一人5行ずつ。
もちろんよい子は連投しない。
横幅は良識で。
エロは板LRで禁止。
荒らしは明白な場合のみスルーしてその前から。
自キャラ死なされても泣かない。
伏線ははっきりと。
カオスや破壊はほどほどに。
>>100 までで一区切りにしよう。
駄レスで埋まっても延長しない。
さあどうぞ。
2 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 02:36:11 ID:xuB9uU/8
恐ろしい・・・!実に恐ろしいでござんす!! 彼はそういうとバック転を始め、三回目で「ぐふぐふww」といったところ 落下して首がもげて死んだ。 全ては計画通り。 亜時空のネジはついにはずれた。 ほら見てごらん、空間が歪み始めている。 もうすぐ、5次元世界へと行くんだよ。ねぇ?エムリス・・・ 2012年 日本 第2東京市 ミーン ミーン ミーン ミーン 「うわぁ、今年は異常に暑いわ。なぁ?エド・モラン」 「そうだな」
目を覚ますと僕は見知らぬベッドの上で、白い清潔な掛物に包まれていた。 どこも痛くはない。顔を上げずに周囲を見回してみると、片側は壁、片側は 保健室にあるようなついたてに囲まれていて、何も見えなかった。天井には 長細い蛍光灯が点いている。昼の光ではなさそうだ。日が暮れているのか、 それともここは窓のない部屋なのか。耳を澄ましても人の声は聞こえない。
──199X年。 世界は核の炎に包まれた。 海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかに見えた。 だが……人類は死滅していなかった。 世界は再び暴力が支配する時代になっていた。
5 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 02:38:48 ID:27x+KnfD
ふと外を見ると、少年が二人暑そうに歩いている 「なぁ、ビノタ」 「なんだい?エド・モラン」
6 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 02:40:57 ID:xuB9uU/8
エド・モラン 彼は199X年の悲劇を時空超越能力によって葬り去り 今を人間達と生きる、未来から来た人型汎用家庭用兵器
エド・モランは死んだ。 ビノタも死んだ。 テンプレに一人五行と書いてあるのに、 速攻で無視するような輩に神の裁きが下ったのだ。 ここからは新たな男による世紀末救世主伝説が始まる。
8 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 02:48:09 ID:27x+KnfD
土茂 ラエン 彼はタイムパラドックスにより死んだエド・モランから派生した存在。 やがて、救世主とも終焉神とも呼ばれる者。 友達の名前は野旅。
9 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 02:51:47 ID:xuB9uU/8
ドクンッ ドクンッ ・・・ミル・・・ ドクンッ ドクンッ ドクンッ ドクンッ ・・・ルミル・・・・・ ドクンッ ドクンッ ・・・ルミル・・ ドクンッ ・・・ルミル・・・・ カァッ・・・・・・・・・・・・・ミルミルー!!! どごおおおおおおおおおおおおおおおんん!!
10 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 02:55:04 ID:27x+KnfD
「あれは・・・・・ミルミルか!!・・・復活したのか?!」 コオオッ・・・ ピカッ ドゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオンッ!!! 「いくぞ、ジョナサン。ここの敵はとりあえず蹴散らした」 「ふんっ、おそかったじゃねえか!ミルミル!!」 「・・・・すまんな」
辺りには闇の塊といったものが溢れかえっていた。 それは虚無獣歴史改編に対しての修正力が形になったものだ。 199X年の破滅は免れただが未だ人類の未来は暗い。
人類を救うのはナイト救おうとしなくても救ってしまうのがナイト しかしナイトは謙虚だから皆に好かれる ナイトを信じるやつは基本的に長寿タイプ
すごいですね^^キャーあこがれちゃうなー それほどでもない
14 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 21:49:36 ID:efuMmSv+
ナイトはアンパンマンみたいな存在。 困ってる人をみるとほうって置けない。 世話好きのヤサ男。 自分の身を削ってでも助ける。 だから、寿命は短い。
15 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 22:09:03 ID:27x+KnfD
「しまった!ジョナサーン!」 「うわあああ!」 ドッゴーン! しゅうううううう・・・・ 「くっ・・・・?!ナイト!!」
16 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 22:15:28 ID:vBLZAS9n
しかしナイトは姿はもうそこにはなかった そこにあったのは一枚の紙切れだった ジョナサンは声に出して読んだ 「もう塾だから帰ります」 この物語はここから動き出す
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/29(金) 22:21:16 ID:27x+KnfD
「僕も帰るね」 「うん、じゃあおひらきにしよう」 「じゃあね〜」 「また来てね〜」 ・・・そうしてリレー小説ごっこは幕を閉じた
18 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/30(土) 07:00:40 ID:LcVFUxle
そして家に帰って眠った僕は夢を見た よく覚えてないけどなんだかファンタジーっぽい夢だったみたい ちょっと思い出してみるから待っててね
19 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/30(土) 09:56:16 ID:S61+LtOh
思い出そうとしたけどなかなか思い出せない。 夢って一度忘れると全く思い出せなくなるよね こればっかりはどうしようもない。 ごめんね。 仕方ないからナイト君の家にでも行くよ。
20 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/30(土) 10:45:16 ID:LgDWo40G
てくてく自宅から徒歩15分のナイトん家に着くと、そこは既に修羅場になっていた。 玄関の扉は跡形もなく吹き飛び、ぽっかり暗い洞窟が開いたような有り様だ。 呆気に取られていた僕は足首を不意に掴まれ飛び上がった! もう片方の足で足首を掴んだ何かを必死に引き剥がそうと闇雲に蹴りつけた。 「きゃっ!」可愛い悲鳴が聞こえた。
ガシッボカッ!彼女は死んだ。スイーツ(笑) ……って、シンデレラってこんな話だったかなぁ。 いつの間にか目の前の現実を脚色しまくってしまった用だが単にナイトは留守なだけだった。 とりあえずナイトは家に居ないみたいだしそうだな、電話でもしてどこにいるか聞き出そうか。 徐にポケットから携帯電話を取り出したがコールボタンを押した瞬間に電池が切れてしまった。 仕方が無い。コンビニでも探して公衆電話で電話しよう。
早足で来たからもうついちゃった。 プルル プルル ・・・あれ?充電切れのはずの電話が・・・ ピッ 「もしもし?」 「おめでとうジョナサン! 唯心8次元特異時空間4次元構成ゾーン・コレンヴィニへようこそ!」
「…」怪しい人だ。速攻で判断したジョナサンはおもむろに電話を切ろうとした。 「ああ、引かないで切らないで〜!ほら!充電切れの電話がなってるのが不思議だと思わないかい」 いわれてみればその通りだが、正直関り合いになりたくない気配がぷんぷんする。 それでも理性を総動員して一応話を聴いてみることにした。 「実はだね…」
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/30(土) 22:00:32 ID:2cU2FdYS
「携帯を見てごらん」 そう言われたので、携帯を耳から離して見てみた。 な、なんということだ。充電器が繋がっている! 「こっそり繋いでおいたのさ!ははは」 電話先のバカ男は、まさに後ろにいたのだ!
「ひぃ…」 悲鳴が自然と口から漏れ、耐え難い恐怖とともに微妙な違和感を感じる。 自分の携帯に刺さっている充電器があまりにも奇妙なのだ。 明らかに市販されているモノとは異なる形態… 恐る恐る充電器のコードを目で追っていくとそれは目の前のおかしな男の羽織るコートの袖の奥に繋がっていた。
ドワオ
「これはっ!」 ジョナサンは驚いて声をあげる。 「そう、万国旗だ」 「なんだ、手品か」 男の手品を見て和んだジョナサンは、男に礼を言って別れた。
28 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 05:03:03 ID:/zETKl1s
ジョナサンはしばらくのあいだはあの男のことを考えることもなかった。 あの男のことを思い出したのは、それから一万年と二千年ほど後のこと。 そのころジョナサンは、相変わらず充電切れの携帯を持ってユーラシア北部の海を歩いていた。 時折陸に上がってはインターホンを鳴らし走って逃走する毎日。 そんなある日、人影がジョナサンの前に立ちあがった
29 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 05:30:24 ID:TCO0YcfP
「チョモダボレダボダ」 「?」ジョナサンは首をかしげる。 「チョービ!ビンチョモポンチョ!」「チョンバントウ!チョンバントウ!」 「???・・・・・・・・・・!こらっ!何をする!!」 翌日の新聞:[ロシア人が朝鮮人に拉致されたか?]
その新聞を、侵略目的で地球に来た宇宙人ペダン星人が読んでいた。 「………半島にキングジョー送るか…」 その数日後、北の核施設付近に謎の飛行船が四機出現、それらは合体してキングジョーとなった。 キングジョーは破壊光線で核施設を次々破壊してゆく。 北の陸軍空軍が迎撃に出るが、セブンのエメリウムとアイスラッガーを防いだ頑強な装甲を破れる筈もなく進撃を許してしまう。
31 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 10:14:50 ID:Ga1ACZ4Y
そこに北の最終兵器ゴーオンレンジャー投入 ロボットにのって準備万端! 敵は目前 目指すは勝利 白い明日が待ってるぜ
ちゅど〜ん! 突然ゴーオンレンジャーの頭部が吹き飛んだ。 続いて手足の関節部分が爆発し文字通りバラバラの鉄屑と化す。 呆然と遠隔操作装置を握りしめていたジョナサンの背中に固い突起が当たった。 「また会ったわね」見覚えのある美少女が機関銃を突きつけていた。
33 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 10:53:48 ID:Ga1ACZ4Y
「誰だてめぇ?」そういうとジョナサンは槍型空間歪曲兵器グングニルを召喚した。 女は球形空間固定結界イージスを使うも、槍はそれを貫通。 刺されそうになった直前、ジョナサンは女を助け出す。「ジョナサン・・・///」 グジョボッ ジョナサンは、女の心臓をむしり取って潰すと、持ち主の顔に投げつけた バチャッ
34 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 10:58:38 ID:dZYek4Op
とりあえず、ねる。 異次元では、こっちが勝っている。
と女の首はつぶやき、その声を聞いた途端ジョナサンは意識を失ってしまった。 その後、ジョナサンが目覚めたときには女の遺体や爆破したはずのカラフルな人達の痕跡はどこにもなく、傍らには竹槍が転がっているだけだった。 果たして今までの出来事は夢だったのだろうか。北に連れられて来てからおかしなことばかり起こる。 とりあえず歩いてみよう、そう思い立ち上がったジョナサンの視界の端に黄金色の巨人の姿が映った。思わずジョナサンはつぶやく。 「あれって…キングジョーだっけ?」
36 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/08/31(日) 13:24:50 ID:TCO0YcfP
「いや。あ、あれはキャンチョメ・・・まさか・・・」 「ようこそ僕のチートOFワールドへ」 まずいっ! どうすんのどうすんの どうすんのどうすんの??
「こうするのよ」先程ジョナサンが倒したはずの少女が突然現れ、どこからか取り出した杖で呪文を唱えた。 キャンチョメは体を震わせると「恐ろしい・・・!実に恐ろしいでござんす!!」と言いつつバック転を始め、 「ぐふぐふww」と言いながら3回目のバク転で海へ落下して首がもげて死んだ。 少女は言う。「全ては計画通りだわ。亜時空のネジはついにはずれた。ほら見てごらん、空間が歪み始めている。 もうすぐ、5次元世界へと行くんだよ。ねぇ?エムリス・・・」
それは少女が考えている妄想の世界であった。いわゆる電波ちゃんである。 現実にそんな事が起こるはずもなく、ただうわ言の様に呟く少女を尻目にジョナサンは去っていった。 「さて、ナイト君の別荘にでも遊びに行こう」 ナイト君の別荘が北にあった事を思い出したのだ。 だが、無事に彼が別荘に辿り着けるわけがなかったのだ。何故なら―――
既に北はペダン星人の猛攻に耐え切れずに首都陥落、占領の憂き目にあっていたからだ 「…次は南に侵攻しよう」 「いや、このまま大陸へ駒を進めるべきです」 ペダン星人の軍内では意見が割れていた。 ペダン星人の軍は平壌に居座ったまま動かない…
40 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/01(月) 16:45:42 ID:2MHxFY+L
「どうすればいいのですか、ナイト様」 「そうだね……じきにジョナサンが来る。奴を勇者に仕立てあげてぶちころせ」玉座に付いているナイトにペダン星人が問いかけ、ナイトが返す。 そう、ナイトはペダン星人の刺客だったのだ。ジョナサンとの友情も偽りである。 「待っているよジョナサン君……君を殺して大衆の心をくじくのさ」
41 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/01(月) 17:03:26 ID:fHBEpMzB
平壌から、キングジョーと円盤軍団がジョナサンを殺しに向かった。 「っ!来るっ!やばそうな奴がッ!」 大軍団の登場に、ジョナサンは動揺を隠し切れない。 その時、その場に凄まじい声が挙がった 「アッー!」
その声をあげたのはいつか見た手品師だった。 「私が食い止める、君は早く先に行くんだ!」 「あっ、あんたはあの時の! ……すまない、恩にきる!」 手品師が手品を見せてキングジョーらを和ませる。 だが、その手品をうっかり見てしまったジョナサンも和んでしまったのであった。
ジョナサンは手品を見て昔を思い出していた…。 (そういえばこれと似た状況に陥った時があったな。) 数年前メガネ半島にあるという秘密基地の入り方が分からなかった時に遭遇した珍事。 ワシっぽい頭をしたガッツ星人。 そして今は亡き恋人のジェニファーを。
その頃居間でペダン星人の侵略ニュースを見ていたドラえもんは、テレビに映った映像を見て突然驚きの声をあげる。 「たっ……大変だ!」 おもむろに立ち上がったドラえもんの目は何かの決意に満ちているようであった。 ポケットからタケコプターを取り出すと、焦った顔で家から飛び立っていく。 「おやつのドラ焼きが切れてしまった、早く買いに行かなきゃ!」
45 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/02(火) 00:15:14 ID:ia5+Cm+a
ジョナサンはきっ、と決心した! そして、星の脱出速度を超えたジャンプで宇宙に飛び出す! 「テキオー灯!!」フオオオオオッ 「ドラえもん!」ジョナサンは少し、照れ臭そうにしている。 「君は実にバカだ。さて、どら焼きどら焼き・・・」そういうと、ドラえもんは飛んでいった
(計算通り…。) 宇宙に飛び出したジョナサンを見て手品師は邪悪に笑う。 なんと手品師もナイトの部下だったのだ!! 哀れジャナサン君は敵の艦隊のド真ん中へ。 無茶シヤガッテ…。
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/02(火) 16:29:25 ID:ia5+Cm+a
エキゾチック放射亜切断仮定時空及びワームホール・ブラックホール反ホーキング放射による特異点展開! ジョナサンは新しい宇宙を作りました さぁ、いく?いかない?死ぬ?
それは、ナイトの部下であったドラえもんの道具が作り出した幻覚であった。 テキオー灯を照射された時、既にまんまと罠に嵌ってしまっていたのだ。 ジョナサンはこの幻覚から逃れる事ができるのだろうか。 そしてジョナサンの居ぬ間に、ペダン星人の猛攻が再開される。
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/02(火) 21:59:39 ID:S+XPihdn
司令室でフッと微笑むナイト。 「もうすぐだ・・・時間の針は元には戻らないが、自らの手で進めることはできる」 「まったく、ナイトくんはいつも僕に頼る。そろそろ未来に・・・」 「かまわん、ここにいろ」 「ぐすっ・・・のび・・・いや、ナイト。僕がそばにいてあげるよ」
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/02(火) 22:26:38 ID:BLjbac1t
そばに居る安心感なのかのび・・・いや、ナイトは眠りに付いた
ナイトが寝たのを見計らい机の引き出しを静かに開けた
(さよならナイトもう僕が居なくても君は立派にできる子だ!)っと言い聞かせ
引き出しの中に飛び込んだ・・・
こうして二人は永遠の別れとなるのである
長い間ご愛読ありがとうございました
>>1 大先生の次回作にご期待ください
糸冬
時は794年の平安――― その時代最高の予言者が恐るべき未来を見た。 来たる183万3549年後の未来、鎌倉幕府は崩壊するという未来だ。 予言者はその未来を変える為に動き出す。 これは、そんな壮大な歴史ラブロマンスアクションアドベンチャーホラーサスペンス物語である。
だがその予言は杞憂であった。 何故ならその頃には鎌倉幕府は既に消滅していたからである。 時代は変わり、人が宇宙に自由に行き来できるようになった時代―― 太陽系は危機を迎えていた。 M78星雲から光の巨人達が攻めてきたのだ…。
プーチン朝ロシア帝国のピョートル5世は、そんな光の巨人に対抗するための兵器を作らせていた。 そこで出来上がったのが、怪獣コントロール機である。 その名の通り怪獣を洗脳する波長を持った機械だ。 ピョートル5世は地球怪獣の力を借りて巨人に対抗しようとしたのだ。 「巨人め…次はお前たちが怪獣に倒される番だ」
ナイトの陰謀で時空を飛ばされたが結局平和に暮らしているジョナサン。 「恐竜を・・・操る・・・」ジョナサンは感づいた。 五次元映像放送NHQのお昼のニュース。 ピョートル五世の数年前の実験映像の画面の端に 自分が見たことのある、青い、タヌキのような者が映っていたのだ
「青い、タヌキ……しまった!」 その映像を見たジョナサンは慌てて立ち上がる。 「緑のタヌキにお湯入れてからもう30分だ!」 そう、ニュースに見入っていて忘れていたのだ。 哀れ、緑のタヌキは伸びてしまった。
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/03(水) 19:37:43 ID:ZZ0qZn5f
テレビの方を振り向く。 ・・・なぜだ なぜだなぜだなぜだなぜだ? なぜだ・・・・・・?? なぜ、下半身の生えたメロンパンがテレビの上で射精してるんだ?
──お前のせいさ、ジョナサン。 どこからともなく声が聞こえる。 ──お前が、緑のタヌキを伸ばしてしまったから。 ジョナサンは狼狽えた。緑のタヌキとこのメロンパン、一体どんな関係があると言うのだ。 そして一つ、気付いた。その声が、自分の内から聞こえてくるのだということに。
そしてジョナサンは気付いた。 ナイトはジョナサンだった。 そう、ナイトとはジョナサン自身の心が作り出した亡霊だったのだ。 ――お前の意識に入り込んだ。殺すよりこちらのほうが都合よい。 お前の魂を消して俺が主となる!
そ の 時 井 出 が 発 毛 し た !
「思い出して! あの言葉を。今があの言葉を唱えるときよ!」 脈絡なく登場した少女が、ジョナサンの手を取り、厳かに言った。 「「バ○ス!!」」 「毛、毛がああああああ! 私の毛がああああああああ!」そ の 時 井 出 が 脱 毛 し た。 そしてこれまた脈絡なく登場した子供が言った。「ビムラー! 後ろ後ろーーー!!」
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/04(木) 06:36:18 ID:3aDyWxnB
ガッシュを思い出した
62 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/04(木) 16:07:40 ID:bo67hRZM
暇つぶしにふざけてるのも馬鹿らしくなったナイトは溜め息をついた。 とりあえずふもとの町まで降りてみることにした。 その時突然
目をギラギラと輝かせたおばちゃんたちを先頭に、町の人達が大量に向かって来た。 「しまった……!」ナイトは絶句する。 この町はこの時間帯、ほぼ全ての店がセールを始めて主婦達の戦場になるのだった。 「このままではおばちゃんたちの波に揉まれて死んでしまう!」 しかし既に逃げることも叶わない。どうする……!
「知れたこと。主婦達の戦場と言え、戦場は戦場だ。故に、この戦場を制する!」 のび……いや、ナイトはドラえもんに心配かけないように、数多の主婦と戦う事を決意する。 おばちゃん達よりも前のほうにいるという理を生かして、店の中に突撃する。 「ふははははぁー、このジャガイモは全て俺が頂く!」 ナイトは勝ち誇るようにジャガイモを袋の詰めていった。
65 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/05(金) 14:54:33 ID:TzmCEmzb
天使のように愛らしい容姿をした少年が一心不乱にジャガイモを詰め込んでる姿に主婦たちは ジャガイモのことなんかどうでもよくなった。 この愛らしい少年を自分だけの抱き枕にしたいという衝動が彼女らを襲ったのだ。 ジャガイモを必死に詰め込んでたナイトは、自分に異様な視線が注がれてることに気付いた。 何事かと振り返った瞬間、無数の手が伸びナイトの服をビリビリに破り裂いた!
主婦達が去った後…全裸の少年が放心状態で空を見上げていた。 ナイトは何年も大事していたはぢめてを60過ぎの化け物達に奪われてしまったのだ…。 その事を再認識した彼はもう一度だけ、泣いた。 その頃、物陰でをおいしそうにナイトを見ている“いい男”がいた。 彼の名は――。
多田野数人だった。 多田野は最近流行りの某ホモマンガの真似をして、 「やらないか」 と誘ってみた。 それを聞いてナイトは…
拳を突き出した。 「望むところだ!!」 ベンチの男は目を真ん丸にしながらチャックを上げ (やべ・・・なんか、アーッなやつに出会ってしまったわ・・・) と後ろをチラチラ振り向き流れ、速足で帰っていった
すっかりやる気になっていたナイトは、その男が逃げていくのを見て呆然としていた。 だが、男が逃げていった理由は直ぐにわかる事になる。なぜなら――― 「俺は袋にではなく、尻の穴にジャガイモを詰めていたのか! だからおばちゃん達は俺を見て興奮し、男は異様な目で逃げていったんだな……」 ちょっとした失敗でとんでもない事が起こると学習したナイトであった。
70 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/06(土) 00:35:37 ID:L+0LEVPO
学習意欲に目覚めたナイトは狂ったように近所の塾に通った。 「まだまだ俺は失敗できる!俺は強くなる!ガルrr…」 抑えきれない学習意欲で彼は毎日塾に通い、時に興奮のあまり教師に噛み付いた。 覚醒したナイトの牙は、教師たちにとって余りに強すぎた。 塾の教師の殆んどが、他人に噛み付く快感を覚えてしまった。
71 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/06(土) 10:38:55 ID:SVB1eJLm
関東に拡がっていった謎の病気 しかし、その頂点に君臨していたのは鎮都と呼ばれる男。 「シズト!シズト!シズト!」感染症患者達が集まり塔に向かってエールを送っている ズザーッ そこにエヴナ ジョージが辿り着く。 「ったくジョナサンのヤツ・・・手間の掛かることをやらかしたなぁ・・・」
双眼鏡でシズトの様子をうかがう。 エヴナ「おっ、なかなかのイケメンじゃないか。」 シズトはオダギリジョー似で紫の着物を身にまとい、ワインを飲みながら感染症患者達を見下ろしている。 「シズト!シズト!シズト!」 エヴナはいつのまにか感染してしまったようだ。
「まさか……姿を視界に入れるだけで感染させるというの?」 エヴナの隣で、遅れて到着していたジェニファーが呟く。 「ナイトのやつは無事なのかしら……死んだフリして逃げたりしたけど、ほっとけないのは確かだし」 ジェニファーは鎮都から逃れるためなんかすごいゴーグルをつけると、とりあえず町に向かった。 エヴナは狂いながら自分の指を食いちぎり始めた。
その患者の中にはドラえもんもいた。 「シズト!シズト!シズト!」 やはりドラえもんも塔にエールを送っている。 どうやらこの病気は機械にも効くらしい。 恐らくナイトはドラえもんを救う術を見つけるために塾に通い始めたのだろう。
75 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/08(月) 02:11:14 ID:n3/jDZz3
ジェニファーはナイトに合うため塾へ向かった。 塾ではナイトが不気味な呪文をいいながら変な液体を作っていた。 ジェニファーは聞いてみた。「ナイト、それはなに?」 「フフ、感染症に効くワクチンを作っているんだよ。後はこれを入れれば完成さ。」 ナイトが紫色の液体をポトリとフラスコの中にいれる変な液体は爆発して部屋中に飛び散った。
76 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/08(月) 03:34:43 ID:psFHSbgn
白い煙が晴れるとナイトの目の前に見知らぬお姉さんが立っていた。 明らかに服が小さく豊満なバストでブラウスのボタンが今にも千切れそうだった。 彼女はびっくりした様子で自分のおっぱいをムギュムギュもみまくっている。 いつもなら固くなるのに、一向に反応しないアレを見下ろしたナイトは「ああっ!?」と声を上げた。 目の前のお姉さんに劣らない豊満なバストで下が見えなかったからだ。
「こ、これは女体化……!?」 驚くナイトをよそに、ジェニファーは冷静に分析を始める。 「いえ、これは胸囲だけが太る脅威の薬ね。驚異的だわ」 「あっ、ホントだ! 股間はそのままだ! 折角女体の神秘を探れると思ったのに〜」 ドラえもんの事はすっかり忘れているようである。
78 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/08(月) 21:41:01 ID:E8hp9+Te
それはドラえもんにしたって同じである。何もかもすっかり忘れていた。 「あれ、僕は、いったいい……。誰だっけ?」 記憶喪失のようだ。
――そのころ 「あと約20レスで一区切りって言われてるんだから、ちゃんとまとめなきゃ!」 やけに張り切っている女性がひとり、塾へ向かっていた。 その傍らにジョナサンを連れて……。
80 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/08(月) 23:04:47 ID:E8hp9+Te
そのジョナサンの右手には豚さんの貯金箱。 「これで誰かの頭をぶん殴ったら、翌日のニュースで豚さんの貯金箱は【鈍器のような物】って報道されるのかしら?」 ジョナサンの好奇心がむらむらと頭をもたげてきた。 そしてその目は狂気の色を帯びてきて……。
翌日…… 『臨時ニュースです。本日未明、鈍器のような物で殴られた痕のある死体が次々と見つかっています。 警察はこれを連続殺人の疑いが強いと捜査を進めています』 それを見たジョナサン。 「そんな、俺はやってないぞ!」そこに警察がやってくる。
82 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/10(水) 00:04:43 ID:keFBZZrn
「動くな!警察の者だ!」 ――動いたらどうなるのだろう? ジョナサンは思いっきり動いてみた。
張り詰めた気を裂く音に感付いた時、ジョナサンの頬には熱痛が走っていた。 「まさか、いきなり発砲してきたのか!?」 動揺と困惑の渦中にあるジョナサンに反し、警察官は次弾を送り込むべく沈着と撃鉄に指を掛けている。 ――殺されてしまう。 ジョナサンは恐怖した。しかし直後、この未曽有の危機を目前にしていながらも起死回生の策を打ち出したのだ。
「へっへっへぇ〜、こいつがどうなってもいいのかぁ〜!」 ジョナサンは通行人を人質にして、首に豚さんの貯金箱を突きつけてる。 だが警察は構わずに発砲してくる。 「馬鹿め、その人質は宇宙指名手配犯のエド・モランだ!」 再び危機に陥るジョナサン。
85 :
Miss名無しさん :2008/09/10(水) 10:46:22 ID:cksI2fyS
そのときエド・ラモンが懐から小型陽電子砲を取り出し発射した。 一瞬にして警察を含め周囲数キロが消滅した。「ケケケ、正体がばれた からにはテメーも生かしちゃおけねーな。」陽電子砲と豚さんの 貯金箱の戦いがはじまった。
86 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/10(水) 19:03:11 ID:xAh4962S
エド・ラモンはうっかり口走ってしまった 「僕ドラえもんです」・・・そう、ノブヨボイスで・・・ とっさにタイムマシンに乗るエド・モラン 彼はそうして未来に帰り いろいろ恥ずかしくて二度と現在には帰ってきませんでした
87 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/10(水) 20:30:03 ID:keFBZZrn
かわりにやってきたのは土左衛門である。それはそれはみごとな腐乱死体であった。 「ぼく土左衛門でぇぇぇす」凄まじい悪臭を漂わせながら彼は右手を突き上げて笑う。 一歩あるくごとに体から湧いた蛆が地面にボタボタ落ちていく。 「ひ、ひぃぃぃ!」 「う、うわぁぁぁ!」 みんな一目散に逃げだした。
しかし土左衛門はピョートル5世(の作らせたメカ)によって操られ、兵器となってしまった。 悪臭を放ちながら土左衛門が向かった先は…ロシアのライバルアメリカのニューヨーク! ニューヨークの人々は土左衛門の姿を見るなり逃げ出し始める。ハッテン中のアメリカンハードゲイすら素っ裸で逃げ出す始末だ。 「オゥ!ベリィスケャリー!」 ピョートルの目論みは大成功だった。
ところで、ジョナサンと共にやってきた女性、ステファニーは、ジェニファーの双子の妹であった。 双子パワーでお互いを見つけ出したジェニファーとステファニー。彼女たちの手には二対のイヤリング。 ジェニファー・ナイト・ステファニー・ジョナサン。四人でひとつずつ付けると、最強の戦士ジェニファニーとジョナイトが誕生した。 イヤリングはポタラだったのだ。 「ピョードル、お前もここまでだ!」
ジェニファニーとジョナイトはフュージョンをする。 「フュージョン!」 するとジョニファナイトが誕生した。 ピョードルも負けじとウルトラミキサーでキングジョーと合体する。 ピョージョーになった。
「謎の感染症を防ぐための方法、それはフュージョン」 ジョナサンの声が高らかに告げる。 「鎮都を操って世界を感染症に陥れようとした、あなたの野望はここで潰えるのよ」 ジェニファーの声がピョージョーに放たれる。 ピョージョーは今だその場に立ち尽くし、不気味にうつむくだけ。 「いくぞピョージョー! 貴様を倒して世界を救う!」
92 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/11(木) 19:02:05 ID:9EGxItrm
「じつをいうと外国人力士に大麻を売ったのは、俺なんだ!」突然ピョージョーはなんの関係もないことを口ばしった。 「な、なにぃ!」 「ま、マジすか?!」 しかしその場に居合わせた人々は皆は一様に驚愕する。 つづいて瞳が輝き出した。俗世間にまみれた野次馬的な好奇心で。
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/13(土) 22:55:27 ID:+34o9XSk
あれ?俺なに言ってんだ?頭がくらくらするし目も痛い… ミドリのタヌキみたいなのがこっち見てる…なんだろう?… 今日は取りあえず帰っていいか聞いてみようかな? ピョージョーのひどく不安げで落ち着かない様子はハッテン中のハードゲイ達をも寂しくさせた…
94 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/14(日) 00:03:40 ID:ldr4Jd/S
そのとき、上空から耳障りな高音が聞こえてきた。 その甲高い音は徐々に低く大きくなっていった。 そして、それが巨大で硬質なものの降下音だとジェニファーたちが気付いたときには遅かった。 落下直後の衝撃で、その場にいたジェニファーたちは大きく吹き飛ばされ、あたりは半径50メートルものクレーターが出来上がった。 そしてその落下した物体――巨大ロボットの胸部から、透けるような肌の白髪の少女が満身創痍の様子で、クレーターの中心へ転がり落ちた。
「おう! でえじょうぶかい、嬢ちゃん!?」 その言葉と共に魚屋の源三郎がクレーターに飛び込んだ。 ゲンさんの愛称で親しまれる彼は、困った人は見捨てられない江戸っ子気質の持ち主であった。 ましてや相手が美少女と巨大ロボとあれば、漢として見過ごすわけにはいかなかった。
少女は源三郎を見据え、その体、顔にそぐわない、世紀末覇者のような野太い声でいった。「この夏、うぬらにあいたくなったわ」
97 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/14(日) 17:37:42 ID:jqxHHFH7
すると源三郎は少女の心臓を抜き取ると、ひねり潰し、少女の顔に投げ付けた。バチャッ
なんとかわいそうに、血をおもいっきりかぶった少女は 汚れた顔を隠すように地にうずくまった ああ、かわいそうにかわいそうに 周りの人々は同情する
「どうして私達は争っていたのだろう」 誰かがそんなことを呟き始めた。 「さあな。今となってはどうでもいいことだ」 誰かがうなずきながらいった。ジョナサンは泣いた。 ジョナサンの涙の粒が地面に落ちていき――
瞬間、暖かな光がジョナサンを包んだ。 光は果てなく広がり、やがて地球全体を包む。光が薄れ、消え去ったとき、皆は驚いた。彼らはゴキブリの姿になっていたのである。 こうして旅は終わった。旅は噂になり、民話に語られ、伝説へ。 いつの日か、また新しい伝説が語られる日が来ることだろう。とはいえ、それは別のお話。今はすべてを忘れ、夢の世界へと――
まさか完結?
102 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/15(月) 18:44:32 ID:2IJm1tdL
完結じゃない? 1に100で一区切りしようってかいてあるし
完結を想定しての投下 あの日私の全ては一変した。 崖の上の黒衣の少女。 崖の上にトウシューズで佇み、今にもあっちへ跳び立とうとしてた少女。 彼女を崖の上から助けたのが始まりだったんだな。 彼女からしてみればあの時の私の行動は――
「こぉら! またあの時の事考えてる!」 気が付くと、目の前には黒衣の少女が立っていた。 あの時、私が助けた少女。いや、助けたつもりだった少女。 「違うよ……ちょっとぼーっとしてただけ」 「嘘付かないの。前にも言ったでしょ、あの場面なら誰でもあんたと同じ行動取るって」
果たしてそうだろうか? あの時僕は、黒衣――ボンデージを着た君に酷いことをした。 間違いなく僕の軽率な行為は、彼女の心にも身体にも傷を残しただろう。 何事もなかったかのように、目の前に立つ少女の顔はそれでも、僕を恨んでいる風もなく優しく僕に向けられている。 その大きな瞳から覗き込むように、僕はあのときのことを思い返していた――――。
そう、僕が生きていた時の事を。 あの時、僕は彼女を助けようとして、結果助けられなかった。 ましてや僕の不注意で一緒に崖から落ちてしまった。 僕は彼女が自殺をしようとしてると思い込み、死んだらダメだなんて言いながら走りよったんだ。 慌てた僕は石に躓いて彼女にダイブ。諸共崖に飛んでいってしまったんだったな……。
107 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/17(水) 12:38:39 ID:c6mWHvig
そこに異次元から現れたジョナサン。 「いてててて」 「お、お前は誰だ?!」 そこでジョナサンが出てきた黒い穴から たくさんのハードゲイが降ってきた
「くそっ……いいかげんテメーらはゲイバーに帰れ!」 ジョナサンがハードゲイ達の方に手をかざし、一睨みすると、黒い穴がゲイ達を吸い込み始めた。 「ったく……あ、自己紹介が送れてすいません」 奇声を上げながらゲイ達が穴に吸い込まれていく中、ジョナサンが2人に向かって会釈をした。 「僕はジョナサン、異次元の者です。――あなた達に頼みたいことがあって、ここに来ました」
ジョナサンの話を聞いて、僕は驚きのあまり声を上げてしまった。 なんとジョナサンのいたゲイ次元が、今まさに僕たちのいる世界を飲み込もうとしているというのだ! このままでは僕たちのいる世界は消滅し、ゲイ次元もまた肥大化しすぎて滅んでしまうらしい。
彼の話を理解し終えると、今度は至極最もな疑問が浮かんできた。 「で、僕たちに何をしろと?」 「僕と一緒に世界を救って欲しいんです。"崖から落ちた"あなた方になら出来るはずだ」 何を馬鹿な事を……。思わず呟きそうになるのを堪え、隣の彼女を見る。 当然呆れているのだろうと思った僕の予想に反し、彼女の顔は恐怖と驚きに引き攣っていた。
111 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 19:12:28 ID:j6Fv7yUJ
ふと横の草むらを見ると ハードゲイが巻き付いて離れない、ナイトの姿がそこにあった
うほっ、良いナイト……。 そう思っていると、ナイトに絡み付いているハードゲイが僕の方を向いた。 あっけに取られていると、ハードゲイがナイトの腰に掲げてある鞘から剣を抜いた。 「殺 ら な い か」 そう言われた僕は、ホイホイと……。
113 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 21:20:43 ID:0ruoTwsG
そのハードゲイをぶっ殺した。 ポケットから金を奪うのも忘れない。 「さて、パチンコでも打ちに行くか」
女物のサンダルをつっかけて平日の朝から店の前に並ぶ。 通りを行き交うカタギの人間達の視線を時折感じつつも、他人の金で博打を打つ快感には抗い難い魅力があるのだ。 懐の生暖かい財布から血の匂いが立ち上ると、俺は「生きている」実感を強く感じてひとりほくそえんだ。
ふと、眩暈が僕を襲う。 おかしい、先ほどハードゲイとやりあった時には傷など負わなかったはず。 「ちょっと、いつまで寝てるの!」 遠くで声が聞こえた気がした。 気のせいかと思った眩暈は次第に酷くなり、ついには気を失ってしまった――
ふと気が付くと自室のベットの中だった。 あれは全部夢だったのだろうか? いやポケットを探るとハードゲイから奪った金が出てきた。 やはり夢ではないらしい。
117 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/19(金) 20:26:38 ID:slsIdBWS
ふと横を見るとそのハードゲイの死体が! 「げっ、なんだよこれ!部屋の中で殺った覚えはないぞ」 つづいてドアをノックする音がひびいた。
「旅の準備は済んだか優等生。あんまり遅いと隣の脳筋の変体野郎と一緒に地面にKISSすることになるゼ」 ドアから現れたのは旧世代のSMGを持った若い長髪の白人男性だった。 男はドアを乱暴に閉めると、階段を降りていったようで、玄関を閉める音に続いて、バイクの起動音が外から聞こえた。 窓から外を見下ろすと、玄関先の道路にはさっきの白人と、サイドカーつきの大型バイクが止まっていた。 俺は急いで外着に着替えると、勢い良く部屋から飛び出した。
俺をのせたハーレーは環状線をあっというまに昇り詰め、高速道路に合流した。 あまりのスピードに息をすることもままならない。250キロは軽く越えているのだろう。周りの車がみな後ろ向きに走っている錯覚に囚われる。 「どこへ行こうというのか?」 叫ぶように尋ねたが返事はない。 対向車線のマイクロバスの窓から乗り出した幼稚園児の水鉄砲が、男の眉間を正確に撃ち抜いていたのだ。
一気に転倒するハーレー。 しかし私は死にたくない一心でマイクロバスへと飛びつく。 「ふぅ危なかった……」 安心してバスの中を見回してみると。 なんと、このバスは男を射殺した幼稚園児にジャックされていた!
