【今こそ】オリジナルヒーロー小説【変身】

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445ネメシス ◆z87r6N2.xY
 吹雪の中心にいる仮面ライダーに対してサラセニアが再び溶解液を吐きつける。しかしそれは吹雪と接触し瞬間的に凍結、固形化して仮面ライダーの足元に落下する他無かった。
 続いて腕を突き出す仮面ライダー。彼に呼応し、それまで全方位を取り巻いていた吹雪が一直線にサラセニアを襲う。絶対零度の吹雪を浴び、サラセニアの溶解液噴出管は完全に凍結、機能を停止した。
 サラセニアの動きを封じた仮面ライダーは、続いて「鬼凩」の念珠を読ませる。前方、後方から仮面ライダーを挟撃する蜂と蠍。だが二匹は彼の周囲に生まれた竜巻に弾き飛ばされる。
 「鬼凩」は風を操る念珠。蠍は体勢を立て直すのに精一杯だが、蜂は吹き飛ばされながらも尾から毒針を発射し、逆襲を図る。
 竜巻の中、次に仮面ライダーが用いた念珠は「鬼焔」。彼の周囲に火炎を召喚し、毒針を焼き払う。更に火炎は渦状に変化し、蜂の尾を焼き切った。
 地に転がる蜂。仮面ライダーは再び風を操る「鬼凩」を呼び出し、それを今度はベルトではなく槍に読ませる。
 槍の穂先へ風が集約するのが分かる。更に仮面ライダーは、溶解液噴出管を凍らされながらも背後より迫り来るサラセニアの気配を察していた。
 風の刃を纏った槍をかざし、突進する。起き上がる蜂。だがその腹部へ、風を纏い高速化した槍が深々と突き刺さる。
 その体勢のまま念珠「雷鬼」をベルトに読ませる仮面ライダー。
 直後、仮面ライダーの背後へ落雷が発生。稲妻は彼の背後を襲ったサラセニアを直撃した。
 一太刀浴びせる事叶わず、炎に沈むサラセニア。風の槍を食らった蜂も暫し顎や足を動かしていたが、その体の各所が燃焼を始め、程無く二匹同時に燃え尽きた。
 仮面ライダーは再度「召鬼」の念珠を翳し、通常の姿「ブレイクフォーム」へ戻る。更に「昂鬼」の念珠を使う。
「ライダーブースト!」
 「昂鬼」により力を高め、飛び掛かる蠍を射程においた。尾の一振りを押し止め、その尾をジャンプ台に蠍の背面、すなわち上方へ回り込む。
「ライダーキック!」
 落下速度を利用し、踏み潰すように蠍の背へ踵を浴びせる。悲鳴と共にアスファルトへ打ち付けられる蠍。
 戦いは、即ち死の恐怖と向き合う事。父親に殺されかけた京也は、その恐怖を誰より知っている。
 だから、三度に渡り自分と戦った蠍の苦しみは京也は理解した。
 だが、そんな苦しみを自分の周囲の人間にまで味わってほしくない。