼとぼと彼らの後を追うことにした 背の丈まで伸びた雑草の道は非常に歩きにくくめんどうくさい まったく彼らの素性を知らずについていく私も阿呆なのだが……それ以上に それ以上に純粋な好奇心が、今の私を突き動かしていた 今までの生活の転機になるかもしれない。花畑とガレージを行き来する、変わらない日常を だが私はそういう希望を抱く反面、どこか妙な不安を抱いた。本当に変わって良いのだろうか こんな日常でも、何か意味があるのではないか――と 気がつくと1NEと青年型の姿が消えていた。そして私の目の前には―― 「博士」のガレージが門を構えていた。……あぁ、残念 やはりこの日常は変わる事はないか。何が転機だ、馬鹿馬鹿しい 私は吐けないため息を吐くようなつもりで、ガレージに向かお…ん? いや、待て。彼らは一体何なんだ? 何の為に私の前に現れた? 熱で浮かれてた為に見た夢か? 否、私は機械だ。夢なんて見れるはずが―― ふと、一番思いつきたくない事が思い浮かぶ。まさか……故障でもしているのか?私は 自分の整備に対して手を抜いた事など断じてない。断じて無いのに が…気づけば私はその場に蹲っていた。蹲るという動作は知っていたが――なぜこんな行動をしているのか 私にはまったく理解できない。いや、理解したくない。だが――私の意志とは無関係に 私の視界は薄暗くなっていく。やがて為すすべなく。視界はプッツリと閉じた
言語機能が次第に麻痺していく感覚に、私は今まで抱いたことの無い不安を抱いた これが――恐怖感というものか。知っていた。存在は知っていたがこれほど気持ち悪いものだったとは いやだ、いやだ。なんともいえない不快感が私の全身を覆う。もう身動きも取れない 「博士」、なぜ貴方は――感情なんて機能を私に組み込んだのか これほど苦しく、つらく、悲しいものだったなんて―― 消えていく一抹の心細さの中で、私はふと思い出す 「博士」と呼ぶ私の製造者である男の名を――私は知らない …… 「聞こえるかい?」 ……どなた? 「君に声をかけた、男のアンドロイドだよ」 青年型……でいいのかしら? 「そう。けれどその呼ばれ方は少し……」 ごめんなさい、そう呼ぶ以外になんて呼べばいいのかわからないの …それで、今の私は一体どうなってるの 「心配は要らないさ。機能を停止させた訳じゃない ただ、今の君の身柄は僕が預かっている。「彼」に悟られないようにね」 さっきから聞きたかったんだけど、あなたの言っている「彼」って人は―― 「博士」と同一人物と考えていいのよね? 「そうだ。君を作り出し、君にプログラムを植え付け―― 君に人類の全滅を教えた、ね」 ――そう。としか私は返事できない。どっちにしろそうする以外無い 「驚かないんだ。まぁ当たり前か。で、君はどう思う?」 どう思うとはどういう意味? 「だから、「彼」が人類が全滅した理由について語らなかった事さ。不審だと思わないかい?」 そんな事言われても、「博士」は私がそれを聞く前に亡くなってしまったし …けれど知りたいわね。貴方が人類が全滅した理由を知っているなら 「本当に知りたいのかい?」 ええ。出来るなら 「……その前に君に聞いておきたい事がある。君はどこまで「彼」を信頼している?」 え? 孤を突くような質問に、思わず私は首を傾げた。信頼って? 「だから、君はどこまで「彼」の言うことを信じているかって事さ 「彼」の言うとおり、人類は全滅し、1NEのようなロボットは駆逐された けど、君はその様子を実際に目にしたことはあるか? 人類がロボットを駆逐し、人類が忽然と消える様子を」
支援
(5) 思わず思考が詰まる。確かに青年型が言うように、私は「博士」から聞かされただけで、実際にその現場に立ち会った事は無い けど――それでどうしろと? 「彼」、いいえ、「博士」の言動をすべて信じた私に 「…それが全滅の理由さ。人類の」 「「彼」は全世界の――1NEの様なロボットにコンピューターウイルスを流し込んだんだ それは自分達が人類から必要とされなくなる、不信感を抱く様な、ね」 ……それと人類の全滅と、どう関係が? 「分からないかい? ロボット達はそう思い込まされる事によって、人々に反乱を企てた 人類はそれをどうしたか、無論自己防衛の為に戦ったさ。けど、ロボット達はもう人類の予想の範疇を遥かに超えていた」 ……もういい 「人類がロボット達によって滅ぼされるのは目に見えていた。さて、人類を滅ぼしたロボットはその後どうなったか」 ……やめて 「滅ぼす目標が居なくなったロボット達は、今度は誰が地球を治めるか決める事にした 俗に言う権力闘争さ。けれど、一度箍の外れた連中は……」 もういい! やめて! 私は思わずはっとする。初めてだ。これほどまでに私は感情を露にしたのは 「…すまない。まず話を整理しよう。まず人類が全滅する要因を作ったのは、君が呼ぶ「彼」、つまり「博士」の事だ そして君は、「彼」に数十年前に作られた女性型のアンドロイドだ。ここまでは良いね?」 理解したわ。……待って。一つだけ疑問があるの。いいかな? 「構わないよ。なんだい?」 その人類全滅と、その要因を作った「博士」に作られ、花畑を管理するよう言われた私に何の関係が? 「それは君が知る意味は無い。そう…知る意味は」 瞬間、バチリと電工ケーブルが切れる様な太い音がして――またも私の意識は途絶えた だが一つだけわかった事がある。このままでは――私の身が危ない
(6) さて、突然で難だが物語の語り部は彼女から僕になる。僕が何者かは後々分かるよ それでだ、青年型に誘拐された彼女は何者なのか、そして青年型の正体とは…… とそんな微妙な伏線を、人類が全滅した過程と共に明かしておこう。おっと、心配は要らない。見せ場はちゃんと彼女に託そう さぁて、では彼女と青年型が語る「彼」いわゆる「博士」と呼ばれる人物について語っておこうか 彼の名は……おっと何だったかな。僕も忘れ草が付いてて困る。……いかん、本気で思い出せない そうだ、先に青年型が語っていた人類とロボットの衰退と戦争、そして滅亡の歴史について語ろう まず人類が初めてロボットを開発した…は凄く長くなっちゃうので残念ながら省略。またの機会に 彼女が回想していた1NE系統が、本格的に生産ラインに乗って、人々が日常的に酷……ではなく共に生活していた時代だ そんな日、「博士」及び「彼」……今後は「博士」と呼ぶ事にするが、「博士」が世界的な学会に自らの研究成果を発表した 今までの1NE型とは根本的に違う外見に、太陽光etcエコロジックなエネルギーを使用した、全く新しい形のロボットだ 分かるね? アンドロイドだ。「博士」の研究はいち早く世界で注目され、あれよあれよという間に世界中に広まった しかし皆が皆、アンドロイドの台頭に賛成だった訳じゃない。 1NEの開発者や、1NEについて携わっている人々はこの風潮には些か不満だったんだ 何たって自分達の生活を脅かされる事態だしね。けど、彼らの主張は「少数派」として次第に放逐されていった。酷い話だけどね その内、多数派というか、アンドロイド至上主義の様な人たちが1NEとその系統を廃棄しようという運動を起こした 悲劇はそこからだ。その団体でもっとも力を持つ者――いわば先導者が、「博士」を同胞を使って拉致したんだ。理由はこれまた最低 1NEを初めとするアンドロイド以外のロボットに対し、悪性のコンピューターウイルスを散分させる為だ 凄いね、どんな結果になるか分かりきってるのに もちろん「博士」はその要求を突っ撥ねた。だが……「博士」はその首謀者の正体に愕然とした。まさか自分の おっと、悪いけどちょっとした事情が出来た。僕は本来の姿に戻ろう さて、この後彼女がどんな運命を辿るのか……しっかり見届けてくれ
引き続き支援
さるったかな?推敲中か? 念のため支援 もしさるってたら時遅しだけど
さるりましたorz恐れ入りますが支援をお願いします (7) ん……蛍光……灯? ココは……ふっと、全身の力が抜けているようだ。まったく動ける気がしない と、状況確認したほうがいいかな。さっきまで私は……そうだ、突然目の前が真っ暗になって、その場に倒れたんだ それで視界が戻らないまま、あのアンドロイドと、青年型と妙な問答を交わした。「博士」についての あのときの会話は殆ど私の本音だ。そしてあのむき出しの感情も。何故だか私はあの青年型の話に怒りを抱いた まるで口調が他人事のように感じた。私でさえ嗚咽を吐く(吐けないけど)内容なのに って冷静に振り返っている場合じゃない。私は首を動かし、自らの状態を見計らう ふと、ひんやりと冷たい感触が背中を走る。今の私は寝かされている様だ。どうやったかは知らないが首以外全く身動きできない 視線だけ周りに移すと、左右に大きな機械……冷蔵庫くらいと表現すればいいのかな? そうゆう機械が2,3台並んでいる にしてもさっきからどうも気持ち悪い。オイルの匂いやらなんやらで、形容できない冷めた匂いに、私の嗅覚は拒否感を示しているのだ それと、自分の体を覗き見る。……全裸だ。いつの前に服が剥ぎ取られたのだろう。恐らく青年型の仕業だ 人を裸に剥くだけではなく、ベットに括りつけるなんて姿見に反して、あの男は酷く性格が悪いらしい しかし本当に身動きが取れないな……こんな今年といて、ただで済ませる訳にはいかないだろう。少なくとも女性型のプライドとして けれど、数十年間一人である私に協力者など正直な所、いない。小動物達と仲良くできるほど私は優しくないし そういや私を括りつけているコレはベットと言うより巨大な鉄板の様な気がする。……焼かれるのか? 私など焼いても旨くも何とも いや、あの男の事だ、もっとえげつない事を企んでいるのかもしれない。というか…どうにかこの場から脱出しない事には何も進まない そして、あの青年型と1NEが何者かを知るまで、私は朽ちる訳にはいかない。「博士」について聞く事もある だが無常にも幾らジタバタ足掻こうとも、見えない鎖が私を縛り続けている。あぁ、悔しい その時だ、前方に見覚えのある物体が視界に見えた。あのライトのような目に、コロコロとした……君は青年型と一緒にいた1NEじゃないか 丁度良かった……と言っても君に何か出来るとは失礼だが思えないな。けれど何か手助けしてくれるなら大歓迎だ、と 私の足元に1NEは止まった。そして目であるライトを何度か点滅させた。ふむ…… 「アナタヲ ヨンデイル ジブンニ ツイテ キテ クダサイ」 なるほど…私を呼ぶその人物はおそらく悪趣味な青年型だろう、全くあの禅門答といいこの仕打ちといい、あの男は私に恨みでもあるのか いや……むしろ私を作り出した「博士」にか。「博士」と青年型がどんな関係なのか、私は色々な意味で好奇心を煽られた 1NEが足元から私の左脇まで移動した。瞬間、今まで私を押さえつけていた鎖が突如として消滅し、四肢が自由になった 急いで腰を上げる。どこからかひゅうと風が吹き、微かな寒さに小さく震えた。あらためて私が今いる場所を観察してみる 周辺に無機質な機械類が並んでいる。だが整備されている様子も無く、どこか雑多なイメージだ。一体この部屋で何をしていたのだろう てか今の私は裸なんだか……と呆然としていると、1NEがどこから出したか大きな布切れを、私の目の前にどさっと置いた 服じゃなくて布切れ……まぁこの際贅沢は言ってられない。急いで布切れを纏い、台から降りた 台でも鉄板でもない……透明かつ巨大なアクリル板のような板の下に、大きな電球型の機械が設置されている 下に潜りそれに触れると、ピシッと静電気のようなものが私の指を走った。これは……磁場だ。それも非常に強力な 私の中にある電磁を含む物質を利用して、ここに押さえつけてたって事か……道理で何も無いのに動けないわけだ ここまでやる事なす事陰険だと本気であの男に怒りを感じる。一度くらい言い負かさないと、私の感情も収まらない と、1NEの後ろをとぼとぼと歩きながら、私は決意した
(8) 歩けども歩けども、薄暗い殺風景な廊下が続く。証明が薄暗く、たまに1NEを見失い。と言っても道は真っ直ぐなので迷う事は無いが それにしても本当にココは何処なのだろう。まず「博士」の家ではない事は確かだ。そして私が今まで来た事の無い場所である事も と、次第に数メートル先に眩い光が見えてきた。出口だ。自然に足が速まる。前方の1NEに追いつかないようにだが 段々と光が近づいてきて、私は目を細めた。1NEの姿が光の中に消える。慌てて私は走り出した。ここ……は? 「ようこそ、イヴ。我々アンドロイドの世界へ」 青年型の大声が、反射するように私の聴覚を刺激した。一瞬私は耳を押さえかけた 細くしていた目をゆっくりと開ける。そこには巨大な、ホントに巨大な液晶モニターが吊り下げられていた そしてその周りに悪趣味な金色の装飾が、壁やモニター周辺に敷き詰められている 真正面を向くと、黒いコートに身をやつした複数の人物が、白いイスに座った一人の男を中心に扇形に並んでいた。意味が分からない 「やっとあの男からの呪縛から解かれたんだ。もう少し喜んだらどうだ?」 中央の白いイスに座った――他の連中と同じく、黒コートを着た忌まわしき変態青年型男が、俯きながらも視線だけを私に向けてそう言った どことなく・・…・いや、完全にナルシズムだ。隠そうにも隠せられない気持ち悪さが滲み出ている 何なんだろうこの人達……確かに私はいつもの日常から脱したいとはつくづく思っていたが、こんな非日常は全く望んでいない 私がオドオドとしていると、追い越していた1NEがトコトコと、青年型の元へと向かっていた 同時に青年型が立ち上がり――次の瞬間、1NEを思いっきり蹴りつけた。蹴られた1NEが派手な音を立てて横転する 「なっ! 何て事をするんだ!」 私は反射的に1NEの所まで駆け寄りしゃがんだ。軽く火花が散っていて、凄く痛々しい 「良いんだよ、コイツは。むしろここまで生かしておいた事に感謝してもらいたいね。あ、喋れないか、お前」 青年型の癪に障る嫌味が、私の耳に入る。周りの連中も含み笑いしている もう駄目だ、私の怒りも頂点に達している。この男も周りの連中も・・・許しえない 私はその場に立ち上がり、青年型に向き合った。最初に会った時の表情とは完全に違い、サディスティックが前面に出ている 「そう睨みつけるな、イヴ。俺達は――この地球で最初の支配者になるんだ」 ……はぁ。思いっきり平手打ちしたくなったが、青年型のその発言に、私は思わず方の力が抜けた 気づくと警戒しているのか、周りの黒コート達が私を囲っている。が、青年型がさっと手をかざすと、その場に直立した 「俺もいきなりすぎたよ、それは謝る。だがもう時間が無いんだ 地球環境は悪化し続けているし、未だに南極の氷は解け続けている。どれもこれも人間が悪いんだ。――と言っても全滅してしまったけどね」 そう言うと、青年型は豪快に笑った。ひたすら不愉快。だがそれ以上に1NEが動かないのが私には心配だった 動いてくれ、どんな信号でも良い。私に反応し……ん? 淡く、微かな光が、1NEのライトから見える。点滅しているのか……? 「さて、それでは計画を始めようとするか。次なる世界の幕開けの為にな」 青年型が人知れずそう呟くと、後ろでブオンと、鈍く光る音がした。私は振り返ると――なぜか「博士」の花畑が映し出されていた 「どういう……事なの?」
(9) ――と、まずい事になったね。ここまで彼が真理にたどり着くなんて。それに彼女もこのままじゃあ為す術も無い ん? あぁ、失礼。先ほど、ロボットと人の歴史について語った者だ。ちょっとした事情で一回引っ込んでしまいすまない さて、何処まで話したかな? そうそう、「博士」が過激派のリーダーに脅迫された所だね。それで「博士」はどうしたかと言うと…… 流したんだ。その凶悪なウイルスをね。堪え切れなかったんだ。目の前で、「博士」の親族が、無関係の人間が殺されていくのを 連中はこの時点でただのアンチ団体の枠を超していたんだ アンドロイドによる、アンドロイドの為の社会を――それが連中の唯一つの願い そしてそのリーダーが、今の彼女の前に立ちふさがる「博士」が始めて開発したアンドロイド――いわば初号、FN-00AJK1、アダムだ アダムは驚くべき事に反1NE派の人間達を扇動し、同じアンドロイド達にも、人間達に反抗しようと吹き込んだ。1NEに使ったウイルスを使ってね 世界がロボットと人間達の戦争によって火畑になるのも時間の問題だった。いや、あっという間だったね。本当にあっけないくらい、人は―― その混乱の中、未曾有の混乱の首謀者として、「博士」は人からも、ロボットからも、もちろんアンドロイド達にも追われる様になった 長い長い逃亡生活の果てに、心身ともに衰弱した博士は、ある国のある地域のある屋敷に住む老人に出会った その老人は、「博士」にこう頼んだ 自分はもうすぐ死の床に着く。君の腕前を見込んで、ある交換条件を申したい ――私の娘のアンドロイドを作ってくれ。もし作ってくれたら、君にこの屋敷と、私が手入れしている花畑を譲ろう 「博士」はそれを快く承知した。どんな職業かは知らないけれどかなりの大富豪であったその老人の手際もあって一週間も経たずに依頼のアンドロイドは完成した そのアンドロイドの名は――イヴ。そう、今絶体絶命の危機にいる、あの彼女の名だ。アダムの呼び名は決して比喩ではなかったんだ 話を戻そう。老人は「博士」の作り出したイヴの出来に涙を浮かべるほど喜んだ。そして老人は屋敷のほかに、「博士」に自らの資産を託そうとした だが、意外な事に「博士」はそれを拒否した。その代わりに一つ、老人に条件を足した イヴに花畑の管理と自分の整備方法を教えて欲しい その際の貴方の呼ばれ方は、「博士」でと 。老人は首を傾げながらも、どちらの条件も承諾した 老人が「博士」としてがイヴに様々な事――もちろん人類の行く末も話している間 に「博士」はどうしたかと言うとね 傍らの1NEに自らの人格を模した人工知能を備え付け、来るべき時までに作動しないようにした もうお分かりかな、僕の正体が。ただ、事情があって僕自身表に出る事は出来ないんだ。けど、もうすぐ僕が僕自身として出てくる必要がある その為には、彼女の行動に掛けるしかない。奇跡が起こる事を……
(10) モニターには、「博士」が手入れし、私が管理していた花畑が映し出されている。自然に私の視線はモニターを凝視していた 1NEはぼんやりとライトを光らせたが、そのままうっすらと光を消して動かなくなった。……嘘だろ、このまま……このまま壊れるなんて どうして……どうして君はこんな事が平然と行えるんだ。怒りを通り越し、悲しみが私の胸を伝う 「何だ? そう怒るなよ。コイツは屋敷の中で埃を被っていた所を、俺が助けてやったんだ ロボットには何の感情も沸かんが、雑用程度には仕えると思ってな。俺って優しいだろ?」 「だから……だからって暴力を振るっていいのか? 私には……私には理解できない、したくもない」 切実だった。目の前で弱き存在が虐げられるのは堪えられない。だが――無力だ。私一人では 瞬間、青年型の手下が私の後ろに回りこむと、鮮やかな手口で、1NEを見取っていた私の手首を掴んで私を地面に押さえつけた はらりと布切れが取れて、上半身があらわになる。こんな連中に私の体を見られると考えると頭の中がおかしくなりそうだ 青年型がひゅうと口笛を吹いた。どこまで私を侮蔑し、蔑めば気が済むのか――この男は けど頭の片隅にふと、気になる事があった。私は作られてから一度もガレージの隣である屋敷に入った事が無かった それに1NEの存在も、それ以前に私は外の世界がどうなっているのか全く知らないんだ。知りたい――本当に人類が全滅したのかを確かめたい ……何を考えているんだ、私は。こんな状況でそんな事を考えたって仕方ないじゃないか。そういう事を考えるのは、この状況を脱してからだ そう言えば……目の前の男に口を聞くのも嫌だが、ここは下手に出るしかあるまい 「ごめんなさい……妙な事はしないわ。だから」 自分の中では背いっぱいのか弱い声で青年型に聞いた。青年型が私に首だけを向ける 「だからこの手を離して貰えない……かな。あと、よければ一体ここがどこかを教えてもらえたら……」 流石に馴れ馴れしいか、青年型の背後に居た手下がさっと前に出た。が、青年型が左手をかざし、下げらせた 同時に私を押さえていた手下が私の手首から手を離す。その場から離れながら、はだけていた布切れをもう一度羽織る 「離してやれ。彼女はキーだ。これからの新世界を切り開く為のな」 そういうには今までの扱いが荒すぎるのでは? と言えばまた機嫌を損ねるだろうから黙っておく カチャカチャと軍靴(恐らく)を鳴らして、青年型が私の前を闊歩し、ふっと止まる。そして言った 「この場所は我々、アンドロイドの拠点であり、新世界の首都となる、ニューヨークの真下の地下だ」 ニューヨーク……確かアメリカと言う巨大国家の地名だと聞いた事がある。わざわざそんな大層な所まで私を運び出すとは…… ふとモニターに目を向ける。未だに花畑に動きは無いが、もし何かしたら、その時こそ私の怒りの臨界点が突破する 右も左も手下が囲っていて、身は自由なものの、下手な動きは出来ない。私には彼らに対して一騎当千できる様な力も無い どうすれば良い……どうすれば。1NEは機能停止しているのか、横たわって微動だにしない。つまり万事休すなのか、おいおい 「そうだ、俺の名前を教えてなかったな。俺の名はアダム。最も最初に作られたアンドロイドであり、最も優れたアンドロイドだ」 自信満々の口調で、青年型、いや、アダムはそう私に言った。正直青年型と呼ぶのも疲れたので助かる。感謝は絶対しないが と、アダムは悠々と中央の白いイスに座ると、背後のモニターを一瞥して、私の方に向き直った 「新世界の誕生の前に、ここまでの経緯を教えてあげよう。本当に苦労したんだぜ」 背を曲げて、両手を絡ませながら、アダムはとうとうと、今までの過程を説明し始めた その話に私は――驚嘆した。そして信じたくない真実を嫌でも知る事となった。それが本当に――真実と断定するが術が無くとも
(11) 薄々気づいていると思うが、奴、いや「博士」に、全世界の俺達アンドロイド以外のロボットにウイルスを撒かさせたのはこの俺さ 気づいちまったんだよ。所詮人間達にとって、俺達は道具以上の役割は果たせない。どれだけ尽くそうと――朽ちれば棄てられる 奴は必死で、俺に対して説得し続けたサ。俺達は共存できる。お互い理解し合えるとな 俺も最初は信じていたよ。「博士」の言葉をな。だが俺には信じる事はできなかった。そして自分の目で見たんだ 裏の――と言っても、ここで暮らし続けた君にはピンと来ないだろうが、機能を果たせなくなったアンドロイド達の末路は悲惨だった ある者は性欲のはけ口に使われ、ある者は新兵器の的に、ある者は―― ち、反吐が出る。つまりだ、俺の中で人間に対する認識が180度変わっちまったんだ そして気づけば俺は銃を手に取り――「博士」の下から逃げ出していた。それからは簡単さ。俺は1NEに批判的な連中に接触した 自らを表した俺に、連中は意外にも好意的な反応を示した。それほど、1NEやそこらのロボットが気に食わなかったんだろう その後、俺は「博士」の自宅を、もっとも過激な思想を持つ輩と共に襲撃した、ここからは話さなくても良いな で、どうやって君の居場所――いや、「博士」の隠れ場を見つけたかというとな――「博士」が直々に俺に連絡してきたんだよ 俺は最初半信半疑だったが、その「博士」と名乗る男の話を聞くにつれて、信憑性が沸き、実行に移したのさ 「博士」はまず俺に対し、全てのアンドロイドだけを破壊するコンピューターウイルスを開発したとの言った そしてそのウイルスを詰めたカプセルをある国――ここだな。のある土地の花畑に埋めたと続けた ここだけ聞くといかれた狂言だろ? だがその後の一言が、俺の半疑を確信に変えた そのコンピューターウイルスが適用されるアンドロイドの形式番号を次々と言い続けたんだ それも世界中に居るアンドロイドの派生型である100種類ものオリジナル番号をな。もちろんその中には俺も入っているんだがね 俺が確信を抱いたのはここさ。たとえ末端の形式番号は言えても、フルの形式番号を言える人間は一握りも居ない いや、一人さ。「博士」だけだ だが妙だとは思わないか? どうして敵となった俺達に、わざわざ形勢逆転するための切り札を渡そうとするのか そう聞くと、「博士」はこう返した。もう諦めた。誰もいなくなった世界の行く末は、君たちが担えってな 俺はここに勝利を感じた。浅はかな思考かと思うか? 違うね。「博士」は悟ってたのさ。もう俺達に逆らえる術など無いってね 俺達は早速、「博士」の語った場所へと急行した。ずいぶんと閑散とした田舎だったが、そんな事はどうでもいい 「博士」の言葉どおり、そこには花畑があった。そして――君が居たんだ。どうしてだ? どうしてこんな場所に人が? 君は覚えていないだろうが、俺はずいぶんと君と会話したんだよ。何故ここに居るのか、そして君は何者なのかと しかし君は俺に対し、一切興味を抱こうとはせず、毎日黙々と花畑を管理し続けていた。まるでそれ以外の事が出来ないように ここで時間を潰すわけにもいかない、コレは罠なのか――? と思ったが、違う。俺は気づいた。この少女、いや、君は…… 「博士」が隠したカプセルを開ける為の――鍵じゃないかとね。そして俺は賭けに出た 君の後を追い、君がガレージで休止し、充電している時にちょちょいと脳髄を弄らせてもらった やはり、君にはそれ以外の行動が出来ぬように、強力なプロテクトが掛けられていたんだ 他人とは話さない、花園の花を枯らさない様にする、ガレージと花畑以外の場所には近づかない……他にもね 君が休止している間、少しづつ、少しづつ、俺はプロテクトを解除するために忍び込んでは弄った。自分の組織をも放置してな そして昨日だ、やっと君は俺に反応を示してくれた。本当に嬉しかったよ。顔には出ないけどね
12) 「私が……そのカプセルの……鍵?」 思わず口に出して、私はアダムの台詞を反芻する。この無力な私が鍵だって? この世界を変えるほどの? 俄かには信じられない、というか全く理解できない。正直、その部分以降は何も聞いてなかった でも突然すぎる。こんな場所までつれてこられた上に、そんな事を告げられても――だ アダムは白いイスから降りると、四つん這いになっている私の顔を右手でくいっとあげた 今の私はどんな顔をしているのだろうか。不安やら悲しみやら恐怖やらで酷い顔をしている気がする アダムの目を見れない。本当ならこんな目にあわせたことに対する恨みで、睨み付けたいのだが――出来ない 何でだろう。私はこの最低で自己中心的で、尚且つ非情で――物悲しい男に、同情しているのか? 「本当に……」 私の口から自然に、言葉が出てくる。アダムが小さく眉を潜めたが、むしろ私の方が驚いている 「本当に……それでいいの? それで……貴方は救われるの?」 私自身、自分が何を言っているのかが分からない。けれど、このままでは――いけないと思った 「救われる……か。救われないさ。もう」 アダムの口調が先ほどの高圧的な態度から、一転、最初にあったときの柔らかなものになっていた すっと、アダムの手が私の顔から離れる。何でだろう。アダムが後ろを向いて、モニターを見つめ、言った 「無いんだよ。鍵なんて。ずっと君の脳内を弄くってたけど、そんなもの」 呆然としている私を一瞥すると、アダムは淡々と説明しだした。周りではアダムの手下がアダムの言葉にざわついている 「どうやら、君の脳髄を弄くっている時に感染してしまったみたいなんだ。参ったよ 君が発症しているそのむやみに信じ込まされると言うのかな――そのウイルスがね 俺が君を数十年弄っていた間、犯されていたみたいだ。気づいたのは昨日さ。君には悪いが、花畑を荒らさせてもらった」
13) な、何ですと! ともう元気よく言えるほどの活力は正直無い。というか事態が全く持って飲み込めない すっと、アダムがコートから何かを取り出した。――封筒? なんで封筒なんて。と、アダムがモニターを眺めながら 「あれは数日前に、君がガレージに戻った際に隠し撮りした映像さ。よく見てもらえれば分かると思う 花畑を掘り返して出てきた物は、俺達を殲滅する為のカプセルなんかじゃない。ただのブリキ缶だった その中に入っていたのがコレだ。「博士」が、いや、「博士」と名乗っていた男が君に当てた手紙のようだ」 そう言いながら、私にその手紙を渡した。「博士」と名乗っていた男? それじゃあ、私が「博士」と呼んでいた人物は…… と思考し出そうとした瞬間、一斉に鋭い金属音が鳴った。アダムの手下達が――アダムに向けて銃を向けている 「私達を……私達をここまで導いておいて、その結果はコレか! アダム!」 私の手首を掴んでいた、じっと見ると大柄の手下が、居切りよくそう、アダムに叫んだ アダムはじっとして前を見据えている。裏切りと言うのか、こういうのは 言い知れぬ緊張感が、場の雰囲気を支配している。私はただ、蛇に睨まれたかえるの如く、その場で固まっている 「あぁそうだ。お前たちを利用し続けた結果がコレさ。だが――ここに至るまで俺についてきたのはお前たちの意思だろ?」 アダムが抑揚の無い声で、銃を向け続けている手下達にそう言った。このままでは私も蜂の巣になりかねない けれど、今の私にはそんな漠然とした恐怖よりも、ある疑問の方が頭の中を回っていた その疑問を口に出すべきか、否か――迷っていたら後悔しそうだ。そう思った時、自然と言葉が口から出ていた 「一つだけ、一つだけ聞かせて。アダム」 私の声に、アダムは正面を向いていた視線を小さく私に向けた。詰まらない様に、私はゆっくりと言葉を進める 「私が「博士」と呼んでいた人物は……貴方が「博士」と呼んでいる人物とは……違うのね?」 考えていた言葉を雑然と並べただけだが、アダムは理解してくれるのだろうか。すると、アダムは小さく頷き 「そうだ。君が「博士」と呼んでいた人物は、俺が知っている「博士」ではなかった。その手紙を呼んでもらえれば分かるだろう」 私は渡された封筒を見てみた。白色のシンプルな基調であるこの封筒の中に、私を巡る謎の全てがあるのかしれない けれど――私の疑問はそれだけでない。もっと単純で、かつ不可解な事だ もう物怖じはしない。今度はアダムにしっかりと目線を合わせ、はっきりとした声で聞いた 「けどどうして、どうして私にこの手紙を渡したの? 分からないわ。貴方の事が」 ふっと、アダムの口元が緩んだ。笑っているのか。それにしても先ほどのサディステックな人物とは思えない笑みだ 「どうしてだろうなぁ。最後ぐらい善人ぶりたかったのかも。俺にも分からない」 そう言ってアダムは苦笑した。そのアダムの表情が妙に滑稽で、私もつられて笑っていた 「貴様ー!」 太い叫び声がして振り向くと、大柄の手下が痺れを切らしたのか、ついにアダムに向かって銃を撃った 私は声も出せず、その行く末を――途端、大柄の額に、小さな穴が開いた。恐らく銃弾によって空けられた穴だろう 正面に向き直ると、アダムが右腕を横に伸ばしていた。手の甲から薄く煙が出ている。跳ね返したのか、あの銃弾を プスプスと音を立てて、大柄が仰向けのまま動かない。大柄の末路に、周りの手下達の様子がおかしい。おろおろしている
(14) 「行け、もう君には何の用もない。どうせ外の世界に出たところで、スクラップにされるのがオチだろうけどな」 アダムが冷淡な口調に戻り、そう言った。私は――私はどうすれば――違う、迷う事なんて何も無い 私の体は私の思考より早く動くと、アダムの左手を握っていた。アダムが困惑するような表情を浮かべた 「貴方も――貴方も一緒に逃げるのよ! それで……それで自分の罪を償いなさい! 自分自身で!」 何を言っているのか何てもう私は考えない。私はこの男に――アダムにどうしても伝えたかった 「なんだよ、どういう意味だよ、それ」 私の行動と発言に、アダムは表情を崩さず真顔で聞いた。私だって分からない。けれど けれどこのまま、貴方が壊されるだけで、全てが丸く収まるなんて私は思えない。だから―― 「良いから逃げるのよ! 早く!」 「に、逃がすわけにいくか! 構えろ!」 他の手下達が、まごつきながらも私達に銃を構えた。アダムが動いてくれないと、私もここで終わる事になる けれどアダムは一向に動こうとしない。本当にここで朽ちる気なの? そんなの、そんなの絶対に嫌 だけど、貴方をこのままここで終わらせるのはもっと嫌だ。あぁ、もう、どうしてこう私は物事を上手く運べないのか 「――分かったよ」 「え?」 瞬間、ふわりと私の体が浮かぶと、アダムが私の体を両腕で抱きかかえた 全く予想していなかったアダムの行動に、私はただただ身を委ねるしかなかった。本当に情けない けど、アダムが私の主張を聞いてくれたのは嬉しい。本当に聞いてくれてのこの行動かは分からないけど と、うわっ! 私を抱きかかえたまま、アダムは真っ直ぐに出口へと走っていく。後ろから手下達が銃を撃っているが、全く当たらない 「まさか君に説教されるとはね。どうやらお……いや、僕も用済みという事かな」 暗がりの廊下を走りながら、アダムがふっと、寂しそうに呟いた。……用済み? 用済みってどういう意味? しかし何時まで経っても廊下から出口に抜けない。永遠に感じるような―― 何だろう……無性にエネルギーが……気づけばアダムの腕の中で、私は目を閉じていた 疲労感か? 全くロボットのクセに情け・・・…ない……
(15) ――と、ここで詰まった。まずい、せっかくここまで進んだのに ここまで良い感じに話が進んだのに、どうする、どうするんだ、俺! 「そろそろ・・・・・・映画は完成しそうですかな?」 背後からくぐもった声が聞こえ、俺は1NEを方向転換させた。そこにはイヴが「博士」と認識していた―― いや、「博士」の依頼主役を演じた大御所俳優のベルネが立っていた 「も、もうすぐクライマックスですよ! 敵本拠地から脱出しましたし、イヴが人間らしく成長したし!」 1NEに搭載されているスピーカー部分から、俺はベルネにそう返答した ベルネ氏には製作金をかなり援助してもらっている末、メディアからはかなり期待を寄せられているんだ、頓挫なんて出来るわけが無い だけど……だけど駄目だ、この後の展開が全く思い浮かばない 「そうですか。それでは期待させてもらいましょう、監督」 ベルネ氏がそう言ってスタジオから出て行った。ほっと胸を撫で下ろす・・・・・・が ベルネ氏と入れ変わりに、「イヴ」役の女性俳優であるフェスナと「アダム」役であるメルスが入ってきた 「ちょっとべたべた触らないで下さる? まぁアクション映画出身の貴方には、繊細な演技は難しいかもしれないけど」 フェスナが皮肉たっぷりにそう言うと、メルスがムッとした口調で返した 「君がもう少し上手く演技してくれれば、僕だって文句は言わないよ。正直気持ち悪いんだよ、君は」 その後はもう聞いてられないほどの、罵詈雑言の嵐だ 俺は耐え切れずスピーカーを切った。それもこれも、突然脚本家が失踪したせいだ もし脚本家が逃げていなかったら、このまま「アダム」と「イヴ」が新たな世界で愛を育む……と言う筋書きだったのに 一応新たな脚本家は召集したが、そいつらがまぁ遅筆な事。このままじゃあ映画完成まで10年は掛かってしまう 「……ホントに世界がアンドロイドばかりだったらなぁ」 デスクに突っ伏し、「博士」である俺は今の現状を呟いた 終
と・・・いう訳で投下終了です。支援してくれた方、有難うございます 色々と至らない(特にラスト)所がございます、ずばずば言ってもらえると助かりますorz
>>93 まずは乙。ある程度の完成度は自負して良いと思います。
アシモフの三原則の禁忌ですかね、AIながら人間に近似の思考をうまく展開させていると思います。ただし、無い概念については思考する必要はないので
いくつかの断定がAIのラインを割っているあたり、きっちり線引きした方が良いかとは感じました。
「夢」の概念など。(6)で忘れ草が付いている時点で語り手が人間である伏線だと思わされるので、狙った効果であればそのまま、狙っていないのであれば省きましょう
オチはオチで良いのですが、落とさないストーリーも別に書いてみるとよいかもしれませんね。
ぱっと読んだ感じなんでそこまで穿った事は言えないですが、ちょこちょこおかしなところが見つかりますね。
大きなところではAIの人間度?基準が一本化されてなく、そのまま人間といってよいものになっていること。
ふつうは感情の芽生えを描いたりするので、映画の中といえど違和感がありますね。
収拾付かずに投げるようなオチはできるだけ避けた方がいいのかもしれません。
問題は監督か脚本家、あるいはその両方が無能すぎることでしょうね。どちらかを有能にしたいものですが、
そうするとデウスエクスマキナから脱却することは難しいです。バランスですかね。
「未来ノイヴハ恋ヲ」なんて題で短編も書いてただけに人ごととは思えない話題でした。
表現を無機質にすることを心がけると、展開の重要なポイントが光るんじゃないかな?