121 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 00:26:17 ID:PGQo2iqJ
車内は乱交パーティの様相を呈していた。 犯罪者とおぼしき覆面の男達が幼女達に跨り、腰を動かしている。 都内のマンションで幾度もこの手の裏風俗に精通してきた俺でさえも吐気をもよおさんばかりの光景が展開していたのだ。 「飛んで火に入るなんとやらだ。君もどうかね。」 射殺魔が俺に言った。バスガイドとおぼしき二十歳位の女の髪を左手で掴み上げながら。 俺は不思議に冷静で、この惨状を前にしながら、戦い、被害者達を救ってやりたい衝動にかられた。
いや、救ってやりたいわけじゃない。 裏風俗に精通して早30年の俺には、もはや通常の性癖ではいられなかった 「い…頂きポークビッツ!!」 俺は言うが早く射殺魔のズボンを下ろしポークビッツを堪能した。うーんシャウエッセン 気づけば幼女を襲っていた覆面男が、俺に怯えている。やるべき事は一つ。
バーーーン! 今いるビデヲボックスの残り時間が5分を切った俺の性衝動は即座にMAXを振り切った。 射殺魔の未発達な陰茎を噛み切り、有線で流れる小柳ゆきのアップテンポなナンバーに合わせながら繰り返し叫び、射精していた。 「俺の死刑執行は一味違うぜ!俺の死刑執行は一味違うぜ!俺の…」
俺は気がつかない間に狂っていたのだ。 だがそれも仕方のないことだろう。 あまりにも予想外な事ばっかりおこりやがるのだから。 そして次に眼が覚めた時は牢屋の中だった。 「連続幼女強姦殺人事件の犯人」として死刑執行される寸前らしい。
ここにいれば雨に濡れずにすむ。このところの局所的豪雨にはとことん狙い撃ちされていた俺にとってはむしろ好都合かもしれない。 つとめて楽天的になろうとしてそんな風に考え、ごろりと仰向けに寝転がった。 傍らには成年向けの漫画雑誌がうち捨ててあったので手にとってみる。 数年前に大食いタレントとしてTVに出ずっぱりだった女性芸能人の全裸グラビアが目に入る。 平らげた丼飯茶碗で股間を隠しながらぎこちない作り笑いを浮かべるその顔を見ていたら、妙に人生がはかないものに思え、
そういえば俺の人生はどんなもんだったっけ、と、 死ぬ直前の人間みたいな考えが浮かんだ。 ***** 俺は産まれてすぐ、下水道に捨てられた。
…そして洗剤の泡にまみれながら大便と小便と使用済みコンドームの中の蛋白を栄養源に成長した…なんてな。
そんな風に過去を思い出していた時、コツコツという足音が思考の邪魔をする。 何事だと音のほうを見てみると、荘厳な顔をした看守がやってくる所であった。 いよいよ死刑執行の時か、と半ば諦めながら考えていると、看守は思いもよらぬ事を言った。 「平和すぎて暇だ、おいお前、ちょっと脱走してみろ」 なるほど、脱走率100%の監獄という名は伊達ではないらしい。
脱走なんて映画じみた行動は取りたくなかったので普通に出入り口から出てみた。 何事もなかったように外に出られたお陰で、いわゆる「シャバ」の空気の旨さを感じる事はできなかった。 こんなことで人生の価値を、人間偏差値を下げたくなかった俺は
バリバリと音を立てて垣根の中へ突っ込んで行った。 夜露に濡れた葉が、頬や首筋を舐める感触に鳥肌が立ちそうなのを堪えつつ、踏み切りの見える鋪道へとたどり着いた。 さぁ、それらしくなってきたぞ。 遠くに波の音を聴きながら、終電後の
誰もいない、列車も来ない線路を満喫する。 このままここで寝るとか気持ちよさそうだなぁ…… そういう誘惑にかられるが、そういう場合でもないし始発までに起きられそうもないのでやめておく。 でもやっぱり少しやってみたいかもしれない。
ひんやりとしたレールを枕に、大の字に寝転んでみた。 市街地でないから、この時間には星がくっきりと見える。 波の音は長いレールを震わせ、銀の砂浜の様な夜景がいつしか僕を
眠りへと誘っていった。落ちていく意識の中、 そういえば世界を救えと頼まれた事を思い出す。あれも夢だったのだろうか。 黒いボンテージの少女。ハードゲイ。バイクの男。幼女を犯す男達。裁判官。看守。 僕はこれから、どうすればいいのだろう。 そんな考えが浮かぶのが早いか、気付くと僕は
134 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/29(月) 02:03:24 ID:gEB2Zb/v
電車のシートに横たわっていた。ベッドではないので狭くて寝心地が悪く、すぐに起き上がった。 ぼうっとする意識の中で状況を把握しようと試みる。ローカル線なのだろう、内装は古く、自分の乗っている車両には乗客はいないようだ。
だがその代わりに車掌がいた。 「あなたは死にました。これは霊界への列車です」 「へー、そうなのー」 オレは聞き流した。
とりあえず窓の外を見てみると景色が全て虹色になっていた。 「これが証拠です。あなたは霊界へ続くトンネルの中にいるのです。」 「ふーん」 またオレは聞き流した。 とりあえず窓を開けて飛び降りることにした。
虹色の花畑が広がる空間に着地しようとした瞬間、足が宙を踏む感覚を覚えた。 花畑の下に地面はなかったのだ! 僕はそのまま、体ごと下に落ちていった。 何も見えない、死と生が交わったような灰色の空間をひたすら落下していく。 しばらくすると灰色の中に赤が入ってきて、世界を血の色に染めていった。 ふと下を見る。そこは、地獄だった。
灰色の岩石地帯にピンク色の川が流れている。川には吊り橋が架っているが、人の気配は感じられない。 俺は橋の向こうの崖に古びた小屋を見付け、恐る恐る橋を渡り始めた。 川を流れるピンクの液体からは屍肉のような臭いが立ち上り、俺は橋の途中で嘔吐してしまう。 やっとのことで対岸にたどり着き、小屋の中へと
足を踏み入れようとした時、ふと入り口に違和感を覚えた。 巧妙にカモフラージュされているようではあるが、不自然な凹凸が入り口直前の地面に確認できる。 「その手にはのるかよ」 俺は3歩下がり助走を着けてその凹凸を飛び越えた。 そして、小屋の入り口に着地した――瞬間、地面が抜け、より下へと落ちていった。
成長期にはよくあった事だが、眠っているとふと床が抜けて一瞬宙に浮き、次の瞬間一気に底まで落ち込んでゆくあの感覚。 気が付くと俺は線路のレールを枕に仰向けに寝ていた。 やはりこんな所で寝るとロクな夢は見ないものだ。当然の事を改めて痛感した。
その時突如汽笛が鳴るのが聞こえた。 音の方を見てみると、なんと列車が今にもやってくるところだったではないか。 どうする、どうするのよ俺! 俺はオダギリジョーを習ってライフカードを広げてみた。 1:錯乱 2:諦観 3:奇策 4:熱血
ケース1 : 「うあふぇjfぁwじぇふぃsdふぁうあおふぃj!??」 ブシャ・・・
ケース2: 「まあ、多分汽車が止まってくれるんじゃね?」 ドンッ ガシッボカッ ブシャアアア………
ケース3: 「コミック力場ならきっと助かるはず……ちぇりおーー!」 ぼごんっ 「そりゃそうデスよねぇぇぇぇぇ!」ぺしゃっ……
ケース4: 「列車如きが俺に適うと思うな! ファイヤアアアアアアアアアアアアッ!」 俺の拳が列車に真っ直ぐと打ちつけられ――― ベキャバキャゴキッ 「やっだばぁぁぁぁ!!!!」ブチャッ……
そんな事を妄想していると電車は直ぐ目の前に迫っていた。 もう駄目だっ! そう思ったとき、一瞬の浮遊感と共に俺の体は宙を後ろ向きで飛んでいた。 それが、抱きかかえられているのだと気付いたのと、目の前すれすれを電車が通過するのは同時だった。
列車が遥か彼方に去っても、俺は呆然として身じろぎひとつできずにいた。 「星になれなくて残念かな? 重いから降ろしたいんだけど。」
…女のひと? 俺を列車事故から救ってくれたのは、以外にも女性だった。 月光に照らされて困ったような笑顔で俺をみている。 俺は自分で立てるからと言ってみたものの、腰が抜けてしまっていて二三歩ふらついたあげくレールにけつまずいて顔面から敷き石につっこんでしまった。 彼女はさもおかしそうにケタケタと笑っている。
なんだこれは… 俺は一体何をやっている? 女性の前で俺はなんて無様な… 自分が恥ずかしい!! 俺はびびっていた!確かに俺は列車ごときにびびってしまっていたんだ!!
俺はこの屈辱を糧に、修行に励む事にした。 目標は勿論……列車の打倒だ。 その為に、軽い身のこなしで俺を列車から救ってくれた彼女に師匠になってもらった。 「じゃあ、まず列車を一撃で倒す為にフェニックスの尾を取りに行くわよ」 列車を倒す前にフェニックスで腕試しってわけか!
意気込み、拳を握り締める俺を見て彼女はまたクスクス笑い始めた。 「なんでも間に受けるよね。まだ若いんだからおかしなこと考えちゃだめだよ…。」 そう言って真顔で俺を見つめる彼女。 いくつくらいなのだろう? 白くきめ細やかな肌はまだ二十歳前後のようだが、凛々しさを感じさせる眼差しに見据えられると俺は母親に咎められる子供のように萎縮してしまう。セミロングのストレートヘアが月に照らされて輝く様に、俺はしらずのうちに魅せられてしまっていた。
「結婚してください!」
「…ゴメン、それは無理」 悲しそうな顔をする彼女。 それを見て俺はどうしようもないほど動揺する! 「私…未亡人なの…」 この時、俺の中でナニかが切れる音がした―
「未亡人……ミボウジン……」 MIBOUJIN! 「ビバ未亡人!ビバ不倫!子持ちならなおよし!寝取りサイコー!」 俺は不思議な踊りを踊った! 未亡人は怒りに震えている!
「こっ…子供はいないから…。だからってどうにもならないんだから勝手に盛り上がらないでくれるかな。」 彼女の額に血管が浮き上がり、握り締めた拳がプルプル震えている。 やばいぜ!…とりあえずは
チチを揉んでみた。 「流石未亡人、いいチチして……あれ? 変な感触だ、まさか!」 なんと胸に風船を仕込んで大きく見せていたのだ! 「くそっ、騙しやがったな!」 「言いたい事はそれだけか……!」
「第一どうやって風船入れたんだよ!」 「男があそこのサイズを気にするように女も乳の大きさを気にするものよ…ちなみに 入れ方は企業秘密って事で。だから貴方がやりたくても教えられないわ」 いや宴会芸でもやりてーとも思えねーよと突っ込もうとしたが、気が抜けたので やめといた。
「そんなことよりサメの話でもしようぜ!」
英国のロックバンド「Led Zeppelin」のメンバーが若かりし頃の話。 ホテルでの馬鹿騒ぎの最中、追っかけの女の子の局部にサメの頭を突っ込んだことがあるらしい。 後日それはサメではなくキンメ鯛であったと訂正されたとかしないとか・・。 そんな薀蓄を得意げにたれているうち、気が付くとあたりはすっかり明るくなっていた。
「そろそろ昼寝でもするか」
俺はそのまま線路に横になろうとして
「
>>133 に戻ろうとしたってそうは行かないわよ!」
蹴り飛ばされた。
「なんなんだよ?要は淋しいんだろ?無理すんなよ!やらせろよ!なぁいいだろ?」 進展のないやりとりに苛立ち、叫んでしまったが、彼女は動じる事もなく静かにこう言った。 「無理だわ。だってあなたは私。自分自身を犯してどうなるの?」
――なに言ってんだこいつ…………。 自分で言ってカッコイイと思っているのか、哲学的だと思っているのか、彼女は何故か薄笑いだ。 俺はかまわず彼女のタイトなスーツを破り捨て抱きついた。 ――翌年。 新たな命が彼女のおなかに宿ったことを僕は知った。
だがその命の灯も俺の手の中のバタフライナイフによって断たれつつある。 「命の恩人」なんてのが存在してるだけでもウザイのに、そいつにまた何か背負わされるなんてとんだ親切の押し売りだ。 二匹を串刺にし、俺は自由を選んだ。
「やはり自由はいいなぁ!」 二人の骸を後に俺は叫んでいた。 だが、まさか彼女らがあの病気に感染していたとは思わなかった。 彼女らの血を浴びて、俺も感染してしまったようだ……そして意識がなくなる。 「シズト!シズト!シズト!」
呼ばれた気がしたが、俺の意識は消えた。 俺の感染した病気は〈もっこり病〉 ヤラナイ蚊より媒介される。 際限なくもっこりする股間は、やがて世界を覆い尽くすだろう。 人類を救う手立てはただひとつ…。
去勢だ。 しかしこの病気にかかった人物を去勢できるのはただ一人しかいない。 それはブラックジャックザリッパー先生だ。 だけど彼は今投獄されている。 どうすればいいんだ!
と思いながら目覚めると、股間がスッキリす〜す〜していた。 恐る恐る見てみると、俺のもっこりは… まりもっこりになっていた!しかも股間から分離独立した新生命体として活動している。 まりもっこりは言った。
「おす!元気?」
それを見ていたゴスロリ少女が、まりもっこりを抱きしめ頬擦りした キャ〜可愛い! 俺の股間にその感触が伝わって来る ま、マズイ! このままでは…
いかんいかん、夢ということにして逃げてはいかん。 現実と格闘しながらすでに3週間。 感染した俺の元に訪れたのは、今は懐かしいボンデージを着用した女だった。 「あなたは、ウイルスに抗体を持つ、希少な人類なのよ」 俺はわが耳を疑った。
「つまり俺の抗体でがっぽり儲けられるって事だなひゃっほう!」 「そうね、でも私が教えたんだから私にも取り分よこしなさい」 「仕方ないな、どのくらい欲しいんだいセニョリータ」 「じゃあ妥協して10割ぐらいでどうかしら」 「もちろんオッケーさ!」
「ただし、報酬はカラダで払うからな♪」 「え?ちょっ…あぁ〜〜〜〜ン…」 ふう… また未知の自分を開拓してしまったようだ。散々イカされた彼女はすっかりグッタリして寝息を立てている。
こうして世界は救われ、俺は大金を手に入れた。 「この金を何に使おうか……」 途方もなく莫大な金は俺を呆けさせる。 ふと、テレビに目を移すと、着物姿の美人が映っていた。 「そうだ、京都へ行こう」
席を確保出来ずに、新幹線の通路にねっころがりながらも、京美人をいかに口説き落とすかで胸は高鳴っていた。 やはりストレートに懇願するべきだろうか? 旅の恥はなんとやらだ ワクワク
その時列車に衝撃が走った! 通路に寝ていたオレは頭からすっ飛ぶ! 前方に同じくすっ飛ぶねーちゃんを発見! このままでは二人とも隔壁に! オレはねーちゃんの脚を掴むと、股の間に頭を突っ込んだ! 良し! エアバック 完 成 !
ゴチーン☆ 壁にぶつかりそのままスカルファック! 「&@×#■◎(エアバックってレベルじゃねーぞ!) *¥▲%☆+(てか抜けねぇ、誰か助けてくれー!)」 くぐもって何と言ってるか聞こえなかった
窒息寸前で頭を抜き去り、ハンカチで汁を拭う。 女は窓枠をもぎ取らんばかりにつかみながら、口をぽかんと開けて小刻に震えている。 露になった下半身にシーツをかけてやり、俺は煙草に火をつけた。
オレは震える彼女に優しく声を掛けた。 「頭…、入ったね…」 「私…初めてだったの」「調子こくな! このアマ〜〜〜〜っ!」 怒りに任せて列車から蹴り落とす。
「くそっ、俺だって初めてだったよ! それをこんな形で失うなんて酷すぎる!」 理不尽な怒りだった。
ん、あの女のか? 足元のリングに目が止まり、手にとってみる。 指にはめると、もう抜けない…って、しまった、これは呪いのリングだ! 焦るオレの背後に、気配が生まれる! 「もしもし…私貞子」
181 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/22(水) 00:44:13 ID:qFBydmPG
激しい幻覚の為、いろいろとおかしなものが見えてしまった俺だが、新幹線の通路がすっかり肌になじんでしまい、まもなく京都へ到着するアナウンスが流れると急に悲しくなって人目を憚らず男泣きに泣いてしまった。 そうかと思えば床に落ちていた串を拾いあげて周りの乗客たちに自慢気にみせびらかす。 はて? 俺はなぜここにいるのだ?
「ふふ…元気のいい坊やだこと。嫌いじゃないわ、あなたみたいな子」 不意に背後から声をかけられる。 妖艶な女の声だ。 「誰だ…?」 胸ポケットに忍ばせたバタフライナイフに手をやりながら俺は振り返った。
「私が誰かなんてどうでもいいわ」 女はくだらなそうに笑う。 「じゃあ俺に何の用だ」 「もうすぐで100レス目だから、物語の完結に向けて収拾するように進言しに来たのよ」 それだけ言うと女は去っていった。
意味の分からないことを呟かれ頭に来たが、完結という言葉が俺の頭に引っ掛かった。 いろいろな事件があったが、思えば俺には目標というものがない。 ずっとふらふらと渡り歩き、適当に過ごしてきただけではなかったか。 「目標が……目標が欲しい!」 俺はそう叫ぶと、がむしゃらに走り出した。
だがここは新幹線の中、走ってどうなるわけでもなく、乗客に白い目で見られるだけであった。 だが、その突き刺さるような視線は、不思議と俺のさび付いた心を浄化させていった。 迷惑そうに、はたまた怖いものみたさの視線を受けるたび俺の下半身は激昂した。 「もっと俺を見てくれっ!!!」 俺は衣服を脱ぎ捨てた。
つり革や手すりに逸物を通しながら観客、もとい乗客ひとりひとりに挨拶してまわる俺。 まるでディナーショーのようだなと思う。 人気のピークは過ぎたものの、こうして円熟の域に達した芸を見にわざわざ俺と同じ車両に乗り合わせてくれた固定ファンたち。 今日は本当にありがとう!もうすぐ京都です。 いい思い出をたくさん作ってくださいね〜!
やがて乗車案内が流れた。 色々あったが、やっと京都に到着か…。 一時は200までに着けないかと思ったぜ。 「本日は、御乗車誠にありがとうございます。次の停車駅は、アンドロメダ終着駅、アンドロメダ終着駅〜」
「俺は京都に用事があるからここで降りなきゃな」 慌てて新幹線から降りようとする俺だったが、手すりに逸物をぶつけて痛みに悶える。 そんな事している間に新幹線のドアは閉まり発射してしまった。 「だがその事実に反逆する!」 俺は新幹線を止める為に運転室へ向かった。
発車と発射をかける自分の才能に酔いしれながら ただ、ひたすら運転室を目指し駆ける――― ああ、この胸の高鳴りは何だ …これが目標ってやつか?そうだ、俺にもついに目標が出来たのだ 京都へ行く―――!
碁板の目のように整然と並ぶ街並みのそこかしこに、色付いた木々が風情を感じさせる。 京都…何もかもイメージ通りだ。野卑な笑い声をあげながら通りすぎる女子高生達でさえ、他の町とは違う気品を漂わせている。 俺は秋風に吹かれながら橋のたもとに佇み、遥かな陵線の彼方に去り行く新幹線をいつまでも見送っていた。
運転室に疾走しながら、京都に憧れるきっかけとなったリレー小説を読んだ! くそっ、ヤッパ最高だぜ〜〜〜〜っ! 発射と発車…うぷぷっ! やっと目標掴んだと思ったら、何の盛り上りも無く京都着いてるし(笑)! 読み耽っている内に、列車はアンドロメダに着いた。
「やあ、僕はアンドロメダ瞬」 出迎えてくれたのは性闘士だった。 「お呼びじゃねぇ!」バキッ! 「ネビュラッ!」 なんだったんだこいつは、まあいいアンドロメダ土産でも買うか。
194 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/24(金) 17:37:12 ID:8Ajq6jcj
ーーーー一方その頃太平洋沿岸高文明都市ネヴァリカより東に6000リーグの砂漠都市、ディヴ。 「真心の象徴、破壊兵器フィッフィー・エルガ」 「どうか王国を、世界を、全てを平和に・・・」 「頼むぞエルガ、さあ、起動予定時刻だ」
起動に成功した破壊兵器エルガは、世界平和を祈り、真心をこめて世界を破壊し始めていた。 ―――その頃――― 「ねえ、アンドロメダ名物〈奇械な体〉って、ホントにタダ?」 「モチロン タダ デスヨ」 俺は生身の体を捨て、奇械な体に生まれ変わる事にした。 こうしてパワーアップした俺を乗せ、新幹線は地球(京都)に向かう。
窓の外には無限の銀河が広がっている。 とても静かだ。車内を見渡してみたが他に乗客がいる気配はない。 「ギターでも弾くか」 奇械な体には数々の秘密が隠されている。左腕ギターもそのひとつだ。 超巨大真心爆撃機エルガの真心によって滅ぼされつつある世界に向けた俺の鎮魂歌〜レクイエム〜が今、鳴り響く――
197 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/25(土) 09:53:52 ID:SnmMhqJ6
目的は、世界の完全なる浄化。ヒトも、植物も、動物も、何もない原始の地球。 残酷な生成を繰り返す腐れきったこの星に、新たなる生命を植え付けた時 フィッフィー・エルガは活動停止し、平和維持装置フィッフィー・チェムルとなる。 平和な未来を憎み、自分の命、自分の命さえあればいいと醜くもがく人間の エルガを介するパッションが今、始める
「ギミー・シェルター」 誰もいない列車でいつしか俺は泣きながら叫び続けていた。切れたギターの弦が手指を傷付けるのも意に介することなく。 京都行き列車の窓の外は地獄絵図そのものだ。 秩序が意味を持たなくなった世界での、人間たちの―
――――気が付くと私は、いつも通りの居た。 妙にリアルさを伴った夢から目覚めた後の世界は、なんともいえない虚無感に満ち溢れている。 そう。私は死刑を下された殺人犯。今私がいるのは暗い、灰色の空間。 夢の中の世界の人物は、誰もいなかった。今日刑が執行される。私は何故こんな夢を見ていたんだろうか。 憧れからだろうか………… おっと、看守がやってきた。刑の執行の時間だ。
「まるでいきてるみたいだろう?死ぬんだぜ、俺」 あいつは答えにくそうにそっぽを向いた。瞬間、ゴキブリへと変態。 だが、まさかあいつも変態できるなんて知らなかったぜ……。 俺の刑執行人はあいつになってしまった。 同族に食われるってのも、良いもんだな。なあ、そう思わないか?
「思わないね。失敗の原因はシリアスになりすぎたことなんだよ。終わりさえまともに まとめられずに、なんだかわからない夢オチでお茶を濁されて僕は不機嫌だ。」 あいつは立ち上がり、座っていたパイプ椅子を折りたたむと振りかぶって俺に殴りかかってきた。 ・・・狂気だ・・・。必死に腕でガードするが圧倒的な暴漢の打撃によって両肩は亜脱臼し、無防備な 顔面めがけて最後の一撃が振り下ろされる!
202 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/25(土) 21:16:58 ID:/RICkl18
何なんだろうか、これは幸運か、それとも不幸か・・・ 突然だった。巨大な白ウサギが現れて、俺以外のすべてを粉砕した。 「行こう」 俺をゴム毬のような手に乗せて、ウサギは翼を広げて飛び立った。 ウサギが鳥のように。ウサギが一羽、鳥のように。
〜完〜
204 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/26(日) 12:18:18 ID:/Xq+n831
〜第2章〜プロローグ エルガズとは破壊兵器の名称である。それによる破壊活動は再浄化と称されており かつての科学者が望んだ世界は、こうもあっけなく破綻していたのだった。 ーーー白ウサギによる「地の浄化」より5億年、高文明都市・ディナディーバ 「そもそも地球の過去に何があったのか、それを研究する学問が地浄学です」 電子黒板に映し出されるのは、白ウサギを模して造られたと思われる、巨大な高塔であった。 「今のこの世界は、本来あるべきではなかった世界なわけですね」 小学校では、地浄学と呼ばれる科目が時間割りに組み込まれている。 「では、みなさんの中で砲手になりたいと思ってる人はいますか?」教師の問いかけに、数十人の生徒の中で手がちらほらと挙がっていく。 砲手とはエルガズのためにある存在である。職業としては比較的安定したものではあるが、それ相応のリスクが前提としてついてくるのであった。 「先生はあまりオススメしません。私はこんな気持ち悪い塔で働きたくありませんからね」 教師の視線についていくように生徒の目が電子黒板へと移る。「ああ、気持ち悪い」意思表示の強い生徒が見たまんまのコメントをする。 「気持ち悪いのは何故でしょうかね、このウサギの異常な胴の長さがウザいんですよね」 「先生、あとポーズもキモいです」「そうですね」「それと、顔がムカつきます」「腹立ちますね」
「それと先生もキモいです」「そうですね」「それと、口が臭いです」「朝勃ちしますね」 生徒の暴言が口々に教師に突き刺さる。 教職について早一日、こんな事言われたのは初めてである。 その次の日、彼は教師をやめた。 「子供なんて嫌いだー!」
「・・・といったように、5行制限も守らず、創作用語を得意げに使うものは・・・」 2限、創作言語学、退屈な授業だった。 窓の外には楽しそうに飛び回る蝶とそれを捕食しようとする小鳥が目を光らせていた。 俺は自分の過ちを正すべく、大学へ入学していた。
sageも知らず 5行制限も知らず 前後の流れも関係なく 創作用語をひたすら並べる そんな大人になりたくなかったからだ
この星の歴史は、確かに破壊と混沌の連続だった。 しかし今こそ俺は、秩序を打ち立てる! 熱い決意を胸に、旅立ちの時は来た。 秩序こそ全て! 秩序こそ正義! テンプレ万歳! あ、5行過ぎた…
だめだ…深夜バイト開けの2限なんて集中力限界だょ…。 俺はそそくさと部屋を退出し、学食へ向かった。 少し早いが何か食べて屋上で少し寝よう。 さて…
食事を終え、飲み物を買う事にした。 「あれ、何だコレ」 販売機にはオンオフのスイッチしか無い。 商品名〈アクエリ〉となっているが、中身は何だろう。 俺はカネを入れ、スイッチをオンにした。
あなたと、合体したい! と声が聞こえて、見ると裸の中年メタボな親父が自販機の下のスペースに落ちてきたところだった。 取らずに立ち去った 誰も俺を責められまい
一万年と二千年前から愛してる〜♪ 突如販売機から聞き慣れない歌が流れだした。 八千年過ぎた頃から〜♪ 俺の戸惑いをよそに歌は流れ続ける。やけに耳に残るメロディーだ。 飲み物が出てくる気配は未だ、ない―――
213 :
212 :2008/10/27(月) 04:38:14 ID:nu0AaH3l
ごめ、リロードしてなかった…orz
気にするなー アクエリでオンならそうなるわなあ さて雑談イラネ失礼っと
「っとこのように、5行制限も守れず、私的なレスを続けてしまうなどという行為は言語道断である。 現代文学史において、規格制限からもれることは・・・」 3限はライティングスキルの授業である。 「どいつもこいつも同じようなこと言いやがって・・・」 入る大学を間違えたのかと考え始めたとき、大きな振動が講義室を襲った。
「そういえば誰かが、今日は地震学をやると言ってたな。 大方その振動だろう」 俺は振動を子守唄にすやすやと眠り始めた。 起きたら周り中、死体と瓦礫だらけだった。 本物の地震だったらしい。
俺は一番後ろの席で隣三人分まで倒した椅子に寝っ転がっていたため、瓦礫の直撃を免れたのだった。 点滅する蛍光灯に照らされる惨状に恐ろしさを覚えて、俺は割れたガラス窓からの脱出を決意した。 冷たい風にあおられながら雨樋伝いに
下に降りようと窓から身を乗り出すと、それが目に飛び込んで来た。 〈只今メンテナンス中、大変ご迷惑お掛けします〉 空一面に表示されたソレは、世界にエラーが発生したことを告げていた。 〈深刻なエラーが検出されました 世界の再起動を開始します〉 そして世界が――――
分裂・再統合されたのだ。この事を知っているのは俺だけだ。 あの時地震で死んでいたクラスメートたちは何事もなかったように生活している。 全ての物事が薄い幕を隔てた場所での出来事に思えるんだ…。
「おや、主人公の記憶は初期化しないのですか」 「再構成される程のエラーを起こしたとはいえ、世界は世界。それに私は信じてるんだ」 「何を?」 「…皆が明るさと自由を取り戻すとね。硬直化した世界は門戸を狭める。もちろん、少しはルールが必要だがね」 少しですかと私は笑い、主人公に視線を戻した。
「初期化されたのでまた地浄学からやりなおしか。 もう今日は家に帰ろう」 俺は教師の制止をまたずに教室を飛び出した。 「事件が起こるたびに初期化されて同じ授業の繰り返し。嫌になるよ」 大学を辞めて旅に出ることを本気で検討する。
セーガン博士と出会ったのは、そんなある日の事だ。 博士はまるで、子供の様な笑顔で言った。 「なあキミ、コンタクトを取りに行かないか」
コンタクトレンズか、何かと「接触する」の意か… 考えさせるとか、最近の漫画はそんなのばっかりだ。 思わせぶりな謎かけで釣っておいて、伏線をうっちゃったままなし崩し的に終局、あの社会現象化したアニメ以降、作家も楽な商売になったよな…。 気が付けば講義もあと5分。旅はどうなった?
あほな考察を振り捨てて授業をボイコット、ゼーガン博士の研究室に出向いた。 「博士、一つ質問があります。セーガンって名前はどこの言語の由来なんですか?」 博士が応答する前に俺は続ける。 「文字の並びだけで名前の創作をするのはどうかと思います。死ね」 俺は近くの机の上に転がっていた万年筆を博士の喉に突き刺した。
博士と言ってもこれと言った業績もなく、生徒の学費を食い物にしてぬくぬくと大学に居座っているクズにすぎない。 ついこないだまでは自分もそんな博士課程の学生として、世間の誰をも救いはしない自己満足の学門ごっこに興じていたのだ。 苛立ち、万年筆を握る手に力がこもる。
握力により万年筆は砕けた。 オレはその砕けた万年筆を飲み込む。 これで証拠は残らない。 「あばよ、青春」 サツに捕まらないうちにオレはさっさと旅に出る事にしました。
ちょうど最終電車が行き過ぎたばかりの線路沿いをトボトボと歩く。 遠くに見えるねじれた貝殻のようなハイウェイは、波音のようなノイズで俺の心を落ち着けてくれる。 夜は
夜こそが俺の世界だ かの有名な小説家も言っているではないか 現実は夢 夜の夢こそが真実と あまりぴんとこなかった言葉だったが、今なら理解る 「あざーっす。乱歩先生」
深夜の校舎で非常口の灯に照らされた「職員室」の札が緑色に浮かんでいる。 先生は今も勤めておられるのだろうか? もういちど俺はつぶやいてみた: ”あざーっす・・・ 乱歩先生・・・” 廊下を浸す残響の濡れた感触が、窓硝子一面に張り付く蛞蝓を想起させ、俺は堪らず叫んだ。
そこで我に返った。 どうやら乱歩を自分の高校時代の恩師と間違えていたようだ。 しかも、脳内思考で句読点や括弧を定石どおりに使用できない錯乱ぶり・・・。 きっと始めての人殺しで動揺しているに違いない。 俺は落ち着くために、肌身離さず持ち歩いている江戸川乱歩の『孤島の鬼』を読み始めた。
ページを開いて見たが、驚くべき事に文字が一切印刷されていない! 動揺し、表紙を見るがやはり【文字】だけが消失してしまっている。 職員室の入り口の引き戸の細いガラス窓に顔を押し付けて見るが、やはり、柱時計の【数字】がすっかり消えてしまっている。
「ファハハハハ、貴様の文字はいただいていく!」 突然そんな声が響いてきた。 「お前は、セーガン博士!」 「その通り、貴様に殺された恨みで怨霊になっちゃった。てへっ」 「てへっじゃねーよ!」
コーガン先生の睾丸は思いのほか硬質であり、一見のなんちゃってゲイに過ぎない俺の舌技ではいささか
ハードだった。 ホーガン先生は不敵に笑って宣言した。 「俺を倒したかったら室伏を連れて来い!」
室伏を連れてきたけどあっさりと斧で殺されてしまった。 斧手のモーガン先生はなんて強さなんだ。
「……」 俺は完全に置いてけぼりだった。 目の前ではいろんな○ーガン先生が入り乱れてもはやなんにがなんだか・・・。 そうして、現実に嫌気が差した俺は、この高校の廊下に貼ってある、鮮やかな紅葉と日本傘の風景画を見て心を打たれた。 「そうだ、京都へ行こう」
自由席は埋まっていたので仕方なく通路に寝っころがることにした。 運良くどこぞの女子高の修学旅行とぶつかったようだ。 車両にこだまする嬌声、若い娘たちの体から発する甘酸っぱい芳香、そして床から見上げる絶景。今度の旅は上々だ。やればできるじゃないか!
「次はアンドロメダ駅か、アンドロメダ土産でも買いに行くか」 京都についたが、デジャヴを感じながら京都をスルーした。 そしてアンドロメダにもつく。 「やあ、僕はアンドロメダ瞬」 「およびじゃねぇ!」バキッ!
「ネビュラッ!」 なんだったんだこいつは、おや、何か言ってる? 「や…止めるんだ…このままだと、又あの悲劇が…」 「悲劇が…?」 「そう、悲劇が…でも、面白そうだから、つ・づ・け・て?」
「気持ち悪いんだよホモ野郎っ!」バキッ! 「ネビュラッ!」 俺はホモ野郎に止めをさすとその場をあとにした。 アンドロメダ土産にアンドロメダ饅頭を買い、再び京都へと向かう。 逮捕された小室さんを救うために…
車内のテレビはどのチャンネルもかの人の話題で持ちきりだった。 罪を犯すと大変だなぁ…俺も…? 俺は急に気分が悪くなり、トイレへ駆け込んだ。
トイレに入った俺は血を吐いた。 アンドロメダ瞬のネビュラストームがヒットしていたらしい。 そういえば言ってたもんなあ、2回も「ネビュラッ!」って…。 大量の吐血を指ですくい、壁に血文字を書いた。 〈祝ってやる〉
さすがにやおい文化の黎明期を支えたあの男だけはある…。 傷は思ったより深いようで、自分のボケにセルフつっこみを入れる余裕などありはしなかった。 「まもなく京都〜京都〜」
京都に着いた俺は髪をブロンドに染めて外国人の振りをした。 「オーキョート!」 バレバレだった。 通りを歩く地元の人の目線が気持ちいい。
いや、ただ一人、気づいていないやつがいた。 しかもそいつ外人だし。 げ、近づいてきた。 「オーマイフレンド!」 とてつもない勘違いをしているようだ…
「オーヒサシブリデース」 仕方ないからあわせてやった。 と思ったらなこの糞外人、俺をスルーしやがった。 どうやら俺の後ろにこいつの知り合いがいたらしい。 地元の人達が俺を見てクスクス笑う。
今度はブロンドの姉ちゃんが声を掛けてきた。 念のため周りを見るが、俺しかいない。 「捜したわ!さあ、アムロを助けに行くわよ」 「え、ええっ? アムロ?アムロっすか!」
何を言ってるんだこいつは。 メンヘラってやつか? 関わらないほうがいいな。 ……しかしこのブロンドなかなかの美女じゃねぇか。 俺は視姦することにした。
俺の視線は彼女のピンクい制服をつき抜け、育ちのよさを感じさせる清楚なホワイトの下着をも取り去った。 その先にある控えめな膨らみのの頂に、まだ汚れを知らない乳首があることは想像するのに容易い。 あた、下半身の恥丘には薄い芝生が綺麗な毛並みとして茂っており、その奥には熱を秘めた唇が俺のバットを受け入れようと唾液を滴らせるのであった。 「そして今、解き放たれたユウシャブレードが、有るべき鞘へとその身を――ん?」 目の前の女は親の敵を見るような目線で俺の固くなったバットを見ていた。
その視線はLRも行数制限も守れない俺の醜い精神をも見透かしていた。 みるみる萎えゆく己自身に自信を失い、加茂川のほとりに佇み茫然と雨にうたれるのみであった。
紅葉も終わり冬支度の祇園町に雨が煙る。 …そうか、昨日は酔っぱらって野宿したんだな…。 俺は人目を気にしながらそそくさとその場を立ち去った。
252 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/10(月) 21:22:58 ID:2rdgw2bg
しかし野宿をしていた人の多かったこと。 立ち去る俺を物めずらしげにジロジロ見るもんだから、人目が気なって気になって仕方なかった。 あの野宿者たちは、いったいなんだったのだろう……。
おぼろ月夜の加茂川沿いを歩く。今日も1日何の展開もなかった。大学をドロップアウトしてまで京都へ来たというのに、していることはホームレスと変わらない。 さすがに気が滅入ってしまう。
254 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/11(火) 22:39:19 ID:sxl6JeQl
とりあえず街の美観のために空き缶でも拾うか。空腹だけど。 目標はゴミ袋三つぶん。
空き缶を拾いながらポイ捨てされたゴミが多いことにショックを受ける マナーの悪い人間は滅びるべきだ 奴らによって京都、いや地球が汚染されてゆくのだ 「俺がやらねばなるまい」 「地球のためなら喜んで罪を背負おうぞ」
早速ポイ捨てをしている糞餓鬼を見つけた。 「悪即斬」 誰にも気付かれないようにポツリと呟き、誰にも気付かれないようにさりげなく糞餓鬼の背中を押した。 道路に押し出されたガキは車に轢かれる。 「読者の皆もコイツのようになりたくなかったら、マナーに気をつけるべきだな。クックック」
しかし、この不況下においては不法投棄されたゴミを回収することが一つの仕事となりうる。よんどころない事情により家や職を失った者達の社会参加の手掛りでもあるのだ。 …なるほど。俺に鍋を振る舞ってくれているホームレスオヤジの話は一理ある… ところでこれはなんの肉だろう?
258 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/12(水) 22:14:13 ID:9ynBXjdZ
「肉?なに言ってんだ、おめぇ」ホームレスオヤジは怪訝な表情を浮かべた。「そんな上等なもん、手に入るわけねぇべ」 「えっ。じゃあ、これは……」 箸で摘んだ赤い物を俺はジッと見つめた。 赤い? 鍋でグツグツ煮ても、赤い……。 「う、うわああああああ!」
「グフフフフ。そいつを食したならおめえも俺んたの仲間だな。」 脇から顔を覗かせた白髭の老人が言った。その手には見覚えのある青いシャツがぶら下がっている。 ホームレスオヤジは手を合わせて念仏を唱え始めた。俺はドロップアウトとやらを舐めていたのだと悟り、血の気が引くのを感じた。
不摂生を続けている現代人を食したことにより 異常プリオン蛋白を含む悪性たんぱく質により俺の肌はにきびだらけになり 脳味噌はスカスカになり呂律が回らなくなった。 「すこし難しい言葉を使っていい気になるなよスノッブ野郎」 自分の脳内解説に冷静に突っ込んだ。
ニキビやら何やらで魚の様な顔になった俺の周りで、老人達は何かを唱え始めた。 「ふんぐるい だぼるうなふ りさいくるう かもがわ うがふなぐる ふたぐん!」 その声が大きくなるにつれ、川の中から何かが姿を現す。 異様で奇怪な姿を現したソレは、巨大な段ボールハウスだった! 「うひひひっ、さあ中に入りなされ。遠慮は要らんよぉ?」
巨大なバラックの内装は外観とは裏腹に、豪華な貴族の邸宅を思わせる。 軽い興奮を覚えつつも、段ボールの家がなぜ浸水しないのか尋ねた。 老人は人指し指で鼻の頭を撫で、ドス黒い脂を俺に見せた。 「人間もまた良質な油田なのだよ。グフフフフ…」
「今まで普通の生活をしていた俺が愚かだったという事か」 ここの生活を知ってしまえばもう元の生活には戻れまい。 戻りたくも無いがな。 とりあえず彼らの仲間になったので、アンドロメダ饅頭をおすそ分けした。
264 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/13(木) 21:32:26 ID:EVd5tNWd
「オラたちがホームレスだからって馬鹿にしてるのか!」老人はアンドロメダ饅頭を地面に叩き付けて怒鳴った。「人からの施しはうけん!」 「んだ、んだ」リーダー格の老人が何度も何度も大きく頷く。「オラたちにだってプライドはあるんじゃ」 「えっ、いや、べつにそんな意味じゃ……」ただならぬ様子に俺は狼狽(うろた)えた。 「では、どんな意味なんじゃ?」リーダー格の老人の目が怒りに充血した。「馬鹿にしくさってからに!」 部屋の隅を振りかえり、それから俺に向かって顎をしゃくった。「殺れ!」 身長2メートルはあろうかという巨漢の老人が立ち上がった。
巨漢の老人の動きは緩慢だが力はあるようだ。振り回す大剣によって壁に大穴が開いた。 穴から見える隣の部屋には巨大なガラスシリンダーが立ってい、沢山の死体が詰め込まれている。 シリンダーの下部からはポタポタと液体が垂れ、それは受け皿から周り縁を経て邸内全体に供給されているようだった。
ガラスシリンダーを見つめる俺に巨漢の老人がいやらしい笑みを向ける 「な、名乗り遅れだな。お、おでの名はデビルリバース!げ、現代に蘇っだ、あ、悪魔なんだな」 確かにこの巨体は悪魔の名に相応しいといえる 「お、お前もすぐ、そ、その容器に入ることに、な、なるんだな」 くそっ!俺はこんなところで死ぬのか!?
