非リレー型バトルロワイアル

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@お腹いっぱい。
1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」
その登場キャラクター達を架空のキャラクター達へ変更して進めていく企画です。

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール

・書き手はトリップ必須
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 07:40:47 ID:OBHHI8pP
基本ルールも仮なので色々決めていきましょう
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 09:05:18 ID:DaZxm5kD
非リレー形式ってことは
書き手が1人で完結させないとだめなのか
ちょっと厳しそうだと思う
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 09:34:31 ID:OBHHI8pP
そうですが、登場人数も自分で決めることになるので
はやく完結させたい人は少人数で、じっくりやりたい人は大人数でやっていければと思います
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 09:44:23 ID:OBHHI8pP
当然自分も書きますが、メインは各作者さんへの支援と考えています。
投下支援、感想など
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 12:41:31 ID:o7P/qnFb
オリキャラでやんのかい?
ちょっと興味はあるが
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 13:03:42 ID:OBHHI8pP
バトルロワイアルという形式さえ取れば
登場人物全員オリキャラ
版権キャラ+オリキャラ
全員版権キャラ
いずれの形式でもおkでいきたいと思っています。
それぞれの書き手さんが決めていければと
8 ◆EGv2prCtI. :2008/08/30(土) 16:26:37 ID:dvGitMd7
なるほど
じゃあ舞台設定ウィザードリィで参加者オリキャラ(と言うかほぼオリキャラにせざるを得ない)でも大丈夫なのかな?
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 16:37:10 ID:0j81Aopz
これいいな。
こっちに乗り換えようかなぁ…
10 ◆RJNpFExwIg :2008/08/30(土) 20:28:43 ID:oPTv+VM0
誰にも文句言われず進められるからいいかもしれませんね
参加者30人(全員オリキャラ)のシンプルロワをさっそく企画します
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 20:53:52 ID:dRWEIoAy
――健速こそ世界の全て
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 21:24:56 ID:BgtmPU09
非リレーのロワといえば、大昔にあったレゲロワがそうだったな。
あれは「一人で完結まで書く」ではなくて、レゲーキャラ同士のロワ内
エピソード(もちろん、主にバトル)をそれぞれ好きに描いていくという形式。
あれはなかなか楽しかったなぁ。辞典で見れるから、興味引かれた方はぜひご一読。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 21:27:35 ID:yJE8hev1
ネギまロワも、非リレーだね
きちんと一人で完結するまでやって
現在は20期行ってる
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 23:27:42 ID:OBHHI8pP
早速書いてくれそうな人がいて嬉しいな
>>8
すまない、ウィザードリィがどういうのかはっきりと知らないけど
書き手が「バトルロワイアル」に準ずるものと判断できるものであればいいと思います。

>>10
頑張ってください

基本ルールの追加で投下前と投下後にはその意思表示をお願いします
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 00:00:12 ID:rd0O4yuA
じっくりプロット練ってみるか
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 22:58:12 ID:EOWvw8Tg
ここってOPだけとか途中の一部だけとかだけ書く、書き逃げ形式はやっていい?
島本和彦の『クライマックスがお好き』みたいなやつ。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 03:45:21 ID:AWVYAWs7
あらかじめ注意書きなりなんなりしとけば無問題じゃないかな
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 16:16:47 ID:gfZ2KcgT
しかし非リレーとなると最初はしばらく過疎になるな
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 16:18:58 ID:gfZ2KcgT
あと、ちょっとしたルールの改変って有り?無し?
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 18:41:30 ID:X1CfWDbW
どれくらいのものかは分からないけど、基本有りで
非リレーのよさを出していくには有り有りで進もうかと思っています。
誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉に
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 21:21:59 ID:gfZ2KcgT
thx
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 21:32:44 ID:omEZl3o5
よし、じゃあ俺も、参加者が全員記憶喪失状態から始まるプロットを練ってみようかな。「殺し合って最後に残った一人が勝ち」以外殆んど改変の冒険プロットだけど……。

そういえばここ、全部書き終わってから投下なのか?
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 21:42:01 ID:LAzqS/Rc
それは流石に敷居が高すぎるから、
ある程度まとまった文章が出来ていればいいと思う。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 22:10:11 ID:5kKvdRie
>>19
ひとりで書くんだから好きなようにすればいいんでね?
新しい発想が読者にウケればそれでよし。失敗しても誰かを巻き込むわけでもない。
25じじ♯huyu:2008/09/05(金) 20:23:42 ID:7jooohDI
yb
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/06(土) 22:23:54 ID:7QxrlSkv
主催者の動機付けが難しい
27 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:32:15 ID:qJA0gPek
Wizロワ投下します
280 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:33:34 ID:qJA0gPek

 真っ暗闇だ。
 シュートにでも入ってダークゾーンに入り込んだのだろうか。
 しかし、思った。
 ――ここには、ダークゾーンに通じるシュートなんてあったか?


 悪の魔術師ワードナの地下迷宮を攻略しようと迷宮に潜っていた侍、カナンは瞬きをもう一度行うと辺りに生き物が多く潜んでいることを悟った。
 いつもの、パーティを組んで共に迷宮に入っている五人だけではない。
 もしや――囲まれているのだろうか。
 大勢の呼吸がひしひしと様々な感覚を刺激し、カナンの指を自然に妖刀村正がかけてある腰へと伸ばさせるに至る。
 しかしカナンの指が伝えたのは衣服の軽い反動だけだった。
 村正が無くなっている、いや――

 そこでようやくカナンは村正どころか自らが身につけていた鎧やら盾も共に消失していることに気が付いた。
 何故無くなっているのかは分からない。
 装備が無いと分かっていれば初めからこんな場所には居ないだろう。
 仲間のオーウェルやキャルルがロクトフェイトの呪文を使った記憶も無い。
 第一、あんな全裸で街に戻る呪文なんか使ったら強烈に記憶に残る筈だ。


 他のみんなは――
「オーウェル!」
 仲間の君主の名前を叫ぶ。
 返事は無い。
「タケミ!」
 仲間の忍者の名前を叫ぶ。
 返事は無い。
「キャルル!」
 仲間の僧侶の名前を叫ぶ。
 返事は無い。
「マリクト!」
 仲間の司教の名前を叫ぶ。
 返事は無い。
「ルーシェ!」
 仲間の魔法使いの名前を叫ぶ。
 返事は――
 ――。
290 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:35:28 ID:qJA0gPek

 叫びの反響すら返ってこず、全てが闇に飲み込まれる。
 静寂だけ――いや、厳密には生き物の息吹だけ――が、この空間を支配していた。
 カナンは身を屈めて右手を床に沿わせ、慎重に辺りを探り始めた。
 しかしそれでも手に伝わるのは冷たく固い感覚だけで、床に誰かが倒れている訳でもなさそうだった。
 それでもどういうわけか相変わらず気配は消えず、カナンに対してひたすら警戒を続けさせている。

 自分はもしや夢を見ているのではないだろうか?
 そうだ、今この場で覚醒を試みたら次の瞬間には馬小屋の中で寝ているに違いない。
 そう思った時だった。


 不意に照明が照らされたかと思うと、そこはただっ広い、地平線らしきものまで伺えるほど大きい部屋だった。
 白い天井と白い床を遮る壁はなに一つ無く、代わりに床には人が三十人近くも倒れ込んでいる。
 既にその内の何人かは立ち上がっていたが、その様子はほとんど先程のカナンと同じく周りをただ見ていた、ようだった。
 しばらくして、高めの、はっきりとした声が聞こえた。

「カナン!」
 振り返ると、見慣れた姿がカナンの前に立っていた。
 身の高さはほとんどカナンと変わらないぐらい高いのだけれど、着ている服越しからでも分かる、あまり丈夫そうとは思えない体付き。キャルルだ。
「ねえ、ここはどこなの?」
 キャルルは起きたばかりらしく、おぼろな目付きと困惑した表情でカナンの顔を視界から離さまいと一点に見ている。
「俺も分からないな」
 分かったらさっさと脱出出来るだろう。
 どうせ装備が無くなっているのだし、こんな不気味な状況から抜け出せるのならこのままキャルルにロクトフェイトを唱えさせるのもよかったが、しかし、他の四人もここには居ないとは限らない。
 とにかく、状況を把握するのが先決だった。
300 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:38:24 ID:qJA0gPek

 倒れていた人々はやがて起き始めてはいたが、その中にはどう考えても魔物の類いとしか思えない者までいる。
 猫顔、犬頭、毛むくじゃら。
 その身なりは周りの人間と同じく冒険者のそれだったのだけれど、しかし、そんなモンスターが幾つか居るのをカナンは既に知っている。
 いや、しかし、とにかくどうしてそんなモンスターと自分達が転がっているのかとかそんなことより、ここは何処なのか、何故自分達がここに居るのかを知りたかった。

「皆さん、目覚めましたか?」
 また、声が聞こえた。
 今度は空間全体に響くようなそのやや高めの男の声で、どう考えてもここに居る誰かが放ったものではないと分かった。
 誰もが顔を見上げたり振り向いたりして、またある者は他の誰かを探るような視線を向け、そしてその視線を向けられている者はカナンとキャルルにを見ている。
 そしてその様子から、この状況を理解している者が一人も居ないと把握出来た。
「シット・リィスです、よろしく」

 姿の見えないその声が名前を名乗り、ますます場の不気味さを演出していった。
 目的も何も分からない、そしてこの場に居るかも分からない存在。


「よくわからないわ」
 その時、透き通るような声が凛と響き、ざわめきが止んだ。
 集団の中で唯一身をしっかりと立たせ、そして天を見上げる女らしいそれは、そう言ったようだった。
 女らしい、と言うのは、その肩まで伸ばした紺色の髪と声から判断するものであって、顔が藍色の被毛に被われた猫だったので実際女なのかどうか分からないからだ。
 少なくとも、カナンにはそう見えた。
 返事を待っているその猫の、マントで半分隠れた尻尾は神経質に横に揺れてこれを快く思っている訳ではないのは確かだった。
 その点に関してはカナンも同意だったし、それにこの未知の存在に対しては一種、恐怖のようなものすら感じていたかも知れない。
310 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:41:35 ID:qJA0gPek

 声は何か考え込んだかのようにしばらく黙り込み、それから数秒して口を開いた。
「えー、このゲームはすっかり駄目になってしまいました」
 そして、言った。
「そこで今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
 カナンの視界に入っていた冒険者達が驚愕の表情を浮かべ、キャルルがカナンの腕を掴むのが、分かった。
 何を? 何を言って――

「ふざけないで!」
 多分、そのシットの言葉から一秒もしない内だった。
 その叫びで猫はびくっと耳と尻尾を立て、キャルルとカナンははっと顔を上げた。
 冒険者達が一斉にその方向に振り向く中、キャルルが「ルーシェ?」と口にした、かも知れない。
 その通り、大量の視線の先に居たのは金髪のエルフの魔術師ルーシェだったのだ。
 ルーシェは憤激を見せて、もはや顔を真っ赤に膨れ上がらせていた。
「別に誰かが何かをした訳じゃないのに、冒険者同士で殺し合ってなんの意味があるのよ!」
 カナンの知っているルーシェは――あまりに正義感が強すぎる。
 それ故に酒場では常に悪の戒律のパーティをすぐにでもラカニトの一つでも撃ち込みそうな、まるでモンスターでも見るような目付きで見ていたし、一度拍子でそちら側に入ったオーウェルを殺しにかかったこともあった。
 カナン自身も悪のパーティのことは気に入らないが、殺したいほどでは無い。何らかの仕事で一緒になることがあれば共に迷宮を歩くぐらいは出来るだろう。

 だが、ルーシェは――
「よせ、ルーシェ!」
 飛び付くようにカナンはルーシェの元へ駆け出した。
 あの声に逆らうのはまずい――いや、まずいどころでは済まない、とにかく取り返しのつかない事態になりそうだった。
 ルーシェの肩を掴み、そう――恐らくこれから始めようとしている呪文の詠唱を、カナンは止めさせようとした。
 しかしカナンの制止を払いのけ、ルーシェは手を掲げる。
「どうせこの中に、この中に居るんでしょ!? 吹き飛ばしてやる、TILTOWAI」
320 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:44:04 ID:qJA0gPek

 ティルトウェイト――核撃の呪文だ!
 カナンは一瞬だけ目を背け――しかし、呪文が発動することはなかった。

 その時、ルーシェの首が光を放ったのだ。
 いや、首輪――が。

「ルー……!」
 カナンはもう一度呼び掛けて――そこで、途中でやめた。
 ルーシェの姿がきれいに消失していた。
 先程のそれで何名かは自分にも銀色の首輪が取り付けられているのに気付いたが、しかしカナンはもとルーシェが居た場所にただ茫然と顔を向けていただけだった。

 声が、言った。
「ああ、もし私に逆らおうとしたら石の中に飛ばされますよー」
 石の中に飛ばされる――そのことの恐ろしさをカナンは十分理解していた。
 所謂、それは『ロスト』を表す。
 二度と逃げ出せない石の中なのだから、当然と言えば当然だ。
 一応、石の中に入った瞬間にロクトフェイトやマロールを唱えて脱出出来たと言う話も聞いている。
 しかし――しかし、それはあくまで石の中に入りうる状況に対して、しかも準備できていたら、の話だ。

 ルーシェは、ルーシェは本当にそんなところに転送させられてしまったのだろうか?
 ルーシェと言う存在自体が――消えてしまったとでも?

「それでは説明を始めます。ルールは簡単です。これから皆さんが送られる迷宮で最後の一人になるまで殺し合ってもらうだけです」

 カナンとキャルルが立ち尽くす中、声は悠々と話を続けていた。

【ルーシェ 消失】
【残り34/34人】
33 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:46:56 ID:qJA0gPek
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、石化・死亡・灰化・消失状態ではない一人だけが残った時点でゲーム終了となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができ、加えて願いを一つ何でも叶えてもらえる。
 ゲームに参加する参加者間でのやりとりに反則はない。
 十二時間毎に放送される内容は『禁止エリアの場所と指定される時間』『過去十二時間に消失した(復活不能になった)参加者名』
 『残りの人数』等となっている。


【『首輪』と禁止エリアについて】
 ゲーム開始前から参加者は全員、『首輪』を填められている。
 首輪が作動すると、その参加者個人に自動で下二十階行きに指定されたMALORが発動し、参加者は強制的に石の中にテレポートさせられて消失する。(例外はない)
 主催者側はいつでも自由に首輪を作動させることができる。
 この首輪は参加者の生死を常に判断し、主催者側へ参加者の生死と現在位置のデータを送っている。
 二十四時間に渡り死者が出ない場合は全員の首輪が作動し、全員処刑となる。
『首輪』を外すことは専門的な知識がないと難しい。
 下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に作動し、死ぬことになる。
 参加者には説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は主催者側に筒抜けである。
 主催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に作動する。
 なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
 例え首輪を外しても会場からは脱出できないし、禁止された能力が使えるようにもならない。
 参加者が灰化・消失した場合は同じく灰になったり消えたりするし、灰化からの復活時には首輪も再び取り付けられる。
 主催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に作動する。  尚、エレベーターに乗っている内は首輪は作動しない。

 禁止エリアは最初は三時間ごとに一層のみ指定され、解除、指定を繰り返していく。
 基本的にゲームが完遂不能になるような配列にはしない(例:残り二人、一人が一階、一人が七階に居る時に二階から六階全禁止エリア指定など)。
 十二時間毎に更に一層づつ追加される。
 よって、タイムリミットは三日半。
34 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:49:21 ID:qJA0gPek
【スタート時の持ち物】
 参加者があらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前に参加者は開催側から以下の物を配給され、『ザック』にまとめられている。
 『地図』『コンパス』『着火器具、携帯ランタン』『筆記用具』『水と食料』『名簿』『時計』『支給品』
 『ザック』→他の荷物を運ぶための小さいザック。
 四次元構造になっており、参加者以外ならどんな大きさ、量でも違う種類のアイテムを二十二個まで入れることができる。
 『地図』 → 舞台となる迷宮の地図。禁止エリアは自分で書き込む必要がある。DUMAPIC、又はディレクションの呪文でも現在の禁止エリアと予定階層を知ることが出来る。
 『コンパス』 → 普通のコンパス。東西南北がわかる。
 『着火器具、携帯ランタン』 →灯り。油は切れない。普段冒険者達が使っているものと同じで、MILWA、LOMILWAの呪文の光には比べると明るさは劣る。
 『筆記用具』 → 普通のペンと墨と紙。
 『食料』 → 複数個のパンやリンゴ、焼きトウモロコシ等(丸一日分程度)
 『飲料水』 → 1リットルの瓶×2(真水)
 『名簿』→全ての参加者の名前が載っている。
 『時計』 → 普通の時計。時刻がわかる。主催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 『支給品』 → 何かのアイテムが1〜3つ入っている。内容はランダム。
※『ランダムアイテム』は『Wizardry#1-#6に登場するアイテム』で抽選された中から支給される。
 必ずしもザックに入るサイズであるとは限らない。
 また、イベントのバランスを著しく崩してしまうアイテムは支給されない。
 『金の鍵』『がらくた』『ゴムいと』等のいわゆるハズレアイテムも支給される可能性がある。

【死の概念】
DI(死亡のみ)、KADORTO(死亡、灰化)、レザレクション(死亡、灰化)により死亡、灰化からの復活は可能。
ただし死亡した時点で生命力が減り、更に復活にも生命力が必要。
復活に必要な生命力が無くなるとその時点で消失する。
参加者が消失するとその場に宝箱が出現する。
中には有用なボーナスアイテムが入っているが、Wizardry#1-#6に登場する罠が仕掛けられている可能性がある。
35 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:51:43 ID:qJA0gPek
【呪文】
以下の呪文の効果が変更されている。
全回復魔法→効果の減少
DUMAPIC→禁止エリア情報の表示
MAKANITO→使用不可
LAKANITO→使用不可
HAMAN、MAHAMAN→敵をテレポート、味方の回復、味方の治療、味方の復活が不可
MALOR→使用は可能だが迷宮からの脱出は不可
BADI→成功率の減少
MADI→完全回復はしない
LOKTOFEIT→使うと石の中に飛び込む(ゲーム開始前に警告あり)
KADORTO→復活時に完全回復はしない
CORTU→効果の減少
SOCORDI→使用不可
BACORTU→効果の減少
LOKARA→使用不可
BAMORDI→使用不可
LABADI→効果の減少
BAKADI→成功率の減少
アスフィクシエイション→使用不可
ディレクション→禁止エリア情報の表示
クリエイト・ライフ→使用不可
イリュージョン→使用不可
デス→成功率の減少
コンジュレイション→使用不可
ライフスティール→効果の減少
レザレクション→灰化からの復活可能(KADORTOと同じく失敗あり)
デス・ウィッシュ→成功率の減少

【マップ】
#5の災禍の中心の迷宮。
※出口は塞がれている
※マンフレッティの店の泉は枯れており、消失からの復活は不可
※テレポート禁止区域にはMALOR不可のまま。
※モンスターはほとんど削除されている。が、宝箱の警報の罠を発動させた際には出現する。
36 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:56:33 ID:qJA0gPek
【主催者サイド】
主催者:シット・リィス(Hcet-ris)
管理役:イスト・アーチェ(ist-rceh)

【参加者】(性格の概念のない#6のキャラにも便宜上性格を付けている)
#1カナン G-SAM 人間
#1オーウェル G-LOR ドワーフ
#1タケミ G-NIN 人間
#1キャルル G-PRI 人間
#1マリクト G-BIS ノーム
#1ルーシェ G-MAG エルフ
#1あ G-FIG 人間
#1ぎんこう N-FIG 人間 
KOセラ N-LOR ホビット
KOリンダ E-NIN ホビット
KOザード G-THI 人間
KOジイ G-MAG ノーム
LOサムラ E-SAM エルフ
LOファイ E-FIG 人間
LOニンジ E-NIN ノーム
LOビス E-BIS エルフ
LOプリス E-PRI ノーム
LOウィザ E-MAG エルフ
#4ワードナ E-MAG 人間
#5ジン E-LOR ドワーフ
#5ムサシ E-SAM ドワーフ
#5シュラ E-NIN 人間
#5アリオン E-LOR ノーム
#5ソウシ E-SAM ノーム
#5リュウケン E-BIS エルフ
#5モノモーチ N-FIG 人間
#5ソーン E-MAG 人間
#6サーシャ G-LOR フェルパー
#6シルヴィア G-LOR フェルパー
#6ミモイ E-MON ムーク
#6サクラ G-BAR フェアリー
#6エミリィ N-MAG ラウルフ
#6レクサール N-ALC フェルパー
#6アリス E-VAL ドラコン
#6レベッカ E-MAG

総勢35人
37 ◆EGv2prCtI. :2008/09/07(日) 12:57:48 ID:qJA0gPek
投下終了。
オープニングの続きは次回の投下で。

何か不備があったら指摘をお願いします
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 13:08:58 ID:PiaWEHmB
Wizは全然知らないけど乙だぜ!
俺も前に放置してたアレをOPだけでも書いてみるかなあ……。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 16:19:26 ID:blt0u8oY
乙乙、どんな展開になるのかわくてか
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 16:43:09 ID:gmfzpAqc
乙ー
続きが楽しみじゃのう
41 ◆RJNpFExwIg :2008/09/07(日) 19:10:19 ID:8I7InQz8
文才には聊か自信がありませんが、オープニングを投下させていただきます。
42 ◆RJNpFExwIg :2008/09/07(日) 19:12:13 ID:8I7InQz8
一人の少女、瑪蝕麻織は、どうしてこんなことになってしまったのか、試行錯誤しながら考える。
思えば昨日は普通通りに家に帰り、普通通りに本棚を漁り小説を読み、普通通りに床につき、普通通りに起床し、普通通り制服に着替えて、普通通りに登校するはずだった。
だが、彼女が目覚めた場所は、奇妙な白い部屋。
その密室で、彼女はパイプイスに腰掛けていた。尻に痺れを覚え、股の部分が若干汗で蒸れていることから、かなり長い時間この座り心地の悪いパイプイスに座っていたことが推測できる。
麻織の他にも、人は何人もいた。この広く、何もない白い部屋に、均等に割り振られたパイプイスは30ほどあり、イスはすでに、自分と同じような、今の状況に困惑する者たちで埋まりきっていた。
「ここ……どこだ?」
「俺に聞くなよ。」
「不味いよォ……朝から大事な会議があるのに……」
「これなんかの撮影?ドッキリ企画?」
反応は多種多様だった。だが、麻織は敢えて落ち着くという選択肢を選ぶ、なぜかそうでなければいけないと、直感で理解したからだ。
麻織が人知れず、自分の心に、そうまじないを掛けていた時に、急に耳を劈くようなサイレンが部屋中に響き渡る。
喧しく響くサイレンは、縦横無尽に移動し、壁にぶつかって跳ね返りで、部屋にくまなく音は行き渡り、その場にいる多くの人々に言い知れぬ不安と不快感を与える。
「はーい。全員揃いましたね」
突然何もない白い壁が、自動ドアの開閉音のような音と共に、緑色のマントを羽織り、同色の頭巾で顔を隠した数人の男が入ってきた。
「皆様。どうかご静粛に。企画説明は穏便に済ませたいので」
中央に佇む男が口を開くと同時に、その男以外の者は、奇妙な首輪を両手に携えて迫ってくる。
「ちょっと何だよ!訴えんぞクソが!」
麻織の少し前に座っている男は、緑マントたちに抵抗を見せようとしたが、その緑マントは片手でその男を抑え付け、まるで一切の支障がないかのように簡単に首輪を彼の首に取り付ける。
その様子を見て、他の人々の反応は多種多様だった。束の間の抵抗を見せる者も数人いたが、ほとんどは緑マントにされるがまま、もちろん麻織も首輪を取り付けられることに抵抗はしなかった。
「31人全員揃いましたね。ではこの企画の簡単に説明いたします……」
「貴方たちには、今日「殺し合い」をしてもらいます。」
誰も予想だにしなかった。彼らの言う「企画」がここまで狂ったゲームだということを。
43 ◆RJNpFExwIg :2008/09/07(日) 19:13:49 ID:8I7InQz8
暫く辺りは完全に沈黙した。
「ふ……ふざけるな!何が殺し合いだ!マジでふざけるな!ブッ殺すぞ!」
その沈黙を破ったのは、麻織の少し首輪装着に反抗した男である。
「…………貴方は今、自分の置かれた状況を理解していますか?「殺す」と言う単語が孕む熱意はこのゲームに傾けて欲しかったです。では……一つお聞きしましょう。貴方はこのゲームに参加したいですか?参加したくないですか?」
「う……うるせえ!!参加なんてしたいわけないだろ!」
「俺もだ!」
男が、緑マントに反旗を翻したのを皮切りに、次々と参加者は立ち上がり、この流れに便乗しようとする。
その様子に中央の緑マントは、ふぅ……と小さなため息をつくと、袖からスイッチのような機械を取り出した。
「残念です。ですが30人のほうがキリがいいでしょうね。」
緑マントがスイッチを押すと同時に、楢橋の首輪は凄まじい爆音と共に爆発し、彼の喉仏から上は、吹き飛ばされた。肉片や血潮が辺り一面に降り注ぐ。
「…………酷い……」
麻織の頬に、べっとりとした血潮が飛んできた。麻織はもちろんそれに恐怖を憶えたが、それ以上に心中に孕んでいたのは理不尽過ぎる緑マントたちへの怒り。
絶叫が飛び交う以上空間の中で、恐怖による震えをじっと抑え付けて、麻織は耐えた。
今は耐えるしかないと、悲しいが痛感せざるを得なかった。
「では、これより簡単にルールを説明します。このゲーム「バトルロワイアル」に複雑なルールは殺し合い以外はほとんどございません。6時間ごとに死亡者の名前を放送いたします。後に参加者名簿もお渡ししますのでもし死ななければ参考のほどに……」
「そして6時間ごとに「禁止エリア」を3つ島内に設置します。そのエリアにいた場合はまことに残念ですが、30秒以内にエリアを出られぬ脚の遅い方は命を諦めてください。後から立ち入った場合は、即座に爆殺致しますので禁止エリアに立ち入ることはおやめください。」
「尚、あなた方は殺し合わぬことも不可能です。24時間以内誰も死ななかった場合もさきほどの参加を放棄したクズと同様の道を辿ります。最後に、ゲームの制限時間は3日間ですので3日以内に生存者が一人以下にならなかった場合も全員を爆殺することとなります。」

「以上のことを踏まえて、せいぜい死なぬよう骨身を尽くして全力で殺しあってください。私からは以上です。では、出口で地図、食料、参加者名簿等とひょっとしたら武器かもしれない「何か」が入っているデイパックを受け取って番号順にさっさと出て行きやがってください。」
「尚、このエリアは10分後に禁止エリアと化しますので、さっさと出て行ったほうが身のためですよ。」
「では〜っ。散々長々とルール説明を致しましたが、基本は殺し合いですので……せいぜい頑張って!生き残ってください!私からは以上です!」
「では、名簿の番号順に名前を呼びますので呼ばれ次第早急に前に出てきてください。尚、この施設内での戦闘行為はご法度とします。では、朝比奈耀三さん!」
メガネの少年が呼ばれる。彼は素直にバックパックを受け取り、先ほど緑マントが通ってきた通路を通り、外に出る。次に呼ばれたのは背の高い妖艶な美女。
「瑪蝕麻織さん!」
彼女も、あっと言う間に呼ばれた。
「私は…………こんなゲームに染まったりしない……」
少女の決意とは無関係に、無情のゲーム「バトルロワイアル」は、開幕した。
44 ◆RJNpFExwIg :2008/09/07(日) 19:15:26 ID:8I7InQz8
オリキャラロワ(シンプルロワ)

男性名簿
1:朝日奈耀三(あさひな ようぞう)
2:アマデウス・P・伊東(Amadeus Pedro Ito)
3:神楽雄一(かぐら ゆういち)
4:霧崎毅(きりさき たけし)
5:鷺飼倫太郎(さぎかい りんたろう)
6:紫藤真理(しどう まこと)
7:錫森宰(すずもり つかさ)
8:太鼓打護衛(たいこうち まもる)
9:鷹嘴弌(たかはし はじめ)
10:千歳京熾郎(ちとせ きょうしろう)
11:鳥海孳(とりうみ しげる)
12:槙臣幸雄(まきおみ ゆきお)
13:深山鐡哉(みやま てつや)
14:侑坂契(ゆうさか ちぎる)
15:梁紅軍(リャン ホンジュン)

女性名簿
1:雨宮馨(あまみや かおる)
2:卜辺清己(うらべ きよみ)
3:牛頭科鴉紗美(ごずしな あさみ)
4:蔡来渚沙(さいき なぎさ)
5:堊仗華(しろつち じょうか)
6:囀衝院依雪(てんしょういん よりゆき)
7:津嘉原美琴(つかはら みこと)
8:鏑屋芙蓉(かぶらや ふよう)
9:昭吉桃(てるよし もも)
10:冬馬一三子(とうま ひみこ)
11:夕畑目まど香(なばため まどか)
12:ジークリンデ・ブランケンシュタイン(Sigelinde Brankenstein)
13:瑪蝕麻織(めじき まお)
14:馬頭崎鴉花子(めずざき あかね)
15:畫園尹(わくぞの ゆん)

主催者
詳細不明の宗教団体(推定)

※キャラクターの詳細データは一話ごとに三人更新
45 ◆RJNpFExwIg :2008/09/07(日) 19:17:13 ID:8I7InQz8
【会場地図】
/12345678910
A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森平砂砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

崖=断崖絶壁(少しだけ平地のスペースあり)
街=住宅地、市街地
森=森林
鉄=鉄塔
廃=廃工場
平=平地
湖=湖(周辺に湖畔あり)
砂=砂漠
坂=坂道
浜=砂浜(島から100m以上離れると爆死)

【その他細かいルール】
参加者には最初に基本支給品(2gペットボトル入りの水、菓子パンやコンビニおにぎりなどの食料数個と参加者名簿、会場地図、コンパス)とランダム支給品(マシンガンから爪楊枝までピン切り)入りのデイパックが支給される。
1エリアは半径500m
6時間ごとに脱落者の名前が放送されてゆく。
24時間内に誰も死ななければ参加者全員が爆死する。
ゲームの制限時間は72時間(3日)で、タイムアップでも全員が爆死する。
参加者に取り付けられた首輪は力ずくで取り外そうとすると爆発する。
禁止エリアは放送ごとに3つずつ増えてゆく。
禁止エリアに立ち入った者は30秒以内にエリアを出ないと爆死する。
また、禁止エリアとなったエリアにいた場合も30秒以内にエリアを出ないと爆死する。
参加者には知らされていないが首輪には盗聴器が付いており主催者に参加者の会話は筒抜けである(主催者側に不利益が働くことがあれば最悪その参加者を爆殺することも可能)
首輪装着者が死ぬと、その装着者が死亡したと言う電波が主催者側に流される。
46地図修正 ◆RJNpFExwIg :2008/09/07(日) 19:19:51 ID:8I7InQz8
【会場地図】
A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森ス砂砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

崖=断崖絶壁(少しだけ平地のスペースあり)
街=住宅地、市街地
森=森林
鉄=鉄塔
廃=廃工場
平=平地
湖=湖(周辺に湖畔あり)
砂=砂漠
坂=坂道
浜=砂浜(島から100m以上離れると爆死)
ス=スタート地点(すでに禁止エリアと化しています)
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 19:49:55 ID:blt0u8oY
乙、とうとうオリキャラのロワがきたか
大変だろうけど頑張ってなー
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 19:55:36 ID:PiaWEHmB
覚えにくい名前が多いな。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 20:37:40 ID:hG6SjOS7
どうしてオリキャラに中2的な名前をつけたがるのか
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 21:09:56 ID:TbzfvoCF
まあ読み仮名振ってあるしいいじゃない
期待してるよー
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 21:40:20 ID:9rxZhSun
両者ともに期待してます
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 19:18:52 ID:agtf0SyV
◆EGv2prCtI氏のWizロワ、◆RJNpFExwIg氏のシンプルロワ
両方、個性的なロワになりそうで期待してます。頑張ってください
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 20:35:01 ID:A1VXs6+i
一瞬、『SIMPLE2000 THEバトルロワイアル』かと思ったが別にそんなことはなかったぜ!
54 ◆YcpPY.pZNg :2008/09/08(月) 21:51:24 ID:s9NOIc3J
アニメキャラ・バトルロワイアル個人スレというスレにて書き手をしている者ですが、此方に引越ししても宜しいでしょうか?
おそらくこの板の方が趣旨に合っているでしょうし、重複というのも少しマズイですしね。

一応向こうで利用していたまとめwikiを貼っておきます。
http://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
こちらの住民が宜しければ、このスレのまとめwikiとして利用してもらって全然OKです
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 21:56:47 ID:1t4CZUM/
いいんじゃないかな
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 21:58:32 ID:l44YdCMt
むしろこのスレと板盛り上げてくれ
お願い
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 22:03:22 ID:rbyeuKSf
頑張れ
58 ◆YcpPY.pZNg :2008/09/08(月) 22:28:28 ID:T3GtM56x
了解しました。
後日まとめwikiのタイトルを変更しておきます。
また編集は気付いた人、もしくは書き手本人が行ってくれると非常に助かります
59 ◆YcpPY.pZNg :2008/09/08(月) 22:37:00 ID:T3GtM56x
ちなみにロワは以下の49名で行います。

【カイジ】
伊藤開示/石田光司/佐原
【銀魂】
坂田銀時/志村新八/神楽
【ジョジョの奇妙な冒険】
空条承太郎/ジョセフ・ジョースター/DIO
【トライガン・マキシマム】
ヴァッシュ・ザ・スタンピード/ニコラス・D・ウルフウッド/ミリオンズ・ナイブズ
【ひぐらしのなく頃に】
前原圭一/竜宮レナ/園崎魅音
【ブラックラグーン】
ロック/レヴィ/ヘンゼル/グレーテル
【ヘルシング】
アーカード/アレクサンド・アンデルセン/セラス・ヴィクトリア
【魔人探偵脳噛ネウロ】
脳噛ネウロ/桂木弥子/X
【魔法少女リリカルなのは】
高町なのは/フェイト・T・ハラオウン/八神はやて/ヴィータ/シグナム/スバル・ナカジマ/ティアナ・ランスター
【ワンピース】
モンキー・D・ルフィ/ロロノア・ゾロ/ナミ/ウソップ/サンジ/トニートニー・チョッパー/ニコ・ロビン/フランキー/ロブ・ルッチ
【鋼の錬金術師】
エドワード・エルリック/アルフォンス・エルリック/ロイ・マスタング/キング・ブラッドレイ
【金色のガッシュ】
ガッシュ・ベル/高嶺清麿/ゼオン・ベル/デュフォー

タイトルは【お気に入りキャラ・バトルロワイアル】で
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 04:15:58 ID:v49F/Va7
>>54
了解です。自分としても、wikiを用意するつもりでしたが折角なので使わせてもらいます。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 05:13:03 ID:v49F/Va7
新しく他スレからの仲間もできたので、テンプレもどきでも

・書き手はトリップ必須
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手、ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問わない
・流れ的に「〜ロワ」とつけるようになっています。
 〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります
・完結は三日後だろうが五年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!
62 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/10(水) 01:07:28 ID:u7Ynvwuy
オープニングよぉ
63オープニング ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/10(水) 01:08:37 ID:u7Ynvwuy
 時に、感情の起伏が激しい少女。時に、純真無垢な少年。……まさに変幻自在、千変万化。
 今回、この戦場を駆ける勇者たちは十人――。

 死神の世界から舞い降りた究極のドM副隊長。『BLEACH』より涅ネム。
 魔法の異世界から召喚された虚無の担い手。『ゼロの使い魔』よりルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 呪術学部の天才少女。その才覚は姉とは違う!? 『ニニンがシノブ伝』より雅。
 超超超金持ちお嬢様。飛び級で現在高校二年生の十三歳。ツインテールが揺れる揺れる。『ハヤテのごとく!』より三千院ナギ。
 伝統あるリリアン女学園一年。今日も縦ロールが跳ねる仮面の少女。マリア様のご加護で勝利? 『マリア様がみてる』より松平瞳子。
 守る心は魔物一!? 魔界からやって来たキュートな魔物。『金色のガッシュ!!』よりティオ。
 よろずやのトラブルメーカー。大好物は酢昆布の破天荒少女。『銀魂』より神楽。
 鎧を纏った屈強な大男……? 失った体を取り戻すため、旅をする錬金術師。『鋼の錬金術師』よりアルフォンス・エルリック。
 炎髪灼眼。凜とした紅い剣士……。大好物はメロンパン。『灼眼のシャナ』よりシャナ。
 あれ、気がついたら私だけただの小学三年生? 『魔法少女リリカルなのは』よりアリサ・バニングス。

 舞台は架空の都市、釘宮町――。さぁ、役者は揃った。幕を上げよう。混沌たる大戦はそこにある。釘宮バトルロワイアル、始まります。
64 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/10(水) 01:23:02 ID:u7Ynvwuy
終わりなのー
さるくらったのかしら
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 01:28:02 ID:hszVsANt
乙ー。少人数、全員同じ声……これも面白そうw
いろんなコンセプトのロワが見れていいな、ここ。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 01:43:36 ID:nYcGlBmQ
乙! 釘宮ロワw
だが、言いたい……なぜ、ペルソナ4のりせちーがいない!
まあそう言うとキリがないかw
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 01:46:01 ID:DgOK+ZO8
次は若本ロワですか
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 01:47:12 ID:nYcGlBmQ
ちょっと待てw それは妄想が止まらないぜ
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 18:26:13 ID:GabhOV3w
きっとキンキンして甲高いわねえとかそういうツンデレが飛び交うロワだなw
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 19:20:20 ID:Y1zfAgLn
質問。
これってやっぱ完結させなきゃだめ?
OPだけ考えて投下とかはしちゃいけないの?
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 19:59:17 ID:nYcGlBmQ
最初からOPだけ目的はできればやめてほしいです
途中で諦めたりは仕方ないけど、最初から続きを書く意思がない作品はちょっと……
他の書き手さんたちのモチベーションにも繋がるので遠慮してもらえると助かります。
OPを書いた時は続きを書くつもりだったと言われたらそれまでですが、そこは各作者さんの良心に任せます。
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 20:01:12 ID:nYcGlBmQ
ん……よく読むと意味を履き違えているかも、申し訳ない
OPまでしかできていなくても、続きを書く意思さえあれば投下してもらっておkです。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 20:18:25 ID:Y1zfAgLn
>>70
サンクス。
ある作品だけのロワを書きたかったんだが、登場人物が少なすぎて最後まで進められそうになかったんだ。
だからせめてキャラだけ出せるOPをと思ったけど……あきらめます。
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 20:19:55 ID:Y1zfAgLn
>>73
すまんミス。>>71です。
75釘ロワ(説明) ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/10(水) 20:59:17 ID:u7Ynvwuy
 釘宮町東部にある森、ここを必死に走る姿があった。アリサ・バニングス、彼女はいま絶望と希望の淵にいた――。
 絶望は“追っ手”、希望は“カード”。これを説明するには少し時間をさかのぼることになる。

 バトルロワイアルの開催。ここで天の声がこの戦いを解説する。
「人は皆、平等ではない。空を飛べる者、富を持つ者、特殊な能力を持つ者。故にぃ、力は拮抗せねばならない。特殊能力を持つ者ぉ。これをある程度まで、制限する。さらに、お約束の武器配布。これによっても力を均等化させるぅ」
天の声は一度、ここで言葉を切る。太陽系を吹き飛ばせる程の力を持っていても、やはり喋り疲れたのだろう。
「さらにぃ今回、新ルール『声優カードシステム』これを採用する。このカードに書かれている声優が、もし共演していた時ぃ、そのキャラクターをここに呼び出すことが出来る。
持続時間はキャラクターの性格次第だ、が、一定時間を過ぎると強制的に終了してしまう。カードは町中に隠されている。戦いを有利に進めることだろう」
おぉぉぉぉるはぁぁいる、ぶりたぁぁぁぁにぁぁぁぁぁぁ。
 もちろん、誰もそれに返そうとはしない。居場所が知れるとか恥ずかしいからだとか、理
76 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/10(水) 21:02:02 ID:u7Ynvwuy
>>75

由は多々あるだろう。
 何はどうあれ、ようやく戦いの幕が上がったのだ――。



若本のせいで切れた><
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 21:18:37 ID:d5Bxpwu5
ほー、どう活かされるか楽しみだ。
共演者誰が多かったかな。この中の作品結構見たが思い出せん。
日野や川澄は分かる範囲で2作に出てたけど……後者はあんまり役に立ちそうもないな。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 21:39:31 ID:zdb7MDef
能登も多いかな、この中だと3作品。
川澄・日野も知っている範囲で3作。
79 ◆RJNpFExwIg :2008/09/10(水) 22:56:09 ID:GKuK02sn
早速2話投下します
80オレオレ詐欺には気をつけて ◆RJNpFExwIg :2008/09/10(水) 22:57:32 ID:GKuK02sn
「何故じゃ……何故儂のような権力者がこのような死地に……」
頬痩せこけた禿頭の老人は、自分の置かれた立場に対し、ひどく憤りを覚え、立ち並ぶ針葉樹にそのか細い拳をぶつけようとしたが、それが明らかに無意味で、自分にとってマイナスにしかならないことを悟り、すぐにそれをやめた。
だが、だからと言って彼の憤りが消え去ることはなかった。
両手に携えた屠殺に使われる斧と見間違うほど重く、鈍い光を放つブッチャーナイフを、思いっきり針葉樹に叩きつける。
老人の力はせいぜい知れているもので、針葉樹の樹体には小さい切れ目が走り、浅い溝が刻まれただけである。
彼、「錫森宰(すずもり つかさ)」は、今でこそ醜く老いた老人であるが、ただの老人ではない。
つい最近、隠居生活を始めるまでは、裏世界で多大なる権力を持っていた。
それこそ日本という小さな島国を丸々そっくり支配することもやろうと思えば出来るほど。
そして彼は、恐ろしく性格が悪く、サディストであることでも有名。
彼のような男が、当然このような理不尽な冷遇を受け付けるわけがない。湧き上がるのは主催者及び他の参加者への憎悪で、器の掏りきりいっぱいまで完全に満たされていた。
「ひゅふふ……まあええわい。」
樹体に刺さったブッチャーナイフをおもむろに抜き取ると、一人の老人は決意する。
参加者は皆殺しで、自身が優勝すると。
81オレオレ詐欺には気をつけて ◆RJNpFExwIg :2008/09/10(水) 22:59:14 ID:GKuK02sn
錫森が、そう決意した直後のこと、彼のすぐ近くを行く人影を、彼はすぐに発見した。
幸いにもあちらは無害そうなメガネの若者。おずおずとした態度で、鬱蒼とした森林を歩く。
さらに幸いだったのは、木々のお陰で錫森の居場所が彼に露呈していないということ。
「駒に使うなら……あやつがええかのぉ」
錫森は、すぐに彼を殺すことは思い浮かばなかった。彼が幾ら権力を持っていようが、権力は形無き物。
この場では役に立つことはない。
故に錫森が思いついたのは、男を篭絡するという手段。
上手く言いくるめて、上手く自身の駒に仕立て上げる。それが最良の手段だと、錫森は気付いていた。
「おぅいそこの若いの。ちょっと待ってくれんかの」
精一杯、敵意を削いだ応対を彼は心がけた。
彼は、錫森の呼びかけに答え、振り向く。
82オレオレ詐欺には気をつけて ◆RJNpFExwIg :2008/09/10(水) 23:00:22 ID:GKuK02sn
「僕のことですか?」
やつれていると言ったほうが適当かもしれないほどに、痩せたメガネの男は、ゆっくりと錫森の下へと歩み寄る。
「いやいや……キミもあの阿呆みたいな奴らに拉致られた口じゃろ?どうじゃ。儂とともに奴らに一杯喰わせてやらんか?」
錫森は、彼の名前も聞くことなく、多少駆け足に話を進める。
「あの……失礼ですがあなたはどちら様で?」
「儂か?儂は錫森宰。一介の爺じゃ」
彼は、錫森の名を聞いてしばらく息を呑む。
それもそのはず。錫森は数ヶ月前まで日本を裏から掌握していた男だ。裏世界を多少知る人間ならば知らぬ者はいない。
錫森は、自身を知っている者と最初に会えたことを、表に出すことはなかったが、非常に喜んでいた。
裏世界から一線退いた身とは言え、未だ与える影響は大きく、彼が今死ねば国は確実に揺らぐ。
錫森は、この男が政府関係者かもしれないという憶測を立てていた。政府は彼にとって飼い犬も同然。
彼は自身の幸運に歓喜した。
「お前さんも、名乗ってくれんかの」
「あっ……はい。私は……」
83オレオレ詐欺には気をつけて ◆RJNpFExwIg :2008/09/10(水) 23:01:11 ID:GKuK02sn
「こういう者です。」
一発の銃声が、森の中に響いた。
撃ったのは男で、撃たれたのは錫森。
男が素早く取り出したコルトパイソンから放たれた凶弾は、錫森の右肩を完全に貫く。
老人である錫森には、それに耐えうるだけの体力はなく、醜く崩れ落ちるしか彼には出来なかった。
「うあっあああっっ!?」
彼は肩から崩れ落ちた。鈍い音がした。恐らく折れたのだろう。
それでも彼は、男から逃げようとする。醜く顔を歪め、醜く息を切らしながら、這い蹲って逃げようとする。
「何で儂が…………!何で儂が!儂がこんなっ」
「ワケを教えましょうか?ご老人。」

「あなたに運がないからです。」
放たれた鉛弾は、確実に錫森の脳天を貫き、大量の血液と脳漿で地面を濡らした。
「そう……私のような下衆に出遭ってしまうと言うことは……それこそ詐欺ですよ。」
気色の悪くねとねとした彼の笑い声が、少しだけ森に木霊した。


A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森ス砂砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

現在地はC-4だヨっ!

【名前】鷺飼倫太郎(さぎかい りんたろう)
【状態】健康
【装備】コルトパイソン(4/6)
【道具】基本支給品一式、357マグナム弾(36)
【思考】 基本:騙し、殺しでやってく
1:何かいいなぁ……人殺しって
2:銃を使うのは軽率だったかもねぇ
【備考】
※鷺飼は錫森の支給品に一切触れずに移動しました。
※錫森の支給品はC-4に置きっぱなしとなっています
※未だ名簿を確認していません

【錫森宰 死亡】 【残り29人】
「ったく……ふざけんじゃあないわよ。何でわたしがこんなふざけた余興に……」
「こんなのは女に貢ぐしか能のないバカな男どもにやらせときゃあいいのよっ!」
脚や胸が美しく、視線が刺々しい美女が、金色の砂塵が舞う小さな砂漠を、愚痴愚痴と呟きながら行く。
その砂漠と言うのは不思議なもので、本来ではありえないほど小さかったのだ。
だが、彼女、雨宮馨(あまみや かおる)にとっては非常に苦難に満ちた道のりであった。
彼女が履いていたのはハイヒール。
砂漠を往く際には、最も向かないスタイルの靴であるのは言うまでもない。
靴の隙間から砂や砂利が入り、ストッキングに刺さり、とても痛く苦しい。
我が強く、自己中心的な彼女にとっては、異常なほど腹立たしい事態だった。
「くそったれ……殺してやるわ……あんの緑マントォ……」
馨が砂漠の真ん中辺りで、そう愚痴をこぼしたその時だった。
突然、風を切る音が馨の耳に響き、砂漠の砂が巻き上がった。
それは何を意味していたのか、勿論「銃弾が地面に着弾した」という事実を意味していたのだ。

馨が前を向くと、すぐ近くにまで一人の少女が迫っていた。
その少女は、可愛い外見に、馨と同じくらい発育のいい肢体の持ち主であった。
だが、普通の少女という出で立ちではなく、彼女の眼は遥か遠方を向いているようで、彼女の異常性を物語っている。
「アカネぇ……アカネ……必ずみんなみんな殺してあげるからね……」
「こっの……キ○ガイ女が!」
馨は、その場でハイヒールを脱ぎ捨て、逃げに徹する。
彼女はスタート地点近くで、事前にデイパックを調べていた。
入っていたのは裏地にB-9と彫られた銀色の鍵と基本支給品が入っているのみ。
そして彼女も一応顔だけは知っている。馬頭崎鴉紗美(めずざき あさみ)。写真に写っている顔とは、表情以外は全く同じものである。
執拗にアカネ、アカネと呟いているわけも分かる。
牛頭科鴉花子(ごずしな あかね)。嘘みたいだがこれでアサミとアカネと読むらしい。
恐らく彼女たちは知り合いだろうと瞬時に馨は理解した。

でも、そんなの関係ねえ。
むしろ彼女たちの友情が破綻するのを見てみたい気もするが、今はそんな余裕はない。


とっさに馨は、砂漠の砂を掴み取り、アサミの顔面にぶつける。
「きゃうっ!?」
それは思った以上に効いていた。
アサミは乱暴に銃を乱射する。その様子は、引金を引きながら銃を振り回しているだけにも見え、非常に滑稽だった。
「あっはっは……ホントこっけいねぇ」
そう馨が溢した瞬間、突然アサミは、馨に銃口を向けた。
彼女が使用する銃はボルヒャルトピストル。非常にしなやかなフォルムの銃身の、その銃口が、正確に彼女の額に。
「やめてよ。アカネが見えなくなったらどうするの?」
アサミは何の躊躇もなく引金を引く。

馨は、非常に幸運であった。
なぜか?一撃で楽に死ねたから?

そうではない。
「何コレ?」
ジャムである。
「……え?何?え?」
馨も、この事態には驚きを隠せなかった。

「どうなってるの? …………ゴメン。銃弾詰めなおすから待ってて」
その瞬間、アサミは馨から目を逸らし、デイパックから銃弾の入った箱を取り出していた。
これはチャンスだった。馨は、すかさず逃げた。熱い砂の熱に耐えながら。


「お待たせ!じゃあ死んで!」
「…………あれ?」
アサミは、銃弾を一発、砂に向けて撃った時点で、馨がすでにいないことに気付いた。
A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森ス砂砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

現在地はD-6だヨっ!

【名前】馬頭崎鴉紗美
【状態】健康(精神不安定)
【装備】ボルヒャルトピストル(7/8)
【道具】基本支給品一式、7,65mmボルヒャルト弾(16)
【思考】基本:牛頭科鴉花子以外皆殺し
1:早く会いたいわアカネ……ハァハァ
【備考】特になし

【名前】雨宮馨
【状態】健康
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、銀色の鍵(裏地にB-9と彫られている)
【思考】今はアサミから逃げる
1:男は干からびるまで奉仕させ尽してそのあとで殺す。
2:女はその場で殺すつもり。
3:主催者も勿論殺す。
【備考】特になし
87参加者一覧 ◆RJNpFExwIg :2008/09/10(水) 23:08:23 ID:GKuK02sn
【名前】鷺飼倫太郎(さぎかい りんたろう)
【性別】男
【年齢】33歳
【職業】詐欺師
【身体的特徴】身長177cm、体重49kg、痩せ型、メガネ着用
【性格】非情なうえ、クレイジーな性格で、彼により自殺に追い込まれた被害者は数知れず
【趣味】募金(善意ではなく気まぐれで)
【特技】人を陥れること
【好きなもの・こと】詐欺、人が苦しむ表情
【苦手なもの・こと】金(たくさん手元にあると詐欺をする楽しみがなくなるから)
【備考】詐欺で騙し取った金は最低限しか持たず、余った分は即座に破棄している。

【名前】錫森宰(すずもり つかさ)
【性別】男
【年齢】72歳
【職業】隠居生活(今でも多大な影響力と権力を持つ)
【身体的特徴】身長165cm、体重44kg、禿頭
【性格】非常に陰湿な性格でナルシスト
【趣味】一人チェス
【特技】特になし(身体能力は老人)
【好きなもの・こと】50年前の自分、50年前死んだ妻
【苦手なもの・こと】老いさらばえ醜くなってゆく自分
【備考】その陰湿な性格ゆえに若者を非情に嫌っている

【名前】雨宮馨(あまみや かおる)
【性別】女
【年齢】24歳
【職業】キャバ嬢
【身体的特徴】身長173cm、TS B88 W57 H89、青髪ストレートヘア
【性格】狡猾な性格であり、全ての男をバカと揶揄している
【趣味】バカな男共をヒールで踏むこと
【特技】バカな男共を騙すこと
【好きなもの・こと】金、宝石、バカな男共(物として)
【苦手なもの・こと】愛情
【備考】幼いころに事故で家族を失い、それ以来人が信じられなくなっている。
88 ◆RJNpFExwIg :2008/09/10(水) 23:09:46 ID:GKuK02sn
投下終了です。
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/10(水) 23:27:55 ID:nYcGlBmQ
釘ロワ、シンプルロワ両方投下乙!
釘ロワ、声優カードとはこれはw
シンプルの方はオリキャラをうまく使ってる感じで中々続きが楽しみです
90 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 01:04:00 ID:7do96HCN
投下する
91釘ロワ 追いかけっこT ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 01:06:18 ID:7do96HCN
 追跡者は恐らくティオ――。アリサはそう考えた。先程の衝撃波はおそらくサイス。サイスならまだ力も弱いし、避けやすい。
 そして、サイスしか撃たないところを見ると、チャージル・サイフォドンは規制されたようだ。少しの安堵感。正直、シャナとかに来られたら確実に死んでいる。
 やはり、カード。貧弱で能力を持たない者としては、カードは必須。懐には拳銃がしまってあるが、魔物に対しては効果は薄い。
 狙うは、『田村ゆかり』『水樹奈々』『植田佳奈』……幸いなのはには、強力な役を演じる声優が多い。
 故に、アリサは逃げながらそれを探していた。しかし、そうそううまく行かないというもの。ティオが先にカードを発見したのだった。
 アリサは焦る。強力な魔物役のカード見つけたなら、すぐさまやられる。
 しかし、それがないということは、作品にいない声優、あまり効果のない役、作品内で親しくないキャラの役のどれか……。
 とりあえずいまは逃げるしかない。逃げて逃げて逃げて、カードを探すのだ。アリサはさらに地面を強く蹴った。
92釘ロワ 追いかけっこU ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 01:08:07 ID:7do96HCN
 一方、追跡者であるティオもかなり焦っていた。ただの小学三年生に遅れを取っているのだ。もっとも、魔物の“脚力”はかなり削減されている。余談だが“腕力”は健在のようだ。
 拾ったのは『前田愛』のカード。つまり、原作でのパートナーだ。効果は、おそらくサイス、セウシル以外の術の使用が可能になる……そんなところだろう。
 だが、ここは温存しておきたい。他のプレイヤーまたはカードによる強力攻撃を防ぐためだ。原作でも、最強の盾となっている。今回も防げない攻撃はないだろう。
 だから、ここは己の力もしくは追加のカードで戦うしかない。残念ながら、支給された武器はあまり効果が期待出来ない。
 つまりは泥沼。両者、最初の一手を切り出した方が勝ち。ティオがカードを使用するまでは、この終わりない追いかけっこは続くだろう。
「もぉ〜! いい加減捕まりなさいよ!」
「捕まれと言われて、捕まる馬鹿がどこにいますかっ」
双方、まだ相手を挑発する余力は残っているようだ。
93 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 01:09:09 ID:7do96HCN
とりあえずお終い
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 01:40:01 ID:Bzx5pnO0

キャラは分からんが声優カードが楽しみ過ぎるw
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 07:58:43 ID:gt0zmDH3
乙。
互いの情報もある程度持っているのかw
結構新鮮だ。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 09:58:01 ID:7do96HCN
中の人が同じですから
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 11:36:35 ID:NcYgLG35
これはマジメに面白くなりそう。
今までキャラの知識に制限加えられてるのはいくつか読んだけど
逆に拡大されてるてのは新しい。
書き手の人ガンガレ!
98 ◆hN02YkuTxM :2008/09/11(木) 13:00:58 ID:yS75Bv4S
予告投下します。
99 ◆hN02YkuTxM :2008/09/11(木) 13:04:13 ID:yS75Bv4S
あらすじ


 皇暦2010年、世界の三分の一を支配する超大国神聖ブリタニア帝国は二本の地下資源サクラダイトを巡り対立。
戦争状態に突入し、日本は占領され…ブリタニアの植民地『エリア11』と呼称されることになった。
 
 しかし、そのブリタニアの占領下『エリア11』にて、黒の騎士団というテロリストが現れる。
黒の騎士団はブリタニアのエリア11総督クロヴィスを暗殺し、さらには数々のテロ事件を勃発。
行政特区を掲げたユーフェミア皇女も殺害されることになった。
 
 その後、黒の騎士団とブリタニアが激突、騎士団は壊滅した。
 
 この一連の流れをブリタニアでは『ブラックリベリオン』と称し、
 行方を眩ました黒の騎士団総帥であるゼロの捜索に全力であたることとなっていた。

 ブラックリベリオン後、一月後…今度は別の事件が発生する。
 それが『キラ事件』である。
 犯罪者、または日本を占領するブリタニアのものが次々と謎の死を遂げるというこの異常事態に、ブリタニアの新日本総督カラレスは世界で有名な探偵である『L』に捜査を依頼。
 その後、キラが日本にいることを特定する。

 相次ぐエリア11での事件に、ブリタニア本国の神聖ブリタニ皇帝からの支持、了承を得て、成年前の少年少女を最後の一人まで戦わせる『バトルロワイヤル』を制定。
 日本の政治不安を一掃することを目的とした一大プロジェクトを開始する。
 一カ月おきに行われるこの恐怖の行動は…日本人にゼロ。
 そしてキラという巨大な二つの支持基盤を揺るがすこととなっていた。
100中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/11(木) 13:05:43 ID:yS75Bv4S
第九回バトルロワイヤル開催実行委員会概要
開催場所…神根島
開催時刻・期間…6月23日〜の三日間

参加者リスト(登場人物)

(舞-HiME)風華学園
鴇羽舞衣 盾祐一 玖我なつき 美袋命 宗像詩帆 武田将士 藤乃静留 
神埼黎人 杉浦碧 菊川雪之 珠洲城遥 尾久崎晶 鴇羽巧海 
(ひぐらしのなく頃に解)雛見沢分校
前原圭一 園崎魅音 園崎詩音 竜宮レナ 北条沙都子 古手梨花 
(涼宮ハルヒの憂鬱)県立北高校
キョン 涼宮ハルヒ 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 朝倉涼子
(らき☆すた)陵桜学園
泉こなた 柊つかさ 柊かがみ 高良みゆき 日下部みさお 白石みのる
(新世紀エヴァンゲリオン)
碇シンジ 綾波レイ 惣流・アスカ・ラングレー 鈴原トウジ 相田ケンスケ 洞木ヒカリ 渚カヲル
(Candy☆Boy)
櫻井奏 櫻井雪乃 神山咲夜
(NANA)
大崎ナナ 小松奈々 寺島伸夫 岡崎真一
(BLACKLAGOON)
ヘンゼル グレーテル
(アイドルマスターゼノグラシア)玉兎高校
天海春香 萩原雪歩 水瀬伊織 菊地真 双海亜美 双海真美 高槻やよい
(DEATH NOTE)
夜神月 弥海砂
(コードギアス〜反逆のルルーシュ)アッシュフォード学園
ルルーシュ・ランペルージ ロロ・ランペルージ シャーリー・フェネット 
ミレイ・アッシュフォード リヴァル・カルデモンド ニーナ・アインシュタイン 枢木スザク


開催実行委員会

開催実行委員長兼エリア11総督カラレス
開催実行委員ギルバート・G・P・ギルフォード
開催実行委員兼機密情報局ヴィレッタ・ヌウ
開催実行委員名誉ブリタニア人鷹野三四
開催実行委員名誉ブリタニア人小此木
開催実行委員L
開催実行委員ワタリ
101中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/11(木) 13:08:37 ID:yS75Bv4S
とりあえず、ここまで

近日中に0話を投下します。
なお、登場人物が多いために会話は
・名前『』という形式を使います。
多少の誤字脱字はご容赦願います。

それではよろしくお願いします。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 14:31:34 ID:rvu2HFbp
乙!
開催日が俺の誕生日…
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 21:02:18 ID:ShkCktc4
ここは実に平和だな
wiki作るならこれらの作品は全部まとめるの?
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 21:19:47 ID:Bzx5pnO0
>>101
乙だぜい!中二病ロワとは…なん…だと…頑張れ!

>>103
基本まとめていく予定です。もしwiki収録嫌な人がいたら言ってください。
……流石にいないとは思いますがw
105 ◆sSc.dJ8Q8k :2008/09/11(木) 21:54:43 ID:nicdeop0
しかし、皆発想がすごい……俺は漢字の勉強も兼ねて、四字制限ロワを企画してみるよ。参加人数は30人くらいで。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 22:00:49 ID:Bzx5pnO0
四字制限ロワ??????
なんだその興味を引かれるロワはw 全てが謎だ
107 ◆mmvTbOBCdw :2008/09/11(木) 22:13:57 ID:Gy20L/RT
投下します
108GANTZ・バトルロワイアル ◆mmvTbOBCdw :2008/09/11(木) 22:15:07 ID:Gy20L/RT
……来た。
撮影終了直後、もう飽きるというほど味わった感覚が首筋を這う。
事情を知らない人たちの混乱を招かないように、スタッフたちへの挨拶を終えると控え室へと足早に向かってスーツの上から服を着た。
すると足の先から次第に消えていく。転送が始まったのだ。
今日は何人の人が犠牲となるのだろうか。今日も自分は生きて帰れるのだろうか。
無意味なことを思いながら、そっと目を閉じて、転送が終わるのを待った。

     ◇     ◆     ◇

お馴染みの感覚が消えた。その転送終了の合図とともに、レイカは瞼をそっと開く。

「あ」
「あ」

顎を引いていたせいか、斜め下を映した視界の中心には一人の少女。声を上げたのは互いに反射的なものだった。
レイカは声が重なったことを不思議に思った。なぜならその少女は、怪我でもしたのだろうか、目元に包帯を巻いていてこちらの姿が見えるはずがなかったのだから。
その上、顔がこちらを向いていたということは、こちらが転送されてきたところを見眺めていたということになる。

「わー、綺麗な人。お姉さん何歳ですかー?」
「………! …こ、高校生………」
「大人っぽいねー!ってことはわたしとあんまり変わらないくらいかあ」

……巻いている包帯のどこかに隙間でもあるのか?
いや、今はそんなことはどうでもいい。この少女には、もっとおかしな点が二つある。
一つ目は理論的には説明できない現象を目の当たりにして、ちっとも取り乱したり、疑問を抱いたような素振りを見せないところだ。

「じゃ、今日は一緒に頑張ろうね」
「ちょっと待って、貴方はあの黒い球のこと知ってるの?」

部屋の中央にある黒い球……ガンツのことだ。
指を差してそれを示すと、またもや少女はその仕草が見えているかのようにそちらを向いた。
109GANTZ・バトルロワイアル ◆mmvTbOBCdw :2008/09/11(木) 22:15:53 ID:Gy20L/RT
「うーん…。黒スケのことは何も知らないけど、このゲームのことなら知ってるよ」
「ゲーム?」

黒スケというのは恐らくガンツを指しているのだろう。
ではゲームとは?もしや彼女はミッションのことをゲームと称しているのか?
……こんなあどけない少女が、死ぬか死なないか、己の未来を決めるこのミッションのことを、単なるゲームだと思っているだなんて。
少女は和泉紫音同様、ミッションに楽しんで参加しているのか……。
レイカは少し複雑に思いつつ、二つ目の疑問を少女に投げかけた。

「ねぇ、貴方はこの…ミッションに何度か参加したことがあるみたいだけど、いつもこの部屋に来ているの?」

恐らく返答はノー。これが少女との初対面なのだから。

「そうだよ」
「…本当?」
「こんなことで嘘ついたって意味ないじゃん。ねぇ、黒スケ、わたしと会うのはこれが四回目だもんね」

え……四回目?四回もここに来ている?
返事が無いことはわかっていながらも首をかしげながらガンツに微笑む少女を凝視した。
もしかすると、こっちが違う部屋に転送されてきた?
言いようのない不安に襲われながら窓の外を見てみる。
もちろん外では東京タワーが煌いていて、いつもの風景と変わったところはない。

「四回目って…ねぇ貴方、それっていったい、」
「見て見て。いっぱい来たよ」

話が聞こえなかったのか、それともあえて無視しているのか、若干緊張したように口元を引きしめて、少女は転送途中である何者かの肉体をただ見つめた。
レイカも溜息を吐いたあとで少女の目線の先を見た。そして、目を見開いた。

「!」

一人、二人、三人、四人……十人、二十人、三十人、四十人…。
四角く狭い面積を多くの人間の頭部が埋めていく。
この部屋にこんなにも多勢の人間が招かれたのは初めてだ。
110GANTZ・バトルロワイアル ◆mmvTbOBCdw :2008/09/11(木) 22:16:52 ID:Gy20L/RT
「わぁー、すごいすごいっ!わたし、今回もちゃんと生き残れるかなぁー?」
「どういうこと?こんなにたくさん…」
「っとと……ジンが来たみたいだからもう行くね。じゃ、お互いがんばろー」
「あ、ちょっと待っ……!」

「あの!」

人と人の隙間を縫って駆けていく少女に向かって手を伸ばす。
だが、背後から誰かに肩を叩かれたため、しぶしぶ腕を降ろし振り返った。

「え!?」
「…」
「どうして玄野くんが…?」
「……?」

この部屋に存在するはずのない存在がそこには居て、思わず声が大きくなった。

「玄野くんは再生を選んだじゃない、何でここに…」
「うおーッ、やっぱり!レイカだ、マジでレイカだッ!そうだ、握手お願いしても良いですか?」
「覚えていない?」

手を差し出す玄野をよそに、顎に手を添えて考える。
まさか、再生した玄野が何かの事件に巻き込まれて死んでしまった?

『あたーらしーいーあーさがきたー♪ きーぼーおのーあーさーだー♪』

軽快なリズムが部屋中に駆け巡る。
ざわついていた人間たちは、自然と口を閉じて、室内は静まり返った状態となった。
中には音の発生源を探す者も居て、それが中央の球だと気付くと歩み寄って、叩いたり撫でてみたり、様々な方法で球を調べる姿が見られた。
そんな人たちも球の中心に緑の文字が浮かぶのを見ると、手を止めて、そちらに注目する。
『てめえら には 今から 殺し合いをさてもらいます』

………?
殺し合い……?

『100点 かせげば だいじょぶ』

えッ、えッ、どういう意味?