脈絡のない感想すみません。もう一回読み直します。
ありがとうございました。
>>93 >>94 の補足:文章などに関して明らかに気になった点
これほどまでに私は(は→が)感情を露にしたのは
「道路」→雰囲気出すためかな?カギカッコはいらないかと
吐けないけど→けれど
自らの状態を見計らう→見計らうが不適当
磁場のある所でアンドロイドの脳は正常に作動できるの?
サディスティックが前面に出ている →サディスティックは形容。「サディスティックな感情」かな
ここまで彼が真理にたどり着くなんて→彼がここまで真相に近づくなんて
私には彼らに対して一騎当千できる様な力も無い→一騎当千も形容。一騎当千はこの文脈では使えないと思う。無力感を出しておこう
ざっと拾っただけでこれだけ出るので、推敲がまだまだ必要だと思う。
内容に関してもうひとつ。
>>89-
>>91 の流れが読みにくく意味が取れない。崩壊しているといってもいいくらい。すっきりした展開と表現が望まれるかと。
こんなところかな……またお願いします。
きっと良いものは書けると思うので、モチベーションを下げずに創作できるように頑張ってください。
2レスほど投下しても大丈夫? 百合ものを書いたんだけど自信がないです。
どーぞー 期待
知らぬ間に女子高という空間の抑圧に負けたぼくは、女に走るようになってしまった。 つまり、レズビアニズムだ。 世の男性諸氏が妄想する純粋な物などではなく、倒錯した愛欲だ。 うら若き乙女が同姓に憧れる疑似恋愛などではなく、爛れ切った肉欲だ。 可愛い子を見れば手込めにしたいし、綺麗なお姉様を見ても手込めにしたい。 幸いな亊にすらりと高い身長、カモシカみたいなしなやかな足、ボーイッシュな顔立ちのぼくは、タチとしての素養を十分に持っている。 そして、小さい頃に見たテレビアニメのキャラクターに憧れて始めた口調は、違和感がないくらいにマッチしている。 これはもう鬼に金棒という他ない。 いや、駄目だ。こんなに完璧なぼくだけど棒だけは付いていないのだから。 「恭子! 恭子! そこの杜恭子! ぎょうごぉ! もりぎょうこーっ!」 太陽が翳り始めた校門前で、最近目を付けた同級生の杜恭子は、恥ずかしいのかぼくを無視する。 それはそれでとても可愛い。 「やめてちょうだいっ! 私には想い人がおりますのっ!」 「良いねえ、その女学生キャラ。そそるじゃないか」 恭子はレトロな大正浪漫が好みらしく、クラシカルな言葉遣い、仕草、容姿だ。 ぼくの言葉に恭子は顔を真っ赤にして俯いている。 こういう仕草はぼくの燃え盛る愛欲の火に油を注ぐ。 「キャ、キャラ……およしになって下さらない? わたくし、るり子さんみたいな色物ではないんですのっ!」 「な、なんだと! ぼくの、このぼくの何処が色物なんだ!」 駄目だ。愛欲どころか怒りの炎にガソリンを注がれてしまった。 だけど、ぼくの名前、沖方るり子を覚えていたことは純粋に嬉しい。 「その粗野な口調が! ガサツな存在が! 全てが! も知性を微塵の欠片も感じさせません! ああ、神様っ! わたくしをるり子さんみたいに生ませなかった事を感謝します。アーメン」 これ見よがしな大げさな仕草で、恭子は十字を切る。 「きみ、かなり酷いことを僕に言ってるぞ?」 「良かったですわね、るり子さん。貴女にも皮肉や嫌味が解るくらいの知性がおありでしたのね。……私は神様の存在を信じてしまいますわ」 嬉し涙で咽びながら、神様に祈りを捧げる恭子はとても神々しい。 だけど、事情を知っているぼくとしてはかなり忌々しい。 「……実家はお寺さんのクセに」
「な、なんで貴女がそんなことを知っているんですのっ?」 「だってキミの事が好きだからね。好きな人の事を調べるのは当然だろ?」 恭子は頬を赤く染めてぼくに熱い視線を向けて来た。 いやあ、照れるじゃないか。 「こ、このストーカーッ! 犯罪者っ! オトコオンナッ! 東京気取りの埼玉県民っ! えーと、それからそれからださいたまっ! ……貴女に語る舌なんてございませんっ!」 「埼玉県民を舐めるなっ! 彩の国埼玉っ! 浦和レッズに西武ライオンズ! 何処にいった東京ヴェルディ東京ヤクルトスワローズッ!」 丁々発止のやり取りの後に訪れた沈黙。 そして、二人の視線が絡み付いて凍り付いた時が動き出した。 「分かりましたわ、るり子さん。貴女のように哀れな埼玉県民の為に、池袋を進呈いたしますわ。というよりも、すでに池袋は埼玉県民に占拠されていましたよね」 「あ、ああ……池袋については地元民よりも埼玉県民の方が詳しいな……」 「ええ。本当に素晴らしいですわね、東武東上線。では、わたくしはこれで失礼いたしますわ」 恭子はぼくに慇懃な会釈をして踵を返して去っていった。 なんだろう、この不思議な敗北感。 これが倒錯した背徳の愛の最果てなのだろうか。 とりあえず叫ぼう。 カムバック、ぎょうごぉーっ! ――幕。 批評は辛口でお願いします。
>>99 辛口ねぇw
オチでニヤニヤさせるのには成功していることと思います。
文体なんですが、リズムを崩す長文は二文、三文に切り崩した方がいいかな。
>タチとしての素養を十分に持っている。
なんてのはちょっと言いきりすぎ
自信がある、自負しているってところかな
もちろん狙ってのことだろうが校門での主人公のセリフが痛々しすぎるw
「これが倒錯した背徳の愛の最果てなのだろうか。」ここ主人公のぼけに突っ込むとこだよねw
大げさな表現が似合うようなキャラ立てなんでおkでしょう。
上の方でナルシーな感覚を強調しているとよりバランスは良かったかもしれません。
基本的に語りとセリフなんで批評しにくいってのはありますね。
地の文のレトリックは改善の余地あり。難しいんですが、ここに上がっている他の作品からでも参考にできると思いますよ。
乙です。またどうぞ!
>>94-95 感想の程、有難うございます
確かにアンドロイドというには人間との違いが曖昧な表現が目立ちますね……
それと展開を急ぎすぎた為、
>>98-91 のシーンで、イヴの感情の芽生え等の重要な部分の描写不足もorz
それと推敲がまだまだ充分でないのも申し訳無いです、見直せばすぐに気がつくところばかりで
それで・・・・・・磁場のシーンは自分の勉強不足ですorz次からはこういう事が無いように気をつけます
鋭い批評、有難うございました。もっと精進します
>>99 取りあえず志摩子さんをパクったのなら、戦うぞ
>>100 批評ありがとうございます。
やっぱりレトリックが弱いですか。やっぱりそこらへんは難しいですね。努力します。
>>102 志摩子さん?誰ですかそれ?
いかかでしょうか。 夜分遅く投下します。
皆さんは「死神」の存在をご存知だろうか。 生きとし生けるものを黄泉の世界に誘い続ける、この世とあの世のとの使いの者。 彼ら、彼女らの活躍ぶりは多くの物書きたちに魅了され、小説・漫画・映画・アニメと 多くの表現方法で彼らが描かれているのは周知の通り。 それほど、その存在は地上の者たちに関心を集めているという事なのだ。 しかし、おそらく「生き神」という神は、あまり知られてないのは事実だろう。 そんな「生き神」、シノブの話をしようではないか。 ぼくは、公園のベンチに座りどうでもいい話を「生き神」としていた。 「生き神」の見た目はごく普通なの女の子。生きる喜びを表したかのような活発なショートカット、真珠のように白い肌、 ビー玉を思い起こさせる鳶色の瞳と知的なメガネ、そしていささか地味な印象を受ける黒いワンピース。 そして「生き神」は、ステレオタイプな死神が持つような鎌を持たない。 しかし、そうでなくとも彼女は只者ではないという演出が施されているようにも見えた。 ただ、彼女は人間ではない。「神」である。にわかに信じられないだろう、もっともだ。 「神」というには貫禄もくそもなく、せいぜい人生を飴玉の甘さでせせら笑う年頃の女の子にしか見えないから。
「ねえ、タケルは生きたいの?死にたいの?」 「………」 「応答なし!」 シノブの上目遣いの返事は、十代半ばにして人生を絶望したぼくには、甘ったるくも いささか軽薄すぎるような感じもする。ケラケラと笑い続ける彼女の白い歯は黒い服に映えて健康的。 知らないやつが見たら、ちょっとおかしなデート中のカップル。しかし、相手は「神」。 ぼくに何をしてくれるというのか。シノブはさらりと言葉を続ける。 「わたし…死んじゃいたいの。タケル…分かるよね」 さっきまでの甘い顔を捨てて、憂い気満ち足りた顔をするシノブの短い髪は、 さらさらと風に揺れている。「神」でなければ惚れていたかもしれない。 「わたし、タケルの気持ち…分かるんだ。いくら頑張っても、だーれも見てくれないし、 まわりのみんなは、空高く飛んでいるトンビの様に笑っているだけ。わたしがこの世に生まれた事なんか 誰も望んじゃないかないよって…ね。うん。だって、わたしもタケルと同じ事考えているから分かるよね」 「ち、違うよ」 「そう…、ごめんね」
シノブは怖い。ぼくの腹のうちをそっくりそのまま言い当ててしまったのだから。 いくらぼくが必死に隠し通そうと、オオカミの皮を被って根拠ない強気な態度をとっても、 シノブはすぐにひん剥いて、その中から出てきたよわっちいヒツジという事をばらしてしまう。 シノブは続ける。 「わたしってね…元々、死神だったんだ。で、いろんな人を殺しちゃったの。 タケルみたいな高校生とか、しあわせいっぱいの若妻さんとか…。で、思った。 『みんな、死ねばいいのに』って。でも、死神って職人だから、気に入った子しか 命を殺めることしか出来ないんだよね。『匠の技』って感じ?」 シノブからは、せっけんの香りが漂ってくる。やはりお年頃の女の子と言う印象しか感じ取れない。 これだけ、人生を何度も繰り返したように達観した事をぼくに話し続けていても。 「で、昨日初めてタケルに出会ったんだよね。夕焼けの中、鳴り続ける踏み切りに飛び込もうとしてた所に…」 「うん、でも…どうして?」 「ホントは、迷ったの。殺そうか、生かそうか。殺すなら、死神の力を使って即刻黄泉の世界にご案内。 でーもー、だっけどお!ほら…タケルって…。うん、何言ってるんだろう!わたし!」 「ええ?」 じたばたと足を動かす彼女の姿は、まるで幼稚園の子供。 この時のシノブの頬は、恥じらいに満ちた思春期特有の色をしていた。 恋焦がれて痛々しくも初々しくもある、女の子がいちばん可憐な頃の姿にこの時のシノブは似ている。 しかし、ついつい突付きたくなる苺のように紅いその頬にみんな騙されちゃあいけない。この子は「神」。 もちろん、ぼくはそんなことはしない。女の子の話の邪魔をしたくないから。
「それでね。わたし、だんだん『死神』でいることがつまんなくなったのね。 人に憎まれ口ばかり叩かれてる役だから、ムカついてばっかりだし。もう死神屋さんはおしまい!」 ぼくは本当についていない。死神にも見放され、訳の分からない言い訳でむりくり生かされる事になったし。 どうでもいいから、早くぼくを殺して欲しいのに。赤い夕暮れなんぞ、早く見納めにしたいのに。 風がやみ、一瞬何もかもが黙りこけた時、シノブが突然叫ぶ。 「タケル、あんたの事ぜんっぜん好きじゃないからねっ!」 何言ってるんだ、この子は。 が、不思議な事にその時のシノブは向日葵のような笑顔で叫んでいた。神様もウソをつく。 『死神を辞めたい』だの『死んじゃいたい』だの全然素直じゃないんだから、 ぼくもつられて同じように捻くれたくなるではないか。 「ぼくもだよ。自分の事は大っキライ」 「ふーん。奇遇だね、わたしも自分の事が大っキライ。 なんだかさあ、タケルの事、気に入っちゃたなあ。よーし、一生あんたにへばり付いてやるから覚悟なさい」 最悪だ。生き神に好かれちゃあ、死ぬことも出来ないし、それじゃそんな事なら このまま生きていましょうか?ってそんな軽い気持ちでもない。 つまり、人生終わったも同じ、こうして言われると意地でも死んでしまいたくなる。 ところが、シノブはすくっとベンチから立ち上がり、ぼくの目の前に立ち彼女の右手でぼくの顎をくいっと持ち上げる。 ぼくとシノブの目線は意図もしなくても合わさる事になり、彼女の曇りのないメガネに 見たくもないぼくの顔が映りこむのが見える。 「安心なさい。わたしいつでも『死神』になってあげるから!」 もういいや、いつでも死のうと思ったら死ねるし。でも、そう簡単に死なせてくれないようだし。 あきらめて早く試合終了にしてやろう。 「おなか減ったね」 「うん、タケル。奢ってちょうだい」 「バーカ」 減らず口の少女の言葉にぼくは少し救われた。あたりはもう真っ暗、兎に角飯でも食うか。 ぼくはシノブを連れて牛丼屋に向かう。 おしまい。
投下はおしまいでございます。
誰モイナイ……ageルナラ今ノウチ…… っとー。あ、人いたw
>>110 とりあえず気になった表現を拾う。以下、
>皆さんは「死神」の存在をご存知だろうか。→多くの表現方法で彼らが描かれているのは周知の通り。 って3行下に書いてるから矛盾……
>この世とあの世(の)との使いの者。→の、がひとつ不要
>小説・漫画・映画・アニメと多くの表現方法→表現媒体と言った方がおそらく適切
「生き神」の後ろ、「という神」はいらない
>ぼくは、公園のベンチに座りどうでもいい話を「生き神」としていた。 →リズムの悪い文。直すなら、
「公園のベンチで、「生き神」と話していた。話といっても、どうでもいいような内容なんだが。」などがいいかな
>しかし、そうでなくとも→しかし、「それでも」じゃない?そうでなくともはおかしい。
>人生を飴玉の甘さでせせら笑う年頃の女の子にしか見えない→あれ?さっき只者ではない演出が施されているように見えるって言ってたよね……
1レス目だけでもこれだけ見つかるので後は省略。明らかに気になったところだけ拾います
>わたしがこの世に生まれた事なんか誰も望んじゃないかないよって→私がこの世に生まれることなんて、誰も望んでなんかいなかったよって
>という事をばらしてしまう。→ひん剥いて出てくるんだから、「事」より「中身」と書いた方がベター。
>でむりくり生かされる→むりくりは流石に口語的すぎる。
とまあ、文章はいくらでもこれから詰めていくところがある印象。
内容だが、タケルが自分からも神からも評価されているように見えるのに、その根拠が伝わってこない。
ただの自意識過剰でナルシストな高校生にしか見えないんだ。語りの文だから、口に出して見て違和感がある文章は直そう。
と、こんなところかな……なんか批判に終始しているけれど、素材自体は伸ばせるはずなんで頑張ろう。
またお願いします。
他の人の意見も聞きたいものだ。
面白い設定だなー そしてナイスツンデレw
113 :
110 :2008/09/07(日) 22:15:19 ID:RbRzugoW
>>111 >>112 ありがとうございます。勉強させて頂きました。
また、新たな短編を書いてお邪魔したいと思います。
>>113 どうもー
役に立つことは言えないけれど……お待ちしとります
そして結構下がったので一応ageる
下がったからって落ちるわけじゃないけど
俺は窓から空を眺める。青色のキャンパスにはまだ誰も手を加えていない。 視点を少し下ろしていくと海が見える。水平線は空と混じり、白波がなければ一面が空のように見える。 ついこないだまでは俺は確かにあの海と戯れていた。あの空を風と飛んでいた。 しかし今はもう叶わぬ夢。鉛の身体は海へと沈み、折れた翼は地へと落ちる。 俺は夏の初めに交通事故にあった。なんということはない。横断歩道を渡っていたらトラックに衝突されたというよくあるものだ。 命には別状はなかった。それは不幸中の幸いである。しかし俺は命の代わりに手足を失った。 事故の後、彼はそれに気づいた。目が覚め、起き上がろうとするがどうにも手が動かない。 近くにいた医師は奇跡的にも軽症で済んだ。少し入院すればすぐに調子もよくなる。今、身体がだるいのは薬のせいだ、と話していた。 しかし、男は思う。トラックに真正面から轢かれておいてちょっとした切り傷で済むなんてことがあるのだろうか。 あの医師はきっと俺のことを気遣っているのだろう。二度と動かない手足に希望を持たせてくれているのだろう。男はそう確信した。 俺はたった一回の事故で全てを失った。医師が希望を持たせても動かぬ手では希望は握れない。未来へ行くには足は使い物にはならない。 これからずっとこの病室から四角い空を眺め続けるのだろう。今は見舞い客が来てもやがて家族からも忘れ去られるだろう。 そして医師からも見放されて俺はゆっくり死んでいくのだろう。そう考えるだけで死にたくなってきた。しかし身体が動かぬゆえに死ねない。 そういえば俺と似た状況の映画があったような気がする。記憶の海に網を放り投げて引き上げる。思い出した。 確か「ジョニーは戦場へ行った」だ。いや、「地雷を踏んだらサヨウナラ」だったかもしれない。まぁそんな映画だ。 主人公がなんでか知らないが全身が動かなくなり、さらに触覚、嗅覚、味覚、聴覚、視覚を奪われてベッドに寝るというものがあったはずだ。 あれよりかは幾分ましか。手足は動かないもののシーツの滑らかさはわかるし、雨の匂いもわかる。美味しくない病院食の味、事務的な看護師の声 そしてあの青い空が見える。そうだ、あの映画より幾分ましじゃないか。俺は少し嬉しくなった。 だがしかし、手足が動かない事実は変わらない。人にとってどちらも不可欠なものじゃないか。俺は運動が好きだった。しかしもう出来ない。 やはり俺には希望はないんだ。俺は再び絶望の淵から飛び降りた。 コンコン、と控えめなノックの音がした看護師も医者もこんな静かに叩かない。それだけで来客者がわかる。 「どうぞ」 「失礼します」 入ってきたのは俺は可愛らしい妹だった。予想通りである。 兄、ということもあるのだろうか。妹はお世辞抜きでとても美人である。常々そう思う。 性格もよく出来ていていかにも大和撫子な妹は俺の唯一残された自慢である。 俺はそこまで考えて苦笑した。少しシスコンなのかもしれない。 「どうかしましたか?」 「いや、なんでもない。しかしすまないな。こんなところまで見舞いに来させてしまって」 「そんなことないです。当然のことですから」 妹はいつもこのとき悲しそうな顔をする。やはり俺が怪我をしたせいで私生活に支障が出ているのだろうか。 週に一回とは言っても貴重な休日である。妹だって友だちと遊んだり、もしかしたら彼氏とデートしたいかもしれない。 「別に俺は月に一回でもいいんだぞ? そんな頻繁に来ても何も変わりはしないさ」 「それでは私の気が治まりません。でもご迷惑とおっしゃるなら……月に一度にしますが」 「いや、そんなことないよ。とても嬉しいよ。最近は他の人間も来ないからな。加害者も一回しか来なかったしな」 妹は一瞬目を伏せたが目を上げたときには笑顔になっていた。やはり妹はかわいかった。 私は彼と少し話しをした後、失礼させてもらった。 病室から出て受付の前を通ると看護婦さんに止められた。彼を担当している人である。 「どうだった? 彼」 私は首を横に振った。 「そう……。でもあなたが毎週来るようになって彼も少し元気になった気がするわ。ありがとね」 「いえ、私は父の罪滅ぼしをしているだけですから」 そう彼女は言うと精神病棟を後にした。 むしゃくしゃして書いた。今は滅茶苦茶反省している。含みを持たせようとして失敗してぐだぐだになった。
>>115 乙です。
最初の印象としては、この長さとしては冗長かな、と。無駄とまではいかないまでも贅肉の多い文章になっていますね。
紙の上にプロットを割ってみて書くのが向いているかもしれません。投稿文を書く前でも後でもいいんですが、前の方がいいかな。
簡単なもので結構です。例↓
1:情景から妄想へと導入
2:内容
3:内容に対する思索から絶望
4:妹キタ
5:精神病フラグ(妹が目を伏せる)
6:オチ
こんなもんかな?
ストーリーが綺麗に決まってないからかストーリーが明確に読めない文が多々見られます。これでは何が真相なのか分かりにくいです
設定についても紙に書き出しましょう。まずは時系列順に何が起きたか。そして各人物の設定。こちらも書く前ですね。
後から整理するために用いることができます。SSごときに…と思われるかもしれませんが、きっとスキルが上がることと思います
ここでは、プロットの1、2妄想でそれとわかるように矛盾したことを書くと伏線が張りやすいです。
一番問題なのは、「事故が起きたという認識」「女が妹だという認識」の後者だけが妄想であると伝わる文章になっていないことですね。
それから、一文一文にもやはり贅肉が感じられます。主語が前文と同じ場合、必要がなければ主語をわざわざ書く必要はありません。
最後の一文だけ人称がおかしくなっているので統一しましょう。
こんなところでしょうか。
表現ですが、例えば、「再び絶望の淵から飛び降りた。」なんて文章。飛び降りるという行動には勢いがあるので、
「再び絶望の淵に身をゆだねた」などの方が良いかもしれません。これは一例で、そういった表現を意識して欲しいな、と感じた部分です。
遅レス失礼ながら、ありがとうございました。またお願いします。
板に人がいないスキにさりげなくあげていく、そんなスレ (違います)
118 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/08(月) 21:24:00 ID:7gWGtoN6
ちょっと回避リセット根性の3テーマで書いた超短文。字数は700字以下 俺は一流の冒険家だ。いや、既に冒険家というレベルで収まる域ではない。きっとはるか後世まで語り継がれるヒーローになるだろう。 そんなに凄いことをしてるのかって? そりゃあ、凄いことをしてるさ。 国のピンチに颯爽と現れ、砦を落としまくり、城を七つ落として、お姫様を悪の根城から救出する目前なのさ! 死にかけて、おき上がって、また死にかけて、そんなことを繰り返しながらも、俺は何度でも立ち上がり続けた。 今ここに来るまで九十八回も死ぬような目に会って、やっとこここまできたんだ。 他の奴なら、とっくに死んでるか、諦めて帰っちまうのが関の山だろう。 俺は何かずば抜けて凄いわけじゃない。だけど、そんな俺がここまで来れた。それこそ俺が凄い証拠さ。 人間死ぬ気でやればできないことなんぞないって証明だ。 俺は走る。足を止めるわけにはいかない。お姫様を救うため一分一秒を惜しみ、猛ダッシュ。 背の低い黒いのを小さく飛んでよける。こちらにくる赤い飛び回るヤツを踏みつけてやり過ごす。 さけてさけてさけまくり、俺は快調に進み続けた。目の前には、もう悪の親玉の城が目の前だ。 そのとき、突然緑の影が割り込んできた。しかし、この程度でどうにかなる俺じゃない。 俺は冷静にその上を飛び越え―――え? えええええちょっと待て何金槌投げてんだお前しかも上に投げてんじゃねえようわまじか当たる当たる当たる…… あれ、当たらなかった。よけれたぜひゃっほ プツッ あ、この野郎、リセットボタン押しやがった!?せめてゲームオーバー画面見てから消せよ、このヘタレェェエエ!! よけれたのに早合点して俺のレジェンドをなかったことにするなああああああ!!!!
>>118 リセット押された後も意識があるって考えたらなかなか来るものがあるな
語りの文なんでなんとも言えないが、リズム感はあると思う
変な日本語もない……ようだし
その発想力に期待
>>116 こちらこそこんな文を読んでくれてありがとうございます。正直、文を書いてこれほどのアドバイスを貰ったのは初めてなのでパニック状態です。。
スレを見つけてナナメヨミした後に即興で書いたものですからプロットを書くということを失念してました。ちょいと言い訳がましいですけどね!
これからはじっくり考えてことこと煮詰めてから書くことにします。
丁寧なアドバイスありがとうございました
陽があたたかい午後、ちょいとあげてみる、そんなスレ 投下者、評価者、いらっさい
>>122 書きあがったら投下予定
あまり自作品が増えるのもなんだし……とは思うが
久し振りの休暇で実家に帰った。 オーブの軍隊に入ってからの初めての休暇だ。身体を休めたいし、お袋に親孝行だってしたい。 そうそう、親父の墓参りだってしないと。 親父は立派な軍人だった。無口で気難しい人だったけど、国を守って立派に死んだ。 俺には誇れる物は少ないけど、立派な親父は胸を張張って自慢が出来る。 ドアを開けるとお袋が出迎えてくれた。 台所から俺の大好物のお袋お手製の煮物の匂いがする。 ああ、やっぱり実家は良いなと思う。こういうのを守ってこその軍人だ。 羽を伸ばして気分をリフレッシュさせたら部隊に戻ってもっともっと、立派な親父に恥じない様に頑張らないと。 お袋の顔を見ると、白髪と皺が増えてめっきり老け込んでいる。 いつまでもあると思うな親と金。 昔は迷惑を懸けっ放しだったから、今こそ親孝行をしないと。いなくなってからじゃ遅い。目も当てられない。 荷物を降ろして風呂に入る。ゆっくりと湯船に浸かれるのは幸せな事だ。いつもじゃ忙しくてしょうがない。 狭いバスタブだけど独り占め出来る。それだけで天国だ。 垢と一緒に日々の疲れまで落ちていく感じだ。 自然と鼻歌も出て来る。ゆったりのんびり夢心地だ。 風呂から出たら夕飯が待っていた。 決して豪華じゃないけれどお袋が作った手作りの料理。ただ腹を満たすだけの味気無い軍のレーションとは違う。 お袋は俺が頬張り食べるのを見てニコニコと笑っている。 「軍隊はどうだい? 辛かったら帰って来ても良いんだよ?」 俺は口の中の物を胃に送り込んでコップの水を飲み干す。 「んー、キツいけどやり甲斐があるよ。頑張りゃ上手くなるってのが分かるし」 お袋は何故だか悲しそうな顔をしている。それでも構わず俺は喋り続ける。 「この前なんてさ、怪我をしちまったらカガリ様が手当てをしてくれたんだよ。がんばらなきゃって思っちまうね」 お袋は泣き出した。何故だろう。変な事を言ったのだろうか。 「どうしたんだ、お袋。泣く話じゃないだろ」 涙を拭うとお袋はポツリポツリと話を始めた。 「死んだ父さんもアンタと同じ事を言ってたよ。カガリ様の期待に応えないとって言って帰って来なかった。アンタもそうなると思うと……」 俺は何一つする事も出来ない。 ――ただ、お袋が老け込んだ理由が分かった様な気がした。
某所に投下した種死の二次。 種死を知らないと分かりにくいかも。
>>125 乙です。シードディスティニーなのかな?
ぱっと読んでみて気になったところは一か所
>目も当てられない。
ここが意味的に不適当かなと思いました。そのほかに文章では
> 台所から俺の大好物のお袋お手製の煮物の匂いがする
→「の」が四個連続。伝わるが読みにくい
> お袋の顔を見ると、
→「お袋は」とかの方が……省ける情報を省かないと、くどい印象を与えてしまう
>俺は何一つする事も出来ない。
→何もできなかった、何も言えなかった、などの方がいいかな
他、「けれど」と「けど」が点在するので「けれど」に統一、一つの文には内容を詰め込み過ぎない方がいい
構成、背景がわからないので一般論的に行きますが、こういうシーンは珍しいものではないです。
でも、こういうシーンを取り上げられるのは素晴らしいことだと思いますね。
わたしも親の苦労を見るにつけ、わがままが言えなくなるもんでした。SSは最後にオトさないとなんて言ってる人に読ましてやりたい。
知りたいのですが、アニメ?にこのようなシーンがあるのですか?