「グフフフフ…。【油田】を見られてしまったな…。この段ボールハウスが浸水しない理由。そしてまた不労所得の源泉でもある。」「空き缶拾いで地域社会に地道に貢献する事で生きがいを保っていたのではなかったのか?」 「グハハハハ。何を笑止な。【働いたら負け】これが世の真実なのだ。さあ、デビルよ、その糞餓鬼を殺せ!決して生かして帰すな!!」
行数制限や改行を頻繁に無視した罪がこれだっていうのかよ・・・。 ――ワガ名ヲコールセヨ、サマナー―― 不意に頭に響く人ならざるものの声。
幻聴を振り払うように俺は髪をかきむしった。すると胸ポケットから何かが床に落ちる。 100円ライター…そうか! 「おいじじい!形勢逆転だな!これ以上俺に歯向かうならこの家に火をつけるぞ!油の染みた段ボールだ。さぞかしよく燃えるだろうな!」
270 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/14(金) 19:51:45 ID:CGBTz5mD
「火を付けたければ、つければよい」リーダー格の老人が言った。 「な、なにっ!?」 「ダンボールの家と老い先短い命じゃ、両方共にほしくはないわ」唇のはしを吊り上げてニヤリと笑った。「それに比べておぬしは失うものが多かろう。警察沙汰にでもなったら、どうするつもりじゃ。割に合わないと思わんか」 「正当防衛じゃないか!」 「いや。この家の別室には寝たきりの者も何人かいる。その者たちが焼け死んだらタダでは済まんぞ。けけけけけっ」 なんてこった。ちっとも形勢は逆転していなかったのだ……。
「くそっ、またもや行数無視してしまった……!」 俺は絶望してついライターを落としてしまう。 「ちょ、おぬし何やっとるかwww」 老人の叫びと共に炎がダンボールハウスへと広がる。 「みんな逃げるんじゃー!」
「うろたえるな!」 俺は逃げようにも体がついて行かず、右往左往する老人たちを一喝した。 「ここがどこだか思い出せ!愚か者どもめ!」 俺は傍らの大剣を掴み取り、床に突き立てた。加茂川の冷たい水が勢いよく室内に流れ込んでくる!
273 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/14(金) 23:03:18 ID:CGBTz5mD
「うおーっ。ワシらはカナズチなんじゃああああああ!」 これはこれでパニックになった。
そんな中、一人だけ動じない老人がいた。最初に俺に人肉鍋を食べさせた白髭だ。 「合格だ。ついてきなさい。」 白髭はざぶんと水に飛び込み、手招きしている。 「何をしている。今のお前は魚と同じ、水中でも呼吸が可能な体なのだぞ。」
川に飛び込むと、確かに呼吸が可能だった。 老人に導かれるまま深淵へと向かう。 水上からホームレス達の断末魔が聞こえて来た。 「いいのか?仲間だったんだろ」 「ひっひっ、いいんじゃよ。奴等は所詮なりそこないじゃて」
「細胞の一部が魚化するホルモンだよ。効果は一日。副作用はまだ発見されてはいない。まだ、な…。」 「ヒトの肉にそんな効能が…」 「…グフフフ… ヒトを喰らってどうだった?」 「思い出したくない。」
277 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/15(土) 12:39:36 ID:hb0naJwG
とその時、体が物凄くダルくなってきた。泳ぐ気すら起きない。 副作用が出たようだ。 俺はジジイにきいてみた。 「おい。ひと、の、にく、は……、副作用が出ないって、は、な、し、じゃ」 「おや。おかしいのう。今まで副作用は出たためしがないんじゃが」 「本当に、ひとの、に……、く」 「ああ、人の肉じゃとも。若者のな。毎日家でゴロゴロしとったヒマ人じゃ。テレビでそんな奴らのことをミートとか言っとったからさぞかし美味かろうと思い、鍋にしたんじゃが」 俺はニートの肉を食わされてしまったらしい。
「まぁ病は気からとも言うからくよくよせずに養生せえ。妙な事件に巻き込まれるのはごめんだからここでお別れだな。」 そう言うと老人は華麗なフォームで下流の河岸に泳ぎつき、土手を駆け上がると停めてあったワゴン車に乗って去ってしまった。
「なんだったんだ・・・」 ここまで言われている行数規制をオーバーしたりageてみたり・・・。 いろいろなことが起こりすぎた。 「まずは宿だ、宿を探さないと」 俺はネオン灯が嫌にまぶしい繁華街へ足を向けた。
酷い身なりのせいで何件も宿泊を断られたが、やっと泊めてくれる宿を見付けた。 「サザンクロスの宿にようこそ!ひっひっ、早速お部屋に案内するぜ…ゲフンゲフン、致しますね」 女将の対応に多少違和感を感じたが、疲れのせいで頭が回らなかった。 「ささ、お部屋は地下にございます。さっさと…ゲフンゲフン、どうぞお乗り下さい」
281 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/16(日) 09:31:41 ID:JqlKMper
据膳食わぬは男の恥である。 俺は女将の言葉に従って全裸となった。 「ひ、ひい!な、何を!?」目をむく女将。 「お前が乗れと言ったんだろうが。ありがたくその体に乗らしてもらうぜ!」 俺はギンギンになった疲れマラを握りしめ、女将へと飛びかかっていった。
「あれーおたわむれをーってこのホモ野郎! こんなでかいババアがいるかって気づけよっ」 女将が野太い声で吼えるやいなや、その腹の辺りから飛び出した槍が俺を襲う!
肉槍の突き上げを素早い身のこなしでかわし、傍らの大剣を抜いて身構えた。 「ゲフンゲフン。その気にさせて置きながら随分な仕打じゃないかえ。まぁいぃ。その身なりじゃたいして旨みのある男とも思えないし、許してあげるよ。但し、宿代はビタ一文負けないからね。わかったね!」 女将はふすまをぴしゃんと閉めていってしまった。やれやれ…
284 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/17(月) 07:14:52 ID:+D97nZAh
俺はさっそく鴨居にぶら下がって懸垂をはじめた。 日課のトレーニングを怠るわけにはいかない。
懸垂しながら上を見ると、天井に古い御札のような物を見付けた。 「なんだこれ…あっ」 軽く触ると御札はボロリと崩れ落ち、同時に天井裏から声がした。 「…かぬ、媚び…、…みぬ」 「なっ…! て、天井裏に誰か居るのか!?」
天井裏からただならぬ気配を感じる。 何かとてつもなく良くないモノの封印を解いてしまったらしい。 「さ、再封印だ!何か御札の代わりになる物は…!」 ポケットを探り、アンドロメダ饅頭を取り出した。 「悪霊退散、喰らえっ!」
「ネビュラッ!」 アンドロメダ瞬が落ちてきた。 「お呼びじゃねぇ!」バキッ! 「ネビュラッ!」
288 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/18(火) 23:24:12 ID:w1NMSSMW
ボカッ! 俺は、死んだ・・・
奴を倒した筈なのに俺は死んだ。 そう。以前に引き続き、またもネビュラストームのカウンターを喰らってしまったのだ。 しかし、ボカッ!で死んだのでは、死んでも死にきれない。 華麗な効果背景を背負いながら、背面跳びの如く宙を舞い、ドゴ〜ン!と死にたかった。
「はっきりとした目的もなくなんとなく大学に入りなんとなく中退する。そんな若者がまた一人氏んだ…。一度は同じ鍋の肉を食った仲やし、あいつは若い頃の俺んたにそっくりだった。逃走の果てに何もない事を教えたかったがあいつはそれを拒否したんだ…。」 「道を誤るのも若者の特権とはいえ、かくも人間ってやつは無器用な過ちを繰り返すもんかねぇ…」
例え避けようとしても、人は必ず過ちを繰り返す。 戦争にしてもそうだ。 行数制限を無視するのだってそうだ。 だがそれも人生ってやつなんだろう。 なんという世知辛い運命よ。
「一人の若者の死からわかってくることもあるじゃろうて」 ダンボールハウスの奥の暗がりに座している禿頭の老人が口を挟む。 めったに口を利かないその人物が喋りだしたことに一同は静まり返った。 「これ以上の被害、混乱を防ぐためにも、ここは一行の字数制限を設けようじゃないか」
「100レス一区切り。すなわち残り8レスで物語を終局へ導かねばならぬ時に、何を悠長な…。」 「あの若者を頃したのはわしらかもしれんな。」 「何を言い出すのだ…。」 「ホレ、こうしてる間にも若者の死は何の意味も与えられずに…」
294 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/19(水) 21:44:30 ID:P8bXY5Wy
その瞬間だった。いきなり銀河系が大爆発を引き起こし、一瞬にして世界は焼き尽くされた。 謎の大爆発は全てを炎で包み焼き尽くし、生きるもの全てを瞬時に滅亡させてしまった。 爆発の後、全てが滅亡し消え去った暗澹たる虚無の空間が広がるばかり。 もはや何も無い、全てが無くなったこの世界は、無限の沈黙を孕みながら、永遠の眠りに就いた。
295 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/19(水) 22:17:37 ID:pwFg7nK6
~完〜
296 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/19(水) 22:23:36 ID:pwFg7nK6
連投すまん ちょいききたいのだが この小説投稿しないか? なかなかいい出来だし。 返信よろしくお願いします。
「という物語を今読み終えたところなんだよ」 「長いーっ!」 「だいたいこっちの感じはつかめたかな?いや、もう何もないんだけどね」 「カオス過ぎるーっ!? 「ま、メタフィクションの中のメタフィクション、そういうことさ」
298 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/19(水) 23:35:46 ID:g1tRsGiW
>>296 どこに投稿するのさ?
投稿サイト?「作家でごはん」とか?
ま、俺はいいけど他の人はどうだろ。著作権の問題もあるし……。
このスレに文章を投稿した人全員の許可が必要なんじゃない?
その為にはトリ付きで文章を投稿しないとダメだと思う。確認が取れない。
釣りだろ?どう考えてもw 良かったってどこがだよw
「そんな無駄な会話をしている間に限界に来てしまった。 若者の死も、これまでの物語も全てを無に帰すようなそんな所業。 ああ、ワシらこそが本当に無駄な生き物だったのかもしれんのう」 老人は一人寂しそうに水の中に消えていったダンボールハウスを見つめて呟いた。 〜リレー小説書こうぜ 第三部 完〜
やけどをするほど熱い石面に水を振りまく。 これは昔、教師でありながら闇の世界へ身を投じたある男の墓だ。 ――5行制限、私事レス、連投、安価、改行無視……。 「俺は最後までやり遂げて見せるよ……父さん」 名前の記されていない墓石に花を添えると、僕はこの先99レスの旅へと向かった。
302 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/21(金) 07:50:19 ID:10BDzSkB
まずは先立つ物が必要である。金だ。 僕の財布には一円も入っていない。 職業安定所へ向かった。
職を得るために職安へ行く「僕」と、不穏な「何か」をやり遂げようと墓前に誓う「俺」。 … 早くも世界の歪みが主人公の自我を蝕み始めたようであった。 だがそれに気付かず、俺は必要な項目を記入した用紙を窓口に提出した。
2週間後、俺はガソリンスタンドで働いていた。 早速お客が来たので注文を聞く。 「いらっしゃいませ!ハイオクですか、レギュラーですか?」 客はこちらを見もせずに車内を漁り、ゴミ袋と灰皿を突きだして来た。 そして客の注文を待つ俺に、「何やってる、急いでんだから早く入れろ!」と怒鳴った。
305 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/22(土) 08:06:32 ID:PrxVQ3+5
「それが店員にものを頼む態度か!」 俺は怒鳴り返してやった。
「後がつかえてんだよ!早くしろ!」 後続の大型バイクの男が怒鳴る。 「なんだぁ〜?誰に言ってんだよ!おい!」 車を降りた大柄の老人がつかつかとバイク野郎に歩み寄った。 その手に長いバールを携えて…
老人は目にも止まらぬ早さでフルフェイスのメットにバールを突き刺す。 首筋からおびただしい血液が流れ、男はゆっくりとバイクもろとも倒れた。 バールを引き抜くと噴水のように血が噴きあがり、小さな虹ができた。
「なんて美しさだ……」 俺は老人の見事なバール裁きに見惚れてしまう。 「ささっ、どうぞ、この店のものは全部ただです」 ――――― 後日、俺は当然首になったorz
309 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/23(日) 19:02:56 ID:tdFyMSHR
首になった俺は路頭をさまようこととなった。行くあてなど、どこにもない。 しょうがないので空き缶ひろいに精をだす。 ゴミ袋のいっぱい溜めれば200円くらいにはなるのだ。 その日の食い扶持くらいは稼がないと、死んでしまう。
首だけなもので一つずつ口に加えて運ぶ そう、あの日、俺は文字通り首になっていたのだった 老人の手によって―― 首だけなんてのも、なかなか乙なもんだぜ? 問題は年老いた娘と病弱な両親と幼い妻を養わなければならないことだが…
雪が降ってきた。寒さに震える私に追い討ちをかけるように、真っ暗な空から雪の花びらたちが舞い降りてきたのだ。 もう俺の体は動けない。公園のベンチの上に横たわりながら俺は、雪降る夜空を呆然と見上げていた。 道の向こうでは、幸せそうな家族連れが楽しげに笑いながら車に乗り、走り去ってゆく。 作家志望なんて儚い夢を見たばっかりに、俺はここまで落ちぶれてしまったのだ。 深夜、降り積もる雪の中、俺はゆっくりと目を閉じ、そのまま永遠の眠りに就いた。(〜完〜)
312 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/23(日) 20:11:04 ID:tdFyMSHR
永遠の眠りについた俺は夢遊病者として生活することとなった。 それでもやはり腹はへる。死にたくはない。 いつまでも空き缶ひろいをするわけにはいかないので、俺は職安へと向かった。 口にくわえてベンチへ横たえた体を残して……。
なんだ・・・言語能力に異常が・・・。 そもそも俺は作家など目指していたか? よく考えろ、よく考えるんだ俺・・・。 「そ・・・そうだ、俺は父さんが大学を辞めると言い出したときにカプセルに入れられて・・・」 「ようやく目覚めたようじゃのぉ。記憶の海の旅は満喫できたかね?」
という話を、この前本屋で立ち読みしていたのだが 次第に自分も一つの話の中の登場人物にすぎないのではないかと疑心暗鬼になってきていた そんな俺のもとへ一人の女性が現れた 彼女はGGG機関の者だと名乗った 面白い、返り討ちにしてくれる
315 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/23(日) 23:01:58 ID:tdFyMSHR
その頃、繁雄は四畳半ひと間の薄汚い部屋でひとりセンズリに明け暮れていた。 ニート生活五年目。金もなければ恋人どころか友達さえもいない。電気、ガス、水道すべてを止められ楽しみといえばタダでできる自慰行為のみ。 オカズはゴミ捨て場から拾ってきた折り込みチラシの女性下着モデルである。
「よし、アンドロメダ星に行こう!」 俺は職安でそこでの仕事を紹介されたのだ。 こんどはクビにならないように頑張るぞ。 俺はドキドキしながら列車に乗った。
317 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/23(日) 23:56:13 ID:tdFyMSHR
しかし、その列車は北海道からの集団就職者たちで溢れ返っていた。ほっぺの赤い糞ガキどもだ。 「ずっと工場で勤められたらいいなぁ」とか、「班長くらいまで出世できたら故郷に錦をかざれる」とか夢のないことばかりを言っている。 行き先は千葉県にある工業地帯らしい。 「ちっ。アンドロメダ星へいく前に、寄り道かよ。コイツらのせいで」俺は思わず本音をポロリと口にした。
引率の者とおぼしき40歳位の男と目が合ってしまい、曖昧な笑みを浮かべて会釈する。 向こうも済まなそうにわらって返してきた。 こんな世の中にできた人もいたものだ。何だか自分が恥ずかしく思えて、窓の外へ視線を移した。
窓の外に目を移してしばらくすると、海が見えた。 キラキラと輝く水面をぼんやり眺めていると センチな気持ちになってくる。 急に何年も思い出した事もなかった昔の恋人の顔が頭に浮かんだ。 「元気にしてるかな、あいつ…」 列車は海岸線と平行してただただ走り続けた。
会えない時は切なくて、それでも心の支えにしていた。 友達みたいな恋人みたいな、いつも越えられない壁を感じてた。 そんな事ないよって笑って抱きしめてくれたあのぬくもり。 肩越しに見えた鏡で、俺はいつだって子供みたいに・・・ 溢れ出す涙を堪えられない。
321 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/24(月) 21:53:08 ID:7lXIibZ1
それ以上に堪えきれなかったのが便意だった。慌てて便所に飛び込むと、ズボンとパンツをずり下ろす。 「やべっ、漏れちゃうぜ」と便座に座り込んだ瞬間、腸内ガスとともに大量の便が発射され、便器に当たって砕けた。 「うおおおっ、うおおっ!」凄まじい開放感が襲う。何てことだ、便秘気味だったんで二日ぶりのうんこだぜ。 数分間、排便の開放感に浸る。ついでにタバコを一服。しかし、そのとき気づいてしまった。 「トイレットペーパーがないっ!」
322 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/24(月) 22:18:55 ID:juAuNjds
しかたがないので中指でケツを拭いた。 その昔、インドではそんな習慣があったというのを思い出したのだ。 ここは日本だがインド人のフリをすればいい。 俺はTシャツをびりびり破いて即席のターバンを作り、頭に巻いた。 そして大便を全身に塗りまくる。
そのころ月から襲来した人類が列車に襲来していた。 月人たちは列車内の人々を楽しむかのように惨殺していた。 「ふー、すっきりしたアル。やっぱり尻は中指で拭くのが一番だインド」 俺は精一杯インド人の振りをしてWCから外に出、目の当たりにした光景に言葉を失った。 「なん・・・だと・・・インド・・・」
巨大なウサギのような動物達が乗客を襲っている。 女達は犯され、老人と子供は燃やされ、残りは生きたまま皮を剥がされていた。 都内の倒錯系裏風俗に精通しているこの俺もさすがに動揺を隠せない!… そう、キャラ設定など忘れる程に…
ウサギ人たちはまだ俺の存在に気づいていないようだった。 俺は再び便所に戻ろうとおそるおそる後ずさりした。 すると突然誰かが俺の右足首を掴んだ…! 一瞬にして体が硬直し血の気が引いてゆく。
靴を脱ぎ去ることで右足の拘束を振り払い、車両間の凹ゾーンに身を隠した。 慎重に客車の様子を窺うと、ウサギ人達は殺戮した乗客の内臓を夢中で貪り食っている。 俺のすぐ手前の座席の陰から伸びた血まみれの手が俺の靴を握ったまま微動だにしない。悪夢だ…。
327 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/25(火) 19:54:42 ID:MohOLF7J
「そうだ。運転手は、どうなっている!?」 俺はそのことに気が付いて戦慄した。 運転手不在のままだと列車はどうなるんだ? 自動制御装置のようなもので止まるのか、それとも……。 俺は足音を立てぬよう先頭車両を目指した。
328 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/25(火) 23:26:43 ID:0E8ygOQZ
女が横切り垣間見える影はうんこをしている。人込みホームの中で。俺は吐きそうになった。
口元を押さえ、先頭を目指しつつ考える。 今の駅に停車しなかったのは、運転手もすでに奴らの手にかかってしまっているから? あるいは、既に壊滅状態の駅に停まってこれ以上被害を広げたくない故の判断なのか? …いずれにせよ人混みのホームで脱糞していた女…ただ事ではない!
330 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/26(水) 01:29:15 ID:y+qW6dX6
そう、ここで急いでそのうんこを食べなければ、地球が滅亡してしまうのだ。
331 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/26(水) 01:53:59 ID:JEHxPy5F
得体の知れない呪文が車内に響く。 今この時、月世界に続き、異次元からの侵略も開始されたのだ。 彼等の持ち込んだ宇宙病原菌が世界中の人間を下痢にするまであと60数レス。 俺は奇跡的に生き残っていた運転手に向かうべき場所を告げた。 「アンドロメダに向かえ!コスモ下痢止めを取りに行くんだ!」
333 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/26(水) 08:06:00 ID:S/JW3mw1
運転手の男はペダルを踏み込み、不適に笑う。「アンドロメダ?私にはわからないです」男は十字路を右にまがり、お城の様な風体のホテルに、車を進めた。俺は尻の穴を掘られるかもしれない、運転手の男を疑い、目付きが鋭くなる。
運転手の男はコントローラーを握りながらつぶやいた。 「あんた国はどこだい?俺はムーニーマン」 こんな時に何を言い出すんだ?俺は呆然としていた。 しかしある考えが俺の脳裏に電光石火の早さで浮かんだ。 トリックだ!これはトリックだ!!
俺を乗せたキャデラックが駐車場に入るのと入れ違いに二人連れが出てきた。 驚く事に二人とも女性であった。 しかもあれは姉妹かもしれない。擦れた雰囲気の眼差しがよく似ていた。 すなわちここはそういうホテルなのだ。期待と不安によって胸が高鳴った。
と、同時に俺は思った。 俺はいつの間に列車から車の中に移動したのだろう、と。 なにか目に見えぬ力が働いているのだろうか……。
視線をアスファルトに移すと、中年のおっさんと目が合った。中年のおっさんは急に興奮し怒りだす。超不潔の大人の見本は見苦しい。
俺はバイクですぐさま逃げ出した。 だが追っかけてくるおっさん。 なんと恐ろしい姿だろう。 これが噂のマッハじじいだろうか。
じじいが炎に包まれながら吟詠を始めたのは、大古の呪術であった。 消滅する前の悪あがきであろうか。俺の周囲の気圧が高まり、息苦しい程の圧迫感によって俺はうめいた。 「死ぬ…」 はっ…として気がつくとオフィスですっかり寝入っていたようだ。太田課長がつかつかと歩み寄ってきた。
「こういう形でしか接触できない非力な私を許して欲しい」 太田部長は、彼の大雑把な人柄に合わない、厳格な口調で俺に話しかける。 「今は君の記憶の中の人物の姿を借りて、君に語りかけている。私は君の父上の知人の一人だ」 俺は驚いた、が、声を出すことが出来ない。 「君に危険が迫っている。それを伝えに来た」
341 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/26(水) 22:23:11 ID:V/DE9I6w
「き、危機ですって?」俺は面食らった。「なんですか、それは?」 「それは、これだ。きぇぇぇぇ!」わずか二レスで課長から部長に何の説明もなくとつぜん出世した太田は懐から出刃包丁を取り出し襲いかかってきた。
「ぐわあぁっ!」 太田部長は突然悲鳴を上げて倒れた。 「君、危ないところだったな。大丈夫だったかね」 「あ、あなたは石田常務!これは一体…」 「彼はサムプライム星人だったのだよ」
麻布にあるとある料理屋――「ほっけの煮付け」なる珍料理を肴に俺と石田常務はここ最近の世の中の乱れっぷりについて論じ合った。 なんだかまともな話をするのがずいぶん久しぶりな気がする。 このところ訳の解らない事象が起こりすぎだったから。
344 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/27(木) 12:38:33 ID:cMr9ezvV
そう言うやいなや石田常務の頭からニョキニョキと緑色の触角が生えてきた。 「げっ」俺は慌てて部長の出刃包丁を拾いあげ、石田常務の腹に突き刺す。 「ぎゃああああああ」 変態の途中だったものだから石田常務は半分人間、半分化け物の奇妙な姿で床に倒れて息たえた。 俺は部屋を飛び出す。
部屋を飛び出すとそこは亜空間だった。 俺は天地左右の感覚を失い宇宙酔いのような症状におちいった。 ほっけの煮付けが胃液とともに逆流してくる。 「うげおっぷぅふ!!げろげろげろ」 ゲロが亜空間に星くずのようにキラキラと広がる。すると
山田係長がゲロから生まれ出る。 「ふふふ、私を産んでくれてありがとう」 そう言うや否や、係長は口を大きく広げてナッパの如く光線を放つ。 「さっきから一体なんなんだあんたら!」 オレの理解を超えた出来事にただ慌てるだけだった。
光の中、俺は悟った。 例えば類希な強靭な精神をもって一つの事を成し遂げようと試みたとて、みたとて… 悲しいかな… いつだって脇道へ逸れて… 必死で元に戻そうなんて考えても行動はいつも裏腹に… … いくつもの破綻を悔やみ、正そうとする素直な己の心に触れ、俺は涙ぐんだ。
――諦めるな息子よ―― 「父さん!父さんなのか!?姿をみせてくれ!」 目の前の光が揺らぎ、虹色の反射光を放つプリズムが生まれ、それが人型となる。 「あぁ、父さんあいたかっ・・・」 目の前にダンボールをかぶった汚らしいホームレスのような全裸の中年男が現れた。
「息子よ…この世界では今、下品帝国と紳士同盟が戦っている…父さんも戦っていたのだが…」 「父さんは、え〜と…下品帝国側の人?」 「バカ者!私の様な紳士のどこが下品だ!」 「せめて服は着ようよ…」 「案ずるな、大事な部分はちゃんと饅頭で隠してある。紳士として当然の事だ」
350 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/28(金) 12:30:56 ID:RGmisHxQ
大事な部分とは右チクビのことだった。 「お父さん、チンコ隠そうよ!」俺は声の限りに叫んだ。「それになんで右のチクビなのさ!?」 「ふふふっ」 父は意味ありげに笑った。
芸能人太田を芸能界の深海に溺れさせてやるぞ、そして、芸能人太田を否定する、言論テロは成立した。 でも俺は太田が好きだ。
芸能人太田は引退した。そして社長になった。
チラリと見た広告にはそんな事が書いてあったが今のオレには関係ない。 今はあの変態の父をなんとかしないと・・・ おそらく紳士同盟にスパイとして潜入している下品帝国なのだとは思うが あれでばれないとでも思っているのだろうか。 あんな変態でもオレの父さん、死んでほしくない。
354 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/29(土) 22:32:04 ID:QBpkRU5L
そうだ。たしかに父は変態だ。全裸なんて……。 僕のように全裸で蝶ネクタイが普通なのに……。
父はネクタイを買う金もないほど困窮していたのだろうか? 家に寄り付かなくなったのは、外に女ができたからだと母はいつもこぼしていた。 職業人としては尊敬していたが、父親失格。そんな父へのイメージは間違いだったのだろうか?
356 :
創る名無しに見る名無し :2008/11/30(日) 22:26:24 ID:qmP+o7EU
「息子よ」と、父が口を開いた。「その蝶ネクタイ、ワシによこせ!」 がーん、と俺の頭の中で擬音が鳴り響いた。 まさか父が俺の蝶ネクタイを取り上げにくるとは夢にも思っていなかったのだ。 それは俺を変態の地位へ貶める行為に他ならない。 やはり父親失格というべきであろう。
あるいは父親の言葉は、愛する息子へのからかいを含んだ愛情表現であったのかもしれない。 しかし、俺は父親によって「奪われる」ことに不安を感じ、過剰な反応をしてしまったようだ。 時のない空間の中で、その腹に深々とバタフライナイフを受けて、仰向けに絶命する父親の眼差しが辛い。
358 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/01(月) 05:48:33 ID:+wPA/XDc
は父をそのままにして、落ち着くように一本のタバコに火を付け、周りを見渡してみると、 やはりそこは紳士同盟、身なりはキチンとした英国紳士風の男たちが何やら会話をしている。 そのうちの1グループの会話に入って何を話しているか、探ってみることにした、 「やあ、はじめまして」まず私はそう言って180はゆうに越える長身の端正な顔つきの男に 話しかけてみた。
359 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/01(月) 06:10:02 ID:cmDrRl1Z
英国人に日本語で話しかけた俺が馬鹿だった。通じる可能性は限り無く0に近いことだろう。 英国人はキョトンとした顔をしている。 俺は恥ずかしくなってその場から逃げ出した。
路上でタバコを吸うのを法律で禁止されている事も忘れて街中をダッシュ。 気が付いた時には留置所の中でした。
361 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/01(月) 09:02:49 ID:IrKGaJ4D
「落ち着け!」私は留置所の中で自分に何度もこう言い聞かせた、父をナイフで刺した事、長身の紳士に話しかけた事、 外国人と考えず日本語で話しかけた事、時間が経つにつれ、様々な事が思いだされる、 ふと、周りを見ると部屋の片隅に座っている男がいる、彼は何の罪でここに入れられたのだろう? 今までの事をすっかり忘れて彼の事だけが気になっていた、話掛けてみようか、そんな思いが段々心のなかで 大きくなってゆく。
思いきって話しかけてみた。 「あなたは誰ですか…どうしてこんな所に?」 「おやおや、こんな私に話しかけてくれるとは…赦されざる大罪を犯した私に…」 「大丈夫、きっと罪は償えます。私に話してみませんか?」 「私は…スレに…真・殺人鬼ス○夫に書き込んでしまったのだ…!!」
「赦されざる大罪」の意外な内容に俺は拍子抜けして笑いころげてしまった。 男も釣られて笑い出したため、地下牢に大哄笑が響き渡った。 「何事だ!騒がしくすると、飯抜きにするぞ!」 ―ちょっとしたキ○○イで有名な看守の木田が怒鳴った。
しかしそれも作戦のうち。 しばらくすると、笑い声を聞きつけた仲間が地中から現れた。 「待たせたな息子君。父上に受けた恩、ここで晴らさせてもらうよ。さぁ、早く!」 「待ってください!もう一人連れて行きたい人がいるんです」 俺はおもむろに、片隅に座っている男が抱いているぬいぐるみを奪い持ち去った。
365 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/02(火) 05:22:20 ID:Hn4QIO8Q
俺を逃がしてくれたのは島田という男と下で待機していたのはケイと よばれる女だった地下留置所の下に下水道みたいなトンネルがあり、 そこ突き破ってハシゴをかけてくれたのだった。
366 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/02(火) 08:48:18 ID:cV8666+e
トンネル内は真っ暗でなにも見えない。 すえた臭いがする。なんだか肉の腐ったような臭いだ。 たくさんの人たちの呻き声が聞えてくる……。
367 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/02(火) 20:46:46 ID:YdA/QxgQ
俺は今になって、この2人の救世主に対する不信をやっと感じ始めていた。 響き渡るうめき声に立ち込める死臭とあっては、救出の喜びを味わったのも束の間、実は救世主は鬼で、地獄に引きずり込まれていったなどという三文説話を思い出さずにはいられない。 いくらにもそれはありえないにしたって、このままほくほくとついていって大丈夫なのだろうか。
寒さのあまり、目が覚めた。 ここは牢屋の中。 途中から気付いてはいたが、今までのことは全て夢だったようだ。 大体、同じ牢に人が居たり、英国人に対して日本語で会話してたり 3階に位置するここが地下だったり矛盾だらけなのだ。早く家に帰りたい…
369 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/02(火) 23:24:22 ID:cV8666+e
と、とつぜん牢屋のコンクリート床が丸く開いた。 「助けにきたぞ!」あの英国紳士が日本語で叫んだ。「さあ、はやくするんだ!見つかるぞ!」
つい今しがた、夢の中の登場人物なのだと認識したばかりなのに、一体どうしたことだろうか。 英国紳士は、呆然としたままの俺に対して、 「行かないのか?ぼやぼやしてると置いてくぜ。」 ひそめていながらも、よく透るその声には聴き覚えがあった。
371 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/03(水) 03:41:42 ID:FD8g18AQ
「どこで聞いたんだろう?」そんな事を考えながら彼の立つ穴に入って行った。 コンクリート床は丸く扉になっており、それを開くと下は階段になっていた、 「頭に気お付けろ!」彼は俺にそう言うとコンクリ−トの扉を閉め暗い廊下に歩き出した。 そして彼に「あなたは誰なんだ? なぜ俺を助けてくれる?」と一番聞きたかった事を聞いてみた、 すると彼の口から出たのは・・・
372 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/03(水) 03:58:47 ID:P0FFN6O9
色あざやかな万国旗だった。 彼は誇らしげに言う。 「どうだ。驚いたか!わたしのマジックに!」
すると彼は一転、厳格な声で話し始めた。 「君をこうして連れ出したのにはどうしても言いたいことがあったからなのだ」 彼はこめかみに親指を置いて続ける。 「空白行も、文章効果として一行として数えるのを覚えておいてくれ。そして、会話文以外の句点の後は改行はよっぽどのことが無い限りするべきだ」 彼はローカルルールの必要性について熱く語りだした。
374 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/03(水) 04:31:25 ID:FD8g18AQ
俺は唖然とそれを聞いたあと、こう彼に言った 「ローカルルール必要性を言う前に、なぜ6行(↑)使う!」 「それと俺の質問に答えていない、誰なんだ!あんたは!!」 俺は大きな声で彼に言った、いや怒鳴ったと言うほうがいいだろう。
「それは君のディスプレイが小さいから一行多くみえてしまうのではないかね?少なくとも私には5行にしか見えんよ」 確かにソース表示で見れば改行命令は入っていない。 「それと質問の答えの前に、もうひとつ言いたいことがあるのだがね、夢落ちはどうかと思うよ」
376 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/03(水) 06:26:15 ID:1wZTogyY
俺は彼の言葉を遮るようにに言った 「ノートの14・1インチじゃ6行に見えるんだよ! それと夢落ちは俺のせいじゃない!いいかげん誰なんだ、あんたは!」 そういうと俺は彼に詰め寄っていた、自分でも驚くほど興奮していた。
オレの言葉を無視し英国人はこう言った。 「大リーグボール3号の完成だ!」
―一瞬の沈黙のあと、男はクスクスと笑い出した。 「イ…イギリス人が野球ってだけでも可笑しいのに、大リーグて…グワハハハハハ」 英国流のウイットだかユーモアってやつなのだろうか? 大哄笑する男をよそに、俺は
379 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/04(木) 06:09:13 ID:NMMZz3D0
いや、むしろ俺が・・・
取り敢えず、みんなをどつき回した。 「船頭多くして船山に登る、これからはこの俺がルールだ!いや、神だ!わかったか協調性のない屑共!」 宣言した途端、男達の目がギラギラと殺気を帯び俺に集中する。 バラバラだった彼等の心が今、団結したのだ!しかしこのままでは殺られる! 「ま、まあ皆さん落ち着いて。ほら、こんなの知ってますか?アラフォ〜、グ〜!」
「何をしている。捕まれば死刑は免れんのだぞ。」 英国紳士にせき立てられ、再び歩き出す。 ここは地下牢の最下層。精神が崩壊し、人前に出せない者らが収監されているのだ。 日がなこんな調子で意味不明な事をのたまっているのだろうか。 ついつい立ち止まって見入ってしまう。
そうか……俺も既に精神が崩壊していたのか。 牢に収容されている死刑囚達の意味不明な言動に、酷く共感を覚える。 「急ぎたまえ、君は死にたいのか!」 英国紳士がそう叫ぶが、俺はもはやそれどころではなかった。 「俺はここを脱出していいのだろうか」
なにものかに背中を引っ張られているかのように、俺の体は出口から遠ざかり牢獄へと後ずさる。 耳元から懐かしい声が聞こえる・・・。 「父さん・・・俺は・・・」 俺はすでにこの旅を始めたときから呪縛にあっていたのか。 「目を覚ませ!君は父のようにはならないと墓前で誓ったじゃないか!」
384 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/05(金) 19:02:12 ID:JnEe8RIP
「誓いってのはなぁ、破るためにあるんじゃねぇの?」俺は平然と言ってのけた。 「な、なんだってぇ」唖然とする英国紳士。 「あー、面倒くせ」俺はうううんと伸びをする。「さて、シコるか。お前をオカズに」
「…わかった。私は口論は嫌いだ。好きにしたまえ。」 英国紳士のそっけない反応に拍子抜けしながらも、俺はパンツを脱いだ。 「じゃ、シコるから。…あんたもよかったら脱いだら?」 英国紳士は躊躇なく服を脱ぎ始めた。
386 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/06(土) 07:11:57 ID:gEMz2q7F
その躊躇のなさに、むしろ俺が躊躇った。 「なぜだ、なぜそんなに堂々としているんだ!?」
387 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/06(土) 08:56:08 ID:xjwiXqrs
「わからいのかね」英国紳士はおもむろに、いやむしろ優雅にと形容した方がよい、そんな風にして衣服を全て脱ぎ取ったのだった。 そこには美麗で丹念に鍛えられた筋肉質の肉体と屹立した性器があった。 「存分に見よ、我が肉体を。あんたもさっさと脱いだらどうだね、それとも自信がないかね?」 俺はまるで夢見心地の最中に入ったように呆然としつつも、両手は自らの衣服を脱ぐために動かさなければならぬのであった。 俺はまず上着を脱いだ、ズボンを脱いだ、そして下着に手をつけた。
下着を脱ぐ。 そしてたたむ。 そのままコーヒーをいれる。 砂糖と塩を間違える。 「ぶふぉっ!」
「どうしたのかね。大分動揺しているようじゃないか。」 英国紳士は余裕たっぷりに微笑みを湛えながら言った。 「やり方を忘れたのかね?おっと。そんな汚らわしい行為の仕方を私に聞くなよ。 …そうだ。下品な行為なら得意な男がいたな…。そう、あいつ…。」 英国紳士の口から溢れた人物の名は、
390 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/07(日) 20:23:48 ID:sbWYnc3N
「モドンさんじゃ」 「モ、モドンさん!?」 「うむ」英国紳士は深くうなずいた。 モドンさん。――いったいそれは誰なんだ!? 俺はそのどこの国の人とも取れない名前を聞いてパニクった。
391 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/08(月) 12:34:45 ID:/rY3LIBl
そしてさらに英国紳士は付け足した。 「あとカドンさんもだ」 ――いったい何人いるんだ!? オレはますますパニくった。
「アドンさんもそうだった」 英国紳士は残りレスの数を考えずに次々と名を上げていく。 俺の混乱は留まるところを知らない。 「―――ドンさん、とまぁこれくらいいたかな」 100人くらい名前が挙がっていた。下品な知り合いばかりだ。
ところでこの道は何処に繋がってるのかね? 英国紳士が意味不明なことを言い出した。
努めて平静を装う事で、自信を保とうとしていたが、限界のようだ。 やはり上品な英国紳士には、ストリーキングの真似事など精神的負担が大きすぎたのだ。 今や両脇の監獄内にひしめく、気の狂れた囚人ども同様、むしろより酷い精神の退廃を露呈しながら、英国紳士はたどたどしい足取りで闇へ消えて行った。 さぁ、出口はもうすぐだ!
395 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/09(火) 21:21:15 ID:lMLC6eng
しかし見えてきたのは入口だった。 俺は、驚愕した。 「な、なんだここは!」
仰天する俺に、どこからともなく語りかける声が聞こえる…。 「合格だ。よくぞたどり着いたな。」 「誰だ!?」 「私はここの管理人。君はこの競技の勝利者だ。おめでとう。」 …なんの事だろう?