『では がんばってくだちい』

ガンツはそれ以降何の反応も見せなかった。
誰もが状況を飲み込めない中、一人、ほっそりとした男の人が球の横に立った。

「どういうことだー!?って顔してやがるなぁ、てめーら…。その気持ち、わからなくもねぇぜぇ!俺も最初はそうだったからなぁ!」

あの男、何か知っているようだ。
もったいぶっている様子を見ると、どうやらそれを自慢したいらしい。
111GANTZ・バトルロワイアル ◆mmvTbOBCdw :2008/09/11(木) 22:18:09 ID:Gy20L/RT
「つまりよぉ、この殺し合い……」
「みなさん聞いてー!この殺し合い…わたしたちはバトルロワイアルって呼んでるんだけど、ここに居るのは50人で、このゲームで生き残れるのは5人だけなの!」
「おいてめぇ、俺のセリフ…」
「この黒スケちゃん言ってたでしょ?100点とれば大丈夫って。それはね、人1人殺せば10点が儲かるってこと。
 わたしには元々与えられてる10点が与えられてる。…だから9人殺しちゃえば、100点稼いだことになってゲームから解放!
 ちなみに、50点稼いでる人を10点の人が殺しちゃったら、殺された人が持ってた50点は10点の人がもらえるって仕組みだよ」

さっきの女の子だ。この部屋のこと知ってるっていうのは、嘘じゃなかったらしい。
だけど聞いたことがない、そんなルール。
いつもはミッションとして、皆で力を合わせて宇宙人を退治することになっているのに。

「そうそう。12時間以内に人が1人も死ななかったり、3日経っても100点集められなかった場合は、みんなの頭の中にしかけられた爆弾が爆発しちゃうから気をつけて。
他にもあらかじめ決められた範囲から出たり、6時間毎に死亡者と一緒に発表される禁止エリアに入ったりすると爆発。まぁ、その本人だけが死ぬだけだからわたしは別に良いけどね、いひひ」

……ッてことは最低でも1人は殺さないと帰れないってこと?
そんな、できない…だって…ここに居る人たちって、みんな人間でしょ?

「あとは何か話すことあったかなぁー?ねぇ、あったかなぁ?」
「知るかボケ。でしゃばってベラベラしゃべってんじゃねぇよブス、死ね」
「だってジンが、みんながやる気出してくれなきゃつまんないだろうから気を使ったんだよ。焦るのは雑魚だけ、あなたみたいな」
「このクソア…」

激しい口論が開始されようとした時、室内に居る人たちの転送が一斉に開始された。
私は、抵抗をすることもできずに、この真っ白な部屋が戦場へと景色が移り変わっていく様を眺めていることしかできなかった。

【GANTZ・バトルロワイアル開始】
112 ◆mmvTbOBCdw :2008/09/11(木) 22:21:09 ID:Gy20L/RT
やってしまった……。
他のロワのSSの作成中なので多分かなりのスローペースになっちゃいますがどうか温かい目で見守ってやってください。




GANTZ・バトルロワイアル

【魔法先生ネギま!】○神楽坂明日菜/○雪広あやか/○桜咲刹那/○佐倉愛衣/○高音・D・グッドマン/○月詠/○フェイト
【薔薇乙女】○真紅/○金糸雀/○翠星石/○水銀燈
【GANTZ】○玄野計/○加藤勝/○レイカ/○西丈一郎/○小島多恵
【隠の王】○六条壬晴/○宵風/○雲平・帷・デュランダル/○清水雷鳴
【BACCANO!】○ミリア・ハーヴェント/○アイザック・ディアン/○チェスワフ・メイエル/○クリストファー/○アデル
【すもももももも 〜地上最強のヨメ〜】○犬塚孝士/○九頭竜もも子/○巳屋本いろは/○中慈馬早苗/○虎金井天々
【セイバーマリオネット】○ライム/○チェリー/○ティーゲル/○パンター
【鋼の錬金術師】○エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○エンヴィー
【ジョジョの奇妙な冒険】○東方仗助/○吉良吉影
【銀魂】○神楽/○神威
【LIAR GAME】○秋山深一
【オリジナル】○ジン/○No.1/○No.2/○No.3/No.4/○三井真琴(ミツイ マコト)/○瀬川涼子(セガワ リョウコ)/○椎名千咲(シイナ チサキ)

【50/50】
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 22:36:02 ID:Bzx5pnO0
投下乙です
ガンツロワ……同じ板のとあるスレも覗いている自分としては楽しみです。
オリジナルのNO.1とかが気になる
114 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 23:23:04 ID:7do96HCN
投下するでごわす
115釘ロワ 協力と共犯T ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 23:25:08 ID:7do96HCN
 釘宮町市街地北部。涅ネムはそこにいた。彼女としてはこの戦いにまるで興味がない。ただ、マユリに実験台として、扱われたい。それだけだった。
 そんなやる気ないのない彼女だからこそ、敵とは遭遇せずにカードも集まった。
「あっ、『朴路美』……確か日番谷隊長。あまり関わりはないけど、まぁ」
カードを手に掛けようとすると、不意に地面から槍が襲う。ネムは驚いてのけ反り、カードを手放してしまった。
「誰?」
「兄さんは渡さない。兄さんはこの戦いの鍵になるんだ」
隠しようのない巨大な鎧。紛れもなくアルフォンス・エルリックだ。
「鍵?」
「そう、僕と兄さん二人で扉を開ける。そうすればこの町から出られるかもしれない」
釘宮町は仮想空間にある都市。各々の暮らす土地も平行世界として存在している。この町全体に錬成陣を敷き、錬金術を使えば扉が開き、帰れるという。
 ネムは元々、この戦いに興味がない。すぐに同意した。
「いいでしょう。朴路美のカードはお譲りします」
「ありがとう。じゃあ皆を説得して回ろう」
ネムはアルフォンスがにこやかに笑っている。一瞬、そんな幻想に取り付かれた。
116釘ロワ 協力と共犯U ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 23:27:20 ID:7do96HCN
 一方、釘宮町市街地南部。別の勢力が動き出そうとしていた――。

「瞳子、私は〇タンドとか念〇力とかそんな不思議能力は持ってない。でも、支給された武器はカード。さぁ、畑健〇郎が直々に決めた声優陣を恨むがいい!」
ナギはカードを天高く突き上げ、発動させる。魔方陣がナギの前に出現し、“そいつ”は現れる。
「朝風理沙。参上」
「って、何でお前なんだ! ここはハヤテがかっこよく現れるところだろう。それをお前……責任とって一騎当千しろ」
「くっ。確かにあの三人じゃ一番特徴がないだろうさ。ということでむかついたから帰るわ」
ふしゅ〜と音を立てて消える。思わず膝を折るナギ。
「終わりました? では、私は停戦を提案しますわ」
瞳子のそれにナギは眉をひそめた。いま、最後の武器を失った自分をなぜ攻撃しないのか、と。
「私の目的は『植田佳奈』のカードだけ。貴方は『白石涼子』でしょう? それを結託して集めるのです」
ナギは瞳子が空手であるという結論に達した。
「うむ、分かった。私はあんな関西人呼び出したくない」
「決まりね」
瞳子はくるりと回る。ナギはこの時まだ、瞳子のポケットに“カード”が入っているを知る由もなかった。
117 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/11(木) 23:33:53 ID:7do96HCN
尾張
さる死ね
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 23:34:58 ID:rvu2HFbp
この板ってさる何十回も投稿しなきゃならないんじゃなかった
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 23:42:06 ID:Bzx5pnO0
投下乙!
このペースでガシガシ投下してくれると嬉しいぜ

>>118
一回自分も違うスレで9レス連続で投下したけど、ならなかったかな
まあPCによっても違うかも知れないし気にするところじゃないよ
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 23:46:00 ID:WcKZQfHw
興味を持ったロワに自由参加できたりしたら面白いんだけどなーw
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 23:47:04 ID:rvu2HFbp
>>120
作者に聞けば?許可もらえたら参加すればいい
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 23:58:31 ID:Bzx5pnO0
作者さえ良ければいいと思うな
123 ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:09:53 ID:/ga+as/5
>>117
投下乙です。
斬新な設定でどうなるのか興味が湧いてきます

アニ個人がこちらにお引っ越しという事なんでこちらに引っ越してきました。
参加者はお手数ですがwikiで確認していただけるとありがたいです。

では赤羽くれは・トゥーフェイス投下します。
124ルールに忠実に ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:12:07 ID:/ga+as/5
はわ……、なんだか凄く大変な事になってる。
戦いが終わって、日常に戻った私達は突然現れたベール=ゼファーに拉致され、殺し合えって言われた。
その後、人…、半機械人間って事は人造人間、もしくは灯ちゃんみたいな強化人間って感じなのかな? とにかくその人の首輪が爆発して、アランって呼ばれた人は死んだ。
ウィザードとしての戦いの中、人が死ぬのも見てきたし、自分だって何度か……、というか一回死んだ事もあるけど、やはり誰かが死ぬのは慣れないし慣れちゃいけない物だと思う、命は大切な物だから。
だから、ベール=ゼファーのやってる事は絶対に許せない。あの場には私の知り合いの灯ちゃんにエリスちゃん、ナイトメアさん、そして柊がいた。皆こんな殺し合いに乗る人ではない。勿論私もだ。
今頃アンゼロットさんも動いてくれてると思う。なら私のする事は皆と助け合って生きること。
絶対に乗るもんか、浮遊感に包まれながら、私はそう心に誓った。
会場に飛ばされた私がまずしたことは自分の装備の確認。私の支給品は片面に傷の付いたコイン、竹刀、……そして銃とスペアの弾丸。
武器の説明書には、日本の警察の人が使うニューナンブM60という種類と書いてある。そのずっしりとした重量が、嫌が応にも私にその存在を認識させる。
本来、私達ウィザードやベール達侵魔は、月衣(カグヤ)によって科学という名の常識により生み出された兵器の類は一切通用しない。だけど、こういう物が支給されているなら私達の月衣にも何か細工が施されているのかもしれない。
こっちの状況は圧倒的不利、でも諦めるつもりはない。私も柊も、いや、私の知り合い皆にとってそんな状況はよくあることで、そんな状況から世界を守って来たんだから。今回も、必ずベール=ゼファーの企みは阻止してみせる。
デイパックから取り出した地図で私のいる場所を確認するとD-7のお土産売り場街にいる事がわかった。お店は閉まっていて、中心部に向かう大通りと横に逸れる小道が何本かあるくらいだ。
とりあえず私は、大通りを抜けた先にあるフードコートへと足を進める事にした。
そんな時だった、その男の人にあったのは。

「こんばんわ、お嬢さん」

突然後ろから聞こえたその声に、私は驚いて振り向く。
そこにいたのは、右が白で左が黒の左右対称になったスーツを着込んだ、左顔が醜く変形したおじさんだった。

「は、はわっ・・・・・・!」
「いや、すまない。驚かせるつもりは無かったんだが」

突然の光景に驚いて、私は思わず後ずさる。
125ルールに忠実に ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:14:17 ID:/ga+as/5
そんな私に対して目の前のおじさんはちょっとだけ寂しそうに微笑みながら私に謝ってきた。
うう、なんか罪悪感が……。

「い、いえ、こっちこそいきなり驚いちゃってすみません。あの、それで私に何か……?」

慌てて頭を下げた後、私はおじさんに何の用かを尋ねる。
おじさんの紳士的な態度のせいか、私のおじさんに対する警戒心は殆どなかった。
私が尋ねると、おじさんは深刻そうな顔をして私に打ち明けてくれた。

「実は私が肌身はなさずに持ち歩いていた、言わば宝物の様な物が無くなってしまってね。片面に傷の付いたコインなんだが心当たりはないだろうか? あれがないと私はとても困るんだ」

おじさんの深刻そうな表情から、おじさんにとってそれがどれだけ大切な物かがわかる。
……片面に傷の付いた銀貨? それってもしかして……。
私がデイパックから支給品を取り出す、デイパックの中から出したのは片面に傷の付いた銀貨。

「もしかして、これですか? 私の支給品だったんですけど」
「おお、それだよ! それを私に譲ってもらえないだろうか? タダではやれないというのなら私の持っている支給品と交換もしよう。私に支給された物はこの2つくらいしかないが……」

そう言っておじさんがデイパックから取り出したのは紙と書かれた玉とナイフの2つ。
この2つだけということはおじさんは支給品にはあまり恵まれてはいないようだった。もっとも銀貨一枚に比べたらまだ使えるとは思うけど。
そして銀貨一枚と交換するにはどうしても割にあわない2つを私は貰う気はない。
126ルールに忠実に ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:16:35 ID:/ga+as/5
「はわ!別にいいですよ、おじさんの大切な物なら返します。だからその2つもしまっていただいていいですから」
「本当かね!いやーすまないねお嬢さん、恩に着るよ。これで――」

私の言葉に破顔して、銀貨を受け取って喜ぶおじさんに、私もつい笑顔になる。
あ、そうだ。いい人そうだし一緒に行動してくれるか聞いてみようかな、無理でも情報交換くらい……。

「――これでやっと、このゲームに乗るかどうかが決められる」

……へ?
予想外の発言で固まっている私の顔の真正面に、おじさんの左腕が移動する、いつの間にかその左手には小さな銃。
映画とかでよくある、動けば撃つという状況だ。
なに、これ?
突然の事態に私のはちょっとしたパニックに陥った。

「では運試しゲームをしようか、お嬢さん」

おじさんはさっきと同じ笑顔で私に話かけてくる。
さっきまでは安心をくれたその笑顔が、急激に薄ら寒い物に感じられた。

「え? な、なんで……」
「トゥーフェイス、という犯罪者に聞き覚えはあるかな?」

恐怖でまともに動かせない口で、やっとそれだけを言うと、質問に質問で返すようにおじさんが質問してきた。
127ルールに忠実に ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:18:35 ID:/ga+as/5
トゥーフェイス? 私の記憶を総動員したが生憎とそんな犯罪者の名前は聞いた事がない。
私がゆっくりと首を横に振ると、おじさんは少しがっかりしたようだった。

「アメリカのゴッサムシティの犯罪者でね、元は検事だが裁判の途中で硫酸をかけられ、左顔が醜く変形、それは彼の精神まで蝕み、狂気の犯罪者となった。
世の中には裏と表が存在するというのが持論であり、彼は犯罪を起こすか否か、殺人を犯すか否かを全てコイントスで決める。それが彼のルールだ」
おじさんはその犯罪者についてとつとつと語り始めた。
どこか懐かしむような、それでいて狂気を孕んでいるような笑みで。
そしてそこまで言えば私にもわかる。つまりこのおじさんこそが……。

「おじさんが、トゥーフェイス……」
「その通りだぜ、嬢ちゃん!ま、外国人にはあまり知られてねえのかもしれねえけど、ちょっとばかしショックだったぜ!」

急に口調が荒くなって、心なしか焼けただれた左顔が喋っているように見える。
裏と表、トゥーフェイスさんの言葉でいうなら今までのが表の人格、これが裏の人格っていうことなんだろう。
引き金に指をかけながら楽しそうに笑うトゥーフェイスさんを相手に私は動く事もできなかった。
攻撃魔装であるヴォーテックスを撃とうにも、この状態では引き金を引く指の方が早い。まさに絶体絶命の状況だ。

「今更殺しに抵抗はねえ、かと言ってあんなガキのいい様にされるのは癪だ。だってのに一番大事な銀貨がねえから困ってた所だったぜ。まったくついてるもんだ」
「じゃあ運試しっていうのは……」
「そうだよ、お嬢さん。このコイントスで君の運命は決まる。コイントスの結果に忠実に従う。それが私のルールだからね」

柔和な笑顔を浮かべた表のトゥーフェイスさんが、右手に持った銀貨を親指で弾いた。
128ルールに忠実に ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:20:27 ID:/ga+as/5
弾かれたコインが宙を何度も回り、トゥーフェイスさんの右掌に落ちる。
私の位置からはどちらの面になっているかは見えない。ただ、トゥーフェイスさんの口角がつり上がっていた。
どうなるのかわからず、恐怖と緊張に襲われる私を尻目に、トゥーフェイスさんが口を開いた。

「お嬢さん、どうやら運は君に味方をしているようだ」

私の顔の前から左手が離れて、銃が袖口に隠れた。そんな風に携帯してたんだ。
目の前から去った危機に、緊張が解けた私は崩れる様に尻餅をつき、倒れてしまった。

「さて、これで私はゲームに反逆する事になった。できれば乗っていない君とは手を組みたいのだが、まあさっきの事もある。私といるのが嫌なのであれば去ってくれても構わないが、せめて情報交換だけでもしてくれるとありがたいな」

柔和な笑みを浮かべて、私に手を差し伸べるトゥーフェイスさん。
犯罪者で今さっきまで私を殺そうかと考えていた人とは正直言ってあまり組みたいとは思いたくない。
それでも私とトゥーフェイスさんの目的は同じで、殺し合いの打倒だ。一人でも多くの人を助けるならこんなことで迷ってはいられない。

「本当に、殺し合いには乗らないんですね?」
「本当だとも、私にとってルールは絶対だ。それは何人にも、私であっても侵す事はできない」

そう言うとトゥーフェイスさんは私に傷のついていない銀貨の表面を見せた。つまりそっち側が乗ってないっていう証なんだろう。
129ルールに忠実に ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:21:48 ID:/ga+as/5
自分のルールに従う、それを信じる事にする。
だから私はトゥーフェイスさんの手を取った。

「赤羽くれはといいます。これから宜しくお願いします、トゥーフェイスさん」
「……君はなかなか賢い判断ができるようだな。こちらこそよろしく頼むよ、アカバネ・クレハさん。さて、どこか落ち着ける場所、この近くだと少し先にあるフードコートがいいな。そこで情報交換といこうじゃないか」

私の出した答えに満足そうに頷いたトゥーフェイスさんは、私がさっき目指そうとしたフードコートに向けて歩いていく。そして、それに私も続いた。

柊、そっちは大丈夫? 私はちょっと危険で変わった人だけど仲間ができたよ。
皆がいれば、今度もいつもみたいにベール=ゼファーの企みを阻止できる。
……だから信じてるよ、柊。柊は絶対に負けないって。
130ルールに忠実に ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:26:41 ID:/ga+as/5
【一日目/深夜/D-7 大通り】

【赤羽くれは@ナイトウィザード The Animation】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、ニューナンブM60(5/5)、予備弾丸(完全被甲弾×20) 虎竹刀@fate/staynight
[思考]基本思考:殺し合いには乗らない
1:トゥーフェイスと共にフードコートで情報交換。
2:他の乗っていない人物、及び、柊・灯・エリス・ナイトメアとの合流。
3:ベールを倒す。

【トゥーフェイス@バットマン】
[状態]健康、上機嫌
[装備]ハイスタンダード・デリンジャー(1/1)
[道具]支給品一式、魔道具『式紙』、ナイフ、片面に傷のついた1ドル銀貨@バットマン
[思考]基本思考:傷の無い方が出たのでゲームには乗らない。
1:アカバネ・クレハと情報交換
2:ゲームの打倒
3:バットマンについては……?
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/12(金) 01:31:08 ID:ac7aJzgF
投下乙!
ここ見てると自分も描きたくなってくるなw
132 ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:35:03 ID:/ga+as/5
以上で投下終了します。

以下版権物支給品の解説。
虎竹刀@fate
藤ねえ愛用の竹刀。虎ブル道中記仕様ではないので特に効果はない。

片面に傷のついた1ドル銀貨@バットマン
トゥーフェイスの行動決定権、傷のついた面が出ると犯罪を起こし、傷のない面が出るとどんな小さな犯罪でも中止する。

魔道具『式紙』@烈火の炎
気を送る事で紙を自在に操り武器にしたりできる。強力な気を練り込めば炎に触れても燃えない。

では質問などありましたらお願いします
133 ◆tPI1bfxBWo :2008/09/12(金) 01:42:02 ID:/ga+as/5
次回予告を忘れていました。
次回は木蓮とキャットウーマンです
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/12(金) 02:23:02 ID:oSAIkFCv
木蓮か〜
どの時期かによってえらく強さがかわるな。
楽しみに待っていますw

しかしこのスレも作者さんが増えてきたようでなにより。
135中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 09:56:13 ID:x4iODEhO
投下します。
136中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 09:57:56 ID:x4iODEhO

第0話(プロローグ)
ゲーム開始…魔人が目覚める日


《ルルーシュ・ランペルージ》

??「兄さん、兄さん…起きて!」
??「うぅ……」
 体を揺さぶられ、俺はその重い瞼を開けた。
 眩しいばかりの光、そしてざわめきが、耳に入ってくる。
 体を起こして、周りの状況を見る。
??「…ここは、どこだ?」
 その場所は、今まで見たこともないような場所であった。
 目の前にあるのは黒板であり、教卓もあるのはわかる。
 それから推測するに、ここがどこかの学校であるという可能性はわかったが、
 自分が伏せていたであろう机、そしてイス、床に壁…それらは木造であり、とても古びたものである。
 このような場所に見覚えはない。
 それに、今の俺の格好は学園にいるときの制服姿である。
??「なんなんだ…ここは」
 記憶を蘇らして見る。
 俺の名前はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、ナナリーの兄であり、ブリタニアから棄てられた皇子。
 そして日本を解放した黒の騎士団のゼロであった男。
 だがシュナイゼルの策謀にはまり騎士団を追われ、あの男…皇帝を追い、再びCの世界に足を踏み入れた。
 そう、足を踏み入れたところ…なぜ、俺はこんな場所にいる。
??「兄さん?大丈夫かい?」
ルル「ろ、ロロ!?」
 俺の前に立つ、それは…ロロ!?馬鹿な、ロロは…死んだはず。
 俺を騎士団から逃すために…。
 幾度もなくギアスを使い、心臓に負担をかけて……なぜ、お前が生きて…。
ロロ「どうしたんだい?兄さん、そんなまるで死んだ人間が生き返ったような顔をして」
 笑えない冗談だ。
ルル「……ロロ、ここはどこだ」
 とにかく、今はこの現状を整理しなければいけない。
 一体何がどうなっているのかを確認しなければ無闇やたらな行動が取れない。
ルル「僕にもわからないんだ。ミレイ会長の強制カップル祭から助けようとしてロッカーに隠れたところで、意識が途切れていて」
ルル「なんだって!?」
ロロ「ど、どうしたの?兄さん?さっきから変だよ?なにかあったの?」
 ロロの記憶は、あのアッシュフォードでの強制カップル祭で止まっているというのか。
 だとすると、時間系列としては中華連邦を合集国として参加させた時点と言うことになる。
 一体どうなっているんだ?
137中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 09:59:02 ID:x4iODEhO
ルル「僕にもわからないんだ。
   ミレイ会長の強制カップル祭から助けようとしてロッカーに隠れたところで、意識が途切れていて」

×ルル→○ロロ
138中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:00:13 ID:x4iODEhO
??「ルルーシュ!」
??「ルルーシュもいた」
??「お、ルルーシュもいたのか?」
??「…」
 それはミレイ会長、リヴァル、ニーナ……そしてリャーリー。
 時系列が変更されている時点で、この三人がいつの時間帯の状態であるかがわからない。
 下手な言動をするわけにはいかないが…。
ルルー「会長、これもお祭の続きか何かですか?だとしたら、随分と大掛かりなものですね」
ミレイ「そんな訳ないでしょう?さすがの私も一体全体どうなっているか皆目見当がつかないのよね」
リヴァ「しかも、俺たち以外の生徒がいなくなってるし、周りにはイレブンの生徒ばかりだ」
シャー「…私たち、お祭をやっていたんだよね?」
ニーナ「そのはずだけど…」
ロロ 「そうだよ。始まった瞬間に…記憶が」
 どうやら…会長やリヴァルの記憶も、ロロと同じ時間帯で止まっているようだ。
 だが、この祭にはニーナはいなかった。
 さらに、シャーリーの様子もおかしい。
 時系列の記憶の齟齬だけではなく、偽りの記憶も植えつけられているということか。
 
周りを見れば、俺たちだけではない。
エリア11…日本人の学校の生徒が大勢いる。
こいつらは一体なんだ。なぜ、ここにいる。

ルルー「会長、他に人に話を聞いてきます。何か分かるかもしれません」

今は情報だ。ここがどこでなぜ俺がここにいるのか…。

リヴァ「お、おいやばいんじゃないか?これだけの奴らに襲われたらさすがに…」
ロロ 「そうだよ、兄さん」
ルルー「なに、別に喧嘩をしにいくわけじゃない。ただ話しをするだけさ」
ミレイ「とにかく…気をつけて」

 さて…どうしたものか。
 会長の言うとおり、俺たちはブリタニア人。
 日本人に嫌われているのは知っているが。逆に恐れられている可能性もある。
 それに…こいつらが話をきちんと出来るかどうかも怪しいものだ。
139中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:02:27 ID:x4iODEhO
ルルー「すいません」

 俺は、イスに座って頬ずえをつく人の水色の色をした制服を着た女子高生の女に声をかけ、肩に手をかける。

???「なによ!人の体に勝手に触らないでくれない!」

振り返った、その女は大きな声で怒鳴る。
俺は思わずその威勢のよさに後ずさりをしてしまった。
その女は明らかな怒りの表情をこちらに向けている…が、これほどまで怒るものか。
ルルー「す、すまない」
???「ブリタニアの奴が、この私になんのよう!?こんなところに拉致した挙句に、まだなにかやらせようっていうの!?」
ルルー「いや、俺はなにもしら…」
 俺の言葉を無視し、その女は俺の襟首を掴みかかる。
 なんなんだこの女は!?まるでカレンのようだぞ!!
 俺は体が持ち上がってしまうんじゃないかというくらいの締め上げに息が困難になる。
???「2人ともやめてください」
 すると誰かがその女の手をとめ、俺たちを引き離す。
???「ハルヒ!やめろ!」
???「涼宮さん、ダメですよ…」
 ようやっと向こうの取り巻きがきてハルヒ?とかいう女を取り押さえにかかる。
 まったく…日本人というのは、皆あんなに凶暴なのか。
 俺は首を抑えて大きく息を吐く。

???「大丈夫かい?」
ルルー「すまない。助かった…」
???「ブリタニアへの憎悪は、日本人には皆ついているからね」
ルルー「だったら、俺を助けたのは、なぜだ?お前も日本人なのだろう?」
 顔をあげる俺の前にいたのは、茶髪の日本人である。俗に言う美形という奴だろう。
 ミレイ会長の男女逆転祭に俺の代わりにぜひでてもらいたい。
???「暴力による反逆では、ブリタニアと変わらないよ」
ルルー「なるほど」
 この男…。言っていることは優しい様だが、隙がないな。
???「それで…、何か聞きたかったようだけど」
ルルー「はい、皆さんもここには突然?」
???「僕もわからないんです。気がついたらここに…」
 なるほど…。
 こいつらも俺たちと同じわけか。
 何らかの作為により集められたということだろうな。
 しかし、何のために…。
ルルー「ありがとう。貴重な意見だったよ」
???「わからないといっただけなんだけどね」
ルルー「それでも十分だよ。要は皆、この場所になぜ自分たちが連れてこられたのかわからないっていうことだろう。
    なら、ここにいる誰に聞いても答えは出ないだろう」

夜神月「なるほど。ブリタニアの教育水準は高いのかな?あっ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は…夜神月」

ルルー「そんなことはないさ。よろしくライト。俺の名前は…ルルーシュ・ランペルージだ」

 自己紹介…何の意味があるかは分からないが。
 友好的態度を行うことに意味がないこともないだろう。
 それよりもだ。作為的に、この場所につれてこられたのなら。
 なにかしら俺たちに目的があるのだろう。殺すつもりなら既に殺しているはずだ。
140中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:04:24 ID:x4iODEhO
???「席に着け」

 それは唐突かつ高圧的な声だ。
 俺はその声の主のほうを見る。するとその男の後ろから武装をした兵士が次々と教室内にはいってくる。
 皆、ブリタニアの兵士のようだ。

カラレス「私は神聖ブリタニア帝国、エリア11総督である。今回、君達は名誉あるバトルロワイヤル出席者となった」
 
 こいつ…、確かエリア11の総督であったカラレス。
 こいつは俺が最初に倒したはず…、い、いや…エリア11にて騎士団、そしてキラ事件において弾圧を行い続け、今も存命の……。
 くぅ!なんだ、この記憶は。俺の知らない記憶があるというのか。

???「ちょっと!どういうことですか!ブリタニアの方々の決めた勝手な規則を押し付けるなんて、言語不能ですわ!!」
???「遥ちゃん!こんなときに立ち上がっちゃダメだよ!それに、それを言うなら、言語道断だよ。」
 こんな状況の中、随分と余裕のあるものもいるようだが。
 こいつら…俺たちに何をさせる気だ。

カラレス「威勢のいい猿どもだ。知らない奴らのために、もう一度教えよう。お前たちは今から殺し合うのだ」

 殺し合う…だと?

カラレス「この島は、エリア11太平洋内にある無人島、神根島だ。ここでお前たちは、最後の一人になるまで殺し合いを行う。
     武器などはランダムで選ばれる。また禁止エリアは、一時間おきに指定される」

 こいつ…。なにをさっきから、こんなふざけたことがまかり通るはずがない。

カラレス「フフ…。なんだその顔は?信じられないといった顔だな。
     いいだろう…。私がお前たちに現実を見せてやろう」

 カラレスはおもむろにスイッチを取り出してそれを押す。
 すると教室内に高い音が鳴り響きだす。どこからか近くから鳴り出しているようだ。

???「うわぁぁ!!な、なんかなってる!」

 立ち上がった男が1人、そいつの首にはめている首輪のようなものが点滅しているのだ。
学生服を着たそのイレブンの男はあたふたしながら、首輪を取ろうともがくが、まったく外せない。やがて、音の間隔が少なくなっていく。
???「うわぁ!!あぁぁ!!!」
 学生服の男は立ち上がり、周りの学生に助けを求めるようにして慌てふためく。悲鳴とも絶叫とも取れるその声…。
ルルー「みんな、見るな!」
 俺は咄嗟にシャーリーたちの前に立ち、そのおぞましい光景を遮った。

 鈍い音ともに、血しぶきが飛ぶ。

【白石みのる…死亡】
141中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:07:22 ID:x4iODEhO
そして重たい屍とかしたものが床に赤い海のなかに沈む。
俺は吐気を覚えた。
これが…こんなことが人間のすることか。何のために、何のためにこんなことを平然と行える。

カラレス「わかっていただけたかな?イレブンの猿の諸君。こうなりたくなければ、私の命令に従い、
     そして大人しく、自分だけが生き残れることをお勧めするよ」
 
 外道め。貴様など、一分一秒たりとも生かしておくわけにはいかない…。
 だが、この兵士に囲まれた状況では簡単にギアスを行使することはできない。
ロロ 「兄さん…」
ルルー「…わかっているさ。ロロ。ここでギアスを使ったところで敵の全容がわからない
    以上は下手な動きが取れない」
 
 そうだ…こんなところで冷静さを欠くことは出来ない。出来ないが…。

カラレス「それでははじめようか。まずはイレブンから順にそこの荷物を持って出て行ってもらう」

 先ほどの凄惨な光景に、大方の学生は今日に怯えている。
 涙を流すもの、怒りに打ち震えているもの…。
 ブリタニアという国家に国を、名前を排除され、なおかつ…この有様。
 絶望という名前しか今はないのだろう。
 次から次へと荷物を持って出て行くものたち。学生にも年齢差があるようだ。
 まだ幼い子もいる。おそらくは…『ブラックリベリオン』そして『キラ事件』の見せしめ。

カラレス「ルルーシュ・ランペルージ」

 俺か…。
 俺もこんなふざけたものに巻き込まれなければならないとはな。
 だが、こうなった以上は仕方がないか。
シャー「ルルーシュ!」
ミレイ「…ルルーシュ…」
ルルー「そんな顔しないでくださいよ。俺は簡単には死にませんよ。また…みんなで花火
    をあげるまでは」

カラレス「ブリタニアの学生には特別な装備だ。当然、イレブンの猿とは格差があってし
     かるべきだからな」

 俺に渡された装備。さわり心地でそれに何がはいっているかがわかる。
 イレブンという悪をブリタニアの学生が倒す。
 それがこのゲームの趣旨。茶番だ。力による統制。
 人間は平等ではない…あいつの、あいつの論理に即した行動。
 教室をでるとそこには二名の武装した兵士がいる。
 そのものたちに引き連れられて俺は出口にへと向かう。
 錯乱した記憶…そしてこの絶望的といえる状況の中で、俺は一体何が出来るというのか。

 光が見える。
 ここが出口か…。ここから先はいかにして生き残り、後から来るシャーリーやミレイ会長たちと合流するかだが…。

 なに!?

 太陽の光の下、目の前にある鮮血の死体。
【相田ケンスケ…死亡】
 こんな常軌を逸したゲームに既に飲まれている奴がいるというのか。
 しかし、こいつ…確か、俺の前の奴じゃなかったか?
 ということは…まだ、近くに。
142中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:10:29 ID:x4iODEhO
???「遅い」

 上から舞い降りる女。
 青い長い髪のした女の手に包丁が握られている。
 こいつが…殺したのか。確かに見ず知らずのものではあるようだが。
 だが、人を殺すことになんの躊躇も迷いも…。

???「屋根の上で待ち伏せして、出てくる人みんな殺しちゃおうと思っていたのだけれ
    ど、あの死体じゃ警戒されちゃうか。残念」
 大きく溜息をつきながら笑顔で話す、この女。
???「まぁいいや…。あなたもどうせすぐに殺してあげるから」
 すると女は一気に距離を縮め、切りかかる。
 俺は荷物を楯にして、それを防ぐが、勢いのあまり、その場に倒れてしまう。
ルルー「待て!お前はこのゲームに何の違和感も感じないのか!こんなふざけたゲームに乗る必要はない」
???「だって、殺すのがルールなんでしょう?
    だったら、そのルールに乗っ取って邪魔なものをすべて排除するほうが効率的だよね」
 
 ダメだ。聞く耳もたずか…。
 だいたい女の癖に、平然と人を殺す時点で既に普通の精神状態ではないと考えるほうが自然だ。
???「…」
 女は倒れた俺を見下して、微笑んでいる。
 まったく悪意のない…とても人を殺しているようには見えない顔をして。
???「次は殺すね」
 殺される!?
 こんなところで…死ぬのか!?
 バカな…俺はこんなところで殺されるのか…まだ俺は何もしていない。
 こんなところで終わるわけには…。
 
 ナナリーィ!!
143中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:12:23 ID:x4iODEhO
???「そうだ、お前はまだ…やるべきことがある」

 突然だった…声が聞こえた。あたりを見回すがそこには誰もいない。
 目の前の女の動きが止まっている。なんだ!今度は何が…。
???「…だいぶ世界の記憶に飲み込まれているようだな」
 誰だ!!お前は…?!
???「偽りの記憶、今…お前をそれから再び解き放つ」
 
偽りの記憶…。

俺は……。

???「どうしたの?」

ルルー「なんだ?殺さないのか?」

 立ち上がる俺…そう、今こそ俺は全てを思い出した。
 俺がやらなくてはいけないこと。
 そしてここがどこであり、なぜ俺がこんな場所にいるのか…すべてを。

ルルー「それとも気がついたか、撃つものは、撃たれる覚悟があるものだと…」
???「この絶望的な状況下で頭がおかしくなってしまったのかな?」
ルルー「違うな、間違っているぞ。これは…希望。世界を変える希望の力だ」
 
 俺の目が光る。
 ギアスの力…。

ルルー「ルルーシュ・ランペルージが告げる。お前は、死ね」

???「…わかったわ」
 女はそのナイフを首に向け、勢いよく突き刺す。飛び散る鮮血…。

 そう、俺のやるべきことはここにある。
 神根島というこの場所で…。
 俺を再びペテンにはめ、己の世界を創造しようと考える愚か者に裁きの鉄槌を下すために…俺は。

 【朝倉涼子…死亡】
144中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:13:19 ID:x4iODEhO
0話終わり
1話に続く

ルルーシュ・ランペルージ
【健康状態】良
【精神状態】超強気
【装備】コードギアス一般兵士用ハンドガン、手榴弾×3、地図、水、パン、防弾チョッキ
【特殊能力】ギアス(絶対服従の力)
145中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/12(金) 10:15:05 ID:x4iODEhO
注意…一人称なので、本人が知らない人間は全て???で明記します。
また作者が銃などの名称に疎いのでわかるものは調べて明記しますが
分からない場合は大まかに記載します。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 00:44:54 ID:V7BA+sBh
投下乙!
なんか淡々としてて個人的にはもうちょっと状況描写が欲しいかな。あと「」の前の名前略すと変に見えるかも。
何はともあれ新作だから期待。
147 ◆mmvTbOBCdw :2008/09/13(土) 13:56:35 ID:lyK8V+7I
>>145
ギアスはよく知らないので私に言えることは…
投下乙です!


私も短いのを一本。
148Kiss me ◆mmvTbOBCdw :2008/09/13(土) 13:57:54 ID:lyK8V+7I
……他人で遊ぶのは好きだけど、遊ばれるのは嫌いなのよね。
まったく、この私に下等な人間たちと殺し合えだなんて、本当につまらないことを考えるわ。
見たところ人間でないものや結構強そうなものも混ざっていたみたいだけど…私には無関係なこと。
………ただ心配なのは真琴様の御身。涼子のほうは…どうでもいい。
早く真琴様を探して、ここから脱出しなければ。

     ◇     ◆     ◇

「真琴様ぁ…」

ずるずるずるずると、デイバックをひきずり地面を這いながら我が御主人である三井真琴の元へと急ぐ。
ここは湿った森の中。ぬかるんだ土に摩擦しているセーラー服はきっとどろどろのぐちゃぐちゃだ。
スカートからはみ出した白い足も大変なことになっているだろう。
広い視界の中に、両頬と鼻の先に土が付着しているのもかすかに見えた。
いつもなら真琴に顔を合わせるときは身支度にかなり気を使うのだが……そうしている時間は無い。

…………というか、そんな気力が無い。

「うううううぅ」

彼女、椎名千咲は外見こそ普通の人間なのだが、実は何百年と生きている悪魔。
風と重力を自由自在に操り、殺しても死なない、歳も取らない彼女に、人間たちは恐怖した。
……だが、そんな彼女の力も『無限』というわけではない。
彼女の力の源は若い女の生気。三日に一度、少女とくちづけを交わさなければならなかった。
それが彼女の能力を『完璧』にするものであり、永遠の命を繋ぎとめる『鎖』であった。
………そして今日、己の部下である少女、瑞樹の生気を取り込む予定だったのだが…。
キスをする直前であの部屋に転送されてしまった。
つまり、彼女は今、へろへろ状態なのである。
149Kiss me ◆mmvTbOBCdw :2008/09/13(土) 13:58:40 ID:lyK8V+7I
「こんな状態じゃなければあんなグズども、一ひねりで殺せたのにぃ…」

ミミズのように地道に前進を続ける。
しかし、疲労もそろそろ限界に達そうとしていた。

「むぐぐ、ぐ」

まだよ、まだ耐えなければ!くたばっている場合ではない…。
瞼が重たいのは、きっと地面を照らす月光が眩しいから。
体が震えているのは…そう、武者震いというやつなのよ。
こんなところで終わるわけにはいかない。
真琴様をお守りするのが私の役目。
それがあの子との……綾乃との約束ですもの。

「あひぃ……でも、もう…」

駄目。

最強と謳われた悪魔もここまでか。
千咲の体はとうとう動かなくなり、虚ろな瞳を瞼が覆った。


【椎名千咲@オリジナル】
【状態】死にかけ
【装備】無し
【道具】未確認支給品一式
【思考】基本:ゲームからの脱出
1:誰かとキスがしたい。
2:真琴を守る。
150Kiss me ◆mmvTbOBCdw :2008/09/13(土) 13:59:26 ID:lyK8V+7I
【名前】椎名千咲(シイナ チサキ)
【性別】女
【年齢】外見年齢16歳。実際には数百年は生きている。
【容姿】
[服装]黒いセーラー服に赤いリボン。
[髪型]前髪を揃えた胡桃色のロングヘアー。ウェーブがかかっている。
[顔付き]目が丸い。水色と青のオッドアイ。
[身体的特徴]色白、貧乳。身長156センチ、体重42キロ。
【性格】高飛車、高貴。妄想癖。猫かぶり。
【一人称】私(わたくし)
【好きなもの・こと】真琴、寝ること、妄想。
【嫌いなもの・こと】涼子、野菜、牛乳、海(カナヅチ)、あついの(炎)。
【特殊能力】風と重力が操れる。再生能力有り。目標の髪の毛と血を使って相手を操ることが可能(条件有り)。鎌を使っての攻撃も多いため、身体能力も高い。制限不明。
【備考】
人間ではない、悪魔。名前も恐らく仮名。
若いおにゃのことキスをしたがるので変態呼ばわりされることもしばしば。
頭の悪い策略家。
151GANTZ・バトルロワイアル ◆mmvTbOBCdw :2008/09/13(土) 14:00:12 ID:lyK8V+7I
おりじなるは 基本 ちゅうに です。

では。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 14:47:51 ID:9o3EOo0B
投下乙!
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 14:50:27 ID:iUtGU4Qo
百合キャラキタ━━(゚∀゚)━━!!
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 18:33:28 ID:xjRqigQl
非リレーでなく、最初から自由参加のロワを始める場合は別スレの方がいいかもな
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 18:44:45 ID:6xAsFuj7
いいね。みんな個性があって面白い感じ

>>154
完全に非リレーってついてしまってるからね
まあ1スレ目だから2スレ目からは話あって名前変えてもいいと思うけど
156 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/13(土) 19:48:23 ID:bk3cIX5r
くぎゅううううう
157釘ロワ 史上空前ツンデレBattleT ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/13(土) 19:49:57 ID:bk3cIX5r
 釘宮町市街地西部、二人の戦士の舞台――戦場と化していた。遮蔽物の多い市街地では、戦法次第で勝敗が簡単にひっくり返る。
 優勝候補と囁かれるシャナは、出力を大幅に削減されるも、剣技や身体能力は健在。配布されたのは木刀だ。
 対するルイズ、動体視力と回避能力が付与されている。配布されたのは杖。爆発呪文、そして“虚無の呪文”という切り札も持っている。
 彼女たちの力は拮抗している。シャナが近付くも、回避されて爆発呪文のお返し。ルイズの“虚無の呪文”もシャナの接近によってキャンセルされてしまう。
 なかなか形勢は傾かずに、泥沼化していく。こんな時は停戦、逃走などいくつか選択肢はある。
 もちろん性格がそうさせない。というのはあるかもしれない。ただそれ以上に彼女たちには譲れない物があった。
「ゆーじは!!」
「サイトは!!」
「私のモノよー!!」
二人の声が見事にハモる。この抗争の原因は罪深い『日野聡』のカードだった――。
158釘ロワ 史上空前ツンデレBattleU ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/13(土) 19:52:24 ID:bk3cIX5r
 事のはじまりは少し前、二人の出会いからだ。
 当然、二人は目が合った瞬間、臨戦態勢に移行する。お互い相手が相容れぬ存在だと直感したんだろう。
 が、決闘はすぐには始まらない。二人は互いに疑問をぶつけあう。
「『日野聡』のカードは預かった。返して欲しければここに来い。byルイズって手紙が届いたんだけど?」
「あら、私も貴方の名前で同じ文面の手紙が来たけど。どういとこと?」
「そんなことも分からないの? 罠に決まってる」
「ふーん、罠ね。あんたも阿呆面下げてわざわざ来た訳ね。罠だと知って!」
「何よ! やるっての!?」
「やってやるわ!!」
 二人に理性が少しでもあれば、これを罠と処理出来たかもしれない。
 しかし、この西地区全体には参加者の誰かによる配布による武器『サバイバー』が敷かれていた。
 『サバイバー』とは対象をイラつかせ、喧嘩っ早くさせるというジョジョ六部のスタンド能力。
 つまり彼女たちは何者かの罠にまんまと嵌められたという訳。“手紙を姿を見せずに伝達する方法”これを考えれば、この罠は回避出来たかもしれないというのに……。
 しかし、いま彼女たちの耳にはどんな言葉も届かないだろう。
159 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/13(土) 19:53:54 ID:bk3cIX5r
くぎゅううううう
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 20:57:24 ID:amygkT1N
>>159
乙。
ここらでいったん釘理をつけたってか
161 ◆h8fJExUfEI :2008/09/13(土) 21:21:57 ID:dvtz5Vrj
楽しそうなので不安だけどやってみる
ハムスターランドバトルロワイアル投下します
吐き気がする……頭が痛い……ひどく、ひどく気分が悪い。
また飲み過ぎてしまったのだろうか。いや、違う。今まで何度も経験してきた二日酔いの苦痛とは異質な感覚。

固いアスファルトの地面にうつ伏せに倒れていた男は、やおら体を起こし、重い瞼を持ち上げて辺りを見渡す。
無機質で巨大な建造物めいた物が見えたが、それが何なのかは皆目見当がつかない。
真っ暗闇に加え、古臭いサングラスをかけた状態では、それも仕方がないのだろう。
やむを得ず愛用しているサングラスを外し、生気のない瞳で再び周りを見通す。こんな場所、知りもしないが、今度は見当がついた。
疑問符を浮かべながら立ち上がる。

「遊園地……だな」
巨大な建造物はジェットコースターだった。老朽化が進んでおり、見るからに危なっかしい。
「なんで俺こんなところにいるんだよぉ」
情けない声を上げつつ懐をまさぐる。煙草を取り出そうとするが、どうやら切らしてしまったらしい。
軽く溜息を吐く。ここがどこの遊園地で、何故自分がここにいるのか、男にはそれが分からない。
また妙なトラブルに巻き込まれてしまったのだろうか。そういえば、首に何か得体のしれない首輪がついている。
いつの間に着けられたのだろう……。

「なんだよこれ……頭は痛いし独りぼっちだし……最近こんなんばっかだしよお……」
何の罰ゲームだよこれ……。男の愚痴は止まらない。

本人の言うとおり、この男の人生はある時を境に大きく変わってしまったのである。
どんな風に変わってしまったかと言うと、そう、こんなんばっかりなのである。
それ故に一度言い始めた愚痴は、普段なら止まることなく加速し続けていくのだが、今回は例外だったようだ。

「ああ、もしもし……?お宅、長谷川泰三さん?」
「ん……? うわッ!?」
長谷川泰三ことマダオは背後にいつの間にか立っていた異形に驚愕の声を漏らす。
「こんな真夜中に背後からい、いきなり話しかける奴がいるか! な、なんだあんたは天人か!?天人だな!?」
「天人じゃないですよ。よく見て下さい」
そう言うと、マダオに背中を見せる。ファスナーがついていた。どうやら着ぐるみのようである。

「中の人なんていませんがね……ふふふ」
「…………」
「あっ違った……中の人なんていないけどね♪ねっ!?長谷川さん! ……ふふふ、どうです?
 例の有名なネズミキャラみたいでカワイイでしょう」

不気味に微笑む着ぐるみ男。そう言えばよくよく見てみるとあの有名なネズミキャラに似ている。
いや、これは明らかに似ている、ではなく、著作権違反のレベルだ。
そしてこのハムスターもまた、首輪を着けられていた。いったい、この首輪は何なんだろうか。

「ちなみに私の名前はハムスターマウス!ようこそ長谷川さん!夢の国、ハムスターランドへ!!」
マダオの目の前でひらひらと飛びまわりパフォーマンスしてみせるハムスターマウス。
愛想を振りまくハムスターマウスとは対照的に、マダオの目はひどく乾いていた。


「…………もう帰っていい?」


「……何言ってるんですかマダオさん。お楽しみはこれからですよ」
「いや、もういいから……今マダオって言ったけど許してあげるから。もう帰るわ」
そそくさと振り返りハムスターマウスから離れていくマダオ。そうはさせじとハムスターマウスが彼の手を引っ張る。

「夢の国へようこそマダオさん♪ここに来ればどんな貧乏臭いおっさんでもお姫様とハッピーライフ♪
 リストラで沈んだ心も強引にリフレッシュ♪明日からまた無意味に頑張れる気力が噴き出してくること間違いなし♪」
「うるせェェェェェ!! お前励ましてるのか古傷抉ってんのかはっきりしろォォォォ!!」
「古傷ってか現在絶賛進行中の病みたいなもんでしょ長谷川さんの場合」
「うるせえええええええ!古傷なんだよ!現在進行形なんて誰が認めるかあああああああ!」
「現実から目を離すなよ。だからマダオって言われるんだよ。汚っさんが」

しばらくの間、言い争いながら引っ張り合う二人だったが、つかれたのだろうか。
それもやがて終わった。

「はあはあ……ていうかハムスターマウス、あんた後半は確実に俺の心を砕きにかかりに来てたよね」
マダオが情けない声で言ったが、ハムスターマウスは飄々とした様子でそれを無視。
「……なんなの? 俺をどうしたいわけなの?」

初めからこれを聞きたかったのだが、どうやら知らず知らずのうちに回り道をしてしまったようだ。
マダオの諦めた顔を見て、ハムスターマウスはうんうんと満足そうに頷く。
腕時計を眺めるハムスターマウス。やはり何かに巻き込まれたらしい。
連中もやっぱりいるのかなあ……。マダオは頭の隅で件の三人組を思い浮かべる。

「そろそろですね……カウントダウンいきますよマダオさん」

まあ、自分は特に何もしないでも、なんだかんだで今回もあの万屋がなんとかしてくれるだろう。
全く、銀さんと出会った事が俺の運のつきだよなあ……ホント
ハムスターマウスをどうでもよさそうに眺めつつ、マダオは銀時の事を思い浮かべる。

「スリー・ツー・ワン…………」

ハムスターマウスが体を出来るだけ小さく屈め、次の瞬間、思い切りジャンプした。
ジャンプと同時に遊園地の各地に設置されてある照明が一斉に輝き出した。
どうでもよさそうな態度をとっていたマダオもこれには焦った。遠くの空では花火が打ち上げられている。


「バトルロワイアル開幕ぅぅぅぅ!!! やったね!!!」


とび跳ねまわるハムスターマウス。呆然とするマダオ。バトルロワイアルって……何?

「それではルール説明に入ります。説明が終わった後は、一人で行動して貰うからねッ!」

くるくるくる、と舌を回し、まるで歌うかのようにバトルロワイアルのルールを説明していくハムスターマウス。
短時間に一気にやってきた衝撃に、マダオの脳は揺さぶられていたが、それでもなんとか説明を一言一句残さず聞き取る事が出来た。
その恐るべきルール。聞きとれたいいが、脳が理解しようとはしない。

※バトルロワイアル
・参加者は20名。最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。殺す手段は問わない。『何でもあり』である。
・最後の一人、つまり優勝者には、このハムスターランドから生きて帰る権利が与えられる。
・その他にも、優勝者には莫大な賞金、そして栄光に見合うだけの粗品がプレゼントされるので楽しみにして頂きたい。
・ハムスターランドの外周には高圧電流を流したフェンスが隙なく張り巡らされているので、脱出する事は不可能である。
・参加者がゲーム進行に当たって何らかの不都合な行動をとった場合、それなりの対応を取らせてもらう。
・無理やり首輪を外そうとすると、爆発するので注意する事。
・3時間毎に死亡者などを告げる放送を流す。また、6時間誰も死なない状況が続いた場合、全員の首輪を爆破する。
・ハムスターランドには様々な仕掛けがあるので、頭を捻って活用してほしい。


ハムスターマウスは上記のルールをぺらぺらと告げると、最後に薄いルールブックを手渡した。
「あんまりルールがあってもつまらないから薄めだよ」
だ、そうである。マダオはわなわなと震える手で冊子を受け取る。
ハムスターマウスは続いてどこから取り出したのか、デイパックを投げ渡す。

「中にはパン三つ、水2gペットボトル一本、懐中電灯、地図、参加者名簿、携帯電話、ランダム支給品が1個か2個入ってるよ。
 ランダム支給品ってのはその名の通りランダム。うまく武器が入ってるといいね。あと、携帯電話は後々重要になって来るから手放さないでね」
マダオはデイパックを覗き、携帯電話を取り出す。
「外部とは連絡がとれなくしてあるから。安心してゲームを楽しんでね。無粋な横槍が入る事など、決してない」

ハムスターマウスは低く唸る。マダオはそれの顔、と言っても着ぐるみだが、を凝視した。
今までは暗闇の中、コミカルな動きに惑わされ、気づかなかったのだろう。
ハムスターマウスの顔は、有名なネズミキャラとは似ても似つかない、獰猛にして凶悪な顔つきだった。
大きく見開かれた両目は赤く血ばしり猛禽類のように鋭い、深く深く裂けた口から覗く犬歯は恐ろしく尖っている。
マダオはハムスターマウスの顔を見て青ざめ、すぐに目を離した。

「さて、最後に今回だけの特別ルールを説明するよ!マダオ君!地図を開いてくれるかな!」
言われたとおりにマダオは慌てた手つきで地図を取り出す。
「新ルール『海賊船長の宝箱』!!!ヒャッホー!!!」

とび跳ねるハムスターマウス。醜悪な顔が露見された今、その姿を見てもコミカルだとは全く思えない。

「地図に宝箱が記されているよね?その場所には、実際に宝箱があるんだ。
このゲームを勝利するにあたって、とってもとぉ〜〜っても便利なアイテムがその宝箱には入ってる。ただし!」
ハムスターマウスがマダオの前でぴっ、と指を立てて左右に振る。
「宝箱を見つけ出せば、いつでも宝物がゲット出来るとは限らないよ。さっきも言ったけど、『海賊船長の』宝箱だからね?
 船長の隙を突かなくちゃ宝箱は開かないんだ!さてマダオ君!なんかさっきから黙ってるけど、どうやって『隙を突く』か分かるかい?」

急に話を振られ、マダオはびくりと体を震わせた。

「あ、あ〜〜いや、………………さあ」
分からないものはわからない。マダオは頭を掻きながら口を開いた。
ハムスターマウスはその言葉を聞き、しばらくの間、黙ったままマダオを睨みつけた。
恐ろしい着ぐるみは少しずつマダオの精神力を削いでいく。マダオの額に冷や汗が滲み始めた頃、ハムスターマウスは漸く口を開いた。

「だ・よ・ねぇ〜。分かるわけないよね。だから僕達、ゲーム運営者が携帯にメールを入れるよ。
 船長が宝箱から目を離す一時間前に、油断し始める時刻を記したメールを送る。だから携帯は頻繁に見る様にしてね♪
 と・に・か・く!携帯は重要なんだからね!精一杯頭を捻って活用してね!!」

こくこくと頷くマダオ。ハムスターマウスはそれを見て、なんとなく満足したようだった。

「さあ、それじゃあ最後の説明!首輪についてだよ!マダオ君、そんな安っぽい首輪なんかで本当に人が死ぬと思う?」
「…………し、知るわけないだろ」
マダオの声は裏返っていた。ハムスターマウスは、また飛び跳ね、マダオに向かって深く一礼する。
「そうだよね。当然だ。じゃあ最後に、この首輪の威力を君に教えてあげるよ」

くるりとジャンプするハムスターマウス。なんとなく、なんとなくだが、マダオは本能的に嫌な気配を嗅ぎ取った。

「いい?この『合図』が鳴ったら、ゲームは開始されるよ。マダオ、君はこのゲームで様々な人に出会うだろう。
 他の参加者や、ハムスターランドの楽しい住民達。全ての出会いを無駄にせず、全ての事をよく考えて活用し、優勝して欲しい。
 優勝してくれたら、君の説明役を務めた僕も鼻が高いってもんだ!」

ハムスターマウスがマダオに頭を下げたまま、背後に後退していく。マダオは黙ってそれを見つめる。
唐突に、ハムスターマウスから、ピッ、ピッ、という電子音が聞こえてきた。
ハムスターマウスの首輪が爆発への秒読みを開始したようだ。


「使い切るんだ、全ての材料を!生き残るんだ、何としても!負けたら死、死なんだ!
 勝たなきゃ、ここで勝たなきゃどこで勝つ!?君の優勝を、僕は祈っているよ! Good Luck!!」


謎のテーマパーク、ハムスターランド。深夜零時ジャスト、ハムスターランドに20の爆音が響き渡った。
マダオの足元で、死亡したハムスターマウスの凶悪な頭部がごろりと転がる。
説明役を務めた20のハムスター達が散るのと同時に、惨劇の幕が今────開かれた。
────バトルロワイアルの開幕である。




【プリズンブレイク】○マイケル・スコフィールド/○リンカーン・バローズ/○フェルナンド・スクレ/○ティーバック(セオドア・バッグウェル)
          ○ブラッド・ベリック/○トゥイナー(デイビッド・アポルスキス)/○アレクサンダー・マホーン
【GANTZ】○玄野計/○レイカ/○小島多恵/○稲葉光輝
【ひぐらしのなく頃に】○前原圭一/○園崎魅音/○園崎詩音
【銀魂】○長谷川泰三/○志村新八
【DEATH NOTE】○弥海砂/○松田桃太
【賭博黙示録カイジ】○伊藤開司/○石田光司

【20/20】

【地図】
ハ広観
霊湖食
館土子
 入

※ハ…ハムスターコースター
当テーマパークの目玉、ハムスターコースターの乗り場があるエリア
巨大にして複雑、そして迫力満点なハムスターコースターがハムスターランドを疾走します

※広…ハムスター広場
遊ぶのに疲れた時は是非ここに!
木々が作り出す木陰やハムスターマウス達が貴方の疲労を癒します

※観…観覧車エリア
遊園地全体を見渡せる超巨大観覧車があるエリア
隣にあるメリーゴーランドにも注目!

※霊…お化け屋敷エリア
恐ろしいお化け達が廃墟の中で貴方を待っています。

※湖…ハムスター湖
遊園地中央に位置する湖。もしかしたら怖い怖いサメが潜んでいるかも
湖の中央には海賊船が浮かんでおり、カリブのバイキング料理が楽しめます

※食…食べつくしエリア
ハムスターマウス達が貴方の空腹を満たしてくれます
もしかしたら意外な発見があるかも

※館…催し物館
定期的に変わる『催し物』
貴方がやって来る時はいったいどんなイベントが!?

※土…お土産エリア
ハムスターマウスに来たからには魅力的なグッズの数々を見逃すわけにはいかない!?

※子…子供広場
ゴーカート、ミニコースターやアスレチック広場
お子様が喜ぶアトラクションがいっぱい

※入…出入り口
迷子になったならここ!より詳細な地図が欲しい人もここへ!
残念ながら出る事はできません。ハムスターランドを楽しみ尽して下さい
168 ◆h8fJExUfEI :2008/09/13(土) 21:33:28 ID:dvtz5Vrj
好きな作品と書きやすそうなキャラを選んだらなんかカオスな面子になってしまった
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 23:57:39 ID:bk3cIX5r
>>160
誰がうまいこと言えと
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 06:21:55 ID:SpTgELWE
投下乙!
プリズンブレイクだけ何かが違うwww
それぞれ各ロワ続き楽しみにしてるよん
171GANTZ・バトルロワイアル ◆mmvTbOBCdw :2008/09/14(日) 17:46:24 ID:EdFNGpYN
>>168
タイトルだけみたらハム太郎キャラのロワかと思ってしまった
プリズンブレイクww浮いてるwww
乙です!
172すれちがい ◆mmvTbOBCdw :2008/09/14(日) 17:47:18 ID:EdFNGpYN
テレポーテーション。あまりにも非現実的な単語。
よく手品師が使う言葉でもあるが、それは確実にタネも仕掛けもあるものなのだ。
潜在能力と語るものも居るが、それが偽りだということは本人が一番よく知っている。
………だから、この本当にタネも仕掛けも無い異常事態に、俺は困惑していた。

「どういうことだよ、こりゃ」

虎金井家との激闘も終末を迎え、やっとこさ平和な日々が過ごせると思った途端これだ。
眠っていたわけではない、意識はしっかりあった、そのはずなのにいつの間にかあの黒い球の部屋に俺は立っていた。
武術家の仕業か?いや、武術というよりは魔法に近いか。
しかし、いくら何でも魔法なんかがこの世界に存在するはずがない。
だとすれば化学的な力?…今の日本の科学はそんなに発展してもいないはず。
ではどうして、何で、俺はここに居る?いくら考えたって答えは出てこなかった。

……思案を止めると、そこで俺にできることは何もなくなった。
なぜなら俺は一般人。ヘタに動くよりはここに隠れていたほうが良いと考えているからだ。
けれど何かしていないと恐怖に押しつぶされそうになる。
仕方なしに俺は、目覚めた時に傍にあったバックに手を伸ばし、中身を確認することにした。

「まずは武器」

バックを逆さまにすると、まず支給された武器に目がいった。
一つ目は如雨露。………ここらへん雑草ばかりだから、めちゃくちゃ馴染んでるのがちょっと悔しい。
二つ目は木刀。………洞爺湖って掘ってある。ちなみにちょっと黄ばんでて、カレーの臭いがする…。
三つ目、これは確か…!
173すれちがい ◆mmvTbOBCdw :2008/09/14(日) 17:48:03 ID:EdFNGpYN
「ウマ仮面のスーツだよな、これ?」

天誅戦士ウマ仮面。地元では有名で、ちょっとした事件を解決しているスーパーマンのような女戦士。
実は彼女もまた武闘家の人間らしく、虎金井家の件ではお世話になった。

「何にせよ、いまいちなものばかりだな。誰かに見つかったら逃げよう。次は地図だ」

半分折にされた地図を取って開く。

 12345
A 丘森街街浜
B 丘森住住浜
C 丘森研湖浜
D 丘森城塔浜

「俺が今居るのはC-2か。アバウトすぎてよくわからんが、まぁ良いか」

お次は腕時計のような形をした機械。使い道がよくわからなかったので、適当にボタンを押してみた。
すると、ありきたりな電子音の後で小さな画面に自分の似顔絵のようなものが浮かんだ。

「ビビリ…、10点。ビビリって俺のことかな?そうだよな」

少し肩を下げたところで、地面に転がった荷物全体に目を通してみる。
武器、懐中電灯、パン、水の入ったペットボトル、ペン、情報機器……あ。

「名簿を確認するのを忘れてたな」
「キャッ!」

俺は緩慢とした動作で名簿を手に取ったが、開こうと角に親指を掛けたとき、
背後から激しい物音がして、咄嗟に振り返った。

     ◇     ◆     ◇
174すれちがい ◆mmvTbOBCdw :2008/09/14(日) 17:49:32 ID:EdFNGpYN
与えられた武器は時代を感じさせる十手に酢昆布1ダース、そして…変な形をした銃。
この銃にはトリガーが二つあって、モニターのようなものもついている。
……使い方を確認しておきたいところ。
周囲に人が居ないことを確かめてから、付近にあった岩に銃口を向ける。
恐る恐る指をトリガーにかけて、思わず目をつむってしまった、その時。

(誰か居る!)

風など吹いていないというのに、草木が音を立てた。
慌てて銃を降ろし、自身に備わった脚力を用いて木の枝へと跳躍し、音のしたほうに顔を覗かせた。

(……犬塚くんじゃない)

草陰で荷物を確認しているらしい彼は、密かに想いを寄せている相手だった。
彼を守るには傍に居るのが一番良いと、声をかけようかと息を吸い込んだが、
こんなところから話しかけるのも不自然だ。
それでは、と地面に降り立とうとすると、孝士が自分の本名が書かれている名簿を手に取ったので……。

「キャッ!」

動揺から足を滑らせ、体勢を整える間も無く地面とのキス。
恐らく聞き覚えがある声だからだろう、すぐに逃げ出さずに、孝士は振り返ってくれた。

「委員長!」
「いたた……」
「大丈夫か?」

孝士が名簿を放り投げて駆け寄ってきた。
自分が十二支の動物の名を持っていることがバレずに済んで一安心だ。

「ありがとう、私は平気。それよりも犬塚くんに会えて良かった」
「俺も委員長に会えて良かったよ。知らない奴だったらどうしようと思った」

本当は全身のあちこちに小さな痛みが走っているが何とか平然を装い、
笑いかけてくれた孝士が荷物を広げているところへと歩み寄った。
175すれちがい ◆mmvTbOBCdw :2008/09/14(日) 17:50:32 ID:EdFNGpYN
「へぇ。荷物の確認してたんだ」
「そうなんだ。って、別に武器を使って人をどうこうしようとか考えてたわけじゃないんだけどさ!
 いちおう、護身用にと思ったんだけど…でもやっぱり、俺みたいな一般人じゃ使えないかな、って」
「そっか」

孝士に背を向けた体勢でしゃがみこみ、支給品を眺めているふりをする。
そこでさり気なくペンと名簿を手元に引き寄せ、こっそりと自分の名前のところだけを黒く塗りつぶした。

「私も、まだ犬塚くんは修行中だし、無理はしなくて良いと思う」
「え?」
「修行、頑張ってるんでしょう?」
「修行って何の?」

………あれ?
だって、虎金井から戻ってしばらくして、自分も頑張ろうって言ってみんなに修行を頼んでたじゃない…。

「何のって…。武術のことだけど…」
「武術?ああ、たしかに俺も頑張ろうかなって思ってたところだけど…何で委員長が?」

え、どういうこと?
何でって…事情を聞いて、学業のほうが疎かにならないよう、修行の合間、一緒にお勉強会やったじゃない。

「あ、そういえば俺、名簿の確認をしようかと思ってたんだ」
「そ、そう…はいこれ」

怪訝そうに眉を寄せつつ、すでに工作済みの名簿を孝士に渡した。
当然、名簿を開いた孝士は、不自然に黒塗りされた名前の部分を不審に思う。

『秋山深一/アデル/犬塚孝士/アルフォンス・エルリック/エドワード・エルリック
エンヴィー/神楽/神楽坂明日菜/加藤勝/金糸雀/神威/吉良吉影/九頭竜もも子
高音・D・グッドマン/玄野計/虎金井天々/小島多恵/佐倉愛衣/桜咲刹那/椎名千咲
清水雷鳴/クリストファー・シャルドレード/ジン/真紅/水銀燈/翠星石/瀬川涼子
チェリー/月詠/アイザック・ディアン/ティーゲル/雲平・帷・デュランダル/■■■■■
西丈一郎/ミリア・ハーヴェント/パンター/東方仗助/フェイト/三井真琴/巳屋本いろは
チェスワフ・メイエル/雪広あやか/宵風/ライム/レイカ/六条壬晴/No.1/No.2/No.3/No.4』
176すれちがい ◆mmvTbOBCdw :2008/09/14(日) 17:51:18 ID:EdFNGpYN
「何でここだけ塗りつぶされてるんだ?」
「ほ、本当ね、おかしいわね」
「あれ?委員長の名前が見当たらないんだけどどうし「ああああー!見て!もも子ちゃんや巳屋本さんも居るらしいわよ!」
「…? 本当だ」

ふぅ、危なかった。

「だったらまずはこの二人を探さない?危ない目にあってたら大変だわ」
「どっちかというと危険なのは俺たちなんだろうけど、まぁ委員長が居たら何となく心強いし、行こうか」
「うん!」

自分が存在することによって彼に安心感を与えられたことに、場違いな笑顔が浮かぶ。
けれど、さきほどの違和感は拭えぬまま、二人は肩を並べて歩き出した。


【現在地C-2 東】

【犬塚孝士@すもももももも 〜地上最強のヨメ〜】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】基本支給品一式 ウマ仮面コシュチューム@すもももももも〜地上最強のヨメ〜 木刀@銀魂 如雨露@ローゼンメイデン
【思考】基本:殺し合いには乗らない
1:もも子といろはとの合流

【中慈馬早苗@すもももももも 〜地上最強のヨメ〜】
【状態】健康
【装備】Xガン@GANTZ
【道具】基本支給品一式 酢昆布1ダース@銀魂 十手@セイバーマリオネット
【思考】基本:殺し合いには乗らない
3:孝士の言っていたことに違和感
2:もも子といろはとの合流
1:孝士を守る
177GANTZ・バトルロワイアル ◆mmvTbOBCdw :2008/09/14(日) 17:52:08 ID:EdFNGpYN
  1 2 3 4 5
A 丘森街街浜
B 丘森住住浜
C 丘森研湖浜
D 丘森城塔浜

地図ずれてた……
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:51:23 ID:SpTgELWE
投下乙ー
すもももももも全く知らないが面白かったぞい
塗りつぶされてるとは……いいねえ
179ハムロワ ◆h8fJExUfEI :2008/09/14(日) 20:13:25 ID:/pgjZe6k
投下乙
同じく全く知らないけど、よかったです
すらすらと読みやすかった
180フェンスの外 ◆h8fJExUfEI :2008/09/14(日) 20:15:08 ID:/pgjZe6k
突然爆発したハムスターの首が宙を舞う。説明を受けている途中でなんとなく予想できた事ではあったが、
やはり、実際にハムスターが自らを犠牲にしてまでルール説明に徹するというのは、なかなかショッキングな映像である。
マイケルは顔を歪め、口を抑える。このハムスターは、このゲームは、異常、狂っている。

マイケルは吐き気を抑えつつ、腹立ちまぎれに地面に落ちていた石ころを思い切り蹴飛ばした。
刑務所を脱獄し、第二の計画に則り、警察やFBIから逃げ切り、兄と共に漸く自由と平和を手にする。
あともう一歩のところだった。それがいつの間にやら、知らない間に、こんな得体の知れないテーマパークで寝かされて──


マイケルは頭を掻き毟り、思考を切り替える。爆発があったのはここだけではない。
20の参加者、全てに同じような説明役がつき、全てが爆死したのだろう。
近くからも爆発音は聞こえてきた。と、いう事は、自分の説明役が放った爆音も何者かに聞かれているという事だ。
一時的であるとはいえ、互いが互いの居場所をおぼろげながら把握している、というのが今の状況。
殺し合いに乗る殺戮者が一人も出ないとは考えにくい。他の参加者とは慎重に接触するべきだろう。
このままでは間違いなくまずい。

マイケルはデイパックを背負い、ハムスターの死体から離れるため、駆け出す。
最低限の注意を払いつつ、近くにある植え込みの陰に隠れる。
背後にはコンクリートの壁があり、さらにその上にはフェンスが張り巡らされていた。
どうやらここは遊園地の端らしい。説明によると、あのフェンスには高圧電流が流されていて、脱出できないらしいが……

「……クソッ! 兄貴まで……!」

デイパックから取り出した名簿を見て、マイケルはさらなる怒りを覚えた。
自分のみならず、兄、リンカーン・バローズまでこの殺し合いに参加させられている。
知り合いは兄だけではなかった。刑務所でのマイケルの同房者、フェルナンド・スクレ、凶悪なレイプ魔殺人鬼ティーバック
『チクリ』のトゥイナー、傲慢で性質の悪い看守長ブラッド・ベリック、
二、三度顔を合わせただけで頭が切れる、という以外にどんな人物かは分からないが、FBIのマホーン捜査官までいる。
19人中7人がマイケルと接点がある者達……

思い出せ……何故、どうしてこんな事に巻き込まれてしまった?
兄貴と逃亡している間、いつ、どこで……誰かに攫われてしまったのか?

