【気軽に】職人がSSを書いてみる【短編】

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189年の数だけ
「あなたの年の数だけダイヤをあげます」
 こんな企画が話題となった。ある宝石販売会社が、宣伝の一環として発表した懸賞だ。
 大々的にPRが行われ、当然のことながら、応募は殺到した。
 一人につき一通の応募しか出来ず、また年齢が高ければ高いほど得なので、疎遠な祖父
母や親類に連絡し応募を頼む家族も大勢いた。
 そして抽選日。特設会場が用意され、ステージの前では大勢の人々が固唾を飲んで発表
を待っている。
「さあ、いよいよこの瞬間がやって参りました。幸運を手に入れるのは一体だれなんでし
ょーか!」
 壇上の司会者は大きな箱に手を突っ込み、一枚のハガキを取り出す。そしてカメラが近
づくと、当選者の名前を巨大スクリーンに映し出した。
『デーモン小暮』