創作発表とか見ると創価学会思い浮かぶよな?

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 ヨーコは一通の手紙を下駄箱から受け取った。
「なあに、これ?」
 下駄箱は努めて明るく応えた。
「よくあることさ。誰かが君に、何かを伝えようとしたんだよ」
「興味ないわ」
「じゃあ、僕は下駄箱としての機能を失って消えてしまう運命だ」
「なんで?」
「僕は誰かに手紙を届ける、大事な大事な役割を背負っているからだよ」
「それは、靴をしまう役割よりも大事な事なの?」
「靴をしまうだけなら犬でも穴掘って埋める」
「埋められたら困るのだけれども」
「犬に穴を掘って埋められたくないなら、その手紙を受け取っておいてくれないか」
 ヨーコは承諾して、その手紙を隣の下駄箱の領域に放り込んだ。
「そうだ。それでいい」
 下駄箱は満足そうに言った。

「やったぜ、ついに俺にも春が来た!」
 ヨーコの放り込んだ手紙を受け取ったリョージは、満面の笑みでガッツ・ポーズを決める。
 一緒に登校してきたアカネが首を傾げた。
「ラブレターのようね」
「へん、これでもうお前みたいな貧乳と一緒に登校する事はなさそうだな」
「うん、別にそれはいいのだけど。署名が男性名なのが気になって」
 リョージは封筒を裏返す。
 署名は図書委員仲間である、隣の組のイツキのものだった。女みたいな顔をした奴である。リョージは怖気立つ。
「……うわーお。アナル自重。アナル自重」
 リョージはそう叫びながら手紙を隣の下駄箱に放り込んだ。

 その下駄箱は、半年前に交通事故で亡くなったサエの下駄箱だった。
 夜の校舎で一人、サエは朧げな姿を見せる。
『ワタシ…… コレ…… ウレシクナイ……』
 下駄箱が首を傾げた。
「君はイツキ君が好きだったんじゃないの?」
『コレハ、ヨーコさんノタメニ書カレタ…… ワタシ、違ウ』
「そうじゃないんだ。これは、運命なんだよ」
 下駄箱は懸命に弁解する。
『ワタシ……チガウ……。デモ、アリガトウ……』
「お礼なんて。僕は、下駄箱の役割を全うしたかっただけなんだ」