397 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/10(水) 03:06:15 ID:xYpKax4Z
腑に落ちない顔をしてる俺に握手を求めてくるこの男はいったい・・ 俺は尋ねてみた「競技ってなんですか?」 すると管理人と名乗るこの男は 「実は今まで君の・・」と言い掛けたところでこちらに倒れかかってきた 俺は男を受け止めて背中を見ると大きなナイフが刺さっていた
398 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/10(水) 12:36:40 ID:j1X0imqY
でかい。でか過ぎる。 そのナイフは刃渡り3メートル程はあった。 ナイフの形状はしているが、もはや別の凶器にも見える。 重さは優に200キロを越えることだろう。
…いや、ナイフが大きいのではなく、自分が小さいのだ! 不可思議な力によって俺の体はどんどん小さくなる。 突然、声が聞こえる。 「ご苦労様でした。お前はもう死にます。次の命へと生まれ変わるのです。」 さらに俺の体が小さくなる。ナイフの刃に映る俺の姿が見えなくなる…。 【END】
突然の展開だが誰も混乱する事はなかった。 なぜなら俺はようやくのぼりはじめたばかりだからな。 このはてしなく遠いリレー小説をよ…… 〜 リレー小説書こうぜ 第四部 完 〜
401 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/10(水) 22:57:04 ID:j1X0imqY
朝、目覚めると俺はどらエモンになっていた。 体の外周りを青、中心部が白に塗装された耳のない巨顔のロボットだ。 「やれやれ」俺は鏡の前に立って頭をふった。 自然と溜め息がもれる。
402 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/10(水) 23:13:20 ID:a1NZL/s2
そしてこれからの事を考えた、 この後ノビタや骨川、剛田、源といった連中と あの俺が知ってる漫画のように行動しなければならないのかと そう考えると又、ため息がもれた。
幾重にも折り重なる、長い悪夢から解放された現実がこれだ…。 うんざりしながらも、階段を降りて居間へ向かう。 幸いみんな出かけているようだ。 鏡台の横の小さな箪笥から煙草を取り出し、火を点けた。 煙が線を描いて昇ってゆくのを、ぼんやり眺めていると
硝子鉢の中の金魚と目があった。 お前もかわいそうな奴だよな。 煙の向こうにランチュウが霞む。 そうだな……。金魚を眺めていた俺は自分の身に重ね合わせて哀れになり、解放してやることにした。 畳の上で金魚は、自由を噛みしめるかのように跳ねている
そういえばタイムマシンで時間旅行や、ひみつ道具などで色んな場所へ行ったり出来るのではないか。 俺はそう思うや否や、すぐさまもしもボックスで創発板を現実に具現化させた。 わさわさと集まってくるGGGやら、おしりからヨーグルトがでている水銀燈や、ハルトシュラー。 各地では殺し合いが起きて、妖怪や自衛隊がそこかしこに見られたりする。 なんというカオスで素晴らしい世界だろう。
406 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/11(木) 02:37:27 ID:ru3ldNef
テレビで俺がもしもボックスで起こした異変を楽しんでいると、 遠くで学校のチャイムのようなものが鳴ってるのが聞こえた。 そしてヤツが帰って来ると思い窓の外を眺めていると、 信じられないものが目に飛び込んで来た! 「間違いない!あれは・・・」
407 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/11(木) 07:52:28 ID:rjXE/Ug6
父だった。髪型やメガネ、服装はのび太なのだが父以外の何者でもない。 出掛ける時に剃り忘れたのであろう口の周りの青々とした無精ヒゲ、半ズボンからむき出しになった足のすね毛。 股間が小学生には有り得ないくらいモッコリとしている。 「どらエモ〜ン。ジャイアントに」と、泣きながら走るその姿は変質者そのものだ。 俺は死にたくなった。
ゲンナリしながらも、やることだけはやらねば気が済まないのが俺の性分だ。 台所で煙草を消し、急いで階段を駆け上がった。 ノビ田の泣き声が近付いてくる。 …段取りは把握しているつもりだが、いざ現実となると、それなりに緊張するものだな…。
409 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/11(木) 12:34:44 ID:rjXE/Ug6
俺は鴨居に荒縄を結んで垂れた先に輪っかを作った。 父が階段を駆け上がってくる足音がする。 相変わらず「ジャイアントに、ジャイアントに」と、間違いをそのまま連呼。ジャイアンなのに……。恥ずかしい。 「もう俺はダメだ……」輪っかに首を突っ込んだ。
410 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/11(木) 12:38:43 ID:rjXE/Ug6
しかも、この間の悪さ。 わずか数十秒の差……。 俺は乗っていた踏み台を踵で蹴飛ばした。
普段、漫画やテレビで観ている分には感じた事はなかったが、現実に自分がどらエモン化してみるとよくわかる。 結局、いかなる道具も成長期にある彼、すなわちのび田の為になりはしないのだ。 悲しすぎる運命に涙しながら、俺は決意の一歩を踏み出した。
412 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/11(木) 21:16:51 ID:+t9WeUSW
その俺の決意といえば、この「どこでもドア」を使って のび田との対面を拒否し彼の独立心を成長させることだ。 俺はすばやくポケットからどこでもドアを取り出し この先俺がどんなにカオスで理不尽な事になってものび田の成長の為なら どんなことにも耐えようと決心し、ドアノブをつかんだ。
タイムマシンの濫用にによる精神障害だろうか? 荒縄で首を吊る俺。 どこでもドアでノビ田の前から去る俺。 いつものように、泣きながら俺に道具をせがむのび田を待つ俺。 パラレルワールドの分岐にいるのを自覚する。
414 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/11(木) 23:15:06 ID:rjXE/Ug6
パラレルワールドとは、つまり自分自身がいくつもの世界に存在することになる。 その個々の世界における自分自身の違いはIDによって判別が可能だ。姿形や性格、いや、DNAのレベルまでもがまったく同じでも。 のび太をのび田と言い間違え続けようとも……。
いくつもの世界に俺がいる… そんなのは嫌だ 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ 俺は俺だけの身体(モノ)だッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 俺は俺を殺して俺だけの俺になってやるんだからね!?
ふーっ アクセス禁止の間にえらい事になってるなw 英国紳士やりすぎだ! 温厚な俺でも久々にくるものがある 声を荒げて顔面に拳を叩き込む!!
…そんな事できるはずもなく、今日もいじめられて逃げ帰ってきたのだ。 激しい自我の葛藤の最中にいた俺は、ノビ田の話はまったく聞いていなかったが、やるべきことは認識している。 いつもそうするように、腹のポケットに手を入れて適当なガラクタを引っ張り出した。 ―先端に針の付いた細いガラスシリンダーの中身は、謎の液体で充たされている。
動脈を駆ける秘密の液体が、のビタに幸福感をもたらしたようだ。 意味はわからないが、何かしようというのは良い事だ。 俺は思い止まって良かったと心から思った。残りの液を自ら摂取し、俺もまた旅だって行った。
こういう手助けは本人の為にならないと言う人がいる。 だが、世の中には弱い人というのもいるのだ。 毎日いじめられ、傷だらけになり、左手の小指は完全にへし折られている。 さぞ痛かったことだろうが、親にも言えない可哀想なのび田。 俺が代わりに悪を粛清してやるぜ…。
421 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/14(日) 04:04:51 ID:3VnIA4/m
俺は部屋の隅の金属バットを取り上げた。これでジャイアンを地獄に叩き落とすつもりなのだ。 本来なら子供たちに夢を与えるべきアニメキャラのどらエモンがそんなことをしてはいけない。 しかし、薬をキメた俺の見ている今のこの世界は現実ではないのである。幻覚だ。 なにをしたって許される。 俺は金属バット片手に表へ飛び出した。
「どこだー!どこだジャイアン!ぶっ殺してやるから出てこーい!」 深夜の住宅地に俺の怒声が響く。 殺気をみなぎらせて、金属バットを引きずり練り歩く俺と目が合うと、野犬さえも尻尾を巻いて逃げ出した。 「ジャイアンの野郎…どこへ消えやがった…?」
423 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/14(日) 15:02:25 ID:3VnIA4/m
カツカツカツと、ヒールの音がして振り向くとT字路の角からOL風の女性があらわれた。彼女の顔が恐怖で歪む。 街灯の下で金属バット片手に佇む俺は青い二等身の化け物くらいにしか認識できなかったのだろう。 「きゃあああ!」深夜の住宅地に悲鳴が上がる。 俺は口の端からヨダレの糸を引きながら女性めがけ突進した。 彼女は逃げなかった。足がすくんで一歩も動けなかったに違いない。 俺は金属バットを長い黒髪の頭へと振り下ろした。
が、スイカのようにきれいに割れた頭を想像して振り下ろした金属バットは空を切る。 その代わり、俺のみぞおちには、女の肘がきれいに決まっていた。 「・・・ゲェ!」 声にならない声が俺の口から漏れる。 あまりの痛みに何も考えられない。 俺が気を失う前に見た光景は、満月をバックに、荒ぶる鷹のポーズをする女。 そして、「あなたにはクンフーが足りないワ!」という片言の日本語。 しかし、それらの意味を解釈する前に俺の脳はシャットダウンした。
425 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/14(日) 18:06:21 ID:3VnIA4/m
それらの意味を解釈、という表現に違和感を覚えたのが最後の記憶である。解釈ではなく、もっと適切な言葉があっただろうに……。 まぁ俺も二等身などと平気で誤字をしでかすくらいだ。人のことは言えまい。 気が付くと薄暗い部屋の中、ベッドに横たわっていた。
そして俺はベッドに縛られている。 ドラえもんの身体を持ってしても抜け出す事ができない。 一体何が起こったんだ。 「やっと起きたわネ」 俺を倒した女の声が近くから聞こえた。
…セーフモードでの再起動のために解像度の荒い視野の中、窓際に立つ女のシルエットが浮かぶ。 「いったい…何者だ?」 女は答えず、クスクスと笑っている。 「あたしがもし、あなたの探しているジャイアンだったらどうする?」 ……まっまさか……。驚きと恐怖で声が出ない!
428 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/14(日) 23:58:19 ID:GEF6J8/2
もしこの女がジャイアンだったら・・・ 薬をキメたとはいえ、この女とジャイアンを見間違えるはずはない。 もしかして、もしもボックスで世の中を変えた影響で色んなものが変わってしまったのか、 それとも、この俺自身(ドラえもん)というロボット自体の故障なのか ロボットなのに薬が効くという矛盾点など、考えが混乱して質問に答えが出せないでいた。
「つまり、こういうことよ。あたしは紛れもなく剛田剛。但し、少し未来からやってきたのよ。 ある夜、あたしはあなたに金属バットで殴られて玉ナシにさせられたわ。 それからの人生…あなたに想像つくかしら?」 ジャイアンは遠い目で、ゆっくりと煙草の煙を吐き出した。
430 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/15(月) 07:09:36 ID:nLg1r+Tl
この女は嘘をついている。俺は、そう思った。 俺が金属バットを叩き込んだのは頭なので、金玉を損傷するわけがない。 だいいちあの時T字路から現われたのは間違ないく女だ。ジャイアンが女装したって、すぐバレる。 あまつさえ俺が金属バットを叩き込んだのは1度きり。この女の理屈でいうと2度凶行に及ばなければならない。 パラレルワールドの論理も通用しない。矛盾だらけである。
「まだ分からないの?見なさい。これが私の正装よ」 「ちょっと待ってくれ。問題なさそうなので、再起動する」 …再起動には約五分かかった。 解像度がSVGAになり、鮮明になる。カメラのテストをする。…問題ない。 イメージ検索でググると、女は野球というスポーツのユニフォームを着ているようだった。 「ジャイアン2!私は二番目よ!」女は高らかに吠えた。
なんども五行オーバーをしてしまう事実に俺は頭がどうにかなりそうだった。 そのせいなのだろうか、ジャイアンが女だったり薬が効いたり謎現象がおきているのは。 ああ、誰か助けてくれ。 俺はせつに願った。
433 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/16(火) 03:33:01 ID:YY2RyVXw
俺はこのジャイアンと名乗る女に何かヒドイ仕打ちをされるだろう。 しかし体を縛られながらも、わずかな希望にかけた、 かすかに右手が動くのだ、そしてポケットに届きそうなのだ 俺は女の動きに注意しながら、ポケットに手をいれた。 そしてポケットを探り・・・「あったぜ!空気砲だ!」頭の中で叫んだ!
434 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/16(火) 17:35:41 ID:qeA87zuT
と思ったが、取り出してしまったのはなんと!
435 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/17(水) 08:54:35 ID:MNJ69yH5
「な、なんだこれは!」 その場にいた者全員が凍り付いた。 なんとそれは今まで、ただの1度も見たことがないものだったのだ! 色や形、その他すべてが概念の範疇にない。 「な、な、なんだこれ、は……」
パ ル プ ン テ
恐ろしいものが現れてその周辺に居た全ての存在が恐怖に逃げ惑った。 「ひぃぃぃぃぃ〜!」 「助けて、死にたくない!」 「ぬるぽ」 まさに地獄絵図だ。
ガッ!!! 大音響とともに火花が降り注いだ。 何か役立つ道具を取り出そうとしたが、 自分の胴体はどこかに行ってしまっていた。 頭だけでは動けない。首の配線もショートしているらしい。
こんな失い方をするんだ。僕は頭部だけになってしまったそれを拾い上げると、手持ちの紙幣やカードの残額を計上してみた。 なんとか、なるだろうか? 今こそ僕は、意義のあるものを買いに行くべきだ。 生きた身体を買うのに足りなかったら、僕の時間を売ってもいい。 こんなところでひとりは、いやだ。
440 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/18(木) 08:51:21 ID:oggtmRAD
ぜんぜん足りなかった。甘かった。 引き籠もり生活二十年、世の中のことを何も知っていなかった。 人目に怯えながら真夜中に自販機のコイン返却口に手を突っ込み、しゃがんでその下を覗いて貯めた小銭などしょせんは店主に鼻で笑われるだけの財産でしかなかったのだ。 僕は職安へ向かった。
職安への並木通りには、平日にも関わらず、大人の男らの人だかりができている。 中高年が大半だが、以前よりは若者の割合も増えている。 その内のひとりと目が合ってしまい、あわてて目を逸らした先には、ベンチに寝転がる者。 顔に被せた新聞紙には【自殺】の文字。
今重大な事に気が付いた ここ、英国じゃね?
ここ、英国じゃね?
英国じゃね?
じゃね?
ね?
>>442 の声がこだまする。周りを見る。ここはドコダ!?
どこだか分からないなら分かる場所へ行けばいい。 「ということで京都へ行こう!」 俺はアンドロメダ星行きの魔列車へと乗った。 どこでもドアは壊れていたのだ。
445 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/19(金) 09:29:36 ID:NI9X/2/V
僕は座席に腰掛け、背中をもたせていた。 すると前から車掌がやってきた。 帽子をまぶかに被り、顔が真っ暗で目だけが光っている。ずんぐりむっくりの体型だ。 横には金髪の女性。面長で黒一色の服装……。 「うおーっ、今度はこっちになるの?」 俺は頭を抱えて叫んだ。
なんで6行書いてるんだ…… 悲痛な思いがオレの心を苛む。
447 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/19(金) 22:43:54 ID:1D6WN+qr
さらに俺を悩ませるのが こっちはドラえもんのままの容姿ということだ これからの事を考えればこのポケットに助けられることになるだろうが 場違いな場所にいるというのが、素直な感想だ! 機械の体は既に手に入れてるわけだし。
448 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/19(金) 23:29:25 ID:NI9X/2/V
「そうだ、こんなところにいても意味がない!」 俺は窓を開けて列車から飛び降りた。
449 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/20(土) 09:54:29 ID:OJ121Fcn
「しまった……。頭を忘れてきた……」 体だけの俺は土手から列車を見つめてつぶやいた。 体だけでどうやってつぶやいたのか、どうやって見つめたのか、そもそも思考をするのは頭部のすることではないのか等は無視してほしい。 しょせんは2ちゃんのリレー小説、無茶クチャなまま続いて終わりを迎えるものなのだ。 「まぁ、ヒマ潰しで楽しめればいいか」と、俺はうなずいた。
「もっとも、そこまでヒマなわけではないがな。」 俺はニヤリと笑い、電柱に貼られた政治家のポスターをひっぱがした。 道往く者らは俺を見て見ぬ振りで通り過ぎる。 子供までもが馬鹿にした仕草で遠目から俺をからかい、母親にたしなめられている。
451 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/20(土) 22:30:20 ID:OJ121Fcn
その子供に対して俺はムカついた。 国民的人気者であるドラえもんさまを馬鹿にするとは、なにごとか! これは天罰が下ってもしかたあるまい。執行人は、俺だ。 「ゆるさんぞ。ぜったいに、ゆるさん」鈍器のような物を片手に親子連れへ近付いて行く。 母親ともども地獄行きだ。
ごらんの有様だよ…… オレは海中に沈んでいった
O'le(オレ)と名乗る南米人を海中に沈め、俺は俺を馬鹿にした親子に向き直った。 「こんな刺客ごとき、倒すのは造作もないわ。ついでに描写もないがな。わっはは!」 一陣の冷風が吹き抜けた。まさに冬将軍の到来と言えようか。
454 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/21(日) 22:51:05 ID:dUs29o7A
冬将軍は農民の出であった。 士農工商の身分制度が確固とした時代において、彼が天下を取ったのは奇跡といえよう。 まさに天下人は天が決める、である。
そう思うと、このシベリアの寒空すら、何か厳として神々しいもののように 俺には感じられてくるのだった。 農奴として生まれたわが身を呪ったことはない。そして、誇り高いコサックの血と 凍てついた小作の地とを守ることで俺はあの母なるウラルに報いるのだ。 コルホーズの地平に日が沈む。
夕暮れの原野に響くあの音はなんだろうか。 あれは、杭の音だ。 誰かが杭を打ち込んでいるのだ。 鬱蒼と茂る針葉樹林にもこだまするこの音。 俺は起き上がり、音の正体を確かめに行った。
俺は茂みの陰で腹ばいになり、そっと様子をうかがった。あれは、、、マスオっ?! だが奴はしずかの究極奥義『無限援交回廊』によってカスケード消滅したはずっ!! 杭を打ち込んでいると推定していたその音は、マスオが右上腕に仕込んだサイコガンに108つの煩悩をチャージ、 森へ向かって反スパロフスキィ開放している音だった。開放のたびに轟音の中で数万本単位の針葉樹林が 焼けただれ、百キロ先まで白い灰の死の空間ができる。そう、それはかって世界を滅ぼした神の光。。。
「ラーマヤーマではツンデレの光とも言うがね…。そこにいるのは判っている。出て来たまえ。」 突然、マスオはこちらを振り返りもせずに言い放った。 …!一瞬の間を置いて、向かいの茂みから何者かが現れる。
459 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/22(月) 19:02:41 ID:zCUDAg0V
その者は携帯電話を片手にニヤついていた。 近付いて液晶画面を覗き込むと、エロサイトから着エロ動画をダウンロードしているところだった。
説明しよう。着エロとは、着メロ、着うたなどと同様の仕組みで 発光アンテナに仕込まれたセンサが一定以上の電波を感知すると あらかじめ設定された動作を開始するギミックである。
461 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/22(月) 20:28:19 ID:zCUDAg0V
と、その者はデタラメな言い訳をした。よっぽど恥ずかしかったに違いない。 俺はその者の肩を抱き寄せた。 「いいんだよ。ふつうの男なら、誰でもすることさ!」 彼は目に涙を滲ませ俺の胸に顔をうずめた。
463 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/23(火) 22:36:13 ID:FPgmG5I0
ごくりと、タラオの喉が鳴った。
俺は叫んだ。 「よく考えるんだ! ベーコン一枚にどれほどの価値が―――アッー!」
クッ! これだけは言いたくなかったが、仕方がない! タラオ! サンタクロースはお前の父で夜中にコッソリ プレゼントを枕元に置いてるんだぜ!!
「信じるでない、タラオよ!」 そこに突然現れる男。 そう、血塗れのサタンクロースだ。
その手には見覚えのあるシャツがぶら下がっている。 「I」のイニシャルが入ったそれを無造作に投げ捨て、サンタは言った。 「グフフフ…。ここでしか食えぬ特製ベーコンだ。さて、どんな味がするかな?」
ア、アイ!? い、いやマテ落ち着こうじゃないかオレ。 書き込み時間から推察しても報道があったのは夕方、 もしやこれは犯行の(ry
469 :
創る名無しに見る名無し :2008/12/24(水) 23:19:31 ID:3OKJEUvP
「おお、すげぇ偶然だなw」 と、この物語になんの関係もない通行人が言った。
テーブルの中央には、直径20cm程の円穴が開いている。 穴から覗き見える、赤い毛の生えた球状の物体は動物の頭部の様だ。 おもむろにマスオはレーザーソーでそれの外周をカットし終えると、脳とおぼしき皺の寄ったプリンのような物体を露出させた。
体をイスにガッチリ固定されたイクラちゃんに意識はあるようだ。局所麻酔が掛けられているのだろう。 頭蓋をオープンされた状態で目だけを動かしてこちらを見ている。 マスオは金のスプーンでイクラちゃんの脳を掬って口に入れ、さも旨くてたまらんという風に顔をほころばせている。
脳を食べられながらも、Ikuraちゃんは暴れるでもなく、平然としている。 目の前の衝撃的な光景に唖然としていると、マス尾が声を掛けてきた。 「どうかね。君も世界の3大珍味と言われる【活きた人間の脳】を食してみては? 死に臨することで脳内にはモルヒネ様の物質が満ちているのだ。この味を知ったら、それはもう…」 生臭い息を吐き出しながらマス尾は狂人じみた笑みを浮かべた。
473 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/02(金) 00:35:59 ID:0rA4Fip+
【寿】なる文字が刻印された箸袋を渡される。 目を合わせないよう注意しつつ、イク羅ちゃんの脳を箸で突いてみた。 茶碗蒸しよりやや固い感触だ。崩れぬよう注意しつつ、口に運ぶ。 「これは旨い…」 思わず感嘆の声を漏らしてしまった。
「ドラ焼きに挟んでみるのもいいかもな」 俺はふとそう口にだしていた。 ドラ焼きにマスタードやら酢やらタバスコやらをつけて食べる奴がいるが、俺もそいつらの仲間入りだろうか。
男は度胸。とりあえずやってみるか。 イクラの脳をこぼれないようにドラ焼きに挟みこむ。見た目はクリームドラ焼きのようだ。 では…いただきます。しかし次の瞬間、脳みそドラ焼きにかぶりつこうとする俺の手を掴むものがいた。 「その食べ方は邪道だ」 マスオだった。射るような目で俺を睨んでやがる。
マスオ「君は年明けのあいさつも満足に出来ないのかね? これだから最近の若い者は(ry」
エサをむさぼる犬のように、マスヲはイクラちゃんの頭蓋内から直に脳を喰らい始めた。 イクラちゃんの表情が激しく歪み、不自然なほど目玉が飛び出している。 マスヲは顔の下半分を脳將で汚しながら、こう言った。
うっうます
「兎増すだと?」 その疑問に答えるかのように、次々と兎が現れる。 そして俺達は兎の群れに囲まれてしまった。
俺が困っていると、マスヲがつかつかと歩み寄り、手にした金剛剣によって兎を一匹残らず叩き殺してくれた。 「あっ…ありがとう…」 「勘違いするな!私はゆっくり食事をしたいだけだ。ノリスケのガキを平らげたら、次は貴様の番かもしれんぞ…?」 イクラちゃんの腹を短刀で突き破り、引きずり出した臓物をクチャクチャ噛みながら、マスヲは笑った。
そうして今週もまた日曜日がやってくる。 「月曜日が恐ろしいのか?」 「はい。怖いです」 「違うな。貴様は月曜日が怖いのではない。 貴様が真に恐れているのは、今この瞬間までを怠惰に過ごしていたという、最早変えようもない事実だ」
482 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/25(日) 19:11:30 ID:swoFMmiQ
「歩みは忘れたわけではない。いくつもの事柄を同時進行で進めるのがいかに困難か、わからないかなぁ。」 「なにもしない。しようとしない者の常套句だな。」 「今の世に必要なのは軍師なんですよ。ベクトルを指し示す者。」 「がむしゃらに働くのがそんなに嫌か?」
「ニートを舐めるな!」 俺はマスヲに向かって怒鳴る。 「働いたら負けなんだよ!」 「全く持って度し難いな」
484 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/25(日) 20:16:46 ID:swoFMmiQ
「年末から正月。家族が家にいるこの時期が一番辛かったてあろう?」 「ぐっ…!」 「自室にこもり、このリレーに参加する気力さえなかったようだな。 除夜の鐘がさぞ耳に痛かったことだろう。フフフフ…」 「…言いたい事は、それだけか…?」
「いやいや、まだあるよ。 もうすぐバレンタインデーだねぇ。 私は今回は何個もらえるか楽しみだよ。 ニートだとそんなイベント関係ないだろうけどね。 フフフフフ……」
486 :
創る名無しに見る名無し :2009/01/30(金) 20:19:51 ID:B1H8yXTs
「関係あるもん。お母さんからもらうんだからっ。」
487 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/02(月) 22:22:56 ID:3dZqQqps
「【お母さん】とやらは、これか?」 そう言うとマスヲは、傍らの杉の木に磔にされた血まみれの人間を指さした。 「ま…まさか…」 「活きたまま皮を剥いでやったぞ。 面白半分にな。だが意外とつまらなかった。」
「なんて事を、せめて茹でてから皮を剥けよ!」 哀れ生玉子は全身がグシャグシャになって息絶えていた。 「フフフ、玉子はイクラに良く合うな」 「貴様!」 マスヲは玉子の体液をイクラにぶっかけて食し始めた。
その時、天からのまばゆい光がマスヲを包んだ。 玉子の体液にまみれ、背中を丸めむさぼり食らうマスヲは その光にはまだ気がついていない。 光は、徐々に強さを増し、辺り一面何も見えなくなった。 その中に、轟音のように、響き渡る声。
「残り10レスですよ」 ただの業務連絡だった。
その大事なレスを無駄な業務連絡で埋めるのだった
何故メール欄に入れるという気の利いた事が出来ないのだろうか。 そうして無駄にレスが埋まっていくのだった。
気の効かない業務連絡も難だが、そのことを指摘するのに夢中になってレスをさらに消費してしまうのもどうかと。 しかしながら、俺が最も驚愕させられたのは、2008年末からすっかり過疎化した、このスレの存在を記憶している者がまだこんなにいたという事実だ。 残りのレスに全力をつくそうという決意がみなぎってきた。
それは新たなる目覚めだった。僕はもはやドラエモンではない。 ジャイアントだった。きれいなジャイアント。 いくつもの死んでいった者たちと入れ替わりに僕は 深い深い泉の底からジャイアントとなってよみがえったのだ。 はすの花は濁った泥の底から美しい花を結ぶ。僕がそれだった。
もはやドラえもんだとかジャイアントだとかマスオだとかイクラだとか玉子だとかタラオだとかは関係なかった。
大事なのはどういう結末にするかだ。
ジャイアントは悟った 皆の分も皆と一緒に、僕は一所懸命生きるよ まばゆい光に目を向けジャイアントはすっくと立ち上がった もう2chは振り返らない 力強い希望を胸に、僕は大きな一歩を踏み出した
あれから、何年経っただろうか。
雨上がりのキャンパスを散歩している。 休講に気付かず、一限目に間に合うように登校してしまったのだ。 生暖かい風が不意に起り、頬を舐め前髪を揺らし、ポプラ並木を駆け抜けると2月の空へ還ってゆく。 爽やかな朝だ。
かにばさみ!
すぐ後ろで誰かがそう叫んだなと思い、振り返ろうとした。 しかし何者かにがっちりと絡み付かれ体の自由が効かない。 俺は顔から地面に倒れた。 「ぐおおっ…。なっなにごとだ?」
505 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/16(月) 23:54:30 ID:ESA9cPSx
誰もいない…。 最近いつもそうなのだ。 病気かもしれない。 俺は医者へ行く事にした。 「阿片窟クリニック」と書かれた看板が見える。
おにがわら!
507 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/20(金) 23:30:19 ID:xXOc7e+G
おブラートにくるまれた薬を渡される。 にがみを感じずに服用できるのだ。 がんばって病気を治そう。 わるい菌と戦うのだ。 らくになりたいなぁ…
508 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/21(土) 21:08:21 ID:gFXntyBn
医者に渡された薬をさっそく飲みたいと思い、コンビニを探した。 街灯もまばらな見知らぬ町では、右も左もわからない。 なんどか見当違いな路地に迷い込みながら、ようやくそれらしき店舗を見つけた。 コンビニ店内は蒸し暑く、香水と消毒液の匂いが満ち溢れている。 バスタオル姿の女がレジコーナーから上目遣いに俺を見ている。
509 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/25(水) 00:46:18 ID:uCz3ko5Y
およそコンビニらしくない、バスタオル姿の若い女性店員の視線は俺ではなく、店外に向けられている。 店の前に停められた4tトラックの荷台から、作業者らしき若い男が笑いかけている。 少々気まずくなった俺は、漫画雑誌を2〜3程
エロ本との間に挟んでレジへと向かう。
薬を飲む水を忘れていたと気付く。 ペットボトルのコーナーへ向かう。 ミネラルウォーターを手に取る。 飲む。 うまい。
512 :
創る名無しに見る名無し :2009/02/28(土) 19:09:08 ID:2LjX8D5P
ああおいしい。 蒸し暑いほど暖房の効いた店内で飲む水はうまい。 医者にもらったタブレットを飲みながら、水をがぶ飲みする。 店員の女が俺の様子を見て驚いて目を丸くしている。 …かまわない。バイト中に男に色目使うようなヤツに、非難される筋合いなどない―
513 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/05(木) 14:34:54 ID:7QoVPgKy
あれっ、そういえば社会の窓が開いている。 気付かなかった。 恥ずかしい。
514 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/05(木) 22:02:09 ID:mXcq5Qkp
「そういえば」― 誰も何も言ってなどいない、むしろ「言う」主体となりうべき「誰か」がそもそも存在しない。 会話の中でしばしば、何の脈絡もなく「そういえば」と、自分の話を始める輩がいるが、その深刻な病状悪化例であろうか。 医者へ行き、薬を飲んだ端から新たな病理現象に見舞われるとは… いよいよ俺も終りか…。嫌な汗が吹き出してきた。
515 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/06(金) 20:07:22 ID:uAibgPky
ペニス一郎「イイ汗かこうゼ!!」
516 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/06(金) 22:59:53 ID:VCu0AZUa
背中をべっとりと濡らす汗の感触を疎ましく思っていた矢先に、そんなふうに声をかけられたために、俺はひどく動揺して思わず叫んでしまった。 幸いな事に、コンビニ店内には無気力な店員以外誰もいないので、俺の奇行が世間に広く認知されてしまう心配はいらない。 レジスターのCMモニタの中では、ひわいな名前のタレントがフィットネス用品を
ペニスイチローに渡していた……! イチロー「ふんとこどっこい!」
518 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/13(金) 19:17:38 ID:eW8VuMEB
ひどい脚本だ…。 大学の同級に、広告代理店に就職したがっている男がいるが、彼もまた、企業PRという名目のもとでこんなくだらないものを作るようになるのだろうか。 そして社会人になった以上は誰もが負わねばならぬ「勤労の義務」。 あぁ…。なんだかとてもウツな気分だ。
519 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/18(水) 00:27:28 ID:FZv6xPRk BE:3403142699-2BP(0)
だが、私の考えが間違っているとも考えられるのだ。 というのも、私の思考が辺りを彷徨い、ただよって、見知らぬ方向へと 私を引き連れて行くからだ。私の考えは間に合わなかった。 私の考えは現実と同一性を保っていない。 こう考えると、私は真に迫って思考そのもの自体を疑惑の目で見て、疑いだしてしまうのであった。 しかしである。この時、悪魔が私に語りかけて来たのだ。
520 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/18(水) 12:23:01 ID:boBm/kf3
悪魔の語り掛けは、私の精神の最も深い闇に佇む何かを呼び覚ました。 気付けば私は見知らぬ駅のホームで、次々と駆け抜けてゆく通過電車を見送りながら、待ち続けている。 私を連れて行ってくれる車両の到着を。 車は便利だが一旦巻き込まれればいつ終るとも知れぬ停滞、無為な思考の循環の中に落ち行く危険と隣り合わせだ。 私は疑っているのではなく、信じていない自分を信じているのだ。
521 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/18(水) 22:30:32 ID:mKm9NZiB
ガガガガガガ ギギギー 電車が到着した。「快速急行 九九二十一」と書かれてあった。私は乗り降りした。 つまり、乗ってから間違いに気づき、降りたのだ。そして、再び私は私の知っている 第二の故郷、「マフィアの故郷、稲課村」へ連れ去って行ってくれる電車を待ち続けた。
522 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/19(木) 00:03:45 ID:boBm/kf3
その後も私は電車を待ち続けた。 ほとんどの車両はこの駅には停まる事なく通り過ぎて行ったが、ごくたまに停車する事があると私は必ずそれに乗り降りした。 「間に合わない」事がトラウマにでもなっているとしか思えないほど、私は扉が開くと同時に車両に駆け込むのだ。そして行く先の違いを認識しあわてて降りる、これを繰り返した。 繰り返すうち、わざと扉が閉まる直前に飛び降りる遊びを覚える。
523 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/19(木) 20:06:05 ID:q6U4hGv7
その時、私の周りの人々が「誰それでちゅね」「あれこれでちゅね」と、でちゅね語を 使っているのに気が付いた。つまり私は気付く以前から、人々に注目されていて、 馬鹿にされ、笑われていたのだ。
524 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/19(木) 20:40:38 ID:KHuyWhhz
恥ずかしかったので丁度きた電車に乗ろうとした。 しかしどうしてもドアが閉まるときに飛び降りてしまうのだ。 何度やっても同じだった。
525 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/19(木) 20:57:56 ID:mr6twd5i
それはつまり、目的地である「マフィアの故郷 稲課村」行きの車両がまだ到着していない事に起因する、一種のストレス回避行動なのである。 クスクスと私を笑う声が聞こえるが、気にしてなどいない。 私は何も疑ってなどいないのだ。 むしろ誰よりも確かに信じているのだ。すなわち、信じていない自分を。 これほど自信に溢れた高邁な精神の持ち主たる「私」とはどんな容貌だろうと、窓に映し出して見た姿は、残念ながらとても悲しそうな顔をしている。
526 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/19(木) 23:22:28 ID:OKNFQIGN
ドラえもんが前の席の隙間から覗いている
527 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/20(金) 02:57:18 ID:7jsUrmph
「会いたいよ。ドラエモ〜ン。しかし、私は稲課村に行かなくてはならないのだ。」 私は心の中で、イメージとしての天秤の受け皿の両側の片方に片方ずつ、それらを載せ、 天秤の傾き、つまり片側と片側の両側の上げ下げ、つまり片側が上昇する事によって、 もう片側が下降するのを注視する事で、ドラエモンを選択するか、稲課村を 最優先するか見分けようとした。
528 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/20(金) 03:18:38 ID:gbYtOFFK
描けなかったため諦めて読書した。 以前から積んであるカフカの寓話集の存在感が日増しに自分の内面で肥大しつつあった。 これは、恋…? 倒錯しつつある自己の情感に揺さぶられながら、私はコーヒーを入れ引き立ての豆による 豊かな風味に幸せを禁じ得ず床を転がりながらブレステやりてーと絶叫。 DSのレイトン教授シリーズも未プレイなのであった。
529 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/20(金) 03:42:23 ID:NkR+5RC3
北海道民であれば、ともすれば誰もが取れ立てとは言わないまでも、牧場から直送の新鮮でコクのある、いわゆる【おいしい牛乳】を飲んでいるものであるとの誤解がまかり通りがちであるのと同様に、 「マフィアの故郷」というキャッチフレーズもまた、多分に過剰なイメージ喚起を促している。 平たく言えばマフィアを生業としている者の人口など、稲荷村の1%にも満たないのである。 残されたわずかなマフィア達も、代々受け継がれた借金によって首が回らず、かといって警察のメンツを潰すような派手な活動などしようものならたちまち処分が下り、「マフィア」として存在し続けることそのものが危ぶまれてしまう。 国家権力に尻尾を振るマフィアの活動など、所詮は精彩を欠くものに過ぎず、「マフィアの故郷」などと声高に喧伝しようものなら、たちまち観光客や旅行業者達の冷ややかな視線を浴び、村の存亡にすら関わりかねない事態に発展しうる。
530 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/21(土) 01:27:10 ID:b1u0QPPT
531 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/23(月) 01:34:25 ID:SVNnqvQq
少しばかり考えすぎて疲れたようだ。 電車の車内の手すりにもたれたままの意識の空白を切り裂いたのは、音楽だった。 奇抜な髪型、黒い革の服装とステロタイプなロックミュージシャン気取りの若者のヘッドホンから漏れてくる。 彼のシャツにプリントされた、車が車に股がったような酷いデザインを眺めながら
532 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/23(月) 09:31:01 ID:rMCCJu2U
私はハイパーセルフプレジャーを開始した
533 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/23(月) 12:21:11 ID:SVNnqvQq
揺れているのは電車なのか、自分なのかはわからないが、とにかく気持ちいい。 迷惑なヘッドホンから漏れるロックミュージックのビートが、立体的なイメージとなって視界に踊り出す。 耳障りな金属的な高音はさながら、水銀のシャワーだ。 いつのまにか全裸で電車内の手すりに体をこすりつけながら快感にむせび泣く私に、それはようしゃなく降り注ぎ、皮膚を痛めつけた。
534 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/25(水) 09:59:13 ID:REaEilZq
ペニス一郎「出しっぱなしはモッタイナイ!(キュッキュッ)」
535 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/26(木) 12:25:35 ID:GK2PliS4
…幻聴だろうか。 つい今しがた、一笑に付した無能タレントの声が聴こえたような気がする。 私は頭を振ってそれを振り払おうとしたが、失敗に終わった。 なぜなら私も今や、電車内で全裸になって手すりに絡み付いてポールダンスを踊る立派な変質者なのだから。 自己嫌悪のあまり、私は
536 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/26(木) 21:40:33 ID:YGFCgzP1
想像妊娠してしまった。
537 :
創る名無しに見る名無し :2009/03/30(月) 02:08:05 ID:+7MWm4AQ
ピンク色の寝間着姿で産婦人科のベッドに横たわり、次々と訪れる親戚たちと窓際に置かれる花や果物たち。 食欲は無いこともないが、人の対応はウンザリだった。 生来私はそういうのが得意ではないし、特に血の繋がりのあるもん同士の生暖かいやりとりは毛嫌いしてきたのだ。 ましてや、その【一族の輪】とでも言うべきものにまた一人、新たなメンツを加える当事者に自分がなるとは…。 実感なさすぎ…
538 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/04(土) 02:54:52 ID:FzCVYnj1
「終点ですよ」 電車の中で眠ってしまっていたらしい。 乗務員に促されてホームへおりるが、ここはどこなのかさっぱりわからない。 閑散とした田舎の駅舎に佇み、呆然とする私の横を、夜の仕事帰りとおぼしき若いアジア女性達が賑やかに会話しながら通り過ぎる。
ホームをぶらぶらしていると、フィリピン系の女の子がぶつかってきた。 女の子は急いでいるようで、謝りもせずにどこかへ行ってしまった。 ぽかんとしているとポケットに入れていた財布がないことに気がついた。
540 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/04(土) 20:58:03 ID:FzCVYnj1
と思ったらいつもと違うポケットに入れていただけだった。 一瞬でも女の子を疑った自分がはずかしい。 駅舎の灯りが全て消え、私も行かねばならないのだが、果たしてどこへ? 改札を出て階段を降り、バスロータリーへ出てみたが、そこは街灯まばらな田舎の商店街だ。 深夜タクシーの一台もなく、酷く心細くなっていると、さっきの女の子らしき
死体が転がっている。 「ひゃあ」 叫び声をあげたくなるのを抑えて、尻込みしながら駆け寄ると、
542 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/05(日) 02:04:02 ID:8IBJls+L
「バア」 死んでいると思った女の子が突然起き上がり、満面の笑顔で見つめてきたため、私は尻もちをついてしまった。 「アナタイマ、ヤラシイコトシヨウトシタデショ」 屈託のない少女のようにそう言い、腰を抜かしたままの私を尻目に歩き出した。 「コッチコッチ。ハヤクシナイトオイテクヨ。」
女の子は死体らしくない軽やかさで寂れた商店街をひた走る。店のすきまに入りこみ、狭い路地裏を通り抜け、たどり着いたのは四方を廃屋に囲まれたコンクリートの空き地だった。 女の子は立ち止まり私を振り返る。 「あなたガ、いチバんサイショ」 眼差しは乾き絡み付く腕はつめたかったが赤いグロスが光る唇だけが生々しかった。
「最初?何の最初だって?」 女の子はその問いには答えず、光の消えた眼をコンクリートの一隅に投げて、 冷たい腕で私をいざなう。 四角く切り取られた夜空から、下限の月がななめに差し込んでいる。 誰もいない広場の、ちょうど陰になった部分に、
少し大きめの物置といった感じの粗末な小屋が建っている。 女の子に促されるまま、靴をはいたまま中へ入って見た。 ガラスもない格子窓からの月明かり。 蒼白く澄んだ肌の女の子。 床に敷き詰められた
546 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/08(水) 03:16:03 ID:HLJuczHB
無数のファミコンソフト。 どれもこれも歴史に名を残すほどのクソゲーばかり。 よく見るとソフトは例外なく全部がぜんぶどこかしら破損していた。 持ち主が怒りにまかせて本体からソフトを引っこ抜き、壁へぶん投げた結果に違いない。 何かしら怨念のようなものまで感じる……。
547 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/08(水) 18:15:39 ID:Ip6Xu5p/
人の気配を感じて振り返ると、小屋の入り口にやせた男が立っていた。 男は私をジロッと見て、女の子に何か言っている。 私には解らない言語だが、「こいつ誰?」みたいな内容であろう。 女の子になだめられ、男は俺の横をすり抜け、持っていた袋からファミコンのカセットを床にバラバラとぶちまけた。
ここはどこだと女の子に問いただした。 女の子は「ここは糞ゲーの墓場だよ。さ、一緒に供養しましょ。」 そういうと女の子はゲーム機にファミコンのカセットを差し込みスイッチをいれた。
549 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/11(土) 01:10:38 ID:4entYyZb
「さあ、合掌して」女の娘はそう言って目を閉じた。 「ああ」俺は頷き、女の娘にならおうとする。 が、何かしら違和感を覚えた。 「そ、それは!」 ――本体にセットされたソフト、それは【クロノトリガー】だった。
当時の家庭用テレビゲーム業界を代表し、とりわけロールプレイングゲームのジャンルでは双壁であった二つのソフトハウス。 ライバル関係にあった二社の才能を結集して制作され、いまなお評価も高い名作である。 なぜこんなクソゲーの山の中に……? そして、スーパーファミコンのソフトがなぜ、ノーマルファミコンで起動したのか……?