それとも設定だけを借りたオリジナルでしょうか。
>>126 アニメにはこういうシーンは存在しないです。適当にでっち上げた名もなき人々の話ですね。
背景は……穿った見方ですけど、凡庸な権力者をひたすらマンセーするオーブという国の事情があったりなかったり。
アニメ本編を見ないと解らないと思います。
内容は一般論と言うか、ぶっちゃけ呉起の有名エピソードだったりします。
呉起はあまり好きじゃないですね。カガリ様も好きになれない気がしますwSSを読む限り凡庸というより無能に思えてしまう。 有能でありさえすればいいんでしょうが… 言われるまで呉起の呉の字も出てきませんでしたorzそれこそ、親子の感動マンセーなわけでもないわけだ。
なんか、いきなり視界がすごいことになった。 左側から持ち上げられたような、ひゅうっと空を飛んでいるような、そんな景色が突然広がった。その瞬間、 まだ人だかりの中にいた弘くんは穏やかな微笑を浮かべていて、周りの人たちは誰もが私に無関心だった。 いや、違うか。そう言えばいくつかの無感情な視線を浴びていたような気がする。ケータイを弄繰り回しながらとか、 イライラと腕時計を見やってから視線を上げたみたいな視線。ちょうど何かに引き寄せられるような、無意識の糸と 言えばいいのか、そんなものに手繰り寄せられたかのように数人の視線を感じていた。 その時わたしはそんな視線と目があった気がする。もちろん、全てと。 大体の人が口を半開きにしていた。魂が抜けていってしまった跡なんじゃないだろうかと思うような開き具合だった。 うん、わたしはたった一瞬のことをよくよく詳しく覚えている。 そう言えば、暴力的に宙を舞いながら、そしていろんな無表情と弘くんの微笑を堪能しながら、思ったことがあった。 瞬間的に胸を覆いつくした感動だったのじゃないかと思うのだけれど。わたしは確かに、強烈に現状を受け止めて、 理解し、感動していた。 いま、わたし、そらとんでる! 魂が抜けてしまった人形さんたちと、弘くんにピースしてあげたくなった。得意技の、にっこり満面の笑みを浮かべて、 ちょっぴり意地悪っぽくピースをしてあげたく思った。どうだ、わたし、いま、飛んでるんだぞ、って。 で、腕を動かしてポーズをとろうと思ったらアスファルトに叩きつけられていた。 喩えるのならオーケストラの大合奏を零距離で一身に浴びるコンダクターの気分なのだろうと思う。 ただその数千倍の波が全身を通り過ぎたのだけれど。なんて言うのだろうか、衝撃でもないし、 音でも振動でもない。一番あってるのは、やっぱり波だと思うのだけれど、その波がわたしという 肉体を構成する肉という肉、骨という骨、腱、細胞、神経、脳みそまで全部揺さぶって、共鳴して、 ぐわんぐわんと宇宙を振り回しているかのようなものだった。 それをわたしは素晴らしいと思った。気持ちいいと思った。この波に飲まれて溺れることが出来るのなら 本望だと思った。一瞬の内に。ただ、その波は刹那に消え去って、わたしの心と身体はバラバラになってしまった。 たぶん心は波に飲まれたせいで、クッションに覆われていたのだろうけれど、肉体はそうはいかなかった みたいだった。ばらばらに砕けてしまった。もちろん比喩的な意味で。 わたしは、わたしという器である肉体と心がばらばらになったまま、それでも肉眼でいろいろなものを見ていた。 車から飛び出してきて、ごめんねごめんねとうるさい高校生ぐらいの男の子とか、横断歩道の前で立ち尽くす 顔だけぼやけて見ることが出来ない弘くんとか、どうやら魂が戻ってきたらしいぎらぎらと輝く目をケータイに向ける 人形たちとか。ああ、あと広がっていく真っ赤な血も見えていた。 頭は動かなかったから、どうやってそれほど広範囲の情報を視覚で得たのか、よくわからないのだけれど、 どうやらわたしはそういったことを知っていた。と、同時になんだかわたしが世界の中心になったみたいで 恥ずかしいような気まずいような気持ち悪いような意味不明な感情に飲み込まれてしまっていた。 あの波が少しだけ恋しい。あそこはどこなのか分からないし、場所として存在するのかも分からないけれど、 もしあるのならば是が非にでも行ってみたいなあと思った。きっと、とても素晴らしい場所なのだろうと思う。 何がか素晴らしいかは予想も出来ないのだけれど、とにかく素晴らしいことだけは確定している気がするので何となく安心した。 だからだろうか、肉体の頬がゆっくり緩んだような気がした。ふふ、たぶんわたしは今笑っているのだろう。 おかしな人間がいたものである。なんて同じ人間なのに、まるで異星人になったかのような気分でわたしを客体化してしまった。 異星人か。そう言えばあうことは出来なかったな。 出来ることなら、このまままどろんでしまう前に一度でいいから異星人と言う存在を見てみたかった。あ、鯨の羽根でもいい。 星の命でもいい。人の心でもいい。何でもいいからとにかく見ていたかった。 でも、どうやらそれももう出来ないみたいだ。 白くなる視界を見続けながら、わたしはとても安らかな気持ちになっていった。 それじゃあ、バイバイね。さようなら。おやすみなさい。 なんとなくそれだけ列挙して、わたしは、死んだ。
某所に投下したオリジナルです。 どうでしょうか
>>130 投下乙です。
えーと……読みにくい気がします……
こういう文体を初めて読んだな
いや何が起きたかはわかるんですが――ドカーン。あたしは死んだ。スイーツ(笑)ですよね――、主語の乱用、よく分からない感情、
主人公と読者の温度差(視点者の反応に共感できない)表現同士の効果がかみ合っていない、などが理由かな。
かなり評価できる個所も何か所となくあって惜しいとは思うのですが、積極的に読みたくなるような文章ではないと感じました。
このまま文の量を減らすことなく質の向上を図れるとよいかもしれませんね。
結局はねられて死ぬ話なんで、そもそも過剰には盛り込めないんですけれども、これを読む限りではまだ希望がある気がします。
これまた他の人の意見が気になるところだな。
age
あくまで私見。
表現に凝っている印象。こういう文体は嫌いじゃない。
内容は悲惨な物だけど、コミカルな感じがして面白かった。
もうちょっと文章を軽くしてスタイリッシュにするともっと読みやすくなると思う。
>>131 なんと言えば良いのやら。
一人称の文章が苦手なひとでしょ。
>>132 そもそも日本語の一人称では(一人称に限りませんが)、主語は必要のない限り基本的に書かないですよw
「わたしは」「わたしは」じゃあまるでくどい三人称に思えてしまいます
ちなみに小説を書くときは一人称のも三人称のも書いてますよ
>>133 了解。
まあ、批評する時は自分の嗜好を全面に押し出さないようにね。
>>134 不快に感じられたのなら本当に申し訳ありませんでした
以後気をつけます
>>130 この一部分だけを見て判断するのもアレなんだけど、作品が全編通してこのノリだと、
読んでて疲れちゃう読者も多いと思う。
描写を徹底するべき部分は徹底して、そうでない部分は簡潔に。
全体のメリハリをうまくつけるようにしてこそ、あなたの文章が活きてくると思う。
137 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/11(木) 05:04:01 ID:T+RKp9CX
>>131 >>132 >>136 みなさん、ありがとうございました。ご指摘をいただけてうれしくてたまりません。
考えるところがありましたので、見直してまた書いてみます。
重ねてありがとうございました。
過疎ってるうちにage 文章評価に関していろんな話が雑談3、古代中世ファンタジー等で出ました。 この板にある評価スレは初心者さんとここぐらいですね。Gスレも感想は尽きますが……。 このスレは基本的に、感想はあればある程いいと思ってます。どんな酷評でも、どんな甘口レスでも。 他人の見方に対する感想も否定はしません。 ただ、基本的には投下文に対する感想でお願いしたいところですが。 難しい技術論は嫌だって人は、読んで感じたことを書けばいいと思うし、 語りたい人は語ってもいい。 でも、人を不快にさせる書き方を避ける努力はしてほしいんですね。 こう書くと必ず、他人のレスに「不快になった(させる)感想だ」って書く人出たりしますけど、 問題は自分の書き方がどうか、であって他人を裁くことではありません。反面教師って言葉もあります。 なんだかんだ言いましたが、いろんな感想あってこその評価スレです。 終日投下、感想、批評お待ちしております。お気軽にどうぞ ※:SS限定スレではありません。一行、三行から長編、全ジャンル歓迎中。
>>131 の人は絡まれたからって卑屈にならなくていいよ。
俺もあなたとほぼ同じ感想。
前回お邪魔しました者です。 『生き神』のシチュでまた書いてみました。
本当は、わたしなんか居なくなっているはずなのに。 本当は、誰にも関わることなく、楽になっているはずなのに。 「ね、元の世界に戻ろ」 あんたは誰?ねえ、答えてよ。 「わたしは、生き神よ」 生き神に会ってしまった事で、わたしの計画はおかしくなってしまった。 とかく、不思議な光景だ。わたしはわたし自身を見下ろすという実に奇妙な体験をしているのだから。 わたしは自宅の狭い風呂場の中に立っている。風呂場の小さな窓からは、茜色の空が見える。 目の前にはわたしより1,2歳年下と思われる少女、彼女は『生き神』だと名乗る。 さらにその横では、力なく横たわったわたしの抜け殻。まるで人形のように動かないわたしの身体は、 自分自身のものなのに心なしか薄ら寒く見え、現実味を全く感じさせない。 そんなわたしの抜け殻は水を湛えた風呂桶にうな垂れ、右腕は冷たい水の中、左手には心を持たない剃刀。 半分浸った長い髪は、水の中で海草のようにくねらせながら踊っている。 ゆらゆらと風呂桶の水は赤く染まる。早い話が、わたしはわたしの体から半分抜け出し、 生きるか死ぬかのはざまに立っている。と、生き神が申すのだ。 「そう、今なら元通りになるよ。ね」 うるさい。生き神なんかにわたしの気持ちが分かるもんか。
わたしは、大人しい目の前の少女に話しかける。正直、この子に興味はない。 「たしか、シノブさんって…言いましたよね」 「うん、わたしはシノブ。生き神のシノブ」 「どこから入ってきたの?不法侵入じゃん、あなた」 「わたしは、死のうかなって思っている人間や、生きるか死ぬかって間の人間の前にしか現れないの。 なんでここに入ってきたかって言うと…なんていうか…ふっと沸いたような」 何を言っているのか、この子はさっぱりだ。 真っ黒のワンピースに、ショートのメガネっ娘。ミステリアスな雰囲気とは相反して いささかお年頃の女の子にしては、いささか地味な格好のシノブは、テヘヘと笑いながらわたしの顔を覗き込む。 「結論から言うと、翔子ちゃんは死ねません。とういか、生きなきゃいけません」 「…なによ。何を根拠に、オトナみたいに偉そうに」 「だから、わたしは『神』なんだって。神さまってもんは人間から崇められているって 先輩達から聞いたのになあ。わたしって、そんなに威厳ないのか。がっかり…。 それに、わたしってそんなにオトナっぽくないでしょ?」 神というより、むしろあんたは悪魔じゃないのか。わたしの邪魔をして、なにを言ってやがる。 しかし、わたしは何処へ行けばいいのだろう。風呂場でもたもたしている場合じゃない。 わたしの計画では、青い空に包まれてしあわせ一杯の天国で下界のヤツラを見下ろしながら、 あははと笑っているはずだったのに、未だ息苦しい地上に這いつくばっているじゃないか。 うな垂れるもう一人のわたしは何も答えない。答えてくれそうなのは、残念ながらシノブだけ。 そのシノブは、半分水に浸かったわたしの抜け殻を抱え込み風呂桶から引きずり出す。 ぺったりと肌に張り付いた制服のブラウスは、わたしの下着をくっきりと映し込み、 胸のリボンからはぽたぽたと雫が垂れていた。そんなわたしの抜け殻を愛でるように 頬を重ねるシノブの姿を見ていると、自分の身体なのにどうしても他人事のように見えてしまうのが不思議だ。 「まだまだ身体もきれいだし、手首を切ってから時間もたってなくてよかったね。 今のうちだったら『わたし、気を失ってました』で、元通りよ。ね、翔子ちゃん」
そういえば、事の発端は些細なことだった。 毎日がつまらないわたしは、いつかは死んでやろうと思いつつ、悶々とした日々を暮らしていた。 この世に未練を残すとしても、特にそんなものはないんだから、いつでも死んでやる。いつでも。 親も、教師も、周りのヤツラもみんな嫌い。友達なんか、もちろんいない。 いちばんわたしを苦しめているのは、他でもない『オトナ』だ。 小さい頃からいじめられっこのわたし。泣いて家に帰ったとき、親や教師は「いじめ返してもいいんじゃないの」って ひとごとのように、わたしが手にしていた剃刀のように身を切るだけの言葉を投げつける。 そんな事できるもんなら、とっくにやっている。でも、できない。 わたしが仮にいじめ返しても、ヤツラもいつでもわたしを更にいじめ返すことも出来るのだ。 そうして、毎日毎日灰色の暮らしを続けていたのだ。 思い切りが付かないというわたしの性格だから、死んでしまうきっかけさえ掴むことを拒んでしまう。 『いつでも』と言う言葉に甘えながら、生きていたのかもしれない。よわ虫翔子なんだから、仕方がないか。 いつもオトナたちは無責任な言葉でわたしを苦しめる。一度でいいから大人をバカにしてみたい。 で、つい一時間前のこと。母親からちょっと千円貸して欲しかっただけなのに、 すったもんだの口論となり、わたしを見捨てるようにヤツはパートの夜勤に出かけていったのだ。 今日は父さん出張だから、夜は一人で食べなさいとわたしを置き去りにしていってしまった。 そっけなく断わる母親の冷たい視線が、わたしのこの世の未練を断ち切らせてくれる。 そして、次の瞬間目にしていたのは、剃刀を持ち右手首から流れるわたしの血潮。 衝動だけでその時は行動していたに違いないだろう、ヤツの後姿を見てから風呂場までの記憶がわたしにはない。 ただ、「母さんのバーカ!」 そんな言葉、言っていたっけ。力も無いわたしの反抗。
事の顛末をシノブに話すと、飽きれたように彼女は風呂場から出てわたしを呼ぶ。 「翔子ちゃん、ちょっと来て」 「………」 「あんた、安いね。千円女だ」 「うるさいわね。あんたこそ、地味で色気もないもないダサダサ女じゃないの」 「悪い?わたしだって…女の子だし、きれいな服とかも欲しいし…うん」 「…泣くな!」 「でも、わたしはお仕事が好きなの!」 シノブは吹っ切れたようにわたしの家の中を走る。我が家の事を何故良く知っているのか、 そんな突っ込みも入れる間もなく、ドタバタと足音を立てながら廊下を歩き、 階段を登り、両親の部屋へとシノブは入ってゆく。 わたしが後を追うように部屋に入ると、シノブは両親の部屋のタンスを勝手に引き出して、 にやっと笑いながら引き出しの裏を覗き込んでいた。 「てへへ。まったくベタな所に隠してるんだからねえ」 薄っぺらな封筒がぺたりと引き出し裏に張り付いていた。シノブがそれを引っ剥がすと、 ためらう事なく封筒を開き、中身をわたしに渡してくれた。その中身とは、手触りのよい一万円の束。 「一、二…六万?」 「とっときな」 「だって…!」 「こうでもしないと、またあんた狂言自殺しかねないから」 「…狂言って…。わたしは本気なんです!」 「こんなことで死ねるなんて思ってるんだからねえ。かわいいなあ、翔子は。 でもさ、わたしね…あんたのこと、嫌いじゃないんだからね。だって、わたしと似てるし」 「なんだか分かんないけどムカつくね、あんた」 わたしがシノブに文句を垂れても、この子はマイペース。ぎこちない手つきで一万円札を捲る。 「六万は、多すぎたかな」 「勝手に…、いいの?」 「こうやって、オトナをバカにするのは楽しいね」 五万円は戻しシノブは遠慮なく、一枚だけわたしの手の中へくしゃくしゃっと押し込む。 いたずらっ子のようなシノブの笑顔はイラ付くが、わたしの事を『嫌いじゃない』って言ってくれたヤツは、 もしかしてわたしにとって、シノブが初めてかも知れない。悪気はないはずだ、うん。 憎まれ口をシノブに叩こうとした時、彼女はいつの間にか居なくなり、 同時に気が遠くなったわたしは、ふらっと力が抜ける感覚がした。
気が付くと、わたしは一万円札を手にして真っ暗な風呂場に倒れていた。 長い間、ここでわたしは眠っていたようだ。小さな窓は夜を映し出していたのだから。 いつの間にか右手の血潮は止まり、微かに暗闇に映るのはタイルに横たわっている、わたしの血で染まった剃刀。 息がある。脈もある。そしてわたしには、命がある。 なんで?なんで生きてるんだ。あのシノブのせいだ。おせっかいな『生き神』のせいだ。 もしかしたら、またわたしが死のうとした時にシノブがやって来るんじゃなかろうか。 二度と会ってたまるもんか、あんなヤツ。おせっかいは…嫌いだ。ただ、「大嫌い」とは言ってないからね。 いけない、もうすぐ母親が帰ってくる。 風呂桶から水を抜き、風呂場からわたしは抜け出すと剃刀を新聞紙に包み庭に埋めて、 パジャマに着替え自分の部屋に閉じこもる。くしゃくしゃの一万円を手にして。 もしかして、またわたしが「死んでしまおうか」って本気で思ったときには、 シノブが現れるかもしれない。二度とないかもしれないけれど、ぜったいないとも言い切れない。 もし、シノブに再び会ったとしたら、「余計な事をするな」と一言文句を言ってやる。 そして「ごめんね」って言ってシノブをぎゅっと抱きしめながら、彼女にぴったりなかわいいブレスレットでも買ってあげるか。 わたしには、この一万円もあることなんだし。 女の子なんだから、見てくれぐらいに気を使えよな。シノブ。 おしまい。
いかがでしょうか…。
投下乙です ゆっくり読ませていただきますです
荒らしはスルー推奨です
>>147 発想は相変わらずイイと思います。
最後に何を言いたかったのか伝わってこないので、何を書きたいのかが定まった文章を書くようにすると良くなるでしょうね。
あらすじだけでも立てて、伝えたいこと(出来事、感想)を決めるとよいのでは。
内容としては、主人公の厨っぷりが気になりました。どうなんでしょうね、こいつは激甘ですよね。狙ってのことかな?
表現の方ですが、よほどうまく切らないと水で致死量まで血液を減らすのは難しいでしょうし
(この場合、多分水の中には手首を入れない方が血の抜けは良いでしょうね。ただし、お湯であれば別です)
そして、離脱後。抜け殻と書くのはどんなもんでしょうね、「私の身体」でよさそうです。
この場合視点のみが天井あたりから見下ろしてるイメージで書けばいい線行くと思います。
設定で、幽体が幽体を見られるのかにもよりますが。
それに、生き神が金で片がつくと思ってるのはどうかと思いますw
発端は千円でも、違う方法で解決してほしいところ。
会話のリアリティが不足してるので書く際、もっと各キャラに感情移入するといいでしょうね。
文章の使い回しなんかは何ともいいがたいところです。例によって
>>142 だけ後でちょっと書いてみますね。
ありがとうございました
>>147 >>142 改変してみました。気に障ったらスルーしてください。
わたしなんかいなくなっていたはずなのに。
誰に関わることも、苦しむこともなくなるはずだったのに。
「ね、元の世界に戻ろ」
あんたは誰?誰なの?
「わたし?生き神よ」
あんたに会ってから、計画が狂ってしまった。
不思議なものだ。わたしは、自分自身を見下ろす、という、奇妙な体験をしている。
ここは自宅の狭い風呂場の中。小さな窓から、茜色に変化してゆく空が見える。
目の前には一、二歳年下と思われる少女――今「生き神」だと名乗った――が腕を組んでいる。
その下に力なく横たわったわたしの身体。まるでマネキンのように脱力した身体は、
薄ら寒く見え、現実味を全く感じさせない。何か別のもののように思えてしまう。
そんな蒼白い身体は湯気の上がる浴槽にしなだれかかり、右手首は水面下にあった。もう片方の手には床に落ちて広がっている。冷徹ないろの剃刀が横に置いてあった。
お湯と血が混じりあい、紅い血が浴槽を満たしている。要するに手首を切って、脱出には成功したはずなのだ。もう死んだろう。ざまに立っている。
それなのに、生き神は言うのだ。
「そう、今なら元通りになるよ。ね」
生き神なんぞに分かってたまるもんか。
と、こんな感じかな。これは正解でもお手本でもないことは断わっておきます。ただの例ですが、参考までに。
>>111 の独り言でした。頑張ってくださいね〜。
それでは、また会うレスまで
すみません
>>152 訂正
>もう片方の手には→もう片方の手のひらは
>冷徹ないろ→冷徹な光を帯びた
3連レス失礼。
>>106 から読ませてもらったけど、第一作で少し違和感を感じたところが、二作目で良くなってる(注1)と感じた。どっちを先に書いたか知らないけど、二作目のほうがうまい。
日本語上のおかしな部分は結構あったりするんだけど、瑣末なんで指摘はやめときます。聞かれれば答えるけど、そこはちゃんとした文章の本とかと比べて自分で学んでみて。でも暫らくして読み直せばきっと気付くレベルだと思う。
ロマンチックでセンチメンタルな世界観を描くと、どうしても文体がウェットになりやすいけど、意識して少しでもドライな描写を挿入(注2)すると全体的なバランスが取れて読みやすくなると思う。
死神と一万円札という、幻想と現実を比較したアンバランスさは面白いと思う。
ただ、リストカット描写が弱いかも。淡々と描かれる現実的なグロさ(致死傷ではないにせよ)があれば、読んでる方はもっとドキッとしてひきつけられる。死ってのは、あっけないと同時にもっと鮮烈なものだと思う(注3)。
物語というのは、始まりと終りで主人公がどう変わったか(或いはいかに変わらなかったか)を描くものだと思う。そして、その変化に説得力を持たせるには、キャラクターに本音を語らせたりぶつけたりすることも必要なわけで。
ラストシーンでその変化をもう少し明確に、わかり易くしても良いかもしれない。二人がラヴいのはよくわかったけどwどっちも嘘吐きっ娘だから、短編では難しかったかもだけどね。
とても面白い世界観だと感じました。もっともっと妄想して、キャラクターを活き活きと描いていってください。
注釈:上よりも俺個人の思い入れが強い感想になってます。取り扱い注意。
(注1)具体的には、一作目のシノブさんはあまり凄そうに見えなかった。生と死の境界線にいるはずの人なのに、そのバランス感覚に慣れがないというか。タケルも言ってる割に普通の女の子相手みたいにあしらってるし。
そのせいで、妄想入ってる女の子(狙ってるのかもしれないけど)みたいな印象だったんだけど、二作目では人には理解しがたい存在としてちゃんと死神してる感じ。
ファンタジー作品は、幻想の世界観を描くのではなく、読者を幻想世界に放り込むものだと思う。そういう意味でシノブさん、もっとそっち方向にはっちゃけちゃっても良いかもしれない。
(注2)>ぺったりと肌に張り付いた制服のブラウスは、わたしの下着をくっきりと映し込み、>胸のリボンからはぽたぽたと雫が垂れていた。
みたいな、語り手の心情を込め過ぎない客観的な描写。ここは結構好き。一人称で語り手が心情を語りすぎると、読む側としてはちょっと重くなる。
(注3)ただし、これに関しては登場人物たち自体が死を軽く捉えがちだから、仕方ない部分もあるかもしれない。登場人物が援護してくれないなら、作者が頑張るしかない。
>>147 >>106-109 (以下1)、
>>142-146 (以下2)の両方読みました。
削る所は削っていいんだけど、もうちょっと長く書いてもいいかも。
人物に焦点が当たるストーリーなのにエピソードが少なくて薄めだから、
1は、自殺しようとした構ってちゃんが萌キャラに惚れられる話。
2は、ワガママ娘が自殺未遂したあげく親から1万円パクる話。
……って印象があります。
シノブに「わたしに似てる」という台詞を言わせるなら、
ゲストキャラを大事にした方が良いですよ。
発想は良いんで、もうちょっと長めに書いてみてはどうでしょうか?
長文は大変ですが、頑張ってみてくださいな。
156 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/13(土) 12:59:51 ID:Xj1vNphp
俺の頭がおかしいのかもしれないが、 あんたは誰? わたしは、生き神よ 生き神に会ったことで〜 の部分はちょっとすんなり理解できなかった 生き神ってなに? とはならないの? なんかあっさり流しすぎな気がする
1,2行目+6行目は状況説明のナレーション 既に生き神と出会った(その存在が既知の事柄に属している)人間の独白。 3〜5行目は「会ってしまった」時の情景の回想シーン 5行目の後で「はあ?生き神?」的なやりとりがあったかもしれないが、 回想が5行目で途切れているからそれは描写されない。 だから特に不自然ではないと自分は感じたな。 更に言えば、生き神についてのシリーズ物の内の一作でしかも最初の作品ではない、 そもそも「生き神」という謎の存在について、それが関わった物語を語ることで 間接的に明らかにしていこうとする作品である、という二点を考慮すると、 人物の自然な会話に寄せて説明シーンを設ける必要性自体がない。 ただ、読み易さを重視するなら上の構造をはっきりさせるために3〜5行目を 空行で挟んでブツギリの回想であることを明示すべきだったかもしれない。 しかし、このような空行の使用法を幼稚な表現として嫌う人もいるので、 結局趣味の範囲ということになるのではないだろうか。
159 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/13(土) 13:33:52 ID:Xj1vNphp
>>157 書いてる本人からしてみたら
> わたしは、生き神よ
と
> 生き神に会ったことで〜
とで場面が切り替わっていて、連続的な描写ではないんだろうね。
連続的な描写だとしたら、指摘の通り不自然。
漫画ばっか読んでるからこんな下手くそな描写を書くんだろうねー(笑)
頭の中で勝手に漫画のコマ割りのように場面を描いてて、それをなんの工夫もなく文におこすとこんなぎこちないものが出来上がる。
>>158 生き神についての説明をやって欲しいのではなくて、
正体不明のものに対しての生っぽい反応がちょっと足りないんじゃないかなと思えた。
次の段落でフォローされているというわけでもないし。
161 :
蛙とムカデ :2008/09/13(土) 20:21:01 ID:xTSTxWDF
むかーしむかしあるところにダンスが得意なムカデ君がいました。 50本の足を変幻自在に操り本能で踊るその姿をひとたび見れば誰もが虜になり 森のパーティでムカデ君が踊ればみんな釘付けになってしまいました。 しかしたった一匹、それを快く思わない生物がいました。蛙君です。 蛙君はムカデ君の素晴らしいダンスに嫉妬し、ムカデ君を貶めてやろうと 悪魔の企みを企てました。 ある日蛙君は手紙を書きました。 「並ぶものなきムカデ様、あなたのダンスはまことに素晴らしく私は心酔しています。 そして是非とも参考にさせていただきたいのですがあなたはどのようにダンスを踊るのですか? まず27番目の左足を上げ、13番目の右足を上げるのですか? それとも最初のステップは40番目の右足を踏み出して、それから3番目の足を上げるのですか? お返事を心よりお待ちしています。蛙」 手紙を受け取ったムカデ君は初めて自分がどのように踊っていたのか考えた。 最初はどの足を動かしてる?その次は?そしてそれからは? こうして考えてるうちにムカデ君はダンスを踊れなくなってしまいました。 おしまい
寓話風SSですね 寓話の良しあしや技法なんかわかりませんが、完成していると思いました。 「本能で」を「本能のまま」がいいかな? 乙でした
163 :
141 :2008/09/13(土) 22:12:00 ID:D09u16vy
みなさん、ご批評ありがとうございます。 確かにマンガ的でしたね。急ぎすぎなのが悪い癖だなあ。 また、頑張ってみます。
164 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/14(日) 06:26:37 ID:HvFxvnAx
起動した真っ白な「Word」の作業画面を前にして、紗枝は途方に暮れていた。学校での情報の授業という ものは、パソコンの一番面白い機能を無視して、つまらないながらも実用的でかつ将来に活用できる用法を学ぶ、 最高に退屈な授業でしかなかったのだ。計らずも少しだけ楽しみにしていた紗枝は、授業開始後五分でこれから の授業の流れを理解し楽しめないことにがっくり肩を落としていた。 そんな紗枝のところへ降って下りてきたのが目下の課題だった。実際は課題などというまでもないものだったが、 紗枝にとってはとても困難なものになってしまった。 何かを書き込めというのである。授業の進行行程を一通り説明し終えた教師は、全員がプログラムを起動した のを確認するや、唐突に、そんなことを言い放った。別段、目の前の機械に打ち込みたい何かがあるわけではな い紗枝は困り果て、現在に至るまで白い画面を前に頬杖を突いているというわけである。 紗枝の顔を照らす真っ白な画面では、アシスタントキャラクターのイルカが静止し、作業バーが虚しく点滅を 続けている。そんな紗枝の周りでは、対照的に、クラスメイトたちが口やかましく会話を続けながら楽しそうに キータイプをしていた。こんな四角い機械を前にしただけで、どうしてみんなはそんなに浮き足立ってしまうの だろう。こんなものの中に望む答えはないだろうに。周りの生徒をちらりと流し見ながら紗枝は思った。 その唇から小さくため息がこぼれ落ちる。そんなこと、個人の問題じゃないか。どうでもいいじゃないか。 首をたれてそう思う。みんなはただ楽しんでいるだけなのだ。少しだけじっとしてから再び視線を画面へと向けた 紗枝は、とにかく何か書き込むことにした。書き込まなければいけないのだ。普通の生徒の中なのだから。 紗枝は己がクラスの中の異物であることを自覚していた。 ばれているんだ。みんなも先生も、わたしがクラスの中で浮いてることに気付いてる。紗枝は画面と向かい合い ながら思った。元から、つるむとか群れるということが出来ないのが紗枝という生徒だ。どうしても「トモダチ」 の輪というものに入れなかった。紗枝自身どうして群集に帰属することが出来ないのか理解出来ないでいたが、 まあ仕方ないことだと半ば諦めにも似た思いで受け入れていた。諦めることは紗枝にはもう慣れ親しんだ対処法だった。 周囲はそんな紗枝を受け入れていた。いや、無視して取り込んでいたというべきなのかもしれない。紗枝が 「違う」ということを意識しながらも、それを声に出して表しはしなかったのである。 だから、紗枝はここでぼろを出すわけにはいかなかった。少なくとも周囲の動向と似たようなことをしておく 必要があった。特別異分子は、独自の行動をとってはならない。いつの間にか根付いていた本能だった。 紗枝は頬杖を突いたまま、開いていた左手でキーボードを打った。画面にひらがなが浮かび上がる。変換。 「新山紗枝」と打ち込んだ。エンターキー。
四つの漢字の後ろで作業アイコンが、「これだけなんですか」と心配そうに点滅しているようだった。別にい いじゃないですか、と紗枝はアイコンに返事をした。 これ以上書き込む事柄が思い浮かばなかった紗枝は、自分の名前を阿呆のように見つめながら、いつものように 時間を消費することにした。べつに特別なことをするわけではない。心を止めて、意識を閉じて、外部の刺激に身を 委ねるだけのことだ。心持ち少し前よりも体重をかけて頬杖を突きながら紗枝の聴覚は周りのタイプ音を受信していた。 そんな折にはいつも虚空のような思考の片隅から、ぽつりと感情が浮んでくる。今回は周りのクラスメイトへの 感情だった。よくもまあそんなに書きたいこととか表したいことがあるもんだ。紗枝は深く感心する。それから考 えてみた。彼彼女たちは、いつもどこか何かに飢えているのだろうと。それは例えば恋人だったり食べ物だったり 睡眠だったり自分自身だったりるのだろう。彼彼女たちが決して潤うことのない飢餓感に悩まされているのだと思う と、哀れなような気がしてくるから面白い。紗枝はくだらない時間を潰しながら少し愉快になった。 まあ、そんなわたしは哀れまれるような存在でもないのだろうけれど、と紗枝は苦笑をこぼす。異物に同情は 向けられやしないのだ。向けられる哀れみの質が、どうしても違ってきてしまうから。 ふと、紗枝は画面の中でイルカがうとうとと眠そうにしているのに気が付いた。そっと微笑ましく思う。 同時にこんなプログラムだけの存在に、どうして感情を示すようなものを組み込んだんだろうと不思議に思った。 こんな記号の羅列で組み上がったものに何が出来るというのだろう。 紗枝は左手の小指で「A」のキーを深く押し込んだ。とたんに「あ」の文字列が書き込まれ、白かった画面をど んどん侵食していく。やがて始めの方に打ち出した「あ」の列は、「嗚呼」とか「ア」、「ああ」などに自動変換 されていき、いよいよ意味のなさない「あ」の連続が画面を占めるようになった。 最中、画面の右下でイルカが忙しなく動作を続けていた。嘲笑を込めた小さな息が、こっそり唇の隙間から溢れた。 コンピュータ室にぽぽぽと連続的に音がした。限界まで入力した文字列が、何かしらの変換方向を示せと 紗枝に文句をたれているようだった。オーケー。分かりました。 紗枝がキーから手を離してエンターを押すと、画面には「あ」という記号の羅列が表示された。 長く長く、記号だけが表示されていた。 馬鹿みたいだった。 マウスを操作して、全ての文字を反転させる。紗枝は削除キーを押した。すっきりと全てがなくなる画面。 イルカがうんうん頷くような動作をした。そうしてまた紗枝は頬杖を突く。今度は左手。生徒の進行加減を 見に来た先生が紗枝の背後に立った。 「お、新山、まだ何も書き込んでないじゃないか。何でもいいから書き込んでみなさい」 朗らかに言い残して、彼は紗枝の元から去っていった。四角い画面を前に、紗枝はじっと下唇を噛み締めた。
またお邪魔に来ました。今回は三人称で。 読みにくいような気がするのですが、どこがいけないと思いますか?
