【今こそ】オリジナルヒーロー小説【変身】

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521ネメシス ◆z87r6N2.xY
「ねイツキ、あの医者どう?」
 涼ちゃんがそんな事を聞いてくる。涼ちゃんは面倒見が良い。斎の彼氏まで斡旋してくる。斎はバイトに奨学金に忙しくクラブに入っている暇が無い。故に通常は出会いも無いのだ。
「どうって…別に付き合ってるわけじゃないし…」
「え、まだヤってないわけ?」
「まだだよ!」
 講義中に大声を出したので先生に怒られた。

仮面ライダーネメシス五杯目「おれは電気人間素うどん派!!」

 京也はその日、緊急オペに駆り出された。巨大なコブラに噛まれた、という患者が運び込まれてきたためだ。
 治療の中、京也を含めた医師らは不可解な点を発見した。コブラに噛まれたという。脇腹には確かに噛み傷がある。しかし、その傷が大き過ぎる。どちらかといえば、ワニか何かのそれだ。
 ワニ程度の巨大な口を持つコブラ。尋常な体躯ではない。妖魔でなければ良いが。更に京也は「コブラ」という名詞に引っ掛かりを覚えた

 その六十数年前、香の匂いがきつい暗闇で、声の甲高い男が驚いていた。
「馬鹿な!デスゴッドカメレオンが死んだと?原因は!?」
 デスゴッドカメレオン。貧困にあえぐ市民に対し職を与えてやると言葉巧みに誘導し、改造素体とするため一斉拉致を企てた改造兵士。彼はその素体をアジトへ運ぶ前に、卜部武政に計画を見破られ、更に武政が変身した鬼神によって葬られた。
 しかし武政の件は組織内でも知られていない。彼らが知るのはただ、カメレオンが何者かに抹殺された事実のみ。
 暗闇の中から、また別の男が立ち上がった。
「カメレオンの作戦を私に引き継がせて下さい。最低でも、カメレオンの死因程度は報告させていただきます」
 男の顔は蛇に似ていた。

 美月屋に何かを運び込む音が響いた。美月キヌがその音の主を発見する。
「武政さん、それってバイク?」
「壊れてっからさ、進駐軍が捨ててた。で拾ってきた。良いだろ」
 別に良くない。壊れているし、今の日本の庶民にガソリンが買える筈もない。屑鉄にでもする気だろうか?しかし卜部武政はボロボロのバイクを嬉しそうに磨いている。
「でさ、聞いた?何か防空壕を整理するのに人を募集してんだって」
 ならば力仕事だろう。自分には関係無い。そう考えながら、キヌは数日前の奇妙な人材募集を思い出していた。
武政が「トカゲ関係で一攫千金みたいな」と言っていたので、まあ綺麗な仕事ではなかったのだろう。しかし今回はどうだろうか?