「はっ!」と目が覚めた。 そこはいつもと変わらぬ我が家で、自分はベッドの上にいた。 「ゆめ……か……?」まさかの夢オチだったのだろうか? しかし、自分の横で寝ていた半裸の少女の柔らかい感触によって、それは杞憂であったと思い知らされた。
552 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/12(日) 17:45:12 ID:J1ZvgjMO
そして少女もハッとして目を覚ました。どうやら俺と同じ夢を見ていたらしい。 視線が合う。 「こ、怖かった…」そう言って、俺に抱きついてきた。
目覚めたばかりのぼうっとした意識のまま、記憶の整理を試みる。 無人駅で少女に出会い、小屋の中でテレビゲームをしようとして… 振り子の揺れるあの印象的なタイトル画面と、当時としては画期的なデモムービーを見ながら… …あの男が突然、たけり狂って暴れ出したんだ…!
554 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/13(月) 16:58:40 ID:sRMGCdbj
男はかたわらにあったイボイボ付きの金棒を手に取るやいなや破壊の限りをつくした。 柱はへし折れ、次々と壁に穴が空き、床は真っ二つに割れた。 その足元ではファミコンソフトたちが無残にも踏みつぶされていく。 テレビ画面の中では振り子が時を刻んでいた。 男がクロノトリガーのプレイに支障をきたすところにだけ手を出さなかったのは不思議でならない……。
ゆっくりと記憶をたどっていると、遠くから電車の音が近付いてきた。 電車はこの部屋のすぐ上を通過しているらしく、茶だんすや蛍光灯が地震の時のようにカタカタ鳴った。 少女はおびえ、僕の胸に体を寄せてくる。 長く延びた飴色の髪の甘い匂いに誘われ、僕は何も言わずに少女の肩を抱きしめた。
クロノトリガーだと思っていたそれはなんとスペランカーであった。 「私の弟よ」 彼女が現れた男をさした。 男はよろしく、とでも言うように軽く瞬きをすると、おもむろにコントローラーを差し出してきた。
557 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/14(火) 21:03:11 ID:SMXUt9t8
俺は得体の知れない男と、こんな糞ゲーで戦わなくっちゃならないのか!? しょうじき、断りたい……。
だが、断れない!! チートをいじった改造スペランカーは対戦型の格闘ゲーに変貌していた。 史上最弱とも言われた主人公キャラ同士の対戦は、格ゲーというより詰め将棋に近い慎重さで、デモ画面を見つめる俺の手にはじっとりと嫌な汗がにじんだ。 だが、負けるわけにはいかない…
559 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/14(火) 23:25:50 ID:DWlNsGh0
しかし、俺の腕では勝つことができなかった。 俺は怒りに任せ、コントローラーを床にたたき付けた……。 すると、得体の知れない男は、俺の彼女を部屋の中に連れてくると……抱きしめて、接吻をした!! 「姉ちゃんに勝てたらこの娘を君に返してあげる……もし負けたら君の目の前で犯す!」 少女は《たけしの挑戦状》をファミコンに差し込んで電源を入れると……俺にコントローラーを差し出してきた。
どうせまた改造モノなんだろ…? いちおう、攻略本にたよりつつもこの世紀の珍ゲーをクリアした事のある俺だが、こう不利な条件では勝てる見込みは薄い。 と思いつつ、モニターを見るといたって普通だ。 少女は2コンを握り締め、ひたすら「雨の新開地」を熱唱している。 これなら勝てる…!
561 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/15(水) 18:35:56 ID:ba2vY6qj
しかしまたもや汚物肉便器菊池夕夏のせいで全てが台無しになった。 もはや夕夏には誰も逆らえない。 そして夕夏は公害認定してもいいほどの酷い歌唱力で全シングル曲を大熱唱した。 大熱唱したあとは夕夏の周囲に生暖かい遺体が大量に発生するのである。 そして夕夏はマンコのケアをいたあと長戸のもとに赴くのであった。
562 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/15(水) 20:01:37 ID:M2JxwB/Q
その頃、長戸はチン毛の処理をしていた。 男であり、普段は武骨なざっくばらんさを自分の最大の魅了のひとつとして周りにアピールしている長戸だがなぜかチン毛の処理だけはかかさないのである。 それはチン毛に対する偏執狂的な憎悪だ。 長戸は子供の頃……
563 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/15(水) 20:48:49 ID:llxCTjSv
えろい
564 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/15(水) 21:55:55 ID:/94r0XK4
親にチン毛を売られてた。キロあたり77万円で 親は其れを軍資金にパチンコ屋ヘ行き…
565 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/15(水) 22:59:40 ID:M2JxwB/Q
たちまち店長と恋に落ちた。 パチンコを打つ暇もなかった。 おかげでムダに散財しなくても済んだのである。 長戸の親は近所でも評判のキングオブザ養分であり、釘読みをまったくせず、直感のみで台選びをしていたのだ。 負けたら「遠隔だ!」と騒ぎ立て、勝ったら「実力だ」と自慢するウザい客であった。
だがそんな長戸もいまや、単なる肉片と化し、俺のチャーシューメン具に供されている。 もちろんそんなことは俺は知るよしもない。 カップ麺製造工場の製造機械の中に放り込まれ、業務上の事故と認定された挙句、保険金が893資本の闇金融に流れた事など、俺には関係ない。 ローカルルールも守れないクズの命なんかよりも、
という悪夢を見た長戸は案の定おもらしをしてしまった。 このおもらしが親にバレると今度は脇毛まで持ってかれてしまうだろう。 長戸もそれだけは避けたかった。 なぜなら長戸のワキガは麺つゆの風味を携えており、 猫っぽい男子を一人残らず引き寄せてしまうからだ。
568 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/16(木) 15:03:17 ID:5IB7I0wk
しかしやってきたのは犬っぽい男子であった。 いや、むしろ犬そのものである。 その目は血走っており、口の端から泡状のヨダレをしたたらせている。狂犬病なのであろう。 男子は長戸の尻にガブリと噛みついた。
…所まで観て、テレビのスイッチを切った。 いつのまにか少女は、小さな寝息を立てて眠ってしまっていた。 まだ高校生くらいであろうか…。 うっすらと落とし切れない化粧の跡の残るあどけない寝顔を見ながら、俺も眠ろうとした。 その時、電話が鳴った。
570 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/17(金) 00:24:41 ID:2f5w9ayi
「テレビじゃないワン!現実だワン!」
――な、なんてことだ。テレビ番組だとばかり思っていた
>>568 のレスは本当にあったことだったのだ!
電話の主は長戸に噛み付いたあの狂犬病の男子である。
俺の全身が恐怖に打ち震えた。
俺こと佐藤闇彦は全身を震わせながらも、受話器の向こう側に集中した。 しかしどうしても話の内容が飲み込めないため、一言だけ訊き返してみた。 「狂犬病って内科で治すんですか?w」 すると受話器越しの、あのわんぱくで甥によくいるタイプの声が初めて途切れた… しばしの沈黙…
まずいと思った佐藤は必死で誤魔化した。 「狂犬病のウイルスを今日顕微鏡で見たよ、なんつってアハハ」 ・・・状況は変わらない。 佐藤は果敢に攻め続けた。 「もっと笑ってよぉ。ひょっとして超ウケん病?なんつってアハハ」
573 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/17(金) 17:07:45 ID:2f5w9ayi
と、佐藤のこのくだらないダジャレに爆笑する者がいた。ベッドに寝ていた少女である。 「あははははは。あははははは。あはははは」 その様子は尋常じゃない。 息つぎもままならないほど狂人の如く笑っているのだ。 「ま、まさか!」 佐藤がテーブル上の皿に残されたシチューにマダラ模様のキノコを発見したのは、不幸中の幸いといえよう。
574 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/18(土) 04:24:53 ID:MA9k/Lx4
よかった…まだ残ってて…。 俺は皿の上の若いベニ○ングダケを矢継ぎ早に口に放り込んだ。 猛烈な吐気と目眩に耐えること一時間余り、俺を取り囲む世界がにわかに輝き、鮮やかに彩られ始めた。 「美しい…」 そう呟いた俺の声にも深いエコーがかかり、きらめき、またたきながら俺の視界に踊り続けている。
「ヘルプ ミー!!!」 我に返った佐藤こと『さっつー』の第一声は意外にもルイジアナ訛りの英語だった。 このままではいけない…今後、見えない蝶々を追い続ける半生を送ってしまう。 やっと、ナントカテングダケを無心に頬張ったことを悔い始めた佐藤は とにかく水をたらふく飲んで吐くことに決めた。
さっつーは台所へ駆け込んだ。 まだぼんやりとした視界の中、手探りで蛇口を見つけだし、 全開で水をたたき出した。 ゴクゴク・・・!! 口に含んだものが水では無い事に気付くのに時間はかからなかった。 「この甘味は。。。」
577 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/18(土) 14:01:50 ID:MA9k/Lx4
「ネギや。…そう、下仁田産の長ネギの味や。舌の上ではんなりととろける豊潤な甘み。飲み込んだ後で微かに鼻に抜ける鮮烈な香味…。間違いない。下仁田ネギや。そうやろ?」 「その通りです。蛇口をひねれば水が出てくるという固定観念を逆手にとってあえてこのような演出にしてみたのです。 いかがですか?『究極のあら汁』、おいしいでしょう?」
578 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/18(土) 14:24:42 ID:2mEW2u+g
「あら、そうだったの?」この期に及んでもさっつーはダジャレで返した。 その場にいた者すべてが凍り固まる。 さっつーにも分っていた。こうなることくらい。 ではなぜ彼はこんな暴行を冒したのだろう……。 本人がいちばん知りたかった。
579 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/18(土) 20:03:23 ID:HW8NelQA
「その疑問には、私がお答えしよう。」 扉の向こうから現れたのは、長身・白髪の男だった。 「だがその前に、少しばかり整理しておきたい。そう、ここまでの話の流れをね。」 そういうと彼は、いかにも厄介ごとに関わるはめになって不愉快だと言わんばかりにネクタイを緩め、部屋の窓を開いた。 「さて・・・」
580 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/19(日) 10:44:53 ID:zezL0QGH
その瞬間、射撃音と共に白髪男の額から鮮血が噴出した! ぶっ倒れる男。 俺は慌てて窓際に駆け寄った。 ビルの屋上で眉毛の太い角刈りの東洋人が笑っている。 殺られた……。
角刈りの東洋人…? ま…まさか… 両津…?
582 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/20(月) 09:56:35 ID:FwsysgAM
みたいな
ゲロゲロパフパフどんどん
584 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/21(火) 01:17:27 ID:cGHs3rkf
街路を練り歩くチンドン屋に気をとられた隙に、狙撃者の姿は消えていた。 奴の狙いはどうやら俺ではなかったらしい。 命びろいしたと安堵し、ポケットから赤ラークを取りだして火を点けた。 煙が紫がかった灰色の線を描いてビルの隙間を駆け上がってゆき、都市に浮かぶ鉛の様な空へと還ってゆく。
>>584 うまい事書くなぁ〜〜
狙撃者は言った。
586 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/21(火) 13:19:11 ID:MqEeoLzo
俺は灰皿で煙草の火をもみ消す。 肺の中の煙をぜんぶ吐きだ……。 「あれっ」いっこうに煙を吐き出せない。 無尽蔵に煙が出て来る。 なんと煙だとばかり思っていたそれはエクトプラズムだった。
幽体となった俺は重力の拘束を逃れ、壁をもすり抜けられるようになった。 抜けがらとなった俺の肉体が、口をぽかんと開けたまま窓越しに宙を見上げているのが見える。 あまりいい気はしないので、しばらく散歩することにした。 ところで、俺の姿は一般の人たちには見えているのだろうか?試しに、向こうから歩いてくる
588 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/22(水) 10:35:10 ID:uWCuZukg
奴に声をかけてみることにした。 「なぁ、ちょっといい……」 と、――俺は絶句した。驚愕のあまり声も出せやしない。 そいつは俺とうりふたつだったのだ。 ドッペルゲンガーである。
その男は小さく笑みを浮かべ答える。 「なんだよ」 男には自分の姿が見えていた。さらに男は続ける。 「狂犬病の男子の話はどーなった?」 そうだ。すっかり忘れていた。
590 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/22(水) 11:51:37 ID:uWCuZukg
「ああ。狂犬病の男子な。やつは狂犬病が治ったとたん狂犬病の犬に噛まれて狂犬病で死んだよ。皮肉なものさ」 ふっ、と俺は笑った。 「これで満足か!」
591 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/23(木) 04:01:05 ID:F0JH50oc
「で、その続きはどうなったの?」男は瞳をランランと輝かせながら訊いてきた。 胸ポケットからメモ帳とボールペンを取り出す。 ――はて、こいつの顔どこかで見たことあるぞと俺は思った。 思い出した。 悪名高き作家の全部盗作氏である。
盗作がバレるまでは一流作家気取りで高級マンションに住み、高い店で遊びまくっていた盗作氏。 いまやこんな便所の落書き掲示板に、自己満足の創作発表をするほど落ちぶれたのか…。 俺は悲しくなり
リュックサックを背負いなおしながら、ふと思った。 ――だが、どうして全部盗作なんて名前で書いてて、つい最近 まで盗作だという事が判明しなかったのだろう――と。
594 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/24(金) 05:03:14 ID:a1t4xFAg
「ふっ。それはな」と、盗作氏は笑った。 なぜ俺の思考を読んで答えたのかは分らない。 いくらリレー小説だからといっても、むちゃくちゃ過ぎる。 おそらくこの地の文も読まれているのだろう。 いきなり盗作氏は俺のチンポコに武者振り付いてきた。
しかし盗作は0.2秒でその粗末なイチモツが、 危険レベル5の大量破壊兵器であると判断、即座に口内洗浄を行った。 念のため腸内洗浄まで要求した、盗作の行動には些かのわだかまりはあるものの、 俺の黒光りするイチモツの臭気を考えれば、英断と言わざるをえない。 なんやかんやで体の中からスッキリした盗作改め『るっぱ〜ん』は…
性転換手術を受けた。 今日から私は完全なる女。 今にみてなさい、みんなニャフンと言わせてやるんだから。
その三秒後、全人類がニャフンと言った。
生き甲斐を失った女は唐突に
599 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/24(金) 20:42:46 ID:a1t4xFAg
夜釣りへ行った。狙いはカサゴである。 初心者でも釣りやすいと聞いたからなのだが、いかんせん女は馬鹿だった。 第いっとう目で根掛かりを起し、無理ヤリ竿を引っ張った。 新品の2万8千円で買った竿は真っ二つ! 女の目に涙が浮かんだ。
そして女は男に戻る事を決意した。 竿が折れた事に、思うところがあったのだろう。
だが男に戻る道は困難を極めるものであった。 前に切ったペニスはもうない。主治医の判断でユニセフに寄付してしまったからだ。 男…いや女、…はるな愛(仮)は絶望した。 患者のちんこを寄付する主治医も主治医だが、 受け取るユニセフもどうかしてるのではないかと…
完
二作目 「部屋とYシャツと不思議な和尚」 ↓
604 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/25(土) 01:49:56 ID:cKQYYELW
和尚は夜釣りへ行った。カサゴ狙いである。 しかし、いかんせん和尚は前回の女に輪をかけて馬鹿だった。 部屋からYシャツを着て出かけたはいいが、それ以外なにも身につけていなかったのだ。 少し酔ってもいた。 公園で捕まった。
605 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/25(土) 01:54:37 ID:PxJb5M/m
汗。汗。 見事なまでに剃り上げたつるつるぼうず頭に光る脂ぎった汗の玉。 「お願いでござる。あなたの名字になる私を大事に思うのならば…」 「和尚…。いけませぬ……。しょせん人の道に外れた秘め事…。そのような事は言ってはなりませぬ。」 「珍念よ…。おおお…。この苦しい胸の内、どうかわかっておくれ…。」
606 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/25(土) 02:04:51 ID:cKQYYELW
↑リレーしろ、馬鹿
>603の続きを送信しているうちに、先に>604が反映されたためにつながらなくなってしまったのだろう。
2chではわりとよくあるケースだ。
リレーがおかしくなってしまったのなら、続く者が強引に辻つまを合わせればよいだけである。
>>606 はそんな機転も効かせられられずに、無為に他人を罵倒する始末…。
和尚は苦笑しつつ
>>606 の首をへし折り、生ゴミと一緒に焼却し終えると派手なスーツに着替えた。
二人とも落ち着かんか。 いい大人がなにをやっておるのじゃ。 和尚は606と607を叱責した。 しかし下半身は丸出しである。
和尚の優しさと厳しさを兼ね備えた眼差しに威圧され、私は思わずたじろいだ。 そして馬鹿呼ばわりされた事で冷静さを失ってしまった自分を恥じた。 事情はどうあれ、秩序が乱れたことは事実。言葉遣いは悪いながらも606の指摘はなんら的外れではない。 私は涙を流し、自ら燃え盛る焼却炉へとダイブしたのであった。 和尚は満足げにそれを眺めてうなづくと、スーツにフルチンという奇抜ないでたちで街へ向かった。
610 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/25(土) 17:46:37 ID:cKQYYELW
街には和尚の店がある。その名もズバリ「ギョーザの和尚」 安くて美味いと評判の店であった。
和尚はいつものように下半身丸出しで、いつものように カウンター席に座ると、いつものように注文をした。 「親父、例のものを」
妙にもったいつけた言い方だが、何の事はない、単なるチャーハン+ギョーザ+生ビールのセットを注文しただけである。 和尚ともなると飯を食うにも人の目を気にしなくてはならぬのだ。 ともあれ、飯が出てくるまでの時間、スポーツ紙などめくる姿は、ごく普通のおっさんそのものである。
613 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/26(日) 09:40:36 ID:Kem0yfcC
やがて運ばれきたチャーハンとギョーザと生ビールのセットを前に和尚は思う。少ない、と。 以前は腹がぱんぱんになるほどの量があったのになぜだろう。やはり不況の煽りか。 和尚はライスを追加注文することに決めた。ギョーザは生ビールのツマミとし、チャーハンにライスを混ぜて食べるつもりである。ソースをぶっかければ味は薄くならずにすむ。なんの問題もない。
だが、親父にライスを頼んだ次の瞬間、和尚を衝撃が襲った。 「あいよ!」 出てきたのはアイスだった。和尚は滑舌が悪かった。
616 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/26(日) 18:06:18 ID:Kem0yfcC
和尚は公園に着いた。 そこには泥酔した男がいる。全裸だ。 「こやつが悪霊か」 和尚は警策を上段に構え、男へ近付いていく。
脱ぎ捨てられたYシャツを見て、和尚は考える。 ――ともすれば、この公園は、この男にとって部屋のようなものなのかもしれぬ。 しかし、社会と自然の摂理はそれを許すまいて―― 和尚が警策を振り上げると、警策は街灯の光を失って闇に溶けた。
「喝!」 一旦闇に消え、再び月光と街灯に照らされながら一閃、和尚の警策が全裸男を激しく打ち据える。 苦悶の表情を浮かべる男に対して、さらに二度、三度と警策を振り降ろす。 肉が裂け、血しぶきが鮮やかな弧を描いて辺りに飛び散る。 「これでいいんだ…これで…」
619 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/27(月) 06:54:53 ID:PhMbzb2Q
男は命乞いどころか叫び声のひとつも上げなかった。理由は分らない。 とにかく和尚はそれをいいことに男をめった打ちにした。卑怯な奴である。 これが仏の道を歩む者のすることか! 和尚の瞳は嗜虐的な輝きに満ちていた。 真に打ち殺されるべきは下半身だけを露出させた変態そのものの和尚であったろう……。
一方その頃、「ギョーザの和尚」の親父は和尚を探していた。
621 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/27(月) 17:41:36 ID:PhMbzb2Q
和尚も親父を探していた。
# ひと仕事終えて飯でも食おうとしたら、あの親父め、どこへ消えやがった…? 営業時間中に席を外す事など、今まで一度もなかったのに… まさか…、私の凶行を知った何者かが動き出したというのか…? だとしたら急がねばならん。私の邪魔をする者には一秒でも生きていてもらっては困るッ!
623 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/28(火) 10:12:03 ID:L3H8YUzD
和尚が親父を探し出すことは、難しい。なんのへんてつもないどこにでもいそうな風貌 をしているからだ。 しかし親父が和尚を見つけるのはいとも容易きこと。なんせ相手はスキンヘッドに下半 身を露出させ、血まみれの警策を手にした老人である。 親父が街をウロウロしていると遠く人だかりが出来ているのに気がついた。
人面犬だーー。人面犬がでたぞーー。
何の奇跡か、和尚のその変態っぷりを包み隠さんとするかのごとき 超常現象が、その街では起こっていた。 都市伝説の表出。 その第一陣として現れたのが、人面犬である。
626 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/28(火) 21:55:19 ID:L3H8YUzD
人面犬はすでに和尚を食い殺していた。 骨だけとなった和尚は公園で全裸男の死体と抱き合っている。憐れなものだ。 「ガルルゥ、ガルルゥ、ガルルゥ」人面犬は次なる獲物を物色している。 その人だかりを掻き分けていく親父……。
「いらっしゃ〜い」 「…チャ、チャーハン…」 「チャーハンお一つですね。かしこまりました。」 「…あっ…あと…ビールと…つまみにギョーザも…」 和尚が初めて来店した時のうぶな少年のような仕草が、親父の脳裏を流れた。
628 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/29(水) 04:37:55 ID:K+JxqU7k
親父は後悔していた。和尚に量が少なくなったセットメニューを出したことを。 たしかに不況の煽りを受けて食材の仕入れ値は高くなっていた。 しかし、それならそれで前もって説明すべきだったのだ。 まるで雨の日に捨てられた子犬のように汚れなき純粋な瞳でチャーハンとギョーザと生ビールを見つめる和尚の顔が、親父の胸を締めつける……。
「ウギャア」 誰かの悲鳴で親父は我に返った。 また誰かが人面犬の犠牲になったようだ。 学生風の若い男がのどぶえを噛み切られ、地べたに仰向けにひっくり反っている。
630 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/30(木) 11:01:01 ID:ftAmQUFG
親父は気を落ち着けるため胸ポケットから煙草を取り出し、火をつけた。セブンスター のメンソールである。 「メンソールなんて吸うの何年ぶりかなぁ」親父は鼻から豪快に煙を出して呟く。 実はこの煙草、母がパチンコの景品として取ってきたものだ。 俺が普段吸っているのはセブンスターなのに何でわざわざセブンスターのメンソールな んかと景品交換したのだろう。使えないババアだなぁ、と親父は心の中で悪態をついた。
しかしながら、この歳になっても独身の俺が言うべきセリフではないよなぁ、と親父は苦笑した。 女手一つで店を切り盛りし、自分を料理の専門学校まで卒業させてくれた母親。 親父が店に立つようになってからは、今まで我慢していた時間を取り戻すように遊びに興じているが、何も言えなかった。 …長生きして欲しいよなぁ…。 ふと気付くと、すっかり満腹になった人面犬が、親父の足下に擦り寄って甘えるように鼻を鳴らしている。
「なんだよ……お前も寂しかったのか」 親父は手を伸ばし、人面犬の頭を撫でた。
背後に視線を感じたので振り返ってみると 10メートル先あたりに、もう一匹の人面犬が。 足下にいるそれと比べるとふたまわり程小さい。 「こいつの子供なのか?しかしあの顔どこかで見覚えが……」 親父は思い出した。そうだあの顔は
634 :
創る名無しに見る名無し :2009/04/30(木) 18:01:56 ID:ftAmQUFG
父だ。間違いなく、中華料理店を営む親父の亡き父だ! その父の顔をした人面犬はわき目もふらず親父に噛み付いてきた。 親父は悟る。因果応報を。 これは自らの母をババア呼ばわりした悪しき心の報いなのだ、と……。
635 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/01(金) 21:55:28 ID:k3ARmRDW
その瞬間、親父の背中に後光がさした! 悟りを開いた親父は生き仏となったのである!
636 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/02(土) 04:34:34 ID:o7CLo7Se
仏となった親父は作詞に目覚めた。 十日間、不眠不休で書き上げた渾身の作品をとあるプロダクションへ持ち込みに行く。 「こ、これは……!」親父の詞を読んだ担当者は絶句した。 ブルブルと震え出し、ついにはソファーごと白目を剥いて後ろにぶっ倒れる。 担当者の手から離れた原稿用紙がヒラヒラと宙に舞った。
「なんだなんだ騒々しい。ん?なに?作詞家志望だ?間に合ってるよ。うちは音も作れて詞も書ける若手がたくさんいるからね。おっさんに用は無いよ。さあ帰った帰った。」 担当者の上司らしき男は奥の部屋から突然現れると、原稿に目もくれず、冷たい目で親父を一瞥するとそうまくしたてた。 親父があきらめて帰ろうとしたとき、気絶した担当者が我に帰り、叫んだ。 「帰らないで!待ってください!それから部長!この歌詞をお読みになってください…」
「あ、あれ?原稿は!?」 その時、原稿用紙はヒラリヒラリと窓の外へ。 「あぁっ!」 担当者は思わずダイブした。
I can fly!!
小一時間後、親父は河原の土手に座り、ぼんやりと川のせせらぎを眺めていた。 あの担当者には悪い事したけど、俺の書いた歌詞をずいぶん気に入ってくれてたみたいだったな…。 こんなわけのわからん素人にまでマジメに相手してくれて、いいやつだった。 それにひきかえ、あの部長ってやつときたらあの後、ひたすら「私は無関係だ。厄介事に関わるのはごめんだ。」の一点張り。 あんなんと仕事するくらいなら俺、作詞家なんかならなくていいわ…。
641 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/03(日) 00:06:52 ID:VzGfAuPg
川面を眺めているうち親父の釣り魂に火がついた。 やおら竿を取り出すと道糸に浮き止めとヘラ浮きを素早く通し、1・5号のハリスで仕 掛けを作る。 ガン玉とヨリモドシ、ハリはチヌ2号。枝ハリスは付けない。シンプルオブザベストの 仕掛けだ。 「よし、この川の魚を根こそぎ釣ってやる!」
チヌ釣りならちょいと自信のある俺だ…だが油断はならねえ…今の俺はちょいとばかしセンチな気分にあおられちまってる…。 親父が糸を垂らして数分後、見事な腕前でハゼの大物を釣り上げていた。 …へえ…こりゃなかなか驚れぇた。こんなんがいるたぁまだまだこの辺りも捨てたもんじゃねぇな。 親父は無我夢中で竿を振った。 夢を見る事さえままならないこの人生に挑戦状を叩きつけるかのように。
643 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/04(月) 05:28:42 ID:Cf2Hk9Eo
「その挑戦状、しかと受け取った……!」 川面にぱっくりと巨大な口が開き、人の言葉を喋った。 「げっ」親父は竿を放り投げ腰を抜かす。「か、川が喋った!」 「ふっふっふっ」口の端をつり上げて川は不敵な笑みを浮かべる。 いちじんの風がふたり(?)の間を吹き抜けた。
「どうした?恐怖のあまり声も出んか?」 「いやなに、川がしゃべるなんて今までで初めてなもんでな。 このオレともあろう者が少しばかり驚いてしまったようだ。…見事なトリックにな。 …だがな、大人をからかう事にはそれなりの代償がついて回るもんだ。 今からそれを教えてやろう。…たっぷりと、骨身に染みるくらいにな。」
645 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/05(火) 01:27:30 ID:5YDOUTNQ
と言うなり親父は川に背を向けて走り出した。トリックの証拠を取りに行ったわけではない。 逃げ出したのである。 「ひ、ひぃぃぃ」親父の顔面は蒼白で、ジーパンの股が黄色く濡れていた。 シマムラで買った980円のジーパンであった。
安物のジーパンのボタンが外れて脱げかけ、親父はすそを踏んづけて派手に転んだ。 したたかに打ち付けた膝をこすりながら起き上がると、そこは砂漠のど真ん中であった。 真っ青な空と見渡す限りの黄色い砂。砂。砂。 照り付ける太陽と蜃気楼。 木陰すら見当たらない不毛の砂丘に取り残され、親父はあんぐりと口を開いたまま途方にくれてしまった。
647 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/05(火) 11:59:56 ID:5YDOUTNQ
このような状況下では負の思考に支配されるのが人間の常だ。 親父は思う。「なぜ俺は親父などと呼ばれてきたのだろう」、と。 じっさい親父は35歳で、「親父」と呼ばれるか「兄ちゃん」と呼ばれるかは微妙な年齢である。 しかし、親父は25歳を過ぎた辺りからすでに「親父」と認識され出したのだ。周りの人々に。 「このまま死んでしまった方がいいのかな……」もはや厭世的な気持ちにさえなっていた。
一方その頃食われたはずの和尚は――
649 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/06(水) 05:50:44 ID:8u282HOF
みごと蘇っていた! どのように蘇ったのかは定かでない。 ある人いわく、「ひさしぶりに和尚を街で見かけた。あいかわらずフルチンだった」とのこと。 不思議な人間である。
一度死に瀕し、蘇生した事で大きく力を上げた和尚の前では、狂暴な人面犬ももはや敵ではなかった。 「喝!」 空間を引き裂く警策のひと振りで力の差を知り、後ずさる人面犬。 追い討ちをかけるように和尚の口から洩れ始める破邪の念仏。 人面犬の顔から人面が消えてゆく…!
最早ぶっちゃけた話ただの犬だ。
652 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/07(木) 00:32:13 ID:SrEmGqHC
ただの犬を警策で叩きつづける和尚。 犬はピクリとも動かない。死んでいるのだ。 「ぐへへへ。俺さまに逆らった罪だ。ぐへへへ。ぐへへへ」 そこを通りかかる者の姿。――極真空手10段で熊殺しの異名をとる動物愛護団体の会長であった。
「私は動物愛護の会島根支部部長だ」 「へっへ、部長クラスが和尚の儂に説教をするつもりか?」 言いながら和尚は犬の腹を蹴る。死骸の肛門と鼻腔から漏れでたものが砂利に染みる。 「死んだわんちゃんは可哀想だった。しかし彼は既に天国。生きてない者は保護対象にはしない。」 「ならとっとと失せな!それともあんたにも念仏唱えて欲しいのかい?」 「わたしが、愛護するのは(メガネクイッ) 私が保護するのは、あなただ、和尚。」 「えッ」
一度死んで生き返った存在だ。保護されても何もおかしくはない。 だが、当の和尚はまったくその気がなかった。というか、どのように よみがえったのか定かではないので、本人、一度死んだという 自覚はまったく無い。
655 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/07(木) 01:43:38 ID:SrEmGqHC
熊殺しの異名をとる動物愛護団体の会長はイラだっていた。 なぜ「熊殺しの異名をとる動物愛護団体の会長」という矛盾した部分から話を広げていかないのだろうと……。「こいつらクソだな。使えん」会長はちっと舌打ちした。
だってそこは性的な意味で殺すだと思ったから、と地の文は主張した。 実際はそんな風には全く思っていなかった、ただの言い訳である。 しかし、会長の舌打ちを聞きとがめた男がいた。 言うまでも無く、和尚である。
「増えすぎた動物、特に熊や猪は人間の生活を脅かす。 農作物の被害や、時に人身に関わる事故にも発展しかねないのだよ。」 「苦しい言い訳だな。それで『事故』への『ハッテン』具合はどうだったかね?」 「ぺ…ペットの去勢手術や声帯除去手術…。それら同様…」 「ペットかね(笑)この鬼畜めが…」
658 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/07(木) 10:43:03 ID:7vnSrjHn
ペニス一郎「↑またシモネタか。タチが悪いなあ…」
「…ちょっと、待ってくれ」 会長は会話を制し、電柱の陰の見物人に歩み寄る。 「すべての動物は『営み』を経て『シモ』より誕生するのだ。 軽々しくネタなどと言わないでもらいたいものだな。」 和尚にも聞こえるように、わざとらしい大声でそう言った。
和尚は言った。「荒げた海に繰り出すには、サンドペーパーと七人の侍が一番だぜ!」と。 その一言で部長の堪忍袋のような、いやむしろ、堪忍袋と寸分違わぬ程に巧妙且つ精巧にコピーされた、おばあちゃんの知恵袋の尾が、ジェイソンのチェーンソーで引き裂かれた。 和尚はジェイソンの親友だった。まさかこんな形で裏切られるとは思わなかった。 そんな走馬灯が駆け巡るうちに、部長のかいしんの一撃がヒットした。 「7代先まで呪ってやる。絶対に。絶対にだ。」それが和尚の最後の一言だった。
661 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/08(金) 09:07:15 ID:6T/3OnnB
和尚は最後のひとことを言った後に決心した。もう二度と喋るまい、と。 「口は災いの元じゃ……。これを機会に無言を貫く所存じゃ!」彼は心の中で呟く。 何かしら過去にもあったのだろう。 想像を絶する凄惨な過去が……。
ボンデージの男…、京都へ向かう新幹線…巨大な段ボールハウス… それらの映像が断続的にフラッシュバックし、恐怖で言葉を失ったと言うべきかもしれない。 支部長の打撃を頭部に受けたショックで見えた、それらの映像の正体はなんだろうか? 苦悩する和尚にとどめを刺すべく、支部長が近付いてくる。
支部長「お帰りなさい。エルホメス様」
和尚は気付いた。「そうか、俺はエルなんとかだったんだ!」 支部長は「そうだよ、君エルなんとかだよ。エルモだよ」と優しい笑みを浮かべた。 そう、ここは真夏の集団墓地。特に大きいとも小さいとも言い様のないカブトムシを、煮たり焼いたりする。割りと女性誌で取り上げられる心霊スポット。 支部長は更に優しく語り掛ける。「大量のダイナマイトを買っておいたよ」その一言で和尚は悟った。 今年の夏はダイナマイトが来る、と。 なんだかマネーのにおいがしてきた。ふふ。
「…ヌフフフ……!ハァーッハッハ…!」 突如高笑いを始めた和尚に、動揺する会長。 「会長さんよ。儂を舐めてもらっては困るぜよ。 その程度の幻術に惑わされるようでは、和尚など務まらんよ。」 じりじりと間合いを詰めると警策を構え、次の瞬間……!
唐突に、親父が現れた。
667 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/09(土) 00:26:47 ID:lN7dSZYU
そして親父はそのまま二人の前を通り過ぎて、どこかへ行ってしまった。 なんのために現れたのかサッパリ意味が分らない。 まぁ、とにかくたったひとりで砂漠から生還したのだから立派なものである。 しがない飲食店の親父でもやれば出来る!
生きるか死ぬかギリギリの状況で、親父は悟りを開いた。 ゼロがいい、ゼロになろう。砂漠の真ん中でそう思ったのだ。
そうして親父は今日のゼロカロリーブームの先駆けとなったのだ。……しかし、それはまだ先のお話……。 その頃、スペインの市街地ではなんかの祭りが開かれていた。それはもう激しい祭りで、死傷者が7000万人くらい出た。 そんな激しい祭りの中、露店をしていた、深い髭に顔の覆われた初老の男は、ハッとある事に気付く。 「やべぇ……今年ダイナマイト来るよコレ!!」
その瞬間、広場のど真ん中で大爆発が起こった! もうもうと煙りが立ち上る中、二人の日本人が激しい格闘を繰り広げている。 「なかなかやりよる…。和尚などにしておくのはもったいない。」 「フフフ…つい本気を出したら、地球に穴を開けてしまったようだぜ。」 スペイン市民たちはただただ唖然とするのみであった…!
671 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/09(土) 19:04:02 ID:lN7dSZYU
と、ボンボンを両手にした地元のチアガールたちが現れた。白のミニスカートだ。 彼女たちは応援を始める。「カ、イ、チョウ!カ、イ、チョウ!」 周りの人々も同じように、「カ、イ、チョウ!カ、イ、チョウ!」 和尚を応援する者など、ひとりもいない。 やべっ、ここアウェーじゃん!と和尚は悟った。
だがアウェーである事が、精神的不利以外の何をもたらすか。 そして、精神的不利など自分はとっくの昔に克服しているではないか。 和尚はそう思い直し、再び構えを取った。 両手を高く掲げ、右足を膝から折り曲げるようにしてあげる、 かの著名な構えを。
673 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/10(日) 01:40:38 ID:mWnY8jNz
和尚はバサバサと両腕を羽ばたかせ、空高く舞い上がった。 やらねばならぬことを思い出したのだ。 数日前、自分が罠に掛かっているのを助けてくれた老人……。 恩返しをしなければ……。 「この勝負、おあずけだ!」日本の方角へ和尚の姿がキラリと点になって消えた。
血の気の多いスペイン市民の事、和尚のボイコットに大ブーイングが巻き起こった。 このままでは暴動が起こってしまう…会長は焦り、辺りを見回した。 …広場の片隅に、調教士と水牛の姿が見えた。これだ! 「お集まりの皆様、静粛に。臆病風に吹かれたハゲ野郎の事など忘れなさい! 今から私が、あの水牛を素手でぶち殺してご覧に入れましょう!」
うーん… 物書きとしてゆるせないんだが 何この幼稚な文章
676 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/10(日) 02:33:24 ID:mWnY8jNz
↑だったらお前も続きをかけ、馬鹿
『臆病風に吹かれたハゲ野郎』にカチンと来ちゃったんだね? この物語はフィクションです。 実在の人物、団体、作家気取りの馬鹿とは一切関係ありません。 …よしっ。これでいい。 勝負だ!