何故、いつ、どこで、どのように拉致られたか。どうしてこんな事に巻き込まれたのか。
いくら考えても分からない。思い当たる節などマイケルにはなかった。
気づいたらこの趣味の悪いテーマパークに寝かされていたのである。

思考を切り替え、マイケルは現在地を把握するため、地図を注視する。
少し離れたところに、のっぺりとした壁の、特徴の薄い建物が見えた。
地図に照らし合わせて見たところ、あれは催し物館だ。
すぐそばにフェンスがあるから、自分は『館』のエリアの西の端に居るという事になる。
181フェンスの外 ◆h8fJExUfEI :2008/09/14(日) 20:16:33 ID:/pgjZe6k

次にデイパックからランダム支給品とやらを取り出してみる。
出てきたのは充分に人を殺傷出来るであろうサバイバルナイフ、そして2個の手榴弾だった。
これは当たりの部類に入るのだろうか……
マイケルはナイフをズボンのポケットに装備し、手榴弾1個をもう片方のポケットに突っ込んだ。

まず……何よりも優先すべきは、兄貴と合流する事だ。
そして、ここから脱出。フォックスリバー刑務所の時とは違い、俺はこのテーマパークがどんな風に隔離されているかまるで知らない。
説明役の警告から考えて、あくまで客観的に見れば────このテーマパークから脱出出来るはずがない。
殺し合いを強要するような連中だ。何から何までがんじがらめに固めてきているはずだろう。
だが、だが『脱出できない』で済まされるわけがない。パナマの海で兄貴とサーフィンの店を開くまで、俺は死ぬわけにはいかない。

マイケルは植え込みの陰から立ち上がり、慎重にフェンスを目指し歩行する。
コンクリートの壁はそれほど高くはない。フェンスから外を覗くのは十分、可能だ。
覗くくらいで首輪を爆発させられるとは思えない。説明役の様子から推測して、連中はこのゲームが盛り上がる事を願っている節がある。
なるべく、首輪は爆破したくないはず。フェンスから覗くくらいなら……まだまだ許容範囲だ。

唯一、唯一運がいいのは、このスタート地点である。テーマパークの外の様子が見られるマップの端。
ここがスタート地点というのは僥倖。

目を凝らし、背伸びをしてフェンスから外を覗く。周りへの警戒は怠らない。
勿論、フェンスの外から何かが飛んでくるか分からないので、そちらへの警戒も忘れない。

「…………!」

フェンスの外は完全な闇だった……数メートル先は何も見えない。
どうする?懐中電灯で照らすか?そうすれば外の様子が分かるが、しかし、リスクもでかい。
懐中電灯を使う事は、他の参加者に自分の居場所を教えるようなものだ。朝にまたここに来るか?
……駄目だ。いつ死ぬかもわからないゲーム……リスクの先送りは命に関わる……。
それに朝になると何かの障害物をフェンスの前に置かれるかもしれない。
フェンスの外を調べられるのはゲーム主催者にとって、やはりどちらかというと気分がいいものではないだろう……

「…………よし……!」

デイパックから懐中電灯を取り出す。光が拡散しないように、デイパックでせめてもの壁を作る。

この殺し合い……リスクを恐れていては何も始まらない。
次の瞬間には死んでいるかもしれない戦い……やらなくてはならない事は、出来る時にやっておかなければならない。
リスクの先送りは……死だ……!!

マイケルは懐中電灯のスイッチを入れる。フェンスの外に向かって光が放たれ、明るく照らす。

「…………これは……」

『外』の様子を見た瞬間、マイケルの表情は歪んだ。

おぼろげだが、テーマパーク内へ拡散する懐中電灯の光。
情報を得るために払ったリスクは、マイケルの命を奪うほどの重さなのだろうか……
182フェンスの外 ◆h8fJExUfEI :2008/09/14(日) 20:18:16 ID:/pgjZe6k

【『館』の西方/0時〜1時】
【マイケル・スコフィールド@プリズンブレイク】
[状態]:健康、動揺
[装備]:サバイバルナイフ、手榴弾1個
[デイパックの中身]:支給品一式、手榴弾1個
[思考・状況]
1、兄貴(リンカーン・バローズ)と合流したい。出来ればスクレとも
2、遊園地から脱出する
※フェンスから何かを見た

【地図】
ハ広観
霊湖食
館土子
 入
183ハムロワ ◆h8fJExUfEI :2008/09/14(日) 20:22:50 ID:/pgjZe6k
投下終了
ネズミーランドかハムスターランドかで迷った末、なんか可愛いのでハムスターにした
184 ◆RJNpFExwIg :2008/09/15(月) 06:43:10 ID:3zZRFQB+
両名共に投下乙です。
こちらも投下します。
馬頭崎鴉花子(めずざき あかね)は、多少困惑しながらではあるものの、しっかりと地面を踏みしめながら、推定無人の民家が立ち並ぶE-4エリアに足を踏み入れる。
彼女の目的は人を殺すことにあらず。幼馴染のアサミを見つけ出し、出来る限り死者を出さずにこのゲームから脱出するのが彼女の目的だ。
彼女は考える。仲間がいるほうがどちらかというとこのゲームを有利に進めることができるんじゃあないだろうかと。
現にアカネは一人その候補を見つけている。
網笠を深く被り、デイパックを肩から提げて、玄関のドアに靠れかかっている若い男の人を、彼女は最初に立ち寄ろうとした民家で発見した。
最初は死んでるんじゃあないかなと思ったが、彼が鼾を掻いていたために、すぐにただ寝ているだけと彼女は気付く。
「あのぉ〜すいません。起きてくださ〜い」
アカネの声に彼はあからさまに嫌そうな顔のまま目を覚ます。
この時アカネは寝起きドッキリの仕掛け人と同じようななんともいえない気分を味わった。
「……何だテメエ」
「あの……初めまして。馬頭崎アカネです」

名前なんざ聞いてねえよ。と男は言いたそうだった。
「お前さんよ。何で俺に声をかけた? 普通命が欲しけりゃあこんな飲んだくれんトコにゃあこねえぜ?」
男は、デイパックからブランデーの酒瓶を取り出すと、おもむろに口に運び、ボトルを傾けて口に思いっきり流し込む。

彼の頬はすぐさま茹蛸のような深紅に染められる。彼が今酒に酔っていることを分かりやすく物語っているのは言うまでもない。

「お嬢ちゃんも飲むかい?」
「いえ……結構です。一応未成年なんで」

アカネはもちろん低調に断った。過去にアサミに身体が異様に熱くなる変な薬を飲まされて以来、怪しいモノを口に運ぶのをずっとためらっていたのだ。

「まあいいや。じゃあ気兼ねなく一人で飲むとするか」
男は再びブランデーを口に運び、それを流し込む。

「で……お嬢ちゃん。アンタ自分の行動を軽率すぎると思わんのかね」

ブランデーを口元から放した途端、突然男は表情を変えた。
「俺は危険人物かもしれないぜ? S&W M29やチェーンソーのような凶悪な武器を持った『このゲームに乗った奴』かもしれない。アンタの見解はどうだい? 俺を疑えているか? 俺に対し警戒できているか?」

「そんなわけないですよ。私はそう信じてる」
アカネからの即答に、男は面食らった。

「…………負けたよ。俺もこのゲームには乗っちゃあいないさ……梁紅軍(リャン ホンジュン)だ。宜しくアカネ」
「宜しくですね。ジュンさん」
「ジュンさん!?」
「だってホンジュンだから……」
A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森ス砂砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

現在地はE-4民家内だヨっ!

【名前】馬頭崎鴉花子(めずざき あかね)
【状態】健康
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、水色の縞パン(H76〜80のSサイズ(アカネは履けない))
【思考】基本:アサミの保護、ゲームからの脱出
1:ジュンさんを信用する
2:酒は飲まない
【備考】
※支給品は確認しましたが縞パンであることは紅軍には秘匿しています

【名前】梁紅軍(リャン ホンジュン)
【状態】健康、不機嫌
【装備】ブランデーの酒瓶(飲用、半分消費)
【道具】基本支給品一式
【思考】基本:あー……それでいいんじゃねえの?
1:突然起こされて不機嫌
2:まあゲームには乗る気はないしよしとするか
【備考】
※ほろ酔い状態ですが、正常な思考です
188 ◆RJNpFExwIg :2008/09/15(月) 06:50:46 ID:3zZRFQB+
【名前】梁紅軍(リャン ホンジュン)
【性別】男
【年齢】52歳
【職業】武術家
【身体的特徴】身長187cm、体重79kg 黒髪ショートヘア
【性格】基本変態の飲んだくれオヤジである
【趣味】無趣味(特にないではなく完全にない)
【特技】特になし
【好きなもの・こと】洋ナシ、水餃子
【苦手なもの・こと】固定概念
【備考】年齢は52歳だが外見は非常に若々しく、二十代後半にも見えなくはない。

【名前】牛頭科鴉紗美(ごずしな あさみ)
【性別】女
【年齢】17歳
【職業】学生
【身体的特徴】身長160cm、TS B88 W60 H90 茶髪ストレートヘア
【性格】同性愛者であることを除けば普通の美少女
【趣味】幼馴染の鴉花子のスカートをめくる、鴉花子の胸を揉みしだく、鴉花子のお尻を撫で回す
【特技】鴉花子のブラジャーを洋服着用のまま取り外す
【好きなもの・こと】鴉花子以外有り得ない(本人談)
【苦手なもの・こと】鴉花子以外(本人談)
【備考】以上のことから分かるように馬頭崎鴉花子のことを異常なほど愛している。

【名前】馬頭崎鴉花子(めずざき あかね)
【性別】女
【年齢】17歳
【職業】学生
【身体的特徴】身長169cm、TS B95 W59 H89 黒髪ツインテール
【性格】至って普通の美少女
【趣味】アニメ鑑賞
【特技】アニメキャラのコスプレ
【好きなもの・こと】アニメ
【苦手なもの・こと】アニメ嫌いの人、ピーマン
【備考】友人であり幼馴染の牛頭科鴉紗美のことを飽く迄友人と思って接している
189 ◆RJNpFExwIg :2008/09/15(月) 06:51:44 ID:3zZRFQB+
投下終了です
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 07:38:28 ID:MDBO1fLY
>>189投下乙ー。
前回いかれてた牛頭科さんの設定がすげぇw
キャラが練られてていいなー。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 09:12:09 ID:Oc8cXBr4
牛頭と馬頭が友達って偶然にしては出来すぎな名字ですよね。
キャラ紹介にはそのあたりなんにもなかったけど、親戚でもなんでもないの?
192 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:28:07 ID:zE3SfE9u
Wizロワ投下します
1931 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:30:37 ID:zE3SfE9u


「ややこしい説明はこれで終わりです。あ、それからもう一つ」

 虹彩をすっと狭め、尻尾を横に揺らし続ける。
 そうして藍色のフェルパー(いや、詳しく言えばフェルパーが四分の三、人間が四分の一のクォーターか)、サーシャはただシットの説明を淡々と聞いていた。
 もちろん彼女は無抵抗の誰かを殺そうとは思ってはいなかったし、どうにかしてここから仲間と共に抜け出そうと思案していたのだが、
 しかしながら、先程見せ付けられた自分にもぴったりとくっついて離れない冷たい首輪の効果がそれを躊躇させる。
 まるきり毛皮の手袋を付けているような手(しかしそのラインはくっきりと痩せている)の、少し尖った爪が生えている指先を首元に当ててサーシャはもう一度天井を見上げた。

「ロクトフェイトを使おうとしても無駄です。唱えたら石の中に飛び込みます」
 ロクトフェイト。
 推測するに何かの呪文か道具なのだろうけど、そんなものは知りもしない。
 レクサールに聞けば分かるかも知れないが、だが到底、今はそれどころではないだろう。

 これから自分達は殺し合う。
 最後の一人になるまで。
 そう、これまで仲間だった者とも。

 その点がサーシャを苦しめた。
 いや、例え自分が手を出さなくとも、仲間の誰かが他人に殺されるかも知れないのだ。
 それはサーシャ自身にも言えるのだけれど。
1941 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:32:55 ID:zE3SfE9u

 しかし、サーシャが本当に思っているのはそう言うことではなく――ただ自分が仲間と思っていただけで、こう言う状況になったら殺しにかかってくる者が居る可能性があることである。
 
 まだ確認した訳ではないのだけれど、しかし仮に仲間達も連れて来られているのだとしたら、だ。
 シルヴィアとレクサールに関しては大丈夫だろう。
 シルヴィアについてはとてもこんな馬鹿らしいことに従うような性格ではないことはよく分かっていたし、レクサールは昔からの友人だ。
 城に入る為に近くの酒場で募った仲間のサクラやエミリィも恐らくやる気にはならないと推測した。
 ただ――

 ただ、ミモイは別だった。
 サクラ達と同じく酒場で初めて出会ったムークのモンクだ。
 常に何を考えているか分からない――否、感づかせないようにすらしている節もある。
 それがムークの元から持っている異質の雰囲気から来るものなのか、ミモイが意図的にそうしているのかは分からない。
 それでもミモイを完全に信じるなどは出来なかった。

 他の冒険者についても同様だった。
 やたら人間やエルフの数が多いのだが、その性格や、そして今考えていることなど到底分かるはずもない。
 サイオニックやモンクが使う精神学の呪文マインド・リードを使えば理解できるかも知れないが。
 そう言えばミモイはマインド・リードを使えた――
1951 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:34:37 ID:zE3SfE9u

 ――。

 知らない内に心の中を読まれていたかも知れない。
 そんな疑惑が今更サーシャの中を駆け巡る。
 城に居た内は気にも留めなかったようなことだ。
 もしかしたら、もしかしたら――

 サーシャは首を横に往復させた(その度に髪の毛が頬の毛、髭と絡まりあった)。
 これが目的なのだろう――シット・リィスの。
 こうやって疑心暗鬼に陥らせて戦わせようと言う魂胆なのだ。
 それが分かれば誰が――いや、しかし、本当に殺し合いに乗ってしまう者も出るかも知れない。

 ちらとサーシャはある方向に顔を向けた。
 多分先程、首輪で石の中に飛ばされた(シットの話を信じるなら、だが)エルフの仲間である二人が立っている。
 一人はあの東方の着物を着た侍らしき人間、もう一人は厚手のローブの僧侶、らしかった。
 彼らは、彼らはどうなのだろうか?
 信頼、出来るのだろうか?

「それでは皆さんを迷宮に送ります」
 シットが明朗な声で、言った。
 ――始まる。
 サーシャは身体の浮遊感を感じた。
 視界が明るくなって、白く塗り潰されようとしている。
 サーシャはもう一度思った。
 シルヴィアやレクサール達なら大丈夫だ。
 あの仲間達なら、きっと。
 疑い無くそれを信じる。

 そして、恐らく、『それのみ』がサーシャを支えていたに違いない。

【残り34/34人】
1962 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:36:58 ID:zE3SfE9u


 ウィザは石造りの暗い廊下の隅で目覚めた。
 壁の隙間に沿って緑のカビが生えていて、擦り減ったような地面に横たわるような体勢になっていた。
 ひんやり冷たい土から顔を離し、とっさにウィザは立ち上がる。
 肩にいつの間にか下がったザックをよそに、ウィザはほとんど反射的に呪文を唱えた。
「DUMAPIC」
 しかし、その明瞭の呪文による反応も何も無く、しばらくはただ茫然と眼前に広がる暗い廊下や、その曲がり角を見ていた。

 それから地面に座ってザックの口を開けて始めにランタンを取り出して燈し、そしてザックの中を探り始めた。
 何やら液体が入った瓶や、パイが入った袋を角によせ、そして、奥に何か棒状のものが入っているのがウィザの目についた。

 手に取って引っ張り上げようとし、ずっしりと重いそれに、嫌な予感がした。
 鞘に収められた刃が黒く塗られた剣。
 ウィザはため息をついた。
 剣など到底、魔術師である自分が扱える代物ではない。
 ザックを閉じ、辺りを見回す。
 当座、通路は暗い影に覆われているだけで、音は聞こえない。
 もし――もし、誰かに会ってしまえば、そいつは自分など簡単に殺してのけるだろう。
 例え素手の戦士が殴り掛かってこようと、自分と同じ魔法使いがダルトを放ってこようとなんだろうと、それに耐えられる自信は無い。
 不意打ちを受けたらそれこそおしまいだ。
1972 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:39:21 ID:zE3SfE9u

 リルガミンの国、いや、このエセルナートと呼ばれる世界と言う世界全体に降り懸かった天変地異を鎮めると言われるオーブを求めて(もちろん一獲千金目的で、だ)リルガミンのはずれにある洞窟の探索をしていた一団の一人であるウィザではあったが、
 しかし、それでも身体が弱いものは弱いのだ。
 それが原因で何度もあの強欲寺院のお世話になっている。
 そしてこれには、その強欲寺院も――カドルトで生き返らせてくれる味方も居ない。
 かつてプリスと言う僧侶が仲間だったのだが、性格を考えたら期待できない。むしろ殺しにかかってくる算段が高い。
 プリスに限らず、他の仲間達も、だ。
 所詮、仕事の上の付き合いなのだから。


 なら――隠れて、頭数が減るまで待てばいいんじゃないだろうか。
 どいつもこいつも信じられないのなら――そいつら同士で殺し合わせればいいのだ。
 自分は傍観者になる。
 そしてあと二人になった時、その時には――影からマダルトの一つでもぶち込んでやろうってもんじゃないか?

 と言うより、もはやそれしか方法が無い。
 食料が足りないのはこの際妥協するとして、無闇に突っ込んだりシットに石の中に埋められるよりはそう言った作戦をとった方が無難だ。
 絶対にそうだ。
 そしてこれからそうする以上、隠れ場所を見つけなければならない。
 なるべく早く、誰かに見つかる前に――
1982 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:41:56 ID:zE3SfE9u

 ウィザは物音を立てないように慎重に身を起こすと、壁に片手を当てて歩き始めた。
 ランタンの光が及ばない通路の先には幾つかドアがあって、ウィザはそれを回った。
 多分、なるべく奥の部屋に行った方がいい。
 よっぽど神経質でなければ、細かいところまで調べない筈だ。
 いや、そんな余裕なんて、誰も持っていない。
 そうウィザは踏んだ。

 細かい部屋を何度も通り過ぎ、多分、これで四つ目のドアだった。
 ウィザはドアを少し開け、発生した隙間に視線を滑り込ませた。
「あ……」

 顔を近付けた途端、赤錆のような臭いが飛んできた。
 そして、光が漏れた部屋には全裸の――全裸の、茶色い髪をポニーテールに纏めたホビット(多分。あんな子供までが此処に居るなんて想像したくなかった)の女が中心に立っていて、その足元には誰かが黒い水溜まりの元に倒れている。
 その水溜まりと女の足元の間を辿るとの肌色の粘土の固まり――いや、誰かの千切れた頭が、こちらを見ていた。
 見ていた。――胴体から分断された頭が。

 そして、こんな危険な場所を素っ裸で立って平然としていられる女の予想されるクラスは一つしか無い。
 ――忍者! 忍者だ!

 そう、恐らくあの死体は――あの女に、手刀で首を跳ね飛ばされたのだ!
 殺される!
 ウィザは我を忘れてドアから正反対の方向に駆け出していた。
 直後にドアがバタンと開く音がしたが、ウィザは構わず走った。
 ここで眠りの呪文、カティノでも唱えていればよかったのだろうが、もうウィザはそんなことすら思い付かない程に恐慌をきたしていた。

 瞬間、後頭部に強烈な衝撃が走って、そのままウィザは前のめりに倒れた。
 倒れた時にウィザの額が擦りむけたが、それはもうウィザには関係のないことだった。

 その時には、既にウィザは絶命していたので。

【残り32/34人】
1993 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:45:56 ID:zE3SfE9u


 リンダは頭に矢を生やした魔術師の死体から剣だけを回収すると、そのまま自らのザックにしまい込んだ。
 自分には少々重過ぎるが、相手に投げ付けるぐらいには使えるだろう。
 武器は動きの邪魔になるので常に身につける訳にはいかないが、しかし持っていて損はない。
 食料や水には手を付けなかった。
 これ以上ザックに重くなられても困るからだ。

 初めに初心者の冒険者と出会った時は大ラッキーだと思った。
 はっきり言って何も持ってなかろうが彼女の強さに変わりは無いのだが(ちなみに彼女に支給されたのはただの毒薬だった)、しかし何か他にも便利な物があるのはそれはそれで楽だ。
 直ぐさまその冒険者を殺しにかかり(あっさり死んだ。本当に戦闘経験が無いように思えた)、弓を奪った。
 そうしたら今度はあの魔術師がドアの向こうに居た。
 見逃すわけがない。
 そうして弓も初めて使ったのだが、しかしその割には弓も悪くはない、と思った。
 しかし確実に仕留めようとする分には部が悪いだろう。
 やはりここ一番で役立つ物でなければ困る。
 ――忍者としての、一番の武器、自らの身体だ。
 鍛えられた忍者の身体自体が殺戮兵器なのだから。

 リンダはザックを纏め、やや乱れた髪を整えると、血溜まりを踏まないように素足を動かしながら部屋を立ち去った。

 シット・リィスが何を企んでいようと、どうでもよかった。
 自分は生き残る。何としてでも。

【1F 北東部/0時】
【リンダ E-NIN】
[状態]:OK
[装備]:なし
[所持]:支給品一式、ビーストマスター、デッドリー・ポイズン(瓶)×3、シーブズボウ、矢×9

【ウィザ E-MAG】
[状態]:死亡(射殺)
[装備]:なし
[所持]:支給品一式

【ぎんこう N-FIG】
[状態]:死亡(首切断)
[装備]:なし
[所持]:支給品一式

【残り32/34人】
200 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:49:40 ID:zE3SfE9u
投下終了。

ウィザが歩き回ってたのはだいたいこの辺
ttp://uproda11.2ch-library.com/src/11118232.jpg.shtml
201 ◆EGv2prCtI. :2008/09/15(月) 12:55:05 ID:zE3SfE9u
修正……
【1F 北東部/0時】 →【B1F 北東部/0時】
202 ◆RJNpFExwIg :2008/09/15(月) 13:34:36 ID:TauEmV+m
>>191
物語の確信に迫るかもしれない事項は今は言えません。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 15:22:08 ID:N4VjNVC5
wikiってどうなったの?
204中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/15(月) 15:37:47 ID:cmg5O4b8
投下します
205中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/15(月) 15:39:46 ID:cmg5O4b8
第1話 ハジマリ

《古手梨花》

強大な意志であればあるほど、輪廻を繰り返そうとも変えられない。
唯一の家族であったものが唱え、政府に黙殺、嘲笑された雛見沢症候群の証拠を突きつけようと強固な意志を持つ鷹野三四が、それに当てはまる。
雛見沢で毎年おこる綿流しの祭の後の殺人事件、そしてそこから起こる雛見沢の悲劇。
それは、強固な意志の前には贖っても脆くも崩れ去る。

今まではそういった雛見沢の中での物語だった。

今回のような出来事は極めて稀であり、そして…このような状況もまた稀である。

神聖ブリタニア帝国に占領された日本(エリア11)、そしてその場所に集められた部活メンバー。
絶望的な状況かつ、雛見沢症候群が諸に発揮されるであろうその状況、場所。

互いが互いを信じることが…出来るとは、とても思えない。
幾度となく繰り返されて来た世界の中でもっとも困難な状態。

梨花「羽入?このような世界を創造することは可能なの?」
羽入「幾度となく繰り返される世界で、強固な意志はどの世界にも適用されるのです。
   今回は、それとは別に外部の世界からの鷹野を凌ぐ意識が介入した…というのが一番の理由と思われるのです」

 私の背後霊…ではなく、輪廻転生繰り返す人には見ることが出来ない私の仲間であり、雛見沢の神様…羽入の言葉の通り、理解は出来る、
 だが…納得は出来ない。
梨花「そんなことが可能なの?」
羽入「理論上は。ただ…ボクたちの世界に干渉する必要があったからこそ、こういうことになっていると思うのです」

 干渉する必要。
 私たちの世界が必要な動機。
206中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/15(月) 15:41:59 ID:cmg5O4b8
これから起こる惨劇が嘘のような静けさの中、私は森の中、朽ち果て倒れた木の上に腰を置いて座っていた。
朽ち果てた木の上においてあるバック。地図、水、パン、そして私の武器は…注射器。
これも何かの因果なのか。
ただこの注射器に何がはいっているかはわからない。
試すことも出来ない以上、武器としては微妙なものなのかもしれない

羽入「梨花、これからどうするのです?」
梨花「まずは…この戦いに疑問を持ち争いを拒むものたちを見つけるのが先決」
羽入「ですけど…もうこの戦いに染まってしまっているものもいるかもしれないのです」
梨花「だからこそ、速く見つけなければいけない。
   この場所に私たちがいるのは、それをとめることが出来る唯一の可能性でもあるのだから」

 そのときだった。
 声が聞こえた。
 遠くだけど、確かに聞こえる声。

羽入「梨花?」
梨花「えぇ、誰かが呼びかけている」

 私は走り出す。その声の方角に向かって…。
 森の影に覆われた場所を走りながら、やがて見えてくる光に向かってはしる。
 光の中を飛び出した私の前

???「皆さん!こんな戦いに乗ってはいけません!!
    ブリタニアのような日本を無茶苦茶にし、奴隷のように扱うものたちに、屈することなんかしてはいけないのです!!」

 大きな声で怒鳴っているもの…おそらくは女。
 そう…運命に屈してはいけない。
 たとえ、首についている起爆装置があろうとも。

???「行ってはいけない」

梨花「誰?」
 振り返る私の前に立つのは、黒いどこかの制服を着ている男だった。
 私はその男を見て立ち止まる。
 その男は、こちらに対してとくに警戒するわけでもなく、笑顔を見せた。

黎人「僕の名前は風華学園生徒会副会長、神崎黎人…といっても、もう学園の肩書きは必要ないかもしれないけどね」
207中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/15(月) 15:44:16 ID:cmg5O4b8
風華学園…聴いたことのない名前。
この人もまた何らかの強い意志によってここに引き寄せられたものの1つ。
梨花「…なぜ、行ってはいけないの?」
黎人「残念ながら、すでにゲームは始まっている。生き残るために人を殺していいという理由がある以上…
   あの行為は自殺行為に他ならない」
梨花「だからといって見過ごすわけには行かないわ」
 私はここで自分が猫かぶりではなく、そのままの自分を出していることに気がついた。
 私は山の上に向かって急ぐ。
 この黎人が言うことは間違っていないのかもしれない。
 だからといって諦めるのは、それは雛見沢で圭一や詩音を導けなかったことと同じ。
黎人「…放たれた弓を、納めることが出来るのは神にしか出来ないことだよ?」
 後でそういう黎人の言葉は…嫌味なのだろうか。

《菊川雪之》

 遥ちゃんは、自分が信じる正義に絶対的なものを持っている。
 だから、こういった場であっても、遥ちゃんは決してくじけない。
 私はそれを支える。言葉の間違いであっても、たとえ相手が暴力的な行動をとってきたとしても。
 それを止めるのが私の役目。
 そのためには…私の力、ダイアナを使ってでも。

遥 「皆さん!聞いていらっしゃいますか〜?戦いは無駄です!
   そして、私たちが敵とみなければいけないのは、ブ・リ・タ・ニ・アなのです!!」

 山の上の四方八方、島全体が見渡せることが出来る小屋で、遥ちゃんがバックにはいっていた拡声器を持ち大声で怒鳴る。
 きっと島中に聞こえていることだろう。
 これで少しでもみんなに希望、そして同じ気持ちをもつ人がいるっていうことをわかってもらわないと。
 それに…他の風華学園の子たちを集めれば…
 舞衣ちゃんや玖我さん、命ちゃんたちがくれば、ブリタニアのこのゲームも何とかすることが出来る。
 HIMEの力は、こういったときに発揮されなければいけないのだから。

???「ここにくれば…みんなが集まってくるのかい?」

森の中、姿を現すもの…。
白髪の小さな子供…顔は、外国…おそらくは欧州圏に住む子のようだ。
ブリタニアに支配され、壊滅した地域の子で、今回の戦いに参加させられたのかもしれない。
雪之「そうだよ。みんなが戦いをやめようとおもってくれればね」
 遥ちゃんも賛同者が集まってくれたようで、昂ぶった気持ちで叫ぶ声にも熱が入る。
208中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/15(月) 15:45:59 ID:cmg5O4b8
???「お兄様もいらしていたんですね?」

 私が視点を変えると、そこにいたのは、先ほどの子そっくりの顔をした女の子?長い白髪の髪、そして黒く長いスカートをしている。
 2人はそのまま近づき

グレーテル「兄様、これはお兄様のお道具でしょう?ダメじゃない、自分のものは自分で持たないと」

ヘンゼル「ごめんね、姉様。これも姉様の道具でしょう?しっかりともたないとダメだよ?」
 
 私の目の前で、姿を現すのは巨大な斧と、そして小銃が手渡しされる。
 私は息を飲んだ。なぜこんな小さい子供達が、こんな物騒なものを持っているのか。
 それがたとえバトルロアイヤルの出来事であったとしても…
 武器を『道具』と呼び、そして軽々と扱う姿は普通の子供ではなく……常に傍にあり、慣れ親しんでいたように見て取れる。

雪之「…2人は、戦いをやめにきたんじゃないの?」

 遥ちゃんの声にかき消されないように、私は少し声を大きくして言う。
 二人の子は並んで白い歯を見せて笑顔を浮かべる。

ヘンゼル&グレーテル『違うよ(わ)』
ヘンゼル「みんなが集まってくれたほうが纏めて殺して早く戦いが終わるでしょう?」
グレーテル「わざわざ島の中を探し回って殺しに行くのはめんどうじゃない?」

 この子達は…戦いをおわらしにきたんじゃない。
 私はこの子たちが自分が思っているとは逆の存在であることに気がついた。
 私はダイアナを呼び出そうと、両腕をクロスして…。

雪之「ダイ…あ……」

 私の目の前の光景が半分に割れた。
 視界が赤く染まり、やがて景色が反転したかと思うとそのまま風景が真っ暗になった。
 私は…遥ちゃんを守るんだ。
 遥ちゃんを守るためにダイアナをだして、ダイアナで遥ちゃんに危害を加えるものをみんな、倒さないと。
 だから…こんなところでやられるわけにはいかなくて……。
 遥ちゃん…遥ちゃん…はる…か…ちゃ…
209中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/15(月) 15:47:47 ID:cmg5O4b8
《古手梨花》

 山を登るにつれて声の音量が段々と大きくなっていく。
 耳を押さえないと鼓膜がやぶれてしまいそうなくらいだ。
 だが、それが彼女が生きている証拠である。
 私は黎人が言ったことを頭の中で否定しながら、小さな体であることを恨みながら、一気に上りつける。
 黎人のいうほど人間は残酷ではない。
 人間は仲間を信じることが出来る生き物なんだ。

遥「いいから、こんなゲームをやめぇっ!!!ズズズズズゥ!!!」

 銃声音とともに、私の目の前で、女の子の体が小屋の外にとんでいくのが見えた、体中を血に染め、地面に跳ねる。

【菊川雪之、珠洲城遥死亡】

ヘンゼル「ダメじゃないか銃を使っちゃ姉様。これじゃーみんな驚いて隠れてしまうよ?」
グレーテル「だって叫ばれてしまうかもしれないじゃない。それに、まだ近くにいるわ。1人ずつ殺してしまいましょう」
ヘンゼル「そうだね、姉様」
グレーテル「えぇ、兄様」

 私の目の前で、その2人は舌を絡めながらキスを交わす。
 目の前には、もう1人に別の女の死体がまだ血を噴出し、あたりを血まみれの海に変えていく。
 私はその現実離れの光景に、何も言えず、身動きが取れなくなっていた。

羽入「梨花!にげるのです!逃げるのです!!」

 羽入が私の意識をよみがえらそうと必死に叫んだ。
 私は、その言葉を耳にしてようやく意識が戻った。

グレーテル「ほら、兄様…もう1人見えたわ」
ヘンゼル「さすが姉様…それじゃーさっさと狩っちゃおうか」

 私は後ろを振り返って、逃げ出そうとしたが、既に私の体は銃を持つ女の射程内にはいていた。
 だが、私は死ななかった。
 私の体は別の誰かによって抱きしめられ、そのまま山の中を転がっていったのだ。
 山の中を勢いよく転がる中でも、そのものはしっかりと私を包み込み、守っている。
 転がり続け、草木の視界からでると、そこにあったのは崖。私はそこで気を失った。
210中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/15(月) 15:49:53 ID:cmg5O4b8
古手梨花
【健康状態】普(山登りのため疲労少)
【精神状態】不安定
【装備】注射器、地図、水、パン
【特殊能力】羽入と前世の記憶継承

ヘンゼル
【健康状態】良
【精神状態】良好
【装備】斧、地図、水、パン
【特殊能力】グレーテルとの精神疎通

グレーテル
【健康状態】良
【精神状態】良好
【装備】ブローニング自動小銃 弾 地図、水、パン
【特殊能力】ヘンゼルとの精神疎通

神崎黎人
【健康状態】良
【精神状態】普通
【装備】日本刀 地図、水、パン
【特殊能力】???

ここまでです。
>>146さんご指摘ありがとうございます。
書くに当たって反応を示していただけることは大変嬉しいです。
211 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 18:35:01 ID:o3cUtcva
さて、やや遅れましたが俺も個人アニロワからお引っ越し。
参加者はこちら。
 
【アカギ】
○赤木しげる(13)/○南郷/○安岡/○市川/○平山幸雄/○鷲巣巌
【うえきの法則】
○植木耕助/○森あい/○小林/○マリリン・キャリー/○ロベルト・ハイドン/○カール・P・アッチョ
【カードキャプターさくら】
○木之本桜/○大道寺知世/○ケルベロス
【キノの旅】
○キノ/○シズ/○陸
【ギャグマンガ日和】
○聖徳太子/○小野妹子/○牛山サキ/○二階堂/○ラヴ江
【GS美神】
○美神令子/○横島忠夫/○六道冥子/○カオス/○マリア/○メドゥーサ
【金色のガッシュベル】
○高嶺清麿/○ガッシュ/○シェリー/○ブラゴ/○ココ/○ゾフィス
【さよなら絶望先生】
○糸色望/○風浦可符香/○木津千里/○日搭奈美/○常月まとい/○小森霧
【ジョジョの奇妙な冒険】
○空条承太郎/○J・P・ポルナレフ/○ジョセフ・ジョースター/○DIO/○ヴァニラ・アイス/○ホルホース
【新世紀エヴァンゲリオン】
○碇シンジ/○碇ゲンドウ/○惣流・アスカ・ラングレー/○綾波レイ/○渚カヲル/○赤木リツコ/●葛城ミサト/○加持リョウジ
【涼宮ハルヒの憂鬱】
○キョン/○涼宮ハルヒ/○朝比奈みくる/○長門有希/○朝倉涼子
【デスノート】
○夜神月/○L
【ドラえもん】
○ドラえもん/○野比のび太/○源静香/○剛田武/○骨川スネ夫/○満月美夜子/○リルル
【墓場鬼太郎】
○鬼太郎/○目玉親父/○水木
【ハヤテのごとく】
○綾崎ハヤテ/○三千院ナギ/○マリア
【ブラックジャック】
○ブラックジャック
【魔人探偵脳噛ネウロ】
○脳噛ネウロ/○桂木弥子/○サイ/○アヤ・エイジア
【名探偵コナン】
○江戸川コナン/○灰原哀/○小嶋元太/○吉田歩美/○円谷光彦
【吉永さん家のガーゴイル】
○ガーゴイル/○吉永双葉/○吉永和己/○百色/○梨々・ハミルトン
【ルパン三世】
○ルパン三世/○峰不二子/○石川五ェ門/○次元大介/○銭形警部/○一色まりや/○エミリー
212 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 18:44:44 ID:o3cUtcva
タイトルは……どうしようか……
個性派揃いの中でなんだか無個性だし……保留する。
あとPCないからwiki編集出来ないので、本当に申し訳ないが、暇な人、何かを編集するついででいいんで俺の分頼みやす
213帰ってきた朝倉涼子 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 18:48:55 ID:o3cUtcva
ふふ、なるほどね。
一度消滅させられた私をわざわざ再構築したということは、頭のお堅い主流派がようやく急進派に賛同したってことだよね。
つまり、殺し合いという題目の下、情報統合思念体自らが涼宮ハルヒに直接的なアプローチをかけたってわけか。
特に命令が下されないところを考えると、私の好きにしろっていうことかしら? 長門有希も同様? 上の方とのコンタクトが取れないからまだ何とも言えないけど、なんだか面白そうね。
――さて、涼宮ハルヒはこれにどう対処するのかな。
多分、彼女のことだからこの状況を楽しんでいるかもしれないわね。
だけどキョンくんや朝比奈みくるの存在が彼女の理性に枷を掛けている可能性の方が高いかな?
なら、そうよね。観測の邪魔になるような連中はやっぱり殺すしかないよね。
上の趣向はよく理解できないけど、こういう楽しそうなゲームって、一度やってみたかったのよ。
……思いっきり羽を伸ばせる機会なんて、長門有希のバックアップにしかすぎない私にはなかったからね。
*****
観覧車の小さな格子窓から展望できる、みやびで芳しい遊園地の情景をのんびりと眺めながら、私は手元のデイパックを漁る。
一見して、とても凄惨な殺し合いなど起こりそうにもない、長閑な風景の狭間で、血で血を洗う駆け引きが行われていると考えると、何とも滑稽よね。
――あ、あったあった。
えーと、一つ目の支給品は「斬鉄剣」。
同参加者、石川五ェ門の愛刀。こんにゃく以外の全ての物質を技量次第で斬り伏せられる、か……有機生命体の生み出す武器って凄いのか凄くないのかよくわからないよね。
二つ目はなんの変哲もない「携帯電話」。
これも参加者の一人、カール・P・アッチョの所持品だったものらしいけど、私には宝の持ち腐れね。電波は通っているけど、かける相手なんていないもの。
そして最後は「通り抜けフープ」。
これは素晴らしいわね。どんなに厚い壁でも、空間をねじ曲げて貫通させるなんて。持ち主の有機生命体――ドラえもんとやらには要注意ね。
――それにしても、ずいぶんと有用な支給品が当たったね。素手なら兎も角、この刀さえあればキョンくんたちに致命的な損傷を与えることもできるし。
214帰ってきた朝倉涼子 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 18:52:17 ID:o3cUtcva
「ふふふ……ん?」
私が一人ほくそ笑みながらゴンドラを降りると、観覧車乗り場の前でうつ伏せになって倒れている一人の少女を見つけた。
小さな体躯に、まるでホラー映画に出てくる幽霊のように長い黒髪……校章のプリントされたジャージを着ているところを見ると、おそらく小中学生あたりなのだろう。
表情は窺えないが、彼女から2mほど離れた場所からでも聞き取れるほど呼吸が荒い――激しい動悸に見舞われていることがよくわかる。
「う……あ……」
「……あなた、大丈夫? しっかりして」
私は警戒しつつ少女の身体を抱き起こす。
 
――とりあえず、今のところは優等生を演じてようかな。
涼宮ハルヒの反応を窺うためにも、キョンくんと朝比奈みくるは確実に仕留めなければならない。
それなのに、ただでさえ驚異のオーバーテクノロジーを有した未知の存在が殺し合いに参加している中で、無闇に殺して回って余計な私怨を買ったんじゃ、ミイラ取りがミイラにされかねないもの。
最初は他者の信頼を勝ち取り、優等生として振る舞いつつ、キョンくんたちをゆっくりと捜す――これなら、安全かつ効率的に任務を遂行できるわ。
まあ、この娘が情報爆発の鍵として使えるようなら殺しちゃうけどね。
「あ……」
「どうしたの? どこか具合でも悪い?」
「……引き籠もりたい」
「え?」
「どこか……建物の中に……」
「よくわかんないけど、観覧車の中でもいい?」
「うん……」
変わった要求をするなぁと、有機生命体の不可思議さに感嘆しながら、私は彼女を胸元に抱えて元居たゴンドラに引き返す。
 
――あーあ、30分、無駄になっちゃうな。
 
*****
 
「どう、落ち着いた?」
「うん……大分楽になった。ありがとう」座席にちょこんと正座しながら、少女は仰々しく私に向けて頭を下げる。その姿や、まるで可愛らしい日本人形のよう。
「どういたしまして。ところであなた、どうしてあんな所に倒れてたの?」
私が尋ねると、
「……私、全然外に出ないから、引き籠もってないと辛いの。
けど、この辺りってどこも屋外アトラクションばかりで……公衆トイレとかレストランは遠くにあるし、どうしようもなくて」
と、紅葉を散りばめたかのように顔を真っ赤に染め、はにかみながら言った。
215帰ってきた朝倉涼子 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 18:55:40 ID:o3cUtcva
――おかしな有機生命体もいたものね。
とりあえず「大変だったね」と愛想笑いを振りまき、私は自己紹介と並行して彼女の素性を聞き出すことにした。
 
*****
 
彼女の名前は小森霧。
意外なことに涼宮ハルヒやキョンくんより一歳年上らしい。
何故自分が殺し合いに参加させられているのかわからないとのこと。ちなみに彼女のクラスメートも参加しているそうだ。
それと、彼女の支給品も、頼んだら気兼ねなく見せてもらえた。「THE LOCK」という奇妙なカードと、照射される光を浴びることによってどのような環境にも身体を順応させる「テキオー灯」の二つ。
しかし、ここでもドラえもんの名前が出てくるなんてね。ますます警戒しないと。
 
*****
 
「――みんな、大丈夫かな」
「元気だして。きっと無事だよ」
「ううん。誰か殺してないか、心配なの」
心配そうに俯く小森ちゃんに私は微笑みかけるけど、予想だにしない答えにこっちが固まっちゃった。
 
――ふふ、なかなか刺激的なのね、昨今の有機生命体は。
 
「ユニークなんだね、あなたの友達って」
「うん……みんなおかしいんだよ。先生なんていつも自殺しようとするし」
「へえ」
「可符香ちゃんはメンヘラでしょ、千里ちゃんは猟奇趣味があるし、まといちゃんはストーカーで……奈美ちゃんは普通。他にも沢山いるんだよ?」
「ふうん……奇遇だね。私の周りにも、変な人が沢山いるんだ」
「そうなんだ。どんな人たちなの?」
「宇宙人に未来人に超能力者。それに神さまかな」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ぷっ……あはは! ほんとに変わった人たちだね?」
「ふふ、そうだね。でも真実だよ?」
「そうなんだ……それじゃあ可符香ちゃん、喜ぶだろうなぁ。ポロロッカ星人じゃないけど、宇宙人の知り合いがいるって知ったら」
「ポロロッカ星人って?」
「ああ、ポロロッカ星人っていうのはね――」
 
216帰ってきた朝倉涼子 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 18:56:48 ID:o3cUtcva
【遊園地/1日目/06:52】
 
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:デイパック
[道具]:斬鉄剣@ルパン三世/携帯電話@うえきの法則/通り抜けフープ@ドラえもん
[思考]
第一行動方針:キョンくんと朝比奈みくるを殺さないとね
第二行動方針:長門有希と合流したいわね
基本行動方針:情報爆発を観測しましょ
 
【小森霧@さよなら絶望先生】
[状態]:精神的に辛い
[装備]:デイパック
[道具]:THE LOCK@カードキャプターさくら/テキオー灯@ドラえもん
[思考]
第一行動方針:涼子さんについていこうかな
第二行動方針:先生に会いたいな
第三行動方針:みんなを捜さないと
基本行動方針:みんなと一緒に学校に帰る
 
217闇に舞い降りた天才医師 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 19:00:12 ID:o3cUtcva
中世ヨーロッパの宮殿を思わせる、巨大な石造りの建物は、近隣を囲む遊園地のアトラクションから流れる軽快な音楽に晒され、さながら某有名テーマパークのシンボルがごとき存在感を放っている。
しかし正確には煉瓦を模して造られただけの安っぽいコンクリートの外観は、見るものが見れば胡散臭い雰囲気を感じ取る――そんなものの前で佇むのは、継ぎ接ぎだらけの顔に深き悲哀の色を滲ませる黒衣の男、ブラック・ジャックであった。
「……なんて惨いことを」
奇跡の天才外科医と謳われる彼にとって、人の死などそれこそ日常茶飯事である。
中東における内紛の最中に行われた野外手術の際など、彼の腕をもってしても尚救うことのできなかった命がごまんとあった。それは手の施しようのない、いわば運命とも言うべき死である。
しかし、先の女の死は本当に運命だったのだろうか――ブラック・ジャックは静かに自問する。
答えは否。救える命だった。
一言だけ彼女に声をかければ良かったのだ。
「駄目だ、下手に奴を刺激するな」とでも。
だがそれをしなかったのは自身の油断、置かれた状況に順応しきれずにいた甘さが心に燻っていたからだ――ブラック・ジャックはそう推察する。
また、爆弾はブラック・ジャックにとって最も忌むべき災厄であった。
一瞬にして人体を粉々に吹き飛ばす暴力性といい、どこにでも潜む可能性を持つそのステルス性といい、まさに悪魔の兵器であるそれの恐ろしさを彼は二度、続けざまに味わっている。一度目は母の死、二度目は己の身をもって。
彼はそっと、顔の縫い目に沿って頬を撫でる。
生々しく蘇る過去の悲劇に、一時期はメスすら持てない状態に陥ったこともあるブラック・ジャックは恐怖していた。
名も知らぬ女の死によって、またメスが握れなくなることを。
 
――トラウマってのはどうも拭い去れないものだな。母さん、俺はまだまだひよっこみたいだよ。
 
彼はふっと自嘲すると、肩にかけたデイパックから、自分にあてがわれた支給品をおもむろに取り出す。
名称通りの用途を持つ「腕時計型麻酔銃」と、うねうねと絶え間なく不気味な動きをする髪の毛の携帯ストラップ「あかねちゃん」を眺めながら、果たしてこれらだけで来たるべき危機を乗り越えられるのかという疑念に苛まれる。
 
218闇に舞い降りた天才医師 ◆xqhrgTJ31c :2008/09/15(月) 19:02:19 ID:o3cUtcva
――しかし、俺は俺にしか出来ないことをするまでだ。いや……そうすることが自ずと最善の選択になり得るはず。
 
先程、いち早くこの島の地図を開いたブラック・ジャックは、中央街の北に病院が設置されてあることに目敏く気付いていた。
 
――異常な状況下に置かれた大多数の人間の中には、必然的に狂人が出現する。
雪山で遭難し、食料も尽きた人間が、最後に共食いを始めるというのは有名な話だが、その惨劇がこの場で実現しようとしている。そしてそれを止める術はないだろう。
だが、抑制はできる。
この殺し合い中は多くの負傷者が出るはずだ。そんな彼らが怪我の治療を目的に病院に立ち寄ることも少なくあるまい。
そして俺は医者だ。器材さえ揃っていればどのような怪我人にも対応できる。
幸いにも相応の医療器機を期待できる病院があるということなら、大がかりな手術もおそらく可能だろう。
この二つの点を考慮すれば、俺が今為さなければならないことは病院に訪れる者への奉仕、という結論に自然と辿り着く。
しかしただ奉仕するばかりではない。立ち寄る怪我人に適切な治療を施す代償として、人命救助に協力することを誓わせる。
リスクは高いが、参加者の救済のチャンスが増え、首輪を解除する知識を持った人物と接触できる可能性も十二分にある。
 
そうと決まれば話は早い――ブラック・ジャックは手元の腕時計型麻酔銃を左手に付け、ストラップを懐にしまうと、新たに取り出した島の地図を右手に携え、西に進路を向けて歩き始める。
 
――遊園地エリアから病院までのルートは存外短い。このまま西に直進すれば、およそ二時間の内には辿り着けるだろう。
……ふっ、待っているんだなアノン。貴様の思惑通りにはいかないってこと……必ず証明してみせるぜ。
 
【遊園地/1日目/06:20】
 
【ブラック・ジャック@ブラックジャック】
[状態]:健康
[装備]:腕時計型麻酔銃@名探偵コナン/あかねちゃん@魔人探偵脳噛ネウロ
[道具]:なし
[思考]
第一行動方針:病院へ行こう
第二行動方針:怪我人は治療しないとな
第三行動方針:トラウマも解消しないと
基本行動方針:殺し合いを止めねば
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:16:22 ID:uh46ikP3
皆さん、投下乙です。ちょっと投下が多くて追いつけてないという嬉しい悲鳴がw
wikiについては、ここです。
http://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:50:55 ID:UP4S4Tur
ここって少人数のリレーは駄目ですかね
開催時点で数人しか書き手がいないような状況なんですが
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:54:56 ID:zE3SfE9u
>>220
リレーはリレーだから駄目でないの
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:06:30 ID:qMyiiAkd
最近投下できてない><
223ハムロワ ◆h8fJExUfEI :2008/09/16(火) 00:36:52 ID:nS7cFk1m
投下します
224フルメタルジャケット ◆h8fJExUfEI :2008/09/16(火) 00:38:04 ID:nS7cFk1m
説明役のマスコットから離れ、慌てた手つきで名簿と地図を確認する。
ミサが参加している事を知った松田は、深い溜め息をついた。
理不尽極まりない殺し合い。松田としては当然こんな残虐なゲームに乗るわけはないのだが、全員が全員そうとは限らない。
同僚達からは軽く扱われるが、一般人よりかはさすがに荒事に慣れている松田。その松田とて、いつ死ぬかもわからない。
ましてやミサミサは……

駄目もとで警察に電話をかけてみたが、やはり繋がらなかった。疲れ切った顔で再度息を吐く。

「くそ……どうすればいいんだ……局長も月君もいない。僕だけでどうやって……!」

頭を抱えて悲観する。頼りになり、自分のパートナーとなり得る人間がいてくれればいいが……
誰が敵か判別つかないこの状況で、そんな人間を見つける事ははたして可能なのだろうか。

松田は絶望していた。いつもヘマをする自分。どう贔屓めに考えても、この殺し合いを破壊する事など、出来そうにない。
ネガティブな感情は、松田の警戒心を緩めてしまう。そのためだろう、他の参加者の接近に気付かなかったのは……

「おい、そこの猿」

体をびくりとさせ、松田が瞬時に顔を持ち上げ振り返る。
松田の背後には、太った、まるで豚のような中年男がショットガンを構えて立っていた。
銃口はどう見ても松田に向けられている。豚男の表情も友好的なものには到底見えない。

「あ……う……」
絶句する。自分の愚かさを、松田は呪った。
「挨拶されたらすぐに返すんだな猿め。一人ぼっちで寂しかったのか?両目から汚らしい泥水が溢れそうになってるぞ?」
男はショットガンを突きつけたまま楽しそうに松田を嘲笑する。

「あ、あなたは殺し合いに乗ったんですか?」
「おいおいおいおい誰に口を開く事を許可して貰ったんだ?口臭がひどいからちゃんと閉じてろ」
やっとの事で絞り出した台詞を豚男は鼻を鳴らして無視した。

「……こ、答えて下さい」
「…………」
豚男はなんと答えるか考えているようである。

「……馬鹿な殺し合いなんぞに乗るつもりはないさ」
「……そうなんですか?」
意外な返答に松田は一瞬安堵しかける。
「だが死ぬつもりも勿論ない。お前が俺の気に入らん行動をとったら、その瞬間お前の腹に風穴が開くと思え」
「し、しません。そんな事……。僕も乗っていない。殺し合いを止めたい……」
松田が声を振り絞って伝える。それを豚男は鼻で笑った。
225フルメタルジャケット ◆h8fJExUfEI :2008/09/16(火) 00:39:59 ID:nS7cFk1m

「無理に正義漢ぶるのは無益だとガキの頃に習わなかったのか?」
「……僕は松田、松田桃太、警官です。僕と協力してこの殺し合いを破壊しませんか?」
くくく、と豚男はせせら笑う。松田をにやにやと見つめ、口を開く。

「お前の下らん戯言に付き合ってる暇なんか俺にはないんだ。いいか?
 俺はこのショットガンさえあれば無敵だ。お前のデイパックを頂けばさらに無敵になる。
 お前ら糞どもが殺し合ってる間、俺は武装を固めて見物するんだ。そうすれば最後には手を汚さずに優勝できる」

自分勝手な男である。ショットガンを前にした松田も、この男の勝手さにはさすがに怒りを覚えた。

「あんた……名前はなんて言うんですか?」
「ブラッドリー・ベリック。死にたくなければデイパックをよこせ。言っておくが俺は別に人を殺す度胸がないわけじゃない
 いざとなったらお前なんか笑いながら殺してやる」

ベリックはショットガンを振り、デイパックをこちらに投げろと指示を飛ばす。
松田はゆっくりとデイパックを掲げ、ベリックへと投げた。
ベリックは満足そうにそれを受け取り、松田に『どこかへ消えろ』と命令する。

ショットガンを向けられ、脅されたが、松田の足はどうしても動いてくれなかった。
この男は勝手すぎる。イライラが頂点に達した時、松田の中で何かが切れた。
切れた事によって危機感を失ったのだが、それと同時に、恐怖も忘れる事が出来た。

「ベリックさん……あんた勝手すぎますよ!自分だけがよければいいなんて考え、絶対に間違ってる!
 こんな異常事態、僕達が協力し合わないでどうするんですか!?あんただって殺し合いなんて軽蔑しているはずだ!」
松田は捲し立てたが、ベリックはけろりとしていた。
「何とでも言え。あんまりイライラしてたら病気になるぞ?数年後にはストレスが原因の病でお陀仏だ」
誰も笑えないジョークを吐き捨て、ベリックは再び、消えろ、と命令した。

「…………」
この男には何を言っても通用しない。松田はベリックを心底軽蔑し、睨みつける。
「最後に言わせて下さい。弥海砂という女の子にもし会ったら、放送が流れる時間に『入』のエリアで待っていると伝えてほしいんです。
 あなたも心を入れ替えて、来て下さい。僕達で殺し合いを止めましょう」

松田の最後の言葉を、ベリックは真面目に聞いたかどうかは定かではない。
ベリックが松田のデイパックを熱心に見ているのを尻目に、松田はゲーム破壊に協力してくれるパートナーを見つけるため、
身勝手な豚男の前から立ち去った。

切れたからかどうかは分からないが、今はあまり恐怖を感じてはいない。
上手くいくといいが……。頼りになる仲間を見つけ、殺し合いを破壊する未来を、松田は祈る。
226フルメタルジャケット ◆h8fJExUfEI :2008/09/16(火) 00:41:13 ID:nS7cFk1m

【『土』/0時〜1時】
【松田桃太@DEATH NOTE】
[状態]:健康、怒り
[装備]:
[デイパックの中身]:(デイパック持っていない)
[思考・状況]
1、殺し合いを止めるため仲間を集める
[備考]
キラを追う警官。正義感は強いが無能

【ブラッドリー・ベリック@プリズンブレイク】
[状態]:健康
[装備]:ショットガン6/6
[デイパックの中身]:支給品一式×2、不明支給品1〜2
[思考・状況]
1、武装を固める
2、積極的に殺す気はないが、やむを得ない場合殺す事も辞さない
[備考]
フォックスリバー刑務所の看守長だったが、解雇された
傲慢で自己中、最低な性格
227 ◆h8fJExUfEI :2008/09/16(火) 00:42:19 ID:nS7cFk1m
【地図】
ハ広観
霊湖食
館土子
 入

投下終了。タイトル考えるのってむずい
228 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:47:23 ID:iWC9yyvP
投下します。
時間がないので途中で切れるかも
229 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:47:56 ID:iWC9yyvP
「このゲーム……やはり私の知り合いはいない。」
夕畑目まど香は、名簿をざっと見渡し、自分に関係する人物が参加していないかを確認した。
「お姉ちゃんが来てるんじゃないかと思ったわ……よかった。本当に」
姉の身を案じる彼女は、あるシンプルな決断を下す。


「なあ……アンタ。ちょっといいか?」

木々の後ろにいる男が、声をかけた瞬間、まど香は何一つ躊躇うことなくS&W M29を、あろうことか片手で放つ。
男は、とっさに躱したが、すぐに第二の弾が彼を襲う。
これの回避にも、彼は成功したが、その瞬間体勢は崩れそこにまど香の蹴りが炸裂し彼の鼻に炸裂し、沈んだ。

「ごめんなさい。でも貴方は参加者ですよね? だったら攻撃の手を休める気はないです」
「ちょ……待ッ……ちょっと待て! 俺はこのゲームには乗ってない! 話を聞いてくれ」
「乗ってないならこちらとしても好都合です。抵抗しなければ一撃で心臓を打ち抜きます。楽に逝けますよ」

男の説得も空しく、まど香は彼の左胸にM29を突き立てた。

「ちょっと待て。最後に名前くらい教えてくれよお嬢さん」
「名簿を確認していないのですか?鷹嘴弌さん」

「え?」
230 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:49:09 ID:iWC9yyvP
「……いえ、ですからこの名簿です。」
そう言ってまど香は自身のデイパックから名簿を取り出し、このゲームの参加者である鷹嘴弌に見せる。
「こんなんあったのか……」
「デイパックに最初から入っていますよ。」

「そうかそうか……じゃあキミは夕畑目(ゆうはため)……」
「夕畑目(なばため)です。夕畑目まど香」
「ああそうか……どうも。じゃあキミも頑張って生き延びてね〜」
鷹嘴は、先ほど蹴られた鼻から滴り始めた血を右手で抑えながら、その場を去ろうとしたが、まど香はそれを許さなかった。再び後から鷹嘴を狙う。


「今ので我々の間に友好関係が結ばれたと思っているのですか? 私はそうは思っていません。先ほどのは執行猶予です。」

「…………」

鷹嘴は黙り込む。

「どうか抵抗しないでください。どうせ死ぬのなら一撃での死をお望みでしょう?」

「いやあ……悪いけど俺。死なねえし」


鷹嘴のその言葉と共に、彼の両腕は変異を始めた。
231 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:49:50 ID:iWC9yyvP
鷹嘴の腕は、数秒で『翼』のように変異した。
まど香は、突然の理解不能な事態に、多少驚きはしたが、再びS&W M29を構える。
この銃はかつて最強と畏怖された凄まじい威力を誇る銃。この距離ならば確実に鷹嘴に致命傷を与えることが出来る。

だが、彼女が引金を引こうとした瞬間、突然突風が巻き起こる。
起こしたのは、やはり鷹嘴。彼は羽ばたくように、羽ばたくように、「翼」を上下させる。
その突風は、まど香が思う以上に強く、彼女の目に巻き上がったゴミが彼女の目に入り、激しい痛みを引き出し、体勢を一瞬だけ崩させる。

「おっ。パンツ見えたな。黒のレースか……エロいな」
「なっ!?」

当然、突風により捲れ上がったスカートから、彼女の下着も顔を見せた。そして鷹嘴は、それを鹿と目に焼き付けた。

「じゃあな〜まど香ちゃ〜ん。死ぬなよ〜」

鷹嘴は、即座に森の木々の腹を蹴って高く飛び上がり、そのまま滑空するように飛び去った。
232 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:52:06 ID:iWC9yyvP
「さて……どうするかね」

まど香から逃れ、命の危機を脱した鷹嘴は、まずこの能力を使ってこの島から脱出しようと画策する。
幼少のころよりこの能力を有する鷹嘴は、この能力の程度も重々承知している。
思い出すも忌まわしき、自分の一族の能力。
この能力は飛行ではなく『滑空』だ。島を脱出するなんてできるわけがない。


「この島で一番高いトコから滑空すれば……300mくらいは飛べるかもしんねえな……」
彼はデイパックから地図を取り出し、その目星を付ける。
真っ先に思い浮かんだのは、B-9とE-2に聳え立つ鉄塔。

こちらから見える限りではあの鉄塔は結構な高さがある。
彼はすぐに木に登り、木のテッペンから飛び上がる。

「結構な距離があるな……『跳んだ』方が速いっ!」

彼が『跳び』上がった瞬間、突然鉄塔から一筋の光が指した。

唐突に、鷹嘴の左肩を銃弾が射抜き、彼は崩れ落ちた。

「うああああッ」


「……何だったんだ? ありゃあ」
鉄塔の中腹付近で、スナイパーライフルを構える一人の男がいた。
彼の名は槙臣幸雄(まきおみ ゆきお)
233 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:53:24 ID:iWC9yyvP
A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森ス砂砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

現在地C-3はだヨっ!

【名前】夕畑目まど香(なばため まどか)
【状態】健康、あらゆるものに対する怒り
【装備】S&W M29(4/6)
【道具】基本支給品一式、44マグナム弾(12)
【思考】基本:今度は誰が相手でも迷わない。参加者は全員殺す。
1:鷹嘴弌……許すまじ
2:覚悟が足らない……何やってるんだ私は
【備考】
※自分のパンツを見た鷹嘴に対して激しい怒りを覚えました
※自分の甘さにも怒りを覚えました

【名前】鷹嘴弌(たかはし はじめ)
【状態】左肩に7.62mm NATO弾を被弾。全身打撲
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】基本:ゲームからの脱出
1:痛ェ!何なんだ畜生!
2:早く逃げねえとヤバイ!
【備考】
※傷を癒さない限り滑空ができなくなりました。
※まど香とは数100mほどしか距離を取れていません。


A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森ス砂砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

現在地B-9はだヨっ!