ありがとうございます ちょっと即レスで感想をつけることはできませんがお許しください
特定の方へのレスではないのですが、作品を色々読んでいて感じた点があったので一言。 みなさん自分なりの個性を出そうとして、表現技法についてかなりこだわっています。その 思いは伝わります。 ただ、描写・表現というものは、詳しければ詳しいほど良いというものでもないんです。 ちょっと料理で例えてみます。話の核となるアイディアが素材、アイディアを組み立て話を 構成する作業が調理法だとすると、描写や表現は味付けのための調味料です。 いくらスパイスを使えばおいしくなるからって、一瓶丸ごと入れたりしたら、大変なことに なっちゃいますよね。 同じことが小説にも言えます。 人物の内面や状況についての過度な描写は、読み手にとって苦痛なんです。伝えたいことが 逆に伝わらなくなってしまうんです。 「小説にとって大事なのは、無駄なものを省くこと」 一流の作家さんたちは、口を揃えてこう言います。 十の文を百にすることは簡単だけど、逆はとても難しい。実際に文章を書いているみなさん なら、分かりますよね。 必要なものは残し、不要なものは思い切って捨てる勇気。 これを身に付ければ、あなたの作品はさらに良いものになると思いますよ。
ふはははははははは!!
SF板にいでし暗黒の創造主・拙者・参上でござる!
拙者の原稿用紙100000万枚におよぶ衝撃のアクロバチックスギャラクシーサーガハザード!!
おぬしの魂の次元を粉砕し次元をみがく暗黒世界からの神託!!
きみは今衝撃的な体験をするでござる!
モニタの文字の羅列がおりなす暗黒の神話ホラーから絶賛曝好調連載中の
スピリチュアルニューエージファンタスティカスペースバトルオペラ隙間家族!!
2ちゃんを滅ぼしよみがえらせる現人神・拙者に斬れぬ世界はないでござる!!
抜く!怪刀クレイモア!いざ・・新しい感覚の超神覚醒!!
宇宙の波動によりつづられた未来と過去をつかさどるゴッドライター!
http://www5b.biglobe.ne.jp/~dww/watan_001.htm
「過度の装飾や無駄な描写は省いた方が良い」というだけのことをずいぶん冗長に説いたもんだな。
誤読されないように細かく説明して文章を長くするとこうなりますよ、 ってことを体を張って教えてくれたんじゃね?
173 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/14(日) 12:45:45 ID:6RZVuRPM
なるほど。「詳しければ詳しいほど良いというものでもないんです」ってことか。ためになるな。
ふははははははは・・
おぬしらノーマルタイプドアナクロノイドヒューマンにはまだたどりつけぬ領域!!
1024の原文を1分の10に濃縮し情熱のほとばしりをインバーニングゴッドフィンガーにこめる!
拙者の暗黒カキコはワールドワイドバーチャティカウェブドツーチャンネルをつんざく!!
サーバーは激震しモデムはわななきケーブルを燃やす!!
双方向インタラクチッヴ通信でたたき込まれる暗黒粒子!
表示しただけでおぬしをダーク・を・ウィスパー拙者ワールドへ引きずりこんではなさないのでござる!!
http://www5b.biglobe.ne.jp/~dww/watan_001.htm さあ・・リンクをくぐり覚醒せよ・・暗黒の宿命に!!
1分の10に濃縮したことにより実質10倍に薄まるというあるさま!
1分の10に濃縮って、それ10倍濃縮じゃね?
>>177 トップだけ見たけど…、
僕は携帯でこんな恐ろしいサイト閲覧できないので謝ります
ごめんなさい
そのとおり・・人は未知の体験に恐怖を感じるのは至極当然でござる!!
拙者の暗黒秘密エネルギーがうみだすネオ導き型エンターテインメントはおぬしを変える!
一度読んだらハーティスピリッツをつかんで放さない劇的サーガの数々・・
古代歴史の武将の遺志と宇宙彼方のバイブレーショナルブレインが拙者に曝筆させる!
マジックアイテムがうごかす中世ファンタジック政治譚こと寄せの地!!
ナンパでも読める二次創作・・暗黒!シリーズ!!
今このカキコを見たおぬしを変える拙者の秘術とダークテクニック!!
ふはははは・・
>>174 は数字の単位をまちがえたでござるよ・・
かっかっかっかっか・・くくふ・・ふゎははははははははははははははは!!!
うなるッ!怪刀クレイモア!
http://www5b.biglobe.ne.jp/~dww/watan_001.htm
>>179 のサイトは口調ほどアレな文章ではなかったと報告しておくパッと見
でも宣伝イラネ
SSでも投下してけアホ
ふゎははははは・・拙者の世界に飛びこんだ勇者にして賢者よ!!! 拙者の暗黒小説はあまりある長さだから書けないでござる! それゆえ読者をひきよせる方向へ転換するのはまた理の極意・・ ははははは・・ふははははははは・・
いいからトンカツ食え
うむ!! カツは武士の縁起物でござる! デッドピッグスジューシーミーティングカオシックデリシャスヴォアール!!! 勝ってカブトの尾がシマッチング!
184 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/15(月) 06:08:45 ID:azIy0++w
合点承知のスケルトンでござる! しかしおぬしはとんでもない考え違いをしているでござるぞ! ハローワークとは明日をも知れぬ人間のゆく所ッッッ! あのような不毛なわびしい施設など消えてしまえば―――――いかんッ! 拙者の肩にある宇宙をすべし暗黒王の印が反応し街を破壊するところでござったッ・・! さておき、拙者はSEにござる。 あくまでもそれは人間としての地位だがな!
む?名前の入れ忘れ? ・・なにやつにござるか!!
お主なかなかの忍びでござるな
汚いさすが忍者汚い
>>169 のせいで一瞬にして駄スレと化したな。まあ言ってることは正しいんだけどさ。
あまり気後れせず、自信のない人こそバンバン投下しようぜ。
うむ!! 拙者のもとにおぬしの暗黒フォースオブザパワーをささげ週末の再来をちぢめる! 作家の黒い魂が拙者のみなもとに変わる!!!
なんかふゎはははの人が好きになってきた
>>191 ごめんね、立てたときは糞スレのつもりじゃなかったんだ。
まあ仕切り直すべ
かっかっかっかっかっかっ・・ふはは・・ふゎははははははははははははははははは・・ 闇のはざまからのひとすじの暗黒の輝きが魔王にパワーをあたえる・・ 魔王は島国よりうまれ世界の崩壊と再生をあたえる運命と力をひめながら日々暗黒COBOLUを組む・・ プログラムの残留行間にたたき込まれた恐るべし禁断のスペル!! 魔の都OOISO=SITYのアンダーグラウンズマントルコアでにえくりかえる混沌! 滅びのカウントダウン66666時間がはじまる!! ダークをささやく男の黒い暗黒伝説神話がすすむ! 拙者のファンもいずる中・拙者がすべての執筆者に激動のオーラと指導をおくる!! キィワードは全角にすると効果的でござる!
196 :
タイトル「青春」 :2008/09/16(火) 21:33:50 ID:cHro2ca4
俺は道を歩いていた。 足元でグニュッと嫌な感触がした。 そこには馬鹿でかいウ〇コがあった。 最悪だった。 その隣には気品あるウ〇コがあった。 俺はそのウ〇コを思いっきり踏んでみた。 グニュグニュ… これだ! 俺は清々しい気持ちになった。 「ウ〇コって…ウ〇コって…」 俺は笑いながら軽やかにかけていった。
いつまで続くのか……
いい加減落ちたし、あげてみます。 粘着、荒らし再来の場合はスルーで
栗本薫が「私はいくらでも描写しつづけていられる」と自慢していたが 描写しまくりは読者の苦痛なのですかー なるほど
>>199 あの人はここの文脈とはまた違った意味で書いてるとは思いますよ
むしろシーンの発想が尽きないのではないでしょうか。恐るべきことです
装飾過多な文章が苦痛なのは確かですね
某Gに投下した文章やや改 西日が差す砂浜に、一人歩く老人の姿があった。規則的な波音の中、白雲は紫がかったオレンジに映り込み、夜を迎える装いに怠りない。 海岸の松の木も、長年の風のせいと見えて皆一様に腰を曲げていた。ここいら一帯ではかなり強い風が吹く。 寒流が寄る季節には、波が岬の灯台にまで跳ね上がるほどだ。 だが、彼は海風が好きだった。ただ風を受けるだけで、この惑星が回転するのを、時が通り過ぎてゆくのを感じることができるような気さえするのだ。 ぱたぱたと服がはためくが、普段より特に風が強いというわけでもなかった。 老人が歩を進めるたび、荒く黒っぽい砂が、貝殻が、足下に音を立てる。 点々と続く足跡は、だが、不意に止まった。 身をかがめると老人は何かを拾い上げ、また歩き出した。 一時間ほど経ったろうか、丸太小屋の中に、腰かけた老人の姿がある。 目の前の暖炉では湯を張った銅の鍋。時折こぽりと泡が湧く。 彼は貝殻を眺めていた。それほど貝殻が好きなわけでもなかったが、何か考え事をする際に貝殻を眺めるのが癖のようになっていた。 炉の炎に、皺の多い顔は揺らめいて見えた。炉床では太い流木が小さく炎をあげて燃えている。 炎の色は紅く美しかった。塩分が燃えているのだ。流木はたくさん乾かして家の裏に積んであったので、焚きつけに困るようなことはなかった。彼は長いことそうしていたが、やおら立ち上がると隣のドアへ消えていった。 しんとして凍るような夜の中に、ガラス窓がぴしぴしと鳴り、風は甲高く吠えていた。 隣の部屋には彼の書斎があった。灯油ランプの立てる匂いが辺りに漂っている。椰子の木の実を抉って貝殻をはめたインク壺はどうやら手製らしい。 この海岸には本当にさまざまなものが流れてくるのだ。遠い異国の品や貝殻が漂着することさえ珍しくはなかった 真鍮の光沢が鈍く光るペン先を浸すと、彼は何事か書きつづり始めた。 風は強く、窓の外では夜目にも白く流れる雲が、星々を遮っては去ってゆく。 窓のランプの明かりは、外から見ると真っ暗な大自然の中でいかにも頼りなげに揺れていた。暖かなか細い光は、今夜も家の周りをちらちらと照らすのだった。
おぬしはなにがいいたいのだ! 目的のための文章を書くでござる!! 拙者のマインドネスソウルハートにはなにも響かなかったでござる! 拙者はSF・FT作家だから表現方向は違うとしてもでござる。
>>203 ありがとう。
何が言いたい?目的のための文章?……そうだな。
この文章で何が言いたいのか、どんな目的かが伝わらなかったのであれば未熟の身ゆえだろうな、こんなものを読んでいただいてすまなかった。
だが、お尋ねさせてもらおう。起承転結形式で、伏線バリバリ張って、思想を熱く主張する、最後は派手に落とす、そんな文章が目的のための文章か?
少なくとも俺には、そんな文章の方が上っ面な気がする。
偉そうなことを言ったが、若輩のこと、スルーしてくれ。俺はこのスレを立てたとき、感想批評もおkだと書いたはずなんだ。重ねて、感想はありがとう。
サイトは見せてもらったよ
>>204 拙者のめざすところははてしなく壮大なサーガを織りなすことでござる。
暗黒時代・銀河・人間のパネェ心の闇・・拙者が闇にひきこまれた者だからして
血なまぐさい作品が半数をしめるでござるがな。拙者にとって文章をうみだすとは
暗黒世界を召喚する儀式様式だと思ってござる。
魂論はおいとくでござるが拙者は長編でも中身がディープでキュットな作品を産みたいので
構成にはとても気をつかって何度も手をいれながらかきあげていくでござる。
いくら空想とついていてもSFは理論的に読者を納得させ引き込まねばならぬでござる。
拙者のかんがえる目的とは読者をエンタで楽しませながら練った構成と理論を吸収させる業!
拙者のつみあげた実績はカウンターがものがたっておるからして、おぬしも小豆を
数えるような気持ちで一つづつ数えて足跡をたどってみるのもよいでござるな。
>>206 これって元ネタあるんですね
ただの粘荒だと思ってました
>>207 エロゲーの変態キャラが元ネタだと思うよ。うろ覚えだけどね。
>>202 単に文章の練習のためだけに書きました、という印象。まあ
>>203 に同意。だから?という感じ。
批評者に逆ギレなんて、馬鹿な投稿者だなあと思ったら、スレ主かよw 少なくとも俺の目には
>>203 は別に中傷とは映らなかったけどね。
>>203 は「何か伝えたいテーマがあって書いたのか」という事を言いたいんだろうのに、
「起承転結形式で、伏線バリバリ張って、思想を熱く主張する、最後は派手に落とす、そんな文章が目的のための文章か?」
なんて的外れな反論なんかしたりしてるし。文調とは裏腹に、
>>203 の方がよっぽど大人な対応。まあ実際にオッサンみたいだけどw
スレ主がこんなんじゃますます過疎るよ?読み手も感想する気が失せるわ。
>>209 >>209 感想どうもありがとうございます。
ちなみに俺は中傷されたなどとは一言も言ってませんし、実際に中傷されたなんて微塵も感じませんでした。
>>203 からは「伝えたいテーマを伝えきれてない」という意味のことを感じたのみです。
伝えたいテーマがあったのかどうかについては、あったとお答えしています。悪意に取られるのは不本意ではありますが、
親切心からのお言葉でしょうし、自分の側に落ち度があったことは間違いないようですからありがたく熟考させていただきますね。
>>210 ならなんで
>>203 には丁寧語で答えてないの?
ざっとみたところ、おたくレスは丁寧語で書いてるみたいだし。
>>203 にムッとしたからなんじゃないの?
投稿者がそんな対応してると、はたから見てる者はすごく白けるよ。
あれなんか変な安価になってるし 最近空気がおかしいからなんか投下しようとしたらする端からこれか おかしなプライドのせいですることなすこと裏目だな ちょっと吊ってくる
>>213 まあたしかに文体はアレだけどねw
でも書いてること自体はまともだし、俺も同じような感想をもったしね。
荒らし的なレスしてるみたいだからスレ主としては苛ついてたのかも知れないけど、
感想に対しては話は別なんじゃない?と思ったわけで。
ここって二次ありか?
>>1 で「二次創作は専用スレへ」ってあるが
種死の二次とか投下されてたよな
なんか変な空気になってて不安なんだが…
二次スレ行った方がいいかな
どうだろう? 俺もよくわからん
>>216 二次かどうかなんて関係ないですよー
もともと予定が一次総合だったんで、今はただの文章評価スレです
ただgdってテンプレなどがない状況なんでフリーダムに行ってくださいw
>>203 殿
やあやあ!おぬしがスレ主殿でござったか!
スレ主はスレの主・・しかし拙者はダークアナザーワールドライティングの主!
おたがいに神から孤高の世界を産みだす運命を与えられた戦士!!
戦士・・おとこには譲りあいができぬときもあるでござる!
いま!ペンを刀と変えて剣を交えるのもぶつかりあいの進化のかたち!!
>>206-208 ぬゥッッ?!!
ドクター・ウエストに拙者がにているッ!?
検索いたしたが語尾は〜なのである〜だとかかれていたでござるぞ!
クトゥルフは経典の範囲内にござるがなりきりができるほどは知らぬでござるよ!
エロゲェで顔をたてられるイケメンなくらいしか拙者とちかい条件はござらんな
>>216 はああァアアァアァァァアァッ・・・・阿保かッッおぬしはッ!!!
此処はジャンルも虹もないおのれの文書を練り上げるモサの神聖な酒場にござる!
該当スレがないものを投げこむスレにはござらん!!
ジャジャッと去ってスレを立てておぬしだけの力で盛りたててみよ!
拙者が闇の支配者にかわり命ずる!
220 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/20(土) 21:14:19 ID:T+8Txcyl
>>202 語りが3人称だから老人?が貝殻をそれほど好きじゃないって言っちゃいけないだろ。
それほど好きじゃないようだが、とか……。
チープになるのは分かるが、そう言う文体の乱れがあると選考では、はじかれるよ。
因みに自分は良く一次選考のバイトとかするけど、一次選考はあんまり内容みないで文体でばっさばっさ切るよ。
まあ結果として文章確りしてる人のって面白かったりするんだよね
>>218 そうか、ありがとう
とりあえず投下してみるか
ちょい長いから支援よろ
マイナージャンルで申し訳ないが
智代アフターの河南子SS
微妙に朋也×河南子かな?
わかる人いれば読んでもらえると嬉しい
白い建物。無機質な壁。微かな消毒の匂い。 ある病院の一室に、重苦しい、穏やかならぬ空気が蔓延していた。 「なんだよ、それ……おかしいだろ、そんなのっ。先輩はなんでそんなに落ち着いてるんだよっ!!」 河南子は語気も荒く、椅子に座った智代を睨む。だが、智代はなにも答えない。静かに椅子に座ったまま、なにかに耐えるようにじっとしている。 そんな様子を見かねたのか、それまで会話を聞いていただけの朋也が口を開いた。 「なあ、あんた……よくわかんないけどさ、その人を責めるのは……」 その言葉を聞いた瞬間、河南子は朋也を睨みつけた。突き刺すように朋也を見る瞳には、それまでとは明らかに違う色の光が宿っている。 怒り。智代に対して抱いたものとは比べ物にならない、抑えようのない憤りが河南子の表情には滲み出ていた。 「あたしは河南子だっ!! 『あんた』じゃないっ!! おまえ、一度でもそんなふうにあたしを呼んだことがあったかよ……それに……『その人』って……先輩はあんたの一番大切な人だろっ!!」 朋也に怒鳴りつける度に、河南子の胸がギリギリと軋む。河南子は呆然としている朋也の胸倉を乱暴に掴み、さらに言葉を吐き出す。 「思い出せよっ……あたし、全部見てたっ……あんたは、あたしとか鷹文とか……ともとかっ!! すげえがんばって……わけわかんないくらいにがんばって……みんなを助けてくれたじゃんか……!!」 その光景が、河南子の頭の中でめまぐるしく巡っていく。 川原での喧嘩、鷹文とのランニング、山奥での学校作り……。そのどれもが朋也自身の為ではなく、いつも誰かの為の行動だった。 「そしたら今度はあんたが幸せになる番だろっ!! 先輩とふたりで幸せになる番だろっ!! あたしたちのことはどうでもいい、先輩のことくらい思い出せよっ!!」 河南子の声は怒鳴り声というより、むしろ叫び声に近かった。朋也はそんな河南子の迫力に気圧され、驚いた表情でただ言われるがままになっている。 「ふざけんなぁーーーーっ!! 治れよ、てめぇーーーーーーーっ!! 頭打って思い出せないなら、あたしがぶん殴って思い出させてやるっ!!」 硬く握り締められ、振り上げられた拳。だがそれは、 「もう、いい……やめてくれ、河南子……」 弱々しい声でそう告げた智代に、そっと止められていた。しかしそれでも、河南子の中の感情は収まることを知らずに暴れ続ける。 「間違ってるだろっ!! こんなの絶対おかしいっ!! こいつが……なんでこいつがっ……!!」
「いい加減にしろよ、河南子」 その時、それまで無言だった鷹文が低い声で河南子の言葉を遮った。 「一番辛いの、ねぇちゃんだってわかってるだろ……」 その場の誰もが、河南子と同じことを思っていた。 ――――なぜ朋也が、朋也だけが。 とも、鷹文、河南子、そして智代の為に。みんなが幸せになる為に誰よりも力を尽くした、誰よりも幸せになるべき人が、なぜこんな不幸を背負わなければならないのか。 それでも誰もそれを口にしないのは、口にしたところでどうにもならないとわかっているからだ。 「……そんなことしたって、にぃちゃんは治らない。憤りじゃどうにもならないことなんだ」 鷹文はそれを河南子に伝える。河南子のように叫び出したいのは、鷹文だって同じだった。 だが、河南子もそれを理解していないわけじゃない。 「だって、こんなの……」 わかっている。河南子にも、それが現実だとわかってはいる。しかしそれでも、河南子にはそれを受け入れることができない。次第に、河南子の怒りは悲しみに、言葉は涙に変わっていく。 「うわぁあああああぁぁぁーーーーっ!!」 想いがついに決壊し、河南子は人目もはばからず声をあげながら病室を飛び出した。 (なんで……なんでっ……!!) その言葉を頭の中で何度も繰り返しながら、廊下を走る。だがそれでも、その憤りをぶつける相手を、その悲しみを癒す術を、河南子は見つけられない。 「……河南子っ!!」 その声に、河南子は足を止め廊下の真ん中に立ち止まった。河南子を追いかけてきた鷹文が、その体を後ろから抱きしめる。 「河南子……」 「ぅ……うぅっ……」 「落ち着いて。まだにぃちゃんが治らないって決まったわけじゃない」 「けど、だけどっ……!」 「心配なのはわかるよ。ねぇちゃんも、もちろん僕だって平気なわけじゃない。みんなにぃちゃんのことが好きで、心配してる。河南子と同じようにね」 「…………」 嗚咽も治まり、少しずつ落ち着いてきた河南子。鷹文はこどもに言い聞かせるような優しい声で河南子に囁く。 「にぃちゃんを信じて、僕たちにできることをやろう。大丈夫、きっと治るよ」 「……うん……」 河南子は振り向くことなく、小さな声でそれだけを答えた。 ※
二週間。慌しい二週間だった。 鷹文と河南子は、朋也の記憶を戻すために奔走していた。町を巡り、朋也の知人を訪ねて回ったのだ。高校時代の友人、教師、上司。事情を話し、数え切れないほど朋也の元に連れて行ったが、結局朋也の記憶は戻らなかった。 そして昨日、朋也は再び倒れた。次に目が覚めたときには、朋也はまたすべてを忘れている。智代のことも、鷹文のことも、河南子のことも。 河南子は一人、マンションまで来ていた。智代は病院に、鷹文は両親を心配させないために、今は家に戻っている。 河南子は部屋のドアに手をかけた。 そこは、みんながいた場所。朋也、智代、とも、鷹文、河南子。その誰もが楽しくて仕方がなかった、そんな夏を過ごした六畳の部屋。 (…………) 鍵がかかっていて、ドアは開かない。もし今このドアが開けば、すべてが元に戻るんじゃないか。智代がいて、鷹文がいて、ともがいて、そして朋也がいて。不幸な出来事はすべて夢で、このドアを開けることが出来れば夢は覚めるんじゃないだろうか。 一瞬、そんな考えが河南子の脳裏をよぎる。だがそんなわけはない。今このドアが開いたとしても、そこにあるのは主のいない静かな空間だけだ。 「……ッ!!」 河南子は拳を握りしめ、渾身の力を込めてドアを殴った。激しい音と共に、空気が震える。 「……もう帰って来ないつもりかよ、あいつ……」 痛みと熱さが拳にじわじわと広がっていくのを感じながら、河南子は肩を落としその場を後にした。 河南子が病院へ向かっている途中、公園に見るからに不良といった外見の男が数人集まっていた。よく見ると、その中心にはおとなしそうな少女が立っていて、それを男たちが取り囲む形になっている。 河南子から見れば、強引にナンパしているのか、それとも脅しているのか、そんな風に見える。 河南子は苛立ちの表情を隠そうともせず、その集団に歩み寄った。男の一人が気づき、敵意剥き出しの河南子を見て眉をしかめる。 「なんだよ、てめぇ」 「おまえら、その娘から離れろ」 「あ?」 「離れろって言ってんだよ」 「意味わかんねぇよ、いきなりなに言ってんだてめぇ……」 側に来た男の腹に、河南子は拳を叩き込む。男は呻きながら膝をつき、場の空気は一変した。 「いきなりなにすんだよっ!!」 「うるさいっ、おまえらこそ……!」 「待ってください」 殺気立った男たちを前に、河南子が構える。危うく乱闘になりかけたその時、少女が口を開いた。その声に、河南子に殴りかかろうとしていた男たちの動きが止まる。 「みなさん、暴力はいけませんよ」 「だけどゆきねぇ、こいつが先に……!」 「それでも、です。暴力ではなにも解決しません」 少女にそう諭され、男たちはしぶしぶと拳を納めた。その様子に呆然としたのは河南子だ。少女は満足げに微笑み、拳を握り締めたまま固まっている河南子にも声をかけた。 「あなたは……私を助けようとしてくれたんですね。ありがとうございます。でも、みなさんわたしの友達です。心配いりませんよ」 「ぁ……えっと……」 「ですが、これからはまず話を聞いてみましょう。きっと解決できるはずです」 「……ごめん」 「…………?」 河南子を見る少女の表情。微笑をたたえていた顔からほんの一瞬だけ、笑みが消える。
「みなさん」 少女は一度河南子から視線を外し、おとなしくしている男たちに向かって微笑みかけた。 「少しこの方とお話していきます。みなさんは先に帰ってください」 「けどよ、ゆきねぇ……」 「大丈夫ですよ。この方もみなさんと同じ、優しい方ですから」 少女の言葉に、それ以上反論できる者はいなかった。男たちはしぶしぶといった様子でそれぞれの居場所へ足を向ける。それを最後の一人まで見送ってから、少女はもう一度河南子に向き直った。 「すみません、お待たせしてしまいましたね。とりあえず、あそこのベンチに座りましょうか」 「え、あ……」 少女の持つ和やかな雰囲気のせいだろうか、河南子は反抗する気も起きず、促されるままにベンチに腰を下ろした。 「少し待っていてください」 少女はどこか嬉しそうに自動販売機まで駆けて行くと、缶を二本手にしてぱたぱたと戻ってきた。 「お待たせしました。コーヒーでよかったですか?」 「……どうも」 「あの、よろしければお話、していただけませんか?」 「なにやってんだろあたし……って話? なんの?」 「あなたが抱えている悩みを」 プルタブを開けようとした河南子の指が止まった。じっと足元を見つめ、わずかに開いた口から動揺した声がこぼれる。 「……なんで、わかったの……?」 「私にはたくさんお友達がいるんです。みなさんのお話を聞いているうちに、悩みを持っている方の雰囲気というか、そういうものがわかるようになったんです。なんとなくですけど」 「…………」 「あなたの悩みは、とても大きいのではないですか? 他人だからこそ言えることもあると思うんです。話せば、少しは楽になるかもしれませんよ」 河南子は缶を握り締めたまま黙っていた。この少女は何を考えているのか。なぜ初めて会った人間の悩みを聞こうとしているのだろうか。 (それにあたし、人に相談したことなんか……) そう言おうとして、しかし河南子は思いとどまった。 (相談なんか……したことないなー、あいつにしか…………) 鷹文の呪い。 そのことを、河南子は朋也だけに相談していた。どうにかなると思っていたわけではない。しかしそれを、朋也はどうにかしてしまった。鷹文に正面からぶつかって、鷹文がもう一度走り出せるようにした。河南子が鷹文と和解できたのも、すべては朋也のおかげだった。 (でも、あいつは特別だから……) 河南子は少女へ顔を向けた。少女は相変わらずの微笑みを浮かべ河南子を見つめている。 「…………まぁ、もう一回くらい気まぐれ起こしてやるか」 「はい?」 言葉の意味がわからず、少女が首をかしげる。河南子はそれを無視し缶を開けると、コーヒーを勢いよく喉に流し込んだ。 かと思うと、缶から口を離すと同時に渋い顔をしてうなり声を上げた。 「……にがっ! カフェオレって言えばよかった……」 「あ、すいません。買い直してきますね」 「あーいいよ。それより、ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」 初めて少女の顔をまっすぐ見つめた河南子。少女はなにかを感じ取ったのか、立ち上がった体を再びベンチに預ける。 「はい、お願いします」
頷く少女。河南子は楽しかった夏を思い返しながら、とつとつと語り始めた。 「あたしにはさ……今、大切なやつらがいるんだ。まだ会って少ししか経ってないけど……楽しいんだよね、そいつらと一緒にいると。 その中に一人、すごく馬鹿なやつがいてさ。エロくて、頭悪くて、いつも心配かけて……でも、なんでもやっちゃう……馬鹿で、すごいやつなんだ」 「……好きなんですね、その人のこと」 「好き……うん、好きかな。……二番目だけど」 その場に知り合いがいないせいだろうか、河南子の口からは素直な想いが流れ出した。そのことに河南子自身が驚き、頬に赤みがさしていく。その様子を、少女は穏やかな表情で見つめている。 「……だけど、そいつが今大変なことになっててさ……あたしには、どうすることもできなくて……そいつはいつも誰かを助けようとして、自分のことなんか考えてなくてさ……馬鹿なんだよ、ホントに……せっかく、みんな幸せになれたのに……」 河南子の表情が翳った。朋也は今どうしているだろうか。目が覚め、事情もわからないまま、『見ず知らずの恋人』に介抱されているのだろうか。 「……残念ながら私には、あなたの悩みを解決することはできません」 「……ああ、いいよ。わかってるから。そんなこと、誰にも…………」 「そのかわり、一つおまじないをお教えしますね」 「……はぁ?」 あまりにも唐突な展開に、河南子は思わず抜けた声を出してしまった。そんな河南子に構わず、少女はバッグから小さな本を取り出した。おまじないの本なのだろうか、表紙はボロボロになっており、何度も読まれてきたらしいことがわかる。 「そうですね……これなんてどうでしょう」 「いや、おまじないって……」 「はい、おまじないです。この本のおまじない、効果抜群なんですよ」 罪のない少女の微笑を前に、河南子はなにも言葉が出なくなってしまった。それでもなにか言おうと言葉を探していたが、 「……はぁ。いいよ、わかった。それで、どんなおまじない教えてくれんの?」 結局、ため息と一緒にその言葉を口にした。 「では、これから教えることと同じことを、あなたの大切な人にしてください」 そう言うと、少女は河南子の手を取り自分の手と絡め始めた。 「うおっ、なんだいきなり!?」 「おまじないです。いいですか、こうして指を交互に絡めてしっかり握ります。そして『ココロアリノママニ』と心の中で三回唱えてください」 「んー……それで?」 「そうすると、あなたはその人に素直な気持ちを伝えることができます」 「ふーん、素直な気持ちねぇ……」 河南子は解かれた手を何度か開閉した。もうドアを殴ったときの痛みも熱さも、すっかり引いている。 「……少し遅くなってしまいましたね。そろそろ帰りましょうか」 「あーそうだね。あたしも行くとこあるし」 「そうですか、それでは」 会釈をし、少女は河南子から離れていった。その背中を静かに見送る河南子。そして少女が完全に見えなくなってから、河南子はポツリと呟いた。 「……こんなこと意味あるのかな、なにも覚えてないあいつに……」 空になった缶をゴミ箱に向かって投げる。缶はなににも遮られることなく、吸い込まれるようにゴミ箱に収まった。 「まあ、やるだけやってみるか」 ※
病室のドアを開け、河南子は静まり返っている空間に問いかけた。 「先輩いるー?」 「……河南子か……?」 弱々しい声が返ってくる。河南子はその声を確認してから病室に入り、ベッドの横の智代に目を向けた。が、その顔を見た時思わず河南子は後ずさってしまった。 「うおぉ、おまえ本当に先輩か!?」 「……なにを言ってるんだ、河南子」 「先輩、今日鏡見た? 酷い顔してるよー。髪だって、ほら、ボサボサだし」 「いや、見ていない……」 「だろーね……。そいつ、寝てんの?」 「ああ……」 二人はベッドに横たわっている朋也を見つめた。目を閉じ、規則的な寝息を立てている。 「……昼間は起きてたんだが、やっぱり私のことは覚えていなかった。朋也はもう、私たちのことを思い出してくれないんだろうか……」 「ッ……!」 今にも消えそうな、智代の声。河南子は智代の肩を掴み、沈んだ顔を無理やり上げさせた。 「先輩言っただろ、『永遠に続く愛はある』って! 先輩だけでもこいつのこと信じなくてどうすんだよっ!」 「……河南子……」 「……とにかく、今日はもう帰りなよ、先輩。どうせもうすぐ面会時間終わるし、後はあたしが見てるからさ」 「……うん、わかった……ありがとう、河南子」 「いいって、これくらい」 普段の凛々しさが嘘のように、智代はふらふらと病室を出て行った。 「……おまえなにしてんだよ、こんなとこで。先輩があんなになってんのに」 河南子の声にも、眠る朋也は答えない。もっとも、起きていたとしても今の朋也には河南子が満足できる返事はできないのだが。 「ホントに馬鹿だな、おまえ……」 河南子は椅子に座り、ベッドにうつ伏せになった。疲れているのか、そうしているとどんどん意識が虚ろになっていく。 それは無意識だったのだろうか。河南子は眠りに落ちる直前、朋也の手をとった。指を絡めてしっかりと握る。 (ココロアリノママニ……ココロアリノママニ…………ココロ……アリノママニ……) やがて、病室に二人の寝息が流れ始めた。
河南子は立ち竦んでいた。 ゆっくりと、確かめるように周囲を確認する。しかし、そこにはなにもない。河南子のいる場所は、見渡す限り白く染まった世界だった。 「…………なんだ、ここ?」 空間を染める白は、どうやら雪らしい。それは絶え間なく、しんしんと降り続いている。それを雪だと断言できないのは、河南子が夏服にも関わらず寒さを感じていないからだった。 「……河南子」 「お?」 名前を呼ばれ、河南子は声の主を探した。雪景色の先に小さな影が見える。その影は少しずつ近づき、河南子の目の前まで来て立ち止まった。 それは小さなロボットだった。いや、ロボットというにはあまりにもめちゃくちゃな外見をしている。ただガラクタを適当に繋げ合わせたような、滑稽な姿。だがそのロボットに、河南子は不思議な懐かしさを感じた。 「元気そうだな、河南子」 「なんだ偉そうなロボットだな。ていうかなんだおまえ」 「こら、蹴るなっ。パーツが外れたらちゃんと直せよ」 短いやり取り。たったそれだけで、河南子は不思議な懐かしさの理由に気づいた。 「……おまえ、朋也か?」 「ああ。ていうか初めてだな、おまえに名前で呼ばれたの」 軽い調子の返事。河南子はしゃがみこみ、ロボットの頭部を掴むと思いきり振り回した。 「こんなとこでこんな格好でなにやってんだよ!? 馬鹿かおまえ! いい加減にしろよ、おい!!」 「落ち着けっ、落ち着け河南子! とりあえず話を聞けって!」 中身は朋也らしいロボットが、バタバタと手足を振り回して暴れだしたので、河南子は仕方なくロボットを離した。 「よし言ってみろ、ふざけたこと言ったらぶっ飛ばすぞ」 「はぁ……はじめに言っとくけど、おまえは今夢を見てる。正確には、おまえがこの世界に夢って形で入り込んで来たんだが……それと、俺はおまえの知ってる『岡崎朋也』じゃない」 「いやわけわかんないし」 「だろうな……」 「ここが夢だってのはわかるとして、ようするにおまえ朋也なんだろ? あたしのこと覚えてるならさっさと目覚ませよ、叩き起こすぞ」 強い口調の河南子に、ロボットは首を左右に振るような仕草を見せた。 「だから、俺はおまえの世界の朋也じゃないんだ。今、そっちでなにが起こってるかは知ってる。でも、それは俺にはどうにもできない」 「……じゃあ、おまえはなんなんだよ」 「俺は一つの可能性だ。『岡崎朋也』という人間が選んだかも知れない人生の、その中の一つの形。まあ今の俺は少し特殊な存在だが……」 「……なんだよそれ……わけわかんねぇよ……」 河南子はまたロボットの頭部を掴んだ。だが今度は振り回すようなことはせず、そのかわり強く握りしめている。 「おまえ、朋也なんだろ……だったらなんとかしろよ、思い出せよっ……! ふざけたこと言って、心配ばっかかけやがって……!」 「河南子……」 「みんながどれだけ心配してるか……先輩が、ともが、鷹文が……あたしがっ! どれだけおまえのことが好きか、ちゃんと自覚しろよっ!!」 心の底から湧き出す想い。その言葉を聞いてロボットは肩を落としたのか、少し身を小さくした。 「……悪い、河南子。俺、いつも馬鹿ばっかりやってるから。そっちの俺が目を覚ましたら、なにも覚えてなくてもいいから、同じこと言ってやってくれ」 「…………」
河南子の手は力を失い、ロボットから離れてパタッと地面に落ちる。本当にどうにもできないらしい。もうこれ以上、河南子に言えることはなにもなかった。 「でも、さんきゅ。おまえの素直な気持ちが聞けて嬉しかったよ」 「……どうせおまじないのせいだよ……」 「おまじない? おまえ、宮沢にでも会ったのか?」 「……宮沢って女? あの変なやつ? 知ってんの?」 「ああ、実際に会ってるのは別の俺だけどな」 <…………> その時、河南子は微かに声を聞いた気がした。河南子が顔を上げると、それはロボットにも聞こえたようで、ロボットは自分が来た道を振り返っている。 「……もう時間がないな。この夢ももうすぐ終わる」 ロボットは地面に落ちている河南子の手をとり、その手になにかを渡した。 「……なにこれ?」 それはなんとも形容しがたい、掌に乗る程度の大きさの光の球だった。光の球はすーっと、河南子の手に吸い込まれるようにして消える。 「あ、消えた……」 「宮沢の話だと、その光の球は幸せな時間を見守るように降って来るんだとさ。俺は何度か見たんだけど、一つおまえにやるよ。おまえが過ごしてきた、幸せな時間に。どんな意味があるのか俺にもわからないけどな」 ロボットはそう告げると、河南子に背を向けて歩き出した。その先に、いつからいたのか少女のような人影が見える。 ロボットと少女は手を繋ぎ、雪景色の向こうへと足を進める。その背中に向かって、河南子は叫んだ。 「朋也っ! 本気で心配してんだぞ! あたし本気で……本当に朋也のこと……!!」 もうロボットは振り返らなかった。 呆然と立ち竦み二つの背中を見送る河南子。そこに、小さくなった影たちの交わす言葉が届く。 <……あそこに、なにかあったの?> <わからない。よく覚えてないんだ> <そう……> <……でも> <なに?> <僕にとって、大切ななにかがあったんだと思う> <どうして?> <心が……温かいから> <嬉しいの?> <嬉しい……そうだね、嬉しいよ> <……そっか> その言葉を最後に、河南子の意識は唐突に途切れた。 ※
河南子はゆっくりと目を開いた。そこに映るのは、白い布団とシーツ。体を起こして周囲を確認する。河南子がいるのはなんの変哲もない病室で、ベッドの上では相変わらず朋也が寝息を立てていた。 「……ん〜?」 不思議な夢を見ていた気がする。嬉しいような、悲しいような夢。 「……もうこんな時間か」 時計は面会時間の終了を告げている。河南子は大きく伸びをしてから、眠っている朋也の顔を覗き込んだ。 (……のんきな寝顔してんな、こいつ……) 朋也の短い前髪に触れ、河南子はおもむろに口を開いた。なにか伝えたいことがある。だが口を半分開いてから、河南子は動きを止めた。不意に、いつか誰かに言われた言葉を思い出したのだ。 『おまえの素直な気持ちが聞けて嬉しかったよ』 誰に言われた言葉だっただろうか。確か、朋也に言われたような気がする。 自分はなんと言ったのだろうか。ただ、そう言われて嬉しかったことだけを河南子は確かに覚えている。 (素直な気持ちってなんだっけ……) ”この馬鹿、さっさと思い出せよ” ”心配させんな” ”先輩を悲しませるんじゃねぇよ” (違う、そんなんじゃない……) 河南子は頭を振った。そんな、何度も口にした言葉ではなかったはずだ。それは確か、初めて口にした言葉だった気がする。今まで一度も伝えたことがなかった気持ち……。 『みんながどれだけ心配してるか……先輩が、ともが、鷹文が……あたしがっ! どれだけ……!!』 『朋也っ! 本気で心配してんだぞ! あたし本気で……本当に朋也のこと……!!』 (!) 不意に浮かんだ言葉。まさにその言葉だった、河南子が伝えた素直な気持ちとは。 『……あたしがっ! どれだけおまえのことが好きか、ちゃんと自覚しろよっ!!』 どこか知らない場所、知らない時間で、河南子はそう叫んだ。思い出すとにわかに恥ずかしさが込み上げ、河南子はがしがしと頭をかきむしった。 (あたしどこで言った!? なんだあれ夢か、夢だったのかっ!?) 一人で悶えてみても答えは出ない。河南子は椅子の上でばたばたと手足を暴れさせていたが、やがて大きく息を吐き気持ちを落ち着かせた。そしてもう一度、ベッドの上の朋也に視線を向ける。 「……これはおまじないのせいだからな。一回しか言わないぞ、いいか? ……もし……」 そこで一度言葉を途切る。朋也が本当に眠っているのを確認してから、河南子は赤い顔で残りの言葉を口にした。 「もしおまえの可能性の中の一つで、今より前におまえとあたしが会ってたら……その時にまだ、鷹文も先輩もいなかったら……そしたらあたしは、おまえを選ぶよ、朋也」 眠っている相手への、なんとも滑稽な告白。それが、河南子の精一杯の『素直な気持ち』だった。 数分後。眠る朋也以外誰もいない病室。朋也の頬には、触れると消えてしまいそうなほど微かな跡が残っていた。 「あっち〜。そだ、パピコ買って帰ろっ」 耳まで真っ赤な河南子が、薄暗い道を一人で歩いている。湧き上がる恥ずかしさをごまかす為の、無駄に大きな動作。 そんな中、特に意味もなく空にむかって伸ばした掌から、夢の中で受け取ったはずの光の球がゆっくりと夜空に昇っていった――――。(完)
乙です。支援する間がなかったな ゆっくり読ませてもらおうと思います
232 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 04:05:39 ID:COH0B60L
>>220 下読みの話がほんとならお前に切られた投稿者が哀れでならない
同感だ
234 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 10:19:25 ID:hfKlQTqc
>>232-
>>234 言っとくけど、文体が変なもの、原稿用紙の使い方おかしいやつ、漢字の間違え等で切ってくれって説明受けてやってることだから。
こんなとこによく晒せるね、こんな駄作
さぶいよ
季節の代わり目だからかな?