物ww書wwきww 思い上がりもいいところだな。('・ω・`)<スレの傾向理解しようぜ。
「……全く、これだから2ちゃんは……」 ゼロに拘り始め、その起源から調べていた親父は、たまたま見た 2ちゃんねるでのやり取りに眉をひそめた。 しかしこの親父、調べ物にはwikipediaしか使わないのに、どうして 2ちゃんねるなどに辿り着いたのであろうか。全くもって謎である。 ――一方その頃。 ぶち殺して見せると宣言したはいいものの、会長は水牛を前にして 戸惑っていた。あまりに水牛がおとなしいからだ。もっとこう、派手に 興奮して暴れてもらわない事には、ショーとしての面白みに欠ける。 一体この水牛は何なのだ、と会長は理不尽な怒りすら抱いていた。 牛ならば、もっと鼻息荒く、こちらに敵意をむき出しにするものでは 無いのか、と。 会長は勘違いしていた。スペインにいる牛が全て闘牛として調教 されているものだと。運搬用の水牛である以上、目の前の牛は興奮 し辛く、大人しく荷を運ぶように調教されていて当然であったが、会長 にそのような事を知る由は無い。
680 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/10(日) 15:57:08 ID:mWnY8jNz
会長はヤケになった。
取り囲む群衆へつかつかと歩み寄り、ひとりのスペイン人の胸ぐらをつかんで叫ぶ。「今からこの
>>675 と戦います!」
病的に肌の青白い、痩身蓬髪で紙袋いっぱいの美少女フィギアを持ったスペイン人男性……。
戦う前から結果は目に見えていた。まさに公開処刑だ。
スペイン人男性は涙目でションベンをちびりながら2ちゃんでのカキコを後悔した……。
彼はかねてから日本に興味があった。その彼が、日本で最大の 掲示板群である2ちゃんねると出会ったのは、必然であった。 ……実際は、そう必然でもないかもしれないが、そう言っておかないと 話が進まない為、そう断言する。必然だ。必然だったら必然だ。OK? そんなこんなで、彼は2ちゃんねるを、つい先程までチェックしていた。 会長に胸倉を掴まれ、衆目の前に引きずりだされる直前まで。 地面に落ちたノートブックには、2ちゃんねるのトップページである、 壷の画像が映し出されている。 チェックしながらしていた事は、煽りの投下だ。 煽り。この文化に出会って以来、彼はそれにずっぽりとはまりこんで いまっていた。良くないことだと思いながら、それによって他人の感情を 揺さぶる快感の虜となってしまい、ありとあらゆるスレッドで煽った。 『お前朝鮮人だろ』『そこまで言うならお前がやってみろ』『ふざけるな ○○党の工作員が』etc... そういった中の人を想定した反応の一つ一つが、彼の心をくすぐり、 どうしようもなく甘美な、麻薬にも似た味わいを心に満たしていく。 ――実際には、自分はただ日本語と日本の文化、特にヲタクと呼ばれる 神人達のそれに詳しいだけの、ごく平凡なスペイン人だというのに。 そう考えてほくそ笑んでいた罪に対する罰が、今の状況なのかも しれないと、男は考えた。目の前のむくつけき男は、神の代理人なのだ。 足にまで垂れてきた小水の感触に身を震わせながら、男は目を閉じ、 そして慣れ親しんだ日本の言葉を用い、神に懺悔した。 「ナーム、アミダーブツー!」
682 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/10(日) 20:39:46 ID:EiR40Yau
ペニス一郎「ナムルみたいなナムの発音するなバカ」
「ニワカ乙」 遠い空の彼方から声が聴こえたかと思うと、光の点となって、それは矢の様なスピードでこの場に舞い降りた。 和尚が戻ってきたのだ。 「意味も分からず軽々しく念仏など唱えるのは止めた方がいいぜ、そこのお前。 …それから会長よ、どうだろう?ここは一先ず休戦し、この馬鹿を粛清するというのは?」
会長は和尚の突然の提案に驚きを隠せないでいた。 しかしこの奇怪な男に自分の動揺を悟られてはまずいと気付き、 すぐさま立ち直ると、和尚を指差し嘲笑した。 「笑わせるな、貴様のせいでショーがこんなになっちまったんだぞ、 寝言は寝てから言えよ、このクソハゲ!」 クソハゲと言う会長の悪口に和尚の眉が僅かに攣りあがったように見えたが、 しかし和尚は冷静さを保ったまま会長を諭してくる。 「見てみろ、観客達の様子を、彼らは今やこの光景に釘付けとなっているではないか、 挽回するなら今こそがその機会だぞ。」 確かに、和尚の言うとおり観客達は会長、優しい目をした水牛、小便を漏らしたスペイン人、和尚、 そして先ほど現れた謎の男(何故か胸にペニス一郎と書かれた名札を付けている) に眼を凝らし、口を閉じて沈黙している。 この緊張した空気を読み取った会長の長年の経験がこのチャンスを逃すなと囁いてくる。 「よし、いいだろう。」 会長は上着を脱ぎ捨てると、ペニス一郎の名札を着けた男に鋭い眼光を突きつけた。 その挑発がペニス一郎の逆鱗に触れたのだろうか、 彼は眉根を寄せて会長と和尚(先ほどまでの話を聞いていたペニス一郎にとってはこの男も立派な敵だった。) を睨み返すと、首の間接を鳴らしながらガムを吐き捨てた。 「ああ、なにゴチャゴチャ抜かしてんだ、てめえら肥溜めに埋めっぞ?」 彼は歯を剥き出しにした凶暴そうな笑みを浮かべると、懐からリボルバー拳銃を抜き出した。 「てめえら、ちょっと死んどけや。」
685 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/11(月) 17:38:56 ID:m+GEf8Jz
これにいち早く反応したのがヲタクのスペイン人男性である。「ひ、ひぃぃぃぃぃ」 ちなみに銃口は彼を向いていなかった。会長に向けられていた。 それでも腰を抜かして脱糞し、命の次に大事な美少女フィギアを紙袋ごと広場へ放り投げたのだ。 全員の注目が彼に集まる。 「やっぱコイツから始末するか」ペニス一郎はスペイン人男性に照準を合わせた。
ヲタクのスペイン人は泣きながら訴えた。 「物書きだなんて嘘付いて上から目線で批判したこと死に値するかもしれません…しかしながら…!」 彼は広場の奥、時計台の下辺りからこちらを見ている男性――まとめ役をやらせたらいかにも上手そうなインテリ然とした――を指さし、叫んだ! 「5行制限も守らず、澄ました顔で我々の真剣なやりとりを観察しているあの男!かれもまた大罪を犯し、断罪されるべきではないのですか!?」
あん?、一郎はそう呟きながら時計台に目をやると、 確かにダークスーツの眼鏡をかけた男がこちらを見ている。 しかし彼はそれ以上に重要な事実に気がついた。 「も、もうすぐおやつの時間じゃないか・・・・・・。」 一郎は突然あたふたと慌て出すと、ポケットからカロリーメイトを出し、 口に入れてボリボリと頬張った。 「いやあ、やっぱりチョコ味はうまいなあ、この匂いが良い。」 一郎はおやつを食べたことで上機嫌になっており、 辺りにはカロリーメイト(チョコ味)の甘い匂いが漂っている。 その一郎の行為によって、 スペイン人はヲタク特有の変なプライドを傷つけられて悔しさのあまり激怒した。 「僕はおやつの話しなんかしていない!!あの男を断罪しろと・・・・・・」 スペイン人の言葉は最後まで発せられることはなかった。 何故ならダ−クスーツで眼鏡のインテリが狙撃ライフルでスペイン人の頭を撃ったからだ。 撃たれたスペイン人の頭部はアスファルトの道路に思い切り叩き付けたスイカの様に割れて、 真っ赤な血とミンチになった灰色の脳味噌があたりに飛び散った。 一郎はその光景を見てもカロリーメイトを平気で頬張っている。 「チョコ味いいよなあ、チョコ味・・・・・・あっ、兄貴もこっち来てくださいよ。」 そう言って一郎が手招きした相手はあのインテリだった。 インテリはにやりと微笑むと、背中に背負っているジェットパックでこちらまで素早く飛んでくると、 見事に着地をして観客にピースサインをする。 カロリーメイトを食べ終えた一郎は不敵な笑みを会長と和尚に向けると、 リボルバー拳銃(S&WM19、通称コンバットマグナムの名で知られる)の撃鉄を挙げた。 「腹もいっぱいだし、兄貴も来たし、それじゃあお前ら悪いけど殺しちゃうから・・・・・・精々俺達を楽しませてくれよ?」 会長と和尚に、今二人の凶暴な殺し屋が牙を突き立てようとしていた。
突然、空が暗くなった。 驚いて見上げると、火の付いた巨大な爆弾がキーンと音を立て、こちらへ向かってくる。 ドッカーーーーーーーーーーン!!! 幾度となく囁かれた「ダイナマイトが来る」との予言は、まさに今現実となったのだ。 腹に「5行制限」と刻印された巨大爆弾…それは頭上に降り下ろされた正義の鉄槌だろうか?
689 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/12(火) 15:42:31 ID:12FRfQGB
「な、なんだこれは!?」中華料理店【ギョーザの和尚】の親父はイスから腰を浮かせた。 かき入れ時を過ぎ、煙草をくゆらしながらぼーっとテレビを観ていた親父であったが血相を変えて画面へかぶりつく。 そこにはスペインのとある広場が映し出されている。まさに、阿鼻叫喚の地獄。 一瞬、血に染まる広場の奥に和尚の姿を見たような気がした。
今の爆発で優しい目をした水牛が瀕死の重症を負ってしまった。 インテリはその水牛の頭を踵で叩き潰して止めを刺し、クックッと笑っている。 「なるほど五行制限か、確かにそんなことがさっき読んだ預言書に書いてあったな、 勘違いしないでくれよ、僕は家電製品の説明書はよく読むほうなんだ。」 会長は、隙ありっ、と叫ぶとインテリの顔面めがけて拳を突き出した。 「フッ、これでもう六行目。」インテリは会長の拳を受け止めると、その腕を手刀で切断した。
「制限を律儀に守っている者と、その制限すらも突破する者―― どちらが強いかは、誰の目にも明らかだろう?」 インテリは腕を押さえてうずくまる会長を見下ろしながら、叩きつける ように言葉を放った。
「フッ…少々運動したせいで汗をかいてしまった…。」 インテリはスーツを脱ぎ捨て、ワイシャツの腕をまくり、胸のボタンをひとつ外した。 すると、うずくまっていた会長が笑い出す。 「…なるほど…。制限すら破る強さか…。実に素晴らしい。では私も君に倣ってLRを破らせてもらうとしよう。」 会長の腕の切断面から触手が伸び、インテリの衣服の隙間から侵入する!
693 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/12(火) 21:04:59 ID:12FRfQGB
触手はインテリの性感帯を刺激する。チクビに巻き付き、首筋をなぞり、アナルへ進入。 この世のものとも思えない快感に身悶えるインテリ男性! 「ハァハァ、卑怯だぞ。ハァハァ。もっとやって(ハート)」 LRをこのようなかたちで破るとは、誰も予想だにしていなかった! 中華料理店の親父はあきれ顔でテレビを消した。
「まあ、そうなるよな」 和尚は一人うなずいていた。
会長の指に挟んだ煙草から立ち上る煙が夕日に溶けてゆく。 「…さすがに冷えてきたな、風邪引くからパンツ履けよ。」 インテリはのっそりと立ち上がり、パンツを履き掛けて、やめた。 「会長さん。ありがとう。もう会えないけど、ずっと忘れないでね…」 自らのパンツを会長の胸ポケットにねじ込み、代わりに吸いかけの煙草を奪い取ると、インテリは手を振りながら駆けて行ってしまった。
会長、インテリ、観客が誰もいなくなった広場で、一郎と和尚は二人、月を眺めていた。 「あんたこれからどうすんだよ?」一郎はインテリのシャツの匂いを嗅ぎながら和尚に尋ねる。 「さてな・・・・・・また旅に出るか。」和尚はそう呟き、笠を被るとどこかへと歩き去っていく。 去っていく和尚の背中にコンバットマグナムの銃口を一郎は向けた。 「ダメだな、俺が一番だってことをはっきりさせねえと。」 一郎は撃鉄を上げ、そして引き金を引いた・・・・・・暗闇の中で寂しく銃声が鳴り響く。
697 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/13(水) 16:22:34 ID:6uvV0hVa
「和尚、あぶない!」と、ひとりの者が横の繁みから飛び出した。 和尚に抱き付きふたりして地面へ転がる。 凶弾が広場のタイルの上で火花を散らして弾けた。 和尚は、無事だ。かすり傷ひとつない。 「てめぇ、俺の大事な和尚に……!」その者は怒りに震えながら立ち上がった。 中華料理店の親父であった。
「おいおい、おっさん邪魔すんなよ。」 今度は親父に銃口を向ける一郎、それに対し親父は中華包丁で挑もうとする。 「馬鹿が、地獄で八宝菜でも作ってろや。」 一郎は親父の胸に狙いを定め引き金を引く、がしかし弾切れであった。 慌てて弾を装填しようとする一郎、親父は空かさず中華包丁を投げつけ、 それは見事に一郎の頭に命中した。 「悪いな兄ちゃん、俺の得意料理は餃子なんだよ。」
さっきまで店でテレビ越しに観ていたはずの親父がなぜ、一瞬にしてスペインに現れたのか…? 「あぁ…ちょうど餃子の皮を切らしたのさ。 その時、ある食材を代用することを思い付いたんだ。 ナンでもあり。」 ―部屋とYシャツと不思議な和尚 完
700 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/13(水) 22:59:03 ID:6uvV0hVa
====第二部==== ・和尚と不思議なYシャツ
701 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/13(水) 23:05:13 ID:6uvV0hVa
====第三部==== ・不思議な和尚 ====第四部==== ・和尚 で、いこうぜ!
だが、その提案は無残にも却下された。 「ぶっちゃけ、もうちょっと萌えとかそういうの、無いの?」 何の気もない言葉だったのだろう、彼女にとっては。 だが、それが必要である事に気づくのに、彼女の言葉はこれ以上 無いきっかけとなった。
703 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/14(木) 17:52:56 ID:TC2c45KF
その彼女の頭に和尚の警策が振り下ろされた。 後ろから無防備な状態を襲っただけに狙いは正確で、その頭部は両肩の間へほとんどめ り込んでしまい、砕けた骨の一部が前髪の生え際から突き出て脳味噌を滴らせた。 和尚は前回よりもさらに残虐になっていた。「儂に取って代わって主役の座におさまろ うなどとは、おこがましい!天罰じゃ!」 狂気で目が血走っていた。
だが、それは彼女の残像だった。見えたのは、長年彼女と一緒に 数多の戦いを駆け抜けてきた、俺くらいのものだっただろう。 和尚はそんな事にも気づかず、打たれ砕かれた質量のある残像を 見下ろし、勝ち誇っている。背後に音もなく立つ彼女の気配に気づく事無く。
「ゲボ!!」 和尚は突然息苦しさを覚えた。 首から下げた数珠を後ろから引っ張られているのだ。 …誰の仕業かは解らない。朦朧とする意識の中で、彼女の残像が笑っているように見えた。 グキ!という嫌な音が響く。和尚の警策がカランと地面に転がった。
だか和尚は死ぬ寸前に彼女のスカートの中に楽園を見た。 色は水玉。 最後に楽園を見れた事に和尚は満足しながら、魂は昇天していった。
「これで、むさ苦しさの元凶が一つ減ったわけだけど……」 彼女は、相変わらず何も思っていないような口調で言う。 「で、萌え要素、どうしよう?」 にこりともせずにそう言う彼女は、自分が萌え要素の持ち主で ある事に気づいていないようだった。
ほとぼりが覚めるまでは家に帰らない方がいいかもしれない。 数珠の跡の付いた手のひらをもみながら彼女は考えた。 友達の家に泊まれればいいが、迷惑がかかるかもしれない。 年頃の娘が駅のベンチでごろ寝と言うわけにもゆかないだろうし…。 予定外の出費は正直、痛かったが、ネットカフェにしばらく篭るしかないだろう。
709 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/15(金) 14:37:17 ID:Dpj+Dxob
彼女は夜道をひとりトボトボと歩きつづける。 なんでこんなことになったのだろうと思い、涙が、こぼれる。 私は殺すつもりなんてなかった。あれは、事故だ。過剰防衛ですらない。みんなあの糞坊主が悪いのだ。 しかし人を殺めてしまたことは事実で、それが彼女の胸を締め付ける。もう、取り返しがつかない。 もう二度と元の自分には、戻れない。 「うぅぅぅ」赤く腫れた目。街灯に照らされた裏通りが滲んで見える。 と、そんな彼女に優しく声をかける者。「お嬢様さん、どうかされましたか」 後ろから肩を叩かれた。 胸の内。苦しい思いが、爆発する。 彼女は振り返りながら叫ぶように言う。「わ、わたし人を。ひ、ひぃぃぃ!」 ――そこにいたのは、和尚その人であった。
710 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/15(金) 14:50:05 ID:Dpj+Dxob
彼女は逃げる。連投制限すら、いやそれ以前の問題として五行制限すら無視して。 裏通りを抜けるとネオン街。目的のネカフェへと駆けて行く。 ガラスの自動ドアが開くのが待ちきれない。わずかなスペースを認めると、そこからねじり込むように店内へ。 「お、和尚が……!」後ろ向きに棚のグラスを拭いていた店員へ訴えかける。 「和尚?」店員は彼女を振り向いた。茶髪のカツラを外し「それは、こんな顔でしたか?」 「ひ、ひぃぃぃ!」
雑居ビルの狭い階段を上へ上へ…。息は切れ、膝がガクガクする。 だが、止まれない。追い掛けてくる者の気配を感じるのだ。 途中のフロアには風俗店と怪しげな事務所しかなかったため、彼女は屋上まで追い詰められた。
「さあ、面白い展開になってきましたね、解説の親父さん!」 「そうですね、実況の会長さん!」 何故かこの二人が見物し、尚且つ実況解説までしている事など、 恐怖と、その恐怖の根源である和尚に追われている彼女に、 気づけようはずがなかった。
「君には、萌え要員としての自覚がたりない!」 「だから、私がパンチラの極意というのを教えて上げよう!!!」 和尚はいつの間にか下半身から立派な一物を出し彼女を追い掛けている。
「あー、結局出すんですねー」 「ええ、終盤忘れられてた設定ですけど、最後まで出したままだったはずですよ」 二人の冷静な実況解説を聞けば、あるいは彼女も冷静さを取り戻せた のかもしれない――いや、それは無いか。
逃げ続ける彼女、追いかける和尚、逃げる彼女、追う和尚、そこへ・・・・・・ 「そこの二人、ちょっと待ったあ!!」 突然の呼びかけに彼女と和尚は追いかけっこを止め、声のした方向に顔を向ける。 何と、そこにはあのダークスーツで眼鏡のインテリ優男(28歳)が立っていた。 「このスレに光臨した一輪の華(萌え要素)、下劣な貴様の手で汚させはせんぞ和尚!!」 そう宣言するインテリに彼女は絶好のチャンスとばかりに抱きつく。 現れた救いのヒーロー、ヒロイン、悪役、そして実況二人組み、これで役者は揃ったのだ!!
「アッ…そこにいるのは会長さんだね!会いたかったよ…!」 インテリはアナウンスブースに会長の姿を見つけると、鏡を取りだし身繕いを始めた! その隙を見逃すはずもなく、和尚の警策が正確にインテリの脳天を捉える! 「グフフフ…。おぬし、男色に目覚めて腕が落ちたようじゃの。 さあお嬢ちゃん、変態が移る前にこっちへきなさい。」
717 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/16(土) 10:38:10 ID:AFONqiDe
そういう和尚自体が下半身を露出させているのだから、なんの説得力もない。 彼女は実況ブースに目を移した。 腕の切断面から不気味な触手をヌメヌメと蠢かせている会長……。 その横の中華料理店の親父がいちばんマトモそうだと彼女は思った。 「助けてください!」親父の元へ駆けていった。
しかし、親父もまたスペインの地で「ペニス一郎」なる人物を殺害した暗い過去を持つ。 未だ司法の裁きを受ける事なく、のらりくらりと生きているのだ。 親父はマトモゆえに、そんな自分はもはや、異性とは無縁の人生を歩む決意を固めていた。 駆け寄る彼女をとっさに避けた。 肩透かしを食った彼女は屋上から足を踏み外してしまう。―Can she fly?
Yes,she can!! なんと、屋上から足を踏み外し、本来なら落下して地面に叩きつけられ、 ミンチより酷い有様になって人生を終えるはずだった彼女は、たたらを 踏んでいた。何も無い、空中に。 ……これってflyじゃなくね? まあいいか。
「Let me fly あの楽園はぁ〜 もう消えたけどおぉ〜…」 背を向けて歌を口ずさむ和尚の肩が小刻に震えている。 一瞬見えたスカートの中の楽園風景を反芻しつつ、泣いてでもいるのだろうか。 親父は気まずくなり、そっとその場を離れた。 会長とインテリはというと、我関せずといった風に情交に耽っている。
721 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/17(日) 12:05:44 ID:LTefnXR0
そしてインテリは会長の子を身籠もった。 男手ひとつでこのお腹の子を育てられるのだろうか……。 会長はちゃんと認知してくれるのだろうか……。 さまざまな不安が頭をよぎる。
722 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/18(月) 02:36:00 ID:TfTJ6D/r
しかしDNA鑑定の結果それは和尚の子だと判明した。 ショックを受けた会長は傷心旅行へ出かけてそのまま帰らなくなり、インテリはひとり家に残された。 出産予定日まであと2ヵ月、インテリの不安は募る。初産なのだ。 実の父親和尚の行方もしれない……。
723 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/18(月) 18:01:36 ID:88ri1Y4+
いっぽう、墜落死を免れた彼女は、ネカフェでメロンソーダを飲みつつ、やっとくつろいでいた。 家への連絡は留守電。彼女の両親は二人とも有名人で、家にいない事の方が多いのだ。 もう慣れきってはいたが、こんな時にも仕事、仕事で娘を顧ない親を頼りなく感じた。 …疲れた。いろんな事がありすぎた。 隣のペア席でいちゃつくカップルがうざいので、CDでも聴きながら少し寝よう…
だが、目を閉じた瞬間にまぶたの裏に浮かんだのは、 和尚の顔――ではなく、和尚の下のモノだった。 彼女はいきなり身を起こし、その勢いのまま隣のペア席で いちゃつくカップルに、腰の入った後ろ回し蹴りを叩き込んだ。 フェイント即攻撃が可能な強烈な技だ。
蹴りは、カップルの男の方の後頭部に命中。 当たった蹴りのいきよいで、男は目の前のパソコンディスプレイに頭をめり込ませた。 ディスプレイにめり込んだ男の頭からはおびただしい量の血が流れる。 目の前で起きた惨劇に女の方は悲鳴をあげた。
女の悲鳴に、衝動的に蹴りを放った彼女は我に返った。 またやってしまった……そんな後悔の念が脳裏をよぎる。これまでも、 度々衝動的な蹴り技で、多くの人に怪我をさせてきたというのに、 その反省が全く活かされていない。 でも、そんなドジっ娘な所も私のチャームポイントだもん! てへ♪
てへ♪ と小首を傾げて満面の笑みを浮かべる仕草が、今まであらゆるトラブルから彼女を救ってきた。 今回もまた同様。血相変えて飛んできて、後処理をしながら彼女の方を睨んでいた店長と店員たちも苦笑いし、「世間知らずの小娘のちょっとした失敗」としてなあなあで済ます雰囲気になり始めた。 だが、彼氏を潰された女は黙ってはいない。
728 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/19(火) 04:34:05 ID:x1R7nzQD
「わたしと大食いで勝負よ!」 一方的に挑戦状を叩きつけられた。
たまったものではないと、彼女はその場を逃げ出した。 無銭飲食である。
店長はライフルを取り出す
731 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/19(火) 23:04:15 ID:x1R7nzQD
「あ、あぶない!」坂道からローラースケートで滑ってきた者が手を差し延べる。 半ズボンのジーパンを履いた上半身裸の少年だ。 彼女は彼の手を取った。助かった。 少年の頭に巻いたバンダナが初夏の風になびく。
少年の奇妙な格好にふき出しそうだったが、恩人である事に変わりはない。 彼女は、助けてくれて本当にありがとう、と深々と頭を下げた。 少年は照れ臭そうにそっぽを向いてしまった。心なしか顔が赤いようだ。 さすがに堪え切れず、彼女はあはははは、とお腹を抱えて笑ってしまう。 少年が顔を真っ赤にして逃げる様に立ち去ろうとした時、
下半身が裸な、少年とはとても言えない年齢の男が現れた。 もちろん、それが誰かは言うまでも無いだろう。
彼女は一瞬驚いていたが、すぐに目を伏せて通りすぎようとした。 「待って!……くれよ。俺たち…やり直せないか?」 彼女は背を向けたまま無言だ。 「俺…変わりたいんだ!今までの全てを捨てても構わない! お願いだ!もう一度振り向いてくれよ!」 人目も憚らず大声ですがるように叫ぶ声が震えている。
735 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/20(水) 14:11:00 ID:Mrl8byO3
「無理よ!」彼女も負けじと大声で言い切った。「もう和尚とは昔のようには、なれないの!」 和尚と彼女の間を風に吹かれたビニール袋がさみしげに転がった。 和尚は唇を噛みしめる。顔をふせ、やがて目に涙が浮かんだ。 なぜ俺は檀家のババアなんかと浮気をしたのだろう……。後悔の念が和尚の胸を締めつける。
「どうしても駄目か……。それならば、いっそ…」 うつ向く和尚の体が小刻みに震え始めた。 みるみる和尚の表情が変わり、不動明王のごときド迫力フェイスへと変貌を遂げた。 怯える彼女の頬に情け容赦ない平手打が飛ぶ。
だが、それは不用意な攻撃という他なかった。彼女の得手は、相手の攻撃をかわしてから放つ、カウンターの蹴り。 スウェーバックで平手を見切ってかわし、その回避の反動を腰の回転に乗せ、放たれるのは強烈無比の左ハイキック。 しかも、彼女はそれすらも囮として放っていた。当たって倒れればそれでよし、もしかわされても、動きを留めること無く 回転す事でさらなる加速を身体に与え、ローキックを放つコンビネーションを、彼女は用意していた。 真に狙っていたのは――露出した、下腹部――。
彼女の一撃は空気の壁を易々と突破し、つま先の速度は1500km/hにも達した。 下腹部に命中した必殺の一撃は凄まじい衝撃波を生み出し、和尚は成す術なく倒れた。 だが、それが失敗だった。 ――店長だ。 彼女の攻撃はあまりにも目立ちすぎた。 ライフルを携行した店長が嗅ぎ付けて追ってきたのだ。
「な、なんなのよ、もうっ!」 その苛烈な攻撃とは裏腹に、表情だけは怯えをたたえたまま、彼女は徒手空拳で 銃器を持った男と相対する事になった。一体、この男は何を考えているのか。街中でライフル銃を 持って追ってくるなんて、頭がおかしいんじゃないか。そんな自分をちょっとだけ棚上げした考えは、 店長がライフルを構えた事で中断された。遮蔽物を求め、彼女は跳ぶ。
740 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/20(水) 23:12:50 ID:Mrl8byO3
和尚も飛ぶ、中華料理店の親父も飛ぶ、会長も飛ぶ、インテリ男性も飛ぶ、遮蔽物めがけて。 それは弾丸を避けるのが目的ではなく自己主張のためだ。 とりあえず無理矢理にでも登場したい。目立ちたい。 その一心である。
目標が増えた事は、むしろ店長の狩猟本能に火をつけてしまったようだ。 道路脇の黒いベンツの陰に隠れた者らを執拗に乱射しはじめた。 割烹着の下、体中に巻かれた弾がなくなるまでは、この弾丸の雨は止みそうにない。 「誰かがオトリになってヤツの注意を引き付けるのだ。 その隙に皆で取り押さえる。これしかなかろう。」
742 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/21(木) 01:11:28 ID:YoyU3i6m
俺のクルルァに付いて来い!
743 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/21(木) 01:11:39 ID:JmC5iR44
「これだわ!」 彼女は飛び出す和尚を美しいキャプチュードで捕獲し、それを盾とした。店長のライフルは容赦なく火を吹き、和尚の身体に穴を穿つ。 彼女の超音速で放たれる蹴りは単純な破壊力ならば店長のライフルが放つ223レミントンを遥かに凌駕するだろう。 だが、総合的な攻撃性能の差は埋めようもなく、彼女は逃れるしか無かった。
逃げようとする彼女を、ライフルを捨てて追いすがる店長。 それを見た彼女は、肉弾戦なら分があるとにらみ、すかさずローリングソバットを放つ。 しかしながら、その動きも予測の範囲内。ライフルを捨てたのは店長の釣りだったのだ。 難無く彼女の蹴り足を右手でキャッチし、宙でたぐりよせて下腹部に強烈な頭突きを見舞う。子宮が破裂しそうな痛みに悶絶する彼女に、二発目の頭突きが迫る。
745 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/21(木) 04:22:22 ID:JmC5iR44
その時である。店長の銃撃によって息も絶え絶えな和尚が立ち上がり、彼女と店長の間に割って入った。 店長の頭突きは和尚の股間へと命中し、和尚は何故か血を吐いた。 「い‥‥今じゃ‥!反撃しろ!」 「解ったわ!」 彼女は地面を蹴りあげ、残り少ない体力の全てを必殺の回し蹴りへと注ぎ込む。 その速度はマッハ5――彼女自身、未知の領域である極超音速へと到達したのである。
746 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/21(木) 06:23:02 ID:KcaDDLmx
その蹴りはまたしても和尚の股間をモロに直撃した。 白目を剥いて口から泡を吹きぶっ倒れる和尚。もはや意識はない。 店長はライフルをしまい、「香典がわりだ、コイツの。お代はタダにしておく」と去っていった。 その他の登場人物たちも財布から紙幣を取り出し和尚の屍体へパラパラと投げていく。 一度は心の底から愛した彼こと和尚にかぶさって泣き崩れる彼女。 しかしバラ撒かれた金を懐に入れるのは忘れない。
―ひとまず、彼女は帰宅することにした。 格闘によって衣服はボロボロだったので、裏道を歩き、ようやく家にたどり着いた。 1日ぶりのシャワーが全身の傷に少ししみたが、心地好い。 それにしても…、鏡に映る自分の体の無数のアザや、蹴りの打ち過ぎではれあがったふくらはぎ。 こりゃ〜年頃の娘のカラダじゃね〜なと彼女は苦笑した。
だが、そんな苦笑を浮かべる事ができる程度には自分の精神が回復した事を悟り、 彼女はホッと一息ついた。いつものように冷蔵庫を開け、いつものように アサヒスーパードライを取り出し、いつものようにタブを開き、いつものように 口をつける。そんないつもと変わらない光景の中で、ただ一つ違っていたのは―― 窓の外に見える、光り輝くものだった。
749 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/21(木) 18:20:25 ID:KcaDDLmx
それは未確認お菓子物体パップラドンカルメであった。 「なつかしい〜」思わず実年齢がバレる感想を口にしてしまった。
物心付くか付かないかの頃、歌で聴いたような記憶がある。 実際に見るのははじめてだが、なぜかその物体がパップラドンカルメであると直感したのだった。 たちまちノスタルジックな気分になり、酔いも手伝って無防備になっていたのだろう。 彼女はパンツ一枚で首からバスタオルをかけ、ビール片手に庭へ出てみた。
彼女の身体は、さしてグラマラスな物とはいえなかったが、それでも その胸は自己主張強めであり、彼女が歩くたびにたゆんと揺れ、 バスタオルから飛び出そうになっている。 対してお腹回りはというと……これは少々ビールを控え、節制した方が いいのではないか、と言ったくらいに弛んでいた。服の上からはわからなかったが。
752 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/21(木) 22:36:21 ID:KcaDDLmx
パップラドンカルメの形状はドラ焼きとひじょうに似ている。 ドラ焼きに目鼻を付けたのがパップラドンカルメといってもよいくらいだ。 きっと彼女はその目や鼻でパップラドンカルメと判断したに違いない。 しかし、それはパップラドンカルメではなかった……。 想像を絶する恐怖の未確認飛行物体、
* U * F * O *だ!やはり本当に存在したのだ…! ちょっと風変わりなドラ焼きが浮いてるようにしか見えなかったそれは、近付くにつれてまさに、宇宙人の乗り物であると推定させるに十分な、特徴的な外貌を彼女の眼前にさらけ出した。 立ち尽くす彼女に向けて、まっ黄色の太い光線が照射されると、彼女は裸同然のままUFO内部に吸収され、意識をなくした。 …目を覚ますと、
754 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/22(金) 01:22:31 ID:4rAlbhMD
「そんな‥‥なんて事‥‥!!」 そこには機械の身体を持つ和尚が立っていた。 死んだはずの和尚は宇宙の科学技術によりサイボーグとして復活していた。
755 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/22(金) 14:45:30 ID:u9q6Xy64
むろんサイボーグであるからして、かの有名なロボット三原則は当てはまらない。 サイボーグ和尚は彼女のみぞおちを警策で突いて気絶させると自慢のいちもつを露出し た。いちもつには無数のシリコンボールが埋め込まれている。 銃撃を受けた時そこはまったくの無傷だったのだが、これはついでとばかりに図々しい 和尚は宇宙人にシリコンボールをお願いしたのだ。 宇宙人もあきれていた。
彼女は依然、気絶したままだった。和尚の魔の棒が彼女へ近づき、邪悪な欲を満たそうとしたその時、激しい振動が襲い掛かって来た。 インドが独自開発した第5世代戦闘機『ヨーガファイター2ターボ』の放った対空ミサイルがUFOに命中したのだ。 パイロットはもちろんダルシム。
「チッ…うるせえハエめ」 和尚は舌打ちすると、宇宙人に命じてUFOのハッチを開けさせた。 足の裏からジエット噴射し、ゆうゆうと空中を飛行する和尚。 ヨーガファイター2ターボを発見すると、鷹のような俊敏さでその操縦席の窓に飛び乗った。 「グッフフフ…。よくも邪魔してくれたな。たっぷりと灸をすえてやるから、覚悟しな。」
だが、和尚は思わぬ窮地に陥る事になる。ヨーガファイター2ターボはUFOと正面から すれ違う軌道を飛んでいた。コックピットに取り付いた和尚は、ヨーガファイター2ターボに 乗せられたまま、マッハの速度でUFOから離れていく事になった。もう、戻れない。 ヨーガファイター2ターボも、得体の知れない存在を貼り付けたままでは任務が続行できないと 判断したのか、一先ず帰還する事を選択したようであり、和尚はそのまま再び退場と相成った。南無。
…誰かにカラダをさわられている。…和尚!? …はっ!! 意識を取り戻した彼女の視界に映ったのは、二体の銀色のヒト型の動物が、彼女の下着を脱がそうとしている場面だった。 驚き、逃げようとするが体が動かない。サイボーグ和尚の警策に突かれたダメージか。 無念の涙が彼女の頬を伝ったとき、彼等―UFO乗務員、すなわち宇宙人の手が止まった。 彼女の意識に浮かぶ「羞恥心」「貞操観念」らの概念を彼等なりに理解したのだろうか―
760 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/23(土) 03:48:10 ID:fh+bebWZ
彼女は和尚に対抗すべくサイボーグ手術を申し出た。 ついでに腹の肉も取って貰おうという浅はかは計画の元、見事に戦闘サイボーグとして生まれ変わったのだ。 「急がなくちゃ‥‥!」 ――遥か彼方では、和尚とヨーガファイターの熾烈を極める空中戦が続いていた――
コックピット上部の砲台が、至近距離で和尚をハチの巣にする。 ダルシムとヨーガファイター2ターボの乗務員たちは歓声をあげた。 しかし喜びも束の間、千切れた肉片はみるみる元の和尚の体を再生する。 「喝!」警策が障子紙を破るようにいとも簡単に窓を突き破り、ダルシムをも串刺にした。 「ヒヒヒヒ…。『串喝』一丁お待ちどう。ソースを浸けてめしあがれ。」
762 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/23(土) 11:27:28 ID:fh+bebWZ
和尚は勝利を確信したが、直ぐさま2Pカラーのヨーガファイターがテレポートで現れた。 空中停止機能を用い和尚と相対するインドの航空技術の結晶は宇宙人にサイボーグ化手術を受けた和尚すら驚かせる程の能力を有し、これが量産され配備されればインド周辺の勢力図は書き換えられるだろう。 「チッ‥‥キリが無いのう」 和尚は自らのサイボーグボディを手土産に亡命を決意した。 そう、インド最大の敵対国、パキスタンへと。
763 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/23(土) 14:01:56 ID:LYUwqqVE
和尚はパキスタンの地をおでん缶片手に歩いている。中身はすでにぜんぶ食ってしまっ た。残り汁をご飯にかけて食べるため缶を捨てずに持っているのだ。まぁ、そんなことは どうでもいいが。 とにかく和尚の進む方向はまるでモーゼの十戒の如くに人込みが割れていく。和尚は自 分が歓迎されているのを確信した。 が、それはまるで違う。人々はサイボーグ和尚の異様な姿に驚愕しているのだ。泣き出 す子供までいる。 和尚は血まみれの警策を振ってパキスタンの国民に応える。鉄板のつぎはぎが入った顔 に笑みが浮かんだ。数人の夫人が白目を剥いて口から泡を吹きぶっ倒れた。 日本大使館へ着いた時には軍への出動要請が出されていたが、和尚自身はそんなこと知 る由もない。 見上げる空には和尚の後を追ってきたUFOとサイボーグ彼女が漂っている。
突然、人混みをかきわけて一人の小男が和尚な前に立ちはだかった。 小男の短刀が和尚の心臓に深々と刺さる。 刀匠「伍行 聖玄」の小刀である。不死身を誇る和尚もこれほどの名刀にあっては、なすすべもない。 和尚は壊れたガラクタ人形のように地面に倒れた。おでん缶が転がり、ダシ汁がパキスタンの渇いた砂に染み込む。
765 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/23(土) 17:50:54 ID:LYUwqqVE
死の間際、和尚は呟く。「すまん……」 きっと彼はLRを破ったことをひどく後悔したに違いない。 しかし、である。手枷足枷がんじがらめなルールの元、どれほどの芸術が生れるのだろう。 芸術とは本来自由なものであり、あらゆる枠組みを飛び越えてこそその価値がある。 杓子定規なLRは唾棄すべき理不尽な常識ではないのか!