【名前】槙臣幸雄(まきおみ ゆきお)
【状態】健康
【装備】L96A1(9/10)
【道具】基本支給品、7.62mm NATO弾(10)
【思考】基本:一応優勝を狙うつもり
1:しばらくは鉄塔を動かない。
2:射程内に入った者を狙撃する。
【備考】
※狙撃の技量は普通なので、鷹嘴に一撃で命中したのは偶然です
234 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:55:13 ID:iWC9yyvP
【名前】鷹嘴弌(たかはし はじめ)
【性別】男
【年齢】17
【職業】無職
【身体的特徴】身長177cm、体重58kg、茶髪ストレートヘア
【性格】基本的に自分に甘く、まあ何とかなるだろう。で生きている
【趣味】放浪
【特技】両腕を翼に変異させての短時間飛行を可能とする
【好きなもの・こと】姉御肌の女性、ソフトSな女性
【苦手なもの・こと】人使いの荒い奴、豆腐
【備考】高校中退後は定職に就かず、ヤクザを騙し騙しで何とか生きてる。

【名前】夕畑目まど香(なばため まどか)
【性別】女
【年齢】18
【職業】学生
【身体的特徴】身長159cm、TS B81 W58 H87、黒髪ストレートヘア、赤い瞳の美少女
【性格】基本は世話好きで、お人よし
【趣味】ドミノ(設置してから倒すまで全て一人で正確に高速でやれる)
【特技】スポーツや勉強はほぼ全てソツなくこなす
【好きなもの・こと】ミートボール、姉に貰った万年筆
【苦手なもの・こと】特になし
【備考】有名な科学者に「神に愛された子供」と称されたことがある。

【名前】槙臣幸雄(まきおみ ゆきお)
【性別】男
【年齢】29歳
【職業】弁護士
【身体的特徴】身長178cm、体重68kg
【性格】狡猾な性格で自己中心的
【趣味】ティッシュペーパーを丸めて針状にする(落ち着くらしい)
【特技】人を騙すこと
【好きなもの・こと】権力
【苦手なもの・こと】悪人、ロックバンド
【備考】関東のヤクザ「観劍組」の顧問弁護士。
235 ◆RJNpFExwIg :2008/09/16(火) 07:56:46 ID:iWC9yyvP
投下終了です。
尚、タイトルは“風っていいよね。スカート捲ってもお咎めなしだし”です
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:07:15 ID:nO81+EkR
>>227
>>235
両方投下乙!!!
続き楽しみにしてまっせ
237中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/17(水) 14:07:10 ID:W0+6hUOq
投下します
238中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/17(水) 14:08:38 ID:W0+6hUOq
第2話 冷たい手、温かい手

「現在の死者を連絡します。相田ケンスケ君、朝倉涼子さん、菊川雪之さん、珠洲城遥さん…。次に禁止エリアの指定です…」

《高槻やよい》

 震える中、私は携帯のボタンを押していた。自分たちの荷物は持っていくことが可能であったことによる幸い。
 私は外部との連絡を取るために家に電話をかけていた。
 必死に、みんなで助け合おうと叫んでいたあの子は銃弾の前に倒れた。
 私は仲間を探して、もう少しで辿り着きそうだったのに…。
 今はこの島の村のような建物の中に身を潜めている。

 同じ学校の友達である春香やオデコサンシャイン伊織たちは大丈夫だろうか。
 死傷者リストに名前がのっていないということは無事なんだろうけど。それでも心配だ。
 携帯電話のボタンを押し終える。

 誰でもいい、繋がって……。

カラレス『携帯電話は使えないといったはずだぞ?』

 電話を切り、私は携帯電話を叩き潰した。
 何度も、何度も…。テーブルの下に隠れている私は息を切らして、窓の外を眺めながら体育すわりをして膝を抱えていた。
 1人は怖かった…。
 寂しく、そして恐怖に押し潰されそうになる。
 今はただここで息を潜めて隠れていることしか出来ない。
 誰か知り合いがいれば…。知り合いが…きてくれれば。

 誰かが…やってくる。

 足音、その足音に私は不安と期待の両方を抱えた。

 机の下にいる私の前に見える白い足…どうやら女の子のようだ。
 春香…ではなさそうだけど。このまま通り過ぎてしまえば…それでいい。それで…。

???「あぁ…助かった」
239中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/17(水) 14:10:52 ID:W0+6hUOq
机の下を覗き込む女の子。私は心臓が止まりそうになった。
春香でもオデコでもない。
白い制服をきた少し白色の髪をして、両端をとめている小柄な女の子。
その子はその場に座りこんで涙を流し始める。

???「ようやっと人に出会えました……今まで1人で…」
やよい「そう…なの?私も1人で…」
 その子は涙を手で拭うと、少しだけ笑顔を見せた。
咲夜「でもよかったです。
   同い年くらいの子が見つかって……。私、神山咲夜。あなたは?」
やよい「私は…高槻やよい」
 
 私はまだ彼女を信用できていないではいたが、それでも少しだけ心が落ち着いた。
 同じ年の子で、そして同じようにこのゲームに巻き込まれそうに、そして動揺している子がいることに。

咲夜「やよいさん、やよいさんは…ゲームに乗っている人じゃないですよね?」
やよい「違うよ!私はこんなのに乗りたくない!!」
咲夜「よかった!もしかしたら私だけかと思ったんです。もうみんなやる気満々で、もうこの戦いを止めることができないのかもしれないって」
 同じ気持ち。
 確かに、さっきの子は失敗してしまった。
 でも、それはやり方が悪かっただけで、ひとりひとりにしっかりと伝えていけば決して無駄なことじゃないのかもしれない。
 だって、今も私と同じように思ってくれる子がいるから。
やよい「そんなことない!私の友達、春香だって…。
    こんなこと絶対に間違っているって思うし、今もきっと説得しているはずだもん」
咲夜「そうなんですか…。それじゃー1人ずつ、言いに行きましょう?1人じゃ心細いですけど、2人だったら…」
やよい「…うん!なんとかなるかもしれない」

 春香…きっと春香は怯えている。
 だけど、私はそんな春香のこと必死に引っ張っていたよね。
 今度も私が春香のこと迎えに行くよ。
 1人で泣きじゃくっている春香に手を差し伸べて、一緒にこんなところから脱出しちゃうんだからさ。

咲夜「やよいさん、こんなところにいないで一緒に、行きましょう?」
やよい「うん…そうだね、こんなところにいても、始まらない」
240中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/17(水) 14:12:42 ID:W0+6hUOq
私は机の下から出て、陽の光を浴びながら咲夜さんを見る。
咲夜さんは急に私を抱きしめてきた。
私は驚いて彼女を支える。咲夜さんは、私の胸の中で嗚咽を漏らしていた。

咲夜「ごめんなさい、私…とっても、とっても怖くて……」
やよい「なにいってるの。私だって……最初、咲夜さんに殺されちゃうかもって思ったんだもん。大丈夫!!」
咲夜「そうだったんですか。それじゃーよかった」
やよい「え?」
咲夜「私、元々あなたを殺すつもりでしたから」
 
 そのときにはもう遅かった。
 私の首にあてられていた鎌が私の頚動脈を切っていた。
 私の首の横から何かが噴出していることを感じる。
 息も出来ない状況のまま、私はその場に崩れる。
 みんながみんな戦いに、このゲームに溺れてしまったのだろうか?
 生きるため?生きるためには人の命をこんな簡単に奪えるのか。
 私には向いていない。
 私はただアイドルとして着ぐるみを着て、ラジオをやって…
 大切な友人である春香と一緒にお茶したりしていることのほうが、よっぽどいい。

春香…頑張れ。
あんたのこと見てあげられなかったけど…こんなところで負けちゃダメだからね。

【高槻やよい死亡】

《神山咲夜》

咲夜「やよいさんったら馬鹿みたいにお人好しですね」
 
 血に染まった鎌をタオルで拭きながら濃い赤の血の海に埋没するやよいさんを眺めていた。
 ゲームはゲーム、負けたらそこでおしまい。
 私は勝ち残る。
 そしてその勝利を、私の愛してやまない奏先輩に捧げる。
 そのためにはこんなところで、負けてられない。
 まだまだ時間も、殺さなくてはいけない人間もたくさんいる。
 急がないと……。私はやよいさんの荷物を持ってその場から離れていく。
241中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/17(水) 14:15:45 ID:W0+6hUOq
《天海春香》

春香「あ…」

 携帯のストラップ。
やよいちゃんと同じ日に買ったお揃いのものが切れて落ちた。
私は、それを拾うと強く握り締める。
何も考えない。考えたくなかった。

伊織「なにやってるのよ、バカリボン!置いてくわよ!」
春香「あ、うん…」
 偶然だった、私の前が伊織ちゃんで、すぐに名前を大声で呼んだらやってきてくれた。
 こうして2人で一緒にいれば少しは気が落ち着くし、それに…なんとなく心強い。

伊織「ったく、こんな訳分からないことで死んでちゃ…やってらんないわ」
春香「そうだよね…」
伊織「とっととあの着ぐるみ女とか真とか雪歩みつけて、こんなところ脱出するわよ!」
春香「うん!」

 伊織ちゃんの言葉は、まるで自分に喝を入れているよう。
 だから私も伊織ちゃんの言葉から元気をもらって…そして、みんなを見つけ出すんだ。
 だからやよいちゃんも、待っていてね。すぐに迎えに行くから。

伊織「誰!?」

 伊織ちゃんがバックにはいっていた武器…銃を草むらのほうに向けて怒鳴る。
 私は伊織ちゃんの後ろでその方角を見つめた。両手を挙げてでてくる人影。

???「待ってくれ。僕は敵対する気はないよ」
 
 男の人…その人はこちらにやってくる。
伊織「そこで止まりなさい」
 足を止める男の人。
???「どうしてくれたら信じてもらえるかな?」
 男の人は少し困惑した表情で聞いてくる。
 伊織ちゃんはそんな相手にもまったく容赦しないようだ。
 私は少し失礼なんじゃないかなと思ったけど…今は任せるしかない。
伊織「あんたの対応次第ね」
???「わかったよ。君達に従う」
伊織「荷物をこっちに投げなさい」
???「あぁ」
 その男の人は荷物をこっちに投げる。
 見た感じは完全に丸腰の用だけど…。
???「これでも、信じてもらえないかな?」
伊織「…いいわ。あんた名前は」
 伊織ちゃんは銃をおろして聞く。
242中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/17(水) 14:17:04 ID:W0+6hUOq
月 「夜神月」

 そう告げた男の人…月さんは上げていた手を下ろして私たちを見つめる。

月 「僕は…ここを脱出するために、みんなを集めている」
 
 突然、そんなことを告げる月さん。
 勿論、驚いたけど…でも、そんなことが出来るとは思えない。
 この首輪が私たちを拘束しているから。

伊織「そんなこと出来るわけ無いでしょう?」
月 「…僕にならできる。それともあなた達は、このゲームに乗るんですか?」
 
 私は伊織ちゃんを見た。
 誰もこんなゲームなんか望まない。こんな残酷なゲームなんか…。
 伊織ちゃんはそれでもまだ何か言いたげな表情だ。

春香「もし、月さんに何か秘策があるならば協力します」
伊織「春香!あんた!」
春香「だって、このままゲームが続いたとして、雪歩ちゃんたちと戦うことなんかになったら…」
伊織「そんなことさせないわよ!」
春香「どうやって?」
伊織「それは……」
 私は月さんを見つめ
春香「もし、何か作戦があるなら教えてください。私も協力します」
伊織「…もうバカリボン。私も、参加してやるわ。だけど…もし何かしようとしたら」
月 「えぇ。わかっていますよ。それじゃー改めてよろしくお願いします…えーっと」
春香「はい!私、天海春香です!よろしくお願いします」
伊織「水瀬伊織…よろしくね」
 
 仲間が増えることは心強い。
 私は月さんの手を握ってしっかりと握手する。
 ゲームは始まってしまったけれど、それに対抗しようとする人はまだいるっていうことを私は知った。当たり前だ。
 こんなことを続けようとしている人が全員なわけじゃない。
 可能性がある限り私は立ち向かう。
 今までそうしてきたように…これからも、そうしていく。
243中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/17(水) 14:18:49 ID:W0+6hUOq
神山咲夜
【健康状態】良好
【精神状態】良好
【装備】
鎌 ドイツ製短機関銃MP5(やよいから強奪) 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

天海春香
【健康状態】良好
【精神状態】普通
【装備】ハンドガン 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

水瀬伊織
【健康状態】良好
【精神状態】普通
【装備】M3サブマシンガン 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

夜神月
【健康状態】良好
【精神状態】普通
【装備】ピコピコハンマー 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】デスノートの切れ端

続くということで。コンパス・時計は追加により全員既に持っているということで解釈してください。
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:40:53 ID:RAOVz8qG
投下乙!
光子を思い出すような展開よかったです
あと月が気になる
245中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/19(金) 22:26:35 ID:1Acicv3H
投下します
246中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/19(金) 22:29:00 ID:1Acicv3H
第3話 The Vampire Twins Comen

《ルルーシュ・ランペルージ》

 放送が流れ、また数人の死傷者の名前が流れていく。
 既にゲームに乗っているものも多数いるようだ。俺は禁止エリアを確認し、時計を見つめる。
 なぜ、戦いを始める。
 それがあいつらを喜ばせる結果となるというのに…なんでわからない。

C.C.「仕方ないだろう?そのために、この世界はつくられたんだからな」
 
 人間の醜い争いを俺に見せて、皇帝は何をさせたいというんだ?

C.C.「それは、お前がいってみればわかることだ」
 
 俺の記憶を蘇らせてくれたことには感謝するが、肝心なことに関しては黙ったままか、魔女め。
 姿も見せず、俺の頭で勝手なことを言う。

C.C.「私はシーツーだからな」
  
 朝倉涼子に襲われそうになった俺は、頭の中、突如聞こえた声により意識を覚醒させ、ギアスにより朝倉涼子を葬った。
 それがC.C.であることは記憶が蘇ってからだ。
 最初、教室の机の上で目を覚ましたときは覚えていたことが、時間がたつにつれて、この世界の記憶に飲み込まれそうになったのだ。
 これもまた…皇帝の力なのか?

 C.C.によれば、この世界は、俺のいた世界ではない…つくられた世界ということだ。
 俺以外の人間もまた別の世界から呼び集められた、いわば被害者。
 そしてその世界により歴史は歪曲、改変させられ偽の記憶として皆、植え付けられているのだ。
 しかし、今はこの世界が現実であることも事実。
 俺の世界では既に死んでいるシャーリーやロロもここではまだ生きている。
 それは…俺にこの世界への誘いなのかもしれない。

ルル「答えを知るためには、ここにある神根島の遺跡に行くしかないということか」
247中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/19(金) 22:29:36 ID:1Acicv3H
そう…俺が元いた世界にあった島とここが同一であるならば、入り口は分かっている。
そのためにはまだかなり歩かなければいけないのだが。
ただでさえ俺は体力がないというのに。
朝倉涼子のように近接戦闘であれば問題はないが、遠距離からではギアスでも対処しきれない。

C.C.「シャーリーやロロは放っておくのか?」
ルル「今は、そんなことを言っている暇ではない」
C.C,「襲われているかもしれないのにか?」
ルル「…俺は一度シャーリーやロロを失った。何度も同じ苦しみを俺にあじあわせるのか?」
C.C.「…この世界のシャーリーやロロは関係ないと?」
ルル「そういうことだ。俺にはこの作られた欺瞞と嘘の世界ことはどうだっていいからな」
 
 一見、独り言の怪しい人間に思われかねない行動をとっているということは、このときの俺にはわかっていない。
248中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/19(金) 22:32:28 ID:1Acicv3H
???「ブリタニア人、かくごぉぉぉおお!!」

 突然の声に俺は、目の前に切りかかる男に対して驚き、その場に腰を落して転んだ。
 それが結果的に俺に切りかかってきた男の刃から避けることとなる。
 男の刃は俺の髪を霞めた。
ルル「お、おい!待て!俺もブリタニア人に巻き込まれてこのゲームに参加させられている身だぞ!」
将士「知ったこと!この風華学園3年武田将士、ブリタニアの野望を打ち砕く!」
ルル「ちっ、言ってもわからない馬鹿ばかりめ」
 俺はギアスをかけようとした、そのときだ。
 俺を後にして、俺たちの中を割って入ってくる影…。

???「やめるんだ!こんなことをしても、何にもならない!」
 
 その後姿には、見覚えがある。

ルル「…ス、スザク?」
スザク「…大丈夫かい。ルルーシュ」

 俺のほうを見ずにスザクはそう告げた。
 このスザクはこっちの世界に飲み込まれているのか、
 それとも…俺の世界のスザクなのかで話は変わってくる。
 ナナリーを攫い、俺をブリタニアに売ったものであるならば、もはや遠慮する必要はない。
 俺は腰にある銃を握る。

将士「貴様ぁ!俺たちの敵であるブリタニア人をかばう気か!」
スザク「ブリタニア人も日本人も関係ない。僕は、みんなを助けたい」
将士「そんなことができるはずがない!!」
スザク「できる!僕が、約束する」
将士「…」
スザク「だから、僕に任せてはくれないかい?」
 男は握っていた日本刀らしきものをおろす。
将士「同じ日本人であるお前が言うのであるなら、託そう」
スザク「ありがとう。必ず約束は守る」
 
 男の戦意をなくさせるよう、言いくるめたか。
敵であれば厄介だが、味方であれば、これ以上なく頼りになる奴だ…スザクは。

C.C.「いいのか?今、あいつは無防備だぞ。撃つのなら…」
 
 黙っていろ魔女。

将士「俺の名前は、武田将士だ」
スザク「僕の名前はスザク…。よろし」
 突然だった銃声とともに、武田の体が崩れ落ちる。
 その男の頭はまるで西瓜が割れたように、バラバラになっていた。
【武田将士死亡】
俺はその方角からして、木陰からの狙撃であるとは判断した。
俺は体を地面に這わすようにして、草木の中に隠れるようとする。
再び銃声、連続して音が鳴り響き土煙をあげながら、俺に襲い掛かる。
それは、俺の脚に命中する。
249中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/19(金) 22:34:28 ID:1Acicv3H
ルル「ぐわぁぁぁっ!!」

 痛みが走り、声にならない悲鳴をあげる。
スザク「ルルーシュ!」
 俺は、草木に身を隠したまま、脂汗をかき、重苦しい息をあげていた。
 スザクもまた、草木にかくれ、俺の怪我した部分を見る。
 靴を脱がしてみると、白い靴下は血があふれ、真っ赤に染まっている。

スザク「ここで声をあげないで、もし痛いときは服を噛んでじっとしていて」
 
 スザクはそう告げると、草木から出て行く。
 バカな、立ち向かうつもりか!?殺されるぞ…。
 相手は銃を持っている。お前は素手じゃないか。

スザク「…でてきたらどうだい?僕は丸腰だよ」

 俺たちが今まで歩いていた獣道のような場所に姿を現す二つの影。
 俺はそれを見て目を見開いた。そう、それは子供!?白髪の子供である。
 その子供が似合わない巨大な銃を持ち、さらにもう1人は黒い斧を持っている。

スザク「子供!?」
 スザクもまた、その正体に驚いている。
 その反応を楽しむかのように白い歯を見せて笑う子供。

ヘンゼル「姉様、上手く命中したみたいだね」
グレーテル「えぇ。お兄様。弾も無限ではないもの。1人一発で殺したいわ」
 
 こいつら…本当に子供か!?銃も何も言わなければ見た目では完全に子供で間違いはない。
 だが…言っていること、それにその武装、殺人におけるまったくの動揺のなさ、こいつらはイレギュラーだ。
 このゲームにおいては、人間の異常性、一般の生活からの大いなる逸脱において、
 人間がいかに狂うかを見せるものであると俺は理解をしている。
 しかし、こいつらは…人を殺すことが常識、普通となっている。そんなものにとっては、ここにいる人間は赤子も同然。

スザク「…君達もこのゲームを終わらしたいだろう?だから」

 これらのことを考えると…スザク!奴らには説得など無理だ。

グレーテル「あはは。ゲームを終わらそうですって兄様」
ヘンゼル「僕たちはゲームを楽しんでいるのに、なぜやめなきゃいけないんだい?」

 子供の姿をした悪魔は、面白そうに笑っている。

スザク「…殺し合うことが、遊びだというのかい?君達は?」

ヘンゼル&グレーテル『そうよ(だよ)』

グレーテル「互いが己の存在をかけて、相手の存在を否定する遊戯」
ヘンゼル「負ければその負けた命を、自分の命に加算することができる遊戯」
グレーテル「だから、私たちは負けないわ」
ヘンゼル「僕たちは、たくさん人を殺してきたからね」
250中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/19(金) 22:36:41 ID:1Acicv3H
 日本に来て暫く、俺とナナリーは日本での習慣になれることが大変だった。
 靴を脱いでの生活。食における箸の使い方。
 日本では当たり前の習慣であっても、異国から着た俺、ナナリーにはそれらすべてが初めてであり、そして異なる習慣的なものであった。
 そう…今、俺とスザクが遭遇しているのも同じ。
 あの2人には俺たちの常識は通用しない。
 奴らには…奴らの中の常識が存在している。

スザク「どうやら、君達とは話してもわかりあえないようだ」

ヘンゼル「今さら遅いよ?」
グレーテル「あなたはここで死ぬの」
ヘンゼル「そして僕たちの命の糧になるのさ」
グレーテル「さようなら」

スザク「そうはいかない!」
 スザクはそういうと、握りしめた手を開いて2人に向かって投げつける。
 それは砂!?2人の視界を奪ったスザクは、俺のいる草むらに滑り込み、俺を担いで走り出す。
 後からは銃声が聞こえてくるが、スザクの走りの速度は超人的だ。

ルル「すまない…スザク」

 くそ、意識がなくなってきた。血を失いすぎたか。
スザク「まだ…君には……」
 スザク、何を言っている?俺は……。


《ヘンゼル&グレーテル》

ヘンゼル「逃げられてしまったね姉様」
グレーテル「しょうがないわ兄様。今度見つけたときにしっかりと殺しましょう?」
ヘンゼル「そうだね姉様。まだまだいっぱい獲物はいるんだから」
グレーテル「いっぱい楽しみましょう」
ヘンゼル「いっぱい楽しもう」
グレーテル「フフフ…」
ヘンゼル「アハハ…」
251中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/19(金) 22:38:32 ID:1Acicv3H
ルルーシュ・ランペルージ
【健康状態】足を撃たれて重傷
【精神状態】意識を失う
【装備】コードギアス一般兵士用ハンドガン、手榴弾×3、地図、水、パン、防弾チョッキ コンパス 時計
【特殊能力】ギアス(絶対服従の力)

枢木スザク
【健康状態】良好
【精神状態】ルルーシュ負傷のため焦る
【装備】地図 水 パン コンパス 時計
【特殊能力】特になし

ヘンゼル
【健康状態】良
【精神状態】良好
【装備】斧、地図、水、パン コンパス 時計 双眼鏡(菊川雪之からの戦利品)
【特殊能力】グレーテルとの精神疎通

グレーテル
【健康状態】良
【精神状態】良好
【装備】ブローニング自動小銃 弾 地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】ヘンゼルとの精神疎通

ということで次回へ続きます。
>>244感想ありがとうございます。
光子??とは誰のことでしょうか、もしあれでしたら教えてください。
252 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/19(金) 23:28:36 ID:1WONHrFo
くぎゅううううう
253追いかけっこV ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/19(金) 23:30:02 ID:1WONHrFo
 アリサとティオの激闘は続いている。もっともティオはこの戦いをすぐに終わらせる“カード”を持っている。
 しかし、ティオは温存を選んだ……。

 アリサの体力は限界だった。相手は仮にも魔物、こっちはただの小学三年生。勝負を目に見えていた。ただ、足を止めれば殺られる。そんな執念が彼女の足を動かした。
 そして、その歩みが勝利の可能性を広げていった。
 そして、アリサ。ついに当りくじを引く。奇跡、大逆転、土壇場での巻き返し。まるでここまでの頑張りに対して、神が与えたご褒美。
 見つけたのは『植田佳奈』のカード。召喚するのはもちろん、八神はやて。はやての得意とする間合いには短いが、ここはすぐに使うしかない。
「お願い、はやて!」
 白い魔法陣がアリサの前に現れ、黒白の天使が舞い降りる。
「急ぎみたいやな。任せとき!」
 杖を振るい、光が集束していく。
「ラグナロク・ブレイカァァァァァー!!」
 白い粒子がティオを襲う。その攻撃範囲はティオでは回避不能。そのカードが役立たずなら、アリサの勝利は約束されていた。
「恵ー!」
「ハイ! チャージル・セシルドン!!!」
 全てを覆い尽くす様な掌。それはティオの最大呪文だ。『前田愛』それはアリサには予期せぬ、最悪のカード。
 これでは五分、完全な勝利はなくなった。はやての力を信じない訳ではない。しかし、『チャージル・セシルドン』は余りにも強力。原作でもその堅さを発揮した。
 意地と意地のぶつかりあい。そして、盾は砕け、矢は折れた。つまりそれは引き分け。それはアリサにとってあまり良くない結果だった。
254追いかけっこW ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/19(金) 23:31:51 ID:1WONHrFo
 八神はやては近接戦闘が弱い。同じ原作キャラでいうならばキャロ以下だという。それに超魔法砲撃もすぐには撃てない。
 一方、ティオはパートナー、大海恵の登場で行動に幅が生まれる。サイスならまだしもゲームオリジナルのギガノ・サイス、最大攻撃力のチャージル・サイフォドンはかなりの脅威だ。
 こうなったら無理に戦う必要はない。はやてを防御に回すか。いっそ逃げてから空中で砲撃するか……。
 アリサとはやての視線が交錯する。空に退避しようしたその時、ティオが先手を打つ。
「ギガ・ラ・セウシル!!」
 宙に居たはやては、透明な丸い盾に閉じ込められる。
「八神はやて、貴方なら“ちょっと”本気を出せば抜けられるわ。だけどそのちょっとの時間。それだけあれば……」
 ティオはスカートの中からサブマシンガンを取り出し、アリサに狙いを定める。
「この弾丸がすぐに貴方を蜂の巣にするわ。さようなら、アリサ・バニングス」
 ティオの指が引き金を弄ぶ。その指先一つでアリサの命はあっけなく散ってしまう。
 だがその慢心がティオの命運を変えた。
 ――刹那、何者かが合気の達人である大海恵を手刀で倒し、そのままティオの頭蓋を叩き割る様な蹴りを入れる。
 その一連の動作は、まるで流れる水の様に。地に落ちたサブマシンガンを拾い、衝撃でうずくまるティオへの止どめも忘れない。命を摘む激しい炸裂音でようやく我に返る。
 ティオを殺害した正体は柏木優。少し後ろには青ざめた三千院ナギと――松平瞳子が微笑を浮かべ、静かに立っていた。
255 ◆R4Zu1i5jcs :2008/09/19(金) 23:32:53 ID:1WONHrFo
くぎゅううううう
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 01:08:18 ID:2XT8jtRt
>>251
投下乙、光子は原作バトルロワイアルに登場する相馬光子という怖い怖い女の人です。

>>255
くぎゅうううううううううう
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 19:53:53 ID:eiV78nHc
まさかの柏木www
続き楽しみに待ってますw
258中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/21(日) 00:02:18 ID:1aEldRYi
投下します
259中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/21(日) 00:03:43 ID:1aEldRYi
第4話 夢

《櫻井奏》

 お昼頃から始まったこのゲームも、もう陽が落ちる時間帯になり始めていた。
 海辺の場所から見る夕日は格別の美しさを持っていた。
 この風景だけを見ていると、自分が今、とんでもない状況下にいることなど忘れてしまいそうになる。
 それに…これは夢とも思ってしまう。
 気がつけば、また隣にはゆきちゃんがいてくれる。あの可愛い寝顔を私に向けて、私の心をかき乱して…。
 何も知らずに眠っているんだろう。きっと…そうだ。

???「どうかしましたか?」
奏 「うぅん、なんでもないよ。つかさ」

 彼女は柊つかさ。
 私が荷物を持って学校が出たときに目の前の死体に怯えていて身動きがとれずにいた子。
 仕方なく私が引っ張ってきた。つかさは天然で、ボケーっとしている。そんなところはゆきちゃんに通じるところがあるかもしれない。

奏 「今日はここで一泊しようか?」
つかさ「…うん」

 つかさのほうを見る。
 少し動揺しているのか…怖いのは私も同じ。
 いつ何時、誰が攻撃してくるかわからないこの状況で、なんで自分が今、こんなに落ち着いているのかがわからない。
 本当なら怖くて、怖くてたまらないはずだというのに。

奏 「つかさは…お姉ちゃんとかいる?」
つかさ「は、はい。上に3人」
奏 「げっ。そんなにいるの!?」
つかさ「みんな…元気かな。お姉ちゃん…無事だといいな」
奏 「そっか。確か1人、参加しているだったよね」
つかさ「名前が出てないから大丈夫だと思うけど。こなちゃんや、ゆきちゃんも無事でいてくれると…」
奏 「…みんな無事でいるといいね」
 
 無事…。
 それは一時の慰めなのかもしれない。
 結局その先になるのは、親しいものとの殺し合い…。
 私にはとても耐えられないものだ。つかさにはそれがわかっていないのかもしれない。
 いや、知らない振りをしているだけか。
260中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/21(日) 00:06:19 ID:1aEldRYi
これから、どうすればいいのかな。

 陽は海と空の間に吸い込まれそうになっていた。

???「かなちゃーん!」
 
 あー幻想が聞こえてくる。とうとう、私、頭までおかしく…。

???「かなちゃんってばぁ!」

 え?まさか…本当に?
 振り返る私に抱きついてくる誰か。
 このぬくもり…そして温かさ、香り…。私の大好きな人のもの。

奏 「ゆきちゃん?」
雪乃「せ〜いかい!」
かがみ「つかさ!!」
つかさ「お姉ちゃん!!」

 こうして偶然というタイミングのなか、私たちは出会った。
 きっとこれが姉妹…二卵性だけど、そういった絆の強さかもしれない。

雪乃「そうそう!私たちのほかにも双子さんがいたんだよ?」
かがみ「その子たちも片割れを探しているようだったから教えてあげたけどさ」
 
 みんな同じか。
 やっぱり身近な存在を、常に一緒だった存在を求めるんだ。私なんかは、その典型。
 心細さがこうして解消されていくのを感じるから。

かがみ「これでつかさは見つけたから、後はこなたとみゆき、みさおもそうね」
つかさ「もう行くの?」
かがみ「あの3人はなんか殺しても死ななそうだけど…それでも心配には変わりないから」
 
 友達…。
 そういえば、さくちゃんはどうしてるんだろう。
 まさか…今も私の事を観察していたりするのだろうか。
 なんとなく背筋がぞーっとしたのであたりを見回してみる。

雪乃「…私たちはどうする?かなちゃん」
奏 「…少し、2人っきりにしてくれないかな?」
 
 かがみは頷いて、つかさとともにその場を離れる。
 私たちのいる下、岩が波にぶつかり砕ける音が聞こえる。
261中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/21(日) 00:08:15 ID:UJ74PqYq
奏 「…私は」
雪乃「私ね…」

 私が話そうとする前に、ゆきちゃんが話を切り出す。私はゆきちゃんをただ眺める。
 ゆきちゃんは私を見ず、遠くの空を眺めていた、
 誰かに心の奥底から愛されることが…どれだけ幸せなことか…きっとこれは分かる人にしかわからないことだと思う。
 私のありとあらゆる行動を許容してくれること。
 学校でも、私生活でも…私はゆきちゃんに包まれてきた。
 いつも私が引っ張っているようにみられているけど、
 本当は…ゆきちゃんが私の事をずっと包んでくれているから、見ていてくれているから…手を繋いでくれるから。

雪乃「…いいよ」
 
 振り返ってゆきちゃんは一言だけそう告げた。
 私が言いにくい言葉を、わかってくれていた。これが…いつも一緒にいる2人だからわかる力。
 以心伝心っていうのかな?

奏 「本当に?」
雪乃「私はかなちゃんと一緒にいれれば、どこにいたっていい」
奏 「だけど…」
雪乃「私はかなちゃんが誰かを傷つけるのも見たくないし、誰かに傷つけられるのも見たくない」
 
 ゲームにのらない唯一の方法。
 だけど、それは逃げることに繋がるのと同時に結局は失ってしまう。

奏 「ごめん…ごめん、ゆきちゃん。私が、私がしっかりしていれば、もっと強ければ」
 
 その場でしゃがみこみ、目から熱いものが流れる。止めることができない。止められない。私は、私は……。

雪乃「いいんだよ。かなちゃん…私こそ、かなちゃんを守れなくて、かなちゃんを支えてあげられなくて…ごめんね」
 
 私はゆきちゃんに抱きついた。
 ゆきちゃんと一緒にいれればいい。他には何も望まない。それさえも許されないの?
 傍に、隣にいることさえ…。そんな世界、こっちからお断りだ。
262中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/21(日) 00:09:45 ID:1aEldRYi
雪乃「私は…かなちゃんが一緒にいればいい。かなちゃんの隣が私の居場所」
奏 「私も……ゆきちゃんの隣が、私の居場所」
 
 抱きしめあう中、少し身体を離してゆきちゃんの顔を見る。

雪乃「…かなちゃん、大好きだよ」

奏 「私も……ゆきちゃんのこと……大好き」

 そっと触れ、重なる感触。
 温かく、とても柔らかい。
 ずっとこうしていたいという気持ちとともに、決してそうはならない切なさが残る。
 一番古い記憶は…子供のとき、まだ恋愛とかそんなこと頭になかった頃。
 だけど、あのときから私は、ゆきちゃんが好きであることにかわりはなかった。
 愛する人への気持ちだけは最初からずっと一緒。
 それは…これからも絶対に変わらない。

雪乃「…行こうか?」
奏 「うん」

 陽が落ち、あたりは暗くなり始め星の光に照らされ始めていた。
 私たちはいつも登校のとき電車を待つように手を繋ぎあって崖の上に立つ。

奏 「…私、今度生まれ変わっても、絶対に…ゆきちゃんと一緒に…」
雪乃「うん。ずっと、ずーっと……一緒だから」
奏 「…」
雪乃「……かなちゃん」
奏 「ゆきちゃん…」
 
 私は空を舞った。
 しっかりと手を握られたのが合図だった。
 そのとき、私は下を見ずに、隣にいるもっともだいじな人だけを見つめていた。
 最後まで、最後の瞬間まで…私は、ゆきちゃんを見ていたかった。

 これは夢…。
 きっとそう。
 私たちがもう、死んでしまっていることも。
 お互いに、絶対に言わない本当の気持ちも、唇を重ねたことも……きっと夢。

 ほんの少し怖くて、ほんの少し幸せな…夢。


【櫻井奏 櫻井雪乃 死亡】
263中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/21(日) 00:10:48 ID:1aEldRYi
《柊かがみ》

 声が聞こえなくなってもう十分が立つ。
 日も暮れてきてしまっているというのに…。
 やっぱり…2人はもう…。
 私は、櫻井雪乃から話を聞いていた。
 おそらく、妹である奏と出会えば、お互い死ぬことになるだろうと。
 誰かに殺されるもの、誰かを殺すことも自分たちには出来ないと。だったら…最後は大切な人といたい。
 彼女はそう遺言を残した。

つかさ「お姉ちゃん?2人は置いていくの?」
かがみ「…いつまでも待ってられないでしょう」

 つかさには知らなくていいことだ。
 この悲しい現実には私が1人で耐えればいい。
 血のつながりは、思った以上に強い力を出せるのかもしれない。
 私も一番最初に助けようとしたのが、つかさであったように。
 
願わくば…あの2人が、こんな争いのない世界で、再び双子としてめぐり合い、そして幸せな生活を送って欲しいことだけ。
私も、もしかしたら…すぐにそっちにいってしまうかもしれないけれど。
だけど…私は生きたい。
つかさや、こなた…仲間たちと一緒に。
264中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/21(日) 00:11:30 ID:1aEldRYi
柊かがみ
【健康状態】良好
【精神状態】疲労
【装備】ボーガン 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

柊つかさ
【健康状態】良好
【精神状態】普通
【装備】サバイバルナイフ 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし


続きます。
265 ◆tPI1bfxBWo :2008/09/21(日) 01:16:56 ID:s2/xASq5
>>255
投下乙!くぎゅうううう
>>264
こちらも投下乙です。かなちゃんとゆきちゃんは原作よく知らないですがいい子達だったなぁ。残った柊姉妹は何を思うのか。

では自分も木蓮&キャットウーマン投下します
266仁無き男 ◆tPI1bfxBWo :2008/09/21(日) 01:19:26 ID:s2/xASq5
街路樹の並ぶ道を歩く影が1人。猫の様なマスクと、豊かな体のラインを強調させるピッタリとした灰色のボディスーツに身を包んだ妖艶な女性の名はキャットウーマン。ゴッサムにその名を轟かす怪盗である。
殺人を犯さない事を信条としている彼女は、この殺し合いに乗ることを当然のように拒否していた。
だがそんな彼女の枷となっているのが、彼女の首にもつけられている首輪だ。
この首輪が存在する以上、自分の命は主催者の意のままである。彼女は猫でもあっても飼い猫ではないのだ、自分の首輪を指でなぞり、その端正な顔を怒りに歪ませる。

(リドラーがここに呼ばれている以上、彼がこの首輪を外すことに興味を持つ可能性が高い、接触する価値はある。バットマンは人殺しはしないから信用できる。
トゥーフェイスはコイントスっていう不確定要素がある以上あまり信用はできない。ジョーカーはこの場でもバットマンを殺す準備をしているわね、当然信用は絶望的)

ふと、彼女は歩みを止める。
このような不愉快極まる物をどうやって外すか、自分以外に名簿に載っていた知り合いはどう動くかを考えていた彼女の目の前に、一人の男が立ちはだかるように立っていた。
不気味な男だ。くたびれた服を来た、顔の半分が長髪で隠れ、その目には危険な光を宿し、口を三日月のように開いた歪な笑顔。そして異形の左腕と両手に構えられたバヨネット。
男の名は永井木蓮。自らの体に植物を飼い武器として扱う魔導具『木霊』を使う、暗殺集団である麗の一員にしてサイコな外道である。

(どうみてもフレンドリーな接触はできそうにないわね……)
「何か用かしら? 生憎とやることが多くて忙しいのだけど」
「それなら心配しなくていいぜ、俺がテメェをぶち殺せばその必要も無くなるだろ?」

デイパックから支給品の桜蘭舞踏鞭を取り出しながら、油断なく構えるキャットウーマン。
それに対してクツクツと笑いながら、木蓮は腰を落とした。
やはりか、とキャットウーマンは溜め息を一つついた。

「聞いても無駄でしょうけど、何故?」
「どうってこたぁねえよ。女の柔らかぁい肉を刺すのがたまらなく好きなだけだ」
「そう、期待はして無かったけど最低の理由ね」
「そうかい? 極めてシンプルで最高にイかしてる理由だと思うが、な!!」
その言葉を言い終える前に、木蓮は両腕をクロスさせながら飛びかかった。
267仁無き男 ◆tPI1bfxBWo :2008/09/21(日) 01:21:23 ID:s2/xASq5
何度目かの溜め息をつきながら、キャットウーマンの鞭が跳ね、風切り音と共に木蓮の左腕に鋭い一撃を与える。
しかし、木蓮は特に痛がる素振りを見せず、その動きは止まらない。
危機を察したキャットウーマンは瞬時に後方へと飛び退ると彼女が先ほどまでいた空間に二本のバヨネットの刃が閃いた。

「まだだぜェッ!!」

木蓮の異形の左腕から鋭く尖った木の根が何本も飛び出し、キャットウーマンの体を貫こうと飛び出す。
着地すると同時に彼女は横に転がりながらその根を避け、街路樹の影へと飛び込んだ。

「ちょこまか動くんじゃねえよ!おとなしく殺されなァ!!」

木蓮が駆け出しながら、左腕から飛び出た根を街路樹に向けて動かす。
対するキャットウーマンは猫そのものの俊敏性を生かして次々と避けていく。
彼女は考える、あの腕から出ている根は自身の鞭より射程が長い上に自在に動く。よしんば鞭を打てたとしてもあの腕から新たな根が現れ防がれる可能性もある。
かといって目の前の男が首輪を解除できる人物を殺害する可能性もある以上、野放しにはできない。なら――。
デイパックに入っているある物を取り出しながら、キャットウーマンは目の前の男を倒す為に動き出した。
何度目かの攻防の末、キャットウーマンが木蓮の元へと駆け出した。その手に持つのは痺れ薬の塗られた忍者刀、一太刀でも浴びせれば斬られた物はまともに動けなくなる。

「そっちから来てくれるとはなぁ、いただきだぜぇ!!」

左腕から無数の根がキャットウーマンを貫こうと繰り出される。
それを彼女は類い希なる動体視力であるものはかわし、あるものはいなし、あるものはかすりながら前進していく。
その身を纏うスーツは所々避け、血に塗れている。だが彼女の動きは鈍るどころか更に鋭い物となっていく。
狙った獲物は逃さない、それがゴッサムを騒がせる怪盗キャットウーマンなのだから。

「ナーオ」

薙払いにきた最後の根をしゃがんでよけた彼女の口から猫の鳴き声が発せられる。
既に忍者刀で切りつけられる間合い、無力化が狙いなので切りつける場所は問われない。
すれ違いざまに忍者刀が閃き木蓮の右腕を捉えようとする。

――その瞬間、木蓮の右腕から現れた無数の根がキャットウーマンの体を貫いた。

「あ……?」

何が起こったのかを理解する間も無く無数の根が突き刺さったショックでキャットウーマンはその命を落とした。カラン、と音を立てて忍者刀が地に落ちる。
彼女の致命的な勘違い、それは左腕の異形からしか根による攻撃はできないと思っていた事。
木蓮は懐に潜られた時の為に左腕しか使わず、敢えて相手にそう思わせていたのだった。もし、体のどこからでも根を出せると知られていれば近寄る事もなく逃げられてしまうかもしれない。獲物を逃がすような真似をしたくなかった木蓮の作戦。
それが嵌った今。木蓮の表情が更なる喜悦に歪んだ。

「ククク……、ギャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

女性の柔らかい肉に自らの根が突き刺さる感触を味わいながら、木蓮は狂笑した。

数分後、そこには二人分のデイパックを担いだ木蓮と、道路に無造作に転がったキャットウーマンの亡骸があった。

「まったく、最初に女が殺せるなんざ幸先がいいぜ」
未だにその顔に愉悦の笑みを浮かべた木蓮はひとりごちる。
これからどう動くかを考える彼の頭に、名簿にあった二人の名が思い浮かんできた

「花菱烈火に紅麗、奴らを殺すにゃ相応の準備がいるな」

自分を倒し虚仮にしてくれた花菱烈火と、現在の上司である森光蘭から殺害命令の下っている紅麗。
片方は対峙し、片方は部下として動いていたからこそ二人の実力はわかっているつもりではある。
木蓮は地図を取り出す。その視線の先には、D-3『植物園』と書かれている。木霊を使う木蓮にとっては好都合な場所。

「しっかし準備が良すぎるんじゃねえか主催者さんよ。ま、有効活用させてもらうがな」

植物園を目指し、木蓮は歩き出す。その目には全てを殺しつくさんと燃える凶暴な炎を灯して。
仁無き男・永井木蓮。この男の次の犠牲者は果たして誰になるのだろうか……。
268仁無き男 ◆tPI1bfxBWo :2008/09/21(日) 01:22:25 ID:s2/xASq5
【キャットウーマン@バットマン:死亡確認】
残り:49名

【一日目/深夜/A-2】

【永井木蓮@烈火の炎】[状態]健康
[装備品]バヨネット×2@HELLSHING
[道具]支給品一式×2 、楼蘭舞踏鞭@Get Backers〜奪還屋〜、火車丸の忍者刀@烈火の炎、不明支給品1〜3
[思考・状況]基本思考:全員殺す
1:植物園に向かい自身を強化、及び色々と準備。
2:烈火と紅麗は必ず殺す。
※裏武闘殺陣終了直後から参戦
269ザ・南瓜:2008/09/21(日) 01:29:07 ID:s2/xASq5
以上で投下終了します。次いで版権物の支給品の説明

バヨネット@HELLSHING:法儀礼済みの銃剣、アンデルセンの愛用品。
楼蘭舞踏鞭@Get Backers〜奪還屋〜:笑師春樹の使う、楼蘭の女性達の髪の毛で作られた鞭。
火車丸の忍者刀@烈火の炎:麗(魔)の火車丸の使っていた忍者刀。痺れ薬が塗ってある。

では何かありましたらお願いします
270 ◆Xi4PD6Qh9o :2008/09/21(日) 01:44:05 ID:s2/xASq5
鳥割れしたorz
以降はこれでいきます
271 ◆Xi4PD6Qh9o :2008/09/22(月) 18:17:28 ID:JSCj4FCa
Wikiにて何人かのSSを纏めさせていただきました、時間が無く編集できなかった方申し訳ありません。
それとwiki管理人さま、お手数ですが間違えて作ってしまった「オレオレ詐欺には気をつkて」のページの削除と、自分のロワ名を、バトルロワイアル・ベルゲームに変更していただけると助かります。
272中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/22(月) 20:34:47 ID:jiFluYhP
>>271
拝見しました。
ありがとうございます。
こうやっていろいろな方の見れるのはとても楽しいです。
273中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/22(月) 20:36:05 ID:jiFluYhP
それでは投下します
274中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/22(月) 20:38:16 ID:jiFluYhP
第5話 嘘と沈黙

《洞木ヒカリ》

 陽が暮れ始めた頃、私は途方にくれていた。
 相田君は学校の入り口の前で…。そしていまだに私は1人でこんなところをうろついている。
 どうしていいのかがわからない。
 どうしてこんなことになってしまったんだろう。
 私は…まだやりたいこといっぱいあって、こんなところで、こんな殺し合いのゲームなんかしている場合じゃないのに。

 私も、あの女の子が叫んでいた山に向かっていた。
 一緒に協力して、こんなおぞましいゲーム、みんなでやめようって…そう言う為に。
 だけど、私の目の前でその2人の女の子はまだ、年端もいない子供に頭を割られ、1人は銃で撃たれた。
 私は次は自分が殺されると思ったとき、別の子…まだ小さい女の子が見つかり狙われた。
 私は…その子を見捨てて逃げた。
 自分の命が助かったことに、安心感を覚えて逃げたんだ。あの子がどうなったかはわからない。
 もしかしたらもう死んでいるのかもしれない。
 私は…委員長として最低だ。

 こんな私を…信用なんて誰もしてくれない。

つい昨日までは、普通の学校生活だった。掃除をサボる碇君や相田君、…そして鈴原…トウジをおっかけまわしていたのに。
それが…なんでこんなことに。私は誰も傷つけたくない。誰も…。

 陽の光が微かに入るその場所で、濡れた草木に隠れながら、いつ誰が狙ってくるかもしれない中で、
 私は自分の武器である銃を握って震えていた。この震えはいつになったら収まるんだろうか。

「委員長!!」

 私は振り返る。銃を握り締めて…。
 思わず驚いたのか、その人影は木の後に隠れる。

???「委員長、わいや!わい!そんな物騒なもんしまったってや」
 
 どこか聞きなれた、懐かしい声。
 私はそれが誰なのか、少し時間を要してしまった。
ヒカリ「鈴原!?」
トウジ「そうやわいや!敵やないから、もうでってもええかな?」
ヒカリ「…うん」
 木陰から現れるトウジは苦笑いで両手を挙げて出てくる。
トウジ「ようやっと知り合いにあったわ。こんな状況やし、友達やなきゃ信用できへん」
ヒカリ「…」
275中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/22(月) 20:40:58 ID:jiFluYhP
 信じる。
 
 友達でなきゃ信用できない…。それでいいのかな。
 うぅん…私はそれさえもできるのか自信がない。
 こんな中途半端な気持ちじゃいけない。
 トウジを撃つことになってしまいかねない。
 そんなことは絶対にいや!

ヒカリ「…って」
トウジ「うん?なんや?」
ヒカリ「あっちにいって!!」

 私は銃を向け怒鳴る。
 今の私の気持ちじゃ、トウジを傷つけることしか出来ない。そんなのは絶対にイヤだ。
 私は人を見殺しにして、信用する気持ちがなくなってしまっている。

トウジ「なにいって…」
ヒカリ「いいから行ってっていってるでしょう!私は、私は信用できない…もう誰も、あんたも、私自身も…」
トウジ「……」
 
 だけど、ドウジは行こうとしない。私の事をただ見ている。
 なぜ?私を哀れんでいるの?こんな風に壊れている私を見て。あんたは…そうやって私の事を。

トウジ「…委員長は優しいから、そういう風に嘘、言っているだけや」
ヒカリ「なにいって!私は…、私は本当に」
 
 震える手で私は銃をトウジに向ける。
 それでもトウジは微動だにしない。慌てもしない。

トウジ「…わいは、学校の入り口の前でケンスケが死んでて。何もできんかった自分が憎かったわ。
    せやけど、それで戦ってしもうたらそれは、あいつらのゲームに乗ったことになる。
    それやってしもうたら、わいの負けや。
    ケンスケのせいにして、わいはそんな風になりとうない」

ヒカリ「…」

トウジ「せやから、委員長も、誰かの死を自分の責任にして勝手にゲームにのってほしくないんや。委員長はまだ生きてるやないか。
    せやったら生きているものしか出来んことをしようや。
    それが…このゲームに巻き込まれて死んでいったものたちへの責任やないか?」
 
 トウジ…いつの間に、こんなことを言えるように。
 何も…何も言い返せないじゃない。
276中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/22(月) 20:42:46 ID:jiFluYhP
ヒカリ「…手伝ってくれる?」
トウジ「当たり前や。わいはいつだって、委員長の味方やで。こう見えてもな?」
 
 トウジの笑顔。
 そう、私がこの人を好きになったのは…この笑顔があったから。
 アスカにアドバイスをもらってお弁当をつくろうって思ったのは…この笑顔があったから。
 私を支えてくれる彼がいれば、私は頑張れる。
 委員長として、このゲームをとめるために。

ヒカリ「トウジ…私、」

 鈍い音が鳴った。
 私は音のほうを見る。そこに立っていたのは夕日を後にし、影になった一人の女の子。
 その女の子の目は全てを見下したもの。
 そしてその手にはなんだか大きな銃が握られている。
 私は視線を戻し、前を見た。そこには、先ほどまで笑顔を見せていたトウジの姿はどこにもなかった。
 顔がなくなっていた…あったのは破片。

ヒカリ「え…えぇ?え……と、トウジ?トウジどこいって…トウジ?トウジ?トウ…」


《神山咲夜》

 壊れた人形はそのまま頭を吹き飛ばした死体によりそうように体を動いています。
 私は優しいから、そんな壊れた人形に安らぎを与えてあげました。
 簡単です。
 銃弾をこめてそして、それを頭に打ち込めばいい。
 ただ、この銃は少し重く銃身がぶれます。威力はあるんですけど。
 これでは段数がすぐに消費されてしまいます。

咲夜「こっちの銃もらいますね」

 私はバックに新しい銃をいれて、歩き出します。
 次の獲物を求めて。すると聞こえてくるクラシックの音。
 これが禁止エリア発表と死んだものの名前の発表。

『日も落ち始めたところでお待たせしました。今のところの死者を発表します…櫻井奏、櫻井雪乃、鈴原トウジ…』

 え?

 今…なんて?

 櫻井…奏…?

 いや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや……。


咲夜「いやぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!」



277中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/22(月) 20:43:31 ID:jiFluYhP
《???》

 嘘…偽り、人間はいつの時代も、いつの世界もこれを繰り返す。
 人間はそれによって傷つけ、傷つく。
 疑い…人間は常に疑心暗鬼に陥り、自ら…破滅していく。
 人間はかも不完全であり、不完全だからこそ、己より優越なものを僻む。
 そして争い、屈服させ、己の価値を世間に示そうとする。
 世界は、平等ではないことも知らずに…。

 人間が人間である限り、不幸の連鎖は、悲しみの連鎖は決して止まらない。
 これこそが、神が作り上げた人間という存在。
 ならば…。
 神が人間を不完全に創り、なおかつ不幸を教授するのであるならば…。
 
 神など不必要である。

 神を殺し、今こそ人間は完全なる物への進化を遂げるべきである。
 そこには生と死の概念も存在はしない。
 人間同士が互いに嘘をつき、疑い破滅することもない。
 完全なる生命になるのだ。


マリアンヌ「それこそが…私たちの悲願」

シャルル「それこそが…我らの目的…ラグナレクへの接続」



278中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/22(月) 20:45:16 ID:jiFluYhP
神山咲夜
【健康状態】良好
【精神状態】混乱
【装備】
鎌 ドイツ製短機関銃MP5(やよいから強奪)ブラックテイル(ヒカリから強奪)
地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

続きます。
279 ◆Xi4PD6Qh9o :2008/09/22(月) 21:50:41 ID:eS1w5fL3
投下乙!
トウジかっこよかったよトウジ。
黒幕めいた奴らが出てきてこの先どうなるのか

後、シンプルロワ氏、wikiに纏めたはいいのですが色々うっかりやらかしてしまい申し訳ありません。当分パソ触れそうにないんで誰か修正してもらえんだろうか……
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 11:53:59 ID:pDtKhZXB
投下乙です
格好いい奴は死ぬんだぜー、格好悪い奴だって死ぬんだぜー
全くバトロワは地獄だぜ


ところで参加って自由ですかね
全員で15人しかいないバトロワと言うより同人ゲームの『キラークイーン』風のを書きたいんですけど
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:15:23 ID:2ZmIIdtj
自由ですよー、この頃人少ないけど
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:10:21 ID:lb+ETluV
書き手の数だけ読み手もいるからねえ
俺は完全な読み手だけどw
283中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/24(水) 01:27:31 ID:XhH3DchA
投下します
284中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/24(水) 01:29:15 ID:XhH3DchA
第6話 涼宮ハルヒの消失

《長門有希》
 
私たちがいる世界は1つではない。

 私が今、持っているこのボールペンを落した世界、落さなかった世界、投げた世界…これだけで無限の世界が完成される。
 小規模に見ればこのように考察できる。
 これらのことを踏まえればブリタニアという外国が存在し、日本が占領された世界。
 デスノートという死神の世界から送られたものを持って世界を修正しようとする世界。
 HIMEと呼ばれた超能力者がいる世界、雛見沢で起こる怪奇事件がある世界、私たちと何も変わらない世界……等が存在することも極自然の出来事である。
 ただ、それらは決して交わることはない。
 私たちの世界と、それらの世界は平行に時間軸を進んでおりそれは平行であるが故、決して交わらない…はずであった。
 それが、あるものの意志の力により変更された。半ば強引に。辻褄を合わせたところで、強引が故に綻びが生まれる。
 このような世界は…全ての世界に干渉し、世界が消滅しかねない危険性も孕んでいる。
 また、この状態が観察対象である涼宮ハルヒによるものではなく、外部による存在である可能性が極めて高い事から、この世界の創生者を排除対象と認定する。

古泉「皆さん、考えることは一緒のようですね」
長門「涼宮ハルヒの存在は、私たち全員に必要。これを利用することは私たち全員にとって不都合となる」
朝比奈「…涼宮さんが、学校を出てはいないことは、みんなが目撃しました。だから…」
長門「…何者かに身柄を拘束されている可能性が高い」
古泉「そして…僕らの力を持ってしてもブラックボックス、その場所が不特定なところがこの遺跡にあたるというわけです」

 遺跡…この場所、神根島中央部に位置する巨大な扉がそれにあたる。
 内部は不明。涼宮ハルヒが作り出す閉鎖空間に近いものであると推定される。
 それに気がつき、まっすぐここに向かえば揃うメンバーは限られてくる。

古泉「それでは行きましょうか、皆さん」
朝比奈「キョン君は…いいんですか?」
長門「彼は、もしものときの保険」
古泉「万が一の場合、彼の力が必要になります」
朝比奈「…わかりました」

 巨大な紋章の描かれた扉が開かれる。
285中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/24(水) 01:30:59 ID:XhH3DchA
 扉に侵入するというよりも、吸い込まれるといった状態だ。
 その中は、まるで天空。
 眩しいばかりの光の中、雲があたりにはあり、元いた場所とは考えられない。
 やはり閉鎖空間に近い場所のようだ。
 私たちの前には階段があり、そこに誰かが立っている。

???「…きたかぁ、神の騎士たちよ、Cの世界へぇ」
 
 現れたのは…この世界に植えつけられた記憶が正しければ、シャルル・ジ・ブリタニア。神聖ブリタニア帝国、第98代皇帝。
 そして、この巨大な世界、閉鎖空間を作り上げた張本人。

シャルル「貴様達がくることは、わかっていたぁ…神を助けに来たのだろうが…それをさせるわけには、いかん!」
 
 皇帝は、私たちを見ながら巻き舌で唱える。

古泉「…何が目的かはわかりませんが、涼宮さんは僕たちの世界に必要なんです」
朝比奈「それに涼宮さんは、私たちの大切な仲間です!」
長門「……あなたに利用されることは許可できない」

シャルル「おろぉかなりぃぃ!!お前たちの守るべき存在が、いかに悲劇を生み出しているかぁ、
     あのものがいる限り、この悲劇の世界はかわりはしない!!」

 皇帝は、大きな口を開けて言う。
 彼の言っている悲劇というのが何かはわからない。

古泉「あなたがいう、悲劇の世界というものが、何かは分かりませんが、あなたが行っていることは字空間を歪め、
   様々な世界を混乱させているだけです」
朝比奈「それは…ほ、他の人の迷惑です!」

シャルル「…すべては、神を殺すためぇぇ」

長門「これ以上の会話は意味を成さない、あなたが閉鎖空間を消滅させ、涼宮ハルヒを解放しなければ、あなたをここで抹消する」

シャルル「ぐふふ、ふははははははあぁぁぁ…やってみるがいい!!」

長門「情報連結を解除する」
古泉「ふんもっふ!!」

 私は腕を巨大な刀のように情報連結し斬りかかり、彼は以前見せた火球のようなものを撃ち出し、排除対象である皇帝シャルルに命中する。
 煙が立ち込め、排除が出来たか確認する。
 煙が消えていく。
286中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/24(水) 01:35:21 ID:XhH3DchA

シャルル「無駄なことぉ…私には、お前たちの攻撃など聞かん!」

 私の情報連結により伸びた刀が刺さっているのにもかかわらず、排除対象が消滅する気配はない。
 私は刀を引き抜く。
 確かに血が飛び散り相手にはダメージを与えているはずである。
 彼もまた不思議な表情のようだ。

朝比奈「…古泉君、長門さんどいてください!」

 朝比奈みくるの最終必殺技…みくるびーむ。

朝比奈「み、みくるビィーーーーム!!」

 再び巨大な爆発音が鳴り響く…だが。

シャルル「ふははははははははあぁぁぁ」

 無傷…こちらの攻撃はまったく通用していないと考えていい。
 しかし、原因が分からない。彼は人間であるはずだ。
 これほどの耐久力があるとは思えない。

シャルル「お前たちには…死をくれてやる」

 私たちは皇帝シャルルにその雲の上の世界、閉鎖空間から突き落とされた。
 そこで私が垣間見たのは、仮面…、ペルソナだった。
 私にはそれが何を指し示しているのかまでは理解できなかった。
 私たちは皇帝シャルルを打ち倒すことは出来なかった。
 私たちの攻撃を避けもせず受け、しかも無傷のことから、何かしらの力が働いている可能性が高い。
 そしてそれは…おそらく。
287中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/24(水) 01:37:14 ID:XhH3DchA
私たちが次に見えた世界は…夜の空、落ちていく…。
地上を見下すと随分と高い場所から落ちていっていることがわかる。
朝比奈みくるは悲鳴をあげながらジタバタしているようだが…。
雲の中を猛スピードで地面に向かって落ちていっている。

長門「これは?」
古泉「おそらく、あの空間からの転落先がこの場所にセットされていたようですね。
   このままいけば地上に激突、僕たちは、ジ・エンドです」
朝比奈「えぇぇぇ!?」
長門「あなたの力は使えないの?」
古泉「こちらでは、無理ですね。あの世界では使用可能であったんですが、
   こちらの世界はより現実的な設定にされていますし、いちおこの作られた世界が、今の僕たちにとっての現実世界ですから」
長門「…閉鎖空間とは違う」
古泉「残念ながら」

 残念ながら任務達成にはならなかったようだ。
 このまま地上に激突し、私たちはこのまま、この世界からは消えることになる。

古泉「後は、彼に任せるしかないですね」

長門「仕方がない」

朝比奈「キョン君!!」

 最後まで見届けることは出来ないが、それでも私は残った彼がこの世界を、
 元あるべき世界に正すであろうと信じている。
 彼にはその力があることを、ここにいる誰もが信じている。
 このまま放っておくことは涼宮ハルヒを失うこと以上に危険なことだ。

 残されたものに…後を託すしかない。

 あなたに…。

【朝比奈みくる 古泉一樹 長門有希 死亡】

《キョン》

キョン「おい!本当にこっちであってるんだろうな?」
祐一「少しは人を信用したらどうだ?」
キョン「その言葉、さっきから何回いってやがる!!」
祐一「…3回?」
キョン「バカ!十回だ!!」
詩帆「おにいちゃ〜ん!!おいてかないでぇ〜」

 まったく…こんなんじゃいつになったら目的地である遺跡なんかに辿り着けるんだ?
 朝比奈さんがいっていた、ここにみんなで集まりましょうって言っていたっていうのに…。
 古泉、朝比奈さん、長門…そして、ハルヒ、無事で…無事でいてくれよ。

288中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/24(水) 01:37:57 ID:XhH3DchA
楯祐一
【健康状態】良好
【精神状態】良好
【武装】剣 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

宗像詩帆
【健康状態】疲労(少)
【精神状態】良好
【武装】棍棒 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】HiME

キョン
【健康状態】疲労(少)
【精神状態】困惑
【武装】パチンコ玉 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

ということで続く。
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 17:36:39 ID:lb+ETluV
投下乙ー
ハルヒ勢三人も……悲しいぜ

あとwiki大量更新お疲れ様です。
290中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/25(木) 15:27:14 ID:mWX9CGfR
投下します
291中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/25(木) 15:28:38 ID:mWX9CGfR
第7話 幻視する神

 キラ事件…ゼロが起こしたブラックリベリオンと双璧をなす日本人が起こしているとされる事件。
 神聖ブリタニア帝国において最も厄介な事件でもある。
 犯罪者、そしてブリタニア関係者が次々と死んでいくこの謎の事件において、ブリタニアもまったく手も足も出ない状態である。

《夜神月》

 地図、そして時計を見ながら確認する。
 事前準備はしてある…後はタイミングだ。しかし、Lがここまで僕を追い詰めることになるとは思わなかった。
 ミサが拘束されたこと…そして、そこから竜崎(L)の手が僕に伸び、拘束されることは読んでいた。
 だが、まさか…このような陳腐なゲームで僕がキラであるということを実証しようとは…。
 ようするに、僕がキラであるという証拠。僕が殺人を起こす現場を取り押さえることで、証明しようとしているのだ。
 そのためには、このような舞台はうってつけだ。
 なによりもブリタニアらしい。だが、お前がこのような手を使うのであるならば…。

リューク「どうするんだ?月?今回のことは、さすがのお前でも予想外だったんじゃないか?」
 
 僕にこの力を与え、僕にしか見ることが出来ない死神、リュークは面白そうにたずねる。

夜神月「なに…まだ勝負はついていないよ」

 僕の後ろをついてくる2人の女…天海春香、水瀬伊織。戦力的には頼りないが、この状況下では弾除けは必要だ。
 僕が目的地に着くまでに邪魔をされるわけにはいかないからだ。
 僕はここで再び英雄となる。
 そして…今や世界の半分を支配するブリタニアを滅ぼす。
 簡単なことだ、名前さえ書けば…。

春香「なんだか…どんどん登っているように感じるんだけど、どこに向かっているの?」
伊織「そうよ、あんた!あいつらを倒すとか言ってきながら方法全然教えてくれないし。まさか、騙すつもりじゃないでしょうね?!」
月 「まさか。それに僕が君達を倒そうにも、武器がないんじゃ何も出来ないよ」

 ちっ…めんどくさい奴らだ。お前たちはLを始末すればもう用はないというのに。
 我慢だ…ここは、僕の計画のために。
 見えてきた…ここが、この島において、ブリタニアのゲーム開催者たちがいるであろう校舎がもっとも見えやすい場所。
 見下すように山となっている場所だ。
 そして、僕はここにもう1人の人間との待ち合わせをしておいた。
292中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/25(木) 15:29:57 ID:mWX9CGfR
ミサ「ら〜い〜と〜」

 弥海砂、生きていた…。これでL、お前の勝機は完全に失った。
 ミサがここに辿り着くまで、生き延びているかどうか、それが僕にとっての勝負だった。しかし、僕はその賭けに勝った。
 今、現在彼女はデスノートの記憶を失っている。Lに拘束された時点でノートの契約を破棄したからだ。
 これでミサからはノートは漏れない。
 Lは、そこから僕も尋問してノートのことを聞きだそうと僕は踏んでいた。
 だが、奴は…強硬手段を取り、このゲームに僕たちを参加させることで現行犯で捕まえようとしているのだ。

ミサ「なーに?この女たち、ライトの彼女は私だけなんだけど?」
 
 ミサは相変わらずの様子で、天海、水瀬を指差して怒鳴っている。
 こんなに元気ならば僕としても、十分だ。

春香「い、いや…私たちは別に彼女でも何でも」
伊織「なんなのよ!こいつ!感じ悪いわね!」
ミサ「ねぇ、ライト…こんな人たち置いといて、私と一緒に…」
伊織「なんですってぇ!!あんた後から来たくせに!!」
 女の喧嘩は頭が痛い。
月 「ミサ?」
ミサ「ライト、はやくこの人たちを…、あぁあああああ!?」
 僕はミサに握らせた。
 僕の時計の中にいれてあるデスノートの切れ端を…。
 Lは念のために僕の私物をすべて没収した。
 こういったことを考え、あらかじめ僕はノートの切れ端の幾つかを体の中に隠してある。
 そして…それをミサに触れさせることで…ミサは、失っていたデスノートの記憶を取り戻す。

ルール
デスノートの契約を破棄するとデスノートにかんする記憶を全て失う
デスノートが体に触れると、触れている間は、そのときの記憶を取り戻す。

 これらにそったものだ。
 本来はこれは僕のノートだったが、Lに拘束する前、ミサのノートとリュークのノートを回すように交換したことで、
 それぞれのノートに同等の記憶などがつくようになった。
293中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/25(木) 15:31:34 ID:mWX9CGfR
春香「だ、大丈夫ですか?」
 突然の声に驚いたのだろう。
 心配そうに声をかける天海、そして声をかけることさえ出来ずに驚いている水瀬。
ミサ「……わ、私。全部思い出した」
月 「よかった。これで…僕たちの作戦は全て上手くいく」
 僕は時計を見て、そして校舎のほうを見る。
 僕たちを操り人形のように使い、そして人間を人間と思わぬ、その悪行の数々…お前たちにはそれに相応しい死を与えてやる。
 僕が書いたデスノートの切れ端…。

ブリタニアのエリア11総督、カラレス
6月24日0時00分、基地設備を破壊し、ゲーム参加者の首輪を解除。その後爆死。

ミサ「…ライト」
月 「後は、あいつの名前を見たミサが、殺してくれればすべて終わりだよ」
ミサ「……」
 ミサは死神の眼を持っていた。
 死神の眼…相手の名前が見れる能力。
 これで偽名や名前を知らないものでも、簡単にデスノートに名前を記載し、殺すことができる。しかし、その代わりに寿命の半分が消える。ミ
 サはその力を持っていた。
 そして…能力を所持していたとき、Lの名前を見た。
 よって…覚えているはず。


…覚えていないだろう。覚えているはずがない。
ミサは常に人間の寿命が見えていた。
Lとミサが初めて出会ったとき、ミサはLがLであることを知らなかった。
注意してみているわけではないのだ、常に名前が見えていたミサにとって、そのときのLの名前もその他大勢のうちの1人。
覚えているはずがない…覚えているはすが……、そしてミサの次なる行動は。

ミサ「…目、死神の眼が…ほしい」

 きた…。
 これでミサの寿命はさらに半分減る。
 四分の一…僕に忠義を尽くすミサの行動はとても読みやすい。
 そして……これが許せない存在もいるはずだ。
 死神レム、お前の大切な存在が…消えることになるぞ?
294中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/25(木) 15:32:55 ID:mWX9CGfR
《L》

 盗聴器、監視であってもここまでライト君のキラである証拠はつかめていない。
 だが、ここにきて弥海砂と合流だと?何かあるに見て間違いはない。
 そして…半ば強引ではあったがこのブリタニアのゲームに参加させたことも無意味ではなかった。
 キラは…夜神月、弥海砂で間違いはない。後は殺しの方法だけだ。それがここで実践されれば、現行犯で捕まえることができる。
 そのためにわざわざ、私もワタリとともにこの実行委員に参加。
 勿論、私だけは別の個室を用意させ姿はわからないようにはしているが。

ワタリ『…L、やはりカラレス総督には…』
 
 連絡が来た。予想通りの展開だ。
 カラレスは己が支配をしているという力に溺れ、皆に姿を見せた。
 結果、それは名前を知らせたことでキラかゼロにより命をうばわれたと見て間違いないだろう。

L 「対処は任せます。厳重に…」
ワタリ『わかりました』
L 「あ、カラレスの後の指揮は?」
ワタリ『コーネリア前総督の騎士ギルフォード卿が』
L 「彼なら安心です。そのまま他の人たちの監視を行ってください」
 
 問題はキラだけがいるかということにある。
 ブラックリベリオンで行方を晦ましているゼロ…彼が、考えたくはないがキラと手を組むなどということがあれば、
 それはブリタニアの崩壊をもたらすだけではとどまらないだろう。
 完全な暗黒世界。力で世界を屈服させることになる。
 それにしても…ライト君、君は一体なにを考えて…。

 警告音!?