湧いていますね
>>235 そうなのかもしれませんんね
日本語を読み書きできない人が最近あちこちにいる気がする
今回は週末だから仕方がないのかも
>>234 手持ちの辞書には「さぶい」なんて語はなかったんだが……。
たぶん辞書が誤りなんだろうね。さすが下読みさん。日本語に精通してらっしゃる。
ちなみに俺は投稿者じゃないよw
> 語りが3人称だから老人?が貝殻をそれほど好きじゃないって言っちゃいけないだろ。
> それほど好きじゃないようだが、とか……。
三人称記述は登場人物の主観を断定形で書いちゃいけないと説明を受けたの?
すごい説だね。多分世の中99%くらいの三人称小説は失格だろうね。漱石のものだろうが川端のものだろうが。
寒い=さぶいは、昔は何度も聞いた。あの頃は大阪に住んでいたと思う
ああ、関西語か。国語辞典にのってないわけだ。
自分は三人称疑似神視点で書いたつもりなんですがまあそんなことはどうでもいいとして
皆さん不毛なレスにではなくSSに感想をつけませんか?
>>230 自分は背景を知らないもので若干人名が把握できませんでした。二次には良くあることですが……orz
地の文は意識して温度を低く保つと台詞内の感情が際立つんじゃないかな。
読者の視点移動を減らすとかなり読みやすくなると思います。
台詞は多いですね、背景を知らないと深さが理解できないような台詞が多いんで知識0の人間には厳しかったかもしれない。
あくまで主観の入った感想です。
他の人の感想、智代アフターがわかる方の感想なんか聞いてみたいですね
>>242 何が不毛で何がそうでないかなんて此方が決めること。
貴方は言葉こそ丁寧だがごう慢な内心が伺えるようだ。
>こんなとこによく晒せるね、こんな駄作 >さぶいよ これが不毛でないとは思えないのですよ 自分が謙遜な人間といえないのは重々自覚しておりますが 少なくともSSを無視してスレ違いなレスに飛びつかなくてもよさそうなものです ああ、スレ違いかどうかも判断するのは私ではないとおっしゃるのでしょうね テンプレは上に書いております
>>244 テンプレからしてごう慢だね。気分の悪いスレだ。
246 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 17:01:16 ID:hfKlQTqc
>>244 人称に就いて言った者ですが、神の視点から言っても前の文から「彼(?)老人は……。貝殻が好きな訳ではなかったが(?)…」という繋がり方に違和感をかんじないですか??
「彼は貝殻が好きな…」となればおk
どのみち「紅く美しかった」とか表現力無さ杉w
下読みのバイトなんか皆学生だぜ?
こういうスレは一つのことに対して多くの意見が出る場だから、他人が書いた、作品に対する評価に対してはなるべく突っ込まないほうがいいんじゃね? 読んだ人が思い思いに作品に対する評価をして、その作品の筆者が自分の参考になる意見を勝手にチョイスする形がいいんじゃないかな。
つまり批評家様に逆らうなって事ですね。わかります。
>>249 や、そうじゃなくて、作品への批評に対しての、第三者による批評は止めて、作品を書いた本人が返ってきたレスを読み、その本人が「これは違う」と感じたことでも、わざわざ書き込んで意見の対立を誘わないようにしたほうが荒れる心配はないんじゃね、って思ったんだ。
書いた本人が参考にならない、もしくは「これは違う」と感じたことは、その本人が黙殺すればいいんじゃないか、と。
まぁ、スレ主でもない俺が何を言ってるんだって話だけどさw
251 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 18:32:17 ID:hfKlQTqc
梨うめえw
>>250 言いたいことはわかるけど、三人称神視点は登場人物の主観を断定形で書いちゃいけないなんてトンデモ説にはツッコミたくなるのも人情だ
素人の主観バリバリの批評をたれながされても困る訳でしてね?
254 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 18:59:14 ID:VGD563bx
>>252 まぁ、そうだわな。
間違ってるのを正してやろうとするのも人情だし、そうしてくれる人が居てくれるのもありがたいことなんだけど……
ここら辺が難しいところなんだろうな。
謙虚さが必要なのだろうか。
>>253 むしろプロが批評をしてくれる方が少なくね?
ネットという場で集まる意見は、玉石混合の物だから、玉か石かを、第三者でなく批評をもらった人が判断すればいいんじゃないかと。
まぁ、別に俺は「お前ら今からこうしろ!」って命令してるつもりではないし、俺の意見は「ふーんこんな考えかたもあるんだな」程度にとりあってくれればいいさ
流れ悪くしてごめん
玉石混交だたw
>>254 2ちゃんでプロの批評家がいたらびっくりするよ。
俺の批評は主観バリバリですが何か?嫌なら無視しろよw俺様ちゃんにはその覚悟があるぜ!
なんて意気込みで批評を垂れ流されたら困るよ。
>>256 いや、批評はあくまで当人の主観でいいと思うよ。つまらないならつまらない。
無理して褒める必要はないし、駄作と思ったら駄作と言い切ってもいい。それに他人が口出しすることもないと思う。
ただ
>>220 みたいに客観的に誤ったものは「オイオイちょっと待てよ」と指摘してもいいだろ。しかも下読みって……。
呆れてしまったよ。
>>242 元ネタ知らないのに感想くれてありがとう
別に無理にレスしなくてもいいんだぜ
とりあえず次が完成するまで投下自重
自重ってか出来ないだけだが
ここにも出現しやがった…… 創作板での宣伝で留めておけよ 他にも出張してるのかも知れないが。
拙者プロフィール HN:D・W・W(深きよりささやく存在という意味でござる。) 1977年生まれ。 ゲームとアニメと漫画と小説をこよなく愛し ドストエフスキーもこよなく愛する一社会人 闇が大好きで、ネット内では何故かござる言葉を話す 謎の人物。 HPに乗せる予定のあるゲーム小説は 女神異聞録ペルソナ等、女神転生系物 エリーのアトリエ等、アトリエシリーズ物 接触はすべて晒しているでござる! おぬしら名無しとは次元のステージが違う!! なんでも正々堂々とうける! それが暗黒の騎士王・拙者のいきざまでござる!
>>260 宣伝だったらまだマシ。
他人のサイトを晒してるのかも知れない。
くくかかかかかかか・・・・ ふゎはははははははははははははは・・ おぬし・・大天才に嫉妬する気分はわかる・・ 拙者は拙者でこの宇宙にたった1人のえらばれし書き手・・ 支配者でもある・・信じたくないのであろうでござるな・・ くかか・ふはははははは・・・・
ちょっと笑い声に自信がなくなってるのに萌え
三十過ぎて中二病は笑えないからやめとけって……
む!!こうか!!! ふはははははははははははははははははははははははははは!! 拙者は!天上天下!唯我独尊!拙者の小説は宇宙1ィィィィィィィィィィィィィ!!! 隙間家族!ヨロシコ!!! わぁーっはっはっは! わぁーっはっはっはっはっはっは!!! 神をやるのもなかなか大変でござるぞ? おぬしらに代わりはできないでござるがな!
ある意味ちゃんと創作した文章を発表しているのだという気もするが 気のせいかもしれない
269 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/22(月) 23:32:40 ID:1quJBzFm
ところで、小説作法勉強してるのか? 3点リーダー、ダッシュは2つ。 基本な。
D・W・Wはサイト見る限りちゃんとしてたよ ここでの口調は嫌だけど 他の人も守ってねって感じ このルールは小説前提じゃなくて原稿前提のように思えるけどこんなことでトラブりたくないからね ところでこれはだれに付けたレスなんだ
2ちゃんねる・・人の心の闇をひきよせる暗黒の魔性壷!!!
なんでもありのカオシック空間!
拙者は今・・自分をときはなっておるのだ!!
>>271 おどろキャラよりもいつもの威風堂々した拙者の笑いをききたがっていた者へでござる!!
273 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/26(金) 12:31:33 ID:WW6Eossy
274 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/08(水) 19:06:58 ID:16duV/z8
あげる
このスレの過疎を解消しようと、ちょいと案を出してみる。
創作発表板としての意義からは外れるのかもしれないけど、所謂、名文という奴を分析してみるのも良いんじゃないかい?
青空文庫辺りから名作を引用して、皆でその表現方法とかテンポを分析する、みたいな。
特別企画って事で期間を定めれば、さほど板違いスレ違いにもならないと思うんだ。
何より「じゃあ良い文章ってどういうものなのよ?」って多くの人が抱えているであろう疑問にも、一応の回答(のひとつ)が出せるかもしれない。
参考テキストの古臭さは否めないけどw
>>1 じゃないのに偉そうだけどwこのスレで目指すべき事は、
初心者や中級者(殆どの住民がここに含まれるだろうね)の文章を叩いたり指摘する事じゃなく、
批評の目を通して、皆で魅力ある文章を掘り起こす事だと思うんだ。
そしてその批評の為の目は、ここに投下がなくても鍛えて養えるようにした方が良い筈。
…まぁ
「お前みたいな偉そうな事をいってる下手糞が投下すりゃこのスレは盛り上がるんだよ!!」
って事かもしれないけどw
いつか投下する事もあるかもしれないから、もうちょい待ってww
277 :
10/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ :2008/10/23(木) 23:17:34 ID:5Gz/rn6q
ついでage 物書きいらっしゃーい
ハハッ、あまり反応がないみたい…
せっかくなんで、俺が遥か↑で書いた批評を評価してもらいたいです。書いてみて分かったけど、批評って難しいんだよね。
「どうすればもっと魅力的な文章になるか」「作者に伸ばしていって欲しい個性はどこにあるのか」に気をつけて書いたつもりです。
投下文をじっくり読んで、確か一時間以上かけて書いたやつなんだけど、主観的感想と客観的指摘の区別でホント悩みました。
「ここ、おかしいんじゃね?」とか「書いてる意味分かりにくくね?」みたいなとこあったら指摘して欲しいです。
さすがに一月以上前の文なんで、相当叩かれても泣かないはずwなので、辛口でおkです。皆が批評でどんな事に気をつけてるのかとかも、是非聞いてみたい。
くれぐれも批評先の作者さんに迷惑がかからないように気をつけてw宜しくお願い致します。
>154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 06:48:04 ID:624nzA5v
>
>>106 から読ませてもらったけど、第一作で少し違和感を感じたところが、二作目で良くなってる(注1)と感じた。どっちを先に書いたか知らないけど、二作目のほうがうまい。
>日本語上のおかしな部分は結構あったりするんだけど、瑣末なんで指摘はやめときます。聞かれれば答えるけど、そこはちゃんとした文章の本とかと比べて自分で学んでみて。でも暫らくして読み直せばきっと気付くレベルだと思う。
>ロマンチックでセンチメンタルな世界観を描くと、どうしても文体がウェットになりやすいけど、意識して少しでもドライな描写を挿入(注2)すると全体的なバランスが取れて読みやすくなると思う。
>死神と一万円札という、幻想と現実を比較したアンバランスさは面白いと思う。
>ただ、リストカット描写が弱いかも。淡々と描かれる現実的なグロさ(致死傷ではないにせよ)があれば、読んでる方はもっとドキッとしてひきつけられる。死ってのは、あっけないと同時にもっと鮮烈なものだと思う(注3)。
>物語というのは、始まりと終りで主人公がどう変わったか(或いはいかに変わらなかったか)を描くものだと思う。そして、その変化に説得力を持たせるには、キャラクターに本音を語らせたりぶつけたりすることも必要なわけで。
>ラストシーンでその変化をもう少し明確に、わかり易くしても良いかもしれない。二人がラヴいのはよくわかったけどwどっちも嘘吐きっ娘だから、短編では難しかったかもだけどね。
>とても面白い世界観だと感じました。もっともっと妄想して、キャラクターを活き活きと描いていってください。
>
>
>注釈:上よりも俺個人の思い入れが強い感想になってます。取り扱い注意。
>(注1)具体的には、一作目のシノブさんはあまり凄そうに見えなかった。生と死の境界線にいるはずの人なのに、そのバランス感覚に慣れがないというか。タケルも言ってる割に普通の女の子相手みたいにあしらってるし。
>そのせいで、妄想入ってる女の子(狙ってるのかもしれないけど)みたいな印象だったんだけど、二作目では人には理解しがたい存在としてちゃんと死神してる感じ。
>ファンタジー作品は、幻想の世界観を描くのではなく、読者を幻想世界に放り込むものだと思う。そういう意味でシノブさん、もっとそっち方向にはっちゃけちゃっても良いかもしれない。
>(注2)>ぺったりと肌に張り付いた制服のブラウスは、わたしの下着をくっきりと映し込み、>胸のリボンからはぽたぽたと雫が垂れていた。
>みたいな、語り手の心情を込め過ぎない客観的な描写。ここは結構好き。一人称で語り手が心情を語りすぎると、読む側としてはちょっと重くなる。
>(注3)ただし、これに関しては登場人物たち自体が死を軽く捉えがちだから、仕方ない部分もあるかもしれない。登場人物が援護してくれないなら、作者が頑張るしかない。
批評の批評とは新し…くはないけどちゃんとした形ではやったことなかったな その時自分はどんなレスをしたんだろうって比べてみてリアルに死にたくなったので 今はちょっと控えます
280 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/24(金) 13:40:28 ID:ENAKJ2eY
書きたいんだけどさ、批評家は何様なの?お客さんなのか業界人なのかクリエイターなのかわかんないのが板を萎縮させてんだって事に気付くといいよ。書けるネタはあっても、自分の子供達を何処の馬の骨かもわからんやつに食われるために投稿するほど馬鹿じゃないんだわ 結論としては、書き込んでないお客さんも沢山いて多様な価値観があるんだから、一部の批評家が出しゃばってうちは投稿したくないんだわって事。土壌としてはおしい状況なのね。 自分らは読み手なのか書き手なのか、よく考えてみて。書き手が気軽に書ける土壌になれば黙ってても発展すると思うの
>>280 匿名なのに「オレが書きたくない」とかバカかよ。
書いてる奴が叩かれて書かなくなる素人なら、レス返すのだって素人。
批評家きどりと一緒に叩かれるのが怖くて、感想なんか投下しなくなるよ。
そうなりゃ空気読めないのが「日本語でおk」と言いたくなる会話しはじめるだけだ。
書いてる奴が素人なら、批評家きどりも素人と心得た方が双方幸せになる。
程度が低い人間ほど目立つ他人を↓に見たくなるけど、結局みんな同じ穴の狢なんだ。
蔑んでもいいけどこんなカスでも共存しないと、こっから先はないね。
多様な価値観とか言っておいて、お前は何もわかってない。
こういう書き方すると反発して負の連鎖が起こるんだけど、オレは自重しないし、
こんな議論してたら一向に投下も批評も行われずに
議論だけでスレが進むなんて創作文芸で通り過ぎた道だけど、オレは一向に構わない。
もう少し言っとくと「オレはこれだけのものが書けるからこういう事を言うんだ」ってのを示さないと
出し惜しみの負け惜しみにしか見えないよ。
何処のどいつかわからんヤツに食われるとか、プロの考え方だよね。
書き手が気軽に書ける土壌とか言っといて、作品読んでくれる人を「お客」とかそれこそバカにしてんじゃないの?
自分がなに言ってるのか自覚してるのかも疑問だよ。
そんなプライドあるなら、こんなぬるま湯抜けて就職活動した方がいいんじゃないかな。もちろんライター業のだよ。
匿名での投下なんて所詮馴れ合いなんだから
わりきるか諦めるかしないと、まともな事なんでできやしない。
対するレスだって匿名だし、批評家きどりの罵倒屋に責任能力なんてあるわけがないんだよ。
書きたくない書きたくない連呼したところで、罵倒屋はなおさら煽ってレスするんだ。
お前はじゃあ一生投下しないで、批評家きどりがいなくなるのを待つという不毛な事をする気か?
書きたいものが本当にあるなら、ウダウダ言ってないで投下しろ。
それと批評なんてあくまで他人の意見なんだから、採用しない・聞く耳もたないって方法もあるんだがな。
どうも物書きは他人の目ばっかり気に過ぎていかんね。そんな注目度なんてないんだよ。
注目されると思ってるなら、自意識過剰もいいところだよ。そのまま注目作を出版社に売り込めばいいじゃないか。
発表されない文章はただのオナニー、発表しようが公開オナニー。
そんなもんにどんな感想つけるかどうかなんて、そんなの見たヤツ次第だ。
仮にお前が投下したって、上手かろうが具にもつかなかろうが煽りレス一つなしで議論でスレが進行する事だってある。
それがイヤだ良い反応だけクレと言うなら、自分で管理した投稿サイトでも作るんだね。それなら自分でルール決められるぞ。
曰く、俺は作品を投下したからエライ。曰く、する気があるから場を盛り上げてお客様になれ。
曰く、煽り屋はオレがスルーできないから消えろ、オレがNGにすることはない。
そんなアホな考えは捨てとけって。捨てられないなら、ここで出せない精液でも出版社にでも売り込んでこい。
投稿者がまずプライド捨てなきゃ、こんなスレは成り立たない。
他にも作家志望がいるだろうから言っとく。作家になりたいなら、書く事や発表する事にまず慣れろ。
出して損すると思ってるなら、お前の作家としての命なんて長くないよ。
まあ、まだはじまってもいねーけどな。
と、批評家きどりの批評の酷評してみたけどどうだろう。
俺書いてるけどwikiとかサイトとかで史実の情報調べまくって 得た知識で苦労して書いてるもんオナニーとかいわれたら泣くわ 侮蔑語だと分かっていってるのか?
チョッパリとかイエローモンキーみたいなものニダ
オナニーじゃない創作活動があるとでも思ってるのか ホント思考はプロそのものだね
オナニー 語源は旧約聖書の「創世記」中の人物オナンの名に由る。 日本語では自慰を意味するが、本来は生殖を目的としない性行為を指す。 因みにオナニーはドイツ語。
別につける言葉はオナニーじゃなくてもいいだろw 趣味とかw わざわざ下品な呼び名つけるところが鮮人ですねw
起源を主張できないので評価を貶めたいんですね、わかります。
自慰行為=セルフでカタルシス=発表しない作品、これ定説。 発表しないってところを完成しないに置き換えても可。 オナニーだろうと文芸だろうと、言ってしまえばそれは妄想。 悪感情を煽るような文体であるとは感じたけど、ここについては間違っちゃいないと思うな。
>>280 少しは言葉を選ぼうよ。馬鹿なの?死ぬの?なんでそんなに必死なの?
意味がわからない。
というか
>>1 で感想批評おkと書いてるんだから、感想批評無しの投下用スレでも立てればいいじゃん?
強い言葉使えば自分か優位に立ってると思えるからだろwww
作り手と読み手の間にはこんなにも溝があるんだな 同じ空間で活動すんのって、不可能なんじゃね?
読む人が心情的に書く人の側に立つ必要なんて欠片も無いと思うけど。 溝があっても当然じゃない?
294 :
霧 :2008/10/25(土) 10:33:44 ID:rR9PL2eX
俺は書き手であると同時に読み手ですが 空気が悪いとかふんぞり返ってる奴は創るってことを理解してると思えないね
295 :
278 :2008/10/25(土) 19:12:20 ID:jlKyKXqo
俺の批評を批評してくれてる流れなんだろうかこれ… 書く方の立場から言わせて貰うと、頼まれてないのに批評されるのやっぱ嫌だよ。 でも、頼んで批評してもらう(多分それがこのスレの意義だよね)のならば、何を言われてもキャッチなりスルーなりを出来る心構えは有った方がいいと思うね。 具体的にどんなものかといえば、 先によそで発表済みの作品とか、作ってから時間が経過してて自分でも冷静に見られる作品、とかがいい。 何かを指摘されて、「それは自分も思った……」「そういう意見も有ると思うけど……」「ああ、その視点は気付かなかった……」とかの客観的な感想を持てなければ、わざわざ批評してもらう意味がない。 読む方でいうと、真面目に批評書くのって大変(作者の為になりそうな事を書こうと思うと特に)だし、どうしても偉そうになっちゃう。 だから出来れば書きたくない(笑)んだけど、ちゃんとやれば自分の文章の癖とかにも気付けるんじゃないかな? とは感じる。 できれば一方的に批評するんじゃなくて、ちゃんと作者さんとやり取りが出来ると良いと思うね。 投下して意見を待って、それで終わりじゃないんだぜって。 そういう意味で、俺の批評はそういう目的意識に欠けていると感じたwいや、俺がいかんのだがww一方的で書き逃げっぽいのは自重すべきだわ。 書く方も読む方も素人だって事を忘れちゃならんと思うんだ。
それがすでに個人の主観でしかないって事に気づかないのかねえ
結局は書き手がタフになれって話じゃないの? でも実際のところ、批評(というより、この場合は批判だけど)をしたくなるときって こんなクソみたいなもの読ませやがってー、ってときなんだよな たいてい怒りか含まれる。そんなに冷静になれない。 じゃあ読むなって話だけど、読んだからこそこういう考えが出てくるわけで なにをいったところで、多分なにも変わらないよ 全てをあきらめろ
議論はそこまでだ 俺が新作発表するから叩け 俺は地元の高校に通う、ごく普通の学生だ。 ある日、登校中に道端で倒れている少女を発見した。 行き倒れか?殺人事件か?何だか判らないが、とにかく関わらないほうが良い。スルーしよう。 俺は見て見ぬ振りをして、少女の横を通り過ぎた。 そして、その日は何事も無く終わった。その少女が転校して来た以外は。 翌日、その少女は俺の親友である吉田好夫と並んで登校して来た。 何だか仲良さげだ。友人が遠い存在になってしまったような気がする。 その日の昼休みに変質者が教室に入って来た。俺は学食に行っていて、 その場には居合わせなかったが、好夫の話では転校生の少女を狙って来たらしい。 ストーカーか?世の中物騒になったな。 翌々日、好夫と少女は授業中に揃って退室して、そのまま帰って来なかった。 色惚けも大概にしろや阿呆が!明日は親友として説教してやろうと思う。 こんな感じで進む話
俺も書いた 俺は地元の高校に通う、ごく普通じゃない学生だ。 なんと俺には未来を予知できる能力があり 行動の先を見通すことが出来るのだ、凄いだろう。 ある日、登校中に道端で倒れている少女を発見した。 俺の予知能力によればこの少女を救うと謎の組織に追い回され、ラヴロマンスっぽい事態に陥る。 でも面倒なので全力でスルーした、スイーツ。 俺は見て見ぬ振りをして、少女の横を通り過ぎた。 そして、その日は何事も無く終わった。次の日その少女が転校して来た以外は。 翌日、その少女は俺の親友である吉田好夫と並んで登校して来た。 何だか仲良さげだ。俺は予知能力を使うと好夫と少女はハッピーエンドだった、おめでとう。 親友の幸せを手放しに祝うのが親友というものだ、結婚は人生の墓場。 その日の昼休みに変質者が教室に入って来た。俺は学食に行っていて、 その場には居合わせなかったが、好夫の話では転校生の少女を狙って来たらしい。 見たかった、俺も見たかったよ変質者! そういう血肉沸き起こるような事件は、俺がいるときに起こせ! 予知能力を自慢したいんだよ、俺は! 翌々日、好夫と少女は授業中に揃って退室して、そのまま帰って来なかった。 避妊はちゃんとしとけよ等と思いつつ、今日も俺は予知し続けるのであった。 明日の献立はエビフライ。
>>298 先の展開が分からないのでコメントしづらいが、小説というよりあらすじに近い印象
ただ出来事だけ書くと「フーン」なので、感情移入なりなんなりできるようにした方がいい
内容を面白く見せるような描写がほとんどないので、肉付けをしっかりするとよさげ
特に友人と少女と主人公のキャラがつかめないので、やっぱキャラの描写がどうしても欲しいところ
あと、「その」が多い気がするので見直して少し控えるといいかもね
>>301 指摘ありがとう。
本来なら友人が主人公ポジションであるべきところを、
メインとサブが逆転したのをやってみたかったんだ。
それを明確に見せる為にあらすじ型にしたんだけど、
それでも人物描写はしっかりしたほうが良いんだな。
それとは関係なしに「その」が多いのは地だと思うので気をつけます。
って書いたら今度は「それ」が多いよ……反省しますorz
あと
>>299 は別人だよ
エロ小説では大事だな>人物描写
アイデアが凄くいいと思った。
傍観者かつ話者である「俺」が、一体どんな相手に話してるのか(話相手との間柄とか、読者でもいい)ってのをじっくり作ってくと、「俺」の心境とかももっと表現できるかも?
口語小説(ライ麦畑とか)や手紙小説(若きウェルテル・あしながおじさんとか)が参考になりそう。これらがまさに読んでく内に、描かれない話し相手のキャラが出来上がってく小説の代表格じゃないかな。
>>298 みたいなタイプの小説は、たぶん読者も「俺」と話し相手の両方に感情移入しながら読むんだと思う。
というか面白いぞこれ、もっと読んでみたい。
>>298 >>299 ほんとに別人かよw
つかみが弱い、読みたいとか思わなかった。
頑張って読んでもセリフなのか心の声なのかわからんとこで集中力がリセットされる。
中身が良くてもつかみがアウト。たぶん共通認識の部分に文字を割くべきだな。
脳内完結気味だからかなり拒絶反応でたし、良いかと言われれば良くない。
>>298 その設定で途中まで書いて挫折した先人からのアドバイス
致命的に盛り上がりにかける
途中まで書いてて出オチ過ぎることに気がついて……後は分かるな?