和尚を刺した小男―その名を、ムハマド・ホセ・ジージョという―は震えながらこう言った。 「悪く思わないでくれ…。インドとの緊張関係にあるこの国ではおかしな奴はみなテロリスト容疑者…。 お前が敵国の戦闘機から降りるところを目撃した者から通報が入ったのだ。 戦争反対を訴え、規律を無視し、政府に反抗的な態度をとる者はたとえ芸人や芸術家でさえも処罰の対象となるのだ…。」 両脇からパキスタンの警官に取り押さえられながらも、ホセは和尚の安らかな眠りを祈っていた。
767 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/24(日) 12:46:48 ID:vdEJEH6J
「ああ、よく寝たなぁ」わずか数時間後にとつじょ覚めた和尚はうぅぅんと伸びをした。 刺された胸の傷はふさがっている。まさに、不死身だ。 かたわらに落ちている警策を拾いあげると座った状態から片手でバック転を決め、スタスタと歩き出した。 死ぬたびにパワーアップしていくような気さえする。
その一部始終を上空から見ていた宇宙人とサイボーグ彼女は、 どうしたものかと頭を抱えた。
和尚は機械の身体と完全な融合を果たし超機械生命体とも呼べる存在へと進化していた。 もはや和尚を倒す為にはインド政府は究極の決断をせざるを得ず、その命令は全世界に緊張をもたらした。 そして核兵器を搭載したヨーガファイターは飛び立ったのだ。
770 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/24(日) 20:13:15 ID:vdEJEH6J
その頃、和尚はある橋の前まできた。立て札が目につく。 ――【この橋わたるべからず】。 和尚の顔に勝ち誇った笑みが浮かんだ。
そして、橋の真ん中を渡り始めた和尚。 だが、その頓知にオチがつくよりも早く、ヨーガファイターはその橋へ辿り着き、 パイロットであるダルシムRボタンカラーは核を搭載したミサイルの発射ボタンを押していた。 何故俺たちはこいつを倒さなければならないのだろうか。そんな疑問を抱きながら。 ポチっとな。
772 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/25(月) 11:27:54 ID:7xTU7itr
「うわああああ」橋を渡りきった瞬間、核ミサイルに吹き飛ばされる和尚。 「な、なんじゃあああ。答が間違っていたのかあああ」 自らの頓知に対する罰ゲーム的な意味にとらえてしまった。
773 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/25(月) 20:55:29 ID:jsQvjeuI
和尚はバタフライでまた立て札の場所までもどると読み直した 和尚「カハハ……そういうことか」 和尚は屁の力で空中に浮かぶとブブブと耳障りな音をたて向こう岸に飛び立ちはじめた
最早橋などどこにもない。何故立て札だけが被害を免れたのかは 不明だが、立て札以外はあたり一面荒野と化している。 川とその両岸はかろうじて形を残していたが、水は完全に蒸発し、 それが川であった事を理解できるのは、それが川であった事を 知っていた人間だけ。律儀に和尚はその川だった溝を、ホバリングして越えていく。
775 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/26(火) 15:42:31 ID:nPu1qUWs
向こう岸には将軍さまが立っていた。 「みごとじゃ、和尚!橋をわたらずホバリングでここまでくるとは、大正解!」和尚の肩を叩いた。「ついでに屏風の虎も頼む」 周りの家来に目配せした。 「な、なんじゃ。儂をどこへ連れていくつもりじゃ。ひぃぃぃ」 後ろ手に縄を縛られて強引に連行されていく和尚。 夕日が荒野を血の色に染めていた。
「核とか、どうでもいいっていうの……!?」 その光景を見て、宇宙人とサイボーグ彼女は慄然としていた。 尚、蒸発したはずの川の水を和尚がバタフライで泳いで渡った という超常現象については、誰も気づいていなかったので あえてここでも触れない事にする。
「そう…世の中触れちゃいけねえ事ってのがあるのさ…。 ひとつ大人になったなァ。フフフ…」 どこで手に入れたか、サッカーボールを蹴りながら月照る夜道に人影ひとり。 そう、あの和尚だ。権力に屈するような半端なワルではないのだ。 「さて、将軍様、ぼちぼちサッカーは飽きましたゆえ、
と、そこに将軍が水を差す。「次はこの屏風の虎を捕まえてみよ」 その要求に和尚はニタァと卑しい笑みで答える。 「……将軍……じゃあまず虎を屏風から出してくださいよォ……ケケケ」 「おk」 虎が屏風を突き破って出てきた。和尚の顔から血の気が引いた。
779 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/27(水) 01:13:15 ID:oSZWHuSi
核実験とでも洒落込みましょうか」 将軍様 「えー!一昨日やっちゃったよぉ!」
…そんなやりとりをした将軍のもぎ取られた首も、いまや和尚のサッカーボールになり果てていたのだ。 「後半終了一分前、日向くんのタイガーショットだァ!!」 ガシャーン!! 高く蹴り上げた生首が、宙を舞って飛行物体に激突した。
さて、その生首に当たった飛行物体はきりもみつつ地面へと落下。 そしてそのまま、沙流郡の基地へと墜落…。 グッチャ☆
782 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/27(水) 12:24:54 ID:alVXnDqr
飛行物体はちょうど下にいた虎を潰した 生首「正解ーーー!!」 和尚「やったあああああ!!!」 和尚はまた屁の力で無駄にホバリング… いや屁バリングした
783 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/27(水) 14:38:03 ID:YcBV0OGJ
屁バリングで和尚は日本へと帰りついた。 立付けのわるい【ギョーザの和尚】の木戸をガラガラと横へ開く。 「親父、さっそくチャーハンとギョーザと……」その場に凍りついた。 全裸に蝶ネクタイの親父がフォークギター片手に尻から血を流して死んでいたのだ! 「なんたる変死体……。こんなの今まで、見たことがない」 和尚の頓知が事件の真相を探り始める。
ポク ポク ポク ポク チーン
785 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/27(水) 16:09:45 ID:ylidcmNt
一目見ただけだったが理解した。 多分、韓国のトップが自殺したニュースを目にし、 嬉しさのあまり、全裸に蝶ネクタイというスタイルになり、 長年親しんだフォークギターを手にした瞬間、 持病の痔噴射が始まったのだろうということを。
「しかたがねえ。他所の店に行くか」 動じない和尚は、原因がわかった事で満足し、親父の店を後にした。 無論、変死体となった親父は放置である。
着いた先は最近できた回転餃子の店。 回転寿司の餃子版、のようなものだが さまざまな種類の餃子を安価で提供するその店が前々から気になっていた。 店に近付くと餃子独特のにおいがもわーっと漂ってくる。 …腹が鳴った。
ポク ポク ポク ポク チーン
789 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/27(水) 21:20:41 ID:oSZWHuSi
「やっぱ回転寿司にしよっと」
と、次の瞬間、和尚は最悪の光景を目にする…………!! 「な…ん…だ、と?」 回転餃子の周りの、ありとあらゆる公共物に、[この人を探しています。名前・和尚etc...]と書かれた自身の捜索宛ての貼り紙が大量に貼られているではないか!!
791 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/27(水) 23:02:31 ID:YcBV0OGJ
あわてて和尚は宇宙人に整形手術をお願いした。 外見が別人になれればいい。美しくなる必要は皆無だ。そう和尚は思っていた。 「とにかく儂とバレないようにしてくれ!」 しかし、それが災いの元だった……。 手術後に鏡を見て、自らが長方形に平べったい六本足の触覚を生やした化け物へ変貌したのを知って和尚は驚愕した。
「悪くない…悪くはないが…なんというかその…いささか過激すぎるのでは? ホラ、あんたら宇宙人でわからないのはしょうがないけどさ…(笑) いちおう人間…人間ってのもいちいち説明しないとやっぱわかんないかなぁ… …ちょうどその、そこにいる彼女、そんな感じよ。儂の言ってるのは。 フォーマットは二本足、二足歩行ね。で、顔だけアレンジ。じゃ、リテイクいってみよう!キュッ!」
793 :
ぬ研 :2009/05/28(木) 09:45:32 ID:mD3chGYL
執刀医はやってのけた…やれば出来る子だったのである 恐ろる恐ろる鏡を見る和尚(改造人間) そこに映っていたのは……………なんと誰もが羨む新垣結衣 がしかしボディはマツコデラックスだった 「付けたねえ…脂肪」一点見つめの和尚(新垣デラックス)がボソッと呟いた
さすがの和尚も命運尽きたようだ。 傍らでなりゆきを見守っていた彼女の口から、安堵のため息が漏れる。 そろそろ普通の生活に戻らなきゃいけない。 たよりにならない両親にもむしょうに会いたくなってる。
795 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/28(木) 15:22:17 ID:fitl/fGv
地上へ戻った和尚はあっという間もなく芸能プロダクションのマネージャーにとっ捕ま って、無理ヤリお菓子のCMに出演させられた。 細長い棒状のお菓子を持って飛んだり跳ねたり踊ったりする和尚。 何とかいうバンドのアップテンポでノリのいい曲がスタジオには流れている。 和尚は元気いっぱいの笑顔を浮かべて、まんざらでもない様子だ。
796 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/28(木) 15:57:36 ID:eBtuu2Fz
だけど和尚は気づいていた。 知っている、というなまなかな認め方ではない。 そうなるものなのだ、と、体全体があきらめにも似た動きを見せていた。 和尚の手には、いつからともなくマッドマックスのビデオがあった。 ふと、冬の八甲田の山の中に放り出されたかのような、爽快さを感じた。
いや、違う。 気付いたときにはそこは一面の銀世界であった。 「儂は本当に冬の八甲田山に投げ出されたんだ……」
798 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/28(木) 22:54:03 ID:2wUaz2uV
和尚は宇宙人のワープ機能により八甲田に転送されたのだ。 そしてそこには一人の少女が居た。 「決着を‥‥つけましょう」
突如、あたり一面が白い光に包まれた。 八甲田山の根雪だろうか? いや、光は音もなくただ、灼熱の温度をもって全てを溶かし尽した。 この世界の終わりを告げる魔界の領袖による審判が下されたのだろうか? 沈黙する世界にただ二本の柱…、そう、塩の柱が墓標の様に残されたのであった〜ッ 【完】
結局、この小説を萌え方向にシフトさせようという野望は、和尚やら何やらの あまりの濃さでもろくも崩れ去った。だが、これが最後の野望とは思えない。 いつか第二、第三の野望がこのスレを襲うだろう。そんな数多の野望の 来襲に、人類は果たして抗しきれるのだろうか。その答えを知っているのは、 このスレに集う書き手達だけである――
801 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/29(金) 02:56:03 ID:mNJLsClh
===第二部=== ・プリティー和尚の素敵な毎日
802 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/29(金) 04:05:43 ID:OE5cFfZH
オショウ・ヘルナンデスはドミニカ出身の中南米美女である。
生まれ持ってのその筋肉質な身体と、何回読んでも「なにわ」と書いてあるとしか思えない刺青(親にされた)の所為で、中・高と「中南米の狂犬」と恐れられた、サングラスとスキンヘッドがよく似合う美少女だ。
804 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/29(金) 11:26:50 ID:1vDyjpzn
ちなみに肩にはドラえもんが超リアルに書かれたタトゥーがあった オショウヘルナンデスはワル仲間にタトゥーを見せては「これはJAPANESEモンスターね」と自慢していた オショウはふと一度日本に行きたいと思い始めた さて、日本とはどんな国か ネットで日本を調べてみる…なんと「HENTAI」で日本がヒット!
HENTAI 名/@人の性(サガ)。最終的な人類の到達地点及び目標。A清々しく、いさぎの良い様。[彼の父は_だ。]
「ナルホドー、日本とは、清々しくいさぎよい国なのデスね!」 オショウの胸は高鳴った。そのような素晴らしい国に、いつか自分も 行きたい――いや、行かなければならない! そう決意したのは、この 瞬間の事だった。 「日本にイッテ、日本のHENTAIに会ウのデーす!」
807 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/29(金) 21:32:25 ID:7HFfpCcY
愚考。ここにきて、自らが畜生ならぬ人間であることを否定するかのような愚考。 オショウが不幸たる理由として、HENTAIに関する圧倒的、絶望的な無知があった。 HENTAI。溶岩のような泥っぽさと、吐息が何倍も生暖かくなったかのような不快の権化。 HENTAIに会う。自ら意識してHENTAIに会いに行く。 高度な思考を天から授かった人間としてあるまじき、浅薄な判断と言わざるを得なかった。
808 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/29(金) 22:43:55 ID:mNJLsClh
オショウは成田空港に降り立った。手荷物など何もない。 そのまま一階ロビーへの自動ドアを抜ける。 「あっ。オショウ、オショウ!こっちこっち」 額にマジックペンでHENTAIと書いた中華料理店の親父が手招きしていた。
「ジャパニーズ・ギョーザ・バー【Oh!SHOW】」なるレストランバーのオーナーとして羽振りを利かせるこの男。 悪い友達と縁を切った途端、運が向いて来て今や時の人である。 これまで抑えてきたHENTAI性、それをとがめられる者などもはや存在しないのだ。 九龍のマフィアですら頭が上がらない程の大物になった今、親父はこの少女に何を求めるというのか…!?
810 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/30(土) 01:36:53 ID:ZBHxHvqH
親父「ウチのCMに出ないかね?グヘヘ」
811 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/30(土) 02:02:17 ID:AoTWtlw6
オショウはそれを快諾した。出演料の1億円に目が眩んだのである。 「じゃあまずはブレイクダンスをやってもらおうか。ヘッドスピンだ」鬼瓦のような顔をしたプロデューサーはオショウに指示を出す。 「えっ。ヘッドスピンなんて、そんなの出来ません」 「今さら出来ませんじゃねぇだろ、ハゲ!いいからやれ!」足を掴んでオショウを逆さにし、アスファルトの地面へ頭を密着させた。 「ぎゃああああああ!」プロデューサーの丸太並みの腕で無理矢理コマの如くぶん回され、悲鳴をあげるオショウ。 スキンヘッドから血が円を描いて飛び散った。
――――そう、親父の目論見。 何を隠そうそれは「奴」の貯めていったツケ払い…………。 つまり、姿、名前のよく似たオショウ・ヘルナンデスを使って欝憤を晴らすこと――――!!!!!!
813 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/30(土) 15:45:23 ID:Cm1BPbPV
オショウ「逝きさらせや!どらあああああ〜!!!」 オショウヘルナンデスは回転を止めると親父の襟首を掴み電柱に力任せにたたき付けた! オショウの筋肉は隆起し肩のドラえもんのタトゥーが不気味なオウトツをみせる ガゴンと鈍く耳障りな音が響くと親父は真っ赤な鮮血を噴き上げながら膝をついた オショウ「まだやるかい?」
「スポンサーは私だ…それを忘れるな…ここではお前の住んでいた町の、のどかな暮らしなど …望むのが間違い。皆自分を切売して必死で…生きてるんだ。」 オショウヘルナンデスは息を荒げ、肩を怒らせながらも親父の言葉に逆らえなかった。 「何をしに日本へやってきたのか…。それをよく思い出す事だ。」
815 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/30(土) 21:18:49 ID:SywEjBeG
ここに至って、オショウはHENTAIとは無関係に、問題に巻き込まれたと知る。 巻き込まれたとは誤謬豊かも甚だしく、自業自得の産物であるのは当然なのだが、 しかし彼女は、HENTAIに軽い気持ちで邂逅を望み、今また軽い気持ちで行動したことを悔やんだ。 然るに彼女は、HENTAIそのものがもつ危険、厄介に気づき晒されるその以前において既に失敗していたと言える。 この後、真のHENTAIに会ったその時。彼女は無事に済むのだろうか。いや否。得てして否である。
がっくりと肩を落とし、親父の付きの者に促され退室するオショウヘルナンデス― ―「第一段階、クリアー…ですかな?」 沈黙を破ってプロデューサーが親父に声をかける。 「ああ。ようやく動き出すんだ。夢のプロジェクトがな。」 親父は切れた唇を歪めて笑みを浮かべた。
――――ちょうどそれと同時刻、スペインである異変が起きていた。 ペニス一郎「なんだこの数は……!!」 会長「私たちだけじゃさばき切れん……」 インテリ「なんでこんなに…………こんなに沢山和尚が!!!!」
818 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/31(日) 04:03:06 ID:heqWdTO0
和尚姿のゾンビが大量発生していたのだ しかしそれはまた別の話、別の物語の中で 一方、オショウヘルナンデスは! なんと肩に「変態」の文字を彫っていた! 間違えて「変熊」になっているが気にしていない!
819 :
創る名無しに見る名無し :2009/05/31(日) 12:58:36 ID:xaa0qMc4
むしろ気にし出したのは周りの人間たちである。ここは日本だ。 タトゥーの文字がおかしいのは誰でも分ること。 変な日本語の掘られた肩を自慢気に見せびらかして歩くオショウはストレスの原因でしかない。 それは自分の上司がバレバレのかつらを被っているのと同じくらいのレベルであった。
820 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/01(月) 12:26:29 ID:wqR4pVvA
「テメェふざけんじゃねぇぞ!ちょっとツラ貸せや!」我慢の限界に達した街の不良少年 たちにオショウは捕まった。 工業高校の体育館裏へと連れられていく。日曜日の夕暮れ時とあって人けはほとんどな い。集団リンチをするには、もってこいの場所だ。 リーダー格であるらしい背の高いひとりの少年がダボダボのズボンの後ろポケットから ナイフを取り出し、身構えた。 他の少年たちもある者は拳にメリケンサックを嵌め、またある者は電気スタンガンのス イッチを入れるなどしてやる気じゅうぶんである。 はたしてオショウの命運や、いかに……。
821 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/01(月) 14:02:35 ID:LplQt6rn
しかしオショウの身長は180cm。細身とは言え筋肉質の体は日本人のそれとは一線を画していた。 さらにスキンヘッドで台なしだが「中南米の奇跡」と呼ばれるジュリアロバーツ似の容姿はヤンキー共を骨抜きにするには十分だった。
822 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/02(火) 13:30:47 ID:Fx9D6ziB
オショウは着ていたTシャツをブラジャーごとびりびりと破いた。 「おおおっ!」不良少年たちがいっせいに喚声をあげる。 オショウはGカップのみごとな胸を揺らしながら不良少年たちへ近づいて行った。 不良少年たちは前屈みに熱く膨んだ股間を押さえ、動けない。戦意喪失だ。
823 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/02(火) 20:50:19 ID:dO3ZB/I9
ヤンキー達は戦意喪失したように見えた しかし一人! まったく気にしていないヤンキーがいる オショウは見た目の美貌とナイスバディを誇張し挑発したがそいつはニヤリとほくそ笑むだけでまったく前のめりにならない オショウ「…何故?」
ホモだからである。
825 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/03(水) 00:27:31 ID:1lkR6skI
ホモと聞いて黙っていられないのがインテリ男性である。 彼は会長の触手によって眠っていた本性を開眼させられて、今や男色の大家となってい たのだ。 「き、君うちと専属契約を結ぶ気はないかね?」何の脈絡もなく突然その場に現れるやい なや懐から名刺を取り出し少年に手渡した。 名刺にはかの有名なホモ雑誌の名前が印刷されており、その横にでかでかと自分の名前。 どうやら編集長をやっているらしい。 少年は戸惑った。
ひと事でホモと言っても種類・好みは千差万別。 ガチムチの筋肉マンタイプから美少年、文系、理系… インテリは間違いなく理系・IT系のヤサホモ、少年の好みではなかったのだ。 人気のない映画館で暇潰ししてたら、ガラガラなのになぜか隣に座ったハゲのオッサン… 少年は遅い目覚めを迎えたあの日の事を思い、涙をこぼした。
827 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/03(水) 10:05:43 ID:FtVrAMDr
その涙は頬を伝い、首筋→うすい胸板→ブヨ腹筋と経由したのちチンコに吸い込まれた 和尚は感動をした。その一連の流れが、まさにエコだったからである すぐに行こう!約束の場所へ…君みたいなエコ少年をほっとかない場所があるんだ 少年は一抹の不安を抱きながらも、和尚の作り笑顔を信じて言われるままついていった 、がその時…
828 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/03(水) 17:11:20 ID:1lkR6skI
スーパーの駐車場に1台のバスが停まっていた。日雇いの派遣労働者を工場へ送り迎え するバスだ。 その横には派遣会社の社員らしき人物が【日給9000円。昼飯つき!】のプラカード を片手に立っている。 この不況のご時世において、なんたる厚待遇! 和尚と少年は迷わずそのバスに乗り込んだ。
バスは東名高速を2時間程走り、とある県道を経て曲がりくねった山道を登る事1時間余り、湖畔の工場に停車した。 和尚と少年を含む派遣社員志望者たちは車を降りると、おのおの体を伸ばしたり深呼吸し、体をほぐしていた。 すると、工場棟のスピーカーからサイレンが鳴り渡り、あたりの山々にこだまし始めた。 「ようこそ!長旅ご苦労様。今日の所はゆっくり風呂にでもつかってのんびり体を休めてくれ!」 スピーカーからのアナウンスが終わり、工場の扉が
830 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/04(木) 11:40:21 ID:yoAzt+vF
大爆発した!どかああああああん! 「うわあああ!」 「ひぃぃぃ!」 「ぎゃあああ!」 爆風に吹き飛ばされる日雇いの派遣労働者たち。 とつぜんのことに何が起ったのか、まるで理解できないでいた。
831 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/04(木) 12:19:31 ID:veluAgv2
惨状を目のあたりにした科捜研の御子柴は、血まみれの作業服のポケットから聞こえるかすかな着信バイブを見逃さなかった。 そして、驚愕の事実を知る。
832 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/05(金) 13:20:52 ID:2iT+Irti
携帯の送話口から中年男性のものであるらしい野太い笑い声がもれる。 「ぐふふふ。どうだ。驚いただろう。無理もない。これは我々正社員によるレジスタンス なのだ!」 「なにぃ!?」御子柴の携帯電話を握る手にぐっと力が込められた。「それは、どういう ことだ!」 「分からんのかね。つまりこれは労働組合い員の意見を無視してワークシェアリングなど といった制度を導入した会社に対する暴力処置!我々正社員の生活を守るための闘いなの だ!」
御子柴は動揺しつつ、平静を装ってこう言った。 「…いいのか?事件を警察が知れば、工場は操業停止。給与の削減程度では済まされんぞ?」「ぐっふっふ。ご心配なく。警察の面子を潰さぬ手筈を取った上での行動だ。 知ったとて奴らは何もしやしない。そういう仕組みになっているのだ。」 御子柴は怒りを押し殺しながら、聞き返した。
834 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/06(土) 15:19:48 ID:0zZv0PJW
「ということは、ま」御子柴が喋っている途中でとつぜん扉を押し開けるように地面が1メートル四方ほど下に落ち込んだ。「うわあああ!」 その出来上がった真っ暗な四角い穴の中へと落ちていく御子柴! 彼の悲鳴が遠くの山々にこだました。
835 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/06(土) 15:45:44 ID:CoOWx55w
なんとその穴の中には人間そっくりの顔をした犬が走り回っていた 人面犬「ほっといてくれよ!」 御子柴は「古!」と叫ぶと少し冷静になり人面犬にいろいろと質問をしてみた 御子柴「ここはどこだい?」
「ここはね……地獄だよ。君は死んでしまったのだよ。」 「なにをばかな…現にこうして君と話しているじゃないか。」「しかし、心臓は停止し、脈拍も…」 「…ない……!そんな…うわぁぁぁぁぁぁ」 御子柴の叫びが洞内にこだまする。
「まぁまぁ、たまたま運のない人生だっただけさwww落ち込むなってぇーのっwww」人面犬は切れ長な目を上向き「く」の字に曲げて卑しい笑みを浮かべた。 御子柴は人面犬を全力で蹴った。
「だからさ、死んでるから意味ないのよ。ホラ」 人面犬は御子柴のすねに噛みついた。痛みはない。 御子柴はショックでその場に座り込んで泣き出してしまった。 人面犬はどうしたものかと途方にくれていたが、ふと何かを思い付き、手ならぬ前足を打った。 「おい、泣くな。まだ現世に復帰する方法はないわけじゃないぞ。」
840 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/07(日) 11:35:37 ID:kPSk5lwM
「なにぃ。そんな方法があるのか」御子柴は人面犬の胴体を掴んでゆすぶる。「教えてくれ」 「うぅぅぅん。どうしようかなぁ」 「もったいぶるな。はやく教えろ教えろ」興奮のあまりその手は人面犬の胴体から首へとうつる。 「うぉっ。く、くるしい。こら、しめるな。ゆすぶるな。し、死んでしま、うっ」 「死んでしまう、だってぇ」御子柴はぱっと手を離した。
841 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/07(日) 16:44:47 ID:ARbw9jGG
人面犬「おっと、死んでるんだったな、失礼」 御子柴「驚かすなよ!」 人面犬はまるでおちゃらけたかのような悪戯っぽい目を細めると少し考えた後でゆっくりと口を開いた 人面犬「あの世の生き物が死ぬ、ということは即ち無(む)になるということさ、つまり魂が消滅するってこと!君はまだ魂が生きているのさ」 御子柴「オレがまだ、生きている?!」
「そうだ。これを見ろ。」 人面犬が壁を指す。ガラス張りの壁越しに、たくさんの大きなガラスシリンダーが見える。 そのひとつひとつの中身は、人間だ!人間の死体だ! ボンデージの男、英国紳士、ペニス一郎など、名札の貼られた瓶の中、青白い死体が液体に浸けられている! 「…こうなってはもう、生き返れんよ。魂が死んでるとはこの状態だよ。」
843 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/08(月) 14:29:24 ID:JRSFqBmJ
その中で、もっとも惨たらしい死体の浮かんだガラスシリンダーが御子柴の目に飛び込 んできた。 金色の髪の毛を半分がた毟り取られ、潰れた顔面が筋肉の粘着力によってガラスシリン ダーにへばりつき、両の眼球をダラリと顎の下まで垂らし、青アザ切り傷だらけの四肢が グッタリとぶら下がっている。 よほどヒドい暴行を受けて死んだに違いない。彼は生前、なにをしでかしたのだろう。 紙袋いっぱいの美少女フィギュアがシリンダーの横に転がっていた。
844 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/08(月) 16:51:51 ID:aOnujlY0
御子柴「あの、聞きにくいんだが君は何でそんな姿なんだい」 御子柴はガラスシリンダーの人間達を見ながらふと思い出したように口を開いた しかし人面犬の表情を見ると御子柴はしまった!という気持ちに襲われた 人面犬は涙をボロボロ流し泣いていたのだ 人面犬「この姿は…俺は魂が死ぬ寸前に犬の魂に入り込み融合して助かったのさ、こうなると魂はあの世にもこの世にもいけずフラフラ漂うだけさ」
「去年の盆に初めて現世に戻る事を許された。嬉しかった…。 だがちょっと羽目を外しすぎたのだな…。通りすがりの僧侶にぶん殴られ…」 人面犬の視線は宙をさ迷い、とあるガラスシリンダーに注がれた。 「…めでたく成仏と言うわけだ。」 内側からぶち破られたような、そのシリンダーケースのプレートには……【和尚】と刻まれていた。
846 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/09(火) 00:00:27 ID:SlpIAuz1
その和尚の死体がガラスシリンダーの中でくわっと目を見開いた。 「ひ、ひぃ!」人面犬は腰を抜かして脱糞した。あの時の記憶がよみがえったのだろう。 しかし、実際はホルマリン液の揺れで瞼が開いただけにしか過ぎない。 和尚を知る者にとって、彼は地獄の鬼よりも恐ろしい存在なのだ。
その時、一陣の空っ風が吹き込み、真っ暗な空に火の玉が現れた。 火の玉は一つ、二つと増えてゆき、輪を作り出す。さらに輪が増えて… 火の輪は瞬く間に、夜空に浮かぶ観覧車の様な、巨大な曼荼羅となった。 突然、笑い声が響く。千人のダライ・ラマが一斉に読経するがごとき大音声。 曼荼羅の中央に、不動明王を思わせる老人の顔が浮かび上がる。
848 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/09(火) 15:47:44 ID:SlpIAuz1
それは見紛うことなき和尚であった。曼荼羅の炎に顔を赤く染め、怒りの形相すさまじい和尚である。 ここに至ってもはや人面犬は悲鳴を上げることもままならず白目を剥き、口から泡を吹いてぶっ倒れた。 和尚その人と面識のない御子柴でえ恐怖に震え立っているのがやっとである。 やがて曼荼羅の炎はひとつの巨大なヒトダマとなり和尚のガラスシリンダー目掛け突っ込んだ。 和尚の死体に、ふたたび魂が宿った。
849 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/09(火) 18:38:05 ID:c8N3FdAi
直後、人面犬は意識を戻した瞬間飛び起きると脱兎の如く逃げ始めた 人面犬「おい、あんたも巻き込まれたくなかったら逃げたほうがいいぞ!あいつに捕まったら魂は食い物にされてしまう!」 御子柴「何?!ま…まってくれぇ」 二人は恐怖にふらつきながらも逃げ始めた 人面犬は走りながらゴワゴワと巨大な筋骨隆々の犬神の様な形態に変化した 人面犬「あんた、背中に乗れ!今までの省エネモードでは逃げ切れん!」
子柴を乗せて人面犬は地獄の平野をひた走る。 どこまでも続く灰色の大地と黒い空。 気の遠くなるような時間を経て、地平線の彼方に石を積み重ねたような塔が見えてきた。 入り口の鉄の門には交差する鎌が描かれ、窓などは一切ない。人面犬は走りながら高く咆哮した。門戸が音を立ててゆっくりと開き始める…
851 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/10(水) 02:02:10 ID:w81wdK7/
巨大な狼のようになった人面犬は白い長い毛をなびかせながら背中に御子柴を乗せ疾走した 人面犬「おい、あんた!名前をまだ聞いてなかったな」 御子柴「み…御子柴だ、あんたは?!」 直後、人面犬はまわりの異様な気配を感じ顔をしかめた 人面犬「チッ、厄介な奴らに見つかっちまった、こいつらはしつこいぜ!しっかりつかまってな」 すると周りの土のなかから小さい黒い人が次々に這い出し二人に走りよってきた!黒い人はあっという間に数千、数万の大群になり二人を凄いスピードで走り追い掛けてきた 人面犬「魑魅魍魎だ、あいつらも魂を食い物にする邪鬼だ、奴さんら俺たちを石の塔に入れる気はないらしいぜ!?」
852 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/10(水) 15:52:35 ID:Zt+dUm+2
その魑魅魍魎のはるか彼方の地平線にぼんやりと黒い点が浮かび上がるやいなや、それ は瞬く間にハッキリとしたかたちをとり始めた。――和尚である。 憤怒に燃えた眼球にはいく筋もの赤い線が走り、あり得ないほど鼻孔をおっ広げ、口の 端からは泡まじりの涎をひいている。 老人とは思えぬほどの脚力でこちらへ走ってくる和尚の振り回す警策が巻き起こした竜 巻により、次々と吹き飛ばされていく魑魅魍魎たち。 まさに最凶最悪の化け物だ。 「うわあああ」 「ひぇぇぇ」 人面犬と御子柴は死んでるにもかかわらず、これまでで最も強い死の恐怖を感じた。
853 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/11(木) 13:29:58 ID:wTOUVKSj
そしてその和尚の後ろにも何やら黒い点が現われた。 「う、うわあああ!助けてくれえええ!」和尚は必死に叫んでいる。 どうやら和尚は人面犬と御子柴を追いかけているわけではないらしい。何者からか、逃げていたのだ。 よく見ると和尚は怒りの形相ではなく、恐怖に精神が錯乱した表情であった。
854 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/14(日) 14:42:50 ID:R3HbEMri
先頭でゴールしたのは和尚である。タイムは世界新記録にあとわずか。とても素人の走 りとは思えない。 「きみ、わたしといっしょにオリンピックを目指してみないかね」ひとりの男が和尚に近 付いてきた。
855 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/14(日) 22:46:46 ID:+utreNpU
エド・モランである 機械の身体を持つエドはブルーメタリックのボディに無機質な血の通わないゾッとするような眼球を動かしながら和尚に話し掛けた まず口をウイインと耳障りな機械音を響かせながら開くと「ボク、エドモラン」 とガラスを爪先で擦ったようなドブ川の害虫さえも耳を背けるような声を発した
突然の闖入者に騒然とする国立競技場の満員の観衆をよそに、エド・モランはにこやかに話しかけながらおもむろに自身の腹部のポケットをまさぐり始めた。 「ドープラ粉ぉ〜!」 誇らしげにそう宣言すると、あやしげな白いその粉末の蒸留液を、注射針によって和尚の腕に注入した。 激しい目眩と嘔吐感、そして競技場のトラックが歪み捻れ、曼荼羅を形成する幻覚が和尚を襲った。 …どれほど時間が過ぎたろうか。気付くと和尚は見知らぬ灰色の大地に佇んでいた。
857 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/15(月) 04:14:28 ID:qMad6JvH
和尚はその灰色の大地を耕し始めた。朝から晩まで。 藁葺きの粗末な家には和尚の嫁と息子が待っている。 つまり愛する家族のために身を粉にして働いたのだ。 心を入れ替えたに違いない。
犬を連れた若者が、和尚の畑の脇を通り際に声をかける。 「やあ、いつも精がでますね。」 「おお。これは御小柴さん。犬のお散歩ですか。毎日ご苦労様ですな。」 「ええ、独り身の僕には、こいつが唯一の家族ですから。」 「…まだお若いのですから、これから先きっとたくさんの出会いがありますよ。」
859 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/15(月) 16:17:03 ID:rWLGAyP8
そう、御子柴と人面犬は生き返ることが出来たのだ 何故、人面犬が犬になって生き返ったのか? 御子柴はどう生き返ったのか? それはまた別の物語で語る事にしよう 御子柴と犬は幸せそうな笑顔で和尚に会釈をすると夕日の道を歩いていった エドモランはその様子を木陰から血の通わない冷たい眼でまじまじと眺めていた
860 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/16(火) 01:24:41 ID:firmoXmS
そのエドモランの肩を叩く者がいた。町内を自転車で巡回中の警察官である。 「きみ、そこで何をやっているんだね?」 とつぜんのことに恐慌をきたすエドモラン。 とっさに「僕ドラえもんで〜す」と、やってしまった。 可愛らしさをアピールすれば何とかなると無意識に判断したのだろう。 しかし、それはむしろ怪しさに輪をかける結果となった。 「うむ。ちょっと署まできてもらおうか」 たちまち連行されて行った。
861 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/16(火) 15:28:47 ID:6hKIccOy
そこでエドモランの表情は一変する 全身のブルーメタリックボディわ艶消しブラックに体色をミシミシと変化させると 「ゲシシ」とまるで底無し沼に落ちた疣猪が身を捩らせ沈んでいく時に発する様な声で笑うい、全身をプルプルと痙攣させはじめた 警官「な、なんだ?!お前何をするきだ!」 エドモラン「
862 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/17(水) 02:21:07 ID:CnBjJh9J
僕ドラえもん〜です」 「同じことばかり言うな馬鹿!」 警察官はぶち切れた。
863 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/17(水) 02:47:06 ID:cVRoxXPR
そこへ、前髪は立ち上がり、口がクチバシのようになった少年が歩いてきた 警官「君は…誰だ?」 少年「骨川スネ夫さ」 な、なんとスネ夫が登場したのである エドモランはその隙に警官の銃を引き抜き、奪った! 警官「き、貴様!?」 スネ夫「ククク、こりゃあ勝負ありだな」
「その勝負、待った! あいや待たれい〜皆の衆ぅ〜〜う。」 弁髪の男が現れ、どどいつ風にそう唸った。 スネ男「なんだお前は。こんなやつ初めてみたぞ。」 「フッフッフ…」
865 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/17(水) 14:17:06 ID:cVRoxXPR
スネ夫はその奇怪なみつあみをした弁髪に額に書かれた「中」の文字をまじまじと見つめ「あんたは誰だい?」 と至極全うな質問を繰り出した 弁髪に「中」の文字を持つ筋骨隆々の男性はニヤリと笑いスネ夫の頭に手を乗せた
スネ「きたねえ手をどけろよ。ヘアースタイルが乱れるだろ」 中「威勢がいいな、だがガキの癖に整髪油など生意気だ。感心せんな。」 スネ「ワックスと言えよ。糞ジジイ。」 中「フフ…。舐められたものだ!この超人拳法の使い手の私がな!」 中の字は高く跳躍し、腰を素早く回転させてスネ男の眉間めがけ、蹴りを放った!
867 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/18(木) 02:46:07 ID:orvN9agH
スネ夫は「ぐへーっ」と叫びながら吹き飛んでいった しかし中の字の追撃は止まらない! なんと手刀から虎を発生させスネ夫にめがけて放った!! 虎はスネ夫の喉元を食い千切った! スネ夫「ぶべら!!」
スネ夫の死体がピクピクと動きながら横たわっている。 中「ふっ、口ほどにもない、、、。」 その場を離れようとしたその時、背後から恐ろしい殺気が巻き起こっていた。
869 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/19(金) 15:51:13 ID:hIXxStls
そこへ、スネオヘアーが現れた。
彼らは全員が全員揃ってマッシュルームカットで、グループ名とは似ても似つかない容姿をしていた。 スネ夫は遠退きゆく意識の中で、いわれようのない悲しさと憤りを感じた。
悲しさを感じていたのはスネ男だけじゃない。俺だってそうだ。 「あの髪型はどうなってるんだろう?」「実写で見てみたい」 小学校の帰り道、みんなでそんな話をしては毎日ご機嫌だったあの頃。 ノスタルジックな感傷を否定するかのごとき彼等の振る舞い、音楽性が煩い。 ―親父は、オショウを乗せて首都高を走りながら、カーラジオの歌にそんな不快を感じていた。
872 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/20(土) 16:00:18 ID:lYUlVbDu
和尚は赤いフェラーリを走らせながら道の途中にゴリラのような人間を見つけた ゴリラ人間「俺も乗せておくれよ!」 和尚はアクセルを強く踏み込んだ
873 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/25(木) 02:09:25 ID:m+HAtmcf
飽きた… 村上はペンを置くと窓を開け、煙草に火を付けた。 ターンテーブルの上のジミヘンのレコードもいつのまにか止まり、住宅地には古雑誌交換の声が響いている。 自分の精魂の結晶もいずれ誰にも見向きもされない塵芥とかすのだろう。 こんな事して何になるというのだっ……
その心の叫びをきっかけに、一つの物語は終わった。 唐突に。何の前触れも無く。 【 完 】
……その一字を彼は原稿用紙に打ちつけたのだ。
だが、それが新たなる始まりを告げる符号である事を、この時彼はまだ 知らなかった。知る由も無い。それは終わらせるための符号であり、まさか それが始まりを告げる一字となるとは、誰だって夢にも思わない。 だが、その一文字が、確実に“それ”を動かした。
877 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/27(土) 01:43:54 ID:2avRvfkg
【それ】には既視感があった。 幼少の頃、晴れた日に庭で遊んでいると突然、日差しを遮って上空に現れたあの物体。 ただの入道雲に過ぎないのだが、【それ】がもたらした言い知れぬ不安感。 今感じている感覚はまさにその時と同じ。 酩酊から醒め、横たわる無味乾燥した現実によって打ちのめされる心情―ジョン・レノンは「ノルウェイの森」で「鳥は飛んでいってしまった」と表現したが―
878 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/27(土) 03:50:19 ID:c0Y03UZZ
そんな中キング・オブ・ポップ、マイケル・ジャクスンの訃報が飛び込んできた。
879 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/27(土) 10:37:09 ID:2avRvfkg
家族間の話し合いすら、弁護士を介さねばならなかったとか。 人を信じる事を出来なくされ、閉じた心で生き、突然死んだのだ。 訃報を聞いたとき、真っ先に思ったのが別居中の妻子の事だった。 やはりこのままではいけない。私はまだ生きているのだ。 あの別れと直面する事は年月を経てなお、苦しかったが、それでも心欠けたまま生き、死ぬ事など今の私にはできないのだ。
妻は、電話口の向こうで苦笑しているようだった。突然の、しかも二年振りの電話であったが、 それが功を奏したのかもしれない。彼女とのやりとりは、常に手紙であった。娘に会う時も、 彼女は一切私の前に姿を現す事も、電話などで声を聞かせる事もなかった。もしそうなれば、 別れる原因となったあの日々を思い出す、罵倒の交錯が再度行われるであろうと、彼女は 思っていたのかもしれない。……少なくとも、私は、そう思っていた。
881 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/28(日) 03:03:14 ID:XuxQX5FR
妻が何か私に言った。だが何を言ったのかはわからない。 自分でも予想だにしていなかったことだが、私は妻の声を聞いただけで理性を失い、泣き出してしまったのだ。 何かしゃべろうとしても言葉にならない。 もはや嬉しいのか悲しいのかすら分からない。 ただ、胸が締め付けられるほどに苦しく、懐かしい妻の顔を思い浮かべては嗚咽するのみであった。
882 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/28(日) 08:00:32 ID:bUej+4YP
その嗚咽は激しい物だった。妻はその私の醜態を、電話の向こうで ただ傍観している……。優しい言葉の一つさえ掛けてもらえなかった。 女とは本当に損得勘定で男と関わっているのだな、と、 しゃくり上げながら、良い教訓を貰った。 「やはり死のう」私はそう思った。
883 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/28(日) 21:34:12 ID:RFpd88TZ
白い電話機を這う黒い蟻が、天国への階段を昇る死者のようだ。 私は受話器をソファに置き、指先に蟻を這わせた。 ぬくもりを感じさせず、ただうごめき、右往左往する者。 生まれてすぐに喪服を着せられ、死者の行列に加わり、後はひたすら順番を待つだけ。 窓の外の青空はどこまでも澄み渡り、はるかな雲の陵線の彼方に、僕のゆく国があるのだろうか。
「ねえ、あなた」 妻の声が、幻想の世界に飛んでいた私の意識を、現実へと引き戻した。 「聞いてる?」 妻の声は、怒っている風でもなく、ただ戸惑っているように、私には聞こえた。 無理も無い。突然電話をかけてきた別居している夫が、突然電話口の向こうで泣き出したのだから。
885 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/29(月) 22:31:08 ID:Y0jDvxsl
「僕はヒースクリフになってしまった…。最愛の人を失い、ただ彷徨い続けるんだ」 僕の口からは、自分でもよくわからないことを次々と発していた。
886 :
創る名無しに見る名無し :2009/06/30(火) 00:49:42 ID:ZTCFsHHo
吐き出したい感情が渦巻き、砂嵐のように私の心に吹き荒れ始めたのだ。 だが、発したどんな言葉も私の苦痛を紛らわす手助けにはならなかった。 「拒絶された」あの日以来、私は気丈な振りをして変わらなく生きてきたつもりだ。 しかし、止まったままの時間の中で、置き去りのまま泣きじゃくっていた本当の私が、 今になってかりそめの自我を押し流してまで私に命じているのだ。
887 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/03(金) 01:25:23 ID:fzSmGaEJ
電話の向こうの妻は、今や娼婦に身を落としている。 誰も来ない寂しい自室で、床の空瓶を素足で転がし、くわえ煙草で電話に応じているのだ。 王子のように白馬に乗って救いに行きたい。行かねばならない。 私の中で妄想は強迫観念に成長し、常識的な判断力を食い潰し、嬌声を上げ始めた。 そうだ!私には愛するべき人がいるのだ!生きて生きて生き抜くのだ!