L 『ワタリ!?』
 
 これはワタリの身に何かがおきたときに全データをデリートするときの音である。まさか…既にキラ、夜神月が手をうって!?
 私は監視画面を見た。そこにうつるライト君は、まさしく…死神。

ドクン!?

 イスから転げ落ちる私……。

L「…やはり、私は間違っては…いなかっ……」

295中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/25(木) 15:34:37 ID:mWX9CGfR
《夜神月》
 ここから良く見える…慌てふためくものたちの姿が。
 カラレスはLが既に目をつけ手を打ってはいたようだが…、それでも総督の死、そしてL。
 君の死は他のものたちの指揮に大きく影響を及ぼす。
 ほら、何人かの兵士の顔は怯えている。
 いつ、自分がキラに殺されるんじゃないかって…。

 すべては計画通り。
 ミサに入れ込んでいる死神レムは、ミサの寿命が縮むことを放っておくことはできない。
 もし縮んだとしても、その未来に平和が訪れるようにするだろう。
 だからこそLの名前をレム自身のノートに書く。
 これで…Lは終わりだ。
 あいつが死ぬ姿を見れないのが残念だったが、この状態では文句は言ってられないだろう。

伊織「ちょっと!さっきから黙ってないで、なんとかいいなさいよ!」
月 「安心してください。もう向こうの総督は死に、敵の統率は崩壊したよ」
伊織「はあ!?あんた何を言って」
月 「これで後は…」
 
 統率が途絶えた兵士は逃げるものもでてくるだろう。
 なんだったら双眼鏡でも何でも使えば、ミサの目で…首輪を外せばいい。
 僕には、もう怖いものはない。これで、このゲームも……。

銃声

 銃声と同時に、目の前にいたミサの体が崩れ落ちる。
 僕は倒れるミサを見ていることしか出来なかった。
 それは一瞬の出来事だったから…何がなんだかわからなかったのだ。
 ミサの体を支えても、ミサのちぎれた下半身は鈍い音をたて地面に落ちる。何かが滴り落ちる音が僕の下でなっている。

【弥海砂死亡】



ヘンゼル「姉様、命中したよ」

グレーテル「えぇ兄様、さっきの鬱憤を晴らしましょう?」

296中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/25(木) 15:35:03 ID:mWX9CGfR
次回はこの続きからスタートです
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 19:30:51 ID:2hqtOGE7
そろそろしたらばが欲しいな
各地で規制が出とるし
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:19:02 ID:JgIckmlb
投下乙
双子って月にとっちゃ最悪の相性な気がww
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:01:13 ID:RpsSHEUL
プ、プロットは頭の中にあるんだけど、色々と忙しいんだからねっ
300中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/27(土) 00:15:58 ID:UJ74PqYq
投下します
301中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/27(土) 00:18:38 ID:UJ74PqYq

第8話 意志を継ぐもの

《夜神月》

 もう少し…もう少しというところで!!

月「ばかやろおおぉぉぉ!!!誰に撃ってやがる!もう少しで助かるはずだったのに!ふざけるなああぁ!!」

 僕はその撃った方向に指を差して怒鳴りつける。
 そんな僕の手を掴んで走り出すもの…それは、あの2人の女だ。
 僕は女2人に引っ張られ、古びた建物の内部にへと逃げ込む。

春香「ライトさん、ここは私たちがなんとかします。あなたはここで援護を」
月 「くそぉ!!」
伊織「あんた!しっかりしなさいよ!何やってたかよくわからないけど、まだ生きている限り希望はあるわ!それまで頑張るのよ!」

 希望だと?ミサが死んだ時点で…そんなものあるはずがない。
 だいたい、なんだお前たちは!?この僕に説教するなんて…この、神である僕に…。
 2人は、僕の前を守るようにして持っている銃を握り、応戦しながら進んでいく。
 だが、無茶だ。あいつらの武装を僕は見た。斧…そして大きな銃身…。
 それにあいつらの目は、まるでリュークのような…。
302中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/27(土) 00:20:43 ID:UJ74PqYq
《天海春香》

 場所は廃棄された工場跡…。
 大きさはそれほどではないけど、それでも身を隠す場所は幾らでもある。
 相手は2人。容姿等はわからないけど、それでも…明らかにこっちを狙っている。
 私も…元モンデンキントにいて、少しだけ銃の使い方だって学んだ。だから…ここでそれを見せないと。

伊織「春香、無理はしないでね…最悪相手を追っ払えればいいわけだから」
春香「うん。伊織ちゃんも気をつけて」
 
 工場跡は薄暗く、どこに誰か潜んでいるかわからない。
 私たちは、廃車に後ろに隠れながら相手の出方を見る。
 こっちの銃は普通のハンドガンだ。弾の数もあんまりない。
 こんな状況で…。でも、相手だって人間だ。

グレーテル「隠れないで、でていらっしゃい」

ヘンゼル「一緒に遊ぼう」

 銃声、そこら中を撃っている。私たちの上も弾が越えていく。
 私は震えていた。同じ人間なのにどうしてこんなにも楽しそうに銃を握り撃てるんだろう。
 撃たれたら痛いだろうって、そういったことを考えたことはないんだろうか。

春香「やめて!!なんで戦うの?私たちが戦う理由なんかないよ」
 
 私は呼びかける。
 そこで月明かりに見えた姿…それは子供、私たちよりもっと小さい、亜美ちゃんや真美ちゃんとあまり変わらない年齢。
 それが銃を握って近づいてくる。
 どうして?なんであんな子達が…。

ヘンゼル「どうして、君達は問いかけるのかな?」
グレーテル「自分たちがなんで戦っているのかわからないから聞くのよ、兄様」
 
 2人は微笑みながら私のほうに近づいてくる。私は震える手を握りながら、恐怖から耐える。
 私だって修羅場は乗り越えてきた。
 モンデキントで…伊織ちゃんや雪歩ちゃんたちと一緒に…。

春香「私は、みんなと一緒に…帰りたい」

グレーテル「どこに?居場所なんかないのに?」
ヘンゼル「この世界には、なんにもないさ」
グレーテル「あるのは、生きるか死ぬか」
ヘンゼル「殺すか殺されるか」
グレーテル「奪うか奪われるか」
ヘンゼル「勝者か敗者か」
グレーテル「天国か地獄か」

 この子達は…普通じゃない。
 きっと…恐ろしい目にあって……壊れかかって……。
 小さい子供なんだ。まだまだ…。それが、なにか酷い目にあってしまえば…きっと壊れてしまう。
 私はどうしたらいいの?2人に対してなにもしてあげられないの?
 このまま、2人を放っておくことしか出来ないの?
303中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/27(土) 00:24:34 ID:UJ74PqYq

グレーテル「あなたにも、天使を呼んであげる」
ヘンゼル「…さようなら」

 私の体は勝手に動いていた。
 飛び出したかと思うと、2人を強く抱きしめていた。

春香「違う!そんなの…間違ってるよ!!」

子供…そう、まだこの子達は子供なんだ。子供が銃を持ち殺人を平気で行える。そんなことはあってはいけないんだ。
何があったかはわからない。
わからないけど…こんなことはおかしい……おかしいよ。

伊織「バカリボン!!なにやってんのよ!」

春香「…この子たちだって同じ人間だもん。話し合えばわかるよ。戦うことが解決策じゃない。
   そこに逃げちゃいけないんだよ!!」

グレーテル「…不思議な人。どうして…泣いているの?」
ヘンゼル「死ぬのが怖いの?」

春香「違う!何も出来なかった私たちが……無力で貴方達を守ることが出来なかった私たちが、許せないだけ…」

ヘンゼル「自分が殺されるかもしれないのに、人の心配だなんて変わっているね」

春香「あ、そういえば……」

 私はようやく自分が今、どういった状況にいるのかがわかった。
 目の前には斧と銃を持った子。そして私はその2人の目の前にいる。
 だけど…私は、2人を放っておくことはできなかった。咄嗟の行動だった。

ヘンゼル「アハハ…面白い人」

グレーテル「…優しいのね。あなた…」

 目の前の2人は笑いながら優しい表情を浮かべる。
 私は、そんな2人の表情に釣られて笑ってしまう。
 この子たちはこんなにも純粋に綺麗に笑える。
 壊れてなんかいない。まだ…この子たちは…。

グレーテル「兄様、この子…なんだか別の世界の匂いがする」
ヘンゼル「そうだね。この子からは殺気を感じない」
春香 「え?」
ヘンゼル「…お姉さんは、見逃すよ」
グレーテル「私たちの事で泣いてくれた人、はじめてだったから」

 私は彼女達の言葉を聞いて一瞬、何を言っているのか、わからなかった。
 だが私の目の前にいた2人の子供は私に向かってそういう。
 私は2人を呆然と見ていることしか出来なかった。
304中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/27(土) 00:31:19 ID:UJ74PqYq
春香「…ねぇ、もし2人がよければ私たちと一緒に行かない?」
伊織「ば、バカリボン!!あんた…その子たちは、あんたを…」
 後ろのほうでは怯えきった伊織ちゃんの声が聞こえる。
 私にはもう彼女達は怖くなかった。彼女達に敵意を向けなければ…。
 いい子だから。
 ただ…汚い世界に浸りすぎていてよくわからなくなっていただけだから。
ヘンゼル「…どうしようか姉様?」
グレーテル「どうしましょうか兄様?」
 他人に優しくすること…それだけで、戦いはやめることができる。
 相手のために少しだけでも、気をかけること。簡単だ。
 私には力も何もない。だけど…出来たんだ。
 私は伊織ちゃんを呼ぼうと振り返った。みんなで力を合わせて…このゲームを終わらそう。
 みんなで力を合わせて…。

パン

 私の前、月明かりの下、建物の外…ライトさんが立っていた。
 ライトさんの手には銃が握られていて、その銃口からは煙が出ていた。
 私は自分の手が真っ赤になっていることに気がつく。

伊織「はるかぁああああ!!!」
 
 伊織ちゃんの声…私はその場で膝をついてしまう。意識が朦朧として…。

ヘンゼル「…お姉さん、助けてくれたの?」
 
 あ…そうか、私…2人を守ろうとして、体が勝手に動いちゃってたんだ。
 あはは…私、なにやって…、人を守って死んじゃうなんて、かっこつかないよね。
 私の視界に、あの子たちがうつる。2人は笑顔で私を見つめていた。

グレーテル「お姉さん……お姉さんは天国にいけるわ、とっても綺麗な場所」
ヘンゼル「うん。お姉さんにはそこが一番似合っているよ」

天国…。
 
ごめん…伊織ちゃん、やよいちゃん…私、最後まで頑張るっていってたのに…。私。

グレーテル&グレーテル『ありがとう』
305中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/27(土) 00:33:37 ID:UJ74PqYq










…い、…きろ…。

は……。お…き…。


声が聞こえる。
どこか懐かしい声。


やよい「起きろ〜起きろってば!」


春香 「あれ?やよいちゃん?こんなところでなにしてんの?」
やよい「あんたを迎えに来たの。一人じゃ不安だろうから」
春香 「…ごめんね、迷惑かけて」
やよい「ほら、行くわよ」
春香 「あ、ちょっと!待ってよ、やよいちゃん!!」



【天海春香死亡】

306中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/09/27(土) 00:34:26 ID:UJ74PqYq
ということで、次回で夜神月編は終了。
思ったより長くなってしまった。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 11:02:19 ID:vCXXuZTl
投下乙です!
これは月詰んだなw
対主催の双子も見たかったけど難しいかも。
余計な事して深みにハマる月とあくまでも人を信じ続ける春香が良かったです。
308中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/01(水) 00:57:19 ID:JtPTx6ud
投下します
309中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/01(水) 00:57:44 ID:JtPTx6ud

第9話 新世界

《夜神月》

 僕の計画を邪魔するものは消さなくてはいけない。
 ここまできた。Lを殺し、そして相手が驚いている間にデスノートで操り僕は解放される。そうすればもう敵はいない。
 ブリタニアを崩壊させ、そして僕は神になる。
 そう!もう目の前に…目の前にその答えは来ているんだ!!それを邪魔する奴は死ぬしかない!
 死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね…。

 邪魔なんかさせないぞ…、この僕の道を、神の道を。

月 「は、犯罪者を庇うなんて…ば、ばかな奴だ」

 目の前に横たわる死体は、赤い血の海に埋没していた。
 僕は再び銃を上げて、そこにいる悪魔に向ける。
 ためらいもない…相手は人殺し、殺人鬼だ。
 僕とは違う犯罪者。僕は引金を弾いた。
 しかし、直前に僕にぶつかってきたもののせいで、銃身がぶれ、僕の弾はあたらない。

伊織「この人殺し!!春香を…春香をかえせええええ!!!」

 やかましい女だ。お前なんかに僕がやられるわけがないんだ。
 僕は奪われそうになる銃をなんとか握りながら奪われないように必死になっていた。

伊織「あんたのせいで!春香は!!」
月 「黙れ!犯罪者を庇ったあいつが悪いんだ!」
伊織「この人でなし!」

 僕は襲い掛かる女を殴る。揉みあいになったが…しかし、力はこちらのほうが上だ。
 顔を殴り、ひるんだところで拳銃を奪う。
 これで相手より有利に立つことができた。
 僕は拳銃を握り、この僕に襲い掛かった女の足を撃つ。

伊織「あぁぁぁぁぁ!!!!」

月 「は、はは…この僕に逆らうからだ」
伊織「はあぁ…あ…ぁ…」
 悲鳴が工場内に響き渡る。これでこいつの動きは封じた。
 後は…さっきのガキを始末して…くそ…僕としたことが、こんな無粋なものに頼らないといけないなんて。
 僕はさっきまで2人がいたほうを見る。だが、そこにあの子供はいない。
 消えた!?バカな…そんなことがあるはずが…。
310中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/01(水) 00:59:17 ID:JtPTx6ud
グレーテル「探しているのは私たちのことかしら?」

 その声はすぐ近くで聞こえた。僕はその声のほうを見る。長い銀色の髪の少女がそこにはいた。
 持っている銃は僕のとは比べ物にならないくらいの大きさだ。

ヘンゼル「僕たちはここにいるよ。ずっとさっきから」

 次の声は反対側の隣から聞こえた。光る斧を持ちながら、笑顔を向ける少年。名前さえわかれば…名前さえ…デスノートですぐに蹴りがつく。
 落ち着け…僕にならできるはずだ。
 僕は握っていた銃を地面に落とし、両手を挙げる。

月 「……完全に僕の負けのようだね」
ヘンゼル「随分と素直だね?」
月 「僕にだって自分を客観的に見ることはできるよ」
グレーテル「それじゃー今からあなたがどうなるかもわかる?」
月 「その前に…君達の名前を聞いていいかな?誰かもわからずに殺されるなんていうのは、少しばかり寂しいものだからね」
ヘンゼル「名前?」
月 「そう、君達の名前だよ」
 
 僕は答えを待った。僕の時計の中にはデスノートの切れ端がある。
 血で名前を書くことが可能だ。お前たちが名乗ったが最後…。
 さぁ、早く名前を言え。お前たちも僕が裁いてやる。

グレーテル「フフフ…」
ヘンゼル「アハハ…」

月 「なにかおかしなことでもいったかな?」

グレーテル「だってお兄さん。私たちに…」
ヘンゼル「名前なんかないよ」

 名前が…ない?

ヘンゼル「気がついたときには孤児院にいて…そのときから僕たちはお互いを姉様…」
グレーテル「…兄様としか呼んだことないもの」

 そんな、そんなことがあるのか…名前がない?
 名前がないなんていうことが存在するはずが。
 名前がないんじゃ…ノートに名前をかけないじゃないか!!

ヘンゼル「それじゃー…ヘンゼルとグレーテルっていう名前で覚えておいてよ」
グレーテル「私たちを呼ぶとき、使っている名前だから」

 通名。だがこれしかない以上は、これが名前と見て間違いないだろう。
 僕のために、君達は死ぬんだ。今、ここで。

月 「なるほど…。それが君達の名前か」

 僕はその双子に背を向けて常に身につけた時計に手をあてた。
 この中にデスノートの切れ端が入っている。
 そして双子達はこの僕がキラであり、さらにはノートを隠し持っていることを知らない。
 相手は自分たちが圧倒的有利であることに自信があり、無防備になっている。だからこそ…僕に勝機はある。
311中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/01(水) 01:01:04 ID:JtPTx6ud
時計をあけ、針で自分の皮膚を刺して、血の上で…名前を書く。

 しかし、そんな僕の腕に激痛が走った。
 時計、そして腕とともにデスノートの紙切れは吹き飛んだ。
 振り向くとそこには、息も耐えながらのあの女、水瀬伊織が銃を握り、座り込んだ状態で僕に狙いを定めていた。

伊織「…春香、あんたの仇は私が討つ」
月 「あぁ…ぁ…」
伊織「…地獄に落ちろ」

 なす術がない状態、僕は目の前で再び引金を弾く女に対して、逃げ惑うことしか出来なかった。
 それでも僕の背中に撃たれる銃弾。
 建物から飛び出した僕は、地面を転がり込む。
 そして、そのまま坂道を転げ落ちていった。

《水瀬伊織》

 月は、闇の中に消えていった。
 私は血の池の中でそのまま床に倒れる。仇は討てただろうか?
 だが、あの傷では致命傷は避けられないはず…残念ながら私もこのままではどうすることも出来ない。
 足が撃たれ、血が出すぎている…。
 それに目の前の双子は、私の事を逃しはしないかもしれない。
 
 しかし、双子は、倒れている私を通り過ぎていく。

 まるで、私の姿が見えていないよう。きっと…意欲が薄れたのだろう。
 戦うことに関しての。春香のおかげだ。
 私は…どうなる?このまま、ここで死ぬのを待つしかないのか。
 こんなところで……まだ、私には…やらなきゃいけないことがたくさんある。

 重たい体を引きずりながら、私は這い蹲るように体を動かす。

 我ながら情けない姿だ。だけど、私は生きたい。
 生きて、もっといろいろなことをしたい。
 モンデンキントでの経験を生かして宇宙での仕事、それに仲間たちと…いっぱい、遊んだりして。

 視界が霞む。

 誰かが…立っている。

真 「なにやってんだ、水瀬?」
雪歩「迎えに来ましたよ!伊織さん」

 あぁ…真、雪歩!!私…、信じてたかいがあった。
 これで、みんなで脱出できる。そうバカリボンの分まで、私は生きなくちゃいけない!

伊織「真!雪歩!!迎えに来てくれて…」


あり……が……


【水瀬伊織死亡】
312中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/01(水) 01:02:48 ID:JtPTx6ud
《夜神月》

月「はぁ、はぁ…まだだ、まだ、こんなところで僕は死ねない、僕はまだ…」

 雨が降り出す中、僕は木にもたれながら息を吐く。
 手からは出血が止まらない。くそぉ!!僕は神だ!神である僕は死ぬわけにはいかない。
 こんなところで…。

月「りゅぅぅぅくぅ!!!ここにいる奴を全員殺せ!お前のデスノートで!ここにいる愚か者を、みんなぁ!みんなぁ!殺してしまえぇ!!」

 僕は雨の降る森で大声で怒鳴った。そうだ…僕にはリュークがいる。リュークには銃弾も姿も見ることは出来ない。
 そう、僕は死なない。死ぬのはここにいるすべてのものだ。
 背後に聞こえる羽の音…。リュークだ。

リューク「…あいよ」

 リュークが僕にノートを見せる。だが、そこに書いてあった名前は…。

月「なんだ、なんだこれは!?どうして僕の名前が書いてある!!おい!リューク!!」
リューク「…俺に頼るようになってしまってはお前はもうダメだ。それに、新しい面白い奴も見つけたし、お前はもう用無しだ。死ね」
月「そんな…。りゅ、リューク!!」

 僕はリュークに飛び掛ろうとするが、リュークの身体をすり抜け僕はそのまま地面に倒れる。
 そんな僕の前にたつ1人の男。僕は顔をあげてその男を見た。

黎人「月君、このデスノートは僕が有効につかわせてもらうよ」

 バカな!?なぜ、お前がそれを…だいたい僕が所有していたデスノートは、Lが持っていたはずだ。
 Lがいるのはあの禁止区域であり武装したブリタニア兵士がいる場所にいけるはずがない。

凪 「往生際が悪いね〜…これが神様の成れの果てかい?」

 誰だ、こいつは!?こんな奴はゲームの参加者にはいなかったはずだ。
 まさか…このゲームはもともと、すべて仕組まれ…うぅぅぅぅ!!!!

リューク「…月、お互い暇を持て余してはじめたことだったよな。いい、暇つぶしになったとは思わないか?」

 僕が死ぬ?死にたくない!!死ぬのは、死ぬのは怖い、死にたくない…誰か、誰か助けてくれ…ミサ!父さん!!
 
 僕は、僕は死にたく……。

 僕は……


【夜神月死亡】
313中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/01(水) 01:03:32 ID:JtPTx6ud
ヘンゼル
【健康状態】良
【精神状態】やや疲労
【装備】斧、地図、水、パン コンパス 時計 双眼鏡(菊川雪之からの戦利品)
【特殊能力】グレーテルとの精神疎通

グレーテル
【健康状態】良
【精神状態】やや疲労
【装備】ブローニング自動小銃 弾 地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】ヘンゼルとの精神疎通

神崎黎人
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】日本刀 デスノート(月から奪取)弾 地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】???

ようやっとエンド。
次回へ続く
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/01(水) 11:11:53 ID:eHGyRJKU
崩壊するチームだと思ったが見事に全滅だな。
まあ月の自業自得だわな。
315中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/03(金) 21:16:11 ID:AVOrTC6S
投下します
316中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/03(金) 21:17:31 ID:AVOrTC6S
第10話 運命の変え方

《古手梨花》

圭一は、私に運命に贖うことを教えてくれた。
末期症状であった竜宮レナを彼は救った。
それと同時にレナもまた打ち破った…。
私は、諦めかけた気持ちから、再び運命に購うことを選ぶ。
例え何度くじけようとも決して諦めない。
それが…この歯車を止めること。

 目が覚めたのは、もう日が落ちてからだった。
 私は、ゲーム開始直後、ゲームを終わらそうとする2人の少女の元に向かった矢先、
ゲームに乗った双子に奇襲を受け、間一髪で誰かに助けられた。
 そこから私は意識を失ってしまっている。

梨花「…私は…」

ノブ「おっ!ようやっと目覚めたみたいだな」

 そこにいたのは短髪の男。明るい表情をした優しい男…。
 こういったタイプの人間は初めてだ。
 閉鎖された雛見沢で永遠を繰り返す私には今まで出会ったことのない人間と会うのは少し緊張をもたらした。

梨花「あなたが私を?」
ノブ「あぁ、さすがに目の前で殺されそうになっている子供を放っておくわけにも行かなくてな」
 
 私は起き上がり、周りを見る。
 どうやらどこかの家の中のようだ。私はベットに寝かされているようで、窓の外はすっかり暗くなっている。
317中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/03(金) 21:19:35 ID:AVOrTC6S
碧 「お姫様はお目覚めか〜い?」
ノブ「あ、碧先生」
 
 そこにたつのは先生とはほど遠い女。
 長い髪の毛を縛り、男に色目を使っている時点で問題ありだ。

碧 「それに嘘言っちゃダメでしょう。あんたとその子を助けたのは私なんだから」
ノブ「違います。先生が助けたのは僕であって、この子は僕が助けたんです」
 ぶっちゃけどっちでもいい…。
 
 自己紹介を終え、この先生と呼ばれているのが杉浦碧、そしてこっちの私を助けた男が寺島伸夫というらしい。

梨花「あ、あの助けてくれてありがとうなのです。僕が寝ている間に…何人かいなくなってしまったのですか?」 
 
 私の言葉に、さすがに2人はくらい顔をする。
 名前を教えてもらったが、そこには私の仲間、部活メンバーは含まれていないようだ。
ノブ「それより、先生、あの子のほうは?」
 ノブの言葉に顔を振る碧。
 まだ誰かここにはいるのか?
碧「面会謝絶ね。どうにも怖がっちゃっていて…確かに、あの年齢でこんなゲームに巻き込まれたら怖がるのも無理はないけど」
 小さい子?
梨花「みぃ。その子は僕と同じくらいの子なのですか?」
碧 「そうだけど、知り合い?」
梨花「会ってみたいのです。もしかしたら、そうかもしれないのです」
 
 その予感はあたった。私の知る中で、私と同程度の女の子であり、そしてこういった状況でもっとも傷を負うのはL5の病状を持っている沙都子しかいないからだ。
 私はドア越しに、沙都子の様子を見る。
 沙都子の目は虚ろであり、どこを見ているのかも分からない様子である。よほど恐ろしいものでも見たのだろうか。
 私は寝ている間のことを碧、そしてノブに聞いた。
 そこで知ったのは…思った以上の人間の死である。このゲームに乗っている人間がかなりいることをそれは示していた。
 沙都子は私同様、気絶しているところを碧が見つけ保護をしたらしい。
 今の状態では、とてもゲームには生き残れない。
 何か…解毒剤的なものを注射すれば…。注射?
 私は、自分の荷物を見る。そこにあったのは注射器。
 私がアイテムとしてもったものだ。問題はこれが解毒剤であるかだが…これは賭けだ。
 私が運命に見捨てられなければ…。

碧 「ちょっと!梨花ちゃん!なにするの!?」
ノブ「ま、まぁ…先生。ここは任せてみましょう。梨花ちゃんの仲間であるなら何か考えてのことでしょうし」
梨花「…沙都子」
 
 私は病室に入り、虚ろな瞳の沙都子に注射を打つ。
318中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/03(金) 21:21:16 ID:AVOrTC6S
私は病室から出る。私の顔色をうかがう2人。

梨花「大丈夫なのです。きっと沙都子はよくなるのですよ。にぱ〜」
碧 「ふぅ、よかったぁ」
ノブ「一時はどうなるかと思ったよ」

 私自身も内心、相当焦ったが、功を奏したようだ。
 沙都子は元々、L3状態であったことから、この混沌とした状態で病状が進んだのだろう。
 私のアイテムがまさか、抗ウイルス剤であったのはとてつもない偶然…。

碧 「どちらにしろ、これで仲間は4人になったわね」
ノブ「病院っていう場所はいいところに目がつきましたよね。ケガをすれば誰でも向かう場所、そこにいれば誰かと出会う確立はかなりあがりますから」
碧 「えっへん!碧ちゃん頭いい!」
 
 頭のネジは抜けているようだが、この碧という女、なかなか考えてはいるようだ。
 部活メンバーを集めて行動にでたい私としては、圭一、レナ、詩音、魅音を探したい。彼らがこの戦いを止める鍵になる。
 それは私たちがいた雛見沢での経験からだ。

碧 「はぁ…なんか気が抜けたらお腹すいてきちゃった。ノブ〜」
ノブ「はいはい、今つくりますよ。梨花ちゃんも手伝ってくれるかい?」
梨花「はい、なのです」
 それにしても…この人たちは、このいつ死んでもおかしくない状況でなんでこんなに楽しそうに生活をしているのだろうか…。
 それが、彼らなりの日常への取り戻し方なのか。

 私はノブと一緒に台所で冷蔵庫にあったお野菜をきっている。
梨花「不思議なのです。碧もノブも全然、今の状態がわかっていないようなのです」
ノブ「わかってるさ。みんなが戦い合ってるんだろう?ブリタニアの手の平でさ」
梨花「だったら…」
ノブ「梨花ちゃん、俺もバンドの仲間がいて…今すぐにでも探しにいきたい。でも必要以上に動き回れば、戦いに巻き込まれる可能性が高い。だったらここで大人しくしていたほうが可能性はあるとおもう」
梨花「…」
ノブ「それに、碧先生のおかげで、俺たち戦わずにこうしていられるんだぜ?」
 
 そうか…碧のあの極端な明るさは、不安なものたちに明るさを取り戻させる力を持っている。
 なるほど…。どうりで私も敵かもしれない人間といるのに心が落ち着いているわけだ。

羽入『梨花は、部活仲間だけを信じているみたいですけど…』

 そうね。碧は違う、囚われない心を持っている。
 部活メンバーとか、そういった風に思っているから、それ以外のものたちと対立してしまうのだろう。
 仲間との絆、それがかえって敵を作ってしまうこともあるのだろう。
319中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/03(金) 21:23:22 ID:AVOrTC6S

梨花「難しいのです…僕には。
   友達と仲間と一緒になったところで、その仲間と、同じようにひとつの集団となった仲間は対立してしまうのです。
   それじゃー…意味がないのです」

ノブ「…そうだな」

 ノブは野菜を切る手を止めてうつむく。

碧 「仲間ってなんだとおもう?梨花ちゃん?」

 私は振り返る。杉浦碧がいつのまにか、調理室のドアの前にたっていた。

梨花「…互いを信じ合えるものたちのことなのです」
碧 「正解。それじゃーノブ、一番平和な戦いを回避する方法は?」
ノブ「みんなが戦わないようにすること」
碧 「正解、じゃー…戦わないようにするには、どうすればいい?」

 そんなこと…わからない。
 こんな状況になって、どうやって戦わないようにするっていうの?

ノブ「…敵が、いなければ、戦うことはない」
梨花「!?」

碧 「…私はね、みんなで仲間になればいいとおもってるの。お互いがお互いを信じ合えるようになれば…許し合えば、戦いは終わる」

 夢物語…きっとそれは碧もわかっているはずだ。
 だけど、それでしかもうこの戦いを納めることはできない。そして、それが一番の解決策だ。

梨花「…私たちにできるのですか?それは?」
碧 「…」

ノブ「できる出来ないじゃなくて、やってみようぜ」

 ノブが振り返って私と碧を見る。
 その瞳は、誰かに似ていた。
 運命に対して真っ向から向かっていった人の目。
 私は、その人を見ていると、無理なことでもできるのではないかと思えてくる。
 いや、無理ではない。きっと……力を合わせれば、できる。
 私以外の部活メンバーだって、そう考えているに違いない。
 私は諦めない。この運命を変えるため…。
320中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/03(金) 21:23:53 ID:AVOrTC6S
《杉浦碧》

私は梨花ちゃんとノブの話を聞きながら、あることを考えていた。

この世界は、おかしい。
まるで…私たちが戦うことを仕向けられているかのように存在している。
ここまでの記憶はある。
だが、その記憶も曖昧で矛盾しているものばかり。
誰かが、そう仕向けているのか。
そのような力を持っているものがいるのか。

もし、いるとしたら、それは私の研究の中に出てくる1人の人物だけ…

運命…それは変えられるもの。

私も、信じてみよう。

購い続ける彼らのように。

321中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/03(金) 21:24:31 ID:AVOrTC6S

古手梨花
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】羽入と前世の記憶継承

北条沙都子
【健康状態】意識混濁
【精神状態】混乱から安定へ
【装備】地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】特になし

杉浦碧
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン コンパス 時計 (武器は破棄)
【特殊能力】HiME

寺島伸夫
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】縄 地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】特になし


続きます
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 22:05:28 ID:cjpMF1zP
投下乙!
今回の話、今までの中でも一番良かった。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 14:01:00 ID:/mkiA2Oo
続きが気になる
324中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/05(日) 21:08:59 ID:/XFld/bQ
投下します。
325中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/05(日) 21:10:31 ID:/XFld/bQ
第11話 1人

《ルルーシュ・ランペルージ》

暗いくらい闇の中…俺の意識は彷徨っていた。

俺は…死んだのか?

C.C.「違うな、お前はまだ生きているよ。あの世界で」

そうか。
俺はいまだに、造られた偽りの世界に囚われたままか。

C.C.「だが、お前が次目覚めるとき、そこにあるのは死より苦しい地獄かもしれないぞ」

魔女め。俺は…もう地獄を味わってきている。
世界が俺を追い詰め、そして食い殺そうとしてきた。
俺が今いる、この世界でもそれとさして変わりはしない。
人は同じことを繰り返す。
同じ失敗を同じ苦しみを味わう。
だが、昨日とは違う今日、今日とは違う明日があること…俺はそれを信じている。

C.C.「その言葉…。私は信じるぞ」




326中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/05(日) 21:13:57 ID:/XFld/bQ

ルル「…うぅっ」
シャーリー「ルル!!」
 眩しい陽の光とともに俺が目を開けたとき、そこにはシャーリーがいた。
 シャーリー…。
 俺が失った大切なものの一人。
 俺はシャーリーを見つめたままでいた。あの失った日から久しぶりに見た、生きているときの表情。
 クラスの中ではいつも明るく、俺を叱った、俺がゼロから1人の学生に戻れることを感じることが出来た人。

シャーリー「ちょ、ちょっと。どうしたの?私の顔そんなまじまじと見て、は…恥かしいじゃない!」
ルルーシュ「すまないシャーリー……ここは。」
シャーリー「スザク君が連れてきてくれたの」
ルルーシュ「スザクが?」
 俺は銀髪の双子に襲われた。
 そこをスザクに助けられたが、俺はその戦いに巻き込まれ足を負傷した。出血が激しく俺は、意識を失っていたのだ。
 それをスザクにつれてきてもらっていたのか。
 俺は脚を動かそうとするが、やはり激痛が走る。
 偽りの世界といえど、今はこの世界が俺にとっての現実であることは認めざるを得ない。

シャーリー「スザク君が、あの場所で待っているって」
ルルーシュ「…あの場所」

 俺が考えた場所はただひとつ。そう、あの男がいるであろう遺跡の内部。
 すべてはそこで始まり、そこで終わりを向かえるであろう場所。

ルルーシュ「…くぅ」
 俺はその重たい身体を起こす。行かなくてはいけない…すべてを終わらすために。
シャーリー「ダメよ!ルル。そんな状態じゃ動けないわ」
 シャーリーが身体を支える。
ルルーシュ「戦いを終わらせるには、そこに行かなくてはいけない」
シャーリー「…ルル。なにが、ルルをそうさせるの?私たちに隠してまでやるべきことなの?ゼロとして…みんなに偽りの姿を見せてまで」
 
 シャーリーの記憶は、俺がゼロであることを知っているようだ。
 時期の記憶としてはシャーリーが、…寸前となる。

ルルーシュ「シャーリー、俺は…君達を守りたい。俺にとっての大切な人を守るために戦う。それが理由だ」
シャーリー「どうして!?私は、ルルがいてくれればいい。
      会長やニーナやリヴァル、ナナちゃんやスザク君たちと一緒に生徒会で遊んでいたあの時があればそれでいい!」
ルルーシュ「俺も…それを望む」
シャーリー「なら!」
 
 このまま俺がここに残るのであるならば、俺がいた現実とは違う未来が来るのだろう。
 シャーリーやロロ、みんながいる場所で、大切な仲間と供に過ごせることができるのだろう。
 そこにあるのは幸せ…。

だが、

ルル「すまない…。俺は、現実を見なくてはいけないんだ。まだ、俺を待っててくれる人がいる。行かなくてはいけない人がいる」

 そう、俺は行かなくてはいけない。
 この世界を創造し俺を惑わし世界をその手におさめようとするあの男を止めるべく、そして真実の世界を導くために。
327中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/05(日) 21:15:51 ID:/XFld/bQ
シャーリー「…それは、私たちより大切な人たちなの?」

 シャーリーは苦痛の表情を俺に向ける。

ルルーシュ「優劣なんかないさ。全ての人が笑顔になれる世界をつくるために必要なんだ」
シャーリー「……しょうがないか。ルルは、一度言い出したら聞かないもんね」
 シャーリーはどこか諦めた様子で、ようやく笑顔を向けた。
ルルーシュ「シャーリー…約束しよう。俺は…」
シャーリー「ストップ!なんだか、そんなことを言うとこれから……。とにかく、そういうのは無し。
      何かいいたいことがあるなら、それは後で聞くからさ。もう少しで食事ができるから、もってくるね」
 
 シャーリーは、そういうと部屋を出て行く。
 残された俺は毛布を握り締める。生きているシャーリーは…温かく、あの明るさが俺に今の戦いからの一時の安らぎをくれた。
 俺は彼女を守りたい。彼女のような全ての人を…この手で。
328中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/05(日) 21:19:01 ID:/XFld/bQ

《大崎ナナ》

 ブリタニアの蛆虫によってはじめられたこの腐った戦い。
 もう何人もの日本人が殺されている。
 無益な争い…ブリタニアの手のひらで踊らされているこんなものに、私は殺されるなんて真っ平ごめんだ。
 私は1人ぼっちで…死にたくなんか無い。

高良みゆき「やっぱり、あの灯台に誰かがいるのは確かみたいです」
日下部みさお「おそらく、ブリタニアの学生だってヴァ。ずっと見かけてないし」

 私が、こうやって人と一緒にいることができるのは、ハチ公(小松奈々)のおかげだ。
 こんな状況の中、泣き叫びながら誰か〜といっていたのだ。
 なぜ、そんなことをしているのに狙われなかったかというと偶然、山の上で戦いをやめろと言っていた奴らと同じタイミングだったからだ。
 私はすぐにハチを見つけ、黙らした。
 それからは簡単だ。敵意の欠片もないハチは次から次へと友達を作るようにして仲間を増やしていった。
 私はハチに驚かされるばかりだ。

菊地真「どちらにしろ、調べて見る必要はあるだろう」
萩原雪歩「そうですね。食料だって必要ですし」

 こっちの2人は立ち振る舞いが只者じゃない。
 まさかとはおもうが、こんな子たちが反体制グループの黒の騎士団の残党だとは思いたくはないが。
 逆にそれはそれでラッキーかもしれないが。

ハチ「ナナ、本当にあそこに行くの?」
ナナ「行かなきゃ、ダメだろう。この流れじゃ…。それに私はブリタニアが憎い」

 そんな私の手をハチが握る、私はハチを見つめる。
 ハチは震えていた…恐怖に怯えている。
 そうだ…ハチは戦いなどを好まない。当たり前だ…。
 本当は戦いから遠ざけなくては、いけないのだろうけど、私は私で1人になることを恐れている…
 ハチと同じで恐怖に竦んでいるんだ。

 一人になることは怖い。
 私は小さい頃に家族を失った…母親に棄てられた。
 それからだった、私が1人を怖がったのは。恋人ができるとそれに強く依存し、バンドをつくるとさらにそれに依存した。
 周りにはそんなもの微塵も見せないで、強がって…。
 本当の私を、私は決して見せなかった。
 だけど今、私はバンド仲間も、そして恋人もいない状況でしがみついていた。
 唯一、心を見せることができる私の友達であるハチに。

329中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/05(日) 21:21:00 ID:/XFld/bQ
真 「よし、行くぞ。十分に気をつけて周りを囲むように進んで」
みゆき「大丈夫です。出入り口は一箇所だけですから。あとは海に囲まれていますし」
雪歩「念のために罠等に警戒して」

 私たちは向かう…草むらを縫うように、その先にある灯台で何があるかも知らずに。
 だけど私にはこうすることしか出来なかった。
 1人でいることなんか出来ない。
 一人じゃ…私の大切なハチを守れない。だから…。

 菊地真は手で合図を出しながら周りの者たちを先導する。
 みんなただの女子高生であるにも関わらず、まるで戦場の兵士のようだ。
 これがこのゲームがさせる魔力。いつかこの連携だって自分が生き残りたいという気持ちになって、崩壊しただ殺し合うようになるのだろう。
 私はそんな嫌な気持ちを首を振って振り払い、自分も進もうとする。
 そこで目の前に後で立ち止まっているもの。

ナナ「おい!シンジ、おいてくぞ」

碇シンジ「あ、あぁ…。だ、大丈夫。し…しっかりやるから」

 首筋を掻き毟っている男は、碇シンジ…私たちの中で唯一の男…の割にはもっとも頼りない。
 最初に会ったときは「ごめんなさい、殺さないで!」といったほどだ。
 おかげで戦意喪失してしまった。
 悪い奴なのではないのだろうが、男としての度胸等が致命的に足りない。

 足を進める中、手を握っているハチがうつむきながらつぶやく。

ハチ「……私は、戦いたくない」
 私は、そんなハチを見つめる。
ナナ「バカ!まだ私たち何もしてないじゃん!」
ハチ「…私は、生き残っても」
ナナ「そういうのは、終わってからいいな。人の人生はそれぞれ…、私は、あんたに生きて欲しい」
ハチ「…」
 
 そう、あんたには…私が生きるっていうものをあげる。
 あんたから貰ったいろいろなもの。それを恩返しするよ。


 だから…こんなところじゃ、死ねない。そして死なせない。


330中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/05(日) 21:22:25 ID:/XFld/bQ
2日目灯台編開始です。

続きます。
331中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/07(火) 00:46:43 ID:p6g4wTIH
投下します
332中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/07(火) 00:47:55 ID:p6g4wTIH

第12話 血戦

《シャーリー・フェネット》

 おかしいな。
 ルルーシュはお父さんの仇、だけどそれ以前に…私の大切な人であった…。
 それまでの記憶を消されていた…そしてそれを取り戻したはずなのに…。
 まだ、まだ何か大きなことが思い出せていないような気がする。
 それに、ルルーシュに対する憎しみも、なくなっている。
 最初は…あんなに強い気持ちだったのに…どうして?

ミレイ「シャーリー、どうしたの?そんな慌てて」

 そ、そうだ…私、ルルーシュが目を覚ましたって

シャーリー「ルルが目を覚ましました!」
ミレイ「本当!?よかった…最初はどうなるかと思ったけど」
ロロ「シャーリーさん、兄さんは、まだ向こうに?」
シャーリー「うん、会ってきてあげて。きっと喜ぶと思うから」
ロロ「はい…」

 ロロはそういって嬉しそうに部屋を出て行く。
 私はロロをルルーシュの弟としてみている。
 意地悪されたこともないのに…どうして、こんな…胸が痛むのだろう。
 私は…どうしちゃったの?

リヴァル「ルルーシュが目を覚ましたのなら、料理の量、少し増やしたほうがいいですね会長?」
ミレイ「そうね、ニーナ1人分追加」
ニーナ「もう、ミレイちゃんったら、そんな器用に上手くできたら苦労しないって」

 いつもの生徒会のような風景…。
 そう、私にとってはこれが普通なはずなのに、私はこれを本当と受け取れない。
 一体なぜ?
333中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/07(火) 00:49:37 ID:p6g4wTIH
そのときだった、部屋から誰かが廊下を走ってくる音が聞こえた。
私はロロが帰ってきたのだとばかり思っていた。
しかし、それは大勢の人間の足音である。

ミレイ「リヴァル!監視カメラ!」
リヴァル「やばいです、会長!」

 灯台の中央制御室を私たちの集まる部屋としているここで、数台設置されている監視カメラにははっきりと誰かが銃を握りは言ってくる姿がわかる。

ミレイ「ドアの鍵を閉めて!みんな銃を持ってテーブルを倒して楯にするのよ」
 
 ニーナは急いで、ドアの鍵を閉める。
 私はそのままテーブルを倒して楯のようにしてその裏に私たちは隠れる。

シャーリー「ルルーシュとロロは!?」

 隠れてからリヴァルがいった。そうだ…ロロとルルは、まだ医務室に。
 それにルルのケガはまだ治っていない…。
 ルルが危ない。私は駆けつけたいという気持ちで立ち上がろうとする。
 その私を会長が止める。

ミレイ「ロロがなんとかしてくれるはずだから、今は抑えて…」

 そのとき、ドアが壊れる音ともにドアのガラスが飛び散った。
 私は悲鳴をあげることも忘れてテーブルの中に隠れる。

真 「見つけたぞ、ブリタニア…」

 彼女は持っていた、大きな銃を私たちのかくれているテーブルに向ける。
 それと同じく他の子たちもはいってきた。
 銃を向ける子たちのほとんどは女の子。

みさお「大人しく銃をこっちに渡すだってヴァさ」
雪歩 「そうすれば、こちらから貴方達を傷つけることはしないわ」

リヴァル「そんな銃をつきつけて、何が傷つけることはしないだ」
ミレイ「リヴァル!」
 会長はリヴァルを叱ると、テーブルからゆっくりと両手を上げて顔を出す。私は会長のその勇気に驚くのと同時に、会長に何も起こらないことを祈ることしか出来なかった。

ミレイ「こんなところで撃ち合ったって…お互い傷つくだけだから、銃は無しで話しましょう?」
 
 こんな何も遮るものがない場所で撃ち合えば確かに会長の言うとおり、みんな…。
雪歩「今さらそんなこと!」
真 「雪歩、落ち着いて…」
雪歩「だって!こいつらのせいで、伊織さんや、春香さんが……」
真 「いいから!銃をおろすんだ」
雪歩「…」
 
 私たちは…そんなに嫌われているんだ。
 ブリタニア…日本人をエリア11と称し、なおかつその威厳を、心を踏みにじった。私隊は嫌われていてもおかしくはないのかもしれない。
 でも、手は取り合えるはずだ。
 スザク君がそう。スザク君は日本人だった。だけど…私たちは仲良く手を取り合って…。
334中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/07(火) 00:51:35 ID:p6g4wTIH
ナナ「これからどうするの?このまま膠着になるのは…」
真 「わかっている。確かにここで撃ち合えばお互い、消耗するのは確かだが…私たちは引く気はない。
   武装を解除することを望む」
 
ミレイ「……銃を棄てろってことね」
ニーナ「ミレイちゃん!」
リヴァル「会長!!」

 会長は…あくまでこの場を納めるつもりだ。
 このままじゃ本当に撃ち合いになりかねない。
 そう判断したんだと思う。だけど…それじゃー私たちが今度は危険な目に。

ミレイ「ただし…貴方達が、ここから出て行った後…灯台の窓から銃を棄てるっていうのと、ここには二度と近づかないっていうのが条件ね」
みゆき「貴方達、自分の立場がわかっているんですか?」
ミレイ「私は、生徒会長として、ここにいるみんなを守ることが役目です」
 
 会長は一歩も引かない。

真 「いいだろう…」

 それに根負けしたのか、リーダーであるだろうボーイッシュな女の子が告げる。

雪歩「真さん!相手が嘘をつく可能性だってあるんです!この場でしっかりと確認して銃を奪うべきです」
ナナ「同感だ。それに…このゲームが続くなら…少しでも人を減らしたほうがいい」
ハチ「ナナ」
 
 しかし、それに反対する人たち…。
 私は何も出来ないの?このまま、日本人とブリタニアの人たちが憎しみあったままで、そんなことで…。
 ルルーシュは言った。
 大切な人を守りたいって…それは、私たちだけのことじゃないとも。
 生徒会のみんなも大切だけど…、そのためには、敵をつくっちゃいけないんだ!

シャーリー「ごめんなさい」

雪歩「!?」

 私は立ち上がり言った

シャーリー「ブリタニアの人たちが行ったことは、きっと……私が思っていること以上に酷いことだったと思う。
      だけど、私も黒の騎士団にお父さんを殺された。
      だから私は騎士団が憎い、でも…そんなことで戦いを続けていたら…ずっと終わらないよ」
335中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/07(火) 00:52:45 ID:p6g4wTIH

ミレイ「シャーリー…」
真 「…」

シャーリー「…憎しみ、戦うのは、もうやめよう?私たちだって…分かり合えるはずだよ」

雪歩 「今さら…、今さらそんなこと!!」

 私の眼前に銃を突きつける子。私は目を閉じた…。

 パチパチ

 それは拍手の音。私は目を開けて、その音のなるほうを見た。
 そこには1人の女の子がいる。
 彼女は私のほうに向かって歩き、そして私に微笑みかけると、振り返って私に銃を向ける子のほうを見た。

ハチ「私は、この子のいっていることが正しいと思う」
ナナ「ハチ!!」
ハチ「…ナナ、私は…ナナが戦うところを見たくない」
ナナ「…」

ハチ「もうやめよう?こんなことをしてたら、みんな死んじゃう!そんなこと…させたくない」

 私の願い…届いた。
 やっぱり言わないとダメなんだよ、ルルーシュ…。
 思ったことを素直に。暴力のやり方は間違っている。
 こうやって話し合えば日本人もブリタニア人も関係ない。

ミレイ「私たちの負けみたいね。戦うことが全ての解決策じゃない」
真 「互いを信じて話し合うこと…」

 リーダーのような人は銃をおろして会長に近づく、それと平行して机を楯にして隠れていたニーナやリヴァルもたちあがる。
 私は前にいる日本人で私と賛同してくれた子に声をかけた。

シャーリー「ありがとう、あなた。おかげでみんな戦わなくてすんだから」
ハチ「私も…戦いたくなかったから」
336中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/07(火) 00:54:19 ID:p6g4wTIH
リーダーの子が会長と握手をしようと手を伸ばしたとき、ガラスを踏んだ音が部屋に響いた。
パキッっていう小さな音。



シンジ「うわあああぁぁぁぁ!!!!!」




 悲鳴に似た声と響き渡る銃声が、私の隣にいた会長の頭を吹き飛ばす。
 私は、その返り血を浴びた。
 それと同時に、私の隣から顔をだしたニーナやリヴァルが銃を握り撃ち返す。
 部屋は…様々な銃声が鳴り響く場所と化した。

シンジ「うわぁああああああああ!!!敵だ!敵がいるぅ!殺さないと殺さないと!
    死ぬんだしねしねいしねしね!!敵はみんな殺さないといけないんだ!!しねしね!!」

 私の目の前で、先ほどまで戦うことなど考えもしていなかった人たちが撃たれ、血を噴出し真っ赤に染まりながら倒れていく。
 私は…間違っていなかったはずだった。
 たった数秒前までは、みんなで争いのないように、みんなで納得していたはずなのに…。
 それが、どうしてこんなことに…。

 ねぇ、ルルーシュ?私、間違ってなかったよね。

 私…戦いのない世界を作ろうとしたんだ。
 その世界をルルーシュに見せて…わかってもらおうとしたのに……。
 そうすればルルが傷つくことはないもん。
 ルルが1人で全てを背負って、1人で傷ついて…そんなこと、私はさせてたくない。

 流れる血…。
 私はそれを見つめ…すべてを思い出した。


 私は…もう死んでいたんだ。


 だから……。

 ルルーシュ……あなたに言いたかったな、しっかりとした言葉

 また会うときに…そのときにきちんと伝えるよ…。

 私は何度でも、きっと貴方のこと好きになるから









337中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/07(火) 00:54:50 ID:p6g4wTIH
続きます。
338中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/10(金) 22:56:04 ID:1xG73ZMF
投下します
339中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/10(金) 22:58:45 ID:1xG73ZMF

第13話 ナナの願い ハチの夢

《大崎ナナ》

 銃撃の音の中…私はハチを守ろうと彼女の身体をしっかりと抱きしめていた。
 まるで雨の音のように、激しく…そしてどこか単調的な音。
 私は、銃を握らなかった。
 なぜ…だろう?
 私は誰かのために人を撃つのではなく、誰かを守りたかったのかもしれない。

 銃声が途絶え終えた後、私は顔をあげ、前にいたハチ(小松奈々)を見つめる。ハチは震えた顔で私を見つめる。
 私はそんなハチをもう一度抱きしめた。

ナナ「これは夢…悪い夢だよ」
 
 私は立ち上がろうとした…しかし、そこでこみ上げてきたもの…、私は床に血を吐いた。
 私の腹部は撃たれていたようでお腹は真っ赤に染まっていた。

ハチ「ナナ……」
ナナ「ごめん、外……連れてってもらえる?」
 
 私は、ハチに肩をかつがれ、お腹を抑えながら階段を下りていく。
 怪我しているとき階段を下りるのはきつい。全身に響くという感じで痛みを猛烈に感じる。
 私は前だけを見つめ、その暗い場所から…光のある外に出る。
 さっきまでは感じられなかった外の潮風…、清清しい。
 こんな場所で、私たちは何をしているのだろう。
 なぜ、こんなところで殺し合いなんかをしなければいけないのだろうか。

ナナ「ありがとう…ここでいいよ」

 私はハチの肩から下ろされて、木を背にしてもたれる。
 私は口の周りの血を拭いながら、ポケットにあったタバコをとる。

ナナ「…ごめん。私…あんたを巻き込んだからこんなことになっちゃって。私に関わらなければ…こんなことにならなくて済んだのに。
   いつもそうなんだ。私と関わる奴はみんな不幸になる。
   ノブだって家族から勘当状態だし、あいつは薬やってるし……もう、何してんだか…」
 
 私は気持ちが口からどんどん出てくる。きっと撃たれて気が動転してるのかもしれない。

ハチ「…そんなことないよ。こんな性格の私に、ここまでついてきてくれたのはナナと淳ちゃんだけ」
 
 淳子…ハチの高校からの級友だ。

ハチ「ナナ…、ナナは1人じゃない。ノブだってシンちゃんだって…私だって、みんなナナの味方だから…ナナを悪く言う奴は私が許さないんだから……」
 
 そういうとハチはそのまま私に倒れ掛かる。私ははっとしてハチを受け止める。
 そのとき手に感じた熱いもの……。
 そう、私はハチを守ろうと楯になった…銃弾は私の背から腹部を貫通し、そしてハチにも…。私は守ろうとしたものを、守りきれなかった。
 私は拳を握り、地面に撃ちつけた。
340中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/10(金) 23:00:20 ID:1xG73ZMF
ナナ「ちくしょう!ちくしょぉお!!」
ハチ「ナナ…」
ナナ「どうしてだよ!私たちが何したんだよ!!なんで、なんでこんなことにならなきゃいけないんだよ!私は…私は……」
 そんな私の拳を止めるハチ
ハチ「…もういい。私、誰かにそんな大切にされるようなこと……したことないし、ナナにそんなに言ってもらえるだけで凄く嬉しい」
ナナ「…ふざけんな!私は、私は…お前に生きて欲しかった。お前みたいに大切な家族がいて、誰かに必要とされる奴は、こんなところで死んじゃダメなんだよ!!」
ハチ「ナナ…」
ナナ「…私は、お前に……生きて」
ハチ「私は、ナナと一緒にいたい」
ナナ「…」
ハチ「男の人とは、自分で言うのもなんだけど、とっかえひっかえ…傷つけてばかりで、別れてしまったらやっぱり会いづらくなるし…辛くなる。
   だけどナナとは、傷ついても、一緒にいたいって……あの部屋で2人で過ごした日のように、一緒に暮らしたいって思えたの。それは…今も変わらない」
ナナ「…あー、ったく気が狂うぜ」

 私はタバコを取り出す、どうやら最後の一本のようだ。
 本当にこれで万事休すってわけか。まったくふざけた世界だぜ。
 こんなときに隣にいるのが男じゃなくて…ハチだなんて。
 ま、それも悪くないか。年老いて死ぬのもごめんだし……こうやって晴れた空の陽の下で、この世とおさらばってのも悪くない。

《小松奈々》

 ナナと最初に暮らしだした頃のことを思い出した。
 あのときは、何もかも上手く行かなくて、彼氏とも別れて絶望の淵に立っていた。そんなときもナナは、私にそれとなく気を使ってくれて……嬉しくて。
 よく思った。
 ナナが男の人だったら一世一代の恋愛ができるって。
 きっと…男の人だったらそれはそれで、大変なのかもしれない…こういう女友達だからこうやって上手くできたのかもしれない。

ハチ「……こうして2人っきりっていうのも、久しぶりだね」
ナナ「あぁ、最近いろいろ忙しかったからな」
ハチ「…」
ナナ「…」
ハチ「…」
ナナ「なんだよ?話題ないのかよ!」
ハチ「…だって、こんなときに何を話せばいいのかわからなくて」
ナナ「最後の最後までお前は…」
ハチ「あはは…ごめんごめん」
 
 私たちは横目でお互いを見る。
 この笑顔に今まで私は支えられてきた。
 どんなに苦しくても、辛くても…ナナが励ましてくれたから。
 だから私も頑張れた。何の恩返しも出来ずにごめん。
341中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/10(金) 23:02:47 ID:1xG73ZMF
ハチ「そういえば、ナナ新しいギター買ったんでしょう?お金大丈夫だったの」
ナナ「最近引いてないからな、自分のやる気をださせるために買ったんだけど…時間なくて」
ハチ「ナナはボーカルだもん」
ナナ「…私としては囚われずにいろいろとやりたいんだけどな」
ハチ「それじゃー今度、私に聞かせてよ」
ナナ「アハハ…路上でやるんじゃねーんだから」
ハチ「ひどっ!」
ナナ「……ブラストじゃなくて、大崎ナナ個人での客なら実力と見合ってるかもな」
ハチ「じゃーそれで」
ナナ「……バカだな、私たち。もうギターも歌も、出来ないっていうのに…こんな話して」
ハチ「そうだね…ホント、バカ」
ナナ「…フォローしろよ」
ハチ「だってそうじゃん!」

ナナ「…」

ハチ「…ナナ?」
ナナ「…ごめんハチ、……眠くなってきちまった」
ハチ「……一緒に寝ようか?」
ナナ「バカ、私は女とやる気は……ん!?」

ハチ「…」
ナナ「…」

ハチ「……いつかのお返し」
ナナ「そんなこといちいち覚えてるお前はすげーよ」
ハチ「シンちゃん、ノブ……無事でいるといいね」
ナナ「……あぁ、あいつらのことだから…きっと」

ハチ「…おやすみナナ」

ナナ「おやすみ……ハチ」






私たちは眠った。

青い青い空の下、木陰の下で…。

ナナの弾き語りを隣で聞く夢を見て

342中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/10(金) 23:03:55 ID:1xG73ZMF
続きます。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 23:59:20 ID:ITmGbTPt
age
344中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/13(月) 11:11:17 ID:xne7B579
投下します
345中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/13(月) 11:12:55 ID:xne7B579

第13話 僕は鳥になる。

《ロロ・ランペルージ》

銃声が響き渡った。
僕は兄さんのいる医務室に隠れ、難を逃れていた。

ルル「…今の音はなんだ?会長は!?シャーリーは!!」
ロロ「落ち着いて兄さん!僕らはここから生き延びないといけない。兄さんは…生きなくちゃいけないんだから」
ルル「……俺は、生きなくてはいけない?」
ロロ「それが、僕たちの願いだよ」
 
僕は兄さんをかついで部屋を出る。まだ生き残りがいるかもしれない、ここは急いで脱出したほうがいいだろう。
そう、僕は…兄さんに生きる術を教えてもらった。
だからこそ僕は今、その恩を返さないといけない。

 階段を下りて、そして灯台から外に飛び出した。
 とにかくここらへんは危ない。場所を移動してそこで休めば…。

 みんないないこの状況で…僕しか兄さんを守れないんだから…。

 前に人影!?

 僕は兄さんを背負ったまま、木陰に隠れる。
 前にいるのは女の子。
 どうする!?このままやり過ごせるか?今、僕には武器がない。
 相手が拳銃であったとしたら、僕のギアスは物理的なものに関しては時間を止めることができないから…かなり危険なことになる。

 前にいる子はなにかをぶつぶつといいながら、周りを見渡している。
 こうなったら迂回しようと僕は、今来た道を逆に戻ろうと足を進めようとした。そのとき、運悪く木の破片を踏み、音がなった。

銃声が何発か鳴る。

 木陰に隠れていたこともあり、相手も狙っていたわけじゃないのだろう。
 はずれはしたが、見つかった!