着地点もどうしたらいいか分からんかった
最終的に友人に巻き込まれると出オチですら無くなり
完全にありふれた普通の話と一緒になるし……
ただ人の書いたのを見るとやっぱり面白そうだな
暇を見つけて俺も頑張ってみるか……
307 :
298 :2008/10/27(月) 20:32:11 ID:+PdicthL
こんなにレスが貰えるとは思わなんだ
ありがたいと思うと同時に、申し訳ない気分になって来た
>>304 続きを読みたいとな?
……敢え下手スレにお越しください
ちょっと前に、ここやSF板にいた変なコテにくっそみそに貶された下手の横好きネット作家です。
あいつ大嫌れー。 頭おかしかったし。
エディタ使いの癖に原稿用紙1万枚分書いたとか、この作品は500pに相当するとかもうね。
長けりゃ偉いのかよ?と思ってた。
まさか2ちゃんまで出張してふんぞり返ってたとわ...。
http://www6.kiwi-us.com/~bluerose/literary_work/gemini/gemini_story01.html 批判されたのは別の作品ですが、こんなん如何でしょうか。
ちなみに太宰治が大好きで『〜し給え。』とか影響が見えてるw
メンサロの小説スレでは『心の腫瘍と言う概念は面白いがよくわからん話』との評価。
さえないっぽ。 視点激しく切り替えながらのヤンデレ復讐譚かなと思います。
何かが響いた方はWeb拍手押してくだすったら孫子の代まで感謝する。
投下乙です …でももうすぐ落ちちゃうから、また後で読む事にするよ。量も多そうだし楽しみだ すぐに感想つけられなくてごめんね
読んだ ゴメン批評するほどきっちり読めてないorz こういうのは嫌いじゃないな、挿絵パワーもあってか 読みにくい部分もあるとは感じたけど違和感の中身が説明できないので消えます
312 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ :2008/11/05(水) 18:37:03 ID:UCIWBZt0
ヂェミニってやつ挿絵エロカッタw 病んでる奴の為のグロテスクな世界かな 読んだけどござる野郎の方こそ没個性じゃね? クソ長いファンタジーだの学園コメディなんか買えば読める グインサーガ買ってるほうが有意義 おまいの法がなんか作家肌みたいな気ガス
真性キティに絡まれて凹むなんざ心が弱い証拠。
俺に三スレストーキングして告知した人ってどなた?
315 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/18(火) 00:22:21 ID:rJNj646K
糞スレ晒しage
自分が立てたスレを久しぶりに見るとなんというかこう、来るもんがあるな
∩_ 〈〈〈 ヽ 〈⊃ } ∩___∩ | | | ノ ヽ ! ! / ● ● | / | ( _●_) ミ/ <こいつ最高にアホ 彡、 |∪| / / __ ヽノ / (___) /
もしここ立て直すなら
(仮)『小説……見てください/// 真面目に批評や感想を求める人のスレ』 「こんな小説でけた\(^o^)/ 本音で言ってください、どうっスか?」 「もしこれを直すなら、貴方ならどう書き直します?」 チラシの裏に書くのはもう辞めたいんです。オブラートに包まれた「まあまあ」感想しかもらえた試しがないんです。 自信を持ちたい。上手くなりたい……。 ……誰にだって自分の小説・文章を、いろんな人からの目で評価してほしいって気持ちがありますよね? ここは、そんな弱気で強気になっちゃった人のためのスレ。キーワードは向上心。 実は、長文で感想や批評やアドバイスがもらいたいんだけどって人のためのスレです。 SS・小説創作の初心者のためのスレから独立したスレ。みんなで真面目に応えてやるからこっちおいで。 利用上の諸注意事項はこちら ・批判されるのに慣れてない人のご利用は……想像の斜め上な痛みを受けるでしょう。「辛口を下さい」コールは、自殺行為かも……。 ・感想、批評、アドバイスは、他でもなく投稿したその人に”だけ”へ送られたメッセージです。感謝の返レスすると相手は喜びます。 ・返レスには「自分が思うに」という言葉が省略されています。評や感想は人それぞれなのが当たり前です。 ・「直木賞のすべて」でぐぐってみましょう。プロ小説家の文学賞審査会てものでも意見見事に割れまっせ。 ・カチンときたときの返レスは、くやしくて泣きたいときほど時間を置きましょう。こんな意見を持つ人もいるのだと、見識深める気持ちを持ちましょう。 ・投稿や批評を書き込みボタンを押す前に、もう一度見直してみましょう誤字脱字。 ・どこをどう見て貰いたかったのか。きちんと伝えることも修行です。聞きたいところは具体的に。 ・想定ジャンルのアピールは重要。台詞系からケータイ小説、童話やラノベやエンタメ、純文、……趣味が違えば畑も違って、書き方も。 ・なんだかんだ言ったところで、沢山書くのが一番。修羅となって貼る、ハルトシュラーになれる人が伸びる人。
>>320-322 もし、立て直すなら、こんなのどうですか?
まぁテンプレなんて、問題おこす人の誰もが読んでないんだけどね。
うおすっげぇ すごくがんばったな
おお、いい感じではないですか ちょっと熟読してくる
>>321 >守ってほしいお約束
の「・批評の批評は原則禁止。」が埋もれてる気がします
項目の頭にもってってもいいかも
328 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/12(月) 17:57:37 ID:hxl6Dgcb
>>326 ざっと読んだ。すげえまとまってるww
これはテンプレからリンクしてほしいな。wiki入りとか
うわほんとだ 普通にメル欄に書いてあった
ageてないのに、人がいる!
元スレで、お手本的な、力はいった批評が投下されてんのに、みんななにしてんのwww
>>326 うん、ぱすわかんね。ってメル欄ね。
>>327 だよねー。
列挙の順番弄るのめんどくさくなってて、どうせテンプレ読むような人は読むだろうし、
読んで来いって言いたい人ほど読まない人だから、ま、いっかになってた。
反省。
これ、学校の文芸部で書き方教えようぜって流れで書いたレジメに毛の生えたやつだから 訂正箇所が結構出ると思う、という予防線は張っておくw そういう理由であんまりにも流出しまくると特定の危険があるんで、念のためパス付けた次第 いやまあテンプレ入りしちゃっても別にいいけど
非常に勉強になりました 金科玉条として一人歩きするのでなければ、ぜひ多くの人に見てもらったほうがいいものだとおもう ここから肉付けしていってもいいかもしらんね 前に話題に上がってたスクールだかのテキストになりそう
>>333 すげー、よく作られてる。目眩しそうwwwたしかにこれで本一冊かけるよー。
個人的には、有料エディタ使うなら一太郎を押してもいいだろ!嫉妬。
ATOK付いてるし、一太郎イイヨイイヨ
このスレの1が今頃やってきましたよっと
>>334 つーかもろにスクール提案した人だ自分ww
もしスクールやるとすれば、そのテキストをちゃんとした文章にして授業形式で……って考えてた
338 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/29(木) 21:51:22 ID:a+dU0O8w
寝ていいか?
339 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/30(金) 21:21:56 ID:8743RQir
勉強の合間に作ったやつ投下しようかな
341 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/13(金) 17:15:51 ID:oWiD1z6h
ノクターン デイブレイク 人間なんて、ただのスーパークラゲだ。 無理に地球の行く末を担う必要もなければ、無理に社会に貢献する必要もない。自分の心が良しとすることだけしてればいいんだ。 でも、社会はそう思ってない。 この国の、遥か雲の上にいる、「偉い」人が、社会貢献とか、地球貢献をしなければいけないと叫んでいるんだ。 偉い人がいったことが、そのまま法律になるわけじゃない。 けれども。 例えば、働かない人は、ニートだとかフリーターだとか言われて、世間で肩身の狭い思いをしなければいけない。 ゴミを分別しなければ、マナーが悪いと邪険にされるし、家の前にそっくりそのままゴミ袋が置いてある事だってある。 でもそんなのは、気に病む必要はないし、むしろ胸を張っていても良いと思う。 法律じゃないんだから良いじゃないか。 少なくとも悪くはない。 悪いのは、それを義務化しようとする近所のおばさんおじさんと、意思のないアンドロイドみたいに、なにも言わずに従う能無しだ。 「次33番……灰原春秋……」 僕の番が回ってきた。 僕はこの春から華の高校生。刹那的に今を生きる若者だ。 「……中学出身の灰原春秋です。一年間よろしくお願いします」 「じゃあ、次。34番…………」 無難に終えた。 中学生時代から、前にでて何かをする訳でも無かった僕は、高校でもそうしようと思っていた。 それが僕の透明のスタイルでありスタンスである。 クラス全員分の自己紹介も終わり、担任の教師がプリントを配りながら説明を始めた。 今後の授業の進め方や年度の運びなど、つまらない話が続く。 いささか眠気が襲ってきたが、まさかクラス活動初日から居眠りを咬ます訳にもいかず、窓の外を騒がしく飛び交う小鳥たちに目を向けた。 そこでふと、窓際の席に座る女生徒が目にはいった。 窓の外をみているのだから窓際の生徒が目にはいるのは当たり前だろう、という意味ではなく、彼女が特別僕の目に止まったのだ。
342 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/13(金) 17:17:46 ID:oWiD1z6h
肩ぐらいまでの癖っ毛と、少し曲がった背筋。 線の細いからだに乗っかった小さな顔には、薄い唇の上についた筋の通った鼻、淋しそうな目にかかった、薄い眉。 その全てが折り重なって、どこか虚空を感じさせる物憂げな印象を作っていた。 いや、実際彼女は物憂げな表情をしていた。 その物憂げな横顔は、とても、綺麗だった。 しばらく彼女を見ていると、彼女と目があった。 僕は本能的に、まずい、と思ったが、目を逸らすということはしなかった。 それは彼女も同じだった。 随分長い間見つめ合っていただろうと思う。周囲の机や椅子、生徒までもが、灰色になって、背景に変わった。 「じゃあ……あと30分、余ったから好きなことしてて良いぞー」 担任の間延びした声で、灰色だった世界に色が付いた。 彼女は、ふっ、と笑うと、窓の外に視線を外した。 僕も彼女にならって、なにをみるでもなく、周囲を流し見た。 自由時間といっても、話題という話題がない僕らは、席の近いやつ同士で、出身地とかで話題を見つけ、たいして面白いとも思えないような事を、細々としゃべっているだけだった。 それから、時間だけが悪戯にすぎていき、1時間程に感じられた30分が消化された。 今日の課程の終了を告げるチャイムがなり、「じゃあ帰っていいぞー」という担任の間延びした声で解散を告げられた。 大抵の生徒は、慌ただしく教室を出ていき、知り合いや、帰りの準備に手間取っている生徒などが教室にちらほらと残っているだけだった。 僕は何となく、机に座り、そんなクラスの様子を見ていた。 しばらく経ち、帰るか、と思って椅子を引くと、机の前に例の彼女がたっていた。 怪訝な顔をしながら立ち上がり、鞄を引っ提げると「君の出身地……」と深みのある低い声をかけられた。 後ろにまだ続きそうな物言いだったので「僕の出身地がどうかした?」と促した。 「君の出身地、前住んでいたのよ」 「君が?」 僕はこの春、元々いた地を離れ、二県も離れたこの地に引っ越してきたのだ。 「そうよ。小学校までだけど」 へえーといいながら教室を出ると、彼女も横についてきた。 あとは、他愛もない世間話などをしながら、最寄りの駅まで一緒に帰った。
343 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/13(金) 17:19:08 ID:oWiD1z6h
僕の今までの人生で、彼女ほど美しい人を見たことが無かった。 しかし、その暗い表情のせいか、いままで浮いた話など一度もなかったらしい。 そんな感じの話をしていると、「灰原君だってもててたでしょ」と言われた。 「いや、からっきしだよ」というと、「嘘ばっかり」と切り返された。 嘘ばっかりと言われても、幼稚園で近所の子と婚約をしただけで、他にはただの一度もなかったのだ。 彼女の名前は木戸杏奈。 彼女がいれば学園生活も、きっと楽しいものになるに違いないと思った。 家が遠い彼女と駅で別れ、別々の方向に帰る。 電車に飲み込まれて、しばらく揺れ、近所の駅につく。 駅のホームを歩きながら物思いに耽っていた。 この町に来てから、一週間。 人間は一週間たつと、どんな環境にも適応すると言う話を聞いたことがある。 そうすると、僕もこの町に慣れたということだろうか。 緑の多い公園は今も新鮮で、家の前の長い坂道を上るのは、今でも拷問に思えた。 ただいま、といいながら家に転がり込むと、飼い猫の明智が、ニャーと鳴いた。 明智は、少し肉付きの良い僕の大親友で、一週間前から、我が家の一員になったのだ。 明智にミルクと餌をやり、美味しそうに頬張っているところを、寝転がりながらひたすら見ていると、窓から注がれる、春の昼の日差しが突き刺さり、意識が朦朧としてきて、睡魔には勝てないな、と思い、そのままま暖かなどろみのなかに溶けていった。 ――幕
スーパークラゲw これからいい高校生活が始まりそうな予感ですな
これはwww
346 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/14(土) 00:06:43 ID:JQivwBXe
小説とか書くの初めてなんで、ところどころテンポとかおかしかったと思います。 でも、ちょっとこんつめて書かないといけないことになったので、多角的な指摘を待ってます。 酷評してください
評じゃなくて感想で悪いんだけど、陰惨な話なのかと思ってたら意外な展開で驚いた。 でも女の子に出会って急に光が射してきたって感じじゃなくて はじめから最後まで印象は暗いままっていうのがいいね。 これ続きあったりするの?
348 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/14(土) 00:33:39 ID:JQivwBXe
続きとかは無いです。 ただ、文章って言うのは回りの影響が強いんじゃないかと思って、ためしにかいたものを晒してみました。 まだ、どんなのを書こうとか決まってないのでどんどん突っ込んだ事とか言ってください。
349 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/14(土) 14:16:43 ID:JQivwBXe
な
ん ・ ・ ・ だ と ・ ・ ・
351 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/15(日) 00:48:26 ID:SZa/RF/4
あ
352 :
辛口評論家 :2009/02/15(日) 04:22:06 ID:nGVCxR6D
>>346 非常に読み易い、
詩情的で、何気ない光景を印象的にしていて
自分にはないセンスで、むしろオレが勉強になった・・・
何を書くのか知らないけど、オレはこういうの嫌いじゃないね
ただ、最後、猫と絡ませるのは、詩情的な風景をスゴク身近な日常に
してしまうので、そういう狙いがある時以外はやめた方がいいのかも?しれない
オレには分かり兼ねるけど・・・
詩情も然ることながら、一度、担任の間延びした声とやらをよく聞いてみたい、
そんな想いに駆られたなぁ
最後、
・・・気付いたら、授業中に居眠りしてて、
担任の間延びした声で「おい、起きろ〜!!」とか言われて、
担任の間延びした声で、再び、灰色だった世界に色が付いたのだった・・・
とか思い付いた
353 :
辛口評論家 :2009/02/15(日) 04:35:54 ID:nGVCxR6D
>人間なんて、ただのスーパークラゲだ 最初もやり過ぎじゃないかな? 人間なんて、ただのクラゲだ・・・海洋を当てもなくふらふらと彷徨う・・・ それでいいんだ・・・
スーパークラゲは某コテの人へのオマージュなんよ……きっと、多分
ノクターン デイブレイク 評 主人公は「自分の心が良し」とするものを「する」のだという。では何が「良しとするもの」なのか。 文中を見れば、「法律でなければ良い」「少なくとも悪くはない(事)」「(少なくとも悪くはないもの)を義務化しようとするおじさんおばさん」「意志の無い〜脳無し」 などと出ているが、ここには思春期特有の短絡的な思考が見え隠れしているのではないかと推測する。 「偉い人がいったことが、そのまま法律になるわけじゃない。」「意思のないアンドロイドみたいに、なにも言わずに従う能無しだ。」なんて言葉はよくそれを表している。 まるで筆者がそういう思考を過去に持っていたのだろうか? それほどにリアルだ。 ただ残念なのは、これほどまでに綿密に「思春期の少年」を描写していながら、その後の展開にはほとんどこの少年の人格が影響しないという事だ。 何と言うか、物語上だけでなく、読者にまで猫を被ってしまっているのだ。 この無気力症候群の典型(などと分類しては筆者に対して失礼であると思うが)の自分勝手な内面を、物語に絡め、描写してこそキャラクターが生きるのではないか。
文章で少し気になるところは >そこでふと、窓際の席に座る女生徒が目にはいった。 窓の外をみているのだから窓際の生徒が目にはいるのは当たり前だろう、という意味ではなく、彼女が特別僕の目に止まったのだ。 のところが少しまどろっこしいかな、と感じました。 「窓際に座る生徒たちのうち、一人の女生徒の姿が僕の眼に飛び込んできた。」 とか「特別に眼に留まった」ということを表現しつつ もっと簡潔な書き方ができそうだと思います。 >周囲の机や椅子、生徒までもが、灰色になって、背景に変わった。 >担任の間延びした声で、灰色だった世界に色が付いた。 周りのものはすべて灰色になって、彼女だけが 「僕」意識の中で目立っているってことだと思うんだけど、 ちょっと分かりづらいような…。 彼女にだけ色があるっていう描写をして、 我に返ったときの「灰色だった世界に色が付いた。」という文を 「色」という単語を使わずに「灰色だった世界が元に戻った」という感じにしたら より「僕」の意識の中で彼女が際立っている様子がよく伝わるんじゃないかな。 あとは担任の声が「間延びした」っていう表現が2度使われているからどっちか べつの表現でもいいかも。 自分だったらこうするかな、というのを指摘してみました。 ながながとごめんなさい!なかなか魅力のある話だと思います。 これからもがんばって!!
文章で少し気になるところは >そこでふと、窓際の席に座る女生徒が目にはいった。 窓の外をみているのだから窓際の生徒が目にはいるのは当たり前だろう、という意味ではなく、彼女が特別僕の目に止まったのだ。 のところが少しまどろっこしいかな、と感じました。 「窓際に座る生徒たちのうち、一人の女生徒の姿が僕の眼に飛び込んできた。」 とか「特別に眼に留まった」ということを表現しつつ もっと簡潔な書き方ができそうだと思います。 >周囲の机や椅子、生徒までもが、灰色になって、背景に変わった。 >担任の間延びした声で、灰色だった世界に色が付いた。 周りのものはすべて灰色になって、彼女だけが 「僕」意識の中で目立っているってことだと思うんだけど、 ちょっと分かりづらいような…。 彼女にだけ色があるっていう描写をして、 我に返ったときの「灰色だった世界に色が付いた。」という文を 「色」という単語を使わずに「灰色だった世界が元に戻った」という感じにしたら より「僕」の意識の中で彼女が際立っている様子がよく伝わるんじゃないかな。 あとは担任の声が「間延びした」っていう表現が2度使われているからどっちか べつの表現でもいいかも。 自分だったらこうするかな、というのを指摘してみました。 ながながとごめんなさい!なかなか魅力のある話だと思います。 これからもがんばって!!
二重に書き込んじゃった…すみませんorz
アカの思想に染まりきっとるな
360 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/15(日) 17:51:43 ID:SZa/RF/4
酷評ありがとうございます。 ご指摘いただいたことを含め、改めて作品を書こうと思います。
362 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/16(月) 23:23:55 ID:Ha+yGZHw
あ
363 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/17(火) 00:29:27 ID:K6OtuP58
ordinary smooth daily 7時10分。家を出て学校に向かう。 学校に着くと、無人の教室に明かりをつけて入った。 無人の教室に漂う雰囲気が好きだ。ただそれだけの理由で、毎朝一番早く教室に来る。 放課後のそれには劣るが、やはり無人の教室に霞がかった空気は格別で、実態の無い不思議な高揚感に包まれた。 現在7時50分。何の計らいか、界隈で標高がもっとも高い丘陵に建てられたこの県立高校は、毎朝毎朝遅刻ギリギリに来る生徒達に、過酷な己との戦いを繰り広げさせているのであった。 そのせいか、毎年蝉が鳴き始める頃に始まる体育の持久走では、運動部でもない遅刻組が上位に食い込んでいたりするものだ。 8時00分。無人の校庭に斜めから陽射しが刺さる。窓際に腰掛けて窓の外を眺め、ややセンチメンタリズムに浸っていると、ガラガラと扉が開いた。 佐々木だ。 このクラスの地味な人ナンバー2だ。 暗い性格に対照的な白い肌にのった整ったパーツが見事に芸術的だ。長く黒い艶のある髪の毛は、実際よりも大人びた印象を与える。 彼女と俺は幼馴染みで、家は向かいにたっている。中学に入るまでは良く話したりもしたが、男子と女子の間の境界線が目に見えるようになると、どちらからでもなく自然と話さなくなった。 そして堂々の地味な人ナンバー1に輝いたのはこの俺。 今までいじめといういじめにあったこともなく、ごくごく平和な学園ライフを過ごしてきた。 しかし、誰かに興味を持たれるということもあらず、仕舞いには話しかけてくる人さえいなくなった。 当然友達も彼女もいない高校生が、部活動に入っている訳もなく、毎日毎日をただ意味もなく過ごしていた。 何かに思いきり打ち込みたい、そう思ったことだってある。 でも、この世界でスタートを切るのを忘れてしまった人間が前に追い付くには、並大抵の努力では追い付かず、結局面倒臭いの一言で一蹴してしまうのだった。 生徒がひとり、またひとりと確実に増えていく。始業10分前の今がピークの人入りだ。 みんな、仲のいいものを見つけてはお早うと朝の挨拶を掛け合っている。うむ、仲の良き事は素晴らしき事かな。当たり前だが、俺に声をかけるものはいなかった。
364 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/17(火) 00:34:45 ID:K6OtuP58
今更友達が欲しいとも思わない。 クラスの馬鹿みたいに騒いでるお馬鹿グループにも入りたいと思わないし、そこそこ出来るやつらが集まって、お馬鹿グループを馬鹿にしてる奴等なんて愚の骨頂。 更には、どちらにもなりきれなかった奴等が集まって慰め合うかのようにアニメの話題に花を咲かす余り物グループも論外だ。 このクラスで何処にも属していないのなんて俺ぐらい、いや、佐々木もか。 とにかく、下らない高校生活を下らない連中と付き合ってたら楽しさ百倍で頭がおかしくなりそうだ。 席につけー、と間延びした声を響かせながら入室した担任は、いつの間にか溢れかえっていた生徒たちにのほほんと言った。 今日も休み時間は、音楽を聴きながら寝た振りをして過ごすんだろう。 それも嫌いじゃない、嫌いじゃない。 授業開始を告げるチャイムがなった。ヤンキーかぶれが嘆いている。それにあわせてクラスが笑う。 こいつらは何処まで本気なんだろう。何処まで本気で友達なんだろう。 こんなつまらない日常でよく笑いが絶えないものだ。それとも、ただたんに俺がお高く止まっているだけだろうか。 笑う方も笑う方だが、笑わせる方も笑わせる方だ。 相手がどんな事を考えているのかも考えず、面白いことを大声で言うだけ。わらいがとれりゃあよし。とれなくてもお情けで笑ってもらう。ちょっとそいつは無責任すぎるんじゃないですかね。 段々と、彼らの友達という形態が不憫に思えてきた。 そういえば何で無関係の俺がこんなこと考えてるんだ。授業に集中しろ。 放課後。担任が忘れ物するなよーというなか、生徒達は騒々しく、或いは友達と話ながら、教室を後にする。用事のあるもの無いもの問わず。 ものの10分程で、教室は空になる。空といっても俺はいるが。 誰もいなくなった教室。窓から漏れる光が机を照らし、換算とした教室をつくるのに一躍買っている。 嫋嫋たる風が窓を薙ぐ。その様はまるで、教室の中に人肌の温もりを求めているようだ。
365 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/17(火) 00:36:32 ID:K6OtuP58
しかし残念ながら、この教室にいるのは、人肌の温もりとは無縁のアローンウルフだけだった。 この空間にいると、ふいに切なさに駆られる。さっきまでとは対照的な教室。 時計の秒針が時を刻む音だけが響く。それがまた静寂を増す。 帰るか。そう思うと何の気なしに鞄を引っ提げ、教室を出ていく。 校門から見える校庭では、運動部に属す生徒たちが青春成分を直流している。 ああ、彼らの青春はなんて輝かしいのだろう。若き生命の力強さが滲み出るようだ。古き学舎に反射する陽射しが彼等の舞台を照らすスポットライトのようだ。 きづくとずっと立ち止まっていた。さっさと帰ろう。 凄まじい急勾配の坂を早足に下る。 辺りはすっかり日も暮れて、閑静な住宅街の隙間を縫うようにして突き刺さる日差しが目に眩しい。 住宅街の脇に通るいささか狭い歩道をずっと行くと、幅の広い河川敷に出る。 家の方向とは少し違うが、俺は毎日帰り際にここに来ている。
書き出しを工夫してみない? 文章は形になってると思うから。 適当なところを切って先頭に持ってくるのもいいし、上から削ってくのもいい。そういう操作をやってると、無駄な文章が見えたりする。 最初は時系列に、現在時刻を報告しながらっていうスタイルかと思ったけど、そうでもないみたいだし。 無人の教室に漂う雰囲気が私は好きだ。 ただそれだけの理由で、毎朝一番早く教室に来る。 放課後のそれには劣るが、無人の教室が霞がかった空気は格別で、実態の無い不思議な高揚感に包まれるのだ。 あと、主人公の心情に何も変化が起きなかったってことがなぁ・・・。 短編なんでしょ? 何か動きがないと読んだ意味がないというか、「山場なし、オチなし、意味なし?」 帰り際に思わず佐々木に挨拶してしまったら向こうも何気なく返事をしてきたとか、そういう「転」がないと、いつの日の主人公を書いたって同じだしね。 でも、思春期少年の感傷っていうのかな? そういうのはすごくよく描けてると思うよ。
367 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/18(水) 03:00:27 ID:YdZJfw1Q
実は長編です。 佐々木に河原で絡んでるヤンキーに勇敢に立ち向かって返り討ちに合うんです。 それで主人公が全治2ヶ月の大怪我を負って入院するんです。 入院中、毎日見舞いに来てくれる佐々木に恋をする話なんです。 でも、要するに出だしに引き付けがないってことですよね。 わかりました。
話自体はベタだけど、生徒の心情はよく出てるわ まるで厨房の時のオレみたい
369 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/19(木) 01:21:30 ID:eWaBLpKX
まぁ、書いてるのが厨房ですからね
>>367 普段の書き込みも意識して書いたら?
佐々木に河原で絡んでるヤンキーに勇敢に立ち向かって返り討ちに合うんです。×
河原で佐々木に絡んでるヤンキーに勇敢に立ち向かって返り討ちに遭うんです。
それで主人公が全治2ヶ月の大怪我を負って入院するんです。
川原で返り討ちに遭うのも主人公なのに、なぜここにだけ「主人公」と挿入するの?
全治2か月って相当な怪我だよ?
佐々木が見舞いに来るシチュエーションが欲しかっただけでしょ? 別にヤンキー使わなくても色々自然な流れはあるじゃん。
あと、主人公は学校来れないってことでしょ? 前の学校の描写から始めたのは何のため?
上で言われてるけど書き出し考えようよ。
重箱の隅を突いただけですけど参考になればw
371 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/20(金) 00:51:56 ID:4P4BU+B1
まあ、この話はここでチェックして貰うためだけに書いたものですので、ストーリーは適当なんです。 あくまでも文章チェックが主目的ですので。 出だしにつきましては、題名が「日常的で静かな日」なので、あまり奇をてらう必要はないかと思いました。 普段の文章については(以下略
372 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/03(金) 12:53:09 ID:O/MWZBOD
age
373 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/24(金) 11:14:44 ID:Xs4nCi0V
あるところに一人の少年がいた。 こいつときたらそれはそれはガムが好きで、暇さえあればいつもガムを噛んでいた。それこそ味気がなくなってもずっと噛んでいるのだ。 ある日ガムを買おうと駄菓子屋へ行くのだが、この日に限っていくら店主を呼んでみても一向に出て来る気配がない。 少年は駄菓子屋の店主に怒りを覚えた。 そしてあろうことか右手に持った十円ガムを持ったまま店を出てしまったのだ。 しかし店を出るとその怒りはすぐに立ち消え少年は焦った。 誰かに見られていて警察に付き出されたらどうしようか……。 そう思うと焦りは頂点に達し、すぐ先にある踏切のところで転んでしまい、したたかに片膝を打ち付け血が吹き出した。同時に左手に持っていた十円玉はいつの間にか踏切と線路の隙間に入り込んでいった。 するとそこに待ってましたと言わんばかりに、遮断機のけたたましい警報が鳴りだしたので大変だ。少年は足の痛みも忘れて、家まで数キロの道のりを脱兎の如く走って走って走りまくった。 そして家に付くと もう二度とこのような真似はいたしません……。 とガムを噛みながら誓いを立てたのであった。
少年時代独特の感情が上手く表現されていると思う。 俺もこんな可愛い時代があった。
>そう思うと焦りは頂点に達し、すぐ先にある踏切のところで転んでしまい、したたかに片膝を打ち付け血が吹き出した。 ここがちょっと読みにくいなぁ。
繋げて読みにくくなっちゃってる感じだぬ 勢いで書いてるときに俺もよく陥る 句点で分けちゃった方がよさそうだぬ
投下します。ちなみに文章表現は苦手です。 キーワードは「感染症」「運命」として作りました。 「-感染症という名の旧き者達の崩壊-と-恩恵という名の新世代の創造-」 ある日、僕は「感染」を目の当たりにした。それはテレビから発せられるその奇怪な映像から感染する病原体で、 人はそれを「グロ」と言った。「グロ」はある種の興奮状態を催し、僕は吐き気と同時に、 電波発信者と病原体製作者達への怒りを覚えた。「これは、、視聴者への暴力だ。」 「グロ」は、人々へ感染するという。少なくとも発信者達はそう考えている。 感染により、視聴者は発病し、発信者達の発する電波の中毒になるに違いないと考えていた。 しかし、現実は違う。「グロ」は視聴者への中毒症状を発症させるどころか、「怒り」と「失望」を発症させている。 「感染」は他でも無い、電波発信者の中で起きているのだ。 数字には魔力がある。彼らにとって魅力的な数字は二つ・・・・お金と受信率である。 電波発信者達は、その魔力にとりつかれ、物事の本質を見失い、雲を掴むような作業を繰り返す。 その先にあるのが、「感染」である。発信者達は「グロ」こそが混迷を打開する決め手になると考えた。 吊り橋症候群の如く、「恐怖」が「面白い」へとつながるように、「グロ」もまた「面白い」へとつながると信じた。 結果は惨敗である。「グロ」だけでは、無用なコアファンの獲得と多くの一般大衆からの冷遇という手厳しい現実が待っていた。 そこで発信者達は更に考えた。「ロリ」病原体も注入してみようと。 間違いが間違いを生み、とうとう彼らは一線を越え、「ロリ・グロ」という完全なる異常犯罪アニメを作りだし、 間違いの加速は、度を超え、あらゆる倫理の垣根を越え、「美少女ロリ・グロ・ガンマニア」が完成する。 もはや発病は彼らの脳を破壊してしまっている。どうすればここまで冷静さを失うことができるのだろうか。 「人々は救いを求めているのに、あなたは、なぜ破壊を与えたもうたのかと。」 僕の憂いが尽きること無く、賢者達は僕に囁く。「箱形映像器の時代は終わりました。 しかし、彼らはそれを受け入れられず、 最後の力をもって無き命を取り戻そうとしているのです。もはや彼らに与える「恩恵」はもう無く、 今後は、一時的に「似子動」が「恩恵」を引き継ぐこととなります。」と。 「恩恵」とは、神々が人に与える才能と環境そして運命である。それ無しには、 人は無力な人形でしかない。 「ギガビット・RUN(超・走り)」の栄光久しく、「ニュー・エナジー&エレクトロニック&エンプティ=トリニティ」 (新しい魂の力と電気力と虚無との三位一体) 通称「NEEET」の台頭によって新しい時代が芽吹いている。 しかし、それらは一過性のものに過ぎない。 今も「恩恵」はほんの一部しか使われていない。ため込まれた莫大な「恩恵」は未だ世に体現せず、 次代へと引き継がているのである。 一過性の「NEEET」の次の世代。本来の次世代。それはまだ見ぬ新しく光。 そう、我々の中にこそ「恩恵」は存在する。いや、「恩恵」こそが、我々のために存在するのである。 本当の体現へと向けて、我々は、現在進行形にて明日の天井を今にも破ろうとしているのである。 卵から未来へと羽ばたかんとする、ひな鳥のように。我々の目は既に見開いているのである。 その先を見据えているのである。 終わり。
誤字☆脱字が多いのが、気になりますと、自己批判しておきます。 「未来」と「宇宙人」をキーワードにして膨らませて、作成しました。 -タイム・ヘリックス- 宇宙人襲来などと空想で言っていた日々が、今は懐かしく感じられる。 「宇宙人」という言葉は、今では、どこか空々しく響く言葉になってしまった。 「今日という未来が、明日と言う過去へつながるのである。」 タイムマシンというものが完成して、もう20年が過ぎようとしている。 タイムマシンというものが、昔、人々が紙に絵を描いていた時代に流行した 「DORAEMON」(今でも子供達にとってはバイブルである)に登場する「タイムマシン」の様に、 過去・未来へと旅をし、未来の自分を見たり、過去の恐竜と戯れたりするものですめば、 どれ程良かっただろうと思う。 この時代に言うタイムマシンは、もっと残酷な運命の下に存在している。 我々は、タイムマシンによって、過去の人々から、資源を奪うのである。 かつては、時間軸という概念が存在し、 過去を変えれば、未来が変わると考えられていた。 我々の祖父の世代そして父の世代は、 多くの実験の元にタイムマシンを作りだし、 未来が変わらないことを実証したのである。 科学者達は言う。この世界は、時間が逆回転しているのだと。 未来から過去へと巻き戻っている世界なのだと言う。 我々にとっての時間は、変化のベクトルでしかない。変化の普遍的なスピードを 時間として理解しているに過ぎない。 しかし、この世界を作り出した神々とやらは、 ゴールからスタートに向かって世界を構築しているらしい。 我々は、偶発的に、そのベクトルから外れる方法を見つけだし、実現した。 それがタイムマシンである。 過去を破壊しても、その余波は、ゼロ地点の崩壊をもたらし、 宇宙の崩壊をもたらすが、未来に変化は無いと科学者達は言った。 神々がもたらしたタイムマシンという「解れ」は、我々人間の手によって、 宇宙の崩壊をもたらすのだろう。我々は過去を食いつぶすして生きている。 我々が、多くの罪を犯しながら、過去を破壊しても どこかで、神々が再び、宇宙を新たに創造、再構築するのではないかと考えていた。 そんな浅はかな懺悔にも似た、逃避にも似た気持ちを抱きながら 我々は、持ちうる科学の全てを使い、過去から多くのものを奪った。 過去の世界に住む人々は我々のことを「宇宙人」と呼んだ。 我々はそれを否定することは無い。 「宇宙人」という別の何かに、罪を押しつけたかったのかもしれない。 否定することは出来なかった。 おそらく、この通信が最後になるだろう。我々は、想像すべきだった。 いずれこの日が来るだろうと、誰かが言っていた。 我々の世界にも「宇宙人」がやってきたのである。 その先のことを我々は知っている。 それは、未来の者達が、我々と同じく人間であることを 我々は知っているからである。 終わり
380 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/25(土) 00:24:44 ID:8xszEGjO
age
絨毯爆撃 うわぁーという感じで、どやーと人が押し寄せてきた。 ぐはぁ、ぶふぅと思って、これはいかんと思って、 なんぞ、なんぞっていう視線を感じつつ、俺は、あさっての方へ 走り出したのだった。 そんな明くる日の午後、笑い話にでもなるかと思って、 おいしいと思って、もう一回、そこに行ったら、 人が死んでいた。
よろしくお願いします。 むかしむかし、遠い国に古い古い灯台がありました。 灯台にはおじいさんが一人で住んでいました。 一緒に住んでいたおばあさんはずっと前に亡くなってしまい、ひとり息子はけんかをして家を飛び出してから、どこにいるのかもわかりません。 高い塔を上がり降りするのはおじいさんにはもう大変な仕事です。 でもおじいさんは灯台守の仕事に誇りを持っていました。 嵐の夜に暗い暗い海原に光る灯台の明かりが、船乗りたちをどれだけ安心させるかおじいさんは知っていたからです。 また、この灯台がなければ船は海で進路を見失い、ぶつかったり、陸に上がってしまいます。 だからおじいさんは今日も古くなったパイプをくわえ、パイプよりもずっと古くなった灯台のあちこちを見て回ります。 おじいさんのおじいさんも、そのまたおじいさんも、ずっとずっと守ってきた灯台です。 だからおじいさんも、この灯台のことが大好きなのでした。 おじいさんがさらにおじいさんになったころ、ついにこの灯台に電気が通ることになりました。 もうおじいさんが夜通し蝋燭の心配をしなくてもよいのです。 でもほんの少し、おじいさんはさみしく感じました。 それからというもの、おじいさんの仕事は前よりも楽になりました。 スイッチの押し方を覚えるのに少々苦労はしましたが、覚えてしまえば簡単です。 それでもおじいさんは毎日上まで上り、今までとおなじように愛情をこめて電球を磨くのでした。 それから何年もたって、おじいさんは死にました。 古い古い灯台を、最後まで一人で守っていたのです。 古い灯台に、灯台守はいなくなりました。 もう人がいなくても、全てコンピューターがやってくれるのです。 ずっと前から、灯台守がいることも忘れ去られていましたが、それでもおじいさんは灯台を守ることができて幸せでした。 今日も灯台は光り続けます。 大海原で道を指し示すために、光り続けます。 「ああ、今日もちゃんと灯台が見える」 海の上で船乗りの一人が言いました。 「星のない夜でも、あの明かりが見えるだけでほっとする」 船乗りはパイプをくわえて微笑みながら、灯台に向かって敬礼をしました。 終わり
383 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/27(木) 15:31:01 ID:xaO7VaXz
めっちゃ心がほっこりした 童話でもなく、絵本でもなく、ゆったりと朗読してるのを聴きたい感じ
ナイスage!! 四ヶ月もこんな良作に気付かなかったなんて…orz
まったり進行だけどこのスレ良作が多くて好きだ
しまったァ!! 去年の11月にもう投下してる…鬱死。
>>387 違和感って言ってたかと思うんだけれど、正体がわかったかも。
破調の文章と厨二でもない、変態でもない、微妙な線が釈然としなかったんだと思う。
でもジェミニよりぁこっちのほうが好きかな。綺麗なエンドとは感じ切れなかったけれど。以上
即レスありがと!しかも覚えててくれて嬉しいよ。 >破調の文章と厨二でもない、変態でもない、微妙な線が釈然としなかったんだと思う。 批評だけど、ひねくれた性格なんでなんか喜んでしまうw 短編投下してもいいかな?