たとえ、火の中・水の中・草の中・森の中 なかなか・・・、なかなか大変だけど、 必ず・・・
889 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/05(日) 03:39:22 ID:094fVJuG
照り付ける灼熱の太陽に晒され、砂に足を取られながら私は砂丘を旅していた。 焦熱地獄は私の体から着実に水分を奪っていったが、生きる意志だけが私を支えている。 あの時妻が私によって受けた心の傷に比べれば、この程度の苦痛などてんでぬるい。 神よ。私にもっと強い罰を与えてくれ、私が泣き叫び、命乞いをしても決して手など差し伸べることなかれ。 私は自分の力でこの砂丘を乗り越えてみせる。砂という砂を制圧し、堂々たる姿で妻に再会を果たすのだ。
890 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/05(日) 04:18:53 ID:u8DzYTSq
いや、待て 私は精神と現実とを反復することで、彼女から逃げているのではないか? 「もしもし…」 私は暗闇の中で蛍光灯の紐を探すように、恐る恐る言葉を投げかけた。
891 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/05(日) 23:37:04 ID:1lKNtuDA
…だめだ…。 怖くて話すことができない。 妻の声が聴けて幸せだった直後、私は打ちのめされた。 すなわち、戻れないあの時の走馬灯のように流れる、記憶の感触に。 受話器を握る手の形のまま、私は仰向けに倒れ込み、震えながら泣き続けた。
892 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/08(水) 01:51:37 ID:ONN1W3Jh
どうして、壊れてしまったんだ。 私は満足していたんだ。 あの男が悪いんだ。 あの男が無理やり・・・。 vol.36「一度の過ち」
893 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/08(水) 02:46:35 ID:vwp6N6P3
お気に入りのDVDだ 「一度の過ち」 人生における過ちを1時間の尺でまとめた オムニバス形式のドラマシリーズだ。
894 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/09(木) 01:16:11 ID:IkM5B3K6
突如記憶の前面へと浮上した思い出。 会社の慰安旅行のビンゴゲームで貰った景品。 妻と二人、面白半分に観ていたあの頃は、まさか…まさか… 自分自身の未来を映し出していたなんて思いもしなかったのに…! 私の運命を予見し、嘲笑っていた者が…いたとでもいうのか?
895 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/10(金) 07:41:34 ID:sPBlvaqM
vol.36 一度の過ち 306話 「浮気」 307話 「離婚」 308話 「殺人」
「うわー、これ超長々だよ、横山君」 「そうですね、超長々々ですね、社長」 DVDを前にして、話し込む二人の男。 ここは失われし夢の王国ネバーランド一角の、いわば「一等地」的な、つまり六本木的な立地条件を構える敷地の中に建てられた建物、つまり六本木ヒルズ的な場所みたいな、何気六本木ヒルズ的な雰囲気がなくなくなくなくない?みたいな場所。
897 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/18(土) 19:35:16 ID:12MZRNuM
「ところで横山君、今夜ホルモン焼食いいかんか?新宿でいーとこみつけたんだ。」「炭焼っすか?」「当然。チャンジャもあるぞ。」「ケジャンは?」「きっとある。トラジもな。」2人は炭火で炙られる脂ホルモンを夢想し、だらだらと牛のような涎を垂らす事をとめられぬ。
898 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/20(月) 23:44:30 ID:cfecXxvW
―ネオンの光が眼に眩しいし、微かな吐気に苛立ちが募る。 胃の痛みを自覚しながらも、煙草を口に挟んでしまう。例の脅迫神経めいた性格のせ いか、あるいは妻への自責の念か。頭でつぶやき、唾液を飲んだ。 ふいに肩がぶつかった。右肩に白めいた唾液がついている。遠去かる二人組みをみて すべての感覚が遠のいた。あの間男だ。あの男が居る。目の前に。
俺達の冒険はこれからだ! 〜fin〜
900 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/23(木) 01:29:52 ID:LnWRuMSU
ポチッ! 「!!!」 「お母さん!まだ途中なの、消さないで!」
テレビは9時まで。 それなりにしつけの行き届いた家庭に育ったのだな、と今更感じてる。 自分自身は平気で夜遊びに興じているのに、友人の夜更かしにはお節介を焼いてしまうのだ。 大学の自由な雰囲気の中、一風変わった俺の個性も、心優しい友人たちには愛されているようだった。 少なくとも昨日までは… 【最終話 昨日に帰りたい】
「彼、変わってしまったんです」 そう彼女は語る。彼は変わってしまったという言葉。それは彼女の観点から の言葉であり、実際には彼は変わってはいなかったのだが、当然ながら 彼女にそんな事は知る由も無く、彼女にとっては彼が変わったという事は 厳然たる事実であり、それに疑いをはさむ余地は私にはなかった。
903 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/26(日) 10:18:03 ID:C3KkAK2J
ペニス一郎「それは恐らく心の病です。一度のどかな田舎に引っ越されてしばらく静かな暮らしをなさってはいかがでしょう」
904 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/27(月) 01:36:33 ID:faz+SFbx
「ミセス・ヘルナンデス?」と問い掛けが続く。 彼は私の過去を詮索しない。私も彼を詮索しない。これが暗に決められたルールであった。 あの原稿用紙を見るまでは。なぜ彼は私の過去を知っているのか、それにカウンセラーであ るはずのこの男、どこかで見たような記憶がある。 記憶を探りつつ相槌を返す。
「いかがですか、ここから見える夜景は。」 取り留めのない思考の逡巡を遮るようなその声に我に返った。 窓辺に立つカウンセラーの指す、宵闇の空をも赤みがかった色に染める、都市の情景。 見慣れているはずの景色を、なぜ今更になって殊更に私に示すのか。 「…人間は変わるんじゃない。変えてしまう。そしてこの窓から見える街並みが、私を人間の業欲の深さ、そして強さに怖れを抱く者に変えるんだ。」
906 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/28(火) 03:00:33 ID:+XCI/q7P
ペニス一郎「いくら804の回想してみても、結局のところ、あなたが日本に来た理由は私には分からない。 あなたは若かったのだ。意味など必要ありません。しいて言えば、 掲示板に書かれた気まぐれがあなたの運命を決めるのでしょう。 彼にしたってそうだ、873で出逢い、突然ヒースになってしまう弱さを885で披露した。 ここでは皆が変わり往くのです」
「ここでは…そう、彼は自分で自分を変えようと本気で努力をしたんでしょうね。 中央アジアのとある砂漠の真ん中で、行き倒れになっている彼は、まるでミイラの様でした。 発見者の誰もが、まさか彼が生きていようとは思いもよらなかったそうです。 必要な水分量を遥かに下回る枯れ木の様な体組織には、彼の「生きる意志」がみなぎっていました。 生きる意味を問うことなど誰もが忘れた、この都会を離れて彼は独り、問かけをやめなかった。…なぜか?」
908 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/29(水) 03:13:03 ID:qUM/KIdp
突然後ろのドアが開け放たれた。構える暇もなくあっけにとられ見ていると見慣れぬ男が後ろに立った。 財津 一郎「私との愛を守るため。当時の彼は旅立ったのだ。 ショックを受けたならピアノ売ってちょーだい。」 彼はそれだけ言い残すと静かに去った。
909 :
創る名無しに見る名無し :2009/07/31(金) 13:17:41 ID:oJI4nVhv
「非常に厳しいですね…」 思わず本音が洩れてしまう。 ペニス一郎は苦笑しながら、言った。 「そう言ってくれるな…。今の男はあれで随分回復したんだ。 事業に失敗し、明日を見失っていた頃のヤツは廃人だった。 だが、結局ヤツもまた愛によって忘れていた微笑みを取り戻したのさ…」
910 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/01(土) 04:12:14 ID:rn+PaU+Q
…結局、答えの出ないままカウンセリングセンターを後にした。 帰りの夜道に吹く風は肌寒く、まき上がる砂が目に入り、涙が滲む。 寂しさを忘れようといつも自分を飾って生きてきた。 飾る事をしない彼が、とても退屈に思えたから、自然に心が離れただけ。 さよならも言わずに突然、姿を消した私を、彼はあんな姿になるまで…なぜ?
911 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/03(月) 21:45:55 ID:FfDDV8Zn
いくつものネオンサインがきらめく街に、車の音と喧騒、音楽が静寂を覆い隠すように さざめいている。 タクシーになんか乗るつもりじゃないのに、彼女は無意識に手を上げ、車を拾った。 …行き先はどこ…とりあえず0時になるまで走り続けて欲しい。 約束があるようなそんな気がするから…。
912 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/03(月) 23:40:40 ID:VFSPbPNe
にゃおん 座席には、目に黒いブチのある、太った白ネコが座っている。 驚いた私に気づいた運転手は、微笑みながら私に言った。 「すいませんね、その子私が昔飼ってたネコなんですよ。お客さん見えるんですね。今夜は久々に楽しくなりそうだ。」
913 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/04(火) 00:08:42 ID:RrFWADd4
「にゃ〜」 猫の鳴き真似をしてみた。 ねこは私を見つめていたが、のっそりと起き上がり、私に腹を見せながらゴロゴロにゃんこと体をすり寄せてきた。 「アッハハハ。お客さん、ネコとなかよしになるの上手いね。 私よりよっぽどなついてるよ。」
914 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/05(水) 01:50:56 ID:DbRsPy4W
人恋しさに動物を飼う独身男性なんて、好みじゃない。 猫と女の区別もつかない、愛し方も知らない無器用者に決まってるからだ。 私は不愉快になり、信号待ちを機にタクシーの窓をぶち破って歩道へ出た。 何かわめいてる運転手を尻目に、とある商店街へと向かう。 お腹が空いたので、中華料理でもいただこうというのだ。
店に入ると満席だ。閑散としたこの商店街ではあまりに不自然な光景に私はショックを隠しきれなくなり、否、頭では感情を押し殺そうと努力はするものの体は否応なしに反応する。次の瞬間、全身の毛が抜けた。そして私の心臓は止まった。 ―これが僕が今までに集めた情報です。あ、名乗るのが遅くなりすみません。ちんちんとげぴーと申します。しがない探偵です。
916 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/05(水) 18:31:48 ID:DbRsPy4W
満席の中華料理屋で、相席になった男はそうまくしたてた。 新手のナンパだろうかと思い、私は無視していた。 ビールが運ばれると、探偵を名乗る男は乾杯!と言って勝手に乾杯し、うまそうにそれを一気に飲み干す。 店内に流れる、中国語でカバーされた「ワインレッドの心」。 …こんなのがデートだったりしたら、すごいセンスだな…と思わず苦笑した。
917 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/06(木) 13:05:56 ID:ulctsmn+
[豚が。」両足をテーブル大きく投げ出す。ブーツの重みで台が軋む。片脚で皿ごと全て床に落とす。 開放感に酔っている。 狼狽する探偵を観察しつつ、中華テーブルの回転台を踵で回して遊んいる。 ―私は隣の席で横暴な態度をとるペニス一郎を侮蔑している。向かいの席の探偵がビールをこぼした。
こぼれたビールがテーブルを伝い、私のスカートを濡らす。 さすがにハッとした表情になり、探偵はポケットからハンカチを取り出して私に手渡した。 ハンカチを受けとる時に触れた手の温もりがひどくいとおしいものに思えて、涙が溢れてしまう。 済まなそうにうつむき、拳を握り締める探偵の顔めがけて、臨席のペニス一郎がおしぼりを投げつけた。 静まりかえった店内に流れる歌謡曲。悲しい歌声だ。
919 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/07(金) 00:53:42 ID:jyt8USFH
大体、名前に男性器が入っているような奴を信用しようってな方が無理がある。 ペニス一郎が言った。
仕事中とうってかわって粗暴で、険悪な目付きのペニス一郎の態度に、私は怒りよりも同情を禁じ得なかった。 「先生…。私がタクシーを呼びますから今日はもうお帰りになった方が…」 「あ?なんだこのクソアマぁ!っ…つぁけんじゃねぇよどいつもこいつも… す…精神科医だってな、腹が減りゃいらつく。子供ができりゃ働かなきゃってんだ。」 大分飲んだようだ。私はペニス一郎の分まで勘定を済ませると、
921 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/07(金) 03:26:48 ID:w9Zo+T9s
爆発した。まさかこんなにあっけなく人生の幕が降りるとはね。 薄れゆく意識のなか、ペニス一朗とちんちんとげぴーはまるでどこかの獣のように頭突きをしあっているのを私は確かに見た。 こうして私は死んでいった。 ちんちんとげぴーがペニス一朗の頭を砕き自分の傘下に収めたらしいが、それはまた別の話。
922 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/07(金) 03:32:51 ID:jyt8USFH
とりあえず探偵を殴打した。ペニス一郎への抑止の為だ。 ペニス一郎「大体、ハンザイ。俺のソンザイが犯罪。未だ原罪引きずる現在☆に、さよならバンザイ。」 陽気でメロウなナンバーだ。 捻挫した手首を抱え、ペニ公とすすり泣く探偵を引き連れ店を出た。 サラマンダー襟足「旦那の事で話しがアリマス。署まで御同行を。」
923 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/07(金) 03:36:14 ID:jyt8USFH
↑かぶった。すまぬ、次に任す。
924 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/07(金) 12:34:19 ID:4mwTRg4P
まったくそんな気分だった。 タクシー乗り場で待つ間にも、泥酔したペニス一郎はのべつまくなし意味不明な事を喋り続けた。 列の後ろのマジメそうなサラリーマンに一郎を預けて、自分だけ歩いて帰りたいと何度おもったか。 私と一郎がタクシーで一郎のマンションに着いたのは、一時間も後の深夜二時であった。 マンションのエントランスホールですれ違ったホステス風の女が私の顔をじっと見ている。そんなんじゃないのに。
925 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/08(土) 07:48:02 ID:EBYhJQOb
車内ではペニス一郎が、ここは事務所であり、妻子の居る実家ではない。と口走っていた。 流石にここまで澱酔していては別段深い意味はないだろうが、 僅かに不安を覚えた私は、この男をエレベーターに押し込んで去る気でいた。 ぎょっとした。開いたエレベーターから探偵ちんちんとげぴーが現れた。
926 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/08(土) 12:13:52 ID:KjN5E4mL
私とペニス一郎の後を追って来たのだろう。 でも、正直、探偵ちんちんとげぴーのような無器用そうな男は好みじゃない。 一郎と私との関係をあえて誤解させたままにしておくのもありかもしれない、と考えた。 少し酔いも回っていたし、年齢的に諦めていた「見た目で恋される」自分にものぼせていたのだろう。 探偵を横目に、躊躇なく、一郎を抱き締める様に支えながら、エレベータに乗り込んだ。
927 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/10(月) 02:18:23 ID:kZkotWjj
ペニス一郎の肩越しに見る探偵ちんちんとげぴーの表情が切ない。 でも仕方ないのだ。あなたとは付き合えない。受け付けないから。 エレベータの扉が閉まる。 エントランスホールに残された探偵が泣いていた。ごめんね。さよなら。 ペニス一郎「また逃げるのか」
928 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/11(火) 00:21:42 ID:EyxPVCOt
ペニス一郎「己の我がままを通す責任 あなたそれから逃げてるだけアル」 しかし私は単純にこの男がタイプではない ボタンを押した。閉まる瞬間、探偵が資料を投げ入れた。 エレベーターが作動した。足元に書類が散乱している。
足元に乱雑に飛び散る資料を尻目に、ペニス一朗は私を抱きつづけた。ペニス一朗の腕は私の体をきつく締め上げ、彼の鼓動が直に体に伝わってきた。 ゆっくりと彼の顔を覗き込み、お互い目を合わせ唇を近づけてゆく。なんとも表現出来ない多幸感が私を包み込み、願わくばこの時間が永遠である事を願った。 しかし、その時間は唐突に終を告げた。 足元に散らばった探偵の資料。ペニス一朗はそれに目を奪われていた。彼の視線はもはや私だけの物ではなくなってしまった。彼は私を抱いたまま恐怖と驚きが入り交じった表情で呟いた。 「奴の研究は‥‥ここまで進んでいたのか‥‥!」
930 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/11(火) 01:51:02 ID:P/kcm2nu
ペニス一郎の身長と床に落ちた資料の厚さが、二人の男への私の関心を示す棒グラフのようだ、とふと思った。 でも、私が支える事を放棄すればこの泥酔した男もまた、床に突っ伏して私を見上げるのだろう。責めるような視線で。 やがてエレベーターの扉が開き、私は一郎を支えながら通路に出た。 後ろで扉が閉じる。資料は拾わなかった。拾えなかった。間に合わなかった。仕方なかった。 なぜか涙が溢れてきた。
931 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/11(火) 15:33:20 ID:7NtR8DtN
「だめだ‥‥戻るんだ‥!」 ペニス一朗は動揺した声で言い放った。だが私はそれを無視したのだ。たとえどれほど重要な情報であろうと、探偵と私との繋がりは一切消してしまいたかったから。 「ダメだ、戻って資料を拾うんだ!アレは世界を救う武器の情報だ‥‥今の我々に必要な情報なんだ!」 ペニス一朗は叫び続けるが、私には世界などどうでもよかった。まず自分を護らなければ、世界などどうでもいいではないか。自己中心的なのは解っている。だが私にはそれしか無かった。 しかし後に後悔する事となる。まさかあの資料が探偵が総力を挙げて調査したドラクエ9の錬金最強フローチャートとは知らなかったのだから。
932 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/12(水) 01:43:44 ID:zXIpRlPZ
ペニス一郎「…どうするんだ?」 「資料とあたしとどっちが大事?」 ―沈黙。自分で自分の言葉に驚いていた。 ペニス一郎「……FF派なのか?」 「ふざけないでよ!!もう……知らない!」
ペニス一郎は突如心臓発作を起こし死んだ
934 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/12(水) 06:48:15 ID:pU/SfHnO
私がザオリクを唱えた
と見せかけてもう一度心臓発作を起こした。 その昔村長が3Dメガネを買ってきて、村がインベーダー共に焼け野原にされたように、今年も銀行強盗が忘年会で開戦宣言をするのだ。 もうこの世界はおしまいだ。早く家に帰って内職の続きでもやろう。
936 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/13(木) 03:26:20 ID:3K6SJpxV
内職と言ってもバナーをクリックするだけの単調な作業だ。 バナーをクリックして戻る、バナーをクリックして戻る… これで月に45万稼いだ友人は精神を病み、無人島の灯台守の情婦になったそうだ。 もっとましなバイトを探さねばなるまい。 右手を機械的に動かしつつ、求人サイトを検索してみた。
937 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/13(木) 14:10:43 ID:weqp86dk
求ム。極悪三兄弟ガ一人、「チンチン・トゲピ」ノ首ヲ捕ル物 夕刻5時より 桟橋亭カウンター端にて待つ 担当者 啜り泣くスカーフェイス
938 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/14(金) 05:12:05 ID:v5k7Q7ay
「??!」 目を疑った。まさか自分以外にもあの探偵に殺意を抱く者が居たとは。 一通り妄想にふけった後、冷静になった私はサイバー警察へ通報した。 さすがに今のご時世にネット上で殺人依頼する不用意な連中とは関わりたくはない。
939 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/14(金) 10:49:34 ID:sAGrb5wQ
>>938 「残念。あなたはすでに関わってしまっているのだ。」
突然、声がして、驚いて振り替えるとクロゼットの中から銀髪の若者が現れた。
「な…なんですかあなたは!人の家に無断で!警察を呼びますよ!」
若者はフッ…と笑い、煙草に火をつけるとおもむろにバスローブを脱ぎ始めた。
940 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/14(金) 15:17:09 ID:Gt3fcwlT
首から下は鈍い銀色に光る。 流線型のアバラが呼吸のリズムに合わせて開く。 ロダンの彫刻を彷彿とさせる細やかな造詣は多間接人形の要素をも孕み、 凝ったおもちゃのようにも見える。 サイボーグ男の口が緩んだ。 私の名前は笑う伊右衛門。担当の者に遣わされてね。
941 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/14(金) 17:06:13 ID:sAGrb5wQ
「あの男は手クセが悪くてね…。我々の研究室から【書類】を持ち出したまま、行方をくらましたのだよ。」 私の脳裏に、エレベータの床に散らばった資料が浮かぶ。 「あなたがあの男と一緒にいるところを見たとの情報が入り、悪いが勝手に部屋を調べさせてもらったよ。 ちなみに今、あなたのPCはネットに繋がってはいない。あなたの見たサイトは全てダミーだ。」 そういえばケーブルがPCの裏から伸び…男の股間に挿さっている。
942 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/16(日) 01:55:18 ID:El3kod7p
私は事の成り行きに抗えないまま外に連れ出されてしまった。 やっこさんならもうすぐ来るぜ。 移動中は何を聞いても無言を通した銀髪男は居酒屋に着くなりそう言った。 恐らく、啜り泣くスカーフェイスの事だろう。大体、謎なのは笑う伊右衛門と名乗るこの男。 引き摺ったままのパソコンに気が付いているのだろうか?
ふと思いつき、USBをPCに差し込みウィルスを注入してみる。 「なにをする!よせ!」 なるほど、アンチウィルスソフトを入れるのを忘れているらしい 意識部分は正常な動作を保っているようだが体は、ウィルスに侵されてしまったようだ。 男は口汚くののしりながら、コサックダンスを踊り始めた
944 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/17(月) 03:20:05 ID:tWAgDEtn
「ペレストロイカ!ぺ!ペレストロ!ペレ!…」 完全に動作が不能になり、銀髪男は残念そうな表情を浮かべたまま沈黙してしまう。 座敷の入り口で倒れた男の体を容赦なくけとばしながら、店員がシーフードサラダを運んで来た。 美容のために菜食を徹底している私にとって、サラダに乗せられたエビは余計だ。 指でつまみ上げ、力任せに店員の鼻の穴にねじ込んでみた。
「んっ・・・はぁぁ・・・・」 どうやらこの店員の性感帯は鼻の穴らしい。 良く見ればかわいい顔をしている。店員の物欲しそうな視線。 私は我慢できなくなり店員のズボンとパンツを一気にずり下ろした。 そして、そそり立つソーセージを猛然としゃぶり始めた。
946 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/17(月) 21:31:33 ID:tWAgDEtn
口中でみるみる硬度を増し、苦みばしった味が舌を刺激する。 歯を立てぬよう注意しながら、根本から先端へとしごくように愛撫してみた。 店員の内ももに痙攣が走り、いきり立ったその先端より溢れでた栗の花の精達が私の顔にかかる。 上気し、息を荒げながら私を見下ろす店員の鼻の穴から、粘液まみれの剥きエビが糸を引いて垂れ下がってきた。 私は舌先でそれを受け止めると、目を閉じて口移しで店員の半開きの唇へと運んだ。
947 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/18(火) 04:21:25 ID:vil2wZvr
「やめろッ!」 先ほどまで快楽にふけっていた男の顔は恐怖に引き攣っていた。 「貴様‥‥‥やはり油断ならんな‥‥さっきの口淫で俺が甲殻類アレルギーだと見切ったな?あまつさえそれを利用し暗殺を試みるとは恐れいった。やはり適任はお前のようだ」 まったくもって言い掛かりだ。 しかし股間からイチモツとコードをぶら下げた男の間抜けな姿と真剣な表情に、私は笑いを隠せずにいた。 「その笑い方‥‥やはりお前は殺し屋のようだな」 だから言い掛かりだ。
はっと気付きは、私は衝撃を受けた。 「いつ入れ替わった?」 いつの間にか、店員と銀髪男が入れ替わっていたのだ。 「私は、どこにでも存在する」 この男、ただのサイボーグではないらしい
「例えばこんな事も可能だ。」 銀髪男は体を水銀のように変質させ、座敷入口ののれんと同化してみせた。 紺地に白で書かれた「黒木屋」の文字が銀白色に発光する。 感嘆する私の様子を見て気をよくしたのか、彼は次々といろんな物に同化してみせた。 座布団、掛け軸、電球、テーブルの上の青リンゴサワー…
950 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/18(火) 13:32:57 ID:vil2wZvr
私は童話にある山婆を思い出した。 山婆はその妖力を用い、自在にその姿を変えたという。 そして山婆は訪れた旅人に豆に変化させられ、餅に挟まれ食べられてしまった。 私は思い立つまま、りんごサワーに変身したサイボーグを一気に飲み干した。
してやったり…そう思ったのもつかの間、腹部に鈍痛が走る。 痛みは苦痛というほどではなく、さながら、熱い吐息を注がれながら耳たぶをあま噛みされるような快感に似ていた。 うごめくモノは私の体内を、下腹部からさらに下って行き、棒状に変化した。 棒が激しく私をかきまぜる。視界が霞み、全身から力が抜けそうな快楽に襲われ、今にも獣のように大声であえいでしまいそうだ。 めくれ上がったスカートから覗く下着に銀色のシミが浮かび、私をあざ笑うようにゆっくり明滅している。
952 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/21(金) 02:03:47 ID:bJKk+7SF
ずるり、と股間から何かが抜け出す感覚と、腰が抜けそうな快感に頭の中が真っ白になった。 どれほどの時が経ったのか、私は居酒屋の座敷で独りほうけて天井の電球を見つめていた。 「おめでとう。」 どこかから銀髪の男の声がする。 戸惑う私の体をあっという間に抱き上げると、目を閉じて唇を重ねてきた。
男の口からは糞の香りと、昨日食べたバナナの味がした。 「おえええぇぇっぇぇぇっぇぇえ」 私は、男の口の中に大量の吐瀉物を流し込んだ。そして警察に連絡した。 10分後、警察が到着し糞の香りがするサイボーグは射殺された。 そして、私とホモ結社との人類の存亡をかけた戦いが は じ ま っ た。
954 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/23(日) 01:45:37 ID:C3rnKQri
入り口の扉には「ウェルカム・マイ・バックドアマン」と書かれた金縁のプレートがかかっている。 玄関外に捨てられた大量の坐薬用のブリスターケースと、ローションらしき液体の付着した巨大な薬きょうが、中で行われている凄惨な場面を想像させる。 なぜ戦うのか? 考えても始まらない。 理由なんていつだって後からついてくるものなのだ。
ホモ結社ごときが人類の存亡を握っているなどとは、私も夢想だにしなかった。「人類バラ色計画」のことを知るまでは。 人類バラ色計画とは、哺乳類をゲイに変えるウィルスをばら撒く無差別テロ計画のことだ。ウィルスが捲かれたら世界が終る。 あのサイボーグは、終わった後の世界に住むことになる新しい人類の試作品だそうだ。 この計画を阻止するためには、ウィルスのサンプルを入手し、ワクチンを作り、奴らより先にワクチンを散布するよりほかない。 ウィルスは既に完成したようで、地下研究所を有する「ウェルカム・マイ・バックドアマン」では、ホモの宴が開かれていた。
宴が終わるにつれ、延長するか幹事と相談した。コンパニオンを減らすという事で折り合いがついたが、、、
「…うん。じゃそういう事で。…お待たせしました。こちらでございます。」 受付の男は電話を切り上げ、私を宴の間へと案内した。 そこは小規模の劇場めいていて、席に付けない者が通路に溢れる程の繁盛ぶり…。 銀幕のステージ上では、屈強そうな大男が全裸の小男の肛門に弾丸を挿入している。 苦渋と快感の入り混じった表情を浮かべながら、小男が肛門より薬きょうを吐き出すと、場内に歓声が沸き起こった。
み な ご ろ し だ。 私はサリンの入ったポリ袋を小男のケツの穴に突っ込んだ。 袋が破裂した。 5分後、ゲイの天国は地獄と化していた。 このとき私は神に会った。いや、言い換えよう。神は私だったのだ。
959 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/26(水) 00:18:56 ID:sS7C8rSI
「…さて神様とやら、その実力を見せていただこうか。」 いち早くガスマスクを装着した者らが私の周りを取り囲んでいる。 ここがホモ結社の本部であり、単なるショーパブなどではない事を忘れていた自分の迂濶さを呪ったが、遅かった。 屈強そうな男が、直径20cm、全長80cmはありそうな巨大な弾丸を、ローションを含ませたウェスで磨きながら近付いてきた。
「・・・・うっ」 目が覚めた。ここは・・・・病室?窓からの光が眩しい。 よく見ると窓には格子が取り付けられている。恐らくドアには鍵が掛かっているのだろう。 そうだ。思いだした。私は神だ。そして、神を信じない者たちの手によって精神病院に押し込まれたのだ。 そろそろ、世界に神の降臨を知らしめる時だ。さて、どうやろうかな↓
とりあえず、演説でもするか。
962 :
創る名無しに見る名無し :2009/08/30(日) 00:56:59 ID:Mf3HrZfE
粉雪の舞い散る八甲田山に、朗々とした調子で響き渡る、次期政権獲得へ向けての公約発表の演説。 聞いている者は皆無。 静けさを孕んだブナやクヌギの雑木林は、ただ沈黙してその声を飲み込み、人の世の醜い権力争いに辟易、むしろうすら笑いさえ浮かべているようであった。 それでも私は訴えるのだ。 清き一票を私に!
違法献金。 隠し子。 愛人。 殺人。 過去の悪事を週刊誌にすっぱ抜かれ、私は自殺を決意した。死に場所は
京都しかないな。 私はニヤリと笑い、電柱に貼られた政治家のポスターを引っ剥がし、駅へ向かった。 新幹線の自由席は全て埋まっていたので床に寝そべり、ビール片手に歌を歌う。 いい旅だ。落選による心の傷が音を立てて塞がってゆくようだ。 …おっと、つまみが欲しくなってきたぞよ。
コンビニにでも行くか。 私は酒を飲みつつコンビニへ向かった。 死ぬのはつまみを買ってからでもいいだろう。 しかし、コンビニの前でふと気づいた。 「やべ、財布忘れた。」
金がなけりゃ、奪えばいい。もう、失うものなどないのだから。 何か武器になるものはないかとポケットを探る。 すると、護身用に買った太刀に手が触れた。 よし、こいつで無双だ。1000人切りを目指すぞ。 そう決意し、私は太刀を構えて、コンビニの中へと入って行った。
967 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/01(火) 02:01:07 ID:eUN8466r
コンビニの長い廊下を軋ませながら乾きものコーナーへ向かう。 ビールに合うのは…おっと、寒鯖の水煮を発見した。 ビールはやめて冷酒にしよう。私は酒を求めてほふく前進で酒コーナーへ移動する。 …と、私の行く手を遮るかのように警官の格好をした男が立ちはだかった。 男はジーンズのベルトを外し、ムチのようにピシャンピシャンと床を打ち鳴らすと、嗜虐の笑みを浮かべて近付いてきた。
一目で確信した。この警官も私と等しく、迷い人であろうことを。 大方、行き場のない惑乱と、やり場のない憤慨を抱え、それを晴らせる相手を探していたのだろう。 けれども決して同族ではない。同一でもない。 極めて近い何かを持ちながら、極めて遠い、対極に立っている相手なのだ。 現に私の行く手は警官によって塞がれている。ならば取るべき手立ても――ひとつしかない。
「・・・どうぞ」 私はズボンをおろし、四つん這いになって警官に自分の尻を差し出した。 警官はニヤリと口を歪めると、手に持ったベルトで私のケツを打ち始めた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どれくらい時間が経っただろうか。 どうやら私は気絶してしまい、そのすきにこの場所に運び込まれたらしい。ここは・・・
「…倉庫」 私はそうつぶやいた。 ふと眼をやると、警官が下半身を露出させてニヤニヤ笑っている。 あぁ…もう駄目……意識がまた…遠…のいて・・・・イ・・・ク・・・ 「おらぁあああああ!!!!!警官のクズめぇえええ!!!!」
声の主はいつの間にか忘れ去られた男“ジョナサン”だった。 「よい子は連投しちゃいけないって!?俺はよい子じゃないからそんなの関係ねー!」 意味不明な独り言を大声で叫びながらバズーカを構えて警官に近づく。 「その女は国の重要機密を握ったジャイアン2号だ。悪いがとりあえずクタバレイピカイエ!」 ・・・人違いよ。私の名前は酒井…「おおっと!5行オーバーはインテリ優男(28歳)に怒られる」
972 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/02(水) 00:22:39 ID:2qaT9e8G
「案ずるな、心のままにな」 声がして振り返ると白髭のホームレス老人が白いウサギを抱いて立っていた。 「そのウサギも食糧か?少しは命を大切にしたらどうだ。」 老人の肩に手ならぬ触手をかけ、たしなめたのは熊殺しの異名をとる動物愛護団体の会長だ。「ほっほっほ…人に説教とは偉くなったもんだな〜〜ッ」
一方その頃― フジカワ、マツウラ、タムラの3人のネットウヨがいた。 自分たちが応援した与党が惨敗し、在日認定を繰り返す荒れた毎日を送るようになった。 ある時彼らはTSUTAYAギャレンの力を得た。 その力を悪用し、在日と思われる人間を片っ端から襲うようになった。 今日も彼らは「日本を守る」というゆがんだ信念を胸に町をさまようのであった。
974 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/02(水) 21:59:37 ID:2qaT9e8G
最初に精神に破綻をきたしたのはタムラであった。 「木下」という言葉に執着、過敏になるあまりに、部屋から外に出られなくなってしまったのだ。 1日中PCにかじりついては、煙草が切れると母親に当たり散らす。 そんな生活態度を見かねた母親は、とあるクリニックへとタムラを強制収容させた。 「こんにちは。今日から君のカウンセリングを担当する、ペニス 一郎です。よろしく。」
,,..‐-- ..,, ,,-''" "'‐、 ./ ,,. .ノ''ノ "''ノ"''ノ,,.. ヽ / ノ ノヽ ,' ) サムスン ノ、 |. iiillllllii iilllllliii ヽノ | -=・=- ヽ / -=・=- | |^i |  ̄ l  ̄ ` |ノ / \ l し' |∴\ ∨ 、/ . ) | ∴ i ´ー===- i ∴ | \∴!  ̄ !∴/  ̄\_ /:| ̄ よろしく、さっそくだけど、僕の運勢を占ってくだしんw 〕;;;;;;;_/ / ̄ ̄ ̄ ̄/| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |\ / / | | \ / / | 露 出 狂 | \  ̄ ̄ | ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ |ソフトバンク |___________| | _|_ \__ \ / / / / / / / | / / /レ' (  ̄)
977 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/04(金) 03:26:16 ID:ujZpfOXv
木下はペニス一郎とは目を合わせようともせず、テーブルの下でしきりに自分の指の爪のささくれを気にしている。 いつしか夕暮れになり、窓から差し込む西日が、木下の端正な横顔をコハク色に染めた。 木下の耳もとに触れたペニス一郎の指が頬をなめ、唇へと到達する。 驚いた魚のように唇を震わせ、潤んだ目で見上げる木下に、ペニス一郎は告げた。 「
978 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/04(金) 08:29:19 ID:g0fJdfMl
おれの尻を叩いてくれないか」 木下は、窓から飛び降りた。
979 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/05(土) 15:05:40 ID:cxIiRQ2C
タムラは精神病棟に収監された。 だが、フジカワが在日の陰謀認定をし病棟に怒鳴りこんできた。 さらに、マツウラは「天才ドチンピラEX」を自称しテロ組織を結成する。
980 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/07(月) 04:43:43 ID:OXzFLQPH
タムラとフジカワが情交を深めあっている頃、時同じくしてマツウラもまた、秘書のクミコとの熱い情事に耽っていた。 なまめかしく艶めく若い肌に、名残惜しげな視線を落としつつマツウラは一旦体を離し、衣服を脱ぎ始めた。 コンドームの箱を口許に当てて、上目使いのクミコの仕草に心が急いてしまい、ボタンがうまく外せない。 額にたっぷりと汗の玉を浮かべながらようやく全裸になり、おもむろに体を重ねようとしたその時、部屋のドアがノックされた。 「ようマツウラ。ぶち殺してやるから、出て来いや。」
マツウラはせっかくの雰囲気をぶち壊され感情が爆発した。 「誰だこのチンカスが!ぶっ殺すよ!?」と暴言を扉の向こうの人間に連発した。 「おいおい…レディの目の前で暴言を連発か?品がないなユトリーはこれだから…」 あきれた口調で扉の向こうの男は話を続ける「確か“タムラ”だったかな?あいつに白い薬をプレゼントした。特注品だから即死だろうな」 「さて、次は君の番だ。ハチの巣になるかい…?最後に教えてやる。俺の名はジョナサン」
982 :
創る名無しに見る名無し :2009/09/08(火) 00:51:28 ID:DIR91ZA1
マツウラの表情がミルミルうちに不動明王のようなド迫力フェイスに変貌し、筋肉が隆起する。 扉の向こうの男がレバーハンドルに手を掛けた瞬間、扉は内側からぶち破られた。 マツウラの髪は金色に逆立ち、前進から光のオーラが発散されている。 怒りがマックスを越えたのだ。まさにMAXマツウラ。 壁際に倒れたジョナサンと名乗る痩せぎすの男を睥睨しながら、マツウラはゆっくりと息を吐き出し、次の瞬間……!
マツウラの頭の血管が破裂した。 ジョナサンは朦朧とする意識の中呟いた。 「スーパーサ●ヤ人になろうとするからだ。言わんこっちゃないぜ。」 ジョナサンはフラフラと立ち上がろうとした瞬間、マツウラが立ち上がった。 「俺の楽しみを邪魔しやがって…!ぶっ殺す!ぶっ殺す!ぶっころぉおおす!」
「ぶっ殺されるのはお前だ」直後、マツウラの頭が粉々に吹き飛んだ。 「情けないぞジョナサン」声の主はインテリ優男だった。 呆然とするジョナサンに優男は続ける。 「フジカワとタムラは病棟ごと吹き飛ばした。薬なんてまどろっこしいことするなよ」 ジョナサンに説教する優男の背後に凶悪犯ヤマ=キタとヤマ乃ウエが立っていた。
「優男!危ねえ?」 「え?」優男は後ろを振り返ろうとするのと、ヤマ=キタが銃を抜き、放つのは同時かと思えた。 もうダメだ、と目をギュッと瞑る。 …がしばらく経っても銃声は聞こえなかった。 恐る恐る目を開けると、5mほど先にいる優男には何も変化はなかったが、その後ろ、銃を打っている筈のヤマ=キタの首が180度回転していた。 彼はそのままドスっと倒れる。 何が起きたか把握する事ができずに、視線を横に移すと、ヤマ=キタから3m離れた横の所に、長身の男が立っていた。 髪は少し暗めの金髪でオールバック。 サングラスを掛けおり、服装は全身黒色で、肌に密着し体が引き締まっていることが分かるものだった。 腰にはナイフとサムライエッジと英語で刻まれた拳銃がさされている。 「ダメだな‥全然ダメだ」彼は呆れるようにクビを横に振り、サングラスを掛け直す。 気のせいだったろうか、その時見えた彼の目の瞳は赤色だった。
986 :
創る名無しに見る名無し :
2009/09/10(木) 07:29:35 ID:6+J8s790 するとヤマ乃ウエが我に返ったように睨みつける。 「てめぇら!よくも俺のダチをこんな目にあわせてくれたな!」 ヤマ乃ウエの目が充血し体中からオーラに包まれ始めた。 「8年前のことを忘れたとは言わせんぞ!」 ジョナサンと優男を再度睨み、言葉を吐き捨てそして・・・