ルル「どうしたロロ…誰かに」
ロロ「大丈夫だよ、兄さんは……ここで少し待っていてくれないかな?」
ルル「ロロ…やめろ、無理はするな!」
ロロ「大丈夫だよ、僕は兄さんの弟なんだ。こんなところで、やられたりするもんか」

 そういうと僕は兄さんを下ろして、ギアスを作動させる。
 相手が銃を撃っていない今のうちに…。
 僕は兄さんから離れると女の前まで向かおうとしたが、少し距離がある。僕は兄さんを巻き込まないために、離れたところで隠れて、ギアスを解く。

ロロ「こっちだ!」

 僕は声をあげて、その女の注意を引く。
 女は僕のほうを見ながら、銃を握り、近づいてこようとするが、僕がさっきまでいたほう…兄さんがいる場所を見るとそっちに向かおうとする。
 ばれている!?
346中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/13(月) 11:15:52 ID:xne7B579

こなた「…露骨なんだよね、その言い方。誰かが隠れているフラグがビンビンにたっているよ?」
ロロ「くっ!!」

 再びギアスを使う。武器がない以上…逃げるしかない。
 僕は心臓を抑えながら、兄さんの元に走ると兄さんを背負って走り出す。
 何回も使っているためか、長時間は使えずにギアスを解く。

ルル「ロロ!?お前ギアスを!」
ロロ「…兄さんを逃がすためには仕方が無いことだよ」
ルル「やめろ!!お前のギアスは心臓に負担がかかりすぎる!」
ロロ「大丈夫、逃げるだけなら…」

 背後から放たれる銃弾…。

こなた「えーっと…ロロ・ランペルージ。ギアス能力は人間の時間停止。ただしその間、心臓も止まるだったかな?」

 相手はこちらにむけて銃を撃って追いかけてくる。
 僕は、再びギアスを使いながら、相手との距離を広げていく。
 兄さんを抱えたままではかなりきついけど…。
 それでも、このまま逃げ切れるなら。

ルル「ロロ…もういい、やめてくれ!これ以上、お前にギアスを!」
ロロ「…も、もう追い払ったから平気だよ」

 息を切らしながら、僕は後ろを振り返る、もう追っては来てはいないようだ。
 だいぶ疲れたけど…それでも、兄さんを守ることは出来た。
 僕は兄さんを下ろして、しゃがみこむ。

ルル「…すまない。俺は…同じことを繰り返しているだけだ。結局何も変えられない」
ロロ「そんなことはないよ、兄さん…。兄さんになら、なんでもできるはずさ」
ルル「…」
ロロ「自信を持って、いつもの兄さんを見せてよ?この偽りの世界を変えられるのは、兄さんだけなんだから…」
ルル「!?」
ロロ「あれ?僕…今、何か変なことを…気にしないで、兄さん」

 今僕は何か変なことをいったような…なんていったっけ?
 思い出せない…。そんなときだった、草を掻き分ける音とともに、影が僕らの足元に現れた。
347中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/13(月) 11:20:01 ID:xne7B579

碇シンジ「みぃぃぃつけたぁぁあああああ」

 その狂気に満ちた声に振り返った僕は、そこに1人の男が立っていることを知った。
 震えた手に握られているのは銃。
 首筋からはひっかいた傷跡から血を流し、さらには彼は体中…顔からズボンまで血にまみれてこちらに銃を向けた。
 僕は兄さんの壁になり、ギアスをかけた。
 物理現象を止めることはできない。
 僕は銃弾を受けながら、その銃を撃つ血まみれの男に体当たりをかまし、動かない彼と供に、草むらを掻き分けて行く。
 僕は振り返って兄さんを見た。

 生きて……兄さんが、その目標を達成するまでは……生きて……。

 僕は、兄さんが好きだった。

 僕に生きる意味を教えてくれた兄さんのことが…。

 その恩を今、返すよ。

 時が…動き出す。

シンジ「なぁっ!?あぁぁぁぁ!!!!」
ロロ 「兄さんは誰にもやらせない!」
 
 僕はその男と供に宙を舞った。崖から海に向かって相手もろとも身を投げたのだ。勿論、相手は逃げる術はない。
 僕はそのまま海に向かって落ちていく。
 これが兄さんのためにできるせめてもの償い。そして、僕の役割。


空に舞う僕は…身も心も自由でいられる…まるで鳥のようだ。

きっと…僕が求めた自由はここにあるんだ。

ギアスや、世界、その全てに束縛されず、自分の想いだけを持つことができた。

僕は……。

348中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/13(月) 11:21:10 ID:xne7B579

《ルルーシュ・ランペルージ》

ルルーシュ「……フ、フフフ。フハハハハハハ」

C.C.「…」

ルルーシュ「なるほどな。これがあいつの見せたかった構築された世界。人間の醜悪さ、悲惨さ…無力さ…儚さ…。
      これを俺に見せることで、あいつは俺に絶望を与えたかったのか。俺は無力だと。
      人間はいかに繰り返そうとも、所詮は変わることがない、永久不変の存在であると…」

C.C.「…お前は何を知った?ルルーシュ…。この世界で。全ての人間の想いが交錯する世界で…」

ルルーシュ「…答えは既に出ている。後はそれを直接言い渡すだけだ。
      ルルーシュ・ランペルージとしてではなく、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとして…」


 言ったはずだぞ父上。
 俺はもう、絶望しか残っていないと…。
 そして死の花道には…お前も道連れということを。







《11話以降の死亡者リスト》
ロロ・ランペルージ シャーリー・フェネット ミレイ・アッシュフォード リヴァル・カルデモンド ニーナ・アインシュタイン 
高良みゆき 日下部みさお
大崎ナナ 小松奈々
萩原雪歩 菊地真
碇シンジ
349中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/13(月) 11:21:55 ID:xne7B579
続きます

ルルーシュ・ランペルージ
【健康状態】足を負傷
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】ギアス(絶対服従の力)

泉こなた
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】ライフル マシンガン(拾得) ショットガン(拾得) ハンドガン(拾得) 地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】オタク(全キャラクターの能力等や性格をアニメ誌から把握)
350未来人類 ◆qnghh8.8bg :2008/10/17(金) 00:57:22 ID:2DKeCFhu
第三新東京市第三中学校
2年A組出席者名簿

男子一覧
男子一番:相田ケンスケ
男子二番:碇シンジ
男子三番:伊藤ケンイチ
男子四番:植田ヒロキ
男子五番:遠藤ユウタ
男子六番:筧カズヤ
男子七番:木本イチロウ
男子八番:久瀬ナオタカ
男子九番:工藤タツヤ
男子十番:佐藤ノリオ
男子十一番:田代ダイキ
男子十二番:多田シンイチ
男子十三番:藤堂リョウスケ
男子十四番:新垣ノブヤ
男子十五番:矢田カズキ

女子一覧
女子一番:綾波レイ
女子二番:阿藤ミサキ
女子三番:加賀リョウコ
女子四番:木田レイコ
女子五番:小島ユキナ
女子六番:斉藤アイ
女子七番:柴木リカ
女子八番:須藤カオリ
女子九番:惣流アスカラングレー
女子十番:千代田サキ
女子十一番:戸部ユカ
女子十二番:永沢アオイ
女子十三番:渚カヲル
女子十四番:堀田アキ
女子十五番:真部ヒトミ

以上30名の生徒の参加を確認
欠席者なし
2015年6月20日
担当教員:鈴木ケンジ

注意事項:現在国会で新世紀教育改革法の廃止案の審議が行われているのを考慮し、
今回のプログラムの実行は予定を10日間早めて行う。
それに伴い、昨今活動の活発化してきた反政府団体によるプログラムの妨害行為が予想されるため、
プログラムの実行に当たる全ての職員には厳重な警戒と確実な任務の遂行を強く求む。

指令第401号
発行:内閣府新世紀教育改革法実行委員会
351未来人類 ◆qnghh8.8bg :2008/10/17(金) 01:57:37 ID:2DKeCFhu
ガタガタと上下左右に揺れる小刻みな振動。
綾波レイは不機嫌そうに溜息を吐くと、文庫本を閉じた。

新世紀が来て十年以上も経つというのに、
今回の修学旅行に使われているバスは過去の遺物となりつつあるガソリン車。
この国が経済難に陥っているのは確かだが、
せめて三年に一度の修学旅行の時くらいは少々の奮発をして欲しいものだった。

車の揺れが手に伝わって、当たり前だがその手に持っている文庫本も一緒に揺れてしまうので、
本が読み難くて仕方がない。
レイは周囲の人間からはあらゆることに無関心な少女だと思われているが、
実際には神経質な面が少なくなかった。
周囲の人間がそれに気づかないのは、
単純にレイの性格が他人に自分の内面を見せることを拒んでいるからだ。

本を読むのを諦めたレイは小さく欠伸をすると、
車内の様子を特に意味も無く見回しはじめる。
バスに備え付けられているテレビでは映画が映し出されており、
その映画はレイが1ヶ月ほど前に深夜のテレビ放送で観たものと同じだった。
確か猿が人間のような暮らしをしていて、人間が猿同然の暮らしをしているという話で、
最後は核兵器で地球が消滅するのだ。

深夜一人でカップラーメンを啜りながら深夜映画を観るのは、
実はレイのあまり多くない趣味の一つなのであった。
だが今まで誰かにそのことを話したことは一度もない。
何故なら他人と趣味の話をした機会が彼女には皆無だったからである。
352 ◆Xi4PD6Qh9o :2008/10/17(金) 08:15:56 ID:A/15RtqW
>>349
投下乙です。ロロがまた死んでしまったルルーシュ、悲壮な決意をしたみたいですがどうなるのか……

>>351
新作乙です。これはエヴァのパラレルみたいな感じなんでしょうか?続きが楽しみです

では自分も投下させていただきます。今回はキャスターです
ファンシーなキャラクターが所狭しと並んでいる、ファンシーゾーンと呼ばれるエリアの一角で、一人の女性が佇んでいた。
流れる紫の長髪に、尖ったエルフ耳、そしてローブに身を包んだ女性の名はキャスター。

「また殺し合いに呼ばれるなんて、ねぇ……」

憂鬱な表情を浮かべるキャスター、その脳裏には聖杯戦争での自分の最後の映像が浮かぶ。
無数の剣から、マスターであり、心から慕っていた夫、葛木宗一郎を庇い倒れ伏す自分。
そこで彼女の聖杯戦争は終わりを告げたと思えば、似たような殺し合いに召還された。

「まあ、殺し合いに乗ること自体は構わないのだけど……」

そうボヤきながら彼女はおもむろに、手頃な距離にあった銅像――腹部にGMと書かれたド○ンパの亜種の様な形状――へと手を翳す。
次の瞬間、彼女の手から魔力が迸り、魔力のレーザーがその頭部を破壊した。
頭部が消失した銅像を尻目にキャスターは形のいい眉根を寄せ、溜め息を一つ吐いた。

「燃費が悪くなってるわね。まあ、英霊のワンサイドゲームになるのはあの自称大公の望むところでは無いって事なんでしょう」

通常よりも明らかに魔力を多く消費した事に、キャスターの表情は自然と苦い物になる。
サーヴァントの中でもこのキャスターは接近戦は不得手である。
元来彼女の戦闘方法は、竜牙兵と呼ばれる骸骨を用いた人海戦術と様々な魔術。どちらにしろ魔力を消費するこの戦法が、現状取りづらくなってしまったのだ。
試しにキャスターは竜牙兵を召還できるかどうかを試みてみる。が、魔力の消費も無ければ竜牙兵の出る気配もない。
次に自らの宝具「破棄すべき全ての符」(ルールブレイカー)を出そうと試みたがそちらも何の反応もない。

「そしてこの2つにはプロテクト。ガチガチに固められたこの状態が他のサーヴァントにも適用されていたら、魔術師の坊やや、柊蓮司と呼ばれた坊やにも勝機は出てくるでしょうね」

キャスターはあの場で見つけた衛宮士郎・ライダー・バーサーカーの三名を思い浮かべる。
竜牙兵とルールブレイカーが使用不能であり、残された戦闘手段はアウトレンジからの魔法攻撃のみ。その魔法攻撃でさえ消耗が激しいときた。
本人が言う通りこの様な制限が他二名のサーヴァントにも適用されているとすれば、人間であっても彼女達の打倒はできるかもしれない。

「ただ、藤村大河やさっきの交渉人みたいな一般人では厳しい話ではあるわね」

あの説明の場で周囲を観察していたキャスターは、自分達のような規格外の存在を多数感じとっていた。そして、それと同じくらいにただの人間としか思えない存在も感じとっていたいたのだ。

「……何故主催者はわざわざ制限をつけてまで私達と彼らを同じ殺し合いの場に呼びよせたのかしら」

規格外同士で殺し合わせてもいい。一般人同士で殺し合わせてもいい。寧ろその方が制限という物を付けなくていい分負担が少ない筈だ。
では何故、制限という手間をかけてまでこのような殺し合いを開いたのか。
単純な話では終わりそうにない事をキャスターは感じた。

「なんにしろ情報が少ないわね。とりあえずこの状況で殺し合いに乗るのは下策。最終的な乗る乗らないの判断は当分様子見ね。」

元々キャスターは暗躍を得意としており、力を温存してここぞという時に一気に使うタイプである。故に安易に乗るという選択肢は早々に無くなった。

「そして一番の問題はこの枷ね。サァーヴァントと呼ばれこそすれ、ここまで奴隷扱いされるのは流石に腹が立つわ」

聖杯戦争では自分の意志で殺し合いに参加した。そこには他者の意志の介在は無い。
だが今回は違う。目的こそ不明だが他者の意志により自分は殺し合いに強制参加させられた。おまけに色々な制限を付与された上に枷までつけられて。
キャスターはそこまでされて他人の掌の上で踊るつもりは毛頭ない。
彼女は今の自分にとって枷となっている首輪を指でなぞる。
無機質で冷たい金属の触感を持つそれを、少しでも解析できないかと魔力を使いアプローチしてみる。

「駄目ね、魔力的なプロテクトも搭載されてるみたい。……だけど、どうも私達のとは系統が違うようね。
これはあの主催者と顔見知りのようだった坊や達と接触するか、誰かから首輪を手に入れる必要ができたわ。まあ、後者はできるなら死体から回収するのが望ましいのだけれど」

柊蓮司と彼が主催者に殴りかかるのを止めようとした巫女服の少女、主催者を知っていたあの二人なら何らかの情報を持っているだろう。
そして何より大事なのは首輪の解析。この首輪が外せなければ、主催者と同じ土俵にあがるのは不可能になる。

「情報を集められるだけ集めてそれでも駄目だった時、殺し合いに乗るのはそれからでも遅くないわ。その場合は真っ向勝負ができない以上、隠れ蓑を準備しなくちゃ」

彼女のいう隠れ蓑とは言い換えれば殺し合いに乗っていない集団。
面識のある衛宮士郎と夫の同僚である藤村大河や、ベール=ゼファーに食ってかかったネゴシエーターと柊蓮司と彼を止めようとしていた巫女服の少女。乗りそうには見えない人間があの場に存在していた。
うまくその中に入り込み、信頼を勝ち取れば。乗った後も疑われにくくなるし、暗躍もしやすい。いざとなれば盾にする事もできる。

「それにしても願い事、ね……。あれが本気で叶えるのか疑わしくはあるのだけれど――」

――けれど、もし叶うのだとしたら、自分は何を願うだろうか。
聖杯戦争が始まった直後は、故郷に帰る事が願いだった。
だが、葛木宗一郎と出会ってからは違う願いが出来た。
葛木宗一郎と送る生活、それが彼女の幸せへとなっていった。

――だって、私の望みはもう叶っているんですもの――

いまわの際に彼女が告げた言葉は本心である。
また、彼と一緒に暮らせるのなら……。そんな甘美な誘惑がキャスターの脳裏を過ぎり、彼女は頭を振った。

「……今はそんな事を考えても仕方ないわね」

何も情報のない現状、聖杯と違い主催者が必ず願いを叶える保証もない。
キャスターは溜め息をつきながら魔法瓶のお茶を口にした。

「……お茶?」

キャスターは疑問に思う、お茶の入った魔法瓶なんてどこにあったのか。そして彼女は膝の上の口が開いている自分のデイパックを見た。
考え事をしている最中や動揺している時に、咄嗟に何か作業をし始め通常ではありえない失敗をしたり、『自分は今何をしたかったんだ?』と疑問に思った経験があるだろう。今のキャスターに起こった事もそれである。
もし、葛木宗一郎との生活を送る事ができたら。そう考えてしまったキャスターは気を紛らわせようと無意識の内にデイパックを漁って支給品の魔法瓶を取り出していたのだ。
無意識の内に取り出した魔法瓶に付属していた説明書が、ようやくキャスターの目に入る。説明書にはこう書かれていた。

『下がるお茶。飲んだ人の何かが下がります。戻すには上がるお茶が必要です』

何かってなに? ってゆうかどうゆう原理よ。青くなった顔でそんなツッコミを心の中で行っていたキャスターの体を何かが蝕みはじめた。

(魔力じゃない!? まずい、侵食され――)
「あ――!」

得体のしれない力によって自ら体が変質していくのを感じた、次の瞬間。彼女の肉体は彼女の少女時代へと『下がって』いた。
突然の、それも予想外の出来事にキャスターの思考が完全に停止する。

「な……」

ようやく思考が再開し、耳まで赤く染まったキャスターの体がわなわなと震えている。おまけにちょっぴり涙目だ。
クシャッと下がるお茶の説明書を手に取り怒りを込めて握りつぶす。

「なによそれぇーっ!!!」

殺し合いの場にいる事も忘れ、キャスターは力の限り叫んだ。

数分後、落ち着いたキャスターは、『イコ=スーの跳ねる家』と書かれた、うさ耳少女の姿が描かれているトランポリンハウスの中に潜んでいた。
勢いで叫んでしまったが、自分のしでかした事の危険性に気付き、背が縮み、多少だぼだぼの服のせいで何度か転びそうになりながらも慌ててこの場所に避難したのだ。

「不覚だわ……、開始早々こんな事」

床に手をつき深く頭を垂らしてキャスターはうなだれている。
予想の斜め上を天元突破で貫いたような残念で迂闊な失態を犯し、自己嫌悪のスパイラルに陥りそうな自分を、彼女は何とか思いとどまらせる。

「で、でも、子供の姿なら油断させられるかも知れないわね。この下がるお茶だって相手に飲ませる手があるわ。それに上がるお茶っていうのがあれば戻れるし。大丈夫、大丈夫よ私、この程度で挫けてなる物ですか!」

必死にこの状態でのメリットを見つけまだ大丈夫と自分にいい聞かせるキャスター。その姿は端から見た場合同情を禁じ得ない。

「そ、そうだ!他の支給品が無いか確認しないと……」

逃避じみた格好で思考を切り替え、キャスターは支給品を漁り始めた。
入っていたのは『夢使いの衣装(女性用)』と説明書に書かれた、へそが見える形状の服にマント・ミニスカートが合わさった、『夢使い』と呼ばれる職業の制服らしい、奇抜な服。
そしてもう一つは持ち主の魔術を補助する『ホワイトロッド』という杖。夢使いの衣装はともかくホワイトロッドは彼女にとって当たり支給品に分類されるだろう。

「代えの服があったのは僥倖だけれどこれは……」

夢使いの衣装を見ながら彼女は複雑な顔になる。
現在、彼女は年齢が下がり背も縮んだ事で、今来ているローブがだぼだぼになり、些か動きづらい。
それを差し置いてもローブという服装は一人で行動し、いつ襲われるかもわからないこの状況ではあまりお勧めできる服装ではない。
その点ローブよりかは動きやすそうなこの夢使いの衣装は幾分マシである。マシではあるのだが問題はその奇抜なデザインだ。
常識的な観点から見ればこのような服を平然と来ている人間がいれば、それは間違いなく『変態』か『異常者』のレッテルを貼られるだろうその服装。

「……まあ、背に腹は代えられないわよね」

どんなに恥ずかしい格好でも、少しでも生存率を上げるために。
たっぷりと悩み抜いた末、キャスターは着替える事を決意した。

「あの主催者、初めからこうなることを見越してたんじゃないでしょうね……」

夢使いの衣装に着替えたキャスターが心底不機嫌な表情で呟く。
へそ出しルックに加えバストやヒップのラインがくっきりと浮き出、どこかエロチックな雰囲気を漂わせるキャスター。ちなみにブラジャーのサイズも合わなかったのでノーブラだ。
しかしこの衣装、ヤケにキャスターにピッタリフィットなサイズである。現在キャスターは下がるお茶の効果で大体14、5歳くらいにまで若返っている。
キャスターの見た限りではこの年齢に該当しそうな女性はあの場にはそこまでいなかったように見えた。
であるのに、この衣装はこのサイズで支給されたのである。まるでキャスターがこうなる事を予測していたようにも見える。
仮にそうだとすれば敵の中にこの状況を予測または預言できる者がいる事になる。

「やめましょう。単なる主催者の嫌がらせの可能性もあるし」

浮かんだ仮定をキャスターは振り払うようにかき消していく。今はまだ情報が足りないのだ、あれこれ悩んでも仕方がない。
考える事は後でもできる。そう思い直し、キャスターは地図を広げた。

「A-8、端も端、末端じゃない。流石にこんな所に人は来ないだろうし、人の集まりそうな場所は……」

キャスターの目にG-8地点の救急医療センターが目に留まる。ここならば怪我人を連れた乗っていない人間がいるかもしれない。
もっともそこに乗った参加者が来る可能性もあるのだが、その可能性はどこも同じである以上、多少のリスクには目を瞑る。

「さて、それじゃあいきましょうか」

デイパックを担ぎ、彼女は行動を開始する。
奇抜な衣装に身を包みホワイトロッドを片手に持った彼女の姿。
その姿、まるで魔法少女。
【一日目/深夜/A-8 ファンシーゾーン イコ=スーの跳ねる家】

【キャスター@fate/staynight】
[状態]若返り(14、5歳)、健康
[装備]夢使いの衣装@ナイトウィザード THE ANIMATION、ホワイトロッド@ナイトウィザード THE ANIMATION
[道具]支給品一式、下がるお茶@ナイトウィザード THE ANIMATION
[思考・状況]基本思考:当面殺し合いには乗らないが、主催打倒が不利と感じたら殺し合いに乗る。
1:主催者及び首輪の情報を集める、柊蓮司及びその知り合いとの接触。
2:上がるお茶を探す。
3:G-8の緊急医療センターに向かう。
4:殺し合いに乗っていない参加者と接触。
358 ◆Xi4PD6Qh9o :2008/10/17(金) 08:37:04 ID:A/15RtqW
以上で投下終了します。以下、版権有り支給品の解説

下がるお茶@ナイトウィザード THE ANIMATION:飲むと何かが下がるお茶。本編では柊蓮司が使用し年齢が下がった。描写を見た限りでは大体十歳くらい下がる模様
夢使いの服@ナイトウィザード THE ANIMATION:ナイトメア他、夢使いと呼ばれるウィザードの制服。まず一般受けはしないデザイン
ホワイトロッド@ナイトウィザード THE ANIMATION:術者の魔力を高める杖

何かおかしなところがあれば指摘お願いします。
359中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/17(金) 10:47:22 ID:DhbA3b+x
>>350-352
投下乙です。
アニメも秋番組に突入して、どんどん新しいキャラ増えていきますね。
こういった人物が増えれば増えるほど参戦させてみたくなります。

それでは投下します
360中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/17(金) 10:50:14 ID:DhbA3b+x

第14話 戦うもの、戦わざるもの

《玖我なつき》

 一度切られた戦いを止めることはできない。
 私は神崎黎人にそういわれた。
 そして…藤乃静留に、戦うことを止められた。
 それが、ここまで事態を悪化させた。

 私の見ているこの光景が夢であって欲しいと思うのは、他のものたちと同じ意見だろう。
 灯台付近で聞いた銃声、私がついたとき、そこには動くものはもういなくなっていた。
 ただ血と肉の塊だけが残る場所。私はすぐにその部屋から出た。
 何が引金になったのか分からない。それにここで何人の人間が撃ち合ったかも分からない。
 わかっているのはただ、もうこれらのものが生きていないというだけだ。

 何人の人間が死んだのだろう?
 ゲームが始まり、誰もが死にたくないと考え誰もが生きたいと考えた。
 その結果がこれなのか? 
 死ぬことを恐れた私たちは、相手を殺すことで生きようともがくのか。
 生き残るために、他人を殺す。

 私もまた、ひとつ間違えていたらこうなっていたのかもしれない。
少なくとも静留や舞衣と出会う前の私であるなら、母親を奪ったものたち全てを憎み、喜んでゲームに参加しただろう。
しかし…今の私には、それが出来ない。
これはきっと喜ぶべきことなのだろう。

 いまだに見つからない、舞衣たち。
 今こそ…私たちHIMEが揃うときだというのに。
 遥、雪之も死んでしまった今、私たちにやれることも限られているかもしれないが。
 それでも立ち向かわなくてはいけない。
 生きているものだからこそ…できることをやらなくてはいけない。
361中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/17(金) 10:52:24 ID:DhbA3b+x
こなた「…どう思う?」

 振り返った私の前にホクロの小さな水色の髪の女がいた。
 年齢は定かではないが…。私よりは下に見える。
 彼女は私を階段の下から見上げて質問をしてきた。

なつき「質問の意味がわからないが」
こなた「あの現場を見てどう思った?」

 思い出した惨劇の跡地…。私は思わず唇をかみしめる。

こなた「…なぜ戦いが起きてしまったのか。なんとかして止める術はなかったのか。
    私がもっと早く来ていればこんなことにはならなかったんじゃないか……とか、考えているの?」

 私は彼女の言葉を待った。

こなた「これはゲームなんだよ。ただのゲーム…。そういった思想に囚われることがこのゲームの罠でもあるんだよ。
    たった一人生き残ることができるゲームであるなら、様々なものを利用して勝ち残らないといけない」

 ゲーム…。
 彼女はこれをそう判断しているというのか?
 ゲームである以上、この犠牲は仕方がなく、さらには生き残るために、購うことをやめ、ただ勝ち続けることが必要だと言うのか?

なつき「…お前の友達もいるのだろう?このゲームに…」
こなた「いるよ。実際、もう何人か死んでいるんだけどさ。でも、しょうがないよね?ゲームなんだからさ」
なつき「…なにも感じなかったのか?」
こなた「そうだね〜残念!とは思ったけど…」
なつき「なぜだ!なぜ、そんな簡単に切り捨てることができる!
    お前の友達だったのだろう?学校を一緒に生活した仲間だったのだろう?」

こなた「……だって、そういうゲームだもん」

 目の前の女はそういって銃を撃ってきた。
 私は避けることもできずに、銃弾を食らう。なんとか身体をひねって、直撃は避けたが…。
 私はよろめきながら、逃げるようにしてあの惨劇の舞台であった部屋にはいる。
 血と肉の匂いは…慣れるものではない。
 私はエレメントである銃を取り出して、私はその部屋を出て、外に出る。
 風が強く吹く中、青い空の下、私は上を目指す。

こなた「私がここにきたのは装備を確保するため。ゲームでの必勝条件は、相手よりも強いレベルと武装を持つこと。
    そのためにはやられた相手の武器を取ることも重要だよね」
362中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/17(金) 10:53:53 ID:DhbA3b+x
私は腕から流れる血を抑えながら、灯台の一番上にへと上っていく肩が撃たれた事で、銃の標準が合わなくなっている。
私はのぼってくるものに対して銃を向けるが撃つことはできない。

なつき「お前にとってはパソコンと同じようなゲームであっても私たちは実際に生きているし、パソコンゲームのように…死んだら蘇ったりそんなことはしないんだ!」
こなた「わかってないね〜。そんなことを言ってたらゲームが楽しめないじゃない?」
    
 こなたはバックから大量に入っているうちの1つの大きな銃を取り出してそれを私に向ける。

なつき「…みんな、こんなことを始める前は普通だったはずだ。下で争いあったものたちだって元は、普通の学生であり、友達と普通の会話をしていたはずだ!
    それが……どうしてこうなってしまう!どうして争わなくてはいけない!?私たちは…争う必要などない」

こなた「いるいる。こうやって主人公を惑わす敵キャラ」
なつき「……言っても分からないのか、デュラン!!」

 私の問いかけによって姿を現す白き狼のような形をしたチャイルド…デュラン。私はそれに乗り込むと、灯台から降りていく。
 戦いは止めることができない。あのようなものがいる限り…既に遅かったのか。私たちは戦い合わなくてはいけないのか。

 血が流れすぎたか…意識が遠のいてきた。私は、近くの禁止区域以外の場所にデュランと供に降り立つ。
 木陰に手をついて大きく息を吐く。
 こんなところで意識を失ってはいけない。
 私は…まだやらなくてはいけないことが…。

静留「なつき…」

なつき「しず……る?」

 私は、そこで確かに静留の姿を見た。
 懐かしく…そして私に戦うことをやめるよういってくれた彼女を見つめ、私はほっとしたのか…意識を失った。
363中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/17(金) 10:55:29 ID:DhbA3b+x
《鴇羽舞衣》

舞衣「巧海〜〜」

 私はおでこにかいた汗をぬぐいながら、声をあげていた。

レナ「はう〜…舞衣ちゃん、そんな大きな声をだしたら…関係ない人まで来ちゃうよ〜」
圭一「そうだぜ。ゲームに乗って俺たちに襲い掛かる奴だって中に入るかも知れないんだから」
舞衣「でも…でも!巧海…薬の予備がないから。私があの子に渡してあげないと…」
 
 そう、私の弟である巧海は…小さい頃から心臓が弱くて、薬を常用しなければいけなかった。
 今回のことに巻き込まれたとき、巧海はその常備薬を一日分しかもっていなかったのだ。もう少し薬がきれる。
 そうなれば…。私は早く巧海を見つけ出そうと、必死に声を上げていた。

レナ「…圭一君」
圭一「仕方ないだろう?1人でも仲間は多いほうがいいんだし、それに舞衣はもう俺たちの仲間だ!仲間の頼み事は聞いてやらないとな、レナ?」
レナ「うん!」
 
 この2人は私が最初に出会った子たちで…私が驚いて逃げ出そうとしたとき、荷物を棄てて、近づいてきてくれた。

圭一『一緒に行動しないか?』
レナ『レナたちは、みんなと仲良くなりたい!』

 2人はまるで人を疑うことを知らないような、そんな感じだった。
 私はおどおどしながらも彼女達と一緒に行動をした。
 その間に執行部長と雪之ちゃんが…やられちゃって。
 圭一君とレナちゃんは…一緒に山にへと登ろうとしたが、間に合わなかったんだ。もう、そんなことにはしたくない。絶対に。

レナ「た〜く〜み〜く〜ん」
舞衣「巧海〜〜」

圭一「なんだかレナと舞衣の声似てるな?」
レナ&舞衣『そうかな?(かな?)』

 私は…心強かった。
 誰も信じられないであろうと思ったこの場所で…誰かに信じてもらえているということ。そして誰かを信じられるということ。
 私は…それだけで強い気持ちでいられることを…嬉しく思っていた。
 そしてこの輪に、はやく巧海もいれてあげたい。
 きっと…こうやっていけば助かる道が出てくるとそう思えて。

巧海…。
364中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/17(金) 10:56:28 ID:DhbA3b+x

《鴇羽巧海》

「?」

 僕はお姉ちゃんの言葉が聞こえたような気がして後ろを振り返った。
尾久崎晶「なにやってんだ?置いてくぞ」
鴇羽巧海「あぁ!ごめん、待ってよ?!」
 僕らはあてもなく歩き続けるしかなかった…わずかな薬を晶君に心配かけないようにして少しずつ飲みながら…。
 こんなときに足手まといになりたくなくて。


咲夜「ねぇ……、貴方達、助けてくれない?」


 その女の子は、目を擦りながらそう聞いてきた。
 その表情は疲れきっていた。手を拭い払うと、涙で腫れた目がある。彼女はふらついた足取りで僕たちを見るとそのまま倒れこむ。
巧海「だ、大丈夫!?君!」
晶 「……」

 駆けつける僕と晶君。
 僕は、元々、このゲームにはむいてはいない。
 時間も限られている身体では当然だ。自分は…犠牲になっても良い。
 ただ、1人でも多くの人を救いたい。
 それが僕のやるべき、できることだから…。
 お姉ちゃんも、きっとわかってくれる。きっと。
365中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/17(金) 11:02:20 ID:DhbA3b+x
泉こなた
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】ライフル マシンガン(拾得) ショットガン(拾得) ハンドガン(拾得) 地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】オタク(全キャラクターの能力等や性格をアニメ誌から把握)

玖我なつき
【健康状態】肩を撃たれる
【精神状態】疲労
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】HIME

鴇羽舞衣
【健康状態】良
【精神状態】巧海を探すための焦り
【装備】ハンドガン 地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】HIME

竜宮レナ
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 鉈
【特殊能力】なし

前原圭一
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 鉄バット
【特殊能力】なし

鴇羽巧海
【健康状態】疲労(持病のため)
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】なし

尾久崎晶
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 マシンガン
【特殊能力】HiME

続きます
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 14:52:46 ID:UaiFONNq
age
367中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:00:37 ID:CCZ6tkK7
投下します
368中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:02:07 ID:CCZ6tkK7

第15話 今、できること

《岡崎慎一》

灯台の前

 僕の前に幸せそうに眠る二人の姿があった。
 僕の本当の母親となった人と孤独であった僕に新しい生き方を教えてくれた人。
 奪われたとう気持ちは、起こらなかった。
 なぜなら、2人は幸せそうに眠っていたから…。
 木陰の下、青い青い空の下で…潮風に吹かれながら。
 無念に満ちて、辛い表情であったら…きっとそういった気持ちも湧いたのかもしれない。
 でも、今の僕にあったのは…ただ清清しく、ほっと安心した気持ちであった。

シン「羨ましいな。ナナさんの歌声を独占できるなんて…そして観客を独り占めすることができるなんて…、本当にずるいや」

 僕は2人にそう囁き、立ち上がると握られた銃を握りしめる。
 空を見上げ、銃を上にあげて引金を弾いた。音が空に響く。
 2人に対する気持ちの表れだった…。

 このゲームが始まって、一番、探し続けた2人の大切な人は…一番良い結末を迎えたのかもしれない。
 後は…寺島伸夫、ノブさんだけ。
 ノブさんには生きてもらわなくてはいけない。そのために、僕は邪魔なものを消しにいかなくては。

 僕はふと目に入ったもの…それは血のあと。
 微々たる物ではあるがずっと道にそって続いている。
 罠かもしれないが…行ってみる価値はあるだろう。
369中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:03:41 ID:CCZ6tkK7
《寺島伸夫》

『提示死亡者の発表です。今回は少し多いですよ?

…大崎ナナ、小松奈々…』

 俺はその名前を聞いて立ち上がった。
 いつか来てしまうのではないか…そんな気持ちがなかったわけではない。
 だが、余りにも唐突だったその言葉に俺は、どうすればいいのかわからなかった。

ノブ「嘘だろ!?ナナとハチが……おい!!嘘だ!嘘だぁ!!」
 
 俺は机を投げてうずくまり、床に手を叩きつける。

ノブ「あいつらが…あいつらが死ぬわけねーんだ!!どうして、どうして…あいつらが死ななきゃいけないんだよ!!」
 
 ナナには夢があった。
 いや、夢しかなかった。
 親に棄てられ、全てを失ったナナはバンドで日本一、世界一を目指すというその夢を掴むために、日々、練習して…そしてようやっと上京して…
 俺やヤス、そしてシンと組んでブラストが立ち上がり…これからいよいよ、本格的に動こうっていうときに…。
 ナナの夢はこれからだったっていうのに!!
 あいつが…どうしてあいつが死ななきゃいけないんだよ。

 奈々だって……俺は…気持ちを告げたことないけど…それでもナナや俺にとってかけがえのない人間だった。
 ナナはバンドの練習をしにくるときは、いつだってハチの話をした。
 とても楽しそうに。そんなナナの顔を見るのは地元で付き合っていた彼氏といたときぐらいだった。
 俺は、ナナがそういった顔を再び見せたことに安心していたんだ。
 それが……。

碧 「…この戦いは、誰がいつ死んでもおかしくない」
ノブ「!」

 俺は杉浦先生を睨みつける。
 だが、杉浦先生もまた、その手を震わしていた。そうか…彼女もまた、教え子を失っているんだ。
 俺が梨花ちゃんを助けにいったとき、間に合わなかったこの戦いをやめさせようとした二人の女子。
 その二人の女子は杉浦先生の生徒でもあった。

碧 「私、沙都子ちゃんの様子みてくる」

 杉浦先生はそういって部屋を出て行く。
 俺はそのまま床に座り込んでしまう。
 俺はこのままでいいのか。このままここで見ていることしか出来ないのか。
 確かに…それが一番出会う確率が高いことかもしれない。だけど…これじゃー…。
370中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:05:20 ID:CCZ6tkK7
梨花「ノブ…お茶です。飲みますか?」
ノブ「ありがとう。梨花ちゃん…」

 俺は梨花ちゃんからもらったお茶を喉に通す。
 こうして俺が、ヤケにならないでいれるのは、梨花ちゃんたちがいてくれるからだ。
 杉浦先生や梨花ちゃんがこうして痛みを分かち合ってくれる。悔しいが、悔しいが…。

梨花「余計なことかもしれないのですが…」
ノブ「なんだい?」
梨花「ボクは、ノブの言う二人のナナはきっと……苦しくなかったと思うのです」
ノブ「…」
梨花「だって…2人は1人っきりじゃなかったから」

 俺は梨花ちゃんを見つめる。梨花ちゃんは頬に涙を伝わせながら言葉を織り成す。

梨花「ノブのいう子たちだったなら…きっと、この空の下、海の見える木陰の下で、潮風に吹かれて…歌を歌って、それを聴きながら…夢を見るようにして……」

 梨花ちゃんの言葉にはまるで見てきたかのように、その場所を思わせるような言い方だった。
 俺は目を閉じ、その場の光景を連想する。

ナナが歌を歌って…ハチがそれを聞く。

 それは…俺が上京したときにナナと俺でハチに歌を聴かしたときのように…。
 そうか、ナナの夢はこれで終わりじゃない。それはずっと続いていくものだ。
 そしてあいつは1人じゃない。大切なパートナーが一緒だ。
 きっと俺たちにも見せない笑顔をハチにみせて…。

梨花「ボクには二人のことをよく知らないのです。でも、ノブが言うからにはきっとそうだと思うのですよ」
ノブ「ありがとう梨花ちゃん…」
梨花「…もう1人のメンバーも見つかれば…」
ノブ「シンは……」

 俺の頭に浮かんだのは家族からその存在を抹殺され、誕生日を祝われたこともなく、誰からも愛されていなかった、そんな影の部分があるシンだった。
 バンドの練習のときはとても楽しくやっているシン。
 だが、俺は…そのときのシンを思い浮かべることが今は出来ないでいた。
 たった一人…あいつは孤独に……。

梨花「ノブ?」
ノブ「あ、ごめん。梨花ちゃん…」
梨花「…仲間が減ってくのは耐え難い痛み。それは自分が傷つけられるよりもずっと痛い」

 そのときの梨花ちゃんはまるで別人のように大人の影がある…疲れた表情だった。
 まるで何年もこんな惨劇を繰り返してきたような…諦め、そして絶望もかすかに感じられた。
 俺はこのまま諦めるのか?違う!
371中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:07:05 ID:CCZ6tkK7

ノブ「……俺はまだ生きている」

梨花「…」
ノブ「生きている奴には、生きている奴にしか出来ないことをするべきだ、そうだろう?梨花ちゃん!」
梨花「…えぇ」
ノブ「…俺、ちょっと杉浦先生のところにいってくる!」

 俺はそういって部屋を飛び出していった。
 杉浦先生と今後のことを話すために、生きているやつにしかできないことを…するために。


《岡崎慎一》

 山道を登っていく中で、足跡は途中で消えてしまっていた。
 だが今はこれしか頼りがない。
 とにかく、この後の先を追うしかない…そう思った僕の前に1人の男が現れた。

スザク「…待ってくれ!僕は何もする気はない!」
 
 彼は僕と会った瞬間に、両手をあげて敵意がないことを示した。
 相手が誰であれ…今は一人も多くの人間を減らさなければ行けない。
 それがノブさんの勝利のためになる。ブラストメンバーを生き残すために。

スザク「君は…。灯台のほうから来たみたいだけど…なにがあったんだ!
    さっきの放送は…本当なのかい?みんな…やられてしまって?」
 
こいつも…あの惨劇の中に知り合いがいたのか。

シン「それを知ってどうするのさ?」
スザク「……僕は、彼女達を救うことが出来なかった。せめて亡骸を確認して…弔ってやりたい」
シン「無駄だよ。誰がどの遺体かも分からないぐらいムチャクチャだったから」
スザク「それでも!!」
 
 無駄に熱い奴だな。それに…どこかめんどくさそうな奴。

シン「今は自分のことを考えたほうがいいんじゃないかな?君もその仲間入りをするかもしれないんだから」
 
銃をその男に向ける。
相手が敵意がないのなら尚更チャンスだ。

スザク「…君には僕を撃つことはできない」
シン 「それって動揺させるつもり?」
 
 覚悟はある。
 なぜなら、僕は誰にも望まれずして生まれてきた。
 だから…自分の命が失われて哀しむ人間は誰もいない。
 だったら誰かのためにせめてこの命を散らすことに、なんのためらいがあろうか。

スザク「君には、人を殺すような殺気をかんじないから」
372中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:08:20 ID:CCZ6tkK7

シン「ふざけるな!!知ったようなこといいやがって!お前に俺のなにがわかるんだよ!」

 俺は銃を握り、撃つ。
 だが、その銃弾は彼に当たることはなく、そのまま空を切った。

スザク「…わからないさ。わからないけど、君は…戦うことができる人間じゃない」

 彼はそう言い切ると、俺の隣を通り過ぎていく。僕は地面に膝をつく。イヤだった。
 こんな何も出来ない自分がどうしようもなくいやだった。僕には覚悟があるはずだったのに。
 どうして何も出来ないんだ。どうして銃をあてることができないんだ。
 このままじゃ、誰のためにも存在していないことになる。
 このまま何のために生きているのか分からす、何のためにここにいるのかもわからない。
 ブラストは、ノブさんとナナさん、ヤスさんのものであって、僕はその3人の間にいる存在でしかない。
 そんな僕が生き残っていてはいけないんだ。

シン「だから……お前は、僕に殺されるべきなんだ!」

 銃を握り立ち上がった俺は、彼に狙いを定め銃を撃った。
 そんな僕は、衝撃に目を見開いた。
 僕の視線の先には誰もいない。僕は口から血を吐いている理由がわからないでいた。

スザク「あああぁぁっ!!!!」

 彼は大きな声を上げると、僕の腹部から尖った石を引き抜いて頭を抱えていた。
 僕はそんな様子を見ながら、身体を地面に倒す。
 赤い赤い血だけがドクドクと流れ出ていく。
 結局、僕は何も出来なかった。何も……。
 ノブさん、ナナさん…ハチ。ごめんね。僕は、何にも出来なかった。
 何にも……。

【岡崎慎一死亡】

373中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:10:10 ID:CCZ6tkK7

《枢木スザク》

スザク「…あは、アハハハハハハハ」

そうか…思い出した。
 
イレブン
黒の騎士団
ラウンズ
ブリタニア
ユフィ

ゼロ……すべてを。

 僕がなすべきことも。そしてこの呪われたギアスを受けていることも。
 そう、僕は皇帝とルルーシュがいるはずの遺跡に、C.C.の導きからその中にへと入っていったんだ。そして気がついたらこの場所に。
 これもまたCの世界の1つ…。
 ルルーシュを追わなくてはいけない。
 きっと彼が向かっている場所は……。
 ここが神根島である以上…たったひとつ。

 ルルーシュ…君を、僕は…。
374中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/24(金) 01:10:56 ID:CCZ6tkK7
古手梨花
【健康状態】良
【精神状態】普通(ノブを励ましつつ、自分もなにかしなくてはいけないという思い)
【装備】地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】羽入と前世の記憶継承

杉浦碧
【健康状態】良
【精神状態】普通(次々と死んでいくものたちに心が動揺)
【装備】地図、水、パン コンパス 時計 (武器は破棄)
【特殊能力】HiME

寺島伸夫
【健康状態】良
【精神状態】普通(ナナとハチの死から)
【装備】縄 地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】特になし

枢木スザク
【健康状態】良好
【精神状態】良好(覚醒・記憶を取り戻す)
【装備】地図 水 パン コンパス 時計
【特殊能力】生きろ・ギアス

続きます
375中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/28(火) 08:17:15 ID:cN1TVCVt
投下します
376中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/28(火) 08:17:59 ID:cN1TVCVt
第16話 こころの迷宮


玉の緒よ、絶えなば絶えねながらば忍ぶることの弱りもぞする


《藤乃静留》

 その髪をとり、宙に持ちあげるとまるで水のように手から零れ落ちていく。
 お天等さんも、やや傾き始めてきました。
 風は海からのやろうか、潮の香りがします。
 
 近隣の家からいただいた包帯を巻いておいたんやけど……。
 血滲んでる。
 うちは、なつきの手をとり、頬に当てる。

 どうして…こないな目に会ってまで人を助けようとしたんやろうか。
 それがこの子のええところなんやろうけど…。
 人の気も知らんと…。
 うちはずっと心配してたんどすぇ。
 いつ、あんたの名前が呼ばれてしまうんかと思って、気が気やありませんでした。
 
なつき「うぅ……」

 うちの膝枕の上でなつきが声を出す。
 痛むんやろうか……。
 変わってあげられるなら、うちが変わってあげたい。
 あんたのためやったら、うちはなんにでもなりますぇ?

 なつき……うちは、あんたのことを…こんなにも…。

 うちは、眠るなつきを見つめ、心が押し留めることが出来なくなってしまいました。
 いけない、いけないとわかっていても…うちの心をとめてくれるものは、誰もいません。
 そう、唯一止められるのは…この子自身。

アスカ「あ、あんたなにやってんのよ!!」

 うちは、その声で顔をあげ、先にいる子を見た。

静留 「……あちらでお話、しましょうか?」

377中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/28(火) 08:19:22 ID:cN1TVCVt
《玖我なつき》

 私は逃げていた
 何かに怯え、そしてただひたすら夜道を走りつづけていた。
 私の前に見えたのは、お寺だった。
 私はそこに身を隠し、迫り来るものが過ぎ去るのを待った。

 時間がたつまで息を止める。
 しかし、それは私に気がついて鐘の中にへと入りこむ。
 それは巨大な蛇だった。
 蛇は私の身体に巻きつき、その身を焦がす。
 私は、呼吸もままならないまま…その蛇に抵抗を試みることさえ出来ず 

 冷や汗を流し続けることしか出来なかった。
 嫌悪
 私は…このまま焦がされ消えていくのか。


舞衣、命……静留……母さん。

なつき「うぅ……」

 私は目を覚ますのと同時に肩に痛みを感じた。
 そうだ、私は…撃たれたんだったな。私としたことが情けない…その後、そうだ、確か静留と出会って…。
 木陰の下、私は静留を探した。空を見上げると、雲が太陽を覆い隠し始め、あたりは暗くなり始めていた。
 どうやらここには静留の姿はないようだ。だが、近くで声が聞こえてくる。
 私は痛みを堪えながら立ち上がり、その声のほうにへと向かう。
 このような状況の中で、一人というのは心細いものだ。
 昔なら絶対思わなかったであろう気持ちを今は素直に認めざるを得ない。
 そこで静留と出会ったのは、私の心を安心させた。
 私は声の聞こえているところに顔を出した。

静留「…あきませんな。盗み見るなんて…そういうんが趣味どすか?」
アスカ「そんなわけないでしょう!興味もないわ!
   ただ、こういったことであっても寝ている人の身体を弄ぶような真似は許せないっていってんのよ!」

 私は赤い髪の女と静留の言い争っている言葉の意味がわからないでいた。
 身体を弄ぶ?誰の話だ?
 そこで私の記憶の脳裏に蘇る、夢の感覚…大蛇に巻き込まれ、絡めとられる夢。
378中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/28(火) 08:20:51 ID:cN1TVCVt
アスカ「あんたのやってることは、人の命を奪うことよりも卑劣で最低なことよ!」

 指を差して彼女は断罪する。

静留「言いたいことだけは、それだけどすか?」

 静留はそういうと、手を前にだし、そこから武器を出す。
 それは巨大な薙刀。間違いなく能力はHIMEのものである。
 知らなかった…静留がHiMEだったなんて。
 い、今はそれどころじゃない。静留をとめなくては!

なつき「し…静留?」

静留「!?」

 静留は私の声に酷く驚いた表情で振り返った。
 その表情は私がいまだかつて見たことがない、焦りとそして悲しみに満ちていた。

静留「なつき……あんた、今のうちの話…聞いて…」
アスカ「そこの女!あんた、さっき、この女にレイプされそうになってたのよ!
    でも安心しなさい!この惣流・アスカ・ラングレー様が助けてやったわ!」

 私は一瞬なにを言っているのか、わからなかった。
 静留が…私の事を?バカな…そんなことあるはずが……そうだろう?静留?

なつき「静留…?」
静留「……あかん。うち……うちは…」

 静留は私の呼びかけに拒絶した。静留は…本当に、私のことを…。
 静留はうつむいたまま、悲しみ、そして絶望に打ち伏せられていた。涙が頬をつたっている。

アスカ「あんたバカァ!?なに泣いてんのよ!気持ち悪い、気持ち悪い!同性愛だなんて、本当、最低だわ!!」

 私はその女の言い方にどこかむっとしたながらも、今は静留の行った行動に衝撃に言葉も出ないでいた。

静留「そうどすな…うちは、気持ち悪い人種なんやと思います。こんなうちは、受けいれられなくて当然どす…せやけど、この想いだけは……うちだけのもの。誰にも邪魔させません」

 静留は薙刀を持つ手をふるうと、それはまるで地面を這うように動き、目の前にいる赤い髪の女の身体を一瞬にしてバラバラにしてしまった。
 私はその圧倒的な強さに、驚きと恐怖を感じた。
 静留は私のほうに振り返り、見つめる。
 目に光を失った静留からは狂気を感じた。

静留「…なつき、あんたの邪魔をするものは、みんな……消してくるさかい、待っとってな?」

なつき「待て!静留!静留!!」
379中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/28(火) 08:22:19 ID:cN1TVCVt
私は静留に手を伸ばそうとするが、静留の身体は宙に浮いた。
私は愕然とした、そこにはあまりにも巨大なチャイルド…大蛇の姿があったからだ。
その大きさは舞衣のカグヅチに相当する。
数本のクビを持つその巨大な大蛇は、そのまま私の前から消えていく。

 私は何も出来なかった自分の無力さを感じて、そのまま膝をついてしまう。

 それと同時に、黒い黒い雲からは雨が降り出してきた。

凪 「…箍が外れた優等生ほどタチが悪いのはいないね?」

 それは白髪の少年…風華学園にて私たちHiMEにチャイルドと呼ばれるものを与え、そしてオーファンという鬼の怪物と戦わす謎の存在である。
 まさか、こいつまでもがこのゲームに現れるとは。

なつき「……」

凪 「ところで、なつきちゃんにお知らせしておこうというものがってね?
   実は、なつきちゃんのお母さん、玖我紗江子は、君をシアーズ財団に売り渡そうとしていたんだよ」

なつき「!?」

凪 「シアーズ財団はHiMEの力を研究していたからね。
   玖我紗江子は、僕たちの組織である一番地から抜け出してより、研究ができるであろうシアーズ財団に身を寄せたんじゃないかな?
   結果…君のお母さんは粛清を受けたわけだけど…」

なつき「…そんな……嘘だ」

凪「なつきちゃん自身も薄々気がついていたと思ったんだけどね?フフフ…それじゃー頑張って」


 私は…今まで誰のために戦ってきたんだ。
 母さんを殺そうとした奴を追って…母さんへの想いを持って今まで戦ってきたのに。
 その母さんに裏切られ、私に友人というものを教えてくれた静留までが…。
 私は……どうしたらいいんだ。
 私は…


なつき「うわぁあああああ!!!!」


 雨の音の中に私の木霊す声は…かき消されていった。


【死亡 総流・アスカ・ラングレー】
380中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/28(火) 08:22:51 ID:cN1TVCVt
玖我なつき
【健康状態】普通(肩を撃たれる→治療による多少の回復)
【精神状態】絶望(母親の裏切り、静留の暴走)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】HIME

藤乃静留
【健康状態】良
【精神状態】絶望(なつきに自分の邪なる想いを知られてしまう)
【装備】ナイフ 地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】HIME

続きます
381中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/31(金) 12:37:10 ID:Hc0vd3nE
投下します
382中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/31(金) 12:38:02 ID:Hc0vd3nE
第17話 たいせつなもの

《神山咲夜》

 山小屋のような場所で、私は毛布を渡されてくるまっていた。
 その薄暗い明かり、そして外から聞こえてくる地面に叩きつけるような雨音だけが、この場所を支配していた。

 昨日の夜も降っていた雨は、今日はやむ気配がない。

巧海「神山さん、寒くない?大丈夫?」
咲夜「うん、平気…」

 そんなはずないじゃないですか。
 私の大切な櫻井奏先輩がなくなって…平然といているはずがないじゃない。
 私の大切なものを奪ったのは誰!?許さない…私のものを奪った奴、絶対に…。
 私は毛布を握り締めて丸くなっている。

巧海「雨…やまないね?晶君」
晶 「折角の姉貴探しも、これじゃーちょっと難しいな」
巧海「うん…、雨がやむまで暫く休むしか」
晶 「…あいつは、どうするんだ?」
巧海「え?」
晶 「このまま、どこのどいつかも分からない奴を連れて行く気か?」
巧海「何いってんのさ、晶君。咲夜さんは疲れているんだよ、このまま放っとけないよ」
晶 「……どうにもな。あの女からは血のにおいがする」
巧海「アハハ、晶くんったら、気にしすぎだよ」

 血のにおい?
 私から…そんなことあるはずないです……。
 私は自分の腕や身体に鼻をつけて嗅ぐ。
 そんなことあるはずないじゃない、何を勝手なこといって…。

 そこで私は思い出していた。私が殺してきた人たちのことを。
 頭から血を流したもの、首を切られたもの…それらの血が私に飛び散る。

咲夜「いやぁぁぁ!!!」
383中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/31(金) 12:39:13 ID:Hc0vd3nE
私は毛布から、たちあがり、壁の隅にうずくまる。

巧海「ど、どうしたの?神山さん?」
晶 「おいおい、こんなとこにヒステリー起こすなよな」

 私は怯えながら、目の前の二人の男の人を見つめる。
 そんな…死んだ奴らが生き返るものか、死んだ奴はそのまま目覚めることなく…永遠に。

奏先輩……。

 どうして?奏先輩が死ぬことなんかなかったのに…奏先輩は心優しく、誰に対してもいい人だったのに。
 なんで、殺されなくちゃいけないの?許せない、私は…絶対に、殺した奴を許さない。
 誰が殺したんだ、誰が…誰が誰が誰が誰が誰が…奏先輩を!!

 そうだ!

 私、頭いいです!

 みんな殺せばいいんですよ。
 みんな殺せばそこに奏先輩を殺した奴がいるはずだから…だから、みんな殺せばいい。
 そうすれば奏先輩の敵を討つことができるはずだから。

 そう、みんな殺せば…みんな、みんな…。


巧海「大丈夫?神山さん?」
咲夜「うん…大丈夫だよ。巧海君」
巧海「あ、あの…下着が見えて」
咲夜「あ、ごめんなさい……」
晶 「おい!巧海!!」
巧海「ち、違うよ!晶君、不可抗力だよ不可抗力!」
咲夜「ねぇ、巧海君…トイレ、連れて行ってもらっていいかな?」

晶 「1人でいけるだろ?」

咲夜「…怖くて」
巧海「それじゃー…」
晶 「いや、俺がついていくから、お前はそこで待ってろ」
巧海「わかったよ晶君」

 随分と疑われているのね。
 でも、しょうがないわ…対象がこっちの男に変わっただけ。
 トイレにいくには、山小屋の外に一度でなくてはいけない。
 この雨の中、殺害するには最適の状況だ。
 声がでてもその音が漏れることはない。
 外に出る…相変わらず雨は降り続いている。
 傘がないこの状況、私の身体は濡れていく。

晶「…お前、何人殺したんだ?」
384中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/31(金) 12:40:59 ID:Hc0vd3nE
 またこいつは……。

咲夜「酷いです。私は誰も殺してなんか…」
晶 「芝居もいい加減にしろ。お前からの血のにおいは、落ちはしないぞ…」
咲夜「…」
晶 「目的は何だ?俺たちを殺すことか?」

咲夜「あなたに大切な人はいますか?」

 私は振り返り、その子を見る。
 雨に濡れた髪の毛が、垂れ下がり視界を奪いながらも、それでも私は、その子に言葉を話し続ける。

咲夜「大切な人が、誰かに殺されたら…あなたはその人を憎みませんか?」
晶 「…」

咲夜
『最初、私は守りたかったんです。そのためには殺されるわけには行けませんでした!
 誰も信用なんか出来ないじゃないですか。
 私は…私の身を守るために、人を殺し続けました。

 それのなにがいけないんですか?みんなやってるじゃないですか。
 私以外の子だって!!みんな人を殺しているんですよ?
 あなただって、あなただって、あっちの子だって人を殺してるかもしれないじゃないですか!!

 なんなんですか?私のことだけ、悪人みたいにいって!そんなに正義を行使したいなら、私を殺せば?私を殺せばいいじゃないですか。
 でも、それはあなたも結果的に人殺しになりますね。人殺しを止めずに見ていた人だって、同罪ですよね?
 だったらその人も断罪されるべきです!…私たちはみんな人殺しと同罪なんです!   』

 私はその場に、座り込んで怒鳴る。
 聞こえてくる、殺された人たちのうめき声。私を恨む声をはき続けている。
 そう、今更誰も許してはくれない。許してはくれないし、私も許されようとは思っていない。
 せめて、奏先輩の…犯人が見つかるまでは、私は…。

晶「…お前の言っていることは間違ってはいないのかもしれない。確かに俺たちは見てみぬ振りをしてきた。
  それは…罰せられるべきことなんだろうな。だけど、俺は今、今のお前を止めたい。過去のことをいちいち問いただす気はない。
  今、お前たちが俺たちに向けている殺意を解いて欲しい……」

私を…許そうとしているんですか?この人は…。
バカですね。私は誰にも受け入れられないんです。
これだけの人間を殺して…今更。
385中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/31(金) 12:42:17 ID:Hc0vd3nE
晶「俺と一緒にいた巧海は、病気なんだ。薬も、もうないし…あいつ自身、どうなるかわからない。
  ただ、それでも、自分の命はどうなってでもいいから…
  今、生きている人間に、未来を繋げたいって考えている。
  俺は…そんなあいつの力になってやりたいんだ」

未来?

咲夜「…私に、そんなものがあるんですか?」

晶 「死んだものにはないもんだろう?俺たちは今、生きている……だから、一緒にいこう」

 差し伸べられる手…私は、雨の中、そんな彼を見つめる。
 私は手を伸ばして、その彼の手を握った。

晶 「…誰にだって間違いはある。それを償うのは…これからのあんた次第じゃないか」

 私は…やり直せる。
 そんな気がした。
 この人たちと一緒なら…私の未来はあるって…そんな気が。

 私は手を引っ張られて立ち上がる。

晶 「さぁ、戻ろうぜ。あいつが心配しているから」
咲夜「はい!」

 清清しい気持ち…私は新しくこれから生まれ変わる。
 人を信じて…過ちを償って。

晶 「…はやく、こんなゲーム終わらして…帰りたいな」

 私は気がついたら、取り出していたナイフで彼の首を掻ききっていた。
 雨の中、彼の身体が泥の中に倒れる。
 雨の水の中に赤い鮮血が流れ込んでいく。
 私の身体にも、彼のおびただしい鮮血がベッタリとついていた。

 帰る…?

 私に……そんな場所……ない。

 奏先輩や、雪乃さんがいないところで…私が欲しい場所はどこにもない。

晶 「……た…くみ……」

【尾久崎晶…死亡】
386中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/31(金) 12:43:03 ID:Hc0vd3nE

 そうだ、そうだよね。
寂しいよね?私と同じ…すぐに、すぐに送ってあげる。
あなたの大切な人も…いつも一緒がいいもんね。

 私の前、帰りが遅いと思って様子を見に来た、彼…目を点にして、この状況がどういったことかわからないみたいです。
 大丈夫です。安心してください。
 すぐに…そう、すぐに、あなたの大切な人に送ってあげますから。
 私はナイフを握ったまま、血塗られた服と、顔で彼を見つめ、その距離を縮めていく。

387中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/10/31(金) 12:45:21 ID:Hc0vd3nE
続きます。

鴇羽巧海
【健康状態】疲労(持病のため)
【精神状態】混乱
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】なし

神山咲夜
【健康状態】良
【精神状態】高揚
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 ナイフ
【特殊能力】なし
388中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/02(日) 18:39:24 ID:fe+DbEUV
投下します
389中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/02(日) 18:41:29 ID:fe+DbEUV
第18話 炎の舞 涙の運命

《鴇羽舞衣》

 雨を避けるために、私たちは木陰の下にいた。
 こうして巧海を探し続けるために歩き続けて、もう何時間になるだろうか。
 それでも、巧海には会えない。
 私は、巧海から目を離してはいけないんだ。

 私の母親は、小さい頃、私が巧海の目を話して別の子と遊んでいたとき、溺れた巧海を助けるために死んだ。
それ以来、私は巧海から目を離さないように、巧海のために…生きてきた。それが…私にとってのすべてだった。

レナ「…雨、やまないね」

舞衣「巧海、冷えてなければいいんだけど」

 私は、空を見上げて、いつやむかも分からないものを眺めていた。
舞衣「レナちゃんたちも、私なんかについてこなくていいんだよ?」
圭一「それは言わない約束だろう?俺たちは仲間だ、仲間の危機はみんなで対処する。1人より絶対に心強いんだからな」
レナ「うん!舞衣ちゃんのためにレナも頑張るから」
舞衣「…」
 私はそんな二人に微笑を返すことだけしか出来なかった。
なつきや、祐一もどこでなにしているのかな。
生きていて…巧海を取り戻したら、みんなで…脱出するんだからさ。

凪「…苦労しているみたいだね、舞衣ちゃん」

 私の目の前に現れるのは炎凪
 そんな…彼がどうしてこんなところに?

舞衣「凪君!なんで、あなたが……まさか、これもあなたの仕業なわけ!?」
レナ「なんでこの子白髪なのかな?かな?」
圭一「おいおい、そんなこといいだしたら、なんで魅音や梨花ちゃんが髪の毛染めてるのかと同じ質問になっちまうぞ?」

凪「とても楽しいメンバーに囲まれていて、楽しそうだね」

 私には凪君の冗談にかまっている暇がなかった、そんな余裕はもう随分前になくなっている。今は一刻も早く…。

舞衣「言いなさい!何を企んでいるのか!」
凪 「酷い言い方だな、僕は舞衣ちゃんの探し物を教えてあげようと思ったのに」
舞衣「巧海のこと!?」
凪 「……そう、鴇羽巧海は、ここからまっすぐいったところの山小屋近くにいるはずだよ?」
舞衣「…ありがとう」

 私は駆け出す。
 巧海に一刻も早く会いたい、その一心で…全速力で、いや…走ってちゃ間に合わない。
 私はHIMEの力を使い、手首そして足首に炎の輪をだすと、森の中を飛んでいく。
 
レナ「え?舞衣ちゃんって、空飛べるんだ…」
圭一「と、トリックだ!トリックに決まってる!」

 そういいながら二人も追いかけていく。

凪「…急いだほうがいいよ。最期のときに間に合わなくなっちゃうかもしれないからね」
390中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/02(日) 18:43:30 ID:fe+DbEUV
《神山咲夜》

 雨の中、私は血に塗られた顔をあげて、雫の垂れる前髪の向こうに見える人物を見据えながら、ゆっくりと近づいていく。

巧海「晶君!?」

 彼は私よりも地面に倒れている彼のほうを気にしているみたい。それはそうですよね。
私のような赤の他人よりも、大切な人を気にするのは当たり前。私だってそう。

咲夜「大丈夫、安心してください…。すぐにあなたも後をおわせてあげますから」

 私はナイフを背中の後ろで握りながら近づく。

巧海「…あなたは、僕たちを殺して、気が済むの?あなたが…ここで失ったものは、戻ってこないかもしれない。だけど、新しく作り出すことはできるはずだ!
   それを…諦めて、自分の手で閉ざしてしまうっていうのかい?」

咲夜「なにいってるんですか?この状況を見て、まだ私を説得しようとしているなんて、よっぽど現実が見えていないんですね?」

巧海「違う!戦うことだけが解決方法なんかじゃない!うぅ……」

 私の前で地面に倒れてうつぶせになる子…。自分の身体も守れない人間が、人をすくうことなんかできるはず無いじゃないですか。
 貴方の言っていることは…理想論なんです。結局現実は……。

 私は、その場にうずくまる子を、彼の大切なところに送りました。
 私は優しいから、苦しまないように一瞬で済ませます。
 あなたがいっていたことは…私にとっての夢でした。でも夢は醒めてしまうものです。


『たぁくみぃぃぃぃぃ!!!!』


 振り返った私の横を通り過ぎていく1人の女の子。

舞衣「巧海っ!巧海!!しっかりしてよ!私が、私がもっと早く見つけていれば…」
巧海「…ごめん、お姉ちゃん。僕は無力だった…何にも出来なかった」
舞衣「そんなことない!そんなことないよ!」
巧海「……お姉ちゃん、最後まで迷惑をかけて……ごめんなさい」
舞衣「変なこと言わないでよ…あんたは私がずっと守ってあげるから……」
巧海「…いいんだ。これからは…お姉ちゃんの好きなように…生きて欲しい」
舞衣「…たくみ…私、私…」
巧海「……今度、生まれ変われたなら……丈夫な身体の、お姉ちゃんを守れる……人に…」


【鴇羽巧海…死亡】
391中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/02(日) 18:44:52 ID:fe+DbEUV

 命というのは、あっけない。
 私の大切な人も、こうして消えていったに違いない。不幸は不幸を、悲しみは悲しみを呼ぶ。
 その連鎖の果てに、何が残るというのだろうか。
 でも、私は自分の悲しみを内に秘めていることなんか出来ない…、
 私の前で亡骸に身を寄せるこの人も、悲しみでいっぱいだろう。
 だけど…安心してください。すぐに会えます。
 私が、会わしてあげますから。
 ナイフを握り、その女の子の背中に振り下ろした…だが、そのナイフは目の前で燃える。
 私はナイフから手を離して後ずさる。

レナ「舞衣ちゃん!」 圭一「舞衣っ!」

 仲間がいたんですね…。形勢不利…ここは逃げたほうがよさそうです。私は、その場から逃げ出そうとした。

舞衣「…許さない」

 私がその女の子を見ると、強大な炎が天高く伸びていく。何が起こっているのか、私はよくわからなかった。
 炎から現れる巨大な火の怪物…。
 今、私の目の前で起きていることは、なんなのか…私にはわからない。

舞衣「巧海の命を奪った、あなたは絶対に許さない!!」

レナ「ダメ、舞衣ちゃん!」

 私の横で聞こえる声…だが、その声は彼女には聞こえていないようだ。彼女はその巨大な怪物の横を宙を浮いていた。

舞衣「カグヅチィィィィ!!!」

 轟音と雄叫びを上げる怪物…、私はそこから逃げる。
 こんなところで死ぬわけにはいかない。
 私にはまだ…まだ奏先輩の敵をうたないといけないんだから…こんなところで死ぬわけにはいかないんです。
 奏先輩…奏先輩、私の大好きな奏先輩。
 私は、いけなかったんですか?間違っていたんですか?