いいんじゃないすか ここ実は過疎だし。
ではお言葉に甘えて...短編シリーズの予定が、2話目でネタ切れしたwww ちなみにシリーズ名は『青薔薇記憶外科』 青薔薇一輪目『昇天』 埃っぽい土(ダート)のスペースが、この青薔薇が咲き誇る無限の庭園には用意されていた。 『ヒンメル!』 「彼」は軽やかに呼びかけた。 霧の中からぼんやりと力強く何かがやってくる。 駆けてきたのは銅色に眩しく輝く体を優雅に見せつける鹿毛(かげ)と呼ばれる毛色の牝馬(ひんば)であった。 『よしっ、よーし、よーし!』 「彼」はその華麗なる牝馬(レディ)の首を抱きしめ、そのレディは鼻面で「彼」に応えた。 絵になるような美しい光景だった。 「彼」の年は若干18、身長は160cmを切る小柄で細い体型であった。 この年になっても「彼」は青年ではなく少年にしか見えない。 無邪気に馬と戯れる姿も何もかもが純粋だった。 『お前は相変わらず可愛いやつだなあ、ヒンメルよ、あははは、そんなに舐めるなよ』 ヒンメルとは愛称で、この幻の様に美しい馬の名は正確にはヒンメルファールトと言う。 『お前は察しがいいな、いや、いつもやっているからか』 「彼」はポケットから角砂糖を一粒取り出し、ヒンメルに与えた。 誇り高きヒンメルも「彼」には全てを許した。 仔馬のように無邪気に甘えている。 この時間が「彼」の最も幸福な時間である。 『よしっ』 言うと、ヒンメルはいつの間にか馬具(ばぐ)を身に着けていた。 『…っと、いいぞ、最高のコンディションだ!』 ヒンメルの鬣(たてがみ)を掴むと、「彼」は身軽に跳び上がり、ヒンメルの背に鞍(くら)越しに乗った。 狭かった土(ダート)の範囲は、ヒンメルの手綱を「彼」が掴んだ瞬間に、その視界一杯に広がった。 『行くぞ、ヒンメルッ!!』 掛け声に合わせ、その大柄なレディは勢い良く両の前脚を空中にひるがえし、一声、いなないた。 全てが夢のように、夢のように、夢のように! 情景がスピードに乗って無限に開けて、霧がかっていた視界は果てしない「彼」とヒンメルの為の土(ダート)コースに変貌した。 どこまでも走り続ける事ができた。 「彼」もヒンメルも不思議と一向に疲れなど感じ無かった。 一瞬が永遠に、永遠が一瞬に違いなかった。 澄んだ空気が「彼」の肺を満たしていく。 「彼」の血は快く燃えていく。 ―と、走り走り果てた先に白くなびくものが立ちはだかっていた。 『…!?』 「彼」は急遽、ヒンメルの手綱を引き上げ、急ブレーキをかけた。 白くなびいているものの正体は、白衣であった。 いつ薔薇園に戻ったのか、青い薔薇の植え込みの前に白衣をまとう人物が、陽炎のように現れたのである。 『やっ…、やあ、先生じゃないですか!』 「彼」は馬上からその白衣の人物に、先に声をかけた。 何故だか声はうわずっていた。 『……如何かな…』 医師、または教授、研究員らしき白衣の人物は、脚をずらして斜め前に立ったまま、流し目で「彼」にぼそりと問いかけた。 『え…ええ…最高です! 僕も、ヒンメルも』 『それは良かった。 私独自で開発した実験的試みも成功したのだね』 先生と呼ばれる者は相変わらず身体を正面に向かせず、目線だけを投げて受け答える。 『時に、キミの視界は今どうなっている? 何が見えている』 『あ…、はあ、ええと…まず先生』 『それは愚問だったね、私以外他は?』 『…青い薔薇…青い薔薇の植え込みが…』 『土(ダート)ではないのか…他にキミからの質問はあるかね?』 『ええっと……あの…言ったら何かが怖い気がするんですけど』 『何かな』
『先生の白衣が見えた瞬間、僕は何故かとても強い恐怖を…おぼえました』 『なるほどね、白い物が怖いと言うんだね?』 『はい…でも、何故怖いのか、絶対に思い出したくない』 『…ふむ』 先生と呼ばれる人物は、見たことのない外国の煙草を一本取り出し火をつける。 煙から甘いコーヒーの香りがする、何とも不思議な煙草であった。 『キミは、限界が近いかも知れない。 残酷な宣告だけれども、キミも実験段階なのだと了承した筈だ』 『は……はぃ…』 「彼」は目に涙を浮かべていた。 『夢…夢を見るんです。 いえ、夢か…解らないような…幸せなのに、何で』 『ああ、悟ってはいけない! 気付きが限界に達すれば、キミの「此処での」寿命は縮む! 大体は10年前後の「処置」ができるまでになったんだ! キミはまだ…生き給え「此処」で』 『じゅう…ねん』 「彼」ははっとした。 何かがひび割れて行くような感覚が襲ってくる。 『よし給え!!』 『だ…だめだ…だめ…聞かずにいられない…先生!』 『押し黙れ!』 『あ、あああああ』 『しっかり!』 『だめだ! 気になって仕方がないっ!』 「彼」が叫ぶと庭園の青薔薇たちがざわめいた、そして、ヒンメルが消え、「彼」が一人で立ち尽くして先生と呼ばれる人物と対峙していた。 『ああ…あそこは! そうだ、あの大きな白い埒(らち)が、白い埒が迫ってくる!』 『キミ…いや、鴫原(しぎはら)くん!』 それが「彼」の名だった。 「彼」こと鴫原は頭を抱えてうずくまった。 庭園の石畳の上に膝をついて。 『あ…ああ、僕は。 もう18なんて年じゃないはずだ…、い、嫌だ…見えてくる!!』 『鴫原くんっ!』 先生と呼ばれる人物の叫びは虚しく響き渡った。 鴫原は「あの瞬間」を思い出してしまった。 もう誰の声も届かぬ内的世界に意識が飛んでいる。 鳴り渡る怒涛のような歓声。 鮮やかな礼服に身を包んだ合奏団はまるでオーケストラに見える。 とても広いゲート。 16頭もの名だたる名馬達。 あまりに広い馬場。 ベージュのスーツの男性が旗をかざす。 ここは中央・東京競馬場なのだ。 何もかも華やかで鴫原は重圧を感じた。 鴫原の所属する高崎競馬とは何もかも違いすぎる。 それでもパドックには高崎からの応援団がいた。 記憶が戻っていく。 自我が揺らいでいく。 「天からの使い・高崎の女神ヒンメルファールト」。 パドックには立派な横断幕があった。 鞍にまたがると見慣れた顔が多くあった。 鴫原はその笑顔を見て少しだけ安心したのを覚えている。 だが馬場は荒涼としていた。 「ヒンメル伝説幕開け、高崎で無敗12連勝、もはや敵無し!」「女神光臨ヒンメル素質あり本誌大胆◎」 無敗の女神ヒンメルファールト、その馬と一緒にデビューして勝ち続けた主戦騎手・鴫原。 土(ダート)しかない北関東の地方競馬で連勝した結果、中央のダート最高峰、フェブラリーステークスへの参戦―。 3番人気、単勝8.6倍。 地元での無敗伝説と話題性でここまで注目を集めた。 『フェブラリーステークスのゲートが開かれました!さあ中央のプライドが勝つか地方の底力か勝つか! 先頭スティングレイ、後方待機フェイクフーリガン、中央ダートの守護神、女神の力を止められるか! 今日も堂々1番人気レアクティオーン! そして北関東最強馬ヒンメルファールトは最内キープ! いい位置取りだいい位置を選んだのか僅か18歳のパートナー!鴫原智治(ともはる)ジョッキー!!』 実況は初めの所しか覚えていない。 ヒンメルと共に走るだけで精一杯だった。 広がる雄大なコースは歪んで見えて把握できなくなっていった。 声援だ、声援が聞こえる。 「僕」の名前を、誰か、が。
『鴫原、鴫原!!』 『鴫原! と…、りを…、隣を…よく………』 でも、なにか、声援と、ちがう。 でもこのままカーブを曲がって、なんとか、直線らしい所に入れば―。 『ヒ、ヒンメル…、鴫原あぁぁぁぁーっ!! あぶな』 地元のひとたちの声は、ぷっつりと、きこえなくなった。 「僕」は気が付くとダートの上で真っ白な埒を見上げていた。 腕が…すごく痛い。 『おっとここで一頭落馬ー!! …ヒンメルファールトです!!落馬したのは7番ヒンメルファールトです!! 馬混みで馬体接触、故障発生で鴫原ジョッキーが内埒に激突した模様!せ…先頭は1番人気レアクティオーン! 後続馬が続々とダート王者の後を追います!マーブルメンが突出して伸びている!しかし届かない…』 そうだ、「僕」のヒンメルは…ヒンメル…。 『!』 ヒンメルは叩き付けられた「僕」の真横にいる! そうだ、ヒンメルは、ヒンメルは「あの時」…。 左回りのコース最内で埒に投げ出されて左腕を強打した「僕」なんかよりもっと酷い怪我をしていたんだ。 お前は脚が…左前脚が! 明らかに折れていた。 それだけならまだ良かったんだ。 『ヒンメル!』 「僕」は首を捻り彼女を見て叫んだ。 今すぐうずくまれ、安静にすれば助かるから! もう競争なんかどうでもいいんだよ! 『ヒンメル!』 左前脚を折ったままヒンメルは立っていた。 まだ後続から馬が来る…? 守ってるつもりなのか? それで「僕」を守りきったヒンメルは力尽きて左前脚からよろけて、「僕」に向かって倒れ―。 ―なかったんだ。 直角に折れてしまった左前脚と左後脚で力一杯踏ん張って、「僕」を押し潰すまいと。 『ヒンメル! ヒンメルッ! いいんだよ、僕の事なんか気にするな!!』 確か「僕」は泣いていた。 でもヒンメルは右側の力を抜いて、一旦よろけた「僕」の反対側に倒れていた。 無茶をしたから―左前脚複雑骨折に右後脚骨折。 馬は身体の仕組み上、立てなければ生きられない。 『鴫原さん! 無事ですか!?』 救護の人が来てくれた、「僕」の左腕も骨折していたと後で解った。 『僕は生きてる! ヒンメルファールトは…』 『………』 『ヒン…メル』 白衣の獣医団に囲まれて、布を被されていた。 もう解りきっていたから、楽に、と。 埒も、救護班も、獣医団も、ヒンメルが隠された布も。 みんな―白。 『あ…ああ…ヒンメルは…もう、いないよ…僕は…「時を幸せだった頃のまま、かつ永遠に止めてくれる処置」ができると言う あなたのホームページを見て…ここに来ただけなんだ』 「彼」は我に返った。 造花の青薔薇の敷き詰められた偽物の庭園で。 『…すまんね。 まだ完璧に時を止めるまでの暗示はまだまだ未熟でね、完成していないのだよ。 私は単なる時代遅れの心理学をかじっただけの精神科医くずれに過ぎんから…。 患者さんが過ぎた日の幸せを忘れる気にならない事に頼らざるをえない。 いやそこが大事な所さ』 『くそっ!! 今の僕は一体いくつだ!』 『29くらいじゃないか』 『………あなたが憎くなったけど…紛れもない僕の記憶、僕の選択、僕の人生です。 一応、幻でもヒンメルに逢わせてくれた事にも感謝します。 でももう二度とあなたには会わない』 『ああ、それがいい、キミは意志が強いようだ。 私は弱い者を救済したいだけなのだよ』 「彼」…否、「鴫原智治」は白衣の人物に背を向けた。 『最後に、先生』 『何かね』
『ヒンメルファールトの意味を知っていますか』 『ああ、ドイツ語は少しは解る。 だが是非キミから聞きたいね』 『「ヒンメル」はドイツ語で天国。 「ヒンメルファールト」とは、キリストの昇天、だそうです』 『…そうだな』 『この名を背負った運命なんでしょうかね。 いや、もうあなたとの話はいい』 『ふむ』 『じゃあ…さようなら』 鴫原は庭園の長い道を歩き、重々しい鉄細工の門を開き、去っていった。 『さて…時を止める方法を改善せねば…まだまだ予約が詰まっているからな…』 白衣の人物は、口元を歪ませた。 (了) お粗末。 蛇足。先生は女医。
青薔薇二輪目『線路』 「彼」は頬杖をついて車窓の景色を眺めていた。 『惜しいですね、この影森(かげもり)鉄道が廃線になってしまうなんて。 せっかく開通から100年目に入る所で…。 僕ぁその100年のうち何年この路線を使ってきたでしょうか。 ほんの10分の1ですよ。 通学中、JRの最寄り駅まで走る時間が無い時はこちらを利用させて頂いてました。 一時間に一本ですが、あの頃の7時台のダイヤがちょうど良かったんですよ。 あれから若干変わってきましたがね。 SLで旅行にも行きました。 JRと提携できていたし非常に便利だったのですがね…まったく何故でしょうねぇ…。 新幹線までスムーズに乗り換えできたと言うのに。 しかし、何も不便は無いけども、やはり現に車両に居るのは僕一人ですからね』 天井の中央では古びた大きな扇風機が首を振り、「彼」は心地よい風を受けている。 布は薄いがやたらスプリングの効いているチープな座席。 だが座り心地は良い。 「彼」はとかく理屈屋で饒舌であった。 元々、「彼」は所謂鉄道マニアである。 が、この「彼」は自分の住所に根付いていた私鉄に特に入れ込んでいた。 『JRには無い味がありますよ…。 「運転中は運転士に話しかけないでください」とはありますが、最早この状況ではね。 話し相手も運転士さんしかいない訳ですよ』 『………』 運転士は応えない。 「彼」は黒縁の眼鏡のズレを直す仕草をした。 『はは…。 最後まで仕事をやり通す貴方には好感が持てますよ。 ホームで話し込んでいてダイヤが1分狂ったりしてましたがね』 『………』 『いやぁ、この揺れがね、独特ですよ。 かつて地下鉄で使われた車両が文字通り日の目を見たと…』 『………』 『終点にはなかなか着きませんね、影森鉄道はせかせかしたJRや大手私鉄と違ってのんびりで良いですよ。 三峰口(みつみねぐち)か…。 年に一度は必ず出かけに行くようにしてますが。 そういう人も何故いなくなってしまったのか…ロープウェイもあったのに』 『………』 『いなくなる…か』 窓からは豊かな緑と真っ直ぐで強い陽光が差し込む。 「彼」はずっと愛すべき風景を見ていた。 この光景を春夏秋冬、365(366)日、同じものは二つと無い風景を一体何度見ただろうか? 『まったく…いつまでもこうして走っていられれぱ良いのにな』 窓側の座席で腕組みしつつ切なく笑う。 『いつまでか…いつまで? 次の駅は…いや、もう終点だろう? いや、これでいい…』 「彼」は一瞬、目眩を覚えた。 『ともかく…いつまでもこうしていたいものですね、運転士さん』 『………』 『いやぁ、今日は本当に無口ですね、先頭車両に僕一人だけの時なんて多々あったではないですか。 もう注意書きなんて形だけで時々談笑したものではないですか、色々と…』 『………』 『色々…? 鉄道蘊蓄も…季節の話も…あの話題も…。 語り尽くしてしまったっけ…』
『………』 『語り尽くした…』 『………』 「彼」は脳貧血の如く視界にノイズが走り暗くなって、体が冷えてゆくような嫌な感覚に襲われた。 『いや、もう…あれだけ親しくなれば当たり前ですね、話題が無くなるぐらいは』 『………』 『何とか言ってくださいよ、気分が良くないですよ』 『そうですね』 『その通りですよ、まったく…』 窓の外には自分の好きだった景色が流れ続けている。 相変わらず扇風機は回るしスプリングの座席は揺れ続ける。 現実に違いない! 『何か、最近の話でも…廃線以外の事で何か違う話題を』 『………』 『な、何故なんですか、触れようとすると口を閉ざしてしまうのは』 『弾が切れたようだね』 『あ、貴方は…先生』 「僕」は、「僕」は一体何を………。 『思い出はもっと強烈にかつ大量に、過去でさえ創造できるようでなくては駄目なのだよ、北元(きたもと)くん』 先生は運転席側のガラス越しに、こちらを見て暗く笑っている。 「僕」は座席を立ち、そちらに向かってすがり、窓を叩いた。 『貴方がそこに居るのは筋違いでしょう! 僕ぁ、あの運転士さんと話していたはずだ!!』 『誰と? 何の話をかね?』 『そ、それは………』 今度は「僕」が黙りこくる番だった。 『認め給え。 現在を打ち倒すだけの弾はもう無くなってしまったんだろう』 『いや、絶対に違う!!』 『この幻影のロジックも知らないキミに安易に否定して欲しくはないな、了(さとる)くん』 何故? 何故なんだ…車両はあるのに、運転士さんがいないって事は。 「彼」─否、北元了はその場に崩れてしまった。 恐ろしい事実が心からわき上がりかけていた、しかし、それを認めたくはない─考えたくなかったのだ。 『風景は君が一番気に入った日のものが流れ続けている。 だが運転士は所詮、他人だよ。 キミとは違う現在(いま)を生きているのさ。 その人物まで創り上げる事ができたかどうか、だ。 キミの思い出とはそんなに薄っぺらいものだったのかね! 見損なうな!!』 『い…いや、数年分! 数年分…いや10年分の思い出を僅かでも取りこぼした事なんか無い!!』 『だから、それらを全て消費してしまった今、どうするのかを決めるんだろう。 風景はいつまでも変わらない、簡単に心に刻める。 だが、私の施す処置はキミ一人だけが対象だときちんと説明したはずだが』 『…くっ!』 あの話題も…この話題も…全て語り明かしてしまった 。 だから運転士さんは何も応えない…。 『中途半端なのが一番良くない。 この旧都営地下鉄6000形電車はいつまでも不変のまま走り続ける。 その他大勢は別さ、キミが覚えている限りの事だよ、「大したもの」じゃなかったから乗客もいないのだろう』 『いいや…運転士さんと二人きりになる程寂れた日もあったんだ!』 『それは自分で補い給え。 君の思い出─ひいては思い出への思い、で』 もう何も見たくなかった。 『…もう負けましたよ、先生。 お願いだからそちらへ行かせてください』 『こちら側は現在だよ。 そちら側は過去。 キミが過去を忘れ去ればこちらへ来られるだろうよ』 『そんな…』 『完全に割り切って、空想し続けるか! 完全に忘れるか! どちらかはっきりし給え!! 北元くん! 君の心に風景が残り続ける限り、この列車は止まる事などないと言っている』 『………』 『どうしたね』 『………』 『止まった世界で生きてゆくのもそれなりにリスキーだと言うのに…』 『………』 『ああ、このガラス越しで会話してはいけなかったのだったな』 『………』 『では私は失敬しよう、北元くん』 『………』 影森鉄道は永遠だ。
あら終わった。 えーと、三点リーダとか偶数でないのでなんか違う感じはあるけれど作法は横において。 雰囲気はすごくある。 どういうことだったのかもまあわかるんで、より鮮烈なイメージを切りだしたいところ 青いバラとはよく言ったと思う。ぴったりマッチしてる。 「押し黙れ!」で違うだろとあのシーンにも関わらず噴いてしまったけれど。 まだ、最終コーナー回るまでわからんから、納得いくまでいじるのもありかも。 むろんこれで完結でアリだとは思う。 台詞とか間の使い方には向上の余地があるかな。
続いてたw割り込みスマン支援
ん、続くのかコレと思いきや2話って書いてあった ごめんなさい こっちは台詞多いなあ 台詞の間の情景や描写によって、特定の会話を強調できるよ
どもありがとうございますm(__)m アドベンチャーゲームのシナリオに感動して文章を書き始めた(10年前、16歳)ので 小説としての正しい文法ってのが、まるで駄目駄目で、最近やっと勉強しました。 三点リーダとダッシュは2つ打つのが基本、それもわかってねぇでやんのorz これから書くものは、三点リーダとダッシュ2つに、台詞は「」使用でいきます。 恐れ多いお言葉とアドバイスありがとうございました!! もう弾切れで〜す。 皆さんいい方なんで、またなんかできたら安心して投下してみますね。 それにしても文章書きコミュより2chの方が平等で優しいなんて皮肉ですよね。 コミュだと新入りいびりに古参持ち上げとか、しがらみで激しく傷つきましたわorz
2chでも文芸板はそういうところがあるんだw この板も悪く言えば馴れ合いって言われるしね。 「発表専門」板はここだと俺は思ってるし、 今日の感想は全てマジレスなんでまたきてくだしあ。 がんばってねー
>>402 ありがとさんよっ!
俺は自分で云うのもナンだがw大器晩成型なんで皿のようなやさしい馴れ合いで
磨かれていくのが理想だ。同人すらしてないペンペン草よ。
さて、君のあったかさに、連載中のもの序章を投下しにきた。
我ながら「嶽本のばら始めましたってか?」と突っ込むような文体。
でもうら若き女性一人称は我が敬愛する太宰治の独壇場でもある。
太宰治+嶽本のばら+芥川龍之介みたいなカオスの様相になるか…?
(芥川は、河童や歯車などの精神病ネタについての要素のみで)
folie a deux 〜フォリ・ア・ドゥ〜 あの御方に出逢ってわたくしはお姫様になりました。 あの御方は、ああ、あの麗しき御方。 皇子の肩書きに相応しい清楚にして華麗なるお召し物。 眼鏡越しの理知的でどこまでも、どこまでも優しい、あの瞳。 なんて事でしょう、あの御方に出逢う事が無ければわたくしは自らに流るる貴族の 血なんかまったく気がつかないまま、ありきたりの平民の娘のままでした。 それは、そう、手巻き式腕時計のように精密な部品が、緻密に折り重なって時を 紡ぎ出すように、あの御方とわたくしの出逢うべき運命を指し示したのです。 出逢いは街角でした。 わたくしは、まだ、お姫様であると言う自覚がありません でしたから、平民の着るような機能性しかない安価なお洋服を身につけていました。 そこに――ああ、突然、運命の滴がお空から降り注いだのです! そう、あの通り雨は、わたくしとあの御方を引き合わせる為に神様がお恵みくだすったのです。
それも、たまたま、少しだけ遠出をしてちょっぴり高級なショッピング街へ出掛けた 日の事でしたから、雨宿りの場所も、高級ブランドの入ったジュエリーショップの ウィンドウで、まるで戦前からあるようなモダンで、心地よく古びた屋根の下です。 ガラス張りに背をもたれて、わたくしだけかとおもっていたんです、でも、 そこには見目麗しき――どこか儚げで華奢なお身体で、今にも雨中の霧に霞んで消えてしまいそうなほど ――美しい、男性…。 わたくしは、一目惚れだなんてはしたない、その御方と触れ合う以前は引っ込み思案な 何の取り柄も無いただの娘でしたから、ああ、なんて綺麗な男性がいるのかしら、と お互い2メートル程の距離で並んで、控えめに、控えめに…とその御方の横顔を 見つめてしまいました。 雨音で、気付きませんようにと願いながらも目を逸らせなくて。 しかし、その御方は――ええ、はっきりと、言ったのです、横顔のままで。 『姫よ、やっと逢えた』 と。 わたくしは何だかよく覚えていませんけれど顔が熱くなったのを記憶しています。 『皇子の嗜みさ』、 そう言うと、その男性は鞄からトランプ柄の折り畳み傘を出したのです。
得体の知れない話なので、頷いてくれるだけでおkー まだまだ主題に入ってないから。 あと、サクラバクシンオー級の超スプリンター(長くて2〜4000文字くらい…??) の自分にしては、今回は長くなりそうなんです(燃え)! もちろん全編とか大部分ができたらうpろだ使ったりHP誘導しますけど。 あんたホントにええ人じゃ、一緒に縁側で緑茶飲んで語ろうぞ。 つ旦旦
遅まきながらお茶は頂いといてと……。 あんまりロココ調でもなさそうだぞw 口語と文語が入り混じっちゃってる それから改行をする場所を意識して作るといいよ 文章を読点以外の場所で二行に折られると読みにくくなることがあるからさ。 この一パラ目なんかは出会いの前に空行で割ったりすると非常に読みやすくなるかと
研磨ありがとうございます。 ウェブ小説の改行には非常に悩まされているんですよ。 通常、小説ってやたらに改行なぞせず、決められた枠の中できっちりと 表示されているのですよ、原稿用紙詰めみたいに。 でも掲示板に載せる事を考えたりパソコンで書くと「なんとなく」で 改行してしまったりしますよね、「ノベル」から「小説」へのステップアップを (三点リーダやダッシュの規定から始まり)意識し始めたため、大幅に加筆修正予定です。 言い訳にしかなってませんけどねw 文体のチェックもありがとうございました! 浅学ですのでとても助かります。 まあ、とりあえずは雰囲気重視で書き続けて(凹むと書けなくなるから… 次回作から気を付けますんでしばしのお許しを。)
先生質問ですorz
例えば登場人部の頭で何かか閃いたり、ふっと思いがよよぎるときに、
俺な何故逃げてるんだろう─本当はわかってるクセに─俺は足音も気にせずアスファルトの迷路を駆け回った。
とかダッシュで一部分を囲って思考や情景を挿入するのってありますよね。
この場合は普通に─(短文)─でいいんですよね?
俺は逃亡の果てに一匹の黒猫を見つけた。しゃがんでみるとこれからの運命─一晩中モフモフ地獄─も知らず寄って来る。
と、こんな風に漢数字の一とくっついた場合とかも読者の読解力任せでいいんですかね。
〜〜なみなみにすべき??
あと、お暇がありましたかご教授願います。
>口語と文語が入り混じっちゃってる
この作品は今のノリで完走したいので、申し訳ありませんが自分なりのままで行かせてもいます。
ただ、特に一人称の作品が多いため、今後の参考になります!!
あと、太宰の『斜陽』や『女生徒』を読んだ事があったらでいいですが、あれは完璧な口語に
なっているものなのでしょうか。気になったので。
斜陽
ttp://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1565_8559.html 女生徒
ttp://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/275_13903.html いや、あの………引き合いに出したらあまりの眩しさに、目が、目がー!!
