【今こそ】オリジナルヒーロー小説【変身】

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411ネメシス◇ ◆xQREh3zr9.
 しかし元来跳躍によって高度を保っているため空中での機動力には欠け、中々蝙蝠に決定打を与えられない。
 失速するスカルゲッター。その時、カウルから伸びた触腕が真っ直ぐ近場のビル壁面に突き刺さり、同時に硬化してマシン本体を空中で固定させる。
 仮面ライダーは再び「昂鬼」の念珠をベルトへ呼応させる。
「ライダーブースト!」
 全身の力を高め、シートを手で叩いて蝙蝠へ向かい跳躍、右足を伸ばす。
「ライダーキック!」
 神速の蹴りが蝙蝠の片翼をへし折った。伸びたカウルを掴み空中に待機する仮面ライダーと、バランスが保てず落下する蝙蝠。
 逃げた妖魔の再来は期待できない。200m上空から叩きつけられ、アスファルトが蝙蝠の血で染まる。落下した際に流れた血というより、切断された片翼から落ちる血だ。
 飛行能力を失っても全力で立ち上がろうとする。しかし三日月を背に急降下し拳を放つ鬼が見え、それが蝙蝠の見た最期の光景だった。
「ライダーパンチ!」
 仮面ライダーの拳が蝙蝠の頭蓋を粉砕し、その衝撃が一直線に伝達され、胴体まで真二つにした。両断された蝙蝠は炎に包まれ、爆砕した。

 蝙蝠は空自が撃墜したという報道がなされ、また蠍に関しては一切報道されなかった。
 蝙蝠と妖魔は全く別種の存在。そして妖魔の存在は国にとって都合が悪いらしい。
 国の情報統制に呆れながら、京也は念珠を眺めていた。
「爺さんが生きていれば、詳しい事が聞けるのかも知れんが…」  若い日の祖父が斎に酷似した少女と共にいる写真を見る。

 トタン屋根の宿屋。この辺りの地域に一つしかないラジオに耳を傾ける事もなく、男は欠けた椀で食事をとっている。
「別にすいとんでも良いんだけどさ、オレきつねうどん食べたいんだけど」
「あればわたしが食べてますから」
 宿の看板娘をからかう、二週間前に南洋から帰国した男。彼の名を、卜部武政といった。

三杯目「×(バツ)・×・関東うどん誕生!」に続ければ良いなと思っている。
二杯目、了。