 後方から巨大な光が生み出された。私の前にある崖…その向こうにある海を見つめ、私は頬をつたう涙を感じた。
 一瞬のうちにして飲み込まれる。そこで私は見えた。
 大きく広がる海原に奏先輩と雪乃先輩がいるのを……私は手を伸ばす。
 だけど…私の手は海に届く前に、身体ごと……消えてなくなった。

【神山咲夜…死亡】
392中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/02(日) 18:45:34 ID:fe+DbEUV

レナ「…舞衣ちゃん」

舞衣「……」


 広がるのは、炎の通った焦げ付いた草木も生えぬ道…そして空にいるのは、巨大な炎の怪物。
 この島にいる誰もが気づいているであろう…それ。
 それは新たなる戦いへの脅威につながる光景、絶望だけが…広がることを示していた。

393中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/02(日) 18:47:06 ID:fe+DbEUV
続きます

鴇羽舞衣
【健康状態】良
【精神状態】絶望(巧海を失ったことで)
【装備】ハンドガン 地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】HIME

竜宮レナ
【健康状態】良
【精神状態】焦り(舞衣の暴走から)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 鉈
【特殊能力】なし

前原圭一
【健康状態】良
【精神状態】焦り(舞衣の暴走から)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 鉄バット
【特殊能力】なし
394中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/04(火) 23:45:22 ID:8ZrUNtzG
投下します
395中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/04(火) 23:47:13 ID:8ZrUNtzG
第19話 いきなりは変われない

《柊かがみ》

 燃え盛る炎が、近くで見えた。
 灰色の空の中、疲れたつかさを眠らせていた私の前で突然の轟音とともに広がる炎。
 そして現れる巨大な竜に、私は目をパチパチさせることしか出来なかった。
 現実離れしたことが次々と起こる中で私は、それさえも受け入れなくてはいけないのかと現時逃避したくなった。
 私は…生き残りたい。
 つかさと一緒に、こなたと一緒に…、もうみさおやみゆきたちとは、会えなくなってしまったけど…。
 だから、だからこそ生き残っているものたちで、生きたい!こんな地獄から逃げ出して、また学校に通いたい。

 そう…思い続けていたのに。

 私の目の前に広がる光景は、そんな私の願いを打ち砕くのには十分なものであった。
 竜は灰色の空に大声をあげ、響かせている。

かがみ「つかさ…私、あんたを最後まで守れるか、わかんなくなってきちゃった」

 力がほしい。この運命、絶望に打ち勝つための力が……ほしい。お母さん、お父さん…お姉ちゃん…私、こんなところで死にたくなんか無いよ……。

こなた「大丈夫だよ!かがみん」

 その声に私は振り返った。まだ1日とちょっとのはずなのに、随分と懐かしいが気がした。
 こなたは私にいつもの顔をむけてピースをしている。

かがみ「こなたぁ!!」

 私は思わずこなたに抱きついた。
 心配させて…こいつ、どこにいってたのよ!言いたいことが山のように溢れてくるけど、言葉にならない。

こなた「ごめんごめん、随分とアイテムを集めるのに夢中でね。なかなか見つけ出せなかったよ」
かがみ「アイテム?」
こなた「そう!戦いを挑むにはまず、アイテムを集める、これ…戦闘においての初歩知識!」
かがみ「あんた…なにいって…」
こなた「つかさ〜?あんたの分もあるよ」
つかさ「!?こ、こなちゃん!!よかった無事だったんだね」

 眼を開けて、とことことやってくるつかさにこなたは、Vサインをする。
 こなたが荷物から次々と銃や、ナイフといった武器を出していく。私はそれを呆然と見つめていた。

こなた「倒された人たちから手に入れたアイテムだよ!なかなかいいのが揃ってるよね。これなんて……」
かがみ「こなた?あんた…これ、どうするつもり?」
こなた「決まってるじゃん!敵を倒すんだよ!アイテムがこれだけあってパーティーも組めれば、もう勝ちは決まりだって!」

 こなたの口から次々と飛び出す信じられない言葉。私は力なく、その様子を見ていた。

かがみ「こなた……あんた、これはゲームじゃないの!みんなが必死になって生き残ろうとしている現実なのよ!!」
396中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/04(火) 23:48:47 ID:8ZrUNtzG
 つかさは、こなたの言葉の意味がわかっていないらしく、私の罵声を黙って聞いていた。
 こなたは私の言葉を聞きながら頷いて。

こなた「……なにをいっているのさ、かがみん!これは私たちが生き残れるかどうかを試す、ゲームだよ!
    だって、ここにいる人、私たいてい知っているもん。だからこれはゲームなんだよ」

かがみ「…違う!違う!こなた、しっかりしなさい!こんなゲームに乗っちゃダメなのよ!」

 私はこなたの胸倉を掴んでグラグラと彼女を揺らす。このゲームは人を狂わす。人を戦闘マシーンとしてしまう。
 そんな弱い人間ではなかったはずだ。
 こなたは…。
 そう信じている。

こなた「…も、もしかして…かがみん」

 こなたは私から離れると銃をこっちに向けた。

かがみ「こ、こなた?」
こなた「この、かがみんは敵に寄生されているか…かがみんに化けた敵!?」
かがみ「何…何言ってるのよ!!もういい加減にしなさいよ!!そんな冗談、全然おかしくないんだからっ!」

こなた「やっぱり…そっか。危うく騙されるところだったよ!」

 こなたは私の言っていることなど聞かずに握っていた銃の引金を弾いた。
 私は、こなたが冗談でやっているものだと信じていた。
 いや、こなたが…本気で私たちを狙って撃とうだなんて考えられなかったからだ。

かがみ「…つ、つかさ?」

 私の前に大の字になって立つ、つかさ…。つかさはそのまま私の目の前で膝をつき倒れる。
 呆然とする私を前にして、こなたは次の弾の装填を行っている。

こなた「モンスターを庇うなんて、このつかさも偽物だったんだね」
かがみ「つかさ…つかさ!!」

 私は倒れそうになるつかさを支える。
 つかさは、薄目を開けて私を見つめた。

つかさ「…私、守られてばかりだったから……だから、お姉ちゃんを…」
かがみ「バカ!なんで、なんでそんなことするのよ!」
つかさ「…お姉ちゃん、好きだったから……こなちゃんも、みんな好きだから…」
かがみ「つかさ……」
つかさ「ちょっと…疲れちゃったから、眠っていい?」
かがみ「…うん」
 私の胸の中でゆっくりと眼を閉じるつかさ。私は視線をこなたに向ける。こなたは装填し終えた銃を改めて私に向ける。

【柊つかさ…死亡】
397中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/04(火) 23:49:49 ID:8ZrUNtzG

こなた「モンスター…覚悟!」
かがみ「……こなた、私はあんたをこのまま、ほうっては置かない!」

 私は、立ち上がるとこなたに向かって走る。こなたは驚いた様子で、握っていたショットガンを撃つ。
 私の腕にあたり、感覚がなくなる。だが、不思議と痛みは感じない。
 私は、そのままこなたに抱きつく。

かがみ「あんただって…最初からこうだったわけじゃないでしょう?あんたも犠牲者なのよね……だから、あんたは私が助ける」
こなた「……」
かがみ「おぉぉぉりゃぁぁあああ!!」

 私はこなたの手が背中に回されるのを感じ、残った手で、こなたの手榴弾の信管を引き抜いた。
 今思えば…あの櫻井姉妹の死は、正しい選択だったのかもしれない。誰かが人を殺すこと、それが大切な人であるなら尚更…これほど辛いものはない。
 こなた、つかさ…私は貴方達をこんな目にあわしたくなんかなかったよ。
 ごめん…ごめんね。

【柊かがみ・泉こなた…死亡】


《園崎魅音》

魅音「今…爆発の音がした」
亜美「はい。もしかしたら…誰かが戦っているかもしれません。行ってみましょう」
魅音「うん!今度こそ…間に合えば…」

 そう、私たちは常に間に合わないでいた。
 戦いを止めようと呼びかける子の行動を、止めさせようとした…それだけじゃない。灯台での発砲を聞きつけて。向かったが…既に時遅しだった。もう、これ以上は被害者を出すわけには行かない。あんなバケモノが出てきた以上、みんなで争っている場合でもないのだ。

 雨は少し小降りになったが、それでも降り続いていることに変わりはない…。それと同じく、人が減っても、戦いを止めるということを続けることは変わりない。梨花ちゃんやレナ、圭ちゃんたちが頑張るように私も…部活の部長として頑張らなくちゃ…。

398中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/04(火) 23:51:38 ID:8ZrUNtzG
続きます

園崎魅音
【健康状態】普通
【精神状態】焦り(数多くの人の死から)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 
【特殊能力】なし

双海亜美
【健康状態】普通
【精神状態】疲労
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 ハンドガン
【特殊能力】なし
399中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/06(木) 15:50:08 ID:Yt/NpOmA
投下します
400中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/06(木) 15:51:59 ID:Yt/NpOmA

第20話 雛見沢症候群

《竜宮レナ》

 目の前にあるのは、柱のように伸びる炎…そして巨大な竜、宙を浮く舞衣ちゃんの姿。
 竜が発した炎は草木を残さず灰にして、一本の道を作り出している。
 私は、ひたひたと降る雨に打たれながら舞衣ちゃんを見つめていた。

レナ「圭一君…圭一君は、梨花ちゃん、みぃちゃんたちのところにいって」
圭一「なにいってやがる!あんなバケモノを前にして置いていけるかよ!」
レナ「…こういうのって女の子同士のほうが通じると思うんだ」
圭一「だけどっ!」

 私は圭一君を見る。
 わかっている…圭一君の思いやる気持ちは…だけど、だからこそ…その気持ちはもっと別の人に、必要としている人に向けられなければいけない。
 私は大丈夫。彼女を…舞衣ちゃんを振り向かせる。
 だから…圭一君は、他に苦しんでいる人たちを…助けてあげて。

圭一「…わかった。だけど、レナ…」
レナ「任せて。みんなで雛見沢に帰るんだもんね!」
圭一「あぁ…」

 圭一君がいく。
 みんなが運命に立ち向かっている。私も…頑張るんだ。

レナ「…舞衣ちゃん、私の話を、聞いて!」

舞衣「……レナ…ちゃん?」

 そこで私はあるものを見た。
 クビの横を掻き毟る舞衣ちゃんの姿…それはまるで自分を見ているようだ。私もそうだった。
 あれは…オヤシロ様に恐れたとき、現れた現象。
 それが舞衣ちゃんに!?
 私は雛見沢から一度でた時、茨城の学校で事件を起こした。
 それはオヤシロサマからの声から生まれ、私の首筋からの痒み…そしてそこから蛆が湧き出すというものだった。
 だけど、それは雛見沢に戻ることで治った。そう、これは雛見沢特有のものであるはずなのに。
 舞衣ちゃんは雛見沢の人?そんなことはないはずだ。じゃーだったら?
 いや、今はそんな検索は後だ…舞衣ちゃんは混乱している。
 大切な人を亡くして。自暴自棄になって。
 そんな舞衣ちゃんに私ができることは…。

レナ「…信じて欲しい」

舞衣「え?」

レナ「すべてを疑わないで欲しい。すべてに絶望しないで欲しい…。舞衣ちゃんのこと、私は、うぅん。私たちは……信じてるから」

 そう、私は…舞衣ちゃん…梨花ちゃん、圭一君、みぃちゃん、しぃちゃん、沙都子ちゃん…それだけじゃない。ここにいるすべての人を信じる。
 みんな戦いをしたいと思っている人なんて1人もいないって。
 誰もが怖がって恐れて、だから…こうなるんだって。
401中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/06(木) 15:54:09 ID:Yt/NpOmA

舞衣「…巧海は死んだ。私は信じようとしたのに…、巧海は殺された!殺されたの!!」
レナ「……その憎しみで、舞衣ちゃんは……誰かの命を、未来を奪うの?」
舞衣「!」
レナ「舞衣ちゃんの苦しみを、他の人にも味あわすの?」
舞衣「……」
レナ「私は、舞衣ちゃんにそうなってほしくない。舞衣ちゃんを苦しませたくない!」

 誰もが人を信じるのは難しい。
 難しいけど、だからこそ…それは、とても貴重で、そして…強いもの。

舞衣「…私は」

 舞衣ちゃんは顔を手で覆い、嗚咽を漏らす。

レナ「舞衣ちゃん……」

 私は舞衣ちゃんに手を差し伸ばす。その距離は遠いかもしれない。
 だけど、私の心と舞衣ちゃんの心はそのとき、手が届く距離に感じた。

舞衣「…レナ、ちゃん…」

 舞衣ちゃんは宙から、私の元に降りてくる。
 私は駆け寄り、舞衣ちゃんの手を握ろうとした。
 しかし、その私の手が取られる寸でのところを、ひとつの声が響いた。

祐一「舞衣!!」
舞衣「…楯!?」

 振り返った私の視界に入ったのは三人ぐらいの人だった。
 どうやら舞衣ちゃんの知り合いのよう。
 この巨大な竜を見て駆けつけたのだろう。

詩帆「そこの人、逃げて!危ないよ!」
祐一「舞衣…なにがあったんだ!?これは一体……」

 そのときだった舞衣ちゃんの表情が暗く暗くなっていく。
 私の手をとろうとした舞衣ちゃんはその手をゆっくりと戻していく。

レナ「舞衣ちゃん!!」
舞衣「ごめんね…レナちゃん。私、もう1人…殺しちゃってる。殺人者が、レナちゃんと一緒のところには行けないよ…」
レナ「そんなことない!舞衣ちゃん1人が悪いわけじゃない!」
舞衣「…ありがとう、レナちゃん…」

 そう舞衣ちゃんは笑顔で言うと、空高く浮かんでいく。
 私はその場に立ちつくしかなかった。
 舞衣ちゃんはその知り合いであろう人たちを見つめる。

舞衣「ごめん、楯。私は…もう、あなた達と一緒には…いられない」

祐一「舞衣っ!何かあったか説明してくれ。お前に何があったんだ!?」
レナ「やめて!舞衣ちゃんに思い出せないで!」
 
私はその人たちに向かって怒鳴る。
舞衣ちゃんの辛い気持ち…苦しみ、それらを考えずに思い出させようとしている人たちに…。
だけど、その声は…無視されて届かない。
402中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/06(木) 15:56:35 ID:Yt/NpOmA

詩帆「お兄ちゃん…ここにいたら巻き込まれちゃう!」
祐一「ダメだ!ここで逃げたら、俺たちは舞衣を、見捨てることになっちまう!そんな卑怯なことできるか!」
詩帆「…だったら、私は、お兄ちゃんを守るための力になる!」

 1人の女の子…舞衣ちゃんや私よりもまだ小さい子が前に出ると。
 彼女の身体から鴉のような怪物が姿を現す。
 それは舞衣ちゃんの竜と同じような存在…。

舞衣「詩帆ちゃんも……HIME」

 
《鷹野三四》

 私の研究は間違っていないことが、これで証明される。

 キラを逮捕しに来たワタリが死亡し、
 このゲームの監督責任者であったブリタニア日本総督であるカラレスが死んだときはさすがに焦ったが…
 それ以後、誰も死ぬことは無い。
 キラがあの中にいたか、どうかはともかく…キラも、今は死んだと考えるべきか。
 どっちにしろ、私の研究は止まらない。
 既に何体かの遺体は収容…その遺体の外傷から、彼らが雛見沢症候群、L5であることを確認した。
 全てのものが信用できず、襲い掛かるイメージにかわるこの薬。
 このゲームでは、その効果は絶大である。誰もが自分の命を狙うという強迫観念の中でまともな思考を持つものは少ない。
 これで亡き叔父様の無念を果たすことができる。これで私の研究は成功する。後は、これを世に発表すれば良い。
 それこそ…私が正しいとして、叔父様の研究の失敗を嘲笑した連中に思い知らせることができるのだ。

ギルフォード「鷹野三佐!こっちにきてくれ!」
鷹野三四「どうしました?ブリタニアのあなたが、そんな慌ててば、士気にかかわりますよ?」
 
 現在のゲーム責任者であるギルフォード卿は、研究室にいた私を呼び出す。
 その表情を見るからには、緊迫した事態が迫っているようだ。
 このゲームの参加メンバーは確かに通常のものだけではないようだが…。
 私は外に出てテレビ画面を見つめる…そこに浮かぶのは巨大な竜の姿。
 私は目を疑った。こんな非科学的な存在を認めるわけにはいかない
403中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/06(木) 15:57:59 ID:Yt/NpOmA

三四「……ギルフォード卿、ゲームの管理責任者はあなたです。いかなるようにするつもりですか?」

ギルフォード「そんな躊躇をしている場合か!?あの怪物は火を放ち、島の一部を消失させてしまっている。
       ここが地下といえど、あれの直撃を受ければどうなるかわからない!」
三四「心配には及びませんわ。私の薬は絶対。我々など、彼らにはもう目に入っていないでしょうし。
   私たちを潰そうという考えも、既に思考力として入っていないと考えますわ」
ギルフォード「何を根拠に!」
三四「落ち着きましょう?まだまだ時間はありますわ。
   それに順調に死人も増えているんです。何も心配は要らないと考えますわ」
ギルフォード「ふざけないでいただこう!我々は皇帝陛下から、本作戦を必ず成功させるよう命令を受けている。
       不足な事態は、一刻も早く対処すべきだ」
三四「では?」
ギルフォード「怪物を使うものは、盗聴器と発信機から、後2人、いや…3人は確認している。これらのものの首輪の爆弾を爆発させ、ゲームの通常化を図る」
三四「いけませんわ。それでは、武力介入。ゲームの正当性を破棄することになりますわ」
ギルフォード「残ったものたちでも、それは可能だ」
三四「……だからといって、それを行うのは、いささか…急すぎですわね。それがブリタニア国民の性なのかもしれないですけど」
ギルフォード「貴様!名誉ブリタニア人として、その発言は不適切でっ!?」

 ギルフォードの身体が崩れ落ちる。

小此木「全ての制圧まではもう暫く時間がかかりそうです」
三四「急がせろ。基地施設内の制圧を完了次第、配置につけ」

 そう、このゲームはすべての人々に実況中継される。
 私の研究成果の発表の場として。そして…ブリタニアの愚かさを伝える。
 これで、世界は私の研究の前にひれ伏される。
 それを邪魔するものは誰であれ許されない。

三四「…フフフ、さぁ、踊りなさい。壊れた人形達。貴方たちは私に手の平で最後の一人まで踊り続けるのよ」

 貴方達の体の中を通る私の成果が…目覚め、暴れる場を与えて頂戴……。
404中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/06(木) 16:00:01 ID:Yt/NpOmA
続きます

鴇羽舞衣
【健康状態】良
【精神状態】絶望(巧海を失ったことで)
【装備】ハンドガン 地図、水、パン、コンパス 時計
【特殊能力】HIME

竜宮レナ
【健康状態】良
【精神状態】焦り(舞衣の暴走から)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 鉈
【特殊能力】なし

前原圭一
【健康状態】良
【精神状態】焦り(舞衣の暴走から)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 鉄バット
【特殊能力】なし

楯祐一
【健康状態】良好
【精神状態】良好
【武装】剣 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし

宗像詩帆
【健康状態】疲労(少)
【精神状態】良好
【武装】棍棒 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】HiME
405中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/08(土) 12:05:00 ID:KuFs6Bjs
投下します
406中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/08(土) 12:06:39 ID:KuFs6Bjs
そこは肉が焦げる嫌な匂いがした。
 私は鼻をおさえて、その場所に辿り着く。そこには既に燃えきってしまった二つの人の姿をした遺体。
 そして血の海に沈むもう1つの遺体があった。
 また…また間に合わなかったの!?私は…ここまで無力だというのか。
 私は人の命を、目の前まで来て、助けることが出来ない……
 私は、地面に膝をつき…その場に崩れ落ちる。
真美「魅音さん…」
魅音「…私は、みんながいなきゃ、何も出来ない。何も……」
 地面の砂を掴みとり握りながら、私は押しつぶした声でつぶやく。

詩音「…おねえは、そうやってすぐにヘコたれるんですね?」

 顔をあげる。そこにいたのは……愛してやまない、私の分身。

魅音「し…詩音?」
詩音「それだけじゃないですけどね」
亜美「真美ちゃ〜ん!」
真美「亜美!!」

 私の前で抱き合う真美、亜美。二人ともとっても嬉しそうに再会を喜び合う。
 そんな光景をみているうちに私の前にやってくる詩音。

詩音「あんな再会の仕方してみます?」

 私にそっと手を伸ばす詩音、私は涙を堪えながら、その手をとると立ち上がる。私はそのまま黙って詩音の肩を掴んで、胸に顔を埋めた。

魅音「遅いよ……」
詩音「無茶いわないでください……。私だって、大変だったんですから」
魅音「…守ってくれてたんだ?あの子」

 私は顔をあげて真美、亜美の二人を眺めながらつぶやく。

詩音「どうにも沙都子を思い出しちゃって…」
魅音「…後は圭ちゃんたちか…上手く会えればいいんだけど」
詩音「えぇ…この爆発音で戦いを止めにくるものだけがくればいいんですけど」
魅音「それって?」
詩音「……全員が全員、私たちのような考えじゃないってこと…」

ヘンゼル「姉様、ほら…言ったとおり」
グレーテル「本当ね兄様、混沌の場所に人は集まるわ」

 それは、綺麗な顔をした、外国人の小さな子供…だけど私にはすぐにわかった。彼女達が普通の子ではないということに。
 それは彼女達から感じる禍々しい狂気。

詩音「…おねえ、感動の再会はあとです」
魅音「詩音!あんた、どうする気よ!」
詩音「……相手が向かってくるなら、やるまでです」
 
 そうはいうが、詩音の持っている武器…ハンドガンだけではどうにもならない。相手の武装は斧にマシンガンである。
 私たち全員が一瞬のうちに蜂の巣にされる。
407中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/08(土) 12:08:52 ID:KuFs6Bjs



第21話 残酷よ、希望となれ

《園崎魅音》


ヘンゼル「見て、姉様…この人は、やるき満々だね」
グレーテル「えぇ…、相手が向かってくるなら私たちも迎えてあげないといけないわ」

 2人は斧とそしてマントからだしたマシンガンをこちらに向ける。
 詩音はそれでも戦う気だ。私はその場から動けない。
 相手の殺気に怯えてしまっているのか…そんなことはない。
 私は、ここで止まってはいられないんだ。

真美「すっごい…かっこいい」

 私はその声で気がついた。恐れを感じない双海真美は、物珍しそうに銃を構える1人の
 女の子の周りをキョロキョロと眺めている。
亜美「真美!ダメ!!」
 慌てて近寄る亜美、真美をその場から引き離そうと引っ張る。
 だが真美はそれをいやがる。

真美「どうして?」
亜美「どうしてって…」

 その二人のやり取りに不思議そうな表情を見せる銀髪の二人。
 詩音はそれを好機と見て飛び出そうとした…だが、その詩音の身体を私は抱きしめ、動きを止めた。

詩音「おねえ!!なにをするんですか!?」
魅音「待って!詩音!戦うことだけじゃ何も生まない!」
詩音「何を言って…。おねえは、この二人にも話が聞くと思っているんですか!?二人からは血のにおい、殺気しか感じないです。きっと、ここにきてからも、もう何人もの人間を殺して…」
魅音「それでも……このまま戦ったら、きっと…みんな死んじゃうから」
詩音「弱気なおねえはそこで見ていてください!」
魅音「違う!きっと…わかってくれる。私たちが…分かり合えたように」

 そう、私たちは…傷ついた。
 様々なことで…悟史君のこと、家のこと…詩音、魅音のこと。
 それも含め私たちは乗り越えてきた。双子は、もう1人の自分であり、姉妹であり、親友であり、喧嘩友達でもある。
 私たちが一番、心を放てる存在。
 だから…わかってくれる。
 私の気持ちを…感じて。

詩音「…」
 詩音の力が緩まり、私を見つめる。
魅音「……お願い。少しだけ、時間を頂戴」
詩音「…まったく、おねえは、しょうがないんですから。ここまできたら死ぬまでお供します」
魅音「ありがとう…」
408中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/08(土) 12:10:41 ID:KuFs6Bjs
 私は前に出て、その銀髪の二人を見る。
 私が感じたのは、詩音のいうものと同じだ。血のにおい、そして殺気。
 園崎家という暴力団と変わらない場所にいれば詩音も私も、そういったことには敏感になる。
 そんな私がもう1つ感じたこと。それは…真美に対して危害を加えなかったことだ。
 本当の殺し屋、殺人が目的ならとっくにやっているはずだ。
 それをやらないということは…。

魅音「……」

ヘンゼル「どうしたの?怖気づいちゃったのかな?」
グレーテル「それとも覚悟を決めたのかしら」

魅音「貴方たちだって同じ人間。話し合えばわかる…。戦うだけが、解決策じゃない。そこに逃げちゃいけない…ってこと」

 その言葉に、2人は顔を見合わせる…再び、こちらに顔を向けたとき、2人は年相応の笑顔を向けていた。

ヘンゼル「…君も、彼女と同じ事をいうんだね」
グレーテル「……あなたは、彼女のように、いなくはならない?」

 彼女?私には二人の言葉の意味が分からない。
 ただ、私は最後の言葉には大きく頷いた。私はここでは死なない。
 そして誰も死なせない。詩音も、亜美も真美も…私は守りぬく。
 勿論、その中には、あなた達も含まれる。私は、もうこれ以上……。
 そして、この想いは届く。
 みんなに…だって、戦うことは誰も望んでいないのだから。

魅音「誰も、死なせない!」

パチパチ

 拍手の音。
 その音に私たちは振り返る。そこにいたのは、どこかの学校の制服を着た女の子である。
 彼女は、微笑みながら私たちを見つめる。

静留「えぇお話どすな…。うち、感動しました。せやけど…」

 彼女が腕をふるう。
 風が私の前を通り過ぎる。銀髪の男の子の身体が縦に真っ二つに別れる。
 血が飛び散る。私はそのあまりの光景に呆然とするしかなかった。
 彼女から感じる殺気は、この銀髪の子達のレベルじゃない。震えが走る。

【ヘンゼル…死亡】

魅音「あ…あぁ……」
静留「残念やけど…なつきのため。ここでみんな死んでもらいますぇ」

 そういって彼女は、その手に巨大な薙刀を現す。先ほどの攻撃はおそらく、あの薙刀が延びたものなのだろう。
 薙刀の先端からは血が滴り落ちている。狂気に満ちたその表情は、もはや、人間とは思えない…。
 私のやっていることは、無意味なのか?みんなで生き残ろうと思う私は…間違ってるのだろうか。
 そんな私の前に立つ銀髪の少女。
409中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/08(土) 12:12:02 ID:KuFs6Bjs
グレーテル「行きなさい。私が時間を稼ぐわ」
魅音「なにいって…」
グレーテル「…あなたにはいなくなってほしくないから…」
魅音「ダメ、みんなで…」

 そんな私の腕を掴む詩音。

詩音「おねえ……察してください」
魅音「詩音!!だって、私はもう、誰も…」
詩音「私はおねえを守るのが仕事です。例えそれでおねえに恨まれても…それは覚悟できてますから」
魅音「…くぅ…」

 私はそのまま詩音に引っ張られていく。
 目の前にいる幼い少女を残して、私は…何をしているのだろう。
 これが、部活メンバーのリーダーなの?逃げることしか…出来ないの!?




静留「…愛する人のためやったら、うちは…鬼にでもなんにでもなります」




黒い黒い雲の下で、薙刀をふり、飛び散る血の粉末。
屍を前にして…彼女は微笑んだ。

【グレーテル…死亡】


410中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/08(土) 12:15:08 ID:KuFs6Bjs
続きます

園崎魅音
【健康状態】普通
【精神状態】焦り(数多くの人の死から)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 
【特殊能力】なし

双海亜美
【健康状態】普通
【精神状態】疲労
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 ハンドガン
【特殊能力】なし

園崎詩音
【健康状態】良
【精神状態】高揚(おねえは私が守る)
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 スタンガン
【特殊能力】なし

双海真美
【健康状態】普通
【精神状態】普通
【装備】地図、水、パン、コンパス 時計 ハイパーヨーヨー
【特殊能力】なし
411中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:28:49 ID:Lg37uhpF
投下します
412中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:30:12 ID:Lg37uhpF
第22話 優しい世界


ルルーシュ「さぁ、お望みどおり…きてやったぞ。父上…いや、皇帝シャルル…」

 Cの世界。
 全ての始まりであり、そしてこの偽りの世界の原点であるこの場所。
 そこは光が支配する場所、天高き白き雲と、そして僅かな大理石のような足場で構築された世界。
 俺に見せたかった現実。
 相容れないものたちの永遠ともいえる争い。
 そこに生まれるのは絶望、そして憎悪…それは新たなる戦いを生むということ。
 それらすべては、嘘と偽りによって生まれる。
 誰もが心を隠し、己の気持ちを偽り、そして行動する。

 だが、それは当然のことだ。
 誰もが心に仮面を被り、嘘をつき、場に溶け込むことで
 国家、民族、コミュニティーは成り立たない。
 家族の前、友人の前、社会の前で…人は嘘をつき続けている。
 己の立場、名前、地位…それらすべてで…。

シャルル「お前は、何も悟らなかったか?
     あれが…あの世界こそが、私と兄さんが半世紀ほど前に経験した…そしてお前が我々の世界で経験した、嘘、偽りに満ちた世界の縮図だよ。
     己の気持ちを偽り、そして…争う。お前も見たはずだ、あれが人間だ。あれが…人間の結果だよ、ルルーシュ」

 シャルルの経験したこと…暗殺が日常であったその時代において、嘘と偽りだけが支配した、その環境の中…いたった結論。
 人の持つ仮面を引き剥がすということ…。
 それは人間のうちに秘めた思いをさらけ出すということだ。

ルルーシュ「…確かに、そうだろう。お前の言うとおり、さすがに一度失ったものを、再び失うことにはこたえた…シャーリー、ロロ…」

 そう…俺は結局救えなかった。
 さらにはミレイ会長や、リヴァルたちまで…。
413中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:31:36 ID:Lg37uhpF
マリアンヌ「…そうでしょう?あなたもわかるはずだわ。こんな無意味な争いの世界の果てで、世界はいつまでも同じことを繰り返す。
      そのたびに、シャルルや、あなたのような悲しみを持つ人間だけが作り出されていく」

 シャルルの隣に現れる女性…

ルルーシュ「…母上、あなたもいらっしゃっていたか」

マリアンヌ「ルルーシュ、わかってちょうだい。これが最善の方法なの。すべてが…正しい方向に修正されるわ。
      あなたの悲しみも、これで…なくなるのよ」

 その言葉にはなんのためらいも迷いもない。

ルルーシュ「……なるほど。どう思う?お前たちは?」

 俺の背後…そのものたちが姿を現す。
 記憶を失い、ゲームに弄ばれたもの…かたや、俺の頭の中で惑わし、そして俺を試したもの。

C.C.「気づいていたのか?私たちがくるということを…」
スザク「僕の記憶が戻っているということも…」

ルルーシュ「俺たちは、この世界に作られた存在じゃないからな。すべては…このときのために、導かれただけだ」

シャルル「…私は、幾多の世界を見たことで、1つの結論に達した。それはコードや、ラグナレクの接続だけではどうしても足りないことだった」
マリアンヌ「本当の…神という存在がいたということよ」
ルルーシュ「なに?」

シャルル「私たちの考えや、それらを邪魔する存在……、それがこれだ」

 シャルルと母上が見上げた方向を俺たちも見上げる。
 そこにあったのは水晶に閉じ込められたひとりの女が眠っている…。
 あれは、確かゲーム開始のときに突っかかってきた奴…。
 まさか!?あれが神であるといえるのか!?

シャルル「…驚くのも無理はない。見かけは涼宮ハルヒという人間だが、その力は全知全能といえる。新たな世界の創造を行う存在」
マリアンヌ「これがある限り、私たちの願いは…消滅されてしまう」
シャルル「だからこそ、この世界を創造した。邪魔をされないために…そして排除するために」

 シャルルたちの後ろに立ち上がる巨大なロボット。
 それはナイトメアとは違った形式をしている。ロボットというよりかは…生物、人間に近い形である。
414中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:33:01 ID:Lg37uhpF
シャルル「これが、神を殺す…兵器、エヴァ。そして神を殺す兵器…ロンギヌスの槍だ」

 巨大なロボットに握られる巨大な槍…ロンギヌス、千本槍のことか。
 神の兵器としては名前だけはしっかりしているようだが…。

C.C.「…急ぎすぎだ、シャルル」

シャルル「我々にはもう時間はない。これで終わりにする…C.C.お前も覚悟を決めろ」

 エヴァはロンギヌスの槍を掴み、投擲の体勢に入る。標的は頭上にある水晶にいる涼宮ハルヒ…そして、その向こう…集合無意識に向けて。

ルルーシュ「お前は、こういったな。嘘や偽りは人間を争わせるものだと…だが、それは違う。
      人はなぜ嘘をつくのか…それは争うためだけじゃない。
      何かを求めるからだ。
      お前の言うありのままの世界というのは、変化がない、生きるとは言わない。
      思い出の世界に等しい、完結した閉じた世界…、そんな世界、もう一度言う…俺はいやだ」

マリアンヌ「ルルーシュ…それは私を否定するという意味?」
ルルーシュ「母さん…母さんは本当に、皇帝と同じ願いなのですか?」
マリアンヌ「バラバラであったものが1つになるということは、いいことだわ。今も争いあっているものたち、そして既に死んでしまったものたちとも1つになれるのよ?あなたのいう、シャーリー、ユーフェミアだって…」
スザク「…」

ルルーシュ「…お前たちは、それをいいことだと思っているようだが、それは押し付けた善意だ。悪意となんら変わりはない」
シャルル「…みな、いずれわかるときがくる。少なくとも、今争いあっているものたちにとってみれば、感謝されるべきことだ」
ルルーシュ「そんなことはない!!」

 そう、皇帝の言うことは…一見、理想に聞こえるかもしれない。
 だが、それは人間を堕落させる。
 人間を人間として否定することに繋がる。
 今、こうして運命に立ち向かうものたち、それこそが…人間である。
 感情を持ち、そして信じる心…それを持つものを、否定することなどできない。
415中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:34:33 ID:Lg37uhpF
ルルーシュ「1つだけ、はっきりしていることがある。お前たちは俺とナナリーに善意を施したつもりかもしれない。しかし、お前たちは俺とナナリーを棄てたんだよ!」
マリアンヌ「でも、それは貴方達を守ろうとして…」
ルルーシュ「日本とブリタニアの戦争を止めなかったのはなぜだ!」
マリアンヌ「……」
ルルーシュ「計画を優先したお前たちは、俺やナナリーが生きていても死んでいても、関係がなかったんだ。だから棄てたんだ。自己満足のために」
マリアンヌ「それが違うわ!」
ルルーシュ「今、言っただろう!死んだものとも1つになれると。お前たちは未来を見ていないんだ!」

シャルル「神が死に、すべてが1つになった後、未来がある。ナナリーのいった優しい世界…」
ルルーシュ「違う!お前たちの言う世界は、自分たちに優しい世界だ!だが、ナナリーが望んだ世界というのは……他人に優しくなれる世界なんだ」

スザク(そうかもしれない…ユフィは最後までゼロがルルーシュとは言わなかった。シャーリーだって…)

 俺と母上の話を聞くシャルルは、薄ら笑いを浮かべ、俺を見る。

シャルル「だからといって、それがなんだ…既に、ロンギヌスは発射体勢にはいっている」

ルルーシュ「どうかな…俺はゼロ、奇跡を起こす男だ」

 俺はコンタクトを外し、ギアスの光を持つ眼を頭上に向ける。

シャルル「今更、ギアスなど…そんなもの、ワシには通じぬ。ここにいるほかのもにも」
ルルーシュ「いや、まだ1人いるじゃないか……Cの世界は人類の意思、そして人は平等ではない。
      どれもお前の言葉だ。平等ではない俺の力を知っているな」
シャルル「愚かなり、ルルーシュ!ラグナレクの接続よりも強力な、神を殺す武器、ロンギヌスの槍を前に、王の力は勝てない!
     エヴァ!ロンギヌスを発射せよ!」

綾波レイ「…了解」

ルルーシュ「勝ち負けじゃない!これは願いだ!!
      そう、今こそ俺は自分を知った。そして俺は知っている。
      今、このときも戦っているものの全てが、全てに絶望し、争っているだけじゃないと。
      その先に未来があると信じているものがいるということを……」

シャルル「そんなもの!いるはずがない!」

 お前は人間を甘く見すぎている。
 俺は、1つだけ、お前に感謝しなくてはいけない。
 それは俺以外のもの、スザク、そしてC.C.など以外のもの…様々な世界で運命に立ち向かうものがいるということを教えてくれたことだ。
 人間が全員が全員、絶望しているのではない。
 争うだけじゃない…信じる心。明日への扉を開けるために…。
416中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:37:13 ID:Lg37uhpF
《古手梨花》
 
誰かに呼ばれた気がしたのか…私は空を眺めた

梨花「…オーロラ?」
沙都子「本当ですわ…綺麗ですわね」
梨花「…」



《ルルーシュ・ランペルージ》

ルルーシュ「…神よ、集合無意識よ!!」

 俺の頭上で輝くもの…水晶…そして集合無意識…。

ルルーシュ「時の歩みを、とめないでくれぇ!」

マリアンヌ「ルルーシュ!あなたって子は!」
スザク「!」
 スザクがマリアンヌの前に立つ。強い眼差しで…。
マリアンヌ「あなただってユーフェミアと合わせるためにつれてきて…」
スザク「こんなことは誰も、ユフィも、望まない!」

 ユーフェミア…俺が、ギアスの暴走により殺めてしまった、スザクの大切な存在。
 彼女もまた、未来を信じた、そして他者の幸せを望んだ。
 己の幸せを棄ててまで…。

シャルル「できるはずがない!神は封じられている…そんな中で、人類そのものに、通じるはずが…」



ルルーシュ「それでも、俺は……俺たちは、明日がほしい!!」



 俺の両目がギアスにへと変わる。
 俺は確信がある。人間は…お前たちが思うほど弱くはない。
 そうだろう?神と呼ばれし、水晶に閉じ込められた姫よ。
 お前も…人間を信じるだろう?そして…この争いの先にある未来…見てみたいだろう?
417中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:39:14 ID:Lg37uhpF
綾波レイ「…ロンギヌス、消失」

 水晶が輝き、そしてCの世界…空一面が輝きだす。

シャルル「バカな!?ワシと兄さん…マリアンヌの夢が朽ちていく…」

 驚愕の表情を浮かべるシャルル…。

ルルーシュ「これが…嘘ではない、現実の答えだ」
C.C.「やめよう、シャルル…おこがましいことだったんだよ。これは…」

 C.C.はしゃがみこみ、膝を抱えて小さくつぶやいた。

シャルル「まだだ!!C.C.お前のコードがあれば…再び時を戻させ、新たなる世界の構築を……くぅ!?
     飲み込まれるだと!?不老不死のワシが…Cの世界に…」
マリアンヌ「あなた…あぁ!?」

 そう、消えていく
 時の歩みを止めようとしたものたちはすべて…ロンギヌス、エヴァ、そしてお前たちもすべて…。

マリアンヌ「でも、どうして!?C.C.はどうして消えないの?この話に同意していたのに」
C.C.「すまない…気づいてしまったんだ。お前たちがただ自分のことが好きなだけだと」

ルルーシュ「お前たちは…知っているのか、ナナリーの笑顔の意味を…」

マリアンヌ「笑顔?」

ルルーシュ「なぜわからないんだ、ナナリーは目も見えず、歩くことも出来ない。
      だから、世の中には自分だけでは出来ないことがあることを知っていたんだ。
      ナナリーの笑顔は、せめてもの感謝の気持ちなんだ!」

シャルル「そのような誤魔化しこそが…」

ルルーシュ「それを嘘だとは言わせない!言わせてなるものか…。
      現実を見ることなく、高みから俺たちの争いを観察し、ふざけるな!!
      事実はひとつだけだ、お前たち親は、俺とナナリーを棄てたんだよ!」

 お前たち親にはわからない苦しみを感じながら、俺たちは生きてきた。
 その苦しみを知らずして親の顔をするお前たちに…、俺たちの運命は決めさせはしない。
 俺たちの運命を決めるのは俺たち自身だ。

シャルル「この賢しき子供がぁああぁ!!」

 シャルルの手が俺の首を掴む。
スザク「!!」
ルルーシュ「手を出すな、スザク!」
 スザクが切りつけようとする…だが、俺はそれを拒んだ。
418中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:40:03 ID:Lg37uhpF
シャルル「ワシを拒めば、この作られた世界は…あの神崎黎人の手に落ちることになるのだぞ!所詮、悪意と善意は一枚岩…」
ルルーシュ「だからといって、お前の世界は俺が否定する…消えうせろ!!」

シャルル「ぶるぅうわぁああああああ!!」
マリアンヌ「あぁあぁぁぁぁぁ!!!」

 さらばだ…父上、母上。
 お前たちの想い…憎悪もまたここで消していこう。
 これから先は、俺たちがつくらせてもらう。明日を導くために……。

【シャルル・ジ・ブリタニア、マリアンヌ、綾波レイ…消滅】

 これで皇帝たちの野望は潰えた…後やるべきことは。

スザク「ルルーシュ、僕は君を討たねばならない。ユフィの仇として…」
ルルーシュ「ほぉ…」

《渚カヲル》

 繰り返してなお、その世界を新たに変革しようとした存在…シャルル・ジ・ブリタニア。
 碇ゲンドウと同じく危険な存在であり、最悪の場合、介入しようとおもったけど…それには及ばなかったようだね。
 シンジ君も…この世界では、そこまでの力には至らなかったようだし……後の采配は、君にませようとおもうよ。
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
 
【渚カヲル…退場】
419中二病ロワイヤル ◆hN02YkuTxM :2008/11/12(水) 18:42:00 ID:Lg37uhpF
続きます

ルルーシュ・ランペルージ
【健康状態】足を撃たれて重傷
【精神状態】意識を失う
【装備】水、パン コンパス 時計
【特殊能力】ギアス(絶対服従の力)

枢木スザク
【健康状態】良好
【精神状態】ルルーシュ負傷のため焦る
【装備】地図 水 パン コンパス 時計
【特殊能力】特になし

古手梨花
【健康状態】良
【精神状態】良
【装備】地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】羽入と前世の記憶継承

北条沙都子
【健康状態】意識混濁
【精神状態】混乱から安定へ
【装備】地図、水、パン コンパス 時計
【特殊能力】特になし
420創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 11:46:34 ID:/r6L6Vfq
保守age
421創る名無しに見る名無し:2008/11/16(日) 18:16:54 ID:QM8c+HXm
サザエさん…
422創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 22:03:28 ID:/ODFQ0J3
宙二病ロワイヤル氏のを集計してみた。

9/13(舞-HiME)風華学園
/○鴇羽舞衣 /○盾祐一 /○玖我なつき /○美袋命 /○宗像詩帆 /○武田将士 /○藤乃静留 
/○神埼黎人 /○杉浦碧 /●菊川雪之 /●珠洲城遥 /●尾久崎晶 /●鴇羽巧海 
6/6(ひぐらしのなく頃に解)雛見沢分校
/○前原圭一 /○園崎魅音 /○園崎詩音 /○竜宮レナ /○北条沙都子 /○古手梨花 
2/6(涼宮ハルヒの憂鬱)県立北高校
/○キョン /○涼宮ハルヒ /●長門有希 /●朝比奈みくる /●古泉一樹 /●朝倉涼子
2/6(らき☆すた)陵桜学園
/●泉こなた /●柊つかさ /●柊かがみ /○高良みゆき /○日下部みさお /●白石みのる
1/7(新世紀エヴァンゲリオン)
/○碇シンジ /●綾波レイ /●惣流・アスカ・ラングレー /●鈴原トウジ /●相田ケンスケ /●洞木ヒカリ /●渚カヲル
0/3(Candy☆Boy)
/●櫻井奏 /●櫻井雪乃 /●神山咲夜
3/4(NANA)
/○大崎ナナ /○小松奈々 /○寺島伸夫 /●岡崎真一
0/2(BLACKLAGOON)
/●ヘンゼル /●グレーテル
4/7(アイドルマスターゼノグラシア)玉兎高校
/●天海春香 /○萩原雪歩 /●水瀬伊織 /○菊地真 /○双海亜美 /○双海真美 /●高槻やよい
0/2(DEATH NOTE)
/●夜神月 /●弥海砂
7/7(コードギアス〜反逆のルルーシュ)アッシュフォード学園
/○ルルーシュ・ランペルージ /○ロロ・ランペルージ /○シャーリー・フェネット 
/○ミレイ・アッシュフォード /○リヴァル・カルデモンド /○ニーナ・アインシュタイン /○枢木スザク

63人中29人死亡 残り34人

結構生き残ってるね。あと、まだ10人ぐらい未登場。
423創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 16:07:02 ID:48A7nfCU
ギアスが7人もいて一人も死んでないのがなんつーか、分かりやすいなw
424創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:31:38 ID:9YK5O3nq
>>422
調べてみたら、らき☆すたとエヴァも既に全滅
ギアスもルルーシュとスザク以外は死亡
ひぐらしが6人そろっていて、誰もマーダー化せずに死者ゼロ
鷹野戦?に行くまでに何人残るのかわからないが
舞-HiMEは武田も死んでる
425 ◆uwkObPUISY :2008/12/06(土) 13:33:40 ID:HfRKsb0f
すいません、更新が滞っています。

・舞-HiME
鴇羽舞衣 盾祐一 玖我なつき 美袋命 宗像詩帆 藤乃静留 神崎黎人
・ひぐらし
竜宮レナ 前原圭一 古手梨花 北条沙都子 園崎姉妹
・涼宮ハルヒの憂鬱
ハルヒ キョン
・アニマス
双海姉妹
・コードギアス
ルルーシュ スザク

のみが生き残りです。
後は全滅していますね。
書き溜めておいたものが、今は無い状態で、書く時間があれば完結できますのでお待ちください。

426 ◆hN02YkuTxM :2008/12/06(土) 13:35:11 ID:HfRKsb0f
すいません、うち間違えました。
まとめてくださりありがとうございます。
427 ◆hN02YkuTxM :2008/12/06(土) 13:36:08 ID:HfRKsb0f
NANAの寺島伸夫がまだいましたね…。
428創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 15:56:26 ID:lXJy09NE
非リレーだからこそ存分にえこひいきできるしな。
429創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 16:38:39 ID:OVloGV04
質問ですが、ここって
携帯電話からの作品投下はOKですか?
430創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 16:40:30 ID:aUSI0Ddm
全然おkだけどやるほうがしんどくね?
431創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 17:13:39 ID:OVloGV04
>>430
パソの調子が悪いもので…
おKなら一つ書いてみようかな
432創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 18:01:54 ID:GotaXVDf
>>429
自分は普通に携帯から落としてたけどね

……でもね、自分一人で進めるのは本当にきついよ。
普段なら気にしないどうでもいいことで書くのをやめたくなる
433 ◆xqhrgTJ31c :2008/12/07(日) 11:36:38 ID:c3SDw5U/
俺みたいにな!
434 ◆NIy9bPu/PU :2009/01/28(水) 16:15:37 ID:NiHMk7cD
tre
435創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 22:25:40 ID:Zsr6Vluy
保守を兼ねてテンプレみたいなのを作ってみました。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html

間違い、改善点の指摘あったらよろしく頼みます。
436創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:03:25 ID:JfzdTKFd
>>435
いいんじゃね?
しかし最近投下がないな。
俺も今書いてるんだが、なかなか進まなくてなー。
ある程度書き溜めてからここで始めたいと思ってるんだが、まだ見せしめ含めて2人しか殺せてない。
速く書ける人って何が違うんだろうな。
437創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 00:15:12 ID:ERvAoVrP
>>435
それでいいと思う。
しかし、一人でパロロワとなると大変だよな。普通の小説でも主要登場人物は10人もいないのに、パロロワだと3〜40人を動かさなきゃいけない。
しかもいろんな設定を一人で決めなきゃいけない……で、全部決めてもそっから書かなきゃいけない。
まだ一話しか書けてないや。
438創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 20:40:50 ID:jUJjaWFe
こっそり参加を考えてる者なんだけれども、ちょっと質問。
やっぱりこういうのって、1〜3話くらいから試合開始しないと冗長?
軽くプロットを立ててみてるんだけれども、人物紹介とか試合前のいざこざとかで少なくとも十話くらいかかっちゃう計算なんだよね。
個人的にはそれくらいは必要だと思ってるし、モチベーションって言う点でもまあ問題はない(と思う)。
でも、確かにそのくらい話数かけちゃうとちょっと冗長だよなとは確かに思うし……。
無理してでも削るべきでしょうかね?
439創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:27:53 ID:kmSPPUUJ
とりあえず俺は一話目から死人出した話書いてるぜ。
リレー小説ではできない、一人ロワの利点というのがあるからそれに照らし合わせて考えてみては?
物語全体に一貫したテーマを持たせたり、一話目やOPから終盤への伏線仕込んだりね。
440創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 21:52:15 ID:jUJjaWFe
>>439
んーっと、『自分から見て』ってことじゃなくって『傍から見て』っていう観点で聞きたかったんだけど。
いささか思い上がりかもしれないけど、こっちとしては『一人でロワを書く』って言うことがどういうことかを分かっているつもりでいる。
例えば、『一貫したテーマ』とか『伏線』といったところは、はっきり言って「あたりまえ」と思うくらいに承知の上。
そういうのを踏まえた上で、俺はプロット通り(まだ未完成だけど)に試合開始前に十話くらいかけたいのよ。
俺が聞きたいのは、それを読まされる側の読者がその前振りの遅さに呆れて本編に入る前にどっかに行っちゃわないかってこと。
俺の書く文章は、無駄に長文になる傾向があるから、なおさら。
「自分の書きたいように書けば?」と言われるかも知れないが、そもそも読まれなければどうにもならないと思うので。
要するにニーズを知りたかったのよ。ニーズを。
441創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:15:52 ID:oRuGA9ox
試合開始前にプロローグが10話分書かれるってことだよな。なら別にいいと思う。キャラ知らない人のためにはそのくらい必要かと
まあ、試合開始前のいざこざの様子を誰かに回想させたりして、プロローグを飛ばしても読めるような設計にすれば、キャラ紹介が冗長だと感じる人も取り込めていいかもしれない
442創る名無しに見る名無し:2009/02/20(金) 22:30:13 ID:NUpe4xiY
当たり前だけど、原作のバトロワって一人の作者によるものなんだよな…

あの文章、自分的にはちょっと読みにくい
句読点の打ち方とか装飾とかで、妙につっかかる…なんか英文を直訳したような…
まあ、自分の読解力が欠けてるだけの話しといえばそれまでだが

相性もあるのかな…?
443創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 01:16:37 ID:z0q58KHF
>>441
とりあえずおkなようで良かった。
回想か……その辺りの配慮もやれるだけやってみるけど、あまり期待しないで欲しい。
それを実際にやるとなると、色々とめんどくさいことになるので、本当に最低限かそれすらないかもしれない。

それじゃあ、
三十〜四十人くらいの、オリキャラによる無駄に長めなオリバトを書くつもりなんで、その折はよろしく。
……書き始めがいつになるかは謎すぎるけれども。
444創る名無しに見る名無し:2009/02/22(日) 01:14:33 ID:YqiQl0Vp
>>442
まあ、好みだな
自分はあのくだけた感じが逆に親しみやすくて引き込まれるが……

>>443
期待
445フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 15:38:37 ID:9UtQAMl3
第一話『オープニング』
1/4
 最近は箱庭スレで恙無い生活を送っている私ですが、一つ懸案事項があったりします。
 そうです。
これ以上作者ことラブラブさんのキャラが投入されたら私は空気になってしまう可能性が高いのです。
 それだけは回避しないと私的に大変危険なのです。
 ゆゆるちゃんやロリトシュラー……もとい、ハルトシュラーさんに人気を食われてしまうのです。
 ええ、ぱっくりと。
 そんな訳で。
 邪魔になりそうなキャラを間引く為に、流行り(?)のロワを開催することにしました。
 勿論乱立ロワではありません。
 過疎っているスレを再利用なのです。エコロジー万歳。

 ■■■

 パロロワは楽しいので、妖精さんも張り切って頑張ってくれました。
 オープニングに相応しい妖しげな洋館を作ってくれました。
 見てください。このゴージャスなシャンデリア。
 更にゴシックバロック調の私の彫像や絵画ですよ。
 もはや立派な洋館……と言うよりは悪魔城です。若本チックなドラキュラが出てきそうです。
 あまりにも立派なので、島ではなくて洋館改め悪魔城を舞台にして他のロワと差別化を謀ろうと思います。
 ええ、島だと管理が面倒臭いからではありません。
 後発のロワとして他と差別化を謀らなければならないのです。
 そういう運命なのです。
 更に当然のごとく制限なんて不粋な物はありません。
 やっぱり特殊能力はキャラの個性ですので。


 ――場所は代わり、祈祷亡き礼拝堂――
 ステンドグラスに描かれた私を模したマリア様が慈愛を振り蒔いて荘厳な雰囲気を醸し出しています。
 妖精さんに連れて来られた参加者達が状況を理解出来ずにザワザワとざわめいています。

「お集まりの皆さん、このご多忙の中よくぞお越し頂きました。この城の城主としてお礼を申し上げます」

 妖精さんが持っているカンペを読み上げると、ブーイングの嵐が飛んできました。
「時は金なり! オマエ、皆に謝っとけ!」

「●●なフェアリー・テールのクセに偉そうなのは生意気なのだわ!」

「コロボックル殿……いくら季節の変わり目だといっても……これは酷すぎるのであります」

「シャクシャインおなかすいたー」

 しかも身内のブーイングが一際大きいです。

「君達、やめたまえ! ああっ、ボクには人の愛が感じられない!」

446フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 15:40:11 ID:9UtQAMl3
2/4
 ビターさんがフォローしてくれているみたいなのですが、主催者としてのプライドが傷つけられてしまいました。
 まだ開始前だというのに、ガラスみたいに綺麗で脆い私の心はボロボロです。
 泣きそうですが我慢です。主催者はこんな事で挫けたらいけないのです。

「み、みなしゃんにはころち合いをしてもらいましゅ」

 ……慣れない事をするものではありませんね。焦ってしまい噛んでしまいました。
 冷たい視線と冷笑が絶対零度となって私を襲って来ますが、我慢です。
 主催者には忍耐力が必要なのです。いま私が決めました。
 コホンと咳払いをして、じいっと参加者を見回して砕け散った威厳の欠片を広い集めます。
「――皆さんには殺し合いをして貰います。なにか言いたい事がある人はいらっしゃいましたら挙手をお願いします」

 予想通り手を挙げる人がいました。悔しい事に全員です。
 妖精さん達もきゃいきゃい言いながら手を挙げているので後で折檻です。

「ええ、皆さんのお気持ちは重々理解しています。ですが、運が悪かったと諦めてください」

 こういう時には司会としての仕切りの能力が問われます。
 因みに。
 私はアクシデントは『なかった事』にして進めるタイプだったりします。

「皆さんには首にはお洒落な首輪をして貰っていますけど、それには妖精さん特製の爆弾がついてます」

 参加者の方々は私の言葉に、一斉に首輪を確認しました。
 良いですね。この光景。優越感に浸れます。

「言っておきますが、外すとドカンときますのでお気をつけ下さい」

 ザワザワと静かにさざ波のみたいにざわめく参加者の方々の生殺与奪の権をもっていると、試したくなるのが人情です。
 つまり、見せしめですね。

 ど・れ・に・し・よ・う・か・な……。
 ぴーぴーががー、ぴーががー。

 あまりにも五月蝿いのでレトロなブリキの玩具な外見の安藤ロイド君に決めました。
 スイッチポンでボン。
 破裂音がすると、安藤君はスクラップになってしまいました。
 怖いですね。だけど、反応が薄いのが悔しいです。
 流石に安藤君は知名度が低すぎました。
 仕方ないのでもう一人。

「終わりのノブナガはこれくらいじゃビビらないんだぜ!」

 空気を読んでくれたのはノブナガさんでした。わーい。嬉しくなってしまいました。
447フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 15:43:21 ID:9UtQAMl3
3/4
 スイッチポンでボン。
 今度は成功です。爆ぜた頭部が飛び散り、首から噴水みたいに血がぴゅーって噴き上がりました。
 参加者の皆さんは顔を恐怖に歪めています。
 私は確信しました。
 血が恐怖を呼び、恐怖は支配へと繋がるのです。
 つまり! 私はヒエラルキーの頂点にたったのです!
 感慨ひとしおです。やっとロワらしくなりました。

「これからの予定ですが、皆さんに武器とか当座の食料、地図とか名簿を配布します。その後、ランダムにこの悪魔城の何処かに飛んで貰います」

 私がビシッと指差した先には、妖精さん謹製の空間転移装置があります。
 妖精さん達は支給品を配りながらエヘンと胸を張りますが、誰も褒めてあげません。
 かわいそうですね、ええ、かわいそうですとも。
 フォローしてあげたいのですが、主催者として公私の分別をつけなくてはならないのでスルーします。

「言い忘れましたが、優勝者には願いを叶える権利をプレゼントします」

「つまり。
それはガンダムSEED劇場版の公開でもよろしいのでしょうか。
でないと、私が風化してしまいます」

 私とキャラがかぶり気味のラクス・クラインさんがニコニコ笑っています。

「ええ、勿論です。見事貴女が優勝したら、その夢を叶えます」

 自信を込めた言葉にラクスさんは納得してくれました。
 口から出任せで納得させるのも主催者の力量です。
 ハッキリと言いうとそれは無理です。
 中止になったと噂のガンダムSEEDの劇場版公開は私の魔法では無理です。
 こんな事になるなら見せしめはラクスさんにしておけば良かったと後悔してしまいます。
 ですが、ラクスさんの扱いが悪いと荒しが湧くのが某所での定説です。
 見せしめを追加したくなりますがぐっと堪えるのがデキる主催者です。

 しーんと静まり返りましたので、進行を進めます。

「後の細かいルールは支給品を入れたデイパックにロワの栞を入れたのでそちらを読んでください」

 ぐるりと参加者の方々を見回しても返事がありません。元気な返事は大切です。
 多分、声が出なくなるほど怖いのでしょう、私が。
 ちょっと気にかかりますが、思い込みが激しい私ですのでさらっと流します。
448創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 15:43:28 ID:Ct9sYPdT
キターwww
449フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 15:48:01 ID:9UtQAMl3
4/4
 カンペを持った妖精さんが煽るようにカンペを振るので、時頃合いみたいです。

「それでは、バトルロワイアルの開催です。皆さん、頑張って夢を叶えてください」
 もっとも。
 大事な事なのでもう一度言います。
 箱庭スレ出場と劇場版ガンダムSEEDの公開は私の都合により無理です。

――to be continued on the next time.

【一日目・深夜・祈祷亡き礼拝堂】
【安藤ロイド@ロボットスレ:へなちょこロボット、
終わりのノブナガ@学園島スレ:魔法少女軍事系 死亡確認】

残り18人

参加者名簿

ロボットスレ
安藤ロイド@へなちょこロボット 
佐藤ゆん@へなちょこロボット

シェアード青春スレ
岩波由良@ensemble
カエサル像@七不思議(仮)
二宮金次郎像@七不思議(仮)

学園島スレ
アンさん@魔法少女軍事系
ビターさん@魔法少女軍事系
パトリックちゃん@魔法少女軍事系
アイズさん@魔法少女軍事系
シャクシャインさん@魔法少女軍事系
フリードリッヒさん@魔法少女軍事系
シャルロットさん@魔法少女軍事系
ノブナガさん@魔法少女軍事系
ヨシテルさん@魔法少女軍事系
伊庭さん@魔法少女軍事系
さなこさん@魔法少女軍事系
ゴッチさん@魔法少女軍事系
シャイロックさん@魔法少女軍事系

中二病スレ
世界護くん@>>65

妖精さんスレ
ラクスさん@種世界は衰退しました

計20人
450創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 15:49:52 ID:Ct9sYPdT
フェアリー・テールさん涼しい口調で鬼畜すぎるぜ
451フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 15:50:24 ID:9UtQAMl3
投下終了。
自分の作品だと好き勝手出来て楽しいw
452創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 15:56:29 ID:SUfCPMI4
ファック!フェアリーテールさんファック!
マジドSで鬼畜でござる。作者さんに似て
453フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 19:00:49 ID:9UtQAMl3
第二話『宴』
1/2
 ――時計塔前広間。
 城内に時を告げる大時計の駆動音が響いている。
 至る所に設置された燭台が、一人の少女の姿を映し出していた。
 しなやかさと強さを併せ持つ虎の雰囲気を纏った少女の名は、朝敵のアイズと言う。
 澄んだ瞳はただひたすら前を向いていた。
 そう。彼女が見据えているのは、バトルロワイアルというゲームの優勝である。
 道徳的な嫌悪感は彼女にはない。
 幕末から明治に掛けて行われた戊辰戦争において着せられた朝敵という汚名を晴らす事が、彼女にとって第一なのだ。
 それこそが彼女の悲願であり、生きる目的である。
 彼女に流れる忠義の烈士の血潮がそうさせるのだ。
 ――それは誰にも否定できない。
 アイズは獲物を探す獣のように、周囲の気配を察しながら足音を立てずに進む。
 時計の駆動音に混じった剣撃の音を聞き取り、息を潜めてそちらに向かった。

「自由・平等・博愛! 祖国の為に!」

「ハプスブルグ帝国の再興の為に!」

 戦っているの軍服を纏った一組の男女。
 男はフリードリッヒ。オーストリアの魔法兵で、女はシャルロット。フランスの魔法兵である。
 幸か不幸か、どちらも共に今は亡き国家に忠誠を誓う人間である。
 更に、複雑怪奇なヨーロッパの歴史の影響か、激しく仲が悪い。
 お互いに不倶戴天の敵であるが故に、信じる道の為に、命を賭して戦っているのだ。
 フリードリッヒの魔法は歴代のハプスブルグ帝国の皇帝を召喚する“高貴なる血脈”であり、暗殺を旨とする暗殺天使”を魔法とするシャルロットを圧倒している。
 アイズが手を下すまでもなく、勝敗は決している。つまり、シャルロットの負けだ。
 このままフリードリッヒが疲弊するのを待ち、止めをさすのがアイズが取るべき手段であるのだが、アイズにはそれが出来なかった。
 アイズに流れる熱き血潮が、それを否定したのだ。

「我が身に流れる血潮よ! 無念の内に倒れた先達よ、照覧あれ! ――見よ、会津若松城が赤く燃えているっ!」

 魂の言霊、即ち呪文詠唱を終えると、アイズの身体に異変が起きた。

 肉体が膨張し、身体中から白銀と黒の毛が生え、四つん這いとなる。

「私の魔法――白虎態をとくと見よ! がおーっ!」

 突然の闖入者、巨大な白虎と化したアイズの乱入に、フリードリッヒとシャルロットは言葉と色を失い――戦闘を、忘れた。
454フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 19:02:01 ID:9UtQAMl3
2/

「帝国の主達よ、行くのですっ!」
 シャルロットよりも一足先に我に返ったフリードリッヒは召喚したハプスブルグ皇帝を全てアイズに向かわせる。
 ――が。
 圧倒的な獣の前に、爪牙で切り裂かれ――生きながらに●われた。
 赤い血潮で口元を濡らし、紅い瞳を爛々と耀かせるアイズは鋭い牙で骨を噛み砕き、肉を●●する。
 生きながらに●われる苦痛を与えられた歴代のハプスブルグ皇帝は、安らかに死ぬ事を許されずに、呻き声をあげるしか出来ない。
 ――地獄絵図。そう、正に地獄絵図だ。
 アイズは歴代のハプスブルグ皇帝だけでは飽き足らず、フリードリッヒとシャルロットに獣の本能を顕にした瞳でねめつけた。

「こ、この化け物めっ!」

 仇を取らんとばかりにガムシャラに駆けたフリードリッヒを屠り、半狂乱になりながら、腰を抜かして、果てには失禁したシャルロットを――。

 アイズは●った。●い散らかした。
 肉片、骨片、臓物を四散させながら、二人は生きたまま、新鮮なまま●われた。
 その泣き声、悲鳴は大時計の駆動音をかき消す程大きく、そして、悲しいものだった。

「がおー、がおがおがおーん」

【一日目・深夜/時計塔前広場】

【朝敵のアイズ@魔法少女軍事系】

[状態]:健康・満腹・白虎モード
[装備]:すっぽんぽーん
[道具]:基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考]
基本方針:優勝してお家再興。
1:がおがおーん(意訳不可能)

※近くにフリードリッヒとシャルロットの支給品がありますが、使い物にはなりません。
満腹になったのでそのうち白虎モードは解けますが、来ていた服が破れてしまったのですっぽんぽーんです。

返り血をタップリ浴びたので血まみれです。
455フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 19:02:45 ID:9UtQAMl3
投下終了グロ注意
456フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/08(日) 19:04:25 ID:9UtQAMl3
忘れ物
【フリードリッヒさん@魔法少女軍事系、シャルロットさん@魔法少女軍事系死亡確認】

残り15人+1匹?
457創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:44:02 ID:JsIRTmbx
ちょwwwwマジでフェアリー・テールさんロワ開催されてるwww
フェアリー・テールさんマジ鬼畜www
どうせなら孔子やネルソンも出せばよかったのにww
458創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 20:50:22 ID:jKVr1BkP
◆NN1orQGDus氏GJ!
元ネタ知らないけど、これはこれで楽しませてもらうよ。
459創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:21:04 ID:JsIRTmbx
>>458
さぁ元のキャラがいるスレを見に行く作業に戻るんだ
460創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:27:53 ID:jdA+2Dh0
非リレーなら、これ位の人数がうまくまとまって面白いかも
最後まで行けるだろうという安心感もあるし
461創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 22:10:08 ID:GcsMSsPw
今までとは一線を画するロワを計画中。
とりあえず規制解除されたら開始するかもだぜ
462創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 11:51:17 ID:O/zBrEV1
フェアリー・テールさんwwwなんという巻き進行ww
463フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/09(月) 20:57:37 ID:ruFPtRfu
第三話『邂逅』
1/2
 多分、ここは蔵書庫だ。
 沢山の本があるから、かなり高い確率でそうなんだと思う。
 だけど、まさかパロロワに巻き込まれるとは夢にも思わなかった。
 こんな事になるんだったら一つくらいパロロワを読んでおけば良かったと思う。
 好きなジャンルじゃないから敬遠していたのが悔やまれる。
 なんにせよ、オタクでねらーで良かった。超展開には慣れてるし、グロ画像にも慣れてるし。
 そんな訳で、2ちゃんねる万歳。
 兎に角。
 クラスメートの安藤君がスクラップになっちゃったのはどうでも良いけど、終わりのノブナガとかいう人が死んじゃったのは惜しい。
 名前からして両刀使いで有名な織田信長のオマージュキャラの筈だろうし。
 そんな事はどうでも良くないけれど、ひとまず置いといて。
 身の振り方を考えなければ。
 ロワにのるかそるか。それを考えないとマズイ。
 これは私の命運を決める問題だから熟慮する必要がある。
 まずは支給品を確認だ。
 ロワにのるとしたら強力な武器が必須だ。
 もし、ハズレだったら――考えるだけでも恐ろしい。
 バックパックの中に入っていたのは水と食料と栞と参加者の名簿。そして、本だ。 これは予想出来なかった。
 しおりと言われてロワのルールが書かれている小冊子を予想していたのだけど、まさか本に挟む栞だとは。
 バカだ。主催者は絶対にバカだ。
 そして、頼みの綱のランダム支給品は本だとた。
 武器ではない。だけど、外れじゃない。
 私好みの絵柄のBL同人誌なら、それは当たりだ。
 幾つか気に入らない所があるけれど、高いクオリティだ。
 受け攻めが逆なら大当たりだったのに。ちょっと惜しい。
 サークル名は日英同盟。これは要チェックのサークルだ。
 食い入る様に読んでいると、人の気配を感じた。
 おっかなびっくりそっちを見ると、ツインテールの女の子がいた。
 手に持っているのは――私が書いたBL本だ。
 女の子は私が読んでいるBL本を見て狼狽している。
 直感した私は――。

「攻めの反対は?」

「守りなのだわ!」

 狼狽えていたのが嘘みたいな、ハッキリした答え。

 直感が確信へ。
 この女は筋金入りの――私と同レベルか、それ以上の腐女子だ。
 低レベルの腐女子は攻めの反対は受けと答え、中レベルの腐女子は答えに一瞬詰まる。
 高レベルの腐女子こそが、守りと滑らかに答える事が出来るのだ。
464フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/09(月) 20:58:19 ID:ruFPtRfu
2/2
 逆説的にいうと、滑らかに答える人間は高レベルの腐女子もしくは腐男子。
 いや、そんな事はどうでもいい。
 私の本を持っているならば、創作者として感想を聞かなければならない。それはある意味サガなのだ。

「その本、どうだった?」

「絵は上手いのだわ! だけどカプが王道過ぎてつまらないのだわ!」

 くっ、私の愛する王道カプを否定するとは。
 この女は敵だ。しかも不倶戴天レベルだ。

「アナタはその本をどう思ったのかなのだわ!」

「絵は上手いけど、ワビサビが足りないよ。あと、受け攻めが逆」

 どうやら向こうも私の事を敵と認識したらしい。やる気みたいだ。
 ちょっとした見解の相違が、血で血を洗う戦争に発展するのは腐女子にとって良くある日常だ。
 そうと決まればやる事は一つ。

「第一回萌え対決、先手私! ちょいワルを気取ってタバコを吸うけどむせてしまう男の子!」

「“ !? ” ぐ、ぐぅ……なかなかやるのだわ」

 血で血を洗う腐女子戦争は昔の話。今は萌え対決――つまり、互いの萌えキャラとかシチュエーションを言い合って相手を屈伏させるのがスマートなのだ。
 もう、ロワなんて関係ない。
 互いに目の前の敵を屈伏させて、自分好みのBLを書かせなければ、熱く火照った身体とココロの収まりがつかないのだ。
 そう、そうなのだ。
 自分の生命を省みずに自らの萌えを追求する。
 それが腐女子の本懐なのだ。
 そして――戦いは始まったばかり――。

――to be continued on the next time.