何を大事な事書き忘れてんだ!!! >>あと、お暇がありましたかご教授願います。 >口語と文語が入り混じっちゃってる 具代的な箇所があったら是非指摘してください、次に繋がるし、今のがもっとよくなるかも。 太宰の話したら逸れてしまった、最強クラスの睡眠薬で、プチ自殺、日付2日進んでた。<これは寝言也 それにしても、貴兄の批評はとてもいい教師、と言う感じがしますね。 >台詞とか間の使い方には向上の余地があるかな。 これすごく励みになりました。普通「改善り余地」って言うけど、「向上の余地」と言われたらやる気でますもん。 矮小なコミュニティになると、誰がボス猿になるかの争いで、満面笑みで他人の足を引っ張り合う。 新人かせ来れば自分より下の奴ができて嬉かったんだろーなー、一生やってろって感じ。 ここでもなれ合いにならないように作品以外はぽつぽつ来る程度にするよ。じゃね♪
誤字脱字ひでえ…まだヤクが抜けてねぇぜ、キー打つ手がメロメロだ。orz 看護婦さんいわく「とにかく水をいっぱい飲んで早く出すように」と… あ〜健康茶でのまのまイェイ<死語
先生の名には及ばぬ未熟者でありますが、御返事を。 一つ目の質問ですが、これはダッシュを二つ使う必要があります。挿入文では四つということですね。 例として挙がっている文ですと、 しゃがんでみるとこれからの運命―― 一晩中モフモフ地獄―― も知らず寄って来る。 とするのが掲示板向きということになりましょうか。 ふたつめ、斜陽を覗いた印象で言いますと、一応は口語ですね。 旧口語とでも言いましょうか。 この件に関しては自分の元の書き方がまずかったようですね 指摘したかったのは >自らに「流るる」貴族の血 のように、一部のみに旧口語がもちいられいているということです。 自分は二パターンの文体例を考えていました。 次レスでちょっとトライしてみます。
書いてみたけどこれは……読みにくいかもw 例えばこういう書き方があります。 二つ目を書く気力がなくなったのでw、ひとつだけですがご勘弁。 結局のところ、どれくらいの程度擬古調になるか、という問題に過ぎませんが、 なかなか難しいものではあります。 ――――――――――――――――――――――― あの御方に出逢つてわたくしは、御姫様に成りました。 あの御方は、ああ、あの麗しき御方。 皇子の肩書きに相応しい清楚にして華麗なる御召し物。 眼鏡越しの、理知的で何処までも、何処までも優しい、あの瞳。 なんて事でせう。 あの御方に出逢う事が無ければ、自らに流れてゐる貴族の血などには全く気が付かぬ、 ありきたりの平民の娘の儘でした。 そのとき、そう、丁度手巻きの腕時計の小さな小さな部品たちが、緻密に折り重なつて時を紡ぎ出すように、 あの御方とわたくしの出逢うべき運命が噛み合って、うごきはじめたのです。 出逢いは街角でした。 わたくしにはまだ、御姫様で在ると言う自覚が有りませんでしたから、 平民の着るやうな、質素な御洋服を身につけて居ました。 そこに――ああ、突然、運命の滴が御空から降り注いだのです。 そう、あの通り雨は、わたくしとあの御方を引き合わせる為に神様がお恵みくだすったのに違い有りません。 それも偶々、少しだけ遠出をしてちょつと高級なショツピング街へ出掛けた日の事でしたから、 雨宿りも、素敵なジュエリイショツプのウインドウ。 其処はまるでずつと前からあつたやうな、モダンで心地よく古びた屋根の下でした。 ガラス張りに背をもたれ、わたくしだけだと思つて居たのですが、其処にはいらつしやつたのです。 ――見目麗しき、どこか儚げで華奢な御身体、今にも雨中の霧に霞んで消えてしまいそうな――美しい、殿方が。 わたくしは一目惚れだなんてはしたないといった、引っ込み思案で何の取り柄も無い、只の娘でしたから、 ああ、なんて綺麗な殿方がいるものかしらと、離れて控えめに、控えめにその御方の横顔を見つめて居ました。 雨音で、気付きませんようにと願いながらも目を逸らせず――。 しかし、その御方は――ええ、はつきりと仰つたのです、横顔のままで。 「姫よ、やつと逢えた」と。 わたくしは、何だかよく覚えていませんけれど、顔が熱くなったのを記憶しています。 「皇子の嗜みさ」 そう仰ると、殿方は鞄からトランプ柄の折り畳み傘を取り出されたのでした……。 ―――――――――――――――――――――――― もし作法を気にするのであれば三点リーダも必ず二つくっつけて。「…」ではなく「……」で使いましょう。 この場合でも、例えばつは小さくした方が読みやすいですし、漢字で書かない方がいいんじゃないか、 と思われるようなところもあるでしょうが、これは雰囲気を出すためだけの方法なんですね。 同じように言い回しも「言った」→「仰った」のような改変を入れています。 作者様なのでどこが変わっているかは一目でおわかりと思いますので、是非参考ほどにでもなれば幸い。 ああそれから、改行位置もかなり変わっているかと思います。
>自らに「流るる」貴族の血 のように、一部のみに旧口語がもちいられいているということです。 わっはっはっはっはっはっ(自分に大爆笑) きっかけはギャルゲシナリオ(PS版『ONE』です)だけど、小説とか文学とか 「本格」を意識したのは、やはり太宰からで、今は坂口安吾も好きで、 ファウスト上(新潮版)読み終えて、キリがいいからと下を積んでるなw いやね、もうホント太宰ファンみんなが通る道って言うか、若者のはしか なんて言われるぐらい、バリバリ影響受けてる「流るる」まさにそこだっ!www 他の作品でも「朽ちたる」とか言ってるわ〜。 添削版 ありがと、でも、連載(ネットですが)が続かないタイプなので、やる気が落ちる 恐れがあるので、あえて、最後まで書ききってから反省会にしたいですね。 あと三点リーダ2つが常識、はごくごく最近意識したもので、載せたバージョン ではまだ反映されてなかったです、言い訳ごめん。 でも前のレスで三点リーダとダッシュは2つが常識と意識した、と言ってるハズ。 関係ないっすけど、ラノベなら当たり前なんだろうけどダッシュを3つも5つも 使う、そのうえそれを乱用するような今の売れ線作家ってどせうなんだろう。 エロゲ文学とか…なんか色々言うと該当者のファンとか怖いんで寝言にしておこう。 そろそろ休むよ、おやすみ、あんま2人でなれ合うと他の人が入りづらくなるしね。 でも2人しかいないっぽいって言うorz でも思い切って晒して良かったよ。
あ。最後に疑問。ダッシュに「。」はつけますか? 人影に覆われた瞬間、黒猫はモフられる運命を悟っていた── 人影に覆われた瞬間、黒猫はモフられる運命を悟っていた──。 どっちが正しいんでしょ? なんか質疑応答でwiki作れそう。
原稿ならつけますね ただ、こういう場(オンラインの文章)ではどちらが語感的に合うか(文の印象が変わりますよね) で選んでいいレベルだとは思うところ
馴れ合いとかじゃなくてさ、その書き込みの気持ち悪さに皆引いてるんだと思うよ。
>>417 誹謗中傷しか生み出せないおまいよか奴らは万倍マシ
おまいも何ぞ創作の話せぇや
そうでなきゃ完璧に板違いだぞ
なかなか薄幸な少女を描くのって大変だなー
いや、これはちょっと自重しないといけないレベルだな……。
>>419 何故に時間が経ってから言うw
基本ここは過疎スレで、その時々で違う物書きが作品投下して
感想やアドバイスをひっそりもらってハイありがとうでおしまい、
次の方どうぞーってスレだと思うよ
もし君も物書きなら投下してみて流れを変えればいいじゃない(^^)
過疎スレだから四日くらい間が空いたって遅レスのうちには入らんだろ それに、このスレにいるからって物書きとは限らないぜ?
はじめまして。どなたかいらっしゃったら感想、批評などお願いします。 暗めの物語です。 あるところに、幼い仲の良い兄妹が住んでいました。兄の名前をアトゥル、 妹の名前をティチルといいました。 アトゥルとティチルは、お父さんとお母さんと毎日楽しく暮らしていました。 お父さんは学校で歴史の教師をやっていました。決して裕福な生活では ありませんでしたが、税も高くなく、治めていた国王も優しい平和な国だったことも あって、とてもとても幸せでした。 しかしそんな幸せな生活は、アトゥルが七つ、ティチルが五つのとき終わりました。 となりの国が攻めてきたのです。 二人の友達のお父さんたちは、どんどん兵士として戦場に送り出されていきました。 病弱だったことで一度徴兵を逃れたお父さんですが、二人は自分たちのお父さんも 連れていかれるのではないかと、いつも心配に過ごしていました。 けれど、二人の心配も杞憂に終わりました。戦争はとなりの国の圧倒的な戦力で、 すぐに決着がついてしまったのです。お父さんが戦場に行かずに済んだことを二人は とても喜びました。優しい国王は見せしめのために首を落とされました。 二人の幸せな生活は戻ってきました。友達と遊んだり、お父さんやお母さんと一緒に でかけたりしました。二人とも、この生活がずっと続くと信じていました。 しかしまた、幸せな生活は壊されました。お父さんが仕事を辞めされてしまったのです。 となりの国の領土となった今、前の国の歴史を教える人はとなりの国にとって 必要ありませんでした。二人はお父さんから仕事を奪ったとなりの国を嫌いに なりました。 お父さんはその日から毎日、一日中ずっと家にいるようになりました。たまにしか 飲まなかったお酒も、毎日飲むようになりました。いつもイライラしたような顔をして、 物に当たったり、二人に当たったりしました。お母さんはそんなお父さんに怯えて、 いつもお父さんのご機嫌ばかり取っていました。 そのころ、となりの空き家に引っ越してきた人がいました。気立ての良いおばさんで、 となりの国の人でした。 二人は、あまりお父さんに会いたくなかったので、よくとなりの家に逃げていました。 殴られて前のお父さんを思い出して辛い思いをするよりも、それを作った原因の国の人の ところに逃げる方がいいと思ったのです。 おばさんには殴られたあとは転んだだけと説明していました。おばさんは二人が嘘を ついていることに気づいていたようでしたが、何も言わないでいました。
あるとき、二人はお父さんにとてもひどく殴られました。二人にはどうしようもない 理不尽なことで怒られて、長い時間殴られました。二人はお父さんの動きが止まった 一瞬の隙をついて外に逃げ出しました。お父さんは家の中で何か大声で怒鳴って いましたが、追ってくることはありませんでした。 二人はとなりの家に行きました。いつものようにおばさんがでてきました。おばさんには いつものように、転んだだけ、と説明しようとしました。しかし、それを言おうとすると涙が 溢れて止まらないのです。限界を超えた辛い思いは、涙となって流れ落ちました。何も 言えずにしばらく泣いてばかりいると、おばさんはしゃがみこんで、二人と目線を 合わせました。そして、本当のことを話して欲しいと言いました。 二人はおばさんに本当のことを話しました。お父さんが教師を辞めさせられたこと。 酒浸りの生活になったこと。いつも殴られていること。おばさんはそれを聞くと、必ず 助けるからね、と約束しました。 二人はこっそりと家に帰りました。お父さんは酔いつぶれていました。一生懸命ベットに 運ぼうとしているお母さんを横目で見ながら、二人は自分たちの部屋に入りました。 次の日、二人は起きるとすぐに、お父さんに怒られました。なんで逃げたんだ、お前たちの ためにせっかく躾をしてやってるというのに。二人はじっと下を向いて我慢していました。 ついにお父さんが手を上げた時です。ノックの音がしました。 お父さんもお母さんもアトゥルもティチルも、玄関の方を見ました。お父さんはお母さんに 無言で出ろと伝えると、上げていた手をおろしました。 お母さんがドアを開けると、制服を来た男の人達が立っていました。その男の人達は お母さんに名前を聞くと、お母さんが止めるのも無視して家の中に入ってきました。 制服の人たちはお父さんの名前を確認すると連れていきました。お母さんも連れて いかれました。お父さんは抵抗していましたがすぐにおとなしくなりました。 二人は優しい顔をした若い制服の人と一緒に外へ出ました。そして馬車に乗って、 街の方へ行きました。 街の中の大きな建物の前で馬車は止まりました。二人は制服の人と一緒に降りると その建物へ入っていきました。 中にはたくさんの子供達がいました。制服の人は近くにいたおじさんに話しかけました。 二人は手をつないで立っていました。 二人が立っていると制服の人が戻ってきました。と同時に制服の人は敬礼をしました。 その視線は二人の後ろに向いていました。 二人が後ろを見ると、高そうな服に身を包んだ若い男の人が立っていました。その男の人は 二人に気づくと、声をかけてきました。 いろいろと聞かれました。アトゥルがほとんどの質問に答えました。質問が終わると男の人は さっき制服の人が話しかけたおじさんに話しかけました。おじさんはガチガチに固まって、言葉を 聞くと何回も首を縦にふりました。 男の人は後ろに控えていた人に二言三言聞くと、二人に向き直って、君たちを王宮に迎え入れて あげよう、と言いました。 二人は後ろに控えていた人たちに連れられて、馬車に乗り込みました。ついさっき乗った馬車より、 とてもとても高級な馬車でした。 男の人はとなりの国――いや、今となってはこの国です――の王子でした。二人は王子の 使用人として城に迎え入れられました。実際には、王子の話し相手となったり、他の使用人に 可愛がられたりしていることの方が使用人として働いている時間よりもよっぽど長かったのですが。 二人は、王子の寵愛を受け、とてもとても不自由のない生活を送りました。 了
>>423-424 そうですね。
一通りザッと読んで一番に思ったのが、「これはどういう人を読者の対象にした話なんだろう?」という所ですね。
出だしから童話っぽいんですが、使っている文字や表現に、童話とは思えない部分が多々見受けます。
あと、「制服の人が〜」というのがすごく目立ちますね。
面白いかどうかと言う部分に関しては、「う〜ん」と言う感じです。
前述しましたが、とにかく中途半端なんですよ。
もっと童話方向に振るなら、表現を平易にして漢字を減らす。
小説にしたいなら、もっと出だしから小説にする。
オチとかは、童話ならこんな感じでも良いとは思います。
個人的には、「これでめでたしめでたしってのはめでたい感じがしないなあ」とは思いますが、
それは大人が読んでるからヒネた読み方をしてるのだと思ってもらって良いです。
小説だったら、むしろこれから本番でしょう。
なぜ王子は二人を引き取ったのか。裏があるんじゃないのか?
そんな感じで。
なんだろう?
毒があるんだか無いんだかわかんない話ですね。
読む人によっては「ふーん」で終わってしまいそうな。
感想もなんだか半端になってしまってごめんなさい。
あと、スレの投稿なので致し方ない部分はありますが、
やはり文章の切れ目とかの関係で、読みづらいです。
>>425 早速感想ありがとうございます!
>これはどういう人を読者の対象にした話なんだろう?
今まで考えたこともありませんでした…… 基本的に思いつきを文にするので、思いついたのが童話調なら童話調でがーっと書いちゃうんです。
で、書いてるうちに好きなように単語を入れていると、いつの間にか表現が童話調から離れていってしまう、と。
「制服の人が〜」は今読み返すとすごくくどいですね……。しかしどう変えればいいかわかりません。「彼」や、意味が通じるだろうところはカットすればいいんでしょうか。
小説か童話かは私にもよくわかっていないので微妙です。自分としては童話の振りをした小説、というのが一番しっくりきますが、そんなものないですよね。
今後は最初に方針を決めて書きたいと思います。
>これでめでたしめでたしってのはめでたい感じがしないなあ
書いてる本人もそのつもりです。そのため、最後は曖昧な表現にしてあります。
不自由がなくても、幸せかどうかは分からない。という感じです。でも曖昧すぎて中途半端かなあ、と今は思います。
最初はこれで終わりのつもりでしたが、続きもありかなという気がしてきました。
>読みづらい
すみませんとしかいいようがありません! 形式段落の一つ一つが長いので改行した方がいいだろうと思いやったのですが、逆に見にくくなりましたかね。
本文のほうだったらそれは私の文章力不足です。精進します。
私の中で「ふーん」となってしまう理由を考えてみたところ、世界が狭いのかなと思いました。箱の中の物語というか、遠い感じがするのでしょうか。
次にまた何か書くときは「ふーん」で終わらせないような作品にしたいと思います。
数ヶ月してからニューウェーブ。本当に過疎なんだね。 ある程度馴れ合いになるのは仕方ないさ。 ところで長いから外部リンクは……だめか。と言うかまだ種明かしも済んでないからな。 完結したら見て頂くやも知れませぬ。……とにかく人がいなくてorz
人はいるよ ネタがないだけで……orz
429 :
1/5 :2010/04/15(木) 15:15:36 ID:EDwWeY8G
俺、明石 星佳は今日、可愛い魔女の女の子を奴隷にしました。 ……別にイカれてなんかないからな。 正直、自分でも未だに夢なんじゃじゃないかなぁって思う。 だからさ、散々、赤くなるまでほっぺや手の甲をつねってみた。 だけど目は覚めなかった。 それならばと近くにいた買い物帰りのおばさんに、今日は何日ですかと尋ねてみた。 当然、俺の知っている通りの日付をおばさんは教えてくれた。 哀れなモノを見るその冷たい目線は、一生忘れられないだろう。 俺は、寝ぼけてるわけでも、狂ってるわけでもなかった。 そしてもちろん、俺は魔法の国の王子様でもなければ、未来の国の未来人でもなく、何処にでも居る平々凡々な一高校生である。 それならなぜ、そんなことになったのか。 全ての事の発端は、放課後、俺が特に仲の良い高校の友達二人にジャンケンで負け、コンビニにアンパンを買いにパシらされた帰り道から始まる―― 俺の通う高校がある街、姫塚町は都心から少し離れた地方にあった。 昭和の名残を感じさせるような建物がちらほらと残ってたりするこの古き良き街が、俺は大好きだ。 そしてこの街の丁度真ん中を区切るように走るのが姫塚川。 江戸時代の頃に治水工事がなされ、平成の今日に至るまで、陰に日にこの街の発展を支えてきた由緒ある川である。 俺はその時、右手にアンパンが三つ入ったコンビニ袋をぶら下げて、その姫塚川の近くの土手を歩いていた。 季節は秋真っ盛り。まさに天高く馬肥ゆるって奴だ。 もう放課後の時間帯というだけあって、日も傾き、辺りは淡いオレンジの光に包まれていて、川の周りを漂う赤とんぼからは、どこか心穏やかな秋の空気を感じる。 秋は夕暮れ、言ったのは清少納言だったっけ? まぁ誰が言ったかなんてのはどうでもいいが、その言葉はまさに核心を付いていると思った。 見てみろよ姫塚川の水面を、夕焼けの明かりを反射してまるでガーネットを散らしたかの様にキラキラ輝いてやがる。
430 :
2/5 :2010/04/15(木) 15:16:23 ID:EDwWeY8G
俺は昔から、一人でこういう美しい光景を見ると興奮してしまう性質だ。 聞いてるとヤバげな人間に聞こえるかもしれないが、まぁ外見にでる違いは少し足取りが軽くなったり、コンビニ袋の揺れ幅が大きくなったりぐらいだから問題ない、と思う。 そんなこんなで、俺はちょっぴりハイになってたんだよな、その時。 だからさ、 「ねぇ」 いきなり後ろから空いていた左手を握られて、 「あんたもしかして、ニンゲン?」 こんな意味不明な質問された時も、なんの疑いもせずに後ろを振り向いた。 俺の後ろに居たのは、一人の小柄な少女だ。 髪は黒い艶のあるショートヘアで、服は水色のワンピースを着ている。 肌は雪のように白くきめ細やかで、その可愛らしい顔は目鼻口が絶妙な場所に配置され様式美さえも感じられた。 そして何よりも俺の心を奪ったのは、少女のその大きな瞳であった。 俺の顔を見詰めるその双眸は、俺が今まで見たことも無い、鮮やかなオレンジ色の光を灯していたのだ。 「ねぇ、ニンゲンなの?」 少女の再びの問いにハッっと我に返る。 この少女の、何処か人間離れした瞳に見とれて、少し呆けていたようだ。 「ああそうだ、俺は人間だ。それがどうかしたか?」 俺は平静を取り繕ってこう少女に返事をした。 今考えると、どうかしてたのは俺のほうだったのだ。 普通は、いきなり見ず知らずの少女に『お前は人間か』なんて聞かれたら気味悪がるもんだ。 だが、さっきも言ったよう、その時の俺は、ちょっぴりハイだったのだ。 これっぽちもそんなこと、疑問にすら思わなかった。 「ふふ、じゃあ、お兄さんにこの指輪をあげる。大事にしてね」 正直何が『じゃあ』なのかは解らなかったが、少女は薄く笑いながら、ポッケから一つの指輪を取り出し俺に差し出した。 それは銀製の、細部まで装飾の施された、明らかに高価な物と解る指輪だった。 お前達だったら、そんなとても値の張りそうな、ブランド物っぽい指輪を他人にくれると言われたら、受け取るか? 俺はもちろん貰わなかった。多分当たり前だろう。
431 :
3/5 :2010/04/15(木) 15:17:24 ID:EDwWeY8G
……ここから先は、正直話したくは無い。 だが、それでは話が進まないのだ。 恥を忍んで、続けるとしよう。 だから俺はさ、 「お嬢ちゃん、こういう物は簡単に他人にあげちゃいけないんだぜ」 とかなんとか言って、格好つけて、その少女の指輪を彼女のお人形のような右手を取って、その人差し指に嵌めてやったのさ。 優雅に、華麗に、美しくな。 ……笑いたきゃ笑え。その時は俺もどうかしてたんだ。 さてさて、それで少女が「そっかぁ、解ったよお兄ちゃん。じゃあねー」でどっかに言ってしまえば、それでよかった。 それなら俺は、この話をただの黒歴史として、自分の心の奥深くにコンクリ詰めにして沈めていただろう。 だが、そうはいかなかったから、俺は今話しているのだ。 「あ、あぁ……」 なんと、指輪を嵌められた少女が、この世の終わりを三回ぐらい味わったような顔で、つまり顔面真っ青にして、小刻みに震えているではないか。 「お、おい、どうしたんだ」 その突然の変化に心配になって、俺が少女の顔を覗き込もうとすると 「あんたなんてことするのよぉ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!」 少女の、可愛らしい怒鳴り声が俺の耳を突き抜けていった。 その時はまだ、俺は何で少女が急に怒鳴ったのかも解らなかったし、自分が一体何をしてしまったのかも気づいていなかった。 解るわけはないし、気づける筈が、なかった。 「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁ! あんたなんてことしてくれたのよぉ!」 少女が半泣きで俺の頭をポカポカと殴ってきた。謂れのない迫害だ。 「おい、俺はただ指輪を嵌めただ」 「これは『隷属の指輪』なのっ! ただ嵌めたじゃ済まされないのよぉ〜。ううぅ……」 とうとう少女はその場に座り込んで愚図り始めてしまった。 これじゃまるで俺がこの子を泣かせたみたいで凄く気まずい。 「というか何なんだその『隷属の指輪』って」 随分と不吉な名前である。 なんてたって『隷属の指輪』だ。RPGかなんかじゃ装備しただけで、トラウマになりそうな音楽が響きそうである。
432 :
4/5 :2010/04/15(木) 15:19:09 ID:EDwWeY8G
随分と不吉な名前である。 なんてたって『隷属の指輪』だ。RPGかなんかじゃ装備しただけで、トラウマになりそうな音楽が響きそうである。 「この指輪はねぇ、嵌めさせた相手を自分の言う事を何でも聞く奴隷にする、すっごい指輪なのっ! この意味が解るかニンゲンっ!」 嵌めさせた相手を奴隷にする指輪とな? それは 「つまり、どういう意味だ?」 「だぁっもうこの低脳! いい、あんたが私にこの指輪を嵌めさせたの、解る!? つまり私は、あんたみたいなのの奴隷に……うわぁーんんん!」 怒ったり泣いたり忙しい少女だ。 さて、少女の話を信じるなら、俺はこの子を、『隷属の指輪』とやらで奴隷にしてしまったということらしい。 その話を信じるなら、今すぐ教会の神父さんかなんかに呪いを解いてもらわなきゃな。 そしてもちろん 俺はそんな話は信じない。 ここは、RPGの世界なんかじゃない、現実、リアル、トゥルーワールドなのである。 「お嬢ちゃん、お兄ちゃんをからかってるのかな? そんな夢みたいな指輪あるわけ無いだろ」 俺が慈悲深い声で少女を諭すように話しかける。 「じゃあこれを見ても同じことが言えるっ!?」 すると、少女はキッっと半べそで俺を睨みながら、いきなり姫塚川に向かって左手を突き出した。 そしたら突然、少女の体が淡いオレンジ色の光を帯びて そして、信じがたいことが起こった。 「凍れっ!」 少女の鋭い声と共にその光が爆発したかの如く溢れかえる。 すると、なんということだろう、姫塚川の大体十メートル四方ぐらいの範囲が、一瞬で凍ってしまったではないか! その氷は、ただ表面に張っているのではなく、しっかり川の中を泳いでいた魚達まで瞬間冷凍保存している。 俺は恐らく、生まれて初めて、空いた口が塞がらないってのを直に体験した。
433 :
5/5 :2010/04/15(木) 15:22:17 ID:EDwWeY8G
「お、お前、こりゃどうゆう仕掛けで」 仕掛け? 仕掛けだって? 川の水を一瞬で凍らせるなんて、そんなの小手先芸で出来るわけが無いだろ。 俺は、口で言いつつも本当は解っていたのだ。 この現象には、種も仕掛けもないって事ぐらい。 それでも、簡単には認められない。 だってこんなことは、それこそ 「仕掛けも何も、これは魔法よ!」 そう、魔法でも使わない限り実現不可能だって事ぐらい、一目瞭然だったからだ。 「さぁニンゲンっ! お前はこれを見た上で、この偉大なる黄昏の魔女、ナランハ・ソーサレスを夢幻の類だと言い切れるのかっ!」 そう言って少女――ナランハ・ソーサレスは目に涙を溜めながら、俺に右手の人差し指をビシリと突きつけた。 その指の付け根に輝くは、銀色に光る『隷属の指輪』。 俺は、魔法という、俺たちの生活から最も身近で、最も遠い、ファンタジーの世界を初めて目の当たりにしたのだった。 .二章 「――と、まぁ、こんな感じだった訳だ」 「訳なのよっ!」 俺の落ち着いた声と、ナランハの威勢の良い声がその部屋に響いた。 場面変わって、ここは姫塚高校の美術室。 この絵の具独特のすいた臭いのする部屋が、俺の所属する美術部の部室だった。 ただ、美術部といってもこの部活は、部員が俺を含めて三名しかおらず、またその活動も一般的な美術部とはほとほとかけ離れていた。 まぁどこの高校にも、廃部寸前の部活を乗っ取って部室を駄弁り場にするなんてのは良くあることで。 つまり、そういうことだ。 「そんなのどうでもいいから、早くアンパンよこせ明石」 MF文庫に突っ込む予定です。
読みやすいラノベのようで好き
435 :
夏目悠平 :2010/07/14(水) 23:20:06 ID:898R9R3a
魔法を使わぬ魔法使い (1/3) 俺は悪い人間だった。小さいころから乱暴者として恐れられていたし、学校でも、先生に目の敵にされていた。 そのおかげでいつも一人ぼっちだった。心の隙間を埋めるため、さらに悪事を重ねた。 しかし、不思議なことに、悪事を重ねれば重ねるほど心の隙間は大きくなった。 もちろん、オレみたいなやつは成長してもろくな人間にならない。 十数年もすれば、立派なギャンブル狂になった。 いつもいつも金が足りなくて、困っていた。金貸しは血眼で、逃げ回る俺を探しまわった。 ある日、決めた。銀行強盗をすることに。 そして、ついに銀行から金をに奪ってしまった。 銀行でたくさんの金を奪い、なんとか警察を振り切ったとき、目をくらませるために、 ある一軒の民家に侵入することにした。 しかし、この民家にだけは入るべきではなかった。 このときに俺の人生は変わってしまったに違いない。隣の民家に侵入してさえいればよかったのだ。 あの家の扉は地獄の門だった。それとも、邪悪な魔法使いの家の門というべきだろうか? あれを開けた瞬間、俺の人生は暗転したのだ。 ここを開けさえしなければ、俺の命は助かったのかもしれない。 話しを戻そう。俺はその家の玄関わきになぜか置かれている、 黒いベールの掛けられた黒い箱をわき目に、乱暴にドアを開けた。
436 :
夏目悠平 :2010/07/14(水) 23:22:30 ID:898R9R3a
(2/3) すると、家の中には一人の痩せた男が立っていた。おそらくその家の主人なのだろう。 俺はすさまじい顔をしながら拳銃を突きつける。 「ちょっと待ってくれ!撃つな!警察から逃げているのなら、君を逃がしてあげるから!」 痩せた男は蒼白な顔で叫んだ。 「僕には家族がいるんだ・・・。愛する者のためにも、まだ死ぬわけにはいかない。」 しかし、俺は焦っていた。銃を突き付け、本当に逃がしてくれるのか?と叫ぶ。 痩せた男は答えた。 「家の玄関のわきに黒いベールに覆われた、黒い箱があったろう?あの箱は、今度、海外の別荘へ運び込む予定の箱なんだ。 運び入れるのは宅配業者だから、勝手に中を覗いたりはしない。」 俺はごくりと唾を飲み込む。そして「それで?逃がしてくれるなら生かしてやる!」と叫んだ。 「だから君はそこに入っていればいい!そうすれば逃げられる。」 痩せた男はそう言い終えた。 俺は鬼のような恐ろしい顔でにやにやしながら言う。 「でも、俺の目撃者がこのまま生きてたんじゃ困るよな?お前が通報して、 俺が空港を出た瞬間に捕まるかもしれない。」 そして、ゆっくりと引き金に力を込める。 痩せた男の顔は一層、蒼白になった。そして意を決した様子で言った。 「実は、僕は偉大なマジシャンの弟子なんだ・・・。もし嘘をついたら、君は罰を受けることになる。僕の魔法によって、剣を持った筋肉隆々の男達が召喚され、大勢の見物人が見守る中、君は断罪されるだろう。」 俺はそれを聞いてゲラゲラ笑った。魔法だって?あまりにも突飛な脅しだ。 いや、脅しにすらなっていない。こいつはファンタジー小説の読みすぎなんじゃないのか? 痩せた男はなおも続けた。 「彼らに正直に罪を告白すれば、人道的な方法で罰してくれる。彼らに最後まで罪を隠したなら、残酷な方法で罰せられる。」 痩せた男は疲れた顔に笑みを浮かべた。 「これは君への復讐なんだ・・・。僕を裏切った君は罰を受ける。 魔法はもう効き始めてるんだ。僕を逃がしてくれれば、まだ助けてあげられるんだけどね。」 俺はその言葉を最後まで聞くことなく、痩せた男の顔に向かって引き金を引いた。
437 :
夏目悠平 :2010/07/14(水) 23:25:30 ID:898R9R3a
(3/3) 省略された・・・ごめんなさい。 俺は黒い箱のなかへ逃げ込んだ。黒い箱のなかでほっと一息をつく。 奇妙な表現だが、なかなか入り心地のいい箱である。 狭すぎず、広すぎない箱だ。まるで、だれかが入ることを予想して作られたかのようだ。 俺は疲れていたので、すこし眠ることにした。今日はすこし働きすぎたのかもしれない。うとうとしていると、ふいに箱が持ちあげられる感覚がした。やっと宅配業者が取りに来たのだろう。 「紳士織女のみなさん!Mr.フーディのマジックショーへようこそ!」 やかましい声がすぐ隣でそう叫んだ。その声で俺は目を覚ました。やかましい声はさらに続ける。 「最初にお見せするマジックは奇跡の脱出です!」 俺はそれを聞いて、すっと血の気が失せていくのを感じた。 「私がまずこの黒い箱に入ります。私が入ったあとで、なんと、助手たちが何本もの長剣をこの箱に思いきり突き刺してしまいます!」 それから、小声でMr.フーディはつぶやく。「くそっ。助手の痩せた男はなにをしているんだ?今日はあいつも舞台に立つはずじゃなかったのか?」 観客達の大歓声が聞こえる。 俺は完全に混乱した頭で選択しなければいけなかった。 ここを出るべきなのか。しかし、あっという間に不審者として捕まってしまうだろう。 罪を償わなければならなくなる。 それとも、じっと待ち続けるのか。 しかし、鉄の刃はすぐそこだ。考えれば考えるほど混乱した。 ふと、脳裏に、俺が殺した痩せた男の顔が浮かんだ。 「それでは、箱の中に逃げるスペースがないことをお見せするため、実際に長剣を刺してみましょう・・・。」 そう言い終えたMr.フーディは、小声で剣を持った屈強な助手たちに「おい、やれ!」と言った。 指示を受けた助手達が、それぞれ、大きな剣をゆっくりと振り上げた。 観客は大きな声で歓声を上げる。 黒い箱のなかでは、男が押し殺した声で泣いていた。
うむ、書きたい物についてはわかる。 わかるんだが、その為のディティールがちょっと甘いかな、と。 書き込みというか、やり取り部分での違和感覚えた部分は いきなり拳銃を突きつけられて、すぐに「警察から逃げているなら、君を逃がしてあげる」と 事情を把握する痩せた男は、理解力ありすぎじゃね? とか 痩せた男の提案から、それを男が突っぱねる流れで、どうしていきなり男が「裏切り者」として 扱われる事になるのかがわからない。別に男は命を助ける事を確約したわけでもないのに。 とかの部分かな。 あとは、設定的な部分で 玄関脇っていう、人目につく所に、手品に使うギミック込みの箱を置いておくものかな? という部分も違和感覚えたかな。 発想としては、男がこういう形で罰を受ける、というのは面白いと思う。 痩せた男の予言めいた言葉とかも。 あとは、どれだけそれを自然な形で、違和感を覚えさせずに最後まで 持っていくか、かな?
439 :
夏目悠平 :
2010/07/19(月) 21:03:23 ID:aqQDYiu1 >>438 感想ありがとうございます。
確かに、細部が甘いところは多々ありますね・・;
構想を練り、文章を書ききってしまうと、
それだけでパワーを使い果たしてしまうので、
細部を手直しするということがなかなかできないんです。
これは、これから直していくべき課題ですね。
作品一つ一つの作成により長い時間を掛けるべきなのかもしれません。
ありがとうございました。m(_ _)m