【蔵書庫/一日目/深夜】
【佐藤ゆん@へなちょこロボット】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、アンさんが書いたBL本
[思考]
基本方針:アンさんを屈伏させる。

【アンさん@魔法少女軍事系】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、佐藤ゆんが書いたBL本
[思考] 基本方針:佐藤ゆんを屈伏させる。


佐藤ゆんはねらーの為、パロロワがどんな物であるか少しだけ理解しています。

名前を知らないけれど、腐女子の直感で互いに持っているBL本の作者と確信しています。

二人とも萌え対決に集中している為に周囲を全く警戒していません。
465フェアリー・テールさんロワ ◆NN1orQGDus :2009/03/09(月) 20:58:58 ID:ruFPtRfu
第三話投下終了。
この作品はフィクションにつき実際の腐女子とは一切関係がありません。
466創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:24:52 ID:ZSJTCTbW
誤字をネタにしてしまうとはwww
GJです。腐女子ネタ好きなんですね。
467創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 21:27:55 ID:6SBlp3t0
フェアリーテールロワきた!
ちょww腐女子対決ってww
二人とも自重しろww
あと説明の栞とは斜め上すぎるw
小さい字でびっしり書いてあんのかね
468創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 03:59:06 ID:C3SfXr1l
ぼ、ぼく、わかんないよう……
469創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 16:08:02 ID:igkAyUFG
な、なんという高レベルな戦いだー(棒
470創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:25:50 ID:VfpeFt98
池袋あたりでやってそうなバトルだな……。
471創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 18:07:08 ID:nCOSBFZ7
続きカモ〜ン
472創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 01:08:09 ID:22XD4BlX
ふぅ、ようやく追いついたぜ
473フェアリー・テールさんロワ:2009/03/21(土) 09:48:47 ID:RXkM93k9
最終回『逃走の果て』

 なんと申しますか、ロワの主催などをたしなんでいると沸き上がってきますね、罪の意識。
 血で血を洗う学園島スレで罪の意識なんて丸めてゴミ箱にポイしたと思ったのですが、そこはやはり大英帝国産の純真可憐で清楚な私ですから、捨てきれませんでした。
 そうなってくると、主催者としてのモチベーションが下がってしまいます。
 具体的に言うと現在マリアナ海溝ぐらいまで下がっているはずです。
 駄目ですね。やる気が全くないです。春眠暁を覚えずとはこの事でしょうか。
 ヒマをもてあまして有閑淑女になってしまった私は、どうにも仕方がないので主催者を辞任することにしました。
 建前を言いますと、ロワという狂気の沙汰にも程があるゲームを開催した事の責任をとって辞任です。
 形式上ではありますが責任をとったのでこれ以上責任を追求される事はありません。
 後任の主催者は決まっていませんが、もはやロワとは無関係になった私とってどうでもいい話です。
 これらの事象を高度な政治用語で言いいますと、

「すべて妖精さんがやりました。記憶にございません」

 になります。

 話は変わりますが、大事な事を言います。
 ロワをやめたのは

『私が箱庭スレオチで一言ダークな事をいうキャラになりつつあるから』

『いまだにイラスト化されてないので拗ねちゃった』

 などではありません。

 ええ、そうですとも。
 決してゲーム化企画が進んでいるとね噂があるゆゆるちゃんに嫉妬しているなどということではありません。

 兎に角。
 イラスト化されないのは私が絵にも描けない程の美少女だから諦めろとのお上からのお達しを受けたのです。

 申し訳ありません。
 つい先程までロワの主催者をやっていましたので、ちょっと混乱していたりする私なのです。
 怖いですね、ロワって。
 血みどろの学園島戦争を生き抜いてきたという自負のある私ですが、本当につかれました。
 そうなると尊敬しちゃいますね、マルチロワの主催者のジラーミンさん。
 ギラーミンさんだったかもしれません。
 それでは名残惜しかったりするのですが、色々な事を追求されたり後腐れが怖いのでこれで終わろうと思います。

 めでたしめでたしどっとはらい。

---------
レス代行はここでおk
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1236880541/98よりレス代行です
474創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 12:08:47 ID:3ggAm/AH
ブン投げたーっ!?wwwww
でもそれもありですwwナイス企画乙!!!
475創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 13:31:56 ID:KcGKQ0Jt
このENDは予想外w
476創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 13:42:24 ID:EguvQixZ
乙でしたwww
477創る名無しに見る名無し:2009/03/23(月) 08:03:43 ID:YrECqOPj
辞任かいw
478 ◆4RoomtUcpA :2009/04/01(水) 23:23:21 ID:j4oPzIG3
ちょいと投下ー。
479「オープニング」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/01(水) 23:24:53 ID:j4oPzIG3
 
 月見をしていたのだ。

 仲良し兄弟三人で、いつも一緒の三人で。
 春は花見をした。その前の秋にも月見をした。
 一年通してだんご、だんご。
 それはずっと、いやずっとでは無いものの、
 まだしばらくは変わらないと思っていたのに。

 ――あまりにも突然に。
 あまりにも唐突に。
 前奏もなしに始まる、うたのように。

 月見をしていた長男だんごの意識は、闇へと堕ちた。

ららららー
(ららら)
らららー
(らら)
ら ら ら

ららら
ら らら らー

「みんなの ろわです」

 明るく澄んだ合唱が聞こえたかと思うと、
 いやに無機質な、ナレーションのような声がした。
 聞き慣れない声に目を開けた長男だんごが見たのは、不思議な光景。
 つい一瞬前まで見ていた景色とは、全く違う光景。

「一曲目は“月のワルツ”
 演奏時間は 6時間 です」

 黒い空に、ひっそりと浮かぶ下向きの青い三日月。
 その青い三日月に照らされるようにして、長男だんごの前に立つ女の人。
 そして、長男だんごの周りにいる沢山の、人や、獣や、よく分からない者達。
 全てが月の光を受けて、青く輝いて見える。
 周りには他に何もない。空気もなんだか薄い――どこか、すごい高いところだろうか。

「それでは ろわの概要を 説明します」

 さっきから聞こえるナレーションみたいな声は、前に立つ女の人からだろう。
 長男だんごには何故かそんな気がして、それは当たりだった。

「――演奏が終わると 次のうたへ移ります
 次のうたへ移る時に 貴方たちは 自らの時間を残しておかなければなりません
 はじめに与えられるのは 4時間 です」

 逆光で上手く顔が見えないながらも、女の人が何か喋っているのが長男だんごには分かった。
 何を喋っているのかは、長男だんごにはよく分からなかったが。

 それにしても――これは、どういうことだろうか。
 三人兄弟で見ていた秋の月は丸くて黄色かったのに、
 いつのまにか細長くて青い月になっている。

 それだけじゃない。大切な次男と三男は何処に行ったのだろう。
 三兄弟、いつも一緒に一本の串に貫かれてる筈なのに……今、長男だんごは串から離れて一人になっている。

「それに、周りの人達は……誰?」
480「オープニング」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/01(水) 23:26:12 ID:j4oPzIG3
 
 見ると、周りの人達もみんな驚いた様子で前の女の人を覗いている。

 鶏やら、犬やら、全身が赤い大男までいる。
 よく目を凝らしてみると、彼らの首にはもれなく黒い輪っかが付いていた。

 そして、ふと自分の体の中にも、いつのまにか何かが混入していることに気付かされる。
 多分、あの黒い輪っかと同じもの。

 一体、これは何だろう。
 女の人が言ってることと、何か関係があるのだろうか。


「時間は うたの中に 隠れているものを見付けるか
 他の人に 分けてもらうか
 他の人を 殺めて奪うか の3つの方法で延ばすことが出来ます
 さいごのうたに 辿りついた人は 1つだけ 願いを叶えてもらうことが出来ます」

 時間を分けてもらう場合は、
 1時間単位で相手にお願いをし、
 受け入れてもらわないといけません。と、女の人は付け加えた。

 いまいち長男だんごには理解出来ないが、
 「1つだけ願いを叶えてもらえる」というフレーズが長男だんごの興味をひく。

 だんご達は団子であるが故、最期には捨てられるか食べられてしまう運命。
 出来ることなら、ずっと三兄弟と一緒にいたいのだ。
 でも、さいごのうたに辿り着けばなんて言われても、やっぱりピンとこなかった。

「つまりだ、お前は俺達が一人になるまで、時間を奪い合えと――殺し合えと言っているのだな?
 この首に付けた輪は、さながら枷か。
 演奏時間とやらが無くなるとどうなるのかはまだ知らされておらんが、大体予想はつくな」

 不意に、赤い大男が腕組みをしながら声を張り上げた。
 殺し合い? 殺すって、なに?
 大男は一本角の生えた頭を小刻みに動かしながら、

「がははははははははははは!! なぁ青鬼どん、面白いことをいう人間もいるものだな!
 今宵は良い月だ! こんな月の夜には不思議なことが起こるというが、
 全く面白くて笑いが止まらぬぞ!」

 がははは、とひっくり返りそうな勢いで笑い始めた。

 がっはははっ
 がっはははっ
 がっはははっ
 がっはっはっ

 三拍子のリズムをとりながら、器用に笑い続ける。

「おいお主、命を握られておるかもしれんのに何を笑っておるのだ……風が強い、王宮に引きこもりたい」

「がっははは、何故と問うか。なら俺も何故と問おう。
 何故今笑ってはいけないのだ?
 こんなに愉しいのだから笑わなければ損というものだろう。
 なあ、この興の主催者よ。お主もそうは思わぬか?」
481「オープニング」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/01(水) 23:27:30 ID:j4oPzIG3
 
 側にいた豪華な服を着た男の問いに、まるで自分勝手な理屈を並べると、
 赤い大男――赤鬼は黙りこくる女の人に話しかけた。

「…………」

 しばらく女の人は何の反応も見せずに硬直していたが、一つ首を縦に振ると、

「では ろわの説明を 続けさせていただきます」

「ふん、無視か」

「では ろわの説明を 続けさせていただきます」

 静かな、感情の無い声でそれだけ言い、再び口を動かし始めた。
 相変わらずその口も、顔も、長男だんごからは見えない。

「ろわ のお供に 皆さまには 袋を提供します
 袋の中には うたの地図と 食べ物や 飲み物
 さらに明かりと 紙とペン 時計が 入っています
 また うたの中の物は 袋に入れ 次のうたに持ち越せます」

 女の人が言うと、ぽん、と音がして、長男だんごの目の前が真っ暗になった。
 どうやら、袋が目の前に現れたらしい。
 手の無い長男だんごは持つことが出来ないが、赤鬼など他の者たちは袋を手に取り、中を確認している。

「……わぁい、乾パンだー! ねーねー、さっちゃん乾パンもらったよ!」
「ゲロゲログワッ、塩はあまりおれ食べたくないんだがな」
「鯛焼きとは……儂への当て付けか」

 無邪気に笑う少女や、落胆するカエルや、深刻な顔をするおじさんが見えた。
 反応を見るにみんな、違う食べ物や飲み物が入っているみたいだ。
 自らが食べ物である長男だんごとしては、なんだか複雑な気分になる。

「どんな食べ物や 飲み物が入っているかは 無作為なものです
 優劣はありません 武器になるようなものは そちらで 探してもらうことになります
 質問はありますか」

「――あるわ、あるわ!」
 さて、説明も終わるようだけど今から何が始まるんだろう。
 長男だんごがそう思って質問しようとすると、
 女の人の呼び掛けを待ってたかのように、気の強そうな女の子の声が上がった。

 長男だんごはぴょんと袋の上に乗って、それを見ようとする。

「なんで、なんで私達にこんなゲームをさせるのよ!
 理不尽だわ、理不尽だわおかしいわ!
 それに、それにこの首輪の時間が無くなったらどうなるっていうのよ!」

 青い三日月に照らされた少女は、一歩前に進み出て必死に訴えている。
 大きなポケットのついた服が特徴的な、巻き毛の女の子だった。
 その隣には小さな男の子がいて、おびえた様子で女の子を見ている。

「何が、何が起こるか、あの鬼さんは分かるって言ったけど、あたしには分からない!
 見せて、見せてよ! じゃないと、じゃないと納得できないわ!
 何が、何が起こるか、見せなさいよ!」
482「オープニング」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/01(水) 23:28:38 ID:j4oPzIG3
 
「おねぇちゃん……や、やめなよ……」

「うるさい、うるさいわね黙ってなさいよ!
 あんた、あんた誰よ、あたしを止める権利があんたにあるの!?」

「な、ない……けど……」
「な、な……何よ……ふん」

 小さな男の子は女の子の勢いに押されて、がっくりと肩を落とす。
 それを見て女の子の方も気を削がれたのか、女の人を一睨みすると口を閉じた。

「いいでしょう では 質問に 答えます」

 またもや、それを待っていたかのように、女の人は無機質な声を発する。
 ……他の人の話を邪魔しないように、被らないように淡々と説明を続ける。
 やっぱりナレーションみたいな女の人だ、と長男だんごは思った。


「首輪の時間がゼロになると こうなります」

 とにかくそうして、再び女の人に皆の注目が集まった時だった。
 偶然か必然か、女の人が体を少し動かしたことによって、女の人の顔が見えるようになったのだ。

 長男だんごからも、それはしっかり見えた。
 目に感情は宿っていなかった。
 口は、動いてすらいなかった。

 その首には――長男だんごや他の者達と同じ、黒い輪っかがついていた。


「え……ママ――!?」

 それを見て、さっきの少年が驚きの声を上げる。
 同時に長男だんごは、不思議な感覚に襲われた。

 今までずっと、声は女の人から出ていた筈なのに。
 さっき「こうなります」と言った声だけは、別のところから聞こえた気がした。

 見えない誰かが――女の人の近くで喋っていた?



 じゃあそれは一体、誰?


「……っ、きゃあああああああああああああああああ!!?」

 考えている暇は、長男だんごにも、周りの人達にも与えられなかった。
 巻き毛の少女の悲鳴が聞こえた。その少し前に、長男だんごは爆発音を聞いていた。

 青い月が、影で隠される。


 女の人の首が、飛んでいた。



「――さあさあ、“バトルロワイアル”の始まりです!!」
483「オープニング」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/01(水) 23:31:09 ID:j4oPzIG3
 
 次に、タキシード姿のうさぎが空から墜ちてきて、女の人の首を掴むとそんなことを言った。
 タキシード姿のうさぎが来た。どこから? 空から。

「それでは みなさま
 よい ろわ を
 みんなの ろわ です」

 ナレーションは四方八方から聞こえるようになった。
 タキシード姿のうさぎは自分の出番が来たとばかりに、その体を膨らませる。
 空から落ちながら。
 空を覆うほどに膨張していく。
 みんな、それに注目している。

 あおい三日月は下向きだ。
 かぜが強い、ここは高いところだろうか。
 いい月の夜は不思議な事が起きる。
 なぜなら、
 まだだからだ。
 くるしみのうたは。
 び

 と
 共
 に、

 堕ちてくるタキシード姿のうさぎはその巨大な身に「入口」を発現させると、

「ワインはいかがですか?」

 その場にいた全ての参加者を――飲み込んだ。


【うたロワイアル 演奏開始】

 ――月のワルツ世界、一番月に近いビルの上。
 タキシード姿のうさぎによって、参加者は世界の方々へと散ることになった。

「さーて、最後の歌に辿りつくのは誰かなぁ?」
「お兄さんは誰だとおもう? お姉さんは、赤鬼どんに期待しちゃうんだけどー」
「ひいきは いけませんよ」

 参加者でない3人は、タキシード姿のうさぎと共にその場に残っている。

 相変わらず無機質な声を出す一人の姿は、やはり見えない。
 多分参加者の中に紛れこんでたのだろう他二人は、長年連れ添ってきたコンビのように息のあった会話をしている。

「さあさ、僕らは次の歌で待ちましょう」
「はーい。もっと見ていたいんだけどなー」
「お姉さん、子どもみたいなこと言わないの」
「では つぎのうたです」

 再びうさぎが入口を発現させ、3人はその中に入っていった。
 ぐにゃり、と音がして、うさぎも自らの入口の中に体をねじこみ。吸い込まれていった。

 そして、誰もいなくなった。

【ツトムくんのママ@山口さん家のツトムくん 死亡】
484 ◆4RoomtUcpA :2009/04/01(水) 23:48:19 ID:j4oPzIG3
投下終了。

ロワ名は「うたロワ」、参加条件は「みんなのうたとかで流れた童謡内のキャラ&童謡から創作したキャラ」です。
主催側にみんなのうたのナレーションの人とか、歌のお兄さんお姉さんとかがいるみたい。
ぶっちゃけ参加者もあんまり決めてない。アブラハムの7人の子入れて宗教戦争でもやろうか。

まあ、要はネタロワだw


◆ルール

マップは、決められた時間が過ぎると「自分の立ってる場所が変化する」サガロワだったかで出た案を採用。
最初の「月のワルツエリア」は夜のビル街で、ビルしかない。なのでMAPなし。禁止エリアもなし。

支給品は袋に入れて渡し、
・名簿なし(関係者はOPで見てたことにすればいいよね)
・武器支給なし(MAP内から取ればいいよね)
でいけるといいな。


◆首輪

殺し合い加速させたいから酷いルール採用。
・4時間で全員首輪爆発
・他の参加者に「〇時間ください」って言って了承されたらその分だけ時間がもらえる
・一人殺す毎に3時間もらえる
・MAP内に時間が隠されてて、見付けると時間が増える

最初は6時間だからどうにかして時間を増やさないと早朝時点で死ぬ仕組み。


◆暫定名簿

〇山口ツトム、●ツトムママ、〇長男だんご、〇青鬼、○赤鬼、〇蛙、〇店のおじさん、〇さっちゃん、〇イヌ、○ニワトリ、○ハメハメハ大王、〇ビスケットガール

ビスケットガールは「ふしぎなポケット」より。ポケットを叩くとビスケットが増えるアレ。
485創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 13:17:36 ID:3r3GWvkN
乙です
今までのロワとは毛色の違う感じで面白そうですね
みんなのうた、大好きです
頑張って下さい

まっくらもりとメトロポリタンはトラウマだったなあ・・・
486創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 09:25:30 ID:v6owUwE4
ちきゅうねこ最強
487創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 10:31:55 ID:Q/1066nD
童謡ロワか。
ルールも凝ってていいな。
これは期待。
488 ◆4RoomtUcpA :2009/04/08(水) 23:42:06 ID:uZ+cVMH7
投下しますー
489「狼の羊飼い」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/08(水) 23:44:03 ID:uZ+cVMH7
 
 ママは、ずっと帰ってこなかった。
 それでボクはいつもさみしくて、
 近所のおねえさんが「あそぼう」って言ってきても、「あとで」って答えちゃってた。

 だからかもしれない。
 ボクが悪い子だから、かみさまがボクにおしおきしたのかもしれない。

「うっ……ひぐっ、うう」

 夜の街。黒や茶色い色をした、すごい高いビルが沢山並んでる夜の街。
 うさぎさんに吸い込まれた後、気が付いたらボクはビルとビルの間に立っていた。
 窓のないビルの壁は、すごく黒くてこわかった。

 だから急いで走って、広い道のほうに出た。袋はちゃんと、持ってきた。

「う、う……」

 でも、ホントにこわかったのは。
 息が切れるまで走ってしまうくらいこわかったのは。

 ママがもう二度と帰ってこないことを、認めることだった。

「……わあぁああぁあああぁあああああぁぁ!!」

 おとこのこは泣いちゃだめだっていうけど、
 もうムリだった。

 ボクのせいだ。ボクがおねえさんの気持ちも考えないでいろいろ、言ったから。
 だからかみさまが、ボクの願いを叶えてくれなかったんだ。
 ちゃんと見た。みせつけられた。
 ママの顔。ママの目。ママの口。ママの鼻。
 ママの体。
 ママの、首。

「だっで……さみしがったんだもん」

 ボクはただそれだけだったのに。

「ママぁ……ママが、いてほしがったのに」

 やっと会えたと、思ったのに。
 なんで、って言葉が頭の中でぐるぐるする。

 なんで? なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、?
 死んだ? なんで、なんで? なんでこんなとこに連れてこられた?
 これは夢? 本当?
 なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、

 考えても、考えても、ボクには分からない。
 ボクが子どもだからだろうか。だから、泣くしかできないんだろうか。
 なんだか情けなくなって、ボクはまた声を張り上げようとして――


「おい少年、そんなわんわんわんわん泣いてちゃ誰かに見付かっぞー?
 一回そこのビル入ろうぜ、なあ。犬ですかアンタはまったく」
490「狼の羊飼い」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/08(水) 23:45:11 ID:uZ+cVMH7
 
「うわ!?」

「なに? まさか俺がさっきからここにいたこと知らなかった?
 うっわ無いわ、マジ無いわ少年。いや待て、俺の存在感が無いってことかこれ!?
 ひどいぞおい、俺だってなあかわいいヒツジ達に何故かシカトされまくって「あれ?」とか思うけどさ」

 暗い空の中に、銀色の髪が光ってるのを見た。

 いつのまにかボクの目の前に、知らない人が立っている。

「え、え、だ、誰」

「ん? あー名乗ってなかったな、そういや。俺はメリー。ただのかわいい羊飼いだ。
 ちなみに、胸のサイズはAではないとだけ言っとくぞ。少年には分かんねーだろーがな」

 メリーさんはそう言うと銀色の髪をひらめかせて、ボクに背を向けて歩き出した。

「え、あ」

「何だよ、早く来いよ。死にてーのか? そんなとこに立ってたら狙われ放題だぞ少年。
 ただでさえ“一人殺れば時間が貰える”ってルールがあるんだ。
 少年みたいなのは殺人鬼の格好の餌になっちまうぜ?」

 マジで鬼もいるみたいだけどまあそれは置いといてだな、と言って、メリーさんは笑った。

「少なくとも俺はお前の仲間だよ、少年。
 おい、早く来い」

「あ、うん」


 言われるがまま、ボクはメリーさんに付いていくことにした。
 数歩歩くとビルの入り口。ガラスで出来たそれに、メリーさんとボクの姿が映る。

 羊飼いらしいメリーさんは、麦わら帽子を被ったら田んぼにいる人になれそうな格好をしている。
 腕には時計を巻いていた。そういえば、ボクの袋の中にも入ってるんだっけ。
 ボクはパジャマ姿だった。寝て起きたらここにいたから当たり前だけど、なんか変な気分だ。

 そのままメリーさんが扉を押して、ボク達は中に入る。

「そういや少年、名前は?」

 パタン、と扉が閉まる音がして、ボクにメリーさんが問いかけてきた。

「えと、山口ツトム、です」

「いや敬語は使うな。なんか背中が痒くなるから。
 ツトム、な。分かったぜ。じゃあツトム、ちょっとそこのテーブル座っぞ」

 少し奥のほうにあるテーブルを指差して、メリーさんはボクに言った。
 どうやらここは、食べ物を食べるためのお店らしい。
 小さなテーブルがいっぱいあって、イスもいっぱいあるからきっとそうだ。

「さてと。ツトムは向かいに座れ」
491「狼の羊飼い」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/08(水) 23:46:41 ID:uZ+cVMH7
 
「う、うん」

 テーブルに着いてボクは、メリーさんの向かい側のイスに座る。
 持ってた袋は、膝の上に置くことにした。

 いろんなことがありすぎて、いつのまにか涙は止まっている。
 まだ喉の奥がなんか痛いし、ひっくってなったりするけど、
 もう泣くことはなさそうだ。

「ん? 何見てんだツトム。俺のかわいい顔にみとれたとかはキモイからやめるように。
 ちょい、だるいけど作戦会議といこうぜ。せっかく仲間も増えたことだし、生き残りてぇしな」

「……うん!」

 だって、今は一人じゃないから。
 次泣きそうになったら、おとこのこは泣いちゃだめだって、メリーさんが言ってくれそうだから。

「やけに返事がよくなったなおい……ま、いいや。とりあえず、地図開くぞ」


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


 羊飼いには、得意な事がある。
 それは、扇動。
 羊達に自分を仲間だと思わせて誘導したり、時には敵だと思わせて追い掛け回したり。
 私は古今東西様々な「扇動」の方法を、子供の頃から頭に叩き込まれてるっていう話だ。

「まあ、ツトムには分からんだろう所は飛ばして状況を整理するぞ。
 まずこの首輪は爆発までに制限時間がある。あと4時間……あれから少し経ったから、あと3時間半ってとこか。
 で、6時間――あと5時間半生き延びなきゃこのゲームはクリア出来ない。
 それはあの変な女が言ってたな?」

「変な女じゃなくて、ママだよ……?」

「待てうるんだ目で俺を見つめんな、保護したくなるだろうが! いや保護してるけども!
 えい泣くな、男だろ! 
……でだ、このままだと「2時間」足りない。そんで、その「2時間」を埋めるための、
 3つの方法を主催者は提示してきた」

 私は袋から地図を取り出して、テーブルに広げる。
 この街の概要図らしいそれには、所々赤い印がついている。
 私がさっき、即興で適当につけたものだ。

「1つ、他の奴を殺して時間を奪う。
 1つ、他の奴から時間を1時間単位でもらう。
 1つ、この街に隠された時間を見付ける」

 ちなみに殺して奪う場合は、一律3時間が制限時間に追加されるらしい。
 殺した時点での相手の残り時間が追加される訳じゃないのは、
 残り2時間を切ってから一人殺しても、「2時間」を得ることが出来ないからだろう。

 まあそれは今、どうでもいい。私は平和的な人間だから。
 それより、さっさと説明を済ませてここから出てしまいたい。
492「狼の羊飼い」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/08(水) 23:47:44 ID:uZ+cVMH7
 
「まず最初の方法で生き残るのは論外だ。殺し合いに乗るなんざバカの所業、頭が狂ってるとしか思えねー。
 で、次。これも却下だ。死ぬってのに時間を分けてもらえるわけがねぇ。
 だから俺達は3つ目、隠された時間を探して生き延びることになる」

「う、うん……なんとか分かるよ、メリーさん」

「なかなか頭いいな、おい。
 さて、そこで俺達の前に立ちはだかる壁が1つある。
 それは“時間がどこに、どんな形であるか知らされてない”ってことだ」

 言いながら私は、ツトムの頭をがしがし撫でてやった。
 こういうガサツなキャラもまあ、悪くない。
 ツトムが混乱してる内に、私は最後の仕上げをすることにする。

「そして――運のいいことに俺の地図には、こんな赤い印が“最初から”ついていた。
 罠かもしんねーが行く価値はあると思わねーか、ツトム」

「う、うん……!」

 計画通り、ツトムは目を輝かせて私の地図を覗き込む。
 これで、一緒に行動する理由が出来た。
 か弱い女の子と少年のペア。殺人鬼が狙うには格好の的だろうが、
 殺人鬼以外には安全と思われる、保護対象だ。
 地図によればこの街は、直線距離にして2q四方。誰かと出会う確率はかなり高い。

 いい感じに強そうな殺人鬼以外の奴に会えれば万歳。
 それ以外は巧みに逃亡、でいけばどうにかなるだろう。

「よしツトム、裏口があるだろうからそっから外出るぞ」

「え? なんで?」

「入ってくる所を見られてたら、待ち伏せされてるかもしんねーだろ」

 ツトムに背を向けるようにして急ぎ足で歩き、私はビルの奥へと進んでいく。
 こうすればツトムは付いて来ることを、さっき知った。全く、分かりやすい少年だと私は思う。

 そうそう、羊飼いである私は一つだけ、誰にも譲れないほど好きな事がある。

「ま、待ってメリーさん」

 それは、飼うことだ。いつもは羊共で満足してやってたが、ここでは違う。
 ここには沢山の哀れな子羊がいる。沢山の狂暴な獣達がいる。

 私の目標は、それらを全部飼い慣らすこと。そのためならば、どんなことでも行うつもりだ。

 例えば袋の中に入ってたこの腕時計。
 これには今の時間の他に、自分の残り時間が表示されてることも私は見付けている。
 だが、無闇には教えない。飼い主としてのアドバンテージは、常に持っていないといけないからだ。

(そう――アドバンテージは、常に持ってないといけないわ)

 私はツトムが付いて来たことを確認すると、腕に巻いた時計を「残り時間モード」に切り替える。

 表示されている残り時間は、“8時間半”。
 目覚めた時横にいた団子を食べて、その後あった鬼から時間を奪って稼いだ私の時間だ。
493「狼の羊飼い」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/08(水) 23:48:31 ID:uZ+cVMH7
 
「お、裏口発見だ。よし、出たら急いで移動するからな、ツトム。見失ったら1時間没収な」

「え、ひどいよ」

「マジになるなよ、冗談だって冗談」

 さて、扉を開けたら思い切り走ってやろうか。
 さすがに1時間は貰わないが、ツトムを困らせるのは結構楽しい。

 あと5時間半。私は遊ぶつもりだ。
 さいごのうたとやらに興味は無いが、折角の機会だ、楽しまなきゃ損ってものだろう。


「そーいやボコしてやった鬼も、そんなこと言ってたっけなー……しかしアイツ、殺意ってもんがなかったぜ」

「え、何?」

「なんでもねーよ。こっちの話だ」

 私はドアを開けた。夜の冷えた空気が肌に染みる。
 時間を奪ってやった赤鬼が待ち伏せしてないかだけが心配だったが、杞憂だったようだ。

「じゃあ、行くぞ!」

 足を思い切り踏みしめ、私は走り出す。

 さあ、ここは私の牧場だ。
 さあ、私の遊びを始めよう。



【月のワルツ世界 深夜】

【山口ツトム@山口さん家のツトムくん】
【時間】−2時間

【メリー@メリーさんの羊】
【時間】+3時間


【次男だんご@だんご三兄弟 死亡】
494 ◆4RoomtUcpA :2009/04/08(水) 23:53:52 ID:uZ+cVMH7
投下終了。描写無しどころか死体無しズガンをやってみたくなってつい……
次回はまた1週間後、に書けてるといいな。

◆過去話

0話 >>479-484 ルールもこちらに

◆暫定名簿

【赤鬼と青鬼のタンゴ】〇青鬼/○赤鬼
【およげ!たいやきくん】〇店のおじさん
【かえるのうた】〇蛙
【さっちゃん】〇さっちゃん
【だんご3兄弟】〇長男だんご/●次男だんご
【ふしぎなポケット】〇ビスケットガール
【ブレーメンの音楽隊】〇イヌ/○ニワトリ
【南の島のハメハメハ大王】○ハメハメハ大王
【メリーさんの羊】○メリーさん
【山口さん家のツトムくん】〇山口ツトム/●ツトムママ
495創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 00:28:28 ID:HT7wGC22
メリーさん怖っ
だ…団子…
496創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 19:48:32 ID:pkxXOnl+
ほのぼのメンバーがほのぼのじゃないことしてるw
497 ◆4RoomtUcpA :2009/04/15(水) 23:50:29 ID:goZZb9ye
投下します。
498「硝子の海の中で」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/15(水) 23:52:44 ID:goZZb9ye
 
『ねえ鬼さん、遊ぼうよ私と』
『鬼さん言ってたでしょ? こんなに愉しいことは無いって』
『それって、自分が強いから、上の立場だから言えることだと私は思うの』
『だから私と遊んでみない? ――かってあげるから』


 不覚、だった。
 完全に、罠にはめられた。

 意識の覚醒と共に出会った、長い銀髪の農婦。
 軽く挨拶をするかのように持ちかけられた勝負を、受けたのが間違いだった。

「――あと、1時間半、か」

 勝負の内容は、単純なものだった。
 2時間の時間を賭けて、相手に「参った」と言わせれば勝ちの純粋な肉弾戦。

 そして鬼である赤鬼と、人である銀髪の農婦の闘い。

 勝てるはずだった。

 赤鬼はその力だけでなく、青鬼と一緒にタンゴを踊る程の身軽さも持ち合わせていたし、
 農婦は何故か、分けられた袋を持ったまま、つまり片手を封じて闘うという愚策を取っていた。
 勝てないなんて可能性は、完全に頭の中から消えていた。

 なのに今赤鬼は――立つことも出来ずに、ビルの壁に背を預けている。

「1時間半、か。それだけ有れば、いつもなら大喜びでタンゴを踊るのだが」

 再び自らに課せられたタイムリミットを復唱すると、赤鬼は自嘲する。
 立てすらしないのに、タンゴを踊れる訳がない。
 この傷で立てていたら、銀髪の農婦にも敗けなかっただろう。

「がはは、這い動く気力も失せる――青鬼どんよ、どうやら俺はここで終わりのようだ」

 赤鬼は視線を上に向け、ビルに切り取られた狭い空に浮かぶ月を見る。
 月の色は青。青鬼どんの青だ。

 赤鬼は考える。自分があと1時間半で死んだ、その後。
 青鬼どんがその事を知ったらどうなるだろう。
 青鬼どん。赤鬼と違って背が高く、線の細い体で、頭に二本角を生やした優しい鬼。
 満月の夜、一緒にタンゴを踊る仲の親友。
 彼は、悲しんでくれるだろうか。
 それとも、

「いや、もはやこんな事は考えても無駄か」

 赤鬼は思考を放棄して、目を閉じることにした。
 血が傷口から流れ出て、赤鬼の体にどうしようもない寒気を感じさせている。
 今頭を働かせても、悪い方向にしか考えられないだろうと思った。
 例えば青鬼どんが、自分のことを気にかけてくれなかったら。
 青鬼どんが赤鬼の死を悼まず、むしろ喜んだとしたらどうするか。
499「硝子の海の中で」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/15(水) 23:54:09 ID:goZZb9ye
 ――なんて事、考える必要もない事だ。
 思索する意味もない事なのだ。

 そんなことを考えても、悲しくなるだけだから。

「寝るか」

 全く、いい月だった、と赤鬼は思った。
 眼前は赤く染まり、月は赤く光って見える。
 先程見た青い月より、余程自分に似合って見えた。
 だからもう、いいのだ。
 今の自分に出来ることは何もないのだから、このまま寝てしまっても。

 心の中から聞こえて来た声を享受した赤鬼は、瞼を閉じた。

 街灯の灯り。月の光。それら全てが意味の無いものになり、意識が滲んでいく。
 いい暗闇だ。死の間際に見る暗闇は、こんなに綺麗なのか。
 赤鬼は最後に、そんなことを思って。

 そっと、硝子を靴が踏む音がした。



♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


「え……?」

 お嬢様がビルの角を曲がると、そこには鬼が居た。
 オレンジ色の街灯の下、鬼はビルの壁に体を預け、足を地面に投げ出している。
 顔は伏していた。だから、その表情がどんなものなのか、お嬢様には分からなかった。

「あれって、あの時の鬼ですよね……?」

 お嬢様は思い起こす。そして、自分の記憶の中の赤い鬼とそこにいる鬼を見比べる。
 間違いない。兎に飲み込まれる前にいた場所で、主催に突っかかっていった鬼だ。

「あのー……鬼さん、大丈夫でしょうか……?」

 鬼と自分の距離は、まだ数メートルある。
 だというのにそれ以上近付けなくて、お嬢様は小さくその場から声をかけた。
 しかし、夜闇に掻き消えるような囁きが、そんな距離を旅することはやはり出来ず。

 反応は、無しだった。

「……」

 これ以上近付きたくない、とお嬢様は思う。
 相手が鬼だからとか、そういうことではない。
 ただ単に、これ以上近付いたら傷付くかもしれないという予測があるからだ。

 ビルの壁にもたれかかる鬼の周りに、硝子片が飛び散っている。
 誰がやったのかは分からない。そのせいで鬼が倒れているのかどうかも、お嬢様には分からない。
 だけど硝子の撒かれた地面を進むのが、危険なことだというのは分かる。
500「硝子の海の中で」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/15(水) 23:56:05 ID:goZZb9ye
 
 例えそれが、靴を履いているお嬢様でも同じこと。
 何かの拍子に転んだりしたら、ひどい怪我を負うかもしれない。

「……どうしましょう」

 明かりに反射してキラキラ光る硝子の海を見ながら、お嬢様は呟く。

「……どうしましょう?」

 思い付いたように、言い方を変えてみる。
 大した意味は無かった。

「おーい鬼さん! 生きていらっしゃいますかー!?」

 今度は少し勇気を出して、大声で言ってみる。
 これなら鬼にも届くだろうと誇らしげに胸を張るも、反応は無し。

「…………うぅ」

 むす、という効果音がつきそうな勢いで、お嬢様の頬が膨らむ。
 リスみたいだと自分で思ったのか、すぐに頬は引っ込めてコホンと咳払いをした。
 そして、異様な状況で崩れ伏している鬼を再び見る。
 どうやらあと選択肢は、2つしか残っていないようだ。

「……ええ、分かりました、仕方ないです。
 少し危ないですが、そんなこと言ってる場合じゃないみたいですし」

 2つの選択肢。「このまま鬼を見捨てる」「危険かもしれないけど近寄る」の2つの内、お嬢様は迷わず後者を選んだ。
 ……いや、そう記述するのも少し変かもしれない。
 正確には、お嬢様は鬼を見捨てて逃げようなんて最初から考えていなかった。

 この場所に連れて来られる少し前。
 花の咲き乱れる森の中で出会った大切な友人のことを思えば、鬼はお嬢様に取って、恐れる対象ではないからだ。

「あの熊さんも、連れて来られてるんでしょうか……? だったら、嫌だなぁ」

 友人の身を案じつつ、お嬢様は硝子の海へ足を踏み入れる。
 ぱりん、と小気味よい音を立てて、硝子の破片が一枚割れた。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 硝子の破片が割れる音の後、鬼と女の子の視線が交錯した。

「どうしよう……」

 それをビルの2階の窓から除くぼくは今、猛烈に迷っている。
 何故か赤鬼に近付こうとしているあの女の子。
 あの子を助けるべきか、無視するべきかだ。
501「硝子の海の中で」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/16(木) 00:04:22 ID:6U6cwc59
 

 ぼくは見ていた。
 ビルの2階の窓から、赤鬼と銀髪の女性の戦いをずっと眺めていた。

 黒い空に反して、朱く照らされた大通りで交錯した二つの影。
 巨大な体からは想像も出来ない俊敏な動きをする赤鬼と、
 何故か袋を片手に持ったまま鬼の攻撃を避け続ける銀髪の女性。
 その二人の戦いを、ずっとずっとこのビルの二階から見ていた。

 だから、分かる。あの鬼は危険だ。
 結果的に勝者は銀髪の女の人になったが、それは偶然が重なった結果にしか見えなかった。
 もしあの鬼と対峙すれば、ほとんどの人が瞬時に天国に送られるだろう。
 今だって、女の子の首を掴んでへし折るくらいなら、平気でやってしまいそうだ。

「……助けなきゃ」

 ぼくは呟いた。さすがに、女の子が殺されるのをみすみす見ている訳にはいかない。
 恐いけど、きっと大丈夫だ。焦る気持ちを思考の隅に追いやり、右手に握ったものを見る。

 そこには、黒光りする拳銃があった。

「……大丈夫な、はずだ」
 心の中で唱えた言葉を吐いて、自分に言い聞かせる。
 偶然見つけた、この拳銃。
 装弾数6。弾は3発入ってる。撃鉄を起こしてから引き金を引けば、簡単に弾が飛んでいく。
 詳しいことは分からないけど、それだけ分かれば充分だった。

 これを、使えば。
 ぼくは鬼を、殺せる。

「……!!」

 ふと窓の外を覗くと、いつのまにか女の子は鬼のすぐそばまで歩み寄っていた。
 ここは2階。
 ――下に降りている時間はない。

「仕方ない……!」

 ぼくは拳銃を頭の上に振り上げ、思い切り窓ガラスにぶつけた。
 意外とあっさり、硝子が割れる。

 破片が落ちる音でこちらに気付かれるだろうが、構わない。不意打ちなんてしても、意味がない。

 窓の淵に残った破片を拳銃で薙ぎ払うとぼくは、窓から身を乗り出した。

「そこの人、逃げて! そいつは危険だ!」

 腹部にちくりと痛みがした。まだ硝子が残っていたか。
 撃鉄を起こしながら、ぼくは銃口を鬼に向けた。
 距離は数メートル。小さな声なら届かないだろう距離。

 でもぼくが撃つのは、声じゃなくて弾だ。この距離ならきっと、当たるような気がする。
502創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 00:06:05 ID:l4KgoNcg
支援
503「硝子の海の中で」 ◆4RoomtUcpA :2009/04/16(木) 00:08:42 ID:6U6cwc59
 
 片耳にイヤリングを付けた女の子が、唖然とした表情でこちらを見ていた。
 狐に包まれたような顔をしてその場から動かない。
 さすがに、すぐにはぼくを信じてくれないか。

 だが、声は届いたらしかった。
 なら、あと一押しでいける。鬼の恐さを伝えれば、逃げてくれるはずだ。

 そしたら、ぼくに必要なのは、引き金を引く勇気だけになる。

 その勇気だってぼくにはある。クラリネットの時のぼくとは、もう違うのだから。

 逃げない。
 もう、迷わない。

「聞いてくれ! その鬼は――」

 手を口に当てて、大声を出す。
 そのときぼくの視界が、とてもとても大きく揺れた。


【ぼく@クラリネットを壊しちゃった】
【時間】−2時間

【お嬢様@もりのくまさん】
【時間】−2時間

【赤鬼@赤鬼と青鬼のタンゴ】
【時間】−4時間


 ……少し遅れて、銃声が響いた。
504創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 00:11:49 ID:l4KgoNcg
なんと……支援
505 ◆4RoomtUcpA :2009/04/16(木) 00:14:50 ID:6U6cwc59
投下終了。間に合ったけど少し投げやりになったかも。支援感謝ですー。書き溜めがつきたー

◆過去話

0話>>479-484 ルールもこちらに
1話>>488-494

暫定名簿は容量がかさむからテンプレから外しますー。あと40kbくらいしかないのなこのスレ。
506創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 00:22:24 ID:l4KgoNcg
投下乙ー
おー!すげー続きが気になる
メリーさんつえぇww
507創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 00:24:26 ID:suxuAe0b
乙です
wikiのまとめって、あれ自分でやって下さいね形式なのかな?
508創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 18:59:16 ID:Z3U809bZ
>>507
確か、誰でもやっていい形式のはず。でも、自分でやるのが一番だろうなー。
今から少しやってみる。
509創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 23:25:28 ID:TKTgGmhp
みんなのロワ
期待
510 ◆4RoomtUcpA :2009/05/05(火) 02:52:43 ID:zsUBzyyG
約一月ぶりか……投下します。
【前回までのあらすじ】

天才ピアニスト銀河進はついに黒鍵のみでチューリップを演奏することに成功したが、血の繋がらない妹に指がカニみたいと嘲笑され円形脱毛症に陥る。

一方、同じく円形脱毛症の暗黒王ジョンはバイト先の後輩に陰から「キムチ」と呼ばれていたことに激怒し、さらに仕事場の空気が気まずくなる。

そして砂場をココアパウダーに変えることにまで成功した暗黒仮面トムは、
調子に乗って荒れに荒れたお肌を異様なほどモチモチに変えてしまった無茶がたたり円形脱毛症に陥る。

はたして彼らの頭皮の行方は? そして最近抜け毛の気になるロンリネスマスクのお肌の微妙な張りの秘訣とは?

物語は激動のクライマックスへ突入!
512「4Fの怪」 ◆4RoomtUcpA :2009/05/05(火) 02:54:06 ID:zsUBzyyG
ポケットのなかには
ビスケットがひとつ
ポケットをたたくと
ビスケットはふたつ

もひとつたたくと
ビスケットはみっつ
たたいてみるたび
ビスケットはふえる

そんなふしぎな
ポケットがほしい
そんなふしぎな
ポケットがほしい

だってあたしのふしぎなポケットは
ほんのすこししかふやせないもの

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 ゲーム開始から、30分と少し過ぎた頃。
 あたしが床に敷かれたタイルの上に、白いイヤリングを見付けた時だった。

 突然花火のような破裂音が、どこかからビルの中に轟いたのだ。
 この世界の中央、センタービルなんて名前がついたビルの窓ガラスが微かに振動する。
 こんな状況じゃなきゃ少し驚くだけで笑い飛ばせたのだろうけど、
 一体どこで見つけたのだろうか、それはどう聞いても銃声だった。


「……物騒、物騒だわ」

 眉を潜めながらあたしは、小さく言葉を繰り返す。
 この変な話し癖は、未だに治すことが出来ない。
 どうしても、最初に言おうとした単語で言葉を詰まらせてしまうのだ。
 私のふしぎなポケットでは物も満足に増やせないのに、こんな所が増えても嬉しくない。
 もしさいごのうたとやらに辿り着けたら、あたしはこの口調を治すことを願うだろう。

 そんなifは、存在しないけど。
 ――このゲームのルールからして、誰かを蹴落として進まないと先には進めない。
 でも、でも。私は、そんなことしたくない。
 他人を犠牲にして得る物なんかに、どれだけ価値があるというのだろう?

「それより、それより……これは誰のかしら?」

 だから今私にできるのは、床に敷かれたタイルの上に落ちている白いイヤリングを拾うことくらいだ。
 言い忘れていたけど、ここはセンタービルの4階。
 18ある階層に1つずつ店舗が入っていて、4階はスポーツ用品店である。
 私が目指すのはとりあえず、屋上。
 見た感じ一番高いビルであるセンタービルの屋上に行けば、この世界の全貌が分かるかもという期待があるからだ。

 しかし、こんな高いビルなのにエレベーターの1つもないとは、どういうことなんだろう。
 しかも階段も、いちいち2F毎に途切れている。
 だから、2F毎にわざわざフロアを横切らなきゃいけないのだ。
 お陰で私の足には、疲労ばかりが溜っていく。
513創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 02:55:09 ID:zsUBzyyG
ってあれ、まさかこんな時間帯にこのスレで被りだと……!?



*****



「なんだよこのおにぎり具が入ってないじゃないか。具をもっと入れろよまったく……あ、具をグッと入れろ」

聖徳太子(ノーパン)は小野妹子と共に遣隋使になった。皇帝煬帝に会うため船で洛陽を目指していたはずだったのだが、いつの間にかバトルロワイヤルという珍奇な祭に参加することになっていた。

「むしゃむしゃ……しかし妹子のやつ……しゃむしゃむ……このバトルロワイヤルに……しゃぶしゃぶ……乗るつもり……しゃぶ……なのだろうか……ゲェーップ」

スポーティーな私に嫉妬して襲いかかってくることもあり得るな――太子はそんな馬鹿なことを考えながら、デイパックを肩にかけ周辺の探索にあたる。
呑気に鼻歌を交えながら、悠々と街路を闊歩するその姿は、どこからどうみても変質者そのものであった――。
 
「ツナが大好き小野妹子〜、枕の中はツナでいっぱい〜トゥナイトゥ!」
 
 
 
*****
 
 
 
「畜生っ・・・!! 畜生、畜生っ・・・!!」
 
――平山幸雄は、良くも悪くも、いたって普通の人間であった。

例えば、彼の有する瞬間記憶能力。これは日常で役立つことは確かだが、それを彼が使いこなす機会などめったになかった。

いつか知り合いの刑事に唆され、ヤクザの麻雀の代打ちを務めたときも、自らの徹底的な確率主義が災いし、瞬間記憶能力を生かす間もなく彼は玉砕した。

その時に彼は痛感したのである。自分は天才とはほど遠い、ちまちま小銭稼ぎをするしか能のない小者なのだと。

――以来、しがないギャンブルにかまけること数年……すっかり負け犬根性の染みついた彼に訪れた転機が、此度の鷲巣麻雀であった。が、しかし――。

「なんでっ・・・こんなことがっ・・・!?」

鷲巣邸に向かう途中、目の前に黒い霧が立ち込めたかと思うと、次の瞬間には彼の意識がぷっつりと途絶えた。

そして気がつけば、烏合の衆と共に殺し合いが始まり、現在に至っている。

516創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 02:58:38 ID:zsUBzyyG
とりあえず支援
「俺は麻雀しに来たんだ・・・殺し合いなんて寝耳に水・・・!!」

昭和の怪物と畏怖される鷲巣巌だが、彼はそれなりの覚悟を持ってリスクある麻雀を打つことを了承した。

しかし、勝率イーブンのゲームを殊更忌避する彼にとってすれば、一歩間違えれば即己の死に直結するデスゲームなど、本来ならば御法度。

つまり、ここ数年のしょぼい生活から脱却するための足掛かりになるのではと、半ば冷静さを欠いた判断でもあった。

そこに追い討ちをかける、普通人にとって全く勝算の見込めない殺し合いを強要させられたとあっては、水に浸した紙同然、一触即発の精神状態に追い込まれるのは至極当然のことであろう。
 
「あぐ、うう・・・くくくっ、くそったれ・・・ありえない・・・断じて・・・!」
 
何処とも知れぬ薄暗い森の中……開口を吐く不純な日本語の羅列は、皮肉にも彼のその精神状態を最も端的に示していた。

がりがりと近くの樹木をかきむしる姿も相余って、見る者は凡そ常軌を逸しているとしか思えないだろう。

しかし、これこそ通常。

死を目前にして容易く錯乱。これこそ心理の理(ことわり)。

「カカカ・・・そうだ・・・それでいい・・・それが普通・・・存分に狂え狂え・・・!」

――そんな彼の様子を可笑しそうに笑いながら、しかし器用にも息を潜めつつ、遠巻きに窺う一人の老人がいた。

誰であろう、平山幸雄を地獄へといざなおうとした張本人――昭和の怪物こと鷲巣巌(わしず・いわお)である。
 
「平山幸雄・・・ククク、あやつは捨て置いても何ら支障はなかろう。むしろ錯乱したあやつを泳がせ、参加者の始末役を一任させるのもまた一興・・・!」
 
それにいざとなれば――と、鷲巣は背広の懐から黒いノートを取り出しながら、にやりと醜い邪笑を浮かべる。
 
「デスノート・・・まさかとは思ったが、こんな不可思議な帳面がこの世に実在するとはな・・・」
 
疑わしい一品だったが、鷲巣巌は既に試し書きを施していた。その証拠に、彼の足下には生気の抜けた瞳をカッと見開き、地べたに這いつくばる少女がいた。
 

「ククク・・・たしか、梨々・ハミルトンとかいったか? すまんのう・・・わしゃあ、おなごとて容赦はせんタチでな」
 
(ククク・・・しかしマヌケ・・・実にマヌケ・・・!
これだから最近の童は好かんのだ・・・どいつもこいつも緊張感に乏しい・・・!
わしが十にもならぬ頃には、どのような不測の事態にも動ぜぬ鋭利な判断力を培っていたというのに・・・!)
 
『お爺さん、そのノートは?』
 
『いや、なぁに・・・わしゃあ、ちょいとココが弱くてのう・・・名前をメモせんとすぐ忘れてしもうてな。
すまんが、お嬢ちゃんの名前をこの老いぼれに教えてもらえんか?』
 
『そういうことでしたらもちろん! わたしは――』
 
「馬鹿・・・典型的なお人好し・・・!
名前一つにしても利用価値は多分にあるというのに、この体たらく・・・!」
 
鷲巣はクッククと腹を抱えて笑いをこらえながら、梨々・ハミルトンの亡骸を無情にも踏みにじる。
その姿たるや、まさに外道!!
 
「クカカカ・・・さぁて、のんびりとはしてられんの。
血湧き肉踊る殺し合い・・・なんとひさかたぶりか・・・!
あんなまどろっこしい麻雀なんぞの数倍興ずるわ・・・!」
 
世界有数の法治国家と化した現代日本において、未だに弱者を弄ぶ残虐非道な殺人ゲームを繰り返していた鷲巣巌。

その高慢なる胸中にあったのは、ただただ己が矜持を満たそうという底抜けの貪欲さと、それに比例して肥大する、潤しようのない砂漠のごとき渇きであった。
 
――ぬるい、ぬるすぎる!
 
――なんと張り合いのない。
 
――つまらん。
 
苦肉の策として考案した鷲巣麻雀も、彼にとって何のこともないただの娯楽となってしまっていた。

殺せども殺せども、戦時の血潮を呼び覚ますことのできぬ苛立ちの矛先は、やがて彼に附帯する僕たちにも向けられたが、それでも叶わぬ欲望の昇華。

――この殺し合いに参加させられたのは、そんな矢先のことであった。

募り募った鬱憤を晴らす絶好の機会――彼が欲していた殺しの正当性を見事にクリアーしたこの状況は、まさに鷲巣にとって楽園に等しかった。
521創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 03:07:15 ID:zsUBzyyG
外道w 支援ー
(さて・・・まずは、どうしたものか・・・)

高ぶる熱情を抑えつつ、鷲巣は現状を冷静に分析し始める。

(・・・デスノートを扱う上での大まかなルールはすでに把握した。
が、どうにも解せん・・・こんな強力な武器を支給するからには、何か相応のリスクがあのガキに付きまとうはず・・・。

デスノートの効力が発揮する鍵は大きく分けて3つ。

1つ目は人間であること。

2つ目は名前と顔が一致すること。

3つ目は記入した死因に矛盾がないこと。

人間にしか効果は現れない・・・つまり地獄人と名乗ったあやつ――アノンには効かないということは自明の理か・・・。
だが、ここで問題となるのはそんなことではない・・・。

わざわざこのような注意書きをせねばならん、もっと他の理由があるということ・・・。













あ゛・・・!?















待て待て・・・?

ということは、つまり人外・・・化け物の参加っ・・・!?

この殺し合いにっ・・・!?

あり得るぞ・・・主催者が人外ならば参加者が人外でないという根拠がどこにあろうか・・・。

そして名前と顔が一致すること・・・これもかなりの曲者・・・!

顔を隠されたり偽名を使われたりなんぞすれば、いざという時に殺せんということっ・・・!

幸いにも参加者名簿があるが、真偽を確かめる術がなくてはどうしようもない。

なるほど・・・このノート・・・強力ではあるが、同時に過信しすぎればいざという時に足下を掬われかねん・・・ということか。
命の危機にさらされたシチュエーションで、はい、効きませんでした・・・では話にならんっ・・・!)

狂気の塊であるかと思われたその頭脳は、しかし常人ではけして辿り着けぬ予測を導き出していた。

これこそ、彼が昭和の怪物と恐れられる最大の由縁である。

柔軟な発想、奇抜な計略、大胆な行動。
狂気ありきの鷲巣などではない――鷲巣ありきの狂気なのだ。

すべては計算により裏付けられし確信から生ずる結果なのである。
525創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 03:13:35 ID:zsUBzyyG
支援支援
(冷静になるのだ。目先のことに捕らわれ、大局を見失ってどうする。

そもそもだ。あの小僧が約束を守るような聖人君子に見えるか? あ? いやいや、見えん見えん!

つまり、わしはこの殺し合いを生き延びると同時に、あやつを出し抜く方法をも考えなければならないということ!

だが・・・どうやって・・・?

この首輪を外す手段は、今のところ皆目見当もつかん。

もし可能性があるとすれば、その手の知識に富んだ参加者の協力を扇ぐしかあるまいが、しかしリスクが高すぎる。

裏切られたりなんぞしたら即アウツ・・・終わり・・・!!

・・・しかしだ。

・・・何もしないわけにも・・・もちろんいくまい。

目下は信頼に足りる協力者の探索が先決・・・そして直接的な殺傷武器の確保も平行して行うべきか・・・。

しかし、これはこれで面白くなってきた・・・狩るか狩られるか・・・首筋がヒリつくような圧倒的スリルっ・・・!

わしは登りつめるぞ・・・このサバイバル・・・帝王はこの鷲巣巌ただ一人・・・!!)

恍惚の笑みをこぼしながら、鷲巣巌はそっとその場を後にする。

そして、淡い鶯谷色の木漏れ日に包まれてゆく森の中に、たった一人取り残された平山幸雄は、ただただ己の不運を呪い続け、涙する――。

528 ◆xqhrgTJ31c :2009/05/05(火) 03:19:44 ID:G8xaYdE8



*****



「なんてことだ。摂政ともあろう私が道に迷ってしまうとは」

小野妹子を捜す聖徳太子は、スラム街の路地裏を通り抜け、しばらく歩いた先に位置する森の中をうろうろとさ迷っていた。

時折、そこらに生えている雑草を無造作に引っこ抜き、デイパックにひたすら詰め込んでいる。無論、妹子を見つけたら即座に投げつけて嫌がらせをするためだ。

「ツナがないから雑草で妥協してみたが、やはり小石にでもすればよかった……ん?」

太子がちょうど30本目の雑草をむしり取った時、不意に気味の悪い雑音が彼の耳の奥を衝いた。

……えない……うぐぐ……しょう。

若い男の声。更に言うならば奇声。獣の発するそれである。

「ひえぇ〜〜〜。幽霊が出るなんて聞いてないよ!?」

おっかなびっくりしながら、太子はジャージの裾を強く握り締める。

みるみるうちに汗ばんでゆく両の手のひら。

彼はようやく気が付いた。ここは殺し合いの場であるということ。そして、まともな武器も持たずふらついている自分は、他の参加者にとって恰好の的だということに――。

「ちくしょ〜〜こんなところでリタイアするわけにはいかんだろ。妹子に嫌がらせするまでは死んでも死にきれんわ」

無様に震えながらも、彼は背負っているデイパックに手を伸ばし、がさがさと中を漁り始める。やがてそこから取り出したのは、鳥のクチバシを模した先端が特徴的な短い杖だった。

「とりゃ、とりゃ! どっからでもかかって来んしゃい!!」
529創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 03:20:26 ID:zsUBzyyG
支援ー
530創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 03:25:02 ID:zsUBzyyG
追加支援
531創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 03:27:45 ID:zsUBzyyG
これはさる……?支援
532 ◆4RoomtUcpA :2009/05/05(火) 03:41:16 ID:zsUBzyyG
さるっぽいな……したらばないとこんな時アレだね。
ラス1支援して俺は寝ます。
【スラム街近郊の森/1日目/06:30】

【平山幸雄@アカギ】
[状態]:錯乱
[装備]:なし
[道具]:空気ピストル@ドラえもん/SWORD@カードキャプターさくら
[思考]
第一行動方針:うぐぐ・・!
基本行動方針:逃げろ・・・とにかく逃げろっ・・・!

【鷲巣巌@アカギ】
[状態]:健康
[装備]:デスノート
[道具]:ERASE@カードキャプターさくら
[思考]
第一行動方針:首輪を外せる知識を持った人物の捜索
第二行動方針:殺傷武器の確保
基本行動方針:サバイバルを制する

【聖徳太子@ギャグマンガ日和】
[状態]:健康
[装備]:封印の杖@カードキャプターさくら
[道具]:なし
[思考]
第一行動方針:小野妹子
第二行動方針:正月は芋しか食べねえ
基本行動方針:ツナ





>>532すまない、気付かなかった。
534創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 12:54:07 ID:zsUBzyyG
>>533
投下乙です。ダメギの絶望感と太子のお気楽のギャップが凄いw
そして冷静な鷲巣……しかもデスノート使いとは。

ってあれ、もうちょっと多目に支援してりゃさるらなかったか……こちらこそすまん。
さて、>>512の続きを投下ー。
535「4Fの怪」 ◆4RoomtUcpA :2009/05/05(火) 12:56:25 ID:zsUBzyyG
1レス目は>>512
以下続き


「べ……別に、別にそのことは関係ないんだけど」

 よく見てみると、拾った白いイヤリングは貝殻で作られていた。
 綺麗だ。そして、丁寧な作りをしている。
 重さを感じさせないよう加工されているのに、素材が良いのか貝殻は硬度を保っていて。
 月の光に照らされて青く輝く姿は、加工されているのに凄く自然で神秘的だった。

 きっとこれを付けていた人は、かなりのお金持ちなんだろうな。
 と一通り感想を述べてから。

「問題は、問題は……これがどうしてここに落ちているか、ってことよ」

 私は現実的な言葉を、ぽそりと何もない床に発した。
 イヤリングをよく見てみると、貝殻の大きさに比べて、明らかにチェーン部分が短い。
 何かの拍子に切れたのだと分かる。
 恐らくこの重さを感じさせない加工のために、当人も落としたことに気付かなかったのだろう。
 切れたチェーンの先、イヤリングを落としたまま、イヤリングの主はどこかへ去っていったということか。
 このビルの中か、あるいは外に。

「いいえ、いいえ、あまりにも出来すぎよ」

 まだ始まってから30分そこらしか経っていないのに、
 誰かが落としたイヤリングを私が拾うなんてシチュエーションが、果たして起こるものだろうか。

 いや、起こらないだろう。
 そんな偶然を信じるくらいなら、他の可能性を考えたほうがいい。

「他に、他にここにイヤリングが落ちていなきゃいけない訳は――」

 例えば、わざとイヤリングを落として拾わせるのが狙い、とか。
 もっと言うならば、私の目を、注意を引くのが目的だとか……

「ま、まさか?」

 思い付いた1つの可能性。
 それにぞくりとした不安を感じ、慌てて私は後ろを振り向いた。

「……!!」

 私は見る。
 そこにあったもの。
 左手に野球道具店。グローブ、硬球、ヘルメット、バット、スパイク。
 右手にテニス用品店。ラケット、ボール、空気入れ、グリップ。

 そして私の目の前2メートル、音もなく口を開きこちらに飛びかかっている、一匹の獣。

「――罠、罠だったのね!!」

 ヒョウタンみたいな黄色い頭と針金みたいな手足をした怪物が居た。
 恍惚の笑みを浮かべながら口からよだれを垂らし――私の体目がけて、尋常じゃないスピードで迫ってくる。
536「4Fの怪」 ◆4RoomtUcpA :2009/05/05(火) 13:05:36 ID:zsUBzyyG
 心なしかその目は、使命感に燃えているようにも見え。
 心なしか、なぜか私のおしりを見ているような気がした。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

――以下、公式サイトに書いてある設定を元にしています――

 古代アッシリア。現代ではイラクにあたるその場所で、おしりかじり虫18世の一族は産まれた。

 先祖代々おしりをかじるのを仕事としていて、
 「ご先祖様はクレオパトラのおしりをかじったことがある」というのが種族の伝説なんだそうだ。

 そんなおしりかじり虫と日本との接点は、大航海時代。
 コロンブスに東の果てにある黄金の国「ジパング」の存在を聞いた彼等おしりかじり虫の一族は、
 世代をかけて「黄金のおしり」を求めジパングを目指した。

 幾世紀もの時をかけ、体長もとい身長25センチのおしりかじり虫達は大陸を渡る。
 100年が経った。500年が経った。それでも彼等は諦めなかった。
 そうしておしりかじり虫17世、つまり18世の母と父はついに、日本に到着。
 生まれたおしりかじり虫18世は、都会のおしりの苦さにもめげず、
 人々を明るくするためにおしりをかじりつづけたのだった……

――ここまでガチで公式設定――

 そんなおしりかじり虫の初撃は、失敗に終わった。
 あと少し、という所でターゲットの巻き毛の少女におしりかじり虫の存在がばれ、
 “床に落ちたなにか”を拾うために突き出されていた美味しそうなおしりは、おしりかじり虫の飛翔の軌道上からずらされてしまった。

「あ、危なかった……危なかったわ……!」

 巻き毛の少女は少し顔を赤らめ、おしりかじり虫から距離を取る。
 おしりかじり虫の狙いは、どうやら露見してしまったようだ。
 巻き毛の少女はスカートが風でめくれるのを抑えるようにして、自らのおしりに手を当てている。

 だが、それがなんだと言うのだろう? おしりかじり虫はおしりをかじってナンボなのだ。
 名乗り口上も戦闘開始の合図もいらない。ただおしりかじり虫は、自らの欲望のままに次の行動に入った。
 針金にしか見えない足を曲げ、クラウチングスタートの体勢を取る。
 短距離走のゴールは、ターゲットのおしり。

「ほなそのおしり、かじらせてもらいまっせぇ〜〜!!」

 言い終わる前に、弾かれた弓矢の如く疾走を開始。
 飛翔には及ばないが、人間の全力にも劣らないスピードを出せるおしりかじり虫の得意分野だった。
 これならば、先のように軌道をずらされたが故の失敗はありえない。
 ずらす暇を相手に与えない程に近付けばいいのだ。
 一見アホ面を晒しているようにしか見えないおしりかじり虫は、しかし頭の中で幾通りものパターンを試行していた。
537「4Fの怪」 ◆4RoomtUcpA :2009/05/05(火) 13:07:13 ID:zsUBzyyG
 

「いや、嫌よ! けだもの!」

 そんなことはつゆ知らず、巻き毛の少女は焦りの表情を浮かべながら、おしりかじり虫に背を向けて走りだす。
 ――計算通りやで。それを見たおしりかじり虫は心の中で、小さく邪悪に笑った。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


 巻き毛の少女――便宜上、ビスケットガールと呼ぼう――は、丁度近くにあったテニスラケットを1つポケットの中に突っ込むと、全速力で足を動かした。

「何なのよ、何なのよ何なのよ何なのよぉ! 何で、何で私のおしりを狙ってくるの!?」

 突然すぎる開戦にしてはなかなか頑張ったと言うべきか、イヤリングは彼女のポケットの中に入っている。
 今や、これが偶然落ちていたのか罠だったのかを考える暇は無くなっていた。
 とにかく背後に迫る不思議な変態生物が怖かった。

(一応、一応言っとくけど変態するんじゃないわ! 変態、変態なのよ!)

 人並みの常識を持ち合わせているビスケットガールには、
 おしりを狙う獣だか虫だかよく分からない怪物なんてキチガイにしか思えなかい。
 逃げるのは当然の選択だった。むしろ喜んで噛まれにいく人種がいたら、きっとそれもまたキチガイなのだ。

「おしり! おしりぃ! おしりぃいいいいぃいいい!!」

 聞いて下さいあの叫び声を。あれがキチガイの声じゃなければ、なんだというんだ。

「とりあえず、とりあえず5Fに……」

 せわしなく足を前に進めながら、ビスケットガールは当面の目的地に上の階を選択する。
 足音を立てないほど軽いボディを持つ敵の速度は、それだけを見ればチーターと見間違うくらいに速い。

 体格差による歩幅の違いからなんとか自らと同レベルの速度になってはいるが、ジリ貧だ。
 こちらには足の疲れ、体力の消耗がある。
 だが敵のヘラヘラと笑う姿からは、そんな気配は微塵も感じられない。

「……き、きゃっ!」

 ぶつかる直前まで迫っていた格闘技専門店のサンドバックから、慌ててサイドステップで逃れる。
 ビスケットガールにとって、“追われている”という状況が、何よりも枷となっていた。
 敵の所在を知るために、ビスケットガールは時折後ろを向いて、背後を確認しなければならない。
 だから、今のように前に障害となるショーケースやら棚やらがあっても、前を向いていたら気付かない。
 ――階段なら、追ってくる敵をより楽に目視できる。
 敵は小さい。跳躍したところで、階段を上るスピードなら負けないだろう。
 こちらが上に立つことで反撃のチャンスも生まれる。
538「4Fの怪」 ◆4RoomtUcpA :2009/05/05(火) 13:10:09 ID:zsUBzyyG
 ポケットに入っているラケットで、思い切り叩いてやれば――


(見えた、見えた! 階段、階段だわ!)

 額に汗を浮かべたビスケットガールの顔が、僅かながら口角をつりあげた。
 右手にはバスケ用品店、左手には陸上競技専門店、
 眼前には、5Fへの階段が確かに存在している!

「……ほら、ほら、鬼さんこちら、手の鳴る方へ来なさい!」

 ポンと、1回。
 大きなポケットに収まったテニスラケットを叩くと、ビスケットガールはおしりかじり虫を挑発した。

 彼女の服に付いた少しだけふしぎなポケットは、叩いた物を“ほんの少ししか”増やさない。
 その間、たった10秒。
 しかも1度増やしたものは、もう2度と増やせない。

(でも、でも今なら、3秒あれば十分だわ!)

 そう、それだけの時間が稼げれば十分すぎた。
 ポケットからラケットを取りだし、おしりかじり虫に向かって投擲。
 そうして敵に隙が生まれると同時に、階段を駆け上がる。その3秒が稼げれば、後はどうにでもなるはずだった。

「O・S・I・R・Iィイイイイイイイイイイイイ」

 ビスケットガールはラケットを肩上に構え、おしりかじり虫は挑発を受けて叫ぶ。

 どちらももはや、思考の片隅にも置いていなかった。
 床のタイルの上に置かれていた物のことを。
 白い貝殻で出来たイヤリングを、誰がそこに置いたのかを。

 それが、誰の物なのかを。

【月のワルツ世界/センタービル4F 深夜】

【ビスケットガール@ふしぎなポケット】
【時間】−2時間

【おしりかじり虫18世@おしりかじり虫】
【時間】−2時間


 話は戻り、白い貝殻のイヤリングを片耳に付けたお嬢様がいるビル前の道。
 そこでは銃声が響くとほぼ同時に、1つの命が失われていた。
539創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 13:19:41 ID:zsUBzyyG
投下終了。バトル的描写は難しい。そろそろスレ埋まる?

◆過去話
0話>>479-484 ルールもこちらに
1話>>489-494
2話>>498-505
3話>>512>>535-538
540創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 20:05:42 ID:nhcIKtye
お二人さん乙ー
両方いい味だしてるぜw

で、次スレの話に入ろうかなと。とりあえず、少し前にテンプレ作成してくれた分を拾ってくる
541創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 20:07:05 ID:nhcIKtye
1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」
その登場キャラクター達を架空のキャラクター達へ変更して進めていく企画です。

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
542創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 20:12:45 ID:nhcIKtye
・テンプレ追加
・スレタイ変更

このあたり何かあれば決めておいた方がいいかも
特にスレタイは自分が適当に付けたものなのでいい案があれば変更したいかな
543創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 21:33:44 ID:0G6V3v/d
 >>542
スレタイ案
「一人で書き上げたロワを発表するスレ」
544創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 00:12:40 ID:ZqINEjCS
ロワだけじゃなく他ジャンルの作品も書いていいことにしたら?
「新企画立てて皆でわいわいやろうぜスレ」からもってきた。

無人島サバイバル、運動会、チキチキマシン、ミスコン、学園物
脱出系、恋愛サバ、レース、戦争、その他18禁でないなら何でも。

あと思いついたアイデア「ターミネーターの未来世界でスカイネットとキャラを戦わせる」
545創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 08:31:47 ID:pw8SrFIT
完結に何年かかんだ?
ってか完結しないだろ
546544:2009/05/15(金) 20:59:14 ID:RPSVNJtE
ああ、説明が足りなかったな。
ラスボス的意味でスカイネット本体を破壊するまで書くわけじゃないよ。
考えてたのは、ジョ○・コナー率いるレジスタンスの1グループとしての活躍を書く小説。

例えばレジスタンス司令部からの指示で、「A地点のスカイネットのレーダー基地を破壊せよ」とか、
「B地点からC地点まで重要物資を運ぶのを護衛せよ」など単体のミッションを達成していくパターン。
これなら通常のロワぐらいの枠で収まると思う。
まあ、ネタとして思いついただけでプロットは全然考えてないけど……。
547創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 00:19:51 ID:Fc+y/r8S
それ、単独で書くなら二次創作総合スレとかそういう所でやればいいんじゃね?
わざわざここでやる意味が無いと俺は思うんだが…
あとロワと他のジャンルを混ぜるのはちょっとオススメできない
548創る名無しに見る名無し
うん、せっかくの新企画なんだから、しっかり別にスレ立てた方が人を呼べる気がするぜ>新企画
まあ「ルールの改変はあり」だから、恋サバでも運動会でも>>546でも書いて構わないとは思うけど……お勧めはしないな。